迷宮災厄戦⑪〜鏡の国の剣姫
●剣姫は踊る
「さあ鏡よ! 私に真実を語るがいい!!」
磨き上げられた鏡のような水晶の大地がどこまでも続く世界で。
きらびやかな真紅の衣装を纏った一人の少女が、舞い踊るように飛び跳ねながら、芝居がかった声を上げた。
彼女の前には、地面から生えた大きく澄んだ鏡が一つ。
「私の敵は、今どこにいる? 居場所さえ分かれば、私の無双の剣は、狙い違わず我が主を狙う敵を、一撃の下に切り裂き葬るだろう」
どこまでも芝居じみたその挙動。だが一見大仰に見えるその動きには、欠片も隙が見られない。それは彼女が見た目によらず、本物の剣の達人であることを如実に示していた。
●真実を映し出す鏡
「『砕かれた書架牢獄』の制圧に成功した結果、『真実を告げる鏡の間』への進出が可能になりました」
エルシー・ナイン(微笑の破壊兵器・f04299)は、集まった猟兵達に嬉しそうにそう告げた。
「『真実を告げる鏡の間』はかつて、オウガ・オリジンの忠臣だった『鏡の女王』が支配する国でした。ですが『鏡の女王』はオウガ・オリジンの気まぐれで戯れに殺され、今やこの国は『鏡の女王』の怨念の満ちる国と化してしまいました」
そしてこの国の特徴は、あちこちに『真実の鏡』が生えていることだ。
「『真実の鏡』はその名の通り、問えば真実を答えてくれるという神秘的な鏡です。残念ながら鏡の答える真実はこの『真実を告げる鏡の間』内部の事に限定されるそうですけど」
その代わり、この国内部のことであれば、例えば敵の位置や死角、ユーベルコードの弱点など、この国の内部にあるものの情報ならなんでも答えてくれるのだという。
「問題は、『真実の鏡』は問われれば誰にでも真実を答えるということです。それはつまり、この地に巣くうオブリビオンも当然、この鏡の能力を活用してくることを意味します」
そして『真実を告げる鏡の間』で猟兵達を待ち構えるのは、『廃亡の剣姫マウラ』と呼ばれるオブリビオンだ。
「マウラはアリスだった少女が数多の冒険を経て、優れた剣の使い手『剣姫』へと至った存在。トランプのスートに対応する4本の剣を自在に操る強敵です。彼女は鏡の能力を、主にみなさんの正確な位置を把握することに使用してくるようです」
この『廃亡の剣姫マウラ』を打倒することが、今回の任務となる。
「相手は恐るべき剣の使い手ですが、『真実の鏡』をうまく利用すれば、決して勝てない相手ではありません。みなさんの健闘を祈っています」
エルシーはそう言って、猟兵達を転送させるべくグリモアを掲げたのだった。
J九郎
こんにちは、J九郎です。
いかにもアリス・ラビリンスらしい国の登場です。
このシナリオには、下記の特別な「プレイングボーナス」があります。これに基づく行動をすると有利になりますので、ぜひ挑戦してみてください。
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プレイングボーナス……鏡に有効な質問をする。
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それでは、皆さんの工夫を凝らしたプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『廃亡の剣姫マウラ』
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POW : 我流:インガオーホーザン
対象のユーベルコードに対し【自身のレベル倍の威力にして斬り返す斬撃】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
SPD : フォースート・ストライザー
【紋章剣の四つのスート属性を一つに束ねる事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【空間断層を引き起こす聖剣による光の斬撃波】で攻撃する。
WIZ : 剣霊姫招来
自身の【装備する紋章剣の使用封印(最大四本まで)】を代償に、【使用を封印した紋章剣に宿る少女聖霊】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【敵の弱点を突くスートの属性攻撃と属性防御】で戦う。
イラスト:おきな
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「七那原・エクル」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
虎鶫・夕映
真実を言う鏡ねぇ…
まぁうまく利用しろっていうなら利用するけど…じゃあ問うとして
『相手の攻撃の有効射程と防御する手段』を聞くことにしよう
流石にこっちには遠距離攻撃の手段がないし接近しながらの回避も難しそうなので先んじて理解しておけば対策も練れるでしょう
まぁとはいっても最終的には敵の攻撃をコピーしてやり返すのが一番手っ取り早いかもしれないけど
●空間を断つ剣
「真実を言う鏡ねぇ……」
水晶の地面から生えている鏡を前に、虎鶫・夕映(サルトラヘビ・f28528)はどうしたものかと考え込む。
「まぁうまく利用しろっていうなら利用するけど……」
夕映はグリモア猟兵から聞いた『廃亡の剣姫マウラ』の戦闘スタイルを思い起こしながら、問うべき質問を頭の中でまとめていった。
「ええと、マウラの攻撃の有効射程ってどのくらい?」
遠距離攻撃の手段を持たない夕映にとって、敵の射程は重要な情報だ。もしマウラが高射程の攻撃手段を有していた場合、接近しながらの回避も難しいだろう。だが、先んじて敵の攻撃の詳細を理解しておけば、対策も練れるはず。そう考えての問いだったが。
『マウラの秘剣【フォースート・ストライザー】の有効射程は約8kmです』
「8km!?」
鏡の回答は、夕映の想像を遥かにぶっちぎっていた。
「ち、ちなみに、防御する手段も聞いていい?」
『【フォースート・ストライザー】は空間を裂いての攻撃の為、遮蔽は意味を持ちません。光の斬撃の為、物理的に受け止めることも不可能です。何らかのエネルギー属性による防御が有効です』
「え。それじゃ私には無理じゃない」
夕映が愕然とそう呟いたその時。突如夕映の頭上で空の一部にヒビが入った。直後、まるで鏡が砕けるかのようにヒビの入った周辺の空が砕け散り、そこから光の奔流が吹き出してくる。
「うわっ!?」
完全なる不意打ちだったにも関わらず、鏡への問いかけで無意識の内に警戒していたからか、夕映は咄嗟に両腕に移植されていたメガリスを突き出し、その光の斬撃を受け止めていた。だが、直撃であったことには変わりなく、夕映の小柄な体が吹っ飛び、水晶の地面に叩きつけられる。
「い、痛い……。でも、メガリスで防いでなかったらこんなものじゃ済まなかったはず」
全身の痛みに耐えてなんとか立ち上がった夕映は、マウラのユーベルコードを受け止めてなお傷一つ付いていない両腕を、天に向かって掲げた。
「やっぱり最終的には、相手の攻撃をコピーしてやり返すのが一番手っ取り早かったね」
そう、夕映の両腕に移植されたメガリスには、受け止めたユーベルコードをコピーする能力が秘められているのだ。
「そのユーベルコード、コピーさせてもらうよ!」
次の瞬間、夕張の両腕から、先程空から飛来したものとそっくりの光の刃が放たれた。その輝く刃は、空の一部に時空を超える穴を開くと、吸い込まれるように消えていく。
直後、水晶の大地の彼方で、爆発にも似た大音声が響き渡った。
「ねえ、今の攻撃は命中したかな?」
夕映の問いに、
『マウラに直撃しました』
鏡は無機質に淡々と、そう答えたのだった。
成功
🔵🔵🔴
水心子・静柄
優れた技術の持ち主でも、その時の精神状態によっては十全に発揮出来ないはずよ。
真実の鏡に問うわ、「廃亡の剣姫マウラが耳を塞ぎたくなるようなエピソードを全て教えなさい!」……真実の鏡って確か壊れなかったわよね?一度鏡が語りだしたら最後まで全て語り明かされるなんて凄いわよねー。物凄い量のエピソードがあったりしたら、その間に鏡も使えないから一石二鳥かしらね?さて、マウラが耳を塞いでたり、鏡を壊そうとしている隙に本差を召喚して斬りつけるわ。さぁ、どこまでこの精神攻撃に耐えられるかしら?まぁ相手の方が格上なんだからこういう手もありよね?
●鏡は真実を語る
「まさか、こっちの攻撃をそのまま返されるとはね」
猟兵との超遠距離でのユーベルコードの撃ち合いに意識を向けていた『廃亡の剣姫マウラ』は、それゆえ接近してくるもう一人の猟兵の存在に気付くのが遅れてしまっていた。
「初めまして、廃亡の剣姫マウラ」
その猟兵――水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)は、悠然とマウラへと歩み寄っていく。
「ほう。鏡に問うまでもなく私の剣の間合いまでやってくるとは、よほど腕に自信があるのか、或いは只の馬鹿なのか。君は果たしてどちらかな?」
自身の周囲に浮かぶ4本の剣の切っ先を向けながら、マウラは芝居がかった仕草で静柄に向き直った。
だが、静柄はそんなマウラを無視するように、その場にあった地面から生える鏡へと目を向ける。そして静柄が発したのは、
「鏡よ、廃亡の剣姫マウラが耳を塞ぎたくなるようなエピソードを全て教えなさい!」
「なっ!?」
マウラが予想もしなかったような問いだった。
『廃亡の剣姫マウラは本当の名前はマユラですが、オウガ・オリジンに謁見した際、緊張のあまり名前を噛んで言い間違えてしまい、マウラと名乗ってしまいました。まさか名前を間違えたとは言い出せないので、そのままマウラに改名しました』
「やめてーっ!!」
淡々とマウラの黒歴史ともいえるエピソードを語り出した鏡に、マウラが悲鳴を上げる。
「一度鏡が語りだしたら最後まで全て語り明かされるなんて凄いわよねー」
この状況を作り出した張本人である静柄は、煽るようにそう呟いて笑みを浮かべた。
(「これでもし物凄い量のエピソードがあったりしたら、その間に鏡も使えないから一石二鳥かしらね?」)
静柄がそんなことを考えている間にも、真実の鏡は次のエピソードを語り出す。
『マウラは寂しがり屋なので、一人でいる時は剣に……』
「そ、それ以上は言わせないっ!!」
ついに、マウラが実力行使に出た。宙に浮かぶ4本の剣で、一斉に鏡を砕かんと斬りつける。
「……真実の鏡って確か壊れなかったわよね?」
静柄の言う通り、鏡は簡単には壊れない。絶対に壊せないわけではないが、それなりのユーベルコードでも使わないと、破壊は不可能だろう。
そしてマウラが鏡の破壊に気を取られている今こそ、静柄にとっては最大の好機。
脇差のヤドリガミである静柄は、本差である姉の存在を頭に思い浮かべる。想像から実体を召喚するユーベルコードで姉に瓜二つの本差を呼び出した静柄は、そのまま居合斬りでマウラへと斬りつけた。鏡の破壊に夢中になっていたマウラに、その一撃をかわす余裕はない。
「き、汚いぞ! 君はそれでも剣士なのか!」
高速の一閃に切り裂かれた腕を押さえながら、マウラが抗議する。
「あなたの方が格上なんだからこういう手もありよね? それよりも鏡を放っておいていいの?」
マウラがハッと気づけば、鏡は相変わらず淡々と、マウラの恥ずかしいエピソードを披露し続けていた。
「さぁ、どこまでこの精神攻撃に耐えられるかしら?」
静柄はそう言って微笑みながら、納刀した本差しの柄に手を添え、再び居合斬りの構えに入ったのだった。
成功
🔵🔵🔴
トリテレイア・ゼロナイン
位置を知られている以上、先手はあちらの物ですか…
ならば…
『鏡よ、鏡。廃亡の剣姫マウラが思わず戦闘中に手を出してしまう相手の挙動を教えていただけますか?』
センサーでの●情報収集による動体探知で襲撃を●見切り●盾受け●武器受けで攻撃を防御
元アリスたるオウガ…騎士としてその剣技に敬意を
その身の上に哀悼の意を捧げましょう
ですがオウガ・オリジンへの道を切り拓く為、討たせていただきます
相手も此方もカウンター系の技
ですが、『思わず戦闘中に手を出してしまう相手の挙動』をとれば確実に相手の任意の攻撃を誘発できます
放たれる斬撃を最小限の足運びで回避
すかさず●怪力で振るう剣の●武器落としで隙を作り●シールドバッシュ
●一瞬の隙をついて
「『真実を告げる鏡の間』にやっては来ましたが……位置を知られている以上、先手はあちらの物ですか……」
トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は、地面から生える真実の鏡を前に考えこんでいた。だが、相手に位置を知られている以上、いつ攻撃が飛んでくるか分からない。あまり、悩んでいる時間はなさそうだ。
「ならば……鏡よ、鏡。廃亡の剣姫マウラが思わず戦闘中に手を出してしまう相手の挙動を教えていただけますか?」
問うたのは、相手の攻撃を誘発するための動き。守りに重きを置くトリテレイアにとって、確実に相手の攻撃を誘発できる方法を知ることは、大きなアドバンテージとなる。
『戦闘時、非戦闘時問わず、マウラは……』
だが、鏡が全てを答え終わる前に、突如4本の魔剣が同時にトリテレイアの下へと飛来した。
「全環境適応型マルチセンサー、感知レベル最大」
廃亡の剣姫マウラが放ったトランプの4スートに対応する魔剣が、次々とトリテレイアへ襲い掛かる。その攻撃をトリテレイアは、センサーの動体察知機能で見切ると、スペードの魔剣を手にした儀礼用長剣で弾き、ハートとダイヤの魔剣を重質量大型シールドで受け止めた。だが、最後のクラブの魔剣は突如空中で軌道を変え、背後からトリテレイアに斬り付ける。3本の剣を防ぐことに集中していたトリテレイアはわずかに反応が遅れ、背中を深々と切り裂かれてしまった。さらにクラブの魔剣から迸った電撃が、トリテレイアの回路を焼き切っていく。
「おや残念。反撃する暇すら与えず、初撃で仕留めようと思っていたんだけどね」
4本の剣の後を追うように、身の丈に合わぬ巨大な剣を手にした廃亡の剣姫マウラが姿を現した。
「元アリスたるオウガ……騎士としてその剣技に敬意を、その身の上に哀悼の意を捧げましょう」
背中の損傷の度合いを分析し、戦闘続行に大きな支障がないことを確認しながら、トリテレイアは騎士道に則り、マウラに対し深々と頭を下げる。
「こちらこそ、私とまともに渡り合えそうな相手に出会えてうれしいよ、機械仕掛けの騎士君」
マウラもまた、大仰な身振りで礼を返して見せた。
「ですが、オウガ・オリジンへの道を切り拓く為、討たせていただきます」
「だけど、オウガ・オリジン様を守るため、ここで死んでもらうよ」
互いにそう宣言し、トリテレイアとマウラはそれぞれに剣を構える。だが、どちらもすぐには動かない。それは二人が奇しくも共に、カウンター狙いの構えに入ったからだった。
「どうしました? 仕掛けて来ないのですか、マユラさん?」
トリテレイアは敢えてマウラのことを『マユラ』と誤った名で呼んだ。実はそれこそが、先ほどの真実の鏡への問いかけの答え。
『戦闘時、非戦闘時問わず、マウラは『マユラ』と呼ばれるとそれを否定するように咄嗟に手を出してしまいます』
先程はマウラの奇襲によって最後まで聞くことに集中できなかったが、それでもトリテレイアの優秀な聴覚センサーは、その答えを最後まで聞き取っていたのだ。
「そ、その名で私を呼ぶなあっ!!」
果たしてマウラは【我流:インガオーホーザン】の構えを解き、巨大な剣で闇雲にトリテレイアへと斬りかかっていった。
(「誘いは上々。後は、徒に速度に恃まず、敵を誘い、撃たれる前に射線から外れ、死角に移動……。理論は単純、実行は至難。さて、私の予測演算で何処まで踊れるか……」)
マウラの動きを解析しつつ、トリテレイアは分析結果通りに自らの身体を制御し、マウラの鋭い一閃を最小限の足運びで回避。すかさず自らの儀礼用長剣をマウラの手首に叩きつけた。
「いたっ!」
手の力が弱まり、マウラは巨大剣を保持しきれずに取り落としてしまう。
「これこそが、【機械騎士の戦闘舞踏】です!」
そう宣言すると、トリテレイアは無防備になったマウラに、全力で重質量大型シールドを叩きつけ、吹き飛ばしたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
司・千尋
連携、アドリブ可
戦争は情報戦だ
使えるモノは何でも使わせてもらうぜ
そうだな…
『敵の位置や死角、相手の攻撃の弱点』を聞いてみようか
敵の位置がわかるならこちらからも攻撃出来るしな
相手の攻撃の弱点を聞いておけば対策もとれるかも
対抗手段がなくても心構えは出来るはず
何時敵に攻撃されてもに対応出来るよう
常に周囲に気を配り
少しでも戦闘を有利に進められるように意識
攻防は基本的に『子虚烏有』を使う
範囲内に敵が入ったら即発動
本体も近くにいるなら範囲内に入るように位置調整する
敵の攻撃は細かく分割した鳥威を複数展開し防ぐ
割れてもすぐ次を展開
回避や『子虚烏有』、武器で迎撃する時間が稼げれば良し
無理なら直撃は避けるよう防御
アリシア・アートレイト
【WIZ】アレンジ、共闘歓迎。
なるほど。真実の鏡。
ならばこちらも使わない手はありません。
問いかけはシンプルです。
「敵の位置を。」
教えてもらった位置にUC【コールレイン・ファランクス】を【多重詠唱】【高速詠唱】で使用し、聖水で出来た槍を自分の位置から敵の位置まで一直線に周辺の鏡ごと撃ち込みます。
敵の攻撃はガントレットから精製した魔力盾で【盾受け】で逸らしつつ前進。
叩き割った鏡を踏み割りながら前に進みつつ再度鏡に問いかけます。
「次。敵の位置を。」
以降、敵が絶えるまで繰り返します。
しんぷるいずのうきん。
●心折れるまで
「なるほど、真実の鏡。ならばこちらも使わない手はありませんね」
アリシア・アートレイト(パラディン・f27153)の言葉に、一緒に『真実を告げる鏡の間』に転送されてきた司・千尋(ヤドリガミの人形遣い・f01891)が頷く。
「ああ。戦争は情報戦だ、使えるモノは何でも使わせてもらうぜ」
さっそく二人は、地面から生えた真実の鏡の一つと向き合った。
「わたしの問いかけはシンプルです。敵の位置を」
アリシアが真実の鏡にそう問えば、
『マウラは現在、北東400メートルの地点に存在しています。また、マウラの前方に、4体の少女聖霊が展開、それぞれ、こちらへ向けて移動中』
鏡はさっそく、答えを返してくる。
「ついでに敵の死角、あと相手の攻撃の弱点も頼む」
続けて千尋がそう質問すると、
『少女精霊はそれぞれ毒・炎・氷・雷の属性を持ちますので、その属性に対応した防御手段があれば安全に対処可能です。マウラの持つ剣は巨大なため、威力は大きいですが連続攻撃できません』
鏡からそれらの情報を得たアリシアは、すぐさま聖剣『イノセンティア』を天高く掲げた。
「我が祈り。我が誓い。深き蒼穹より来たれ水の乙女。祈りの涙をもって彼の敵を貫く聖なる雨となり給え。コールレイン・ファランクス!」
するとアリシアを取り囲むように聖水があふれ出し、その聖水が瞬く間に無数の槍に姿を変えていく。そしてアリシアが聖剣『イノセンティア』を北東の方角へ向けて振るうと、聖槍は驟雨の如く一斉に、剣の切っ先の方向へ飛び出していった。
聖槍は進路上にあった真実の鏡を砕きながら、一斉にマウラと、その前方に位置する少女聖霊達に降り注ぐ。
「くっ、これは!?」
マウラは大剣を盾代わりにして聖槍の攻撃に耐えるが、守りを固めている間は動きを止めざるを得ない。
それは千尋が自身のユーベルコードの間合いにマウラと少女聖霊達を捉えるのに充分な時間を与えてくれた。
「消え失せろ」
千尋の周囲に出現した無数の光剣が、複雑に幾何学模様を描きながら、なんとか聖槍を防いでいるマウラと少女聖霊達に殺到する。
「今度は剣か!」
聖槍と同じようにその攻撃を巨大な剣で受け止めようとしたマウラだったが、嫌な予感がしたのか後方へ飛び退った。その行動が正解だったことは、すぐに少女聖霊達が証明してくれた。光剣を避けきれずに直撃を受けた少女聖霊達が、まるでその存在をかき消されたように、消滅していったのだ。
千尋のユーベルコード【子虚烏有】は、光剣に触れたモノの存在を拒否し消失させる力があるのだ。
だが、マウラもやられっぱなしではいない。再び4体の少女聖霊を召喚すると、今度は足を止めさせることなく、真っ直ぐにアリシアと千尋の下へと特攻させた。
「速いっ!」
アリシアは咄嗟にガントレットに魔力を集中し、魔力で精製した盾で少女聖霊達の攻撃を受け止め、
「鳥威よ、守りを!」
千尋は『鳥威』を分割して放って盾代わりとする。
「分かってはいたが、やはり相当の実力者のようだ。気を抜いている余裕はないな」
次の攻撃に備え、千尋は精神を集中し、周囲の気配に気を配りつつ『鳥威』を自身の周囲に展開させた。マウラと4体の少女聖霊の動きを常に把握し、少しでも戦闘を有利に進められるように意識していなくては、この戦いに勝利することは難しいだろう。
だが、マウラは慎重に後方に下がり、前線での戦いは少女聖霊達に任せる戦法に切り替えたようだ。一瞬で存在を消滅させる【子虚烏有】の効果に気付いた以上、迂闊な動きはできないと考えたのだろう。
「鏡よ、次。敵の位置を」
そこでアリシアは、再びマウラの現在地を鏡に問うた。少女聖霊達はあくまでマウラの使い魔のようなもの。マウラ自身を倒さねば何度でも呼び出されてしまう。ならば本体のマウラを討つまでと、アリシアは再び鏡に確認した座標へと、聖槍の雨を撃ち込んでいく。
「また!?」
再び剣を用いて防御態勢に入るマウラ。だが、
「その隙、逃すか!」
さらに間合いを詰めた千尋の光剣が、マウラ目掛けて飛んでいく。アリシアの聖槍と千尋の光剣の巧みな連携、そしていくら姿を隠してもその都度現在地を答えてしまう鏡の前に、マウラは次第に攻撃に転じる機を失っていった。遂に少女聖霊達を再召喚する余裕すらなくなったマウラは、代わりに封印していた4本の魔剣を解放し防御に回す。
「一体、こんな消耗戦をいつまで続ける気なんだっ!」
思わず発せられたマウラの悲鳴に似た叫びに、
「もちろん、あなたの反撃が絶えるまで繰り返します」
アリシアは、当然のようにシンプルかつ脳筋な返事を返したのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
雛菊・璃奈
剣での戦いなら負けない…。
わたしにもたくさんの魔剣・妖刀達がついてる…。
鏡を利用…それなら、わたしも「敵の正確な位置」と「敵からの攻撃着弾までの時間」「接近までの最短ルート」それと「アンサラーで敵の秘剣は反射可能か?」を聞くよ…。
アンサラーによる反射【呪詛、オーラ防御、武器受け、カウンター】が可能なら、敵の攻撃を着弾タイミング合わせて敵に反射した後、【九尾化・天照】の封印解放…。
無理なら敵の攻撃着弾ギリギリに【九尾化・天照】を発動して光速で回避…。
光速化による光の速さで一気に敵へ接近し、凶太刀と神太刀の二刀による【呪詛】を纏った光速連続斬撃で仕留めるよ…。
●魔剣と魔剣
「相手は剣姫を名乗るほどの剣の達人……。でも、剣での戦いなら負けない……。わたしにもたくさんの魔剣・妖刀達がついてる……」
雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)はそう呟くと、腰に下げた『魔剣アンサラー』の柄を強く握り締めた。
璃奈の前には今、地面から生えた『真実の鏡』がある。魔剣の巫女として、璃奈は問うべき問いを頭の中でまとめていった。
「まず、敵の正確な位置を教えて……」
『マウラの現在値は、ここから南に1.5キロメートルの地点です』
鏡は淡々と“真実”を答える。
「マウラからの遠距離攻撃の、攻撃着弾までの時間は……?」
『技を放ってからここまでの到達時間という意味でしたら、約10秒ほどです。時空を裂いての攻撃の為、距離が変わろうが到達時間にほぼ変化はありません』
「なら、ここから敵に接近するための最短ルートは……?」
『ここからマウラの現在地まで、ほぼ障害となるものはありません。真っ直ぐ南下するのが、一番最短かつ最速のルートになります』
その答えに、璃奈は少し考え込んだ。
「最後にひとつ……。わたしのアンサラーで、敵の秘剣は反射できる……?」
璃奈がそう問うたのは、『魔剣アンサラー』には敵の攻撃を跳ね返し、敵に報復を行う呪いの力が籠められているからだ。
『魔剣の力のみでは、マウラのユーベルコードを反射することはできません。ですが、魔剣アンサラーの力に、ユーベルコード等の力を上乗せすれば、不可能ではありません』
「ありがとう……。それだけ聞ければ、充分……」
璃奈がそう口にしたのと、空中に突如亀裂が入ったのは、ほぼ同時だった。直後、空間の断裂から光が迸り、光の刃となって璃奈に襲い掛かってくる。
「我らに仇成す全ての敵に太陽の裁きを……封印解放……!」
けれどその直前に、璃奈もまたユーベルコードを発動していた。璃奈の全身が光に包まれ、妖狐の特徴であるその尾が9本に分かれていく。だが、璃奈が九尾の妖狐へと化身した時には光の斬撃は、既に璃奈の目前まで迫っていた。
次の瞬間、璃奈の姿がその場からかき消えた。いや、光に匹敵するほどの超高速で、光の斬撃を回避したのだ。そのまま璃奈は、光の矢のごとく先程『真実の鏡』から聞き出したマウラの位置まで駆け出していく。
「な……速い!?」
あまりの速度に、流石のマウラも対応が追い付かない。そしてマウラが戸惑う間に、璃奈は両手に構えた『妖刀・九尾乃凶太刀』と『妖刀・九尾乃神太刀』を、残像すら残さぬ高速で振るった。
一撃目がスペードの魔剣を弾き飛ばし、二撃目がハートの魔剣を叩き落とす。だが璃奈の攻撃はそれだけでは終わらない。三撃目がダイヤの魔剣を、四撃目がクラブの魔剣を、そして五撃目と六撃目がマウラが直接手に持つ巨大剣を。
それぞれ弾いて砕いて無力化し、それでも璃奈の高速の連撃は終わらない。光の速さで繰り出される呪詛を纏った斬撃は、全ての剣を失ったマウラを、容赦なく切り裂いていった。
「仕留めるよ……」
そして、最後に放たれた十字に裂くような斬撃を受けたマウラの身体が、とうとう仰向けに後ろへと倒れていく。水晶の地面に叩きつけられた廃亡の剣姫マウラは、そのまま遂に息絶えたのだった。
大成功
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