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星宙に駆ける風となれ(作者 紅星ざーりゃ
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●第XXX回カバリアフォーミュラ開幕!
 かつて……この宇宙にまだ惑星の輝きが満ちていた頃、銀河を焼き尽くすほどの戦争がありました。
 銀河帝国の侵略とそれに立ち向かうべくして立ち上がった多くの人々――後の解放軍との戦いは多くの悲劇を生み、そしてそれに劣らぬ数の英雄譚をも私達に遺してくれました。
 そんな英雄譚のひとつに、ある伝令鎧装騎兵の物語があります。
 帝国の罠にかかり壊滅した解放軍艦隊から一人落ち延び、無数に迫る帝国軍の追手のことごとくを躱して後続の友軍に罠の存在を伝え、幾万の将兵の命を救ったと言われる名も無き彼、あるいは彼女に捧ぐべく、当時その鎧装騎兵に救われ戦いを生き延びた有志達によってこのカバリアフォーミュラは企画されました。
 その後銀河帝国の復活によって長らく開催中止となっていましたが、今!
 ようやく長い眠りから目覚め、銀河最速の名を掴み取るべく多くの勇敢な鎧装騎兵達が再びこの宙域に集まったのです!!

 マイクを握りしめ熱く語る司会の男が拳を突き上げると、観客席から船を揺らすほどの歓声が上がる。
 銀河帝国との二度目の戦争終結から一年半。もはやそれそのものが伝説になりつつあった騎航競技――アームドレースの頂点を極める戦いが此処に蘇ったのである。
「そして今回は解放軍の完全協力のもと、復活第一回にふさわしいスペシャルな内容で皆さんに蘇ったカバリアフォーミュラの魅力が色褪せてなど居ないことをお伝えいたしましょう!」
 コースは大きく二部構成となる。
 前半はこの巨大サーキット船ヘルメスF19の艦内に誂えられたシンプルな周回コースを三周。ここで騎兵達は十分な加速を得る。その間にヘルメスF19とその随伴艦隊もワープ航法で移動し、後半の舞台となる――伝説の名もなき騎兵が駆け抜けた古戦場宙域へと向かうのだ。
 そう、第二部は旧大戦のデブリ漂う古戦場での障害物レース。前半で得た加速のままにヘルメスを飛び出し、英雄の足跡を遡るように暗礁宙域を駆け抜けたその先に、銀河最速の称号が待っている。
 我こそはという猛者達が集う中、大会の開幕に向けて人々の熱気はどこまでも高まってゆく――!!

●図らずも伝説の再現と
「いいですよね、騎航競技……僕は娯楽をあまり嗜みませんけど、あれはとてもよいものだと思います。ああ、スケジュールさえ合えば僕も愛機で参加したかったです」
 部隊章を象ったグリモアをくるくると回しながら、パルは集まった猟兵達に開会式典の映像を披露した。至極羨ましそうに。
 ここが何処かの旅団であったならばこのまま中継観戦となるのだろうが、ここはグリモアベース。つまりはそういうことで、パルも其処からは仕事モードに切り替えて猟兵達に向き直る。
「今回のレースなんですが、先程解説のあった後半の部……宇宙船外でのレースで銀河帝国残党部隊の妨害が入ります」
 実際のところ、解放軍協力で主催されているレースなのだ。このレース自体を餌として、暗礁宙域に潜む残党を釣り出し掃討するのが裏の目的であり、そのためにスタッフは重武装の解放軍部隊で固められ、参加者には武装が許可された上で解放軍からもいくつかのチームが参戦している。
「基本戦術として、スタッフ側の解放軍部隊がレースにおびき寄せられた残党を待ち伏せ撃滅、仮に突破されても選手に紛れた軍の騎兵がレースの演出としてこれを掃討する。そういう手筈になっています」
 ただ、とパルは微かに声音を曇らせた。
「盤石の体制の筈なのですが、グリモアの予測では参加者、軍部隊ともに少なくない被害が発生しレースは中断してしまうんです。詳細は不明ですが間違いなく銀河帝国軍の仕業でしょう」
 レース仕様のアームドフォートともなれば、最新技術や高価なパーツが惜しげもなく注ぎ込まれた一級品。そしてそれを運用するスタッフや動かすための資材もまた、物資欠乏に喘ぐ帝国残党には喉から手が出るほど欲しいものに違いない。
 それを守るためにも、そして平和の祭典を壊させないためにも、ついでに言えば銀河最速の冠もちょっと狙いつつ、猟兵達は駆け抜けて欲しい。
「ところで皆さんの参加者登録は先に済ませておきました。アームドフォートをお持ちでない人もいると思いますが、そこは僕がカスタム用のプレーンな騎体を調達しておいたので自由にカスタマイズしつつ宜しくお願いしますね!」
 転送ゲートを展開しつつ猟兵を送り出すパル。だがいつもの敬礼はなく、彼女は届いたばかりの新品の高品質記録メディアの包装をべりべり剥いていた。
 ――仕事をよそに録画する気満々であった。





第3章 ボス戦 『ノーザンライト』

POW ●ギガボルトキャノン
単純で重い【超高出力レーザーキャノン】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD ●ダブルレーザーキャノン
レベル分の1秒で【2丁のレーザーキャノン】を発射できる。
WIZ ●超過駆動NL
【超過駆動モード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
👑7

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はウォーヘッド・ラムダです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「海兵隊だ! 司令部沈黙に伴い現場指揮権は我々が掌握する!」
「ヒヨッコ共、ヘルメス方面まで後退しつつ戦線を立て直せ! 守る物さえ守りきりゃあいい! 残りは俺たちが受け持つ!!」
 帝国軍襲撃の報を受け急行した解放軍海兵隊の熟練兵士たちが戦線に加わったことで、混沌の戦況は急速に建て直されていった。
 未熟な兵と負傷した兵は後方に下げられ、抜けた穴を塞ぐように海兵と彼らが選抜した見込みのある兵で再編された部隊が塞ぎ、猟兵によって駆逐された残党の残党をたちまちに駆除してゆく。
「またお前さんらには助けられちまったぜ。悪いが俺ぁここでレースリタイアだ。部隊の指揮に専念するからな。お前らは最後まで悔いなく走りきれよ!」
 豪快に笑いながら戦場に取って返すアイアンズ。ベテラン兵士と指揮官が揃ったことで、後顧の憂い無く猟兵たちはレースに復帰できることだろう。
 平和の祭典はじきに取り戻される。帝国軍の乱入は混乱をもたらしこそしたものの、致命的な破局に至る前に処理されたのだから。
 残党に対してプロパガンダ的な大戦果を示されることもなく、とはいえテロリストを駆除する強い解放軍の姿を見せることも叶わなかった――結論として銀河の政情は、再びなにかが起こるまでは現状維持という結末を迎えるであろう。

 ――けれど。
「敵の第一波はユーバーレーベンの艦をジャックして現れた……」
 ルシアナが抱いた疑念。ユーバーレーベンサイエンス社が帝国に与するテロ支援企業なのかどうかはこの先の総司令部による調査がはっきりさせるだろう。
 それを考えるのは現場の、それも経験未熟な若い士官のするべきことではない。だが彼らがクロだったとして。あるいはシロで、彼らの言う通り帝国軍の不当な武力行使によって協力を強いられていたとして。
 いつから帝国の支配下にあった――?
「ポラリス、あの騎体はどっちの……」

 ルシアナの懸念は今まさに現実の物として選手を襲っていた。
「――!!」
『どうやら気づいていたか、電子生命体!』
 コースアウトから一直線に接近してきたかと思えば、デブリを蹴飛ばし強烈な無重力踵落としを放つネモを片腕で受け止め、弾き返して瞬く光の嵐を浴びせ撃ちその両の脚を吹き飛ばす白い騎影。
『フン、非武装のゴミで私に抵抗できるものかよ。そこでクズどもが全滅するのを指を加えて見ているがいい』
 受け止めたとはいえ殺しきれなかった衝撃が騎体各部からの火花となって散れば、それを煩わしそうに強制排除してそれは現れた。
『それにしてもカスどもが。死にかけの複製体を拾って最期に帝国の役に立つチャンスを与えてやったというのに』
 死したクローンライダーたちを嘲り、それは廃棄した装甲の内側に隠されていたレーザーキャノンを掴み取る。
『反乱軍のクズを皆殺しにする、こんな簡単な仕事すら出来ないから辺境部隊で燻ることになる。陛下のお役に立てぬどころか拾ってやった私の役にすら立たないとは恩知らずどもめ』
 心底疎ましそうに同志を貶すポラリス――あるいは帝国軍高機動重砲撃型ウォーマシン、ノーザンライトはゴールのある宙域に視線を向ける。
『だが……まぁいい。カスがカスらしく死ぬならば、クズどもがアレに食い付いている間に私は本来の作戦を果たすまでだ』
 参加者を一騎ずつ撃ち落とし、銀河最速を帝国の臣たる己が奪う。
 その姿が全銀河に中継され、反乱軍に与するクズが絶望したところでヘルメス艦隊を焼き払ってやろう。
 瞬光とそれを追う選手たちの放つ残光を追って、ポラリスだった頃の数倍の速度で飛翔するノーザンライト。
 後方から、全てを飲み込む極光が迫る。