#アポカリプスヘル
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●新たなる一歩
アポカリプスヘル。
オブリビオン・ストームによって人類の大半が死滅した近未来の世界である。人々はオブリビオン・ストームに為す術もなく、ただ滅びの日を待つだけではなかった。
拠点(ベース)を構え、滅びた文明の残滓から食料や資材を奪還者(ブリンガー)たちが持ち帰り、貪欲に生き延びる道を選んだのだ。
猟兵たちの活躍によって、アポカリプスヘルの人々は徐々に希望を取り戻し始めている。ついには、自分たちで拠点の外に打規模な農場を築く者たちさえ現れ始めたのだ。
それは小さな一歩であるかも知れない。けれど、偉大なる一歩だ。
彼等は踏み出した。荒野の中に自分たちの生活圏を広げ、自分たちで食料を生み出す術を獲得しようとしていたのだ。
次第に荒野の農場は大きくなっていく。人々の地道な作業が身を見済んできているのだ。
土を耕し、奪還者たちが廃墟から持ち帰った肥料や種を片っ端から試しては失敗し、失敗しては試すを繰り返す。
そんな試行錯誤の末、彼等は漸く手にしたのだ。
「―――これが、サツマイモ……!」
そう、サツマイモである。
根野菜であり、病害虫や高温・感想にめっぽう強く、さらに土質を選ばない。しかも、かつてアポカリブスヘルにおいて発達したオーバーテクノロジーによって生み出された品種なのだ。
水につければすぐに種芋へと変わり、芽が出てくる。それを苗にすれば、容易に栽培ができるのだ。
「ありがとう……! 奪還者のみんな! これで秋の頃には収穫できる!」
拠点のリーダーと住民たちは喜びに湧き上がる。
早速と荒野に大規模農場を作りあげていく人々。それは明日を生きるための活力と気力を取り戻した人々の新たなる戦いであった。
生きることは常に戦いである。
だが、その明日を生きるための戦いを続ける彼等に迫る影があった―――。
●オブリビオン・ストーム
その黒き竜巻は、全てを飲み込みオブリビオン化する。
生物であっても無機物であっても関係がない。オブリビオン・ストームは、取り込んだものをオブリビオンへと変貌させ、歪んだ欲望を満たさんと暴虐の限りを尽くすのだ。
「動体反応検知。多数確認―――」
その無機質な言葉は、荒野を土煙上げながら進む一台の巨大戦車から響いた。
カーキ色の装甲に6つの巨大砲塔を装備した暴走戦車は、その威容からは想像できないほどの機敏さで進路を反転させる。
「データ確認。人類種と断定―――。これより殲滅活動に入る」
そのセンサーが捉えたのは、荒野に大規模農場を広げる拠点の人々であった。
そう、品種改良されたサツマイモの種芋を手に入れた拠点の人々である。彼等が拠点に籠もっていたのならば、このオブリビオン・ストームによってオブリビオン化した暴走戦車に感知されることはなかっただろう。
だが、それはもう最初の一歩を踏み出した彼等にとって、立ち向かわなければならない最初の障害であった。
暴走戦車の横を駆け抜けていく先鋒たる小型のマシンビーストの群体。暴走戦車が大規模農場に辿り着く前に人々を蹂躙しようというのだ。
それは単純なる暴力だった。
懸命に生きる人々を嘲笑うオブリビオンの所業であった。今、虐殺の嵐が、大規模農場に迫るのだった―――。
●守り抜かねばならぬもの
「お集まりいただきありがとうございます。今回の事件はアポカリブスヘル、荒廃した文明と荒野を生きる人々が住まう世界です」
ナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)がグリモアベースに集まってきた猟兵たちに頭を下げて出迎えた。
アポカリブスヘル、そこはオブリビオン・ストームと呼ばれる黒き竜巻が渦巻く世界である。黒き竜巻に巻き込まれたものはオブリビオン化し、人々の脅威となるのだ。
そのせいでアポカリブスヘルの文明は崩壊し、人々は拠点(ベース)を寄る辺としてほそぼそと生きるほかなくなったのだ。
「今回、拠点を襲うのはオブリビオン・ストームによってオブリビオン化した動物と機械が融合したマシンビースト。そして、それらを率いる暴走戦車です」
オブリビオン・ストームがオブリビオン化するのは生き物だけではない。意思を持たぬはずだった戦車すらも知性をもたせ、人々を襲うのだ。
この巨大な暴走戦車に率いられたマシンビーストたちが襲うのはある拠点である。
拠点事態が標的になっているのではなく、拠点の外にある大規模農場で農作業をしている人々が今回、オブリビオンの犠牲者となってしまうのだ。
「この拠点は、奪還者(ブリンガー)が文明の廃墟から持ち帰ってきた品種改良されたサツマイモを使って、拠点の外に農場を構えるまでに至った方々なのです。確かにオブリビオン・ストームが発生すれば、吹き飛んでしまうでしょう。けれど、農場を、そして、そこで希望を紡がんとする人々を狙うオブリビオンからは護らなければなりません」
どれだけ農場が吹き飛ばされても、人々さえ無事であれば、彼等はまた作物を育てはじめるだろう。
だが、生命を奪われてしまえば元も子もない。
「これは人類の新たなる一歩と言っていいでしょう。この一歩を護らねばなりません」
襲来するオブリビオンの数は多く、そして率いるオブリビオンもまた強力な兵器だ。戦いに赴くには相応の覚悟が必要となろう。
だが、それでもナイアルテは頭を下げる。
「どうか、明日に希望を見出す人々を守って下さい……過去を振り返らず、一心に誰かのために何かを為す、そんな人々がオブリビオンに蹂躙されていいわけがありません」
どうか人々とのために、とナイアルテは猟兵たちを送り出すのだった―――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回はアポカリブスヘルでの事件です。拠点の外に大規模農場を構えるまでに至った人類をオブリビオンの魔の手から守り抜くシナリオになります。
●第一章
集団戦になります。動物と機械がオブリビオン・ストームによって死した後、融合して蘇った獣です。相当な数が存在しており、群れ単位で行動します。同族であれb,相互に意思疎通が可能な頭部の装置によって、連携を形成します。
ただ殺すためだけに人間を襲う恐るべき群体オブリビオンです。
これらより大規模農場を護りましょう。
●第二章
ボス戦になります。オブリビオン・ストームによってオブリビオン化した戦車です。
オブリビオン化したことにより、本来なかった自律行動を可能にした知性を持っていますが、この暴走戦車もまた、ただ殺すためだけに人間を襲う戦車へと成り果てました。
強力な砲撃能力で大規模農場ごと人間を吹き飛ばして殲滅しようとしています。
これを撃破し、大規模農場で働く人々を護りましょう。
●第三章
日常です。護りきった大規模農場をお手伝いしましょう。
今回は秋ごろに収穫できる品種改良されたサツマイモの植え付け作業や、戦いの余波で崩れた農地の修繕など、様々な手伝いができるかと思います。
それでは荒廃した世界を生き抜く人々を助けるため、アポカリブスヘルにてオブリビオンを打倒しましょう。
皆様の物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 集団戦
『マシンビースト』
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POW : ワイルドビースト
【野生化モード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : 同型機との経験共有
【頭部に内蔵した高熱の刃】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【行動パターン】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ : 光学迷彩
自身と自身の装備、【自身と同型の】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
イラスト:柿坂八鹿
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
荒野を駆ける鋼鉄の群れがあった。
レドーム状に広がった頭部は送られて来る信号を逐一、他の同一個体たちと共有し、情報へと変換していた。
その生命灯らぬカメラアイが見据えるのは、荒野に広がる大規模農場。
そこで明日の生命のために懸命に土を耕し開拓する人々の姿があった。
「―――」
咆哮は上がらない。
それは生命を持つ者のみが上げることのできる謳歌。機械の体へ変わった獣たちには不要なるものである。
故に彼等は咆哮を上げる代わりに、数百と居る同一個体たちへと信号を送る。
「殺セ。鏖殺セヨ。生命ハ全テ蹂躙シナケレバナラナイ」
それは指令にして命令。
ただ殺すためだけに襲う。それがマシンビーストたちの至上命題である。
そして、彼等の接近をしった大規模農場にて土を耕していた人々は、立ち向かうのか、逃げるのか、その迷いからどちらにも動けず、惑うように立ち竦む他なかった。
目の前の脅威。そして、己たちが精魂込めて耕した大地。己の生命。
そのどれもが天秤に掛けられず、マシンビーストたちの上げる土煙を前に絶望が蔓延ってくるのを止められなかったのであった―――。
ゴッド・ゴッダー
弱肉強食は自然の摂理!
本来であればワシが出しゃばる案件ではない!
しかあし!
今のワシは大宇宙の森羅万象を司る全知全能の神であると同時に、1人の猟兵でもある!
よってこの神自らが神の使いとなり、天罰を下すとしよう!
まずは挨拶がわりじゃ!
オブリビオン共が集まって来た所で、ユーベルコードという名の神通力を使用するぞ!
機械仕掛けの畜生共よ!神の力を喰らうが良い!
ふはははは!些か挨拶が丁寧になり過ぎてしまったかの!
強き者は弱き者より、多くを得る。
弱き者は強き者に奪われて失う。
生命とは、自然とは、得てしてそういうものであろう。それが本能の強みであり、厳しさであり、摂理である。
だが、文明を築いた人類はどうだろうか。
強き者が弱き者を育てる。なぜか。隆盛を極めた者の末路は常に減退である。衰えである。
生命である以上、頂点があり、最後は必ず谷の底へと落ちていくのだ。
だからこそ、人類は弱き者を育てる。力持つ者の責務である。それはいつか、己の代わりに弱き者を護るため。
そうすることで生命を連綿と紡いでいくためである。
しかし、オブリビオン・ストームによってオブリビオン化した機械と動物の融合体であるマシンビーストたちは違う。
彼等こそが荒野において人類よりも圧倒的に強者である。彼等が弱者を慮ることはない。何故なら、彼等の目的は人間を殺すことであるからだ。
頭部に装備された牙を模した白熱刃が、これより虐殺を行うべく大規模農場に迫る。
「弱肉強食は自然の摂理! 本来であればワシが出しゃばる案件ではない!」
その声はマシンビーストたちの足を止めさせるには充分な荘厳さを以て荒野に響き渡った。
後光指す姿から全容は伺い知れない。だが、その姿、その声、その光。
ありとあらゆる物を超越せし全能なる者の重圧がマシンビーストたちの足を止めさせた。
本能で理解したのだ。アレは、敵である。それも己達では及びも付かぬ敵。
―――ゴッド・ゴッダー(ゴッデスト・f20871)の姿はまさに、獣であっても畏怖するものであったことだろう。
「しかあし! 今のワシは大宇宙の森羅万象を司る全知全能の神であると同時に、1人の猟兵でもある!」
荒野に後光が差し込み、暗雲立ち込める空の切れ間から差し込む光は正にエンジェルラダー。
その言葉一つ一つが大気を震わせる。
圧倒的なプレッシャーの前に機械の獣であるオブリビオン、マシンビーストたちは動きを鈍らせながらも群体である強みである数を頼りに彼の全能神を討たんと結集する。
「よって、この神みずからが神の使いとなり、天罰を下すとしよう! まずは挨拶がわりじゃ!」
揃えた指が掲げられる。それはユーベルコード、神の挨拶(ゴッド・ハロー)。圧倒的な力の本流が世界に流れ込む。
「機械じかけの畜生共よ! 神の力を喰らうが良い!」
その力をまさに挨拶代わりに指を軽く弾くように持ち上げた瞬間、彼を討たんと結集していたマシンビーストたちの群体の一つが大爆発と共に一瞬で消し飛ぶ。
それはまさに神の雷である。
天変地異の如き力で持って、一瞬で撃滅されるマシンビーストたち。
その光景を目の当たりにした大規模農場の人々は、その瞳に神という名の力を映したことだろう。
文明が崩壊して以来、寄る辺無く、己たちの生存のみにしか意識が向かなかった彼等の心に今、人外なる力の一端が触れる。
それはいつの日にか語り継がれ、信仰という名の縁を生み出すことだろう。
「ふはははは! 些か挨拶が丁寧になりすぎてしまったかの!」
その一撃は荒野に大穴を開け、そこに存在していたはずのオブリビオン、マシンビーストたちの一団の消滅させた。
それをして丁寧というのであれば、その力の行使は圧倒的であった―――。
大成功
🔵🔵🔵
フォルク・リア
住民には
「早く逃げろ!
その食糧も命を繋ぐためのもの。
命を落としてしまっては本末転倒だろう。
畑は何とか守ってみせる。」
と避難を促す。
辺りを観察しつつグラビティテンペストを発動。
自分の周辺には斥力を発生させて身を守り
畑を含む拠点も同様に防衛。
敵には超重力で圧し潰しダメージを与えると共に進行を妨害。
生き残りには動きを止めている間に
デモニックロッドから頭部を狙い闇の魔弾を放ち仕留める。
姿を消した敵に対しても超重力での攻撃の手応えにより
位置を確認。
不意打ちや拠点への突破も防ぐ。
敵を倒したり攻撃により損傷を与えたら
死骸や本体から離れた体の一部もグラビティテンペストの
ための媒介として使用。威力を上げていく。
アポカリブスヘルにおいて食料とは得難きものである。
たった一つの保存食を巡って争いが起きるほどであるゆえに食料とは明日の生命を繋ぐ以上の価値を持っていた。
だからこそ、拠点の人々は大規模農場に明日の望みを賭けたのだ。
食料さえあれば、諍いも起こらない。食料さえ飢えに苦しんで死ぬ幼き子や老いた人間もいなくなる。
オブリビオン化したマシンビーストたちが大規模農場に侵攻してきた時、彼らが即座に逃げ出さなかったのは、そのような理由からだった。
戦うべきか。
否。それでは死にに行くようなものだった。マシンビーストはオブリビオンである。通常の人類たちが持つ装備で敵う相手ではない。
それでも、明日がほしいと願う。
命をつなぐための食料が欲しい。たったそれだけであるのに、オブリビオンは小さな希望ですら摘もうとするのだ。
だから、彼等は動けなかった。
「早く逃げろ!」
その言葉は、この拠点の人間の発した声ではなかった。フォルク・リア(黄泉への導・f05375)……目深にフードを被った一人の猟兵の発した声だった。
力強い響で持って、拠点の人々の耳を打つ。
「その食糧も生命を繋ぐためのもの。生命を落としてしまっては、本末転倒だろう。畑はなんとか守ってみせる」
避難を促す言葉。フォルクの言葉によって、ようやく人々は手に持った農作業具を放り出して拠点へと駆け出す。
それを見送ってから、フォルクは迫るマシンビーストの一団と対峙する。
圧倒的な数であった。フォルクが此処に立ち塞がらなければ、農場は荒らされ尽くし、修繕の余地もないほどにズタボロにされていたことだろう。
だが、今此処にフォルクがいる。
「押し潰せ、引き千切れ、黒砂の陣風を以て。其の凄絶なる狂嵐の前には何者も逃れる事能わず。ただ屍を晒すのみ。吹き荒れよ、滅びの衝撃」
それは力ある言葉だった。
ユーベルコード、グラビティテンペストが発動する。フォルクを中心に戦場全体に影響を及ぼす重力、斥力を操る微粒子が生まれる。
それらはマシンビーストたちの動きを目に見えて鈍重にし、徐々にその機体が重力に勝てずにひしゃげていく。
「住民たちは……大丈夫そうだな」
フォルクの瞳がフードの下から拠点へと駆け込んでいく人々の安否を確認する。どうやら、フォルクが受け持った場所にいた住民たちは無事に拠点へと逃げ込むことができたようだった。
黒き杖、デモニックロッドを構える。グラビティテンペストによって操る微粒子によってひしゃげるまでいかずとも、動きは鈍っている。
ならば、黒き杖より放つ闇の魔弾でも仕留めるには充分だろう。次々と群体である強みのレドーム上の頭部を撃ち穿ち、マシンビーストの数を減らすフォルク。
だが、マシンビーストとてされるがままではない。彼等のユーベルコードによって姿を消す個体も出てきていた。
不意打ちを予測していたフォルクにとって、それは想定の動きであった。
「不意打ちを狙おうという魂胆、見え透いているぞ……!」
彼の手が微粒子を操る。発生させた重力の力場が戦場をまんべんなく覆う。そうすることによって、その手に伝わる微妙な重力のゆらぎを感じ取るのだ。
そうすれば、姿が見えずとも、そこに何かが『在る』ということはわかる。
「約束は果たす。守ってみせると言ったのだから、それを為すのが俺の役目だ」
見えぬマシンビーストへと放たれた闇の魔弾が、その頭部を打ち貫き、光学迷彩の解除された首なしのマシンビーストの残骸が崩れ落ちる。
さらにグラビティテンペストの媒介として、残骸すらも利用し、フォルクは戦場を支配していく。
ほどなくして、フォルクの周りにはマシンビーストの残骸が山積する。
これで彼等の大切な農場を護ることはできた。
そう確信し、フォルクは遠くに土煙を上げて進行する暴走戦車の影を睨めつけるのだった―――。
成功
🔵🔵🔴
御園・桜花
「嘗ての貴方達は、人の命や財産を守る守護者であったのでしょう…捻れ捻れて今の身の上になるまでは」
他の仲間を巻き込まないよう離れUC「アルラウネの悲鳴」使用
敵の一群を殲滅する
「貴方達の攻撃がどんなに威力を増そうとも。私に攻撃を届かせるためには私の術範囲に入らなければなりません。結局貴方達の攻撃は届かないのです」
制圧射撃を効果的に使い敵を足止め
長く術範囲に留めたり息継ぎの時間を稼ぐのに使用
敵の攻撃は第六感や見切りで躱す
敵の群れを倒したらその間を歩き回り慰めの歌を唱う
「此の地を緑が覆い人が集うようになったら。人は貴方達を基に、また人の友を産み出すでしょう。それまでゆっくりお休みなさい…良い夢を」
マシンビーストの体は、かつて生物であった動物たちの遺骸と機械の残骸との融合した成れの果てである。
黒き竜巻、オブリビオン・ストームによって、オブリビオン化したそれらは、本来の役目、本来の機能とは一線を画する能力を身に着け、ただ人を殺すという目的のためだけに拠点を襲撃するのだ。
彼等には彼等の生命と使命があったことだろう。それはもはや想像するしかない。
「嘗ての貴方達は、人の命や財産を守る守護者であったのでしょう……捻れ捻れて今の身の上になるまでは」
静かな声がアポカリブスヘルの荒野に響き渡る。桜の精である御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)がゆっくりと荒野を征く。
彼女はたった一人で大規模農場を襲わんとするマシンビーストたちの群れと対峙していた。
彼女は意図的に他の猟兵や農場に残っているであろう住民たちが居ない場所を選んだ。それは防衛するにあたって層の薄い場所を選んだことも在るが、一番の理由は他の仲間を、住民たちを巻き込まぬためである。
マシンビーストたちのマシンアイが明滅する。
彼等は正しく己たちの敵である猟兵を認識している。頭部に牙を模した白熱刃が赤熱し、桜花へと襲いかかる。
その一撃は圧倒的なスピードであった。獣の俊敏さと機械の正確さを併せ持った一撃。その一撃を受ければ、たちまちに人間は絶命することは容易に想像できた。
猟兵であっても、その一撃を受ければ傷を灼かれ、苦痛を感じることだろう。
「貴方達の攻撃がどんなに威力を増そうとも。私に攻撃を届かせるためには、私の術範囲に入らなければなりません。結局、貴方達の攻撃は―――」
彼女のユーベルコード、アルラウネの悲鳴(アルラウネノヒメイ)が発動する。
それは絶叫だった。布を引き裂くような、ガラスをかきむしるような、生命であっても、なくても。その音を聞けば、その音が物理的な意味を越えて、あらゆる物を破壊せんとする音響攻撃となることが、否応なしに理解させられることだろう。
「―――届かないのです」
彼女に飛びかかろうとしていたマシンビーストたちがユーベルコードによる絶叫によって、絶命するようにぼたぼたと荒野に落ち、霧散していく。
凄まじき声量と物理的な破壊を齎す叫びを前に、如何に機械であろうともマシンビーストたちはたじろぐ。
間合いに入らなければ桜花を攻撃出来ず、間合いに入れば即座に桜花によって撃滅される。
どうあがいても、マシンビーストたちには滅びの道しかなかった。
逃げようとしても無駄であった。桜花の声は風より早く駆け抜けようとも追いすがり、滅びの声を聞かせるのだ。
桜花が荒野をゆっくりと歩き、声を発するたびにマシンビーストの群体は数を減らしていく。
この辺り一帯を襲撃したマシンビースト達の群体が全滅させられるのに、そう時間はかからなかったのである。
桜花はゆっくりとマシンビーストたちの残骸の間を歩く。
「此の地を緑が覆い、人が集うようになったら。人は貴方達を基に、また人の友を産み出すでしょう」
その声は滅びの声ではなく、慰めの歌。
生命無き無機物の塊であるマシンビーストたちであっても、桜花は鎮魂の歌を送る。付喪神へと昇華することのなかった意思無き暴力達。
せめて、その使命を慰めることができるのは、彼女だけだったから。
だからこそ、彼女は歌うのだ。
「それまでゆっくりお休みなさい……良い夢を」
手向けの歌が荒野に響く。
それは悲しくもあり、切なくもあり……そして、いつかまた訪れるであろう日々を思わせる鎮魂歌であった―――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
サツマイモか。修業時代にはよくお世話になったわ。
作物を育てるのは文明の基礎。それを脅かそうとするオブリビオンは放っておけないわね。
執金剛神降臨。
私は薙刀を振るって、マシンビーストの群と真っ向勝負を挑む。
側面の防御として、偶神兵装『鎧装豪腕』も展開して、四方隙無し。目には目を。力には力よ。目につく限り殲滅してあげる。
攻撃範囲内に入ってきたマシンビーストを執金剛神の広いリーチを活かして「なぎ払い」、時に「串刺し」に。
『鎧装豪腕』も攻撃を弾くだけでなく、マシンビーストの手足や頭を握りつぶしたりさせる。
他の猟兵と協力して防衛線を引き、それを越えようとする個体から優先して討滅。
農場に被害が出るのを防ぐ。
群体オブリビオンであるマシンビーストは、そのレドーム状の頭部によって逐一、同個体内での情報共有を行っている。
その情報共有能力をして、彼等は群体オブリビオン足らしめているのである。彼等の強みは数であり、連携であるのだ。
数十という個体が一斉に大規模農場へと駆け出している。
「野生化モード・オン」
それは獣と機械の融合したマシンビーストをさらなる獣へと押し上げるユーベルコードである。
その一群が一斉に理性を失うが、その代わりに超攻撃力と超耐久力を得る。その俊敏なる機動性とパワーは数を強みにするだけではない彼等の強力さを物語っていた。
しかし、そんな野生化したマシンビーストを前にしても一歩も引かないのが猟兵という存在である。
彼等は戦う為に、このアポカリブスヘルへとやってきたのだ。ある者は護るために。ある者は歪んでしまった創造物への鎮魂のために。
いつだってそうだ。
彼等は誰かのために戦う。
「サツマイモか。修行時代にはよくお世話になったわ」
対峙するのは村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)である。
作物を育てるのは文明の基礎である。それをよくわかっているゆかりは、大規模農場を脅かすオブリビオンは放ってはおけないと駆けつけたのだ。
「オン ウーン ソワカ。四方の諸仏に請い願い奉る。其の御慈悲大慈悲を以ちて、此の時此の場に御身の救いの御手を遣わしめ給え!」
彼女のユーベルコード、執金剛神降臨(シュウコンゴウシンコウリン)によって、自身の身の丈を超える甲冑と金剛杵で武装した執金剛神が召喚される。
さらにゆかりの脇を固めるべく浮遊する一対の篭手型式神である偶神兵装『鎧装豪腕』が側面の防御を担う。
「さあ、どこからでもいらっしゃい。四方隙無し。目には目を。力には力よ」
ゆかりの構えた薙刀と連動するように執金剛神もまた構える。
マシンビーストたちの頭部に生えた牙をもした白熱刃が閃き、ゆかりに迫る。だが、彼女は慌てることはない。その手にした薙刀はリーチを補う武器である。振るわれた刃はマシンビーストの体を両断し、次々と襲いかかるマシンビーストの群れを執金剛神が打ち払う。
「―――目につく限り殲滅してあげる」
彼女の戦いぶりは勇猛果敢なるものであった。
振るわれた巨大なる腕は、マシンビーストの脚を掴み払い、振るった薙刀は過たず首と胴を泣き別れにする。
「此処から先へは一歩も通さないから、それでも薙刀の露と消えたい物だけが来なさい」
野生化モードへと入ったマシンビーストたちは理性を喪っている。
もしも、彼等の電脳が理性的に動いたのであれば、ゆかりに対して点で集中するように攻撃をくわえることはなかっただろう。
あくまで己たちの持つアドバンテージである数を頼みに面で侵攻すればよかったのだ。
だが、彼等はゆかりに釘付けにされていた。
それは彼女のユーベルコードと武装による幅広い防衛線のせいだった。彼女が大規模農場への被害を食い止めるように、マシンビーストたちを一匹たりとて、防衛線を越えさせなかった。
だからこそ、理性無きマシンビーストたちは彼女の思惑通り引きつけられ、その一群を一匹残らず殲滅されたのだった―――!
「ざっとこんなものでしょう。理性無き獣に負ける道理なんてないんだから」
成功
🔵🔵🔴
セレシェイラ・フロレセール
今日を明日を懸命に生きる人々が暴力で蹂躙される
こんな非道を許す道理は無い
希望を持ちながら未来を紡ぐ人はとても強い
わたしはそんな人々が好きだよ
彼等を『守る』為の物語をわたしが綴ろう
だから、あなた方は安全な場所へ避難を
この世界の大切な生命を守ってみせるよ
己の本体である桜の硝子ペンで桜の結界を綴ろう
ペンを一度くるりと回して深呼吸
わたしの『慰め』の桜、優しく花開け
荒ぶる力を静め、災厄を飲み込め
広範囲に『慰め』の桜の結界を張り、一気に殲滅してみせよう
攻撃する対象は荒ぶる力を保持するオブリビオンだけ
わたしの桜、どうか優しい未来を導け
そして彼の者の魂にも安らぎがあらんことを
黒き竜巻、オブリビオン・ストームによって文明が荒廃した世界。それがアポカリブスヘルである。
人々は身を寄せ合い、それでも明日を望む。失望も絶望もなく、明日という希望に向かって歩く。
その姿は猟兵たちの瞳にどの様に映ったことだろうか。
桜色の瞳のセレシェイラ・フロレセール(桜綴・f25838)は、儚くも美しい桜色の髪を荒野の風になびかせながら一歩を踏み出す。
「今日を明日を懸命に生きる人々が防料で蹂躙される。こんな非道を許す道理は無い」
彼女の言葉は決意に満ちていた。
その桜色の瞳は生存すら厳しい世界を優しく映す。そこに住まう人々の生きるたくましさ、漲るような生命力に心を動かされたからこそ、彼女は此処にいる。
「希望を持ちながら未来を紡ぐ人はとても強い。わたしはそんな人々が好きだよ」
対峙するのは機械と獣が融合したオブリビオン・ストームの犠牲者―――マシンビーストの群れ。
セレシェイラを見据えるレドーム上の頭には牙を模した刃が搭載され、威嚇するように白熱する。熱によって大気が歪み、その威力を物語るようだった。
だが、彼女はそれに怯むことはない。
「彼等を『守る』為の物語を私が綴ろう」
そう言葉を紡ぐセレシェイラの背後には、彼女が守ると決めた大規模農場で働く人々の姿が在る。彼等は己の生命と、これから紡がれていくであろう生命を天秤に賭けられずに立ちすくんでいたのだ。
「だから、あなた方は安全な場所へ避難を。この世界の大切な生命を守ってみせるよ」
安心させるような優しい声色。オブリビオン化したマシンビーストと住民たちの間に立って、振り返らずにセレシェイラは告げる。
何も心配しなくていいと。その言葉を受けて住民たちは促されるように拠点へと走っていく。
何度かあの小さな少女を振り返る者たちばかりだった。彼女の雰囲気は凄腕の奪還者のようであったことは肌でわかる。
けれど、彼女の見目を見れば、本当にそうなのかと。自分たちのために犠牲になってくれたのではないかと。
だが、それは杞憂である。
彼女とて猟兵である。世界に選ばれた戦士である。ヤドリガミであるセレシェイラの本体である桜の硝子ペンを手にし、彼女のユーベルコード、桜識(テンプルム)が発動する。
「桜の魔法を識す」
ペンを一度くるりと指の上で回す。その間に一呼吸。深く息を吸い込む。肺に酸素が取り込まれて、血脈に運ばれていく。
それはルーティンだったのかもしれない。彼女が彼女の力を行使するための集中。
「わたしの『慰め』の桜、優しく花開け」
その言葉は桜の硝子ペンと共に桜の結界を広範囲に展開する。それは己と農場を守るためではなく、マシンビーストたちの群れを一気に包み込む。
桜の結界は慰めである。荒ぶる力を保持するオブリビオン、マシンビーストたちを慰撫する。
黒き竜巻、オブリビオン・ストームによって歪められた魂を浄化し、その獣の遺骸と機械が融合した体から力を奪っていく。
「わたしの桜、どうか優しい未来を導け」
その言葉は、この荒廃した世界に生きる人々の向けたものであった。
「そして彼の者の魂にも安らぎがあらんことを」
その言葉は、オブリビオン・ストームによって歪められた命なき者たちへと贈られる。
桜の結界が効果を失い消える頃、荒野に残ったのは、桜の少女とマシンビーストであった残骸ばかりであった―――。
大成功
🔵🔵🔵
乱獅子・梓
【綾(f02235)と】アドリブ◎
ただ絶望に打ちひしがれるだけじゃなく
そこから這い上がろうとするガッツは見上げたものだ
それに手を貸してやりたくなるのが人ってもの
なあに、礼はサツマイモ1本で良いぞ
綾と手分けして1匹でも多く倒していく
UC発動し、水と雷の属性のドラゴンを最大数召喚
まずは水のドラゴンのブレスで
敵の群れを一気に押し流す(属性攻撃・範囲攻撃
更に畳み掛けるように
雷のドラゴンのブレスを浴びせ
ダメージを与えると同時に動きも封じる(マヒ攻撃
濡れた身体に電気はよく効くだろう
機械の身体とくれば尚更だ
俺は成竜の焔に乗って上空から観察・指示
綾にも声をかけて敵の取りこぼしが無いようにしていく
灰神楽・綾
【梓(f25851)と】アドリブ◎
この世界の過酷な状況、そして
そこに住んでいる人達の頑張りを見ていると
自分の故郷を思い出すんだよね
そうだね、ここの人達の希望がこもったサツマイモ、
俺も食べてみたいかも
透明になっても、姿が見えなくなるだけで
そこに居ることには変わりないんだよね
UC発動し、紅い蝶を放つ
透明化した敵を蝶に追跡させて位置を特定し
Duoの二刀流による範囲攻撃で
周りの敵ごと一気に薙ぎ払う
人々や農場とは反対方向に吹き飛ばすのを意識
頭部の装置を狙えば早く倒せるかな(部位破壊
機械で出来ているから斬り刻んでも血も出ない
殺し合いというよりただ単に物を壊しているだけみたい
ちょっと物足りないね
世界は一つではない。それは猟兵であれば誰しもが知っている事実である。
そして、己の出身世界と他の世界を見比べることができるのも猟兵だけであろう。
アポカリブスヘルは文明の荒廃した世界である。オブリビオン・ストームによって文明という文明は破壊され、後に残ったのは荒野と廃墟だけである。
だが、それでも人類の火は潰えない。
人々が明日を望み、生きる限り、彼等という火は風前の灯火であったとしても絶えることはないのだ。
それ故に荒野に開拓された大規模農場は明日という希望を連綿と続くための礎であろう。ここまで来るのに人々がどれだけの苦労を積み重ねてきたことだろう。
それを思えば、乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)は頷きとともに言うのだ。
「ただ絶望に打ちひしがれるだけじゃなく、そこから這い上がろうとするガッツは見上げたものだ」
傍らに赤き仔竜が羽根を羽撃かせながら、彼に寄り添う。そのサングラスに隠れた瞳が見据えるのは大規模農場である。
「此の世界の過酷な状況、そしてそこに住んでいる人達の頑張りを見ていると自分の故郷を思い出すんだよね」
そう言って灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)は己の生まれ故郷であるダークセイヴァーを思う。
あの世界もオブリビオン支配の盤石たる世界である。人々は領主であるヴァンパイアでありオブリビオンに虐げられている。
この文明の荒廃した世界であっても感ずるところは同じであったのだろう。
「それに手を貸してやりたくなるのが人ってものだ。なあに、礼はサツマイモ一本でいいぞ」
梓が快活に笑う。なにもない荒れ果てた大地から、あれだけの大規模農場を作りあげたのは賞賛に値する。確かにオブリビオン・ストームが発生してしまえば、吹き飛んでしまうだろう。
だが、それでも。それでもと梓は思うのだ。
「そうだね、ここの人達の希望が籠もったサツマイモ、俺も食べてみたいかも」
それは綾も同じ気持ちであったのだろう。二人は大規模農場に迫る群体オブリビオンであるマシンビーストの一群を待ち構える。
そのレドーム状の頭部に牙を模した白熱刃が熱を帯びて、大気を歪ませる。マシンビーストたちは、獣と同じ様に荒廃した大地を駆け抜け、大規模農場の人々を虐殺せんと迫る。
一群……彼等の群れは数十のマシンビーストで構成されていた。思っていた思っていた以上に数が多い。
だが、梓は何も恐れない。尊大なる佇まいで、彼のユーベルコード、竜飛鳳舞(レイジングドラゴニアン)が発動し水と雷属性のドラゴンが多数召喚される。
「集え、そして思うが侭に舞え!」
それは号令であった。水のドラゴンたちが一斉にブレスで群れの動きを止めるように押し流す。
さらに畳み掛けるように雷のドラゴンのブレスが浴びせかけられ、電流がマシンビーストたちの回路を焼き付ける。
「濡れた機体に電気は良く効くだろう。機械の体とくれば尚更だ」
梓の召喚したドラゴンたちは次々とマシンビーストたちの一群を打倒していく。さらに彼は傍らにあった仔竜が姿を成竜へと変じた焔に騎乗し、上空から指示を出していく。
「透明になっても、姿が見えなくなるだけで……そこに居ることには変わりないんだよね。いってらっしゃい」
綾のユーベルコード、サイレント・スカーレットによって召喚された紅い蝶たちが、光学迷彩を使い姿を隠したマシンビーストたちを追跡し、位置を特定する。
確かに光学迷彩によって姿を眩ませたマシンビーストたちは脅威である。だが、姿を消すだけだ。
彼のユーベルコードの前に、マシンビーストたちの光学迷彩はすでに破られていたようなものだった。
紅い蝶たちは彼等が姿を消す前から追跡しており、綾の意識にはどこにどの個体が存在するのかをしっかりと記憶されていたのだ。
彼の持つ赤と黒の大鎌が冴え渡る二刀流の業となって、荒廃した大地に煌めく。
それは広範囲に展開した透明化したマシンビーストたちを一気に薙ぎ払う。横薙ぎに振るわれた一撃はマシンビーストたちの体を引き裂き、光学迷彩の解けた残骸が宙に舞う。
「機械で出来ているから斬り刻んでも血も出ない……殺し合いと言うより、ただ単に物を壊しているみたい。ちょっと物足りないね」
一方的な虐殺ではなく、殺し合いという対等なる戦いを求めている戦闘狂の一面を持つ彼にとって、マシンビーストとの戦いは味気ないものであったのだろう。
しかし、それでも彼等は戦う。
互いに互いのできることを行いながら、梓は空より戦場を見通す。綾は己のユーベルコードによって生み出した蝶により、正確な索敵を行う。
二人の連携の前には、どれだけ連携と数を強みに持つマシンビースト達であっても、残骸へと変えられ、骸の海へと還る他なかったのだ―――!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
黒木・摩那
せっかく育ちつつある作物と人の営みを蹂躙させるわけにはいきません。
ここで食い止めます。
ヨーヨー『エクリプス』で戦います。
ヨーヨーの外周の刃を出し入れしながら【なぎ払い】したり、絡ませたヨーヨーを引っ張ったり、こちらから飛び込んだりして【敵を盾にする】します。
敵がこちらの周囲に集まってきたところでUC【風舞雷花】で一網打尽にします。
相手は透明化するようですが、熱源があればスマートグラス『ガリレオ』のセンサーで検知可能です。
丸見えです。
アポカリプスヘルの荒廃した大地を耕すという行為はどれだけの労力が必要であるのか。それは途方も無い苦難の道であったことだろう。
己たちの力で食糧を作り出す。
それは高度に発達した文明が滅んだ時、残された人々の手には残されていない技術であったのかもしれない。
誰も彼もが全てを知ることはできない。だが、それでも人類は明日を望んだ。どれだけ苦難の道であったとしても、明日を渇望するのであれば、険しく厳しい道がいつだって正解なのである。
だからこそ、今、アポカリプスヘルおいて第一歩を踏み出した大規模農場は彼等の明日を守るためにも、オブリビオンから護らなければならないのである。
「せっかく育ちつつある作物と人の営みを蹂躙させるわけにはいきません」
黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)は、その紅いフレームのメガネをきらめかせ、つぶやく。
この大地には野鳥の姿が少ない。もしも、大規模農場がうまく機能し、作物が実るようになれば人々だけではなく自然動物だって返ってくることだろう。
「ここで食い止めます」
それを思えば、摩耶の心は奮えるのだ。手にした超可変ヨーヨー『エクリプス』を構える。謎の金属で構成されたそれは、摩耶の意思によって質量すら可変させる。
対峙する群体オブリビオンであるマシンビーストたちの一群が大規模農場に働く人々を鏖殺せんと迫る。
その間に立ちはだかる摩耶の手にするヨーヨー『エクリプス』の外周に刃が飛び出す。
「これより先は通行止めです」
放たれたヨーヨーが彼女に襲いかからんと飛びかかるマシンビーストを刃で薙ぎ払う。続けて別の個体へとヨーヨーが絡まり、大地に引きずり倒し、次なる攻撃から身を守る盾として活用したりと、彼女の戦いぶりは目をみはるものがあった。
その戦いは彼女が猟兵であるが故と対峙するマシンビーストたちも警戒を強める。
ジリジリと彼女を追い詰めようと包囲するように集まってきたのだ。一見すれば、それは絶体絶命であった。
だが、彼女にとって。いや、猟兵にとって、此の程度はピンチとは言わない。逆にチャンスであるのだ。
「励起。昇圧、帯電を確認。敵味方識別良し……散開!」
彼女のヨーヨーが無数の高電圧を帯びた七色の花びらへと変ずる。それは花吹雪のように彼女の周囲へと結集していたマシンビースト達を一気に殲滅するユーベルコード。
その名を風舞雷花(フルール・デ・フルール)。名の通り、高電圧を帯びた花吹雪は機械の体であるマシンビーストたちの電装を狂わせ、次々とショートさせていくのだ。
そして、光学迷彩によって姿を消していたマシンビーストたちもまた、次々と高電圧を受けて迷彩を解除させられ、大地に伏していくしかない。
「透明化するようですが、機械の体である以上、熱源を隠すことまではできませんよね?」
紅いフレームの眼鏡のレンズが輝く。
それは彼女の持つスマートグラス『ガリレオ』である。熱源や測距など各種センサ内蔵した端末なのだ。
その瞳の前に如何に光学迷彩によって姿をくらまそうと、逃げられるものではない。
「戦うのは猟兵の仕事。生きるのはこの世界に住まう人々の仕事……それに累を及ぼすのは許しません」
こうして摩耶はマシンビーストの一群を圧倒し、大規模農場への被害を及ばすことなく防衛に成功したのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
黒髪・名捨
さつまいも…
つもりこの世界にも昔は薩摩があったのか。
サツマイモはどこの世界でも困窮世代の救済作物なのか…。
●戦闘
機械と生物か…
アポカリプスヘルは面倒なのが要るのが特徴だな。
『オーラ防御』と『気合い』と『覇気』をこめた覇気で『武器受け』の二重防御で攻撃を受け止めつつ、一体ずつ反撃だな。
『頭突き』で『吹き飛ばし』一か所に纏めて…
『ジャンプ』から『踏みつける』フライングキック
怯んだチャンスに神無をぶちかましてまとめてブッ飛ばしてやるよ…。
あーひょっとして畑の一部も一緒に吹っ飛んだな…アレだ。耕す手間が省けたと思えばいいって…(目を逸らしつつ)すいませんでしたッ
「さつまいも……つまりこの世界にも昔は薩摩があったのか」
その言葉に響きになにか懐かしい物を感じたのかも知れない黒髪・名捨(記憶を探して三千大千世界・f27254)は、どこか感慨深げにつぶやく。
それは失った記憶の残滓か。はたまた、記憶を失ってから得た知識であるのか。どちらにせよ、彼の意識はアポカリプスヘルの荒廃した大地に向けられていた。
荒れ果てた大地。
どんなに上方修正して見たとしても、豊かな土壌であるとはいえない。発達した文明が崩壊した後というのは、常にこんな風に大地の力が喪われた状態であるのかも知れない。
だが、それでも作物は育つ。それでも人々は生きることを諦めない。
目の前に広がるのは大規模農場だ。名捨が駆けつけた大規模農場の一角は、すでに住民たちの避難は終わっているようだった。他の猟兵たちの戦いぶりや、人々に避難を促したのが利いているのだろう。
「サツマイモはどこの世界でも困窮世代の救済作物なのか……」
連作が可能であり、土質を選ばず、栽培が容易である。しかも、雨の多い時期であっても、病気になることも少ない。
名捨の言う通り、今まさに安定した食糧供給が必要なアポカリプスヘルの人々に必要な作物であると言えるだろう。
そして、その生きる糧を紡ぐ大規模農場を破壊せんと迫るのがオブリビオンである。迫る一群―――マシンビーストの群体を名捨の赤い瞳が捉える。
「機械と生物か……アポカリプスヘルは面倒なのがいるのが特徴だな……」
生物の遺骸と機械がオブリビオン・ストームによってオブリビオン化したのがマシンビーストである。
彼等の強みは群体であるということだ。数で猟兵を圧倒しようとするのは、至極当然の戦法であった。
対するこちらは名捨一人である。野生化モードへと変じたマシンビーストたちは一斉に名捨へと飛びかかる。
「面倒だからと言って避けるわけにもいかないしな……」
体に張り巡らされたオーラと気合……そして、覇気を籠めた体はすでに鋼鉄の刃すらも通さぬ鉄壁である。
マシンビーストたちの牙や爪など恐れるものではない。飛びかかるマシンビーストへと頭突きをぶちかまし、吹き飛ばす。
その一撃で破壊できるわけではないが、名捨は一撃必殺を狙っているわけではない。
次々と襲いかかるマシンビーストを相手取って、飛び蹴りな投げでマシンビーストたちを一箇所に吹き飛ばし続ける。
それは奇妙な光景だった。
マシンビーストたちが飛びかかる度に彼等の体は吹き飛ばされ、まるで団子のように一箇所に集められる。
それをマシンビーストたちは止められないのだ。一箇所に固まるように集められたマシンビーストの一群。
そこで気がつく。それは名捨の組み上げられた戦法。
「必殺を超えた必殺の一撃。これがオレの奥の手だーッ」
そう、一撃必殺を狙ってはいない。狙うのは一撃多殺。
彼のユーベルコード、神無(カンナ)が発動する。それは単純であるが重い一撃。ひとまとめにされたマシンビーストたちに放たれる一撃は、周囲の地形を破壊するほどの威力で持って、彼等を消滅させるほどの威力を持つ。
大地がひび割れ、マシンビーストたちの体がひしゃげて霧散していく。
あとに残ったのはひび割れた大地、えぐられ吹き飛んだ農地の一部……。加減が効かないのが、このユーベルコードの弱点であったのかも知れない。
「……アレだ。耕す手間が省けたと思えばいいって……」
その惨状から目をそらす名捨。
確かに生命より高い買い物はない。住民たちも不可抗力であることはわかってくれるだろう。しかし、それでも名捨は心から―――。
「すいませんでしたッ」
そう、避難した住民たちに詫びるのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
セフィリカ・ランブレイ
ごはんを食べなきゃ死ぬのは当然だけど、ごはんがあるのは当然じゃないんだよね
生きるって気持ちには、味方したい!
『セリカ、この機会に普段の不摂生、改める気になった?』
相棒の魔剣、シェル姉からのお小言……考慮はしておく!
閃きが整った時の絶食や徹夜位許してほしい
マシンビーストは鋼の身体に魔法の心臓のゴーレムを作る身としては興味深いね
ま、行動指針がアレじゃ絶対に相容れない訳で
同型機と連携してしての攻めを崩すためにここは空から攻めるとしようか!
魔剣を振るい、次元格納庫より【黄槍の飛竜】を呼び出す
高速飛行するゴーレムによって、相手の間合い外の高空より急接近して一撃離脱を繰り返して、着実に数を減らしていこう!
生命の維持には食糧が必要である。
それは他の生命を消費しなければならない行為であり、それ故に人々は食事をする前に感謝するのだ。
己の信じる神に、滞りなく育ってくれた作物に、口に運ぶことを許してくれた生命に。
だが、黒き竜巻、オブリビオン・ストームによって文明の荒廃した世界アポカリプスヘルにおいて、それは不変のものではない。
アポカリプスヘルに住まう人々にとって食糧とは育むものではなかった。奪還者たちが文明の廃墟より持ち帰り、齎すものである。
だからこそ、セフィリカ・ランブレイ(蒼剣姫・f00633)の瞳に映る大規模農場は、アポカリプスヘルに住まう人々の大事な一歩なのだ。
「ごはんを食べなきゃ死ぬのは当然だけど、ごはんがあるのは当然じゃないんだよね」
そのとおりである。それを忘れてしまいがちになってしまうけれど。それでもセフィリカは思うのだ。
荒廃した世界で身を寄せ合って生きている人々。そんな彼等が生きること、明日を望む希望を紡ごうとしていることに対して。
「生きるって気持ちには、味方したい!」
彼女の言葉は力強かった。その言葉を聞いて、彼女が携える魔剣のインテリジェンスたるシェルファの言葉が響く。
『セリカ、この機会に普段の不摂生、改める気になった?』
彼女の普段の生活が如何なるものかは、言及しないでおくのが華であろう。魔剣シェルファの言葉は、忠言であり諫言であった。
「お小言……考慮はしておく!」
それだけ言ってセフィリカはユーベルコード、黄槍の飛竜(フェインナルド)によって、次元格納庫より呼び出した二槍を携えた飛行型ゴーレムへと騎乗する。
これだって閃きが整った時の絶食や徹夜があったからこそだ。これくらいは許して欲しい、とセフィリカは思いながら、空へと舞い上がる。
「マシンビーストは鋼の体に魔法の心臓のゴーレムを作る身としては興味深いね」
大地を疾走するマシンビーストたち。彼等の挙動は獣そのものである。
滑らかに駆け抜ける姿は、セフィリカの興味をそそったが、その行動原理である人を殺すために襲うということだけは許容できるものではなかった。
決して相容れぬものであると断じて、彼女は騎乗した飛行型ゴーレムと共に空から、猛禽の如き動きで農場へと迫るマシンビーストたちへと襲いかかる。
マシンビーストたちは空より襲来せし、セフィリカたちの攻撃に為すすべがない。彼等の行動原理『人を殺すために襲う』は、人が大地に住まう生命であるからこそ、それに特化したものになっている。
空を舞う者に対抗するすべは殆どなかった。どれだけレドーム上の頭部の共有した情報伝達で高度に連携を可能にしていたとしても、空より来襲する者へは抵抗すらできない。
「同型機と連携して攻めるっていうのは、強みだけどね―――!」
対空の術を講じていないというのは致命的である。
標的を人に絞ったがゆえの弊害であろう。だが、それを惜しいと思う気持ちはない。彼女にとってゴーレムとは人の生活を助けるためのものだ。人を傷つけるためのものではない。
いつだって彼女の心の芯は誰かのために何かを為すということだからだ。
「人を傷つける機械っていうなら、確実に此処で!」
マシンビーストたちを翻弄する空舞う猛禽の如き黄槍の飛竜の槍が次々とマシンビーストたちを打倒していく。
その姿は雄々しく、それを駆るセフィリカの姿は、かつて在りし戦乙女のようであったことだろう。
それを見た拠点の人々は、誰かのために戦うものにこそ、本当の強さが宿るのだと、その胸に刻むことであったろう―――。
大成功
🔵🔵🔵
愛久山・清綱
荒れ果てた世界に差し込んだ、かすかな光。
その光を遮らんとする雲を祓うのが、我々の使命……
拙者、愛久山清綱。此の地の明日、護ってみせる!
■闘
敵は野生化モードで理性を喪っているようだな……なれば、
【野生の勘】を常に巡らせれば、動きを読める筈。
此方に向かってきたら勘を頼りにその動きを【見切り】、
【カウンター】の一太刀で追い払う。
伊達に獣の因子を持っているわけではござらぬ……
敵が密集している場所を発見したら、絶好の好機。
居合の構えを取り、【早業】の抜刀から【空薙】を放ち
【範囲攻撃】で一斉撃破を狙う。
攻撃の際は【鎧無視攻撃】になるよう、コアと思わしき
頭部目がけて放ち、確実に仕留める。
※アドリブ・連携歓迎
アポカリプスヘルの空は暗澹たる雲が立ち込めるような雰囲気があった。
荒廃した文明の痕は深く、黒き竜巻であるオブリビオン・ストームは、全ての物を薙ぎ払い、オブリビオン化し、さらなる被害をもたらしていく。
それに対抗する術はなく、人々は困窮していった。人心が乱れ、己の生存ですら手一杯の状況の中で、ある拠点の人々は次なる生命を紡ぐための戦いに身を投じていた。
武器を手にしたわけではない。
手にしたのは、大地を耕し切り開くための農具。彼等の戦いとは、それすなわち生命を次代に繋ぐための戦いである。
大規模農場は、このようにして生まれ、育まれようとしていた。
「荒れ果てた世界に差し込んだ、かすかな光。その光を遮らんとする雲を払うのが、我々の使命……」
猛禽の翼を広げた一人の猟兵からこぼれた言葉こそが、猟兵の本質であろう。世界に選ばれた戦士たる彼等にとって、今まさにオブリビオンであるマシンビーストたちに襲撃されんとする人々こそ護らねばならないものである。
そして、彼等が次代に紡ごうとしたものも護らなければならない。
「拙者、愛久山清綱。此の地の明日、護ってみせる!」
愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)は、心切と銘打たれた刀の鯉口を切る。彼の瞳に見据えられるのは、野生化モードへと至ったマシンビーストの群体。
そのどれもがすでに理性的な行動原理を失い、目の前に立ちふさがる清綱を撃滅戦と大地を疾駆するのだ。
「理性を喪っているようだな……なれば」
それは彼の持つ野生の勘であった。全神経が体の外へと伸びていく感覚。張り巡らされた感覚の網目にマシンビーストたちの大地を踏みしめる感覚が響き渡る。
瞳を見開いた時、そこに迫るのはマシンビーストの牙。一瞬の見切り。交錯する清綱とマシンビーストの体。
一拍の後、清綱の背後でマシンビーストの体が両断され、大地に落ちる。
「伊達に獣の因子を持っているわけではござらぬ……これより先には、一歩たりとて入らせぬ。俺の背後には明日を希望する人々の礎。これを荒らす者が寄らば、斬る」
その言葉は理性を喪ったマシンビーストたちをして、裂帛の気合の如き重圧で脚を止めさせるには充分であった。
「空薙……」
構えるは居合の初動。足を止めたのは愚策であったとマシンビーストたち思い知るだろう。
清綱の放つ重圧は、機械の体であってもすくみ上がるものであったことだろう。そして、何より、清綱の発動したユーベルコード、空薙(ソラナギ)。それは絶技である。
膝が沈む。その刹那の瞬間に放たれたる斬撃は、空間を断ち切る一太刀。
清綱が認識したマシンビースト全てのコアである頭部目掛けて放たれたる無限の一太刀は、過たず全てのマシンビーストの頭部を断ち切る。
一瞬の攻防。
鈍い音を立てて次々とマシンビーストの頭部が荒野の大地に落ち、一群全てが霧散していく。
抜刀と納刀の瞬間すらも目に止められぬ居合の一撃は、暴虐の限りを吐くさんとしたオブリビオンの群れを撃滅し、その役目を見事果たしたのだった―――!
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
外敵から人々を護るは古来より騎士の役割
そしてそれに倣うは私にとって当然の事
この地に芽生える希望を摘み取らせはしません
あの敵とは交戦経験があります
ベルセルクトリガーと類似した機能の弱点を利用すれば…
機械馬に●騎乗し高速で敵群の鼻先を横切り移動
理性失い目先の敵に反応する欠点を利用し農場から引き剥がし
UCを充填しながら騎馬で移動
センサーでの●情報収集で後ろから飛び掛かる敵の攻撃を●見切り、振り返ること無く●怪力●シールドバッシュ●盾受けで迎撃
十分に充填が済めば馬から飛び降り迎撃態勢
獣から戻れぬ機械など欠陥品も同然
せめて一撃で終わらせましょう
(大のベルトリ嫌いな機械騎士)
巨大光剣を●なぎ払い群れ一掃
生まれたものには役目が在る。それは定められたものではないけれど、生命在るものが己の意思で掴み取ったものである。
それは誰かを助けるための力であったり、誰かを思うためのものであったりしたのかもしれない。誰もが心の中に持っているものであるが、それが確かなものであると断じる事ができる者がどれだけいようか。
荒廃した世界であるアポカリプスヘルにおいて、大規模農場を作り出そうとした人々が居た。
人はたった一人では生きていけない。生命を維持することもままならない。だからこそ、身を寄せ合い生きていく。
そして、彼等は掴み取ったのだ。己の役目を。己たちは鎹であると。次代の生命を繋ぐための鎹。
一度は荒廃した世界とこれから復興していく世界を繋ぐ者になるのだと。
「外敵から人々を護るは古来より騎士の役割。そしてそれに倣うは私にとって当然のこと」
トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)の記憶回路に残る騎士道物語が、彼の巨躯を突き動かす。
それは借り物であったかも知れない。ただのデータであるといえたかも知れない。けれど、それは彼にとって代えがたいものである。
それを偽物だと誰が言えようか。
「この地に芽生える希望を摘み取らせはしません」
トリテレイアのカメラアイが輝く。それは己の意思で決めた騎士の役割。それを全うしようと荒野を駆け抜けるのだ。
対峙するはマシンビースト。機械と動物の遺骸が融合したオブリビオンである。
そして、トリテレイアのデータの中には、かの敵との交戦履歴がしっかりと残っている。ベルセルクトリガーと類似した機能。
野生化モードによって強化された戦闘力ではあるが、マシンビーストは素早く動くものを追うことしかできなくなる。
「ならば―――!」
トリテレイアは機械馬であるロシナンテⅡに騎乗し、マシンビーストの一群の鼻先を横切る。かの機械白馬たるロシナンテⅡの移動速度を、そのマシンアイに捉えれば、自ずとトリテレイアたちを追いかけるのは道理である。
「如何に機械といえど、合理的判断を喪った群れなど恐れるに足りません」
そのまま戦場を農場から引き離すべく大地を疾駆する。それはできるだけ農場の付近での戦闘を控えようとするトリテレイアの考えだった。
手にした剣の柄にトリテレイアの機体の胴から伸びたケーブルが接続される。それは白い粒子を漏らしながら、過剰に供給されるエネルギー。
マシンビーストたちが、ロシナンテⅡに追いすがりトリテレイアを馬上から引きずり降ろさんと飛びかかる。
だが、トリテレイアの大盾がそれをゆるうわけもない。見切った敵の動きに合わせ、怪力に物を言わせた大盾の大質量によってマシンビーストを叩き落とす。
「……充填中断」
ケーブルの接続が切断される。同時にトリテレイアの巨躯が馬上より飛び降り、大地に地響きを響かせる。
「獣から戻れぬ機械など欠陥品も同然。せめて一撃で終わらせましょう―――刀身解放!」
それはユーベルコード、コアユニット直結式極大出力擬似フォースセイバー(ダイレクトコネクトセイバー・イミテイト)の輝き。
充填されたエネルギーを開放することによって生み出される巨大光剣。その輝きは拠点に非難した人々の瞳に映ったことだろう。
神々しくも荒々しい破壊の光。だが、それは彼等を救う光でもあった。
「人々が明日を望めるためには―――!」
踏みしめた大地がひび割れる。踏み込む。それは最初の一歩を踏み出すため。振るうは巨大光剣。迫るマシンビーストたちの群れは、その光に恐れを抱かない。無くしてしまった理性は、彼の言う通り欠陥そのものであろう。
横薙ぎに振るわれる光剣の一撃は、マシンビースト最後の群れを一薙ぎで消滅させた。
蒸発し、形も残らぬマシンビースト達。
トリテレイアの鋼鉄の巨躯からは過剰供給したエネルギーの反動で、排熱され、白い蒸気が機体より漏れ出ていた。
「―――私は騎士の役割を全うしましょう」
それは騎士の誉であった―――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『暴走戦車』
|
POW : オーバーキャノン
自身の【戦車砲のうち1本】を代償に、【ビルを消し飛ばす程の爆発力】を籠めた一撃を放つ。自分にとって戦車砲のうち1本を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD : 全門発射
【何本もの戦車砲から砲弾の連射】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : セメント弾
【主砲】から【速乾性セメントを詰めた特殊砲弾】を放ち、【空中で炸裂した砲弾から降り注ぐセメント】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:8mix
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
マシンビーストの群れが一層され、大規模農場は難を逃れたかのように思えた。
だが、猟兵たちは知っている。
これは前哨戦に過ぎないのだと。迫るはマシンビーストの群れを率いていたオブリビオン。彼等と同じく黒き竜巻、オブリビオン・ストームに飲み込まれオブリビオン化した戦車である。
「鏖殺セヨ。人類ヲ滅殺セヨ。大地ニ蔓延ル全テノ生命ヲ殲滅セヨ―――」
本来ないはずの知性。
しかし、オブリビオン・ストームによって与えられた知性は、歪んだものだった。
人類の生存を許さぬオブリビオン、暴走戦車が大規模農場へと進撃する。キャタビラの無限軌道は土煙を上げ、その巨大な砲塔は、徐々に大規模農場を射程に収めようとしていた。
あの砲弾が大規模農場に届いてしまえば、人類が紡ごうとした次代への礎を破壊してしまうことは想像に難くない。
暴走戦車を止め、人類の希望である大規模農場を護れ、猟兵―――!
村崎・ゆかり
昔の人は言ったわ。「戦車を相手にする時は、縦だ」と。
その言葉に倣わせてもらいましょう。
戦車の天敵は対戦車ヘリコプター。その戦術が丸々使えるとは思わないけど、使える部分は応用しましょ。
飛鉢法で空に舞い上がり、素早い動きで敵砲門の死角へ移動し続ける。その間に不動明王火界咒を込めた呪符をばらまいて、「地形の利用」をしながら地面に撒き散らす。
暴走戦車の無限軌道が呪符を踏んだら、起動!
呪術的な地雷の味はどうかしら?
暴走戦車がそれで足を止めたら、戦車本体に直接「高速詠唱」「全力魔法」炎の「属性攻撃」の火界咒の符を投げる。
これで燃料を積んでたら、引火するはず。盛大に爆発しなさい!
うん、こんなところかしら。
人の祈りは希望であった。
それは明日を望む者たち全ての宿願と言っても良い。飢えを気にしなくていい。たったそれだけで人間らしさという尊厳は取り戻せる。
だというのにオブリビオンはそれを許そうとはしない。
暴走戦車。
かつては人類を護るための兵器であったことだろう。だが、黒き竜巻、オブリビオン・ストームに飲まれた戦車は、歪んだ知性を獲得し、人類に牙を剥くのだ。
そこにあるのは純然たる殺意のみ。
「鏖殺、虐殺、滅殺。全テノ人類ヲ消去セネバナラヌ」
無限軌道描くキャタピラが荒野を征く。土煙を上げ、その力を誇示するように接近するのだ。
装甲は分厚く、装備された砲塔の強力さは言うまでもない。だが、だからといっても座して待つ滅びはあってはならないのだ。
そのために猟兵は世界に選ばれ、戦いに赴くのだから。
村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)もまた、その猟兵の一人である。
「ノウマク サマンタ ブッダナーム バーヤベ スヴァーハー。風天よ! 天吹き渡る其の風の効験を、ひととき我に貸し与え給え! 疾っ!」
それはユーベルコード、飛鉢法(ヒハツホウ)である。華麗な戦巫女の盛装へと変じたゆかりは、鉄の大鉢と共に空へと舞い上がる。
それは暴走戦車にとっては看過できない動きだった。巨大故に圧倒的な火力を持つ暴走戦車であったが、巨大ゆえの弊害。鈍重なる動きは、ゆかりのように空を素早く飛ぶ者には圧倒的に不利であった。
「昔の人は言ったわ。『戦車を相手にする時は、縦だ」と。その言葉に倣わせてもらいましょう」
今のゆかりは戦車の天敵たる対戦車ヘリコプターのようだった。素早い動きで暴走戦車から放たれる砲弾を躱すべく、砲塔の刺客へと移動し続ける。
その素早い空中機動故に暴走戦車は狙いを定められないでいる。装填された特殊砲弾も放てなければ、無用の長物であろう。
その間に空より彼女の持つ白紙のトランプである呪符がばら撒かれる。一見するとすれは、ただの紙である。暴走戦車は意にも介さずキャタピラを進める。
だが、それは彼女の罠である。
ただの白紙のトランプを撒くわけがない。それは呪符であるが火炎を噴出させる地雷のようなものであった。
「起動! 呪術的な地雷の味はどうかしら?」
噴出しキャタピラを灼く炎。それは呪術で編まれた炎であるがゆえに、化学兵器である暴走戦車に対抗する術はない。
もしも、この暴走戦車が人員が乗機し動かすものであったのなら、この時点で勝負がついていたことだろう。
戦車内部は彼女の放った呪符より放たれた炎で蒸し風呂のようになっていたからだ。
「盛大に爆発しなさい!」
ゆかりが暴走戦車へと空を舞い、急接近する。その手に持った火界咒の符は彼女の全力のちからが籠められていた。
戦車本体へと張り付き、巨大な炎の柱を上げる。装甲は融解し、その高熱故に身動きが取れない暴走戦車。
きしんだ音を立てながら、内部で爆発が起きる。それは特殊砲弾が高熱により内部で暴発したのだろう。
回復にはさらに時間を要するだろうが、これで暴走戦車が大規模農場へと至るまでの時間を充分に稼げたのだ。
「うん、こんなところかしら」
ゆかりはその戦果を感じながら、鉄の大鉢と共に火柱上がる暴走戦車から離脱していくのだった―――。
成功
🔵🔵🔴
セレシェイラ・フロレセール
この世界に優しい未来を導くわたしの桜は未だ咲き誇っている
農場への進撃をわたし達が許す訳がないだろう?
キミの紡ぐ殲滅の物語をわたしの綴る物語で上書きしてみせよう
わたしが綴るのは勿論、次代へと繋がる希望の物語だ
あの砲弾を農場へ届かせる訳にはいかない
砲撃が始まるよりも前に、戦車砲及び主砲を破壊しよう
戦車の砲撃は発射までにタイムラグがある筈
その間に電光石火で戦車砲を射撃で破壊するよ
照準は戦車砲及び主砲
速く、正確に目標物を捉える
わたしの桜、絶望を未来導く彩へと塗り替えろ
花咲く春のように、優しい彩りをこの世界に齎せ
戦車砲と主砲を破壊したら次は戦車の車輪を狙う
進撃を止める為にわたしは何度も彩の魔法を綴ろう
荒廃した世界に蔓延るのは、いつだって飢餓感と閉塞感である。
それはアポカリプスヘルの空を見えれば一目瞭然であろう。曇天の空は大地に影を落とす。重苦しい空気は息が詰まる。
そんな中であっても人類は希望を持つ。その胸に抱いた灯火こそが、彼等の等身大の希望である。
それ一つ一つは小さきものであったかもしれない。けれど、人類はお互いに身を寄せ合っていきていく生き物であるのならば、それは篝火となって数多の生命を照らす希望と成るだろう。
そんな僅かに見えた希望の光ですら、踏み潰さねばならぬと暴走戦車は大規模農場を目指す。
その土煙を上げる巨体が炎にまかれて装甲を溶解させていた。しかし、それでも尚、暴走戦車の力は健在である。
「殲滅ノ最優先事項ヲ更新。目標、前方、農業地帯―――」
六門の巨大な砲が、未だ遠き大規模農場を狙う。届かなくとも、その砲弾の衝撃で地面が削れ破片が飛べば、それだけで農場に打撃が与えられると踏んだのだろう。
「この世界に優しい未来を導くわたしの桜は未だ咲き誇っている」
その声は優しさの中に強烈なる意思を伴っていた。
セレシェイラ・フロレセール(桜綴・f25838)のたおやかな指が桜の硝子ペンで宙に描くはユーベルコードの輝きである。
彩綴(マレフィカ)、彼女が綴るは彩の魔法。生み出される桜色の魔法弾が電光石火のごとく戦車砲の一本を破壊する。
その爆発に押されるように暴走戦車の車体が軋む。戦車の砲撃であれば、発射までのタイムラグがある筈と彼女が踏んだ通りだった。
その電光石火のユーベルコードは、たしかに大規模農場の窮地を救った。もしも、彼女のユーベルコードが間に合わなければ、農場に吹き飛んだ地面の破片が開拓した大地をさらに傷つけたことだろう。
「農場への進撃をわたし達が許す訳がないだろう?」
それは彼女にとっては当然のことであり、暴走戦車にとっては忌々しい障害であった。
「障害ヲ排除。障害ヲ排除―――」
その歪なる知性は、目の前に立ちはだかる猟兵の姿を捉える。薄桜色の髪をなびかせた、一人の少女。
それは取るに足らない存在に思えたことだろう。だが、暴走戦車は正しく彼女を己の敵と認識していた。
間違えるわけがない。あれこそはオブリビオンの天敵である猟兵であるのだから―――。
「キミの紡ぐ殲滅の物語をわたしの綴る物語で上書きしてみせよう」
桜の硝子ペンが宙に再びユーベルコードの輝きを綴る。それは早く、正確に目標物を捉えるのだ。
「わたしの桜、絶望を……未来導く彩へ塗り替えろ。花咲く春のように、優しい彩りをこの世界に齎せ」
宙に浮かぶ桜色の魔法弾は空を弾け飛ぶようにして飛来する。ユーベルコードの桜色の輝きは、彼女の意思を汲み取るように花を散らせるように舞い散る。
次々と戦車砲へとぶつかり、その砲身を歪ませ、きしませる。砲身がきしめば、今度は車輪を狙う。
それは春の嵐の如き苛烈さで持って、暴走戦車の進撃を止める。身動きできぬほどの魔法弾の雨。
何度でも綴る。彼女の、セレシェイラの力の限り。桜は未だ咲き誇る。桜花嵐のように暴走戦車が進もうとする度に魔法弾の雨を降らせる。
彼女は桜の硝子ペンのヤドリガミ。少女の姿をしていたとしても、彼女が綴るのはいつだって物語である。
オブリビオンが破壊と絶望の物語を綴るのであれば、彼女はどこへだって現れ続けるだろう。
何故なら―――。
「わたしが綴るのは勿論、次代へと繋がる希望の物語だ」
それは、どんな艱難辛苦が訪れようとも、最後には玉の如き輝き放つ生命の物語となる結末が必定されているのだから―――!
大成功
🔵🔵🔵
黒木・摩那
さて、この戦車を片づければ農場を守ることができますね。
戦車は強力な兵器ですが、反面死角が多い兵器でもあります。
だから、通常はその死角を補うために周辺に歩兵を配備するのですが。
この戦車は単独ですか。
おそらくはセンサーで対策はしてるのでしょうけど、手はあります。
周辺のガレキをUC【胡蝶天翔】で黒蝶に変換して、戦車を取り囲むことで目潰しします。そして、戦車にヨーヨーを利用して飛び乗り、魔法剣『緋月絢爛』で装甲の薄い場所、砲塔の隙間やエンジン換気口を狙って、【鎧無視攻撃】します。
弾は【念動力】で軌道を逸らして回避します。
黒煙を上げる暴走戦車。猟兵たちの攻撃を受けて、戦車砲の一門は潰され、砲身も歪む。足回りもまた十全ではなく、猟兵たちの力の凄まじさを物語っていた。
黒き竜巻、オブリビオン・ストームに飲み込まれる前であれば、その戦車内に搭乗する人員もいたことであろうが、今はオブリビオン化によって生まれた歪んだ知性に支配されている。
「砲身ニ異常発生。次弾装填。装填―――」
暴走戦車内部で速乾性セメントを充填した特殊砲弾が装填される。空中で炸裂し、セメントの雨を降らせるそれが狙うのは大規模農場。
この暴走戦車は知っているのだ。
猟兵がどのような存在であるのか。そして、猟兵が自身を倒すだけではなく、大規模農場を守ろうとしていることを。未だ射程は充分ではないが、この空中で炸裂するセメント弾であれば、猟兵たちが守ろうとしている農場への被害を与えることができる踏んだのだろう。
轟音を立てて放たれるセメント弾。高々と打ち上げられた砲弾は大規模農場を目指して飛翔する。だが、その放物線はある場所を通過しようとした瞬間、ありえぬ起動を描いて地面へと失墜する。
砲弾が地面で炸裂し、大地にセメントの塊が飛び散る。それを観測したスマートグラス『ガリレオ』の持ち主である黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)は、その失墜した砲弾の痕を見やり、そして暴走戦車と対峙する。
「さて、この戦車を片付ければ農場を護ることができますね」
彼女のスマートグラスのレンズが輝く。そう、先程の砲弾が失墜下のは、特殊砲弾の誤作動が原因ではない。
彼女の念動力によって空中から大地へと無理矢理失墜させられたのだ。
「天に漂いし精霊よ。物に宿りて我に従え。姿さずけよ」
間髪入れずに、摩那のユーベルコード胡蝶天翔(パピヨン・ノワール)が発動する。周囲の瓦礫の破片を黒い蝶の群れへと変換するのだ。
その黒き蝶はあらゆるセンサーの類を妨害し、それがもし機会であり、センサーを頼みに周囲の状況を把握するのであれば目潰し以外の何者でもない。
「戦車は強力な兵器ですが、反面死角が多い兵器でもあります……だから、通常はその死角を補うために周辺に歩兵を配備するのですが……」
彼女の言葉通りであるのなら、先程対峙したマシンビーストたちが、それに値する存在であったのだろう。
だが猟兵たちの活躍によって歩兵であり斥候であるマシンビーストたちは全滅させられたのだ。
「単独であるというのなら、やりようはいくらでもあります」
摩那はテにしたヨーヨー、エクリプスを手に黒き蝶たちと共に駆け出す。歩兵無くとも稼働できるようにセンサーなどがあるだろうが、このセンサーを妨害する黒き蝶の前には無意味である。
彼女の姿を追うこともできずに、簡単にとりつかれる他ないのだ。投げ飛ばしたヨーヨーが砲身に絡みつき、彼女の体を戦車の上へと導く。
「無力な人間ばかりだと侮ってマシンビースト達全てを放ったのは失策でしたね。ですが、それを悔いる時間すら与えません」
手にするは魔法剣『緋月絢爛』。万華鏡の如き刀身に輝くはルーン文字。その煌きと共に砲塔の隙間に刺し穿たれる刀身。
砲身の一部が切り落とされ、内部で爆発が起こる。
「知性があると言っても、所詮暴走戦車。わたしに敵うべくもありませんよ」
その爆発を尻目に摩那は再びヨーヨーを巧みに利用して暴走戦車から飛び降りるのだった―――。
成功
🔵🔵🔴
黒髪・名捨
戦車か…あれ壊したら改造して農機作れるんでね?
ほら農機企業が戦車作ってたという話もあるし、結構いけるんでね?
まあ、オレメカニックからッきしだけどな。
●戦闘
『闇に紛れる』と闇に『迷彩』して『目立たない』ように隠れながら接近だな。
その状態で戦車の砲撃を『見切り』紙一重で回避する。
すげぇ威力の砲撃だ…当たりたくねーな。
しっかし、あれ…砲塔全部なくなったらどーなるんだ。
試す気はねーがな…。
さてっと、戦車のそばまで来れたな。んじゃ…
『ジャンプ』して戦車の上部に乗り込む。
必殺の陸断。
『踏みつける』震脚ともいうな。
このまま砕けろッ!!んじゃ…あばよ。
黒煙を上げて、鋼鉄の機械が傾ぐ。オブリビオン・ストームに巻き込まれてオブリビオン化するまで、その戦車は如何様な働きを見せていたのだろうか。
その姿は想像する他無い。どれもが正解で、どれもが不正解。嘗て在りし日を思ったとしても、それが戻ることはない。
オブリビオン化するということはそういうことである。
「戦車か……あれ壊したら改造して農機作れるんでね?」
黒髪・名捨(記憶を探して三千大千世界・f27254)は、唸りを上げる暴走戦車を見据えて、そう言葉を漏らした。
農機企業が戦車を作っていたという話もあるのだから、いい線いけるのではないかと思ったのだ。
「まあ、オレ、メカニックからっきしだけどな」
自身ができなくても、他の誰かができるかもしれない。ともあれ、あの暴走戦車を止め、破壊しなければ、その思いつきも試しようがないのだ。
闇に紛れるような黒髪と黒装束の名捨が大地を駆け抜ける。
他の猟兵達に気を取られている暴走戦車にとって、彼の隠密行動は見抜けるものではなく、内部で起こる爆発への対処に追われていたのだ。
「―――警告。警告。猟兵反応アリ―――」
暴走戦車のセンサーが復旧し、名捨の接近を感知した時、それはもう遅きに失することであった。
名捨の姿を捉えた暴走戦車が、彼の動きに合わせるように無理矢理砲身を向ける。その無理な態勢で放てば、自身にも被害があることは承知の上であった。
そして、砲身一つを犠牲にしてでも放たれる最大質量の砲弾が名捨を捉える。
轟音が響き渡り、衝撃波が周囲の瓦礫を吹き飛ばすほどの威力の砲弾が放たれる。
―――だが、その砲弾がどれだけ高威力のものであったとしても。その照準が甘ければ、当たるものも当たらないのだ。
ましてや、相手は猟兵である。
「すげぇ威力の砲撃だ……当たりたくねーな」
その砲弾を紙一重で避け、その砲弾が地面に着弾した衝撃波を利用して名捨の体が飛び上がる。
砲身一つを犠牲にした砲撃の威力は言うまでもない。その圧倒的なまでの破壊力は大地の地形一つを簡単に変えるものであった。
あの長距離砲撃が可能な砲塔が邪魔なのであれば、あれをすべて打ち切らせればいい……そう一瞬考えたが、名捨はその考えを捨てた。試す気にならなかったからだ。
「さてっと、上、取ったぜ―――?」
砲撃の衝撃波と共に戦車上部に取りつた名捨は、ユーベルコードを発動させる。
それは必殺の一撃。
彼の脚が静かに持ち上がる。それは自然な動作であった。一歩を踏み出すような気軽さだった。
しかし、放たれる一撃―――陸断(リクダチ)の超高速で放たれる踏みつけ、震脚は回避不可能な超高速の踏み抜く蹴撃である。
暴走戦車の放った砲弾と遜色ない名捨の一撃は暴走戦車の分厚い装甲を貫いて、その衝撃を大地へと刻み込む。
装甲がひしゃげ、溶解していた装甲がひび割れていく。
「このまま砕けろッ!!」
更に力を込める名捨。
ひしゃげた装甲の破片が飛び散ったとしても気にもとめない。その一撃は、たしかに暴走戦車の車体をひしゃげさせ、大地震わせる蹴撃であった。
「―――んじゃ……あばよ」
その一撃を手向けとして名捨は、暴走戦車の装甲に拭えぬ大打撃を与えるのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
セフィリカ・ランブレイ
戦車か、それなら今回も空から……
と行きたい所だけど、あの子の槍じゃ戦車の装甲を相手にするのは効率悪いか
次はこの手だ!
シェル姉、今回は穴大きめに広げるから!魔力食うけどよろしく!
『セリカも、後先は考えときなさいよ』
全速力で駆け抜けて、大きく魔剣にて空間の裂け目を作り出す
繋がったのは各種ゴーレムが鎮座する異次元格納庫だ
巨大すぎて、格納庫から動かせない超ド級の要塞型ゴーレム
【紫砲の将軍】バルディメオラス
堅牢な防御フィールドと全身に無数の砲台を持つその威容ときたら!
格納庫内から備え付けられた無数の砲門を次元の裂け目の向こうにいる戦車隊に向けて、一斉砲火!
要塞対戦車! 弾が尽きるまで撃ちまくれー!
砕け散った装甲の破片が大地に飛び散って突き刺さる。
分厚い装甲に護られていたオブリビオン・ストームによってオブリビオン化した暴走戦車は、その姿を大きくひしゃげさせた。
しかしながら、未だにオブリビオン化したからか、その力は健在である。失った砲はすでに2本を越え、損傷も激しくなっている。
それでも尚絶大な火力は、一門だけでも残っていれば大規模農場へと打撃を与えることは可能であろう。
「損傷―――レベル、続行可能可能可能」
オブリビオン化によって得た歪な知性が声を上げる。それは人類を滅ぼさんとする歪んだ意思。人類が掴んだであろう希望の欠片すらも許さぬと砲門動かすのだ。
「戦車か、それなら今回も空から……と行きたいところだけど、あの子の槍じゃ戦車の装甲を相手にするには効率悪いか」
セフィリカ・ランブレイ(蒼剣姫・f00633)は、それまで呼び出し騎乗していた黄槍の飛竜より飛び降り、次元格納庫へと還す。
確かに戦車に対しての戦術として空からの攻撃は有効であったことだろう。だが、装備した槍だけでは、あの損傷を受けているとはいえ、あの重装甲を貫くのは効率が悪いと判断した。
「次は此の手だ! シェル姉、今回は穴大きめに広げるから! 魔力食うけどよろしく!」
彼女は携えた魔剣シェルファを掲げる。それは剣にして鍵である。
大地を疾駆し、魔剣の切っ先が空間を切り裂いていく。それは魔剣を鍵とする次元格納庫への扉を開く行為である。
『セリカも後先は考えときなさいよ』
魔剣の知性であるシェルファの物憂げな声が響く。
巨大なる空間の裂け目より現れるは、各種ゴーレム……セフィリカが鋳造せし異次元格納庫に鎮座する巨大なる者たち。
「七虹最大火力!持ち運べないので次元の穴越しに短時間のみのお披露目でよろしくお願いしまーす!」
ユーベルコード、紫砲の将軍(バルディメオラス)。
それはあまりにも巨大であるがゆえに格納庫より動かすことができない超ド級の要塞型ゴーレムの名である。
その威容たるや、言葉に言い表すことの出来ぬほどの巨大さ。
堅牢な防御フィールドと全身に装備された無数の砲台。その姿にセフィリカ自身もまた高揚が抑えられなかった。
紫砲の将軍バルディメオラス―――その名は故郷のバルディメオ砦のオーラス将軍を取って名付けられた要塞型ゴーレムの砲台が次元の裂け目より覗く。
その全容はユーベルコードによって強化された魔剣であっても広げられぬほどの巨大さである。
「要塞対戦車! 弾が尽きるまで撃ちまくれー!」
セフィリカの魔剣が振り下ろされるのと同時に放たれる火砲の一斉射。
それは弾丸の雨にも似たような、豪雨そのものだった。砲弾が着弾し、暴走戦車を巻き込んで辺り一帯が巻き上がった土煙が立ち込める。
それでも紫砲の将軍バルディメオラスの砲撃は止まらない。
魔力消費が大きくなりすぎる前にセフィリカは次元格納庫を閉じる。
思った以上に魔力を食いすぎているような気がする。魔剣シェルファの言う後先、それを今更に思い知りながらも、久方ぶりに見たであろう超ド級要塞型ゴーレムの威容にセフィリカの心は踊る。
その高揚とは裏腹に、土煙が晴れた後、暴走戦車のボロボロの姿が現れるのであった―――。
大成功
🔵🔵🔵
愛久山・清綱
敵の首魁が現れたか。先程の戦いもそうだったが、
機械は俺の力とすこぶる相性の悪い相手だ……
されど今は危急存亡の秋。此の地を護るため、
引くわけにはいかぬ。
■闘
やはり、あの砲弾から逃れねばならぬか。
敵の動きを【見切り】つつ、主砲を向けられる
前に【ダッシュ】で敵の懐を目指すぞ。
万一向けられたら【残像】を伴う動きを見せつつ
『砲台が向いていない場所』へ全力で逃れるぞ。
あれが当たってしまえば、無事では済まない……
敵にたどり着いたら【早業】の抜刀術で『空薙』を抜き、
至近距離から金剛をも断つ【鎧無視攻撃】の力を込めた
【剣刃一閃】で一刀両断。
剣豪の振るう刀は、兵器を凌駕することを教えてやろう。
※アドリブ・連携歓迎
数々の猟兵の攻撃を受けて尚、暴走戦車に宿りし知性は人類の滅亡を願う。
それは何故なのか。
黒き竜巻オブリビオン・ストーム……無機物であってもオブリビオン化する恐るべき災害。それが人類を滅ぼしたことは間違いようがない。
その根底に在りし、人類の滅亡を願う意志が、暴走戦車という人類を蹂躙する恐るべき兵器を生み出したとしか思えなかった。
「損傷甚大。損傷甚大。火器、稼働率50%……―――」
砲撃の雨にさらされたとしても、それでもなお暴走戦車は大規模農場を睨めつけるように砲門を向ける。
猟兵の活躍によって、すでに6つある砲門の内2つは完全に潰れ、他の4門に至っても砲身を歪ませている。
これにより正確な射撃をすることは不可能であろうが、それでも、その砲撃が大規模農場へと届けば被害は甚大であろう。
「敵の首魁が現れたか。先程の戦いもそうだったが、機械は俺の力とすこぶる相性の悪い相手だ……」
愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)は歯噛みする。敵の気配、挙動、そのどれもが清綱にとっては生命ありき者たちの隠しようのない敵意であり、躱すべき攻撃の初動である。
機械にそれはない。故に相性が悪いと考えているのだろう。
「されど今は危急存亡の秋。此の地を護るため、引くわけにはいかぬ」
そう、例えどれだけ不利な状況に陥ろうとも、そこに救いを求める者たちがいるのであれば、駆けつけ戦うのが猟兵である。
その意志がくじけぬ限り、清綱にとって相性に良し悪しは意味をなさぬものであろう。
そんな清綱に暴走戦車の砲門が向く。
目の前の猟兵を排除せんとする暴走戦車の敵意は、歪んだとはいえ知性ある敵である。互いに互いを滅ぼし合う敵であると認めた瞬間、清綱の脚は大地を蹴っていた。
「やはり、あの砲弾から逃れねばならぬか」
砲門を一つ犠牲にして放たれる規格外の威力の砲撃。それは猟兵であっても直撃を受ければひとたまりもない、途方も無い威力である。
だからこそ、それを受けてはならない。
荒野を駆け抜ける清綱の姿は残像を伴う動き。
敵の懐を目指し、駆け抜ける清綱の動きを追う砲門。互いに狙うは、対峙する敵の隙である。
放たれれば、周囲の地形を破壊し尽くすかもしれない砲弾。放たれるわけにもいかない。受けるわけにもいかない。
それは一種の賭けであったのかもしれない。
「あれが当たってしまえば、無事では済まない……だが―――! 退く理由にもなるまい!」
その賭けは五分以下。
だが、それでも限界を超えた清綱の脚力は大地を蹴る。裂帛の気合と共に駆け抜け、踏み込んだのは暴走戦車の懐。
見上げれば自身を狙う砲門の砲身。
駆け抜ける。神速の一撃は、すでに暴走戦車を清綱の背後にしていた。
「剣豪の振るう刀は、兵器を凌駕することを教えてやろう―――否。すでに教えた」
振るうユーベルコードは、剣刃一閃。
その刃は金剛であったとしても断ち切る一撃である。空薙―――そう銘打たれた合金刀がすでに振るわれた後であった。
ごとり、と清綱の背後で砲身が両断される音が響く。
これこそが剣豪の一撃。
その刀に断てぬものなど何一つ無い。これこそが猟兵の本領。誰がために戦う者にこそ宿るユーベルコードと、清綱の業である―――!
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
農場の被害を防ぐ為には注意を牽きつけなくばなりませんね
機械馬に●騎乗し突撃
あの戦車の知性が愚かな敵と判断し、砲口を向けてくれれば良いですが
砲口の向きをセンサーでの●情報収集で計測、発射点と到達タイミングを●見切りUCを纏わせた槍を砲弾に向けて突き出し●武器受け
スペースデブリの運動エネルギーと比べれば砲弾を力場で絡めとるなど技術的には児戯
後はその『点』を私が捉えられるか…
そこです!
砲弾を敵戦車に反射
損害を与えつつ剥がれた装甲に槍を●投擲しながら接近
この先に進ませる訳にはいきません
一時でも止まっていただきます
戦車に乗り移り●怪力で損傷装甲を引き剥がし格納銃器を内部へ発射
装甲内で跳弾させ内部機構破壊
大規模農場は人類に灯った新たなる希望の灯火である。
食糧問題が片付けば、人の間に起こる不要な争いは消えていくことだろう。衣食住の中で最も大切な食事。
それが満たされれば、人々には活力が漲る。そうすれば、人類は文明を復興させ、新たなる文化を芽吹かせることができるだろう。
人ならざる身であるウォーマシン、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)にとっても、それは希望そのものであったかも知れない。
人を守る人道。それは彼の記憶回路の中に存在する騎士道物語における騎士道と重なるものであるからだ。
「農場の被害を防ぐ為には注意を引きつけなければなりませんね」
すでに暴走戦車は、数多の猟兵たちの攻撃によって、進撃を阻まれ、釘付けにされている。これをさらに押し込む一手として、トリテレイアは機械馬であるロシナンテⅡと共に荒野を駆け抜ける。
「接近警報。猟兵反応アリ。接敵、ワンセコンド―――」
暴走戦車のセンサーがトリテレイアを捉える。
だが、それはもう遅い。彼が騎乗し駆け抜ける機械馬ロシナンテⅡの突撃能力は、暴走戦車の持つ歪んだ知性をはるかに超えるものだったからだ。
砲門を向ける。
それは狙い通りの行動だった。あの砲口が大規模農場へと向かなければいいのだ。
トリテレイアのアイセンサーが輝く。それは砲門より放たれる砲弾の発射点と到達タイミングを寸分違わず計測する。
相手が機械であるが故に、トリテレイアは理解していた。機械の如き正確さがあるのであれば、己もまた機械騎士である。
「―――ならば!」
個人携帯用偏向反射力場発生装置 (リフレクション・シールド・ジェネレータ)……それはトリテレイアの持つ武装に偏向反射力場をまとわせるユーベルコードである。
彼の持つ馬上槍へと纏わせ偏向反射力場は、放たれようとした砲弾へと切っ先を向ける。
それは精密精緻なるシビアなタイミングの問題であった。
常人では勿論不可能な芸当であったことだろう。だが、それはウォーマシンである彼の演算速度が生み出す計測によって不可能ではなくなる。
彼をして、語るは―――。
「スペースデブリの運動エネルギーと比べれば砲弾を力場で絡め取るなど技術的には児戯。後はその『点』を私が捉えられるか……」
そう、児戯である。
彼がウォーマシンであることは、僥倖である。アイセンサーが輝き、その『点』を逃さず捉えるトリテレイア。
「そこです!」
偏向反射力場を纏った馬上槍の切っ先が砲弾を反射する。その勢いは凄まじく砲門携える砲塔そのものを爆散させる。
装甲が剥がれ、その内部がむき出しになる。数多の猟兵達の攻撃が積み重なって出来た好機。それを逃すわけもない。
「このさきに進ませる訳にはいきません。一時でも止まって頂きます!」
投擲された馬上槍が剥がれた装甲の内部へと深々と突き刺さる。
さらに馬上より戦車へと乗り移ったトリテレイアは、その有り余る怪力で持ってひしゃげた装甲を引き剥がし、さらに格納銃器で内部を徹底的に破壊するのだ。
内部で爆発が起こり、これ以上は危険と見なしたトリテレイアがスラスターを吹かせ暴走戦車より飛び退る。
機械馬であるロシナンテⅡが彼を迎え、その脚力で持って離脱していく。トリテレイアの騎士道は正しく人々を救う礎となったのだった―――!
大成功
🔵🔵🔵
御園・桜花
「そんなものを畑に撒かれたら、皆の作業が滞ってしまいます。ならば…速やかに骸の海へお還りいただきましょう」
UC「エントの召喚」使用
敵の真下から何本もの巨木の根で一気に攻撃
敵を刺し貫いて地上から浮き上がらせる又はひっくり返して移動も攻撃も自由に出来ないようにする
「人を守ることを期待して産み出され、全ての命に牙向くことになった貴方達。何を願うのが、本当は貴方達やこの世界にとって1番幸せなのでしょう」
「ごめんなさい…貴方達が再度オブリビオンストームに巻き込まれず、自由意思を得て、世界と共存できる存在になりますよう」
思い付けず、自分の願いを押し付ける後ろめたさを感じつつ鎮魂歌を歌う
数多の猟兵たちの攻撃によって、暴走戦車の車体はすでに満身創痍であった。
砲塔は爆散し、装甲はひしゃげ、めくれ上がる。さらに穿たれた砲撃の痕は凄まじく、すでに機能を停止していてもおかしくない状態であった。
だが、それでも暴走戦車は荒野を進もうとする。その装填されし特殊砲弾でもって、人類の希望である大規模農場を破壊せんとするのだ。
それは如何なる知性によって生み出された執着であったのかはわからない。
しかし、黒き竜巻オブリビオン・ストームによってオブリビオン化した戦車は嘗て、人類を護るための兵器であったことだろう。
「排除。排除。排除。排除」
壊れたレコードのように排除と連呼する暴走戦車の知性。もはやそこに、人類の守護者であった頃の面影はない。
特殊砲弾が装填される。
速乾性セメントを充填した特殊な砲弾。それは空中で炸裂し、セメントの雨を降らせる。
もしも、農場上空で炸裂するのなら、それは甚大な被害を齎すことは間違いなかった。
「そんなものを畑にまかれたら、皆の作業が滞ってしまいます。ならば……速やかに骸の海へとお還りいただきましょう」
御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)は、一歩踏み出す。彼女は喚ぶ。己のユーベルコード、エントの召喚(エントノショウカン)によって呼び出される木の牧人の霊を。
しかし、その姿は桜花の眼前には現れない。
変化は暴走戦車の車体の直下から起こった。大地がひび割れ、その隙間を広げるように突出する何か。
「おいでませ我らが同胞。その偉大なる武と威をもちいて、我らが敵を討ち滅ぼさん」
桜花の言葉に答えるように現れるのは、何本もの巨木の根。
一斉に地下より暴走戦車の底を刺し貫き、浮かび上がらせる。あの巨体が一瞬で宙に突き上げられるほどの凄まじき力。
浮かび上がらせるだけにはとどまらず、木の牧人の霊は、さらに暴走戦車の巨体をその場でひっくり返すのだ。
「人を護ることを期待して生み出され、全ての生命に牙向くことになった貴方達。何を願うのが、本当の貴方達や、この世界にとって一番幸せなのでしょう」
その問いかけに応える知性はない。
あるのは人類の排除を謳う歪なる知性のみである。排除、排除とひっくり返され、損壊しかけている暴走戦車の内側から響き渡る。
兵器の幸せとは一体どのようなものであろうか。
それは己の本分をまっとうすることであるかもしれない。
その身が傷つき、破壊されたとしても、正しく機能したという証こそが、彼等機械の身を持つものの幸せなのかも知れなかった。
「ごめんなさい……」
桜花の言葉は、どれに対してであったことだろうか。それを知っているのは桜花の胸の内だけである。
だからこそ、応えるように木の牧人の霊より放たれる木の根の槍の如き一撃が暴走戦車を完全に破壊する。
最後まで排除と唱え続けていた暴走戦車から響く知性は、もはや沈黙しか奏でない。
「貴方達が再度オブリビオン・ストームに巻き込まれず、自由意志を得て、世界と共存できる存在になりますよう……」
幸せとは一体なんなのか。
彼女の心に去来するものは、何一つ思いつけなかった。
自分の願い、それを押し付ける後ろめたさはあれど、その心は未だ清廉なるものであった。
せめてもの慰めのように歌う。
かつて在りし守護者たちを骸の海へと送る鎮魂歌を―――。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 日常
『アポカリプスで農業を』
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POW : 力仕事を担当する
SPD : 丁寧な仕事を心掛ける
WIZ : 技術指導などを行う
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵たちの活躍により、大規模農場は護られた。
最後のオブリビオンである暴走戦車を骸の海へと還した猟兵たちは拠点へと向かう。彼等に事件の収束を伝えるためだ。
彼等は言葉多く、猟兵たちに感謝の言葉を告げる。
「ありがとう」
その言葉は、その拠点に住まう老若男女、あらゆる人々からシャワーにように猟兵たちへと惜しみなく贈られた。
それだけ大規模農場は、人類にとっての悲願であり、希望であったのだ。
だがオブリビオンの襲来によって大なり小なり損害は受けている。それを修繕するも良し、通常の人類では成し得ない強大な力を持って農地を開拓するのもいいだろう。
それに猟兵だからこそ知り得た農業知識や技術を彼等に伝えるのもいいだろう。
猟兵たちが思う最善。
それこそが、アポカリプスヘルに生きる人々の明日を少しずつ善きものへと変えるものであるのだから―――。
セレシェイラ・フロレセール
すべてを守りきれたら良かったのだけど……ごめんなさい
力及ばず、損害を受けてしまったところがあるね
大きな作業は不得手だけど、細かな作業なら任せて
崩れてしまったサツマイモ畑の修繕をしようと思うの
確かサツマイモは30cm程の高畝が良いと、記憶をたどって植物図鑑の記述を思い出す
それから排水性も重要だった
よーし、頑張ってサツマイモ畑を復活させるよー
糸を張って真っ直ぐに畝を作れるようにひと工夫
軍手をした手で鍬を使って丁寧に畝を作る
普段はペンでものを綴る手だけれど、今は大切な生命を育む為に使う
サツマイモがたくましく育ってこの世界の人々の『慰め』となるよう、めいっぱい気持ちも込めよう
ふふ、収穫が楽しみだね
戦いの場となったアポカリプスヘル、ある拠点の大規模農場。
その周辺には骸の海へと還っていったマシンビーストや暴走戦車の残骸が遺骸のように残っている。
戦いの痕が色濃く残っているが、大希望農場への被害は最小で済んだと言ってもいいだろう。避難していた拠点に住まう人々は、その姿を見て涙する。
それは悔しさや絶望から来るものではない。
守ってくれた。守られた。その安堵から来る涙であった。
彼等は生命と農場を天秤に掛けられなかった。けれど、彼等の迷いは当然のものである。誰だってすぐさま決断できるものではない。
だからこそ、彼等を救った猟兵たちに涙ながらに感謝するのだ。
だが、その言葉を受ける猟兵、セレシェイラ・フロレセール(桜綴・f25838)は頭を下げた。
どうして、と戸惑う住民たちにセレシェイラは言葉を紡ぐ。
「すべてを護りきれたら良かったのだけど……ごめんなさい。力及ばず、損害を受けてしまったところがあるね」
そんな!と拠点のリーダーや住民たちが慌てる。
今の彼女は見目こそ十代の少女そのものであるが、アポカリプスヘルに生きる人々にとっては猟兵という存在は凄腕の奪還者(ブリンガー)のように思えるのだ。
そんな彼女が頭を下げるものだから、こちらから感謝してこそすれ、謝罪されることなどないのだと言う。
だが、それではセレシェイラの気持ちが収まらないのだろう。
「大きな作業は不得手だけど、細かな作業なら任せて」
そう言って微笑む桜色の瞳は、住民たちにとって心優しき提案であった。
それじゃあ、と拠点の子供たちも一斉に彼女と共に大規模農場の修復に取り掛かる。子供でもできる作業を……とセレシェイラは考える。
「崩れてしまったサツマイモ畑の修繕をしよう。確か、サツマイモは30㎝程の高畝が良いはず……」
拠点の子供たちとサツマイモ畑の一角へと訪れるセレシェイラ。腕をまくりあげ、子供たち共に崩れてしまった畑の畝を前よりも良いものへと変えようというのだ。
「そえから排水性も重要だったね……よーし、頑張ってサツマイモ畑を復活させるよー」
えいえいおー!と子供たちと共にセレシェイラは畑の修繕へと取り掛かる。
糸を張って真っ直ぐに畝を作れるように一工夫。
こうすれば子供たちの弱い力であっても、大人たちの助力になれるだろう。これを覚えれば、サツマイモ以外の作物を育てる時も応用が効く知識である。
次代につなぐ、というのであれば、幼き子供たちこそ吸収力、学習力の宝庫だ。今の世代は礎であろうが、子供たちは次代へと続く鎹だ。
子供たちと軍手をし、鍬を使って丁寧に畝を作っていく。
まずはセレシェイラのお手本からだ。ああ、危ない、こうやって……と桜色の髪が揺れる度に畝が出来上がっていく。
普段はペンでものを綴る手。しかし、今セレシェイラの手は大切な生命を育む為に使っている。
普段しないことではあったが、いつもと変わらぬものものある。
それは『慰め』だ。
誰かの傷つついた心を癒やす物語があるのだとしたら、今、この畑を修繕するのは、住民たちの傷つついた心を癒やし、次代へと繋ぐために必要なことだ。
そこに貴賤はない。
彼女の気持ちが籠もったサツマイモ畑は、きっと秋の頃に溢れんばかりの実りを彼等に齎すことだろう。その頃にまた訪れることがあるかもしれない。
そんな暖かな気持ちをセレシェイラは、子供たちと共有し笑い合うのだ。
「ふふ、収穫が楽しみだね」
その言葉と笑顔。
それさえあれば、この荒廃した世界にだって、いつか彼女の桜の硝子ペンでもって綴られるような物語が、文明が取り戻される時が来るはずだ。
それもまた収穫である。
彼女は夢見る。彼等と共に見る秋の黄金を―――。
大成功
🔵🔵🔵
黒木・摩那
食べるのは好きだけど、育てる方は詳しくないんですよね。
しかし、これだけの大農場ならば、今回の襲撃でなくても色々と修理が必要な個所はありそうです。
そういうところの修理を手伝いたいです。
人手では大いに越したことはないでしょう。
農業機械も調子が悪いところがあれば調べてみます。
スマートグラスのセンサーの振動や音を拾っていけば、原因もわかるでしょう。
これだけの農地が作物で実る風景はきっと素敵なのでしょうね。
食糧がなければ、人類は生きてはいけない。
それは至極当然なことであり、食糧問題はアポカリプスヘルにおいては最優先される問題であった。
黒き竜巻オブリビオン・ストームによって文明は荒廃し、取り戻すことの出来ないほどの痛手を負ったのだ。それは人命と技術。
文明の廃墟から奪還者(ブリンガー)が持ち帰ってくる物資の中には農作業器具もあった。だが、それを維持するのも使用するのも、荒廃した世界では不可能に近かった。
拠点の倉庫の片隅に忘れ去られたまま朽ちていく他なかったのだ……。
オブリビオンとの戦いによって拠点の傍の大規模農場は守られた。
戦いは激しく、農場にも多少の損害は出ているが軽微と言って良いものであった。それは猟兵たちの活躍なくば成し得ることのできなかった偉業である。
明日を希望する住民たちにとって、それは感謝の言葉では言い表せないほどの歓待でもって黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)は迎えられた。
「食べるのは好きだけど、育てる方は詳しくないんですよね」
そう言って、彼女は大規模農場を見回す。
住民たちは彼女の姿を認めれば、すぐに寄ってきて感謝の言葉を述べていく。それが面映いと感じるかも知れないし、誇らしくも思ったかもしれない。
今回の襲撃の損害は、それなりにある。
あれだけの大規模な砲撃や戦いの余波は確実に農場にダメージを与えている。
「しかし、これだけ大農場ならば、今回の襲撃でなくても色々と修理が必要な箇所はありそうです」
ふむ、と彼女のスマートグラスのレンズが輝く。
自分にできることは多くはないかも知れない。だが、それでも彼女にしか出来ないことがきっとあるはずだ。
農地の修繕もそうだが、人手は多いに越したことはないはずだ。
そう思って彼女が農場の修繕箇所をチェックしながら歩き回っていると、彼女を呼ぶ声が聞こる。
拠点のリーダーだ。彼が摩那を呼んだ理由はすぐに分かった。
「これは……農業機械ですか?」
リーダーが言うには奪還者が文明の廃墟から持ち帰ってきたものであるようだった。一見すると車両のようであるのだが、どうにも動きが鈍重である上に一人乗りなのだという。
これでは有事の際に逃げることもできないので、放置していたのだが、今回摩那が来てくれたことでなにか判ることが在るのではと思ったのだという。
「ははぁ……なるほど。調子が悪い所があれば私が直せばいいわけですね。ちょっと調べてみますね」
彼女も農業機械に明るい方ではない。なにせ、食べる方が好きなのだから。しかし、彼女のスマートグラス『ガリレオ』にかかれば、異常や故障など即座にわかる。
「これは、どこも壊れていませんね。これはトラクターという農業機械ですよ」
一人乗りで動きが鈍重であったのは、そういうわけであったのだ。
トラクターの車両の先端に取り付けるシャベルが喪われているから、彼等にはこれをどう扱っていいかわからなかったのだ。
摩那はすぐに仕様や操作方法をスマートグラスから分析し、彼等に伝える。
きっとどこかにトラクターに取り付けるアタッチメントが残っているはずだ。もしも、それが完全に喪われていたとしても、新たに作り出せばいい。
大規模農場のあちこちを修繕しながら、彼女は歩く。
風が黒髪を攫うようになびかせ、揺れる。荒廃した荒野に吹く風であっても、今はどこか心地よいと感じる。
「これだけの農地が作物で実る風景はきっと素敵なのでしょうね……」
彼女はその光景を幻視する。それは実る秋の黄金と、この地に生きる住民たちの笑顔だった―――。
大成功
🔵🔵🔵
黒髪・名捨
畑は守られた…か。
しかし、これで安心してはいけない。
第二第三のオブビリオンの襲撃があるやもしれない。
負けるな、がんばれ。収穫の日と石焼き芋をオレは待っている…。
●力仕事
まーテキトーなモノローグは兎も角として。
この大穴…ショージキすまん。すぐに埋め立てる。
あと戦車の残骸だが…とりあえずこれも一か所に集める…いや、なんか再生と化して再暴走フラグっぽいし、もっとバラシて農機つーかスコップやクワの材料にならねーかなぁ。
『武器改造』技術で戦車の残骸を『焼却』魔法で溶かして金属を再成形。
とりあえず、それっぽいのを即席で作っていたが…
…まークワ代わりになるか?
さあ、掘るぞー。そして穴埋め直して畑の修理だー。
「畑は守られた……か。しかし、これで安心してはいけない。第二第三のオブリビオンの襲撃があるやもしれない。負けるな、がんばれ。収穫の日と石焼き芋をオレは待っている……」
文明の荒廃した世界アポカリプスヘルに、黒髪・名捨(記憶を探して三千大千世界・f27254)のテキトーなモノローグが響き渡ったかもしれないし、響いてなかったかも知れない。独り言として流されたかも知れない。
だが、そんな彼の前には拠点の住人たちが勢揃いしている。わりと大所帯なのだな、と名捨は思ったが、あの大規模農場を運営しようというのだから、当然と言えば当然であった。
そして、彼の前には人々だけではない。大地に穿たれた大穴。名捨がオブリビオンとの戦闘で開けた穴である。
「この大穴……」
そう、この大穴を穿った本人である名捨。彼はその謝罪に来ていたのだ。
「ショージキすまん。すぐに埋め立てる」
名捨はそう言って頭を下げた。だが、住民たちの反応は名捨の思っていた反応とは違うものだった。
彼等は名捨に感謝する。口々にありがとう。守ってくれてありがとう、と告げるのだ。彼等は避難した拠点から見ていた。
自分たちが敵わない外敵であるオブリビオンと身を賭して戦う彼の姿を。その姿と戦いぶりを見て、彼を責める者などいなかった。
彼等は自分たちの身の丈を充分に理解していた。だからこそ、言う。こんな大穴、みんなで埋めればすぐだ、と。
その言葉通り、すぐに大穴は埋め立てられ修繕される。
名捨は、彼等と共に戦車の残骸をどうするかと頭を捻っていた。
「あと戦車の残骸だが……とりあえず、これも一箇所に集める……いや、なんか再生とかして再暴走フラグっぽいし、もっとバラして農機っつーか、スコップやクワの材料にならねーかなぁ」
うんうん頭を唸らせる。
オブリビオン・ストームが再度、この残骸を巻き込みオブリビオン化を促せばありえない話ではないかもしれない。
それにこの農場で働く彼等の持つ農具は貧相そのものであった。
名捨の持つ武器改造技術を使った戦車の残骸を『焼却』魔法で溶かして金属を再整形。それは正に魔法だった。拠点の人々からは喝采が上がる。
技術の喪われた文明において、名捨の技術はまさに神の御業である。
「とりあえず、それっぽいのを即席で作ってみたが……まー鍬代わりになるか?」
即席と言えど、それは今まで拠点の住民たちが使っていた農具より遥かに優れたものであった。
鋼鉄で出来た鍬は固い荒野の土壌を砕き掘り起こすのに適していたし、シャベルやスコップ、農地を開拓していくためには必要なものばかりだ。
あれだけ巨大な戦車の残骸である。いくらでもスペアは作れるし、人々が使うには充分な代物だろう。
「さあ、掘るぞー。そして、穴埋め直して畑の修理だー」
他にも大穴は穿たれている。
それを埋め直し、畑を修繕していくのだ。住民たちも名捨と同様に鍬やスコップを片手に意気揚々と作業を始める。
汗が吹き出る。
それは労働の証である。時折、差し入れだというように名捨に飲み物や貴重であるはずの食糧などを持ってくる。
なるほど、と思う。
彼等は基本的に寄り添って生きている。
誰かが困れば、助ける。それはこの荒廃した世界に置いて、得難いものだ。これより秋に収穫される大量のサツマイモは、彼等の持つ得難き黄金の如き精神を、より強く育んでいくことだろう。
それを名捨は感じながら、荒野の風を受けて心地よいまどろみを感じるのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
セフィリカ・ランブレイ
私がこの場で出来る事、かぁ。何があるかな?
『セリカが思うことをすりゃいいわ』
こういう時、教えてくれるタイプじゃないよね。シェル姉はさ
『教育方針よ』
はいはい…と、相棒の魔剣も休ませつつ一考
あんまり干渉しすぎるのも、かえってよくないとは思うけど…
この場にある物を使うのなら、アリかな
残された残骸を材料に、工作開始だ!
機械仕掛けのものを作るのもアリなんだけど、動力部分の燃料確保なんかの問題もあるし
ゴーレムの装甲なんかを作った技術を生かして、廃材加工。丈夫な鍬や鋤、シャベルなんかを作っていくよ!
これでもっと、皆が農場を広げてくれますように!
よし、完成!じゃあ私も農作業手伝ったりしてみよっかな!
アポカリプスヘルの明日を繋ぐ希望である大規模農場は守られた。
それは猟兵たちの懸命なる活躍によってのみ成し得ることのできた偉業であると言っていいだろう。
機械の獣であるマシンビースト、絶大なる火力を持つ暴走戦車。そのどれもが脅威であり、猟兵が駆けつけなければ大規模農場は為すすべもなく蹂躙されていたことであろう。
戦いの痕を背に負いながらセフィリカ・ランブレイ(蒼剣姫・f00633)は、拠点と護りきった大規模農場を眺める。
「私がこの場で出来る事、かぁ。何があるかな?」
そうせフィリカが携える魔剣シェルファへと問いかける。それは相談というよりも、教えを請うような言葉の響きを持っていた。
剣であるシェルファが認めた主であるセフィリカ。その間柄は主従というよりも、別のなにかである。
物憂げであるが、面倒見の良い正確である魔剣シェルファのインテリジェンスは、その言葉に。
『セリカが思うことをすりゃいいわ』
そう返すのだ。それは突き放すというよりも、彼女自身に考えさせるための言葉であった。
「こういう時、教えてくれるタイプじゃないよね。シェル姉はさ」
『教育方針よ』
「はいはい……」
結局の所、セフィリカ自身が己の頭で考え、心で感じたことを信じて歩むすかない。魔剣シェルファは彼女を主と認めているが、それは傍らにある者として、時には彼女自身の考えを育てなければならないと感じてるからかもしれない。
それに魔剣も今回は酷使しすぎたと感じているのだろう、休ませながらセフィリカは農場を見やる。
戦いの痕である大規模農場の周辺には、撃破されたマシンビーストや暴走戦車の残骸が散乱している。
ある程度は片付けられて、再利用され始めている。それを見てピンと来た。
だが、一瞬考えるのだ。
「あんまり干渉しすぎるのも、かえってよくないと思うけど……この場にある物を使うなら、アリかな」
うん、それがいい。朗らかな笑顔を浮かべながら、セフィリカは荒野を駆け出す。残された残骸を材料に、工作開始である。
「機械じかけのものを作るのもアリなんだけど、動力部分の燃料確保なんかの問題もあるし……」
残骸を前にしてセフィリカはうんうん唸る。彼女自身がゴーレム作成を趣味としている。その経験と知識を動員して、燃料などの諸問題をクリアしたものを作成しようというのだ。
同じ様に考えた者もいるだろう。
けれど、農作業具というのは用途が多岐にわたるものばかりだ。なにせ材料と成る残骸はうなるほどあるのだ。
「これでもっと、皆が農場を広げてくれますように!」
それは願いであったし、祈りでもあった。もしも、彼女の願い通りに農場が広がるということは、人が増えるということだ。
人が増えれば当然作業に使う道具も増やさなければならない。それはきっと彼女が今廃材を加工し、上部な鍬や鋤、シャベルやツルハシ、様々な農具を作りあげていく。
「よし、完成! じゃあ私も農作業手伝ったりしてみよっかな!」
拠点の住民たちが集まってくる。
それは新たなる農具を喜ぶ声と、彼女への感謝の言葉。雨のように降り注ぐ暖かい言葉は、荒野にあっても暖かな心を喪わなかった彼等の心を表していたのかも知れない。
だからこそ、セフィリカは笑う。
夢見るだけでは終わらないのだと。いつかきっと、秋の黄金を、その瞳に映すはずなのだと―――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
機械馬を●遠隔操縦しての重量物運搬、●怪力での土木工事、耕作作業はお任せください
(ダークセイヴァーで数多くこなしましたので…)
同時並行でUCの●世界知識を解凍
採取した土壌成分を●情報収集し、環境に適合した農業知識や肥料の作成法等を纏めてゆきます
情報は文書に纏め、現地の方に手渡し
作物が特殊な為、適宜修正が必要かもしれませんがお役に立つ筈です
このサツマイモを始め、皆様の世界は本来高いポテンシャルを備えています
適切に運用し苦難を跳ね除けることが出来れば、必ずや往時の輝きを取り戻せる筈です
そのお手伝いを出来、騎士として喜ばしい限り
どうか皆様の手で実りの秋を…その先の未来を掴んでください
手を伸ばすのは、その先に掴みたいものがあるからである。
それがどんなに輝かしいものであるのか、人は手を伸ばす前から知っているのである。掴み、それを他の誰かへと隔てること無く分け与えることができるものにこそ、つかめるものがある。
分け与えない者は、誰からも与えられない。
自身の心の内より湧き出るのは、他者を思う気持ちである。それは血縁であったり、所属するコミュニティへの帰属であったりと様々なものであろう。
オブリビオンとの戦いによって守られた大規模農場。
その周辺は未だ戦いの痕が残っている。しかし、それでもなお人々は明日を夢見る。
マシンビーストや暴走戦車の残骸は未だ残っており、それを片付ける作業をトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は請け負っていた。
機械馬ロシナンテⅡもまた本来の用途とは違うものであったが、それでも重量物の運搬において、これほど頼もしい存在もない。
拠点に住まう人々や、子供らが歓声を上げる。それは至極自然なことであったのかもしれない。
子供は言うまでもなく巨大なるものが好きだ。少年であれば、殊更に。
「土木工事、耕作作業はお任せください」
トリテレイアは別世界であるダークセイヴァーで数多くこなしてきた経験を活かし、残骸の処理を次々と行っていく。
さらにユーベルコード、理想/模倣の騎士(イミテーション・ナイト)を発動させる。
「凍結データ解凍、読み込み完了。……紛い物なればこそ本物らしく」
その言葉は彼にしか理解できない言葉でったかもしれない。本物ではないとわかっているからこそ、本物を目指す紛い物。
だが、その心根にあるものは、他の誰が見ても疑いようのないものであった。トリテレイア自身のものであったはずだ。
トリテレイアは採取した土壌成分を解析する。荒野であれば、この土地を開発、開拓するには情報は必須である。
そして、ユーベルコードによって得られた世界知識より導き出された農業知識や肥料の作成法等をまとめていく。
情報は文章にまとめ、出力していく。すぐに扱えるほどの簡単なものではなかったけれど、それはいずれ、食糧問題を解消した後に来る問題や、それに伴った事柄にたいする対処が記されていた。
「これを。今すぐには必要ないものかも知れません。作物も特殊な為、適宣修正が必要かもしれませんが、お役に立つ筈です」
文書を受け取る拠点のリーダー。
まだ理解しきれるわけではないようではあったが、それは必ず役に立つことだろう。ありがとう、とリーダーは礼を告げる。
それは拠点を守ってくれたこと、農場を守ってくれたこと、そして何よりも、その騎士然とした姿に子供らの心が明るくなったことへの礼であった。
彼の騎士道は今、アポカリプスヘルにおいても誰かの心を救うに値するものであったのだ。
「このサツマイモを始め、皆様の世界は本来高いポテンシャルを備えています。適切に運用し苦難を跳ね除けることができれば、必ずや往時の輝きを取り戻せる筈です」
その言葉は拠点の人々の心を勇気づけたことだろう。
自分ではない誰かから認められる喜びは、彼等にとって久しく得ることのできなかった喜びであるからだ。
トリテレイアは農地を見やる。広大な土地。未だ完全に整備されてはいないが、自分たちが訪れる前から作業をしていたのだろう。
人の営みはいつだって最初の一歩を踏み出すことから始まる。荒れ果てた大地に、最初の一歩を踏み出した人々をトリテレイアは誇りに思うのだ。
「そのお手伝いを出来、騎士として喜ばしい限り。どうか皆様の手で実りの秋を……その先の未来を掴んで下さい」
その言葉に拠点の人々は笑顔をほころばせる
ああ、と奇妙な感覚が彼の電子回路に走ったかもしれない。
それは彼が見たかったものであったのかもしれない。
その笑顔こそが、彼にとっての黄金。騎士とは誰かの笑顔をかげらせないもの。誰かの笑顔を護るための存在。
だとするのならば、今の彼は正しく騎士であったのだ。誰も紛い物だとは言わせない。
その黄金の笑顔を眩しく思いながら、トリテレイアは未だ見ぬ大規模農場の発展を願わずにはいられなかったのだ―――。
大成功
🔵🔵🔵
愛久山・清綱
危急存亡の秋は去った。真の安寧はまだまだ先とはいえ、
今はこの勝利を喜ぶべきだろう。
だが、農場の受けた被害は大きい……速やかに直さねばな。
■行
【POW】
よし、俺も修繕を手伝おう。力仕事は得意分野でござる。
先ずは資材・道具を乗せた荷車を【牛鬼】を以て運び、
修理が必要な場所を探すぞ。
少々強めに補強し、前よりも耐久度を高くするのだ。
して、資材がなくなってきたら再往復だ。
治す箇所がなくなったら、人手が必要な場所を手伝おうか。
畑を整備したり、戦いで生じたガラクタを取り除いたり……
畑が元の姿を取り戻すまで、働き続けるのだ。
(ふと景色を眺めていると)
此の地も、かつては青々と茂っていたのだろうか。
※アドリブ歓迎
オブリビオン・ストームによってオブリビオン化したマシンビースト、暴走戦車の脅威は消え去った。
猟兵たちの活躍は確かに一歩、一歩とアポカリプスヘル世界を善きものへと変える積み重ねを重ねているのだ。
「危急存亡の秋は去った。真の安寧はまだまだ先とはいえ、今はこの勝利を喜ぶべきだろう」
愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)は戦いの痕が残る大規模農場と荒野を見やる。
戦いに勝利したとしても、まだまだ戦いは続く。生きるという戦いは、いつだって生命在るもの達の目の前に立ちはだかる。
それは食糧問題であったり、外敵であったり。勝利の余韻に浸る暇はない。少しでも心の余裕を取り戻すくらいの余白はあっていいのかもしれない。
「だが、農場の受けた被害は大きい……速やかに直さねばな」
よし、と清綱は奮起する。修繕を手伝おうとユーベルコード、牛鬼(ウシオニ)によって増した膂力を振るう。
「なに、力仕事は得意分野でござる」
あぶない、あぶない、と拠点の人々は常人では確実に腰をやらかすだけではなく、その体すらもぺしゃんこにしてまいそうな物量の資材を抱えた清綱の周りを右往左往する。
ありがたいのだけれど、心配になってしまうのだろう。
快活に清綱は笑い、その心配が杞憂であると言うように資材をなんなく運んでいく。
それをみた住人たちも、そういうものなのかも知れないと納得するほどの働きぶりを清綱は見せた。
けれど、自分たちもああいうことができると誤解だけはしないようにしようと心に誓うのだった。
その間にも清綱は農場の修繕と補強を成していく。暴走戦車だった残骸などで鉄柵をこしらえる。
「何も敵はオブリビオンだけとは限らぬでござるからな……野党の集団などからも守らねば」
彼の言葉通り、たしかに脅威はまだまだある。
だからこそ、壊れる前よりも強力にしなければならないのだ。そうこうしている内に修繕する箇所も無くなっていく。
少しも動きを止めることがない清綱。
なにか人手が必要な場所は……と獅子奮迅の働きを見せる。畑の整備が必要とあれば、鍬を持って駆けてゆく。戦いの余波で飛んできたガラクタを取り除かなければと聞けば、走ってひっこぬき。
畑が本来の姿を取り戻すまで、と働き続ける。
それは戦いの中に身を置く彼にとっては新鮮なものであり、鍛錬に繋がる地道な作業にも似ていた。
額に浮かぶ汗を拭い、清綱は大規模農場を眺める。
そこにあったのは無心であった。ただ、眺めるということをする。たったそれだけなのに、心が洗われていく。
「此の地も、かつては青々と茂っていたのだろうか……」
ぽつりとこぼれ出た言葉。
それは嘗ての自然を思わせるものであったのかもしれない。けれど、今は荒野であり、それを開拓し広げようとする人々の礎である。
しかし、清綱の瞳には、きっと秋には緑に茂り、収穫を待つ姿が見えたような気がした。
それは未来予測ではない。
けれど、清綱の心に去来した風景であった。実りを受け、人々の心に余裕が生まれれば、自ずと人心は豊かなものになるだろう。
そうであるのだとすれば、今農地に根を這わせるは、夢見る秋の黄金。
その恵みを受けて綻ぶ拠点の人々の笑顔を想像すれば、清綱もまた微笑む。
悪意は即座に伝播するけれど、善意はゆっくりと広くひろまっていく。いつだって正しいのは、厳しく険しい道。
この荒野に一歩を踏み出した彼等であれば、何も違える心配はない。
そう思いながら清綱は鍬を振るうのだった―――。
大成功
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