迷宮災厄戦⑪〜鏡の間の暗黒遊戯
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迷宮災厄戦が勃発して早数日、猟兵達の活躍によりアリス召喚儀式の第1陣が阻止され『真実を告げる鏡の間』への道が開かれた。
オウガ・オリジンにより殺められた「鏡の女王」の怨念が満ちた『真実を告げる鏡の間』において、一人の女性が鏡を壊して回っていた。
「うぅ、鏡を排除する事が出来ないわ……。」
気弱な様子の女性は地面から生えて来た鏡を前に項垂れている。女性はとある理由により自身の担当する区域に生える鏡を壊して回っていたのだ。
それは無数に生えた真実の鏡が自身を敗北させる要因となる事を恐れての行動であった。しかし、鏡をいくら壊しても数分もすれば新たな鏡が生えてきてしまう。
「鏡があったら、私は負けちゃうかも……うぅっ!?」
不安要素を取り除けない事に思い悩む女性は突如としてその場に蹲る。頭痛を堪えるかのように頭を抱えた女性の周囲にはいつの間にか毒々しい色の靄が漂っていた。
暫くして蹲っていた女性は立ち上がる。だが、女性が先程まで漂わせていた気弱な様子は微塵も感じられず、代わりに過剰と言える程の自信に満ち溢れていた。
「……我は何故鏡を減らそうと考えたのだ? 我が遊戯で負けるわけがないであろうに。」
何かに憑りつかれたかのように雰囲気の変わった女性は時折何かを呟きながら暗闇の中へと消えていった。
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「皆様、戦争の時間です。」
ドライプラメ・マキナスアウト(自称銀河帝国随一の管理AI・f25403)は招集に応じた猟兵達に要件を告げると空間モニターを起動させる。
空間モニターには広大な広場とその中心で様々な物品に囲まれながら人形の手入れをする女性の姿が映し出された。
「皆様には真実を告げる鏡の間へと赴き、遊戯の国の暴君『ヒュブリス』の討伐をして頂きたいのです。」
遊戯の国の暴君『ヒュブリス』は自身の担当区域全体を遊戯場に作り変えて猟兵達を待ち受けている。
ここで問題になるのがヒュブリスの持つ能力だ。ヒュブリスは自身が持ち掛た遊戯の勝者以外からの攻撃では決して傷つかず、ユーベルコードの効果を受ける事もない。
故にヒュブリスを討つ為には彼女の持ち掛けてきた遊戯の勝者となる必要がある。
「意味もなく遊戯を拒む行動や彼女を攻撃をする事は控えてください。」
ヒュブリスが提案した遊戯を拒んだ者やヒュブリスへ攻撃を試みた者がいると黒く巨大な手が現れて襲い掛かってくる。
黒い手は遊戯の勝者以外からの攻撃では決して傷つかず怯む事もない。そして、捕らえた者の体を胸像や無数の硬貨、何らかの物品に作り変えてしまう。
故に相応の理由がない限り遊戯の勝者となる前にヒュブリスへ攻撃する事や遊戯を拒む行動は控える事をドライプラメは勧めた。
「なお、遊戯そのものも理不尽な内容となっているようです。」
ヒュブリスの持ち掛ける遊戯はまともにやれば確実に猟兵側が敗北する内容になっている。
そして、遊戯に負ければ黒い手が現れて敗者を物品に作り替えるいう。
ただ、今回の戦いでヒュブリスが設けた理不尽なルールの中には猟兵達が利用できるものもある。それがこの国に無数に生えた真実の鏡の存在だ。
「真実の鏡はあらゆる質問に答えてくれます。」
鏡は国内での事に限りどんな質問にも答えてくれる。対象の位置や死角は勿論の事、当人しか知り得ない筈の情報にも答えてくれるという。
ヒュブリスは鏡を利用して自身にとって有利な情報を得て相手を潰しに来る。だが、それを可能にする為に鏡は猟兵達も利用可能になっているという。
真実の鏡の力を上手く使えれば理不尽な遊戯に勝利する事が可能であるとドライプラメは補足した。
「それでは、皆様の健闘を祈ります。」
伝えるべき情報を伝え終えたドライプラメは猟兵達をヒュブリスの待ち受ける遊技場へ送り出す為に転送装置を起動させた。
野根津
皆様、こんにちは或いはこんばんわ、野根津です。
今回は『真実を告げる鏡の間』にて行われるオウガとの遊戯勝負となります。
以下、補足事項です。
●プレイングボーナス
鏡に有効な質問をする。
鏡は『真実を告げる鏡の間』の内部におけるあらゆる質問に答えてくれます。
遊戯場の何処かに落ちている鏡を確保し適切な質問を出来れば遊戯に勝利しヒュブリスを攻撃するチャンスが得られるでしょう。
●ヒュブリスについて
ヒュブリスは元々気弱な性格でしたが何処からか流れ着いて来た呪われた人形の所有者となった結果、人形の放つ呪詛に侵されてしまい傲慢な暴君に成り果てた女王です。
能力が強力な分、素の戦闘能力は低いので遊戯の勝者となった猟兵がヒュブリスに負ける事はありません。
更に能力の強力さ故に傲慢しており猟兵達の小細工を見つけても被害を被らない限り無視します。
●判定について
遊戯の勝者となる事なくやられるプレイングを行う場合は後続の味方を有利にする行動を必ず入れてください。
それらの行動が入っていない場合、判定が苦戦や失敗となる恐れがありますのでご注意願います。
なお、勝者となっていてもヒュブリスが攻撃を受けると破壊可能な黒い手が襲い掛かってきます。
遊戯の勝者となった時点で成功判定は保証されますので任意で黒い手に捕まり胸像にされる行動を入れてもかまいません。
●プレイング受付について
プレイングは断章投稿後から開始、受付閉め切りやその他連絡事項はマスターコメントにて記載予定です。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『遊戯の国の暴君『ヒュブリス』』
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POW : 遊戯を妨害する者は見せしめとして胸像の刑に処する
非戦闘行為に没頭している間、自身の【遊戯結果が敗北でない限り破壊不能な繰り手】が【遊戯の妨害や攻撃をした者を胸像に作り変え】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
SPD : 遊戯を拒否するものは硬貨となり国に奉仕せよ
【遊戯する事を拒絶した対象への刑の執行宣告】から【破壊不能な繰り手の捏ね繰り回し攻撃】を放ち、【対象を無数の金属硬貨に作り替える事】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : 敗者は女王の所有物となり奉仕する栄誉が与えられる
【女王が遊戯を行った結果、敗北】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【破壊不能な漆黒の繰り手による捏ね繰り回し】から、高命中力の【対象を家具や食器や調度品に作り変える技】を飛ばす。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「シエナ・リーレイ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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「猟兵達よ、よくぞ参った。」
転送装置を潜り抜けた猟兵達はヒュブリスと対峙していた。様々な物品に囲まれたヒュブリスは礼服を着た少年の人形を抱えながら豪華な装飾の施された椅子に腰かけ猟兵を見下ろしている。
しかし、猟兵達の視線はどちらかと言えばヒュブリスを取り囲む物品に向けられていた。というのもこれらの物品には例外なく少女の意匠が施されていたのだ。
ある少女の顔は苦痛に歪み、またある少女の顔は諦観に満ちている。更に一部の少女は辱める様な加工が施されていた。
事前にヒュブリスの能力を聞かされていた猟兵達はこれらの物品が全てアリスの成れの果てである事を察していた。そんな猟兵達をヒュブリスは嘲笑う。
「ははは! そんなに彼女達が心配なのか? 心配せずとも直に貴様らも一員に加わる。」
ヒュブリスは椅子から立ち上がるとその手に抱えていた人形をテーブルの上に置くと代わりに少女を筒型に圧縮した様な造形の茶筒を手にした。
「貴様らには我と缶蹴りで勝負して貰おう。拒む事は許さぬぞ。」
ヒュブリスは遊戯のルールを手早く説明すると指を鳴らした。するとテーブルの上に置かれた人形から黒い霧が噴き出した。
霧は凄まじい勢いで広がってゆき、あっと言う間に猟兵達は1m先を見渡す事も難しい程に深い闇に包み込まれてしまった。
「それでは遊戯を始めるぞ。鬼である我に見つからぬように足掻くが良い。」
暗闇の中に缶を蹴る音が響き渡る。このままでは一網打尽にされると考えた猟兵達は一斉に闇の中へと駆けだした。
こうしてヒュブリスと猟兵達の遊戯が始まった。
●遊戯について
ヒュブリスが提示した遊戯のルールは以下の通りです。
・鬼に直接視認され発見宣言をされた者を敗者とする。
・鬼に見つかる事無く缶に触れた者を勝者とする。
・遊戯開始後に鏡を除く人力以外の動力で動く道具を使用した者は違反者とする。
・鬼と勝者を除く参加者はユーベルコードを使用した時点で違反者とする。
・地形を変化させる行動や地表から1mを超える高さに到達した者は違反者とする。
・違反者は遊戯を拒んだ者として扱う。
・遊戯場に一定時間滞在した勝者は遊戯の新たな参加者として扱う。
●補足事項
遊戯場の地形は平坦で真実の鏡と敗者の成れの果て以外に障害物となる物は存在しません。
遊戯場全体が1m先を見渡す事も困難な程に深い闇に包まれています。闇による視覚制限は技能や種族特性によって解消する事は出来ません。
ヒュブリスは真実の鏡を使い常に猟兵達の位置とルール違反者の有無を確認しています。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしています。
キャプテン・ハマーヘッジ
「待てーい!君の遊戯勝負、私が受けて立とう!この宇宙紳士、キャプテン・ハマーヘッジが…!」と叫んで高い所から登場する。
(ゲームとあらば正々堂々挑むのが紳士のマナーだが…相手の設定したルールがそもそも不公平なものであれば、正直に乗ってあげる理由はないな!)
鏡への質問は、【ゲームのルールの穴を教えてくれ】である。
(仕掛ける側が一方的に有利なゲームなど、そもそもゲームとは呼べない!傲慢さと身勝手さ故に本人も気付いていない破綻が、どこかにあるはずだ!私はそれを突く…! 私が敗北しても問題はない!仲間たちが、私の見つけたゲームの穴を確実に突いてくれるだろう!!)
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「待てーい! 君の遊戯勝負、私が受けて立とう! この宇宙紳士、キャプテン・ハマーヘッジが……!」
「……随分と威勢の良い事だが今からルール説明をする所だ。遊戯が始まるまで大人しく待っているがいい。」
ヒュブリスによるルール説明が始まる直前に一人の男が現れた。転送先を高所に設定する事よって華麗な着地を決めたその男の名はキャプテン・ハマーヘッジ(宇宙紳士・f28272)だ。
立ち上がったハマーヘッジはヒュブリスの方へ向かい合うと力強く遊戯への参加宣言をする。そんなハマーヘッジにヒュブリスは呆れながら遊戯が始まっていない事を告げた。
「ルール説明は以上が。あぁ、違反行為のルールは我も対象となる。そうでなければ不公平であろう?」
(今の所、不公平なルールはないようだな。しかし、それならば何故グリモア猟兵は理不尽な遊戯と称したのだ?)
ヒュブリスからのルール説明が聞き終えたハマーヘッジは首を傾げた。ヒュブリスが告げたルールに不公平といえる点が存在しなかったのだ。
強いて言えばユーベルコードの使用制限が不公平と言える。だが、ヒュブリスの持つユーベルコードの性質を顧みればそれだけで理不尽と言える程のものではなかった。
「まさか、何か大きな見落としをしているのか?」
ルールそのものに不公平がないのであれば残る可能性はルール外の要素によるものだ。ハマーヘッジが考えを巡らせようとした瞬間、遊戯場が闇に包まれた。
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「成程、確かにこれは理不尽な遊戯だな……。」
数m先を見渡す事すら困難な程の闇に包まれたハマーヘッジは頭を抱えた。本来ならばヒュブリスも猟兵達を探す事が困難だろう。
しかし、あちらには真実の鏡がある。お陰でこちらの位置はすぐに把握され、瞬く間に距離を詰めて来るだろう。
(まずは相手と同じ土俵まで経つ為に真実の鏡を見つける事が先決だ!)
ハマーヘッジは暗黒の中を駆け出す。自分が何処を進んでいるのかも分からない状況だが走り続ければ真実の鏡を見つけられる筈だ。
幸いハマーヘッジの耳に自身に向けて接近する音は聞こえてこない。そして、走り回った末にハマーヘッジは真実の鏡を見つけ出す事に成功した。
(どんな質問をするべきか。)
ハマーヘッジは鏡への質問を考える。順当に行けばヒュブリスの位置や缶の位置を聞くべきなのだがここにきて遊戯が始まる直前に自身が抱いていた疑問を思い出した。
(そうだ、鏡を入手すれば対処可能な暗闇だけが理不尽な遊戯の理由とは思えん! どこかに致命的な見落としがある筈だ!)
改めてルールに致命的な穴がある可能性に気が付いたハマーヘッジはその穴を見つけ出すべく鏡へ小声で質問をした。
「鏡よ、このゲームのルールの穴を教えてくれ。」
『ルール上、この遊戯では缶を特定の場所に置く必要がありません。』
鏡からの返答を聞いたハマーヘッジはヒュブリスが蹴られた後の缶の扱いについて全くしていない事に気が付いた。同時に脳裏を過った可能性を確かめる為にハマーヘッジは更なる質問を鏡にした。
「鏡よヒュブリスの位置と缶の位置を教えてくれ。」
『ヒュブリスは缶と共にあなたの500m前方を移動中です。』
(やはり缶を持ちながら移動していたか!)
勝者となるには缶に触れなければならないにも関わらず、その缶を鬼が持ち歩いているのだ。
これではどう足掻いても缶に触れる前にヒュブリスに視認され敗者とされてしまう。正しく理不尽な遊戯であった。
(仕掛ける側が一方的に有利なゲームなど、そもそもゲームとは呼べない!)
このままでは猟兵達に勝ち目がない事を悟ったハマーヘッジは鏡に誘導して貰いながらヒュブリスに向けて駆けだした。100mという距離はあっと言う間に縮まりうっすらとヒュブリスの背中が見えてくる。
当然、ヒュブリスもハマーヘッジの接近に気が付いており、彼を視界に収め宣言をすべく振り向いた。その手には勝者となる為に必要な茶筒が握られていた。
ハマーヘッジはすかさずコズミック・ハート80'sによる目にも止まらぬ早打ちでヒュブリスの手を撃ち抜いた。
ユーベルコードにより守られたヒュブリスを傷つける事は当然できない。だが着弾の衝撃でヒュブリスは缶を手放し、続けて発射された光線銃の一撃が缶を弾き飛し闇の中へと追いやった。
「ヒュブリスよ! 君の思い通りにはさせないぞ!」
「やってくれるではないか……。だが、違反者には罰を受けて貰うぞ!」
ヒュブリスの宣言の直後、巨大な手が現れてハマーヘッジを握りつぶした。肉が潰れ捏ね繰り回す音が広場に響き渡るが少しして肉の潰れる音が金属を擦り合わせる音へと変化してゆく。
そして、黒い手が開かれれば中からハマーヘッジの姿が刻印された無数の金属硬貨が床へと散らばった。
「……鏡よ鏡、缶は何処へ飛んでいった?」
こうしてハマーヘッジは無数の金属硬貨と成り果てる代わりに猟兵達に勝利の可能性を齎した。
成功
🔵🔵🔴
水心子・静柄
基本的には「ヒュブリスと缶の位置(方角と距離)」と「ヒュブリスが移動している方角」の二つを鏡に聞きながら行動をする。ヒュブリスが自分の方角に移動しているなら、ヒュブリスと同じ方角に逃げる。それ以外なら缶のある方角を目指す。ヒュブリスとの距離が近い場合には頻繁に鏡に聞いて、離れている場合はそれなりの頻度で聞く。ヒュブリスが他の猟兵を追いかけているのなら缶を狙いに移動する。ヒュブリスが自分を追いかけてきたのなら、缶からヒュブリスを遠ざけるように移動する。これなら猟兵単位でみれば勝てると思うんだけど、何か引っ掛かるわね…念の為に「ヒュブリスの思惑」を鏡に聞いてみる。ただ傲慢なだけならいいんだけど
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「無事に鏡を確保する事は出来たわね。」
水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)は鏡を片手に小声でつぶやく。
遊戯場が闇に包まれた時には焦ったものの、直ぐに平静を取り戻し鏡を確保する為に駆けだしたのだ。
そして、特に問題もなく鏡を確保できた静柄は早速鏡へと質問を投げかける。
「鏡よ、ヒュブリスと缶の位置を教えて。」
『ヒュブリスは西に150m、缶は北に100mの位置に存在します。』
「思ったよりも缶とヒュブリスの距離が近いわね……。ヒュブリスはどの方角に移動しているの?」
『ヒュブリスは東北東に移動中です。』
鏡からの返答に静柄は思考を巡らせる。
自身の位置から顧みてヒュブリスが缶を目指して移動している事は明白だ。ただ、それ自体は缶蹴りにおいて普通の行為だ。
だが、現状では理不尽ではあるが猟兵にも勝ち目がある遊戯に対し静柄は違和感を感じていた。
嫌な予感がした静柄は鏡にヒュブリスの思惑を問い掛けた。
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『ヒュブリスは手放してしまった缶を再び拾った上で、猟兵探しを再開するつもりです。』
「まさか……少し前までヒュブリスは缶を持ち歩いていたってこと?!」
『肯定します。』
静柄はこの遊戯が理不尽と言われていた理由を悟った。
確かにヒュブリスは缶の置き場所に関するルールを言及していない。しかし、缶蹴りという遊びを良く知る者からすれば鬼が缶を持ち歩いているなんて想像もしないだろう。
それは知る事が出来ても対処する事が困難な理不尽な遊戯という言葉が相応しくする所業だ。恐らくは静柄よりも先にその事に気が付いた者がいて、その身を顧みずヒュブリスの手から缶を手放させたのだろう。
「このままヒュブリスに拾われるわけにはいかないわ!」
静柄は缶が落ちているという北に向けて全速力で駆け出した。当初の予定ではヒュブリスの位置をこまめに確認しながら動くつもりであったがそうもいかない。
ここでヒュブリスに缶を拾われてしまえば鏡を持っていようと勝つ事の出来ない理不尽な遊戯が再び始まってしまうからだ。途中、鏡にヒュブリスの位置を聞けば静柄に向けて進んでいる事を告げてきた。
どうやら、ヒュブリスも静柄の存在に気が付き、先に静柄を無力化してから缶を拾うつもりらしい。それでも静柄は缶を目指し一直線に駆けてゆく。
「水心子・静柄を見つけたぞ!」
「これで私の勝ちよ!」
そして、静柄が缶を全力で蹴り飛ばすのとヒュブリスが静柄の発見宣言をするのは同時であった。
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「さぁ、貴様も我の所有物となって貰うぞ!」
「そんなのはお断りよ!」
缶が遥か彼方へと飛んで行くのと同時に黒い手がヒュブリスの背後に現れると静柄に罰を与えようと迫りくる。
ヒュブリスは自分の宣言の方が早かったと信じて疑ってはいないようだ。だが、それは静柄の方も同じである。
「真峰、あなたの切れ味を私に見せて頂戴!」
「馬鹿め! 敗者である貴様に黒い手を壊せるわけがなかろう!」
静柄は自身の姉にして最強の刀であると信じて疑わない本差(真峰)を召喚すると迫りくる黒い手に向けて構える。そして、黒い手が静柄を捕らえようと大きくは開かれた瞬間に一気に振り下ろした。
「我の手が切られただと!?」
「私のマミネに切れない物はないわ!」
果たして、マミネは黒い手を一刀両断した。ヒュブリスの宣言よりも早く真峰は缶に触れて勝者となる事に成功していたのだ。
そして、真峰は返す刀で黒い手を破壊されて動揺するヒュブリスの体を切り裂いた。
大成功
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二尾・結
ふーん、缶蹴りね!やったこと無いけど私が負けるわけないじゃない!
最初はとにかく鏡を手に入れて、缶とヒュブリスの位置を質問しながら、見つからない様に缶に近づいていくしかないわね。
終盤は缶の近くで待ち伏せされるだろうから、一か八か『正義と勇気の防護外套』で強引に相手の視界を塞いで、無理矢理缶に触れるわよ!
勝者になったらこっちのもの、『スーパー・ジャスティス』で思いっきりぶん殴ってやるんだから!
って何で私の弱点が分け目なのを知ってるの!?体が痺れて動かないのに、手が迫って……
※勝った場合の最期は美しくない勝ち方をした罰として、辱めるような加工をされた胸像化を希望。
アドリブ、絡み、無様描写歓迎
龍・雨豪
ふふん。理不尽なルールがあろうと理不尽な力があれば問題ないわ。何度でも叩きのめしてあげようじゃない!
まずは鏡を探しましょ。無数にあるって話だから、走って逃げ回ってればそのうち見つかるだろうし。やっぱり、あるなら壁際かしら?
もし都合よく発見できたなら、外して持ち歩きながら鬼の位置を質問するわ。そうして距離を取りつつ二つ目の鏡も回収して、そっちには缶の位置を聞けば勝ったも同然ね!
缶に触れたら鬼に向かって低空飛行で近づいて、一撃のもとに葬り去ってやるわ!
「勝ったわね!」
これは自慢気に胸を張りたくなるというものね。
後は、ってナニコレ?何かに捕まったみたいに動けないんだけど。こ、これ拙いわよね……?
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「ふーん、缶蹴りね! やったこと無いけど私が負けるわけないじゃない!」
放浪少女にして正義の為に日夜戦い続けていた二尾・結(通りすがりのツインテール・f21193)は缶蹴りをしたことがない。
しかし、相手に見つからずに缶に触れれば良いという単純なルールから結は自身が負ける可能性を微塵も考えていなかった。
「漸く鏡を見つけたわ。まったく、全然見つからなくて少し焦っちゃったじゃない。」
予知でヒュブリスが鏡を破壊して回った影響かはたまた暗闇のせいか、この杭区の鏡は他区域と比べて明らかに少なかった。それでも結はヒュブリスの接近を警戒しながらも只管に走り回った末に漸く鏡を確保する事に成功した。
「鏡よヒュブリスと缶の位置を教えなさい!」
『あなたを基準にヒュブリスは北に300m、缶は東北東に400mの位置に存在します。』
結は早速と言わんばかりに確保した鏡へ質問を投げかける。すると鏡はノータイムでヒュブリスと缶の位置を方角と距離という形で答えた。
結は缶のある方角を目指すと共に盛んにヒュブリスの位置の確認を行いながら缶を目指し突き進む。だが、缶との距離が縮むにつれてヒュブリスとの距離も縮まってゆく。
『ヒュブリスは北に50mの位置に存在します。』
「やばっ!? 私を無力化するつもりだわ!」
缶との距離が100mを着る頃になって鏡は結とヒュブリスとの距離が急速に狭まっている事を告げる。結はヒュブリスが自身の無力化に来たと考え、ヒュブリスから距離を離す様に方向転換をした。
しかし、それが災いし結はヒュブリスが先に缶の元へと到達する事を許してしまった。
「あぁもう! あと少しで缶に触れると思ったのに!」
結は缶に触れたいのに触れられない状況に歯噛みする。方向転換を行い一時退避を行った結と缶の距離は僅か100mであった。
しかし、ヒュブリスが缶を確保している以上、不用意に近づけばヒュブリスに視認され敗者にされてしまう。このまま戦況が膠着すると思っていた結であったがここにきてヒュブリスの異変に気が付く。
どういうわけかヒュブリスが一定の範囲内を行き来しているのだ。それはまるで複数人から狙われた缶を守ろうと動きであった。
「まさか、近くに他の猟兵がいるの?」
鏡の情報から行きついた可能性を結は呟いた。
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ここで時は結が鏡を手にした直後にまで遡る。
「まずは鏡を探しましょう。鬼を叩きのめすのはその後よ。」
龍・雨豪(虚像の龍人・f26969)は遊戯場が闇に包まれた直後からある場所を目指し一直線に進んでいた。
「ヒュブリスも面倒な事をしてくれたわね。……やっぱり、鏡があるなら壁際かしら?」
今回は遊戯場全体が闇に包まれ鏡を見つけ辛い上にヒュブリスにより鏡の数が減らされていた。雨豪は少しでも鏡が見つける可能性をあげる為に鏡が生えて来る場所が増えるであろう壁際を目指し移動をしていた。
暫くして漸く遊戯場の壁際へと辿り着いた雨豪は壁沿いに駆けてゆく。暫くして雨豪は目論み通りに2つの鏡を入手する事に成功した。
「理不尽なルールがあろうと理不尽な力があれば問題ないわ、ふふん。これで勝負は勝ったも同然ね!」
雨豪は当初の予定通り、2つの鏡にヒュブリスの位置と缶の位置を聞いてみる事にした。
「鏡達よ私にヒュブリスの位置と缶の位置を教えてくれないかしら?」
『『ヒュブリスは南南西に750mの位置に存在します。缶は南に1kmの位置に存在します。』』
「思ったよりもヒュブリスと缶の位置が近いわね。このままじゃヒュブリスに缶を確保されてしまうわ。」
雨豪は思ったよりも缶とヒュブリスの距離が近い翼を広げると缶を目指し低空飛行を始めた。だが、高度1mを超えてはいけないという制限故に思うように速度を出す事が出来ない。
そして、缶と雨豪の距離が200mを切る頃になって鏡はヒュブリスと缶の位置が重なったことを告げた。
「壁際に向かった事が仇になってしまったわね。ここからどう切り崩していこうかしら?」
ヒュブリスが缶を確保してしまった以上、雨豪は迂闊に動く事が出来なくなった。本来の缶蹴りであれば鬼が他参加者を探しに行くという隙が出来るのだが鏡の存在があるこの遊戯ではそうもいかないのだ。
こうなると残る手段は誰かが自身が犠牲となる事を覚悟してヒュブリスを引きつけ、その間に他の物が缶を蹴る事だ。幸か不幸か鏡から缶の直ぐ近くには別な猟兵という情報も得られたのでこの作戦は可能だ。
「覚悟を決めるしかなさそうね……。」
雨豪がヒュブリスの注意を惹く事を決意した直後、遊戯場に缶が蹴られる音が響き渡った。
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「両腕が使えればこうも面倒な事にならなかったというのに……忌々しい。」
結と雨豪の二人が攻めあぐねている頃、鬼であるヒュブリスもまた動けずにいた。
本来ならば缶を確保した時点でそれを拾い上げ、そのまま猟兵達を探しにゆく理不尽な遊戯が始まっていた。だが、数分前に受けた遊戯の勝者からの傷の影響で片腕が使えなくなっていた事がそれを阻んでいた。
「こんな事になるならば、もう少し小さな缶を選ぶべきであったか。」
今回の遊戯の要である缶が思いの外大きく、懐に隠す事が出来ず手に持つしかなかった。しかも、缶を手に持てば敗者の宣告に必要な指を指す行為が出来なくなってしまうのだ。
お陰でヒュブリスは缶の保持と敗者の宣告のどちらか一方しか出来ずにいた。そして、缶の保持を優先すれば猟兵を敗者にする事が出来ず、かといって猟兵を探す事を優先すれば新たな勝者を出す恐れがあった。
「仕方ない。まずは動きの速い方から始末を……っ!?」
考えた末にヒュブリスはより遠くから駆けつけて来た猟兵である雨豪に狙いを定めた。だが、雨豪を追い詰めるべく移動を始めた瞬間に結が突撃してきたのだ。
「これでも喰らいなさい!」
「わぷっ!? くそっ、前が見えぬ!」
結は接近に気が付いたヒュブリスが完全に振り向く前に正義と勇気の防護外套をヒュブリスへと投げつけて視界を防いだ。盾としての運用を前提とした外蓑をヒュブリスは破く事が出来ずどうにか引き剥がそうと藻掻いている。
その隙を結は見逃す事はなくすかさずヒュブリスの足元に置かれていた缶を全力で蹴り飛ばした。缶は甲高い音をたてながら闇の中へと消えていった。
結は闇の中へ消えてゆく缶を気にする事無く黄金のオーラに身を包むと未だに外蓑と格闘するヒュブリスに殴り掛かった。
「散々は利子回された恨み、ボコボコにして返してあげる!」
結はオーラにより強化された殴りと蹴りを外蓑諸ともヒュブリスに叩きこんでゆく。その勢いは凄まじく、ヒュブリスの体が段々と宙に浮んで行く。
「このまま一気にゲーム終了よ! ……はぅっ!?」
「……貴様、あまり調子に乗るなよ?」
止めの一撃を決めようとした瞬間、結の体は突如と痺れ動かなくなった。辛うじて動く視線を自身が侍らせていた鏡に向ければそこには自身のツインテールの分け目に指を突きたてる巨大な黒い手が写っていた。
「な、何で……私の弱点が分け目なのを……知ってるの!?」
「それは我が貴様の弱点を鏡に聞いたからに決まっているであろう。」
痺れにより座り込みぬ結を余所にヒュブリスが外蓑を押しのけその姿晒す。果たしてヒュブリスには僅かに打撲の跡が見られるだけで大した傷を負っていなかった。
そう、ヒュブリスの視界を隠す為に被せた外蓑が結の攻撃からヒュブリスを守る盾となってしまっていたのだ。
「貴様の外蓑、中々の防御力であったぞ。お陰で貴様が再び挑戦者に戻るまで余裕で耐える事が出来たお。その点だけは褒めて遣わそう。」
「そ、そんな……! はうぅっ!?」
「さて、調子に乗って我を叩き続けた貴様には罰を与えねばならんな。なぁに、この外蓑に免じて飛び力無惨な胸像に仕立ててやろう。」
ヒュブリスの背後に新たな黒い手が現れると結の首から下を握り潰した。そして、2つの黒い手は力を合わせる様にして結の体を弄ってゆく。
一方の手は指を蠢かせて快感を送り込みながら握りつぶした体を作り替え、もう一方の手は結の脳に新たな習性をすり込むかのようにもう一方の指の動きに合わせてツインテールの分け目を刺激してゆく。
「加工が終わったようだな。貴様の新たな体を見るがいい。」
「ふにゃぁ……にゃ、にゃんにゃのこりぇえ……。」
暫くして黒い手から解放された結の首から下は胸像へと変貌していた。結は鏡に映し出された自身の体に唖然とする。
白い出来たそれは衣類を纏っておらず結の裸体を曝け出している。だが、その胸は本来の結の胸は結自身の頭よりも大きな爆乳と化しており、その先端部も3段ロケットの如く硬く尖っていた。
「この程度で驚いて貰っては困るぞ。今回は特別に貴様の弱点も強化してやったぞ。泣いて喜ぶが良い。」
「あぁんっ! しょ、しょんな……これいじょうよわくしゃたら……ゆいは……ゆいはぁ……!」
更にヒュブリスが未だに生身を保っている結のツインテールの分け目をなぞれば結の体に痺れの代わりに凄まじい快感が迸る。
黒い手は結の体に快感が迸るのに合わせ分け目を刺激する事によって結の脳に分け目を刺激されると全身に凄まじい快感が全身を駆け巡るという条件付けをしてしまったのだ。
それは今回の戦いが終わり、体が元に戻れたとしても脳に刻み込まれた条件付けが結の新たな体質として苛み続ける可能性を暗喩していた。
「それでは、貴様は他の物たちの見せしめとして無様な姿を胸像として晒し続けるがいい。」
ヒュブリスの宣言を合図に未だにツインテールの分け目を刺激され快感を送り込まれている結の頭が黒い手に包まれる。
そして、黒い手が離れるとそこには白の大理石と化した結の頭が快感で蕩け切った顔を晒していた。
●
「どうやらもう一人の猟兵が勝負に出てくれたようですね。」
結がゲーム勝者となった頃、雨豪の耳に缶が蹴飛ばされる音が届いていた。鏡に缶の位置を問い掛ければ缶はすさまじい勢いで自身のいる方角へ飛んでいるという答えが返って来る。
だが、缶は相当の力を込めて蹴られた様で直に雨豪の頭上を通り過ぎてはるか後方へと飛んで行った事を鏡は告げた。
「私に向けて飛ばしてくれたのは良いけれど、もう少し加減をして欲しかったわ!」
雨豪は遥か彼方へと飛んで行く缶を低空飛行で慌てて追いかけてゆく。やがて、勢いが弱まってきたのか缶は地面に落ちて甲高い音をたてた。
雨豪は鏡からの誘導を頼りに地面に落ちた缶を見つけ出すとその場に優しく立て置いた、
「これで私も遊戯の勝者ね。後は鬼が力尽きるまで何度でも叩きのめしてあげるわ!」
ゲームの勝者となった雨豪はヒュブリスに向けて再び飛翔する。暫くして1体の胸像、恐らくはその身を顧みず缶を蹴飛ばした猟兵の成れの果ての頭を高笑いしながら撫でまわすヒュブリスの姿が見えて来た。
雨豪は明らかに油断しているヒュブリスの懐に飛び込むと拳による一撃を叩き込んだ。叩き込まれた拳は内臓を潰す感触を雨豪に伝えると共にヒュブリスを空高く打ち上げてゆく。
「勝ったわね! 後は……って、ナニコレ? 何かに捕まったみたいに動けないんだけど……。」
あっと言う間に暗闇の中へ消えていったヒュブリスを見送った雨豪は自慢げに胸を張った。そして、意気揚々とグリモアベースへ帰還しようとした所で自身の体が動かなくなっている事に気が付いた。
慌てて鏡に自身の状態を聞いてみれば鏡は雨豪が黒い手に捕まっている事を告げた。慌てて脱出しようとするが黒い手はびくともしなかった。
雨豪は缶に触れてからヒュブリスに接近するまでに時間をかけすぎてしまい、ヒュブリスに一撃を決めた瞬間に時間切れを迎えてしまっていたのだ。
故に勝者ではなく新たな参加者となってしまった雨豪には黒い手を壊す事が出来ず、逃れる事も叶わなかった。
「こ、これ拙いわよね……? ふぎゃっ!?」
呟きの直後、雨豪は黒い手に握りつぶされ捏ね繰り回されてゆく。指が蠢く度に雨豪の肉の潰れる音と共に雨豪の喘ぎ声が響き渡るがそれも段々と弱まってゆく。
そして、強制と肉の潰れる音が完全に止むと黒い手は雨豪を解放した。黒い手から解放された雨豪は胸像に成り果てていた。
黒い大理石で出来たそれはとても誇らしげな顔で大きな胸を見せつける様に胸を張っている。
こうしてヒュブリスと二人の猟兵の戦いの跡に遊技場に厭らしい白の胸像と誇らしげな黒い胸像が残されるのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
シズホ・トヒソズマ
まあやるだけやってみますか
からくり人形って人力判定入りませんかね……あくまで私の指の糸で動かしてますし……
念の為、複数プランでいきましょう。
いけそうなら鏡で『私から見た缶と敵と繰り手の位置を教えて』で把握
敵と繰り手に大帝巫で認識改変◆催眠術を使い
鏡や音で把握した私の位置を大きくズレた場所に認識するようにしその間に缶を触りに行きます
勝ったら繰り手をUCで攻撃し物品変化やられ
ダメで何かに変化させられそうならその間にUCを発動
これは私が被虐を感じれば人形が自動的に動くもの
黄金の射撃武装や近接武装でその間に動いた猟兵をサポートするように動かさせます
変化先物品やデザインはお任せ
被虐的に喜んでる反応で任せ
●
「鏡は無事に確保できました。いやぁ、沢山の人形を背負って延々と走り回るのも中々乙なものでしたね!」
地面から生えた真実の鏡を見つけ出したシズホ・トヒソズマ(因果応報マスクドM・f04564)は額の汗を拭う。その背中には沢山のからくり人形が背負われていた。
ヒュブリスからのルール説明を聞き、途中で人形を呼び出す行為が違反扱いされる事を危惧したシズホは遊戯開始前に可能な限り人形を呼び出すと人形達を背負いながら鏡を求め遊戯場を駆け回っていたのだ。
お陰でシズホの体は既に汗に塗れ、息も上がりかけている。しかし、それ以上に重い人形を背負ったまま延々と走り回された事に対する悦びに満ちていた。
「さて、ここからが本番ですが……まぁ、やるだけやってみますか。」
少しして息を整えたシズホは背中に背負った人形達を丁寧に並べてゆく。並べられた人形は武装や容姿が異なるものが7体、はっきりと言って落とす事なく背負って走り回れただけでも称賛に値する数である。
そんな人形達にシズホは指にはめた指輪から無数の糸を伸ばしてゆく。糸はまるで生きているかのように人形の衣類や関節の隙間に潜り込んでゆき、少しして糸が人形に繋がった感触がシズホの指に伝えて来た。
「からくり人形って人力判定入りませんかね……あくまで私の指の糸で動かしてますし……。」
シズホが指を動かせば7体の人形はぎこちない動きで立ち上がってゆく。シズホは周囲を見渡すが黒い手が現れる様子はなかった。
どうやら、人形を糸を使って動かす事は人力判定に入ったようでシズホは安堵した。
●
「ここまでは順調ですね。それでは次は人形達の機構を試しましょう。」
シズホは人形達に仕込まれた機構の確認を始めた。手始めに動かすのは今回の戦いの要でもある対象の認識を改竄する事が可能な大帝巫だ。
だが、大帝巫はその身に仕込まれた機構を起動させた直後何処からともなく現れた黒い手に握りつぶされた。
「まさか、内部機構を使用が人力以外の動力と見做されたのですか? というか何で私ではなく大帝巫が握りつぶされているのですか!?」
確かに人形達を動かすだけであればシズホの目論み通り人力判定で見なされていた。しかし、大帝巫に仕込まれた機構は霊力や妖力を源とする力であり、それが違反行為であると見做されてしまったのだ。
大帝巫だけが握りつぶされている理由に関してはこれまでの戦いで疑似的に与えられた魂が僅かに残っていた事が原因かもしれないが真相は定かではない。
「あんなに捏ね繰り回されて羨まし……じゃなくて、大帝巫に何をするんですか!」
シズホは大帝巫を黒い手から助け出そうと奮闘するが黒い手はびくともしない。やがて黒い手の動きが止まれば指の隙間から大帝巫の姿が刻まれた大量の金属硬貨が零れ落ちてゆく。
そして、零れ落ちる金属硬貨がなくなると黒い手は虚空へと消えていった。
「うぅ、大帝巫が金属硬貨にされてしまいました。どうせなら私諸ともやって欲しかったです!」
沢山の硬貨を前に項垂れるシズホの口から欲望に満ちた叫び声が零れ落ちる。だが、黒い手がシズホの言葉に応える現れる事はなかった。
●
「そういえば、鬼や缶の位置を確認するのを忘れていました……。」
「鏡に質問をする必要はないぞ。」
どれほどの時間がたったか、シズホはからくり人形だけが硬貨にされてしまったショックで鏡に質問をする事を忘れいた事に気が付いた。
これは不味いと鏡に質問をしようとした瞬間、後方から飛来した何かにより鏡が砕かれた。
突然の事態にシズホが後ろを振り返ればそこには不敵な笑みを浮かべるヒュブリスと回転しながら闇の中へと消えてゆく缶の姿があった。
「違反者が出たという事で赴いてみたが、まさか自ら罰を望む者がいるとは思わなかったぞ。」
ヒュブリスは唖然とするシズホを指差すと容赦なく敗者の宣告を行う。するとヒュブリスの背後に黒い手が出現しシズホを握りつぶした。
「あぁッ! 握りつぶされ捏ね繰り回されて別のモノに作り替えられてますぅ!」
「……先程胸像に変えてやった小娘といい、猟兵には変態が多いのか?」
自身の肉体が作り替えられているというのに悦びの声をあげるシズホにヒュブリスは呆れかえる。
程なくして黒い手から解放されたシズホは陶器製の貯金豚に成り果てていた。
「喜べ、貴様には遊戯場にばら撒かれた金属硬貨を貯める仕事をやろう。手始めに貴様の人形達をその身に蓄えるが良い。」
(ふああぁぁ!? しゅごい! わたしのなかにどんどんおかねがたまっていきますぅ!)
ヒュブリスが指を打ち鳴らせば何処からともなく複数の黒い手が出現した。黒い手は床に散らばった硬貨を貯金豚へと投入してゆく。
更に6体の人形が黄金の武装を手に動き出そうとすれば黒い手が追加で現れて金属硬貨へと作り替えてゆく。
そして、ヒュブリスは7体の人形であった硬貨の山が次々と投入されてゆく貯金豚を一瞥すると闇の中へと消えてゆくのであった。
成功
🔵🔵🔴
在原・チェルノ
自分に有利なルールで一方的に勝負挑んでおいて、勝ったつもりでいるっていうのが腹立たしいわねー
流星忍姫チェルノ、参ります!(見つからないよう小声でこっそり)
【聞き耳】と【第六感】でオウガの接近を警戒しながら【失せ物探し】で缶が落ちた場所を探す
缶を発見したら装飾具を【念動力】で動かして別方向に移動しているように見せかけてオウガをそこにおびき寄せ、同時に【忍び足】で缶のところに向かう
缶をタッチして勝利が確定したら【雷刃無尽】で今までの借りを返してあげるわよ!
でも黒い手に掴まったら恥ずかしいオブジェにされちゃうかも?
※NGなし・アドリブOKです
●
「自分に有利なルールで一方的に勝負挑んでおいて、勝ったつもりでいるっていうのが腹立たしいわねー。」
遠くを見渡す事が決して叶わない暗闇に包まれた遊戯場。そんな遊戯場の一角で在原・チェルノ(流星忍姫チェルノ・f06863)は呟く。
遊戯とは相応の理由や意図しない要因が混ざらない限り対等な条件のもとで執り行われるべきものだ。だが、ヒュブリスはルールこそ平等だがそれ以外の要因で自身が一方的に有利となる遊戯を猟兵達に強いている。
真面目な性格なチェルノはそんなヒュブリスの所業に苛立ちを隠せずにいた。
「ヒュブリスには痛い目に合ってもらうわ。流星忍姫チェルノ、参ります!」
チェルノは小声で呟くと闇の中を駆けだした。
●
「鏡はそれなりに見つかるのに缶は見当たらないわね。」
チェルノは暗闇の中、聞き耳を立て第六感を研ぎ澄ましながら進む。殆どの猟兵が手始めに真実の鏡を探す中チェルノは鏡ではなく缶を探していた。
それは理不尽なゲームに真正面から打ち勝ってやろうという気概によるものか、それとも鏡の能力を疑ってのものなのか真相は定かではない。
だが、いくら暗闇の中を探し回っても鏡は見つかれども缶は見つからない。とうとうチェルノが探していない場所はヒュブリスの気配が感じるとれる場所のみとなった。
「どうやら缶はヒュブリスに確保されてしまったようね。」
ヒュブリスの動向に細心の注意を払いながらチェルノは進む。聴覚と第六感だけが頼りな現状において僅かな判断ミスが敗北に繋がる。
そして、チェルノはある位置で歩みを止めた。そこはヒュブリスが動きを見せても確実に退避できるギリギリの距離であった。
「ここは暗闇を利用させて貰うわ。」
チェルノは衣類を脱ぎ捨て、水着姿になると脱ぎ捨てられた衣類に対し念動力を行使する。すると衣類は宙に浮び、まるで透明人間が衣類を着て歩いているかの如く動き始めた。
念動力で動かした衣類を囮にヒュブリスを誘い出し、その隙を利用してチェルノは缶に触れるつもりなのだ。
「…………今だわ!」
衣類を動かし始めて暫くしてヒュブリスが動き始めるのを察知した。チェルノは衣類をヒュブリスから逃げる様に動かすと自身も忍び足で缶へと近づいてゆく。
しかし、チェルノが缶の視認に成功した瞬間、突如としてヒュブリスが引き返してきた。チェルノは咄嗟に飛びつき缶に触れようとするが、その手が缶にふれるよりも早くヒュブリスの脚が缶を蹴飛ばし、伸ばされたチェルノの手を踏みつけた。
「妙な動きをする者がいると思えば、よもや鏡を使っていないとはな。」
ヒュブリスはチェルノの手を踏みにじりながら嘲笑う。近くに缶は存在せずチェルノはヒュブリスに視認されてしまっている。
チェルノの敗北が確定した瞬間であった。
●
「貴様が何を考えていたのかは鏡で全て把握済みだ。我を出し抜こうと試行錯誤する姿は真に滑稽であったぞ。」
足を踏みにじられる苦痛に顔を歪ませたチェルノにヒュブリスが敗者の宣告をする。同時にヒュブリスの背後に現れた黒い手がチェルノを握りつぶし、その身体を作り替えてゆく。
暫くして黒い手から解放されたチェルノは鉄のオブジェに成り果てていた。
両手足が頭上の付近まで持ち上げられ、水着は体に密着し胸や股間部の僅かな起伏も余すことなく晒している。
そして、その顔は屈辱と快感が入り混じっていた。
「我と同じ土俵にも立とうとしない愚か者にはその姿がお似合いだ。ははははは!」
ヒュブリスはチェルノであった銅のオブジェに腰かけると高笑いを挙げた。
成功
🔵🔵🔴
音月・燈夏
困りましたね。こんなに暗いと缶や鏡を探すのは苦労しそうです。兎に角視認だけはされないように、足音等は聞き逃さないようにしましょう。
鏡に缶と鬼の位置を聞きつつ、戦闘音が聞こえ始めたら缶の元に急ぎます。既に戦闘中なら缶の確保は容易なはず。触れた際に缶の位置を呼びかけて知らせてから、私も加勢に行きます。
黒い手はこの環境では感知が困難ですが、捕まっても無理矢理破壊できるようにUCで能力を強化して、浄化の炎で敵を焼きます!
って、もう再参加判定ですか?!早すぎますよ!
せめてUCの効果中は逃げ回って時間を稼がないと……。
家具にされても自力で戻れないか足掻こうとします。
アドリブ苦戦描写も歓迎
家具は照明器具
●
「困りましたね。こんなに暗いと缶や鏡を探すのは苦労しそうです。」
音月・燈夏(麗耳の狐巫女・f16645)は暗闇の中立ち尽くしていた。初めは公平なルールから苦労せず勝てると思っていた燈夏の期待を裏切るかのように遊戯場が闇に包まれてしまったからだ。
どうもこの暗闇は特殊なもののようで夜目の聞く妖狐の瞳を以てしても先を見渡す事ができない。そんな状況下で鏡と缶を探さなければならないのだ。
「兎に角視認だけはされないように、足音等は聞き逃さないようにしましょう。」
燈夏は狐の耳を小刻みに動かし、些細な音も聞き逃さない様に注意をしながら暗闇の中を進み始めた。
●
「どうにか鏡は手に入りましたが……っ! どうやら誰かが缶を蹴ったようですね。」
つつがなく鏡の回収に成功し、鏡の案内の元缶を目指していた燈夏の耳に缶を蹴り飛ばす音が飛び込んできた。缶が蹴られたという事は間も無く戦いが始まると考えた燈夏は缶を目指し駆け出した。
程なくして燈夏は缶を見つけ出す事に成功した。既に複数人から蹴られているのかアリスの成れの果てである缶は至る所が傷ついてへこみ、何かで撃ち抜かれたのか穴まで空いていた。
「みなさん! ここに缶があります!」
缶のあまりにも痛ましく姿を燈夏が思わず顔を逸らすがそれでも意を決して缶を優しくつついた。
そして、大声で周辺にいるであろう猟兵達に缶の位置を知らせるとヒュブリスの元へと駆け出した。
「どうやら、戯れに時間をかけすぎたようだな……。」
「これ以上あなたの好きにはさせません! これで終わらせます!」
缶の元へ向かう最中に戦闘音が聞こえなかった事から予想はしていたが、どうやら缶を蹴飛ばしたのはヒュブリスであったらしい。
ヒュブリスに敗北したであろう猟兵達の安否が気になるものの、その猟兵が稼いでくれた時間を無駄にするわけにはいかない。
燈夏は臨時神化でその身に流れる神気を増幅させると浄化の炎をヒュブリスへと浴びせた。浄化の炎はヒュブリスの体を焼くと共にその身に纏わりついた呪詛を浄化してゆく。
果たしてその効果は直ぐに現れた。自身の体を焼く炎を振り払ったヒュブリスの顔が気弱なものへと変化したのだ。
「うぅ……遊戯の国の王である我が……私が……負ける事は許されないのに……!」
「それが素のあなたなのですね。申し訳ありませんがそのまま討たせて……きゃあ!?」
ヒュブリスは口では必死に取り繕っているがその顔は明らかに燈夏に対して怯えている。そんなヒュブリスを守るかのように黒い手が出現した。
黒い手は燈夏の背後に忍び寄り掴みかかってきた。闇に紛れ音もなく接近する黒い手を燈夏は察知できず避ける事が出来なかった。
「こんなもの直に壊して……壊せない? まさか、もう再参加判定ですか?! 早すぎますよ!」
神気によって強化された四肢で握りつぶされる事を防ぎながら燈夏は尻尾を勢いよく振るう事により黒い手を壊そうとした。だが、尻尾による一撃が黒い手を破壊する事は叶わなかった。
燈夏が缶を触ってから移動までの間に勝者として判定される時間の殆どを使ってしまっていたのだ。
「こうなったら、少しでも時間を……あぁ……意識が朦朧として……。」
「うぅ……やっぱり暗いのは……燈夏……あなたに……栄誉を……。」
もはや黒い手から逃れる事が困難である事を悟った燈夏はせめて少しでも時間を稼ごうと考えた。だが、そんな燈夏を嘲笑うかの様に臨時神化が効果時間が終わりを告げた。
そして、燈夏はヒュブリスに何かを宣告されるのを聞きながら昏睡状態に陥るのであった。
●
(……あれ……私は確か……。)
臨時神化の副作用である昏睡状態から復帰した燈夏は暗闇の中目を覚ました。周囲の状況を確認しようと体を動かそうとするが身じろぎ一つできず、耳を澄ましても音を拾う事が出来なくなっていた。
それは燈夏が昏睡状態に陥っている間に黒い手によって身体を作り替えられてしまった事を暗に告げていた。
「これなら、私の周囲を照らしてくれるよね……?」
ヒュブリスは不安げな様子で燈夏であった物を見下ろす。黒い手から解放された燈夏はランタンにその身を作り替えられていた。
赤いランプシェードが被せられたそのランタンのガラス部分は一糸纏わぬ姿の燈夏の体が象られており、作り替えられる最中も昏睡状態であった為かその顔は安らかな表情であった。
(どうやら、体を作り替えられてしまったようですね。元に戻れないか足掻いてみま……ひゃんっ!?)
「あっ……点いた。でも、あまり明るくないですね……。」
ヒュブリスがランタンの持ち手を掴み下部に備え付けられた摘みを捻ればランタンに明かりが灯った。同時に燈夏は体の敏感な場所を抓られたかのような刺激により可愛い声をあげてしまう。
だが、ランタンから灯る光は弱く暗闇を晴らす事は叶わなかった。ヒュブリスはランタンの明かりが効果を示さなかった事に落胆しながらも缶を目指し進み始めた。
一方で燈夏は刺激が起きた直後から自身の妖力がこそばゆい感覚と共に吸い出されている事に焦っていた。何を隠そうランタンに灯された光の正体は燈夏の妖力が変換されたものであった。
(不味いです。妖力がどんどん吸われています。ここはもう一度臨時神化を使って……あぁんっ!? そんな、神気まで?!)
「きゃっ!? 急に明るくなったわ。でも、これなら少しだけど遠くを見渡せるわ!」
このままでは妖力を吸いつくされてしまうと焦る燈夏は臨時神化で増幅された神気を使い元に戻ろうとした。しかし、神気が増幅された直後、燈夏の体に快感が迸り神気が吸い出されてしまった。
同時にランプの光が急激に強まり数m先まで見渡せる程に光が強まった。ヒュブリスはランタンの突然の変化に驚くが暗闇が少しだけ晴れた事に喜ぶと缶への歩みを速めた。
こうして、ヒュブリスは燈夏の成れの果てであるランタンと共に暗闇の中を駆けてゆくのであった。
成功
🔵🔵🔴
ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
闇の中に響き渡る戦いの音はすでに猟兵とヒュプリスとの間で戦いが行われている事を意味している。
そろそろ勝負をつけないとな。
行くぜ、シャーリー!
鏡に缶とヒュプリスの現在位置を尋ねたら缶の元に急行。
そして缶を発見したらそこで待ち構え、鏡への質問と【聞き耳】でヒュプリスの接近を警戒しつつシャーリーと一緒に迎撃準備を整える。
そして奴が近づいたところで発見宣言より先に二人一緒に缶に触れる事で勝者となり、そのまま戦闘に移行。
【厨火三昧】の炎を自在に操って奴を攻撃しながら【フェイント】でその動きを制し、シャーリーが狙いをつける時間を稼ぐ。
そして彼女の射撃と同時にこっちも全ての炎で一斉攻撃!
シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
無理ゲーもそろそろ終わりにしないとね!
ボクとウィーリィくんの協力プレイでクリアーするよ!
まず【宝探し】で鏡を探し、缶とオウガの現在位置を確認
ウィーリィくんと一緒に缶の元に向かい、【ロープワーク】+【罠使い】で周囲に黒い糸を張り巡らせる
これなら地形を変える訳じゃないし直接攻撃じゃないからセーフだよね?
オウガはボク達と缶の位置を探そうとはしても小細工には気を留めないだろうからその油断を突く
接近したオウガが糸に絡め捕られた瞬間にウィーリィくんと一緒に缶に触り、攻撃権を手に入れたらウィーリィくんの攻撃に合わせて【クイックドロウ】+【スナイパー】でピンポイントで熱線の集中攻撃!
●
ヒュブリスと猟兵達の遊戯が始まってから半刻もの時間が経過した。遊戯場には頻繁に缶を蹴飛ばす音や戦闘音が鳴り響いている。
そんな遊戯場の中で海賊としての勘を頼りに鏡を見つけ出したシャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)はパートナーであるウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)と共に缶を目指し突き進んでいた。
「そろそろ勝負をつけないとな。行くぜ、シャーリー!」
「無理ゲーもいい加減終わりにしないとね。ボクとウィーリィくんの協力プレイでクリアーするよ!」
戦闘音が鳴り響くという事は缶に触れて勝者となった猟兵がヒュブリスにダメージを与えている事を意味する。もちろん、何らかの理由で勝者となる事を諦めて足止めの為に攻撃している可能性もあるだろう。
だが、鏡にヒュブリスと缶の位置を聞く事に専念させている二人にそれを確認する余裕なかった。そんな二人の耳に缶の位置を知らせる猟兵の声が飛び込んできた。
二人が声の聞こえてきた方向へ急行すればそこには勝者となる為の要である缶が鎮座していた。
●
「どうやらボク達が一番乗りみたいだね。缶の位置を教えてくれた人は何処にいるのかな?」
「ヒュブリスと戦いに行ったんじゃないのか? ……ここからは結構離れているみたいだな。」
ウィーリィが聞き耳を立ててみれば戦闘音が聞こえてくる。思いの外離れているようで戦闘音は兎も角、猟兵やヒュブリスの声を聞く事は叶わなかった。
それは仮に猟兵がヒュブリスを仕留めきれずに撤退してもウィーリィ達の元にヒュブリスが辿り着くまでに相応の時間がかかる事を意味していた。
「よし、ここでヒュブリスを待ち伏せして一気に叩くぞ。」
「それじゃあ、ボクは罠を仕掛けるからウィーリィくんは警戒をお願いね?」
その場で待ち伏せする形でヒュブリスを迎撃する事にしたウィーリィとシャーリーは迎撃する為の準備を始める。
ウィーリィは鏡への質問と聞き耳を駆使してヒュブリスの接近を警戒すると共にヒュブリスが通過する可能性の高い場所をシャーリーに知らせてゆく。
シャーリーもウィーリィからの情報と持ち前の手先の器用さと罠使いとしての知識を駆使して黒い糸の罠を張り巡らせ、床に良く滑る油を敷き詰めてゆく。
「これなら地形は変化させていないし、相手が勝手に転ぶだけだからセーフだよね?」
「この罠も動力の類は一切使っていないから違反行為じゃないよな?」
誰かに言い聞かせるかの様に語り合いながら二人は作業を進めてゆく。事実、二人の作業の最中に黒い手が現れる事はなかった。
「シャーリー! ヒュブリスがこっちに近づいてきたようだ!」
「それならボク達は一旦退いた方が良さそうだね。」
暫くして迎撃準備が殆ど整った段階で鏡とウィーリィの耳がヒュブリスの接近を察知した。二人は万が一にも視認される事がない様に缶から少し離れた位置へと退避する。
そして、二人が退避して数分後、ヒュブリスが罠の張り巡らされた領域へと足を踏み入れた。
●
「近くに猟兵がいるみたい……早く缶を確保して猟兵を敗者にしないと……。」
猟兵達の戦いを経て呪詛を取り払われ本来の気弱な性格に戻ってしまっていた。しかし、オウガと成り果てた影響なのか気弱になってなお遊戯を続け猟兵を敗者にしようという意思を見せていた。
それでもその足取りはおっかなびっくりという言葉が相応しく、その手には猟兵の成れの果てであるランタンが握られていた。
「罠が仕掛けてあるわ! この子がいなかったら気づかなかったかも……。」
ヒュブリスは缶の真路上に黒い糸が張り巡らされている事に気が付いた。もしもヒュブリスがその手にランタンを握っていなければ黒い糸に気づく事なく罠にかかっていただろう。
その事実にヒュブリスはランタンを準備していた事を喜び、嘗て猟兵であったランタンに頬ずりをする。
そして、ヒュブリスは缶を手中に収めるべく黒い糸の罠を乗り越えようとする。この時、ヒュブリスは罠を見つけられた喜びに浮かれて黒い糸の先の床が油まみれになっている事に気づいていなかった。
「きゃぁ!? う、動けないわ!」
黒い糸の罠の乗り越えて地面に踏みしめた直後、ヒュブリスは油で足を滑らせて黒い糸に向けて転倒してしまう。当然、ヒュブリスの体は黒い糸にぶつかり、黒い糸が容赦なく絡みつきその動きを封じた。
●
「い、いやぁ……こないで……。」
「ヒュブリスの様子が豹変している様に見えるのはボクの気のせいかな?」
「安心しろ俺にも豹変している様に見えるぜ。誰かが浄化でも試みたんじゃないか?」
罠の起動を察知しヒュブリスの元へと急行した二人は困惑した。なぜならばヒュブリスから強気な気配が配が微塵も感じられなかったからだ。
それどころか黒い糸に雁字搦めにされたヒュブリスは涙目であり、二人に対して明らかな怯えていた。
「こうも怯えられると攻撃するのを躊躇しちまうぜ。」
「でも明らかに怪しいランタンを握っているし、オウガとしての本能はそのままみたいだよ。」
もはや完全に戦意を喪失しているヒュブリスにウィーリィは攻撃する事を躊躇してしまう。しかし、シャーリィが指摘した様にその手に猟兵の成れの果てであろうランタンが握られていた。
それを見たウィーリィは認識を改めてヒュブリスを攻撃する決意をした。二人は手早くヒュブリスの手からランタンを奪うと缶に触れて遊戯の勝者となった。
そして、ウィーリィは厨火三昧の炎を龍の形へと成形しシャーリーも愛用のブラスターであるシューティングスターをヒュブリスに向けて構えた。
「この勝負、俺達の勝ちだ。」
「悪いけれど、容赦なくやらせて貰うよ。」
勝利宣言をした二人は黒い糸から必死に逃れようとするヒュブリスへ容赦なく攻撃を放つ。
ウィーリィの放った炎の龍がヒュブリスの体に巻き付きながら食らい付きその身を容赦なく焼いてゆく。更に炎に焼かれ悲鳴をあげるヒュブリスの急所をシャーリーのブラスターによる光線が次々と撃ち抜いてゆく。
そして、ブラスターにより眉間を撃ち抜かれたヒュブリスの体が糸の切れた人形の如く項垂れ、火力を増した炎の龍がその身を焼き尽くした。
同時に遊技場の何処かから何かが壊れる音が響き渡り、遊技場を包み込んでいた闇が急速に晴れてゆく。それは遊戯が猟兵達の勝利で終わった事を告げていた。
「遊戯は終わったけれど、黒い手にやられた人はそのままみたいだね。」
「それなら俺達でやられた人達を回収してから帰るか。グリモアベースに戻れば誰かが治してくれるだろ。」
こうしてヒュブリスとの遊戯に終止符を打ったウィーリィとシャーリーは遊技場の至る所に散らばった猟兵の成れの果てである物品の数々の回収を始めるのであった。
大成功
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