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遠き夢

#UDCアース #UDC-HUMAN

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#UDCアース
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#UDC-HUMAN


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●小さな夢
 アカネは母子家庭で育った。
 家は貧乏ながらも、母は優しくて働き者で、自慢の母だった。
「高校は出ておきなさいね」と言うのが母の口癖で、アカネも頑張って公立高校に受かり、バイトをしながら暮らしを支えていた。
 このまま母と二人、慎ましやかに暮らしていければそれでいい。
 それがアカネの小さな夢だった。なのに。

 母が夜に働いているスナックにヤクザが出入りしていると聞いたのは少し前のことだ。
 嫌な予感がしたが、仕事を辞めてとは言えなかった。
 だが、ヤクザの親玉が母に恋慕して、母がそれを断った、らしい。
 母は、三日後、死体となって発見された。ヤクザたちが死体があった場所を警察に通報して発覚した。未だ、母を殺した犯人は証拠不十分で捕まっていない。

 悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい。
 悲しい悲しい悲しい悲しい悲しい。

 アカネは廃ビルの屋上にいた。復讐してやりたい。でもできない。
 そんな命になんの価値があるのだろう。
 誰か、いつか、私の代わりに、あいつらを。
 そんなアカネに声がした。

「私を手にとって。そうすれば、あなたにも復讐ができる」

 それが、UDC怪人の罠だとも知らずに、アカネは手を伸ばす。

●今は遠き夢
「あー……ちょっと力を借りたいんだけど、いいか」
 グリモア猟兵のアルベルト・ハルトマンが悪人面を歪めて、猟兵たちに声をかけた。
「場所はUDCアース。今流行りの人間がUDCに変身したって案件だ。ちょいとそれを助けてきてほしい」
 アルベルトによると、UDCに変身したのはアカネという女子高校生。つい先日、母親を亡くしたばかりだと言う。
「その母親ってのが殺されたんだが……その犯人が、母親に恋慕したヤクザ共らしい。警察もまだ、確証が取れねえってことで犯人は捕まっていねえんだが」
 アルベルトはにいっと悪い顔で笑った。
「猟兵なら、その辺、どうとでもなるだろ。アカネを助けてヤクザ共をすっきりするやり方で制裁してほしい。あ、命までは奪うなよ?」
 猟兵が納得した様子を確認すると、アルベルトは言葉を続けた。
「場所はとある廃ビルだ。周りに、UDCを追いかけてきた雑魚どもがいる。まずそいつらを蹴散らして、屋上に上がれ」
 屋上に上がると、UDCになったばかりのアカネがいる。
「強さは、まあ、いつもの敵と同じくらいじゃねえか? ただ、UDCになったばかりの元人間だ。アカネを説得したり同情したり、あとアカネを傷つけないように戦闘すりゃ、アカネはすぐに戻ってくるだろうさ。そしたら」
 アルベルトはグリモアを起動した。
「ヤクザ共へ殴り込め。再起不能なくらいまでは痛めつけていいぞ。じゃあ、よろしく頼むわ」
 グリモアが光を放った。


空色
 空色です。よろしくお願い致します。
 UDCアースでの事件となります。UDCになった少女を助けてあげてください。

 1章は集団戦です。UDCが廃ビルの1階でうろうろしていますので、蹴散らして屋上へと上がってください。
 2章はボス戦です。UDCとなったアカネとの対決になります。アカネを説得したり、傷つけないよう戦闘したりすることがプレイングボーナスとなります。
 3章はアカネを傷つけたヤクザ共への制裁を行ってください。命さえ取らなければ、きゅっとやっていただいて構いません。

 受付や締切などは恐れ入りますが、当方のマスターページをご確認いただけますと幸いです。皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 集団戦 『繋ぎ合わされし者たち』

POW   :    オ、オマエハ……俺ノ、餌ダ!
【飢えを抑えられず、リミッターの外れた姿】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    俺ノ身体ハ……モウ、長クナイ
【猟犬の嗅覚と反射神経】【虎の腕力と家猫のしなやかさ】【狐と狸の狡猾さと馬の脚力】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ   :    死ヌ前ニ、オマエタチダケ、ハ……!
自身に【決死の覚悟】をまとい、高速移動と【身体の継ぎ目から吹き出す、血の斬撃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵たちが廃ビルの下まで辿り着くと、屋上のUDC――アカネの気配を察したのか、ツギハギの獣のようなUDCがうろついていた。
「早ク……ぼすヲ迎エニイカネバ」
「早ク、早ク」
 階段を探して右往左往している様子。
 今のうちにUDCを倒して、アカネを助けに行こう。
木々水・サライ
[絡み・アドリブ大歓迎]
任務の話を聞いて、実感が湧かないというのが素直な気持ち。親を失うという感情がよくわからない。
それでも、救って欲しいと言われた彼女にはその道を歩ませたくない。

自分がサイボーグになった理由を思い出しながらも呟く。

「人が変わる瞬間ってのは、いつ聞いても気持ちがいいものじゃねぇな」

廃ビルの下でうろつくUDCを発見し、様子を伺う。
武器[拷問具]を使用し、今のうちに後で出会うヤクザたちへの拷問の練習でもしよう。そう思いながら【ヴァリアブル・ウェポン】を起動。今回は命中力を上げ、相手の血を確実に絞る。

「死んでもアンタの身体は練習台にさせてもらうぜ」

悪い顔が見え隠れする。


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

おう。
そこどきな、犬ッころ共。
誰の許しを貰ってココに立ち入ってんだ。
ここはテメェらのシマじゃねぇ。
もちろん、あの上でふざけた事やろうとしてる
ボスとやらのでも無ぇかんな。
アカネの身体と心だって同じだ、渡す訳にゃいかねぇんだよ!

カブに『騎乗』し、そこらの窓や敵を『踏みつけ』ながら、
器用に『操縦』してビルの中を『ダッシュ』で駆け上る。
奴らも必死に強化してくるんだろうけどね、
反動があるのは分かってる!
だからこう問おうじゃないのさ、
アンタらの限界は「後なんどきだい?」ってね!
そのまま【時縛る糸】で動きを止めて、
一気に振り切ってやるよ!

こっちは、それこそ一時も惜しいんでね!



「……実感が湧かねぇな」
 木々水・サライ(《白黒人形》[モノクローム・ドール]・f28416)が素直な感想を呟くと、傍でカブのエンジン音を確かめていた数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は「そうかい」と相槌を打つように返した。
 サライはぼんやりと続ける。
「親を失うっていう感情がよくわからねぇ」
「……うん」
 多喜にはサライの事情はわからない。カブのエンジン音は好調だ。
 サライは少し考えた後、言った。
「それでも、救ってほしいと言われた彼女にはその道を歩ませたくねぇ」
「じゃあ、話は早いな。あたしたちの目的は一緒だ」
 多喜は気さくにサライに笑いかけると、カブのエンジンをふかした。
「あたしは一気に上に行く。そっちはどうする?」
「少しあいつらを練習台にしてから行く。屋上で会おう」
「よしきた」
 多喜は納得したようにカブを押して、UDCの群れへの前へと出た。サライは多喜に視線が集まるのを確認して、影に隠れる。
「おう。そこどきな、犬ッころ共」
 大きな声を張り上げる多喜。UDCの視線は完璧に多喜に注がれている。それほど多喜の声は凛とよく通った。
 多喜はUDCには複雑な思いがある。UDC-HUMANにはなおさらだ。だからこそ、こんなところで愚図愚図していはいられない。
「誰の許しを貰ってココに立ち入ってんだ。ここはテメェらのシマじゃねぇ」
「ダガ、上ニハぼすガ……」
「もちろん、あの上でふざけた事やろうとしてるボスとやらのでも無ぇかんな」
 UDCたちの反論をばっさりと多喜は切って捨てた。清々しいほどの啖呵だ。
「アカネの身体と心だって同じだ、渡す訳にゃいかねぇんだよ!」
 多喜はひらりとカブに飛び乗ると、一気に加速した。
 カブが廃ビルの壁や窓を横走し、そのままUDCたちを踏みつける。踏みつけてカブは飛び上がり、再び壁を走ってUDCの周囲を周る。大きくジャンプ。UDCたちを再度踏みつける。
「アイツヲ止メロ……!」
「ぼすノトコロヘ行カスナ!」
 UDCたちは混乱したように多喜のカブに翻弄される。
(今がいい機会だな)
 サライはUDCたちの様子を見計らい、隅で多喜を狙おうとしている一匹のUDCに狙いをつけた。血を搾り取るという拷問具。それを命中率を上げてUDCへと確実に届くように放つ。ザクザクッと音を立てて、拷問具はUDCの体にめり込んだ。
 ぎゅっと拷問具にサライが力を添えると、UDCの血を搾り取る。UDCの足元に血がぽたぽたと垂れ落ちた。
 UDCは驚いた顔をしてサライを振り返った。
「オ前……今マデ、何処ニ……」
「気づかなかったお前らが間抜けなんだよ」
 最後にもう一手、サライが力を込めると、身体中の血を搾り取られ、UDCは崩れ落ちた。
(よし、上手く行った。だが、まだ足りねぇな)
 サライは再び影に紛れ、油断しているUDCを探す。
 大方のUDCは多喜を見て、身体強化し、襲いかかろうとしていた。
 多喜はその様子をカブで踏みつけながら確認する。
(こいつらに反動があるのは分かってる!)
 もともとUDCの体は無理やりつなぎ合わされた体だ。強化などしたら長くはもたないだろう。
 だから、多喜はにやりと笑みを浮かべ、一匹のUDCへと指を伸ばした。
「アンタらの限界は『後なんどきだい?』」
 UDCの動きが止まる。それはUDCの主観時間を止める多喜の思念波。動かなくなったUDCへ、今度はサライの拷問具が跳ぶ。
「先に行け」
「もとより一気に振り切るつもりさ!」
 多喜はにっと笑うと、カブのハンドルを大きく切った。何体かのUDCをカブでなぎ倒し、そのまま廃ビルの中へと突入する。
「こっちは、それこそ一時も惜しいんでね!」
 多喜の声。カブのエンジン音。それらが次第に遠ざかっていく。サライは頷くと、屋上を見上げた。人影がある。
 自分がサイボーグになった理由を思い出し、サライは呟いた。
「人が変わる瞬間ってのは、いつ聞いても気持ちがいいものじゃねぇな」
 振るわれた拷問具に血を搾り取られていくUDC。確実に、念入りに血を絞り上げると、サライは死んだUDCの体をつま先で蹴飛ばした。
「死んでもアンタの身体は練習台にさせてもらうぜ」
 サライは悪い笑みを浮かべる。まだ、自身に力が不足していることはわかっている。だからこそ。
 サライは死んだUDCの身体へ再び拷問具を飛ばし、その体を切り刻んだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ロラン・ヒュッテンブレナー
※アドリブ絡みOK
※感情が尻尾や耳によく表れる

えと、「やくざ」って人がどんな人なのかはわからないけど
UDCになっちゃった子は助けたいの
だから、まずは早く見つけて上げないと…
大事な人が居なくなって、心細いと思うの…
心細いのは、だめ

………、ごめん、どいてくれる?
大人しく還ってくれたら、痛くしないから

止まってくれないなら、攻撃するしかないね
【高速詠唱】でUCを発動
炎魂たちを魔術回路で繋いで熱を急速に奪う【結界術】の空間を【全力魔法】で構築するの
体温を奪われたら動きも鈍るし、血は凍らせて無効化するの
眠る様に、骸の海に還ってね
ぼく自身にはオーラ防御の障壁を展開しておくの

先を急ごう
間に合わせないと…


波狼・拓哉
はい御免ね。悪いけど押し通るよー

化け喰らいなミミック。『かみ』殺せ。まあ、足でいいかな。幾ら早く動けようと初動が出来なきゃ意味が無しと…血の斬撃も本体ならまだしも影顎にはそこまでかな。掻き消えるわけでもねーし

自分は地形の利用、戦闘知識、足場習熟、第六感、闇にまぎれる、目立たない辺りで隠密に動きつつミミックの喰らいつきで強襲から衝撃波込めた弾で蹂躙して進みますかね。本命じゃないし無駄に疲れたくないのと近づくのは面倒そうです

さてまあ、この現場も色々と事情がややこしそうです。ヤクザ殺したのに通報したのもヤクザ…とかね。まあ、その辺は後で分かるでしょうし今は現状見て救うのが先決ですね

アドリブ絡み歓迎)



「えと、質問があるの」
 申し訳なさそうに尻尾を垂らしたロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)に「なんでもどうぞ」と波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)は微笑んだ。
「『やくざ』って人はどんな人?」
「そうですねぇ、とっても悪い人です」
「そうなんだ……」
 ロランは耳までしょんぼりと折れた。拓哉は間違ってはいないよな、と一人頷く。
(UDCになっちゃった子は助けたいの。だから、まずは早く見つけて上げないと……)
 ロランは屋上を見上げた。人影は見えない。
(大事な人が居なくなって、心細いと思うの……心細いのは、だめ)
 決心がついた。ロランの耳と尻尾がピン、と立つ。
 そして、UDCの群れの前へとロランは歩み寄った。
「……」
 深呼吸をひとつ。
「ごめん、どいてくれる?」
 UDCたちはロランを見るだけだ。
「大人しく還ってくれたら、痛くしないから」
 UDCたちは動こうとしない。拓哉はロランの隣に歩み寄る。
「それじゃあ、どいてくれないと思いますよ」
「そうなの?」
「こういうのはね」
 拓哉は左手首にはめた黒水晶のブレスレットを右手で撫でながら、気負わずに言う。ブレスレットは大事な媒介道具だ。
「はい御免ね。悪いけど押し通るよー」
 ロランが目をぱちくりとさせている間に、拓哉はブレスレットをこすり、命じる。
「化け喰らいなミミック。『かみ』殺せ」
 召喚せしは箱型生命体、ミミック。それが化けた狼が幾つもの影の顎を開く。『かみ』の音は噛み、咬み、神、守、皇、神……いくつもの音に反響した。
(まあ、足でいいかな。幾ら早く動けようと初動が出来なきゃ意味がないしと……)
 拓哉の思いに了解、とでも応えるように影の顎はUDCたちの足を捕食し、動きを止める。
「まあ、こんなところかな。俺は目立たないようにビルのほうへ行くけど、どうします?」
「うん。止まってくれないなら、攻撃するしかないね」
 ロランも納得したように頷いた。
「ボクは、まっすぐ、行くよ」
「じゃあ、ビルの入り口で会いましょう」
 拓哉がミミックに場を任せ、すっと目立たないように隠れると、ロランは逆にまっすぐにUDCたちを見据えた。
 高速詠唱からの電脳魔術。オペレーション、スタート。
 炎魂たちを魔術回路で繋ぎ、熱を急速に奪い取る結界空間をロランはあっという間に構築させた。
 大量のUDCたちがその結界空間の中で体温を奪われ、血を凍らされていく。
(血の斬撃も本体ならまだしも影顎にはそこまでかな、とは思ってたけど……こりゃ助かったかな)
 拓哉は結界空間に入っていないUDCを見つけると、ミミックに喰らいつかせる。そのまま衝撃波を込めた弾をカラフルなモデルガンから放つとUDCはロランの作り出した結界へ飛び込み、動きを止めていく。
 ロランが結界を維持している間に、拓哉はミミックで強襲、衝撃波を弾丸に込めて放つ。拓哉の攻撃に吹き飛ばされてUDCたちはロランの結界に飛び込んだり、遠くで倒れ、転がったりしている。
(眠るように、骸の海に還ってね)
 ロランはそっと目を伏せると、凍死して倒れたUDCたちを確認してから結界を解いた。
 かくして、二人はビルの入り口で合流する。
「先を急ごう。間に合わせないと……」
「そうですね、急ぎましょうか」
 ロランの言葉に応えながら、拓哉はミミックを回収し、首をひねった。
(この現場も色々と事情がややこしそうです。ヤクザ殺したのに通報したのもヤクザ……とかね)
 猟兵兼探偵の血が騒ぐというものだ。
(まあ、その辺は後で分かるでしょうし今は現状見て救うのが先決ですね)
 走り出したロランの後を拓哉が追いかける。二人分の乾いた足音が響いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

阿久間・仁
ケケケ、よくよく考えりゃ俺もUDC-HUMANみてーなモンだな?イフリートも邪神と大差ねーし……って怒んなよ!冗談だって!
ったく、イフリートが騒ぐからアイツらにバレちまった。こうなりゃ強行突破だぜ!ヒャハハ!


ケッ、コイツら見境無しか?そんなに食いたきゃ俺のバットを食わしてやるからありがたく思えよ!
顔面目掛けてフルスイングして【部位破壊】で口ん中グシャグシャにしてやらァ。

……ってかコイツら思ったより頑丈だな。おいイフリート!てめェの所為でこうなったんだから責任取れよ!
いくらコイツらが頑丈でもイフリートのパンチには耐えられねーだろ。
UC【魔人連撃】でさっさと蹴散らして屋上行くぜ!ヒャハハ!


日向・陽葵
こぉーんにちはー!!俺っち、UDCをお迎えにきちゃいましたあ

んー、いっぱいチグハグ!けど、目的は一貫してる的な?
てことは、どっちが先にアカネどののところ行けるか勝負できるじゃん。やるやる、俺っち張り切っちゃう。ルールは妨害ありでシクヨロー!!

全員、骸の海にご案内〜斬り!って感じで、スパスパ暗殺してみんよー
攻撃は闇に紛れたり、UC使ったりして奇襲しかけつつ逃げ足で回避していこね
やんやん、この身は傷つけないのっ!そんなことする敵には反撃しちゃう!ぐんない!



 ちぐはぐなUDCたちから隠れるように一人の猟兵が佇んでいた。
 彼は金属バットを担いで、にやにやと周囲を見渡している。
「ケケケ、よくよく考えりゃ俺もUDC-HUMANみてーなモンだな?」
 阿久間・仁(獄炎魔人・f24120)が特徴的な笑い方を上げる。
「イフリートも邪神と大差ねーし……って」
 そこまで言ったところで、仁の後ろからイフリートの巨大な影がせり上がった。イフリート――悪魔だ。巨大な力を誇示するように浮かび上がった影に仁は慌てる。
「怒んなよ! 冗談だって!」
 だが、イフリートは静まらない。炎を撒き散らしながらご立腹だ。さすがに、その巨大な気配にUDCたちも気づいたようだった。
「ったく、イフリートが騒ぐからアイツらにバレちまった。こうなりゃ強行突破だぜ! ヒャハハ!」
 仁がぐっと金属バットを握りしめたときだった。
「こぉーんにちはー!! 俺っち、UDCをお迎えにきちゃいましたあ」
 目一杯明るい声が響き渡り、UDCたちの視線がそちらへと向く。「いぇあ!」と敬礼をしてみせるのは日向・陽葵(ついんてーるこんぷれっくす・f24357)だ。
「何お前」
「ん、猟兵」
 短いやり取りの後、仁と陽葵はつい、と顔をそむけた。
「ま、いいや。俺は俺でやるから、邪魔すんなよな」
「のんのん、そっちこそ俺っちの邪魔はいけないよ」
 今度は顔を見合わせる二人。仁は悪い顔で笑い、陽葵は陽気に笑った。
「邪魔すんな」
「じゃあ、ルールは妨害ありでシクヨロー」
 先にそう言って一歩前に出たのは陽葵。
(んー、いっぱいチグハグ! けど、目的は一貫してる的な?)
 陽葵もUDCたちも屋上に上がるという目的は一致している。
「てことは、どっちが先にアカネどののところ行けるか勝負できるじゃん。やるやる、俺っち張り切っちゃう」
 言うなり、陽葵はポン刀のような刀をすらりと抜いた。足音も立てず、身を沈めて走り出す。
「全員、骸の海にご案内~斬り!」
 茶化した様子で斬るが、その速さは目に見えぬほど。一体を斬れば、もうそこに陽葵の姿はない。UDCが斬られたことに気づいたときには、もう次の一体が斬られている。
(あいつ、見えねえじゃん!)
 仁もさすがに目を見張るが、こうしてはいられない。獲物が全部取られてしまう。
 金属バットを担いで戦場へ一歩踏み込むと、UDCたちが一斉に仁へと襲いかかった。
(ケッ、コイツら見境無しか?)
 敵であれば誰でもいいのだろう。仁は金属バットを握り直した。
「そんなに食いたきゃ俺のバットを食わしてやるからありがたく思えよ!」
 UDCの顔面めがけてフルスイング。狙いはガッと大きく開いた口の中。ミシミシと嫌な音が響き、UDCの歯と血がこぼれ落ちる。もう一撃、と仁が振りかぶったときだった。
 仁の傍に一瞬だけ翳りが生まれた。
「はあい! 推して参んよお」
 楽しそうな口調で出現したのは陽葵。仁の獲物を刀で切り裂く。
「俺っち以外が戦場に立つのはいけん事よ。なのでえ、陰ながら大活躍しちゃう!」
「いらねェ!?」
 仁が思わず吠えたときには、もう陽葵の姿はない。時々、身を低くして駆ける姿がUDCの陰に見えるだけだ。
 とは言え、仁の金属バットだけでは倒しきれなかったのも事実。
(……ってかコイツら思ったより頑丈だな)
 仁は苦い顔をしてイフリートを振り仰いだ。
「おいイフリート! てめェの所為でこうなったんだから責任取れよ!」
 イフリートが吠える。炎が散った。
(いくらコイツらが頑丈でもイフリートのパンチには耐えられねーだろ)
 仁はせーの、でUDCに金属バットを食らわす。すると、イフリートが大きな炎の拳でUDCを吹き飛ばした。UDCはゴロリと倒れて動かなくなる。
 文句を言うわりには、仁とイフリートはいいコンビネーションだ。
「次行くぞ、次!」
 バットをフルスイング。イフリートのアッパー。パワーでUDCに勝り、一体ずつ屠っていく。
 その横を陽葵が駆け抜ける。UDCはようやく彼女の速さに目が慣れてきたのか、一体が陽葵へと拳を振りかぶった。
「やんやん、この身は傷つけないのっ! そんなことする敵には反撃しちゃう!」
 素早く、反転し回避。UDCが態勢を整える暇など与えない。
「ぐんない!」
 そのまま陽葵はUDCを頭から一気に切り裂いた。
 気がつけば、周囲のUDCの数もだいぶ減ってきている。
「おい、さっさと屋上行くぜ! ヒャハハ!」
 仁がイフリートと一緒に立ちふさがるUDCを豪快に跳ね飛ばしながら、廃ビルへと歩き出す。と、仁の傍に再び陽葵が現れた。仁が殴り飛ばそうとしていたUDCをざっくりと斬り捨てて、陽葵は刀を収める。
「はーい、俺っちのほうが先ねー。じゃあねー」
 言って、駆け出す陽葵。仁は慌てて走り出した。
「待てよ、てめェ、殴るぞおい!」
 静かになった廃ビルの入り口付近に二人の追いかけっこの声だけが響いていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ティエラ・クリアフォート
強者が弱者を喰らう・・これもまた「よくある事」ですね。

ヤクザとやらには自身も「弱者」であると言うことを教えてあげねばなりませんか・・フフッ

Malignoidを【触れた対象を燃焼させる右手】に変形、空間から召喚したAdramelekには雷と重力の属性を発現させましょう

Malignoidは熱を放ちつつ【オーラ防御】Adramelekは【重量攻撃】や【属性攻撃】で牽制。私は状態異常重視でUC発動、水の魔力でAdramelekを支援ですね

まだまだ身体が馴染まんな、忌々しい・・!

【アドリブ・絡み歓迎】



(強者が弱者を喰らう……これもまた「よくある事」ですね)
 ティエラ・クリアフォート(探求者XEHANORT・f27660)はまだうろついている継ぎツギハギのUDCたちを見て微笑んだ。
(ヤクザとやらには自身も「弱者」であると言うことを教えてあげねばなりませんか……フフッ)
 それを思うと気分が高揚してくる。
 ティエラはBirth Of Malignoidを呼び出した。鋼鉄の体を持つ、渦状の巨大生命体――それは忌むべき邪悪、その者。
 ティエラは人の心が持つ十の悪徳を利用し、それを魔導核としているのだ。
 ティエラの意志ひとつで、Malignoidは触れた対象を燃焼させる右手に変形する。
 続いてティエラはMalignoid:Adramelkを空中から召喚した。五メートルほどの大きさの三尾の狐だ。狐らしく、Adramelkは獲物を執拗に追い詰める習性を持っている。
「お前は、雷と重力の属性を」
 Adramelkは了解を示すようにくるりと回った。
 準備ができた。ティエラは静かにUDCたちの中心へと歩き出す。Malignoidは熱を放ちつつ、UDCを薙ぎ払っていく。UDCたちが慌てたようにティエラへ向かってくるのを、Malignoidは燃焼する壁で防御もする。
 Adramelkは雷と重力でUDCたちを牽制する。そこへまたMalignoidが熱を放ちUDCを燃やし尽くす。
 ティエラはその様子を見ながら水の魔力で状態異常力を自身を強化した。Adramelkを支援するために水の魔力を飛ばす。
 ……が、少し飛ばしすぎた。ティエラの魔力だけで、UDCが一体吹き飛ばされる。結果としてはまったく問題がないのだが。
(まだまだ身体が馴染まんな、忌々しい……!)
 小さな舌打ち。金の瞳が細められる。そのティエラのわずかな感情の揺れを感じ取ったのか、Adramelkはくるりと回り、ずん、と一際大きな重力でUDCたちを足止めした。そこをMalignoidが燃焼させる右手で一気に薙ぎ払っていく。
(忌々しいが……今はこれで満足するしかないか……)
 まだティエラは魔導人形に身体を移したばかりだ。これだけ動けば御の字なのかもしれない。
 小さな咳払いをして、心を落ち着かせる。
「大丈夫です。強者は、此処に」
 ティエラが微笑みを浮かべたときには、立っているUDCは一体もいなくなっていた。ティエラはMalignoidとAdramelkを元に戻すと、屋上を見上げた。
「さあ、本当の強者を示しに行きましょうか……フフッ」
 静かに階段を上っていく。そこには先程の動揺したティエラの影はまったく見えなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『『流血殺刃』の妖刀』

POW   :    覚醒儀式『流血殺刃』
【これまで、流し流されてきた血の量に応じて】【邪神の力が増大し、身を引き裂く痛みと共に】【血の臭いと己の痛みに快楽を覚え。殺戮衝動】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
SPD   :    妖刀解放『流血殺刃』
【血に濡れた妖刀による斬撃】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を血で染め上げ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ   :    領域展開『流血殺刃』
全身を【認識を阻害する霞】で覆い、自身が敵から受けた【痛み】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はリステル・クローズエデンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 アカネ――いや、UDC「『流血殺刃』の妖刀」は屋上の縁にゆらりと立っていた。
「これで、復讐しに行けるの」
 いかにも女子高生らしいあどけなさでアカネは笑う。
「私のお母さんを殺した人、みんな、みーんな殺してあげるの、アハハ!」
 妖刀がUDCだ。それはその妖しい色合いからすぐにわかる。だが、UDCの意識はアカネの体内にも染み込んでいる。妖刀を手放させただけでは終わらない。
 アカネの中のUDCをどう倒すのか。
「手始めに、殺す練習をさせてね」
 アカネは屋上の猟兵たちを見渡した。
木々水・サライ
[絡み・アドリブ大歓迎]
たどり着いたその手に、先の雑魚で集めた血の入った『拷問具』を構えている。
しかし自分は助ける意志があるのだから、戦うのは最終手段だ。なるべく最後のヤクザ共に残しておきたい。

『サイバー・アイ』による分析を行いつつ、もし何らかの力を使われたら手綱を利用して【咎力封じ】を使って、自分の力なら彼女の復讐を代わりに果たせることを見せよう。

「お前のその復讐の心はよくわかる。だがそんなもんに手を出したら、もうお前は元に戻れないだろう」

「お前はまだ若い。若いからこそ、ここでその命を消すことは俺にはできねぇ」

「お前のその復讐心は、俺が代わりに引き取ってやるからさ」



 木々水・サライ(《白黒人形》[モノクローム・ドール]・f28416)は屋上に辿り着いたときに、拷問具を咄嗟に構えた。アカネが戦闘態勢に入っている。身を守るために反射的に構えただけだ。
 拷問具には、先の雑魚で集めた血が入っている。
(だが、俺にはアカネを助ける意志がある。戦うのは最終手段だ。なるべく最後のヤクザ共に残しておきたい)
 だから、サライからは仕掛けない。
 アカネ――いや、今はUDCだろうか、彼女は似合わない舌打ちをした。
「そっちから来ないなら、こっちから行くよ」
 サライは眼球に装着したサイバーアイでアカネの行動を演算、分析する。右足に力がかかったのがわかった。踏み込み、こちらへと駆けてくる。
 刀の長さを計算に入れ、自分の手綱を逆に放った。手枷、猿轡、拘束ロープ。それらが冷静な分析の結果、アカネへと纏わりつく。猿轡だけは回避されてしまったが、手枷とロープさえ刀を持つ手にはめられれば動きの半ばを封じられたと言ってもいい。
「離せ!」
 ロープを千切るくらいの強さでアカネが暴れる。サライは冷静な瞳でアカネを見下ろした。
「俺のこの力ならお前の代わりに復讐が果たせると思わないか?」
 アカネの動きが止まった。サライを恐る恐る見上げた目は、高校生の少女の目だった。
「お前のその復讐の心はよくわかる。だがそんなもんに手を出したら、もうお前は元に戻れないだろう」
「戻れなくたっていい、あいつらを殺して、私も……!」
「お前はまだ若い。若いからこそ、ここでその命を消すことは俺にはできねぇ」
 アカネは黙った。サライはぎこちなく笑う。
「お前のその復讐心は、俺が代わりに引き取ってやるからさ」
「あ、あ……」
 アカネが泣きそうに顔を歪める。そのとき、サライにも聞こえる、アカネとは別の声が聞こえた。
「――口車に乗っちゃ駄目。あなたは、私と復讐に行くの」
 UDCか、とサライが身構える。刀が妖しい光を放った。アカネは――いや刀はサライのロープを斬り、サライから距離を取る。
 アカネがまた身構える。だが、最初と違い刀を持つ手が震えている。
 サライの言葉はアカネに届いている。それは実感できた。アカネは追撃してこない。
(それなら、拷問具はまだ使えないな)
 これはヤクザ共を裁くために使いたい。サライは、時を待つことにした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

アカネちゃん。
その無念の気持ち、分からなくはねぇ。

けどな。
ダメだ。その力は、ダメなんだ。
その力は、人の道を踏み外させちまう。
まだ、アンタはヒトの世界に戻れる。
アタシみたいな想いを、しちゃいけねぇんだ……!

勢いに任せて斬撃を仕掛けてくるだろうけど、それこそが狙いさ。
『激痛耐性』でその斬り込みを強引にでも受け止め、
サイキックの力を左手に込める。
アカネちゃんを抱き止めながら、
動きを封じた妖刀の刀身に【魂削ぐ刃】を振り抜くよ!

許さないってその気持ちは、一番大事さ。
だから、その手助けはアタシらがやってやる。
人の世の力で、潰してやるよ。
だから……この力、手放しな。



「アカネちゃん。その無念の気持ち、分からなくはねぇ」
 UDCの刀を構え、こちらを睨みつけるアカネに、数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は優しく語りかけた。
「けどな」
 そこから、急に真剣な目になる。
「ダメだ。その力は、ダメなんだ。その力は人の道を踏み外させちまう」
 多喜には、記憶がある。覚えがある。
「まだ、アンタはヒトの世界に戻れる」
 多喜には救いたかった人がいる。
 多喜には救えなかったヒトがいる。
 だからこそ、多喜は万感の思いをこめて叫ぶ。
「アタシみたいな想いを、しちゃいけねぇんだ……!」
「な、なに綺麗事を」
 アカネには多喜の事情はわからない。だからこそ、言える言葉だった。それでも気圧される。それほどの想いが多喜の言葉には籠もっていた。
「……お姉さんがどう思おうが、私は復讐をする。この刀で!」
 アカネは刀に引きずられるような形で多喜へと斬りかかってきた。上段に振りかぶり、多喜の右肩を狙う。
 その時、アカネは見た。多喜が微かに笑うのを。
(それこそが狙いさ)
 アカネの刀――UDCは多喜の右肩に食い込む。その激痛に耐え、多喜はサイキックの力を左手に込めた。
「アカネちゃん。それ以上は、ダメだ」
 多喜は右腕でアカネを抱き止め、アカネの動きを封じる。
「あ……」
 漏れたのはアカネの声。まだ恐怖に怯える少女の声。
 それを確認し、多喜は妖刀の刀身に左手の手刀を叩き込んだ。
 左手はおぼろげに光り、妖刀の核を確実に攻撃する。妖刀がビリビリと震えた。
「あ、ああああああああ!」
 その悲鳴はアカネの口から、だが、アカネの声ではないもの。アカネを支配せんとする妖刀のもの。
 アカネの手から力が抜け、多喜の肩から刀が落ちた。アカネは目を見開き、涙を一粒こぼす。
「許さないってその気持ちは、一番大事さ」
 痛みに耐えて、多喜はぽんと軽くアカネの頭を叩いた。
「だから、その手助けはアタシらがやってやる。人の世の力で、潰してやるよ」
「お姉さん……」
「だから……この力、手放しな」
 多喜の優しい声。アカネがうなずきかけた瞬間だった。
「駄目よ、駄目よ! 私を使って復讐するのよ!」
 妖刀が、喚いた。アカネの体を操り、多喜の体を突き飛ばして距離を取る。
「私はアカネの体をもらったの! アカネがいいって言ったんだもの!」
 妖刀が叫ぶ。だが、アカネは首を横に振る。何か言おうとして、妖刀に声を取られる。
「私は、いやよ! アカネから離れない!」
 アカネの目からもう一粒涙がこぼれたのを、多喜はたしかに見た。

大成功 🔵​🔵​🔵​

阿久間・仁
ケケ、ヤクザどもを殺しに行く前に俺と遊んでいきな。不良一人殺せねェ奴がヤクザを殺せる訳ねェからな!ヒャハハ!

説得の前にあの刀をなんとかしねェと。まずは【見切り】でアイツの攻撃に合わせて懐に飛び込む。
そんで手首を掴んで【怪力】で動きを止めてから【武器落とし】で刀を取り上げる。
ついでにUC【灼熱拳】で妖刀の横っ面殴って叩き折ってやるぜ。

説得なんざ俺のガラじゃねェって……チッ、仕方ねェ。
おめェヤクザ殺した後の事考えてんのか。一生追われる身だぜ?
それに人殺すのって色々しんどいぜ?……俺みてェなモンでもな。
だから死ぬのも殺すのも一旦待ちな。俺らに任せて、それでも納得いかねェってんなら好きにすりゃいい。



 UDCの妖刀を構えるアカネの前に気負いなく立ったのは阿久間・仁(獄炎魔人・f24120)だった。金属バットを肩に担ぎ、挑発的な笑いを浮かべる。
「ケケ、ヤクザどもを殺しに行く前に俺と遊んでいきな。不良一人殺せねェやつがヤクザ殺せる訳ねェからな! ヒャハハ!」
「話が早いね、お兄さん! 遠慮なく……殺す!」
 アカネが妖刀に引きずられるように床を蹴った。仁のほうへと刀を構え、駆けてくる。
(説得の前にあの刀をなんとかしねェと)
 アカネが刀を上段に構え、振り下ろした。もちろん、慣れている動きではない、隙だらけだ。仁はその隙を見逃さず、攻撃を回避しながらアカネの懐に飛び込んだ。
 驚くアカネを確認することもせず、アカネが妖刀を持つ右手首を怪力で掴み上げる。少し捻りも加えれば、アカネは痛がるが、動きは完全に止められた。このあたり、不良としての喧嘩の経験が活きてくる。
(はっ、これがUDCか。こんなモン……)
 仁は燃え盛る左手を握ると妖刀の横っ面を殴り飛ばした。ミシミシと折れそうな音がするが、妖刀はかろうじて折れない。もう一発殴り飛ばそうか、と左拳を引いたとき、アカネの小さな声が聞こえた。
「痛っ……」
 まだアカネの意識と妖刀の意識は重なっている。無理に妖刀を叩き折ったらアカネを殺してしまいかねない。
(説得なんざ俺のガラじゃねェって……チッ、仕方ネェ)
 仁は油断なくアカネの手首をひねり上げながら低い声で言った。
「おめェヤクザ殺した後の事考えてんのか。一生追われる身だぜ?」
「いい、殺したら死ぬから……」
「死なせないよ、私がアカネの体を使うんだ」
 アカネの口から二つの声が飛び出した。ひとつはアカネのもので、もうひとつは妖刀のものだろう。仁は舌打ちをして続ける。
「それに人殺すのって色々しんどいぜ? ……俺みてェなモンでもな」
 ふとアカネの目が仁を見た。濁っていた瞳が、次第に明るさを取り戻していく。言葉はアカネに響いているようだった。
「だから死ぬのも殺すのも一旦待ちな。俺らに任せて、それでも納得いかねェってんなら好きにすりゃいい」
 仁はそこまで言ってから頭を掻いた。やはり説得は自分のガラではないと思う。思いながら、アカネの手を離した。アカネは慌てたように仁から距離を取るが、刀を向けることはしなかった。うつむき、唇を噛んで考え込んでいる。
「ま、考えるのはおめェだ。それにそんな刀に従って殺すなんて馬鹿げてるだろ」
 仁の言葉にアカネは刀をじっと見る。刀が慌てたように震えている。
 少しずつ説得は功を奏し始めていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

日向・陽葵
ハロハロぉー!アカネどの初めましてー
……あ、やばい状況ですねこれは。あのUDCが鬼やばばい!

よっし、UCで分身して、二手に分かれよね
俺っちがアカネどのを説得。もう一人の俺っちはUDCの相手!おけ?
……おっけい!
頑張れ俺っちー!なんちゃってポン刀で妖刀に勝てたらもうそれ立派な日本刀よ!

復讐は自分の手で行いたくなっちゃうよね。わかる
でもダメー。その手は汚しちゃ、メ!
んーと、人の人生終わらせるのはその人の人生背負っちゃうから、ええとお。つまりは、気持ちよくないのがずっとへばりつく感じ!やじゃない?

キレイごとよりキタナごとのほうがいいんかな
俺っちに任せた方がヤクザの者たちギタギタにしちゃうぜ?どう!?



「ハロハロぉー! アカネどの初めましてー」
 陽気に屋上に上ってきた日向・陽葵(ついんてーるこんぷれっくす・f24357)は、アカネが妖刀を持ってこちらを睨んでいるのを見、足を止めた。
「……あ、やばい状況ですねこれは。あのUDCが鬼やばばい!」
 陽葵の武器も刀である。同じ刀使いとして妖刀の強さは容易に知れた。
(よっし、UCで分身して、二手に分かれよね)
 陽葵はもうひとりの自分を呼び出すと、同じ顔をした自分に対して提案した。
「俺っちがアカネどのを説得。もう一人の俺っちはUDCの相手! おけ?」
 もうひとりの自分はこっくりと頷く。了解したらしい。
「……おっけい!」
 陽葵も頷くと、もうひとりの自分は勢いよく刀を抜いてアカネに躍りかかった。素早さを武器とした陽葵の動きにアカネは翻弄される。
 だが、UDCである妖刀も負けてはいない。アカネを引きずるようにして陽葵と斬り結び、二人同時に飛び退く。二手目を取ったのは陽葵。下から大きく振り仰いだ切っ先は妖刀に阻まれる。
「頑張れ俺っちー! なんちゃってポン刀で妖刀に勝てたらもうそれ立派な日本刀よ!」
 そうなのだ、陽葵の刀は「ポン刀のようなもの」であり、打刀のような見た目をしているが、構造的にはスモールソードに近い。扱いが難しい代物でもある。
 妖刀と打ち合っているのを確認して、陽葵はアカネの近くに寄った。
「アカネどの」
 アカネはもうひとりの陽葵と打ち合いながら、ちらりと陽葵を見る。
「復讐は自分の手で行いたくなっちゃうよね。わかる」
「わかる? 本当?」
「でもダメー。その手は汚しちゃ、メ!」
 陽葵は殊更陽気に言葉を紡いだ。
「んーと、人の人生終わらせるのはその人の人生背負っちゃうから、ええとお。つまりは、気持ちよくないのがずっとへばりつく感じ! やじゃない?」
 アカネは少し首をかしげた。打ち合いをしながらでは、理解できなかったのかも知れない。妖刀は相変わらずアカネの身体を勝手に動かし、斬り合っている。
 陽葵はアカネの様子が変わらないのを見て、ちょっと頭を掻いた。
「キレイごとよりキタナごとのほうがいいんかな」
 説得に綺麗事ばかりを並べても心に届かないことはある。陽葵は、うん、と頷くともうひとりの自分を指差した。
「俺っちに任せた方がヤクザの者たちギタギタにしちゃうぜ? どう!?」
「確かに……」
 アカネは食いしばるように刀を引いた。刀に振り回されていたアカネが、刀を制御しようとしている。
「お姉さんは、とても強いね」
「でしょでしょー。俺っちに任せない?」
 陽葵の言葉にアカネは考えるように黙り込む。説得はあと一歩のように思えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロラン・ヒュッテンブレナー
アドリブOK
【WIZ】

見つけたの
それを使って、何をするつもり?
それがどういう事か、分かってる?

無警戒に近寄って、相手の間合いに入るね
ぼくは攻撃しないし避けもしないよ
復讐の覚悟があるならぼくを斬ってみてよ

えと、動けない程のダメージを受けない位には【オーラ防御】で守るね
人を斬った感触、罪悪感、嫌悪感
そう言うのを教えてあげる

UCを発動【優しさ】【手をつなぐ】
ほら、夢の中のママは、キミの幸せを望んでるんだから
その代わりに、ぼくが、裁きに行ってあげるから…
もう、剣を置いて?
キミは復讐じゃなくて、幸せになる努力をしてほしいな

剣を手放したら
その剣は消滅魔術で消し去るの
悪い人は、きちんと懲らしめに行くの



「見つけたの」
 アカネが妖刀を構えているのを見ても、ロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)は無警戒にアカネに近づいていく。
「それを使って、何をするつもり? それがどういう事か、分かってる?」
 アカネの妖刀の間合いに入った。ロランは相変わらず無警戒のまま、歩を進める。
 アカネがたじろいだように一歩、後ずさった。
「ぼくは攻撃しないし避けもしないよ。復讐の覚悟があるならぼくを斬ってみてよ」
 アカネは目を丸くする。だが、その瞬間、妖刀がアカネを引っ張るように動いた。
「斬れるよ、だってアカネは復讐を望んでいるんだもの!」
 アカネの口から妖刀の声が漏れる。アカネの悲鳴が上がった。
 アカネの腕が妖刀を振り下ろした。ロランの肩から腹部までを切っ先が掠る。オーラ防御で守っていたとしても痛いものは痛い。
 けれども、ロランは痛みを顔に出さず、アカネをじっと見つめるだけだ。
「あ、あああ……っ」
 アカネの手に残ったのは、人を斬った感触、罪悪感、嫌悪感。
 それはロランがアカネに伝えたかったこと。
「こ、わい……」
 アカネが妖刀を持つ手を引いた。ロランは血がにじむのも気にせず、アカネの手をそっと握りしめる。
 穏やかな遠吠えをした。アカネの瞳がふと閉じる。
「ほら、夢の中のママは、キミの幸せを望んでるんだから。その代わりに、ぼくが、裁きに行ってあげるから……もう、剣を置いて」
 アカネの手から力が抜けた。けれども妖刀は手から離れない。糊でくっついたように張り付いている。
「キミは復讐じゃなくて、幸せになる努力をしてほしいな」
 アカネがうっすらと目を開けた。泣きそうな表情で微笑む。
「……ありがとう。みんなのおかげでわかった。どんなに復讐が怖いことなのか」
「うん。ぼくたちに任せてくれる?」
「お願いします。でも……」
 アカネは困ったように手に張り付いた妖刀を見た。UDCはまだそこにいる。アカネは妖刀を手放すことができないのだ。
 ロランが妖刀へと消滅魔術を放とうとすれば、アカネの手ごと傷つけることになる。
 一瞬の躊躇いが、妖刀を動かした。
「やめて!」
 アカネの悲鳴も届かず、妖刀はロランに斬りかかろうとする。咄嗟にロランは避けて事なきを得る。
 妖刀はアカネの手の中で震えるだけだ。もうアカネと同一の存在でもなくなったらしい。つまり、妖刀だけ破壊すればいいということ。
 猟兵たちの攻撃によって、妖刀にも傷がついている。後少しだ。ロランは、一度、その場を譲ることにした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

波狼・拓哉
復讐は仕方ないよね。やるとスカッとするし。ただやり方がなー多分一番虚しくなるやつだね

何も残さないってのは人して生きてる意味がないのです。歩いた後にペンペン草も生えてないなんて誰にも自慢できませんし誰からも理解は得られないのですよ
何より真実が付いてきません。本当の事知らずに闇に消えちゃうんですよ…やくざどもと一緒ですね!

さて、お話はこれくらいで
本当の真実知りたきゃ…おにーさん達理の埒外組に任せてくださいな
さあ、化け明かしなミミック!夢幻を掻き消し全てを照らしましょうか

自分はミミックが命中したのを確認してから刀を衝撃波込めた弾で狙って武器落とし
それじゃあね、何もなせない妖刀さん

(アドリブ絡み歓迎)



 アカネと妖刀の繋がりは切れた。あとは妖刀を壊すのみ。
 それでも、どこか迷う様子のアカネに波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)はやれやれと言うように口を開いた。
「復讐は仕方ないよね。やるとスカッとするし。ただやり方がなー多分一番虚しくなるやつだね」
「虚しく?」
 尋ね返すアカネに、拓哉は頷いた。
「何も残さないってのは人として生きてる意味がないのです。歩いた後にペンペン草も生えてないなんて誰にも自慢できませんし誰からも理解は得られないのですよ」
 アカネは目を丸くした。
「何より真実が付いてきません。本当の事知らずに闇に消えちゃうんですよ……やくざどもと一緒ですね!」
 それは嫌だ、とばかりにアカネは首を振った。だが、妖刀は納得していない。拓哉の言葉を無視するようにアカネを引きずり、拓哉へと突進する。
「やめて、もう……!」
 アカネが叫ぶと同時に、拓哉は黒水晶のブレスレットを撫でた。
「さて、お話はこれくらいで。本当の真実知りたきゃ……おにーさん達理の埒外組に任せてくださいな」
 ブレスレットから現れたるは箱型生命体、通称ミミック。それが、無数の太陽へと化ける。
「さあ、化け明かしなミミック! 夢幻を掻き消し全てを照らしましょうか」
 太陽が照らすのは狂気を呼ぶ熱と、目を逸らす事の出来ない狂気の光。妖刀は狂気の太陽を浴びて、アカネと共に目がくらんだように動けない。
 妖刀の動きが止まったところで、拓哉はカラフルなモデルガン、MODELTypeβ・γ バレッフ&ノットを構えた。二丁拳銃だ。それぞれに衝撃波を込めた弾を詰め、妖刀を二発でアカネの手から弾き落とす。
「それじゃあね、何もなせない妖刀さん」
 妖刀がかたかたと震える。拓哉はにっこり笑って、妖刀の刀の部分に三発目を放った。甲高い音を立てて妖刀の刃が折れ、そのまま消滅していく。
 こうして、UDC『流血殺刃』の妖刀は消えた。
 アカネはぺたんと座り込み、猟兵たちを眺める。拓哉が一歩前に出た。
「じゃ、後は全部おにーさん達に任せてもらえるかな?」
 アカネはこくんと頷く。
「あの……本当は、ヤクザ達がどこに居るのかもわからなくて……どうしてこんなことになったのかもはっきりしなくて、私……」
「大丈夫、大丈夫。そういうことを調べるのもおにーさん達のほうが上手だから。ね?」
 そこは猟兵兼探偵。いくらでもやり方はあるのだ。アカネは頷いた。
「ありがとうございます」
 言うとぽろぽろと涙をこぼす。ようやく安堵したのだろう。
 拓哉はミミックを戻すと、一度だけ、ぽん、とアカネの頭を撫でた。
 さあ、猟兵的制裁をしに行こう。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『人間の屑に制裁を』

POW   :    殺さない範囲で、ボコボコに殴って、心を折る

SPD   :    証拠を集めて警察に逮捕させるなど、社会的な制裁を受けさせる

WIZ   :    事件の被害者と同じ苦痛を味合わせる事で、被害者の痛みを理解させ、再犯を防ぐ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 事情はアカネの母が働いていたスナックのママから聞けた。
 アカネの母に恋慕したヤクザは二人いたのだと言う。
 仮にタカハシとスズキとしておこう。
 二人は事あるごとにライバル争いをしていた。元々関係は良好ではなかったのだ。
 先に手を出したのはタカハシ。アカネの母と事に及ぼうとして逃げられ、カッとなって殺した、らしい。タカハシはそれを失態とし、アカネの母の死体を遺棄した。
 スズキはその一部始終を見ており、死体遺棄現場を警察に通報したらしい。
 推定が多いのはすべてスナックのママにスズキが語ったことだからだ。

 確実に悪いのはタカハシ。
 だが、タカハシを破滅に追い込み、高みの見物をしているスズキも今後何をしでかすかはわからない。
 どちらをどう制裁するかは猟兵たちにかかっている。

 ちょうど、二人がスナックから出てくるところを猟兵は捕まえることができた。
 周囲は薄暗い細い通り。人影もない。
 アカネは猟兵たちの報告を待つと言い、ここにはいない。
 
 ――さあ、制裁の時間だ。
木々水・サライ
[アドリブ・絡み大歓迎]

アカネが戻ったことを確認した。
なら、俺は言葉通りに「制裁」を下しに。

この時のために準備しておいた【拷問具】を起動し、殺さない程度に【ヴァリアブル・ウェポン】も併用して、じわじわと彼女の憎しみと怒りをヤクザにぶつける。
殺さないのが唯一の幸運であるということを叩き込んでやる。

逃げようったってそうは行くか。アカネの気が済むまで、何度でも、何度でも、何度でも。


「彼女を傷つけておいて、自分は助かりたいなんてナシだろう」

「もう無理? ハッ、まだ喋る余裕はあるんだな」

「これがあの子が受けた苦痛だ。十分に味わえ」


阿久間・仁
よォお二人さん、少しツラ貸してもらうぜ。用件は言わなくても分かるな?

まずは挨拶代わりに【先制攻撃】で二人ともぶん殴る。んでもって金属バットで脚の骨を【部位破壊】で砕く。
これで逃げられねェだろ?一応殺す気はねェから安心しな。一応な。ただし騒いだら殴るし勝手に喋っても殴る。

よし……で?結局どっちが女を殺したんだ?嘘だと思ったらぶん殴るし意見が食い違ってもぶん殴る。
喋りたくねェってんなら喋りたくなるまで可愛がってやるだけだ。ヒャハハ!【恐怖を与える】

ケケケ。本当の事言ったところで解放する気もねェけどな。
俺はお前らにヤキ入れろって頼まれてここに来てんだ。仕事はしっかりこなさねェとだろ?ヒャハハ!


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

さて、あんだけ啖呵を切ったんだ。
きっちり人の世の道理で仕置きしないとね。
ま、意趣返しにはこっちの方が良いだろうし、
あらかじめ水商売風の服装に『変装』しておくよ。

「スズキさん、やっと見つけた!
うちのママ、最近なかなか店に来ないってカンカンだよ~?」
と、別のスナックの新人を装い『コミュ力』で取り入り、
仕置き現場へ『おびき寄せ』るよ。
そのまま道中でケチだなんだとぶー垂れつつ、
『言いくるめ』るように自然と話題を例の事件に誘導する。
そして武勇伝に紛れた話題の綻びの『傷口をえぐる』様に、
共犯の証拠を突き付けるよ。

暴れられる前に『グラップル』で抑えつけ。
後は他の皆に任せようかね?


日向・陽葵
んっんー。イタズラする時ってテンション上がっちゃう!
イタズラレベルで片付かないんけどね? 悪霊退散、ん? 違う。悪霊成敗……悪人、……あれえ、なんだっけ。……悪事には悪事って感じの…やつ

んじゃ、背骨引っこ抜いちゃおっか。精神面の苦痛は他ん誰かがやってくれてるでしょ
倫理観はねえー、大事。だけど、アカネどのの復讐心のほうが俺っち的に大切!

てなわけでぇ! 俺っちは肉体面からやっちゃおーと思いまあーす!
だいじょぶだいじょぶ、当たり所と運がよければ麻痺らないって
車いす新生活始めるチャンスだ! 人間そう簡単に死ねないから。しぶとく生き残れって!


波狼・拓哉
…状況が!状況が死ぬほど面倒臭い!取り敢えずまずは何があったかはっきりさせたいが…制裁途中で勝手に喋りそうだよね

……もう色々推測するのも面倒です
両方反省してもらいましょう
よくよく考えりゃグリモアに感知されてる時点で見過ごしたら碌な事起きませんね

化け惑いな、ミミック
目立たんように刺して来い…ヤクザなんて商売、悪意嘲笑なんてざらでしょう
今は怒りとかの方が場を支配してそうで効果出ないでしょうけど…ヤクザ家業中では出るでしょ
大丈夫大丈夫!苛まれるだけで狂えないから!…どうせ死ぬまで後悔させますし

後は他の猟兵の後ろでやり過ぎたりしないかどうか眺めてでもいますかね
一応死んだらダメですし
(アドリブ絡み歓迎)



「……状況が! 状況が死ぬほど面倒臭い!」
 波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)が頭を抱えるのを頷いて見ているのは数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)ひとり。木々水・サライ(《白黒人形》[モノクローム・ドール]・f28416)は少し不思議そうに首をかしげた。
「二人とも制裁を下すことで問題ないだろう」
「そうそう、どっちもどっちってことだろ、ヒャハハ!」
 阿久間・仁(獄炎魔人・f24120)もすでにやる気たっぷりだ。
 日向・陽葵(ついんてーるこんぷれっくす・f24357)もご機嫌そうに伸びをしている。
(んっんー。イタズラする時ってテンション上がっちゃう!)
 とは言え、これからやることはイタズラレベルのことではない。
(悪霊退散、ん? 違う。悪霊成敗……悪人、……あれえ、なんだっけ。……悪事には悪意って感じの……やつ)
 陽葵が首を傾げてよさそうな言葉を探している合間にも、拓哉は大きなため息をついていた。
「取り敢えずまずは何があったかはっきりさせたいが……制裁途中で勝手に喋りそうだよね」
「まあ、待ちなよ」
 多喜はウィンクをしてみせる。多喜の衣装は水商売風のそれだ。理知的美人の多喜が着飾ると、またそのギャップが多喜を一層綺麗に見せる。
(あんだけ啖呵を切ったんだ。きっちり人の世の道理で仕置きしないとね)
「スズキのほうはあたしに任せておいて。タカハシのほうを頼んでもいいかい?」
「じゃ、フォローとして俺も行きましょうか」
 拓哉は多喜の言葉に頷く。
「オッケーオッケー。タカハシを制裁しておけばいいんだね」
「ヒャハハ! 任せておけよ。しっかり制裁しておくぜ」
「わかった。アカネに告げた言葉通りに『制裁』を下してくる」
 陽葵と仁、サライの言葉に拓哉は若干の不安を感じた。
「やり過ぎたりしないようにしてくださいね。一応死んだらダメですし」
「だいじょぶ、だいじょぶ! 人間そう簡単には死ねないから!」
 陽葵の言葉にさらに不安を感じる拓哉だった。

 スナックからタカハシが先に出てきた。
「よォ。少しツラ貸してもらうぜ。用件は言わなくても分かるな?」
 仁が金属バットを担いで、タカハシへと声をかける。タカハシは胡乱な顔をしていたが、自分よりも年下の人間が三人ということで強気になったのだろう。
「用件なんてわからねえな。言葉の使い方くらい学んだらどうだ」
「彼女を傷つけておいて、自分は助かりたいなんてナシだろう」
 サライの冷静な「彼女」という一言がタカハシに危機感を抱かせたのだろう。逃げようと振り返ると、そこには陽葵が笑顔で立っていた。
「まま、立ち話もなんだしさー、ちょっと河原にでもいかなーい?」
 仁がタカハシの腕を掴んで強引につれていく。
 それを隠れて見ていたのはスズキだ。こっそり見つからないように逃げようとした瞬間を多喜が見咎めた。
「スズキさん、やっと見つけた! うちのママ、最近なかなか店に来ないってカンカンだよ~?」
 少し鼻にかかった甘え声で言いながら、スズキの腕にしがみつく多喜。別のスナックの新人さんを装う演技は完璧だ。
 スズキはもちろん多喜には見覚えがないはずだが、若い女の子に腕にしがみつかれれば嫌なわけでもない。鼻の下を伸ばして、すぐに多喜を見た。
「そうだっけ。じゃあ、これから向かおうか。案内してもらえるか」
「はーい。ママも喜ぶよ」
 それを物陰から見ている拓哉。ボロを出したらすぐさま多喜と一緒にスズキも河原につれていく作戦だ。
 多喜と拓哉とスズキは河原へと遠回りして歩いていく。
「最近来てくれないなんて、スズキさん本当にケチなんだから、もー」
「ははは、ごめんごめん。ちょっとね」
「そういえばさ、最近この近くで殺人事件があったんでしょ? 怖いよねえ」
 多喜は震えるようにさらにスズキに密着する。スズキは笑った。
「大丈夫、大丈夫。あれさあ、なんつーの、もう起こらないから」
「え? どういう意味?」
 スズキが武勇伝でも言うかのように自慢げに発する言葉に多喜は食いついた。
「ほら、さ。人を殺そうにもナイフがないと殺せないじゃん? そういうこと」
 拓哉も耳をそばだてる。スズキはぺらぺらと話を続けた。
「殺したいと思う人間に素早くナイフを渡してやっただけの話。だから、俺がいなきゃ、あいつなんざ人殺しもできねえ、臆病者なのさ」
「んー、それって」
 多喜はそこまであどけなく言うと、鋭い目を向けた。
「殺人幇助っていうんだよね?」
「難しい言葉知ってるねえ」
 スズキはまだ多喜の空気が変わったことに気づかない。多喜は静かな声で言った。
「アカネちゃんのお母さんを襲うようにタカハシにけしかけたりもしたんじゃないの? 自分は高みの見物を決め込んで」
「え……」
 スズキの足が止まる。
「そして自分の思ったとおり、抵抗されてタカハシが怒ったところでナイフを渡す。殺したのはタカハシ。死体を遺棄したのもタカハシ。で、あんたもスカッとした。なかなかなびかない女ってのも腹が立つもんだからね」
(なるほど、自分は手を下さず、タカハシに全部やらせて……本当に殺したかったのはスズキのほうなのか)
 拓哉も呆れ返ったように肩を落とした。
(本当に面倒くさい。小賢しいなんて言葉も使いたくないですね。馬鹿同士のなすりつけ合いじゃないか)
「てめェ……!」
 スズキが多喜の胸ぐらを掴むより早く、多喜はスズキの腕をひねり上げた。
「さて、あんたもやっぱり制裁が必要みたいだね。ちょっと顔を借りようか。なあに」
 多喜は微笑んだ。
「殺しはしないよ」

 多喜と拓哉とスズキが河原についた時には、タカハシの制裁が盛り上がっているところだった。
 初手で仁が金属バットで顔をぶん殴り、脚の骨を砕いたので、タカハシは逃げることも出来ず、じたばたするばかりだ。
「一応殺す気はねェから安心しな。一応な」
「ひ、ひぃ!」
「ただし騒いだら殴るし勝手に喋っても殴る」
「お、俺は何もしてねぇって……」
「んじゃ、背骨引っこ抜いちゃおっか」
 明るく言うのは陽葵だ。
「背骨!」
 思わず拓哉の声が上がった。
「それは倫理観的にどうなんだろう」
「倫理観はねえー、大事。だけど、アカネどのの復讐心のほうが俺っち的に大切!」
 陽葵はポン刀のようなもの――刀を抜き放った。
(精神面の苦痛は他ん誰かがやってくれてるでしょ。てなわけでぇ! 俺っちは肉体面からやっちゃおーと思いまあーす!)
「背骨なら大丈夫かなあ」
 多喜も悩む顔。引きずられてきているスズキが悲鳴を上げた。
 スズキもタカハシの横へと投げるように引きずり出すと、仁がすかさず顔面に一発お見舞いする。スズキもタカハシの横に倒れた。
 サライがスズキの横へ立つ。
 この時のために準備しておいた拷問具を起動し、スズキの脚へと絡みつかせる。ぎちぎちと音を立てて、スズキの脚の骨を折っていく。
 それはじわじわとアカネの憎しみと怒りをぶつけるかのようだった。
(殺さないのが唯一の幸運であるということを叩き込んでやる)
「で? 結局どっちが女を殺したんだ? 嘘だと思ったらぶん殴るし意見が食い違ってもぶん殴る」
 仁が言うと、タカハシとスズキが叫んだ。
「スズキが殺せって言ったんだ! そんな女、殺しちまえって!」
「殺したのはタカハシだろ! 俺を巻き込むんじゃねえよ!」
「はい、ぶん殴る」
 仁は言うと二人の横頭を一発ずつ殴りつける。
「喋りたくねェってんなら喋りたくなるまで可愛がってやるだけだ。ヒャハハ!」
 仁の笑い声にヤクザ二人は恐怖を感じ、黙り込んだ。仁は金属バットを振りながら二人を眺める。
「さあて、まだ言う気にはなれねえのかなあ?」
「まあ、うん。殺したのはタカハシらしいよ。裏から色々指示して思う通りにしたのがスズキかな」
 拓哉はブレスレットをなでて、ミミックを呼び出した。
(両方反省してもらいましょう。よくよく考えりゃグリモアに感知されてる時点で見過ごしたら碌な事起きませんね)
「化け惑いな、ミミック。目立たんように刺して来い」
 ミミックは小さな蜂へと姿を変える。サライと仁がじわじわとなぶっている間にミミックの蜂はその針をスズキとタカハシに突き刺した。
 その針は抜けない針。己に対する悪意や嘲笑を感知すると精神を苛む幻覚に変化する、心理的に責める攻撃。
(今は怒りとかの方が場をしてそうで効果出ないでしょうけど……ヤクザ稼業中では出るでしょ。大丈夫大丈夫! 苛まれるだけで狂えないから!)
 拓哉はミミックを呼び戻すとふう、とため息をついた。
(……どうせ死ぬまで後悔させますし)
「ほら、殺したのはタカハシってわかってんだろ! 俺は悪くねえって……」
 スズキが這いずって逃げようとするのを、サライは拷問具を引いて押さえつけた。拷問具が血を吸い取り、スズキが悲鳴を上げる。
「やめてくれ、もう無理だ、死んじまう!」
「もう無理? ハッ、まだ喋る余裕はあるんだな」
 サライは淡々とスズキを見下ろした。拷問具にさらに力を入れると、じわりじわりと痛みを与えていく。
「これがあの子が受けた苦痛だ。十分に味わえ」
「そうそう。俺はお前らにヤキ入れろって頼まれてここに来てんだ。仕事はしっかりこなさねェとだろ? ヒャハハ!」
 仁はもう一発金属バットで二人の胸元を大きく打ち付けた。二人は肋骨を折ったのか、咳込みながら転がる。
「はーい、じゃあ、最後、俺っちの出番ねー」
 陽葵が手を挙げる。
「だいじょぶ、だいじょぶ、当たり所と運がよければ麻痺らないって」
 陽葵は刀を構えた。安らぎさえ感じる一撃で、肉体を斬らずに背骨のみを砕く。
 二人が悲鳴を上げ転がりまわるのを見て、陽葵は刀を収めた。
「ひ、ひいぃ……」
 タカハシはがたがたと震えてもう戦意も喪失している。スズキは苦しげな顔で猟兵たちを睨みつけた。
「お前ら、あの女の娘に頼まれたんだな。見てろよ、あんな小娘、さっさと売り飛ばして……」
「あン?」
 仁が眉を釣り上げて金属バットを構えると、スズキは黙り込んだ。
「言うのは勝手だけどさ」
 多喜はやれやれと肩をすくめる。
「そんなことできると思ってる? ひょっとして怪我が治ればまたなにやっても平気とか思ってるの?」
 実際は拓哉のミミックがもう抜けない針を刺しているから、もう何もできないはずだ。それでも多喜は念の為、きつく言い渡す。
「あたしたちはあの子の味方だから。あんたたちが次に何かしても、すぐに飛んでくるからね」
「はーい、俺っちもアカネどのの味方でーっす」
 陽葵が刀の柄をこれ見よがしに叩きながら言えば、
「あの子の苦しみを、一生かけて償っていけばいい」
 サライも言い、仁は金属バットを担ぎ直した。
「……俺は別に、殴れれば問題ねェけどな。ヒャハハ!」
「まあ、そういうことです」
 拓哉はしっかりと二人のヤクザを睨みつける。
「一生かけて償ってください。それが人の心を壊しかけた罪です」
 あとはUDC職員がうまく誤魔化してくれるだろう。
 アカネにも報告に行くべきかもしれない。
「アカネどの、喜んでくれるといいねー」
「ああ、そうだな」
 陽葵とサライが微かに笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年07月17日


挿絵イラスト