11
夜森彷徨

#アックス&ウィザーズ

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アックス&ウィザーズ


0




●弱虫の青
 弱虫――そう言われ続けて、どれ程だろう。
 背が小さく、声も小さい。外で遊ぶ事も苦手で、どんくさいと言われていた。
 けれど自身にも意地がある。いつまでも、そんな事を言われてばかりもいられない。
 だからしっかりマントを羽織って。ランプを手にして。少年は村の外へ出る。

 ――弱虫じゃないって言うなら、宝物を持って来い。
 それが少年の冒険へ出発する発端だった。

●光る森に眠る
「村の外れの森に、1人の男の子が訪れた時。オブリビオンに襲われてしまうんです」
 それが、ラナ・スピラエア(苺色の魔法・f06644)の語る今回の事件。
 少年の名前はアシル。10歳位で、まだまだ1人で深い森に入るのは心配な歳。ましてや、今回はオブリビオンに襲われてしまうのだから。彼の安全の為にも、猟兵達が保護するべきだろう。
 森は村から徒歩でいける範囲にあり、名を『夜の森』という。
 鬱蒼と木々が茂り、日中でも暗い為その名が付いていると云う。――だが、灯りは無くても問題ない。その森の中には、不思議と光を放つ花々が群生しているらしい。
「でも、歩く範囲全てにあるとは限りませんからね」
 ランプか何かが、あったほうが良いかもしれない。そちらのほうが不思議な森を捜索する雰囲気も出る、と少女は零した。
「あと、その森には宝物が眠っているって噂があるらしいですよ」
 今回少年が1人で訪れるのは、その宝物が目当て。どんな宝が眠っているかは分からないが、森の最奥にあるという噂だけが頼り。――よって、少年が目指しているのは森の奥と云う事になる。
「今から向かえば、最奥にいる彼と出会う事が出来ると思います」
 保護し、一緒に宝物を探して、敵を倒して帰還する。
 大まかな流れは、このようになるだろう。

 少年が探している宝物が何かは分からない。けれど――盗賊が隠したと云う宝物は、かなりの数があるという。
「アシルさんの宝物も大事ですけど、皆さんも何か探してみるのも面白くないですか?」
 森の最奥は、澄んだ泉に咲き誇る光る花々。数多の太い幹を持つ木々が立ち並ぶ、とても幻想的な景色らしい。――その場のどこに宝が眠るかを考え、どこを探すのかは各々次第となるだろう。
 勿論、自然を荒らさない程度にという制約はつくけれど。
 どんな宝物があるのか。それを考えるだけでも心が躍る。
「あ、勿論オブリビオンはしっかり倒してきてくださいね」
 アシルが宝物を見つけるくらいに、恐らく敵は現れるだろう。戦いが始まれば、広い森の中だ。少年が逃げる隙はいくらでも作れるはず。
 臆病者の彼は真っ先に逃げる行動を取るだろうから、気にする必要は無い。後は猟兵達の力で、オブリビオンを倒せば任務は終了。

「宝探しって言葉だけでもワクワクしちゃいますよね」
 皆さんひとりひとりが、気に入る物が見つけられますように。
 楽しそうに微笑みながら、ラナは猟兵達へ言葉を掛けた。


公塚杏
 こんにちは、公塚杏(きみづか・あんず)です。
 『アックス&ウィザーズ』でのお話をお届け致します。

●シナリオの流れ
 ・1章 冒険(森の散策)
 ・2章 冒険(宝探し)
 ・3章 ボス戦(ヒューレイオン)

 『POW/SPD/WIZ』の行動については、あくまで一例程度に考えてください。ご自由に、自身のキャラらしさを意識して頂けると嬉しいです。

●1章について
 村外れの森『夜の森』
 時刻は空が暗くなり始める夕方頃。
 鬱蒼とした木々の為いつでも夜のような森です。
 光る花々が咲いている為、足元の灯りは十分ですが全体の見通しは悪いです。
 基本的には危険な存在はいない、平和な森です。散策時は敵は気にせずに、風景を楽しんでも問題ありません。心情や意気込みを掛けて頂いても。

●2章について
 森の最奥部での宝探し。
 かつて盗賊頭が足を洗う為に宝を捨てた場所――という伝承があるだけで、何があるかは分かりません。
 お好きに想像して、自身の『宝』を探して頂ければと思います。基本的にはご希望に沿わせて頂きますが、世界観に合わない物は描写出来ません。

●アシル
 10歳位の少年。
 青い髪に水色の瞳。
 少し引っ込み思案なところがある普通の男の子。
 見るからにお宝っぽい物を見つけたいらしいです。宝探しを手伝う事を拒否はしませんが、一応自分の手で探し当てたいという願望はあるようです。

●その他
 ・森の散策と宝探しをメインにする、お遊び感覚のシナリオの予定です。
 ・アシルへの心情重視か、散策や宝探し重視かを選んでプレイングを掛けて頂く事をお勧め致します。
 ・心情を綴って頂ければ、出来る範囲で描写するよう努力致します。
 ・同伴者がいる場合、プレイング内に【お相手の名前とID】を。グループの場合は【グループ名】をそれぞれお書きください。記載無い場合ご一緒出来ない可能性があります。
 ・途中からの参加も大丈夫です。
 ・許容量を超えた場合は早めに締め切る、又は不採用の場合があります事をご了承下さい。

 以上。
 皆様のご参加、心よりお待ちしております。
229




第1章 冒険 『森の奥へ奥へ』

POW   :    野生動物などの危険から仲間を守る、行く手を遮る木を伐る、等

SPD   :    危険な気配を察知する、地形を観察し安全なルートを探す、等

WIZ   :    事前に森に関する情報を集めておく、迷わないよう正確なマッピングをする、等

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●夜灯り
 夜に覆われた森――。
 木々のざわめき。鳥の羽ばたく音。動物達の鳴き声。
 有り触れた音も、夜闇に覆われれば不思議と違う音に聞こえる。
 ゆらゆらと、彷徨うように。
 足元の灯り。
 手元の灯り。
 ヒカリを頼りに進むは最奥。
 深い深い闇へと、誘われるように。
アメリア・イアハッター
愛用のランプ「OLIVE GREEN」を持ち森の散策へ
アシル君の元へ急ぎ向かうため駆け足で
でも光る花には興味津々

いつもは手に届かない星が近くにあるみたいで、思わず手を伸ばしたり
摘んだら光が消えちゃったりするのかな

そうだ、これだけ地面が光ってるなら、木の上から見れば星空みたいに見えるんじゃないかな
そう思ったら即行動
UC【スカイステッパー】を使って木の上へ
星の代わりに花が光り輝く地上の夜空に、すっかり楽しくなっちゃうことでしょう

ふふ、ここはきっと夜の森、じゃなくて、夜空の森ね
アシル君や猟兵仲間達にも、教えてあげたいな
凄いよって笑顔で誘ったら一緒に木の上に来てくれないかしら
小さな子ならきっと運べるし




 視界の先は闇。否、足元を照らす光が、どこまでも続いている事は視認出来る。
 赤茶の長い髪を靡かせ、アメリア・イアハッター(想空流・f01896)は急ぎ足で森の中を歩む。奥で待つ少年の為に。
 ゆらり――手元を照らすのは、深緑黄色のランプ。ぼんやりと放つ光が、硝子板を照らしきらきらと、まるで宝石のように煌めいている。
 しかし、その手元の光に負けない輝き。足元に咲き誇る、光を放つ花にアメリアは興味津々だった。いつもは手に届かない、その星がまるで近くにあるかのような錯覚が。
 気になり、彼女は手を伸ばしてみるけれど――。
「摘んだら光が消えちゃったりするのかな」
 そんな疑問が頭を過ぎり、伸ばした手を止めてしまう。
 少し寂しそうな顔をしたけれど――それも一瞬。彼女の大きな瞳が輝いたかと思えば。
「そうだ、これだけ地面が光ってるなら、木の上から見れば星空みたいに見えるんじゃないかな」
 ぱちんと両手を合わせ、良い事を閃いたと笑うアメリア。短いスカートをひらりと揺らし、彼女は宙を蹴ると太い樹の枝へと素早く移る。
 ――高い位置から見下ろした景色は。
「わあ……!」
 アメリアの視界に広がるのは、まるで満点の星空。群生し、白く光る花々が美しい。
 深い闇だからこそ、見る事の出来る景色。此処以外では、滅多に見る事が出来ない。
「ふふ、ここはきっと夜の森、じゃなくて、夜空の森ね」
 口元に手を当て微笑むアメリア。――この美しい景色は、猟兵の仲間にも見せたい。この地に住む少年、アシルは知っているだろうか?
 だから後で、声を掛けてみよう。
 笑顔で誘ったら、一緒に樹の上から星空を見る事が出来るかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユナ・ニフェトス
カンテラを手に、ゆっくりと足を進める
左へ右へ、視線を巡らして
時には立ち止まり、足元の花に手を添えて笑い

そしてまた歩き出す

夜が明けない森、光る花々
まるで絵本の世界に迷い込んだみたい

この花も宝と呼べるほど美しいのに
それ以上の宝がこの先にあるかもしれないだなんて

一体どんな物なのでしょう
伝承通りなら宝石といった高価な物
でも少しぐらい夢を見てもいいと思うの

例えば…そこでしか咲かない花とか
逆に何もなくて、とても美しい景色が広がっているとか

どうしましょう!
想像が膨らんで止まりません!

さあ、また進みましょう
私はこの先が見てみたいの




 ゆらり、ゆらり――手元のカンテラが揺れる中、ユナ・ニフェトス(ルーメン・f13630)は胸に手を当てながら森の中を進む。
 銀の瞳を左右に動かし、辺りを窺った後足を止め光る花に手を添える。輝く花に儚げな容貌に零れる微笑みを浮かべ、彼女はまた歩き出した。
 夜が明けない森。光る花々。
「まるで絵本の世界に迷い込んだみたい」
 そんな景色が、今目の前に広がっている事がまるで夢のよう。ほう……ユナは無意識に溜息を零していた。
 この奥には、宝物が眠っている。それもまた御伽噺のようなお話。
 今足元に咲き誇る花だって、十分宝と呼べるほど美しい。それ以上の宝がこの先にあるかもしれない――それが一体どんなものなのか、好奇心で胸が逸る。
 盗賊頭が捨てたと云う伝承通りなら、宝石等の高価な物だろうか。
 けれど、もう少しぐらい夢を見ても良いと……ユナは思う。
「例えば……そこでしか咲かない花とか」
 はたまた、逆に何もなくて。とても美しい景色が広がっているとか。
 物ではない、美しさがそこにはあるのかもしれない。
「どうしましょう! 想像が膨らんで止まりません!」
 少し紅潮した頬に両手を当て、銀色の瞳を好奇心で輝かせ。ユナは楽しそうに笑む。
 その答えは――この先に。
 修道服から覗く足を忙しなく動かし、彼女は奥へと進んで行く。
 輝く花々は、まるでユナを奥へと誘うかのように咲き誇っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雨糸・咲
何て綺麗な、夜…

足元に灯る光に思わず見入ってしまいます

周囲が花で明るいうちは
ランタンに付いたシャッターを下ろしておきましょうか

とは言っても、帰りは男の子が一緒ですものね
五感を研ぎ澄ませ
周囲に危険が無いか、
道程をよく確認しながら進みます

私は元々『物』ですから
子供の頃は…等とは言えないのですけれど
自分の力で何かを成すということは
きっと、誰にとっても意味のある
大切な経験になるのでしょう

無事に遂げられるよう見届けられたら
私も何か、得るものがありそうに思えます

※アドリブ、他の方との絡み歓迎

穏やかで物静か
見た目の印象は柔く、
けれど自立した芯の強い娘です




「何て綺麗な、夜……」
 雨糸・咲(希旻・f01982)の口から零れたその言葉は、無意識だろうか――。
 ぼうっと、思わず足を止め辺りの光る花々に見入っている。
 まるで呼吸をするかのように。仄かに調光が揺れ動く。それがまた、この景色の神秘性を高めている気がする。
 咲の手元にはランタン――けれど足元の光がある為、今そのシャッターは閉じている。
 だから頼りは足元の花々のみ。
 思わず足を止めてしまったけれど、奥へと急がなければ。――帰りは少年と一緒だと云う事を意識し、帰りの道のりを忘れまいと五感を研ぎ澄ませ、周囲を見ながら歩く。
 闇と光だけの景色は、とても道に迷いやすい。今通ってきた道がどこかも、判断する事は難しいだろう。――そんな夜森を、宝を求め走ったであろう少年を咲は想う。
 自分の力で何かを成すと云う事は。きっと、誰にとっても意味のある大切な経験になるのだろう。特に、子供の頃は。
(「私は元々『物』ですが……」)
 胡桃色の瞳を伏せ、口元を結び。咲は少年を応援したいと強く想う。
 彼が無事に遂げられるよう見届けられたら。咲にも何か、得るものがありそうだから。
 その為にも彼女は、夜森の更に奥へと歩を進めていく。
 甘い香りが漂うのは花の香りだろうか。それとも咲の纏う香りだろうか。
 波打つ群青の髪が、甘い香りを纏わせていくようにも感じた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロード・ブラッドリー
弱虫ーーか
そんな事言われても気にしなくていいのにな
本当に強い奴はそんな事は人に言わないぜ
それに、一番怖いのは自分で自分を嫌いになる時だ
アシルは、どんな気持ちでこの森に入ったんだろうな?
怖くねーの?
水色の色彩纏う少年を見つめて

まっ、オレの言うことはどうでもいいか

【SPD】
光る花を足元に見ながら、ざくざくと森の中を進んでいくぜ
ひゃー、綺麗だなー
友達に見せてやりてえな
こういうのってワクワクするよなー、ガキの頃本で見た冒険って感じだ

「スカイステッパー」で跳躍し、周りを見渡して道を探るな
なるべく安全がいいからな
おーい、こっちの道がいいみたいだぜ!
まだまだ本番はこれからだろ?

※アドリブ、絡み歓迎です




「弱虫――か」
 鋭い金の瞳を細め、暗闇の宙を見ながらロード・ブラッドリー(累々血路・f06133)は呟いた。そんな事、気にしなくていいのに。
 本当に強い人はそんな事は人に言わない。一番怖いのは、自分で自分を嫌いになる事。そう考えるロードの瞳に宿る意思は強い。
「アシルは、どんな気持ちでこの森に入ったんだろうな?」
 足元にのみ光のある、視界に広がる暗闇。
 ざわざわと木擦れの音が響き、凍て付く空気が肌を撫でる。辺りに何がいるかも分からない。そんな夜の森――怖くないのかと、ロードは想った。
「まっ、オレの言うことはどうでもいいか」
 ふるりと首を振り、歩を進めながら改めて辺りを見てみれば。光る花が彼の赤い尾を白く照らしている。綺麗だ、と想うのと共に友達に見せたいとも強く想う。
「こういうのってワクワクするよなー、ガキの頃本で見た冒険って感じだ」
 アシルの語る冒険――少年は今その冒険の世界にいるのかもしれない。
 少年が心配だからか。足早にロードは森の中を駆ける。慣れた様子で宙を飛び、歩きやすそうな道を見つけ、深い深い森の奥へと――。
 真っ直ぐ森の奥を見つめる姿は、最奥へ行くのを急くよう。
 ――その理由は、強くなりたいと願う少年の想いが、自身と一緒だからだろうか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レオンティーナ・ハートフィールド
ランプに灯をともし、進むとしましょう。

アシル様も心配ですけれど、それでも素敵な森の気配に少し心が躍るのでございます。ふふ、いけませんね。

それでも油断してはいけないのは存じ上げております。
私が生まれ育ちましたのも、森の近くですので森は油断ならないものだということは知っているつもりでございます。
迷わぬ様、マッピングを致しましょう。
帰り道がわからなくなっては大変ですもの。

アシル様が心配で早く見つけ出して差し上げたい心と
森を進む高揚感が同居して不思議な心地です。
光る花々を追って歩けば、足早に進んで。
これが森に誘われる、ということでございましょうか。
星が足元で瞬いている様で思わずため息が漏れてしまいそう




 手元のランプが照らすのは、レオンティーナ・ハートフィールド(レグルス・f02970)の美しい髪と瞳。闇に溶けるような黒い鎧が光を反射している。
 ひらり、長いスカートを揺らしながら歩くレオンティーナの足取りは軽い。
 アシルの事は心配。けれど、素敵な森に心が躍る。
「ふふ、いけませんね」
 上品に笑むと、気を取り直すかのように辺りを見回した。
 生まれ育ったのが森の為、森が油断ならないものだと云う事は重々承知。だからこそ、その経験を活かしレオンティーナは森の中を地図へと起こしていく。
 闇の中で少々分かりにくいが、帰り道が全く分からない事にはならないだろう。――1日中夜が広がる森では、陽が出てから行動する策がとれないのだからとても重要な事。
 地図に記すその眼差しはとても真剣。いつもは穏やかなその緑の瞳に、今は地図と森の景色が映っている。
 レオンティーナの胸には2つの想いが。
 アシルが心配で、早く見つけ出したいと云う心と、森を進む高揚感。
 その2つが同居して、なんだか不思議な心地がする。それは森の奥の閉鎖的な街で過ごしていた時には、感じる事が出来なかった気持ち。
 慣れぬ心を胸に。レオンティーナは光の花を追うように、足早に森を進む。
「これが森に誘われる、ということでございましょうか」
 穏やかに笑んだ後――呼吸をするように足元で瞬く星々に、思わず溜息が零れていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カノ・エクセクオール
森は良い
植物から齎される澄んだ緑の空気、
木々や鳥たちのさえずる静かな音色が心地よい

それに、光の花は興味深いわね
香りはあるのかしら?
…持ち帰って色々と調べてみたい所だけれど、
今は少年と合流しなくてはね
灯りはあれど。それでも深い闇の森で、独りはきっと心細いでしょうから

◆行動
一応、森の気配には気を配りつつ奥へ
迷う事はないでしょうけれど…
帰りの道標が必要そうなら、木々に色付きの紐で目印を付け乍らいきましょう

折角だから手持ちの灯りは最小限に、
暗視と花の光を頼りに楽しく進みたい所
だけど、他の猟兵さん方が暗がりで危ない様なら、ランタンの灯りを提供するわ




 ふう――カノ・エクセクオール(灰かぶり・f03309)が白い息を零せば、暗い森の中を一瞬だけふわりと舞う。
 植物から齎される澄んだ緑の空気。木々や鳥たちの囀る心地良い音色――森の魅力を感じながら、凍て付く空気に羽織るジャケットを寄せながら。カノは森の中を進んで行く。
 彼女の細い指が操るのは、髪色によく似た細い糸。迷わないようにと、辺りの木々に目印を施しながら。彼女が気になるのは、やはり足元の光る花。
 すんっと鼻をくすぐる甘い香りに誘惑をされる。――これは、花の香りなのだろうか。顔に掛かる髪を手で抑えつつ花に顔を近づければ、より強い香りを感じ確信へと変わる。
「……持ち帰って色々と調べてみたい所だけれど」
 薫香店を営む者として、心地よい香りに惹かれてしまうのは当然の事。
 けれど、今はのんびりとしている時ではない――この先に、1人の少年が待っている。
「灯りはあれど。それでも深い闇の森で、独りはきっと心細いでしょうから」
 ゆらり、手に持つ本体。カテドラル型ランタンを揺らし、彼女は奥へと歩を進める。
 ――手持ちの灯りは最小限に。
 ――闇の中、花の光を頼りに森を彷徨うのが今は楽しい。
 けれど闇に迷う者がいれば、光を差し出そうと。カノは手元のランタンを揺らしながら想った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オリオ・イェラキ
素敵ね
永遠と錯覚出来そうな夜を彩る森と光る花々
まるで星空を歩いているかのよう

ランタンはひとつだけ
でも余程が無ければ使いませんわ
この夜に、染まっていたいから
それに暗視には自信がありますから

静かな道を、静かに歩いて
あぁ、この心にも星空が満ちていく気分
見上げなくても良いなんて
…そう、いつかに読んだ物語に
銀河を旅する噺がありましたわ
こんな光景を、横目に見たのかしら
でもあれは死者と別れる噺
これから行くのは、今を一生懸命生きている少年の元
きちんと連れて帰りませんと

…そのうち、この依頼が終わって落ち着いたら
夫とこの道を歩きたいですわ
きっと、もっと素敵な散歩になる筈だから
さあ奥はもう少しかしら




 ――素敵ね。
 視界に広がるのは、永遠と錯覚出来そうな夜を彩る森と光る花々。
 その景色を見て、オリオ・イェラキ(緋鷹の星夜・f00428)は無意識に言葉を零していた。足元に広がる光が、彼女の闇に溶け込む瞳と髪をぼんやりと照らしている。
「まるで星空を歩いているかのよう」
 星夜を纏う彼女は、嬉しそうに呟く。
 どこまでもどこまでも広がる闇と光の道。
 手元には光の無いランタンを揺らして――だって、この夜に染まっていたいから。
 足元さえ照らされれば、歩く事に苦労はしない。森の奥へと誘われるように、光る花を頼りにオリオは迷わず進んで行く。暗くとも、闇夜に眼が利く彼女は大丈夫。
 辺りに広がるのは静寂の中混じる、木々のざわめき。
 一歩一歩進む歩の音すら、耳に届くような静寂の中――あぁ、この心にも星空が満ちていく気分。見上げなくとも星空が見える。
 嬉しそうにオリオは黒い瞳を細めながら、昔の事。昔読んだ物語で、銀河を旅するお話があったと思い出す。
 銀河には、数多の輝く星々がある。それは――。
「こんな光景を、横目に見たのかしら」
 今見ている、花の生み出す星の海があのお話でも見れたのかもしれないと想うと、不思議な心地になる。
 あのお話は、死者と別れるお話だった。
 けれど、今からオリオが向かうのは。今を一生懸命生きている少年の元。
「きちんと連れて帰りませんと」
 唇を結び、改めて決意を固め彼女は更に奥を目指す。
 ――今回の事件が終わって落ち着いたら、改めてこの道を大切な人と歩きたいと思いつつ。その時はきっと、もっと素敵な散歩になる筈だから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

都槻・綾
※絡みアドリブ歓迎

霄に瞬く一番星を眺めやり
空気も天も宵の深みを増す森へ

塒に帰る鳥や
動物達が暮らす気配に
そっと微笑

一見は陽の射さぬ昏い森なのに
彼らの存在が
森の清浄な気を守護し
命の宿る温かい場所に感じさせてくれる

湖か、樹や土から滲み出た水溜りか
水面煌めかせるのは
天の星?
其れとも地上の――あぁ、
光る花々が星の如く輝いて
実に美しい

極力踏まぬように気をつけ乍ら
手元の洋灯の明かりを落として
銀河航路を、星々に包まれる時間を、存分に楽しみましょう

宝が眠ると聞きましたが
此のひと時もまた
得難き玉の如き時間

少年発見時は
光を掲げて穏やかに声掛け

勇気を示す冒険譚、格好良いですね
貴方の紡ぐ物語を
私の胸にも刻ませて下さいな




 時刻は夕刻――段々と夜の帳が下りる頃。ねぐらに帰るであろう鳥の羽ばたく音を聞き、都槻・綾(夜宵の森・f01786)は微笑を浮かべる。
 此処は光の射さない昏い森。
 けれど生きる彼等の存在が、森の清浄な気を守護し。命の宿る温かい場所に感じさせてくれると、綾は想いどこか心に温かなものが宿る。
 歩を進めれば、ぱしゃりと小さな水音が静寂に響いた。
 手元を照らす洋灯を翳し見てみると、そこには不思議な水溜りが。――それはどこかからの水が湧き出たものだろうか。しかし、暗闇の中の水面はまるで鏡のようで、美しい星空を映している。
「天の星?」
 不思議に思い、天を見上げるがそこは木々で覆われている。――視線を戻す時に、綾は気付いた。その光は、花々が星のように瞬いている景色なのだと。
 実に美しい。
 小さな声で零す綾の口元には、楽しそうな笑みが。
 こんな美しい景色を作り出す花々を極力踏まないように、注意をしながら歩けば。ゆらりゆらりと、彼の手元の光もまた流れる星のように移動する。
「銀河航路を、星々に包まれる時間を、存分に楽しみましょう」
 宝が眠ると云う話だけれど――このひと時もまた、得難き玉の如き時間。
 その時に身を委ねながら。少年に出会ったら彼の冒険譚を胸に刻みたいと綾は思った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

境・花世
森の中はまるで夜の闇の底
同じとこをぐるぐる巡ってる気がする
……そうだった、わたし、方向音痴だった
時々違う世界に出ちゃったりするのも
壮大な方向音痴だった説が今!

でも、うん、泣いても現実は現実
むしろこの状況を楽しもう

徐にランプの灯を消して
しゃがんで見つめる花のひかり
皓々と静かな、青白いそれは
夜に滴る星みたいにうつくしい

さわりと揺れる右目の花に笑って
やろうと思えば光れるの? ほんと?
ひとりごとを呟くのにも慣れたもの

暫くそうしてひとりぼっち
けれど遠くに誰かの灯が見えたなら
合図するようにちかりと点けては消して
もし立ち止まってくれるなら
今度こそ迷わずに駆けて、いけるかな

※アドリブ・絡み大歓迎




 夜森の中を進めば――同じ所を巡っているかもしれないと、境・花世(*葬・f11024)は気付き足を止める。
「……そうだった、わたし、方向音痴だった」
 焦りを帯びたその言葉は、暗い森の中に溶けていく。――それはまるで、夜の闇の底。
 今まで経験した方向音痴エピソードを思い出す花世。違う世界に出る出来事は、猟兵ならではの経験だがかなりのもの。
 冷たい風が吹く中――夜森にひとり、という現実に身が震える。けれど、彼女は左目に滲む涙を拭うと、この状況を楽しもうと自分を鼓舞する。
 道標にしていた手元の灯りを消せば、足元に輝く光が強く眼に焼きつく。
 もっと近くで。そう想ったのか、しゃがんでみればすぐ傍で光が瞬く。
「夜に滴る星みたい」
 うつくしい……そんな言葉をぽつりと零した瞬間。彼女の右目の八重咲牡丹が揺れた気がした。それは風だろうか、それとも――。
「やろうと思えば光れるの? ほんと?」
 口元に笑みを浮かべ、花世は慣れた様子でそんな独り言を呟く。
 ――足元に、目元に、揺れる花を感じながら。花世は独りで森の中。
 この胸を満たす感覚は寂しさだろうか。闇の中では、時間も長く感じる。この森の奥へと向かうには……ぼんやりと、そんな事を考えていたら。
「あ!」
 視界の奥に、花の白い光とは違う光が見え彼女は手元の灯りを点滅させる。
 点滅に反応したのか。立ち止まるその灯りを見て花世は立ち上がると駆け出した。
 ――今度こそ迷わずに駆けて、いけるかな。

大成功 🔵​🔵​🔵​

葉月・零
早くアシルに追いつかなきゃね、って気持ちは十分にあるんだけど……

光る花とかすごいね、これどーやって光ってるんだろ……
ついつい気になって周りをキョロキョロ

確かになんかお宝がある!!って言われたらそうかも!って思っちゃいそう、暗いからなのかな、すごく雰囲気のある感じ

色々言われてだ、ってのもあるけど、それでも1人で宝物探そうって行動で来たんなら、それはもう弱虫とかじゃなくて、立派なことなんじゃないかなぁって、そう思うからアシルに会えたらその気持ちを伝えてあげたいな

だって逃げちゃうこともできたはずだけど、逃げなかったでしょ?
まぁ、だからと言ってこんな時間に出歩くとか危ない事しちゃダメなんだけど、ね。




 夜森の奥にひとりの少年がいる――だから早く追いつかなくては、と分かってはいるが。どうしても、花々が気になってしまい足取りが緩やかになる。
「光る花とかすごいね、これどーやって光ってるんだろ……」
 闇の中、光る花々は本で読んだだけでは感じることの出来ない、魅力がある。葉月・零(Rien・f01192)は楽しげに、その紫の瞳を輝かせる。
 確かに、宝があると言われればそうかもしれないと想ってしまう。それは暗いからだろうか、それとも光る花だろうか――不思議な魅力と雰囲気を持つ森だ。
 こんな森に、ひとりで訪れた少年。森を歩きながら、零はつい彼の事を考えてしまう。
 弱虫。意気地なし。
 どんな言葉をどれだけ言われたのだろうか。その言葉が切っ掛けで、今回の出来事が起きている事は確か。けれど。
(「それでも1人で宝物探そうって行動で来たんなら、それはもう弱虫とかじゃなくて、立派なことなんじゃないかなぁ」)
 静かに瞳を伏せながら、零は想う。
 だからアシルに、直接この気持ちを伝えてあげたい。逃げる事も出来たのに、逃げなかった立派な少年に。
「まぁ、だからと言ってこんな時間に出歩くとか危ない事しちゃダメなんだけど、ね」
 少し悪戯っぽく笑いながら、零はぽつりと零していた。
 そこも踏まえて、是非少年と色々と語ろう。――それは年長者としての、心配も混じっているのかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『宝探し』

POW   :    力を使って調べる

SPD   :    器用に調べる

WIZ   :    頭を使って調べる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●眠る金
 点々と――それはまるで天の川のように。灯る花々に導かれれば、急に視界が開ける。
 広がるのは、変わらぬ闇。
 けれど先ほどの静寂とは違う、水の流れる音や水気を含んだ風が肌を撫でる。
 目の前に広がる大きな泉は、闇を吸い込んだかのよう。
 生える木々は道中とは比べ物にならないほど、幹が太く立派な姿。苔生したその姿が、尚神秘的な魅力を作り上げている。
 そして――光る花は、不思議な事により強く光を放っているかのように見える。
 より密集し。この夜森を照らそうとしているかのように、花々は光っていた。
 辺りを見渡せば泉の奥。一際立派な樹の根元で、青髪の少年が花々に照らされている。
「……どこだろう」
 言葉を零す少年はスコップを片手に。広すぎるこの地に、困惑の色が顔に見えた。

 ――盗賊頭が捨てた宝物が、沢山眠っている。
 ――その正体は金銀財宝だろうか。それともまた別の、魅力的なものだろうか。
 その正体は、まだ分からない。
オリオ・イェラキ
流石に光無く近付いたら
驚かれますわね

灯を灯し、優しく近寄って
ご機嫌よう。この森は素敵な場所ですわね
にっこり笑顔で礼儀は忘れずに

何をされてましたの?
まぁ、宝探しを
わたくしはこの森を堪能するだけで十分ですから
宜しければ此処で休憩がてら応援していても良いかしら
適当な切株などに腰を下ろして見守る
宝は、彼自身が見つけるべきだから

彼が話をするならお相手を
…どんな理由であれ、此処に1人できたなら
貴方はとても勇気があるのね、と一言
疲れた時は水筒に暖かい紅茶を淹れてきましたの
皆さまも如何かしら

そう、折角来ましたから
わたくしはこの光る花を一輪頂きますわ
押花にして今夜の思い出に

でもその前にすべき狩は…もうすぐかしら


雨糸・咲
アシルさんを探し、
なるべく警戒させないよう
優しく話しかけます

ごきげんよう、小さな冒険者さん
ここは素敵なところですね
美しい花が咲き、静かで優しい夜のようです
それに…
何だか、良いものが見つかるのですってね?

私も何かお土産が欲しくてここまで来たのですけれど
だんだん暗くなってきて少し心細いので…
ついて行っても良いですか?

【聞き耳】で周囲を警戒しつつ、
彼が宝探しをするのは邪魔しないように

無事に宝物を見つけたら
共に喜びを分かち合いましょう

やりましたね!

私の宝物は、
鬱蒼と茂る樹々の足元
耀く花に抱かれていた一枚の風切羽
さらり滑らかな感触と、深く鮮やかな青色がとても綺麗で

…一緒に帰りたいな、と、思ったんです


葉月・零
おや、先客?
ねえ、少年。君は何かを探してるの?
スコップ持ってるから、そーなのかなぁって思っただけなんだけど……あってる?

驚かさないように、声をかけながら。怪しまれないようなら少し話をしよう

此処に着くまで結構暗かったりしたけど、1人で来たの?
あ、いや、咎めるつもりじゃなくて。
すごいなぁ、って。俺でも少し怖いなー、って思ったから。
君は勇気がある子なんだね。

宝物ってどんなものだろう?
君の思い描く宝物をさ、もし自分ならどんなところに置くんだろう?

考えながら探したら見つかるかもしれないよ?

財宝もロマンがあるけど、俺にとっての宝物はまた別かな
今はもう会えない人との思い出なんか少し思い出せたからそれで満足


ユナ・ニフェトス
アシルくん、こんにちは
貴方もお宝を探しに?
実は、私もなんです
お互い素敵な何かが見つかるといいですね

と、言ってはみたものの
宝探しなんてしたことがないからどう探しましょう?

埋まっているか、泉の中に沈んでいるか、が定石でしょうか
でもお花が光る理由が宝が埋まっているから、だったらロマンチックですねえ

とはいえお花の下を掘り起こすのは避けたいですし
花の中に少し違和感とかないかな…

逆に光っていないところや、ひと際光っているところ
もしくはぽかんと空いた花の咲いていないところ

そういう小さな違和感
そこを掘り起こしてみましょう

少年にも聞こえるように
独り言のように、でも少し大きめな声で
外れていたら少し申し訳ないけれど


都槻・綾
※絡みアドリブ歓迎

こんばんは
小さな冒険者さん
私も噂を聞いて宝探しに来たひとり
冒険仲間に加えて頂けますか?

少年へ
驚かさぬよう穏やかに声を掛け
悪戯っぽく笑みを浮かべる

貴方はどんな宝をお望みなのでしょう?

噂は浪漫か真実か
己にとって本物の玉よりも
人々がそうして語り紡ぐ物語が
胸弾む宝に思える

少年の話を
頷きつつ促して楽し気に聞くひと時
森に入った切っ掛け
友達の事
本当に欲しいもの

夜森に独りで立ち向かった勇気こそ
きっと
貴方が得た宝でしょう

でもそう
挫けかけた時に支えとなるものが欲しいなら――

笛を奏で動物を招く
地に詳しいものに尋ねてみようか
光る花の種も採取出来たら懐へ

幻獣から急襲を受けぬよう
少年の護衛も兼ねて傍らに


ロード・ブラッドリー
【POW】

おーい、アシル!(駆け寄り)
大丈夫か?怪我とかしてねえ?
(じっと瞳を覗き見て、ニッと笑いかけ)
っと、突然悪ぃ
オレはロード、オマエの手助けに来たんだ
すげぇな、この森を1人で来たのか
怖ぇのが普通だよ、オマエくらいの歳ならさ
なかなか勇敢だな

……っし、宝探しだよなっ!
力仕事くらいしかできねえけど、手伝うぜ!
なにかやってほしいことないか?

にしても、盗賊も変わってるよなー
せっかくの宝を棄てるなんてさ
(ざくざくとスコップで掘った先、触れた感触)
おっ?
おおー!
見てくれアシル、宝があった!
(少年に見せる其れは、綺麗な武器飾り)

へへっ、ホントにあるんだなー!
アシルのもぜってーあるよ、早く見つけようぜっ!


境・花世
自分の為には迷ってばかり
でも誰かを追う時だけは
迷わないんだ、不思議な話

アシルはわたしよりずっと勇気があるなあ
でも、誰かの灯に導かれて来たわたしも
手に入れる宝はきっと負けやしないよ

少年めいた笑み浮かべて
競争しようか、アシル!

泉の畔の花咲く辺りへ
踏み荒らさぬようそっと、
冷たい水に手を差し入れる

あんまりきれいに光るから、
星のようだと思ったから、
もう少しだけ傍に居て欲しいと
柄にもなく思ったんだ

枯れない花なんて、
あるわけがないのに

俯いた拍子にひとひら散る己の牡丹
薄紅のそれを追って
浸した指先が掴むのは――

薄水青の硝子か水晶か
その姿だけを今暫し現に留める、
星彩映して、咲いた花

※アドリブ・絡み大歓迎




 自分の為には、いつだって道に迷ってばかりの境・花世。けれど、誰かを想い追う時だけは不思議と迷わない――それは彼女の想いの力が助けになっているのだろうか。
 それはまだ分からないけれど、今は正にその瞬間。少年を追い掛け、夜森を彷徨った彼女が木々の合間を抜けた瞬間。森の木々のざわめきが、より一層強くなった気がした。
 ぴちょん――風に乗り何かが落ちたのだろうか。静けさが包むこの夜森の中では、泉の音色が強く耳に響くのを感じる。
 しかし、そんな音色に顔を上げることもなく。視界の奥に立つ少年は辺りを見回す。
 ――闇の中、光花に照らされるのは青い髪。
 彼の姿を捉えたオリオ・イェラキは、一歩足を踏み出したところで――道中ずっと消したままだった、手元のランタンに火を灯す。このまま光無く近付いたら、驚かせてしまうと思ったから。
 ふわりと、光る花々とは違う色合いの温かな灯りが灯る中。
「おーい、アシル!」
 大きな声で、真っ先に声を掛けたのはロード・ブラッドリー。闇に照らされる焔のように赤い髪と翼を揺らし、花を踏まないようにと気をつけながら少年へと駆け寄れば。人気の少ない場所に現れた客人に、アシルは驚き戸惑った様子。
「ごきげんよう、小さな冒険者さん」
 そんな彼を更に驚かせないようにと。優しい声色で雨糸・咲が語り掛ければ、少年は小さく頷いた。引っ込み思案なところがある彼、人見知りでもあるのかもしれない。そんな少年の様子に、くすりと笑みを浮かべ都槻・綾もこんばんはと零した。
「……えーと」
 どうすれば良いのか、アシルは戸惑うように水色の瞳を泳がせる。それは今の状況を、整理するかのように。だから猟兵達は、彼への説明を兼ねるように口を開く。
「この森は素敵な場所ですわね」
 にっこり、星夜を纏うオリオが。まるで安らぎを与える夜のような、穏やかな笑みを浮かべる語れば、咲は彼女の言葉に遠慮がちに頷き口を開く。
「美しい花が咲き、静かで優しい夜のようです」
 大勢と共に語るのは少し苦手な咲。けれど勇気ある小さな冒険者の為に――胸の鼓動を抑えるように手を当て、緩やかに語れば。彼女達の言葉から少年への想いを続けるように、ゆるりと葉月・零は前へ出て口を開いた。
「ねえ、少年。君は何かを探してるの?」
「え!?」
 長身男性からのその言葉に、アシルは目を見開き零を凝視する。そんな少年の姿を見て、くすりと笑むと彼はアシルの手元を指差した。
「スコップ持ってるから、そーなのかなぁって思っただけなんだけど……あってる?」
 あ、と言葉を零しながらスコップを見て、零を再び見る少年。合ってます……少し遠慮がちに。けれど驚きを交えた声で零せば。
「貴方もお宝探しに? 実は、私もなんです」
 柔らかな笑みを浮かべながら、銀の瞳を輝かせユナ・ニフェトスは同じである事を強調するように言った。――その言葉を聞いて、アシルが少し警戒心を解くように肩の力が抜けたのを見て、綾はまたくすりと小さく笑むと。
「私も、此処にいる皆さんも。噂を聞いて宝探しに来たひとり。冒険仲間に加えて頂けますか?」
 彼は口元の笑みに悪戯心を混ぜながら語る。綾の言葉に乗せるように、咲が口を開く。
「何だか、良いものが見つかるのですってね?」
 お土産が欲しくて来たけれど、段々とその闇が本物になる時刻が近付いてきた。だから――ついて行っても良いかと咲が尋ねれば。彼は小さく頷いた。


「で、お前。大丈夫か? 怪我とかしてねえ?」
 同行を許されたからか。ロードは持ち前の人懐っこさを発揮して、引っ込み思案な少年へと楽しそうに声を掛ける。上から下まで、金色の瞳が眺めるのにアシルはその身を強張らせて、大丈夫ですと小さな声で。
「ちょっと、途中で転んだりしたけど……」
「あー、服が汚れてるじゃねえか」
 ぱんぱん。音を響かせ土汚れを払うついでに、ロードは怪我などが無い事を確認すると、うしっと頷き彼の水色の瞳を覗き込み笑った。
「っと、突然悪ぃ。オレはロード」
 距離が近すぎた、と反省の色も込めて、まずは自己紹介から。頷くと、彼も礼儀として自身がアシルだと名乗りを返す。そんな彼をじっと見て、ロードは。
「力仕事くらいしかできねえけど、手伝うぜ! なにかやってほしいことないか?」
 屈託のない笑顔で語る。
 突然の話に、アシルは戸惑いを見せるが――そんな少年の姿に、助け舟を出すように零は優しく提案するかのように、口開く。
 宝物ってどんなものだろう? その宝物を、自分ならどんなところに置くだろう。
「考えながら探したら見つかるかもしれないよ?」
 笑みを浮かべる彼の姿は、まるで全てを見透かしたかのように、アシルには見えたかもしれない。どこに――ぽつりと呟き、彼は辺りを見渡す。
 並ぶ木々はとても大きく、光る花々は群生している為地面は見えないほど。
 そんな悩む彼を眺めて、くすりとオリオは微笑ましそうに笑んだ。――彼女は、宝探し自体には不参加の姿勢。だって、この夜森を堪能しているだけで十分だから。
 だから、応援がてら休憩を。そう想い傍にあった切り株へと腰を下ろし、優しい眼差しで少年の姿を眺めている。
 聞き耳を立て辺りの警戒をする咲は、少年の宝探し自体には邪魔をしないつもりのようだ。――彼が、自身の力で見つけたいと想う心を尊重するのもまた優しさなら。
「宝探しなんてしたことないからどう探しましょう?」
 そんな独り言――けれど、どこか大きな声で語るユナ。それはまるで、誰かに聞かせるかのように、迷う少年を導くのも、また優しさだ。
 この景色ならば、埋まっているか、泉の中に沈んでいるのが定石か。辺りに生える不思議な花の光る理由が、宝が埋まっているから、だったらロマンチックだとユナは零す。
 自然を傷つけないように、溢れる花に違和感は無いか――例えば、光っていない箇所が無いか。逆に強く光る箇所が無いか。空いた空間は無いか。
「そういう小さな違和感。そこを掘り返してみましょう」
 ユナの独り言に――ただただ途方にくれていた少年は、改めて景色を見る。
 そんな小さな少年の姿は、自身よりもずっと勇気があると花世は想う。――けれど、誰かの灯に導かれて来た花世も。手に入る宝はきっと負けやしない。だから。
「競争しようか、アシル!」
 覆う八重咲牡丹とは逆の眼を楽しそうに輝かせ、花世は少年に向けそう提案した。アシルは猟兵達の言葉である程度の確信を得たのか、「はい」と少し好戦的な笑みを浮かべながら頷いていた。
 よーし! とやる気満々で辺りを捜索する花世を一瞥した後。アシルは考える。
 自身がどこに埋めるのか。違和感のある場所はどこか。
 聞いた言葉を脳内で繰り返し、静寂の中考えた彼は――巨大な樹の根元に、空いている穴へと近付きスコップを突き刺した。
 さくり、さくり。
 小さなスコップで掘れる速度には限界がある。そんな彼を見て、猟兵達は小さな冒険者へ想う事を口にしていく。
「此処に着くまで結構暗かったりしたけど、1人で来たの?」
 変わらぬ柔らかな物言いで語る零に、ごめんなさい……と少年は謝罪を述べる。だから零は、慌てて。
「あ、いや、咎めるつもりじゃなくて。すごいなぁ、って。俺でも少し怖いなー、って思ったから」
「そう、ですか?」
 きょとんと、まだ幼さが残る大きな瞳を瞬きじっと零を見ると、彼はこくりと頷いた。大人でも怖いと思う、その言葉にアシルは不思議な心地になる。
 不思議そうな表情を浮かべる少年の様子に、同じく大人な目線のオリオは微笑ましく想いつい笑みを浮かべてしまう。――遠くから、様子を眺めているから尚の事。
「……どんな理由であれ、此処に1人できたなら。貴方はとても勇気があるのね」
 笑みを浮かべたまま、オリオがその言葉を零せば零も頷きを返す。
 『勇気』、それはアシルが何よりも求めていたもの。――だから彼は、きゅっと唇を結びむず痒そうにしている。
 素直に勇気がある、などと言われることに慣れていないのだろう。嬉しさが溢れて、土を掘る手が鈍る彼の様子を見て、綾は。
「貴方はどんな宝をお望みなのでしょう?」
 ふと疑問に想った、そんな事を尋ねてみる。噂は浪漫か真実かは分からない。けれど、己にとって本物の玉よりも。人々が今回の盗賊頭の噂のように、語り継ぐ物語が胸弾む宝のように綾は想う。――だから、気になったのだ。
 静かな青磁色の眼差しが見つめる中。アシルはんー、と考える。
「やっぱり、宝石とか? キラキラした、王様っぽやつ!」
 明確ではない、ぼんやりとした答えがまた子供の考える宝物らしいとも言える。
 そんな幼い答えに綾はどこか楽しそうに笑うと――森に入った切っ掛けを問うた。
「森は、本当は暗いから好きじゃない。……でも、弱虫じゃない証拠を持って来いって言うから」
 暗い森に独りで入って、宝物を持って帰るのが村で昔から語られる勇気の証拠。――それを実際に行う人数は、そこまで多くないらしいが。それでも彼は、やってみせると想ったのだ。もうそんな事を言われたく無いと、強く想うから。
 そう語る彼の水色の瞳は、もう最初に出会い警戒していた彼のものではない、強いもの。その様子を見て、綾はああ――と言葉を漏らし。
「夜森に独りで立ち向かった勇気こそ。きっと、貴方が得た宝でしょう」
 そう改めて、明確に綾が零せば――アシルは土を掘る手を止めた。
 その言葉は幼いアシルにも理解出来る言葉。先ほど零とオリオに褒められてむず痒い気持ちになったけれど、それは少年が『宝』として欲しい物を得ていたからなのだろうか。
 ――そんな彼から少し離れた所で。いつの間にか目星をつけて、行動していたロードが土を掘り起こしていた。ざくり、ざくり。それは軽快な手付きで。
「にしても、盗賊も変わってるよなー。せっかくの宝を棄てるなんてさ」
 どこか鼻歌混じりに、言い伝えについて言葉を零せば――彼の手に、鈍い感覚が。
「おっ? おおー! 見てくれアシル、宝があった!」
「ええ、本当!?」
 大きな声を上げた後、ロードが堂々と掲げるのは宝石が輝く武器飾り。その宝石は、光花の輝きを受けきらりと、誘惑的な輝きを見せた。
「わあ、すごい! すごい!」
 瞳を輝かせ興奮するアシルに、絶対にあるから早く見つけようとロードは勇気付ける。大きく頷き、アシルがシャベルを使えば。
「……あ」
 こつん、確かにシャベルが何かに当たった。
 期待に胸が逸る中、傷つけないようにと注意をして掘り進める彼を、猟兵達は静かに見守る。――段々と見えてくるのは、確かに光り輝く何か。
「これは……」
 ある程度の姿が見え、土の中から地上へ持ち上げてみれば――それは、7色の宝石が輝く金の王冠。かつて何処かの王が、身に着けていた物なのかもしれない。
「やりましたね!」
 宝を見て、アシルの細い肩に手を当て、まるで自分のことのように喜ぶ咲。
 嬉しさに瞳に涙を滲ませながら、少年は今日一番の笑顔で猟兵達を見た。――手には、土汚れながらも光に輝く王冠を確かに持って。


 少年が宝物を見つけた――それは、今日訪れた大きな目標。
 それが満たされた現場を見て、猟兵達は安心したように笑みを浮かべる。
 そして、折角だから自身の宝物も。
 ひらり、木々の傍を歩く咲は。ひとつの樹に視線が止まる。
 すらりと伸びる樹は、他の樹よりお年を召しているように見える。立派で、貫禄がある――そんな印象を抱く大樹が、咲は気になった。
 どこだろうか。樹の枝葉、樹洞……いや。
 樹の足元を見やれば、そこには一際大きな輝く花。そしてその花に抱かれてる物に、咲が手を伸ばし丁寧に持ち上げてみると――花に照らされた指先の物は、1枚の風切羽。
 さらりと滑らかな感触と、深い鮮やかな青色がとても美しい代物だ。
「……一緒に帰りたい」
 そんな風に、一目見て彼女は想った。
 競争――そう言ったけれどアシルに越されてしまった。
 けれど、気弱な彼を鼓舞する事に成功したので花世の行動は正しいものだったのだろう。そんな彼女は、楽しそうに森を歩くとそっと――泉へと手を差し入れる。
 冬の凍て付く空気に冷やされた水は、手が凍りつく程に冷たい。けれど、だからこそどこか神秘的。けれど水面に映る星のように見える花の光は、手を伸ばしても届かない。
 傍に居て欲しい。柄にも無く想った……そう心で語る花世はどこか寂しそうに笑む。
 ひらり――立ち上がろうと俯いた拍子に、彼女の右目から花びらが零れ落ちる。
 ひらり、ひらり。薄紅の花弁は、遠くへと移動していく。まるで花世を導くかのように、風に乗りひらりと水面へと落ちるその花弁に手を伸ばせば――。
「……水晶?」
 不思議な感触に手を持ち上げ光に翳せば、彼女の手には薄水青の水晶が。
 きらり、己を主張するかのように輝きを放つその水晶。
 枯れない花なんてあるわけが無い。――けれど輝くその水晶は、まるで永遠にこの世に留まる為に咲いた花のように想えた。
 思い思いの宝を探す彼等を――零はどこか楽しそうに見ている。
 そんな彼が気になって、おずおずとアシルは近付くと。
「お兄さんは、何か探さないの?」
 そんな疑問を問い掛ける少年に、零は「ん?」と言葉を返す。
 何を返そうか――少し考え、笑みを零すと。
「財宝もロマンがあるけど、俺にとっての宝物はまた別かな」
 その笑顔がどこか寂しそうに見えるのは気のせいだろうか――けれど彼は満足だと言う。今はもう、会えない人との思い出を。少し思い出せたから。
 折角来たからと。腰掛けていた切り株から立ち上がると、オリオは1輪の花を手にしていた。顔を照らす灯りは、どこか弱弱しく感じる――この輝きは、恐らく時間が経つと消えてしまうのだろう。
 けれど今日の日の思い出に。例え光らなくとも、押し花として残す事は出来るから。
 闇に溶ける黒い瞳で花を見つめるオリオ――その時、ざわりと風が吹く。
 辺りの空気が変わった気がして、彼女は真剣な眼差しで森を見た。
 ――まだ、猟兵達にはやるべき事があるから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レオンティーナ・ハートフィールド
ここに至るまでの道も美しかったのですが
この場所も負けずに美しく思わず目を細めてしまいます。
光る花々にそれを映しだす水面をうっとりと眺めます。

アシル様をお見かけしてもお声はかけません。
一先ず今は無事なお姿を遠くより確認して。

では私も宝物を探す事に致しましょう。
もし私が盗賊頭だったらどこに隠すか、と考えながら探します。
深い草や光る花々の根元、高い樹の陰、思いつく場所を探してみますが
私には宝らしい宝飾類は見つけ出すことはできない気が致します。
もし見つけたとしても手に取らずそっと元に戻します。
ふふ、でもとても楽しいです。

私にとってはこの美しい森の中で
心踊る宝探しができた事が宝物の様に思えるのです。




 そんな少年と猟兵達の様子を、遠くからレオンティーナ・ハートフィールドは眺めていた。少年の、無事な姿を確認し密やかに笑みを浮かべるながら、辺りを改めて見渡す。
 巨木に囲まれる空間。広がる美しい泉に、灯る花々が映し出され光り輝いている。
 道中も美しかったが、この場も負けず美しく。レオンティーナ緑の瞳を細める。
 風に流れる髪を手で抑えながら――美しい景色は、いくらでも眺めていられる。けれどそれだけで満足せずに、見つけたい物もある。
 気を取り直すように、首を一振りして改めて別の視点で景色を眺めるレオンティーナ。
「もし私が盗賊頭だったらどこに隠すか……」
 口元に手を当て、思うままに歩を進める。
 光の届かぬ深い草。光る花々の根元。天に届きそうな程高い樹の陰。
 思いつく場所を草木を傷つけぬよう、注意をしながら探すが見つからない。いくつか探りながら――レオンティーナは心に想う。私には宝らしい宝飾類は見つける事が出来ない気がする、と。
「ふふ、でもとても楽しいです」
 宝探しを行う高揚感。そして――美しい森でのひと時。
 それは自然溢れる場で育ったレオンティーナだからこそ、感じる感動なのだろうか。この景色の中、心躍る宝探しができた事が、何よりの宝物。
 そう想い、微笑みながら彼女が円を作る花々の中心に手を伸ばすと、手に触れる何か。
「あら」
 何かは分からない。壊さないよう細心の注意を払い持ち上げてみれば――それは此処に咲かない花で出来た花冠。
 いつ、誰が此処に置いたのかは分からない。けれど、不思議な温かさを持つ花冠。
 瞳を細め幸せそうに笑むと――レオンティーナはそっと、元の場所に花冠を戻した。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ヒューレイオン』

POW   :    ディープフォレスト・アベンジャー
【蹄の一撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【自在に伸びる角を突き立てて引き裂く攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    チャイルド・オブ・エコーズ
【木霊を返す半透明の妖精】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
WIZ   :    サモン・グリーントループ
レベル×1体の、【葉っぱ】に1と刻印された戦闘用【植物人間】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ミレイユ・ダーエです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●芽吹く光
 ざわり――強い風が、辺りの木々を揺らす。
 それはまるで、何かが起きる兆候のように。そしてそれは、確かなのだろう。
 闇の中から現れたのは、馬のようにも、巨大な犬のようにも思える動物。大きな角を持ち、どこか神格を感じさせるその敵が歩む度、その足元に小さな木々が芽吹く。
 例え冬でも――彼の樹海の幻獣には関係無い。
 木々の命を司り、自然を愛する。『ヒューレイオン』と呼ばれるその獣は、輝くような青緑のその眼差しをじっと猟兵達へと向ける。――その瞳に宿る感情は、恐らく怒り。
 例え小枝1本折ったとしても、許さないと噂されるその幻獣は。
 自然を荒らされたと認識して、猟兵達へ悲惨な復讐を狙っているようだ。
オリオ・イェラキ
いらしたのね…綺麗な子
アシルさまは少々離れて居て
後は、わたくし達がすべき事

ご機嫌よう、狩られる貴方
わたくしは星夜
貴方が観る、最期の夜

蹄なる一撃を大剣で受け止める
この細腕で弾けないとでも思いまして?
初撃を防ぎ、次ぐの角すら斬り払って差し上げますわ

植物の配下には、植物で
メテオリオの星がヒューレイオンごと切り裂きますわ
貴方の愛するもので葬られるなら本望でしょう?
勿論最後迄手は抜きませんの
森の暗がり、黒薔薇花弁の嵐を目眩しに突き進む
目指す獲物の懐へ飛び込み放つ瞬く星が餞別ですわ
おやすみなさい

静かになった森を後に帰りましょう
アシルさま、貴方が夜の森で見せた勇気
わたくし忘れませんから
微笑み彼を送りましょう




 さくりと敵――ヒューレイオンが歩を歩めると生まれる息吹を一瞥した後。
「いらしたのね……綺麗な子」
 オリオ・イェラキはその黒い瞳を細め言葉を零した。
 すぐに小さな少年を背に庇うように位置し、離れていてくれと語る。――後は、オリオ達猟兵が行うべき任務だから。
「ご機嫌よう、狩られる貴方。わたくしは星夜。貴方が観る、最期の夜」
 優雅に礼をした後、彼女は口元に笑みを浮かべたまま敵へと語り掛ける。相手はじっと、鋭い眼差しを向けてきたかと思えば――オリオ目掛けて、瞬時に距離を詰めてくる。
 ――キイン。
 静寂な森に響くのは、敵の蹄とオリオの星空を切り取ったかのような大剣が受け止める音色。地ではなく天である大剣に、蹄は生命を宿せずそのまま脚を下ろした。
「この細腕で弾けないとでも思いまして?」
 振動でびりびりと腕はしびれるが、それでもオリオは余裕そうに笑む。そのまま戸惑いなく、目の前の敵の角を斬り払おうとするが敵も素早く後退した。
 じりじりと、距離を測る。
 くすり、笑みを浮かべた後オリオは手にする星の集う剣を掲げると。
「さぁ……お往きなさい、わたくしの星達」
 その言葉と共に、星々は煌めき纏う黒薔薇の花弁へと姿を変えていく。くるりくるり、美しく宙を舞ったかと思えば敵目掛け強く強く吹き荒れる。――その愛する植物による攻撃は、敵にとってはどうなのだろうか。ただ刃を向けられるよりは、幸せなのでろうか。
 それは分からない。振り払おうと首を激しく振る敵へと、光る花々を頼りにオリオは距離を詰める。巨大な剣を、軽々と扱いながら。
「おやすみなさい」
 懐に飛び込むと同時、流星の軌跡を描く剣撃が、ヒューレイオンへ振り下ろされる。
 つう――手に持つ星に流れるのは、生命の源たる赤い雫だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロード・ブラッドリー
すまない!アンタの大事な森に許可なく入ったのは謝るぜ
荒らすつもりじゃなかったんだ
許してくれね、え……よな
宝を掘っちまったし

アンタの怒りは尤もだ
けど、オレらもやられる訳には行かねえ

肩に乗っていた【ハク】に手を滑らせ、「よろしくな」と囁き、槍に変化させて一振り

アシルは絶対無事に帰すからな
(安心してくれ、と少年に柔らかな眼差し向けて)

とはいえ、この場所はなるべく傷つけちゃいけねえよな
被害を抑えつつ攻撃はよけて
隙を見て【龍撃】で攻撃

……アックス&ウィザーズはオレの故郷
だからアシルを放って置けなかったんだ
「人外」って虐められてた幼い自分と重なったから
オマエは既に強いし、そのままで良いんだよ
その宝が証だぜ




 鋭い眼差しを向ける幻獣。その瞳で見つめられ、ロード・ブラッドリーは一瞬びくりと反応した。相手に失礼がないようにと、気をつけながら。
「すまない! アンタの大事な森に許可なく入ったのは謝るぜ」
 荒らすつもりはなかった――必死に言葉を紡ぐけれど、相手にはそのような事は通じない。それはロードも勿論分かってはいる。
「許してくれね、え……よな。宝を掘っちまったし」
 ぽりぽりと頭を掻きながら、申し訳無さそうに彼は零す。
 けれど――ロードだってここで負ける訳にはいかない。
「よろしくな」
 彼が囁くように言葉を掛けるのは、肩に乗っていた小さな白龍。返事をするように一声鳴くと、彼の美しき竜はドラゴンランスへと一瞬で姿を変えた。
「アシルは絶対無事に帰すからな」
 その鋭い金の瞳に優しさを混じえ、彼は少年へと安心させるような眼差しを向ける。震える少年は、輝く勇気の証たる王冠を抱きしめ立ち尽くしている。
 真っ直ぐに――敵であるヒューレイオンが音を響かせ駆けるとその脚を持ち上げる。小さな芽吹きたての葉を纏う、その蹄を振るおうとすればロードは羽を羽ばたかせ避ける。
 そのまま、対象を自身へ向けるように赤い尾を用いて敵の身体を強く撃ち付けた。
 響くその音に、アシルはびくりと反応する。
 そんな彼を見て――ロードは放っておけないと心から思う。
 ここは彼の故郷。『人外』と虐められた幼い自分と、彼の現状が重なって見えた。
 だからどうしても、気にしてしまう。言葉を掛けたくなる。
「オマエは既に強いし、そのままで良いんだよ。その宝が証だぜ」
 背に向け、大きな声で語るロードにアシルは反応し。身体に力を込めるとくるりと背を向け、夜の中を走り出す。
 虹を持つ宝は光花を浴びてきらりと輝きを放っているのが、段々と小さくなるのが分かる。彼が森を抜けた頃には、すっかり夜の帳が下りていることだろう。
 そんな少年を見送るロードの眼差しは柔らかく、口元に笑みが零れている。
 ――あとは、目の前の敵を倒すのみ。
 彼は改めて敵へと向き直り、身体全体を使って自身の尾を敵へと向けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レオンティーナ・ハートフィールド
その姿がいかに凛々しく神秘的であろうとも
自然を愛する心を持ち合わせようとも
オブリビオンには違いございません。
そうでなければ和を講じることもできたかもしれませんが
倒さねば目の前の命が散り、燎原の火となる事でしょう。
それを許す訳には参りません。
少し心は揺れますけれど、でも…

アシル様のご無事が最優先、
アシル様には安全な場所への避難を呼びかけますが
逃げられない場合には彼に攻撃が及ばぬ様
敵と彼との攻撃線上に立ち
身を盾にしてもお守りする所存。

敵の攻撃は【盾受け】にて受け流しその勢いを持って
黒剣で【2回攻撃】で斬り付けましょう。
猟兵のお仲間が攻撃を受けそうな場合は
エレメンタル・ファンタジアにて牽制攻撃を。




 夜森に似合う闇を纏うような美しい毛並みの身体。立派な角は澄んだ泉のようで、纏う草木がしゅるりと伸びていく姿は不思議なもの。
 ――凛々しく、神秘的。
 ヒューレイオンの姿を見て、レオンティーナ・ハートフィールドは心でそう想った。自然を愛する気持ちは彼女も同じ。オブリビオンでなければ、きっと心を通わせる事も出来たのだろう。けれど、今回それが叶う事は無い。
「倒さねば目の前の命が散り、燎原の火となる事でしょう。それを許す訳には参りません」
 悲しげに瞳を伏せ、静かに笑うレオンティーナ。少し、心は揺れる。けれど今の最優先は、一般人である少年の無事。そして脅威であるオブリビオンの撃破。
 だからレオンティーナは諦め、黒い細剣を握る力を強めた。
 真っ直ぐ緑の瞳で敵を見据えれば、相手は今にも駆け出そうと蹄で地面を蹴っている。放たれる攻撃は相応なものだろう――いつでも動けるように、意識を張りながら。
「アシル様、どうか安全な場所へ」
 少年へと普段の穏やかさとは違う、芯のある言葉を告げた。
 敵と少年の攻撃線上に立っていれば――敵は数多の葉を作り出したかと思えば、不思議な植物人間を作り出しレオンティーナへと放つ。
 吹き荒れる風がヒトの形を作り出し、レオンティーナへと向かってくる。その嵐を振り払うかのように、黒剣を勢い良く薙ぐ。ひらりと、葉が装飾の蝶羽に触れたかと思うと、ヒトの形は崩れ落ちていった。
 身を盾にしてでも――いつもは穏やかに笑むその瞳に真剣さを宿し、彼女は敵と対峙する。それがレオンティーナの、一族の誇り。
 背の気配が移動したかと思えば、青髪の少年が宝を抱いたまま駆け抜けていくのが見える。もう大丈夫――そう想い、レオンティーナの口元に笑みを一瞬浮かべ、彼女はヒューレイオンの視界を塞ぐように花々を散らした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

境・花世
アシルを早業で背に庇って、
猟兵に全部お任せあれ!と
安心して駆けていけるように
悪戯っぽく片目瞑ってみせ

宝探しにはボスがつきものだよ、
勇者の証を立ててみせよう

言うや否やの先制攻撃
放つ薄紅の花弁が惑わす馨
――さあ、今だ!
敵の動きを封じながら、
仲間へと連携呼び掛けて

自身もすかさず構える扇
敵の再び動き出すその瞬間に翻して
緑の葉が喚ばれるのなら、
花弁散らす範囲攻撃で対抗を

財宝も永遠の命もいらない
本当は特別な勇者でもない
この手に触れた不凋の花を
ただ、もう少し見ていたいだけ

至極単純な理由で地を蹴って
舞い踊らせる薄紅の花弁
冬の樹海がその怒りで氷りつくなら
融かす春を、連れてきてあげようか

※アドリブ・絡み大歓迎




 敵の姿を捉え、境・花世は素早くアシルを背に移動する。
「猟兵に全部お任せあれ!」
 ひらり瞳の八重咲牡丹を風に揺らし、子供のような笑みを浮かべる彼女の言葉は頼もしい。そしてその言葉の通り――相手は彼等が、今討つべき存在なのだ。
「宝探しにはボスがつきものだよ、勇者の証を立ててみせよう」
 少年へと瞳を瞑った後、素早く花世は薄紅の花弁をその右目から放つ。
 ひらり、ひらり――数多の花弁が宙を舞い踊り世界を染めていけば、濃い香りが森に広がっていく。それは、敵を惑わす香。
 ――さあ、今だ!
 それは彼女なりの、共に戦う猟兵への援護。敵の動きを鈍らせる事により、戦いやすくなる事だろう。放たれる様々な攻撃の音を耳にしながら、花世は春の形見の扇を開く。
 敵が動き出す瞬間を狙い、ふわりと扇を一振りすれば。敵の作り出す葉のヒトに向け花びらを舞わせ対抗する。
 輝く瞳には、子供のような光を宿らせ。花世は、花弁舞う中口を開く。
 財宝も永遠の命もいらない。本当は特別な勇者でもない。
「この手に触れた不凋の花を。ただ、もう少し見ていたいだけ」
 それが――彼女の戦う意味。
 特別な想いではないその気持ちは、確かに嘘偽り無い花世の気持ち。
 強い想いを胸に、花世は冷たい地を勢い良く蹴りヒューレイオンとの距離を詰めた。
 怒りを含んだ冷たい眼差しが突き刺さる。――その眼差しの冷たさのように、冬の樹海がその怒りで凍りつくなら。融かす春を、連れて来よう。
 ひとつ笑みを浮かべ、春のような温かな花弁を更に舞わせれば。それはまるで、春の象徴たる桜の吹雪のようにも見える。
 少し早い――春の訪れ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

都槻・綾
森の守護者の気配は凛と澄んでいて
草葉が喜びを謡うかのように
幻獣の歩みに添って咲く

凶つ過去の骸であるのに
向けられる敵意が肌を刺すのに
神々しささえ覚える姿には
例え伝わりはせずとも
素直に背を正し
けれど柔らかな笑みと敬意をもって一礼を

光の花は我々を楽し気に受け入れど
無闇に踏み入り
静寂を乱したことは
人に慣れぬ動物達もまた怯えさせただろうから

過去と現
人と幻
形も在るべき場所も違えど
森を愛しむ想いは同じ故に

恭しく差し出す掌から放つ符は流星の軌跡
捕縛し皆の援護

不意打ちや死角に備えた第六感で見切り
残像で回避
オーラで自他防御

葬送の餞に贈るのは、月下美人の花筐
艶やかに清らかに咲いて
貴方へ安らぎを齎す柩となりますように




 幻獣はただ立って、此方を見ているだけ――けれどその纏う気配は凛と澄んでいるように都槻・綾は感じた。彼が歩を進めれば、草花が喜びを謡うかのように咲き誇る。
 向けられる鋭い視線が、綾の身を刺す。
 その眼差しと、纏う神々しさに綾は――背筋を正し、笑みを浮かべた後敬意の一礼を。
 光の花は彼等猟兵達を楽しげに受け入れてくれた。けれど無闇に踏み入り、静寂を乱した事。そして人に慣れぬ動物達もまた怯えさせしまっただろうから。
 ひとつに結わえた鴉の濡れ羽の黒髪が揺れる中。腰を折った姿勢から背筋を正すと、綾は改めて敵を見る。
 角を光花に光らせ、身を構えの状態にしたかと想うと。ヒューレイオンが不思議な声色で一声を放つと同時、彼の傍には半透明の妖精が。
 その敵の行動に綾は少し驚いたように瞳を瞬くが、すぐにいつもの笑みを浮かべる。
 過去と現。
 人と幻。
 形も在るべき場所も違うけれど、森を愛しむ想いは同じ。
 それ故の敵の怒りなのだろう。その怒りを表すかのように、ヒューレイオンは地面を力強く蹴ると、綾にその蹄と立派な角を向けてくる。
 ひらり――素早い敵の動きに反応し、綾はその身を軽く扱い鋭い攻撃を避けてみせる。その角が掠ったのは、彼の纏う青磁色の衣服。
「いつか見た――未だ見ぬ花景の柩に眠れ」
 長い尾を揺らし、目標を探す敵を見やりながら。綾が呪文を紡ぐと、手に持っていた篠笛が数多の花――一夜のみ咲く儚い花、月下美人へと姿を変える。
 美しい月下美人は、この場で散るヒューレイオンへの手向けの花。
「貴方へ安らぎを齎す柩となりますように」
 口元に笑みを浮かべた、綾の呟きに応えるように。花弁が夜闇の中ひらりと舞えば、花々の灯りに照らされまるで輝いているかのように映った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雨糸・咲
美しい森の守護者
その怒りは刺すように鋭くて

アシルさんを背に庇い、避難を促します
彼が手に入れた勇気や自信が打ち砕かれることのないように
一人で覚束ないようでしたら暫し皆さんに戦いを任せ
安全な場所まで付き添った後すぐに取って返しましょう

ヒューレイオン
貴方の怒りは、摘み取られる命を想うが故なのでしょう
けれど
命はそれひとつではいられないのです
樹々も人も、動物や虫たちも
互いに干渉し合ってこそ

貴方にとって人は異物なのかも知れません
それでも
存在に値しないと切って捨てるには…まだ早い

他の方と協力し、補助的に動くよう意識
蹄が誰かを狙うならばその脚に蔓を巻き付け、動きを封じ
召喚された葉は集まらないよう散らします




 すらりとした四肢。鋭い瞳。――その姿は美しい森の守護者そのもの。
 その怒りを含んだ眼差しがあまりに鋭くて、思わず雨糸・咲の背に冷たいものが走る。
 背には、か弱い少年。
 彼が折角手に入れた、勇気や自信。それが打ち砕かれる事のないようにと、咲は思考を巡らせながら胡桃色の瞳を動かす。どこか、逃げる穴はないだろうか――。
 そんな事を考えていると、敵の作り出した葉人形の1体が咲目掛けて舞う。ざわざわと風が葉を舞わせ、ヒトの形を作り音が近付いてくる。
 その葉を一瞥した時――背にいる少年が、駆け出していた。
 逃げる事も勇気。彼が、勇気や自信を持ったまま森を抜けられるかは信じるしかない。けれど、勇気の証たる宝はしっかりと抱いている事を目にし、咲は安堵したように笑む。
 少年がいなくなれば、あとはもう猟兵としての任務を全うするのみ。
 変わらぬ鋭い眼差しを向けるヒューレイオン。その姿を見て、咲は。
「貴方の怒りは、摘み取られる命を想うが故なのでしょう」
 柔らかな瞳で真っ直ぐと敵を見る咲の言葉は、どこか力強い。芯の通った彼女の心が、言葉に乗っているからだろうか。
 ぶるると敵はその身体を振るわせる。
 それは、咲の言葉を聞いてくれているのだろうか――それは分からない。けれど、追撃の手を休めている事に気付いた咲は、尚も語りかける。
「けれど、命はそれひとつではいられないのです」
 木々も人も、動物や虫たちも。互いに干渉し合ってこそ。それこそこの森には、そのような存在が沢山いるだろう。――その森に存在しない、人間は異物なのかもしれない。
 それでも。
「存在に値しないと切って捨てるには……まだ早い」
 彼女の言葉と共にざわりと強風が吹き荒れ、群青色の髪が宙を泳ぐ。咲が精緻な飾り彫りのされた杖を翳すと、その両腕から葡萄の蔓が伸びてくる。
 しゅるり、しゅるり。
 伸びるその蔓は共に戦う猟兵を援護するように、ヒューレイオンの身体を捕縛した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユナ・ニフェトス
自然を愛する心は猟兵もオブリビオンも関係ないのに
説得はかなわなず、どちらかが倒れなければいけない
なんだかもどかしいですね

だからと言って手は抜けません
貴方が誰かを傷つけるというな、私は守らなければいけないから

▼戦闘
炎属性のエレメンタルロッドで
基本の攻撃+WIZへの対処に【属性攻撃】【全力魔法】を使用し
周囲の木々や花に火がつかないよう制御を

POWは【オーラ防御】
SPDは周囲の音に耳を澄まし、反響先を探り対処
共に回避不可能な場合は【野生の勘】【第六感】を使用

回復のサポートも行います
前衛から優先にダメージを負った仲間を『生まれながらの光』で治療
更に【鼓舞】で味方の指揮を上げます




 風が吹き、木々がざわめくのと同じように。ヒューレイオンの足元から生まれた新たな命が揺れるのを見て、ユナ・ニフェトスは溜息を零す。
 自然を愛する心は、猟兵もオブリビオンも関係ない。
 けれど説得は叶わない。どちらかが倒れなければいけない。そんな現実が。
「なんだかもどかしいですね」
 優しい銀色の瞳を微かに伏せ、彼女の口から零れていたのは本心。
 共存出来れば良いとは思う。――けれど、無理だと分かっているから。手を抜く事は出来ない。輝く鋭い眼差しと視線が合う中、彼女は口を開き。
「貴方が誰かを傷つけるというな、私は守らなければいけないから」
 自身の意思を告げる。
 それは敵に通じたのかは分からない。けれど、幻獣は脚を鳴らすと真っ直ぐにユナ目掛けて駆けてくる。――森内に響き渡る蹄の音。鋭い、その爪がユナを狙い振り下ろされるが、彼女の纏うオーラがその刃を受け止めていた。
 すぐ傍に迫る敵の巨体に、少し緊張した顔色のユナ。けれど彼女はひとつ、呼吸を整える為に深呼吸をすると、手の中の精霊の杖を翳す。
 ――宙に生み出されるのは、数多の火炎の弾。ユナが杖を一振りすれば、その動きに合わせるように数多の火炎が敵目掛けて放たれる。
 風に揺れる草木を、美しい自然に被害が出ないようにと――最新の注意を払うために、ユナの瞳は左右に動き間合いを測っている。
 その間にも、爆ぜる音と共に敵の身を炎が包む。
『――っ!』
 熱い、苦しい――まるでそう叫ぶかのように声を上げ、身をよじるヒューレイオン。その姿はとても痛々しいが……今、此処で倒さなければ多くの人の命が犠牲になることをユナは理解している。猟兵も、村人も――誰の命も、奪わせはしない。
 その強い想いを胸に――彼女は次なる火炎を生み出した。
 包む、包む、赤い炎が幻獣を。

大成功 🔵​🔵​🔵​

葉月・零
君の大事な森を傷つけにきたわけじゃないんだけど……聞いてはくれないよなぁ。
いきなりたくさんの人が来て、怒る気持ちも分からなくはないけど……。

なら俺たちも戦わなきゃかー、残念。

アシルが巻き込まれないように気をつけてたち振る舞えれば。
巻き込まれそうなことがあればかばいに行けるように。

周りの森は燃やさぬように気をつけながら、葉っぱさんたちに炎の竜巻を。

増えて合体されちゃだたら厄介だからね。
数字の小さい子から。複数巻き込めたラッキーかな。

せっかく、アシルが自分の中の宝物を見つけたんだ。
此処は俺たちが頑張るところ、じゃないかな。
まぁ、それに、ほら……無事に家につかまでが遠足だし、ね。




 ゆるりと紫の瞳を和らげ、葉月・零は口を開く。
「キミの大事な森を傷つけにきたわけじゃないんだけど……」
 少し困ったように眉を寄せ、本心からその言葉を紡ぐけれど。既に怒りの感情に支配された幻獣には、彼のその言葉は通じない。
 ――ひとつ、溜息を零す零。
 多くの人が突然訪れ、怒る気持ちも分からなくない。けれど、今は――。
「なら俺たちも戦わなきゃかー、残念」
 心底残念そうな笑みを浮かべる彼は、いつもの気怠げな姿とは纏う空気が変わっている。そのまま、彼は杖から炎を生み出すと葉のヒトを作り出す塊へと放った。
 一瞬で、葉は燃え上がりヒト型の火炎が生まれる。――森に燃え移らないよう注意するように、瞳を細める彼の視界に。宝を持ち、この場から離れる少年の姿が映る。
 無意識に零は、ほっと安堵の息を零していた。
 彼が今日此処で見つけたのは、輝く虹色の宝石を持つ宝だけではない。
 ひとりで闇夜を抜ける勇気。それを成し遂げた確かな自信。
 それは、今後の彼の大きな成長の助けになるだろう。――だからこそ、彼が逃げきるまでは無様な姿など見せることは出来ない。
「せっかく、アシルが自分の中の宝物を見つけたんだ。此処は俺たちが頑張るところ、じゃないかな」
 藍色の髪の奥の瞳に真剣な色を僅かに宿らせるが――すぐに彼は、いつもの雰囲気を纏わせ笑みを浮かべる。
 燃え盛る葉の奥。半透明の妖精を作り出そうとするヒューレイオンに、次々と火炎が降り、花弁が吹き荒れる。
 猟兵達による絶え間ない攻撃は、確実に敵の生命を奪い取っているだろう。
 その様子を感じ、ゆるりと笑いながら彼は言う。
「まぁ、それに、ほら……無事に家につかまでが遠足だし、ね」
 それは少年も、我々猟兵も。共に該当する事だろう。
 だから無事にこの場を切り抜けよう。
 真っ直ぐに敵を見据えれば、燃え盛るその身でも尚輝く瞳には、怒りの感情が表れている。尚も、森を荒らす猟兵に向けて敵意をむき出しにするヒューレイオン。
 悪いとは思う。
 けれど目的を達成する為に、零はより強力な火炎を生み出すと、その身を焼き払う為に躊躇無く放った。


 燃え盛る炎がヒューレイオンの身を包めば、ふらつく足元から生まれた新たな生命をも燃やしていく。空気に触れ、その炎は強く強く燃え盛る。
 それは光る花の幻想的な灯りとは違う、赤々とした光。
 凍て付く森に熱を放ちながら――幻獣が消滅するのと同時に、自然と炎も消えていた。
 後に残るのは、変わらぬ夜森と光る花々の景色。
 森を愛する幻獣が大切に思っていたであろう世界が広がるのみ。
 盗賊頭が捨てた宝物が眠っている――村人達にそう伝えられる不思議な森は、恐らく元の姿へと戻ったのだろう。
 灯る花々の輝きは、何かを猟兵達へ伝えるかのようにも感じた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月15日


挿絵イラスト