迷宮災厄戦⑭〜ガチンコまくらアタック!?
「パジャマパーティの醍醐味と言えばウサッ!」
「「「枕投げウサッ!!!」」」
「眠気を吹き飛ばすウサ~ッ!」
「お布団は敷き終わったウサ!」
「枕沢山積み上げたウサ!」
「「「あとは、相手チームを待つばかりウサッ!!!」」」
「……新しい攻略先が出たようでな」
グリモアベースで説明を始める日長・永之介(羅刹の戦場傭兵・f22351)の隣には、ポンポンのついた三角帽子の入った段ボールが置いてあった。全てフリーサイズでカラーバリエーションも豊富らしい。
「そこはおやすみなさいの国と呼ばれている。国全体が雲の上にあるようなふわふわなものにあふれていて、そこで過ごす者達全てを強烈な睡魔で襲う。……急に倒れ込んでも、ふわふわだから怪我をすることはそう無い、ということらしいんだが」
そこまで話したところで、猟兵達の視線に気づいたらしい。
「……少し待て。睡魔に負けずに行動するには、パジャマパーティーをする必要があるらしい。これはオウガ達も同様みたいでな、今回予知で見えた奴は、そのパーティーの準備をして、猟兵が来るのを待ち受けているという話になる」
そこまで話してから、永之介の手が三角帽子のひとつを持ち上げた。
「これは、まあ……ルール上の備品というやつだ」
なんでも今回の敵であるオウガは、パジャマパーティの一環として枕投げ大会の準備をしているらしい。
「イタズラ好きなウサギさん、と呼ばれているようだが……ウサギでいいな。ウサギ達は、枕でしか攻撃してこないという話になるわけだ」
普通の戦場であれば簡単に倒せそうな話である。
「……前の話を繰り返すが。パジャマパーティーをしていなければこちら側も睡魔に負けて寝てしまうわけだからな。ウサギ達を枕投げで倒してからトドメをさしてもいいし、枕投げをしながら戦闘行為をしてもいい。そこは、向かってくれる皆の方針に任せる」
どちらにしても、パジャマパーティーとしての体裁を整えるための保険として、帽子を準備してあるらしかった。
「ウサギ達も、パジャマを羽織ってそれらしい格好に寄せているようだからな」
どうにもウサギ耳やバニースーツを隠すことに抵抗があるらしく。ウサギ達はパジャマに袖を通さず、それこそ上半身用の一枚を肩に引っ掛けているだけらしいのだけれど。
「……ところで」
説明を聞いて参加を検討している猟兵達の前に、永之介が新たな段ボール箱を持ってきた。
「俺自身あまり詳しくないんだが。パジャマパーティーとは、飲み食いするもんじゃないのか?」
今回のウサギは枕投げの準備だけで活発に動き回れていると予知が見えているので、枕投げもパジャマパーティーの一部として扱われている、と判断して大丈夫らしいのだけれど。
「……一応、菓子とジュースは用意しとくんで、向こうに行くとき持っていっといてくれ」
段ボールを開けると、スナック菓子やペットボトルのジュース、紙皿や紙コップが詰め込まれているようだ。
戦う合間の一休みや補給に使ってもいいし、別に置いておくだけでも構わない。パーティー要素を念のために揃えておけば戦いに集中できるだろう、という保険である。
「あってないようなルールに気をつければ、大丈夫だとは思うが……気を付けて行ってこい。よろしく頼む」
シヲリ
シヲリです。
18本目になります。
迷宮災厄戦シナリオとしては2本目です。
●特記事項
『パジャマパーティーをしながら戦う』方法があればプレイングボーナスを与えることができますので、ぜひ活用してください。
●格好について
最も推奨されるべきはパジャマですが、プレイングにて「自分はいつもこの格好で寝ている」という理由付けをしたり、「装備の上からパジャマを羽織っている」と強引に押し通しても大丈夫とします。
プレイングに記載がない場合、グリモア猟兵側で用意しておいたナイトキャップ(三角タイプ)が自動的に貸し出されることになります。
●POW:大怪獣ウサゴンだウサ~ッ!! の補足
POWのユーベルコードを指定した猟兵達を狙って枕の三連投げが行われます。
●SPD:逃げるが勝ちウサッ♪ の補足
SPDのユーベルコードを指定した猟兵達に対して回避重視になる分、ウサギからの攻撃はほぼ行われません。
●WIZ:子供からやり直しちゃえウサッ♪ の補足
WIZのユーベルコードを指定した猟兵の体格と精神が幼児化します。
着ている衣装などの装備品は体格に見合ったものに変わるため、脱衣事故などは起きません。
効果時間は対峙したウサギを倒すまで、枕投げの的としても小さくなるので、デメリットばかりではないかもしれません。
●飲食物について
持込みも可能。
プレイングに記載は不要です。
参加された段階で、召喚時に自動的に運んでもらっている扱いになります。
●プレイング締切について
基本的には常時受けつけています。
連絡事項がある場合はマスターの自己紹介ページ【告知】欄にて記載しておりますので、プレイング送信前に一度ご確認いただけますと助かります。
プレイングをお待ちしています。
第1章 集団戦
『イタズラ好きなウサギさん』
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POW : 大怪獣ウサゴンだウサ~ッ!!
【自身の身体】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
SPD : 逃げるが勝ちウサッ♪
技能名「【逃げ足】【ダッシュ】【ジャンプ】【残像】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
WIZ : 子供からやり直しちゃえウサッ♪
【首から下げた懐中時計】から【周囲の時間を巻き戻すサイキックウェーブ】を放ち、【対象の肉体、精神年齢を急速退行させること】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:ねるとら
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
城田・紗希
なるほど、パジャマパーティーって枕投げのことなんだね!
(今ひとつ理解してない状態で枕投げ会場に行ったせいで、盛大に誤解した)
という訳で、枕投げの正装、「旅館で借りた浴衣」で勝負!(誤解している)
飛んでくる枕は極力峰打ちで傷付けず、ウサギを狙って斬撃を送りまくるよ!
ついでに枕もプレゼントだー!(投槍器の要領で、鞘で枕の速度を増やしつつ)
私に斬れないウサギは、今日は多分ない!
見渡す限りの布団の海を前に、城田・紗希(人間の探索者・f01927)はしきりに頷いていた。
「なるほど、パジャマパーティーって枕投げのことなんだね!」
案内についてもしっかり聞いていたし、お菓子の入った段ボールも渡されるまま運んで来たのだけれど。布団の海を前にしたら、他の全ては些細なことになってしまったのだ。
「対戦相手が来たウサッ♪」
「いざ勝負ウサッ!」
待ち受けるウサギ達も開戦を心待ちにしているらしく、紗希の認識にツッコむ様子は見られない。
敵も味方も、とにかく枕を投げたくて仕方がないのである。
この場において、猟兵とオウガの心はひとつになったのである。
「ここまでの準備を整えたことは素直に凄いと思うけど、でも、あなた達はまだまだ未熟!」
しかしまだ始まらない。紗希にはまだ気になることがあるようで、ビシッと指先を突きつけたのだ。
「「「何がウサッ、早く戦うウサッ!?」」」
「パジャマパーティーのユニフォームがなってないッ!」
「そんな事ないウサッ!」
「ちゃんと身に着けてるウサッ!?」
「枕投げと言ったら旅行先、就寝前のドキドキイベント! つまり普段使いのパジャマなんて邪道の極み!」
反論なんて気にしない。紗希は胸を張って自分の格好を主張する。
「私を見て! これこそ枕投げの正装、旅館で借りた浴衣!」
「「「なんだってーウサッ!」」」
盛大に驚くウサギ達。しかし紗希の勢いはそこで終わらない。状況は常に動いていく、なぜってここは枕投げ会場なのだから!
「そんな私に斬れないウサギは、今日は多分ない! いざ勝負!」
「パジャマがあれば余裕ウサッ!」
「返り討ちウサッ!」
ツッコミ役は不要!
枕を投げたくて仕方ない双方の脳内で、勢いよく開始のゴングが鳴るのだった!
(弾はなるべく減らさない方がいいよね?)
紅時雨を逆に構え、飛んでくる枕を叩き落としていく紗希。
「「「乱れ枕ウサ―!!!」」」
しかし巨大化したウサギ改め大怪獣ウサゴン(しかも複数)が放つ枕の数はどうしても大量になってしまうのである。多すぎるおかげで、紗希に届く前に枕同士衝突して落下する、なんて事故も起きていた。なにせふわふわなものにあふれた国の枕なのだ。ちょっとぶつかり合うだけであっさり落ちるのである。おかげでウサゴン1体につき3個くらいの枕しか紗希のところに届かない。
それでも、ウサゴンが多いので面倒ではあるのだけれど。
「うっかり枕まで斬っちゃいそうだよ!?」
斬りたいのは枕ではなくウサギである。特にウサゴン状態なので斬り刻み放題なのもポイントだ。
今は眠ってしまうわけにはいかないが、できれば熟睡のお供に使ってみたいとっても気持ちよさそうな枕なのである。
「させないウサ! ふわふわ枕の波に乗って睡魔に負けるといいウサ!」
「なにをー!!!」
斬らないままでは埒があかないと考え直していたところで、ウサゴン達が放つ枕の勢いが少しだけ落ちた。
(もしかして? ならこのまま喋らせちゃおう!)
どうやら喋りながらだと手元が疎かになりやすいらしい。気付いた紗希が紅時雨の鞘を構えようとタイミングを測りはじめる。
「さぞ寝心地がいいのかもねー! 顔面で受けちゃったら流石に眠くなるかも?」
思いついたままに適当に叫びながら峰打ちを続けていく。
狙い通りにウサゴン達が先の頭を狙ってきているけれど、むしろ対処しやすくなったように感じた。
(うん、ここだね!)
正面から来る枕の一個目を叩き落として、二個目を紅時雨の鞘を利用してキャッチする。
「反撃開始だよ!」
三個目の枕ごと対峙するウサゴンを斬ろうと紅時雨を振りぬいて、枕を受けとめた反動を利用して下緒も振れば、跳ね返ったかのように枕がウサゴンに向かい飛んでいく。
「ついでに枕もプレゼントだー!」
これまでだって枕の飛び方を確認しながら身体を動かし続けていたのだ。ハチャメチャだった狙いを集中させたことで、むしろ対処がしやすくなった。
何より防戦一方だった紗希が急に攻勢に転じたのだ。ウサゴン達は戸惑いながらも確実に仕留められていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
水鏡・怜悧
詠唱:改変、省略可
人格:アノン
UDCで耳と尻尾を象る
(オレ、寝るときは裸なんだけど)
(今回だけはパジャマを着て下さいお願いしますから)
(服ってモゾモゾするからヤなんだけどなァ)
ロキがうるさいので水玉のパジャマを着て、もらった帽子をかぶる
「おー……でかくなった」
喰いでがありそうだと見上げ
自分よりでかい枕を野生の勘で回避して、触手で掴んで投げ返す
投げ合いに飽きたら枕を掴んだまま触手を振るってハンマーのようにぶち当てる
本体も触手で掴んで地面に叩きつけてやる。倒したら喰う
(楽しかったですか?)
(美味かったな)
こんなに喰いものがいるのに菓子も要るのか。ヒトを喰わねぇヤツは不便だなー
「……美味そうだな」
数が多いのもあるけれど、なによりウサギ達はとても元気いっぱいに動き回っていて、活きがいい。
これから繰り広げられる戦いと、後のお楽しみである食事のことを思えばこそ、水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)でありアノンの尻尾はご機嫌に揺れる。
勿論頭上に象られた耳はタイミングを逃したりしないように、ウサギ達の様子を捉える為にずっとそちらに向けられているのだが……その動きはどれもぎこちない。
「動きにくい」
その一言に尽きる。常よりも低い声で唸るように溢したそれには、アノンの不満がこれでもかと籠もっていた。
それもその筈、着慣れないパジャマなんてものを着ているからに他ならない。
(オレ、寝るときは裸なんだけど)
パジャマパーティーと聞いた時にやな予感はしていたのだ。寝る時くらいは何にも縛られず無防備で居たいアノンである。正直すぐにでも脱ぎ捨てたくてたまらない。
(今回だけはパジャマを着て下さいお願いしますから)
それをどうにか押しとどめて説得という名の懇願を続けているのがロキだ。眠る際の格好に頓着するつもりはないが、これは遊びのように見えてれっきとした戦闘が伴うのである。アノンが簡単に倒れるとも思えないが、防御性能がなかろうと、念のために服らしきものは纏っていて欲しいのだ。
(パジャマパーティーと指定されているのですから)
眠る為に来たわけではないのだと、何度も繰り返し言い募るロキのおかげで、怜悧の素肌はなんとか水玉模様のパジャマの中におさめられていた。念のためにと、備品として用意されていた帽子もかぶっているが……頭上の耳を動かす度にずれていくので、多分すぐに放り出される気配がする。
(服ってモゾモゾするからヤなんだけどなァ)
帽子だけでなく、パジャマの肌触りも慣れなくて落ち着かないアノンは、何度も繰り返されるロキの言葉にだいぶ辟易していた。
ただでさえ動きやすい服装が好きなのだ。風通しをよくするために大きめのサイズのそのパジャマはぶかぶかで、強引に開けた尻尾穴も気分が良いものではない。
「さっさと始めるか」
美味そうなウサギ達が居なかったら、多分アノンの我慢ももたなかっただろう。
「「「大怪獣ウサゴンの必殺枕ウサッ!」」」
巨大化したウサギ達は自分達をウサゴンだと主張しているが、結局のところ体型もそのままに大きくなっているだけだったりする。
「おー……でかくなった」
見上げるアノンに動揺も焦りもある筈がない。なにせ相手はオウガ、生き物なのだから食べ物なのだ。特に敵対しているのだから遠慮なく喰いつけるのがとてもいい。紫の目に宿るのは際限なき食欲で、動き辛さを忘れたように、尻尾が更に機嫌よく揺れる。
すぐさま繰り出され向かってくる枕達は勘を駆使して避けていく。何より枕は生きていない。美味そうではないのだから触る価値もないというわけだ。
枕に直接対応するのはアノンが操る無数の触手だ。アノンに届く前に伸びた触手が枕を受けとめ、触れた部分が柔軟に変形して枕を掴む。受け止めた反動を利用して投げ返せば、飛んできた軌道をほぼそのまま逆にたどるようにウサゴン達へと戻っていく。
アノンの展開する触手達はアノンの体格を越えて広がっている分、ウサゴン達の大きさに負けない存在感を放っていた。一対多であるはずなのに対等に渡り合っているのもその証拠だ。しかし食事前の準備運動とばかりに枕を投げ合っていたアノンも、少しずつ飽きが訪れてきていた。
「充分付き合ったし、もういいよな?」
口元に浮かべる笑みは獰猛な獣じみていて。アノンの意図に応えるように触手達の動きが変わった。
受け止めた枕を掴んだまま、触手達はその身を振りかぶる。枕は確かにふわふわだけれど、速度が乗る分攻撃力が増したらしい。
ウサギ達は変わらずウサゴンのままで当て放題。ボコスカと乱れ打たれて少しずつバランスを崩していく。
「「「弾がないウサッ!?」
投げ返されていた枕がなくなったことでウサゴン達も受け身をとるしかない。アノンの触手に数の制限もなく、何より本体たる操り手は1人なのだから絡まって事故が起きることもない。枕という障害もなくなったことで、ウサゴン達は触手に捕らわれ始める!
ふわふわの枕とは違うウサゴン達が、地面にハンマーよろしく打ち付けられ始めれば。静かになるのも時間の問題なのだった。
(楽しかったですか?)
気が済むまで食事を楽しんだアノンに問うロキの声はどこか安堵の気配が漂っている。
(美味かったな)
予想より肉質が硬かったことを思い返す。どうやらウサギ達はオスだったらしい。
帰りがけに段ボール箱に入った菓子を見やる。
(ヒトを食わねぇヤツは不便だなー)
思いはするがそれだけだ。今日は喰い放題も同じで気分も良かった。
大成功
🔵🔵🔵
火土金水・明
「まさか、このユーベルコードを使う時がくるとは・・・。」
黒色のウィザードハット相当のナイトキャップを頭に被ってパジャマパーティーに参加です。
【WIZ】で攻撃です。
攻撃は、【高速詠唱】で【破魔】と【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【全力魔法】の【シン・枕投げ】を【範囲攻撃】にして、『イタズラ好きなウサギさん』達を纏めて【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【見切り】【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。
選んだナイトキャップは勿論黒だ。段ボール箱の中を漁って、いつも被っているウィザードハットに近い色を見つけ出す。
多少の違和感くらいは気にしない。帽子をかぶっているのが当たり前の火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)としては小さな違いと言えた。陽射しを遮る部分はないけれど、このおやすみなさいの国は陽射しさえも春の木漏れ日のようにやわらかく、野ざらしに布団を敷き詰めた枕投げ会場を照らす陽はのどかと呼べるほど温かい。流石睡魔が襲ってくる国だと言えるだろう。
それにしてもだ。明には物思いにふけりたい衝動がこみ上げていた。
「まさか、このユーベルコードを使う時が来るとは……」
自分でも使うタイミングのよくわからない、けれど思いついてしまって練り上げた戦略的手法。誰かとのお泊り会で使える時が来たらいいな、くらいの気持ちで用意してあったものである。それこそ魔王の落とし子でありウィザードだからこその悪戯的思考がやらかした代物であって、まさかここまでおあつらえ向きの戦場、いや大会会場を訪れる機会があるとは思っていなかったのだ。
「でも、だからこそ運命なのよね」
ここで有効活用すべきだと自分を納得させる明。
(来たるべき本番前に、オウガ相手で試し撃ち……そう思えばいいのよ)
例えばどんな模様を利用するか、包囲陣をどう立体的に展開するか。その二点だけでも随分と可能性が広がるはずなのだ。
「では早速」
その声を合図に明の周囲に枕が浮き上がる。ウサギ達が確保しているのとは別の枕を魔法の力を借りて使用する。足りない分は魔法の力をこのおやすみなさいの国に張り巡らせたことで新たに生みだして補完できた。なにせ枕は眠るための道具のひとつだ。この国そのものに意思があるのか真実はわからないが、住民もしくは来訪者が眠るための助力は惜しまないということなのだろう。ある意味地形の利用と言えるのかもしれない。
実際には攻撃に使うわけなのだが、パジャマパーティーという体裁は崩れていないので問題もないらしい。ウサギ達は枕投げが楽しみたいし、明達猟兵はオウガを倒せればいい。不満がないのだから全く問題はないのである。
「戦略の有用性を試させてもらいます」
まずは単純な図形を陣形に選ぶ、円、三角、四角と多角形だ。枕の数もウサギの数も十分だからと複数のグループに分ければ検証だって何度も可能だろう。一グループにつき陣形を二重に展開することで連撃も可能にしておく。高めたスキルも十全に込めている。隙を作らせないための高速詠唱は勿論、破魔と継続ダメージを付与しているので、たとえふわふわの枕だろうとダメージを与えることが可能な筈だ。
(防御力は低そうですが、念のため)
ウサギ達が動く度ひらひらとなびくパジャマはその下に着込んだバニースーツこれでもかと見せつけてくる。装備の防御力を無視できるようにもしたので確実な筈。
「もっと楽しく遊ぶウサッ!」
「いじめよくないウサッ!?」
枕攻撃を受けるウサギ達が散らばろうと抵抗を始めるが、そもそもウサギ達の方が数が多いので文句を言える立場でもない。
「枕投げにだって戦略が必要でしょう」
その為のユーベルコードなのだ。淡々と答えた明に頬を膨らませるウサギ達。
「楽しむのが一番ウサッ!」
「そんな君は子供からやり直しちゃえウサッ♪」
「何を……ッ」
明が問い返す間もなくウサギ達が時計を掲げる。視覚では捉えにくい、けれど圧のような何かが波打ちながら周囲へと広がっていくのが感じられる。咄嗟に広げたオーラで受けとめ、触れあって伝わる波を感じ取る。
「難しいこと忘れちゃえウサッ♪」
「枕投げを楽しむウサッ♪」
明を捕らえた、と確信したウサギ達がそわそわと見つめる中、明の姿が徐々に小さく縮んでいって……
「「「ウサ~ッ!?」」」
有利な状況に笑みを浮かべたウサギ達に、大量の枕が襲い掛かった!
「残念、それは残像です」
「「「いつの間にウサ!?」」」
別の場所から響く明の声。倒れ込んだウサギ達がそちらを向こうとするのだが、まだ続いている枕攻撃に邪魔され続けている。
明が一度体勢を崩した好機を逃すはずがない。何度もユーベルコードの発動を繰り返しながら、今も様々な陣形を試し続けているのだ。
「フェイントも何もあったものじゃありませんでしたから」
それこそ枕の軌道にだって気を使っていた明にとって、見切って回避することは難しくなかった。
「油断は禁物、警戒を怠ってはいけません」
ウサギ達の投げる予定だった枕達は少しずつ明の予備弾として回収されている。
最後まで立っていたのは勿論明だ。
存分に練習を重ねたことで、満足そうに微笑んだ。
大成功
🔵🔵🔵
ラヴ・フェイタリティ
【アドリヴ歓迎】
どうやらこの隠れタウンナンバーワンパジャマパーティストたるラヴ様の手が必要なようだな…。安心しな、パジャマパーティストはあらゆる装備(パジャマ)で、戦場(パーティ)で、戦闘(コイバナ)を継続できる。たとえ相手がオウガだろうとな。
ユーベルコード発動!今日のコーデはミリタリーパジャマだ!見た目は似てるが生地が違うのだよ。あとベレー帽は支給のナイトキャップだ。よし、全軍整列!装備(ナイトキャップ)よし!武装(マクラ)よし!陣形を乱さず戦闘開始!
前列が枕を投擲し、後列が枕に隠れて銃を撃つ!後列が枕に爆発物を仕込み、前列が枕を投擲する!ハッハァ、戦場(ベッドのうえ)は地獄だぜ!
ふわふわだらけの戦場に、ふわふわお耳のウサギ達。
やわらかな陽射しがすべてを照らす広大とも呼べるその場所に、その時、一人のミリタリーパジャマ少女が舞い降りた。
「どうやら、この隠れタウンナンバーワンパジャマパーティストたるラヴ様の手が必要なようだな……」
自らを愛称で呼ぶ彼女こそラヴ・フェイタリティ(怪奇!地下世界の落ちものメインヒロイン!・f17338)。今、ラヴの脳内ではクールな荒野っぽいメロディが鳴り響いている。
ベレー帽のかわりに被っているのは、勿論グリーン迷彩柄のナイトキャップだ。帽子の縁をなぞるように角度を整えたラヴは、待ち受けていたウサギ達を睥睨した。
「早速やるウサ?」
「準備万端ウサ!」
「望むところウサ!」
双方向かい合う形で睨みあう。開戦前のこの顔合わせからすでに緊迫感のようなものが漂っていた。きっとウサギ達の脳内でも、ラヴと同じメロディが流れているに違いない。
「……安心しな」
流し目を向けるラヴにウサギ達の緊張が高まる。
「パジャマパーティストはあらゆる装備で」
言いながら自前のミリタリーパジャマを惜しみなく見せる為にポーズを決めるラヴ。真の姿に変わるその時の衣装に近いが、しかし日常感あふれる素材で作られているために着心地は非常に良い一品だ。
「戦場で」
顔はウサギ達に向けたまま視線だけを巡らせれば、ウサギ達もつられて会場たる布団の海を眺めた。
「戦闘を継続できる……」
今にも寝転がって淡い桃色な青春語りを始めそうな声音だった。むしろ紫の瞳の赤みが強くなってさえいた。
ラヴの脳内では本来のパジャマパーティの様子がしっかりと描かれていたのでそれも仕方がなかった。
「「「ウサ……」」」
気圧されたのかつられたのか、ちょっとだけウサギ達の声にも乱れが生じている。ラヴは女性で、ウサギ達は男性なので、もしかすると誘惑効果が発生していたのかもしれない。
しかしラヴは本来の目的を忘れていなかった。
「たとえ相手が、オウガだろうとな」
今にも眠ってふわふわお布団を堪能したい気持ちを抑え込み、猟兵とオウガ、その絶対的な境界線を引きなおす。
その強い意思のこもった声は、ウサギ達にも本来の予定を思い出させたらしい。
「「「枕投げで決着をつけるウサ!」」」
「勿論だ」
勢い付いたウサギ達に頷いて、ラヴも声を張り上げる。
「行くぜテメーら!」
発動の鍵となる一声と同時にラヴの瞳が緑に変わる。髪色も鮮やかな黄金色へと変わり、頭上にはウサギ達とは別の色合いのウサギ耳が出現する!
バニー対ウサギ。長耳を持つ者同士の抗争が今、始まろうとしていた。
「全軍整列!」
「「「イエス、ラヴ!」」」
ラヴの声にビシッと決めるラヴバニーズ。
「装備!」
「「「イエス、ラヴ!」」」
揃いのナイトキャップを整える仕草は、先のラヴの時と全く同じ。
「武装!」
「「「イエス、ラヴ!」」」
前列は枕を一つ構え、第二列は前列の足元に枕を二つ揃えてから腰を落とした。
前列が枕の配置を確認し、後列は銃に弾を装填する。
火薬の香りが漂い始める。銃に使うだけではなく、枕に仕込む分も含まれていた。
「戦闘開始! ぶっ放せ!」
まず銃撃音が、戦場を支配しようと響き渡る。遅れて届くのは柔らかな着地音。けれどその衝撃を起点として枕はウサギ達の近くで爆発していく。
「数を揃えてもウサッ」
「逃げるが勝ちウサッ♪」
「当たらなければ怖くないウサッ!」
ウサギ達もただ見ていたわけではない。ラヴ達が流れるように状況を整える間に散開を狙い動き始めていた。
「跳ねるのは得意ウサ!」
「惑わされるな、落ち着いて狙え! 陣形を乱すな! ぶっ放し続ければ当たる!」
ウサギ達が攻撃に転じる暇がないように、隙間の時間が生まれないように攻撃を続けるラヴバニ―ズ。枕を撃ち返され爆発枕を被弾前に爆破されてはたまらない。だから一手の遅れも乱れも認められない。
「ハッハァ、戦場は地獄だぜ!」
自らも召喚した銃を構えながら射撃に徹するラヴは、時折射撃位置を変えようと布団の海を転がって移動する。
ふわふわ、ごろごろ、もふもふ。
素肌に触れる感触は極上の寝床そのものだ。
伏して心地よい睡魔に身を委ねたい欲と戦う……なんて地獄だろうか。
しかし戦闘による高揚感が今なお高まっているのも事実だ。
「この戦場はラヴ様が完璧に制圧してやるぜ!」
対峙したウサギ達の殲滅が終わるまで、ラヴバニーズ達が全ての武装を使い切るまで。
ラヴ様の覇道(ヒロインロード)は止まらない!
大成功
🔵🔵🔵
アリス・フェアリィハート
【ミルフィ・クロノラヴィット(f20031)】とご一緒に参加
アドリブや連携等も歓迎です
着ていくパジャマは
『フリルいっぱいの空色のプリンセスナイトドレス』♪
ここが
おやすみなさいの国…
ミルフィとのパジャマパーティー、
とっても楽しみです…♪
『…って…まくら投げ…?私、一度やってみたかったんですっ…♪』
ミルフィとチームで
ウサギさん達と枕投げで
戦います
枕に【破魔】を込めて
自分で投げつけていったり
ミルフィにパスして
サポートしたりします
時折
おいしいお菓子や飲み物を
頂いたりミルフィに手渡して
補給やパジャマパーティーもしつつ
戦います
『えっと…そこですっ☆』
『はい、ミルフィ、がんばって…!』
最後はUCでとどめ
ミルフィ・クロノラヴィット
【アリス・フェアリィハート(f01939)】姫様と
御一緒に参加
アドリブや連携等も歓迎
着るパジャマは
『淡いピンクの露出高いベビードールパジャマ』ですわ♪
全ては
この世界と
アリス姫様との
楽しいパジャマパーティーの為…
『枕投げ…ふふ…アリス姫様との連携の冴え、見せますわ』
アリス姫様と
パジャマパーティーしつつ
ウサギ達と枕投げでバトル
枕に【破魔】を込めて
ウサギ達に投げつけ
アリス姫様からパスされた枕を
UC(今回は脱衣部分は無)の
『蹴り』でウサギ達の方へ
蹴り飛ばしたりし戦闘
アリス姫様に枕が飛んで来たら
【かばう】で護りますわ
最後はUCでとどめ
(アリス姫様から貰った飲み物をラッパ飲みし)
『これで…終わりですわ!』
どこまでも見続けていられそうな、雲の無い快晴。そんな淡くて爽やかな空色を夜の為のドレスの為に織り込んで。
いくつもフリルを重ねているけれど、布地は肌触りと柔らかさを最大限追求したものだから、横になったとしてもふわりとアリス・フェアリィハート(不思議の国の天司姫アリス・f01939)を包んでくれるはずだ。
眠る間に癖がつかないようにと緩く編んだ髪をまとめる、ドレスと同じ布で作った幅広のリボンがアリスが歩を進める度ひらりと揺れて追いかける。
「ここが、おやすみなさいの国……」
ウサギ達を見つけるまでの短い道中。ふわふわの布団を踏みしめながら歩く様子はどこかおっかなびっくりだ。
道らしい道はない。見渡す限り全ての場所に布団が敷き詰められていて、小さな枕の丘だとか、簡単に乗り越えられる枕の塀が少しばかり迷路のように見せているだけ。
「……なんだか、いけないことをしているみたいですっ……♪」
眠るための場所を足場にする、なんて機会はお姫様なアリスにしてみればマナー違反に思えるのだろう。けれど必要以上に怯えるとか、恐れるような様子ではなく。どこか悪戯をしている気分のようで。ほんのりと、口元には笑みが浮かんでいる。
「パジャマパーティーとしての招待を受けたのだと思えば、大丈夫ですわ♪」
そんな主を支えるように歩くミルフィ・クロノラヴィット(メイドオブホワイトラビット・f20031)の身を包むベビードールは髪のピンクよりも淡い色を湛えている。身長と年齢に合わせて仕立てられたはずのそれはミルフィが着ると前身頃が押し上げられ、裾が本来のデザインより短くなってしまう。もともとの布面積が少ないことからもわかるように、例え裾がめくれようと紐が解けようと気にしないミルフィの手は、自分の格好を気にするよりもアリスの道行きを支えることを優先していた。
歩くことそのものの補助だけではなくて、精神的な面も勿論含まれているのだ、
「ミルフィとのパジャマパーティー……とっても楽しみです……♪」
返ってくる笑顔と楽しそうな声にミルフィも微笑んで続ける。
「わたくしだって、アリス姫様と過ごす時間はどんなことでも楽しみですわ」
時折、落ちている枕を拾い上げてその感触を確かめる。見た目は勿論ふわふわで、予想よりも軽い。芯が硬いということもなく、クッションに近い仕上がりだ。枕という形を維持するために中の綿を覆う部分が少しばかり頑丈にできているようだけれど、その上から重ねられたカバーの表面がとにかくふわふわの毛糸でできていた。いわゆる、衝撃吸収をしてくれそうな素材である。
これならアリスが酷い怪我をすることはないだろうという確信を得たことで、少しばかり残っていたミルフィの不安は解消されたのだ。
(これなら、楽しいパジャマパーティーをアリス姫様に提供できますわ)
浮かべていた笑みが深くなる。
「枕投げをするとのお話ですし」
「……って……まくら投げ……?」
「はい、その為のお布団と枕だというお話ですわ♪」
「私、一度やってみたかったんですっ……♪」
一緒に来てくれてありがとうと嬉しそうな声をあげるアリスに、ミルフィは決意を硬くする。
(絶対に、アリス姫様の笑顔を曇らせはしませんわ……!)
常に楽しいと思ってもらえるように。よりその意識を高めていく。
全てはこの世界と、アリスとの時間を素晴らしいものにする為に……
「枕投げ……ふふ……アリス姫様との連携の冴え、見せますわ」
主従関係が信頼だけでなく愛に満ちたものであることを示せる上に危険が少ない機会なのだ。ミルフィの気合が高まる。
「小柄ちゃん二人で強気ウサッ?」
「早く枕投げで遊ぶウサッ!」
望むところだとばかりに枕を構えるウサギ達。すぐにアリスを庇えるよう警戒を続けながらも休まずに、周囲の枕を回収し小さな障害物を作り上げる。
「アリス姫様、疲れたらこちらを利用してくださいませ、いつでも休憩できるようにしておりますわ♪」
お菓子とジュース入りの段ボールを利用して崩れにくい塀にすれば、確かに一息入れることも可能だろう。勿論片手間に枕を投げられるようにと積み上げるのとは別に枕を並べておく。足元は全て布団だからそのまま寝転がってもいいけれど、枕を積めばソファーのようにも扱える筈だ。
「ありがとう……ミルフィも、ちゃんとおやすみ、してね?」
頷いたアリスが早速ミルフィに渡された枕に破魔の力を込める。
「えっと……」
休憩用でもあるけれど、避けることを考えずに投げるには枕の壁は都合がいい、多くのウサギ達が居る中でも、一番近く。まさに今巨大化を始めたウサギを狙って枕を放った。
「そこですっ☆」
「それだけじゃウサゴンは倒れないウサッ!」
ぽふっと跳ね返る枕を追いかけるように、巨大化を終えてウサゴンになったオウガからも枕が飛んでくる。
「きゃっ」
ウサゴンになったからといっても枕までは大きくならないが、大きな腕から繰り出される枕は速さが増しているし、何より数が多い。ふわふわ枕だと分かっていても身が竦むのは抑えられない。
「アリス姫様!」
同様に破魔の力を込めて居たミルフィもアリスの様子に気付いている。別のウサギ達からの枕を蹴り返し、枕での追撃を繰り出そうとしていたがすぐに踵を返しアリスの前に躍り出た。跳ねるようにくるり、痛くないし怪我はしないと分かっていても、僅かでもアリスを怯えさせた枕に何もしないなんて選択肢はないのだ。
「枕を届かせやしませんわ……♪」
アリスの周囲を死角などないとばかりにめぐりながら、飛んでくる枕を確実に叩き落とし、時に受け止めて自ら壁となるミルフィ。常に一か所に止まることなく枕投げ会場を跳ね回っていくのだ。
投げ合いも長引いてきたころ。
「お疲れではありませんか? 少し、時間を稼ぎますので、姫様はどうか休憩を」
「それなら、ミルフィにもジュースを出してあげる。待ってて……!」
「このミルフィ、アリス姫様の選んでくださる飲み物があれば百人力ですわ!」
満面の笑顔でアリスへと振り返るミルフィ。
「余所見禁物ウサッ!」
「なのに当たらないウサッ!」
「「「当たれウサッ!」」」
慣れて来たのか、徐々に攻勢に転じてきているミルフィに焦るウサギ達。ウサゴンもアリスに向けて枕を投げ続けているのだけれど、ミルフィと枕の壁に阻まれてうまくいっていないようだ。
「ミルフィ……!」
手早く瓶入りジュースの蓋を開けて、顔を覗かせるアリスの声。
「今参りますわ♪」
あえて投げ返さずに確保していた枕をここぞとばかりに投げて反撃を封じるミルフィが、ウサギ達をよろめかせて道を作る。
「はいっ……♪」
「ありがとうございます♪ ……そろそろ、畳みかけてしまいますわね?」
ジュースだけでなく、破魔の力を込めた枕も一緒に差し出してくるアリスに報いるならばこれしかないとミルフィは考えたらしい。何よりアリスの疲労も心配だ。
「はい、ミルフィも、がんばって……!」
アリスの、枕を抱える手にも力がこもる。思いきり力を合わせるなら今だと頷いて。
「ウサギさんたち……」
ミルフィがジュースのラッパ飲みをするその隙に狙われないように、少しだけ前に出る。桜の花が咲き乱れ、春の香りがアリスを中心に広がっていく。
「遊ぶのも、そろそろ終わり……せっかくの気持ちいい場所だから、悪戯も、戦いも忘れて……眠りませんか?」
「「「ウ……サ……?」」」
ゆっくりとした声に誘われて、ふわふわなお布団を思い出して。春のぽかぽか陽射しに包まれているような錯覚を覚えたウサギ達が少しずつ、枕投げのことを忘れていく。
「あとはこれで……終わりですわ!」
手を止めて倒れ込んでいくウサギから順に、ミルフィが蹴りで確実に仕留めていく。
「勝利の暁には、少しだけ、アリス姫様とふたりだけのパーティーを楽しんで帰るのですわ!」
「それ、とっても素敵……♪」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヘスティア・イクテュス
【天花】
パジャマパーティー、枕投げ…
やったことはないから一度やってみたかったのよね(水色のネグリジェ姿)
さぁ!澪!オウガだけど気にせずここは女子会と行きましょうか!
枕投げといえど海賊らしく勝利は頂くわ!(澪を盾に)
そんな攻撃じゃわたしは捕らえられないわよ!(澪に回避した枕が当たるよう誘導)
…(無言で背後から枕によるフレンドリーファイヤー)
(幼児化した澪を狙う→スカッ)
(澪を狙う→スカッ)
審判、枕にミサイル仕込むのはレギュレーション的にOKかしら…(ぐぬぬ)
さぁ、プチヘス部隊による集団攻撃!囲んでしまえば逃げ切れない!(澪を巻き込み)
栗花落・澪
【天花】
桜色のうさ耳パーカー風ゆったりパジャマ
わーい枕投げ!女子会ー!
って僕男なんですけど!!
よーし投げるよー!えいっ!(非力なへろへろ枕
わっわっ、てちょっと、僕を盾にしないでよ!(回避
ヘスティアさんすぐある意味戦争仕掛けてくるんだもん
ヘスティアさんの狙いなんかわかってるよーだ(回避コンボ
な、なんとかキャッチ出来た…
よぉし反撃いったぁ!?頭を狙うなぁ!
幼児化しちゃったら無邪気にはしゃぐ
へす、なげるのがんばってー!
きゃー!にげろにげろー!
ぼくもまくらなげるー!
わーいあたったー!へす、ぼくあてたー!(きゃっきゃっ
無意識に笑顔の【指定UC】撒き散らしつつ
きゃーへすこわーい!(転がり回避
全ての支度を終えて、後は眠るだけの気楽な姿を見せられるくらいの仲間と集まって。
楽しむのはいつもと違うおしゃべり。普段なら聞けないような質問も、タイミングを失っていた過去の疑問だって、口にしたって大丈夫。
いつもはしない夜更かしは、いつもと違うからこそ目がさえてしまう証。
明るい時間だって目いっぱい遊んだはずなのに、気付けば枕片手に、戦争の始まりだ!
「……っていうのが理想なのだけど。パジャマパーティーも枕投げも、やったことはないから一度やってみたかったのよね」
春を表すような桜色のパーカー風パジャマには、ふにゃりとたれるウサギ耳のフード付き。寝苦しくないようにゆったりサイズで、袖の部分も余ってしまうほど。
だけど想定以上にぐいぐいと引っ張られている栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、ヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)の話をしっかり聞けていない状態だ。
「ちょっ、ちょっとまってヘスティアさん、袖が伸びる、伸びちゃうから!」
話を聞くのも、一緒にオウガ退治に行くのも問題はないけれど、この体勢はよろしくない。
髪色に合わせた水色のネグリジェが気になって仕方ない。確かにパジャマで行かなければいけないと聞いてはいたけれど、ここまで防御力の低そうな格好で来るとは思わなかったのだ。
「距離をとろうとするのが悪いのよ?」
確かに待ち合わせ場所で出合い頭に一歩引いてしまったが。それはヘスティアの格好が無防備過ぎるからだ。口にしたら墓穴のような気がするので言わないけれど。
「見慣れない格好だったからつい?」
「パジャマパーティーなんだから、いつも着てるものだしいいじゃない」
「そうだけど、そうじゃなくて。僕のこれも普段使ってるやつだから、伸ばさないでってばー!」
「ちゃんと隣を歩くならいいわよ!」
「わかってるよぉ」
説得に成功したところでいつもと同じくらいの距離感へと落ち着いた。澪が安堵の吐息を零したところで、待ち構えていたウサギ達も見えて来た。
「さぁ! 澪!」
ヘスティアの張りきった声がすぐ横から聞こえてくる。
「オウガだけど気にせず、ここは女子会と行きましょうか!」
「わーい枕投げ! 女子会ー!」
こうなっては勢いに乗るしかない、と気合を込めて繰り返した澪。
「って僕男なんですけど!!」
「奇遇だウサ!」
「「「自分達もオスだうさ!」」」
なぜかウサギ達からの返事。
「あら、男の娘ってやつなのかしら。奇遇ね澪」
「ヘスティアさん待って、どうして同類扱いされてるの僕?」
「……わかってるわ。澪はわたしの妹分だもの! さあ行くわよ!」
「「「望むところウサ!」」」
「ヘスティアさんー!?」
驚きで反応が遅れた澪を待たずにヘスティアが枕を投げたことで、戦いの火ぶたは切って落とされた!
「枕投げといえど戦いには変わりないの、海賊らしく勝利は頂くわ!」
キリッとした顔で枕を構えるヘスティアの立ち位置は、澪の後ろである。
「よーし投げるよー!」
そんなヘスティアにまだ気づいていない澪の第一投が二人の初撃だ。
「えいっ!」
へろへろふわふわ……ぽてん。
文字通り非力だと証明する軌道で飛んでいく枕。
「そんなじゃ当たるわけないウサ!」
何せふわふわな枕なので投げる際のコツも普通のボールと違うのである。ウサギ達は満面の笑顔のまま回避していく。
「わたしの枕は違うわよ!」
「あれっ?」
安全圏からヘスティアも枕を投げていくがウサギ達の方が数が多いこともあり、枕の確保も追いつかない。
「わっわっ」
ぽすん!
「ありがとう澪!」
バランスを崩した澪を助けるかのように手を伸ばしたヘスティアが、うまく誘導して澪を盾にして枕から逃れる。助けるのは建前で、本音は間違いなく盾扱いだ。
「そんな攻撃じゃわたしは捕らえられないわよ!」
「「「もっと枕を集めるウサ!」」」
機嫌よくウサギ達を挑発すれば、飛んでくる枕が増えていく。澪の前に出たように見せて、すぐに影に隠れたり。離れて的を分散させたように見せかけつつ、すぐに澪の側へと戻ったり。ティターニアを利用して高めの跳躍を挟めば、急な方向転換だってお手の物。
「ってちょっと、僕を盾にしないでよ!」
全ては回避した枕を澪に向ける悪戯心のなせる業だ。しかし何度も繰り返せば澪も体勢を立て直す。布団の上で駆け回るなんてことに慣れてはいないだけなのだ。翼を使ってバランスをとり、回避の成功率も上がり始める。
「ふわふわ枕だもの、痛くないわよね?」
「だったらヘスティアさんが当たればいいよね!?」
「……」
ひゅ……!
澪の言葉に返ったのはヘスティアの投げた枕である。完璧な死角からの狙い打ちだ。
「なんで全方位敵なのかなぁ?」
予想通りだと、ウサギからだけでなくヘスティアからの枕も回避する澪。
「……おかしいわ、完璧なタイミングだった筈」
「ヘスティアさんの狙いなんかわかってるよーだ!」
「枕にミサイルが仕込めるなら、こんなことには……」
「「「ちゃんと戦えウサッ! 子供になっちゃえウサッ!!!」」」
「ってきゃー!?」
「あら?」
内輪揉め状態の二人にしびれを切らしたウサギによって、澪は幼児にされてしまったのだった。
「まくらなげ、もっとするー!」
「にげろにげろー! それにぼくもまくら、なげるー!」
ウサギ達だけでなく、ヘスティアからの枕からも逃げる澪は手当たり次第に枕を投げまくっている。
「レギュレーションなんて関係ないわ、今がミサイルの仕込み時よ」
投げる枕を回避されてばかりで焦れたヘスティアは、飛んでくる枕を軽やかに避けながら枕の改造に着手開始。
「こうなったら自棄だウサッ!?」
二人の様子に釣られたのか、ウサギ達も自分以外は皆敵だと乱戦状態へと入っていって……
「さぁできたわ! いらっしゃいプチヘス部隊! 数と包囲で押し切りなさい!」
「きゃーへすかっこいー! ぷちへすがんばってー!」
「これだけいれば逃げ切れない筈よ!」
80体ほどの二頭身ヘスティア達が全員ミサイル入り枕を構え、他の全てを包囲に向かう。
勿論そこには幼児な澪も含まれている。
「ぼくもまくらなげるー!」
けれどそれも遊びの一部だと受け止めている澪にしてみれば、更に楽しくなっただけ。笑顔が更に輝いていく。
「へす、みててねー?」
「ウサッ!?」
微笑ましくも見える光景を前に胸のあたりを抑え始めるウサギ達。
「これが萌えウサ?」
「なんだか心苦しいウサ」
「小さい子の笑顔、尊いウサ……」
場に流されているように見えるが、これもれっきとした攻撃でありダメージの結果である。
ぽすぽすっぽすーん! どかどっかーんっ!
じわじわとダメージを与えられているウサギ達は動きも鈍い。そこに澪の枕と、ヘスティアの改造したミサイル入り枕は当て放題だ。
「わーいあたったー! へす、ぼくあてたー!」
大喜びでその場で跳ねたり転げたり、喜びを力いっぱい示す澪は、その動きで自然と改造枕を避けているのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ネーヴェ・ノアイユ
(雪模様のもふもふパジャマと着込んで)せっかく持ち込んだお菓子や飲み物ですし……。枕投げが行われている最中ではありますが配膳を整えておきましょうか。
お菓子などの配膳をしながら……。飛んできた枕は氷壁の盾受けにて防ぎます。
イタズラ好きなウサギさん様のUCを受けてしまった場合は……。配膳を途中で止め、えーい……。と、楽しそうに枕投げへと参戦なの。でも……。直ぐ飽きちゃったの……。だからこれで終わりにするの……。と、UCを枕と一緒うさぎさんへプレゼントなの。
あ……。元に戻りました……。幼児だった頃の私はあのような雰囲気だったのでしょうか……。
それは一先ず置いておき……。今は配膳の完成を目指します。
運んできた段ボールのしっかりとした重みに、どうしてか微笑みが零れてしまう。
理由はわからない。お菓子もジュースも嫌いではないと今の認識はあるけれど、過去の記憶がないネーヴェ・ノアイユ(冷たい魔法使い・f28873)としては、今この中に詰め込まれているものの中に自分の好みの物があるかどうかさえも分からない。
タイミングがあえば口にしてみるのもいいかもしれない、と考えながら、拓けた場所まで移動していく。
遠目に他の猟兵達が戦う声が聞こえて来たりもしているが、今のところネーヴェに向かってくるウサギの気配はみつからなかった。
既に戦いを終えた場所なのか、それともこれからウサギ達が現れるのか。判断はつかないながらもおあつらえ向きな場所として目星をつけたネーヴェは、その場所に休憩所を作ることに決めたのだ。
(せっかく持ち込んだのですし……)
置いておくだけでもいい、と聞かされてはきたけれど。それだけではなんだか味気ないと思ってしまったのだ。
召喚地点からもそう遠くない場所で、今戦っている猟兵達が戻りがてら立ち寄る可能性も、新たに訪れる猟兵達が景気づけに一休みする可能性だってある。長く使われないようなら後で片付ければいいことなので、折角だからと思いつきをそのまま実行することにしたのだ。
一度段ボールの中身を全て出して、空の段ボール箱を潰して板状に整える。
うっすらと氷の魔法で表面を覆って補強してから、枕と掛布団を重ねた土台の上に乗せる。今度は全体を氷の魔法で繋げて、ジュースの瓶を横に倒して傾きを確認。
「……大丈夫そうですね」
あとはお菓子や食器を使いやすいように並べていくだけだ。
「見つけたウサッ!」
ぽすっ!
「パーティーの準備が終わっていませんので」
「枕投げは始まっているウサ!」
ぽすぽすひゅーん。
もう少しお待ちください、と丁寧に伝えようとしたネーヴェの声に聞く耳を持たないウサギ達が、好き勝手に枕を投げつけてくる。
「仕方ありません……ね」
ただされるがままのわけもなく、はじめの枕が飛んできてすぐ、ネーヴェは氷壁を生みだして枕が配膳を崩さないように防御に徹していた。
「投げ返さないウサッ?」
「遊ぶウサ!」
「その為のパジャマパーティーウサ!」
「投げ合わないとつまんないウサ!」
もっと遊ぼうとばかりに枕の勢いは止まらない。氷壁の数に制限はないおかげで、せっかくの配膳を壊されないようにと生みだし続けているが、そろそろ氷壁だけでドームを作りそうな気配さえある。
「「「もっと小さくなっちゃえウサッ!!!」」」
けれど。ネーヴェが時計を掲げたウサギ達のその声に気付いた時には、彼等の放つウェーブが氷壁の隙間から入り込み、ネーヴェを襲った後だったのだ。
「……あれ、お菓子と、ジュースと……なんだっけ?」
「枕投げウサ!」
「遊ぶウサ!」
「パジャマパーティーを楽しむウサ!」
「そーだった、じゃあ、いくよ……えーい……!」
するりと氷壁の隙間からウサギ達の前に出ていくネーヴェの身体は、今よりももっと幼い背格好になっていた。
かまくらの中から飛び出す雪の子のように。雪模様が愛らしいもふもふパジャマの少女が、ウサギ達と戯れ始める。
ぴたり、と急に立ち止まるネーヴェの様子に、ウサギ達も首を傾げる。
「もっと枕を投げるウサッ」
言いながらぽすぽすぽすんとネーヴェに枕が飛んでくる。痛くないし、むしろくすぐったいくらいで。ついくすくすと笑ってしまったのだけれど。
「……ん、もーいいの」
枕を投げる手も止めて、あとはどうしようかと首を傾げるネーヴェ。
「まだ勝負はついてないウサ!」
「続きがあるウサ!」
「でも……飽きちゃったの」
氷の魔法の大半は枕投げにおいて防御には向いているけれど、攻撃には物足りない。ネーヴェからの枕はその小さくなった2本の腕からしか飛んで行かないので、とにかく常に忙しい。
「これで終わりにするの」
多数で有利に運んでいるばかりのウサギ達に。ネーヴェは怒っていたのだ。気付いた途端、急に楽しくなくなったのだ。
「春みたいな場所だけど。プレゼントをあげるから……いつもの場所が冬になって……ぶるぶる震えちゃえばいいの」
今のネーヴェの身体よりも大きな氷の塊が、いくつもウサギ達へと向かっていく。
ひとつ、ふたつ、みっつ……少しずつウサギ達の近くへと落ちてくるものだから、ウサギ達はが身を竦ませはじめて。
「……枕も、一緒にプレゼントなの」
ネーヴェ自身でもカッチコチに凍らせた枕を投げていく。本来のふわふわとは全く違うそれは、確実にウサギ達を終わりへと導いている。
今はネーヴェが有利だ。
「ウサ、避けて見せる、ウサ……っ!?」
一番大きな氷の塊が最後の数匹に向かった後、ネーヴェの身体が元に戻った。
「あ……」
瞬きを繰り返して、自分の身体を見下ろすネーヴェ。確かに記憶にある通りのネーヴェだ。
「元に、戻りました……」
ほっと安堵の息を零してから、少し前までの自分の言動を思い返す。幼児としての記憶ははっきりと残っていた。
(幼児だった頃の私はあのような雰囲気だったのでしょうか……)
記憶としては覚えていない筈なのに、自然と幼児らしい言動になっていた、その事実がとても不思議で仕方ない。
(でも、今は)
途中で放り出していた配膳の続きへと手を伸ばす。完成させた後は、ウサギ達が全滅するまでの休憩所として。この場所の護り手にでもなっていようかと思いながら。
大成功
🔵🔵🔵
エルディー・ポラリス
佳莉さん(f21829)とん
──時に。
戦いとはイーブンの状態から勝利を収めてこそ……そうは思いませんか? ウサギさん達。
私はそう思います。思いますので……。
さあ、どこからでもかかってこい!!(バニー+パジャマ)
まずは先手で彼女たちのパジャマ力の上を行きます!
UC発動、周囲の環境を我が故郷、ダークセイヴァーと同じものに!
くくく……パジャマとは寝る時の衣服、すなわちパジャマパーティーとは夜にこそ相応しい!
この夜を招くUCにより、我々のパジャマ純度は諸君の上のステージへ達するのです!
さあ、パジャマ強者からの枕! 避けれる物なら避けてみろ!!
(戦闘終了後、大人に戻ったら)
…………パジャマ純度とは???
胡・佳莉
エルディー・ポラリス(f11010)さんと連携
パジャマパーティ、ですか?
寝間着姿でお菓子を食べながらお喋りを……お行儀悪いけれど楽しそうですね。
折角エルディーさんと一緒なんだから楽しいお喋りにしたいです……って、このうさ耳を?
はぁ、そういうオブリビオンなんですね。わかりました。(装着)
エルディーさんが舞台の状態で相手を上回るなら、私は位置的に上回りましょう。
UCでうさ耳パジャマ天女になって空を飛んで上から花と共にたくさんの枕を投げつけます。えいえいっと。
(戦闘終了後、地上に降りて)
私、うさ耳+パジャマ天女状態で戦ってましたね……これがパジャマパーティ?
「パジャマパーティ、ですか?」
戦う為に、眠らないようにする為に。必要だからとパジャマを用意してきたのだけれど。
「寝間着姿でお菓子を食べながらお喋りを……」
確かに布団がどこまでも敷き詰められていて、床なのか地面なのかもわからない。つまりこのおやすみなさいの国本来の姿がよくわからない。ふわふわでもふもふな国、という部分だけは確実だということくらいだろうか。
「……お行儀悪いけれど楽しそうですね」
そう言ってみた胡・佳莉(星花の剣・f21829)だけれど、もう一度布団を見下ろして、納得したように頷いた。
「むしろ、この国の正式なマナー、という奴なのですね?」
隣を歩くエルディー・ポラリス(泣き虫L.D.・f11010)へと確認の視線を向ける。
「折角エルディーさんと一緒なんだから楽しいお喋りにしたいです……って、このうさ耳を?」
見慣れた赤の瞳が見えると思っていたのだけれど。差し出されたうさ耳に視界も思考も遮られた。よく見てみようと顔を近づけたところで、エルディーの頭にも既に、同様のうさ耳が装着されていることにも気づいてしまった。
「……はぁ、そういうオブリビオンなんですね」
佳莉一人だけが装着するという話であったなら抵抗をしたかもしれないけれど。既に提案者であるエルディーが身に着けているというなら別である。
「わかりました。バランスは、エルディーさんが確認してくださいね」
少女ウサギと子供ウサギが、オスウサギ達と対峙する。
「……時に」
真面目な表情を作って話しかける子供ウサギことエルディーは、出会いがしらにウサギ達の攻撃を受けてしまっていた。
「戦いとはイーブンの状態から勝利を収めてこそ……そうは思いませんか? ウサギさん達」
少女ウサギこと佳莉がいつでも参戦できるようにとタイミングを伺っている気配を感じながら、はじめに話をさせてほしいと主張したのはエルディーだ。
このためにパジャマを着用し、うさ耳をつけて枕の当たり判定という名の条件も揃えて来たのだ。
イタズラ好きということは、それだけ精神年齢が低いオウガだろうと見当をつけていたので。
「子供になった分、ハンデが欲しいってことウサ?」
「遊ぶんだからそのままでいいウサ!」
「私には必要ないですが、逆に君達がハンデが欲しいというなら受け入れましょう」
「「「……ウサッ?」」」
予想外の返答に戸惑うウサギ達。一部は口をぽかんと開けたままエルディーを凝視しさえする。
「条件を揃えるつもりで居たのだから、大人だった私が子供になるのは不思議ではありません。私はそう思います」
だから時間の巻き戻しに関しては抵抗しないで受け入れたのだ。
「た、楽しく遊べるならなんでもいいウサ!」
首を傾げてはいたものの、結局は納得するウサギ達。
「そうです、今私達に必要なのは枕投げという名の対話です!」
すかさず放ったエルディーの主張で、ウサギ達のテンションが上がっていくのがよくわかる。
「枕で戦うウサ!」
「話しは終わりウサッ?」
「ええ、勿論。……さあ、どこからでもかかってこい!」
幼児になったからなのか、それとも元からの予定通りなのか。はっきりしないままに枕投げが始まった!
春を思わせる陽射し、穏やかな気候をもたらす太陽に向けて、エルディーは手を伸ばす。
けして届かない筈のその燃える星を握りつぶして、散らばらせるように。広げた手を握りこめば、光の雨が降りはじめる。
光を糧に見渡す限りの世界を燃やす。見渡す限りの布団の海を照らす存在は、萌える炎の影に隠れて、気付けばどこにも見当たらない。
「真っ暗ウサ!?」
「ぽかぽかどこにいったウサ!?」
眠りに誘うやさしい光が遮られれば、おやすみなさいの国に正しく夜が訪れる。
「暗くて、寒くて、寂しくて……くくく……」
故郷への懐かしさを胸に、エルディーはウサギ達の様子を見逃さないよう注視している。
「忘れてやしませんか、ウサギさん達?」
「! どこウサ!?」
夜に慣れていないウサギ達が、声の聞こえる方角を探そうと慌てる様子を眺めながら、エルディーは冷静に続けていく。
「パジャマとは寝る時の衣服でしょう」
「当たり前ウサッ」
「その上で、眠るなら普通は夜ですよね」
少しでも気を抜くと力いっぱい駆け出してしまいそうなほど気分が高揚している。子供の姿になってしまったからなのか、それとも故郷の空気をこの場で再現したからか。
「すなわちパジャマパーティーとは夜にこそ相応しい!」
幼児にされてしまったとはいえエルディーのまま。ただいつもよりもはしゃぎやすく、盛り上がりやすい状態なものだから。とにかく声を張り上げる事ばかり考えてしまう。
予め考えてあった言葉であるからこそ、子供の姿形のままでも伝えきることができている。
「こうして夜を招いたことで、我々のパジャマ純度は諸君の上のステージへ達するのです!」
「なっ、なんというパジャマ純度の高さウサ……!」
「気付いてしまったようですね、わたし達がパジャマ強者だという事実に……!」
ごくりと喉を鳴らしたのは誰だっただろう。エルディーがウサギ達の視線を独り占めするかのようにゆっくりと枕を構える。
「さあ、パジャマ強者からの枕! ウサギさん達、避けれるものなら避けてみろ!」
エルディーがウサギ達の気を惹いている間に、佳莉は目的の高さへと辿り着いていた。
羽衣をつけたようにゆっくりと浮かび上がる佳莉の姿は文字通り天女だ、纏うものとして選ばれたパジャマとうさ耳がいつもの佳莉とは違うように見せていたけれど。
(戦場という舞台の上、役者として。相手を上回るのがエルディーさんの目的なら)
共に訪れた佳莉が選ぶのは、高さ、つまり位置としての上位だ。
今なお咲き誇りながらも零れ落ちる花を視線で追っていれば、ウサギ達も佳莉に気付いたようで、目があった。
何より夜の闇の中で、佳莉は天女として輝くような存在感を放っている。
「「「……女神ウサ」」」
「……えっ?」
確かに目立つ状況だとは思うけれど。それほどまでに効果が高いものなのだろうか?
エルディーの作り上げた舞台の上の役者のような概念が、まさに今の佳莉にも当てはまった瞬間だ。
しかし見とれられているならば好都合。枕を当て放題だということだ。だから佳莉は慎重に言葉を選ぼうとしている。
「パジャマ強者がひとりだと、誰が言いましたか?」
「そうだったウサ」
ウサギ達にも認識されたことで、佳莉も戦場の、舞台の一部となった。
暗闇に浮かび上がるのは、ウサギ達が求めてやまないウサギの天女。
天女は睡眠の大切さを唱え、ウサギ達に枕と、安眠を誘う香りを放つ花を与えた。
睡眠の伝道師もまた夜の大切さを教え、枕片手にパジャマの重要性をウサギ達に語った。
二人の献身が実り、ウサギ達は眠らないウサギから、健康的に眠りを楽しむウサギへと変わったのだった……
「……という舞台になったと思うのだけれど」
戦い終わって本来の姿に戻ったエルディーが、しきりに首を捻りながら佳莉の隣へと戻ってくる。
「どうしたのですか?」
「……パジャマ純度って、なんだろう? って」
「そもそも……これはパジャマパーティーだったのかも、はっきりしていません」
「考えたら、負けなのかなあ」
「考えたら負けだと思います」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
七那原・望
【星の館】で参加
パジャマパーティーなのです?なんだか戦争なのに楽しそうなのですー。
枕投げだって負けないのですー。
……それで枕投げってどういうルールなのですー?
パジャマはシンプルなノースリーブの白いワンピースなのです。
【Laminas pro vobis】で魔力を持った枕を作り、背中の翼で【空中戦】を行いながら作った枕を魔力を乗せて速度を【限界突破】させて【乱れ撃ち】、【蹂躙】しちゃうのです。
【第六感】と【野性の勘】で相手の動きや枕の挙動を【見切り】、回避しながら【カウンター】で枕をぶつけちゃうのです。
ふふ、やっぱり楽しいのですー。もっともっと投げちゃうのですよー?
七那原・エクル
【星の館で参加】
パジャマは夏用の涼しげなものをチョイス、上下グレーのカットシャツとやや大きめなサイズのオーバーパンツを着用。安眠マスクを首から下げている
まさかアリスラビリンスで枕投げをすることになるとは…
オウガが投げる枕にはなにか仕掛けられていないよね?接触したら起爆しちゃったりしない?
不安なのでボクは回避に専念するよ。トライデントクェイカーをレールカノン砲に可変させてカタパルト上に枕を設置、電磁砲のように光の速さで加速した枕を果たして避けられるかな?…って、冗談のつもりが枕発射できちゃったよ…
枕の三連撃は召喚したクラブ、ハートの剣技でウサギさんへ打ち返してもらおうかな
天星・零
【星の館】
『枕投げ楽しそうですね』
・服装
黒いTシャツに紫の線が入った長ズボンを履いてラフな格好
常に【戦闘知識+情報収集+第六感】で戦況、弱点死角を把握し周囲警戒、臨機応変に対応し【追跡】することで敵行動を予測し戦闘
技能とグレイヴ・ロウで避けつつ、防御
また指定UCで自分の鏡像を出して遠距離から鏡像に枕を投げさせたり攻撃
また、鏡像と位置を入れ替えて攻撃を避けることもできたり、距離を詰める
「いくぜぇぇ!!零!!」
Enigmaで夕夜を出して相手の死角から奇襲
敵に背を向けていても鏡像が敵の後ろにいたら自分(本体)が投げたり、攻撃する動作をすれば敵の方向に同じ行動を行う
余裕があれば味方の防御などアシスト
「なんだか戦争なのに楽しそうなのですー」
真っ白なワンピースだけでなく、裾から伸びる四肢の白さ、そして純白の翼がやわらかな陽射しを照り返す。そわりと翼をはばたかせる七那原・望(封印されし果実・f04836)はそわそわと周囲を探っている。
お日様の光でふかふかになった布団の香り。少し歩くだけでもふわふわな感触が足元から伝わってきていた。
「まさかアリスラビリンスで枕投げをすることになるとは……」
妻のすぐ傍。揺れる安眠マスクは首から下げていつでも使えるようになっている。いつも通りの格好であるグレーで揃えたパジャマだ。その裾をなんとなく弄りながら、七那原・エクル(ツインズキャスト・f07720)が周囲を警戒している。どこを見ても布団が続き、枕が時折積み上げられている。もし望が転んでしまったとしても怪我をしないだろう、やさしい世界なのは悪いことではなかった。
念のためにと枕を一つ持ち上げて、じっくりと観察に勤しんでおく。ウサギ達とはまだ出会っていないので、余裕のある今が勝負でもあった。
(この枕は大丈夫みたいだけど。オウガが投げる枕にはなにか仕掛けられていないよね?)
不安が残るのは、遠くから爆発音が聞こえたからに他ならない。それはウサギの能力ではなく、戦っているはずの猟兵の仕業なのだけれど。今のエクルにその事実を知る手段はなかった。
「枕投げ楽しそうですね」
エクルの視界に影がかかり見上げれば、黒地に紫の線が入った長ズボンの天星・零(零と夢幻、真実と虚構・f02413)が微笑みを浮かべている。
「枕でしか攻撃してこない、という言葉に裏があったら、確かに驚きますけど」
待ち遠しそうに、落ち着かなげに。そわそわとしたままの望に視線を向けて、またエクルへと向き合う零。
「それさえも楽しんでしまえばいいと思います」
サポートもしましょうかと伝えていれば、会話が聞こえたのか望が近寄ってきていた。
「楽しむだけじゃないのです。枕投げだって負けないのですー」
えくるんと一緒に、と笑顔が浮かんで。けれどすぐに首を傾げた。
「……それで。枕投げってどういうルールなのですー?」
わたしは望、わたしが望む。
赤い光の中から生み出されるのは、魔力を湛えた多くの枕。
一度にたくさん出るときも、丁寧に一個ずつ投げたい時も。
望が望む通りに、必要なだけ。
「ふふ、大きな的さんなのですー」
巨大化してウサゴンになったウサギ達は、ただ動くだけでも何かしらの音がする。
この国の枕も布団も、音や衝撃を消してしまうほどにふわふわしているけれど。ウサゴンほどに大きくなれば、全てが隠れてしまうことはない。
だから望は好きなように空を飛べる。飛ぶために風を読むのだって当たり前で、空気の流れだってウサゴンの居場所を教えてくれる。
「空に逃げても同じだウサッ!」
上空で舞うように枕を放つ望にウサゴン達は変わらず枕を放ってくる。
「勢いがあって、すごいのですー」
大きいからこそ力強く加速をくわえられた枕からは風をきる音がする。
数が増えているからこそ、近付いてくる圧だって感じとれる。
自由に飛べるはずの場所を選べば、そこは枕が飛んでこない、安全な場所だってわかるのだ。
「わたしだって、もっとたくさん投げられるのですー」
赤い光が枕をたくさん生みだして、望を覆う結界の中に溜め込まれていく。
「ぐるぐるまわって、勢いを増やすのですよー」
望の周囲を巡らせて、魔力も速度を限界を超えるまで重ねていく。
この国に元からあった枕なら、すぐに望の魔力に耐えきれなかったかもしれないけれど。これは望が望んで生みだした、望の魔力に馴染んだ枕だから大丈夫。
「もっともっと、魔力を乗せて……」
枕達が、望の望んだとおりの素敵な枕段になったから。
「ウサゴン達のところに、ぜーんぶ投げちゃうのですよー?」
決まったリズムなんてない。ただ手に触れたものから順に投げつける。手で足りないと思えば念動力だって使ってしまえばいい、とにかく多くを、とにかくはやくに。
「「「枕が硬いウサッ!?」」」
見た目は枕そのものだけれど、当たってはじめてわかるその攻撃性。ウサゴン達が放った枕を貫通し減速しない程の枕達が、ウサゴン達を蹂躙する。
空へ舞い上がる望を見送る。不安そうでも危なげでもなく、ずっと楽しそうにしていることに安堵する。
「ボクは回避に専念するけどね」
言いながらトライデントクェイカーの変形を促していくエクル。攻撃は二の次だ。まだ、ウサギ達が扱う枕が普通の枕であるという証明が出来ていないのだから。
(接触したら起爆するとか、そんな悪夢見たくもないし)
口にはしなかったけれど、自分に限らず望と零がその被害にあったらなんて想像もしたくないのだ。だからエクルは攻勢をとることを考えない。あくまでも枕の被弾を避けることを優先する。
「相当やわらかいけど……ものは試しに、だよね」
レールカノン砲への変形は終わっている。そのカタパルトの上に、すぐ横にあった枕を乗せる。座りが悪いと思えた部分は、多少枕を揉んでつついて形を整えれば、なんとなく様になった。不定形な素材かとおもえるほどふわふわな枕だけれど、癖を掴めばこれくらいなんてことはない。普段から様々な素材と触れ合い改造に利用しているエクルならではと言える。
納得の配置になったところで、まだ距離のあるウサギに向けて構える。
(これは攻撃じゃない。迎え撃って撃ち落とすための練習ってわけで)
ウサギ達の攻撃はまだまばらで、避けるだけならエクルの回避能力だけでもまだ十分に対応できている。余裕のあるうちに、いくつか想定した可能性に抗うための策を講じておくのだ。
「電磁砲のように加速するんだ、避けられるかな?」
ぱしゅんっ!
撃ちだせば、硬い弾とは違う音が遅れて聞こえた。
「……えっと」
確かに枕はカタパルトの上から消えている。次に視線を向けるのは狙っていたウサギだ。
「この可愛い顔に何するウサ!」
顔面に思いきりぶち当たったらしい。ほんのり顔全体が赤くなっている。
(光の速さまで加速したら、流石にダメージになるよねえ)
どこか他人事のように、今起きた現実がエクルの脳裏を駆け巡る。
「……って、冗談のつもりだったのに!?」
重さや大きさ。つまり弾としての規格が何もかも違いすぎる枕である。まさか本当に発射できるとは思っていなかったエクルは驚きが隠せない。
「枕投げで正々堂々勝負ウサ、上等ウサ!」
「大怪獣ウサゴンで相手になるウサ!」
「飛んでくる枕が増えるってこと!?」
顔を赤く腫れさせたウサギに呼応するように、数体のウサギ達が巨大化のしていく。
「……! クラブ、ハート……! ボクの声が聞こえる?」
慌てて第二砲をと構えかけたエクルだが、ウサギ達がウサゴンへとなるまでの時間にはまだ少し余裕があった。
数に対応するなら、こちらも数を揃えればいい。
呼び出された剣姫達がエクルの前に現れ、それぞれに得物を構える。
「打ち返してもらうね、よろしく!」
言いながら、エクルも新たな枕をカタパルトの上に設置するのだった。
できるだけ俯瞰できる視界をと考えた零は、すぐに鏡像を呼び出していた。
「増えても関係ないウサ!」
「逃げなくても良いのですか」
「ぜーんぶに枕を投げればいいだけウサ!」
「……まぁ、逃げても無駄ですから、同じですね」
「何か言ったウサ?」
対抗しようとすぐに巨大化を始めたウサギ達に、形ばかり逃走を促しておく。それで背を見せるなら隙が出来るので零にとって都合がいい。そうでなくても巨大化だ、的への命中率が高まることになんの不満もない。
零ひとりだけの戦いであればウサゴンの巨体、しかも複数は視界の邪魔をするばかりだろうけれど。既に鏡像も呼び出している。共に訪れたエクルと望だっているのだから、悲観する要素はどこにもなかった。
(それに)
まだそのタイミングではないから控えてはいるけれど。零が呼び出せるのは鏡像だけではない。
(俺の出番はまだなのかよ、零?)
(今少し待っていてください)
(いいけど、出たら思い切りいくからな?)
(是非ともどうぞ。最高のタイミングを演出してあげましょう)
(……ああ、楽しみにしてる)
打ちあわせらしいものは特にない。ただ最も効果的なタイミングがあればその時、夕夜を実体化させればいいだけだ。
「隙ありウサッ!」
「っ!」
何の言葉も発しない零が油断していると見たのか、ウサゴン達からの集中攻撃たる枕が降り注ぐ。途中でぶつかり合い零に至る軌道から外れる枕は気にしない。ただ零に確実に届こうとする枕だけを判別して墓石を生みだし突き上げて止める。
布団の海の中、まばらに生える十字架。移動の邪魔になる場所は都度消していくけれど。枕そのものを遮るための障害物としても使えるから、大半はそのまま布団から生やしたままにしておくのだ。
「どこに行ったウサ!」
「いえ、僕はこちらです」
離れた地点から枕を投げつけていた鏡像と入れ替わる。零に狙いを定めていたウサゴンが慌てはじめるその後方に行くことも考えたけれど。丁度その後方、死角は他のウサゴン達からも死角のようで。
(好機ですね)
(了解!)
見出したその位置にとトリガーに干渉すれば、応の声と共に夕夜の気配が離れるのがわかった。
「いくぜぇぇ! 零!!」
夕夜の声と共に布団を突きあげる多くの骨は槍として、飛ぶ枕を縫い止めていった。
「ふふ、やっぱり楽しいのですー」
もふもふの布団の海に倒れた、もふもふ巨大なウサゴン達。その様子を高所から満足そうに見下ろす望は、確かに微笑んでいる。
既に見える場所にウサゴンの気配はない。残っていないだろうかと偵察のための魔力をどれだけ広げても、新たなウサギの気配も捉えられない。
「終わってしまったみたいですー?」
まだ新たな枕を生みだす余裕はあるけれど、向ける先が居ないのならば仕方ない。結果を持ち帰るだけになったと理解した望は、ゆっくりと大好きな声の近くへと降りていく。
「爆発もなかったし何よりだよね」
微笑む時に響かせるエクルのやさしい声につい、望も頬が綻ぶのを抑えられない。
「遊び相手としては悪くなかったですね」
「俺は遊び足りねーけどな」
もっと早く呼んでくれればと抗議する夕夜だけれど、その表情は責めるものではなく、ほんの時間つぶしの話題を振っただけのようで。
「ほんの息抜きのようなものなのかもしれません」
また別の場所に向かえばいいでしょうと言う零に、皆も頷きを返した。
大成功
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