迷宮災厄戦④〜きぐるみ大怪獣戦争(作者 G.Y.
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 アリスラビリンスの世界に突如として現れた猟書家と呼ばれる者達は、この世界のオブリビオン・フォーミュラ『オウガ・オリジン』の力を奪い、既に平和となった世界への侵攻を開始した。

 オウガ・オリジンを倒せばアリスラビリンスの世界は平和を取り戻すが、猟書家達は力を得たまま他の世界へと逃げ込んでしまう。だが、猟書家達を倒せば、オウガ・オリジンも力を取り戻す。
 どう攻め、そしてどう守るか。猟兵達に判断が委ねられた――。

●アリラビ・大怪獣バトル!
『う~~わ~~~、おっきくなっちゃったぞぉぉ~~』
 怪獣のぬいぐるみのような姿をした『愉快な仲間達』が驚きの声を上げた。彼は普段の約2倍の大きさにまで膨れ上がり、巨大になってしまった身体をぐらぐらと揺らす。
 足元には通常の1/10くらいの大きさの小さなビルや建物が敷き詰められ、愉快な仲間の彼は危うく家を踏みつぶしそうになって慌てて体勢を崩してしまった。
『わわわぁあ~~~っ』
 だがかわりに、がしゃん、と高層ビルらしいミニチュアに身体からぶつかって、ビルが倒壊してしまう。
『あわわ、どうしよう~』
 倒壊してしまったビルを前に、おろおろする彼の背後で、ケラケラと笑う声が響いた。
「うっふっふー、カッコいいなぁ! やっぱり怪獣は街を壊さなくっちゃ!」
 背後にいたのは、猫のぬいぐるみのような姿をした、やはり巨大な『愉快な仲間』であった。
『わ~~ん、助けてよぉ~~』
 猫の姿の愉快な仲間は、涙ながらに懇願する。どうやら何者かに操られているようだ。
「だーめ。僕と君はこの世界で一番の凄い怪獣になるんだからね!」
 猫のぬいぐるみの内側から響く子供っぽい声は、はしゃぎながら飛び去っていくのであった。

●乗り込め! きぐるみ愉快な仲間達!
「アリスラビリンスのオブリビオン・フォーミュラと、その力を奪った猟書家達が大々的に動き始めましたわ!」
 エリル・メアリアル(孤城の女王・f03064)が集まった猟兵達に向かって叫んだ。
「名付けて『迷宮災厄戦』! 皆様にはまず他世界へと侵攻しようとする猟書家達を追うために、いくつかの世界を攻略していただきますわ!」
 そうしてエリルが掲げた場所……それはミニチュアが敷き詰められた世界だった。
 1~2階建ての家は人の膝くらい。塔のような大きな建物であっても背丈より少し大きいくらいだ。そんなミニチュアの建物が所狭しと並べられ、一つの街を作り上げている。
「そして、この世界を支配しているのが、猫のぬいぐるみ……を被った猫のぬいぐるみみたいなオブリビオンですわ!」
 ――なんて?
 複雑すぎる言葉に意味を理解しあぐねた猟兵が首を傾げた。エリルは頷いて、この世界の最大の特徴を提示する。
「この世界、愉快な仲間達の皆様は、みんな現在の2倍の身長程にまで大きくなり……背中にチャックがついてしまうんですの!」
 背中にチャックのついた巨大な愉快な仲間達、通称『きぐるみ愉快な仲間達』。この世界に訪れた愉快な仲間達はみんなそうなってしまうらしい。
「そんな『きぐるみ愉快な仲間達』にオブリビオンが入り込んで、暴れまわっているというわけですわ」
 どうやら、『きぐるみ愉快な仲間達』に入り込めば、なんと数倍ものパワーアップが見込めるらしい。猫の姿をしたオブリビオンはそれを利用して、自分に似た姿の『きぐるみ愉快な仲間達』に勝手に入り込んだというのだ。
「ですから、皆様もこの世界に迷い込んだ『きぐるみ愉快な仲間達』と協力して、オブリビオンを倒してくださるかしら!」
 エリルが猟兵達に告げるのであった。

「きぐるみ愉快な仲間達に入り込んだオブリビオンは身体も大きいし、とっても強くなっていますわ。厄介だけれど……それならば、皆様も同じことをすればいいだけ!」
 戦いの概要を説明していたエリルがぴしっと指を立てる。
「きっと愉快な仲間達は暴れるオブリビオンに困っているはず。お願いをすれば中に入れてくれることも出来ると思うんですの!」
 勝手に乗り込むと、逆に嫌がって力が十分に発揮できないかもしれない。ちゃんとお願いをして、協力を仰ぐことがポイントになるだろう。
「迷い込んだ『きぐるみ愉快な仲間達』は、周辺をうろうろしていますわ。身体が大きいからすぐにわかりますわね」
 そこには何人ものきぐるみがいるらしい。それぞれ猟兵と気の合いそうな人を探すのも良いだろう。

 だが、敵から攻撃を受けてしまっては、愉快な仲間達が痛い思いをするのではないか?
 敵に操られている愉快な仲間達ごと傷つけても良いのだろうか?
 そんな疑問に、エリルは得意げに胸を張った。
「大丈夫! このきぐるみ愉快な仲間達……ダメージは全て中身が受けることになりますの! ですから、攻撃を与えても、受けても、きぐるみはまったく無傷なんですのよ!」
 つまり、愉快な仲間のことは気にせず、遠慮なく戦って良い、ということだ。これならば躊躇する理由もないだろう。
 あらかた説明をしたところで、エリルが一つ付け加える。
「それと、猟兵でもある愉快な仲間達の皆様はご注意くださいまし。この世界のルールは、皆様にも適用されますのよ!」
 つまり、たとえ猟兵であっても『愉快な仲間達』であれば『きぐるみ化』してしまうのだという。注意が必要なポイントだが、ある意味では仲間との協力のチャンスかもしれない。
「さぁ、説明は以上! 猟書家とオウガ・オリジン。どう戦うかの判断は迷うけれど、まず彼らに近付かなくては話になりませんわ! その為にも、ご協力お願いしますわね!」
 そう言うと、エリルのグリモアが輝きだした。

 いざ、大怪獣決戦の場へ!


G.Y.
 こんにちは。G.Y.です。
 「迷宮災厄戦」が始まりました。皆様の活躍を期待しております!

 今回はミニチュアの街を舞台にした、大怪獣バトルです。
 身長が2倍になり、背中にチャックのついた『きぐるみ愉快な仲間達』に入り込んで、オブリビオンを撃退しましょう!

 基本的にはオープニングに記載した通りです。要約すれば以下の通り。
 ・きぐるみ愉快な仲間達に入り込めば、数倍のパワーアップが可能。
 ・きぐるみ愉快な仲間達に入り込んだ状態で受けるダメージはすべて中身が受け持つため、きぐるみ愉快な仲間達は傷つかない(敵味方ともに)

 さらに、『きぐるみ愉快な仲間達』」の許可を得て、乗り込んで戦う……ということがプレイングボーナスの対象となりますので、是非利用してください。

 また、特殊なルールとして、猟兵の『愉快な仲間達』も『きぐるみ化』します。
 共同プレイングをかけたりなどに利用していただければと思います。

 それでは、皆様の熱いプレイングをお待ちしております!
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第1章 ボス戦 『ロン』

POW ●紺碧の稲光
【機械がショートするほどの電撃】を給仕している間、戦場にいる機械がショートするほどの電撃を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
SPD ●悪戯好きの怪物
【相手の武器を奪い取る】と共に、同じ世界にいる任意の味方の元に出現(テレポート)する。
WIZ ●Are You Ready?
自身が【カッコよさや興味】を感じると、レベル×1体の【玩具の軍隊】が召喚される。玩具の軍隊はカッコよさや興味を与えた対象を追跡し、攻撃する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は宇冠・由です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


ニオ・リュードベリ
なんかすごいことになってる!
えっと、とにかくオウガをなんとかしなきゃ

まずは愉快な仲間達に許可を取ろう
あたしはあなた達を助けに来た猟兵だよ
あなた達と一緒にあのオウガをやっつけたいの
大丈夫、あなた達は不思議な力で怪我をしないみたいだから
それに……ここにいる仲間達はみんな怖い思いをしているもの
だから早く決着をつけて皆を助け出そう!
【優しさ】と【勇気】を籠めて言葉を紡ぐ

上手く説得出来たならきぐるみを着込んで戦う
わぁ、もふもふ……って堪能してる場合じゃない
少しでも仲間が怖い思いをしないよう無敵の鎧を作り出して戦うね
電撃だってへっちゃらだよ
勇気を胸にアリスランスを構え、一気に【ランスチャージ】で攻めるね!


 膝丈くらいの家々が立ち並び、本来見上げる程高いビルも、背丈と同じか、もう少し高いくらい。
 そこではまるで自分が巨人になったかのように錯覚してしまう。
「なんだかすごいことになってる!」
 その風景に、ニオ・リュードベリ(空明の嬉遊曲・f19590)は驚きの表情で辺りを見渡した。この世界に、暴れるオウガがいるというのだ。その証拠というべきか、倒壊したビルや潰れた家屋などが先へと続いていた。
『来たね猟兵、大きくなった僕に勝てるかな~?』
 その先にゆらりと振り向くネコのきぐるみが、ニオへと振り向く。その名はロン。不敵に笑いながら、ニオを待ち構える。
『はやく来ないと、もっと壊しちゃうんだからね~!』
 ロンが腕を振るうと、近くのビルが砕け散った。破片が飛び散り、土埃が舞う。
「きゃっ! ……とにかくオウガをなんとかしなきゃ!」
 きぐるみ愉快な仲間達を着込んだロンは通常よりもパワーアップしている。それに対抗するには……。
『わぁぁあ~……なんだかふらふらするよぉ~~』
 ニオの脇を、大きくなってしまった怪獣の『きぐるみ愉快な仲間達』がふらふらしながら歩く。巨大化した身体に慣れていないのだろう。
「ねぇ、あなた!」
 そんな怪獣にニオが声をかける。
『え、なぁ~にぃ~?』
 怪獣がとぼけた声でニオを見下ろした。
「あたしはあなた達を助けに来た猟兵だよ。あなた達と一緒にあのオウガをやっつけたいの! あなたの身体に入らせてくれない?」
『えぇっ?』
 ニオの言葉に怪獣はロンの方を見る。にやにやと笑うロンの姿に、怪獣は震えあがってしまう。
『無理だよぉ、怖いよぉ~』
 そんな怪獣に、ニオが励ます。
「大丈夫、あなた達は不思議な力で怪我をしないみたいだから!」
『ほんとぉ?』
 不安げな怪獣に、ニオは勇気を付けるように、その身体に手で触れる。
「本当よ。……それに、ここにいる仲間達はみんな怖い思いをしているもの……だから早く決着をつけて皆を助け出そう!」
 ニオの言葉に、怪獣がふるふると震える。そして、意を決したようにロンへと目を向ける。
『……うん、僕の身体、使って!』
 ジャアアアっ! と小気味よい音とともに背中のチャックが開かれた。
「ありがとう!」
 ニオは礼を言いつつ、中に入り込む。
「わぁ、もふもふ……!」
 中はなかなかに居心地が良かった。悪くなるかと思われた視界もばっちりで、まるで二人が一つになったかのような気持ちになる。
「って、堪能してる場合じゃない!」
 ニオは怪獣とともにロンと向かい合った。ロンはやれやれ、といった具合でニオ達を見る。
『あ~あ、着ちゃった。まぁ、大怪獣バトルもいいよねぇ』
 と、その瞬間。ロンの両手から電撃が放たれた。
『わぁっ!?』
「大丈夫!」
 驚く怪獣を制してニオが叫んだ。電撃が周囲でスパークし、周囲の家やビルを弾き飛ばす。
 だが、その中央に立っている怪獣とニオは、まったくの無傷。それどころか、怪獣の身体には格好いい鎧が纏われている。
『え、なにこれ!? カッコいい!』
「無敵の鎧。これさえあれば電撃だってへっちゃらだよ。……さぁ、いこう!」
 ニオの呼びかけとともに、怪獣の手に巨大な白銀の槍が呼び出された。それをロンへと向け、二人が駆ける!
『「やああああああっ!!」』
 白銀の槍がロンを貫いた。

 ロンは咄嗟に槍を抜き、二人から距離を置く。
『くっそー……油断、したなぁ……!』
 その着ぐるみに、キズらしきものは無かった。どうやら本当に、中身にしかダメージが入らないように出来ているらしい。
『猟兵さん! これなら勝てるね!』
「そうね! 一緒に戦おう!」
 二人の心に、勇気が宿る。白き槍はより輝きを増してゆくのであった。
大成功 🔵🔵🔵

シウム・ジョイグルミット
[POW]
仲間たちー、助けに来たよーっ!
一緒に悪い猫をやっつけよう!

まずは乗せてくれる仲間を探さないとね
乗せてくれたら、あとで美味しいお菓子をプレゼントしちゃうよー
無事乗りこめたら、『Hungry Dumpty』召喚!
きっときぐるみと同じくらいの大きさだから、この子も一緒に戦えるはず
挟み撃ちにしちゃうよー!

電撃ビリビリしてくるみたいだけど、きぐるみだから大丈夫だよね
思いっきりパンチをお見舞いしちゃえ!
その前にダンプティの能力で、敵の足元をこっそり水飴に変えちゃおうかな
はまって動き辛くなれば、こっちの動きが遅くても避けられないでしょ
さぁ、遠慮なくボカスカして悪い猫に操られてる子を助けてあげよう!


瞳ヶ丘・だたら
【協力・アドリブ歓迎】

これはなんとも面妖な。想像していた戦争の絵図とは少々違う姿に戸惑いつつも、気を引き締めるぞ。

「どうか我々の力になってほしい。協力してくれる者はこちらへ!」

UC【蹈鞴印の蒸気兵軍団】によって召喚した兵士たちを、個別に愉快な仲間達の気を引く集団と、5体程度が合体しながら彼らに乗り込んで戦う集団に分けよう。
そうして何体か着ぐるみ愉快な仲間たちを纏った兵士が完成すれば、他の猟兵達の邪魔にならない程度に、逃げ道を塞ぐ・湧いてくる雑魚を潰す・隙を見て殴りかかるといった行動を数を恃んで行わせるぞ。
あたし自身は指揮に徹しつつ、戦いで傷付いた兵たちを〈防具改造〉技術で修復する作業を行おう。


「仲間たちー、助けにきたよーっ!」
 シウム・ジョイグルミット(風の吹くまま気の向くまま・f20781)が叫ぶ。周囲でうろうろしていた着ぐるみたちが一斉に振り向いた。

 愉快な仲間達が巨大な着ぐるみと化してしまう世界。足元には膝丈くらいのミニチュアが所狭しと並べられ、激しい戦いの痕がミニチュアながらに生々しく残る。それが臨場感を引き立てて、まるで自分が今、巨人になってしまったかのような感覚に陥ってしまう。
「これはなんとも面妖な」
 瞳ヶ丘・だたら(機械ヲタな単眼少女・f28543)は、その様子に少々の戸惑いを覚えていた。戦争とはこういうものであったか? そんな疑問がふと湧いてくるが、ともあれ今は目の前のオウガを倒すことが先決だ。
「どうか我々の力になってほしい。協力してくれる者はこちらへ!」
 そう叫ぶだたらであったが、着ぐるみたちも少々戸惑い気味だ。巨大化してしまったうえに中身がスカスカに感じるその身体に慣れないということもあるのだろう。だが、目の前のオウガ、ロンを倒さなければ平穏は訪れないことは、彼らも理解していた。
「乗せてくれたら、あとで美味しいお菓子をプレゼントしちゃうよー!」
 すかさずシウムが声をかけた。すると、彼らがピクンと反応する。
『お菓子?』『美味しいの?』
 ぞろぞろと二人の元へと駆け寄る巨大な着ぐるみたち。
「協力してくれるか?」
 だたらの言葉に、着ぐるみ達がこくんと頷いた。
「わーい! それじゃ、身体借りちゃうよ!」
 ジィイイッ! と背中のジッパーが開かれ、シウムはそのうち1人の背中に入り込む。
「来い、蒸機兵軍団」
 だたらは蒸気機械式兵士達を召喚するとそれらを5体1組に並べてゆく。合計56体は11組の隊を作りあげた。なお、余った1体はキョロキョロした後、隊に特別に入れてもらうえたようである。
 それはさておき。
「合体だ!」
 組を作った蒸気機械式兵士達が一つになってゆく。合計11体の兵となった兵達が、1体ずつ着ぐるみへと乗り込んでいった。
 最後にだたらも着ぐるみに入り込めば、合計13人もの大怪獣軍団がロンへと対峙することとなった。。
「これで準備完了じゃないよ! お腹が減るのは嫌だけど……みんな、出てきて!」
 シウムの呼びかけとともに、ぐぅう~~とお腹が鳴った。その音に釣られたように、手足のある巨大な口が出現する。
「Hungry Dumpty! この子も一緒に戦うよ!」
 着ぐるみの力で、呼び出されたHungry Dumptyも若干巨大化しているように見える。こうしてとうとう、着ぐるみ軍団が完成したのだった。

「蒸気兵達よ、散れっ!」
「ダンプティも!」
 だたらとシウムの号令に従い、蒸気兵達とダンプティが散ってゆく。
 ロンを取り囲むように移動する様子に、ロンはさも余裕だという風にくすくす笑って、両手に稲妻を走らせる。
『そんなに囲まれたって~……ほぉら、ビリビリー!』
 ロンの両手から電撃が迸る。パチパチと周囲で弾けて、家やビルが爆発する。
「……なんだ?」
 だたらが自身の身体を確認する。どうやら目立った外傷はないようだ。だが。たった今目の前にいた筈のロンの姿が消えていたのだ。
『動きが遅いよ~』
 ロンの声は、蒸気兵の背後から聞こえた。
「しまった!」
 だたらが叫ぶより早く、蒸気兵が吹き飛んだ。ロンの蹴りが炸裂したのだ。
 ロンの電撃はダメージを与えることが目的ではない。敵の動きを鈍らせることが目的なのだ。
「くっ、包囲を続けろ!」
『無駄無駄~』
 ロンは余裕の表情で蒸気兵達を退けてゆく。そしてその凶刃はダンプティへと向けられようとした……その時であった。
『何ぃ?』
 ずぶりとロンの身体が大地に沈み込んだのだ。
「ダンプティの能力で、足元をこっそり水飴に変えておいたんだよ!」
 ロンの足元はべっとりとした液体に沈み込み、絡んで抜け出すのすら難しい。
 その隙にだたらは攻撃を受けた兵達を修復し、攻撃を受けた者含めた全員を奮い立たせる。
「今だ、かかれ!」
 だたらの号令とともに、蒸気兵が動き出す。
「さぁ、遠慮なくボカスカするよ!」
 シウムとダンプティも一斉にロンへと向かってゆく。
『あ、やばっ』
 ロンが身構える。身動きが取れない状態では電撃も意味を為さない。
「悪い猫に操られてる子を助けてあげよう!」
「そら行け進め、踏み潰せ」
 かくして、ロンは猟兵達の一斉攻撃によってボコボコにされるのであった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

ディルク・ドライツェーン
ココにもでっかいぬいぐるみだっ!
早くアイツ倒さないと街が壊されてやばそうだな…
よしっ、一緒に戦ってくれそうなやつ探すぞ!

そうだな…怖がってるやつを戦わせるのは可哀想だし
アイツのやってる事に怒ってるやつなら一緒に戦ってくれっかな?
なぁなぁ、お前オレと一緒にアイツ倒さないかっ!
このまんまじゃお前達の街壊されちまうし、操られてるアイツも可哀想だろ?
オレ達が一緒に戦えば絶対オウガもぶっ飛ばせるぜっ!

許可もらったら乗り込んで戦うぞっ
敵のUCはオレの武器は拳だし取られる心配はねぇけど
テレポートは気をつけて【野生の勘】で回避しつつ
UCで【怪力】【吹き飛ばし】で思い切りぶっ飛ばす!


『僕を怒らせたね~……怪獣はやられ役じゃなきゃーダメなのにさー……!』
 猟兵達の攻撃にボロボロになったロンは、忌々しそうに呟いた。ミニチュアの街はボロボロに崩壊、一部では火が出てしまったか、煙がもうもうと上がっていた。
 これは本物の街ではなく、あくまでもミニチュア。誰も住んでいないハリボテの空間ではあるが、ここで激しい戦いが起こり、この世界に大きな被害が出ていることには変わりがない。
「早くアイツを倒さないと街が壊れてヤバそうだな……」
 ディルク・ドライツェーン(琥珀の鬼神・f27280)はその様子に拳を握り、決着をつけるべく戦場へと向かう。

『わーん、どうしよう、もう滅茶苦茶だよぉ』
『大変なことになっちゃったなぁ……』
 着ぐるみ化した愉快な仲間達は、その街の様子におろおろしているようだった。背中に猟兵を入れれば強くなることも理解していたが、やはりこの状況に混乱は避けられないのだろう。
「一緒に戦ってくれそうな奴は……」
 ディルクが駆けながら、着ぐるみ達を見る。混乱している者や、戦いを怖がっている者に協力を仰ぐのは可哀想で気が引ける。
「誰か……」
 その時ディルクは、ふと視界の端にいた着ぐるみに目を向けた。ディルクからは背中しか見えないが、その視線はおそらくまっすぐにロンを見つめていて、じっと動かない。拳を握り、ギリギリと震えている。背中からでも、ぐらぐらと煮えたぎるような熱を感じ取れる気がした。
「……アイツなら!」
 ディルクが着ぐるみへと方向転換した。足元まで駆け付けると、それはライオンを模したような、たてがみの立派な着ぐるみであった。
「なぁなぁ、お前、オレと一緒にアイツ倒さないかっ!」
『……君と?』
 着ぐるみがディルクに目を向けた。
「このまんまじゃお前達の街壊されちまうし、操られてるアイツも可哀想だろ?」
 ディルクが身振り手振りで説く。着ぐるみはじっとディルクを見たまま、その言葉に耳を傾けているようだ。
「オレ達が一緒に戦えば、絶対オウガもぶっ飛ばせるぜっ!!」
 その言葉に、着ぐるみの背中がジャアアアアアッ! と激しい音を立てて開いた。
「……こいつは!」
『答えはたった一つ。僕の身体を……君に預けよう!』
 その言葉に、ディルクが力強く頷いた。
「ありがとな!」
 礼を言いながら、早速ディルクが着ぐるみの中へと入り込む。着心地は悪くなく、視界もまるで着込む前と変わらない。一心同体、という言葉がしっくりくるようだ。
「よぉし……行くぜ!」
 ディルクがロンへ向けて走り出した。
『猪突猛進、流行らないよ』
 その言葉とともにロンの姿が消える。テレポートをしたのだ。本来は相手の武器をも奪う危険な技ではあるのだが、拳一本のディルクはその力の効果を受ける事は無い。
 さらに、敵の僅かな敵の気配に、ディルクの野生の勘が働いた。
「うしろか!」
『えっ!?』
 ロンが現われた瞬間、回し蹴りが炸裂した。ロンは大きく身体を回転させながら吹き飛んで行く。
「聞いたぜ。その着ぐるみとこいつ、友達なんだってな」
 ロンの持つテレポートの力は、任意の味方のもとへと飛ぶ力だ。たった1体で戦っているロンにとって味方は無いはずだが、着ぐるみは違った。そして、その絆を利用しようとしたのだ。
「『許さないぞ』」
 ディルクと着ぐるみ。二人の声が重なる。
『ひっ、えっ……!』
 ディルクが大地を蹴る。そして一気にロンへと肉薄し……破壊的な拳が顔面を強烈な勢いで打ち抜いた。
『ぎゃあああああっ!!』
 ロンが吹き飛ばされる。それと同時に、じゃああっと猫の着ぐるみのチャックが開く。大地に打ち付けられた衝撃でロン本体が転がり出ると、それは声もなく、骸の海へと消えていくのであった。

『た、助かったよぉ』
 猫の着ぐるみは、やっと自由を取り戻したことに喜びながら、猟兵達に礼を言う。
「怪我はないか?」
 ディルクはそう言って着ぐるみを見る。やはり、不思議な力で怪我は無かったようだが、相当に怖い思いはしたようだ。
『けど、これでこの世界は平和になるよ、街もほら』
 ミニチュアの街は、徐々に元通りに戻りつつあった。戦いが終われば元の姿に戻るという不思議な魔力が籠められているようであった。

 ――迷宮災厄戦。アリスラビリンス全体を巻き込んだ戦いは、まだ始まったばかり。だが、この戦いの勝利がいずれ大きな勝利へと繋がるのだ。そう思い、猟兵達はこの世界を後にするのであった。
大成功 🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2020年08月03日
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵