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バッドラック・インシデント

#アポカリプスヘル

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#アポカリプスヘル


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●それはただただ不運でしかなく
 アポカリプスヘルの荒野を象徴する褐色の大地。灰色の空の下、砂塵を撒き散らして響き渡る轟音に人々は怯えていた。
「オイオイ……嘘だろう、狂った機械どものオンパレードじゃねえか!!」
「奪還者はどうした! まだ戻らないのか!?」
「とっくに逃げたよ。暴走戦車の接近の報せがあった昨夜の間に、何人かの女を連れてね」
 荒野に並び立つ廃墟ビルのうち一つの地下街。そこでは数十人の男女が手に手になけなしの武装を持ち、地上から聴こえて来る音に震え上がっていた。
 数日前に突如姿を現した暴走機械。オブリビオンらしいそれらの存在をいち早く察する事が出来た彼等は、一時の間だけ拠点で息を潜める事でなんとかやり過ごそうとしていたのだ。
 当時はまだ、こうまで自身達の不運に頭を抱えるとも知らずに。
「だいたい、獲物もいないこんな廃墟群で連中は何を探してやがる!? 砲撃してるわけでもねえんだろ!」
「もしかすると何らかの索敵機器でも搭載してる機体なのかも……地下に居る僕らをどうにかしたいとか」
「なんとかしたいが、外にいるのはかなりの大型戦車だ。目の前に姿を晒せば一巻の終わりだぞ」
「くそがぁあ! まだ死にたくねえ!!」
 拠点の各代表者たちがそれぞれ顔を突き合わせ現状の確認を行うも、何度議論しても出て来る答えは『分からない』と『自分達は何もできない』という事のみ。
 拠点内に備えられたなけなしの火器では太刀打ちできる相手でもない。つまり、彼等は嵐が過ぎ去るのを待つ事以外に何もできないのだった。

 しかし。そんな、現状維持を余儀なくされていたまさにその時。
 彼等の元へ新たな凶報が飛び込んで来るのだ。

「た……たいへんだ! 外の暴走戦車ども、戦闘機呼びやがった!
 それだけじゃねえ、見ろ! この拠点内から『何か』が救難信号を発信してやがる! こいつが、次々に機械どもを呼び込んでやがるんだ!」


 グリモアベース。
 シック・モルモット(人狼のバーバリアン・f13567)は気まずそうな顔をしながら首を傾げた。
「……色んな世界があるんだなあ」
 呼んでおいて何だその一言は。そんな空気を感じ取ったシックは集まった猟兵達が口を開くより先に本題に入った。
「場所はアポカリプスヘル、ってトコだ。
 『拠点』って所にどんどん化け物が集まってるみたいでさ。多分、あのままだと全滅する。
 これを回避するには私が思うに、まず凶悪なのを呼んでる敵を猟兵に見つけて貰う必要があると思う。
 変な話、どうにも拠点内に隠れてる奴がいるみたいなんだ。やってくれるよな」
 何らかの信号を発しているシークレットエネミーの捜索。それが最初に要される作戦だ。
 シックが言うには拠点内の地形は過去、文明の名残である広大な駅地下ビルなる場所らしい。
 人口は約40名程。禁忌技術である装置を幾つか応用し今日まで生き延びて来た彼等だったが、今はその広大な施設に潜む敵を見つける事も難しい様だ。
 というのも、住人の殆どが日常的に身体を機械化しているのだ。敵対行動を取られなければ容姿で敵かどうかを判別するのは困難だった。
「獣人っぽい姿だったり頭バケツだったり、おかげで入り込んだ敵に気付けなかったり妙なコロニーだよな。でも、こんな風に絶望したくてやってたわけじゃないだろうし……相手が相手だ。
 隠れてるネズミを潰しても、地上に出たらエライのが待ってる。なんとか、頼むぜ」

 シックはそう締め括ると同時に、猟兵達を目的地へと運ぶのだった。


やさしいせかい
 初めましてやさしいせかいです、よろしくお願いします。

「シナリオ詳細」

『第一章:ボス戦』
 拠点内に忍び込んでいた敵の破壊もしくは発信されている信号の無効化が目標となります。
 この章では、特殊なプレイングとして信号の無効化に関する内容に応じてダイス判定に+するなどして描写します。
 ぶっちゃけ破壊しに行ってもイイと思います。そこそこ頑丈そうなアンドロイドが相手になります。
 あ、居場所の特定に関しましては第一章のOP的な描写にて解決しますのでそちらは考慮せず問題ありません。

『第二章:集団戦』
 廃ビル群上空を低空飛行(高度30~50m)しながら襲って来る戦闘機型オブリビオンを破壊、無力化してください。
 環境に応じて戦闘に工夫を加えると判定に+あったりします。

『第三章:ボス戦』
 第二章からノンストップで始まるボス戦です。
 前章参加済みの方など、希望があればダメージや疲労が蓄積している状態を描写します。(【疲労orダメージ有】などの表記のあるプレイングに対応します)

●当シナリオにおける描写について
 三章全てにおいて描写(リプレイ)中、同行者または連携などのアクションが必要な場合はプレイング中にそういった『同行者:◯◯』や『他者との連携OK』などの一文を添えて頂けると良いかと思います。
 また、三章通して戦闘オンリーなシナリオになると思われます。

 以上。
 皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『機獣侍女『フォクシー・ビーディー』』

POW   :    サーヴィング・クロー
【爪による近接攻撃】が命中した対象を切断する。
SPD   :    マシンガン・アラカルト
【腕から展開する、様々な弾を装填した機関銃】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    アイディール・フルコース
【予め思考回路にプログラムしていた連続攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はウル・ビーディーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 地上を行き来する暴走戦車の重音と重なり、空気を引き裂きソニックムーブを纏う戦闘機の轟音が地下に響き続けている。
 地下の拠点に住まう者達はいま半ば恐慌状態となりながらも、地上に嵐を呼び込んだ者を探し続けていた。

「くそ、怪しい奴はいたか!?」
「だめだ……ここに集まってんのはどいつもこいつも人間辞めた奴等だ、見た目なんて一月も経てば変わっちまうんだぞ」
「暴走機械の動きが段々この上を右往左往するようになってきてる。もしかするともうすぐここに主砲の一つでも撃って来るかもね」

 縁起でも無い事を。実になるわけでもないことを言い合いながら男達が駆け回る。
 ……丁度そんな時である。
 その施設へ何処からともなく猟兵が現れたのは。
 そして、猟兵達は突然その視界に映り込んだ一つのシルエットに目が釘付けになる事となる。
「――――当機に何か御用でしょうか」
 一人、気配の違う異質的存在。
 そう。猟兵だけは例外を除き『オブリビオンを見違える事は有り得ない』のだ。

「ま、まさかあいつか……!? 頼む、そいつを止めてくれ! 外にとんでもないのを誘い込んでやがるんだ!」

 拠点内の人々はその場から後退りしながら懇願する。
 その瞬間、獣人型の侍女はその場から逃げ出してしまう。本能的、或いは何らかの情報に依って猟兵達に自らが異物と捕捉されたことを察したのだ。
 ――地響きに揺れる駅地下ビルの中、狐の尻尾を追う鬼ごっこが始まる。
レイ・オブライト
止めてやりはするが、な
安心しろ。上の戦車ほどは壊さねえ

追う
建物の基礎に影響しない範囲を崩し『怪力』で投げたり格闘仕掛け
後方へ意識割かざるをえない状況にさせつつ敵の視野外、前方へ『覇気』で念動制御する『枷』の鎖をネット状に展開
突っ込ませるか引っ掛けるか触れさせ
【指定UC】発動
壁か床に縫い留める。拘束は一瞬でいい。追いつけたなら
格闘で叩き込む『属性攻撃』(ヴォルテックエンジン製電気)
もう十分働いたんじゃねえか、帰っていいぞ

謂わば直撃雷だ。信号発してるブツが機械的なもんならこの時点で若干バグるかと思うが
逆に一切影響なけりゃ魔術やら他の仕組みかもな。何にせよ後続の指標にはなるだろう


※アドリブ、連携歓迎




 新手の奪還者が来てくれたと思い歓喜の声を上げる『拠点』の住民達。
 事実、猟兵の登場は願っても無いタイミングであったことは間違いない。オブリビオンらしきアンドロイドが即座に逃走を開始した直後、その場に居合わせたレイ・オブライト(steel・f25854)が追走した。
「――止めてやりはするが、な」
 無駄のない流麗なフォームで駆けるアンドロイドを追うレイ。両者の距離はつかず離れず、旧地下街を駆け抜けて行く。
「安心しろ。上の戦車ほどは壊さねえ」
 レイは、膠着した空気に日和るつもりはないと鋭い眼光を向けた。
 曲がり角、あるいは崩れかけた支柱。レイは逃走するアンドロイド目掛けて次々に怪力を用いて周囲の壁面などを砲弾代わりに追撃を加えて行ったのだ。
「……!」
 アンドロイドは何らかの信号を発する機能を搭載しているだけに、それだけ索敵能力に優れていたのだろうか。獣じみた反射神経で背後からの砲弾を躱し、高速駆動させた爪による斬撃で打ち落としてみせる。
 しかしその僅かな隙はレイとの距離を著しく縮める事となる。途中、コンクリート片を割って撒いた粉塵に紛れて逃れようとした瞬間、アンドロイドの視界が一気に天を仰ぐように打ち上げられたのだ。
 およそ人の姿をしたモノ同士が鳴らす音ではない、鈍い衝撃音。
 宙へ上がったアンドロイドの肢体が揺れる、瞬時に体勢を整え再度逃走に移る為だった。
「遅えよ」
「くぁwせdrftgyふじk……!」
 踵を返した後に爆発的疾走へ行動を移したアンドロイドの眼前に突如、網状に展開された『枷』が現れ。反射的に避けようとするも半身を絡め取られたのだ。
 瞬間、起動するレイのユーベルコード。絡んでいた鎖が半ば炸裂し、無数の破片が白銀の杭となってアンドロイドの機体に幾つも穴を穿ち、その動きを完全に縫いつけ止めた。
 ハッとするような仕草でアンドロイドの瞳レンズがレイの拳を映し出す。
「もう十分働いたんじゃねえか、帰っていいぞ」
 ドッ!! という衝撃波を伴い響き渡る轟音。
 その瞬間に閃いた紫電の電光は真っ直ぐにアンドロイドの背後へと駆け抜け、次いで侍女服が爆ぜ飛んだアンドロイドが紫電の軌跡を辿る様に後方へと吹き飛ばされた。

 濛々と粉塵を巻き上げアンドロイドが突っ込んだコンクリートの壁が崩れ崩壊する。天井にまでダメージがない事から、咄嗟ながらレイの目算通り、地下街に大きな損害を出さずに済んだらしい。
 そして。
「おい、例の信号はどうなってる」
「……あ、へ? あ、あぁ! えっと…………おお? おいおい、信号パターンが弱体化してるぞ! これだけ微弱になってるなら!」
「チッ」
 観測機器を手に喜びの声を上げる住民の一方、レイは粉塵の向こうを見て舌打ちを一つ。
(あれでまだ動くか、しぶとい野郎だ)
 うまく隙を突き再び逃走を開始したアンドロイド。

 今度は、どこに。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニティタ・キホーテ
「アイツをやっつければいいんだな、わかった!」
 走って、殴る。それだけだ。だって……
「この場所は私には狭すぎる……!」
 下手に暴れて拠点自体を壊してしまったら本末転倒だろう! だから、走って殴る! それだけだ!
 もちろん、それだけ何とかなるとは思ってない。愚直に追いかけ続ければこっちに攻撃を仕掛けてくる気にもなるだろう。狙うのはその瞬間だ。
「お前如きの攻撃が効くか!」
 ジャストガート的に無敵城塞を一瞬だけ発動させる。初撃だけやり過ごせれば十分、後は気合で耐える!
「ならば、これでどうだ!」
 フライングボディプレスを仕掛け、空中で無敵城塞! 攻防一体の技だ!




 旧駅構内の全体面積は三次元的に見れば広い方だ。
 しかしそれは人類でもこのアポカリプスヘルにおける『一般的な基準』になぞった視点評価である。もしも、ここに人並み外れた体格の持ち主が現れたとしたら。
「この場所は私には狭すぎる……!」
 頭と天井が僅かに触れるかどうか。時折頭上の照明を勢いよく割ってしまうのではとニティタ・キホーテ(夢見る巨大な乙女騎士・f26934)は心配になりながら、彼女は窮屈なビル内をどうにか疾走していた。
 閉所も良い所な環境、だがそれでも止まるわけにはいかないとばかりに奔るのは前方を駆けている狐面のアンドロイドが原因である。
「アイツをやっつければいいのはわかった! だったら私は走って、殴る。それだけだ……!」
 何故なら、下手に暴れて拠点自体を壊してしまったら本末転倒だろう。そう結論付けたニティタは迷う事無く前進する。
 彼女は愚直に追う一方で、無論それだけで何とかなるとは思っていなかった。
 幾ら広大で、そして自分にとっては狭く窮屈な空間を逃げ回ろうとも。それだけで一度姿を捉えた相手を易々と逃がすニティタではないのだ。
 そうして拠点内を駆け回ること数分。いよいよこの鬼ごっこに焦れたか、集まり始めた拠点住民の前で行動に移す方を、アンドロイドは選択した。
 つまり、反撃の時。
「――一時逃走を停止。当機は奉仕行動に移ります」
 艶かしく、逞しくも見える肢体を四足歩行から二足歩行へと、ぬるりと艶美な動作で立ち上がる。その手に構えた爪は鈍く煌めいて。
 既に先の猟兵との戦闘で消耗しているらしいアンドロイドの機体には所々ダメージの色が残っており、侍女服もボロボロになっていた。襤褸切れが黒衣の外套のようにはためき、駆けるニティタの前で揺れた。
 一瞬、ニティタが踏み出したその呼吸の間に。女狐らしい機敏な動作から鋭い連撃の嵐が一直線に繰り出されてきたのだ。
「お前如きの攻撃が効くか!」
 合わせる。
 完璧なジャストガードである。全身を最高速度で駆動させた連撃の初撃を自らのUCで弾いた直後、滑る様に繰り出される猛威の全てを正面からニティタは防ぎ続け。耐えて見せた。
「お痒いところは、ございますか」
「ない!」
 ニティタの動きが鈍ったと見るや金色の尾が渦を巻いて、彼女の首筋を狙っての一閃を放つアンドロイド。
 バギンと、爪が折れる。またもや弾き返したニティタが、盾受けと同時にアンドロイドへ重心を流してその場に一瞬だけ縫い付けた。
「ならば、これでどうだ!」
「……!?」
 相当に巨躯を誇る、ニティタの豊満で逞しい身体がアンドロイドの頭上へ跳ぶ。
 予想だにしなかった彼女の挙動に、アンドロイドがバグったように口を二度三度と開閉させた。
 その直後、ビル内に僅かに震動が走る。ニティタが繰り出したUCを絡めてのフライングボディプレスがクリティカルしたといえる威力を発揮したのだ。
「手応えあり……ッ!」
 古びた廃ビルであるが故に、気をつけていても建物内を破壊してしまう事はある。
 だが、まさか。ニティタの一撃を利用して破壊された足元のダクトへ逃れるとは。

 素早く起き上がった彼女は辺りを見回すが、既にその場を離れたらしく。
 ニティタは、己の体の下に残っていたアンドロイドの機体パーツらしき破片を見下ろしながら首を振るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薙沢・歌織(サポート)
 人間のマジックナイト×聖者、18歳の女です。
 普段の口調は女性的(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)、楽しい時は 明るく(私、~君、~さん、ね、わ、~よ、~の?)です。

◆ユーベルコード
火力重視時:スチームエンジン、瞬きの光竜
ギミック対策重視時:魔宝石は変異する
回復重視時:生まれながらの光(複数味方回復を解禁)、または風精の癒歌

◆基本立ち回り
攻撃役が必要な場合:攻撃優先(WIZ>POW>SPD)
回復役が足りない場合:回復、補助優先

所持技能から依頼に応じて使えそうなものを活用します。


禍沼・黒絵(サポート)
『クロエと遊んでくれる?』
 人間の人形遣い×ビーストマスター、11歳の女の子です。
 普段の口調は「無感情(自分の愛称、アナタ、ね、よ、なの、かしら?)」、独り言は「ちょっと病んでる(自分の愛称、アナタ、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

一人称はクロエ、人からクロエと呼ばれると喜ぶ。
ちょっと暗い感じの無表情なキャラ
武器は装備している物を自由に使って構いません。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!




 地下街を揺さぶる震動は徐々に大きくなってきていた。
「魔導蒸気機関、武器接続! 出力を限界まで引き出せ!」
 それは猟兵による戦闘がもたらす余波とは別のものだ。つまり、地上を徘徊する暴走戦車の動きが数刻前よりも圧倒的に拠点を狙った物になりつつあるのだ。
 このままでは拠点の位置を精確に特定されかねない。早々に決着をつけるべきだと考えた薙沢・歌織(聖痕宿す魔法学園生・f26562)が全力で、その手の武装を励起させ瓦礫を粉砕し爆散させた。
 爆散した瓦礫に混ざりコンクリート面を滑り転がるのは機獣型アンドロイドだ。既に幾度かの戦闘を経て全身にダメージを負いながらも、未だに体内に内蔵された機能によって信号を微弱ながら発していた。
「が……qせdrftgyふ……!」
 ノイズがかった音声を撒き散らし、脚部に損傷を負っているからか四足で体勢を立て直し跳躍する。
 地下街を三次元機動で逃走、回避する間に反撃も織り交ぜて来るのを歌織は緋剣でもって受け流す。
「行って、クローム」
 ギリリと軋み鳴く操糸に導かれ、宙を横滑りに飛来した禍沼・黒絵(災禍の輩・f19241)が操る黒いクマのぬいぐるみ。それは、愛くるしい手足から伸びた暗器でアンドロイドの背中を引き裂いた。
 機械人形とは違う無機物一色の反応、遅れを取ったアンドロイドが驚愕に可憐な瞼を瞬きさせる。
「逃がさないわ、逃がさない……」
 不意に、クロエの虚ろな表情に影が差す。
 数瞬。アンドロイドが怯んだように見えるその刹那。ドレスを翻し足元から召喚した獅子に跨って後退した。
 後退したクロエの鼻先を風が通る。
 否、風を切り裂いて薙がれたのはアンドロイドの鋭い爪先である。戦闘ルーチンに従い繰り出された猛烈な連撃をクロエは予見した通りに避け、最後に召喚したビーストが一撃を受けて霧散させる事で受け流したのだった。
「クロエさん、伏せて!」
「……!」
 歌織が横から割り込みを一閃した瞬間、クロエの眼前に機械腕がボトリと落ちた。
「ア……」
 地面を転がり間一髪で破壊を免れたアンドロイドが漏電しオイルが流れる切断された腕を見る。
 何を思ったか、そこで歌織を見る。
 なぜ、と。訝し気に首を傾げながら。
「当……機、は……」

 アンドロイドはオブリビオンだ。ただの機械とは異なり僅かながら知性を得ている事もあるかもしれない。
 それがどのような指向であれ、それは、アンドロイドが此の場からボロボロの機体を疾駆させて本気で逃走を試みる程度には働いたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



 ――足音が聞こえて来る。
 集音センサーに異常を来して数分。施設内を逃走しながら集めた資材により最低限の修繕が成功した。
 当機は、人に仕える為に造られた。だが、今は、地上から送信されている指令に応じねばならなかった。
 逆らえないのは当機への信号に特殊なシグナルを織り交ぜているからだろう。洗脳ではなく優先順位の問題。『侍女』であるがために『主』が必要となっている設計の隙を突いたウイルスなのだ。
 中破していた機体を修繕し、再び逃走と戦闘が可能となった今。当機はこれから最後のシグナルを地上へ送る事になる。
 それが完了した時この施設内に生存している、人類43名は撃滅され駆逐される事が確定されることとなる。

 当機は修繕に使用していた機材を放棄した。
 さあ、これで最後になるだろう――ワタシは人間を裏切るのだ。
ツキカ・アシュヴィン
けったいな兵器の群れに襲われとるんやね…こいつは大変やな。
とりあえず、まずは誘導役を止めんとな!

土地勘ちゅう意味やとあっちの方が分がありそやけど、周りの様子から構造を予想して(【地形耐性】)カバーや。
駆動音に【聞き耳】立てつつ【第六感】も頼りに【追跡】して、アサルトライフルの銃撃で攻撃。
反撃の爪を充分回避できるように距離を取った上でな。

隙を見て『嘴星、獲物を啄む』を発動、狙うは逃走速度を落とさせるために足か、信号の発信装置がありそな頭の耳。
直撃せんでも、結晶を楔にして壊したるで!




 地上へ送られている信号パターン強度が再度上昇した報せを受けた猟兵達。
 未だに拠点内を逃走しているアンドロイドの捜索に奔走している最中、ツキカ・アシュヴィン(星追いの渡り鳥・f24375)が柔和な内に鋭い笑みを浮かべ電灯が割れて薄暗い地下の一画に踏み込んでいた。
「けったいな兵器の群れに襲われとるんやね……こいつは大変やな。とりあえず、まずは誘導役を止めんとな!」
 言いながら、その眼差しにはある種の確信めいた色が映える。
 旧世界の遺跡ならままある広大な面積の廃墟、探知系の機能を有した機械相手に並ぶなら土地勘の劣は否めない。しかし、これをツキカは周囲をよく観察しながら内部構造を予想し――無数に聴こえて来る機械の駆動音の中でも、特に軋みを上げているモノを聞き分けて。
 そして最後は。
「勘……っちゅうやつやね」
 第六感めいた、己の中に浮かんだ標に従い銃口をゆっくりと持ち上げた。

 直後、ツキカが旧列車ホーム奥に見えた暗闇の中へアサルトライフルを連射させた。幾つかの閃光が奔ったのと同時に火花を散らして、ツキカの視界を地に這うような姿勢で飛び出し駆けて来る影が一つ浮かび上がる。
 ビンゴだ、そう口笛を一つ吹いたツキカが距離を詰められるより先に後ろへステップしながら銃撃を繰り返す。
 鋭角に、時に滑る様にカーブを描いて、左右に素早いステップを刻み弾丸を避けるアンドロイド。金色の軌跡を描いていた尾を、ツキカは撃ち抜いたがアンドロイドは止まらない。
 乾いた音が暫し連続で続く。
 構内を全体の半ば移動したツキカの手の中、アサルトライフルがフルオートで弾丸を撃ち尽くしたのと、丁度眼前で鋭い爪が朱い線として残像を残し通り過ぎたのは同時。再度ステップを刻みながらツキカは瞬きの間にマガジンを振い落して新たに装弾した。
「おつかれさん! そら……逃がさへんで!」
「――!」
 アサルトライフルの銃口がそれまでと異なる閃光を放った瞬間、咄嗟に首を振ったアンドロイドの頭部……より正確には耳にツキカの弾丸が命中した。
 再度、繰り出される高速の斬撃。間合いを完璧に把握したツキカはそれを深く潜り抜け滑り込む事で躱して見せた。
 三度行われる至近での銃撃、急所を避ける最低限の回避に済ませたアンドロイドの爪が今度こそツキカの首を飛ばそうと狙う。
 だが、しかし。
 振り下ろそうとした腕は僅かに振り上げた形のままその駆動を停めてしまったのだ。
「……!?」
 驚き視界を移した先、そこには体の関節各所に射ち込まれた銃弾が不可思議な楔となって喰い込み、そして関節可動を阻害していたのだった。

 アンドロイドの真下に仰向けになっていたツキカがにっこりと告げる。
「ウチの勝ちや」
 最後。そう締め括って放たれたトドメの弾丸は容赦なく、侍女服を纏っていたアンドロイドをバラバラになるまで破壊するに至ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『支える者』

POW   :    ――“発射”
【ミサイルや機関砲 】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    ――“散開”
技能名「【空中戦(回避機動) 】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
WIZ   :    ――“大祖国よ栄光あれ”
【大祖国の敵を撃滅する 】という願いを【他の“燕”】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 ソニックブームがもたらす轟音。
 地下街にまで響き続けるこの音を聴きながら胸を撫で下ろす、拠点内の住民達。
 つい先刻まで地下を揺らしていた巨大戦車の重厚な駆動音は聴こえて来ない。猟兵達が信号の発信源を絶った事で、暴走戦車は拠点位置を把握できずに遠ざかって行っていたのだ。

「これでなんとかなるか……」
「なるもんか! 連中が連れて来たあの戦闘機、未だにこの区域を飛び回り続けてる。厄介な事に恐らく……例の信号を拾っちまったのかも知れねえ!」
「まさか、あのデカい戦車より正確に受信したとか? だったら、どうなるんだ?!」
「最悪の場合ここに向けてミサイルを落として来るかもね」

 話し合いの最中、彼等の頭上で大気を引き裂く爆音が流れる。
 パイプ伝いにビリビリとした震動が流れるあたり、相当低空でこの廃墟ビル周辺を飛んでいるらしかった。
 不運に続く不運。一難去ってまた一難とは、あまりにふざけた言葉だった。
 そんな極限の中、彼等の視線が一縷の望みに縋るように猟兵達へ向かうのはあまりに自然。

 地上を徘徊する戦闘機群、これを退けて欲しいと猟兵は懇願されるのだった。
早臣・煉夜(サポート)
わ、わ、敵がいっぱいです
どんな方だろうとも、容赦なんてしませんですよ
僕はそのために作られたんですからね

妖刀もしくはクランケヴァッフェを大鎌にかえて
どちらかもしくは両方を気分で使って攻撃です
妖剣解放を常時使用して突っ込みます
怪我なんて気にしません
この身は痛みには鈍いですから
死ななきゃいいんです
死んだらそれ以上倒せなくなるので困るです

僕は平気なのですが、なんだかはたから見たら危なっかしいみたいですので
もし、誰かが助けてくださるならお礼を言います
ありがとーございますです

勝利を優先しますが、悲しそうな敵は少し寂しいです
今度は、別の形で出会いたいですね

なお、公序良俗に反する行動はしません
アドリブ歓迎です


霧崎・蛇駆(サポート)
『あーあーヤダヤダ、めんどくさいったらありゃしねぇ』
『やるからにはやるさ、給料分はな』
『いいじゃんいいじゃん!楽しくなってきた』
口では面倒くさいと言いつつも仕事はこなす猟兵で、戦闘だとやる気を最初から見せる戦闘バカです。
捜索系ではハッキングを駆使して情報を集めたり、演技で騙したり脅したりします。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使います。正面きって無数のテンタクルによる物量戦も好きですが、触手による立体的な移動からの相手の死角から攻撃も別格です。弱い相手だといたぶる傾向があります。
メインの武器は『テンタクル』です。
基本的な口調は『オレ』です。
あとはおまかせします。よろしくお願いいたします。




 大気を震わせ鼓膜を叩いてくる頭上の飛燕を仰ぎ、霧崎・蛇駆(ヴィリジアンモンスター・f20261)はがしがしとフード越しに頭を掻く仕草を見せた。
 廃墟ビルが立ち並ぶ旧都市の一画。所詮は瓦礫になり損ねた石クズだとしても、足場には丁度良い。
「いいじゃんいいじゃん、飛び回ってる害鳥がひい、ふう、みいってなぁ! 来いよ、叩き落としてやる!」
 廃墟群を駆け抜けた戦闘機型オブリビオン達は隊形を変え、旋回行動に移る。蛇駆の声に応じるわけではないとしても結果的に、彼の希望に沿う形で敵は襲ってくる。
 高速、空気の波を纏い地表に擦れんばかりの超低空からの急上昇。狙いは紛れも無く、地上へ姿を現した蛇駆に向いていた。
 その先は、音が置き去りにされた世界だ。
 機体から放たれた火線。大口径の機関砲が蛇駆の立っていたビルの屋上を吹き飛ばす。
 だが蛇駆の姿は既になく。その体躯は上空へと舞い上がろうとしていた戦闘機の右翼に絡みついた、液体金属が変形した触手に吊られる形でとりついていた。
 単純に機器によるものではなく、オブリビオンとしての感覚が発揮されたからだろう。直ぐに機体は蛇駆を振り落とそうとローリングしようとしてきた。
「これはまた、飛ぶのも楽じゃないですねー」
 しかし、そうはならない。蛇駆のナノマシン武装『テンタクルス』は戦闘機とは別の方向にも伸びていたのだ。
 常軌を逸している事に、下方から風に乗るかの如く舞い上がって来た早臣・煉夜(夜に飛ぶ鳥・f26032)が蛇駆の後方へ飛んできたのである。
 オブリビオンの翼に絡みついていたテンタクルスが離れる。
「おおい、落ちるとかは無しだぜ」
「それほどの高度でもないですから、僕のダメージは気にしなくていいんですよ」
「ハッ! ま、どうせそうそう落ちねぇからどっちでもいいな!」
 急加速で衝撃波を撒き散らしながら二人を置き去りにする戦闘機。入れ替わりに彼等二人を挟撃すべく、散開していた機体が一斉に機首を向く。

『――“発射”』
 八機もの戦闘機から放たれる、ミサイルと機関砲の波状攻撃。
 ビル群の上空で幾つもの軌跡が刹那に奔った最中。突如半径数百mに渡って銀とも黒壇の色とも見える糸が弧を描いて空を切り裂いた。
「シャァ――ッ!」
 蛇駆の身から迸るテンタクルス。真紅に閃いた蛇駆の眼が計算し実行された凄まじい広範囲攻撃がミサイル弾幕を叩き、相殺し、同士討ちを避けるべく生まれた隙間を縫って戦闘機を殴打して破壊したのだ。
 紅蓮の閃光伴い爆散する鋼鉄の翼。五機もの同胞を喪ったものの、辛うじて残ったオブリビオン達の動きに乱れはない。再度旋回し体勢を立て直そうとする一連の動作に迷いは無かった。
 これで秒。
 だが、それでも。空に逃れればいいものを、オブリビオンゆえに引き際を誤ってしまう。

『――!?』
「ひとつ」
 コックピット内に驚愕の色を含んだ声が漏れる。
 それもその筈。爆散した同胞を落とした触手が機体横を抜けた直後、バインダーに背丈ほどもある大鎌を突き刺した少年が居たのだから。
 煉夜が抜き撃ち気味に妖刀を投げ放った直後、空中でオブリビオンの悲鳴が紅蓮の炎と共に散る。今度は次々に煉夜が、蛇駆の触手が一機捉えては別の機体を狩るという連携を見せたのである。

 廃墟群に降り注ぐ鉄屑の残骸。
 しかし、瞬く間に敵を撃滅したかに思えた蛇駆と煉夜の頭上に新たなジェットの爆音が鳴り響いたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

火土金水・明
「そちらが空を飛ぶのでしたら、こちらも空を飛ぶことにしましょう。」「自由に地上を攻撃させる訳にはいきません。」
魔法の箒に跨って【空中戦】の技能を使用します。
【WIZ】で攻撃です。
攻撃方法は、【高速詠唱】し【破魔】を付け【フェイント】を絡めた【全力魔法】の【サンダーランス】を【範囲攻撃】にして『支える者』達を纏めて【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】【見切り】でダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでも、ダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。


ニティタ・キホーテ
「馬鹿め、閉所でなくなればこっちの物だ! 来い、那由多丸!」
 巨人の私ですらまともには扱えない『那由多丸』は使う時に天から降って来るようにしてある。
「巨人の戦い方を見せてやる」
 更にナイト・オブ・ティターニアで巨大化。ここまでしてようやくこの刀は振れるようになる。
 両腕で抱える様にして刀を抜き、振り回す!
「ちっこいの、これが私の使い方だ!」
 UCによって更に巨大化した那由多丸を力一杯振り回す! 空を飛ぶ戦闘機だからこそ! この刀によって生まれる気流の乱れは無視できまい!
「この大きさこそが私の武器だ!」
 何か、150ガーベラとか言う武器を参考に考えてみた!


薙沢・歌織
【WIZ】
前回は支援要請を受けての参加でした。今回は本隊へ合流します。
アポカリプスヘルに芽吹き始めた希望、潰させはしません。

戦闘機型オブリビオン…アルダワから見れば遙か未来の兵器でしょうが、猟兵の魔法と魔導兵器が通用すると証明してみせます!

ミラージュオーブを【念動力】で遠隔操作し、敵へ光属性攻撃の光線。このオーブは攻撃されてもすぐ復活するので囮にも向くでしょう。
更に精霊銃の魔力弾の【乱れ撃ち】で敵の銃弾を撃墜し、魔導砲の【誘導弾・砲撃】で本体を狙います。

大祖国…?このまま戦闘機が集まると大変なことになりそうです!
命中精度が高い【裁きを下す天の光】を【範囲攻撃・誘導弾】として掃射、一掃します!




 空気の壁を切り裂き、突破する。
 一条の軌跡が崩れかけたビルの側面に突っ込んでは瓦礫となったコンクリートが爆ぜ飛ぶ最中。戦闘機とそのかつての遺志をコックピットに乗せたオブリビオン達は一糸乱れぬ連携で『狩り』を行う。
 これが荒野での戦闘ならば、それは作業のような物。そしてここは旧市街地、例えビルが立ち並んでいようと音速を越える機械仕掛けの"燕"は容易く合間を縫い、飛び続けるのだ。 
「……これ以上、自由に地上を攻撃させる訳にはいきません」
 何処か言い聞かせるような声が、爆風に掻き乱された霞のように消えて行く。
 廃ビル群の中を飛び抜けるその姿。よもやそのシルエット、戦闘機こそ視界に収める事は難しくないとしても、ほぼ同等の速度で飛行する少女を捉えるに関しては難度が跳ね上がるだろう。
 尋常ではない速度で箒に跨り空を駆ける火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)はただ一人、同じく戦闘機で空を駆るオブリビオンとドッグファイトを繰り広げていた。
 相手が空を征くならば自らもそれに従うまでとばかりに飛んだ彼女に、オブリビオン達は内心その強烈な存在感に惹きつけられた事は間違いない。
 空中戦。明を中心に前後左右で挟撃を試みようとする戦闘機の連携力は圧倒的だ。しかし、機関砲を容易く躱す機動力と小柄なシルエットはそれだけで脅威度を増す。
 さらには。
「我、求めるは、新たな雷撃の力――!」
 ビル側面を疾走していたと思いきや、突如その姿を消すと同時に機上から降り注ぐ雷電の槍が容赦なく"燕"を撃ち落とすのだ。
 卓越した魔法技術は科学兵器さえ凌駕する。時には飛来するミサイルの弾幕を切り裂く『サンダーランス』は彼女の手によってオブリビオンの組む隊形を瓦解させるフェイントの要としても機能して見せていた。

 明の参上により、いよいよ通信に呼び寄せられた戦闘機が集まり始める。
 自らの母国、大祖国に殉じた者としてその地を踏み荒らす者どもを撃滅する。その意志こそ本物であっても破壊され行く廃墟群を客観的に見ればどう見ても矛盾していた。
「アポカリプスヘルに芽吹き始めた希望、潰させはしません……!」
 明が駆る魔法の箒が描く軌跡を半ば追うように、薙沢・歌織(聖痕宿す魔法学園生・f26562)が全力で走る。
 猟兵が放つ空気を肌で感じ、ここが本隊の主戦場であると歌織は判断する。じきに、戦闘は激化するだろうと予想して。求められるは迅速な勝利。でなければこの地に生きて来た者の明日は無い。
 そしてそれら思考は背後から轟くジェット音で肯定される。
「戦闘機型オブリビオン……アルダワから見れば遙か未来の兵器でしょうが、猟兵の魔法と魔導兵器が通用すると証明してみせます!」
 魔法学園制服を翻し、振り返り様に精霊銃を抜き撃つ。
 マジックナイトたる証明をここに。
 その思いに呼応するは光魔力の奔流。後方から急襲をかけてきた戦闘機に向け、魔力弾を乱れ撃つと同時に宝玉状に形を成した『ミラージュオーブ』が歌織の周囲に展開する。
 歌織の眼光と機関砲の閃きが交差した瞬間、刹那に戦闘機と彼女の間で無数の火花と閃光が瞬きを繰り返す。同時に、仲間の急襲を囮とした頭上からのオブリビオンの奇襲に対して歌織のミラージュオーブから放たれた光線が牽制する。
 急加速。衝撃波と共に歌織の頭上を飛び越えようとした戦闘機を精霊銃とは別に繰り出した魔導砲が機体腹部を撃ち抜いて見せる。
 紅蓮と共に爆散する戦闘機を背に飛び出す歌織は手近な瓦礫を足掛かりに、地面を弾く様な跳躍でビル上へと駆け上がる。

 歌織と入れ替わりに、ビル上から開けた地上に向かって豪快に飛び降りる巨影が映る。
 その一見隙だらけとも見える在り様に、歌織に注目していた一部のオブリビオン達が向きを換えた。
「馬鹿め、閉所でなくなればこっちの物だ! 来い、那由多丸!」
 まるで火に集る羽虫だと一蹴し力強く叫ぶはニティタ・キホーテ(夢見る巨大な乙女騎士・f26934)だ。
 機関砲が唸りを上げニティタに迫るも、彼女の呼び声に応じるように何処からともなく飛来した大剣を掴み取り、射線を防ぐように地面へ突き立てた。
 ガガガ、と『那由多丸』を大口径の弾丸が激しく叩く。凄まじい弾幕による衝撃もニティタは正面から力で抑えつけ、次いで飛来したミサイルの爆風を利用して跳躍した。
「巨人の戦い方、見せてやる」
『……!?』
 驚愕の声が、どこかで漏れる。
 己の眼が縮尺を間違えているのではと思わざるを得ない程に、ニティタは大きく、そしてその巨躯が更に六枚の幻想的な翼と共に膨れ上がって行ったのだ。
 そしてその手に在った大剣さえも、突如として巨大化する。そのあまりの光景に動揺した戦闘機は咄嗟の回避行動をとろうとした。
 しかし間に合わず。間に合わせない。
 全長数十mオーバーの巨大太刀を抱きかかえたニティタの巨腕がミシリ、と軋みを上げて膨張する。
「ちっこいの、これが私の使い方だ!」
 文字通りの巨腕。巨人としての実力をまざまざと見せつけるべく本気で振り抜かれた巨大刀は真空波すら生んで戦闘機を一刀両断の下に撃墜する。
「この大きさこそが――!! 私の、武器だ!!」
 宙を数回転し、勢いよく戦闘機の残骸を蹴散らしながら着地。そして爆風をも切り裂いて尚、己が力を示して見せる。
 鋭い眼光は荒々しく振り回される巨大刀と対極的だ。横合いから迫り来る敵機の存在に気付いた瞬間、彼女は大きく踏み込み、その大太刀で足元を打ち棒高跳びの要領で中空へと舞い上がったのだから。
『馬鹿な……』
 数百mは離れていた距離を、一っ跳びで眼前まで詰めて来た巨大戦士。その威容と戦女神を思わせる姿にオブリビオンは感嘆の声を漏らしさえした。

「だぁあああ!!」
 一機、二機。粉砕し、切り捨てた敵機体を足場に次々に飛び行くニティタは最後にその巨大刀を横薙ぎに一閃して爆散させるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レイ・オブライト
大人しく引っ込んでるのが正解だ
明日からも生きていく気なら、拠点の補強にでも励んどきな

囮を兼ねてもいいんでな。敢えて開けた場所へ出る
覇気の『オーラ防御+衝撃波』で相殺や軌道逸らしをある程度試みつつ
喰らう分は喰らうで構わない。継戦に支障はねえだろう(『激痛耐性』の上で戦い抜く『覚悟』)
そうやって攻撃の為寄ってきた編隊へ、地面でも蹴りつけ【Blast】逆さ雷を見舞う
電磁パルスで一帯壊れりゃ楽だが型によっちゃ厳しいな。そんときは鎖で捉え『怪力』で地面やお仲間に叩きつけ減らすか
大体そんな作戦だ
それでもオレを落とす気あんのか? どうせ隠れやしねえんだ、じっくり狙えよ
お帰りなら止めねえが


※アドリブや連携歓迎


ツキカ・アシュヴィン
まさか戦闘機なんちゅうモンがオブリビオンになりよるとはなぁ。
まあでも、やってやれんちゅうコトはあらへん!全部撃ち落としたるでー☆

攻撃は基本『弓星、千里を穿つ』で。
何処から撃っとるか分からんように、一発撃ったら手近な建物に隠れて、別の場所から出て…を繰り返してポイントを変えつつ敵を狙ってく。
敵は隠れる場所のない空から攻めてきとる、見つけるんは多分こっちが先や。
見つけ次第、弾丸を撃ち込みにいくで。敵が射程外やったら、射程に近づくまで隠れて待ち伏せや。

あ、ミサイル撃ちこまれるかもしれんから、攻撃仕掛ける時はできるだけでっかい建物の傍は避けてな。倒壊させられたらかなわへんしな!




 レイ・オブライト(steel・f25854)が敢えて選んだのは開けた、足運びに優れた場所だった。
 自らが囮となるのも兼ねたその采配は、地下拠点より離れた位置で敵の注目を集める事で二次被害を防ぐ意図も無くはない。
 そして同じ考えに至ったか、レイが向かった旧市街公園と見られる場には豪快に圧倒するような戦闘を行う味方の姿も在った。
 さらに、何者かの視線。
(……見えねえ。イイ腕してるじゃねえか)
 廃ビルに囲まれた辺りを一瞥しながらレイは黙したまま、敵意なき視線の主に称賛を一つ。
 そうした束の間を経て、別所で撃ち落とされたと見る戦闘機がレイの傍らに墜落してきて爆散する。
 丁度その落とされた仲間を目で追っていたか。上空を旋回していた複数の機体がジェットを吹かして急上昇と急降下行動に移るのがレイの耳に入って来る。
 都合のいい相手だと、『枷』を拳から肘にかけて纏わり付かせて思う。目を向けるまでもなく敵はその一挙一動を派手に報せてくれるのだから。

『――大祖国よ、栄光あれ』

『――栄光、あれ』
『――祖国に還る為に』
『――この地上、全てを、祖国に還す為に』

 紅葉型。或いは卍を描くかのような、急加速からの変態機動と並行して行われる通信。
 繰り返される母国賛美の声に繰り返し応答する賛同の声。
 これらは、レイを捕捉している敵機編隊だけではない。別所でも一斉にこの不穏な行動と通信が行われていた。
 猟兵達は知る由も無い。まさかそれがオブリビオンとして得た最大の能力であるなどと。
 だが、そんなもの。そう掃き捨てたのはレイただ一人。
「燕と変わらねえ」
 火力の増した機関砲と、数の増したミサイル弾幕がレイの四方から殺到した。
 直前、レイの体躯から紫電伴う"覇気"が迸る。枷を纏った拳が荒ぶる残像を連続させ。ミサイルが爆炎を上げて彼の姿を消失させても尚、弾幕に耐えながらその場に留まり続けたのである。
 熱風渦巻く戦場の真っ只中、レイの居た上空を敵編隊が疾り抜ける。
 その、完全に敵を撃滅したと思い込んだ油断の隙を"彼女"は見逃さなかった。
『――敵、爆散。味方分隊と合流する』
『了か――――ッ』
 何が起きたか分かるはずもなく。機体制御に深刻なダメージを受けた事を計器から知らされたオブリビオンは言葉を失う。
 コックピットの外では、共に交差した味方機がエンジンを中破した姿で同じく墜落して行くのが見えた。
 狙撃。それも、尋常ではない程に精密なもの。その事実に思い至った瞬間、機体の爆散と共にオブリビオンは果てた。

「まさか戦闘機なんちゅうモンがオブリビオンになりよるとはなぁ。
 まあでも、やってやれんちゅうコトはあらへん! 全部撃ち落としたるでー☆」
 足をばたつかせてケラケラとひとしきり笑いながら、狙撃銃を肩に担ぎあげる。
 見事。広場で敵の注意をレイが逸らしたのに加え、都合良くエックス字に交差しようなどと嘗めたことをした敵機を同時に狙撃して見せたツキカ・アシュヴィン(星追いの渡り鳥・f24375)がケラケラと笑いながらその場から移動していた。
 瓦礫を滑り降り、爆撃めいた弾幕を降らせている敵の視界の外を動くよう意識しながら。ツキカは次の狙撃地点を目指す。
 瓦礫と瓦礫の隙間を移動しながら、あくまでも周囲の環境に溶け込むように努める。ミサイルの爆風に巻き込まれては叶わないという、ツキカなりに積んだ経験の生んだ一つの教訓めいたものがあったからだ。
 そうした折に、まるで気紛れでも起こしたように肩に担いでいた長距離狙撃銃と化した己の得物を脇でグルンと一回転させ、片膝を地に着けて構える。
 そして、戦闘機の機関砲並みの重い銃撃音が一つ。
 ビルの側面スレスレに飛んでいた機体が火を噴き制御を失って落ちるのと同時、見届ける前に彼女は素早く移動を繰り返した。
「ひゃー、しっかしまぁ。むちゃくちゃやりよるなぁ! おかげでかえってウチがやりやすいのはありがたいんやけど!」
 狙撃役として戦場を俯瞰しながら、暴走戦車とかいう輩よりも派手に破壊行動に準じている戦闘機集団の方が酷いと言ってツキカは苦笑する。
 だが、それももうじき終わるだろうとも思っていた。
 この騒ぎである。戦闘音は間違いなく離れて行った暴走戦車に届いているだろうし、これが終わればまず間髪入れずに襲って来るだろう。

 ――何より、あれで猟兵を討てるとも思えないというのが本音だった。

「……それでもオレを落とす気あんのか?」
 濛々と立ち昇る黒煙と白煙の入り交じった中から、覇気を纏い紫電奔る姿のレイが踏み出していた。
 その身に負った傷は、浅い。
 ツキカが撃墜した敵機がまた新手を呼び込んで来る。その様子を見て首を鳴らしながらレイが体内の動力装置を瞬時にフル回転させて莫大な電力を全身から放つ。
 大気を叩くのは何も翼だけではないと、そう高らかに宣言するかの如く。レイの紫電はその逞しい脚部に集中して行く。
 爆ぜる様な雷電の音は、地を蹴りつけた稲妻の如き轟音落雷によって上塗りされた。
「どうせ隠れやしねえんだ、じっくり狙えよ」
 ツキカがどこかから狙撃を繰り返し、攪乱された敵機が上空を縦横無尽に飛び交うのを地上から睨みつけて。
 バツン。と、さながらヒューズの切れた様な軽く間の抜けた音と共にレイの体躯が一度戦闘機と同じ高度まで跳躍する。
 オブリビオン達は一斉にその姿を目と観測機で追う。
 そして。
「――お帰りなら止めねえが」
 直後、一機の戦闘機を鎖で捉え剛腕で叩き潰しながら落としたレイが地上へ一気に落下した瞬間。彼を中心に凄まじい昇雷が天に向かい突き上がるという、自然の摂理を完全に無視した技によって彼の周辺を飛行していた”燕”が一斉に爆散する。

「うしっ! これでしまいやな!」
 或いは、その翼が折れずとも。
 逃がさないとばかりに射られたツキカの弾丸は例外なく、敵を尽く撃ち貫いて行ったのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『暴走戦車』

POW   :    オーバーキャノン
自身の【戦車砲のうち1本】を代償に、【ビルを消し飛ばす程の爆発力】を籠めた一撃を放つ。自分にとって戦車砲のうち1本を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD   :    全門発射
【何本もの戦車砲から砲弾の連射】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    セメント弾
【主砲】から【速乾性セメントを詰めた特殊砲弾】を放ち、【空中で炸裂した砲弾から降り注ぐセメント】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●本物の暴走を見せてやる
 それは驚く程に悠長に、よく喋るAIだった。
『所属不明機多数、ノウタリンの害鳥がタカっている』
『それにしては随分狩られるのが早い』
『推測。対空兵器完備。該当区域に機獣型侍女に扮したアンドロイドの報告からは考えられない、よってこの推測に信憑性は皆無』
『ブチコロス。ヒキツブス。タスウケツ』
『賛成』
『賛成』
『賛成』
 そして、狂っていた。
 それはオブリビオンストームに呑まれて以降、その巨大戦車に搭載されていたコンピューターユニットからたった一つのAI疑似人格を生み出した。
 自称多重人格。もしくはそれに理由はなく、ただふざけていると理解していて行っているのか。とにかくどれも定かではない。
 ただ分かっているのは、この戦車に受肉してしまった人格は生まれ落ちてから既に壊れているということ。
 しかしこれが何より厄介なのは、恐らくそんな些細な事ではないだろう。
 このAIは――

『所属不明機、全機ロスト』
『ヨシ。該当戦域へ砲撃開始』
『右舷砲塔旋回』
『全速前進、ヨーソロー』
『時速900――女子供を見つけ次第突撃スル』
『男はセメントで固める』
『ドリフト! ドリフト!』

 ――とにかく性格が悪いのだ。
紫野崎・結名(サポート)
音は、こころ。こころは、ちから。
今はたぶん、この音が合ってる…と思うから

音によるサポート、妨害、撹乱が好み
攻撃や運動は苦手、特に腕力はほとんど無いです
なので、キーボードも肩にかけます

ピンチは黒い天使、歩くのはセブンリーグブーツ、Float on soundをふわっと浮かべてキーボードを演奏
キーボードはスマホとつないで音源を自由に設定変更できるよ
動物の鳴き声にしたり、管楽器の音にしたり、弦楽器の音にしたり

食は細くてすぐお腹いっぱい
そして人見知り気味

他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません


ニティタ・キホーテ
「次の相手はアレか? ふっ……小さいな!」
 まあ、この刀が大きすぎるだけだが。
「この那由多丸に断てぬ物は無い、当たりさえすれば! うおおおお!」
 どすんどすんと地響きを立てて那由多丸を振り上げて、振り下ろす!
「チェストォォーッ!」

 まあ当たらないんだが。どう見て重過ぎるし隙が大きすぎる……! そして避けられると隙だらけだが、
「効かんな!」
 ここは先の戦いの応用、無敵城塞のジャストガードだ。
「当たらぬなら、当るまで振り回すのみだ!」
 戦いの細かい技とか知らないからな! 全てをパワーで解決する、それが巨人のやり方よ!
「何度でもチェストォ!」




 恐らくは最後の"燕"が落とされた、まだ黒煙が上がり始めたようなタイミング。
 遠方――廃墟群の外から轟いた砲撃音。次いでほぼ同時、廃墟の一画に傾き佇んでいたビルの残骸が爆ぜ飛んだ。
 砲撃は一度では止まない。次々に無差別に降り注ぐそれは『ただ相手を委縮させる』ことを重視した、あまりにも火力過多な威嚇射撃に等しかった。
 爆裂が続き、ようやくそれら無差別砲撃が収まった頃。”それ”は廃墟に佇むビルの一部を内側から派手に主砲を撃って突き破るパフォーマンスを見せつけながら姿を現す。
 暴走戦車。主砲数本を抱えながら馬鹿げた出力を有する大型戦車が、まるでハイウェイを爆走するチンピラの如くメタル調な音楽を爆音でスピーカーから垂れ流していた。
 多少の障害物も蹴散らして高速でドリフトしながら迫るその姿に、猟兵達の間に緊張が走る。
「……ひ、ひどい……!」
 耳を一瞬抑えながら嫌悪感を訴えるは猟兵が一人、紫野崎・結名(歪な純白・f19420)とその傍らにいる黒い天使。
 戦車のスピーカーから響き渡るノイズ混じりのロックは別の曲とも重なり合っていて、それは戦車のキャタピラが火花を撒き散らす際に不協和音から暴力的な芸術にまで昇華していた。
 結名は、それを哀しいとすら思う。
「こんなの、音楽じゃない……」
 しかし相手はオブリビオンである。壊れたラジオならば同情の一つでもする彼女でも、次に取った行動は躊躇ない敵対だった。
 掻き鳴らされる弦楽器の音色。結名の周囲に召喚され、共に演奏するマリオネット人形達。
 それは文字通り、あたかも暴走戦車と対立するような音色で――
『――子供』
 見事に暴走戦車の意識を攫う。
 主砲が小柄な結名へと向き、キャタピラが火花を散らして爆走する。
 全長数十mにもなろう戦車の巨体が一直線に、結名達の方へと突っ込んで行ったのだ。

 だが。
 鋼の塊が結名達を蹂躙せんとするその数瞬前、黒い天使が少女を背中で庇いながら僅か三歩退がらせた。
「この那由多丸に断てぬ物は無い、当たりさえすれば! ――うおおおおおおおお!!!」
 突如頭上から差し込む、戦車すら覆い隠す影。
 雄叫びと共に。渾身の力と機を伴い振り下ろされた、鬼神の如き兜割りが暴走戦車の装甲に叩き付けられる。
 振り下ろされた巨大な太刀が装甲表面を抉る。刃が、切先が装甲表面下に張られた金属膜を切り裂いて、暴走戦車の軌道を大きく逸らしたのである。
「次の相手はアレか? ふっ……小さいな!」
 弾かれ、即座に方向転換しながら爆走旋回する暴走戦車を指差しニティタ・キホーテ(夢見る巨大な乙女騎士・f26934)が『那由多丸』を掲げて笑みを浮かべる。
 先の頭上を飛び回るカトンボに比べれば実にやり易い。ニティタが背の七色に輝く蝶羽を羽ばたかせた。
 隣を並走するように飛ぶ結名のバロックレギオンを傍目に、巨人化したニティタの体躯は暴走戦車に迫る。
 ましてや、その身が抱き携える巨大刀は戦車の全長をも上回るのだ。本人が追い付かずとも、間合いの内に暴走戦車を捉えるのが先んじる事は容易だった。
 旧市街に伸びる罅割れた道路を駆ける暴走戦車はジグザグに走行しながら、幾つもある主砲を後方から一挙に追い付いてくるニティタ達へと向く。
「チェストォォーッ!」
『コード――【全門発射】実行』
 弧を描く火花。跳躍からの振り下ろしをドリフトで回避した暴走戦車が、次いで返す刃のように砲撃をニティタ達へと見舞う。
 後方から伸びて来る結名の演奏。黒い天使が砲弾を掻い潜りながら戦車の装甲を削る最中、爆炎の向こうからニティタが頬に煤をつけて飛び出して来る。
「効かんな!」
 『無敵城塞』を合わせたニティタがにっ、と不敵に笑って見せる。
 豪快に、何度でも。その巨躯が迫っては大太刀を振り下ろす。瓦礫が打ち上がり、粉塵を貫き爆砕が繰り返されて旧市街を駆け抜けて行く。
「当たらぬなら、当るまで振り回すのみだ! 何度でも――チェストォ!!」

 結名の演奏に混じるニティタの咆哮。
 それは暴走戦車がスピーカーから流す不協和音を生じさせるロックに並んで、両者が互いを見失うまで続いたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​


●暴走の幕間
 瓦礫を巻き込んだキャタピラがパージされると共に、車体下から伸びた細腕のマニピュレーターが近場の戦闘機の残骸を回収して行く。
 主砲が火を噴く一方。猟兵との戦闘で損壊した箇所を継戦重視された修復が施される。それこそがオブリビオンたる暴走戦車が有する異能たりえる、謂わば生存本能めいた長期戦対応だった。

 暴走戦車は暫しその場から砲撃を繰り返し、廃墟に破壊を撒き散らした後に新たなキャタピラを自ら取り付けて発進する。
 所々から火花が散っていた車体も今では外観の傷だけを残して。更なる破壊をもたらすべく疾走を始める。
 先の戦闘を経験した上で――より凶悪な一手で獲物を狩るのだ。
中村・裕美(サポート)
副人格・シルヴァーナ
『すぐに終わってしまってはもったいないですわね』
多重人格者の殺人鬼× 竜騎士
外見 赤の瞳 白の髪
特徴 長髪 のんびり 社交的 惨殺ナイフを愛用 実は胸が大きい
口調 (わたくし、~さん、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)

裕美のもう一つの人格で社交性と近接戦闘特化。
戦闘では【残像】が残るような優雅ステップで敵に近づき、惨殺ナイフによる【部位破壊】で急所や腱を狙い、更に【傷口をえぐる】。
槍を使うことがあれば、相手を【串刺し】にします
【瞬きの殺人鬼】使用後の昏睡状態はもう一つの人格に切り替えカバー

あと、虫が苦手




 自らを修復して間もなく。暴走戦車は意外な物の登場に僅かながら興味を引かれる。
『――小型ドローンを確認』
 地響きすらさせる超重量の車体が急停止する。
 それは、暴走戦車の巨体に比べれば余りにも小さな羽虫のような機械兵器。ともすれば蹴散らせる貧弱さに、暴走戦車はセンサー機器を機械兵器周辺に集中させながら様子を伺っていたのだ。
 足を止めるだけの余裕があると、その行動が物語っていた。
「……驕り、ね……機械が、慢心だなんて……」
 戦車が中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)の放った小型機械に文字通り気を取られている傍。
 瓦礫に身を隠していた裕美はタクトでも揮うような手捌きで、暴走戦車へとハッキングを試みる。
 手早く。しかし精度高く。赤く点滅する視界のように変質したオブリビオンの内部に糸が垂らされて。
 電子の世界でそれは、赤々と裕美の前に置かれている。
 暴走戦車。その巨躯を操るべく設計されたコントロールユニット、その核に裕美は触れた。
 その目的は、動作停止。少なくともこの巨躯を動かす回路のいずれかに不調を来す事が可能ならば、と目論んで。
 しかし――それら目論見は全て、たった一瞬システム内に生じたエラーの文字が掻き消してしまう。
「これ……は……!」
 電脳戦は完全に裕美の完勝だった筈である。暴走戦車は彼女がコードをたった三つほど書き込めばそれで無力化出来ていた筈だった。
 では、何故突如この戦車の内から弾き出されたのか。
 その答えは裕美が視界に広がるカーソル上に示された電子情報を読み取っていた一瞬の後、頭上から飛来した砲弾がもたらした破壊と衝撃が物語っていた。

 暴走戦車のスピーカーからノイズ混じりのロックが鳴り響く。その中に、更にノイズの被った無機質な機械音声が爆音で鳴った。
『「嘗めた真似をしてくれたな、人間ンンンン!!」』
 キャタピラが火花を連続させ、その場から急発進する。同時に、地を滑りながら全門から放たれる砲弾の雨が裕美の隠れていた場所に次々に降り注ぐのだ。
 しかしその着弾地点は徐々に、その位置を手前に向かいずれて行く。
 爆風と土砂混じりの粉塵が立ち込める中を貫く一筋の影。白髪に染まった長い髪が軌跡を描きながら、廃墟ビルの壁面を駆け抜けて行くのが暴走戦車には分かっていた。
 裕美の変貌したその姿。それが副人格である『シルヴァーナ』に切り替わった事によって生じた現象であると暴走戦車は理解していない。
 ただ、新手が現れたと。あくまで機械的に判断しながら冷酷にオーバーキルしようとする。
「いい性格をしていますのね、そう――まさしく”鉄屑”といったところでして?」
 刹那に赤く瞳が煌めいた直後。信じ難い挙動でビルの壁面から飛び上がり背面で砲弾を躱すシルヴァーナ。
 キン。という軽い金属音が連続する。
 それは彼女の手から放たれたナイフが刃のみ投げ打たれたものであり、暴走戦車の砲口へ投擲されたものだ。
『……!』
 センサーが捉えた恐るべき戦術に気付いた戦車は、暴発を避ける為に砲撃を一瞬遅らせてから高速のドリフトと重ね砲弾の排出を機体の内で同時並行しようとした。
 だがその隙を逃す筈もなく。

「ごきげんよう」
 ドリフト旋回するその一瞬。煌めく眼光に次いでその手に握ったドラゴンランスが、目にも止まらぬ速度で投擲された。
 音速を越えたその穂先は真っ直ぐに、しかし僅かに回転を加えられた事で途中軌道を曲げ、旋回する主砲の砲口へと滑り込んで行った。
 次の瞬間、シルヴァーナが地面を滑り着地したのと共に爆炎が暴走戦車から挙がったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

薙沢・歌織
【POW】
主砲を多数接続した、歪な形状の戦車…。あれを撃沈するのが今回の作戦の最終目標。
今の私には、真の力の断片たる光の翼もある…全力で行きます!

敵の装甲は見るからに分厚く、キャタピラでの高速機動も脅威になるでしょう。攻撃は【ダッシュ】で間合いを取り、主に魔導砲レイン・クロインの実弾モードで【炎属性の鎧砕きの爆裂弾】を【砲撃】。まずは履帯を【部位狙い】して機動力を削いでから、主砲の付け根を砲撃して全て潰し、その後空中浮遊から内部を狙って砲撃。

敵の砲弾は精霊銃で迎撃。また予め【多重詠唱】を仕込んでおき、敵のUC発動時にすぐ【光翼障壁】で防げるようにしておきます。
帝竜戦役の記憶…再現せよ!


レイ・オブライト
んな世界で品格を求めるもんでもねえが……
親(開発者)の顔が見てみてえもんだな、おい

先の戦いの傷を活用。いまいち使えねえ奴らだったが、まあ足りねえ分はこれから足せばいい
正面からいこう。女子どもを優先的に狙うってなら動きも読みやすい。カットに入る
負傷度合いが足りねえ場合一発は敢えて喰らう(オーラ防御他で適度に逸らす)
敵がUC用に砲口向けてきた際に【Gust】で対抗
生成した槍をぶん投げて砲口に叩き込めば装甲ブチ抜くよか届きやすかろう。砲弾撃ってくれても構わねえが、腔発すんじゃねえか。忠告はしとくぜ
誰か乗ってんのか?
乗ってねえらしいな
なら、徹底的に叩っ壊さねえとだ(殴り潰しに)


※ダメージ有。連携等歓迎



●暴走の果て
 主砲の一本が大破したものの、それでもなお継戦能力に問題はなかった。
 この地には丁度、それほど時代の離れていない戦闘機が転がっている。修繕素材に事欠くことがないのである。
 だが、それをいつまでも許すほど『猟兵』は甘くは無い。
「んな世界で品格を求めるもんでもねえが……親の顔が見てみてえもんだな、おい」
 灰色の空に鳴り響く爆音。次いで、炎を噴く主砲を放棄しながら廃墟の中を走る戦車を瓦礫の上から俯瞰して。
 レイ・オブライト(steel・f25854)は首を鳴らす。
 先の戦闘まで見ていれば嫌でも分かる。暴走戦車の内から溢れんばかりの悪辣さは、完全に小物のそれだ。どんなAIを作ればこうなるのか、その是非を開発者たる存在に問い質したくもなるというもの。
 僅かに滴る己が血液を『枷』を濡らすのも一瞥せず、レイはその場から半ば跳ぶ様に疾走する。

「主砲を多数接続した、歪な形状の戦車……」
 一方、崩れかけたビルの中。薙沢・歌織(聖痕宿す魔法学園生・f26562)が瑠璃色の瞳を暗がりの奥から瞬かせ、軽い跳躍と共にレイに続いて眼下を疾駆する暴走戦車へと向かう。
 作戦最終目標、撃破対象であると確信した歌織は迷いなく魔導砲を抱える様にして構えた。
 視界の端を、紫電が閃く。
「……! 友軍――ですね」
 紫電の中にある金色の眼光。レイの姿を認めると同時、歌織は空中でビルの壁面を蹴りつける。
 砲撃。一条の火線が紅蓮の爆風を上げ、暴走戦車の後部装甲を溶かし抉った。
 その直後に歌織の華奢な体躯が地面を滑りながら暴走戦車との間合いを図るべく、再度その脚で駆け出すのである。
 猛然と火柱を上げていた暴走戦車が壮絶な金属音を響かせ回転する。
 キャタピラにも拘らず限界まで挙動を鋭角にさせた、驚異の機動力に歌織が一瞬目を見開きかける。
 しかし、それならそうと。そのつもりで対処するまで。
「この地の人々を轢き潰させません……!」
 歌織の全身から温かな光が迸る。
 宝玉状に輝く光魔力。それらが周囲に展開するのと暴走戦車が突進を仕掛けながら砲口を向けるは同時。歌織が魔導砲を背に隠すように引き、返す刃の如く抜き撃つは精霊銃だ。
 ミラージュオーブと精霊銃の射撃光が波状となって殺到する。だが、それらは中空で瞬く間に暴走戦車の全門から放たれた砲撃によって相殺されてしまう。
 それでも。揺らぐ事無く歌織は敵を真っ直ぐに見たまま後方へと飛ぶ。
『――轢き殺す』
『――轢き回す』
『――轢き潰す』
 暴走戦車のスピーカーから聴こえていたロックが、断末魔めいたノイズで埋め尽くされる。それはまるで咆哮のようで、歌織はアルダワで目にした魔物のようだと、錯覚すら覚えた。
 文字通りの追走。
 だが、そこで割り込む影がその身に纏っていた覇気を衝撃波の如く放つ。
「小せえな――その図体でやる事がチンピラとは、笑えねえぜ」
 ミシリ。軋みを上げる利き腕が、紫電と共に半ば筋肉が膨張する。
 何百トンとあるか知れぬ戦車の巨体が逸れる。それはレイによるカバーならぬ体当りで、車体が大きく傾いた為だった。
 爆風が吹き荒れる最中。レイの身を幾つか亀裂のように傷が走り、後から宙に流れ散る血潮がレイの纏う覇気を朱く濡らすように見えただろう。
 レイが背に庇った歌織がふわりと風に乗る様に跳躍する。次いで、その機動力ゆえに体勢を崩したまま通り過ぎようとする暴走戦車へ向け、三度紅蓮の火球めいた砲撃が繰り返された。
 轟音、鋼が爆ぜる甲高い反響音。直撃だった。
 その場に走る幾つもの衝撃波が粉塵を散らす中、巨大な装填音が辺りに鳴り響いた。
 大地ごと吹き飛ばされたキャタピラはシャシーを抉りながら、完全に大破しており戦闘中の修復は不可能に見えた。
 ならば、この状況で取る選択肢は多くない。
 レイと歌織の連携によるダメージが効いてるのか沈黙したままの戦車が、不気味な程の殺意を奔らせていた。

 来る、と。未だ宙を滑空していた歌織が確信した。
「私を包んで――! 荒れ狂う暴虐の鉄槌を阻む光を此処に!」
 刹那、暴走戦車の主砲が黄金色に閃いたのも一瞬。それまでとは全く毛色の異なる爆裂が歌織とレイを次々に襲う。
 本気。
 つまり暴走戦車がその悪辣な頭脳をもってしても導き出した答えは、全存在を賭けて自己破壊を招く最強の砲撃だったのだ。
 歌織とレイの周囲に在ったビルがコンマ送りで移り行く映画のように消え飛び、数瞬も経ってから爆風を撒き散らして崩壊して行く。
 しかし、それと同時に。暴走戦車の装甲が内側から機械パーツの残骸を撒き散らして吹き飛んでいた。
 主砲の自壊とは別。
「ガ……ッ」
「忠告はしたつもりだがな。幾らでも撃ってくれてもいいんだぜってな」
 暴発である。主砲に刺し込まれた何かが暴走戦車の砲撃を妨げ、砲塔内部で爆発を引き起こしたのだ。
 爆炎の向こうで白い翼が羽ばたき、無傷のまま歌織が姿を見せたその時。大きく傾きバランスを欠いた暴走戦車の装甲ハッチにレイが手を掛ける。
「誰か乗ってんのか?」
 常軌を逸した怪力が引き剥がす。そこに、人の気配などある筈もない。
『機体損傷率85%……! コード:オーバーキャノン……!』
 車体後部の砲塔がグルンとレイに向かう。
 が、その瞬間。レイの腕が一閃されたのと共に血飛沫が一直線に伸びた。
 彼の血潮は紫電と絡み合う。それは、本来の彼が操る莫大な電力電流が唸り巻き付くように。光の槍となってレイの手に収まっていた。
「――乗ってねえらしいな」
 車体奥で何かが駆動し、砲撃の気配が奔ったのと同時、レイの手から投擲された光の槍が砲口へと衝き穿たれた。

 直後に鳴った爆発音は開幕のゴングだった。
 宣言通り、その脚と主砲を失った暴走戦車はレイの拳が――或いは歌織の魔導砲が破壊と解体の限りを尽くしたのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


●例え不運な事があっても

 猟兵の奮戦が遂に終戦となっても、拠点の人間達は地上に出て来てその惨状に頭を抱える。
 機械兵器の波状攻撃に晒されても廃墟群の一部は遺跡として機能しているとはいえ、地盤や地下の崩落の危険が付き纏う事になるのだ。
 暫くは拠点として利用できても、近いうちにこの地を離れる事が必要となるのは間違いない。
「まあ……生きてりゃ何とかなるだろうよ」
「ああ! このくらい、荒野じゃ『不運だった』って笑える話だ」
 それでも、と彼等は笑う。
 少なくともここで途絶えるわけではない。猟兵達の活躍が彼等を繋いだのだから。

最終結果:成功

完成日:2020年07月26日


挿絵イラスト