迷宮災厄戦⑭〜今宵の武器は枕〜
そこはとってもふわふわな夢の国。
入ったら最後、全ての者が強烈な睡魔に襲われちゃう不思議な国。
でもあることをしている間だけは、睡魔に襲われないんだ。
それはね……。
「枕投げ大会を開催します」
戦争の最中、突然唐突な提案をしてきたルウ・アイゼルネ(マイペースな仲介役・f11945)に困惑の眼差しが向けられる。
しかしルウは真面目そのものの表情だった。
「今回皆さんに言ってもらう国は『おやすみなさいの国』と呼ばれている場所です。そこにはふかふかの綿のような地面やクッションのような岩があるのですが……そこに足を踏み入れた者は総じて眠らされます」
この眠気は事前にエナジードリンクをきめていても、毎日規則正しい生活を送っていても平等に襲いかかってくるそうだ。
しかしあることをしている間は、その眠気を誤魔化すことが出来るらしい。それが……。
「パジャマを着て複数人で遊ぶこと。つまりパジャマパーティーですね」
そのため、普段現地に住む時計ウサギや愉快な仲間達は恋バナに話を咲かせながら行動していることが多いらしい。
しかし恋バナをしながら戦闘をするのはわりと厳しい。戦闘音で相手の声が聞こえず、話が途絶えてしまってバタンキュー……となってしまうのが関の山である。
「そこで一計を案じまして、闘いながらパジャマパーティーをやる方法を考えました。それが、枕投げ大会です」
学生でいく旅行、夜の名物と化している枕投げをうまくアレンジすれば、おやすみなさいの国に巣食うオウガ達にも対抗できるのではないか……というのがルウの弁である。
ちなみにほぼ枕な見た目や感触を持つ石は国中に転がっており、事前に準備する必要はない。ただし適当に投げているだけでは大した威力にならないため、何らかのアレンジを加える必要はあるだろう。
「そしてある意味こちらが本題です。今回確認された標的となるオウガは……毎日のように酔いどれてゆらゆらしている時計ウサギです」
お酒のつまみにアリスの心臓を抉り出して捌いた物を食べるという彼らにとって、敵が吐いた物は最高級の飲料らしい。
そのため執拗に相手の三半規管を狂わせる攻撃をしてくる。
寝ていても人は吐くことが出来てしまうため、パジャマパーティーをして意識を保ちながら戦わなければ割とシャレにならない展開になってしまうことも考えられる。
「酸っぱい臭いのするワイングラス片手に寝る前の晩酌を楽しんでいる輩に強烈な枕の一撃を与えてきてください。それではよろしくお願いします!」
そう言ってルウはどこからともなく取り出し、胸に抱えていたYES枕を思いっきり殴りつけた。
平岡祐樹
春眠暁を覚えず。お疲れ様です、平岡祐樹です。
このシナリオは戦争シナリオとなります。1章構成の特殊なシナリオですので、参加される場合はご注意ください。
このシナリオには、シナリオボーナス「パジャマパーティーをしながら戦う」がございます。
ルウは「枕投げ」を行うことを提案しておりますが、その他のパジャマパーティーあるあるをやりながら戦うことも当然可能です。
ただし、あまり一般的ではない内容の場合、問答無用で夢の国にご招待となる可能性がありますのでご注意ください。
第1章 集団戦
『ゆらゆらびっと』
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POW : さあ、あなたのワインを注いで
技能名「【部位破壊(三半規管)】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
SPD : まだまだあるはずだよ
技能名「【部位破壊(三半規管)】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
WIZ : 心臓寄越せ
【ゆらゆらしていないモード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
藤原・忠重
POW。
安物の古いジャージに着替えて出撃。
その辺の枕っぽい石を拾い、固く握り締めて突撃。
気分はまさに深夜テンション。
「ピローファイトの時間だオラあああッッ」
【念動力】でオーラを操り枕に纏わせ、
攻撃力を強化してそのまま敵へ叩き付ける。
三半規管へのダメージは【気合い】で耐える。耐えながら殴る。
ダメージの蓄積が耐えられなくなってきたらUC発動、
枕を握ったままの拳を叩き込む。枕持ってるから合法。
殴ったらすぐさまUCを連続発動し、また殴る。
近くの敵が全滅するまでこれを繰り返す。
近くに敵がいなくなれば後からきた吐き気でその場に倒れ、勢いよく嘔吐。
粗方吐いたら枕合戦してないので睡魔に襲われ、ゲロ塗れで寝る。
「ピローファイトの時間だオラあああッッ!」
学校入りたての時に買わされた安物の古いジャージに身を包んだ藤原・忠重(じぶんだいじに・f28871)の第一投は明後日の方を向いていたウサギの顔面に直撃した。
「……ひどいです。せっかくの飲み物が袖にかかってしまいました」
「知るかそんなもん」
その辺の枕っぽい石を拾い、固く握り締めた忠重は第二球を投じる。
ウサギは横のステップでそれを避けると、忠重の前にまで出向き、グラスを地面に置いた。
「あなたにとってはどうでも良くても、私にとっては重要なことなのです。こちらに弁償していただけませんか?」
そう微笑まれた瞬間、忠重は唐突な目眩を感じた。
『さあ、あなたのワインを注いで?』
続けて頭痛と胃のむかつきが襲ってくる。まるで上下左右の移動が多いジェットコースターや荒い運転の車に乗せられた後のような感覚に忠重は眉間にシワを寄せながら、枕の端を持ってウサギの頭へ叩きつけた。
「いけませんよー。私が欲しいのは殴打じゃなくてピュークですよ、ボミットですよ」
「……やっぱり布と綿じゃあ強化しても意味がねぇか。なら……」
大して効いてない様子でウサギは謎の言葉を発しながら周りを回る。まるで煽っているかのような仕草に歯を食いしばりながら忠重は枕を握りしめた。
『ぶん殴ることしか能がねえから、誰にもこれだけは譲らねえ』
そしてしたり顔でいたウサギの正面に拳を叩きつけた。最後に枕の部分が当たっていれば合法なのである。……合法、なのか?
殴ったことでスカッとした忠重はさらにガラ空きとなった腹部にも枕付き拳を叩き込む。最後にツイストを入れて枕を当てることは忘れない。
「うう、ひどいです。こんなの枕投げじゃありません、ただのリンチです暴力ですいじめです」
そうしてボコボコに殴られたウサギはグラスを回収せずに泣きながら走り去っていく……かと思いきや数歩走ったところで転んで寝てしまった。
そこへ憂さ晴らしに何発か枕を投げ込んだ忠重の元に例の吐き気が戻ってきた。
「うっ……もう、限界だ……」
忠重はふらつく足で近くを偶然流れていた川縁にたどり着くと四つん這いになる。しかし直後に意識を失うと腕の力が抜け、水面すれすれに顔を近づける形で倒れてしまった。
しかし洗濯機に放り込む前の水洗いは、どうにか回避できた。
成功
🔵🔵🔴
春霞・遙
これは、寝巻きに着替えたほうが良いのでしょうか。
といっても当直中は普通にスクラブで寝るし、パジャマだってジャージだし、このままでもいっか。
ほかの科の先生と病院でクリスマスケーキを食べるようなものでしょう!
吐くような体調の悪い人は早く寝てくださーい。
枕の岩を【竜巻導眠符】と一緒に投げつけます。
眠くならない効果で導眠符は効かないでしょうけど、風の力で枕を後押しして威力を上げて、ついでにワイングラスやおつまみなんかも吹っ飛ばします。
パジャマパーティーについて「情報収集」したらSNS映えなんてのも大事らしいので、きっと紙吹雪っぽい攻撃もいいはず。
と思い込みつつスマホで「撮影」したりしますよ。はいちーず
「これは、寝巻きに着替えたほうが良いのでしょうか……」
春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)はハイライトを失った目でそう呟いた。
普段遙がパジャマとして愛用しているのはジャージである。機能性重視。
しかしそれが大半の女性から受け入れられない傾向にあるという残念な事実も理解していた。干物女ドラマ許すまじ。
故に遙は仕事着で現地に乗り込んだ。当直中は普通にスクラブのまま寝ることもあるのだから寝間着として認められるだろう、というウルトラCである。
「はい、吐くような体調の悪い人は早く寝てくださーい」
拾い上げた大きめの枕型の岩を【竜巻導眠符】で勢いを底上げして晩酌を嗜んでいるウサギに投げつける。
パジャマパーティー中は眠くならない効果で導眠符の効果は打ち消されたが、それを飛ばす風の力は対象外だったようで威力の上がった枕はワイングラスやおつまみなどをなぎ倒していった。
「ああ、せっかくのマグロの心臓のお刺身が……台無しですよ! 責任取ってください!」
割とレアな珍味を吹っ飛ばされたウサギの酔いが怒りによって覚めたようで、全力で駆け上がってくる。
そんな食べ物の怨みによる訴えは届いておらず、遙はスマートフォンのカメラの設定をフロントカメラへと移行させていた。
「パジャマパーティーについて情報収集したらSNS映えなんてのも大事らしいので、きっと紙吹雪っぽい攻撃もいいはずですよね」
パジャマパーティーといえば「他の科の夜勤の先生と病院でクリスマスケーキを食べるようなものでしょう!」……というイメージだったが、世間ではどうやら違うらしい。
「SNS映えする写真」に挑戦すべく、護符が舞い散る空が写り込むように腕一杯下げたスマートフォンの画面の中には、目を真っ赤にさせた時計ウサギが爪を立てて腕を振り上げる様が写り込んでいた。
「はいちーず」
そう言ってシャッターを押せば、大量の枕が時計ウサギの顔面や腹部を次々に捉えて、その体をぶっ飛ばした。
「うーん、これはちょっと。……映えるどころか、グロ画像?」
顔面が変形した瞬間を捉えてしまっていた写真を遙は苦笑いしながらゴミ箱へと移動させた。
成功
🔵🔵🔴
ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
アドリブ・連携OK
パジャマパーティー……?んー、よく分からないなあ。
パジャマを着て枕を投げたらパジャマパーティーになるのかな。
とりあえず混沌獣の毛皮をパジャマっぽい感じに変えておこう。
さて、枕投げをしたらいいんだったら話は早い。
【飛天放弾】でその辺にあるできるだけ大きい枕っぽい石を掴んで、
ついでに袋に入ってた石も一緒に投げつけて攻撃しよう。
三半規管への攻撃は、たしか乗り物酔いとかにはミントの香りとかがいいんだっけ。
化合生成でミントの香りを生成して、何とか誤魔化してみようか。
そういえば、ここ寝るにはちょうど良さそうだし、
戦い終わったらひと眠りしていこうかな。
「パジャマパーティー……? んー、よく分からないなあ……」
眠る前にわざわざ友人と寝間着で大騒ぎをする……なんてイベントとペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)の間には縁がない。
眠くなるまで丸まって隣の人達と寝落ちするまでたわいもないことを話すことならいくらでも縁はあるのだが、遊びを挟まないそれはきっとパジャマパーティーではないのだろう、とペトは結論づけていた。
「とりあえず、言われた通りにパジャマを着て枕を投げたらパジャマパーティーになるのかなぁ?」
とりあえず混沌獣の毛皮をパジャマっぽい感じに変えてから、ペトは枕の岩を掴んだ。
「それだったら話が早い。『さぁて、ぶん投げるよー!』」
勢いよく投じられた枕は弧を描くと、的確にウサギの頭へヒットした。
「うぷ、なんですがっ!?」
枕によって視界を奪われたウサギが呻き声をあげる。
その直前に胸や腹部に叩き込まれた枕の中から本来この場所にはないはずの、見るからに硬そうな石礫が転がり落ちてきた。
それを仕込めるのは枕を拾い、投げてきた者ただ1人しかいなかった。
「ぱ、パジャマパーティーに凶器を混ぜ込むなんて、卑怯です! そんな悪い子には……こうです!」
涙目になったウサギがペトを指差せば、目眩と頭痛と胃のむかつきが同時に襲いかかってくる。
「たしか乗り物酔いとかにはミントの香りとかがいいんだっけか……」
その症状と似た物を引き起こす原因に心当たりがあったペトは脂汗をかきながら体内でメントールを精製し、汗腺から外へ放出していく。
スーッとする強い清涼感によって気が紛れたペトは豪快なサイドスローでウサギを吹っ飛ばした。
「そういえば、ここ寝るにはちょうど良さそうだし、戦い終わったらひと眠りしていこうかなぁ」
握った枕はふかふかだし、先程から歩いている綿の地面もペトの体重に負けずに程よく押し返してくる。きっと予想通りの素晴らしい寝心地を提供してくれるだろう。
しかしそれにはオウガ達がどう考えても邪魔である。
頭を振りながら起き上がろうとするウサギを見直したペトは、改めて拾い上げた枕にもう片方の手を叩きつけて音をたたせた。
大成功
🔵🔵🔵
夕月・那由多
戦いは数も重要じゃ
相手が集団ならこちらも少しでも増やしたいところ…というわせで頼むぞもうひとりのわらわ!
UCで二人になって連携するのじゃ
●
ふふ、この【フェイント】を織り交ぜつつ神さまパワーを加えた【誘導弾】をくらえ!
具体的には【怪力】での【投擲】で高速スピンをかけつつ、ほんのり【念動力】も加えたエゲツないカーブをする変化球じゃ!
あと眠くなる【呪詛】とかかけて、睡眠属性の【属性攻撃】とかで睡魔を加速させる【気絶攻撃】で動きを止めていきたいのう
こまめに枕も【運搬】して手元に置いとくことで途切れなくいきたいところ
「これは、1対1じゃ絶対にダメですぅ」
「数で無理矢理押していきましょう!」
猟兵達の猛攻にウサギ達も個々では耐えきれないと、集団での戦闘へとシフトするために集まり出した。
「戦いは数も重要じゃのう……」
夕月・那由多(誰ソ彼の夕闇・f21742)はウサギ達の決断に賛成し、頷いていた。
「相手が集団ならこちらも少しでも増やしたいところ……というわけで頼むぞもうひとりのわらわ!」
「ほいな!」
元気の良いかけ声と共に、もう1人の那由多が空から着地する。それでも2対多勢だったが、那由多の目には勝利しか映っていなかった。
「では、わらわは枕をかき集めてくるのでの。お掃除は頼んだぞ!」
「心得た。ふふ、このフェイントを織り交ぜつつ神さまパワーを加えた誘導弾枕をくらえ!」
そう言って投じられた枕は大きく弧を描いて右端にいたウサギの脇腹に直撃した。
具体的には怪力による高速スピンをかけた上に、ほんのり神の念動力も加えた、エゲツないカーブをする魔球ならぬ魔枕である。
ついでに眠くなる呪詛も織り交ぜて相手の睡魔が加速するように細工していたのだが、枕投げに応じる気がある間は効かないのか、ウサギ達が意識を手放すことはなかった。
だがそんなウサギ達は顔を真っ青にさせて悲鳴を上げていた。
「な、なんで私達の圧力を受けても気分が悪くならないのー!?」
「ふっふっふっ、愚かな兎共よ。わらわの強さに怯えるがよいわ!」
那由多がご機嫌に悪役ムーブをしてる一方でもう1人の那由多はこまめに枕を運搬して手元に置くことで攻勢が途切れなくしていた。
しかしその道中で、ウサギ達に見つかってしまった。
「いたぞ、猟兵だ!」
「げっ、見つかったのじゃ」
「かかれー!」
枕を投じると共にウサギ達は収集担当に対し、精神攻撃を仕掛けてきた。1体ならまだしも、複数体から一気に受けてしまった収集担当は枕を落とし、足元をふらつかせる。
「何をやっておるのじゃー!」
そこへ大量の枕の弾幕が降り注ぎ、ウサギ達は生き埋めになった。そしてクッションの岩の影から攻撃担当が顔を出す。
「大丈夫か、もうひとりのわらわ!」
「……吐き、そう、じゃ……」
「た、耐えろ! こんなところで吐いたら信者に邪な想いを抱く者が現れかねんぞ!」
青い顔をして呻く収集担当を抱き抱え、攻撃担当は悲鳴をあげた。
成功
🔵🔵🔴
天津・麻羅
パジャマパーティー!枕投げ!!
枕投げとゆうたら修学旅行を思い出すのじゃ………はて?修学旅行とは何の話じゃったかいまいち思い出せんのう。まぁ良い、寝巻きの格好をして枕投げをやれば良いのじゃな。今着ておるのも上着を脱げば寝巻きっぽいが、ここはあえて可愛くてオシャレなのを着ていくぜ!
わしが創造した枕達にゴッド・クリエイションで命を与えて戦うのじゃ。攻撃用の枕には硬度を、囮用の枕には筋力を与えるのじゃ。囮用は持ち前の筋力を活かして素早く小刻みに動いて、敵の注意を引いて欲しいのじゃ。攻撃用はそのまま投げるのじゃ。投げた速度に反応されても硬いから何とかなるはずじゃ!
「パジャマパーティー! 枕投げ!!」
楽しげに枕をお手玉しながら天津・麻羅(天目一箇神・f16621)は正面を見据えた。
「枕投げとゆうたら修学旅行を思い出すのじゃ………はて? 修学旅行とは何の話じゃったかいまいち思い出せんのう」
まあ、深く考える必要はないか……と記憶の混濁を脇に置いた麻羅は可愛くてオシャレなブランド物の寝巻き姿だった。普段着ている物も上着を脱げば寝巻きっぽい……というのは禁句である。
「攻撃用の枕には硬度を、囮用の枕には筋力を与えよう」
神らしく、周囲にある枕石に生命を吹き込み、権能を与えていく。
囮用は与えられた筋力を活かして起き上がると素早く小刻みに動いて、敵の注意を引きつけに走り出した。
「では、わしもやっていこうか」
囮の枕に釣られたウサギ達に向けて、硬くなった枕を放る。小さな体から投じられた物とは思えない速度で宙を舞う枕に、ウサギはすぐに気付くと逆に殴り返してきた。
枕が綿の地面に音もなく落ちる中、ウサギは情けない声をあげながら殴った拳をもう片方の手で包んで崩れ落ちる。
「ウサギごときの手で打ち返そうとするのが、すでに間違いじゃ」
座り込んで動けなくなったウサギに対して第二投を放れば、別のウサギが間に入ってきて殴って同じように激痛を訴えながら地面に転がっていく。
金属顔負けの硬度+プロ顔負けの速球を素手で受け止めればそうなることはそれなりの年齢になれば分かる。それでも反応してしまうのは反射的行動か、ただの命知らずか。
しかし囮役も速い存在の出現に、ウサギ達の注目が麻羅に集中し出したらしくウサギ達の集中砲火がこちらに飛んできた。
「ぐっ……囮役は何をしておるのじゃ!」
あまりの攻勢に耐えかね、巨大な枕の壁に隠れた麻羅は思わず悪態をつく。
一方その頃、囮役の枕はウサギ達の間でスヤスヤと眠りについていた。枕投げの中でいくら走り回っていても、枕を投じず、相手から無視されてしまえば「参加者」として認められなかったらしい。
そうなってしまっていることに気づいていない麻羅は一息つくと壁から体を出さずに攻撃するために、枕を全力で上に放り投げる。
大きな放物線を描いた枕は大きな枕を超え、ほぼ直角に落ちた先にいたウサギの左肩をへし折った。
成功
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オルヒディ・アーデルハイド
パジャマは大きなシャツ1枚にニーソックス
抱き枕のフワリンのぬいぐるみを抱いている
『槍騎兵ムシャリン』を呼び出して飛翔能力で突撃させる
突っ込まれたら抱き枕だと言い張る
ムシャリンに付加させた飛翔能力で高速で飛び回ってもらい敵の意識をそちらにそらして自分に攻撃されない様にする
耐久力が高まっているので相手のみぞおちに1点集中して突撃してもらい
相手が怯んだ隙に一斉攻撃
ほら、ボディががら空きだよ
「よっし、もうちょっと頑張っていこうか!」
オルヒディ・アーデルハイド(アリス適合者のプリンセスナイト・f19667)は大きなシャツ1枚にニーソックスを合わせた姿で胸を張った。その脇には巨大なピンク色の四足歩行の生物っぽい物を抱えていた。
「ぐぅ……こんだけボコボコにされているんです、誰かの心臓くらい頂いても非難はされませんよねぇ!」
「残念だけどお断りだよ、『無限の幻想より現実と夢を繋ぐ力をもって覚醒せよ』槍騎兵ムシャリン!」
オルヒディがピンク色の生物を上に放り投げるとそれは巨大化し、天空からも同じ見た目の存在が何十体と現れて落ちてくる。
そして4本の足でしっかりと着地すると、その頭部に鋭くすらりと伸びた角をお目見えさせた。
「な、立った!? 枕じゃなかったんですか!?」
「え、フワリンはただの抱き枕だよ。これが無いと夜眠れないんだ」
「なるほどなるほど……そんな抱き枕があってたまるかー!!」
一瞬納得しかけたが、すぐに考え直してツッコミを入れる。しかしムシャリン達の間で仁王立ちしているオルヒディが寝てないのであれば、あれは抱き枕扱いなのだろう。
「あーもう、考えるのが面倒くさくなってきましたよ! あなたを倒してその自称抱き枕で寝てみてから判別をつけましょう!」
そう叫んでウサギは枕片手に走り出す。それを見たムシャリン達は付加された飛翔能力で空に駆け出していった。
高速で飛び回るムシャリンの姿に、ウサギは立ち止まって忙しなく視点を動かす。投げようにも的が複数も同じくらいの速さで動いているため目移りしているらしい。
「ほら、ボディががら空きだよ!」
オルヒディの投じた枕がウサギの顔にポスンと軽い音を立てて当たる。その当たりで体勢は崩れなかったが、それを合図に一斉にムシャリン達が急降下してきた。
ウサギはすぐに視界を塞いだ枕を振り払ったがその時にはすでにムシャリンは間近に迫っており、頭部の細い角がみぞおちに突き刺さった。
「ああっ!」
ウサギは苦悶の声をあげるが、ムシャリンの頭をしっかりホールドすると膝蹴りを顎に喰らわせる。しかしそれだけでは終わらせまいと別のムシャリンが後ろからウサギに衝突した。
「普通あの一撃を喰らえば痛みで動けなくなるのに……体が強いのは相手も同じだったのかな、ふあぁ……」
そんなぶつかり合いがあちこちで展開されているのをオルヒディは欠伸混じりに眺めていた。
成功
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