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夏彩アクアマーレ

#グリードオーシャン #お祭り2020 #夏休み

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 いつから其処に在るのだろう。
 何処から落ちてきたのだろう。
 そして、どのくらいの数の想いに祝福を降らせてきたのだろう。
 最早それは、分からないけれども。
 多くの人々が誓いや祈りを馳せた教会が今在るのは、密やかなる海の底。

 そんな海の教会までの道のりは、まさに天然アクアリウム。
 夏の花咲き誇る海底を歩けば、それだけで沢山の出会いがあるだろう。
 煌めく光に溢れた昼、赤橙に染まる夕、星の如き青が降る夜。
 歩く時間帯によっても、沈んだ先の光景は、がらりとその表情やいろを変えて。
 ゆうらり泳ぐ虹色クラゲやイルカやカメの群れ、鮮やかな魚達、岩場から顔出す生物。
 海をゆく様々な生き物達の出会いも、臨む景色に彩りを添える。
 そんな海が育んだ真珠貝をパカリと開いてみれば、気分はちょっとした宝探し。
 まんまるなものは勿論、双子やハートの真珠が見つかるかもしれない。

 そして、天然アクアリウムをゆく冒険の最終地点。
 其処に在るのは、海の中に沈んだ教会。
 海へと堕ちて沈む前は、何処かの世界で。
 沢山の人々がこの教会で誓いを立て祈り、この教会はそれを受けとめてきたという。
 いや――海底に沈んだ今だって、きっとそれは同じだろう。
 そして、誓いや祈りや願いといえど、その想いは千差万別。
 それは愛や戀であったり、胸に決めた目標や思いであったり。
 仕える者への忠誠や武運の祈りであったり、本当にささやかなる願いであったり。
 訪れた者達に等しく、誓い祈り願う者達に、祝福のいろが降り注ぐ。

●夏彩の海底
「以前コンキスタドールの魔の手から解放したグリードオーシャンの島の海底に、美しい光景が広がっているようだ」
 筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)は、そう集まった皆に微笑んで。
 海賊たちから聞いたのだという話を、皆にも語り始める。
「この島の南側に位置する海岸から海に入れば、そこは夏の花咲く天然の水族館の様な光景が見られるそうだ。そして海中に咲く魔法の夏の花が呼吸する際に出す空気で、その一帯は海の中でも息が出来、会話も可能なのだという」
 呼吸も会話もできる不思議な海の中に広がるのは、まるで天然の水族館。
 海に咲く花畑を歩けば、様々な景色や生き物たちに出会えるだろう。
「そんな海の景色は、時間帯によって印象を大きく変えるそうだ」
 キラキラと煌めく昼、赤橙に染まる夕、静かな輝きを秘める夜。
 そのいろは同じ風景でも全く違う表情をみせ、出逢える生物やいろも違うだろう。
 クラゲやイルカやカメや魚の群れなどの、海の生物を眺めたり。
 共に泳ぐことも楽しいかもしれない。
 夜の海はいつもは暗いが夜光虫がこの時期輝き、幻想的で視界も思ったより悪くなく。
 希望者には、海中でも灯せるランプを貸してくれると言う。
「それに海底の花畑では、真珠を有する貝が拾えるという。天然のものであるので、その形は様々、どのような彩や形かは、開いてからのお楽しみというわけだ。まるで宝探しのようだな」
 この真珠貝は此処の海底に数多あり、珍しいものではないというので。
 ひとりひとつくらい持ち帰っても全く構わないだろう。
 夏の海底を歩くついでに宝探しをしてみても冒険っぽいのではないか。

「そして天然アクアリウムを楽しんだ先の終着地には、海に沈んだ教会があるそうだ」
 何処かの世界かから落ちてきて、海の底に沈んだステンドグラスが美しい教会。
 残されていた文献から、この教会は『誓いと祝福の教会』と呼ばれていて。
 人々が沢山の誓いや願いや祈りを馳せたのだという。
 それは愛や戀であったり、胸に決めた目標や思い、仕える者への忠誠や武運の祈りであったり、本当にささやかなる願いであったり。
 その内容は問わず、訪れた誓い祈り願う者達に等しく、祝福を降らせていたようだ。
「教会の中にも入れる様なので。ただ美しい海底の教会を見て回るだけでも心躍るし、何かその心に想いがあれば、誓いや祈りや願いを祭壇に馳せてみるのも良いだろうな」
 その美しさが海底の静かなるいろと相俟り、神秘さを増していて。
 海賊たちの間でも、知る人ぞ知るパワースポットとなっているようだ。

「天然アクアリウムや海の底の教会……折角の夏だ、色々な海を楽しもう」
 清史郎はそう微笑み、その掌に満開桜を咲かせて。
 猟兵達を、神秘的な海の底へと導く。


志稲愛海
 志稲愛海です。
 よろしくお願いします!

 ※ご連絡※ 8/12(水)朝8:31よりプレイングの受付を開始します。
 それ以前に送信のものは流れる可能性があります。

 今回は、色々な表情をみせる海底を堪能しよう! という内容です。
 このシナリオは既に猟兵達によってオブリビオンから解放された島となります。
 そしてこのシナリオは【日常】の章のみでオブリビオンとの戦闘が発生しないため、獲得EXP・WPが少なめとなります。

 楽しむ時間やできる行動は、概ねOPにある通りですが、他にもどうぞご自由に!
 時間帯の指定があれば、記していただければ(複数の場合どなたかお一人でOK)。
 魔法の花のおかげで、呼吸も会話も可能です。

 しっとりでも賑やかでも甘々でもシリアスでもコミカルでも、お好きな雰囲気で!
 基本は、お好みの時間帯の天然アクアリウムの散策を楽しんだり。
 海の底に沈んだ教会で、誓いや祈りや願いを馳せるものになるかと。
 誓いや祈りや願いは、勿論皆様それぞれご自由に!
 お二人で夏の海花のブーケや貝の真珠交換したり等、愛を誓い確かめ合うも良し。
 仕える者への忠誠や、心に決めた目標を改めて誓うのも良いし。
 それ以外にも、ささやかな願いを馳せてもいいかと。
 普通に観光気分できゃっきゃ記念写真! の様な感じでも構いません。
 お好みの雰囲気やノリや人数でお好きに楽しんでいただければです!

 常識の範囲内であれば、何でもしてくださって構いませんが。
 公序良俗に反する事、他の人への迷惑行為は厳禁です。
 長めに受付する予定ですが、締切等はMS個別ページやTwitterでお知らせします。

 お声掛けいただきました場合のみ、もしも必要がありましたら。
 案内している清史郎をはじめ、当方のグリモア猟兵もご一緒できます。

●お願い
 同行者がいる場合は【相手の名前(呼称可)と、fからはじまるID】又は【グループ名】のご記入お願いします。
 ご記入ない場合、相手と離れてしまうかもしれませんのでお忘れなく。

 グループ参加の人数制限はありません、お一人様~何人ででもどうぞ!
 ですが複数人の場合は失効日の関係上、同行者と送信タイミングが離れすぎていたり、ご指定の同行者が参加していない場合は返金となる可能性もあります。

 可能な限り皆様書かせていただきたく思っています。
 どうぞお気軽にご参加ください!
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第1章 日常 『猟兵達の夏休み』

POW   :    海で思いっきり遊ぶ

SPD   :    釣りや素潜りを楽しむ

WIZ   :    砂浜でセンスを発揮する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

満月・双葉
【虹氷】
シャオちゃん、これなら沈む僕でも楽しめるね
ぁ、クラゲ光ってる…等と言いながら指差して
天然の水族館を楽しみながら教会へ
手を繋いでくれたら手を繋いで行く

教会とかカミサマとか信仰とか、師匠が嫌ってたからこういう所にはあんまり来たことないな
でも、うん、そうだ、うん

暫く一人で悩んで頷き徐にシャオちゃんの名前を呼び
跪いて見上げる体勢になって
ねぇ親友になって

助け合って寄り添って一緒に過ごしていく、そんな仲
ずっと憧れてて
私は君とそうなりたいなって
拒絶ではなく遠慮から手を取ってくれないと判断したら強引に手を取りに行く
私が望んだ関係だよ
何があっても居なくならないし死なないよ
と抱き締めてみたい


シャオ・フィルナート
【虹氷】

双葉さん、泳げないんだっけ…?

水と氷は操れるし
海辺で過ごしてた時期もあるから素潜りもできる
けれど普段他に関心を向けないから

夜光虫…ほんとだ、海月も…
海の中は夜なんて暗いだけだと思ってたから少し意外そうに

手は体質(無意識に冷気を出してしまう事がある)ため躊躇うも
双葉さんから繋ぐなら払いはしない

神に興味は無いけど教会の雰囲気は好きで
祭壇を見上げていたら双葉さんの行動にきょとんと
……しん、ゆう……?
…でも、その……ダメだよ
俺に近付いたら不幸になっちゃう…
俺の魔力だって、いつ…巻き込むか…

他人と関わるのが怖くてためらうも
抱き締められたら暫く黙ってから
言葉の代わりに小さな頷きを

…物好きな人……



 満天の夏空に輝く月が照らす夜の海へと、そうっとその身を投じれば。
 眼前に広がるのは――深く静かな海中の世界。
 そしてこれから始まるのは、海の中で咲く夏の花の魔法で叶う、夜の海底散歩。
「シャオちゃん、これなら沈む僕でも楽しめるね」
 どうりで、海に入る際の満月・双葉(時に紡がれた星の欠片・f01681)は少し慎重気味であった訳だ。
「双葉さん、泳げないんだっけ……?」
 ふいに聞こえた声に、そう首を傾けつつ。
 シャオ・フィルナート(悪魔に魅入られし者・f00507)は隣の双葉へと藍色の瞳を向けるけれど。
「ぁ、クラゲ光ってる……」
 見上げ差すその指先を追えば……ゆうらり揺蕩うのは、仄かに光を帯びたクラゲたち。
 そしてまさに海の月の様な、そんなクラゲたちが泳ぐのは、数多に輝く満天の蒼白き星の中。
「夜光虫……ほんとだ、海月も……」
 見つめる夜の如き瞳にも、沢山の光を映し降らせながら。
 呟いたシャオの声に宿るのは、少し意外そうな響き。
 ……海の中は夜なんて暗いだけだと思ってた、って。
 水と氷は操れるし、海辺で過ごしていた時期もあるから素潜りもできる。
 けれど普段他に関心を向けないから、知らなかったのだ。
 夜の海の中が、こんなにも沢山の輝きで満ちていることに。
 クラゲや夜光虫輝く海の天を見上げ、魚達や海の生物が悠然と泳ぐ中、夏の花で彩られた海底を歩くふたり。
 双葉は天然の水族館を楽しみながらも、そっとその手を伸ばして。
 隣のシャオの手を、掴まえる。
 そんな不意の感触に躊躇ってしまうシャオ。無意識に冷気を出してしまう事があるから。
 けれど、繋がれたその手を払うことはせず……そのままに。
 やって来たのは、海底に沈んだ教会。
(「教会とかカミサマとか信仰とか、師匠が嫌ってたからこういう所にはあんまり来たことないな」)
 双葉は差し込める光に煌めくステンドグラスを見上げ、祭壇までゆっくりと歩みながら。
 ……でも、うん、そうだ、うん。
 暫く一人で悩んで頷いた後――シャオちゃん、って。
 そう、すぐ傍に在る彼の名を呼んで。
 跪き見上げる体勢になって紡ぐ。
 ――ねぇ親友になって、と。
 神に興味は無いけれど教会の雰囲気は好きだからと。
 祭壇を見上げていたら……耳に届いた双葉の声。
「……しん、ゆう……?」
 そして彼女の言葉や行動に、思わずシャオはきょとんとしてしまうけれど。
 ふるりと、首を横に振る。
「……でも、その……ダメだよ」
 俺に近付いたら不幸になっちゃう……と。
「俺の魔力だって、いつ……巻き込むか……」
 けれど双葉は彼を見つめたまま、続ける。
 ……親友、それは。
「助け合って寄り添って一緒に過ごしていく、そんな仲。ずっと憧れてて……私は君とそうなりたいなって」
 そして手をもう一度取ろうとすれば、一度は手を引っ込められてしまうけれど。
 でも、双葉には分かったから。
 シャオが手を取ってくれないのは、拒絶ではなく遠慮からだということ。
 だから退くどころか、強引にその手を取って。
「私が望んだ関係だよ」
 双葉は、静かに光が降る海底の教会で、誓う様に紡ぐ。
 ――何があっても居なくならないし死なないよ、って。
 そしてシャオは、そんな彼女の言動に躊躇ってしまう。他人と関わるのが、怖くて。
 けれども、ふいにふわりと抱きしめられれば……感じる、包み込む様な温もりに暫く黙ってから。
 言葉の代わりに、小さな頷きを双葉へと返す。
 ……物好きな人……って。
 祝福の如き夜の海の煌めきを、彼女と共に受けながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】
明かり一つで夜の教会を散策
互いに空いた手は繋いで

教会はエンパイアにもありました
神に祈りを捧げる場所なのですよね?

弔う場所であり……永遠を誓う?
再び問えば少し照れながらも返ってきた答えに照れてしまう

なるほど、祝言を挙げる場にも似ているのですね
……私達はしておりませんでしたね
いずれと思いながら子供達が増えて忙しなくなり
その中で倫太郎殿の御家族に挨拶を済ませられたのが幸いです

此処には二人だけですが……練習をしてみますか?
私達だけで周りに人が居なくても本番になるのでしょうか?
問うも彼の様子が変わったのを察して、繋いでいた手を両手で握る

今、此処で誓う
死が私達を分かつとも魂は共に
変わらぬ愛を貴方に


篝・倫太郎
【華禱】
夜、ランプを一つ借りて
いつも通り手を繋いで

そう言えば、夜彦
教会がどういう場所だか知ってるか?

俺の素直な問いに
夜彦の素直な答え

うん、そだな
信仰の拠り所でもあるから

神様に日々の幸せを祈って
ただ1人との永遠を誓って
そうして終わった命を弔う……

そういう場所
永遠を誓う、は……まぁ、あれだ
婚姻のコト?

言い淀んで、結局照れながらもそう答えて
夜彦の言葉に笑いながら耳を傾ける

締め括り
問われた内容に何度か瞬くとその顔を見て
……練習?え?何の?
そう一瞬思うも口にするのは無粋だから

別にぶっつけ本番でも俺は良いけど?

そんな軽口で返しても
少し声が震えてるのは隠せなくて

……ぅん
俺も、誓うよ……夜彦

そう返すのが精々で



 蒼白く照る無数の夜光虫の輝きは、まるで星が降るかの様で。
 ステンドグラスのいろを映した鮮やかな魚の群れが悠然と泳ぐ、海底の教会。
 けれど、仄かな光だけでは、深い海の底では少々心許ないから。
 月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)と篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)が灯すのは、ランプひとつ。
 勿論、互いに空いた手の行方は、いつも通り隣の彼の手の元に。
 倫太郎は夜彦と手を繋ぎ、夜の教会を散策しながらも、ふと訊いてみる。
「そう言えば、夜彦。教会がどういう場所だか知ってるか?」
 そんな問いに、こくりと頷く夜彦。 
「教会はエンパイアにもありました。神に祈りを捧げる場所なのですよね?」
 素直な問いに返ってくる、素直な答え。
「うん、そだな。信仰の拠り所でもあるから」
 倫太郎はそう言いながらもふと、様々ないろを降らせるステンドグラスを見上げる。
 この教会は、何処から何時落ちてきたかは分からないけれど。在るべき場所に在った頃は、沢山の人々が訪れていたようだ。
 日々過ごす人々の信仰の拠り所でもあり、そして。
 倫太郎は琥珀の瞳を夜彦へと戻し、続ける。
「神様に日々の幸せを祈って。ただ1人との永遠を誓って。そうして終わった命を弔う……そういう場所」
 けれどそんな彼の言葉に、ふと首を傾ける夜彦。そして、再び問えば。
「弔う場所であり……永遠を誓う?」 
「永遠を誓う、は……まぁ、あれだ」
 ちょっぴりそう言い淀んで、でも結局照れながらも、倫太郎は答える。
 ――婚姻のコト? って。
 そんな少し照れながらも返ってきた答えに、夜彦は翡翠のいろを湛える瞳を思わず瞬かせて。
 彼と一緒に、やはり照れてしまうけれど……こくりと頷く。
「なるほど、祝言を挙げる場にも似ているのですね」
 今は海底に沈み、訪れる人もほとんどいなくなったかもしれない。
 けれど……静かに漂う荘厳な雰囲気や、ふわり降る幻想的な光をみれば、それも納得できるような気がするし。
 夜彦はふと、思い返すようにこう呟きを落とす。
「……私達はしておりませんでしたね」
 日々、目まぐるしくも充実した日常。
 そんな中でも、着実にひとつひとつ、色々なことをふたりで重ねてきた。
「いずれと思いながら子供達が増えて忙しなくなり、その中で倫太郎殿の御家族に挨拶を済ませられたのが幸いです」
 そう紡ぐ夜彦の声に、笑いながら耳を傾ける倫太郎であったけれど。
 次に紡がれた彼の言の葉に、思わずその姿映す琥珀の瞳を見開いてしまう。
「此処には二人だけですが……練習をしてみますか?」
 ――私達だけで周りに人が居なくても本番になるのでしょうか? って。
 ……練習? え? 何の?
 倫太郎は問われた内容に何度か思わずぱちくりと瞬き、その顔を見て一瞬そう思うも。
 でも、口にするのは無粋だから、って。
「別にぶっつけ本番でも俺は良いけど?」
 そんな軽口で返すけれど……少し声が震えてるのは隠せなくて。
 問うた夜彦は繋いでいた手を、そっと両手で握る。彼の様子が変わったのを察して。
 そして蒼き光が降る夜の祭壇で、はっきりと紡ぐ。
「今、此処で誓う」
 ――死が私達を分かつとも魂は共に。変わらぬ愛を貴方に。
 そんな真っ直ぐ向けられる視線や声は……ずるい。
 いつもは可愛かったり真面目すぎて天然だったりするのに――やはり自分を見つめる彼はとても綺麗で。そして愛しい、一等のいい男。
 自分達にキラキラと降る祝福は、そんな彼の夜の様な深い藍色の髪を、自分だけを映す澄んだ翡翠の瞳を、より美しく彩っていて。
 倫太郎は、ムリ……って。
 こう返すのが精々。
「……ぅん。俺も、誓うよ……夜彦」
 自分のためだけに咲く、竜胆の如きその微笑みを眼前に。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と

海中には慣れたようですねと繋いだ手の先のかれを見て笑い
夏の海花を積み、青色と紫色の花のブーケを作りましょう

教会の中へ入ったなら
そうですね、ひとの子はこのような場所で誓いを交わします
マリアティアラとヴェールを向けられたなら頭を下げて
もちろんですよ
名実ともにきみの唯一になれることのなんと嬉しいことか
頭にそれを載せられたなら、自らも鞄から放射状冠を取り出せばかれの頭へ

そしてともに万彩降り注ぐステンドグラスの下へ進んだなら
愛おしいかれへ微笑んで見せて
―――はい。朽ちた後も、きみと共にいさせてください
そうして贈られた口付けにはお返しを
ええ、海の光が祝福してくれているようです


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

以前もこの海には潜ったからな
恐ろしくはないと笑みを浮かべ宵の手を引き海の中へ
途中花と海を楽しみ真珠貝を拾いながらも目当ては教会で
…アースではこの様な場所で永遠を誓うのだろう?
照れくさそうに宵へ視線を向ければ革袋から白金のマリアティアラとヴェールを取り出そう
…受けてくれるだろう?と声を投げつつ宵の頭に乗せるも、宵に冠を乗せられれば驚いた後嬉しそうな笑みを返し指輪の嵌る宵の手を引きステンドグラスの下まで進もうと思う
朽ちる迄共にいてくれるなと、ヴェールを上げ宵の顔を見つめついぞ出た言葉は人が誓う言葉ではなかったが…矢張りこれかと思ってな
返事には口付けを
ああ、本当に幸せな日だな



 沈みゆく海の底は、美しさと同時に、何処か畏怖の念の様なものを抱いてしまっていたけれど。
「海中には慣れたようですね」
「以前もこの海には潜ったからな」
 恐ろしくはないと、そう笑み浮かべるザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)に手を引かれて。
 逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)は繋いだ手の先のかれを見て笑いつつも、青と紫のいろをその手の中に集める。
 夏の海花を摘んで、花のブーケを作りながら。
 ザッフィーロも夏の花咲く海の底の風景を宵と共に歩き、真珠貝を拾いつつも、彼と暫し天然のアクアリウムを楽しんで。
 辿り着いたのは――海の底に密かに沈んだ教会。
 中へと入れば、降り注ぎ落ちるステンドグラスの様々ないろ。
 この教会は何処から落ちてきて、いつからこの場所に沈んでいるのかは分からないけれど。
「……アースではこの様な場所で永遠を誓うのだろう?」
「そうですね、ひとの子はこのような場所で誓いを交わします」
 ひとの沢山の願いや想い――そして誓いに、祝福を降らせてきたのだという。
 いや、それはひとだけに限らない。永遠を誓うその心は。
 ザッフィーロは照れ臭そうに宵へと銀の瞳を向ければ、革袋から取り出すのは――マリアティアラとヴェール。
 それを向けられたなら、宵はすぐさまスッと頭を下げて。
 ……受けてくれるだろう?
 耳に聞こえる声に、微笑みと共に返す。
「もちろんですよ」
 ――名実ともにきみの唯一になれることのなんと嬉しいことか、と。
 そして墨を流したような夜色にふわり、可憐な煌めきが飾れられれば。
 宵もお返しに、取り出した放射状冠をかれの頭へ。
 そんな冠を乗せられれば、ザッフィーロは驚いた様に宵を見つめる銀の色を瞬かせるけれど。
 すぐに嬉しそうな笑みを返し、宵を伴ってステンドグラスの下まで赴く。
 望みの名を冠した白銀の指輪嵌る、しなやかなその手を引いて。
 それから数多のいろが降り注ぐステンドグラスの下で交わし合う。
 その心に在る、言の葉と誓いを。
 ザッフィーロはそっとヴェールを上げ、宵の顔を見つめて紡ぐ。
 ――朽ちる迄共にいてくれるな、と。
 ついぞ出たその言葉は、人が誓うものとは少し違っていたけれど。
「……矢張りこれかと思ってな」
 そう言った愛おしいかれへと、宵は微笑んで見せて。
 かれらしい、かれだからこそ誓いに、想いの言の葉を返す。
 ――はい。朽ちた後も、きみと共にいさせてください、と。
 そんな返答と誓いに、ザッフィーロは一等の笑みと共に宵へと贈る。
 そっと瞳を閉じ落とす――甘く優しい口付けを。
 そして何よりも幸せな返事に、宵もお返しをして。
「ああ、本当に幸せな日だな」
 距離がゼロになった祭壇で紡がれたザッフィーロの声に頷きつつ、ふと天を見上げた深宵の瞳を細める。
「ええ、海の光が祝福してくれているようです」
 そしてふたり、顔を見合わせては微笑み合い、再び誓い合う。
 煌めき降る海底の万彩に見守られ、共に包まれながら……何度でも。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒鵺・瑞樹
アドリブOK

呼吸ができるとはいえ水中だし髪は三つ編みにして邪魔にならないようにして。
この間うっかりそのまま入ったら纏わりついてな。
前と比べてだいぶ伸びたなぁ。

折角だから夜の海へ。
海底を歩きながら周囲を楽しんで、でも本命は真珠探し。
月のしずくともいわれる真珠だから、きっと夜の方がいい。
宝探しはいつだってわくわく。
…少し海中でも灯せるランプの構造も気になるけど、どんなこ(真珠)に会えるか考えると楽しみの方が上だ。
もしその場で貝を開けて真珠を得られるのなら、教会で願掛けを。
お守り代わりになればいいと思って。
せんだって決めた事を遂行できるように。
その結果が何だって受け入れるって。



 海底を覗けるのは、海の底に咲く花たちの魔法。
 けれど、夜の海へと入るその前に。
 黒鵺・瑞樹(境界渡・f17491)は流れるようにしなやかな己の銀髪を、まずは三つ編みに。
 呼吸ができるとはいえ、これから向かう先は水中。
(「この間うっかりそのまま入ったら纏わりついてな」)
 だから今回は邪魔にならないよう抜かりなく、するすると髪を編んでいきながらも瑞樹は思う。
 ……前と比べてだいぶ伸びたなぁ、なんて。
 そして夏空に煌めく月や星に見送られながら、夜の海へ。
 陸の上とはまるで違った、海の底の世界。
 夏の花がゆらり咲き誇っては揺れ、魚の群れが頭の上を泳ぐ中、周囲を楽しみながらも歩いていた瑞樹だが。
 夜光虫輝く海の天を眺めるのはそこそこに、ふと視線を落とすのは、夏の花が咲く海底。
 そう、今回の本命は――真珠探し。
 だから瑞樹は、夜の海を選んだのだ。
(「月のしずくともいわれる真珠だから、きっと夜の方がいい」)
 それに、宝探しはいつだってわくわくするから。
 海でも灯せるというその構造が何気に気になりつつも……どんなこに会えるか考えると楽しみの方が上だ、と。
 仄かに灯るランプの明かりを頼りに、自分だけの月のしずくを探す。
 そして見つけた貝を開けてみれば――雫のような泪のような。
 艶やかな銀のいろが静かに宿る、真珠がひとつ。
 それから見つけた真珠を、お守り代わりになればいいと、そう手にして。
 瑞樹が向かったのは、海底の教会。
 まるで祝福かのように降り注ぐ、ステンドグラス煌めく光の中で、願掛けを。
(「せんだって決めた事を遂行できるように」)
 ……その結果が何だって受け入れる――って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

尭海・有珠
レン(f00719)と

夜はあまり潜らないんだが
是非にとランプを持ち夜の海へ
陽が射す海も、静かな夜の海も好きなんだ

昼と全然景色が違って面白い
他の人の声は届き難いので、秘境に来たような気持ちになりつつ
真珠探し

夜に宝探しは難易度が高そうだが、その方が挑戦し甲斐があるな
レンが見つけた貝を一緒に覗き込み、光に翳す
星に喩える話に、一緒に星巡りしたことを思い出し
ああ、こうやって楽しい思い出が重なっていくんだな

この先に教会が沈んでいるんだよな
終着に寂しさを覚えつつ

そうだな、約束…だけではないが心を偽らない場かとは思う
誓いや祈りか、と苦い気持ちが一瞬湧くが
レンの言葉に、目を瞬かせふわりと笑って小指を差し出すんだ


飛砂・煉月
有珠(f06286)と!

青が降る夜の海
普通に話せちゃうと水の中ってのが嘘みたいだよねって
有珠とランプを共有して海底の花畑を散歩しよ
…ね、今日は真珠探しなんてどう?
どうせなら、楽しいことしよ!

見つけた貝はちいさな宝箱
ひとつひとつ開けていくのだって楽しくて
――有珠、有珠
これ星の形してる
淡く黄色を灯した星の真珠はまるで海の星
ふたりで一緒に翳したら一番星になっかなー?
今日は海の星巡りみたいだなーって
浮かんだその侭を音に

終着点に想うのは
終わりが寂しい気持ちと海底の教会に惹かれる気持ち
教会って約束する場所なんだっけ?
もしそうなら、
――また次もオレと遊んで、有珠

折角だから結んでく?って
約束を結ぶ小指をキミに



 眩しい夏の陽光が射しキラキラと輝く昼の海も好きだけれど。
 今日ふたりで揺蕩うのは、青が降る夜の海。
「普通に話せちゃうと水の中ってのが嘘みたいだよね」
 飛砂・煉月(渇望の黒狼・f00719)は仄かに照るランプの明かりを尭海・有珠(殲蒼・f06286)と共有して。
 夏の花に彩られた、海底のお花畑のお散歩を。
 海の中でも呼吸や話が出来たり、ランプが灯せるのは、魔法の花たちのおかげ。
 そんな咲く花々の間を魚たちが通り抜けてゆけば、ゆらり揺れる花たちに隠されていた貝の宝箱の姿が垣間見えて。
「……ね、今日は真珠探しなんてどう?」
 煉月がそう提案すれば、是非にと。そう有珠も勿論賛成。
 そして手にしたランプで、青の光がそっと降る景色を照らし、見回して。
(「夜はあまり潜らないんだが。陽が射す海も、静かな夜の海も好きなんだ」)
 ……どうせなら、楽しいことしよ!
 そんな煉月の声に、ああ、とこくり頷きながらも。
 今身を投じているいろと同じ様に、青き光を降らせた海色の瞳を細める有珠。
(「昼と全然景色が違って面白い」)
 他の人の声も届き難い海底の散歩は、まるで秘境に来たようで。
 ランプの明かりを頼りに、煉月と真珠探しを。
 海底で見つけた真珠貝は、そう……ちいさな宝箱。
 ぱかりと、ひとつひとつ開けていくのだって楽しくて。
「夜に宝探しは難易度が高そうだが、その方が挑戦し甲斐があるな」
「――有珠、有珠」
 煉月はふと、開けた宝箱に入っていたお宝を見つめ、差し出す。
 ……これ星の形してる、って。
 そんな彼が見つけた貝を有珠も一緒に覗き込んで。
 静かに振る光に照らしてみれば……淡く黄色を灯した星の真珠は、まるで海の星だから。
「ふたりで一緒に翳したら一番星になっかなー?」
 ……今日は海の星巡りみたいだなー、って。
 煉月は、浮かんだその侭を音に。
 有珠もそんな彼の声を聞きながら思い返していた。
 星に喩える話に……ついこの間、一緒に星巡りしたことを。
 そして今日もまた。
「ああ、こうやって楽しい思い出が重なっていくんだな」
 真夏の夜の思い出がひとつ、重ねられてゆく。
 けれど楽しい海底散歩にも、執着点が。
「この先に教会が沈んでいるんだよな」
 そう遠くへと視線を向けてみた、有珠の瞳の端にふと映ったのは――海底の教会。
 そんな終着に寂しさを覚えつつも。
 終わりが寂しい気持ちと同時に煉月の心に生じるのは、海底の教会に惹かれる気持ち。
 それからふたり、海底の教会の中へと足を向けてみれば。
「教会って約束する場所なんだっけ?」
「そうだな、約束……だけではないが心を偽らない場かとは思う」
 ステンドグラスの煌めきと蒼白い光が降る祭壇の前で、そう答えながらも。
 誓いや祈りか、と……有珠の中で、苦い気持ちが一瞬湧くけれど。
 もしそうなら、と聞こえた彼の声に顔を上げ、目を瞬かせる。
「――また次もオレと遊んで、有珠」
 煉月が紡いだ、その言葉に。
 けれどすぐに、ふわりと笑って小指を差し出す。
「折角だから結んでく?」
 約束を結ぶ小指をキミに、って――そう差し出された彼のものと、約束げんまん、結ぶために。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

天音・亮
とっきー(f23050)と

見て、綺麗な教会だね
取り囲む海色に揺らめくステンドグラスが幻想的で
ここに居るだけで不思議と守られているみたいな気持ちになる
そっか、なら魚達が綺麗な海をお願いしてるのかもしれないね

右の小指を通る指輪
祭壇の前でその指輪をもう片方の手で包み握り締めて瞼を閉じる
静寂を連れて神様にお話しよう
私の誓いをどうか聴いて
守ると、取り戻すと誓った思いを

きみの問いに唇にあてた人差し指で答えて
いつか話せる日が来たらいい

…ね、とっきーは?
何か願い事とかお祈りとかある?

ふふ、変なの
私の力になりたいって言ってくれたきみは
十分カッコいい男だと思うけどな
きみが目指す強さに、祝福が舞い降りますように


宵雛花・十雉
あっきー(f26138)と

海の底ってさ、不思議と落ち着くんだよな
…お、ほんとだ
綺麗だなぁ
今まで色んな願いや祈りを聞いてきたんだろうなって伝わってくる
ひょっとすっと魚達の願いも聞いてるかもしれねぇよ?

隣に立って、祈りを捧げる彼女の横顔を見守る
何を願ったんだ?
なんて聞くのは野暮ってモンかな
そうだな、ならオレに話してもいいって思った時に聞かせてくれよ
その…力になれんならなりてぇしさ

オレかい?
…あるよ
オレは強くなりたいのさ
男らしくて、皆から頼りにされるようなそんな人間に
そしていつか…
まぁいいや、神様に願うのはここまで
はは、カッコ悪いから誰にも言うなよ?
十分カッコいいと聞けば、困ったように眉を下げて笑う



 魔法の海の花で彩られた海底の道の終着点。
 そこには、いつから在って、どこから落ちて来たのか。
 静かな海に沈んだ教会の姿が。
 そしてふたり、その中へと足を向ければ。
「見て、綺麗な教会だね」
 見上げる天音・亮(手をのばそう・f26138)の青の瞳にも、幻想的な光が揺らめく。
 教会のステンドグラスを取り囲む、海色と同じ様に。
「……お、ほんとだ。綺麗だなぁ」
 宵雛花・十雉(奇々傀々・f23050)も、そう頷く様に紡いで。
 そんな光降る海の中に身を置いていれば。
「ここに居るだけで不思議と守られているみたいな気持ちになる」
「海の底ってさ、不思議と落ち着くんだよな」
 包み込まれ守られるような、そんな気さえする。
 いや、きっと遠い過去からこうやって、守って包んで降らせてきたのだろう。
「今まで色んな願いや祈りを聞いてきたんだろうなって伝わってくる」
 祈り誓い願う、そんな沢山の人たちに等しく、祝福を降らせながら。
 そして十雉は、目の前をすいっと泳ぐ魚たちに瞳細めて。
「ひょっとすっと魚達の願いも聞いてるかもしれねぇよ?」
「そっか、なら魚達が綺麗な海をお願いしてるのかもしれないね」
 亮はそう彼に笑み返しつつも、ステンドグラスの鮮やかないろを宿す祭壇へ。
 そして、左の掌でふわり包み込むのは……右の小指を通る円環。
 その指輪を握り締め、瞼を閉じてから。
 亮は神様にお話してみる。連れた静寂と降り注ぐ光の中で。
 守ると、取り戻すと誓った思いを――私の誓いをどうか聴いて、って。
 そしてその隣に立って、十雉は見守る。祈りを捧げる彼女の横顔を。
 それからふと、祈り終えた亮へと訊ねてみる。
「何を願ったんだ?」
 ……なんて聞くのは野暮ってモンかな、って笑んで。
 そんな問いの答えは、唇にあてた人差し指。
 けれど亮は思う――いつか話せる日が来たらいい、って。
「そうだな、ならオレに話してもいいって思った時に聞かせてくれよ」
 今は、神様と亮だけの内緒話かもしれないけれど。
 自分にも話してくれるその時がきたらと、十雉は思う。
 ……だって。
「その……力になれんならなりてぇしさ」
 そんな彼の言葉に、亮は瞳を細めてから。
 今度は逆に、十雉に訊いてみる。
「……ね、とっきーは? 何か願い事とかお祈りとかある?」
「オレかい? ……あるよ」
 ――オレは強くなりたいのさ、って。
「男らしくて、皆から頼りにされるようなそんな人間に」
 そしていつか……そう落とされた呟きの続きは海のいろに溶けるように、その心の内だけに紡いで。
「まぁいいや、神様に願うのはここまで」
 自分を見上げる亮に視線を返しながら、十雉ははにかんで笑う。
「はは、カッコ悪いから誰にも言うなよ?」
「ふふ、変なの」
 そんな彼の言葉に笑み返しながらも、亮は小さく首を傾けつつ返す。
「私の力になりたいって言ってくれたきみは、十分カッコいい男だと思うけどな」
 そして――きみが目指す強さに、祝福が舞い降りますように、って。
 十分カッコいい、そう聞いて瞳を瞬かせてから、十雉はもう一度笑う。
 祝福の光かのように降る彩りの中……困ったように眉を下げて。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

奇鳥・カイト
リオン(f02043)

海底の道、という話を聞いた
そんな未知が、自分を駆り立てた

誘う相手は少しギクシャクしていて
色々あるが、大元は自分が原因、かもと
複雑な気持ちと、認めたくない罪を抱き、誘う事にした

海底を見るとその考えは吹き飛んだ
いや、なくなったわけではないが
少なくとも、その思考は出来なくなる

不可思議な空間、幻想的な景色
まるで水の中に自分がいるような

子供のようにはしゃぐ彼女を見、笑い
それでも、口を開けば
「フン…まあまあだな」
ぶっきらぼうな感想しなのは、生来のものか

隣にいる者を強く意識した
距離は取りつつも、並にように歩を合わせる
後で、少しでも詫びるかと──花や貝殻でも集めておく事に

アドリブ歓迎


神羽・リオン
カイト(f03912)と

海底の幻想的な道を歩けば、美しい光景に言葉を失い
ギクシャクしていた彼とどんな顔で過ごせばいいかと悩んでいたことも忘れて思わず満面の笑み

花畑に手を伸ばしたり、くるくる回って無邪気な子供のようにはしゃいだかと思えば
ハッと我にかえってジト目で

まあまあ……!?こんなに美しいものを見て、まあまあだなんて奇鳥さん、美的感覚がおかしいんじゃない!?

そんな憎まれ口も。
けれど内心は感謝もしている。誘ってくれてありがとなんて言わないけれど……

許してあげる

そう伝えよう
煌く青い世界を見せてくれた彼に
私もいつか心揺るがす世界を見せてあげたい
いつの間にかそんな事を思っていた



 魔法の花が咲き誇り、小さな貝の宝箱が見つけられる、沈んだ教会まで至る海の底。
 海底の道――聞いたそんな未知に、奇鳥・カイト(自分殺しの半血鬼・f03912)の心は駆り立てられて。
 そして、彼が誘いの声を掛けたのは、神羽・リオン(OLIM・f02043)であった。
 けれども、そんな相手とは少しギクシャクしていて。
 ……色々あるが、大元は自分が原因、かもと。
 複雑な気持ちと、認めたくない罪――そんな思いを抱きながら、カイトは彼女を誘う事にしたのだ。
 それはリオンも似たような気持ちで。
 ギクシャクしていた彼とどんな顔で過ごせばいいか……そう悩んでいたけれど。
 夏の花咲く海底に降り立てば、その考えは吹き飛んで。
 いや、決してなくなったわけではないけれど……少なくとも、その思考は最早出来なくなるカイト。
 まるで水の中に自分がいるような――不可思議な空間、幻想的な景色に身を投じれば。
 そして海底の幻想的な道を歩けば、眼前の美しい光景に言葉さえ失って。
 リオンに宿るのは、悩んでいたことも忘れたような満面の笑み。
 海の中でゆうらり揺れて咲く鮮やかな花畑のいろに、手を伸ばしてみたり。
 無邪気な子供のようにはしゃいで、無邪気に回ってくるくる。
 そんな彼女の様子に、カイトは思わず笑うけれど。
「フン……まあまあだな」
 それでも、開いた口から紡がれるのは生来のものか、ぶっきらぼうな感想。
 彼のそんな声に、ハッと我にかえってジト目を向けるリオンも。
「まあまあ……!? こんなに美しいものを見て、まあまあだなんて奇鳥さん、美的感覚がおかしいんじゃない!?」
 返すのは、ついそんな憎まれ口。
 ……誘ってくれてありがと、なんて言わないけれど。
 でも、内心は感謝もしている。
 だから、煌く青い世界を見せてくれた彼に伝えようって、リオンは思う。
 ――許してあげる、って。
 それと同時に心の中に芽生えたのは、こんな感情。
(「私もいつか心揺るがす世界を見せてあげたい」)
 今度は自分が、彼に与えて貰ったように、いつか――。
 煌めきが静かに降る海の中で、いつの間にかリオンはそんな事を思っていた。
 そして距離は取りつつも、並ぶように歩を合わせながら。
 カイトは強く意識する。隣にいる彼女のことを。
 それからふと、海底の道に咲く花や落ちている貝殻へと手を伸ばし、集めておく事にする。
 ――後で、少しでも詫びるか、と。
 海底の道を共に揺蕩い歩き、そう密かに思い巡らせながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エール・ホーン
リグリグ(f10093)と

星が降るような海底を歩くのはとても不思議な感じで
わわ、虹色のクラゲさん!
カメさん?わあ、ほんとだっ
かわいいっ

教会に着けば
お祈りしたことないの?
自分でやっちゃう…なんだかリグリグらしいな
考えてみたら、ボクもかもっ

…そうだっ!
ねえ、ボクね
良いこと思いついたよ!
お祈りをするんじゃなくて、誓いを立てるのは?

ボク、リグリグに誓うよ!
リグリグが困っていたら、どんな時でも駆けつけるって!
へへ、嬉しい
寂しい時?ありがとうっ

あっ、でもね
ボク、寂しくなくってもリグリグのことぎゅーってしちゃう

誓いの印にさっきみつけたのだと差し出す双子の真珠
わぁ、きれい。なるよっ
きらきらした、夏の誓い


リグ・アシュリーズ
エルル(f01626)と

エルルの隣で水面を見上げ、手を広げくるくると回り。
ほんとだ、クラゲさん!ね、あっちにはカメさんも!

教会では手を組んだ後にしばし固まり。
どうしよう、私あんまりお祈りってした事ないの。
神様に祈る前に自分でやっちゃうから、肝心の中身が浮かばないわ!
あれ、エルルも?お祈りって結構むずかしいのね……!

エルルの思いついた案を聞けば、ふふっと笑い。
ありがとう、心強いわ!それじゃ、私も。
エルルがピンチになったら、いの一番で駆けつけるわ!
それから寂しくてぎゅーってして欲しい時もね!

わ、かわいい真珠!
こっそり小瓶に集めてた星の砂を差し出し。
双子の真珠をそっと入れたら、誓いの証になるかしら!



 そうっと海の中に沈んでゆけば、ふわり時折感じる浮遊感が、まるで空を飛んでいるかのようで。
 蒼白い海の星が数多満ちる中、エール・ホーン(ドリームキャスト・f01626)は沢山の虹のいろを見つける。
「わわ、虹色のクラゲさん!」
「ほんとだ、クラゲさん! ね、あっちにはカメさんも!」
 水面の空を見上げ、大きく手を広げてくるくる。
 泳ぐようにくるり回って海中を楽しんでいたリグ・アシュリーズ(風舞う道行き・f10093)も、声をあげたエールの視線を追いかけて。虹色くらげさんだけでなく、すいっと飛ぶように泳ぐカメさんも発見!
「カメさん? わあ、ほんとだっ。かわいいっ」
 エールはリグと顔を見合せ、頷き合ってから。
 翼の様に鰭を上下させるカメさんと一緒に、翼をはばたかせ暫し海色の空を泳いで。
 夏の花が咲く鮮やかな花畑をふたり、はしゃぐように通り抜ければ。
 気が付けば目の前には、海の道の終着点――海底の教会が姿を現していた。
 そんな教会の中へと、わくわくどきどき、足を踏み入れてみて。
 リグはステンドグラスの彩り降る祭壇で、ふと手を組んでみるけれど。
 しばし固まった後……隣のエールへと、困り顔を。
「どうしよう、私あんまりお祈りってした事ないの」
「お祈りしたことないの?」
「神様に祈る前に自分でやっちゃうから、肝心の中身が浮かばないわ!」
 そんな彼女の言葉に、エールは笑んで。
「自分でやっちゃう……なんだかリグリグらしいな」
 それから小さく首を傾けてから、ふと気が付く。
「考えてみたら、ボクもかもっ」
「あれ、エルルも?」
 そしてふたりで顔を見合せ、笑いあう。
 ――お祈りって結構むずかしいのね……! って。
 そんなお祈りは、思いのほか難しかったから。
「……そうだっ! ねえ、ボクね、良いこと思いついたよ!」
 エールはリグに、はしゃぐようにこんな名案を。
「お祈りをするんじゃなくて、誓いを立てるのは?」
 お祈りはよく分からないけれど、誓うことならばできる。
 隣にいる、大好きな相手になら尚更。
「ボク、リグリグに誓うよ! リグリグが困っていたら、どんな時でも駆けつけるって!」
 さっきの祈りとは違って、自然と紡がれる、エールの誓いの言葉。
 リグはそんな彼女の思いついた名案と誓いを聞いて、ふふっと笑ってから。
「ありがとう、心強いわ!それじゃ、私も。エルルがピンチになったら、いの一番で駆けつけるわ! それから寂しくてぎゅーってして欲しい時もね!」
 お返しの誓いを、エールへと。
「へへ、嬉しい。寂しい時? ありがとうっ」
 エールはちょっぴり擽ったくて、でも嬉しい気持ちいっぱいの笑顔を宿してから。
「あっ、でもね。ボク、寂しくなくってもリグリグのことぎゅーってしちゃう」
 お互いにいつだって、ぎゅーってする約束を。
 それから取り出したのは――ころんと掌で転がる、ふたつの煌めき。
 さっきみつけたのだと、エールが差し出したのは、双子の真珠。
「わ、かわいい真珠!」
 それからリグは、双子がいつだって傍にいられるように。寂しくないように。
 こっそり星の砂を集めていた小瓶へと、そっとふたつ揃って落として。
「双子の真珠をそっと入れたら、誓いの証になるかしら!」
「わぁ、きれい。なるよっ」
 エールはこくりと頷いて、リグと、仲良く寄り添うふたつの煌めきを見つめる。
 それは間違いなく――きらきらしたふたりだけの、夏の誓いの証。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヘルガ・リープフラウ
・ヴォルフ(f05120)と

お気に入りの白い水着(今年の水着KC)で
昼の海を二人、魚のように泳ぐ

陽光を浴びて煌めく水面
色とりどりの花と魚たち
其は溢れる命の奔流、美しき世界
母なる海、生命の始源、神聖にして神秘なる世界

そして水底の教会へ
ここには数多の純粋な願いが溢れている
愛する人の幸福を願い、ささやかな日常の幸せに感謝する
それは何よりも美しく愛しく尊いもの

謡いましょう
願いを寿ぎ、想いを紡ぎ、命を尊ぶ愛の歌を
この大切な宝物を、悪意に穢されないように
善き人々の心が幸福と愛しさに満たされ、笑顔溢れますように

誓いましょう
ヴォルフとの永久の愛を
この世界を守る道行きを、これからもあなたと共に歩み続けてゆくと…


ヴォルフガング・エアレーザー
・ヘルガ(f03378)と

部族戦士風水着(去年の水着JC)
二人手を取り合い昼の海の探索へ

極彩色の海の世界、静謐なる海底教会
その壮大な美しさに笑顔綻ばせる妻を愛しく思う
……数か月前の彼女を思えば尚更

あの事件の舞台も水底に沈んだ街の廃教会だった
美しくも悍ましい欺瞞に満ちた、黒曜の水葬都市
記憶を奪い、願いを歪め、心を壊す
魂の凌辱と呼べる敵の所業に彼女の心はズタズタに引き裂かれた

ああ、ここに溢れる願いは悪意に穢されていないのだ
人々の前向きな想いに満ちているのだ
これこそが俺たちの護りたかったもの
人々の純粋な願い、命の力に彼女は救われた

力の限り生きよと
幸福を願い謳う
この愛しき世界を守り、共に生きると誓おう



 煌めく夏の陽光に耀く昼の海を泳ぐのは、真白の人魚。
 そして美しくも愛しき人魚の手を引くのは、猛々しくも優しい蒼き戦士。
 お気に入りの白い水着を纏うヘルガ・リープフラウ(雪割草の聖歌姫・f03378)と手を取り合って。
 ヴォルフガング・エアレーザー(蒼き狼騎士・f05120)は彼女と共に、昼の海の底へ。
 陽光を浴びて煌めく水面から海中へと身を沈めれば、迎え入れてくれたのは、色とりどりの花と魚たち。
 ……其は溢れる命の奔流、美しき世界。
 そして、此処は全ての命のはじまりの場所――母なる海、生命の始源、神聖にして神秘なる世界。
 それからふたりが辿り着いたのは、極彩色の海の世界に密かに沈んだ、静謐なる海底教会。
 ヴォルフガングは、ふと隣のヘルガの美しい横顔を見つめて。
 その壮大な美に笑顔綻ばせる妻を愛しく思う……数か月前の彼女を思えば尚更。
 そう――あの事件の舞台も、水底に沈んだ街の廃教会であったのだから。
(「美しくも悍ましい欺瞞に満ちた、黒曜の水葬都市。記憶を奪い、願いを歪め、心を壊す――魂の凌辱と呼べる敵の所業に彼女の心はズタズタに引き裂かれた」)
 けれども、眼前の教会は違う。
 いつから此処に沈み、何処から落ちて来たかもわからないけれど。
(「ここには数多の純粋な願いが溢れている」)
 ヘルガは彼と共におもむいた水底の教会で、願い、感謝する。
 ――愛する人の幸福を、ささやかな日常の幸せを。
 それは何よりも美しく愛しく尊いものだと、彼女は知っているから。
(「ああ、ここに溢れる願いは悪意に穢されていないのだ。人々の前向きな想いに満ちているのだ」)
 ステンドグラスの色が降る中、ヴォルフガングは願い感謝する妻を見守りつつも。
 訪れる人の願いや祈りを聞き続け、等しく祝福を降らせてきたという祭壇に立ち、思う。
 ――これこそが俺たちの護りたかったもの。
 そしてそんな人々の純粋な願い、命の力に彼女は救われた、と。
 ヘルガは、海の底に沈んでも尚、祝福の光を降らせる教会で願う。
 ――謡いましょう。願いを寿ぎ、想いを紡ぎ、命を尊ぶ愛の歌を。
(「この大切な宝物を、悪意に穢されないように。善き人々の心が幸福と愛しさに満たされ、笑顔溢れますように」)
 それから隣の彼を見つめ、改めてその心に紡ぐ。
 ――誓いましょう。ヴォルフとの永久の愛を。
(「この世界を守る道行きを、これからもあなたと共に歩み続けてゆくと……」)
 ヴォルフガングも、祝福の煌めきを纏うヘルガの姿を見つめながら、宣言する。
(「力の限り生きよと、幸福を願い謳う。この愛しき世界を守り、共に生きると誓おう」)
 ――病める時も健やかなるときも。
 喜びも悲しみも、愛しい人がくれたこのあたたかな光は……いついかなる時もこの胸に、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ノトス・オルガノン
【神音】
友人のリリスティアと
海、か…
見るのは何度も見てきたが…入るのは、これが初めて、だな…
だが、ティアが楽しそうなら、良かった

…怖くは、ない
ほ、ほんとだぞ…!
ただ、苦手な、だけで…それに、息も出来ると言うしな
…あぁ、一緒に、行こう

内心びくびくとしながら、恐る恐る、身体を海に沈めて

驚き、楽しむティアの姿を見ながら、こちらも微かに、心を踊らせて
海の中の景色は、こんなにも美しいんだな…
楽園、か…確かに、そう思えてくるよ

教会に至る道を魚達と共に往こう
辿り着いたそこはいつも過ごしている教会とはまた違った空気に満ちていて

願い事、か…
…私の大事な人々が、どうか満ち足りた日々を過ごせます様に…かな


リリスティア・ヴィオーラ
【神音】
海は初めて見る
なんて広くて。大きいの
どこまでも続いてる…心が、震える

…ノトス…だいじょうぶ?こわい?
ティア。傍にいる、よ
何かあったら魔法で守ってあげる
一緒に。行こ

驚くのは独特の浮遊感
…御本で読んで想像してたより。ずっと明るい
水面の空に陽が揺らめいて
コバルトブルーとエメラルドのグラデーション
お魚たくさん…皆で踊っているようだわ
まるで、楽園…

辿り着いた聖域の美しさに暫し見惚れ
ここには…どんな神がいたのかしら
ノトスは。願い事…ある?

…貴方らしい。優しい願い事
ティアは…いつも祈られる側だったから。あんまり思いつかない
でも。今日はとっても久しぶりに楽しい。から
ノトスも楽しい一日だったら。いいな



 夏空の下に延々と広がるいろは、見渡す限りの青。
 その彩はキラキラと輝きを纏っていて。
 寄せては返す波がひやりと足元を撫で、足跡を消して星砂を静かに攫っていく。
 そんな波の様に緩い曲線を描く白銀を海風にそっと靡かせながら。
(「なんて広くて。大きいの」)
 眞白に只唯一在る燦く菫月のいろに、初めて見る青を重ねれば。
 リリスティア・ヴィオーラ(天泪・f26999)の心は震える。どこまでも続いている広大な海を眼前にして。
 そんなリリスティアと共に歩きながら。
「海、か……」
 ぽつりと呟きを落とし、夏の海を見遣るのはノトス・オルガノン(白百合の追走歌・f03612)。
(「見るのは何度も見てきたが……入るのは、これが初めて、だな……」)
 それから隣でキラキラと瞳を輝かせ海を眺めている彼女の様子に、そっと青の瞳を細める。
 ……だが、ティアが楽しそうなら、良かった、って。
 そして、そんな彼へとふと視線を移したリリスティアは、微かに首を傾け訊ねる。
「……ノトス……だいじょうぶ? こわい?」
 聞こえた呟きが、不安気な響きを宿していたから。
 そんな彼女の言葉に、ノトスは一瞬だけ瞳を瞬かせるけれど。
「……怖くは、ない。ほ、ほんとだぞ……!」
 ただ、苦手な、だけで……そう続いた言葉に、リリスティアは笑んで。
「ティア。傍にいる、よ。何かあったら魔法で守ってあげる」
 ノトスは彼女に、こくりと頷き返す。
 正直、苦手意識はあるけれど……海の中と言えど息も出来るようであるし。
 何より、リリスティアのヴァイオレット色の月が、楽しそうに輝いているから。
「……あぁ、一緒に、行こう」
 彼女と共に、海の中へ。
 広がる青のいろにその身を任せてみれば……驚くのは独特の浮遊感。
 いや、驚いたのはそれだけではない。
「……御本で読んで想像してたより。ずっと明るい」
 水面の空に揺らめいては輝く陽の光、コバルトブルーとエメラルドのグラデーション。
 そんな海の中を悠然と泳ぐ、海に棲む生物たち。
「お魚たくさん……皆で踊っているようだわ」
 そう、目の前に広がる光景は――まるで、楽園……。
 ノトスも内心びくびくとしながら、恐る恐る、身体を海に沈めれば。
 海中世界を驚き楽しむ隣のティアの姿を見つめつつも。
「海の中の景色は、こんなにも美しいんだな……」
 同じ様に、微かに、その心を踊らせる。
「楽園、か……確かに、そう思えてくるよ」
 彼女と一緒に、幻想的な風景を眺めながら。
 それからふたり、魚達と共に、魔法の花咲く海底の道を辿って。
 至った先に佇むのは、いつ何処から落ちて来たのかは分からない、海底の教会。
 その中に足を踏み入れれば、そこはノトスがいつも過ごしている教会とはまた違った空気に満ちていて。
 辿り着いた聖域の美しさに暫し見惚れていたリリスティアは紡ぐ。
 ――ここには……どんな神がいたのかしら、って。
 それから、ステンドグラスの彩が数多降り注ぐ祭壇の下で、こう彼に訊ねてみる。
「ノトスは。願い事……ある?」
「願い事、か……」
 ノトスはそう呟きを落とした後、心に描く願いを奏でる。
 ……私の大事な人々が、どうか満ち足りた日々を過ごせます様に……かな、って。
「……貴方らしい。優しい願い事」
 リリスティアはノトスが奏でたその願いに、燦く瞳を柔く細めるけれど。
「ティアは……いつも祈られる側だったから。あんまり思いつかない」
 馳せられ聞き届けてきた、数多の祈り。
 それをいざ己が祈り願う側となれば、すぐには、何を馳せていいか分からない。
 ……でも。
(「今日はとっても久しぶりに楽しい。から」)
 リリスティアは隣の彼を見つめ、そして思う。
 ――ノトスも楽しい一日だったら。いいな、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

憂世・長閑
巴(f02927)と

教会――って、オレ、来るのはじめてだっ

オレのお祈りしたいことかぁ
(オレが祈ることがあるなら――
それは……)

(あれ)

オレが、ちゃんとオレでいられること…
巴、オレな、それだけなんだ。本当は
(主様が好きでいてくれたオレでいること
なのに)

でも今はこうやって巴と過ごすことも楽しい
幸せだって思う

不思議

ありがとう
そうやって言って貰えることが嬉しくて
オレも巴のこと、だいすきっ
(それは不思議じゃないって分かる
きっと、一緒に過ごした時間がそうさせたから)

あっ。なあ、巴のお願いごとは?
聞きたいっ

巴。巴は巴で、それからお月さまだよ
でも、ありがとうっ

ね、巴
もう一回
外の、海を一緒に歩きにいこうっ


五条・巴
長閑(f01437)と

長閑は教会が初めてなんだ?
僕は数回だけね。来たことがあるよ。
でも、こんな幻想的な教会を見るのは初めて。
天然アクアリウム、涼やかで美しい世界
目的地までの道中もしっかり堪能して

教会は祈りをささげる場所
長閑は何をお祈りする?

うん
長閑が、長閑であること

少し困惑するような、でも「それだけ」の言葉通り、
澄んだ瞳で僕を見る。

どんな長閑だって僕は好きだよ。

長閑が楽しそうにしてるところを見れて
長閑が僕と笑ってるところを見れて
僕も幸せ。

僕の願い?
そうだなあ、月になりたい。は今日は置いておく
今日みたいにまた一緒に長閑と楽しく過ごせますように。

これが今の僕の願い

ふふ、いいね。
一緒に歩こう



 夏の花が咲く海底から見上げれば、空の様な海を泳ぐ魚たち。
 一面青の色で満ちた世界は、涼やかでそして美しくて。
 五条・巴(照らす道の先へ・f02927)は、そんな道中の天然アクアリウムも確り堪能しつつ。
 辿り着いたのは、海底の道の終着点――海に沈んだ教会へと足を踏み入れる。
「教会――って、オレ、来るのはじめてだっ」
 巡らせるピンクのいろに、煌めく青の景色を映しながら。
 言った憂世・長閑(愛し秉燭・f01437)に、巴は柔く笑んで返す。
「長閑は教会が初めてなんだ? 僕は数回だけね。来たことがあるよ」
 ……でも、こんな幻想的な教会を見るのは初めて、って。
 それから、初めてだという彼に教えてあげた後、訊ねる。
「教会は祈りをささげる場所。長閑は何をお祈りする?」
「オレのお祈りしたいことかぁ」
 巴の声にふと首を傾けつつも、長閑は心にそっと描く。
(「オレが祈ることがあるなら――」)
 ――それは……。
(「あれ」)
 長閑は顔を上げ、自分の答えを待っている巴へと、こう紡ぐ。
「オレが、ちゃんとオレでいられること……巴、オレな、それだけなんだ。本当は」
 自分がちゃんと自分でいられる、祈ることがあるとすれば、ただそれだけで。
 それは、すなわち。
(「主様が好きでいてくれたオレでいること、なのに」)
 巴は、少し困惑するような、でも「それだけ」の言葉通りに。
 澄んだ瞳で自分を見る彼へと、ひとつ頷いて返す。
「うん。長閑が、長閑であること」
 けれど、心に湧いてくる思いは、他にもあって。
「でも今はこうやって巴と過ごすことも楽しい。幸せだって思う」
 ――不思議。
 それだけ、のはずなのに。今、心に生じている自分の気持ちに、長閑はそう呟きを落として。
 巴は、彼へと告げる。
「長閑が楽しそうにしてるところを見れて、長閑が僕と笑ってるところを見れて。僕も幸せ」
 ――どんな長閑だって僕は好きだよ、って。
 長閑も、そうやって言って貰えることが嬉しくて。
 ありがとうって、自然と出た言葉と一緒に、笑って返す。
「オレも巴のこと、だいすきっ」
 長閑には分かるから。それは不思議じゃないって。
(「きっと、一緒に過ごした時間がそうさせたから」)
 それからふと思い出したように、今度は巴に訊ねてみる。
「あっ。なあ、巴のお願いごとは? 聞きたいっ」
「僕の願い? そうだなあ」
 ……月になりたい。は今日は置いておいて。
 巴は鮮やかな彩が降るステンドグラスの下、教会の祭壇で口にする。
「今日みたいにまた一緒に長閑と楽しく過ごせますように」
 ――これが今の僕の願い、って。
「巴。巴は巴で、それからお月さまだよ。でも、ありがとうっ」
 そう言ってから長閑は大好きで綺麗なお月さまを、海色の空へと再び誘う。
「ね、巴。もう一回、外の、海を一緒に歩きにいこうっ」
 そんな誘いの声に、巴は楽し気に笑み零し頷いて。
「ふふ、いいね。一緒に歩こう」
 再びふたり、顔を見合わせて笑いあう。
 目の前の相手が笑ってくれて、自分も笑い返せる。そんな今が、幸せだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

呉羽・伊織
ぴよこと亀と水入らずの水遊び(?)――しにきたハズが


そんな予感はしてたんだケドネ?(亀にぐいぐい誘導された先には、教会)
まってまだ心の準備が…いや違う!
此処はうら若き亀にはまだ早いかな~って保護者としては思うのヨ(あくまで保護者主張)

それよりこの前仲良くなったお友達いるでしょ?皆とまた遊ぼ?
ほら、清史郎やウェリナもいるし!
ぴよこにも花冠作ってあげるからな~…って置いてかないで亀とオレはぴよこも愛してるからネ!(色々叫ぶも、ふよふよぴよぴよ二人にじゃれにいった雛に放置され遠い目)
ハハハ
そーいや二人は何か誓ってみた?

(言葉には表さずも、ひっそり心内で色々な決意を改めて強めた――のは此処だけの話)



 夏の海で、ぴよこと亀と水入らずの楽しい水遊び――を、しにきたハズだったのに。
「……そんな予感はしてたんだケドネ?」
 呉羽・伊織(翳・f03578)は、亀にぐいぐい誘導された先に見え始めたそれに、そう呟きを落とさずにはいられない。
 そう、そこはロマンティックな海のお花畑を抜けた先にある、海底の教会。
「まってまだ心の準備が……いや違う!」
 めちゃめちゃキラキラ期待した瞳で自分を見つめる亀から目を逸らす伊織だけど。
 助けの視線を向けたぴよこは、相変わらずの呆れ顔。
 その間も、ぐいぐい教会へと急かす亀に、伊織は言って聞かせる。
「此処はうら若き亀にはまだ早いかな~って保護者としては思うのヨ」
 あくまで保護者を主張しつつ。
 けれど、今こそ恩返しの時といわんばかりに、もう教会しか見えていない亀に。
 伊織は、再び見つけたさらなる助け船に縋るように、めげず説得を。
「それよりこの前仲良くなったお友達いるでしょ? 皆とまた遊ぼ?」
 ――ほら、清史郎やウェリナもいるし! って。
 そんなふたりは、伊織と亀を交互に見遣ってから。
 亀さんの幸せそうなキラキラした瞳を見て、空気を読む。
「成程そうか、では俺達は邪魔にならぬよう、花でも愛でておこうか」
「かめさん、おしあわせに、なのです!」
 そんなふたりに、いや待ってソレ誤解ダヨ!? と首を大きく振りつつも。
「ぴよこにも花冠作ってあげるからな~……って置いてかないで亀とオレはぴよこも愛してるからネ!」
 色々叫ぶも、ふよふよぴよぴよ。
 清史郎やウェリナにじゃれにいったぴよこに放置され、遠い目になる伊織。
 それから、ぐいぐい積極的な亀に誤魔化し笑いをしつつ、伊織はこうふたりに訊ねてみる。
「ハハハ、そーいや二人は何か誓ってみた?」
「いや、これから教会に向かおうかと思っていたが」
「リナたち、じゃましないのです!」
 ……だから違うからネ!?
 微笑ましく見守る様に気を使ってくれる友人たちに、置いて行かないでと懇願しながらも。
 言葉には表さずも、ひっそり心内で色々な決意を改めて強めた――なんていうのは、此処だけの話。

大成功 🔵​🔵​🔵​

花色衣・香鈴
「うう、早くお仕事終わらせないと…」
呼吸が出来ることは有難いけど、共生している植物たちは潮に強くない
植物たちが嫌がる意思は、わたしの体を悪心として蝕むから
「前に来た時はそうでもなかったのに…」
自分の事なのに未だにわたしは自分の体の事情がよくわからない

「ん、と…どれがいいかな…」
1人1つならなるべく大きな方がいい
玉手箱は小さい方が正解だと言うけれど
これは世界中に散らばる綺麗な物を服や装身具や武具なんかに組み込むことが生業の人に納品する物だから

真珠貝を抱えたまま教会を遠くから見つめる
「……坊ちゃん」
お仕えしたかった人
もう叶うことはない
わたしは遠くなく死ぬ筈だから
嗚呼、想いを此処に置き去りにできたら



 海の底に咲く夏の花の魔法の恩恵を受けながら。
 花色衣・香鈴(Calling・f28512)がその青に沈んだ目的は、遊びではなくて。
「うう、早くお仕事終わらせないと……」
 そう、仕事のため。
 呼吸が出来ることは有難いのだけれど。
 元々海の底に咲いている花とは違い、彼女と共生している植物たちは潮に強くなくて。
 植物たちが嫌がる意思は、少女の体を悪心として蝕むから。
「前に来た時はそうでもなかったのに……」
 ぽつりと、思わずそう呟きを落とす香鈴。
 そして微かに首を横に、ふるりと振る。
 ――自分の事なのに未だにわたしは自分の体の事情がよくわからない、って。
 けれども、眼前に広がる花畑に、気を取り直して目を向ければ。
「ん、と……どれがいいかな……」
 早速今回の目的である、仕事に取り掛かる。
(「1人1つならなるべく大きな方がいい。玉手箱は小さい方が正解だと言うけれど――」)
 けれどこれは、自分のものにするための宝箱ではない。
(「これは世界中に散らばる綺麗な物を服や装身具や武具なんかに組み込むことが生業の人に納品する物だから」)
 香鈴は共生している植物たちのためにも、なるべく手早く、大きいものを見繕っては拾って。
 手にした真珠貝を抱えたまま、遠くから見つめるのは――海底の教会の姿。
 そしてふと、こう紡ぐ。
「……坊ちゃん」
 それは――お仕えしたかった人。
 そして、もう叶うことはないもの。
(「わたしは遠くなく死ぬ筈だから」)
 香鈴は静かに佇む教会を見つめ、遠くからそっと、想いを馳せることしかできない。
 ――嗚呼、想いを此処に置き去りにできたら、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

英比良・與儀
ヒメ(f17071)を誘って

お前、こういう水族館みたいなのは好きそうだよな
呼吸も会話もできるのは不思議だ
花も色々ある、か。綺麗に咲いてんのは見てるだけでいい
昼も昼でいいが、夜もまた不思議だな
夜光虫も気侭に飛んでて、見ていて楽しい

ゆるゆる歩きながら風景眺めつつ教会に
そういえばお前、海の見える教会でとかなんかいってたよなァ…
この教会にいる神はどんな奴だったんだろうな
まぁ見知らぬやつになんか言ったり誓うなんてことはする必要ねェよな
お前がなんか誓ったり願ったりするなら、俺にだろ
お前も神なんだから変な感じはするけどな
神じゃなくて、主としてなら何でも聞いてやるよ
くだらねェ事なら、蹴飛ばしてやるけどな



 夜の海の底は、暗くて静かなものかと思っていたけれど。
「すげェ! ほら與儀もっ」
「お前、こういう水族館みたいなのは好きそうだよな」
 いちいち魚や海の生物を見つけてははしゃぐ予想通りの京杜の姿に、英比良・與儀(ラディカロジカ・f16671)はそう湛える花浅葱を細めながらも。
 ぐるりと視線を巡らせてみる――呼吸も会話もできるのは不思議だ、と。
 水は、與儀にとって何よりも身近なもので。神として意のままに操れるもの。
 けれど、その中に咲き誇るいろは珍しくて。
 ……花も色々ある、か。
 そう綺麗に花咲く海の底の風景を見て楽しみながら、ゆるゆると従者と共に海の道を歩いてみる。
 そして、京杜と共に辿り着いたのは――海底に沈んだ教会。
 中に入れば、漂う空気は澄んでいて。厳かな雰囲気は何処か心地良く。
「そういえばお前、海の見える教会でとかなんかいってたよなァ……この教会にいる神はどんな奴だったんだろうな」
 ふとそう思い出し言った與儀に、そういえばそんなこと言ったな、なんて返す京杜。
 けれど、そんな隣の呑気な従者も神であるから。
「ここにいた神はどんな奴かはわかんねェけど……悪い奴じゃなかったと思う」
 この教会が纏う空気は綺麗で澄んでるから、と。
「それに、人々の願いとか祈りとか、たくさん聞いてたんだろ? その神って」
 それから、願い事か……なんて呟きつつ、何かを考えるような仕草をする京杜を見上げて。
 與儀はこう紡ぐ。
「まぁ見知らぬやつになんか言ったり誓うなんてことはする必要ねェよな」
 ――お前がなんか誓ったり願ったりするなら、俺にだろ、って。
「お前も神なんだから変な感じはするけどな」
 それから與儀は、神としてではなく。
 ひとりの主として、己の守護者へと、慈しみ溢れたいろを向ける。
 ――神じゃなくて、主としてなら何でも聞いてやるよ、って。
 そんな主を京杜は見つめて。
「……與儀。俺は――」
 何かを紡ごうとしたけれど。いや、とすぐにふるりと首を横に振る。
 そして、何だよ、と自分を見上げる主をちらりと見てから。
「え? えっとな……じゃあ、鍋が古くなったから買い替えてほし……痛っ!?」
 くだらねェ事願うなと、げしいっと京杜に蹴りを入れる與儀。
 それから、そのくらい願わなくても買ってやるし、なんて言いながらも。
 もっと何かと、そう密かに與儀は思うのだけれど――ほらいくぞ、と従者を促す。
 ……それを欲しがらないのもこいつか、なんて見つめながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紹・羅沙
【分福堂】
海の中、涼しくて最高アルネ!
魚の餌持て来たヨ。魚もともと集めるネ
絡むタコ、縋るタコ、タコのおねだりショータイム
情熱的な女性キライじゃないアル
何匹かにラファンを紹介。ワタシよりイケメーン!
離れた場所に餌を撒きクラゲとタコおびき寄せアル
教会目指してスタコラサ
見学中はお静かにするヨ
さっき思たネ。コッコさんの翅、魚のヒレみたいで綺麗アル
知てるカ?太陽の光には色がないアル
一緒にいるとポカポカなるコッコさんの翅は陽だまりの色アル
願い事、そうネ。女の子にモテモテなりたいアル

帰り道で貝殻を拾って帰ろうと思ってたヨ
だから、コッコさんの貝殻すごく嬉しいネ
感動で涙ちょちょぎれヨ
家宝にして大事にするアル!


ラファン・クロウフォード
【分福堂】
羅沙とコッコさんと共に
咲き誇る夏の花々に季節を感じて教会への道のりを歩む
色鮮やかな魚の群れに表情も気持ちも綻ぶな
海の中がこんなにも美しく賑やかだとは思わなかったよ
虹色のクラゲがいるのか!
コリコリとした食感が美味いんだよな、クラゲ
いや、食べないよ。二人とも触手に気をつけて
コッコさんは小さいから、安全な場所まで腕で抱えるようにして保護するよ

教会のステンドグラスの見事さに見惚れる
気持ちを言葉にできないのがもどかしいな
神殿とはまた違った厳かな空気が心地よい
人生を旅にたとえる事もある、ならば捧げる祈りは

すべての旅に多くの祝福があらんことを
今日を共にした二人との縁が末永く続くように 


コッコ・キキルカ
【分福堂】
アドリブ、絡みOKです

時間は、昼頃
羅沙様、ラファン様と海底を散策です
白い砂、夏の花々、故郷の浜辺の景色にどこか似ていて懐かしい
故郷では異質な色の無い透き通った蝶の翅。恥ずかしい翅
今は思いきり羽ばたきたい。つい舞い上がり飛び回ってしまいます
見つけた虹色の花畑をお二人にも見せたくて
花に顔を近づけたら虹色のクラゲの群れでびっくり
慌てて逃げ戻って笑ってしまったり
海中という事で少し怖かったけれど、とても素敵な場所ですね
教会の中もどこもかしこも煌めいていて
ため息が出るくらいに綺麗
お二人は何を祈られましたか?
ボクは……内緒です(真っ赤)
飛び回った時に拾った貝殻をお二人に、今日のお礼に渡します 



 海底の教会まで続く道のりは、キラキラ昼の陽光が降り注ぐ海の中のお花畑。
 ラファン・クロウフォード(泡沫の神殺し・f18585)は、ゆらり海の底で揺れ咲き誇る夏の花々に季節を感じつつも、ふたりと並んで海の道を歩く。
 いや、海をゆくのは自分達だけではない。
「海の中がこんなにも美しく賑やかだとは思わなかったよ」
 すぐ目の前を通り抜けていく色鮮やかな魚の群れを見れば、思わず綻ぶ表情や気持ち。
「海の中、涼しくて最高アルネ!」
 紹・羅沙(白漠の帽蛇・f12083)は直接太陽が降り注ぐ地上から、ひやり水の世界へと潜ったその涼しさに笑みつつ。
 持ってきたのは、魚を集めるための餌。
 そしてゆうらりやってきたのは、魚……だけではなく、タコ!?
「情熱的な女性キライじゃないアル」
 絡むタコ、縋るタコ、タコのおねだりショータイム。
 そしてそんな情熱的な海の女性たちに。
「彼はラファンアル。ワタシよりイケメーン!」 
 ラファンを紹介する羅沙?
 そしてぱらり、離れた場所に餌を撒いて、クラゲとタコをおびき寄せてみる。
 そんなふたりと共に、天然アクアリウムを堪能するのは、コッコ・キキルカ(自由に渡る翼・f22224)。
 白い砂、夏の花々――その光景は、故郷の浜辺の景色にどこか似ていて。懐かしい、ってそう感じるし。
 今は思いきり羽ばたきたいって、コッコはそう思う。
 故郷では異質な色の無い透き通った蝶の翅。そんな故郷では恥ずかしい翅で、でもいつもみたいに前を向いて。
 そしてつい舞い上がってしまって、優しい花の香を纏った琥珀色の翅で海のお花畑を飛び回れば。
「見てください、素敵なお花畑が……あっ」
 見つけた虹色の花畑をお二人にも見せたくて、花に顔を近づけたら――虹色のクラゲの群れでびっくり。
 慌てて逃げ戻ってしまったけれど、思わず笑ってしまって。
「海中という事で少し怖かったけれど、とても素敵な場所ですね」
 そんな小さなコッコを保護しつつも。
「虹色のクラゲがいるのか!」
 ラファンは羅沙の餌につられたのか、ふわり海の空に浮かぶ虹色の群れに目を遣って。
「コリコリとした食感が美味いんだよな、クラゲ」
 思わずそう呟くけれど。すぐにこう、付け加える。
「いや、食べないよ。二人とも触手に気をつけて」
 そんな沢山の海の生物や花たちで彩られた天然アクアリウムを、皆で楽しく進めば。
 辿り着いたのは、海の底に沈んだ教会。
「どこもかしこも煌めいていて。ため息が出るくらいに綺麗」
 そうほうっと思わず感嘆の息を漏らし、ひらり祭壇へと向かうコッコへと視線を向けて。
 スタコラサとやって来た教会を見学中はお静かに、と大人しくしている羅沙はこう口を開く。
「さっき思たネ。コッコさんの翅、魚のヒレみたいで綺麗アル」
 そして琥珀を宿すその翅を見つめ、続ける。
「知てるカ? 太陽の光には色がないアル」
 ……一緒にいるとポカポカなるコッコさんの翅は陽だまりの色アル、って。
 そして降り注ぐ光は、ステンドグラスの様々な彩に染まって。
 そんな祭壇の見事なステンドグラスに、思わず見惚れるラファン。
「気持ちを言葉にできないのがもどかしいな」
 そんな中、ラファンは心地良さに紫の瞳を細める。神殿とはまた違った厳かな空気に。
 それから3人は、祭壇にそれぞれ、願いや祈りを馳せてみることに。
(「願い事、そうネ」)
 ……女の子にモテモテなりたいアル。
 そんな男としての素直な願いを馳せる羅沙の隣で。
(「人生を旅にたとえる事もある、ならば捧げる祈りは」)
 ――すべての旅に多くの祝福があらんことを。
 今日を共にした二人との縁が末永く続くように、と。 
「お二人は何を祈られましたか?」
 コッコも祈りを馳せて、そうちらりとふたりを見上げるけれど。
「ボクは……内緒です」
 何を祈ったのか……それは、秘密。
 そう、顔を真っ赤に。
 それから祝福の光かのように、キラキラと煌めきが降り注ぐ中で。
 気を取り直し、コッコがふたりへと差し出したのは―ー今日のお礼。
「ありがとう、コッコさん」
「帰り道で貝殻を拾って帰ろうと思ってたヨ。だから、貝殻すごく嬉しいネ」
 それは、飛び回った時に拾った貝殻。
 感動で涙ちょちょぎれヨ、とそう羅沙は笑みながら。
 貰った手の中の今日の思い出を嬉し気に見つめ、続ける。
 ――家宝にして大事にするアル! って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

火狸・さつま
コノf03130と夜の海

海の中のお花畑…!!
そこは幻想的な輝きもあって、それはそれは
綺麗ー!!!
しっぽをいつもの調子で振りたくれば水の中
こ、コノ~~
ひゅーーーっと進んでは慌ててコノの元へ戻る

花を踏んだり傷つけたりしないよう細心の注意を払いつつ
香りとか、するの、かな?
ぐぐっと顔を近付ける
あ!ね、ね、貝!真珠貝、探して、みよ?
良いのが見つかったら、コノにあげようと、わくわくきょろきょろ

好きと聞き、しっぽプロペラ回転でコノの元へ
交換!する!!(ぱぁあ)
コノに渡すなら、まんまるも良いけど、星やハートも良いな…変わり種で狐形とか!
なんて喜ぶ姿想像してにこにこしっぽぱたぱたひゅーん
ランプで照らし懸命に探す


コノハ・ライゼ
たぬちゃん・f03797と
夜の海へ

あら、綺麗ねぇ
夜光虫や彼方上から届く光に目を細め
燥いでプロペラのごとく振れる尻尾にも思わずクスクスと笑いを溢す
はいはい、迷子にならねぇようにネ

うろうろしまくる大きな仔狸を横目に
飽きる事なく不思議な空間を眺める
そよぐ花は店の雰囲気の
鮮やかな魚の群れは盛り付けの参考になりそう
わ、今すぐそこ横切ったデカいの
食べごたえあって美味しそう……って、真珠貝?

そういえば色んなのがあるって言ってたねえ
真珠は淡く虹色に輝くから好きよ、見付けたら交換しちゃう?
周囲に向けてた目を海底に移すも、焦る事なくゆっくりのんびり
ふふ、きっと真ん丸狸みたいな可愛いのが見付かるわ



 夜の海の底は、暗いものかとそう思っていたけれど。
「あら、綺麗ねぇ」
 海の底から見上げた深い青を照らすのは、仄かな夜光虫の輝きや彼方上から届く光。
 そんな幻想的な煌めきに目を細めていたコノハ・ライゼ(空々・f03130)だが。
「海の中のお花畑……!!」
 海底に咲く色とりどりの夏の花に輝きを添える、幻想的な光。
 それはそれは、とても――。
「綺麗ー!!!」
 火狸・さつま(タヌキツネ・f03797)はもふもふ尻尾を、いつもの調子でぶんぶん振りたくって。
 燥いでプロペラのごとく振れる尻尾にも、思わずクスクスと笑いを溢すコノハ。
「はいはい、迷子にならねぇようにネ」
 そんな言葉に、お耳もピンッ。
「こ、コノ~~」
 ひゅーーーっと進んでは慌ててコノハの元へ戻るさつま。
 いくら綺麗な景色でも、コノハと離れて迷子になるのはいやだから。
 けれどやはり、好奇心旺盛な青い瞳は、うきうきそわそわ。
 花を踏んだり傷つけたりしないよう細心の注意を払いつつ、そうっとさつまはお花畑に近づいて。
「香りとか、するの、かな?」
 ぐぐっと顔を近付けて、試しにくんくん。
 そんなうろうろしまくる大きな仔狸を横目に。
 コノハも飽きることなく、薄氷の瞳に不思議な空間を映して。
(「そよぐ花は店の雰囲気の、鮮やかな魚の群れは盛り付けの参考になりそう」)
 古風な居酒屋の見目を被った無国籍バルの参考にと眺めていれば。
「わ、今すぐそこ横切ったデカいの、食べごたえあって美味しそう……」
 料理人として、はたまた食に対する本能で? そう思わず大きな獲物に目を惹かれるけれど。
「あ! ね、ね、貝! 真珠貝、探して、みよ?」
 良いのが見つかったら、コノにあげよう、って。
 わくわくきょろきょろするさつまの声に、コノハは瞳をぱちくり。
「……って、真珠貝?」
 それからふと聞いた話を漸く思い出す。
「そういえば色んなのがあるって言ってたねえ。見付けたら交換しちゃう?」
 ――真珠は淡く虹色に輝くから好きよ、って。
 好き。
 そんな彼の言葉に、ぴくりとさつまのお耳が反応を示せば。
 しっぽぶんぶんプロペラ回転で再びコノハの元へと戻ったさつまは、ぱぁあと表情を輝かせて。
「交換! する!!」
(「コノに渡すなら、まんまるも良いけど、星やハートも良いな……変わり種で狐形とか!」)
 コノハが喜ぶ姿想像すれば、ぐぐっと気合いも十分。にこにこしっぽぱたぱたひゅーん。
 頑張ってランプで照らしながら、さつまは懸命に宝探しを。
 そしてコノハも、周囲に向けていた目を海底へと移すも。
 焦る事なくゆっくりのんびり、同じく真珠の宝探しを始めてみる。
 ――ふふ、きっと真ん丸狸みたいな可愛いのが見付かるわ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

宵鍔・千鶴
【朔夜】

海の底に沈む花は
夜光虫とランプがそうっと燈して
宵海に靜かに揺らめき躰ごと融解してゆく心地
まるで俺も魚になった気分
怖くないよ、刻、此処は寧ろ地上よりも息がしやすい

警戒無く挨拶を交す極彩色の魚達に
ふわふわ一緒に游いでみたり
わ、イルカだ…!
うんうん、可愛いね。イルカね
一寸吃驚しただろ、もう…
片言に成る位、彼がイルカに夢中なのだと思わず噴き出し

合間に見つけた宝箱
真珠の彩は、さあ何だろう?

海底に在ろうと厳かに聳える教会は
――噫、いつか、の
捨てた願いと朽ちた誓いは未練がましく留めて
聲は未だ聴こえるけれど
傍らの彼と交わるは視線
膝を折り誓う代わり歌を紡ぐ
神に誓うは愛しき者へ葬送と
違えぬための決意をと


飛白・刻
【朔夜】

己より少し識るであろう千鶴に
恐れた夏に触れてみたいと我の儘を
言えど誘えたは夜夏の海

水中花と夜光虫の恩恵受ける海中へと
先に海へと委ねる心地良さそうな様と
掛かる声に強ばる思考を解かしゆく

海もそこに生きる物も初の己には真新しく
悠々と游ぐイルカへいつしか興味は一点集中
大きくも愛らしい眼と体躯のその姿に
千鶴、可愛いぞ
肝心の主語が無いことには気付かず

記憶のひとつに宝探し
さあ何を魅せてくれるのか

やがて辿り着く海底の教会
互いこの光景に似た景色を識っている
視線だけを交わし語らずの沈黙を
抱ゆる想いとて違い
消えぬ過去と傷を抱えて進み行く
願い誓いを先求むまでに近付けて居るだろうか
それでもいつかは光届けばいいと



 季節は巡り、今は夏。
 けれどその季節を畏怖しても、興味とそれはまた別物で。
 飛白・刻(if・f06028)は、己より少し識るであろう宵鍔・千鶴(nyx・f00683)にこんな我儘を。
 恐れた夏に触れてみたい――と。
 とはいえやはり誘えたは、夜夏の海であったのだけれど。
 夜の海は思いのほか数多光が降っていて。
 海の底に沈む花を、仄か光る夜光虫と握るランプでそうっと燈して。
 ゆうらり、宵海に靜かに揺らめけば、融けて解けてゆく不思議な心地。
 まるで俺も魚になった気分、そう揺れる水底に身を預けながらも。
「怖くないよ、刻、此処は寧ろ地上よりも息がしやすい」
 そうまだ若干強張っている様子の彼へと、声を。
 咲いては揺れる水中花の花畑や夜光虫の光の恩恵を受ける、そんな海中にて。
 先に海へと委ねる心地良さそうな様と届いた声に、刻の思考も次第に解れ溶けてゆく。
 そして、ちょんちょんと。警戒無く挨拶交す極彩色の魚達と共に、ふわふわ千鶴が一緒に游いでいれば。
「わ、イルカだ……!」
 見つけたのは、くりくりおめめなイルカさん。
 海もそこに生きる物も、刻にとっては初めてのものばかりで真新しいのだけれど。
 悠々と游ぎ、大きくも愛らしい眼と体躯のその姿。
「千鶴、可愛いぞ」
 いつしか刻の興味は一点集中――肝心の主語が無いことにさえ気付かずに。
「うんうん、可愛いね。イルカね」
 一寸吃驚しただろ、もう……なんて零しつつも。
 千鶴は思わず噴き出してしまう。片言に成る位、彼がイルカに夢中なのだとわかって。
 それから頭上を游ぐイルカや魚から、ふと足元へと視線を移せば。
 ――さあ何を魅せてくれるのか。
 ――真珠の彩は、さあ何だろう?
 合間に楽しむ宝探し。見つけた小さな貝の宝箱をそうっと開いてみれば。
 何方も真白に微か宵色宿る、月が流した泪のような。双子の如き、ふたつのしずく。
 そして辿り着いた海の道の終着点。
 何処かから落ち、此処に沈んだ今も、海底にて厳かに聳えるその教会は。
 ――噫、いつか、の。
 互いにこの光景に似た景色を、識っている。
 ……捨てた願いと朽ちた誓いは未練がましく留めて、聲は未だ聴こえるけれど。
 言の葉は敢えて無く、傍らの彼と交わるは視線のみ。
 そして膝を折り、誓う代わり紡がれる千鶴の歌を聞きながら。
 ……抱ゆる想いとて違い、消えぬ過去と傷を抱えて進み行く。
(「願い誓いを先求むまでに近付けて居るだろうか」)
 神に誓うは愛しき者へ葬送と、違えぬための決意をと……そう千鶴が心響かせる中。
 刻は祝福の如き煌めき降る、深い宵色の底で思う。
 ――それでもいつかは光届けばいい、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

佐那・千之助
クロト(f00472)をいざない
蒼の静寂へ沈む

慣れぬ海なら手を引こうか
それとも水面の煌きが恋しかろうか
迷い、眺め
繋がって

常に武装を怠らぬ彼が今は無防備な姿
花と泡の淡い光に包まれ、無垢で
綺麗…と

祭壇のもと、彼の手へ真珠を一粒
え…お礼?
予想外のお揃い
来てくれて礼を言うのは私の方なのに
嬉しい…ありがとう

私のは、お祝い
少し気が早いが
誕生日おめでとう、クロト
クロトの生に、溢れる歓びと祝福を

天の光に焦がれていたから
月のしずくと称される真珠を
ひかりはいつも傍に

先刻、彼が愛でた花
あれは名のない花かもしれぬ
そうだとしてもそれが何か
懸命に咲く姿はいとおしく
唯一の宝たる命

未だ見ぬ先を、ともに見よう
涯てまで続く約束を


クロト・ラトキエ
千之助(f00454)に伴われたみなそこ
花無くば呼吸すら叶わぬ世界
命を守るには心許ない水着
何もかもが不慣れで…
なのに不安なんて無い
理由は当然――

癖で水面へ伸ばしかけた手
けれど今は、彼へ
繋いでいて

静寂の蒼の中
不思議な花…と触れてみたり
己には非日常に過ぎて
綺麗ですね、と
素直に肯いていたり


――忘れ得ぬ日をありがとう
目的地で
礼にと、真白の珠抱く貝を彼へ

図らずも交換会?
え、違う?

生まれも名も素性も知らぬ己
…なのに
授かった月の雫も
降る言の葉にも
泣きそうで…
けど大切に抱いて笑む

癖となる程
光に焦がれ手を伸ばしてた
今、幸福は此処にある
優しく心蕩かす…君が無二のひかり

共に見ていきたい
約束なら
涯ての向こうまでだって



 沈んだ先の蒼の蒼の静寂、伴われた水底は。
 クロト・ラトキエ(TTX・f00472)にとっては、何もかもが不慣れ。
 海底で揺れる魔法の花無くば、呼吸すら叶わぬ世界。
 命を守るには心許ない、軽装備にも程がある水着姿。
 けれども、その心に不安なんてものは無い。
 そしてその理由は、当然――そう、クロトには分かっている。
 癖で水面へと一度は伸ばしかけた手だけれど。
(「慣れぬ海なら手を引こうか。それとも水面の煌きが恋しかろうか」)
 そう彼の手の行方を眺め、迷っていた佐那・千之助(火輪・f00454)であるけれど。
 けれど今は、と……彼がその手を伸ばし繋いでいるのは、己の掌。
 そして静寂の蒼を彩る夏の花たちを見つめて。
 不思議な花……とそっと触れてみたりしながらも。
「綺麗……」
 そう聞こえた千之助の声に、クロトは素直に肯く。
 綺麗ですね、と――己には非日常に過ぎるいろに。
 千之助はそんな姿を見つめ、やはり思わず落とした呟き通り、改めてその心に思う。
 常に武装を怠らぬ彼が、今は無防備な姿で。
 花と泡の淡い光に包まれ、無垢で――綺麗……と。
 そんな天然アクアリウムの蒼の世界を、ふたり存分に楽しみながらも。
 足を踏み入れたのは、目的の地……海底に沈んだ教会の祭壇へと歩みを進めれば。
 ――忘れ得ぬ日をありがとう。
 礼にと、クロトは真白の珠抱く貝を千之助へ。
 そして千之助も、彼の手へ真珠を一粒。
「え……お礼?」
「図らずも交換会? え、違う?」
 そう笑むクロトとの予想外のお揃いに、千之助は二藍の双眸を細める。
「嬉しい……ありがとう」
 来てくれて礼を言うのは私の方なのに、と。
 そして、クロトから渡されたのが、御礼であるのならば。
 ……私のは、お祝い、と。
「少し気が早いが。誕生日おめでとう、クロト」
 ――クロトの生に、溢れる歓びと祝福を。
 千之助はそう心からの想いを描き、そして続ける。
「天の光に焦がれていたから、月のしずくと称される真珠を」
 ――ひかりはいつも傍に、って。
(「生まれも名も素性も知らぬ己」)
 ……なのに。
 クロトは思わず泣きそうになる。
 彼から授かった掌の上の月の雫も、優しく耳に降るその言の葉にも。
 けれど泣くのではなく、返すのは笑み。貰ったものたちを、大切に抱きながら。
 そんなクロトを見つめながら、千之助は此処に至るまでに咲いていたいろのことを思い返す。
(「先刻、彼が愛でた花。あれは名のない花かもしれぬ」)
 けれども……そうだとしてもそれが何か、と。
 名がないことなど、何ということでもない。
 だって、懸命に咲く姿はいとおしく――唯一の宝たる命なのだから。
 そしてクロトは改めて、己の掌に在る月のしずくへと青の瞳を向ける。
(「癖となる程、光に焦がれ手を伸ばしてた」)
 けれど伸ばしていた手の中に今、自分の為だけに煌めく光があって。
 ――今、幸福は此処にある。
 クロトは改めて、すぐ傍に在る彼を見つめる。
 ――優しく心蕩かす……君が無二のひかり、と。
 そして千之助が万彩降るステンドグラスの下で紡ぐのは――涯てまで続く約束。
「未だ見ぬ先を、ともに見よう」
 その言の葉に、クロトも返す。
「共に見ていきたい」
 それは涯てまで続く約束……いや、もっともっと、その先までも。
 祝福の光を浴びながら、クロトは千之助と改めて交わす。
 ――約束なら、涯ての向こうまでだって、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アオイ・フジミヤ
シン(f04752)と

海を歩く
幼い時分に夢見たことが叶っていく

海に咲く花を初めて見れて嬉しい!
私の花屋の名前limu、水中に咲く花って意味なの

シンは子供の頃どんな夢を叶えたかった?
私は…猟兵になって結構叶った
でもあなたと居ていろんなことを叶えたいと欲張れるようにもなった
私、夢が増えたんだ

暖かい掌は彼が生きる証

月の光が差し込むステンドグラスが極彩色を祭壇に落とす
神聖な空気は聖者の彼によく似合った

あなたに仕え あなたと共に生涯をおくることを誓います
…故郷の結婚式で言うの、誓いの言葉

私が誓うのは
私の唯一のあなただけだから
だから、あなたが聞いてくれればいいかな

シンは何を誓いたい?


シン・バントライン
アオイ(f04633)と

夕方のオレンジ色が透ける水中を彼女と共に歩く。
すぐに陽が落ち夜が来る。泡が星の様に光って見えるだろうか。

へぇ、limuってそんな意味なんや?

自分にとって水中に咲く花は彼女の事に他ならないのだけど。店も彼女に相応く美しい名だ。

小さい頃は生き延びれればええなぁぐらいしか考えてへんかったかな。
俺も今の方がやりたい事あるわ。

海の中にある知らない教会は、記憶の中にある神殿と雰囲気が似ている気がした。

アオイは俺に仕える必要は無いけど、隣で一緒に楽しい事は探して欲しいな。
生涯なんて言わんと好きなだけ一緒に居ようや。
俺はただ、アオイを大切にする事を誓うわ。
大事にする。ずっと。



 そのいろに海が染まるのは、一日のうちでも僅かな時間だけ。
 そんな刹那的な夕日のオレンジ色が溶ける赤橙の水中を、ふたり並んで歩きながら。
 シン・バントライン(逆光の愛・f04752)は夕焼け色の海の底から、ふと水に覆われた天を仰いでみる。
(「すぐに陽が落ち夜が来る。泡が星の様に光って見えるだろうか」)
 来たる夜のそのいろや輝きを、そっと思い描きながら。
「海に咲く花を初めて見れて嬉しい!」
 ……幼い時分に夢見たことが叶っていく、って。
 アオイ・フジミヤ(青碧海の欠片・f04633)は咲かせた笑顔と共に、隣の彼を見上げ、続ける。
「私の花屋の名前limu、水中に咲く花って意味なの」
 大切な場所に付けた、大切な名前。それは、幼い彼女の夢が詰まったもので。
 今、アオイはその夢を叶えている。大好きな彼と一緒に。
「へぇ、limuってそんな意味なんや?」
 シンはそう返しながらも、彼女を見つめる青の瞳を細める。
 自分にとって水中に咲く花は、すぐ隣にいるアオイの事に他ならないのだけど。
(「店も彼女に相応く美しい名だ」)
 アオイのことや彼女が大切にしているもののことが、またひとつ、知れた。
 そんな彼に、アオイはふとこう訊ねてみる。
「シンは子供の頃どんな夢を叶えたかった? 私は……猟兵になって結構叶った。でもあなたと居ていろんなことを叶えたいと欲張れるようにもなった」
 ひとつ叶っても、またひとつふたつ。一緒に叶えたいって、そう思うことは沢山で。
 ――私、夢が増えたんだ。
 そう紡いだアオイに、シンも頷き返す。
「小さい頃は生き延びれればええなぁぐらいしか考えてへんかったかな」
 ――俺も今の方がやりたい事あるわ、って。
 やっぱり、彼女と同じだったから。
 そんな彼と繋ぐ手は、暖かくて。
 アオイは海色の瞳をそっと細める……大きな掌から伝わる、彼が生きる証に。
 そして赤橙のいろが、いつの間にか海色に溶けてなくなったかのように。
 足を踏み入れた教会に満ちる深い青に降り注ぐのは、柔らかな月の光。
 けれどそんな月の光が差し込むステンドグラスから落ちる祭壇のいろは、美しくも鮮やかな極彩色に染まっていて。
 海の中にある知らない教会は、シンの記憶の中にある神殿と、雰囲気が似ている気がした。
 だからか、他の理由か……神聖な空気は聖者の彼によく似合うと、アオイはその心にそっと描いて。
「……故郷の結婚式で言うの、誓いの言葉」
 ――あなたに仕え あなたと共に生涯をおくることを誓います。
 そう、生まれ故郷の誓いの言葉を紡いで。
「私が誓うのは、私の唯一のあなただけだから」
 ……だから、あなたが聞いてくれればいいかな、って。
 彼へと、微笑みを向ければ。
「アオイは俺に仕える必要は無いけど、隣で一緒に楽しい事は探して欲しいな」
 ……生涯なんて言わんと好きなだけ一緒に居ようや。
 そう彼女へと笑み返すシン。
 そんな彼にもう一度、アオイは問いかけてみる。
 ――シンは何を誓いたい? って。
「俺はただ、アオイを大切にする事を誓うわ」
 何よりも綺麗な海色の瞳を真っ直ぐに見つめながら。
 シンはしなやかな彼女の手を取って、祝福の如く光が降る中、改めて誓う。
 ――大事にする。ずっと……と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

パウル・ブラフマン
【邪蛸】
素敵な教会の噂に誘われて
夜の帳が降りてから、ジャスパーと海底デートへ!

教会までの道中、手を繋ぐオレ達の周囲を
蛍みたいに夜光虫さん達が漂っていて、凄くロマンチックだ。
導かれるように開いた貝にはハート型の真珠。
えっ、ジャスパーも?ふふ、運命を信じたくなっちゃうね。

辿り着いた目的地。
ずっと夢に見ながらも、まさか叶うとは想っていなかった。
…っ、うん。ずっと、一緒に居てね。
タオルから覗くオレの片目から雫が溢れてしまう前に
きゅっと背伸びをして、満面の笑顔のまま唇を重ねたいな。
その先の誓いも、きっといつか。

掌には交換したハートの真珠。
ねぇ、ジャスパー。
帰ったらこの真珠で…ペアリング、作ってみよっか♪


ジャスパー・ドゥルジー
【邪蛸】
夜の海をパウルと手を繋いで歩いていく
夏の花や夜光虫を眺めたり、真珠貝を探してみたり
二人共ハート型の真珠見つけてて偶然にはしゃいじまうな
繋いでない方の手で握りしめるそれがエンゲージリング代わり

教会に辿り着けば、そこは二人だけのひそやかな「式場」
恋仲の二人が教会で誓う事なんざ決まってるだろ?
三輪車に乗った可愛いタコちゃんの想いに応えに来たのさ
『ずっと一緒に』ってね

本当の式はいつか必ず
短命の悪魔が、お前と生きていける命を手に出来たら
その時にはきっと俺からも云おう
『結婚してください』って

白いタオルをヴェールみたいにパウルの頭に被せて
そっと誓いのキスを送るぜ

うん、どんなデザインがいいかな?



 いつ何処から落ちて来たかは、分からないけれど。
 海の底に、人々の想いを聞き祝福を降らせてきた教会があるという。
 そんな噂を耳にし、夜の帳が降りてから。
 パウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)は、ジャスパー・ドゥルジー("D"RIVE・f20695)と共に、真夏の夜の海底デートへ。
 夜の海は、思っていた以上に光に溢れていて。
 ふたりの周囲をふわり漂う夜光虫は、青い星のよう。
 そんな幻想的な海の光を眺めながら、手を繋ぎふたり歩けば、海の中であるはずなのに。
 凄くロマンチックで……まるで星空デートをしているみたいで。
 夏の海の花畑にふと視線を向けてみれば。
 花たちが揺れては隠すのは、小さな貝の宝箱。
 それをふたり、それぞれ見つけて。せーのでぱかりと開いてみれば。
「ほら、パウル。俺の真珠のカタチ」
「えっ、ジャスパーも?」
 ピンク色に、光の加減で紫や青が微か混ざる――ハート型のお揃いの真珠。
 そんな偶然に、思わずはしゃいでしまって。
 パウルはお揃いのハートを見つめ、笑みと共に言の葉を零す。
 ……ふふ、運命を信じたくなっちゃうね、って。
 そしてそれは、エンゲージリング代わり。
 繋いでいない方の手で、確りと包み込む様に握りしめる。
 そんな天然アクアリウムを楽しみ、歩きながら。
 辿り着いた執着点は――ふたりの目的地。
 海底に沈んだ教会……そこは二人だけのひそやかな「式場」。
 ステンドグラスから差す光が、祭壇を鮮やかないろに染めて。
「恋仲の二人が教会で誓う事なんざ決まってるだろ?」
 ……三輪車に乗った可愛いタコちゃんの想いに応えに来たのさ、って。
 そしてジャスパーは、愛しき彼の姿だけを映した、美しい二色混ざる瞳を細め続ける。
 ――『ずっと一緒に』ってね、と。
 それは、ずっとパウルが夢に見ながらも、まさか叶うとは想っていなかったこと。
 けれどそれを、ジャスパーは叶えてくれた。
 だからとても嬉しくて。色々なものがこみ上げてきながらも。
 パウルは一生懸命、彼へと言の葉を返す。
「……っ、うん。ずっと、一緒に居てね」
 そしてふわりとパウルの頭に乗せられたのは、ヴェール代わりの白いタオル。
 そんな即席だけど特別なマリアヴェールから覗く青の片目から、雫が溢れてしまう前に。
 パウルはきゅっと背伸びをする。満面の笑顔のまま、降らせてくれるその誓いを、受け入れたいから。
 ジャスパーはそんな彼に微笑んで。
 そっと贈り降らせる……柔らかで優しい、誓いのキスを。
 そして重なり合った想いを胸に、パウルは思い描く。
 ――その先の誓いも、きっといつか、って。
 そんなふたりの掌にあるのは、交換したハートの真珠。
 それを幸せそうにそっと転がし寄り添わせながら、パウルはこんな提案を。
「ねぇ、ジャスパー。帰ったらこの真珠で……ペアリング、作ってみよっか♪」
「うん、どんなデザインがいいかな?」
 そして、そうパウルとはしゃぐように言葉交わしながら。
 ジャスパーは密かに想い巡らせる。
(「本当の式はいつか必ず。短命の悪魔が、お前と生きていける命を手に出来たら」)
 その時にはきっと俺からも云おう……そう、心に決めているから。
 ――『結婚してください』って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月19日


挿絵イラスト