●写真撮影
グリードオーシャンの一角『映明島』は白い砂浜に青い海、燦々と輝く太陽とそれに色づく雲で出来た、まさにリゾートと呼ぶに相応しい島であった。
ロケーションの完璧な此の島では、様々な種族のセレブや有名人・俳優などが訪れ、ポートレートや記念の写真を残して行くのだという。
猟兵といえばこの世界では英雄も同然、むしろ歓迎ムードで地元の写真家や作家の方から『1枚撮らせてくれ!』と声が掛けられるだろう。
あなたは彼らの声に応えてもいいし、自分の好きなスタイルで臨むのも良い。
●グリモアベースにて
「映明島って知ってる? 僕もついさっき予知で知ったばかりなんだけど」
と、水着姿で浮かれた青年レイッツァ・ウルヒリン(紫影の星使い)は告げる。何でも、その島では盛んに写真集の撮影や映画のワンシーン、CMの一コマの撮影が行われているらしい。
如何にも南国といったようにヤシの木が生え、白い海岸が広がり、透明な波が行き来する其処は、撮影に限らずビーチを満喫するのにぴったりの場所だろう。
猟兵たちはこの世界における英雄として、地元住民から『1枚一緒に撮らせてくれませんか?』だの『写真にサインお願いします!』だの言われるかもしれない、それに応えてあげるのもまた英雄らしい行動だろう。
プロの写真家や映像作家などもその辺をうろうろしているので、声を掛け猟兵と分かればすぐに機材を準備してくれる。彼らは猟兵に心酔しているのだ。
もちろん、プロに頼らず自分たちで自撮りするのも構わない。ここは自由の楽園『映明島』、好きなだけ撮影して、好きなだけ思い出を残すことが出来る。
あなた達がやりたいことをやるのが、屹度一番の思い出となるだろう――。
まなづる牡丹
いつもお世話になっております。まなづる牡丹です。今回はグリードオーシャンにて、この時期だけの1章完結型のシナリオをお届けします。
※このシナリオは既に猟兵達によってオブリビオンから解放された島となります。このシナリオは【日常】の章のみでオブリビオンとの戦闘が発生しないため、獲得EXP・WPが少なめとなりますことにご注意下さい。
●出来ること
・写真撮影
現地のプロカメラマンがリゾート風景を背景に写真を撮ってくれます。もちろん無料です。時には現地の住民に一緒に映ってほしいと言われるかもしれませんが、そこは皆さんの裁量にお任せします。
また、自撮りもできますのでそこは気兼ねなくプレイングにお書きください。
・映像撮影
プロモーションビデオのような短い映像作品を残す事が出来ます。何をして、どうオチをつけるのか、キャラクター様の判断に委ねます。
・のんびりする
リゾートとしても有名な『映明島』では、自由に海岸線でくつろぐことが出来ます。どこまでも続く白い砂浜と透き通った海に癒されてくださいませ。
●受け付け
プレイングは19日朝8時30分より受け付けます。参加人数が万が一わたくしのキャパシティを超えるようでしたらお届けに時間がかかるかもしれませんことをご了承下さい。
それでは、皆様のビーチでのひとときをお待ちしております!
第1章 日常
『猟兵達の夏休み』
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POW : 海で思いっきり遊ぶ
SPD : 釣りや素潜りを楽しむ
WIZ : 砂浜でセンスを発揮する
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
夏! という表現がぴったりのこの島では昼間は人々で賑わっている。しかし、本気で泳いでいる者は少ない。
みな其々、お気に入りや新調した水着で記念の1枚を撮影しているのだ。打ち寄せる波と戯れる一瞬や、のんびり寛ぐオフショット。
「猟兵さんたちも好きなだけ、この島を満喫して欲しい」
と言う島民の朗らかな笑顔が眩しかった。
※PSWは気にしなくて大丈夫です。また、まなづるの所持PCも呼ばれたら来ますので、御用命でしたらお声かけ下さい。
小雉子・吉備
折角水着をしたてて貰ったんだし、写真に納めて貰うのも良いかも
ただ、キビはこの世界(グリートオージャン)では実績が無いし、それなのに現地民に撮影して貰うのも、図々しいと言うか、申し訳ない気がするし
写真撮影は、レイッツアちゃんにお願いしちゃおうかな
初陣ではお世話になったし、キビも他の猟兵と接点少ないし
なまりちゃんやひいろちゃんと一緒にも写真を撮って貰って
それにしても、幽世に渡る以前の記憶は無いけど
UDCアースの文化の進化にびっくりした上、幽世とUDCアース以外にも、色々世界があるって言うのに驚きを禁じ得ないよね
〖アドリブ絡み掛け合い大歓迎〗
●
フレアの効いた薄緑のワンピースに、アンダーを彩るは赤地に緑のポップな元気柄。少しあいた胸元が、可愛らしさだけなくセクシーさも演出している。日焼けをしないように白の上着を羽織れば、夏を満喫する準備は万端! 小雉子・吉備(名も無き雉鶏精・f28322)は新調した水着で、映明島の海岸線を歩いていた。
折角仕立ててもらった水着を、記念に写真に残すのも良いだろう。とはいえ、吉備は此処グリードオーシャンではまだ実績がない為、現地民に撮影をしてもらうのは図々しいような、申し訳ないような気持ちになってしまう。真面目で誠実な吉備が考え付いたのは、グリモア猟兵に撮影をお願いする事だった。吉備はまだ他の猟兵との接点は少ない。ここで知り合いが居るのは心強かった。
「……と、言うわけで。レイッツァちゃん、撮影をお願いできるかな」
「もちろん、そのくらいお安い御用だよ。プロほど上手くは無いけど、可愛く撮ってみせるから」
パラソルの下でかき氷を食べていたレイッツァに声を掛けると、彼は残りの氷を一気に流し込んで、意気揚々とカメラを手に取る。コンデジのような軽いものかと思いきや、ゴツいレンズが嵌った大きな黒いカメラに、吉備は少しばかり驚いた。カメラには詳しくないが、絶対お高いやつだ。
「機材はプロ並みなんだね?」
「どうせ撮るならキレイに撮れる方がいいからねぇ」
可愛いとか綺麗とか、社交辞令なのか本心なのか分からないけれど、言われて悪い気はしない。実際、この水着はとっても可愛いくて、吉備のお気に入りであるし。
なまりとひいろを呼び寄せて、まずは大海原を背景に1枚。手を広げた吉備の横に、なまりとひいろが其々ポーズを決めている。二体も初めて見る海に興奮しているようで、うきうきと尻尾を振っていた。
続いて少し海に浸かり、ぱしゃぱしゃと水遊びで二体と戯れる1枚。水飛沫が陽光を浴びてきらきらと輝き、真夏の楽しさを演出してくれる。冷たい海に日差しの暑さ、この世界だから味わえるひとときが楽しい。
「なまりちゃん、それっ! きゃーっひいろちゃんやったなぁー! えいえいっ」
海水を掛けて、掛けられて。一人と二体の和気藹々とした様子を、にこにこと笑顔でレイッツァは写真に収めてゆく。1枚いちまい、何処に写る吉備も朗らかで、戦など知らない可憐な少女に見えるが……彼女も戦う者。猟兵として覚悟を決めた者。――でも、こういうお祭り事の時くらい、はしゃがないと損だから。吉備は思い切り、時には撮影されてることも忘れて映明島を堪能した。
それにしても。幽世に渡る以前の記憶は無いが、UDCアースの文化の進化にびっくりした上、カクリヨファンタズムとUDCアース以外にも様々な世界があるという事に驚きを禁じえない。吉備の世界は、まだまだ狭く、小さい。だからこそ、もっと色んな世界を見たいと思う。誰かの為に、自分の為に。
「キビにはきっと、新しいことが沢山待ってるんだね。それってとっても、嬉しいな!」
なまりとひいろが吉備の声に呼応し、すりすりと寄ってくる。いつまでも仲良く、いつだって冒険に出かけよう。まずはこの島、この夏の攻略から――!
大成功
🔵🔵🔵
逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と
そうですね、写真には撮ってきましたが
こうして映像に残すことは、初めてです
ハイビスカスの咲く浜辺で、波打ち際を歩く様子を動画に録ってもらいましょう
ええ、とても綺麗な景色で……
きみとこの眺めを見られて、幸せですと繋いだ手を握り笑み返しましょう
かれの言葉には一瞬目を丸くしてから、ふわりと笑み深めて
当然ですよ、傍に居てくれなければ怒りますからね
きみと一緒に美しい景色をもっと見たいですと返しながら、黄色いハイビスカスをかれの耳元に挿して
指輪に恭しく口付けられたなら、かれの指輪へも同じように返し
そうですか?きみらしくてときめきましたよと笑い
……ね、ずっと一緒にいましょうね
ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と
宵と共に映像を撮って貰える様頼もう
共に様々な景色を見ては居るが映像に残す機会はなかったからな
良い機会なのではないか?
撮影はハイビスカスが彩る浜辺を共に歩き海を楽しみながらバカンスを楽しむ様をお願いしよう
美しい景色だなと笑みと向けながらハイビスカスの花を手に取り宵の髪へ
見た事のない景色はまだ沢山あるのだな…。その、なんだ。これからも朽ちる迄に様々な景色を共に見て行ければと思うと宵を振り返りつつ共にずっと傍に居てくれるなと、繋いだ手に嵌る指輪に唇を寄せつつそう声を
…人の言うプロポーズという物は難しいな
だが…その様な顔を見られるならばこの花言葉の様に心を奮って良かったとそう思う
●
写真と違い、映像というのは生の記録だ。動いている、というだけなのに、一気に『生きている』感が生まれる。ヒトも動物も自然も、みな生きているからこそ、偶にはに収めるのも一興だろう。人生の1頁に刻まれるような日は、特に――。
ザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)と逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)の声に応え、カメラマンが案内したのはハイビスカスが彩る鮮やかな浜辺。海の碧と華の暖色が対比となって美しく、寄せてはかえす波に呼応するかのように華もふんわりと揺れた。駆け抜ける風は心地よく、二人の心を穏やかにする。
「共に様々な景色を見ては居るが、映像に残す機会はなかったからな。良い機会だろう」
「そうですね、写真には撮ってきましたが、こうして映像に残すことは、初めてです」
波打ち際を寄り添い歩く二人の姿は、とても幸せそうで、太陽も砂浜も祝福するかのように煌めきを演出する。波のザザーンという音に、ザッフィーロも宵も綻び笑む。相手がいて、ロケーションも素晴らしく。こんな穏やかな時間は短いと知っているけれど、だからこそ満喫したくて。二人、手を繋いで歩いた。
「美しい景色だな」
「ええ、とても綺麗な景色で……きみとこの眺めを見られて、幸せです」
ぎゅっと握る指先に力を込める宵。離さない、離してほしくないと、行動で伝える。それにフと優しい笑みを向け、ザッフィーロは『私を見て!』と主張するハイビスカスを一輪手に取り、宵の髪へ添える。さらりとした濡羽色の髪に、ビビッドな赤は鮮烈に映えた。
「見た事のない景色はまだ沢山あるのだな……。その、なんだ」
これからも朽ちる迄に様々な景色を共に見て行ければ、と思うと、宵に振り返る。宵は黙って続きを待っていた。
「共に。ずっと傍に居てくれるな」
ザッフィーロの声は、少し掠れていた。緊張、しているのかもしれない。そんな言葉に一瞬目を丸くしながらも、宵はふわりと笑みを深めて、黄色いハイビスカスを手に取った。
「当然ですよ、傍に居てくれなければ怒りますからね。――きみと一緒に美しい景色をもっと見たいです」
黄のハイビスカスをザッフィーロの耳元に挿す。青髪と黄色の組み合わせは、空と太陽のようだと宵は思った。宵を導き、時に惑わせる、道標のようだと。
繋いだ手に嵌る指輪に、唇を寄せるザッフィーロ。恭しく清廉な口付けに、宵もまた同じように相手の指輪へと口付けを返した。二人だけの秘密の約束。宝物、というには少し照れ臭いけれど……これは、誓いだ。相手を束縛し、存在を認めあい、朽ちることなきヤドリガミの生が終わるまで共に居ようという誓い。
「……人の言うプロポーズという物は難しいな」
むぅと悩むザッフィーロに、思わず笑いだしそうになる宵。そんなところもまた彼の良いところであると知っているから、無粋な言葉はいらない。必要なのは素直な気持ちだけ。
「そうですか? きみらしくてときめきましたよ……ね、ずっと一緒にいましょうね」
朗らかな笑みを浮かべる宵にホっとしたのか、ザッフィーロは握る手に力を込めて。ずっと言いたくて、伝えきれなかった言葉を、口に出せて正解だったと心から想う。宵のそんな顔を見られるならば、この鮮やかな華の花言葉の様に、心を奮って良かったと。そう思う。
こつん、と額同士を当てて、至近距離で二人は小さく笑った。吐息が擽ったい。足元に打ち寄せる波の冷たさと、太陽の眩いひかり。揺れる二輪の花。どれもが二人を祝福している。
笑って、指を絡め合い、運命に感謝した。言葉にしなくても二人は同じ事を考えている。
――この者が隣に居てくれる今と、未来を、ありがとう。と……。
二人の細やかで、大切な時間を切り取った映像は、屹度何度見返しても美しく鮮明に、その時の気持ちの高揚を思い出させてくれるだろう――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ティア・メル
わわわ!人がいっぱいなんだよ
早速レイッツァちゃんに声を掛けちゃおう
こんなに綺麗な所に案内してくれてありがとね
レイッツァちゃんも一緒に遊ぼうよ
んにに、水着!
刻印なのかな?
きらきらした飾りも含めてすっごく素敵だよ
まるで神様みたいだね
えへへへ
レイッツァちゃんの手を引いちゃおー
ぼくも初めて水着を着たんだよ
だからね、記念にレイッツァちゃんと写真が撮りたいな
えーいっ
透き通る水をぱしゃっ
水も滴る良い男だよん
ふふふ
元々とーっても格好いいけどね
レイッツァちゃんが一番かっくいーよ
プロのカメラマンさんだって
レイッツァちゃん、撮って貰おうよ
嬉しいな
緩む笑顔の隣に君の体温
レイッツァちゃんとの初ツーショット
宝物にするねっ
●
「わわわ! 人がいっぱいなんだよ」
「そりゃあ、あんなに大きいイベントがあった後だものねぇ」
グリモアで転送してもらうなり、早速レイッツァに声を掛けたティア・メル(きゃんでぃぞるぶ・f26360)は、うきうきどきどき、はしゃぐ気持ちを抑える事もせずレイッツァの腕に絡みつく。
「こんなに綺麗な所に案内してくれてありがとね。レイッツァちゃんも一緒に遊ぼうよ!」
そう誘われて嫌な気分になるものはいないだろう。男はもちろん、と頷きティアの手を取って水辺に近づく。お互い水着で、普段見慣れた姿とは違う装いにどきどきしながら、ぱちゃんと海に足をつけた。
「んにに、水着! 刻印なのかな? きらきらした飾りも含めてすっごく素敵だよ。まるで神様みたいだね」
「神様? うーん、そんな心算はないんだけど……引かれなくて良かった。結構グロテスクでしょう、この刺青」
なぁんてレイッツァが返せば、ティアはふるふると首を振る。代わりに手を握り返し、じゃぶじゃぶと海の中へ誘った。――神様、私の、私だけの。甘露に蕩ける紫が、ティアの心をゆっくりと侵食していく。
「えへへへ。ぼくも始めて水着を着たんだよ」
「へぇ、僕もだよ。お揃いだね、僕たち」
「うん! だからね、記念にレイッツァちゃんと写真が撮りたいな」
「僕と? それは……光栄だな」
猟兵を映そうと今かいまかと待ち構えるカメラマンに声を掛け、二人、仲良く戯れる写真を撮ってもらうようお願いする。カメラマンは冗談めきながら「お二人は恋人ですかい?」なんて聞いてきたが、即座に「さぁ?」と返したのは果たしてどちらだったか。
えーいっと透き通る水をぱしゃんとレイッツァに掛けるティア。水も滴る良い男だなんて、そんな事を言われたら言い返せない。押し黙ったレイッツァは静かに指で作った水鉄砲をティアに嗾ける。パシャっと弾けるシャッター音。そんな些細なことさえ思い出に残すには十分で。
「わーっ! それ、水鉄砲どうやるの!? ぼくもやってみたい!」
「これ? コツを掴めば簡単だよ」
二人、海に浸かりながらお互いの温度を感じ取る。ティアの熱も、レイッツァに設定された温度も、共有するように溶け合って。ティアはレイッツァの事を、とーっても格好良くて、一番だと思っているけれど、果たしてそのレイッツァはどう思っているのか心底が読めない。そこがまた魅力であるけれど……覗き見たい気持ちもある。
「ティアさんが来てくれて嬉しいな。僕の予知、いつでも結構人を選ぶからさ」
「そんなこと。ぼくの隣で笑んでくれるレイッツァちゃんが真実だよ。今は、それで十分」
カメラマンがシャッターを切る。初めてのツーショット撮影にしては熱の籠った1枚が仕上がる。でもこれで良いのだ。最初の一歩はとても大事、ティアはこの1枚を宝物にすると心に誓い……あとはレイッツァと、心の底から水遊びを楽しんだ。レイッツァもまた、可愛い相棒を堪能し、子供のように笑って時を過ごした。
後日、二人して印刷された写真を写真立てに入れたのは、きっとお互い知らない事――。
大成功
🔵🔵🔵
仇死原・アンナ
アドリブOK
綺麗で広い海だ…
昨年の…宙飛ぶ船の中の海とはまた違う…
新しい水着に着替えてのんびりしようかな…
海辺や浅瀬を歩いたり砂浜に座り込んでぼおっとしよう…
…写真?
水着姿を撮りたい?
うん…恥ずかしいけど[恥ずかしさ耐性]で我慢して写ろうね…
せっかくだから…写真を見せてもらおうかな…
これが私…フフ…ちょっと…恥ずかしいね…
●
日差しが強い。日焼け止めを塗ってきて良かったと、仇死原・アンナ(炎獄の執行人・f09978)は思った。別に日焼け痕を気にするような性格でもないが、アンナの白い肌は焼け易い。無駄に痛みを感じるのも馬鹿らしいので、事前準備はしっかりと念入りにしてきた。
新調した水着は去年とは打って変わって、黒から赤へ鮮やかな彩を見せるビキニとパレオのセット。あしらわれた薔薇柄とコサージュで統一感と色気を醸し出している。処刑人として筋肉のついた腹と、豊満なバストが強い女性らしさを表していた。プロポーションにあった水着を選ぶのに長けているのかもしれない。
海辺や浅瀬をゆったりと歩き、遠くに見える水平線を眺める。穏やかな時間だ。いつもの戦場で張り詰めた空気が、此処ではするすると紐解かれていくようだった。
砂浜に座り込んで、しばしぼぉっとするアンナ。思い浮かぶ、去年の今頃。
「綺麗で広い海だ……。昨年の……宙飛ぶ船の中の海とはまた違う……」
宇宙船の人工的な海が悪いとは思わない。しかし、此処グリードオーシャンの見渡す限りの海はあまりにも広く、生きているような感覚がある。――人々の暮らしに根付いて、時には人を襲うもの。海は……深いな……。そんな事を考えていると、水着の女性二人組がやや緊張した面持ちでこちらに近づいてきた。特に戦う力は感じない。恐らくこの島の地元住民だろう。
「あのっ! 猟兵さんですよね。いつもご活躍耳にしてます! コンテストも盛大で、すごく楽しかったです」
「それで、そのう……猟兵さんの水着姿の生写真欲しいなって思って……良かったら、被写体になって下さい!」
ぺこぺことお願いしてくる彼女らに、アンナはぼにゃーっとして。そして漸く、自分が話しかけられていたのだと気付く。
「……写真。水着姿を撮りたい……?」
「はいっ!! いつもの猟兵さんたちはカッコイイけど、こういう時しか見られない猟兵さんってレアですし!! もし良かったら一緒に写ったりもしたいです!!」
きらきらと目を輝かせてお願いされては、断るのも可哀そうで。屹度アンナに話しかけるのだって、勇気を振り絞ったのだろうし。アンナは「うん……いいよ……」と立ち上がり、水辺へと歩いて行った。あって良かった【恥ずかしさ耐性】。よもやこんなところで役立つとは。
女性二人組はキャーっと黄色い声を上げながら、波打ち際に立つ自然体のアンナをカシャカシャっと撮りまくる。その様子といったら憧れのアイドルを前にしたファンのようで、何だかこそばゆかった。
何十枚と撮られたところで、女性たちはアンナを挟み自撮りも行って、漸く解放された。せっかくだ、どんな風に自分が写真に納まったのか見てみたくて、女性らにお願いしてカメラのディスプレイを見させてもらう。
「これが私……フフ……ちょっと……恥ずかしいね……」
海をバックに振り向き美人の姿で、髪とパレオが風に靡いたその姿は、戦場を翔ける美しき女戦士の休息日といった印象だ。顔は相変わらずちっとも笑ってないけれど、内心少し楽しかった。
二人組は深々と礼をして去っていく。その去り際で「アーッ! サイン貰えばよかった!」「どこに書いてもらうのよ」なんて声が聞こえる。本当に猟兵が好きなんだと思った。
私も、この世界、気に入ったよ。何度か来ているし、また来ることもあるだろう。今度は処刑人として、ね――。
大成功
🔵🔵🔵