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散りゆくものは心か人か

#サクラミラージュ #幻朧戦線 #籠絡ラムプ

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#サクラミラージュ
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#幻朧戦線
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#籠絡ラムプ


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●桜花
「すまないが手を貸してもらえないか?」
 牙国・蒼志(蒼穹の龍・f15465)はグリモアベースに集まる猟兵に声をかける。
 何人かは了承し、蒼志の周りへと移動する。
「サクラミラージュのとある古書店街で傷害事件が起こった」
「傷害事件?」
「ああ」
 被害者はいずれも刃物による切り傷を身体のどこかに負っている。幸いにも死者はまだ出ておらず、傷も軽傷で済んでいる。
 被害者達に共通するものはなく、犯人も分からず。
 だが、予知の結果あるものが出てきた。
「なにかあると思って視てみたら、こういうものが出てきた」
 見せたのはオイルランプ。
「『籠絡ラムプ』というものだそうだ。オブリビオン……向こうでは影朧だな、これを使って影朧を使役しその能力を自分のユーベルコヲドのように扱える代物だそうだ」
 蒼志が見せたものはレプリカだが、本物はユーベルコヲドが使えない一般人であってもユーベルコヲドを使えるようになるようだ。
 これだけ聞くと便利な道具のように聞こえるが残念ながら、事は簡単ではない。
「これを作ったのは『幻朧戦線』。その組織が帝都を転覆させるためにばらまいた影朧兵器だ」
 最初のうちは、ラムプの効果で影朧は従うがいずれは暴走し所有者をはじめ帝都の人々に害を及ぼす。
「そうなる前に所有者からラムプの没収と破壊、そして影朧の撃破もしくは転生をお願いしたい。さて、肝心の所有者だが、実をいうとすでに目星はついている」

●文武
 所有者は少し前にデビューした若い文豪作家だ。
 彼が書いた処女作が大きく売れ、読者や編集社から次回作を期待される。それに応えようと彼自身も頑張っていた。しかし……。
「ネタが降ってこなかった。ようするにスランプになってしまった」
 期待と重圧に心が折れそうになった彼がどのような手段で籠絡ラムプを入手したのかは分からない。
 最初のうちはネタ集め程度に使ったのだろう。だが、使っているうちに怖くなってきたようで、今は使用を控えているようだ。だが、猟兵がいると分かれば本人の意思に関係なくラムプのほうから勝手に動くだろう。
「ラムプから現れる影朧はとある国の軍人だった者だ。名はわからなった、おそらく記録も残ってないだろう」
 彼の攻撃手段としては、
 ・手に持つハルバードによる三連撃で相手の攻撃力を減らし、全ての攻撃が命中したらユーベルコヲドを封印する技。
 ・自分が戦わない代わりに自分と同等の戦力を持つ戦闘部隊を二種類呼び出す召喚技。
 ・相手のユーベルコヲドを防御し、それを分析し強化した状態で一度だけ使える反射技。

●治療
「事が済んだら作家の彼に何かしらのケアを頼みたい」
 彼は完全な悪人ではない。一時の気の迷いで魔が差してしまっただけだ。だがそれでも、公衆の面前で一部始終を見られた彼の作家としての人生は止まってしまうだろう。それは忍びない。
「ケアの方法は任せる。では、頼んだぞ」
 蒼志のグリモアが光り、猟兵たちを桜舞う帝都へと転送した。


川内嘉治
 島、お餅、花見酒。

 桜で浮かぶ最初の物は活火山、川内嘉治です。
 サクラミラージュにて偽のユーベルコヲド使いである文豪作家の捜索、影朧の撃破(もしくは転生)、青年のケアをお願いします。
 OPでは書ききれなかった補足を。

 籠絡ラムプの所有者である文豪作家の青年に戦闘能力はありませんが、見つかったら逃げようとしますので追いかけてください。
 続く第二章では、ラムプで使役されていた影朧と戦闘になります。
 広い範囲での戦闘を想定していますが、人的被害はないものとします。
 また、影朧の撃破をもってラムプは破壊されます。

 終わりの第三章では、青年に対しての何かしらのケアを。
 もちろん彼をほっといて被害にあった場所の修繕に向かうでも構いません。

 それでは、嘉き文豪人生を。
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第1章 日常 『古書店街』

POW   :    取り敢えずカフェー

SPD   :    街を漫ろ歩き

WIZ   :    古書店巡り

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

末代之光・九十
街を漫ろ歩き。
けど目的はあるから漫ろでは無いかも?

歩き回って。地理を把握して。文豪青年を誘い込む広場を。出来るだけ人が少なくて。誘いこめる要素のある場所を探す。
ゴッド・クリエイションで起こした粘土細工の猫と。『動物と話す』事が出来るから。街の本物の猫達にも手伝ってもらうね。

誘い込む工夫は難しいけど。
古書店巡りしてる人達に聞けないかな。稀覯本売ってた所。
文豪なら。一目位見て見たいと思うかも?


力を得たら。使いたいのが人。皆そう。
不思議を得たら。経験したいのが創り手。きっとそう。
なのに殺す所まではしなかった。抑制した。そうだね。良い子。
出来るだけ穏便に。済ませたいね。清ませたいね。

所で青年の名前は?



●漫ろ歩き
「所で、青年の名前は?」
 失念していたグリモア猟兵から文豪作家の名前を聞いた、末代之光・九十(何時かまた出会う物語・f27635)。
「茶川龍介、さがわりょうすけ……」
 文豪として生きるようなそんな名前。そんな名前でデビューしたのならスランプにもなってしまうのかもしれない。
 手に入れた彼の本を片手に九十は思う。
 ゴッド・クリエイションで生命を宿らせた粘土細工の猫と共に古書店街周辺を歩き回る。古書店街を縄張りにしている本物の猫たちとも『会話』し誘い込める場所を探す。
 やがて、人が少ない広場を見つける。人が少なくて気が楽と、猫たちは言っていた。
 猫たちには申し訳ないがここに誘い込もう。

 神である彼女は思う。
 力を得たら。使いたいのが人。
 皆そう。
 不思議を得たら。経験したいのが創り手。
 きっとそう。
 なのに殺す所まではしなかった。抑制した。
 そうだね。良い子。
 出来るだけ穏便に。
 済ませたいね。清ませたいね。

 粘土細工の猫が、にゃあと一鳴き。

成功 🔵​🔵​🔴​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。
第一人格『疾き者』、一人称『私/私たち』。
四人は生前の戦友。

地形把握目的で歩きますねー。
こういうところを、四人でのんびり歩くのは、初めてかもしれませんねー。
以前(生前)は、戦いばかりでしたから。
(内部で他の三人も楽しんでたり)
あ、ついでにその青年の処女作、あったら買っていきましょうか。本はよいものですしー。

さて、【それは陰のように】も使って、その文豪作家を探しましょうかー。
穏便に済ませたいのですよねー。
だってその方、使い続けることなく止まれたのですから。
つまりは、まだ間に合うってことでー。

今を生きている人を助けたい。そんな悪霊がいてもいいでしょう?



●四で一
 一人の壮年男性が古書店街を巡っている。
「こういうところを、四人でのんびり歩くのは、初めてかもしれませんねー」
 と、何とはなしに呟くが彼の周りには誰もいない。
 それもそのはず。彼、馬県・義透(多重人格者の悪霊・f28057)は四人で一人の悪霊だ。
 表に出ている第一人格『疾き者』の言葉に、内にいる他の三人も同意する。
 彼らの生前は、共に戦いを生きた戦友同士だった。故郷をオブリビオンによって滅ぼされ、自分達も死んでしまったが、なんの因果か四人の魂は一つの体に集まった。
「あ、ついでにその青年の処女作、あったら買っていきましょうか。本はよいものですしー」
 文豪作家『茶川龍介』の本を一冊購入。
 名前と顔を覚えて【それは陰のように】で霊力で出来たカラスを4羽召喚し捜索をはじめる。

「穏便に済ませたいのですよねー」
 カラスが見た光景を『四人』はそれぞれ見る。
「だってその方、使い続けることなく止まれたのですから」
 カラスの1羽が対象を見つけた。
「つまりは、まだ間に合うってことでー」
 見つけた場所へと歩き出す『四人』。
 悪霊として生まれ直した自分達だが。

 今を生きている人を助けたい。
 そんな悪霊がいてもいいでしょう?

成功 🔵​🔵​🔴​

フルム・サーブル(サポート)
口調はステシ通り、穏やかで優しそうな感じが基本です

木々や花、森といった自然を愛しているフェアリーです
ただし技能と能力がだいぶパワー(物理)に寄っている節があり、
何か解決しなければならない任務と並行する場合は怪力などの技能を活用します

花や植物などの自然をモチーフとしたものを好む傾向があり
関係する事柄に積極的に関わりに行きます

悲しみを癒すような内容なら
花を植えて妖精さんのパワー(魔法)で綺麗な花畑を作ったりします

キャラぶれは気にしないので、公序良俗に反しない限りは
好きに動かしちゃってください


枯井戸・マックス(サポート)
「まあ焦らず行こう。珈琲でも飲んで一服していくかい?」

●人物
大人の余裕と笑みを絶やさないマイペースなマスター
魔導的遺物を集める事を目的として、様々な世界に出向いては厄介事に首を突っ込む
罪もない人々が理不尽に平和と自由を脅かされる場面に出くわした時は本気の怒りを見せる

●戦闘
主な戦闘手段は亡き相棒の形見のリボルバー
相棒の肉体は魔導遺物による防腐処理・肉体強化を施して依代として活用している
本気の戦闘時は依り代の顔に張り付き(仮面を被り)自身が集めた魔導遺物を召喚して武装する

●探索
第六感と喫茶店主として培ったコミュニケーション能力を活かした対人対応を得意とする

その他行動は保持技能を参照の上アドリブで



●団子と人外
 ふわりと、小さな妖精が古書店街の通りを舞う。
「うーん、探そうと思うと意外と見つからないものだね……」
 妖精――フルム・サーブル(森林の妖精さん・f03354)は作品の末尾に載っていた写真の顔を思い出しながら、通りのあちらこちらを飛び、かの文豪作家がどこにいるのかを調査していた。
 仮に見つけても自分のような小さなかわいらしい妖精であれば逃げ出さないのかもという考えも、実は入っている。
「やぁ、お疲れさま。収穫はどうだい?」
 団子屋のベンチでフルムを迎え入れたのは枯井戸・マックス(マスターピーベリー・f03382)。彼もまた、文豪作家の捜索に手を挙げていた。
 フェアリー用に切り分けた団子をもともとあった人間サイズの団子皿に置きその横に妖精用のお茶を置く。
 マックスの用意に礼を言いながらフルムは茶をすする。
「んー、表立った通りにはいなかったねぇ……そっちは?」
 団子に手をのばすフルムの返しにマックスも自分の団子に口をつける。
「そうだねぇ、こっちはそれなりな情報が見つかったよ」
「へぇ、どんな?」

 マックスが見つけた情報によると、文豪作家『茶川龍介』は作家としてデビュー後、夜な夜なランプを片手に古書店街の裏通りを渡り歩いてたそうだ。偶然誰かに出会って挨拶やちょっとした雑談をして、その人と別れたらまた渡り歩く。
「毎夜そうやってたみたいだね。最初はまぁ、怪しまれたみたいだったけど、毎夜してるうちに作家としてのネタ集めって認識されたようだよ」
 まぁ、もっとも。
「『傷害事件』が起きてからはその頻度は減ったみたいだけど」
 食べ終えた団子の串をくるくるとまわしながらマックスは情報の共有をフルムとした。
 マックスの質のある情報にはフルムもうなずくものがある。
「それだけの情報、良く集められたねぇ」
 きっとかなり足を使ったのだろう、その労力にフルムはただ感心する。
「言うほど苦労はしてないよ?ただお団子を買って、それとなーく店員さんやお客に聞いてみただけさ」
 こともなく言っているが、はじめて会うような人の口から貴重な情報を引き出せるなんて、ある意味才能があるのだろう。

「さて、と。団子もいただき終わったし、早速彼のもとへ行こうか」
 団子を食べ終えた二人は通常より少し多くの代金を支払い、かの文豪を指定の場所へ誘い込むため行動を再開した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『名も喪われし大隊指揮官』

POW   :    極天へ至り、勝利を掲げよ
【槍先より繰り出される貫通刺突】【斧刃による渾身の重斬断】【石突きの錘を振るう視界外殴打】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
SPD   :    ヴァルハラに背くは英雄軍勢
戦闘用の、自身と同じ強さの【完全武装した精鋭擲弾兵大隊】と【戦車・重砲を備えた混編機甲部隊】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
WIZ   :    アーネンエルベの魔術遺産
対象のユーベルコードを防御すると、それを【魔術兵装で分析し、性能を強化した状態で】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ユエイン・リュンコイスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●暴走
 文豪『茶川龍介』は自分を探していた人物たちから逃げていた。
 ユーベルコヲドを使う彼らの姿を見て、茶川は気づいた。
 彼らは、猟兵と呼ばれる異世界の『超弩級戦力』だ。きっと自分がしてしまったことに対しての罰を与えにきたに違いない。それがどうしようもなく怖くなって逃げだした。
 やがて、茶川はある広場へとたどり着く。
 野良猫たちが不満の声をあげながら逃げ出して。
 慣れない運動をして息が上がり、気が付いたら猟兵たちが自分を取り囲んでいた。
「あ……あ……」
 動揺する茶川をあざ笑うかのように腰につけていたラムプがカタカタと鳴り始め、火種もないのに燃え始めた。
 反射的にラムプを手放し、地面にたたきつけるとラムプの煙から影朧が姿を現した。
 影朧は元の所有者だった茶川に目を向けると一言も話さずに武器を向けた。
馬県・義透
アドリブ歓迎。
『疾き者』のまま。
対応武器:漆黒風

UCで一人、この場での『私たち』を増やしましょう。
『私たち』は基本、後衛の援護射撃・投擲連携が得意なんですよー。
前衛がいない場合は、私が出ますねー。何せこれでも忍者でしたからー。
あなたとの連携も、久しぶりですねー。
ふふ、本当に…ええ、その時まで。


第二人格『静かなる者』
一人称『私/我ら』丁寧な物言い。
対応武器:白雪林

お呼びか。
連携が久しぶり…生前以来になりましょう。
ですが、『我ら』の連携は変わらず。
そう、いつか『我ら』が真に終わる、その時まで。

※二人とも茶川のことは気にかけているため、危険が及ぶ、と判断すると技能【かばう】を使ってかばいます。


末代之光・九十
…君。龍介さんに武器向けてない?
それは駄目。勝手が過ぎる。道理も何もあったものじゃない。

守り走る。間に合っても間に合わなくても抱きしめて背で庇って。
「危険だから。今は動かないで。大丈夫。君への罰なんてお説教位だよ」

さあ。蛇口全開で行こうね。

<寿がれし死より、忌まれし生命へ。生命(ホノリ)に関する第九権の行使。及び随時の解放>
生命の氾濫。

傷も穴も欠落も。僕の集めた生命で埋めるね。
龍介さんもほかの猟兵も皆。皆。皆だ。

でも。影朧の君。過去の帝国の亡霊。君だけは別。
今を生きていない過去の残滓は。多分。生命を浴びても何も埋まらない。君の傷も穴も欠落も。もう何処にもない過去によってしか埋まらないのだから。



●ふえてゆく
 ラムプに囚われていたオブリビオン――影朧の軍人は槍斧を元の所有者であった龍介へと振り下ろす。
 振り下ろされた刃はしかし、龍介ではなく彼をかばった九十の背中を切り裂いた。
「あ……なん、で……」
「危険だから。今は動かないで。大丈夫。君への罰なんてお説教位だよ」
 抱きしめるようにかばった彼女の声は不思議なくらいによく聞こえ、龍介は黙り込む。
 攻撃を防がれた影朧は二人まとめて切り裂こうとするも、飛んできた数本の棒手裏剣に気づき攻撃を中断し距離をとる。
 棒手裏剣は九十に遅れてやってきた義透が投げたものだ。
「傷は?」
「平気。治せるよ」
「なら、私たちが前に出ますか」
 地面に刺さった棒手裏剣――漆黒風を回収しながら言う義透はもう一人の自分を呼び出す。
 『もう一人の自分』というのは義透に限っていえば語弊がある言い方かもしれない。
 現れた姿はたしかに義透の姿だ。
 だが、その中身、『人格』が違う。
「お呼びか」
「ええ、状況は……話さなくともわかりますか」
「ああ」
「では、後衛はお願いしますね」
「心得た」
 頷いた『静かなる者』は長弓――白雪林を構え、『疾き者』が前衛として前に出た。
 影朧はさらに距離を取り、手に持つ槍斧の石突を地面に数度叩くとかつて己が指揮を執っていたのであろう完全に武装された精鋭擲弾兵部隊と、戦車と重砲を備えた混編機甲部隊を呼び出した。

「おやおや、これは多い」
 早々にピンチというやつでしょうかと、『疾き者』は強風が吹き始めたとでも言うようにとくに慌てずに言う。
 駆け出した『疾き者』を援護するように『静かなる者』は矢をつがえ放つ。
 敵部隊の銃口が『疾き者』に向くとその数を減らすために兵士の肩を射ち。『静かなる者』自身に向いたときは銃弾をかわし脳天へ反撃の矢を放つ。
「あなたとの連携も、久しぶりですねー」
 榴弾の雨を避けながら兵士へ近づき背後を取ると首に漆黒風を突き刺す。
 撃たれる重砲の弾丸を突き刺した兵士の体で防ぎ、『静かなる者』へと声をかける。
「生前以来になりましょうか。ですが……」
 『疾き者』の後ろにいた兵士の頭へ『静かなる者』は矢を放ち。
「『我ら』の連携は変わらず」
 『四人』は息が合う。それは生前から変わらない。連携が取れなくなった時、それは『四人』が本当の意味で終わるとき。
「ふふ、本当に……ええ」
「「その時まで」」
 『四人』はその時まで離れることはない。

●あふれゆく
「あの、大丈夫、ですか……?」
 とりあえず自分が狙われなくなったので抱きしめから解放された龍介は恐る恐る自分を守ってもらった少女、九十に問いかける。
 ͡九十はわらいながら、答える。
「これ?治せるよ。さっきも言ったでしょ?」
「で、でも女の子にそんな傷……」
 さすがに申し訳ないと思っているのだろう。龍介の顔からは血の気が引いている。
「僕は君より長生きしてる、きっと何倍も。でも、そうだな……」
 彼の不安を取り除くのも必要だろう。それなら、こういうべきだろう。
「心配してくれて、ありがとう」
 さあ、と。いい加減、前の『二人』の援護をしなければ。
 九十は祝詞を唱える。

<寿がれし死より、忌まれし生命へ。
 生命(ホノリ)に関する第九権の行使。
 及び随時の解放>
 九十の体から『生命という概念』が溢れ出る。
 溢れ出た概念は九十の傷を癒し、龍介を癒し、戦闘をしている『二人』も癒し。欠落された箇所を生命で埋め尽くす。

 だが、生命の氾濫は過去からにじみ出た者たちを癒さない。
 氾濫に巻き込まれた兵士たちは何も理解できないまま消えていき、生命の氾濫は敵の指揮官まで及んだ。
 さすがに『生命』というものは防げられなかったのだろう。
 何もできずにただ、氾濫が収まるまで動かずに耐えていた。
 今を生きていない過去の残滓である影朧。欠落したものを埋めるのはもう何処にもない過去。
 九十はほう、と息をついた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ケルスティン・フレデリクション(サポート)
人や動物を傷つけたり、道具にしたりする敵には殺意高め。
ひとは、オブリビオンのどうぐじゃないし、きずつけられるためにいきてるんじゃないもん
だから、助けなきゃ!


一人称 わたし
二人称 名前を呼び捨て

口調は幼く
言い切る形や「〜なの」「〜よ」言葉尻を伸ばすことも多い

基本的には皆のお手伝い役
戦闘や情報収集、その他言われた事を行います。
 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●ひかりきらきら
 ケルスティン・フレデリクション(始まりノオト・f23272)がその現場を見たとき、影朧は茶川に顔を向けていた。
 頭全体が覆われた兜の下でどのような顔で何を思っているのかはわからない。
 だが、槍斧を持つ手がまだ強く握っているところを見るに彼のことは諦めていないようだ。
「ひとは、オブリビオンのどうぐじゃないし、きずつけられるためにいきてるんじゃないもん」
 だから、助けなきゃ。
 影朧を改めて敵を認識したケルスティンは指先を影朧に向け、詠唱する。
「『ぴかぴか。くるくる。ふわふわ』」
 幼い彼女からの口から出るのは見た目通りの、優しさのある柔らかい言葉。
 しかし、それは魔法としての強力な言葉。
 軍人であった影朧の頭上から、強くまぶしい光が降り注ぐ。
 ケルスティンの『ひかりのしらべ』の効果範囲は広く、敵が逃げることを許さない。
 光は少しずつ収束してゆき。光が収まったそこには片膝をつく影朧の姿があった。

成功 🔵​🔵​🔴​

鳩麦・灰色(サポート)
「ウチ、やなくて私も手伝わせてもらうよ」
「アンタ(敵)はそこで黙ってて」

◆特徴
独り言は関西弁
話言葉はほぼ標準語
脱力した口調
『敵さん』の行動の意図を考える傾向があるが内容に関わらず容赦しない

◆行動
【ダッシュ】【クライミング】【地形の利用】で場所を問わず速く動く事が得意

戦闘は速さで回避重視
味方が居れば武器の音で【存在感】を出し率先して狙われにいく

攻撃は主に【衝撃波】を込めた鉄パイプを使用、空砲銃は場合に合わせて使用

◆UC
索敵、回避特化ではUC『三番』
集団戦では『四番』
敵単体では『一番』か『二番』を使用する

◆日常
日常は何かしつつ寝落ちる事が多い


協力絡みセリフ自由
他おまかせ。よろしくおねがいします!



●柏手
 鳩麦・灰色(音使いおおかみ・f04170)は軍人へと駆ける。
(どうしてこの軍人はこうなるまで従っていたんやろ)
 当たればただではすまない軍人の攻撃を危うげもなくかわしながら、灰色は『敵』の行動の意図を読み取ろうと思案する。
「……まぁ、考えても仕方ない、か」
 大きく振り下ろされた斧の一撃を一歩後ろに下がってかわし、片足で一気に前へと詰める。
 敵が反撃に出る前に両の手を敵の目前で、鳴らす。

 乾いた音が一度だけ。
「去れ、"一番"」
 灰色の真音型、その一番は至近距離でのみ発動できる邪気祓いの柏手(かしわで)。
 灰色の詠唱が遅れて響き、軍人の持つ槍斧の柄にヒビが入り間をおかず砕けちる。
 もはや槍としての機能を失った武器の石突きを灰色に向かって突き出す影朧。
 それを灰色は鉄パイプで受け止め、弾きとばす。
 弾かれた石突きは地面を転がりながら消えていった。
 満身創痍となった影朧の行く末は定められた。

成功 🔵​🔵​🔴​

水鏡・多摘
因果応報とは云うものの、過分な罰は禍根を齎す。
その罪が何者かの悪意に依るものならば…禍根を積極的に連鎖させていくのじゃろう。
そうはさせぬ。
文豪作家も避難しているなら全力で向かう。

UCで飛翔し上空から広場内に神罰の雷を降らせ攻撃。
威力こそそこまでではないが…仮に誰かに対し軍勢を召喚しようと解除させる程度はできる。
建物などを利用しての跳躍、そこからの槍による連撃には警戒。
その兆候が見えた場合は速度を限界まで加速し更に高く、相手の軌道から外れるようにし回避優先。
そして回避できたなら空中の相手に向かい反転、突撃してすれ違い様に祟り縄で一気に拘束し締め上げ地面に叩きつけてしまおう。

※アドリブ絡み等お任せ



●迅雷
 晴れていた空がにわかに曇りだす。
 ごろごろと鳴り響く暗雲の中を一匹の竜が舞う。
 それは決して夢幻の類ではなく、水鏡・多摘(今は何もなく・f28349)が変化した姿だ。
(因果応報とは云うものの、過分な罰は禍根を齎す)
 行ってしまった罪が何者かの悪意によるものならば、禍根はより積極的に拡がる。
 そうはさせぬと竜は走る。
 雷鳴が轟き、大地にふりそそぐ。
 しかし、それらはこの場にいる猟兵たちや文豪作家へぶつかることはない。
 多滴が定めた『敵』にのみ天罰がくだされる。
 影朧が召喚する部隊が生み出されるたび、雷が部隊を消滅させる。
 意味がないと察したのか、部隊の召喚を止めた軍人は駆け回る竜へと跳躍し斧をふるう。
 斧がふるわれる速度より速く加速しその軌道から外れた多滴はすぐに反転、軍人へと突撃する。
 すれ違いざまに祟り縄で軍人を縛りつけるとそのまま地面へと叩きつける。
 重い音が響き、土煙が舞う。
 土煙が晴れ、着弾点にいた影朧はピクリとも動かず。
 ヒビだらけになった兜が少しずつ剥がれはじめる。
 だが、覆われていた顔があらわれるより前に暗い炎が兜の代わりになるかのように覆いつくされる。
 その炎は全身へとまわり、名前も喪われた軍人はその体を燃やしつくしていった。
 やがて雷鳴が収まり、雲が切れはじめ。
 空が晴れ渡る同時に軍人の姿は燃え尽き、灰も残さず消え去った。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『籠絡ラムプの後始末』

POW   :    本物のユベルコヲド使いの矜持を見せつけ、目指すべき正しい道を力強く指し示す

SPD   :    事件の関係者や目撃者、残された証拠品などを上手く利用して、相応しい罰を与える(与えなくても良い)

WIZ   :    偽ユーベルコヲド使いを説得したり、問題を解決するなどして、同じ過ちを繰り返さないように教育する

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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

末代之光・九十
お説教

…ん?人を傷つけた事?違うよ?
だって龍介さん。それが悪い事だって分かってるから控える様になったんでしょ?なら必要ないよ。

お説教するのはね。凄く当たり前の事。
一人で抱え込んだ事。

ちゃんと人を頼って?
スランプもラムプもその意味では同じ。悩んだ時。苦しい時。辛い時。独りぼっちのままで良くなる事なんて無い。
君が一人で平気で無敵で困らないなら別だよ?でも。違うよね?違ったよね?

手を伸ばして。
誰にでも良い。掴んでくれる手を。繋がれる相手を探して。それは力だから。
さし渡って。少なくとも。僕は。掴むよ
(手を握る)
九十と言うよ。これから君がどうするにしても。どう歩くにしても。
困った時は。きっと。教えてね?


馬県・義透
引き続き『疾き者』
同じ顔が二つ在ると戸惑うでしょう、ということで『静かなる者』は引っ込みました。

まあねえ、罰を与える気はないんですよー。
あなたもあの影朧に狙われたのは間違いないんですからー。
ええ、あなた“も”狙われた。そうでしょう?(にっこり)

(こっそり)
それにあなた…止まったでしょう?その狂乱に身を任せることなく止まった。
止まった理由は何でもいいんですよー。止まったという事実だけが重要なんですよー。

まあ、強いていえば…そのラムプの入手経路を話すことですかねー。
それ、悪意によってばら蒔かれたやつなんですし。
あなたは巻き込まれた。ただそれだけ。

あ、あと。本にサイン、くれませんか?


水鏡・多摘
後始末…難しいのう。
茶川が全く悪くないかと言われれば力を振るった、それは悪事。
本人が一番理解していて勝手に苦しむじゃろう。
だがそれだけで終わりは駄目、前に進ませねば。

念の為周囲に一般人がいないか確認。茶川の破滅は幻朧戦線の思うつぼ。
罰は与えない。我は法の執行者ではないから。
悩みのスランプ…期待と重圧、自身で制御できない周りの目は恐ろしいもの。
けれど考えてみるといい。何の為に物語を綴るのじゃ?
もし只心の裡の物語を綴り、残したいだけなら…今すぐ他人の期待に応える必要はないのでは?
案外世間は個人に無関心、それに無理に合わせようとするから歪む。
それを踏まえ考え直すのがよかろう。

※アドリブ絡み等お任せ



●罪人失格
 影朧は討伐された。そして、それを捕らえていた籠絡ラムプも。
 広場に残されたのは戦闘の跡と猟兵たちと、呆然と座り込んでいる文豪、茶川龍介だけだった。
 戦闘中はいなかったが、さすがに騒がしかったのだろう。ざわざわと野次馬の声が聞こえ始める。
 戦場の後始末は先駆けてやってきた警察と帝都桜學府のユーベルコヲド使いに任せ、猟兵たちと茶川は一度、桜學府の支部へと移動する。

 支部の相談室に入った茶川は猟兵たちに頭を下げた。
「……この度は、ご迷惑をおかけしました」
 どんな罰も受けますと震える声で言う茶川に猟兵たちは顔を上げるよう彼に言う。
「罰は与えぬ。我々は法の執行者ではないから」
 顔を上げた茶川に龍神である多滴の声がまず上がる。
「まあねえ、罰を与える気はないんですよー。あなたもあの影朧に狙われたのは間違いないんですからー」
 あなた“も”狙われた。そうでしょう?と一人に戻った義透はにっこりと笑った後、茶川に耳打ちをする。
「それにあなた…止まったでしょう?その狂乱に身を任せることなく止まった。止まった理由は何でもいいんですよー。止まったという事実だけが重要なんですよー」

 再び笑った義透は一歩下がり九十へと順番を回す。
「僕からはお説教」
「お説教……人を傷つけた事、ですよね」
「……ん?違うよ?」
 え?と疑問を浮かばせる茶川に九十は続ける。
「だって龍介さん。それが悪い事だって分かってるから控える様になったんでしょ?なら必要ないよ。お説教するのはね。凄く当たり前の事」
 それは、一人で抱え込んだ事。
「ちゃんと人を頼って?スランプもラムプもその意味では同じ。悩んだ時。苦しい時。辛い時。独りぼっちのままで良くなる事なんて無い。君が一人で平気で無敵で困らないなら別だよ?でも」
 違うよね?違ったよね?
「手を伸ばして。誰にでも良い。掴んでくれる手を。繋がれる相手を探して。それは力だから。さし渡って。少なくとも。僕は」
 掴むよ。そう言って九十は茶川へと手を伸ばす。
 茶川は彼女へと震える手を伸ばし、繋がる。
「九十と言うよ。これから君がどうするにしても。どう歩くにしても。困った時は。きっと。教えてね?」
 はい、と声を震わせながらもしっかりと頷く茶川。
 それを見た義透は、ああと思い出したように声をあげる。
「そういえば、我々の自己紹介がまだでしたね」
 うむ?そういえばそうだと多滴も気づく。
 遅くなったがそれぞれ自己紹介を済ませ、多滴は話しの続きだがと思うことを話し始める。
「悩みのスランプ……期待と重圧、自身で制御できない周りの目は恐ろしいもの。けれど考えてみるといい。何の為に物語を綴るのじゃ?」
「何の為に……」
「うむ。もし只心の裡の物語を綴り、残したいだけなら……今すぐ他人の期待に応える必要はないのでは?」
 案外世間は個人に無関心、それに無理に合わせようとするから歪む。
「それを踏まえ考え直すのがよかろう」
「そう、ですね……考えてみます」
 あとは、と義透は回収しておいた籠絡ラムプについて尋ねる。
「このラムプ、どこで手に入れたんです?これ、悪意によってばら蒔かれたやつなんですし」
「それが、よく覚えてないんです……」
 本が書けなくなった時に酒に溺れた日がある。その時に誰かから貰ったものだと覚えているが、その『誰か』が全く思い出せないという。
 老いていたのか若かったのか、男だったのか女だったのか、人間だったのかそれ以外の種族だったのか。
 何一つ思い出せない。
「ふーむ、魔術的な何かで認識が妨害されたのでしょうか?」
 これ以上の情報はおそらく見つからないだろう。残念だが今は良しとしよう。
「あ、あと……」
 懐から本を取り出し、茶川に見せる。
「本にサイン、くれませんか?」

●後日
 茶川龍介は二作目の本を書き上げた。一作目から随分と間が空いてしまった。
 出版社の方で印刷がされ、手元にはその見本誌が一冊。
 そのタイトルは。

『散りゆくものは心か人か』 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年07月28日


挿絵イラスト