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迷宮災厄戦⑪〜迷宮鏡葬曲

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦

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「『砕かれた書架牢獄』制圧ご苦労様!!これでオウガ・オリジン方面へ戦況を進めることに成功したわ!!」
 更に言えばオウガによる他世界からのアリス召喚儀式も第一陣の完全阻止に成功したという報告もグリモアベースに上げられていった。第二陣があるとはいえ、第一陣のタイムリミットまで10日も残して阻止できたのは大きなアドバンテージとなるだろう。
「とはいえ、今回の戦争の状況思えば気が抜けないわよ。という訳で次の依頼よ!」
 と、声を上げていた令嬢猟兵シャルロット・シフファート(ツンデレの国のアリス・f23708)は開けた新たな戦場の説明をする。

「今回の任務はオウガ・オリジンに戯れに殺された、アイツのかつての忠臣「鏡の女王」の怨念が籠もった国に座しているオウガとの戦闘よ」
 と、今回のオウガ『麗しの十字姫シュラウレギナ』がホログラムに表示される。
 嗜虐性と残忍性に満ちた邪悪なオウガであり、所持するユーベルコードも絡めて特化と言うよりも嫌らしさで満ちている性質のものばかりだ。
「で、この不思議の国には「この不思議の国内部の事」の事なら何でも答えてくれる鏡があちこちに映えているよ。それをオウガが利用して迷い込んだ人を餌食にしようとしているみたいだけど、それならこちら、私達猟兵も使うべきよね?」
 つまり、この不思議の国になら何でも答えてくれる鏡をオウガと猟兵で使い合っての情報戦の様相を醸す戦場となる、という事だ。
「流石に戦争の任務、一筋ならじゃ行かないわ。けれど私達なら踏破できるわ」
 と、転移の術式を組んでシャルロットは最後に告げる。
「今のところ猟兵は順調な進撃を続けているわ。この調子でオウガ・オリジンだけでなく他戦力である猟書家も討伐できる分だけ討伐してしまいましょう」


黒代朝希
 はい、回転率を上げてさっさと安心してオウガ・オリジンを討伐したいMSです。

 今回から更に回転率を上げる為参加人数は6~8名を基準とするかOP公開から36時間立った場合締め切りを心掛けるようにします。

 プレイングボーナス……鏡に有効な質問をする。

 それでは、アリスラビリンスの平穏を一秒でも早く確保するために頑張りましょう。
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第1章 ボス戦 『麗しの十字姫シュラウレギナ』

POW   :    姫のご下問である。不敬なるものは首を刎ねよ!
対象への質問と共に、【自身の陰】から【十字皇】を召喚する。満足な答えを得るまで、十字皇は対象を【十字に切り刻んで】で攻撃する。
SPD   :    ゆっくりお休みください。まだ死ぬのは許しません
【彼岸花の花吹雪】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全対象を眠らせる。また、睡眠中の対象は負傷が回復する。
WIZ   :    下賤の輩たる貴方達は無力、我が慈悲に随喜せよ!
【丹田に力を】を籠めた【瞬時に間合いを詰めての掌底】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【憎しみ、怒り、闘争心、敵意】のみを攻撃する。

イラスト:椿千沙

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠白石・明日香です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

水心子・静柄
鏡に聞いて何かしないといけないなんて面倒ね(脳筋)とりあえず近くにある鏡に、敵は私達の位置を特定する為にどんな質問をしているのか、その質問の答えを聞いてみようかしら?それから敵がいる方向と距離、ここまでの到達時間(わからないなら数秒毎に距離を聞いて逆算)を聞いて不意打ちに備えるわ。あとは敵が来るまで、どんな事をしたり、言ったら敵が動揺するかとか赤裸々に暴くわ!

まぁ敵が何か質問してくるみたいだから奇襲の可能性は低いと思うけど備えておくわ。で、敵が質問してきたら鏡に、「シュラウレギナが質問してきた内容に対しての満足な答えは何か?」と聞くわ。あとはわかるわよね?真峰を召喚してフルボッコよ!


火土金水・明
「鏡さん、鏡さん。この世界で『麗しの十字姫』と名乗る方の場所を正確に教えてください。」
遭遇したら【WIZ】で攻撃です。
攻撃は、【高速詠唱】で【破魔】と【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【全力魔法】の【新・ウィザード・ミサイル】で、『麗しの十字姫シュラウレギナ』を【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【見切り】【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。



 ――多くの鏡が、群生林の如く聳えていた。
 ここはオウガ・オリジンのかつての配下、「鏡の女王」が殺害された不思議の国、『真実を告げる鏡の間』。
 そこに座するオウガは『麗しの十字姫シュラウレギナ』。この国に迷い込んだアリスや愉快な仲間たちの居場所などを鏡に問い、加虐の限りを尽くして屠っていった残忍なオウガだ。

「許せませんね。オブリビオン、つまりオウガは骸の海へ帰します」
「まぁ、それでも面倒なことには変わりないけどね」
 と、一人は露出度の高いバニー服のような魔術服にマント、魔女防止を黒で統一した服装の女性と同じく露出度の高いエスニックな服装をした和風の美女が真実の鏡の一つに向かってそう呟いていた。
 火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)と水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)、今回の 『麗しの十字姫シュラウレギナ』討伐任務を受諾した猟兵二人だ。

「さてと、グリモア猟兵の方によるとこの戦場では鏡に対して有効な質問をするのが戦況を有利に進められる方法とのことですが、どう質問します?」
「鏡に聞いて何かしないといけないなんて面倒ね…でもそうね、とりあえずは…」
 と、静柄が鏡に近づく。
「『敵は私達の位置を特定する為にどんな質問をしているの』かしら?」
 なるほど、と思わず明は呟いた。
「敵の質問をこちらも把握していたならば相手がどのように戦術を組むか手に取るように分かりますね。では私も」
 と、明も鏡に質問を問うべく言葉を口にする。
「『鏡さん、鏡さん。この世界で『麗しの十字姫』と名乗る方の場所を正確に教えてください』」
 と、まず基礎の中の基礎を問うた。無論オウガの側も猟兵がこちらの拠点を鏡に問わないはずがない。それでもその問いを投げたことに明はある算段を立てていた。
「…逆算、かしら?」
「その通りです」

「ああ、全く無粋な方たちですわね」
 と、臭気漂うかの如き雰囲気を醸し出す銀髪に紅い瞳の十字姫。その紅は加虐に混濁とした淀みに満ちており、それだけが存在価値でしかないのは明確であった。
「鏡に質問しましたが…『猟兵の方々はどのような戦術を取っているのでしょう』と聞いてみましたが、奇襲…いえ狙撃ですか」
 と、薄く微笑み。
「質問ですわ。『どうしてわたくしを否定するのでしょうか』?」
 と、自身の背後の影から十字皇を召喚、鏡に聞いた座標へ秘かに差し向けて彼女は待つだけだ。
 数分後、やがて目標の座標に到着した十字皇は二人の四肢を切り刻み、行動不能にして主の元へ帰還しようとするが――
「答えは簡単です。『貴方がオウガであるから』、です」
「『否定されるだけの意義が私達にはある』からね」
 と、近距離からの炎水土氷雷光闇毒の全属性を凝縮した430本の魔法の矢と本差による一閃が『麗しの十字姫シュラウレギナ』を穿った。

「な――!?」
 と、驚愕に満ちた表情で2人の猟兵を見る『麗しの十字姫シュラウレギナ』。
「ああ、十字皇が切り刻んだのは残像です。残念でしたね」
「『どうこの戦場では幻術魔法が本来よりも効果を発揮するか』という質問をして正解だったわね」
「く、ですがなぜ狙撃態勢を取っていないのですか!わたくしが鏡に聞いたときには狙撃を取ると――」
「あれはフェイントです。『今、鏡にオウガは質問を終えていますか』と聞いたのですよ」
 それはつまり――
「質問を利用した、陽動…!」
「ええ、それでは十字皇が戻ってくるまでに貴方に打撃を与えますね」
「悪く思わないで頂戴。まぁツケが回ったのもあるでしょうけど」
 と、言い終わる前に『麗しの十字姫シュラウレギナ』は二人の猟兵に向けてユーベルコード『下賤の輩たる貴方達は無力、我が慈悲に随喜せよ!』を発動、高度な格闘技術による一撃を加えて対象の敵対心や闘争心など反抗の感情を消し去る一撃だ。
「残念、それは残像です」
 しかし、それは空ぶって虚空を穿つしかない。
 それは致命傷にはつながらないが、致命的に繋がる隙であった。
「オブリビオンは骸の海へと還りなさい」
「さて、これでフルボッコよ!!」
 と、想像から創造された最強の本差による剣舞が、とあるオブリビオン・フォーミュラの能力を模倣し昇華された炎水土氷雷光闇毒の全属性を収束させた430本の魔法の矢が、傲慢なる加虐のオウガを切り、貫き、焼き、穿ち、砕き、蝕み、断ちながら後に続いていく猟兵達に託す連撃を叩き込んでいく。
「十字皇が来るわよ!急いで撤退しましょう!」
「はい、それではこれで」
「く、許すものですか!」
 怒りに身を任せて掌底を2人に叩き込もうとする『麗しの十字姫シュラウレギナ』。しかしその直前にグリモア猟兵の転移が2人の安全を確保する。

「く…ならば回復を…」
 傷を負った状態では後の追撃に対応できない可能性も高まる。直後に十字皇が彼女の元へ到着し傷だらけの身体を抱えて身を潜めようとする。
 しかし、ここは『真実を告げる鏡の間』。鏡に誰かが彼女の行方を問う限り、決して逃れることは出来はしない――

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

白石・明日香
書家だのオリジンだのはこの際どうでもいいのさ、奴らはおまけだ。
この世界ではお前こそが・・・
鏡への質問は単純だ。奴は今どこにいる?そしてどこへ行こうとしている?
それを聞けば後はなるべく先回りだ。必要なら泳いだり水上を歩いたり、空中戦の要領で壁伝いに移動したりしていくとしよう。
奴と遭遇したら残像でかく乱しながらダッシュで接近、敵の攻撃は挙動から見切って回避しあるいは武器受けで流して奴に近づく。
間合いに入ったら怪力、2回攻撃、属性攻撃(炎)、鎧無視攻撃で切り捨てる!
質問?ああ、答えてやるよ。すべての世界にいるお前は倒すさ、このオレがな。あれ?質問違ったかな?ま、どうでもいいが。


水心子・静柄
さっさとオウガ・オリジンへの道を開けたいから追撃させてもらうわ!

近くの鏡に敵のいる方向と距離とあと動いてるかを聞くわ。動いてないなら、こっちから行かないといけないからね。敵は私が追撃してる事を知ってるから同じ手は使えないわよね。とりあえず、彼岸花の花吹雪の影響範囲と眠らせる対象の指定方法ね。敵の影響範囲外から錬成カミヤドリで複製した脇差を操作出来るなら、眠らずに攻撃するけど、範囲内に入らないといけないなら、脇差の念力操作で眠り対応して戦う。対応策がないなら数本を頭上に展開して戦うわ。面倒ならそのまま脇差全部敵に飛ばしてしまえ!


リリスフィア・スターライト
強気で接近戦が得意な人格の『リリス』で挑むわ。
鏡への質問はシンプルに
「麗しの十字姫シュラウレギナが最期を迎える場所」ね。
回答を得られたのなら、その場所に向かうわ。
十字姫を見つけ次第、問答無用で挑むわよ。
華炎連斬による炎と斬撃による連続攻撃で
十字姫を追い詰めていくわ。
十字姫の反撃で苦境に立たされても
強気な態度は崩さずに挑み続けるわ。
十字姫の攻撃を剣で凌ぎ、花吹雪による眠気には気合で振り払うわ。
それでも駄目なら自傷してでも目を覚ますわ。
高貴ぶっているけれど、所詮はオウガになり果てた存在。
挑発でもして冷静さを奪ってやるわ。

「本当に何でも答えてくれたみたいね」
「オウガらしく悪そうな顔をしているようね」



・加虐の末路

「ク……とにかく傷を癒しませんと……」
 傷を癒すため十字皇に抱えられながら『麗しの十字姫シュラウレギナ』は鏡が乱立する不思議の国を疾走していた。

「……果たして私が戻ってきたと知ったらどういう行動をとるのかしらね?」
 と、迅速なオウガ・オリジンへの通路確保、それ繋がる今回の任務の早期解決のため先程転移で再び戦場に戻ってきた水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)は遠くから『麗しの十字姫シュラウレギナ』の姿を見渡しながらそう呟いた。
「高貴ぶっているけれど、所詮はオウガになり果てた存在。なりふり構わず襲ってくるんじゃない?」
 その言葉に答えたのはピンクの長髪をポニーテールにして纏めた快活そうな雰囲気を纏う少女、リリスフィア・スターライト(プリズムジョーカー・f02074)の人格が一人『リリス』だ。
「で、鏡のへの質問は『麗しの十字姫シュラウレギナが最期を迎える場所』よ」
「……へえ、それはどこだい?」
 と、鬼気迫る様子を漂わせながらその問いの答えを求める傷を負った長身の少女がいた。
 白石・明日香(十字卿の末裔・f00254)、『麗しの十字姫シュラウレギナ』を宿敵とする猟兵だ。
「書家だのオリジンだのはこの際どうでもいいのさ、奴らはおまけだ」
 妄執の域にまで高まった殺意。明日香にとってそれこそ今回の戦争において、猟書家やオウガ・オリジンという存在は脇道でしかなかった。
「この世界ではお前こそが・・・」
 いずれにせよ、もうすぐ答えが返って来る。
 その時こそ一つの物語が大きな区切りを迎えることとなるだろう。

「敵は私が追撃してる事を知ってるから同じ手は使えない、と思ったのだけどつい先ほどまで知らなかったようね」
 と、鏡から帰ってきた答えから静柄が再び戦場に追撃にやって来たことを知り、慎重に隠密行動をしながら血眼になって傷をつけた怨敵を探している十字姫の動向に対する感想を呟きながら二人と一緒に鏡の国を疾走する静柄。
「まぁ、奴はプライドが高い加虐趣味野郎だからな。仕留めて甚振ることにしか今は頭にねぇと思うぜ」
 それに答えるのは十字姫と深い因縁を持つ明日香。
「何でもいいけど、貴方が十字姫を斃せば二度とあのオウガは蘇らないのよね?」
 と、宿敵と称される法則に対して疑問を問うリリス。
 思いはバラバラなれど十字姫を斃すことに今は意志を統一させた猟兵達。
 そして、結末を迎える為の戦いが始まる。

 始まりは突然だった。すぐ横の壁が突如吹き飛んだ直後、その爆散する瓦礫を遮断物として利用ながら身体を縫うように動かして『全てを食らうクルースニク』という銘を持つ妖刀を十字姫に叩きつけた明日香。
 十字姫の反応は深手を負ったことに対する焦りよりも、突然の奇襲による困惑よりも、傷つけられた怒りでは決してない。
 アレは、自分に『終焉』をもたらす者だ、と言う恐怖。『終焉(おわり)』を『終焉(おわ)らせない』性質を持つ己に対して『終焉(おわり)』を『終焉(おわ)らせる』存在。
 そう、彼女こそが――
「質問?ああ、答えてやるよ。すべての世界にいるお前は終焉ら(たお)すさ、このオレがな。あれ?質問違ったかな?ま、どうでもいいが」
「……!!いえ、返り討ちにして見せます!」
「悪いけど、それは難しいわね」
 と、十字姫の首を掻き切らんと飛翔するのは78の脇差。
 静柄のヤドリガミとしての共通ユーベルコードを用いて複製した本体である脇差しを念力で操って使役しているのだ。
 自らに傷と屈辱を与えた存在の登場。それに対して十字姫は本来ならば何よりも優先して誅罰しに行かんとするのだが、今回はケースが悪い。最悪と言っていい。
 何せ自分に終焉(おわり)を与える存在を同時に相手どらなくてはならないのだ。明日香に斃されたらオブリビオンとしての性質が発揮されず、永遠の終焉(おわり)を迎えるのだ。
 そして、猟兵は後一人いる。
「覚悟なさい、十字姫!!――『華炎連斬(リリス・アサルトオーダー)』!!」
 接近戦を得意とするリリスの一撃。それは広範囲を爆発で攻撃する斬撃を魔剣から放つ一撃。そんなものを喰らえばタダで済むはずがない。リリスに斃されても宿敵の法則は発揮されないが、崩れ落ちた時明日香に止めを刺されてしまえばそれでお終いなので同じことである。
 故に直撃を避けるべく身体を捻って交わし、カウンターとして掌底をリリスに放つ。
 が、華炎連斬(リリス・アサルトオーダー)の攻撃は終わっていなかった。
「まだよ、まだまだ!まだまだまだ!」
 二撃目、三撃目、四撃目、五撃目と爆発を伴う斬撃が十字姫の身体を焼き切らんと迫り来る。当然十字姫も黙って攻撃を加えられるだけではない。
 十字皇を召喚して先程の掌底と同じくカウンターとして十字の斬撃をリリスに見舞った。引き裂かれ少女から迸る鮮血――
 ――で、だから?
 その深紅の液体を巻き散らしながら、魔剣を振りかぶったリリス。振りかぶった時の動作でより派手に血しぶきをぶちまけるが――だから、それがどうしたの?、と言わんばかりの眼光で十字姫を射抜く姿に変わりはない。
「じょ、冗談でしょう……!?」
 ちなみに、十字姫が加虐を極めた果てに得た知識の一つに「どのくらい抑えれば人体は出血しても死なないか」というモノがある。
 それに参照すれば――
「少なくとも、三回は出血死している量ですわよ!?」
「勇気と剣術と医療魔術よ。何も難しい事じゃないわ」
 と、驚愕する十字姫の元に更に支援攻撃として迫り来る念動力によって操られた脇差し。
「さっさとオウガ・オリジンへの道を開けたいから追撃させてもらうわ!!」
 と、そのまま消し飛ばさんと全ての念動操作している脇差しを投合して雨嵐の如く振り注がせる。
 二人の連撃を前に、十字姫は――

「やはり、所詮は猟兵。手玉に取ることなど容易いですわ」
 二人に一撃を喰らわせる。致命傷でも行動不能になる傷でもなかったが、十字姫にとっては十分だった。
 十字皇との連携、鍛え上げた体術、ヒガンバナの桜吹雪によって二人に与えられていた睡眠導入能力による動作の僅かなブレ――
 それにより、十字姫は撤退の道筋に至る時間を確保したのだ。
「それではご機嫌よう。このお礼はしっかりと返させてもらいますわ」
 と、憎悪に満ちた微笑を浮かべた後、疾走する十字姫。
 このまま、猟兵の届かぬ所へ――

「OK。ナイスだ」
 一閃。
「ごふっ…」
 いや、十字の閃と言うべきか。
 ともかく、2人が注意を引いている間に「『『麗しの十字姫シュラウレギナが最期を迎える場所』と答えた場所の座標に十字姫が重なるよう斬撃を確実に放てる」よう密かに位置どった明日香が、十字姫に致命の一撃を与えたのだ。その場所で放つ攻撃は、真実に約束された絶対の死の一撃と化すのだ。そして、明日香がその攻撃を成功させたという事が意味するのは――
 深紅の液体が迸る自らの胸を茫然と見つめながら、十字姫は何も言い残すこともなく骸の海に還っていった。
 今度は、終焉(おわり)を与えられたことによって、永遠に覚めない眠りにつきながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月09日
宿敵 『麗しの十字姫シュラウレギナ』 を撃破!


挿絵イラスト