「先輩、もうやめてくださいよ! 昔の先輩なら、こんなことはしなかったでしょう?」
青年――二宮は年上の『男』に向かって叫んでいた。
その『男』は、中学時代の先輩で、二宮が憧れていた人物だった。
中学時代の男はまじめで、困っている人間がいれば精一杯手を貸す、そんな人間だった。二宮も男に何度も助けられた。
が、都会に引越して酒とギャンブルに嵌り、悪い仲間と付き合いだしたのをきっかけに、男は変わったらしい。
別れて数年、再びこの土地に帰ってきたとき、男は遊ぶ金欲しさに悪事を働く人間になっていた。男が恐喝や窃盗をしているという噂を聞いたし、二宮自身も男が万引きを働くのを目撃した。
二宮は男に行動を改めるよう説得しようと話しかけた。そんな二宮を男は人気のない路地裏まで引っ張り込んだのだ。
そして今。その路地裏で。
「先輩。元の優しい――」
「俺に意見するなんて百年早いんだよ!」
二宮の腹に、男の拳が刺さる。仰向けに倒れる二宮。
男はしゃがむ。倒れた二宮の懐に手を入れ、財布を抜く。
「警察にチクったらお前の家族を殴るからな?」
そう言って男は去った。
二宮は打ちのめされ、立ち上がることもできず、何時間も宙を見続けていた。
突然、脳内に声がした。
『辛いか? 悲しいか? なら奴を殴ればいい。骨を砕き肉を裂け!』
声は続く。
『間違いを正せ、屑を殺せ、壊して潰して殺しまくれ! それが正義!』
そして。二宮の体が光に覆われ、変形していく。
グリモアベースで。ベッキーウッドは悲しそうに首を振ってから、猟兵たちに向き直る。
「はろー。UDCアースで、人間がUDCになる、そんな事件が起こっているのは知ってる?
今回、ある田舎町でも同じ事件が起こったのを見つけたよ。UDCに変化したのは、二宮さんっていう二十代の男性」
二宮には中学時代から憧れていた先輩がいたが、その元先輩が都会に行き悪党になって、帰ってきた。
二宮は改心するよう説得したが、逆に殴られ財布まで奪われてしまう。
結果、二宮は心身ともに打ちのめされ、UDCに変化してしまったのだ。
「このままだと二宮さんはUDCの本能のまま暴れて、大きな被害をだしちゃう。
でも二宮さんはまだUDCになったばかり。すぐ倒せば、二宮さんを元に戻せるかもしれない。皆、現場に行って、UDCになった二宮さんを倒して!」
だが。二宮がいる路地裏の近く、道路の一角に、多くのUDC『街を往く獣人』が集まっている。
「彼らは二宮さんがUDCに変化した気配にひかれ、やってきたんだ。二宮さんに合流されたら厄介なことになる。
二宮さんの所に行く前に、まずこの獣人を倒してほしい」
獣人達は、強力な魔獣への変身や、自分たちそっくりの獣人の召喚を使う上に、数が多い。
「獣人たちは強すぎないけど、数の多さは厄介。敵の多さへの対応法を考えると、有利に戦えるかもしれない」
獣人たちを倒した後は、UDCとなった人間――UDC-HUMANの二宮との戦いになる。
「昔あこがれていた人に裏切られたあげく、人間としての自分さえ失い、破壊の化身となる――そんな事は見過ごせない。
皆の手でこれ以上の悲劇を防いでほしい。よろしくお願いね!」
支倉みかん
支倉みかんです。閲覧ありがとうございます。
時間の流れは人を変えることもあります。良い方にも、悪い方にも。
さて。
今回は、かつての憧れの先輩に裏切られた青年、二宮が、UDCになる事件が発生しました。
このUDCを倒し人間に戻すのが、今回の目的です。
第一章では、周辺に集まってきている『街を往く獣人』との戦闘になります。
数が多いので、敵の多さへの対策を考えると、有利になるでしょう。
第二章は『UDCとなった二宮との戦闘』、第三章は『二宮を絶望させた元先輩への対処』となります。
よろしくお願いします。
第1章 集団戦
『街を往く獣人』
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POW : 俺達はどこまでも本気になれる
【獣の本能 】に覚醒して【魔獣形態】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD : 俺達は何人にだってなれる
レベル×1体の、【胸元 】に1と刻印された戦闘用【の『街を往く獣人』】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ : 俺達はどこにだって隠れられる
無敵の【何にでも変身できるようになる腕輪 】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
イラスト:相澤つきひ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
グリモア猟兵に示された夜の街を移動する猟兵たち。
ほどなく猟兵は、前方、道路の一角に、人に似た存在が多数いるのを発見した。
人に似た体と獣の顔をした――獣人たち。獣人たちが交わす言葉が聞こえてくる。
「力強い気配がするぜ、ブラザー」
「ああ、王というべき気配だ、ブラザー」
彼らの声の中には興奮。猫や犬の形をした顔の、耳がひくひくと揺れている。
「なら。俺たちはそこに行かなくてはいけないな、ブラザー」
「ああ。王とともにひと暴れしなくてはいけないな、ブラザー」
UDCと化し破壊衝動に囚われている二宮。強者に従おうとする獣人たち。彼らが合流すれば、街に大きな被害が出るだろう。
獣人たちをここで倒すべく、猟兵たちは動き出す。
ヴィクター・グレイン
(メモ帳を片手に思いふける。)
かつての俺みたいだ…。
俺が悪人に容赦なくなったあの時の。
(メモ帳をしまい、前を見る。獣人共と目が合う。とは言え此方は覆面なのだが…。)
懐から手作り火炎放射器を取り出し、獣人共に向けてこう言う。
「人間なら豚箱に入れるが…、獣は殺す。」
それと同時に燃やし始める。
そこからは記憶が定かではない。
気がついた時には片手に中華包丁を持ち目の前には微かに息をしている一匹の獣人だけ。
他は後ろで屍になっている。
その死にかけの獣人の首を掴み、
「二宮は何処だ?」
と質問した。
答えるまで殴った。
居場所を聞き出す頃には既に息絶えていた。
死体を地面に捨て、包丁と火炎放射器をしまい歩き出す。
●
全身に黒を纏った男、ヴィクター・グレインは、手元のメモに視線を落としていた。微かな声で呟く。
「かつての俺みたいだ……」
呟きが聞こえたか、獣人一体がヴィクターへ顔を向けた。
「へい……」声をかけてくる獣人の前で、ヴィクターはメモをしまう。
まだ言葉を喋ろうとしている獣人へ、
「人間なら豚箱に入れるが……獣は殺す」
代わって出した火炎放射器を突き付け、発射! 敵の体毛に火が点る。悲鳴をあげる獣人。
仲間の悲鳴に、別の獣人がヴィクターへ跳躍。腕が膨張し、爪が鋭く伸びた。ヴィクターの顔を抉ろうと、獣人は魔獣化した腕を振る!
が、ヴィクターは冷静。火器を放り投げる。コート下に隠していた中華包丁で敵の腕を突く!
敵の攻撃が止まった。傷を押さえている獣人の首を、ヴィクターは刃で裂き絶命させた。
ヴィクターは走る。動揺する獣人の群れへ、つぎつぎ刃を振る。
飛び散る血。倒れていく獣人たち。
多くの獣人たちを屠った後、ヴィクターはまだ生きている獣人に淡々と問う。
「二宮はどこだ?」
「答える義理は――」
敵の顔に、黒革手袋をはめた拳をめり込ませた。
「二宮はどこだ?」再び問う。獣人は答えない。その腹をヴィクターは打った。
問うて殴り問うて殴る……一切の容赦も躊躇もなく、繰り返す。
やがて骨が砕ける音がして、獣人は息絶えた。
ヴィクターは何の感情も見せず、死体から視線を外す。戦闘は未だ続いていた。
黒鉄の覆面とコートに返り血がついたが、ヴィクターは拭わない。地に転がる火炎放射器を拾い、残りの獣人たちへ黙々と歩を進める。
大成功
🔵🔵🔵
波狼・拓哉
都会でなにあったかは知りませんけど…今の堕ちっぷりみるとそういう所は昔からあったんじゃないですかね
ま、信じてくれる人がいるってのは良い事ですけど…いやこの場合は信じてくれてる人の方が純粋なんですかね
まあ、それ故に変貌しちゃった感じですか
じゃやりましょうかミミック
へーいイヌッコロどもー的な感じで挑発
視線をこちらに釣り上げて…化け咲きなっと
幾ら数が居ようと初手で纏めて五感奪えば後は処理するだけです
五感奪って動けない敵に衝撃波込めた弾を使って戦闘知識、第六感で確実に急所を見切り邪魔な奴らだけ撃ち貫いて進みましょう
五感奪いを解除する気はないので邪魔にならない奴は適当に放置でいいか
(アドリブ絡み歓迎)
虚偽・うつろぎ
アドリブ連携等ご自由にどぞ
へいブラザー
自爆タイムだいぇあ
その猫耳犬耳纏めて吹き飛ばしてやるZE
自爆自爆自爆、狂気を見せてやるSA
これが王の所業というものだYO
登場即自爆
とにもかくにも速攻で自爆することが最優先
自爆さえできれば台詞も活躍もいらぬ!
ただ自爆するためだけに現れる存在
技能:捨て身の一撃を用いてのメッサツモードによる高威力な広範囲無差別自爆
射程範囲内に敵が1体でもいれば速攻で自爆する
自爆することが最重要
なので敵がいなくても自爆するよ
近づかない動かない一歩も動かず即自爆
大事なのはスピード
そう、スピードなのですぞー
捨て身の一撃なので自爆は1回のみ
1回限りの大爆発
自爆後は爆発四散して戦闘不能さ
●
ひらがな姿の虚偽・うつろぎはいつのまにか道路中央に現れていた。
うつろぎに気づく未だ健在な獣人たち。猟兵の先制攻撃に数を減らしたものの、いまだ闘志にあふれた目をしている。
「ヘイブラザー、あれは何だ? どうすればいい?」
「ヘイブラザー、つまり敵だ! 潰せばいい!」
獣人たちは自分たちと同種の獣人を召喚。再び数を増やし、うつろぎへ殺到。
うつろぎは身動き一つせず、
「へいブラザー」
陽気に声を出す。
「自爆タイムだいぇあ! うつろぎ式・切宮殺戮術『一爆鏖殺』SA!」
その言葉が終るか終らぬか、うつろぎの体が急速に膨れ――爆発!
【ウツロギ(メッサツモード)】によって、うつろぎは自爆。
爆音が響き、爆風が吹き荒れる。
巻き込まれた獣人たちがなすすべなく消滅。そうでもないものも、吹き飛ばされ壁や地面に激突。
もうもうと吹き上がる粉塵の中、獣人たちの悲鳴と怒号。
やがて粉塵がはれ、惨状があらわになる。
多くの獣人たちが倒れ、負傷。鼓膜をやられたか、獣耳を押さえている者もいる。
近くの電柱は倒れ。地面には隕石が落ちたかのような大きな穴と亀裂。
その穴の中央で、うつろぎは倒れていた。もとから黒い身を黒焦げにさせ、(あとは任せたYO!)と言いそうな満足げな様子で。
初手、自爆。うつろぎの唯一にして最速の作戦が、獣人たちに大きな被害を与えていた。
波狼・拓哉は安全な場所に避難していたが、粉塵が消え視界が良好になったのを確認、獣人の前へ出る。
獣人たちは爆発とその被害に動揺しつつも、態勢を立て直そうとしていた。
「虚偽さんが自爆とは……俺たちもできることをやりましょうか、ミミック」
拓哉は左腕の黒水晶のブレスレットを軽く擦る。獣人たちへ声を張る。
「へーいイヌッコロどもー。爆発怖くて、震えてるんですかー?」
「ぁん?」と、残った獣人たちの一部が拓哉の挑発に反応、拓哉を睨みながらまた同類を召喚しようとしている。
「さあ、化け咲きなミミック…!」
拓哉は敵を見据え、【偽正・薄望深淵】を発動。
「その目に写るは最後の希望……お前に味方する運命なんてねぇよ……!」
ミミックが現れ、咲き乱れる花群に変身。
「な、なんだこれ?」「目も鼻も耳もきかねー!」
混乱に陥る獣人たち。花群の力に五感を奪われたのだ。
拓哉はカラフルな二丁のモデルガン、うち一丁を獣人どもに向け、発射。衝撃波と轟音が発生。獣人どもを弾き飛ばす!
だが、数体が花群の影響に抗った。彼らは走り衝撃波を回避し、拓哉へ肉薄。
「あまいぜ猟兵。俺の感覚は、奪えなかったようだな」
彼らは爪の生えた手を振る。が、拓哉の体に爪は刺さらない。強化防弾刃チョッキが爪を防いだのだ。
「なら――命を奪うだけですよっと」
拓哉は二丁の銃の引き金を弾く。敵二体の眉間を同時に射抜き、終わらせた。
うつろぎの自爆と拓哉のミミックが敵を混乱させ、多くを葬った。
少数になった、けれど必死で抵抗する敵を片付けるため、先に進むため、拓哉は銃二丁を構えなおす。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
春霞・遙
うわぁ、光に群がる虫のようにぞろぞろと。どこに隠れていたのやら。
殲滅しないとならないからか猟兵さんたちの戦闘もど派手ですね。
このUDCたちは擬態もできるそうだし、一般の人巻き込んでいないと良いのですけど。
そこは職員の人たちがうまくやってくれてるかな。
【竜巻導眠符】を放って周囲一帯の敵対する生き物を眠りに誘います。
眠っている、あるいは動きの鈍った相手が獣人であることを確認してそれぞれ拳銃等で無力化していきます。
万が一UDCでない人が巻き込まれていたら、一般人でも悪いことしてる人でも気絶させて危険のないところに放り出しておきましょう。
●
革製のローブを纏った女性、春霞・遙は、戦闘音を聞きつつ周囲を見回していた。近くに一般人がいないことを確認していたのだ。
「UDCが多かったですし、猟兵さんたちの戦いもど派手でしたから、心配でしたが……一般人の方は巻き込んでないようですね。……よかった」
安堵の息を吐く遙に、獣人たちが近づいてくる。
「ヘイ、イェーガー。もう勝ったつもりか!?」
犬や猫の顔で、牙をむきだす彼らの前で、遙はゆっくり口を開く。
「夜の帳が下りてくる。魔法の砂も吹いてきた」
詠唱とともに掲げるは、無地の符の束。思い描くは、決められた印。
「さあさおやすみ、眠りなさい」
荒れ狂う風が発生、大量の符が風に乗って宙を舞う。
やがて眠りの力を持った符が、雨の如く地へと降る。【竜巻導眠符】!
符の力が多くの獣人たちに眠気を与える。次々に地に倒れていく獣人たち。
が、導眠符の影響外にいた一体が叫ぶ。
「俺たちは隠れてきた。何にでも姿を変えて。だから仲間を起こす目覚まし時計にも変われるッ!」
獣人は体を歪ませ――巨大な時計に変化。
遙は思わず瞬き。
「うわぁ。機械にもなれるなんて……でも時計の姿なら、あんまり動けないですよね?」
遙は驚きつつも拳銃を構えた。敵が鳴り出さないうちに発砲。
遙が看破した通り、獣人は銃弾をよけられない。遥の弾丸が時計を貫通し、破壊!
その後。遙は拳銃を手に眠る獣人たちに近づき、一体ずつ確実に無力化していった。
遥は仲間に声をかける。
「光に群がる虫のようにぞろぞろいたUDCでしたが……ずいぶん減らせました。後少しです」
大成功
🔵🔵🔵
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
……よぉ、楽しそうな話してんじゃねぇか。
誰が。
何を。
王にして。
暴れるって?
ふざけんじゃねぇ。
そいつはテメェらの「王」なんかじゃねぇ。
拠り所をなくして悲鳴を上げている、救うべきヒトだ!
二宮さんの所にお前らを行かせる訳にはいかねぇんだよ!
久々の抗争(ケンカ)の匂い、暴れるんならアタシ相手に暴れな!
カブに『騎乗』して爆走し、当たるを幸い『衝撃波』で吹っ飛ばす!
数を頼もうにも、アンタらの心の声がする限りなぁ、
【超感覚網】から逃れられると思うなよ?
そうして蹴散らしながらもその思念から『情報収集』する。
二宮さんの場所までの、最短距離を案内してもらおうか……!
サヤネ・コルネージュ
清々しいくらいの堕ちっぷりだなぁオイ。
だが悪党名乗るんならまだ足りねえな。悪の矜持って物を教えてやらねえとな。
ま、ここは猟兵らしく止めてやるとするかね。
数が多いならそれを纏めて薙いじまえばいい。UCを使って鉤フックの射程を増加するぜ。後はバトルアンカーと一緒にぶん回す!
おーい生きてるー?周りはひでえことになってるが、ボスの居場所吐いてくれれば逃がしてやるよ。
まああたい悪党なんで逃がして潰すがね。
……それにしても、UDCアースは小悪党が暴れるのが日常茶飯事なのかい?
やるならもっとド派手に、だ。
相手に絶望も残しちゃいけねえんだよ。わかったかチンピラども。
●
数宮・多喜は宇宙カブJD-1725に跨ったまま、獣人たちへ言う。
「……よぉ。さっきは楽しそうな話をしてたじゃねぇか」
唇を吊り上げ、笑みの形を作る。が、目は笑っていない。
「誰が。何を。王にして。暴れるって?」
多喜のゆっくりとした言葉から滲む憤怒。多喜は声を張る。
「ざけんじゃねぇ。そいつはテメェらの王なんかじゃねぇ。拠り所をなくして悲鳴をあげている、救うべきヒトだ! 二宮さんの所にお前らを行かせるわけにはいかねぇんだよ!」
獣人たちは黙れとばかり、多喜へ突進してくる。
多喜もまた、獣人どもへ発進。
獣人どもは巨大な魔獣に変化し、多喜をバイクごと倒さんと剛腕を振りあげた
多喜は巨大になった獣人に怯まずバイクを加速、さらに加速! そして――敵が腕を振るより早く、車体を敵にぶちかます!
衝撃波を発生させるほどの速度で、獣人を弾き飛ばした!
「暴れるんならアタシ相手に暴れな! 抗争(ケンカ)なら、幾らでも買ってやるよ!」
多喜の啖呵。応じるように獣人たちが、一斉に魔獣化。前後左右から爪や牙で襲ってくる!
車上の多喜はにやり。
「数を頼もうと姿を変えようと……【超感覚網】から逃がれられると思うなよ?」
周囲に張ったテレパスのネットワークを用い、多喜は敵の思念を読み攻撃を予測。ハンドルを大きく切り、攻撃を次々に回避。
サヤネ・コルネージュは多喜と獣人たちの戦いを、灰色の瞳で観察していた。サヤネの耳に、獣人たちの声が届く。
「よけるのがうまくても――避け切れない程の数でいけばいい、ブラザー」
獣人たちは同類を次々に召喚し始めた。サヤネは肩を大げさにすくめる。
「正攻法でいけないから、ただ数を増やす? おいおいUDCアースでは、小悪党が暴れるのが日常茶飯事なのかい?」
【メガリス・アクティブ】を発動させながら、サヤネはハンッと鼻で笑ってみせる。
「清々しい堕ちっぷりのあの先輩とやらといい、アンタらといい、悪党名乗るには足りねぇなぁオイ」
サヤネは腕を大きく振った。装着した鈎フック、ユーベルコードで射程を伸ばしたそれと、バトルアンカー付きの鎖を同時に振り回す!
ぶんっと音を立て敵に襲い掛かる、サヤネの凶器!
数を増やし密集していた敵はよけられない。
サヤネの凶器は敵の背や頭部を痛打! ある者の体をふらつかせ、またある者の体を強引に引き倒した。
「あたいが教えてやるよ。悪党をやるならもっとド派手に、だ。わかったかチンピラども!」
それでも獣人たちはまだ生きていた。必死に体勢を立て直し、あるいは立ち上がろうとしていた。
サヤネは顔を多喜に向け、視線で合図。
多喜は頷き、バイクの向きを変える
「あぁ任せな。やってやるよ!」
サヤネの攻撃でふらふらの獣人どもを、多喜のバイクが猛スピードではね飛ばす!
サヤネと多喜の連携が敵の群れを瞬く間に壊滅させた。
サヤネはまだ息のある獣人の頬を鈎フックでぺちぺち叩いた。
「おーい生きてるー? ボスはどこだい? 吐けば逃がしてやるよ」
獣人は顔を上げ、サヤネを見た。が、口を固く閉じたまま答えない。
が、側にいた多喜は獣人の思念を読み、二宮の居場所を探り当てた。
「あっちだ。急ぐよ!」と仲間に告げ、バイクで走り出す。
サヤネは「あたいは悪党なんでね」と、逃がしてやるといった獣人の頭をアンカーで殴りつけ、仲間を追いかける。
多喜とサヤネたち猟兵は夜の街を移動する。UDC-HUMANとなった二宮のいる、路地裏を目指して。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『仮面シックス』
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POW : 大・変・身!!
【一度の戦闘中に一度だけレベル秒の間】【全身が光り輝き、その間に攻撃を受けた場合】【能力が2倍になる強化形態に変身する能力】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
SPD : シックスキーーーック!!
【一度の戦闘中に一度だけ】【対象を倒せなければ自身の能力が半減する】【強力な飛び蹴りを放つ能力】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ : 俺の最強の武器は正義を信じる人の心だ!!
自身の【戦闘能力全て】を代償に、【レベル×体の猟兵を悪党と叫ぶ市民の幻影】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【手に持ったレンガ】で戦う。
イラスト:すねいる
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ロニ・グィー」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
グリモア猟兵からの事前情報と、戦闘中に得た情報によって、猟兵たちは移動を再開。いくつかの角を曲がり、路地裏へと入り込む。
薄暗い道の中央に、UDC-HUMANとなった二宮が立っていた。
黒を基調としたバトルスーツと仮面を身につけた彼は言う。
「……信じたのが間違いだった。憧れたのが間違いだった! もう二度と信じるものか! 悪は即座に壊す! 殺す! 何もかも殺しくまくる!」
迸る悲しみと怒り。
「我が名は仮面シックスっ! 正義のための破壊を! 正義のための大殺戮を――!!」
昔あこがれていた先輩が悪党になり、その先輩から裏切られた二宮は、悲しみ怒り絶望し、UDC-HUMANとなった。そしてUDCの本能のまま破壊と殺戮を行おうとしている。
だが、きっとまだ人の心は残っている。
猟兵たちが共感を示したり、心を込めて説得したりすることで、二宮の人としての心や感情を刺激すれば、UDC-HUMANの力を弱めることができる筈。
そしてまた、今のうちに彼を倒せば、彼を人に戻すことができる筈だ。
二宮に救うため、惨劇を起こさせないため、猟兵は行動を開始する!
ヴィクター・グレイン
そうだ…悪には容赦するな。
罪人は即座に罰せなければならない。
決して手を抜いてはダメだ。
(そう語りかけながら二宮に近づく。)
この世にはどうしようも無いクズが居る。
お前がかつて慕っていた男もそうだ。
裁きを、制裁を与えなければならない。
だが、殺すのはやめておけ。
お前にはまだ希望がある。
道が、可能性が。
それを簡単に捨てるな。
とりあえず、これでも喰らって大人しくしてろ。
(二宮のみぞに一撃を加える。もしこれでも起き上がるなら、気絶するまで殴る。)
少し寝ていろ、手を汚すのは俺一人で十分だ…。
(二宮を後にして罪人の元に向かう。)
●
ヴィクター・グレインは黒鉄の覆面を付けた顔を、二宮が変化したUDC-HUMAN『仮面シックス』へ向けた。
警戒した様子の仮面シックスに、ヴィクターは一歩ずつ近づきつつ、
「そうだ……悪には容赦するな。罪人は即座に罰せなければならない。決して手を抜いてはダメだ」
淡々と語りかける。
「この世にはどうしようも無いクズが居る。お前がかつて慕っていた男もそうだ。裁きを、制裁を与えなけばならない」
「そうだ! あの男に死を! すべてに死を! それが正義!」
言葉に刺激されたか、シックスは近くの壁を殴る。壁に穴が開く。ヴィクターはシックスを観察。
「UDCの破壊衝動に理性をなくしているか。なら余計に殺すのはやめて――」
「やめるものかあッ!」
やめておけと言おうとした瞬間、シックスが跳んだ。蹴りがヴィクターの顔に直撃。
衝撃に脳を揺さぶられヴィクターはうつぶせに倒れる。
シックスは、しかし追撃してこない。その場から動かず「がぁ……」と呻いている。
ヴィクターは敵が技の反動で苦しんでいると看破、すかさず立ち上がり、再びシックスへ接近。
「もう一度言う。殺すのはやめておけ。お前にはまだ希望がある。道が、可能性が。それを簡単に捨てるな」
ヴィクターの声にまっすぐな信念。ヴィクターは拳を繰り出す。【殺意を込めた一撃】!
渾身の拳は敵の鳩尾へめりこみ、シックスの上体を揺らがせた。
ヴィクターの頭部に痛み。受けたダメージは小さくはない。それでも二宮が気絶するまで殴ると、ヴィクターは拳を硬く握る。
成功
🔵🔵🔴
サヤネ・コルネージュ
アドリブ・連携歓迎
正義の味方か。
いいね。来なよ。
悪党は此処にいるぜ?あんたと何もかも正反対な大悪党だ。
奪って殺して殺戮する大悪党だ。
相手が数を出してくるなら、こっちも数だ。
UCを起動して数に立ち向かうぜ。まあただの市民には厳しいかもな。
こちとらお前ら善良な市民を襲うのが生業だったんでな!
【集団戦術】で指揮しつつ、【切り込み】をかけるぜ。
なあ、あんた。自分が正しいと思い込み怒りと共に殴りかかるのは、最高に気分がいいだろう。
でもそれは正義じゃねえぞ。ただの八つ当たりだ。
あんた正義の味方なんて目指してたか?違うだろ。なら少し、頭冷やしな。
殺戮なんて実行すんのは悪党の生き甲斐なんだよ。取らんでくれや。
●
シックスは市民たちの幻影を召喚。
「悪党は殺せえ!」市民たちは喚き、猟兵へ殺到。
サヤネ・コルネージュはにっと唇をつりあげ、
「悪党は此処にいるぜ? あんたらと何もかも正反対な、奪って殺して殺戮する大悪党だ」
【紅に染まった海賊団】を発動。宙に海賊船『ブラックホーク号』を召喚。
「さあてめえら! 殺せ! 奪え! コルネージュ海賊団の悪名を轟かせな!」
サヤネの声に、船から200を超える海賊たちが現れ、市民へ襲い掛かる。
「正面から付き合うな。善良な市民を襲う海賊って奴をみせてやれ!」
市民たちは怪力。が、海賊たちはサヤネの指揮に従い、敵の猛撃を受け流し左右に回る。そして隙を突く攻撃で、市民を消耗させてゆく。
動きの鈍った市民たちを、サヤネは掻い潜るように前進、シックスへ迫る。
シックスは召喚の代償で力を失っていた。サヤネの接近に慌てて召喚を解除、市民を消し力を自身に戻した。
そのシックスの肩を、サヤネは海賊の使い込まれたカトラスの刃で、裂く!
傷ついたシックスへ、サヤネは告げる。
「なあ、あんた。自分が正しいからと怒って殴りかかるのは、最高に気分がいいだろう。でも、それは正義じゃねえぞ。ただの八つ当たりだ」
冷たく鋭利な口調で。シックスは反論しようとするが、言葉にならない。
サヤネは彼の顔を覗き込み、今度はゆっくり、
「あんた正義の味方なんて目指していたか? 違うだろ? なら少し、頭冷やしな」
「お、俺は……」自問するシックス。
サヤネの言葉と問いがUDC-HUMAN内の二宮の心を確実に刺激していた。
大成功
🔵🔵🔵
春霞・遙
今の先輩さんの行動はともかくとして……。
良い人にも嫌な面が、悪い人にも良い行いをすることがあったりしますし。
それで見る目が変わったり幻滅したりっていうのはありふれた話ですよね。
ただこの世の中、案外と根っからの悪人も根っからの善人もいないものです。
なので当時の優しかった先輩に憧れていたご自分まで否定しなくていいんですよ。
杖術で殺陣よろしく攻撃をさばきます。
足元の「なぎ払い」や「カウンター」「気絶攻撃」等立ち回りますね。
強化形態に変身するようなら、代償を先輩を罰するまでとして【退魔呪言突き】を使用して強化効果を打ち消します。
相手の忌避すべき点を真似てはダメです。それでは自分まで嫌いになってしまう。
●
仮面シックスは当初より動きを鈍らせつつも、なお、拳を振り回す。
彼の前に立つのは、木の杖を中段に構える春霞・遙。
遙は一歩後退し、殴りかかってくるシックスの腕を杖で捌く。
そのまま、くるりと杖を回転させ、柄を敵の足にひっかけ、シックスを転ばせる。
シックスは「おのれ、悪の手先めっ」憤怒しつつ立ち上がる。その体が唐突に光りだした。
己を強化しようとしている――狙いに気づいた遙は、杖を今まで以上に強く握り、
「長き刹那の無力を糧に。生者を屍に、祝福を呪いに、強者は地に臥せよ」
凝縮された念を杖先に込めた。放つは【退魔呪言突き】!
突きは敵の胸元にあたり、シックスを強化する光を消した。地に両膝をつくシックス。
「があ……うあ……負けない、せいぎの、ため、破壊、殺戮」
うわ言のように言いながら立つ彼へ、遙はゆっくり首を左右した。
「相手の忌避すべき点を真似てはダメです。それでは自分まで嫌いになってしまう」
言葉を聞きシックスの呻き声が止まった。遙は続ける。優しくかつ一音一音に意思をこめて。
「この世の中、案外と根っからの悪人も根っからの善人もいないものです。なので当時の優しかった先輩に憧れていたご自分まで否定しなくていいんですよ」
シックスが気圧されたように、一歩、二歩と後退。
「だ、黙れっ」シックスは再び構えるが、腕が微かに震えている。
(言葉が二宮さんに届いてる……!)
シックスの中で二宮がUDCに抗っている、今のうちに救わないと。遙の茶色の瞳には確固たる信念。
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
アドリブ共闘了承
…………ああ
楽しい楽しい人間狩りですか
…何もかも気に入らない
…説得は他の猟兵に任せます
僕は唯…正義の味方とやらの相手をしましょう
【医術・情報収集】で仮面シックスの動きを見据え攻撃の癖や動作を把握
よう正義の味方さん
僕は盗みも恐喝もやりましたし女の子を痛めつけもしたクソ外道ですよ
つまり悪党って奴です
だからまぁ…掛かってこい(へらり
【武器受け】で致命を避けながらも喰らい続け
なぁ…教えてくださいよ
正義ってなんです?
自分の理想じゃなくなったらそいつはしぬしかないんですか
今お前は…「正義の名の下に殺す事が赦されて」楽しいですか?
UC起動
【捕食】で喰らい付き
…唯理想を押し付けてませんか?
波狼・拓哉
相手のこと全て理解するなんて無理ですからね
けど、相手を理解するには信じるしかないのです
信じるからこそ本当の自分を見せてくれるものですからね
その上で相手に自分の価値観…憧れを押し付けるってのは駄目でしょう?
憧れは理解から最も遠い感情っていいますからね
本当に止めたいのなら昔に戻ってではなく殴ってでもその行動は間違えだ、と言葉にすべきですよ
衝撃波込めた弾で幻影事撃ち貫く
そうですね悪党なんでそちらの正義とは別の正義でぶん殴りますね!の精神で気にせずいきましょう
んじゃ化け燻しな、ミミック
その偽りの仮面を削り削いでやってくださいな
あ、幻影は全部削っていいけど二宮さんは削んなよ?
(アドリブ絡み歓迎)
●
「よう、正義の味方さん」
カシム・ディーンは仮面シックスの前で自分の胸を指し
「僕は盗みも恐喝もやりましたし女の子を傷めつけもしたクソ外道ですよ。つまり悪党って奴です。だからまぁ……」
へらり、薄い笑みを浮かべ、軽薄な声でまくしたて、
「掛かってこい」
カシムの口元はあくまで笑みの形まま。だが目に浮かぶのは、別種の感情。
シックスは傷つき、猟兵たちの言葉で動揺していた。それでも、カシムに誘われシックスは動く。
幻の市民たちが現れ、カシムを囲む。レンガを手にカシムを殴ってくる。
カシムはレンガを避けない。体をずらし致命傷のみ避けつつ、攻撃を喰らい続ける。
打撲の痕を肌に浮かべながらも、カシムはシックスに、なぁ、と言葉を放つ。
「教えてくださいよ。正義ってなんです? 自分の理想じゃなくなったらそいつは死ぬしかないんですか?」
笑みを濃くし、カシムは言葉を紡ぐ。
「今お前は……『正義の名のもとに殺す事が許されて』楽しいですか?」
市民の動きが止まった。市民を操るシックスが動揺しているのだ。
波狼・拓哉はシックスたちが止まったのを緑の瞳で確認。すかさずMODELtypeβ・γ バレッフ&ノットを発砲。
弾丸は市民たちの足元に命中。衝撃が発生、市民たち多数を吹き飛ばす。
拓哉は二度三度と弾丸を放ち、衝撃波で市民たちを襲う。そしてシックスに語り掛けた。
「二宮さんは先輩さんを信じていた……それはわかりますよ。相手の全てを理解するのは無理ですからね。それでも相手を理解するには信じるしかないのです」
シックス内の二宮に考えさせるようにゆっくりとした口調で。
「その上で、相手に自分の価値観、理想……憧れを押し付けるってのは駄目でしょう?」
そして今度はきっぱり告げる。
「本当に止めたいなら昔に戻ってではなく、殴ってでも『その行動は間違えだ』、と口にすべきですよ」
拓哉が言い終えて数秒、シックスは頭を押さえだした。
「お、俺は、俺は、間違ってた、違う、違わない、俺は……」支離滅裂な声。拓哉とカシムの言葉が、シックス内の二宮の、人としての心を刺激し、UDCの本能と戦わせているのだ。
「言うべきことは言いましたし……んじゃ化け燻しな、ミミック……! 偽りの仮面を削いでやってくださいな。あ、二宮さんは削んなよ?」
拓哉は【偽正・銀靄削剥】にて箱型生命体を召喚。
生命体は煙に変化、市民たちの幻へ纏わりついた。煙は幻たちを削り取っていく。
市民たちの陣形が完全に崩れたのを見、カシムはシックスへと駆けた。
シックスは慌てて召喚を解除し、市民たちを消し、自身に力を戻した。防御姿勢を取ろうとするが、動きは鈍い。カシムは素早く間合いを詰め、
「万物の根源よ…帝竜眼よ…闘争の狂気と極限の理性を秘めし竜の力を此処に示せ…!」
【帝竜眼「ベルセルクドラゴン」】を発動、全身をオーラが覆い、そのオーラが狂える竜の形へ
「……唯理想を押し付けていませんか?」
囁くようなカシムの問いと同時、竜のオーラが動く。オーラがシックスの肩に喰らいつき、生命力を奪い取る!
シックスはなお立っている。が、傷口からは血をたらし、口からは荒い息。拓哉とカシムが敵を大きく消耗させた。シックスの中の二宮を助けるまで、後少し!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
……春霞センセ。
この後の二宮さんの応急手当、頼むわ。
どうやら、「殴って分からせる」のが一番良さそうだからね……!
二宮さん、アンタのその気持ち、自分でけりを付けようとする気持ちはわかる。
けどな、その力には頼っちゃいけねぇ。
その力は破滅にしか向かわねぇ。
ダチの二の舞になんて、させる訳にゃいかねぇんだよ!
乗ってきたカブを身に纏い、【人機一体】状態に。
そのまま超高速での『グラップル』による格闘戦を仕掛けるよ。
そうしてお互いヒートアップして、最高速まで上り詰め。
お互いの意地と思いを込めた蹴りをぶつけ合う!
二宮さん、アンタのキックでこの【黄昏砕く脚】を
受け止めきれるかい!?
●
「この後の二宮さんの応急手当、頼むわ。『殴って分からせる』のが、一番よさそうだからね……!」
数宮・多喜は仲間に声をかけると、カブから降りシックスの前へ。
「二宮さん、アンタのその気持ち、自分でけりをつけようとする気持ちはわかる。けどな、その力には頼っちゃいけねぇ。その力は破滅にしか向かわねぇ」
相手に共感を示したうえで、強く警告する多喜。
仮面シックスは既に満身創痍。多喜の言に「うぐ……」苦し気に呻きながらも、戦闘の構えを取り続ける。
「なら全力で行くだけだ。エンジン、サイキック、全開……超・変・身!」
多喜はカブを変形させ装着、人機一体の姿に。
多喜は右拳を突き出した。しかし拳はシックスの肘に弾かれる。ならと、多喜は左ストレートを叩き込む。それが防御されれば、止まらずさらに次の一撃を放つ!
攻撃するたび多喜はスピードをあげる。敵がその速度に対応すれば、さらに加速! 常人には見えぬ速度で攻防!
(ダチの二の舞いなんて、させる訳にゃいかないんだよ!)
多喜は己に檄を飛ばし、なお加速ッ。
攻防の中、シックスと多喜の距離が開いた。向き合い視線をぶつけ合う二人。
多喜とシックスはほぼ同時に、互いへと跳躍。空中で縮まる二人の距離。
「二宮さん、アンタにこの【黄昏砕く脚】を受け止めきれるかい!?」
「オオオオ!」
二人はともに蹴りを繰り出した。ぶつかり合う足裏同士!
――多喜の蹴りの威力が敵の蹴りを凌駕。多喜の蹴りはシックスを弾き飛ばし、墜落させる!
シックスは地面に激突し、意識を失った。その姿がUDCのそれから人のものに戻っていく。
着地した多喜は彼が人間に戻ったこと、大きな傷がないのを確認。多喜たちは二宮を救えたのだ。
多喜は彼を安全な場所に移動させ、仲間に応急処置を頼んだ。
多喜はしばらく二宮を見ていたが、ゆっくりと顔を上げ、
「……さて、二宮さんをあんなにした元凶に会いにいかないとね……」
拳を痛いほど強く握りしめ、移動の準備を始める。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 日常
『人間の屑に制裁を』
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POW : 殺さない範囲で、ボコボコに殴って、心を折る
SPD : 証拠を集めて警察に逮捕させるなど、社会的な制裁を受けさせる
WIZ : 事件の被害者と同じ苦痛を味合わせる事で、被害者の痛みを理解させ、再犯を防ぐ
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
しばらく時間が経過し。
夜の街を歩く無精ひげの男が一人。
「けっ……二宮の野郎たいした金をもってやがらねぇ……たく、二宮つかえねぇなあ。もう十発ぐらい殴っておきゃあよかったか」
それはかつて二宮から慕われ、そして堕落し二宮を裏切った男。男は呟く。
「あー。もう一人くらいどっかの馬鹿を捕まえて、殴って小遣い稼ぎでもすっかなー」
聞くに堪えない独り言をつぶやく男を、猟兵たちは離れた地点から観察していた。
この男を放置しておけば、被害にあう人間、苦しむ人間は増えるはずだ。二宮のようなUDC-HUMANだって現れるかもしれない。
その前にこの男を止めよう。
暴力で心を折ってもいい。トラウマに残るような恐怖を与えてもいい。犯罪の証拠を記録し、警察に逮捕させるなど社会的な罰を与えてもいい。
殺さない範囲で制裁を与えるべく、猟兵たちは行動を開始する。
ヴィクター・グレイン
背後から音もなく近づき
「おい。」
と声を掛け首を掴んで路地裏に連れて行く。
地面に叩きつけ、上に跨り死なない程度に殴り続けた。
更に逃げない様に手足を折り、体をロープで縛って警察署の前に放置。
男のそばにメッセージカードを置く。
"罪人を罰せよ"
帰り道で。
「さて…、書き記しておくか。」
懐から日記を取り出し今回の事件について書き記していく。
「(本当ならこの手で始末してやるんだが…、まだ人は殺してないからな。ギリギリ人間判定ってとこだな。)」
日記を懐にしまい、帰還する。
●
ヴィクター・グレインは変わらず黒を纏った姿のまま、足音を完全に消し、目標とする『男』の背後に近づいた。ヴィクターは男を低い声で呼ぶ。
「おい」
「ん?」と、男は振り向く。ヴィクターはすかさずその男の首を片手で掴んだ。声を出せぬよう指で喉を締めながら、男の体を引きずる。
男はもがくが、ヴィクターは構わず路地裏まで連れ込んだ。男の足を払い、背を地に叩きつける。
「ぎゃっ」
悲鳴を上げる男にヴィクターはまたがり、顔面に右拳を振り落とす。
「てめえ、何をし……」
今度は左拳で男の抗議を遮った。
「こ、この……」
男はまだ声を上げようとする。その顔に、さらにヴィクターの拳がめり込む。
ヴィクターは男を殴る。無表情かつ無言で、ひたすらに、徹底的に、殴り続ける!
死なせず、意識を失うことなど許さず、痛みを体と精神に刻み付けるように。
打撃の音が路地裏の壁に反響。
やがて男の口から呻き声しか洩れなくなり。
ヴィクターは殴る動きを止め、痙攣したように震える男の顔と、己の手と見比べた。黒革手袋には血。男の顔には、ヴィクターの打撃の痕。
(本当ならこの手で始末してやるんだが……まだ人は殺していないからな。ギリギリ人間判定ってとこだな)
このまま手足を折り、警察署に運ぶ予定だったが、他にこの男に『対処』しようしている猟兵がいる。
(なら後は仲間に任せて……顛末を日記に記すとしよう)
縛り上げるためのロープと『罪人を罰せよ』と記したカードを、必要なら使ってくれと仲間に渡し、ヴィクターは男から距離をとった。
大成功
🔵🔵🔵
春霞・遙
手当は不要のようですが、UDCなどになって問題ないのかザッと診ておきます。
UDCの協力を得て、元先輩の悪事や弱みを洗いざらい情報収集
また、二宮さん及びその家族や関係者を目立たないところから護衛するよう依頼
元先輩に接触し過去に優しかったという話を訴え、悪いことをやめるよう説得します。
暴力に訴えてくるならクイックドロウで目の前に銃口突きつけて いつか痛い目みますよ と諭します。
逃げられたら目立たないよう追跡し、『お友達ともども、悪いことをするなら相応の覚悟を以て行ってください』と、悪事を働こうとする度に弱みや悪事の証拠写真を添えたお手紙や、足元に牽制射撃を降らせます。
精神的に追い詰めるまで何度でも
サヤネ・コルネージュ
アドリブ・連携歓迎
イッヒッヒ。あれが件の先輩ねえ。
……ま、あたいがやるまでもねえだろ。正義の執行は旦那方にお任せしますかねえ。
あたいはUCを使って、人でこの場を封鎖するよ。
猟兵の先輩方がボコボコにしてる所をずっと見ててやる。
助けを求められても、ずっと笑顔で見ててやるよ。
痛いよなぁ。この人たち容赦ねえからなあ。
でも、あたいお前らと同じような悪党だからさ。
安全な場所から虐げられる弱い奴見るの楽しいのよ。
てことであんたの金はあたいが貰う。
最後に二宮に奪った金を返す。同じようにして奪った金だ。いらないなら貰うけど?
●
サヤネ・コルネージュは仲間が男を殴る間、【紅に染まった海賊団】を召喚。海賊たちの数を活かして、周辺の見張りと封鎖を行わせていた。余人が巻き込まれる危険はないだろう。
そしてサヤネは路地裏に倒れる男に近づく。仲間に何発も殴られ、無様に大の字になった男の姿を、サヤネはまじまじと観察。
「いやあ、ずいぶんと顔を腫らして。痛かったよなぁ。あの人も容赦ねぇからなあ」
その声を聴き。男は体を起こす。
「な、な、なんなんだよ。て、てめぇら」
顔を腫らしながらも抗議の声を上げる男に、サヤネは、にんまりと笑う。
「あたいはお前らと同じような悪党さ。だからさ、虐げられる弱い奴見るのが楽しいのよ」
そこまで言い、イッヒッヒ、と甲高い声を上げる。
「それにしてもまだ懲りてないみたいだねえ。その方があたいが楽しめるからいいけどね……じゃ、後の正義執行は姐さんにお任せしますかねえ」
眼帯をしていない右目を仲間に向けるサヤネ。
春霞・遙はサヤネの側にいた。遥はサヤネに頷くと、立ち上がる男の瞳を凛と見つめる。
「何かを傷つけてばかりの生き方は、改めた方がいいですよ」
と声をかけた。
「以前のあなたは、積極的に……」
「だ、黙れ、こ、殺すううっ!」
男が怒鳴り声で、遙の言葉を遮った。怯えつつも虚勢を張っているのだ。
遥は表情を消し、拳銃を男の顔に突き付けた。
「もう分かってますよね? そのままだと、いつか痛い目を見ますよ」
「ヒィィィ!」男は悲鳴をあげ、遙に背を向け逃げだす。
男は足を縺れさせつつも数十分間走り、雑居ビルの裏側で立ち止まる。逃げ切れたと思ったか。
「な、なんなんだよぉ」八つ当たりで恐怖を紛らわせんと、近くのゴミ箱を蹴ろうとした。
遙は男を追跡し、今は離れた場所から男を見ていた。遥の手にはスナイパーライフㇽ。
男がごみ箱を蹴った直後、遙は発砲。男の足元に穴を開けた。
男は目を限界まで見開き、今度は悲鳴すらあげず、死に物狂いで走る。
遙は男の自宅を事前に調べ上げていた。自宅前に先回りし、集めておいた男の犯罪の証拠写真を扉の前に置く。『お友達ともども、悪いことをするなら相応の覚悟を以て行ってください』と書いた手紙も添えて。
そして物陰で待機。
やがて男は息も絶え絶えに帰ってきた。家に入ろうとし、遙が置いた写真に気づく。
「――!」
男は追われ続ける恐怖に耐えれず、失神。
男を観察していた遙は、
「暫く追跡は続けますが……恐らく今ので心を折りましたね。もう悪事を働く余裕はないでしょう」
ふぅ、と息を吐いた。
遙と同じく物陰にいたサヤネは、意識を失った男のそばへ歩み寄る。
「随分いい見世物だったぜ? 間近で見れなかったのが残念なくらい……っても聞こえてねえか」
しゃがみ込み、相手の懐に手を差し入れ、
「てことであんたの金はあたいが貰う」
財布の中身を慣れた手つきで抜き取る。
サヤネは歩き出す。その足は二宮の家を目指していた。金を元の持ち主に返そうと。
「ま、いらないって言われたらあたいが貰うけど」
等と嘯きながら。
その後。
目を覚ました男は、半狂乱で警察に駆けこみ、保護を訴え、また謝罪と罪の自白を行う。
猟兵たちは二宮を助け、また二宮をUDCと化すほど追い込んだ男に、痛みと恐怖を教えこむことに成功したのだ。成果を手に、猟兵たちは帰路につく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵