最後の国の少年アリス(作者 一二三四五六
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#アリスラビリンス  #少年アリス・リン 


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●悪性概念
「ああ――こんな事なら」
 世界の中心で、一人の少年が立ち尽くす。その姿は少女のように愛らしい。
「こんな事なら思い出さなければ良かった」
 だが、その瞳に光はなく、虚ろに宙を見つめるばかり。
「ボクのせい……ボクのせいだ……」
『そう、あなたのせい。あなたのせいよ』
 そんな少年の身体に、『何か』が入り込んでくる。少年の記憶を、認識を、身体を書き換えていく。
『ボクのせいで、姉さんは――だから、もう』
 少年の瞳に光が戻る。だがそれは、絶望と言う名の、偽りの光。
 全ての気力を失った少年の身体を、『それ』は無理やりに動かし始める。
『全部、絶望で塗り潰して、壊してしまえばいい』

●グリモアベースにて
「やあやあ猟兵諸君。くるるちゃんの召集に集まってくれて感謝するねっ」
 グリモアベースに集まった猟兵達を前に腕を広げ、鏡繰・くるる(属性過積載型バーチャル男の娘・f00144)は愛らしい笑顔と共に元気よく切り出した。
「今回はアリスラビリンスに飛んで、アリスを救出してもらうよ!」
 アリスの名はリン。水色のエプロンドレスに身を包んだ、少女……のような男の娘だ。毎回危険に陥っては、猟兵達に助けられて来た。
「けど……それも今回で最後になるかもしれない。今回向かう不思議の国は、リンの『自分の扉』が有る国だよ」
 全てのアリスは、広いアリスラビリンスのどこかにひとつだけ、故郷に帰れる『自分の扉』が存在する。その扉を開けば、アリスは自分の世界に帰る事が出来るのだ。
「リンの故郷に繋がる、リンだけの扉。けれど……当然と言うべきかな、その前には障害が立ちはだかるんだ」
 そう言って、くるるは真剣な表情を浮かべて猟兵達を見回す。
「今回の障害は――リン自身だよ」

 『アリスラビリンス症候群』――そう呼ばれる現象がある。
「病なのか、オウガなのか、それとも別の何かなのか……まあ良くわからないんだけど。それは、人間の記憶に、認識に潜む存在なんだ」
 この悪性概念を植え付けられた者は、深層心理を書き換えられ、オウガへと姿を変える。愛らしくも悍ましい、アリスのオウガに。
「リンは今、この『アリスラビリンス症候群』によってオウガに変えられている。今の所は、あくまで一時的な物だけど……それが永続的なものになるのは、そう遠い話じゃあないだろうね」
 そのためには、この『症候群』をリンの身体から引き剥がす必要がある。基本的には、よくあるオブリビオン化と同じで、殴って引き剥がす事になるだろう。
「ただし、オウガ化したリンには、今までの記憶がしっかりと存在するよ。猟兵のみんなに助けられた事があると言う認識もあるし、顔見知りなら友人とも思っている。でも、その上で、敵として攻撃してくるんだ」
 あくまでリンの性格のまま、敵味方の認識だけが丸々書き換えられていると言う事だ。面識のある猟兵にとっては、戦いにくい相手かもしれない。
「ちなみに、倒した後もオウガ化中の記憶が消えたりはしないから……リンにあまり酷い事をしたり、逆にリンの攻撃で手酷い傷を負ったりすると、リンの心の傷になるかもしれない。注意して」
 とは言っても、戦って倒さなければオウガ化を解除出来ないと言うのも事実だ。多少の手荒い真似は必要となるだろう。

「リンを倒してオウガ化を解除したら……そのまま、リンと一緒に、リンの『自分の扉』へと向かってもらう。その扉は遥か空の彼方に有って、けれど空を飛んでも辿り着かない。自分の足で、七色の虹の道を通らないといけないんだ――いや。通っても辿り着かないんだけどね?」
 その虹の道に果てはない。それはリンの、『元の世界を恐れる心』に起因するものだ。『自分の扉』にたどり着きたくない、と言う潜在意識を解消しなければ、虹の道の向こうにたどり着く事は決して出来ない。
「だからキミ達には、リンと話をして欲しい。元の世界を恐れるその心を、解きほぐして欲しいんだ」
 リンはすでに記憶を取り戻している。彼をオウガ化から救出すれば、その時に自分の過去について語ってくれるだろう。その過去のトラウマを解消する事ができれば、虹の向こうにたどり着く事ができる。
「それと、リンの心が揺れている間は、虹の道も大分不安定だから気をつけて。いきなり崩れたり偽の道が出現したりするよ」
 説得に自信がなければ、転落防止の配慮に力を注ぐのもいいだろう。

 虹の向こうに辿り着ければ、そこにリンの扉がある……だが、そこには最後の障害が存在する。
「『アリスラビリンス症候群』によってオウガ化した者たちの末路――もはや戻れぬ少女のオウガ達が、扉の前を守っている」
 彼女達を元に戻す事はできない。倒して、扉への道を切り開かなくてはならない。少女達を全て倒せば、リンの『自分の扉』にたどり着く事が出来るだろう。
「その扉をくぐれば、リンは元の世界に戻る事が出来る――けど」
 果たして、扉をくぐる事が……トラウマを残す元の世界に戻る事が、リンにとっての幸せと言えるのだろうか。
 一方、アリスラビリンスに残る事も、リンにとっては危険かもしれない。
「リンが元の世界に戻るべきか否か――もしよければキミ達がアドバイスしてあげるといい。最終的に決めるのはもちろん、リン自身だけどね」
 説明を終えたくるるはそう言って猟兵達を見渡し、ビシッとポーズを決める。
「それじゃあ、ばっちり解決してきてね。良い知らせを待ってるよ」

●虹の国の『少女』アリス
「ああ、皆さん。お久しぶりです」
 アリスラビリンスへと転移した猟兵達を、リンは微笑みと共に出迎えた。ちょっと気弱そうな、あどけない微笑みは、彼を知る猟兵達にとっては馴染み深いものだ。
 いや――今は、『彼』ではなく『彼女』と言うべきか。アリスラビリンス症候群によってオウガと化しているリンは、文字通りの『アリス』と言う少女に姿を変えているのだ。
 ……いや、と言ってもまあ、髪型が違うくらいで、あまり違和感がないのだけど。
「またお会い出来て嬉しいです。皆さんのお陰で、全部思い出したんですよ?」
 だがその微笑みには、翳りがある。と言うよりは逆――絶望の表情の上から、無理やり笑みを貼り付けたような、と言うべきか。
「ええ、思い出したんです。だからもう――全部、壊して。この国を絶望で塗り潰して、終わりにしちゃおうと思うんです……」
 そしてハート型の爆弾を手に、リンは不自然な微笑みを浮かべて、猟兵達に敵意を向ける。
「皆さんも一緒に……ボクと絶望で壊れてしまいましょう!」


一二三四五六
 ひとつの物語の、幕が降りる時。

 ごきげんよう。このシナリオのタイトルは最初から決めていた。一二三四五六です。

 第一章のボス戦『『悪性概念』アリスラビリンス症候群』、第三章の集団戦『閉幕のアリス』はアララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)さんの宿敵です。ありがとうございます。
 第二章の冒険『虹の向こうに行きたいな』はトミーウォーカーの公式フラグメントです。

 この依頼に登場するアリスの男の娘『リン』は、連作シナリオ『○○の国の少年アリス』に登場しているアリスです(今回は5回目+クリスマスシナリオに登場)。
 世情への配慮等で前回から結構お待たせしてしまいましたが、いよいよ記憶を取り戻し、自分の扉のある世界へと辿り着きました。
 果たして彼の冒険がどのような結末を辿るのか――それは皆様次第です。
 なお、シナリオ構造は基本的なアリス救出・説得依頼ですので、今回だけの参加も全く問題はありません。遠慮なくどうぞ。

 補足。
 第一章では、リンはオウガのSPDユーベルコード『ミュータント・オウガール』を使用されて変身している状態です。このUCによるハートボムと、WIZの精神攻撃(洗脳や精神破壊)によって攻撃してきます。
 また、追い詰められるとPOWの怪物化をリン自身に使用し、強化されます。

 リンの過去の記憶については、第二章公開時の序文として語られます。それを踏まえて説得していきましょう。
 なお、第二章の不安定な虹の道に関しては、実は誰もプレイングをかけなくても別に転落する事はありません。『説得に自信・興味がない』と言う方がやる事なくならない用の設定ですので、無視して説得に専念して頂いても問題ないです。

 最終的に、自分の扉を前にして、リンがどのような決断を下すかは、猟兵の皆さんのプレイング次第です。多数決ではありません。

 それでは、皆様のプレイングを楽しみにお待ちしています。
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第1章 ボス戦 『『悪性概念』アリスラビリンス症候群』

POW ●邪歯羽尾ッ駆ノ感染症
【対象の記憶に潜み、干渉する事で対象が怪物】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD ●ミュータント・オウガール
【対象の認識に潜み、干渉する事で対象が少女】に変身し、武器「【ハートボム(投擲爆弾)】」の威力増強と、【アリスに対する強烈な捕食衝動を与え、魔法】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
WIZ ●アリス・イン・ワンダーパンデミック
【自身の存在を認識した対象の深層心理に出現】【し、その内面に干渉する事で攻撃を加える。】【また、対象の記憶や認識を喰らう事】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアララギ・イチイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


黒玻璃・ミコ
※スライム形態

◆心情
暫くお会い出来なかったので
扉を見つけられたのかと期待を抱いてましたが甘くはありませんよねー

◆行動
既に傷付いてそうなリン君さんの心の傷を
更にえぐるのもアレなので真面目にお相手しますよー

爆弾は【念動力】で浮遊した上で【空中戦】を挑めば
百戦錬磨で【戦闘知識】を重ねた私なら防ぐ事も可能です
精神攻撃はちょっと厄介ですが【催眠術】による後催眠を自分に掛け
リン君さんの匂いをトリガーとして正気を取り戻しましょう
此処まですれば奥の手を出してくるでしょうから
駆り立てられた負の想念と一緒に【黒竜の道楽】でお掃除しましょう

あら……もしや服って財産カテゴリ?

◆補足
アレンジ、他の猟兵の方々との連携歓迎


アリス・セカンドカラー
お任せプレイング。お好きなように。
いよいよというところかしら?
オブリビオンと心通わせるはシャーマンの真骨頂☆シャーマンズサクラメントにてリン君を元に戻してあげましょう。
さて、リン君に取り憑くだなんて……悪霊化した今の私にはそこは私の得意フィールドよ?深層心理に出現するなら好都合、私の妄想世界が尤も力を発揮するのだから。内面に干渉?降霊の結界術で閉じ込めて逆に私が悪性概念を略奪し症候群の魂を捕食して神罰を与えてあげるわ。
多重詠唱、同時進行でリン君の精神世界に私の分霊(式神使い/読心術/第六感)を降霊させ、サイコヒーリング(念動力/医術/元気)で改変されたリン君の認識の復元を試みましょう。


佐伯・晶
リン君に何があったのかはわからないし
話を聞きたいけど
まず落ち着かせないとだめそうだね

飛んでくる爆弾はガトリングガンで迎撃
抜けてきたものは神気で時間を停めて防御

ガトリングガンの弾はゴム弾にして
万が一が無いように気をつけよう

使い魔の麻痺攻撃で動きを鈍らせつつ
射撃で移動に制限をかけるよ
その上で邪神の涙を使って凍り付かせる事で動きを封じよう

さらに使い魔の催眠術で絶望の感情を抑え
一先ず落ち着かせようとするよ

少女に変身させようとしても無駄だよ
元々少女の体に変えられているからね
…いやまあ、自慢できる事でもないんだけど

変身しなくても捕食衝動が厳しいなら
自分に催眠術をかけさせ
凍らせたいという衝動に変えて抑えよう


ネフラ・ノーヴァ
共闘、アドリブOK。

物語にはいつか終わりがあるもの。最高の舞台にしようじゃないか。

開戦前に御辞儀を。さあ、リン、共に踊ろう。君の苦しむ過去の全てを知る事はできなくとも、今我々が君を想い、未来を祝福する気持ち伝えよう。
リンの呼吸に合わせ刺剣で舞うように攻防を繰り返す。戦い合う事もまた愉しいものだろう?
リンが怪物化すればUC瀉血剣晶を発動、自らの腹に剣を刺し血の刃を成す。我が血を受けよ、そして美しく血を咲かせ。


フレミア・レイブラッド
最後まで不幸体質は治らないみたいね…まぁ、今回はそればかりとは言えないけど…。
絶望に沈むには早いわ。
わたし達が何の為にここに来たと思うの?貴方を救う為にも沈むわけにはいかないのよ

【創造支配の紅い霧】を発動。
戦場を紅い霧で包み、リンを霧の魔力で拘束。
リンの体の中の『悪性概念』自体をリンの絶望の象徴と共に霧の魔力で具現化させ、リン本体からの引き離し、引き離した概念に【神槍グングニル】を叩き込み、概念の討伐を試みるわ。
絶望は完全には消えないけど、オウガ化の原因を取り除けば一先ず安心ね…


可能なら、他の猟兵の手を借りられると有り難いわね。
それにしても、普通の相手だったら眷属にしたいくらい可愛らしいわね…


四季乃・瑠璃
緋瑪「リンが元の世界で何があったかは知らないけど」
瑠璃「ここで諦めるのは早いんじゃないかな?」
緋瑪「わたし達は二人で一人の殺人姫…」
瑠璃「貴方を蝕む『ソレ』を殺してあげる」

「「さぁ、絶望殺しを始めよう」」

【破壊の姫君】で分身

リンのボムに対してこちらも接触式ボムで対抗して爆破相殺。
無力化を狙い、【マヒ攻撃、毒使い】麻酔弾を装填したK100や麻痺毒を装填したダガーでリンの動きを止める事を狙って攻撃。
ボムの衝撃等でリンの態勢を崩し、動きを封じつつ攻撃を叩き込むよ。
リンが変身する怪物に関してはリンの絶望の象徴として、少し我慢して貰いつつジェノサイドノヴァで一気に吹き飛ばして元に戻すよ!


露木・鬼燈
ああ、リン君がリンちゃんに。
正直違和感ないから事前情報がないと…
まぁ、それはそれとして倒すけどね。
余計なダメージは不要とゆーかダメ。
ここはスマートに『症候群』を引き剥がそう。
肉体にも精神にも傷つけずにってのは大変だけど。
的確に狙って<斬祓>を成功させればイケルイケル!
斬るべきモノを選び、望むモノだけを斬る。
こーゆーことができるのが優れた剣士とゆーもの。
敵がリンちゃん一人ならよゆーよゆー。
攻撃を斬り祓いながら意識を集中。
リンちゃんの中の『症候群』を感じ取る。
後は剣我一体となり、刃を以て斬り祓う。
斬られたことすら認識させない神速の一刀。
これなら精神へのダメージもなし。
我ながらいい仕事したっぽい!


ヘイヤ・ウェントワース
ああ、ついにこの時が来たんだね……
キミたちは一様に心に傷を隠している
自分の扉を見つけたとしても、その傷に立ち向かわない限り
元の世界に帰ることはできない
ボクはそのことを初めて案内したアリスで思い知ったんだよ

あの時の僕はただの案内人だった
自分は道案内さえすればそれで良いと思っていた
それは間違いだとわかった時には、彼女はもう失われてしまった

だから僕は願ったんだ、運命を変える力を

アリスたちが自分の運命に打ち勝つための支えになれる
おとぎ話の王子さまになろうって

この世界は本来、アリスを慰めるために在る
傷つき疲れた心を癒し、現実に立ち向かう為の活力を与えるために

だから僕は誓う!キミの運命を絶対変えて見せると


フランチェスカ・ヴァレンタイン
リンくんがグレてしまいましたー…

よよよ、と泣き真似などしてみたりしつつ
冗談はさておき、一先ず正気を取り戻していただかないことにはお話も出来ませんねえ
少々激しく参りますけれど、我慢してくださいませ?

宙を舞って爆弾を斬り払い、間隙を縫うようにクロスレンジに持ち込んで蹴りやら戦槌の連撃を(主に土手っ腹に)叩き込んで悪性概念の炙り出しなど
モノが炙り出せれば、あとはリンくんを傷つけずにソレを剥ぎ取るだけ、ですね?
UCの光刃で悪性概念のみを斬り刻んで差し上げると致しましょうか、と

――ええと、大丈夫ですよ? オトコノコでしたらそういう時期も、ええ。ありますよね?(その眼差しは生優しかった)


ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘×
グロ×
SPD

守護霊の憑依【ドーピング・化術】で戦闘力を高めつつ
狂える時計ウサギの姿で登場

全部壊すだなんて
弱虫アリスが随分と偉くなったものですわ

リンの高速飛翔を【見切り】
『無情なる刻』の高速移動と【空中戦】で追跡。
ハートボムを16.6秒の時止めで避け
【呪詛・マヒ攻撃】のキス

時が動き出しても彼の体は動かず
私に【踏みつけ】られている事のみ認識

私が時間を止められる事をお忘れかしら?
やはり弱虫のままですわね
……そんな貴方に破壊なんて似合わないのよ、リン

元の姿に戻り
リンに【騎乗・慰め・生命力吸収】
完全に女性化していたら局部に口づけて吸収

自暴自棄になるのは早いわ。
吐き出しなさい。ナニもかも全部っ……!


「ああ、リン君がリンちゃんに……正直違和感ないから、事前情報がないと……」
「本当……普通の相手だったら眷属にしたいくらい可愛らしいわね……」
 少女の姿を取ったリンの姿に、思わずそんな言葉を漏らす鬼燈。フレミアもそれに同意し、困ったような視線を向ける。
「でも、最後まで不幸体質は治らないみたいね……」
「暫くお会い出来なかったので、扉を見つけられたのかと期待を抱いてましたが……そんなに甘くはありませんよねー」
 ミコもブラックタールの身体をやれやれと揺らす。猟兵とリンが出会う時は事件の時ばかり――それは最後まで、変わる事はない。
「今回はそればかりとは言えないけど……わたし達が何の為にここに来たと思うの?」
「ボクを助けてくれるんですか? いつも助けて貰ってばかりですよね」
 問いかけに、にこりと微笑みを返すリン。明るく、そして翳りのある、張り付かせたような歪な笑み。
「でも、もう助けてくれなくても良い……皆で絶望に沈んでしまえば良いんです」
「絶望に沈むには早いわ。貴方を救う為にも沈むわけにはいかないのよ」
 その笑みを否定するように、フレミアはきっぱりと首を振る。毅然としたその態度に、ほんの少しだけ苛立った様子を魅せるリン。
「もう……助けてくれなくて良いって、ボクが言ってるんですよ?」
「リンが元の世界で何があったかは知らないけど」
 その苛立ちに首を傾げながら、呼びかけるのは緋瑪と瑠璃、2人で1人の殺人姫。
「ここで諦めるのは早いんじゃないかな?」
「いいえ、諦めるのが一番です。諦めたら、楽になれる……何も考えなくていい」
 リンの身体から魔力が立ち昇り、ふわりと浮かび上がる。その手に握られたハートは、全てを無に帰すための爆弾。
「全部終わりにしてしまえばいい!」
「ああ、確かに物語にはいつか終わりがあるものだ。だがどうせなら、最高の舞台にしようじゃないか」
 高らかに言い放つのはネフラ。美しき羊脂玉の剣士は、文字通り舞台のように歩み出て優雅に一礼する。
「さあ、リン、共に踊ろう。君の苦しむ過去の全てを知る事はできなくとも、今我々が君を想い、未来を祝福する気持ちを伝えよう――!」
「ならばボクは……全てを過去に沈めて見せる――!」
 そうして。絶望に犯された一人のアリスが投じた爆弾が、戦端を開く鐘の音となる。轟音と共に爆炎が猟兵へと迫り――。
「爆弾なら、こっちに一日の長ってやつがあるんだよね」
「っ……!」
 生じた爆風に爆弾をぶつけ、それを相殺するのは緋瑪達だ。さらに相殺した爆風の隙間から、麻酔弾で無力化を図る。
「このくらいっ……!」
 咄嗟にそれを回避しながら、さらなる爆弾を投擲するリン。次々と投じられるそれを、今度はガトリングのゴム弾が撃ち落とす。
「リン君に何があったのかはわからないし、話を聞きたいけど……」
 弾幕を張るのは晶だ。さらに神気で壁を作り、爆風の時を止める事で迎撃していく。
「話を聞きたいけど、まず落ち着かせないと駄目そうだね」
「もう、邪魔ですっ!」
 攻撃を防がれた苛立ちで、さらに大量の爆弾を投じるリン。大量の爆風と爆炎によって猟兵達との間に壁が出来上がり――そしてそれを、飛び越えて空中から迫るミコ。
「リン君さんの心の傷を更にえぐるのもアレなので、真面目にお相手しますよー」
 空中をぴょこんぴょこんと飛び回りながら、巧みに爆弾を回避するミコ。なかなか当たらぬ事に、ますます苛立ちを露わにするリン。
「この、鬱陶しい……!」
「これは、一先ず正気を取り戻していただかないことにはお話も出来ませんねえ」
 そんな様子を見ながら、もう1人、空から迫るのはフラニィ。投じられた爆弾が着火する前に、一気に間合いを詰めてその斧槍で断ち切る。
「少々激しく参りますけれど、我慢してくださいませ?」
「くぅぅぅぅぅっ……!!」
 それで出来た間隙を縫って一気に懐に潜り込めば、土手っ腹に叩き込む、容赦のない強烈な蹴りの一撃。リンはお腹を抑え、ゴロゴロと地面を転がっていく。
「ごほっ、ごほっ……も、う、乱暴です……」
「いえいえ、そんな手応えで言われましてもー?」
 苦しげな顔で罪悪感を誘うリンだが――フラニィの脚に帰るのは頑丈な手応え。中にいるオウガが、ある程度肉体の強度も底上げしているようだ。
「やはり少々、手荒な真似も必要なようで……!」
「くっ……近づかないで!」
 咄嗟に爆弾を周囲に投じ、爆炎で身を守ろうとするリン。激しい炎が再び壁を作る……だが、上空をも守ろうとすれば、その分隙間も大きくなる。
「言っただろう、共に踊ろうと」
「っ!」
 そこで間合いを詰めたのはネフラ。僅かな隙に刺剣をねじ込み、一気に攻めかかる。
「さあ、存分に!」
「このっ……くっ!!」
 反撃の起こりを牽制し、回避の動きに合わせて刺剣を繰り出す。先読みするようなその動きは、リンの呼吸に合わせての物だ。
「戦い合う事もまた愉しいものだろう?」
「そんな事っ……!!」
 それは戦いであるが、美しき舞いのようでもある。戦場と言う舞踏場で、リンと共に優雅に踊るネフラ。
「はぁ、はぁ……くぅっ、こ、このっ!」
「おっとっ……!?」
 ただでは逃げられないと見たリンは、爆弾を目の前に投じ、自らを爆風で吹き飛ばす事で強引に間合いを取る。苦痛に顔を歪めながら、立ち上がろうとするリン。
「全部壊すだなんて、弱虫アリスが随分と偉くなったものですわ」
「っ!?」
 その前に降り立つのは、白いドレスを纏った一匹のオウガ――リンと猟兵が出会う切欠となった事件、その首謀者たる、狂える時計ウサギ。
 いや、もちろんそれは、猟兵によって倒されたのだ。ここにいる筈がない――とはいえ動揺を誘われ、咄嗟に飛んで逃げようとするリン。
「逃しませんわ――!」
 それを時計ウサギも、飛翔して追いかける。拒もうと、リンは咄嗟に爆弾を投じ――。
「私が時間を止められる事をお忘れかしら?」
「くっ!?」
 時を止めた隙にリンを地面に叩き落とし、踏みつけにする。押しのけようとするリンだが、その身体の動きは鈍い。
「やはり弱虫のままですわね……そんな貴方に破壊なんて似合わないのよ、リン」
 憐れむように見下ろした時計ウサギは、姿を変え――いや、ルルへとその姿を戻しながら、覆い被さっていく。先程奪って麻痺の呪詛を流し込んだ唇を、もう1度奪っていくルル。
「自暴自棄になるのは早いわ。吐き出しなさい」
「っ……ん、くぅぅっ……!」
 恥じらい顔を赤くするリンから、生命力を吸い上げていく。さらにそのまま、服へと手をかけ――。
「いい加減に……してくださいっ!」
 流石にそれは全力で拒み、呪詛を振り切るリン。強い拒絶が、彼の――あるいは彼女の――脳内に潜む悪性概念を活性化させる。
「そういう強引なの、好きじゃないですっ……!」
「くっ……!」
 リンに宿っていたソレの一部が、周囲の猟兵の脳内へとばら撒かれる。変異は生じさせる程ではないが、強烈な精神攻撃で怯ませ、その隙に脱出するリン。
「皆さんも、絶望に染めてあげます!」
「むぅ、これは、厄介です、ね……」
 精神が汚染され、認識が塗り潰されるような感覚に、苦しげにその身を震わせるミコ。リンの言葉通り、絶望がその心を蝕み始める。
「……ですが……対策済、ですよー」
 それを振り払うのは、予めかけておいた後催眠。リンの身体から香る匂いをトリガーにして、自らの精神を上書きする。
「落ち着いて……絶望する事はないよ」
 晶は使い魔をけしかけて、リンの心を鎮めようとする。その絶望を全て払う事はできずとも、昂ぶる感情を抑え、精神攻撃を抑制する事ぐらいならば。
「さあ、これも効きませんでしたが、どうしますー?」
「くっ……!?」
 ミコの挑発に、苦い表情を浮かべるリン。だがすぐに、その表情が変わり……いや、抜け落ちて。
「ぐ、ぅぅぅぅ――アアアアアアア!!」
 咆哮と共に、リンの身体が変異していく。肌が変色し、捻じくれた角を生やし、爪を、翼を、尾を――まるで鬼か悪魔かの如く。
「グルゥゥゥゥッ――グルォォォッ――!」
「ああ、リンくんがグレてしまいましたー……」
 その姿に、思わずよよよと泣き崩れるフラニィ。まあ当然泣き真似だが。
「と、まあ冗談はさておき。随分と凶暴になりましたわねー」
「ではその負の想念、全てお掃除してあげましょう」
 怪物化は、リンの精神が表にむき出しになったと言う事でもある。これが好機と、黒竜の魔力を解放していくミコ。
「そのようだ。では私も、更に激しく舞うとしよう」
 自らが攻撃を受けている事など全く顧みず、荒々しく襲いかかってくるリン。それを迎え撃つべく、ネフラは刺剣を構え――それを躊躇う事なく己の腹に突き刺した。
「我が血を受けよ、そして美しく血を咲かせ」
 溢れ出す血が刺剣に纏わりつき、変化していく。真紅の長剣を腹から引き抜けば、再びリンを戦い(ダンス)に誘う。
「存分に――心ゆくまで付き合おう」
「ガ、ァ、ァ、ァァァァア――!」
 長剣と爪による、激しい打ち合い。暴力的な怪物の攻撃にも、ぴたりと呼吸を合わせて踊るネフラ。そして、彼女達の舞踏場を覆うように、真紅の霧が立ち込める。
「さあ、その絶望の象徴、引き剥がしてあげるわ――!」
「グ、ゥゥゥ――!」
 それはフレミアの生じさせた、支配の霧。紅がリンの身体を縛り付け、悪性概念を引き剥がそうとする。
「グァ、ゥ――ゥゥゥゥ――!」
「とはいえ、流石に骨が折れるわね……!」
 当然それはただ倒すより難しく、真祖の魔力をもってしても容易ではない。激しく暴れて抵抗するリンに、汗を滲ませるフレミア。
「それなら、ここは任せるっぽい。余計なダメージはダメ、スマートに行くですよ!」
 そこへ、一気に間合いを詰める鬼燈。破魔の力を右手に集め、収束させて刃とする。
「斬るべきモノを選び、望むモノだけを斬る。こーゆーことができるのが、優れた剣士とゆーものです……」
「グルゥゥッ――!」
 霧の拘束を振り払って強引に振り下ろされる爪を、その刃で切り払いながら意識を研ぎ澄ます。
 見切るべきはリンの中に潜む悪性概念。怪物化した事で露わになった絶望と、リンの肉体の境目。
「――――」
 目に見えぬ筈のそれが、ぼんやりと感じ取れる。後はそれを捕らえる隙を探れば良い。
「じゃあ、こっちも援護しようか」
「グゥッ――!?」
 その隙を作り出すのは、晶だ。使い魔による麻痺と、極低温物質による凍結。リンの身体が急速に凍結し、動きを止める。
 無論、いつまでも止めておける訳ではない。だが一瞬でも、十分――。
「剣我一体――斬る!」
「ガッ……!」
 瞬きの間に、振り切られる刃。それは、リンの身体を傷つけず、その中にある概念にだけ、深い傷を刻みつける。
 目には見えない。だが、確かに感じられる、その手応え。
「さあ、今ですよー」
 その見えない傷口を広げるように、ミコも黒竜の魔力を一気にけしかける。リンの纏うドレスが裂けて、胸元が僅かに露出し――。
『リン君に取り憑くだなんて……悪霊化した今の私にはそこは私の得意フィールドよ?』
「っ!?」
 その見えない傷口から、悪霊と化したアリスがリンの脳内に侵入する。サイキックヴァンパイアたる彼女にとって、他者に寄生する事には一家言を持っている。
『オブリビオンと心通わせるはシャーマンの真骨頂☆ それを今からお見せするわ♪』
「ッ……ァッ、グッ……!?」
 見えない概念と言えど、彼女にとってはごく身近な存在でしかない。確かにその形を捉えると、その周囲に結界を張り巡らせていく。
『私の力の源は妄想よ。頭の中での出来事は、全て私の自由になるんだから♪』
 あちらも反撃とばかりにアリスへの干渉を試みてくるが、それを結界に完全に閉じ込める。そのまま、リンの脳から奪い取るように引き剥がしていく。
「っ……ガガ……はぁ、はぁ、……あ……ボクは……ググ、ゥゥゥゥッ……!!」
『おっとっと。あんまり手荒にしちゃダメよ、ね♪』
 認識の一部が引き剥がされた事で、頭を抑えて苦しみ出すリン。怪物化が進行し、激しく暴れ回る。そんな彼の傷ついた心を癒やすべく、分霊を降ろして修復を始めるアリス。
『という訳で、外の方は……任せるわね?』
「ええ……助かるわ!」
 外から見れば、脳内での攻防など理解出来はしない。だが、リンから何かが離れつつあるのは分かる。『それ』を霧で包んで固定すると、槍を強く握りしめ、魔力を注ぎ込むフレミア。
「さて、炙り出せたのなら、後はリンくんを傷つけないように、と」
 フラニィもまた、斧槍に光刃を纏わせる。遍く万象を斬り裂くその刃も、今は斬るべきものだけを。
「絶望は完全には消えないけど、オウガ化の原因だけでも……」
「剥ぎ取らせていただきますわね――!」
 真っ直ぐに突き出された神槍の一撃と、鋭く振り下ろされる光の刃。それはリンへと放たれ、だが、リンではない『何か』を、貫き、斬り裂いた。
 確かな手応えが、その手に帰る。
「ガアアアアア――アアアアア――!!」
 だが、『それ』もただでは消されまいと、激しく抵抗し、リンの怪物化を進行させる。
 いや――あるいは。絶望から目を背け、縋り付きたいと言うリン自身の心の抵抗か。
「わたし達は二人で一人の殺人姫……」
「貴方を蝕む『ソレ』を殺してあげる」
 そこへ、緋瑪と瑠璃が駆け寄っていく。2人の手の間に収められたのは、魔力の凝縮された巨大な爆弾。
 殺人姫に殺せぬものはない。それが――心であっても。
「「さぁ、絶望殺しを始めよう」」
「――ッ!!」
 叩きつけた爆弾から生じる、戦場を覆い尽くすような、巨大な爆発と、閃光。それは、怪物化したリンの身体を包み込む。炎と光によって、絶望の象徴たる怪物の肉体を焼かれていくリン。
 そして、目も眩むような光の中――いや。
「ああ、ついにこの時が来たんだね……」
 もっと前から。最初からずっと、リンを見つめていたヘイヤが、静かに言葉を紡ぐ。
「キミたちは一様に心に傷を隠している。自分の扉を見つけたとしても、その傷に立ち向かわない限り、元の世界に帰ることはできない」
 彼女の目には――心には、リンと重なるようにもう1人のアリスが映る。彼女が初めて時計ウサギとして案内したアリス。
「あの時の僕はただの案内人だった。自分は道案内さえすればそれで良いと思っていた」
 それは、間違いだった。だが、そうと分かった時にはすでに――。
「だから僕は願ったんだ、運命を変える力を」
 その手に握られる螺旋の剣が、光を放つ。それが、彼女の願った力。彼女の得た力。
「アリスたちが自分の運命に打ち勝つための支えになれる、おとぎ話の王子さまになろうって……そう、誓ったんだ」
 アリスラビリンス――この世界は牢獄だ。傷ついた心のアリス達を捕らえ、喰らうための、オウガの牢獄。だが。
「この世界は本来、アリスを慰めるために在る――傷つき疲れた心を癒し、現実に立ち向かう為の活力を与えるために」
 決意と共に、螺旋が回る。絶望を貫き、全てを変える光を放つ。この一時のために、収束させ続けた力。
「だから僕は誓う! キミの運命を絶対変えて見せると――!」
「っ――」
 突き出されたその剣が、リンを真っ直ぐに貫く。だがそれがリンを傷つける事はない。貫くのは、絶望を、運命を――。
『ァァァァァァァァァァァアァ――!!』
 リンの中から、何かが離れていく。光を嫌い恐れるように。怪物化したリンの身体が、元に戻っていく。受けた傷さえも。
「ぁ……」
 力を失い、ばったりと倒れ込むリン。慌てて駆け寄るが――少し、ショックで気を失っただけのようだ。安らかな寝息を立てるリンに胸を撫で下ろす猟兵達。
「ええと、大丈夫ですよ? オトコノコでしたらそういう時期も、ええ。ありますよね」
 リンを膝枕しながら、フラニィはそんな温かい瞳を向けるのだった。

『ァ、ァ……』
 そして。リンから抜け出した『それ』は、力を失いながらも、消える事を拒む。
 目の前の何かに取り憑き、変質させ、オウガへと変貌させようとする。
「少女に変身させようとしても無駄だよ。元々少女の体に変えられているからね」
『――!!』
 そして、『それ』は――晶の中で、彼女に憑いた邪神の力を浴び、完全に消滅して骸の海へと送り返された。
「……いやまあ、自慢できる事でもないんだけど」
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵


第2章 冒険 『虹の向こうに行きたいな』

POW虹の道を叩きまくるなどして、綻びが無いかを探します。
SPD虹の道の先を偵察して不自然な個所を探し当てます
WIZ正しい虹の道に戻る為に必要なアイデアを思いつきます。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「はぁ……はぁ……!」
 ここではない世界。とある廃棄された屋敷。その広く長い廊下を、必死に走って逃げるリン。足を止める訳にはいかなかった。何に追われていたのかは、よく思い出せないけれど――それに追いつかれたら、無事では済まないと言う事だけは、はっきりと思い出せるから。
「はぁっ……はぁっ……はぁっ……あっ!!」
 だが、どんなに心で逃げようとしても、体力には限界がある。もうどれだけ逃げ続けたのか、息は上がっているし、心臓ははちきれそうだ。
「リン、大丈夫!?」
「お、お姉ちゃん……う、うん……!」
 そんなリンを気遣うのは、リンと同じ顔をした少女。水色のエプロンドレスに――今のリンの格好と同じ衣装に身を包んだ。
 それが2つ上の姉だと、今のリンはもう思い出している。
「頑張って、もう少しだから、きっともう少しで助けが……」
「う、うん、がんば、る……!」
 励まされ、必死に足を動かすリン。だが、走る速度はどんどん遅くなってくる。ふらふらとよろめき始め、今にも転びそうだ。
 ……そして、そんなリンの姿を見て、姉は、何かを決意したように頷いた。
「リン。ここからは二手に分かれて、あいつを撒きましょう」
「え、え……っ!?」
 危険な場所で一人になる心細さに、不安に満ちた表情を浮かべるリン。そんな彼を安心させるように、姉は優しく微笑みかける。
「大丈夫。きっと助けが来るわ、だから……安心して。ね?」
「う、うんっ……」
 その微笑みに少しだけ安堵し、微笑みを帰すリン。その様子を見て姉は頷くと、分かれ道の別方向にリンを押しやった。
「いい子ね。さあ、あなたはそっちよ……行って!」
「わ、分かった……!」
 言われるがまま、姉と分かれて必死に逃げるリン。
 それが……姉と話した、最後の言葉となった。

 ――今にして思えば。分かれる事を提案した時点で、姉は逃げるのを諦めたのだろうと思う。
 だってそうだ、二手に分かれたって、どちらかが追われる事に変わりはないのだから。
 そしてリンが追われなかったのは、きっと姉が囮になってくれたからで――。

 数十分後。リンはただ一人、屋敷から保護された。
 だが、姉を失った事を知った彼はひどく錯乱しており、怪我と相まって強制的に入院させられる事となった。
 そしてその数日後。彼は、姉の形見である服と、一丁の拳銃と共に、閉鎖された病室から忽然と姿を消した。

 ――今にして思えば。あの時のボクは、お姉ちゃんが囮になってくれるって、分かってたんです。
 分かってて……それでも。ボクはあの時、お姉ちゃんに言われるがままに、逃げたんです――。

 そこまで言って、リンは深く息を吐き出した。もう、自分から話す事はないとばかり、俯いて口を噤む。
 彼と猟兵達が歩くのは、空の果てまで続く――筈の、虹の道。だが今、この道はどこへも続いていない。
 この道の先に辿り着くためには、リンの絶望を解きほぐさなくてはならない……。
アリス・セカンドカラー
……なるほど、だからお姉さんの願いも思いも全部投げ棄てる、と。ああ、お姉さんの願いなら叶えているのか、“ただ生きるだけならなんでも構わないもの”ね。
まぁ、お姉さんはリン君に幸せになって欲しいからこそリン君を生かそうとしたのでしょうけど……リン君はそんなのより自分を罰する方が大事なのね。それなら私が“神罰”を与えてあげましょうか?禊を終えてスッキリしてしまいましょ。
お姉さんの魂を、妄想具現化した器に降霊して叱ってもらいましょうか。前を向ける新たな性癖(パーソナリティに根差す行動傾向の方)の扉を開くわ。
あ、これ私の各世界での連絡方法よ。カウンセリングもヒプノセラピーも長期戦だからね(医術/催眠術)


ネフラ・ノーヴァ
アドリブOK。

リン自身を責める気持ちがこの世界での苦難となってリンに襲いかかったのだろうか。

できればリンの手を取って握る。

話してくれてありがとう、リン。そうか、姉上は自ら犠牲に、そして君はそれに甘んじたことを悔いていると。だが姉上は叶えたのだ、君を助けるという望みを。フフ、私でもそうする。君は今何を望む?
これまで苦難の中で君は銃を手に私達を助けた事もあった。抗う意思は君自身を助けるだろう。それに扉の先で私達はきっとまた会える。いや、会いに行くさ。だから今はこの道を進もう。


黒玻璃・ミコ
※美少女形態

◆心情
あぁ、なるほど
リン君さんは絶望したのでは無いのですね…誰かに裁かれたいのですね

◆行動
でもそれは傲慢と言うもの
お姉さんにも選択肢はありました

二人で逃げ続ける、貴方を見捨てる、囮になることを告げて貴方を逃がす
でもどれも選ばなかった…何故って?
貴方の前で自分の最期を見せてしまったら深く深く傷付けてしまう
リン君さんが優しい方だと知っていたからです
そして全てに気付いたとしても
きっと立ち直れる強い子だと信じてたから優しい嘘をついたのですよ

それに貴方は思い違いをしてますよ
お姉さんは諦めたのではありません
大切なものを諦めたくなかったから決意したのですよ
『リン』の一番大切なものはなんですか?


佐伯・晶
心が揺らいでしまうのは仕方ないし
色んな国で出会った時の思い出話でもしてみようか
毎回酷い目に遭ってたけど
僕らと別れて行動してた時は
それなりに順調な旅だったのかな

この道はリン君の心次第という事だし
空を飛べるように準備はしておくよ
この姿も最近慣れてきっちゃったなぁ

このままこの世界を旅するのか
元の世界に戻るのか
リン君の自由だし
リン君が決めるべき事だと思う

だからどちらにした方が良いとか言わないよ
ただリン君のお姉さんは何を願って
その時の選択をしたのかは
考えてあげた方がいいと思うよ

リン君のお姉さんはどんな人だったのかな?

リン君の選択がどちらでも
サポートするつもりでいるよ

だから安心してどうするか決めればいいよ


ヘイヤ・ウェントワース
そう、そうだったんだね
それで今のキミの恰好でここに来たってとこか
思い出したく無い事だったろうに、話してくれてありがとう

それで今のキミはどうしたい?
ゆっくり休みたいならまたボクの特製ポーションをご馳走しよう
しっかり休憩して考えを纏めるのも良いだろう

やりたいことが決まったら言っておくれ
ボクはそれを手伝うよ、行きたい所があれば連れて行くし
邪魔するものがあるならその障害を討ち払おう

(答えを聞いて)
そうかい、じゃあこの切符をどうぞ
(白紙の切符を手渡すと行き先が浮かび上がる)

時計ウサギのヘイヤと機関車ストレート・トムなら
目的地までは一直線さ、さあ乗りたまえ!
虹を越えて往く(オーバーザレインボー)としよう!


露木・鬼燈
納得がいってなかったら後悔となるよね。
今のままでは何の答えも出せないっぽい?
このまま何処にも辿り着けないってのは問題だよね。
説得とかアドバイスなんて柄じゃないだけどね。
んー、きっかけくらいなればいいかな。
自分が選択したことに責任を持つ。
それができるのならどんな選択でもいいと思うですよ。
まぁ、僕は安易な選択をせず生きて幸せになるべき。
そう思うけどね。
リン君が全身全霊で生きて残したもの。
それが君の命を評価するものとなる。
それは同時にお姉さんの命の価値を証明する。
お姉さんの行動に意味を与えられるのはリン君だけ。
そのことをよく考えて答えを出すといいですよ。
なんてね。


四季乃・瑠璃
緋瑪「そのお姉ちゃんの気持ち、わたしは解るな。お姉ちゃんにとって、リンは一番大切な存在だったんだね。わたしにとっての瑠璃みたいに」
瑠璃「だから、自身を犠牲にした…。リンはお姉ちゃんを囮にして逃げた、って思ってるかもしれないけど、それはお姉ちゃん自身が望んだ事でもあるんだよ。だから、リンが今一番しないといけないのは、逃げた事を後悔する事じゃない」
緋瑪「お姉ちゃんの意を汲んで、生き続ける事。じゃないと、それこそお姉ちゃんの死が無駄になる。お姉ちゃんの頑張りを無駄にするつもり?」
瑠璃「お姉ちゃんが何を望んで何を託したのか、もう一度考えてみると良いよ」

【ダブル】で分身

ダブルで分身し、姉妹でアドバイス


フレミア・レイブラッド
お姉さんは強い人だったみたいね…。
きっと、お姉さんは最後まで貴方を守ろうとしてたのね。
生きなさい、リン。どんなに辛くて絶望しても、逃げた事に罪の意識を持っていたとしても…。それがお姉さんに守られた貴方の責務よ。
お姉さんに守られた貴方がお姉さんの意思を無駄にして絶望に沈むなんて許さないわ。

きっと、リンの事をとても大事にしていたのでしょうね…わたしも会ってみたかったわ。
リンに似てとっても可愛らしい子だったでしょうし、ね♪

そういえば、元の世界でリン達を追いかけてたのは何だったのかしら…?
廃屋なんて、普通じゃないと思うのだけど…。
後、リンの拳銃も不思議ね。聞く限り一般人みたいだけど拳銃なんて…。


フランチェスカ・ヴァレンタイン
それしか選択肢が無かったのだとしても、生かされた側としてはそうそう割り切れるモノじゃありませんよねえ…
でも――もし、お姉さんとリンくんが逆の立場だったら。リンくんはお姉さんと同じ行動をしたんじゃありません?

お姉さんは己の身を挺してでもリンくんに生きていて欲しいと願った――
自己嫌悪や罪悪感に囚われて自暴自棄になるのは、それこそお姉さんの遺志を蔑ろにする行為だと思いますよー?

リンくんの心の中にお姉さんが生き続けている限り、こうしてわたし達のようにお姉さんの生き様を知る人間はこれからも増えるでしょうし
リンくんがこれから生きて残す足跡が、そのままお姉さんの生きた証になるんじゃないでしょうか、と


「そう、そうだったんだね……それで今のキミの恰好でここに来たってとこか」
 リンの告白を聞き、優しく微笑みかけるヘイヤ。
「思い出したく無い事だったろうに、話してくれてありがとう」
「……いえ」
 返答は短く、俯いて。あまり語りたくはないようだが、それでも会話に答える気はあるようだ。
(でもまだ空気がちょっと重いかな……)
 空を飛べるドレス姿で――この格好にも慣れて来ちゃったなぁ、などと思いつつ――墜落を警戒しながらリンの様子を伺う晶。まずは世間話から入ってみる。
「リンと会う時は、毎回酷い目に合ってるよね……今回はついに、リン自身があんな事になっちゃったし」
「ええ、まあ、その、毎回、すみません……特に今回は……」
 まあ、自分がオウガになって襲いかかったのだから、別の意味で気まずい。だが過去に比べればそれでも話しやすいのか、顔を上げ、晶の方を見て頭を下げる。
「いや、まあそれが猟兵の役目だから良いんだけど。僕らと別れて行動してた時は、それなりに順調な旅だったのかな」
「……だいたい大変な目に合ってた気がします」
 自力で解決できる程度とはいえ、行く先々で苦難に遭遇していたようだ。まあ、アリスラビリンスは確かに危険が多い、が。
「あるいは……」 
 そんな話を聞く内に、ふと何かに思い至るネフラ。リン自身が不幸体質、と言うのも有るには有るだろうが――。
「リンが自身を責める気持ちが、この世界での苦難となって襲いかかったのだろうか」
「それは。……そうかもしれません」
 心当たりがあるのか、はっとした表情を浮かべるリン。記憶を取り戻す前も無意識のうちに、苦難から逃げる事を恐れていたのだろう。
 普通なら逃げられる苦難にも
「君にとっては、それほど辛い思い出だったと言う訳か。話してくれてありがとう」
 ネフラはリンの手を握り、じっとその顔を見つめる。視線を少し泳がせ……だが、最後には真っ直ぐにこちらを見返してくる。
「だが姉上は叶えたのだ、君を助けるという望みを。フフ、私でもそうする」
「望みを――?」
 『自分が、助けられた』……それだけを強く認識していたリンは、姉の望みと言う言葉に目をしばたかせる。そんな会話を聞いて、深く頷くのは緋瑪だ。
「そのお姉ちゃんの気持ち、わたしは解るな。お姉ちゃんにとって、リンは一番大切な存在だったんだね。わたしにとっての瑠璃みたいに」
 それを受けて瑠璃も同様に頷きを返す。もちろん、瑠璃にとっても緋瑪は大切な存在だから。
「だから、自身を犠牲にした……リンはお姉ちゃんを囮にして逃げた、って思ってるかもしれないけど、それはお姉ちゃん自身が望んだ事でもあるんだよ」
「お姉ちゃん……が?」
 姉の望み。そんな事は考えた事もなかった。姉を犠牲にしたのではなく、姉に望まれて助けられた――。
「で、でも……ボクは、そんな事考えても……だから、お姉ちゃんは……ボクは……」
 だが、リンの罪悪感が囁く。自分が楽になりたいから、都合よくそう思い込んでいるのではないかと。
 混乱した様子で首を振るリン。そんな様子を見て……アリスは深くため息をつくと、少し険しい視線を向ける。
「……なるほど、だからお姉さんの願いも思いも全部投げ棄てる、と」
「え……」
 驚いた表情で、顔を上げるリン。そんな彼へ、アリスは冷たく言い放つ。
「ああ、お姉さんの願いなら叶えているのか、“ただ生きるだけならなんでも構わないもの”ね」
「そ、それは……」
 今まで抱いていた罪悪感とは、全く別の方向からの糾弾。ますます混乱するリンだが、アリスは舌鋒を緩めない。
 こういうのは、一度派手に打ち砕いた方が良いのだから、と。
「お姉さんはリン君に幸せになって欲しいからこそリン君を生かそうとしたのでしょうけど……リン君はそんなのより自分を罰する方が大事なのね」
「やはり、リン君さんは絶望したのでは無いのですね……誰かに裁かれたいのですね」
 アリスの言葉への反応から、ミコも己の考えを確信に至らせる。そして、リンを否定するように、首を横に振った。
「でもそれは傲慢と言うものです」
「傲慢……ですか?」
 リンの問いに頷くミコ。今から話す事は、彼女の想像に過ぎない――だが。
「お姉さんにも選択肢はありました。二人で逃げ続ける、貴方を見捨てる、囮になることを告げて貴方を逃がす……でもどれも選ばなかった」
 だが、決して真実から遠くは無いはずだ。身を挺して誰かを助けたい、そんな思いを抱くほど優しい人ならば。
「貴方の前で自分の最期を見せてしまったら深く深く傷付けてしまう……リン君さんが優しい方だと知っていたからです」
「ボクが……」
 今まで考えた事のなかった――考えようとしなかった、あの時の姉の思い。考えがまとまらず首を振るリンに、ミコは優しく微笑みかける。
「そして全てに気付いたとしても、きっと立ち直れる強い子だと信じてたから優しい嘘をついたのですよ」
 リンが守られたと気づく事を、姉が気づいていなかった筈がない。それでも、リンを助けたのだから。
「ボクを……信じて?」
 ミコの言葉を、何度も頭の中で繰り返し、考え込むリン。だが、頭の中はぐるぐると回り、何もまとまらない。
「まあ、それしか選択肢が無かったのだとしても、生かされた側としてはそうそう割り切れるモノじゃありませんよねえ……」
 そんな様子を見て、フラニィは共感の態度を見せる。そして、こちらを見るリンへと、優しく微笑みかけた。
「でも――もし、お姉さんとリンくんが逆の立場だったら。リンくんはお姉さんと同じ行動をしたんじゃありません?」
「ボク、が、お姉ちゃんを……?」
 それもまた、考えた事のなかった事だ。驚いた様子のリンに、ネフラも頷きかける。
「これまで苦難の中で君は銃を手に私達を助けた事もあった。抗う意思は、確かに君自身の中にあるさ」
「ボク自身の……です、か……」
 自らの銃に視線を向けるリン。あの時、自分ならどうしたのか。
「まぁ、納得がいってなかったら後悔となるよね。今のままでは何の答えも出せないっぽい?」
 説得とかアドバイスなんて柄じゃない、そう思いながら鬼燈も声をかける。柄ではないけど、まあ――きっかけぐらいになれば良い。
「自分が選択したことに責任を持つ。それができるのなら、絶望しようが生きようが、どんな選択でもいいと思うですよ」
「責任……」
 鬼燈は自由に、己の生きたいように生きる。だが、自由と無法は違う。自由なればこその責任、それを彼はリンへと説く。
「まぁ、僕は安易な選択をせず生きて幸せになるべき。そう思うけどね」
「安易……です、か」
 その言葉に、自分の絶望を省みるリン。助けられたのは罪だと思った。助かりたいと願うのは、許されないと思った。けれど――なら、助かりたくないと願う事は?
「お姉さんは己の身を挺してでもリンくんに生きていて欲しいと願った――自己嫌悪や罪悪感に囚われて自暴自棄になるのは、それこそお姉さんの遺志を蔑ろにする行為だと思いますよー?」
「そうそう、リン君のお姉さんは何を願ってその時の選択をしたのかは、考えてあげた方がいいと思うよ」
 フラニィや晶も、言葉を重ねて呼びかける。
 もちろん姉の本当の気持ちは、姉にしか――いや、もう誰にも分からない。けれど、想像する事は出来るし、それはきっと合っていると思う。
 だってここに集まっているのは、猟兵だ。数多の世界を救おうと言う者が、弟を救おうと言う者の気持ちを分からない筈がない。
「お姉ちゃんの意を汲んで、生き続ける事。じゃないと、それこそお姉ちゃんの死が無駄になる。お姉ちゃんの頑張りを無駄にするつもり?」
「お姉ちゃんが何を望んで何を託したのか、もう一度考えてみると良いよ」
 緋瑪や瑠璃もそう呼びかける。猟兵達の言葉に、改めて深く考え込むリン。その思考を更に促そうと、晶が問いかける。
「リン君のお姉さんはどんな人だったのかな?」
「お姉ちゃんは……」
 忘れていた、そして思い出そうとしなかった。己の姉の記憶と向き合うリン。フレミアもそれを見て思いを馳せる。
「きっと、リンの事をとても大事にしていたのでしょうね……わたしも会ってみたかったわ」
「そうですね、ボクにも、いいえ、誰にでも、とっても優しくて。運動も出来て、頭も良くて……でも、ちょっと抜けてる所も有って。だけど、いざという時はたのもしくて……強くて」
 目を閉じれば、いろんな事を鮮やかに思い出せる。大好きな、お姉ちゃん。もう、二度と会う事は出来ないけど――。
「どうしても罰されたいのなら――禊を終えてスッキリしてしまいましょ?」
「え?」
 目を開くと、目の前に立っていたのは、リンとそっくりな少女。だが髪は長く、少し大人びて、気の強そうな表情をして――。
「お、お姉……ちゃん?」
 もちろん、それは本物ではない。アリスが、リンの記憶からその姿を読み取り、己を改変した姿だ。
「リン、しっかりしなさい。私はあなたが絶望するために助けてあげたんじゃないわ」
「お姉、ちゃん……」
 どんなにアリスが姿を、言動を似せても、リンにとっての姉は一人しかいない。だがそれでも、姉の姿にそう声をかけられると、涙が滲む。
「前を向きなさい。私は――もう、あなたを助けてあげられないんだから」
「うん。……うん。ごめんなさい、お姉ちゃん……」
 涙を伝わせながら、目の前の『姉』へと謝るリン。それを見て、ミコは首を振る。
「そうではないですよ。貴方は思い違いをしてます」
「思い違い?」
 どういう意味かと問うリンに、ミコは微笑みかける。
「お姉さんは諦めたのではありません。大切なものを諦めたくなかったから、決意したのですよ」
「諦めたく、なかったから……」
 その大切なものが、何であるか。そんな事、言われるまでもない。
「リン君が全身全霊で生きて残したもの。それが君の命を評価するものとなる」
 鬼燈は、そう呼びかける。姉が遺したかった大切な物が、リンであるのだとしたら。
「それは同時にお姉さんの命の価値を証明する……お姉さんの行動に意味を与えられるのはリン君だけ」
「それに……リンくんの心の中にお姉さんが生き続けている限り、こうしてわたし達のようにお姉さんの生き様を知る人間はこれからも増えるでしょうし」
 フラニィも、そう告げて己の胸を抑える。リンの語った、姉の物語を――猟兵達はきっと、忘れる事はないから。
「リンくんがこれから生きて残す足跡が、そのままお姉さんの生きた証になるんじゃないでしょうか」
 それは、リンが絶望に潰れたら、決して残る事のない証だ。だからこそ。
「そのことをよく考えて、答えを出すといいですよ」
「……はい」
 鬼燈に、そして猟兵達に頷くリン。その瞳にもはや、絶望の色はない。
「さて、それで今のキミはどうしたい?」
「どうしたい、ですか?」
 それを見てヘイヤは、改めて問いかけた。晶も頷き、その問いかけに補足する。
「そうそう。この世界を旅するのか、元の世界に戻るのか……」
「……あ、そうですね」
 進む事を決めたなら、次は目的地を定めなければ。先程とは別の思案をするリンに、晶は言葉を重ねる。
「リン君の自由だし、リン君が決めるべき事だと思う」
「考えが纏まらないなら、休憩してしっかり考えると良い。ほら、またご馳走するよ」
 ポーションを調合し、給仕するヘイヤ。その香りに心落ち着かせ、少し微笑むリン。
「あ、ありがとうございます……美味しいです」
「それは良かった」
 そんなリンに、ヘイヤも微笑みを返す。今のリンなら、元の世界に戻っても絶望する事はないだろう。
 ただ……少し懸念を覚えてフレミアは首を傾げる。
「元の世界でリン達を追いかけてたのは何だったのかしら……? それに、聞く限り一般人みたいだけど拳銃なんて……」
「そうですね。うーん、その辺りは……まだ、曖昧なんですけど。でも、お姉ちゃんが、その銃で闘ってたと思います」
 猟兵――ではないだろう。UDC組織の構成員か、能力を持たないヴィジランテか、あるいはまだ見ぬ世界の何者かか。まあ、アリスラビリンス程ではないにせよ、どこの世界も決して安全と言う訳ではない。
「……それだと、どこの世界に行っても、大変な目に合いそうね」
「あ、はは、そうかもしれませんね」
 困ったような笑みを浮かべるリン。だがそんな彼へと、ネフラは強く頷きかける。
「大丈夫。君の強い意思は、君自身を助けるだろう。どこの世界でもね」
「ボク自身を……はい」
 その言葉を、胸に刻むように頷くリン。それを見てネフラは、今度は微笑みかける。
「それに元の世界に戻っても、扉の先で私達はきっとまた会える。いや、会いに行くさ」
「あ、これ私の各世界での連絡方法よ。カウンセリングもヒプノセラピーも長期戦だからね」
 元に戻ったアリスも連絡先を渡す。リンがどこで、どんな危険に陥っても、猟兵達は必ず助けに来る筈だから。
「ありがとうございます、皆さん」
「まあ、その前に、まず扉に辿り着かなきゃだけどねー」
 まだ虹の橋の途中だし、と現状を呟く晶。確かに、橋を渡りきらない事にはどうしようもない。
「リン君の選択がどちらでも、サポートするつもりでいるよ」
「やりたいことが決まったら言っておくれ。ボクはそれを手伝うよ」
 ヘイヤも強く頷き、それを請け負う。アリスを導く、それが時計ウサギである彼女の役割だ。
「行きたい所があれば連れて行くし、邪魔するものがあるならその障害を討ち払おう」
「そう、ですね。まだ……決め切れては、いないんですけど」
 少し考え込みながら、語るリン。流石に、世界を越えようと言う選択だ、すぐには答えが出ない、けれど。
「とりあえず……ボクの扉と向かい合ってみようと思います。そうすれば、きっと答えが出ると思うから」
「そうかい、じゃあこの切符をどうぞ」
 それを聞いたヘイヤは、リンに白紙の切符を手渡した。リンの手の中で、そこに文字が浮かび上がる。
「時計ウサギのヘイヤと機関車ストレート・トムなら、目的地までは一直線さ、さあ乗りたまえ!」
 最後の行き先は、まだ空欄。けれども、『経由地』はしっかりとそこに刻まれている。切符を手にした少年アリスを、他の猟兵達と共に己の機関車に招き入れるヘイヤ。
「虹を越えて往く(オーバーザレインボー)としよう!」
 汽笛が鳴り響き、虹の線路を汽車がひた走る。

 旅の終着駅は、もう間もなくだ――。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵


第3章 集団戦 『閉幕のアリス』

POW ●ハートボム(打撃武器運用)
単純で重い【ハートボム】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD ●ハートボム(投擲武器運用)
【接触地点で大爆発するハートボム】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ ●ハートボム(射撃武器運用)
レベル×5本の【愛】属性の【着弾地点を貫く、ハートボム】を放つ。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 虹の向こうに待っていたのは、一面に広がる平たい大きな雲。
 当然のように、その上には降り立つ事が出来る。固く踏みしめてもビクともしない。足場としては安定しているようだ。
「この先に……ボクの、扉があります」
 アリスとしての本能か、それを感じ取り告げるリン。ただ――もちろん、すぐにそこへ向かう事は出来ない。
「ああ、あなたは、どうして」
「どうして絶望していないの?」
 扉に向かう道に、最後の障害が立ちはだかる。こちらに語りかけて来るのは、水色ワンピースの愛らしい少女達。
「どうしてあなたは先に進めるの?」
「どうしてあなたは助けてもらえたの?」
 それは、『アリスラビリンス症候群』の成れの果て。完全にオウガと化したアリス達だ。完全に絶望に堕ち――もう決して、元には戻らない。
「どうして」「どうして」「どうして」「どうして――」
「「どうして、あなただけが」」
 それは、リンにとっては、有り得たかもしれない姿。あのまま絶望していれば、彼もこうなったのだろう。
 だが、もう、リンは迷わない。
「不公平だと思われても仕方有りません。でも、ボクには、皆さんがいた。だから、こんな所で立ち止まれない」
 その手に形見の銃を構え、その銃口をオウガ達に向ける。
 もちろん、彼一人でオウガ達を倒す事など出来はしない。だがそれは、彼にとっての決意表明だ。
「皆さん、最後まで……ボクに力を、貸してください!」
アリス・セカンドカラー
お任せプレイング。お好きなように。

ええ、もちろん力を貸してあげるわ☆と固い絆の赤い糸で文字通りに力を、私のレベル10倍にした技能をリン君に貸してあげるわ。汝が為したいように為すがよい。なんてね。
情熱の炎で形成した結界術でハートボムを弾きカウンターの神罰で『閉幕のアリス』を眠りにつかせましょう。二度と目覚めぬ甘い甘い夢の中でせめて安らかに眠りなさい。その甘い悪夢があなた達への罰よ。
なお、リンクした感覚で常にリン君好き好きオーラを情熱的に送り込んでいるわ☆実は魔術的なドーピングなのでリン君の諸々のパフォーマンスは向上します♪
さて、お別れ間際に隙をついてリン君の唇を一瞬だけ略奪♡連絡まってるわ☆


ヘイヤ・ウェントワース
※アドリブ歓迎

SPD判定

・行動
UCで放水車型の愉快な仲間「ハイドラント」くんを呼び出し
高圧水流でハートボムの爆発ごと閉幕のアリスたちを押し流す
敵の体勢を崩したり、攻撃に割り込むような感じで皆の支援をする

・セリフ
本日の雲の上の天気は「所により大雨が降るでしょう」だ、
さあ鉄砲水には注意したまえ!

・戦闘後
リン君の旅立ちを見送る
「さっきの切符は持って行ってくれるかい。
また何か困ったことがあった時、それに向かって願えば
ボクたちはきっと駆けつけるよ。
キミが忘れないでくれる限り、ボクはいつまでもキミの味方さ」

「さあ、行きたまえ。キミの旅立ちに世界の祝福の有らんことを!」


黒玻璃・ミコ
※美少女形態

◆心情
どうやら前に進むことが出来そうですねー
それとリン君さん、此れが最後とは限りませんよ?
貴方が真に助けを必要とするなら良縁は決して切れないものです

◆行動
成れの果ての方々にも言い分はあるでしょうが
閉幕まで残り時間はもう僅か

【念動力】による神風で【範囲攻撃】の様に包み込み
【黄衣の王命】で王命を厳かに宣告しましょう

『汝等、移動するなかれ』

諦観に囚われ前に進めなかった貴女達と
絶望を乗り越えて前に進むリン君さんとを分かつものです
きっとほんの僅かな差だったと思います
せめてもの慈悲として【生命力吸収】しますよ
そして幕引きの時は笑顔で締めくくりましょうか

◆補足
アレンジ、他の猟兵の方々との連携歓迎


フレミア・レイブラッド
確かに、わたし達は貴女達を助けられなかった…。
でも、ここから新しく始める事だってできるわ!

【虜の軍勢】で「暗黒騎士達の誇り」で眷属にした「光の断罪者」を召喚。
【主よ、憐れみたまえ】で反抗心を弱めさせ、反転の光で彼女等を反転。
【魅了の魔眼・快】で彼女等を魅了して大人しくさせ、オウガと化してしまったアリス達を可能な限り保護するわ。
一度オウガ化した以上、以前の生活には戻してあげられないし、わたしの眷属という形になるけど…それでも、絶望だけじゃない、生きて先を見せてあげる事はできるわ。

さて、お別れね、リン。
もう大丈夫。貴方はこの世界で強くなった。
元の世界でもしっかりね♪
また、何処かで会いましょう


四季乃・瑠璃
緋瑪「ボムの扱いなら一日の長があるんだよね♪…貴女達の絶望に間に合わなかった責任、今果たすよ」
瑠璃「貴女達を絶望から解放する事でね」

【チェイン】で分身

瑠璃がK100の二丁拳銃による連射でアリスのハートボムを迎撃し、そのままアリス達へ銃撃。
緋瑪が爆煙に紛れて回り込み、横合いから反撃の接触式ボムによる爆破で攻撃。
アリス達のボムも巻き込んで大爆発でダメージを与え、最後はジェノサイドノヴァでアリス達を無に還すよ


緋瑪「リン、元の世界でもしっかりね~。じゃないと殺しちゃうよ♪」
瑠璃「案外、元の世界が一緒ですぐに会えたりしてね」
緋瑪「依頼先で会う可能性もゼロじゃないしね~」

「「それじゃ、リン!またね!」」


露木・鬼燈
決断とまではいかない。
それでも進む覚悟はできたみたいだね。
進めば答えは出る。
それを見届けるためにも…敵は倒さないとね!
それが憐れなアリスであろうとも。
まぁ、過去より未来。
今を生きる存在を優先しないとね。
とゆーことで斬ります。
<魔刃一閃>
殺るならば一撃で。
覚悟はできてるし、剣は鈍らない。
それでも憐れな少女と戦うのは、ね。
気分は良くないので、長々と付き合うつもりはない。
痛みはなくとゆーか知覚する前に骸の海に還す。
そーゆーつもりで斬るっぽい。
ふむふむ。飛んでくるボムは接触で爆発するみたい。
斬り払うのはできなくないけどリスクがね。
剣を振って発生させた衝撃波で迎撃するです。
これならイケルイケル!


ネフラ・ノーヴァ
アドリブOK。

ああ、リンのために我が力を尽くそう。
そして哀しき絶望のアリス達よ、せめて終幕は美しく散らせよう。ストレリチア・プラチナを纏って飛翔、刺突突撃を繰り出す。フフ、愛属性か、私の愛のほうが凌駕してみせよう。

無事戦いを終えたなら、別れの時だな。不謹慎かもしれないがこれまでのリンとの道程はとても楽しく心満ちるものだった。さしもの私も寂しさを感じる。
最後のキスをお任せでお願いしてみるかな。
そしてリンの祝福を祈り、また会おうと告げよう。


佐伯・晶
リン君の心が決まったようで安心したよ

さて、最後の戦いってとこかな
リン君の選択を見るためにも
邪魔なんかさせないよ

女神降臨を使用し
ガトリングガンの射撃で
ハートボムを迎撃

リン君を抱えて空を飛んで着弾地点から離れたり
神気でハートボムの時間を停めて防御したり
リン君には指一本触れさせないよ
リン君は落ちない様にしっかり捕まってて

前にもこんな風に抱えて飛んだ事あったっけ
懐かしいなぁ
少しは慣れてくれてるかな?

リン君を守りつつ
石から創った使い魔で
閉幕のアリス達を彫像に変えていこう
この静かな石の眠りは
前に進む事のできない君達への手向けだよ

リン君がどちらの道を選んだとしても
笑顔で見送りたいね

またどこまで会えるといいな


フランチェスカ・ヴァレンタイン
”手放した”あなた方がそれを問うても意味はないと思いますけど、ね?

ハートボムを斧槍で斬り払い、砲撃で撃ち抜き。空中戦機動で攪乱しつつなぎ払っていくと致しましょうか
リンくんが窮地な感じを見て取れば頭上から降り立ち、抱きかかえての緊急避難なども

頃合いを見て宙返りからの急降下強襲で集団の中心へ切り込み、UCの爆導索を多重展開
オウガアリス達を巻き絞めたまま宙空に振り投げ…
リンくんの新たな一歩を彩る、餞の花火を盛大に――爆炎の散る大輪の打ち上げと参りましょう…!

お見送りではハグから解放する際に、さりげなく祝福の唇を額に落としてみたりと
――ふたり分の想いを胸にひとり踏み出すあなたの旅路に、幸多からんことを


ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘×
グロ×
POW

……さっきは悪かったわね、リン。
私は快楽以外の幸福(いたみどめ)を知らないの。
半吸血鬼というだけで人間から迫害され
吸血鬼の性奴隷として生き永らえてきたから……

今まで迷惑かけたわね。サヨナラ

やはり私は人間と相容れない存在……
涙を見られないよう
エッチな下着をリンに【投擲】して別れを済ませ
アリス達へと【ダッシュ】

今まで辛かったわね……私が救ってあげる。
貴女達の無念も絶望も受け止めてあげる

ハートボムの打撃も爆発も
『芳しき熱愛』と【火炎耐性】で効かない。
【誘惑・催眠術】で嗅覚を狂わせて悪臭を感じさせずに魅了。
毒で彼女達の服だけを溶かし
快楽の【呪詛】を隅々まで塗り付け【慰め・生命力吸収】


「ええ、もちろん力を貸してあげるわ☆」
「はい、お願……ひゃう!?」
 アリスの放つ赤い糸の魔術刻印が、リンに接続される。流し込まれる魔力――と、それに混じった赤と言うよりピンクい感じのオーラに声を発するリン。
「汝が為したいように為すがよい。なんてね」
「あ、アリガトウゴザイマス……」
 とはいえ、実際動きはよくなっているので、拒む理由もない。こちらに飛来するハート型の投擲爆弾を、迎撃していく。
「リン君の心が決まったようで安心したよ」
 晶もまた、ガトリングの弾幕で爆弾を迎撃する。リンに少しでも届きそうな爆弾は、全て事前に撃ち落としていく。
「最後の戦いってとこかな。リン君の選択を見るためにも、邪魔なんかさせないよ」
 感慨深げに、そして決意を篭め、弾丸を生み出しては射出する。
「全部撃ち落としてあげるよ」
 晶が弾丸で壁を作るなら、瑠璃の方はその二丁拳銃で的確に撃ち落とす。爆炎と爆煙が立ち込め、少女達との間に出来る壁。
「こっちだよ♪」
「っ!?」
 その壁を警戒する少女達の横合いから、緋瑪が急接近する。不意を突かれた少女達は咄嗟に、打撃用の爆弾でそれを迎撃するが――それこそ緋瑪の狙い。
「ボムの扱いなら一日の長があるんだよね♪」
「っ、きゃああっ!?」
 相手の爆弾とこちらの爆弾がぶつかりあうと、誘爆によって生じる大爆発。緋瑪自身は素早く離脱するが、少女達は逃げ切れず――逃げようにも瑠璃の銃弾が足を止める。
「……貴女達の絶望に間に合わなかった責任、今果たすよ」
 爆炎に飲み込まれて大きく傷ついた少女達を見ながら、2人の殺人姫は魔力を合わせた手の内に収束する。生み出されるのは、巨大な爆弾。
「貴女達を絶望から解放する事でね」
「――っ!!」
 多くの少女達のその光の中に消えていく。悲鳴も絶望も、全てを飲み込んで。
「くっ……まだよっ!!」
 とはいえ、少女達の数はまだまだ多い。絶望に堕ちたアリスの数を示すように、次々と姿を現す。
「まだ……逃しはしない……あなたを許さない……!」
 愛らしい顔を怨嗟と絶望で歪めながら、迫りくる少女達。だがそんな彼女達を押し留めるように、よく通る声が響く。
「気をつけた方が良い。本日の雲の上の天気は『所により大雨が降るでしょう』だ」
「なにを……っ!?」
 放水車型の愉快な仲間を従えた声の主は、ヘイヤ。堂々と王子様らしい態度で両手を広げると、謳い上げるように告げる。
「それじゃあ頼むよ、『ハイドラント』くん――さあ、鉄砲水には注意したまえ!」
「っ、きゃあああっ!?」
 友の頼みに応じて勢いよく吹き出した放水が、少女達を吹き飛ばしていく。爆弾の爆発ごと、一気に押し流していく奔流。
「ああ、リン。君のために我が力を尽くそう」
「お願いしますっ!」
 リンの声を背に受け、白金のドレスを纏って飛翔するのはネフラ。体勢を崩した少女達へと一気に間合いを詰める。
「こ、このっ……!」
「フフ、愛の爆弾か」
 少女達は爆弾でそれを迎撃してくる。飛び散るハートの爆炎を、華麗な飛翔で回避し、急接近。
「ならば、私の愛のほうが凌駕してみせよう。そして――」
「っ……!」
 鋭い刺剣が真っ直ぐに、1人の少女の左胸を貫いた。目を見開いた少女を見下ろすと、憐れみの表情と共にそれを引き抜く。
「哀しき絶望のアリス達よ、せめて終幕は美しく散らせよう」
「かっ……はっ……!」
 胸から吹き上がる鮮血は、華の如く。羊脂玉の肢体を濡らす赤は、恐ろしくも美しい。

「……さっきは悪かったわね、リン」
「あ、その、それは……」
 顔を見る事はなく、背を向けたまま声をかけるルル。
「私は快楽以外の幸福(いたみどめ)を知らないの。半吸血鬼というだけで人間から迫害され、吸血鬼の性奴隷として生き永らえてきたから……」
「え……」
 息を呑むリンの方を、決して見る事はない。涙を隠して、彼女は別れを告げる。
「今まで迷惑かけたわね。サヨナラ」
「え、ええと……ひゃうっ!?」
 ――まあ、そこでエッチな下着を投げつける辺りが、人と交われない理由ではあるのだろうが。
 だが、今更改める事も出来ない。
「やはり私が愛し合えるのは、オブリビオンだけ――今まで辛かったわね」
「なに、をっ……きゃっ!」
 少女達の爆弾を、避ける事なくその身で受け止める。爆ぜる筈の身体は、泥へと変わって相手を包み込んでいく。
「私が救ってあげる。貴女達の無念も絶望も受け止めてあげる」
「っ……んっ……あっ……!」
 服を溶かすと、身体の隅々までを甘い呪詛で満たしていくルル。そのまま、少女達の全てをその身に感じて。
「今まで辛かったわね……」
「あ、ああ……」
 絶望を快楽で真っ白に塗りつぶす。何も考えられなくなっていく少女達を、ただ全身で愛でるルル。そのままルル自身も、悲しみを誤魔化すように快楽に溺れ――。
「そのっ。えっちなのはダメですけど! 今まで、ありがとうございましたっ!」
「……もう」
 リンの言葉に、ほんの少しだけ口元に笑みを浮かべる。きっと真っ赤な顔で、こちらを見られないんだろうな――などと思いつつ。
 それでもやはり、彼女が振り向く事はない。

「確かに、わたし達は貴女達を助けられなかった……」
 少女達を憐れみながら、同時に決意の表情を浮かべるフレミア。異界にある己の魔城に繋がる、扉を開く。
「でも、ここから新しく始める事だってできるわ!」
「なにを……うっ……」
 呼び出されたのは、白き光を纏いし断罪者――フレミアの従える眷属だ。彼女達の身体から眩い光が放たれ、少女達の反抗心を削いでいく。
「もちろん、以前の生活には戻してあげられない。わたしの眷属にするだけ。でも……」
 そしてフレミアは真紅の魔眼を輝かせ、隷属の魔力を送り込む。それが彼女達の望む事かどうかは分からない。分からないが、それでも――。
「絶望だけじゃない、生きて先を見せてあげる事はできる……!」
「あ……あ、ああ……」
 完全に定着した『悪性概念』を摘出し、オウガ特有の食人衝動も抑え込む。フレミアの魔力をもってしても、極めて困難な作業だ。時間も手間もかかり、全ての少女達を救う事など出来はしない。
「でも、助けられるだけでも……!」
「っ……!!」
 一人でも絶望から救いたい。その思いを胸に、フレミアは魔力を振り絞り続ける。
「絶望に……全てを絶望に塗り潰して――!」
 だが救いきれなかった少女達は、やはりリンに、猟兵達に憎悪を向ける。その手から投じられる大量の爆弾――それが、空中で衝撃波によって薙ぎ払われ、暴発した。
「ふむふむ。接触して爆発するなら、触れずに斬り払えば良い。イケルイケル!」
 魔剣を大太刀に変えてその衝撃波を放ったのは、鬼燈。少女達に憐れみの視線を向けるが、それで戦いを躊躇う事はない。
「まぁ、過去より未来。今を生きる存在を優先しないとね。そしてそれを見届けるためにも……敵は倒す!」
「くっ……!」
 斬るべき者を斬る時に、その刃先は決して揺らさない。それが彼の抱く、武芸者としての覚悟。爆弾を次々と空中で爆発させると、そのまま少女達へと迫る。
「それでも、ね。気分は良くないので……長々と付き合うつもりはない」
「――?」
 刀身が火花を散らすと、少女達は、その火花だけを知覚する。電磁加速された一閃は、僅かの痛みもない。
「――魔刃一閃」
 自分が斬られた事にも気づかぬまま、骸の海へと送られる少女達。

「どうしてその子だけが……どうして……!」
「“手放した”あなた方がそれを問うても意味はないと思いますけど、ね?」
 なおも怨嗟を叫ぶ少女達に、フラニィは軽く首を傾げながらそう告げる。白翼をはためかせて、爆炎をも置き去りにする空中機動。
「何にせよ……リンくんを傷つけさせる理由にはなりませんが」
「え、うわぁっ!?」
 その飛翔の勢いで、リンを空中へと攫うように退避する。追ってくる爆弾は、砲撃で撃ち落とした。
「あの辺りまで爆炎が届きそうでしたので?」
「え、いや、その、それは、ありがたい、デス」
 助けられた礼を言いながらも、身体に当たるふくよかな感触で、身を強張らせるリン。例によってフラニィの方には、押し付けている自覚はあまりない。
「――♪」
 なおその柔らかい感触は、赤い糸を通してリンクしたアリスに伝わったりしているが、まあそれは重要な話ではない。
「さて、そろそろ仕掛けましょうか……お預けしても?」
「うん、もちろん」
 同じく空中に来ていた晶にリンを渡すと、少女達めがけて急降下していくフラニィ。空中に残った晶は、迫る爆炎を神気で停止させながらリンに呼びかける。
「前にもこんな風に抱えて飛んだ事あったっけ。懐かしいなぁ」
「あ、はい、そうですね、ハイ」
 これまでの戦いを振り返ってそう言うが、リンの方はまだ固まっている。こちらの膨らみは小ぶりだが、だからと言って緊張しない訳ではない。
「女の子には、最後まで慣れなかったね」
「その、すみません」
 申し訳なさそうに、だがドキドキした様子のリンは、誤魔化すように地上へ視線を向ける。陣形が崩れつつある少女達の中心へと、一気に降り立つフラニィ。
「リンくんの新たな一歩を彩る、餞の花火を盛大に――」
「くっ!?」
 そのまま周囲へとアンカービットを放ち、そこから伸びた爆導索で少女達を巻き取り締め上げる。捕縛したそれを、宙空へと放り投げた。
「爆炎の散る大輪の打ち上げと参りましょう……!」
「っ、あああああ――」
 少女自身の爆弾も誘爆し、断末魔をかき消すほどの、盛大な爆発。まさに花火の如く、大空を爆炎が満たす。
「許さない……絶対に……」
 数を大分減らしたが、それでも少女達はリンへの憎悪を失わない。彼女達を突き動かすのは、強い絶望のみ。
「あなただけが助かるなんて、許さない……!」
「成れの果ての方々にも言い分はあるでしょうが、閉幕まで残り時間はもう僅か。そろそろ退場して頂きましょう」
 それを包み込むのは、ミコの放つ神風。彼女は少女達を見下ろすと、厳かに宣言する。
「王命である――汝等、移動するなかれ」
「っ……!!」
 黄衣の王の命を受け、ぴたりと足が止まり、動けなくなる少女達。ただ、命令は絶対ではない。反抗の対価として傷を受ければ、動く事は可能だ。
 しかし。
「それが――諦観に囚われ前に進めなかった貴女達と、絶望を乗り越えて前に進むリン君さんを、分かつものです」
「こ、の……」
 彼女達は動けない。前に進むと言う事は、未来に進むと言う事。絶望に囚われた者に、前に進むと言う決断は下せない。
「この静かな石の眠りは、前に進む事のできない君達への手向けだよ」
「二度と目覚めぬ甘い甘い夢の中で、せめて安らかに眠りなさい。その甘い悪夢があなた達への罰よ」
 晶の使い魔の力が少女達を石に変え、アリスの下す神罰が少女達を夢へと堕とす。完全に動きを封じられていく少女達。
「きっとリン君さんとあなた方の違いは……ほんの僅かな差だったと思います」
 だが、それでもそこは、確かな差が存在する。せめてもの慈悲と、ミコは少女達の生命力を吸い上げ、痛みなく少女達を骸の海へと返す。
「――安らかに」
 そうして。雲の上に、静寂が取り戻された。

 その巨大な雲の中心に、それは有った。
 一枚の『扉』。自分だけの、その扉を背に、リンは猟兵達を真っ直ぐに見回す。
「答えは、出たみたいですね」
「……はい。元の世界に、戻ろうと思います」
 鬼燈の問いかけに頷き、そうはっきりと口にするリン。
「この世界に残る事も少しだけ考えましたけど。やっぱり、ボクの世界は、この扉の先にあると思うから」
「うん、良いと思うよ。どんな道でも、リンがちゃんと選んだ道ならね」
 それを聞き、笑顔を向ける晶。他の猟兵達も、その決断を尊重し、受け入れる。
「どうやら、これで前に進むことが出来そうですねー」
「はい、お別れするのは、少し寂しいですけど……」
 少しだけ寂しげな様子を見せるリン。だがそれに、ミコは微笑んだ首を振った。
「リン君さん、此れが最後とは限りませんよ? 貴方が真に助けを必要とするなら良縁は決して切れないものです」
「そうそう、案外、元の世界が一緒ですぐに会えたりしてね」
「依頼先で会う可能性もゼロじゃないしね~」
「そう……そうですね」
 瑠璃と緋瑪も同意し、明るく頷きかける。再び微笑みを浮かべるリン、だが。
「と言うか……お別れするつもりだったの?」
「!!?」
 隙を突いてリンに近づき、一瞬その唇を奪うアリス。いつもながらに顔を赤くして硬直するリン。
「ちゃんと連絡してよね、待ってるわ♪」
「ハ、ハイ……むぎゅっ!」
 かくかくと頷くリンだが、今度はフラニィがそんな彼を抱き締める。埋もれて動かないリンの額に唇を落とせば、ますます強張って。
「――ふたり分の想いを胸にひとり踏み出すあなたの旅路に、幸多からんことを」
「……は、はい」
 だがそんなフラニィの言葉には、真剣な表情で頷きを返す。まあ、顔は赤いままだが。
「さて、では私は……いつものをお願いしようかな」
「わ、わかりました」
 応じて今度はリンの方から、ネフラの頬に口づけた。その感触を目を閉じ、しっかり心に刻む。
「不謹慎かもしれないがこれまでのリンとの道程はとても楽しく心満ちるものだった」
「……ボクも。大変でしたけど……でも、良い思い出です」
 これまでの冒険を追憶し、互いに見つめ合う2人。寂しさは隠しきれないが、それでも別れは、笑顔で。
「もう大丈夫。貴方はこの世界で強くなった」
 フレミアはリンを勇気づけるように、そんな言葉を送る。
「元の世界でもしっかりね♪」
「はい、頑張ります!」
 可愛らしいけれども……最初に有った時より、少し逞しく感じられるかもしれない。そんな力強い頷きを見せ――。
「じゃないと殺しちゃうよ♪」
「は、はい、善処します」
 けど緋瑪にそんな事を言われると、少しビクッとしてしまう訳だが。
「さっきの切符は持って行ってくれるかい?」
「切符……はい」
 ヘイヤの言葉に、締まっていた切符を取り出し、握りしめるリン。
「また何か困ったことがあった時、それに向かって願えば、ボクたちはきっと駆けつけるよ」
「はい、その時は、必ず。……まあ、早々皆さんを呼ぶような危険が迫ってきても困りますけどね」
 少し苦笑しつつ……同時に、僅かにそれを望むような思いもある。そんな寂寥を振り払うリンを見て、ヘイヤはその手を握り、真っ直ぐに見つめ微笑んだ。
「キミが忘れないでくれる限り、ボクはいつまでもキミの味方さ」
「はい、ありがとうございます。絶対忘れません!」
 ――会話は弾み、いつまでも名残は尽きない。……だが、こうしてここでずっと立ち止まっている訳にもいかない。
「それじゃあ、そろそろ行きます、ね」
 手を離すと、リンは再び猟兵達を見回してそう告げる。いよいよ、別れの時だ。

「また、何処かで会いましょう」
「縁が通じている限り、いずれ必ず」
「「それじゃ、リン! またね!」」
「連絡まってるわ☆」
「再会を楽しみにしてるっぽい!」
「またどこまで会えるといいな」
「いつか、どこかで」
「また会おう、リン」
 猟兵達は思い思いに、別れの言葉を――そして再会の約束を告げる。その一つ一つを心に刻みつけて――彼は満面の笑みを浮かべて、猟兵達に告げた。
「はい……必ず、また!」

 扉を開き、その中へと進んでいくリン。最後まで名残惜しそうに……だがもう、彼が足を止める事はない。
「キミの旅立ちに世界の祝福の有らんことを!」
 その背に、ヘイヤがそう声をかけ――そして、扉は閉じられた。

 こうして、少年アリスの物語は幕を閉じた。
 けれど、彼の人生はどこかの世界で、まだまだ続いていく。
 いつかその物語が再び交わる日を願って。
 猟兵達もまた、各々の人生へと戻っていく――。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2020年07月12日
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵