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山も積もればカタストロフ

#カクリヨファンタズム #トンチキシナリオ

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#カクリヨファンタズム
#トンチキシナリオ


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●驚愕、それは――
「忙しい中集まってくれてすまねえな。
 今回の事件についてなんだが――現在、カクリヨファンタズムで山が大量発生中だ」

 呼びかけに応じ集まった猟兵たちを前に、地籠・凌牙(黒き竜の報讐者・f26317)が簡潔に説明すると視線が一斉に集中する。
 ――あの、今何て言いましたかね……と言わんばかりの視線たちが。
 みなまで言うな。わかってる、わかってるんだと言いたげに首を振り、凌牙は再び口を開く。

「カタストロフが関わってなきゃこんな胡乱なこと言わねえよ……!
 とりあえず話戻すぞ。発生源になってるのは一人の妖怪なんだがな――」

 カクリヨファンタズム内のとある山奥で、一人の妖怪が静かに暮らしていた。
 昔は神様と崇められていたりもしたらしい、一妖怪として日常をのんびりまったり謳歌する遮光器土偶の妖怪である。
 そんな彼(彼女?)に一匹の骸魂が取り付いたことにより今回の騒動は起こったという。

「その遮光器土偶、土地を開拓したりだ何だといった力があるんだが……骸魂が取り憑いたことで力が暴走を始めて世界中にテラフォーミングレーザーを照射しまくった。
 結果、山が大量発生することになったってワケだ。
 開拓と真逆のことになってんのは骸魂のせいで力がバグっちまったんだろうよ、おかげで気候もめちゃくちゃだ」

 世界中に隆起し姿を現した山という山。その異常な光景に気候変動もまた異常な速度で始まっていた。
 ある山の斜面では真夏のような燦々照りが続いているかと思いきや、その反対側の斜面では猛吹雪……まるで原始時代の氷河期と温暖期が同時にやってきているかのような状況がそこにはあった。

 おかげで妖怪たちの暮らしもめちゃくちゃである。
 市街地に山が隆起したおかげで家やら施設やらは遥か山の上。
 異常な環境についていけず力尽きた妖怪は次々と骸魂に取り込まれ、何とか家に帰ろうとした妖怪たちも異常成長した妖怪竹や妖怪木等に襲いかかられたりした結果骸魂に取り込まれ……ある意味でカタストロフの名に相応しい破滅的大惨事が繰り広げられているというワケである。

「解決する方法はシンプルだ、遮光器土偶から骸魂をひっぺがしてテラフォーミングを正しく行ってもらえばいい。
 そいつ自体は元からいた場所から動いてねえんだが、山が発生したおかげで道のりが大分長くなってやがる。具体的に言うと山を合計3つ超えるハメになる」

 一つ目は温帯域に聳え立つ妖怪竹林の山。
 温帯域により異常成長したのか日の光すら差さぬおかげで暑くはないが、妖怪竹が非常に元気で大暴れしている。
 そこを超えれば次は二つ目、寒帯域の山。何故か雪だるまが大量に発生しているらしい。
 それらを越えて3つ目の山を登れば、やっと今回の騒動の原因とお目見えとなるようだ。

「山を3つ登るから相当しんどいと思うし気候がめちゃくちゃだし、体温や水分の確保はしっかりできるよう備えは念入りにな。準備が出来た奴から適宜転送していくぜ」

 こうして、山登りの備えをした猟兵たちはカクリヨファンタズムへと旅立ったのだった。


御巫咲絢
 こんにちはこんばんはあるいはおはようございます!
 初めまして、新米MSの御巫咲絢(みかなぎさーや)と申します、どうぞよろしくお願い致します。
 この度は当シナリオご閲覧頂きありがとうございます!
 お手数ですがまずはMSページをご覧頂いた上で以下の内容にお目通しをお願い致します。

 このシナリオでは「山が大量に溢れた」結果「気候が原始時代に戻りつつある」カクリヨファンタズムを救って頂きます。
 山登りの備えはしっかりしろよとグリモア猟兵が申しておりますがフレーバーで大丈夫です。ここ大事です、テストには出ませんが。
 以下簡単な章の概要になります。

●第一章
 温暖気候によりめちゃくちゃ成長した妖怪竹の群生地となっている山を突っ切って頂きます。
 竹が光ってるけど切ってる余裕はないし切っても多分かぐや姫も何も出てきません。

●第二章
 集団戦です。ごろごろしている雪だるまを蹴散らしながら進んで頂きます。
 雪だるま可愛いけど遠慮は必要ありません。遠慮したらカタストロフですからね。

●第三章
 ボス戦です。今回の騒動の原因となってる遮光器土偶との戦いになります。
 彼(彼女?)から骸魂を引っ剥がして元に戻してあげてください。
 ボスを倒せばテラフォーミングが正式な形で施行され、カクリヨファンタズムは元通りになります。

 第1章の断章を更新してからプレイング募集を開始予定です。
 断章投下までしばしお待ちくださいませ。
 皆様のプレイングお待ち致しております!
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第1章 冒険 『暗い竹林』

POW   :    肉体の性能任せに突っ切る

SPD   :    見切って速さを生かし突っ切る

WIZ   :    魔法などで身を守りながら進む

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●事態が事態でなければきっと良い観光スポット……いや無理かも
 山登りの備えをを十全にし、いざカクリヨファンタズムへと赴いた猟兵たち。
 一つ目の山の麓に飛ばされたワケであるが――まあ何ということでしょう、日の光を浴びて元気に育った妖怪竹たちが空を埋め尽くさんばかりの勢いで元気に聳え立っていた。
 麓はまだ多少日光が差しているが、数歩足を踏み入れただけで漆黒の闇と見紛うような暗い空間へと早変わり。
 とはいえ妖怪竹はその体の一部に光を宿すと言われている種、曰くの通り一部が明るく輝くことで街灯の役割を果たし足を踏み外すことはなさそうだ。
 漆黒の空間に竹が光り、光によって照り映える緑……状況が状況でなければさぞ幻想的な風景だと魅入れたかもしれない。
 そんな山を登っていこうとすると猟兵たちの足元に何かが勢いよく突き刺さる。

 ――刃のように鋭くなった竹の葉であった。

 ざわめきだす竹林。
 カクリヨファンタズムは基本猟兵が訪れると妖怪たちは喜んで歓迎してくれるのだが、もしかしたらこの妖怪竹もそうなのだろうか。
 人だ、人がきた!と喜んでいるのか、とにかく元気に揺れては刃のような葉を落としてくる。しかもやたらと量が多い。
 元気が過ぎやしないかこれは?

 とにかく、普通に登るだけではあちこちに切り傷どころでは済まなさそうである。
レディオット・スクラップド
ヒャッハーやーーーーまだーーーヤーーーッホー!!!(こだま)
宇宙由来宇宙育ち海のゴミ山としては一面のグリーン!テン・ションがハイになってしまいますね!!わたくし元々高めですが!惜しむらくはミュージックのお話ができる方がいないことぐらい!!
と言うことで廃屋のゴミを拝借。
竹を切る開拓車…そう丸鋸びっしりのチェーンソー戦車へと変形し爆走しようと思います。まあ刃でゴミぶっちぎられても痛くも痒くもございません、ゴミですので。無視無視!
逃げ遅れた妖怪さんや猟兵の方がいらっしゃれば乗せる所存です。
竹林は開拓だ!ヨロレイヒーーー!!刃が降るというのなら刃より速く、ゴー!!!
(アドリブ・ピンチ・協力他歓迎です)



●いざ征かん、チェーンソー戦車レディオット!
「ヒャッハ―――――!!!や――――まだ――――――――!!ヤ――――――ッホ――――――!!!」

 ヤ――――――ッホ――――――!!!

 ―――ッホ――――――!!!

 ―ッホ――――――!!!

 ホ――――――!!!

 レディオット・スクラップド(ゴミ山ラジオ・f27593)の元気な山彦が木霊する。
 これからここを含め3つも山を登ることになるのだが最初からテンションMAX、それほどまでに一面に広がる妖怪竹の姿に心を躍らせていた。
 
「宇宙由来宇宙育ち海のゴミ山としては一面のグリーン!テン・ションがハイになってしまいますね!!わたくし元々高めですが!」

 とても流暢な英語発音をすれば目の前に落ちる竹の葉という名の刃。
 妖怪竹たちは元気そうに揺れている。「すごーい!英語の発音上手ー!!」と言わんばかりの勢いで葉を降らす。
 彼らに悪気はないのである。

「惜しむらくはミュージックのお話ができる方がいないことぐらい!!」

 彼らがミュージックの話ができたらよかったのだが、残念ながらここはカクリヨファンタズムで目の前にいるのは妖怪と言えど竹。竹なのだ。
 きっと元気な様子から楽しく聞いてくれるに違いないとはいえそこは少しばかり寂しさを感じつつ、ふと視界に入った廃屋に目を向ける。
 そこには恐らく物置に入ってあったであろういらない書物やら草刈り用の鎌だとかくわだとか鉈だとか使わなくなった金庫――何の為にあったかは不明――やら何やらが散乱していた。
 どれもロクに使えるものではないゴミも同然の状態で捨て置かれている。

「おや丁度良いゴミがこんなところに!拝借してしまいましょう。――"次のナンバーはテクノ・ポップからビートをアップ"」

 だがそんなゴミこそがレディオットの力の源。
 スピーカーからリズミカルな曲を流しながらユーベルコードを発動すれば、それらは一斉に引き寄せられる。

「"ダンス・トランス――そう、シェイプ・シフト!"」

 サビに合わせてぱちんと指を鳴らしながら高らかに謳えば、戦隊ヒーローモノ顔負けの合体演出かのようにレディオットの身体が姿を変えていく。
 がしゃん、がしゃんと音を立て――曲の最後の〆の盛り上がりと共に姿を現したのは一機の戦車。
 キャタピラの真横から、そして大砲となるであろうハズの位置からまっすぐ伸びる丸鋸を構え、勢いよく回転するそれはまさにチェーンソー。
 多少前進と後進を繰り返し、挙動の確認をした後レディオットは勢いよくエンジンをかける。

「竹林は開拓だ!ヨ――――――ロレッイッヒ――――――!!!!!」

 そしてホップ歌手もびっくりする程の綺麗な巻き舌を披露しながら、爆音ミュージックを流して爆進。
 チェーンソーに妖怪竹がぶつかればギュィィンと音を立ててすぱっと真っ二つ、大きな音を立てて地面に倒れていく。
 妖怪竹がますますざわめく。「いったーい!?!?何するんだよー!!!」と言わんばかりに勢いよく葉を落とし、戦車となったレディオットの身体を傷つけていくのだがびくともしない。
 そう、合体して変形し身体の一部となったとてゴミはゴミ。ゴミの一つをぶっちぎられたところで痛くも痒くもないのである。ゴミですから。
 何より葉(刃)が降り注ぐのならその刃(葉)より速く進んでしまえば被害など元々ないようなものだ。
 妖怪竹のブーイングを一切合切スルーし、チェーンソー戦車レディオットはガンガン進んでいくが――

「い、いったい何なんだい……!?」

 途中にまた廃屋――否、今度は家だ――真下から屋根を貫く勢いで妖怪竹が生え最早機能するかも怪しいが――。
 そんな家の玄関から恐る恐る妖怪の女性が姿を現した。抱きかかえている子妖怪は怖いのか泣きじゃくっている。
 どうやら逃げ遅れて途方に暮れていたようだ。

「おお、妖怪さん!ご無事でしたか。ご安心くださいわたくし怪しいものではございません。こんなチェーンソー戦車では誤解してしまうかもしれませんが、猟兵です」
「猟兵さんなのかい!?ああ、何だ。ついにあの世に連れて行かれるのかと思ったよ……!頼む、この子だけでも安全な場所に連れてっておくれ!」
「もちろん!お子さんだけと言わずお母さんもご一緒にお乗りください、戦車ですから親子連れ一組乗せるぐらいへっちゃらですとも!」

 ぱか、とハッチを開け妖怪親子を戦車内にご案内。
 流していた音楽も子供がよく好みそうな教育番組向けのモノに変え、チェーンソー戦車レディオットは山の一斜面を尽く伐採していった――
 もちろん、妖怪竹の皆さんは非常にお怒りです。おこだよおこ。

成功 🔵​🔵​🔴​

アリステル・ブルー
●連携アドリブ歓迎
おまかせします!

山ばっかりってまーたどえらいことになってるね? お水も食べ物もしっかり持ったし、なんとかなるんじゃないかなぁ。

とりあえず放置は出来ないから…しかしこの竹の葉はどうしようかなぁ…。
よし、とりあえずユールを呼んで【指定UC】で直線上の葉っぱを燃やします。大丈夫おちてくる葉っぱだけ燃やすから!

妖怪竹たちには「ごめんね! 葉っぱ痛くて歩けないから、葉っぱだけどけさせてもらうね」
って耳と尻尾でしょんぼりしてるアピールしておくね。
「あとできたら葉っぱ落とすのやめてくれたら、僕たち猟兵とても嬉しいなー!」も言っとく。
これでわかってくれたらいいなぁ。


天玲寺・夢彩
【お任せ/連携歓迎】
『よーし、今日も元気に出発だよー!』

桜の精
學徒兵の悪魔召喚士!
15歳
高めで少し大きめのツインお団子に二つ結びが付いたような髪型。

明るい自由人。
色んなモノ吹き飛ばしながらみんなを巻き込む誰にも止められない嵐みたいな子。
だけど最後はみんなを明るくさせる何だか暖かな春を感じさるほんわか女子。

口調『桜吹雪(自分の名前、キミ、よ、だもん、だよう、~かな?)』
機嫌が悪いと『暴風(私、相手の名前+ちゃん、だね、だよ、~的な?』

UCはその時に使えそうなやつを選んで使用する。(どれ使うかもおまかせ)

ムードメーカー&(無自覚)少しトラブルメーカーだけど、道徳に違反しない。



●揺れる竹の葉、吹雪く桜、青い鳥
 一方、別斜面。

「山ばっかり、って……まーたどえらいことになってるね?」

 困惑しながら鬱蒼と茂る妖怪竹を見上げるのはアリステル・ブルー(人狼のクレリック・f27826)。
 別斜面でばっさばっさとなぎ倒されて怒り心頭している竹はぷんすか怒るように先程から揺らしては葉を落とし続けている。
 さて、この場をどうしてくれようと考えながらアリステルは自らの荷物である食糧と水分の量を確認。

「うん、なんとかなるんじゃないかなぁ……」

 これだけの量があれば3つ山を登るには支障がない程度に持ってきたつもりだし、改めて確認してもそれを確信できた。
 改めて目の前の山に向き直り、どう登ってくれようかと頭をひねる。

「とりあえず放置はできないから……しかしこの竹の葉はどうしようかなぁ……」

 元気なのは良いのだが、ゆっさゆっさと揺れる度に落ちていく竹の葉(刃)。
 まともに進もうとすれば切り傷で済めば僥倖、な程度にぐっさぐっさと地面に突き刺さっていく。
 何せ先程一部の斜面は大量に伐採されてしまったから怒り心頭なのもあり、転送された直後より酷くなっている気すらする。
 ううんとアリステルが悩み唸っているそんな中……

 「や――――――っほ―――――――――!!!!!!」

 意気揚々とやってきた天玲寺・夢彩(春の大嵐少女・f22531)が元気よく山彦を返してもらおうと声を張り上げた。
 アリステルは思わず耳をぱたん!と畳む。
 人狼病により生えた耳とはいえ、本来の狼レベルとまではいかずとも音に対しては敏感なのだろう――というか後ろからいきなり大声を出されたら普通の人間でも耳を畳む(塞ぐ)。

「およ、びっくりさせちゃった?ごめんなさい」
「あはは……大丈夫大丈夫。たくさん山があるもんね、山彦したくなるよね」
「うんうん!竹さんたちも凄く元気そうだもん!」

 夢彩は妖怪竹を見上げる。彼女の元気な挨拶が何かの効果を及ぼしたのか「あ、ちゃんと山を正しく登ってくれる人だ」と静まった雰囲気が伝わってくる……ような、気がした。

「竹さん、夢彩たちのこと歓迎してくれてるみたいだねえ!」
「そう……なのかな??」
「そうだよう!山の妖怪さんによっては人を嫌うって聞いたし、きっと登るのを邪魔したりはしないと思う!」
「そう、だね?歓迎はしてくれてるみたいだし……」

 ただその歓迎で揺れる時に落ちてくるものが問題なのであってアリステルが悩んでいるのもそこなのだが、まあ確かにそれさえなければ問題なく登らせてくれるのは確かでもあった。
 一方、夢彩は葉が落ちてくるのも気にも止めずずんずんと意気揚々に山へ踏み込んでいく。

「竹さんこんにちはー!夢彩たち行かなきゃいけないところがあるから通らせてもらうねえ!」

 元気よく語りかけると「はーい!」「どうぞどうぞ!」と答えるかのように竹は揺れる。
 もちろん、またもそれらは落ちてきて夢彩へと一直線に向かうのだが――突如吹き荒れた風により葉は進路を変え、全く別のところに突き刺さった。
 ふんふんふーん、と鼻歌を歌いながら夢彩はずんずん山を登っていく。
 彼女の周りにはいつしか強い風が生まれ、落ちてくる葉を弾く障壁のような役割を担っていた。
 ただしその風、とにかく強い。めちゃくちゃ強い。風に弾かれた葉がアリステルの足元にも飛んでくるぐらいには強かった。
 うわ、と言いながら一歩下がるが、視界にこの山にはないであろうモノが映り思わず目を丸くする。

「……桜?」

 竹の葉と共に桜の花弁が吹雪いていた。登っていく夢彩の方へ視線を向けると、彼女を中心に桜吹雪が所狭しと舞っている。
 そしてそれに揺られて竹の葉が次々落ちていく……間違いなく彼女のユーベルコードによるものだろう。
 春の大嵐少女は今日も行く――まさにそのような表現が相応しいかのように夢彩はずんずんと山を登っていき、彼女の姿が見えなくなったところで桜吹雪も静まった。
 再びこの場にはアリステルのみとなる。目の前には落ちに落ちた竹の葉たち。その葉の鋭さからして踏むだけで靴が酷く損傷しそうだ。
 首を傾げ、頭を捻り、腕を組んでううーんと唸って考えた結果。

「……落ちてくる葉っぱだけ燃やそう。うん」

 ざわ、ざわ……と竹がざわついたような気がした。
 それもそうだろう、燃やす、という単語が聞こえてきたのだから。
 そしてもちろん、それを相手側が感じ取らないと考えるアリステルではない。耳としっぽをしょぼん、と下げながら困ったような表情を浮かべ、手を合わせて語りかけた。

「ごめんね!葉っぱ痛くて歩けないから、葉っぱだけどけさせてもらうね」

 すると竹のざわつきは少しだけ止まった。
 完全に止まっていないのは植物として、山としての生存本能(?)的な恐怖と不安からなるものなのだろうので気に留めずにおき、アリステルはユーベルコードを発動する。

「僕の友であり幸運をもたらすもの<ユール>――今一時、君の力を貸して……」

 アリステルの目の前に小さな魔法陣が展開される。
 その中から風と蒼き炎を纏う青い鳥がその綺麗な翼をはためかせて現れ、主であるアリステルを一瞥。
 彼の意図をそれだけで汲み取ったかのように綺麗に目の前に落ちている竹の葉だけを跡形もなく燃やし尽くした。
 竹は眼前で繰り広げられた見事な芸当に感動したのか、再びざわつき始める。
「えっ凄いマジで葉っぱだけ燃やした!」「猟兵さんすごい!手品みたいなことできるんだ!すごーい!」と言っているのかもしれない。

「ありがとう、ユール」

 青い鳥は役目を終えると肩に乗り、頬にすり寄ってくる。
 心から慕ってくれるからこその行動に何とも言えない愛らしさを感じながら、今度こそ山へ足を踏み入れるアリステル。

「じゃあ僕たちも登らせてもらうね。あとできたら葉っぱ落とすのやめてくれたら、僕たち猟兵とても嬉しいなー!」

 竹が優しく揺れる。
 人を歓迎してくれる妖怪竹だから、きっとわかってくれたのだろう……そう信じて歩を進めていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

黒木・摩那
山3つに藪漕ぎとか、この山登り、かなりの苦行ですね。
でも、このままさらに山が増えると、ますます道行きが遠くなってしまいます。
ここはまだ山が少ないうちに対応した方が良いですね。

でも、この妖怪竹はいけません。
いくら歓迎してるといっても、斬り傷だらけになってしまいます。

ここは妖怪竹には申し訳ないですが、刈り取って道を切り開きましょう。

魔法剣『緋月絢爛』を使います。
これにUC【トリニティ・エンハンス】で【風の魔力】を付与【属性攻撃】。
【衝撃波】の範囲を大きくすることで、妖怪竹を【なぎ払い】して、歩ける道を作り出します。



●竹「もう切られないと思ったのにぃ……!」
 猟兵が次々と山を登っていく中、麓にまた転移陣が出現し猟兵が一人駆けつける。
 姿を現したのは黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)。グリモア猟兵より聞かされた事件の概要を脳内で復唱しながら妖怪竹林の山を見上げ、一つ溜息をついた。

 「……山3つに藪漕ぎとか。この山登り、かなりの苦行ですね」

 ――そう、山3つ。
 これから山を3つ、しかも熱帯と寒帯と交互に渡って登らねばならないのだ。
 というのに目の前には元気に揺れては刃のような葉を落としてくる妖怪竹の群れ――摩那がくる前よりは大分落ち着いてきたのだが――。骨が折れると思わぬ者は早々いないだろう。
 いるとしたらよっぽどの苦行好きか非常にストイックな修行僧とかぐらいと思われる。

「(……でも、このままさらに山が増えるとますます道行きが遠くなってしまいますね。まだ山が少ないうちに対応した方が良い)」

 まだテラフォーミングによる山の大量発生は止まってはいない。
 今この機を逃せば、もしかしたらあと5つ6つは山を登る羽目になっていたかもしれないと思うと少しばかり恐ろしく感じなくもなかった。
 ある意味で絶妙のタイミングとも言えるのかもしれない。多分。
 ともあれ、山が増えるまでに登りきらなければならないと摩那が一歩踏み出すと、数枚竹の葉がさくさくっ!と落下した。
 ざわざわと妖怪竹が揺れている。「わーまた猟兵さんだ!」「今日多いねー!」と言っているように見えなくもない中気をつけながら進むも、またもや葉がさくりと地面に刺さる。
 それでも摩那の非常に鋭い第六感は彼女に何も告げることはない――つまり、本当に敵意も何もないのである。
 ……とはいえ。

「いけませんね。いくら歓迎してると言っても斬り傷だらけになってしまいます」

 やれやれ、と肩を竦める。
 一応、先程落とすのやめてくれたら嬉しいなと言われたのを竹たちは守ろうとしているらしく大分量自体は減っているのだが、後から来た摩那はそんな事情など当然知らないワケで。
 このまま進んではこちらのダメージにしかならない上に埒が明かないと判断し。

「妖怪竹には申し訳ないですが、刈り取って道を切り開きましょう」

 摩那は静かに愛剣である魔法剣『緋月絢爛』を構えた。
 ざわ、ざわ、と揺らめく妖怪竹の群れ。「え、斬るの……切っちゃうの?」「さっきもめちゃくちゃ伐採されたのにまだやるの!?」と言いたげなオーラが伝わってくる気がするが、自身が来る前に起きた事象については彼女は一切知る由もない。
 揺れる竹の光に照り映え様々なルーン文字を輝かせる『緋月絢爛』、その刀身に静かに風が集う。
 ユーベルコードにより大気中から風の魔力をかき集めた竜巻の如き一振りの大太刀と化したそれを一振りすれば、一瞬にして竹の葉で覆われていた暗闇の空間から燦々と太陽が照りつける青空へと早変わり。
 妖怪竹はその鋭き葉も綺麗に細かく刻まれながら、重たい音を立ててドミノのように倒れていく。
 音が静まった頃には倒れた竹を壁としたかのような人が数人通れる道が出来上がっていた。
 チェーンソー戦車が勢いよく進んでいたところとはまた別に派手に伐採された妖怪竹林の山は、例えるならお父さんの頭の髪の毛がバーコード化してしまうような残念な様相になってしまったのである。
 だが後からやってくる猟兵たちが安全に進むことのできる地帯がまた増えたことに変わりはなく、カタストロフを止める為の行為としては何ら間違っていないのだ。

「これだけ道が開けていれば十分でしょう」

 また登る山が増える前にたどり着かなければと、摩那は緋月絢爛を仕舞い改めて山を登り始めた。
 悲しげに妖怪竹が揺れていたように見えて、少しばかり申し訳ないと思いながら……

成功 🔵​🔵​🔴​

リコリス・ガレシア
普段はおっとりした穏やかな少女。
戦闘時は、天叢雲剣に宿るクールな鬼の少女。

帽子が落ちないように押さえながら、山道を駆け抜けます。
「急がないと、あやかしの皆さんがピンチなのです!」
竹の葉が降り注ぎ帽子が斬られ空を舞った瞬間、全ての葉が【明鏡止水】の極致で振るわれた剣撃で斬り落とされる。
「まったく、手荒い歓迎もあったもんだな」
夜のような黒髪、血のような赤眼、飛ばされた帽子の代わりに般若の面を斜めに被り、左腕が変化した天叢雲剣を隻腕となった右手に構え、竹林を見据えます。
「まぁいい。先を急ぐものでな、力尽くで行かせてもらうぞ」
【残像】を生み出す縮地で駆け抜け、避け切れない分は神剣で切り捨て先へ進む。



●その少女、凄腕の剣士につき
 一方また同じ山の別斜面。
 藪漕ぎと化している山道をかき分け、帽子を押さえて走る少女がいた。

「はっ……はっ……急がないと……あやかしの皆さんがピンチなのです……!」

 お気に入りの帽子を決して落とさぬよう最新の注意を払いながら、混乱に陥っているカクリヨファンタズムの住人たちを救う為リコリス・ガレシア(多重人格者の神器遣い・f28348)は急ぐ。
 山を3つ登るとなれば相当の時間を要するのは間違いなく、今こうして走っている間にもまた一人骸魂に飲み込まれてしまっているかもしれない……そう考えると自然と早足にならざるを得なかった。
 妖怪竹もその様子に「そんなに大変なんだ……」「頑張れお嬢さんー」と言わんばかりにゆらゆら揺れる。
 もしかしなくとも自分たちの今のこの状態がカタストロフによるものだということに全く気づいていない様子だが、心配そうにリコリスを見ている……ような空気だ。竹に目なんてあんの?などという無粋なことは言ってはいけない。
 葉が落ちるのが見えれば若干の迂回もしながら山道を急ぐリコリスであったが、山の山頂近くまできたところで不運にも突風が彼女を襲う。
 気候が原始に戻りつつある山の上でも吹き抜ける風はかなりの強度であり、風という自然現象には植物であるならば例え妖怪であろうと逆らうことはできない。
 どういうことかというと、風に揺られた竹の葉がリコリスめがけて降り注いできたのである。
 咄嗟の回避も突風により阻害され、リコリスの帽子のつばを葉が切り裂き帽子が宙を舞った――その刹那であった。

「……」

 リコリスの茶色の瞳が紅く染まる。
 鮮血の如き深紅の眼光が落ちてくる竹の葉、その挙動を全て正確に捉え――右手を振るう。
 鮮やかな手捌きはまさに【明鏡止水】の極致に至った一人の剣聖そのもの……瞬間、降り注ぐ竹の葉は綺麗に真っ二つに。
 そして桜吹雪のようにリコリスの周囲を舞った後、風に揺られてどこかへ飛んでいった。
 
「まったく、手荒い歓迎もあったもんだな」

 竹の葉が過ぎ去った後、般若の面を斜めに被ってリコリスは肩を竦める。
 先程までの穏やかで一生懸命な少女の面影が消え失せたかのような冷静な表情に夜の帳の如き黒髪、そして深紅の瞳。隻腕と化した右手には己が左腕が姿を変えた神器――天叢雲剣。
 神器に宿りし鬼の少女が普段の彼女に変わり表層へと現れたのだ。
 風が吹き去ってもなお妖怪竹は揺れている……むしろ彼女の変化にびっくりしているかのようにざわついているようにすら見える。「え、凄くない?あの子一瞬にしてイメチェンしたんだけど」「化狐や化狸もびっくりじゃんすっげー!」といった感じで。
 そんな妖怪竹林の群れを見据え、少女ははあと溜息をつきながら。

「まぁいい。先を急ぐものでな……力尽くで行かせてもらうぞ」

 ぐ、と足を踏み込んだ後一気に駆け抜けた。
 途中またも竹の葉が降り注ぎ、彼女に命中するも――その姿はふっと消え、地面にさくりと突き刺さる。
 残像を生み出す程の神速とも見紛う縮地、その恐るべき速度で一気に山を滑り降りていくリコリス。
 眼前に竹の葉が迫れば明鏡止水の極致にて挙動を見切り斬り捨てて、突き刺さったと思ったものは尽く残像で……彼女が被弾したのは最初の帽子が切り裂かれた一枚のみ。
 リコリスが駆け抜けた軌跡に残されたのは縮地の痕跡と何ものにも当たることがなかった葉という名の刃たちだけだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

鬼灯・神羅
全く……久々に帰ってきてみれば、今回は山の飽和ときたか。
時間が惜しい、その土偶から骸魂を剥がせば良いんだろう。速やかに、確実に遂行しよう。

UC発動、【ゴッド・クリエイション】で創造した鴉羽の繁殖力を増加、襲いかかる葉の刃を無尽にも思える鴉羽の怒濤で押し返してみるか。
それでも掻い潜ってくる葉は刀で散らす。『破魔』を込めた一刀で斬り伏せよう。
環境の変化については、すぐに駆け抜けられるよう、増殖させた鴉羽に乗って移動してみるか。

それにしても……テラフォーミングレーザーを放つ土偶なぞ訊いたことがないぞ。スペースシップワールドから紛れ込んできたりしていないだろうな……?
(アドリブ等歓迎です)



●久々に帰省したら山まみれになっていた件について
「全く……」

 呆れたように山を見上げて溜息をつくのは鬼灯・神羅(境界の八咫烏・f23274)。
 彼は幽世に済む黒鴉――即ち、カクリヨファンタズム出身の猟兵である。
 普段は相棒である精霊術士の少年と共に猟兵として各世界の混乱を収めオブリビオンを討伐している神羅、そんな彼がカタストロフの報せを聞き久方ぶりの帰郷をしたら……

「久々に帰ってきてみれば、今回は山の飽和ときたか」

 至るところに見える山の群れという"力強き言霊(パワーワード)"の権化。山の飽和なんて言葉を使う日がくるなんて例え彼どころか他の神族すら思わないだろう。
 その一つである妖怪竹林の山は一部がお父さんの頭のような悲惨な状態になっているが、それでもまだまだ元気に猟兵を歓迎する様子。
 またお客さんきとるやん!と元気に揺れては時折葉を落とす。
 カクリヨファンタズム出身の彼はこの竹の葉の鋭さを誰よりもよく理解している故に、その元気な様子に尚の事溜息が出ずにはいられなかった。
 この竹藪をかき分けて進むことの大変さは彼自身もよく理解している故に……

「……時間が惜しい、さっさと土偶から骸魂を剥がしに行かねばな」

 やることはシンプルかつ単純。
 速やかに、確実に遂行すればすぐに終わるだろう。神羅はユーベルコードを発動し、鴉羽を生み出した。
 彼自身の漆黒の翼と寸分も色が違わぬそれにさらに細工をしかければ、瞬く間に鴉羽はまるで鴉の群れのように繁殖。
 人が一人二人乗ったところでびくともしない量と化した頃合いを見て神羅は鴉羽に搭乗し、一気に妖怪竹林の山を駆け抜けようと試みる。
 その羽の勢いたるやまさに"怒涛"。竹が揺れていくら葉を落とそうとも、鴉羽の波に瞬く間に呑み込まれ神羅に傷が及ぶことはない。
 破竹の勢いで山を駆け登る神羅であったが、頂上へ近づくにつれ吹き抜ける風の勢いも増していく。
 その影響により竹の葉も鴉羽の波だけでは呑み切れぬものも何枚か現れ、その鋭い葉(刃)先を向けてくるが――

「邪魔だ」

 腰の刀を抜くと同時に煌いた破魔の一閃が一枚残らず斬り伏せた。
 流石現地の住人、葉が飛んでこようと一切動じることなく柔軟な対応である。
 そうして難なく頂上を経由し、駆け下り始める際にふとした疑問が浮かび、神羅の眉間に皺が寄る。

「それにしても……テラフォーミングレーザーを放つ土偶なぞ訊いたことがないぞ」

 至極真っ当かつ尤もな疑問。
 恐らく今回の件を予知したグリモア猟兵も初耳であろうぐらいにはテラフォーミングレーザーを放つ土偶、という単語があまりにも強すぎる。山の群れという単語と同じく"力強き言霊(パワーワード)"だ。
 カクリヨファンタズムは地球と骸の海の狭間の世界、様々な過去の遺物で組み上げられた迷宮のような地……
 とはいえ、テラフォーミングレーザーは過去や現代というよりあまりにも"未来的過ぎる"。
 少なくともカクリヨファンタズムにそう簡単に漂うものではないのではない――それが神羅が疑問に至った理由だった。

「……まさか、スペースシップワールドから紛れ込んできたりしていないだろうな……?」

 スペースシップワールド産のテラフォーミング土偶、というのも中々に言葉が強いのだが。
 果たして本当にスペースシップワールド産なのかどうかの真相は、まだわからない。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『『剣客』雪だるま』

POW   :    雪だるま式に増える
自身が戦闘で瀕死になると【仲間】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD   :    抜けば玉散る氷の刃
【その手でどうやって持つんだかわかんない刀】が命中した対象を切断する。
WIZ   :    雪合戦
レベル×5本の【氷】属性の【雪玉】を放つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


【MSより】
第一章にご参加頂きありがとうございました!
第二章の受付は「断章を追加し次第」とさせて頂きます。追加まで今しばしお待ち頂けますと幸いです。
恐らく8/3(月)には断章を挟めると思いますが、戦争も近いのでご無理のない程度でご参加頂ければと思います。
途中からの参加も大歓迎です!
●何で雪だるまが大量発生してるのか、その仕組み。
 時は少しばかり遡り、妖怪竹林の山の後ろに聳え立つ寒帯域の雪山。

「さっぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶっぶぶぶぶ……
 まって、全然火つかないんですけど待って、狐火ぞ?狐火でつけようとしてるんぞ???」

 可哀想なことに住んでいたお家が巻き込まれ雪山内に取り残されてしまった妖狐が一人、家にあったあらゆる防寒具を着込みながら暖を取ろうと悪戦苦闘していた。
 しかし氷河期掃討の雪山、しかも高度はそれなりである。
 となると狐火の一つや二つでそう簡単に火がつけば苦労はしない程の極寒地帯と化しているワケで……
 絶対零度じゃないだけまだマシなんちゃうか?と言いたいレベルに寒いのである。
 がたがたと震え、歯を鳴らしながら必死に火をつけようとするのだが――。

「あ、ダメ。眠い。寝る」

 妖狐とは言え狐は狐、その極寒から本能的に冬眠に誘われてぱたりと倒れ伏す。
 そこに骸魂がふよふよやってきてそのままぱっくんちょ、取り込まれてしまうのでした。
 そしてお家の玄関をがらがらと開けて出てきたのは雪だるま。
 ぴょいんぴょいんと敷居をまたぐと丁寧に玄関をがらがらと閉めて外へと機嫌よく駆け出していく。
 どうやらこうして雪山に取り残された妖怪を次々に骸魂が飲み込んで雪だるまが生まれている様子。猟兵の姿を確認すれば……

「いらっしゃ―――――い!!!歓迎しま――――――す!あっこれお近づきの印の抜けば玉散る氷の刃です!!!」

 とどこで持ってんのかわからない刀を持ってハイテンションで斬りかかってくる。
 言葉とは正反対の行動ですが!?と言いたくなるがそれはほら、オブリビオンですから。
 というか妖怪竹といいこの雪だるまたちもやけにテンションが高いししかも人懐こいものだから、猟兵たちは調子が狂わずにはいられない……かも!しれない。

【MSより】
 戦争期間につき無理のない範囲でご参加ください。
夜霞・刃櫻
【アドリブ・連係歓迎】WIZ
ヒャッハー!新鮮な雪だるまでやんす!!
雪だるまは溶けてナンボっすよ!
誰が決めたか知らないけど!

UC【夜霞の爆窃】で幽霊蒸気機関車と約345体の爆窃団の幽霊を召喚!
幽霊蒸気機関車の熱量と幽霊爆窃団の重火器の火力と『グレネード・ランチャー』『ナパーム・ランチャー』で爆破&炎上!
「爆撃」「焼却」で効率よく爆破炎上させて「継続ダメージ」でじっくりこんがりウェルダンに!
こっちは「氷結耐性」「火炎耐性」「環境耐性」でへいきへっちゃら!
雪玉でも雪だるまでもなんでもこーい!
刀は勘弁願いたいので「時間稼ぎ」して誰かに任せたい

失敗したら土下座して逃げますよ
三下なもんで!



●雪だるまは溶解だァー!!
「ヒャッハ―――――!!新鮮な雪だるまでやんす!!」

 ハイテンション極まる雪だるまに対し勝るとも劣らぬハイテンションで立ち向かうは夜霞・刃櫻(虚ろい易い兇刃・f28223)だ。
 オブリビオンを殺め続けることは刃櫻としてのアイデンティティを保つ為の唯一にして最大効果を齎す術であり、このクソがつく程テンションが高い雪だるまから骸魂を取り除く――それは即ちオブリビオンの殺害に繋がる。
 さらに巻き込まれた妖怪たちを救出できるのもありまさに一石二鳥、全世界の敵たるオブリビオンを相手にしている故に何の後ろめたさもない。
 その為カタストロフが定期的に軽率に発生するカクリヨファンタズムの存在は刃櫻の精神をより一層安定させることに繋がっていた。
 コンディションが完璧な状態で臨む今の刃櫻に敵などいない……と、思われる。

「ヒャッハ――――!!新鮮な雪だるまですよ―――ようこそカクリヨファンタズムへ!!!歓迎しま―――――す!!!!」

 ぼぼぼぼぼ、ぼぼぼぼぼんと音を立てて雪だるまたちはユーベルコードを発動、その雪たっぷり雪見(以下自主規制)の如き躯体から雪玉を投擲!
 なんとも手荒い歓迎方法である。
 とはいえ元より氷結耐性のある刃櫻には文字通り雪合戦で雪玉を投げられた程度のかすり傷にも至らぬダメージしかない。

「ひゃっほう雪合戦をしかけるとは季節に準じた粋な計らいっすねえ!今はホントは夏なんだけど!」

 この依頼の時間軸は現実時間と同じく8月です。
 一応地球における南半球は真冬なので間違いではないのだが、少なくともどの世界においても日本(世界によっては該当地域はないかもしれないが)は真夏真っ盛りである。
 故に季節らしくもあり季節外れである、何ともいえない光景が現在繰り広げられているのだ!

「そんな粋なお出迎えには相応のお返しが必要っすね――"パンクでロックにミッション・スタート"と洒落込みましょうかァ!!」

 雪だるまのユーベルコードに対抗すべく、刃櫻もユーベルコードを発動。
 【夜霞の爆窃】にて召喚されるは重火器で武装した幽霊、数にして凡そ345体を乗せた蒸気機関車だ。
 機関車中の窓という窓から、そしてあるいは機関車から飛び出して重火器を構える幽霊たちと共に刃櫻は機関車の真上に飛び乗り、愛用の銃『パンク・ロック・ナパーム・ランチャー』『パンク・ロック・グレネード・ランチャー』の2丁を構える。

「ふっふーん、雪だるまは溶けてナンボっすよ!誰が決めたか知らないけど!!
 さあ――じっくり!こんがり!!ウェルダンに!!!
 ファ――――イヤ――――――――――――ッッッ!!!!!!」

 ずどどどど、ずどどどどんと派手な爆音が響き渡り雪だるまはその雪山の一斜面ごと爆破炎上、無残に溶け去り骸魂ごと跡形もなくなりました。
 ちょっとまってこれ雪だるまの中にいる人大丈夫なん?と思うがそこは猟兵パワーによりオブリビオンにしか攻撃がいかない仕様になっているのだ(多分)。

「ん、あれ、俺ここで何して……あ゛っっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっつ!!!!!」

 というよりあまりにもの熱ですぐに飛び起きて逃げ出して行くので、きっとセーフなのではないだろうか。
 刃櫻は骸魂が剥がされたのを確認すると、別方向からやってくる雪だるまの群れにも同じように爆破炎上をお見舞いする。
 爆撃と焼却を連打し続ければ最早極寒にあらず、彼女の周辺は灼熱地獄のような様相を醸し出していた。
 しかし火炎と環境にも強い耐性を持つ刃櫻は熱さを物ともせず連射を続けるのだが……

「ぎらーん」

 まだ雪が無事な方向から雪だるまが刀をちらつかせれば。

「ごめんなさぁぁああああああああい!!!!生命だけはお助けをぉおおおおおおおおおおおおっっ!!!!」

 即座に土下座。そんな行動に出られるとは思わず雪だるまもさすがにびっくりした様子を見せ、それを確認するやいなや幽霊たちを全員乗せた後幽霊機関車を発進させて猛スピードで逃げ出したのであった……。

 と、見せかけて。

「ふぅ、失敗はしてないっすけどやはり土下座は相手の動揺を誘うには効果抜群でやんすなあ。
 時間稼ぎには十二分なったでしょう……ふふん、あのびびりっぷりはもしかしなくともオレの三下ぶりに恐れを成しおったっすねえ。はっはっは!!」

 戦域から離脱したら離脱したで別方向に誇らしげに笑っていた。
 きっとどこからか「いやそこじゃねえだろ!」というツッコミを刃櫻は幻聴したかもしれないし、そうじゃないかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リコリス・ガレシア
敵が斬りつけるのを見て

隻腕の右手で振るう天叢雲剣をぶつけ、鍔迫り合い。
「なるほど、いい刀だな」
感心したように呟いたあと
「だが、使い手が未熟とあっては口惜しいな」
鬼の怪力を使用し相手を剣圧で吹き飛ばすと同時に、縮地で敵に近づき一刀両断する。
「さて、次は誰が相手だ?」
敵が一斉に襲ってきたら残像で攻撃を回避しながら、隙ができた相手を一人ずつ切り倒していきます。
「流石に数が多いな」

【神器解放:天空支配】を使用。神剣の真名を呼び、霊気を解放。周囲の天候を支配します。
「神器解放『天叢雲剣』」
周りの雪雲や吹雪を、生み出した雨雲と暴風で塗りつぶし降り注ぐ雷で相手を一掃します。
「悪いが、遊びは終わりだ。落ちろ」



●神が内包せしめた神剣なれば、雨雲風雷呼ぶことたはやすし
 これは別斜面での話。
「いらっしゃ―――――い!!!歓迎しま――――――す!あっこれお近づきの印の抜けば玉散る氷の刃です!!!」

 雪だるまはどこで持ってんだそれという刀で斬りかかる。
 抜けば玉散る氷の刃――研ぎ澄まされた刀が煌く様を現す諺、その名に相応しい洗練されかつ氷のように冷たい刀身は雪山の照り返しに白く煌めき、刀の軌跡を描くかのようだ。
 その身体のどこで持てるのかがわからないんだけども。
 そんな一閃にリコリス・ガレシア(多重人格者の神器遣い・f28348)は怖じることなく、天叢雲剣をぶつけて鍔迫り合いに持ち込む。
 ガキィン、と響くは刀と刀のぶつかり合う衝撃音。
 隻腕となった右腕にて振るっているとは思えぬ力で雪だるまの刀を押し止めるリコリス。
 同時に刀を間近でじっくりと観察し、感心したように微笑んで。

「なるほど、いい刀だな。――だが」

 剣圧が飛ぶ。鬼の少女の人格が表に出ている間は種族の特性すらも反映する――鬼の特性それ即ち怪力。華奢な少女とは思えぬ力で雪だるまを吹き飛ばす。

「わ――――」

 雪だるまはあっけなくふっ飛ばされ、何が起きたのかわからぬままにその身を両断される。
 吹き飛ばすと同時に縮地で瞬く間に懐に飛び込んだリコリスの一撃は反撃の暇も許さない、まさに瞬殺と言わんばかりの華麗で無駄のない動きだ。
 両断すれば雪だるまを作り上げていた骸魂も一緒に真っ二つ、元の妖怪が姿を現し意識を取り戻すと「さっっっっっっっっっっっっっっっっっっむ!!!!!!!!」と慌てて逃げていく。
 それを一瞥しながら刀身についた雪を一振りで払い、雪だるまの群れに切っ先をつきつける。

「さて、次は誰が相手だ?」

 不敵に笑うリコリス。雪だるまたちはざわざわと動揺する。

「やっべどうしよめっちゃつええぞこの子」
「いやでも一人だぞ?数で攻めればいけるくね?」

 あからさまに聞こえるひそひそ話による会議の後、雪だるまたちは一斉にリコリスに飛びかかる!
 どうやって構えてるのかわからないが刀を構え、数体で一気に突進、その刀身を少女の身が貫く――と思いきや刹那、飛びかかった雪だるまのうち一体が身体を構成する雪玉を分割するかのごとく真横に両断される。
 雪だるまが飛びかかった時既にリコリスは縮地にて奴らの背後に移動、残像を仕留めたと思わせたのを確認して即座に反撃したのだ。
 生まれた隙を逃すことなく一体一体確実に仕留めていくが……

「……流石に数が多いな」

 そう、雪だるまはわんさかいるのである。
 丁度先程別斜面で灼熱地獄に溶け去ったのを(本人が把握してるかしてないかは別の話として)加味したとしても多い。
 恐らくこの雪山、元はカクリヨファンタズムの市街地区域だったところなのだろう。よくよく見たら雪に埋もれた家や施設と思しきモノも。
 現状を把握すべく見渡しているリコリスだったが、それが仇となり雪だるまたちに包囲されてしまった。

「よーし囲んだぞー!これならお嬢さんでもそう簡単に相手はできないだろう……多分!」

 意気揚々と雪だるまたちは刀を構えてじりじりにじり寄ってくる。
 ふう、と息を吐く。パッと見絶望的な状況にも見えなくもない現状だが、それでもリコリスが狼狽えることはない。むしろ剣を掲げ始めて。

「――"神器解放『天叢雲剣』"

 ……静かにユーベルコードを発動した。
 リコリスに宿る鬼の少女、彼女が眠る神器の真名を自らが口にすることで霊気を天空へと解き放った。
 吹雪は止み、雪雲が雨雲に変わり、雷の音と共に風が吹き荒れていく――!
 ざわ、ざわと何が起きたんだと困惑する雪だるま。あれっさっきまで雪降ってたのに雨になってんじゃんどゆこと???とあたふたおろおろ。刀が錆びそう。

「悪いが、遊びは終わりだ。……落ちろ」

 掲げた剣を指揮を振るうように振り下ろしたと同時に轟音が雪山中に響き渡る。
 その暴風暴雨と共に降り注いだ雷は、雪だるまの群れを尽く焼却し尽くしただった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天玲寺・夢彩
〖お任せ/アド連携ok〗

桜の精
學徒兵の悪魔召喚士!
16歳
高めで少し大きめのツインお団子に二つ結びが付いたような髪型。

明るい自由人。
色んなモノ吹き飛ばしながらみんなを巻き込む誰にも止められない嵐みたいな子。
だけど最後はみんなを明るくさせる何だか暖かな春を感じさるほんわか女子。

口調『桜吹雪(自分の名前、キミ、よ、だもん、だよう、~かな?)』
機嫌が悪いと『暴風(私、相手の名前+ちゃん、だね、だよ、~的な?』

UCはその時に使えそうなやつを選んで使用する。

ムードメーカー&(無自覚)少しトラブルメーカーだけど、道徳に違反しない。

『じゃあ夢彩はお近づきの印に~…アスモくんの熱々の炎あげるねー!』(悪気無し)



●無邪気なること悪魔の如し
「やっだ、雪だるまさんちょうかわいい~~~!!」

 天玲寺・夢彩(春の大嵐少女・f22531)はその愛らしさに思わず黄色い声を上げた。
 そう、可愛い。オブリビオンの中にはちょくちょく愛らしい外見で別の意味で戦力を削ぐ奴がいるが、雪だるまもその一体……と思うじゃろ?シマエナさま等の罪悪感を誘発するオブリビオンとは違って雪だるまは雪だるま、そう雪だるまは人の手でいくらでも作れる。
 故にだいたいみんな容赦しない(※あくまで一部であり優しい猟兵の方々は罪悪感を抱くだろう)のであった(多分)。

「ありがと―――――う!可愛いお嬢さんとお近づきになれて嬉しいぞ―――――!一緒に雪合戦やんない!?」
「えっホント!?やるやるー!!」

 ……何か普通にバカンス満喫しているかのように雪合戦が始まった。
 雪玉をぽふん、と当てられればやったなー!と反撃。雪だるまは自分の身体から、夢彩は地面の雪を丸めて雪玉をきゃっきゃあははと投げ合う。
 ただの雪合戦で遊ぶ光景にしか見えないが一応コレは猟兵とオブリビオン同士の戦いです。ホントだよ。

 ~約一時間後~

「あー、楽しかったあ~!」

 一通り遊び終わって雪だるまたちと一緒に雪原に寝転ぶ夢彩。
 互いに満足げな表情――雪だるまに表情があるかどうかはわからないが――……一応今カタストロフの真っ只中なんですけどねえ。

「お嬢さんに楽しんでもらえて雪だるま冥利に尽きるってもんですよ~」
「うん、すっごく楽しかったー!またやろうねえ」
「これからも仲良くしてくださいねー!」
「もちろんだよう!」

 オブリビオンと化しても非常にフレンドリーな辺りは流石カクリヨファンタズムの住人といったところだろうか(?)
 そしてそんな雪だるまたちの言葉に対して夢彩は。

「じゃあ夢彩はお近づきの印に~……アスモくんの熱々の炎あげるねー!」
「えっ」

 何とユーベルコードを発動、ダイモンデバイスより焔の悪魔アスモデウスを呼び出した!
 一応言っておくと、ここまでのは全部お芝居をしていたワケでも何でもありません。
 信じられないとは思いますが本気で楽しく雪合戦をしていました、本当なんです。
 そしてこの熱々のファイヤープレゼントにも一切の悪気はないし、夢彩は本気でお近づきの印として使っているのだ。
 無邪気さは時に残酷というが、それを今まさに雪だるまたちはその身に実感しながら溶けていく。
 骸魂が剥がれれば元の妖怪に戻って「あっつめっちゃあっつ!?!?」と逃げていった。

『……貴様程ある意味で悪魔らしい奴も早々いないものよな』

 夢彩に聞こえない声で悪魔が呟く。
 アスモデウスが彼女に力を貸すのは、その悪魔にすらそう言わしめる程の無垢さ故を気に入っているからなのかも、しれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリステル・ブルー
●WIZ/アドリブ他おまかせ

見た目は可愛いのだけど。
引き続きユールを呼んだまま。
さて、氷には炎が有効だよね!
指定UCで燃やしてみましょう。
ユールの援護射撃に期待しながら、ソードメイスで殴ります。
氷の雪玉は武器受けで、跳ね返したりできない?むりか…とりあえず第六感と見切りで回避。
寒さはサバイバルマントが守ってくれるはず。

上手いこと骸魂だけを取り除けたらいいなぁ。



●雪玉なので当たるとすぐに崩れます。
「うーん、見た目は可愛いのだけど……」

 アリステル・ブルー(人狼のクレリック・f27826)は雪だるまの群れを見て困ったように小首を傾げた。
 確かに可愛い、可愛いんだけど……オブリビオンなんだよなあ……と思わずにはいられない。
 人懐こいのも尚更愛らしさをかきたてる故に尚更である。
 サバイバルマントを着込んだおかげで寒さは軽減できているので動くことに問題はないハズだ。そして雪――氷の弱点と言えばやはり。

「氷には炎が有効だよね……よし。ユール、また力を貸してくれる?」

 ぴぴぴ、とそれに答えるかのように愛鳥ユールは囀り、再び風と蒼炎を纏い始め――再びユーベルコード【青い鳥の軌跡(ブルーバードトレイル)】がここに起動される。

「"君の蒼穹を舞う翼は風を切り、蒼き軌跡を残し炎を纏い敵を焼き尽くせ"!」

 本来このユーベルコードは詠唱時間を要すれば要する程必要な術式により構成されているが、アリステルとユールの間にある絆の深さが詠唱時間とは別に威力に直結する追加効果を付随させた。
 故に必要最低限の詠唱でもそれなりに大型の魔術とも相違ない火力で攻撃することが可能なのだ。
 ユールは早速その纏った蒼炎を雪だるまたちに放って牽制を始める。

「わっっちゃっちゃちゃちゃちゃあっつあっつあっっっっっづ、まって雪だるまには炎は反則よーっ!?」

 反則ではなく至極全うな手法です。
 悲鳴を上げておろおろと駆け回る雪だるまであるが、慌てたことにより隙が大きく生まれアリステルに接近を許すこととなった。
 ソードメイスの一撃がざっくりとその頭の藁帽子毎雪玉を潰すと、雪だるまはみるみるうちに溶けていき骸魂に戻る。
 そしてぺっ、と骸魂は憑依していた妖怪を吐き出してかき消えた。

「う、ううん……あれここは?ってか寒ッ!」
「大丈夫ですか?ここは危険ですから麓まで避難してください!」
「ああ、そうさせてもらうよ!ありがとうお兄さん!」

 無事だった上体力も残っているようですぐに避難してくれる妖怪。
 避難しやすいよう、アリステルはユールに指示して彼の通る道を蒼炎で溶かした後再び雪だるまたちと対峙する。
 雪だるまは炎を近づけさせまいとその雪たっぷり雪見(以下自主規制)からぼぼぼぼぼんと雪玉を発射!

「跳ね返したり……できるかなっ……!」

 人狼の持ち得る鋭い第六感にて雪玉の挙動を見切り、ソードメイスで思い切り打ち返そうとするのだが……ぼろん、とぶつかった途端に崩れ落ちた。

「……(もしかして本当にただの雪玉だったりする?)」

 疑問に思ったアリステル、敢えて一発受けてみる。

「(……うーん、ただの雪玉だなあ)」

 検証はあっさり終わった。
 とはいえ質より量で攻められたら一人と一匹ではどうしようもないのも事実。
 以降は全て回避し武器で受け止め、またはユールの蒼炎で溶かしつつ、アリステルは一体一体確実に雪だるまを仕留めては骸魂を剥がしていく。
 そして骸魂を剥がした妖怪たち一人ひとりを介抱し、麓へ避難誘導。
 一斜面に取り残されていた妖怪は彼と相棒の活躍により無事救出され、増援がこないことを確認するとアリステルは引き続き元凶のいる山へ向かうべく雪山を登っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レディオット・スクラップド
ハイ・ハロー!
お邪魔致しております!テンション高いご歓迎誠にありがとうございます!ヒュー!スノーマン!初めて接触いたしました!わあい雪合戦!雪合戦も初経験でございます!
こんなにも歓迎されたらわたくし喜びをもって全力のお土産を用意するべきだと思うわけです!
しかしわたくしゴミですのでね、ゴミしかご用意できませんので――質が用意できない時のお土産は量!
ではイン・マイ・ボディ。山のようなゴミをどうぞ!
そしてゴミ山の中のヒーターを一斉にオン!熱の【属性攻撃】です。
雪遊びは霜焼けすると聞きました。たくさん遊んでいただきましたので!ええ!中の妖怪さんは無事にお助けせねばね。

(アドリブ・ピンチ・協力歓迎です)



●ゴミのプレゼントは下手すれば不法投棄になりかねないのでご利用は計画的に
「ようこそカクリヨファンタズムへ―――――!!!」

 あくまで歓迎の姿勢は崩さない雪だるまの群れである。オブリビオンなのにね。カクリヨファンタズムだからですかね。

「ハイ、ハロー!お邪魔致しております!テンション高いご歓迎誠にありがとうございます!
 ヒュー!スノーマン!初めて接触致しました!!」

 先程の一面のグリーンに引き続き一面のスノーかつスノーマンの群れにレディオット・スクラップド(ゴミ山ラジオ・f27593)ははしゃぎっぱなしであった。
 宇宙由来宇宙育ち海のゴミ山な彼にとっては今回のカタストロフ阻止に赴いたことは良い経験になっているようだ……と、思われる。

「はいはろー!!!!すのーまんです!!!!へいゆー雪合戦しないかい!!」
「わあ――い雪合戦!雪合戦も初経験でございます、是非とも是非とも!」

 ぼぼぼぼぼんと発射される雪玉が身体にぶつかりながらきゃっきゃと喜んでは雪玉を投げ帰すレディオット。
 あれ、またもや戦いのハズなのに凄く遊んでる光景が見えますね、何かデジャヴを感じるけどきっと気の所為だ多分。
 きゃっきゃあははと繰り広げられる雪合戦……何度も言うがここまでの光景は全て猟兵とオブリビオンによる戦いが繰り広げられています。ホントだよ!
 主にゴミで身体が構成されているとはいえあまり雪玉が当たると錆びたりしそうだが、レディオットはとても楽しそうに雪合戦をしている。
 ここまで喜んでもらえると雪だるまも冥利に尽きるというもの(?)、何か満足げな顔をしている……ように、見えなくも、ない。

~一時間後~

「こんなにも歓迎されたらわたくし、喜びを以て全力のお土産を用意するべきだと思うワケです!しかしわたくしゴミですのでね……ゴミしか用意できませんので――」

 さてどうしましょ、と首を捻って数秒してぴこん、と頭に電球が生える。

「質が用意できない時のお土産は量!!では……山のようなゴミをどうぞ!!」

 そう言って放たれる文字通りの山のようなゴミ、それらはまるで迷路のように入り組んでいき雪だるまたちを包囲!
 お返しにとユーベルコードでアトラクションを作り上げたのである。あれ何かこれもデジャヴ……とは思うけど恐らく彼の場合は策もちゃんと入っている。

「うわすっげ――迷路だ!わ―――――!!」

 雪だるまたちは大はしゃぎ、俺が一抜けしてやるーあーずるーい僕が先にゴールするんだもーん!と楽しく迷路を駆け回っている。
 楽しく遊んでいる様子を見てうんうんとゴミ山の中からレディオットは微笑ましく眺めつつ、ゴミ山のスイッチを一斉に起動。迷路を構成しているゴミの中にあるあらゆるヒーターが熱を放ち始めるが、雪だるまたちははしゃいでいて気づく様子もない。
 ともあれそんな感じでゆっくりじんわりと骸魂を引っ剥がし、取り込まれた妖怪が次々と倒れ伏しては目を覚ます。

「あれ……ここどこ……?」
「あたし何してたんだっけ……あーそうだ学校から帰ろうとしたら何か急にせり上がって……」
「てか何ここ。さっきまで寒かったような気がするけどめっちゃあったかーい……出たくなーい……」

 外に出たら極寒の雪山、ゴミ山とはいえ温かいお部屋の中……どっちが現状ユートピアになり得るかは一目瞭然というものだ。
 ともあれ妖怪たちが目を覚ましたのを確認すると、レディオットはスピーカーのスイッチを入れて妖怪たちに声をかける。

『あー、テステス……こほん。妖怪の皆さん聞こえますでしょうか!わたくし猟兵でございます。
 皆さんの救助に参りました!今から出口までご案内しますので指示に従って移動してください』
「猟兵さん!?猟兵さんだー!」
「なる程これ猟兵さんが作ったんだ。えっすごーい!ホントに迷路みたいだ!」

 流石カクリヨファンタズム、自分たちの姿が見える猟兵の話となればすぐに信じてくれるようだ。
 予想外の絶賛っぷりにレディオットも思わずにっこりである。

「(雪遊びは霜焼けすると聞きました。たくさん遊んで頂きましたからね、ええ。中の妖怪さんたちは無事にお助けせねばね)」

 オブリビオンとはいえ、歓迎して遊んでくれた雪だるまたちには敬意を評しつつ、それはそれとして骸魂はひっぺがしてかつこの寒さにやられてしまわぬよう安全に助ける必要があった。
 故にこうしてヒーターONのぽかぽかゴミ山迷路を作り上げ、眠るように雪だるまを溶かすことで骸魂を剥がし、気絶していても支障がない対策を用意した……と考えるとこのおじいちゃん、かなり策士である。良い意味で。
 それにしてもゴミ山で作ったものでもこうも喜んでもらえるのはやっぱり嬉しいなあ……と、レディオットは心が暖かい気分になるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒木・摩那
藪漕ぎの次は雪山登山ですか。
アイゼンもピッケルも持ってきてないよ!
これ登るの無理ゲーじゃない!?

ここはヨーヨー『エクリプス』登場。
ヨーヨーを出っ張りに引っ掛けながら、【ジャンプ】も使って、ヒーヒー言いながら登ります。

雪だるまは、言葉とやってることがあからさまに違うんですけど。
と、いうか刀危ない。あと雪玉痛いから。

危ない刀はヨーヨーで【武器落とし】して、さらにワイヤーで雪だるまを引っ張り込むことで【敵を盾にする】します。
雪だるまほ翻弄しながら、密になってきたところでUC【風舞雷花】で一網打尽にします。

飛んでくる雪玉はスマートグラスで解析した上で、【念動力】で軌道を逸らして回避します。



●「ごめんて」と予知した当人は申しており
「……藪漕ぎの次は雪山登山ですか……」

 うわあ、と声を上げるのは黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)。
 寒帯域の山で雪だるまがごろごろしているとは聞いていたがマジで雪山だったとは誰も思うまい。うん、思わない。
 きっと予知したグリモア猟兵にそこはもうちょっと詳しく説明してくれとクレームを言っても許されるしきっと素直にごめんと頭を下げるだろう。
 
「アイゼンもピッケルも持ってきてないよ!!これ登るの無理ゲーじゃない!?」

 雪山登山は本来しっかり装備を整えてから行うべきものである、でなければ遭難凍死事故死待ったなしである。
 普通に雪山を登れるのは猟兵だからであり良い子の皆さんは決して真似しないようにして頂きたい。
 どうしてくれようかこいつ……と考え、せめてピッケル代わりになる物を用意することにした。
 超可変ヨーヨー『エクリプス』――かつてヒーロー戦争で入手した謎の金属で手に入った脅威の頑丈性を誇るモノ。
 ワイヤー電撃にも対応できるし刃も仕込まれたスーパーヨーヨーである。
 摩那はこれを雪山の出っ張りに引っ掛けると『エクリプス』の紐を綱として一歩一歩を飛ぶように登っていく。
 先に引っ掛けた場所まで登り切ったらまた上の出っ張りへ引っ掛けての繰り返し、あまりにもの苦行さにひーひー言いながら……

「ほ、ホントに……この山登り、苦行が過ぎます……」

 そして何とこさ開けた場所までやってきた摩那であるが、休む暇もなく目の前には大量の雪だるま。

「ようこそお姉さん!カクリヨファンタズムへ――――!!!あっこれお近づきの印!!!どうぞ!!!!」

 とくたびれ始めている摩那とは正反対のハイテンションな歓迎で刀を向けて雪玉を放ってくる。容赦ない、流石オブリビオン。
 妖怪に骸魂がついてるという都合で多分猟兵に対しては歓迎姿勢を見せているだけなのだろうか、それとも本気で遊ぶ時は遊んでいるのか。

「言葉とやってることがあからさまに違うんですけど……というか刀危ない。あと雪玉痛い。痛いから」

 最早呆れた顔である。
 疲れてツッコミを入れる気力もない、雪山登山があまりにも苦行すぎたのだ。

「(……このカタストロフ、さっさと終わらせましょう)」

 テラフォーミング土偶を何とかしない限りこの苦行は続くのだ。
 まだ道のりが山3つ分の間に終わらせなければさらなる苦行が待ち受けること間違いなし……それを想えば今の苦行はまだ生ぬるいのだと言い聞かせて摩那は再び『エクリプス』を振るう。
 手始めにまずは雪だるまのその手でどうやって持ってんのかわからない刀を弾き落とす。ついでにぽいっとそこら辺に投げてしまえば近接手段は封じたにも等しい。
 とはいえ一匹の近接手段を封じたとて雪だるまはまだわんさかいるワケで、そいつらもどうやって持ってんのかわからない刀を振り回してくるのだが、それはさっき武器を落とした雪だるまをヨーヨーのワイヤーに巻き込みこちらに引っ張ることで盾にして回避。
 飛んでくる雪玉は自身の身につけているスマートグラス『ガリレオ』で軌道分析、最適な位置を割り出したら持ち前の念動力でぐい、と方向を捻じ曲げてやれば被弾は用意に免れることができた。
 的確に敵の手立てを回避し封じていくことで翻弄を続ける摩那。
 いつしか『エクリプス』によって雪だるまたちは彼女の近くに固まっていた。その強靭なワイヤーにより身動きを封じられ、もぞもぞと動くだけを繰り返す。

「『励起』」

 そしてその雪だるま集団に向け、摩那はユーベルコード【風舞雷花(フルール・デ・フルール)】を発動。
 『エクリプス』のワイヤーが七色の花弁へとその姿を変え、雷を纏う。

「昇圧、帯電を確認……『散開』!」

 本来なら敵味方識別のマーキングが正常に機能しているかの確認が必要だが、現在この場にいるのは自身のみ。
 一手順省いて一気に七色に光る幻想的な花弁を炸裂させると、雪だるまはあばばばばばばばばと声を上げながら溶けていく。
 電圧は雪だるまの群れのみならず、周辺の雪も一気に電圧から連鎖的に発生する高熱で溶かし、花弁が武器の形に戻る頃には骸魂を剥がされた妖怪たちと摩那だけが残った。
 妖怪たちは意識を取り戻すと彼女にありがとう、助かったと感謝を示し急いで雪山を駆け下りていく。

「……ふぅ。さて、雪山登りを再開しますか……」

 妖怪たちを微笑んで見送った後、また『エクリプス』を出っ張りに引っ掛けてひーひー言いながら登る摩那であった……頑張れ、あとちょっとだぞ!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『遮光器土偶妖怪』アラハバキ』

POW   :    》敵性存在ヲ確認、力場反転装置ヲ起動。
全身を【物理&射撃攻撃のダメージを反射するバリア】で覆い、自身の【稼働年数】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    》管理者権限ニヨリ、惑星初期化ヲ実行。
【【混沌】属性のテラフォーミングビーム】を降らせる事で、戦場全体が【原初の惑星】と同じ環境に変化する。[原初の惑星]に適応した者の行動成功率が上昇する。
WIZ   :    》エラー発生。直チニ上位管理者二連……ピ……ガ…
骸魂【狂えるアラミタマ】と合体し、一時的にオブリビオン化する。強力だが毎秒自身の【内部メモリストレージの容量】を消費し、無くなると眠る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は黒玻璃・ミコです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


【MSより】
第二章もご参加頂きありがとうございます!
第三章のプレイング受付は【8/10(月)】に断章を追加致しますので、追加し次第受付を開始させて頂きます。
戦争期間の為無理のない範囲でご参加くださいませ。途中からの参加も大歓迎です!
●そこは最早別世界
 熱帯域の妖怪竹林山、寒帯行きの雪だるま塗れの山と無事登りきった猟兵一同。
 やっとお目当ての3つ目の山にきたのだが――最早そこはカクリヨファンタズムですらあるのかわからない程に別世界と化していた。
 山に生える見たこともない植物の群れ、植物史に詳しい者はその一つを見て「封印木だ!?」と驚いて声を上げる。
 封印木とは石炭紀に栄えたシダ植物類である。そして石炭紀とは古生代の後半、デボン紀とペルム紀の間に位置する今からおおよそ3億5920万年前から2億9900万年前までの時期に……

 ――ホントに原始に戻ってきてんじゃねーかッ!?!?
 ときっとツッコミを入れたものもいるだろう。テラフォーミングって開拓だったよね?何で逆戻りしてんの?と言うとそれはグリモア猟兵が言った通りバグを起こして逆テラフォーミングになってしまっているのだろう。
 さらに山の麓付近を流れる川をよく見てみると水底を三葉虫が歩いてる、三葉虫はペルム紀に絶滅したこれまた古代生物だ。
 とまあそんな感じで、3つ目の山はかつて絶滅した動植物で溢れかえった文字通り原初の山。
 とはいえ先程の山々とは違って普通の気候なおかげで登りやすく、頂上までたどり着けばお目当ての土偶はすぐに見つかった。

『ピピ……未開拓土地ヲ発見、管理者権限行使ニテ初期化の実行ヲ要請……ガガ……承認完了……レーザー、発射』

 何かめちゃくちゃバグってるんですが、というか最早土偶の姿をした巨大ロボットじゃありませんか。
 というツッコミなんてものともせず、土偶は再びテラフォーミングレーザーを発射。山の頂上から見えるカクリヨファンタズムの一帯へと放たれたそれが消えた後にぼこん、と山が生えた。
 いや本当はそんな簡単な擬音で片付けて良いものではないが遠目から見るとそんな軽い感覚で行われたかのように一瞬にしてせり上がったのである。
 そしてレーザーが放たれる度、頂上から見える景色に次々生える山という山……山の大量発生という"力強き言霊(パワーワード)"に違わぬ光景がしっかりと繰り広げられていたのである。
 猟兵たちは思わず呆然とせざるを得なかった、ぽかんと口を開けるのも無理はない光景が繰り広げられていたのだから……こんなのを予知してしまったグリモア猟兵の心中は如何許であったろうか。

 しかし一つだけはっきりしていることはある。

「さっさと止めないとマジでカクリヨファンタズムがヤバい」

 日刊世界の危機とまで揶揄されるカタストロフ大量発生のカクリヨファンタズムであるが、今回の件は色々な意味で尚更ヤバい、と直感的に悟った猟兵たち。
 各々の武器とユーベルコードを携え、いざ最後の戦い(?)が始まる――!!!
夜霞・刃櫻
【アドリブ・連係歓迎】SPD
土偶って女性が多いらしいっすよ
つまりそういうことっす(どういうこと?)
え?どうでもいい?

UC【夜霞の溟海】空を飛ぶ海月型の霞に変身します。
原初の惑星なんだし霞くらい大量発生してるでしょ、適用出来るはず
(と、三下なので思い込む事でパワーアップ?
出来なくても「環境耐性」があるから大丈夫
お空から『グレネード・ランチャー』『ナパーム・ランチャー』で炎の雨を降らせてやる!
「焼却」!「爆撃」!「継続ダメージ」!
狙われたら飛行=実体化を解除して霞状態で回避!
この戦いはテンションが高い方が勝ちだ!
え?誰もそんな事言ってない?そんなー

失敗したら毎度おなじみ土下座
三下だもんね


天玲寺・夢彩
〖連携もアドリブも何でもok〗

桜の精
學徒兵の悪魔召喚士!
16歳

明るい自由人。
色んなモノ吹き飛ばしながらみんなを巻き込む誰にも止められない嵐みたいな子。
だけど最後はみんなを明るくさせる何だか暖かな春を感じさるほんわか女子。

口調『桜吹雪(自分の名前、キミ、よ、だもん、だよう、~かな?)』
機嫌が悪いと『暴風(私、相手の名前+ちゃん、だね、だよ、~的な?』

どれでもUCは使えそうな物を使用する。

ムードメーカー&(無自覚)少しトラブルメーカーだけど、道徳には違反しない。

「桜霊刀だと戦いづらいかな?…ほらー、ぽかぽかお昼寝日和だよう。もう寝ちゃおうよー。流石にヤバそうだもん。」



●つまりどういうことだってばよ
「土偶って女性が多いらしいっすよ。つまりそういうことっす!」

 エラーを起こす遮光器土偶を前にそう言ったのは夜霞・刃櫻(虚ろい易い兇刃・f28223)。

「へえ~そうなんだ!知らなかったあ~!」

 そしてそれに知見を得たかのような顔をして天玲寺・夢彩(春の大嵐少女・f22531)は感嘆の声を上げた。
 ……いったい何にだろう。多分わかってない、その顔は確実にわかってない。

「勉強熱心で感心っすね、あっしはチンピラなんで勉強のべの字すら遠いんすけど!」
「だって勉強しないとテストで赤点取っちゃうもん」

 確かにテストで赤点を取らないのは大事だけどいったい何のテストの参考になるんでしょうかね。
 一方そんな二人のやりとりを目の前で繰り広げられた遮光器土偶は律儀なことに二人の会話内容をちゃんと聞いてくれていたようでデータに照らし合わせようとしてくれている。
 あれ、何か優しいな?違う方向の優しさだけど……

「ガガ……発言内容ヲ分析……データ照合……検索結果ナシ、意味不明発言ト断定……ピー……」
「えっどうでもいい?そっすかぁ~」

 前言撤回、意訳すると「何言ってんだわけわからん」と返してきた。
 これぞまさに容赦なきマジレスというものだが気にせずふーん程度のリアクションを刃櫻は返すので多分他愛ない会話程度の感覚だったということなんだろう、きっと。
 夢彩も夢彩ですごーいホントにロボットみたーい、と感動している様子。
 一応今回の日刊世界の危機における最終決戦だというのに緩い空気が漂っているがきっとそんな日もある。

「うーん、桜霊刀だと戦いづらいかなあ……」

 と思ったらちゃんと戦いには入ってくれそうですね。
 夢彩はどういう手を繰り出そうか考えながら、心配そうに遮光器土偶を見る。
 さっきからガガとかピーとか明らかに故障かエラーを起こしているような音ばかり出しているのを見れば、確かに不安になるのもわからないでもない。
 一応骸魂に取り込まれた罪なき妖怪の一人なのだから、もしこの騒動が原因で骸魂を引っ剥がしたとしても何かの後遺症が残ったりなどしてしまわないだろうかと思ってしまったのだろう。

「エラー発生、エラーハッセイ。直チニ上位管理者ニ連……レ、ラku……ピ、ガガガッ」

 とか思っていたら本当にエラーを起こしてますますノイズが極まってくる――と思いきや、また別の骸魂がどこからかやってきて遮光器土偶の頭をぱくりんちょ、と頬張った!
 エラー音やノイズとは別にとてつもないパワーアップ音――擬音は各自のご想像にお任せします――を立て始める遮光器土偶。
 こりゃヤバいと直感したのか夢彩はそれを見て即座にユーベルコードを発動、実行する。

「ほら妖怪さん、ぽかぽかお昼寝日和だよう!もう寝ちゃおうよー!流石にヤバそうだもーん!」

 そう言って桜吹雪を土偶に向けて放つ。
 【桜の癒し】は対象に安らぎの眠りと癒しを齎すユーベルコードである。
 例えどんなに不眠に悩む人であろうが徹夜してでもノルマを終わらせないとと励む社畜だろうが容赦なく眠りに誘い、今までの睡眠負債を一気に返済できる程の快適な眠りをお約束してくれるこの技は果たしてロボット状態の遮光器土偶には届くのか。

「エラーハッセイ……エラー……エ……ゴー……ンゴォォ……」

 ノイズとはまた別の音が遮光器土偶から聞こえ始める……これはいびきか。
 土偶がこんないびきをかくのかという疑問はここでは置いておいて、どうやらひっついた骸魂にも効いたのか、それはそれは何か気持ちよく寝てそうだなというのが伝わってくるような大きないびきを立てている。
 夢彩はその様子にほっと胸を撫で下ろすのだが、まだこれで終わりではない。
 本当なら自分も一緒にお昼寝したいがそんな場合ではないからね。
 肝心の骸魂を引っ剥がさなければこの山の大量発生というカタストロフは止まらないのだ。

 しかし、猟兵は彼女だけではない。
 それではここでそういや気づけば姿が見えなくなっていた刃櫻の方に視点を当てることにしよう。
 桜吹雪が収まったかと思いきや、今度は霞が辺りを漂っている――そして、その中に一際大きく固まっているかのような霞が空中にどでん、と漂っていた。
 よくよく見ると海月の形をしているような……

「は―――――――っはっはっは――――――!!!原初の惑星なんだし霞ぐらい大量発生してると思ったらご覧の通りでやんす!」

 海月の形をした霞が刃櫻の声で高らかに笑って揺れる。
 そう、この海月霞は彼女がユーベルコードを使って変身した姿だったのだ!
 そしてそれに呼応するかのように霞がもやもやと集まってきたのである。でもそれ大量発生していると言っていいんですかね、という点は触れてはいけない。
 そうでなくても三下であれば思い込むことでパワーアップし、従来以上の能力を手にすることができるのだから(?)――。

「御眠のとこ悪いっすけど、引っ剥がさないとカタストロフは止まらないでやんすからね!悪く思わないで欲しいでやんすよ!!」

 刃櫻は海月の手、というか触手で愛用の『パンク・ロック・グレネード・ランチャー』『パンク・ロック・ナパーム・ランチャー』を構える。
 夢彩はおー、と言いながら間違いなく射程圏内に入ると直感的に悟りそそくさと退避。
 もしかして夢彩で眠らせた上で刃櫻で攻撃しようと打ち合わせをしていたのか、と思うことだろうが別に二人して計画し企んだワケではありません。
 各々その場で思ったことをやっているだけなんですよ、たまたまそれが実に計画的な遂行に見えるだけでそんな腹黒いことを考えているとかいったことはないんです。ホントだよ!

「さあ、パンクでロックにミッション・スタートっす!ファイヤ――――――!!!」

 派手な音と共に降り注ぐ炎のスコール。
 遮光器土偶はすっかりぐっすりすやすやと眠っているので例えどれだけ音が鳴ろうと気づかない。
 周囲を巻き込んで響き渡る派手な爆音、山の頂上から煙がもくもくと立ち上っていく。
 無防備なところをモロに被弾したとあれば流石に土偶とてひとたまりもないだろう……

「やったっす!どーだ、この戦いはテンションが高い方の勝ちなんすよォ!!」

 が、刃櫻がその言葉を言ってしまったのがよくなかった。
 通過儀礼――謂わばお約束展開という奴――的にぎらん、と煙の中から土偶が瞳を光らせる!
 あっと思ったが時既に遅し……というかこのムーブも敢えてやった三下ムーブなのではあるまいかとすら思わなくもないのだが。

「敵性猟兵ノ反応ヲ検知、管理者権限ニオイテ排除行為ノ許可ヲ申請……承認。惑星の初期化及ビ猟兵ノ排除ヲ実行スル」

 ぴぴぴ、とターゲッティング音を立てながら刃櫻に土偶は狙いを定め、テラフォーミングレーザーを発射!
 うひ、と声を上げて刃櫻は慌てて実体化を解除、ただの霞となることで被害を免れる。
 その後ユーベルコードを解除し慌てて距離を取ったらぼぼん!!と大きな音を立てて頂上からさらに原初の山が一つ生えました。
 何てこったい。

「わ、またお山が生えちゃった」

 これには夢彩も驚きである。口をぽかんと開けて山を見て、それから刃櫻を見た。

「……ねえ、これどうしよう?」
「…………すいませんでしたァァァァァ――――――――ッッ!!!!」

 別に夢彩は怒って問いかけているワケでもないのだが、刃櫻は反射的にジャンピングスライド土下座して詫びを入れる。
 何故ならやらかしてしまった時は潔く土下座で誠意を示して難を逃れるのが三下流の世渡り技術だからだ。
 まあ、それなりのダメージにはなったので問題はないと思うよ!うん!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

鬼灯・神羅
……いつからここは未開のキャンプ場になっていた。

骸魂に憑かれただけで自身を見失うとは、軟弱な奴め。その性根……お前に性根はあるのか?まあいい、そのストレージメモリとCPU、再初期化だ。

アラミタマの強化に真っ向から立ち向かうつもりはない。
UC発動、【殺縛咒】によって対象の動きを阻害する。そのストレージ容量が尽きるまで、そのままじっとしていてもらおうか。
とはいえ、油断して反撃されては元も子もない。ストレージ容量の消費狙いと同時に、刀で『祈り』を込めた『破魔』の攻撃の応酬だ。

そもそも、アラハバキとは旅人の神であるはずだ。旅人に苦難を与える神ではない。貴様は妖怪のようだが、今一度自身を省みるんだな。


アリステル・ブルー
●アドリブ連携おまかせ
必要ならサポートにまわります

「さすが日刊世界の危機だ…」
カクリヨやばすぎません??? むしろ今までよく滅ばなかったよね…。山も積もればってこんな光景見る事になるとは思わなかったよ。

とりあえずユールを呼んで上空から援護と攻撃通じそうな場所の情報収集に期待しつつ…。
鎧おばけっぽいし、剣より鈍器の方が通じるかな? ソードメイスを手にダッシュで接近するね。
足とか手とか脆そうな所を第六感に期待しながら思いっきり殴るよ!
それからUCを使うね。どうせならそのまま眠って欲しいけど!
反撃は見切りやダッシュで回避するよ。受けちゃったものは激痛耐性でふんばる。

ところで山って元に戻るの…本当に?



●久々に帰省したら未開の地になっていた件について
「……いつからここは未開のキャンプ地になっていた」

 心底呆れ果てたように鬼灯・神羅(境界の八咫烏・f23274)はため息をついた。
 目の前でテラフォーミングレーザーを撃つ土偶を見て本当にスペースシップワールドから流れてきたのかと思えばどうやら神格が混ざっているように見受けられ、純カクリヨファンタズム産であることを嫌でも察してしまい頭を抱えている。

「流石日刊世界の危機だ……いや、本当今までよく滅ばなかったよね……」

 神羅とはまた別の方向で唖然としていたのはアリステル・ブルー(人狼のクレリック・f27826)。
 まさか目の前で山がぼこん、と生えるとは誰も夢にも思うまい。グリモア猟兵だって「カタストロフが関わってなければこんな胡乱な話はしない」と言い張っていたのだ。
 それぐらいの光景が広がっているのを実際に間近で見て、ぽかんと口を開けずにいられるのはよっぽど肝が座った者だけではないだろうか?

「山も積もれば……って、こんな光景見ることになるとは思わなかったよ」
「当然だろう、というか俺は見たくなかった」
「うん……そうだね……」

 カクリヨファンタズム出身である神羅の一言にアリステルは苦笑いするしかできなかった。
 まさか故郷がこんな胡乱な騒動で滅亡の危機を迎えるのを阻止することになるなんて誰も思いはしない――というかカクリヨファンタズム以外でこんなことは決してないのだが、それでも複雑な胸中だろうというのはよく伝わったようで。
 土偶は先程から引き続き、骸魂に飲み込まれて尚更暴走する一方……

 その姿が神羅のスパルタ根性に火をつけた。

「全く……骸魂に憑かれただけで自身を見失うとは、軟弱な奴め。その性根……いや、お前に性根はあるのか?」

 刀を引き抜き、その切っ先を土偶に向けて言い放とうとしたところで疑問の感情が浮かぶ。
 いや、そこ疑問を持っちゃいけないところな気もしないでもないが。

「――まあいい。そのストレージメモリとCPU、再初期化だ」
「(妖怪なのにメモリとCPU……?いや、多分疑問に思っちゃいけないねこれ)……僕も手伝うよ」

 刀を構えて臨戦態勢を取る神羅、アリステルもそれに合わせてソードメイスを握りしめる。
 呼び出していた愛鳥ユールはアリステルが向けた視線ですぐに意図を理解して土偶の上を滑空し始め有効打となり得る場所を探る。

「ピピ……ガガ……新タナ敵性猟兵反応検知……殲滅スル……!」

 土偶はゆっくりとその大きな躯体を動かし、地面へとその拳(?)を振り下ろすが緩慢な動作故に二人が避けるのは簡単であった。
 ぴぴ、とユールが鳴くと同時に神羅は破魔の斬撃を、アリステルはソードメイスを力の限り振るう。
 その一撃それぞれが的確に土偶のその硬い身体の中でも脆い部分へと確実に入り、土偶を飲み込んだ骸魂の姿がちらついて見えた。
 再びユールが鳴き声を上げ、足元付近に羽根を落とす。その意図を察したアリステルが続けて土偶の足元に思い切りソードメイスを叩きつけた。

「損傷軽微、軽、微……ガガガッ」

 ぐらりとふらつく土偶。そのタイミングを神羅もアリステルも逃さずユーベルコードで追撃を仕掛ける。
 数十本の鳥を模した剣が土偶の動きを封じるように地面に突き刺さり――神羅の『幽世』の魔眼の視線が土偶自身に突き刺さった。
 強力な眠気を齎す剣の魔力と行動不能と自刃を強いる呪は強い束縛となり、体勢を崩してあわや倒れそうだという絶妙な耐性で動きを封じられることとなる。
 何でそんな絶妙なバランスを保ってしまったんだ。

「どうせならそのまま眠って欲しいけど……その様子はなさそうだね」
「構わん、そのままじっとしていてもらおう。ストレージ容量が尽きるまでな……」

 絶妙な体勢を保つことに恐らくエネルギーやメモリを消費しストレージ容量は多分予想以上に減るのではないだろうか、とも思いながら神羅はため息をついた後土偶に向けて口を開く。

「……そもそも。アラハバキとは旅人の神であるハズだ」

 アラハバキ、旅人を護り導く土偶の姿で描かれる神。
 確かにテラフォーミング――惑星開拓を行うという観点で見ればこの遮光器土偶もアラハバキであることは確かなのだろう。ただしこの土偶は妖怪だが。

「旅人を導く神であって旅人に苦難を与える神ではない。貴様は妖怪のようだが、今一度自身を省みるんだな」

 全くもう、と言いたげに神羅は再びため息をつく。
 骸魂の向こうにいる遮光器土偶本人にその言葉は届いたのだろうか、それはまだわからない。
 ともあれこうして動きを封じることには成功したワケであるが、まだまだ土偶は戦う意志を捨ててはいないようだ。適度に牽制で攻撃をしつつ、そのストレージ容量が尽きるまで待つ方が良いだろう。
 ……が、ふとアリステルが疑問を口にする。

「ところで……山って元に戻るの?本当に?」

 一応グリモア猟兵が正しくテラフォーミングしてもらったら戻るって言ってたし、そこは間違いないんじゃないかな!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リコリス・ガレシア
「流石に主の肉体のままでは、厳しいか……」
天叢雲剣を左腕に戻し、右手で般若の面を顔の正面に移動させる。
「教えてやる。俺の名は!」
神剣の霊気が全身から迸り、リコを心臓の位置に、少女の体を覆うように八岐大蛇が生み出される。
「これが本来の俺だ。時間がないのでな、すぐに片を付けさせてもらう!」
ビームに対してはブレスで相殺し、格闘戦では八つの首でかみついたり、尻尾で薙ぎ払う。
「力比べか?いいだろう。来るがいい」
初期化した環境でも神話の時代に生きた竜神たる肉体は活動に支障なく、逆に神力の天候操作により雨風を起こし、こちらが環境を支配下に置き有利に動かします。
「無駄だ。竜神たる我が力の神髄、見せてやろう!」



●天叢雲剣を内包せしめた水神、その真名はーー
 動きを絶妙な体勢で封じられても遮光器土偶、改めアラハバキにひっついた骸魂はまだ剥がれない。
 どうやらストレージ容量は相当ある様子、彼(彼女)?の持つ惑星開拓能力、否、システムを使ってまたレーザーを発射する。
 しかし絶妙なバランス故にターゲットがズレたのか、山の頂上にさらに山がぼこん!と生える何とも奇妙が過ぎる光景と化してしまった!
 山の上に山が生えるという何度目になるかわからない"力強き言霊(パワーワード)"の光景を、リコリス・ガレシア(多重人格者の神器遣い・f28348)は間近で見る羽目に。
 丁度自分が馳せ参じた時にそのような光景を目の当たりにしてしまったのはタイミングが良いのか悪いのか……ともあれ、実際に山が生える光景を目にしたというだけで、このオブリビオンがどれだけ強力な力を宿しているかを理解するには十二分すぎた。

「ピピ……新タナ敵性猟兵反応……ターゲット、ロック……エネルギーチャージ」

 土偶はリコリスが訪れていたのを察知し、ターゲットを彼女に定める。
 山を一つ生み出す程の威力となると、相応の威力を以て相殺するか完全に回避し切るかの二択に否が応でも限られてくるワケで。

「――流石に主の肉体のままでは、厳しいか……」

 リコリスの右手にある天叢雲剣が光の粒に分解され、左腕として再構築されていく。空いた右手は帽子の代わりに被っていた般若の面を顔の正面に移動させた。
 あどけなさの残る少女の顔が隠れると同時に、リコリスの全身からとてうつもない霊気が迸る。
 レーザー発射まで、あと数秒――

「教えてやる。俺の名は――!!」

 高らかに叫べば、迸る霊気が眩い光となって包み込む。
 それと同時にレーザーがリコリス目掛けて放たれる――だが、それは真下から突如光の中から吹き上がった現れた浄化の息吹(ブレス)にて相殺となる。
 そして光が止めば、そこにはリコリス・ガレシアという少女はどこにもいない。
 今ここにいるのは少女を心臓として再び姿を現した、天叢雲剣をその身の内に内包せしめた八つ首の竜。
 古代日本の竜神、八岐大蛇――世界の危機を止める為、それが今ここに顕現の咆吼を上げたのだ。

「……これが本来の俺だ――時間がないのでな、すぐに片をつけさせてもらう!」

 巨大な神の姿となっても、リコリスの剣士としての鍛え上げられた力と技は決して変わらない。すぐさま残像すら残る程の縮地で背後に回り込み、その硬い身体に噛み付いた!

「ガガガガガガ、身体損傷率30%上昇、リカバリー及ビ反撃ヲ開始スル……!」

 実に機械的な反応だがそれなりの痛手であるというのはわかる反応だ。
 しかし敗けじとアラハバキは拘束の中無理やり身体を動かし、現在の体勢による絶妙なバランスを生かしたキックで先程自らを拘束せしめた鳥の形をした剣をリコリス目掛けて蹴っ飛ばす!

「力比べか?いいだろう、来るがいい」

 焦るどころか逆に上等だと言わんばかりの不敵な笑みと共に尻尾を振るって剣を片っ端から弾き飛ばし、そのまま突貫して八つの首のうちの一つでアラハバキの胴体を打ち据える!
 だがまだまだと粘るアラハバキ、レーザーを新たに照射するも縮地で回避されてしまい、山がまた一つできあがった。
 世界がまた一歩原初に戻る――だが八岐大蛇は古代を生きた竜神、即ちそれは原初の時代を生きる者の一人。
 原初の世界に戻れば戻る程霊気を束ねて具現した竜の肉体は力を増していき――8つの首が同時に上空にブレスを放てば、それは大きな雨雲となり、風を呼び起こした。
 原初の環境を逆に自らが有利になるフィールドに書き換え、竜神の聖域として構築されていく。

「ピピ、ガガガ、システム異常発生、システム異常発生……惑星初期化ノ再試行ヲ開始スル――!」

 三度レーザーを放つも、雨雲に紛れた雷雲から放たれた裁きの雷に穿たれ消失。
 そして八つの首が同時に口を開け、激しい息吹を渦巻かせていく。

「無駄だ――竜神たる我が力の真髄、見せてやろう!」

 そして放たれた8つの浄罪の息吹が、土偶毎山頂を包み込んだ……!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニコリネ・ユーリカ
【ワイルドハント】
封印木ですって! まぁ素敵
花屋として肉眼で見られる奇跡を有難く受け取りつつ
猟兵として幽世の危機を終らせる覚悟で挑みます

私は人間
優れた環境適応力で数多の世界で生き抜く種の一人として
野性味溢れる原初の世界にバッチリ適応してみせる

アリシアさんみたいに変身できれば格好良いけど、それは無理
鬱蒼たる茂みに隠れて「原始人ルック」に早着替え(ごそごそ
毛皮の衣に骨の首輪を付け、ヒトとしての限界まで退化する

ウホウホ!!(アリシアさん!)
ウホホーイ!!(頑張りましょ!)

テラフォーミングビームも怖くない
この毛皮も元は私の勝負エプロン(防具改造済み)、
UC【Mappa】で受け止めた後は撃ち返してやるわ


アリシア・マクリントック
【ワイルドハント】
随分とめちゃくちゃな。こんなのどう相手をすれば……ニコリネさん?一体何を……なるほど、環境への適応!
世界が原始へと姿を変えるというのなら……私達が振るうは最も古く、最も恐ろしい滅びの力。やりますよ、マリア。扉よ開け!魔法少女マジカル・マリア!
さぁ見せてあげます。最古にして最強の力、それは……「風化」です!
風は自然も文明もあらゆるものを蝕み、塵へと還す!あなたがいかなる守りをその身に宿そうと!世界がいかなる姿をしていようと関係ありません!私達の力の続く限り食らい付くしてみせましょう!



●劇場版魔法少女マジカル☆マリア~幽世の土偶大騒動!原初のお山をMappaでGO!?~
「封印木ですって!まぁ素敵……!」

 ニコリネ・ユーリカ(花売り娘・f02123)は青々と生い茂った封印木を見て感嘆の声を上げた。
 原初の地と化した今この瞬間にしか見ることのできないまさに奇跡とも言える光景を目の当たりにした感動に、花屋として感動に心が打ち震えずにはいられない様子。
 一方、彼女と共にやってきたアリシア・マクリントック(旅するお嬢様・f01607)はそのあり得ない光景を目の当たりにする羽目になった元凶を見て頭を抱える。

「随分とめちゃくちゃな……!こんなのをどう相手すれば……」
「大丈夫よアリシアさん、私に考えがあるわ!」
「何か策があるんですか?」

 にこりと笑ってニコリネは鬱蒼たる茂みへと向かう。

「……ニコリネさん、いったい何を……???」

もちろんアリシアの頭にははてなマークが3つぐらい浮かぶのだがそんなのもお構いなしにニコリネは茂みの中でがさごそと何かをしている。何かを。

「(私は人間――優れた環境適応力で数多の世界で生き抜く種の一人として、野性味溢れる原初の世界にバッチリ適応してみせる……!)」

 がさごそと茂みの中で取り出すは毛皮に骨でできた首輪だ。
 アリシアのように変身できたらカッコいいのだが、残念ながらニコリネにはそういった変身魔法がないので茂みの中でぱぱっと早着替え。
 毛皮の衣と骨の首輪をつけ、外せるモノは全て外して人としての限界まで退化する――!

「ウホウホ!!(訳:アリシアさん!)」

 ニコリネ・ユーリカ、原始人ルックモードここに降臨。
 原初の世界に適応すべく言葉を捨てても尚、その柔和な表情は女性としての淑やかさを強調していた。まさに神のバランスである!

「なる程、環境への適応……!」

 納得したようにアリシアはぽん、と手を突いた。
 このアラハバキが放つ混沌のテラフォーミングレーザーは彼(彼女?)のユーベルコードであり、この原初の山に適応した者の能力を著しく強化させる特徴を持っていることが判明している。
 つまり、その原初の山に限りなく適応することで自らの能力を強化し、戦いを有利に運ぼうと試みた結果がこの原始人ルックなのだ。
 その発想はなかったとアリシアはニコリネを称賛した、これは勝算があると。

「よし、やりましょう!」
「ウホホーイ!!(訳:頑張りましょ!)」

 そうして二人はアラハバキ――旅人を護るハズだった神の成れの果て(※この土偶は一応妖怪である)と対峙する。

「新タナ敵性猟兵反応……殲滅スル……殲滅……セ、セセセメメメメ」

 今までの猟兵の攻撃を喰らい大分損傷しているがまだまだやる気の様子、骸魂がまた新たに上に被るかのように飲み込みさらに巨大化!
 まるでどこぞの戦隊モノの怪獣が敵幹部の力で巨大化した時のようなインパクトを醸し出しながらノイズと共に迫りくる!

「世界が原始へと姿を変えるというのなら……私たちが振るうは最も古く、最も恐ろしい滅びの力――やりますよ、マリア!」

 相棒のマリアも気合は十分。
 二人の呼吸が重なる時、そのユーベルコードは発動する!

「"私の全て、あなたに託します!任せましたよマリア!マジカルチェンジ!"」

 そう高らかに叫べばあらゆる変身を妨害する物を拒むバリアフィールドが形成され、一人と一匹を包み込んだ!
 アリシアの身体はみるみる縮んで羽根をその背に宿し、マリアの身体は獣から人へ、その身体は可愛らしい青のリボンとフリルで装われる。
 マリアが手をかざせば、肉球杖マジカルハンマーがまるで意志を持ったかのように姿を現し、それを握って震えば変身完了!

「扉よ開け!魔法少女マジカル・マリア!!」

 バリアフィールドが解除され、特有の決めポーズと共に魔法少女マジカル・マリア、ここに見参!!
 原始人ルックのニコリネと共に、いざカクリヨファンタズムを救う為脅威に立ち向かう!

「さあ、見せてあげます!最古にして最強の力、それは……「風化」です!」

 アリシアとマリアが力を合わせて風魔法を紡げば、全てを砂と攫う滅びの風が山頂を舞い、アラハバキの身体を風化させていく……それは元々の妖怪本人が大丈夫なのかと思った貴方はご安心ください。
 だって、魔法少女は正義の味方。悪しきを浄化し元に戻す力はデフォルトで備え付けられてあるのだ!

「あなたがいかなる守りをその身に宿そうと!世界がいかなる姿をしていようと関係ありません!私達の力の続く限り食らい付くしてみせましょう!」
「ガガ……システムイジョウハッセイ、ワクセイショキカ……ショキ、ショキキアwセdrftgyフジコlp!!!」

 骸魂は朽ちてなるものかと最早バグでショート寸前のアラハバキを無理やりに動かし、再びテラフォーミングレーザービームを照射した。
 巨大化したせいだろうか、今まで放ってきたのよりもより極太のビームがマジカル・マリアへと迫る――だが!

「ウッホウホホホイ!!!(訳:そうはさせないわ!)」

 原始人ルック・ニコリネが韋駄天もびっくりの恐るべき速さでレーザービームへと突貫、その身全てを盾として受け止めた!!

「ニコリネさんッ!」
「ウホウホ――ウホホホイ!(訳:大丈夫――テラフォーミングビームも怖くない!何故なら!)」

 何と、ニコリネの纏う毛皮の衣がみるみる内にレーザーを吸収し始める。
 そう、この毛皮の衣は彼女の勝負エプロン(防具改造済)にして強力な武器、ユーベルコード発動の鍵。
 魔法を込めた刺繍によるユーベルコードをコピーするユーベルコード、【Mappa】のトリガーなのだ!
 そして吸収し習得したそのテラフォーミングビームをニコリネは全力全開で発射――マジカル・マリアの滅びの風と混沌の力がアラハバキに衝突し、大きな音を立てて爆発!
 炎はすぐに風にかき消され、煙もさらわれた後姿を現したのはコケまみれの遮光器土偶。
 原初に戻そうとする混沌の力と全てを風化させる滅びの風が混ざりあった結果某城のロボットのような長年人もいない場所で暮らしてきたかのような風貌になり、強化でひっついていた骸魂は無事剥がすことができたようで大きさは元に戻りました。
 何でや爆発したやろがというツッコミは野暮ですよ、何故ならこれは魔法少女による浄化の力が起こした奇跡ですからね!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒木・摩那
マジヤバイ。

惑星初期化とかテラフォーミングビームとか言ってる時点でかなりヤバイ。
そして、それがバグってるのやばすぎ。

でも、管理者権限とか、上位管理者とか言ってる時点で【ハッキング】がある程度効きそうです。
ここは直接アクセスしてみましょうか。

ヨーヨー『エクリプス』を使って、アラハバキに取りつきます。
そこからサイキックグローブを通して【ハッキング】。
権限の奪取、又は初期化を試みます。
このまま壊してしまったら、元に戻せなくなりますからね。

どうにもならないようならば、【サイキックブラスト】で電源リセット? 強制停止です。


レディオット・スクラップド
OH…エクセレン…!太古…住めぬ不毛の地をテラフォーミングするといえばたしかに開拓して住めますね!3万年後くらいにはなりますが!ンー新しい!
ですがやはりここは舞台が山だけに頂上決戦すべきだと思うわけです。
人類と生命が生み出したゴミが強いのかッ!
生命と人類を生み出し育んできた太古の山が強いのかッ!
より長く保たんとする太古からの命の本能が強いのかッ!
とりま意思により生み出し積んできたゴミの複雑さが勝つのか!
いざッ!
…もしも私が勝利した暁には起きるまで待って、起きたら握手の一つでもしましょう。ここまで素晴らしい景色を見せていただいたのなら、もはや好敵手(とも)です。
(ピンチ・アドリブ・連携歓迎です)



●最終決戦!ゴミ山VS原初の山!!~いやめちゃくちゃヤバない??~
「おや……私は何を……うっ!!」

 先程の魔法少女たちの攻撃により正気に戻ったように見えたアラハバキであったが、まだ骸魂は完全には剥がれきっていない――否、一度剥がれたがしつこくもう一度取り憑いた。

「ピピ……ストレージ残存容量、25%……リカバリーノ為、管理者権限ニオイテ、惑星初期化ヲステップ1ヨリ再試行スル……」

 しつこいぞこの骸魂、実にしつこい。
 わしは絶対剥がれてなどやらんからなという気概がヤバい。
 そしてひーひー言いながら雪山を登りきり、やっと頂上にたどり着いた黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)は今までの一部始終を音で察し、そしてさらに先程の光景を目の当たりにして一言。

「……マジヤバイ」

 その一言に全てが集約されるのであった。
 惑星初期化とかテラフォーミングとか言ってる時点でかなりヤバいしそれがバグってるのヤバすぎるし、何より今までの猟兵たちの攻撃とノリもヤバい。
 流石に自分にはできない芸当にある種の憧れすら抱く程に……

「(でも管理者権限とか上位管理者とか言ってる時点でハッキングがある程度効きそうですね……ここは直接アクセスしてみましょうか)」

 だがおかげでどう対処すれば良いのかも見えたのは幸いというところか。
 システムが存在するならそのシステムそのものに干渉してしまえば良い、早速ヨーヨー『エクリプス』を取り出して――

「OH……エクセレン……!」

 ぴた、と止まる。新手――は新手でも猟兵側の増援である――がきたぞ。

「太古――住めぬ不毛の地をテラフォーミングするといえば確かに開拓して住めますね!3万年後くらいにはなりますが!ン――――――新しい!!」

 レディオット・スクラップド(ゴミ山ラジオ・f27593)もまた、この原初の光景を見て感動に打ち震える者の一人だった。その偉業を成し遂げようとするアラハバキに敬意を評しながらこんなことを言い始める。

「ですが、やはりここは舞台が山だけに頂上決戦すべきだと思うワケですよ」
「ピ」
「(えっ?)」

 アラハバキはほう、と興味深そうにレディオットを見、摩那はそれ本気で言ってる?って顔をする。

「人類と生命が生み出したゴミが強いのかッ!生命と人類を生み出し育んできた太古の山が強いのかッ!!
 とりま意思により生み出し積んできたゴミの複雑さが勝つのかッ!!!今こそ決着をつけるべき時ではありませんか御仁よ!!!!」
「頂上決戦……ヨリ生命トシテ強キ者ガ惑星に住マウベキ……合理的カツデータベース内ニモ記載アリ……」
「ご理解頂けたようで何よりです。では――一つ私とお手合わせ頂けますね?」
「決闘申請、受諾。受ケテ立ツ」

 何か意思疎通している。オブリビオン相手に猟兵の意が通じることなどあっただろうか?
 いや、これは恐らく猟兵もオブリビオンもロボットもゴミも原初の生命も関係ない。
 この世に生まれた生命全ての持つ闘争本能が惹かれ合っている……互いを高める為の闘いを、求めているのだ……!
 摩那は何も言わなかった。多分もうこれ、好きにさせた方がいいわ……と、諦めたとも言う。

「「いざッ!」」

 レディオットとアラハバキ、二人のユーベルコードが激突する。
 片や宇宙由来宇宙育ち海のゴミ山が繰り出す人類と生命によって生み出されたゴミの底力……
 片や惑星開拓を為す遮光器土偶が繰り出すテラフォーミングパワー……
 それらがぶつかり、眩い光が辺りを包む。
 まるで、全ての始まりたる超新星爆発が起こったかのように山の頂上を、山から生えた山を、猟兵を、オブリビオンを飲み込んで――

 光が収まった直後、ずうん、と重たい音と共にアラハバキがその場に倒れ伏す。
 ゴミの力が、原初の力を上回った瞬間を証明するかのように日の光が立ち尽くすレディオットを照らす。
 彼は成し遂げたかのような感慨深い表情でこの原初の山を、その頂上から広がる景色を見る。
 ――ああ、なんて美しいんだろう。
 ここまで美しく素晴らしい景色に出会えたことなど一度もない。それは何故?それを見る為に必要な相手が彼にはまだいなかったからだ。

「(起きるまで待って、起きたら握手の一つでもしましょう)」

 そう、ここまで素晴らしい景色を見ることができたのはこの好敵手(とも)のおかげ。
 試合が終われば友も同然、是非語り合おうと起き上がるのを待ちながら、この綺麗な空を見上げることにした――

「…………マジヤバイ」

 摩那は最早感情の消え失せた顔で呟いた。
 とりあえず感慨深いのはいいんだけど、骸魂はまだ剥がれておりません。猟兵としてのお仕事はまだ終わっていないのです。
 とはいえ再起不能になってるのは好機、今のうちにシステムに干渉を試みることにした摩那は『エクリプス』でアラハバキの頭に取り付いた。
 そしてサイキックグローブをその手に装着し、いざシステム内に潜入――いくつものデータウィンドウが彼女の周りを飛び回り始める。
 狙うは管理者権限の奪取、あるいは初期化。ウィンドウを見比べてこれじゃない、それでもないと取捨選択を繰り返し続けること早10分。

「あった……これですね」

 最後に出てきたウィンドウに触れ、ハッキングして管理者権限を書き換える。
 刹那、耳を塞ぎたくなる程のノイズ音と共に骸魂が姿を現した!
 管理者権限を奪取したことによりしつこく取り憑いていた骸魂の取り付く寄辺も消し去ることができたらしい。
 これでアラハバキはもう大丈夫だろうと一安心した後、摩那は逃げ去ろうとする骸魂にユーベルコード【サイキックブラスト】を発動。
 両の掌から放たれる高圧電流は光のような速さで骸魂を追いかけ、感電にてその動きを封じる。

「この騒動を引き起こした落とし前は、きっちりつけてもらいます」

 魔法剣『緋月絢爛』の一閃が身動きの取れぬ骸魂の身を真っ二つに切り裂く。
 痺れで悲鳴を上げることすらままならぬまま骸魂はまるで骸の海に帰るかのように、黒い霧となって消滅した。

 ――こうして、今回のトンチキな山の大量発生というカタストロフは無事阻止の運びとなったのである。

●おまけ
「いやあ、私としたことが大変迷惑をかけてしまったようで申し訳ない」

 骸魂が剥がれた後、起き上がったアラハバキは申し訳無さそうに頭を下げる……いや、その土偶の身体でどうやって?

「あの骸魂は恐らく私を派遣したモノたちの成れの果てなのだろう。
 実は私、遥か古代の時代に日本に飛来した惑星開拓ロボットでねえ……惑星開拓の為にあーだこーだと働いていたんだよ」

 その惑星開拓の過程で偶然当時の人間たちにより神様と崇められたアラハバキはその間は大変贅沢な暮らしを送れていたのだが、時代が進み進化を遂げて行くと共に自身の必要性も自然と薄れていった。
 自分の役目はもう終わったのだと確信した彼(彼女?)は幽世に引っ越してのんびりまったりと過ごしていたのだそうで。
 骸魂が取り憑きにきたのはまだまだ自分による開拓を必要とする"過去"の残滓が現世にしがみつこうとしたからなのかもしれないと語る。

「まあでも、だからといって山をあちこちに生やしたりするのは良くないからねえ。しっかりと元に戻しておくから安心して欲しい。
 ああそれと、ここまでたくさん迷惑をかけてしまったお詫びだ、食事をごちそうするから食べていってくれ。
 この辺りは元々おいしいお米が穫れる場所でねえ、猟兵の皆さんもきっと気に入るんじゃないかなあ……」

 猟兵たちは山が大量発生したカクリヨファンタズムが元に戻る景色を観ながら、アラハバキの用意してくれた炊きたてご飯とおいしいおかずに舌鼓を打ったのでありました。
 ……いや、そんな景色観ながら食べるご飯は本当においしかったのだろうか。それは当人のみたちぞ知る。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月14日


挿絵イラスト