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迷宮災厄戦⑲〜剣と書

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦 #猟書家 #サー・ジャバウォック

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●グリモアベース
「おまえたちに頼みたいのは、猟書家『サー・ジャバウォック』の討伐だ」
 呼び集めた猟兵たちにその名を告げて、プルート・アイスマインドはグリモアの投射映像で焼け焦げた森の姿を映した。
 もはや廃墟と呼んでも差し支えないその国に、サー・ジャバウォックはいると言う。
「猟書家のうちで最強であるらしいこいつはヒーローズアースへの進出を狙っている。奴の侵略蔵書『秘密結社スナーク』が持ちこまれれば……まぁ、あの世界に再び一波乱が起きてしまうだろうな」
 それを防ぐべく、サー・ジャバウォックを倒してほしい。
 プルートはそう言うと、猟兵たちを戦地に送るべく、グリモアをかざした。
「奴は侵略蔵書『秘密結社スナーク』から架空の怪物を放ったり、『ヴォーパル・ソード』なる青白い剣を巨大化させたりして戦うようだ。また竜人形態なるものにも変身できるらしいから、十分に気を付けてくれ」
 敵が待っているところへ転移する以上、先手を取られることは避けられないだろう。
 最強の猟書家の攻撃をまず凌ぎ、反撃を叩きこむ――猟兵たちに求められるのは如何にも難題のように感じられた。
 しかしプルートは躊躇いなく、転移を始める。
「難しい仕事だが、おまえたちならばやり遂げてくれると信じている。猟書家たちの目論見を挫くために……まずは『最強』を討ってくるのだ!!」

●最も強き猟書家
 赤々とした焼けくずが、舞い上がっている。
 焼け焦げた森の国――そこは穏やかな炎が際限なくひろがっていた。火勢が弱いのは、もう炎が喰らえるものも少ないからだ。
 焼け焦げた木々と葉と、それと土。
 さながら苛烈で執拗な爆撃にさらされたように、森には何もない。
 そんな空虚な大地に、猟書家『サー・ジャバウォック』は立っていた。
 焦土には似合わぬ身なりの老紳士は、その手に持った侵略蔵書『秘密結社スナーク』に視線を落とす。
「秘密結社スナーク……完全なる虚構の創作物」
 サー・ジャバウォックが頁をめくる。
 書は『実在しない秘密結社スナーク』について記されている。
 実在しない事物ゆえに、書に記された退廃的で猟奇的な全容はすべてが虚構だ。
 しかし一片の真実もないため、人はその書の中に間違いを見出すことができない。
 だから、それに触れた者は思うのだ。
「スナークは実在するのでは?」
 読み進めながら、サー・ジャバウォックが微笑を浮かべる。
 スナークは実在する――その疑念はやがて本物のスナークを生み出すだろう。
 ヒーローもヴィランも、偉大なるジャスティス・ワンやアトランティスの海底人も、親愛なる隣人や道端のしがない靴磨きまで。誰もが。
 スナークは虚構であるがゆえに、誰もがスナークになり得るのだ。
「何を信じ、誰と戦うか……」
 書を閉じたサー・ジャバウォックは、一振りの剣――『青白き斬竜剣ヴォーパル・ソード』をゆったりと構えた。
 己の近づいてくる、猟兵たちの気配を感じながら。
「ヒーローズアースの歴史は戦いの歴史。歴史は、繰り返される事となるでしょう」


星垣えん
 というわけで、星垣えんでございます。
 今回は猟書家の一人『サー・ジャバウォック』との戦いです。

 本シナリオでは『敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する』ことでプレイングボーナスを得られます。
 上手い対処法を考え、サー・ジャバウォックに反撃を入れて下さい。

 それでは、皆さんのプレイング、お待ちしております!
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第1章 ボス戦 『猟書家『サー・ジャバウォック』』

POW   :    侵略蔵書「秘密結社スナーク」
見えない【架空の怪物スナーク】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
SPD   :    ヴォーパル・ソード
【青白き斬竜剣ヴォーパル・ソード】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ   :    プロジェクト・ジャバウォック
【人間の『黒き悪意』を纏いし竜人形態】に変身し、武器「【ヴォーパル・ソード】」の威力増強と、【触れた者の五感を奪う黒翼】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

セシリア・サヴェージ
鋼神が討たれ、平和を取り戻しかけている世界を再び戦火にさらそうなどと……断じて許しません。必ずここで倒します!

敵の姿が見えずとも対処は可能です。たとえそれが架空の怪物であったとしても。
精神を集中させて怪物スナークが放つ【殺気】を捕捉。足音、呼吸音等を【聞き耳】で感知。【視力】で周囲のどんな変化も見逃しません。

攻撃を察知したら回避してUC【闇炎の抱擁】で反撃します。
透明であろうともその身が炎に包まれれば輪郭も露わになるというもの。怪物にトドメを刺してサー・ジャバウォックに接近します。
【切り込み】で素早く間合いに踏み込み【重量攻撃】。さらに暗黒剣に纏う闇炎の【属性攻撃】で追加のダメージを与えます。



 一人、また一人と猟兵が焼け焦げた大地に降り立つ。
 そのうちの誰もが強き力と意志を備えていることを、サー・ジャバウォックは己の体に突き刺さる視線から感じ取った。
「さすがは猟兵。臆せず向かってきますか」
「鋼神が討たれ、平和を取り戻しかけている世界を再び戦火にさらそうなどと……断じて許しません。必ずここで倒します!」
 先陣を切り、黒き鎧の女騎士――セシリア・サヴェージが駆けた。
 だが彼女が攻撃するより早く、サー・ジャバウォックは侵略蔵書『秘密結社スナーク』をひらいた。
「さて。貴方がたはスナークを倒せますかな?」
 不可視の怪物たちが、猟兵へ向けて放たれる。
 そのうちの一体が自分に向かってくることを察したセシリアは、脚を止めた。
「斬ります。たとえそれが架空の怪物であったとしても」
 スナークの存在を感じ取ろうと精神を研ぎ澄ますセシリア。
 刺すような殺気、ささやかな足音、微細な空間の揺らぎ、それらからスナークの位置を測ろうとする。
 だがその時にはもう、スナークの太い腕がセシリアに届いていた。
「くっ……!!」
 暗黒剣ダークスレイヤーを振り上げ、寸前で防御するセシリア。強い力に薙ぎ倒されながらもすぐに体勢を立て直すが、腕が掠めた鎧の上腕はごっそりと剥ぎ取られている。
「速い……」
「どうやら、斬るのは難しいようですね」
 ふっと息を零すサー・ジャバウォック。
 ――が、次の瞬間である。
「――!!」
 闇色の炎が燃え上がり、その中で『何かの影』がのたうつ。
 スナークだ。セシリアが防御の瞬間に斬りつけた暗黒剣の炎が、不可視の怪物の輪郭をありありと浮かび上がらせていた。
「これならば斬れない道理はありません」
 スナークを斬り伏せ、素早くサー・ジャバウォックとの距離を詰めるセシリア。
 敵も彼女の剣を避けんと跳びすさるが――間に合わない。
 深く踏み込んだセシリアの一撃が、猟書家の胴を斬りつける。さらに裂かれた服が暗黒の炎で燃え上がると、サー・ジャバウォックは片眉をわずか動かした。
「見えぬ怪物を捉えますか。なるほど大したお手並みです」

苦戦 🔵​🔴​🔴​

アリス・セカンドカラー
お任せプレ。汝が為したいように為すがよい。

完全なる虚構は誰も理解など出来はしない。そう間違いを見出す以前に理解出来ないのだ。理解出来るのであれば元ネタがあり、間違いが見出だせないならそのリアリティは完全なる虚構足り得ない。故にそのスナークは『スナークと名のついた別物』よ。と虚構性を略奪し化術神罰で萌擬人男の娘化。ギャグ補正(結界術/限界突破/リミッター解除/継戦能力)で我々の業界ではご褒美です☆
流血を代償にサイキックヴァンパイアの封印を解く。自らに脳クチュをキメてドーピング。さぁ、ジャバウォックおじさまも男の娘化化術神罰からの脳クチュキメましょ?ほら、スナークきゅんもこんなに喜んでいるわ♡



「完全なる虚構は誰も理解など出来はしないわ。そう、間違いを見出す以前に理解出来ないんだもの」
「……何を仰るのですか?」
 小さな銀髪の少女――アリス・セカンドカラーの言葉に、サー・ジャバウォックが肩を竦める。何をわけのわからないことを、彼は眉根を寄せていた。
 だが構わず、アリスは続けた。
「理解出来るのであれば元ネタがあり、間違いが見出だせないならそのリアリティは完全なる虚構足り得ないわ。故にそのスナークは『スナークと名のついた別物』よ♪」
 まるで詭弁のような言葉を繰るアリス。
 ――が、その言葉には魔術のような神罰が秘められていた。
 で、その結果。
「……ここはどこ?」
「心配しなくていいのよ♪ スナークきゅん❤」
 なぜかスナークはきゃわいい男の娘『スナークきゅん』に変貌していた。
 たぶんアリスの煩悩のせいだと思う。アリスたんの趣味がもろに出て、不可視の怪物を菓子……もとい可視の男の娘に変えちまったんだと思う。
「いったいこれは……」
 表情には出さないけど割と狼狽してるサー・ジャバウォック。
 だよね。そうだよね。
 けれどアリスの欲望はここで終わらない。スナークきゅんを愛撫しながらアリスは自らの血で武器を脳クチュ仕様(!)に変え、自身の脳をいじくって自身をドーピングした。
 主に煩悩あたりを、ドーピングした。
「さぁ、ジャバウォックおじさまも男の娘化化術神罰からの脳クチュキメましょ?」
「それは丁重にお断りいたしましょう」
 アリスのウインクに当然ながら冷たく返すジャバおじ。
 なおその後どうなったか不明だが、アリスのおかげでジャバおじが多大な精神的ダメージを負ったことは確かだったようです。

成功 🔵​🔵​🔴​

緋月・透乃
みんなで道を切り開いてきた結果、最初に戦える猟書家がまさか最強と言われてる奴とはね!
ま、戦えるなら何でもいっか!最強とどんな戦いができるのか、楽しみだね!

武器は重戦斧【緋月】を使うよ。

戦場に着いたらすぐに自分の前面を守るように武器を構えて、敵に向かってダッシュで突っ込むよ!
速く真っ直ぐ突っ込んでくる奴に対しては、正面以外からの攻撃って結構当てにくいと思うんだよね。そして正面からの攻撃は走る勢いで相殺を狙う!掴まれても怪力と気合で強引に前進して破る!
そう考えての正面突撃だよ!それにこれなら攻撃が見えなくてもなんとかなるはず!
そして敵の攻撃を切り抜けたら勢いを殺さずに罷迅滅追昇をぶっ放すよ!



「みんなで道を切り開いてきた結果、最初に戦える猟書家がまさか最強と言われてる奴とはね!」
 戦場に転移するなり、緋月・透乃はサー・ジャバウォックめがけて吶喊していた。
 迷いなく、一直線。
 重戦斧【緋月】を肩に担いで駆け抜ける透乃は、曇りひとつない笑顔だ。
「最強とどんな戦いができるのか、楽しみだね!」
「これは、剛毅な方が来ましたね」
 サー・ジャバウォックがずれた片眼鏡を整え、透乃を迎え撃つ。
 というより、彼が仕掛けるまでもなく、戦場に放たれていたスナークの一体が透乃を倒すべく向かっていた。
 だが不可視の怪物は、彼女に不意打ちをかけることはできなかった。
「――!」
「全力でいくよーー!!」
 透乃が盾のように、重戦斧【緋月】を前方に構えていたからだ。透乃の体を隠すほど大きい戦斧に阻まれて、スナークは透乃自身に攻撃を加えることができなかった。
 さりとて横はがら空きだろう、と思うかもしれないが実はそうでもない。
「速く真っ直ぐ突っ込んでくる奴って、正面以外からの攻撃は当てにくいんだよね!」
「――!!」
 痛快に言い放った透乃に対して、スナークが動きを変える。
 重戦斧を挟んで透乃と正対したスナークが、思いきり地面に踵を踏みこんだ。真正面から透乃の猛進を防ぎ止めようとしているのだ。押しこまれる踵が焦土に轍を刻む。
 ――が、それでも。
「力勝負なら負けないよ!!!」
 持ち前の怪力を発揮して、スナークを押しながら走る透乃。
 止まらない、止まらない、止まらない!
 やがて疲弊して一瞬力を抜いたスナークを戦斧の横薙ぎで吹っ飛ばすと、透乃は疾駆した勢いそのままにサー・ジャバウォックの懐に肩をめりこませた。
「……ぐっ!!」
「罷迅滅追昇!!」
 タックルをくらって前傾した猟書家の上体を、振り上げた重戦斧【緋月】が、天高くかちあげた。

成功 🔵​🔵​🔴​

秋山・小夜
アドリブ歓迎
「あんたがわたしたちの平穏を壊そうとするのなら、容赦なく潰します。遠慮なくね。」

敵のUC対策に【千本桜】を防御に転用、可能なら【桜月夜】も同時に発動し、反応速度等を上げて対応する。
敵の攻撃を凌げたら、右手側に妖刀 夜桜、左手側二〇式戦斧 金剛を展開し、金剛による射撃も混ぜながら遠慮なく近接攻撃を仕掛ける。

「一編死んで出直してきなさい!」



 高々と翻ったサー・ジャバウォックの体が漆黒の気に包まれ、竜の片翼がひろがる。
 竜人形態――人の『黒き悪意』を身に纏った猟書家は斬竜剣『ヴォーパルソード』を構えて地上へ降下した。
「スナークが討てないのならば、私が手ずからお相手しましょう!」
「……最初からそうすればいいのよ。ねぇ、夜桜」
 天を見上げる人狼の少女――秋山・小夜が妖刀『夜桜』に囁く。
 途端、絹のように鮮やかな小夜の銀髪が、さぁっと黒色に変じる。妖刀の力によって一時的に『真の姿』を解放した少女は、鞘に収まっていたその刀をすらりと抜いた。
「あんたがわたしたちの平穏を壊そうとするのなら、容赦なく潰します。遠慮なくね」
「ほう。それは楽しみですね」
 急降下するサー・ジャバウォックの剣が、殺意の煌めきを放つ。
 対する小夜は空中のサー・ジャバウォックを睨んだまま、夜桜の切っ先をかざした。するとその漆黒の刀身がふわりと膨らみ――無数の桜の花弁が散る。
 舞い上がる桜吹雪。一帯を覆い尽くす。
 視界を遮るそれをサー・ジャバウォックはヴォーパルソードで切り払うが、彼が流星のような速度で着地して地面を砕いたとき、すでに小夜の姿はそこになかった。
「どこに……」
「そんな速さでは、わたしを捕まえられないですよ」
 振り向いたサー・ジャバウォックが見たものは、左手に持った二〇式戦斧『金剛』を構える小夜の姿。
 射撃仕様にモードチェンジした戦斧から、小夜は57mm砲をぶっ放した。
「それしきの攻撃!」
 黒翼をひろげて飛翔し、砲弾の軌道から中空へ逃れるサー・ジャバウォック。
 ――そこへ交差するように、小夜も跳んでいた。
「速い……!」
「一編死んで出直してきなさい!」
 神速で振り抜いた夜桜の一閃が、サー・ジャバウォックの腹を真一文字に奔る。痛撃を見舞われた竜人は体勢を崩し、腹を押さえながら地面に落下するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ユヴェン・ポシェット
焼けた森…。過去にも似た様な光景を知っているから、炎の色に、焦げた匂いに、こんなにも胸が締め付けられるのだろうか

巨大化したヴォーパル・ソードの攻撃に対し、見切りをつけ致命傷を受けぬよう極力躱す。躱し切れない分は、切れぬ布の盾「sateenkaari」で受け止め、斬撃を受け流す。

此方からも行かせて貰うぞ。
UC「ライオンライド」を使用。黄金の獅子ロワに騎乗し、手には竜槍ミヌレを構える。
ロワの牙や爪、槍の攻撃で怪物にも応戦。虚構なんぞに負けてたまるものか。
ミヌレの意志が伝わってくる様に自然と相手の手元へ槍先は向かう。竜槍が狙うのは、青白き斬竜剣ヴォーパル・ソード。
貫くか、斬られるか、だ。いくぜ。



 大火にさらわれた土地には、何もない。
 人も、人の成した文明の名残も、何も。
 その地に立って感じられるものは、炎の色と焦げた匂いだけ。
 クリスタリアンの青年――ユヴェン・ポシェットは気づけば自身の胸に手を置いていた。
「……」
 似た光景を知っているからだろうか、胸を締め付ける思いに彼は自然と瞑目する。
 だが、その心の動きに従っている暇はなかった。
「この剣の力も、使わねばなりませんか」
 ふいに聞こえたのは、サー・ジャバウォックの声。
 地に墜落していた猟書家の手には青白き剣が……否、青白き塔があった。
 ヴォーパルソードは巨塔と見紛うほどの形を得ていた。見上げねば切っ先も見えぬ巨大剣が、持ち主たるサー・ジャバウォックの手からそそり立っている。
「逃げ場はありませんよ」
 ヴォーパルソードが跳ね橋のように降り、横薙ぎに振るわれる。
 迫りくる巨大質量を地面すれすれに伏せてかわすユヴェン。だが素早く切り返された剣が伏せたユヴェンに襲いかかる。
 避けられない――悟った瞬間、ユヴェンは長布『sateenkaari』を両手でひろげた。堅牢にしてしなやかな布盾はヴォーパルソードの直撃を防ぎ、表面を滑らせるようにして斬撃を上方へと逸らす。
「我が剣を防ぐとは……!」
「此方からも行かせて貰うぞ」
 巨剣を防がれて俄かに狼狽えるサー・ジャバウォックを、流し目で捉えながら、ユヴェンは黄金の獅子『ロワ』を召喚した。
 跨ったユヴェンに首をぽんと叩かれるなり、ロワが駆ける。
 戦場を猛然と走るロワは瞬く間にサー・ジャバウォックの眼前まで踊り出ていた。
「貫くか、斬られるか、だ。いくぜ」
 力いっぱい振りかぶったユヴェンが、その手に握った竜槍『ミヌレ』を突き出す。
 狙いはない。
 狙わずとも、穂先は導かれるようにサー・ジャバウォックの手を正確に突き、巨大なヴォーパルソードを落としていた。
「剣が……!」
 大木が折れたかのような、重い音が、戦場を揺らした。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴォルフガング・ディーツェ
疵瑕なき空想を刃とする…成る程、常人には到達し得ぬ狂気だ
その信念、易々と砕けはすまい…けれど穴を開ける事は出来る

「高速詠唱」「多重詠唱」「全力魔法」を駆使し宙に描くは氷のルーン
形作った氷盾を幾重にもジャバウォックとの間に形成し、文字通り盾にしつつ【指定UC】で飛び回り回避を試みる

…嗚呼、言い忘れた。
その盾には電脳魔術の贈り物が仕込まれているんだ!

破壊されたと同時に「ハッキング」を展開
「スナーク」を形作る情報に『少しずつ歪めよう』

肉を、骨を、体液を、脳を、心臓を。形作る物語を毒に浸すように弱めれば…果たしてそれは真に怪物(スナーク)か?

出来た隙に懐に一気に飛翔で接近、炎を宿した爪で抉り砕こうか



「私の予想以上でしたか……参りましたね」
 ヴォーパルソードを取り落としたサー・ジャバウォックが、驚きを滲ませた目で猟兵たちを見やる。こうも自身が追いこまれるとは思ってもみなかったことだ。
(「侵略蔵書だけでも戦えなくはありませんが……」)
 猟兵たちを視線で牽制しつつ、地に転がる斬竜剣を一瞥するサー・ジャバウォック。
 状況を打開するには剣が要る――と、彼は猟兵に追撃される前に手を伸ばそうとした。
 しかしその刹那だ。
「疵瑕なき空想を刃とする……成る程、常人には到達し得ぬ狂気だ」
 焼けた大地の向こうから、二本の脚で駆ける魔狼――ヴォルフガング・ディーツェが戦場を突っ切ってきた。
「仕方ありませんか……! スナークよ!」
 ヴォーパルソードを拾う暇はない。サー・ジャバウォックは侵略蔵書をひらき、新たな不可視の怪物をけしかけた。
 対するヴォルフガングは、前方に手をかざす。
「お前のその信念、易々と砕けはすまい……けれど穴を開ける事は出来る」
 ヴォルフガングの口から言葉が滑りだし、中空に氷のルーンが描かれる。
 幾重もの氷壁が、彼とサー・ジャバウォックの間を遮った。
「見えぬ怪物だろうと、こちらに届かせなければいいだけだ」
 ヴォルフガングの体が、空高く飛翔する。ユーベルコード『調律・破空の領域(コード・セレスティ)』にて破格の速度を獲得した人狼はあっという間に高空へ昇った。
 スナークの気配は――追ってくる。
 飛んでいるのだ。実在しないゆえ如何なる形をも取り得る怪物は、翼で空を翔けあがり、屈強な腕でヴォルフガングの張った氷壁を打ち砕いた。
 宙に散った氷片が、光を受けて輝く。
 それを見たヴォルフガングは……笑っていた。
「……嗚呼、言い忘れた。その盾には電脳魔術の贈り物が仕込まれているんだ!」
 氷壁に仕込まれた魔法が作動し、不可視の怪物を『ハッキング』する。
 肉が、骨が、循環する体液が、何もない空間に表出してゆく。やがて脳味噌や臓器までもが顕在化した怪物を蹴り落とすと、ヴォルフガングは急降下した。
 ぴゅう、とひとつ口笛を鳴らせば、その手に魔爪が顕現する。
「さて、抉らせてもらおうか」
「……お見事ですね」
 ヴォルフガングの繰り出す爪撃が、サー・ジャバウォックの体を切り裂く。
 猟書家の体から噴き出す鮮血は、戦いの決着が近いことを告げていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

兎乃・零時
アドリブ歓迎


…お前がサー・ジャバウォック……!!

戦いの歴史だとしても!
それを意図して起こすお前は許さん!!

俺様達は負けん!負けねぇからな!(怖いけど!)

後その本正直欲しいから気になる…!



遠距離攻撃するってんなら!
俺様は真正面からてめぇを撃つ!

「紙兎パル」から薬貰ってUC強化!
これによる痛みも
敵からの攻撃も!
激痛耐性×気合で耐える!

この状態なら敵の攻撃も【逃げ足×地形の利用×ジャンプ】でよける!
兎の跳躍力をなめんなよ!

そのまま近づいたら隙見て、敵のすぐ傍まで無理やり近づいて

足に光属性魔力溜め
【零距離射撃×捨て身の一撃×限界突破×重量攻撃×踏みつけ】!

跳び蹴りを、ぶちかます!

ぶっっとべ―――っ!!



 その身を血に濡らした猟書家が、崩れるように膝をつく。
 あと少し。あと一手。
 青き宝石の髪を揺らすウィザード――兎乃・零時は、幕を下ろすべく熱き焦土に降り立った。
「サー・ジャバウォック……意図して戦火を招くお前は許さん! 俺様達は……負けねぇからな!」
 大きな魔法帽の下から敵を見据え、己を言い聞かせるように叫ぶ零時。
 恐怖がないわけではない。相手は満身創痍とはいえ、最強の猟書家なのだ。現にサー・ジャバウォックは片膝をつきながらも零時に怜悧な眼差しを向けていた。
「負けない、と。ならばそう言うだけの力を見せて頂きましょう!」
 持てる余力を脚にこめ、再び立ったサー・ジャバウォックが侵略蔵書『秘密結社スナーク』から見えない怪物を解き放つ。
 音が、気配が、凄まじい速度で近づいてくる。
「いいぜ……てめぇを真正面から迎えうち、俺様が引導をくれてやる!」
 傍らに浮かんでいた紙の兎『パル』から薬を受け取り、乱暴に口に流しこむ零時。その全身が青い宝石へと変わり、同時に奔る激痛に思わず体を折った。
「ぐぐっ……!?」
 そこへスナークの攻撃。痛烈な殴打を貰った零時が前のめりに倒れる。
 ――が、その手は焦げた土に触れない。
「この程度……俺様には何でもないぜ!!!」
 深く脚を踏みこみ、体を支える零時。
 スナークは彼を地面に叩きつけるべく腕を振り下ろしたが、溜めた足で地面を蹴りつけた零時はその腕をすり抜けて高々と跳躍した。
 はるか空から見下ろすサー・ジャバウォックの姿は、粒のように小さい。
 ジャンプの頂点を過ぎ、ゆっくりと降下を始めた零時が、足に魔力を収束させる。
 持ち前の膨大な魔力が集まった足は、光球のように白く輝いた。
「ぶっっとべ―――っ!!」
「がっ……あ……!」
 垂直落下。天空から落ちる零時の蹴撃が風を切り裂いて、見上げるサー・ジャバウォックの胸部を穿ち、勢いのまま大地を割る。
 陥没した地面にその身を埋めた猟書家は、己を踏む宝石兎を見上げた。
「私が、負けましたか」
 青い輝きを見ながら、愉快げに笑うサー・ジャバウォック。
 その穏やかな微笑のまま、最強の猟書家は崩れ去り、焦土のうちに消えていった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年08月20日


挿絵イラスト