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三千世界に咲かせましょう(作者 やさしいせかい
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●共に参りましょう
 誰にも気づかれず。誰もが近寄りもしない。
 そんな、町の隅を覆う陰の中を夢幻の如く歩き彷徨う――人型の影。
「あ、ノ――」
 侍女服を纏うその姿はうら若き乙女のそれを思わせ、事実その容姿は若い女性を模している。
 だが柔和な笑みを浮かべる女の瞳の片方は罅割れており、その亀裂から漏れる淡い電光は彼女が人を模した機械人形であると如実に語っていた。
 女は手を伸ばし眼下を這いずる『モノ』に声をかけた。
「どこカ、痛むノですか。何カ、お手伝いヲ……致しまショウか?」
「――」
 途切れかけの掠れた音声が紡ぐ問いに答えたのは、南京袋に入った魍魎が如き様相をした女の呻き一つのみ。
 ただ、偶然だろうか。
 伸ばされた手を反射的に掴もうとした影朧、南京袋の女は一度は掴んだそれを撫でる様にして離したのである。
 女――過去『藤咲さん』と名を与えられていた試作パーラーメイドロボットの一機――は、罅割れた瞳の奥から邪気を纏った妖光を漏らして歓喜する。
 ロボットでありながらその感情を露わにする姿は、まるで。
「嗚呼……ソウなのですね。何か、できる事ガあるのです……ネ?」
 壁際に手を当て、その柔和な笑みを浮かべていた表情を上書きするように。
 轟音。続いて石造りの壁を砕き割ったメイドロボットは、周囲を見回した。誰も居ない寂れた町の一画を覆う陰の中を蠢いている、傷付いた影朧達の存在を彼女は認識する。
 そして。

●それで
 シック・モルモット(人狼のバーバリアン・f13567)は気まずそうな顔をしながら首を傾げた。
「……私がグリモアに、ねぇ。
 ああ、こっちの話だ……なんでもない。それより仕事の話をしようか」
 シックは予知した事件について語り始めた。
 事が起きたのはサクラミラージュの帝都から程近い位置にある山村だ。
 かつては都市に近い立地から幾人かの資産家が土地を管理していたのだが、長い歴史の中で管理者が不在となった小さな町が在ったのである。
「誰も居ない町。ゴーストタウンっていうにはちっさい町だよ、ロクな管理もされなくなった山景色なんか鬱蒼とし過ぎてて陰気臭いってトコさ。
 でもってそんな人の気配が無い場所に実は『逢魔が辻』が発生してたらしい。
 今日に至るまで影朧はどいつも知性の薄い連中ばっかりだったみたいで外に出て来なかったようだがね、どうにも……"頭"を張れるようなヤツが現れたんだろう。急に影朧が統率された動きで近隣の村々を襲い始めたみたいだった」
 シックが見たのは、魑魅魍魎が溢れ出したかのような光景だという。
 麻袋を被った女達に襲われる村人達。花を全身から咲かせ助けを乞いながら救助に来た者を襲う警官や子供達。
 知性乏しき影朧達を統率し、導いていたのはメイド服姿の女だ。
「今なら……酷いことになる前に間に合うと思う。
 脅威になり得る要素は数の多さとボスだけ、集団戦が続く事さえ目を瞑ればメイドの相手をするだけで『逢魔が辻』から湧いた連中を潰せる筈だ。
 ……私は腕に関しちゃあんまりだけど、猟兵なら問題ないと思ってる。だろ?」
 シックは「歯痒いけど、頼んだ」と小さく頭を下げるとそこで話を終えた。
 彼女の言う通り。後は猟兵達の出番である。





第2章 集団戦 『死に添う華』

POW ●こんくらべ
【死を連想する呪い】を籠めた【根】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【生命力】のみを攻撃する。
SPD ●はなうた
自身の【寄生対象から奪った生命力】を代償に、【自身の宿主】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【肉体本来の得意とする手段】で戦う。
WIZ ●くさむすび
召喚したレベル✕1体の【急速に成長する苗】に【花弁】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔴

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●お客様を御迎えに上がりましょう
 何処からか流れ込んで来た桜の花弁を手に、パーラーメイドロボットだった者は首を傾げる。
 それまで自ら誘い、そして導いて来た者達の気配が消失していたのだ。
「……どなタか、御越しにならレたのでしょうカ」
 『藤咲さん』はゆっくりと確かめる様に首を回した。彼女がいるそこは薄暗い、武家屋敷が打ち棄てられて久しい廃屋だった。
 暗がりの向こうから呻き声や喘ぎ声のような物が響いてくる。緩やかな足取りで、強かに踏み締める足音が連続して木霊する。
「如何でショウ、皆様――お客様ヲ御迎えに上がりませんカ? きっと、喜ンで頂けル事でしょう。皆様も寂シくなくなるかも知れませン」

 暗がりの向こうから『藤咲さん』の呼び掛けに応えるかのように、それらは姿を現す。
「うぁああ……」
 儚くて、醜くて。死に添う華は森の外へ向かい往く。
 猟兵達にも咲かせる為に。
メイリン・コスモロード(サポート)
『一緒に頑張りましょうね。』
人間の竜騎士×黒騎士、13歳の女です。
普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、時々「対人恐怖症(ワタシ、アナタ、デス、マス、デショウ、デスカ?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
人と話すのに慣れていなくて
「えっと……」とか「あの……」とか多様します。
戦闘ではドラゴンランスを使う事が多い。

その他、キャラの台詞はアドリブ等も歓迎です。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 大気を震わせんとする轟音に次いで、粉砕されバラバラに吹き飛んだ木片が山林を薙ぎ払う。
 濛々と立ち込める粉塵の奥から駆け抜けて来るのはメイリン・コスモロード(飛竜の鉾・f13235)と、彼女が揮うドラゴンランスと打ち合う影朧だ。
「ぁああああ……!」
 呻き声。そこに連なり重なる、千鳥足気味な足音。
 『逢魔が辻』から最も近い位置に在ったのだろう何処かの村を襲い、村民を乗っ取ったと思しき植物型の影朧は美醜に迷いを覚える外観で花と根を振り乱している。
「今……私が解放しますから!」
 携える双槍を構え、メイリンが呼吸を合わせる。
 寄生している影朧の能力は長期戦になればなるほど分を悪くする。彼女は竜槍を軋むほど掴み直し、浅く吐いた呼吸と同時に一気に踏み込んで行く。
 聖なる力を纏いし竜槍が描く白銀の軌跡、夜空を流れ往く星の流れに等しい一閃が真っ直ぐに影朧を貫く。
「せぁ!」
 地面を踏み砕き直角に、突き穿つ穂先の下から更に踏み込んで繰り出された流星が次々に影朧を貫き穿ち、吹き飛ばして行った。
成功 🔵🔵🔴

御園・桜花
「…寄生された方への、回復が不足するかもしれません」

呪詛耐性あり
UC「桜吹雪」使用
高速・多重詠唱で桜吹雪に破魔の属性与え、寄生された人間部分以外の敵本体だけでなく、攻撃に使用された根や花や苗も切り刻み殲滅する

「一部分でも逃がすと、また他の場所で同じ事が起こるかもしれません。生への狂おしいほどの執着が、私達植物の生存戦略ですから」

「貴方達とは共存出来ません…ごめんなさい。可能ならば、普通の草花になって戻られますよう」
寄生者に申し訳なく思いつつも殲滅優先
事件終了後に桜の癒やしを使わせて貰おうと思いつつ花殲滅後の寄生者の様子を改め、脇に集めて寝かせておく

「此処を辻にした方との決着まで、お待ち下さい」



 地形と能力が合致し、その相性が良いというものほど恐ろしい事は無い。
 『死に添う華』の殆どは主に寄生対象――人間の元々の性能や能力に依存している部分が多い。そこに加えて寄生体である影朧自身が攻撃を加えて来る事も含めば、相応に厄介なのは間違いない。
 だが、これらは植物だ。
「……寄生された方への、回復が不足するかもしれません」
 それを御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)はよく理解していた。外観からの判断だけでなく"そう感じる"が故に。
 桜花の眼前で蠢く影朧は、寄生し体を乗っ取った村民の体内から管を伸ばし幾つかの塊を吐き出す。それらはこの悍ましい植物が生んだ苗であり、召喚した分身体だ。
 ふしゅるる。と漏れ出す様な声を挙げた本体に呼応した苗は急速に成長を遂げ、やがて桜花の前で大きな極彩色の花弁を開くと表現し難い動きと共に飛翔を始める。
「……!」
 袖口から滑る銀盆。桜花の胸元で弾かれる金属音に次ぎ、彼女は反射的に後退し空を切る蔓の刃を見抜いた。
 元来、植物の本質はシンプルに増殖に向かっている。根を張り、エネルギーを吸い上げ、成長し花をつけ種を撒く。そこに何の違いも無い。
「――……一部分でも逃がすと、また他の場所で同じ事が起こるかもしれません。生への狂おしいほどの執着が、"私達"植物の生存戦略ですから」
 そう、そこに何の間違いも無い。
 桜花の足下から吹き荒れる霊的なまでの気配は風を纏い、そこに温かな桜の薫りが混ざり昇る。否、桜吹雪そのものとなって辺りを飲み込んだのだ。
 鉄扇をひらりと揮った直後、それら桜吹雪は破魔の力を宿す。既に桜吹雪は静かに死の華を刻み掻き散らしている。
 それを、まとめて焼き払うかの様に。幾重にも連なった破魔の刃が切り刻み、桜花の視界に映る苗含む全ての影朧を粉微塵にして飛ばしたのだった。
 一切の容赦もすることなく、迷わず桜花は殲滅を選んでいた。
「貴方達とは共存出来ません……ごめんなさい」
 重い音を響かせて地に崩れ落ちる村民達とは別に、舞い上がって行った桜の花弁を追い空を見上げ彼女は祈る。
 どうかせめて普通の草花に戻るように……と。
「く、うぅ……っ」
「……よかった」
 近付き、様子を検めて見れば村民達の息はまだあるようだった。
 直ぐにでも治療に掛かりたいが、それにはまだ早い。未だここから程近い『逢魔が辻』の内から漏れる嫌な物を感じ取っていた。
「此処を辻にした方との決着まで、お待ち下さい」
 安全そうな場所に村民達を集め寝かせた桜花はそう告げると一人、また森の奥へと駆けて行くのだった。
大成功 🔵🔵🔵