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VSデビルズナンバー~甘い、あま~いひと時を求めて~

#UDCアース

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#UDCアース


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「クックックッ……ようやく出来た…」
 誰もが寝静まる真夜中。とある菓子店の厨房にて、異形の存在が菓子を作っていた。
 菓子を、作っていた。
「しっとりとしていながら柔らかな弾力を持つスポンジ生地…甘みの極致を実現したホイップクリーム…そしてそれら全ての甘みをより高次元へと引き上げる、深いコクと香りを持つチョコレイト…完璧、完全のスイーツが、ついに完成したぞぉ―――!!」
 歓喜が、狂喜が、無人の店内に響き渡る。
「後はコレを餌に人間どもを呼び集め、堕落しきった所を一網打尽…それでオレの計画は成功する………だから」
 身を隠すように、ドアの小窓から外の様子を窺う異形。
「だから…早く何処かに行って…」
 涙目の先には、無数の蟻の姿が映っていた。


「Hello、ハロー!いかがお過ごしでしょうか皆さん。私は大変元気に過ごしております。皆さんの案内人のガラテアでございます!」
 グリモアベースに大声が響く。疲れ知らずと言った様子で、ガラテア・オートマトン(アスタリスク・f12062)がアナタ達を歓迎する。
「集まって頂きありがとうございます!それでは、今回の冒険の説明をさせて頂きます。今回は掃討戦となります。詳しくはコチラを御覧ください」
 そう言うとガラテアは、空中にディスプレイを投影する。

「場所はUDCアース、市街地。その一角にて、猟兵の皆さんには戦闘を行って貰います。…ええ、はい。すでにその場は、オブリビオンにより占拠が完了されています」
 画面はその市街地の一角を映している。蟻にも似たオブリビオンの集団が、道路や歩道を我が物顔で闊歩している。
「掃討対象の集団は、何故かその一角周辺より動こうとしません。対象が一箇所に集まっている今この瞬間を狙って、皆さんにはそこを一網打尽にして欲しいのです。ちなみに民間人については、私の事前の予知でUDC組織の方に連絡したおかげで避難とカバーストーリーの流布をすでの完了して貰っています。褒めてくれても良いですよ!」
 ふふん、と胸を張るガラテア。
 とは言え、既に人がいなくなった場所に、オブリビオンの集団が一箇所に留まり続けているのはおかしい。注意して欲しいと、ガラテアは猟兵達に伝える。
「何が起こるのか、はたまた何かがいるのか…私の予知では知ることが出来ませんでした。どんな事があっても対応出来ますよう、準備はしっかりとして下さい。」

 あ、それと。ガラテアが言葉を続ける。
「戦闘場所から少し離れた所に、有名なスイーツ店があるらしいですよ…あるらしいですよ!私そこで待機していますので終わったらそこに集まって下さいね!」
 注意するように言っといて自分はそれか、と誰もが思うだろう。
「お、終わったら皆さんで食べましょうよ。代金は私が用意しておきますから、皆で食べるケーキバイキング、きっと美味しいですよ…?」

 最後にと、ガラテアは大声で猟兵達へと激励を送る。
「説明は以上となります。不安要素はありますが、皆さんならきっと乗り越えられると私信じておりますので!それではお店でお待ちしておりますので、頑張って下さい!」


赤黒い
 赤黒いです。もうすぐバレンタインが近いですね。

 今回は集団戦→ボス戦→日常シーンの流れとなっております。最後には甘味も用意されていますので楽しんでご参加下さい。
 よろしくお願いします。
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第1章 集団戦 『マガツアリス』

POW   :    古き神々の意志
【邪神「第零の蟻」】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
SPD   :    呪われし鉤爪
【異様に膨れた両腕の鉤爪】が命中した対象を切断する。
WIZ   :    軍隊蟻の行進
いま戦っている対象に有効な【悍ましき妖虫】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ミク・シィナ
とりあえず、アリのモンスターを殲滅すればよろしいのでしょう?
ならば、両手に持つバトルアックスと斬馬刀を駆使し放つ、グラウンドクラッシャーにて一網打尽に吹き飛ばして差し上げましょう。

服装は漆黒のゴシックドレス姿に漆黒のマントを羽織っております。
後は装備欄をご参照の上で。

【使用技能】
捨て身の一撃10、鎧砕き10、怪力13、生命力吸収10、残像2、吸血3、2回攻撃10、地形の利用1、なぎ払い11、第六感10、呪詛耐性1、おびき寄せ1、盾受け1、属性攻撃1、武器落とし10、傷口をえぐる10、見切り1、誘惑5、空中戦1、カウンター10、激痛耐性2、敵を盾にする1、フェイント10、衝撃波1、範囲攻撃1




 真昼の市街地。人が行き交い車が走る、何の変哲もない日常が流れている、そんな時間帯。
 しかし、ある場所では異常な光景が広がっていた。
 甲殻を纏う、人にも似た何か。決して人とは呼べない。アレを同じ人と呼びたくない。
 カタカタと足音を鳴らし、道路いっぱいに広がりその周辺一帯を我が物顔で闊歩しているオブリビオン『マガツアリス』。
 その様子は、何かを探しているかのようにも見えた。

「とりあえず、アリのモンスターを殲滅すればよろしいのでしょう?」
 呟かれた言葉、それと同時に起こるコンクリートの破壊音。マガツアリス達が皆、音のした方向へと首を向ける。
 そこには漆黒のゴシックドレス姿に漆黒のマントを羽織った、ミク・シィナ(漆黒の令嬢・f03233)が、集団から外れた一匹を、両手にそれぞれ持つバトルアックスと斬馬刀で叩き潰していた。
 ミクの姿を確認したマガツアリス達が襲いかかる。それだけでない、向かっていく集団の背には半透明の巨大な蟻の姿が見える。【古き神々の意志】により召喚された邪神「零落ちの蟻」だ。
 邪神がマガツアリス達へと命令を送り、操る。統率の取れた動きで、ミクへと迫り、その鋭い爪を振るうマガツアリス。
 ミクもまた、展開されるビームシールドと怪力で爪を受け止め、
「お返しですわっ!」
 カウンターとして再び【グラウンドスマッシャー】を放つ。
 マガツアリスの甲殻は容易く砕かれ、一撃で絶命する。だがその一撃に巻き込めるのは一体二体が限度。集団に衰えは見えない。
 長期化するであろう戦いに備えながら、ミクは両手に持つ武器をしっかりと握りしめる。

成功 🔵​🔵​🔴​

アリス・イングランギニョル
へぇ、これはちょっとしたミステリー……なのかな?
オブビリオンたちが集まる謎の場所……興味をそそられるね
とはいえ、詮索は彼らに退場してもらってからにしようか

さぁさ、開幕の時間だ
ボクの愛しい狼さんと猟師さん
お仕事の時間だぜ

呼び出した狼と猟師を集団へとけしかけて存分に暴れ回ってもらうよ
ボクは離れた場所で観戦していよう
ほら、ボクって荒事は苦手なひ弱なレディだからね?
そういうのは得意な人たちにお任せするさ

【アドリブ、他の方との絡みは歓迎】


波狼・拓哉
んー集まってるとは珍しい…誰かが操ってるとかじゃなさそうか。まあ考えても分からんことだし、反撃に気を付けつつ撃破してきますか。
数が多いし手数が欲しい所…というわけでいつも通りお願いしますねミミックさんと。前衛は任せますわ。
俺自身は周りのサポートに。衝撃波込めた弾打って鉤爪弾いたり、妖虫打ったりして周りが動きやすいようにしていこう。隙があれば相手の傷口に衝撃波打ち込んで抉ったりもしていこうかな。
(アドリブ絡み歓迎です)




「へぇ、これはちょっとしたミステリー……なのかな?」
 そう呟きながら現れたのはアリス・イングランギニョル(グランギニョルの書き手・f03145)。
 彼女は一箇所に集まっているオブリビオンの様子、そしてこの場所自体にも興味を持ってやって来ていた。
「とはいえ、詮索は彼らに退場してもらってからにしようか」
「そうだな。考えても分からんことだし、反撃に気を付けつつ撃破してきますか」
 波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)がアリスの言葉に返しつつ、二人は戦場へと身を投じた。

「さぁさ、開幕の時間だ。ボクの愛しい狼さんと猟師さん」
 ――ボクの頭巾を紅く、朱く。真っ赤に染め上げて頂戴な?
 【赤ずきん(ロートケプフェン)】。アリスの言葉に従うように、何処からともなく狼と猟銃を持つ猟師が現れる。
 狼がマガツアリスの集団へと突っ込んでいく。硬い甲殻も何のその。容易く噛み砕いてしまう。
 猟師もまた猟銃を構え、引き金を引く。マガツアリスの変わらない表情に、銃弾が風穴を開ける。
 マガツアリスも【軍隊蟻の行進】により、悍ましき妖虫を召喚していくが、
「さてコッチも、いつも通りお願いしますよ…っと!」
 【偽正・偽箱基態(ミミクリー・スタンダート)】。波狼に答えるように、箱型生命体の霊が召喚される。
 大口を開けた宝箱の中から、金銀財宝、偽りの黄金が妖虫目掛けて吐き出される。
 それらもまた、アリスの狼と猟師がマガツアリスを吹き飛ばしたように、妖虫の群れを容赦なく押しつぶしていく。
 箱型生命体自身もまた、箱の角を使い、マガツアリスの甲殻を砕いていく。
「凄いね、その調子で頼むよ。ほら、ボクって荒事は苦手なひ弱なレディだからね?」
「わかってる。このままミミックさん達に釘付けになってくれればいいけど」
 ユーベルコードによって戦闘が出来ないアリスを守るように、波狼が彼女の前に立ち塞がり、彼らに襲いかかるマガツアリスへ衝撃波を放つ。

 戦闘は終始有利に運ぶ。だがそれでもマガツアリスの群れはまだまだ残っていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

六六六・たかし
ふん、アリ退治か…アリ…?
俺の「第六感」がアリ以外の何かを感じ取っているが…
まぁいい、新しい俺の武器「超魔銃剣たかしブレード」の試し切りにはもってこいだ。
行くぞ、お前ら。

相手が集団で来るならこっちも数で対抗させてもらおう。
ユーベルコード『悪魔の分身(デビルアバター)』発動!!
ざしきわらしとかかしを分裂させる。
よし、これだけいればなんとかなるだろう。
分身たちはアリたちの攻撃から俺を「かばう」
俺はその間にたかしブレードを駆使してアリたちをバッタバッタと薙ぎ払う

さっさと終わらせてスイーツを食いに行くぞ。




「ふん、アリ退治か…アリ…?」
 六六六・たかし(悪魔の数字・f04492)は奇妙な違和感を感じ取っていた。たかしだけが感じ取れる様な何かを。
 だが今はわからない。そして目の前には倒すべきオブリビオンの姿。
「まぁいい、新しい俺の武器『超魔銃剣たかしブレード』の試し切りにはもってこいだ」
 その手に剣を持ち、二体の人形を伴い、たかしはマガツアリスの集団へと向かっていった。

 目には目を、歯には歯を、数には数をぶつける。それが今回たかしの選んだ戦法であった。
「行け、ざしきわらし!かかし!」
 【悪魔の分身(デビルアバター)】。彼が装備する人形、『デビルズナンバー』達が十数体複製され、マガツアリスの集団へと突撃する。
 ざしきわらしと呼ばれた個体は小さな拳を振るい、かかしと呼ばれた個体は農具を手に斬りかかる。
 マガツアリスも両腕の駒爪を振るい、複製された人形たちを切断していくが、
 人形への対応に気を取られていたせいか、すぐ近くにまでたかしの接近を許していた事に気づかなかった。
 『超魔銃剣たかしブレード』の鋭い刃が、柔らかい甲殻の関節部を狙い、バラバラに切り裂いていく。
「弱い奴らめ…さっさと終わらせてスイーツを食いに行くぞ」
 たかしの言葉に反応するように、他のデビルズナンバー達も動きを強めていく。…ざしきわらしは、特に。

 マガツアリスの集団は、確実に減ってきている!

成功 🔵​🔵​🔴​

月山・カムイ
このアリの様なお嬢さん達はどこから湧いて出たのでしょうね?
数には数をもって当たる……なるほど、確かにそれが良いかもしれませんね
では、共に踊っていただけますか? お嬢さん方

恭しくお辞儀をしてみせる
その仕草に自然に織り込まれるように、絶影の柄を手にして抜刀と同時に無響剣舞・絶影が発動
半径23m以内に存在するマガツアリス達のその装甲の隙間や振るわれた鉤爪を正確に射抜くように、夥しい数の斬撃が襲いかかる
トドメを刺せる個体にはそのままトドメを
殺しきれなかった個体は、その存在を抜け目なく見抜き殺していく

何が目的なのかは知りませんが、滅ぼし尽くさせていただきます

アドリブ等は歓迎です




「このアリの様なお嬢さん達はどこから湧いて出たのでしょうね?」
 ビルの屋上、戦場全体を見下ろせる位置にて月山・カムイ(絶影・f01363)が一人、様子を見ながら呟く。
 何時、どうやって現れたのかは定かではないが、今は思考よりもやるべき事がある。
 カムイは屋上より飛び出し、戦場へと降り立った。
 そこはちょうど、マガツアリスの集団の中央辺り。突然現れた乱入者に、マガツアリス達の視線はカムイに向けられる。
 敵だ。新たな敵だ。マガツアリスの動きはあくまでも平坦で冷徹だ。反射のように鉤爪を振り上げる。
 オブリビオンが襲いかかる、そんな中でカムイは恭しくお辞儀をしてみせる。
「では、共に踊っていただけますか? お嬢さん方」
 言葉と共に顔を上げるカムイ。その仕草に織り込まれるように自然と柄を掴み、小太刀『絶影』を抜刀する。
 小太刀が届くには、マガツアリスとカムイの距離は開きすぎている。にも関わらず、マガツアリス達に斬撃痕が付けられる。
 【無響剣舞・絶影(アウトレイジ・ソードダンス)】。カムイの半径、23m。その範囲内にいるマガツアリス達の装甲の隙間や、振るわれた鉤爪に合わせて正確に射抜くように、夥しい数の斬撃が襲いかかる。
 カムイもまた冷徹に。小太刀を振るい、斬撃に耐えて生き残っていたマガツアリスに止めの一撃を与えていく。
 マガツアリスの目的などわからない。だが世界を脅かす存在である以上、見逃す理由も無い。小太刀を力強く握り、カムイは戦場を駆け抜けていく。

 鉤爪が避けられ、甲殻を砕かれて、関節を断たれ、黒い体液を撒き散らすマガツアリス。
 最後の一匹がカムイの一振りで首を飛ばされて、先程まで大量にいたはずのマガツアリスは、猟兵の活躍により全て駆除された。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『四四八『デビルズナンバーおかし』』

POW   :    悪魔の戦棍(デビルメイス)
単純で重い【鈍器クッキー】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    悪魔の甘味(デビルスイーツ)
【全身】から【食べずにはいられない甘くて美味しいお菓子】を放ち、【幸福感】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    悪魔の菓子(デビルスナック)
【クッキー】【マカロン】【オランジェット】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は六六六・たかしです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 全てのマガツアリスを倒した猟兵達。戦闘も終わり、これで依頼も完了した。後は約束の場所へ戻るだけ。そう思っていた矢先。
「ククク…ハーッハッハッハッ!油断したな猟兵共よ!」
 突如聞こえる笑い声。それと同時に戦場近くに見えていた菓子店の壁が轟音と共に破壊される!

 現れたのは全身が菓子で出来た、胸に448の数字を持つ人型の異形。
 戦場に甘い、あま~い香りが漂い始める…
「マガツアリスを利用して、お前達を疲弊させる。それがオレの猟兵殺害計画!まんまと嵌ってくれたようだな!」
「決して、決して!オレを食おうとしていたマガツアリスから逃げ隠れていた訳ではないからな!勘違いするなよ!」

 手に持つクッキーのモーニングスターを振り回し、人型の異形、デビルズナンバーおかしは戦意を高ぶらせる。
 ボスとの戦闘だ!
アリス・イングランギニョル
なるほど、なるほど
ミステリーの解答はそういうわけだったんだね……なんて素直に信じると思ったのかい?
良い言葉を教えてあげよう、そういうのを語るに落ちるって言うんだぜ?
とはいえ、戦わなきゃいけないことには変わりない
さぁさ、第二幕といこうじゃないか

ま、ボクのやることは変わらないんだけどね
後ろに下がりながら、マッチ売りの少女を召喚
炎で攻撃してもらうよ、もう少し焼き加減を足した方が美味しそうに見えるぜ、お菓子の巨人くん
炎の幻惑効果で【傷口をえぐる】ことなんてできたら儲けものだね
例えば、そう、さっきのオブビリオンたちにたかられて食べられてしまうとか、ね?

【アドリブ、他の方との絡みは歓迎】


ミク・シィナ
たいして疲弊もしておりませんし、なるほど?
食べられるのが怖くて逃げていたのですね?
実にわかりやすい方ですこと。
見た感じですと、パワータイプの方にお見受けしましたが。
ふふ、私と少し遊びませんか?
力と力の単純な勝負ですの。
あなたのデビルメイスと私のグラウンドクラッシャー。
文字通り、ぶつけ合いましょう?

服装は漆黒のゴシックドレス姿に漆黒のマントを羽織っております。
バトルアックスと斬馬刀の二刀流で攻撃を放ちます。
その他の装備品や使用技能などはステシを参照の上でよろしくお願い致しますね。




 自身の策略にまんまと引っかかったと、高々に笑うデビルズナンバーおかし。だが、
「なるほど、なるほど。ミステリーの解答はそういうわけだったんだね……なんて素直に信じると思ったのかい?」
「たいして疲弊もしておりませんし、食べられるのが怖くて逃げていたのですね?実にわかりやすい方ですこと」
 アリス・イングランギニョルとミク・シィナが、あっさりと見破る。おかしもその答えにギクリとオーバーで古臭いリアクションを見せてしまう。
「良い言葉を教えてあげよう。そういうのを、語るに落ちるって言うんだぜ?」
「う、うるさい!そう言われるのは百も承知なんだよ!」
 百も承知なのか…そんな呟きの暇すら与えず、モーニングスターをアリス目掛けて振り下ろすおかし。
 だがアリスの前にミクが立ち塞がり、クッキーの鈍器を両手の武器で受け横へと軌道を逸らす。直撃こそ避けたが逸れたクッキーがコンクリートの地面を砕き、土埃といっしょに香ばしい焼き菓子の香りが辺りに漂う。
「ふふ…見た目通り力強いのですのね、あなた」
 甘味の香りにも誘惑されず、ただおかしの強さに、ミクは興味惹かれる。
 たまらず飛び出すミク。漆黒のゴシックドレスと外套を翻し、バトルアックスに斬馬刀と、女性が片手にそれぞれ持つには大きすぎる獲物を伴って、おかしへと接近していく。
「力と力の単純な勝負ですの。文字通り、ぶつけ合いましょう?」
 繰り出される【グラウンドクラッシャー】。純粋な破壊が、おかしへと叩き込まれる。だが、
「甘い…砂糖よりも甘いぞ、猟兵」
 焼き菓子の身体は見た目以上に堅く、彼女の二つの武器はおかしの肩に傷を残し食い込みこそすれど、致命傷までには至っていない。
 ミクもすぐさま離脱しようと、武器を引き抜き跳び下がるが、
「カリッカリに仕上げてきたこの体、そう簡単に砕けると思うなぁ!」
 まだ十分に距離が取れておらず、無防備なミクに向けてクッキーの鈍器が振るわれる。

『さぁさ、それでは第二幕といこうじゃないか』
 物を語る言葉は唐突に。ミクの隣に立つ『頭巾をかぶり、マッチの入った籠を持つ少女』もまた突然に。
 鈍器が振るわれる、その直前に『マッチ売りの少女』は火をおかしに見せていた。
 手に持つ火が巨大に燃え上がる。それはおかしの巨体をあっという間に包み込んでしまった。
「アッツ!アッッチイィィイイイ!」
 食欲を唆っていた香ばしい匂いは、途端に焦げ臭い匂いへと変わっていった。
 それだけならばただの火。しかし、これはアリスのユーベルコード、【マッチ売りの少女(オ・ザルメット)】。
「なぁ…!マガツアリス?!何故蘇って…ヤメロォ、オレを食うなぁ!」
 少女は火の中に届かなかった願いを形作った。それはおかしにとっては悪夢でしか無い。
 火だるまとなりながら、おかしが有りもしない幻影を見て、のたうち回り、暴れまわる。

『少女の灯火は。空から降る流星のように。燃え尽きてしまいましたとさ』
「だそうで。あなたも、流星になりなさい」
 ミクの【グラウンドクラッシャー】が横薙ぎに転げ回るおかしを打ち捕らえ、吹き飛ばされる。
 怪力も合わさった強力な一撃は、おかしが破壊し、飛び出してきた店舗へと再び叩き返した。
「うん。良い焼き加減になったんじゃないかな、お菓子の巨人くん」
「焼き過ぎだコラ!折角のパーフェクトボディが台無しじゃねえか!」
 プスプスと焼き焦げ、真っ黒になったおかしが戻ってくる。その様子に、クスクス笑うアリス。
「その姿の方がお似合いだよ、キミには」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

月山・カムイ
他のUDCに喰われそうになる程の、甘い香りのUDCですか……

その人型の異形を見据えて、ふむと考える
鞘に収めていた絶影を抜き放ち、ブラッドガイストを発動
殺戮捕食態となったその小太刀を構え、一言

では、いただきます

この男、胸焼けするまで食い尽くす覚悟である

鈍器クッキーの攻撃は受け止めれば絶影が喰らい
その甘くて美味しそうな匂いは、喰らいたいという飢餓を加速させる
お菓子で強化したその身体は、ただ喰らってくれと言わんばかり
……なんだ、コーヒーでも淹れてくれば良かったですね

無論相手はUDCですから、油断などしません
ですが、多少絶影が暴走しても好きにさせる
デビルズナンバーが何かは知りませんが、容赦はしませんよ


波狼・拓哉
…絶対あれ食われかけてたんだと思う。というかそれならもうちょい旨い動かしかたあっただろ!
所であれ食えるのかな。…いけそうじゃない?つまりそういうことだ行けミミック!(ぶん投げる)喰らい尽くしこい!モーニングスターだけ固そうだし避けていけよー。
俺自身はサポートに回ろう。衝撃波込めた弾で鈍器クッキーを弾いたり、クッキーマカロンオランジェットを衝撃で打ち壊したり狙おう。後はミミックの喰い後とかの傷跡に打ち込んで衝撃で削っていく感じでいこうかな。
(アドリブ絡み歓迎です)




「おのれぇ…だがこれしきの事、想定済みだ!」
 そう言うとおかしは、焼き焦げた部分を剥がし、何処からともなく取り出した真新しいクッキー、マカロン、オランジェットを貼り付け直し始める。
「復っ活!更に新品に変えた事でパワーアップだ!」
 再び戦場に甘い香りが漂い始めた…さっきよりも香りが強くなっている。

「何処ぞの餡パンみたいな事して…いや、突っ込んでる場合かよ」
 波狼・拓哉が首を振る。自然に流していたが、敵の強化を許してしまった。漂う甘い香りと、敵の何処か間の抜けた空気感で気が緩んでしまったか。
 触媒道具である黒水晶のブレスレットを用い、再び箱型生命体を呼び出す波狼。
 そんな彼のとなりで、月山・カムイはふと考え事をしていた。
「…他のUDCに喰われそうになる程の、甘い香りのUDCですか…」
「うん?ああ、そうだな…計画とか言ってたけど、もう少し上手い動かし方があったと思う」
「いえ、そうでは無くて」
 首を傾げる波狼を余所に、月山は鞘に収めていた小太刀『絶影』を抜き放ち、【ブラッドガイスト】を発動させる。
 月山の血を代償に、封印が解かれ『絶影』は刃渡り二寸の殺戮捕食態へと変化する。
 ギリギリとその刃を軋ませる『絶影』を、おかしへと向け一言。
「いただきます」
「―――!!!???」
 おかしが衝撃を受ける。その一言がおかしにとって、どれだけ恐ろしいのかが解る。どれだけ強がろうと、根源的な恐怖は克服できない。
「お菓子で強化したその身体は、ただ喰らってくれと言わんばかり……なんだ、コーヒーでも淹れてくれば良かったですね」
「成る程、そうか…そりゃそうだ。逃げ隠れるほど食われるのが嫌な奴なら、食ってやれば良いのか!と言う訳でお前も行けミミック!」
「やめろ!やめろぉ!」
 月山が走る。それに合わせて波狼の箱型生命体も追従する。気のせいか口元でキラリと光を反射したように見えた。誰のとは言わないが。
「来るな卑しん坊共ぉ!」
 苦し紛れの鈍器クッキーが月山目掛けて振るわれる。だが『絶影』でそれを阻む。
 ただでさえ抑えきれない捕食衝動を持つ殺戮捕食態となった武器。鈍器クッキーから放たれる、甘くて美味しそうな匂いは、喰らいたいという『絶影』の飢餓を加速させる。
 甲高く、それでいて鈍い掘削音。『絶影』との接地面から飛び散る火花。
 鈍器として成立するほどの硬度と質量を持つクッキーは最早焼き菓子のソレではなく、まるで金属塊をチェーンソーで削っているようであった。
 そのせめぎ合いも、箱型生命体のマカロンへの捕食行動により終わりを見せる。
 ガブガブと箱の大口を開けておかしの肩を貪り始める箱型生命体。
「なぁ?!やめろと言っただろ!」
 視線が、意識が月山から逸れる。その瞬間を見逃さない月山。
 更に一歩踏見込み、懐へ入った所に、『絶影』をおかしの肩から胸へ、袈裟斬りを放つ。
 刃渡り二寸。およそ6cmという極短小の刃は、しかしおかしの胴へと確かに喰らいつき、深くまで引き裂いた。
「…ッ!…ガァ…!」
 詰まったうめき声を上げ、たたらを踏むおかし。
 そこへ容赦なく再び『絶影』を叩き込もうとする月山。だがおかしもそれ以上は許さなかった。
 肩に食らいつく箱型生命体を掴み、無理やり引き剥がすと同時に月山目掛けて投げつける。
 流石に味方まで喰らうのは拙い。『絶影』を無理に鞘へ収め、箱型生命体を受け止める月山。
「大丈夫か!?」
 波狼が月山の元へと駆け寄る。箱型生命体は役目は終わったと言わんばかりに月山の腕の中で煙のように消えていった。
「多少無理をし過ぎましたか…ですが、手応えはありました」
 月山は胸の傷跡を押さえ、肩で息をするおかしの姿を見据える。

 致命傷を与えたのは確か。決着は近いと、誰もが予感していた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

六六六・たかし
【アドリブ歓迎】
俺の勘は正しかったようだな…
その数字…デビルズナンバーおかしか。
お前の体のように甘い計画に俺がそう安々と引っかかるはずがないだろう。

ここには今アリ共の死骸が俺が倒した分だけある。
それがどういうことなのかを見せてやる。
『悪魔の軍勢(デビルトルーパー)』を発動しアリ共をたかしにする。
これだけの俺がいれば「かばう」ことも「フェイント」をかけることも容易だ。
お前の作戦のおかげだ、喜んで良いぞ。

さぁ、このあとのデザートにお前はいらない。
廃棄処分させてもらう!!

デビル!たかし!!キック!!!!




 致命傷を受け、最早虫の息となったおかし。
 さっきのように纏うお菓子を交換した所で、この傷は治らない。この傷では、強化を施した所で満足な動きは出来ない。

「どうやら、もう終わりのようだな。デビルズナンバーおかし」
 声の方向に振り向くおかし。
 六六六・たかしが、マガツアリスの残骸を踏み砕きながら、おかしへと近づいていた。
「俺の勘は正しかったようだな…お前の体のように甘い計画に、俺がそう安々と引っかかるはずがないだろう」
「お前…お前達は…何だ…?このオレと同じ気配…まさか」
「俺の名はたかし。デビルズナンバー、たかしだ!」
 たかしが『超魔銃剣・たかしブレード』を振り上げ、おかしへと斬りかかる。
「オレの後に作られたデビルズナンバーか?!なら何故猟兵なんぞになっている!デビルズナンバーなら人間を殺すのが使命のはずだ!」
 鈍器クッキーがたかしブレードを防ぐ。だがたかしは直ぐ様たかしブレードを引き戻し、今度は振り上げて鈍器クッキーをおかしの手から弾き飛ばす!
「俺の使命はただ一つ、お前達デビルズナンバーを殺す事だ!」
 がら空きとなったおかしの胴体に、たかしブレードがX字に斬り付けられる!菓子片を飛び散らせながら、おかしは後方へと押し出される。

「馬鹿な…こんな事が…?」
 たかしのたかしブレードによる連撃を受け、膝をつけるおかし。
「最後だ。お前は今から、お前自身の計画で敗れる」
「何…?」
「周りを見てみろ。ここには今アリ共の死骸が俺が倒した分だけある。それがどういう事なのかを見せてやる」
 そう言って片手を天高く掲げるたかし。それを合図に、彼のユーベルコードが発動する!
 周囲のマガツアリスの残骸が、浮き上がる。それらは一つの形を作り出す…そう、たかしだ。
 【悪魔の軍勢(デビルトルーパー)】。その能力により、戦場で死亡したマガツアリスは、たかしに変化する。一体一体の戦闘力は本体であるたかしには劣るが、死亡したマガツアリス達は数えるのも面倒になる程、無数に存在していた。全滅した今であれば、変化したたかしもそれだけ無数に現れる。
「お前の作戦のおかげだ、喜んで良いぞ」
「馬鹿げている…馬鹿げている!」
 おかしが叫ぶ。計画は途中なんだぞ!デビルズナンバーなら分かるだろう!こんな結末など認めない!
「オレは、オレはまだ人を殺せてねぇってのによぉぉおおお!」
「…やはり、お前の存在はいらない。廃棄処分させてもらう!!」
 たかしブレードを投げ捨て、たかしが高く跳び上がる。同じ動きで、変化したたかし達もまた高く跳び上がる。
「デビル…!」
 上空で姿勢を整える。全てのたかしが、おかしの傷が残る胴体へと、狙いを定める。
「たかし…!!」
 たかしが、片足を突き出した状態で弾き出されるように謎の力で飛び出す。他のたかし達もまた同じように。
「キック!!!」
 たかしの飛び蹴りが、おかしの胴体へと突き刺さる!更に其処へ無数のたかし達の蹴りが殺到し…、
「負けるのか…?オレが…?何故…!」
「――決まっている」
 引き起こされる大爆発。そこにはデビルズナンバーおかしの断末魔も含まれていて。
 ただ一人、本物のたかしだけが、広がる爆炎の中から飛び出してくる。

「――何故なら俺はたかしだからだ」
 立ち上る煙を背に、振り向くこと無くたかしはそう、おかしへと言い放った。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『ティータイムは事件解決の後で』

POW   :    お菓子を楽しむ

SPD   :    お茶を楽しむ

WIZ   :    談笑する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

月山・カムイ
ケーキバイキングとはまた……絶影と呪翼刻印からは摂取しましたが、私自身が食べた訳でもありませんから
何かちょっとしたケーキを1つ2つと、コーヒーなどいただきましょうか
ガラテアさん、何かおすすめのケーキとか、ありますか?

おすすめケーキの甘さと、ブラックコーヒーのほろ苦さ、相反する2つの味を交互に堪能する
普段男一人でケーキバイキングなんてのは敷居が高いですから、たまにはこういうのも良いですねぇ

しかし、デビルズナンバー……一体アレはなんだったのか
胸に刻まれた数字も、非常に意味深でしたが
たかしさんをチラリと見て
数から考えて、まだまだ戦いは続く、という訳ですかねぇ?

そんなこんなで英気を養うのであった


波狼・拓哉
さて無事に倒せたな。…しかしデビルズナンバーね。また中々面倒そうな。まあ、回収してる人がいるみたいだしこうして手伝いしていけばいいか(その辺の自動販売機で買った缶コーヒー飲みつつお店に向かう)…いや、甘い匂いが凄すぎてね。臭い消ししないとね…
店に着いたら取り敢えず目についたケーキを頼もうかな。こういうのって全制覇してみたくなるよね。無理やり食べようとは思わんけど。あ、後ついでに珈琲ないかな?え?さっき飲んでなかったって?…あの程度じゃカフェイン足りないだろ?
(アドリブ絡み歓迎です)


アリス・イングランギニョル
【SPD】

これにて一件落着、めでたしめでたし……なんてね
折角ここまで来たんだ
たまには図書館の外で本を読むのも悪くはないかな
美味しいティータイムと一緒にね

席の隅でのんびりと紅茶を味わいながら、静かに読書に勤しむよ
今日読むのはヘンゼルとグレーテル
お菓子で人を誘っても上手くいかないなんて、昔から決まっていたってことさ

【アドリブ、他の方との絡みは歓迎】


六六六・たかし
【アドリブ、合わせ歓迎】

デビルズナンバーおかしは倒れた。
もう今後復活することはないだろう。
だが、安心はできない…まだまだデビルズナンバーは現れるだろうからな。

【POW】
まぁだがひとまずそれは置いておいて、スイーツバイキングを楽しむとしよう。
しかしあれだけ甘い物の匂いを嗅いだ後だと少しばかり甘味がきついな…
なんかしょっぱいのは…
おい、ざしきわらしなんだその虹色の砂糖の塊みたいなお菓子は…
何!?俺にも食えだと!?ちょっと待て今このタイミングでそのお菓子は…!
待て!泣くな!!わかった!食うから!




 マガツアリスを呼び集めていたデビルズナンバーおかしも倒され、オブリビオンの驚異は去った。
 猟兵達は約束通り、集合場所となっている某スイーツ店へとやって来た。
 有名と説明されていた通り、結構な人数の一般人がスイーツを楽しんでいた。
 「普通」の光景。ほんの数分前、ここから少し進んだ場所で邪神の眷属、殺戮オブジェクトと戦っていたなど、猟兵達には嘘のように感じられる。

「普段男一人でケーキバイキングなんてのは敷居が高いですから、たまにはこういうのも良いですねぇ」
 月山・カムイは、店内を一瞥しながら呟く。
 戦闘中、捕食態となった武器や刻印(ドライバー)よりエネルギーを摂取してはいたが、それで月山自身の腹が膨れる訳ではない。
 ケーキを一つ二つ、口に含みたいと考えるが、眺めているだけでも楽しい豊富な種類のせいで中々決められない。
「ふむ…何か、おすすめのケーキとかありますか?ガラテアさん」
 ならば知っている者に尋ねてみればいいと、月山はとある席へと目を向ける。
「ふぁい?…(もぐもぐ、ごくん。)このお店のおすすめですか」
 幾つもの皿を重ねたテーブル席で、ガラテア・オートマトンがクリームがたっぷりと付いた口元を拭きながら返答する。
 そうですねーチョコケーキとか濃厚でしたしー季節限定のイチゴモンブランとかも甘酸っぱくて素敵でしたしーオーソドックスなショートケーキも捨て難いですし―…etc.etc.
 長ったらしい感想を饒舌に語り続けるガラテア。そんな様子を月山も話半分で聞き流していた。

 六六六・たかしは物思いに耽っていた。
 デビルズナンバーおかしは倒れた。自分がこの手で倒した事により、奴が再び現れる事も無い。
 だが、安心はできない。自分自身に刻まれた六六六の数字が、他のデビルズナンバーの存在を示唆している。いずれまた、別のデビルズナンバーが現れる事だろう…。
「よ。お疲れ様。無事に倒せたな」
 考え事をしていたたかしに声が掛けられる。向かい側の席に、波狼・拓哉が幾つかのケーキとコーヒーを持ってきて座る。
「デビルズナンバー、ね。また中々面倒そうだな」
 波狼はデビルズナンバーという存在に、興味を示していた。邪神、狂人とは違う、殺戮オブジェクト。今までの自分が戦ってきた相手とはまた少し違う敵。
「まあ、オブリビオンである以上は扱いは変わらないし、こうして回収している人もいるみたいだし…少しづつ手伝っていこうとは思うよ」
「…助かる」
 波狼の言葉に、静かに返すたかし。
「しかしどうしたんだ?折角のバイキングなのに、食べないのか」
「いや、あれだけ甘い物の匂いを嗅いだ後だと、少しばかりきつくてな…」
「あー…まあ、それは分かる。匂いだけで胸焼けしそうな感じだったよな」
「ああ、どちらかと言えば、今はしょっぱい物が…」
 そんなたかしの前にドン、と何かが乗せられた。
 カラフル――そんな言葉では生易しい、色彩の暴力が見る者の視覚に殴りかかってくる。
 そんな虹色のスイーツを持ってきたのは、和装の童女。たかしの所持する意思持つ人形、ざしきわらしだ。
 褒めろ、と言わんばかりに胸を張っている。
「おい、ざしきわらしなんだその虹色の砂糖の塊みたいなお菓子は…」
 ざしきわらしはたかしの膝の上に座ると、そのスイーツを小さな口いっぱいに頬張る。なんとも幸せそうな表情をしている。
 また一つ手に取り、今度はたかしに差し出す。
「何!?俺にも食えだと!?ちょっと待て今このタイミングでそのお菓子は…!」
 ざしきわらしがグイグイと迫る。たかしはそれを止めようとする。
 暫くして手を止めるざしきわらし。ようやく引き下がったかと思えば、
 疲れているアンタの為に持ってきたのに…。涙目になり、振るえるざしきわらし。
「待て!泣くな!!わかった!食うから!」
 最初の静かに考え事をしていたたかしは何処に行ったのか。ざしきわらしを泣かせまいと、大声で狼狽えるたかし。
 そんな様子を微笑ましく見守る波狼。
 持ってきていたブラックコーヒーに手につけると、一口で一気に飲み干した。

 店の最奥、隅の席。アリス・イングランギニョルはそこに居た。
 普段は図書館に籠もっている彼女だが、折角の外、折角のお誘い。
 偶には違う場所で本を読むのも悪くはないと、静かに読書に勤しんでいた。
「お隣、良いですかね?」
 のんびりと紅茶を味わいながら、ページを捲るアリスに声が掛けられる。見ればそこにはトレーを持った月山の姿。
「構わないとも…ふふ、ようやく決められたかい?」
「聞いていましたか。ええ、何とかは。選ぶよりも聞く方が長くなってしまいましたが」
 席に着く月山。テーブルに置かれるトレーの上には、チョコとショートの二切れのケーキとブラックコーヒー。
「ふむ、普通だね」
「普通で丁度良いのですよ。楽しむ為の食事で、奇を衒う必要なんてありませんから」
 そういうものか。再び紅茶を一口飲むアリス。
 月山もまた、ケーキを食べ始める。ケーキの甘さと、ブラックコーヒーのほろ苦さ。相反する二つの味を交互に楽しみ、また二種類の甘みが口に含む味わいを飽きさせない。
 滅多に来れない場所で、月山はじっくりと堪能していた。
「所で、先程から読んでいるその本は何ですか、アリスさん」
「ん?ああ、これかい?これは『ヘンゼルとグレーテル』さ」
 お菓子の家に誘われた、とある兄妹の物語。
 ――お菓子で人を誘っても上手くいかないなんて、昔から決まっていたって事さ。

 猟兵達は各々の時間を、ゆったりと過ごす。それは戦った者に与えられる特権とも言える。
 事件は解決して一件落着。そして物語の最後には、必ずこうして締めくくられるのだ。
「めでたし、めでたし。ってね」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月07日
宿敵 『四四八『デビルズナンバーおかし』』 を撃破!


挿絵イラスト