迷宮災厄戦㉓〜キングのゲバゲバ60分(延長あり)
●ナイストゥミーチューアンデュー?
そこは、ごく普通のアリスラビリンスに存在するごく普通の不思議の国。
ごく普通のゆかいな仲間が住まい、ごく普通のゆかいな暮らしを営むそこには、たったひとつ他とは違うことがありました。
「それは、昨日から吾輩が入居したことでーす!!」
おお、見よその姿。近隣30軒に引っ越し蕎麦を素早く配るその威容。
でも本当はうどんなんだ。悪いだろ?
「ブーレブレブレ、8分茹でて麺のコシに震えあがるがいい!オススメはカルボナーラ風カナ?」
言いづらさ満点の笑い声に、ちらりと見せるどうでもいい気遣い。
耽美の世界・アリスラビリンスを突如脅かす世界観の癌細胞。それがキング・ブレインだ!
「ところで、来週宴会の予約できるお店ない?吾輩とスーパー怪人あわせて688体なんだけど……」
このご時世に何の準備もなく5人以上の会食を発注する暴挙に、不思議の国の仲間たちは戦慄する。アルコールの予備まだあったかな。
●バーイセンキュー
「てことだ。頑張れ!」
ガン・ヴァソレム(ちょっと前流行ったアレ・f06145)の即投げには、温厚な猟兵達もさすがに激おこだ。
「だって……こんなんだぞ?」
2,3発げんこつをもらったガンが展開した画像の中で、奇妙な風体の男が本棚を担いだままうどんを打っている。手打ちだったのか。
「敵はここんとこ流行りの猟書家の1体だな、こいつはキマイラフューチャーを狙ってるそうだ。
そもそも人間がいないあそことアリスラビリンスがどう繋がるのかはわかんねえが……多分考えると悲しくなりそうだから今日はよそうぜ」
なんだか本当に疲れた顔をしていたので、ちょっとかわいそうになって猟兵達は何も言わず先を促す。
「やっこさんの武器はまず、背中のでかい本棚だ。びっしり詰めた本に書いてある怪人の能力をそのまま使う。あと鈍器にする」
前後の温度差が激しい。
「さらに厄介なのはドタマから出すビームだな。情報じゃ「対象の知性をプラスマイナス2万倍する」そうだ」
2万て何?何の基準なの?
「さてな。要は死ぬほど天才になるかバカになるかするんだろ?気にすんなよ、傍から見りゃどっちも超バカだから」
一番気にしたいところだ。
「攻め所は……そうだな、ビーム撃ってる方も相当のバカだってことか」
つまり頭脳戦か、とメガネを光らせた猟兵のメガネは無下に一蹴される。
「何言ってんだよ、バカにはバカぶつけるしかねえだろ?
それ以外は……すごい、疲れるぞ」
遠い目をするガンの姿に、猟兵達はもやもやとした気付きを得ながら準備に入った。
荒左腕
荒左腕(あれさわん)です。よろしくお願いします。
アリスラビリンスでの戦争となります。
みんな!ぼくらのキマフュがかえってきたよ!
●「プレイングボーナス」について
本シナリオでは以下の行動に基づく行動をとることで有利な結果を得ることができます。
プレイングボーナス……『敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する。』
敵の攻撃については、OP及びオブリビオンのデータをご確認ください。
常に敵の攻撃からとなるため、戦闘自体は攻撃を受ける・いなすといった対策が軸となります。
※具体的には「どんなUC・技能を使って対処」より「どんな理屈(既存のルール・物理法則である必要は全くありません!)で対処」の方が活躍できると思います。
キング・ブレインはキマイラフューチャーの怪人然としたコメディ要素強めの猟書家です。通常の攻撃方法を荒唐無稽にいなし、意味不明な攻撃で圧倒してきますが、コメディリリーフの宿命かいわゆる「お約束」に忠実なところがあるようです。おでんが煮えたぎってたらちくわを咥えちゃったり、自爆ボタンがあると押しちゃったりしかねません。大変そうですね。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしています。
第1章 ボス戦
『猟書家『キング・ブレイン』』
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POW : 侵略蔵書「スーパー怪人大全集(全687巻)」
【スーパー怪人大全集の好きな巻】を使用する事で、【そこに載ってる怪人誰かの特徴ひとつ】を生やした、自身の身長の3倍の【スーパーキング・ブレイン】に変身する。
SPD : 本棚をバーン!
【突然、背中のでかい本棚を投げつけること】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【リアクションをよく見て身体特徴】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ : 脳ビーム
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する【脳(かしこさを暴走させる)】属性の【ビーム】を、レベル×5mの直線上に放つ。
👑11
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ニィナ・アンエノン
にーなになにな!
この季節だし冷やして豚のお肉と生野菜をたっぷり乗せてゴマだれでいただく、冷しゃぶサラダうどんがおすすめ!
本棚はランチャーからミサイル撃って、その爆発の【衝撃波】で【吹き飛ばし】ちゃうぞ!
……あっ、この本面白そう!
戦う前にちょっとだけ読ませて!
なるほどなるほど、こーゆーのが好きなんだぁ。
ねーねー、続きどこ?探していい?
【視力】を生かして本棚のラインナップを【情報収集】、好みを探ろう。
そんで好きそうな本を一緒に読もう?って上目遣いで【誘惑】して【時間稼ぎ】!
ちなみに読書と本探しに夢中の間はユーベルコードで無敵だぞ☆
後は自然な流れでブラスターを【クイックドロウ】、撃っちゃうぞ☆
月夜・玲
お蕎麦ちょーだい!
ねえ聞いてる
お蕎麦ちょーだい!
聞いているのかね!
因みに希望は十割蕎麦だ
あ…これはどうもご丁寧に…
私はメカニックをやっていますアキラと申します、少しの間よろしくお願いします
●
ああ、怖い怖い
私は怖い
もしもキングさんが何かこう、ぬりかべみたいな面積の大きい感じの怪人の特徴を持たれるのが怖い
持つなよ…!絶対に持つなよ…!
良い感じに狙いやすくなるから絶対に持つなよ…!
変身した?
変身したね
じゃあこれ使ってみよ
使ってみた事なかったからさ、こうでもしないと機会無いし…
【QG・ボルテックスランチャー】起動
剣からマイクロブラックホールを射出
おかわりの『2回攻撃』でもう一発
おいしい蕎麦ありがとー!
杼糸・絡新婦
何このテンション。
こんなんキマイラに来られても
あんま大して変わらん気もするけど。
強さ考えると結局面倒やし、やっぱなしやな
あえて言うけど、怪人688体て結局お前さんだけやん、
嫌がらせの宴会予約は迷惑やで。
【挑発】でこちらに意識を向け【フェイント】で
攻撃を誘発、【見切り】でタイミングを図りつつ、
脱力して攻撃を受け止める。
また他猟兵への攻撃を【かばう】ことで
『オペラツィオン・マカブル』を発動。
さあ、出番やでサイギョウ。
地籠・凌牙
【アドリブ連携歓迎】
何かもう既にめちゃくちゃ胃が痛い。俺の喉が枯れそうな予感を察知している。
キマイラフューチャー行ったことねえんだけどみんなこんなんなの?
(とか言ってたら本棚をはいドーン!されてもろに喰らう)
ぐはァ―ッ!!?(派手に本棚にふっ飛ばされてごろごろ転がって暫く蹲って動かない。涙目で痛そうな顔だ!)
……(ぷちん)
本を投げるなって図書館の先生に教わっただろうがァァ!!!
(指定UCでコピーして本棚を怪力で投げ返す)
大事にこつこつ集めた本を軽率にぶん投げやがってお前の貯金はその程度の軽いモンだったのか!?ああん!?違うだろうが買ったものは大事に扱えやァ
!!!!(以降説教が続く)
キング・ノーライフ
まず一言、「お前はバカか?」と王の【威厳】たっぷり告げる。
言うて我も王、同じ名を冠する者がかような道化ではこっちにも風評被害が来るとお怒り。
スーパーキング、どうなろう特徴が増えようが「骸骨頭の巨大なボスはいかにも中ボスだぞ」と【見切り】ながらツッコミを入れて【時間を稼ぎ】。
こちらもUCを使えるようになったら【王への供物】の初撃を食らわせたら「なら我が王として立ち振る舞いを教え込んでやろう、その姿なら他の書家にもバレん」と二撃目になる誘惑の甘言+指導で生命力を奪い吸収していく。最終的にマシになったら褒めてやり、「来世は立派な王になれよ」と躯の海へ送り出す。共に完全に戦争の主旨を忘れながら。
シンシア・コレット
あらあら、まぁまぁ…お引越し挨拶をキチンとする良い子なのね?
でもカルボナーラ風なら、おうどんじゃないかしら?(ころころ笑いながら指摘)
ああ、でも私あまり諍い事は得意じゃないし
直接的な攻撃は他の方にお任せして、嫌がらせに徹しておくわね?
【POW】
――手折らば手折れ 思い出草 常黄泉の花よ 永えに咲き誇れ
※継続し続ける癒えない傷跡に咲く黒百合の幻想を付与するUCで、味方の援護射撃にする
私とお喋りしましょう、きっと素敵な時間になると思うのよ(微笑
※技能:誘惑&おびき寄せを使い、敵と会話をし行動を阻害する
※他の参加者との連携希望
●最近言う程蕎麦配らないってさ
「はいドーン!!」
突然の衝撃に、地籠・凌牙(黒き竜の報讐者・f26317)の意識が飛んだ。
「くそっ、やられた……みんな無事か?」
何をしてくるかわからない事は分かっていたはずだが、完全に虚を突かれた。
どれだけ気を失っていたのだろう?目を覚ました凌牙が見たのは、彼と同じく本棚に吹き飛ばされた数名の猟兵と、
「ああ、なんとかな……この吾輩の隙をつくとは、なんて吾輩だ……」
同じく吹き飛ばされたキングブレインだった。
「お前も吹き飛ぶのかよ!?」
「やー、こんなにお越しいただけるなんて思わなかったんで、思わずテンション上がっちゃって」
頭と尻をかきかき立ち上がったキングブレインの周囲には本棚から零れ落ちた本――「スーパー怪人大全集」が散乱している。
「そもそも本で攻撃しようって奴が本粗末にすんなよ……」
だがこれはチャンスだ。侵略蔵書を奪ってしまえば相手は攻撃手段を1つ失うことになる。
「任せて、スライディンゴーッ!!」
言葉通りのスライディングタックル。いち早く本を奪い取ったのはニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)だ。
「いいぞ、残りの本も……って何読みふけってんだよ!」
ニィナはそのまま寝っ転がって本を読みふけっている。靴下まで脱いで長期戦の構えだ。
「おっと邪魔しないでほしいわね、これがニィナちゃんの戦術(タクティクス)!凌にゃんはうどんでも茹でてなさい、冷しゃぶサラダうどんがイイナ☆」
「凌にゃん、吾輩は稲庭がイイナ☆」
「戦闘中に手間かかる注文してんじゃねえよ!ってかなんだよ凌にゃんって!?」
――20分後。結局凌牙が用意してしまった冷しゃぶサラダうどんをすすりながら、ニィナは勝ち誇った顔で宣言した。
「この本の力でニィナちゃんにはブレにゃんの弱点がわかってしまったのです」
「な、何だって!?」
ユーベルコードによる超集中の効果により、ニィナは奪った怪人辞典の本質を理解していたのだ。
「ブレにゃんの弱点、それは「久しぶりに会った幼馴染が10年ぶりに袖を通した浴衣からちらりと覗くうなじ」だよっ」
「細っかいな!?いやそれは弱点なのか!?」
「あーッ!嫌ーッやめてーッ!!」
転がってじたばたするブレイン。弱点だったみたいだ。
「いやそれ多分別の弱点だから」
「くっ、まさか「独身男性のベッドの下まるわかり怪人」の能力を利用されるとは……」
「お前それで何を征服するつもりなの!?」
「そして凌にゃんの弱点はー」
「やめろーッ!!」
凌牙も転がることになった。
●必殺芸人殺し
「あらあら、みなさんお元気ね?」
シンシア・コレット(密香・f05300)は鍋いっぱいのカルボナーラ風うどんを持ってきていた。
運よく本棚攻撃の後に転送されてきたらしい。
「じゃあ攻撃しましょうよ、なんで炭水化物ひっぱるんすか!」
多分これ食べるの俺だろうな。凌牙の心には徐々に諦念が広がっていた。
「でも私、あまり諍い事は得意じゃないから。ご飯とお喋りで解決できるならそれが一番だわ」
ころころと笑うシンシアに、ブレインの紳士回路(ジェントリーな振る舞いに反応する回路。紙製)が反応する。
「対話にて解決。なんと文明的!いいでしょうお嬢さん、ようこそブレインのお部屋へ!」
本棚を立て直し、どこからか現れたラタンチェアをすすめるブレイン。用意いいな。
「ンー、ちょっと暗いなァ?ライトもっと強めで!」
しかし!発生した光はなんとブレイン自身の脳から!そう、知性を暴走させる驚異の光線・脳ビームだ!なんという卑劣!奴の紳士回路は所詮、画用紙で作った自由工作だったのだ!
「ブーレブレブレ、それではお話するとしましょうお嬢さん。最近の……」
「その前に、幼馴染の子はどうするの?」
「えっ」
ブレインは完全に虚を突かれた。仕込むだけ仕込んでおいて普通にトークしようとしていた所に突然性癖の話をぶっこまれてしまった。
「見てるだけがいいだの相手の気持ちがだの男の人は色々言い訳するけれど、それも相手の気持ちを考えていないと思うわ?あなたもお相手もいい年なんだから、一度きちんと向き合うべきだと思うの。さっきの本見せていただいたけど、お相手結構近所に住んでらっしゃるのね?地元に就職されてるようで……」
「あーッ!あーッ!もう、やめてェーッ!!」
気付けばブレインの胸から黒い花が咲いている。シンシアのユーベルコード、癒えない傷に根を下ろす「黒百合の奏鳴曲」だ。
確かにビームの効果でシンシアの知性は暴走していたが、元々ゆっくりめの頭の回転を速めることになってしまったらしい。トーク形式にしてしまったのが仇となり、ブレインの心の深いところをぐりぐりと抉りこんでいく。
「それユーベルコードなの?」
「で、次は凌くんなんだけど」
「毎回こっちにも来るのよそうよ!?」
変わらずころころと笑いながらトークを展開するシンシア。
ブレインと凌牙は男だけなのに真っ黒な百合になった。
●芸人殺し2
「全く、戦いもせんと何をじゃれておるんや」
杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)は自身のからくり人形・サイギョウを構え、しっかとブレインを見据えていた。
「いや、俺達だって別に」
「そこにいるのは出来もせん3桁人数の宴会を予約するようなド外道や!
キャンセル前提で予約するアホも!下調べせんと当日騒ぐ外人も!
駐車場ない言うてるのに車で来る奴も!全員許されざる敵なんや!!」
「何かあったの!?」
妙に生々しい怨嗟にたじろぐブレイン。だが対する絡新婦は存外と冷静であった。
「このサイギョウは、さっき食らった本棚攻撃をそっくりそのまま吐き出すようにできておる。
……この3つのボタンのうち、どれかを押すとな!」
「急にバラエティみたくなった!?」
3色に塗り分けられたボタンが緊迫した空気を一気に弛緩させる。しかし、当のブレインはそのボタンを見るやわなわなと震え……ふらふらと絡新婦の方へ歩き出した。
「自分から行くのかよ!?」
「いや、だって、ボタン……」
既に朦朧としている。本能でお約束求めちゃうタイプだったようだ。
「そう。どれや?どのボタンを押すんや?」
「え、ええと、赤ー!!」
……何も起こらない。
「え、わざわざハズレ仕込んでるの?」
きょとんとする凌牙に対し、ブレインの反応は驚くべきものだった。
「そんな……そんなァーー!」
なんかくずおれて泣いてる。
「せっかくドカンと用意されてんのに、何もない所引くとかないなァ?……どうするんや?」
絡新婦に邪悪な笑みが浮かぶ。
「お願いします……もう1回、もう1回やらせてください……!」
「そこまで!?」
ブレインは泣きの1回で無事当たりを引き、満足した顔で本棚に轢かれていた。
●コンセプトには知財権ないはず
「いい塩梅ね、たたみかけるわよ!」
月夜・玲(頂の探究者・f01605)はカルボナーラうどんをすすり終えると、大きなサイコロを取り出した。
「あんたにはこのサイコロで出た目の怪人で変身してもらおうじゃない!」
「ほほう、それは素敵な趣向。いいだろう!」
「はいはい、結局乗っかるのな」
既に諦めた顔の凌牙がサイコロの目を覗く。
【面積大きい怪人】【平たくて広い怪人】【ぬりかべっぽい怪人】【看板状の怪人】……
「全部一緒じゃねえか!」
「そう、それが私の戦略(タクティクス)!」
ちなみに、合コンとかで本当にあった話らしいぞ。
「あとその決め台詞、絶対流行らないからな」
「ようし、それじゃ振るぞう!何が出」
「それ以上はよせー!」
それ以上はよしたがサイコロは振った。出目は【面積大きい怪人】。
「良かろう!ではスーパー怪人最大の面積を誇るこの怪人がお相手しよう!
我が右手に宿れ、「試される大地・北海道怪人」!!」
おお、見よ。総面積83424平方キロメートル、森林比率65%弱。
雄大なる大地・北海道をまるっとそのまま怪人としたその威容が、ブレインの右手に宿ったのだ!
……縦に。
そのまま右手に出してみた結果、総面積83424平方キロメートルが垂直にそそり立つ事になった。
「やばいどうしよう、もうグラグラしてきた」
「当たり前だろ!大体何がどうやってこんな怪人になるんだよ!?」
「ねえなんか手首の所グキってなって来てるんだけど」
「そう思うなら早くしまえよ!お願い!早く!」
自分で出した怪人の力っていうか北海道に慌てふためくブレイン(と凌牙)。
「任せて!こんな時のための……てか本当に役に立つと思わなかった!
……クアンタムグラヴィティ・ボルテックスランチャー!」
手元の剣からマイクロブラックホールが射出され、北海道怪人(右手)を粉々に砕き、吸い込んでいった。
「嗚呼、さらば故郷……!」
「お前、絶対北海道行ったことないだろ」
正解だった。
●また来週!!
「莫迦か、貴様等は!敵と慣れ合ってどうする」
最後に戦場へ降り立ったキング・ノーライフ(不死なる物の神・f18503)が大股で歩いてくる。
「キングとは名ばかりの下品な輩よ、我が立ち振る舞いを教えてくれよう。我への贄に相応しい姿になるがいい!」
キングのユーベルコード「王への供物」。
神の力を込めた攻撃によって、ブレインの姿は見目麗しい美女に……
「……んん?」
なってなかった。正確には首から下だけ女の子で頭はそのまんまだ。キモい。
「ブーレブレブレ、間一髪!吾輩最後の力にて首から下を「アイドルシンデレラ怪人」に変えていたのよ!アイドルシンデレラ怪人はトップアイドルを目指す15歳、歌にダンスに一生懸命!よろしくね☆」
片足上げて決めポーズ。キモい。
「だから!それで!何を征服するんだよ!?」
凌牙のつっこみはもっともではあるが、先に発動したブレインのユーベルコードによって「王への供物」が完全に効果を発揮する前に中断してしまったことは確かだ。
「ぐぬぬ……ならば!今から我好みの女に変えてやるわ!」
どうしても美女にしたいキング対どうやってもキモいブレイン。王の負けん気に火が付いた。
「お願いしますP(プロデューサー)!、吾輩、トップアイドルになる!」
「我はPではなく王だ、付いて来れぬ者は置いていく」
「わかりましたO!」
「いや何言ってんの!?」
こうしてOとブレインの壮絶な特訓がスタートした。
過酷な体力作りに始まり、一部の隙も許さないダンスレッスン、血を吐くほどのボイトレ、嵐のような演技指導。
「……フッ、少しは見られる顔になってきたようだな」
「はいO!」
2週間後、特訓を終えたブレインと凌牙はアイドルとして大きく成長していた。
「いや2週間経たせるなよ!あと何で俺もやってんだよ!?」
「ついでだから貴様も我好みの女になっていけ」
「ならないよね!?OそもそもPでもOでもないよね!?」
つっこみを受け流しつつも若干満足げな顔のキングに、ブレインは悲し気な顔を見せた。
「本当にありがとう、O……でも吾輩、そろそろみんなとお別れしなきゃ」
「いきなり何を言い出すのだ!?」
「ぶっちゃけ最初の本棚と性癖暴露の時点で瀕死でした」
「結構頑張ったな!?」
トレーニングの結果により、キラキラと無駄に煌めく砂に変わりながら微笑むブレイン。
「みんな、みんな本当にありがとう!吾輩のこと、忘れないでね……!」
その姿が完全に消えたことを確認し、猟兵達は同様に思った。
早く帰ろう。風呂入って寝て、迅速に忘れよう。
あと凌にゃん、つっこみ本当にありがとう。
大成功
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