●今夜は¿※‰が奇麗ですね
彼女はかつて愛されていた。その言葉は今も脳裏に……残って……いるはずなのに。彼の言葉は。
「今夜は■が奇麗ですね」
思い出そうとしても、思い出そうとしても、何故か引っかかって出てこない。あんなに大事な言葉だったのに。とても美しい言葉で、安堵する言い回しで、繊細な言葉選びで……。ああ、なんだったのだろう。
帰ってきて。ねえ、あなた。帰ってきて。もう一度、あの言葉を囁いて……。
ああ、こんな思いをするくらいなら、最初からあんなものなかったら良かったのに。
●概念としての☆。
その一文字を聞いて、皆は何を想像するだろうか?
空を横切る流れ☆? 無論それも名前だけだが概念としては含まれるだろう。あるいは、夜空を見上げたときに無数に光る☆たち? そう、あれらもUDCアースやその隣接するカクリヨからも見える、恒☆たちだ。ソレが見えなくなったら夜空に見えるのは丸いあれだと思うか? だがあれも正確に言うと地球の衛☆だ。
そして一番やばいことに、今言ったUDCアースの地球というのも惑☆だ。
●概念がなくなるってやばくない?
「やばくない??」
語彙力の少ない一見チャラそうなグリモア猟兵は黒髪の男、エリオス・ダンヴィクトル。いやいやちゃんと説明しろよ。
「説明するする。今回の依頼は最近発見された新世界、カクリヨファンタズム略して幽世から。トンデモ依頼だから行くかどうかキッチリ話を聞いてから決めてほしい」
まず第一に、カクリヨファンタズムはほぼ毎日の勢いでカタストロフ……つまり世界の危機並みのオブリビオンによる災害が起きる。だが、住人たちのほとんどはオブリビオン化しても一時的に骸魂に取り憑かれてるだけなので、ちょっと刺激を与えてやればちゃんと元に戻せる逞しい妖怪たちだ。
でもまぁ、問題の大事なのはそこではなく。
「で、今回のトンデモ世界の危機は『星という概念の喪失』。幽世全体が、地に足つけることすら出来ない宙ぶらりんの世界になっちまってる」
星という概念がなくなると何がどれほど不便なのだろうかは各自で想像してみてくれ、とエリオスは雑に説明する。
「世界の危機には行く宛てのない骸魂が際限なく幽世に流れ込む。つまりオブリビオンが無限に湧いて出るから第一陣はこれらの撃破、次に事態の原因になってるらしいオブリビオンの撃破……」
「んで、それが終わったら現地のやつらが慰労してくれっから、好きに遊んでくるといい」
今はせっかくの望遠鏡が使えないでいるだろうからな。
「まあ、そんなとこだ」
妖怪たちから骸魂をたたき出してやるだけの簡単な(?)お仕事のはずだ。それじゃ、猟兵諸君。
「Good Luck」
みみずね
こんにちは、あるいははじめまして。みみずねとかいう駆け出しマスターです。
初めてのカクリヨファンタズムでのシナリオですが、今回はコミカル寄りを予定しております。
●第一章(集団戦)
カクリヨに流入した骸魂によりオブリビオン化した妖怪との戦闘です。ひと(妖怪)助けだと思って存分にぶん殴って(骸魂を抜いて)あげてください。ただし、前述の通り星がない[=万有引力による重力がない]おかげで足元が悪いです。それを踏まえたなんかいい感じのプレイングをするとなにかボーナス的なことが起きます。
基本的に酸素とかはたぶんありますのでご安心を。が、空気が無いエリアにいるなどのプレイングをしても構いません。
●第二章(ボス戦)
事態の元凶であるオブリビオンとの対決です。ボスだからって別に強い訳ではないです。でも話し合ってどうにかなる相手でもないので、みんなでたたいて骸魂を抜いてあげてください。状況は第一章と同じです。
●第三章(日常)
ここまで成功していれば、星の概念が戻ってきます。地に足つけるって大事だなーって妖怪たちが猟兵を労いつつ天体観測に誘ってくれます。初めてのかたもそうでないかたも、改めて見る星はひとしおかもしれませんね。
●受付期間について
シナリオ公開され、追加情報が投稿されたら第一章の受付を開始します。割と(シナリオが)ふざける予定なのでクリア可能になり次第の進行になるかと思います。
Twitterとかで状況報告しない代わりに数日おきくらいにマスターページを更新しているのでたまに見てやってください。
第1章 集団戦
『『剣客』雪だるま』
|
POW : 雪だるま式に増える
自身が戦闘で瀕死になると【仲間】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD : 抜けば玉散る氷の刃
【その手でどうやって持つんだかわかんない刀】が命中した対象を切断する。
WIZ : 雪合戦
レベル×5本の【氷】属性の【雪玉】を放つ。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ころん、ころん、ころん。
『だるまさんがころんだ。』
いや。だるまはだるまでも雪だるまである。
そして転んだと言っても地面がないので回っているだけである。
何故こんなことになったのか。分からないが大量の雪だるまが発生しているのはどうやら現実で、まずはこれを乗り越えねば事態の収束は見込めない。
『だるまさん、だるまさん、にらめっこしましょ?』
笑ってる場合じゃねーんだわ。
『じゃあ雪合戦する?』
うーん、カタストロフ慣れって怖いな!
猟兵よ、己の為すべきだと思うことを為すが良い。
ユキ・スノーマン
ふわふわ、ふわふわ!わぁあ楽しい!
「じゅーりょく」が無いって不思議ね!
無重力遊泳を思い切りエンジョイしてるユキなのよ!
今度の遊び相手は雪だるまさん?
ね、ね、ユキのお友達になってくれるー?
ユキはねー、雪合戦は強いよーとっても強いのよー?
けれども足場がふわっふわで避けにくいし、雪玉すっごい当てられちゃうかも?
それでも氷結耐性があるし、そもそもユキは霜の精だから、寒いのもつべたいのも全然へーき!
でもでもやられっぱなしもヤだし、ユキも反撃しちゃおっかなっ
それじゃあいっくよー、【霜符解放『グレイシャルコメット』】!
雪玉って言うかぶつけるのは氷山だけどー…別にいいよね☆
絡みアドリブ連携、ぜーんぶ歓迎だよっ
●ふわふわ、ふわわ ○三 シュッ
「ほわー」
もっこもこの冬服の少女、ユキ・スノーマン(白の霜精・f28192)は緊張感のない声を上げる。
「ふわふわ……」
足元にあるはずの地面がない。不思議な感覚。
「ふわふわ! わぁあ、楽しい!」
『じゅーりょく』が無いって不思議ね!
ユキは無重力遊泳を心の底から楽しんでいる。世界の危機だろうとなんだろうと、エンジョイするものはエンジョイする。だって実際楽しいし。
ふよふよ、ふわふわ。方向転換もコツを掴むまでにはしばしかかって。
くるくると回ったところでようやく見つけるそれは、雪だるま。霜の精、いわゆるジャック・オー・フロストたるユキにはあまりに見慣れた“お友達”だ。
「今度の遊び相手は雪だるまさん?」
こんにちはー、と挨拶する間にもふわふわ。
「ね、ね、ユキのお友達になってくれるー?」
……まぁ、『『剣客』雪だるま』だって雪だるまである。元妖怪でありオブリビオンであり、しかし雪だるまである。
『雪合戦、する?』
遊んでくれる相手は常に募集中だ!
ぽぽぽぽぽぽぽ!!
重力のない空間に突如現れる雪玉の数々! 理不尽!!
しかしユキだって負けていない。
「ユキはねー、雪合戦はつよいよー。とっても強いのよー?」
ふっふっふ。「受けて立っちゃうよ!」、な姿勢のユキ。とは言っても。
ぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽ……ポが多い!!!! 違った、飛んでくる雪玉が多い!
そして普通の雪合戦と違って足元に雪が積もっているわけでもない。ふわふわと空中を浮いているだけのユキがそれらを全て避けきれるわけもなく。
「はわぁ!」
ぼすぼすとユキの体に雪玉が命中する。しかし、そもそも霜の精であるユキは氷結に耐性があるし、冷たい……とはいえ所詮雪玉。
「寒いのもつべたいのも全然へーき!」
極寒の局地で育ったユキには全くダメージを与えるものではない。ない、が。
「でもでも」
当然ではあるが、雪合戦は片方が一方的に雪玉を投げつける遊びではない。
「やられっぱなしもヤだし、ユキも反撃しちゃおっかなっ」
楽しい反撃のお時間だ!
「それじゃ、いっくよー」
せーのっと掛け声付きで。
「【霜符開放『グレイシャルコメット』】!!!」
『それ雪玉じゃなくない??』
まさかの雪だるまからの冷静なツッコミ。いえす、【霜符開放】は天空から超特大の氷山が降り注ぐという雪合戦のスケール間違っちゃってませんか感満載のユーベルコードである。
「雪玉じゃなくて氷山だけど……」
成分的にはほぼ同じだし、つめたいし、似たようなものじゃない?
「……別にいいよね☆」
いいかなぁ?!
どっかーーん!!!
ツッコミ虚しく、雪だるまは氷山の下へ。
……ところでだがこのユーベルコード、命中しなかった場合には辺りの地形を極寒の氷原へと変化させる効果もある。
「はっ、もしかして最初からこれやってれば地面があった」
……。
…………。
……………………。
ま、いっか☆
[雪合戦:剣客雪だるまVSユキ・スノーマン]
勝者、ユキ・スノーマン
大成功
🔵🔵🔵
朱酉・逢真
それ慣れちゃだめなやつじゃねえ? 寝てるまに世界滅んでる可能性があるとか、とことんココロ弱ぇやつは住めねえとこよなカクファン。やべえわ。
とりま・それはおいといて。
ふわっふわだなオイ。いや敵さんの頭ン中でなく、物理的にな。そっちもだいぶフワッフワだが。そンならそれで最初から飛べるやつ使やいいさ。
空を走る馬に引かれる戦車だ。いちばん大事なのは馬が炎でできてッとこさ。敵は雪だるま。つまりとける。
轢殺タイムだ。馬切られてもへいきさ。炎のカタマリ、実体がねえからな。すり抜けるだけさ。つか氷の刃がとけらぁ。
俺と戦車が切られんようにだけ注意するさ。とくに俺。
●この世界、だめでは?
雪合戦する? じゃねえんだよな。
朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)は少しばかり肩を落とす。アヤカシや元カミが闊歩するカクリヨファンタズム略してカクファン。この世界、ちょっとばかし世界の危機に慣れすぎている。
「それ慣れちゃだめなやつじゃねえ?」
さすが現役神様、冷静〜〜〜。
実際問題この世界、朝から晩までいつでも気付けばカタストロフ。ちょっとうたた寝してる間にも世界が滅びないとも限らない。目が覚めたら地面がないとか、普通の精神でやってられるか。
……とことん、ココロが弱ぇやつは住めねえとこよなカクファン。やべえわ。
やべえですよね。雪だるまもそう思います。
とりま・それはおいといて。
……いや待て、今おいとけないことが起きた気がする。雪だるま、オイこら。よその回想に相槌打つなよ。
『はーん?』
はーんじゃねえ。
『同意したのに……』
しょげるし。
……おいといて。
兎にも角にもふわっふわだな。逢真は改めて思う。いや敵さんの頭ン中でなく、物理的にな。そっちもだいぶフワッフワなのはもう分かったってえの。
逢真のからだも宙に浮いてふよふよ。気をつけないと何に触れてしまうか分からない。かといって、まっすぐ敵に向かうのもこの状態では難しい。
では?
そンならそれで最初から飛べるやつ使やいいさ。
──曙光の馬車。
逢真が喚び出したのは、焔の馬二頭に引かれた天を翔る戦車である。その名は明けの明星を司るもの。空を走る馬に引かれた戦車。上も下もよく分からん空間で自在に動ける。
いちばん大事なところは、馬が炎で出来てッとこさ。敵さんはひんやり雪だるま、こちらは燃え盛る炎の馬。つまり相手はとける。
さても剣客雪だるま、剣客であるからには剣を構える。その手でどうやって手に持っているのかとかは深く考えてはいけない。
鋭く光る氷の刃は、見た目よりずっと切れ味は良いのである。
が。
「轢殺タイムだ」
今さら相手の出方なんぞに興味はない。そもそもこちらは実体の無い炎の馬。斬り付けられようと切れるからだは無い。普通の刀でさえすり抜けるだけさ。それが氷の刀であったならそりゃあ……氷の刃がとけらぁ。
戦車を操る逢真は自分と戦車が切られないようにだけ気をつければいい。なんなら自分だけ守れればそれで充分。
「そォら」
焔馬が雪だるまへと向かう。対する雪だるまも刀を構えてはいるが……、
『びっ』
天を翔る戦車は容赦なく雪だるまを轢き潰し(氷の刃は案の定、戦車と逢真に届くより先にとろけてしまった)
しゅわぁ……
剣客雪だるまは奮闘(?)虚しく。とけて、蒸発していったのであった。
※ちゃんと骸魂が抜けていきました。死んでません。死んでませんったら。
「……なンっつーか、」
この世界、本当に大丈夫なんだろうか。
大成功
🔵🔵🔵
八重垣・菊花
雲珠くんと/f22865
攻撃担当
めっちゃ雪だるまおるやん、めっちゃ雪だるまおるやん!(テンション↑)
これちょっと楽しいな!(くるくる回って)
あかん、目ぇ回るわ…ってなった頃に雲珠くんがナイスキャッチしてくれて助か…雲珠くん、ちょっとそこ座り(座れない)
レディの持ち方としてこれはあかんで、抱っこ紐とちゃうんやで! もっとこう、なんかあるんちゃうかってうち思うんやけど!(心外!という顔)
うん、よっしゃ!これならええで!(ご機嫌さんは威勢よく八重の契を構えて)反動ちょっと気ぃつけてな!(ぶっ放した)
後ろいってしまうん大変やな、せやったらこれや!
UC菊花繚乱で雪だるまを景気よくぶっ飛ばす
うちメロン味な
雨野・雲珠
菊花お嬢さんと/f24068
移動と防御担当
UCで【羽音】に早着替え。
近くで回転しておられるお嬢さんを見つけてキャッチ、
同じ向きにくるり。
失礼しますね、と背中の箱から伸びる【枝絡み】の一本を
しゅるっとお嬢さんの腰に巻いて俺と固定。
…よし!(コバンザメ=スタイル完成)
…
クレームを受けてお姫さま抱っこに変更しました。
お互い両腕も空くし名案と思ったんですが…
しっかり掴まってて下さいね。
【枝絡み】を浮遊物に巻きつけては伸縮させて移動します。
飛んでくる雪玉や一閃は基本回避、
避けきれない場合は枝を重ねて防壁代わりに。
機関銃の反動はバランス取りに徹します。
…いけませんお嬢さん、雪食べたらおなか壊しますよ。
●共同戦線の作法(レディの扱い方編)
これは……これは!!
「めっちゃ雪だるまおるやん!! めっっっちゃ!!! 雪だるまおるやん!!!!」
目の前に“めっちゃおる”雪だるまにテンションぶち上がっているこちらのお嬢さんは八重垣・菊花(翡翠菊・f24068)。別になにかやばいものをキメたわけではない。単純に楽しんでいるのである。
「あー、回るわ、めっちゃ回る〜〜〜ー」
重力のない宙ぶらりんの世界。一度回り始めたら慣性の法則に従い、くるくる回る羽目になる。お嬢さん、せっかくのかわいいお着物が台無しですよ。
「これちょっと楽しいな!?」
くるくる回るのは楽しい。遊園地にあるあのカップを知っている人ならまぁ分からないでもない感覚だろう。だがぐるぐる回るのはどうだろう。ぐるぐるぐるぐる。そして自分では止まらないとなったらどうだろう。
「……あかん、これあかんやつや。目ぇ回るわ……」
そう、回ったら目が回るのが普通である。菊花嬢、その事実に気付くのが遅すぎである。
「ああ……いつの間に」
ちょっと目を離しただけだと思ったのに、もうフラフラになっている菊花を捕まえたのは、雨野・雲珠(慚愧・f22865)が伸ばした手。やんわりと衝撃のないようにキャッチして、自分と菊花が同じ向きになるように……
「失礼しますね」
言いながら、背中の箱から伸びる【枝絡み】の一本をしゅるっと彼女の腰に巻き付け自分と固定。
「……よし!」
コバンザメ・スタイル完成。素晴らしきかな安定感。
「ああ、こら助か……ったじゃないわ。何が『よし』や! おかしいやろ!!」
はい雲珠くん、そこ座り。ええから、正座しい。(※無重力下では無理です)ええか。レディの扱いっちゅうんがあるやろ。少なくともこれはレディの持ち方としてはあかんで。赤ちゃんの抱っこ紐とちゃうんやで!
もっとこう……レディに相応しいなんかアレがあるんちゃうかってうち思うんやけど!?
ぷんすかと、心外な扱いだとばかりの顔をする菊花。
「えぇ……」
はい……。雲珠はうまく正座出来ないながらも突然の説教に遭いしょんぼりと肩を落とす。
「……では、これで?」
菊花からのダンガンクレームを受け、改めて姿勢を変更する。横抱き……いわゆる『お姫様だっこ』である。
「……さっきのスタイルのほうが、お互い両腕も空くし名案だと思ったんですが……」
言っても仕方がない。なんたって相手はレディなのである。
とは言え、雲珠は【羽音】を身に着け、空中での機動力を格段に上げている。それに地面がないとは言っても、地面以外のものはあるのだ。枝絡みを伸ばして、巻き付けては伸縮することでかなり自由な移動ができる。菊花を抱えていても、相手の攻撃を避けたりするのはそう難しくない。
……まぁ、飛んできてるの、ただの雪玉なんですけど。
「〜♪」
一転、お姫様だっこされている菊花はご機嫌である。
「うん、よっしゃ! これならええで!」
にっこにこ。ご機嫌さんのお嬢さんは自前の機関銃【八重の禊】を雪だるまに向けて構え、
「反動ちょっと気ぃつけてな!」
──ぶっ放した。
ダ ダダ ダダダ ダ ダダッ
「んんー」
「……っ!」
二人揃って戸惑いの声を上げる。空中戦で銃を使用すると、どうしても反動が大きく後ろへかかる。雲珠もそれは分かっていてバランスを取るが、照準がぶれて合わせ難くなることは避けられない。
「あー、なるほど。後ろいってしまうん大変やな」
地に足つけての戦闘なら踏ん張るだけですむことが、ここではできないのだ。
「せやったらこれや!」
ユーベルコード【菊花繚乱】
たった今まで手にしていた機関銃までもが変化する、それは。菊の花の嵐──!
果たして。
「なー、うまくいったやろ」
花の吹雪に飲まれ、めっちゃおった雪だるまたちは憐れ、形を失いめっちゃ山盛りの雪に。……これどう見てもかき氷やんな?
「うちメロン味な!」
「……」
雪の山を見てワクワク顔をしている菊花に言うべきか、言わざるべきか、雲珠はほんの一瞬だけ逡巡し、しかし
「……いけませんお嬢さん。雪食べたらお腹壊しますよ」
残念な事実を彼女に告げた。
「……こんなにあるのに?」
「こんなにあってもです。そもそも妖怪と骸魂です、オブリビオンです」
「雲珠くんのいけずぅーーー!!」
そんなこと言われても。
お腹壊しても俺は知りませんよ。
その後しばしだだをこねた菊花だったが、別の機会にもっと普通のかき氷が食べられるだろうという話で一応の決着をみた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
星群・ヒカル
深く考えたくないが……この状況、おれの名字どうなってんだ?(ぞっとする)
いや、おれは超宇宙番長だ。例え名前の一部が消えようがおれはおれだ!
……あっ、『…の目』も使えねぇじゃねぇか!思ったより厄介だぞこれ。
だが地面がないのは好都合、おれには宇宙バイク『銀翼号』がある
『騎乗』し、無重力空間を縦横無尽に駆けまわろう
敵に攻撃を加えられる前に、【ゴッドスピードライド】で大加速し、先手を打つことで、第六感が使えず敵の攻撃を先んじて見切れない点を補うぜ
雪だるまでボウリングをするがごとく、まとめて跳ね飛ばして行くぞ!
ふふふ、超宇宙番長は多少のハンデくらいがちょうどいいのさ!
※苦戦描写含めアドリブ歓迎です
●不便ッ……あまりも不便……ッ!!
えっ、やばいのでは?
グリモア猟兵の説明を聞いた彼は思った。何故なら彼の名は……彼の名は、■群・ヒカル(超宇宙番長・f01648)。この世界に今現在存在しなくなってしまった概念を名前に持つ男──
「深く考えたくないが……おれの名字どうなってんだ?」
恐る恐る確認するその言葉にお応えましましょう。
A.こうなってしまいました。(上図参照)
えっ、こう……?
おれの名字がシナリオタイトルみたいな伏せ字になってるーーーーーー?!※彼の本当の名字は“星群”です。
「い、いや。それでもおれは超宇宙番長だ。例え名前の一部が消えようとおれはおれだ!」
必死に自分を守る超宇宙番長ヒカル。しかし、
「……あっ」
よく考えてみると、『…の目』も使えねぇじゃねぇか! 思ったより厄介だぞこれ?!
そう、彼の持つ魔眼は■の目。概念を失ってしまってはその効果も期待出来ない。半分以上……67点分の【第六感】をどうしてくれよう。あとちょっと視力も落ちた。
他にも彼の持つ十三のユーベルコードのうち、実に十つもが■の概念をコード名かその効果に含んでいる。
もしかして覚醒することも出来ない……?
出来ることが、ぐっと限られてくる──!!
だが!
そんなことでめげる超宇宙番長ではない。十ものユーベルコードが使えないのではない、三つも使えるコードがあるではないか。イエス、ポジティブ!!
そして幸いなことに愛車である宇宙バイク『銀翼号』は無事だ。これがあれば無重力空間を縦横無尽に駆け抜けることができる。
『だ る ま さ ん が 、 』
「させるかよ!」
雪だるまがそのどうやってその手に持っているのか謎でしかない刀を抜くより先に、ヒカルは銀翼号に跨り、宙を走る。
第六感は半減しているが、その分は先手を取ることで補わせてもらう。【ゴッドスピードライド】……!
『コロッ』
おいこら。そういうフェイント確かによくあるけど! 実際のだるまさんがころんだでは!!
雪だるまのちょっとした遊び心に本気でツッコミを入れつつ、急加速する。変形したバイクの本気の走り、真の姿──特攻形態である。
剣客雪だるまも、刀を抜いていないならただの雪だるま。ただの置き物である。ボウリングさながらその集団ごと跳ね飛ばしていく。
ごろんごろんごろん。転がり倒れる雪だるまたち。
『パッパカッパッパッパッパパー♪』とファンファーレでも鳴りそうな見事なストライク!
「ふふふ」
ヒカルは不敵に笑う。そうだ、ちょっと概念がないからなんだって言うんだ。
「超宇宙番長には多少のハンデくらいがちょうどいいのさ!」
大成功
🔵🔵🔵
箒星・仄々
雪だるまさんを倒して
憑りつかれている妖怪さんたちをお助けしたいです
概念がなくなるって大変ですけれども…
折角なので無重力も楽しみたいです
(宇宙に行ったことはありますけれども
風の魔力で浮遊移動
ふわふわと無重力も味わって
弦を爪弾き魔力を練り上げ
属性魔力宿した音色=魔力の矢で攻撃します
ここはやっぱり緋の音:炎でしょう
雪玉は疾風を纏って加速し残像分身で回避したり
炎玉で迎撃したりします
骸魂に飲まれてしまいお可哀想に
今お助けします
戦闘後に骸魂さんへ鎮魂曲を奏でます
幽世に辿り着けず
さぞ悔しく辛かったでしょう
どうぞ穏やかにお休みくださいね
妖怪さん>
大地や星が戻るまでしばしお待ちくださいね
●ふわねこ、ふよふよ
雪だるま、さん……。
ごろごろとそこら中を漂う雪だるまを見て、困った顔をしているのは箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)。……雪だるま、ですね……。
いえいえ、一見無害そうな雪だるまさんに見えますが、あれもれっきとしたオブリビオン。骸魂に、この世界に住む妖怪さんたちが飲み込まれてしまったもの。世界の危機に瀕して流れ込んだ骸魂の被害にあった妖怪さんたちを助けなければ!
仄々は強い使命感に駆られる。駆られるがその一方で。
それはそうと。……その。概念がなくなるって、大変なことだと思うんですけど。……大変なことだと分かっているんですけれども。
その誘惑にはちょっと耐えられない。
無重力空間。
宇宙には行ったことがありますけど、空中遊泳を楽しむというのはまた別の話でして、その。
無重力、楽しいです。
風の魔力でもって上手に姿勢を制御しながらの浮遊移動。ふよふよ、ふよよ。ふわふわした感覚も存分に味わったところで、雪だるまと対峙する。
『雪合戦する?』
しません(キッパリ)。
仄々は楽器の弦を爪弾き魔力を練り上げる。ぽろん。綺麗な音色には各属性の魔力が宿る。
ここはやっぱり、緋の音:炎でしょう。
ぽろろん。紡がれる旋律が炎の玉となって、雪だるまからの一方的な雪合戦ならぬ雪玉攻撃を迎撃する。
『雪合戦……しよ?』
雪玉と炎玉をぶつけ合って戦うのは……果たして雪合戦なのだろうか??
ぽんぽんと飛んでくる雪玉を、疾風を纏った仄々は加速し、影分身で回避し、あるいは炎玉で溶かしていく。
(お可哀想に)
仄々の意識は、骸魂に取り憑かれた妖怪たちへ向いている。
(今、お助けします……!)
緋の音は雪だるまたちを包み込む。やがてそれらはみな溶けて、元の妖怪と骸魂に別れていく。
ぽ、ろん。ぽろろ、ん。
見送る仄々が奏でるのは、今度は魔力を込めない鎮魂曲。ただ、その音色に想いだけを込めて。
幽世にたどり着けずに死んでいった妖怪たち。骸魂と成り果ててしまった彼らのために。
(さぞや悔しく、辛かったでしょう……)
仄々は彼らの無念を思う。どうか、彼らの魂がこれ以上迷うことなく、穏やかに休めますように。
さあ、この世界に住む妖怪さんたち。■の概念が戻ってくるまで、しばしお待ちくださいね。それが戻ってきたらきっと……このふよふよも終わってしまう。ちょっと残念なような気もしますが、そのほうが正しいのでしょう。
待っててくださいね、みなさん!
決意を胸に、仄々は元気に前(?)を向くのであった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『水蜘蛛川姫』
|
POW : 巻き捕る
レベル×1tまでの対象の【体に妖力を込めた蜘蛛糸を巻き付け、その端】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
SPD : 吸い取る
【鋭い牙での噛み付き】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【生命力を奪い自身の戦闘力を強化。敵は苦痛】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ : 絡め獲る
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【耐刃性の優れた糸で出来た、頑丈な蜘蛛の巣】で包囲攻撃する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「十三星・ミナ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
『こんばんは?』
女は微笑む。
『今夜は■が奇麗ね……』
水蜘蛛の身体に美しい女性のヒトガタを載せたソレが語りかけてくる。
『ご んばんは 今宵は■がば んはんはわ今夜■がばきれ』
思い出せない記憶に蝕まれたソレを救う手立てはもはやない。
骸魂を取り去って、あるべき世界へ流してやるべきだろう……。
▼マスターより
第二章、受付開始です。
一章から引き続き、地面の無い[=万有引力による重力のない]状態での戦闘です。なんかいい感じのプレイングをすると何かボーナス的なものが発生します。
この章からの参加、或いはこの章だけの参加ももちろん受け付けております。マスターの執筆状況などに関してはマスターページ及びついったをご参照ください。
朱酉・逢真
ああ、こんばんは。深い藍色ン中に沈んでる、金色のまぁるい光がきれいだな。いまはなァんも見えねえが。なに、そっから出りゃ見えるようになるさ。
クモ糸は眷属《獣・鳥・虫》どもを盾にして避ける。俺もでけぇ虫に乗って動くさ。世界中ふわついてんだ、そのほうが動きやすかろォよ。
そのままガッと姉さん(*水蜘蛛川姫)に寄って、直接素手でどっかに触る。いっしゅんで構わねえ。かすめるだけでいいさ。
そっから強烈な幻覚作用のある、特製の病毒を浸潤させてやる。
痛みはねえよ。俺の毒はとくべつだ。脳にも体にも警戒させん。幻覚を伴いながら、眠るように死に向かうだけさ。骸魂が抜けたら毒も抜いてやる。
なあ、■は見えたかい?
● 夢幻のその果てに 綺麗な■は見えますか?
『こ んば んは』
「ああ、こんばんは」
朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)は女の言葉に応える。そうだな、確かに今夜はいい夜だ。深い藍色ン中に沈んでる、金色のまぁるい光がきれいだな。
そう、ほんとうならそうだったはずだ。それの概念がないのでハッキリとは思い出せないが、その光景は目に浮かぶ。彼女が繰り返し綺麗きれいというのは、おそらくはそれのことだったのだろうが。
……今はなァんも見えねえが。なに、そっから出りゃ見えるようになるさ。目ェ瞑ってちゃ見えるモンも見えねえ。殻に籠もって、顔を覆っちまったその手を引き剥がしてやるよ。
『ああ、あああ、あ……!』
悲鳴とともに、逢真へと蜘蛛の糸が伸びる。
「おオっと」
しかし逢真もまた、眷属としての蟲たちを従えている。眷属には獣も鳥も蟲たちもいるが、中でも同じクモの眷属ならば、彼女が張り巡らせた蜘蛛の糸を逆手に取って無重力空間を移動することも難しくないだろう。そう判断した逢真は、大きなムシの眷属に乗って移動する。
世界中ふわついてんだ、そのほうが動きやすかろォよ。
『……!』
一瞬。水蜘蛛川姫の、美しい女性にしか見えないその顔に驚愕と恐怖が宿る。その刹那。
瞬きの間に蜘蛛糸の攻撃をいとも容易く掻い潜り、恐るべきスピードで彼女へと接近した逢真は、鼻先がぶつかるほどの至近まで距離を詰め──
「よお、姉さん」
嗤い、ただそっと優しくその頬に触れた。
『……?!』
何をされたか分からず、困惑した水蜘蛛川姫は警戒し、慌てて後退り逢真から距離をおく。
だがしかし、そんな行動にはなんの意味もない。逢真が彼女にほんの僅かでも触れた時点で、勝負は既に決まってしまったようなものだ。
『…………なに、何を……な』
くらり、ふらり、彼女の身体が揺らぐ。
・・・・
「俺の毒はとくべつだ」
逢真はにィやりと笑う。安心しな、痛みはねえよ。脳にも体にも警戒させん。
それは、逢真が操る病毒。彼が自ら生成した、触れるだけで浸潤する無限の毒。強烈な幻覚作用のある特製の病毒だ。
警戒なんぞする必要はない。意味もない。ただ……幻覚を伴いながら、眠るように死に向かうだけさ。
骸魂が抜けたならちゃあんと毒は抜いてやるよ。妖怪まで死なすつもりはねェからな。
『ア……アァ──』
女の顔が歪む。思い出せない記憶の中に、再び迷い込んで。幻覚の中で誰かとの逢瀬を見ているのだろうか。
……なあ、■は見えたかい?
幻覚の中でなら、彼女が求めてやまない──いっそなくなってしまえとまで望んだソレを見ることができただろうか?
今の逢真に……否、彼女本人以外の誰にも、それを確認する術はない。
大成功
🔵🔵🔵
八重垣・菊花
雲珠くんと/f22865
引き続きお姫様抱っこをされたまま、攻撃担当
ここの子らは骸魂だけ倒したら元の妖怪を助けれるんやろ?
せやったら、思いっきりやった方がええってことやな!
ほな雲珠くん、ここはうちの言う通りに飛んでな、頼んだで!
右斜め上!左下!
上上下下左右左右の、
(八重の契でタイミングよく制圧射撃を繰り返しつつ)
まるかいてちょんや!
まるかいてちょん、は、まるかいてちょんや!そこはフィーリングっちゅーやつやで?
しゃーないなぁ、二時の方向!
UC黄菊の誓いで、その牙も糸も蜂の巣や! ん、うちは菊やよって菊の巣やろか?
避けれなさそうな攻撃は高速詠唱で一文字を呼び出し、目眩ましの結界で防ぐ
一、頼んだで!
雨野・雲珠
菊花お嬢さんと/f24068
もどかしいですね。
何がなくなったか思い出せないのに、
ないことだけはわかるなんて。
…そうですね。惑うばかりの骸魂も、
せめて海へと還してさしあげましょう。
UCで空中戦の能力をあげたまま、
箱から伸ばす【枝絡み】を使って引き続き移動と防御担当です。
怪力、噛み付き、糸の放射。
幸い俺たちの性能は後衛ですし、距離をとって戦いましょう。
わかりました、お任せください!
はい!(しゅっ)
はい!(しゅっ)
え? え?
…わかりませんよ!お嬢さん!
(枝で防御しながら一旦距離をとる)
もう!なんですか、まるかいてちょんって。
そもそも上下左右が曖昧なのですから、
上や下ではわかりません。
●共同戦線の作法(コマンド入力編)
『きれいねきれ、 い あ。 ああ、ァ、アア……』
……。
雨野・雲珠(慚愧・f22865)は少しだけうつむく。目の前のオブリビオンの姿が、あまりにも……ままならないものだと、思わせて。
「……もどかしいですね」
小さな声で呟く。何を失ったか、もう思い出せはしないというのに、それでもなにかを失ったことだけはわかるなんて。失った痛みだけは抱き続けるなんて。
雲珠の両腕に抱えられた(いわゆるお姫さま抱っこが継続されている)少女は小さなその声を拾った。言うても、と八重垣・菊花(翡翠菊・f24068)は明るく答える。
「ここの子らは骸魂だけ倒したら元の妖怪を助けれるんやろ?」
菊花は助けようのないものより、今自分たちが助けられるものを見据えていた。
「せやったら、思いっきりやった方がええってことやな!」
「……そうですね」
菊花は雲珠よりずっと小さいが、その明るさと前向きさには助けられる。
「惑うばかりの骸魂も、せめて海へと還してさしあげましょう」
それだけが、俺たちのできることなのでしょうから。
さてと。改めて現状を確認しよう。雲珠は纏った羽音で空中起動力を上げており、両腕は菊花をお姫様抱っこしているため塞がっている。枝絡みを使いこなしての移動と回避や防御に専念出来るとも言えるだろう。
また安定は多少損ねるものの、菊花は雲珠と違って両手がフリーであり、愛用の八重の契を使用した非接近戦闘が可能だ。
「ほな雲珠くん、ここはうちの言うとおりに飛んでな、頼んだで!」
敵は主に接近しようとして、牙での攻撃を仕掛けてくる。それらをうまくすり抜けつつ、ポイントごとで反撃しようという方針だ。
「わかりました、お任せください!」
はいといつもの調子で請け負った雲珠である。しかし。
「雲珠くん、右斜め上!」
「はい!」しゅっ!
「次ひだりした!」
「はい!」しゅっ!
菊花の掛け声に合わせて雲珠が攻撃を避け、合間に射撃を重ねていく二人であったが……
「上上下下、」えっ?
「左右左右の、」えっっ???
雲珠が戸惑う間にも制圧射撃は行われている。指示された方向への移動と反動を抑えるのとで割といっぱいいっぱいである。
そんで最後に、
「まるかいてちょんや!」
「わかりませんよお嬢さん!?」
上上下下左右左右のまるかいてちょん?????
分からない、これはわからないですよ。ちょっと落ち着いてください。
雲珠は枝でなるべく敵から距離をとる。
はい、改めて戦闘方針の確認です。
もう!
「なんですか、まるかいてちょんって!」
「んもー、雲珠くんはわからんちんやな。“まるかいてちょん”は“まるかいてちょん”や! そこはフィーリングっちゅーやつやで?」
……お嬢さん、世の中フィーリングだけでは生きていけません。そもそも重力のない空間で上下左右は曖昧なのですから。
「上とか下では分かりませんって」
冷静な雲珠の言葉に、菊花はむう、と少しだけ膨れてみせる。分からないものは分からないのです。このままでは仕方がない。
「しゃーないなぁ、二時の方向!」
……って、やれば出来るんじゃないですか!!!
……今までの上下左右はなんだったのか。
まるかいてちょんとは……。
いや、深く考えてはいけない。
「いくで」
今度こそ、菊花は眼前の敵に狙いを澄ます。【黄菊の誓い】──!
無数の弾丸が、水蜘蛛川姫へと降り注ぐ。
「その牙も糸も蜂の巣や!」
ん、いや相手は蜘蛛だから蜘蛛の巣? いや逆か、うちは菊やよって菊の巣やろか?
※この場合の蜂の巣は小さな穴がたくさん空いていることの喩えです(菊の巣は菊の巣で細かい花びらがたくさんありそうですね──!)
「……っと!」
なんて悠長なことを言っている場合ではない。気が緩んだところに飛んできた一筋の蜘蛛の糸……!
「頼んだで、一!」
にぁ。
咄嗟に菊花の唱えた詠唱に応えたのはにぁという声。小さく鳴いたそれは、菊花の連れた白い猫、名前は一文字。一声鳴いて、結界で二人を守ってくれる。
「ようやったな〜。えらいで、一」
いいこいいこ、と一文字を撫でてやる菊花。
(……言っても仕方ないことだとは思うんですけど)
桜の精に抱かれた少女に抱かれる猫。本当にこれが正解なのだろうか?
(……何やってるんでしょうね、俺……)
念の為、一文字が落ちないように細めの枝で固定しておいた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
箒星・仄々
■を思い出せないのは
その為に■がなくなることを願ったのは
どちらなのでしょう
妖怪さん?
骸魂さん?
オブリビオンへ変じたせい?
答えは判りませんが
今のご様子はとても痛ましく
早くお助けしたいです
骸魂さんを海へお還し
妖怪さんを元へ戻しましょう
風の魔力で浮遊移動
疾風を纏い加速し
遠距離⇔近距離
上下左右と無重力活かし三次元に立ち回り
弦や剣に魔力宿し
三属性の旋律や剣戟で攻撃
翠の音や花萌の刃:風
緋の音や銀朱の刃:炎
蒼の音や紺碧の刃:水
糸を
烈風が切断
焔が融解
水流が粘着力を奪います
防御は残像分身や炎の盾
事後に鎮魂曲を奏でます
幽世へ辿りづけず
ご無念は如何ほどか
只々仲間と一緒に居たかっただけなのですよね
どうか海で安らぎを
●眠れぬ貴女へ 贈るうた
どうして、そんなことを願ったのだろう。箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は彼女の起源に思いを馳せる。
それがなくなってしまえばいいなんて。どうしても思い出せなくとも、けれどきっととても大切な思い出なのであろうに。それとも、思い出せないから要らないと、そう思ったのだろうか?
思い出せないでいるのは、それで苦しんで■なんてなくなってしまえと願ったのは……果たして、“誰”なのだろうか?
妖怪さんなのか、骸魂さんなのか……それとも、オブリビオンに変じたことで生まれた願いなのでしょうか?
仄々がどんなに考えたところで、その答えは判らない。
『夜■きれい今夜きれ れいねあ、 アァ ア』
虚空に向かって囁き続けるその姿は……あまりに痛ましい。
(早くお助けしたい)
骸魂さんを骸の海へとお還しして、妖怪さんを元に戻しましょう。
姿勢を維持するためにも、仄々はまた魔力を練る。風の魔力で疾風を身に纏って加速すると、水蜘蛛川姫へと向かう。速度を出して、急接近しては離脱し、緩急をつけて攻撃する。
楽器と剣に宿したそれぞれの属性の魔力。翠の音が、花萌の刃が蜘蛛の糸を断ち切っていく。蒼の音が、紺碧の刃が、糸から粘着力を失わせ、緋の音が、銀朱の刃が残る巣糸を燃やし溶かしていく。接近して断ち、離れては奏でる。
『い、ア。きれ、今夜今夜■ アァ、あ』
幾何学模様を描いた糸が、幾度も幾度も、女の悲鳴と一緒に飛んでくる。しかし時折すり抜ける糸も、残像分身や炎の盾が阻み、仄々へは届かない。
ぽ、ん。
仄々はまたひとつ、音を奏でる。
……骸魂。元いた場所から、逃げてきたもの。幽世までたどり着けなかったその無念は如何ほどでしょう。それでも、今いる妖怪さんたちのために、彼女には還ってもらわねばなりません。どんな骸魂さんもきっと本当は……只々仲間と一緒に居たかっただけなのでしょうに。
けれど、彼女が会いたかった“誰か”はここにはいない。骸魂と成り果てても彼女が■を一緒に見たかった、その“誰か”。
会わせてあげることは出来ないから、どうかせめて。……せめて、海では、安らぎを。
鎮魂曲は、無念を抱いたすべての骸魂のために。
大成功
🔵🔵🔵
ユキ・スノーマン
はぁい、おねーさんこんばんは!
今度はおねーさんが遊び相手になってくれるの?
あれ、違う?
蜘蛛のお姉さんの挨拶にふかぶかお辞儀しては
慣性でくるくる回っちゃったりしてるユキなのよ!
でもこのおねーさん、話し方、変ね?
酔っぱらっちゃってるのかな?とりあえず、頭冷やすー?
糸とか巣がしゅしゅしゅーって飛んでくるみたいだから
それをUCで迎撃するのよ
氷河のカードはさっき使っちゃったから、今度はこっち!
霜精のカードを掲げてー…
行くよー【霜符解放『スノーマンズロンド』】!
いっぱいいっぱい雪だるまさんを呼び出して
糸とかをびびびーっと撃って凍らせ撃ち落とそうね
ついでに蜘蛛さんにも、攻撃っ!
連携アドリブなんでもおっけーっ
●頭を冷やしましょう(お互い)
『こんば んは 』
「はぁい、おねーさんこんばんは!」
相手が誰だろうと律儀なご挨拶をするユキ・スノーマン(白の霜精・f28192)である。さっきまで雪だるまたちと雪合戦(?)をしていたのでまぁそれなりにご機嫌なのもある。
「今度はおねーさんが遊び相手になってくれるの?」
『今夜今夜■きれ今■ごん ば きれ ア』
「あれっ、違う?」
『アァきれい綺麗ね今夜は■こんば今夜』
「……ん????」
……えっ、会話成立したの最初だけ?!
そうです。
しかしそれはさておき、深々とお辞儀した勢いが慣性の法則に従ってユキの身体は無重力空間でぐーるぐる。
それにしてもこのおねーさん、話し方、変ね? 遊んでくれるのじゃないのかな? あ、もしかして!
「酔っぱらっちゃってるのかな?」
明後日の方向に回答を見出したユキである。
酔っぱらっちゃったときの対処法なら知らないでもない。
「とりあえず、頭冷やすー?」
『こんば今夜■こんきれいこんこんアアアアア』
返事(?)と一緒に返ってくるのは蜘蛛の糸による攻撃! なんなら噛み付いてくる!!
「氷河のカードはさっき使っちゃったから」
あの雪合戦で使ってしまったので。
「今度はこっち!」
ユキは先ほどとは別のカードを手にする。それは、霜精のカードである。
「行くよー、【霜符開放『スノーマンズロンド』】!!」
さてこのコード、名前からなんとなく想像できるだろうが雪だるまである。ユキがこのユーベルコードを使用することによって、雪だるまの無限増殖の封印が解かれ、後から後から、際限なく雪だるまが湧いてくるのである!
この光景、さっきも見た気がしますね!(カタストロフかな?※違います)
と。しかしこの雪だるま、ただの雪だるまではない。絶対零度の冷凍光線をびびびーっと放つ割とガチで強めな雪だるまである。
凍る、凍る。絶対零度の前では蜘蛛の糸など何の意味もない。水蜘蛛川姫の身体にもそれは少なからぬ影響を及ぼした。
びびびーっ。
『き……ァ ■、夜は 麗……ア』
水蜘蛛川姫。水蜘蛛も川姫も水に由来する妖怪である。その生態の基盤となるはずの水が凍ってしまっては、本領も発揮出来ないということだろう。
「……頭冷えたかな?」
そこまでいったら、冷やすのをやめて一度寝たほうがいいと思います──!
大成功
🔵🔵🔵
星群・ヒカル
引き続き万全ではないおれだが、意に介している暇はない。
早く…を取り戻すぞ!
引き続き銀翼号に『騎乗』し、敵の攻撃を交わしていくぞ
「どうやら心の道標を失ってしまったようだなッ!
てめーと世界が失ったのは、人が見上げる道標だ
そして炎の命を持つ、輝きの極致だ!
思い出せないというのなら、今おれこそがそのものになってやる!」
【超宇宙・拡我黎明光】にて啖呵を切る
成功率を上げる行動は「おれに敵のUCで巻きついた糸を、逆に掴んで敵をぶん回す」だ
銀翼号の力も使い、高速スピンすることで戦闘不能にさせるぞ!
ふふふ、宇宙旅行体験ってところだな
早くあるべき姿に戻るんだ
そして……、幸せに過ごせよ?
※苦戦含めアドリブ歓迎です
●きらきらひかる かなたのひかり
引き続き万全ではない(全くもって万全ではない)■群・ヒカル(超宇宙番長・f01648)である。ご覧の通りの有様(※彼の本名は星群ヒカルです)なのでやってられない。
しかし、そんなことをいちいち意に介する超宇宙番長ではない。早く……アレあの、ソレ、その■を取り戻すぞ! 不便だからなッ!!
愛車である宇宙バイク銀翼号に跨り、襲いかかる蜘蛛の糸を猛スピードで躱していく。
だが、逃げるばかりではどうしようもない。ヒカルは水蜘蛛川姫へと向き直る。同じ言葉を繰り返し繰り返し、うわ言のように囁き続ける彼女へ。
「どうやら心の道標を失ってしまったようだなッ!」
──啖呵を切る。
「てめーと世界が失ったのは、人が見上げる道標だ。そして炎の命を持つ、輝きの極致だ!」
ヒカルもよく知るそれは、燃えるような命の輝き。かつての世界中に当然にあって、尊く、まばゆいもの。
……だったはずだ。(今ここにはその概念が存在しないのでちょっとうろ覚えである──!)
「思い出せないというのなら……、
今、おれこそがそのものになってやる!」
そこまで言い切ったヒカルは、今度は相手の攻撃へと突っ込んでいく。回避を行わない。
妖力の込められた蜘蛛の糸が一斉にヒカルの身体と銀翼号を絡め取らんとする。それを。
ヒカルはその糸を束ねて鷲掴みにし、ぐいと力を入れた。
少年と侮るなかれ、彼は超宇宙番長である。その事実さえ揺るがなければ、なにも怖じる事などない。
「い く ぜ ッ」
気合を込めて、その糸を強く引き銀翼号を駆る。
彼の選択した行動はつまり、『自分に巻き付いた糸を掴んで、逆に敵をぶん回す』だ!
『ア ァ、 』
悲鳴なのか何なのかもはや分からない声が女から漏れる。銀翼号の力も使い高速スピンをすれば、重力のないこの世界では無限に回り続けることすらできるかもしれないくらいの大回転……!!
重力はなくとも回転は遠心力を生む。遠心力は外側へ向かう力となって、彼女に、彼女とヒカルを繋いでいた糸にかかり──
ぶちり。
それが途切れれば、超高速でぶっ飛んで行くのは自明の理。彼方へ飛んでいく姿に、キラーンというエフェクトが入ったら良かったのだが……概念が無いので『彼女は■になったのだ……』というおかしなナレーションが入るオチが待っていた。すまない。本当にすまない。反省はしていない。
「ふふふ、宇宙旅行体験ってところだな」
彼方に飛んでいく彼女を見送るヒカルは切なく笑う。
「早くあるべき姿に戻るんだ」
そう、骸魂さえ抜ければ元の生活に戻れるはずだ。きっと。そして……、
「幸せに過ごせよ?」
今度こそ。無念に囚われることなく。
●消えていく、きえて あわく
『アァ……』
重力の無い空間が消えていく、川姫の身体が透けていく。
本来あるべき姿へと、世界が戻っていく。足元には大地が。空には星が。そして、
ああ、そして。
彼女が焦がれたそれが。
いつしか思い出の中で色褪せてしまったそれ。
満天の星に劣らず輝くそれは、この世界のすべてを淡く照らし出していた……。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 日常
『天体観測』
|
POW : わいわいと楽しむ
SPD : しっとりと眺める
WIZ : 流れ星を探す
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
返ってきた星という概念。
ただいま地球、おかえり星空。
もうすぐ星見の季節だから準備していたんだよ!
妖怪たちは口々に猟兵たちを誘う。
あなたを誘ったのはどんな妖怪だろう? あるいは誘いは断って、みなとは離れて静かに過ごすのもいいだろう。
誰とどんな空を眺め、どんな時間を過ごすかはあなた次第だ。
ユキ・スノーマン
雪合戦で運動したからかな?
なんかスリムって言うか平たくなった雪だるまさん達と一緒に
天体観測してまーす
でもやっぱり動くの大変そーね?
後で雪降らして雪集めて、丸くころっころに治してあげる!
戦友へのあふたーけあもバッチリなユキなのよ!
うーん雪模様の空が一番なのは言うまでもないけど
きらきら星空もなかなかね!
…なーんて言って眺めてるんだけど
やっぱり雪だるまさん達は首がねー構造があれだから、みづらそー
ちょっとお空見るの手伝ってあげるーって
首をちょっと動かしてあげるんだけど
(ごきっ)…ああっ、雪だるまさんの首が大変な事にっ?!
…ううん戻せば大丈夫。全然大丈夫だよねーっ☆
絡みアドリブ連携、ぜーんぶ歓迎だよっ
●ころころ、ころころ、雪だるま
『見る?』
「……うーん」
天体観測に誘われたユキ・スノーマン(白の霜精・f28192)。誘ってくれた雪だるまさんをじーっと見る。
「なんか、スリムになった?」
『?』
骸魂が抜けたからだろうか、それとも盛大な雪合戦で運動をしたからだろうか? なんとなくスリムになったというか平たくなった雪だるまさんと一緒に星空を見上げる。
いや、しかし気になる。雪だるまはもっとこう、ふっくら丸くあるべきだろう。それに、
「やっぱり動くの大変そーね?」
雪が足りないのか、やや平たい雪だるまは移動もちょっと不便そうだ。
「後で雪降らして雪集めて、丸くころっころに治してあげる!」
今やると、空が見えなくなってしまうので顰蹙ものだろうから、残念ながらしばらくはこのまま我慢してもらうしかないけど。
「ふふん。戦友へのあふたーけあもバッチリなユキなのよ!」
ドヤァ!
そう、雪だるまさんとユキは雪玉を(ときには氷山を)ぶつけ合い、雪合戦の中で共に戦った戦友なのだ。
『〜♪』
……え、そもそも雪だるまは妖怪なのかって?
そりゃ雪男が妖怪なら雪だるまだって妖怪でしょう。剣客雪だるまは剣客と雪だるまの合体した姿なわけですから、どっちも妖怪だったはずです。それにユキだって霜の精。ジャック・オー・フロストは立派な西洋妖怪だ。つまり似たような雪だるまももちろん妖怪。
これにて、証明、終了!(Q.E.D.)
さておき。
「きらきら星空もなかなかね!」
ユキにとってはちらちら雪降る雪模様が一番なのは言うまでもないが、こうしてみると星の見える夜空というのも悪くない。
「……なーんて」
そんなこと言って眺めてはみたものの。気になることがひとつ。
ユキはおとなりの雪だるまさんを見る。みんなして空を見上げている。見上げているとは言っても雪だるまの首というのは皆さんご存知の通りあれなのである。
「やっぱり雪だるまさん達は首がねー、あれだからねー」
見づらいよねー。うん、ユキがお空見るの手伝ってあげるー!
こうして、こう……こう!(ごきっ!)
『!!』
「!!!!」
……。…………。
ああっ、雪だるまさんの首が大変な事にっ?!
※何が起きたかはご想像にお任せします。
ううん。ううーん、戻せば大丈夫。大丈夫……だよねーっ☆
そっと雪だるまさんの首を元に戻すユキ。
オッケー、大丈夫。なんとかなってる。
……天体観測って、楽しいなぁ。
大成功
🔵🔵🔵
雨野・雲珠
お嬢さんと/f24068
一つ目小僧さんの手招きを受けて、
いっしょにゴザの上に寝転んで空を見上げます。
無重力下で飛び回ってたせいか、
ちょっと体が重く感じるのでありがたいです。
む。どうでしょう、比べられるほど知識がないんですが…
あれが一反木綿座(適当)
ふふふ。
一つ目小僧座?
うーん…じゃあ、あの大きくて明るいの。
☆
お嬢さん、お嬢さん
ここで寝てはいけません、非力な俺に家まで抱っこは無理です。
そんな根拠のない信用は捨ててください。
もう…じゃあこの鈴持って。
中で寝ててください、おうちまでお届けしますから。
(※箱宮の中に休憩所があります)
お嬢さんがおねむなのでそろそろお暇しますね。
みなさまもどうぞお達者で。
八重垣・菊花
雲珠くんと/f22865
ほんま星が戻ってよかったなぁ
ふわふわしてるんも楽しかったけど、やっぱり地面に足付いとると安心するんよ
妖怪の子らも楽しそうやし、うちらも星を見るんやで!
一つ目さんのお目目は可愛いらしなぁ、遠くもよぉ見える?
ところで星座って、UDCアースと同じの見えるんやろか?
夏の大三角形とかある? あらへんかな(星空を見上げて探してみる)
はっ! そもそも、星座の名前自体違う可能性めっちゃあるやんな、妖怪の名前ついた星座とかあるかもしれへんで、雲珠くん!
んふふ、こいぬ座くらい無理あるで、一反木綿座
んん、寝てないよ…うう、雲珠くんやったらいける、うちは信じとるで!
ほなお邪魔しました、またなぁ
●星と星、つないで
「ほんま」
ほんーーーま。
「星が戻って良かったなぁ」
とん、とん。地面を跳ねるのは八重垣・菊花(翡翠菊・f24068)。
「ふわふわしてるんも楽しかったけど、やっぱり地面に足ついてると安心するんよ」
「それは……分かります」
そしてその隣でちょっとくたびれた顔をしているのは桜の精、雨野・雲珠(慚愧・f22865)。くたびれていて当然である、戦闘中ずっと菊花をお姫様だっこして飛び回っていたのだから。
無論菊花とて終始攻撃のためにあれこれしていたのだから、二人とも疲れていないわけではない。
そんなところに。
「……」
おいでおいでの手招きをする、一つ目小僧さん。どうしたんですか? ゴザの上にみんなで座ったり寝転んだり……え。上を指さして……空、ですか?
「戻ってきた星、一緒に見よってことちゃう?」
「……ああ」
なるほど、確かに。暦が同じなら、もうすぐ星の綺麗な季節のはずだ。
どうします、お嬢さ
「うちらも星を見るんやで!」
お目々がキラッキラである。
「だってなぁ。妖怪の子らも楽しそうやし」
「……まぁ、そうですね」
お言葉(?)に甘えるとしましょう。妖怪たちに倣って、ころん、と雲珠はゴザの上に寝転がる。そこそこ長い時間を無重力で散々飛び回っていたおかげか、少々ばかり身体が重く感じるのだ。転がって休めるのは正直言ってありがたい。
「一つ目さんのお目目は可愛らしなぁ、遠くもよく見える?」
やっぱり目ぇ、大きいし。星もきれーに見えんのかな??
(期待に応えられなくて申し訳ないが……この目は人をおどろかすためのものなので、視力は普通です……)
一つ目小僧はちょっとしょんぼりしているが、ちゃっかり双眼鏡を持っている。……なぜ“双”眼鏡……?
さておき。
菊花は雲珠の隣にちょこんとお行儀よく座る。季節外れの雪合戦の後のせいか、空気も澄んでいて星がよく見える。
「……ところで星座って、UDCアースと同じの見えるんやろか?」
素朴な疑問。幽世はUDCアースとは隣接しているが、過去とも密接な関係にある場所。同じものが見えてもおかしくないが、全く別のものが見えてもおかしくない。
む。
言われた雲珠は真面目に考える。
「どうでしょう、比べられるほど知識がないんですが……」
今見える星空と、UDCから見える星空に如何ほどの違いがあるとかは、専門知識がないとハッキリとは分からない。
「な、な。夏の大三角形とかある? あらへんかな」
細かい差は分からずとも、目立つ星なら見つけられるかもしれないと菊花は目を凝らす。……うーん、いつもより星多く見えて逆に分からん!
「はっ」
いま気付いてしまったんやけど。ここってカクリヨファンタズムやん。土地が違えば星座の呼び方も違う。星座の名前が違う可能性めっちゃあるやんな。
「妖怪の名前ついた星座とかあるかもしれへんで、雲珠くん!」
「じゃあ」
またしばらく熱心に空を見上げていたふたり。ふと声を上げたのは雲珠のほうで
「あれが一反木綿座。……とか」
あの星とあの星とあっちの星を繋いで、こう。思い付いたままの適当なオリジナル星座の名を口にした。
「んふふ、なにそれ」
菊花はくすくす笑う。雲珠も笑う。
「ふふふ、駄目ですか?」
「こいぬ座くらい無理あるで、一反木綿座」
おおいぬ座と違ってこいぬ座ってあれ、ただの星ふたっつやん。それより一個星増やしただけやん。ボケるにしても天然にしてももっとマシなのあるやろ。
ほら、さっき誘ってくれたあの子とか……。
「一つ目小僧座?」
うーん、それじゃ……。
☆
雲珠は空の中でも一等まばゆく輝く星を指差す。
「あの大きくて明るいの」
あれを中心にした一つ目小僧座はどうでしょうか。
……お嬢さん?
お嬢さん。お嬢さんったら。
「こんなところで寝てはいけません」
「……。んん、寝てないよ?」
いやほぼ寝てましたってば。ここで寝られたら困ります。無重力空間とは違うんですよ。
「非力な俺に家まで抱っこは無理です」
うう、と菊花は目をこする。
「いける。雲珠くんやったらいける、うちは信じとるで!」
「そんな根拠のない信用は捨ててください……」
何なんですかその謎の信頼は……。
大丈夫、いけるいけると言いながらも、ふにゃふにゃととろけていく菊花。うーん、これは完全におねむモード。
「もう……」
仕方がない。こうなってしまっては起こすのもかわいそう……というか無理だ。
「じゃあ、この鈴持って」
「ふぁい……」
菊花はなんとか差し出されたそれを手にする。
「中で寝ててください、おうちまでお届けしますから」
雲珠はいつも背負っているそれ……箱宮を提示する。福来鈴を持ったものがこの箱宮の神紋に触れれば、中のユーベルコードで出来た空間で休憩ができる。なんなら中で眠ってしまっても構わない。
背負っている雲珠には菊花の重さが実質ゼロである(ゼロである)(乙女の重量など気にしてはいけない)。
では。
と、支度を整えた雲珠は改めて、ゴザの上にいる妖怪たちへと向き直る。
「お嬢さんがおねむなので、そろそろお暇しますね」
「むー、まだ寝てへんて……ご挨拶くらいちゃんとせな……」
まだ起きてた。
「ギリ。起きてるで……」
「みなさまもどうぞ、お達者で」
「ほなお邪魔しました、またなぁ」
雲珠がぺこりとお辞儀をし、菊花も挨拶をしてから言われた通りに神紋に触れ、ゆらりとその姿を虚空へ消した。
……おどろかすのが大好きな妖怪たちがそれを見ておどろいて、──ちょっと嫉妬されたのは、ここだけの話である。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
星群・ヒカル
かさみ(f01162)と。
名前も『目』も元通り……ふぅ、やっとしっくりくる感じだ。
「……お、来たかかさみ。(手を振り)
突然呼び出してすまないが、かさみと一緒に見たい景色があるんだ。」
連れて行くのは、妖怪たちと『コミュ力』で仲良くなって聞き出した、星見のベストスポットだ。
ふふふ、気に入ってくれたようでよかった。
……きらきら光る星空の下で、不意に彼女の横顔から目を離せなくなる。
優しく彼女の顔に触れて、唇を彼女のそれに寄せようか。
っ、あまりに急すぎたか……!?
我に返って恥ずかしいし真っ赤になってるけど、夜闇ん中なら気付かれないはず。
「まぁ、こないだのお返しって奴だ」
そう言って、また星空を見上げよう。
山鹿市・かさみ
星群・ヒカル(f01648)くんと一緒に。
最近恋人になったヒカルくんに呼ばれてきたんだけど、どうしたのかな。
とりあえずどこかに案内してくれるみたいだし、ヒカルくんについていくよ。
わぁ、星がいっぱい・・・!都会じゃ考えられないね、これ。
何ていうか、ヒカルくんは結構ロマンチストで。
こういう景色を見に連れてってくれるからすごく嬉しい。
たぶん私は目を輝かせながら星を見ていると思うけれど、
彼からアクションがあればそれに応えるかな。
これでもカサミは女の子、男の子からリードしてほしい時もあるのです。
私からは何もしないけど基本は拒みもしない。
向こうが何かしてきたら、驚いて照れて笑いながら黙って寄り添うくらい。
●これからも ふたり
「ふう……」
星群・ヒカル(超宇宙番長・f01648)は深く息を吐いた。ようやく。ようやくだ。
名前も元通りに戻ったし、『目』の感覚も返ってきた。その安心と、
(……かさみ)
彼女は来てくれるだろうか、という漠然とした不安から。
いや、もちろん来てくれることは知っている。行くと答えをちゃんと得たのだから、来てくれないなんてことはあり得ない。そんなこと分かっているのに、それでもその姿を確認するまでは落ち着かない。そわそわする。
「ヒカルくん?」
きょろきょろと辺りを見回しながら、ヒカルの姿を認めて声を上げたのは山鹿市・かさみ(大音帝ヤカマシャー・f01162)だった。ヒカルの、その……ごく最近関係が成立した、恋人である。
「……お、来たか、かさみ」
かさみからしてみれば、ヒカルが依頼に行ったと思ったら急に依頼先から呼ばれた、という状況ではある。人手が足りないとか、そういうことなのかなと思ったけど、どうやら違う。
(どうしたのかな)
少し不思議に思いながら、手を振るヒカルのもとへと歩み寄る。ヒカルの言うには。
「突然呼び出してすまないが、かさみと一緒に見たい景色があるんだ」
分からないけど、どこかへ連れて行こうとしているみたい。案内はしてくれるようだし、とりあえずついて行ってみよう。
ヒカルはそっと、さり気なくかさみの手を取ると、林の方へと歩いていく。しゃらしゃらと音を立てる独特の細い葉が揺れる。
目指した先は妖怪たちから教えてもらった、笹の葉の途切れる不思議な広場。星見のベストスポットのひとつだという場所だ。シートを広げてまたピクニック、というわけだ。
「わぁ、星がいっぱい……!」
見上げるかさみは感嘆の声を上げる。船から見るのとはまた別の星空。
……ヒカルくんって、ただの熱血に見えて結構ロマンチストで。こういう景色を見に連れてってくれるから、嬉しい。そんなが彼のことが好きでいられて、そんな彼に好いてもらえていて、うれ。
「都会じゃ考えられないね、これ」
空気がきれいだし、周囲が明るくないからこんなにもたくさんの星がみえるのだろう、とかさみは思う。
隣に座ったヒカルもそうだろうと思う。だがヒカルは星空より、目を輝かせて星空を見上げるかさみの横顔から目が離せないでいた。
手の届かない空より、こんなにも近くにこんなに綺麗なものがあるなんて……。
思わず。
いや、その言い方は互いに失礼だろう。溢れる感情を表すにはそれが自然だと感じた。だから、ヒカルは優しくかさみの頬に手を添えて、そっと彼女の唇に自分のそれを重ねた。
「……」
……しまった、あまりに急すぎただろうか……!?
かさみのまんまるな目がこちらを見ている。やばい、我に返ってしまう。恥ずかしい。耳が熱い。
「……ふふ」
自ずと照れ笑いが出てしまう。真っ赤になった耳は夜の暗さで見えないから。かさみは軽く目を瞑り、ヒカルの肩にゆっくりと体重をかける。……カサミだって女の子ですから。たまにはこうやってリードしてもらうのも、悪くないのです。
嫌がられたわけではなさそうだ、と感じたヒカルもようやく身体の力を抜く。肩に手を置くくらいなら……だ、大丈夫。自然にできるはずだ。
「まぁ、こないだのお返しって奴だ」
先日は不覚をとったから。
そう言ったきり、ヒカルは今度こそ星空を見上げる。
部屋の小さな窓から見るよりずっと大きくて広い空を、また少し距離の近付いた二人で見上げた。こういうささやかな時間を、二人でもっと、ずっとたくさん、積み重ねていこう。
……ヒカルはそんなことは口には出さないが、つまりはそういうことなのだろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
箒星・仄々
大地をきゅっきゅっと歩くのはいいですね~
ふわふわ無重力も楽しかったですけれども(笑
折角なので天体観測
世界の成り立ちからすると
UDCアースの過去の空が見えるのでしょうか?
ともあれ楽しみたいです
東洋妖怪の織姫さんと彦星さんが
七夕の空を解説して下さるなんて贅沢です♪
お月様に天の川
空気が澄んでいて(そして過去の遺物だから?
本当によく見えて眩いです
静かな水面とそこに映るお月さま(もしかするとお星様も!
鏡映しが幻想的です
川姫さんに憑りつかれていた妖怪さんは
ご息災でしょうか
お二方に御礼を言い別れ
他の方の邪魔にならぬよう離れて
空と水面を同時に見渡せる場所で
静かに竪琴を奏で
只々満ち足りた時間を静かに味わいます
●天にも川ありて
もきゅっ。もきゅっ。
箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は足元の感覚を確かめる。
「大地をきゅっきゅっと歩くのはいいですね〜」
回ったりしないし、ふわふわもしない。改めて、大地を踏みしめることのありがたさが身にしみる。……いえ、ふわふわ無重力もそれはそれで楽しかったですけれども。たまの楽しみとしておくのがやはり良いのでしょう。
「猟兵さん、猟兵さん」
「一緒にお空を見ませんか?」
男女二人組の妖怪に誘われて、折角なので天体観測のお仲間に入れていただきましょう。幽世から見える空には何が見えるのでしょう?
カクリヨファンタズムはUDCアースと隣接する世界。今は失われた地球の歴史や過去が入り乱れる、ちょっと変わった世界のはずだ。ここからなら……もしかして、天体観測でUDCアースの過去の空も見えるのかも?
何はともあれ楽しそうなのは間違いない。
ところで、お二人はなんの妖怪さんなのでしょう?
仄々は天体観測に誘ってくれた二人を見上げる。ちょっぴり古風にも見える服装。サムライエンパイアなどに見られるのとよく似た装束だから、やはり東洋の妖怪さんでしょうか?
二人はそれぞれに、
「織姫でーす♪」
「牽牛こと彦星でーす★」
というノリノリの自己紹介。(これ最近テレビでやってるやつの影響受けてる絶対──!)
「だからですね、実際あれって川なんですよ〜」
と、織姫様。
「いやー、天帝もひどいですよね。自分で娘紹介しといて引き裂くとか……ま、遠恋も遠恋で楽しっすけど」
と、彦星さま。
二人は天を示しながら語る。あの白い筋が天の川。両岸に光るのがそれぞれを表すという星たち。物語の悲恋よりずっと楽しそうな物語と、それに纏わる星々の話を仄々に語り聞かせてくれる。
物語の本人から七夕の空を解説してもらえるなんて……これはとんだ贅沢ですね♪
「……」
仄々は空から池へと視線を移す。どうやらここは川から注ぐ水で作られた池のようで、その水面には望月を少しだけ過ぎた明るい月が浮かんでいた。水のたゆたいと空気のゆらぎでそれぞれに瞬く星と月が幻想的に見える。鏡写しの星空と水面。
かつては、……彼女も、誰かとこんな風な時間を過ごしたのだろうか。彼女……川姫さんに取り憑かれていた妖怪さんもちゃんとご息災でしょうか?
ふと不安になった仄々に、二人の妖怪はからからと笑ってもちろんだ、と答えた。あなた達のおかげで元気だし、なんならこの池の上流で空を見上げているだろう──ありがとう、とまで。
それなら、良かった。
安堵した仄々は(感謝の言葉に少々気恥ずかしくなったこともあり)、二人の前を退出することにする。たまにしか会えない恋人同士、これ以上お邪魔するのも無粋というものだろう。
お誘いいただいたこと、楽しいお話を聞かせてもらったことに丁寧にお礼を述べて、ぺこりをお辞儀をする。
……どこへ行きましょう。
仄々はしばし歩いて、他の人の邪魔にならない場所を探す。池の周りにはたくさんの妖怪たちがいて、皆が楽しそうに空を眺めている。
彼らの邪魔にならない、だけど空と水面が綺麗に見える小高い丘のベンチを見つけた仄々は、ひとり竪琴を奏でる。
静かな小夜曲は、誰の耳に届けるでもなく、空へ。
そうして満ち足りた時間をゆっくりと味わった仄々であった。
大成功
🔵🔵🔵
朱酉・逢真
骸魂ののこりはいるかい? 残留思念てやつさ。消え尽くしてねえンなら、盛り上がってっとこから遠く離れたとこに来てくれねえもんかね。ちょいと用がある。
足の下に広がる真っ黒い《恙》から笛をひとつ喚び起こし吹いてやる。霊素を固めてかりそめの体をやろう。他者を害せねえように弱っちいのをな。
肉体を失った骸魂をむりやりつないでんだ。24時間どころか一晩も保たねえだろうさ。ああ、それでいい。たいしたことがしてえわけでもねえさ。
見えるかい、姫さん―――今夜は月が綺麗だなァ。
● 今 は 綺麗 。
妖怪たちは楽しそうに空を見上げている。猟兵たちもまた、彼らに誘われて、空を眺め、星を愛でては楽しそうに各々の時間を過ごしている。
その中で、朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)はひとり、その誰からも離れた場所にいた。彼らのともす灯りは少しばかり届くが、喧騒は届いてこない。
──なあ、いるかい?
逢真はそっと呼びかける。只人が見ても(この世界に数多いる妖怪たちが見たとしても)、虚空に話しかけているように見えただろう。だが彼は。
──ああ、いたいた。
見つけた。
彼は、只人ならぬ身であるから。
愛でるのは星ではないのだ。
それは、微かな思念の残滓。骸魂と呼ぶほどの確かさを持たない、ほんの僅かな残留思念である。
おいで、おいで。盛り上がってっとこからはちょいとばかし離れてよ。ちょいと用があんのさ。
逢真は足元に広がる真っ黒い《恙》から笛を喚び起こす。奏でる音色は呼ばれたソレにほんの少しの力を与える。それは、逢真の眷属としての力。霊素を固めて形作られたかりそめの体。
その存在はか弱く不安定で、しかし確かに黒髪の女の姿をしていた。
『……?』
彼女は戸惑いを見せる。
何が起きているのだろうか。何故、呼ばれたのだろうか。これは一体どういう意味のあることなのだろうか。
……逢真に言わせれば、どうということでもないのだが。
「かりそめの体をやろう」
既に一度死した妖怪の魂である骸魂。それが強い願いと共に肉体を得て、また失ったのをむりやりにつないでんだ。本来ならもっと保つ眷属を作れるんだが、今回はそうはいかんだろ。
24時間どころか一晩も保たねえだろうさ。だが、ま、一晩ありゃあ充分じゃねえかと。
逢真は薄く嗤う。
彼女は戸惑いながらも、そのかりそめの体を受け入れたようだったので。
『……』
不安そうながらも、彼女は逢真から少しの距離を置いて止まる。逢真が何を言うのか、僅かばかりの期待を持ってその朱い瞳を見ている。
「ああ、それでいい」
期待されるほどのことではない。たいしたことがしてえわけでもねえさ。
なあ。
逢真は外界を見下ろす。街にはちらちらと灯りがみえる。妖怪たちの集う池の周囲では天体観測が行われていて薄暗い。水に映っているのは空に在るのと同じ星々、天の川、そして──
「見えるかい、姫さん」
空を明るく照らすそれが、今なら見えるかい。
「今夜は月が綺麗だなァ」
『……ええ……』
ああ。その一言で。
──「今宵は■が綺麗ですね」──
すべてがとけていく。
ああ。ただ、もう一度。
その言葉を聞きたかっただけなのだと。
『──ありがとう……』
小さな、本当に小さな声を残して。
今度こそ。
そのささやかな願いだったものは、この世から姿を消した。
大成功
🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2020年07月07日
宿敵
『水蜘蛛川姫』
を撃破!
|