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囚われし者・抗いし者

#アポカリプスヘル

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#アポカリプスヘル


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 それは一言で表現するならば、“地獄”だろう。
 その地を支配していた狼藉者たちすら、逃げ惑う地獄。
 異形の動物たちが、次々と逃げ惑う者たちを喰らっていく。
 抗うことは困難――であれば出来ることは、一途の願いを込めて逃げることだけ。
 青年もまた、そうすべきなのだ……本来であれば。
「助けなきゃ……」
 己に出来ることなど無い……何故なら彼とて、狼藉者たちに虐げられてきた奴隷の一人だったのだから。
 己の無力など、百も承知。

 それでも尚、青年は止まらない。
 己が心の衝動のままに、危険の中へと飛び込んで行くのであった。


「馬鹿な奴、なんだろうけどねぇ……死なせたくないねぇ」
 そうしみじみと言葉を零すのは、老齢のグリモア猟兵――中御門・千歳(死際の悪魔召喚師・f12285)だ。
 千歳によれば事件はアポカリプスヘルのとある拠点(ベース)で起こるという。
 しかしそこは通常の拠点では無い、アポカリプスヘルの環境に絶望し、力で他者を奴隷とし、虐げる狼藉者たちが支配する拠点だと言うのだ。
 千歳の予知では、その拠点がオブリビオンに襲われ、狼藉者も奴隷も等しく殺されてしまうという。
 千歳が言う馬鹿な奴……とは、そんな中、奴隷の一人が一人でも多くの人々を逃がそうと、孤軍奮闘する者が見受けられたというのだ――それこそ、狼藉者も、奴隷も等しくだ。

「そいつはパッと見は普通の男だけどさ、間違いなくリーダーの器だよ」
 猟兵たちであれば狼藉者たちを倒すことは造作も無いことだ……だがそれでは、彼らはその後自立し、生き延びることは出来ないだろう。
 故に猟兵たちは導く必要があるのだ、その気弱気な青年を。

「まずはその拠点に潜入しておくれよ、いざという時の為にさ」
 今後のことを思えば……青年がリーダーとしてやっていく為には、後のオブリビオンの襲撃は必須。
 だが同時にそれによる被害者を無くす為には、事件が発生したタイミングですぐさま動くことが可能なよう、猟兵たちは拠点へと潜入する必要があるだろう。
 そこでは奴隷たちが虐げられ、そして戦わせられる血濡れた闘技場が開催されている。
 猟兵たちはそこに奴隷として、スタッフとして、はたまた観客として潜入することが可能だ。
 ただし一点、注意が必要なことがある。狼藉者の中でも特に支配層――肩に棘付きパットを付けた者たちには、逆らってはいけないことだ。
 すぐさま騒ぎが拠点全体に広がり、オブリビオンの襲撃時の被害が、むやみに広がる可能性が考えられるのだ。

「オブリビオンが襲撃を開始したらさ、助けてやっておくれよ……皆をさ」
 オブリビオンの被害を防ぐ為、襲撃が開始されたならば猟兵たちは人々を守りながら戦う必要があるだろう。
 そして後のことを考えるならば、件の青年が奮闘する様を支援すべきなのだ。
 幸いなことに予知によればオブリビオンはそこまで強力では無い……もしも猟兵たちが支援をするならば、青年や青年に鼓舞された人々が戦うこととて、可能なのだ。
 予知の中で青年は奴隷も、狼藉者も厭わず助けようと奮闘していた……色々と思うところはあるだろうが、千歳としても出来れば狼藉者も含めて助けて欲しいと願っているようだ。

「オブリビオンを撃退したら、そのままその拠点を支援してやっておくれよ……乱暴やってた馬鹿や、奴隷根性がしみついちまってるやつもいる。少しばかりケツを叩いてやらにゃ、リーダーだって大変さね」
 無事青年と共にオブリビオンを撃退したのならば、青年がリーダーとして認められることは難しくは無い。それでもそれは過半数であり、それなりの数認めない元狼藉者や、何も考えないことに慣れてしまった元奴隷たちがいるだろう。
 猟兵たちには破壊され尽くした拠点の修理を、物資補充を支援しながら、彼らを鼓舞、又は叱咤して欲しいというのだ。

「色々と気を回してもらうことが多いけどさ、宜しく頼むよ」
 老齢のグリモア猟兵は、そう言いながら猟兵たちを送り出す。
 猟兵たちが、人々を上手く導けることを祈りながら。


きみはる
●ご挨拶
 お世話になります、きみはるです。
 今回はヒャッハーしているモヒカンたちが支配する地を舞台に皆さんにご活躍頂きます。
 純戦闘では無く一捻りした依頼を目指してみましたが、皆様の目にとまりましたら嬉しく思います。

●依頼について
 一章:奴隷による闘技場を娯楽とした拠点に潜入頂きます。奴隷として闘技場に参加し活躍するも良し、スタッフとして潜入し情報を収集するも良し、観客として潜入し心の葛藤を抱きながら見守るも良しです。
 二章に向けて布石を打ったり、リーダー候補の青年と会話をしても良いですが、この時点では青年は自分に自信の無い気弱な一奴隷です。

 二章:オブリビオンが襲撃してきますので人々を守りながら撃退して下さい。敵はあまり強くありませんが、無双するよりも青年や人々を支援して頂くプレイングに対し、プレイングボーナスを与えさせて頂きます。

 三章:人的被害は猟兵たちによって無くせても、拠点自体は少なくない被害を受けてしまいます。拠点の復興、もしくは周辺からの物資回収を支援して下さい。青年の他にも元狼藉者、元奴隷たちと交流し、彼らが今後自立してやっていく為に気を回してあげて下さい。

●プレイングについて
 第一章は6/25(木)8:31~27日(土)昼までをプレイング募集期間とさせて頂きます。
 二章以降につきましては、別途MSページにてご連絡させて頂きます。
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第1章 冒険 『血に飢えた闘技場』

POW   :    奴隷として潜入

SPD   :    スタッフとして潜入

WIZ   :    観客として潜入

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

柊・はとり
俺は猟奇殺人専門の探偵だから
潜入捜査とかは得意じゃない
黙ってりゃ非力なインテリに見えるだろうし
奴隷として闘技に参加する
コキュートスは手加減ができない奴だから
ひとまず拠点内の倉庫辺りへ隠しておく

武器は他の奴隷の奴らと同じものを使う
できれば扱い慣れた剣がいい
【見切り】からの【咄嗟の一撃】
【鎧砕き】なんかで場を沸かせたら
剣を鈍器にした【気絶攻撃】で極力被害を抑えて試合を終わらせる
俺の方が血を流しときゃ観客も満足すんだろ
奴隷達から信頼を得つつ期待の新人枠につければ上々だ

そのうち例の青年と当たる事もあるだろ
奴とは本気で戦った上で負ける
あんた強いな、名前は?
俺は柊…ここで探偵はまずいか
あー…兎に角宜しくな




「勝者ぁあ! はぁぁぁとぉぉぉおりぃぃぃ!」
 そこは、武骨なフェンスに覆われた空間。そしてそこに響き渡るのは、ノイズとハウリングだらけの荒々しい声。
 そこは言うなれば“闘技場”なのだろう。
 隙間の見えるその並びたてられた金属網の壁は、逃げ出そうとすれば逃げ出せる程度のもの。しかしその網の上部に張り巡らせられた金属の棘が、そして何よりその場を囲み歓声をあげる人々が……その闘技場の中に放り込まれた“奴隷”たちが逃げ出すことを決して許しはしないのだ。

(まっ、俺がこんだけ血を流しときゃ観客も満足すんだろ)
 柊・はとり(死に損ないのニケ・f25213)は普段にも増して不機嫌そうな表情を浮かべ、額を流れる血を拭う。
 その手に握るのは適度な長さの鉄パイプ――剣に似た長さであるものの相棒であるコキュートスに比べれば何とも頼りないそれを握りしめたまま、はとりはため息を押し殺し言葉を飲み込む。
 はとりの目には彼の対戦相手であった奴隷が気絶したまま、他の奴隷たちに回収されていく姿が映っていた。
 不思議と流血の少ないその対戦相手の様子を見て訝し気な視線をこちらに送る奴隷たちと視線を絡め、せめて己の努力が伝わってくれと祈りながら、はとりは次の試合に向けて呼吸を整えるのであった。

「来たか……」
 小さく言葉を零したはとりの視線の先には、何とも不安げな表情を浮かべた新たな犠牲者である奴隷の姿――その容姿の特徴を見れば、事前に聞いていた件の青年なのであろうとはとりは確信した。
 はとりの不機嫌そうな表情に反し、青年の辛そうな表情に反し、周囲のオーディエンスたちはヒートアップを続ける。
 演出の為に……対戦相手への手加減を誤魔化す為に、あえて攻撃を受け続けていたはとり――傷だらけのその姿に興奮した観客たちは、さぁはやく始めろとばかりにフェンスを荒々しく揺らすのだ。

「いくぜっ!」
 青年の覚悟と実力を見たかったはとりは、全力で青年へと鉄パイプを振り下ろす。決して手加減をしたわけでは無い……しかし一切の道具の支援も受けず戦うはとりは、これまでの戦いにより満身創痍である彼は、二合、三合と切り結ぶ度に追い込まれていく。
 気骨に難あれど、確かに一般人にしては“腕の立つ”方なのであろう。
 地面に紅の潤いを与えながら倒れ込むのは……奴隷である青年では無く、はとり自身であった。

「あんた、強いな……名前は?」
 連戦連勝を続けていたはとりの敗北に、金網越しに怒号と歓声が飛び交う中――はとりはその全身を大地に広げたまま、逆光に沈む青年の表情を視線だけで覗き込む。

「あー、兎に角宜しくな」
 何故だか分からない……だが、そのくしゃくしゃに歪めた青年の顔を、はとりは当分忘れることは出来ないだろうと。

 何故か、そう確信したのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ラパ・フラギリス
拠点の修理のスタッフとして侵入
戦車から出たくないですが…仕方ないです…。

闘技場の熱気にビクビクしながら探索、構造や奴隷がいる場所を把握しておく
戦車を呼べる場所探さないとですが…
怖い人ばっかりです…地獄です…

絡まれたら必死で対応
わ、わたしは呼ばれた整備スタッフです!壊れてる場所とか武器直せますよ…!
メカニックですし普通の仕事は対応できるはずです。武器は強化もできます!
ボロい場所や武器を整備して襲撃に備えたいです。
……他の事でも自分の命と安全最優先でどんな命令も聞きます
強そうな人相手は媚び諂います。この世界の生存術です。

(こんな人達助けずに逃げちゃえばいいのに…
リーダーの器って…変な人です…。)




「戦車から出たくないですが、仕方ないです……」
 どこかキマイラにも似た異形の猟兵――ラパ・フラギリス(Wrapped in strong things・f25323)は狂気にも似た闘技場の熱気に気圧され身体を震わせながらも拠点(ベース)の中を練り歩く。
 目的は探索による拠点の構造把握と守るべき奴隷たちの配置の把握。そして何より己が相棒である戦車――ノワールを呼び出す為のスペースがありそうな場所を把握する為だ。

「怖い人ばっかりです……地獄です……」
 極度の臆病であるラパにとって、見るからに荒くれものといった様相の人々が練り歩くこの拠点はお化け屋敷以上に恐怖を感じさせるもの。
 どんな外見でも住民に違和感を与えないという異能を持つ猟兵の一人であるラパであっても、ビクビクとしながらキョロキョロと辺りを見回すその明らかな挙動不審な行動は、拠点の中を警邏するモヒカンたちの注意を引くことは避けられなかった。

「おい、何だテメェは!」
 うろうろとするラパを見つけ怒声をあげるのは筋骨隆々の骨格に傷だらけの顔、そして頭に雄々しいモヒカンを押せた見るからに狼藉者といった様相の男。
 辺りに比較的小柄なモヒカンたちを引き連れて歩くその様子から、おそらく目の前の警邏グループの中では取り纏めている側の人間だと推測される。
「ひぃっ! わ、わたしは呼ばれた整備スタッフです! ほ、本当ですよっ!?」
 そんなモヒカンたちに取り込まれ、ラパは必死に弁明をする。
 己は雇われた整備スタッフなのだと、拠点の整備や武器の修理、はたまた機械の整備だってなんだって出来るのだと。
 その必死の形相は怪しいことこの上ないのだが、逆にここまで怪しい賊もいないのではと、結果として疑いを晴らすことに成功する。
 モヒカンたちから拠点を囲う防壁の修理を言い渡されながらも、何とかラパは解放されるのであった。

「おら、さっさと直しておけよっ!」
「はっ、はいぃぃ! バッチリ直しておきますぅ!」
 モヒカンたちの威嚇にビクビクとしながら、ラパは必死に拠点の修理を開始する。モヒカンたちの気配が無くなれば『黒兎のなんでも屋』たちの助力を借りながら行なわれたその修理は、壊れかけの防壁を直すどころか強化の域に入っているだろう。
 後の襲撃を想定し、もともと拠点の整備はしておきたかったラパではあるが、ああして威嚇をされれば不貞腐れたくもなるとうもの。

(こんな人達助けずに逃げちゃえばいいのに……リーダーの器って、変な人です……)
 そう不満を心の中に垂れ流し続けながら、仕事を続けるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

城島・侑士
アドリブ・連携◎

wiz
闘技場スタッフとして違和感のない格好で給仕しながら情報収集
本来のスタッフじゃないのがバレないよう怪しまれずに振る舞う

先日配属されたばかりなんですよ
宜しくお願いします
怪しまれたら
コミュ力と演技で上手く誤魔化し
情報収集で得た美味い話や誘惑で媚を売って上手く切り抜ける
あと棘付き肩パット共には特に気を付けて対応

…はぁ
任務とはいえこんな奴らに笑顔で媚を売るのは疲れるな
煙草の一本でも吸いたくなるぜ

闘技場の方に目をやる
必死に戦っている奴隷達を見ていると
この世界も荒んでいるな
…と生まれ故郷を思い出す
まぁ今回は奴隷として紛れ混んでいる猟兵もいるだろうから
そこまで凄惨なことにはならんと思うが




「先日配属されたばかりなんですよ、宜しくお願いします」
 その整った顔に笑顔を浮かべ、城島・侑士(怪談文士・f18993)は目の前の女性――闘技場スタッフの一人へと声をかける。
 明らかに見たことの無い侑士の顔に納得しきれない表情を浮かべるものの、そこは彼の持前のコミュニケーション能力の出番。
 相手の懐に入り込むように演技をしながら話題を反らす。
 しばらく会話を重ねれば、給仕をしていた闘技場スタッフもまるで昔からの知り合いのように侑士を受け入れているのは、彼の巧みな会話能力故であろう。
 そうして彼女らとの交流を通じながら、侑士は着々と情報を収集するのだ。

「ビールです、どうぞ」
 闘技場を取り囲む観客たちの中で、唯一椅子が用意されている一団――その肩に乗せられているのは、鈍く光る棘付きの肩パッド。
 彼らこそが話に聞いていたこの拠点(ベース)の支配者層である、“幹部”と呼ばれる一団だ。
 侑士はそんな彼らの注意を引かぬよう、最新の注意を払いながら給仕をする。
 ダークセイヴァーで過ごしていたころならいざ知らず、UDCアースで住んでいる彼にとっては欠片も美味しいとは思えない生暖かいビール。
 しかしこのアポカリプスヘルでは作る出来ない貴重な嗜好品であり、彼らのような一部の人間でなければ口にすることは困難な品だろう。

「はぁ……任務とはいえこんな奴らに笑顔で媚を売るのは疲れるな、煙草の一本でも吸いたくなるぜ」
 幹部らへの給仕を、最新の注意を払いながら終えた侑士。
 思わず小さく愚痴を言いたくなるくらいには、神経を使う仕事であった。
 時に諂い、時に媚びを売り、時に誘惑をする。そうして怒りを買うことなく、そして注意を引きすぎることなく給仕を終えた侑士の表情は、心底疲れ切ったものであった。

「この世界も荒んでいるな……」
 やはり、UDCアースのような世界は稀なのであろう。
 未だに力こそが正義とされる荒廃した世界はこうして存在する……それこそ、彼の生まれ故郷のように。

「まぁ、今回はそこまで凄惨なことにはならんと思うが……」
 だが、この世界には……この世界には、自分を含め猟兵たちがいるのだ。
 救って見せる……どこか故郷を思い出しながら、侑士はそう心に誓うのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

奴隷同士を戦わせる闘技場、か
本当に人間は…、と
そうだな。独り戦おうとしているヒトの為にも今は潜入に徹する事にするか

潜入は奴隷として潜り込む
宵、お前も闘技場に出るのか?
お前は何時も無茶をするからな…。…余り前に出るなよ?と声を投げつつも宵の言葉には視線を逸らそう

闘技場では宵に背を預けながらも宵への攻撃を『盾受けにてかば』いながら『怪力』を乗せたメイスを振るい『なぎ払って』行こう
勿論死なぬ様手加減はしながらだが…なんだ、宵へ向かう敵には少々熱くなってしまうやもしれん
宵の声には照れくさそうに瞳を細めよう
…何を当たり前の事を…。…だが、宵お前もだろう?と小さな笑みを
ああ、頼りにしている


逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と

ええ、本当に人間の考えることはどんな悪魔よりもおぞましいですね
ですが、僕たちが救わねばならぬのもまた人間です
さぁ、世界を助けにまいりましょう

同じく奴隷として潜入します
はい、危ないことはしませんよ
きみこそ無理しないでくださいね

ザッフィーロとの手合わせで鍛えた近接技がどこまで有効か、試してみましょう
ザッフィーロと背中合わせに立ち、事前に調達した棍を振るい
観客を沸かせるべく立ち回りましょう

向かってくる闘士に立ち向かおうとしたなら、横から入ったザッフィーロの一撃に笑って
本当、きみは僕が大好きですね
ええ、僕もきみが大好きですよ
なのできみの背くらいは、僕にも守らせてくださいね




「奴隷同士を戦わせる闘技場、か……本当に人間は……」
「ええ、本当に人間の考えることはどんな悪魔よりもおぞましいですね……」
 ザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)と逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)は互いに言葉を交わしながら前方を睨みつける。

 周囲を取り囲むのは武骨な金網。
 大地に染み込むは血と汗と涙。
 そして全てを包み込むように響き渡るのは狂ったような歓声。

 これこそが悪、これこそが狂気。
 そう思わせるほどの人間のおぞましさを、ヤドリガミである二人は感じていた。

「ですが、僕たちが救わねばならぬのもまた人間です」
「そう、だな……」
 ヤドリガミである二人では、狂喜し唾を飛ばす彼らの気持ちは分からない。
 否、人間であっても分からないだろう……だがいくら失望しようとも、彼らがすべきことは変わらない。
 何故なら、それでも二人は猟兵であるから。

「さぁ、世界を助けにまいりましょう」
 宵の言葉にザッフィーロは頷くと、二人連れ添い闘技場の中へと足を踏み入れるのであった。

「さぁ、今度の二人組も新人だァ! 今日は新人がやけに多いぜェ!」
 ハウリングまみれの司会による煽り文句を耳にしながら、二人は闘技場の中央へと足を踏み入れる。
 二人の体格故か、はたまたその身に纏う雰囲気から判断されたのか。
 これまでの1対1の戦いとは違い、ザッフィーロと宵が戦うのは十人程度の奴隷たち。
 そのハンディマッチに興奮したオーディエンスたちは、金網を揺らしながらはやし立てるのだ。

「お前は何時も無茶をするからな……余り前に出るなよ?」
「はい、危ないことはしませんよ、きみこそ無理しないでくださいね」
 本来であればその人数差は絶望的――しかし猟兵である二人にとって、一般人がどれだけ相手どったとしても危機足り得ない。
 闘技場で支給された武骨な棍を手に、短めの鉄パイプをメイスとして握り、二人は奴隷たちを相手取る。

「くっ、なんて力だ……」
 鍔迫り合えば容易く受け止め、蹴りを出せばフェンスに突き刺さるように人が吹き飛ぶ。
 もう一人集中的にを狙おうと奴隷が群がれば、薙ぎ払うように振るわれるメイスが叩きこまれていく。
 ザッフィーロの表情にはもはや当初の余裕の色は無く、守るべき者を守り通すという覚悟の色が浮かんでいた。

「本当、きみは僕が大好きですね」
 せっかく鍛えた成果を溜めそうとしていた宵は、割り込むように庇い続けるザッフィーロを眺め、仕方が無いとばかりに笑みを零す。
 そんな宵の言葉を聞き、きょとんとした次の瞬間にはザッフィーロは照れくさそうな笑みを浮かべるのだ。
「何を当たり前の事を……だが、宵お前もだろう?」
 そこにはもはや先ほどまでの鬼気迫る迫力は無く、大切な人を見つめる男の締まらぬ顔があるばかり。

「ええ、僕もきみが大好きですよ……なのできみの背くらいは、僕にも守らせてくださいね」
「ああ、頼りにしている」
 もはやそこは二人だけの世界。
 唯々甘い空気が広がっていく。
 明らかな格の違いにしり込みする奴隷たちは遠目にそれを眺めるばかりだ。

 そんな二人をモヒカン姿の観客たちは静かに眺め……次の瞬間、罵声と共に思い思いの物をフェンスの中へと投げ込むのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

灯璃・ファルシュピーゲル
【SIRD】参加5人で緊密に連携

何処の世界もこういう見世物にストレスの捌け口を求めるのは
現実からの逃げだと思うんですがね…

末期な都市では医師が慢性的不足だろうと判断し
闘技場出入りの商人を見つけ口利きして貰い。
医療スタッフとして潜入(別世界で得た財宝を賄賂に利用)

潜入後は特殊部隊時代の戦闘外傷救護の知識(戦闘知識+医術)を
利用し闘技場関係者の治療をして周り、信用と救護の為に色々な所へ
出入りする既成事実作りを実施

その立場を活用し医薬・衛生品の集積箇所、緊急時救急拠点に
利用可能な場所の調査。奴隷潜入班の相互間連絡役。
指定UCを利用した警備・幹部人員の動向調査と活用可能な弱み等を
調査する

※アドリブ歓迎


亞東・霧亥
【SIRD】の5人と。

【POW】
・取引
闘技場で待機中に煙草を吸い、わざと狼藉者に見付かる。
煙草の要求に応じる際、上役に取り成してもらえたら物資の隠し場所に案内する、貴方様の株も上がると媚び諂い、取引を持ち掛ける。

催眠術+【UC】
上役に会えたら物資の話をしつつ、その場に居る全員に催眠術を掛ける。
催眠術に勝ちたい(抵抗したい)という感情を与える事に成功したら、『今後一切』『俺の命令には』『絶対服従しろ』という
強力な暗示を掛ける。

・グラップル、殺気、集団戦術、リミッター解除
慣れない事をして疲れたので、闘技場で思う存分大暴れする。


ネリッサ・ハーディ
【SIRD】の5人と共に参加

確かにその行動はある意味危険で無茶ですが、その行動力と為そうとしている事は、ある意味勇敢とも受け止められますね。確かに、リーダーの器かと。

私は観客として紛れ込みます。使い古されたフード付きのマントを羽織り、他の観客達から浮かない様な恰好で試合を観戦している振りをしつつ、周囲の観客の状況や闘技場の構造、出入口、避難経路等を確認します。可能だったら、その内容を無線、またはハンドサインでSIRDのメンバー、もしくは他の猟兵に伝達。
また、事前にUCの夜鬼を放ち、闘技場上空から周囲の地形等を確認、敵の襲撃してきた場合の予想ポイントの推測を試みます。

※アドリブ・他者との絡み歓迎


ミハイル・グレヴィッチ
【SIRD】の5人と参加

ふん、一人で沢山逃がす?まさしく馬鹿野郎だな。
だが、そーゆー馬鹿は嫌いじゃない。

【奴隷として潜入】
普段は、オブリビオン相手に火器やUC使ってたからな。ステゴロなんぞ、久しぶりだぜ。こちとら、軍の特殊部隊に居た頃に、システマやコマンド・サンボをみっちり仕込まれたんだ、じっくり楽しませて貰うとするか。腕が鳴るぜ。

っと、任務の方も忘れずにやっとかなきゃな。奴隷として闘技場の控室的な場所には入り込めるだろうから、その辺の構造や奴隷の数、見張りや監視などもチェックしておく。
チャンスがあれば件の馬鹿野郎も拝めるかもしれねぇ。どんなヤツか、挨拶位しておくか。

他者との絡み、アドリブ歓迎


佐原・鷹弥
【SIRD】の5人と。【SPD】スタッフ(現場の警備員として臨時に雇われた)として現場に入ります。
あくまで目だたずに…警備員MOBの一員として紛れ込みます。(必要ならば、ほかの警備員MOBと同じ格好をします)
うまく話しを盗み聞ければ御の字、それがなくとも現場状況や棘付き肩パッドの方々の位置把握に努めて、ほかのメンバーが考えている以上の肩パッド脅威が迫る前に共有。

この荒廃した世界で先頭に立ってまとめができる人材はとても貴重です。そして、それに従う人材も。闘技場を運営できるだけの手腕があることは確か。そこを覗ければ…肩パッドでも救う気が沸く…沸く…はず…ですハイ。
※アドリブ・他者との絡み歓迎




(何処の世界もこういう見世物にストレスの捌け口を求めるのは、現実からの逃げだと思うんですがね……)
 特務情報調査局――Specialservice Information Research Department、通称SIRDのメンバーの一人である灯璃・ファルシュピーゲル(Jagd hund der bund・f02585)は一人心の中で言葉を零す。
 この拠点(ベース)のように、こうした見世物を娯楽……つまりは一種のストレスの捌け口として求める事例についてはいくつか聞いたことがある。
 だがそれはあくまで現実からの逃げであると、灯璃は思うのだ。

「大丈夫ですか?」
 そんな不満を心の奥底へしまいながら、闘技場の医療スタッフとして潜入した灯璃は奴隷たちの手当を行なう。
 それは特殊部隊時代の戦闘外傷救護の知識を総動員した見事なもの。
 次々と奴隷たちの診断と手当を済ませれば、医療スタッフの責任者である痩せぎすの老人へと声をかける。

「傷口に化膿が見られる方がいます……医薬品の集積所はどこですか?」
 これまで一人で奴隷たちを診て来た老人とて、思うところが無かったわけでは無い……だがこの拠点の支配者たちに言わせれば、貴重な医薬品を使うなど言語道断であるのだ。
 そうした彼らの怒りを買うリスクを考えれば、出来れば治療を最低限としたい老人に対し有無を言わせず、彼女は行動を開始する。今後の状況の変化を考えれば、少しでも自力で動ける者を増やさねばならないのだ。

 同時に彼女は本来の役割を忘れない。
 目的は医薬・衛生品の集積箇所、緊急時救急拠点に利用可能な場所の調査――そして同時に『Overwatch』を使いながら、拠点の人員に対する情報を収集するのだ。

「幹部の一人を発見しました……」
 小型通信機を用い仲間たちへと情報を共有しながら、灯璃は歩みを進める。
 少しでも多く、成すべきことを成す為に……。


「いいか?“今後一切”“俺の命令には”“絶対服従しろ”……分かったか?」
 先ほどまで浮かべていた媚びへつらう笑顔をしまい、亞東・霧亥(峻刻・f05789)は俺のUCである『ユーベルコードギアス』を用い命令を飛ばす。
 彼の視線の先にはこの拠点を支配する幹部の証である棘付き肩パットをつけた男とその取り巻きであるモヒカンたち。
 強力な暗示をかけられたモヒカンたちは、先ほどまでの下卑た笑顔からは考えられないほど全ての感情を殺し、霧亥の命令に肯定の言葉を返す。

 この世界では貴重な嗜好品である煙草をあえて見せびらかせた霧亥は、それを問い詰めようとしたモヒカンに対し隠し物資の存在を匂わせることで幹部へと取り成しを要求したのだ。
 UCによる洗脳はだれか一人でも取り逃せば騒ぎが起こることは必須――さすがに闘技場を観戦している大勢の前で幹部を洗脳するわけにはいかず、仲間から得られた情報を活用しながら比較的少数で離れている幹部に狙いを定め、取り成す相手を誘導した。
 それはSIRDの面々が多人数潜入しているからこそ出来るハイリスク、ハイリターンな行動。
 その綱渡りを見事成功させた霧亥は、疲れたとばかりに身体を大きく伸ばす。

「慣れないことをするもんじゃねぇなぁ……」
 疲れ切った顔でそう呟くまま、霧亥は踵を返すのであった。


(潜入成功……他の皆も、順調のようですね)
 無言を貫き、気配を殺し……佐原・鷹弥(元公務員サイボーグ・f27503)は警備員であるモヒカンの一団に紛れ込む。
 念のため他の警備員と似たような恰好に身を包むものの、さすがにモヒカンは避けたいところ。
 どんな外見でも住民に違和感を与えないという猟兵の能力に、今日ほど感謝した日は無かったと、鷹弥はしみじみと思う。

(この荒廃した世界で先頭に立ってまとめができる人材はとても貴重です……そして、それに従う人材も)
 サビついたフェンスに囲まれた闘技場――それを囲う群衆と違い、唯一ヵ所だけ用意された椅子に座る幹部たち。
 人間として褒められたものではないものの、こうした荒廃した世界で先頭に立ち、集団をまとめることが出来る人材は貴重。
 故に感情を抜きにすれば、彼らを助けようとする件の青年の判断もあながち間違いとは言えないのだ。

「おっ、あいつは姉御のお気に入りじゃないですかい」
 そう幹部の一人の言葉に気を取られ視線を剥ければ、闘技場の中央では一人の青年が勝利を収めていた。
 事前に聞いていた特徴とあてはめれば、勝利して尚辛そうな表情を浮かべるその人こそ、件のリーダー候補とされる青年なのであろう。

「相変わらず、虐めたくなるような顔をしているねぇ……」
「姉御に虐められたら、すぐに死んじまいやすぜ!」
「ひゃひゃひゃ、違いねぇ」
(闘技場を運営できるだけの手腕があることは確か……その能力を評価すれば、彼ら肩パッドでも救う気が沸く、沸く……はず……ですハイ)

 下卑た笑い声を聞きながら、鷹弥はげんなりとした表情を必死に殺す。
 果たして私に彼らを救うことが出来るだろうかと……そう自問しながら。


(ふん、一人で沢山逃がす?まさしく馬鹿野郎だな……だが、そーゆー馬鹿は嫌いじゃない)
 奴隷の一人として潜入していたミハイル・グレヴィッチ(スェールイ・ヴォルク・f04316)は心の中でそう呟く。
 誰もが逃げ出すその状況の中、一人で少しでも逃がそうとする……まさしく馬鹿野郎としか表現できないその青年を、だがミハエルは嫌いになれないでいた。
 彼の目の前には闘技場における戦いを終えてきたのであろう、件の青年が座り込んでいる。
 響き聞こえるマイクの音声を聴けば勝利を収めたはずの青年――しかしそれでも、否それだからこそ辛そうに俯くのは、彼の生来の性格なのだろう。

「よぉ、おつかれさん」
 語り掛けたミハイルの声にぴくりと身体を震わせると、軽くこちらを確認した後に直ぐに俯いてしまう。
 なるほど顔は整っているが気が弱そうだと、ミハイルは馬鹿野郎の面を拝めたことに満足しながら、闘技場へと向かうのだった。

「ステゴロなんぞ、久しぶりだぜ」
 普段はオブリビオン相手に火器やUCを使っているミハイル。しかし軍の特殊部隊に所属していた時代に身体にしみこませた格闘術は、決して彼を裏切らないだろう。
 もちろん奴隷たちや控室の状況を確認するという任務は忘れないものの、彼の心は久しぶりの肉弾戦へと揺れ動いていた。

「ストレス発散に付き合ってもらうぜ!」
 しかしミハイルが思わず足を止めたのは、その耳に入ったのがやけに聞いたことがある声であったが為――反対側のフェンスから登場してきたのは、同じく奴隷として潜入していた霧亥その人であったが為だ。
 慣れぬ演技によほどストレスが溜まっていたのであろう、奴隷相手であれば相手を殺しかねないほどに殺気立った彼は、レフェリーの開始の合図を待つことなく突撃する。
「来いっ!」
 襲いかかる殺気から無意識に戦闘態勢へと切り替えるミハイル。
 目にしたその瞬間こそ戸惑ったものの、結果的には手加減が必要な奴隷で無かったことがこれ幸いにと、拳と拳の殴り合いを楽しまんとしていた。

 歓声が沸き起こる中……男たちは殴りあう。
 嬉しそうに、楽しそうに。


(確かに、リーダーの器かと……)
 観客として群衆に紛れていた一人――SIRDの団長であるネリッサ・ハーディ(クローク・アンド・ダガー・f03206)は先ほどまで闘技場にいた件の青年を思い出し、思考する。
 身体能力は悪くは無い……生来の気の弱さは感じさせるものの、事件が起きればある意味勇敢とも受け止められる行動力があるのであれば、素質としては十分なのであろう。
 あとはそのある意味危険で無茶な行動を、我々でフォローすれば良いのだと、ネリッサはそう判断を下すのであった。

(さて、仕込みは上々ですが……)
 仲間たちの情報を耳にしながら、使い古されたフード付きのマントを羽織ることで視線を隠すようにしてネリッサは辺りを見回す。
 観戦しているように見せながらも彼女が行なっているのは、周囲の観客の状況や闘技場の構造、出入口や避難経路の把握。
 同時に放つ夜鬼により五感を共有し、静かに、そして確実に情報を収集していく。
 上空から地形を把握出来たならば、自然と敵が襲撃してくるであろう地点を絞り込むことが可能であるからだ。

 彼女は小型通信機へと小さく呟き、潜入している仲間たちと情報を共有することも忘れない。
 点の情報は線で繋がり、面として推測することが出来る。
 情報がより正確であるほど、より緻密であるほど、今後の作戦の立案が可能となる。
 互いの情報を掛け合わせ、ネリッサは静かに……しかし確実に今後のプランを練り上げるのだ。

(後は時を待つのみ、ですか)
 エージェントは静かに、時を待つ。
 その表情はまさしく冷静沈着。

 しかし……その表情がこの後起きる闘技場での出来事により珍しく崩れることなど、この時は彼女自身として予測出来てはいなかったのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

チャーミング・ラスト
ちょっとアブナイお薬を扱っている商人、みたいな体で潜り込むのね。
戦いは苦手だし、観客としてもこんなことに興味があるフリをし続けるのは辛いからね。

入り込むだけなら「これくらいで良い?」って、金貨数枚宝石数個スタッフに握らせたら行けそうかな?
中に入れたらグリモア猟兵さんには注意しろって言われたけれど肩パットの人とお話ししたいから探すよ、握らせたスタッフに場所聞いても良いかも。
何をするかっていうと「こう言うものをここで捌きたいの、ここの奴隷で是非サンプルを試させてほしい」ってね。

奴隷のいる場所まで来れたら私のポーションを振る舞うよ。
身体能力が上がる物が良いかな、例の男の人にも渡せたら良いけど…




「ねぇ……こう言うものをここで捌きたいの、ここの奴隷で是非サンプルを試させてほしい」
 行商人としての衣装を身に包み、チャーミング・ラスト(純心な魔薬・f25077)はそう語り掛ける。
 彼女が相対しているのはグリモア猟兵からも注意を受けていたこの拠点(ベース)の支配者層である“棘付き肩パット”を付けた男。
 袖の下を握らせた者から紹介を受けたチャーミングに対し、訝し気な視線を投げかけながらも、ついつい視線が一部へと集中するのは、欲望に素直に生きる男たちにとって当然の行動であろう。

「効果は身体能力の向上……でも、副作用が分からないの。ここの奴隷で試すなら、良いでしょう?」
 渋る……というよりも一部を凝視しているが故に話を聞いているのか分からない幹部にダメ押しの宝石を握らせ、チャーミングは早々に話を切り上げる。
 副作用が少なければ幹部たちにも卸すよう念を押されながらも、何とか了承を取り付けることに成功したのだ。

(何とか成功して良かった……)
 チャーミングは正直、戦いが得意では無い。
 それこそ血を見るのは苦手だし、演技であっても奴隷たちの戦いを喜んで見ることは難しいことは自分でも良く分かっている。
 故にリスクを負いながらもこうして潜り込む選択を取り、奴隷たちの元へと向かうのだ。

「ほら、これを飲んで……大丈夫、傷を癒す薬だから」
 それは決して嘘では無い。
 身体能力を向上させるこの薬は、同時に自己治癒能力も向上させるだろう――だが身体能力の向上など、飲まされる本人たちにとっては胡散臭いことこの上無い。
 であるならば、単なる薬だと言ってしまった方が、飲ませることは容易であろうと判断したのだ。

(例の男の人にも渡せたら良いけど……いた)
 負傷している奴隷たちを痛ましげに見つめながらも、チャーミングは件の青年を探す。少しでもこの後の戦いの被害を減らす為には、彼にこそ薬を飲んで欲しいからだ。

 チャーミングは自分の得意不得意を理解している。
 その上で人々の力になる為に、出来ることをやっておきたいのだ。

 その為にはまず、この気弱気な青年に薬を飲ませることから始めよう。
 妖しげな笑顔を浮かべながら、そう決意するのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

セフィリカ・ランブレイ
機械類のメンテスタッフとして潜入
襲撃時、避難誘導経路を把握するため
緊急時、脱出口を作る為構造の弱い部分も見繕う

『リーダーになれる男か、気になるわね』
シェル姉が気にするの珍しいね
千歳ちゃんが目を掛ける位だしね、お話してみよう

口出しも急な支援も不自然だし、世間話程度

新しい保全スタッフ、よろしく
怖い場所、あの肩パッドとか特に。君はどう?
勇気が欲しいよね、本当にイヤな事イヤだって言えるくらいに

こっそり彼を守る用【藍盾の聖女】を数基、付けておく


『弱くても、いざという時に自分の恐怖を殺して誰かのために、が出来る奴。そういうのがいなかったら、人間の味方はしてなかったわね』
昔の契約者を思い出し、魔剣は笑う




『リーダーになれる男か、気になるわね』
 セフィリカ・ランブレイ(蒼剣姫・f00633)は相棒である魔剣――シェルファの言葉を聞き、ふと足を止める。
 己が技能を活かし、機会類のメンテナンススタッフとして潜入していたセフィリカ。
 今後の敵の襲撃を想定し、避難誘導経路や脱出口を作れそうな場所を確認する為、歩いていた。
「シェル姉が気にするの珍しいね」
 そんな折、ふと呟くようにシェルファが口にした一言が彼女にとって以外に聞こえ、思わず聞き返してしまったのだ。
 セフィリカにとって姉と慕うシェルファとは、短くない付き合い。彼女が自分に良くしてくれているのは理解しているが、その事実に反し彼女が他人へと興味を持つこと自体が稀有に感じたのだ。
 口を紡ぐシェルファを眺め、珍しいこともあるものだと首を傾げながら少女は歩く。

「あ、いた……千歳ちゃんが目を掛ける位だしね、お話してみようか」
 拠点(ベース)内を見て回っていたセフィリカは、奴隷たちの待機場所の中で一人壁で蹲る青年を目にする。
 知己のグリモア猟兵から聞いていた特徴とあてはめれば、彼こそが件の青年であろう。
 当初から考えていた仕込みをすべく、セフィリカは何でもないかのように近づいていくのであった。

「私、新しい保全スタッフ、よろしく」
 青年の近くの設備を点検している風を装いながら、セフィリカは少年へと語り掛ける。
 彼女がそっと放つのは、バリア展開機能を有する小型の球体ユニット――藍盾の聖女(クリスティーエ)だ。
 予知の内容を鑑みれば、彼に万一があっては今後の拠点の運営は立ち行かない――故に万全を期すべく、彼に護衛を付けておきたかったのだ。

 この拠点はどうか? 支配者側はどうか? 強くなりたいか?
 点検を続けながら、そして護衛を仕込みながら世間話を装い会話を続けるセフィリカ――対し青年は、どうにもはっきりとした答えが帰って来ない。
「ありがと……またね」
 どうにも手応えを得られない会話を切り上げ、セフィリカはその場を後にする。
 その表情には、相棒や知人のグリモア猟兵が目にかけるほどの人物なのかと不信に思っていることがありありと浮かんでいた。

『弱くても、いざという時に自分の恐怖を殺して誰かのために、が出来る奴。そういうのがいなかったら、人間の味方はしてなかったわね』
 相棒の過去を想う言葉を耳にしながら、少女は歩く。
 そういうものなのかと、不思議そうにしながら。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴィリー・フランツ
【SPD】【アドリブ・協力OK】
目的:スタッフとして潜入し、内部で協力者を作る

理由:警備スタッフとしてモヒカン達と顔見知りになれば、襲撃時に上手く連携出来るかも知れねぇな、打てる布石は打っとくか。

手段:んじゃ、ぼちぼちやりますかね。

ライフルを肩に担いで会場の巡回だな。
お?早速ケンカか?
兄ちゃん、賭け事に負けて悔しいのは判るが場外乱闘は勘弁してくれや。

ほら、オレの紙巻き煙草を一本やるから落ち着けって。
(これでダメならライフルの銃床でガツンとぶん殴るけどな)

後はスタッフ同士の賭け事に参加して、未来のリーダー候補の奴隷に金をベットするぜ。
上手く行けば、スタッフからも見所があると注目されるかもな。




「んじゃ、ぼちぼちやりますかね」
 傭兵――ヴィリー・フランツ(スペースノイドの傭兵・f27848)は気の抜けたような表情を浮かべながら歩みを進める。
 彼が潜入しているのは拠点(ベース)の警備スタッフの一団。
 見るからに荒事に手慣れたという雰囲気のヴィリーは、アウトサイダーながらもモヒカン側の人間として潜入することに成功したのだ。

 目的はモヒカンたちの中に一人でも多くの顔見知りを増やすこと。
 猟兵である彼らの目的がモヒカンたちの討伐では無く、彼らを含めこの拠点が今後もより良い形で運営されていくことである以上、モヒカンたちも切り捨てるのでは無く連携をとれるようにすることが最善であると判断した為だ。

「お? 早速ケンカか? 兄ちゃん、賭け事に負けて悔しいのは判るが場外乱闘は勘弁してくれや」
 揉める観客の口に紙巻煙草をねじ込み、火をつける。
 思わず転がり込んできた貴重な嗜好品に気を良くした男は矛を収め、ヴィリー言いくるめられるがままにその場を後にする。
 そうしたヴィリーの対応は、全てを力づくで済ませることが当然であるモヒカンたちの目には、新鮮に映るのだ。

「お前面白いな……なぁ、まだ煙草はあるんだろ?」
 貴重な嗜好品であり立場があるものでなければ口にすることが出来ない煙草をたかられるヴィリー。
 不承不承というていを装いながら煙草を配れば、先ほどの見事な対応も含めモヒカンたちと打ち解け笑顔を交わすのであった。

「さて、俺も一口乗ろうかね」
 警備をしながら賭けに興じるヴィリーとモヒカンたち。
 しかしここは娯楽も少ない荒廃した世界――不真面目だなんだと口にする者もいない。

 勝った負けたと一喜一憂しながら肩を叩けば、そこにはまるで昔からの馴染みかのような男たちが存在した。
 それは酷く柄の悪い男たちではあるものの、確かにその地獄のような世界に生き足掻く、一人の人間なのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『荒野に生きる実験動物たち』

POW   :    トランスミューテーションDNA
自身の身体部位ひとつを【自身に内包させた他生物】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD   :    スーパーナチュラル・イノベーション
【自身の装備品をこれまでにない使い方】に変形し、自身の【固定概念】を代償に、自身の【装備品の得た新たな使用法に合わせた特性】を強化する。
WIZ   :    ロジカル・ワイルドインチュイション
【野生の勘を論理的に組み上げることにより】対象の攻撃を予想し、回避する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「あ? 何だこいつは」
 始まりは一人のモヒカンであった。
 それは一見可愛らしい鼠のような動物――この荒廃した世界では愛玩動物となることは無くとも、容易に食料にはなりそうな程度には無害な動物だ。
 しかしそれは、彼らの常識にあてはめたが故の無知。
 突如その顔を獅子へと変えたその動物は、モヒカンに対し牙を剥くではないか。

「ひぃっ! バケモンだぁ!」
 猟兵たちが件のオブリビオンを発見したその時には、既に彼らは着々と拠点(ベース)への侵入を成功させていた。
 次々と人を襲い出すそのオブリビオンを討伐すべく、猟兵たちは走り出す。
 しかしそういった対応が出来たのは猟兵たちだけだ。
 無力な人間たちは、奴隷もモヒカンも、支配者も平等に逃げ惑う。
 そう、唯一人を除いて。

「助けなきゃ……」
 青年は、一人鉄パイプを手に走り出す。
 その力は無力――だがそれでも多く、一人でも多く助ける為に。

「逃げてっ!」
 奴隷を地面へと押し倒す動物を蹴飛ばし。
 モヒカンの腕へと噛みつく動物へ鉄パイプを叩きつけ。
 青年は走る。

 敵の数は圧倒的……万が一にも、彼の力では討伐など不可能であろう。
 そう、彼一人の力では……。

 今、事態は新たな局面を迎えようとしていた。
ヴィリー・フランツ
WIZ
目的:モヒカンと共にオブリビオンの撃退

理由:(舌打ち)不味いな、完璧に恐慌状態だ。
しゃあねぇ、ベースを守る為に一時的に俺が指揮を取るぜ!

手段:警備スタッフだけでもまとめ上げねぇとな。

おい!そこのお前!
伝令だ、幹部を探して指示を仰いでこい!

そこでへたり込んでる奴は三・四人連れて武器庫に行け、ありったけの予備の弾を持ってこい!

(煙草に火を着ける)
残りは俺と一緒に迎撃だ、覚悟を決めろよ、あのハム公を外に叩き出すぞ!

(アサルトライフルを構える)
銃持ちの奴は一緒に弾幕を張れ、数打ちゃ当たるだ!

これでも押し込まれるなら仕方ねぇ…建物に被害が出るがUC発動、出せるだけ出して面制圧の絨毯爆撃で押し返すぜ




 荒れ果てた荒野に人々が生き足掻く拠点(ベース)――人々に残されたわずかな希望であるはずのその場所は、阿鼻叫喚に包まれていた。
 その元凶は一見可愛らし気な小動物――しかし改造されたその実験動物たちは時に異形と化し、時に人間以上に道具を使いこなし、人々を襲い続けるのだ。
 小さな侵略者たちにより混乱の坩堝へと落ちたその惨状を見つめ……ヴィリー・フランツ(スペースノイドの傭兵・f27848)は燃え尽きかけていた煙草を地面へと吐き捨ると、大きく舌打ちをした。

「不味いな、完璧に恐慌状態だ」
 この惨状を何とかするためには、冷静である者が指揮を取らねばならない。
 しかしヴィリーが声を張りあげたとしても、とてもではないが取り纏められるような状態では無い。
 であるならば彼に出来ることは一つ――己の手の届く範囲で、ベストを尽くすことだ。

「おい! そこのお前! 伝令だ、幹部を探して指示を仰いでこい! そこでへたり込んでる奴は三・四人連れて武器庫に行け、ありったけの予備の弾を持ってこい! ほら、動け!」
 ヴィリーは呆けていたモヒカンたちに声をかける。
 本来であれば簡単に人の言うことを聞くような殊勝な性格はしていなモヒカンたち――しかし何をどうして良いのか分からないこの惨状、先ほどまで共にいたヴィリーの言うことであればと、モヒカンたちは素直に頷き動き始めるのであった。

「残りは俺と一緒に迎撃だ、覚悟を決めろよ、あのハム公を外に叩き出すぞ!」
 ヴィリーの言葉に頷く警邏スタッフのモヒカンたち。
 武骨な鉄パイプを、釘の刺さったバットを、サビ付いた斧を振るう。
 しかし相手とてオブリビオン――野生の勘とも言うべき反射神経で攻撃を躱し、人々へと襲い掛かるのだ。

「ひぃっ!」
 容易く頸動脈を破るであろう鋭い牙がモヒカンの首元へと延びる。
 しかしその牙が届くかと思われたその瞬間――辺りに乾いた音が響き渡った。
 地に伏し、紅に染まったのは……獣の方。
 ヴィリーの手に持つアサルトライフルが薬莢を弾き出す度に、一匹、また一匹と獣が血の花を咲かせる。
「銃持ちの奴は一緒に弾幕を張れ、数打ちゃ当たるだ!」
 想像以上に素早い敵の動きに対し、ヴィリーは接近戦を避けるよう指示を出すのであった。

(押し込まれるなら仕方ねぇが絨毯爆撃しかねぇ……使わずに済めばいいけどな)
 己が懐に忍ばせた切り札を意識しながら、傭兵は戦う。
 後の人々の生活を考え……出来れば使わずに済むようにと、祈りながら。
 しかし人々の命が失われるよりかはマシだと、そう決意もしながら。

成功 🔵​🔵​🔴​

ロバート・ブレイズ(サポート)
『否定せよ』
人間の文豪 × 悪霊
年齢 78歳 男
外見 184.6cm 黒い瞳 白い髪 色白の肌
特徴 立派な髭 投獄されていた 過去を夢に見る 実は凶暴 とんでもない甘党
口調 冒涜翁(私、貴様、~である、だ、~であろう、~であるか?)
気にいったら 冒涜王(俺、貴様、~である、だ、~であろう、~であるか?)

恐怖・発狂・誘惑などの精神的な攻撃に対しての異常な耐性を有しています。
否定する事で恐怖を与え、冒涜する事が多いです。実は凶暴なので近接戦闘が好み。
宜しくお願い致します。




「刮目せよ」
 ロバート・ブレイズ(冒涜翁・f00135)は一人荒野に立つ。
仲間たちが人々と共に戦っているのであろう――彼の背後の拠点(ベース)では剣戟の音や怒声、銃声が響き続けている。
 拠点の人々を救う仕事は仲間の猟兵たちに任せる――そう割り切っていたロバートは侵入を続けるオブリビオンを減らすべく、一人オブリビオンたちが蠢く拠点の外へと出て来たのだ。

 何故ならば彼の力は常人には刺激が強い為。
 そう、心の弱いものであれば心を壊しかねないほどに。

「恐怖せよ」
 ロバートは眼前に並ぶオブリビオンたちに対し、殺気を放つ。
 その瞬間――ロバートへと襲いかからんとしていたオブリビオンたちは反射的に足を止めた。
 彼らの手に握られていたのは様々な武器――鼠のような外観の彼らがとてもでは無いが使いこなせないであろうその武器を巧みに利用し、攻撃を仕掛けようとしていた彼らは動けない。
 何故ならば老人とも呼ぶべき眼前の男から放たれるその存在感が人外のソレであるが故に。
 野生から解放された筈の実験動物である彼らに残された直観が……DNAとでも呼ぶべき理性とはかけ離れた何かが抗うことに対する恐怖に支配されているが故に。

 歯向かってはならない。
 ただの老いた人間にしか見えないその男に対し、そう警鐘を鳴らし続けるのだ。

「鏖殺だ」
 だがそのようなオブリビオンたちの葛藤など、ロバートには関係が無い。
 塵芥にも劣る畜生の語るの道理になど興味は無いのだから。
 唯々彼らを、すり潰していくのみ。

 砂塵吹き荒れる暴風の吹き抜ける後。
 そこには大地の染みと化す肉片だけが散乱していた。

成功 🔵​🔵​🔴​

亞東・霧亥
【SIRD】の5人と。

・避難誘導
洗脳した狼藉者達に闘技場へ避難と伝え、怪我をした狼藉者を優先して合流し、敵を牽制しつつ撤退戦をするよう命令する。

・青年をサポート
目立たない、毒使い、医術、早業、ドーピング、スナイパー
医術で毒を薬にする。
副作用を抑え、筋力、瞬発力、回復力を増強する薬を吹き矢に仕込み、青年の腕に注入する。

【UC】
建物や瓦礫に隠れて、動物の頸動脈に強力な麻痺毒を撃つ。
動きが鈍れば、仲間や青年が止めを刺すだろう。

・撤退戦の集団をサポート
真の姿に覚醒する、ダッシュ、暗殺、殺気、恐怖を与える
動物を刹那の間に殲滅。
その場の狼藉者達に殺気を放ち『逆らえば死』の恐怖を強烈に印象付ける。

※絡み歓迎


灯璃・ファルシュピーゲル
【SIRD】参加5人で連携

事前にUC:ウロボロスアーセナルで無線機を作成
猟兵から支援を受けやすい様に青年に渡します

襲撃開始次第まずは局長と連携し避難誘導を支援
高所を移動しつつ一般人と敵群の動きを指定UCも利用し
監視(情報収集)し仲間へ逐次報告

同時に味方の死角から来る敵や先導し連携を促す敵個体は
即応狙撃(スナイパー・先制攻撃)し青年や仲間を戦闘支援する

ある程度防衛線が固まってきたら
青年に避難民の救護態勢作りを医師達に指示出来るよう
一章で得た医薬物資や救護拠点情報を含め助言し
必要時は幹部の裏情報も活用し支援する

危機の時ほど、より冷静に。
戦うだけじゃなく救う準備もして初めて防衛戦ですよ?

アドリブ歓迎


ネリッサ・ハーディ
【SIRD】の5人と共に参加

やはり出現しましたね。まずは、一般人の避難誘導を行うのが先決であると同時に、混乱を最小限に留めます。
事前に確認しておいた通路や出入口、観客のいりエリアの状況などの情報を照らし合わせ、最適と思われる避難経路を導き出し、一般人の避難誘導にあたります。また、こういう時はパニックが伝染しない様一般人に可能な限り冷静になって貰う様努めます。オブリビオンによる避難の妨害等に遭遇した場合、UCまたはG19Cでの射撃で対抗。敵味方が入り混じってるこの状況では、範囲攻撃等のUCは返って危険にさらす恐れがありますので、ここは猟犬に一肌脱いで貰うとしましょう。

※アドリブ・他者との絡み歓迎


佐原・鷹弥
【SIRD】の5人と。大多数の敵が押し寄せてくると想定して、逃げ惑う人々の盾となりましょう(警備員ムーブ)。仲間の誘導が敵の攻撃により途切れたりしないようにこちらに襲い来る奴らを的確に倒していきます。(高所からの味方の支持があれば従います)
 そういえば、闘技場へ避難させるといっていましたね。ある程度誘導が完了しましたらそちらへの入り口前でナイフ片手に仁王立ちして専守防衛しましょうか。
 そういえば、かのリーダーの器君を「お気に入り」と言っていた肩パッド女性がいましたね。…ふむ、もし見かけたらかの青年は"あなたのため"に勇敢に戦っている旨と、今は避難し彼の帰りを待ってあげるように言ってみましょう。


ミハイル・グレヴィッチ
【SIRD】の5人と参加

おいでなすったか。そんじゃ、猟兵としての職務を全うするかね。
避難とか面倒なコトは局長達に任せて、こちらは兎狩りと洒落こむか。

UKM-2000Pを使用して、オブリビオン共を迎撃。悪ぃな、生憎ここはペットの入場は禁止されているんだ。勝手に入ったからには、駆除させて貰うぜ。
避難する連中には当てない様に気を付けなきゃならねぇが、闘技場の施設等への流れ弾は気にせずに射撃を展開。大体、こんなモンがあるから、奴隷だの支配階級だのくだらねぇ認識が出来ちまうんだ。蜂の巣になろうが廃墟になろうが、俺の知ったコトじゃねぇ。むしろ、いい気味だな。奴隷とか関係なく、チャンスは平等に与えなきゃな。




 特務情報調査局――Specialservice Information Research Department、略称SIRDが一人、灯璃・ファルシュピーゲル(Jagd hund der bund・f02585)は目の前の青年に無線機を渡す。
 それは先ほどまで奴隷、モヒカン問わず人々を助けて回っていた一人の青年の姿。
 世界が崩壊してからというもの、随分と見ることの無かった文明の利器を眺め、青年はきょとんとした表情を浮かべた。

「貴方は……」
 不思議そうな顔の青年を青年を眺めくすりと笑うと、灯璃は踵を返す。
「危機の時ほど、より冷静に……それでは」
 己の任務を遂行する為に――この苦難に、成すべきことは多いのだから。


「ほら、何をやっているですか!? 逃げて!」
 恐慌状態の人々を、血を流し疲弊した奴隷を連れ、青年は走る。
 しかし彼が助けるのは、同じ苦難を経験してきた奴隷だけでは無い。
 それどころか彼らを虐げ、苦しめてきた者たち――拠点(ベース)を支配してきた立場である、モヒカンたちですら青年は何ら気にした様子も無く助けていく。
「あんた……何で」
 助けられたモヒカンのうちの一人――女幹部は不思議そうな顔で青年を見上げる。言葉にならずとも彼女の言いたいことは容易に想像がつくだろう。
 何故自分たちを、助けるのだと。

「死にそうだったら助けるのは当たり前でしょう!?」
 “当たり前”……その当たり前が今この世界で出来る人間が、はたしてどれだけいるのだろうか。
 そう思うが故に、同時にやはり青年はリーダーの器なのだと確信出来る。
 ネリッサ・ハーディ(クローク・アンド・ダガー・f03206)は人々の誘導をしながら、そう思うのだ。
 ネリッサは事前に仲間の猟兵たちから集めた情報を下に最適な避難経路を導き出し、人々を避難させる。
 冷静沈着な彼女の仕事は見事なもの――人々を焦らせず、急がせず……パニックに陥らないよう細心の注意を払いながら移動させる。
 しかしその動きを、粗暴な侵略者たちは素直に見逃してはくれないようだ。

「やはり出現しましたね……」
 愛用のハンドガン――G19C Gen.4を手にネリッサは人々の壁となる。
 彼女が弾き出す弾丸と共飛び掛かるは、彼女に従う忠実な猟犬――時空に潜みし貪欲な猟犬(ザ・ハウンド・オブ・ティンダロス)だ。
 そのつぶらな瞳を潤ませる頭部を猛る獅子に変え、飢えた狼に変え人々を追い立てる獣たちに対し、ティンダロスは猛々しく襲い掛かる。
 はたから見ればオブリビオン以上の異形であるティンダロス――しかし忠実な猟犬たる彼らは人々の間をするりと抜ければ、その強靭な爪で獣たちを引き裂いていくではないか。

 しかし敵の数は膨大――いくらネリッサの射撃が正確であろうとも、いくら彼女の猟犬が敵を一方的に屠ろうとも多勢に無勢。
 負けることは無くとも、人々全てを守り抜くことは困難……そう、たった一人で守るのであれば。

「闘技場だ、闘技場へ逃げろ!」
 青年を始め、人々のもまたオブリビオンへと立ち向かう。
 そこには奴隷も支配者も存在しない――命を狙う侵略者に対し対抗する為、この荒廃した世界に生き足掻く人々が一丸となっているのだ。
 拠点に保管されてた数少ない銃器を手に射撃を行なうモヒカンたちもまた、互いの命を守る為に戦う。
 そのモヒカンたちの一部の目がやたらと濁っているのは、ご愛敬というものだろう。

(フッ……)
 気配を消し、亞東・霧亥(峻刻・f05789)は建物の影から吹き矢を放つ。
 その矢に仕込まれるは麻痺毒。
 獣たちに突き刺されば、とたんに動きを鈍らせるほどの強力なものだ。
 その毒矢を使い、霧亥は人々を支援する――人々を導き戦闘を突き進む青年を、己が洗脳し人々の撤退支援を命じたモヒカンたちを。
 そうして獣たちが動きを鈍らせたのならば、人々とて安全に打ち倒すことが可能となるのだ。

 明らかに人々とは別格の動きをし、戦う猟兵たちは今もなお各所で見られる。
 しかしそのような超人では無く、自分たちとそう変わらないモヒカンが、奴隷たちが……己の手で、仲間の手で敵を屠る姿は、人々にとって自身へと結びつく。
 情勢は決して油断は出来ない。
 だが、立ち向かえるという事実は青年たちの胸に希望の光を灯し、勇気を与えるのだ。


「自分が人々の盾となりましょう……先に進んで下さい」
 新手のオブリビオンたちを食い止めるべく、佐原・鷹弥(元公務員サイボーグ・f27503)はオブリビオンたちの前へ立ちふさがる。
 事前に立てられた緻密な避難計画により、今のところ仲間の誘導は順調。
 であればこそ、これまでの準備を台無しにさせるわけにはいかないと、鷹弥はこちらへと向かうオブリビオンの集団へとゆっくりと右腕を突き出すのだ。

 鷹弥が差し出した右腕から展開されるは、彼女の内臓兵器――プラズマドライバー。
 右腕へと超圧縮されたエネルギーが空気を震わせ、バチバチと異音を響かせる。
 そうして限界まで圧縮されたプラズマビームが、目が眩むような光と共に放たれる。

 投射されたプラズマエネルギーは爆音と共に周囲を紅く染める。
 莫大な熱エネルギーへと変化したビームは獣の群れを、その後方の建物を、そして大地すらを溶かしながら突き進む。
 そして砂塵と熱風が風に乗り消え果たその場所には、大地に刻まれ赤黒く熱を放ち続ける超エネルギーの軌跡だけが残るのであった。

「なん……だよ、それ」
 かけられた声に鷹弥が振り向けば、そこには一人のモヒカン女性――立ち尽くす女幹部の姿があった。
 外れるのではと思われるほどに顎をあんぐりと上げた彼女は、しかしその手に握る武器を見れば、見た顔である鷹弥が取り残されているのではと、援護をするつもりで現れたのだろう。
「貴方ですか、そういえば先ほど助けてくれた彼が“貴方の為”に勇敢に戦うと言っていましたよ……貴方に何かあったら彼が悲しみます。さぁ、皆と逃げて下さい」
 予想外の配慮にきょとんとした鷹弥は思わず口から出まかせの内容を茶化して口走る。
 それは守るかどうかすら悩んでいたモヒカンの、思わぬ人間味を感じてしまったが故の戯言。
 しかしその言葉を耳にし顔を真っ赤にする女幹部を見れば、満更でも無いのかと不思議な感動を覚えるのだった。

「さて、もう一仕事しましょうか」
 不思議と覚える心の昂ぶりに、機械仕掛けの傭兵は口元を歪める。
 彼らの為に戦うのも悪く無い……そう思える心境の変化に、驚きを感じながら。


「おいでなすったか……そんじゃ、猟兵としての職務を全うするかね」
 着々と闘技場へと到着する人々を眺め、最後尾の殿を務めていた男――ミハイル・グレヴィッチ(スェールイ・ヴォルク・f04316)は口角を上げる。
 腕っぷしに自信はあれど、避難誘導のような面倒な作業を自分が上手くこなせるとは思っていない。
 であればこそ、己は己の得意とする分野で貢献すれば良いのだと、ミハイルは素直にそう思うのだ。

「さあ、こちらは兎狩りと洒落こむか」
 ミハイルが構えるのは旧東側諸国製の汎用機関銃――UKM-2000P。
 その見るからに武骨な機関銃は、本来は銃座を用いて使用するような大型の銃。
 しかしその体格と人間離れした膂力を活かし、ミハイルはその両手に握ったまま機関銃を振り回して見せるではないか。

「悪ぃな、生憎ここはペットの入場は禁止されているんだ。勝手に入ったからには、駆除させて貰うぜ」
 放たれ続ける乾いた音と共にジャラジャラとはじき出された薬莢が地面を転がる音が響き続ける。
 その銃口を右から左へとするりと流せば、次々と獣は地に伏し紅の池を作る。
 そうして山が出来上がれば、放たれ続ける高威力の弾丸がその山ごと吹き飛ばすのだ。

「大体、こんなモンがあるから、奴隷だの支配階級だのくだらねぇ認識が出来ちまうんだ!」
 荒ぶる男の弾幕は、オブリビオンどころか拠点の施設すら破壊する。
 それは闘技場の施設を狙い撃たれたもの。
 人々が共に生きる為には不要なものだけを、格差の原因となる諸悪の根源だけを狙い撃ち、破壊するのだ。

「おっと」
 施設の破壊に気を取られたミハイルの脇を抜け、獣たちが人々を狙い走り出す。
 肉食獣のそれへと四肢を変化させた彼らは、しかしその凶刃を届かせることは出来ない。
 何故ならばその拠点には、全てを見通す狩人が存在するのだから。

「灯璃、目ぇ盗みやがったな?」
『視覚野侵入完了――――――Ziel adfangen. えぇ、少し“目”をお借りしましたよ』
 その声は、無線機を通し拠点から数キロ離れた巨大な岩山の上から届いていた。
 青年に無線機を渡した後、灯璃は拠点全体を見通せる高さの場所を探し、狙撃で支援していたのだ。
 しかしそれは射線が通るとはいえ、本来であれば狙撃が可能な距離では無い。
 だが彼女は人々の、そして仲間たちと視覚を強制的に共有化することで互いの位置を把握し、精密な狙撃を成功させていた。
 それは正しく正確無比――人間離れした妙技と言えよう。

「良いけどよ……おっと、団体さんのお出ましだ」
 新たに現れた一団へと、ロケットランチャー――RPG-7V2をぶち込みながらミハイルは気を取り直す。
 今はともかく、この獣たちを拠点から叩き出さねばならないのだから。

 煌々と燃え上がる炎を眺め、ミハイルはスキットルから一口蒸留酒をあおる。
 その視線の先では、懲罰的なものであろうか――奴隷の檻が燃え上がっていた。

「へっ、いい気味だな」
 男は踵を返す。
 全てが終わった後、この拠点が少しでもマシになっていることを祈りながら。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

ラパ・フラギリス
ひ、ひい…可愛いかったのに肉食系な…怖いです…。
即ノワール(戦車)を遠隔操作で呼んで乗り込みます!引きこもります!
中なら安心です…齧られてもちょっとくらいなら平気のはずです。
間違えてモヒカンを撃たないように気をつけながら機関砲やマシンガン撃ちまくります…
【制圧射撃】【弾幕】

でも周りの人も守りながら戦わないとは…大変です。
武器はいっぱいあるので…勝手に使って私を…じゃなくて身を守ってください…。
(戦車の中からどばどば重火器を落として)
でも演説なんで私には絶対無理です…。
私が援護するので…リーダーさんが頑張って周りに武器を持つよう説得してくれませんか…(おどおど兎)
逃げるにしても役に立つはずです…




「ひ、ひい……可愛いかったのに肉食系な……怖いです」
 ラパ・フラギリス(Wrapped in strong things・f25323)はその可愛らしい小動物然とした見栄えから異形の獣へと変化したオブリビオンを思い出し、ガタガタと振るえる。
 彼女が居座るは、彼女が呼び出した愛用の戦車――ノワール。
 事前にノワールを呼び出す場所に目途をつけていたラパは、事件が起こりオブリビオンの姿を確認するや否や、ノワールを呼び出し逃げ込んでいたのだ。
 その素早さたるや脱兎のごとく。
 否、それはもはや兎をも超えた神速と言えるほどの速さであった。

「で、でも……このノワールの中なら安心です……齧られてもちょっとくらいなら平気のはずです」
 装甲を叩く音にびくりとするラパ。
 カメラで確認すれば、そこにはその頭部を肉食獣のそれへと変化させたオブリビオンが、一心不乱に群がっている様子が見てとれた。
 金属を叩く音が響く度におびえるラパ――しかしどうやらノワールの装甲を貫けなさそうだと一安心すると操作を開始し、ようやく戦闘を開始するのであった。

「いきます……」
 轟音と共に戦車が動けば、その巨大な隻腕が獣を潰す。
 薙ぎ払うように機銃が弾を吐き出せば、次々と血に伏す獣たち――その戦力差は圧倒的、一方的に敵を屠る戦況でありながらも、戦うラパのテンションは地を這うように低いものだった。

「あぁ! リーダーさん!」
 早く戦闘から逃げたくてたまらないラパは、待ち人を発見し思わず大声をあげる。
 外部スピーカーで呼びかければ、その鋼の塊から声をかけられた青年は、まるで珍獣か何かを見つけたかのように目を白黒させるではないか。

「ぶ、武器はいっぱいあるので、勝手に使って私を……じゃなくて身を守ってください」
 土煙をあげながら重火器を落とし続けるノワールに対し、青年は尻ごみをするかのように戸惑う。
 だがこれまでの戦いにより自信をつけたのだろうか……はたまた他の猟兵たちとの交流うから、彼らにとっての常識の埒外の存在に慣れたのだろうか。
 ラパの操るノワールがどうやらオブリビオンと戦い続けている様子を見れば、連れ添った人々と共に武器を拾い始めるのであった。

「私が援護するので……リーダーさんが頑張って周りに武器を持つよう説得してくれませんか」
 この戦いの中で何かが確かに変わったのだろう。
 人々に声をかけ、指示を出し……共に武器を持つ青年は、既にリーダーと言っても過言でない活躍を見せる。

「ひぃ! 早くして下さぁい!」
 しかしそんな変化を、目の前の敵たちに怯える少女は気にする余裕など無かった。

成功 🔵​🔵​🔴​

城島・侑士
アドリブ・連携◎

ようやくこの演技から解放されるぜ
さぁネズミ駆除の開始だ

殺る気満々でこっちに向かってくるヤツや
人を襲ってるヤツをに積極的に狙い撃つ
何匹も同時に向かって来たら咎力封じで拘束し動きを鈍らせてから乱れ撃ちで蜂の巣に
…いや的が小さいから蜂の巣じゃなくてミンチになってしまうかもしれないな

俺個人としてはどうなろうと構わないんだが
あの勇敢な青年が気に病むといけないので
威張り散らしていた棘付き肩パッド達も忘れずにちゃんと助けてやるか
もうスタッフを演じる必要もないしタメ口でいいよな?
おい、ネズミに食われるのと
うっかり誤射されるのなら
どっちがいい?
どれも嫌ならさっさと逃げな

敵の攻撃はオーラ防御で防ぐ




「ようやくこの演技から解放されるぜ」
 拠点(ベース)内に響き渡る怒声を聞いた瞬間せいせいしたと言わんばかりに溜息を吐くのは、先ほどまで柔和な笑みを浮かべながら給仕をしていた男――城島・侑士(怪談文士・f18993)だ。
 へらへらとへりくだる演技は侑士にとってストレスそのもの。
 線の細さを気にしなければむしろモヒカンの演技の方がこなせていたのではと思わせるほどに荒々しい笑みを浮かべれば、戦場へと足を踏み入れるのであった。

「さぁネズミ駆除の開始だ」
 愛用のレバーアクション式散弾銃――パーキーパット D1963を肩に担ぎ侑士は戦場を歩く。
 彼の目の前には逃げ惑う人々を追い立てるように襲い掛かる獣たち。
 しかしその獣は単なる獣では無い――知恵深き実験動物たちは巧みに人間たちの道具を使いこなせば、体格に似合わぬ俊敏な動きでもって牙を剥く。
 しかしその凶刃は、逃げ惑う人々に届くことは無い。
 何故ならば狩りに興じるべく、狩人の放つ罠がその獣たちを捉えるのだから。

「おら、さっさと逃げろ!」
 手枷が、猿轡が、ロープが獣たちを縛り上げる。
 そうして動きを鈍らせた敵など、唯の的――銃声と共に放たれた鉛の散弾が全身に風穴を開ければ、大地に潤いを与えるだけだ。

「お前……」
 唖然とした表情で侑士を見上げるのは、先ほどまで彼自身が給仕をしていた相手である幹部の一人。
 しかし先ほどまでと違い、侑士の態度は明らかに給仕の“それ”では無かった。
 幹部のことなど大した興味もないとばかりに鉛玉を弾き続けながら、一体、また一体と狩りを続けるのだ。

「おい、ネズミに食われるのとうっかり誤射されるのならどっちがいい?……どれも嫌ならさっさと逃げな」
 立ちすくむ幹部をねめつけ追い立てると、侑士は再び前へと視線を戻す。
 その前には彼の隙を伺うずる賢き獣の姿。
 好きを伺うように臨戦態勢を取り続ける獣たちを眺め、侑士は嬉しそうに口元を歪めるのであった。

「来いよ……ミンチにしてやるよ」
 嗚呼、余計な配慮などいらぬ戦闘の何と気楽なことか。

 獰猛な笑みを浮かべたまま、男は戦場を歩く。
 それは戦いなどでは無く……一方的な、狩りであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と

確かに、些細なともし火かもしれません
吹けば消えてしまう、小さな炎かもしれません
でも、その炎は尊ぶべきものです
そのともし火がなければ、人々が標とするものがなければ
人々は立ち上がれぬのですから

かれの言葉には笑って見せて
当然ですよ、僕はきみの導きの星ですから
きみが僕の道をあまねく照らす星であるように、ね

ええ、もちろんですよザッフィーロ
きみの期待に応えてみせましょう

前衛はかれに任せて僕は砲台として動きましょう
『高速詠唱』『属性魔法』『一斉発射』を付加した
【天響アストロノミカル】にて攻撃します
青年の行動を意識の端に入れつつ
妨げにならない程度に援護を行いましょう


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

確かに彼の行動は無謀と呼ぶ物ではあるかもしれん
だが…勇気ある善き者を此の侭死なせる訳にはいかんからな…と
…灯火、か
俺にとっての導の灯火は宵ゆえに。…お前と共にならば負ける気はせんな

戦闘と同時に地を蹴り敵との間合いを詰めんと試みよう
その後は青年や宵に攻撃が行かぬ様【穢れの影】にて足止めを試みよう
足止めが間に合わぬ場合は『盾受けにてかば』い『カウンター』にて『怪力』を乗せたメイスにて攻撃を
青年も宵にも攻撃は届かせる訳にはいかんからな。ここで止めて見せよう
青年と声を交わす機会があるならば安心さえるかの様に頷きつつ後方に下がってくれるよう頼もうと思う
…宵、攻撃は頼んだぞ




「確かに、些細なともし火かもしれません。吹けば消えてしまう、小さな炎かもしれません」
 人々を率い撤退を支援する青年を眺め、逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)はそう言葉を零す。

「でも、その炎は尊ぶべきものです。そのともし火がなければ……人々が標とするものがなければ、人々は立ち上がれぬのですから」
 そう語る宵の瞳は、慈しむような優しさの色を帯びる。
 先ほどまで繰り広げられていた強者と弱者の歪な関係。
 ああいった醜い愚かさこそ疑いようもない人間の性――だが、こうした窮地に我が身を顧みず献身的に働くような、損得勘定で言えば愚かとした表現できない彼らの行動もまた、人間の本質なのであろう。

「確かに彼の行動は無謀と呼ぶ物ではあるかもしれん。だが……勇気ある善き者を此の侭死なせる訳にはいかんからな……」
 宵の隣に立つザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)もまた、宵の言葉に同意するかのように言葉を返す。

 人は……いや、人だけでは無くヤドリガミである自分たちも同じであろう。
 皆、何か縋るものが無ければ生きてはいけないのだ。
 暗闇を進むが如く当てもない生という旅路の中で、道しるべとなる灯火の存在が必要なのだ。
「灯火、か……俺にとっての導の灯火は宵ゆえに……お前と共にならば負ける気はせんな」
 ザッフィーロにとって、灯火とは――寄って立つ標とは、紛れも無く傍らにたつ宵の存在だ。
 だからこそ、己が負けるほどが無いと、そう心の底から確信できるのだ。

「当然ですよ、僕はきみの導きの星ですから……きみが僕の道をあまねく照らす星であるように、ね」
 そう語りながら二人は視線を絡めると、いざ戦場へと足を踏み入れるのであった。

「ここで止めて見せよう」
 ザッフィーロが立つは最前線。
 彼の役目はいつだって盾――誰よりも一番危険で、一番荒々しい役目だ。
 彼を囲み牙を剥く獣たちに怯むことなく、攻撃を受け、薙ぎ払う。
 しかし獣たちの動きもまた俊敏――卓越した感覚で攻撃を読み切れば、小さな身体を活かし攻撃を掻い潜るのだ。

「赦しを求めぬ者には何も出来ぬ……生きる限り纏わり積もる人の子の穢れを今返そう」
 だがしかし、その盾もまた容易にすり抜けさせるようなことはしない。
 己が役割を果たすべくザッフィーロが放つのは、身に溜めた赦しを与えてきた人々の罪と穢れにより形成された穢れの影。
 闇色の触手はうねる様に獣に絡めば、次々と大地に縫い付けるではないか。

「宵、攻撃は頼んだぞ」
「ええ、もちろんですよザッフィーロ……きみの期待に応えてみせましょう」
 ザッフィーロが足止めをした敵を狙い、宵は素早く魔力を練り上げる。
 彼が放つは己が魔導技能の粋を集め放つ強力な術だ。

「流星群を、この空に」
 一撃の威力よりも手数を――術の有効範囲に特化したその魔術の名は天響アストロノミカル。
 拠点(ベース)を覆いつくすほどの広範囲目掛け、数百にも及ぶ隕石が大地へと降り注ぐのだ。
 それはザッフィーロやモヒカンや奴隷といった拠点の人々を避け、正確に、そして精密に敵を打ち砕いていく。

 吹き上がる砂塵が晴れた後――そこには大地に伏す獣で覆いつくされていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

チャーミング・ラスト
私は奴隷だった人たちに手を貸してもらえるように鼓舞してみるつもりなの。

「みんなの力を貸してほしいの!化け物が現れて…このままじゃこの場所は…みんなも生きていられるか…」
一人一人に即効性の治癒のポーションを、危ないときのために手渡すよ。
「観客を喜ばせるために人間と戦うんじゃなくて、今襲ってきている化け物と戦って知らしめるの!自分達は勇気をもって守るために戦うこともできるんだって!」
まだ怖がる人がいたら、違う効果の薬瓶を1本渡してみる。
名付けて英雄気分のポーション、自信がついたり気が大きくなるのね。
「怖いだろうし痛いかもしれない…でも私が傷は治してあげる、だからあとは勇気をもって戦ってみて!」




「みんなの力を貸してほしいの!」
 チャーミング・ラスト(純心な魔薬・f25077)は逃げ惑う人々に声をかける。
 危険を顧みず先頭に立ち、戦い、奴隷モヒカン問わず逃がそうと奮闘している青年。
 その青年に心打たれ共に戦う人々もまた、過去の立場に関わらず共に戦っている。
 しかし人間は……そうした心強気者だけでは無いのだ。

「化け物が現れて、このままじゃこの場所は……みんなも生きていられるか……」
 チャーミングが語り掛けるのは、奴隷の一団。
 彼らにとって人生とは、流されるがまま耐える日々。
 今この境地であっても尚、彼らの選択肢に立ち向かうという言葉は無いのだ。

「だってよ、俺たちが戦ってもすぐに死んじまうぜ……」
 戸惑いの表情を浮かべたまま視線を交わしていた奴隷たちの一人が、恐る恐るといった様子でチャーミングへと声をかける。
 彼らの言葉は当然のこと。
 弱者にとって、死とはあまりにも身近なものなのだから。

「これは即効性の薬……これがあれば、直ぐに死ぬことは無いわ。観客を喜ばせるために人間と戦うんじゃなくて、今襲ってきている化け物と戦って知らしめるの! 自分達は勇気をもって守るために戦うこともできるんだって!」
 薬を受け取り、そして彼女の説得を聴き……一人、また一人と共に戦うと声をあげる者が出始める。
 しかしそれでも一部――彼らの心に染みついた恐怖は、あまりにも深いのだ。

 そんな奴隷たちを眺め、特に頑なに拒否をしている者へチャーミングは身体能力を向上させる薬だといって薬瓶を渡す。
 それは彼女のUC――錬金術によって産み出された錬金術士によって生み出された雄気分のポーション。
 飲むことでアドレナリンを過剰分泌させることで気を大きくさせ、自信をつけさせるものだ。

「怖いだろうし痛いかもしれない……でも私が傷は治してあげる、だからあとは勇気をもって戦ってみて!」
 彼女の声を聴き、奴隷たちは興奮し雄叫びをあげる。
 そこにいるのは、唯々虐げられる弱者では無い。
 困難に立ち向かう、男たちの姿があった。

成功 🔵​🔵​🔴​

柊・はとり
結構負傷がキツいが【継戦能力】で立ちあがる
まずは弱腰になってる奴隷達のケツ叩きだ…
対戦相手には極力怪我を負わせないようにした
比較的元気な奴がいる筈だ
UC【第二の殺人】を発動

おいあんた達、まだ戦えるだろ
あいつ(青年)…モヒカン野郎まで助けてやがる
本当にバカだよな
でもこの世界を救えるのはきっとああいうバカだ
俺は一緒に戦う
ここで立ちあがらないのは…『罪』だぜ

武器は鉄パイプ使用
動けるうちに死角から【騙し討ち】や敵装備を狙った【鎧砕き】で
限界以上に奮戦しているように見せ味方を鼓舞
実は能力6倍になってるしな…
昏睡はするが自然に倒れたように見えるだろ

起きたら混乱に乗じ隠しておいたコキュートスを密かに回収する




「おいあんた達、まだ戦えるだろ」
 拠点(ベース)全体に響く怒声と悲鳴を聞き、事件が始まったことを察知した柊・はとり(死に損ないのニケ・f25213)は目の前の奴隷たちへと声をかける。
 はとりの身体はつい先ほどまで散々打ち据えられ、常人であれば長きに渡り動くことが不可能なほどの傷を負っていた。
 しかし彼はデッドマン――じわり、じわりと繋がり続ける断たれた筋の、ゆっくりと埋まり続ける骨のヒビの違和感を感じながら、鉄パイプを杖に立ち上がるのだ。
 この不死の身体は時間があれば復元する……だが、万全となるにはもう少々の時を必要とするようだ。
 だからこそ、はとりは奴隷たちへと声をかけるのだ。

 頼るなと。
 己で立てと。
 生き足掻けと。

「あいつ……モヒカン野郎まで助けてやがる。本当にバカだよな……」
 はとりが目にするのは、騒ぎを耳にした瞬間にいの一番に飛び出した青年の姿。
 群がる獣たちをものともせず、襲われる奴隷を、逃げ遅れたモヒカンを助けていく。
 それは他の誰も行なわない愚行。
 だが、だからこそ尊いのだ。
「でもこの世界を救えるのはきっとああいうバカだ……だから、俺は一緒に戦う」
 鉄パイプを肩に担ぎ、はとりはあるき始める。
 ここまで言っても動かない者は必要無い。
 今は……いや、今後は一人でも多くの戦える戦士が必要なのだから。

「逃げるのが賢いのかもしれねぇ……でもよ、戦えるのにここで立ちあがらないのは……“罪”だぜ?」
 駄目押しの言葉に響くものがあったのだろうか。
 決して全員では無い……だが、少なくない奴隷たちがはとりに続き、戦場へと足を踏み入れる。
 その手に握るのは奴隷に唯一許されたその武器――錆びた武骨な鈍器だ。
「気合いを入れろ! 馬鹿どもを助けるぞ!」
 はとりもまた奴隷たちと共に、鉄パイプを手に獣と戦う。
 俊敏な身体能力と野生の勘を活かし攻撃を掻い潜る獣であっても、限界以上の身体能力を引き出しているはとりの敵では無い。
 その奮戦は多くの奴隷を奮い立たせ、彼らもまた必死に戦うのだ。

 だがしかしその力は長くは続かない。
 何故ならばその異能は――諸刃の剣なのだから。

「やべ……後は、頼む」
 時間切れなのだろう……朦朧とした意識を奮い立たせ、だが抗いきれず膝をつくはとり。
 心配そうにこちらを覗き込む奴隷たちに無理やり捻りだした笑顔を見せ、後を託す。
 ここまでくれば、後は彼らでも青年たちへと合流出来るだろうと、そう安堵しながら。

(やべ……起きたらコキュートスを拾わなきゃ……)
 ヘソを曲げているだろうか……そう己が相棒のことを思い出しながら、はとりはゆっくりとその意識を手放すのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

セフィリカ・ランブレイ
混乱を治めて、避難誘導だね
どの出口にどう導けばいいかはもう頭に入れてある
シェル姉、協力お願いね
【シェルファ顕現】を使用、召喚したゴーレムに敵との戦闘を任せる
私はゴーレムへ簡易的な指示、人形態のシェルファと協力し非戦闘員の避難誘導!

大丈夫落ち着いて!敵はあの子達が受けもつ!
焦らず私についてきて!

護衛もつけたしあの子、無事だろうけど
正直、印象は良くない
覇気がなくて、力も感じなかった
志は立派でもそれだけで突撃は、無謀かなって
『いるものよ、身体はどうしようもなく弱くても。魂と志が強い奴は
セリカの父親も、そうだったし』
だから私はここにいる、と魔剣は語る

…そうなんだ。シェル姉が言うなら、信じてみようかな




「シェル姉、協力お願いね」
 ベース(拠点)に広がる混乱を察知し、セフィリカ・ランブレイ(蒼剣姫・f00633)は己が相棒である魔剣――シェルファへと声をかける。
 セフィリカが呼び出すは無数の戦闘用ゴーレム。
 そして共に戦うのは、真の姿――蒼い髪の麗しき女性、シェルファだ。
 セフィリカはシェルファと共に、人々の避難誘導へと挑む。
 事前の準備から拠点の構造は把握済――後はいかに人々の混乱を収めるかだ。

「大丈夫落ち着いて! 敵はあの子達が受けもつ!」
 セフィリカが指し示すは、彼女が呼び出したゴーレムたち。
 いずれも彼女の力作である自慢のゴーレムたちは、人々へと襲い掛かる獣たちへの防波堤となるべく壁を作る。
 例え直観的に攻撃を察知しようと、いかに素早い獣たちであれど、自分たち以上のゴーレムたちの防衛線を抜くのは容易では無い。
 地響きと共に殴り、潰し、そして圧倒的火力でもって蹂躙するゴーレムたちは、着実に侵略者たちの数を減らしていくのだ。

「焦らず私についてきて!」
 浮足立っていた人々も、己が安全を理解すると落ち着き始める。
 そうして混乱を収めることに成功したセフィリカとシェルファは、ゆっくりと……だが確実に人々を連れ移動を開始するのであった。

「護衛もつけたしあの子、無事だろうけど……」
 セフィリカが思い出すは、リーダーの器と聞いた青年の姿。
 彼女が仕込んだ護衛は、本人の……そして仲間の猟兵たちの目に止まること無く仕事を果たしてくれると信じている。
 だが当の本人を思えば、正直良い印象を抱けないでいた。
 覇気も無く、力も無い……志だけで突撃したとて、それは無謀であり、蛮勇だ。

「いるものよ、身体はどうしようもなく弱くても。魂と志が強い奴は……セリカの父親も、そうだったし」
 だがシェルファの零れ落ちた否定的な言葉の響きを聞き、己が姉と慕うシェルファの返答はまた違ったもの。
 彼女が語るは、セフィリカの父の話。
 彼もまた、青年と同じく武力は持たずとも……強き魂と志を持っていたのだと。

「だから私はここにいる」
 そうまで言われては、セフィリカとて頷かざるを得ない。
 慕う姉が、大切な父のことを語るのだから。

「そうなんだ……シェル姉が言うなら、信じてみようかな」
 そう語る少女の表情は、どこか吹っ切れた軽やかなものであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

三下・ひいろ
【-morgen-】
青年からは、トワと似た…皆を守ろうとする意思がある。
…もし、非力な彼が怪物にやられてしまったら…?
私は万年筆。ヒトの可能性を広げるツールでなくて、なんになる。

怪物には物事を論理的に組み立てる力がある。論理的に考えられなくなる時は、感情的な時だ。ユーベルコードを用いて「生を受けた悲しみ」を増幅させれば動きが鈍るはず。
それなら、彼が怪物を退治でき、それを見た皆が尊敬する。それは彼の自信になる。
私は、彼の後ろにこっそりついてまわりサポートするよ。
もちろん、彼が助け出した人々は後で彼の英雄譚を語ってもらうために、適切な避難ルートを案内する。…その他の人も案内するか♪


水元・芙実
【-morgen-】
猟兵として初めての戦いの人もいるし、そのリーダーの資質がある人…名前なんだっけ…も戦い慣れてないみたいだから援護に回るわ。

狐狗狸戦術で周りのサポートをしながら戦うわ。特に二人が上手く動けるように位置取りして。リーダー候補の人はここでいいところ見せて置いたほうが良いだろうしね。
皆落ち着いて戦えば問題ないわ。猟兵なんだからこの程度の相手は大したことないし。スリングで適当な石とかをぶつけながら示すわね。

ある程度戦闘が安定してきたら、モヒカンと奴隷たちに呼びかけるわ。
「あなた達も彼一人に戦わせるんじゃなくて動きなさい!私たちがいつでも助けに来られるとは限らないんだから!」って。


一駒・丈一
【-morgen-】

若人の為に一肌脱ぐのが、俺のようなおじさんの役割だ。
ひいろやシモン、そして青年の後方支援に回ろう。

如何せん敵の数が多い故に、物量で攻められれば対処が難しい。
故に、UC【罪業罰下】にて視認できる周囲の敵の「足」を一気に一閃する。
足に負傷を負わせて行動を制限させ、個別の対処をしやすくする為だ。

こうすれば、青年もひいろやシモンも対処がしやすくなるだろう。
勿論、油断は禁物だ。気を抜かず、周囲の敵の動向を今までの経験上の【戦闘知識】にて見定め
こちらの攻撃を掻い潜り隙をついて若人達やモヒカン&奴隷達に襲いかかってくるならば、刀にて彼等を庇うように応戦しよう

お礼は出世払いを期待しておこう


狼谷・シモン
 青年を見守ろうとせんと駆け出すひいろさんについて出たものの、彼女の出がけの素振りを見て積極的かつ直接に青年を助けるのはいかがなものかと思いとどまります。
 その時にふと周囲に倒れている人を見かけ、まずはひいろさんと青年の二人が危機的状況に陥るまでユーベルコード【同志との共闘】を使用し生存者の救助に専念しつつ事態の推移を見守る事とします。
 二人の身に危険が及んだ場合は、同志の狼との共同で動物への攻撃を加えることとします。
 人狼の姿には夜にしかなれないことになっており、まだひいろさんや周りには見せていない事にしたいため、呼び出した狼も友達という体でごまかすこととします。




「青年からは、トワと似た……皆を守ろうとする意思がある」
 先頭に立ち、人々を助けようと奮闘する青年を眺め、三下・ひいろ(ヤドリガミのサイキッカー・f28307)はそう言葉を零す。
 万年筆のヤドリガミであったひいろ――彼女が青年と重ね想いを馳せるは、彼女にとって持ち主えあった遊牧民のトワの存在。

「もし、非力な彼が怪物にやられてしまったら?……私は万年筆。ヒトの可能性を広げるツールでなくて、なんになる」
 大切な人を重ねてしまったのならば、もう放っておくことなど出来ない。

 己が猟兵としての役割を果たす為。
 己がヤドリガミとしての矜持に恥じぬ為。
 ひいろは戦場へと静かに足を踏み入れる。

「人に寄り添うこと。それは私を通してあなたの物語を語ること」
 ひいろが放つのは、己が器物である万年筆にも似た霊体――人の目に触れることの無いそれは乱戦の間をするりと抜ければ、この人々が暮らす拠点(ベース)を蹂躙せんと暴れまわる侵略者へと突き刺さる。
 そしてその不思議な万年筆は、貫かれた者の悲しみを増幅させるのだ。

 先ほどまで人々を襲い続けていた獣たちはその足を止める。
 実験動物として生を受けた……己が命の悲しみに心を揺らしながら。
 そうして足を止めたのならば、青年とて……青年と共に戦う人々とて、十分に戦果を得ることが出来る。
 それはきっと彼らの自信となり、未来に芽吹く種となるのだ。

「ひいろさん……」
 そんな彼女の行動を見つめ、狼谷・シモン(影なる守護者・f28308)は逸るように駆けだそうとしていた足を止めた。
 大きな戦いに浮足立っていたシモン――己が実力を十分に発揮し、人々を助けて回るつもりであった彼は、しかしひいろの青年たちを立てる様子に感銘を受け、自身もまた配慮しなければならないと己を律したのだ。
 彼の人狼としての野生の勘が伝えている――敵のオブリビオンを蹂躙することは容易い……だが、それは人々の成長の機会を奪い、そして人々が自立していく可能性を潰してしまいかねない。
 そう感じ入るからこそ、シモンはひいろに対し、尊敬の視線を向けるのだ。


「みんな、逃げて!」
 ひいろは青年を支援しながら、共に人々の避難を呼びかける。
 しかしその支援があったとて、本来ただの一般人である青年たちは何とか戦える程度。
 その戦果は殲滅にはほど遠く、撤退戦が長引く程に徐々に旗色が悪くなっていく。
 だが、決して悲観する必要は無い。
 何故ならばその戦場には、頼りになる猟兵仲間たちが大勢いるのだから。
 
「皆落ち着いて戦えば問題ないわ」
 白衣をたなびかせ、水元・芙実(スーパーケミカリスト・ヨーコ・f18176)は戦場全体を見通す。
 彼女が用いるは仲間たちの連携を補助する為の妖術――狐狗狸戦術。
 操る小さな狐を用いて集められた情報を利用し、芙実は的確に指示を飛ばす。
 それにより猟兵たちは青年を立てつつも、決して戦況が崩壊しないよう……適時押されている戦線へと助けに入ることが出来るのだ。

「これにて終いだ。余罪は地獄にて禊がれよ」
 芙実の指示を受け、一駒・丈一(金眼の・f01005)は獣たちの群れの中心へと飛び込む。
 丈一が振るうは罪業罰下――因果を操るその一閃は、刀身からは届き得るはずもない範囲までをまとめて薙ぎ払う。
 唯々宙を薙いだだけのように見えるその軌道――だが確かに獣たちはその身から血の花を咲かせ、苦し気に地面をのたうち回る。
 彼の技量をもってしては敵を纏めてなます切りにするは容易い……だがあえてその機動力を削ぐように攻撃を放つことで、人々自身が勝利を実感できるよう配慮された一撃。
 そうして隙が生まれたならば、人々は勇敢に敵陣へと突撃するのだ。

「若人の為に一肌脱ぐのが、俺のようなおじさんの役割だからな」
 それは丈一らしい配慮された戦い方――それが人々の、若人たちの助けになるならば、彼は喜んで骨を折るだろう。

「同士よ、力を貸して下さい」
 シモンもまた、己が身長の倍はあろう巨大な狼に跨り戦場を駆ける。
 彼が常に配慮するは、勇敢に戦う青年や人々、そしてひいろや戦闘に参加出来ず逃げる人々だ。
 戦う者がいればその巨体で注意を引き好きを作るように立ち回り、非戦闘員が襲われるようであればその鋭い牙と爪を振るい全力で屠るのだ。

 獣入り乱れるその戦場であっても目立つその巨狼に向けて、人々は当然驚きの視線を向ける。
 人狼であることを広めたく無いシモンが問われれば、友達などと無理やりな誤魔化しが必要になることは必至……説明を要されることを求められたらどうしようと不安を抑えきれないものの、せめてもの救いはそこは誰もが必死に叩く戦闘の最中。
 また次の場所へと援護に駆け回れば、まともに問い質されるはずもなく……シモンは安堵したかのようにほっと息を吐くのであった。


「あなた達も彼一人に戦わせるんじゃなくて動きなさい! 私たちがいつでも助けに来られるとは限らないんだから!」
 仲間たちへの指揮をとりながら、芙実は未だ戦うことを選ぶことが出来ない人々へと発破をかける。
 もちろん奴隷もモヒカンも関係なく、彼らの一部は青年と共に戦っている……だがそれはあくまで一部であり、負傷等により戦えない者を除いたとしても、まだまだ多く者は逃げ惑うばかり。
 混乱が発生しては不要な被害が発生する――故に戦況が優位に落ち着いてきた今まであえて見逃してきた芙実であったが、戦闘が終わり切る前の今でだからこそと彼らの説得にかかっていたのだ。

 そんな彼女の様子を見つけ、件の青年は猟兵たちへと駆け寄る。
 他の猟兵たちにも感謝の言葉を述べていたのだろう……忙しく指示を飛ばし続けながらも、芙実たちにも感謝の言葉を述べるのだ。

 構わないと、助けになれて光栄だと。
 猟兵たちは何でもないとばかりに言葉を返す。
 しかし他の皆にもそう言われているのだと、青年は困ったような笑顔を浮かべるのだ。

 で、あるのならばと……男は一人、青年にお礼を要求をする。
「お礼は出世払いを期待しておこう」

 それは優しい、優しい嘘であった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 日常 『奴隷達に勇気を!』

POW   :    自らの力を誇示・先導し、戦う勇気を与える

SPD   :    戦いの術を教えて、戦う勇気を与える

WIZ   :    武器や知恵を与えて、戦う勇気を与える

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「あたしはこいつをリーダーに立てる……文句があるヤツはかかってきな」
 そう真っ先に口にしたのは、これまで拠点(ベース)を支配していた幹部たちの中でも、一目置かれていたモヒカン頭の女性の姿。
 その真っ赤に染められたモヒカンを左右に振るいながら周りをねめつけ、決して異論は認めないとばかりに威嚇する。
 そう祭り上げられた当の本人は、なんで自分なんだとおどおどと戸惑うばかりだ。

「だ、だってよ姉御……こいつ、奴隷だぜ?」
 モヒカンたちも、青年の活躍は認めている。
 だがそれでも、長くに渡り拠点を支配していた身分制度の感覚は深くに根を張り、その事実を素直に認めることは出来ない。
 それはその意見を口にしたモヒカンだけでは無い……特に共に戦うことが出来なかった者ほど、モヒカンも奴隷であっても、その決定に対し違和感を感じているのだ。

「黙りなっ! 他の誰にだってあの惨状で立ち向かえる奴はいなかった! これから拠点を立て直さなきゃいけない今は、強いリーダーが必要なんだ! そして誰よりも強いのは、あの時真っ先に動けたこいつだろっ!?」
 そう戟を飛ばす女幹部の言葉に、頷く者も存在する。
 それは全体から見れば、三割いるかどうか……その者の多くは、先の戦いで青年に感銘を受け、そして猟兵たちに叱咤激励を受け、戦うことを選択した奴隷やモヒカンたちだ。

「ぼっ、僕に出来るのかは分かりません! でも……それでも、やらせて貰えるなら、頑張るから! 皆が、しっかり暮らせていけるように!」
 そう青年が言葉を返せば、決まりだとばかりに人々は騒ぐ。
 しかし、それは一部の声が大きい者による決定……人々の過半数は、未だ納得がいかないかのような表情を浮かべるのだ。

 支配者として君臨してきた矜持が許せない者。
 己より弱者であるはずの者の活躍が、認められない者。
 隣に立つ者の成功が妬ましい者。
 そして……唯々、変化が受け入れられない者。

 今は良いだろう、だがこのまま放置しておけば、そう遠くない未来にこの拠点は崩壊するだろう……それは外部からの侵略者では無く、内部からの争いによって。

 猟兵たちは難しい判断を迫られる。
 君たちに出来ることは、何だろうか?

 拠点の修理や物資補充といった支援も今を生きる為に必須だろう……だが忘れないで欲しい。
 大切なのは、今後人々が自立してやっていけるかどうかなのだということを。
セフィリカ・ランブレイ
彼はやりきってみせた
なら未来の英雄と私は信じる

でも。勇気を与える象徴が、良い王になるかは、別の話
(父さんは英雄になれても、王様としては負けた……。優しいだけの王を周りが許さなかった)

同じにはしたくない。彼を信じる人を、増やしていきたいけど
……それは私の仕事?

結局は、彼次第なのかも

私にできるのは……

ちょっとさ、身体の動かし方、覚えてみない?

彼に、私が戦闘法のベースにしてる剣をはじめとして、戦いのノウハウを伝えてみる
少しでも強くなって、自信をつけてほしい

そのうえで、多くを頼り、仲間を作っていって欲しいと、思う

これでいいのかな……?
『正解は、ないかもね。……後は、あいつら次第でしょ』




「彼はやりきってみせた……なら未来の英雄と私は信じる」
 拠点(ベース)のリーダーの任を受けた青年――彼を支持していた人々にもみくちゃにされている様子を眺めながら、セフィリカ・ランブレイ(蒼剣姫・f00633)はそう言葉を零す。
 思うところはあった、不安に思う部分も未だ存在する。
 だが確かに、彼は結果を出したのだ。
 故にセフィリカは青年を認める――彼は確かに、英雄の器なのだと。

「でも……勇気を与える象徴が、良い王になるかは、別の話」
 だが同時に、英雄が指導者足り得るのかどうかは、必ずしもイコールでは無いのだと彼女は知っていた。
 セフィリカは己が父の存在に思いを馳せる。
(父さんは英雄になれても、王様としては負けた……優しいだけの王を周りが許さなかった)

 英雄であった父。
 優しい父。
 だがその父は――負けたのだ。

 出来れば青年を、父の二の舞にしたくは無い。
 だがしかし、それは己の仕事なのかと……出過ぎたことではとも悩む。
「でも、結局は彼次第なのかも」
 しかし同時に、いくらセフィリカが口を出したとて、青年自身の資質が――努力が実らなければ意味は無いのだとも思う。
 であるならば、多少のお節介程度、許されるだろう。

「ねぇ……ちょっとさ、身体の動かし方、覚えてみない?」
 セフィリカは、青年へと剣の手ほどきを持ちかける。
 力で選ばれたわけでは無いリーダーとて、力があることに越したことは無い。
 故にこの荒れた大地で、少しでも生き延びられるように……彼女は、剣の振るい方を、戦いのノウハウを伝えるのだ。

 少しでも強くなり、自信をつけて欲しい。
 彼ならきっと……奢らず、周りを頼り、仲間と共に支え合ってくれると信じているから。

「これで……いいのかな?」
 汗だくになりながらこちらに感謝の言葉を述べ、仲間に囲まれながら去っていく青年の背中を見つめる。
『正解は、ないかもね……後は、あいつら次第でしょ』

 そう返る言葉に静かに頷きながら、少女は一人彼方を見つめるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴィリー・フランツ
SPD
目的:警邏スタッフの教育

理由:どうにも…まだあの坊主をリーダーと認める事が出来ねぇようだな。
なら、直接的な兵力である警邏スタッフを教育するぜ。

手段:先ずは、オブリビオンとの戦闘で減った戦力の補充だな、モヒカンだけでなく元奴隷からも志願を募るぜ、その中から責任感の有りそうな奴を班長にするか。

次は訓練、ランニングや組手による基礎体力向上、射撃訓練による命中率の向上だな、UC〈ヘッドショット〉を披露して射撃は集中力だと言っとくか。

後は、班長と共に訓練結果をまとめて新リーダーに報告だな、認めさせるには、兎に角仕事ぶりを見せるしかねぇ、判断を迷ってるようなら俺の戦闘知識による助言を行うぜ。




「どうにも……まだあの坊主をリーダーと認める事が出来ねぇようだな」
 名実共にリーダーと成った青年をもてはやす人々。
 だがその集団を冷ややかに見つめる瞳の存在に、ヴィリー・フランツ(スペースノイドの傭兵・f27848)気付いた。
 それは数多の戦場を渡り歩いた経験を持つヴィリーだからこそ気付いたもの。

 不満や嫉妬。

 恨み、つらみとは違ったそうした負の感情は、敵対する勢力だけではなく内向きに向けられるもの。
 殺意といった強力かつ一過性のものと違い、少しずつ……じわり、じわりとヘドロの様に溜まり続けるその感情を放置すれば、いつかは災厄を引き起こすのだと、ヴィリーは良く知っていた。

「よぉし、お前ら……訓練といこうか」
 だからこそ、ヴィリーはあえてそうした不満を腹の底に貯めている者モヒカン、奴隷問わずを選び、訓練へと連れ出す。
 ドロドロとした負の感情は、身体を動かすに限るのだから。

 長距離のランニングといった基礎体力訓練。
 徒手空拳による組手や射撃訓練による戦闘訓練。

 そうして汗だくになりながら射撃をするモヒカンや奴隷たちに対し、冷ややかな顔でブルズアイを決めるヴィリーは、彼らの尊敬の視線を集めるのであった。

 へたへたになった男たちと共に、真たなリーダーの元へと向かう。
 報告をさせるのは、ヴィリーがその責任感の高さから警邏スタッフの班長へと任命したモヒカン。
 あくまで彼ら同士でコミュニケーションを取らせることが、互いの仕事ぶりを認め合わせることが、信頼感を構築する唯一の方法なのだと知っているから。

「さぁて、後俺に出来ることは……戦闘知識を活かした助言、かね」

 傭兵である自分に出来ることはそう多くはない。
 だが、少しでも彼らに出来ることをしてやろうと、傭兵は思案する。
 その気だるげな表情に反し、熱き想いを燻らせながら。

成功 🔵​🔵​🔴​

逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と

かれとともに周囲を歩き「読心術」にて皆さんの不満、欲求、感情を読み取るよう努めます
ええ、心構えだけはしておきます
ゆきましょう、ザッフィーロ

ただ説くのではなく、かれらの思いや感情を汲み取りつつ納得してもらうことを目指します
窮地にあるときに己が身の安全を顧みず、全体のために行動を起こせる者こそトップたる者でしょう
……この場にいる皆さんのために、かれは駆け出しました
皆さんをひとりでも多く、助け出すために

これまでの慣例や常識を破らねば、此処のみなさまがたは離散しこの荒野に倒れるでしょう
そうならぬためには、ひとの上に立つ者は拠点全体のためを考えられる者、ではありませんか?


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

何もせずに居た者が何も得られぬのは当たり前だというに
…まあ争いが起きぬに超したことはないが…
逆上される可能性もある故、宵。離れるなよ…?

宵と共に周囲を歩き『聞き耳』にて不満を漏らす物の声を拾おうと思う
何が不満に思うのか把握すれば宵と共に声を
説得は不満を引き出しながら宥める様に出来ればと、思う
同じ様な状況に置かれた時に同じような事をお前達は出来るのか
曇った瞳で視ず習えば、お前達も同じように人として強くなれるのではないかと、そう声を
宵の説く声には表情を緩めながら、戦うのは人同士でないとお前達も解るだろうと続けよう
…声が届くかは解らぬが…届いた者達が良き地にしていくと信じようと思う




「何もせずに居た者が何も得られぬのは当たり前だというに……まあ争いが起きぬに超したことはないが」
 拠点(ベース)全体に流れるどこか陰鬱とした雰囲気を肌に感じ、人々の不満の声に対し聞き耳を立てながら、ザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)は辟易とした溜息を吐く。
 直接的な暴動にすぐさま繋がらないことは助かるものの、このままでは問題が残るということはどこか直観的に感じていた二人。
 まずはこの拠点に住まう人々の意見を……不満を調べようと、ザッフィーロは相棒である逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)と共に練り歩いていたのだ。

「逆上される可能性もある故、宵……離れるなよ?」
 人々を観察するかのように視線を這わせる宵を見つめ、ザッフィーロは言葉をかける。
 何かあっても、猟兵である二人は負けることは無い。
 そう分かってはいるものの、もしもモヒカンに絡まれれば守らねばなるまいと、ついつい心配で声をかけてしまうのは仕方が無いというものだ。

「ええ、心構えだけはしておきます……ゆきましょう、ザッフィーロ」
 しかし宵とて、そのことは理解している。
 彼が遠目に人々を観察しているのは、人々の唇を読んでいるが故。
 声に聞こえ得るものをザッフィーロが、聞き取れないほどの小さい囁きを宵が拾い上げているのだ。
 それは人々に対し、唯々正論という名の暴力を振りかざすことを防ぐ為。
 しっかりと彼らの想いや感情を汲み取り、寄り添い、納得してもらうことを目指す為に、まずは正面切っては口に出せないような彼らの想いを……二人は拾い上げたかったのだ。

 青年のことを頼りないと批評する声。
 奴隷に従うことが納得出来ないという声。
 青年に従うモヒカンたちを、腑抜けたと否定する声。

 そのどれもが、彼らの本音なのだろう。
 故にその意見に、正しいも正しくも無いのだと、そう二人は感じる。

「窮地にあるときに己が身の安全を顧みず、全体のために行動を起こせる者こそトップたる者でしょう……この場にいる皆さんのために、かれは駆け出しました。そう……皆さんをひとりでも多く、助け出すために。そのことを、認めてあげられませんか?」
「そうだ……同じ様な状況に置かれた時に同じような事をお前達は出来るのか? 曇った瞳で視ず習えば、お前達も同じように人として強くなれるのではないか」

 故に二人は、その意見を真向から否定することはしない。
 唯一つ、青年の成した成果を……窮地を救ったという事実を、認めてあげられないかと――そうすれば、彼らと共に歩めるのではと、そう諭すのだ。

「これまでの慣例や常識を破らねば、此処のみなさまがたは離散しこの荒野に倒れるでしょう……そうならぬためには、ひとの上に立つ者は拠点全体のためを考えられる者、ではありませんか?」
「戦うのは人同士でないとお前達も解るだろう」

 二人の人ならざる者は、人と寄り添うべく言葉を尽くす。
 力で言うことを聞かせるのでは無く、辛抱強く言葉を重ねることこそが、長期的な安寧に繋げる為に重要なのだと信じて。

「声が届くかは解らぬが……届いた者達が良き地にしていくと信じようと思う」
「そう、ですね」

 二人で選んだこの選択が、きっと未来に繋がると信じて。
 そっと寄り添い、頬を緩めるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

城島・侑士
アドリブ◎

闘技場スタッフを演じていた時に知り合った者たちを訪ねる
よ、無事で何よりだ
あの時と態度が全然違うって?
あれは演技だったからな
まぁ騙して悪かったよ

ところでお前達は新しいリーダーをどう思う?
コミュ力と手土産の煙草で本音を聞き出しつつ
武器の扱いや
罠の設置等を教える
武器は近接武器より敵と接触せずに倒せる遠距離武器の方が扱いやすいだろう
褒めて自信もつけさせる

奴隷がトップに立つのに抵抗があるか?
だがこの世界で長生きしたければ力も必要だが
ここ(頭脳)も必要だぜ
彼のことを
即信じろ、とは言わない
先ずはお手並み拝見と見守ってもいいんじゃないか?
彼がリーダーの器でなければ
その時は…お前達が決めればいいさ




「よ、無事で何よりだ」
 戦いの混乱が落ち着いた頃――城島・侑士(怪談文士・f18993)はとある人を探し、拠点を歩いていた。
 侑士が見つけ出したのは、彼が潜入していた闘技場スタッフたちだ。
 彼らは潜入時の丁寧な侑士の様子とのギャップに驚きの声をあげる。
「あれは演技だったからな……まぁ騙して悪かったよ」
 悪びれることも無く演技だと認める侑士に対し、スタッフたちは毒気を抜かれたような表情を浮かべる。
 そう悪くも無い感触を確かめなあら、侑士は己が目的を果たすべく会話を続けるのであった。

「ところでお前達は新しいリーダーをどう思う?」
 侑士が行なうのは、先の戦いを通し交流を持った者に対する草の根的な情報収集。
 この世界では貴重な嗜好品の差し入れを忘れずに巧みな話術で引き出すのは、彼らの新たなリーダーに対する心象だ。
 全く知らぬ者に頭ごなしに何だかんだと言われては、誰だって良い気はしない。
 故に侑士は少しでも見知った者を探し、こうして情報収集と共に説得にかかっているのだ。

「奴隷がトップに立つのに抵抗があるか?」
 侑士は決して頭ごなしに否定をしないよう、配慮をしながら言葉を選ぶ。
 先の戦いで、この拠点に住まう者で死を覚悟しなかったものは居ないだろう。
 故に本当は誰もが認めているのだ、新たなリーダーとなる彼の実力は。
 しかしそれを認めたくない時、人は他の欠点を探すのだ。

 気が弱いのでは、と。
 力があっても、知恵はどうだと。
 そうした不満に対し侑士は絡め捕るように言葉を紡ぐ。

「あぁ、この世界で長生きしたければ力も必要だが……確かにここも必要だ」
 己が額をつつきながら、侑士はモヒカンたちの言葉を肯定する。
 だが……と言葉を続けるのは、彼らの気持ちを変えたい為。
 より良い方向に、共に支え合っていける方向に。

「彼のことを即信じろ、とは言わない。だが、先ずはお手並み拝見と見守ってもいいんじゃないか? 彼がリーダーの器でなければその時は……お前達が決めればいいさ」
 思うところはあるのか悩むモヒカンたちに別れを告げ、侑士はその場を後にする。
 彼に全員をどうこうすることは出来ない。
 だが……一人でも多くの賛同者を増やすことが出来れば、それはきっとこの拠点(ベース)をより良い方向に導く一助になると信じて。

(腹減ったな……)
 慣れぬ気遣いに疲れを感じながら、男はその場を後にする。
 家族の手料理に、想いを馳せながら。

成功 🔵​🔵​🔴​

柊・はとり
おいモヒカン面貸せ、ここ更地にするぞ
仲間から異論なければUCで闘技場を跡形もなく【地形破壊】
他遺恨を残す施設・道具は部外者の俺が片っ端から潰す

…何か文句あるか?(【殺気】)
今まで誰にナニをしてたか理解出来ただろ
あんた達生きててラッキーだな

ちなみに俺は高校生探偵だぞ
この世界じゃ身分も肩書も飾りだ
分かったら二度とこんなもん作るなよ

俺達もいつまでも此処にいる訳じゃない
仲間内でいがみ合ってる場合かよ
全員で協力できなきゃ次の襲撃で死ぬぜ?
ほら要る物は補修だ、俺も手伝うから
おいリーダー、誰が何をすればいい
モヒカンもあんたに従うってよ
…なぁ?

的確に指示が出せれば信頼を得られる筈だ
憎まれ役を買ってとっとと帰る




「おい、モヒカンども面貸せ、ここ更地にするぞ」
 柊・はとり(死に損ないのニケ・f25213)は、その顔を一際不機嫌そうに歪めながらモヒカンたちを連れて歩く。彼の目的は拠点(ベース)の身分制度の象徴でもある建物――闘技場を破壊する為だ。
 猟兵たちは皆、新たなリーダーの存在に納得していない人々を中心に説得にかかっていた。だか、はとり自身は己がそういったことに向いているとも、根気強く人々の愚痴を聞いてやれるとも思えない。故に彼は、後の禍根に残りそうな建物――闘技場を始めとした奴隷制度を象徴するものを破壊することに決めたのだ。
 それは人々が気持ちを切り替えるのに必要な行為……決して回収が遅れ戦闘で活躍出来なかった相棒の大剣――コキュートスの曲げたヘソを直す為に暴れさせてやりたいなどという下心など無いのだ。

「で、でもよ……」
 連れられたモヒカンの一人が、おそるおそるといった様子で声をかける。
 奴隷がいなくなろうとも、建物自体は活用方法があるのだと。別に破壊などいつでもできるのだから、とりあえず放置していれば良いだろうと。一理無くはないその意見に対し、はとりは全力の殺気で以て答えを返す。

「……何か文句あるか?」
 荒くれものであれど、それはあくまで一般人の域を出ないモヒカン。そうして殺気と共に威圧をされれば、震えながら口を紡ぐ以外に出来ることは無い。殺気と共に蒼き炎を纏ったはとりがその異能を以って闘技場を破壊していく様を見守ることしか出来ないのだ。

 サビた金網をめちゃくちゃに折り畳み。
 地中深くへと埋まった鉄柱を引き抜き。
 鉄の茨を引きちぎる。

 それは理不尽とも言うべき圧倒的暴力。
 荒れ狂う嵐が過ぎるのを人々が待つことしか出来ないように、モヒカンたちにその暴力の渦を止めることなど出来はしないのだ。

「今まで誰にナニをしてたか理解出来ただろ? あんた達生きててラッキーだな」
 さんざん暴れまわったはとりは、少しリフレッシュ出来たかのように、先ほどより幾分軽い調子でモヒカンたちへと語り掛ける。
 彼が椅子に座り見守っている先では、モヒカンたちが粉々になった鉄の破片たちを回収し、穴の開いた大地を埋めていた。はとりの言葉のように自身が回収している部品の凶悪さを見れば、モヒカンたちとてはとりが何を言いたいのかは理解出来ていた。

「仲間内でいがみ合ってる場合かよ。俺達もいつまでも此処にいる訳じゃない……全員で協力できなきゃ次の襲撃で死ぬぜ? ほら要る物は補修だ、俺も手伝うから。おいリーダー、誰が何をすればいい? モヒカンもあんたに従うってよ……なぁ?」
 たまたま通りかかり、急に声をかけられ戸惑うリーダーを巻き込み、はとりはモヒカンたちと共に肉体労働に従事する。

 モヒカンたちの誰もが捨てきれぬ不満を表情に浮かべていても、その不満が自分に向くならば構わないと……新たなリーダーとやっていく一助になるのではと。
 それは不器用な青年の、不器用な優しさであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

水元・芙実
【-morgen-】
まずは本人のリーダーとしての自覚を促す事、そして彼の力を拠点の人間に知らせる事、私が手伝えそうな事はそれくらいね。

さっきの戦いの手当を幻炎治療術をこっそり混ぜながら話しかけるわ。
「あなた、気付いてる?皆の視線が自分に向いてるのを
「今、あなたはこの拠点の指揮を取る立場になってしまった…それは分かるわね?
「この世界で全員が生き残るためには、あなたのリーダーとしての自覚と力を見せる必要があるの。…酷だとは思うけどね

そこまで話したら女幹部に声をかけるわ。
「多分、まだみんな納得してないから彼の力を示すための決闘を提案するわ。相手はあなた、この意味は分かるわよね?

あとは見守るだけ、よ。


一駒・丈一
【-morgen-】

俺からは【戦闘知識】として、
今までの傭兵生活で見てきたリーダー達を踏まえた上でアドバイスを送ろう。

「行動は必ずしも幸福を齎す者では無いが、行動せずして幸福は得られない」という言葉がある。

この過程で君が自信を得られるかはさておき、それでも行動はし続けろ。
そして、その行動に魂が込めるのだ。
まずは…この決闘を受けてみては如何かな。
正直、勝ち負けは拘らずとも良い。己の魂を示すのだ。

そして、率いる者達の魂を受け止める事が出来れば尚良い。
人々の声に耳を傾け、だが己の魂で判断することを忘れず、少しずつ行動に繋げていくのだ。

っと。入れ知恵は此処らへんまでにしておこう。健闘を祈る。


三下・ひいろ
【-morgen-】
女モヒカンと決闘させるのは前提として、決闘した後のケアも必要かな。
リーダーたる行動とらせるといっても、こっちがあれこれごてごてに練った台本通りにやらせても、いつかどこかでボロが出る気がする……。
今回の騒動で半数が傾いたのなら、青年にはそれだけのチカラがあるということだよね。青年と共にすれば、青年を見直し尊敬する場面も出てくるのでは…?
知恵と経験を活用して、私の部族がしていたような体制……例えば、公的に共にする場面を作ってあげたり、文句ある人の意見もしっかり聞くよ!って体制を作るのがいいと思うの!青年が真摯に対応してるのを見れば、きっと見直してくれる…っておもうんだけどな…


狼谷・シモン
【-morgen-】
私の能力で教えられることといえば丁寧な物言いくらいなものなので、それで可能な限り意見を集めてみてはいかがでしょうか。それで青年の信頼を集める下地を作る機会は増えるはずです。
決闘については、青年に悪く作用する事があるとは思えません。メリットしかないのであれば受けるべきでしょう。モヒカンなどはそれによって男気を感じて青年に尽き従うかもしれません。
肝心なことは自信を持つことだと思います。自信がない者の行動はそれが透けて見えてしまいます。何より自らがリーダーたることに誇りと、自信を持つべきかと存じます。私は人の上に立つ器ではないと思っていますが、アドバイスが参考になれば幸いです。




「あなた、気付いてる? 皆の視線が自分に向いてるのを」
 水元・芙実(スーパーケミカリスト・ヨーコ・f18176)は新たなリーダーと成った青年に声をかける。
「今、あなたはこの拠点の指揮を取る立場になってしまった……それは分かるわね?」
 突然かけられた言葉に戸惑うものも、その内容を聴けば直ぐにヨーコの言いたいことを青年は理解する。
 何故ならそれは青年にとって最も大きく、そして目の前にそびえ立つ問題だから。
 人の顔色を伺い生きて来た青年だからこそ……心優しく、人のことばかり気に掛ける青年だからこそ、人々の興味が、不満の感情が自身に向いていることは理解出来ていたのだ。

「この世界で全員が生き残るためには、あなたのリーダーとしての自覚と力を見せる必要があるの……酷だとは思うけどね」
 それは正しく、青年にとっては重荷となる言葉。
 リーダーと成った青年には、皆に認められる努力をする義務があるのだと。
 そしてこの拠点(ベース)に住まう人々全てが生き残れるか否かは青年の働き次第なのだと。
 不安をその表情に浮かべる青年の境遇に同情しながらも、芙実は決して言葉を翻さない。
 それは決して優しい言葉では無かっただろう――だが、青年を思えばこそ言わねばならない言葉であるのだ。

「行動は必ずしも幸福を齎す者では無いが、行動せずして幸福は得られない――という言葉がある」
 芙実の言葉を聞き悩む青年の様子を見つめ、一駒・丈一(金眼の・f01005)は彼女の説得を引き継ぐようにそう言葉を重ねる。
 丈一が語るのは、彼の傭兵経験から得た助言。
 命のやり取りが行なわれる戦場――たった一つのミスが、一瞬の油断が命取りとなるその場所で、リーダーに与えられる責務の大きさは非常に大きい。
 そこで戦う人々を見て来た丈一だからこそ、言えることがあるのだ。

「君が自信を得られるかはさておき、それでも行動はし続けろ……そして、その行動に魂が込めるのだ」
 何が正解など、誰も分からない。
 だが動かない者に、得られる者は無い。
 だからこそ藻掻けと、丈一は青年に言うのだ。

「でも、どうしたら……」
 二人の言うことは分かる……だがリーダーに成ったばかりの青年にとって――これまで奴隷として酷使される側だった青年にとって、何を成すべきなのかが分からないのだ。
 人々が己に向ける期待と不満は理解が出来ても、それに報いる為の方法が分からないのだと、そう青年は答える。

「なら多分、まだみんな納得してないからあなたの力を示すための決闘を提案するわ……相手はあなた、この意味は分かるわよね?」
 青年の悩みに対し、芙実は隣で仏頂面で話を聞いていた女幹部であったモヒカン女性へと声をかける。
 幹部としてモヒカンたちにも認められていたモヒカン女性であれば、実力は折り紙付きなのだから。

「正直、勝ち負けは拘らずとも良い。己の魂を示すのだ……そして、率いる者達の魂を受け止める事が出来れば尚良い。人々の声に耳を傾け、だが己の魂で判断することを忘れず、少しずつ行動に繋げていくのだ」
 そう説得を続ける二人に対し、青年はゆっくりと首肯する。
 何が心の底から納得したという様子は無い。
 だが、ここまで助けてくれた猟兵たちであれば、そう悪くはしないだろうという信頼が、青年から滲み出ていた。

「健闘を祈る」
 そう肩を叩かれ、青年は顔を引き締めると歩き出すのであった。


「私が出来ることはこれくらいですから……」
 狼谷・シモン(影なる守護者・f28308)は青年とモヒカン女性の決闘を人々の目に触れさせるべく、拠点内を駆け回る。
 横柄に接するのではなく、丁寧に……そして出来るだけ人々の不満を、意見を拾い上げられるように語り掛けていく。
 単なる喧嘩を急に見せられては、不安に思う人々も出てくるだろう。
 今回の催しが、着実に青年が人々の信頼を集められるよう、そうした下地作りが出来るよう、シモンは働きかけていたのだ。

「大丈夫でしょうか……」
 三下・ひいろ(ヤドリガミのサイキッカー・f28307)は、視線の先で不安そうに向き合う青年とモヒカン女性を見つめる。
 仮に二人に八百長をさせたとて、きっとボロは出ることは予測される。
 それこそモヒカン女性が青年を悪く思っていないことなど、周知の事実――おそらくそれを見守る人々は、必ず女性の手加減を疑いながら見ているはずだ。
 少しでも怪しい素振りを見せたのならば、きっと催しはマイナスの方向に働いてしまうだろう。
 故に猟兵たちは、二人に対し勝敗に関わず全力で行なうよう言い聞かせていた。
 だからこそ、ひいろはしっかりと青年が勝てるのか心配をしていたのだ。

「肝心なことは自信を持つことだと思います……それに、勇敢に戦うだけでもモヒカンなどは、それによって男気を感じて青年に尽き従うかもしれませんよ」
 だがシモンはそんな彼女に対し、勝敗はさほど重要ではないと返す。
 大切なのは、青年の勇敢さを改めて人々に示すこと――そして望むらくは青年がこの決闘を通し己に自信を持つこと。
 どれだけ強く、時として勇敢さを見せたとて……普段から自身の無い様を見せては、やはり人々はついていくことを不安に感じることだろう。

「まぁ、私自身は人の上に立つ器ではないと思っていますが」
 そう偉そうに言えたものでは無いと恥ずかしるシモンの背後では、歓声が起こる。
 やはり青年の実力は本物で、どうやら戦いを優位に進めている様子だ。
 闘技場と違い囲まれず開けた場所で行なわれているその催しは、しかし応援する人々の笑顔を見れば、結果がどちらに転んでも悪いことにはならなさそうだと、そうひいろは思えた。

「なら、私は次の準備ですね」
 ひいろは二人の戦いを見守りながらも、机へ向かう。
 彼女が行なっていたのは、今後必要となるであろうケアの準備。
 彼女の持ち主が所属していた部族で見られたような、人々が共に暮らす際に――そして人々を取り纏め導く際に用いられていた知恵を、経験を書き記しているのだ。

 彼女たちがこの場を去らなければならない時は近い。
 故に残された青年たちの助けになるよう、万年筆のヤドリガミたるひいろは書物を記す。

 きっと何とかなる。
 拠点に響き渡る完成を聴きながら、猟兵たちはそう確信するのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

亞東・霧亥
【SIRD】の5人と。

不平不満を持つ者同士の結束は意外に固い。
『船頭多くして舟山を登る』とも言うし、反乱分子は舞台から御退場願おう。

【UC】
血で錆びた野太刀を構え、赤備えで身を包んだ偉丈夫が現れる。
数多の戦場で大将首を挙げた首狩武者は、震える様な大声で首を求め、殺気を撒き散らし、恐怖を与える。

「首狩武者と対峙して逃げ出さず、最後まで対立する姿勢を見せた奴がリーダーに相応しい。
逃げた奴は、これ以降口を挟むな。」
殺しはしないが、甘い考えを持たせるつもりも無い。
やるからには本気で仕掛ける。
五ヶ所粉砕骨折くらいは覚悟してもらう。
まあ、SIRDのサポートもあるし、大丈夫だろ。多分。

※絡み歓迎


ネリッサ・ハーディ
【SIRD】の5人と共に参加

やはり、一枚岩という訳にはいきませんね。
確かに、彼がリーダーとなる事に関して不平不満を持つ人はいるでしょう。
しかし、この世界で生きていく為には奴隷だのなんだのと言っている場合ではないと思いますが?
この過酷な世界で生きていくには、最早ヒエラルキーを自分達で作って一喜一憂する、などという遊びを行っている余裕などありません。
例えば…(UCを発動し)この様な敵が現れたらどうしますか?
(黄衣の王には攻撃はしない様にしつつ)強力な敵には、こちらも一丸となって集団で対抗する他ありません。生き残る為にも。


私達に出来るのはここまでです。この先、この拠点がどうなるかは、貴方次第です。


ミハイル・グレヴィッチ
【SIRD】の5人と共に行動

そりゃま組織っつーのは、全員が全員意見が一致してるワケじゃねぇ。
何かしらの不満を持つヤツが絶対いる。
そーゆー不満は普段出てくる位ならまだいい。
重要なのは、危機に陥っている時その手の不満が噴出するコトだ。これは状況によっては結構クリティカルだ。
だからそうならない為にもお前(件の青年)にできるのは・・・

笑え。

どんな危機や困難に陥っても、常に笑ってろ。やせ我慢でも空元気でもいい、笑い飛ばせ。冗談や軽口でも出れば上出来だ。
危機的状況では、下に就いたヤツは不安になってる。藁にも縋りたい状況だ。
そんな時、リーダーが笑っていたら頼もしく感じる。ついてく気になる。
だから、笑ってろ。


灯璃・ファルシュピーゲル
【SIRD】5人で連携

先ずは協力的な人達を通じ
反対派の中でも親しい人・先の襲撃や猟兵仲間の脅しから
弱さを自覚し始めていそうな人達に接触し野戦訓練や復興作業に
誘ってみます

出来れば青年にも参加して貰い
軍時代の(戦闘知識・情報収集)の経験を活かし
集団での防衛戦の基礎や実地で外敵兆候を早期に発見する為の
監視・偵察技術を体で覚えさせる事で自信とチームとして
都市を守っていくという共通の信念をしっかり意識できるよう
促したいです

絶対的な王に従うのではありません
むしろ勇敢であってもまだ経験の浅いリーダーを
経験豊富な大人達が支えて優秀な指揮官に育て上げてこそ
生き残れる…それが出来るのは貴方々だけですよ

アドリブ歓迎


佐原・鷹弥
【SIRD】5人と。[SPD]脅威も去って一安心、とはいかないのがアポカリプスヘル。どうやって生き残るか、それが大事。モヒカン頭の姐さんにご協力いただきつつ、大勢の”戦場に出られる戦士”を育てるために野戦訓練に参加しましょう。大事なのは指揮系統に従うことと、己の限界を知ること。灯璃さんのとこで特に跳ねっ返りの強そうな問題児を集めてひたすらに鍛えます。弱音を吐く者がいたら殺気を出しつつ激励して倒れるまで苛め抜きます。これで少しでも生き残る力が得られれば良いのですが。アドリブ歓迎。
「戦いに体を張れるものは全員平等です。これは一人でも長く生き残るために必要な訓練です。だから…覚悟してくださいね?」




「脅威も去って一安心、とはいかないのがアポカリプスヘル……どうやって生き残るか、それが大事ですね」
「そうですね……その為には、力が必要です」
 拠点(ベース)から少し離れた荒野を歩き、佐原・鷹弥(元公務員サイボーグ・f27503)は隣に立つ灯璃・ファルシュピーゲル(Jagd hund der bund・f02585)へと語り掛ける。
 二人が連れ出したのは、人々の中でも新たなリーダーである青年と、それに協力的な人々――そして反対派の中でも賛成派に親しい者がいる者、そして己の弱さを自覚している者だ。
 目的は単純――拠点の強化の為に戦える者を増やすこと、そして新たなリーダーである青年を認めさせること。
 故にその訓練は青年自身、そして青年派筆頭である元女幹部のモヒカン女性にも同行をお願いしているのだ。

 灯璃が行なうのは、彼女の軍在籍時代の経験を活かした実践的なものだ。
 集団での防衛戦の基礎。
 外敵兆候を早期発見する為の監視、偵察技術。
 重要なのはチームとしての連帯感を感じさせ、都市を守るのだという共通の目的をしっかりと意識させ、共有させること。

「戦いに体を張れるものは全員平等です。これは一人でも長く生き残るために必要な訓練です。だから……覚悟してくださいね?」
 鷹弥もまた、人々に対し指導をする。
 彼女が選出したのは連れ出したメンバーの中でも一際気質の強そうな跳ねっ返りたち。
 延々と体力を消耗させる野戦訓練を行ない、細かいことを考えられなくなるまで身体を動かさせる。
 戦士として戦うのならば、己の限界を知ることは重要。
 そして限界を迎えようと、指揮系統に従い、戦い続けることもまた重要なのだ。
 生半可な状態で弱音を吐く者を黙殺し、とことん苛め抜くその荒行に、一人、二人と脱落する者を現れる。

「ほら、少しは貴方たちのリーダーを見習って下さい」
 限界を迎え脱落する者を介助しながらも、鷹弥は彼らの意識を青年へと向けさせることを忘れない。
 彼らの戦闘には、ぜいぜいと息を荒くしながらも、先頭で未だ走り続ける青年とモヒカン女性の姿があった。
 気骨の強い者たちも、その実力の差を突きつければ上下関係を理解する。
 それが自主的な尊敬の念により生まれれば、彼らはきっと上手くやっていくことが出来るだろう。

「絶対的な王に従うのではありません。むしろ勇敢であってもまだ経験の浅いリーダーを経験豊富な大人達が支えて優秀な指揮官に育て上げてこそ生き残れる……それが出来るのは貴方々だけですよ」
 灯璃は未だ納得のいっていない様子の者に言葉をかける。
 彼らはこの訓練を通して実力の差を理解して尚、どこか未だ青年に負けていないのだという自負を捨てきれない者。
 故に彼女がかけるのは、だからこそ青年を助けて欲しいのだという背中を押す言葉。
 その言葉を聞き、悔し気な表情を浮かべていた一人の元奴隷の男は、はっとしたように表情を変える。
 誰もが下につくということに納得できるわけでは無い。
 それでも、それを支えるという意識に変えることが出来れば、彼らは真の意味でも仲間に成ることが出来るだろう。

「あちらは上手くやっているでしょうか」
「そうあって欲しい、ですね」
 二人は青年と言葉を交わす反対派の人々を見つめ、概ね上手くいっている様子に一安心する。
 そして同時に思考を割くのは、他の仲間たちが連れた集団のこと。
 あちらも上手くいけばいいが……そう感じながらも、まずは目の前の人々を導くべく、二人は行動を再開するのであった。


「船頭多くして舟山を登る……とも言うし、ご退場願おうか」
 亞東・霧亥(峻刻・f05789)は目の前で腰を抜かす人々に対し、威圧的に声をかける。
 彼、そして隣に立つネリッサ・ハーディ(クローク・アンド・ダガー・f03206)が釣れ出したのは、元幹部の一人を中心に新たなリーダーである青年に対し反抗的な態度を貫く集団だ。
 青年の活躍など認めない、見てもいないという態度を貫く彼らは拠点の修理や物資の回収といった行動への協力を拒否し、しかしながら自身の食い扶持の確保には口うるさい集団。
 直接的な行動こそ起こしていないものの、そう遠くない未来に行動が予想されるほどの反対派の中でも急先鋒な彼らは、もはや反乱分子と言っても過言では無いのだ。

 そうした彼らが震えながら視線を向ける先には、二体の異形の姿があった。
 一体は赤黒く染まった野太刀を構えた武者。
 紅の武者鎧にその身を包んだその男は、殺気をまき散らしながら奇声をあげる。
 霧亥の指示を待つが故に未だ動かないその男は、彼が呼び出した妖怪――首狩武者。
 そして彼が一言命じたのならば、容易に人々を血祭りにあげるだろう。

 そしてその隣に立つは、黄衣を纏った不定形の何か。
 黄衣からはみ出た無数の触手を持つその異形は禍々しい空気を放つ。
 彼こそがネリッサが呼び出したUDC――邪悪なる黄衣の王。
 隣に立つ妖怪程に殺気立ってはいないものの、その姿はそれ以上の異形だ。
 ネリッサに攻撃をしかけぬ様命令をされているものの、そうとは知らぬ人々は、いつ殺されるかと戦々恐々としていた。

「な、なんで俺たちがこんな目に! あの奴隷野郎の言うことを聞かなかっただけじゃねぇか!?」
 勇気を振り絞り、声を震わせながらもそう声を張りあげるのは、この反乱分子とでも呼ぶべき集団を取り纏めている元幹部の男。
 この状況でも抗おうとするその態度に驚愕の視線を仲間から向けられつつも、余裕の無い本人は気付かない。
「この過酷な世界で生きていくには、最早ヒエラルキーを自分達で作って一喜一憂する、などという遊びを行っている余裕などありません……拠点の外には、このような敵もいるのですよ?」
 そう言いながらネリッサが黄衣の王を一歩進ませれば、反乱分子の長も悲鳴を飲み込むようにして身を竦ませる。
 この態度を見せれば、少なくとも彼はこの集団を維持するほどの信を集め続けることは今後は困難であろう。

「強力な敵には、こちらも一丸となって集団で対抗する他ありません。生き残る為にも」
 そう説得を続けるネリッサに対し、誰もが恐怖の色を隠せず口を紡ぐ。
 しかし二人は感じていた……今この瞬間はしおらしくひれ伏す彼らの中には、のど元過ぎればまた反抗的な意志を貫く者が存在すると。
 そして次は……より直接的では無い方法で、拠点の足を引っ張るだろうと。
 何故なら人間は、愚かなものなのだから。

「首狩武者と対峙して逃げ出さず、最後まで対立する姿勢を見せた奴がリーダーに相応しい。俺たちが推してやるよ……だが、逃げた奴は、これ以降口を挟むな」
 故に二人は、とことん彼らの心を折ることを選択する。
 言って聞かぬ者には、心と体にとことん教え込まなければならないのだ。
 己が無力と、強者に対する恐怖を。

 荒野に、阿鼻叫喚が響き渡った。


「そりゃま組織っつーのは、全員が全員意見が一致してるワケじゃねぇしな……」
 拠点の中でも新たなリーダーである青年に対し特に肯定的な集団を引き連れ、拠点の外へ物資回収に赴いてきたミハイル・グレヴィッチ(スェールイ・ヴォルク・f04316)は、日が傾く中一人建物の屋上で黄昏る青年の存在に気付いたのであった。

 青年曰く、猟兵たちの協力もあり拠点の人々も青年に対し肯定的な意見の人々が増えてきたのだという。
 だが同時に、表立って反抗はしないものの、どこか青年を認めていない人々の存在を彼は感じ気に病んでいるというのだ。
 元来気が弱く、人の顔色を窺って生きて来た青年――相手の心の機微を感じ取ることは得意であるが故に、相手がどこか腹の底で溜めている不満の存在を……納得し切っていない感情を感じ取ってしまうらしい。

「笑え……」
 そんな青年の悩みを聴き、ミハイルが返すアドバイスは立った一つ――“笑え”というもの。
 不思議そうな顔をしながらこちらに視線を向ける青年に対し、ミハイルは言葉を重ねる。
「どんな危機や困難に陥っても、常に笑ってろ。やせ我慢でも空元気でもいい、笑い飛ばせ。冗談や軽口でも出れば上出来だ」
 元来不満など、決して無くなりはしないもの。
 普段の環境下でそれが噴出することなど、大した問題では無いのだと。

「危機的状況では、下に就いたヤツは不安になってる。藁にも縋りたい状況だ。そんな時、リーダーが笑っていたら頼もしく感じる……ついてく気にもなる」
 一番問題なのは、先の戦いのような危機的状況下で不満が噴出しすることなのだと。
 その時不満を向けられる存在では無く、頼られる存在になれと。
 そう説明を続けるミハイルは改めて言葉を重ねる。

「だから、笑ってろ」
 そう言葉をかけられた青年は、すとんと言葉を飲み込めたのか小さく頷く。
 その表情は自信にあふれたものでは無かったが……どこか、憑き物が落ちたような――晴れやかなものであった。


「ここは……やっていけるでしょうか?」
「まあ、大丈夫だろ。多分」
「そうだな……」
「そう、信じたいですね」
 特務情報調査局(Specialservice Information Research Department――SIRDの面々は、互いの行動と成果について情報を交わす。
 この拠点の状況は、オブリビオンを殴れば済むような単純なものでは無い。
 だがそれでも、彼らは成すべきことを……出来ることをやったのだ。
 そう確信するも、同時に不安を殺しきれないのもまた、事実だ。

「私達に出来るのはここまでです。この先、この拠点がどうなるかは、彼ら次第です」
 それでも、猟兵たちは信じるしかない。
 この荒れ果てた大地で生きるのは、あくまで彼らなのだから。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年07月12日


挿絵イラスト