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プラスチックガール

#UDCアース #【Q】 #UDC-P

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●予知
 長蛇の列が出来ていた。
 斜陽産業と言われて久しい遊戯施設。ゲームセンター。其処に生じた珍しい光景の原因は、当該店舗でのみ行われるという新作ゲームのロケーションテスト。
 美麗な画面の中では、1/12スケールの人型可動フィギュアをモチーフにしたキャラクターたちが、様々な武器を手に激しい戦いを繰り広げている。
 その爽快なハイスピードバトルと、操作キャラクターの外見や性能を自分好みに改造・育成出来るカスタマイズ性、何より先述の通り、此処でしか試遊できないという状況が相まって、行列は延びる一方であった。

 盛況ぶりを喜ばない理由はないだろう。
 事務室のモニターで様子を窺う背広姿の男は、くっくっくと声をひそめて笑う。
 もっとも、彼が上機嫌なのは、ゲームの売れ行きを想像したからではない。
 必要なのは経済的利益などでなく、初見のゲームさえも難なくこなす優秀なプレイヤーの操作記録。
 その収集完了を以て、計画は最終段階へと移るのだ。信奉する邪神教団が開発した小型玩具による世界征服。荒唐無稽としか思えないそれは、しかし確実に実現へと近づいている。

 ――恐ろしい。
 微かに笑う男の傍ら。簡素なスチールラックにずらりと並ぶ群れの中で、彼女は避けがたい未来を想起しながら怯えていた。
 己が右手に携える銃。ゲームと同じ大きさのそれは、本当に人を殺す。
 その事実を知った瞬間、彼女は真っ黒な怪物の群れの中に在ってただ一つ、邪悪を拒む白と化していたのだ。

●詳説
「UDC-Pの保護、及び邪教の計画阻止が今回の依頼です」
 テュティエティス・イルニスティアは、保護対象と同寸のプラモデルを胸ポケットから取り出して言った。
「人を殺さず、悪事に染まらず。破壊の意志を持たない異常存在、UDC-P。その発生原因は不明ですが、それも彼らを保護、調査することでいずれ分かるかもしれません」
 そして、その存在を脇に置いたとしても、邪教の企ては防がなければならない。
 語り手はプラモデルをしまうと、代わりに現場周辺の地図を広げて見せる。

 行き先は東京都区部の一角に在るゲームセンター。
 その所有者である邪教徒が、何を企み、何を行っているのかは予知で示された通りだ。
「まずは邪教徒を縛り上げ、その後に敵兵器を排除してUDC-Pを保護しましょう。対象は敵兵器と同じ姿形をしていますが、皆さんならば一目見るだけで、その存在を確かめることが出来るはずです」
 無事に保護できたなら、UDC-PはUDC組織へと引き渡す事になるのだが――。
「その前に、皆さんで保護個体の取扱説明書を作成してください」
 どれほど友好的であったとしても、それがUDCであることには違いない。
 何らかの有害な性質を持ち合わせているかもしれないし、組織の職員が有する常識で接した結果、思わぬ事故などを起こす危険性もある。
「UDC-Pが人の道に悖るような扱い方をされないように、との意味合いもあります。可能な限り正確で良質な資料を作成し、役立ててもらえるようにしましょう」


天枷由良
●1章:プレイデータの悪用を阻止せよ
 ゲームセンターに赴き、邪教の企みを妨害します。

●2章:邪神プラモ『ヴァイスシュヴァルツ』(集団戦)
 UDC-Pを守りつつ、襲い来る敵を撃破します。

●3章:UDC-P対処マニュアル作成
 保護した個体をUDC組織へ引き渡す前に、対応マニュアルを作ります。

 よろしければマスターページ等もご確認ください。
 ご参加、お待ちしております。
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第1章 冒険 『プレイデータの悪用を阻止せよ』

POW   :    ゲームセンターを片端から周り、敵のデータ採取現場を押さえる

SPD   :    ゲームをプレイして高ランクを獲得し、自分のデータを採取する所を狙う

WIZ   :    高ランクプレイヤーを探して張り、そのデータを採取する所を狙う

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 厚い雲が空を覆っている。
 不穏で、不快だ。七月の東京らしい。
 にも関わらず、長い列を作る人々は賑やかで、楽しげ。
 新作ゲームを一足先に遊ぶということが、彼らにとってどれほどの価値であるか、よく分かる。

「試遊をご希望の方は列に並んでくださーい」

 看板を掲げながら、ゲームセンターの店員が声を掛けていた。
 その脇では、列に並ぶ人々へとタブレット端末が手渡されている。
 使用するキャラクターを予め作成しておく事で、待ち時間を減らしているらしい。
 頭部に、左右の腕部と脚部――基本的な5つのパーツに加えて、武器や防具、背部装備。1/12スケールの人型可動フィギュアという大枠に収まるのであれば、恐ろしい数のパーツの組み合わせ次第で、ありとあらゆるキャラクターを作り出せるようだ。
 無論、男女どちらでも作成可能で、髪色などの細かなデザインも自由自在。
 そうして作り上げたキャラクターデータで行われるのは、4人から8人程度の多人数対戦。
 廃工場や円形闘技場の他、キャラクターのサイズ感を際立たせるような場所――学習机の上や、製作中のジオラマなどを舞台に、目まぐるしい戦いを繰り広げている。その勝敗は、撃破や被撃破で増減するスコアによって決定されるようだ。

「試遊をご希望の方は列に並んでくださーい」

 もう何度放ったか分からない台詞を、店員が律儀に繰り返している。
 その誘いに応じて、行列に並ぶのも良いだろう。ゲームでハイスコアを叩き出せば、さらなるデータ収集の為に邪教徒の方から接触を求めてくるかもしれない。
 或いは、ゲームなどに目もくれず敵を探すべきだろうか。
 しかし、此処は敵地だ。一大イベントを余所に、こそこそと探るような動きをしていては、敵に感づかれるかもしれないが――。

============================
プレイング送信は『7/9の8:30~』でお願いします。
POW等の行動例は、あまり気にしすぎないで大丈夫です。
============================
影守・吾聞
新作ゲーム、これはやらなきゃだね
邪教徒を釣り出す為にも
ハイスコア狙いで本気でいくよ!

キャラメイクは俺自身に似せた方が操作し易いかな
外見もそうだけど
武器は愛用の魔法剣に似たやつ選んで
機動力・スピード重視で…っと

他のプレイヤーさんとも話す時間あると嬉しいな
交流したいってのも勿論だけど
どんなキャラや武器の使い手が多いか
こういうゲーム慣れしてる人はいるか
『情報収集』しときたいからね

元気に挨拶して、いざ対戦開始!
【ゲーマーの勘】で相手の行動予測・回避
からの
『ダッシュ』で間合いを調整
『早業』で攻撃を繰り出して『部位破壊』だ!

邪教徒には大人しく付いて行って
『先制攻撃』して眠ってもらおっと

※連携、アドリブOK


荒珠・檬果
……ロケテに並んでたら、猟兵仕事になってしまいました。邪教はどこにでもいるんですね。
いいんです。これからすることが、仕事の一部になるんですから…!!
それに、UDC-P案件と聞いては、シャーマンズゴーストな私は黙っていられませんから!

てなわけで、高ランク目指してプレイ。
しばらく他の方のプレイを見てたのである程度わかりますが、実際にプレイしてみないと。

(いろいろ弄ったり動かしたり。最初は攻撃を数発もらう)
理解しました。私はとにかくスピード・一撃重視のやつになりました。
ヒット&アウェイで戦うんですよね、これ。
自分の間合い(薙刀)をよく知り、相手の間合いも知る。それがこの先方をいかす道!


オーレン・ルベライト
メイキングに時間がかかる…キャラゲーあるあるだね!
しかし僕は僕という美を知っているから即決なのだよ

僕を小馬鹿にする者はよく居る、美少年ゆえの存在感(装備在)やむなし
その空気で邪教徒も一目するだろう
けれど、ここはゲームの腕が物を言う
待機中はプレイ画面から挙動のくせやパターンを学習するよ
(…ライト勢が舐めるなよー?(半ギレ

僕の前の人が始めるか、僕が席に着く直後にワルメ発動で僕が干渉しやすい状況にしたいね!
電脳魔術で当たり判定を小さくするとか
そして学習したパターン、ゲーマーの勘(第六感)で動きを読み(読心術)つつ勝たせてもらう
瞬殺できればデータもとれないしね!

ゲームを悪用する者を僕は許さないぞーぅ!


ユーシア・ロクス
※UCで出したユーシア(2P)と一緒

(目をキラキラさせている)
『ちょっとわたし(1P)、お仕事忘れてないっすー?』
大丈夫ですよわたし(2P)!
わたしが遊んで、付き添いの振りしたわたし(2P)が邪教徒を探す
そしてどっちかのわたしが邪教徒を見つけて確保!
かんぺきです!
『(大丈夫っすかねー……)』

数分後

うぅ……負けちゃいました……楽しかったけど
……あれ?わたし(2P)は?

『やっと完成したアルミィ先生(好きゲームのキャラ)再現!さあ暴れるっすよ~!!』
自分の役割忘れてる――!!しかもわたしより強いー!?

※「わたし」は()無しは自分を、(〇P)付きは相手を指します。
※アドリブ他歓迎。よろしくお願いします



 アーケードゲームに興じていたら力を得てしまったくらいだ。
 参加しようとしていたロケテが、偶然にも邪教の罠だった程度で驚きはしない。
 ましてや、それがUDC-Pに関わるものだと聞けば、かつてその単語が指し示す唯一の種族であったシャーマンズゴーストとしては黙っていられない。解決に力を惜しむことはない。
 ないが、しかし。
「……こんなところにも潜んでいるものなんですねえ」
 事情を知った荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)は、呆気に取られたような呟きを零した。

 それに四人が頷く。キマイラのゲーマー少年、影守・吾聞(先を読む獣・f00374)。銀河系美少年(自称)ゲーマーのオーレン・ルベライト(銀河系美少年・f15476)。ゲームから生まれたユーシア・ロクス(まっさらゆうしゃ・f26126)と――彼女に瓜二つの、云わば2Pカラーなユーシア。
 彼らは導かれるように列へと並び、偶然にも一塊となって試遊の順番を待っていた。
 その理由は明白。
「僕の美しさが同志諸君を惹きつけてしまったんだね」
 ピンクトルマリンの髪を撫でながら戯言を宣うオーレンは脇に置くとして。
 改めて理由を述べれば――ずばり彼らの共通点は“バトルゲーマー”の素養。
 電脳世界の決闘者たちは惹かれ合う運命なのだ。きっと。

 さておき、邪教の影がちらついていたとしても、ゲームはゲーム。
 キャラクタークリエイト用のタブレットを手にした途端、彼らは皆一様に目を輝かせて作業に取り掛かった。
 パーツ一覧だとか、性能を示す細かなパラメータだとか、そうしたものを眺めるだけでも心躍り、血が騒ぐ。ゲーマーとは悉く業の深い生き物である。
「こんなに多いと目移りしちゃいます……!」
「キャラメイクは魔境だよね」
 タップする度に髪型が変わるキャラクター素体を見つめてユーシアが言えば、吾聞も視線をタブレットに落としたままで肯定する。放っておけば丸一日掛けても理想を追求しそうだ。
(「ちょっとわたし、お仕事忘れてないっすー?」)
(「大丈夫ですよ、わたし! わたしが遊んで、わたしが探す。そして、どっちかのわたしが捕まえる! 作戦はかんぺきです!」)
 2Pなユーシアに小声で釘を刺されても、ユーシアは自信満々に胸を張るばかり。
(「大丈夫っすかねー……」)
 他にも猟兵が居るとはいえ、わたしに対するわたしの不安は募る一方だ。
 それを見やったオーレンが、おもむろに口を開く。
「わかる。わかるとも。メイキングに時間がかかる……キャラゲーあるあるだね!」
 いや、そこじゃないんだけれども。
 2Pユーシアの無言の否定に、オーレンは気付かぬまま何度か頷いて。
「しかし!」
 大仰な手振りと共に言い放つと。
「――僕は僕という美を知っているから即決なのだよ!」
 2Pユーシアの心配を解決するどころか、さらに悩みを深くさせるような台詞を吐いてタブレットをひけらかす。
 其処には言葉の通り、限りなく再現されたオーレンの姿があった。
 その尊大な振る舞いを小馬鹿にするような言葉は今までにも散々浴びせられてきただろうが、それも超絶美少年オーラを纏う者の運命<さだめ>であるから已む無しと考えるオーレンには、どんな罵詈雑言とて耐える自信がある(耐えられるとは言っていない)
 故に、態度とは裏腹にちょっぴり身構えた銀河系美少年ゲーマーであったが――。
「なるほど」
「そうか。そういうのもありだよね」
 じっと、タブレットに映るキャラクターを眺めた檬果と吾聞が溢したのは、そんな呟き。
「あり――いや、これしかないのだよ!」
 なぜなら僕は僕という美を以下略。
 オーレンは此処ぞとばかりに崇め奉っても良しとふんぞり返って自キャラの性能<みりょく>を語りだし、そんな彼を全く顧みることなく、檬果と吾聞は再びキャラメイクに没頭し始めた。

 そうして作ったキャラクターの細部にまで拘っていると、蒸し暑さも待機列の長さもすっかり忘れてしまうもの。
 納得行くものが出来上がった頃には試遊の順番が回ってきて、四人はそれぞれ筐体につく。
「僕の美しさの前に頭を垂れるなら今のうちだよ?」
「冗談。本気でいくよ!」
「ええ。やるからには高ランク目指していきますよ」
「わたしも負けませんよ!」
 尊大なオーレンに吾聞が不敵な笑みで返して、淡々と己のペースを保つ檬果に闘志十分なユーシアが言葉を重ねて。
 ゲームスタート。
 ランダムセレクトで決定された戦場――荒廃した街並みの間を、各々のキャラクターが走り抜けていく。

 その移動一つにしても、本格的な戦いが始まる前の貴重な動作確認の時間だ。
 吾聞は自らに似せたキャラクターの反応を確かめつつ、敵の姿を探す。
 程なく現れたのは、どの猟兵仲間のものでもないキャラクター。一気に間合いを詰めて剣を振るえば、機先を制した一撃は敵の片腕を斬り飛ばす。
 すかさずもう一太刀――と見せかけて、サイドステップで攻撃をキャンセルすれば、敵の銃撃が脇を掠めていった。
 少し離れた筐体から悔しそうな舌打ちが聞こえる。まるで予知していたような回避行動をされては、当然の反応かもしれない。
 だが、それもゲーマーとしての経験値の差だろう。
 初見のゲームとはいえ、触ってみれば類似する作品を思い出す事だって珍しくない。
 ああ、こういうゲームね。なんて理解すれば「こう来るから、こう!」とゲーマーの勘も働く。
 ハイスコア狙いのプレイスタイルらしく容赦ない追撃を浴びせて、早速戦果を上げたバーチャル吾聞は爬虫類を思わせる尾を振り、新たな獲物を求めて更に戦場を駆けていく。

 一方、薙刀を携えた檬果のキャラクターは早くも被弾。数度の攻撃を受けてダウン。
 しかし、檬果には焦りなど一欠片もない。戦闘機の操縦桿のような操作レバーの感触や、立ち上がって僅かな無敵時間を獲得した自キャラの攻撃モーション、各種行動の硬直などを確かめて。
「……理解しました」
 そう呟いた途端、檬果の操るキャラクターは明らかに動きの質を変えた。
 広い攻撃範囲を持つ薙刀で牽制しつつ、吾聞に負けず劣らずの機動性で相手の懐に飛び込んで一撃、欲張らずに離脱して、再び攻撃の機会を窺う。
 お手本のようなヒット&アウェイ戦法は、実に手堅く戦果を積み上げていく。

 それとは対照的に、オーレンは戦場で最も華々しい。
(「……ライト勢が舐めるなよー?」)
 こっちは試遊の順番待ちをしている間にも、プレイ画面から1フレームの癖まで把握しようとするガチ勢だ。
 なんて、言葉にして放てばリアルファイトにも発展しかねない程の闘志を燃やして、オーレンは視界に入った相手を悉く屠っていく。
 それは、やはり勘や先読みなどゲーマーとしての経験値が為せる技であり――バレたら出禁必至にも等しい行為の結果でもある。
 ユーベルコード、ワールド・オブ・メンテナンス。
 アルゴリズムへの干渉を可能とするその力で、オーレンは自キャラの当たり判定を狭め、各種能力値を悟られない程度に底上げし、その他ランダムな現象が全て利益となるように都合よく書き換えていく。
(「ゲームを悪用する者を僕は許さないぞーぅ!」)
 どの口でそんな台詞を――と尋ねたくもなるが、オーレンとて幼稚な欲求で細工を施したのではない。
 転用に耐えうるデータを取らせる暇も与えず、ゲームを終わらせてしまえばいいと。彼なりに不埒な邪教徒への対抗策として考えた作戦なのだ。
 ……もっとも、これが正式稼働して日数の経ったゲームなら。たとえ確実な証拠が出なくとも、インターネッツの深海にオーレンの手配書がばらまかれていたに違いない。
 だがしかし、まだ誰にとっても未知の新作ゲームであれば調整ミスやバグなど、他の要因が浮かぶ。
 故にオーレンの無双ぶりは僅か疑われても、糾弾されるような事はなく。
 トップスコアラーを爆走する彼は、必然的に吾聞や檬果の標的となって――。

「――え、あ、ええっ!?」
 ついに激突した三者が、それぞれの最大火力をぶつけようとした刹那。
 マイペースにゲームを楽しんでいたユーシアの操作キャラが、何をどうしたかふらりと爆心地に迷い込み、不幸にも全てを浴びて爆散したところで、戦いは時間切れによる決着を迎えた。

「気落ちすることはないよ。むしろ誇ってほしいな、相手はこの僕だったんだから!」
 オーレンは最早言及するまでもないほどに絶好調。
 惜しくもトップスコアラーの座を逃した吾聞と檬果は、苦笑する他なく。
「うぅ……負けちゃいました……」
 頂点でもなく、どん底でもなく。中位でゲームを終えたユーシアは肩を落として呟くが、その声色はそれなりに満足げであり、楽しげ。
 バトルゲーマーズによる新作ゲームの試遊は、こうして幕を閉じ――。

「……あれ?」
 わたし――もとい、ユーシア(2P)は何処へ?
 というか、それ以外にも何か忘れていないだろうか。
 ユーシアはふと、筐体の方を振り返って。
「……ああー!?」
 声を上げ、ずびしと指差す。其処にはやる気に満ち溢れた表情で試遊に臨む2Pの姿。
「やっと完成したアルミィ先生で、さあ暴れるっすよ~!!」
「……えっ、ええー!? わたしより強いー!?」
 ていうか、自分の役割忘れてるー! 邪教徒! 邪教徒の捜索は! どうしたのわたし! 推しゲーのキャラ再現してる場合じゃないでしょ! てかほんと強いな!
 慌てふためくユーシア。
 だが、その心配も杞憂に終わった。高スコアを叩き出した三人が一組になっているのを邪教徒が見逃すはずもない。
 何だか媚びへつらうような態度で接触してきたそれに、バトルゲーマーズはひとまず応じて、大人しく従い。
 ゲームセンターの奥の奥。ひと気の無くなったところで――そぉいと一撃。
 気を失わせて、その身柄を確保した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

波狼・拓哉
ゲーム…いや、たかがゲームと侮るのはダメだな。プラモデル程度の機体に搭載するパターン構築を収集するには最適だしなぁ

ま、どうせ成果は出させませんけどね。ゲーム素体だけ置いて帰って貰いましょう

と、どうしましょうかね…ゲーム触っといたら後で戦う時の判断にも使えそうです
並んで触ってみましょう

機体はどうしましょうか。なんかロマン型みたいになのないですかね

さて、化け転がせミミックと。これで此方はクリティカル…クリティカル前提になりますので収集されても上手く動かなくはなるでしょう
…少々楽しみが無くなりますが仕方なし
それでも戦闘知識、第六感辺りも使って圧倒的魅せプレイと参りましょう
(アドリブ絡み歓迎)



 小型兵器の稼働に必要なデータ収集。
 それを一般市民の娯楽たるゲームで行うとは、ふざけているようでいて実に巧妙かつ悪質である。
 侮ることは出来ない。ゲームも、邪教徒も。
「……ま、成果は出させませんけどね」
 波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)はタブレットを操作しつつ、ぽつりと呟く。
 キャラクタークリエイト用のそれを渡されて暫く。ざっと目を通しては見たものの、未だに此れというキャラクターの完成には至っていない。
 如何したものか。考える最中にも指は動いて、キャラクターの隣にある六角形が休みなく形を変えていく。
 細分化された幾つものパラメータを元に、攻撃力や防御力、機動性などをざっくりと表しているようだ。
 そして――何度も弄り回している内に、それは正六角形からかけ離れた極端な図形で止まった。
 ずば抜けた攻撃力に対して、正しく紙に等しい防御力。しかし当たらなければどうということはないとでも言わんばかりの機動性。けれども継戦能力と等しいエネルギー量は、操作を誤ればたちまち木偶の坊と化してしまうだろうと予想できるほどに少ない。
 実にピーキーな能力値。だが、使いこなせた時や戦況に合致した瞬間は圧倒的な戦いを見せるだろう。
 そんな性能を一言で言い表すなら――ある種の浪漫。
 ロマンだ。そのロマンに惹きつけられたかのように、拓哉は決定ボタンをタップした。

 かくして。
 ロマン溢れる性能のキャラクターは二次元コードに変換されると、程なく筐体に読み取られて、電脳の戦場へと降り立った。
「さて……」
 戦闘機の操縦桿と似た操作スティックを握り、その横に4つほど並べられた円形のボタンをなぞる。
 ゲームスタートだ。瞬く間に画面上のカウントダウンが減って、拓哉と争う事になった他プレイヤーのキャラクターたちが一斉に動き出す。
 無論、拓哉も適当に操作して乱戦を躱しながら――おもむろに筐体の上へと転がすのは、賽子。
 ミミックが化けたそれは、希望を源として奇跡を起こす。
 1%が100%で手繰り寄せるのだ。そんな運任せで有り得ない操作記録など、たとえ収集されたところで兵器には転用できまい。殆どチートと同義の行為で、些か楽しみは薄れるが致し方なし。
 とはいえ、その力にばかり頼って手抜きをするつもりもない。仮想空間で繰り広げられる無差別戦を生き残るに相応しい戦術を脳内から捻り出しつつ、試遊の順番待ちをするギャラリーが思わず歓声を上げたくなるような絵図を描く。
 魅せるプレイというやつだ。それは観衆のみならず、悪どい企みを巡らせている邪教徒の興味も引いて当然。
 故に――試遊を終えた後、拓哉が声を掛けられるのも必然であった。

 テストプレイヤーの中でも高スコアの方々から忌憚ない意見を伺うべく……などと、甘言のつもりであろう台詞を連ねる邪教徒の誘いに、拓哉は応じて後に従う。
 勿論、言われるがままに働くつもりは毛頭ない。
 新作ゲームの筐体を置き土産として、不届き者は縄に掛かってもらうだけだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジャハル・アルムリフ
師父の持っていた光る板
「たぶれっと」だな、知っているぞ
ええと…げえむ、せんたー…

ふむ…良く分からぬが
力の弱い者も対抗し得る公平な疑似試合
勝負法としては一理ある
たぶん

とりあえず並び
とりあえず参加
周囲の観察を兼ね
成る程、分からぬが
師父と瓜二つの見目にしておこう

――撃破?撃破と言ったか?
おのれ、師父(の姿をしたもの)を
易々と倒されて堪るものか
正しい操作など知るべくもないが
どれかを押すなりすれば良いらしい
持ち前の反射神経、視力と第六感
そういった本能の全力投球

…見世物ではないぞ
こそこそと覗いているのは誰だ

師(の姿)を守り切れねば肩を落とし
やり切れば心なしか意気揚々と
…げえむも、少しは練習しておかねばな



 興奮を隠せない人々の、静かなる熱狂の狭間に涼し気な顔が一つ。
 それはジャハル・アルムリフ(凶星・f00995)と言う名の青年であった。

 日本人の平均身長を軽く上回る長身に、すらりと伸びる手足。黒い肌。
 頭の竜角に違和感は持たれなくとも、その身形は単純に目を引く。
 遅々として進まない待機列に、ぴっと背筋を伸ばして並んでいれば、すれ違う娘子の団体が何やら囁き合いながら投げてきた視線の意味などは言うまでもない。
 もっとも、当の青年はそんな事など気に留めず、顔を僅かに上げて横書きの文字をなぞっていた。
「……ええと……げえむ、せんたー……」

 読めた。読めたぞ師父。
 電飾看板が主張する『GAME CENTER』を見つめて頷く。

 そうして、何度頭を揺らした頃か。
 上げた目線を一向に戻す気配のない青年の腕を、赤と黒のシャツを来た男が軽く叩いた。
「あの、試遊をご希望でしたらこちらを」
「……うむ」
 おずおずと差し出されたものを受け取れば、それはぼんやりと光る薄い板。
 ――たぶれっと。そう、たぶれっとだ。やはり師父が手にしていたのを見たことがある。見たことがあるだけで、仕組みも用途もさっぱりだが。
 しかし、そんなジャハルでも困らないような配慮はされていた。液晶画面の中心に立つデッサン人形もどきを取り囲む様々な操作パネルについて、どの順番にどのような操作をすべきか。それをモアイ像に似た小さなキャラクターが逐一解説してくれている。唯一説明がなかったのは、何故解説役がモアイなのかという部分だけだ。
「……ふむ」
 ジャハルが画面をタップする度に、人形は個性を獲得していく。
 途中、周囲を見やればタブレットを手にした人々は皆々熱心に同じことをしていた。斯様な遊戯に慣れているのか、手付きに迷いがない。そして作り上げられていくのはすらりとした美女剣士、厳しい機械に身を包むクールビューティ、大斧を手にした幼女――。見事なまでに女性キャラクターばかりだ。
(「……そういうものなのか?」)
 暗黙の了解だとかローカルルールだとか、とかく倣うべき礼儀作法の類なのだろうか?
 僅かばかり頭を悩ませる。けれど、ジャハルは画面最上部の隅に残る二択を♂のままにしておいた。
 気付けば、デッサン人形もどきであったものを適切なキャラクターデータにする作業は終わっていたのだ。青い瞳と髪。余裕を感じさせる少し不敵な笑みを湛えて、杖を手に堂々と立つ。それは正しく――ミニ師父。
 さすがに本物には劣るが、それでも師父っぽさは存分に備えていると言っていいだろう。
 そんなミニ師父が、全身を見せるべく緩やかに回転して背中を向けた時、ジャハルは何気なく画面を突いた。
『ひゃわ!』
 師父に似たミニ師父は、師父に少し似た声で、けれど師父の吐かないような台詞を吐く。

 その何とも言い難い音を反芻している内に、眼前から人の背中が消えた。
「そちらのお兄さんまでですねー! どうぞー!」
 先程タブレットを渡してくれた人物とは別の店員が声を張りながら手招きしている。
 順番が回ってきたのだ。促されるまま進み、何か魔術的な儀式の台座とさえ思えるほど過度な装飾が施された筐体の前に座れば、タブレット端末はまた新たな店員に回収されて、ミニ師父の代わりに奇怪な文様を映した。
 現世地球の人々には馴染みある二次元コードである。それを筐体の端に読み取らせた途端、美麗な大画面の中にミニ師父が颯爽と舞い降りる。
「……ふむ」
 口を開けば溢すのは相槌じみた音ばかりだが、致し方なし。
 新作アーケードゲームのロケーションテスト、など言う文化は頭の天辺から爪先に至るまで純度100%未知の世界。要するに分からない事ばかり。
 それでもジャハルは考える葦、もとい弟子であるから、これから何をするのかくらいは概ね理解している。
 ミニ師父と共に挑むは擬似戦闘だ。電脳空間で行われるそれは、ゲームそのものへの理解度やキャラメイクの腕、操作の熟練度など技量と努力でのみ競われる。現実的には埋めがたい肉体の差などはなく、一定の公平さを有しているだろう――とは、ジャハルなりの見立て。もしも師父の前で言葉にしていたなら些か突っ込まれたかもしれない。
 だが、今そばに居るのはミニ師父のみ。
「……よし」
 いくぞミニ師父。
 ふっと小さく息吐いて、集中を高めたジャハルは意識を画面に注ぐ。

 敵は七人。 
 正に家を出ずれば七人の敵あり、というやつだ。
 しかし、師父を手本にしたミニ師父の敵ではなかろう。
 大斧振り回す幼女をひらりと躱して、綺羅びやかな魔術を見舞う。彼方から飛んできた光線にも魔術の盾を開いて対処。その間に距離を詰めてくる剣士の姿を見逃すことなく、一旦間合いを取って体勢を立て直す。
「さすがだ、師父」
 その初心者らしからぬ挙動は自らの視力と反射神経、そして第六感によって生み出されているにも関わらず、賞賛の言葉が溢れる――が、束の間。
 不慣れな機械操作にまごついた一瞬の隙を、何処の馬の骨とも知れない輩に突かれた。
「っ、師父!」
 呼びかけ虚しく。ミニ師父、爆散。画面端の数値が減っていく。
「っしゃあ! 撃破ァ!」
 歓喜は筐体の向こうから湧いた。どうやら対面に座すプレイヤーにやられたらしい。
 ゲームとは言え、勝負であるからにはその現実も認めざるを得ないが――しかし。
「……おのれ」
 不甲斐なさを感じると同時に沸々と湧き上がる闘志。
 仮にも師父の姿をしたものを、己の眼前で仕留めるとは、許すまじ。
「二度はないぞ」
 呟き、不意に彼方を見上げれば、其処には此方を覗くレンズが一つ。
 其処から漂う邪な雰囲気を睨み付けつつ、操作スティックを握り直す。
 未だ全てを把握しきれた訳ではないが、それでもある程度掴んだものはある。
 ミニ師父1号の敵討ちだ。ジャハルは新たに出現したミニ師父2号を操り、対面のプレイヤーが操作するキャラクターへと猛攻を仕掛ける――。

 そして暫しの後、ジャハルは本懐を遂げた。
 しかし仇は取っても、ミニ師父1号の爆散は取り消せない。
 仮想空間での戦いそのものも頂点には立てず、ジャハルは何とも複雑な心持ちで筐体を離れる。
「……げえむも、少しは練習しておかねばな」

「――それでしたら」
 是非とももう一度テストプレイを。
 そろりと現れて言った男は、揉み手しつつジャハルを見やる。
 まさか猟兵を口説いているとも、自らの正体が容易く見破られているとも思ってはいないのだろう。
 そんな間抜けが、何故飛び抜けた成績を残した訳でもない自分に声かけたのかだけが、ジャハルにもわからないところであったが――ドがつく初心者であるが為に、型に嵌まらない戦い方でそれなりの結果を出したから、などという理由は、知ろうが知るまいが大差ない。
 まんまと姿を現した邪教徒を、どのタイミングで制圧するか。
 ジャハルは機会を窺いつつ、男の誘いに首肯してみせた。

成功 🔵​🔵​🔴​

富良野・経嗣朗
歪んだプラモエナジーの気配を微かに感じる。ならば『彼ら』が直接的にしろ間接的にしろ関わっている事に違いはあるまい。
VRビルドバトルを用いて邪神ビルダーを見出そうとする野望を砕き……彼の心を得たというプラモを救う為にも尽力せねばな。

ヴァーチャルの存在であろうとそれがプラモであり、フィギュアである以上私の思い描く機体を生み出す事は容易!
見るがいい、私のプラモのこの動き(ブンドドヤッターカッコイイー)を!
これで裏で蠢く者たちの視線を釘付けにするッ!

ゲームの筐体の素材もまたプラスチックが多用されている!
ならば私の自由(ハッキング)に出来ぬ道理は無いッ!
ここぞという局面で貴様達が集めたデータを破壊する!



 富良野・経嗣朗(プラモビルダーキョウシロウ・f13293)には、解る。
 プラモデルだからこそ、解る。
 愛と自由と想像の結晶たるそれに相応しくない、歪んだ“プラモエナジー”の気配を。

 そして、邪悪なプラモエナジー漂う場所には、必ず『彼ら』の干渉があるはずだ。
(「VRビルドバトルを用いて、邪神ビルダーを見出そうとする野望……必ず、私が打ち砕いてみせよう!」)
 ぐっと拳を握り、胸に想うは予知で知らされた同胞の事。
 心を得て、真っ黒な怪物の群れの中で唯一人善良な存在となった彼女を救う為にも、経嗣朗は己の全力を尽くす決意で筐体へと歩み寄る。
 新作であるから、それは当然ながら経嗣朗も初見のゲーム。
 しかし如何なるゲームであっても、大型筐体を構成する大枠の素材はプラスチックだ。
 故に――馴染む。椅子に腰掛け、両手を筐体へと置いただけで自然と理解が進む。
 そも、仮想の存在であれど、それが構築<ビルド>を要するものであれば――。

「私の思い描く機体を生み出す事は容易!」

 待機列で渡されていたタブレット。
 その画面に表示されている二次元コードを筐体の端で読み取らせて、己の化身とも分身とも呼べるものを電脳空間へと降ろせば、それを迎え撃つはロケーションテストに赴く程のゲーマーたちが各々作り上げた自慢のキャラクターたち。
「相手にとって不足なしだッ!」
 片手で戦闘機の操縦桿と似たスティックを握り、もう一方の手は4つのボタンに添える。
 画面上のカウントダウンが――今、0へと変わった。

 刹那、モデラーの作業台を模した戦場のあちこちで激しい戦いが始まる。
 ホビー愛好家なら誰しもが夢見るかもしれない“ぼくのかんがえたさいきょうのきたい”による最強決定戦だ。
 ヴァーチャルブンドドと呼んでもいいだろう。その中で生き残り、最高の戦果を叩き出すには一瞬たりとも油断など出来ない。
 己以外は全て敵。ミニマップを駆使して視界外の相手も見逃さず、着実に敵を討って撃墜スコアを重ねていく。
 システムに対する理解度。集中力。思い描いた機動を実現する為の操作テクニック。
 どれも重要だが、何よりも大切なのは――己を信ずる心!
「私の自由に出来ぬ道理は無いッ!」
 制限時間も残り僅かとなった頃、吼えた経嗣朗の想像力は電子の世界を駆け抜けた。
 それはスコア上で最大のライバルとなっていた敵機を爆発させて――。

「ああっ!?」
 突如響いた声は、経嗣朗の後ろから。
 赤と黒のシャツを着た中年男だ。何やら慌てふためくその男が、ハンカチで汗を拭いながら幾人かのスタッフを引き連れて筐体へと駆け寄れば、激戦を映し出していた大画面は全てブラックアウトしてしまっていた。
 誰がどう見ても、ゲームに異常が発生したのは明白だ。
 もっとも、それがハッキングによるものだとは判るまい。
 そして急ぎ点検と修理に動き出す男たちを余所に筐体を離れれば、経嗣朗は彼方から向けられる視線と――その中に微か交じる、邪悪なプラモエナジーの気配を感じ取った。
(「かかったな……!」)
 邪教の輩に間違いないだろう。
 それが『彼ら』そのものなのか、それとも『彼ら』に使われただけの間抜けなのか。
 締め上げればすぐに判るだろう。
 まさか相手が猟兵だとは露ほども思っていないのか、揉み手しながら近づいてくる邪教徒に、経嗣朗も努めて平静を装いながら接触を図る――。

成功 🔵​🔵​🔴​

霧島・絶奈
◆心情
プレイヤーは羅馬帝國の剣闘士であり観客でもある…
そう考えると面白いですね

◆行動
取り合えず遊んでみましょう

防御重視の構築を基本に脚部に機動力を補うローラーを装着
右手は銃剣付ショットガン、左手にアダガ、背部装備は自律誘導弾ユニット
遠近両用と防御力と機動力のバランスを目指してみました

…さて、一度試遊すれば「上手いプレイヤーの戦い方を研究する」のも不自然ではないでしょう
ええ、そういう名目で【聞き耳】を立て、【目立たない】様に細心の注意を払いつつ探りをいれましょう
尤も、怪しまれない程度に何度か試遊を挟みつつにはなるでしょうけれど…
…まあ、教団がスタッフ側に居なければそう長い時間は掛からないでしょう



 電脳空間に形成された円形闘技場。
 それを覗き込む観客は、同時に羅馬帝國宛らの剣闘士でもある。
 そう考えてみると――人の作り出した遊戯にも不思議な面白さが感じられるようで。
 霧島・絶奈(暗き獣・f20096)は、ふらりと待機列に並び、スタッフからタブレットを受け取った。

 懇切丁寧な解説に従い、作り上げるのは頑強な戦士だ。
 防御力、耐久性を重視した基本部位は重厚なデザイン。その対価として低めに設定された機動性を補うべく、脚部には車輪を取り付ける。
 右腕の主武器は磨き上げられた銃剣付のショットガン。左手の副武器にはアダガ――盾の両端と前方に刃を付けたような、攻防一体の装備。その珍しい装備が収録されているだけでも、キャラメイクが売りの一つだという宣伝には頷ける。
 そして、背部には自立誘導弾を搭載したユニットを着用。
 守りを軸としつつも、遠近問わずの戦闘が可能なオールラウンダー。
 突出した能力値はないからこそ隙がなく、手堅く。
 故に、全ては操手練度<プレイヤースキル>次第。

(「さて……」)
 暫しの間を置いて、ようやく戦場へと辿り着いた絶奈は筐体の大画面を見据える。
 常ならば刃を握る手で掴むは、1本の操縦桿。もう一方には4つのボタン。
 それが絶奈の意思を仮想空間へと伝達する唯一の機器だ。
 創生した戦士に栄光を掴み取らせるには、その操作と仮想戦闘ならではの癖に慣れなければならない。
 当然、実際に操作してみるのが一番だが、自身よりも熟達したプレイヤーたちを研究するのも一つの方策だろう。

 そうして熱心な振りをしていれば、絶奈の姿もゲーマーの群れに溶け込んでいく。
 その中で耳をそばだてると、僅かながらに感じ取れるのは邪教徒の動き。
 時折、店員が客を店の奥へと誘っているのは彼の男からの指示によるものだろうか――と、其方にばかり気を取られてはいられない。
 電脳世界での戦いも疎かには出来ないのだ。猛然と襲い来る敵をアダガで打ち倒し、自立誘導弾を撃ち放ちながら車輪で急速後退していけば、居並ぶプレイヤーの一人から悔しげな声が聞こえてきた。
 悪くない。邪教に利用さえされていなければ、ゲームそのものは極々真っ当な遊戯性の感じられる作品だ。
(「このまま暫く遊んでみましょう」)
 それが最も怪しまれずに事態を進める手段。
 絶奈は尚も眼前に集中しながら、邪教徒の尻尾を掴むべく、静かに意識を研ぎ澄ます。

成功 🔵​🔵​🔴​

電脳導師・アイザック
【電脳の箱庭】
「(さて…始めようか。)」
旅団長が店舗に足を踏み入れた瞬間に懐のスマホから店舗の回線に侵入。
数分もかけずに店舗に仕掛けてある監視カメラを掌握。
「(さてこれで敵さんと会場内の様子が観れるなぁ…、あとはこの映像を記録しつつ旅団長殿のスマホに送りつけといてっと。)」
サーバー管理室にある物を仕掛けて…、何分後ぐらいが良いか……。
15分程度にしておくか。
さぁ、こいつを試すのは初めてだがなんとかなるだろう、ヒヒッ。
「(皆はまだ遊んどるのか……ありゃぁ任務の事忘れてるんじゃなかろうか…?)」
電脳世界でモニターを確認しながら15分経つまで待つ。


アイ・リスパー
【電脳の箱庭】
「わあっ、見て下さい、新作のゲームですよ!
これ、やってみたかったんですっ!」

アイザックさんの入ったスマホを持ったまま、旅団メンバーに声をかけつつ、目を輝かせて列に並びます。
え、任務?
新作ゲームを遊ぶことが私の任務ですっ!(きりっ

「最強の美少女型のキャラクターを作りあげましょう!」

【チューリングの神託機械】で万能コンピュータに接続して最強のパーツの組み合わせをシミュレート。

「さあ皆さん、対戦ですっ!」

旅団メンバーのうちゲームプレイする仲間と対戦します!

……ち、違いますよ?
これも敵の懐に入るための作戦ですっ!

「さて、アイザックさんが何か仕掛けるみたいですが……
発動はまだ後ですかね?」


シャルロット・シフファート
【電脳の箱庭】
「フフフ、実はアイと同じく楽しみにしていたのよね」
と、興味本位とこのゲームでハイスコアを出すことで教団側からの接触を誘発させるのを目的として堅実かつここぞという時の爆発力があるビルドを作る。
「…あ、いつの間にか光学兵器主体のビルドにもなっている…べ、別に目的のビルド通りだからいいけどね…」
と、どっかの光熱集合生命体を頭の片隅に追い出してプイレング。

「…アイ、今回の任務は?」
と、うっかりアイが本末転倒な答えを出したら誰にも悟られないようにお尻を強く抓り上げる。
「邪教団を捕縛すること、よね?」


菫宮・理緒
【電脳の箱庭】

こういう依頼は電脳魔術師としては得意分野!
通信を使ってるならなら潜入もなんとかなるしね。

タブレットは自分のを使ってネットワークに侵入。

試遊チームとはちょっと離れたところから、
野次馬っぽい感じで見学しつつ、
じつは【電脳潜行】で電脳世界に潜り込んで、
情報の流れを把握していこう。

最終的にデータの集まっていくところが、
本拠地の可能性が高いよね。

相手のメインサーバを見つけたら、
内部に侵入して情報をげっとしていくよ。

相手がなにものなのか、どこにいるのか、なにをしたいのか、
ぜーんぶ丸裸にしてあげよう。
アイザックさんとウィンディさんに情報を送って、
作業が全部完了したら、プレイデータは全消去だね。


ウィンディ・アストレイ
【電脳の箱庭】
「小型玩具で世界征服ですか…ダンボールの中で戦うホビーロボットで、
世界を変えようと試みた人がいた作品もありましたが」

「試遊メンバーは、派手にやってしまって下さい。
そちらが目を惹く方が、ボク達もやりやすい筈です」

試遊メンバーと別れ、プレイ画面を眺めている体を装いつつ
【妖精の舞】起動
アイザックさん、理御さんと共に、電子情報戦を開始します
自身は完全な素手でゲーム観戦を装いつつ
効率は劣るが機器操作の必要が無い、思念でのコマンド入力による
複合センサから発する信号波での非接触ハッキングで
建物内のセキュリティに侵入
仲間達と接触する相手の動向等をつぶさに探り
移動するなら、その移動先を追跡します


天星・雲雀
【電脳の箱庭】

「ゲーセンといえば、コスプレ上等!フリルいっぱいの和メイド服で出陣です!」

「アイザックさんも、ゴスロリメイドスキン着てください」

「制空権を奪えるように、変形ロボットタイプで、対地焼炎弾にマシンガン、超重力砲にドッグファイトでも負け知らずの軽量超音速戦闘ロボ!急加速と急停止を繰り返しながら。踊るようにヒット数を稼いで、地形を変えるほどの火力で押しまくりです!」

フリルと、モフモフしっぽをふりふりしつつ、狐耳幼女ゲーマー雲雀ちゃんは、観客の目も集めちゃいます。

「良き対戦相手として御奉仕するこん!」

左目の義眼で、アイザックさんの侵略進行度を確認しながら。

「順調ですね。みんなの累計得点も」



 ――ゲームセンターといえば、ずばり。

「コスプレです!!」
 天星・雲雀(妖狐のシャーマン・f27361)が自信満々に宣う。
 その正誤はさておき。彼女がコスプレしているようにしか見えないのは確か。幾ら大都会東京でも、ふりふりフリル可愛さ過積載の和メイド服を普段着とは言い難い。
「どうですか! アイザックさんもゴスロリメイドスキン着てみませんか!」
「そうじゃのう」
 誘う小悪魔、もとい小狐を煙に巻く台詞が微かに聞こえたが、その声の主は見当たらず。
 しかし、それは――電脳導師・アイザック(電脳世界のバグ・f28407)は確かに居た。
 アイ・リスパー(電脳の天使・f07909)が持つスマートフォンの中だ。

 ノイズ混じりで映るその姿を一瞥した後、アイは自前の情報機器でなく、今しがた貸し出されたタブレット端末をなぞる。
「最強の美少女キャラクターを作りあげましょう!」
 ゲーム、それも新作と聞けば興奮せずにいられない。
 胸は踊るし、瞳は輝く、ついでにちょっと血も吐く。こふっ。
「……って、ちょっとアイ、何してるのよ!」
「てへへ」
「てへへ、じゃないでしょ! まったく、しょうがないわね……」
 お手本のような反応を示した少女――シャルロット・シフファート(ツンデレの国のアリス・f23708)は、やはりお手本のような金髪ドリドリ縦ロールを揺らしつつ、アイの口元を拭った。
 垂涎ものの光景だが、周囲にそれを直視出来るほどの猛者はいない。むしろ横目に見ていたギャラリーの幾らかは「尊い」と呟いて、今にも昇天しそうな面を晒していたけれども――まあ、関係のない話だ。
「それよりゲームですよ、ゲーム!」
 アイがタブレット端末の画面をタップしながら燥ぐ。
「なんか……バランス悪いわね」
「そ、そんなことありませんよ! これが最強の組み合わせなんですから!」
 訝しむシャルロットに、確信を込めて答えるアイ。
 根拠なら有った。“チューリングの神託機械”による演算。それを行うことで、アイは口から溢れた人騒がせな代償と引き換えに、膨大なパーツの中から“最強”を導き出していた。一つ難点があるとすれば、シャルロットの指摘する通り、性能最優先でいまいち外観に纏まりがなくなってしまったことだが。
「シャルロットさんこそ、自分のキャラクターは作れたんですか?」
「……フフフ、当然じゃない!」
 此処ぞとばかりに縦ロールが揺れる。アイと同じく、やはり新作ゲームを前にして冷静ではいられないのだ。
 そして、シャルロットのそれは数値で追い求める“最強”とは違う。
 刮目せよ。テーマはずばり、堅実さと爆発力――!
「なんか……あんまり可愛くないですね」
「い、いいのよこれで!」
 光学兵器ばかり盛り盛りしていたら、可愛げのないものが出来上がっているなぁと自分でも薄々感じてはいた。しかし目的に沿った構築には間違いなく、何よりアイの一言で今更構築し直すのは――戦う前から負けた気がしてならないから、やっぱり「いいのよこれで!」なのだ。

「ふむふむ。二人はそういう感じなんですね」
 すでに騒々しい所に、雲雀が加われば更に姦しく。
 自分のも見てください――と、其処から始まった長尺の講釈を端的に纏めれば、雲雀のビルドテーマは可変式超音速軽量ロボ。
 格闘戦<ドッグファイト>もこなす飛行形態で制空権を奪い取り、圧倒的な機動力で戦場を踊るように蹂躙し、対地焼炎弾にマシンガンに超重力砲と地形さえ変えるほどの火力を叩きつける。正しく、ドヤるに申し分ない圧巻の構成。
「どうでしょう!」
「いいと思います! 戦うのが楽しみですね!」
「……それはいいけど。アイ、今回の任務は?」
「新作ゲームを遊ぶことが私の任務ですっ! ……あっ」
 違う、と訂正する暇もなし。
(「邪教徒を捕縛すること、よね?」)
 気迫溢れる微笑みと共に囁き、シャルロットが他者から悟られぬ程度の密やかな動きで尻を抓り上げる。
 待機列に響いた悲鳴は、暫しの間ゲームよりもギャラリーの視線を集めた。

「何やってるのかな……」
 菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)が呆れ気味に呟けば、ウィンディ・アストレイ(W-ASTRAY・f09020)は涼し気な顔で聞き流す。
 どうせろくでもない事で、大した事ではない。
 ましてや、今は作戦遂行の為に別れた状態。素知らぬ顔をしておくべきだろう。
(「……小型玩具で世界征服ですか」)
 じっと、人混みから離れたところでロケーションテストの様子を窺いつつ、ウィンディがふと思い起こすのは一世代前に少々流行ったらしいプラモクラフトなシリーズ。
 その作中でも、ホビーロボットで世界を変えようと試みる登場人物が居た。
 しかし普及でなく征服ならば、もはや玩具ではなく暴力に過ぎない。
 一体、何を考えてそんな狼藉に及ぼうとするのか。
 それを詳らかとするのがウィンディたちの役目であり、その成否は少なからず彼方の仲間たちに懸かっている。
(「派手にやってしまって下さい。そちらが目を惹く方が、ボク達もやりやすい筈です――」)

「さあ皆さん、対戦ですっ!」
 果たして、ある程度の責務を担っている自覚はあるのか。
 やっぱり遊びたいだけじゃないのかとシャルロットが睨め付ける。その鋭い視線に、アイは「これも作戦です!」とアイコンタクトで返す。
 そう、作戦。作戦なのだ。本気で遊び、ゲーマーとしてギャラリーの視線も邪教徒の興味も纏めて惹き付けるのがアイたち三人の使命。
「良き対戦相手として御奉仕するこん!」
 しっぽもフリルも揺らして、雲雀は殊更自らの存在を誇示する。
 和メイド+狐耳+幼女+ゲーマー。
 少なくとも、ロケテに詰めかけたオタク共の視線を一身に集める事は間違いない。
(「後は、うまくやってくださいね」)
 笑顔を振りまきながら、雲雀は義眼である左目で別働隊の動きも確かめる。
(「アイザックさんが何か仕掛けるみたいですが……」)
 アイもまた、僅かに意識を傾けつつ、筐体の操作レバーを握り込む。
 電子戦部隊が何をするにしても、試遊一回分程度の時間は稼いでおくべきだろう。

(「……さて」)
 では、始めよう。
 電脳世界を揺蕩うアイザックは、おもむろにデータの海を遡上していく。
 昨今のアーケードゲームはインターネットと繋がっているのが当たり前。入り込むのは造作も無いこと。
 そも、セキュリティ面で盤石というには程遠かった。
 所詮は平穏な街中に在るゲームセンターと思えば、それも致し方ないのだろうが。
「ちょっと拍子抜け、かな」
 自前のタブレットを操作しながら理緒が言う。
 ウィンディも言葉は返さなかったが、全くもって同様の感想を抱いていた。
 それなりの技量を持った三人が挑むには、あまりにも歯ごたえがなさすぎる。丸裸にしてやろうと思った相手がパンツ一枚で現れたような気分だ。困惑する他にない。
 邪教徒の身分や目的や居所は既に明らかとなっているからさておくとしても、件の新作ゲームのプレイデータを保存している領域でさえ大した仕掛けも施されていないのは、敵とはいえ心配になるほど。
 とはいえ、三人は電子戦部隊であって、サイバーセキュリティコンサルタントではない。
 任務遂行が容易かったのは好意的に捉えておくべきだろう。タップ一回でサーバーをまっさらな状態に出来る準備まで整えて、理緒は他の二人にもデータや状況を共有しつつ時を待つ。
 思念操作によるハッキングをほぼ終えたウィンディは、ゲームセンター内の特定箇所だけを監視。
 アイザックは――監視カメラ映像をアイのスマホへと転送した後、怪しげな声を響かせながら何某かの細工を施していた。
 仲間たちでさえ知らない彼の目論見が明らかとなるのは、15分程度の後らしい。
 それまでは存分に遊んでもらって構わないのだが――。
(「……ありゃぁ、任務の事忘れてるんじゃなかろうか……?」)
 電脳世界から眺める試遊班の表情に、老爺の姿をしたそれは電子生命らしからぬ一抹の不安を覚えていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

仙巌園・桜
多人数対戦?面白そうだしちょっとやってみようかな~。
折角だし外見は出来るだけせんちゃんに似せて作ろっと。

2人で組んだ方がやり易いんだけど…
薩摩あんたゲームできそうにないし今回出番なさそうよね
呼ぶだけで口噛みそうなあの人でも居れば得意そうなんだけど
肝心な時に居ないんだよね~

やるからにはハイスコアを出してデータを収集させたいのよね~
理由?後の布石としてせんちゃんにしか分からないデータの穴を
仕込む為に決まってるじゃない。
わざと攻撃時一瞬隙を作るとか防御動作を遅くとかね!

作戦としては~。人型可動の弱点は足よね~2本しかなくて
それを壊せば移動を制限できるし。
で、集団戦は横やりいれて一撃離脱に限るよね。



 使命感ではなく好奇心から。
 試遊の行列に並んで、程なく桜は後悔した。
「ねえ薩摩まだなの~?」
 遅々として進まない列。思わず相棒に嘆くも、小竜に事態を解決する力はない。
 だからと言って、今更抜け出すのも勿体ない。ちょっと面白そうだなと思ったのは事実で、すでに投資した時間を回収するには試遊する他にない。キャラクタークリエイト用に渡されたタブレットだって、既に作業を終えて準備万端なのだ。
「あんたちょっとどうにかしてきなさいよ~」
 手持ち無沙汰が勢い余って、桜は小竜の頬をむにむにと摘む。
 そうして頼めば、意外と無茶な事も成し遂げたりする小竜だが、今回ばかりは動かない。自分の出る幕ではないと解っているのだろう。
 勿論、桜とて相棒に出番はなさそうだと思っていた。
「逆立ちしたって、あんたじゃあれは出来ないもんね~」
 まだまだ遠い筐体をちらりと見やって言う。
 多人数対戦型のゲームであるようだから、もう一人分くらいの手があると色々やりやすいのだが――。
「あの人も肝心な時に使えないんだよね~」
 小竜に同意を求めつつ槍玉に挙げたのは、この東京に近い場所を棲家とする、舌を噛みそうな名前の女。
 まあ、居ないものは仕方あるまいし、居たら居たで待機列の暇に飽かして、薩摩に細々ちょっかいを出していた可能性大か。
「居なくてよかったのかもね~?」
 また賛同を欲するように尋ねてみるが、小竜は石像のようになってびくともしなかった。

 そうして、退屈な時間をまた暫く堪えた後。
 ようやっと試遊の順番が回ってくれば、桜は肩をほぐしながら席につく。
 やるからには、目指せトップスコアラー。邪教徒が目を留める程の記録を叩き出してやれば、後々の“対処”もしやすいだろう。
 問題は初見のゲームにどれだけ早く、どの程度対応できるか。
「ま、何とかなるでしょ~」
 にへらと笑って呟けば、隣席の男が顔を綻ばせた。
 ゲーム慣れしていない女学生が興味本位で飛び込んできた、くらいに思っているのかもしれない。
 それが天辺から爪先までまるっとするっと殆ど全部間違いだ――なんて、教えてやるような桜ではなかった。
 盤外戦も戦いの内だ。
 横目でちらりと男のキャラと位置を確認すれば、筐体からはバトルスタートを告げる音がした。

 画面に視線を戻して、自キャラを動かす。
「そこそこせんちゃんに似てるよね~」
 本物には及ばないけど~、などと呟く桜の眼前で動くものは、和装に竜翼と尾。確かに操手と似ている。
 キャラメイクがセールスポイントの一つである事は間違いないようだ。正式稼働した暁には、そこそこ利用客が付くかもしれない――と、脇道に逸れかけた思考を戻す警告音。
 迷彩服に突撃銃を装備したキャラクターが、物陰から飛び出して此方を狙っていた。
 すかさず操作スティックを弾くも、電脳世界の桜はひらりと蒼い翼を翻す前に幾らか銃弾を浴びた。
 だが、撃墜されるまではいかない。そのまま敵へと肉薄して、相手の両足を尻尾で打ち砕く。
(「やっぱ狙うなら足よね~」)
 人型可動フィギュアという大枠から逃れられない以上、基本的には二本の足が機動力の全てを担う。
 そして満足に動けなくなったそれは、もはや玩具ですらない。的だ。突撃銃を乱射して抵抗する敵を、桜は容赦なく叩きのめそうとして――大振りの一発は獲物でなく大地を叩いた。
「あー、外しちゃったか~」
 わざとらしい呟きを溢しつつ、追撃。今度こそ命中したトドメの一撃は敵キャラをスコアへと変えた。
(「で、次は――」)
 ミニマップに目を向ければ、すぐそばに光点の密集地帯。
 どうやら乱戦が繰り広げられているようだが、それはつまり、獲物の群れと同義だ。
 ダッシュで参戦――と見せかけ、文字通り横槍を入れる形で一度だけ攻撃すると、そのまま離脱。
(「集団戦はこうするに限るよね~」)
 思わず口元を歪ませれば、僅かな逡巡の後に矛先を変えた敵が一人、遁走する桜を追ってきた。
 こうしたゲームに不慣れなプレイヤーなのか、それとも頭に血が昇りやすいタイプなのか。いずれにしても、鴨だ。
「……まいどあり~」
 機を見て反転、機動力の差で一気に間合いを詰めれば――哀れ、鴨は竜に喰らわれて、戦果の一つとなった。
 順調、順調。邪教徒の興味もそれなりに引いているだろうが、しかし、まだまだスコアを稼がなければなるまい。
 次なる獲物を求めて、電脳世界の桜は――何故か一瞬ばかり不可解で無益で隙だらけな軌跡を描くと、何事もなかったかのように戦場を駆けていく。

成功 🔵​🔵​🔴​

雪・兼光
【SPD】

結構ならんでいやがるな。

待ち時間まで結構あるし、ネタで可愛くつくってみるか。
こう金髪ロングにして、瞼の形はいかにもって感じで大きくして、
こう姫騎士ぽくして…。カラーは青と白のツーからで…。
ボディはそうだな。…ランダムでしてみるか。

あと武装は…。
そうそう、大剣と見せかけて可変してビームライフルになるとか極太ビーム撃てるとか。刃が壊れたと思ったら分散してビットの様になるとか。翼やクローに変形する巨大なスカート状の装甲とか。
女の子らしく花モチーフの物をメインに選んで…。

ま、ネタはここまでにして本番用の…。
もう俺の番だ…と…?
じょっ、上等だ。邪神教団の企みを台無しにしてやる。



 難しい顔をしている男が居た。
 行列の半ば。鋭い眼光でタブレット端末を睨めつけるその面は、苛立っているように映る。
 故に男の前後を挟む者は僅かばかり距離を空けて、うっかり刺激してしまう事のないように努めていた。
 ――が、当の男。雪・兼光(ブラスターガンナー・f14765)はそれに気付かず、まして不機嫌でもなく。
 長い列を見て待ち時間を想像したのも、とうに昔の話。
 今、彼の思考を支配しているものは――。

(「……やっぱり金髪ロングだな」)

 タブレットの画面上に構築されていくキャラクターを、如何に可愛くするかの一点。
 別に、初めからそんな事をするつもりはなかったのだ。しかし長い待ち時間を潰すべく、遊び半分で作り始めてみると――兼光が凝り性なのか、はたまたキャラメイクの自由度の高さが素晴らしいのか。ついつい熱が入る。
 そして、長考の末に構築されてきたのは――美しい金の髪を靡かせる姫騎士風キャラ。
 青と白を基調とした鎧に、如何にもなパッチリお目々。ランダムセレクトで決定したボディが、また運命か必然か、可愛らしいで留まる程度に出るとこは出ているから始末に負えない。可愛い。そう、可愛いのだ。ネタで作りましたとは誰も信じてくれないだろう可愛さが出来上がってしまった。
 しかし、可愛いだけではダメだ。姫騎士は程なく戦場へ赴く身。
 武器を持たせてやらなければならない。勿論、相応しいのは騎士らしい剣だろうが――それだけでは面白味に欠ける。
 一見すると大剣だが、刀身が真ん中から割れて極太ビームを放つなんて仕掛けはどうだろうか。
 それが更に細かな刀片に分かれて、敵を取り囲むと細かな射撃で飽和攻撃を行うのだ。
 更に更に、鉤爪変形機構付きスカート型装甲で近距離戦にも対応する。
 けれども、あくまで最優先は可愛さ。可憐な姫騎士らしく、装備は全て花をモチーフにしたデザインで統一してみれば――何ということだ。文句のつけようがない、強さと美しさを兼ね備えるフラワープリンセスが生まれてしまった。
(「……なんてな」)
 少々ふざけ過ぎた感は否めない。
 これを操作する自分の姿を想像すると乾いた笑いさえ出そうになる。一度全ての設定をリセットして、新たに本番用のキャラクターを――。

「あ、そちらのお兄さんまで入れますねー。どうぞー」
「……なん……だと……」

 ようやっと回ってきた順番を喜ぶべきところ、今に限ってそれは死刑宣告に等しかった。
 振り返っても退路はない。待機列は一方通行だ。それでも「やっぱいいです」と告げて抜けられない事はないだろうが、しかし。
「此方、お預かりしますねー」
 兼光の苦悩を店員は一切感じ取らず、粛々と自らの仕事を進めていく。
 タブレットをするりと回収して、キャラクターデータを筐体に読み取らせてしまったのだ。石像の如く硬直して動かない兼光の眼前で、凛々しくも麗しい声を発しながら――姫騎士が戦場へと舞い降りる。
「あのー、準備出来ましたけど……?」
「……じょっ、上等だ」
 こうなってしまった以上は仕方がない。
 数多のギャラリーは勿論、恐らく監視カメラ越しに見ているであろう邪教徒も、存分に見るがいい。
 この手塩にかけて作り出した姫騎士が、邪悪なる企みを粉砕する防人となるのだ。
 覚悟を決めた兼光は筐体に着き、操縦桿を握り込む。
 大画面で映える姫騎士は――いや、うん、やはり我ながら可愛らしく出来ているものだと感じたのは、もはや言うまでもない。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルバ・アルフライラ
斯様な筐体で遊び興ずるとは
UDCアースの玩具は実に興味深い

ふむふむ、先ずはそうさきゃらくたー?
なる物を作るのであろう?
…こうも選択肢が多いと迷う所の話ではないが
折角ならば普段と異なる戦いをしたい
身の丈以上の大槍で敵を派手に薙ぎ払うのも良かろう
敢えて筋骨隆々のモデルにするのも良いかも知れん
竜翼があれば面積が増えて更に強そうに見える
私が操作するのだ
見掛け倒しなぞ云わせはせぬ
持ち前の戦闘知識をフルに活かして
対峙する敵を千切っては投げ千切っては投げを繰り返す
兎に角目立つよう戦いを重ねる事で
敢えて邪教徒からの接触を狙う
安心せよ、猫被り(コミュ力)は得意だ

…さて、後は存分に
彼奴等の化けの皮を剥がすとしよう



 未知の文化に容易く触れられるのは、数多の世界を股にかける猟兵ならではの特権とでも言おうか。
「斯様な筐体で遊び興ずるとは……」
 興味深い。実に興味深い。
 UDCアース謹製の玩具を遠目に眺めて唸り、アルバ・アルフライラ(双星の魔術師・f00123)は手元のタブレット端末へと視線を落とす。
 それで“そうさきゃらくたー”を“くりえいと”するのが、まるで殉教者の如く整然と並ぶ列の誰しもが行う事であれば、アルバとてやらずにはいられないが――しかし。
 悩む。やるかやるまいかでなく、如何にしてやるか悩む。
 決めなければならない幾つもの項目は、それぞれが数十から数百を超える程の選択肢を持ち合わせているのだ。
 けれども、腰を据えてじっくり、などという猶予はない。筐体に着く順番が巡ってくるまでの長くとも短い時間の間に、全てを決めておく必要がある。
(「ふむ。ならば――」)
 思案の最中、顎に当てていた指をタブレットの画面に運ぶ。
 たっぷ。たっぷたっぷ。たっぷ。
 押す度に姿を変える素体は、程なくシルエットだけでも逞しさを感じるような形となった。
 アルバが思い描くのは――ずばり、筋骨隆々の偉丈夫だ。
 折角、自由に作り上げられるというのならば、己とはかけ離れた戦い方をする戦士を作るのも一興だろう。武器は身の丈以上の大槍で、相対する者を威圧するような立派な竜翼でも付け加えておけば尚良し。
(「……うむ。強そうではないか」)
 一頻り触ってみて、満足行く姿に整ったところで頷くのも束の間。
 気づけば長大な列の最先にまで辿り着いていたアルバは、タブレットを店員に渡すと、ずらり並んだ筐体の一つに陣取った。

 操作に用いる四角い棒状の物体と、その横に据えられた4つの小さく丸い突起に手を伸ばしてみれば、大画面には自ら手がけた偉丈夫が映る。
 それを見かけ倒しの木偶の坊、独活の大木にしてしまうか。
 はたまた、記録に遺されるべき真の英雄とするか。
 全ては操手たるアルバの腕次第。
(「ふふん」)
 無論、後者となる未来以外は有り得ないはずだ。
 自信たっぷりの面で用意を整え、始まりの合図を待つその僅かな間にも、先んじて思考をフル回転させる。
 仮初のものだろうと、戦いは戦いだ。ならば、幾度も戦いを越えてきた己の知識を活かさずして、何とするか。
「……いくぞ!」
 開戦と共に、戦士を猛然と走らせる。
 出会した敵には容赦なく大槍を振るい、千切っては投げ千切っては投げと大立ち回りを演じて魅せれば、こそこそと覗き見しているであろう邪教徒の目にも留まるだろう。
 そう、それこそが真の狙い。UDCアースの遊戯文化を嗜むのは、あくまでも策の一環。邪な企みを巡らす愚か者共の化けの皮など、すぐに剥がしてやろうではないか。
 もっとも、その前に此方の存在がバレてしまっては元も子もない。
 極々善良な電脳遊戯好きの一小市民を装いつつ、アルバはひたすらに仮想の戦果を積み上げていく。
 その甲斐あって、まさか釣り出されているとは思わぬ邪教の手先は、アルバに接触するべくじりじりと動き出していた――。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミスト・ペルメオス
【SPD】

興味深い。この世界でこの手のゲームに出逢えるとは…。
…これに邪教が関わっていなければな。

身も心も闘争を求めている。遊びだからこそ全力で挑める!
…もちろん任務のことは忘れていない。

使用キャラクターは小柄な少年タイプ。
装備や武器は高機動・高火力、機動力と射撃戦に特化するようカスタマイズを重ねる。
可能な限り、自身の愛機(人型機動兵器)に特性を近づけていく。
ピーキーな能力は自身の(実戦)経験と腕前でカバー。
やるからには目指せ高ランク!

楽しみつつも邪教徒への警戒は怠らず、接触されれば慎重に対処。
人気の無い場所で念動力を活用しつつ捻じ伏せ、情報を引き出すとする。

※他の方との共闘等、歓迎です



 邪教が関わったゲームが流行る。
 自由度の高いキャラメイクで皆が“うちの子”を作って満たされる。
 しかし体は闘争を求める。
 邪教が関わったゲームで遊びたくなる。
 邪教の収入が伸びる。
 邪教がさらに新たなゲームを作る。

(「そういうことか……ッ!!」)
 卑劣なり邪教。
 ミスト・ペルメオス(銀河渡りの黒い鳥・f05377)は拳を握り、勇んで待機列へと並んだ。
 程なく店員からタブレット端末を受け取って、その画面をじっと覗き込む。
(「……この世界でこの手のゲームに出逢えるとは……」)
 実に興味深く、それ故に殊更、邪教の存在が鼻につく。
 そんな物が関係していなければ気兼ねなく楽しめただろうに。
 とはいえ、その邪教を炙り出すためなのだから、遠慮する必要はない。
 否、全力で挑まなければならないのだ。全力で――。
(「全力で遊ぶッ!! ……ああ、いや」)
 勿論、これが猟兵として請け負った任務であることは忘れていないが。

 さておき、端末の画面をタップしてキャラクターを作り始める。
 ベースとなる素体は小柄な少年タイプだ。基礎ステータスとしてパワー面では劣るが、俊敏性は抜群。
 その少年に纏わせるのは機械鎧を始めとするメカメカしい装備。不足している力や防御を補いつつも、装備そのものの高出力でもって長所である機動力は殺さない。
 その分、代償として捧げなければならないのは操作性だ。単純にデリケートな入力が求められるだけではない。ブースターのエネルギー残量や各装備の温度管理にも気を配らなければ、重厚な装甲も枷と化してしまう。
 初見のゲームで、そこまで操作難度の高いキャラクターを作るのは些かチャレンジ精神に溢れ過ぎているような気もするが――しかし、ミストには東京の小市民がまずもって有していないだろう“実戦経験”というものがある。アーケードゲームへと落とし込むに当たって簡略化された各種操作など、戦地を駆け抜ける愛機の手綱を握るのに比べれば造作もないはずだ。
 武器は中長距離をメインとする光学射撃兵装をチョイス。
 そうして構築されたキャラクターは、正に先の愛機を思わせる姿へと整えられていく。

 細かな色彩やパラメータ調整まで、凝りに凝った作業は行列を抜け出す直前まで続いた。
 店員からの指示に従って、所定の操作で筐体へとデータを移す。タブレットよりも遥かに大きく美麗な画面へと自キャラが映し出された瞬間、ミストの心身をじっくりと蝕んでいた闘争心にはいよいよ火が付く。
 操作レバーを握り込れば、もはや其処にいるのはロケーションテストなる戦場に誘われた傭兵。
(「……行くぞッ!!」)
 バトルスタートの合図と共に、ミストは高スコアを叩き出すべく最も近い獲物へと全力で翔んだ。

 その姿は、端から見れば非常に熱心なゲーマーでしかない。
 優秀な結果を残したミストを、邪教徒はさらなるデータ収集の為に誘い出すが――悪事を企んでいるだけで、それそのものは無力な人間。やはり実戦を知る少年が隙をついて捻じ伏せるのは、初見のゲームを遊ぶよりも遥かに容易いことであった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『邪神プラモ『ヴァイスシュヴァルツ』』

POW   :    フルバースト・ジェイル
【僚機と連携し、逃げ場を塞ぐ様な一斉射撃 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    オールレンジ・プリズン
【全方位 】から【ビット兵器】を放ち、【拘束ビームの弾幕】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    イーヴィルプラモエナジー・フルブースト
あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【高濃度邪神プラモデルエナジー 】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 邪教徒といえど、所詮は只のヒト。
 生命体の埒外にある猟兵の敵ではなく、まんまと釣り出されたそれは容易く制圧された。
 敵地の所有者にして首謀者を押されば、UDC組織も動く事が出来る。ロケーションテストはすぐさま中止となり、程なくゲームセンターとその周辺区域からは一般市民の姿が消えた。それらに対する情報操作なども組織が手抜かりなく進めてくれるだろう。
 後はUDCを排除し、UDC-Pを確保するのみだが――。
「くくく……」
 捕縛された邪教徒が不気味な笑いを溢した直後。
 ゲームセンターの一角が爆ぜるように砕け、其処から無数の小さな何かが飛び出してくる。
 まるで蜂の群れの如きそれこそ、邪教徒が稼働準備を進めていた小型兵器――UDCだ。1/12スケール……約15センチのそれらは、急ぎ邪教徒を連れて撤退しようとするUDC組織の人々や、戦闘態勢に移った猟兵たちへと、親指にも満たない大きさの銃器で狙い定める。こうした状況も想定して、自動的に起動する用意がされていたようだ。

 ――だが、猟兵たちはすぐさま二つの点に気づいた。
 まず一つは小型兵器の動きが単純すぎる事だ。優れたデータの転用を防いだだけでなく、猟兵の一部が既に収集済みであったデータにまで対処したからか。空中戦闘機動としては大分物足りないそれは、猟兵にとって大きな脅威とはならないだろう。
 そして二つ目は勿論、UDC-Pの存在。
 姿形は他と同じでも、不思議と解る。それだけは“攻撃するフリ”をしているのだと。
 その個体こそがUDC-Pで間違いない。乱戦の最中、攻撃に巻き込まないよう――そして敵から撃ち落とされないように守りつつ、猟兵たちは無数の小型兵器を殲滅しなければならない。

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プレイング送信は『7/17の8:30~』でお願いします。
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荒珠・檬果
アドリブ連携歓迎。

おお、わらわらと。そして、見つけました。
大勢には大勢を。カモン!【バトルキャラクターズ】!
あ、さっき作ったキャラクター(薙刀使い)ですよ、彼女たち。
牽制部隊、壁部隊、UDC-P保護部隊の3つに分けて行動!
牽制部隊は相手に突く攻撃を!壁部隊は相手の射線妨害するように!
保護部隊はUDC-Pを囲むように!
私自身は紅紋薙刀もって保護部隊の方へ。ええ、まあ、同じくUDC-Pですから、安心させたいんです。

大丈夫ですよ。私…いえ、私たちは、あなたを助けに来たんです。
もちろん、邪教の企み阻止もです。
あとでゆっくり話しましょう。



 おお、と感嘆に近い声を漏らした。
 ゲームセンターの一角。崩落した壁から、わらわらと尽きる気配なく湧き出る小型兵器。
 その存在こそ伝えられてはいても、何時、どのように現れるかまでは猟兵の知るところではない。ロケーションテストから邪教徒の捕縛を経て、一段落した空気漂う所で軽い衝撃や緊張を齎すには充分な光景だろう。
 しかし、檬果は後退る事もなく、むしろ前のめりで敵群を見やると、目的の“それ”を認識してオレンジ色の腕を掲げる。
 途端、現れたのは六十を超える薙刀使い。
 額に刻印された『1』を除けば先のロケテで作ったキャラクターデザインそのままのそれは、手短な指示で素早く三つに分かれる。敵を牽制する部隊。敵の射線を阻む壁部隊。そして“UDC-P”の保護を担う部隊。
 その保護部隊に、檬果自身も紅い刃の薙刀を持って加われば、いよいよ猟兵対小型兵器――即ちオブリビオンの戦いも火蓋が切られた。
 如何なる仕組みか、敵と同様に浮遊する超小型砲台が檬果たちを取り囲む。展開力はお世辞にも褒められない鈍重さであったが、それを補うだけの“数”こそが敵群最大の武器である事は言うまでもない。
 だが、無数の銃口砲口など顧みずに檬果と薙刀使いは突き進む。
 猪突猛進という言葉を、或いは構える薙刀の切っ先を体現するかの如く、牽制部隊が先駆けとして鋭く敵群に切り込んでいけば、その後に続く保護部隊へと幾つもの砲台がビームを放った。
 如何に愚鈍な敵でも、自ら包囲の中心へと飛び込んでくる獲物を見過ごすはずはない。
 だが、そうなるであろう事を此方が予測できないはずもないのだ。壁役に振り分けられた薙刀使いが身を挺して立ち向かえば、雨粒みたいに降り注ぐ光で撃たれたそれはバグでも起こしたかのように固まり、その場に倒れていく。二十余りの壁全てが同じ結末を歩み、ついに保護部隊そのものにまで拘束光線が襲いかかるまでに然程の時間はかからなかった。
 そうして檬果のすぐそばで倒れる薙刀使いが出る頃には、牽制役として突き掛かっていた者たちも、やはり最前に立つ兵として同じ運命を辿っていく。
 けれども、檬果は倒れたバトルキャラクターたちにも、それが討ち取った幾らかの敵の残骸にも目もくれず、ただ一点を目指した。
 即ち、おびただしい数の邪悪に紛れた一欠片の純真。UDC-P。
 かつて、その言葉が指し示す唯一の存在であったシャーマンズゴーストとして、怯えているだろう小さな“同胞”を一刻も早く安心させなければという、半ば使命感じみた想いが檬果を突き動かす。
 そして――。

「大丈夫ですよ。私……いえ、私たちは、あなたを助けに来たんです」
 両手の指より少ない数まで落ち込んだ保護部隊に守られながら、檬果は手のひらに言葉を落とす。
 UDC-Pは指に縋り付くようにしながら頷いてみせた。救いを求めて、ふらりと自身の手に降りてきたそれに檬果も頷きを返すと、あとでゆっくり話そうと呼びかけて胸元にしまい込む。
 第一の目的は達したが、邪教徒の陰謀の残骸はまだまだそこら中を飛び回っているのだ。
「もちろん、このままにはしておけませんからね」
 薙刀を構え直して、近づいてきた幾つかを叩き落とす。
 此処からは反攻の時間だ。
 僅か残ったバトルキャラクターたちと共に、檬果は猛然と就き掛かっていく。

成功 🔵​🔵​🔴​

霧島・絶奈
◆心情
矢張仮想現実の戦場よりも、我が身を以て闘う戦場の方が愉しいと…
そう感じます

◆行動
<真の姿を開放>し『666』を使用

先ずはUDC-Pの保護を優先
<私達>の【オーラ防御】で構築するテストゥドで防衛
逃げ道を塞ぐ範囲攻撃ならば、抑々避ける必要が無い程の防御陣を敷くだけの話です

防衛しつつ一部の<私>は【罠使い】の技能を活かし「魔法で敵を識別するサーメート」を複数設置
高火力狭範囲攻撃ですので、周囲を徒に破壊する心配はありません

加えて【空中浮遊】を活用し射線を調整
防衛担当以外の<私達>全員が【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】

負傷は各種耐性と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復



 どれほどきめ細やかな映像で表現しようとも。優れた技術で再現しようとも。
 やはり、あの電脳世界は戦場を知らない者が作った仮想空間に過ぎないのだ。
 なぜならば、本物の戦場とは――ゲームなど比べ物にならない程に“愉しい”もの。
 比較から実感を得て、絶奈は目深に被ったフードの下で微笑む。

 その歪さは、すぐさま戦場全てへと広がった。
 敵が建物の一角を破壊して現れたように。ありふれた街中の平穏が砕けて、其処から滲み出るように湧いた絶望が何もかもを覆っていく。
 まともな知能と感覚を有す者なら、恐らく既に壊れていただろう。
 そう考えると、小型兵器たちは却って未熟な作り物で良かったのかもしれない。
 もっとも、既に“恐怖”というものを知り得たUDC-Pが、どのように感じたかは解らないが――。
 さりとて、絶奈が此処で為すべきは理解でなく保護。
 密集陣形を組む絶望の一部に対象を収めてしまえば、後は豆粒のような一斉射撃を繰り出す群れに対処するだけだ。それ以外を考える必要はない。
 敵意のみを焼き滅ぼす罠を仕掛けつつ、保護を担う一部以外は音もなく空に上がっていく。
 無論、それは“上がる”と呼ぶにはまるで足らない高さだが、それでも地から離れる行為をそれ以外に言い表す言葉はあるまい。
 ともかく、敵と同じ高さにまで辿り着けば、幸か不幸か炎獄に嵌まらなかった小型兵器群が包囲網を作り、距離を詰めてくる。
 それは銃を構えて――撃ち出した光ごと強烈な波に飲まれると、羽虫が息絶えるように力なく墜ちて、幾つもの細かながらくたと化した。

 その哀れな光景を、厳重に保護されたUDC-Pが恐らく目にしなかったであろう事は、絶望に満ちた戦場の中で唯一つの幸いであったのかもしれない。
 如何に袂を分かったとはいえ、同じ姿形のモノが辿った末路は、UDCでありながら平穏を求める小さな彼女が受け止めるに、些か恐ろしすぎるものだろうから――。

成功 🔵​🔵​🔴​

オーレン・ルベライト
流線と直線の組み合わせた外観にロマン溢れる自律兵装、実に美しい!
しかしUDC-Pの彼女には嫌な場面を見せてしまうね…僕的には紳士な対応も美少年必須なのだけど

貧弱な鉱物生命体に銃撃とかメチャクチャ怖いんですけどー!?
くっこれも美少年ゆえか…僕の存在感で惹きつけてしまうとは
屋内でナルキソス起動はまずそうだし、やはりリアルファイトやむなし
やるのは僕じゃないけど!

相手が空中戦で来るならこちらも戦闘機で応戦だよ
おいで僕のバトルキャラ達!
3体は僕の護衛、残る半数は合体さ!

指示はゲームパッド(装備)で入力、5体一組で応戦してね
連携をなるべく分断できれば一斉射撃の回数も減らせるはず
さあウォーゲームといこうか!



「――美しい!」
 忽然と生じた敵を、オーレンは感嘆と称賛で以て迎えた。
 流線と直線で織り成す外観に、ロマン溢るる自律駆動。
 それが倒すべきであろうと、誰が何と言おうと、美しいものは美しい。美を最高の価値と捉えるからには、やはり美の前で嘘など吐けやしない。
 だからこそ、オーレンは讃え、そして嘆く。
 美しさを崩さねばならない事と、その美しくない光景をUDC-Pに見せなければならない事に。
「……美少年には紳士的な対応も必須なのだけれどね」
 さりとて、いつも己が望む通りになるとは限らないのが戦場である。
 そんな事は疾うに理解しているとばかりに、自称・銀河系美少年は首を振り、再び敵の群れへと目を向けて――。

「……メチャクチャ怖いんですけどー!?」
 想定以上に距離を詰めていた大群と、それが放つ光線の束に、割と情けない声を上げた。
 致し方なし。自称・銀河系美少年は中々に貧弱かつ繊細な鉱物生命体。いくら小さな敵の攻撃でも、弾幕のように雨あられと喰らっては壊れてしまう(かもしれない)のだ。
 かと言って、背中にでかでかと『コワレモノ』だの『取り扱い注意』だのと、そんな美しくない主張を貼り付けておくわけにもいくまい。
「くっ、これも美少年ゆえの試練か……!」
 己の存在感こそが苦境を招くのだと、オーレンは非常に前向きな発想力で現状を振り返りつつ、思考を巡らす。
 オブリビオンと相対すれば、まずぶつけるべきは騎士鎧型戦闘機“ナルキソス”だろう。
 しかし、躊躇なくそれをぶちかますには不安の残る戦場。敵を倒す為なら器物破損も厭わぬのかと問われれば、無論、否である。だって美しくない。
「やはりリアルファイトやむなし……」
 美しくないものとより美しくないものの選択、苦渋の決断とでも言わんばかりに呟いたオーレンは、その言葉から中々結びつかないものを取り出して構えた。
 それは――かなり使い込まれた雰囲気漂うゲームパッド型端末だ。
「おいで、僕のバトルキャラ達!」
 美しく態勢を整え、スタートボタンを押す。
 途端、現れたのは53機もの戦闘機。8bitな外見のそれは3機のみが主の直掩に当たり、残りは半数を合体素材として16bitに進化すると、5機一組の小隊を組んで小型兵器群へと仕掛けていく。
「さあ、ウォーゲームといこうか!」
 やはりゲーマーはゲームでこそ活きるのか、コントローラーを握ってからのオーレンは中々に勇壮。
 巧みに操られた幾つもの“自機”も、縦横無尽に敵群を切り裂いて飛び回る。
「すまないね! 指さばきまで美しくて!」
 弾幕を掻い潜って次々と小型兵器群を撃ち落とせば、操作はさらに勢いづいた。
 無論、UDC-Pの存在は忘れていない。
 忘れていないが、しかし蚊帳の外ではある。
 それが美しく撃墜スコアを重ねようと熱中している為なのか、はたまたUDC-Pの彼女が眺める“嫌な光景”を少しでも早く終わらせようとする美しい心遣いの為なのかは、残念ながら判らない。
 傍から見た今のオーレンは、何とも美しい充実感に満ちた、只のゲーマーであるからだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ユーシア・ロクス
敵は集団戦が得意、って感じですね
でもなんだか動きが悪い……?
『やっぱり“ただの兵器”では勝てないんすね』
何の話?
『よくある話』

わたしは「鍵」を「STGゲーム」に接続、砲台「絶望撃ち抜く放火のカギ」にして制圧射撃・クイックドロウ・砲撃での弾幕です!
敵UCや攻撃は砲台自体で「武器受け」して、ひたすらに撃ちます!
この砲台は元よりそんな動けません!あとは耐久任せです!

『UCで出たわたしは迷彩で紛れ状況を見切りつつ
わたし(1P)が殺気全開で暴れる中コミュ力と優しさを駆使しPちゃん保護に動くっすよ。保護が済んだら「鍵」を剣にし撃ち漏らし狩りっす』

今度は仕事忘れないでくださいねわたし!

※アド・連携歓迎です



 兵器の開発や運用、戦術等々に通じていなくとも。
 見れば解る。忽然と現れた尋常ならざる量の“それ”が、数的優位を活かした戦い方を得意とするであろう事は、一目見ただけで解る。解るが、しかし。
「……なんだか、動きが悪い……?」
 ユーシアは身構えつつ、頭上に疑問符を浮かべた。
 それを完全に消し去る為の材料など彼女は有していない。故に想定は出来ても確定は出来ず、けれども“わたし”は納得尽くであるかのように言う。
「やっぱり“ただの兵器”では勝てないんすね」
「何の話?」
「よくある話っすよ」
 さらりと続けて口を閉ざす2Pカラーなユーシア。
 本家本元1Pユーシアは再び問いかけようとしたが――その機会は与えられなかった。
 単純であるが故に、敵は最短距離で此方との間合いを詰めてくる。
「それじゃあ、あとはよろしくっすよ、わたし!」
 言い捨てた“わたし”が戦場の空気へと紛れるのを見やり、残る“わたし”も意識を戦いへと切り替える。

 “鍵”をシューティングゲームへと繋ぐ。
 撃ち破るという覚悟と決意が、白砲を成す。
「――しまった」
 言い忘れた。
「今度は仕事忘れないでくださいね、わたし!」
 既に気配を消した相手に聞こえるよう叫び、その流れで一つ深く息を吸ってから砲台につく。
 砲台。そう、砲台だ。それは即ち台座であり、台座とは基本的に動かないもの。
「だから耐えて、撃ちます!!」
 ともすれば無謀にさえ聞こえる言葉も、しかし覚悟と決意の証。
 砲口を空に向けたユーシアは、包囲網を作り始めた敵へと、正しく弾で幕を作るように力を吐き出していく。

「……わたし、こっわー」
 激しい砲音に紛れて聞こえる「うおー!」というような叫びを耳にして、2Pは苦笑混じりに呟いた。
 殺気全開で暴れてくれればくれるほど、仕事はやりやすい。だから“わたし”の奮戦は褒めるべきなのだが、その事実と客観的な印象は全く別の話。
「あー、わたしは怖くないっすよー?」
 ほんの少し前、手のひらへと降りた小さな存在に語りかける。
 そのコミュ力と優しさを振り絞った呼びかけを、UDC-Pはどう受け取ったか。
 少なくとも、否定的には捉えられていないだろう。恐怖からか微かに振るえていたそれは、ユーシアをじっと見上げると、人の小指の爪ほどもない手で、きゅっと縋り付いてくる。
「……えっ、なんすかこれ……」
 喋らなければ。表情も変わらない。だというのに、可愛い。
 守ってあげなければという思いに駆られるだけではなく、何かが呼び覚まされてしまいそうだ。
 それを平易な人の言葉で表すならば、ずばり“母性”というのだが――。
「大丈夫っす。ちゃんと守ってあげるっすよ」
 未だ自己が確立されたとは言い難い存在の彼女には、縁遠い話か。
 ユーシアはUDC-Pの頭を軽く撫でてから服の中へ隠れるよう促すと、鍵を剣へと変えて、孤軍奮闘するユーシアが撃ち漏らした小型兵器を一狩りするべく動き出した。
 それが「うおー!」な感じであったのは、勿論言うまでもない。

成功 🔵​🔵​🔴​

波狼・拓哉
…その精度でよく、くくく…とか笑えましたね?そんなんじゃ人どころか生き物のを終わらせることも出来ませんよ

さてと…UDC-Pはあれかな
機械的だけじゃないから他のと違って動きがそこそこいいんで間違えることはよりなさそうですわ

それじゃ、化け綴りなミミック
重視は攻撃力…一撃で沈めてさしあげましょう
未来は何時でもわが手の中にっと

自分は衝撃波込め弾で制圧射撃を
戦闘知識、第六感、視力で相手群を見切りUDC-Pに当たらないようにしつつ、早業、二回攻撃、地形の利用で確実に弾を当て蹂躙しましょう
こちらは掠りでも当たればいいんで…特に、状態異常対策なんてされてなさそうですし?対応しきれますかね?

(アドリブ絡み歓迎)



 呆れて物も言えないとは、正にこのような状況を指すのだろう。
 何が「くくく」なのか。邪教徒ご自慢らしい小型兵器は出現した瞬間が最高潮で、後はのろのろうろうろ、銃口こそ此方に向けてはいるものの、集団で右往左往しているようにしか見えない。
「あんなんじゃ何も出来ませんよ」
 呟き、拓哉は視線を巡らすが、第一に求めた邪教徒の姿は既に遥か彼方で、それを連行しながら撤退するUDC組織の者たちも同様。
「……さてと」
 気を取り直すように言って、小型兵器群を見やる。
 その中から、保護依頼の出ているUDC-Pを抜き出すのは苦もない事だ。猟兵としての直感じみたものが断定するのは勿論、至極単純で機械的な動きをする群れの中で唯一つ、“恐怖”に揺らぐ異質さを見逃すはずはない。
「それじゃ、化け綴りなミミック」
 拓哉は銃を抜き、巻物に化けて宙に浮く箱型生命体の力で威力強化された銃弾を雪崩のように撃ち出す。
 一発ならば点でしかない弾も、矢継ぎ早に放てば線を描き、面を作る。発射と着弾に衝撃波まで伴うようにすれば、手のひらサイズの兵器を薙ぎ払うなど造作もない。掠めただけでも充分だ。
 故に、案ずる要素があるとすれば、それだけの威力を備えた銃撃に保護対象を巻き込まないかどうかだが――当然、そんな初歩的な失態を演じるはずもない。
 その異質な存在は常に視界に捉えて、あわよくば逃げ道を作るように銃弾を放ち続ける。
 敵も包囲網を作って四方八方から拓哉に全力射撃を試みるが、如何せんまともなデータの転用されていない機体と、相応の場数を踏んでいる猟兵では速さが違いすぎた。
 撃たれる前に撃たれては撃つことなど出来ない。
 ただ鈍い動きで迫る的でしかない小型兵器群を、拓哉は危なげなく処理していく。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルバ・アルフライラ
ジジ(f00995)と
纏めて打ち落としてしまえば易かろうに
…皆迄云わずとも分かっておる
お前も確と見定めよ、ジジ?

攪乱された木偶の群れ
従者を標的とした行動を見定めながら
攻撃はオーラの守りで相殺を試みる
確実に当てに来たならば良し
――ジジ、其奴等は殺して良いぞ

魔方陣を描いた高速詠唱
小賢しい白蝿に【雷神の瞋恚】を
神に平伏し、雷に身を委ねよ

…ジジの奴、随分と殺気立っておる様だが
一体何が在ったのだ?
首を捻るも魔術を繰る手は止めず
攻撃を逸らしている1体が居ればジジに耳打ち
UDC-Pをそれとなく支援する奴の働きは上出来だ
此方へ連れてくれば外套で姿を隠し
警戒を解くべく言葉を掛ける
…案ずるな
我々は貴様の敵ではない


ジャハル・アルムリフ
師父(f00183)と合流

なかなか過激であるな、師父
しかしあの中に――
…うむ、なれば話は早い

まとめて撃たれると面倒だ
師を庇い前へと踏み出す
さあ、来てみるがいい
敵の只中へと突っ込み誘き寄せながら
【まつろわぬ黒】で集団を乱す

承知
師の判断に応え
衝撃波乗せた剣にて群れを斬り払う
思い出すは先程の、箱の中で見た戦闘
小さな弾丸を籠手で、剣で防ぎ、時に弾き返す
今度は、かの傀儡のようには参らぬぞ
これは断じて八つ当たりではない

振り返らず師へ頷き
擦れ違う中に「ぴー」を見出せば
余波に巻き込まぬよう
されど気付かぬ素振りで
剣で、黒の刃で他の個体から遠ざける

もし広げた翼で上手く隠せるなら
素早く、そうと掴み後方の師へと



 ジャハルの前には爆散したはずの師父が居た。
 否、それは1/12でなく1/1スケール。見慣れた等身大師父だが、しかし。
 不意にあの爆散が過ぎって何とも言えない気持ちになる。
 爆散と言っても直視し難い凄惨なものではなく、人形が組立前に戻る程度のコミカルな表現だが、果たして師父はあれを見ていたのだろうか。見ていたら何と言えばいいのだろうか。いや違う。違うのだ師父よ――。

「纏めて打ち落としてしまえば易かろうに」
 如何に思案を巡らせていても、従者たるもの、師父の一言一句を聞き漏らしはしない。
 だが、おもむろに口を開いたかと思えば、随分と物騒な事を言うではないか。
「なかなか過激であるな、師父」
 ジャハルは問題を一旦棚上げして答え、そのまま「しかし」と言葉を続けた。
 けれども、その後に尚付け加えられる予定だった台詞は、アルバの声と手のひらが押し止める。
「皆迄云わずとも分かっておる。お前も確と見定めよ、ジジ?」
「……うむ」

 見定める。
 即ち、おびただしい量の敵群の中に在る、唯一の良心の事だ。
 木偶が幾ら押し寄せたところで問題になどならないが、何も考えずに薙ぎ払ってしまえば、所謂UDC-Pまで滅ぼしてしまうだろう。
 それでは意味がない。怪物として異質な何かに目覚めたそれを助け出すには、もう少しばかり知恵を絞らねばなるまい。
 ならば、如何にすべきか。
 問答などするまでもなく、ジャハルが前へと進み出る。
 それは師を庇うようでもあり、敵を挑発するようでもあった。

 ――さあ、来てみるがいい。
 意志は刃を構える事で示し、機先を制して群れを薙ぐ。
 剣閃から放たれる無数の黒刃は、次々と小さな標的を裂き貫いて墜とした。
 そうして幾らかが散って、ようやく敵も反攻に出る。適切な状況判断が出来ていないのか、明らかに混乱して無秩序な軌道を描きつつも、ジャハルを囲うようにして飛び回り、手や肩に備える銃砲を向けてくる。
 だが、それも一歩引いてみると至極滑稽なもの。銃口から光が迸った瞬間、アルバは二人分の守りを拵えた。
 そして、さっと作り上げた程度のそれでも軽く弾き返される光の雨に目を細めながら、師父は見える範囲に求めるものが居ないことを確かめると、淡々と告げる。
「――ジジ、其奴等は殺して良いぞ」
 刹那、より激しい太刀筋がジャハルの周囲に黒い残像を形作る。
 アルバへの返答を兼ねた一撃は、元より玩具未満の小型兵器をプラスチックの屑へと変えるに充分。
 ぱらぱらと落ちる破片が師父の築いた守りに跳ね除けられる微かな音を聞き流して、ジャハルは鋭い眼差しで次の獲物を見定める。
 そうしていると、頭を過るのは先の電脳遊戯だ。まるであの箱の中で繰り広げられていた戦いの中に放り込まれたような感覚から、沸々と湧いてくる光景は唯一つ。
 爆ぜて散ると書いて――ずばり、爆散!
 無意識に剣を握る手が力む。
 そのまま振るえば、凄まじい衝撃が群れを薙ぎ払う。

(「……何が在ったのだ?」)
 師父は解せない。
 其処まで殺気溢れる相手でもなかろうに。一体全体、何が従者を駆り立てているのか。
 首を捻りつつ、しかし問いかける場面でもない。
 杖を翳し、魔法陣を描き、従者に負けじと天降る神の雷で敵を屠る。
 そうして、戦というよりか、作業に近いそれを進めていれば、師父は一つ誤りに気付く。
 あれは木偶などではなく、蝿だ。白蝿。木偶は役に立たぬが、さして害にもならない。小煩く飛び回るあれを表するには鬱陶しい羽虫程度が相応しく、その程度の存在に神の雷から逃れる権利などない。
「平伏せよ」
 呟き、また幾つかを纏めて焼く。
 何やら羽虫は妖しげな光を溢れさせていたが――何も起こらなかったところからするに、企みは失敗に終わったのだろう。

 と、そこで垣間見えた異質な存在に、アルバは小さく声を漏らした。
 やはり従者から言葉はなく、しかし微かな首の動きで全て伝わっていると解る。
 剣閃は微塵も揺るがず、けれども見るものが見れば、明らかに何某かの意図を孕んでいると察せられるだろうか。
「上出来だ」
 思わず、口元を微かに緩めて呟けば、従者は敵の浴びせ掛けてくる光を籠手で捌き、剣で弾き、ぐんと一歩踏み込んで“異質なもの”へと近づいて、背に秘した白亜を広げる。
 そうして一瞬ばかり敵の目を眩ませた隙に、それは従者から師父の元へと渡り、外套の内に収められた。
「……案ずるな。我々は貴様の敵ではない」
 急転した状況に恐らく怯えているであろうUDC-Pへと、アルバは語りかける。

 その穏やかな声を背にして、ジャハルは剣を握り直す。
 “ぴー”を確保してしまえば、後は全て――師父の言う通りにする他あるまい。
 即ち、殺す。
 現世地球の街中に平穏を返すべく、ジャハルは竜の咆哮の如く剣を唸らせた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ミスト・ペルメオス
【SPD】

なんと。…ああいうものまであるのかッ。

邪教徒は容易く制圧できたが、あの小型兵器群は簡単にはいかないだろう。
この世界の事情とUDC-Pの救出も条件にある。
警戒しつつ、最低限の歩兵装備での白兵戦で対応する。

念動力を最大限に活用。敵の動きを注視し…UDC-Pの存在を感知しつつ戦闘に臨む。
幸いなことに、他の猟兵の活躍により敵は性能を十分には発揮できない様子。
ならば…適度に撃ち合った後、【サイキック・リヴェンジャー】。念動力最大、フィールド展開ッ。
敢えて攻撃を仕掛けさせ、自慢の武器による射撃をフィールドで受け止め…コピーして、機を見て反撃。
弾幕を撃ち返して撃滅する!

※他の方との共闘等、歓迎です



 ある種、夢の具現化なのかもしれない。
 噴出するように現れた敵、小型兵器群。手のひらサイズの玩具を模した脅威は、中空で一つの塊を作っていた。
(「……ああいうものまであるのかッ!」)
 おのれ邪教徒。全く以て度し難い。
 しかし、どれほど小さくともあれは兵器であり、オブリビオンだ。
 拗らせた一般人とでも言うべき邪教徒とは違う。如何に迂闊な動きをしているように見えても、全てを容易く制圧する事は出来ないだろう。
 まして、此処は現世地球の街中で――何より、敵の群れの中に救出すべき対象がいる。
 求められているのは殲滅力より、対応力だ。
 ならば、と。
 ミストは最低限の歩兵装備のみで、最大限の注意を払いながら敵群へ臨む。

 幸い、救出対象――UDC-Pを探し出すのに苦労はしなかった。
 同じ姿形の小型兵器群から、ただ一目見ただけでそれと断言できるのは、何とも奇妙な感覚ではある。
 だが、猟兵には確かに判るのだ。そして一度存在を感知してしまえば、たとえ視界から外したとしても、ミストの念動力は絶えずUDC-Pを捕捉し続ける。
 それは敵に狙いを悟られる危険を排し、戦いにおける自由度を高めた。
(「……そうだ、もっと仕掛けてこい……ッ!」)
 敵群の放つビームに、重熱線銃で軽く撃ち返しながらじりじりと後退る。ともすればミストの方が追い詰められているような動きは、性能不十分な敵にも包囲殲滅という戦いを選ばせた。
 塊から広がって環となった敵そのものだけでなく、それらの周囲に揺蕩う小さな砲台までもがミストを取り囲み、逃げ道を塞ぐ。
 その一瞬だけを絵として切り取れば、万事休すと題がつけられるだろうが――しかし。

「――フィールド展開ッ!!」
 自身を囲う銃口砲口が一斉に火を吹いた瞬間、ミストはサイキックエナジーを余すところなくぶちまける。
 前腕のガントレット型装備“ネビュラ・デバイス”によって強化されたそれは、周囲三百六十度から迫る光の雨を苦もなく押し止め、そのままUDC-Pを除く全てへと勢いよく跳ね返した。
 拘束具と化す弾幕を反射したのだ。後に何が起こるかなど考えるまでもない。
 ただでさえ空中戦と呼ぶには物足りない機動力しか持たない小型兵器群は、為す術もなく被弾して飛行力を失い、地に墜ちてくる。
 ミストはそれらを纏めて熱線で飲み干し、特殊金属製の長大な刀剣で薙ぎ払った。
 大群が瞬く間に殲滅されていく。
 それは即ち、UDC-Pにとっての平穏が近づきつつある事を意味している。

成功 🔵​🔵​🔴​

仙巌園・桜
薩摩~あんたの出番よ。さっきまでサボってた分
せんちゃんみたいにしっかり働きなさい

あんたは小型兵器の相手してなさい。
たいした動きも出来ないみたいだし普通にやってればよゆーだから。
一応仕込みとしてせんちゃんのデーターが入ってる個体がいれば
そいつ色々ポンコツだから隙だらけよ。
いつもより簡単なお仕事でしょ!はい。さっさと行く!

その間にせんちゃんがUDC-Pの確保するから。
せんちゃん乱戦の中でふらふらするの得意だし~
さっきのゲームと違って全部避けちゃうところ見せてあげようかな~
小さいし捕まえて服の中にでも入れちゃえばいいでしょw

後は~。倒した小型兵器で比較的原型が残ってるのを
お土産に持って帰ろ



 その存在が予め知らされていた事を加味しても。
 大量の小型兵器出現という状況は、桜の心を揺るがすに到底足りないものだった。
「ほら薩摩、いつまでだらけてんの。今度はあんたの番よ~」
 視線は敵に向けたままで呼びかけて、肩に留まらせていた相棒を軽く叩く。
 小竜は――動かない。
「何よあんた。反抗期? そんなの百万年早いんだけど~?」
 冗談めかして言えば、小竜はゆるゆると伸びをしてから吐息を一つ。
 まるで緊張感がない。……と、言う事は。
(「要するに“その程度”なのよね~」)
 危機に際して小竜が動かないはずがないのだ。それがのんべんだらりとしたままでいるならば、中空漂う小型兵器群は、やはり桜を脅かすに程遠いという事。
 とはいえ“危険ではない”と“めんどくさい”は全くもって別の話だ。
「ぐずってないでいきなさいよ~」
 持ち上げた小竜を真正面から見つめて言う。
「あれ、どうせたいした動きも出来ないみたいだし? せんちゃんが仕込んだ“隙だらけの大外れ”なデータが混ざったポンコツも居るかもしれないし? 普通にやってればあんたならよゆーだから」
 小竜は――動かない。
「いつもより簡単なお仕事でしょ! はい、さっさと行く!!」
 動かないなら動かすまでだ。
 ぽーんと空に放り投げてやれば、それはとうとう翼を広げて舞った。
「せんちゃんみたいにしっかり働きなさいよ~!」
 呼び掛けは少々説得力に欠けるもので、小竜は案の定、振り返らない。
「あとお腹壊すから食べちゃダメだからね~!」
 此方には尻尾の一振りという返事が返ってきた。
 現金なやつと言うべきか、律儀な子と言うべきか。

 さておき、小竜だけを働かせるつもりでないのは確かだ。
 桜は戦場に紛れ込んでしまったかのように、ふらふらゆらゆらと移動を始める。
 勿論、酔っているわけでもなければ戦いの素人でもない。小竜が戦場を撹乱して敵の注意を惹き、その間に桜が目的を成し遂げて撤退する。これは、一人一匹が得意とする作戦の一つだ。
「さーて、どっこかな~」
 此度の目的は、UDC-Pの確保。
 その他大勢の敵と姿形は同じでも、見れば一目で判――。
「あ」
 判った。
 銃を構えているが、撃つ気は感じられない。
 高度も低く、群れを蹴散らす小竜から逃れるように飛んでいる。それを捕獲、もとい保護してしまえば仕事は終わり。後は薩摩の分。桜の辞書に残業なんて文字はない。
「そういう事だから、そのままでいなさいよ~」
 抜き足差し足千鳥足、じゃなくて忍び足。
 そろりそろりと、よろよろと。桜はUDC-Pに近づいていく。
 そして静かに手を伸ばし――。
「はい捕まえた!」
 まるで昆虫採集でもするかのように摘むと、衿元から服の中にずぼっと放り込む。
 当然、慌てたUDC-Pは勢いよく顔を覗かせた。
「大丈夫よ~、せんちゃんは怖くないのよ~」
 そう言ってにんまりと笑う桜をどう見たかは定かでないが、しかしUDC-Pが逃げ出さなかった事は確かだ。
「いい子だね~。それじゃ、そのまま隠れてるのよ~」
 此方を見上げる小さな頭を指で軽く撫で、桜はまたふらりふらりと歩き出す。
 保護対象の確保に踏み込んだからか、小竜の食べ残し、改め撃ち漏らしが幾らか仕掛けてくるが――それでどうにかなる程度ならば、桜は疾うに戦場の露と消えているだろう。
「あ、そこそこ綺麗なやつ見~っけ。持って帰ろ」
 なんて、貝でも拾うくらいの声音で小型兵器の残骸を集めては、無傷のままで戦場を脱していく。
 その姿が豆粒ほどにまでなった時、主の数百倍は肉体労働に勤しんだであろう小竜も、実に涼し気な顔で颯爽と飛び去っていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

天星・雲雀
【電脳の箱庭】

「お友達プラモロボの、可能性をここで絶やさせはしません!」

UC光の粒子操り糸で、保護対象のUDC-Pに、敵意や疑惑を抱く敵を周囲に気付かれないように排除していきます。

UDC-Pを確保したら、最短ルートで店外まで切り開きます!

「理緒さん、アイザックさん、出入り口と裏口。障害の少ない方を教えて下さい!」

ルートが、決まるまでの間に万が一、逸れたときの対策を

「UDC-Pさん、ちょっと目立つようにメイクさせてください。デスメタルと言うバンドのメイクなんですが。定期的に激しい奇声を上げてみると、それっぽくなります」

「いい感じの奇声です」

奇声に気づいた敵のUDCが、そそくさと離れていきますね?


菫宮・理緒
【電脳の箱庭】

かわいいのがいっぱい……(じゅるり)

でも、まだまだ!
わたしの知ってる子には、もっと可愛い子が多いからね!
そのくらいでは惑わされないよ!

ドール達の動きを見極めて、UDC-Pを見つけたら、
【E.C.O.M.S】でユニットを展開。

半数で周囲のドールを攻撃殲滅しつつ、
残りの半数のユニットは対象をそれとなくガード。

包囲の薄い方向、障害の少ないルートを選びながら、
雲雀さんといっしょに外へ誘導していくよ。
「さ、こっち! いっしょにきて、ねー」

わたしがUDC-Pのガードについたら、
それまでガードにつけていたユニットは、雲雀さんの援護に回すよ。
さくっと脱出、しないとだよね!


シャルロット・シフファート
【電脳の箱庭】

「聖杯機兵、半数はUDC-Pの保護を。もう片方は通常のUDCの殲滅を行いなさい」
と、聖杯を改造した万能機械を戦闘用の機兵に改造。
70数体はいる機兵のうち半数をUDC-Pの保護に、もう片方はUDCに対しての戦闘を行わせるわ。

「自律操縦モードの内、No3からNo7、No32とNo45はマニュアル操縦にシステム変換。自律操縦により店舗外部に逃走しようとしているUDCを殲滅しなさい」
と、状況に応じて期待を自律起動とマニュアル操縦を切り替えて戦闘と保護を遂行するわ。


電脳導師・アイザック
【電脳の箱庭】
※UDC-P救出後

「そろそろいい頃合いじゃ。」
ドカンと爆音と共に天井が崩れてくる。
「後はこいつで支柱を腐らせてやろう。」
腐食銃を取り出し建物の支柱を撃ちまくる。
勿論UDC共は避難しようとするだろう。
そこに仕掛ける。
「………接続開始。」
UDC-P以外のUDC、及び付近の機器全てにハッキングを始める。
そこにある全ての物は我が支配下よ。
「建物と共にこんな下らん計画など潰れてしまえよ、ヒヒヒッ。」


アイ・リスパー
【電脳の箱庭】
「あれは……プラモ!
それも発売前の最新型じゃないですかっ!」

武装した1/12スケールのプラモを見て、思わず目を輝かせますが……
仲間たちに注意されて我に返ります。

「はっ、そういえば、あのUDCの中からUDC-Pを助け出すのが任務でしたっけ」

プラモを壊してしまうのは可哀想なので、私はUDCたちをゲームセンター内に足止めし、仲間がUDC-Pを助け出す時間を稼ぎましょう!

ホロキーボードを叩いて電脳魔術【バタフライ効果】を発動。
小さな竜巻を無数に生み出し、UDC-P以外のUDCたちの足止めをします。

「この程度の竜巻でも、小さなあなたたちには十分な妨害になるはずですっ!」


ウィンディ・アストレイ
【電脳の箱庭】
「見かけはプラモデルですが、一人を除く全てが邪神の眷属です。
遠慮や手加減は無用ですよ」

まず早急にUDC職員と邪神信徒は屋外へ退去して貰い
【選択UC】にて大雑把にUDCの数を減らした後
他の猟兵が討ち漏らした敵を潰しつつ
必要ならUDC-Pの元へ急行して確保
「さて…トゥームストーンの鉄火場から、共に逃れると致しましょう」
UDC-Pをシールドザンバーの陰に隠して庇いながら
スラスターでの滑走移動で、速やかに店外へ連れ出します
(範囲攻撃&制圧射撃&空中戦&ダッシュ&盾受け&かばう)

救出が不要なら天井近くに滞空してUCとウィル・オーを併用し
撤退者の支援を行います
(空中戦&制圧射撃&援護射撃)



「あれは……!」
 アイが驚愕を滲ませた。
 視線の先には無数の小型兵器。
 邪教徒捕縛に拠る一時の平穏は脆くも崩れ去って、現場に緊張感が走り――。

「……プラモ! それも発売前の最新型じゃないですかっ!」
 帯び始めたばかりの真剣味は、また一瞬の内に崩壊した。
 アイの瞳の輝きは超新星の如く広がっていく。それを誰かが諌めるより早く、理緒までもが興奮を露わにしながら、だらしなく開いた口元を拭う。
「……見かけはプラモデルですが、一人を除く全てが邪神の眷属です。遠慮や手加減は無用ですよ」
「はっ」
 常識人が居てよかった。人というか、サイボーグだけど。
 ウィンディの指摘に僅かながら冷静さを取り戻すアイ。何のために今日、此処に来たのかを思い出せば、その顔はきりりと凛々しく猟兵らしいものになって。
「UDC-Pさんを助けましょう!」
 集団を牽引するように言い放つ。
 それを機に、電脳の箱庭に集う者たちは、各々の為すべきを為すべく動き出した。

「ひとまず救出の時間を稼ぎます!」
「敵の足止めですね!」
 アイに答えて、雲雀が先陣を切る。
「お友達プラモロボの、可能性をここで絶やさせはしません!」
 可愛らしくも威勢のよい叫びと共に、伸ばすは光の繰り糸。
 精度抜群伸縮自在。絡め取るのみならず、断ち切る事さえ出来るそれは数多の敵を仕留めて道を開く。
 其処に、何も問題などありはしないが、しかし。
 アイの胸には僅かばかりの憐憫が過る。邪教に作られたものと言えど、砕け散る様を心地よいとは呼び難い。
 それを意識してなのか、彼女がホログラフィックキーボードを叩いて発現させた竜巻は、スカートを翻す事もなければ、敵を斬り刻む事もなく。
「だけど、この程度の竜巻でも、小さなあなたたちには十分な妨害になるはずですっ!」
 言葉で意志を補強しながら、細かく入力を続けて大気中の分子を操る。十分に発達した科学技術は魔法と見分けがつかない、などとは手垢に塗れた言葉だが、しかし忽然と渦巻いて行く手を阻む壁が、小型兵器群の理解が及ばないものであった事は間違いない。
 他方、ウィンディは敵でないものに目を向けた。邪教徒とUDC職員たちだ。何を強がっているのか、くくくと笑う首謀者はさておき、職員まで危険な目に合わせるわけにはいかない。
「此方です」
 万が一を防ぐべく、敵の射線を遮るように立ちながら出口へと促す。琥珀色の瞳が見据える先で、手短に礼を述べた職員らは足早に戦場外へと向かっていく。
 その瞬間を狙うものは無かった。データ転用を阻まれ、恐らくは基礎となる設定のみで動いているであろう小型兵器群に、戦況の判断や優先順位の決定は出来ないのだろう。
 もっとも、一見して小さなプラモデルにしか見えないそれが、自律可動しているだけでも凄まじい事であるはずだが――邪教の技術力や呪法については、ひとまず脇に置いておくべきか。
「ファング!」
 避難者たちから視線を切って、ウィンディは短剣サイズの半実体兵装を放つ。それは未完成の小型兵器などよりも遥かに早く翔び、既に幾つかに分かれていた敵の群れをより細かな塊へと切り分ける。
「今よ、行きなさい!」
 続けざま、シャルロットが気品と勇猛さを兼ね備えた号令を下せば、聖杯を改造した万能機械を更に拡張して作り上げた七十七の機兵、その半数が敵を撃破すべく次々に飛び立った。
「No3からNo7、No32とNo45はマニュアル操縦にシステム変換。自律操縦機は店外への逃走を警戒しつつ殲滅しなさい!」
 矢継ぎ早な指示にも、機兵はきびきびと対応してみせる。対して、妨害と分断により処理能力を遥かに上回る状況へと追い込まれた小型兵器群は、為す術もなく討ち取られていく。

 そして程なく、理緒がそれを見つけた。
 UDC-P。たとえ姿形が同じでも、猟兵であれば間違える事はない。四百機を超える正八角形の小型戦闘ユニット“Octagonal Pyramid”の半数で周囲の敵を蹴散らし、もう半数で保護対象の全方位を取り囲めば、作戦が次の段階へ移った事を察した雲雀が光糸を操りながら問う。
「アイザックさん、出入り口と裏口。障害の少ない方を教えて下さい!」
 それに言葉は返らず、ただ情報だけは送られてくる。其処に現場のリアルタイムな変化を合わせれば、理緒には自然と行くべき道が見えた。
「さ、こっち! いっしょにきて、ねー」
 手を伸ばし、言葉を掛け、邪悪に生まれた一粒の良心を誘う。
 ほんの僅かな逡巡を挟んだ後、それはひらりと掌に降りて理緒を見上げた。
「はっ……!」
 不覚にも高鳴る胸。可愛い知り合いも多々居るからか、飛び交う量産プラモ程度に揺らぎ惑わされる事などなかったのだが――手元にやってきたそれは違う。
 何としても守り抜かなければ。
 気持ちを新たに退路へと進み出す。その矢先、雲雀がちょいちょいとそれを呼んだ。
「UDC-Pさん、ちょっと目立つようにメイクさせてください」
 戦場で宣うには随分と気の緩みすぎた戯言に聞こえるが、本人は至って真剣。
 何せ、保護対象は手のひらサイズである。敵の反攻に遭って逸れでもした時、見間違える事はなくとも見落とす事はあるかもしれない。
 かくして、提案を(メイクの意味を知らずに)受け入れたUDC-Pは、瞬く間に白黒で禍々しい紋様を施された。元が白黒基調のカラーリングだからか、中々馴染む。
「デスメタルと言うバンドのメイクなんですが。定期的に激しい奇声を上げてみると、それっぽくなります」
 ざっくりしすぎて、界隈の人間が聞いたらそれこそ奇声を上げそうな説明だが、ともかく。
 こんな風に、と“いい感じの奇声”の手本を見せた雲雀の周囲から、潮が引くように敵が退いていく。
 それを不思議そうに見つめていたUDC-Pは――小さく首肯したものの、騒音は発さなかった。恐らく機能として備わっていないのだろう。致し方なし。
「ふざけていないで、早く逃げなさい!」
 シャルロットがぴしゃりと言って空気を引き締めれば、状況は待機していた半数の騎兵や“Octagonal Pyramid”などに守られながらの撤退へと推移した。
「さて……トゥームストーンの鉄火場から、共に逃れると致しましょう」
 討ち漏らしをファングで処理しつつ、殿をウィンディが担う。
 それを追撃する程の余力などあるはずもなく、猟兵はUDC-Pと共に悠々戦場外へと脱していく。

 ――が、事態はそれだけで終わらなかった。
「そろそろいい頃合いじゃ」
 待ちくたびれたように呟くと、アイザックは満を持して仕掛けを発動させる。
 途端、響き渡る轟音。迸る衝撃。諸共土中へ葬らんと言わんばかりに崩落する天井。
「後はこいつで支柱を腐らせてやろう」
 現場が紛争地帯と見紛う程の様相を呈しても一切加減無く、アイザックが四方に銃弾をぶちまければ、その痕は見る見るうちに広がって耐久性を喰らい、さらなる崩壊を呼んだ。
 凄惨極まる光景で埋め尽くされる戦場。
 けれども、アイザックは止まらない。辛うじて可動するゲーム機から死にかけの小型兵器に至るまで、全てを己が手中に収めて、卑屈な笑いを響かせる。
「建物と共にこんな下らん計画など潰れてしまえよ、ヒヒヒッ」
 その声すらも、やがて瓦礫へと飲まれていく。

 ――かくして、UDC-Pは救出された。
 後に残されたおびただしい量の残骸の処理と、東京都区部で突如起きた崩落事故に対する情報操作にUDC職員が奔走する事となったのは、また別の話である。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

雪・兼光
◇SPD

おー。本命が出てきたか
UDC-Pを探しながらこのプラモを全破壊か
面倒だなんていってらんねーか

まずはこの面倒なビットをユーベルコードと見切り、部位破壊、乱れ撃ち、第六感、2回攻撃を利用して可能な限り撃ち落とす

ビットだけに集中しない情報収集も使ってビットを動かしてなお、攻撃している振りのUDC-Pを探ってみる

撃ち落とせ切れなかったビットの攻撃は持っている旅行鞄を盾受けで盾代わり、見切りと第六感で軌道を無理に読んででも避ける。
鞄防御は一回使えれば良いから壊れた相手に向かってポイッ

UDC-Pが解り次第誘導弾、範囲攻撃のユーベルコードで彼女以外をお掃除して、お待たせお姫様。……ちょっとキザいか。



 その出現を目の当たりにして、まず感じたのは煩わしさ。
 理由は明白だ。第一に量が多い。次いで、保護対象の存在。
 とはいえ、面倒くさがってばかりもいられまい。
 ロケーションテストも邪教徒の捕縛も、云わば前座。
 噴出してきた敵群こそが此度の本命であるのだから。

 兼光はハンドガンサイズのブラスターを抜く。
 相手が狙いを定めるまでもないほどの大群なのは幸か不幸か。
(「……幸、じゃねーな」)
 小さな兵器が、さらに小さな浮遊砲台と共に飛び回る様は、実に鬱陶しい。
 まるで虫に集られているようだ。この不快な感覚を一刻も早く終わらせるには、とにかく己の為すべきを為すしかあるまい。
 意識を集中して――引き金を引く。
 その射撃は疾速かつ正確。全方位を取り囲む小型兵器群の浮遊砲台を、もっとも敵意に満ちた個体、即ち攻撃寸前のものから撃ち落としていく。
 如何にして、その敵意を感じ取るのかと問われれば――勘だ。或いは第六感と呼ばれる感覚。
 勿論、そればかりに全ては委ねず、己が目と耳でも絶えず状況の把握に努める。UDC-Pの存在も理由だが、まず一つとて敵を撃ち漏らすはずがないと踏ん反り返るほど、兼光は傲慢ではない。

 果たして、予感は的中した。
 熱線を浴びせる前に浮遊砲台が光を放つ。
 反撃を封じようとするその一射を、しかし兼光は旅行鞄を盾として受け止め、そのまま放り投げる。
 小型兵器にとって、それは天が墜ちてくるに等しい。銃撃砲撃も梨の礫だ。

 そうして、幾らか敵を減らしてみれば、自ずと異質さを醸す一つにも目が留まる。
 UDC-P。己が邪悪でない事を仲間に悟られまいとするその存在を感知すれば、後は“それ以外”を片付けるだけ。実に簡単な話ではないか。
 ブラスターから放つ熱線に誘導と拡散の性質を加えて、一気に敵群を殲滅に掛かる。
 全ての掃除を終えるまでに掛かった時間は――大したものでもない。
 だが、殲滅を待ってからの救助。恐怖と不安に苛まれていたであろうUDC-Pにとっては、とても長い時だったかもしれない。
 故に、兼光は傅くようにして腕を差し出すと、こう言ったのだ。

「お待たせ、お姫様」

 秒で「キザいな」と後悔し始めた事など、UDC-Pは知る由もない。

成功 🔵​🔵​🔴​

富良野・経嗣朗
プラモとは『遊び』であるべきだ。故に本気になる事が出来るし、破壊されたとて再生する事も出来る。
『遊び』を失い再生無き破壊の道具とされし邪神プラモは……嘆かわしい存在ではある。
だが私は敢えて宣言しよう。私は君達と全力で『遊ばせて』頂く!
動きが単調という事は即ち、データの転用が上手く行かなかっただけではない。データ収集に伴う邪なプラモエナジーのチャージもまた不完全であるという事!
君達の攻撃は全て、悪しきエナジーが切れ機能停止するまで――私の熱きプラモ愛でいなし捌き回避し受け止めて見せよう。何故ならば、プラモの本分は『破壊』などでは断じて無く『遊び』であるのだと、新たなる同胞に確と魅せるためにもな!



 プラモとは“遊び”であるべきだ。
 故に真剣かつ真摯に臨める。壊れても直せる。
 しかし、眼前を飛び交うそれは違う。
 邪教の手先、再生なき破壊の道具に堕とされた。
 遊びを失ったその存在、その姿は、実に嘆かわしい。

「――だが!」
 敢えて、経嗣朗は力強く宣言する。
「私は君達と全力で“遊ばせて”頂く!」
 それが猟兵として――否、プラモデルを愛する一人の男として。
 邪教が弄んだプラモ兵器群に為せる唯一つ。
「行くぞッ!!」
 男の叫びが戦場へと木霊する。
 その響きすらも取り囲むように、小型兵器群はゆっくりと包囲網を形成していく。
 絵面だけを見れば、男の劣勢だが――。

「私<プラモ>に! 不可能はァ!! 無いッ!!!」

 プラモデルのヤドリガミである経嗣朗は、義憤や闘志やプラモ愛を焚べて魂を燃やし、金色の眩い輝きを放ちながら全ての射撃砲撃を掻い潜る。
 一見して感情に突き動かされているようでも、その思考は水鏡の如く、一点の曇りも歪みもないのだろう。四方八方から降り注ぐ光の雨は何時まで経っても男を捉えられず、やがて力を使い果たした小型兵器たちは一機、また一機と墜ちていく。
 それは全てが経嗣朗の読み通りという証でもあった。敵の単調な動きは、データ転用の失敗だけが理由だけではない。稼働に不可欠なプラモエナジーも、まだ充分な量を貯蓄出来ていないのだ。
「ならばッ! 私は全てを躱し、捌き、往なし、受け止めてみせようッ! この熱きプラモ愛でッ!!」
 勢いを失う相手とは対照的に、経嗣朗の輝きは増すばかり。
 もはや神々しさすらも感じさせるそれも、しかし破壊ではなく遊びの一部。
 そうして己が信念を貫き通せば、ついには一度たりとも拳を振るう事なく、ただ一機を除く全て小型兵器が空から地へと居所を移した。
 残った一つが何であるかは、言うまでもない。

「……同胞よ」
 差し出した手に、それは――UDC-Pは、ゆっくりと降りてくるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『UDC-P対処マニュアル』

POW   :    UDC-Pの危険な難点に体力や気合、ユーベルコードで耐えながら対処法のヒントを探す

SPD   :    超高速演算や鋭い観察眼によって、UDC-Pへの特性を導き出す

WIZ   :    UDC-Pと出来得る限りのコミュニケーションを図り、情報を集積する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 UDC-Pは無事に保護された。
 そのまま、猟兵たちは組織の管理下にある建物の一室へと場所を移す。耐震耐爆防火防音その他諸々、あらゆる状況への対応力を有す実験室のようなところだ。窓はないが、しっかりと空調が効いていて街中よりも遥かに過ごしやすい。
 其処で、最後の一仕事が待っている。救出したUDC-Pの対応マニュアル作成。UDCでありながら悪に染まらぬその異質な存在と、UDC組織の研究者たちが円滑にコミュニケーションを取れるように。またUDC-Pが危機に脅かされる事のないように、なるべく詳細な資料を作る必要がある。

 当該UDC-Pについて、自律機能以外に判明している情報といえば、発声機能は無いが人語は解する、という事くらいだろう。
 他に有益だと思われるのなら、UDC-P自体の能力などから趣味嗜好に至るまで、何でも逐次調査してみるべきだが……先述の通り、UDC-Pが“危機に脅かされる”ような状況だけは避けなければならない。
 ざっくりと言ってしまえば、分解などは厳禁という事である。
 あくまで平和的に遊――調査して、資料を作ろう。

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プレイング送信は『7/25 8:30~』でお願いします。
POW等の行動例は、あまり気にしすぎないで大丈夫です。
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霧島・絶奈
◆心情
「悪に染まらぬ」…意味深長な言葉です
つまり彼女らにはUDCアースから失われた筈の「正義」が宿っていると?
そうであれば猶更に、その心を失わない様に生きて貰わねばいけませんね

◆行動
人語を解しながら発声器官がないのは不便ですね
孤独に浸れば心が死んでいく…
まずはその可能性を潰えさせましょう

発声器官が無いのなら、代替となるコミュニケーション手段を用意するまでです
例えば…顔文字や簡単な単語が書かれたカードを用いると言うのはどうでしょう?
組み合わせて喜怒哀楽や是非の表現が出来るだけでも違う筈です
カード位の大きさなら貴女も持ち運べるでしょう?

他者との交わりこそが、生きる上で最も重要だと…私はそう思います



 謎である。
 UDC-P。正確にはUDC-Peace。壊さず、殺めず。悪に染まらぬ異常な異形。
 ならば、それには地球から失われた“正義”が宿っているのだろうか。
 謎である。
 悪しきの対は善き。平和や秩序を意味する“Peace”が示す通り、それは現世を徒に乱すUDCとは一線を画すもの。今の人界にとって善き存在ではあろう。
 しかし、彼らは何故オブリビオンとしての“破壊の意志”を持たないのか。何故、生れ出づるのか。“幽世”や“正義”と関わりがあるのか――。
 疑問に明確な答えを齎す事は出来ない。猟兵にも、UDC組織にも。
 全ては未だ、謎である。

 だからこそ、それにはそれらしく在って貰わなければならない。
 UDC-P。その真なる意義を解明する為には、それ自身の自発的な協力が不可欠だ。
 そして、彼らの“らしさ”を保つに、絶奈は“孤独”を排するべきと考えた。
 孤独。群れから逸れた例外《イレギュラー》であるUDC-Pにとって、それは理解者たらんとする猟兵やUDC組織の者よりも余程近しい隣人だろう。
 無論、その存在が好ましくない事など言うまでもない。
 孤独は心を殺す。

 だが、孤独を排する上で一つ不便なのは此度のUDC-Pの性質――というか、構造上の問題だ。
 それは人語を解するようだが、発声器官や音響装置に当たる機構は無いらしい。
 身振り手振りなどから大凡の意思は汲み取れるが、表現の多様性と正確性に欠ける方法を延々と用いては互いにフラストレーションが溜まるだろう。
 よって、代替手段による改善を図るのは極めて妥当な判断と言えるわけで。
「この程度の大きさであれば、貴女も持ち運べるでしょう」
 絶奈はUDC-Pの前にカードを並べていく。
 是非の二択が書き込まれたものを始め、喜怒哀楽を示す顔文字や、簡単な単語を記したもの。それらを並べた後、意味を一つずつ語り聞かせれば、UDC-Pは何度も小さく頷いてみせた。
「では……今の気分は?」
 問いかけてみれば、UDC-Pは穏やかな笑みのカードを掲げる。
 安心、というのが一番適切だろうか。
 そのまま此方の反応を窺うUDC-Pに、絶奈も微笑みを返した。
 こうしてコミュニケーションが取れれば、猛烈な孤独に蝕まれる事もあるまい。
 絶奈はUDC職員に向けてカードの解説を一筆認めると、小さな例外の調査を終えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オーレン・ルベライト
10代後半男子でいうと僕は小柄だけれど、UDC-Pのお嬢さんには巨人同然か
デスクとか広くて高い場所にエスコートしたいなー

見た目的にそうかな?と思ったけどスピーカーは搭載されてないね
僕のメイン武装は電脳魔術、華麗かつ優雅に惜しみなく使うとも!

戦闘データを入れようとしたんだから機能拡張もイケる
この場をUCで電脳空間化し、プログラムを少し書き足しつつ
現実空間に彼女の会話ウィンドウを表示してみようかと!
対話の難易度が下がれば質疑応答も捗るからね
円滑なやりとりは安心感にも繋がる、と思うのですよホホホ(冷汗

テストがてら挨拶と、気分はどうか聞こうかな?
心の機微を知ることも、彼女を知る上で重要な部分だからね!



 現世地球で同年代の人間と比較した場合、オーレンの身長は平均値に届かない。
 まして、彼は(自称)銀河系美少年のクリスタリアンである。立っ端はさておくとしても、肩幅ずどーん! 胸筋むきーん! 太ももばつーん! みたいなハッスルマッスルとは無縁であるからして、大多数が彼の体型に抱く第一印象は“小柄”だろう。
 しかし、此度保護されたUDC-Pからすれば話が違う。
 1/12スケール。およそ15cm程度のそれから見れば、美少年もほぼ11倍の体躯を持つ巨人なのだ。如何に害意がなくとも、身を強張らせるに充分な体格差である事は想像に難くない。
 それを踏まえて、オーレンはそこそこ高さのある作業台へとUDC-Pを移動させた。
 勿論、エスコートは淑女をダンスに誘うような手振りで、優しく丁寧に美しく。

「……さて」
 椅子に座り、手のひらからちょこんと降り立った相手と視線を交える。
 小首を傾げるそれは此方の言葉を理解しているようだが、自発的な音声出力は出来ないらしい。
 これは友好的関係の構築に立ちはだかる最大の障壁と言っても過言ではない。身振り手振りで意思を伝えてもらうのも不可能でないが、しかし円滑なコミュニケーションを図るに最も利便性が高いのは、まず間違いなく双方共通の言語による対話。音にしろ文字にしろ、UDC-Pの思考を言語化出来れば相互理解の速度と正確性が大きく向上するのは明白である。
「――と、そういう訳でね。少し試してみてもいいかな?」
 これから為そうとする事を説明して尋ねれば、UDC-Pは頷いた。
 その小さな仕草に含まれる信頼を損なわぬよう、頷き返したオーレンも慎重に、けれども華麗な所作で作業へと移る。
 超高度コンピューター内臓のゴーグルを着用し、電子の流星群を降らせて、0と1が築く未完成の芸術に電脳魔術で僅かながら手を加えていくのだ。
 それは極端な話、人の魂を弄るのと変わりない。軽率で粗雑な仕事をすれば全てを壊しかねない。
 さしもの美少年も、この時ばかりは口を噤んで事に当たった。

 そして、静かな部屋の中でどのくらいの時間が経った頃か。
 ゴーグルを外したオーレンは、平時の自信満々な顔つきで言った。
「さあ、お姫様。気分は如何かな?」
 気取って尋ねてみるものの、内心は穏やかでない。時の流れは電脳魔術を行使している最中よりも遥かに遅く感じられる。
「……如何かな?」
 たまらずもう一度問う。

『――もんだいありません』
 暫しの後、UDC-Pの脇に立体表示された小さな枠には、そんな言葉が浮かんだ。
 途端、押し寄せた安堵に胸を撫で下ろしていれば、続けて幾つかの文章が流れる。
『たすけてくれて、ありがとう』
『おなまえをうかがってもよろしいですか』
「オーレンだよ」
『おーれんさま』
「そう、オーレン。銀河的美少年と覚えてくれても構わないけどね!」
『ぎんがてきびしょうねん』
『ぎんがてきびしょうねんのおーれんさま。きろくします』
「あっごめんなさいちょっとまって」
『?』
 大きめの疑問符がくるくると浮かぶのを眺めながら、オーレンは発言を訂正した。
 この小さな娘がUDC組織へと引き渡された後、自分について語る度に『ぎんがてきびしょうねんの』と冠を被せられるのは――少々気後れする。
 そんな気弱さを感じ取ってはいないだろうが、しかしUDC-Pは律儀に頷いて再び『おーれんさま』と繰り返す。
 その表示枠に関しての簡素な説明書きを作ると、オーレンはUDC-Pに内容を記憶させて、此度の仕事を終えるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

仙巌園・桜
模擬戦して戦闘能力調査してみよっか~
そこまで大した事なさそうだけど。
あんた友達になれそうね?じゃ、薩摩相手して~

次は集団戦の能力でも見てみようかな~
戦闘能力は低くても賢く立ち回るタイプかも知れないし
3人だと少ないし薩摩もせんちゃんもどちらかというと接近戦闘系
だからテュティエティスにも手伝わせよう
そうしよう
長距離戦闘スタイルだろうしこういう小さい生き物系好きそうだし

あとは~こっちの言う事は理解してるっぽいしあっちの思考を知る為に
携帯端末を使って会話出来ないか調査
こちらの話が分かるなら字は教えれば覚えるはず

最後にポテチとお酒を与えてみて食べるのか見てみよう
薩摩その宴会したいだけだろって顔やめなさい



「とりあえず撃ってみて~」
 主の放言に薩摩は目を丸くした。
 いやいや、危ない事したら駄目って言われたじゃないですか。
「……とか思ってんでしょ~。そんなのわかってるのよ~」
 桜は小竜の頬を揉む。しっとりしていた。蒸し暑い外界から来たばかりからか。
 さておき、むにむにと片手の感触を味わいながら桜は語る。
「大した事はなさそうだけど、戦闘能力はちゃんと調べておいた方がいいでしょ~?」
 その声音こそ気怠げだが、発言の中身は真っ当。
 UDC-P。保護対象ではあるが、同時に理外の存在でもある。危険物としての側面にスポットを当ててマニュアルを作成し、万が一に備えておくのは適切な判断だ。
「それに、あんたなら仲良くできそうでしょ。だからほら、ちゃっちゃと相手して」
 小竜の顎下をぺちぺちと軽く叩く。
 そのまま飛び上がり、くるくると室内を旋回するそれを指差しながら、桜は呆然と立ち尽くしているUDC-Pに向かって今一度告げた。
「じゃあとりあえず撃ってみて~」

 小さな銃が唸り、豆粒のような光線が迸る。
 かくして始まった空中模擬戦闘は、しかし模擬戦と呼ぶに物足りないものだ。主より強い疑惑のある小竜と、破壊の意志を持たない小型兵器。力量差は言うまでもない。
 薩摩は射撃を悉く掻い潜って――終いにはUDC-Pの背後に回り込み、その小さな友人をしゃくり上げるようにして背中に乗せてしまった。
 ミニ竜騎士と化したUDC-Pは小首を傾げる。
 薩摩は平然と、そしてゆるゆると室内を巡る。
「ま、そんなもんよね」
 納得尽くの桜はレポート用紙に“戦闘力ほぼなし”とだけ記す。
 しかし、それはあくまでも個の武力だ。小型自律兵器という観点から考察すると、実は集団戦に適正のあるタイプかもしれない。
「だからもうちょっと調べさせてもらいたんだけど~」
 いい加減降りてくるように薩摩を手招きしながら、桜は内線を取った。
「さすがに一人と一匹と一体じゃ足りないよね~」

「――で、あたしを呼んだと」
「うん。好きでしょ~? こういう小さい系」
「好き……じゃないとは言わないけども」
 受話器を置いて暫しの後、現れたテュティエティスは僅かに眉根を寄せて言う。
「けどねえ、せんちゃん。危ないことしちゃダメだって――」
「だからそんなのわかってるのよ~」
 さすがに小竜のように頬を揉みしだく気はなく、にへらと笑いながら桜は答えた。
「一応調べとかないと、ゆーでぃーしー組織の人に何かあったら困るでしょ~? この子にその気が無くても、何か怪しいのの怪しい計画に使われる予定だったんだし~」
「……まあ、それはそうね」
「じゃあ、せんちゃんは薩摩と適当にやるから、そっちも言った通りによろしく~。……あ、せんちゃんと薩摩とあの子にはあんまり近づかないでね~」
「えっ」
「当たり前でしょ、ティスは遠距離戦担当なんだから~」
 桜は俄に動揺した赤い瞳を笑って、鳥か蝶でも追うようにUDC-Pとの間合いを詰めていく。

 かくして第2ラウンドが始まったが、頭数が増えただけで根っこは同じだ。
 逃げながら散発的に攻撃するUDC-P。
 それを空中から追い回す小竜と、地上からぐうたらと(しかし的確に)追い詰める桜。
 遠間で拳銃――ではなく、エアガンを撃つテュティエティス。
「……ティス、本気でやってる~?」
「やれるわけないでしょ。当てて怪我でもさせちゃったらどうするのよ」
「そりゃ当てた人が責任取るんじゃないの~?」
「責任にも連帯責任ってのがあるんだけど」
「あ~せんちゃんそういうめんどくさいのパス~」
「だと思った」
「じゃあ初めから言わなきゃいいのに~」
「……あのねぇ」
「ほら喋ってないで撃って撃って~。薩摩もそろそろ終わりたいって顔してるから~」
 え?
 唐突に振られた小竜は思わず主を見やる。
 瞬間、今度はUDC-Pの方から取り押さえるようにして組み付き、再びミニ竜騎士が爆誕した。それに援軍の妙齢女性が悲鳴にも似た声を上げてエアガンを乱射し、それを浴びた桜とひと悶着起こすのは当然の帰結で――レポートには“状況利用等、やや集団戦適正あり”と記された。

「薩摩くんとお友達になったのねー?」
 ドッキング状態のまま作業台に降りた小竜を眺めて、テュティエティスが頬を緩める。
 何がそんなに彼女を惹きつけているのか。知らないし別に知りたいとも思わないが、しかし小竜を前にしたそれは大体いつもそんな感じで、実にポンコツくさい。
 だから放っておくとして、桜はUDC-Pと携帯端末を使った会話を試みる。
 意志を言語化して発信する機能が無いだけで、それは自律した存在だ。ならば適切な手段さえあれば、此方の言葉により明確な反応を示せるだろう。
「そういう訳だから~、ちょっとこれ試してみて~」
 小竜から降りたそれの横に端末を置いて、文章作成アプリを開き――。
「……ん?」
 操作方法を教えようとした矢先、独りでに文字が入力された。
 無線接続の類か、ゆっくりと打ち込まれたそれは感謝を伝える言葉だ。たすけてくれてありがとう。そう表示された端末の隣で、UDC-Pは反応を窺うように桜をじっと見上げている。
「どういたしまして~」
 このようにコミュニケーションが取れるなら、UDC職員との対話も問題ではあるまい。
 桜は笑みを向けて答えながら、レポートにも現状を記す。

 ――そして、おもむろに持ち物を漁ると、ポテトチップスの小袋と酒を取り出した。
「食べる?」
『しょくひんのせっしゅきのうはありません』
「あー、やっぱり? じゃあこれはせんちゃんが食べるしかないか~」
 さも残念そうに言ってみるが、台詞より先に小袋を開ける音がした。
 ん? これはもしや、端からご主人が飲み食いしたかっただけでは?
「……とか思ってんでしょ~。そんなのもわかってるのよ~」
 ぱりぽりと菓子を頬張りながら、桜は小竜の眉間を軽く押す。
 それだけなら慣れたものだが――また背中に跨がろうとするUDC-Pを感じると、さすがの薩摩もちょっと疲れた(ような)表情を覗かせるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

波狼・拓哉
…何か問題あるとこあるんですかね、この子
いや、狂気を曝け出さない、こちらに敵意も特に無いってなると本当に

…つっても喋れないってのは結構面倒くさいですか
機械に接続して音声とか出来ると楽なんでしょうけど…その手のスキルは持ってないからなぁ

んー…感情が分かればいけますかね?下手に文章でとなると結構労力使いますし
顔文字の描かれた、彼女が持てるサイズのカードをラミネート加工して渡しますか
喜怒哀楽と…YesNo、疲れた表情くらいかな
足りなさそうならUDC組織が何とかしてくれるでしょう
後は適当に会話して時間潰そう

…まあこれから色々あると思いますがその手が赤く染まる事だけは無いと思いますよ

(アドリブ絡み歓迎)



 ――対処マニュアルと言われても。
 最後の仕事にそんな感想を抱いてから、拓哉がUDC-Pと向き合って暫く経った。
 筆の進みは決して良いとは言えず、しかし白紙を提出して帰るわけにもいくまい。
 つまりは何某かの成果を記す必要はあるのだが――。
(「……何か問題あるとこあるんですかね、この子」)
 視線だけを動かして見やれば、UDC-Pは作業机の上に行儀よく座ったままでいた。
 暴れる気配も、狂気を曝け出すような素振りもない。勿論、敵意を向けてくる事もない。
 元より破壊の意志がない例外なのだから当然だが、しかし取り立てて問題がないというのが今は問題なのだ。
「……まあ、強いて言うなら喋れないのが面倒くさいってくらいですか?」
 独り言を疑問符で修飾すると、UDC-Pも首を傾げる。
 スピーカーや、読み上げソフトを入れた機器にでも繋いでやれば何か言ってくれるかもしれないとは思ったが、生憎と拓哉にその辺りをどうこうする能力はない。――ないが、しかし。
「んー……」
 対話、という部分を取っ掛かりにして思考の断崖を一段登る。
 喜怒哀楽を理解するくらいなら、何も人間と同じように喋らせたり、長文を出力させる必要もないだろう。
 もっと簡単簡潔な方法でいいのだ。例えば、そう――。

「こんなの使えますかね?」
 暫しの後、拓哉はお手製のラミネートカードをUDC-Pに手渡す。
 描かれているのは、笑ったり泣いたり怒ったりと様々な感情を示す顔文字だ。
 その他にも、Yes/Noや疲労感を表すバッテリー切れのマークなど。UDC-Pがその意味を理解して使ってくれるなら、今後の相互理解も少しは楽になるだろう。
「――そういう事なんですが」
 一通りの説明を終えて問う。
 UDC-Pは――YESのカードを持ち上げて見せた。また随分と物分かりが良い。
「今渡したのだけで足りないようなら、UDC組織の人にでも作ってもらって下さい」
 再びYESのカードが上がる。
 そのこじんまりとした動きをじっと見つめて、拓哉は独り言のように呟く。
「……まあこれから色々あると思いますが、その手が赤く染まる事だけは無いと思いますよ」
 若干の間を置いて、新たに掲げられたのは『?』のカード。
 それに拓哉は頷きで答えると、暫しの間、UDC-Pとの対話で時間を潰すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

富良野・経嗣朗
君の力を見せてもらえないだろうか?
ああすまない、誤解をしないでくれ給え。いや強ち誤解とも言えないのだが。
君もプラモなのだ。思いっきりブンドドしたい気持ちはあるのではないかな?
そして私も君のブンドドっぷりを見てみたい。
ブンドドし合う事で君のマニュアルも作れる。WIN-WINと言うモノだな。


ああ、それともう一つ。この様な問いを投げるのは、些かデリカシーに欠けるとは思うのだが……重要な事を訊いておきたい。

――メンテについての希望や注意点はあるかね?
柔い布や綿棒、諸々は用意しているのだが……うむ。女性型プラモのメンテは兎も角、君の様な同胞《レディ》をメンテするというのは……流石の私も機会が少なくてな!



「君の力を見せてもらえないだろうか?」
 そう言い放ってすぐに首を振り、経嗣朗は言葉を継ぐ。
「ああすまない、誤解をしないでくれ給え。……いや、強ち誤解とも言えないのだが」
 どうにも歯切れが悪いというか、煮え切らないというか。
 より適切に意思を伝えるには何と告げるべきなのかと、苦心しているように見えた経嗣朗だが――しかし、“それ”以上に相応しい言葉など見つからなかったのか、とうとう観念したように言う。
「どうだろう、君も思いっきりブンドドしたいのではないかな?」

 ――沈黙。
 しんと静まり返った部屋の中で同胞と言うべき二者は立ち尽くし、それから小さな方がゆっくりと首を傾げてみせた。
「ああいや、ブンドドというのはだな……」
 しどろもどろとまでは言わなくとも、今の経嗣朗は宛ら幼い娘に手を焼く父親のようだ。
 それも同胞を丁寧に扱おうとしているからこそであるのは、言うまでもない事だが。
「――と、ブンドドとはそういう意味合いなのだが、理解できるかな?」
 ゆっくりと一つずつ積み上げるように説明していけば、UDC-Pは何度も頷いた。
 それから緩やかに飛び立って、銃を構える。やる気、もといブンドドする気充分だ。
「よし。遠慮は無用だ!」
 笑みを覗かせつつ、経嗣朗も少し間合いを取ってブンドド態勢に移る――。

 そして暫しの間、室内には正しく「ブーンドドド」という音が響いた。
 小さなプラモデルが自由自在に飛び回って戦うという、多くの少年が夢見るような光景は、余すところなく記録されて情報となり、そのままUDC-P対処マニュアルに落とし込まれていく。
 作業は滞りなく進んで――ほぼほぼ完成、終了かというくらいの辺りまで来たところで、経嗣朗はまたもや一つの問題にぶち当たった。
 いや、最初からその存在には気付いていたのだ。しかし、こう、何というか。
「……この様な問いを投げるのは、些かデリカシーに欠けるとは思うのだが」
 二の足を踏む経嗣朗を、UDC-Pは傍からじっと見上げる。
 その可愛らしい仕草や、ボディの曲線から滲む女の子らしさが、経嗣朗をさらに躊躇わせたが――これは今後のUDC-Pにとって必要不可欠な話であるはずなのだ。
 己が問わねば誰が問う。瞑目して覚悟を決め、経嗣朗はおもむろに口を開いた。
「メンテについての希望や注意点はあるかね?」

 ――沈黙。
 静まり返った部屋の中で同胞と言うべき二者は見つめ合い、それから小さな方がゆっくりと首を傾げてみせた。
「いや、うむ、なに、その、あれだ。私もプラモであるからには解っているつもりなのだが、しかし女性型プラモというか、君のような同胞《レディ》をメンテするというのは……流石に、そう中々あることではないのでな! うむ!」
 喋れば喋るほどに不審さが増しているような気がして、さすがの経嗣朗も軽いめまいを覚えた。
 とはいえ、挫けてはいられない。柔い布や綿棒、ハンドソープに超音波洗浄機など様々なものを取り出すと、その用途についてじっくりと釈明――否、説明する。
 それをじっと聞いていたUDC-Pは、程なく綿棒を一本を掴み、掲げてみせた。
 ――成程。ちょっと今やってみてくれと。そういう事か。
「……うむ。了解した。何か問題があればすぐに、すぐに言い給え」
 念押しするように言ってから受け取り、そのままの流れでUDC-Pを優しく掴む。
 そうして始まったお試しメンテナンスタイムの方が、戦いなどより余程、経嗣朗の精神を擦り減らしたであろう事は、マニュアルの片隅に記された“整備に関する注意事項”の欄より、ほんのりと窺えるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーシア・ロクス
この子で危ないのって武器ぐらいですよね?
『変な発信機能も、自爆装置もないっすね。むしろ何をするとこの子に危険かの方が重要そうっす』(※2Pは小サイズ)
でも危ない目に合わせるのは……うーん

そうだ!
UC【カギが繋ぐ無限の世界】のゲームを模した小世界はどうです?
この小世界なら「ミス」しても実際の命に別状はありませんし
色んなゲーム風の世界で、好きなこと、嫌なこと、ダメなことを教えてもらいましょう!
身体能力ならスポーツゲームとか!
『手に入れたけど怠ってる〇〇トレ系とかも』
……そ、そういえばあのゲームって今後どうなるんでしょうね
『いや出てもらわなきゃ困る。まだまだ再現し足りないっすから』


※アドリブ絡み歓迎



 わたしとわたしが、わたしでないものと見つめ合っている。
 より正しく言い表すなら、観察している、というべきだろうか。
 数刻前の喧騒が幻と思えるような静寂の中。じっと、無言のままで続けられていたそれを止めたのは、他でもないわたし自身の吐息。

「この子で危ないのって武器ぐらいですよね?」
 観察対象から視線を移して問えば、色違いのぷちユーシアが答える。
「変な発信機能も、自爆装置もないっすね。むしろ……」
 今、危険なのはわたしたちでなく、彼女の方では?
 二人は揃って、わたしでないものへと目を向ける。
 作業台に乗ったUDC-Pは、それに小首を傾げてみせた。

 害意のないそれは、もはや愛玩小動物に近い。
 可愛らしく、そして小さい。
 ――そう、小さいのだ。そして、恐らく脆い。
 故に扱い方を間違えれば、思わぬ事故で彼女を失ってしまうかもしれない。
 そのような事態を防ぐ為のマニュアル作成だが、しかし。
「危ない目に合わせるのは……」
「できないっすね。うーん……」
 大小二人のユーシアは同じように唸った。
 例えば工業製品ならば、何度も擦るとか何度も回すとか何度も叩くとか何度も押すとか、そんな極めて機械的な手法で耐久性を調査したりもするが、まさかこの小さなUDC-P相手にそんな事をする訳にはいかない。
 かと言って、憶測ばかりで作ったマニュアルはマニュアルの意味を成さないだろう。たぶんヨシ! とか全然ヨシではないのだ。確認大事。

「――そうだ!」
 思案すること暫く。
 ぱしんと手を叩いて言ったユーシアを、ぷちユーシアは訝しむ。
「なんですか、わたし! その目は!」
「なんですかもなにもないっすよ。なんすか、その如何にも『閃いた!』みたいなリアクション」
「本当に閃いたんだからいいじゃないですか別に!」
 ぐぬぬ、むむむ。
 視線をぶつけ合うユーシアとユーシア。
 その間に、ふらりとUDC-Pが割り込んで両手を広げた。
 争い始めたように映ったのだろうか。まるで仲裁するようなその姿勢を見ていると肩の力も抜けて、ユーシアは一つ息を吐いてから、閃きを言葉に変える。

 その閃きとは、ずばり“ゲームを模した小世界”だ。
 其処ならば“ミス”も帳消しに出来る。
 つまり、どんな事があっても実際のUDC-Pに被害はない。
「どうせならいろんなゲーム世界で遊んで、好きなこと、嫌なこと、ダメなことを全部教えてもらいましょう!」
「いま遊ぶって言ったっすね」
「……調査! 調査です! ほら、たとえばスポーツゲームで運動能力を調べるとか!」
「手に入れたけど『怠ってる』〇〇トレ系とかも使えそうっすね」
「うっ……そ、そういえばあのゲームって今後どうなるんでしょうね?」
「出てもらわなきゃ困るっすよ。まだまだ再現し足りないっすから――いや、そんな事は置いとくっす。今はこの子の調査っすよ」
「あ、そうでしたね」
 またもや首を傾げて不思議そうにしているUDC-Pを見やり、ついつい脱線してしまった話を元に戻す。
「じゃあ、まずはゲーム世界に慣れるところから始めましょうか」
 “繋ぐおはなしのカギ”で鍵穴を作りながら言えば、UDC-Pは力強く頷いた。
 やる気充分のようだ。
「負けられないっすね」
「もちろん負けませんよ!」

 かくして、早々に対戦の香りを漂わせ始めた調査は白熱したものとなり、その成果と遊戯時間ならぬ調査時間の長さは、分厚いマニュアルという形で現れるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

荒珠・檬果
無事に保護できてほっとしています。
さあ、最後の一仕事!

…の前に。お名前ってあるのでしょうか?
UDCでもなく『ヴァイスシュヴァルツ』でもなく。あなたの名前。
私は個人的に『ナゴ』さんと呼びます。『和やか』からです。
あなたという『個』は、争いを好まなかった。
私の下の名前、種族略称に使われたりする『マンゴー』からですしね。

人語は理解すれど、発声能力がない。ならばコミュニケーションのために、
『はい』は首を縦に
『いいえ』は首を横に
『わからない』は首をかしげる
を提案しますね。
あと、身体が欠けたら大変ですので、机の角などはクッション材で覆うこととか。
…タンスに小指ぶつけると、猟兵でも痛いですからね…(遠い目)



 脅威は去り、一粒の平穏だけが残った。
 それを然るべき所へと送り届ければ、檬果の仕事も一段落である。
 だが、その前に。

「お名前ってあるのでしょうか?」
 小さな同胞と向かい合って尋ねる。
 UDC-Pは僅かに間を置いてから、首を傾げた。
 それは『わからない』の合図だ。他にも、縦に振れば『はい』で、横に振れば『いいえ』と、3つの単純な意思表示の提案を、UDC-Pはあっさりと理解して受け入れた。
 そして早速、檬果に示してみせた訳だ。こうして簡単なところから始めていけば、後々もう少し細かな感情表現も出来るだろう。何せ、相手は人語を理解するだけの知性があるのだから。
 さておき、名無しだという事実は檬果を少しばかり悩ませた。
 UDC-P、という言葉は目の前の同胞以外にも広く当てはまる。云わば檬果を『猟兵』と呼び続けているようなもので、個体を指し示すには不便極まりなく、そっけない気もする。
 一応、調査によれば『ヴァイスシュヴァルツ』という総称が付けられていたようだが、それをそのまま当てはめるのも違うだろう。また檬果を例に取れば、彼女を『シャーマンズゴースト』と言うのと同じだ。
 つまり檬果は――同胞に対して、存在証明とでも言うべき『名前』を授けるべきではないかと考えていた。檬果が檬果と呼ばれるように、その小さな平穏にも新たな名前を。

「……“和やか”から取って、ナゴさん、というのはどうでしょうか」
 程なく浮かび上がった言葉に、UDC-Pは再び首を傾げた。
 檬果は意味を教え聞かせる。和やか。それは柔らかく穏やかな有様を示す言葉であり、破壊の意思に侵されず争いを好まないUDC-Pにぴったりではないか、と。
 名付けを行うのに、その対象を形成する要素から連想するのも珍しい事ではない。
「私の『檬果』という名前も、シャーマンズゴーストの略称からなんですよ」
 その略称に込められているものと同じくらい、UDC-PもUDC職員らから親しみを持って“ナゴ”と呼ばれてくれれば、何よりだ。
 檬果が穏やかに語り終えると、表情が変わらないはずの“ナゴ”も何だか笑っているように見えた。

 勿論、それは提案の一つであって決定事項ではない。
 注釈をマニュアルに添えて、いよいよ檬果の仕事は終わろうとしていたが――。
「……あ」
 今一度“ナゴ”の姿を見つめたところで、檬果は末文の前にもう一行、注意事項を足す。
 曰く――彼女が生活する空間では、机の角などをクッション材で保護しておくこと。
「タンスに小指ぶつけたりすると、猟兵でも痛いですからね……」
 それは記憶に新しい出来事なのか。
 細めた目で彼方を見やって呟く檬果を、ナゴはまた首を傾げて不思議そうに見つめる。
 それは、実に和やかな光景であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

電脳導師・アイザック
【電脳の箱庭】

「ふむ、なら儂はこう言う物を作ったぞ。UDC-Pの感情や意思をホログラムの文字、絵文字として起こす装置じゃ。」

取り出したのはUDC-Pサイズの小さな腕輪。

「言葉が話せなくとも文字を理解し、活用出来れば良いのじゃがね。」

少し考え込む。

「本当ならハッキングして内部構造をよく見たいところなんじゃが…、いかんせん儂は意思を持つサイバーウイルスなんでね。寧ろ悪影響を及ぼしてしまうからのぉ。」

他のメンバーの物を見て。

「………(本当にそれ必要なのか?儂からすれば凄い邪魔に感じるが…)。」


シャルロット・シフファート
【電脳の箱庭】

私は精霊術で精神感応型文字投影技術を同じアプローチ(意志を文字などに投影してコミュニケーションを図る)を試した猟兵達の各技術を合わせて最適化するわよ。

「フム、彼女も一個の知性体。ちゃんとコミュニケーションを取って己の生きる意味をつかみ取って、あるいは創造してほしいわね」
と、軽く「彼女」を撫でて微笑みながら。


アイ・リスパー
【電脳の箱庭】
「UDC-Pの調査!
これはプラモで遊ぶチャンス……じゃなかった、丁寧に調べないといけないですね!」

UDC-Pも、いきなり武装解除した状態で人間たちと会うのは心細いでしょう。
かといって殺傷力のある武器を持たせるわけにもいきません。

「というわけで、このプラモパーツでかっこいい武装を装着させてあげましょう!」

実弾(BB弾)を発射できるキャノン砲や、ミサイルランチャー(バネで飛び出す)、そしてビームサーベル(暗闇で光る)をUDC-Pの全身に装着していきますね。

「ふう、これだけ武装が万全ならUDC-Pも安心ですよね!」

何よりかっこいいです!(本音)

「あとは、この武装の使い方を説明書に……」


菫宮・理緒
【電脳の箱庭】

分解とかしなければ、解析はおっけーなんだよね。

ならここはもちろん【電脳潜行】でプログラムの海に飛び込んで、
内部から解析してみたいと思うよ。
まずは戦闘系プログラムの解析と抑制、制御方法とかは知っておきたいな。

それと人語を解するってことだから、
なんとか意思疎通の方法は考えてあげたいよね。

ホロディスプレイとか装備してもらって、
言葉を表示できるようにできたらいいかも!

将来的には発声機能とかもつけられたらいいんだけど、
そこはこれからの課題かな!

お話しとかできるようになったら……。
さらに萌え度があっぷしちゃって、
一家に一人、欲しくなっちゃうよね! わたし持って帰っちゃうかも(まがお)


天星・雲雀
【電脳の箱庭】

「お友達プラモロボ、新たなる可能性の始まりですね。しかし、発声機能がないと意思疎通に不便ですね。それに、声で思いを伝えるという概念すら無いかもと成ると・・・」

「色や形は認識できるなら、そこに意味を乗せる手段が加われば。検討して見る価値がありそうです!」

「形状変化多機能マントを作ってみました。ちゃんとUDC-Pさんに装着可能です。構造も使用可能な物にしておきました。機能は、装着者の感情やイマジネーションに感応して、色と形状と機能が変化します。例を上げると、『高速ジェットスラスター』や『花火打ち上げ機』や『狼煙を上げる』などの形態にシフト可能なマントです」

「沢山の邂逅と祝福を貴女に」


ウィンディ・アストレイ
【電脳の箱庭】
「とりあえず、内蔵武器の有無は調べておきましょうか」

【選択UC】を起動して
立体スキャナにUDC-Pを置き、念の為に内蔵武器の情報を収集
但し摘出すると身体均衡が狂いかねない為
存在するならハッキングで武装制御系を無力無効化するに留めます

また、UDC-Pの情報処理系統をハックしてその流れを収集して把握
皆さんの作ったコミュニケーションツールのスイッチを
この子の『意思』に繋げ、ツールを制御できる様に整えます
後はメカニックとして、ハードとソフトの
トータルバランスは確認しておきましょう

「何でしょう…コミュニケーションツールの発案と制作をしてた筈が。
気付くと最初期のBB戦士の様になりましたね…」



「とりあえず、内蔵武器の有無は調べておきましょうか」
「はい! 丁寧に調べないといけないですね!」
 ウィンディの言にアイがはきはきと答える。
 まだまだやる気充分なようで実に好ましい――が、しかし。その返答の前に「プラモで遊ぶチャンス」だとかこそりと呟いては自ら否定していたのを、仲間たちはしっかりと聞いていた。
 一体何をしでかそうと言うのか。
 電脳の箱庭の主たるアイには自然と注目が集まる。注目するだけだ。止めはしない。止めなければならない程の暴挙などするはずもないし、何より止めたら面白くない。
 しかし、調査の一番手を務めるのはアイではなかった。
 まず最初にUDC-Pと触れ合う事になったのはウィンディである。彼女はUDC-Pを3Dスキャナへと案内して、先に述べた通り内蔵武器の有無を調べ始める。
 それは口で言うほど簡単な作業でないのだが――ウィンディにとっては容易い事。あっという間に出力された立体データは、UDC-Pの内部構造を余すところなく解明していた。
「……どうやら、武装は外付けの装備だけのようですね」
「じゃあ、次はもっと内側を調べてみよっか」
 入れ替わり、調査を引き継ごうと言ったのは理緒。揺り籠のようなスキャナの中で立ち尽くすUDC-Pに微笑みかけると、自前の機器を用いてプログラムの海に飛び込む。
 それもまた、一歩間違えれば大惨事を招きかねない行為である。人に置き換えてみれば脳の中を覗き込んでいるのと等しい。
 けれども、其処は電脳の箱庭に集う者としての力の見せ所。
 ウィンディと同様に、理緒もUDC-Pを害することなく必要な情報を集めていく。最もマニュアルに記載すべきであろう戦闘行動に関わるプログラムの解析をしている最中も、UDC-Pは不思議そうに理緒を見上げているだけだ。
「羨ましいのぉ、儂も内部をよく観察したいところなんじゃが……」
 アイザックが誰に向けるでもなく呟く。
 それを果たしてしまった時、UDC-Pに起こる不幸は他でもないアイザック自身がよく解っている。故に欲望はひっそりと吐くだけに留めたのだが。
「……持って帰りたい」
 こっちはダダ漏れであった。
「なんじゃって?」
「え、あ、何でもないよ。何でも」
 聞き取れなかったのか、聞き取れないフリをしてみせたのか。
 どちらにせよ、アイザックのテンプレ的老人ムーブで我に返った理緒は、解析結果を纏めていく。
「言葉が解るなら、意思疎通の方法も考えてあげたいよね」
「そうですね、今のままだと不便なのは間違いないですし」
 理緒が手を止めずに放った台詞を、雲雀が拾い上げて言葉を継ぐ。
「でも、この子に“声で思いを伝える”という概念はあるんでしょうか?」
「それは本人に聞いてみるのが一番手っ取り早いんじゃないかね?」
 またしてもアイザックの声が響く。
 そして、おもむろに彼が取り出したのはUDC-Pサイズの腕輪だ。1/12スケールの装飾品。吹けば飛ぶ程の小さなそれは、もはや芸術品と言っても過言ではないだろう。
 だが、その腕輪は単にUDC-Pを飾るものではない。
「こうやってじゃな」
 装着と同時に用途を説明して、暫し様子を窺う。
 UDC-Pは――じっと片腕を眺めた後、猟兵たちを見上げて首を傾げた。
「はっ」「うっ」「こ、これがお友達プラモロボの可能性……!」
 アイと理緒辺りが胸を押さえて倒れ込み、雲雀が息も絶え絶えに言ったが放っておくとして。
 すっと、シャルロットが近寄ってUDC-Pに手を伸ばした。
「コミュニケーションを取ることで、貴女の生きる意味も見つかるといいわね」
 穏やかな微笑みと共に、細い指がプラスチックの頭部をなぞる。
 行きつ戻りつは何度か繰り返されて、程なくシャルロットが離れてみれば――UDC-Pのそばに忽然と浮き上がったのは、にこりと笑う絵文字。
「ふむ、どうにか活用できるようになったようじゃの」
 唸るアイザックに、シャルロットは視線だけで答える。撫でたついでに、ほんの少し施した電脳精霊術の細工は、その成功さえ見て取れたのならば、別にひけらかす必要もないのだろう。
『――あ、あ、あ。……ありがとう、ございました』
「しゃべった!」
 理緒が興奮のあまり身構えて、そっとシャルロットに促される形で椅子に座らされる。
 そうなった原因が自身の無自覚な可愛さにあるとは露知らず、UDC-Pは腕輪の機能でさらに喋ろうとして――また首を傾げる。電脳精霊術で調整されたとはいえ、まだ急な機能拡張にUDC-P自身が追いついていないのかもしれない。
「じゃあ、これもつけちゃいましょうね!」
 そう言って、雲雀が取り出したのはまたしても1/12スケールの装飾品。
「形状変化多機能マントです。貴女の感情やイマジネーションに感応して、色と形状と機能が変化するんですよ」
 その範囲はとてつもなく広く、例を上げれば『高速ジェットスラスター』から『花火打ち上げ機』に『狼煙を上げる』まで、実に自由自在な変化が可能であるらしい。
「沢山の邂逅と祝福を、貴女に」
 まるで洗礼でも行うかのように告げると、雲雀はささっとUDC-Pにマントを纏わせる。
「それじゃあ、そのマントにも似合うものを付けてあげましょう!」
 あ、と呟いたのは誰だったか。
 定かではないが、しかしさして重要な事ではない。皆々それぞれの仕事に熱心なあまり、少し前に倒れ込んだきり静かだった庭園の主の存在を忘れていたわけではない。断じて。
 という訳で、満を持してやってきたのがアイである。
 仲間たちがUDC-Pの内部構造を解析したり、何とか意思疎通が出来るようにと様々な手段を講じていた間、彼女が用意したものは、ずばり――。
「これです!」
 どどーん。
 UDC-Pの周りに広げられたのは、キャノン砲にミサイルランチャーにビームサーベル。
「いきなり丸腰で知らない人と合うのは心細いでしょうからね! ……あ、これはBB弾が発射出来て、こっちはバネでミサイルが飛び出すやつで、こっちのサーベルは暗闇で光る機能付き! どうでしょう! これだけ万全な武装だったら、この子も安心ですよね!」
(「……本当にそうじゃろうか? 凄い邪魔に感じるが……」)
 思うだけに留めたアイザックに限らず、誰しもが同じような感想を抱き、そしてひっそりと胸にしまい込む。
 瞳を輝かせるアイはもはや止めようがなく、UDC-Pへの装着は瞬く間に終わってしまった。
「かっこいいです!!」
 とうとう本音が全く包み隠さずに出たが、実際のところマント付きフル武装のUDC-Pは格好いい。格好いいのだが、しかし。
(「……あのデフォルメプラモデルシリーズの最初期みたいになってきましたね」)
 盛り盛りてんこ盛りになったUDC-Pを眺めて、ウィンディはふと思う。
 内部構造の解析と、コミュニケーションツールの発案・制作をしていたはずが――いつの間にやら、改造に近い流れになっている。その大部分を担った一人は、すっかり気分上々で「あとは武装の使い方を説明書に……」などと独言しているが、それもUDC-Pの事を想ってだから良いとして。
「トータルのバランスだけは確認しておきましょう」
 玩具と等しい武装の荷重などに限らず、腕輪やマントなど新たに接続された全ての機器を総合して、UDC-Pの扱いやすいように整える。
 そんな最後の仕上げをウィンディが終えれば、UDC-P改とでも言うべきそれは音符のマークを浮かばせて、光るサーベルを構えた。
「……やっぱり持って帰っていいかな?」
 此処まで来ると発声機能まで加えたい。
 そして将来的には一家に一台。いや一人に一台。
 悶えながらも真顔で行われた理緒の訴えは、しかし当然の如く退けられて。
 UDC-Pは――大量の装備と大量のマニュアルを伴い、然るべき場所へと送られていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年07月31日


挿絵イラスト