迷宮災厄戦④〜芸術たる免罪符
●堕ちた彫刻家
その不思議の国は『大きな愉快な仲間のいるところ』と呼ばれていた。
この地に足を踏み入れた『愉快な仲間』は例外なく身長が2倍となり、しかも『背中にチャックのついたきぐるみ化』してしまうのだ。
当然、普通の『愉快な仲間』以外にも、猟兵の中にいる『愉快な仲間』も例外ではない。
「あらあら……大きな愉快な仲間たちだこと。これは彫刻のやり甲斐がありますわね?」
堕ちた彫刻家『アリスアーティスト』は、この地に踏み入れた白い竜のきぐるみと化した『愉快な仲間』を前にして微笑む。
この地にやってきた殆どの『愉快な仲間』は、尽くが彼女の腕輪から放たれる瘴気によって大理石へと姿を変えられてしまった。
大理石化を免れた数少ない『愉快な仲間』たちは逃げ惑う。
それを見た堕ちた彫刻家『アリスアーティスト』は嬉しそうに笑う。
「そんなに怖がらないで? 痛みはないですし、たぶん。大理石になった後は、私が彫刻してさしあげますから、生前の要望を聞いて素敵な姿に変えてあげます。ほら、この子だってこんなにも喜んでいるのですから」
傍にあった白い竜のきぐるみとなった愉快な仲間の背中についたチャックを下ろし、その中へと乗り込む。
竜の如き咆哮が響き渡り、姿形は白き竜のきぐるみ。
けれど、その力はオウガたる堕ちた彫刻家『アリスアーティスト』のもの。あらゆるものを大理石へと変貌させ、自身の欲望のままに改造し、オブジェと化そうとする悪しき欲望のままに振る舞う彼女から、『愉快な仲間』たちは逃げ惑う。
「そんなに一生懸命逃げないで? 思わず、生きたまま斬り刻んでしまいそうになるから―――」
きぐるみの中のオウガ、堕ちた彫刻家『アリスアーティスト』が嗤う。
表情は伺い知れることはない。けれど、その白き竜のきぐるみは、邪悪なる微笑みを貼り付けたまま、逃げ惑う『愉快な仲間』たちを追い立て回すのだった―――。
●迷宮災厄戦
グリモアベースへと集まってきた猟兵達に頭を下げて出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)の姿であった。
頭を下げ、いつものように微笑みで持って猟兵たちを出迎える。
「お集まり頂きありがとうございます。迷宮災厄戦が開始され、すでに皆様も知る所となっているであろう、オブリビオン・フォーミュラ……『オウガ・オリジン』と『蝋書家』との戦いが始まっております」
未だ始まったばかりの迷宮災厄戦であるが、多数の猟兵達が駆けつけてくれていることに、ナイアルテはこころなしかホッとしているようであった。
「今回の戦場となる『大きな愉快な仲間のいるところ』は、他の場所と一風変わった特色があるのです」
ナイアルテ曰く、その場所に足を踏み入れた『愉快な仲間』たちはたちまちに身長が2倍になり、しかも『背中にチャックのついたきぐるみ化』してしまうのだという。
それは猟兵の中にも居る『愉快な仲間』であっても例外ではないのだという。
「しかも、そのチャックを引き下ろし、中に乗り込むことによって乗り込んだ者の戦闘力が数倍にパワーアップするのです。この地に存在するオウガ、堕ちた彫刻家『アリスアーティスト』は、白い竜のきぐるみに乗り込んで、大理石化する呪いを振りまいたのです。ほとんどの『愉快な仲間』たちは大理石化されてしまいましたが……残る『愉快な仲間』たちは難を逃れ、逃げ回っています」
オウガである、堕ちた彫刻家『アリスアーティスト』は残る『愉快な仲間』たちを全て大理石化しようと飛び回っているのだ。
これを止めなければ、『愉快な仲間』たちは全て大理石化されてしまい、オウガの欲望の餌食になってしまうことだろう。それは見捨てておけないことだ。
「はい、ですが、きぐるみ化した『愉快な仲間』たちを確保しつつ、彼等の許可を得て乗り込んで戦えるのであれば、皆さんの戦闘力も数倍に跳ね上がります」
逃げ惑う『愉快な仲間』たちは、ちょうど猟兵たちが転移した直ぐ側にいるようだ。探すのに手間はかからないだろう。
猟兵の一人が疑問を呈する。きぐるみ化している中に乗り込んで戦う場合、攻撃されてしまえば、ガワである、きぐるみ化した『愉快な仲間』たちが傷つかないかと。
「いいえ、それは着込んでいる中の人にダメージが通るようなのです。これはオウガの乗り込んでいる、きぐるみも同様です。ですから、遠慮なく戦って頂けます」
なるほど。
それならば、気を使わなくて済む。それに許可を得て乗り込んだ『愉快な仲間』たちと心を通わすことは、今すぐに効果が出ることはなくても、今後の何かに役立つことかもしれない。
猟兵達は次々と転移していく。ナイアルテは、頭を下げて彼等を見送る。
少しだけ、自分もきぐるみの中に乗り込んでみたいと思ったが、敢えて口には出さなかった。今は第規模な戦いの最中。そんな希望は戦いが終わってからでも遅くはない。
今はただ、逃げ惑う『愉快な仲間』たちと、オウガに乗り込まれ操られているきぐるみ化した『愉快な仲間』たちの無事を祈るばかりであった―――。
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『迷宮災厄戦』の戦争シナリオとなります。
大きな愉快な仲間のいるところにて、身長の2倍ある大きさのきぐるみへと変貌した『愉快な仲間』たちを救い、己の欲望の限りを尽くそうとするオウガ、堕ちた彫刻家『アリスアーティスト』を打倒しましょう。
※このシナリオには特別なプレイングボーナスがあります。これに基づく行動をすると有利になります。
プレイングボーナス……「きぐるみ愉快な仲間」の許可を得て、乗り込んで戦う。
それでは、迷宮災厄戦を戦い抜く皆さんのキャラクターの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 ボス戦
『堕ちた彫刻家『アリスアーティスト』』
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POW : 素敵な彫刻にしてあげる♪
【手に持つ彫刻刀】が命中した対象に対し、高威力高命中の【彫刻化の呪い】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 大理石へと変わり果てなさい♪
【腕輪】から【呪いの瘴気】を放ち、【大理石化】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : 石膏まみれになっちゃえ♪
【粘液状化したドロドロの石膏】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【が深い石膏の沼に変わり】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
イラスト:みいこ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠テフラ・カルデラ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
セレシェイラ・フロレセール
これはまた奇っ怪な……
いや、感心している場合ではなかったね
待ってて愉快な仲間たち、いま助ける……!
わたしはこの世界に住まう愉快な仲間たちが大好きだよ
以前寄ったアリスラビリンスの国では愉快な仲間たちと共に戦い、一緒に楽しい時間を過ごした
優しいあなたたちを、わたしは助けたい
そのために、どうかあなたの力を貸して欲しい
力を貸してくれる愉快な仲間には心からの感謝と礼を尽くそう
(き、着ぐるみの中が案外楽しいだなんて思ってはいないよ、うん
巨大な着ぐるみの猫ちゃん可愛いなんて、そんなそんな)
向こうが動か前に先手を打つ
高速で魔法を詠唱して、綴るは光の魔法
キミを拘束するよ
キミの罪をこの光で浄化する
アリスラビリンスは言うまでもなく複合世界である。
不思議の国という小さな世界が集まることに寄って出来上がった世界であるがゆえに、不思議の国ごとに特色がある。
この『大きな愉快な仲間のいるところ』に足を踏み入れた『愉快な仲間』たちは、須らく身長の2倍のサイズの『チャックのついたきぐるみ』と化す。
それがこの不思議の国のルールであり、それは如何な猟兵と言えど逃れることはできない。
そして、その不思議の国で己の欲望を満たそうとするのは、堕ちた彫刻家『アリスアーティスト』と呼ばれるオウガである。
彼女は白き竜のきぐるみに乗り込み、大理石化する呪いを振りまいて、この地にやってきた『愉快な仲間』たちを次々と大理石へと変えていく。
「あははは! これだけの大理石があれば、どんな彫刻だって彫り放題ですわ! ああ、なんて美しい国! 私だけのアトリエにしてしまいましょう」
白き竜のきぐるみの中でオウガ、アリスアーティストは嗤う。
何もかもが己のためにあると言わんばかりの言葉。立ち振舞。彼女の欲望のままに大理石へと変えられた『愉快な仲間』たちを救う手立ては、たった一つ。
―――オウガ、アリスアーティストを打倒することのみ。
「これはまた奇っ怪な……」
その光景を見たセレシェイラ・フロレセール(桜綴・f25838)は、感嘆とも取れる言葉を紡いだ。
大きなきぐるみと化した『愉快な仲間』たち。それが全て大理石へと姿を変えられ、鎮座しているのだ。それが全てオウガによるものであると知らなければ、不思議に思っても、彫像なのだと思うほどに精巧な出来栄えであったからだ。
「いや、感心している場合ではなかったね。待ってて愉快な仲間たち、今助ける……!」
彼女は不思議の国へと駆け出す。
大理石化を免れた『愉快な仲間』たちは、アリスアーティストに追いかけ回されているはずだ。空を飛び白い竜のきぐるみは、旋回するように空を駆けている。
どうやら、愉快な仲間たちを追い込んだようだった。
ならば、その近くに必ず、『愉快な仲間』たちはいるはずだ。
「わぁ―――! りょーへさんだにゃー?」
この地に足を踏み入れた『愉快な仲間』たちが身長の2倍になることは知っていた。けれど、そうか、とも思う。何故、あの巨大な白い竜のきぐるみに乗り込んだアリスアーティストが、逃した『愉快な仲間』たちを中々見つけ出せないのかを。
そう、元々小さな『愉快な仲間』たちだったのだ。セレシェイラの前にはとてとてとやってくる彼女の身長よりも少し大きいくらいの桜色の猫の姿をした……なんというか、こう……どこかのマスコットキャラクターのような『愉快な仲間』がいた。
セレシェイラが猟兵だとわかるのだろう。少しホッとした顔をしたのが、セレシェイラの心を和ませる。
「わたしはこの世界に住まう愉快な仲間たちが大好きだよ。優しいあなたたちを、わたしは助けたい」
セレシェイラは思い出す。
彼女の心に宿る思い出。唯一無二の記憶だ。彼女の硝子ペンが桜色を紡いだ記憶。アリスラビリンスの国。愉快な仲間たちと共に戦い、一緒に楽しい時間を過ごしたのだ。
その思い出をくれた彼等を助けないで、何が猟兵か。セレシェイラは、真摯な言葉でもって桜色猫のマスコットの『愉快な仲間』に語りかける。
「そのために、どうかあなたの力を貸して欲しい」
手をそっと差し伸べる。
敵意はない。誰だってはじめはそうだ。誰かの優しさに歩み寄る時は、少しの恐れがある。裏切られるのではないか、騙されるのではないか。
いつだって、その心の恐れは、誰にだってある。
だからこそ、セレシェイラは手を差し伸べる。偽りのない言葉で。飾らない言葉で、彼女は『愉快な仲間』に手を差し伸べる。
「……うん! ぼくでよかったら! がってんしょうちなんだにゃー!」
差し伸べた手は握り返される。
背中のチャックが開き、背を向ける桜色猫のマスコット。その背中の中に乗り込むセレシェイラ。なんだか楽しくなってきてしまうのは気のせいだと、頭を振る。
「(き、着ぐるみの中が案外楽しいだなんて思ってないよ、うん。巨大なきぐるみの猫ちゃん可愛いなんて、そんなそんな)」
セレシェイラは何故か心のなかで言い訳し、桜色猫のマスコットの中で桜色の硝子ペンを振るう。
彼女の視線が捉えているのは、空に舞う白き竜のきぐるみ―――アリスアーティストだ。
あのオウガ、アリスアーティストは、液状化した石膏を放ち、命中しなくても大地を石膏の沼へと変えてしまう。
この不思議の国をそんなおかしなことにはさせないと先手を打つ。
「光の魔法を綴る―――キミを拘束するよ」
放たれるはユーベルコード、光綴(ルミエール)。
光の魔法陣が生まれ、その魔法陣から迸る無数の光線が空を飛ぶ白き竜に乗り込んだオウガ、アリスアーティストの身体を大地へと失墜させる。
普段使っているユーベルコードよりもさらに強化された一撃は、アリスアーティストの身体を大地に縛り付ける。
強度も数倍に跳ね上がっているのは、きぐるみの中にいるおかげだろう。
「キミの罪をこの光で浄化する。徒に『愉快な仲間』たちを傷つけた罪……必ず、贖ってもらうよ」
次なる猟兵が現れるまで、その光の拘束は解けない。
彼女は、愉快な仲間たちを護るために、力を振るうと決めた。応えてくれた桜色猫のためにも、セレシェイラは渾身の力を振るうのだった―――!
大成功
🔵🔵🔵
春乃・結希
わぁメルヘンー!
私一回でいいから着ぐるみの中、入ってみたいと思ってたんですっ
えーと、ネコちゃんは居ないかなー……いたー!
ねっ、お願いします!あとでまたたびあげますからー!……いらない?
というわけでネコになった私
人と違って四足で、体勢を低くして走れるのが利点ですよね
【ダッシュ】で敵の周囲を走り回り、飛びかかる隙を伺います
はーこれがネコの気分……楽しいなぁ
いい?私の合図で飛ぶんだよ……んー……いま!
必殺ネコパーンチ!……をフェイントに本命のネコキーック!
ネコの反応速度と柔軟性が有れば
多少無理な体勢からのキックと、一撃加えてすぐに離脱することも出来るはず!
さすがネコちゃん!もう一撃いくにゃー!
空を舞う白き竜のきぐるみに乗り込んだオウガ―――堕ちた彫刻家『アリスアーティスト』は、旋回し残された『愉快な仲間』たちを探し出そうとしていた。
だが、突如として現れた猟兵に寄る光線の拘束によって、大地に失墜し、あまつさえは、長い時間拘束された。もがくように身体を身じろぎさせ、漸くの思いで空へと飛び上がろうとしたのその時、目の前現れたのは―――。
そして、時はわずかに巻き戻る。
不思議の国へと転移してきた春乃・結希(withと歩む旅人・f24164)は、幸いにもすぐに逃げ惑っていた『愉快な仲間』を見つけることができた。
結希よりも少し大きいサイズのきぐるみ……猫のマスコットのような姿をした『愉快な仲間』を見つけた瞬間、彼女のテンションは最大にまで引き上げられた。
元よりメルヘンな世界観に喜んでいた彼女である上に、一回でいいから着ぐるみの中に入ってみたいと思っていたのだ。
もう千載一遇の好機と言わんばかりの機会が巡ってきた。
「猫ちゃんはいないかなーって思っていたんですけど、これはもう運命ですよね! ねっ、お願いします!」
猫マスコットのきぐるみ化した『愉快な仲間』は、結希のテンションにタジタジである。
「にゃー、にゃー!? え、運命ってなんだにゃー!?」
逃げている最中であることも忘れて、彼女のテンションに押されっぱなしなのだ。
えっと、今逃げてるんでしたよにゃ? と自分でも今どういう立ち位置に居るのかさえ、猫マスコットの『愉快な仲間』はわからなくなってしまっていた。
「お願いします! あとでまたたびあげますからー!」
「や、またたび、酔っ払っちゃって前、ひどい目にあったから遠慮しますにゃ」
つい、真顔で返事をしてしまう『愉快な仲間』。
えー!? と結希はがっくり来てしまう。けれど、空を待っていた白き竜のきぐるみ―――アリスアーティストが失墜する音を聞いて我に帰る。
「にゃー!? もう、にゃんでもいいですから、お助けにゃー!」
じゃあ、早速と言わんばかりに結希は背中のチャックを下ろし、きぐるみへと乗り込む。
なんともすったもんだな締まらないやり取りの末に乗り込むことになったが、結希は満足であった。大満足であった。なんで言い直したと言いたくなるほどに、彼女はご満悦だったのだ。
「人と違って四足で、体制を低くして走れるのが利点ですよね」
不思議の国を疾駆する結希。それは爽快そのものであり、人の姿であれば味わえない感覚であった。
そして、時は進み、白き竜のきぐるみに乗り込んだアリスアーティストが拘束していた光線を引きちぎった時、結希は、猫マスコットの『愉快な仲間』共にさっそうと現れたのだ。
「はーこれがネコの気分……楽しいなぁ」
アリスアーティストの周囲を走り回り、撹乱する。手にした彫刻刀で攻撃しようとするが、そんな単調な攻撃がネコと化した結希の身体を掠ることすら不可能である。
これでは彫像化の呪いも意味をなさない。
「きぃー! なんで私の彫刻刀が当たらないのよ! 待ちなさい!」
きぐるみの中でアリスアーティストのヒステリックな声が響く。
だが、対する結希は、きぐるみである『愉快な仲間』との連携を深めていた。
「いい?私の合図で飛ぶんだよ……んー……いま!」
『愉快な仲間』と心を通わせることによって得た戦闘力の増加。
それは即ち、彼女の放つ攻撃の重さが変わるということだ。
「必殺ネコパーンチ!」
どごぉ! とものすごく重い音がして、白き竜のきぐるみの中のオウガへの骨が軋む音が響き渡る。
だが、それでも腰が入っていないフェイントの一撃だったのだ。
思いがけずヒットしてしまったが、それで終わりであるわけがない。
「フェイントのはずでしたが、ヒットしてしまったので、コンビネーションで! 本命のネコキーック!」
ネコの反応速度と柔軟性があれば、多少無理な態勢からのキックなど造作もないことである。
ネコパンチの一撃で吹き飛んだ白き竜のきぐるみの吹っ飛んだ先に先回りして、大地を蹴ってからの猫キック―――もとい、超強いキック!(チョウツヨイキック)!
それは彼女の履く蒸気魔導により脚力を強化するブーツ、Wondererによって、さらなる超強化を引き出された蹴撃!
超高速かつ大威力の一撃は、過たず白き竜の中に存在するオウガの体を強かに打ち据える。
「さすがネコちゃん! もう一撃いくにゃー!」
その掛け声に応えるように猫マスコットのきぐるみと共に吠える結希。
くるりと、その場で一回転するように空へと舞い上がり、その白き竜の脳天へと再び蹴撃を加え、大理石へと変えられた『愉快な仲間』たちの報いを受けさせるのであった―――!
大成功
🔵🔵🔵
メニス・ソルタ
そんなカタくて冷たい石になるなんて、嬉しいワケないじゃない!
みんな、今助けに行くよ!
現地に着いたら、出会った愉快な仲間に助けに来たこと伝えて、協力をお願い。
中に入らせてもらうね。
大丈夫、ケガはボクが引き受けるから…正直怖いけど、でもボクがやらなきゃ!
戦闘では近づいて殴る蹴るがメイン。
大理石化には頑張って抵抗、敵が近づいて来るなら石になったままの手足で【咄嗟の一撃】を仕掛けてみようかと。
もし手近に石(元が愉快な仲間じゃないやつ)とか木とかがあれば、それを使って巨人殺しの一投を叩き込むよ。
そんなに石が好きなら!好きなだけ持って行けばいいじゃない!わざわざ生き物を変えるなんて許さないんだからー!
はじめにそれを聞いた時、メニス・ソルタ(リトルヴィジランテ・f19811)は憤慨した。
「そんなカタくて冷たい石になるなんて、嬉しいワケないじゃない! みんな、今助けに行くよ!」
同じアリスラビリンスの内の小さな世界―――不思議の国のとある森の世界に住む時計ウサギであったメニスにとって、大理石化されてしまうことが、どんなに辛いことか、寂しいことか、それが想像できてしまった。
その冷たさを、孤独を、幸せであるというオウガ、堕ちた彫刻家『アリスアーティスト』の言葉をメニスは否定する。
転移がはじまり、彼の体は『大きな愉快な仲間がいるところ』へと移り変わる。周囲には、彼の身長よりも遥かに大きい愉快な仲間の姿があった。
未だ幼い彼にとって、そのファスナーのついたきぐるみと化した『愉快な仲間』の姿は驚くほどに大きかったのだ。
それは大きな熊のきぐるみであった。灰色のグリズリーとかつて呼ばれていた『愉快な仲間』であり、その見た目に反して気弱な所があったのだ。
そのおかげで、アリスアーティストの放つ大理石化する呪いの瘴気からいち早く森の中へと逃げ込んで隠れることができたのだ。
「ボクはみんなを助けに来たんだ。あの白い竜に乗り込んでいるオウガを倒して、みんなを助けたいんだ……お願い! 協力してくれないかな!」
そんな気弱なグリズリーにとって、戦うことは恐ろしいことだ。
みんなあの大理石化する瘴気にやられてしまった。
石に変わっていく仲間たち。それを思い出してしまえば、震えが止まらない。
―――わかるよ。
そんなふうにメニスは頷く。言葉はなかったけれど、その思いは互いに通じ合うものであった。怖いけれど、やらなければならない。
灰色グリズリーとメニス、互いの心が通じ合った瞬間だった
「よし、行こう! 中に入らせてもらうね。大丈夫、ケガはボクが引き受けるから……うん、今も正直怖いけど、それでも」
灰色グリズリーのきぐるみのファスナーが降りる。ぽっかりと開いた空間。けれど、心通わせ合った相手であれば、その力は何倍にも跳ね上がる。そういうものなのだ。
「それでもボクがやらなきゃ!」
二人は一心同体となって駆け出す。
オウガであるアリスアーティストの所在はすぐにわかった。
先行した猟兵の蹴撃を受けて、地面に叩き落されている。今がチャンスだと一気に距離を詰める。
「―――グッ、また猟兵ですか! 私の芸術を理解しない者には!」
白き竜のきぐるみの腕にはめられている腕輪から石化の瘴気が溢れ出る。
びく! と灰色グリズリーのきぐるみが震えたのがわかった。怖い。怖い。けれどメニスはその怖さを認める。
怖いけれど、戦うと決めたのは、何も怖くないと虚勢を張るためではない。
戦わないといけないと決めたのは、困っている誰かがいるからだ!
「うぅ! 抵抗してるのに、石化が止まらない」
瘴気に当たった腕がビシビシと音を立てて石化していく。まずい、と思った瞬間に、すぐに目の前に迫る白き竜のきぐるみ。
「ほらほらっ、速く大理石になってしまいなさい! 私の可愛い彫像として、芸術として永久に―――」
だが、その言葉は最後まで紡がれることはなかった。
とっさの一撃。
石になった腕をやたらに振り回した結果、予期せぬ一撃が、アリスアーティストに叩きつけられる。
硬い石は、その白き竜の頭を強かに打ち据える。ラッキーパンチそのものであったが、その好機を見逃すわけにはいかない。
「改心する気が無いなら、しょうがないよね……!」
灰色グリズリーの膂力に任せるままに、大岩を持ち上げるメニス。
自分の何杯もある巨大な岩石を持ち上げる経験などなかったが、今のメニスは一人ではない。一緒に戦ってくれる灰色グリズリーの『愉快な仲間』がいる!
ユーベルコード、巨人殺しの一投(ゴライアス・スレイヤー)の輝きが、メニスを通して灰色グリズリーの瞳を輝かせる。
「そんなに石が好きなら! 好きなだけ持って行けばいいじゃない! わざわざ生き物を変えるなんて許さないんだからー!」
メニスの叫びが響き渡る。
まさに巨人……いや、巨竜殺しの一投!
投げ放たれた大岩の一撃は、過たずにアリスアーティストの白き竜のきぐるみの胴へとぶち当たる。
むん! と灰色グリズリーがポーズを決める。
メニスと灰色グリズリー。
怖いものを怖いと感じる感受性を持ち合わせる、ともすれば気弱な二人であったかも知れない。
けれど、怖いと感じる心があるからこそ、それを克己するだけの力もまたあるのだ。
二人の活躍はきっと、後々に『愉快な仲間』たちの間で語りぐさになることだろう―――!
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
此度の戦場は着ぐるみですか
数多くの奇妙な戦場を経験したのです
躊躇う事など何もなし、騎士として奮戦するのみです
(オウガが着ている白き竜に似た同種の着ぐるみ愉快な仲間に)
いいように操られているあの方を解放する為、お力添えをいただけますか
速やかにその白き竜の方を解放して頂きましょう
いざ、勝負!
竜の口の部分の覗き穴から格納銃器の発砲で●目潰し
さらに着ぐるみ内部でワイヤーアンカーを束ねて●操縦する尻尾による●なぎ払いテールスイングで彫刻刀を武器落とし
動かせるのはこちらは四肢だけでは無いのですよ
すかさず接近し●怪力殴打
引き倒して●踏みつけ、更に追撃
(ぬいぐるみの方が天に咆哮)
この方の怒りを受けて頂きます!
放り投げられた巨岩の一撃が、白き竜のきぐるみを着たオウガ、堕ちた彫刻家『アリスアーティスト』の体を強かに打ち据える。
ファスナーの付いたきぐるみと化した『愉快な仲間』にダメージは通らず、乗り込んだ者にダメージが入る。その不可思議だがありがたい法則に寄って、きぐるみ化し操られている『愉快な仲間』を傷つけずに済んでいるのだ。
「私の芸術を理解しない……! 誰も彼も!」
咆哮するようにアリスアーティストがきぐるみの中で吠えたける。呪われし彫刻刀を手にし、空へと舞い上がろうとして、ぴたりと止まる。
まさに空より未だ逃げ続ける『愉快な仲間』たちをあぶり出し、さらに猟兵たちをも彫像と化して散々に己の芸術を刻み込んでやろうと息巻いていた。
だが、その羽撃きは止まる。
「速やかにその白き竜の方を解放して頂きましょう」
白き竜のきぐるみに身を包んだアリスアーティストの目の前に空より舞い降り、着地したのは黒き竜。
それは、対を成すような対象的な姿であった。
そう、そのきぐるみの中に乗り込んでいるのは、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)である―――!
少しときは巻き戻る。
「此度の戦場は着ぐるみですか……数多くの奇妙な戦場を経験したのです。ためらうことなど何もなし。騎士として奮戦するのみです」
数多の戦場を駆け抜けてきたトリテレイアにとって、きぐるみに乗り込んで戦うという経験はなかったが、今更気後れする理由などどこにもない。
彼の騎士としての義憤があるかぎり、弱きものを助けるというのはごく真っ当なことであり、オウガ……オブリビオンという悪を挫くことは騎士としての責務と言ってもよかった。
そんなトリテレイアが転移したとき、すぐ近くに存在していたがの、黒き竜のきぐるみの『愉快な仲間』であった。
御伽噺に出てくるような姿。騎士と竜とは切っても切れぬ存在であり、常に敵対者である。
だが、それでもトリテレイアは機械騎士である。その心に、炉心に騎士道精神が燃えていようとも、彼は戦うべき相手を間違えない。
「いいように操られているあの方を解放するため、お力添えをいただけますか」
トリテレイアは竜の前で膝を折る。
騎士と竜。
本来であれば相容れぬ存在である。だが、ここはアリスラビリンスであり、トリテレイアは騎士である前に猟兵である。
互いの真摯なる言葉は、信頼を築くのにそう時間をかからせなかった。
そうして、トリテレイアは黒き竜のきぐるみに乗り込み、さっそうと舞い降りたのだ。
「―――いざ、勝負!」
竜の口が開口し、のぞき穴から格納銃器から放たれる銃弾が火の息吹のように放たれる。それは白き竜、アリスアーティストの目を潰す。
「ぐっ―――! いきなり目潰しとは―――!」
手にした彫刻刀を振り回すアリスアーティスト。それは一刀でも受けてしまえば彫像化の呪いを受けてしまうユーベルコード。
だが、一撃目を躱せば二撃目は当たることはない。それをトリテレイアはわかっていた。
「甘い! こちらが動かせるのは四肢だけではないのですよ」
彫刻刀をきぐるみの尻尾の中で束ねられたワイヤーアンカーによって操作される尻尾が、彫刻刀を持つ手を払い落とす。
通常の人間の形をしているのならば、ありえない行動。
きぐるみに乗り込んでいたとしても、尻尾の動きはせいぜい半円を描く程度のはずだ。だが、それはきぐるみの中で操作されるワイヤーアンカーによって縦横無尽、自由自在たる第5の手として扱うことが出来る。
「実際の戦場の騎士は道具や手段を選ばないものです……竜退治をする御伽噺の騎士ではあいにく無いものですから!」
戦場の騎士(ナグレリャナンデモイイ)たるトリテレイアにとって、取れる選択肢はどんな手でも取る。
接近し、怪力による殴打が、白き竜、アリスアーティストを襲う。単純で重い一撃はこれまでの猟兵達の攻撃も相まって凄まじいラッシュとなって彼女を襲う。
たまらずたたらを踏んだ瞬間、トリテレイアはアリスアーティストを引きずり倒す。そこへさらに踏みつけ、スタンピングし続ける。
「グオァァァァァ―――!!!」
黒き竜のきぐるみが咆哮する。
それは白き竜、己の半身を奪われたことへの怒り。天に響かんばかりの咆哮が響き渡り、その怒りは強烈なる踏みつけとなってアリスアーティストを襲う。
「―――この方の怒りを受けていただきます!」
一際強く叩きつけられた足が、周囲の地面をヒビ割るほどの威力を発し、アリスアーティストはきぐるみの中で盛大に血反吐を撒き散らすのだった―――!
大成功
🔵🔵🔵
政木・朱鞠
そうね…虎の威を借る狐っぽいけど、強そうな虎さんにお願いしようかな。
協力の代価は『虎さんの好きなモノいっぱいのお弁当を作ってピクニック』を提示するよ。
それに、敵さんには好き勝手に芸術した咎を清算して消えて貰わないとね。
戦闘【WIZ】
分身達がどれだけ受け流せるか未知数だけど『忍法・火煙写身の術』を使用して攻撃を受けたいね。
敵さんに隙を作れればラッキーだけど…それに頼らずにこちらも全力で削り切るつもりで相対する覚悟で行かないとね。
得物は拷問具『荊野鎖』をチョイスして【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の技能を使いつつ【傷口をえぐる】【生命力吸収】の合わせで間を置かないダメージを与えたいね。
アドリブ連帯歓迎
「そうね……なんていうか、虎の威を借る狐っぽいけど、強そうな虎さん、お願いしてもいい?」
政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)はアリスラビリンス、『大きな愉快な仲間がいるところ』へと転移したとき、直ぐ側にいた虎のきぐるみと化した『愉快な仲間』と接触していた。
虎と言えど猫化である。
自身よりも強大なる白き竜のきぐるみに乗り込んだオウガ、堕ちた彫刻家『アリスアーティスト』を前にしては、子猫のように丸まるしかなかった。
だから、朱鞠が協力をお願いした時も、芳しい返事は帰ってこなかった。戦うよりも逃げたほうがいいのではないかと渋っていた。
ふむ、と朱鞠は考え込む。
この『大きな愉快な仲間のいるところ』では、きぐるみ化した『愉快な仲間』たちに乗り込むことで戦闘力が増強される。
それはオウガも変わりない法則。それなしでは、如何な猟兵であっても対等に戦うことは難しい。
「なら、協力の対価を。虎さんの好きなものいっぱいのお弁当を作ってピクニックしましょう。なんなら、手ずから食べさせて上げたっていいわ」
無償で協力しろとは言わない。
誰だって自分が傷つくのは怖い。戦うのにも理由が必要な者だっているのだ。だからこそ、朱鞠は対価を提示した。
信頼とは言葉だけで成り立つものではない。こちらから与えられる者を提示し、胸襟を開いて見せなければならない相手もいる。
そうすることで、互いの胸襟を開くことができる。臆病な生き物はいつだってそうだ。
すく、と立ち上がる虎のきぐるみ。ファスナーが降りて朱鞠との間に契約が成立したことを知らせる。
言葉少なになってしまうのは、気恥ずかしいからだろう。朱鞠は不器用な虎に、少しだけ可愛く思いながら微笑む。きぐるみの中に乗り込んで、朱鞠は大地を疾駆する。
「好き勝手に芸術した咎を精算して消えてもらわないとね―――!」
朱鞠が先行した猟兵達の戦いの場へと馳せ参じたとき、白き竜のきぐるみに乗り込んだアリスアーティストは、大地に叩きつけられていた。
周囲の地形が破壊されるほどの踏みつけの一撃によって、グロッキー状態であったが、虎のきぐるみに乗り込んで駆け込んできた朱鞠を認めた瞬間、その白き竜の口から溢れ出るのはどろどろの石膏。
それは触れれば打撃を、当たらなくても周囲の地形を石膏の沼へと変える恐るべき力だった。
「猟兵―――! 私の芸術を理解しない者は、石膏で固めてっ、どろどろにしてやる!」
放たれるどろどろの粘液状になった石膏が弾丸のように虎のきぐるみと朱鞠を襲う。
けれど、彼女は冷静だった。
「言霊にて煙火に暫しの魂魄を与えん…疾く攻めよ!」
ユーベルコード、忍法・火煙写身の術(ニンポウ・カエンウツセミノジュツ)。
それは無数の狐火で模った己の分身。
虎のきぐるみを纏った己の分身となって放たれる狐火が次々とアリスアーティストを取り囲む。
寸分違わず、朱鞠と同じ姿をした狐火たちが、弾幕のように放たれるどろどろの石膏の弾丸を受け止めていく。
「守るばかりじゃないわよ! いくよ!」
虎のきぐるみが咆哮する。その口に咥えられているのは、拷問具『荊野鎖』。ランダムにスパイク付いた鎖が大地を疾駆する度に複雑な軌道を描いて、白き竜、アリスアーティストを強かに打ち据える。
全てのダメージは、きぐるみに乗り込んでいる者へと与えられる。
これまで猟兵たちに与えられた傷跡を抉るように振るわれる鎖の鞭は、アリスアーティストの体を散々に痛めつける。
「自分の欲望のままに振る舞うのが芸術だと思っているのなら、それはエゴっていうものだよ! その咎、精算して骸の海に還ってもらうから!」
振るわれる鞭の一撃一撃が、その咎へと与えられる罰となって放たれる。
虎のきぐるみの俊敏なる動きは、息をつかせぬ連続攻撃となってアリスアーティストを苦しめる。
石膏の弾丸を飛ばそうとしても、それすら許されず、狐火の分身達による攻撃も相まって、その体力をどんどん削り取っていく。
戦いの趨勢は完全に猟兵たちに傾いた。
朱鞠は、きぐるみの中で戦いが終わった後のことを少しだけ考えた。虎さんの好きなものってなんだろう、と。
お肉? それともまたたび?
まあ、いいやと朱鞠は笑う。どちらにしたって楽しいピクニックになることは間違いなかったのだから―――。
大成功
🔵🔵🔵
大町・詩乃
愉快な仲間さん達を助けに来ました!
UCを使用し、颯爽と現地に到着。
ここでは着ぐるみを着て戦うのですよね。
でしたら(大好きな)猫さんの着ぐるみはないでしょうか?(キョロキョロ)
しかし猫の着ぐるみは何人かに使われており見つかりません。
気落ちしそうな詩乃でしたが、猫っぽい着ぐるみさんを発見。
お願いして着用させて頂きます。
「あれ?この着ぐるみさん、すごく力強いです!?」
雌ライオンの着ぐるみを着用した詩乃は、着ぐるみ効果とUCでパワーアップした煌月を握りしめ、空を飛んで戦いを挑みます!
敵攻撃は【第六感と見切り】で躱し、煌月に【炎の属性攻撃】を籠めた【なぎ払い・貫通攻撃】でアリスアーティストを倒します。
「世の為、人の為、これより祓い清め致します!」
アリスラビリンス、『大きな愉快な仲間のいるところ』に舞い降りたのは、1人の猟兵であった。
その姿は戦巫女の姿をし、神々しいまでの神気を放つ光背背負うが如く黒髪の乙女。
名を大町・詩乃(春風駘蕩・f17458)。愉快な仲間たちを助けに転移してきた猟兵であり、神の一人である。
転移したそばにいた『愉快な仲間』たちは思わず、その神々しさに拝み倒してしまうほどであったが、詩乃はその様子にわたわたとしてしまう。
「皆さんを助けにきただけですから、そんなにかしこまらないでください……!」
ユーベルコード、神力発現(シンリョクハツゲン)によって得た神力の凄まじさは彼女の思っている以上の力を発揮していたのだろう。『愉快な仲間』は思わず平伏してしまったが、それは詩乃思うところではなかったのだ。
「これよりオウガと戦いに参りますが……」
キョロキョロと周囲を見回す詩乃。
何を探しているのだろうかと訝しむ着ぐるみ化した『愉快な仲間』たち。神様何をお望みで? と『愉快な仲間』たちはおどろどしてしまう。
そう、詩乃が探していたのは猫さんのきぐるいみ!
何を隠そう、猫が大好きなのである。可愛いからね。仕方ない。というのも、彼女はこの地に降り立つ前に先行した猟兵達の活躍を垣間見ていた。
猫のきぐるみに乗り込んで戦う猟兵達の姿。
可愛らしくも、愛らしい姿をしながら、絶大なる力を発揮し、オウガの乗り込んだきぐるみをなぎ倒していた姿。
ああ、なんて、なんて可愛いのだろうと。もしも、叶うのならば自分も、と詩乃は思っていたのだが―――。
「……見つかりませんね……」
少しがっくりした様子の詩乃。明らかに気落ちした雰囲気の彼女に『愉快な仲間』たちが駆け寄ってくる。
元気だして! というようにわらわらと集まってくる彼等『愉快な仲間』たちの中に詩乃の瞳が輝きを取り戻す。
「―――……! お願いします、どうか私を乗り込ませてください……!」
彼女はひし、とその猫っぽいきぐるみの『愉快な仲間』の手を取って頼み込む。『愉快な仲間』からすれば、神々しい神に選ばれたのだから光栄そのものである。
二つ返事で承諾され、詩乃は猫っぽいきぐるみの中へと乗り込み、戦場となっている白き竜のきぐるみを着込んだ堕ちた彫刻家『アリスアーティスト』の元へと駆け込んでいくのだった。
その頃、白き竜のきぐるみを着込んだアリスアーティストは、周囲に粘液状のどろどろになった石膏を撒き散らさんとして、猟兵の攻撃を受け痛手を負っていた。
幸いに、大地は石膏の沼へと汚染されることはなく、機動力を強みとする猫っぽいきぐるみの力を損なうことはなかった。
詩乃のユーベルコードによって強化された薙刀、きぐるみに乗り込んだ効果も相まって、凄まじい斬撃を放つ。
「あれ? このきぐるみさん、すごく力強いです!?」
アリスアーティストの体を強かに打ち据える薙刀、煌月。神力が籠められたオリハルコンの刃は、きぐるみが振るうことに寄って強力な一撃となって、白き竜のきぐるみを追い詰めていく。
「この斬撃の速度……! 私の彫刻刀捌きを上回る!?」
必死に応戦するアリスアーティスト。
けれど、猫っぽいきぐるみの放つ薙刀の一撃が、全ての防御を上回る俊敏さで持ってアリスアーティストの体へと痛手を負わせていく。
たまらず空へと羽ばたくも、ねこっぽいきぐるみの跳躍力と詩乃の飛翔能力の前には意味をなさない。
すかさず地面へと叩き落され、逃げることすらできないのだ。
「何故……何故、こんなにも早い……! 猫のきぐるみだからと言って説明できない!」
アリスアーティストがあまりの事態に狼狽えたように声を発する。
それはそうだろう。
なぜなら、詩乃が乗り込んだきぐるみは―――。
「猫さんではなくて、雌ライオンさんだからです! 狩りは雌ライオンさんのお仕事! 自分よりも大きなものに立ち向かうとき、お父さんと子供たちのために、たくさんの力を発揮することができるのです!」
空より放たれた神気の輝きが焔を宿す。
薙刀の刃が燃え、その天空より放たれた一撃を持って、アリスアーティストに癒やすことの出来ない傷を刻み込んだのだった。
「―――母は強し! です!」
大成功
🔵🔵🔵
ジャム・ジアム
アドリブ歓迎
おっきい、かわいい……
ああっ違うの、そう、助けなきゃ!
そこの綺麗な鳥のあなた?大丈夫?
一応、負傷がないか確認。何かあれば『QQ箱』で【医術】を施す
……はじめて来た世界だけど、私もこの状況、びっくりしたわ
私たち、あの怖い人を倒したいの。
貴方のその大きな羽と爪で、どうか力を貸してくれない?
すごい!手が羽になるとこんな感じなの
『護り現』でまず外側を保護して【オーラ防御】
敵の攻撃は『ガラス蜘蛛』と羽ばたきで【吹き飛ばし】空間を作り
『落差の坩堝』で温度を奪って届く前に固めたいわ
その影から抜け出て【ジャンプ】
見つけたわ。さあ鳥さん。お見舞いしましょう!
あの彫刻刀ごと【武器落とし・2回攻撃】よ!
それは雄々しき鷲の姿をした『愉快な仲間』だった。
広げた翼は所々ぼろぼろになり羽根が毟られたような痕があった。けれど、それでもなお壮麗さを残した姿は、ジャム・ジアム(はりの子・f26053)にとっては、目を輝かせるほどに愛らしい姿であった。
元々、この『大きな愉快な仲間のいるところ』では、立ち入った『愉快な仲間』たちの全長は2倍の大きさになり、背中にファスナーのついたきぐるみと化してしまう。
それ故に、以前は荘厳なる姿を持っていたかもしれない鷲も、どこかコミカルな姿に変貌を遂げていた。
だから、ジアムの言葉は的を得た言葉であった。
「おっきい、かわいい……」
思わず出た言葉。
そう言葉を紡ぎたくなるほどに、転移したジアムの瞳を迎えた鷲の『愉快な仲間』の姿は眼を見張るものがあった。
傷ついた羽根を認め、ジアムは漸くにして我に返る。
「ああっ違うの、そう、助けなきゃ! そこの綺麗な鳥のあなた? 大丈夫?」
ととと、と駆け寄ってジアムは優秀な診断AI付ポータブルERであるQQ箱を展開する。医療道具も備え付けられたERでもって傷ついた鷲の『愉快な仲間』を囲って処置を施していく。
生命に別状はない。
けれど、毟られた翼は治療が必要だ。ジアムはじっといている鷲の『愉快な仲間』を安心させるように語りかける。治療を開始しつつ、ジアムはキラキラとした瞳を向ける。
「……はじめて来た世界だけど、私もこの状況、びっくりしたわ。この傷……あの怖い人にやられたのね?」
転移するまえにグリモア猟兵より伝えられた情報だ。
堕ちた彫刻家『アリスアーティスト』。オウガたる彼女の手によって、この美しい羽根を毟られたのだろう。
きっと己の芸術のために。己の我欲を満たすことが芸術ではないというのに、身勝手な欲望はいつだって誰かを傷つける。やるせない気持ちになるジアムであったが、彼女の医療によって鷲の『愉快な仲間』の傷跡は元通りに成っていく。
こんなとき、彼女は己の力を誇らしく思うのだ。
「私たち、あの怖い人を倒したいの。貴方のその大きな羽根と爪で、どうか力を貸してくれない?」
ジアムの言葉はいつも偽らざる言葉だった。
だからこそ、いつだって他者の心を動かす。鷲の『愉快な仲間』が、その両翼を広げる。生え揃った羽根の壮麗なことと言ったら、ジアムであっても見惚れるほどだった。
「そう―――、ありがとう!」
それが、鷲の『愉快な仲間』の答えだった。背中のチャックが降ろされ、ジアムは乗り込む。
一気に空高く飛翔し、翼が羽ばたく。彼女でなければきっと、この鷲の『愉快な仲間』はこころを開かなかったことだろう。彼女の真摯なる心が、常に誰かを動かす。
「すごい! 手が跳ねになるとこんな感じなの」
鷲の体を包み込む護り現のオーラの力が、きぐるみの外側を覆う。空を舞うのと飛ぶのとでは大きな違いだ。
風がきぐるみの中であるというのに心地よい。眼下には白き竜が薙刀の一撃に寄って大地に失墜する姿。
「見つけたのよ!」
ぎ、と白き竜の瞳が空を舞う鷲のきぐるみに乗り込んだジアムを捉える。大口が開かれ、その内部より放たれるのは粘液状にどろどろとなった石膏の弾丸。
それはジアムたちを塗り固め、己と同じように大地へと失墜させようとする攻撃であった。
だが、それがジアムたちに届くことはなかった。
「無駄、よ―――何もかも」
魔力纏う、水蜘蛛の泡の如き銀の薄布が空気の層を作り出し、それを鷲の翼が羽撃かせることによって石膏の弾丸を押しやる。
さらに彼女のユーベルコードの輝きが瞳から放たれる。
落差の坩堝(アジタート)。
それは明確な攻撃の意志と覚悟を持った視線であった。押し出された空気の層に圧されて空中を飛ぶ石膏の弾丸を、急速に温度差を吸収し、力に転化する念波動によって石膏は粘液状を失って固体となって地面へと失墜する。
「私には届かないの、だから。さあ、鳥さん。お見舞いしましょう!」
天空より急転直下。鷲の『愉快な仲間』のきぐるみと共にジアムは急降下し、失墜している石膏の弾丸を影に回避不能なる一撃を見舞う。
アリスアーティストが構えた彫刻刀など、意味をなさない。
防御にもならない。鷲の脚力でもって放たれる爪の一撃は、その彫刻刀をへし折り、二撃目によって白き竜のきぐるみに包まれたアリスアーティストの頭蓋を叩き割らんばかりの勢いで地面へと叩きつけた。
そのまま空へと再び飛翔するジアムと鷲の『愉快な仲間』。
両翼を広げた姿は、以前と変わらぬ壮麗さ。その誇らしげな羽撃きは、いつまでもジアムの心に得難い経験となって刻まれるのであった―――!
大成功
🔵🔵🔵
愛久山・清綱
この世界に来るのも随分久しぶりだが……
まさか、此所まで大きく荒れていたとは。
愉快な仲間たちを守るため、戦わねばな。
■闘
先ずは事情を説明し、愉快な仲間に協力を要請するぞ。
敵を手早く倒せる・痛みはないという旨を伝えれば、
分かってくれるかも。
乗り込んだら、徒手での戦いを挑む。
先ずは彫刻刀で斬り掛かる瞬間を【野生の勘】で予測、
腕の動きを【見切り】つつ【グラップル】で止める。
視界が限られている故、勝負は一瞬……ミスは許されない。
腕を止めたら、こちらの物。
そのままの体勢で【怪力】を込めて敵を持ち上げ、
【真膂】の要領で地面に力強く叩きつけてやろう。
柔術やってて本当によかったものだな。
※アドリブ歓迎・不採用可
複合世界であるアリスラビリンスは、様々な小さな不思議の国が繋がってできた世界である。それ故に、一度立ち寄った世界といえど、再び訪れた際には見たこともないような様相を見せることがある。
迷宮災厄戦。
まさに今がその時であった。『大きな愉快な仲間のいるところ』。その地を訪れた『愉快な仲間』たちは例外なく通常に2倍のサイズへと姿を変える。
「この世界に来るのも随分久しぶりだが……まさか、此処まで大きく荒れていたとは。愉快な仲間たちを守るため、戦わねばな」
愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)が転移したとき、目の前にいたのはブリキのロボット兵の『愉快な仲間』であった。
ブリキできた体は所々凹んでいるが、動くのに支障はなさそうであった。
「―――ガピー、ガーピー」
ブリキロボット兵のきぐるみが言葉らしきものを発する。武器もへし折れた姿であるのは、きっとオウガ、堕ちた彫刻家『アリスアーティスト』に抵抗したからだろう。
どれだけ戦いに長けた『愉快な仲間』であっても、オウガでありオブリビオンであるアリスアーティストには敵うべくもなかった。
けれど、清綱は言葉通じぬ間柄なれど、その意志を確かに受け取っていた。
「俺達、猟兵はあのオウガを倒しに参った。ただ、彼奴はきぐるみに乗り込み、力を増している。こちらも同じ条件であり、貴殿の助けがあれば、手早く倒せる。それにきぐるみといっても、貴殿に痛みはない。すべて痛みは俺が引き受ける」
清綱は包み隠さずに事情を説明する。
世界を守るために戦うこと、相手が着込んでいるきぐるみもまた同じ条件であるがゆえに、こちらもきぐるみに乗り込んで戦わないといけないこと。
わかってほしい。
その一念が、ブリキロボット兵の『愉快な仲間』の心を突き動かす。
「がーぴ」
小さくうなずいて、ブリキロボット兵の背中のファスナーが降りる。
わかってくれたか、と清綱はきぐるみの中に乗り込む。確かに力が向上しているのが分かる。ならば、と大地を疾走する。
どすんどすんと騒々しい音を立てるのは、ブリキロボット兵の名残であろう。けれど、これが効いた。
先行した猟兵達の攻撃に晒されて、アリスアーティストは痛手を負っている。
それは肉体的なダメージもあれど、精神的なダメージもまた然りである。そんなときに騒々しくも迫る音を聞けばどうなるか。
「ひっ―――来るな! 来るな!」
手にした彫刻刀は、すでに猟兵達の攻撃に寄ってへし折られている。もう意味を成すことはない。けれど、それに縋るほかないほどにアリスアーティストは追い詰められていたのだ。
「錯乱……動揺しているな。ならば!」
一気に白き竜のきぐるみに身を包んだアリスアーティストへと接近する。徒手空拳。それこそが、このブリキロボット兵の力を最大限に引き出す最大の攻め手。
振り回すように、滅茶苦茶な動きの彫刻刀の攻撃を、きぐるみの中ゆえの視界不良を補って余るほどの野生の勘と見切りでもって躱す。
否。
躱すのではない。開いた手が振りかざされた腕を受け止め、受け流す。徒手空拳はこのために。しっかりと竜の手首を掴み、くるりとその場で一回転する。
腰の動きが白き竜の体を跳ね上げさせる。
「こちらのものだ―――此れで決めさせて頂こう……」
一本背負い。
ブリキロボット兵の肘が、脇の下へと潜り込み力の力点となる。相手の力を受け流し、利用する。だが、それだけでは白き竜の巨体を持ち上げることは叶わない。
そもそも人体ですらないのだ。
人と人とが組み合ったときに最大なる力を発揮するのが柔術である。ならば、人外たる怪物に投げ技を使う場合、猟兵である清綱には、ユーベルコードがある。
真膂(シンリョ)。それは己の怪力を持って放たれる必殺の一撃。
怪力で持ち上げられた敵を、そのまま地面に叩きつける。力強く単純で重い一撃は大地を再び割るほどの威力であった。
「ガハッ! あっ、ぁ!」
血反吐を吐くような感触。手応えがあった、と清綱は感じる。ふ、と戦いの場であるのに笑みが溢れる。
なんてことのないことではあるのだが、それでも、と思う。
ブリキロボット兵と心を通わせ、ともに戦う。
己の獲物は刀である。だが、それに地続きで繋がっていく鍛錬が彼とブリキロボット兵の力となったのだ。
だから、清綱は―――。
「柔術やってて本当によかったものだな」
そう、誇らしく思うのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
被害にあった愉快な仲間達を助けるためにも
放っておく事はできないね
可愛らしいお人形型の愉快な仲間にお願いして
乗り込ませて貰おうかな
乗り込んだら女神降臨を使用
ドレス姿になるから
それを気にしなそうな愉快な仲間が良かったんだ
敵と戦闘になったら魔力の翼で空を飛びつつ
石膏を躱してガトリングガンで攻撃
空を飛んでれば石膏の沼に触れずに
攻撃し続けられるからね
躱しきれない時は神気で
飛んできた石膏の時間を停めて防御
これは僕なりのオーラ防御だよ
相手が弱ってきたら石膏から創った使い魔の
石化攻撃で相手を石膏像に変えようとするよ
動きが止まったら着ぐるみから取り出そう
そんなに彫刻が好きなら
自分が彫刻になればいいんじゃないかな
アリスラビリンス、『大きな愉快な仲間のいるところ』における戦いも佳境へと至っていた。
白き竜のきぐるみの中へと乗り込んだオウガ、堕ちた彫刻家『アリスアーティスト』の体は猟兵達の攻撃に寄って大打撃を与えられていた。
その証拠に投げ飛ばされ、地形を変えるほどの一撃を何度も打ち込まれた白き竜の姿は立ち上がる姿すら無残なものであった。
乗り込まれたきぐるみ化した『愉快な仲間』に外傷はない。全て乗り込んだ者へとダメージが入るためだ。きっときぐるみの中のアリスアーティストは、這々の体であろう。
さらには、心までへし折られている。
どれだけ己の我欲を満たそうとも、満たされぬのが芸術であるというのならば、誰からも理解されないということは、その心をへし折るには十分な事実である。
必要とされないのが、もっとも芸術家の心を痛めつけるのだ。
「被害にあった愉快な仲間達のことを思えば、放っておくことはできないね」
佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は、可愛らしいお人形型の『愉快な仲間』のきぐるみ化した中へと乗り込んだ姿で、白き竜のきぐるみに乗り込んだアリスアーティストの前に姿を現した。
「私は私の芸術のために、信じる芸術のために朽ちることのない石像にしてあげただけ! 私の芸術として永遠に残ることが苦痛だなんて、そんなこと絶対にあり得ない!」
アリスアーティストの咆哮が響き渡る。
放たれる粘液状の石膏の弾丸。この期に及んでもなお、己の我欲と芸術を履き違えている。
誰かの心を豊かにするのが芸術だ。決して、誰かを害していいという免罪符にはなりえない。
だからこそ、晶はユーベルコードを発動させる。
「小っ恥ずかしいけど、我慢我慢……いくよ!」
女神降臨(ドレスアップ・ガッデス)。
それは宵闇の衣を以てして、可憐なるドレス姿に変身するユーベルコード。その可憐なる姿とは裏腹な携行型ガトリングガンがアンバランスは物騒さを加速させる!
そう、わざわざ晶が可愛い人形型の『愉快な仲間』に乗り込んだのにはワケがあったのだ。
このドレスアップ。
ユーベルコードを発動した以上、可憐なるドレスを来てしまうのは間違いない。ならば、そのドレス姿になっても気にならない愉快な仲間を選ぶ必要があったのだ。
余談だが、『愉快な仲間』たちはきっとどんな姿をした者であっても、喜んでドレスアップされたことだろう。
「石膏の弾丸を飛ばす余力がまだあるっていうなら」
背より生えた魔力の翼が広げられ、大空へと舞い上がる晶。次々と放たれる石膏の弾丸を躱しながら、ガトリングガンから放たれる弾丸の量は、石膏の弾丸よりも確実に多い。
物量で押すのならば、これくらいやらなければならない。例え外れてしまって石膏の沼と化してしまっても、空を舞い飛ぶ晶には関係がない。
「石膏ばかり吐き出して……ならさ!」
飛んできた石膏の弾丸の時間を止める。それは彼女を、彼女足らしめた邪神の権能。空中で制止する石膏の弾丸を使い魔へと作り変える。
ガトリングガンの斉射によって、ついに白き竜は地面へと倒れ伏す。
その背中のチャックを引きおろし、晶は中からアリスアーティストを引きずり出す。
「そんなに彫刻が好きなら、自分が彫像になればいいんじゃないかな?」
生み出された石膏の使い魔が、アリスアーティストにまとわりついた瞬間、断末魔の悲鳴を上げてアリスアーティストが石膏の彫像と化す。
それは散々に己が行ってきた所業の報い。
愉快な仲間たちを大理石へと変え、己の我欲のままにオブジェとして飾り立てようとした因果である。
その彫像と化したアリスアーティストを晶のガトリングガンの弾丸が打ち砕く。
霧散し、骸の海へと還っていくアリスアーティスト。その石化の瘴気を放つ腕輪の効力も直に失われるだろう。
大理石へと姿を変えられた愉快な仲間たちも、戻ってくる。戦いの場となった『大きな愉快な仲間のいるところ』は、漸くにして本来の姿を取り戻す。
いつかまた、この場所へやってくることもだろう。
その時が戦いの場でないことを晶は祈らずにはいられなかったのだった―――。
大成功
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