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舞踏会で婚約破棄と殺妖事件と陰謀と爆破あとなんだっけ?

#カクリヨファンタズム

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#カクリヨファンタズム


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「事件は舞踏会で起こっているそうです。あ、カクリヨファンタズムの」
 楚良・珠輝が口に放り込んでいたクッキーを放り込んでから、グリモアベースに集まっていた猟兵達に告げる。
 とりあえずカクリヨファンタズムで何か起きている以外に情報がない一言だった。

「あーえっと。新たな世界、カクリヨファンタズムが発見されたのは聞いていると思います。そのカクリヨファンタズムで『妖怪達が巻き込まれる奇妙な祭』があちこちで起こっているらしく、今回はその一環……『巨大なホールで行われる絢爛舞踏会』に、既に多くの妖怪が巻き込まれています」
 しかも舞踏会と言いつつ、単にダンスや社交に興じているというわけではない。
 そこでは数多の『舞踏会場で起きるトラブル』が巻き起こされている上に、そのことごとくがなんか謎の経緯を辿った挙句に迷宮入りしているのだ!
「この舞踏会場では、どうやら『舞踏会でありそうなトラブルを起こしてしまう』ように精神に影響を及ぼす妖気が満ちているらしく。あっちでは婚約破棄、こっちでは毒ワインで倒れる妖怪、向こうではバルコニーにいるカップルに物陰からパパラッチ……実際の人間関係、いや妖怪関係? には関係なくとにかくそういう舞踏会っぽい事件が起きて起きて起きまくった挙句、有耶無耶になったかと思えばまた起きます……ですので」
 ぴし、と指を立てる珠輝。
「事件を解決してください」
 えっ。
 特に理由もなく起きている事件を解決とは。
「理由もなく起きているんだから、理由を『こじつけて』解決すれば問題ありません。事件をばしばし解決しつつ、皆さんにはこの舞踏会場の中心へと向かってもらいます」
 もう迷推理だろうがご都合主義だろうが何でもいいらしい。
 外部からの探偵とかそういうポジションでもいいし、勝手に当事者や関係者として巻き込まれてもOKだ。

「会場の中心からは、『主催者』であるオブリビオン……骸魂と、それに影響されてしまった妖怪達の気配がしています。どちらも戦闘不能にすることで取り憑かれている妖怪を救出することができますし、『主催者』を倒せばこの舞踏会場は消えて妖怪達も解放されるようです」
 茶番のような迷事件に、そしてその本来の原因である『真の事件』――妖怪達を取り込む舞踏会場に、終焉を。
「よろしくお願いします」
 ぺこっと頭を下げると、珠輝は早速カクリヨファンタズムへの転移の準備に入るのだった。


炉端侠庵
 こんにちは、炉端侠庵です。
 最近ちょっと婚約破棄系ファンタジーにハマってこんなことになりました。
 ちなみに社交ダンスは授業でちょっとだけやりましたが全然覚えてません!

 というわけで、第一章では様々な事件を解決しつつ、会場の中心へと向かっていただきます。
 事件の内容や巻き込まれた妖怪についてはプレイングで指定してくださったら、問題がなければその通りになります。なお殺妖事件といっても被害妖怪が実際に死ぬわけではないのでご安心ください。
 ちなみに思いつかなければ、解決方法の方針を決めておいてくれればそれっぽい事件が起きて巻き込まれます。事件の内容は決めておいて、巻き込まれる妖怪の種類はお任せ、とかでもOKです。

 第二章、第三章は戦闘になりますが、どちらも『舞踏会場っぽい事件』を起こして解決しながら戦うとプレイングボーナスが得られます。
 敵はだいたいノリノリで乗ってきますのでご自由にご配役ください。
 あとどんな戦法なり武器なりユーベルコードなりで戦っても、取り憑かれた妖怪は無事に救出できるのでご安心ください!

 それでは、よろしくお願いいたします。
 しゃるうぃーだんす!
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第1章 冒険 『お前を、犯人です!』

POW   :    肉体言語で犯人を見つける。

SPD   :    手際よく尋問する。

WIZ   :    迷推理を披露する。

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

村崎・ゆかり
こういう場所もカクリヨファンタズムにはあるのね。
愛奴召喚。アヤメ、まずは舞踏会を楽しみましょうか。あたしがリードするわね。

起きる事件は、振られた相手に斬りかかる非モテ男出現とか?
アヤメ、鎮圧お願い。
会場爆破の予告状?
このボールルームの作りからして、爆弾はそのでっかいケーキの中とみた!
婚約破棄? 所詮あんな男はあなたに相応しくなかったのよ。あたしが慰めてあげようか……って何か文句あるの、アヤメ?
で、テラスに怪しげな男が二人。町娘を吸血鬼の生贄に捧げる陰謀?
女の子を何だと思ってるの、あなたたち! アヤメ、成敗!

……ったく、何なのよ。この舞踏会場。
これで本当に、事件解決に近づいてるんでしょうね?


鈴桜・雪風
迷宮入り事件と聞いて参りました、探偵です
……頭痛がするので帰ってよろしいですか?

ええ、仮にも探偵ですもの
事件を投げ出すものですか
半分ほど自棄になりながら事件を次々処理しますわ

「はいこの毒殺事件の犯人は親の復讐に来たあちらの給仕!そちらの婚約破棄は一ヶ月ほど宮廷で見習いをしてからお考え直しなさって!そちらの髭のおじさまは懐に忍ばせた銃を捨てて下さい!あとそちらの白礼服の美男子さんはお忍びでお姫様に会いに来た隣国の王子様なのでさっさと奥へお通しして差し上げて!」

ちょっとはしたなく髪が乱れたり、肩で息をしたりしながらも
進路上の事件を端からスピード解決しつつ
人波をかき分け会場の中心へ向かいます


シャムロック・ダンタリオン
〇WIZ

(会場内で繰り広げられている惨劇(?)を見てため息ひとつ)
まったく、たまには舞踏会に参加してみようと思ったら、ご覧のありさまだ。
まぁこの際だ、見ていて反吐が出るような輩どもにはご退場願おう。

(と、何やら喧嘩中の女妖怪たちに近づき)
おい、そこの雌豚に雌猿、何をそんなに喚き散らしている!喧嘩なら表に出てやれ!
――何?「そこの色男を狙ってた」だと?安心しろ、奴にはすでに付き合ってる女がいるぞ、それも10名ほどだ!
(で、絶望してる雌どもに)というわけだ、さっさと家に帰って枕を涙で濡らすがいい!(と、退場を促す)

※アドリブ・連携歓迎



 天井のシャンデリアはきらきらと輝き、広いホールの隅々までも美しく照らしている。テーブルに並ぶ見た目も美しいオードブルに選び抜かれた逸品なるワイン、響き渡るオーケストラもけれどあくまでダンスを引き立てる脇役。主役は何と言っても小鳥のように笑いさざめき、ひらりとドレスや夜会服の裾を咲かせて踊る紳士淑女の皆様。
「こういう場所もカクリヨファンタズムにはあるのね。アヤメ、まずは舞踏会を楽しみましょうか」
 村崎・ゆかりの式神アヤメは、普段は1つまとめの長い黒髪をハーフアップに結い上げた上、優雅に裾引くドレス姿で『愛奴召喚』されたおかげでどこか恥ずかしげに頷いた。自らリードを買って出たゆかりのステップは危うげなくアヤメを引き立て、「なかなか上手いじゃないの」とその長く尖った耳に囁いて赤面させる余裕すら持っている。
 くるり、くるり、そうしてゆかりとアヤメの踊る周囲にも、それよりずっと遠く――広大とすら言える大ホールの中心部を囲むようにも、妖怪達がそれぞれ優雅なステップに、咲き乱れるようなターンに、交わされる甘やかな、あるいは密やかな会話に興じ続けている。

 そんな西洋の色を濃く映した舞踏会場に、その少女は現れた。髪飾りのようにも見える桜の枝に、右脇へと結わえた空の色の髪はゆらりと下がるにつれて桜の色へと彩りを変える。ドレスではなく涼やかな単の着物で現れたのは、令嬢が如き彼女はけれど――、
「迷宮入り事件と聞いて参りました、探偵です」
 鈴桜・雪風。常にはサクラミラージュが花の帝都にて静かに暮らし、影朧事件が起きたとなれば軽やかな足取りで闇をものともせずに事件現場に現れる猟奇探偵。
 しかし……今回はその彼女を以ってしても今回の事件は……。
「まったく、たまには舞踏会に参加してみようと思ったら、ご覧のありさまだ」
 こめかみを解すように押さえた少年は、シャムロック・ダンタリオン――滅びし悪魔の魂を移した器であり、このカクリヨファンタズムにおいては西洋妖怪として存在する。仕立てのいい夜会服がよく似合う佇まいの通り、こういった場はそれなりに馴染み深い。本来であれば。
 本来であれば。

「よくも我が求婚を一刀両断してくれたな! 滅びよ!!」
「ペロリ……こ、これは人狼殺しのトリカブト! これは、殺妖事件です!」
「大変です、この舞踏会場に爆弾を仕掛けたという脅迫状が!」
「アクヤーク公爵令嬢! 貴女との婚約を破棄させていただく!」
「ヘイボン王子、私は貴卿との婚約を破棄致しますわ!」
「大変です! カケ男爵とオーティ令嬢が駆け落ちいたしました!」
「おや、あれは子爵家に引き取られたという……?」
「ええ、あの美貌であれば我が主も納得するでしょう……フフフ……」
「許さない……あのエッコヒィキ伯爵、許さない……」
「彼は私のものよ!」
「いいえ私と結婚してくれるとおっしゃったわ!」
「まぁ……見苦しいわね、いつかは私の美貌に落ちる運命だというのに」
「なんですって!?」

 事件しか起きてなかった。
 もちろんちゃんと踊っている妖怪達もいるのだが、オーケストラが一曲奏でる間に平均5組くらいどちらかが倒れるか、喧嘩するか、誰か割り込んで来るかでダンスが止まる。オーケストラもたまにメンバーが何かやらかして入れ替わっている。
 もはや舞踏会場というより事件会場だ。
「……頭痛がするので帰ってよろしいですか?」
 雪風がすごく、すごく遠い目をした。
 迷宮入り事件と聞いてやってきたら事件の迷宮が出来ていたとか、いかな名探偵だとしても帰りたくなるに違いない。うん。

「アヤメ、鎮圧お願い」
 ゆかりが手を離せばすぐさまアヤメが剣を振り回す男に飛びかかり、両手の苦無で刃を挟むとくるりと剣を奪い落としていた。
「はいこの毒殺事件の犯人は親の復讐に来たあちらの給仕! 彼の部屋からトリカブトの取引証拠が見つかりました、手袋を調べれば毒が検出されるでしょう!」
 びしっと雪風が指差した給仕が別室へと連れて行かれる。間をおかず反対側の男にびしり。
「そちらの髭のおじさまは懐に忍ばせた銃を捨てて下さい! あとそちらの白礼服の美男子さんはお忍びでお姫様に会いに来た隣国の王子様なのでさっさと奥へお通しして差し上げて!」
 びしっびしっびしっ。
 起きるそばからスピード解決。探偵とはかくも過酷な職業なのだ。多分。
「ええ、仮にも探偵ですもの、事件を投げ出すものですか」
 肩で息をしそっと懐のハンケチーフで汗を拭いつつも、雪風はすぐに次の事件へと取り掛かる。
「このボールルームの作りからして、爆弾はそのでっかいケーキの中と見た! 何アヤメ、テラスに怪しげな男が2人?」
 さらにはゆかりが示したケーキからは予告状通りの爆弾が出て来て解体され、戻ってきたアヤメがぴっと指差したテラスにどんっと2人で乗り込んでいく。
「しかし町娘であればいなくなっても大して気にするものもいまい、我が主が吸血鬼であるという証拠も……誰だ!」
 説明口調から一転、がばっと振り向く2人の男の目の前には、腕を組んで立ちはだかるゆかりとアヤメ。
「町娘を吸血鬼の生贄に捧げる陰謀? 女の子をなんだと思ってるの、あなたたち!」
 怒りに満ちた糾弾に、さっと突きつける人差し指。
「アヤメ、成敗!」
「は、ご令嬢如きに何が……ぎゃああああ!!」
 あっさりとのされた2人――2妖と言うべきか――を気絶したままテラスの端に放置して、ゆかりとアヤメは再び事件の渦を突破すべくホールの中心部に向かって飛び込んで行ったのだった。

「まぁこの際だ、見ていて反吐が出るような輩どもにはご退場願おう」
 今は器に収まった魂と言えども、悪魔の系譜に連なる者としてシャムロックの美意識は高い。
 知識を司る悪魔として、この状況には溜息が出るばかり――まぁうん、理屈で事件が起きてないからね!
「おい、そこの雌豚に雌猿、何をそんなに喚き散らしている! 喧嘩なら表に出てやれ!」
 というわけでイケメン色白髪の毛サラッサラの青年の周囲でキャットファイト寸前の緊張感で睨み合い罵り合う女妖怪達に、ずかずかと近づくと、シャムロックはびしりと言い放ち大ホールの入り口を指差した。
「まぁ、殿方は黙ってらして、私はかの公爵閣下が私を愛していると証明したいだけよ!」
「いいえ、未来の公爵夫人になるのは私だわ!」
「あらまぁ皆様、あの方の身分しか見ていらっしゃらないのね! 異国風の話しぶりも素敵なお方よ!」
「ならば停戦交渉と同盟を一晩でまとめた手腕も語るべきじゃなくって!?」
 止まるどころかさらに大きくなる言い争いに、眉間に皺を寄せるシャムロック。
「安心しろ、奴には既に付き合っている女がいるぞ」
 とりあえずよく知らないけど爆弾発言を投げつけておく。凍りつく空気。ニコニコと、否ニヤニヤと言うべきか、それを眺めたままのいけ好かない公爵閣下だとかいうイケメン。
「それも10名ほどだ!」
 あ、2人気絶した。
 他にも悲鳴を上げる者、ぷるぷると身体を震わせるもの、力を籠めすぎて扇を折る者と阿鼻叫喚といった状況を、やっぱり面白そうに眺めるイケメン。何だコイツと思いつつ溜息を付いてから、追い払うようにシャムロックは手を振った。
「というわけだ、さっさと家に帰って枕を涙で濡らすがいい!」
 しめやかに去っていく、失恋女妖怪達の百鬼夜行の中――ぽんといけ好かないイケメンがシャムロックの肩を叩いた。
「ありがとう、囲まれて難儀していてね」
「どこがだ貴様」
 涼しい顔の青年の名前を女性達の叫びの中から聞き取っていたシャムロックは、不快そうにその肩をぱっぱと汚れでも落とすように払う。おそらくはご同輩の雰囲気を纏い、またシャムロックと同じように『悪魔』と呼ばれた名前を持つらしい青年に――もう一つ、深い溜息がこぼれ出た。
 なお偶然巻き込まれただけで黒幕でも何でもないらしい。ある意味逆に面倒なやつだった。

「婚約破棄はそちらのご令嬢が一ヶ月ほど宮廷で見習いをしてからお考え直しなさって!」
 びしりと婚約破棄事件(の1つ)を解決した雪風の横で、泣き崩れる侯爵令嬢をゆかりが支える。
「所詮あんな男はあなたに相応しくなかったのよ。あたしが慰めてあげようか?」
 ぐいっ。
「……って何か文句あるの、アヤメ?」
 袖を引っ張られたゆかりが振り返ると、すっごくありますと言いたげな顔のアヤメが頬を膨らませていた。
「はいわかったらおどきくださいませ! 次!」
 昔から耳挟み髪ははしたなきものと言われているも、今の状況では仕方ないというもの。多少崩れた髪のまま、雪風は次の事件を解決すべく人もとい妖波を掻き分けて行く。
「これで本当に、事件解決に近づいているんでしょうね?」
 とりあえず侯爵令嬢を家族だという妖怪に託して再びアヤメをエスコートしつつ――猟兵達は舞踏会場の奥地へとまた歩を進めるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鬼桐・相馬
ハルア(f23517)と
※妖怪お任せ

黒いタキシードに髪はオールバックで舞踏会に参加。

一応エスコートするが、会場の物々しい雰囲気に「散歩から帰りたくない柴犬」状態で腰が引けているハルアをわざと背後から見えないようぐいぐい押す。

――なんだ、婚約破棄?
こんな人前でするものなのか?

取り巻きB(ハルア)のSPにいつの間にか設定されているが、どうでもいいので様子を見守ろう。
「怖い顔」発言で笑ったの、聞こえているからな。

武器をここで手にすると警戒されそうだ。UC発動、[アシモフゲアスの刻印]へ感情と悪意を流しハルアへひとこと。
大丈夫だ、自信を持て。

あんまりな歌の内容につい笑ってしまうが解決すれば問題なしだ。


ハルア・ガーラント
相馬(f23529)と

先日白いワンピースを仕立てて貰ったのでこれを着て、薄荷色の刺繍レースとチュールが可愛いショールを緩く羽織り舞踏会に参加。

会場へ入れば早速物々しい雰囲気。
これは婚約破棄の現場でしょうか。アレですね、悪役令嬢が皆の前でイケメン王子から婚約破棄を言い渡され、でも実は正統派ヒロインの女の子が腹黒いパターン。
あれっ、わたし悪役令嬢の取り巻きBなんですか!?
怖い顔の相馬がSP、なるほど!

では、悪役令嬢さんを庇う告発の歌をミュージカル風に披露。UC発動、ヒロインがいかに悪い子か[歌唱]します、内容は捏造で!
妖怪さん達の壮大な演奏に期待です。
緊張しますけど一生懸命……え、相馬笑ってる?!



 漆黒の前髪を全て後ろに撫で付けて黒いタキシードに身を包んだ青年は、デビュタントをも思わせる白布地に青のリボンが編み結ぶワンピースを薄荷色の刺繍レースとチュールを柔らかに重ねたショールで纏めたレディの背に軽く手を置いてエスコートしていた。
 そう、鬼桐・相馬はハルア・ガーラントに手を貸し、ハルアは相馬の腕に白手袋の手を添えている。立派にエスコートである。
 実際は物々しい雰囲気に腰が引けて動けなくなりかけているハルアの背中を、相馬が一切の容赦なく舞踏会場へと押し込んでいる。押すと引くとが逆ではあるが、散歩から帰りたくない柴犬を家まで引っ張っていくのと同じ構図だ。
 ハルアの新緑の目も柴犬が縋るような視線を向けているが、相馬はすっと黄金の目を明後日の方向へと向けた。
 表情には出ていないが、これは楽しんでいるやつである。
 面白がっている、かもしれない。

「まさか、こんな大事な舞踏会で……」
「あの方がどのような家でいらっしゃるか、ご存知ないのかしら」
「けれど確かに王子殿下がご寵愛の方に嫌がらせをしたなど、不敬罪にも当たりかねません」
 ひそひそ。
 ひそひそひそ。
 物々しい空気の原因はこれだろう。紳士淑女が人垣を作ったその中心には、艶やかに切り揃えられたおかっぱの上にぴたりと皿を覆うように冠を乗せて礼服を身に纏った緑の髪と瞳を持つ河童の青年、その脇にはふわっふわのピンク髪にばっちり青年と同じ緑のドレスに身を包んだ小柄な美少女。ドレスをやや落ち着いた深い色にすることで髪の色とも調和するように誂えてある辺り、本人か付き人かはわからないがセンスは割と悪くない。
 が、ニコニコ、というよりはニィッ、という感じで河童王子(たぶん)の腕に抱きついている笑顔を見れば。
「これは婚約破棄の現場でしょうか。アレですね、悪役令嬢が皆の前でイケメン王子から婚約破棄を言い渡され、でも実は正統派ヒロインの女の子が腹黒いパターン」
「なんだ、婚約破棄? こんな人前でするものなのか?」
 というか詳しいな、と呟いた相馬の声が届いているのかいないのか、さっきのおどおど具合はどこへやらすすっと進み出て様子を覗き込むハルア。
「ということは、あちらのお嬢さんが悪役令嬢ですね!」
 先程から半分開いた扇で口元を覆った完璧な立ち姿で、河童王子と正統派ヒロイン(たぶん)を眺めている令嬢の方へとハルアが視線を向ける。相馬とハルアがいるのは彼女の斜め後ろでその表情までは伺えないが、長く真っ直ぐな髪はチョコレートのような深く艶のある茶色でハーフアップに結ってあり、髪飾りや扇にはどこか和風の意匠が伺える。
「お話は承りましたわ、ドウ殿下」
 その声は思ったよりも高く、けれど涼やかだ。ぼそりと相馬が「河童……カッパーから銅、か……」と呟いた。ハルアはとりあえず咳払いでごまかした。
「これは王命にて結ばれた婚約でございますゆえ、我が一存では承知したとは申せません」
「そんなことを言ってドウ様を政略で縛り付けるのはやめてあげてよ!」
 そこにキンッと通る声で口を挟む正統派ヒロイン。
「ヒイロ……」
 感極まったように彼女の名を呼ぶドウ王子。
「こちらはヒロイン、からか。緋色というよりピンクだが」
 再度咳払いでごまかすハルア。
 しかしむしろ咳払いの方が目立ってしまった上に、よく見たくて人垣の前の方まで来てしまったのが悪かったのだろう。
「ねえドウ様! 私、あの妖に階段から突き落とされたんですよ! あの妖、ブラウナ様といつも一緒にいるからきっとブラウナ様の命令だったんです!」
 びしっとヒイロに指差されて、ハルアは思わず後ろを向いた。あの妖って誰かしら。
「あなたですあなた!!」
「あれっ、わたしですか!?」
 自分を指差してまたくるっと振り返るハルア。大きく頷くヒイロ。
 確かにカクリヨファンタズムの妖怪は基本的に人間に見えるよう変身できるし、ハルアはハルアでオラトリオの翼を出したままだし、この世界の住民と同じく妖怪だと認識されてもおかしくない。
 相馬も相馬でオールバックなので今日は額の角が目立つ。
「そうです! そこの従者も一緒にいましたよね! というか突き飛ばしましたよね! この怖い顔の従者!」
「ふ、ふふっ、怖い顔の相馬が従者、つまりSPと……なるほど!」
 思いっきり『怖い顔』に反応して笑ったハルアに、相馬が軽く眉を吊り上げた。聞こえてるからな、という顔である。
 ハルアが悪役令嬢の取り巻き扱いされているのも自分がそのSPらしいのもどうでもいいので、とりあえずはハルアに任せて様子を見ることにした。
「ブラウナ公爵令嬢はそのようなことをいたしませんわ、こんなパーティで堂々と婚約破棄を迫るような方とは違うのです!」
 とりあえずノッてみるハルア。ちらりと振り向いたブラウナがハルアを見て、何だか少しだけ安心したように吊り目気味の瞳を和らげたので、これは味方してあげないと、とハルアは内心拳を握った。
「ブラウナ様は西洋妖怪のブラウニーと東洋妖怪の座敷童子の間のお嬢様でいらっしゃいますもの、家庭を守るお二方の娘さんとしては当然ですわね……」
 とっても緊張するけれど。
 彼女の経歴を聞けばハルア自身が己の生い立ちをどこか後ろめたくも思って、その分緊張が高まりもするけれど。
 そっ、とその背に大きな手が触れる。深すぎる感情と悪意は『アシモフゲアスの刻印』へと流し、凪いだ心で背を押す相馬のその手がハルアの心を支える。
「大丈夫だ、自信を持て」
 その言葉が勇気をくれる。
 すっと胸の前で右拳を握り、タンとシューズの底を鳴らして芝居がかった様子で前に出た。
「ならばわたしの歌によってブラウナ公爵令嬢の無実を証明し、逆にヒイロ様の悪事の証拠をここに表しましょう! ご照覧あれ、どうかわたしの言葉に嘘が一つでもあらば、天獄の裁きが下らんことを!」
 何も言わずともそれに合わせて前奏を奏でるオーケストラ。
 もうここの一角完全にノリノリである。覚悟も決まったし気分も上がってきた、内容は今から考えるけど!
 すう、と息を大きく吸えば、雑念が晴れていく。告発の歌であるがゆえに、普段の『ディアネスソング』よりも少し大胆に力強く、高らかにハルアの声が響いた。


 ――お聞き下さいどうか皆様、敬愛捧げしブラウナ公爵令嬢の献身と忍耐を!
 ヒイロ様がなくした教科書がブラウナ様の机の中から出てきた? けれどブラウナ様は毎日教科書を持ち帰られるのです!
 王妃教育を受けながら予習復習欠かさずに!
 テストはいつも五指のうち!
 ブラウナ様の教科書は書き込みがたくさん、真っ白な教科書など奪っても仕方ないの!
 それに私は見ちゃいました、ヒイロ様がこっそりブラウナ様の机に教科書を入れるところを――!

 じわ、と相馬の口の端がほんの僅か上がる。
 必死に歌うハルアはまだ気付いていない。

 ――公爵令嬢の努めは他の令嬢の規範となることでもありますわ!
 不躾な振る舞いや欠けた礼儀作法を注意するのはその優しさの現れ、怒らず丁寧にヒイロ様を諭したのをみんな見ておりましたのよ!
 けれどお話を遮って王子様のところに逃げたのは誰かしら?
 それからも大丈夫問題ない、って態度を改めなかったのは誰かしら?
 ブラウナ様疲れて仰ってましたのよ、「あの子は人の話を聞かないものね」って――!

「くっ……」
 この調子で続く歌詞に、ついに相馬の鉄面皮が決壊した。
 と言っても喉の奥から小さく笑い声がこぼれ、唇が僅かに、けれど普段よりもずっと明確に弧を描いただけなのだけれど――ちょうど最後のワンフレーズを歌い終わったハルアの耳にその笑い声は確かに届いて、思わず振り返ったその目に確かにその笑顔は映ったのだ。
「え、相馬笑ってる?!」
「ハルア、役柄が剥がれてるぞ」
「あっはい! というわけでブラウナ公爵令嬢はむしろヒイロ様をたしなめたり庇ったり、お怒りの学友の皆様をむしろ宥めていらしたのです!」
 盛大なる拍手にちょこんとワンピースの裾をつまんで見様見真似のカテーシー。
 けれどその間もハルアは、相馬の仄かな笑顔から視線を外せなかったのだった。

 ちなみにヒイロはその名も「乙女ゲームの世界に転生しちゃったヒロイン妖怪」、いわゆる新しい妖怪の一種である。
 今回は腹黒タイプだったがいろんな変身バリエーションを持つらしく、最終的にはハルアやブラウナさんとも「やるじゃない!」「あなたもね!」みたいな熱い友情が芽生えちゃったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『迦陵頻伽』

POW   :    極楽飛翔
【美しい翼を広げた姿】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【誘眠音波】を放ち続ける。
SPD   :    クレイジーマスカレイド
【美しく舞いながらの格闘攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    迦陵頻伽の調べ
【破滅をもたらす美声】を披露した指定の全対象に【迦陵頻伽に従いたいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ――会場の中央へと向かうほど事件は、そしてダンスは熱を増していく。
 同じような姿が増えたと思ったのは、気のせいではなかった。孔雀の如き翼を纏って舞い踊り狂騒を繰り広げるのは骸魂であり、内部には罪もなき妖怪が取り込まれているはずだ。

 事件はまだ舞踏会場で起き続けている。
 骸魂に取り込まれた妖怪はさながら人質ならぬ妖質か、まずは彼らを解放してこそ全てを解決する道が開くのみ。
 びっしばっしと名(迷)推理と共に、もしくは陰謀事件と共に迦陵頻伽達を倒して妖怪達を助けるとしよう!!
村崎・ゆかり
あの鳥人間はオブリビオンね。アヤメ、行くわよ。
「降霊」太歳星君降臨。
あのオブリビオンたちの行動成功率をどん底に。

この舞踏会のための食材代金を踏み倒したのはあなたたちね!
この舞踏会自体も、お屋敷の持ち主の妖怪を監禁して勝手に開いてるって聞いたわ!
そんな奴らは成敗よ。
行くわよ、アヤメ!

踊るように薙刀を振るって「衝撃波」を纏った「なぎ払い」。「串刺し」を混ぜて。
アヤメは分身して苦無で攻撃を。
太歳星君の呪詛で攻撃の命中率も回避率もがた落ち。仕掛ければ当たる。楽なものよ。自分の防御は薙刀の柄で対応する。

さあ、まだまだ数は多いわ。骸魂に取り込まれた妖怪たちを助け出しましょ。そして親玉の居所まで行かなきゃ。



「あの鳥人間はオブリビオンね。アヤメ、行くわよ」
 こそりと式神のアヤメだけに聞こえるように村崎・ゆかりが囁けば、こくりと頷くと同時にポニーテールが揺れた。
 ここからは戦いになるので、アヤメもドレスから普段のくのいち姿に戻っている。その隣ですっとゆかりは白紙のトランプ――霊符『白一色』を抜いた。

「地の底巡る大いなる厄災の神、太歳星君よ。我が願いに応え、怨敵を調伏せしめんがためこの地へと出でまし給え! 疾!」
 ユーベルコード『太歳星君降臨』、それは中国にて最大の畏怖と恐れを集めた祟り神である。元来中国では暦を定義するのに用いられたのは木星の位置であり、実際には木星と鏡合わせの位置にある架空の天体として『太歳』が定義され、それが十二支を用いた古代中国の方位ににてどの位置にあるか、でその年を『子の年』『巳の年』などと決めたのが、現代まで伝わる十二支の由来である。
 さらに架空の天体であるがゆえに空に位置しているわけではなく、ならばどこにいるかというと太歳は土の中にいて、木星と同期して動くと考えられたのだ。祟りを信じず掘り起こしたら一家滅亡しました、みたいな逸話が残っている。怖い。
 そしてそれを擬人化した神格こそが太歳星君なのである。道教、そして中国民間信仰においても最強の祟り神だけあって、さくっと行動が失敗するように呪うし、何ならさくっと七代祟ったりとかするらしい。怖い。
 事前に呪力を籠めた符だけでさっくりそんな神格を呼び出し力を借りているとか、ゆかりさんの陰陽師としての術力上昇もまこと著しいところである。

 もちろん太歳星君は正式な道教の神格であり、祟り神ではあるが悪神ではない。
 ゆえに「この骸魂に囚われた妖怪達を救うため」ということで、さっくりと交渉を完了して力を振るってもらったところでびしりとゆかりは迦陵頻伽達に指を突きつけた。隣には腕を組みその手に苦無を持ったアヤメ。
「この舞踏会のための食材代金を踏み倒したのはあなたたちね! この舞踏会自体も、お屋敷の持ち主の妖怪を監禁して勝手に開いてるって聞いたわ!」
 なお実際にそんなことがわかったわけではない。
 だがこのトンチキ事件空間では、あったと言えばその事件があったことになるのだ!
 あと実際この舞踏会場を作り出したのも骸魂に囚われた妖怪なので、監禁しているというのもあながち間違いではない。多分!
「そんな奴らは成敗よ。行くわよ、アヤメ!」
 長い黒髪揺らしてアヤメが頷いたのと同時。
 薙刀を手にした主と苦無を両手に構えた式神は、同時に動き出していた。

 舞い踊るかのように振るわれる薙刀が、迦陵頻伽達をまとめて薙ぎ払っていく。薙刀に乗せた衝撃波から逃れた敵は、分身したアヤメが次々に倒していく。
 太歳星君の呪詛は効果抜群、仕掛ければ当たるし楽なものよ、とゆかりは言いつつもしっかりと相手の翼の一撃は薙刀の柄で食い止めた。その柄を滑るようにあっさりとずらされる攻撃にもやはり勢いはない。
「くっ、このままではせっかく舞踏会を開いたというのに、ご主人様の計画が台無しに……!」
「ご主人様、申し訳ございません……!」
 次々に倒れていく迦陵頻伽達もそりゃもうゆかりの設定にノリノリだった――その伏した跡に残るのは取り込まれていたもとの妖怪の姿だ。気を失ってはいるが怪我もなく、命に別状はないようだ。
「さあ、まだまだ数は多いわ。骸魂に取り込まれた妖怪たちを助け出しましょ」
 そして親玉の居所まで行かなきゃね、と突きからさらに踏み込んでの斬撃と縦横無尽の薙刀使いと共に視線を向けて微笑む主に、苦無で次々に骸魂を仕留めながらアヤメもこくりと頷いて再び分身を放ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャムロック・ダンタリオン
さて、宴もたけなわと言いたいところだが、そのくだらぬ宴はこの辺でお開きといこうか!

では、そこの下手人どもには少し頭を冷やしてもらおうか。
まずは【指定UC】で氷の妖精を呼んで、まとめて氷漬けにしておこうか。
――あぁ、もちろん、下品な歌声を出させる前に始末しておこう。
【エレメンタル・ファンタジア】――「真空」の「竜巻」で細切れにしてやろうか。

――さあ、奥で隠れている親玉よ、逮捕を通り越して死刑執行といこうか(冗談だ。もちろん骸魂だけを倒すつもりだ)。

※アドリブ・連携歓迎



「さて宴もたけなわと言いたいところだが、そのくだらぬ宴はこの辺でお開きと行こうか!」
 さきの太歳星君も、一神教の西洋からしたら悪魔と定義される存在なのかもしれない。
 そしてこちらは名実ともに悪魔の系譜たるシャムロック・ダンダリオンは、荒い口調とは対称的な白く繊細なる指で、くるりと優雅にロッドを回してみせた。
「では、そこの下手人どもには少し頭を冷やしてもらおうか――来たれ、氷の精」
 悪魔としての自我はあっても、その力は肉体を滅ぼされて魂を『器』へと移した際に失われた。代わりに今のシャムロックには、精霊を召喚し使役する力が宿っている。
「その息吹にすべてを凍てつかせよ!」
 呼び出された氷の妖精がひらりと舞えば、純粋なる冷気が放たれ周囲の迦陵頻伽を凍りつかせていく。こうなれば彼らの歌声が響くよりも、シャムロックが次の手を打つ方が早いというものだ。
「あぁ、もちろん、下品な歌声を出させる前に始末しておこう」
 続けざまに『エレメンタル・ファンタジア』。自然現象と本来は一致せぬ元素や属性であってもそれを組み合わせ、攻撃手段とする秘術。本来ならば相容れぬはずの『真空』の『竜巻』すらも作り上げ操ることを可能とし、突発的な気圧差が生む空気の奔流は容赦なくその色鮮やかな翼ごと骸魂を消し飛ばし、取り憑かれていた妖怪達を元の姿に戻していく。
「――さあ、奥で隠れている親玉よ、逮捕を通り越して死刑執行と行こうか」
 眉目秀麗なその表情を酷薄に歪め、唇を吊り上げてシャムロックは宣言し、真空の竜巻を己の周囲にまとわりつかせたまま進んでいく。

 ん? もちろん死刑執行とは言葉の綾。ちゃんと宿っている骸魂だけきっちり倒すよ。囚われた妖怪滅ぼすなんてそんな非人道的なことはしないよ、悪魔だけれど。
 ちょっとしたデビリッシュジョーク、というやつなのでどうかご安心いただきたい。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鈴桜・雪風
ぬぐぐ……
事件が尽きる様子がありませんが、この踊る鳥への対処もしたいですね
いた仕方ありません

――ここからは事件を解決する方ではなく
――事件を起こす方にまわりましょう

迦陵頻伽達に積極的にダンスを申し込んで、ペアで踊ってまいります
舞踏会ですもの、それが正道ですわよね?
そしてペアを解いて次のペアへと移行する瞬間に【剣刃一閃】
先程まで踊っていた相手の首を撥ねてから次のペアに移ります
一息で抜刀斬撃納刀までこなすので、並の方では何が起こったかわからぬでしょうね(【早業】)

ええ、たまたま踊った相手が次々消えていくだけです
連続消失事件、謎を解くことが出来ますか?



「ぬぐぐ……事件が尽きる様子がありませんが、この踊る鳥への対処もしたいですね……致し方ありません」
 ふ、と鈴桜・雪風は深呼吸にも似た溜息をつくと、すっと表情を変えた。

 ――ここからは事件を解決する方ではなく……事件を起こす方に回りましょう。

「美しい虹色の翼のあなた、どうかわたくしと踊ってくださいませ」
 そう手を出して一礼する雪風に、楽しそうに声を掛けられた迦陵頻伽がその真白い掌を乗せる。舞踏会であればダンスを申し込みそれを受けるは正道、そしてペアで踊るならば時速何千キロという速度で飛び舞い攻撃を仕掛けることはできまい。
 一度に抑えられるのは一人であっても、逆に雪風と向き合う迦陵頻伽も一人だけとなる。そして――優雅なワルツが終わり、手を離し互いに一礼、その瞬間。
 剣刃一閃、半ば鬼にて半ば人たるその首を落とす。抜刀から納刀までが一息のそれ自体が美しき、けれど並の目であれば捉えることすらできぬ一撃。何事もなかったかのように一礼して立ち去れば、迦陵頻伽の姿は綺麗に消え去っていた。
 残されたのは、憑依されていた妖怪のみ。もう既に雪風は、次の相手にダンスを申し込んでいる。

 ――ええ、たまたま踊った相手が次々消えていくだけです。
 連続消失事件、謎を解くことができますか?

 かつてさる名探偵は、探偵にならなければ稀代の犯罪者になっていただろうと嘯いたとか。
 まさにその探偵の『裏』として、そして剣豪としての実力を発揮し、事件の中枢へと歩みを進めていく雪風であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鬼桐・相馬
ハルア(f23517)と
舞踏会場の騒がしさに辟易する。これ敵か。

【POW】
大型アジの開きを叩き言う。
オブリビオンを討伐し骸魂から妖怪を救うのがここでの任務だ、忘れるな。

迦陵頻伽とハルアの会話を黙って聞きながら彼女の提案に概ね同意。
――まぁ、いいんじゃないか。正直興味ない。

[冥府の槍]を構え王子への道中を阻む敵を蹴散らす。ハルアに合わせて[怪力をのせたなぎ払いによる範囲攻撃]を。
敵の攻撃は[戦闘知識と野性の勘、視力を使い見切り武器受け]。
ハルアの歌による眠りの無効化を確認後UC発動、飛翔していようが炎で纏めて[焼却]。

踊る二人を静かに見ながら槍と炎の調節を。
まだ笑うならお前も一緒に燃えとくか?


ハルア・ガーラント
相馬(f23529)と
目の前に広がる光景に、興奮で翼がアジの開きのように半開きに。

【WIZ】
壁の花となって佇む綺麗な迦陵頻伽さんに話しかけます。
舞踏会は初めてで気後れしているのに加えて、意地悪な継母と兄弟も来ていると。それで王子の元へ行く勇気が持てないと。
男性同士――あ、今そういうお話も多いですもんね。

とにかく王子を狙う敵集団を倒します。[咎人の鎖を念動力]で操作、[マヒ攻撃をのせてなぎ払い]動きを止め、そこを相馬が一網打尽にする作戦で!
敵の歌にはUC発動して対抗、音に関する全てを奪います。

王子も迦陵頻伽――あの、せめて最後に踊らせてあげましょう?
役割・外見、どう見ても悪役の相馬に再び笑いが。



「すごい……!」
 七色の翼を広げた迦陵頻伽が舞い踊る、生きた虹が輝き生き生きと動くかのような情景にハルア・ガーラントは目を輝かせていた。背中の翼が興奮でふわりと膨らみを増す。
(やかましい……これが敵なのか)
 なお隣の鬼桐・相馬は、迦陵頻伽達が好き放題に歌っては時速何千キロで飛び回っているという状況に呆れたように肩を竦めていた。
 同じものを見ても人それぞれどこに注目し、どんな感想を抱くかは様々だという好例のような2人である。
 ともあれ相馬曰く『アジの開き』のような開き方をしたハルアの翼を、容赦なくぽすんと叩く。
「オブリビオンを討伐し骸魂から妖怪を救うのが此処での任務だ、忘れるな」
「わかってますっ」
 相馬の指摘に頬を膨らませる代わりにぶわっと羽毛を逆立てたので、アジの開き(純白羽毛造り)の幅は2割増しになったのであった。

 さて。
 どんなに騒がしい影骸であっても、例外というものはある。多分中の妖怪が人見知りだったりするのだろう。
 そんなわけで壁の花になっている迦陵頻伽の1人に、ハルアが「ここいいですか?」と全く臆さず声を掛け隣に並ぶ。むしろ迦陵頻伽の方がビビっていた。
 もしかしたらいまいち興味なさそうな様子に普段の無表情で佇んでいる相馬の方にビビッたのかもしれない。
 それでもちょっと話していれば、ぽつり、ぽつりとその迦陵頻伽の少年は身の上話をしてくれたのである。

 意地悪な継母と兄弟に家庭では虐げられる彼は、けれど踊りの才は随一であった。ひっそりと誰もが寝静まった庭で踊っていれば、そこにひらり舞い降りた、一際鮮やかな翼持つ青年……それが、出会いだった。
 ただ1人で踊ったことしかない少年に2人でのダンスを教えた青年は、そっと彼の手に舞踏会の招待状を忍ばせた。だから少年はこの会場に足を踏み入れることができたのだ。けれど今は正妻、嫡子となった継母と兄弟の目についたらと思えば、かの青年へと足を踏み出すことすら怖い。だから少年はただ、壁の花になることしかできなかったのだ。
 しかも彼を舞踏会へといざなった青年が、この国の王子だと知ってしまえばその足はさらに竦むばかり――。

「男性同士、今そういうお話も多いですもんね。とにかく継母と兄弟と王子を狙うライバルを倒しましょう!」
「まぁ、いいんじゃないか」
 きらきらしながら迦陵頻伽達へと向き直るハルアに、肩を竦めてから相馬が頷いて冥府の槍の構えをとる。ぶっちゃけ恋愛沙汰に興味はないのだが、乗っかった方が戦いやすいし。舞台はハルアがこうして整えてくれるし。
 ぱっとハルアが翼に巻き付く咎人の鎖に魔力を籠め、念動力で壁を背後にした半円状に薙ぎながら伸ばしていく。払ったそばから束縛の魔力で動きを止めて、そこに相馬が素早く飛び込んだ。僅かな間でも止まった敵などもはや相馬には的に等しい、空に逃れた敵の突撃を払い飛ばしがてら一気に槍の届く限り全員薙ぎ払う。目にも止まらぬ速度で突っ込んで来られても、鍛え上げられた戦闘勘で動きを見切って槍を振るいつつその軌道の最後で受け止める。
 眠りへと、あるいは破滅へと誘う歌のためにと口を開いた敵には、それより先にハルアが呼吸を整えていた。
「その音、世界に響かせる訳にはいきません」
 高らかに歌い上げるのと同じように声を張るハルアの、けれどその声は響かない。『ヴォイド・アンセム』――無音の聖歌は相手の音を奪い取る。歌に歌をぶつけ、完全に相殺しているのだ。迦陵頻伽達が声を張り上げようとし、それにハルアが力強く応えるほどに、静寂が広がっていく。
 その戦意、羽ばたく七色の翼、動きの激しさに対して奇妙なほどの静寂の中、ただ1人相馬はそれに干渉されることなく床に槍を突き立てた。
 がっ、と大理石の床を割る音。ぴしりとヒビの入る音。床を這い、そしてそれすら通り越して地面まで。
「逃げ場など、ない」
 そう相馬が告げた瞬間、彼を中心に蒼黒き業火が爆ぜた。
 ユーベルコード『劫火境』、大地に穿った地割れから冥府の炎を召喚し、焼き尽くす。その獄卒たる相馬自身が囚人たるべきと認識する全てを。空を飛べど、地を舞えど、例外ではない。
 けれど、その炎を抜けてきた迦陵頻伽がいた。
 鮮やかな翼は焦げ、その声は音とならず、けれど優雅なる足取りは止まらず――ハルアの隣にいた少年の前に、彼は膝をついた。
「王子も、迦陵頻伽……」
 その正体に、少年の代わりに声を上げたのはハルアだった。もはや無音の聖歌を続けずとも静けさを取り戻したホールで、相馬に声をかける。
「あの、せめて最後に踊らせてあげましょう?」
 無言でちらりと振り返った相馬が、ゆっくりと炎を収めていく。既に迦陵頻伽達は焼き尽くされ、囚われていた妖怪達は無傷で倒れ伏していた。見たところ外傷もない、単に眠っているのと同じような状態のようだ。
 青年の手に、少年が手を重ねる。最後の2体となった迦陵頻伽が、そっと無音のホールにステップを踏む。
 それを静かに見ながら燃え盛っていた炎を槍に宿る分だけ残して鎮めた相馬に、ハルアがくすりと笑みをこぼす。王子と少年を出会わせるキューピット役と上手くはいかず、2人以外の影骸を全部倒してしまった彼は終焉をもたらす悪役か、それともデウス・エクス・マキナにて悲劇の幕を下ろすための処刑人か。実際は囚われの妖怪達を救った側のはずなのに、威圧感も相まってやっぱり悪役にしか見えない……思ってしまうとどうしても頭から離れなくて、ハルアの笑いは止まりそうになかった。
「まだ笑うならお前も一緒に燃えとくか?」
「い、今の台詞でさらに悪役度合いが……ふ、ふふふっ……」
 結局笑いを加速させてしまったハルアに、相馬は軽く金色の瞳で睨んでからすっとその目を正面に向け直した。ツボに入りきってしまったハルアには、もはや何を言っても笑わせるだけだと諦めた様子である。
 ――やがて、互いに一礼した一組の迦陵頻伽達を再び冥府の炎が包み込み、跡に残るのは既に骸魂から解放された妖怪達のみ。
 広すぎるホール全てを炎が埋めたわけではないが、そちらでは他の猟兵達が妖怪達を迦陵頻伽から解き放ち、ホールの中心へと向かっている。
 舞踏会、『祭』の中心――そこに、最後の敵が、骸魂が待っている。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『絆の試練』アナスタシア』

POW   :    疑心の罪
【滔々と語られる愛の説法】を披露した指定の全対象に【己に向けられている愛情に対する、疑いの】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
SPD   :    煌々たる失翼
【慈愛と歓喜の感情】を籠めた【飛ばした羽根の乱舞】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【持つ、大切な者との様々な関わりの記憶】のみを攻撃する。
WIZ   :    真偽不明の愛
自身が【愛する者同士の深く強い絆】を感じると、レベル×1体の【両者の、極めて精巧なニセモノ】が召喚される。両者の、極めて精巧なニセモノは愛する者同士の深く強い絆を与えた対象を追跡し、攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠御形・菘です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「試したかったのです」
 修道服にも似た白きドレスとベールに身を包み、骸魂の女は呟いた。
「知りたかったのです」
 ひらり、二対の白い翼が揺れた。
「この喧騒に、この世界に、本当の愛というものがあるのなら」
 ――それを、この目で見たかったのです。
 そう、淑やかに女は微笑んで。
 そう、好奇心に満ちた悪意を瞳に湛えて。
 優雅なカテーシーと共に問う。

 嗚呼、それは。
 あなた方の、大切な存在へのその心は。

「ほんとうに、『愛』なのですか?」

 応える義理はない。この影骸を倒し、囚われた妖怪を解放することができれば、狂騒に満ちた舞踏会は終わるのだ。
 けれど、もしも。
 もしも己の心に宿る想いが、貶められるのが許せないならば。
 正面から突きつけてやるといい。君の愛に偽りなし、というそのことを。
鈴桜・雪風
はて、なんとも面妖な問いです
あの乱痴気騒ぎで『愛』のなんたるかをお試しになっていたつもりと?
「嗚呼、いっそ哀れな程に愚かしい。誰でもいいから手近な者同士で愛する者の真似をしてみせよ、等と……。例えこの世に真実の愛があろうとも、この場には顕れないのは火を見るより明らかでしょうに」

その様な世迷い言で騒乱を起こされては、解決する方としては身が持ちませんの
夜会はお開き、皆様家にお帰りなさいませ

生憎まだ愛を語るほど人生を生きてはおりませんので
問答無用で【ソノ花咲カスベカラズ】を発動
ホールの床から吸血桜の根が現れ、影骸を攻撃します
「天の使いが如きとはいえ、人型をしていれば。この根から逃れられはしませんよ」



 かつん、かつんと大理石の床に硬質な足音が響いた。優雅に、けれど一切の無駄を感じさせぬ武芸者の足運びで、髪飾りのように咲いた桜の花弁をひらり揺らして――けれどその桜花のような佇まいとは裏腹に、鈴桜・雪風の瞳はただ冷徹に骸魂を見つめていた。
「はて、なんとも面妖な問いです。あの乱痴気騒ぎで『愛』のなんたるかをお試しになっていたつもり、と?」
「いけないかしら?」
 白い女はひょいと肩を竦めて雪風の問い返しに小首を傾げてみせる。
「あのような場所でも、いえだからこそ、本当の愛の1つくらいは見せてもらえると思ったのですもの」
 ニィと邪悪に歪む唇は、もはやそれが本心なのかも見せてはくれない。
 元々は恋人達にちょっとした試練を――肝試しだったり、とある花を見つけるだったり、それを協力して成し遂げたら小さな加護を与えるような妖怪であったのかもしれないが、骸魂となった今はむしろ『真実の愛』など見てもわからないのかもしれない。
 けれど、もし本当に探していたとしても、だ。
「嗚呼、いっそ哀れな程に愚かしい。誰でもいいから手近な者同士で愛する者の真似をしてみせよ、等と……。例えこの世に真実の愛があろうとも、この場には顕れないのは火を見るより明らかでしょうに」
 そう、真実を突きつけるのはいつだって探偵の努め。そして影朧と骸魂、名前こそ違えどオブリビオン事件は雪風の専門分野だ。
「その様な世迷い言で騒乱を起こされては、解決する方としては身が持ちませんの」
 正直かなり本音が籠もった。
 いくら適当でいいと言われていても、探偵たるもの事件解決に手を抜くことなど出来ないのだ。はしたなくも乱れた髪も上がった息もとうに整え直したが、疲れまでは消えてくれない。
 けれどそれでも、根本たる事件に解決を。それが終わるまで雪風は探偵たる己に、休息を許すことはできない。
「夜会はお開き、皆様家にお帰りなさいませ」
 ぱん、と手を打った次の瞬間、大理石の床に入ったヒビがそのままぐっと持ち上がった。マーブル模様の石を割って現れたのは桜の根――『ソノ花咲カスベカラズ』、桜の花は血で薄紅に染まるという伝承を形にしたような吸血桜は容赦なく白き骸魂を捕らえるかのように貫いた。
「天が使いが如きとはいえ、人型をしていれば、この根から逃れられはしませんよ」
 生憎まだ愛を語るほど人生を生きてはおりませんので、と雪風は鋭い瞳で骸魂を見据える。はらりと簪にも見える枝の先で揺れた桜が、この狂宴事件の終章の幕を開けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャムロック・ダンタリオン
さて、ようやくこの茶番劇の主役のお出ましか。

――で、「愛」だと?せっかくだがいまの僕にはそのような下らぬ感情など持ち合わせていない。
とりあえず貴様を滅ぼし、呑み込んだ妖怪を開放してもらうぞ。

まずはそのいかにも清楚な存在ですと言わんばかりの化けの皮をはがそうか。「火」の「暴風」でな。
そして反撃される前に「氷」の「豪雨」で動きを封じさせてやろう。

――で、終わったらさっさと帰ろう。今宵はこれ以上の馬鹿騒ぎに付き合ってられないからな。

※アドリブ・連携歓迎


コーディリア・ルエ(サポート)
概要:温度差激しめAI上がりバーチャルキャラクター

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、積極的に行動します
理性的な行動を心がけます

口調:私+呼び捨て+ですます調敬語
普段:テンション高め、軽口多め、会話AIみ強め
真剣な時:冷静、管理者AIみ強め

・説得等、流石に遊んでる場合でない時に真剣になります
・自分も他人も命は大事
・真剣な時とそうじゃない時とで温度差大きめ(以下は真剣じゃない時)
・隙があれば創造主をageる「私がこんなに凄いので、オフィーリアはもっと凄いんです!」
・食べるのが好き「ご飯って美味しいですね」
・SNSも好き「これ上げたらバズりますかね?」

あとはおまかせ。よろしくお願いします!



「ようやくこの茶番劇の主役のお出ましか」
「はい、私の演算機能と管理システム調査も、この骸魂すなわち憑依型オブリビオンこそ全ての元凶だと示しています、絶世の天才美女が作り上げた絶世の天才美プログラムに間違いはありません!」
 びしっと現れた会話アプリケーションにして都市管理AIたるコーディリア・ルエに、細い眉を寄せるとシャムロック・ダンタリオンは溜息をついた。どうも今回、彼の周囲は騒がしくなりがちである。
 ま、それについては殆どが、この会場自体が騒がしかったからなのだが!
「――で、『愛』だと?」
「ええ、愛ですわ」
「せっかくだがいまの僕にはそのような下らぬ感情など持ち合わせていない」
「昔はあったということでしょうか?」
 つい確認モードに入るコーディリアに、シャムロックはきっぱりと「答える理由はない」と返した。了解いたしました、と元気に答えるコーディリアも特に拘りがある様子ではない。入力に対して対話を深める方向で出力する、会話アプリケーションとしての『癖』のようなものなのだろう。

 ところで。
 滅ぼされた悪魔が魂の器としての肉体に乗り移ったが末たるシャムロック・ダンタリオン。
 AIでありアプリケーションというプログラム上の存在が、バーチャルキャラクターとしての形を取ったコーディリア・ルエ。
 そしてカクリヨファンタズムに生きる妖怪をその依代としなければ存在できぬ、妖怪の亡霊が如き骸魂の『絆の試練』アナスタシア。
 自我の在り処に通常の生物達とは異なる由来を持っているという意味で、彼らには一種の共通点があり――それでもシャムロックとコーディリア、それと骸魂たる女の間には明確な境界線があった。
 妖怪の一種として、バーチャルキャラクターの一形態として、シャムロックもコーディリアも未来へと歩む存在だ。
 骸魂は命を落とした過去に、生者への憎しみに、縛られたままの存在だ。

 愛の定義、愛の感情、明確な答えなど持ち合わせなくてもその差異のみで戦う理由になる。
 ましてやかの影骸が取り憑いた妖怪も、やはり未来へと歩んでいくべき存在なのだから。
「さて、美しすぎる天才オフィーリアに恥じぬ振る舞いをしましょうか!」
 コーディリアの創造主に対する尊敬とかは、なんかもう愛情の一種になってる気もするけれど。
「とりあえず貴様を滅ぼし、呑み込んだ妖怪を解放してもらうぞ」
 まずはこのいかにも清楚とばかりの姿――彼曰く『化けの皮』を剥がそうか、と白く繊細な手をシャムロックはすっと広げた。『エレメンタル・ファンタジア』にて合成した『炎の暴風』、本来制御に難のあるそれをシャムロックは的確に『絆の試練』アナスタシアだけを巻き込むように叩きつける。焦げた翼や衣装はその端や裾から純白を侵食し、か細い悲鳴が上がる。
 さらに容赦なくその横合いから『Judgement Arrow』が一気に50近くの本数叩き込まれる。その光の矢は命中の瞬間、さらにそれから与えたダメージの計算に至るまでコーディリアの制御下ににあり、発射するごとにその精度を高めていく。
 そして重ねるように『氷の豪雨』、零下の『雨』が熱を奪い動きを鈍らせる。吹雪とは異なる、浸潤する豪雨ならではの特性はけれど染み込んだならば氷の特性によって厚く冷たい拘束となる。
「今宵はこれ以上の馬鹿騒ぎに付き合ってられないからな――」
 精霊術を全力で制御する内心からは、さっさと終わらせてさっさと帰りたいという本音が覗きかけている。
 そして一度は氷に阻まれても、次の斉射では的確に氷の隙間を縫う光の矢。
 骸魂の存在が徐々に取り憑いた妖怪から、そしてカクリヨファンタズムという世界から剥がされていく――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

鬼桐・相馬
ハルア(f23517)と

おい。専属魔導士が愛を説く訳ないだろうが。

【POW】
どうしてハルアはこんなに詳しいのか。

説法が始まったら[冥府の槍]へ悪意の供給をストップさせる。
今、俺に愛情を向けてくるとしたらハルアだ。
彼女に対する疑念。いつか俺より大事にしてくれる存在を見つけ、飛び去ってしまうことだろうか。
――それなら、飛ばぬようこの炎で縛り付けてしまえばいい。

敵の攻撃を[戦闘知識と野性の勘で見切り武器受けし、カウンター]で敵の風切羽を狙って反撃。風切羽を損傷すれば大体自在には飛べなくなる。
そうして[体勢を崩し]たところにUC発動[焼却]を。

戦闘の合間、先程の考えを隠すように少しだけハルアを労おう。


ハルア・ガーラント
相馬(f23529)と

さてはあなた、お隣のでっかい帝国の皇子専属魔導士ですね?
皇子を颯爽と登場させてブラウナさんを婚約者にしちゃう展開狙い!

【WIZ】
愛は人それぞれ違います。だから、ブラウナさんは多分。
ドウ王子のこと許すと思うんです。アレですよ、掌の上でころころ「しょうがない人」って。
女の[第六感]なめないで下さい!

敵の攻撃は第六感で察知し[オーラ防御]します。可能であれば皆さんを[かばい]ながら戦闘。
攻撃は[銀曜銃から魔弾を誘導弾]で射出、でも基本は防御重視。
ニセモノ召喚に合わせてUC発動、動きを止めてしまいます。

わたしは偽物の天使だから愛を説くことはできないけれど。
幸せになって欲しいです。



「さてはあなた、お隣のでっかい帝国の皇子専属魔道士ですね!?」
 びしっと指を突きつけたハルア・ガーラント。ここに新たな(設定上の)帝国が生まれた。
 多分ドウ王子(詳細は第一章をご確認下さい)のいる王国より国力も豊かだし魔法技術も高いしとかそういうやつに違いない。
 そして多分これ止まらないなと察しつつも、鬼桐・相馬がぽんとその肩を叩いてツッコむ。
「おい。専属魔道士が愛を説く訳ないだろうが」
「いーえっ! 皇子を颯爽と登場させてブラウナさんを婚約者にしちゃう展開狙いです間違いありません!」
 聞いちゃいなかった。
 いや聞こえてはいるのかもしれないけど多分相馬の言った趣旨では解釈されてない。
「愛は人それぞれ違います。だから、ブラウナさんは多分。ドウ王子のこと許すと思うんです」
「え、あ、はい」
「アレですよ、掌の上でころころ『しょうがない人』って。女の第六感なめないで下さい!」
「な、なるほど第六感……いえその、でもそれが本当に幸福な愛なのかは」
「愛は人の数だけありますからっ!」
 ちょっとこれ『絆の試練』アナスタシアさんがハルアさんに押されてますよ。
 これ説得されちゃうんじゃないですか。
(どうしてハルアはこんなに詳しいのか)
 思わず内心でまたツッコミを入れる相馬である。
「い、いえ! だからといってそのような疑いの気持ちを含むかもしれない愛というのが、長く続くものなのでしょうか。果たしてその愛を抱く両者は幸せなのでしょうか」
 何とかそれに滔々たる説法で返してきた骸魂。なんかまともな議論になりつつあるい気がしなくもない。
 とはいえユーベルコードなので、本気でやり合えば己に向けられている愛情に疑念の気持ちが生じるはずなのだが。
「吊り橋効果って言葉もあります、その愛情が揺れ動くように見えるからこそ、徐々に強固な絆が生じていくんですよ! そうやってドウ王子とブラウナさんは政略結婚から家族に! なるんです!!」
 自分じゃなくてドウ王子とブラウナさんの愛情を語っているハルアにはいまいち効いていなかった。もしくは聞いていなかった。
 どうにも呆れた顔で溜息をついた相馬が、眉を寄せる。普段から槍へと悪意を流し込むようにしている心の動きを、意図的に、止めた。

(今、俺に愛情を向けてくるとしたら、ハルアだ。……疑念か。いつか俺より大事にしてくれる存在を見つけ、飛び去ってしまうことだろうか)
 敵と激論を飛ばしている興奮のせいか、防御のためにオーラを張り巡らせる緊張のせいかはたまた両方か、半ば開きかけた翼の端の羽根がひらひらぱたぱたとテンション高く小刻みに動いている。その翼が一度飛び立ってしまえば、いくら地を駆けたとしても相馬に追う術はない。いや、空と地どころか世界すらも分かれてしまえば。
『隣にいない』ことなど、考えたこともなかったように思う。時に別行動することはあっても、お互いにまた戻ってくる。一緒にいる。それが当たり前だと無意識に思っていた気がする。その可能性を考えた時、相馬は知らず奥歯を噛み締めた。表情筋は一切動かずとも、けれど互いの歯を噛み砕いてしまいそうなほど、強く。
 その相馬の感情に呼応したのか、次々に現れるのは相馬であり、ハルアだ。
「やらせません!」
 けれど空間の揺らぎを察知していたのか、すぐさまハルアが静謐な歌声を響かせる。『サイレントソング』、その歌は議論の余韻かいつになく力強くはあったけれど、それでも粛々として響き渡り、しじまを好む存在が遣わした白梟達が現れるための静寂の門を開き、仮初の肉体へと負荷を課す行動阻害の魔法陣を完成させるまでの歌を紡ぎ、妨害に飛ばされた羽根を銀曜銃の弾丸で撃ち落とす。
 その姿が相馬にはあまりにも迷いなく見えた。
 今はまるで親鳥を追うかのように傍にいるハルア。迷うことなく付いてきて、戻ってくるハルア。いつか自分よりも彼女を大切にできる存在がいたら、やはり迷うことなく飛び立ってしまうのだろうか。
 ――それなら。

(飛ばぬようこの炎で縛り付けてしまえばいい)
 悪意を流すのを止めたはずの槍が、燃えた。
 未だ相馬の心にあるままのそれに、呼応したかのように青く、黒く――。

「えっ待ってここに来るまでどっちかっていうとクールな彼が彼女にはいはいって対応してるみたいな感じでしたよねそんな激重感情聞いてません!」
 骸魂『絆の試練』がその精神を読み取ってしまったのか一気に動揺を見せた。
 そうですよほんと聞いてません!
「待ってそんなヤバいの隠してたんですか……ただのクール鉄面皮じゃなかったんですかずるいでしょう……待って待ってむりとうといこんなの試せないんですけど」
 わかるほんとむりとうとい。
 骸魂だろうとバグる。わかる。
「そう、結局一皮向いたら単なるツンデレ王子なんですよ! ブラウナさんもツンデレ要素あるし、噛み合ったらお似合いだと思いませんか!」
 完全に話題を読めてないハルア。
「天然はそっちだったんですかーーー!?」
 頭を抱えて叫ぶ白いレディ。
 こうなってしまえばもう沼に落ちたようなものだった。いろんな意味で。

 ふ、と憑き物を払うように一息。
 次の瞬間相馬は駆け、骸魂の純白の翼から正確に風切羽を斬り裂いた。
「今絶対重ねましたよね! 重ね合わせましたよねきゃあああ!」
 そして体勢が崩れたところを間髪入れずに『鬼火継ぎ』で紺青色に燃やした。
 そりゃもう焼き尽くさんばかりに燃やした。
 まぁ骸魂の純白の翼の風切羽、それを何と重ね合わせたかは言うまでもないだろう。
 だがあえてこれだけは言わせてもらおう。
 超美味しいですありがとうございます、と。

 銀色の美しい銃を握るハルアの手が、少しだけ緩んだ。
「わたしは偽物の天使だから愛を説くことはできないけれど。……幸せになって欲しいです」
 一気に悪意を炎へと変えた槍に再び淀む感情を流し出すと、相馬はそう呟くハルアの頭を軽く――普段はぽんと叩くようにするところを、そっと撫でた。
「ん、どうしましたか相馬?」
 きょとんと首を傾げるハルアに何でもない、と応える相馬は、金色の瞳に普段より少しだけ、後ろめたさを隠すような色を浮かべていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
『ベルフェゴールの探求』か。言ってくれるじゃない。
既に終わった存在であるオブリビオンに、愛が理解出来るとは思えない。
あなたのその欲求は、生前に愛されることがなかったからじゃないの?
本当は、この世に真実の愛なんて存在しないと思って、心安らげようとしてるだけ。

あたしにはアヤメがいる。愛の力でオブリビオンの運命から救い出した大切な存在。
アヤメ、あなたも思うところがあるなら、言ってやりなさいな。

さて、御託はここまで。討滅を始めましょう。

あたしとアヤメに「結界術」風の「属性攻撃」で、旋風を纏って、飛んでくる羽根を吹き散らす。

アヤメとアイコンタクトしながら、「衝撃波」纏った薙刀で「なぎ払い」「串刺し」に。



 愛を求めた――『本当の愛を見ること』を求めた骸魂の姿に、村崎・ゆかりは肩を竦めた。
 同じ伝承を彼女は知っている。ゆかりの使う陰陽術はその由来を多くの東洋の信仰や術に持つが、西洋のそういった知識にも門外漢というわけではない。
「『ベルフェゴールの探求』か。言ってくれるじゃない」
 好色を司る悪魔ベルフェゴール、特に女性に不道徳な心を芽生えさせ、また人間の結婚生活を覗き見ることができるという。
 ゆえにこそかの悪魔は『幸福な結婚は存在するのか?』との疑問を解決するために人間界を巡り、観察の結果として『幸福な結婚などない』という結論を出したと言われている。女性を操る能力のためにかえって女性を忌み嫌い、生活を覗くことができるせいでむしろ結婚を不幸と断ずる悪魔は不毛であるには違いない――本当に不幸であったのは、一体誰だったのだろう。数多の夫婦か、それとも悪魔自身か。
「既に終わった存在であるオブリビオンに、愛が理解できるとは思えない。あなたのその欲求は、生前に愛することがなかったからじゃないの?」
 かの悪魔の名を冠する『ベルフェゴールの探求』は、ありえない計画を皮肉に表現した言葉でもあるという。ゆかりは目の前の白きオブリビオン――骸魂に対しても、容赦なくそれを指摘する。
「本当は、この世に真実の愛なんて存在しないと思って、心安らげようとしているだけ」
「……どうして、私がそこまでしなければいけないの?」
 まるでゆかりの言葉が見当違いだとでも言うように返す骸魂の瞳に、けれど確かにどこか昏い影が落ちたように見えた。

 ふ、と笑ってゆかりが隣に立つアヤメを引き寄せる。己の式神であり、最初に出会った時は敵であり――今では大切な相棒、そして恋人。
「あたしにはアヤメがいる。愛の力でオブリビオンの運命から救い出した大切な存在よ」
 その言葉にアヤメがさっと長い耳を先端まで紅く染めた。表情はさも愛される誇らしさに満ちてますと言いたげな微笑みだが、どうにも完全には隠せていない照れを心から愛しく、そして愛されていると感じるゆかりである。
「アヤメ、あなたも思うところがあるなら、言ってやりなさいな」
「え、いいんですか?」
「いいわよ、言われて恥じるところとかないもの」
 堂々と胸を張るゆかり。張っても圧倒的にアヤメの方があるとか気にしない。気にしないったら。
「ゆかり様は正直、可愛い女の子がいたらすぐ口説こうとするんですけど」
「うぐっ!?」
 言葉の方で一発でクリティカルを入れられた。
 心当たりはある。――割と、ありすぎる。
「何だかんだで私は特別って言ってくれますし」
「だって特別だもの」
「でもだからってあまりその、妬かせないで下さい」
 あら可愛い。
 これはゆかりも思わず頬を緩めざるを得ない。
「それに……私にとってもゆかり様は特別です。敵だった私を助けて、それでも壊れてしまっていた部分を……式神とすることで、こうしてゆかり様の隣にいられるようにして下さったのですから。恩人で、本来ならば単なる道具として使役されても文句などないのに……恋人として隣にいさせてくださるなんて、本当に……本当に、私は幸せです」
「アヤメ……」
 気持ちは感じていたとしても、言葉で言われればもっと幸せということはやはりある。それを実感するゆかりは言ってから恥じらうアヤメの背にそっと手を置いた。

「……尊い」
 そして聞こえてきたどちらのものでもない声に慌てて2人振り向く。
 まさか忘れていたわけではないが、ちょっと内容が予想外だったし――振り向いた先の光景はまたこれも想定の外だった。
 片手で口元を押さえてぎゅっと閉じた目は、涙を堪えているようにすら見える。
「……もしかして、あなた……」
 まさか、という思いと共に、けれどゆかりは自分の推測を修正せずにはいられなかった。
 もしも『絆の試練』アナスタシアと再び会うことがあったとして、その骸魂が同じ思想を持つに至るかはわからない。
 同じ状況にあってすら、同じ感想を抱くかどうかはわからない。
 それでも。
 今ここにいる『絆の試練』たる骸魂は、目元を拭ってにっこり笑ってこう言った。
「『ベルフェゴールの探求』は――ベルフェゴールが行ったから、無意味だったのね。だって、私……は……」

 風を纏い駆け抜けたゆかりの薙刀が串刺しに貫き、アヤメが苦無で刳り抜いたのは、骸魂としての存在。その姿が薄れて消え、呑み込まれ核となっていた妖怪の姿が見える。怪我もなく眠っているような状態らしい彼女が無事であることに、猟兵達はほっと息をついた。
 大ホールが消え、オーケストラが消え――祭りの後に、残るものは。
 カクリヨファンタズムの妖怪達の日常、そして猟兵達それぞれの心に、おそらくはそれぞれ異なる思いや感情や考えと共に……祭りの『思い出』は、刻まれたのではないだろうか。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年07月06日


挿絵イラスト