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猫ヶ島と願いのダンス

#グリードオーシャン #お祭り2020 #夏休み #猫ヶ島 #N04E02 #アルダワ魔法学園島

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●猫ヶ島のケットシー
 ぽんぽん、ひゅるる、と音がする。
 一拍の沈黙の後、夜空でぱぁんと弾け、華が咲く。
 花火だ。
 ただし、どれも一風変わっていて、咲くのは花だけではなく、肉球の形だったり、ネコミミだったりする。

 一方、地上。
 浜辺に集まったのは、小さな猫人族、ケットシー。
 どんどこどんどこ。
 天の光に照らされて。輪になったケットシーたちは、賑やかにダンシング!
 輪の中心に建てられたやぐらには、太鼓を叩く1人のケットシーの姿。海賊帽を被ったその名は、キャプテン・ニャオンという。
「さあ踊れ野郎ども! 年に一度のお祭り、楽しまなきゃ損ニャ!」
「ニャー!」
「願い事はあるかニャ? それを念じて踊れば、島の神様が叶えてくれるかもしれないニャ!」
「ニャニャー!」
 ニャオンの太鼓の奏でるリズムに血をたぎらせ。
 ケットシーたちのダンスの宴は、更にヒートアップするのであった。

●グリモアベースのケットシー
「猫さんのお祭りに行かない?」
 タビタビ・マタタビ(若き猫黒騎士・f10770)のお誘いは、グリードオーシャンで行われる花火大会であった。
「猫ヶ島、っていう、ケットシーが沢山住んでる島なんだ。アルダワ魔法学園由来の島でね、夏にはお祭りが開かれるんだ」
 発掘された蒸気機械によって打ち上げられる花火の下、浜辺でのダンス大会である。
 基本は太鼓のリズムでどんどこ踊るのだが、リクエストがあれば、和風なもの、ロックなものなどもアリのようだ。
 踊りに型や決まりはないらしく、心の赴くままダンスすればいいらしい。
「それと、この祭りには言い伝えがあるんだ。願い事をしながら踊ると、島の守り神さまがその願いをかなえてくれるらしいんだよ」
 真偽はともかく、花火を見たり、ケットシーたちの可愛い踊りを見たりするだけでも楽しいだろう。
「ユーベルコードとかで、踊りや音楽をもっと盛り上げるっていうのもいいかも!」
 ぴょこぴょこ、手の動きに合わせて尻尾を振るタビタビ。
 星と花火とケットシーの見守る中、願いをこめて踊れば……本当に叶う気がする。


七尾マサムネ
 夏と言えば花火! 踊り! 猫! ……猫?

 このシナリオの舞台は、猟兵さんがオブリビオンから解放してくれた「猫ヶ島」です。
(参照リプレイ「猫ヶ島アドベンチャー!」https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=22455)

 このシナリオでは、ケットシーたちの踊りに参加します。
 猫ヶ島には「願い事を念じながら踊ると幸いが訪れる」という言い伝えがあるので、挑戦してみてもいいと思われます。

 ケットシーたちと一緒になって踊るだけでなく、のんびり見ているだけでもいいです。
 また、リズム・太鼓担当のキャプテン・ニャオン(猫海賊)のお手伝いをしたり、ユーベルコードや技能、アイテムを駆使して、踊りに彩りを加えていただいたりしても構いません。

 もちろん、提示されているフラグメントの選択肢に沿って行動していただいても構いません。島のどこにいても、花火の光や音、踊りの音は聞こえてくるでしょう。

 なお、祭り会場には、タビタビ・マタタビ(若き猫黒騎士・f10770)の姿もあります。
 ニャオンのお手伝いをしたり、踊りに加わったり、花火を眺めたりしているようですが、皆さんのお声がけがあれば登場します。

 それでは、ケットシーだらけの島で、夏を満喫しましょう!
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第1章 日常 『猟兵達の夏休み』

POW   :    海で思いっきり遊ぶ

SPD   :    釣りや素潜りを楽しむ

WIZ   :    砂浜でセンスを発揮する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


※※※※※※※※※

●お知らせ

 このシナリオは、日常章のみで、オブリビオンとの戦闘が発生しません。
 そのため、獲得EXP・WPが少なめとなりますので、あらかじめご了承ください。

※※※※※※※※※
御剣・刀也
ステラ・エヴァンズ(f01935)と一緒に参加

踊りか
まぁ、演武って言葉があるくらいだから苦手ではないが、どう踊ればいいのかよくわからんな
まぁ、太鼓の音に合わせて体を動かせばいいか。何気にそれが一番難しいけど

浴衣姿で参加
ステラの手を取って祭りの太鼓の音に合わせて歩き、踊る
ステラの足を踏まないよう気を付け、一歩があまり大きくならないように気を付ける
「思ったより即興で踊るのは難しいもんだな。ま、楽しいけどな。音楽に合わせて動くのは」


ステラ・エヴァンズ
刀也さん(f00225)と参加
猫さん…!いえ、ケットシーさん…
戯れて猫好きの義娘の為にもお写真沢山撮らせて頂きましょう
一通り可愛さに現を抜かしてから本命はこちらだと気合を入れ直し

私と踊っていただけませんか?
なんて、普通は逆なのでしょうけれど

踊りの時は浴衣に着替え
アクセントに流双星で星剣を起動し、舞わせましょうか
敵とするものがなければただの綺麗な花弁ですから
『これから先も傍にいれるよう』そう願って、太鼓にあわせて踊りましょう
旦那さんが気を配って踊ってくださってるのがまた愛おしく

音を聞いてから体を動かすようになってしまいがちですものね
でも、えぇ…これはこれで楽しいです

なんて嬉しそうに笑いましょう



 どんどこどんどこ。
「にゃにゃにゃにゃん♪」
 灯りの中、小さな二足歩行の猫たちが、踊る、踊る。
 そんな、ほんのり神秘的ですらある光景が、ステラ・エヴァンズ(泡沫の星巫女・f01935)の目と心を奪っていた。
「猫さん……! いえ、ケットシーさん……」
 ぱしゃぱしゃ。
 祭りの風景を、愛らしいケットシーの様子を、写真に収めていくステラ。猫好きの義娘が喜ぶ姿が目に浮かぶよう。
 もちろん、キャプテン・ニャオンから撮影許可も出ている。
 ステラから率直に「可愛い」と言われたことで二つ返事、尻尾がブンブンしていた。キャプテンの威厳はあんまりない。
 たくさんのにゃんこが踊る。踊り方はてんでバラバラだけど、俯瞰で見るとなんだか調和がとれている不思議。
 うっとり、撮影に没頭するステラを、一足先に浴衣に身を包んだ御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)が見守っていた。
 長身の刀也からすると、ケットシーは子どもどころか、小さなぬいぐるみが踊っているようでさえある。
 ケットシーとは猫妖精。それが夜に輪を為して踊った後、翌朝には『妖精の輪』がみられるのだろう。
 妖精の輪……異界へつながる門であるなど、少々物騒を伴うものとする伝承もあるが、刀也には、むしろ何かしらの加護、幸いが感じられるものだった。
 束の間……というには長すぎる時間……ケットシーの可愛さに現を抜かしたステラは、刀也の視線で我に返り、本命を思い出す。
 気合を入れ直し、自身も浴衣に着替える。そして。
「私と踊っていただけませんか? なんて、普通は逆なのでしょうけれど」
「踊りか」
 どぉん。
 上がった花火に照らされたゆえか、少しばかり頬を染めたステラの誘いを受けて、刀也は頭をかいた。
「まぁ、演武って言葉があるくらいだから苦手ではないが、どう踊ればいいのかよくわからんな」
 先達に学ぼうと思って刀也が周りを見ても、ケットシーは元々自由で気まま。
 同じ踊り方をしているものは1人としていない。正しい、というか、基礎となるスタイルがわからない。
 しかしその事実は、参考にならないと途方に暮れるどころか、刀也を決心させた。
「まぁ、太鼓の音に合わせて体を動かせばいいか。何気にそれが一番難しいけど」
 自由演技の難易度の高さは、刀也も知る処である。
 覚悟……という程大仰なものではないが……を決めた刀也は、ステラの手を取った。
「さあ、ケットシーでもそうでなくても一緒に踊れニャー!!」
 ずだだん!
 ニャオンの奏でる太鼓の音に合わせて歩き、踊る刀也たち。
 修めた剣術は伊達ではない。その所作は力強く、無駄がない。
「にゃっ、今度はきらきらニャ!?」
 ニャオンのバチを振る手がちょっぴり、止まる。
 視線の先には舞い踊るステラの姿。
 瑠璃色の鉄扇がアスターの花弁にほどけて、舞い散っている。
 敵を切り裂く刃も、今は至極美しい花びらとして、皆の目を楽しませる。
 会場を彩る花吹雪。ケットシーたちも束の間踊りを忘れ、色とりどりの花弁を追いかけ駆け回る。ステラは、そんな様子を写真に収められないのが、惜しくも思う。
 そんな宴の中。
 『これから先も傍にいれるように』。
 ステラはそう願い、ニャオンの太鼓にあわせて踊る。
 ふと気づくのは、刀也の挙動だ。
 刀也は、ステラの足を踏まないよう気を付け、一歩があまり大きくならないように気を付けくれている。
 それを知ったステラは、愛おしさに目を細める。さすがは旦那さま。
ステラの眼差しにこもる熱さと愛情を、知ってか知らずか。刀也は四苦八苦の様子。
「思ったより即興で踊るのは難しいもんだな」
「音を聞いてから体を動かすようになってしまいがちですものね」
 ニャオンの太鼓は、小さくてもリズミカル。『真紅の荒獅子』の二つ名を持つ刀也にも、強敵がいるらしい。
 しかし、刀也の口元に浮かぶのは、優し気な微笑。
「ま、楽しいけどな。音楽に合わせて動くのは」
「えぇ……これはこれで楽しいです」
 刀也と思いを同じくした事が嬉しくて、笑みの華を咲かせるステラ。
 それを見て、刀也の肩から、ほどよく力が抜ける。ステラの願い事が叶うといいな、と。
 たとえ、守り神の元に、願い事が届いていてもいなくても。
 こうして刀也と共に踊るひとときを過ごせた幸せに、浸るステラ。
 島の守り神も猫の姿をしているのだろうか……刀也はふと思った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジャスパー・ジャンブルジョルト
フッ、『アルダワのダンス王子』と呼ばれた(嘘)俺様の出番のようだな。
超絶ダンステクニックで皆を魅了してやるぜ。
ネズミのチアガールのバックダンサーを従え、踊りの輪に加わって、と……。

あ、そ~れ♪
モフモフ尻尾でわんつー、わんつー♪
縦に振って♪
横に振って♪
ぐるんぐるん回して♪
ぐるんぐるんぐる~ん♪
(【ダンス】の技能はあるが、センス等色々と残念)。

クライマックスは花火の明滅に合わせて決めポーズを連続で披露! ……って、みんな、花火のほうのばっか見てない?
まあ、いいか。こんだけ華麗に踊ったんだから、きっと願い事が叶うはずさ。
……あ!? 願い事するの忘れてたー!


※煮るな焼くなとご自由に扱ってください



 島のケットシーに混じって、異界のケットシーが祭りを眺めていた。ジャスパー・ジャンブルジョルト(JJ・f08532)である。
 何やら、ひときわかっこよく決めている。
「フッ、『アルダワのダンス王子』と呼ばれた俺様の出番のようだな」
 呼ばれたことはない。
「超絶ダンステクニックで皆を魅了してやるぜ。応援団、集合!」
 ジャスパーの合図に応えて、ネズミのチアガールたちが集合する。
 バックダンサーを従え、踊りの輪に加わった。
「わわっ、なんか豪華なお仲間が来たニャ!」
「ねね、ネズミニャ!?」
 ネズミに反応してしまうのは、ケットシーというか猫の性なのだろうか。
 ともあれ、皆の注目を一身に浴びたジャスパーは、
「あ、そ~れ♪」
 踊り始める。
 モフモフ尻尾でわんつー、わんつー♪
 縦に振って♪
 横に振って♪
 ぐるんぐるん回して♪
 ぐるんぐるんぐる~ん♪
 ジャスパーはとっても楽しそうで、動きもキレキレだ。
 けれど、踊り方自体はなんだか、その……。
「凄いダンス……なのかニャ?」
 ふにっ、と小首を傾げるキャプテン・ニャオン。
 そう、ジャスパーのダンスは、よく言えば芸術的だった。なんというか、独特のセンス。
 そんな周りの微妙な反応には構わず、ジャスパーの踊りの熱量は増していくばかり。
 そしてクライマックス。
 しゅしゅっ♪
 ささーっ♪
 ばーん♪
 夜空の花火の明滅に合わせて、決めポーズを連続で披露!
「……って、みんな、花火のほうのばっか見てない?」
「そ、そんなことはないニャ」
「猟兵さんのダンスを見逃したりはしないニャ」
 周囲のケットシーたちが、慌てたように、ジャスパーをフォローする。
 かつて猟兵に島を救われたこともあり、同じ猟兵であるジャスパーにもめっちゃ気を遣っている。
 さすがのジャスパーも、そんな違和感には気づいたが、
「……まあ、いいか。こんだけ華麗に踊ったんだから、きっと願い事が叶うはずさ」
 島の守り神は、ジャスパーをちゃんと見ていたに違いない。あの願いも必ず……。
「……あ!? 願い事するの忘れてたー!」
 そんなジャスパーの悲鳴を、ネコミミ花火の音が掻き消した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

陽環・柳火
「ケットシー達の島か。うまい酒とかありそうだよな」
猫系の東洋妖怪なので、自分に合う酒とかあるんじゃないかとちょっとワクワク

そんな訳で屋台の食べ物や飲み物(焼き鳥やまたたび酒?)を手に、踊ってる様子でも見てようか。
「願いなー」
踊っている猫たちを見て、自分の願いは何かあるか考えてみる
「……これかな」
自分の手にしている酒を片手にふと思う
(お気に入りになるような酒とたくさん出会えますように……かな)
「よし、いっちょ踊ってくるか」
願いを決めたらほろ酔い気分で踊りに加わる。ついでにやっても平気そうなら【骸合体「ヤマタノオロチ」】で巨大な龍になって踊ってみるか?UCの燃料としても優秀な酒に出会えるといいな



 猫ヶ島へとやってきた陽環・柳火(突撃爆砕火の玉キャット・f28629)は、祭り会場を見回し、にんまり口元をほころばせていた。
「ケットシー達の島か。うまい酒とかありそうだよな」
 柳火は、猫系の東洋妖怪。なので、自分に合う酒があったりするんじゃないかと、ちょっと……かなりワクワク。
 期待を胸に、さっそく屋台を物色する柳火。
 ケットシーは、見た目は小さくても大人ばかり。もちろん、大人向けのお店もある。
 柳火の目に止まった渋い感じの屋台へと近づいてみれば、これまた渋さを醸し出す、中年?のケットシーの営む店。
「いらっしゃい。お嬢ちゃん……お遣いかな?」
「自分用だよ!」
 ひと悶着?ありつつも、調達した焼き鳥やまたたび酒を手に。
 良きところに腰を落ちつけた柳火は、ケットシーたちのダンスを眺める。
 どんどこどんどこ。
 キャプテン・ニャオンの太鼓に合わせ、輪になって踊る島民たち。
「願いなー」
 様々なダンスを踊っている猫たちを見て、自分は何かあるかと思案する柳火。
「……やっぱこれかな」
 自分の手にしている酒を片手に、ふと、思う。
(「お気に入りになるような酒とたくさん出会えますように……かな」)
「あ、コレ美味い」
 『猫泣かせ』と書かれた酒をくいっ、とあおると、にっ、と破顔して。
「よし、いっちょ踊ってくるか」
 定めた願いを胸に、ほろ酔い気分で踊りに加わった柳火の姿が、変わる。
 骸魂と合体したその姿は、巨大なるヤマタノオロチ。
「ニャニャー!? で、でかいニャー!」
 思わぬ飛び入り客に、キャプテン・ニャオンがひっくり返る。
 しかし、他の島民は猟兵のすることならば、とあっさり受けいれる。何せこの島にとって、猟兵は救世主なのだから。
 自身もユーベルコード使いであるニャオンも、すぐに気を取り直し。
「おっきさでは負けるけど、こっちは音で盛り上げてやるニャー! あ、それ!」
 どんどこ!
 一層激しさを増した太鼓のリズムに合わせ、島民と共に踊り狂うヤマタノオロチ・柳火。
 願いには、是非とも叶って貰いたいものだ。このユーベルコードの優秀な燃料を見つけるという意味でも。

大成功 🔵​🔵​🔵​

吉備・狐珀
【狐扇】

わぁ、勇壮な太鼓の音に合わせてみんな楽しそうに踊っていますね
ふわもこのケットシー達の踊りをもう少し見ていたい気もしますが…
今日の目的は花火です!しかもお空から眺める花火!
カラス殿よろしくお願いしますね

何も遮るものがないし、こんな間近で見られるなんて、まさに特等席ですね!
あ、見てください!あの花火、肉球の形をしています!
わっ!笑った猫さんの花火も!
定番の菊や牡丹も大迫力です!

そうだ、語さん
願い事を思い浮かべながら踊ると島の守り神さまがその願いを叶えてくれる、とタビタビ殿が仰っていましたよね。
あとで踊りにいきませんか?

願い事はもちろん
来年もこの先も、語さん達とたくさん思い出を作れますように


落浜・語
【狐扇】二人

こう、祭りの太鼓とかを聞くとうずうずしてしまうのは、いろいろ染みついているからなんだろうな……。
確かに踊っているのもずっと見てられそうだ。
まぁそれはともかく。今日のメインは花火だもんな。
UC『烏の背中』を使用。カラス、頼むよ。
カラスの背に乗せてもらって、空から花火を見る。
きっと、一番の特等席だろうね。

狐珀が喜んでくれるのがうれしくて、表情が緩みそうになるのを我慢しつつ。
定番のも綺麗だけれど、猫の形や肉球もかわいくていいな。
牡丹や菊も好きだけれど案外柳も好きなんだよなぁ。

ん、そう言う事なら、踊りに行こうか。
踊りつつ願うのは、これからも狐珀と一緒にいる事。
いろんな思い出を作れたらいいな



 吉備・狐珀(狐像のヤドリガミ・f17210)と落浜・語(ヤドリガミの天狗連・f03558)の2人が、導かれ、訪れた祭り会場を見渡す。
 ケットシー。
 元のアルダワでもこんなに集まっている場面はそうそうないのでは? というくらいたくさんの猫妖精たちが、一堂に会している。
「わぁ、勇壮な太鼓の音に合わせてみんな楽しそうに踊っていますね」
 にゃんにゃんと踊るケットシーたちの愛らしさに、目を輝かせる狐珀。
 律儀に話し言葉に「ニャ」と付けるのは、どうやら伝統らしい。
「さあ、飛び入り大歓迎ニャー!」
 どこどん!
 キャプテン・ニャオンの刻む太鼓のリズムに、語の体も、どこかうずうずとしているようだ。
「いろいろ染みついているからなんだろうな……」
 おそらく、なんとなく出囃子を思い出してしまうこともあるのだろう。
 もっとも、ニャオンの打ち鳴らす太鼓は、軽快さより力強さの方が前面に出ているようだ。
 そしてそれに導かれて踊るケットシーたちも、かわいらしさと活力に満ち溢れている。
「確かに踊っているのもずっと見てられそうだ」
「ニャ・ニャ・ニャ」
「可愛い……!」
 狐珀も、ふわもこのケットシー達の踊りを、ただただ見ていたい気もしたが。
 語が空を見上げると、ちょうど、花火が打ち上げられたところだった。
 どぉん!
「わわ!?」
 思わず空を見上げる狐珀。
 太鼓よりも大きな音を立てて、空に華が咲く。
「今日のメインは花火だもんな」
 語が、夜空に生まれたネコ型花火を見て、うなずく。
 発掘技術を元にしているらしく、花火は普通のヒューマノイドサイズ。ケットシーたちにとっては、文字通り大輪の花というわけだ。
 せっかくだ。より近く、よりよい場所で花火観賞としゃれ込むのも悪くない。
 語は、ぽぽんと軽妙に手を打ち鳴らし、大ガラスを呼び出した。
「頼むよ」
「カラス殿、よろしくお願いしますね」
 語と狐珀を背に乗せた大ガラスは、カァ、と一鳴き。
 語たち2人を、空の特等席へとご案内。
 どぉん!
 幾つもの花火が咲く。
 空の住人となった狐珀たちの視界を遮るものは、何もない。しかも、地上からでは叶わぬ、傍からの観賞。なんと壮観な事か。
「あ、見てください! あの花火、肉球の形をしています!」
 狐珀の指差した先、四方に跳ねた光の粒が、ぽむぽむ肉球の形を織り上げて、虚空へと消えていく。
 けれど、狐珀がそれを惜しむ間もなく、新たな輝きが咲き誇る。
「わっ! 笑った猫さんの花火も!」
「定番のも綺麗だけれど、猫の形や肉球もかわいくていいな」
 花火が咲くたび、声を弾ませる狐珀。
 語は、そんな風に狐珀が喜んでくれるのが嬉しくて。思わず表情筋が緩みそうになるのを、何とかこらえる。
「牡丹や菊も好きだけれど案外柳も好きなんだよなぁ」
 地上へと流れ、こぼれ落ちる光の粒を眺め、語がしみじみと頷く。
 創作花火だけでなく、きっちり定番も押さえているあたり、アルダワ文化恐るべ し。いやこれは、猫ヶ島独自の文化かもしれない。
「そうだ、語さん」
 様々な開花で、自分たちを楽しませる花火に照らされながら。
 狐珀は、傍らの人物に語り掛ける。
「願い事を思い浮かべながら踊ると島の守り神さまがその願いを叶えてくれる、とタビタビ殿が仰っていましたよね。踊りにいきませんか?」
「ん、そう言う事なら、行こうか」
 語の意を受けた大ガラスが、翼をはばたかせた。

 そうして地上に戻った狐珀たちは、ケットシーたちの輪に入って、踊る。
 どうすればいいかと逡巡する間もなく、集まって来たケットシーたちが狐珀の手を取り、一緒にダンス。
「さあお願いごとをするニャ」
「島の救世主な猟兵さんの願いなら、守り神さまもきっと叶えてくれるニャ」
「そうですね、ではお言葉に甘えて」
 狐珀の願い事は、もちろん。
(「来年もこの先も、語さん達とたくさん思い出を作れますように」)
 語さんは何を願うのでしょう、とちらり、うかがう狐珀。
 こちらもケットシーに促され、独特のスタイルを披露している。
「おおっ、上手ニャ」
 ぽむぽむと拍手するケットシーたち。
 軽妙で洒脱な踊りを舞いつつ、語が願うのもまた、『これからも狐珀と一緒にいる事』。
 もちろん、それが叶うだけでも十分幸いなのだが、
「いろんな思い出を作れたらいいな」
 さてさて、島の守り神は、語たちの願いを聞き届けてくれるだろうか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鹿忍・由紀
巴(f02927)と

踊りたくなったこと…うーん、無いかな

巴の横をぼんやり呟きながら歩く
地上も空も、猫だらけだ
変わり種の花火を見上げていると
いつのまにか巴がケットシー達と馴染んでる

踊り方なんて知らないよ

誘われるままに輪に近付くも
踊り方が分からずひとまず巴を見てみる

棒立ちで見ているものだから
盛り上がったケットシー達に畳み掛けるよう誘われて
見本だと言わんばかりに目の前で踊りまくる猫達に圧倒される

ニャーニャー言われてもなぁ
踊ろうと脚に纏わり付くケットシーを
困ったように踊りの輪へ返して
視線を巴に戻せば、あれ、疲れてる?

…ああ、ごめん、見ようとは思ってたんだけど
もう一回踊って見せて
今度はちゃんと見とくから


五条・巴
由紀(f05760)と

たまには踊りたくなることもあるよね、由紀。
…無い?

僕らが到着する頃には夜空を彩る花火が上がり
皆楽しそうに踊ってる
ふふ、出来上がってるね。楽しそう

ニャーっと輪に入れてもらって一緒に踊ってみる

由紀もこっちおいでよ

自由に踊ってる中でパワフルに動くケットシーが周りを煽る
祭りの気分にノッて僕もやってみようか
この前ちょっと教えてもらったんだ
ヒップホップ、ブレイク、ハウス、ええとなんだったかな

太鼓の音に合わせて少しだけ
1分、息切れるくらい全身使って暴れてみる

あはは、願い事するの、忘れてた。
由紀見てくれた?
え、ケットシーに構われてた?
じゃあ次は由紀が見てくれますようにって願いながら踊るよ



 五条・巴(照らす道の先へ・f02927)は、ケットシー達の織りなす夏の宴に、すっかり見惚れていた。
 それだけでなく、何だか体もうずうずしてくる。太鼓のリズムと、踊るケットシー達の姿に。
「たまには踊りたくなることもあるよね、由紀。……無い?」
「踊りたくなったこと……うーん、無いかな」
 巴の横を歩きながら、ぼんやり呟く、鹿忍・由紀(余計者・f05760)。
 不意に、ぼん、と音がして、由紀が空を見上げれば。
 ひゅるる、と尾を引く音がして、どぉん、と、炸裂音が空気を叩いた。
 釣られて巴も空を見上げれば、島の夜空は、既に花火によって彩られる時間帯だ。
 その音と光の中、ケットシー達はちんまりした両腕両足を振って、ダンス、ダンス。
「ニャン、ニャン、ニャン♪」
「皆楽しそうに踊ってる。ふふ、出来上がってるね。楽しそう」
 猫妖精達の繰り広げる踊りの雰囲気が、巴の心をわくわくさせる。
「そこの猟兵さんも一緒に踊るニャ!」
「もちろん! ニャーっ」
 そのお誘い、待ってましたとばかり、輪に飛び込む巴。
「地上も空も、猫だらけだ」
 呟く由紀。
 新たに咲いた花火は、ケットシーの顔。続く花火はネコの足跡だったり、ディフォルメされた魚だったりする。
 こんな形を見る機会は、なかなかない。由紀が変わり種の花火を見上げていると。
「……?」
 いつの間にやら、巴がケットシー達と馴染んでいた。
「ニャ♪」
「ニャ♪」
「ニャ♪ 由紀もこっちおいでよ」
「踊り方なんて知らないよ」
 巴に誘われた由紀は、釣れない素振りで断ろうとするも、結局踊りの輪の方へと引っ張られていく。
 由紀は、実際、踊り方がまるでわからない。ケットシー達の踊りは見ていたが、皆好き勝手なスタイルを披露するせいで、正解が迷子だ。
「そもそもアルダワからして盆踊りとかあったのかな」
 この世界で生まれた祭りだとすれば、由紀にもフリースタイルなのが納得できる……わけではないけれど。
 仕方ない。ここはひとまず、巴をお手本に見てみる事にしよう……と思ったのだけれど。
「猟兵の兄ちゃん、一緒に踊るのニャ」
「楽しいニャ!」
「いや、今はちょっと」
 棒立ちで見ていた由紀の周りに、ケットシー達が集まって来る。
 一方、皆が自由に踊る中、ひときわパワフルに動くケットシーが、周りを煽る。
「さあ、猫ヶ島ニャイトフィーバーニャ!」
「イエーイ!!」
 ケットシー達の作り出す場の雰囲気に呑まれ、巴の気分もだいぶノってきた。
「この前ちょっと教えてもらったんだ。ヒップホップ、ブレイク、ハウス、ええとなんだったかな」
 太鼓の音に合わせて、全身を駆使して『暴れる』巴。
「うにゃっ!? これは負けてられないニャ!」
 巴の激しいダンスに、キャプテン・ニャオンの太鼓のリズムも怒涛の勢い。
 いつの間にか、巴とニャオンのセッション状態。
「カッコいいニャ!」
「凄いニャ!」
 時間にして、1分ほど。
 全力を尽くして息を切らした巴のスタイリッシュな踊りっぷりに、ケットシー達が歓声を上げる。
 カッコいい踊り、という発想が無かったケットシー達にとっては、衝撃的だったらしい。
 その頃、ケットシーたちからとめどもない誘いかけを受けた由紀は、さらに輪の中へと押し込まれていく。
 その気になれば振り払える体格差ではあるけれど、どうにもそんな気は起こらず。
「これが猫ヶ島の踊りニャ!」
 目の前で踊りまくる猫達に、圧倒される由紀。
「踊るニャ」
「踊るニャー」
「そんなニャーニャー言われてもなぁ」
 脚に纏わり付くケットシーを、困ったように踊りの輪へと返す由紀。リリース。
 本来の目的……ようやく視線を巴に戻せば、
「あれ、疲れてる?」
 ちょっと張り切り過ぎたかも知れない。巴は、にじんだ汗をぬぐいながら、
「あはは、願い事するの、忘れてた。由紀見てくれた?」
「……ああ、ごめん、見ようとは思ってたんだけどそれどころじゃなくて」
「え、ケットシーに構われてた?」
「もう一回踊って見せて。今度はちゃんと見とくから」
 由紀の頼みに、巴は気合を入れ直すと、
「じゃあ次は、『由紀が見てくれますように』って願いながら踊るよ」
「いやせっかくならもっと他のにした方がいいような」
 由紀のやんわりつっこみも何のその。
 すっかり懐いたケットシー達をバックダンサーに、巴、再びダンス、ダンス!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クレア・オルティス
【桃月】

賑やかなお祭り…皆楽しそうにしてるなぁ…
いいなぁ…でも私は…座って見てようかな…踊れないからね…(羨ましそうに見てる)

ふと声を掛けられ
え…う、うん…私、踊れないし…
えすこーと…?いいの…?足踏んじゃったらどうしよう…
澪の手を取る

なんだろう…不思議なくらいに体が動く…
私…踊ってるんだ…信じられないけど…これはきっと、澪のえすこーとが上手なんだ
ふふふ、くるくる…目が回っちゃうよ、でももっと回りたい

うん、踊りって、こんなに楽しかったんだね…
わ…花吹雪が綺麗…
澪のパフォーマンスで彩られた空間に心弾ませ

私は…クレア
…あ、願い事…ダンスに夢中で忘れてた…
けど…私は踊りながら同じこと思ってたよ…


栗花落・澪
【桃月】

すごーい!猫さん達楽しそう!
花火と踊りの様子にわくわくしちゃう
音楽大好きなんだっ

あれ?
ふとクレアさんを見かけ声掛けを
どうしたの?踊らないの?
んー、じゃあさ
これも何かの縁だし、僕にエスコートさせてもらえないかな
さ、お手をどうぞ?

ペア【ダンス】はワルツに限らない
太鼓も活かしてくるりくるり
クレアさんが僕に合わせて踊りやすいように
それでいて優雅な舞いを

慣れれば結構楽しいでしょ?
ほら猫さん達も一緒に!
途中【歌唱】で操る【指定UC】で花吹雪の【パフォーマンス】

そういえばお名前聞いてなかったね
僕は澪
貴方は?
じゃあクレアさん、願い事はした?
僕はね、クレアさんさえ良ければ

このご縁がこの先も続きますように



 この島は、まさにケットシーの楽園。
 栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、目を輝かせていた。
「ニャンニャン♪」
「ニャニャン♪」
「すごーい! 猫さん達楽しそう!」
 キャプテン・ニャオンの太鼓だけでなく、いつの間にか他のケットシーの色んな楽器演奏も加わって。
 そこに、花火も色と音を添える。魚や肉球、尻尾の形まである。
 そこかしこに満ち溢れる祭りの雰囲気に、音楽大好きな澪の胸は、わくわくで溢れている。
「あれ?」
 ふと、澪は気づいた。
 賑やかな会場の中で、1人ぽつんとベンチに座る少女に。
 少女……クレア・オルティス(天使になりたい悪魔の子・f20600)は、ケットシー達の繰り広げる踊りを、じーっ、と見つめていた。
 クレアの眼差しには、他の人々と異なり、はしゃいだ色はない。
「賑やかなお祭り……皆楽しそうにしてるなぁ……」
 体育座りで、ぼんやり、祭りの光景を眺めるクレア。
 クレアは踊れない。上手く踊れそうにない。だから自然と、その眼差しにも羨望の色ばかりが混じる。
 澪が、そんなクレアに、声を掛ける。
「どうしたの? 踊らないの?」
 問われたクレアが、顔を上げる。
 向けられた見慣れぬ笑顔を直視できず、無意識に視線を彷徨わせながら、
「え……う、うん……私、踊れないし……」
「んー、じゃあさ。これも何かの縁だし、僕にエスコートさせてもらえないかな」
 澪の思わぬ申し出に、クレアの青い瞳が、少し大きく見開かれる。
「えすこーと……? いいの……? でも足踏んじゃったらどうしよう……」
 逡巡、遠慮するクレアに、す、と手を差し出す澪。
「さ、お手をどうぞ?」
「…………」
 ためらいつつも、意を決して、澪の手を取るクレア。
「わ」
「さあ、いこう!」
 さっそく、澪はクレアのリードを始めた。
 ペアのダンスは、ワルツに限らない。
 ニャオンの太鼓のリズムも活かして、くるりくるり。
 クレアが自分に合わせて踊りやすいよう、それでいて優雅な舞いを披露する澪。
(「なんだろう……不思議なくらいに体が動く……」)
 クレアは想う。体が軽い。自分の体がこんな風に動いているなんて、にわかには信じられない。まるで魔法にかけられたみたい。
 初めての感覚、初めての体験。
(「私……踊ってるんだ……信じられないけど……これはきっと、この子のえすこーとが上手なんだ」)
 驚きはやがて薄れ、代わりにこみ上げてくるのは、楽しさ。
 無意識のうちに、クレアから笑みがこぼれる。
「ふふふ、くるくる……目が回っちゃうよ、でももっと回りたい」
 クレアが楽しんでくれているのを見て、澪も嬉しくなる。
「慣れれば結構楽しいでしょ?」
「うん、踊りって、こんなに楽しかったんだね……」
 澪の問いに、こくん、と頷きを返すクレア。
 優雅に踊る澪たちに、ケットシーたちもいつしか見惚れている。
「凄いニャ」
「妖精さんみたいニャ」
「あはは、ケットシーさんも妖精さんでしょ?」
 澪は、足を止めた小猫妖精達に、笑いかける。
「ほら猫さん達も一緒に!」
 ケットシーたちに再びのダンスを促した澪が、歌声を披露する。
 すると、それに導かれたように現れたのは、数えきれないほどの花弁。
 それはやがて花吹雪となって、会場を舞い踊る。
「わ……花吹雪が綺麗……」
 優しく包み込むように舞う花びらに、目を見はるクレア。
 澪によって彩られた空間に、自然と心が弾む。
「わわ、凄いニャ」
「ニャニャ!」
 ネコの性か、思わず舞う花弁を追いかけてしまうケットシーたち。
 あちこちでジャンプ、ネコパンチを繰り出すケットシーたちの様子もまた踊りのようで、澪を楽しませた。
 そうしてこぼれた花弁は、あちこちに小さな花畑を作る。
 それを確かめながら、澪はクレアを振り返る。
「そういえばお名前聞いてなかったね。僕は澪。貴方は?」
「私は……クレア」
「じゃあクレアさん、願い事はした? 僕はね、クレアさんさえ良ければこのご縁がこの先も続きますように、って」
 澪に問われて、はっとなるクレア。
「……あ、願い事……ダンスに夢中で忘れてた……。けど……私は踊りながら同じこと思ってたよ……」
 くるりと先端が巻かれた金髪を揺らし、クレアが微笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

荻原・志桜
🌸🐺
花火!いまのにゃんこの形かな?
ケットシーさんもふわふわで可愛らしい
あとで抱きしめさせてもらおう

うんっ!志桜もそう思ってた!
それじゃお姉ちゃん。ケットシーさんたちも見ていてね
ご覧あれ、桜の魔法を

魔導書をふわり浮かべて
誰も傷つけない薄紅の光は桜吹雪のように舞う

にひひ、とってもキレイでしょ!
みんなのダンスに彩りを添えられたかな?

姉と一緒に踊る皆の場所へ
作法なんて知らないからくるくると適当に踊る
時々は見様見真似でステップ踏んだり

ふふっ、たのしいね
わあ!お姉ちゃんダンス上手い!
志桜にも教えてーっ!

ぎゅうっと手を取って彼女に向かって笑み咲かせる
願わくは姉と慕うこの人に
しあわせな未来が訪れますように


ディアナ・ロドクルーン
🌸🐺
わあ、花火よ花火。綺麗ね、可愛い形ね

ケットシーの島だと私たちとても大きくなった感じがするわ
ああ、あれが噂のダンス大会ね
たくさんのケットシーさんたちが…か、かわいい…抱っこしたい、もふりたい…(うずっ)流石にそれは失礼よね、落ち着いて私…

ユーベルコードで盛り上げる…か
ねえ、志桜の桜の魔法はどうかしら?きっと綺麗だからみんな喜ぶんじゃない?

太鼓を聞き、リズムに合わせて流れるようにステップを踏んで
音に導かれるままに。

私の願いは唯一つ

あの子が幸せで在る事
それが私の幸せでもあるのだから

ただ、ただ、それを願い花火の下で踊りましょう

志桜も踊る?良いわ、一緒に踊りましょう
教えてあげる



 ディアナ・ロドクルーン(天満月の訃言師・f01023)は、次々打ち上がる光球に、目を輝かせた。
「わあ、花火よ花火。綺麗ね、可愛い形ね」
 魚や花、そして猫の足跡が咲くさまは、まるで夜空にスタンプするよう。
 どぉん!
 そして、ひときわ大きな破裂音に、荻原・志桜(桜の魔女見習い・f01141)も、目を見はる。
「わ! いまのにゃんこの形かな?」
 きらきら、光の粒が描き出す大きな絵に、志桜は、わくわくし通しだ。
「ああ、あれが噂のダンス大会ね」
 ディアナの視界に、踊るケットシーたちの姿が映り込む。
 ケットシーは、大人でも大きめのぬいぐるみ程度の身長しかないので、自然とディアナたちがケットシーたちを見下ろす格好となる。
 まるでおとぎ話の世界に迷い込んで、巨人になったみたいだ。
「ニャニャ♪」
「ニャニャニャン♪」
 ちょこちょこちょこっ。
 うずっ。
 小さな二足歩行の猫が、愉快に、そして懸命に体を動かす様に、ディアナの心がうずく。
「たくさんのケットシーさんたちが……か、かわいい……抱っこしたい、もふりたい……」
 思わず心の声がただ漏れた事に、ディアナは気づいた。
「さ、流石にそれは失礼よね、落ち着いて私……」
 必死に衝動をこらえるディアナを見て、思わず笑みをこぼす志桜。けれど、志桜にもその気持ちはわかる。
 何せどのケットシーも、ふわふわで可愛らしい。本当にぬいぐるみが命を得て歩き回っているみたい。
 ……なんて言ったら、ケットシーは怒るのかもしれないけれど。もっとも、キャプテン・ニャオンたちが本気で怒るところもまた、想像できない。
 あとで抱きしめさせてもらおう、そう決意する志桜であった。
「さて、ユーベルコードで盛り上げる……か」
 さあどうしたものか、とディアナが一計を案じる。
「ねえ、志桜の桜の魔法はどうかしら? 綺麗だからきっとみんな喜ぶんじゃない?」
「うんっ! 志桜もそう思ってた!」
 たたっ。
 志桜は、ケットシーたちの輪の中に入ると、魔導書を、ふわり虚空に浮かべた。
「それじゃお姉ちゃん。ケットシーさんたちも。ご覧あれ、桜の魔法を」
 志桜の魔力に導かれ、魔導書が光に変わる。
 光の正体は、桜の花びらだ。
 無数の、しかし誰も傷つけることのない薄紅の光片は、会場中を桜吹雪のように舞う。
「凄いニャ!」
「わーい」
「にひひ、とってもキレイでしょ! みんなのダンスに彩りを添えられたかな?」
 得意げに微笑む志桜の周りで、ケットシーたちが走り回る。動く物と知れば、ついつい追いかけずにはいられないようだ。
「さすがね、志桜」
 賑わいを増した会場を見回し、微笑むディアナ。
 そして志桜は、ディアナと一緒に、踊る皆の場所へ。
 志桜は、祭りの踊りの作法など知らない。だから、くるくると適当に踊ってみせる。
 時々、ケットシーたちの見様見真似で、ステップを踏んでみたりもする。
 とは言っても、ケットシーたちもみんな自由に踊っているから、志桜の心配も杞憂で済んだ。
「ふふっ、たのしいね」
「ええ、本当に」
 キャプテン・ニャオンの太鼓に耳を傾けるディアナ。そのリズムに合わせて、流れるようにステップを踏んで。
「さあ、音に導かれるままに」
「わあ、凄いニャ」
 ディアナの流麗な踊りに、心奪われるケットシーたち。
 ケットシーにとってダンスとは楽しいものであって、ディアナのように優美さを表すものではなかったらしい。
 そしてディアナが魅了したのは、ケットシーだけにとどまらず。
 志桜も、瞳に花火のような煌めきを宿して、羨望の眼差し。
「わあ! お姉ちゃんダンス上手い! 志桜にも教えてーっ!」
「良いわ、一緒に踊りましょう」
 ディアナの手を、ぎゅうっと握り、笑みの花を咲かせる志桜。
(「願わくは姉と慕うこの人に、しあわせな未来が訪れますように」)
 共に踊るダンスに、島の守り神への願いをこめる志桜。
(「私の願いは唯一つ」)
 ケットシーたちの視線を浴びながら、ディアナは想う。
(「あの子が幸せで在る事。それが私の幸せでもあるのだから」)
 ただ、ただ、それを願い花火の下で踊るディアナ。
 そんな様子を優しく見守る眼差しがあったコトに、志桜たちはもちろん、ここにいる誰も気づくことはなかったのである。

「フフ、踊り、まことよきものよ。我の出来る感謝は、少しばかりの幸いの種だけで申し訳ないが」
 太鼓を叩いていたキャプテン・ニャオンの口から、威厳のある声がこぼれる。
 きらり、会場に光の粒が降る。
 しかし、それは花火の名残と思われ、誰にも意識されることはない。
「ま、これくらいが奥ゆかしくてよかろう」
 ニャオンの瞳は、それまでと異なり神々しく輝いていたが、その言葉を最後に元のネコ目に戻る。
「……ニャっ? 今、ちょっと意識がなくなってたかニャ?」
 我に返ったニャオンが、首を傾げる。
「でもでも、太鼓、叩き足りないニャ! みんなも踊り足りないだろニャ? まだまだ行くニャー!」
「「「ニャー!!!」」」
 ケットシーと猟兵の織りなす宴は、夜が更けても続いたと言う。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月04日


挿絵イラスト