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迷宮災厄戦⑱-7〜ランブルフィッシュ・オリジン

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦 #オブリビオン・フォーミュラ #オウガ・オリジン

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●雷鳴轟く国
 その不思議の国は、雷鳴轟く荒野ばかりが広がる国であった。
 稲光が空を照らし、轟音が響く。
 それはまるで、この国に存在しているオウガ・オリジンの心象を現しているかの如き、恐怖を助長させるものであった。
「腹立たしい! 腹立たしい! 猟書家たちだけでなく、猟兵たちも、わたしの周りを飛び回るハエのようだ」
「小うるさく、それでいて取るに足らない存在であるというのに世界で最も尊いわたしを煩わせる」
「万死! 死刑! 極刑! 斬刑!」
「今すぐ殺そう、惨たらしく殺そう!」

 雷鳴の合間にオウガ・オリジンの声が響く。
 驚くべきことに、その声はどれもが違う方向から聞こえてくる。否、四方八方どころではない。荒野のあちらこちらから鳴り響くような大合唱。
「猟兵どもは小賢しいが、貴様こそなんだ。不遜である。わたしと同じ顔をしているなんて」
「わたしはわたし以外必要ないというのに、何故増えたのか」
「わたし以外にわたしを名乗るものがいるなんて耐えられない。即刻死すべきだ」
「全て、全て鏖である! わたしの胃袋を満たさなければ!」
 全てが同じ、オウガ・オリジン。
 それは現実改変ユーベルコードで無数に分身したオウガ・オリジン。その圧倒的暴力性はそのままに、この国に存在するオウガは全てオウガ・オリジンなのだ。

 吹き荒れる雷鳴以上に、オウガ・オリジンたちの制御できない邪悪が『雷鳴轟く国』に蔓延していく―――。

●迷宮災厄戦
 グリモアベースへと集まってきた猟兵達に頭を下げて出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。オブリビオン・フォーミュラ……『オウガ・オリジン』の存在する戦場が予知されました」
 それは硬い表情のままであり、なおかつ困惑している表情であった。いつもであれば、言いよどみこそすれ、彼女は説明を始めるだろう。
 だが、今回、彼女は困惑しきっていた。
「みなさんは、オウガ・オリジンのユーベルコード……現実改変ユーベルコードはご存知でしょうか……?」

 そう、それはオウガ・オリジンがオブリビオン・フォーミュラである所以。
 現実を改変するユーベルコード。それこそが猟書家も求めた力である。その力によってオウガ・オリジンは様々な戦場で予測もつかないいくつものユーベルコードを使い、猟兵たちを苦しめている。
「今回は、その現実改変ユーベルコードによって無限に増殖したオウガ・オリジンの群れと戦うことになるのです」
 その言葉に猟兵達は戦慄することだろう。
 オウガ・オリジンの強さは折り紙付きである。そのオウガ・オリジンが増殖し、群れを成して襲ってくるという光景に背筋が寒くなる。
「ですが、本来のオウガ・オリジンよりは若干弱い、ようなのです。それでも無視できないほどの群れなのです……ですが、光明はあります」
 ナイアルテは猟兵たちに説明を続ける。
 現実改変ユーベルコードによって無限に増殖したオウガ・オリジンの群れの一つが『雷鳴轟く国』という常に雷鳴が轟き、稲妻が落ちる荒野に存在しているのだという。

「増殖したオウガ・オリジンたちは、その、かつて忠臣さえも戯れに殺したほどの鬼畜・自己中心的な性格のため、己自身であってもいがみ合い、隙を見ては互いに滅ぼし、自分が唯一のオウガ・オリジンであろうとするのです」
 つまりは、同士討ちを誘発することさえできれば、猟兵達の有利に事が運ぶことができるというわけだ。
 ただ、数が多すぎるが故に、倒せる数は限られているかも知れない。けれど、何もしないでいることなどできない。
 少しでもオウガ・オリジンの力を削がなければ、この迷宮災厄戦の勝利すらおぼつかないだろう。

「そのとおりです。例え一体でも、オウガ・オリジンの増殖体を倒さなければなりません。小さな一歩でも、必ずや強大なオウガ・オリジンの力を削ぐ事に違いはないのですから。若干弱くなっているとは言え、通常のオウガよりも遥かに強敵です。彼女の悪辣なる性格を利用して、この群れを打ち倒さなければなりません」
 そう言ってナイアルテは頭を下げる。
 この無限に増殖したオウガ・オリジンの群れがどれだけ危険な存在であるのか、猟兵たちもまた無事では済まないかもしれない。
 それがわかっているからこそ、ナイアルテは頭を下げる。敢えて困難へと猟兵たちを送り出さなければならない。

「私は信じています。みなさんが無事に勝利を手に帰って来られることを。ですから―――どうか」
 どうかご無事で。
 その言葉を最後にナイアルテは猟兵たちを『雷鳴轟く国』へと転移させるのであった―――。


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『迷宮災厄戦』の戦争シナリオとなります。

 雷鳴轟く国に存在するオブリビオン・フォーミュラ『オウガ・オリジン』を打倒しましょう。

 ※このシナリオには特別なプレイングボーナスがあります。これに基づく行動をすると有利になります。

 プレイングボーナス……オウガ・オリジンの性質を利用して、群れに対処する。

 それでは、迷宮災厄戦を戦い抜く皆さんのキャラクターの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 集団戦 『『オウガ・オリジン』と無限増殖』

POW   :    トランプストーム
【鋭い刃のような縁を持つ無数のトランプ】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    わたしをお前の血で癒せ
自身の身体部位ひとつを【ライオン型オウガ】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    フラストレーション・トルーパーズ
自身が【苛立ち】を感じると、レベル×1体の【トランプ兵】が召喚される。トランプ兵は苛立ちを与えた対象を追跡し、攻撃する。

イラスト:飴茶屋

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ナギ・ヌドゥー
その力が戻ったのは猟書家を倒した猟兵達のおかげだろうに
少しは感謝して欲しいものだな
……なんて正論が通じる相手ではないか
こんな数のオウガ・オリジンに勝てるわけが無い
一先ず逃げる【逃げ足】
奴等を【おびき寄せ】ながら敵攻撃を誘う
敵UC発動と同時にこちらもUC発動
全ての攻撃を反射する「無驍反衝」
トランプをオリジンの群れに跳ね返すぜ!
アンタ等をトランプでズタズタにしたのはオレじゃないぜ?
ソイツの攻撃が下手くそだから反射したんだよ
その無能なオリジンを先に始末しないとオレは殺せんよ



「許せない。到底許されることではない。わたしの前に何者かが立つなど許せるわけもない」
 オウガ・オリジンの群れは正しくドラッグレースの様相を呈していた。
 己こそが唯一の絶対者であり、他者など己を着飾るための手段でしか無いという悪辣を煮詰めたような存在であるオウガ・オリジンにとって、現実改変ユーベルコードによって無限増殖した己の増殖体ですら、邪魔者でしか無かった。
「猟書家も猟兵も許せない。わたしの力を簒奪した者は何もかも。鏖にしても飽き足りない」
 その声だけは意思統一されたかのように『雷鳴轟く国』に響き渡る。その大合唱の如き声を前に、立ちふさがる猟兵の姿があった。

「その力が戻ったのは猟書家を斃した猟兵達のおかげだろうに。少しは感謝して欲しいものだな」
 稲光の青白き光を受けて輝くような白い髪をなびかせて、ナギ・ヌドゥー(殺戮遊戯・f21507)がオウガ・オリジンの群れの前に立つ。
 猟書家により簒奪された現実改変ユーベルコードの力。それは猟書家を倒すことによってオウガ・オリジンの元に戻ってくる。
 皮肉にも、猟書家の異世界侵攻を止めるためには、オウガ・オリジンに利する形になってしまう。それはナギの言う通りであった。
 猟兵たちが猟書家の一角を突き崩したが故に、現実改変ユーベルコードの力がオウガ・オリジンに戻ったのだから、正しく猟兵のおかげであった。

「盗っ人猛々しいとはこのことである! わたしの力が元ある場所に戻っただけだ。猟書家も猟書家であれば、猟兵も猟兵だな。世界で最も尊き私に奉仕する喜びを見いだせぬとは」
 その声が一人のオウガ・オリジンより響き渡る。
 それはもはや対話の無意味さを物語っていた。正論が通じる相手ではないかとはわかっていたナギにとって、その答えは予想通りのものであった。
「こんな数のオウガ・オリジンに勝てるわけが無い……ひとまず逃げる」
 そう言って脱兎のごとくナギは荒野を駆け抜ける。その背中を追うのは、白ウサギを追うが如く狂喜するようなオウガ・オリジンの声。
「兎を追う! 兎狩りだ! 中々楽しませるではないか、猟兵!」
「脚だ、脚を狙おう。皮を剥いで、削ぎ落として、骨までスープにしてやろう」

 そんなオウガ・オリジンたちはナギを我先に捉えようと荒野を駆け回す。雷鳴が轟き、そのおどろおどろしいまでに人肉への執着を示す顔のない顔に浮かぶであろう喜悦の色は、狂気に染まっていた。
「ふん、まったくもって醜悪な面構えだ。なあ! 兎一匹にそんなに必死になって見苦しいとは思わないのか」
 ナギの言葉は後方へと投げかけるただの礫に過ぎなかった。けれど、その礫は、小石であろうと、オウガ・オリジンの中に不快な音を奏でる小石であった。

「わたしを愚弄するか、生皮を剥いでやろうと思ったが、許さぬ。疾く、ミンチにしてくれる!」
 オウガ・オリジンたちから一斉に放たれる鋭い刃の縁を持つトランプの嵐。無数のカミソリのような刃を持ったトランプが駆けるナギの背中へと追いすがる。
 その嵐の如き刃を持ったトランプの渦に巻き込まれれば、オウガ・オリジンの言葉通り、ナギはミンチのように細切れにされてしまうだろう。

 だが、そうはならなかった。
「いい技だ―――返すぜ!」
 無驍反衝(コードリフレクション)。それは全身をユーベルコードすら反射する肉体へと変えるユーベルコード。あらゆる攻撃に対して無敵のユーベルコード。
 背を向けていたナギがオウガ・オリジンに向き直った瞬間、襲いくるトランプの嵐が、彼の体に弾かれ、まったく同じ威力と規模でもってオウガ・オリジンたちを襲う。

 それはオウガ・オリジンたちにとって予期せぬことであった。
 自分たちのユーベルコードがそっくりそのまま還されるとは思ってもみなかったのだ。自分たちの肉が、身体が、切り裂かれていく痛みに苛立つように叫ぶ。
 その叫びは雷鳴に引き裂かれ消えゆく。その合間にナギの声が響くのだ。
「アンタ等をトランプでズタズタにしたのはオレじゃないぜ? ソイツの攻撃が下手くそだから反射したんだよ」
 ナギの指先がある一体のオウガ・オリジンを指差す。そう、誰でも良かった。どの個体を指差すかなんて考えても居なかった。
 ただ、ナギは指差すだけでよかったのだ。

「その無能なオリジンを先に始末しないとオレは殺せんよ」
 それがきっかけだった。
 引き金を引いたと言ってもいい。ナギの一言によって、指さされたオウガ・オリジンは周囲のオウガ・オリジンたちから一斉に攻撃される。
 それはさながらカラスの裁判のようなものであった。有罪と決めたものに一切の手加減はない。情けもない。手心があるわけもない。
 ただひたすらに滅多打ちにされるオウガ・オリジンの増殖体。霧散し消えていくしかない運命に怨嗟の声が響き渡る。

「ああ、残念ながら、ソイツじゃあない。その横、ソイツだ」
 ナギは余計な一言で、オウガ・オリジンをさらなる混乱に招く。そうして、再び始まる裁判を背に負いながら、ナギは戦場を後にする。
 あとは最後の一人になっても、あの群れのオウガ・オリジンたちは争い続けるだろう。最後のオウガ・オリジンを、消耗しきった最後の一人を自分が討てばいい。
 敵ながら単純なものだ。
 いや、違う。
 どの個体も自分だけが、自分が本物であると信じて疑わない。自分以外の誰も信じていないから、誰も信じない。
 だからこそ、あの悪辣たる性格となったのだ。

 その争いを眺め、ナギはため息をつく。
 真に悪辣なる者に相応しき末路であると―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シキ・ジルモント
◆SPD
真っ直ぐ敵の群れへ、敵を片っ端から攻撃する
正面から小細工無しの戦いを、そのように相手から見えたならひとまず成功だ

敵を油断させ、警戒させずにこちらを包囲させる
ライオンの頭部に変じての噛みつきを『見切り』、食らう直前で狼に変身して潜り抜けるように回避する
人から狼へと急に姿を変えれば、目測を誤らせる事ができるだろう
敵が油断していれば尚更だ

そうして背後に居る別のオリジンへ噛みつかせる、それを何度か繰り返す
最初はただの間違いでも、それが何度も続けば…仲間割れには十分な動機になるだろう

揉め始めたら混乱に乗じて人に戻りユーベルコードを発動
仲間割れに忙しい周囲の敵を、まとめて『範囲攻撃』に巻き込みたい



 雷鳴轟く国に稲妻が迸る。その明滅する青白き光は荒野を照らし出し、そこにうごめくオウガ・オリジンたちの顔のない顔を浮き彫りにする。
 その数は圧倒的なまでの数だった。
 現実改変ユーベルコード、その力によってオウガ・オリジンたちは無数に分裂し、群れをなしていた。
 普通の獣であれば連携や連帯感のようなものが生まれる。だが、オウガ・オリジンはその悪辣なる自己中心的な性格ゆえに、己と同じ増殖体であっても他者とみなし、利己的な行動ばかりを繰り返す。
「わたしの群れが一つ消滅した! 猟兵! 猟兵が生意気にもそれを為した!」
「許せぬ。わたしの増殖体などという不遜な存在であったとしても、わたしを害したことは万死に値する」
「殺さなければ、はやく、殺して、ミキサーにかけてスムージーのように飲み込まなければ、この溜飲は下げられぬ!」

 思い想いに口走るのは、先行した猟兵によって倒された群れへの心配でもない。ただ危惧するのは己という自己のプライドだけだ。
 一介の猟兵に増殖体といえど、己が倒されたという事実は傲慢なるオウガ・オリジンの自尊心を甚く傷つけたのだ。
「―――猟兵だ、猟兵が来た、またしょうもこりなく!」
 オウガ・オリジンの視線の先、雷鳴轟く荒野に一人の猟兵の駆ける姿が映る。たった一人、しかも実力で劣る者が単騎で突っ込んでくるのだ。

「……」
 シキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)は手にしたハンドガンの引き金を引き続けながらオウガ・オリジンの群れへと真正面から突っ込む。
 それはオウガ・オリジンにとってすれば、自棄糞のような行動であり、自殺行為そのものであった。
 むしろ、そのような行動のほうが、オウガ・オリジンにとっては好ましかった。
「バカめ、真正面からわたしに挑むなど!」
 その単騎で突っ込むシキに向かってオウガ・オリジンの群れが取り囲む。じっくりといたぶって、虫を弄ぶように嬲り殺そうというのだ。
 ライオンの頭部に変じた腕がシキを食らわんと迫る。それを紙一重で躱し、シキは群れの包囲網の中で哀れに踊る様子を―――演じていた。

 紙一重で躱す瞬間、シキの姿が狼のものへと変じ、そのライオンの顎を潜り抜けるようにして回避する。
 それは人型から四足の獣へと変貌したことによる目測の乱れを引き起こす。
「狼になった! 食いでがないぞ、猟兵!」
 ジグザグにオウガ・オリジンたちの間を駆け抜ける。そうすれば、シキを食らわんとするライオンの顎はオウガ・オリジンの密集した群れの中で、互いに噛み付く同士討ちを誘発する。
「何をする! わたしに噛みつこうなど、野良犬でもしないことであるというのに! 愚かな!」
 たった一度の間違い。
 けれど、オウガ・オリジンにとっては耐え難い己への叛逆。それは許しがたく、水に流すこともできない自己中心的な性格のオウガ・オリジンにとって、己の身体を傷つけた相手は、たとえ、それが増殖体の己であっても許しがたいものであった。

 次々と群れ内部での争いが大きくなり、互いに掴み合い、啀み合うことをやめられないオウガ・オリジンたちを人間の姿に戻ったシキは哀れむように見ていた。
 あまりにも意味のない争い。
 どれだけ強力な現実改変ユーベルコードを持っていたとしても、己以外の何者も許し難いという自己中心的で居て、己であったとしても牙をむく者に容赦することもないオウガ・オリジンはシキにとって容易い相手に違いなかった。

「互いしか見えていない者に―――これから逃げられると思うな」
 混乱に陥れられたオウガ・オリジンたちの群れを一掃すべくシキのユーベルコードが発動する。
 フラッシュ・ストーム。それはスピードを生かした隙のない銃撃と格闘攻撃。混乱に乗じ、オウガ・オリジンたちを無差別に攻撃していく。
 ハンドガン・シロガネの銃撃が響く度にオウガ・オリジンの増殖体が消えていく。また一人、また一人。
 混乱のさなかにあるオウガ・オリジンたちは次々と討ち果たされていく自分自身にも気がつくことが出来ない。
 互いに掴み合い、己が最後の一人になるまで消耗し続け……。

「お前が最後の一人だ」
 最後のオウガ・オリジン……その群れの増殖体の最期の一人の後頭部にハンドガンの銃口を突きつける。
 オウガ・オリジンが振り向こうとした瞬間、その顔のない顔の眉間に銃弾が放たれる。ぐらりと崩れ落ちるようにして荒野に倒れ込むオウガ・オリジンの体にさらに弾丸を打ち込む。
 これがオブリビオン・フォーミュラ。
 悪辣なる自己中心的な性格を持つ、己自身すら他に存在することを許せないオウガ・オリジンの最期。

 孤高で生きることが最上であるとは言わない。けれど、オウガ・オリジンのような最期もまたまっぴら御免である。
 そう思いながらシキは雷鳴轟く国を後にするのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジェイムス・ドール
んん、怒らせて同士撃ち。つまり…
いたずらしちゃおう!かなっ?

って言いながらとんできた無数のトランプを受けて
『鏖殺鬼紙』発動。化術、トランプが当たって飛んでった腕とか足とかを無数のトランプに変装。トランプってようは紙片だよね!

今私、最高にアリスの愉快な仲間って感じがする!
バラバラのトランプになった体を、オウガのアリスが放ったトランプに混じって念動力で飛びすさび、オウガのアリスの間を縫い飛びながら縁で斬っておどろかす。

ふっふっふ。今のトランプは私の?…アレ?
アリスのトランプだった?あれれ?どっちだったカナー?

全身を無数のトランプに変えて、飛んでいく
まぁいいや!遊びましょう!



 雷鳴が轟く国は、ひっきりなしに稲光が迸る。
 ごろごろと響く音は、生命にとって危険を感じさせるものであったかもしれない。
 けれど、ジェイムス・ドール(愉快な仲間の殺人鬼・f20949)にとっては、特に気にするようなものでもなく、目の前に広がるオウガ・オリジンの増殖体が群れ為す光景のほうがよほど興味を惹かれるものであった。
「んん、怒らせて同士討ち。つまり……いたずらしちゃおう! かなっ?」
 燕尾服を翻し、シルクハットをつまみながら、飛来するトランプの縁がカミソリの刃のようになった嵐を躱す。
 危ないなぁ、と見やれば、そこにあったのは、オウガ・オリジンたちの顔のない顔が一斉にジェイムスを捉えていた。

「群れが、わたしの群れがまた一つ消えた! 消えたわたしのことはどうでもいいが、わたしの権威が地に落ちることは許せない。ひとかけらとてわたしの威容は欠けてはならない!」
 オウガ・オリジンの増殖体たちは己のことしか考えていない。
 例え、増殖体それぞれが自分自身だとしても、その悪辣なる性格にとって、己は己だけが存在していればいいと考えるのだ。
 故にそのトランプストームは、大嵐のようにジェイムスを包み込む。
「細切れにしてくれる。シュレッダーに欠けたようにパスタマシンのように、猟兵パスタにして、わたしの胃を満たすことのできる光栄に咽び泣くがいい!」

 鋭い刃が腕に、脚にあたる。吹き飛ばされるようにしてはね飛んでいくジェイムスの四肢。けれど、それは彼女にとってどうでもいいことだった。
 鏖殺鬼紙(オウサツキシ)。それは彼女のユーベルコード。己の体を無数の紙片に変異させる力。彼女の体は全て紙片。トランプに紛れ、トランプそのものになりながら、ジェイムスの体はトランプの嵐の中にあって恍惚と叫ぶ。
「今私、最高にアリスの愉快な仲間って感じがする!」
 全身細かく裁断され、トランプの紙片へと姿を変えたジェイムスは、トランプストームのトランプにまぎれてオウガ・オリジンたちの間を縫い飛びながら、その体を傷つける。

「あははっ! 驚いたかな? 驚いたよね? だっていきなり紙で指切っちゃうと思いの外深く切れて痛みよりびっくりしちゃうよね?」
 ジェイムスのトランプが次々とオウガ・オリジンの体を傷つけるようにして縫い飛ぶ。
 もはや、どのトランプがユーベルコードによって生み出されたものであるか、ジェイムスが変異したものであるか見分けが付かない。
 それほどまでに精巧に擬態したジェイムスの体は、オウガ・オリジンにも見分けが着くわけもなく。
「貴様か! わたしの玉体に傷をつけたのは! 許さぬ!」
「こちらこそ、貴様のトランプによって切られた!」

 オウガ・オリジンの増殖体の群れは混乱の真っ只中であった。
 ジェイムスが戯れるようにオウガ・オリジンの体を刻む。それはオウガ・オリジンにとって自分たちの攻撃で自分たちを抹殺しようとする不届き者のオウガ・オリジンがいる、というふうに勘違いしても仕方のないほどに巧妙に紛れ込んだジェイムスの手柄であろう。
「ふっふっふ。今のトランプは私の? ……アレ?」
 そこまで精巧であるということは、ジェイムス自身も自身がわからなくなるということだ。己の視界に映るトランプの数々。
 けれど、どれが自分の体であったトランプであるかわからなくなってきたのだ。
 真に迫る嘘が真と見分けが付かないようにするために真に迫ることと同じようにジェイムスもまたこんがらがってきていた。
「アリスのトランプだった? あれれ? どっちだったカナー?」

 混乱しながらもトランプの紙片はオウガ・オリジンたちを刻む。刻む。刻んでいく。その小さな傷は、取り返しのつかない亀裂となって増殖体たちの群れに争いを生む。
 互いに互いを理解できない自分自身。
 オウガ・オリジンの悪辣たる自己中心的な性格であるのならば、誰も信じられない。己自身であってもだ。
 そんなふうに群れの中で争い、自滅し、消滅していくオウガ・オリジンを紙片から見下ろしながらジェイムスは愉快そうに嗤う。
「まぁいいや! 遊びましょう! そうしましょう! もっともっと遊びたいから!」

 ジェイムスの笑い声と共にオウガ・オリジンたちの血風荒ぶ荒野での同士討ちは続く。
 その争いは最期の一組になっても終わらず、互いが互いを滅ぼすように同士討ちは群れの消滅という形によって終りを迎える。
 そんな中トランプの紙片が人型へと戻っていく。
 燕尾服の裾を払い、シルクハットを目深にかぶったジェイムスが荒野にて敬々しく一礼する。
 それは楽しく遊べたことへの感謝であったのかもしれない。もしくは、醜い同士討ちの最期の観客としてのフィナーレを飾る一礼であったのかもしれない。
 ともあれ―――。

「あー、楽しかった!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
オリジン
実は複数なの
バレバレ!?

なーんてね
いや、多いなあ…すし詰めじゃん
定食頼んだらオリジンおかわり無料ですって奴じゃん


『忍び足』でこそこそと距離を取りながら行動
《RE》Incarnationを抜刀
【神器複製】で複製を生成し『念動力』で上空へ飛ばす
オリジンの群れには見つからないよう慎重に
上空へ飛ばしきったら私もこそこそするのをやめよ

やーやー、オリジンくんおかわり無料会場はここかなー?
と注目を集め、視線がこっちに向いたところでオリジンの背後から複製剣を小突かせて離脱させる
おやおや?私を見てて大丈夫?
後ろを見せたら、他のオリジン達からバッサリだ!って感じみたいだよ
そんな感じで煽っていこうかな



 はじまりのアリスにして、はじまりのオウガ。
 それはアリスラビリンスにおいて、絶対者である証であったのかもしれない。かつての忠臣であったとしても戯れに殺す享楽性と、己を最も尊いものと称する自尊心、そして何より、世界の中心が己であると信じて疑わぬ自己中心的な悪辣たる性格は、正しくオブリビオン・フォーミュラであると言えたかも知れない。

 そんなオウガ・オリジンが現実改変ユーベルコードにて『雷鳴轟く国』にて為し得たのは、無限に増殖する己という信じられない力であった。
 増殖体は、オウガ・オリジンよりも若干劣る存在であったとしても、その力は些かの陰りも見えない。
「増殖体と言えど、わたしを殺すなど許せない。許すまじ、猟兵……! 最期の一人まで追い詰めて殺さなければならない。狩り尽くして、絶滅させ、その肉の一片まで食べ尽くさなければならない!」
 その憎悪はまさに先行した猟兵達によって尽く霧散し、討ち果たされた群れへの憎悪であった。
 己の権威を失墜させる増殖体の群れの全滅という事実は、オウガ・オリジンにとっては許し難いものであったのだ。

 そのオウガ・オリジンの群れを見つめる月夜・玲(頂の探究者・f01605)にとって、その数はまさに驚嘆に値するものであった。
「オリジン、実は複数なのバレバレ!? なーんてね。いや、多いなぁ……すし詰めじゃん。定食頼んだらオリジンおかわり無料ですってやつじゃん」
 そんなふうに言葉を零したく彼女の視界を埋め尽くすのはオウガ・オリジン増殖体の群れ。
 どれだけの数がいるのかわからない上に、その一体一体がオウガ・オリジン事態には劣るものの、若干という程度にしか過ぎないのだ。
 まともに相手をするのがそもそもの間違いである。

 故に玲は自身によって造り出した特性ガジェット、模造神器を利用した兵器の一振りを抜刀し、ユーベルコード、神器複製(コード・デュプリケート)にて複製されし《RE》Incarnationを念動力にて雷鳴が空へと飛ばす。
 明滅する空にガジェットを飛ばすのは至難の業であったが、彼女にとっては慎重に事を運ぶ程度の作業だ。
 空に浮かぶは無数のガジェット。
「やーやー、オリジンくんおかわり無料会場はここかなー?」
 盛大なる登場。
 今まで慎重に事を運んできていたのが嘘のように明るい声で玲は、オウガ・オリジンたちの前に姿を表す。

 そんな彼女の姿に一斉に頭部をライオンの形に変えて襲いかかるオウガ・オリジンの群れ。
 それは一切の容赦もない獣の群れであり、その一体一体がオウガ・オリジンそのものであるという事実が彼女の肌をプレッシャーでひりつかせる。
 すべてのオウガ・オリジンの視線は己に集中している。その背後から複製したガジェットが殺到し、次々とオウガ・オリジンたちの背中を小突いて離脱していく。
「な―――っ! 背後からわたしを襲うか。誰だ! わたしは腹を空かせている。貴き私が腹を空かせているのがわからないのか!」
 その咆哮は獅子の咆哮よりも凄まじく、雷鳴轟く国にあって、その雷鳴すらも脅かす悍ましき声だった。

「おやおや? 私を見てて大丈夫? そんなふうに私ばかり見ているから、後ろから他のオリジンたちにバッサリされてしまうんだよ?」
 それは正しくブラフであった。
 プライドが高く、自己中心的。享楽的であり、刹那的。癇癪持ちであり、独善的。そのオウガ・オリジンの性格はまさに子供のままだ。それも悪い類に。
 ならば、この程度のブラフのほうが引っかかりやすい。

 一斉に群れは決壊するかのように己の背にある己自身であるオウガ・オリジンの増殖体を襲う。
 それは見るも無残な光景だった。ライオンの顎を持つ姿に変貌したオウガ・オリジンたちが互いに互いを食い合う光景。
 それはオリジンおかわり無料などと笑っていた玲であっても、若干引きつるほどに凄惨たる同士討ちの光景。
 
「うわぁ……これはひどいね」
 誘発させたのは自分自身であるが、こうまでうまくハマるとは思っていなかったのだろう。
 煽るだけ煽っておいて、油を注いで手のつけられない事態になってしまったかのような感覚を覚えながら玲は共食いの様相を呈する群れを後にする。
 あの調子じゃ最期の一人になっても自分を滅ぼすのを止められないだろう。そうなれば、あとは自壊していくだけだ。
 群れの崩壊、己自身をも信じられないということを背に、玲は雷鳴轟く国を後にするのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

戒道・蔵乃祐
オリジンは、はじまりのアリスにして、はじまりのオウガ
即ち
「フォーミュラなき世界の簒奪」を成し遂げた
最初の来訪者にしてオウガ始祖なのでしょうか

事情は推測のしようがありません
しかし世界の地獄の様相。オウガの餌場に堕した原罪(sin)がオリジンなのだとすれば
最も不要な存在は、貴女です


神屠る刃を発動

アリスラビリンスに現存する、全てのアリスの集合無意識に聞き耳でアクセス
念動力でLANに対してHUBの役割を担い
適合者達各々が胸の内に秘めた「自分の扉」への想起を感応

その全てをオリジンに流し込む事でオーバーフローを起こし
狂乱状態と同士討ちを狙う

「想いの力」を乗せた拳足、刀剣、戦輪
力の限り。オリジンを殲滅する



 オウガ・オリジン。
 その性格は悪辣の一言に尽きる。自己中心的でありながら、独善的。己の欲求は全てが叶えられるべしと考える嗜好は幼い子供であったとしても、ここまでではないだろうと思えるほどである。
 さらに癇癪を起こしたように忠臣であったとしても殺害する気性は、天性の暴君と言ってもいい。
「オリジンは、はじまりのアリスにして、はじまりのオウガ。即ち、『フォーミュラなき世界の簒奪』を成し遂げた最初の来訪者にしてオウガ始祖なのでしょうか」
 戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)にとって、それは推測であり、憶測の域を出ない結論であった。
 そうであってもおかしくはない。
 それほどまでにオウガ・オリジンの持つ現実改変ユーベルコードは凄まじい力を持っている。その力を持って『雷鳴轟く国』にて無限増殖の力によって増え続けるオウガ・オリジンの群れの姿は、正しく蝗害以上の惨劇を引き起こすには十分すぎる数と力であった。

 僅かに劣ると言われる増殖体であったとしても、それはオブリビオン・フォーミュラから僅かに劣るという程度のものであり、焼け石に水でしかない。
 その存在が世界に与える影響は計り知れない。
「世界の地獄の様相……オウガの餌場に堕した原罪……それがオリジンなのだとすれば、最も不要な存在は、貴女です」
 彼が見下ろす先にあるのは、雷鳴轟き、稲光が明滅し照らす荒野にあるオウガ・オリジン増殖体の群れ。

「我思う故に我在り」
 それは問いかける言葉んして、自己を確かなものにするための思索の言葉。
 紡がれる言葉はユーベルコードの引き金。
 そのユーベルコードの名を、神屠る刃(ラグナロク)という。世界の終焉、オブリビオン・フォーミュラにより齎されるカタストロフを阻止せんとする願いを、滅びの危機に瀕した世界のソウルボードに呼びかける凄まじき力。
 彼の念動力が彼自身を中継地点に引き上げる。
 このアリスラビリンスに現存する全てのアリスの集合意識に耳を傾ける。アリス適合者が各々胸のうちに秘めた『自分の扉』への想起を感応する。

 ただの人であれば、人一人と感応するだけで自我が崩壊するかもしれない。
 だが、蔵乃祐は、平然とそれを受け止める。己の体は器ではない。けれど、その意志を、思いをつなぐための鎹である。
 そして、鎹を打ち込む先は―――。
「オウガ・オリジン。始祖たるアリスにして、オウガ―――貴女です!」
 全てのアリスの潜在意識が、元世界へと戻りたいという願いが、蔵乃祐という中継点を経由してオウガ・オリジンの中へと流れ込む。
 それは河川が溢れて反乱するが如き圧倒的濁流。帰りたいという思いは純粋なものであるかもしれない。
 けれど、それは人一人の想いであるのならば。彼を通して流れ込む数々の思いは膨大そのもの。

 あらゆるものを押し流し、オウガ・フォーミュラの意識すらも侵食する圧倒的濁流。
 人間が一人で自然の力に対抗できないように、オウガ・フォーミュラとて、意識の濁流の中には為すすべもなく。
「なんだこれは! わたしのなかにわたし以外の何かが入ってくる―――!」
「惑わすな! わたしの中にわたし以外が存在して言い訳がない、きもち、わるい―――!」
 それはもはや、人の形をしたなにか別の何者かでしかなかった。
 意識の混濁。半狂乱となったオウガ・オリジンたちが互いに互いを攻撃し合う。掴み合い、噛みつき、傷つけ合う。
 それは同士討ちというには、あまりにも凄惨たる光景だった。

 その中に飛び込むのが、蔵乃祐である。
 その身に宿るのはアリスたちの『想い』。一つ一つの思いが、彼を突き動かすのだ。拳足、刀剣、戦輪、チカラの限りを尽くして、半狂乱の最中にあるオウガ・オリジンの群れの中へと飛び込んでいく。
 どれだけの傷を負わされようとも、彼は止まらない。
 すべてのオウガ・オリジン増殖体を討ち果たすまで止まることはない。それは集合意識に後押しされるように。

「……―――自身の存在すら疑わなければ、自身の存在すらおぼつかなくなる……己を過信しすぎましたな、オウガ・オリジン。はじまりのアリスにしてオウガ」
 それはオウガ・オリジン集合体の群れが霧散し、彼の周囲に残る戦いの痕だけが聞いた言葉。
 他者を受け入れられない、そんな存在が自身を認めることなどできはしないというように、大連珠を鳴らし、蔵乃祐は雷鳴轟く国を後にするのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メフィス・フェイスレス
強力しあう分蟻や蜂のほうがまだマシじゃない
とはいえ飲み込まれたら一瞬で細切れに喰い千切られる
でも足並みを揃える気も無い連中ならやりようはある

「飢渇」を黒霧状に展開して「闇に紛れる」で退避
突っ込んでくる相手の進行上に「飢渇」地雷を設置
磔の弾丸は「マヒ攻撃」の「血潮」の毒を含んだ骨棘を含む「微塵」を選択
爆風と飛散する毒骨棘による面制圧と足止めを重視し、
トランプ兵ごと群の前列を崩す事で進行を阻む

邪魔くさいって言うんなら喰らってどかせばいいじゃない
腹が減ってるんでしょ?
毒入りだから喰らった奴も動けなくなるけどね
後は群れが自分で小さくなっていくのを見物してれば良い筈よ
群れを成す存在としては破綻してるわね



「ああ、まただ! またひとつの群れが消えた! 猟兵! 猟兵! わたしに集るハエの分際でわたしという存在を消すとは、許しがたし!」
 オウガ・オリジンの集合体の一人が叫ぶ。
 それは『雷鳴轟く国』に置いて、雷鳴すらも引き裂かんばかりの咆哮であった。憤怒の咆哮であり、そこに悲哀は一切ない。
 己の増殖体と言えど、オウガ・オリジンにほかならない。だというのに、そこに憐憫の感情は一欠片も残されていなかった。
 あるのは、己の存在を貶めた『猟兵によって群れが消滅した』という事実に対する怒りのみ。
 例え、それが増殖帯にすぎなかったのだとしても、己の権威を脅かし、陰ることをオウガ・オリジンは良しとしない。そのフラストレーションの高まりを感じるように、次々と増殖体から呼び出されるのは、トランプ兵士たちの大群。

 それは圧倒的な物量であった。
 オウガ・オリジンの増殖体だけでも脅威そのものであるというのに、さらに数を増やすトランプ兵士たちが、まさに大地を埋め尽くす蝗害の如く様相で持って雷鳴轟く荒野を進む。
「協力しあう分、蟻や蜂の方がまだマシじゃない」
 そう呟くのは、メフィス・フェイスレス(継ぎ合わされた者達・f27547)であった。
 彼女の視線の先にあるのは、まさしく荒野を進むオウガ・オリジンたちの群れ。
 さらにトランプ兵士たちは荒野を埋め尽くさんばかり。
「とはいえ飲み込まれたら一瞬で細切れに喰い千切られる……でも、足並みを揃える気も無い連中ならやりようはある」
 デッドマンである彼女にとって、血肉を求める獣の狂気と静謐なる人の理性は常に天秤に掲げられているようなものである。

 その飢餓の衝動が黒いタール状の液体へと変換され、黒い霧状に荒野に散布されていく。それは荒野に展開するトランプ兵士たちやオウガ・オリジンたちの進軍を包み込んでいき、それでも尚突進してくる者たちは黒いタール状の液体が地雷のごとく作用し、吹き飛ばしていく。
「止まれって言っても止まるわけないのね……地雷があるのなら、全部爆発させてしまえばいいって……数を物に言わせる戦い方……なんにもわかっていないのね」
 まるで子供癇癪だというようにメフィスは黒霧の中に紛れながら、地雷をふみ割って進んでいくトランプ兵士とオウガ・オリジンたちを見やる。

 蟻や蜂のようがまだマシだと言った言葉は、取り消しようがないほどに彼等が愚かであるとメフィスは感じたことだろう。
 ユーベルコード、磔(ハリツケ)によって変異した腕がガトリング砲へと姿を変える。放たれるのは無数の骨弾。
「数が多くて硬いっていうのなら、柔らかくしなきゃ」
 トランプ兵士やオウガ・オリジンに当たっては弾丸から伸びる棘と毒血が彼等を蝕んでいく。
 吸着性を含んだ弾丸は、爆風と飛来する毒骨棘によって、オウガ・オリジンたちの群れを止める。
「ええい、邪魔だ! 何故立ち止まる! 猟兵はすぐそこだと言うのに!」
 オウガ・オリジン達は何も見えていない。
 トランプ兵士達が何故移動できないのか、何故荒野の大地に張り付いたまま動けないままなのか。
 それがメフィスの放った弾丸のせいだとは思えないのだろう。

「邪魔くさいって言うんなら、食らってどかせばいいじゃない。腹が減ってるんでしょう?」
 その言葉にオウガ・オリジン達は立ち止まった者達を背後から大口を上げて食らっていく。
 あんな容易な挑発で、何の疑いもなく躊躇いもなく己達の同胞を食い散らかす姿にメフィスはめまいを覚えそうになる。同時にそれは、オウガ・オリジンたちにとって致命的な劇薬となることが、メフィスにとっての幸いであった。

「がっ―――、な、んだ……動けぬ。身体が……」
 毒性の入った血液。それに蝕まれた個体を喰らうということは、毒物そのものを取り入れていくということ。
 敵の身体を障害物とし、なおかつ罠とする。
 食してどかせなければ、メフィスに到達することはできず。かといって、食せばメフィスの仕込んだ毒血によって致命的な麻痺を引き起こす。
 動けなければ、後続のオウガ・オリジンたちによって共食いのように食われていく。群れはどんどん小さくなっていく。

「……群れを成す存在としては、破綻してるわね」
 その様子を最早眺めるだけでいいメフィスにとって、オウガ・オリジンは最早憐れみの対象でしか無い。
 飢餓の衝動を抑えることもせず、己の欲求のままに振る舞う姿は、獣の如き衝動と人の理性を天秤に掛ける彼女にとって、ひどく醜悪なる存在に思えてならなかった。

 もはや見る価値もない。
 そういうようにメフィスは滅びゆく群れを後に、雷鳴轟く国を後にするのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大町・詩乃
自分勝手な性格の存在の均一の群れ。
如何に力が有ろうとも烏合の衆ですね。

【結界術】で認識対象外(=存在隠し)の結界を自身の周囲に展開し、オウガ・オリジン達の認識から外れた状態でUC使用。

大地等の無機物をオウガ・オリジンに変換し、オウガ・オリジンの群れに襲い掛からせます。大地から生み出すので群れの周辺からだけでなく、群れの足元からも発生させます。
(オウガ・オリジンも殺せる以上、生物ではありますので可能な筈)

最初のきっかけこそは私のUCによる攻撃ですが、全員の姿形が同じ以上、すぐに同士討ちが始まります。そして彼女達のUCの向き先は自分達。
ひたすらに続く惨劇から目を逸らさず、最後まで任務を全うします。



 雷鳴轟く国に、その雷鳴以上に轟く声があった。
 それは憤怒の声。自分の思い通りにことの運ばぬことに対しての苛立ちは癇癪を起こした子供のようであった。
 その声の主はオウガ・オリジン。
 言うまでもなくアリスラビリンスのオブリビオン・フォーミュラであり、この迷宮災厄戦にて打ち倒さなければならない存在である。
「腹立たしい! わたしの存在が貶められていく! 高々猟兵の一人ひとりにわたしの群れが打倒されるなどあってはならない!」
「そんな事実があっていいわけがない! 鏖にしなければ、わたしが倒れされた事実など一片もあってはならぬ!」
「猟兵の最後の一人まで、その骨片の一欠片も残さず、余さず私の胃におさめて仕舞わねば!」

 その声はおどろおどろしいまでに子供じみた怒りでしかなかった。
 結界術にて、自身の存在を周囲から隔絶させた大町・詩乃(春風駘蕩・f17458)が聞いた言葉は、呆れ果てるほか無いほどに子供そのものだった。
「自分勝手な性格の存在の均一の群れ。如何に力が有ろうとも烏合の衆ですね」
 詩乃はオウガ・オリジンの増殖体の群れをそう断じた。
 どれだけ強大な存在であろうとも、自己しか愛せないのであればいつか自分自身に寄って自壊する他無い。
 他者を認めず、己の過失を護るのであれば、それは決定的な傷となって自身を苛むだけである。そんな集団でしかないオウガ・オリジンに詩乃が恐怖するわけがない。

「自己中心的で、他者の生命をなんとも思っていない……尊いの自分だけ。そんな存在に負けるわけにはまいりません―――神の理により、此処に生命を創造いたします」
 それは植物を司る女神としての力の権能。ユーベルコード、産巣(ムスヒ)。雷鳴轟く荒野に置いて、無機物はそこら中に存在している。
 その無機物を持ってして、オウガ・オリジンに変換する。それは姿形共にオウガ・オリジンそのもの。
 詩乃の産み出したオウガ・オリジンが背面よりオウガ・オリジンの群れへと突撃する。背中から強襲された一人のオウガ・オリジンがドミノだ押しのように次々と群れへと倒れ込んでいく。

 さらに地面から産み出したオウガ・オリジンたちが次々と群れの内部で他のオウガ・オリジンへと襲いかかっていく。
 それはちょっとした連鎖反応のようなものであった。
「貴様か! わたしを押しやったのは!」
「違う、わたしではない! おまえこそ!」
 それは互いに啀み合う自己という見るに耐えぬ醜悪たる惨状に他ならなかった。きっかけこそは詩乃のユーベルコードによって生み出された無機物のオウガ・オリジンであった。
 だが、それは少し考えればわかるようなものであったはずだ。

「……全員の姿形が同じである以上、すぐに同士討ちが始まるはず……そう思っていましたが……これは想像以上に」
 そこで言葉を切るほどに、群れの中は凄惨たる惨劇にさいなまれるようであった。
 血風が飛び、呼び出されるトランプ兵士たちがぶつかり合う。
 本来であれば猟兵に向けられるであろうユーベルコードも、今は互いにぶつけ合う以外の使いみちがないというように潰し合う。
 これが、オブリビオン・フォーミュラ。
 いや、強大な力を持つがゆえに、その精神性すらも成熟すること無く暴君のままに放置され続けた幼子のようなものであった。

 そんなオウガ・オリジンが同士討ちを止めることはなく、互いに互いを邪魔な存在だと認識する以上、同士討ちは最後の一人になるまで……それこそ、己が滅んだとしても止めることはなかった。
「……虚しいものですね。何も生み出さない。何も顧みない……これが、はじまりのアリスにしてはじまりのオウガ……」
 ひたすらに続く惨劇から目をそらさず、詩乃は己の役目をまっとうする。
 争いを引き起こしてしまったという意識が彼女を苛むかもしれない。けれど、この戦いによって得られたもの、守られたものもまたあるはずだ。

 詩乃の戦いは、未だ見ぬアサイラムより召喚されるアリスたちの、変えるべき道を安全なものへと変える。そんな戦いであったのだから―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
この状況で有効な手段は…
あの悲しみと怒りの後でこれかぁ
違う意味で悲しくなってきたよ

女神降臨を使用し
エプロンドレスっぽい姿に変身
アリスっぽい姿でオリジンの食欲を誘ってみよう
邪神の体は見た目だけは可憐な少女だからね

逃げ足を活かしてオリジン達を引き付けつつ
使い魔にこっそり先頭のオリジンの足を麻痺させ転倒させよう

後続に踏まれたり蹴られたりしたら苛立つよね
呼び出されたトランプ兵での同士討ちを狙うよ

トランプ兵に邪魔されたオリジンが苛立って
トランプ兵を呼び出し連鎖的に増えるだろうから
暫く逃げ回って同士討ちで数が減るのを待とう

可愛らしく走って逃げるのも慣れちゃったなぁ

数が減ったらガトリングガンで攻撃して倒そう



 雷鳴轟く国に響き渡るオウガ・オリジンの憤怒の声は雷鳴よりも轟いていた。
「何故だ、何故わたしたちが負ける! 何一つ猟兵たちに劣っていないというのに!」
「ありえないことだ! あってはならないことだ!」
「あれだけの数があって、何故未だに一人の猟兵すらも食えていないのか!」
 その言葉はオウガ・オリジンの増殖体からなる群れの中から次々に叫ばれていた。
 そう、オウガ・オリジンの増殖体と言えど、オブリビオン・フォーミュラである。劣化しているとは言え、その力は僅かに劣る程度のものである。
 だというのに、この国に足を踏み入れた猟兵達は、誰一人として落命しておらず、逆にオウガ・オリジンの増殖体たちが滅ぼされていく始末。

 その事実はオウガ・オリジンたちにとって耐え難い事実だった。
「一刻も早く猟兵共を始末しなければならない。滅ぼさなければ。わたしが破れた事実など、万に一つもあってはならない」
 その咆哮の如き言葉の前に現れたのは、佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)であった。
 その姿は可憐なるエプロンドレス姿。ユーベルコード、女神降臨(ドレスアップ・ガッデス)によってアリスのような姿は、オウガ・オリジンたちの食欲を大いに刺激した。見た目だけであるのならば、邪神の身体とは言え、見た目は可憐なる少女だからだ。

「この状況で有効な手段とは言え……あの哀しみと怒りの後でこれかぁ……」
 違う意味で悲しくなってきた、と涙の海の国での出来事をわずかに思い出して虚しくなる。そんなふうに晶は思いながら、雷鳴轟く国の荒野を駆ける。
 引き離さず、けれど捕まらないように付かず離れずの速度で持って晶はオウガ・オリジンたちからの猛追を逃げていた。
 ただ逃げいているわけではない。
「じゃあ、お願いね」
 こっそりと使い魔に頼んで、先頭を追いかけるオウガ・オリジンの足を麻痺させる。そうするとオウガ・オリジンはたたらを踏んで荒野に転んでしまう。

 その上を容赦なく他のオウガ・オリジン達が踏みつけ、乗り越え、晶という餌を求めて走り抜けていく。
「うわ……あれは痛そう」
 そんなふうに振り返りながら、先頭のころんだオウガ・オリジンがなんだか可愛そうに思えてしまうほどになりながら晶は呟く。
 ぶるぶると震えている踏みつけにされたオウガ・オリジン。
 なんとなく心中察する。
 あれだけ傲慢で自己中心的な性格のオウガ・オリジンである。もしも、自分が誰かの踏み台、踏みつけにされたのならば、その怒りは怒髪天を衝くどころの話ではないだろう。

 呼び出されたトランプ兵士たちが、先をゆくオウガ・オリジン達の背中に襲いかかる。
「わたしを踏みつけにしたな―――!」
 それは猟兵に己を害された以上の屈辱で持って放たれたユーベルコードであった。背後から自分自身に襲われたオウガ・オリジンにとって、それはさらなる混乱と惨劇を引き起こす。
 同じ同一存在であっても、自分以外のオウガ・オリジンは即ち邪魔者である。それを排する機会があるのならば、オウガ・オリジン達はためらわないだろう。
 即座に呼び出したトランプ兵士たちで応戦がはじまり、まさに蠱毒の様相を呈する阿鼻叫喚なる地獄へと荒野は転じる。

 しばらく逃げ回っていた晶だが、フリルの付いたエプロンドレスの裾を持っていた手を話す。
「……ああなってしまうともう僕の出る幕はないよね……」
 そう、最早晶を前にしてもオウガ・オリジンたちは争うことをやめない。
 自分以外が全て敵であると認識した以上、彼女たちは最後の一人になるまで争うことをやめない。それが例え、決定的な致命に至る行為だとしてもだ。
「可愛らしく走って逃げるのも慣れちゃったなぁ……」
 そんな争いをよそに晶はため息をつく。
 本来ならば、男性なのだから、多少の抵抗はあったのだ。けれど、最近ではもう、この体になれたのか、それとも精神性が体に引きずられたのかわからないほどに、エプロンドレスも多少恥ずかしい程度にしか感じなくなっていた。

 フリルを払って立ち上がる。
 目の前では最後の一組が争い、片方のオウガ・オリジンが大地に付した瞬間だった。
「じゃあ、はい、おしまい」
 手にした携行ガトリングガンが火を噴き、消耗しきったオウガ・オリジンを打ち砕き霧散させる。
 戦いには勝った。けれど、どこか虚しさすら覚える感情を抱えたまま、晶は雷鳴轟く国を後にするのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
群れの中央に腕部格納銃器でUC撃ち込み炸裂させ妨害粒子散布
トランプの制御を失った無差別攻撃の嵐を誘発

…問題は巻き込まれるこちらも無事では済まないことですが…!

肩部と頭部格納銃器による●乱れ撃ちスナイパー●武器落とし、背中や肩部装甲の隙間から伸ばして鞭の様に●操縦するワイヤーアンカーでの●ロープワーク武器落とし
さらに●武器受けと●盾受けでトランプの嵐を凌ぎ離脱しつつ、数が減った段階で掃討に移行

漁夫の利を得る行為はダークセイヴァーでの『同族殺し』絡みの依頼で幾度も経験済み
今回はあちらと違い、そこまで心情に抵抗は覚えませんでしたね

あの邪悪な精神は、もはや感情移入も難しい災害そのものでしたから…



 それは嵐を超えた嵐であった。
 雷鳴轟く国において、その嵐は天災のようなものであった。トランプの嵐。それはオウガ・オリジンの放つ、全てを切り裂きミキサーに欠けたように細断する凄まじき刃の嵐だった。
 その制御がまるで効いていないかのような有様で、今、オウガ・オリジンの増殖体の群れの中に台風の如く吹き荒れ続けていた。
「……問題は巻き込まれるこちらも無事では済まないということでしたが……!」
 トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)のはなったユーベルコード、制御妨害粒子散布用試製炸裂徹甲榴弾(アンチユーベルコード・アーマーグレネード)によって散布されたユーベルコード制御を妨害する弾丸が、オウガ・オリジンの群れの中心で炸裂したのだ。

 そこまではよかった、と言っていいものであろうか。
 それすらもトリテレイアの計算の内であったのかもしれない。それはオウガ・オリジンが現実改変ユーベルコードを有するオブリビオン・フォーミュラの中でも規格外の力を持つ存在であるがゆえに、そのユーベルコードの強大さを逆手に取らなければならないとトリテレイアが判断したが故に。
「猟兵の一体のユーベルコードが、わたしのユーベルコードの制御を生意気にも乱しているだと―――!?」
 オウガ・オリジンの一人が叫ぶ。だが、叫んだ瞬間、そのオウガ・オリジンは吹き荒ぶトランプの刃によってみじん切りよりも更に細かく細断され、消えていく。

 それほどまでの威力なのだ。
 オウガ・オリジンの放つトランプの嵐が一つであったのならば、ここまでの惨状にはならなかったことだろう。
 だが、オウガ・オリジンは全てが同一。同じオウガ・オリジンであるがゆえに、己の欲望、己の利己しか考えない性格が災いした。
 荒野に立つトリテレイアという猟兵を我先にと痛めつけようとはなったトランプの嵐が、打ち込まれた制御妨害粒子散布用試製炸裂徹甲榴弾によって、制御を妨害され、制御を失った群れ単位のユーベルコードが一斉に暴走してしまったがゆえに、その台風の如き被害を群れにもたらしていた。

「だが、これほどの、嵐の中であれば猟兵でさえひとたまりもあるま―――な、に!?」
 オウガ・オリジンの一人の視線の先にトリテレイアはいた。
 その白き鎧、騎士の如き姿をしたウォーマシンは、この惨禍たるトランプの嵐の中にあって、己を切り刻まんとする猛風の中を五体満足で存在していた。
 肩と頭部に備え付けられた格納銃器が次々と舞うトランプを乱れ打ち落としていく。さらに背中や肩部の装甲の隙間から放たれるワイヤーアンカーのワイヤーが鞭のようにしなっては、トランプを寄せ付けない。
「ぐっ―――! さすがはオブリビオン・フォーミュラのユーベルコード。一筋縄では参りませんか」

 次々と襲うトランプの刃についにワイヤーが断ち切られる。だが、それで膝を折るトリテレイアではない。
 大盾を振り回し、凌ぎきりトランプの数が減った瞬間、その間隙を縫うようにスラスターが火を噴き、嵐の包囲網を抜けきる。
 その白き装甲はあちらこちらが傷だらけであり、その五体が何一つ欠けていないことが奇跡のようなものであった。
「漁夫の利を得る行為はダークセイヴァーでの『同族殺し』絡みの以来で幾度も経験済み……今回はあちらと違い、そこまで心情に抵抗は覚えませんでしたね……」

 そのアイセンサーが捉えるのはトランプの嵐の中から聞こえてくるオウガ・オリジンの怨嗟の声。それは自分たち自身のユーベルコードによって自滅していくことに対する凄まじき憤怒の声であり、トリテレイアを呪う声であった。
「……あの邪悪な精神は、最早感情移入も難しい災害そのもの……」
 哀れとは思えない。
 何もかもが自己中心的。己の欲求、欲望のためにだけ世界が存在するのだと言わんばかりの立ち振舞は、もはや人という括りには思えない存在であった。
 オブリビオンと言えど、矜持を持つ者はいる。
 そんな中で矜持を持たぬ、己という個に固執する存在をトリテレイアはまだ知らなかったのかも知れない。

 故に、オウガ・オリジンは災害そのもの。
 災害に同情する者はいない。それを考えれば、オウガ・オリジンは孤独であると言えたのかも知れないが、トリテレイアにはそれを断ずる材料を持ち合わせていなかった。
 故に、トランプの嵐が過ぎ去り、オウガ・オリジンの一片も確認できになくなるのを見届けるしかなかったのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御形・菘
右手を上げ、指を鳴らし、さあ迷路よ来たるがよい!
妾は皆を喜ばせたり感動させる権能を持つが…逆に、人心を悪い方向に煽るのも得意でのう
ぎゅうぎゅう詰めにした不快な環境、凝縮させた火薬庫に、盛大に火種を放り込んでやるとしよう

ふ~む、ちょっと密度が高すぎてバトルにならんのう
そっちで話し合うなりして、順番を決めてはくれんか?
とゆーか、最も強い奴とバトることができれば妾的には十分であるしな

別に連携して襲い掛かってきても構わんよ
だったら一番偉い司令塔をまず決めて、手下どもはきっちりその指示に従えば最強無敵となるだろうな!

強い怒りがパワーの源となるのは否定せん
しかしブチ切れた姿は非常にカッコ悪いものよ



「消えていく! わたしが、わたしという存在が、群れ毎消えていくだと……!?」
 それは雷鳴轟く国にて、響き渡るオウガ・オリジンの憤怒の声だった。
 現実改変ユーベルコードによって得られた無限増殖の力。それによってオウガ・オリジンは本来のオウガ・オリジンよりも劣るとは言え、無限に近い数の個体として存在することが出来た。
 正しく蝗害そのもの。
 あらゆる世界を、あらゆるものを食い尽くさんばかりの災害そのものであったというのに、未だ猟兵の一人も仕留められず、逆に己自身ばかりが滅ぼされ続けるという悪夢を見ているようであった。
「あってはならない、わたしが敗れるなど、わたしが消えていくなど!」
 どよめくオウガ・オリジンの群れ。
 だが最早どうしようもない。それほどまでに、この荒野、『雷鳴轟く国』に残されたオウガ・オリジンの群れは少なくなっていたのだ。

「さあ迷路よ、来るがよい!」
 そう、どれだけの苦境にオウガ・オリジンがさらされようとも、邪神からは逃れられない(アンヴォイダブル・カラミティ)。
 それは御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)の持つユーベルコードの力。
 オウガ・オリジンの群れを一気に迷路が取り囲む。だが、その迷路はオウガ・オリジンを惑わせるためのものではない。
 オウガ・オリジンが壁に触れた瞬間、菘の元に一瞬で強制的に転移させられる。それは制止する事もできないほどに一瞬の出来事であった。次々と強制転移させられるオウガ・オリジンたち。

 次の瞬間、オウガ・オリジンの顔のない顔が驚愕に見開かれた。それは一斉に菘の前へと転移させられたこともさることながら、己達が今まさに窮屈な壁に囲まれた場所へと放り込まれたことに対して驚愕する。
 有無を言わさぬ圧倒的なユーベルコードの力。
「妾は皆を喜ばせたり感動させる権能を持つが……逆に人心を悪い方向に煽るのも得意でのう!」
 いやあ、それにしても……と菘は笑うほかなかった。
 ぎゅうぎゅう詰めにしたような不快な環境。互いが同一の存在であり、互いを疎ましく思う集団が狭っ苦しい環境に押し込まれるのはどれだけのフラストレーションが溜まるか、想像に難くない。

 ならば、その凝縮させた火薬庫に盛大に火種を放り込むのが菘という邪神様である。
「ふ~む、ちょっと密度が高すぎてバトルにならんのう。そっちで話し合うなりして、順番を決めてくれんか?」
 そんな菘の言葉にオウガ・オリジン達が猛反発する。
「ふざけるな! わたしに命令するだと? 不遜である! 不敬である! 貴様こそ、八つ裂きにしても足りぬ!」
 わかりやすいほどに悪役の言葉に菘は逆に満足げな顔をする。わかやすい悪役。それはそれでいいものである。エンターテインメントには悪役が必須である。
 誰もが悪役であると分かる者、その存在はなくてはならないのだ。

「とゆーか、最も強いやつとバトることが妾の目的故。それともなんであるか? 妾と戦うのに最も強い一人を決めることもできないのか?」
 ぎし、と空気がきしむ音がした。
 それはオウガ・オリジンたちの強すぎる自尊心がきしんだ音だった。さらに菘が煽る。
「別に連携して襲いかかってきても構わんよ。だったら一番偉い司令塔をまず決めて、手下どもはきっちりその指示に従えば最強無敵となって、妾に勝てるやもしれないが!」
 その言葉にオウガ・オリジンたちが怒り狂う。
 それは挑発であったが真理でもあった。誰が一番であるか。
 それは言うまでもなく自分自身であると、オウガ・オリジンの増殖体全てが思っていたことである。

 故に誰か一人を決めるという行為は、互いに潰し合う行為である。
 次々と同士討ちが菘の産み出した迷路の中で繰り広げられる。そこからはもう惨憺たる状況でしか無かった。
 互いが互いを滅ぼしあい、怒り狂う様子は到底動画配信には向いているものではない。さらに言えば、菘の求めるエンターテインメント性とはかけ離れたものであった。
「……強い怒りがパワーの源になるのは否定戦。しかし……―――」
 菘の瞳が呆れるように最後の一人になるまで争い続けるオウガ・オリジンの姿は醜悪そのものであった。
 同一であることが災いしたのであれば、そここそがオウガ・オリジンの弱点そのものであろう。
 溜息をつくように菘は録画モードを止める。これはお蔵入りであろう。

「ブチ切れた姿は非常にカッコ悪いものよ―――」
 そうつぶやいた瞬間、動画はプツンと音を立てて切れる。
 その最後の瞬間は、オウガ・オリジンの最期の一組が互いに相打ちになって霧散し消えていく様子であった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

本・三六
アドリブ等自由・『長楽萬年』使用
【目立たない】高所から観察してまず地形を偵察

やあ、はじまりのアリス。賑やかだね
この世界は君のものだという。興味深いよ
殺し合いが好きかい?どの君も実に強そうだ。誰が一番か教えて欲しいね

『鉄芥』で近くの個体へ【早業で渾身の先制攻撃】
ああ、失礼。君では無さそうだ
容赦はできない、強敵だ
即座に身を引き【動きを見切りながら】
少しでも広く、他の猟兵のいない方へと駆け回る
セコい?いやあ、捕まったら大惨事だ。何かあれば咄嗟の一撃で対処を
命懸けさ。

攻撃へのカウンターは
『黒賽子』を放ち、誘導弾を。撃ち漏らしは……これだけ居るからね。【早業で敵を盾にする】よ
ーー失礼。君でも無いようだ。



 雷鳴轟く国にて、その瞳が見つめるのはオウガ・オリジンの増殖体が群れ為す姿と、その群れを相手取って戦う猟兵達の姿であった。
 その殆どはオウガ・オリジンの自滅によって群れが自壊していく姿であったが、本・三六(ぐーたらオーナー・f26725)にとっては、それは荒野にそびえる岩山からつぶさに観察する興味深いものであり、猟兵達の戦いはある意味で冒険譚のように楽しめるものであったのかもしれない。
 それ故に長楽萬年(チョウラク・マンネン)。ユーベルコードのトリガーである楽しんだ時間は、すでに天井に届かんばかりであった。

 じっくりと観察したオウガ・オリジンの群れと猟兵達の戦い。
 その荒野広がり、雷鳴轟き、稲光が照らす荒野にあって三六は一つのオウガ・オリジンの群れを見つける。
 そこへ駆け下り、にこやかに笑いかけるのだ。
「やあ、はじまりのアリス。にぎやかだね。この世界は君のものだという。興味深いよ」
 その声は、まるで十年来の友人とあったかのような気さくさであったかもしれない。強大なるオブリビオン・フォーミュラを前にして取る態度とは思えなかった。
 けれど、三六にとって、今はスリル溢れる瞬間でしか無かった。
 生命の危険を感じるほどの距離、強大な存在。
 そんな存在を前にして、立ちふさがるのがスリルでなくてなんであろうか。まるで列車迫る線路のまえでチキンレースに興じているかの如きスリルに笑顔が引きつっていないかだけが心配であった。

「当たり前である。猟兵……なんだ? 命乞いなら無意味である。わたしは今とても機嫌が悪い。猟兵と見れば殺しても殺し足りないと思えるほどに」
 その指先が三六へと向けられる。
 次の瞬間放たれるであろうトランプの嵐を前にして三六が微笑む。
「殺し合いが好きかい? どの君も実に強そうだ」
 その言葉にオウガ・オリジンたちの手が止まる。
 ここに来て互いが滅ぼし合う関係であることを一瞬忘れる。今まで対峙してきた猟兵とは違う何かを感じて、オウガ・オリジンは手を止める。
 先を促すような気配に三六は益々微笑みを強くする。
 それは己が賭けに勝ったかの如き微笑みだった。

「誰が一番か教えてほしいね。例えば―――こんなふうに!」
 一瞬でオウガ・オリジンの一体へと肉薄する三六。その手には知恵の輪の如き形に組み上げられた機械の鈍器―――鉄芥を振り下ろし叩きつける。
 その一撃によってオウガ・オリジンの顔のない顔が拉げる。
「ああ、失礼。君では無さそうだ」
 それは他のオウガ・オリジンたちの嘲笑を誘う。自尊心の高いオウガ・オリジンがやられっぱなしでいるわけがない。
 即座に身を引いた三六の代わりに近くにいたオウガ・オリジンへとトランプの嵐が襲う。
 そうなってしまえば、戦場は最早混沌であった。オウガ・オリジンの一人が発端となって同士討ちが始まる。

 もしかしたら、はじめからオウガ・オリジン達は、それを望んでいたのかも知れない。自分という存在が多数あることを認められない。受け入れられない。
 悪辣たる自己中心的な性格が災いしたのだ。
「逃げるな、猟兵! そのせせこましくもセコい戦いをするのならば、貴様もひき肉にしてやる!」
 放たれるトランプの嵐を三六はすでに観察したオウガ・オリジンのユーベルコードを見切り、躱していく。
「セコい? いやあ、捕まったら大惨事だ。命懸けさ、こっちもね」
 手にした鈍色の賽から放たれる光線がオウガ・オリジンを討ち、さらなる反撃を引き起こしては、オウガ・オリジンたちを盾にして戦場を逃げ回る。

「おっと―――失礼。君でも無いようだ。最強たるオウガ・オリジン、はじまりのアリス、君は一体誰なんだろうね?」
 その言葉はオウガ・オリジンの取ってはあまりにも難しい問いだった。シンプルでもあったのだ。己であると応えることが唯一の解であるが、その己とは、今この戦場にあるオウガ・オリジン全てが当てはまる。
 だというのに、己自身すらも認められないオウガ・オリジンにとって、それは永遠に出ない答えであった。

 故に争い続ける。
 同士討ちを始める。最期には全て滅んでしまうというのに、それをやめることができない。己こそが、唯一にして無二であると信じているからこそ、増殖などするべきではなかったのだ。
 三六はすでにそれを知っていた。
 数々の猟兵達の戦いを見て、わかっていた。まともに戦えば、如何な猟兵とて、ひとたまりもないはずの無限増殖という現実改変ユーベルコードの力。

 けれど結果はこの通りである。
「―――結局は、なんとかと鋏は使いよう……そういうことだね」
 肩をすくめて三六は最期の一人が霧散するのを見届け、荒野を後にする。
 ああ、と言い忘れたように三六は霧散し消えるオウガ・オリジンに言葉を投げかける。

「どうやら、君たちの中に一番はいなかったようだね?」

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒髪・名捨

ついにオウガ・オリジンか…
ここまで来たからには踏ん張りどころだな。



うむ、同士討ちすらするほど仲が悪いのか…
そこを利用するべきだな。よし。

長い髪の毛を振り回して、足元を『なぎ払い』『体勢を崩す』
あるいはアーラーワルで『串刺し』して脚部を『部位破壊』
完全に倒さずに、動けなくなる怪我人をある程度作ったら、スタングレネードを『投擲』し、閃光と音『目潰し』して『恐怖を与える』

オレを見失った間に『闇に紛れる』+『迷彩』で隠れる…ああ、思った通り、さっきの動けなくした個体をかわりに嬲ってら。

んじゃ、『ジャンプ』でオウガを飛び越えて、中心地点に『神無』を叩き込んで地形ごと纏めてブッ飛ばす。



 雷鳴轟く国に黒髪・名捨(記憶を探して三千大千世界・f27254)の赤い瞳が輝く。稲光に照らされ、荒野を往く最後のオウガ・オリジンの群れを見下ろしていた。
「ついにオウガ・オリジンか……ここまで来たからには踏ん張りどころだな」
 無限に増殖するオウガ・オリジンの持つ現実改変ユーベルコードの力。
 その力の凄まじさは言うまでもない。だが、幾多の猟兵達の活躍によって、ついにここまで数を減らしたのだ。
 ここで踏ん張らなければ、一人でも残してしまえば、この雷鳴轟く国を起点としてまた数を増やしてしまう。元の木阿弥になってしまうことだろう。それだけは阻止しなければならない。

「わたしが、もう、こんなに減ってしまった! わたしばかりがやられるのは納得がいかない!」
「わたしのせいではない。もっとお前たちが機敏に対応していれば負けるはずのない戦いだ」
「なぜなら、わたしはオブリビオン・フォーミュラ。世界で最も貴き者であるからだ! なのに無限に近い数に増えたわたしが滅ぼされる!」

 その言葉は雷鳴よりも轟く憤怒の声だった。
 オウガ・オリジンの群れの中で飛び交う怒号。この雷鳴轟く国におけるオウガ・オリジンの群れは、この群れが最後であった。
 他に点在していた無数のオウガ・オリジンたちは、尽くが猟兵の機転と力によって滅ぼされている。故に、オウガ・オリジンたちは苛立っていた。
 そんなオウガ・オリジンたちを見下ろし名捨は思わず嘆息する。
「うむ、同士討ちするほど仲が悪いのか……そこを利用するべきだな。よし」
 一気に駆け出し、オウガ・オリジンの群れの中へと躍り出る名捨。

 その長い髪を振り回し、その意志に従うように蠢きオウガ・オリジンたちの足元を薙ぎ払う。その一撃は強烈なるものではなかったが、体制を崩すには十分なものであり、彼の放ったアーラーワルと呼ばれる短槍は脚部を穿ち、その動きを止める。
 倒すのではなく、けが人を増やす。
 つまりは、戦場で完全に殺すわけではなく、足手まといを増やすことによって全体の動きを鈍らせるやり方だ。
「けど、まあ―――そういうんじゃないんだろうな、アンタたち」
 すかさず投げつけるスタングレネードが放つ眩い光と凄まじい音がオウガ・オリジンたちの顔のない顔をひるませる。

「こんな虚仮威しで、わたしが倒れるとでも―――!」
 そのとおりである。この程度で劣化しているとは言え、オウガ・オリジンを討ち果たせるとは名捨も思ってはいない。
 そんな都合よくいかないこともわかっている。それ故に名捨は闇に紛れるように隠れるのだ。
 明滅するように稲光がほとばしり、名捨の黒に包まれた姿が見えなくなる。
 そうなると群れとして機能していたオウガ・オリジンたちは、獲物である名捨を探して周囲に駆け出すが、その周囲には名捨が敢えて残した負傷したオウガ・オリジンたちの姿があった。

 まるで邪魔者を扱うように、それこそ、その瞬間を待っていたかのようにオウガ・オリジン達が動けなくなったオウガ・オリジンたちを嬲り、消していく。
 それはもはや共食い以上に醜悪なる光景であったのかも知れない。己以外の何者も塵芥と同じであると考えるオウガ・オリジンにとって、同一であっても他者である増殖体の他のオウガ・オリジンは邪魔者でしかないのだ。
「ぐ、ぁ―――! なにを、ガ、ァっ!」
 雷鳴のが響く度にオウガ・オリジンの増殖体がまた一体、また一体と減っていく。
「ああ、思ったとおりだ。オレを見つけられないからって、動けなくした個体に標的を移した……」

 胸糞が悪いとまでは言わないかも知れない。
 けれど、それは群れ為す生命として正しいとは言えない。たった一人で存在したければ、そもそも現実改変ユーベルコードで増殖しなければよかったものを。
 今それを言っても詮無きことであるし、名捨にとってはどうでもいいことだ。
 跳躍し、稲光が照らす眼下に存在するオウガ・オリジンの群れを赤い瞳が捉えた瞬間、放たれるのは、ユーベルコードの一撃。
「必殺を超えた必殺の一撃。これがオレの奥の手だーッ!」
 放たれるは、神無(カンナ)。
 一撃必殺の一撃は、荒野の大地を叩き割り、あらゆるものの存在を許さぬとばかりの一撃で持ってオウガ・オリジンの増殖体たちを一撃のもとに殲滅する。

 それが、無限増殖たる現実改変ユーベルコードを使ったオウガ・オリジン達の末路。たった一人すら残さぬほどに討ち果たされたオウガ・オリジンは、この雷鳴轟く国から一掃され、名捨はやれやれと肩をすくめるように、この国を後にするのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月19日


挿絵イラスト