宇宙からきた犬(作者 土師三良
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●グリードオーシャンにて
 その島の浜辺はとても賑やか……というよりも騒がしかった。
 百匹以上も犬がいるからだ。
「わん! わん! わん!」
「わおぉぉぉーん!」
「わふっ!」
 ある犬は玩具(数箇月前に猟兵たちが置いていった物だ)で遊び、ある犬は波と戯れ、ある犬は砂浜に寝転がり、ある犬は蟹を追いかけ回している。
 ただひたすら空に向かって吠えている犬たちもいた。
 その寂しげな遠吠えを人語に訳せば、このようになるだろう。
『ヒトとあそびたいよぉーん!』

●グリモアベースにて
「なな、なな、ばなな♪ ろっぽんなのにばなな♪ はっぽんでもばなな♪ ば、な、なぁ~ん♪」
 伊達姿のケットシーが猟兵たちの前でバナナの皮を剥いていた。
 グリモア猟兵のJJのことジャスパー・ジャンブルジョルトである。
 JJはバナナを三口で食べ終えると、皮を無造作に投げ捨てて、本題に入った。
「夏休みと骨休みを兼ねて、リゾートと洒落こまないか? リゾート地はグリードオーシャンの『Testudo et Canis』って島――略して、『てすかに島』だ」
『てすかに島』こと『Testudo et Canis』のルーツはスペースシップワールド。ある宇宙船が小惑星にぶつかり、その小惑星ごとグリードオーシャンに落下して、島と化したのだ。
 宇宙船に乗っていたスペースノイドたちは八百年以上も前に死に絶えたが、すべての生命が消えたわけではない。
「『てすかに島』には犬がいっぱいいるんだよ。宇宙船内で愛玩用に遺伝子改造されたペットたちの子孫だ。人間に交配管理されていないから、雑種ばっかり……と思いきや、さにあらず。宇宙船のクローニング装置がまだ稼働していて、第一世代の犬たちのクローンが定期的に生成されているから、純血種も結構いるぜ」
 犬種にかかわらず、遺伝子改造の影響もあって、どの犬も非常に人懐っこい。いや、人との触れ合いに飢えていると言うべきか。島に誰かがやってくれば、恐怖心や警戒心など微塵も抱くことなく、ハイテンションでぐいぐいと寄ってくるだろう。
「ってなわけで、そんな犬たちと一緒に遊んだり、ブラッシングしてやったり、体を洗ってやったりして、楽しい一時を過ごそうじゃないの。あ、そうそう。ドッグフードだのジャーキーだのを持っていっても、犬たちは大喜びすると思うぜ。なにせ、普段の食い物は魚や果実や虫とかだからなー」
 一通り語り終えたJJは気取った所作でグリモアを取り出した。
 だが、それを発動させようとした時――、
「では、『てすかに島』に出発するとしよ……うにゃっ!?」
 ――バナナの皮を踏み、無様に転んだ。

 ごみはごみばこにすてましょう。


土師三良
 土師・三良(はじ・さぶろう)です。
 本件は、犬だらけの島で遊ぶリゾート・シナリオです。犬だらけとはいえ、犬を無視して遊んでも構いません。もっとも、犬のほうは猟兵を無視してくれないでしょうが。
 JJも島に来ていますが(実は犬よりもバナナ等の南洋フルーツがお目当て)、無理に絡む必要はありません。絡むにしても遠慮や気兼ねは無用です。煮るな焼くなとご自由に。

 それでは、皆さんのプレイングをお待ちしております。

 ※日常章のみでオブリビオンとの戦闘が発生しないため、獲得EXP/WPは少なめです。

 ※『Testudo et Canis』はシナリオ『のこされ島』の舞台となった場所です(地図の座標はN04E03)。
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第1章 日常 『猟兵達の夏休み』

POW海で思いっきり遊ぶ
SPD釣りや素潜りを楽しむ
WIZ砂浜でセンスを発揮する
👑5 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


アストラ・テレスコープ
宇宙から来た宇宙船と小惑星の島!?
すごいロマンの塊だね!

じゃあ早速探検にいこー!
おーよしよしなでなでわしゃしゃしゃー
癒やされる~

よし、ワンちゃんたちに船の残骸まで案内してもらおう!
クローニング装置以外にも何か稼働してたりしないかな?
航海日誌的な、この船の名前とかどんな冒険をしたのかわかるような記録みたいなのがちょっとでも残ってたら嬉しいんだけどなー
猟兵の私なら冒険を続けてればいつかどこかで仲間の船とか知ってる人に出会えるかもしれないしね!

おーなでなでよしよしわしゃしゃしゃーーー


レンディア・バルフォニー
【アドリブ・連携歓迎!】

夏の島だからねぇ
涼しげにアロハシャツでも着て行こうか

この島に来るのも久しぶりだね
犬たちも元気そうで何より
よーしよしッ(撫でまわす)

さて、犬たちに取引を持ちかけよう(動物と話す)
君たちがいつも食べている美味しい果物がある場所を教えて欲しいな
教えてくれた報酬は……コレ!
とびきり美味しい犬用チーズだ
わんこたちとワイワイしながら採りにいけたら楽しいだろうねぇ

JJさんに話しかけようかな
JJさん、楽しんでるかい?
実は冷たい炭酸水を持って来ていてね
カットした果物を浮かべてフルーツソーダを作ろうと思って
暑い日にピッタリな飲み物になりそうだろう?
JJさんも一杯どうだい?


アレクサンドラ・ルイス
マックス(f28856)を連れて犬たちと遊ぶ

どうやら、お行儀がなっていないようだ
いくら人間が好きだと言っても、躾の行き届かないままでは真の信頼関係は築けやしない
犬の牙じゃ、人の柔肌なんざ簡単に貫くことができるしな

まずはトイレ!
1にトイレ2にトイレ、3、4がなくて5がトイレ!
催しそうな様子を見せたらすぐに誘導!

そして甘噛み!
考えてみろ
「わーい、人間だーあそぶー」とテンションを上げまくって飛びついたら
力加減を間違えてうっかり怪我をさせました、では二度と人間とは遊べない
これはお前たちの安寧を保障するパスポートだ

この他、様々なトレーニングを行う


言葉は厳しいが犬には別人かってくらい優しい


マクシムス・ルイス
マスター、…じゃなかった、アル(f05041)と共に

ここは私がお手本に――とはおこがましいので
新参者は新参者らしく、末席で住犬の皆さんを盛り立てましょう

しかし、普段と違う様子のアルに些か驚きますね
付き合いはまだ長くはありませんが
(先日一緒に観た“えいが”の『鬼軍曹』のようだなと思いつつ)
アル、実は楽しいのでしょう?

毎日私の毛並みを整えるとき、鼻歌が漏れているのを知っていますよ
我が同胞たちを褒めるその顔もまるで少年のようだ
かつての家族を思い出します
あの家にも、ひとり男の子がいました
なるほど、あなたは本当に犬という生き物が好きらしい

おっと、失礼
この尻尾はどうにも厄介で
ついつい振れてしまうのです


●マクシムス・ルイス(賢い動物のレトロウィザード・f28856)
 私は賢い動物です。
 いえ、知性を鼻にかけているわけではありません。この場合の『賢い動物』とは、アポカリプスヘルの種族(と呼ぶにはあまりにも大雑把な括りですが)のこと。もっとも、私が自分のことを賢い動物だと知ったのは最近の話。それまではずっと普通の動物――ただの犬のつもりで生きていました。
 なんにせよ、見た目は犬(アフガン・ハウンドという犬種なのだそうです)なのですから、この犬だらけの島で浮くことはない……と思っていたのですが、そうはいきませんでした。
 ものすごく浮いています。
 いえ、物理的には沈んでいます。
 犬の海にね。
「きゃん!」
「ばうばう!!」
「わおぉぉぉーん!」
 島の犬たちは異邦人ならぬ異邦犬の私を怪しんでもいなければ、恐れてもいないようです。集団で取り囲み、陽気に吠えながら、私に体をこすりつけてきて……おかげで被毛がめちゃくちゃですよ。
 しかし、他の方々に対する熱烈な歓迎振りに比べれば、私のそれはまだマシなほうです(私は同族ですから、それほど物珍しくないのでしょう)。
「おー、よしよしよしよし」
『他の方々』の一人であるアストラの声が聞こえてきました。特徴的なピンクの髪をしたヤドリガミのお嬢さんなのですが、その姿は見えません。私の視界は犬たちに覆われていますから。それでも、彼女が犬の波に揉まれていることは察しがつきます。その状況を苦にしていない(どころか楽しんでいる)こともね。
「よーしよしっ」
 あれはセイレーンのレンディアの声。状況も心境ともにアストラと同じでしょう。
「ふにゃあー!? 潰されるぅー!」
 JJの声です。おそらく、大型犬に群がられているのでしょう。
「そこまでだ!」
 なにやら厳しい声を出した人がいますよ。きっと、マスターですね。おっと、いけない。彼は『マスター』と呼ばれることを好まないのでした。
「そこに並べ!」
 再び声が響くと、私をもみくちゃにしていた犬たちが名残惜しそうにしながらもスキンシップを中断し、横一列(不格好なジグザグの列ですが)に並びました。
 犬たちが離れたことで視界が開け、声の主たるスキンヘッドの偉丈夫が見えました。やはり、マスター……ではなく、アルです。フルネームはアレクサンドラ・ルイス。
「お行儀がなってないようだな」
 お世辞にも整然とは言えない並び方をしている犬たちをアルはぎろりとねめつけました。この前、彼と一緒に『映画』なるものを観たのですが、それに出てきた鬼軍曹のような雰囲気です。鬼軍曹といっても、羅刹の軍人のことではなく……って、言うまでもありませんか。そうですか。
 とはいえ、アルは心まで鬼軍曹になりきっているわけではないのでしょう。それどころか、他の方々に負けないくらい、この状況を楽しんでいるのだと思います。そのことを見抜いているのかどうかは判りませんが、犬たちも彼を恐れてはいない様子。
 では、私も優しき鬼軍曹のサポートをさせていただきましょうか。忠実かつ聡明な犬のお手本として……というのは流石におこがましいですね。新参者は新参者らしく、末席で皆さんを盛り立てましょう。

●レンディア・バルフォニー(朱龍・f27097)
 この綺麗な島に来るのはこれで二度目なんだよね。
 振り返れば、青い海!
「わん!」
 見上げれば、真夏の太陽!
「わんわん!」
 そして、見回せば――
「わんわんわん!」
 ――犬、犬、犬、犬、犬!
 この子たちに会うのも二度目だ。元気そうでなにより。てゆーか、元気すぎない? 圧が凄いもんだから、サクラが俺の頭のてっぺんに避難してるよ。あ? サクラっていうのは、俺の相棒のアカハネジネズミのことだからね。
「わんわんわんわんわんわん!」
「よーしよしよしっ。そんなに吠えまくらないで。サクラが怖がるから」
 おしくらまんじゅうを仕掛けてくる犬たちを俺は撫でて撫でて撫で回した。それはもう徹底的に撫でまくった。
「癒されるぅ~」
 と、向こうのほうで世にも幸せそうな声をあげたのはアストラちゃん。俺と同じようにおしくらまんじゅう状態で犬を撫で回してる。
 でも、サイボーグのアレクサンドラさんだけは違う。毅然とした態度で犬たちに説教して、なにやら躾ているようだ。ちなみに彼の前に並んでいる犬たちの中には、人語を喋るお利口&もっふもふなマクシムス君もいるよ。
 ここは一つ、アレクサンドラさんを見習って、俺もキゼンとした態度で臨もうかなー。
「落ち着け、君たち。撫で撫でタイムは終了だ。ここからはビジネスの話といこうじゃないか」
「わふっ?」
 俺が真面目な顔をして声で語りかけると、一匹の犬が首をかしげた。他の犬たちもきょとんとしている。
 その心の隙を衝いて、本題を切り出す。
「君たちがいつも食べている美味しい果物がある場所を教えてくれないかな? ビジネスだから、タダとは言わない。教えてくれたら、お礼に――」
 腰に下げたクーラーボックスから取り出したるは、スペシャルなアイテムが詰まったアルミのパウチだ。ちなみにこのクーラーボックスには別のスペシャルアイテムも入ってるんだけど、今はまだヒミツ。
「――これをあげよう!」
「わふっ?」
 またもや首をかしげる犬の鼻先でパウチを開封し、中身の匂いをかがせてあげた。
「とびきり美味しい犬用チーズだよー」
「わふぅぅぅぅーん!」
 興奮のあまり、飛び跳ねる犬たち。チーズなんて食べたことはおろか見たことさえないだろうけど、食べ物だということは理解できたみたいだね。
 こちらの要求もちゃんと伝わっていたらしく(動物との意思疎通は得意なんだ)、しばらくすると飛び跳ねるのをやめて、『こっちだよ、こっち』とばかりに俺のアロハシャツの裾をくわえて引っ張ったり、お尻に頭を押しつけてきたりしてきた。
「果物がある場所に案内してくれるんだね。では――」
「――しゅっぱーつ!」
 と、後を引き取ったのはアストラちゃん。いつの間にか、俺の横に並んでいたんだ。
「アストラちゃんも島の奥に行くのかい?」
「うん。でも、果物が目当てじゃないよ。あたしはあれに興味があるの!」
 島の中央――森の中から斜めに伸びている塔のようなものをアストラちゃんは指さした。
 その斜塔の正体はスペースシップワールドの宇宙船。かつて、この犬たちの先祖がスペースノイドとともに生きていた場所。純血種のクローン犬たちにとっては、自分自身が生まれた場所でもある。
「遠い宇宙から来た船なんて……もう、すっごいロマンの塊だよねー!」
 アストラちゃんの目、キラキラ輝いちゃってるよ。天体望遠鏡のヤドリガミらしいから、宇宙がらみのものに対しては興奮を抑えきれないのかな。

●アレクサンドラ・ルイス(サイボーグの戦場傭兵・f05041)
 犬の一団に案内され、アストラとレンディア(なぜか、頭にネズミを乗せている)が森の中に消えていく……かと思ったが、すぐには消えなかった。
 案内役の犬たちはどいつもこいつも集中力がないらしく、ことあるごとにアストラやレンディアにじゃれつくんだ。
 その度に二人は足を止め――
「おー、よしよしよしよし」
「よーしよしっ」
 ――相好を崩して(いや、ずっと崩しっぱなしなんだが)犬たちを撫で回す。
 そんな調子なので、目的地に着くまでには時間がかかるだろうな。
 俺のほうは時間を無駄にするつもりはない。
 改めて、目の前に並ぶ犬たちを見回した。大きい奴もいれば、小さい奴もいるし、長毛の奴もいれば、短毛の奴もいるし、白い奴や黒い奴や茶色の奴や金色の奴や銀色の奴など、色も様々。だが、端に控えているマックスことマクシムス(銀色の奴らの中ではこいつが一番目立っているな)以外の連中には一つの共通点がある。
 のほほんとしているんだ。
 遺伝子をいじくった影響なのか、ドーベルマンでさえ(断耳していないということもあって)面構えに緊張感がない。この中の誰一匹として、警察犬や軍用犬として働くことはできないだろうな。
 とはいえ、最低限の躾は必要だ。
「おまえたちが人間が好きだということはよく判った。しかし、躾の行き届かないままでは真の信頼関係など築けやしない!」
「わん!」
「わん!」
「わん!」
「はい!」
 うむ。良い返事だ。マックスの返事だけ浮いてるが、これは致し方あるまい。
「まずはトイレの訓練から! トイレは重要だぞ! 一にトイレ! 二にトイレ! 三、四がなくて、五にトイレ!」
「わん!」
「わん!」
「わん!」
「はい!」

 催しそうな様子を見せたら、所定の場所に誘導……というような訓練と平行して、第二の訓練を始めた。
「次は甘噛み防止の訓練だ」
「くふぅーん?」
 ビーグルの子犬が『なんで甘噛みしちゃいけないの』とでも言いたげな顔をして鼻を慣らした。実に愛くるしいが、妥協するわけにはいかない。
「考えてもみろ。おまえたちの牙を以てすれば、人の柔肌なんざ、簡単に貫くことができるんだ。『わーい、人間だー、あそぶー!』とテンションを上げまくって飛びついた際に力加減を間違え、うっかり怪我をさせたら、どうなると思う?」
「わふっ!」
「そう。人間たちは二度と遊んでくれなくなるだろう。つまり、この訓練はおまえたちの安寧を保障するパスポートなんだ。判ったか?」
「わん!」
「わん!」
「わん!」
「はい!」

 一通りの訓練を終えた後はグルーミングの時間。
 訓練のご褒美を兼ねて、一匹ずつ丁寧にブラッシングしてやろう。
「おなじみの曲ですね」
 例の緊張感のないドーベルマンをブラッシングしていると、順番待ちをしているマックスがそんなことを言った。
「なんのことだ?」
「今、マスターが……いえ、アルが歌っていた鼻歌です」
 むう。無意識のうちに鼻歌を漏らしていたのか。しかも、『おなじみ』だと? 普段、マックスをブラッシングしている時も鼻歌を披露していたということか……。
 マックスは目を閉じ、尻尾を振り始めた。
「アルの鼻歌を聴いてると、かつての家族のことを思い出します。その家族の男の子も犬が大好きでした……」
 家族というのは、昔の飼い主たちのことだろう。しかし、『男の子も』の『も』の部分が気になる。いったい、誰と同一視しているんだ? ここには男の子っぽい奴なんかいないぞ。
 いつの間にか、マックスは目をまた開き、俺のほうを見つめていた。尻尾を振り続けながら。
「その尻尾、振りすぎじゃないか?」
「おっと、失礼。これはどうにも厄介でしてね。ついつい揺れてしまうのです」

●アストラ・テレスコープ(夢望む天体望遠鏡・f27241)
 森の中の長い獣道を抜けると、そこは天国だった。
 なんてね。
「おー! こりゃあ、凄い。期待していた以上だよ」
 驚きと喜びの声を出したのはレンディア(なぜか、頭にネズミを乗せている)。サングラスを額に押し上げて、周りを見回してる。
「食い放題じゃーん! にゃははー!」
 ちゃっかりついて来てたJJも同じように見回している……というか、見惚れてる?
 まあ、見惚れちゃうのも当然かも。視界に入ってくる木のほとんどがカラフルな点々で彩られてるんだから。言うまでもなく、その点々の正体は美味しそうな果物だよ。バナナ、マンゴー、パパイヤ、スターフルーツ、それに見たこともない果物もいっぱい。
 人の手で栽培されてるわけじゃないから、大振りな実が少ない上に不格好な形の実ばかりだけれど、この光景はちょっと感動しちゃうよね。なにもない宇宙をさまよっていた小惑星がこんなにも自然の恵み豊かな島になるなんて……。
「皆、ありがとね。約束どおり、絶品のチーズをあげよう。はい、並んで並んでー」
 レンディアが犬たちにチーズを配り始めた。もちろん、犬たちは大喜び。人間の言葉が喋れるなら、『チーズ、おいしー!』って叫んでるだろうね。
「実は冷たい炭酸水を持ってきたんだ」
 レンディアはチーズを配り終えると、片手で犬たちを撫でながら(チーズがなくなっても何匹かの犬は彼から離れようとしなかったんだよ)、もう片方の手で腰のクーラーボックスを軽く叩いた。
「カットした果物を浮かべてフルーツソーダを作ろうと思ってさ。暑い日にピッタリな飲み物になりそうだろう? JJさんも一杯どうだい?」
「いただくぜー! 一杯といわず、二杯でも三杯でも!」
 JJってば、チーズを貰った時の犬たちと同じくらい大喜びしてる。
 私も一杯いただきたいところだけど、本来の目的――宇宙船の探索を優先しようっと。
 レンディアとJJと犬たちを残して、私は森の奥に歩き始めた。『犬たち』と言っても、全部の犬じゃないけどね。十匹くらいの犬が私についてきたの。懐かれちゃったかなー?
「DOGくんによろしくねー」
 そう言って、レンディアが手を振った。

 宇宙船は斜めの状態で島に突き刺さっていたけれど、船内では普通に床に立ち、通路を歩くことができた。重力を発生させる装置がまだ動いていたから。
 にもかかわらず、スムーズに進むことはできなかったんだよね。だって、森の中を歩いてた時と同じように、犬たちがぐいぐいと体を押しつけてきたり、くんくんと臭いを嗅いできたり、ぺろぺろと手を舐めてきたりするんだもん。
 十歩ほど進んでは立ち止まり、犬たちを『おー、よしよしよしよし』とわしゃわしゃ撫で回して、少しばかり落ち着いたところでまた歩き出し、犬たちが群がってきたら立ち止まって、『おー、よしよしよしよし』とわしゃわしゃわしゃわしゃ……この繰り返し。
 そんなこんなで、ゆるゆるとしたペースで歩いていると――
「わんわんわーん!」
 ――通路の奥のほうから別の犬がちょこまかと駆けてきた。半透明のバセットハウンドだよ。なんで半透明なのかというと、本物の犬じゃなくて、立体映像だから。
「ヒトに会うのは約千三百時間振りですわーん!」
 と、立体映像の犬は人の言葉で話しかけてきた。
「あ? 申し遅れました。私は、この船の総合案内システム〈Dynamical Overall Guides〉のインターフェースAIですわん。お気軽に『DOG』とお呼びくださいですわん」
 なるほど。これがレンディアの言ってたDOGくんか。そのまんまの名前だね。
「ヒトに奉仕することが僕の幸せですわん! さあ、命令してくださいわん! 僕にできることなら、なんでもやりますわん!」
「私、この宇宙船の中の探検してみたいの。案内してくれる?」
「お安い御用ですわん」
 短い尻尾をぴこぴこ振りながら、DOGが歩き出した。
 私もそれに続こうとしたけども、その前に――
「おー、よしよしよしよし」
 ――他の犬たちをわしゃわしゃわしゃわしゃ。
「ねえ、この船の名前とかどんな冒険をしたのか判るような記録は残ってないの? ほら、航海日誌みたいなやつ」
「残念ながら、この船のメモリに残っているのは犬たちの遺伝子データだけですわん。でも、船名は僕が覚えてますわん。『カウェー・カネム三世号』ですわん!」
 ふーん。三世号ってことは、一世号や二世号があるはずだし、四世号以降だってあるかもしれないよね。
 猟兵として冒険を続けていれば、それらの船といつか出会えるかな? その時はちゃんと教えてあげよう。三世号に乗ってた仲間たちは死んじゃったけど、彼らや彼女らが暮らしていた場所はとても素敵な島になったって。
 そして、その島で今も生きている犬たちのこともね。
「おー、よしよしよしよし」
 わしゃわしゃわしゃわしゃ……。
 
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

夢ヶ枝・るこる
■方針
・【POW】使用
・アド/絡◎

■行動
楽しそうな島ですねぇ。
沢山いらっしゃるみたいですから、[料理]で作った『ゆでささみ』や『手作りジャーキー』を沢山ご用意、『犬用の玩具』共々【豊艶界】に収めておきましょうかぁ。
その際は汚れても良い様『Tシャツ&スパッツ』に着替え、遊び易い服装で参りますねぇ。

い、犬さん達が一杯、とても可愛いですぅ(ぷるぷる)。
まずは『ゆでささみ』を差し上げつつ撫でますねぇ。
後は『かけっこ』や『取ってこい』等、体力と時間の許す限り、一緒に遊びましょうかぁ。
疲れて来ましたら、同様にお疲れの犬さん達と一緒にお昼寝しましょう。

帰り際には『ジャーキー』と『玩具』を置いて帰りますねぇ。


インディゴ・クロワッサン
アドリブ大歓迎だよ☆
「…JJ君大丈夫かなー…」(去年の水着を着用&猫耳パーカーで完全武装

UDCで市販されてる堅い骨型ガムとかをUC:無限収納 で持ち込んで、集まってきたわんこに与えt…
「ってうわー! 犬の津波がー!」
うっかりわんこ津波に流されて一緒に無限収納の中に入っちゃった…くぅ、仕方ない!
「ステイ!」【恐怖を与える/咄嗟の一撃/威厳】
大声で止めたら、無限収納内のキッチンに移動して、お湯で茹でた細切りの牛肉とか、鶏ささみとか、豚バラとか、竜肉とかをお皿に盛って…はい、どーぞ(【料理】
「…で、何でJJ君も居るの?(笑」
あーまぁ、前述のお肉盛りの冷しゃぶで良ければ量は用意できるけど…食べてく?


香神乃・饗
【きょうたか】
わああ!ほんとっす!
おっきいわんこもちっこいわんこもいっぱいっす!
誉人、やらかいっすか!?
なんかわんこがわんこにまみれてるっす
へへへ、なんでもないっす(笑顔
へ?走るんっすか?
たーかとー!待つっすー!(両手広げて追いかける
わんこと?俺も仲間に入れるっす!
わんこをわんこごと捕まえるっす

もー、誉人!なにしてるんっすか!?
くっく笑って転んだ誉人に手をさしだす
にゃわっ!何するんっすか(スッ転んで目ぱちぱち
やったっすね!
お返しにばしゃーんと水をかけて
皆ぐっしょぐしょになるまで暴れるっす!

果物っすか?(頭にめっちゃんこ一杯海藻被ってる
海葡萄ならあるっす!
これ、JJさんとこに持ってかないっすか?


鳴北・誉人
【きょうたか】
※俺はしっぽも耳も出さねえ

饗!見てかァいい!
わんこいっぱい!あはっ
まずは撫でまわす
走ンのォ?っしゃ、付き合ってやる!
わふってしてる犬を追いかける

え、俺ェ!?なん、追いかけ…俺はわんこと遊びにき、マジで追いかけてくンのォ!?負けねえ!
はっはー!待つかよォ!
波打ち際を走ってるつもりだったけど後ろを気にしてたら
もろに波を蹴っ飛ばして足をとられてこける

くつくつ笑った饗の手を引いて
波の中に引き倒す
仕返しィ
あはっ、しょっぺえ!
犬も饗もびっしょびしょにしてやる

めいっぱい遊んだあとで
果物食ってないことを思い出す
バナナ、パイナップルにマンゴー
こんな濡れてちゃ食いにいけねえか…JJサンと食いたかった


●香神乃・饗(東風・f00169)
「饗! 見て見て、かァいい! わんこ、いっぱい! あはっ!」
「わー! ほんとっす! おっきいわんこも、ちっこいわんこも、いっぱいっす!」
 砂浜に降りた瞬間、かわいいさましい(いま思いついた造語っす)わんこ軍団が凄い勢いで駆け寄ってきて、俺と誉人を取り囲んだっす。
「わんわん!」
「きゃんきゃん!」
「っふふふぉ~ん!」
 どのわんこも元気いっぱい。興奮しすぎて、ヘンな鳴き声になってる子もいるっすね。くしゃみだか遠吠えだか判らないっすよ。
 周りを見回すと、俺と誉人以外の面々が目に入ってきたっす。皆もハイテンションなわんこたちに囲まれてるっすね。
「い、犬さんたちがこんなにいっぱい……とっても可愛いですぅ」
 わんこたちの可愛さに感動して、Tシャツとスパッツ姿の女の子――るこるさんがぷるぷると震えているっす。
 そこから少し離れた場所には立っているのは、水着の上に猫耳付きのパーカーを羽織ったダンピールのお兄さん――インディゴさんっすよ。
「大丈夫かい、JJ君」
 と、インディゴさんが声をかけた方向にはJJさんがいるっすけど――
「ふにゃあー!? 潰されるぅー!」
 ――おっきなわんこたちにもみくちゃにされて、激しく揺れる帽子と両耳しか見えないっす。
「グリモアベースで滑って転ぶわ。大型犬に群がられるわ。いろいろと災難が続くねえ」
 同情半分おもしろ半分といった感じ(いや、同情のほうは四半分くらいっすかね?)でインディゴさんはそう言いましたが、滑って転ぶのはともかく、おっきなわんこの渦に揉まれるのは災難じゃなくて御褒美のような気がするっす。
「あー! この手触り、たまンねェ! 見た目や仕種が可愛い上に撫で心地も良いんだから、控えめに言っても最強の生物じゃね?」
 誉人も御褒美を満喫中。わんこたちを撫でまくってますよ。
「誉人、やらかいっすか?」
「うん。やらかい、やらかい。特にこいつ! ほら、ふわっふわ!」
 サモエドっぽい白いわんこの頭を優しく叩く誉人。
 すると、わんこは後足で立ち上がり、お返しとばかりに前足で何度も張り手を食らわせたっす。張り手といっても、『ぺたぺた』って擬音が相応しい感じのやつっすけど。
「あはっ! 肉球スタンプだァ!」
 めっちゃ良い笑顔っすね、誉人。人狼ということもあって、その楽しげな様子は『わんこ度』がかなり高いっす。狼の耳も尻尾も引っ込めた状態なのに。
 わんこたちも親近感を覚えたのか、より積極的に誉人に絡み始めたっす。それに他のわんこたちも寄ってきたっすよ。さっきまでは『わんこだらけ』だったっすけど、今は『わんこだらけだらけだらけ』っすね。
「……わんこがわんこにまみれてるっす」
「ん? なんか言ったぁ?」
「なんでもないっすよー」
 声に出ちゃったっす。へへへ。

●夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)
「わん!」
 誉人さんにまとわりついていた犬さんのうちの一匹(イングリッシュ・ポインターみたいな犬です)がいきなり走り出しましたよぉ。思わず『俺についてきな!』とアテレコしたくなるような、颯爽たるスタートダッシュですぅ。
「ん? 走ンのォ?」
 誉人さんはポインターさんを目で追いました。
 ほんの三秒ほど。
 その三秒が過ぎると――
「っしゃ、つきあってやる!」
 ――目じゃなくて足で追い始めました。アテレコするまでもない、豪快なスタートダッシュですぅ。
「へ? 走るんっすか?」
 今度はヤドリガミの饗さんが誉人さんを目で追いました。
 ほんの一秒ほど。
 その一秒が過ぎると――
「たーかとー! 待つっすー!」
 ――赤い半纏の裾を翻し、両腕を大きく広げて、走り出しました。でも、スタートダッシュはよく見えませんでした。周りにいた他の犬さんたちも同時に走り出し、砂煙が濛々と巻き上がったせいですぅ。
 なにはともあれ、楽しそうですね。私も犬さんたちと駆けっこして遊んでみたいです。
 だけど、その前にお食事です。
「ちょっと待ってくださいね」
 ユーベルコードの力で胸の中にしまっていたものを私は取り出しました。
 それは……茹でささみ!
「わふっ!」
「きゃおーん!」
「うぉんうぉんうぉーん!」
 犬さんたちは狂喜乱舞。我先にと茹でささみに食いついてきます。野生の鳥を狩って食べたことは何度もあるのでしょうが、こんなに柔らかい鶏肉は初体験なのかもしれません。
「はいはい。いっぱいあるから、慌てないでください」
 胸から茹でささみを取り出し、犬さんに食べさせて、ついでに頭を撫で撫で、新しい茹でささみを取り出し、別の犬さんに食べさせて、また頭を撫で撫で、茹でささみを取り出し……嗚呼、至福の反復作業! 永遠に続けても飽きないような気がしますぅ!
 だけど、永遠というのはさすがに無理ですね。いっぱい持ってきたとはいえ、茹でささみの数は有限ですから。
「ささみ、終了ですぅ」
 両の掌を広げて、もうなにもないことを示しました。本当は手作りジャーキーも山ほど持ってきたんですが、それらは置き土産にする予定ですから、今このタイミングで出すわけにはいきません。
 茹でささみがなくなったことを知って、犬さんたちは残念そう。だけど、同時に幸せそうな顔もしています。美味しいものを食べることができたからでしょうね。
「犬が喜ぶものなら、僕も持ってきたよ」
 と、インディゴさんが言いました。
「UDCアースで市販されてる骨型のガムを沢山ね」
「それらしいものは見あたりませんけどぉ?」
「ここにはないよ。キミと同じように――」
 茨が絡みついた扉がインディゴさんの傍に出現しました。
「――収納系のユーベルコードを利用したから」
 なるほどぉ。その扉の奥に骨型ガムがいっぱいあるんですね。

●鳴北・誉人(荒寥の刃・f02030)
 わんこの後を追って、波打ち際を走ってたんだけどぉ――
「たーかとー! 待つっすー!」
 ――なぜか、饗も後ろのほうで走ってるし。
 いや、饗だけじゃねえ。振り返ってみたら、饗と一緒に走るわんこたちも見えた。
「なんで、饗が追いかけてくンの? 俺はわんこと遊びにき……」
「俺も仲間に入れるっすー!」
 俺の言葉を遮り、饗はスピードをあげた。
「マジで追いかけてくンのォ!? だったら――」
 俺もスピードアップ。
「――負けねえ!」
「待つっすー!」
「はっはー! 『待て』と言われて待つかよォ!」
「待ってくださぁーい!」
「だから、待つわけねえって……ん?」
 今のはるこるの声だ。あいつまで、俺を追いかけてンの?
 砂浜のほうにちらりと目をやる。るこるの姿が見えたけど、追いかけてる相手は俺じゃなくて、わんこたちらしい。皆、追いかけっこが好きだねぇ。
 そうこうしているうちに伴走者ができた。後ろを走ってたわんこたちのうちの何匹かが饗を追い抜き、俺に並んだんだ。
「おい、饗ォ。わんこたちに後れを取ってンぞ」
「どうってことないっす。皆まとめて捕まえるっす。そう、わんこをわんこごと捕まえるっす!」
 あン? 俺を『わんこ』呼ばわりしやがったな。てか、さっきも呼んだよな? ちゃんと聞こえてたンだぞォ。
 またまた振り返って、ちょいと一睨み……してやろうと思ったンだけど、あいつの横をちょこちょこ駆けてるパグのほうに目がいっちまう。
 あ! パグの奴、勢い余ってコケやがった。でんぐり返しでもするかのように転がったかと思いきや、すぐに体勢を直して、なにごともなかったかのように走行再開。ちょっ……可愛いすぎィ……。
「うわっ!?」
 いきなり天地がひっくり返り、俺は思わず声をあげた。
 で、次の瞬間には、地面に倒れて青い空を仰いでいた。
 ドジっ子なパグに見とれてたもんだから、足に波を取られて転んじまったんだ。我ながら、カッコわりィ。
「もー、誉人! なにしてるんっすか!?」
 くつくつ笑いながら、饗が俺の顔を覗き込んできた。それに、わんこたちも。俺が追いかけたポインターのわんこもいる。引き返してきたらしい。
「ほら! 立って、立って」
 誉人が手を差し出してきた。まだ、くつくつ笑ってやがンな。
 俺はその手を取り、起き上がる――
「はい、仕返しィ!」
 ――と、見せかけて、波の中に引き倒してやった。はっはー!
「にゃわっ!? なにするんっすか?」
 誉人はびしょ濡れ。目をぱちくりさせてるよォ。
 でも、すぐに我に返って――
「仕返しのお返しっす!」
 ――波をばちゃーんとかけてきた。
「仕返しのお返しの意趣返しィーッ!」
 俺も饗にばちゃーん!
 犬たちにもばちゃーん!
 ばちゃーん! ばちゃーん! ばちゃーん!
 たーのしぃー!

 血で血を洗う……じゃなくて、海水で海水を洗う激闘が終わった。勝敗がついたわけじゃねえ。俺も饗もわんこたちも遊び疲れただけ。
 はしゃぎすぎたもんだから、饗の頭は海藻まみれになってるよ。世話好きっぽいブルゾイが頭に鼻先を突っ込むようにして、もしゃもしゃといじってる。髪を整えてやってるつもりなのかもしれねえけど、却って酷い状態になってね?
「あー。めいっぱい遊びすぎて、果物を食うのを忘れてたァ」
 しょっぱい水をたっぷり吸った白シャツを脱いで、俺は思い切り絞った。
「JJサンと食いたかったんだけどな」
 そういえば、JJサンはどこに行ったんだろ? いつの間にか、姿が見えなくなってるし。
「果物っすか?」
 饗が頭に手をやり、髪に絡みついていた海藻をむしり取った。
「海ぶどうなら、あるっすよ!」
 いやいやいやいや。それ、果物に似てンのは見た目と名前だけだから……。

●インディゴ・クロワッサン(藍染め三日月・f07157)
 饗と誉人が犬たちと一緒に波打ち際でわいわいきゃっきゃと戯れている。うんうん。仲良きことは美しきかな。
 るこるは走るのをやめて、砂浜に横たわっている。
「お疲れの犬さんはいませんかぁ? 一緒にお昼寝しましょう」
 十何匹かの犬がるこるのところに集まって、丸くなったり、仰向けになったり、地に伏せるようにしたり……思い思いの姿勢で昼寝を始めた。るこるの足や腕に顎を乗せて、枕代わりいしている犬もいるね。
 で、僕はといえば――
「わんっ!」
「わうわう!」
「わおぉーん!」
 ――ユーベルコード『無限収納(インベントリ)』で召喚した扉を背にして、犬の一団とまだ相対している。
 まあ、焦らしすぎるのもナンだから、そろそろ骨型ガムをあげようかな。
「では、順番に並ん……どぅわー!?」
「わんわんわんわんわんわん!」
 犬たちは順番に並んだりしなかった。けたたましく吠えながら、一斉に突っ込んできたんだ。
 僕は犬の津波に押し流され、背中で扉を突き破るような形で後退し、『無限収納』の空間に入っちゃった。当然、僕を押し流した犬たちもね。
 この空間はいろんな物を保管しておくための場所なんだけど、無味乾燥な倉庫ってわけじゃない。どこかの洋館の内部(見覚えはないんだけど、妙に懐かしい感じがするんだよね)を模していて、部屋数も結構あるんだ。
 元気が有り余っている犬たちがそれらの部屋に分散したら、手のつけようがなくなってしまう。今のうちにビシっと言っておこうか。
「ステイ!」
 威厳を込めて不意打ち気味に一喝すると、犬たちは瞬時に静かになった。よしよし。皆、いい子だ。
「ここで待っといて。中にまで入っちゃったことだし、骨型ガムよりも美味しいものを用意してあげよう」
 僕は厨房に移動して、とっておきの食材を大皿に山盛りにした。茹でた細切りの牛肉、ささみ、豚バラ、ドラゴンの肉、その他諸々。
 それを持って元の場所に戻り、すっかり行儀がよくなった(『ステイ!』の効果は覿面だったみたい)犬たちの前に置いてあげた。
「はい、どーぞ」
「いっただっきまーす!」
 と、両手を合わせて叫んだのは犬たちじゃないよ。言うまでもなくね。
 それはJJ君だった。レンディアたちと森の中に入っていったはずだけど……いつの間にか砂浜に戻り、ちゃっかりと『無限収納』に入っていたようだ。
「こんなところでなにをしてるの?」
 苦笑まじりに尋ねると、JJ君はしれっとした顔で答えた。
「犬たちの御相伴に預かろうと思ってな」
「あー。まあ、このお肉盛りの冷しゃぶでよければ、用意できるけど……」
「いや、湯を沸かす時間も肉を冷やす時間ももったいねえ。このままでいいよ、このままで」
 手掴みで肉を口に放り込んでいくJJ君。『僕たちの分まで食べられちゃう!』と焦ったのか、犬たちも急いで食べ始めた。
 やれやれ。

 お腹いっぱいになったであろう犬たち(とJJ君)と一緒に『無限収納』から砂浜に帰還。
 るこるはまだお昼寝中。熟睡・オブ・熟睡って感じ。さすがに鼻提灯は出してないけど。
 饗と誉人は波打ち際に座ってる。饗の頭は海藻まみれ。なにがあったのかは知らないけれど、本人も誉人も楽しそうに笑ってる。
「平和だねぇ」
 そう呟くと、足下にいたコリーが同意するかのように鳴いた。
「わん!」
 
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

ザフェル・エジェデルハ
樒(f10234)と参加。アドリブ等歓迎
ドッグフードや犬用おやつを持って向かう
犬だらけの島なんて珍しいとこもあるもんだな
よっしゃ、今日は1日中遊んでやるぜ!!

寄ってくる犬は全部受け入れる。もみくちゃにされるの上等だ!
モフりまくったり、小枝やボールを投げて取ってこーい!をやったり、
置き残されてるおもちゃを借りて遊んだりして、全力で遊ぶ
樒は散歩に連れて行くみたいだから、それにもついて行くか

少し疲れたら、木陰で一緒に昼寝なんてのも悪くねぇな…
動物好きに取っちゃ天国だなこりゃ


織部・樒
ザフェルさん(f10233)と行動します
アドリブOK

暑いのは少々苦手ですが、犬が沢山いるというのは良いですね
(可愛い物好き)

犬の歓迎はどんなに激しくても甘んじて受け入れましょう
というかここは天国ですか……
暑いの苦手ですが犬の体温は心地よいものです
一通り挨拶が済んだら木陰やパラソルの下でザフェルさんと犬の戯れを
眺めながら側にいる子たちにおやつをあげましょう
干し肉(ジャーキー)がお好きなようですからそれと、甘藍(キャベツ)や
甘藷(サツマイモ)を好むとの事ですのでそういったものを

遊びに飽きたら皆とのんびり海辺を散歩しましょうか
帰る時は少し寂しいですが、またきっと遊びに来たいです


●織部・樒(九鼎大呂・f10234)
 暑いのは少々苦手です。窯で焼かれた白天目茶碗のヤドリガミなので、炎に対してはそこそこの耐性がありますが、『熱さ』と『暑さ』は違いますからね。
 そんな私にとって、南国の島で犬たちに囲まれて暑苦しい思いをするのは地獄も同然。
 と、思いきや――
「あおーん!」
「ばうわーう!」
「きょゆーん、わんわん!」
 ――地獄どころか、天国じゃないですか。
 沢山の犬が押し倒さんばかりにじゃれついてくるのですが、暑さが苦手な私でも彼らや彼女らの体温は苦になりません。むしろ、心地良いです。
「動物好きに取っちゃあ、天国だな、こりゃ!」
 天国だと思っていたのは私だけではないようです。嬉しそうに叫んだのは、アックス&ウィザーズ出身のザフェルさん。私(や他の猟兵さん)の置かれた状況と同様、押し倒さんばかりに犬が群がっていますが、そう簡単には押し倒されないでしょう。身の丈が六尺以上もある屈強なかたですから。
「はっはっはっ! こいつら、元気があり余ってるなぁ」
 ザフェルさんの笑い声に誘われたのか、更に何匹かの犬が駆け寄っていきました。小さな犬や子犬の中には彼の逞しい体にしがみつき、よじ登ろうとしている者もいます。
 そんな登攀中の犬たちを見下ろし、応援するかのように鳴いている者もいますよ。
「ぎゃうぎゃうぎゃーう!」
 ザフェルさんの肩にとまっている小さな赤い竜です。名前は『Yildirim』。
「もうちょっと涼しいところに行きましょうか」
 周りの犬たちへの一通りの挨拶を済ませて(いえ、こちらは済ませたつもりでも、犬たちは際限なくじゃれついてくるので、『切り上げて』と言うべきでしょうか?)、私は甘蕉の木の木陰に移動しました。もちろん、犬たちはぞろぞろとついてきました。
「おやつを色々と持ってきたのですが――」
 木陰に腰をおろして、私は犬たちを尋ねました。
「――食べますか?」
 皆が一斉に『わふん!』と返事をしました。とても嬉しそうに。
「では、お待ちください」
 持参してきたおやつ――UCDアース等で『ジャーキー』と呼ばれている干し肉、丸々とした甘藍、蒸かした甘藷などを取り出しながら、ザフェルさんのほうを見ると、彼は木の枝を手にしていました。
「投げるぞー! 取ってこーい!」
 いささか大袈裟とも思える動作で枝を投擲。
 それを追って、ザフェルさんの周りにいた犬が走り出しました。いえ、犬だけでなく、Yildirimも。
 集団で地を駆ける犬たちよりも単騎で空を翔る飛んでいるYildirimのほうが有利。一気に先頭に躍り出ました。
 しかし――
「わん!」
 ――精悍な黒い洋犬が勇ましい咆哮とともに跳躍し、Yildirimの目の前にあった枝をくわえ取りました。お見事です。
「ぎゃうーん!」
 悔しそうに鳴くYildirim。
「はははっ!」
 楽しそうに笑うザフェルさん。
 気が付けば、私も微笑んでいました。

●ザフェル・エジェデルハ(流離う竜・f10233)
 もうかれこれ五十回以上は枝を投げたような気がするぜ。そんなに疲れちゃいないが、さすがに飽きてきたな。
 犬たちのほうは逆だ。けっこう疲れてるように見えるが、ちっとも飽きてないらしい。全員が目を期待に輝かせ、俺を見ている。『はやく投げてよ!』とでも言ように吠えまくってる奴もいる。
「これで最後だぞ。それっ!」
 枝を放り投げると、犬たちが走り出した。
 だが、キャッチしたのはYildirimだ。実を言うと、空を飛べるあいつが取りやすいように、飛距離もよりも高度を重視して投げたのさ。ずっと犬たちに負けっぱなしだったから、最後くらいは好い目を見させてやらんとな。
「んきゅ~っ♪」
「よし。ちょっと休憩しよう」
 Yildirimが上機嫌で戻ってくると(枝をくわえているせいで口を開けられないもんだから、変な鳴き声になってる)、俺は犬たちと一緒に砂浜と森との境界の辺りに移動した。
 そこには先客がいた。ヤドリガミの樒だ。小振りなバナナの木の下に腰をおろし、周りの犬にジャーキーだのキャベツだのサツマイモだのを食わせてる。しかし、アレだな。白い髪と肌の男の子が木陰で動物たちに囲まれてる光景ってのはヤドリガミよりも樹木の精霊かなにかを連想させるな。
「持ってこいごっこはお終いですか?」
 キャベツを食べやすい大きさにちぎりながら、精霊ならぬ樒が訊いた。
「まあな。犬たちが疲れたようだから、ここで昼寝させようかと思ってよ」
 俺は樒の傍に寝っ転がった。一緒についてきた犬たちは、樒に群がっていた犬たちに混じり、キャベツを食い始めた。シャクシャクと音を立てながら。
「さっきも言ったけどよ」
 妙に耳に心地良い咀嚼音を聞くともなしに聞きつつ、俺は目を閉じた。
「動物好きに取っちゃあ、ここは天国だなぁ」

 樒のおやつと三十分ほどの昼寝によって、犬たちの疲れは消え去ったようだ。
「散歩でもしましょうか。のんびりと……」
 樒が立ち上がり、歩き出した。犬の約半数が後に続く。残りの半数は俺に目を向けた。『一緒に行くの?』と訊いているつもりなのか、あるいは『一緒に行こう!』と誘ってるつもりなのか。
「じゃあ、付き合うとするか」
 俺も立ち上がり、小走りで樒を追った。当然、残ってた半数の犬たちもついてきた。Yildirimも一緒だが、飛んでいるわけじゃない。優しい顔つきをしたセントバーナードの背中にちゃっかり乗ってやがる。
 樒に追いついたところでペースを落とし、肩を並べて波打ち際を行く。ただ歩くだけのことでも、犬たちと一緒だと面白い。いろんな奴がいるから、見てて飽きないんだ。濡れるのを嫌い、波から距離を置いて歩く犬。じゃぶじゃぶと足を波で洗うように歩く犬。寄せる波から逃げ、返す波を追い、ジグザグに歩く犬。
「ザフェルさんが言ったとおり、ここは天国ですね」
 寄り添うようにして歩いている毛むくじゃらの大型犬の頭を撫でながら、樒が呟いた。言葉の内容に反して、その声はどこか寂しげだ。そろそろ帰る時間が近付いているからだろう。
「また遊びに来たいですね」
「そうだな」
 頷いた俺の顔を見上げて、白黒ぶちの子犬が何度も吠えた。
「わんわんわーん! わんわん!」
『ぜったい、あそびにきてね! やくそくだよ!』なんて言ってるのかもな。
 
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2020年08月05日
👑5 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵