迷宮災厄戦⑩~クローゼットで追いかけて~
●出現!クローゼットラビリンス!
「『迷宮災厄戦』の現状の戦況だが、『砕かれた書架牢獄』がみんなのおかげで制圧できた。ありがとう、そしてお疲れ様だ。無事に戻ってきてくれて嬉しいよ」
地籠・陵也(心壊無穢の白き竜・f27047)は集まった猟兵たちに対し、謝意を述べると共に頭を下げた。
彼の隣を飛んでいる使い魔の子猫もありがとう、と言うようににゃあと鳴いている。
「そんな矢先に早速ですまないんだが、新しく開いた戦場で一つ予知をしたんだ。
向かえる者は向かってくれると助かる。もちろん、無理のない範囲でな」
次なる戦場はオウガ・オリジンの忠臣であった『ハートの女王』の居城であった古城。
ハートの女王は主であるオウガ・オリジンに忠誠を誓いよく尽くしていたのだが、彼女の戯れによりその生命を散らす。
しかし、女王が死しても彼女が抱いた無念はその場に残り続けた。無念はいつしか怨嗟と変わらぬモノになり、自らの居城を酷く入り組ませる呪いと化した。
入り組んだハートの女王の城、そこに内包されし迷宮……数にして凡そ30。
それらを攻略することでまた新たな戦場への道が開くらしい。
「俺が予知した場所はクローゼットルームが迷宮化したものだ。クローゼットルームって知ってるよな?ほら、衣服をたくさん仕舞う為の場所。
そこにはかつてハートの女王が身につけていた衣服や靴などが所狭しとしまわれてあるんだが、その服を仕舞ってるタンスだとかクローゼットだとか服をかけてるハンガーラックだとかが壁になって入り組んでいる感じだと思って欲しい。
入り口から最奥まで進むと、扉代わりに一際大きなクローゼットが置かれてある。それを開ければ無事抜けられるんだが……」
ハートの女王の怨嗟は城を迷宮化するだけに留まらず、自らの石像としても形を成した。
数え切れないぐらい存在する女王の石像は侵入者を排除すべく城中を彷徨い、個々の力は然程ではないものの触れた相手を強制的に外に転送するという厄介な特性を備えている。
さらにそれだけでは済まず数を減らそうと叩いたところですぐに再生してしまうのだ。
「つまり石像を叩かず石橋を叩いて渡っていけ、ということだな」
それ上手いこと言うとるんか、という猟兵たちの視線が陵也に集中。全く気づかないどころか「どうしたんだ?」と小首を傾げて返されるのだが……。
「というワケだから、石像を何とか撒きながら進んでもらうようになる。謂わば追いかけっこのようなものだな。
ただショートカットしようとしても、例えばハンガーラックを通り抜けようとすれば布が弾き返したりとか……燃やしてもすぐに元通りになったりとかいった感じでだな。呪いで周りのモノもおかしなことになっているみたいだ。
とはいえおかしくなっているのは服だけで、クローゼットやタンスの引き出しの中に隠れたりするのは問題なくできると思う。上手いこと石像を撒きつつ迷宮を攻略して欲しい」
子猫が頑張ってね、というかのようににゃーんと鳴くと共に転移陣が展開される。
次なる戦場、迷宮と化したハートの女王の城へと猟兵たちは向かう――!
御巫咲絢
こんにちはこんばんはあるいはおはようございます!
初めましての方は初めまして、新米MSの御巫咲絢(みかなぎさーや)です。
シナリオご閲覧頂きありがとうございます!初めての方はお手数ですがまずMSページをご覧頂きますようお願い致します。
書架牢獄制圧おめでとうございますお疲れ様です!
というワケで早速ですが新しい戦場で3本目を投下させて頂きました。
当シナリオは1章で完結し『迷宮災厄戦』の戦況に影響を及ぼすことのできるシナリオとなっています。
ハートの女王の衣服がずらぁりと並んでいるクローゼットルームの迷宮を駆け抜けちゃってください。
このシナリオには以下のプレイングボーナスが存在しています。
●プレイングボーナス
地形を利用して女王の石像と追いかけっこする。
●プレイング受付について
承認が下り次第プレイング受付開始致しますが、大人数はMSのキャパシティ的にお受けし切れない可能性が高いです。大体7人前後までが限界です。
その為プレイング内容次第によっては不採用の可能性もございますので予めご了承の上プレイングを投げて頂きますようお願い致します。
それでは、皆様のプレイングをお待ち致しております!
第1章 冒険
『女王の石像から逃げろ』
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POW : 女王の石像の集団に追いかけられながら、迷宮内をマラソンしつつ迷宮を探索する
SPD : 女王の石像に見つかる度に、全速力で振り切って安全を確保しつつ迷宮を探索する
WIZ : 女王の石像に見つからないように隠れ潜みながら迷宮を探索する
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
鳳凰院・ひりょ
WIZ
(追いかけっこか、となると相手の位置把握は重要になってくるね)
影の追跡者を召喚、女王の石像をひそかに追跡させ位置を把握
こちらとの相対距離などは特に気を付ける
影の追跡者からの情報をもらいつつ、忍び足で移動
可能なら自身に迷彩を施し、万一の際に周囲に溶け込めるようにしておく
石像が近くに接近してきた時は、落ち着いてクローゼットの中に隠れ息を潜めその場を通り過ぎるのを待つ
もし、どうしても見つかりそうな場合はひそかに石像を追跡させていた影の追跡者を一時的に石像の追跡から外し、石像の前にひょっこり顔を出させる
石像の注意が一瞬そちらに向いた間に位置を移動、もしくは隠れられる場所へ身を潜める
●情報を統べる者は迷路を制す
して、実際の迷宮の構造は如何なるものか。ありとあらゆる服や靴がずらりと並び、真っ白なクローゼットやタンスはぎっちぎちに詰まっているものもあれば何故かすっからかんなところも。
それだけではなく、タンスは何故か引き出しの一つが人一人入るぐらい余裕なぐらいの大きさにまで成長(?)していたりと女王の怨念はどこまで作用しているのかと疑問を抱かせる造りになっていた。
そして奥からずん、ずんと音が聞こえてくる……女王の石像が侵入者がいないか見張って回っているのだろう。
入り口付近には一体たりともいないが、奥へ進めば進むにつれてその数は増えるだろうと確信を持てるぐらいにはその歩を進める音が幾重にも重なって聞こえてくる。
今からこの石像と追いかけっこを繰り広げながら出口へ向かって進まねばならない。
「(追いかけっこか……となると、相手の位置把握は重要になってくるね)」
鳳凰院・ひりょ(人間の聖者・f27864)は入り口から足を踏み入れると早速ユーベルコードを使用し影の追跡者を召喚し、石像の追跡を指示。適宜報告してもらうよう言いつけた上で迷宮内を先行させた。
最初の報告が返ってくる前に自らの身に迷彩を施しておく。周りに立てかけてある衣服の色合いがドギツいモノ為それに合わせて色合いを調整、偶然近くに鏡があったので色合いが上手く溶け込めているかも念入りに確認しておく。
触れただけで振り出しに戻される――それがまだ入って間もないなら然程ではないが、奥に進むに連れ酷いタイムロスになってしまう、それだけは何としても避けて通らねばならない。
丁度確認を終えたところで追跡者が一端ひりょの元へ戻ってくる。
「報告ありがとうございます。ええ、引き続きお願いしますね」
追跡者に追加で指示を出した後、ひりょはいざ迷宮の内部へ。
常に相対距離を確認しつつ慎重に、一切の足音を捨てて進んでいく。
適宜追跡者より石像の位置の変化について報告を受けながらその場その場の判断でやり過ごそうと試みる。
例えばハンガーラックの中に駆け込めば、現在身につけている迷彩が気配を殺し石像の視線を明後日に向けられるし、 曲がり角から足音が聞こえてくればクローゼットの中に静かに入り込み、通り過ぎるのを待つことも可能だ。
まさに石橋を叩いて渡るの諺通り、常に慎重にかつ情報を入手・選別しながら無駄なく迷宮を進み続けるひりょであるが――
「……!」
追跡者の次なる報告を受け立ち止まる。
これから通ろうと思っていた道先から石像がやってくる――と。
考えるにも時間の猶予はほとんど許されておらず、運の悪いことに隠れてやり過ごす場はなさそうだ。
ならばとひりょは追跡者を石像の追跡から外すという発想に居たり、敢えてユーベルコードによる隠密性も一時的に機能をオフにして石像の前にその顔を出させた。
「貴様!女王の城を荒らす不届き者か!!」
石像は追跡者を見るやいなや一目散に彼(彼女)?目掛けて走り出し、追跡者はそれを避けて逃げていく。
それを確認するとひりょはハンガーラックの服の中からひょっこりと顔を出し――追跡者に指示を出すと同時にその場凌ぎで隠れていたのだ――、再び追跡者に石像の追跡を指示。
再び迷宮の奥へと足を踏み入れていく。
「(一度ターゲットを見つけると他に対して視野は狭くなるみたいだな……これは収穫かな)」
侵入者だと定めた者だけを追いかける石像の特性なのか、あるいは純粋に思考が弱いのか……まあ、どちらにせよ好都合であることは間違いない。
この情報を持ち帰れば他の猟兵たちも迷宮の攻略がしやすくなることだろう。追跡者から無事石像を撒いたとの報告を受けると再び隠密と追跡を指示し直し、ひりょは無駄のない足取りで迷宮の奥へとさらに進んでいった――。
大成功
🔵🔵🔵
鈴木・志乃
アド連
うへェ、こりゃ骨が折れそうだ……。
とにかく隠れながら地道に進んでゆくしかない訳だけども。やり方は色々考えなきゃならないだろうなぁ……。
UC発動
とりあえずハートの女王っぽい、かつ動きやすいドレスに【変装】するよ。木を隠すなら森の中。衣装の中に紛れるなら、衣装に身を包んだ方が良いよね?
あと、機敏に動けるように【高速詠唱】で身体に加速の魔法をかけておこう。いざと言う時さっと身を隠せなきゃ。
【第六感】で気配を察知し、【念動力】で周囲のドレスを適当にかっさらいながら進んでゆく。ドレスだけ浮遊させて女王の注意を惹いたり、クローゼットからの雪崩を装って進んでみるか。
さて吉と出るか凶と出るか。
●衣装という名の"森”
「うへェ、こりゃ骨が折れそうだ……」
迷宮の入り口から少しだけ踏み入り、中の構造や実際の衣服等を確かめつつ鈴木・志乃(ブラック・f12101)が呟く。
当たれば振り出しに戻る石像がわんさかいる上に、すぐ近くにかかってあるハンガーラックを通り抜けてのショートカットは許してもらえないとなると骨が折れると考えるのも無理はない。
「(とはいえ、とにかく隠れながら地道に進んで行くしかない訳だけども……やり方は色々考えなきゃならないだろうなぁ……)」
さて、どうこの迷宮を切り抜けようかと思考して、まず志乃は迷宮を構成している服に目をつけた。
割と色が目に痛い赤をたくさん盛り込まれた衣服はまさにハートという記号における一般的なイメージカラーを彷彿とさせる、まさしくハートの女王に相応しき衣装であると言えるだろう。
ならば、と志乃はユーベルコードを発動、並んである衣服に似たドレスへと変装する。
「(木を隠すなら森の中……衣装の中に紛れるなら、衣装に身を包んだ方がいいよね。さて……吉と出るか凶と出るか)」
志乃が身に纏うドレスは確かにハートの女王らしいものではあるが、豪奢すぎる余り動きを制限されない程度の軽いモノだ。
石像に見つかった時、すぐに身を隠せなければ変装しても意味はない。ショートカットさえしなければ衣服で出来上がった壁も拒絶しないのだから、利用できるものはしなければ。
念の為と志乃は自らに行動加速の強化魔法ををかけた上で、可能な限り気配を殺しつつ辺りを常に警戒しながら迷宮を進む。
第六感から石像の気配を察知する度に衣服の中に紛れ、通り過ぎた後にはその衣服も念動力にて持ち上げながら奥へ。
曲がり角に差し掛かったところで正面からずん、ずん……と鈍い打撃音かのような歩く音。
「(この気配……困ったな、そっちの方に行きたいんだけど――……ならこうするか)」
頭を捻る。長考している余裕はない。
はたから見れば絶体絶命に見えるかもしれない状況の中、閃きは存外早くにやってきた。
すぐ近くのクローゼットに身を隠し、念動力での遠隔操作で持ってきていた服を自身が先程いた位置に配置し、ゆっくりと下がらせる。
「!侵入者!女王の城を荒らす不届き者めが!!!」
そっと衣服のレースだけが見えただけで石像はそれを一目散に追いかけていく。
それを志乃はクローゼットの中から見、通り過ぎていくのを待つ。
衣服だけで浮いているというのに迷いなく追いかけていく石像、その足が完全に通り過ぎていくのを確認した後、そっとクローゼットを抜け出して先へ。
それからも見つかった場合はクローゼットやタンスを念動力でこじ開け、衣服の雪崩を起こすことで石像の道を塞き、
その場で雪崩を引き起こす以外にも、自身が通った道に同じ雪崩を起こすよう予め罠を仕掛け、石像が通ったところで起爆する仕様を拵えたりも。
怨念だけの存在とかしているからかはたまた別の理由があるかはわからないが、石像は志乃のし掛けた罠や誘導にまんまと引っかかっては足踏みをする。
「……これは案外、予想してたより早く抜けられそうかな」
吉と出たと判断した志乃だが、かといって油断することなく石像の気配を感知しつつ罠を仕掛けては潜り抜けていく。
それはまるで衣装という名の"森"を駆ける一羽の鳥のようだった。
大成功
🔵🔵🔵
尾守・夜野
連携・アド歓迎
(見つからねぇように進むってのは…いつやってもなれねぇな)
とりあえず遠くから服を見、多い色合い、質感の近い布地をUC:俺の世界から取り出し身に付けて簡易ギリースーツに
移動を行う場合は服に紛れ動こうか
万が一見つかったら選択UCで姿は隠した上でオルタナティブダブルを発動し別の方向に向かわせる事で徹底的に隠れ潜みながら行動するぞ
(復讐の為に教団やらなんやらに潜み資料を漁ってたの思い出すなぁ)
怨み憎しみしかない記憶だが昔を懐かしみながら進むが…
途中でランジェリー的なの発見してしまったら声にならない悲鳴上げつつ全力で私(女性人格)に変わってしまうでしょうね
戦略的撤退という奴ね
●そういやドレスしかないとは誰も言っていなかった。
二人の後に続いて迷宮を攻略する猟兵がまた一人。
衣服やクローゼットの物陰に隠れてから道を見ては、石像がいないことを確認し歩を進めていく。
「(見つからねぇように進むってのは……いつやっても慣れねぇな)」
尾守・夜野(墓守・f05352)はふう、と息を吐いて独りごちた。
迷宮に並ぶ服装に似た色の布地を身にまとい、並ぶ衣服にその身を紛れさせながら石像の追跡を掻い潜っていく。
自らの精神世界から取り出した布地はそれらと比較しても全く変わらない色で構成されており、より潜伏性を高めていた。
……とはいえ、タイミング悪く見つかってしまうこともあるワケで。
「侵入者は排除する!!」
また衣服の群れに紛れようとしたところで石像に見つかってしまう。
夜野はち、と舌打ちした後ユーベルコードを二重発動し回避を試みる。
一つは自らの姿を装備品含めて透明化させるもの、もう一つは自分の分身を一人生み出す力を備えたものだ。
夜野の分身も今彼がしたのと同じように舌打ちをしてからきた道を戻るように逃げ出し、石像はそちらを追いかけていく。
足音が遠くなり、やがては聞こえなくなった辺りで夜野はユーベルコードを解除し再び奥へと歩を進めた。
「(……しかし、こういうことやってると――復讐の為に教団やら何やらに潜み資料を漁ってたの思い出すなぁ)」
夜野は元々、UDCアースのとある農村に住んでいた普通の村人である――いや、普通の村人で"あった"という表現の方が今の彼には相応しいのかもしれない。
記憶喪失で身寄りもわからない自分を受け入れてくれた村人たちのことは酷く曖昧だが、皆一様に暖かく優しい人だったということだけは確かに残っている。
だからこそ、村の皆を邪神の贄とした狂信者に復讐すべく奴の所属する教団に潜入してはあらゆる資料を漁り奴への有効打となるものを探し続けた。その村の唯一の生存者として……
思い出すと改めて怨み憎しみに染まりきった記憶……しかしそれすらも懐かしく思えるのは既に復讐を果たし終えたからなのか、それとも。
懐旧に浸りながらも夜野は迷宮の先を行き、気配を感じてまた衣服の中に紛れ込む――の、だが。
「……???」
先程まで見ていた服とは造りが違うことに首を傾げる。
何か妙に布の範囲が少ないよう、な――
「……~~~~~●▼×◆◎△□☆○▽◇×◆!?!?!?!?!?」
丁度石像の気配が通り過ぎた後にそれが何かに気づき、夜野の口から声にならない悲鳴が飛び出した。
そう、偶然にも、実に奇遇にも!紛れ込んだ先の衣服にそれはまあセクシーなランジェリーが存在していたのである……!
いくら歴戦の猟兵と言えど17歳の少年、そう、まだ18に至らぬ少年だ。
しかも復讐の為に日々を費やしていたとあれば尚更刺激が強いワケです。
しかもこの眼の前にあるランジェリーが中々滅多にお目にかかれないレベルのハイパーセクシー、それこそギリギリ年齢制限引っかかるか引っかからないかぐらいでは程度のド派手なものに不運にも遭遇してしまったとあればまあ……男の子にはちょっと刺激が強すぎるのも当然の話である。
パニック状態になった夜野は自らの精神の奥底に引っ込み、代わりに表出したのは彼の中にいる女性の人格。
「なる程、戦略的撤退という奴ね。男の私」
いったい何の戦略的にだろうか。
どうやらしばらくランジェリーやらキャミソールやら、健全な青少年には刺激の強い区画が続くようである。
身に纏う簡易ギリースーツの下から黒いフリルを覗かせつつ、この区画を抜け出すまでは女性人格の方の夜野が主に迷宮の進行を担うのであった……
いやあ、若いですねえ!
大成功
🔵🔵🔵
月代・十六夜
今回は衣装室か。迷宮化する基準は何なんだろうなコレ?まぁどうでもいいか。
まぁ基本は【韋駄天足】での【ジャンプ】でのピンボール軌道で駆け回るだけではあるんだが。
ん?そういえばちょっと面白いことを言ってたな。
「ハンガーラックを通り抜けようとすれば布が弾き返したり」
…つまり、布を足場にすれば向こうから弾き返して加速できるってわけだ。
駆け抜けながら使えそうな場所は【情報収集】しておこう。
石像に追われた時とかには蹴っ飛ばして反転急加速で大脱出だ!
●韋駄天は迷宮を疾走る
「今度は衣装室か……迷宮化する基準は何なんだろうな、コレ?」
迷宮の様相を見て首を傾げるのは月代・十六夜(韋駄天足・f10620)だ。
確かに言われてみればクローゼットだけでなく食堂やら何やらも迷宮化していると聞いたし、何か基準があるのだろうかと考えるのも当然である。
「……まあどうでもいいか」
とはいえ結論は出なかったのでさっさと思考から疑問を切り捨てた。これぞまさに迷宮入りの難題である(?)。
軽くステップを踏んだ後に十六夜はユーベルコード【韋駄天足】を発動、勢いよく地面を蹴る。
発射したロケットが勢いよく空へ上がるかのように、土煙を上げながら最初の角へ到達。壁となっているクローゼットを蹴りながら身体を捻って方向転換しつつ進む。
常人では到底追いつけぬ速度で移動する十六夜だが、彼の目には迷宮中のあらゆる景色がしっかりと映っている。高速で移動しても支障がない、それは即ち動体視力も人並み外れたものであるからだ。
途中、ハンガーラックにかかった衣服でできた壁を見てふとグリモア猟兵が告げた内容を思い出す。
「……ん?そういえばちょっと面白いことを言ってたな。「ハンガーラックを通り抜けようとすれば布が弾き返したり」してくるって――」
十六夜の頭に閃きが走る。
「つまり、布を足場にすれば……!」
弾き返してくるならば、それを利用して加速すれば良い――この場における地形利用法としては最適解の一つであろうものに思い至ったのである。
とあれば早速使えそうな場所を見繕わねばと十六夜は迷宮を進みながら足場に使えそうな地形を見繕っては記憶し、いざという時に備えて複数の脱出パターンや逃走経路を頭の中で構築する。
真横を通り過ぎられたぐらいでは【韋駄天足】によるスピードでさっさと追い越してしまうことが可能だが、必ずしもそうとは限らない。目的が迷宮の攻略であるならば尚更慎重になっておくべきだと彼の野生の勘が告げたのだ。
「待て!女王の城を荒らす不届き者めが!!」
話をすれば何とやら、早速女王の石像が十六夜の後を追いかけてくる。
このまま加速すれば振り切ることはできなくもないが、と思った矢先不運なことにこれから進む方向からも石像がこちらへと迫ってきているではないか。
「(挟まれたか……どうする……!?)」
このままでは万事休すか、腹を括る覚悟もしながら最後の最後まで抜け道を探そうと足掻く十六夜。
辺りを見回して――これだ、と思い至るものを見つける。
「(一か八かやるしかないな……!)」
再び【韋駄天足】で勢いよく十六夜は走り出す。
しかし方向は正面ではなく斜め左側だ。
容赦なく加速したその身はハンガーラックに並ぶ衣服の群れに衝突し、衣服はゴムのようにぐいぃ、とその身を伸ばした後にパチンコ弾の如く十六夜を追い出した!
その勢いはユーベルコードによる加速も相まって最早神速とも違わぬ、まさに目で追うことのできない速さで反対側のハンガーラックの群れへと突撃し――再び加速してはじき出される。
的確に角度を計算したのかと思う程に正確に、かつ高速でハンガーラックの群れに飛び込んでは弾かれ、弾かれては飛び込んでを繰り返し……最後は石像の真横を接触スレスレの速度で通過した。
とてつもない速度に石像は何が起こったかを理解することなく十六夜がいたであろう位置へと直進していき、それを好機として速度を維持して距離を取る。
石像の走る音は遠くなっていくが、最後に勢いよくぶつかるような音が聞こえる……どうやら挟み撃ちにしようとしたもう一体の石像とぶつかったようだと察するのは簡単だった。
「ふぅ、危なかったな……」
ある程度距離を取ってから安堵の息を漏らす。
文字通り一か八かの分が悪い賭けを狙ったのだから冷や汗の一つも流石に浮かぶが、抜けてしまえばこっちのもの。
引き続き、十六夜は韋駄天の如き軽やかさで迷宮を駆け抜けていった。
大成功
🔵🔵🔵
岩戸・御影
ふぅん、鬼ごっこみたいだね
いつも追う側だけど今回僕は追われる側か
【SPD】
入口から最奥が出口ならば方角だけは常に意識
ハンガーラック等の隙間を覗き見て状況を確認しながら進むよ
石像に見つかっては走って逃げてを繰り返す
完全に撒くのではなく僅かに気配を感じる程度に
鉢合わせした時は[血染めの折り鶴]にそこら辺の衣服を絡ませ敵へ飛ばし、視界を遮っている内に通り抜け
[結界術]で直接触れないよう保険もかけるよ
上記の作戦では通用しない程の石像がいた場合はUC発動、僕を追う石像達の背後へ飛翔し回り込む
[哭廻]から[呪詛に塗れた衝撃波]を放ち石像達へ[範囲攻撃]
ぶつかり合って消えたところを進もう
鬼は一体でいいんだよ
●石像(おに)さんこちら、手の鳴る方へ
「ふぅん、鬼ごっこみたいだね」
概要を聞いた時の岩戸・御影(赫鬼面・f28521)の抱いた感想がそれだった。
確かに、石像に追いかけられながら迷路を潜り抜けるという過程は鬼ごっこのそれに親しいものがある。
鬼ごっこ、その名の通り鬼である御影は基本追う側であるが、今回は追われる側としてこの迷宮を走る……彼にとっては中々出ない発想であり、新鮮な経験と感じなくもなかった。
入り口から最奥が出口……となると、方角の意識は重要。御影は常に今自分が通ってきた道の方角が東西南北のどれに当たるかを意識して進んでいく。
通り抜けようとすることさえしなければ、ハンガーラックの隙間から向こう側の通路の様子を覗き見ることも可能だ。向こう側で石像が徘徊しているか等現状を常に把握しつつ慎重にかつ確実に前進していくが……
「いたぞ!侵入者だ!」
石像にそこを目撃され追いかけられることも決して少なくない。
もちろんそうすると逃げるしかないのだが、敢えて完全に撒くことをせず、石像の気配を微かに感じる程度の距離を保ち続けた。
そしてその気配の位置からどこまで自分が進んだかを計算し、現在どの方角を向いて進んでいるのかを記憶してからまた先へ、そうして進んでいると今度は目の前を石像が駆け抜けてくる。
しかし御影は焦ることなく近くの壁のクローゼットを開き、変わり身となる力を持つ『血染めの折り鶴』を中にある衣服に絡ませ、真正面から飛ばし押し付けた。
石像の視界を奪うだけでなく、自らの代わりに苦難を引き受ける力を持つこの折り鶴により石像は眼前に御影がいると錯覚した状態に陥ることとなる。
万一通り抜ける際に触れてしまっては元の木阿弥と結界術を用いた保険も用意した上で、御影はその隙を突いて真横を通り抜けた。
そうして石像を上手いこと掻い潜っていく御影であったが、迷路の中でも割と広い十字路の空間に出ると同時に、運の悪いことにおよそ4,5体程の石像と出くわしてしまう。
「おっと……これは」
と口では言いつつも一切動じる事無くユーベルコードを発動、骸魂を呼び出して敢えてそれに自らの身を明け渡した。
このユーベルコードは自らを一時的にオブリビオンと化することで強力な力を得ることのできるもの。代償として各々に応じたコストを支払わなければならず、支払うことができなくなれば抗えぬ睡魔に襲われることとなるが――その代償にさえ注意を払っていれば敵を圧倒することが可能である。
骸魂が憑依することにより、黒の双翼が御影の背より姿を現す。赫鬼の面を被った天狗となりて石像の背後に目にも留まらぬ速さで回り込み、神器『哭廻』が彼の意に呼応して呪詛をばら撒いた。
呪詛を孕んだ衝撃波が石像たちを飲み込めば、それぞれの意志とは正反対にその躯体が動き――ぶつかり合って粉々に崩れていく。
厄介な能力を持つオウガであるが、個々の力は決して強くなくそれこそ猟兵ならば赤子の手を捻るように簡単に倒せてしまうのだからそれに強力な呪詛を宿した神器の力で干渉してしまえば自滅を招くのは至極簡単だった。
危険が去ったのを確認するとすぐさま合体を解き、御影は最奥へと引き続き向かう。本物の鬼を追いかける"鬼ごっこ"という行為をした石像たちの破片を一瞥し、吐き捨てるように告げながら……
「――鬼は一体でいいんだよ」
大成功
🔵🔵🔵
テニエ・ミスチヴァス
◎アドリブ等歓迎
死刑宣告が得意な女王が死刑にされるだなんて、いい気味だね
いや、ここのハートの女王がそうだったのかは知らないけどさ
個人的にハートの女王に捕まるなんてのは癪にさわるし、さっさと抜けさせて貰おうかな
■行動
数も多いし、テレポートさせられるんなら戦うのは現実的じゃないかな
ここは出口を目掛けて駆けつつ、石像に遭遇して触れられそうになったら【UC】で猫の姿に瞬時に変身
その手を空振らせたり、足の間を上手くすり抜けて触らない様にしながらささっと通過させてもらうよ
もし通過が難しくなったら猫の体を活かしてクローゼットとかに潜り込んで隠れたり、視覚に頼っているようなら透明化してやり過ごしても良いかもね
●不本意ながらチェシャ猫らしく
迷宮の中を進みながら、テニエ・ミスチヴァス(変幻自在の虹縞猫・f20445)はグリモア猟兵から聞かされた迷宮が生まれた経緯を振り返る。
「死刑宣告が得意な女王が死刑にされるだなんてねえ……」
いい気味だ、と思った。
このアリスラビリンスにおけるハートの女王が、本当に『不思議の国のアリス』に登場するハートの女王と完全に合致しているかどうかは不明なのだが、少なくともどの世界においてもその概念が存在していれば女王に対しそのような感情を抱く者も決して少なくはないハズだ。
それとはまた別で、女王の部下であるトランプ兵の姿をした女王を畏怖するような言動や行動等をするオウガが何体か確認されているのも考えるとあながち間違いではないのかもしれない。
とはいえ、そんな細かいことまで考えを及ぼすのは別の猟兵の役目であると考えをさっさと振り払う。
「……ま、どっちにしろハートの女王に捕まるなんてのは癪に障るし……さっさと抜けさせて貰おうかな?」
軽やかな足取りで迷宮を進むテニエ。
潜伏先行は彼女の十八番でもあり、音を立てずに進むことで石像に気づかれぬようにすることは朝飯前。流石猫の獣人と言ったところか。
とはいえ目の前からやってくる石像にまでそれが通用するかというと違うワケで。女王の石像はテニエを見ると酷く怒り狂ってやってくる。
「貴様チェシャ猫!!おのれ、またしてもあざ笑うか!」
「違うんだけど。一緒にしないでくれる?」
流石に自身を通して全く別の猫――しかも物語内の登場人物である存在を見られるのは流石に不服だ。
テニエはむすっとした顔をしながらも石像が近づくそのギリギリまで動かず、振り出しへと戻すその手が届くまであと僅かといったところまで引きつけてからユーベルコードを発動した。
石像の手が空を切り、そのまま派手に音を立ててすっ転ぶ。一方テニエは猫へと变化したまま気にも留めぬかのように走り去る。少しだけスカッとした気分になりながら……
その後も石像は自分を見る度チェシャ猫だ、と言って追いかけてくるものだから足の間をそっとすり抜けたり、ぴょいんと飛び越えたり。
透明になれば石像はどこにいったのかと辺りをキョロキョロと見回し始め、その間にささっと通過。
時にはクローゼットやタンスの中に身を潜め、通り過ぎた後にすっと姿を現して先へ行ったり、ハンガーラックにかかっている衣服の中に隠れたり。
猫の如く自由気ままに塀から塀を渡っていくかのような軽やかな足取りで石像を翻弄しながら最奥へと歩を進める。
別にテニエに石像というか女王をあざ笑う意図など何もなく、ただ自分ではない何者か扱いされるのが非常に癪だっただけだ。
そもそもハートの女王に捕まること自体が彼女にとって癪だと言うのに、さらに勝手にチェシャ猫扱いされるとなるとそりゃ意趣返しの一つや二つはしたくなるものである。
何故なら自身という存在を縛り付ける"束縛"のようなものであるのだから。
虹縞猫は誰にも縛られない、縛り付けることはできない。何故ならそれが彼女が彼女らしくあることだから。
だから今日もテニエは気ままに流離う。
今回はたまたま流離い先が戦場だった、ただそれだけなのだ。
「(ここから帰ったら今日は何食べようかなー)」
いつものようにこの後の食事に思いを馳せながら、テニエは迷宮最奥のクローゼットを開いた。
ハートの女王の城の一角、クローゼットラビリンスはこれにて攻略完了となった――。
大成功
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