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巨人の塒

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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 暗い、昏い、迷宮の中を学生達は進む。
 手に持つ灯りは周囲を照らすが、その先の先までをは照らしてはくれない。
 前後を挟む暗闇は、まるで怪物が口を開けて、迫ってきているかのような息苦しさを感じさせた。
 不意に響いた小さな物音。そして、鳴き声。
 それに迷宮を進む学生達の間へ緊張感が張り詰める。
 手に手に、各々の得物を持ち、構え、――そんな足元を1匹の鼠が通り過ぎていく。
 ――なんだ、ただの鼠か。
 小さな鼠が闇に溶け込み、そんなものに構えてしまったのか。と、照れの混じった笑いがさざめきのように広がる。
 油断だった。
 鼠の走りさった方角を見ている学生達の後ろ。闇の中から、ぬるりと大きな大きな腕が迫り――。

「最近ですけれどぉ、アルダワ魔法学園の迷宮でぇ、失踪事件が続いているらしいのですぅ」
 猟兵達への挨拶もそこそこに、ハーバニー・キーテセラ(時渡りの兎・f00548)は本題を切り出す。
 失踪とは言うが、そこには失踪した本人達の意思とは違うものが介入している。
 そう、全ては誰かが行ったこと。犯人が存在するのだ。
 そして、その犯人というのは既に予知で判明している。
 それはオブリビオン。アルダワ風に言うならば、災魔か。種別はサイクロプス。単眼の巨人である。
 身体の大きさ、力の強さから繰り出される一撃は侮れるものではないとされる。
 どうやら、そのサイクロプスが迷宮に隠れ潜み、闇に乗じて暴れ回っているらしいのだ。
「サイクロプスが居る場所についてはぁ、予知で判明してますよぉ~」
 迷宮の隠し扉のその奥。そこを塒としている。
 だがしかし、その場所に居たるまでには仕掛けが幾つかあると言う。
「1つは既に判明してますよぉ。たくさんのダミー鼠さんの中からぁ、本物の鍵付き鼠さんを見つけるんですぅ」
 サイクロプスが塒としている場所。そこから出入りするための秘密の扉。
 それがあるとされる間には、普段、扉は影も形もない。
 しかし、そこを棲みかとしている無数の鼠達――蒸気駆動の錬金鼠達の中に1匹だけ、鍵の尾を持つ鼠がいる。それを捕らえるか、破壊するか出来れば、扉はその姿を現すというのだ。
「ですのでぇ、まずは鼠の捕り物から開始ですねぇ」
 ――とは言ってもぉ、鼠だからと油断は禁物ですよぉ? 窮鼠猫を噛むかもしれませんからねぇ?
 もしかしたら、生存本能に従い、反撃してくるかもしれない。
 1回2回でどうにかなるレベルのものではないが、流石に回数を重ねすぎると、猟兵と言えども危うくなることだろう。
 それでも正面から一気に蹴散らすも良し、知恵を巡らせるも良しだ。
 どうやって先へ進むかは、猟兵達それぞれに一任された。
 鼠捕りに、その他の仕掛を越える。
 サイクロプスと相対するまでは、やや華々しさには欠けるかもしれないが、これも世界を守るには大切なこと。
「猟兵の皆さんなら、無事にサイクロプスを倒せると信じていますよ。それでは、ここまでの案内はハーバニー・キーテセラ。皆さん、良き旅路を」


ゆうそう
 オープニングへ目を通して頂き、ありがとうございます。
 ゆうそうと申します。

 今回の舞台はアルダワ魔法学園。
 迷宮の仕掛けを越えてのハック&スラッシュとなります。
 どのような活躍、プレイングが見れるのか、心よりお待ちしております。

 2章、3章からの参加やスポット参戦のみも歓迎しますので、よろしければ。
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第1章 冒険 『ネズミ捕り』

POW   :    力尽くでネズミを破壊し、スクラップにする。

SPD   :    素早い動きでネズミを追いかけ、回収する。

WIZ   :    頭を働かせてネズミの動きを予想し、捕獲する。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フィーナ・ステラガーデン
【WIZ】
ふーん。ここがアルダワ魔法学園の迷宮なのね。初めて来たわ!
(アイテム「魔法的メガネ」を装着し暗闇を見通せる状態にし、物珍しそうにきょろきょろしつつ探索)

鼠ねえ。別に私は抵抗ないわ。
とりあえず鳴き声や足音に気を使いつつ鼠の痕跡を探してみるわ!

痕跡を発見した場合は
鼠といえばチーズよ!チーズ!
チーズを餌にしておびき寄せてみるわ!

一匹や二匹ならそのまま杖で叩き潰すけど
いっぱい鼠がきたらUCを使って
無数の亡者の手で捕まえてみようと思うわ!

手に負えないレベルならー
両手を挙げて猛ダッシュで逃げるわ!!

アドリブ、他猟兵との絡みなどなど大歓迎


コエル・フーチ
【WIZ】
ネズミも数匹くらいだったら、可愛らしいんだが
……ここまで、うじゃうじゃいるとおぞましいな
この中から一匹のネズミを探し出すのは骨が折れそうだ
だがまあ、こつこつやっていくしかないか

レプリカクラフトで特大サイズの粘着する床のトラップを作り出して設置
設置したら、そのトラップへとネズミを威嚇射撃で追い込んでいく
それを繰り返しやっていこう

粘着してもがくネズミって、悲惨だな…
私も自分でトラップに引っかからないよう、気をつけないと



「ふーん。ここがアルダワ魔法学園の迷宮なのね。初めてきたわ!」
 暗い、昏い迷宮の中、その暗さを吹き飛ばすような明るい声が響き渡る。
 明かりの照り返しに輝く金糸の髪は、まさしく黄金か。
 フィーナ・ステラガーデン(月をも焦がす・f03500)がコロコロと変わる表情でもって、迷宮内の辺りを見回す。
「ネズミも数匹くらいだったら、可愛らしいんだが」
 その傍で浮かび、滑るように飛ぶはコエル・フーチ(指先の熱・f08889)。
 フェアリーらしいサイズ感であり、その容姿は確かに妖精を想像した時の可愛さに溢れている。
 だがしかし、漂う香りは硝煙と煙草の匂い。ハードボイルトな香りがしているのであれ。
 そんな2人が先導し、猟兵達は目的の間の近くへ。
 その道行が安定していたのは、ある程度のマッピングがなされていたのもあるが、コエルが探索者の能力の賜物と言えるものであろう。
 世界は異なれども、生来より磨き上げてきた探索者としての腕はアルダワ魔法学園の迷宮でも、十二分に活きていた。
「あら、別に私は抵抗ないわ。コエルは苦手なの?」
「そういう訳でもないが……うじゃうじゃ居る中から探し出すとなると骨が折れそうでな。まあ、こつこつやっていくしかないが」
 感情豊かに話しかけるフィーナに、これからを思ってげんなりとするかのようなコエル。
 そして、2人はついに目的の間へと足を踏み入れるのであった。

 間へと踏み入った2人の目の前、そこには鼠がぎっしりと絨毯のように――という訳でもなかった。
 あちらこちらから鼠の鳴き声は聞こえ、時折、近くを走り抜けていく様子が見えるものの、全体的な様子は踏み込む前の迷宮と大きな変化がないようであった。
 そして、それは灯りがあっても先を見通せぬだけの闇が横たわっているということでもあった。
 そんな中、――
「ここからは、これの出番ね!」
 ――効果音でも付きそうな勢いで懐からフィーナが取り出したのは何の変哲もない眼鏡。
 いや、自称世紀の大魔法使い(見習い)であるところのフィーナが取り出したのだ。ただの眼鏡ではない。
 スチャリとかければ、あら不思議。そこにあったはずの闇は取り払われ――
「きゃぁーー!?」
 ――ちょっとゴア表現な世界が広がっていた。
 鼠が山となり、カリカリと齧っている。隙間から見えるのは白い何か。それは、恐らく、犠牲者の1人であろうことが予想されるもの。
 考えるより先に、フィーナの手が動いた。
 それは嫌悪感だったのか、はたまた、亡骸の安寧を得るためのものだったのか。
 振るわれたウィザードロットから零れた炎の魔力が片鱗。
 ユーベルコードとしてではなかったそれだが、それは鼠たちを逃がすことなく、亡骸ごとに荼毘へ付す。
 感覚と直感的な行動。だが、それが良かった。
 特に大きな動揺もなく、纏めて薙ぎ払われる鼠たちを見ていたコエルに閃きが訪れたのだ。
「そうか。一匹一匹やるより、纏めてやってしまうか」
「……え?」
 思わず、ぺたんと石畳の床に座り込んでしまっていたフィーナが視線をあげる。
「ネズミ捕りの開始だということだよ」
 その視線の先、コエルが相変わらずのクールな表情で宣言するのであった。

「ほら、逃げないと一網打尽だぞ」
 迷宮の暗闇に銃火が瞬く。
 しかし、そこから撃ち出された弾丸は明後日の方向に。
 そこに今は殺意はなく、火薬の発する大きな音が鼠達をその音とは逆方向に誘導していく。
 殺そうとしなければ、逃げ道さえ用意すれば、窮鼠は猫を噛むこともなく逃げていく。
 その先に、本命が待ち受けているなど、知りもしないで。
 だが、ここは迷宮で道はただ1つだけではない。脇道も存在するのは当然のこと。
 故に、――
「ほら! 仲間にいれてあげなさいよ!」
 ――その脇道をフィーナが潰していくのだ。
 深紅の瞳が妖しく輝き、放たれた魔力が脇道を塞ぐ形で、石畳の地面から伸びる死者の腕を生じさせ、鼠達の動きを制限していく。
 それはさながら、他世界における映画の1シーンのようにもあり、この地で犠牲となった者達が無念を晴らそうとするようでもあった。
 そして―― 一塊となって逃げ続けた鼠達の脚が急に止まる。否、止まらされる。
 狂騒のままに逃げ続けていた鼠達の足元、そこにはコエルが予め設置していた本命――レプリカクラフトで作られた粘着トラップが!
 御丁寧に、トラップの中央へチーズが幾つか置いてあったのはご愛嬌か。
 それはともかく、粘着に囚われた鼠達はもがけばもがく程に蟻地獄。その身を更に囚われていく。
「うわぁ……」
「粘着してもがくネズミって、悲惨だな……」
 下手人たる2人の大変正直な感想。
 闇を見通せる分、フィーナにはその姿がくっきりはっきり、ちょっとげんなり。
 仕事人としてのコエルも、少しばかり引き気味な様子を見せる。
 だが、捕り物の成果は大成功と言え、鼠の数は大きく減じたと言える。
 あとは、その中に目的とするモノが居ることを願うばかりだ。
「……私も、自分でトラップに引っかからないよう、気を付けないとな」
 同じ体の小さい者同士。粘着に囚われる鼠の姿へ、ああはなるまい。と、心に決め、コエルはフィーナと共に確認作業を始めるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フィオリーナ・フォルトナータ
どのような事件でも、災魔の仕業であるならば
わたくし達の出番ですね
一刻も早く迷宮を踏破し、サイクロプスの元に向かいましょう

わたくし、生きた鼠は率直に申し上げましてあまり得意ではないのですけれども、機械の鼠だったらまだ…
いいえ、蒸気で動いていてもやはり、鼠は鼠
…全力で潰させて頂きます
ところで、この鼠は壊しても大丈夫な物、…ですよね?

とは言え、もし生きたまま回収したいという方がおられましたら
その辺りは要相談の上で事に臨みますね

狭い場所や袋小路に追い詰めるなどすれば、纏めて破壊しやすくなるでしょうか
噛み付いてこようものなら盾で防ぎつつ、一思いに仕留めます
…おいたをする子は、許しませんよ?



 大捕り物も行われてはいるが、それでもやはり、全てを捕らえきることが難しいのは致し方のないこと。どうしても零れだす数はある。
「わたくし、生きた鼠は率直に申し上げましてあまり得意ではないのですけれども」
 そう零すのはフィオリーナ・フォルトナータ(ローズマリー・f11550)。
 しかし、そうは言いつつも、それが災魔の仕業であるならばと依頼に応え、赴く姿は生真面目さが故か。それとも、かつての世界を、今の世界を想い、守るためか。
「機械の鼠だったらまだ……いいえ、蒸気で動いても鼠は鼠」
 ――全力で潰させて頂きます。
 そして、フィオリーナはその手に刃を持ち、行うべきを行いにいくのである。
 幸いにも、ここに存在する鼠は全て破壊しても良いものであり、今のところ生きたまま回収を試みようという仲間は居ないため、遠慮は無用というものなのであった。

 靴音を響かせ、フィオリーナは闇の中を行く。
 身に纏った郷愁はかつての世界からの名残か。
 仕立ての良い生地が手にした灯りを照り返し、滑らかな光沢を魅せている。
 他の猟兵が誘導を行う音を聞きつつ、フィオリーナは僅かな音も逃すまいと耳を澄ます。
 ――チッ、チチッ、チチチ。
 小さな、だが確かに聞こえたその音。
 それを逃さず、闇の奥、その一点へ刃が奔る!
 手に返る確かな手応え。
 灯りを向ければ、そこには断ち割られ、残骸となり果てた鼠の姿。
 フィオリーナの確かな腕の証拠がそこに転がっていた。
 1匹、2匹だけであれば散り散りとなって逃げるそれ。
 しかし、集団となればまた変わってくるもの。
 鼠達の明確な敵意への反応は敏感に。
 ――ヂヂッ、ヂヂヂヂッ
 闇の向こうから、灯りの光を反射して光る無数の目が見えた。
 その鳴き声には怒りを孕んでいる。
 討たれた同胞への復讐の念が垣間見える。
「来ますか。いいでしょう」
 だが、敵意を感じられるのはフィオリーナも同じ。
 祝福たる紋章の刻まれし盾を翳す姿は、まさしく聖騎士たる所以を感じさせるものに相違なく。
「――おいたをする子は、許しませんよ」
 そして、激突は始まった!
 飛びかかるようにして襲い来る鼠の群れはまるで弾丸の如く。
 だが、それを受け止めるフィオリーナもまた凡に非ず。
 身に沁み込ませた戦闘知識は正しく作用し、盾で受け流し、捌き、時に打ちのめし、そして閃く刃が的確に鼠の数を減らしていくではないか。
 動く度、巻き起こる風は魔力によるものか。
 風の恩恵を受けたフィオリーナの動きは止まらず、淀まず、涼やかに。
 数が多い故に討ち果たすまでに時間は要したが、その身には依然として傷はない。
「ここはこれで打ち止めですか」
 肩で息をする様子もなく、フィオリーナは戦果を、倒した鼠の数を確認する。
 それは両手の数では足りぬもの。
 さて、その中に、目当ての敵は居たのだろうか。
 フィオリーナはそれを確認するべく、敵の残骸を調べていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

マリア・ルイゼット
鍵をネズミにして隠すとはまた変わった仕掛けだな
ま、ネズミ相手だろうがアタシの仕事は変わりないな。全部ぶっ潰すだけだ

【POW】で力づくで壊す

【視力】で周囲を確認しつつ、ネズミを見つけたら武器を振り上げて脅し【恐怖を与える】。怯えたネズミが群になるようにわざと足音を立てて追い込んでいく
…ネズミは見慣れたモンだけどこうして大勢になると流石に気持ち悪いな。さっさと壊してやるか
ちまちまやるのは好きじゃないから、隅に追い詰めた所を処刑人の大剣を【なぎ払い】纏めてスクラップにしてやるよ
…あー、この残骸の中から鍵探さないと駄目なのか。面倒…いやこれも仕事だしな…

【アドリブ歓迎】



 闇を見通す眼はない。
 だがしかし、瞳の鋭さはそれに気負いを感じさせるものではない。
 マリア・ルイゼット(断頭台下のマリア・f08917)は細縁の眼鏡の奥から視線を巡らせる。
 そこに鼠の姿は見えないが、鳴き声、足音、空気の動き、様々な要素から、確かに鼠が存在するということを肌で的確に感じ取る。
「鍵を鼠にして隠すとは、また変わった仕掛けだな」
 ――ま、鼠相手だろうがアタシの仕事は変わりないな。
 変わった仕掛けに感心を覚えつつも、マリアは自身がなすべきことを忘れてはいない。
 なんであれ、全部壊し尽くすのみ。
 力づくの解決方法であるが、それを為しえるだけのものがマリアにはあった。

 ガランガランと引き摺る大剣は武骨なそれ。
 マリアの歩みに合わせ、赤黒く染まった刃が石畳へと浅く浅く溝を掘る。
 敢えての足音。敢えての騒音。
 それは、鼠達に対しての威嚇であり、脅威となり得るものが近付いているということを示すもの。
 その意図が正しく伝わったのか、その音から遠くへ、遠くへと動く物音が闇の中から聞こえる。
 そして、時をそう置かずして、マリアの目的はその形をなすこととなる。

 進む先の闇が終わった。
 見る必要などなく、そこから聞こえる音や気配は無数。
 しかし、闇の終わり――袋小路の末、立ちはだかる壁が灯りに照らされ、そこに群れなす鼠の群体を白日の下に晒す。
「……鼠は見慣れたモンだけど、こうして大勢になると気持ち悪いな」
 流石に、壁際にギッシリというのはマリアをもってしても辟易とさせるものがあったのだろう。
 蠢くそれに向ける視線は戦闘に際するものに比べて、少しばかり力がないようにも見える。
「眺め続けて面白いモンでもないし、さっさと壊してやるか」
 地をこする刃の音は止み、時を置かず、代わって鳴り響くは奔る豪刃が風を巻き込んでなぎ払われる音。
 少しずつ止めを刺し、追い詰めるからこそ反撃がある。
 ならば、纏めて吹き飛ばしてしまえば?
「叩き潰すことは叩き潰してんだが、手応えが軽すぎるな」
 刃が通り過ぎた後には、潰され、へちゃげ、砕かれた無数のスクラップ。
 しかし、やはり数はそこそこあるとは言っても、鼠は鼠。
 命のやり取りにしては、一方的となるそれでは喜びに至るには今一つ足らないのだろう。
 しかし、最後に待つであろう戦いの時を思えば、時に物足りなさを覚えるのも必要か。
 空腹こそ最高のスパイスとも言うのである。
 気を取り直し、マリアは引き続き、鼠狩りを続けるのであった。
「……あー、この残骸の中から鍵を探さないと駄目なのか」
 目の前に広がるスクラップの山から、少しばかり目を逸らしながら。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミーナ・ヴァンスタイン
アドリブ歓迎。
「ふふっ♪相手がネズミなら、この子達に任せましょう」
【使い魔召喚】で呼び出した黒猫たちに追跡させる。
「さぁ、ネズミ捕りの時間よ?」
黒猫達の爪や牙には猛毒が仕込まれており【毒使い】【マヒ攻撃】少しでも掠れば痺れて動けなくなります。
「気を付けたほうがいいわよ?この毒は呪術に近いものだから、機械といえど只では済まないわ」

使い魔が追いかけている間、ミーナは【視力】【聞き耳】と使い魔たちの情報から敵の位置や移動を【見切り】二丁拳銃で【援護射撃】します。
「ふふっ♪丸見えよ?」
反撃しようとしたら【残像】で回避しながら【2回攻撃】【怪力】【鎧砕き】で素早く蹴り砕きます。
「あら、ごめんなさいね?」



 猫は鼠を狩るもの。
 そういうイメージは何時からついたのか。
 もしかしたら、ミーナ・ヴァンスタイン(罪人殺しの聖女・f00319)の目前で繰り広げられる光景を、かつて誰かが目にしたからなのかもしれない。
 その光景。自身と繋がりを持つ使い魔――今回は複数匹の黒猫――が呼び出された役目を果たすべく、鼠の群れを駆逐しているのだ。
「ふふっ♪ 相手が鼠ならと、この子達に任せて正解だったわね」
 暗闇の中でも浮かび上がる金の瞳。
 複数のそれが地を蹴り、宙を舞い、上へ下へと縦横無尽に動き回る。
 その度、小さな悲鳴が起こっては、力なく小型の物体が地に落ちる音が響く。
 ミーナが灯りを向けてみれば、それは痙攣するように動きを止めた鼠達。中には既に息絶えたかのように動きを止めているものもチラホラと。
 下手人は疑うまでもなく、召喚した黒猫達。
 繋がった意識の先で振るわれる爪と牙。
 それがまた1匹、また1匹、と獲物を刈り取っていく。
 使い魔が故、その爪牙に宿すものは常の黒猫にはなきもの。
「爪と牙に宿した毒は呪術に近いものだから、機械といえども只では済まないわ。だから――」
 忠告するように零したミーナの言葉の先、また1匹の犠牲者が。
「――気を付けたほうがいいわよ。と言っても、もう遅いかもしれないけれど」
 そして、落ちた鼠には目もくれず、ミーナ達は暗闇の先へと歩みを進める。

「さて、私もそろそろ鼠捕りに参加しようかしら」
 ゆっくりとした足取りで。しかし、確実にその範囲内に存在する鼠達を駆逐しながら進んでいたミーナ。
 緩やかに抜き放ったのは二丁の拳銃。光の精霊から魔力を供給されているというそれ。
 抜き放ち、銃口を向けるのは暗闇の先。
 だが、ミーナにはその先が見えている。いや、それは果たしてミーナ自身の視界なのだろうか。
 使い魔との繋がりは未だに健在也。
 鼠達もただやられるばかりではないと、果敢に跳びかかるが――
「ふふっ♪ 丸見えよ?」
 使い魔達からの情報。空間の把握。
 それらを処理し、眼鏡の奥から撃つべきモノを見据える瞳はどこまでも冷静。
 ――二丁の拳銃より放たれた魔弾は闇を貫き、その身に宿す名前の通りの結果をミーナへと齎した。
 黒猫達が踊り、魔弾が飛び交う必殺の空間。
 散発的に反撃を行う鼠達ではそれを抜け、ミーナの下に辿り着ける筈もなく。
 最後の時まで、ミーナはその服の裾をすら乱すことがなかったのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『はしをわたれ!』

POW   :    『一本丸太の橋』を渡る。<勇気>を持って行動するのも良いだろう。

SPD   :    『一本縄の橋』を渡る。<ロープワーク>などバランスを大事にするのも良いだろう。

WIZ   :    『一枚板の橋』を渡る。<忍び足>でよく足場を確認するのも良いだろう。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 目的の間に辿り着いてより幾時かが流れ行く。
 猟兵達により狩り、捕らえられた鼠の数は数多。
 そして、ついに猟兵達の手にそれが渡る時が来た。
 金に輝く鍵の尾。
 それを手にした瞬間、猟兵達は感覚的に理解する。
 ああ、これがそうなのだ、と。
 そして、手にした猟兵のその感覚を肯定するように、鍵はひとりでに進む道を指し示し――不意に背後から響いた鼠の声、声、声。
 それは最初に間へと入った時とは比べ物にならない程の音量。
 それが段々と近づいてくる。
 地面を、壁を、天井を埋め尽くさんほどの鼠の大軍。
 それはまるで、鍵を取り戻そうと迫り来るようではないか。
 ――呑まれれば、ただでは済まない。
 波のように迫りくるそれを前に、猟兵達は急ぎ、示された道。隠し扉の奥へと足を進める。

 駆け抜けた先。
 そこに待ち受けていたのは底のない深淵。
 深淵より吹き上げる風がその深さを物語っているかのよう。
 ――行き止まりか!?
 迫る鼠の声は、今は遠く。だが、それは確実に近づいている。
 ぐるり視界を見渡せば、深淵を挟んだ向こうに道がある。
 そして、その道へと続くように、か細い橋が3種類。
 これを進まねば先はない。
 猟兵達は意を決し、虎口へと歩みを進める。
 どの橋を渡るか。どうやって渡るか。もしくは、それ以外の方法を考えるか。
 それぞれがそれぞれに考えを巡らせながら。
コエル・フーチ
うん、ふつうに飛んで渡ろう。

仮に橋を渡るにしても人間サイズでか細い橋でも
フェアリーの私には十分なサイズだよ

だからといって、一人で行ってしまうのも薄情だからな、フォローにまわろう
【念動力】で落ちそうになった仲間を支えて【鼓舞】する
がんばれ、もう少しだぞ。

あ、フェアリーランドに入ってもらって、飛んで運べば楽だったな
……黙っとこう


フィーナ・ステラガーデン
だーーっ!(猛ダッシュで鼠から逃げ)ぜーぜー・・ってこれ橋!?
丸太と縄と板があるだけじゃない!
板は途中で割れそうだし、縄とか私には無理よ!
ここは丸太【pow】ね!

でもまずはこの深淵の先の道の距離が気になるわね!
もしもそこまで10mもないようならUCを使って跳んでいくわ!
跳んでいく際には出来るだけ丸太の上を飛んで、何かあった時に
落ちても丸太に捕まれるようにするわね!

10m以上先なら仕方ないわね!
「勇気」を持って丸太の上を進んでUCは保険に使うわ!

無事に先に進めれば仲間の手助けをしたいわね!
手を差し伸べてゴールまで引っ張ったりするわよ!

(アレンジ、アドリブ、連携大歓迎)


ミーナ・ヴァンスタイン
1章は素敵なリプレイをありがとうございました!
アレンジやアドリブは歓迎します!

橋を前にして、溜息をつきながら眼鏡をしまいます。
「逃げるのはあまり好きじゃないんだけどね」

真の姿である真紅の瞳と漆黒の翼を持つ吸血鬼に変化し【空中歩法】と自らの翼で、空中を駆け抜けます。
「先に行くわね」
ときおり、どれかの橋に着地してまた跳びます。
「みんなは大丈夫かしら?」

もし、罠があるなら【視力】【聞き耳】で【見切り】【残像】で回避するから、二丁拳銃で撃ち落とします。
「あら、楽しいアトラクションかしら?」

もし、味方が危ない時は助けに行き【怪力】で抱えて飛びます。
「大丈夫よ。安全な場所まではエスコートするわ」


フィオリーナ・フォルトナータ
【POW】
…気持ち悪、いえ、悍ましいものですね…
流石にあれだけの鼠を相手にするのは、それはもう心から遠慮したいものです。
鍵は渡すわけにはいきませんし、このような所で鼠の大群に呑まれて命を落とすなどとんでもない。
橋を渡らなければ先に進めないのでしたら、答えは一つですね。

わたくしは一本丸太の橋を渡ります。
覚悟を決めて参りましょう。
一歩、もう一歩、踏み出したならばあとは迷わず、ただ真っ直ぐに前へ進みます。
もし小さな方がいらっしゃるようでしたら、わたくし、力はありますので、抱えて進むくらいなら出来るやもしれません。
…帰りは、別の場所から帰れるとよいのですが。



 無数の鼠の声へ押し出されるように進んだ猟兵達。
 しかし、その足も遂に止まる時が来た。
 それは疲労からということではなく、行き止まりのため。
 正確を期すならば、悪魔の口のようにポッカリと開いた深淵が待ち構えていたからだ。
 だが、それも完全な行き止まりという訳ではない。
 深淵の向こうに見える更なる道。そして、そこへ至るための3種の橋がそこにはあった。
 猟兵達の駆ける脚は速く、今は鼠達の声も遠く遠くに。
「逃げるのはあまり好きじゃないんだけどね」
「ですが、流石にあれだけの鼠を相手にするのは、それはもう心から遠慮したいものです」
 一足先に深淵を前にして溜息一つ。いや、二つか。
 ミーナ・ヴァンスタイン(罪人殺しの聖女・f00319)の漏らした言葉に、フィオリーナ・フォルトナータ(ローズマリー・f11550)は鼠の群れの姿を思い出しつつ相槌を打つ。
 確かに、鼠の群れに呑み込まれればただでは済まない。それは勿論だが、そうでなくとも身体中を這いまわられるのは遠慮願いたいところであろう。
 それを想像したのか、フィオリーナは端正な顔を僅かに顰め、その想像を追い出すように頭を振るう。
「――気を取り直して。橋を渡らなければ先に進めないのでしたら、答えは一つですね」
 今更問うべき覚悟など持ち合わせてはいない。
 それは猟兵として覚醒した時から既に心の中にあるものなのだから。
 フィオリーナは手にした盾に――それへ刻まれた紋章に――触れ、目の前の現実を見据える。
 そしてフィオリーナがその脚を1歩進めようとした時、後方から感情の彩り豊かな声が追い付いてきた。
「だーーっ!」
 両手をあげ、それでもその健脚からの速度は損なわれることはない。
 フィーナ・ステラガーデン(月をも焦がす・f03500)が、土煙が幻視される速度で駆け、深淵に気付いて急ブレーキ!
 両足でかけたブレーキは勢いを削る。
 ――ひらりと、その肩から小さな小さな影が離れる。
「と、止まらないーー!?」
 しかし、勢いは削り切れずにその身は深淵へ――となる前に、フィオリーナがはしりとその手を掴み、引き寄せた。
「ぜーぜー……」
「だ、大丈夫ですか?」
「だいじょうぶ。ええ、ありがとう」
 気遣うようなフィオリーナの視線と言葉。
 猛ダッシュの影響か。肩で息し、落ちかけた動悸に胸の鼓動は早鐘の如く。
 なんとか息を整え、フィーナは感謝の言葉を返すのであった。
「ああ、そのまま落ちるかと思ったよ」
 そこに響いた4人目の声。
 走るフィーナの肩へさりげなく乗り、寸前でひらり舞い降りていた影。
 コエル・フーチ(指先の熱・f08889)が人間種の目線の高さ程度に浮かび、肩をすくめていた。
 そこにあるのは気だるげな表情。
 だが、何もしていないように見えて、その実、念動力でフィーナの落下に対して備えていたのはここだけの秘密である。
 仕事人はフォローだってパーフェクトなのだ。

 そして、揃った4人。
 だが、目前の光景は変わることはない。
 深淵とそこに掛かる橋は未だ、試練としてそこにある。
「丸太と縄と板があるだけじゃない! 板は途中で割れそうだし、縄とか私には無理よ!」
 くるくると変わる表情で現状を把握したフィーナは頭を抱え、どうしたものか。と思案顔。
 どちらも無理となれば、残るは1つの橋しかない。
 意を決するフィーナ。だが、その前に。
「私が先に行きましょう」
 聖騎士、守護騎士たるフィオリーナが秘めた覚悟を胸に、丸太の橋の先陣を切る。
 1歩、もう1歩と踏み出す足に迷いはなく、不安定な丸太の上であっても、その歩みは揺らぎない。
「大丈夫そうね。なら、わたしも」
 何があってもいいように。と、見守っていたミーナもそれに続く。
 しかし、彼女が取ったのはまた別の方策。
 黒の瞳が真紅に染まる。
 麗しきドレス。その背からは漆黒の、深淵すらも飲み込む黒の翼が生じる。
 その姿はまさしく宵闇の主たるもの。
 生来の気品と合わせて、この深淵に君臨する者たる雰囲気を醸し出していた。
 そして、深淵の底すらを見通す眼が、その先に動くものを映す。
 それは深淵の底から飛来する蝙蝠の群れ。
 狭い丸太の橋の上では苦戦は、ともすれば落下の可能性も十二分。
「吸血鬼に蝙蝠を相手どれっていうのも、皮肉な話よね」
 故に、ミーナはその翼をバサリと羽ばたかせ、
「――アナタ達は先に行っていなさい」
 それだけ言い残し、深淵の中へと飛び込んだ。
 鷹のような急降下。
 そして、手にした二丁拳銃が火を噴き、蝙蝠の群れを撃ち抜いていく。
「楽しい楽しいアトラクションね。さあ、ついてこれるかしら?」
 深淵の中、真紅の瞳を輝かせ、ミーナは強く強く笑みを零す。
 そして、宙を舞台にと、舞い踊る様に銃撃の演舞を見せるのであった。

 橋の下でいくつもの光が奔る。
 それを視界の端でとらえつつ、しかし臆することなくフィオリーナは進む。
 ミーナの奮闘もあり、蝙蝠の群れの大半は撃ち抜かれ、深淵の底に呑み込まれていく。
 しかし、僅かではあるが、取りこぼしもあるのは致し方のないこと。
 それがフィーナ目掛け突撃し――
「人間サイズにはか細い橋でも、フェアリーの私には十分なサイズだよ」
 一枚板の橋の上。
 コエルが煙草の煙を燻らせ、ショットスピリッツを静かに構えている。
 ――飛来した散弾に撃ち抜かれ、目的を達することなく堕ちていく。
 コエルのサイズであれば、一枚板でも十分すぎる程の足場足りえる。
 例えそうでなくとも、翼あるコエルであれば足場の有無すら何の問題もなかったと言えるだろう。
「がんばれ、もう少しだぞ」
 冷静なる仕事人は掛ける言葉もぶっきらぼうに、だがしかし、その手腕はどこまでも誠実に、丸太を渡る仲間を援護していく。
 もしもの時があれば、いつでも動けるように全体の情報を把握しながら。
「まあ、その心配も恐らくは無用だろうけれどな」

 フィオリーナの目前。橋の終わりはすぐそこに。
 しかし、それを阻むように、大きく、大きく、下から吹き上げるような風が吹いた。
 それは態勢を崩すには十分すぎるもので、一瞬の浮遊感がフィオリーナを包む。
「あ……!」
 零れる吐息。
 失ったバランスは取り戻せるものではなく、その体はは深淵の上に。
 そして、重力に引かれるまま落下していく――
 タン、タン、タン。と軽やかな音が響く。
 走る動きに合わせて、流れる金糸がゆるやかに宙を泳ぐ。
 そして、彼女は追い付いた。
 ――寸前で、細腕がフィオリーナの手をはしりと掴み取る。
「これでさっきの借りはなしね!」
 輝くような笑顔。
 頭を抱え、悩んでいた姿はそこにはない。
 身体を宙に泳がせたフィオリーナの姿を見た時、フィーナのその体は考える前に動き出していたのだ。
 1歩踏み外せば自身も深淵に飲み込まれかねない状況の中、勇気を伴った1歩はそれを間に合わせたのだ。
 勿論、何かあった時の命綱は用意してありはしたが。
「さあ、このままゴールまで行くわよ!」
 その勢いのまま、フィオリーナは用意していた策を起動する。
 ゴールを目前としたこの状況であれば、十二分に効果を発揮するもの。
 その足元から生じた魔法陣の足場がゴールまでの道のりを淡く彩っていた。
 最早、障害は障害となりえない。

 フィーナとフィオーナが無事に目的地まで辿り着き、遅れて、蝙蝠を殲滅しきったミーナが合流する。そして、悠々たる足取りで最後にコエルが。
 4人の連携が見事に嵌ったが故に、誰の犠牲も出ることなく試練を突破出来たのだ。
 ふと視線を向けた橋の向こう。
 先程まで居た場所に、鼠の群れが押し寄せている様子が見て取れた。
 だが、最早それは何の脅威にもなり得ない。
 もたついていればまた違ったかもしれないが、迅速に渡り終えた猟兵達にとっては、まさに対岸の火事の如く。
 すごすごと引き返していく鼠達を目にし、猟兵達は意気揚々と最後の舞台へと移動を開始するのであった。
 その中で、1人、ふと立ち止まり深淵を振り返るコエル。
 ――フェアリーランドに入ってもらって、飛んで運べば楽だったな。
 まさに、沈黙は金である。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『サイクロプス』

POW   :    叩きつける
単純で重い【剛腕から繰り出される拳】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    暴れまわる
【目に付くものに拳を振り下ろしながら咆哮】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    憤怒の咆哮
【嚇怒の表情で口】から【心が委縮する咆哮】を放ち、【衝撃と恐怖】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠茲乃摘・七曜です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 鼠の間を越え、深淵を越え、辿り着いた大きな大きな空間。
 巨人が存分に動き回れるだけの空間。
 その奥で、単眼の瞳が闖入者を、猟兵達を見つめていた。
 傍には白い骨が山のように。
 「!!!!!!!」
 まるで衝撃波のような咆哮。
 食事を邪魔されたからか、はたまた、自身の領域に無断で侵入されたからか。
 その咆哮には確かに怒気が宿っていることを猟兵達は感じ取る。
 衝突は避けられない。
 いや、最初から避ける気など互いにないのだ。
 どちらがどちらを制するか。
 戦いの幕は、今、上がる!
フィーナ・ステラガーデン
(咆哮に両耳を抑え)
うっさいわね!そんな大声出さなくても聞こえてるわよこのハゲ!!
だいたいあんた何なのよ!?服着なさいよ服!
淑女達の前なんだから恥を知りなさいよ!!

仲間達と息を合わせるわ!
ってかこれ絶対目が弱点よ!目!
「ダッシュ」で走り回りながら回避に専念しつつ
「属性攻撃」で火球を放ち牽制しつつ様子を見るわ!
このハゲが叩きつけようとした時にucを「高速詠唱」「全力魔法」を使用して腕を消し飛ばすか
腕を上に跳ね上げてさせて仲間達に「今よ!」と合図をするわ!
逆に誰かがサポートしてくれるなら顔面近くで大爆発をおみまいしてやるわ!!

(引き続きアレンジ、アドリブ、連携大歓迎)


ミーナ・ヴァンスタイン
アドリブやアレンジは歓迎よ。

吸血鬼の紅き瞳で骨の山を見据えて、静かに二丁拳銃を構える。
「アナタには地獄が相応しいわ」
【破魔】の弾丸を【2回攻撃】で、目を狙って撃つわ。
「こういう化け物の弱点はだいたい決まっているのよ」

相手の攻撃は【視力】【聞き耳】で【見切り】【残像】回避するわ。
「流石に当たるのはマズいわね」
躱したすきに【ダッシュ】で近づき【怪力】【グラップル】による蹴りで【カウンター】【鎧砕き】を放つ。
「やっぱり硬いわね」

【援護射撃】で麻痺毒付きダガーを【投擲】【毒使い】【マヒ攻撃】動きを鈍らせるわ。
「巨体だと毒が回り辛いわね」

一度見たコードは【断罪撃】を放ち相殺する。
「二度は使わせないわ!」


フィオリーナ・フォルトナータ
凄まじい咆哮ですね
まるで、その息吹だけでわたくし達、吹き飛ばされてしまいそうです
けれどしっかりと足を踏み締めて、相対しましょう
ようやく見つけましたよ、災魔
アルダワの平和のために、在るべき場所へと還って頂きます

皆様と力を合わせて戦いましょう
わたくしはトリニティ・エンハンスで防御力を重視しての強化を
守りに重きを置いて、皆様の盾となって戦います
戦闘知識を活かして災魔の動きや攻撃方法などを探り
隙あらばミレナリオ・リフレクションで相殺を
また、折を見て力を溜めつつ、災魔の守りを崩す攻撃を重ねて参ります

無事に討伐が叶ったなら、犠牲になった方達の弔いを
間に合わず、申し訳ありません。…どうか、安らかに



「うっさいわね! そんな大声出さなくても聞こえてるわよ、このハゲ!!」
 サイクロプスが咆哮には負けじと言い返すその姿。
 うがーっ! とでも言わんばかりの勢いを見せたのは、フィーナ・ステラガーデン(月をも焦がす・f03500)。
 だが、その熱を持った言葉とは裏腹、思考は冷静に敵の弱点を探る。
 それに怒った訳ではないだろう。
 しかし、サイクロプスもまた、大きく大きく咆哮の声をあげる。
 その表情は見る者を射竦め、恐怖に心を委縮させる――
「だから、うっさいっての! だいたいあんた何なのよ!? 服着なさいよ服! 淑女達の前なんだから、恥を知りなさいよ!!」
 ――はずだった。
 だが、その咆哮など何するものぞ。
 フィーナは逆にサイクロプスへと自身の咆哮を叩きつける。
 内容的には、サイクロプスに人語を解するだけの知性があれば、反論もしたくなるような内容ではあったが。
 しかし、それは確かにサイクロプスの気を惹きつけるには十分すぎた。
 そう。フィーナの吠えた言葉にあった淑女『達』。
 ミーナ・ヴァンスタイン(罪人殺しの聖女・f00319)が既に動いていたのだ。
 漆黒の翼をはためかせ、地を滑るようにサイクロプスの足元へ。
 一度、着地。
 勢いは殺さず、全身をバネとしてその方向を上へと転換。
 その姿はまさに飛翔。
 瞬く間にその身はサイクロプスの眼前へ。
 ミーナの脳裏に残るは、サイクロプスの傍らにあった骨の山。
 それはつまり、犠牲者の数。
「アナタには地獄が相応しいわ」
 静かに構えられた得物は二丁の精霊銃。
 その銃口が見つめる先はサイクロプスの大きな単眼。
「こういう化け物の弱点はだいたい決まっているのよ」
 そして、銃口から弾丸が吐き出され――
「危ないッ!」
 守るため、何かあった時のフォローをと、一拍敢えて遅らせて駆けていたフィオリーナ・フォルトナータ(ローズマリー・f11550)。
 風の魔力で強化した脚力で地を蹴り、ミーナの前へと。
 剣を振ることしか出来ない。と、フィオリーナは言う。
 だが、決してそんなことはないのだと、今、この瞬間の行動がそれを物語っていた。
 ――到達する前に、その巨体とは思えぬ速度でサイクロプスの腕が動き、ミーナを、庇いに出たフィオリーナを剛腕がなぎ払わんと迫る。
 直撃すればただでは済まない一撃。
 だが、それはフィオリーナが間一髪、盾で受け止めていた。
 しかし、空中では踏ん張るべき足場もなく、受け止めた勢いのままに壁へと吹き飛ばされる。
 強かに打ち付けられるかを覚悟したフィオリーナであったが、今度はそれをミーナがその翼でもって軌道修正し、事なきを得るのであった。
 それは数瞬の出来事。そして、結果は互いに無傷。
 そのことに両陣営は互いに強敵であると警戒を高め合う。
「咆哮もの凄まじさも侮れませんが、身のこなしも中々に」
「守ったいうことは、目が弱点であることは間違いなさそうなのだけれどね」
「ええ、間違いないと思うわ! 絶対目が弱点よ! 目!」
 目線は誰もサイクロプスからは外さず。
 だが、冷静に状況を分析し、次の一手を導き出すのだ。
 手数は、猟兵の方が多く、それを活かさない手はない、と。

 まず動いたのは猟兵達の盾とならんと、己を律したフィオリーナ。
 その動きは機敏にして毅然。
 盾持ち、刃持ち、正々堂々とサイクロプスの正面から挑みかかる。
「アルダワの平和のため、在るべき場所へと還って頂きます」
 宣誓するかのように、掲げた剣の切っ先をサイクロプスへ。
 挑発ではない。だが、そこにある戦意をサイクロプスも読み取ったのだろう。応じるように、再び拳を振りかざし、叩き下ろす!
 ――これで2度目。
 自身へ注目を集めるためもあるだろう。フィオリーナは敢えて避けることはしない。
 先頃の足場なき中空とは違う。
 その両の脚でしっかりと地を踏みしめ、己に宿した戦闘の機微を窺う知識を総動員。
 サイクロプスの拳が盾に触れる瞬間、僅かに傾け、いなし、衝撃を巧みに受け流す!
 爆裂が傍で弾けるが、まるで地に根の生えたが如くにフィオリーナは動じない。
「どうしましたか? わたくしは動いてすら居ないというのに、当てられぬとは」
 今度こそ、明確なる挑発。
 サイクロプスが怒りに吠える。
 その瞬間――
「大口開けて、狙ってくれと言っているようなものだわ」
 残像を残す程の機動。
 真の力を発揮することでより鋭敏化した視力と聴力は、敵の動きの1つ1つをミーナへと伝えてくれる。
 先程は惜しくも叶わなかった銃撃。
 しかし、この度は違う。
 ――狙いすました二発の弾丸が敵の口内へと飛び込み、暴れ回る!
 思わぬ痛みに、サイクロプスの攻撃の意思が一瞬緩んだ。
 その機を見逃さず、ミーナは追撃とばかりにダガーの投擲を1つ、2つ。
「皮膚はやっぱり硬いわね」
 柔らかい口内とは異なる、天然の鎧たるサイクロプスの皮膚。それとぶつかり、硬質な音を立てダガーは弾かれる。
 だが、痛みに苛立つサイクロプスの意識を引きつけるには十二分。
 そして、時間稼ぎに徹するのもまた。

 展開された数々の魔法陣が色を変え、形を変え、くるりくるりと歯車の如くに廻る。
 舞い上がり、収束する魔力がフィーナの眼前で灯火を生み出す。
 それは周囲の、フィーナの魔力を糧として、それは焔となり、小さな太陽のようにもなり、赤々とフィーナ達が戦う空間を照らし出す。
 ミーナとフィオリーナに引きつけられていたサイクロプスが、今更ながらにそれへと気づく。
 ――その大きな目は飾りみたいね!
 最早、今更気付いても遅いのだ。
 フィーナの顔に浮かぶは強い、強い笑み。
 あとは小さな太陽を解き放つ言葉を括るだけなのだ。
 悪あがきだろう。サイクロプスがせめてとばかりに迫り、その拳を振るう!
 だが、それも――
「何度も使わせないわ! アナタの罪、消し飛ばしてあげる!」
「その動きは既に幾度か。最早、それが通じるとは思わないで頂きましょう」
 ミーナが拳を輝かせ、断罪の一撃をもってサイクロプスの腕と正面からぶつかり合い、相殺し合う。
 そして、続くフィオリーナが溜め込んだ力を解き放つ時とばかりに、相殺し合い、動きの止まってしまったサイクロプスの腕を切り上げる。
 かちあげた刃はサイクロプスの腕を断ち切り、飛ばし、身体すらもその勢いに泳がせたのだ。
 ――空すら切れず、がらあきとなるサイクロプスの身体。
「消し飛べえええええええええ!!」
 そして、サイクロプスの顔面で、小さな太陽が爆裂する!

 熱波が過ぎ、煙が晴れたその向こう。
 片腕を失い、膨大な熱に晒された大きな瞳は無残にも白く濁っている。
 最早、その姿は死に体。
 あと僅かの一撃があれば、決着が到来する。
 それを伝えるかのような姿を、サイクロプスは猟兵達の前に晒すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

コエル・フーチ
今度の部屋は、分かりやすいな
あの目も頭も足りないデカブツを倒してしまえばいいんだろ?

【高速詠唱】で「熱線の雨」を装填したダブルバレルのショットスピリッツを構え
【念動力】で敵の動きを阻害した後に、時間差【フェイント】を入れつつ
2つのトリガーを引き【2回攻撃】で「熱線の雨」の熱【属性攻撃】だ
105本×2発の熱線の【誘導弾】で敵を集中攻撃する

目が一つだからな【誘導弾】でまずは右からゆっくりと
周り込むように「熱線の雨」を放ち気を引き付け
時間差で左からも今度は速度早めに「熱線の雨」を放てば
そっち側は死角になっているはずだ、当たるだろ、たぶん
左が当たって動揺してくれれば右にも当たってくれるかな。



 コエル・フーチ(指先の熱・f08889)は焦げ、煙をあげるサイクロプスの姿を静かに見る。
「あの目も頭も足りないデカブツを倒してしまえばいいんだろ?」
 その言葉に大きな感情はなく、手負いのサイクロプスへ追撃をかけることにも微塵の気後れもない。
 眼前に佇むのは、最早ただの的。
 だが、そこに油断などというものを差し込む程、コエルは愚かではない。
 それを示すように、サイクロプスは視界のないまま、残った腕を滅茶苦茶に振り回し、悪あがきへと移行している。
 人間種とサイクロプスであっても、その体格差は圧倒的。
 ならば、フェアリーとサイクロプスであれば、考えるまでもないことであり、それに巻き込まれたならば、文字通りのぺしゃんこだ。
 それ故、コエルはサイクロプスに近づくことはない。
 誰も居ない空間へと向かって拳を振るい、吠え、触れた岩壁を砕いているサイクロプスに冷たい眼差しを送る。
「だが、それももう形無しというやつだな」
 あとはそれへ止めを刺すのみ。
 コエルは手慣れた手つきで弾丸をポーチから取り出し、愛用の銃へと込める。
「集束、凝縮」
 そして、零れる詠唱の声。
 反応するように、ショットスピリッツの銃口に光が集う。
「――装填完了」
 解き放たれる時をまつ眩い光。
 だが、その光を失ったサイクロプスには見ることも叶わない。
「――熱線発射」
 コエルの小さな指先が、トリガーを引き、その熱に指令を下す。
 即ち、敵を撃滅せよ、と。
 二つの銃口を介して解き放たれた熱線の数は優にして210!
 まさしく雨と言えるそれは、念には念をと二手に分かれ、サイクロプスへ目掛け、宙に赤い線を引く。
 初撃がサイクロプスの側頭部へと強襲。
 衝撃、熱、痛み。
 雨霰と打ち付ける数々のそれらに、目もなく、片腕もないサイクロプスの身体はまともに対応できない。
 いや、それらが十全であったとして、はたしてどこまで対応できただろうか。
 だが、残る腕でなんとか振り払うように熱線の幾らかを受け止め、それが来た方角へと頭を向ける。
 ――それが、コエルの狙いだったとも知らずに。
「幕切れはあっけないもんだな」
 残された105の弾丸が、熱線が、晒された顔面を撃ち抜いていく。
 それは白濁した瞳を破壊し、侵入し、熱でもってその内部を徹底的に破壊する。
 全ての熱線がサイクロプスへと殺到した後には、そこには頭部を失ったサイクロプスの骸だけが残されていた。

 戦いの時は終わった。
 サイクロプスの骸は時を経ず、光へと還り、そこに始めから何もなかったかのよう。
 だが、残された白い骨の山だけが、そこに確かに脅威が存在したのだと、物語っていた。
 祈る者、悼む者、静かに見つめる者。
 猟兵達の反応は様々だが、こうして依頼は無事に1つ終わりを迎えたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月02日


挿絵イラスト