7
ブルー・コクーン

#グリードオーシャン #深海人 #深海島

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#グリードオーシャン
🔒
#深海人
🔒
#深海島


0




「皆さん。お集まり頂きまして、ありがとうございます」
 グリモアベースのブリーフィングルームの一つ、立体映像投影機の前で。ノエル・シルヴェストル(Speller Doll・f24838)が、礼儀正しく一礼する。
「この度、皆さんにお願いしたい依頼は……グリードオーシャンの海中にある深海島を、コンキスタドールから護るという。拠点防衛戦となります」

 深海島とは、グリードオーシャン世界の殆どを覆う、海のその中。つまり海中に存在する『島』の総称である。
 深海島は呼吸可能な空気で出来た泡に包まれており、その内部は陸上の生物でも呼吸可能な環境が保たれている。更にその泡が、島にある種の浮力も与えており。島がこれ以上沈没するのを防ぐ役割も果たしているのだ。中々に上手くできた環境と言えよう。
 島内には貝殻や珊瑚で構成された都市があり。そこには数少ない、水棲派の深海人達が居を構えている。とは言え、彼らは基本的に排他的な集団という訳では無く。この島、つまり『蒼い繭』の島民などは――特殊な環境故、頻繁にとは行かないが――近辺の島の住民とも交流や交易を行っており。島内の文化は華やかで、活気ある物だった。

 だが、今回に限って言えば。それが災いしてしまったのかも知れない。無論『蒼い繭』の住民達に責は無いが……彼らとその居住地は、コンキスタドールに目を付けられてしまい。その魔手が伸びてきたのだ。確かにコツコツと築き上げられてきた、島の文化財と蓄えられた富は、彼らの略奪対象に相応しい。
 尤も。コンキスタドールによる略奪と虐殺を、それと分かっていて見逃すのは、猟兵の矜持と存在意義に関わる。是非ともその蛮行は阻止したい所だ。

 幸い、島から沸き上がる無数の『空気の泡』から、呼吸に必要な空気は得られる為、水着は勿論、潜水服や酸素ボンベ、海中用ユニットなどといった装備類は、用意できなくても全く構わない。ただ水圧の方は、気合いで耐えて頂く事になるが……それが猟兵達の不利となる事は、余程の無茶をしない限り発生しない故、そこは安心して欲しい。
 無論、装備や備えの類は、あって邪魔になる事などまず無いが。だが『用意してきた』という事実それだけでは、特に有利になる訳でも無い。
「長々と申し上げましたが……要するに、戦場の様相は異なれど。猟兵のやるべき事は何も変わりません。いつもの依頼と変わる事無く、皆さんの思う『最善』を尽くして頂ければと思います」
 ノエルはそう締めくくり、話を場面毎の詳細へと進める。

「まず、皆さんに対処して頂くのは、集団で押し寄せるコンキスタドールです。個体毎の強さは大した事ありませんが……一人あたり数体は、相手して頂く事になるでしょう」
 ここで襲来する敵は『コンゴウさま』と呼ばれている。コンゴウインコである事を誇りに思っており、オウムと間違えられるとガチギレするらしい。
「まあ、正直な所……私には『赤くて丸っこい何か』にしか見えませんので。インコやオウムどころか『鳥』にすら思えないのですが……」
 ちなみにこの連中。鳥(?)の癖に、水中戦も普通にこなす。或いはそういった個体を選別して、送り込んでいるのかもしれないが……敵の戦闘力が下がる訳では無い事は、念頭に置いておいて良いだろう。

「『コンゴウさま』の襲撃を、防ぐ事が出来たなら。暫くの間『蒼い繭』の住人達と交流する機会があります。この間にコンキスタドールの迎撃準備などを整えておいて下さい」
 その最大の仕事は、この『蒼い繭』島の中央付近に設置されている、島の住民達が『灯台』と呼んでいる施設の修繕だ。
 この『灯台』は、魔力によって灯す光と、やはり魔力によって発しているのであろう、ビーコン波の様な超音波の一種を発振して『蒼い繭』島の場所を知らせるのが主機能だが……ビーコン波をソナー波としても利用して、島に接近するモノの存在を知らせる役割も併せ持ち。それらの音波を送受信及び解析する魔導施設も内包している。要するに、早期警戒レーダーとしての機能を果たしていると思っておけば、概ね間違いないだろう。
「これを修繕しておけば、コンキスタドールの襲撃もいち早く察知する事が可能です。その分こちらの選択肢も広がり、勝機を高める事が叶うでしょう」

「最後に襲来するのは『咎忍』と呼ばれる、今は海賊稼業を生業とするモノの様です」
 一応『忍法』と自称する技を使うが……その人格は狡猾とか卑怯と称するより、セコくて無原則だと表現する方が、事実に近い評価だろう。
 但し、その戦闘力は決して低く無い。油断せずに確実に、始末を付けたい所だ。

「これまでの戦場とは、些か異なる環境での依頼となりますが……猟兵としての活動と行動の基本に則っていれば、充分に対応可能です。無理をする事無く、着実に対処して。全員無事に、帰還して下さいね」
 緑髪のミレナリィドールは、深く一礼すると。鉄甲船乗り場へのゲートを開いた。


雅庵幽谷
 初めましてor五度目まして。当シナリオ担当、雅庵幽谷と申します。
 当シナリオOPを、ここまで読んで頂き。ありがとうございました。
 五作目のシナリオは、グリードオーシャンの海中にある『深海島』を舞台として、お届けさせて頂きます。

 それでは、OPの補足です。

●第一章:
 シナリオ開始のタイミングは『鉄甲船から海中へ突入し、それなりの深度で敵と会敵した状態』となっております。既に『空気の泡』が届く場所なので、呼吸の心配は要りません。
 但し、敵に気付かれない位置からの狙撃や不意打ちも、工夫しない限りは不可能です。他の戦法に切り替えるか、ひと工夫してみて下さい。

●第二章:
 フラグメントは『日常』ですが、第三章の難度を左右する大事なパートです。
 『灯台の修繕』を初めとして、この章で『襲来する敵に対しての準備』が、しっかりと行われていれば。第三章の参加者全員に、追加のプレイングボーナスが発生します。この章で事前準備を行えば、後でちゃんと報われますので……どうか頑張ってみて下さい。

●第三章:
 ボス戦です。ただ、第二章での準備が整っていれば。プレイングボーナスの他、準備に応じた有利な戦況が、そのまま反映されます。

 なお先述通り、戦闘パートの舞台は海中です。
 ただ、自ら不利になる様な設定が何処かに明記されていない限り(例えば『自分はカナヅチで全く泳げない』『自分の銃は水中では威力が半減する』などと、ステシやプレイングに明記されている等)事前に海中用に最適化されているという事として、特に有利不利は発生しない(例えばブラスターや普通の拳銃でも、最適化のお陰で充分な性能が発揮できるという事にする)物とします。
 但し『海中で扱う為の工夫』が、装備やUCの設定やプレイング等に明記されていれば(例えば装備自体に変更は無くとも『この焼夷手榴弾はテルミット反応を利用しているので、水中でも燃焼可能』とか『今回持ち込んだアサルトライフルは、水中用のフレシェット弾仕様だ』など、プレイングに一筆添えられていれば)余程無茶苦茶だったり、おかしな物で無い限り(尤もそんなプレイングは、まず採用しないと思いますが)追加のプレイングボーナスが発生する物とします。もし文字数に余裕がありましたら、狙ってみて下さい。

 それでは……皆様のプレイング、お待ちしております。
29




第1章 集団戦 『コンゴウさま』

POW   :    オウムじゃねぇ。インコだ
【嘴】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    回転尾羽斬り
【ふさっと伸びた尾羽】が命中した対象を切断する。
WIZ   :    鮮烈なる絶叫
【耳を劈く叫び】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達が、鉄甲船の甲板より海中へ躍り込み。暫し潜行したその先から、人間の頭より一回り大きいくらいの『泡』が、幾つも浮き上がってきた。これが件の『空気の泡』なのだろう。そこへ頭を突っ込めば、確かに普通に息が出来る。
 その要領を掴みつつ、更に潜行した先に。『空気の泡』とは、質感も大きさも全く違う……良く言えばコミカル、悪く言えば珍妙なフォルムの『丸いモノ』が、幾つも見いだせた。
 赤くて丸っこい『何か』が、海賊帽を被っている様にしか見えないが……此れ等こそが、グリモア猟兵の予知にあった『コンゴウさま』に違いない。
 『彼ら』或いは『其れ等』は、猟兵達が潜行してきた事を察知すると、潜行と深海島への攻撃行為から一転、浮上して迎撃の態勢を取る。
 ……どうにも、緊迫感に欠ける手合いだが。これでも歴としたコンキスタドールである。深海島『蒼い繭』へ、これ以上の被害を出さぬ様。気を引き締めて撃滅して頂きたい。
天星・雲雀
ゲート前

「水中の都、どんな所なんでしょう?お姫様とか居るんでしょうか?期待が膨らみますね」
「とはいえ、こつこつ蓄えた富を強奪して、ついでに虐殺。許せることでは有りません!」

どぽんっ
視界いっぱいの白い泡が消えると、そこは光が差し込む水中。
ゲートを抜けたら、そのまま海に落ちたらしい。

「足場になりそうなものは・・・ありませんね」

見渡す限り広々とした海。気を抜けば体が浮かぶ。

「服が海水を吸う重みで、かろうじて水中に留まれてますが」

【行動】UC光の粒子を凝縮した操り糸の形を調節して推進力を獲得します。
水深の浅い所で少し水中移動の練習をしたあと、潜っていきます。
敵が出てきたら、UCで、斬り伏せていきます。



「水中の都……どんな所なんでしょう? お姫様とか居るんでしょうか? 期待が膨らみますね……!」
 鉄甲船の甲板にて、天星・雲雀(妖狐のシャーマン・f27361)が盛り上がる。
 ちなみに勢い余りすぎて、ゲートに力一杯飛び込んだ結果……鉄甲船へ搭乗する為の桟橋をウッカリ飛び越え、ダイレクトに海に落っこちて。既に一度、完全無欠の濡れ鼠になっていたりする。まあ濡れ鼠になるのは、遅かれ早かれ同じ事なので。大した問題ではないのだが。
「とは言え。こつこつ蓄えた富を強奪して、ついでに虐殺。許せることでは有りません!」
 決然と言い放ち、雲雀は再度、海へとその身を投じる。

 雲雀が小柄である所為か、それほど派手な水音は立たなかった。しかし入水時の気泡は、それなりに立ち上り。それが雲雀の視界を覆い隠す。
 幸いと言うべきか、珍妙な姿のコンキスタドール達は、既に更に深くに潜行しているらしく。即、彼女の迎撃に出られる程の距離には存在しない様だ。
 また『蒼い繭』自体も、海面から差す太陽の光が直接届く深度には無いらしく。雲雀の周囲は、見渡す限りの『蒼』と海水とが満たす世界、ただ一つである。
「足場になりそうなものは……ありませんね。服が海水を吸う重みで、かろうじて水中に留まれてますが……」
 無論、海底は遙か彼方であり。それが見受けられないのは当然として……漂流物が存在するには、あまりに穢れなく、美しい海。海面から幾らか潜った程度では、異物の類など見出せようも無い。一方で人間の身体は、基本的に『水に浮く』様に出来ている。故に、幾らか気を抜いてしまえば身体が浮いて、潜行するどころの話では無くなってしまう。水中深くまで潜る事こそ、むしろ難しいのだ。

 徐ろに、雲雀は口内で呟きを発する。それは誰に聞こえる事も無かったが……しかしその成果は確実に、彼女の元にもたらされていた。
 つまりそれは、ユーベルコードとその力である。
 不可視の『光の粒子』と、雲雀が呼んでいる微細な物質を糸の如く束ね。それを螺旋状に放ち。更に例えば生物の筋肉の様に、伸縮と伸長とを行う事で、推進力を発生させ。雲雀は潜水の為の推進力を確保した。
 その具合を海面付近で確認すると、雲雀は一気に深海へと突き進んだ。それを拒めるのは、猟兵と同等の能力を有する、コンキスタドールだけであろう。

 果たして、雲雀の航跡の先に。赤くて丸い、一見したのみでは『何だかよく分からない物』の影が、複数見受けられた。これこそ、グリモア猟兵の言う所の『コンゴウさま』に間違いない。雲雀の視界内にある数体が、深航から雲雀の迎撃へと機動を変えて、彼女へ迫ろうとしていた。
 ……が。それこそ、雲雀の『思う壺』である。
 推進力として利用していた、不可視の光粒子の繰り糸を。前方に向けて放つ。糸を大きく鋭く繰る故に、その動作は大降りになったが……しかして『不可視の糸』は、視認する事は果てしなく無理に近く。仮に視認できたとして、その速度と鋭利さに、抗う事は至難である。そして一度、糸に絡め取られたなら。逃れる事は不可能で……後は容赦なく、斬り裂かれてデッドエンドだ。
 珍妙な姿に似つかわしい、珍妙な絶鳴を上げ。雲雀の迎撃に向かったコンゴウさまは、数分の内にはボフッ! という珍奇な破裂音と共に、その姿を滅していた。
 その破裂音を意識下に通過させつつ。雲雀は、深海島が発する気泡の内側へダイブする。
 それが『蒼い繭』への、一番乗りであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

上野・修介
※アドリブ、連携歓迎
正直なところ、場所以上に敵の見た目が闘い難い。
ぬいぐるみを殴るようで少々気が引ける。
とは言え、敵。
無論容赦はしない。


事前に視界をある程度確保出来る様にゴーグルと水着を着用。

場を観【視力+第六感+情報収集】据え、周囲の敵戦力、数と配置を可能な限り確認。

UCは攻撃重視。
得物は素手格闘【グラップル+戦闘知識】

呼吸に問題がないと言っても水中。
極力動きを抑え、戦闘は近接攻撃に対する【カウンター】主体
直突き、縦拳、貫手など極力水の抵抗を受け難い技を主眼に攻撃。

また廻し受けの応用で海流を乱すことで、敵の攻撃を往なす、体勢を崩す、或いは自身の位置取りを変える等でダメージ回避・軽減を狙う。



 続けて海へダイブしたのは、上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)だった。 海水の抵抗を考慮して、服装は水着を選び。更にゴーグルを掛けて、水中での視界を確保。一見簡素ながら、水中対策は抜かりない。
 海中へ、スルリと身を滑らせた修介は。水の抵抗を最小限となる姿勢で、見る間に海の懐深くまで潜り込んでいく。そう長い時間は必要無く、赤くて丸い珍妙なモノが、幾つも視界に入ってくる。
 ……修介の存在を感知して、浮上してくるコンゴウさまに相対しつつ。修介の心境はやや複雑だった。
 ――正直なところ。海中という環境以上に、敵の見た目が闘い難い。ぬいぐるみを殴ろうとしている様で、些か気が引けるのだ。
 とは言え――彼らは、敵である。内心の動揺は綺麗に押し隠し。情けや容赦は微塵も面に出さず、修介はコンゴウさまに相対した。

 コンゴウさまの最大の一撃は、その嘴による突っつきである。但しリーチは恐ろしく短く、自身より三十センチ程度までしか届かない。故にコンゴウさまを相手取るなら、白兵戦よりは中距離以上離れた方が幾分か有利だ。
 しかし、クロスレンジでしか出来ない戦い方があるのも、また確かだ。そしてそれこそが、修介の得意とする戦術なのである。
 ファンシーな外見に似つかわしくない、妙に怪しくきらめく嘴を閃かせ。コンゴウさまが修介に迫るが……その突っ込んでくる個体だけで無く、周囲の『修介をターゲットにしている』コンゴウさまの数と位置を、しかと捉えて意識から離さぬ様、留意する。例えるなら、人間の意識による照準固定だ。
 そして、眼前に迫るコンゴウさまを見据え。あえて身体の力を抜き、空気の泡を利用して呼気を整え。しかして意地は拳に込めて……修介は、強く鋭いカウンターを、コンゴウさまへ撃ち込んだ。概ねは正拳突きに似ているが、前腕から先を捻り込まずに撃ち込む、直突きとか縦拳と呼ばれる拳術である。ボクシングのストレートや正拳突きに比べると、最高拳速には劣るが初速では勝り。体勢も崩し難いという利点がある。
 慣れぬ環境において、可能な限り自身を有利な立ち位置に置く。それもまた、戦いの中に身を置く者の心得であり。直突きを叩き込まれたコンゴウさまは、その身体に拳をめり込まされると……風船か何かの様に、間抜けな音と共にと弾けて消滅した。何処までも人を食った連中である。

 続けて、今度は二羽(?)纏めて襲い掛かってきた。修介がカウンター狙いなら、複数羽で襲い掛かれば。そう思ったのかも知れない。確かに狙い自体は悪くないが……この場合、相手が悪かった。
 拳闘家と言って差し支えないだろう、修介にとって。一対多数の乱戦は、対策があって当然の戦況である。眉すら動かす事無く、彼はその腕を閃かせた。廻し受けの要領で海流を乱し、一種のバリゲートとして一体の嘴を躱しざま、左手の手刀をもって、その胴を貫き。貫いた個体の胴をブラインドにして、次の一体の攻撃を防ぎ……その空白の距離と時間を埋めるが如く、右手の手刀で、二体目を貫いた。
 ここで更に前腕フレームが伸長し、完全に相手の胴を貫通したなら。某AV-X0の完全再現だったが……残念ながら(?)修介は人間であり。そこまでの人間離れは少々無理があった。尤も、白手での貫手で、生物の身体を貫く事自体。充分に人間離れしているとは言える。
 その『ある意味人間離れした』修介の身体の左右で、間抜けな爆発音を響かせて。コンゴウさま達は弾けて消えた。目に見えて怯む、周囲のコンゴウさま。
 とりあえずの戦闘終了は、それから僅か数分の後であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルファ・オメガ
がう、深海島かー
蒼い繭ってことは島を包む何かがあるのかな?
ちょっと楽しみだね
ともあれ海中戦なら漁師なボクの出番だ!(単に去年の水着が漁師スタイルなだけです)

とりあえず水着になって『猫の毛づくろい』
水圧の対策にはならないかもだけど
水の抵抗を限りなく減らすよ
これで海中を動きやすくなるはず
「ふはは、猫は液体なのだー!」(注:ちゃんと固体です)

実際の戦闘は『すーぱー・もふもふぱわー!』で
愛刀の『ぶらっく・せいばー』を手に
飛翔能力の推進力を利用して海中を突撃しまくろう!
「いっくよー!」
嘴の攻撃は見切ってなぎ払おう
食らってももふもふを信じて耐える

そう、オウムでもインコでも悪い鳥は猫に食われる運命なのだ!



「がう、深海島かー。『蒼い繭』って事は、島を包む何かがあるのかな?」
 ちょっと楽しみだね、と。アルファ・オメガ(もふもふペット・f03963)は呟いて。
「ともあれ、海中戦なら。漁師なボクの出番だ!」
 と、息巻いた。ちなみに去年、海人風の素潜り漁師な水着をオーダーした事に起因するジョークらしい。実際に海人ばりの活躍が出来るかは、保証の外の様だ。
 ただ手際よく毛繕いして、水の抵抗を減らす努力はしてみたが……残念ながら、そちらの努力は、大した効果は得られなかった。しかしそれで気落ちする事無く、アルファは海中深くへ潜っていく。
「ふはは、猫は液体なのだー!」
 無論、そんな訳は無い。

 しかし、猫の存在如何に関する議論には、我関せずという風で――当然の話だが――コンゴウさまは数体での隊を組み、アルファを迎撃せんと浮上してきた。猫が固体か液体かには興味なくとも、アルファ当人には用事があるらしい。尤もそれは、アルファも望む所であった。この赤くて丸っこい鳥モドキの排除も、受けた依頼の内には違いない。先方から向かってきてくれるなら、索敵の手間も省けるというものだ。
「もふもふだって、戦えるんだ!」
 合気の一声と共に、アルファは持てる力『不思議なもふもふぱわー』を解放する。それは具体的な毛並みや肌触りと異なり、あくまで概念上の力であるが……しかし、それがもたらす実際的な力は、彼が信じる『もふもふは正義』という一念と相まって。爆発的なパワーをアルファに与える。流石に、大気中より遙かに抵抗の大きい海中であるから、フルパフォーマンスの推進能力は発揮できないが……それでもその速度は、コンゴウさまの移動速度や反応力を、圧倒するに充分だった。
 ユーベルコードによる推進力と、それに伴う水中における抵抗の増加。それらに適応する時間は、必ずしも十分では無かったが。しかしコンゴウさまを蹂躙するには、充分な戦闘力は確保できている。後はその力を余す事無く、赤く丸っこい連中に叩き付けるのみ!
 アルファは愛刀『ぶらっく・せいばー』を引き抜くと、
「いっくよー!」
 宣告と共に、浮上してくるコンゴウさまに相対し、突撃を敢行。もし戦闘機のスロットルバーを握っていたならば、HUDにA/Bキューが点灯していたであろう勢いだ。その大推力に任せ、すれ違ったコンゴウさまの一体は。バッサリと切り伏せられて、間の抜けた爆発音と共に破裂して消えた。驚愕の表情……もとい、それらしい態度を見せるコンゴウさまの小群体。
「オウムでもインコでも。悪い鳥は、猫に食われる運命なのだ!」
 高らかに宣告すると、アルファは愛刀を掲げ。動揺する事しきりのコンゴウさまの小集団に向かい。再度突撃を敢行するのだった。

 ちなみに……彼が本当に『悪い鳥を食したか』については。黙秘権を使用するものとする。

成功 🔵​🔵​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
元より『空気の泡』には依存せぬウォーマシン
更に水中用装備に●防具改造を加え専門装備とまでは行きませんが深海の水圧への●環境耐性は整えました

最近は3次元戦闘は専ら宇宙よりも水中の方が多くなりましたね
故郷がクエーサービーストの件以外は平和だという証なのでしょうが
なればこそ『蒼い繭』にも平和を享受していただくため、奮戦しましょう

ソナーモードのセンサーでの●情報収集で敵の接近●見切り
●水中機動で攻撃回避
そのまま水中用装備の高速誘導魚雷発射(誘導弾)
UC用いた精密誘導攻撃と炸裂で敵の回避運動や連携を此方の思惑の通りに制御
思惑通りに移動させた敵を●水中戦用ランスチャージで撃破していきます



「最近は三次元戦闘は宇宙よりも、水中の方が多くなりましたね……故郷がクエーサービーストの件以外は、平和だという証なのでしょうが」
 鉄甲船の甲板で、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)が独りごちる。スペースシップワールドの方でも、最近は何やら動きがあったが……それも、クエーサービースト絡みである事には違いない。
「なればこそ『蒼い繭』にも。平和を享受して頂く為、奮戦しましょう」
 白い全身鎧の様な出で立ちから、表情こそ分かり辛いが。その言葉は真摯で、しかし気負う所も無く。故にこそ、真情である事が伝わる言だった。

 彼は元々ウォーマシン故、空気の泡が無くとも何とかなるが……更に装甲やセンサー系に手を加え。専用装備と同等とは言えぬまでも、充分に『海中という環境』に耐え得る準備を整えていた。
 流石に大柄なウォーマシンだけあって、入水時の水柱は相応に派手であったが。一度海中に潜ってしまえば、驚く程に柔軟かつ軽妙に、その巨体は自由に動く。むしろ二本の足で歩かねばならない地上より、軽快かも知れない。
 トリテレイアは徐ろに、対物センサーをアクティブソナーに切り替えた。そしてサーチライトの様にソナー波を円状に旋回させ。自身の下方を中心に、能動索敵を開始。能動(アクティブ)センサー系は、自身が積極的に情報を得る事ができる反面。自身の位置を相手に知らせる事にもなる為、諸刃の剣であるのだが……今回に限って言えば、それはトリテレイアも望む所であった。ノコノコと迎撃に来て貰えれば、手間を省略できるという物である。
 果たして、期待通りと言うべきか。『ノコノコ釣られた』コンゴウさまが数羽(?)トリテレイア目掛けて浮上してきた。

 推進ユニットの出力を、戦闘出力に切り替えて。トリテレイアの巨体が軽やかに舞う。それを追って、コンゴウさまがトリテレイアに追従しようとするが。その為に動線が読みやすくなり、一方で回避運動への切り替えが難しくなっている。その絶妙のタイミングを計って、海中を駆ける白騎士は、水中装備の高速魚雷を撃ち放った。
 そもそも回避が難しくなっている所に、狙い澄ましての魚雷襲来である。コンゴウさまは、何とか躱して見せようと、各自散開して散り散りとなったが……その無理な軌道変更は、更にコンゴウさまの移動速度を落とす羽目になった。
 彼のユーベルコードの前哨効果による、牽制の一撃だったが。その初弾を受けて弾け消えるコンゴウさまも、決して少なくなかった。更に、魚雷を回避して勝ち誇る個体は、近くに居る者は水中戦用ランスによるチャージを受けて。比較的離れていたら、内蔵装備のフレシェット弾を浴びせ撃たれ。赤く丸い自称インコは、回避運動は完全に見切られ、碌な反撃も出来ず。コミカルに爆散して散っていく。
 最早この場は、トリテレイアの独壇場――或いは即興舞台であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

御園・桜花
「真ん丸で可愛らしい…ダルマさん?」
「お髭はあっても、確かに色目はコンゴウインコさんかもしれません」

「水中でも音と衝撃波は伝わりますから」
UC「アルラウネの悲鳴」使用
絶叫による音波攻撃で尾羽も本体も打ち砕く
敵の攻撃は第六感や見切りで回避したいが、水中適応がないので、絶叫による打ち落としや盾受けで対応

「ダルマインコさんもコンゴウインコさんも個体差によると思いますけれど、お話可能だったと思うので」

「海賊に、インコやオウムは付き物ですから。願って、共存できる命としてお戻りいただければ…」
最期は慰め乗せた鎮魂歌で見送る

「それにしても、真ん丸でお可愛らしかった…お部屋のクッションに欲しい愛らしさでした」


疋田・菊月
うーん、海の底に町ですかぁ。浪漫ですねぇ
おっと、お客さんですね。泡と見紛うまんまるさん。しっかりと狙わないと。
水中では勝手が違いますが、まぁなんとなるでしょう。たぶん
カミオさん、たぶん気泡を見てる余裕がないと思うので、近くにある泡を教えてくださいね

さてさて、水中で長物を取り回すのは抵抗が大きそうですので、ここはサイドアームのUSP-SPで立ち回りましょうか。
地元の射的で鍛えた早業を見せちゃいますよー
まあ尤も、手投げ弾を使った方が手っ取り早い気もするので、ある程度牽制したらまとめてポンしちゃいましょう。
クロックアップ・スピードで一気呵成です



「うーん、海の底に街ですかぁ。浪漫ですねぇ」
 感心した様に、疋田・菊月(人造術士九号・f22519)が呟く。正確には深海島は、海底では無く海中に漂う島と街だが。海の只中にある街というのは、その存在その物が、冒険的ロマンチシズムを心地よくくすぐる代物だ。
 観光客、或いは顧客として赴けるのなら、その浪漫を堪能できたのだろうが……残念ながら今回は、猟兵として彼の街を護るというのが目的である。浪漫にはしばし、脇で休んで頂く事となろう。

「おっと、お客さんですね」
 菊月が独りごちた、その通り。赤くて丸い、自称コンゴウインコのコンゴウさまが。菊月ともう一人、御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)を迎撃せんと、浮上してきたのだ。
「泡と見紛うまんまるさん。しっかりと狙わないと」
 菊月はそう、構えて見せたが。桜花の見解はやや異なる。
「真ん丸で可愛らしい……ダルマさん?」
 そう呟き、首を傾げてみせる。確かに形状と配色とを取り出してみれば、達磨の置物に見えなくも無い。尤も、置物というよりは。縫いぐるみやクッション類の方が、より相応しそうな感ではあるが。
「ん……お髭はあっても、確かに色目は『コンゴウインコ』さんかも知れません」
 しかし、桜花は一応『生き物』として、コンゴウさまを扱うつもりらしい。マスコット扱いよりは、連中も喜ぶかも知れない。
 尤も、見た目や生態がどうだとしても。アレがコンキスタドール、つまりオブリビオンである事に変わりはなく。それは桜花も当然、理解している。見逃したり、手を抜くつもりは無論無い。

 菊月に合図して、彼女よりやや先行すると。桜花は赤く丸い一見ファンシーな連中の只中に飛び込んだ。
「水中でも、音と衝撃波は伝わりますからね」
 口中にて呟くと、その身に秘めた力を解き放つ。
「ドゥダイーム、マンドラゴラ、アルラウネ……全ては同じ物ですの。その絶叫、どうぞ味わってくださいませ」
 自身を中心に、絶叫を媒介として。物理的な衝撃すら与える、大出力の音波を叩き付けた。菊月より一時先行したのは、このユーベルコードは自身を中心とする無差別攻撃であったからだ。
 レーダー波などの電磁波は、水中では大して役に立たない。無対策で浴びたら人間程度は消し炭になってしまう程の大出力であっても。殆どが水に吸収されてしまい、大して遠くまで届かないからだ。
 一方、音波は水中でも遠くまで届く。周波数によっては、大気中よりも遠くまで明瞭に届く事すらある程だ。水中においてはレーダーは補助程度にしか使われず、レーダーに比して不便が多いソナー波が重用される理由は、ここにある。
 桜花の放った『絶叫』という名の『音波による衝撃波』は、コンゴウさまの小集団を散々に打ちのめし、引き裂いて。多大な被害を与える事に成功した。
「ダルマインコさんも、コンゴウインコさんも。個体差によるとは思いますけれど……お話可能だったと思うのですが」
 桜花は残念そうに、そう呟くが……残念ながら、少なくとも今回においては、その余地は無かった。遺憾ながら『言葉を交わせる事』と『意思疎通が可能である事』とは、必ずしもイコールでは無い。

 桜花のユーベルコードによって、コンゴウさまの小群体はズタズタに寸断されたが。それでもまだ、片手では足りぬ数が残っている。
「さてさて。水中で長物を取り回すのは、抵抗が大きそうですので……ここはサイドアームで立ち回りましょうか」
 菊月が引き抜いたのは、普及品の拳銃を改造したカスタムモデル『USP-SP』。それを今回の任務用に、水中仕様にチューニングした代物だ。
「水中では勝手が違いますが……まぁ、なんとなるでしょう。たぶん」
 心中で呟いた後、彼女に同行しているクロウタドリに話しかける。
「カミオさん。たぶん気泡を見てる余裕がないと思うので。近くにある泡を教えてくださいね」
 クロウタドリ……の姿をした悪魔『カミオさん』に、サポートを依頼。カミオさんは快諾とは行かぬまでも、嫌々という訳でも無く――尤も、鳥の表情変化を理解できる訳でも無いが――菊月の依頼を了承した。
「それでは。地元の射的で鍛えた早業を、見せちゃいますよー」
 宣言の後、指を鳴らし……菊月は高速戦闘モードに移行。カミオさんの指示の元、空気の泡で呼吸を継ぎながら。拳銃の機構が許す限りの高速連射にて、コンゴウさまを撃ち抜いていく。発射されるバレットも、弾頭を更にシャープにして炸薬の配合を変えた水中戦仕様だ。
 更に腰から、柄付きハンドグレネード『ポテトマッシャー』を数発引き抜き、赤く丸いモノ達の外周近くに放り込む。爆雷仕様に調整された『芋潰し器』は狙い過たず、コンゴウさま達の外周で炸裂し。更にその数を減じさせながら、丸い鳥モドキを密集させる。そこへ更に芋潰し器が投じられ、トドメとばかりにUSP-SPの弾丸が叩き込まれる。
 全ての爆発と、それによる水流の乱れが収まった時……コンゴウさまは最早、どこにも居なかった。

 ――散った羽すら一枚も残す事無く、コミカルに弾け爆発して去ったコンゴウさまを思い。桜花は手を組み祈る。
「海賊に、インコやオウムは付き物ですから。願って、共存できる命として。お戻りいただければ……」
 呟くと、桜花は徐ろに歌を歌い始めた。その存在を慰め悼む思いを乗せた、鎮魂歌。
 ……例えどの様な存在であろうとも。その有り様を悼み、祈るくらいの事ならば。許されても構わぬだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『灯台を建てよう』

POW   :    とにかく身体を動かして働く

SPD   :    効率よく作業できる方法を考える

WIZ   :    設計図にアドバイスする

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「皆さん。この島を救って頂き、誠にありがとうございました」
 マッコウクジラに似た頭と思慮深げな瞳を持った、声からすると壮年男性であろう深海人が。猟兵達を出迎えて、丁寧に頭を下げた。
 本来こういった、礼節や外交などに関する場では。彼らも地上から輸入した絹服を着るそうだが……今回は急場の為に着替える余裕が無かった為。彼らの普段着である、麻とも綿ともつかぬ材質の服を着ていた。聞くと、海草を加工した糸で織った服らしい。
 他にも日常的に使う道具類は、彼らは海洋生物から摂れる素材を加工して、多種の用途に対応しているらしい。故に金属系の鉱物類は希少な資源であり、海上の島々からの輸入に殆どを頼っているという事だった。

 珊瑚類や大型の貝殻によって町並みは構成され、幻想的な光景を醸し出している海中街を持つ島でも。その島なりに、悩みや問題を抱えているらしい。理想郷や黄金郷などという物が、思索上或いは妄想の産物でしか無いという事実が、まざまざと突きつけられている様である。
 実際、この島は『空気の泡』に島中を覆われ、それによって島は護られている。その光景は濃紺の海洋内にあって、中空を刳り抜いたサファイアの如き蒼い繭によって覆われている様で。島の外から来た猟兵達には、夢幻が如き美麗な光景に思えるが……島の住民にとっては、海の上の青空や星空こそが、羨望の対象であるそうだ。
 人間、手にある物より届かない物の方が、魅力的に見えるのは。どの世界においても変わらないのだろう。

 ともあれ、今すべき事は島の護りの要である『灯台』の修繕だ。
 幸いな事に、中枢部や制御機構には損傷を受けていないが……実際に音波を発震するスピーカー的な役割を果たす送受波機構や、それらを内側に抱く塔上部の外壁は。それなりに被害を受けている。
 無論それらは、島民が全力を挙げて修復にかかっているが。猫の手でもダース単位で借りてこないと、とても手が回らない。しかし『差し出される猫の手』が、猟兵の物ならば。大分助けになる筈だ。
 魔術的機構、或いは技術的機構の扱いに慣れている猟兵なら、送受波機構の修復を手伝う事が可能であるし。そうで無くとも、力仕事は幾らでもある。また、島民と語り合って『灯台』や、島その物の護りを固めるという手段もある。
 次に来襲するコンキスタドールの迎撃の為にも。猟兵達の知恵と力を、是非。島民達に貸してあげて頂きたい。


※申し訳ありませんが。リプレイ執筆期間を少しでも長く取りたいので…
第二章のプレイングは、6月20日の午前8:32から、受付開始させて頂きます。
トリテレイア・ゼロナイン
送受波機構…その機械部分の修繕を担当しましょう
私はどちらかと言えば顧客側で整備などに長けているわけではありませんが、やってやれないことは無いでしょう
魔術的機構は完全にお手上げですが…

凍結していた●世界知識を解凍し、UCも併用し●情報収集

私のマルチセンサーのアクティブソナー機能…解凍したデータの中では一番役立ちそうです

その知識を元に『灯台』の機構の構造を●見切り整備に役立てましょう

あとは機材を●怪力で運搬し組み立てましょう
精密作業の際は超重フレームの指先の収納式鉄爪を展開
怪力を●優しく制御、センサーでの●情報収集によるミリ単位の精密動作で組み上げ後の機構の精度を向上
この手の作業は機械の十八番です



「なるほど。これが、送受波機構ですか……」
 その名の通りの建物であれば、灯籠設備などが占めているであろう『灯台』の最上部。そこに設置された『設備』を、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は、まじまじと眺めやる。
 形状は例えてみれば、UDCアースの警視庁舎屋上にある、マイクロ波アンテナに似た感じを受ける。その一部が明らかに損傷を受けているのは、どうやら天井の一部が崩れた際、その瓦礫の直撃を受けた物らしい。
 ただし、思い込みは厳禁である。トリテレイアは、自身に搭載されたセンサー系の精度を上げて情報収集能力を密とし、その解析に演算能力の全てを注ぎ込み。送受波機構の破損状況の把握を開始した。

 トリテレイアを案内してきた技術士は勿論、最上階の各所で作業していた深海人技師達は。固唾を吞んで、白騎士の如き猟兵の様子を窺っている。幾ばくかは、ウォーマシンの存在に対する物珍しさもあるかも知れないが、それ以上に猟兵という存在のポテンシャルに、興味津々といった体である。
「全て見通す……とまではいきませんが、目星は付きました」
 被害状態の収集と解析を終えた、トリテレイアの言に。技師達は喜色満面で彼を讃えた。自分達だけでは恐らく、状況を把握するだけでも数日は要したであろう作業が、ほんの十数分で片付いたのだ。驚愕もあろうが、喝采の思いの方がより強い。
 自分自身に向けられる賞賛を、些か面映ゆく感じつつ。ユーベルコードを併用した精査結果を、技術士達に伝えていくトリテレイア。その解説には、自身の記憶巣内で解凍した『彼の故郷の記憶と知識』と『彼自身のアクティブソナーの原理と仕組み』が、非常に役立った。『何となく作業する』のと『原理や仕組みを理解しての作業』とでは、作業の精度は段違いであるからだ。
 方々に散って作業を再開する技術士達を見送ると。トリテレイアを案内してきた技術士は、機械仕掛けの白騎士に、深く頭を垂れた。
「本当にありがとうございました。お陰様で、復旧は想定の数倍で完了できそうです」
「いえ、単に私が『ウォーマシンである事』が、役立ったに過ぎません。それに……作業を全て終えるまでは、危難が去った訳でもありません」
 それは確かに、その通りだと。技術士は表情を引き締めると。トリテレイアは再び口を開く。
「私は魔術的機構は、完全にお手上げですし。機械的機構の扱いも、どちらかと言えば顧客側で。必ずしも、整備などに長けているわけではありませんが……しかし、やってやれないことは無いでしょう」
 ですから、引き続き手伝わせて下さい。そう締めくくると、深海人の技術士は彼の大きな手を取り。お願いしますと、先程より更に深く、頭を下げるのだった。

 ウォーマシンは基本的に、人間より大柄で。その四肢もまた、人間より大きく太いケースが多い。全身鎧を着込んだ騎士をスケールアップした様な容姿のトリテレイアも、その例に漏れない。故に、工具類の扱いは難儀するのでは無いか。そう危惧した現地の技師は、一人や二人では無かったが……幸い、それは杞憂となる。
 トリテレイアの指先の装甲がスライドすると、その奥に保護された超重フレームが顔を出す。更にフレームの指先から、精密作業用の収納式鉄爪が展開。それらは精密かつ繊細に稼動して、技師達をまたしても、驚嘆させる事と相成った。
「この手の精密作業は、機械の十八番です」
 というのが、本人の弁である。
 一方で。その巨躯に見合った怪力を以て、邪魔な瓦礫を撤去するにも、トリテレイアは活躍してみせた。八面六臂の活躍という単語の模範例にも、これ程見事な例示は探すに苦労するだろう。

 送受信機構の最終調整までを完全に終えると。現地の深海人技師達は、帽子やらタオルやら鉢巻やらを、天に投げ打って喜びを爆発させた。
 大きな仕事をやってのけた彼らの表情は、底抜けに朗らかだ。それだけの事をやってのけたのだから、当然だろう。そしてその輪の中には、彼らに囲まれて大量の礼を受ける、白騎士が如きウォーマシンが居た事も。記載しておかねばなるまい。

大成功 🔵​🔵​🔵​

上野・修介
※アドリブ、連携歓迎
「竜宮城ってこんな感じだったのかもな」
何もなければじっくり見て回りたいところだが、まずは目の前の問題から

助けにきたとはいえこちらは異邦人。礼節をもって、出来る限り丁寧な態度で現地民に接する。

「今日も一日ご安全に、と」
力仕事に従事。
建築現場でのバイト経験はあるが、専門的な技能や知識等があるわけではない。
なので現場責任者や技能・知識を持った他の猟兵の指示を仰ぐ。

作業をしながら周囲の地形や遮蔽物等を頭に入れる。

作業中も周囲を常に警戒。
呼吸を練り、内功を高める。
予知がなかった以上は不意の奇襲はないだろうが、性分なので。
原住民を不必要に不安がらせることは避けたいので、極力さり気なく。


御園・桜花
「灯台を守るのに、周囲に空堀と土塀を作るのはどうでしょう?繭の中が泳いで移動出来るのでなければ、ですけれど」

UC「ノームの召喚」使用
灯台が傾がない程度に土台から離しつつノーム達と一緒に灯台外周に深さ2m程の空堀作る
そしてその土を利用し高さ1m以上の土塀を作る
灯台の入口は土塀側から戸板を倒す形にして敵が簡単には侵入出来ないようにする
泳いで直接灯台上部に取り付けるならば空堀の土を灯台の補強用に使用する

「私の世界は未だこういう場所は瓦斯ランプや灯火が多いので…あまりお役に立てなくてすみません」

他にも土を掘って作業する場所があれば率先して手伝う
作業中に調理があれば其方も手伝う

「あと一息頑張りましょう」


天星・雲雀
(蓄えた富で栄えた都というのは、単なる噂話だったんですね・・・)

狐火の『オトモ』達と、灯台の修理に向かう。

せっかく直してもまた壊されたらイタチごっこに成ります。対策も考えないと。
電磁バリア発生装置を仕掛けて置いて、触れた者を焦げ炭に。
敵じゃないものが引っかかったら目も当てられないから危険ですね。任意で動かせる物の方が良いでしょう。ラジコン感覚で遠隔操作できる、対空マシンガンを設置しときましょう。

「オトモ!対空マシンガンの設置と、裂けた外壁の溶接。千切れた導線は、ハンダ付け。灯台のナンバーと修復箇所の位置と、修復の度合いの報告をよろしく!」

灯台の改修作業は、とても攻撃的な仕上がりになりそうです。



 『灯台』と、その周辺の広場を眺めやり。御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)は、暫し黙考していたが。案内してくれた深海人の、恐らく役人であろう人物に。小首を傾げつつ、問いかけてみた。
「『灯台』の周辺は、大事な施設の割に開けていますよね。ここに堀と塀があるだけでも、随分違うと思うんですが」
 尤も、この『繭の中』を『泳いで移動』できるなら。防塞の類は十全に機能しない可能性はある。その懸念を問うてみた桜花は、若干意外な方向から、アイディアに対する奇襲を受けた。
「この島に住む私達ですら、この中を『泳ぐ事』は出来ません。ただ……それなりの方法を使えば『繭の中を飛行する』事は、可能です」
 それはそうだと納得し、それならこのアイディアは没案かと。若干凹む桜花だったが。そこに別の猟兵が、思案げに話に加わる。

「いや。堀や塀があるからこそ、敵は『堀や塀を突破或いは無力化する方法』を、考える必要に迫られるんです。それらが無ければ、選択肢は無限だったのに。つまり、堀や塀は『実際的な防御力』より『それらに対処する為に、敵が取れる選択肢を限定させる』所に、真髄があるんですよ」
 とは、上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)の言である。最前線でのファイター気質かと思えば、戦術レベルの知識と発想を、しかと備えている。
「確かに、ここに堀や壁があれば。直通路になるのは『真上から落ちてくる』くらいしか、選択肢は無くなりますね……」
 役人深海人も、思案げに『灯台』を見上げる。そこへ更なる一石を投じたのは、天星・雲雀(妖狐のシャーマン・f27361)であった。
「せっかく直しても、また壊されたら。思い切りイタチごっこに成りますからね。接近された時の対策も考えないと」
 無論、最上策は『『灯台』に近づけさせない事』だが、『近づけられたら終わり』では、片手落ちという奴である。最終的な防衛は、その任に当たる物の仕事だが。防衛の為の施設があれば、人的被害も抑えられよう。

 雲雀の言を聞いた後、そのままの姿勢で彼は固まってしまい。桜花も修介も雲雀もまた、何と無しに黙ってしまう。そのまま数分、或いは十数分だったかもしれない場の静寂は。役人深海人の声によって、破られる事になった。
「宜しい。やりましょう! 急場故に、作業者の手を集めるのは手こずるでしょうが……やってみる価値はあるでしょう」
 どうやら彼は、その場で決断する裁量権、それも恐らく大きな権限を委ねられていたらしい。そんな彼が現地の案内を行ってくれる程、猟兵達は頼りにされているという事なのだろう。
 部下であろう数人を呼び寄せ、何事か指示すると。件の深海人が、猟兵達の元へ来て。若干言い辛そうに口を開く。
「お疲れの上、思案を頂いた所。申し訳ありませんが……」
 だが、皆まで言わせる必要は無い。桜花は和やかに、修介は生真面目に。雲雀は状況を楽しむかの様に
「はい。喜んで、お手伝いさせて頂きます!」
「俺も、専門知識はありませんが……力仕事なら、幾らでも」
「折角ここまで来たんですし。最後までお付き合いしますよー」
 三人のその言葉を以て、『灯台』周囲の改装が開始された。

 まず、猟兵達の基礎的な案を元に、建築技師が図面を引く。そこに計算によって導かれた数字を加えて、作業は行われていった。
 言葉にして並べたなら、容易い事に思えるが……これらの作業を行うには、普通は短くても数週間は必要だ。数ヶ月かかっても不思議は無い。それが数時間単位で実作業に移れたのは、既に現場の正確な状況が、皆に把握されていたからに他ならない。こういった都市計画の設計や実行力の確かさは、この『蒼い繭』に住む人々の文化レベルの高さを物語っている。恐らくは税金や租税の類も、有意義に運用されている事だろう。『文明レベルの高さ』と『文化レベルの高さ』とは、必ずしも等号で結合されない物だ。
(『蓄えた富で栄えた都』というのは、単なる噂話かと思ってましたが……)
 どうやら『金の使い方』が、違っているのだろうと。雲雀は思う事にした。

 無論、ここまで突貫的な計画が、立て板に水と行く訳は無く。悩み所や問題点は、湧き出るかの様に現出してくる。ただ、今回のこの工事自体は『ごく近い内に再来するコンキスタドールの警戒と撃退』に、間に合えば良いのであって。工事全てを完璧な形で完工する必要は、必ずしも無い。何処をどう割り切るかは難問であるに違いないが、猟兵達も意見や見解を示す事で、その任を果たしていった。
 ただ……文明レベルの絶対的な壁という物は、やはり存在しており。それをどう工夫或いは置き換えるかは。それなりの難問であると言えた。最も笑えなかった事のひとつは、『灯台』に設置しようとした迎撃機構である。
 『迎撃の為の武器や仕掛け』という概念自体は、当然理解されたが……その為の兵装にと雲雀が挙げた『マシンガン』の存在どころか概念自体を、現地の深海人達は誰一人知らなかったのだ。整備方法は勿論、給弾の方法すら分からない。
 すったもんだの果てに形となった物は、何と『精神波誘導によって飛翔する魔力光線砲』であった。動力や火砲のエネルギーが魔力なら、塔内へ帰還すれば再供給可能だという利点があるとは言え。無線誘導の自動小銃が却下され、精神波誘導のビーム兵器に取って代わられたのだ。UDCアース辺りなら、鼻で嗤われるに違いない。
(魔法って恐い……)
 誰かがそう思ったとしても、無理なからぬ事であろう。

 さて、大小様々なトラブルを産み落とし続けながらも。実作業は案外つつがなく進行している。その進捗の幾らかは、勿論猟兵達の助力に依る物だ。
「おいでおいで、土小人。私の手助けをしておくれ」
 スコップなどの土木器具が置かれている一帯に、少しばかりの空地があった。そこへ語りかける様に、歌う様に。桜花が言葉を紡ぎ出す。
「代わりに石をあげましょう。ざらざら渡す石ビーズ、その分手助けをしておくれ」
 その言の葉に導かれる様に、地面から押し出される様にしながら、小さな土妖精が次々に現れる。声は出せないらしいが、陽気に跳ねたり踊ったりしながら、桜花にチラチラと、視線を投げる。
 そんな彼らに勝手知ったりと、桜花は一人一人に磨き上げられた石ビーズを渡し。受け取った小妖精から順に、堀を掘り進める作業に参加していくが……小さな身体で、地を掘り進む作業の、何という見事か。急遽かき集められた人夫の、数倍の仕事をしていると言っても過言では無い。その手際は、人夫達すら見惚れる程に素晴らしかった。
 しかし桜花も、土妖精達に依頼して終わり……という訳では無かった。土に汚れるのも厭わず、自らもスコップ片手に堀作りに加勢したのだ。若い娘さんが、自ら土掘りを……という事で。現場の指揮は大いに盛り上がった物だ。
 やがて空堀は完成を見て。皆が掘ったその土は、土塀を築くのに使われた。今、手の中にある物を、無駄にしないで有効利用……という訳である。

 一方、雲雀は空堀の建築場から少し離れ。『灯台』の外壁部の修繕を監督していた。無論、現地人の現場監督は存在しているので。半分方は、彼のアドバイザー的な役割だが……残りのもう半分は、彼女の指示しか聞かない『労務者』が居るからだ。
 雲雀の操るフォックスファイア――狐火の『オトモ』達が、それである。
「オトモ達! 対空砲の収納部設置と、裂けた外壁を塗り固めて。千切れた導線はハンダ付け。繋ぐ線はゴッチャにしない様に! 後は収納部のナンバー振り分けと、修復箇所の位置や修復の度合いの報告を、随時よろしく!」
 矢継ぎ早に『オトモ』に指示を出し、その報告を受けて更なる指示を出す。そんな彼女と『オトモ』を見て。最初は『オトモ』達に腰が引けていた現地の者達も、徐々に彼ら(?)に慣れていき……『灯台』の修復と改修が、とりあえず終わる頃には。作業者達は『オトモ』達に、軽口や冗談を飛ばしたりして親しんで。彼らなりの友情を育んでいた様だ。

(海の中で息が出来て。貝殻や珊瑚で出来た建物が立ち並ぶ街……竜宮城ってのも、こんな感じだったのかもな)
 掘り返した土を詰めた土嚢を幾つも担ぎつつ、修介は心中で独りごちる。実際、この『蒼い繭』島へ来た理由が『理由』でなければ、町並みをじっくり見て回りたいくらいだ。文明レベルの差違はあれど、ポイ捨てのゴミひとつ無く、清潔に保たれた街路など。見習って欲しい場所や街は幾らでもある。
 そして、この島の『空』である、ドーム状の『空気の泡』を透かし見れば。そのすぐ外を回游している魚なども見やる事が出来た。こんな島がUDCアースにあれば、観光地として賑わうであろう事、疑いない。
 修介は気を取り直すと、詰めた土嚢の土を、土壁に仕上げ直している現場まで担いで運び。固化剤の一種であろう泥土めいた物を土に混ぜ。生コン状に仕上げる作業を手伝う。彼は建築現場での作業経験はあるが、専門的な知識や技術は持ち合わせていない。故に手伝うのは単純作業に留め。作業手順の構築は、他の二人の猟兵や、現地の技術士の指示に従っている。
 しかし『力仕事』と一口に言ってみても、その作業量は決して少なくない。修介は至る所で頼み事を受け、それをこなす事で自身の顔と名前と、猟兵の能力を売り込んで。様々な立場の現地人と、交友を深めていったのだった。

 ……今こうして、猟兵達が行っている作業は。ひとえにコンキスタドールの来襲に備えての物である。しかし現場の士気や活気は、陽性の賑やかさに満ちていた。
 これは『誰かがやらねばならない作業』ではあるものの。請け負う者が実際に居るかは、また別の問題である。しかし猟兵達など、それを積極的に請け負った者達が、それとなく各所を盛り上げる事で現場の士気を高め。更に猟兵達の能力を上手く利用する事で、その力を披露しつつ、作業の完成度を高めていく。
 その成果は、やがて形として。作業に関わった人達の眼前に現出した。ややもすると、攻撃的過ぎるとも思える改修であるが……状況が状況であると、受け入れられたのは喜ばしい事である。
 誰も彼もが、疲労困憊と土まみれの体たらくで。それについては、猟兵三人の格好も大差ない。しかし彼らの表情もまた、現地の作業員と同様。晴れがましい笑顔に満ちていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

疋田・菊月
うーん、施設の修理ですか。
銃器の分解清掃や整備ならできるんですが、さすがに子供一人に塔の修繕は荷が重い気がしますね。
まあでも、手伝えることからやっていきましょう。
小さなものを運んだり、作業員の皆さんのお弁当を配ったり、早業と奉仕の精神でテキパキやりますよ
時間が空いたら、灯台の代わりに周囲を警戒しましょうか。
PzB-39Kにはスコープはついていませんが、サイト越しに見れば、何かしらの兆候くらいは見つけられるかもしれません
あ、カミオさん。念のために周囲を見回ってもらえますかね
お弁当の天むすあげますから。ね、ね。


アルファ・オメガ
がうー、美味しかったー(けぷー)
何を食べたかは秘密だよ!
それはさておき、食べた後は働かないとね!

灯台の修繕かー
猫の手も貸してほしいってことだね
真剣に猫(正確にはケットシー)の手を貸そう

ボクの体格だとふつーにやっていたらかえって迷惑掛けちゃうね
ここは『すーぱー・もふもふぱわー!』を使って機動力勝負でいこう!
量は持てないけれども抱えられる分を抱えて
飛翔能力で空を飛んでショート空輸ピストン輸送だよー
後は小さな体を利用して隙間に入ったりかな
人の体じゃ入れない場所の確認とか担当するね

疲れた人にはボクのもふもふを提供するよ
いやもふもふに疲労回復効果はないんだけど
ほら癒されるかもしれないし?



「うーん、施設の修理ですか……」
 『灯台』を見上げながら、疋田・菊月(人造術士九号・f22519)が独りごちる。銃器の分解清掃や整備ならば、お手の物だが。流石に公共設備の修繕は、荷が勝ちそうな感がある。
 ただ、一口に『施設の修繕』と言っても。内部機構の修理や外壁の補修ばかりが『作業』の全てでは無い。その辺り、喫茶店の給仕の仕事は、注文取りや料理の運搬だけでない事と、軌を一にしていよう。
「まあとりあえず、手伝える事からやっていきましょうか」
 一人頷くと、菊月は気を切り替え。現場の監督役らしい深海人の元へ、小走りで向かうのだった。

「がうー、美味しかったー」
 けぷー、と。満足げな吐息を盛らし。アルファ・オメガ(もふもふペット・f03963)が、自分のお腹を撫でさする。
 ちなみに、何をそんなに食べたのかは、秘匿事項らしい……もしかすると、赤い羽根とか、海賊帽とか眼帯とか。その辺に散ってはいないだろうか?
 それは兎も角。食べるだけ食べて、食休みも挟んだ後は。しっかり働くべし……というのが、アルファのポリシーらしい。誠に勤勉で結構な事だ。
「猫の手も貸して欲しいって話だしねー。それじゃ、真剣に働く猫の手を貸そうか」
 正確には『ケットシー』の手だけどね、と。自己注釈を入れながら。奇しくも、菊月が会いに行った現場監督の下へ、歩み寄っていったのである。

 雑役、或いは雑用の仕事を申し込んだ二人には、幾つか共通点があった。
 歳が若くて、背も低く。この状況下で役立ちそうな知識や技術も持ち合わせていないが……猟兵という、特殊な立場にある事に奢らず。『雑用係でもいい』と申し込んでくるだけの、気概とやる気に満ち満ちている……という点である。
 勿論、若年故の気負いの発露と、唐竹割りする事も可能だが。しかしそういった『若さの発露』は、往々にして微笑ましく好意的に見える物である。その感想は、この監督役の深海人も同様だった様で。
「それじゃ……ちょっと、頼まれて貰おうかな」
 その言と共に、菊月とアルファの『仕事』が始まった。

「おーい、菊月! 今度はこのメモに書いてある、部品とかの用意お願いー!」
「はい! アルファさん印の猫急便、注文入りまーす!」
 『すーぱー・もふもふぱわー』の力によって、超高速度で飛翔できるアルファ。彼は随時補給が必要になる、ネジやナットなどの細かい部品や消耗品を、その都度メモに書き出して。物資の集積所に文字通り『飛んでいって』メモを渡し。用意された部品類を抱えてトンボ返りして、補修の現場に物資を手渡すという。猟兵ならではの『ピストン空輸』戦法にて、現場と補給所の橋渡しを行っていた。
 ちなみに。アルファが伝えた補給品を用意するのは、余程探すのに手間取る物で無い限り、菊月がその任に当たっている。宅配の仕分けと言うより、喫茶店か何かの給仕の様なノリだが。そこは彼女の本業(?)が故、という所だろう。実際、荷物と荷物の合間を上手く縫って、くるくると働くその様は。見事な物だと、賞賛のまなざしを向けられていた物である。猟兵としての能力を使用している訳では無いが、それでも充分以上に『仕事になっている』為。わざわざそれを指摘する様な『無作法者』は存在しない。

 やがて、太陽は無くとも日は移ろい。時は昼下がりの頃と相成って。作業者達に仕出し弁当が振る舞われた。勿論、菊月とアルファも。弁当の配布を手伝ったが……菊月自身だけは、弁当の配布を受けなかった。自前で弁当を用意していたのである。
「ほう……ライスの中に具材を包み込んで、丸く握ってるのか。珍しい工夫だね」
 ふと、菊月のお弁当を見やった現地の労働者が、感心した風で声を漏らした。この島にも『米(ライス)』はあるが、流石に『おにぎり』を握る文化は無い。ましてやそれが『天むす』となれば、手間は更に跳ね上がる。
「宜しければ。作り方、お教えしますよ」
 声をかけてきた深海人に、菊月は軽い口調で応じて言うと。どれどれと言わんばかりに、数人の現地人が寄ってくる。ある意味『異界』の食文化の一端に、その中の誰もが興味津々と言った体だ。
 まず『おにぎり』のコツを教えつつ、気になったのは『コンキスタドールの再来襲』の予知である。そのタイミングは、概ね把握は出来ているが……一度気になってしまうと、どうも落ち着かない。何か偵察の方策は無いかと頭を巡らせ。その視線が、相棒であるクロウタドリの『カミオさん』を捉えると。これがあったと、手を打った。カミオさんに向かい、小声でお伺いを立ててみる。
「カミオさんカミオさん。念のために、周囲を見回ってもらえますかね?」
 お伺いにしては妙に腰が低いが、相手は曲がりなりにも『悪魔』である。用心なり配慮なりは必要だ。
 だが、お伺いの甲斐無く。カミオさんは知らん顔であるが……まあ、ここまでは想定内である。菊月は更に押し込んでいく。
「お願いを聞いてくれたら……お弁当の天むす、あげますから。ね? ね?」
 ……食べ物で悪魔を釣ろうとするのも、どうかという気はするが……実際、それで釣れる悪魔が居るのも、また確かである。
 例えば今、天むすに釣られたクロウタドリなど。その例に最適であろう。

 コンキスタドールの来襲という、凶事の予知が無かったなら。建築現場での、ゆったりと暖かな午後の時間そのものの光景である。食事時間と合間った、休憩時間の只中で。誰も彼もが、各々の好きな様に過ごしている。
 その只中で、アルファもまた。日だまりの様に暖かな一隅で丸くなり。うとうとと微睡んでいた。着衣を着ていなければ、大きな猫と区別するのは難しそうだ。
 そして……そんなアルファに。チラチラ、そわそわと。落ち着かない視線を投げてくる者がいた。と言っても、悪意ある視線では無い。むしろ好意的なそれである。要するに、アルファのモフっとした毛並みを見て。触ってみたくて、撫でたくて。仕方なくなったのだろう。軽く手を差し伸べては、また引っ込めてを繰り返しているのは、理性と欲求がせめぎ合っている故に違いない。
 だが……
「ボクのもふもふで良ければ、触って貰ってOKだよー?」
 当のもふもふからの『モフり許可』が発令されると。まだ年若い頃の、女の子の深海人を中心に『アルファもふもふし隊』が結成され。もふる順番や、その時間までが手際よく決せられるに至ると。アルファは『もふリスト』の面々から、モフられるのは勿論。敬われたり感動されたりと、些か大袈裟な扱いを受ける羽目となった。
 当然だが。アルファの毛並みをモフった所で、疲労回復とか治癒能力の増大効果などがある訳では無い。強いて言えば、精神的に癒されるかもしれない……という所だろう。尤も人間、精神的なリラックスが、肉体的疲労を緩和するケースは枚挙に暇がない。そういう意味では、アルファの毛並みには『疲労回復効果』が存在するのかも知れない。

 予知によれば。コンキスタドールが再度来襲するまで、今少しの余裕がある。もう少しばかりの間、このゆったりとした時間を楽しむのも、良いかも知れない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『咎忍『蟇田・素藤』』

POW   :    忍法・偽りの改心
自身の【保身のため、命乞いからの不意打ち】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    忍法・舞首
自身の身体部位ひとつを【船幽霊】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    忍法・蔦絡み
【両掌】から【強化藤蔓】を放ち、【締め付け】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は政木・朱鞠です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ふ……ふざけんなよ! コノヤローっ!」
 慌てふためき、喚き散らしながら。派手な格好をした男が、美しい町並みの美しい街路を、みっともなく転がる様に駆け抜けていく。身に纏ったマントは、幾つか焦げた穴が開いており。何処かから逃げ出してきた事は、想像するに難くは無かった。
「平和ボケした島の連中を、ちっと脅かしたら。お宝とメガリスをタンマリ頂けるって話だったんじゃねーのかよぉ!」
 どうやら男は、誰かに唆されて。この島への襲撃を企てたという事らしい。『灯台』に目を付けた事自体は悪くないが、その修繕と改修の為に猟兵が動くという事は、想定に入れていなかった様だ。ついでに言えば『平和ボケ』と『専守防衛』の違いも、理解できなかった様である。
 『灯台』の周囲に築かれた、堀と塀に四苦八苦している間に。外壁に格納された浮揚砲塔で狙われて。何発もお見舞いされた挙げ句、この体たらくで逃走中……というのが、その経緯だった。
 但し、見た目は『派手な格好をしたチンピラ』としか見えない、この男。その正体は歴としたコンキスタドール――つまりオブリビオンである。生前は時流に乗る事で成り上がっただけあって、咄嗟の目利きは悪くない。それでいて、こういう間抜けを晒す羽目になっているのは。恐らく邪気や欲目を多量に抱える一方で、それを律する能力に欠くのだろう。

 自分の足で、走って走って。『蒼い繭』島にある街の郊外まで走り抜いて。そこで乗り捨てた『乗り物』の動力を起動させる。
 本来、島と『泡の外』を行き来する為には。形式上の検問に管理された、魔方陣を使用する必要がある。飛行能力を持っているなら、直接『泡の外』から突入したり、逆に『泡の外』へ脱出する事も可能だが……それはあくまでも、緊急時の手段と定められている。
 但し、それを遵守する必要など。コンキスタドールの男――咎忍『蟇田・素藤』は、全身のポケットを漁ったとしても、持ち合わせていないだろう。叶うなら『灯台』への襲撃が失敗した時点で、さっさと『泡の外』へトンズラしたかった所だが……流石のコンキスタドールも、飛行能力も持たずに四~五百メートルを優に超える距離を、空間移動する事は出来ない。それは襲撃する側の条件でも同様であった為。仕方なしに『乗り物』を乗り捨て、近くの『馬』を奪って『灯台』へ走ったのだが……こうなってみると『乗り物』で直接『灯台』へ乗り付けた方が良かったかも知れない。が。そもそも『馬』が目に入った時点で、彼の思考は停止しており。自らの行動を省みる能力も、また持ち合わせていなかった。
 とは言え、このまま逃げ切ってしまえば、とりあえずはノーゲームだ。次はもっと『使える』奴を子分に付ければ、こんな島など楽々と――
 まだ『現状』を脱してさえもいないのに、状況を舐めきった思考は。或いは生来の物であったろうか。何れにしろ彼の目論見は、十分も待たずに頓挫する事になる。

 コンキスタドール・蟇田の使用する『乗り物』は、大雑把に見ると『適当な鉄屑で組まれたイルカか何か』であり。動力のオンオフが可能な一種のゴーレムだ。胸びれの下方にスクリューの様な推進器があり、これで簡易的な飛行も可能となっている――いや、なっていた。
 不格好なゴーレムモドキは『蒼い繭』島を脱出し、海中に躍り出てやや経つと。不意に異音を発して見る間に分解し。小爆発を連鎖しながら砕けてしまったのだ。そして……蟇田が気付くと。彼の前方も後方も、上下左右に至るまで。猟兵達に包囲されていたのである。
 彼の行動やその位置は、逐次観察されており。『灯台』からの発光信号により、猟兵達に随時伝えられていた。この包囲網は、猟兵の技術と努力、現地深海人の労力と愛郷心。それらを繋ぐ信頼とが築いた、集大成と言えた。
「うああぁぁ……ウゼェ! マジウゼェ…っ! マジメンドクセーから、死んどけや!」
 ……現状に至った経緯は理解できずとも。現状が自身にもたらす可能性くらいは、想像する事は出来たのだろう。蟇田は、敵意露わに喚き散らす。自分の思い通りにならない物は、とりあえず壊してしまえばいい。短絡の極致だが……程度を調整したならば、必ずしも間違っていないのが。人間という存在の、もの悲しさなのかも知れなかった。

 何はともあれ。ここに来て、全てのお膳立ては整った。コンキスタドールによる『蒼い繭』島への襲撃を、ひとまず止める為にも。この島の情報を、奴に持ち帰らせない為にも。この男――咎忍『蟇田・素藤』を、全力で仕留めてしまいたい。


※断章の掲示が遅くなってしまい、誠に申し訳ありません。
 某コロナ様騒ぎのアレコレが、自分の周囲にも降りかかってくるとは思いませんでした。何か、非常事態宣言が解除された後の方が。被害酷くなってる様な…
 さて置き。私事の影響を参加者の皆様に被せてしまい、大変恐縮ですが…
 第三章のプレイングは、7月2日木曜日の午前8:32より、受付させて頂きます。
御園・桜花
「水中機動を損なわないよう合わせ技に致しましょう」

UC「召喚・精霊乱舞」
高速・多重詠唱で氷の精霊と光の精霊を召喚
氷属性の追尾魔力弾を光らせ仲間にも見えやすいよう配慮
「多少躱されても数で押しきります」
敵の藤蔓、両拳を集中的に狙い仲間が攻撃しやすい隙を作る
勿論本体に当てる隙があれば本体も狙う
自分への攻撃は第六感や見切りで躱す

「貴方が普通の海賊・盗賊でしたら、それでも充分世界と共存できただろうと思います。どうぞ骸の海へお還りを。そして…共存できる命となってお戻り下さい」
最期は破魔と慰めのせた鎮魂歌で送る

島民にはその後頭を下げる
「すみません、生者であれ死者であれ、被害を受ける貴方達には変わらないのに」


トリテレイア・ゼロナイン
(咎忍を●水中機動力活かし逃げ道を塞ぎ)
『過去』を討つは私達の務め
それに『蒼い繭』の情報を得た貴方を逃すわけには行かないのです
御覚悟を

藤蔓を魚雷の●誘導弾や格納銃器の●スナイパー射撃で●武器落とし
突撃し一気に…

辞世の句を詠みたい?
…良いでしょう
東方の流儀なれど、戦士の尊厳を貴ぶは騎士の務めです
(ランスと盾をしまい近づき)

UCで●見切った攻撃を前腕部内蔵伸縮機構を利用し●怪力で捕縛、中断
もう片腕の2章の爪付きの貫手で臓腑を●串刺し

恥ずかしながらだまし討ちには覚えがありまして
騎士としては見苦しいですが、その状況打開の意欲
戦機として認めましょう

(腕を戻し引き抜き)

ですが、瞳に感情が出過ぎていましたよ



 咎忍『蟇田・素藤』の眼前に、まず立ちはだかったのは、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)であった。その水中に浮かぶ巨体は、騎士の纏う甲冑が如き、トリテレイアの姿形と相まって。まるで海中都市の守護者(スプリガン)の様である。
 その側を嫋やかに舞うのは、御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)。動甲冑が如きウォーマシンの側では、その華やかさと淑やかさが、更に際立って見受けられる。但し、見かけ通りの繊弱な女性だと甘く見れば。痛い目で済めば僥倖という物であろう。

「ザケンな、テメェら! ヨケーな真似しやがって……!」
 蟇田が喚き散らすが、何を持って『余計な真似』と言っているのか。猟兵達には心当たりがあり過ぎて、逆に心当たらない。或いは、とりあえず言語を発しているだけで、言葉自体に意味は無いのかも知れない。
 ただし、言葉は通じても『会話が成立する』かは、いつの世もどんな時であっても、最大の懸念である。少なくとも今回は、実りある会話は期待できそうに無い。
「何をもって『余計な事』と評しているかは分かりませんが……」
 淡々と、しかし誠実に。トリテレイアが言を発する。
「『過去』を討つは、私達の務め。それに……『蒼い繭』の情報を得た貴方を、逃すわけには行きません」
 お互い、譲れる余地は存在しそうに無い。それが、理由である。

 トリテレイアが魚雷発射管に注水しながら、格納銃器を展開。同時に桜花は高速多重詠唱で精霊達を呼び出す。
「水中機動を損なわないよう、合わせ技に致しましょう」
 桜花が召喚したのは、氷の精霊と光の精霊。一見すると氷柱が如き氷の短剣は、光の精霊の力を宿し。光り輝く氷の短剣が誕生した。桜花はそれらを、一気に解き放つ。その飛翔する様はまるで、弾道を視認する為の曳光弾の様であった。厳密には、曳光弾の殺傷能力は高くない事も少なくないが、用途自体はほぼ同一と言って良い。
「おら、喰らえ……っ!」
 しかし、その反撃と言わんばかりに。派手な咎忍は、両手に強化藤蔓を構えて放つ。海中を舞う氷の短剣と、使用者の意思を伝って乱れうねる藤蔦。撃ち合いとなった。流石に、ボスクラスのコンキスタドールだけあって。その戦闘能力は侮れないと見える。
 桜花は氷の短剣を幾本も操りながら、蟇田の操る強化藤蔓を戦闘勘と見切りによって回避し、いなしていく。
「多少躱されても、数で押しきります……!」
 一方で、更に数を増した氷柱の短剣で、時に敵の急所を、時に敵の両手を狙い。隙を生み出そうと腐心する。蟇田へ傷を負わせる事が第一義なのは当然だが……桜花にはもう一つ、異なる計算用紙が存在していた。
 桜花の操る氷柱の群れを捌きつつ、桜花を攻め立てる蟇田は。唐突にその手を止めた。顔を引き攣らせて、回避運動に入る。彼の眼前には――トリテレイアが発射した魚雷が、幾本も顔を連ねていたのである。

 蟇田には魚雷が『唐突にそこに現れた』様に思えただろう。だが実際には『蟇田がその位置に来る事を予測した上で、その場所に魚雷を放った』というのが正解だ。
 魚雷は水の抵抗に抗って推進せねばならない為。速度は勿論、直進性能と射程が何より優先される。故に少なくとも、ミサイルの様な高度な誘導性能は望めない。故に魚雷は往々にして『先読みして撃つ』事が要求される。
 魚雷は空中を舞うミサイルの様に、音速の数倍の速度で推進する事は出来ない。故に、今そこにある物を撃とうとしても。魚雷がその地点に到達した時には、目標はそこには居ないという事態が発生しがちだ。だからこそ魚雷は、自他の位置の推移を計算し、目標の位置が当該位置に来た時。魚雷が『そこに居る』様に発射するのだ。
 無論、可能であるなら。目標が魚雷の到達箇所に至る様に、別の手段で追い立てる……という手段も有効である。桜花の『もう一枚の計算用紙』とは、蟇田をトリテレイアが放った魚雷の進行上に、誘導する事だったのだ。
「がああぁぁ……っ!」
 立て続けに炸裂する魚雷と共に、更にトリテレイアの内蔵銃器が火を噴いて。蟇田を撃ちのめしていく。
「わ……分かった! 俺の負けだ。勘弁してくれ……!」
 トリテレイアが発砲を止めると……身体のあちこちに少なからぬ傷を負った、コンキスタドールがそこに居た。

「な……なあ。あんたら……頼みが、あるんだ」
 哀願その物の声で、蟇田はトリテレイアに語りかける。
「お、俺の嫁にさ……伝えて欲しい事があるんだ。辞世の句をさ。もう、俺。嫁の所まで、保ちそうに無いからさ……」
 確かに、見た目は中々に酷い有様ではある。並の人間なら、半死半生と言われても納得するだろう。
「辞世の句を詠みたい……ですか?」
 トリテレイアは、顎に片手を添えて、数秒黙考する。その手を降ろした時には、考えは決まっていた。
「……良いでしょう。東方の流儀なれど、戦士の尊厳を貴ぶは騎士の務めです」
 その言葉に、桜花も首肯する。異存は無い様だ。トリテレイアは楯とランスを背負い、水中仕様のスラスターを噴かして。蟇田の元へ泳ぎ寄る。
 静から動への推移は、一瞬だった。
 けたたましい奇声を上げて、蟇田はトリテレイアに右手で貫手を繰り出した。弱々しい態度は演技であり、トリテレイアを騙し討ちしたのである。
 しかし……トリテレイアも、歴戦の猟兵である。このコンキスタドールより、一枚上手だった。蟇田の企みに気付くと、その動線のギリギリを見切り。逆に圧を掛ける事で敵の心理に負荷を掛け……技から正確さを奪うと、逆にトリテレイアが貫手を繰り出したのだ。
 それは『只の貫手』であっても鋭利であり。トリテレイアの鋭い指先も相まって、槍先にも匹敵する凶器であった。しかし更に、インパクトの瞬間に前腕フレームを伸長させ。更なる貫通力を持たせた。直撃すれば、必殺の一撃と称しても過言では無い。
 そのモーションは、トリテレイアのボディカラーも相まって。まるで、ある『労働者』の名を持つAV-X0なるロボットを象徴する技が如き妙技。必殺とは、かくあるべしと称したくなる華麗さである。

「恥ずかしながら……だまし討ちには、覚えがありまして」
 淡々と、トリテレイアが語る。
「騎士としては見苦しいですが、その状況打開の意欲。戦機として認めましょう」
 奇襲の失敗でギラギラと輝く瞳で、機械仕掛けの騎士を見上げつつ。蟇田は無言で言を待つ。
「ですが、瞳に感情が出過ぎていましたよ」
 その返答は、ケッ……という、悪態一つだけであった。

「貴方が普通の海賊・盗賊でしたら、それでも充分世界と共存できただろうと思います」
 トリテレイアと蟇田の話に、一段落が付いたろうと。続けて桜花が、言を紡ぎ始めた。
「どうぞ骸の海へお還りを。そして……共存できる命となってお戻り下さい」
 凜と厳然として、彼女は告げる。
 海賊であれ、盗賊であれ。この世界を構成する側の存在であれば、それは人と世界の営みである。だが、コンキスタドール――つまりオブリビオンのそれは、世界を終わらせる為の活動であり。生の営みでは有り得ない。それはある意味『生きる者以外の諍い』と言えよう。

 一方で、桜花は心中で『蒼い繭』の住民達に詫びる。
(すみません。生者であれ死者であれ、被害を受ける貴方達には変わらないのに……)
 だが、真っ当な生者であれば。脅威ではあっても、住民達でも太刀打ちできる。コンキスタドールの蹂躙とは、驚異の質が違う。そして……それに対抗する為の力が、猟兵なのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

疋田・菊月
おやおや、街を襲うからにはどのような悪党かと思えば、とんだ小悪党もいたものですね。
ヒキタの名が泣きますよ。えへへ
とはいえ、こういう状況で破れかぶれに見せかけるのも忍者さんお得意のブラフかもわかりません
不意を突かれぬよう、お味方を援護する形で銃弾の大盤振る舞いです
機関銃による制圧射撃で乱れ撃てば、ちょっとはひるんでくれますかね
そしてそして投げ爆弾で目くらましですよ
相手がどれほど動きを止めてくれるかはわかりませんが、こちらも奥の手を使いますよー
オールワークス!で暗殺を狙っちゃいます
今こそ対物ライフルを使うときですよね
水中で威力が減衰するかもですが、PzB-39Kの性能を信じましょう


上野・修介
※アドリブ、連携歓迎
「なるほど、あまり期待はしていなかったが」
それなりに苦労した甲斐があったようで、ちょっと嬉しい。

しかし精神的な乱れはあるようだが、肉体的はダメージがない様子。
体勢を整える前に速攻を掛ける。

先ずは観る。
相手の言動と損傷具合から精神状態を量る共に、周囲の海流を確認。

UCは攻撃重視。
得物は素手格闘

潮の流れと、他の猟兵との戦闘の隙を突いて接近。
極力動きを抑え、直突き、縦拳、貫手など極力水の抵抗を受け難い技を主体に攻撃。

命乞いをしだしたら、逡巡する素振りを見せ、わざと隙を晒して攻撃を誘い、カウンターを叩き込み確実に仕留めに行く。

「悪いがアンタみたいな手合いに掛ける情けは端からない」



「おやおや。街を襲うからには、どのような悪党かと思えば。とんだ小悪党もいたものですね。『ヒキタ』の名が泣きますよ」
 えへへ、と笑いつつ。辛辣な事を笑顔で言ってのけたのは、疋田・菊月(人造術士九号・f22519)である。尤も、骸の海ではベースの人格に、何が混ざってくるか分からない。思わず『誰だお前は?』と問いたくなる程、人格が変わってしまうケースもあるかも知れない。
 但しそれが、今この男の所業を寛容する材料にならないのも、また確かである。

 そしてジタバタと、足掻くと言うより暴れる蟇田を見遣り。上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)は、誰とも無しに呟く。
「なるほど。あまり期待はしていなかったが……」
 彼も加担して建造した堀や塀も、それなりに効果はあったらしい。苦労した甲斐があったのは、彼にとっても喜ばしい。
 更に、精神的な乱れは勿論。先程の戦いでダメージも負っている。下手に体勢を整えさせる前に、一気に仕掛けるのが上策かと。修介は一瞬の後に判断する。
 周囲の海流の具合を『観て』、己の取る体勢と行動線を一瞬で組み立て。視線で菊月へ合図する。或いは、物理的な行動による合図は、相手にも『何かしらの意図がある』事を知らせる事にもなるが……精神感応能力も、魔法の類も使えない身では、致し方ない。
 それに……万一、意図に気付いたとしても。対処させなければ良いだけの話である。

 白手だった菊月の手に、一瞬後に機関銃『型式九九K』が現れて。その銃口が蟇田に向けられる。放たれる銃弾は機関銃弾では無く、水中用に調整したフレシェット弾だ。もう一加工すれば、針状の弾体に信管と火薬を内包した簡易榴弾も実現できたかも知れないが……流石に今回、そこまでの余裕は無かった。第一、その掃射による弾幕のみで、援護としては充分以上だ。
 その支援を受けて、修介は大きく上方から下方へ――つまり蟇田の元へ、一気に迫る。
 この周囲を流れる、それ程大きくも強くも無い海水の対流は。押し通れば無視しても構わないと思える程度の物である。が……それを利用する事を考慮したなら、存外と馬鹿には出来ない物でもあった。
 蟇田が放つ藤蔦は、海流に逆らう様に伸び。その速度を常より僅かに減じさせ……修介自身を押す海流は、その落下速度を僅かに強め。彼が放つ貫手は、その勢いを受けて。常より強く速く、蟇田へ届く。
 蟇田の絶叫が轟いた。

 蟇田の左肩から引き抜いた右手を、更に左胸へ突き立てようとした修介だったが……激しく身悶えした蟇田は、無理矢理に彼から間合いを離すと。いきなり修介を拝み倒し始めた。
「ちょ……待って、待ってくれよ……! 俺にも女房が居るんだよ! 食わせないと、ならねぇんだよぉ……」
 悲壮感たっぷりに、哀願してみせる。つい今し方、殺そうとした相手へ向けた言葉とも思えない。
 僅かに当惑した表情を浮かべ、修介は菊月へ視線を投げ。菊月も呆れた風体で、肩を竦めてみせる。二人共に、その瞬間。蟇田から視線が離れた。
 蟇田の手や腕では無く、肩から直接。藤蔦が伸びたのは、この瞬間だった。逆転勝利の確信と共に、ぬめる様に輝く瞳。
 次の瞬間――彼の眼前にあったのは、血に濡れる修介では無く。『ポテトマッシャー』の独特なフォルムだった。爆雷仕様のそれが、蟇田を巻き込んで爆発。
「いやー。あんなんで『油断した』と思ってくれるなんて、むしろビックリです」
 これこそ肩を竦める口調で、菊月がのたもうた。
「テメェ! 懇願してる人間に、爆弾投げつけるとかフザケンナ!」
 自身については、遠くの棚へ放り投げ。蟇田は憤って見せたが
「悪いが……アンタみたいな手合いに、掛ける情けは端から無い」
 静かなる気迫を込め。修介はそう、言ってのけた。

 ここで迷ってしまったのが。恐らく蟇田にとって、一番の失敗だったろう。もう贔屓目に見ても、彼が勝てる可能性は無い。一目散に尻を捲っていれば、まだ生存の可能性はあった。それが極小であったにしても。
 それでも尚、勝てるかどうかを考えてしまった。それは或いは、運と時流に乗れた故とは言え。一時は一城の主となった男の、最後の気概であったのかも知れない。
 だが……その感慨に付き合う必要も意味も、猟兵達には無い。蟇田から半ば以上、遮蔽となっていた修介が、その場を譲る様に脇へ避けると。対物ライフル『PzB-39K』を構えた菊月が、そこに居た。

 対物ライフルの本領の一つは、超遠距離からの狙撃だが……銃身を切り詰めた浪漫銃である『PzB-39K』に、それを期待するのは不可能である。更に水中で浮遊した状態での肩付け姿勢となれば。マトモな狙撃手に要求されたなら、匙を投げるか、激怒するか。或いは指示した相手の正気を疑うかの何れかだろう。
 しかし……その様な『無理』を押して、何とかやっつけてしまうのが。猟兵の無茶な生態の一端という物である。
 『絶対不可能』な事象に、本来なら絶対有り得ない『もしかしたら可能かも知れない』という、極微少で不安定な要素を化合させ。無理矢理現実を従わせて『可能な事』に仕立て上げる。これが猟兵以外の何物に、可能な事象であろうか。
 更に今の『PzB-39K』は、常の仕様では無い。銃身内にライフリングは無く、装填した銃弾も、質量弾の類では無い。薬莢すら持たないケースレス弾。銃身から侵入する海水は、薬室すら満たすが……菊月は委細気に留めない。無論、事後には徹底的な整備が必要となろうが、菊月が気に留めぬ理由はそこには無かった。
 極小の時の間に、照準を慎重に定め。発砲の反動と生ずるブレを考慮し、姿勢を正す。照準時に添えなかった人差し指を引鉄に添え――それを慎重に、しかし一刹那で引き絞る。
 とてつもない反動を発しながら、凄まじい速度で。込められた銃弾が発射された。生身の人間ならば、腕が吹き飛んでもおかしく無いリコイルである。それもある意味当然で、発射された銃弾は、ある意味では『銃弾』では無い。極論すれば『銃弾サイズの魚雷』とでも称する存在であり、発生したリコイルは、この弾の推進機が発した加速の反作用による物だった。
 成形炸薬によって推進機に点火し、爆発的な加速で水中を直進する。猟兵以外で実現し得ない、複数の世界の技術を用いた、真なる意味での特殊弾頭。
 『銃の性能』とは、銃器の性能でも、銃弾の性能でも無い。『銃と銃弾双方の性能』がシンクロして、初めて生まれる芸術なのだ。

 ほぼ、不意打ちであった。また予期できていても、回避が容易な速度でも距離でも無かった。結果……致命傷に近い確度で、命中した。
 しかし――敵もまた、尋常な存在では無かった。腹に大きな穴を開けながら、胴の上下が泣き別れしないのが不思議な均衡を保って、辛うじて繋がっている状況。有り体に言って、様々な意味で。見るに堪えない惨状である。
 それでも尚、生きているというのは……この男の、生への執着なのか。或いは、欲得への執念なのか。もしかすると、当人にも分からないかも知れない。

 もう一手、必要なのか。猟兵達は改めて、この咎忍へ相対するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルファ・オメガ
がう、なんかお間抜けさんだねー
敵味方じゃなかったらもふらせて慰めてあげるところだけど
ボクだって猟兵だからね!
全力で倒すよー

ボクに水中機動力は無いことが最初でよくわかったので
ここは遠距離で仕掛けるよ
というわけでエレメンタル・ファンタジアだー!
「いっくよー!水ノ竜巻!!」
水流を竜巻にして叩きつけよう
反撃受けたところでボクは動かないから大丈夫なはず!
海の外まで吹っ飛ばしてあげてもいいけど
ここで骸の海に還さないとね!
竜巻の回転速度を上げて高速回転
遠心力つけまくりで竜巻解除!
ボクの方へ弾き出された蟇田へ
えいってぶらっく・せいばーを突き出して串刺しだ
「さよならだよ。今度はもっと計画的に」



 蟇田は最早、半死半生を超えて、死に体であった。むしろ腹に大穴を開けた状態で、一応とは言え『生きている』事自体。『しぶとい』を通り越して『異常』に属する現象だ。流石はコンキスタドール、オブリビオンの生命力と言った所か。
 そんな彼に対して。アルファ・オメガ(もふもふペット・f03963)は、些かならず辛辣であった。
「がう、なんかお間抜けさんだねー。敵味方じゃなかったら、もふらせて慰めてあげるところだけど……」
 でも、ボクだって猟兵だからね。そう締めくくり。愛刀の『ぶらっく・せいばー』を、片手に構える。
「へっ……喋って二本足で歩ける程度の化け猫が。一体なにが出来るって言うんだよ……!?」
 最早、どこから声を出しているのか不明だが。精一杯の虚勢を込めて、蟇田が毒づく。しかしどうやら『ケットシー』という種族の事を、知らないと見える。その愛らしい姿の中に秘められた、可能性と力も。
 尤もそれも、今この場で思い知れば良いだけの事ではある。その機会は存分にあろう。彼にとっては、嫌という程。

 先だっての、赤く丸い『コンゴウさま』との戦闘で。自身のユーベルコードは、水中ではフルパフォーマンスを引き出せない事を、アルファは既に気付いていた。故に、自ら進んで近接戦闘を仕掛けるのは、少しばかり難しい事にも気付いている。
 ならばどうするか? 近接戦闘を仕掛けるのが厳しいなら、遠距離から仕掛ければ良いだけの事……!
「『エレメンタル・ファンタジア』! いっくよー!」
 愛刀を掴んだ逆手を頭上に掲げ、アルファは自身の内にある魔力を絞り出す。それを触媒にして、周囲に満ちる魔力に干渉。その影響力と範囲は、一瞬ごとに強く広く広がって。近辺の海域への影響力を強めていく。
 水中であるに関わらず、或いは水中であるが故に。その力はその場に居る全ての者に、身体中でダイレクトに、ビリビリと感じられた。
 おもむろにアルファは、掲げていた片手を頭上で回す様にして構え。その手を勢いよく、前方に突き出してみせる。
「一閃必倒! 水ノ竜巻!!」
 その言と共に、紡がれ制御されていた魔力が一気に解放される。弾けた力は渦を巻き、それは物理的な力となって。この海域の中央で荒れ狂う、水流の竜巻となって顕現した。こうなると、術者であるアルファですらも。必ずしもこの海流を制御できるとは限らない。それだけ制御がタイトで、油断ひとつで容易に暴走を始めてしまう術なのだ。

 しかしながら、その竜巻じみた海流の只中に居る蟇田には。何の慰めにもならなかったであろう。悲鳴か、罵声か。何かしら言語を発しているらしい事は、遠目に何となく分かるのだが。声が海流に完全に引きちぎられ、一言たりとて、猟兵達の耳には届かない。
 ただ、一つだけ分かる事がある。蟇田は間違いなく、もう永くない。この竜巻海流に吞まれた時点で、逝ってしまってもおかしくは無いし。耐え抜いたとしても、もうその体力は、生命を支えるのに足りるまい。
 だが、アルファは今少しだけ、慈悲深かった。或いは、冷徹だった。
「このまま、海の外まで吹っ飛ばしてあげてもいいけど……ここで骸の海に還さないとね」
 そう告げると、竜巻の渦巻く速度を更に上げ。蟇田が波で揉まれる力と勢いを更に強め……唐突に、竜巻の顕現を打ち切ったのである。
 アルファが制御を止めたからといって、一瞬で打ち消える現象であるとは限らなかったが……少なくとも今回は上手くいった様で。流石に瞬時に消え去るという訳にはいかなかったが、その勢いに比すれば、随分あっさりと。周辺の海域は静けさを取り戻した。
 が。それはあくまで、海流に関しての話であって。それに振り回されていた蟇田の方は、その限りでは無く。その散々弄ばれていた力の勢いは、簡単には打ち消されない。その勢いと速度がついたまま、とある方向へ弾き出されたのである。
 黒い刀身を持つサムライブレードを構えた、アルファの方向へ。

 顔を引き攣らせて、最早一言も発しない蟇田。胴の上下が泣き別れても構わぬとばかりに、手足をバタつかせるが……最早その動きは、何の役にも立たず。従って何の影響ももたらさなかった。
 愛くるしいケットシーが放ったとは、少々信じ難い程の鋭さをもって。アルファの『ぶらっく・せいばー』は海中で閃き。
 蟇田の肩は、その頭部の重量による負担から、永遠に解放されたのだった。
「さよならだよ。今度はもっと計画的に」
 アルファのその呟きは、人里への襲撃計画についてか。或いは人生設計に関してか。それとも全く、別の事柄であったろうか。

 こうして、騒ぎの割には呆気なく。その首謀者は討ち取られ。
 『蒼い繭』の平和は、最小限の損害で護り抜かれたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年07月10日
宿敵 『咎忍『蟇田・素藤』』 を撃破!


挿絵イラスト