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星海サーフェスダイブ(作者 花雪 海
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 広大な海と数多の島からなる世界、グリードオーシャン。
 猟兵たちがこの世界に足を踏み入れてから、既に幾つもの島を訪れ、その数だけ戦いがあった。
 そして、物語の舞台は必然のように海中へと広がっていく。
 深海島。
 海の底にある島々は、そう呼ばれていた。

「今日は星海祭だねぇ」
 桟橋の上で、穏やか過ぎる程の波を眺めて海女は言った。
 今日は一年に一度の海凪の日である。風はなく、波は何処までも穏やかであるが故、帆を張って進む船を出すには向かぬ日だ。それは海中とて同じで、普段は荒れる海流も今日ばかりは寝静まっている。
 何もかもが穏やかな日。一年に一度のそんな日に、海がくれた休日として「星海祭」という祭りを催すのだ。
「海のお隣さんは元気かね。さて、私も祭りの準備に向かおうかい。――空と海が繋がる日、くじらが帰る、お空から。水平線を渡って、迷子が帰る、海の空……」
 海の中へ柔い視線を向けてから、海女は海の恵を手に町へ向かった。無意識のうち、この海域に伝わる子守唄を口ずさみながら。

 そんな静かの海を、虚が泳ぐ。其れは天より戻り来た海の魔獣。悠々と、しかし猛然と、其れは白き海中都市を目指して泳いでいく。

 大きな気泡が海面に浮かび上がった。


「やあ、皆。集まってくれてありがとう。早速だけど、今回はグリードオーシャンだよ」
 グリモアベースの一角。
 初夏の陽射しの中、「見た目がもう暑い」とげんなりする程に全身真っ黒な人形――ディフ・クライン(灰色の雪・f05200)が、猟兵たちに穏やかに声をかけた。
「深海島、聞いたことがあるかな。海中の巨大な気泡に包まれた都市のことだよ」
 多くは貝や珊瑚で出来た都市で、絶えず湧き出す大量の気泡が島を包み込んでいる。その気泡によって島はそれ以上沈まずに、また深海人でなくとも呼吸に支障はないのだという。だがそんな場所でも、オブリビオン――グリードオーシャンで言うところのコンキスタドールの脅威が迫りつつあった。

「今回はね、深海島の一つ、星珊瑚の島パルレに向かって欲しい」
 それはとある海域にある深海島。星珊瑚と呼ばれた真白の珊瑚で出来た海中都市だ。
「今日は星海祭という祭りが催される日なんだけどね。予知が正しければ、その祭りの終盤、パルレはコンキスタドールの襲撃を受ける。多分、クジラだよ」
 故に、猟兵諸氏にはまずはパルレに向かってもらわねばならない。とはいえ潜水艇などがあるわけもないので、生身で泳いでもらうことになる。普段は強い海流のうねりによって生身で潜って辿り着くことは困難だが、今日は一年に一度の海凪の日。空も海も穏やかに鎮まり、パルレへ向かうのも容易になる。
「深海島からは絶えず気泡が溢れているから、その気泡を吸いながら潜れば呼吸は出来る。何よりその気泡を辿れば深海島への道標になるよ。ただ、水圧だけはどうにもできない。気合なり何かしらの対策するなりして、頑張って欲しい」
 少々申し訳なさそうに頭を下げてから、ディフは銀の雪華のグリモアを手にした。雪華がくるくる回る。雪華から降り注いだ雪が、門を形作る。
「無事パルレに辿り着いたら、折角だしお祭りを楽しんでくるといいよ。確か、海に星が降るらしいんだ。星珊瑚にちなんだ装飾品や、海の幸が振る舞われるそうだよ。海の中でのお祭りなんて、なかなか楽しいと思うんだ」
 柔く目を細める間に、雪華の門が開いた。もう、海はすぐそこだ。

 いってらっしゃい、気を付けて。

 低く穏やかな声が背を押して。
 波が、誘っている。





第2章 日常 『星海祭』

POW海を祝おう。恵みを歓び、海と共に祝おう。
SPD星を祝おう。光を歓び、星屑と共に遊ぼう。
WIZ人を祝おう。生を歓び、共に在るものに感謝して。
👑5 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 真っ白な星珊瑚で出来た島は、同じく星珊瑚で出来た家々も立ち並ぶ一つの大きな街だ。花の代わりにカラフルなイソギンチャクが飾られ、風の代わりに波音が街を渡り、鳥の代わりに魚が気泡の外を飛んでいる。
 深海に浮かぶ白亜の都市は、気泡で柔らかく猟兵たちを迎え入れた。
 
「まあまあいらっしゃいませ! 見ていましたよ、あの子たちを退治してくれてありがとう。みんな怖がっていたのよ」
 猟兵たちを迎え入れたのは、島の女王だというセイレーンだった。女王の猟兵たちを見る目は信頼と感謝に満ちている。猟兵たちは一通り事情を説明すると、女王は納得したように部下と思しき者に伝令を頼んだ。伝令が駆けて行った先の街は、今まさに祭りが開催されようとしている。
「事情は承知致しました。此方である程度の手はずは整えておきましょう。ですが、襲撃はこの祭りが終わった後ですよね? でしたらば是非、皆様も星海祭に参加していってくださいませ。一年に今日だけのお祭りですから!」
 人懐こい笑みで女王が笑った。そして、建物でもある星珊瑚を指差す。
「ほら、今まさに星が降りますよ」
 月灯りに照らされた凪の海で、星珊瑚の島から光が舞い始めた。ぽつりぽつりと零れた光は、やがてどんどん増えていく。
 
 ――それは一年に一度。星珊瑚の産卵の日。
 
 島を構成する星珊瑚から、ふわりとまんまるの卵が海中に舞い始める。一部からではなく、島の全体の星珊瑚が一斉に産卵していた。月灯りを受けた卵がキラキラと海中で煌いている。
 数多の星珊瑚の卵は一度ふわりと海中に舞い上がり、やがて海流に漂いながらゆっくりと降り注いでいく。星珊瑚の名の通り、星屑のように煌くそれは今夜一晩は止むことはない。気泡の外側の海を煌いて舞うその様はまさに“海に星が降る”という表現に相応しい光景だった。

 星珊瑚の産卵が祭り開始の合図だ。
 各所で一斉に出店が星のランタンを灯して人を呼び込みはじめている。
 通りを歩けば、あちこちに星珊瑚をアクセサリーに加工して売っている店がある。真白の星珊瑚を磨けば星の如く煌く宝石珊瑚になる。形も珊瑚の枝そのままや、星やハート、魚やくじらなど様々にある。望めば店主が快く好きな形でアクセサリーを作ってくれるだろう。
 海の幸をふんだんに使った屋台からは、胃袋を刺激する匂いが漂っている。炭で豪快に炙ってタレを絡めたイカ焼き。がっつり腹を満たしたいのならば、好きな魚介を好きなだけ漏れる海鮮丼も人気だ。手軽に食べ歩きたいのならば、スモークサーモンにチーズとレタスを挟んだサンドイッチも美味しいだろう。
 喉が渇いたならば、深海の海洋深層水から作ったソーダが一番のおすすめ。甘さの中にほんのちょっぴり塩っ気がある味わいは、今の季節にぴったりの爽やかさだ。
 そして祭りでは星珊瑚と同じくらい、くじらのモチーフがよくよく並んでいた。聞けば「今日は星鯨が帰ってくる日なのです」と女王は言った。この海域に伝わるお伽話なのだという。
「ほら、ちょうどステージで歌がはじまっていますよ。星鯨の歌です」
 島の中心に据えられたステージでは、美しき人魚が海の星屑を見上げながら歌を歌っている。
 優しい歌だ。子ども達も共に歌っている。
 
 ――海の底から眺めてた。くじらは夢見る空の星。
 キラキラお空に行きたくて。くじらは跳ねる空の海。
 しばらく星を泳いだが、帰り道を忘れて
 ぽたり、ぽたり。くじらが泣いた

 それを見ていた空と海、一晩だけ手を繋いだ
 空と海が繋がる日。くじらは帰る、お空から。
 水平線を渡って、迷子は帰る海の底。
 土産はお空のきらり星、くじらは泳ぐ海の空。”

 優しい歌が響いている。
 星珊瑚の卵は星屑のように海中を漂い煌く。
 星と海の祭りが、はじまる。
 
*****************
●お知らせ
 無事星珊瑚の島パルレに辿り着きました。「星海祭」を楽しむ章です。
 星屑のような星珊瑚の産卵真っ最中の海を空に、月灯りのお祭りがはじまっています。
 祭りでは星珊瑚の加工品を求めたり、海鮮料理を楽しんだり、星珊瑚の産卵の海を楽しむことが出来ます。
 (尚、ボス戦に関しての避難誘導などは既に島中に連絡がいっていますので、この章では気にする必要はありません)
 POW/SPD/WIZは一例ですので、あまり気にしなくて大丈夫です。
 また今章でも花雪のキャパシティの関係上、【1グループは2名様まで】とさせて下さいませ。

●受付期間
 【6/30 8:31~7/02 22:00】を予定しております。
 受付期間外に頂いたプレイングは、内容に問題がなくとも流してしまいます。ご注意下さい。
 また、一度再送をお願いする場合があります。もし失効致しましたら、その日の23時までに再送して下さると助かります。23時以降でもシステム的に締まるまでは受付出来ますが、返却を始めている場合間に合わない場合が御座いますので、ご了承頂けますと幸いです。
 
 それでは、皆様のご参加を心檻お待ちしております。
箒星・仄々
想像以上の美しい光景です
思い切り楽しみましょう!

色々とやりたいことが目白押しで悩ましいですが…
月明りのナイトダイブと行きましょう

水の魔力で呼吸や移動に心配はありません
海流に乗り卵さんと一緒に
ふわふわ
ゆらゆら
星の中を泳いでいるようです

仰ぎ見る月光で染まる海も
足元の真っ白な街並みも
息をのむほど美しいです

ランさんも召喚して自由に泳いでもらいましょう
卵さんを傷つけないようお願いしますね

風の魔力をそっと発動
空気のあぶくに包まれて
やっぱりふわふわゆらゆらしながら
星鯨の歌を奏で歌います
卵さん達のこれからの旅路を祝して
そして…
予知されているコンキスタドールの鯨さんのお心が
少しでも癒えるよう願って



「わあ!」
 白亜の珊瑚で出来た海中都市と、きらきらと輝きながら舞う星珊瑚。深海にまで届く淡い淡い月灯り。
 パルレに辿り着いた箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)の目の前には、仄々の想像以上に美しい光景が広がっていた。幻想的な光景の深海島パルレは今、祭りの開催と同時に島中に熱気が溢れている。ならば今、仄々がすべきことはきっとひとつだけ。
「思い切り楽しみましょう!」
 エメラルドの瞳を輝かせて、仄々は喧騒の中に飛び込んだ。
 
 所狭しと並ぶ星珊瑚のアクセサリーや、美味しい匂いのする屋台。どれにも興味を惹かれて、やりたいことは目白押しだ。その中から一つだけを選び取るのは中々に悩ましかったが、悩んだ末に仄々が選んだのは月明りのナイトダイブだった。
 水の魔力を纏えば呼吸や移動、無論水圧だって心配はない。島全体を覆う気泡からぽよんと抜け出せば、穏やかな海流が仄々を撫でていく。そのまま身を任せるように海流に乗れば、あっという間にきらきら星に包まれた。
 ふわふわふわり。
 ゆらゆらゆらり。
 海流に身を任せて、仄々は星珊瑚の卵と共にのんびり泳ぐ。月明りの中の星珊瑚の卵たちは、鯨の歌にある空の海という表現に相応しい。気分は星の中を泳いでいるようだ。くるりと身を反転させれば、眼下にパルレが見える。仰ぎ見る月光で染まる海も、仄々の足元にある真っ白な街並みも、息を飲むほど美しかった。
 
 召喚したランさんが仄々に擦り寄り、また海を自由に駆けていく。
「ランさん、卵さんを傷つけないようにお願いしますね」
 卵と戯れるように泳ぐランさんが仄々と一度、アーモンドの瞳を合わせる。頷くように身を震わせたランさんが勢いよく泳げば、まるで彗星が尾を引くように星屑が後を追った。
 
 ふと、仄々が指をくるりと回して風の魔力をそっと発動した。途端に空気のあぶくに包まれれば、それに身を委ねるように力を抜く。ふわふわと海中に漂うあぶくは、まるで仄々自身が星のひとつになったかのよう。
 海流にゆらゆら揺られ、ふわふわとしゃぼん玉のように漂う。
「海の底から眺めてた、くじらは夢見る空の星――」
 パルレから聞こえる星鯨の歌をなぞり、竪琴を奏で歌う。星珊瑚の卵たちのこれからの旅路を祝して。
 そして、予知されている脅威。訪れるであろうコンキスタドールの鯨の心が、少しでも癒えるようにと――。
大成功 🔵🔵🔵

辰神・明
妹人格:メイ
アドリブ、連携歓迎

パルレ、着きました、です……!
ふーちゃん、メイ達には
とーっても大事なお仕事があるの、です
キラキラのお土産、プレゼントを買いたいなって

星珊瑚、みーんなキラキラさん、です
はぐれないように、ふーちゃんをぎゅってしながら
星鯨の歌に合わせて歩いていきますね
優しくて、とっても綺麗な歌……
聞き入って、気付けば足を止めていて
はっ!お土産さん、探さないと、です!?

綺麗なクジラさんの宝石珊瑚を、えっと……
お兄様、アキラお姉ちゃん
お友達、お友達の精霊さん
ふーちゃんの分も!5個買っても、いいです、か……?

ふーちゃん
頑張ってくれました、から
……さっきの船首像さん達にも、この歌が届くといいな



「パルレ、着きました、です……!」
 星珊瑚で出来た都市に降り立った辰神・明(双星・f00192)は、薄桃の瞳いっぱいに見たこともない深海島という景色を映し出して笑った。
 深海にある島や星珊瑚、きらきらと煌いて揺れる星珊瑚の卵たち。全てが目新しい。
 けれども今日、明が此処に来たのは一つの目的があるからだ。黒狐のぬいぐるみことふーちゃんと向かい合って、明はとっても真剣な顔をする。
「ふーちゃん、メイ達にはとーっても大事なお仕事があるの、です」
 そう。それは一大ミッションだ。ふーちゃんも心なしか真剣な様子で明の言葉を聞いて頷いている。
「キラキラのお土産、プレゼントを買いたいなって」
 明の提案に、ふーちゃんが賛成するように万歳した。更にゴーゴー!と言わんばかりに片手を天に突き上げるから、明は満面の笑みを浮かべてふーちゃんを抱き締める。見知らぬ土地でも、ふーちゃんが居るからきっと大丈夫だ。
 
「星珊瑚、みーんなキラキラさん、です」
 天を見上げれば気泡の外には海が広がり、海の中には星屑のような珊瑚の卵がふわふわと漂っている。その光景は、まるで海に星空が広がっているようにも見えた。
「土産はお空のきらり星、くじらは泳ぐ海の空……――♪」
 誰かが常に星鯨の歌を歌っているものだから、明もつられて歌って歩く。
「優しくて、とっても綺麗な歌……」
 思わず聞き入ってしまって、気付けば明はそのまま目を閉じ足も止めてしまった。抱き締めていたふーちゃんが明のお顔をぱたぱたぺちぺち。
 ――ねえねえ、なにか忘れてない?
「はっ! お土産さん、探さないと、です!?」
 
 大事な目的を思い出した明は、ふーちゃんを連れて星珊瑚のアクセサリー店を覗きに行った。艶々に磨いた宝石珊瑚は、真っ白できらきらと星のように煌いている。星やハート、加工された形も様々だけれども、明が手に取ったのは星珊瑚のクジラ。
「綺麗なクジラさんの宝石珊瑚を、えっと……お兄様、アキラお姉ちゃん。お友達。お友達の精霊さん、ふーちゃんの分も!」
 明が指折り数え、最後にふーちゃんの名前が出れば腕の中でふーちゃんが万歳をした。
 ふーちゃんは頑張ってくれたからと笑えば、更にぽこぽことリボンに花を咲かせている。ふーちゃんなりの嬉しさの証明だろう。
「5個買っても、いいです、か……?」
「もちろんだよ!」
 明とふーちゃんの可愛さに頬と目尻が緩みっぱなしの店主は、力強く頷いた。

 大切な贈り物を入れた箱を持って、明は空を――海を見上げる。
 歌はまだ響いている。
「……さっきの船首像さん達にも、この歌が届くといいな」
 
 ――迷子は帰る海の底。
大成功 🔵🔵🔵

榛・琴莉
なんだか美味しそうな匂いが…何かのタレが良い感じに焦げた匂い…
ここまで泳いで来たからか、丁度良い具合に空腹です。
後に控える大仕事の為にも、今のうちに腹ごしらえしておきましょうか。
腹が減ってはなんとやら、と言いますし。
なにより、美味しい物を逃すのは惜しい。
あ、すみません。イカ焼き一つください

星が海に降る…なるほど、珊瑚の産卵だったんですね。
夜の海にキラキラしてて、とても綺麗…
…なんですかHarold、ゲソ引っ張らないでください。
好奇心旺盛なのは良いですけど、あなた味覚は…あ、もげた。
もー…ちゃんと味わって食べてくださいよ。味覚あんのか知りませんけど。
そもそも、消化器官どうなってんですか?



 どこの世界、どこの国でも、祭りには美味しい食事は外せない。それはこのグリードオーシャンでだって、深海島でだって同じこと。
「なんだか美味しそうな匂いが……何かタレが良い感じに焦げた匂い……」
 榛・琴莉(ブライニクル・f01205)が鼻を鳴らせば、これでもかと食欲を刺激する匂いが胃をノックした。
 思えばここパルレに来る為深海まで泳いできたし、途中戦闘だってしてきた。だからか、丁度良い具合に空腹だ。だが、祭りの後には大仕事も控えている。空腹のままではいられない。
「よし、今のうちに腹ごしらえをしておきましょうか。腹が減ってはなんとやら、と言いますし」
 何より、美味しい物を逃すのは惜しい。とても惜しい。
「あ、すみません。イカ焼き一つください」
 
 真珠貝のベンチに座ってイカ焼きを齧れば、香ばしいタレと肉厚ながら柔らかな歯ざわりの身が口いっぱいに広がった。イカ本来の甘味とタレのしょっぱさが互いを引き立て合って、すぐにもう一口が欲しくなる美味しさだ。ぐっと近づいたいい匂いに釣られたのか、コートの内からHaroldもひょこりと顔を出す。
 琴莉は空腹を満たしながら見上げれば、星珊瑚の卵が漂い、淡い月明りの中でキラキラと煌いている。
「星が海に降る……なるほど、珊瑚の産卵だったんですね。夜の海にキラキラして、とても綺麗……」
 卵は星屑のように輝いて、海流に漂って旅をする。気泡の内から見上げたその光景は、まさに星が海に降り注いだように見えた。
 
 そんな光景を眺めていると、ふと手元のイカ焼きをぐいと引かれた。
「……なんですかHarold、ゲソ引っ張らないでください」
 思わずじとりと見つめた先で、一羽のHaroldが一生懸命にゲソを引っ張っている。取り上げるようにイカ焼きをHaroldから離すが、諦められずにHaroldはジャンプを繰り返してゲソを追う。
「好奇心旺盛なのは良いですけど、あなた味覚は……あ、もげた」
 ぶちっと音がして、ゲソの一本がついにもがれた。真珠貝に着地したHaroldは、すぐさま嬉しそうにゲソを啄みはじめる。もうこうなっては取り返すわけにもいかず、琴莉は深く溜息をついた。
「もー……ちゃんと味わって食べてくださいよ。味覚あんのか知りませんけど。そもそも、消化器官どうなってんですか?」
 問いかける琴莉の声も今は届いていないようで、Haroldは獲得したゲソを満足そうに飲み込んでいる。
 残りのイカ焼きを取られないよう自分の口に運びつつ、琴莉は改めて、未だ謎が多い相棒の食事風景を眺めるのだった。
大成功 🔵🔵🔵

天音・亮
ハーモニア(f12114)と

途中で買ったスモークサーモンのサンドイッチ片手に見上げれば
視界いっぱいに星珊瑚の卵が舞っているのがすごく綺麗で
感嘆の声をわぁ、ってこぼしながら

まるで星空の中を泳いでるみたい
普通の星空とは違う
波に揺らめいて流れる星々はどれだけ見ていても見足りない

優しい鯨の歌が耳を撫でていけば
一層星空の海に包まれる心地
気付けばサンドイッチを食べるのも忘れちゃって

あ、そうだお土産!
歌の最後ではっと瞬く
皆に素敵なお土産買ってかなきゃ
この海を閉じ込めたみたいな
星珊瑚のスノードームとかはあるかな?
あっ私もアクセサリー気になる!たくさん見て回っちゃおう!
行こう、ハーモニア!

きみと泳いでく星空の海


ハーモニア・ミルクティー
亮(f26138)と参加よ

スモークサーモンとチーズのサンドを食べながら、星珊瑚と卵を見上げるわ!
きらきらしていて、海の中なのに、星が降っているわね!不思議な光景だわ!

海の中に星が沈んでいるみたいね
滅多に見られないもの。しっかり目に焼き付けておかないと

亮と一緒に鯨の歌に耳を傾けるわ
優しい歌ね
本当に鯨が帰ってきているのかもしれないわ

ああ、そうね!
危ない。目を引く物がたくさんあって、忘れてしまうところだったわ
スノードーム、素敵だと思うわ!
あとは……ソーダなんかだったら、持って帰る事ができるかしら?
自分用のお土産に星珊瑚のアクセサリーも気になるわ。
ええ、そうと決まれば探しに行きましょう!



 白亜の海底都市パルレは活気に溢れていた。
 星珊瑚で出来た街並みは、星の名を冠するに相応しく光を反射してキラキラと光っている。パルレを構成するものの全てが、海の中にあるもので出来ている。鳥の代わりに魚が飛ぶ。深海島であるからこそ見られるこの光景は、まるで竜宮城のようだ。
 今日は一年に一度のお祭り、星海祭。
 星海祭の活気に包まれながら、天音・亮(手をのばそう・f26138)とハーモニア・ミルクティー(太陽に向かって・f12114)は仲良く連れ立って歩く。二人の手には先程買ったばかりのスモークサーモンとチーズのサンドイッチ。柔らかくスモーキーな風味のサーモンをクリームチーズが酸味で纏め、ふかふかのパンで包み込むサンドは口当たりも軽い。
「わぁ」
 気泡の向こうを見上げた亮が声をあげた。つられてハーモニアも見上げれば気泡の向こうでは、星珊瑚の卵がふわりと舞い上がっていた。卵は徐々に数を増し、パルレ全土を包み込むほどだ。淡く煌く星屑が、気泡の外側でいっぱい舞っている。
「きらきらしていて、海の中なのに、星が降っているわね! 不思議な光景だわ!」
「うん、まるで星空の中を泳いでるみたい」
 亮の視界いっぱいに、星珊瑚の卵が舞っている。星屑に似たそれは、けれども普通の星空とは違う。波に揺らめいて流れる星々はどれだけ見ていたって見足りない。
 ゆらゆら揺れて、浮かんで沈み、星屑は海にゆったりと流れていく。
「海の中に星が沈んでいるみたいね」
 こんな光景はきっと深海島ならではだ。この海域の特有種である星珊瑚の産卵は一年に一度、この海凪の日だけなのだという。滅多に見られる光景ではない。だからハーモニアも亮も、しっかりとこの光景を目に焼きつけた。
 真珠貝のベンチに座って飽きずに海の空を眺めていた二人の耳朶を、優しい星鯨の歌が撫でていく。歌は何度も何度も繰り返し、島のあらゆるところで歌われていた。きっと地域に根差したお伽の歌なのだろう。

 ――海の底から眺めてた。くじらは夢見る空の星。
 
「優しい歌ね」
「うん。もっと星空の海に包まれるみたいな心地」
 ハーモニアは目を閉じて、亮と一緒に歌に耳を傾ける。子守歌のように優しい曲調だ。そのお伽歌では、今日は天に跳ねた星鯨が帰ってくる日だという。
 星に焦がれて宙へと渡り、帰り道を忘れた迷子のクジラ。帰りたいと泣くクジラに空と海が手を繋いで。水平線を渡って帰ってくるクジラは、土産に星を連れてくる。ならば今、この海の空に無数の星が舞っているのだから。
「本当に鯨が帰ってきているのかもしれないわ」
 想像は翼を得て、星を連れて泳ぐ鯨を瞼の裏に描き出すことが出来る。星屑を連れ、悠々と泳ぐ星鯨の姿が見えるようで。
 風の音の代わりに届くのは波の音。気付けばサンドイッチを食べるのも忘れて、二人は海の世界に浸る。音で、心地よい水の冷たさで、海は亮とハーモニアを包んでくれる――。
 
「……あ、そうだお土産! 皆に素敵なお土産買ってかなきゃ」
「ああ、そうね!」
 しっかり歌を最後まで聞き終えたあたりで、亮がはっと瞬いた。同じように目を閉じて聴き入っていたハーモニアも、ぱちりと目を開く。
「危ない。目を引く物がたくさんあって、忘れてしまうところだったわ」
 残りのサンドイッチを口にして、ハーモニアが亮を見上げる。亮もハーモニアを見ていて、顔を合わせれば何だかおかしくて、思わず二人で吹き出した。
「この海を閉じ込めたみたいな、星珊瑚のスノードームとかはあるかな?」
「スノードーム、素敵だと思うわ! あとは……ソーダなんかだったら、持って帰る事ができるかしら? 自分用のお土産に星珊瑚のアクセサリーも気になるわ」
「あっ私もアクセサリー気になる! たくさん見て回っちゃおう!」
「ええ! そうと決まれば探しに行きましょう!」
 ハーモニアが手を差し伸べる。その小さく可憐な手を亮はしっかりと握って。
「行こう、ハーモニア!」
 二人は星海祭に沸くパルレの大通りへと飛び出した。

 咲く笑みは二つ。
 きみと泳いでく星空の海。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

オズ・ケストナー
リュカ(f02586)と

イカ焼きとサンドイッチとー
おいしそうなもの全部買って

わあ
すごいね、海にながれぼしっ
ながれさんご?
ねがいごとがかなうかな

ふつうのさんごはねえ、一年でこのくらいだって
指で10cmの幅を作って
この子たちもおなじかなあ

あ、リュカこれおいしい
はんぶんこ

リュカの鼻歌に頭ゆらしにこにこ
あれ、たのまれちゃった
笑って覚えたフレーズを口ずさむ

クジラさんは夢がかなったけど
さみしくなっちゃったんだね

いいよ、おやすみリュカ
起こさないようそっと頬寄せ

クジラさんの夢も
空と海のねがいもかなったもの
やっぱり、ながれぼしとおんなじだ
空と海を見る

泣かないでって、ねがったんだよね

リュカがいい夢みられますように


リュカ・エンキアンサス
オズお兄さんf01136と
ある程度屋台で食べ物を買い込んで、星珊瑚の産卵を見に行く
どこかに座って、綺麗だな……。って、ぼんやり景色を見ながら食べ物をつまんで
願い事?そうだなあ
叶ったらいいな
半分こには、ありがとうと言ったり
後は産卵を見ながら、この星珊瑚ってのが大きくなるまで、どれくらいかかるのかなあ。とか、そんな話をしてた

……クジラの歌だって
面白いな
夢がかなって、寂しいって気づくなんて、人生は儘ならないね
(鼻歌でちょっと歌ってみて、自分の余りの下手さ加減に嫌気がさして
…お兄さん、続き、頼んだ
(投げた

……お兄さんの歌聞いてたら、なんだか眠くなってきた
ごめん、お兄さん、肩貸して
ちょっとだけおやすみ



 巨大な気泡に包まれた、星珊瑚の島パルレ。
 星海祭真っ最中の大通りでは、リュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)とオズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)が屋台を覗いていた。
「イカ焼きとサンドイッチとー」
 指折り数えるオズの手には、既にたくさんの食べ物がある。美味しそうなものは全部買うと笑うオズの隣で、リュカもまた気になる食べ物を買い求めている。それぞれ欲しいだけを手にしたら、屋台からは少し離れて二人は公園に向かった。
 真珠貝のベンチに座って天を仰げば、透明な気泡の向こうには海の空が広がっている。
 星珊瑚の産卵はピークを迎えていて、星屑のように煌く無数の星珊瑚の卵が舞っていた。海流に揺られてふわふわ舞って、それは宙の星とはまた違った星空の世界を魅せてくれる。
「綺麗だな……」
 リュカが呟けば、サンドイッチを食べていたオズもまた星珊瑚の天を仰いで。
「わあ。すごいね、海にながれぼしっ。……ながれさんご? ねがいごとがかなうかな」
「願い事?」
 イカ焼きを口にしていたリュカが瞬いた。柔らかく香ばしい身を噛みしめながら少しだけ思案して、やがてこくりと頷いて。
「そうだなあ。叶ったらいいな」
 あれは手を伸ばせば届く星。いずれ燃え尽きる星屑に願いを託すことが出来るのなら、いずれ何処かに辿り着いて育つ海の星にだって願いを預けてもいいように思えた。

 それから二人は、ベンチに座って他愛ない話をした。
「あ、リュカこれおいしい。はんぶんこ」
「ありがとう、オズおにいさん」 
 屋台で買った食べ物を食べて、美味しかったのなら半分こ。
 視界を埋め尽くす星珊瑚の産卵を眺めながら、ふとリュカは建物にも利用されている巨大な星珊瑚の存在に気付く。
「この星珊瑚ってのが大きくなるまで、どれくらいかかるのかなあ」
「ふつうのさんごはねえ、一年でこのくらいだって」
 湧き上がった疑問に、オズが指で十センチくらいの幅を作って答えてくれる。星珊瑚の成長速度は知らないけれど、少なくとも建物になるくらいに大きくなるには長い年月が必要そうだ。途方もない時間を過ごすという意味では、正しく「星」なのかもしれない。
 
 ――キラキラお空に行きたくて、くじらは跳ねる空の海。
 
 ふと耳に届いた星鯨の歌。
 今日は何度も耳にする歌だ。余程この深海島に浸透しているのか、あちこちで口ずさむ人が居る。
「……クジラの歌だって。面白いな」
 簡単なメロディーの繰り返しである星鯨の歌は、少し聞けばメロディーラインを覚えることは出来る。リュカもそっと鼻歌で歌ってみた。
 けれどなんだか思った風と違う。早々に自分の余りの下手さ加減に嫌気がさしてしまって、リュカは鼻歌を諦めた。
「……お兄さん、続き、頼んだ」
 その上、オズに投げた。
「あれ、たのまれちゃった」
 リュカの鼻歌に頭を揺らし、にこにことご機嫌に聞いていたオズは突然のパスに目を瞬かせる。けれどそれも一瞬。ふんわり笑って、覚えたフレーズを口ずさんだ。

 ――しばらく星を泳いだが、帰り道を忘れて。ぽたり、ぽたり。くじらが泣いた
 
「……クジラさんは夢がかなったけど、さみしくなっちゃったんだね」
「夢がかなって、寂しいって気づくなんて、人生は儘ならないね」
 星空に焦がれて海から跳ねて、宙を泳いで迷子になって、帰れなくて泣いて。手に在るものの大切さは、手から零れてから気づくなんてよくある話だけれど。
 オズの歌声が柔く、水音と一緒になってリュカを包み込む。その心地よさに、リュカはゆっくりと眠りの波が自身に満ちてくるのを感じた。
「……お兄さんの歌聞いてたら、なんだか眠くなってきた。ごめん、お兄さん、肩貸して」
「いいよ、おやすみリュカ」
 こてり、オズの肩にもたれた頃にはもうリュカは目を閉じていた。やがて規則正しく寝息をたてるリュカを起さぬよう、オズはそっと頬を寄せる。
 歌を最後まで歌って、オズは天を――海の空を見上げる。
「クジラさんの夢も、空と海のねがいもかなったもの。やっぱり、ながれぼしとおんなじだ」
 穏やかにオズは目を細める。海へ、遠い空へ。二つの海を泳ぐ鯨を空想して。
 
「泣かないでって、ねがったんだよね」

 星鯨の歌は優しさで満ちた歌。
 オズはもう一度それを口ずさむ。肩で眠るリュカが良い夢を見られますようにと願いをかけて。
 
 ちょっとだけ、おやすみ。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

ロビン・ダッシュウッド
美味しい食べ物、優しい歌声……それらにも惹かれるけれど、やはり僕の心を捕らえるのは美しい装飾品や衣装さ

まずは麗しきマーメイド達の歌声に耳を澄ませながら、彼女達の晴れ姿を鑑賞しよう
尾鰭を持つ人魚にはどのような衣装がふさわしいのか
それから幻想的なステージをより効果的に見せるためにどんな工夫が必要かをね

次に露店を周りアクセサリーを見て回ろう
宝石珊瑚にはもちろん興味津々だよ
一族の者への土産に、僕のデサインでアクセサリーを仕上げる
まあ、きらきらしたものに縁が無い白黒兎と、金目の物にしか興味の無い性悪兎と、アクセサリーに興味ないけど義理で受け取りそうな老兎なんだけどね
自己満足の押し付けってやつさ



 深海に浮かぶ白亜の海底都市。食欲を刺激する香りの美味しそうな食べ物。そして響く優しい歌声。
「……それらにも惹かれるけれど、やはり僕の心を捕らえるのは美しい装飾品や衣装さ」
 目指すはアリスラビリンス界の神デザイナー。新進気鋭の服飾家であるロビン・ダッシュウッド(時計ウサギの服飾家・f19510)は、優雅に笑みを浮かべた。
 美しいものを作りたいのならば、美しいものを知らなければならない。それは服飾家のみならず、あらゆる芸術家に言えることだ。
 想像力は内からのみ生まれるものではなく、外からの刺激にも大きく影響されるもの。幸いこのパルレには星珊瑚や人魚など、美しいものが溢れている。これからロビンの手によって生み出される未来の作品の為、ロビンは自身を大いに刺激しにいくのだ。
 
 まず向かったのは広場のステージだ。今は麗しきマーメイド達が、晴れ舞台に相応しく着飾って歌を奏でている。マーメイドたちの歌に耳を澄ませながら、ロビンは空いた席に座った。
 尾鰭を持った人魚には、どのような衣装が相応しいだろう。幻想的なステージをより効果的に見せるためには、どんな工夫が必要なのだろう。
 彼女達の舞台からは得られるものが多い。ロビンは歌も衣装も舞台も心ゆく迄鑑賞していった。
 
 舞台が終わればロビンもまた席を立つ。次に向かったのは露店通り。特に目を惹かれるのは矢張り、宝石珊瑚だろう。
「お兄さん、宝石珊瑚が気になる?」
「もちろん興味津々だよ。好みのデザインで作ってくれるって聞いたけど?」
「ええ喜んで! デザイン案はありますか?」
 店主が見上げたロビンの顔には、「当然」と書いてある。今日の目的の一つがこの宝石珊瑚だ。既製品だって美しいけれど、土産にと購入するものだ。手ずからデザイン出来る機会があるのなら、デザイナーとしてそれを逃す手はないだろう。
 デザインの詳細を伝えれば、職人は丁寧にそれを作り上げていく。
「三つだね。誰へのお土産にするんだい?」
「一族の者へだよ」
「一族?」
「そう。まあ、きらきらしたものに縁が無い白黒兎と、金目の物にしか興味のない性悪兎と、アクセサリーに興味ないけど義理で受け取りそうな老兎なんだけどね。自己満足の押し付けってやつさ」
 店主の手元を見ながらも、ロビンの目は遠く思いを馳せている。その唇には、満更でもなさそうな笑みが浮かんでいた。
大成功 🔵🔵🔵

青和・イチ
綺麗な街…
珊瑚の島って…歩いても、平気かな?

……星が降るって、こういう事か
増えていく海の星をじっと見上げ
宇宙にいるみたいだ…
うまく言葉に、ならないけど…
命を包む海の凄さを、思い知る…(涙腺が危うい


(腹が鳴る)
…お祭行こう
くろ丸、頑張ったし、沢山食べよう
良い香りの屋台へ

イカ焼きカニ脚海鮮丼はもちろん…あ、網で焼いてる貝も美味そう
海老天に魚のフライ、出汁のきいた味噌汁は、泳いだ身体に染み渡る…
すいませんシーフードカレーおかわり
産卵に感動しておいて申し訳ないんですが、僕イクラも大好物で
そろそろデザート…え?たい焼きがある?
さすがくろ丸、いい鼻

※元々大食い成長期(技能未使用


アドリブ・食材追加大歓迎です



 気泡に包まれた深海の島は、幻想的な風景だった。
「綺麗な街……。珊瑚の島って……歩いても平気かな?」
 パルレへと降り立った青和・イチ(藍色夜灯・f05526)と相棒のくろ丸は、自らが立つ道を見る。靴に返る感触はしっかりしたもので、歩いたり走ったりしても壊れたりはしなさそうだ。
 天を見上げれば、気泡の向こうでは星珊瑚の産卵がはじまっていた。星屑のようにきらきらと煌くそれは、まさに星の卵というべきか。ふわりと舞い上がり、海流に揺られ、ゆっくりと降ってまた流れ。
「……星が降るって、こういう事か」
 イチは増えていく海の星をじっと見上げる。宙に瞬く星とは違うけれど、煌く星珊瑚の卵たちは確かに海に星空を描き出していた。
「宇宙にいるみたいだ……。うまく言葉に、ならないけど……命を包む海の凄さを、思い知る……」
 海は全ての生命の母だという。それを目の当たりにしたような気がして、既にイチの涙腺が危うい。込み上げてくる感動が今にも溢れそう――と、いうところで。
 
 ぐぅぅぅぅ。
 
 くろ丸がイチを見上げる。イチの溢れかけた涙はすんと引っ込んでいた。
 だって深海まで生身で泳いだのだ。戦闘だってした。当然、減るものは減る。
「……お祭り行こう」
 即決だった。
「くろ丸、頑張ったし、沢山食べよう」
 そう告げたイチの目線は、通りの向こうの屋台に真っすぐ向けられていた。
 決して、ちょっと気恥ずかしくてくろ丸と目線を合わせづらいとかではない。
 
 食べ物を扱う屋台は、どこからも良い匂いがしていた。匂いが食欲を誘い手招きしいてる。
「イカ焼きカニ脚海鮮丼はもちろん……あ、網で焼いてる貝も美味しそう」
 その手招きに逆らわず、イチは目に入ったものを片っ端から買っていく。くろ丸が食べられそうなものはシェアして、食事スペースでぺろりと平らげたら次の屋台へと。
「海老天に魚のフライ。ああ、出汁のきいた味噌汁は、泳いだ身体に染み渡る……」
「すいませんシーフードカレーおかわり」
「産卵に感動しておいて申し訳ないんですが、僕イクラも大好物で」
「あ、その海鮮お好み焼き、一枚ください」
 イチは大変良く食べる。
 その身体の何処に吸い込まれているのかと店員たちは疑問に思っていたが、これでいて猟兵の特殊な技能などは使っていない。もともとよく食べるし、何より成長期なのだ。
「そろそろデザート。マーメイドパフェひとつ、……え? たい焼きがある?」
 更に追加で注文しようとするイチの耳に、くろ丸の声が届いた。見ればたい焼きの屋台の前で尻尾を振っている。
「さすがくろ丸、いい鼻」
 グッジョブスーパードッグ。
 しっかりパフェも買ったイチは、尾を振って待つ相棒の元に急いだ。
大成功 🔵🔵🔵

スキアファール・イリャルギ
星を見て嬉しそうに飛び回るきみが微笑ましい
迷子になるよ、なんて言ったらまた怒るかな

星鯨の歌を口遊みながら見守ろう
私には鮮やかな世界は眩しすぎるから

……きみに沢山の色を見せてあげたいんだ
今も、これからも――
きみを何度も置いて行ってしまった償いが
それで出来てるかはわからないけど

遊び疲れたら戻っておいで
……あぁ、でも
きみの意思を海から呼び戻して捕らえてしまった、私のエゴに付き合う必要は――

――コローロ?

(いつの間にか傍に居たきみは
何かを言おうとして躊躇してるように光っていた

……そうだよな、気恥ずかしいよな
だってお互い勇気が無かったから私たちは――)

一緒に、行こうか

(でも
覚悟ならちょっとだけ持てたよ)



 深海島パルレをすっぽりと覆う気泡。その外側で、数多の星珊瑚の卵たちが舞っている。星珊瑚の名に相応しく、星屑のようにきらきらと煌いて。
 火花ような星屑のような、そんな君――コローロもまた、海に舞う星を見て嬉しそうに飛び回っている。その光景が、スキアファール・イリャルギ(抹月批風・f23882)にとっては心から微笑ましかった。
 星のように瞬くコローロは、はしゃぎながら星珊瑚の卵を追いかける。
(「迷子になるよ、なんて言ったらまた怒るかな」)
 そう思うスキアファールだったが、浮かべるのは笑みだった。彼女が嬉しそうならそれでいい。星鯨の歌を口遊みながら、スキアファールはコローロをそっと見守ることにした。影人間である彼にとって鮮やかな世界は、混じ入るには眩しすぎるから。
 
「……君に沢山の色を見せてあげたいんだ。今も、これからも――」
 祈るように呟く。
 きみを何度も置いていってしまった。その度に悲しい思いをさせた償いが、それで出来ているかはスキアファール自身もわからないけれど。
 色を欲した彼女がたくさんの色に包まれますよう。祈るように、誓うように、願いを言葉という形にするのだ。
 
「コローロ、遊び疲れたら戻っておいで」
 星屑と戯れるコローロに優しく声をかけた。ずっとはしゃいでいては疲れてしまうだろう。美しい景色に混じるのもいいけれど、疲れたら――。
「……あぁ、でも」
 コローロに手を伸ばそうとして、ふと言い淀んだ。伸ばしかけた手は所在なく空を掴み、やがて下ろされてしまう。
「きみの意思を海から呼び戻して捕らえてしまった、私のエゴに付き合う必要は――」
 ないのでは、ないだろうか。
 そんな考えが過った時。
 ふ、と、火花のような光がスキアファールの目の前でチカリと瞬いた。
「――コローロ?」
 いつの間にかコローロはスキアファールの傍に居た。まるで何かを言おうとして、けれど躊躇するように、惑いながら光っている。ふと、なんだかそれがスキアファール自身の姿と重なった気がして。
(「……そうだよな、気恥ずかしいよな。だってお互い勇気が無かったから私たちは――」)
 口にすることはないその言葉の代わりに、スキアファールはもう一度コローロに手を伸ばして微笑む。
「一緒に、行こうか」
 伸ばされた手にコローロがぱっと煌いて、スキアファールの手に寄り添った。彼女の光を見ながら、スキアファールは胸にそっと想いを抱くのだ。
 
 あの時勇気が無かった自分だけれど。
 でも。
 覚悟ならちょっとだけ持てたよ。
大成功 🔵🔵🔵

ヴォルフガング・ディーツェ
千鶴(f00683)と

どれだけ綺麗だろうと想像したけれど、実際の「星降り」を見れば語る言葉は紡げず
珊瑚は無機物めいて生命という実感が乏しかったけれど…確かに生きて、いのちを紡いでいるんだね

本当に星が降るようだね、と千鶴にやわり笑い掛ける
綺麗で何処か儚い…生そのものの様な風景に目を細め

前の俺であればきっと直視すら出来なかった
こうして命を全うする事が叶うのかと感じただろう

…でも今は不思議と恐ろしくない
君が居てくれるから、信じてくれるから…この呪われた生が鮮やかに色付いたんだ

…有り難う、俺は年甲斐もなく君に頼ってばかりだ
例えこの命が尽きずとも、思いは君の側に

俺の宵照星、君だけは永遠に忘れやしない


宵鍔・千鶴
ヴォルフ(f09192)と

海の中で星屑が降って瞬いて
ちかちかと自分の瞳にうつろい流れてゆく
手を伸ばしても
自分などでは到底掴めぬ程の生命が溢れていて

…まだ、自分が知らないところに
こんなに綺麗な沢山のいのちが在るんだね
隣で微笑む彼にそうと囁くように零し
感情が、心が動いて、ほどけてゆく

…ヴォルフ、
此の広い海で俺達は欠片ほどの
存在かもしれないけれど
(繋ぐ手をぎゅうと握って、)
…でも、今、此処で隣に居てくれるきみがいること
その事実だけが俺を安心させてくれる

過去も未来も何があっても
ずっと、きみが見る景色が色付く様に
楽しくて仕方ないって笑わせてあげたい
命在る限り、傍に居るよ
ねえ、俺の暁星



 どれだけ綺麗だろうと想像したけれど、実際の「星降り」を前にしたら語る言葉を失った。

 星珊瑚の産卵は丁度ピークを迎えていた。
 数多の星珊瑚の卵は星屑のようにパルレを包むように舞っている。星珊瑚の名の通り、煌き瞬くその卵は海の中の星というに相応しい。星屑に包まれた島は海の中だというのに宙を思わせた。
「珊瑚は無機物めいて生命という実感が乏しかったけれど……確かに生きて、いのちを紡いでいるんだね」
 しばらく言葉を紡げずにいたヴォルフガング・ディーツェ(花葬ラメント・f09192)が、海の空を見上げて呟いた。綺麗で何処か儚い、生そのものの様な風景に思わず目を細める。
 海の星屑はちかちかと宵鍔・千鶴(nyx・f00683)の瞳いっぱいに煌いて、うつろい流れてゆく。手を伸ばしてみたって、自分などでは到底掴めぬ程の生命が溢れていて。
「……まだ、自分が知らないところに、こんなに綺麗な沢山の命が在るんだね」
 目を離せぬままに、千鶴は隣で微笑むヴォルフガングに囁くように零した。命宿した星屑は、海を漂い、ゆっくりと降り注いでいく。
「本当に星が降るようだね」
 ヴォルフガングの言葉に千鶴はこくりと頷いた。
 感情が、心が動いて、ほどけてゆく――。
 
 あの星珊瑚の卵たちも、海流に連れられていつか何処かに辿り着いて命を繋ぐのだろう。那由他と溢れる生命の海で、これが生命の営みだと、ずっと。
「前の俺であればきっと直視すら出来なかった。こうして命を全うする事が叶うのかと感じただろう」
 生命で溢れる世界は、きっと恐ろしかった。
 余すことなく神に喰らわれた神器の身。人並みの生とは離れてしまったこの身には、きっとこの溢れかえる生命が恐ろしかった。
 ――でも。
「……でも今は不思議と恐ろしくない。君が居てくれるから、信じてくれるから……この呪われた生が鮮やかに色付いたんだ」
 伝える言葉は熱を帯びて、千鶴へと向ける笑みは蕩ける程に愛おしげに。そうしてヴォルフガングは、そっと千鶴と手を繋いだ。
 恐ろしくなくなったのは他の誰でもない、貴方がそうしてくれたとその手の熱が語る。
「……ヴォルフ。此の広い海で俺達は欠片ほどの存在かもしれないけれど」
 千鶴はヴォルフガングと繋ぐ手をぎゅうっと強く握った。
 彼の熱も視線も、その手で強く強く、握り返した。
「……でも、今、此処で隣にいてくれるきみがいること。その事実だけが俺を安心させてくれる」
 海は広い。命は那由他と在る。
 けれど無数の中での孤独を感じずに済むのは他の誰でもない、貴方が居るからだと、握り返す力強さが語っている。
 一人で得られる安心ではないのだ。共に与え合う“貴方”が居るからだと何度だって伝えあう。
 過去も未来も何があってもずっと、ヴォルフガングの見る景色が色付く様に、千鶴は願う。
 共に歩むこれからを、楽しくて仕方ないと笑わせてあげたいのだ。
「命在る限り、傍に居るよ。ねえ、俺の暁星」
 真っすぐに見つめ返して柔く微笑む千鶴の視線に、ヴォルフガングの瞳が嬉し気に細められた。頬を千鶴の髪に摺り寄せる。愛しくて愛しくて、仕方がない。
「……有難う、俺は年甲斐もなく君に頼ってばかりだ」
 ふわりとした千鶴の髪の感触を楽しみながら、ヴォルフガングはほんの少しだけ瞳を沈ませる。
 そう、例えヴォルフガングの命が尽きずとも、思いは千鶴の側に。そう誓える。
「俺の宵照星、君だけは永遠に忘れやしない」
 
 ひそやかな二人の誓いは、深海の白亜の都市で交わされる。
 その言葉を祝福するように、海の星がゆっくりと降り注いでいた。
 
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

向坂・要
へぇ、こいつぁなかなか……,
サーモンとクリームチーズのサンドイッチを片手にふらりと店を覗いて土産を買ったりランタンを眺めたり

星に鯨、と言われて思い出すのはいつか宇宙で相対した寂しそうな鯨

鯨は帰る、迷子は帰る
あの鯨は帰りたいところに行けたんだろうか、なんて、ふと過った想いに苦笑して

少しは心、ってやつを覚えたんですかねぇ

なんて、ひとりごち

ステージの歌声に耳を傾けながら、眺めるは街をいく人の姿、そしてその輝き

こいつぁ、ちょいとやる気ださなぁと、ですね。



 星珊瑚の産卵もピークを迎え、気泡の外――この深海島パルレで言う空には今、数多の星珊瑚の卵が舞っていた。星を名を冠するに相応しく、その卵はきらきらと煌き瞬いて、まるで星屑のようだ。
 凪の日を祝う祭りもまた、それに合わせて最高潮を迎えている。歌は響きダンスが始まり、店は一層客を呼び込んで人は人を呼ぶ。
 そんな賑わいのなかを、向坂・要(黄昏通り雨・f08973)はのんびり散策していた。
「へぇ、こいつぁなかなか……」
 手にはスモークサーモンとクリームチーズのサンドイッチ。口に近づければスモーキーな香りと酸いクリームチーズの香りが鼻腔をくすぐり、口にすればサーモンとクリームチーズの甘味が口いっぱいに広がっていく。
 サンドイッチを片手に、要はふらりと出店をひやかしていく。途中土産を買ったり、星珊瑚とシーグラスで出来たランタンを眺めたり、その道中は飽きることが無い。
 
 特に当てもなく歩いてきた道は、やがて全て都市の中央の広場へと続いていく。開けた要の視界で、華やかなステージが開催されていた。歌姫と呼ばれたマーメイドのステージなのだそうだ。美しい歌がいくつも披露され、そして最後には「星鯨の歌」を歌う。

 星に鯨。
 そう言われて、要はひとつの記憶を思い出す。いつか――そう、去年。同じくらいの時期に、宇宙で相対した寂しそうな鯨のことを。
 巨大な鯨だった。星喰いと呼ばれたそれは、友の遺骸と寄り添い永い永い時を彗星と共に泳いでいた。その果てで飢えに狂いかけても、あの鯨は最後まで彗星を守りぬいたのだ。やがて猟兵の力によって友との束の間の再開を果たして、共に消えて行った。
 そう。あの時も確か、「あるべき海に還してやって欲しい」と乞われた気がする。
「鯨は帰る、迷子は帰る。……あの鯨は帰りたいところにいけたんだろうか」
 骸の海ではなく、例えば友と過ごした故郷など――。
 なんて、ふとそんな想いが要の胸に過る。その事実に思わず苦笑いを零した。
 まるで共感だ。要には遠かったもの。理解したいと願えど実感は出来なかったそれ。だというのに、今の言葉はまるで。
「少しは心、ってやつを覚えたんですかねぇ」
 なんて、独り言ちた。
 
 広場の飲食スペースにある椅子に腰かけて、要はステージの歌声に耳を傾けた。歌は優しく響き、いつの間にか広場に居る人々もまた同じように歌っている。街を行く人の姿や、その輝き。
 それらを眺め、やがてサンドイッチを全て口に押し込んだ。一度閉じて開いた瞳の奥に、決意の芯が通る。
「こいつぁ、ちょいとやる気ださなぁと、ですね」
 
 ――鯨が、帰ってくるのだから。
大成功 🔵🔵🔵