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魂の送り手

#カクリヨファンタズム

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#カクリヨファンタズム


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 くねくねとあちらこちらに伸びる裏路地。
 その路地を行くと、河川敷に出る。
 夕暮れの河川敷は、妖怪たちにとって憩いの場。
 普段はまったりとした空気が流れているそこは、突如現れた屋台で埋め尽くされていた。
 水あめ、カメすくい、ひよこ、水風船、りんご飴などの屋台に混じって、見慣れないものを売っている屋台があった。
 覗いてみれば、山のように積まれた爆竹。
 小さいものから大きいもの、ばら売りから箱売りまで、とにもかくにも爆竹のみが置いてある。
「ああ、いらっしゃい」
「あなたも誰かを弔いに来たの?」
 店主から手渡されるのは小さな船。
 これに見送る相手の名前を書き、川に流す。そして寂しくないようにと爆竹を鳴らして見送りをするのだという。
 一つの船と爆竹を手に屋台の途切れた先へと向かえば、川に沿って多くの妖怪の姿。
 彼らは川に船を下ろすと、爆竹に火をつけた。
 そこかしこで火薬が爆ぜる音が鳴る。
 耳を塞ぎたくなるくらいの音が鳴りやめば、後は船を見送るだけ……のはずだった。
 妖怪たちは何故か次々と持っている爆竹に火をつけて燃やすを繰り返す。
「爆竹がない妖怪は~おらんかね~?」
 爆竹を箱に入れて売り歩いているのは、先ほどの店の売り子だろうか。火をつけるものがなくなった妖怪が売り子に殺到し、箱からはあっという間に爆竹がなくなった。
 辺りは静まり返ることなどないほど、爆竹の音が響いていて、火薬の匂いと煙が河川敷に充満していく。
「慌てない慌てない。まだまだあるから! たーくさん! 鳴らして行っておくれ!」
 爆竹の音に負けないよう、売り子は声を張り上げたのだった。


 精霊流し……お盆の時期に九州地方で行われる、死者の魂を弔い送る行事。
「その精霊流しは、一部ではお祭りのように行われていてね。爆竹の音で見送るんだ」
 麦茶を一口飲み、芙蓉・藍(妖狐の死霊術士・f25709)は続きを口にする。
「その精霊流しが、幽世のある河川敷で突然開催されてね、周辺に居た妖怪達が引き寄せられているようなんだ」
 魂を弔い、送る行事。妖怪たちにも冥福を祈りたい相手がいるだろう。
 本当にただそれだけならばいいのだが、この祭りの主催者はオブリビオン。それだけで終わるはずがない。
 それが証拠に、彼らは川を流れていく船を爆竹音と共に見送るだけのはずが、ひたすらに爆竹を慣らし続けるという行為を繰り返してしまうらしい。
「この祭り会場には妖怪出なくともたどり着けるから……まずは、彼らの異常行動を止めて欲しい」
 彼らの元に辿り着くには、まずは屋台の誘惑を振り切らねばならない。
 屋台の食べ物はいつでも魅力的に移るが、今回は特に。
 食べたくなる気持ちを抑えて精霊流しの会場に向かい、そこで爆竹に火をつけようとしている妖怪達を止める。
「妖怪達から火をつける道具や爆竹を取り上げるのか、売り子を追い払うのか……やり方は君たちに任せるよ」
 兎にも角にも、妖怪達が爆竹を慣らし続けるという行為を止めさせればそれで成功だ。
 そして妖怪達を助けた後は、元凶をどうにかせねばならない。
「爆竹の音が消えると、オブリビオン化した妖怪たちが出て来るので、それを倒して欲しい」
 まず最初に現れるオブリビオンは川の水が浮いているような形をしているという。
 水の流れのような形をしている『浮き笹舟』は、姿の通り、水に関係するユーベルコードを使って来るらしい。
 そして戦闘場所は河原で遮蔽物は無く見通しもいいのだが、妖怪たちが起こした奇妙な行動のせいで周辺の妖気が一層強烈になっており、猟兵たちの行動を大きく阻害するらしい。
「対処法なんだが……あえて『奇妙な行動』を取ると、影響を受けずに戦えるようだ」
 理由はよくわからないが、と藍も首をひねる。
「もしかしたら、妖怪の仲間だと思われるのかもしれないね?」
 ともかく、爆竹の音が聞こえている間は妖気での阻害がないらしい。
「その川の水のようなオブリビオンたちを倒した後は、ようやくその祭りの主催者が出て来るから、それを倒して欲しい」
 そのオブリビオンは、牛のような立派な角をつけた女性……『星読みの牛姫』。
 彼女は流星群を降らせたり、ものすごいスピードで拳を奮って来たりするようだ。
「妖怪たちが送るものたちが無事浄土に行けるよう、手助けしてあげてほしい」
 よろしくお願いするよ、と藍は猟兵たちに頭を下げた。


元橋りん
 お盆時期ですね。
 昔、長崎に精霊流しを見に行ったことがあるんですけど、耳栓ってすごく偉大なものだったんだなと思いました。
 音がやべぇです。
 では以下詳細。

●第一章
 お祭り会場の屋台の誘惑を振り切り、その先の河原で奇妙な行動をしている妖怪たちを助けます。
 たくさんの妖怪が爆竹を鳴らし続けているので大変煩いです。
 鼓膜が心配。
 手段問わず、妖怪達の奇妙な行動を止めるのが目的です。

●第二章
 集団戦になります。
 敵は『浮き笹舟』です。
 ユーベルコードは詳細を確認してください。
 ここでは、奇妙な行動を取りながら戦うことによって、プレイングボーナスがあります。
 奇妙な行動は取らずとも戦えますが、妖気が体に絡みついて非常に戦いにくくなりますのでご注意ください。

●第三章
 ボス戦です。
 敵は『星読みの牛姫』。
 ユーベルコードは詳細を確認してください。
 ここでも、奇妙な行動をとりながら戦うとプレイングボーナスがあります。
 効果としては第二章と同じものとなります。

●戦闘場所
 夜の河原です。
 遮蔽物はありませんが、下は砂利です。足場はいいとは言えません。
 爆竹以外の光るものはありません。月は出ていますが、辺りは暗いです。川に落ちないように注意してください。

 以上です。
 皆さまのプレイング、お待ちしております。
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第1章 冒険 『燃えろ、燃えろ!』

POW   :    とにかく火を消して回る

SPD   :    次に燃やされる場所を推測する

WIZ   :    犯人の正体を探る

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

箒星・仄々
妖怪さん達が静かに穏やかに
大切な方を送れるよう
お力になりたいです

夜目はききますが
炎の魔力でふわふわと宙に浮く火の玉を生み
灯替わりに

水飴にりんご飴
美味しそうです!
確かに誘惑が一杯です

けれど…お祭りにつきものの
賑やかで幸せな喧噪を感じません
どこか作り物めいていると感じるのは
私だけでしょうか?
笑顔見られず
楽しそうな会話が聞こえてこないのでは
お祭りを楽しもうという気持ちになれません
誘惑には負けませんよ

少々力押しですが…
まずは水の魔力でシャワーを浴びせて消火

竪琴を爪弾き魔力練り上げ
破魔を込めた旋律を奏で
妖怪さん達の心を乱し認識を歪めている呪を解き
精霊流しの本来の目的を
故人を送る想いを思い出してもらいます



 裏路地を抜けた先の河川敷。そこには夏特有の空気が流れていた。
 夏祭りの屋台の呼び込み。色々な食べ物の匂いが混じり合った空気。
 そんな屋台の間を通り抜けながら、箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は違和感を感じていた。
 屋台の水飴やリンゴ飴は確かにこちらを誘惑してくるが、作り物めいたものがある。屋台の呼び込みも楽しんでいる人々も現実味がない。
 呼びかけてくる屋台の人々の声を振り切り河川敷に向かえば、そこではすでに爆竹の音が鳴り響いていた。
 むせ返るような妖気の中、魔力で生み出した火の玉で当たりを照らしつつ仄々は素早く会場を駆けて行く。
 爆竹を鳴らしている妖怪たちの目は焦点があまり合っていなかった。これは言葉をかけても聞き入れてもらえるか怪しいところだ。
(「……少々力押しですが」)
 水の魔力を練り上げた仄々はそれをシャワーのように妖怪たちの手元にかけていく。
 ジュ、と火が消えれば爆竹の音も消える。音が消えれば、仄々の声は届くはず。
 懐から取り出したカッツェンリートを素早く竪琴型に変化させると、弦を爪弾く。
 ポロン、と爆竹音とは違う音が妖怪たちの耳に届いた。
 竪琴の柔らかい音色と仄々の優しい歌声が河川敷に響く。
 破魔を込めた演奏は妖怪たちを蝕んでいた妖気を徐々に取り除いていく。
 焦点が合わなかった妖怪たちの目には少しずつ光が戻り、力が抜けたように座り込む。
「思い出してください。精霊流しの本来の目的を。故人を送る、その想いを」
 仄々の声に妖怪たちの目からはらはらと涙が溢れる。
 きっと彼らは、正しく故人を見送ることができるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

スピーリ・ウルプタス
(アシュエルさんと/f28877)

満面の笑顔で丁寧に挨拶と自己紹介
「お気軽に『スッピー』と呼んでやって下さい」

壮観な屋台前
「これは……なんと心くすぐる誘惑でしょう」
「解決した後にお邪魔出来るでしょうか」
「これが“ハンカチを噛み締める”という胸の痛みですね!」
ふふふっ、と悦に浸りながらアシュレイさんに続き駆け抜ける

河川敷にてUC【蛇締め】発動
特に燃える物(草や生物や笹船置場)を優先して、爆竹投げられる先にて大蛇の尾ではたき落としたり壁になったり。
「ダイ様(蛇の名)にばかり働かせてはいけませんね」
自らも体を張って爆竹受け止めたり
「熱くて痛いですねっ。耳の奥にも激しい刺激です!」
何もかも嬉しそう


アシュエル・ファラン
(スピーリさんと/f29171)
初対面だけど軽く挨拶して一緒に行動。多人数の方が効率いいだろ
スピーリさんに笑顔で「どーぞ、よろしく」
グリモアベースで持てるだけのバケツを用意

屋台…少しくらいは、と思って留まる
並ぶ入り口にて、
「こんな事もあろうかと!財布はグリモアベースに置いてきました!!
無駄遣いは、敵だー!!」
全力で叫んで駆け抜け、誘惑を振り払う!

到着
川岸でUC発動
バケツの数に合わせて戦乙女を重ね
それを持たせ水を汲み
上空から撒いて火を消す
売り子の未使用爆竹にもGO!

ぎゃあ!オッサン焦げてる!焦げてる!!
というか、自分から当たりに行くのガチの変態では!?
慌てて指示し、そちらにも水をぶっかけよう…!



 アシュエル・ファラン(巻き込まれた傍観者・f28877)は、夏祭りに踏み込む前に同じタイミングで移動してきた猟兵と軽く挨拶を交わしていた。
「どーぞ、よろしく」
「お気軽に『スッピー』と呼んでやって下さい」
 スッピーことスピーリ・ウルプタス(ヤドリガミのビーストマスター・f29171)は、丁寧なお辞儀と自ら愛称を提案するお茶目さから、物腰柔らかで洒落のわかる紳士といった雰囲気だ。白髪まじりの焦げ茶色の髪も清潔さがあり、粋なロマンスグレー。
(「着てる服もそれなりみたいだね」)
 良いものを見慣れているアシュエルから見ても彼の服は上品なものだった。
 アシュエルは茶色の癖っ毛を押さえるように帽子を被り直し、持ってきた大量のバケツを持ち直す。
「じゃ、行こっか」
「ええ。バケツを運ぶの、お手伝いいたしますよ」
 山になったバケツを手に、2人は夏祭り会場に足を踏み入れたのだった。

 夏祭りは何故こんなにも魅力的に映るのだろうか。
 明かりをつけた屋台の中、水飴やりんご飴はキラキラと光り、焼きそばや焼き鳥の屋台からはジュウジュウとお腹のすく音と匂い。
「これは……なんと心くすぐる誘惑でしょう」
 キョロキョロと当たりを見回すスピーリ。アシュエルもまた辺りの屋台を見回して「少しくらいなら……」と思い始めるもののそれを振り切るようにブンブンと首をふる。
「こんな事もあろうかと! 財布はグリモアベースに置いてきました!!」
 つまり買い物をしたくてもできない。完璧な作戦である。
「無駄遣いは、敵だー!!」
 走るよ!という彼を、スピーリが追いかける。
「これが“ハンカチを噛み締める”という胸の痛みですね!」
 解決後に立ち寄れるだろかと思いながら、スピーリは人にぶつからないよう気をつけながら走ったのだった。

 精霊流しの会場にたどり着いたアシュエルはユーベルコードで戦乙女を呼び出して、バケツを持たせる。このバケツで川の水を汲み上空から撒いて火を消すのがアシュエルの作戦だ。
「行こう、マイレディー」
 戦乙女に指示を出しつつアシュエル自身もバケツをもち妖怪たちの元へと走り、消火活動を開始する。
 その背を見送ったスピーリは別の方法で妖怪たちの行動を止めていた。
 ユーベルコードで召喚した黒い大蛇が長い尾を使って爆ぜている爆竹を叩き落し、時には壁となり火を消していく。
「ダイ様にばかり働かせてはいけませんね」
 自分もまた妖怪たちを助けに来たのだ。
 導火線に火がついた爆竹が今まさに地面に投げられようとした瞬間、スピーリはそこへダッシュする。
 爆竹はスピーリの体に当たり火花と爆音を撒き散らした。
 バチバチと肌を焼く火薬、破裂音は耳だけでなく脳にまでも衝撃を与えていく。
「熱くて痛いですねっ。耳の奥にも激しい刺激です!」
 ぎゅう、と焼ける己の身を抱きしめているスピーリを見て驚いたのはアシュエル。
「ぎゃあ! オッサン焦げてる! 焦げてる!!」
 慌てて戦乙女に水を持ってくるように指示するが、その間にも彼は別の爆竹に自ら当たりに行っている。
「というか、自分から当たりに行くのガチの変態では!?」
 アシュエルの言葉は最もだと思うが、スピーリは気にした様子はなくむしろ恍惚とした表情を浮かべ燃えて悶えている。
「えぇい、消火ー!!」
 もしかして消さない方が親切なのだろうかとも思いつつ、アシュエルはスピーリに思い切り水をぶっかけたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『浮き笹舟』

POW   :    月宵の抱擁
自身からレベルm半径内の無機物を【月光を纏う水流】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
SPD   :    波渡りの嘆き
全身を【揺水の羽衣】で覆い、共に戦う仲間全員が敵から受けた【攻撃】の合計に比例し、自身の攻撃回数を増加する。
WIZ   :    笹揺れの爪先
攻撃が命中した対象に【水に似た性質を持つ月光の輪】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【動きを阻むように絡み付く水流と紛れた光刃】による追加攻撃を与え続ける。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 爆竹の音が辺りから消えると、むせ返るような妖気が猟兵たちを包み込む。
 まるで深い海の底に沈んでいるような、そんな動きにくさ。
 そんな妖気の中に、ゆらゆらと揺れるように、揺蕩うように、それは浮いていた。
 鈍い月の光、少し離れている祭りの明かり。
 それらを内包した浮き笹舟は、小さな水音と共に猟兵たちに襲い掛かったのだった。
箒星・仄々
骸魂さん達は弔いの想いに魅かれて
やってこられたのでしょうか

幽世に辿り着けず
大切な方々との別離のご無念は如何ほどか

倒すことで海へお還しし
憑かれている妖怪さんをお助けしましょう

炎の魔力で火玉を灯に

奇妙な行動
武器やUC名を歌ったり
大げさな動きでミュージカル風に戦います

剣に属性魔力を宿し攻撃

炎の魔力を込めた刃は
陽の力で月光を避け

水の魔力を付与すれば
断てない水流も断ちます

刃の緋と蒼の輝き
火球の鬼灯のような灯が
月夜の闇に残像を残しつつ
笹船さん方を倒していきます

是も試してみましょうか

風の魔力で音を操作
爆竹の音を繰り返し再生

これで妖気が弱まれば
一気呵成に仕掛けます

事後に骸魂さん方の安らかを願い
鎮魂の調



 河川敷の石が水に変化し、箒星・仄々に襲いかかる。
 重苦しい空気の中でそれらを避けながら、仄々は反撃の機会を窺っていた。
(「骸魂さん達は弔いの想いに魅かれてやってこられたのでしょうか」)
 骸魂は元は妖怪。それもこの幽世に辿り着けずに亡くなった者たち。
 もしかしたら、先ほど精霊送りをしていた妖怪たちに縁があるのかもしれない。
(「大切な方々との別離のご無念は如何ほどか……」)
 骸魂を慰める術はただ一つ。彼らを倒すこと。
 仄々はカッツェンナーゲルに炎の魔力を込め、浮き笹舟に斬りかかる。
 じゅ、と音がして、触れた部分から水が蒸発していく中、その流れの一筋が仄々の腕に絡みついて締め付けた。
 振り解こうとしている仄々に月の輪が混じる水流が近づくが、炎の魔力を込めた刃でいなし、水の魔力を纏わせ直した刃で腕に巻きついている水流を切る。
 パシャ、と水が跳ねて切り落とした部分が地面に落ちる。
 明かり用の火球がゆらゆらと揺れる中、仄々はふっと一つ息を吐き出した。
「……是も、試してみましょうか」
 そう呟いて風の魔力を操る。
 パンパン、パン、と聞こえ始めたのは爆竹の音。
 その音が辺りに響き渡れば、まとわりついていた妖気が一気に薄まる。このチャンスを逃す手はない。
 浮き笹舟がその身を大きく広げた所に仄々は迷わず飛び込んで、水の魔力を込めた刃を一線。
「これで終演といたしましょう」
 上下に分かれた水は浮く力をなくし河川敷に染みていく。ただの水に戻ってしまえば、浮き笹舟は跡形もなく消えてしまう。
 いつの日か安らかに眠れるよう、仄々は骸魂のために音を奏でたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アラン・スミシー(サポート)
基本突然現れて仕事を終えたら去っていく人物です。

基本的に【乱戦】か【銃撃戦】での援護がメインとなります。
他の猟兵の手の足りない所に現れては銃で攻撃し、気を引いたり足止めをしたり敵の頭数を減らしたりします。

説得や交渉等が必要ならなんか良い感じの言葉を言います。
例:君の正義は分かった。しかしその正義は君を救ったかい?

ユーベルコードのセリフを参照し、MSの言って欲しい都合の良い言葉をアレンジしてやってください。
大体無意味に格好いいこと言ってます、割と適当に。

状況次第では不意打ちとかもするかもしれません。適当にお使い下さい。



 暗闇の中に浮く水の塊……浮き笹舟を前に、アラン・スミシー(パッセンジャー・f23395)はソードオフ・ショットガンを構えた。
 体に絡みつく濃い妖気が動きを阻害するが、それを気にしてはいられない。
 妖怪たちを助けるためには目の前の敵を倒すしかないのだ。
 迫ってきた水をスレスレのところで避け、カウンターで弾を打ち込む。
「さて、こちらからも行かせてもらおうかね」
 ユーベルコードで零距離射撃の能力を上げ、アランは一気に敵との距離を詰めた。
 流れる水流の中に1発。弾丸の分溢れた水が体に迫る。
 絡みつきそうになる水流をナイフを一閃させて断ち切った。
 そして背中に迫っていた別の浮き笹船を振り返りもせず、アランは脇の下からピースメーカーを撃ち放つ。
 ビシャビシャとただの水に還ったそれを避け、仲間を攻撃しそうになっている的にタイプライターを向けた。
 タタタタ、という軽い音と弾丸で浮き笹船を牽制し、仲間の元へと走る。
「背後は心配しなくていい。まだいけるかい?」
 アランの言葉に猟兵は小さく頷き、再び目の前の敵へと向かっていく。
 その背中を眺めながら、アランもまた銃を手に走り出したのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

レイカ・ヴァンスタイン(サポート)
『はろはろ、けが人居ませんか~?ちりょうしますの~』
 フェアリーの聖者×プリンセス、7歳の女です。

戦闘は苦手で援護や救助、支援など中心です。
武器は人間大の人形(銃火器持)ですので、運搬作業も可能です。
普段は悪戯(許せる範囲)で遊ぶ。

普段の口調は「マイペース(ウチ、相手の名前+ちゃん、なの、なの?)」
苦しい時は「愛想笑い(ウチ、相手の名前+ちゃん、なの、なの?)」です。

・ユーベルコードは必要に応じて、多少の怪我は厭わず積極的に行動(支援中心)します。
・他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
・あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 パタパタと半透明の羽を羽ばたかせながらレイカ・ヴァンスタイン(銀光精・f00419)は猟兵たちの治療にあたっていた。
「むりをしたらダメなのですの、ウチがしっかり癒しますの」
 そんなレイカの手伝いをしているのは和装人形「翠」と和装人形「縁」。翠が救護を、縁が治癒の手助けをしてくれる。
 その2人を操りながら、レイカはまた別の猟兵の元へと急ぐ。
 ざぶざぶと流れる浮き笹船の攻撃を受ければ、体の小さいレイカは水流に巻き込まれてしまうのは確実。
 それを防ぐため、レイカは和装人形「籐黄」を呼び出した。
 籐黄はこちらに飛んでくる攻撃をその身で受け、敵からレイカの姿を見えないように動いていく。
 治療に専念したいというレイカの意思を汲み取ってくれたらしい猟兵が、向かってきた浮き笹船を相手取ってくれたので、その間に怪我をした猟兵の傷を癒し、また移動を開始した。
 治療をするたびにレイカ自身は疲弊していくので、今も少し疲れてはいるが弱っているなど微塵も感じさせずに、レイカは笑顔で飛んでいく。
「はろはろ、けが人居ませんか~? ちりょうしますの~」
 レイカの問いに近くの猟兵が手を上げたのを見つけ、そちらへと駆け寄る。
「がんばるですの〜」
 猟兵と、それから自分自身に言い聞かせるように、レイカは明るく声を出したのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

西院鬼・織久(サポート)
【行動】
オブリビオン狩が最優先で救出行為は二の次
通常「俺」、戦闘中「我等」、あなた、苗字+さん

五感と第六感、野生の勘で状況を把握し危険を察知
罠や逃走する敵の追跡などは戦闘知識の応用で考え対処する

多種多様な武器に変形する「闇器」で場面に応じて武器を変える
武器には「呪詛+武器改造」により「生命力吸収」の効果

機動力と攻撃力に任せての先制攻撃を仕掛け、狭い場所でも縦横無尽に動き回り死角から攻撃
殺気を抑え暗殺を行う事もできるが、大抵は特攻紛いの戦闘を行う
集団にはUCやなぎ払いを範囲攻撃に広げるか、単体を夜砥やUCで拘束して振り回して周囲をなぎ払うなどで牽制。対処が遅れた所を狙って追撃を仕掛ける



 ふ、と短い息を吐き、西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)は浮駆けていく。
 充満している妖気で体の動きは鈍くなっているが、織久はそれに構うことなく敵に向かう。
 敵を倒すことこそ織久の望み。もしかしたら、今から狩るものが探し求めていた敵かもしれない。
 水の塊が浮いているという表現そのままの浮き笹船はどこを攻撃すべきか悩むところではあるが、攻撃を加えないことには倒せない。
 浮き笹船を相手に織久が選んだ暗器は『夜砥』。夜闇の中で細い鋼糸は敵からは見え辛い。相手に悟らせる間もなく鋼糸を張り巡らせ、織久は周りの水ごと、中心にある笹船を細かく切り刻む。
「……次」
 ただの水へと戻るそれを視界の隅に捉えながら、織久は次の標的へと向かった。
 今まさに別の猟兵に襲い掛かろうとしていた浮き笹船を背後から闇焔で狩りとり、遠心力を利用して舞うようにさらに別の敵へと斬りかかる。
 赤い瞳を見開き、斬、斬、と武器を振るうたびに滴が飛び、その滴に月光が淡く反射した。
「我等の敵ではなかったが……まぁいい。全て、狩る」
 ぽそりと呟いた織久は、暗器を手に再び走り出す。
 夜に溶けそうな黒髪が織久の後を流れて行った。

成功 🔵​🔵​🔴​

ステラ・クロセ(サポート)
真紅の瞳。燃える炎。あふれる勇気。直情正義、元気全開、単純明快!
正しい心で悪しきを討ち、そして弱き者を救い、その盾とならん、我こそは義侠のスーパーセル!
スーパー純粋熱血、ハイパーテンプレ系ヒロイン、それがステラです。

一人称は「アタシ」ですが殆どの猟兵は先輩に相当するので話すときは「わたし、あなた」といった礼儀正しい振舞いとなります。
探索系はストレートな解決法を選び、
戦闘では正々堂々と敵の正面に立って攻撃を引き受け味方にチャンスを作る方が好みです。なお、近接戦闘派です。
ユーベルコードは状況に応じて使い分けます。
正義を大事にするので、他の猟兵の意図を阻害したり公序良俗に反する行動はしません。



 浮き笹船たちの攻撃を、ステラ・クロセ(星の光は紅焔となる・f12371)は一身に請け負っていた。
 ユーベルコードで強化したステラの身体はどんな攻撃も受け付けない。
 難点としては一切動けないという所か。まとわりつく妖気も相まって、少しだけ息苦しい。
 じっと立ち尽くしたまま、ステラは浮き笹船たちの攻撃が止むのを待ち、そして隙をついてユーベルコードを解除すると反撃に打って出る。
「次はアタシの番だね!」
 ステラは素早く新焔・関勝大刀を抜き放つと、手近な敵から次々に斬り付けていった。
 動きを封じようとする水流を避け、身体にまとわりつく妖気を振り払うように大きく体を動かす。
 両手にそれぞれ愛用の武器を持ち、ぐるりと一回転。
 笹舟を切られた敵はただの水に戻り、河川敷を濡らした。
 ステラを取り囲んでいた敵がいなくなればようやく周りが見渡せた。
 周りでは、同じように浮き笹船に囲まれている猟兵たち。
「わっ、大変! アタシがすぐ助けるから!」
 正しい心で悪しきを討ち、そして弱き者を救い、その盾となる。
 それがステラの狭義であり、正義。
 ピンチになっている猟兵のもとへ、ステラは迷わず駆けて行ったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

日留部・由穏(サポート)
こんにちは、日留部・由穏と申します
一応これでも、太陽神の生まれです
人間達の生活はいつまでも見飽きないものですし、未来は明るくあるべきと考えています
人間同士の諍いならともあれ、過去の影に曇らされるなら私が手を出さない道理はありません
特に、各地の卑劣な神々には思う所がありますね

戦闘技術は神ならではの超視力と暗視能力・催眠術、UDC組織で身に着けた光線銃での銃撃戦ですね
催眠術は情報の聞き出しにも戦闘時の敵の誘導にも使えますので、結構便利なのですよ
技術は遠距離戦に寄りがちですが、負傷が嫌な訳ではありません
何があろうと人の未来を照らし続けることが、私の存在意義なのですから



 太陽とは対になる月の下を、日留部・由穏(暁天緋転・f16866)は静かに眺めていた。
 目の前にいるのは人間とはまた別の、妖怪と呼ばれる者たち。彼らは人間ではなく、かと言って神でもない。
 しかし、亡くした親しい者を弔おうという気持ちは人間と同じ。
 そんな彼らの危機を放置など出来はしなかった。
「さて……行きましょうか」
 ふわりと浮かせた折り鶴。それもまた、祈りの象徴として使われる物。
 月明かりしかない中でも由穏の目は敵の姿を捉え、折り鶴を操り攻撃をしていく。
 身体にまとわりつく濃い妖気は鬱陶しいが、遠距離の攻撃ならば関係ない。
 少しずつ敵の数を減らし、猟兵たちと、それからオブリビオン化した骸魂を救っていく。
「未来を照らし続けるのが、私の存在意義ですから」
 太陽神として、彼らの未来が明るい物であるように手を差し伸べる。
 由穏を脅威とみなしたらしい浮き笹船たちが近づくが、由穏はただ静かに笑みを浮かべた。
「31.6度の白日より、去り逝く貴方に餞を」
 コウ、と白い炎が浮き笹船を包み込み……後には何も、残らない。
 浮いていた水も、笹舟も、何もかもが無になって消えていた。
「次、お会いできたら……その時は話を聞かせてくださいね」

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『星読みの牛姫』

POW   :    輝星は瞬き、拳撃が翻り、過去を再現す
【流星に匹敵する速度と衝撃力を秘めた拳撃】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    星海は拓き、天上へ誘い、現在を侵略す
【追尾能力を備えた流星群】を降らせる事で、戦場全体が【宇宙空間】と同じ環境に変化する。[宇宙空間]に適応した者の行動成功率が上昇する。
WIZ   :    星々は巡り、予言を結び、未来に固定す
【体内を巡る星々の動きを読み取る】時間に応じて、攻撃や推理を含めた「次の行動」の成功率を上昇させる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ルゥナ・ユシュトリーチナです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 浮き笹船たちがただの水に還る。
 月光を受けて光る雫たちは幻想的ではあったが、辺りに充満する妖気はまだ濃いまま。
 その妖気をものともせず漂ってきたのは大きな角を持つオブリビオン……星読みの牛姫。
 取り巻く妖気を愛おしそうに撫でながら猟兵たちの前に歩み出ると、予言をするために口を開いた。
創律・煉(サポート)
・種族:神
・実年齢不明
外見年齢20代後半~30代男性

・剣豪×スピリットヒーロー 

・普段「つかみどころがない(俺、お前、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?)」
・怒った時「静かなる怒り(我、呼び捨て、~である、だ、~であろう、~であるか?)」

UCは指定した物を状況に応じて使用。
公序良俗に反する行動は行わない。
 
・どっかの古の凄い偉い神(創造など司る善神で見守り導くタイプ)。
普段から気ままに人に紛れ暮らしている。

・普段は温厚で注意や警告迄で済ませ、滅多に怒らない。
ただ怒ると静かに怒り物凄く恐く、彼の限度を越え怒らすと本気でヤバい。



 創律・煉(大賢は愚なるが如し・f16505)は善神だ。
 予言的に忠告することはあれど災いをもたらすことはない。
 今目の前にいる敵は、予言をすれども神ではない。妖怪たちに災いをもたらすモノ。
 何でもかんでも神を頼るのはいただけないが、これは神であり、猟兵でもある煉が手を出すべき案件だと把握した。
 牛姫は祭りを利用し妖気を集め、妖怪達の思考を奪っている。
 泥のように身体にまとわりつく妖気が煩わしい。
「やりすぎだな」
 肩に止まっていた白烏が離れた瞬間、煉は无斬皇を手に走り出していた。
 牛姫に召喚された流星群を打ち払いながら接敵し无斬皇を一閃させるが、それは行動を読んでいたらしい牛姫に避けられる。だが。
「甘い」
 肩から離れていた白烏が頭上から牛姫を襲う。
 その攻撃は読み切れなかったらしい彼女は体勢を崩した。
 その隙を逃さず、振り下ろしていた无斬皇を逆手に持ち替え、下から上へと斬り上げる。
「──!」
 牛姫が甲高い悲鳴を上げつつ、拳を奮う。
 避けきれずに拳が腹を掠め、その衝撃に思わず呻く。
 追撃をしようとした牛姫の視界を白烏が塞いでいる間にさっと距離を取った。
「一筋縄じゃいかないようだな」
 ふっと息を吐き、煉は再び无斬皇を構えたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

トレイシー・ライト(サポート)
「……また事件、か。さて、どうしたものかな」
 あまり積極的に解決に意気込みを見せず、「なんとなく気になった」という理由で首を突っ込みに現れます。
 冷めた性格ですが、比較的真面目で正攻法を好みます。他の猟兵に迷惑をかけること、飲酒喫煙・公序良俗に反することはしません。
 戦闘においては、基本的には魔法を用いて遠隔攻撃を行います。前衛がおらず距離を詰められるなど、やむを得ない場合は、ドラゴンランス【ポレドラ】等を用いて接近戦も行います。
「たとえ事情があったとしても、あんたがオブリビオンである以上、倒さなきゃいけないんだよね」
「さて、俺の仕事は終わりだな」



 月明かりの下、トレイシー・ライト(スターシーカー・f05807)は少しずれてきた眼鏡をかけ直す。
 ピントの合った視界に映るのは青白い肌のオブリビオン……『星読みの牛姫』。
「たとえ事情があったとしても、あんたがオブリビオンである以上、倒さなきゃいけないんだよね」
 そう告げたものの身体にまとわりつく妖気は身体の動きを鈍くして、歩くのも中々に億劫だ。
 トレイシーが得意とするのは魔法を用いての遠隔攻撃。自身の身体に影響があろとうとも魔法を使うのに支障はない。
「来たれ、疾走れ、喰らえ……カゲオオカミ!」
 夜の闇に紛れるように走るそれと五感を共有し、牛姫の左腕に噛みつく。
 骨をかみ砕こうとしたところで逆の拳が目前まで迫っていることを知り飛び退く。
 ブン、という風切り音にその威力のほどを思い知り少し距離を開けば、次にやってきたのは流星群。
 宇宙空間と同じ条件になった場所に影狼は対応できず、星が影狼の胴体を貫いた。
「ぐっ……!」
 影狼が消え、痛みがトレイシーの身体にも影響を与える。
 牛姫を見れば彼女の左腕はもう使い物にならないのか、ダラリと垂れ下がっているだけ。
 ダメージがあるのはお互い様。
 ジクジクとした痛みを無視し、トレイシーは榛の木の杖を軽く振ったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

レイン・ファリエル(サポート)
『さぁ、貴方の本気を見せて下さい』
 人間のサイキッカー×ダークヒーロー、15歳の女です。
 普段の口調は「クールで丁寧(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、機嫌が悪いと「無口(私、アナタ、ね、よ、なの、かしら?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は落ち着いてクールな感じのミステリアスな少女です。
人と話すのも好きなので、様々なアドリブ会話描写も歓迎です。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 庶民の祭り……特に先ほど通ってきた祭り会場は、レイン・ファリエル(クールビューティー・f17014)は興味深い場所だった。
 帰りに屋台というものに立ち寄ってみたいと考えたものの、目の前に居る敵……『星読みの牛姫』を倒さなければ幽世の妖怪達は助からない。
 二兎を追う者は一兎をも得ず。
「難しいですね」
 どちらが大事かと言えば、妖怪たちの命。
 そう判断したレインは、牛姫に向き直る。
 河川敷に渦巻く妖気に、これは祭りどころではないと再度気を引き締め、そしてユーベルコードを解き放った。
「逃げ場などありませんよ、これで切り裂かれなさい」
 スカートを指先で摘まみ、一度だけばさりと振る。
 その瞬間飛び出していったのは数多の暗器。暗器は真っ直ぐに牛姫に飛んでいき、青白い肌に傷を付けていく。
 そのお返しとばかりに牛姫は流星群を呼び寄せる。
「っ!」
 宇宙空間の中、数多の星がレインに向かって降り注ぐ。
 頭や胸に降り注いだ星はブラッククロスが防いだものの、手足には幾つもの打撲の痕。
「……そんなものですか?」
 痛みはもちろんあるが致命傷には程遠い。
「さぁ、貴方の本気を見せて下さい」
 そう告げ、レインは牛姫に向かい挑戦的に微笑んだのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

伊坂・和良(サポート)
伊坂和良の主人格には戦闘能力が無いので主人格での戦闘は行わないのでござる。
アイテム【多種多様の面】を付ける事で別人格を呼び起こし戦闘できるのでござる。
使用ユーベルコードは着けている面に対応しているので秘密の設定に(○○面装着時)と書いているのでお手数ですが見て頂けたら嬉しいでござる。
口調は主人格(わし、お前さん、ござる、ござろう、〜でござろう?)
天狗面(わし、お主、じゃ、のう、じゃろう、じゃろうか?)
ひょっとこ面(おいら、お前さん、だ、だべ、だべさ、だべ?)です。



 『星読みの牛姫』を前に、伊坂・和良(面の力を借りるオッサン猟兵・f22018)は素早く面を取り出した。
 幾つもの面を使い分けている和良だが、今回取り出したのは天狗の面。和良自身に戦う力はなく、毎回こうして彼らの力を借りる。
「頼むでござるよ」
 そう告げて天狗面を顔に付ける。天狗面の和良はパンと手を叩くとユーベルコードを発動させた。
「よし、集まれお前達!!」
 ぶわりと吹いた風の中から現れた下僕たちは和良の指示の元、牛姫に向かって走り出した。
 牛姫の呼び出した流星群が降り注ぎ、何体かの下僕たちは消えていく。
 しかし全部が消えたわけではなく、残った下僕たちは牛姫の元に辿り着き動きを封じていく。
 下僕が全員消える前にと、和良は手にしたなぎなたで牛姫に斬りかかっていた。
 頭から下まで一直線に斬るつもりだったそれは、牛姫が体をねじったため肩から胸を斬りつける。
 致命傷というには随分浅いそれに再度なぎなたを構えるが、それよりも下僕が全て消える方が早かった。
 攻撃を喰らう前に手裏剣を投げて一度距離を取り、再び下僕を召喚するとあちらもまた流星群を召喚していた。
「面白い! 根競べじゃ!」
 和良はカカと笑い、牛姫に向かって走り出したのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

火土金水・明
「この方が今回の事件の元凶ですか、こちらも全力で迎え撃ちましょう。」「もちろん、取り込まれた方も助け出します。」「予言ですか。例え悪い事を言われても、周りの方達と力を合わせて良いことに変えるだけです。」
【POW】で攻撃です。
攻撃は、【先制攻撃】で【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【銀色の疾風】で、『星読みの牛姫』を【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【見切り】【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでも骸魂にダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。


箒星・仄々
牛姫さんも弔いの想いに呼ばれたのでしょうか

幽世に辿り着けず
大切な方との別離はさぞお辛いでしょう

倒すことで海へお還しし
憑かれている妖怪さんをお助けしましょう

奇妙な行動
今度は宇宙にいるような動きにくさでしょうか?
魔法で創造したレトロな宇宙服を着用して戦います

引き続き
風の魔力で爆竹の音を繰り返し再生
妖気を祓えるか試みます

炎の魔力で火玉の灯も忘れずに

風の魔力の高速機動で回避

風の翠
炎の朱
水の蒼

三色の矢が花火の如く
牛姫さんの体の星空を彩りながら
還します

終幕
骸魂さんや
精霊流しで弔われる方々へ
鎮魂の調

もし爆竹の売り子さんがいたら
事情もお尋ねしてみます
牛姫さんの元になった骸魂さんの
縁者や恋人さんなのでしょうか?



「この方が今回の事件の元凶ですか、こちらも全力で迎え撃ちましょう」
 むせ返るような妖気の中、火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)は言葉と共に星読みの牛姫に銀の剣を振り下ろしていた。
 先制攻撃として繰り出した剣を牛姫は軽々と避けていく。
「予言ですか。例え悪い事を言われても、周りの方達と力を合わせて良いことに変えるだけです」
 明の声に答えたのは仄々。
「その通りです。お任せください」
 そう告げた仄々は火球で光源を確保すると、風の魔力を操った。
 仄々が操る風が爆竹の音を繰り返し始めると明の体は軽くなる。
 爆竹のおとで妖気が薄くなるのはどういう原理かわからないが、爆竹の音は元々見送りのための音。
 骸魂は、元は幽世に辿り着けなかった妖怪達。その骸魂も、本当ならば彼岸に行きたかったのかもしれない。だからこの音に反応するのだろうか。
 だがオブリビオンとなった以上、この音だけでは彼岸へ辿り着くことは難しい。
「倒すことで海へお還しし、憑かれている妖怪さんをお助けしましょう」
「ええ、もちろんです」
 仄々もだが、明も、妖怪達を救うことを望んでいた。
 明が手にもつ銀の剣には骸魂だけを払う力を付与してある。
 2人には、助けないという選択肢はなかった。
 爆竹の音が鳴り響く中、牛姫は2人に向かって攻撃を仕掛けてきていた。
 降り注ぐ流星群を明は残像とオーラ防御を使い分けて防ぎ、宇宙服を着て対策をしていた仄々は風の魔力を用いての高速移動で避けていく。
「残念、それは残像です」
 明はその流星群を回避しながら宇宙空間を泳ぐ。
 無重力の中で器用に星を避け、牛姫に接敵すると剣を振るった。
「はっ!」
 気合と共に振るった一撃は避けられるが、その瞬間色とりどりの魔力の矢が降り注ぎ、そのうちの朱色の矢の一本が牛姫の肩に突き刺さった。
「今です!」
 仄々の声に明は行動で応えていた。
 先ほどよりも一歩、さらに踏み込んで、横薙ぎに斬りかかる。
 ズン、と重い感触を振り切れば、牛姫は苦痛に顔を歪めた。
 牛姫の体には剣で付けられた傷跡はない。確実に骸魂へのダメージとなったのだろう。
 苦しげにこちらを睨んでくる牛姫に、明は微笑みかける。
「終わりにしましょう?」
 その言葉に牛姫が頷くはずもなく、拳を振り上げた。
 本当ならば重く鋭かったであろう拳は、軽く避けられるほどにスピードが落ちていて、体力の限界が間近なのだと悟る。
 仄々の生み出した魔力の矢が花火の如く夜空に打ち上がり、牛姫目がけて落ちてくる。
 降り注ぐのは風の翠、炎の朱、水の蒼。
 いくつもの矢に体を貫かれ、逃げ場を失くされた彼女の胸に、明は銀の剣を突き立てたのだった。

 さわさわと、水の流れる音が聞こえる。
 河川敷に渦巻いていた妖気は消え、妖怪達は全員正気を取り戻したようだった。
「……屋台、消えてしまいましたね」
 明の声に振り返れば、通ってきた道は宵闇が落ちていた。
「売り子さんには聞きたいことがあったのですが……」
 突如現れた祭りだと言っていたので、祭りすらも骸魂が作り上げたものだったのだろう。
 ポロンと、仄々はカッツェンリートを爪弾く。
 曲名は知らないが曲調から鎮魂の調だということは明にもわかり、静かに黙祷を捧げる。
 ハープの音に見送られながら、蝋燭の光は川を下っていったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年09月09日


挿絵イラスト