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女衒と自殺願望

#UDCアース #UDC-HUMAN

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●偽りの愛
 いったい、なんでこんなことになってしまったんだろう。
 薄暗い部屋の中、秋山・梨乃(あきやま・りの)は、果物ナイフを片手に自問自答を繰り返していた。
 都会に出て、右も左も分からない自分に、初めて声を掛けてくれた男がタカシだった。それから程なくして懇意になり、交際を始めるに至るまで、そう時間は掛からなかった。
 だが、そんな甘い生活は、あの日を境に終わりを告げた。タカシの仕事がホストだったこと。多額の売掛金を返済できずに困窮していること。それを知って、彼を助けるために足繁く彼のいる店に通い詰め……気が付けば、自分が借金に潰されそうになっていた。
 このままでは、タカシを助けることもできないまま破産してしまう。困り果てた自分に、タカシは新しい仕事を勧めてくれた。そして……気が付けば、どっぷりと夜の街の世界と仕事に嵌り、身動きが取れなくなっていた。
「もう、ええよね……。もう、これ以上、頑張らへんでも……」
 全てはタカシのため。そう思って頑張り続けてきたが、さすがに限界だ。最近はタカシも自分に会ってはくれず、いつまで経っても借金は減らない。
 寂しさを埋められると思ってタカシに尽くして来たが、結局、自分は一人だった。絶望に身を焦がし、生きる意味を失った梨乃が、手にしたナイフを自分の喉に当てた瞬間……彼女の身体は淀んだ光に包まれて、次の瞬間には学生服を着た少女のものに変わっていた。

●女衒が生んだUDC
「都会に出てきたばかりの女の子を騙して、利用する……ゲス男っていうのは、どんな世界にもいるものね」
 その日、グリモアベースに現れたパトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)は、どこか憂いを帯びた表情で、猟兵達にUDCアースにて発生する事件の詳細を語り出した。
「場所は大阪。街の一角にある、古びたアパートの一室ね。そこに住んでいる、秋山・梨乃って女の人が、自殺しようとしているわ」
 だが、彼女は自らを殺すころなく、その絶望の強さ故にUDC-HUMANへと変貌してしまう。何らかの事情によって、人間がUDCに変化した存在へと。
「彼女が絶望したのは、男が原因よ。タカシ……って、言っても、これは本当の名前じゃないんだけどね。源氏名っていうやつ? 街では、ちょっと名の知れたホストだったみたい」
 もっとも、表の顔はイケメンホストだが、裏の顔は女を騙して破滅させ、水商売を斡旋する女衒師だ。売掛金があるので助けて欲しいと嘘を吐き、狙った女に金を使わせまくることで、店の中でもトップクラスの地位を築いている最低の男。
 梨乃も、そんなタカシの毒牙に掛かってしまった者の一人だった。街に出たばかりで頼れる者もいなかった梨乃の寂しさに付け入り、彼女を言葉巧みに誘導し……巻き上げられるだけの金を巻き上げただけでは飽き足らず、借金漬けにして、その返済のために夜の店の仕事を斡旋したのだという。
「こういう話になると、騙される方が悪いなんていう人も出て来ちゃう感じ? でも、相手は女を騙すのが生業の職人みたいな男よ? 何も知らない人だったら、簡単に騙されるのも仕方ないわ」
 どちらにせよ、完全にUDCになる前に、梨乃を元に戻さねばならない。なぜなら、UDC化した彼女の周囲には、その力に惹かれて既に別のUDCが集まり始めているのだから。
「UDCになった梨乃さんの周りに集まってくるのは、『パパ活邪神教団・会員』のアカネシスターズね。全員が同じ顔をしているだけで、戦闘力は殆どないけど……万が一、梨乃さんを回収されると、ちょっとヤバいことになっちゃうかも……」
 何を隠そう、梨乃の変じたUDCの能力は、『五感や記憶の上書き』だ。仮に、そんな力を邪神教団が入手したら、大変なことになるだろう。
 今までは洗脳や儀式で信者を集めていたかもしれないが、記憶の上書きが可能となれば、その辺にいる女の子を攫って記憶を上書きし、強制的に信者にすることができるかもしれないのだ。
「とにかく、あなた達は梨乃さんのアパートに行って、その周りに集まっているアカネシスターズを撃破して。それから、梨乃さんのことも助けてあげれば、事件の半分は解決かな?」
 幸い、梨乃はUDCになったばかりなので、戦って倒せば元に戻る。その際、彼女に声をかけて絶望を和らげることができれば、より優位に戦いを進めることも可能なはず。
「で、ここから先は後始末なんだけど……全部終わったら、後はホストのタカシを制裁しちゃってOKよ。こいつ、今までもたくさんの女の子を食い物にしてきた、とんでもないゲスメンだからね。殺しさえしなければ、とりあえずはなにやっても構わないわ」
 このままタカシを放っておけば、第二、第三の梨乃が生まれ、その中から再びUDC-HUMANが誕生するかもしれない。ならば、その元凶を断つのも猟兵の務め。そう言って、パトリシアは猟兵達を、UDCアースの大阪へと転送した。


雷紋寺音弥
 こんにちは、マスターの雷紋寺音弥です。

 女衒師に騙され、破滅寸前の女性が、絶望からUDC-HUMANへと変化しました。
 彼女を絶望から救い出し、事件の元凶を作った女衒ホストに制裁を加えてやりましょう。
 なお、全体的にシリアスな雰囲気のシナリオになるため、第一章以外でお色気方面にハッチャケ過ぎると、後味の悪い展開になるかもしれません。

●第一章
 『『パパ活邪神教団・会員』アカネシスターズ』との集団戦になります。
 篭絡や色仕掛けが得意な相手ですが、戦闘力は高くありません。
 この段階では、まあ少しくらいのお戯れはOKです。

●第二章
 梨乃が変じた『『悲嘆概念』自殺少女』との戦いです。
 戦闘中、梨乃の絶望を和らげることができれば、それだけ戦いが有利になります。

●第三章
 梨乃を絶望の淵に追い込んだ、女衒ホストに制裁を加えてやりましょう。
 殺しさえしなければ、制裁の形式は自由です。

●秋山・梨乃
 街に出てきたばかりの不安な気持ちを利用され、気が付けば夜の世界にどっぷり嵌ってしまった女性です。
 タカシに弄ばれていたことに気が付き、自暴自棄と疑心暗鬼が入り混じった精神状態になっています。

●タカシ
 本名不明。
 街の中でも名の知れたホストで、梨乃を絶望させた張本人。
 非合法な水商売を行っている店、反社会勢力などとも繋がりがあると噂されている、割とヤバい人物。
 金のためなら、何人の女性を騙して人生を壊そうと、何の呵責も抱かない最低の男です。
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第1章 集団戦 『『パパ活邪神教団・会員』アカネシスターズ』

POW   :    私のパパになってください!❤
戦闘力のない、レベル×1体の【アカネに酷似した女学生(元気・快活型)】を召喚する。応援や助言、技能「【誘惑・快楽責め・精神攻撃・篭絡】」を使った支援をしてくれる。
SPD   :    私のパパでは…、駄目ですか…?❤
戦闘力のない、レベル×1体の【アカネに酷似した女学生(内気・淑女型)】を召喚する。応援や助言、技能「【誘惑・快楽責め・精神攻撃・篭絡】」を使った支援をしてくれる。
WIZ   :    パパー♪❤パパー♪❤
戦闘力のない、レベル×1体の【アカネに酷似した女学生(甘え・ロリ型)】を召喚する。応援や助言、技能「【誘惑・快楽責め・精神攻撃・篭絡】」を使った支援をしてくれる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

叢雲・凪
女を食い物に…ヒーローとして…いや それ以前に人間として加害者が許せないな。紛うことなき断罪対象だ。

「どうもはじめまして 不純異性交遊ヤンクさん ジンライ・フォックスです」(礼儀作法を使い三人に真正面から奥ゆかしい挨拶)

先を急いでいる。悪いがボクの邪魔をするなら手加減はしない。

数が増えられたら面倒だ。ヤンクが指一本でも動かした瞬間に一気に踏み込む。ダッシュ+残像+目立たない+リミッター解除を用いた迅雷の高速移動で間近に接近する。

そのまま その顔面に手加減のない属性攻撃+黒雷槌を叩き込む。
「顔が商売道具なんだろ? じゃあ それで真っ当な仕事につけるね」
(最悪顔が吹き飛ぶ威力だが少しは調整しよう)


菫宮・理緒
タカシにはUDCになってしまう程の絶望を与えたことを、自覚してもらわないとだよね。

梨乃さんを助けるには、まず邪神教団をなんとかしないとなのか。
放っておいてもいいことなさそうだし、蹴散らしちゃっていいよね。

『パパ活』なんて、言葉を柔らかくしてるだけで、
やってることはいろいろダメダメだしね!

事情もないとはいえないから、頭から否定はしないけど、
他人を巻き込むなって感じかな。

戦闘力は高くないってことだし【E.C.O.M.S】を使って、
【Octagonal Pyramid】の突撃で、シスターズを蹴散らしていこう。

わたしはあなたたちのパパにはなれないし、
梨乃さんを渡すわけにはいかないから、お帰り頂くよ!


雨音・玲
アドリブ◎

…知り合いと瓜二つの敵とかさ、この前と同じデジャブを感じるんだが
(観光ガイドブック片手に溜息をつきつつ)
なぁ道頓堀とかいう場所で「たこ焼き」と「お好み焼き」食べて
ゆっくりしてたらダメだよな、、、
ごめん冗談だってちゃんとお仕事はするさ

選択UCを使用
「誘惑」「蹂躙」「早業」「ロープワーク」「カウンター」以上の技能レベルを820へ変更、状態異常力を重視

で俺の方に来るのは快活で元気なタイプな―…
(俺の好みどストライクなんだよな)
まぁ嫁には及ばねぇわ―もっと磨いて出直してこい

レッドライン+早業・カウンター・ロープワークでサクサクと
誘惑に釣れたパパ活教団員を縛って床に転がして無力化して行きます


クロエ・アスティン
POWで判定

不安に思っている梨乃様に付け込んで、梨乃様の思いを無下にするなんて……絶対許せないであります!
梨乃様を助け出すためにもUDC-HUMANになんてさせないであります。
集まってきたUDCなんてさっさとやっつけるであります!

アカネシスターズが現れたら召喚されたヤツも含めて【戦乙女の戦槍】で薙ぎ払ってしまうであります!
こいつらは近づかせると何してくるか分からないでありますからね。
パパ活邪神教団の相手も慣れたくないけどだいぶ慣れてきたでありますよ!

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です



●怒りは色気より強し
 女衒に騙され、身も心も絞り尽くされた果てに自殺へ至る。そんな話を聞いてしまった猟兵達の中には、憤らずにはいられない者も多かった。
「不安に思っている梨乃様に付け込んで、梨乃様の思いを無下にするなんて……絶対許せないであります!」
「女を食い物に……。ヒーローとして……いや それ以前に人間として加害者が許せないな。紛うことなき断罪対象だ」
 事態の元凶である女衒ホストは決して許せない。怒りに震えるクロエ・アスティン(ハーフドワーフのロリ神官戦士・f19295)と叢雲・凪(断罪の黒き雷【ジンライ・フォックス】・f27072)だったが、そんな彼らを嘲笑うかの如く、古アパートの周り取り囲んでいる女子高生集団が立ちはだかった。
「あれ? なんか、強そうな人達がいる?」
「もしかして、新しいお客さんかな? ねえねえ、わたしのパパになってよー!」
 アカネシスターズ。パパ活邪神教団の生み出した、人々を篭絡して教団に引き込むための専門部隊。
 並の人間であれば、彼女達の魅力に抗うことは難しく、されるがままになっていたことだろう。だが、今回ばかりは、そうは問屋が卸さない。怒りに燃える猟兵達は、目先の色気なんぞには転ばない。
「……知り合いと瓜二つの敵とかさ、この前と同じデジャブを感じるんだが」
「でも、放っておいてもいいことなさそうだし、蹴散らしちゃっていいよね?」
 雨音・玲(路地裏のカラス・f16697)の突っ込みを軽く流し、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は既に殺る気満々である。見た目は女子高生の姿をしているアカネシスターズ達だが、その正体がUDCであるならば、情けも容赦も不要ということだろう。
「あの……できれば穏便に済ませ、私達のパパになっていただけないでしょうか?」
 ともすれば下手に出て懇願してくるアカネシスターズ達だったが、しかし今の猟兵達に、彼女達の言葉は届かない。かくして、絶望に身を焦がし、人としての姿を捨てようとしている秋山・梨乃を救うべく、猟兵達は強行突破に出るのであった。

●問答無用、情けなし!
 教団の命を受けて梨乃を回収するがてら、猟兵達をも篭絡しようと迫るアカネシスターズ達。もっとも、いかに彼女達が魅力的な少女であったとしても、怒りのパワーによって支えられている今の猟兵達にとっては、JKの誘惑など何の意味もない。
「こいつらは近づかせると、何してくるか分からないでありますからね」
「だいたい、『パパ活』なんて、言葉を柔らかくしてるだけで、やってることはいろいろダメダメだしね!」
 クロエも理緒も、少女達の誘惑には耳も貸さず、それどころか接近することさえ許さない。少しでも身体を触らせれば、その瞬間に碌でもないことをしてくるであろうことは、この手の敵なら当然であると知っていたから。
「作戦行動、開始」
 まずは、理緒が多数の錐体を召喚し、それらをアカネシスターズ達の中でも小柄な者目掛けてぶつけて行く。反撃を受ければ一発で消滅してしまう程に脆い存在だが、そもそも戦闘行為が不得意なアカネシスターズ達には、理緒の呼び出した錐体を払い除けるだけの術がなかった。
「きゃぁっ! な、なにこれぇっ!?」
「うわーん! 痛いよー!!」
 抱き着く暇もなく、ボッコボコにやられて行くロリ少女達。なんとも罪悪感の漂う光景だが、ここで情に流されてはいけない。彼女達は既に人ではなく、その容姿を以て人々を惑わす危険なUDCなのだから。
「ちょっと! なに、小さい子泣かせてるのよ!」
「暴力で解決なんてダメです! それよりも、私達とイイコトしませんか?」
 次々と消滅させられて行くロリアカネ達を庇うべく、今度はリーダーと思しき快活な性格のアカネが一斉に前に出てきた。が、彼女達の正体を知っている以上、今の猟兵達には泣き落としなど通用せず。
「そんな風に、人情に訴えても無駄であります! 光よ! 女神に仇名す者を貫く槍となれ! ――ヴァルキリーズジャベリン!」
「そ、そんな……きゃぁぁぁっ!!」
 クロエの放った光の槍の直撃を食らい、何もできないまま消えて行く。覚悟を決めた猟兵達の前には、中途半端な色仕掛けなど、何の意味も持たないのだ。
「事情もないとはいえないから、頭から否定はしないけど、他人を巻き込むなって感じかな?」
「パパ活邪神教団の相手も、慣れたくないけどだいぶ慣れてきたでありますよ!」
 死にたくなければ、道を開けろ。先陣を切る理緒とクロエの前に、もはや誘惑以外に脳のないJK集団など敵ではなかった。

●決意は揺らがず
 のっけから誘惑ガン無視で突っ込んで来る猟兵達に、アカネシスターズ達は早くも狼狽し、その足並みも乱れつつあった。
「ちょっと! この人達、なんで見向きもしてくれないの!?」
「折角、私達がイイコトしてあげるって言ってるのに……。本当に、私のパパになってくれないんですか?」
 それでも、中にはしつこく迫って来る者もいるが、この状況では却って興覚めするだけだ。
(「あー、俺の方に来るのは快活で元気なタイプなー」)
 正直、こんな時でなければ少しは楽しめたかもしれないと、玲は僅かな後悔の念を覚えていた。確かに、容姿と雰囲気だけであれば、快活なJKというのは玲の好みであったのだが。
「まぁ、嫁には及ばねぇわー。もっと磨いて出直してこい」
 なんだかんだで、大切な人がいる以上、こんな場所で不貞を働くつもりは微塵もない。
「選択、、、解放!!」
 相手の方から突っ込んで来るなら話は早いと、玲はユーベルコードで自らの技能を強化して迎え撃つ。いちいち、殴り倒して行くのも面倒だとばかりに、擦れ違い様にアカネ達をロープで縛り上げ、そのまま転がして走り抜けた。
「え……? ちょ、ちょっと、なにこれぇ!?」
「もう、そういうマニアックなプレイが好きなんですね。だったら、特別にサービスし……って、なんで放っておくんですか! これ、解いてぇぇぇ!!」
 縛るだけ縛って、後は無視。なんとも酷い放置プレイだが、構っている暇はないので仕方がない。
「このままではいけませんね。なんとかしなくては……」
 残るは、清楚な雰囲気を纏いながらも、一際大きな胸を持つアカネのみ。内気で大人しく、それでいてエロい身体をした少女など、人によっては正に願望の具現化そのものなのだが。
「どうもはじめまして、不純異性交遊ヤンクさん。ジンライ・フォックスです」
「え? は、はい……その、初めまして……」
 礼には礼で答えようと堂々と挨拶した凪の姿に、思わず調子を狂わされてしまう。瞬間、彼女達の顔面に炸裂する凄まじい衝撃! 気が付いた時には既に遅く、淑女の顔面は凪の拳によって、見るも無残な姿に変形していた。
「……っ! い、痛ぁぁぁぁっ!!」
「ひ、酷いです……わ、私の顔が……顔がぁ!!」
 辛うじて生きている者達もいたが、その大半は悶絶して言葉も繰り出せないか、あるいは顔面諸共に吹き飛んでしまい、骸の海へと還されたかのどちらかだった。
「先を急いでいる。悪いが、ボクの邪魔をするなら手加減はしない」
 正義のヒーローたるもの、女の色気などに転びはしない。縋りつくアカネ達を振り解き、それでもしつこく迫る者には、再び必殺パンチをお見舞いだ!
「ひぎゃぁっ!? そ、そんな……折角、この顔を……アカネさんの顔を手に入れることができたのにぃ……」
「顔が商売道具なんだろ? じゃあ、それで真っ当な仕事につけるね」
 所詮は邪な儀式と整形手術によって入手した偽りの顔。ブチ壊されれば、パパ活なんぞから足を洗い、まともな仕事に就くこともできるだろう。
 皮肉を込めた口調で言い放ちつつ、凪もまた古アパートの一室を目指して駆け抜けて行く。
 全ては、絶望に身を委ねて人を捨てようとしている梨乃を救うため。決意を秘めた者の瞳には、イケないJKの安易な誘惑など、決して映ることはないのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フレミア・レイブラッド
あら?可愛らしい子達ね♪
梨乃さんを助けに行く前にこの子達をなんとかしないとね。

パパではないのだけど…そうね、ご主人様にならなってあげるわ♪
あ、拒否権は無いわ♪代わりにパパなんて考えが出なくなるくらい、たっぷり可愛がってあげる♪

【吸血姫の魔愛】による魅了の魔眼と【催眠術、誘惑】「魅惑・淫惑のフェロモン」でUCで召喚されたアカネ達諸共魅了。
更に、一人一人に快楽と幸福を与え僕とする抱擁と脳が蕩ける程の快楽を与え隷属させる口づけを(特に本体には念入りに)与えて虜にしつつ、その可愛らしい体を可愛がってあげるわ♪

そういえば、梨乃さんってUDC化して学生(?)になってるけど…元は幾つなのかしら?



●危険な瞳の魅せる先
 JKスマイルや魅惑のボディには見向きもせず、目的のために突き進む猟兵達。そんな彼らに早くも追い込まれつつあるアカネシスターズ達ではあったが、全員が全員、彼女達をガン無視していたわけではない。
「あら、可愛らしい子達ね♪ 梨乃さんを助けに行く前に、この子達をなんとかしないとね」
 フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)が、とりわけ淑女な雰囲気を醸し出しているアカネに目を付け、ニヤリと笑った。
 そちらが願うのであれば、お望み通り、少しくらいは相手をしてやっても構わない。ただし、その結果、どのようなことになっても構わないのであればの話だが。
「あの……私達と、イイコトしていただけませんか?」
「パパではないのだけど……。そうね、ご主人様にならなってあげるわ♪」
 性懲りもなく迫って来るJK達に、フレミアはあっさりと要求を飲んだ……かに思えたが、実際は既に、この時点で彼女の策は発動していた。
「わたしの本気の愛を受けなさい……あなたはもう、わたしから逃れられないわ♪」
 魅了の魔眼。その瞳に魅入られた者は、もはや抵抗する術を持たず。篭絡するつもりが、逆に嵌められてしまったことさえも、少女達は気付かない。
「あぁ……んっ……ふぐぅっ!?」
 吸い込まれるように抱き寄せられたところで、フレミアの唇が少女の口を強引に塞いだ。濃厚に舌を絡め合う、淫猥な音が周囲に響く。その度に、少女の脳は恍惚の中へと溶けて行き、まともな思考さえも奪われて行く。
「うふふ……まだよ。お楽しみは、これからだもの」
「は、はい……。ご主人様の、お気に召すままに……」
 完全にフレミアの虜となってしまったJK達は、今や彼女の忠実なる僕と化していた。パパ活? 邪神? そんなもの、既に彼女達の頭からは消えている。あるのは、ただ目の前のフレミアが己の主であり、ひたすらに尽くさんとする忠誠心だけだ。
「さあ、その可愛らしい体を可愛がってあげるわ♪」
「あ……やぁっ……そ、そんな……ぁん💕」
 背中を撫でるフレミアの手が、徐々に少女のスカートの中へと滑り込んで行く。胸元を開け、柔肌を細い指先が刺激し、更にもっと先へ、奥へ……。
「あぁ……んっ……も、もう……だ、だめ……」
 程なくして、全身を軽く痙攣させたところで、少女の意識は彼方へと飛んだ。気が付けば、周囲には魅了の果てに精も根も吸収された、哀れなUDC少女が大量に転がっているだけとなっていた。
「……そういえば、梨乃さんってUDC化して学生の姿になってるけど……元は幾つなのかしら?」
 ふと、今回の事件の被害者のことを思い出したフレミアだったが、まあ年齢など些細な問題でしかないだろう。ホストに騙され、夜の街の商売に嵌ってしまったことからして、成人していることは確実だが。
 とりあえず、今は一刻も早く、UDC化した梨乃を元に戻してやらなければならない。アカネシスターズ達は少しばかり残っていたが、いつまでも戯れていては機を逃す。
 名残惜しいが、遊びはここでおしまいだ。事態を収拾させるべく、フレミアは残るアカネシスターズ達を後続に任せ、自らも古アパートの一室を目指して歩き出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルトルファス・ルーテルガイト
【邪神物語】(アドリブ絡み色気歓迎)
…胸糞悪い話と聞いたのに、またお前らかよ…もぅ。
…お前らがこの件に関わると余計にこじれるのは判ってるんだ。
…だから一言だけ言わせてもらう…、『帰れ』。

と…言った矢先、偽アカネがこっちに殺到してくる始末。
『…またかよ』とデジャヴめいた光景に思わず拒絶&反撃するけど
数の暴力には勝てずに拘束からの快楽責めされる始末で…。
と其処へ、アカネ(本物?)とロベリアまで到着してくるから…。
…あぁ、コレはアカン…(無茶苦茶になるという意味で)

…多分次の章までは生きてると思うけど、どうなるかは知らん!


高坂・茜
【邪神物語】(アドリブ絡み歓迎)
…あぁ、コレが私を模して作った連中ね…?
今回の件もだけど、私のせいとは言え…コイツ等も胸糞悪いモノね。

とりあえず、私が偽物と混ざらない様に自分に目印付けながら
こっそりスマホで、彼女達お望みのパパをコールするわ(UC)。
でもって繁殖力を人以上にしておけば、とりあえずデコイにはなるでしょ。

と思っていたらパパがピンチ!?ちょっと私のパパに手を出さないで!
と言って自らが割込んでいくわ。
…その拍子にちょ~っとだけパパに抱き着いたりイロイロと
しちゃうかもしれないけど、これは事故よ事故♪


ロベリア・アナスタシア
【邪神物語】(アドリブ絡み歓迎)
私が来たら色々こじれるからやめろって、マスターに言われたけど。
アカネちゃんがいるって聞いた時点で居てもいらず突入♪
…って、何よ…偽物ばかりじゃない。

とりあえずえちぃことがお望みならば、とばかりに目ぼしい偽アカネに
接近&【UC】で骨抜きにしてから美味しく頂いちゃいます♪
数が多い位で私を倒せると思ってるなら大間違いよ、その分だけおクスリ
作れば良いだけなんだから(毒使い+早業)

…でも自分バッカリ責めてると色々と欲求不満になってくるから
最終的にはそこにいたマスターも頂いちゃうかもしれないわね…。



●見飽きた光景
 女衒ホストに騙されて、全てを失い自殺しようとしている女性がいる。そんな胸糞悪い話を聞いて馳せ参じたルトルファス・ルーテルガイト(ブレード・オブ・スピリティア・f03888)だったが、いざ目の前に広がる光景に、思わず呆れ果てて溜息を吐いた。
「……胸糞悪い話と聞いたのに、またお前らかよ……もぅ」
 気が付いてみれば、妙な既視感を覚える光景。見知った顔が大量に並んでおり、おまけに連中は面倒事しか起こさない邪神教団。
「……お前らがこの件に関わると余計にこじれるのは判ってるんだ。……だから一言だけ言わせてもらう……『帰れ』」
 まともに相手をするのも馬鹿馬鹿しかったので、ルトルファスは自分を誘いに来たアカネシスターズ達へ、バッサリと切って捨てるように言い放った。
 もっとも、そんなことで帰ってくれるのであれば苦労はしない。その身から邪神が分離したとはいえ、ルトルファスのような強い力を持った男は、アカネシスターズ達からすれば恰好の獲物なのだ。
「え~、そんなこと言わないでよ~!」
「お兄さんみたいなイケメンだったら、何されても構わないですよ。だから、私達のパパになってください!」
 案の定、アカネシスターズ達はルトルファスに狙いを定め、一斉に襲い掛かって来た。UDCとはいえ、仲間を召喚する以外にこれといった能力もなく、戦闘力も低い相手ではあるが、これは拙い。
「……またかよ」
 仕方なく剣を抜いて斬り伏せて行くも、とにかく数が数である。いくら、その辺のJKと同じくらいの身体能力しか持っていないとはいえ、一度でも捕まってしまえば、後は彼女達の超絶テクニックによって快楽の虜とされてしまうのだ。
「あはは! 捕まえましたよ~♪」
「もう、逃がしませんからね~。お兄さんには、絶対に私達のパパになってもらうんです!」
 正面の少女達に気を取られていた隙を突いて、後ろから別の少女達が抱き着いて来た。背中に当たる、柔らかい感触。それに一瞬だけ動揺したルトルファスの腕を、別の少女達が強引につかみ。
「くっ……や、やめろ! 俺には、お前達と戯れる趣味は……」
「そんなに嫌がらなくてもいいのに~。お兄さん、これでも我慢できますか?」
 別の少女が胸元を開けたところへ、無理やりに手を誘導し、豊満な胸を直に握らせた。
「……ぁん💕 も、もっと触っていいんですよ……」
 ルトルファスの気持ちなどお構いなしに、勝手に盛り上がるアカネシスターズ達。今のところ、気力で耐えているルトルファスだったが、少女達の攻めは終わらない。
「それじゃ、私はこっちを気持ちよくしてあげますね」
「あはは! お兄さん、どこまで我慢できますか~?」
 服の中に滑り込んだ少女達の手がルトルファスの身体を優しく撫で、やがて胸元の突起に辿り着いた。右からは指が、左からは少女の唇が先端に触れ、更に別の少女がルトルファスのズボンさえも脱がし。
「お、おい、待て! それ以上は……!」
「そんなこと言っても、身体は正直ですよね。それじゃ、いただきま~す💕」
 最後はルトルファス自身を口に含んで来る始末。全身を徹底的に攻められて、ルトルファスの脳は沸騰寸前だ。
「うぁっ……くっ……い、いかん……!!」
 抵抗空しく、最後は少女達の手によって、そのまま精を奪われてしまった。しかし、それで満足する少女達ではなく、今度はルトルファスを押し倒すべく、更に多くの少女達が襲い掛かって来た。
「うふふ、ごちそうさま~💕 それじゃ、次は他の子の相手もしてあげてくださいね~」
「な、なんだと!? おい、やめろ! さすがに、これだけ相手をしたら身が持た……」
 残念ながら、ルトルファスの講義は聞き入れてもらえなかった。哀れ、強引に唇を奪われる形で押し倒され、その後は代わる代わる、少女達の慰み者にされてしまった。

●もう、勘弁してください
 ルトルファスがJK軍団に襲われている最中。
 少し遅れて参上した高坂・茜(『再誕』の邪神少女…?・f26743)は、自分と同じ顔をした連中がそこら中にいるのを見て、なんとも微妙な気分にさせられていた。
「あぁ、コレが私を模して作った連中ね……? 今回の件もだけど、私のせいとはいえ……コイツ等も胸糞悪いモノね」
 まあ、自分の顔と同じ顔をした人間が大量いるだけでなく、それらの全てが無節操に男を襲っているとなれば、気分が悪くならない方が不思議だろう。特に、ロリ体系の少女など、まるで小学生の身体に高校生の頭を乗せたようなアンバランスさがあり、作ったやつを引っ叩きたくなってくるわけで。
 果たして、どうやってこの連中を排除するかと考えている矢先、遅れて参上した者が、もう一人。
「私が来たら色々こじれるからやめろって、マスターに言われたけど、アカネちゃんがいるって聞いたから来たのに……なによ、偽物ばかりじゃない」
 主の言いつけに背いて現れたのは、ロベリア・アナスタシア(『快楽』と『影』と『媚薬』を司る美魔嬢・f23913)である。ぶっちゃけ、ただでさえ混沌としている戦場に、この二人が現れてしまった以上、余計に引っ掻き回しそうな気もするのだが、それはそれ。
 とりあえず、目の前の偽アカネをなんとかしなければならないと、茜は偽者達が好みそうな男性を、自らの神たる力で創造した。
「う~ん……どことなく、私のパパに似ている感じなのが気になるけど……まあ、いっか♪」
 ルトルファス似のイケメンを召喚し、茜はそれを自分の偽者達へと向かわせた。ちなみに、男としての機能を人間以上に強化してあるため、少女達のテクニックで敗北させられることはない。
「やあ、可愛らしいお嬢さん。俺と一緒に、楽しまないかい?」
「え? わ~い、新しいパパが来てくれたよ~♪」
 本人とは違った軽いノリで迫るイケメンに、主にロリ体系の偽者が引き寄せら始めた。これで、当面は時間が稼げるかと……そう思った茜だったが、ふと見ると、ルトルファスが自分に似た少女達に、代わる代わる搾り取られている姿が視界に飛び込んで来た。
「あぁっ!? ちょっと、私のパパに手を出さないで!」
 さすがに、これは放っておけない。本物の意地を見せてやると言わんばかりの勢いで突撃し、茜は自身の偽物を、次々と薙ぎ倒して叩き伏せ。
「うぅ……あ、茜!? な、なんでお前がこんなところに……って、おい待て! なんのつもりだ!?」
「ん~、そうねぇ……ちょっとした事故、かな💕 それに、偽物に穢されたままじゃパパが可哀想だし、私が綺麗にしてあげるね」
 最後はルトルファスに自ら覆い被さり、胸元を開けて身体を重ねて行く。その間、残る偽者はロベリアに全て任せてしまっていたが……まあ、恐らくは問題ないはずだ。
「ふぅ……二人とも、御盛んなことで……。それじゃ、残る偽者は、私が美味しくいただいちゃおうかしら?」
 茜の召喚したイケメンと絡み合っている偽者の後ろへ、ロベリアはそっと近づいて行く。相手が気付いた時には、もう遅い。彼女の振り撒いた不思議な薬の効果で、少女達は次々と骨抜きにされ、腰が砕けて動けなくなって行く。
「……大鍋? 要らないわ、この程度すぐ調合してあげる♪」
「な、なんですか、これぇ……。な、なんだか……力が……」
 無論、散布したのはロベリア特製の媚薬だ。UDCでさえ骨抜きにしてしまう凄まじい効果は、正に相手をクラゲに落とすかの如く。一度でも深く吸い込んでしまったが最後、服が身体と擦れるだけで壮絶な快感を覚え、ましてや直に肌に触れられた場合など、想像するまでもないだろう。
「あ……やぁっ……だ、だめ……」
「んぅっ……💕 どうして、こんなに変な気分に……ひゃぁんっ!!」
 ロベリアに身体を撫でられただけで、少女達は次々に達し、そのまま意識を失ってしまった。この辺りは、経験とテクニックの差もあるのだろう。もっとも、相手を堕としてばかりなので、当のロベリア本人は、なんとも欲求不満な表情になっていたが。
「う~ん……敏感なのはいいけど、ちょっと呆気なさ過ぎね。それに、なんだか私も変な気分になって来たし……」
 散布型の媚薬である以上、ロベリア自身にも影響がないわけではない。直に吸引していないだけマシだが、なにしろ元が強力過ぎるため、残り香だけでも十分に効果がある。
 このままでは、なんとも不完全燃焼なままで終わってしまう。悶々とした気分のまま辺りを見回すと、茜とお楽しみ中のルトルファスの姿が目に留まった。
「お、おい、茜……ま、まだ、終わらないのか……」
「え~、もうやめちゃうの~? パパを襲った子と同じ数だけ上書きしないと、パパが綺麗にならないよ?」
 平然とした顔で、茜はサラッと恐ろしいことを言ってのける。どうやら、彼女は自分の偽者が襲った回数だけ、ルトルファスを襲い返そうとしているらしい。
「あら、随分と楽しそうなことしてるわね。私も混ぜてもらえないかしら?」
 そんなところへ、満を持してロベリアが参上したから堪らない。これで、完全にルトルファスの逃げ場は失われた。
「なっ……ロベリア、お前まで!? も、もうよせ! 本当にやめろ! これ以上は、俺の身体が……んぶぅっ!?」
「うふふ……心配しなくても、マスターの身体が限界を迎えそうだったら、私の薬で治してあげるわ♪」
 だから、そちらは何も気にすることなく、思う存分に楽しめばいい。そう言って口移しで薬を飲ませてくるロベリアに対し、ルトルファスはついに全てを放り投げた。
「あ……ははは……。も、もう、好きにしてくれ……」
 結局、今回もこんな流れになってしまうのか。死んだ魚のような目をしたルトルファスへ、茜とロベリアが交互に襲い掛かる。もはや、最初の目的など完全に頭から抜けている気がしないでもないが、それはそれ。
 あ、ちなみに、残るアカネシスターズ達は、他の猟兵達によって、きっちり始末されました。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『『悲嘆概念』自殺少女』

POW   :    インフィニットナイトメア~地獄の鐘は永遠に~
【この世界の過去・未来】から【自殺を行った生物達の記憶】を放ち、【対象の記憶にその全ての上書きし続ける事】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    悲嘆非業のダブルドールズ
【無抵抗で微笑みつつ、自身に敵意】を向けた対象に、【自身の五感・記憶・精神を上書きし続ける事】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    全人類絶叫協奏曲~最終自殺楽章~
自身が戦闘で瀕死になると【他の人間の記憶・精神を上書きする形で自身】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアララギ・イチイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●悲嘆する概念少女
 アカネシスターズ達を蹴散らし、古アパートの一室へと辿り着いた猟兵達。鍵を壊して入るか、もしくは窓ガラスでも割る必要があるかと思われたが、幸いにして部屋の鍵は開いていた。
 中へ足を踏み入れると、湿った空気に乗って微かに酒の匂いが漂って来た。それだけではなく、カーペットにはスナック菓子のカスが散乱し、洗面所には血の付いた剃刀と包帯が転がっており、それらの全てが女衒に騙された梨乃の生活を想像させるものだった。
 果たして、彼女はどこにいるのか。更に部屋の奥へと進んで行くと……いた! もっとも、そこにいたのは水商売に落とされた哀れな女性ではなく、高校生くらいの少女の姿をした、概念的なUDCだったが。
「あなた達……誰?」
 薄暗がりの中、少女がゆっくりと顔を上げた。泣き腫らしたかの如く赤い瞳が、猟兵達を睨み付け。
「どうせ……あなた達も、私を苦しめに来たんでしょう? ……私なんて、生きていても仕方ないもの……」
 悲嘆に暮れる少女の耳には、全てが罵倒や暴言に聞こえるのか。それとも、あまりに辛い目に遭い過ぎて、もはや人を信じる心さえも失ったか。
「でも……一人では死なないわ……。私の苦しみ……あなた達にも、教えてあげる……」
 そうして、最終的には身も心も自分と同じ存在になるがいい。全てに絶望し、心を病んだ最果てに、自ら命を絶つがいい。
 呪詛の如く呟きながら、自殺少女のUDCと化した梨乃が猟兵達に迫る! だが、死ぬことが救いでも安らぎでもないことを、猟兵達は知っている。
 このUDCさえ倒せば、今ならば梨乃を人間の姿に戻すこともできるだろう。絶望の果てにUDCと化した秋山・梨乃の運命は、猟兵達の手に委ねられた。
ルトルファス・ルーテルガイト
(アドリブ絡み歓迎)
…酷い目に遭った。(ゲッソリ)
…いや苦しめに来たどころか、お前と同じ意味で同じ位に苦しんどるわ!
(過去じゃなく現在進行形)

と言いながら、悲嘆する少女(UDC)を解放する為に精霊剣を振るうが
直後、自分の記憶や精神を上書きする様にしてくるUDC。
浮かぶのは、少女がそうされてきた記憶の数々…だが。
『…自分ばかりなんて軽々しくいうな、そんな苦悩…俺もしてきたんだよ』
軽々しい気持ちで体を抱き、そのせいで二度も少女を殺した苦悩。
そのせいで幾度も脅かされる自分の命…等の記憶で逆に押し返す。
正に『毒をもって毒を制する』。

…UDCは殺すが本体の少女は殺さない、難しい話だが…な。


高坂・茜
(アドリブ絡み歓迎)
……あぁ、そう…『貴方も』なのね…?
そうよ…『私も』なのよ…、私は【殺された】けど。

何となく境遇が似ている少女(UDC?)に接近するわ。
…ナンデかな、敵意が持てないのよ…境遇が似すぎて。

「私は妄言とか綺麗事とか…、軽々しく言えないくらい汚れてるわ。
だから貴方に生きろだなんて、綺麗事言えないかもだけど…。
でも…、そんな苦しみを…勝手に他人に擦り付けないで。
擦り付けたいなら、貴女を苦しめた奴だけにしなさいよ。
…何なら、私が代わりにしてやるわ…下衆男の制裁くらい…」

危なくなったら、『UC』でパパ(幻影)出して防衛しながら
概念的UDCだけを攻撃しておくように指示。


ロベリア・アナスタシア
(アドリブ絡み歓迎)
やぁね…、情事ごとを悪い事にする男がいるなんて…(憤慨して)
あら意外?私は痴女だけど凌辱好きじゃないわよ。
とりあえず普通に仕留めようとすると本体も死んじゃいそうで怖いわね。
お薬(まともな霊薬)でも調合しておいて援護に回ろうかしら。

そうよ…、悪いのは貴方じゃなくて貴方を騙した男よ。
わざわざそんな男の為に、死ぬなんて事は無いんじゃない?
復讐・制裁を止めはしないけど、どうせならイキ地獄にして
ざまぁみろ!…って思わせた方がすっきりするわよ?
…どうしても駄目?何なら貴女(UDC)に逝きたくてもイケない
『遅効性』の媚薬攻撃で精神的地獄を味合わせてあげるわ。



●絶望に食われた者
 ビールの空き缶やスナック菓子の袋が散乱し、そこかしこに血の付いた包帯や使い捨ての剃刀が転がっている古アパートの一室。なんとも嫌な空気の漂う場所にて、ロベリア・アナスタシア(『快楽』と『影』と『媚薬』を司る美魔嬢・f23913)は悪臭に鼻を摘まみながら溜息を吐いた。
「やぁね……情事ごとを悪い事にする男がいるなんて……」
 こういった男のせいで、性的嫌悪症候群のような女性が増えてしまったら、いったいどうしてくれようか。紛うことなき女の敵は許すまじと憤るロベリアだったが、それを見たルトルファス・ルーテルガイト(ブレード・オブ・スピリティア・f03888)は、思わず彼女に突っ込んだ。
「いや……それは、お前も同じじゃないのか?」
「失礼ね。私は痴女だけど凌辱好きじゃないわよ」
 殆ど何の説得力もない反論を述べながら、ロベリアは更に憤慨している。正直、こんな調子では先行きが物凄く心配だ。果たして、絶望に身を委ねUDCになりかけている梨乃に、彼らの言葉は届くのか。
「……なんだか知らないけど……私に、構わないで……。どうせあなた達も……私に、酷いことをするんでしょう?」
 世界の全てが信じられない。この世に存在する全てが敵だ。最愛の男に利用され、裏切られた果てに捨てられた今の梨乃にとっては、あらゆるものが灰色に染まって見え、あらゆる希望が聞こえない。
 溢れ出す感情が物理的な力となり、部屋の中に凄まじいポルターガイストを引き起こす。そんな梨乃に対し、ルトルファスは剣を引き抜くと、正面から斬り掛かりつつ彼女に向かって叫んだ。
「……いや、苦しめに来たどころか……お前と同じ意味で同じ位に苦しんどるわ!」
 ほんの軽い気持ちで少女の身体を抱き、その結果として二度もその少女を殺さねばならなかったこと。そして、そのせいで邪神教団に目を着けられ、幾度となく命を狙われたこと。
「……自分ばかりなんて軽々しく言うな。そんな苦悩……俺もしてきたんだよ」
 過ちを清算するためには、自分が咎と業を背負わねばならないこともある。そう、言い聞かせようとするルトルファスだったが、梨乃の変じた少女のUDCは、その身で剣を受けつつも薄笑いを浮かべているだけで。
「私と同じ? ……軽い気持ちで女を抱くような男が、冗談言わないで! 私は……私は別に、タカシと軽い気持ちで付き合ったんじゃない! 本当に……本当に、心の底から好きだったのに……それが全部嘘だったっていう気持ちが、あなたに分かるの!?」
 最初はナンパだったかもしれないが、それでも最後は本気だった。右も左も分からない自分に、手を差し伸べてくれたのはタカシだけだった。
 それなのに、裏切られたから、そんな恋は一夏のアバンチュールと同程度な遊びだとでも言うつもりか。それとも、全ては女衒などに騙されて、ホイホイ着いて行った者が悪いとでも言うのか。
 激昂する梨乃の念が、ルトルファスの精神を侵食する。己の苦悩を以て対抗せんとするルトルファスだったが、相手の念には怒りのパワーが加わっている。
(「こいつ……まさか、俺の身体を!?」)
 だんだんと、自分の身体が自分の物でなくなって行く感触に、ルトルファスは思わず震えた。こういう場合、精神力の強い方が勝つ。そして、怒りに身を委ねて精神エネルギーを暴走させている今の梨乃の力は、並の人間のそれを軽く凌駕する程のものだった。
 このままでは、仮にここで梨乃の変じたUDCを倒しても、彼女はルトルファスの肉体を乗っ取る形で再臨を果たすだろう。さすがに、そんなことを認めるわけにはいかないし、これは見過ごせる事態でもない。
「……あぁ、そう……『貴方も』なのね……? そうよ……『私も』なのよ……」
 こういう相手に、否定の言葉を掛けるのは拙い。まずは、本当の意味での共感を示すことが大切なのだと、高坂・茜(『再誕』の邪神少女…?・f26743)は梨乃の変じたUDCに言葉を投げかけた。
 自分も、自分の居場所が分からなくなり、気が付けば心の安らぎを求めて危険な仕事に手を染めていた。その結果、邪神教団にいいように利用され、最後は何度も死を体験することになってしまった。
「私は妄言とか綺麗事とか……軽々しく言えないくらい汚れてるわ。だから貴方に生きろだなんて、綺麗事言えないかもだけど……」
 それでも、その苦しみや悲しみを、他人に擦り付けるのは絶対に駄目だ。当て擦りは、自分を苦しめた相手にだけ与えるので十分。なんだったら、復讐に協力してやろうとも茜が告げたところで、ロベリアもまた言葉を続け。
「そうよ! 悪いのは貴方じゃなくて貴方を騙した男よ。わざわざそんな男の為に、死ぬなんて事は無いんじゃない?」
 復讐や制裁を止めはしない。しかし、どうせならイキ地獄にして、ざまぁみろと思えるような状態にしてやった方が、すっきりするのではないかと問い掛けたのだが。
「……復讐? そんなこと……簡単にできるわけないじゃない……。タカシは、お店では人気者だし……裏にはヤクザまで付いているって話だし……」
 法律では彼を捌けず、しかし私的な制裁をするだけの力も自分にはない。仮に、タカシを殺すことができたとしても、世間は自分の方を犯罪者と見做して糾弾する。
 もはや、完全な八方塞がりだ。ならば、いっそのこと死んだ方が楽になるのだと、梨乃は頑なに生きることを拒み続けた。
「……どうしても駄目? 何なら貴女に逝きたくてもイケない『遅効性』の媚薬攻撃で、精神的地獄を味合わせてあげるわ」
 もはや、こうなっては荒療治しかないと、ロベリアは媚薬攻撃でUDCを叩くことにした。が、今まで散々に好きでもない相手と関係を持ち続けてきた梨乃にとって、それはトラウマを呼び起こす以外の何物でもなかった。
「い、いや……やめて! 好きでもない人の前で……こんなの……こんなの、酷い!!」
 タカシのためと割り切って、気持ちの悪いオッサンや乱暴な客に股を開いて来た記憶。自分の意志とは関係なく身体が快感を覚える度に、梨乃の脳裏を忌むべき記憶が駆け巡る。
「馬鹿! 説得するどころか、逆に苦しめてどうするんだよ!」
 慌ててルトルファスが突っ込むも、もはや手遅れ。そして、その身を包むUDCに対するものであれ、彼女に少しでも敵意を向けたが最後、待っているのは因果応報な身の破滅。
「……っ!? ちょっ……な、なに、これ……ぁぁぁぁっ!!」
 突然、ロベリアが梨乃と同じように悶え始め、そのまま膝から崩れ落ちた。いったい、何が起こっているのか。顔を見合わせるルトルファスと茜だったが、その間にもロベリアは、込み上げる何かに身を捩らせているだけだ。
「んっ💕 はぁぁ……だ、だめ……。凄い気持ちイイの……流れ込んできて……止まらないわぁぁぁぁっ💕」
 恍惚とした表情を浮かべたまま、ロベリアはついに快楽の虜になってしまった。媚薬のせいで敏感になった梨乃の……否、UDCの感覚が、そのままロベリアの精神に上書きされているのだ。
「ロベリア!? ぐぅっ……だ、だが……これ以上は、下手に攻撃したら、俺がこいつに乗っ取られ……」
 助けに入ろうとするも、相手を下手に傷つければ自分の身体が乗っ取られる危険性も高まるため、ルトルファスも迂闊に手が出せない。そうこうしている内に、媚薬の効果から立ち直った梨乃は、改めて茜の方へと向き直った。
「さあ、後はあなただけよ。あなた、何度か死んでるんでしょ? だったら……もう一度死ぬくらい、わけないわよね?」
 UDCが意地の悪い薄笑いを浮かべると同時に、茜の中に流れ込んで来たのは様々な生き物達による自殺の記憶。老若男女問わず、あらゆる人間が自ら命を絶った際の瞬間が、休むことなく次から次へと脳裏に浮かんでは消えて行く。
(「うぅ……ヤバッ!? このままじゃ……私の心が先に壊れちゃう!?」)
 苦しみや痛み。自殺の際に伴うそれらも含めて頭の中で再現されることで、もはや茜の精神は限界だった。このUDC、想像していた以上に恐ろしい相手だ。肉体の痛みなら一瞬で済むが、心の痛みは永続的に続くもの。それを、こう何度も連続して体感させられれば、もはや遠からず発狂しない方が異常であろう。
「……私は、何があっても……『パパ』の事を信じてるから…」
 この状況では、自分はUDCを引っ叩くことさえできない。ならば、最後の賭けとして、茜は朦朧とする意識の中、初恋で最愛たる紅い外套を着た剣士の幻影を呼び出した。
「ほら……来てくれた……私の初恋で、最愛の……『パパ』♪」
 薄れ行く意識の中、茜の前に降り立った者。それは他でもない、ルトルファスの似姿をした幻影であり。
「え? な、なんで、その男がもう一人……って、きゃぁぁぁぁっ!!!」
 情け容赦なく振るわれる剣が、梨乃を覆っているUDCの衣を削ぎ落とす。実態を持った幻影であるが故に、いくら記憶を上書きしても意味はない。ただ、茜を守ることだけを考えて武器を振るうナイトを前にしては、具現化した自殺の概念も、ただ斬られるだけの存在でしかなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

叢雲・凪
「どうも はじめまして秋山・梨乃さん。ジンライ… いや 叢雲・凪です」(仮面を霧散させ素顔で名乗る。彼女は被害者だ…)

「キミに何があったかは調べさせてもらった… 君の叫びに気づいてあげれなくて本当にごめん…」(脳裏に過去の自分自身を思い浮かべながら)
「でも 今からでも遅くはない。キミは失った物を取り戻せる。アイツ(タカシ)の罪を暴き 白日の下に晒した後、然るべき裁きを与える… ボク達猟兵はそれの手助けができる」

聞き入れられなければ…
「そうか… 残念だ。じゃあ 少し眠ってもらうよ」
(仮面を生成しなおしマフラーを解き夜天九尾発動 超高速でダッシュ+マヒ攻撃+気絶攻撃+残像で非殺高速拳を叩き込む)


フレミア・レイブラッド
わたしとしては貴女の救出と復讐のお手伝いに来たのだけど…あ、復讐相手を殺すなんてダメよ。殺したらそれ以上苦しめられないもの(鬼)
相応の生き地獄を与えてやらないと♪

まぁ、その前に貴女を元に戻さないとね。貴女を助ける為、ちょっと本気でやらせて貰うわ。
【念動力】の膜で自身を覆い、精神を防御。
【神滅の焔剣】を発動し、真の力を解放。
神殺しの焔で敵のUDCの力を焼き払い、梨乃さんから引き剥がし、神焔剣レーヴァテインで焔断・焼滅させて貰うわ。

貴女のUC、敵意を向けた対象に発動するみたいだけど…生憎ね。わたしは貴女に敵意なんて無いわ。
わたしが持つのはただ一つ。貴女を助けたいっていう想いだけよ!



●痛みを伴う説得
 悲嘆と絶望に身を焦がした梨乃の想いを代弁するかのようにして、その身を覆ってしまったUDC。概念だけの存在とはいえ、その力は想像以上に強大だった。
 幾度となく身体を斬り付けられても、概念の少女は梨乃から離れず、また放そうとしない。それだけ梨乃の絶望が深く、心の奥底でUDCと深く繋がってしまっていた。
「どうも、はじめまして秋山・梨乃さん。ジンライ……いや 叢雲・凪です」
 そんな梨乃に仮面を外して挨拶する叢雲・凪(断罪の黒き雷【ジンライ・フォックス】・f27072)だったが、返って来たのは冷たい言葉。
「……誰? 別に私は、あなた達なんか呼んでいないわ」
 世界を信じられない梨乃にとっては、相手が誰かなど些細なこと。もっとも、このまま放っておけば、梨乃は本当にUDCと一体化して、二度と再び戻れなくなってしまう。 
「わたしとしては、貴女の救出と復讐のお手伝いに来たのだけど……」
 苦笑しつつもフレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)が告げるものの、どうやら簡単には話を聞いてくれなさそうだ。絶望や悲嘆に加え、今の梨乃は怒りにも似た感情に支配され、目の前が見えなくなっている。
「キミに何があったかは調べさせてもらった……。君の叫びに気づいてあげれなくて、本当にごめん……」
 とりあえず、ここは謝罪の言葉を述べて落ち着いてもらおうと、凪は梨乃に頭を下げた。その上で、改めて罪には罪の、悪には悪の裁きを下してやろうと、UDCに包まれた梨乃に声を掛けた。
「でも、今からでも遅くはない。キミは失った物を取り戻せる。アイツの罪を暴き、白日の下に晒した後、然るべき裁きを与える……。ボク達猟兵は、それの手助けができる」
「手助け? ……なによ、それ! だったら……どうして私が本当に助けて欲しかった時に、タカシ以外は誰も助けてくれなかったのよ!!」
 だが、激昂する梨乃は、それでも凪の言葉に耳を貸そうとしなかった。殆ど八つ当たりに等しい理由から、差し伸べられた手を拒絶する。傍から見れば、なんと我儘で身勝手な女に映ったかもしれないが。
(「まあ、散々に弄ばれた挙句、全部が台無しになってから助けに来たって言われても、普通はそう簡単に信じないわよね……」)
 状況を静観していたフレミアは、思いの他に達観していた。人の心は、そう簡単に変わらないし、変えられない。特に、深く傷つけられた者の心は、何の癒しも与えることなく開かれることはないと彼女は知っていた。
 これが寂しさの埋め合わせを求めるような相手だったら、あるいは肉体的な快楽で満足させてやれたかもしれない。だが、梨乃のUDC化した経緯を考えれば、安易な方法に頼った結果、却って状況を悪化させるのは明白だった。
「もう……私を放っておいてよ! こんなに汚れて……何もかも失って……私には、もう死ぬしかないのよ!!」
 梨乃を覆うUDCの髪が、強力な念の反動を受けて逆立った。このまま、感情に任せて何かを仕掛けてくるつもりだろうか。さすがに、それを黙って受けるわけにはいかないと、凪は仮面を被り直して覚悟を決めた。
「そうか……残念だ。じゃあ、少し眠ってもらうよ」
 拳を構え、走り出す凪。それに合わせて外装が外れ、黒雷の尾を生やした真の姿が顕現する。
「出てこい……眠れる九尾……黒神の化身!! 夜天九尾!!」
 そのスピードは迅雷の如く。その一撃は晴天を貫く霹靂に等しく。圧倒的な速度と破壊力を伴った一撃には、さすがのUDCとて反応できず。
「……っ!!」
 殺傷力を抑えているとはいえ、それでも普通の人間が食らえば一撃で気を失う程の攻撃を、盛大に鳩尾に叩き込まれたのだ。これには、梨乃を覆うUDCの概念も耐えられず、その場に崩れ落ちた……の、だが。
「……っ!? ……なるほど……相討ち……か……」
 時を同じくして、凪もまた腹を押さえて崩れ落ちた。ユーベルコードの直撃を食らいながらも、己の五感を凪に上書きすることで、敵は相討ちを狙って来たのだ。
 正に道連れ、心中地獄。自殺の概念を体現するUDCに相応しい攻撃である。
 これでは、迂闊に攻められない。やがて、ゆっくりと起き上がったところで、勝利を確信して微笑む概念少女。しかし、その視界にフレミアが映ったことで、彼女の勝利への確信は、脆くも崩れ去ってしまった。
「……な、なんで!? その男から受けた攻撃……私の感覚を、あなたにも上書きしたはずなのに!?」
「生憎ね。わたしは貴女に敵意なんて無いわ。わたしが持つのはただ一つ。貴女を助けたいっていう想いだけよ!」
 敵対する意思を見せなければ、相手のユーベルコードは意味を成さない。技の盲点を突き、敢えて攻撃を控えていたフレミアだったが、もはや容赦する必要もない。
「我が血に眠る力……今こそ目覚めよ! 我が眼前の全てに滅びの焔を与えよう!」
 神焔剣レーヴァテイン。あらゆる存在を薙ぎ払い、そして焼き尽くす神の刃が、梨乃を覆うUDCでさえも焼いて行く。慌ててユーベルコードで対処しようとするも、今度はそれよりも早く、神焔がUDCの身体を焼き尽くす。
「あ……あはは……。やっぱり、私は死ぬしかないのね……救いなんて、どこにも……」
 燃え盛る炎の中、概念少女はどこか満ち足りた表情で、いつしか焔にその身を委ねていた。
 それは、自らが酷く穢されたと信じる、梨乃の精神を体現したものだったのかもしれない。だが、UDCという衣は焼いても、梨乃の心まで焼き尽くすつもりはフレミアにもない。
「残念、あなたを死なせて満足なんてさせないわよ。あ、復讐相手を殺すなんてのも、当然ダメ。殺したら、それ以上苦しめられないもの」
 自分が死ぬにしても、相手を殺すにしても、死というものは何の解決にも救いにもならない。どうせなら、相応の生き地獄を与えてやるべきではないかと、フレミアは焼け焦げたUDCの向こう側にいる梨乃に、なんとも楽し気な笑みを浮かべて問い掛ける。
「あ……うぅ……。わ、私……は……」
 衣こそ剥げなかったが、UDCの中にいる梨乃の魂は、微かに揺れているようだった。自分の技が通用しなかったこと。それが敵意のないことへの証明となり、梨乃の中に微かな希望となって芽生え始めていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

……ちょっと、遅れちまったみたいだね。
本当は雑魚どもも苛立ち紛れに蹴散らしたかったけどさ。
まあ、いいさ。
梨乃さん、その姿が過去のアンタ自身でも、
それとも別の存在でも構わねぇ。
まずは、話を聞かせとくれよ。
気は全然済まないだろうけど、存分にな。

『コミュ力』で聞き手モードになりながら、
とにかく身の上話を聞き続ける。
大変だったろうって事はすぐ分かるからね。
その上で、敵意ではなく慈悲の心をもって、
思念波で想い出の根源を探ろうとするよ。
少しは拒絶されるだろうね、そこは『優しさ』で宥めつつも
『手をつなぐ』距離で寄り添い、ゆっくり『鼓舞』するよ。

その絶望をさ、乗り越えようや。


菫宮・理緒
死ぬってことを否定はしないけど、救いにはならないし、
オブリビオンになってしまえば、安らぎなんて得られることはないよ。

苦しみから逃れるには、生きて、そこから抜け出すしかない。
……楽は、できないけどね。

それにあなたの『苦しみ』を、
いちばんに教えてあげないといけない人がいるんじゃないかな?

その人に一撃食らわせるためにも、そんなUDCとかになってる場合じゃないよね!
わたしたちもお手伝いするから、ガツンと一撃しにいこう!

そのためにもいまのあなたは倒してしまわないと、だね。
【虚実置換】でUDCの存在を消していきたいな。

絶望の精神攻撃?
元引きこもりを甘く見ないでほしいな。そんなのとっくに経験済みだよ!


クロエ・アスティン
SPDで判定

梨乃様を必ず救い出してみせます!

大盾を構えて近づきますが、梨乃様の記憶が流れ込んできて……
夜の街で見知らぬ男の相手をさせられた記憶が自分の過去の記憶と重なって……こんなのひどすぎるであります。

記憶に苛まれながらも盾を投げ捨てて梨乃様に抱き着くであります。大丈夫であります、もう梨乃様は一人じゃないであります。
そのまま「祈り」と「破魔」の力を込めて【破魔の聖光】で悪しき力を吹き飛ばしてしまいます!

梨乃様は今まで頑張りすぎたのであります。大丈夫、自分達に任せて少しお休みしてくださいであります。

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です



●本当の温もり
 自分の信じた男に裏切られ、絶望に身を焦がしてしまった秋山・梨乃。その身を包むUDCの肉体が焼かれようとも、しかし彼女の絶望が真の意味で癒されなければ、彼女はUDCと共に消滅する未来を選ぶだろう。
 猟兵達の度重なる猛攻にも耐え、梨乃は……否、UDCである概念少女は、ひたすらに嘆き、そして叫んでいた。
 何故、自分ばかりがこんな目に遭わなければならないのか。世界の全てが敵ならば、自分に生きている意味などあるのか。その問いに対する明確な答えがない限り、彼女は怨嗟にも似た言葉を吐き続け、そして周囲の者の記憶を自分の記憶に上書きして行く。
「……ちょっと、遅れちまったみたいだね。本当は雑魚どもも苛立ち紛れに蹴散らしたかったけどさ」
 そんな中、現場に遅れて到着した数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は、しかし何ら臆することなく梨乃に話しかけた。
「梨乃さん、その姿が過去のアンタ自身でも、それとも別の存在でも構わねぇ。まずは、話を聞かせとくれよ。気は全然済まないだろうけど、存分にな」
「は、話って……。今さら、そんなことして、何になるの!?」
 返って来たのは、強い拒絶。勿論、それは多喜とて承知だ。自殺を願う者の心が、そう簡単に変わるとは彼女も思ってはいない。
「死ぬってことを否定はしないけど、救いにはならないし、オブリビオンになってしまえば、安らぎなんて得られることはないよ」
 同じく、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)もまた、UDCの衣の向こう側にいる梨乃へと語りかけた。
 苦しみから逃れるには、生きて、そこから抜け出すしかない。確かに、死ねば全てを終わらせられるが、果たしてその先に本当の救いはあると言えるのか。自分で自分を殺すというのは、その瞬間が最も苦しいのではあるまいかと。
 猟兵である以上、理緒も、他の者達も、この世界における死の終着点が何を意味するのかは知っていた。
 死……それは、世界の過去となり、骸の海の一部となること。そして、一度でもその奔流に飲み込まれてしまえば、後は延々と過去を再現する形でこの世界に顕現し、オブリビオンとして永遠に苦しみながら、世界を破滅に導く存在になってしまうかもしれないということを。
 世界の理を今の梨乃に説明している暇はないが、それでもここで彼女を助けなければ、より悲惨な未来が待っていることは明白だった。
「梨乃様、待っていてください! 必ず救い出してみせます!」
 大盾を構え、クロエ・アスティン(ハーフドワーフのロリ神官戦士・f19295)は少しずつ梨乃へと近づいて行く。だが、それを攻撃と勘違いしたのか、UDCである概念少女は自らの念を叫びに乗せて、猟兵達の記憶を上書きせんと自身の記憶を送り込んで来た。
「もう……さっきから、なんなのよ、あなた達! 私がここで死のうと、あなた達には関係ないでしょ!!」
 叫びは力となり、衝撃が部屋の窓ガラスを割った。それだけ、周囲に影響を与えられる程に、強烈な思念波ということだ。
(「うぅ……こ、これは……」)
 盾のような物理的防御など関係なしに侵食してくる思念の波に、クロエは飲み込まれそうになりつつも踏み止まった。が、次から次へと頭に流れ込んで来る梨乃の記憶は、クロエにとってはとてもではないが、直視できるような代物ではなかった。
 愛する者のために自らの身体を売り、夜の街で様々な男達の相手をさせられた記憶。紳士的な者は一握りで、その大半は横柄な態度で乱暴な客や、気持ちの悪い変態行為を強要するような客ばかりだった。
 それでも、全ては愛する男のためと信じて我慢してきたが、その愛を彼女の愛した男は裏切った……否、最初から利用しているだけであり、彼の方には梨乃に対する愛情など、これっぽっちもなかったのだ。
「……ひ、ひどい……こんなのひどすぎるであります!」
 山賊に誘拐され、軟禁されていた自分の過去と梨乃の記憶が重なり、クロエは思わず涙を流した。
 こんなことが、本当に許されて良いのか。今の自分には、女神様の加護がある。だが、この世界に住まう者には神の加護などなく、ただ邪神の玩具として弄ばれるか、あるいは悪意のある人間に食い尽くされるのが運命だとでもいうのだろうか。
「あははは! 苦しめ、苦しめ!! そして、絶望するがいいのよ!」
 半狂乱になりながら、梨乃は思念を周囲に放射し続ける。このままでは、今にこの部屋にいる者だけでなく、彼女の思念はアパート全体を覆い尽くし、そこに住む無関係な住人の記憶まで上書きしてしまい兼ねない。
「あんたが苦労してきたってことは、あたしにも分かるさ」
 怒涛の如く流れ込んで来る梨乃の思念。それを1つずつかみ砕きながら、多喜は言った。
「だから……卑怯とは言うまいね。アンタの過去、浚わせてもらうよ!」
 多少、危険な賭けになるが、これ以上は上っ面だけの言葉を重ねても意味はない。梨乃を助けるには、その心理のより深いところまで到達し、彼女の過ちと痛みの原点を知る他にない。
 絶望の記憶を上書きされている状態で、敢えて相手の深層心理を覗き込む。極めて危険な行為だったが、それでも多喜は躊躇わなかった。知りたいのは、梨乃がどのような経緯で街に出て来たのか。何故、タカシのような男に引っ掛かってしまったのか。その原因を探るべく、多喜は梨乃の幼き日の記憶まで手繰り寄せる。
 やがて、到達した先に見えた者は、多喜の想像を超えた苦しい暮らしの記憶だった。
 まだ、梨乃が物心つくかつかないかの年齢で、彼女の母は離婚していた。原因は、夫のDVだ。そのまま母子家庭で育った梨乃だったが、母親の稼ぎだけでは満足な食事もとれず、また学校の勉強に追い付くのも精一杯だった。
 それでも、頑張って金を溜め、地元の専門学校に通って資格も取った。それを生かして仕事をしようと街に出るも、就職活動は失敗の連続。失意の中で、そろそろ貯金も底を突こうかという時に……梨乃は、運悪くタカシの魔の手に引っ掛かってしまったのだ。
(「こいつは……そりゃ、何も知らない中で初めて男から優しくされたら、心の底から信じてしまうってもんじゃないか……」)
 それが偽りのものだったとはいえ、タカシは梨乃にとって、母親以外で初めて優しい言葉を掛けてくれた存在だった。その優しさに甘える気持ちを、タカシは徹底的に利用して、梨乃からあらゆるものを搾り取った。彼女の心も、身体も、そして有り金全ても毟り取り、それでも足りないとなれば騙して借金漬けにした挙句、最後は泡に沈めて放り捨てたのだ。
(「許せないね……。梨乃さん……あんた、もうこれ以上は苦労する必要なんてないし……自分を虐めるのも、もうこれっきりにしないといけないよ……」)
 恐らくだが、梨乃の母はまだ生きている。唯一の肉親である母親を、こんな理由で悲しませては、それこそ最後まで梨乃の人生は絶望一色だ。そしてなにより、ここで梨乃を助けなければ、都会の貧困から生じる負の連鎖は連綿と続き、悲劇が断たれることも決してない。
「な、なんなのよ……。どうして……どうして、私の記憶を上書きされているのに、あなた達は死なないのよ!!」
 いつまでも猟兵達が自殺へと向かわないことで、梨乃の肉体を覆うUDCにも焦りが見え始めた。思念波を更に強め、より強力にして放射するも、もはやその程度では誰も動じなかった。
「絶望の精神攻撃? 元引きこもりを甘く見ないでほしいな。そんなのとっくに経験済みだよ!」
 思念の波に真正面から立ち向かい、理緒が叫んだ。しかし、その表情は怒りではなく、悲しみと憂いに満ちていた。
「な、なんで……あんたら、なんで泣いとるん……? うちのために……泣いてくれた人なんて……」
 今までの人生でも、数える程しかいなかった。そう言って、狼狽えつつも項垂れる概念少女の口調は、いつしか本来の梨乃のものに戻り始めていた。
(「口調が元に戻り始めている?」)
(「これは……チャンスかもしれないでありますね」)
 ようやく好機が訪れたと、多喜とクロエが互いに頷いた。口調が変わったということは、肉体の主導権がUDCから梨乃へと移り始めているという証拠だ。
「さあ、その絶望をさ、乗り越えようや」
「それにあなたの『苦しみ』を、いちばんに教えてあげないといけない人がいるんじゃないかな?」
 そのためにも、今は人ならざる者になどなっている場合ではない。手を差し伸べる多喜と理緒。そして、クロエもまた大盾を放り捨て、概念少女と化した梨乃を優しく抱きしめる。
「梨乃様は、今まで頑張りすぎたのであります。大丈夫、自分達に任せて、少しお休みしてくださいであります」
「ふふ……ははは……暖かいなぁ……。こんな気持ち……タカシと初めて会った時から……ずっと、ずぅっと忘れとったわ……」
 少女の影が静かに揺れ、その向こう側に梨乃の本来の姿が現れ始めた。再び取り戻した生への活力が、あるいはUDC化に抗う力になっているのかもしれなかった。「世の中、まだまだ捨てたもんやないんかもね……。うちみたいな女だって……生きていける場所、まだあるかもしれへんな……」
 この先も苦難が待っているかもしれないが、もう自分は逃げない。偽りに優しさに甘えることもしない。そうやって、母が自分を育ててくれたように、自分もまた強く生きなければならない。そんな梨乃の決意を汲んで、彼女の魂とUDCと切り離すべく、猟兵達は最後の一撃を食らわせた。
「レタッチ、アンド、ペースト!」
「悪しき者を払う光あれ! ――ホーリーライト!」
 理緒のペンが概念少女の姿を写し取る度に、その肉体がUDCのものから本来の梨乃のものへと変換されて行く。そして、剥がされた衣をクロエの聖なる光が包み、欠片も残さず浄化して行く。
「あ……ぁぁ……。そ、そんな……き、消える……私が……私だけが……」
「残念だったね。梨乃さんは、まだ死んでいい人じゃないんだ。死ぬなら、あんた一人で逝きな。道連れなんて、御免だよ」
 光の中へ消えて行くUDCの少女へ、多喜は冷たく言い放った。もう、これ以上、梨乃の気もちが誰かに利用されるのはうんざりだ。やがて、全てが終わった時、古アパートの部屋の中には、くたびれた部屋着に身を包んだ、手首に傷跡の残る女性が倒れていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『人間の屑に制裁を』

POW   :    殺さない範囲で、ボコボコに殴って、心を折る

SPD   :    証拠を集めて警察に逮捕させるなど、社会的な制裁を受けさせる

WIZ   :    事件の被害者と同じ苦痛を味合わせる事で、被害者の痛みを理解させ、再犯を防ぐ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●女衒に天誅を!
 猟兵達の懸命な説得も功を奏し、梨乃はUDCの殻を捨て、元の人間に戻ることができた。
「ほんま、皆さんには、なんぼ感謝してもしきれへん。もう、うちはタカシとはきっぱり縁を切る! 借金も、弁護士の先生に相談して、法律的にアカン利息は払わんで済むよう相談してみるわ」
 今まで、何故そんな簡単なことができなかったのか。それは、不安と寂しさ、そしてなにより疑心と無知から視野が狭くなり、タカシ以外の人間を信じられなくなっていたからだ。
 でも、それも今日でおしまいだ。どこまでやれるかは分からないが、しばらくは夜の仕事も止めて、自分なりにやり直せるように頑張ってみると梨乃は告げた。
 彼女の瞳に、既に女衒ホストの見せた幻覚はない。完全にタカシのことを振り切れた今、もう梨乃は再びUDCになる心配はないだろう。
 だが、それでも、問題の根が完全に解決されたわけではない。タカシは今も、梨乃以外の女性にも手を出して、その人生を狂わせ続けているに違いないのだ。
 ここでタカシの愚行を止めなければ、第二、第三の梨乃が生まれてしまう。今の梨乃は復讐など望んでいないかもしれないが、それとは関係なく、タカシは今までの報いを受けるべきである。
 法的に裁くことができるなら、タカシにも裁きを受けさせたい。そんな建前の下、猟兵達は梨乃からタカシの勤めているホストクラブの名前を聞き出した。店の名前さえ分かってしまえば、後は少し調べるだけで、タカシの住んでいる場所なども割り出すことができるだろう。
 女を食い物にして私腹を肥やし、夜の街に君臨する外道。人を人とも思わぬ女衒に、制裁を与える時が来たようだ。
ロベリア・アナスタシア
【邪神物語】(アドリブ絡みお色気歓迎)
ふぅ~ん…、情事恐怖症を作ったのはその男ね…?
良いわ…、梨乃ちゃんに代わってオシオキしてあげる…♪
今も夜の町でオンナ探ししてるんでしょうから、アカネちゃんと一緒に
会いに行くわ。
で…それとな~く【誘惑】しながら『私達と遊ばない…?』とか
言ってやれば、あっさり引っかかるでしょうね…。

そんでもって、ホテルとか人目の無い場所に連れ込んだら
すかさず超強力な『媚薬+抑精剤(UCで生成)』を飲ませてやりつつ
その体を拘束&弄び。
どうよ、イきたくてもイけない苦痛って最高でしょ?

最後は、マスター君を情事に引き込んでいきながら
タカシ君には永久寸止め地獄を味合わせてあげるわ…❤


高坂・茜
【邪神物語】(アドリブ絡み歓迎お色気歓迎)
さて…、此処からは猟兵じゃなくて『パパ活女子』になるわよ…。

私の友達(UC)を展開して、アイツの悪い話を集めさせながら
私自身は悟られない様、ロベリアさんと一緒にタカシって奴に接触して
ホテルとか人目を避ける場所まで移動…。
その後で…、まあ多少は淫靡な事されても私は平気だけど
拘束出来たら、タカシの悪行記録をスマホで見せながらネット配信するわ。
イケないんだ、こんな事してたなんて…❤

最後はそのまま放置プレイ…、だとなんかすっきりしないから。
確認に戻って来たパパを捕まえて見せびらかし放置プレイしちゃおっかな?


ルトルファス・ルーテルガイト
【邪神物語】(アドリブ絡みお色気歓迎)
…どうやらタカシって奴に制裁をするつもりらしいが。
…何かあの二人と一緒にいると嫌な予感しかせん。
…とりあえず、二人がタカシを誘導する間に奴の悪行をなるべく集めて
アカネの奴に情報送信しておこう。
…なるべく決定的な証拠があれば良いが、噂でも大量に流せば嫌でも目に付くだろうし、何もしないよりは遥かにマシだ。

…ある程度終わったら、無事?を確認する為に二人がいるであろう場所に
向かう事にしたのだが…。
…向かった途端に捕まって何故か酷い目?に合わされるんですケド!?
…えっ、タカシに見せびらかし放置プレイがしたい?
…いやそれ別にそれ俺必要ないんじゃ(問答無用でヤられる)



●アブない☆ハニートラップ!
 ナンパで声をかけた女を言葉巧みに誘導し、自分の客として搾り取った挙句に、借金漬けにして風俗に売り飛ばす女衒ホスト。
 正に非道の極み、人間のクズと言って差し支えない男だったが、そんな奴ほど世に憚るのもまた、夜の世界の理か。
(「ふぅ~ん……情事恐怖症を作ったのは、あの男ね……?」)
(「さて……此処からは猟兵じゃなくて『パパ活女子』になるわよ……」)
 今日も街でナンパに勤しむタカシのことを、ロベリア・アナスタシア(『快楽』と『影』と『媚薬』を司る美魔嬢・f23913)と高坂・茜(『再誕』の邪神少女…?・f26743)は、電柱の陰から様子を窺いつつ尾行していた。
 道行く女性に断られても、タカシは何ら気にすることなく、次のターゲットを探しまわっている。この辺り、なんというかメンタルだけは強そうだ。もっとも、ハイエナの如く獲物の匂いを嗅ぎ回り、隙あらば地獄へ招待しようとしているだけなので、実際はどこまでタフなのかも不明だったが。
 とりあえず、これ以上は眺めていても始まらない。互いに頷き、ロベリアと茜は、今しがた女性に逃げられたタカシに声を駆けた。
「あら、素敵なお兄さんね。ちょっと、私と遊ばない?」
 適当に誘惑すれば引っ掛かるだろうと、まずはロベリアが声を掛けた。だが、妖艶に迫れば直ぐに引っ掛かると思われたタカシは、しかし苦笑しながらロベリアから距離を取り、それ以上は近づいて来なかった。
「あん? お姉さん、どこの店の子や? 飛田でも路上の客引きは御法度やのに、こんな場所で声掛けしよったら、警察に捕まるで」
 どうやら、タカシはロベリアのことを、非合法な手段で稼ぐ風俗嬢だと思ったようだ。まあ、確かに夜の街で女性から声を掛けてくるともなれば、その裏に危険な何かが潜んでいると思わない方が不思議だろう。
 この男、クズだができる。女衒という非道な方法を用いてのことだが、それでも夜の街で大きな顔ができるだけの経験は持っている。
 このまま誤解されては、上手くタカシを誘き出せない。ならば、少しでも信頼してもらおうと、今度は茜が前に出た。
「あ、お兄さん、もしかして私達のこと、誤解してません? 怪しいお店の女の子だと思ってるんでしょ~。ひっどいな~」
 こう見えても、自分達は女子大生。出会いを探して相席居酒屋などを巡っていたが、どうにもイイ男がいないので諦めていたら、たまたまタカシに出会ったのだと誤魔化した。
「ん~、そっちの子は、ホンマに女子大生なんか? なんや、随分と童顔な子もおるんやな……」
 茜の顔を覗き込み、タカシは何やら考えているようだった。が、直ぐに意味深な笑みを浮かべると、いきなり手を伸ばして茜の胸を服の上から鷲掴みにした。
「ま~あ、気のせいか。こっちの方は、十分に育っとるみたいやからな!」
「きゃっ! ……も、もぅ❤ そういうことは……もっと、人のいないところでしなくちゃ、ダメですよ」
 傍から見たら痴漢として訴えられてもおかしくない行為をされながら、それでも茜は満更でもなさそうな態度でタカシに返した。この場で頬を張り倒してやっても良かったが、その程度では梨乃や、その他にも多くの女性を弄んで来た行為に対しての制裁としては軽過ぎる。
 どうせなら、人目に付かない場所で、思う存分楽しもう。そう言って、二人はタカシの手を取ると、ネオンの輝くホテル街へと消えて行った。

●イケない☆お仕置きタイム!?
 ホテルの一室に入ると、最初に仕掛けたのはロベリアだった。
「ねえ、もう待ち切れないの……。早く、私を抱いてくれない?」
 そう言うが早いか、いきなりタカシの首に腕を絡み付け、そのまま強引に唇を重ねた。
(「なんや、この娘……。えろう積極的で……んぐっ!?」)
 だが、それこそがロベリアの仕掛けた最大にして最高の罠。ホテルの部屋へ一緒に入った時点で、既にタカシはクモの巣に掛かった獲物だった。
「う……うげほっ……げほっ……! な、なにを飲ませよった!!」
 口移しで飲まされた謎の液体を吐きだそうとするタカシだったが、時既に遅し。口元を拭い、満足そうな笑みを浮かべるロベリアの顔が、タカシには酒に酔った時のように歪んで見えた。
「うふふ……これはね、特性の媚薬と男性専用の抑精剤なの。これでもう、あなたは立つこともできないし、自分でイクこともできないわ」
「な、なんやて……。このアマ……よくも騙しよったな……」
 自分が嵌められたことに気付いて悪態を吐くタカシだったが、既に彼の身体は極度の興奮で思うようにならず、抵抗することさえもできなかった。
「は~い! それじゃ、イケないお兄さんには、拘束縛りプレイいっちゃいま~す♪」
 そのまま、茜がタカシのことをベッドに縛り上げ、その上でタカシの悪行記録の数々を、スマホで見せながらネット配信して見せた。
「なっ……! そ、そいつは……」
「イケないんだ、こんな事してたなんて……❤」
 そこに映し出されたのは、タカシの今まで行って来た様々な悪行。いったい、どこから引っ張り出して来たのか、殆ど当人と被害者にしか分からないことまで、赤裸々に大公開されていた。
「私のお友達の情報網、甘く見ちゃダメだよ。隠したって、無駄なんだから」
 このホテルに来る前に、茜は自分の協力者達を召喚して市井に放ち、タカシの悪い噂を集めさせていたのだ。その上で、タカシに被害に遭った者を、主に夜の店で働くことになったお姉様方の中から見つけ出していた。
「く、くそっ……舐めよってからに……」
 このままでは自分の名に傷がつくと、タカシは必死に抵抗する。が、そんな彼の隣にロベリアが座り、ほんの少しタカシの身体を撫でただけで、彼の股間が凄まじい勢いで膨張した。
「ぐ、ぐぁぁぁぁっ! な、なんじゃ、こりゃぁぁぁっ!!」
「あらあら、こんなにしちゃって……。どうよ、イきたくてもイけない苦痛って最高でしょ?」
 媚薬の効果で興奮状態にありながら、抑精剤のせいで全く果てることができない状態。このままでは、今に股間が破裂して、取り返しのつかないことになるだろう。
「う……ぐぐぅぅぅ……」
 正に寸止め、生き地獄。己のために女を弄んで来た女衒ホストは、しかし今や完全に、ロベリアの玩具と化していた。

●やっぱり最後は、お約束❤
 ロベリアと茜がタカシを連れ込んだホテルの一室。そこを突き止めたルトルファス・ルーテルガイト(ブレード・オブ・スピリティア・f03888)だったが、色々な意味で嫌な予感しかしていなかった。
「どうやら、タカシって奴に制裁をするつもりらしいが……」
 あの二人のことだから、勢い余って殺すようなことはないだろう。念のため、二人がタカシを誘導している間に集めたタカシの情報を、茜に送ってはおいたのだが。
「……おい、大丈夫か、二人とも、入るぞ」
 まさか返り討ちに遭うとは思えないが、それでも無事を確認するため、ルトルファスは二人がタカシを連れ込んだ部屋の扉をノックした。
 だが、扉が開くや否や、ルトルファスは伸びて来た腕によって強引に引っ張りこまれ、気がつくと茜に馬乗りにされていた。
「お、おい、茜……これは、何の冗談だ?」
「う~ん、冗談って言うかぁ……折角だから、あのタカシってやつに、見せびらかし放置プレイしちゃおうかなって♪」
 そう言うや否や、茜はルトルファスの服を脱がせにかかる。慌てて逃げ出そうとしたルトルファスだったが、今度はその顔面に、謎の液体が盛大にぶっかけられた。
「るぶわっ! こら、ロベリア! なにをかけた!?」
「なにって……ただの媚薬だけど? あ、でも、安心してね。マスターには抑精剤なんかじゃなくて、ちゃんと精力剤を混ぜておいたわ♪」
 そういうわけで、自分も混ぜろ。茜と共に服を脱ぎ、ロベリアがルトルファスへ襲い掛かる!
「ま、待て、二人とも! 制裁するのは、俺じゃなくてあっちの男……っ!?」
 残念ながら、ルトルファスの抗議は聞いてもらえず、まずは二人の指先が易しく身体を撫で始めた。最初は胸の上から、だんだん下へ。そして、散々に敏感な部分を弄ったところで、今度は舌まで使って延々とルトルファスを攻め立てる。
「あらあら、もう我慢できないのかしら? まあ、媚薬を浴びてちゃ、仕方ないわよねぇ❤」
「折角だし、私もすっきりさせてもらおうかな♪ 今夜は何度も楽しませてね❤」
 左右から二人に胸で顔を挟まれ、ルトルファスは覚悟を決めた。ああ、もうこれは絶対に逃げられないやつだ。前門の虎、後門の狼という状況だろうか。あるいは、蟻地獄に捕まった蟻が、こんな気持ちになるのだろうか。
「ぬがぁぁぁぁっ! も、もう限界や! た、タマが爆発しよるぅぅぅっ!!」
 そんな中、三人の行為を見てますます興奮したタカシが、いよいよ限界を迎えて悶絶していた。
 だが、彼はイケない! 絶対にイケない! 薬の効果が切れるまで、延々と蛇の生殺しを味わい続けるのだ。
 それもこれも、全ては女の食いものにした罰。当てつけの如く犯されるルトルファスとは対照的に、タカシは一晩中悶絶させられ続け、ホテルを出る時にはゲッソリとやつれ果てていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

フレミア・レイブラッド
UDC組織にこれまでにタカシの被害に遭った人の情報とサポートを依頼。

クラブに訪れ、タカシを【誘惑・催眠術】「魅惑のフェロモン」で魅了。
逆に良い様に手玉に取ってタカシから他の女を弄んでいる証言を引き出し、手を出してる女性に拡散。

女性を失い孤立したところでタカシの自宅で【創造支配の紅い霧】を使用。
霧の魔力で犠牲になった数多の女性達の幻を具現化し、紅い霧の中で発狂するくらい延々と罵声や恨みの言葉、殺されかける様な恐怖体験で恐怖心を植えつけ再起不能になって貰うわ

梨乃さんみたいに亡くなった女性もいたでしょうしね…。命があるだけマシと思いなさい

後は組織を通じて被害者の援助とかできると良いかしら


菫宮・理緒
ほんとなら、梨乃さんにがつーんとやってほしかったところではあるけど、
きっぱりさっぱり手を切った梨乃さんを、またあれと合わせるっていうのはなしだね。
ここはわたしたちが、その思いを果たしてあげないといけないね!

タカシ自信はUDCなわけではないから、
わたしたちが直接手を下吸って訳にはいかないよね。

なら、しっかり、社会的に死んでもらおう。

ホストクラブの情報や、タカシのSNSなんかは、
ネットで探ればきっとでてくるよね。

わたしは【電脳潜行】でネットに入ったら
【情報収集】や【ハッキング】を使って、
タカシさんがいままでやらかしてきたことを情報公開してあげよう。

いままでしてきたことを、精算してもらうといいよ!


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

さぁて、と。
梨乃さんもしっかり立ち直り始めた事だし、
後は悪い虫を退治しに行かなけりゃねぇ……?

アタマの緩そうな水商売の新人に『変装』し、
タカシのホストクラブに偽名で客として潜入する。
そうして『コミュ力』を発揮して盛り上がりながら、
サラッと「女の敵だねぇ」と釘を刺しておくよ。
最後は「カードで」と支払いの格を見せて金蔓の太さをアピールするのも忘れない。
悠々と店を後にするよ。

そうして欲望丸出しで食い付いてきた所に強烈な逆襲さ。
元々、UDC組織に作ってもらったダミーカードだし、
後の決済は無効。
売掛の回収に頭を悩ますたびに、
やらかした事を思い出し悶絶してしまいな!


クロエ・アスティン
SPDで判定

これ以上不幸な犠牲者を増やさないためにもタカシ様には強く反省してもらうであります。
弱っている女性の方をターゲットにしているのであればこういうのはどうでしょう?

タカシが一人になったところで薄汚れた家出少女のフリをして近づきます。
ふらふらっと倒れるようにタカシに体当たりして、あの何でもしますから今日一日泊めてくださいと頼み込んでみますね。
家に連れ込まれたり怪しげな夜の店を斡旋されたりしたらこれ幸いと「気絶攻撃」で気を失わせて、その間に色々と怪しげな証拠をかき集めて逃げ出すでありますよ!

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です



●胡蝶の悪夢
 夜の帳が降りた歓楽街。ネオン煌めく野望の街を、女衒ホストのタカシは悪態を吐きながら歩いていた。
「……ったく、あのアマども……次に会うたら、マジでいてもうたるで……」
 昨晩、連れ込んだ女達が猟兵とも知らず、彼は未だ反省をしていないようだ。局部が破裂する寸前で薬の効果が切れ、辛うじて助かったものの、限界まで我慢したものを一度に吐き出した代償は大きかった。
 快感が全て苦痛へと変わり、おまけに未だ股間が痛む。男として不能にならなかったのが唯一の幸いだが、これでは当分の間、イイ女を見つけても抱くことさえできない。
 こうなったら、今日は憂さ晴らしだ。自分を指名した客から、とことん絞り取ってやろう。
 半ばヤケクソになりながら、タカシは店に入ると営業用の笑顔になって客を待った。幸い、今日はやけに客が多く、おまけにタカシのところには、随分と気前の良い客がついてくれた。
「ねぇ、タカシさん。わたし、シャンパン頼んでもいいかしら?」
「おお、いいねぇ! どうせだったら、あれやってもらわない? ほら、シャンパンタワーとかいうやつさ!」
 風体からして、水商売関係の先輩と、その新人といったところだろうか。これ幸いとばかりに愛想を振りまき、高い酒を勧めようとするタカシだったが、二人はそんなことをしなくとも、どんどん金を落としてくれる。
「それじゃ、ドンペリお願いするわ。ラベルは当然、金でお願い」
 ピンクや白を通り越して、いきなりの金。ただでさえ高いシャンパンの中でも最高級の品が注文されたことで、やにわに店の中が賑わい始めた。
「ゴールド!? なんや、随分と気前がええな。さては……お姉さん、遊び慣れとるな?」
「さあ、どうかしらね? わたし、こういう場所ではケチケチしないで楽しみたいタイプなの」
 タカシの問いを軽く流し、女は妖艶に微笑んでいた。その正体が、身分を隠してホストクラブに潜入しているフレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)だとは、タカシは露とも気付いておらず。
「確かに、ケチケチしてたら楽しめないね。んじゃ、あたしはほら……アレ、ないの? なんか、すっごい高いやつ……そう、リシャールってやつ頼もうかな?」
「リ、リシャール!? マジで!? ホンマにリシャール入れるん!?」
 続けて、もう一人の女が入れた注文には、さすがのタカシも度肝を抜いた。
 数あるブランデーの中でも最高級品と言われるリシャール。普通に買っても1本30万円から60万円は下らない代物であり、高いものであれば100万円を超える。ホストクラブで頼むとすれば、1本で200万円は下らない。
 果たして、本当にこの女はリシャールの価値を知っているのか。どうにも頭が悪そうに思えたが……支払えるのであれば問題ないと、タカシは敢えて何も言わなかった。
「ドンペリゴールド入りました~! シャンパンタワー、お願いしま~す!!」
「タカシさんのテーブルに、リシャール入りました~!!」
 ヘルプのホスト達が次々と声を上げ、タカシのテーブルに高級酒が運ばれてくる。その様子を、あくまでミーハーな雰囲気を崩さずに眺めているのは……もう一人の猟兵である、数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)だった。
「ひゃあ~、すっごい! シャンパンタワーとか初めて見たし、こんな高いお酒、飲んだことないよ!」
「うふふ……素敵な催しものね。それに、このリシャール……さすがは名立たる銘酒だけあるわ。香りも味も、芸術品の域だわ」
 多喜もフレミアも、あくまで最初はホストクラブの雰囲気を楽しんでいた。が、それらは全て、二人の作戦。程良く酔いが回り、気分も向上したところで、フレミアは改めてタカシに尋ねた。
「ところでタカシさん……あなた、他の女の子とは、どれくらい遊んでいるのかしら?」
「ん~、ホストやから、その辺は聞かないお約束ってことで。あ、でも、ここまでしてもろたから、もう他の子とは縁を切ってもええで。俺はフレミアちゃんと多喜ちゃんの、専属ホストでも構わへんよ」
 さすがは女衒、口だけは達者だ。ならば、本当に縁を切ってもらうため、今までどのような交際をしてきたのか語って欲しいと、フレミアはさらに詰め寄った。
 平時であれば警戒されただろうが、彼女の発する妖艶なフェロモンに加え、高額の酒がバンバン入ったことにより上機嫌になっていたタカシは、何の躊躇いもなく自分の交際経験や、あるいは交際した者の情報を喋ってしまった。
「……で、他にも4人か5人とは同時に付き合うたことあるけど、ここまで応援してくれたのは、二人が初めてやで」
 そう言いながら、タカシは堂々と二人の肩に手を回して来た。もはや、完全に自分の女だという態度に嫌悪感を覚えるフレミアと多喜だったが、ここはぐっと堪え、釘を刺すだけにしておいた。
「四股に五股……イケメンとはいえ、女の敵だねぇ」
「でも、金輪際手を引くっていうなら、これから先もお店に来てあげるわよ。わたしと、この娘との二股くらいだったら、まあ大目に見てあげるわ」
 そういうわけで、残念ながら今日はそろそろお開きの時間だ。そう言って店を出る際に、多喜はサラッと黒いカードで会計を済ませた。
「ご利用、ありがとうございました! またのご来店を、お待ちしております!!」
 深々と頭を下げる見習いホストの一同。そんな彼らの姿を横目に、二人は堂々と店を出て行く。
 この晩、二人が使った金は、実に500万円は下らなかった。だが、タカシは何も知らないのだ。多喜の用意したカードが、UDC組織によって巧妙に偽装されたダミーであることを。故に、今宵の支払いは全て無効であり、タカシ自身の売掛になってしまうということを。
(「まあ、自業自得だね。売掛の回収に頭を悩ますたびに、やらかした事を思い出し悶絶してしまいな!」)
 いくらホストとはいえ、カリスマ級の有名人にでもならなければ、月に500万も稼ぐことは難しい。ましてや、タカシはフレミアの口車に乗って自分の悪行をバラした上、他の客も切ってしまったのだ。
 ここから先、待っているのは売掛を返すための借金地獄。だが、彼の所業がネット等を通じて拡散されれば、もはや指名する者は誰もいなくなる。
 欲望の街は悪意に満ちているものの、しかし同時に筋だけは絶対に通さねば生きていけない場所でもある。これからのタカシのことを考え、多喜は思わずほくそ笑んだ。 

●ハニートラップ再び
 店での仕事が終わった帰り道、タカシは久しぶりに上機嫌だった。
 今晩だけで、500万もの売上。これで、今月のナンバーワンは自分に決定だ。昨日は変な女に騙されて散々な目に遭っただけに、色々な意味で爽快だったと。
 そんなタカシの前に、物陰からみすぼらしい姿の少女が現れた。もう、何日も着替えさえしていないような、薄汚れた格好。こんな時分に歩いているにしては、年齢も随分と幼く見える。
「あ、あの……」
「あん? なんや、お嬢ちゃん。こんな時間、子どもが歩いていい時間やないで」
 半ば、ぶつかるような形で声を掛けられ、タカシは思わず少女の身体を支えて尋ねた。普段であれば、お気に入りのスーツを汚されたことに激昂して少女を突き飛ばしていただろうが、今日のタカシは幸か不幸か随分と上機嫌だった。
「な、何でもしますから、今日一日泊めてください! お願いします!」
 泣き付く少女がクロエ・アスティン(ハーフドワーフのロリ神官戦士・f19295)であるとは知らず、タカシは邪な笑みを浮かべて、彼女の頭を易しく撫でた。
「へぇ、何でもねぇ……。ほんなら、今日一日だけなら、俺の家に泊めたるわ」
 いくら女衒とはいえ、未成年に手を出すのはさすがに拙い。普段のタカシであれば、その程度の判断はできたのだが、しかし酒も回っていた上に、昨晩のこともあった今のタカシには、冷静な判断ができなかった。
 自分がこの娘に手を出す気はないが、世の中にはマニアというのもいるものだ。知り合いの伝手を使って、そういったマニアに足がつかないように売り飛ばしてもらえば、後は野となれ山となれ。仮に逮捕されるとしても、名も知れぬロリコンが捕まるだけなので、知ったことではないと思ったのだろう。
 人目につかぬよう注意しながらも、タカシはクロエを自分の住んでいる高級マンションへと連れ帰った。その上で、着替えをさせて身体を洗わせたところで……いきなり浴室の扉を開け、そのまま乗り込んでクロエの手を後ろに捻り上げた。
「ひゃぁっ! な、なにをするでありますか!?」
「やかましいわ! さっき、何でもするって言うたやろが! 下手に騒ぎよったら絞め殺すで、このクソガキが!」
 バスタオル一枚のクロエの手を強引に後ろに回し、タカシはそのままガムテープで縛り上げた。そして、泣き叫ばないように猿轡を噛ませた上で、乱暴に浴室の床に転がした。
「ハッ……! 生憎、今の俺は逆ナンやら援交なんぞする女に、ちょいとばかりムカついとってなぁ……。このまま無茶苦茶に犯してやってもええが……それよりも、もっと楽しいところに、お前を売り飛ばしたるわ」
 勝ち誇ったように笑いながら、タカシはクロエを見下ろしていた。だが、猟兵相手に、慢心は命取りになり兼ねない行為だ。現に、クロエとて黙ってやられていたわけではなく、タカシに渾身の一撃を食らわせる隙を狙っていたのだ。
(「……よし、今であります!」)
「……っ!? おぱぁっ……な、なん……やてぇ……」
 瞬間、クロエの蹴り上げた爪先が、タカシの股間を直撃した。昨晩のことでボロボロになっていた急所へ、ドワーフの怪力に任せて放たれたキックが炸裂したのだ。
「あ……あが……ぁ……」
 白目を剥いて泡を吹き、タカシはそのまま気絶してしまった。男の急所を、鉄パイプで叩かれたようなものである。クロエにとっては普通の蹴りだったかもしれないが、もはやタカシの股間は、二度と再び男の証としては使い物になるまい。
「……ふぅ、間一髪だったでありますね。それにしても、この男……想像していた以上に、とんでもないやつだったであります」
 拘束を解き、クロエはタカシの部屋から証拠になりそうなものを探して回った。これといった物証の類は出て来なかったが、しかしパソコンやスマホを適当に弄り回していたところ、目を覆うような画像が次々に発見された。
「……っ! こ、これは……こんなもの、残しておくなんて、あんまりであります!」
 そこに映し出されていたのは、かつてタカシが毒牙に掛けた、多くの女性達の情事の写真。恐らくは、リベンジポルノに使うなどと言って、脅すための材料に保管していたものだろう。そこまでしなければタカシに従わない女性がいなかったため、ネットなどに拡散されていないのは幸いだったが。
 こんなもの、残していたところで、何の意味もない。だが、さすがにコンピュータのデータは手に余る代物だったので、クロエは入手したデータを他の猟兵に託しつつ、自分がタカシからされた所業を警察に通報することにした。

●電子の妖精の裁き
 タカシがクロエの一撃で気を失っている最中。
 入手した様々なデータを元に、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は、いよいよタカシを社会的に抹殺すべく、電子の海の中にて行動を開始していた。
(「ほんとなら、梨乃さんにがつーんとやってほしかったところではあるけど……きっぱりさっぱり手を切った梨乃さんを、またあれと合わせるっていうのはなしだね」)
 ここは自分達で、彼女や他の被害者達の想いを晴らしてやらねばならない。そして、そのために必要な情報は、幸いにして全て自分の手の中にある。
 まずは、タカシの勤めていたホストクラブに、彼の悪行の数々を匿名で通報した。だが、それだけでは当然終わらない。
(「オーナーがまともな人なら、タカシは店をクビになるはずだよね。さて、後は……」)
 次に目を付けたのは、タカシのSNS。そこへ今までの所業を、時に画像を加えての大公開。勿論、被害者女性の顔は徹底的に映らないよう加工や細工をした上で、タカシの情けない姿や非道な姿だけが掲載されるようにしてある。

――おい、なんだこいつ! こんなやつ、本当にいるのかよ!?
――ちょっと、マジでサイテーなんですけど! これ、有名なホストクラブのホストだよね?
――え~、最悪~! あの店、気になったから、一度は行ってみようと思ってたのに~!

 案の定、次々と書き込まれる否定的なコメントの嵐。このまま放っておけば、後は炎上するのも時間の問題だ。店をクビになり、しかし売掛だけはしっかり残ってしまったタカシは、もはや表の世界でも裏の世界でも、まともに生きて行くことなどできまい。
(「いい気味だね……。いままでしてきたことを、精算してもらうといいよ!」)
 ネットの力を侮るな。理緒のバラ撒いたタカシの秘密は電子の海に瞬く間に拡散し、二度と消えない証拠として、人々の間に刻まれて行った。

●復讐の炎
 気がつくと、タカシは薄暗い自分の部屋の中で、無様に天井を仰いで転がっていた。
 そういえば、今は何時なのだろう。拾った少女にまんまとやられた悔しさが込み上げて来たが、それよりも不思議なのは、部屋がぼんやりと赤く染まっていることだ。
 まさか、あのまま夕方まで気絶してしまったのだろうか。股間の痛みを堪えて立ち上がると、タカシの前には彼の良く知る顔の女が立っていた。
「……あれ? もしかして、フレミアちゃん? な、なんで、フレミアちゃんが、俺の部屋におる……」
 いくら上客とはいえ、さすがに初日からマンションの場所を教えるようなことはしていないはず。何が起きているのか分からないまま困惑するタカシだったが、そんな彼にフレミアは、不敵な笑みを浮かべながら手を伸ばした。
「全てを満たせ、紅い霧……。夢も現実も、全てはわたしの思うまま。ようこそ、わたしの世界へ」
 そう、フレミアが告げた途端、周囲を覆う赤い霧が濃度を増した。これでは、もはや一寸先もまともに見えない。手探りで霧をかき分けて進もうとすれば、果たしてその先から複数の影が現れ、タカシの前に立ちはだかった。
「うぅ……」
「あぁ……ぁぁ……」
 不気味に蠢きながら、影はタカシに縋るようにして迫って来た。その姿を見た瞬間、タカシは思わず血の気が引いた。
「お、お前達は……杏子に真紀……それに、朱美やないか……」
 タカシの口から告げられる女達の名前。今まで、彼が利用するだけ利用して、最後には捨てて来た者達だ。
「う、嘘やろ……なんで、お前達が生きとるんや……。お前達は、死んだ……死んだはずや……!!」
 フレミアの予想通り、タカシの被害者達の中には既に命を絶ってしまった者達もいた。彼女達の死はタカシも知るところだったが、彼はそんなこともお構いなしに、今日まで女を漁って生きて来た。
「許さない……絶対に許さない……」
「呪ってやる……アンタが死ぬまで……ずっと、ずっと呪ってやるで……」
 だが、それらの所業は今、全てが怨嗟の言葉となってタカシの身に迫っている。彼女達が生きているはずがない。そう、頭では理解していたが、フレミアの見せるあまりに生々しい幻覚を、タカシは幻だと見破ることができなかった。
「アンタを殺して……アタシも死んだるわ……」
「一人では死なさへんで……。お前も道連れや……この女衒が!!」
 ある者は剃刀傷だらけの腕でタカシの首を絞め、また別の者は手にした包丁でタカシを刺した。当然、それらは幻覚なので、実際にタカシが死ぬことはない。が、しかし、窒息死させられる苦痛や刃物で刺された痛みだけはしっかりと感じることができ、タカシは赤い霧の中で、幾度となく女達に殺され続けた。
「や、やめてくれ! 頼む! ホンマに、もう勘弁……ぎゃぁぁぁぁっ!!」
 そして、ついに決壊してしまうタカシの心。猟兵でもなければUDCでもない彼にとって、幻覚の中とはいえ何度も殺され続けたことで、彼の精神は限界を迎えてしまったようだ。
「あ……はは……ははは……」
 光を失い、死んだ魚のようになった瞳で、タカシは部屋の床にへたり込んでいた。その口からはだらしなく涎が垂れ、盛大に失禁もしている。誰がどう見ても廃人であり、ホストクラブでの輝かしい姿は欠片もなかった。
「……命があるだけマシと思いなさい。まあ、そんな状態じゃ、むしろ一思いに死んだ方が楽だったかもしれないわね」
 霧が晴れたところで、フレミアから告げられる非情な言葉。制裁が終わった男に興味などないのか、フレミアはそれだけ言って、足早に部屋を立ち去った。
 後は、UDC組織を通じて被害者の援助などができれば幸いだ。騙された上での借金とはいえ、いつまでも望まぬ形で風俗嬢を続けなければならないのは、女性達にとっても決して好ましいことではないのだから。
 かくして、多くの女性を弄んで来た女衒ホストは、猟兵達により全てを失った。この先、彼を待っているのは、死ぬより辛い過酷な現実。だが、その時に助けになってくれるであろう者など、今のタカシには唯の一人もいなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

叢雲・凪
SPD

一通り仲間達が彼への処罰を済ませたら彼をポリスメンに引き渡そう。
その際 ポリスメンの中でも現場責任のある人を探し…

「どうも ハイ・デッカーさん お勤めご苦労様です ジンライ・フォックスです」(誠意のあるお辞儀)

「おそらく この男は末端の犯罪者に過ぎない。梨乃さんがお金を借りていた金融会社は暴利で稼いでいる闇金…。おそらく タカシと闇金の間にはつながりがあるはずです」

「その上には弱者から搾り取り私腹を肥やすアクダイカンがいるはず…。あなた達はタカシへの聴取をしてください。ボクは…闇金へのインタビュー(拳)をします」

「これがボクの捜査令状なので」(黒雷を帯電させつつ)


その後闇金を襲撃



●最後の後始末
 猟兵達の活躍によって、女衒ホストのタカシは全てを失う形で制裁された。
 明け方、程なくしてタカシの住んでいるマンションの周りには、通報を受けて駆け付けたパトカーが集まっていた。
「オラ! なに、ヘラヘラ笑っとんねん! お前さんには、闇金と売春の斡旋に、未成年者との不純異性交遊や、未成年者略取の疑いもあるんやで!」
「……臭っ! こいつ、漏らしとるで! なんや、目も死んどるし……シャブでも食らってラリっとるんか!?」
 通報を受けた警察官達が、身も心もズタボロにされたタカシを引っ張り出して来た。恐らく、タカシはこのまま精神病院の檻の中へ放り込まれることだろう。そして、仮に心が治ったところで、今度は500万円の売掛を返済するための借金地獄が彼を襲う。どう足掻いても絶望しかなく、今まで散々に人の人生を弄び、時に死へと追いやって来た男に相応しい末路だった。
「どうも ハイ・デッカーさん お勤めご苦労様です ジンライ・フォックスです」
 現場に集まって来た野次馬を追い払う警察官に、叢雲・凪(断罪の黒き雷【ジンライ・フォックス】・f27072)は深々と頭を下げて挨拶した。その上で、タカシは末端の犯罪者に過ぎず、その裏には非合法な闇金の存在があるのではないかと、彼らに告げた。
 そして、その上には弱者から搾り取り私腹を肥やす悪代官……もとい、暴力団の存在があるだろう。彼らを取り締まり、徹底的に潰すためにも、これは好機ではないかと伝えたのだが。
「あなた達はタカシへの聴取をしてください。ボクは……闇金へのインタビューをします」
「なんや、お前さんは? どこの記者さんか知らへんが、まあ、せいぜいおもろい記事になるよう頑張ってや」
 二流雑誌の記者と勘違いされたのか、残念ながら、警察官にはまともに相手をされなかった。
 だが、それも仕方のないことだ。彼らはあくまで、タカシの犯罪行為に対して通報を受け、現場に駆け付けた末端の警官に過ぎないのだから。当然、現場の責任者であっても捜査の方針を決める権限などなく、より上で指揮を執る者に訴えるか、あるいはタカシの背後にいる組織の証拠を集めて警察に提出する以外に、信じてもらえそうな手段はなかった。
「これが、この国の警察の限界ですか……まあ、仕方ありませんね……」
 ならば、最後の後始末は自分がつけよう。そもそも、警察の介入を期待したところで、せいぜい闇金業者にトカゲの尻尾切りをさせるのが限界だ。悪の根を元から断つためには、多少の強引な手段も致し方ない。
 かくして、その日の夕刊には、錯乱を遂げたタカシのことは何処にも乗らず、代わりに闇金業者が謎の襲撃を受けたことが報じられた。襲撃を受けた闇金の従業員達は全て暴力団の組員であり、全員が全治数カ月の重傷を負わされ病院送り。組と組の抗争とも思われたが、銃痕はおろか刃物を振り回した痕跡さえ見当たらず、代わりに壁が黒焦げになった跡や、まるで落雷でもしたかのように焦げた床だけが残されていた。
 鉄砲玉の仕業にしては不自然過ぎるという、なんとも不可解な事件。ちょっとしたミステリーとして取り上げられ、しかしそれも、やがては人々の記憶から消えてしまうのだろう。
 これでもう、この街を裏から支配する女衒と闇金に苦しめられる者はいなくなる。病院送りにされた組員達の間では、あの街で商売をすると碌な目に遭わないという噂が立っており、暴力団が再び闇金業を始める心配もなさそうだ。
 一見、華やかに見える夜の街。しかし、その陰で蠢くのは、ドス黒い人の欲と野望の渦。彼らは時に心の弱い者に狙いを定め、より深い地獄へと誘って行く。
 それに喰われないようにするのは、ある意味ではUDCに喰われないようにするよりも、難しいことなのかもしれない。だが、タカシが再起不能になったことで、しばらくは街の夜を人々の涙が濡らすことはないだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年07月19日


挿絵イラスト