迷宮災厄戦⑨〜嫉妬の灰被りを看取れ、考える自分を以って
「まだまだまだ!!戦争攻略は前進していくわよ!!」
と、戦争中のグリモアベースに響く快活な声。金の縦ロールを靡かせながら令嬢猟兵シャルロット・シフファートは作戦概要を報告する。
「この時間凍結城は文字通り「時」が「凍っている」世界なのよ。肉体の動きは勿論、ユーベルコードの発動速度や展開速度などの「行動速度」が一つを除いて等しく10分の1に遅延している恐るべき場所よ」
これはおそらく、この場所を司る猟書家『ブックドミネーター』のユーベルコードの影響で間違いないだろう。
「……凄まじいユーベルコードね。「時」を「停止」させるのではなく「凍結」させるという性質から一部のグリモア猟兵の間では他にも能力の応用があるのではと言われているわ」
だが、万能に等しくとも万能そのもののユーベルコードは存在しない。
「この時間凍結城で唯一通常通りの速度を保つ存在……「思考速度」は通常通り、これは周囲の10分の1にまで遅延した世界を注意深く見渡し、通常通りの思考速度による長考を上手く活用できるようにすればこちらが有利になるわ」
そして座しているオウガは『『七罪』嫉妬のシンデレラ』、シンデレラの伝承に由来するユーベルコードを所有する強敵だ。
「けれど、不可能じゃ決してないわ。「考える自分」を持つアンタ達ならね」
と、グリモアを輝かせて転移を行う。
「ああ、こんな凍り付いた城がわたしの……」
と、転移した直後に感じたのは冷気と遅延感。そして強烈な嫉妬。
「羨ましい……羨ましい……」
さぁ、羨望に狂った灰被りを看取れ、「考える自分」を以って。
黒代朝希
時を「止める」のではなく「凍結させる」って凄くロマンがあるうえに汎用性が高いよねとなりました。
プレイングボーナス……思考時間を活かし、戦略的に戦う。
「考える自分」を常に持って行動するプレイングを推奨しています。
第1章 ボス戦
『『七罪』嫉妬のシンデレラ』
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POW : シンデレラ・ストーリー(シンデレラの物語)
【理想とする美しさと強さを備えたプリンセス】に変身し、武器「【全てを破壊し、全てを防ぐガラスの靴】」の威力増強と、【無敵の美しさと魔法の加護を得る魔法ドレス】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
SPD : 戦略級空中機動要塞・パンプキンフォートレス
自身が操縦する【超重火力のカボチャ型空中機動要塞】の【45cmカノン砲、多連装ミサイルの威力】と【対物理・魔法装甲及び対電子プロテクト】を増強する。
WIZ : 常時発動型UC『恵まれし者達への嫉妬』
【嫉妬の闇の魔力を纏った自身の肉体や武器】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、嫉妬の闇の魔力を纏った自身の肉体や武器から何度でも発動できる。
イラスト:ミタビツカサ
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「フレミア・レイブラッド」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
備傘・剱
思考のみが高速回転するって考えてみれば問題ない空間か
やってみる価値はあるな
まずは、衝撃波と、呪殺弾を放出して、相手の行動を観察する
避けるか、防ぐか、それとも、無視して攻撃してくるか…
相手の行動が解れば、次は、自分をどう動かせば、敵に接近できるのかを模索する
飛翔能力を得て、行動するのであれば、誘導弾を放ち、相手の移動経路をふさぎつつ接近
要塞を使って迎撃するのであれば、オーラ防御と念動力で攻撃をそらし、空中移動で接近
そして、黒魔弾発動して、相手にワザと受け止めさせる
自分のUCだから、弱点も知り尽くしてるからな
使ってきた所に誘導弾と呪殺弾と衝撃波での集中攻撃を食らわせてやる
相手の思考を限界までよめ!
グルクトゥラ・ウォータンク
【アドリブ共闘歓迎】
時が凍るとか何それ怖い。たまにおるよね概念的な攻撃してくる敵。いやー普通の猟兵のわしとしては非常に怖いです。はい。
まぁ時間が凍ろうがSNSが炎上しようがやることは大して変わらん。ユーベルコード発動、攻性電脳妖精多重召喚!5000を超え高速で飛び回る電脳妖精を操り、包囲殲滅といこうかの。
思考が普段の10倍みたいなもんじゃし、いつもより操作は楽じゃな。いつもは電脳妖精任せじゃが、たまには丁寧に連携させてみるかの!
「思考のみが高速回転するって考えてみれば問題ない空間か。なるほど、やってみる価値はあるな」
と、褐色の肌に軍服の衣装をあしらえたインディアン装束を着た青年、備傘・剱(絶路・f01759)は転移直前にそう呟いた。
「ハッハッハ、確かにそう言えば対処の仕様があるのう。この先に待ち構えているブックドミネーターにも通ずるだろうしな!!」
と、豪快な爆笑と共に背こそ低いが屈強な肉体を兼ね備えたつなぎを着たドワーフの壮年。グルクトゥラ・ウォータンク(サイバー×スチーム×ファンタジー・f07586)が備傘に笑いながら語り掛ける。
「そうだな、これはブックドミネーターとの戦闘にも少なからず影響を与えるだろう」
「応とも!ただ……」
「……なんだ?」
と、深刻な表情を浮かべるグルクトゥラに備傘は眉を顰める。
歴戦のドワーフの口から語られた懸念事項とは――。
「時が凍るとか何それ怖い。たまにおるよね概念的な攻撃してくる敵。いやー普通の猟兵のわしとしては非常に怖いです。はい」
「……急に口調と態度を変えたな。まぁ無理もないか…」
そう、この戦場は「時間」が「凍結」してるのである。
凍結というエネルギーにまつわる現象で時と言う系が異なる物理現象に影響を及ぼしているのだ。この所業を行っているブックドミネーターがどれだけの力を持っているかはそれこそこの現象以上の異界法則を行使するのは間違いないだろう。
「……だが、それはこの戦場にいる「シンデレラ」を斃してからまず考えるべきだろう」
「おお、まあな!!それじゃあぶっ飛ばしに行くかぁ!!」
と、その言葉と同時に二人が立って居た位置に強烈な打撃が撃ち込まれ、地面に陥没が出来ると同時に行動時間遅延――10分の1に思考速度以外は引き延ばされる空間が冷気と共に展開された。
「(おお!?本当に頭の考える速度以外はゆっくりとしか動かん!!)」
「(そうだな、しかしこれは長考がふんだんに取れるという事である)」
と、ゆっくりと地面に出来たクレーターからゆっくりとだが二人にガラスの靴を履いた蹴撃を見舞おうとする黒い衣装に光の無い淀んだ瞳の少女が突撃してくる。
「(例のシンデレラか)」
「(綺麗なのにもったいないのう)」
と、此方の猟兵二人もただやられるだけではない。反撃の準備をとっくに済ませてユーベルコードを起動させ、嫉妬に濡れた灰被りを看取るべく行動を開始した。
「(『黒魔弾(ルイン)』!!)」
「(『攻性電脳妖精多重召喚(コウセイデンノウヨウセイタジュウショウカン)』!!)」
備傘の対処方法は「相手の思考を限界まで読む」というシンプルなものである。
「(……俺のユーベルコードも、シンデレラに『無事』模写させたな)」
そう、この嫉妬のシンデレラは相手のユーベルコードを複写するユーベルコードを有している。当然だが無策に複写させたら相手が自分のユーベルコードを使われ窮地に陥る――はずだが。
「(扱って分かったようだな。そのユーベルコードの本来の所持者は俺だ)」
そう、ユーベルコードの本来の持ち主は今さっき複写した物を扱う者より自分のユーベルコードがどのような性質を有しているか把握している。
――それは、つまり。
「(お前が複写した俺のユーベルコードは、俺自身がよく『弱点』を知っているという事だ)」
それが備傘が考えた作戦。更にこのふんだんにある思考時間で相手が他にどのような行動をとるかを計算している。
「(……さぁ、次はどんな行動をとる?どんな行動でもおれは見ぬいて上を行くがな)」
「まぁ時間が凍ろうがSNSが炎上しようがやることは大して変わらんわなぁ」
と、まずグルクトゥラの義腕であるガジェットアームズと魔改造済み大型蒸気ガトリングガン『バレットドネーター』を装備する。そして電脳魔術師の技術として開発した球体のデバイス、『ガジェットボールズ』を周囲に展開、更に75の二乗の数……数字にすれば5000を超える数の攻性電脳妖精をユーベルコードで召喚し準備は整った。
「(それでは、包囲殲滅怪異じゃあ!!)」
と、ガジェットアームズの武装機能と、『バレットドネーター』の嵐のような縦断、ガジェットボールズの拡張機能による攻性武装、そして5000を超える攻性電脳妖精が嫉妬にかられたシンデレラを削り取っていく。
特に召喚した攻性電脳妖精は普段はオート運転で敵対者を削るのだが、今回の戦場においては十分にグルクトゥラのマニュアル運用による精密な連携攻撃と5000を超える数の暴力が『『七罪』嫉妬のシンデレラ』を追い詰めていく。当然ユーベルコードによる攻防一体の蹴りが妖精を数体消し飛ばすが、当然ながら5000以上という数字の前では焼け石に水としか言いようがなかった。
「(悪く思わんでくれよ。お前さんが嫉妬にかられる限りなく奴が居るんでな)」
大成功
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水心子・静柄
思考速度が十倍というのは厄介ね。先ずはどの程度肉体操作が遅くなってるか体感してからじゃないと戦いでは遅れを取りそうだわ。
さて全てを破壊する武器って厄介だわ…本体の脇差を壊されでもしたらどうしようもないわね。ここは真峰のレプリカの本差で戦うわ。まぁこの本差は囮だけどね。本差で攻撃して、ガラスの靴で破壊され防がれ、最後の悪あがきにと見せかけて壊れた本差で攻撃して相手の油断を誘うわ。相手が油断して攻撃を受ける素振りを見せたら、攻撃が当たる瞬間に、思考速度が十倍の状態で想像で創造した本差に入れ替えて斬るわ!この刀は未だに壊れず、全てを斬ってきたものだからガラス如きじゃ弾かれないわよ。
ネーヴェ・ノアイユ
10分の1にまで落ちた速度であれば私でもシンデレラ様の次の行動を予測することは出来そうなので……。
まずはシンデレラ様の動きをじっくりと見ることで行動を予測。観察します……。
UCの直撃は不利と判断しシンデレラ様に直撃させず……。されど目くらましとなる位置へとUCを投下……。雪の爆風で目くらましをしつつ……。氷の結界を展開します。
氷結耐性を活かし爆風へと紛れ込み……。シンデレラ様の居るであろう位置へと奇襲を。その際は武器であるicicle scissorsを全力魔法にて制作……。
結界による地の利と……。ありったけの魔力により威力を強化した氷鋏による奇襲の一撃……。
この作戦に全てをかけましょう……。
「(ああ……まだ、まだです。わたしは理想とする美しさと強さを備えたプリンセスとなって……王子さまに見初められて、幸せに……)」
……先程の備傘とグルクトゥラのコンビネーションにより大打撃を負った『『七罪』嫉妬のシンデレラ』。その豪奢だった黒いドレスはボロボロで髪は爆風や銃弾などで擦り切れて薄汚れており、ガラスの靴も良く見れば僅かに罅が入っている。と、夜を支配する姫君から裏路地を徘徊する浮浪者の如き容貌になってしまった。
それでも羨望と妄想を止められないのか時が文字通り止まったダンスホールに逃げこみ、夢見た舞踏会で王子様と踊る妄想に浸って精神を安定させていた。だが、外から見れば独り言をブツブツと呟きながら虚ろな瞳で視線を虚空に彷徨わせる近寄りがたい不審者だ。
「(……オウガ、オブリビオンとはいえ、悲しい子ね)」
「(……心から求めているものが手に入らない空虚感に胸を締め付けられているのでしょうね)」
そんな悲痛な姿を見て、心からその生前の境遇を慮る露出度の高いエスニックな服装を着た妙齢の女性と白雪のような肌と長髪に蒼い瞳、頭につけている大きなリボンという雪の精霊のような幼い少女がダンスホールを覗き込んでいた。
ネーヴェ・ノアイユ(冷たい魔法使い・f28873)と水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)。今回の任務ではたまたま現地にて合流した結果、このダンスホールで手負いの『『七罪』嫉妬のシンデレラ』を発見したのだ。
「(それぞれ先程打ち合わせた作戦内容を実行、下手にコンビネーションを組まずマズい状況になった時にのみ助けること。これで良いわね?)」
「(ええ……お互いに干渉しあって……邪魔をしてしまいシンデレラ様に隙を突かれないよう……同時に独自行動をとることでその可能性を無くす……ですね)」
この伝達が上手くいかない戦場において、下手なコンビネーションは意図せず共闘者の足を引っ張ってしまい致命的な隙を曝け出す可能性を生みだすことに繋がりかねない。
そこで二人は互いの戦術を互いに伝えた後はそれぞれ独自行動をとることで不和を生み出さない戦術を組んだのだ。
(それじゃあ行きましょう)
(分かりました……静柄様)
と、アイコンタクトを取ると同時にダンスホールの中へ突入する静柄とネーヴェ。
即座に侵入者に気が付き戦闘態勢を取る『『七罪』嫉妬のシンデレラ』。
最初に『灰被り』と激突したのは静柄の脇差。対するはシンデレラのユーベルコード、『シンデレラ・ストーリー(シンデレラの物語)』による最強の鉾であり楯となるガラスの靴による蹴撃だ。
「(これでも……食らいなさい!)」
響き渡る刃の鋼鉄と靴の硝子がぶつかり合う音。それが猟兵とオウガの戦いと言う次元にあるというだけでダンスホールの窓枠のガラスがソニックブームにより粉砕されていく。
しかし、シンデレラのガラスの靴に罅は元々あってもその罅は靴に浸透していない。
対して、静柄の握る刀剣には目を凝らすと僅かな刃こぼれが刻まれている。
その僅かにシンデレラが有利な競り合いに対してネーヴェはただ位置取りを変えながらその状況を見守っている。無論のこと静柄を見殺しにしたわけではない。
「(私のユーベルコードがシンデレラ様の常時発動型ユーベルコードに直撃した場合……私のユーベルコードをコピーされて……不利に……)」
そう、シンデレラと静柄との鍔競り合いにてシンデレラ側に隙が出た所を精密な魔法狙撃により体勢を崩させて追撃し止めを刺す、以上が静柄とネーヴェがそれぞれ独自行動をとる因となった作戦なのだ。
やがて、鋼が砕ける。音を立てながら罅が刀剣に奔っていく。
そこに競り合いから解放されたシンデレラが止めを刺すべく突貫を仕掛けていく。
後方で戦場を見守っていたネーヴェは動かない。
それは、つまり、
「(全て、計画通りにして思惑通り。ね)」
瞬時に手の中で砕けた鋼の欠片が舞い散る――差し詰め、「真打」が登場する時に粋を演出する紙吹雪の如く――所に本差、つまり日本刀が静柄の掌の中に現出する。
想像から無敵の本差を作り上げるユーベルコード。それはこの思考速度が相対的に10倍となるこの戦場において性能は著しく上昇する――
「(――!!捉えた、けど致命傷じゃないわ!!)」
だが、灰被りの嫉妬と妄執は凄まじい、の一言であった。
強烈な体制移動により体の内部を損傷しながらも致命の一撃を交わしたのだ。
ああ、これで静柄の策は尽きた。そう、後は――
「(……そう来た場合に備えて……二段構えでした……)」
発動する氷の魔術。それはダンスホール中央に直撃した巨大な氷塊を触媒として広範囲な氷の結界を展開するユーベルコード。
それすらも間一髪で跳躍して魅せるが、しかし。
「(二度あることは三度ある……そして私たちにとっては三度目の正直……なのです)」
サクリ、と瑞々しい果実にナイフを突き立てたような音がした。
崩れ落ちる灰被りの傍では氷の結界を回避するために最適な場所を予測し、奇襲をかけて斃したのだ。
「(シンデレラ様……貴方の空虚感……少しは……)」
と、骸の海へ帰っていくシンデレラを見ながら、ネーヴェは記憶の無い自らの衝動を想起する。己もこのように何も手に入れられずに朽ち果てるのかもしれない、と。
だが、ネーヴェは猟兵であり、今を生きる一つの命。それを噛み締めて歩けば、いつか何かが手に入り、どこかに到達できる自分になれているだろう。
大成功
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