首狩族の島で遊べ
「なあ、首ドロップしろ! 首ドロップしろ! 首ドロップしろ!」
「然り! 然り! 然り!」
「なぁ、コンキスタドール首だろう!? お前コンキスタドール首だ! 首ドロップしろ!」
「然り! 然り! 然り!」
男たちの声は今日も島中に轟き、やがて海をも超えていく。
●グリモアベースにて
「水着コンテストお疲れさま。今年も暑くなってきたわね」
猟兵達の拠点「グリモアベース」
そこに集った猟兵たちに、ボーリャ・コータス(極光の17番・f02027)は口を開いた。
「夏といえば海。海と言えばビーチ。今年はグリードオーシャンで羽を伸ばしてみない?」
グリードオーシャンへの道が開かれてから、猟兵たちの探索によって様々な個性豊かな島が発見され、影に日向にオブリビオンの手から救われてきた。
かつて救った島にもう一度行って、ビーチで思いっきり遊ぼう。せっかく水着をしつらえたなら、その水着ではしゃぎまわるのもいいだろう。
「それで遊びに行く島なんだけど、ここなんかどう?」
そう言ってボーリャが示した座標にあるのは「シマドゥ島」
アックス&ウィザーズからこぼれ落ちた蛮族の島では、今日も子供や若者が浜辺に丸太を立てて、奇声を上げながら木刀でぶっ叩いているだろう。
もちろん彼らの修行場から離れた比較的静かなビーチもある。そこならお互い邪魔になることもないだろう。
どのように夏の一日を楽しむかは、猟兵たちの発想次第だ。
「島の人たちも猟兵のことは知っているし、いきなり斬りかかったりはしないと思うわ」
ボーリャは以前の依頼を思い出し、なんとなく視線をそらす。
「戦う時は戦うし、遊ぶ時は遊ぶ。気持ちのリセットも大事な仕事よ。楽しんできてね」
あとでどんなことをしたか聞かせてね、とウィンクし、ボーリャは猟兵たちを送り出した。
斑鴉
「このシナリオは既に猟兵達によってオブリビオンから解放された島となります」
「このシナリオは【日常】の章のみでオブリビオンとの戦闘が発生しないため、獲得EXP・WPが少なめとなります」
お久しぶりです。斑鴉です。
シマドゥ島でのバカンス依頼です。二度と来ない今年の夏の思い出を彩れるよう微力を尽くします。
あとシマドゥ島および島民は現実の諸々とは一切関係ないオリジナルの場所です。オリジナルの場所です。二回言いました。
皆様のプレイングお待ちしております。
第1章 日常
『猟兵達の夏休み』
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POW : 海で思いっきり遊ぶ
SPD : 釣りや素潜りを楽しむ
WIZ : 砂浜でセンスを発揮する
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
リューイン・ランサード
島民さんと一緒に修行
戦争が始まったので気合を入れる為、この島にやってきました。
これまで多くの魔軍将、大魔王の様々な形態、多くの帝竜、と戦いました。
それなりに戦闘経験は積みましたが、自分には気迫が足りない。
なのでシマドゥ島で修行すれば、僕もシマドゥ島民のような気迫に満ち溢れた人間になれるかな?
…そんなふうに考えていた時期が僕にもありました(バキ風に)。
(風の属性攻撃で丸太を綺麗に斬ったら、島民の競争心に火をつけてしまい、すごい言動を見せつけられ。)
無理っ、僕がマネするのは絶対無理!
UCでこの人達召喚するか、想像から創造した方が絶対強い!
と、UCのヒントは得たが、自分啓発は見事に失敗するのでした。
潮騒に乗って、子供たちの微笑ましい猿叫が聞こえる。
広い浜辺には、彼以外の誰も姿もない。
そこにたたずむ少年の名は、
リューイン・ランサード(竜の雛・f13950)
「僕には、気迫が足りない」
確かに礼儀正しく誠実そうなリューインを見て、一目で武家の名門ランサードの長男だと思う者は少ないだろう。
初依頼での運命の悪戯による酷いトラウマを、多くの戦争で名だたる敵将の数々と戦うことで少しずつ克服してきた。それゆえに感じる。自分には気迫が足りない。
折しも遠い世界では行く末を決める大きな戦が始まった。
自分に気合を入れるため。風の噂で聞きつけたこの島で島民たちと修行すれば、自分もこのシマドゥ島の民のような、名門の子弟にふさわしい気迫溢れる人間になれるかもしれない。
そんな想いを胸に秘めて。
……もしこの島の実態を知る人間が聞いていたら、絶対に止めただろうが。
この島の流儀にあわせて、浜辺に丸太を立てていると。
視線を感じた。
先ほど修行に混じろうとしたら、蜘蛛の子を散らすように逃げていった子供たち。その彼らが、青年たちと共に岩陰からリューインをじっと見ている。
顔をもたげてきたヘタレの虫を押し殺す。この気質を乗り越えるために、こんな島にまで修行に来たのだ。
丸太から充分に離れて、剣の柄に手を添える。
集中は一瞬。
次の瞬間、斬撃から放たれた風が離れた丸太を音も立てずに両断した。
成った。剣閃完成。
これなら島民たちにも気迫負けしない。
晴れやかな顔で岩陰のほうをみやる。と、砂浜だというのに遠くから大きな足音が聞こえてくる。
オブリビオンなのか、どこかの世界から流れ着いた存在なのか。
遠い世界の存在だが、ドラゴニアンという竜に縁を持つ種族の生まれだ。リューインも一目で理解した。
恐竜。それも最大級のティラノサウルス。
それがこちらに向かって全力で走ってくる。速い。
「……僕は一向に構わない!」
再び剣の柄に手を添える。
そして気づいた。
ティラノサウルスは一頭ではない。十数頭の群れ。
しかも、群れ全体が必死になにかから逃げているのだ。
「チェーーーーーストォーーーーーーーー!」
なにかが空高く飛び上がり、落下する勢いと合わせて恐竜の首を斬り落とす。
血しぶきを浴びて真っ赤になりながら、人の形をしているそれが言った。
「トリ相手に刀抜くんは女々か?」
「構わんでごつ! 今夜はトリ鍋にごつ!」
「これはなんというトリにごつ?」
「皆目知らぬ!」
そして何度もチェストの声が上がり、その度にティラノサウルスの首が飛ぶ。
またたく間にすべての恐竜が倒され、惨劇は終わった……と胸に溜まった息を吐くリューイン。
しかし、惨劇はまだまだ終わらなかった。
「ひえもん取りにごつ!」
シマドゥ島の大人……ぼっけもんたちの誰かが叫ぶ。するとみな一斉に刀を収め、素手で恐竜の死体を引き裂いて解体していく。
真っ白になった頭に、なにをしているのだろうという疑問だけが空虚に浮かぶ。
そしてぼっけもんの誰かが、複数あるらしいと言われる恐竜の心臓の一つを高く掲げた。
「ひえもん取りもしに!」
それを聞いた皆が負けじとヒートアップし、狂乱の宴が加速していく。
どうやら、誰が心臓を一番速くえぐり取るか競う競技らしい。
(無理っ、僕がマネするのは絶対無理!)
この島で島民と一緒に修行すれば、僕も気迫あふれる人間になれる。
……そんなふうに考えていた時期が僕にもありました。
(UCでこの人達召喚するか、想像から創造した方が絶対強い!)
主人と一緒に心が麻痺していたビビリの虫が一斉に暴れだす。
新しい技の着想は得られた。
しかし、心の鍛錬という目標は、手をすり抜けて遥か遠くに行ってしまった。
願わくば、この一日が少しでもリューインの心の憩いとなりますように。
大成功
🔵🔵🔵
御狐・稲見之守
いや、確かに二度と来たくない夏の思い出なら作れるかもしれんが、なんでワシここ二度も来てるんじゃろ。
ともあれ、遊べと云うなら遊んでやろうではないか!
さて、そこなシマドゥの島民達よ。そこにお酒が大好きなダメにんg おねーさんがおるので酒宴に誘うとええんじゃ。肝練りなぞ良いのではないかのぅ。というわけでボーリャ殿、付き合うてあげんさい。ワシは遠慮しとくが。ほら、ロリ姿だと酒飲み描写がなにであれじゃし。
ん、グリモア猟兵の連れ出しはOPやマスコメに書いてないって? うむ、細かいことは気にするナ!
「なんでワシ、ここ二度も来てるんじゃろ」
陽が沈みゆく水平線。雲ひとつない茜色をぼんやり見ながら
御狐・稲見之守(モノノ怪神・f00307)がぽつりとつぶやいた。
「いや、確かに二度と来たくない夏の思い出なら作れるかもしれんが」
砂浜に三角座りしながら、かつてこの島を救った時のことを思い出す。
長い長い稲見之守の生の中でも、あれは極めつけに異彩を放つ事件だった。
二度と来ない夏、などというのは定命の者の感傷だ。時が過ぎ、時代は変わろうと、人間というものは決して変わらない。だから歴史は繰り返す。
それでもなぜバカンスにこの島を選ばなければならなかったかというと、やはり自分でもしっくりとした答えは浮かばない。
今は昼間のトリ騒動から数刻後。周囲をせわしなく駆け回る若者やぼっけもんの中には、なんとなく見覚えのある顔もいる。
「ともあれ、遊べと云うなら遊んでやろうではないか!」
「さて、そこなシマドゥの島民達よ」
「おお! おはん、先日の陰陽師どんか! おんみょうとか分からんでごつが!」
あちらも稲見之守を覚えていたのだろう。駆け回っていた数人のぼっけもんが作業を中断し、血まみれの手で額を拭いながら近寄ってくる。
「そこにお酒が大好きなダメにんげ……おねーさんがおるので、酒宴に誘うとええんじゃ。キモヌェリなぞ良いのではないかのぅ」
そう言って、稲見之守を転移させたグリモア猟兵の背を押す。
「……え?」
突然理不尽に生贄に捧げられたボーリャが間の抜けた声を出した。
「ほぅ、おなごがキモヌェリにごつか。良か。ちょうど今から若者たちのキモヌェリにごつ! おい!」
呼ばれた若者二人が、まだ事態を理解していないボーリャの両腕を取って引きずっていく。
「え? なに、ちょっと待って、なに!?」
「ほら、ロリ姿だと酒飲み描写がなにであれじゃし。ボーリャ殿、付き合うてあげんさい」
「なにこれ、銃がぐるぐる回ってる……報告にあったやつ!?」
「……『第六感』! 第六感26レベルで次に当たりそうな人に目星をつける!」
「『賢者のささやき』! 第六感を760レベルに引き上げて危険を感知する!」
どうやら大人気なくユーベルコードまで使い出したようだが。
「え、これ次わたしに当たるの確定じゃない!? 身代わりになるもの……酒瓶貸して打ち返すから! ダメなの!? いやーっ!?」
なにか悲痛な声が聞こえた気がするが、特に気にせず星空を眺めていると。
「陰陽師どん。トリ鍋にごつ。食べなもし」
そう言って若者が椀を差し出す。
思わず受け取ってから、昼間の騒動を思い出す。
食肉用の家畜が草食動物ばかりなのは、飼育が楽だからというばかりではない。肉食の獣の肉は独特の臭みがあって、食用には適さないのだ。もちろんティラノサウルスはあまり野菜を食べていないだろう。
だが、受け取ってから断るのも失礼だろう。逆上したチェスト脳とか相手にしたくないし、香りは意外と悪くない。
意を決して汁を一口飲んでみる。
──信じられないほど美味しかった。
「この鍋はどうやって作ったんじゃ!?」
驚く稲見之守に、若者は得意げに応える。
「簡単にごつ。酒と醤油に麦味噌と赤味噌で煮立てる」
「ふむふむ」
「そこにそこらの木の実を絞って発酵させたものや、魚を発酵させた汁、流れ着いた誰も読めない文字の書かれた瓶の味噌に……」
どうも、大マグレの産物らしい。自然と椀が顔から離れていく。たぶん二度と食べられない味なのだろう。
なおも得意げに調味料の名前を挙げる若者の声を相槌を打ちながら聞き流す。
努めて考えないようにしていたが、肉に独特の臭みがあるのは肉食獣ばかりではない。雑食の動物もしかり。そして人間も雑食の動物に含まれる。
むろん、恐竜の肉の入った汁を吸うことが約定に反するわけではない。
しかし、約定を交わす前の自分を懐かしくも思い出すようなことがあれば……
そんな杞憂を振り払うように、もう一口だけ椀に口をつける。
間違いなく旨い。それがどうしても納得できず、なんか無性に腹立たしかった。
シマドゥ島の夜はさらに更けていく。
トリ鍋の宴は酒が進むにつれて熱さを増していく。刃傷沙汰にならないのを願うばかりだ。
この一日が、遥か永く続くだろう稲見之守の生を少しでも彩ってくれることを。
大成功
🔵🔵🔵