銀河残響~Awoken StealEdge
●鋼刃襲来
GLSアーク204という島がある。
かつては解放軍の航宙空母であった、半ステーション型のその巨船は今、グリードオーシャンの大海にその身を横たえている。
それがこの世界に墜ちてから永い年月を経てゆくにつれて海底から隆起した珊瑚礁や様々な漂流物が船を中心に一つの島を形成し、そして元々のクルーたちの子孫に加えて他の島から渡ってきた多くの移民たちが力を合わせて町を築き上げた。
戦うための船は外洋の荒波の中で人々にやすらぎを与える故郷となったのだ。だが今、その故郷たる島に暗雲が覆いかぶさっていた。
嵐に耐えるための背の低い家屋をゆうに上回る背丈の紅い影が、青と黒の二種類の兵士たちによって広場に集められ怯える島民たちを緑色の単眼で睨めつけながら、その凶悪な面相に不釣り合いな理知的で温和な声音を発する。
『我々に協力することが最も賢い判断だと、そう言っているのです』
紅い巨躯――自らをスティールエッジ996、奪う刃と名乗ったコンキスタドール――は、優しげな声色に機械仕掛けの冷酷さを忍ばせて島民たちに要求する。
曰く、アーク204に眠るメガリス――真水を無限に湧出させる泉の源泉である、船内に眠るコアマシンの残滓をすみやかに供出せよ、と。さもなくば一週間に一度、男女それぞれ一人ずつを無作為に選び出し彼らの母船に連行するという。
連れ去られた人々の末路は強制労働か、あるいはスティールエッジらの手によってドロイド兵士への改造――彼らが銀河帝国であった頃、ドロイド兵士の制御機構が人間の脳髄であることは公然の秘密であった――か。いずれにせよ明るい未来は待っていまい。
しかし鋼鉄の人工大地であるアーク204からメガリスが奪われれば待ち受けるのは渇きによる滅び。
そもそも現地の人々と混血し、幾世代をも経た島民たちに解放軍の遺したセキュリティを突破してメガリスの下までたどり着く術を知るものなどもう居ない。
『ではまた来週伺いましょう。あなた方が賢い選択をしてくれることを願っていますよ』
アークに横付けされた巨船――これもまた宇宙世界の、しかし航行するという力を除く権能を失って久しい母船へと引き揚げていくスティールエッジたち。
その背中を見送って、絶望に包まれる島民たち。しかし一人の少女はその中にあって瞳に闘志を燃やし、強く拳を握りしめていた。
「…………じいちゃんに相談しなきゃ」
●暗黒時代の再来
「ミッションを発令します」
アレクサンドラの平坦な声音に乗って、猟兵を戦場に誘う言葉が紡がれる。
彼女の示すディスプレイには、南国を思わせる日差し眩しい大洋に浮かぶ巨船――を中心に広がる島が描かれている。宇宙船を思わせる銀色をところどころ錆びつかせたそれがどこまでも続く海に浮かぶ姿は、それがグリードオーシャンのどこかであると察するには充分な情報量を持っていた。
「グリードオーシャンの探索航路上で発見されたこの島……旧解放軍空母GLSアーク204を母体に珊瑚礁が形成した堡礁を持つこの島に、コンキスタドールが展開していることが判明しました」
敵は珊瑚礁が作り上げた半円の湾内に母船を乗り入れ、そこを拠点に島へ上陸し、島民たちの命綱にも等しい真水を生み出すメガリス――アーク204のコアマシンだったものを差し出すよう強要しているのだという。
そしてそれを拒むならば、引き渡しが成立するまで毎週島民を連行していくと島民たちを脅しているのだ。
「島民には旧解放軍の遺したアーク204のシステムにアクセスする力はありません。そうでなくともメガリスを失えば水の枯れた島は早晩滅びることが予測されます」
知ってしまったからには見過ごせない。なによりアレクサンドラにとっても故郷に等しいスペースシップワールドの末裔が苦しめられようとしているのだ。
そして、それを為しているものもまた。
「敵は銀河帝国軍の識別信号を発しています。彼らもまたあの世界に墜ち、メガリスと同化しコンキスタドールとなったのでしょう。何の因果か宇宙の残響があの蒼い海で再びまみえようとしています。それを悪夢の再演にさせないためにも」
――力を貸してください。
彼女の敬礼に猟兵達は頷き、出撃の準備を整える。
かつて星の海で銃火を交えた彼らを、蒼穹の下で今度こそ眠りにつかせるために。
紅星ざーりゃ
こんにちは、紅星ざーりゃです。
戦争も終結し無事もとの日常が戻ってきたところで、今回はブラツMSとの合同シナリオとなります。
が、連携や縛りなどはないゆるい合わせなので気兼ねなくご参加くださいませ。
こちらのシナリオではコンキスタドールによって「島の生命線たる真水を生むメガリスを差し出す」か「週に二人生贄を差し出す」かを選ぶよう強いられている島の解放が目的となります。
どちらも到底看過できない要求ですので、断固拒絶の意志を示すためにも徹底的に抵抗しましょう。
第一章では島の秘密を知る少女とともに、彼女の言う「じいちゃん」の探索を行なってください。
誰よりもアーク204に精通するという「じいちゃん」であれば、反撃の術を島民たちが手に入れるための智慧を授けてくれることでしょう。
第二章、第三章ではコンキスタドールたちとの戦闘となります。
銀河帝国の識別信号を発するコンキスタドールはただならぬ強敵でしょう。が、猟兵は一度彼らを打破しています。
世界が違えど負けはしないと存分に示してあげましょう!
それでは皆様、よろしくお願いいたします!
第1章 冒険
『探し物はどこだ?』
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POW : とにかく物を掻き分けて探す
SPD : 目を凝らす、あるいは何らかの機材などを使って探す
WIZ : 目標物の位置を推理してそこを重点的に探す
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
「あんたたち海賊だろ!?」
転送された鉄甲船からアーク204に降り立った猟兵たち。これからコンキスタドールを撃退するにはどうするか、というところに肩を上下させ荒く息を吐く少女が呼びかけた。
走り回っていたのだろう、日に焼けた褐色の肌を滑り落ちる汗を服の裾で拭い呼吸を整える少女は、猟兵達をコンキスタドールに立ち向かう海賊だと認識したのだろう。
「いきなりで悪いって思ってる。でもあんたたちにしか頼れないんだ。助けてくれよ」
この島に鋼鉄のコンキスタドールが攻め込んでいること。
その母船は沢山の砲台に守られ、島の戦士衆は船に乗り込むことすら出来ず堡礁に囲まれた湾内で蹴散らされたこと。
だがこの島の長老である彼女の「じいちゃん」がかつて一度だけ見せてくれたものがあれば、コンキスタドールたちの砲台を無力化出来るかもしれないこと。
「でもじいちゃんはその、ちょっとボケが来てて……島のあちこちをフラフラ彷徨ってるんだ。見つければ話は出来るんだけど……」
何にせよ、コンキスタドールの防御の厚さはグリモア猟兵からは得られなかった情報だ。このまま鉄甲船で接近すれば戦士衆と同じ末路を辿ったかもしれないことを思えば、少女に出会えたことは幸運であった。
そしてその防御を崩す秘策があるというならば、じいちゃんとやらを探すことに異論はないだろう。
どのみち此方からは接近できないのだ。彼らが再上陸する一週間後まで、ただ待ち伏せるよりよほど有意義でもある。
「じいちゃん」の特徴を問う猟兵に、少女は幾度も協力への感謝を述べながら告げる。
「じいちゃんは――島のあちこちにある光る板の中に居るんだ。そう、ちょうどこういうヤツ」
少女が指差した先には、空母の管制システムにアクセスするためのコントロールパネルがひとつ。
長い年月で風化したそれが「じいちゃん」の居場所だというなら、その正体は人間では無いのだろうか。
彼の存在がなんであっても島を守るために必要なことには変わりない。猟兵達はまだ動くコントロールパネルを探すべく、少女とともに島――空母GLSアーク204を駆け抜ける。
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
いやアタシらは海賊じゃ、って
そうか、海賊が正義の味方なんだね。
それなら間違いねぇ、アタシらは海賊さ。
奴らから「平和」ってデッカイ宝物を奪い返してやるよ!
コントロールパネルをまずは探さないといけないってのも難儀だね!
スマホを使ってスペシの『世界知識』を動員して『情報収集』。
こいつの同型艦の諸元を何とか引っ張り出して、
内部構造をある程度は把握する。
どうせ風化が激しいだろうから参考程度だけどね。
そして後は探索開始さ、ネタは足で稼げってね!
【過去に抗う腕】の探査思念をネットワークに乗せつつ、
カブに『騎乗』して艦内を『ダッシュ』で駆け回る!
活きてるパネルは、どこだ!?
トリテレイア・ゼロナイン
勿論、ご協力いたします
コンキスタドールの脅威から島を護る為に私達は訪れたのですから
貴女の「じいちゃん」…長老を探す前に先ずはお互い自己紹介をいたしましょう
あと、海賊の呼称は出来れば避けていただけると助かります…
騎士、せめて猟兵で…
古い型の解放軍の空母
解凍した●世界知識のデータベースで把握出来るのは大まかな構造程度でしょうか
●操縦UCで艦内を●情報収集
稼働パネル探索
ワイヤーアンカーのマルチジャックで●ハッキング
『長老』の捜索かコンタクト試行
艦内制御用ウォーマシンかAIかは定かではありませんが『ノック』はこれが一番早い筈
ですがこれではあまりに不作法
なので貴女に『長老』へのとりなしをお願い出来ますか
●
「あんたたち海賊だろ!?」
少女の呼びかけに真っ先に反応したのは多喜とトリテレイアだった。
それが自分たちに向けられた言葉だということは認識していたが、海賊という名詞で呼ばれることに二人は目を丸くして――トリテレイアはセンサーの発光部位の形状を器用に調整して――この世界独特の文化を受け止めた。
しかし、しかしである。この世界ではコンキスタドールに戦いを挑む解放者としての意味合いが強いとはいえ、二人の育った価値観では海賊といえば往来する船舶を襲撃し、貨物を奪い乗員を拉致し身代金を要求するような海の、あるいは宇宙の犯罪者という感覚が強い。だから二人はまず、少女の誤解を――海賊に準ずるユーベルコード使いではあるが、厳密には自分たちと海賊は異なる存在なのだという事実――を説明しようと口を開く。
「いやアタシらは海賊じゃ……いや、海賊が正義の味方ってんなら間違っちゃないけどさ」
「ええ、ですので海賊の呼称は出来れば避けていただけると。私のことは騎士……せめて猟兵と」
海賊ではない。その言葉に少女は一瞬待ち望んだ救いの手はついぞ差し伸べられなかったのかと表情を翳らせるが、トリテレイアの名乗りに顔を上げてじっとその白い装甲を見つめて返す。
「キシ……騎士なら知ってるよ。本当に居たんだ……!」
トリテレイア達は名を名乗り、少女に問う。猟兵との共闘は是か非か。
もちろん少女の答えは――
「あたしはリシィ=ウガハ。島長のウガハの娘で、水守をやってるんだ」
協力関係を結び、自己紹介を交えながら島を歩く三人。島長の娘だという少女、リシィは成程この空母島の権力者の血縁であったらしい。ならば島の構造に詳しいのも道理か、と二人は少女が十代半ば程の年齢の割に協力者として頼りにできる相手だと認識して、彼女の先導に従いまずは島を縦横に走る道――かつてこれが空母として機能していた頃の飛行甲板の名残だ――に向かっていた。
「島長ってのはなんとなくわかるけど、水守ってのはなんだい?」
多喜の問いかけにリシィはそっか、と手を打ってこの島独特の文化を語る。
――つまるところ、幾星霜の年月を経て島となっても此処は空母GLSアーク204であることに変わりはないのである。
いくら宇宙由来の耐久性に優れた材質で造られていても、それが人工物である限りいつしか劣化し朽ちゆくのが定め。
彼女の祖先、この船のクルーだった解放軍の将兵はこの世界の人々と交わり、空母を島として此処に骨を埋めることを決意した後も自分たちの知識、特にアークの保守整備に関するものを受け継ぐ必要があると理解していたのだ。
「確かに、この船のコアマシンは……失礼、メガリスは水を生み出すと聞いていますが、船体の自己修復機能は停止しているようですね」
ところどころ錆付き、風にのってやって来たのか草木が装甲の隙間から枝葉を高らかに伸ばしている姿はコアマシンの保全機能が生きていればまずありえない姿だ。トリテレイアはリシィの役割というものをなんとなく察しながら、話を遮ったことに目礼して続きを促す。
「だからご先祖はこの島を子孫に遺すための術をじいちゃんに託して、あたしたちの一族はそれをじいちゃんから学んでこのフネを守ってるんだ」
こと真水を生むメガリスとなれば、外敵はもちろん水利権を巡って島民同士が争う事態も在りうる。それを避けるために長として、絶対公平な裁定者として、じいちゃん――おそらく空母の管理システム――の教育を受けた水守が置かれたのだろう。
そして彼らを保守整備要員とし、その技術を門外不出のものとして一族の秘儀としたことで、水守と呼ばれるコアマシンの守護者たちが害されることを防ごうとしたのだ。
「リシィのご先祖は考えたもんだね。と……ここかい?」
水守というシステムに感心したように息を零した多喜が足を止めれば、そこは飛行甲板の先端に近い場所だ。
ここから空母の先端まで道は一直線。転送地点から回り道をする形にはなったが、これからを考えれば現地から入り組んだ町並みを走り回るよりは時間の節約になったはずだ。
「そうだけど、こっちの方には光る板はないよ」
訝しむリシィに大丈夫さ、と多喜は白い歯を見せて笑う。
「道がまっすぐ一本なら、アタシとこいつの出番だからね」
呼び出した小型の自動二輪をぽんと軽く叩いて、そのシートに跨る多喜。
「トリテレイアさん、アンタも乗ってくかい?」
その誘いにトリテレイアはいえ、と言いかけて思案する。
彼にも高速移動用の相棒、機械仕掛けの白い軍馬が居る。だがあの馬は幾らか大型なのだ。それが眼前に広がるストリートを疾走しようものなら、思わぬ事故を招かぬとも言い切れない。
無論トリテレイアは事故を起こすような騎手ではないが、大きく重い機体が高速で移動すれば周囲が落ち着いていられるという保証はないのだ。
「……今回はお世話になります。次は私の機械馬の後ろにお乗せしましょう」
三メートルに近い鋼鉄の騎士を乗せ、その背中にリシィがおぶさって――彼女は何の遠慮もなくさも当然のようにトリテレイアの首に両手を回してぶら下がった――もなお、その見た目からは想像できぬ力強いエンジンの唸りを上げて始動する多喜のバイク。
「三人乗りってのは法律的に良くないけどね。今回は特別だよ!」
そして島を貫く飛行甲板の一つを、猟兵達を乗せたバイクが疾走する。
たどり着いたアーク204の船体は、かつて銀河をめぐる大戦で帝国軍と激戦を繰り広げたであろうことが想像に難くない兵器らしい威容を持ちながら各所に人と自然の営みが見て取れる不思議な、それでいて此処がリシィらの故郷であるのだと一目で理解できるような調和を持った姿をしていた。
さて、とバイクを停めた多喜はヘルメットを脱ぎ捨て、その手にスマートフォンを握りしめる。
この世界にもどういうわけかネットワークが敷設されている――もしかするとソーシャルディーヴァたちのような存在がこの辺りの海域にも居るのかもしれない――が、今回繋ぐのはスペースシップワールドの回線だ。
グリモアベースを経由する分通信速度は低下するし余分に通信量を消費するが、必要なことなのでそこは敢えて無視して検索サイトにアクセス。
「GLSアーク……204だっけ? 同型艦の諸元を引っ張り出せりゃいいけどね」
見たところ風化は著しく、コンパネも生きているのは全体からすると一握り程度だろう。けれどこの規模の艦艇ならそれなりの数が配置されていたはず。
「かなり古い型ですから、私のデータベースでも大まかな構造までしか判りませんね。数宮様のほうである程度の情報がわかれば……」
背中にリシィをぶら下げたままトリテレイアが妖精型の探査ドローンを放ち、苔生した壁面に手を付く。
と、同時。
トリテレイアの触れた壁が微かに軋み、みっしりと群生する苔に明らかに人為的な直線の切れ込みが現れた。
「……あった、アーク級航宙空母……で間違いないかね。流石にコンパネの配置なんて図面は見つけるのに時間がかかりそうだけど、現役時代の写真が何枚か出てきたよ」
表示された写真をスワイプして流し見る多喜は、今まさに自分たちが立つ飛行甲板上、艦載機格納庫に至るこのハッチの前でパイロットたちが撮影した集合写真にコントロールパネルが写り込んでいるのに気づく。
それはまさにトリテレイアが手をついたそこで。
押し込んで、それから引っ張って。苔の隙間にトリテレイアが慎重に剣を入れ、固着して石のようになった泥をそぎ落とせばきぃ、と音を立ててカバーが開き、コントロールパネルの画面とキーボードが現れた。
「よし、まずひとつ発見だね。けど……生きてるのかね、これは?」
光が消え、カバーの隙間から侵入した埃で白く薄汚れたパネルが動作するかはわからない。
リシィに聞いてみるが、
「わからない。もっとひどいのでも動くことはあるし、綺麗でも駄目なときもあるから」
という答えが返ってきた。なるほど、全ては試してみねば――ということか。
「それなら私が試しましょう。この手のハッキングも騎士の嗜みですから」
手首からスッと引き出したケーブルをパネルの端子に接続してみれば、なるほど艦内ネットワークが各所で寸断されているおかげで機器類も動くもの、動かないものがまばらに散っているようだった。
「此処も大本には直通していないようですね。とはいえ迂回すればなんとかなるようですから幸いでした」
リシィの言うじいちゃんとやらがどんな姿をしているかは不明だが、コアマシン管理者への教育役を兼ねているならばシステム中枢を突けば出てくるはずだ。
ひとまず格納庫に通じるハッチに開放命令を送り、艦内探索の足がかりを確保してトリテレイアは思う。
アーク204乗員による正規のアクセスでない手段で、しかも強引にシステム中枢に押し入るのだ。ともすれば敵対行為と取られかねない上、自分はどうやら銀河帝国製である。
「リシィ様、私が『長老』に敵機だと認識された場合はとりなしをお願いできますか」
万が一に備えて背中のリシィに問えば、彼女はこくりと頷きトリテレイアの背中から飛び降りる。
――鬼が出るか蛇が出るか。そも此処から中枢にアクセスして、無事目的の人物とのコンタクトが成立するのか。回線の不安定さを訴えれば多喜がリシィの意見を聞きながら持ち前の電気知識でどうにかならないかと頭を捻ってくれはするが、なにしろ旧大戦の遺跡に等しい老朽艦ではどこまでやれるかわからない。
それでもやらねばならぬのだと猟兵は自身の作業に意識を集中してゆく。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
エドゥアルト・ルーデル
何でも聞いちゃうでござるよデュフフ!
まずは生きてる端末探しでござるね!少女に聞いて案内してもらいますぞ
見つけたら早速全身を【ドット絵】に変換し端末を【ハッキング】!電子化した今の拙者ならポートの隙間からコンピュータ内に潜り込む事も可能ですぞ!
行くぞ!Plug-in! 拙者.png! Transmission!
艦内ネットワークに乗って件のジジイとやらが見つかるなら良いが
ネットが寸断されている可能性があるでござるね
適時端末から情報を集め時に電子的に、時に肉体を戻して物理的に次の端末へと移動していくでござる
なんで普通のハッキングで済まさないのかって?この方がカッコいいだろう!!!(ギャキィッ)
イデアール・モラクス
銀河帝国…懲りもせず今度は大海原まで現れたか。
まぁよい、何度でも立ち向かって来るなら、何度でも骸の海まで叩き返すのみよ。
・じいちゃん探し
ふむ、つまり爺ちゃんとやらはシステムを司るAIなのだろう?
クセや個性が分かれば探しやすかったが…正体さえ分かればやりようはある。
私はコントロールパネル、コンソールに『全力魔法・多重詠唱・範囲攻撃・誘惑』にて編んだ術式で魔術的干渉を行い、システムへ我が魔力を通す事で爺ちゃんと…意識と機能を有したAIを魂と見立てて探索する。
「クク…じいちゃんとやらが男なら、たとえそれが血の通わぬ概念でしか無くとも私というオンナは無視出来まい」
※アドリブ歓迎
●
少女――リシィですら年に数度しか立ち入らぬというアーク204の内部へと歩を進めた猟兵達。入口となる飛行甲板ゲートでは今もコントロールパネルからのアクセス作業が行われているが、あのパネルが駄目だったときの為に複数箇所からの接続を試すべきだと後続は船内探索に踏み出したのだ。
「gff……なんでも聞いてって言ったでござるよね、ね、ね?」
電力が届かなくなって久しい、暗く朽ちた船内通路を先導するリシィの日に焼けて良く引きしまった健康的な太ももや膝裏をじろじろと見つめ、眦を下げて若干薄気味の悪い声を上げながら問いかけるエドゥアルト。
そしてあからさまにあからさまな彼を隠れ蓑に、これまた露骨にリシィの尻を凝視する妙齢の魔女――イデアール。
これがSFパニックホラーものならそう遠くない内に船内に潜む脅威に後ろからやられそうな雰囲気を醸す二人の猟兵は、リシィがかつて使ったことのあるコントロールパネルへと案内を頼み込んでいた。
「い、言ったけど……何?」
それはそれとしてエドゥアルトだ。小麦色の肌の健康的な美少女を前にテンションアゲアゲの彼は、それを繕うこともせずにぐふふでゅふふと笑いながら質問攻めを開始する。
「その端末……あっ光る板でござるけど、稼働状況とかどうでござった? 外のもそうでござるけどネットワークが寸断されてる臭いですからな、いざとなればどうにでも出来るでござるけどなるたけ楽ちんな方が拙者も嬉しいですぞ!」
この男、挙動は不審者そのものだが任務に対してはわりかし真面目に取り組むのでなんだかんだと優秀なのである。
尤もその手段や敵に対する態度が極端にアレ過ぎてその辺りが霞みがちなのだが。
「うーん、今案内してるとこはここから一番近いけど、最後に使ったのはあたしがまだ小さい頃だったし……今どうなってるかはわかんないね」
「ちょっと待ってくだされ、今の所もう少し詳しく。……リシィ殿のロリ時代……!?」
そこかよ。ともあれムードメイカーたるエドゥアルトのおかげで陰気な空気が籠もる廃船の内部であっても一行はペースを落とすこと無く足取りを維持出来ていた。
「しかし……この船もそうだが、敵も銀河帝国か……宇宙だけでは飽き足らず、今度は懲りもせず大海原にまで現れたか」
ヒゲとじゃれ合うように言い合うリシィの尻から視線を外し、壁面に残された旧大戦の名残に――貼り付けられたまま朽ち果て、触れればさらさらと崩れて消えそうなプロパガンダポスターに目を向けたイデアールが呟く。
いかにも悪人といった顔つきにデフォルメされた銀河皇帝に対し、手を取り合い立ち向かうスペースノイド、そしてブラックタールやクリスタリアンといった少数種族の戦士たちの図柄。
旧解放軍のシンボルを身に着けた彼らは、猟兵ではないにも関わらずかつて一度は強大な帝国を打ち破ったのだ。
「……だな。敵が何度も蘇り立ち向かってくるならこちらも何度だって骸の海に叩き返すのみよ」
そしてそれは、リシィたちアークの民にも決して不可能なことではあるまい。
叶うならこの後、じいちゃんとやらに話を付けて今回のようなコンキスタドール案件には協力するよう申し付けたいところだが、とイデアールは思う。
最後まで戦い抜いたのか、志半ばでこの世界に墜ちたのかは知れぬがアークとて帝国と戦った古強者だ。その力がいくらかでも島民を守るために使えればリシィたちも今後は多少とて楽になろう。
「しかしやはりというか解放軍の軍艦か。じいちゃんとやらが此処に一人で住んでいるということならつまり彼はシステムを司るAIの類なのだろう?」
「そうかな。えーあいっていうのがよくわからないけど、さっきのキシの人達もそういう話してたね」
エドゥアルトのややセクハラ気味なコミュニケーションを躱しながら振り返るリシィにはピンと来ていない様子ではあったが、代々の水守、整備責任者たちにその術を教授してきたというじいちゃんが通常の生物でないことはほぼ間違いないだろうとイデアールは確信する。
そしてそのやり取りを耳を大きくして――比喩ではなく――聞いていたエドゥアルトも頷く。
「拙者もそう思いますぞ。まあ百年生きたAIには人間さながらの個性が宿ったり宿らなかったりすると言いますからな、正体が分かってもAIだと思ってナメてかかるのはNGでござろう」
確かに、人間並とまで行くかはわからないが相手はAIではなく一人の最長老だとおもって当たったほうがよいな、とイデアールが気を引き締め――リシィが足を止めたところで二人揃って追突しそうになる。
「ここだよ、これが前に使った光る板」
立ち止まったリシィが指差す先には、やや低い位置に配置されたパネルがひとつ、壁に埋め込まれていた。
なるほど数年前の幼いリシィでも充分手が届く高さだが、軍艦に子供用のコンパネが配置されるということは中々に想像に難い。
ましてアーク級が建造されたのは戦時中だとこの船の来歴について調べていた猟兵から聞いていた二人は、子供用にしか見えないその配置に一瞬目を丸くする。
「あ、いやこれ床下のパイプラインのメンテ用でござるな。ほら真下にハッチがあるでござろ、あれに足突っ込んで立つと丁度このくらいの高さになるのですぞ」
自身の胸の高さを示すエドゥアルトの言によれば、なるほど真下にある床下収納めいた蓋を開けてそこに下半身を押し込めば丁度いい高さに来るように見えた。
ともあれ目的のものは発見したのだ。リシィに後は任せて次の案内に行けと促して、二人は眼前のパネルに挑みかかる。
「……電源はまだ生きてござるな」
「朗報だ。だが……これはどうする?」
形の良い眉を顰めるイデアール。
起動したことを示す緑のランプが点灯したコンパネは、画面が著しく劣化し何者も表示することがなかったのだ。
「なぁに心配召されるな。拙者にかかればこの程度障害にもならんでござるよ」
す、と息を吸ったエドゥアルトが、イデアールにオペレーターは宜しくと言い残して決めポーズ。
「行くぞ! Plug-in! 拙者.png! Transmission!」
どこかで聞いたようなセリフとともに、エドゥアルトの全身が若干粗めの――00年代初頭の携帯ゲーム機画質だ――ドット絵となって画面脇の接続ポートに吸い込まれていく。
「此処が空母の電脳の世界でござるなの世界……」
やはり携帯ゲーム機音質というか、若干ザラつくエフェクトを伴ってコンパネのスピーカーから流れるエドゥアルトの声。
まさか自分自身をデータ化してネットワークに突入していくとは予想外だとイデアールは驚くが、すぐに気を取り直してエドゥアルトに語りかける。
「それで、私は何をすればよいのだ? 適当にボタンでも連打するか?」
「やめてくだち!!!! 拙者これからネットワークに乗って件のジジイを捜索しつつあっちこっちの端末から情報を漁ってくるのでサポートをお願いしたいのですぞ」
そのサポートの方法がわからないのだと言うイデアールに必要になれば自ずと分かるとはぐらかすように答えながら電脳世界をずいずい進むエドゥアルト。その行く末に同じくドット絵風のヘルメットが幾つか転がっていた。
黄色いヘルメットに緑色で帝国軍の隊章が描かれたヘルメットとツルハシ。
この組み合わせにエドゥアルト、すぐにピンと来た。
「イデアール殿、ウィルスでござる! オペレーションを!」
なんだよオペレーションて。
「百歩譲ってウィルスに出くわしたのは理解するが……ええい五秒待て!」
バスター、もといハンドガンでヘルメットとツルハシのおばけ……ネットワーク寸断工作用のウィルスプログラムと交戦開始したエドゥアルトを援護するべく、イデアールは彼の見様見真似で最も信頼する使い魔の少女に自身の魔法のいくらかを与えて電脳世界に送り込む。
ついでに自分の美貌を余すところ無く再現し、その上扇情的な衣装まで着せた実物大の幻影魔法まで被せておく。
「じいちゃんと言うからには男なのだろう。ならば血の通わぬ存在でも私というオンナの美しさは無視できまい……ククク」
「いいから掩護はやくくだち! キャノンでいいから! ハイキャノンとかメガキャノンとか言わないから! 急いでくだされ!」
わいわいと喚きながらウィルスプログラムを駆除するべく戦う二人の猟兵と一体の使い魔。
使い魔少女がエドゥアルトの掩護にたどり着き、イデアールから預かった爆撃めいた魔法でこれらを一掃し――
「ようやくこれで一安心でござるな。さて探索探索ってまたでござるか! エンカ率クソすぎでござるな!!」
すかさず放たれた魔導レーザーをバリアで弾いたそのウィルスは、ヘルメットたちの開けた穴から這い出すように現れ――その姿は巨大なカマキリの如く。
「あっヤバこれはヤバいやつでござるよ拙者知ってる」
なおも抗戦の意志を示す使い魔少女の襟首をむんずと掴んで遁走するエドゥアルト。
「イデアール殿拙者たち絶賛逃走中なのでいい感じに道案内宜しく!」
そんな無茶な、とため息を吐きながら、イデアールは使い魔を介して魔力をネットワークに流し込む術式の接続を確立させると、使い魔を起点にレーダーのようにネットワークを走査しながら電脳に飛び込んだ者たちを導いてゆく。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
天城・千歳
【SPD】
アドリブ、絡み歓迎
異世界の海でかつての同胞と遭遇する事になるとは。世の中何が有るか分らないものですね。アーク204の平穏を取り戻す為に協力させて貰います。
大戦時のデータベースから詳細見取り図付きの図面を呼び出し、現在の島の地形と照合しつつ、UCで呼び出した斥候部隊も使い生きているアクセス用端末を探します。
端末を発見したらリモート義体に端末を操作させ、解放軍のコードでアクセスして「じいちゃん」を呼び出しますが、反応が無い様なら【ハッキング】を行い、情報収集を行いプログラムが破損しているなら修復します。最悪修復不能な時は、私が艦の制御を代行して残党との戦闘時に兵装を使える様にしましょう。
●
「異世界の海でかつての同胞と出会うとは、世の中何があるかわからないものですね」
星の海をゆく軍艦の制御システム――相手が己と同等の規格かはさておき、存在の種類としてはそうかけ離れたものではないだろう――との出会いに、千歳は人型義体の歩みをこころなしか早めて船内を進む。
そこに船内をよく知る少女、リシィの案内は無用だ。軍艦一隻と同義である千歳にとって、同胞の構造を知ることなどそう難しいことではない。
幸いだったのはこれが“解放軍製”の艦艇であったことだろう。解放軍が結成される前の、各星系自治体の宇宙軍が独自に建造したものだったならば。あるいは解放軍が一度解散した後、船団ごとに環境に合わせ拡張と進化を重ねた艦艇であったならば、調べるべき情報は数倍以上に膨れ上がっていたはずだ。
だが幸いにも統一された解放軍規格を用いているらしいアークは、千歳の知る同型で終戦まで生存した艦の図面がそのまま転用できる。
やはり詳細な場所では齟齬もあるが、おおよそで同じというのはまったくの手探りで探索を進めるのと比べればかなり労力が異なるのである。
「この艦が島になってからの拡張部分はまず調べる必要がありませんし、あまり探索範囲を広げすぎても他の猟兵と重複しては有効性が下がってしまうでしょう」
だいたいこの辺りからここまで、と図面と睨み合いながら捜索範囲を決めた彼女はさて、と小さく息を吸い込んだ。
「斥候部隊、目標を捜索してください」
その声に応えて、暗がりから青い機体が現れる。本気を出せば数百を一度に操ることもできるが老朽艦で巨体のウォーマシンをそれほどの数で運用すれば事故を招きかねないと判断し、必要ならば適宜増援を手配する形で十数体、まずは手始めに呼び出した彼女らに千歳はコンパネの捜索を命令する。
機械とは思えないほどの静穏性を発揮して静かに船内に浸透してゆく僚機を送り出し、彼女は静かにその報告を待つ。
はたして数分、あるいはもう少しかかったか。コンパネ発見の報せを受けて、千歳はそちらへと足を向けた。
そのまま発見した機体に意識を転写して操作してもよいが、大柄なウォーマシンの身体では人間用のコンパネは些か繊細なのだ。うっかり破壊するリスクを考えれば、多少手間でもこの人型義体を使ったほうがいいという判断。
そしてそれは間違いではないだろう。なぜならその人型義体の華奢な指で触れてなお、コンパネのボタンを形成する樹脂はぽろぽろと崩れ落ちてしまったのだから。
「解放軍のアクセスコードは反応なしですか。他を試そうにもボタンが割れてしまっては打ち込みが出来ませんし……しかたありません」
かくなる上は直接的に。千歳はケーブルを引っ張り出し、皮膚を模したカバーの下にあるジャックとコンパネのポートを有線で接続する。
解放軍規格の艦で良かった――もしそうでなくてはケーブルを取りに本体の座する巡洋艦天城まで戻らねばならなかったかもしれない――と安堵して、ネットワークに介入した千歳はその惨状に思わず息を呑んだ。
経年劣化による物理的な寸断は仕方あるまい。電子機器類に関してはいくら整備知識を学んだプロフェッショナルを育成してもそれ用の工具や資材がなければ簡単に修理できるものではない。
が、それはそれとしてもシステムがまるで戦場跡のように荒れているのだ。
帝国軍のウィルスプログラムによる攻撃を受け、制御を失ったままこの世界に墜ちた――そんなアークの最期を幻視して、同じ艦艇制御AIである千歳は帝国への敵意を再確認する。
きっと少女、リシィの知る制御システムがウィルスプログラムと戦った痕跡がこれなのだろう。
墜落から相当の年月が経過し、そしてリシィが彼と直接面識を持っていたということは負けては居ないだろうが、この規模のネットワークで単独のAIがウィルスを根絶出来たかと言うとそれも怪しいだろう。
「これは捜索よりも先ずは保全と復旧からでしょうね……」
傷ついたシステムを蘇らせるべく、義体経由で母艦から艦のバックアップデータを基に空母用に調整したシステムをインストールしてゆく千歳。
これが管理AIを探す猟兵の、ひいてはこの先も此処で生きていく島の人々の助けになればと思えば、彼女は黙々と作業に没頭できるのだった。
成功
🔵🔵🔴
ガーネット・グレイローズ
銀河帝国のウォーマシン軍団…まさかコンキスタドールになったとはね。
さて、世界を跨いだ因縁を晴らさせてもらうか。
まずは女の子が探している「じいちゃん」の正体を確認しないとな。
にわとり型ドローン「メカたまこEX」を飛ばし、
それらしい「光る板」を空から<宝探し><撮影>で探させよう。
<メカニック>で端末をメンテナンスすれば、うまく起動するだろうか。
音声で通話できるのか?
「はじめまして。私はこことは違う…宇宙の世界からやって来た者です。
じつはこの子(少女)が、あなたの知恵をお借りしたいと」
「侵略者たちは、真水を生み出す装置を求めて島民を脅しています。
奴らの戦艦を攻略する方法を、御存じですか?」
アシェラ・ヘリオース
※キャリア風スーツ姿
「頭が痛いな」
困った事だ
過去の因果が追いついてくる
自身にも、陛下の命で人狩りに精を出した過去もある
今更に、お前がどの面下げてと言う奴だ
「お前達」
黒騎達を呼び出し、『じいちゃん』なる人物の情報を転送する
『ワカイネーチャンガイー』『ウェーイウェーイ』『オケーイッテキマー』
どうにも軽薄な連中だが、こう言う時は少し助かる
光学【迷彩】で潜みながら、島の各地を【偵察、情報収集】を命じよう
「ああ、お前達。今回は少しばかし面の皮を厚くしていく」
部隊展開前に訓告
「亡き陛下の名誉を穢す、悪しきコンキスタドールを討伐するぞ」
【威厳】をもってそう命じた
過去が今を見過ごす理由にはならない
●
「銀河帝国軍のウォーマシンがまさかコンキスタドールになっていたとはね」
「因果というものはどこまでも追いかけて、追いついてくるものだ。困ったことだな」
フォーマルなスーツ姿の二人、ガーネットとアシェラはそれぞれに嘆息を漏らす。
かたや世界を跨いで尚人類の脅威たり続ける帝国軍のしぶとさに、かたや己の後ろ暗い過去である人狩りを今なお繰り返している同胞に同じ穴の狢に過ぎない自分がなんと言って制止をかければよいのかという苦悩に、抱えた頭がずしりと重く痛む。
「お互いに思うところは色々あるだろうけど、まずは敵の母船への道を確保しないとね」
此方に背を向け海を見ているアシェラに並び、甲板から見下ろす湾の出口には、銀河帝国の標準型巡洋艦が一隻。
見る限り主砲、副砲クラスの大型砲は錆付き沈黙して久しいようだが、海鳥を追うように旋回する対空機関砲は健在らしい。砲と砲で撃ち合う艦隊戦であれば脅威にもならない武装だが、鉄甲船やまして島の保有するカヌーに毛が生えた程度の漁業用ボートではひとたまりもあるまい。もしかすると経年劣化した空母アークの装甲も耐えられないかもしれない。甲板の縁に布陣して砲撃戦を挑むのも止めたほうがよさそうだ、とアシェラは元帝国騎士としての見解を述べる。ガーネットも概ね同意見だと頷き返し、両者はやはり「じいちゃん」の協力が不可欠であるという結論に至る。
「で、あればやはり船のシステムに接続する必要があるな」
「そうね。皆は船内の方の調査に行ったようだけど」
如何に巨大空母とはいえ、出入り口が一つならば其処からぞろぞろと押しかけても探査できる範囲はたかが知れている。ならばそちらを探る手数は仲間に任せ、外からのアクセスを試みるのがより効率的だろう。
「という事になった。お前達、稼働可能なコントロールパネルを探せ、じいちゃんなる重要人物とのコンタクトに必要だ」
アシェラが腕を振るえば、帝国騎士をデフォルメしたような自律ドローンが現れる。
「こちらは空から探してみよう。この子ならば飛んでいても怪しまれはしないだろうし」
対してガーネットが荷物から引っ張り出したのは灰色の鶏だ。所々のパネルラインに沿って青緑色の光が走るそれは機械であることを雄弁に語っているが、しかし。
「トベルノカオメー」
ロボ鶏――ガーネットいわくメカたまこEX――を木の枝型に整形したフォースセイバーで突く黒騎士を手で制し、しかしアシェラの顔に浮かぶのも騎士と同じ困惑。
「大丈夫、ちゃんと飛べるとも」
コケーッと黒騎士を威嚇するメカたまこEXを高く放り投げれば、ばさばさと羽根をばたつかせてふらつきながら舞い上がるメカたまこEX。
「スゲーナトンダゼ」
「……いや、色々と腑に落ちない点もあるが……まあいいか。お前達もさっさと――ああ、待て」
メカたまこEXに遅れを取るなとばかりに黒騎士達を送り出そうとしたアシェラは、ふとそれを呼び止めて曰く。
「今回は少しばかり面の皮を厚くしていく。敵は元同胞で、帝国軍人の職務を遂行しているだけかもしれんが……もはや亡き陛下の名誉を穢す悪しきコンキスタドールだ。我々の手で討伐するぞ」
「ウェーイ」「リョーカイ」「オケーイッテキマー」
軽薄な物言いで、それでも口々に了解の意を示して島に散ってゆく騎士たち。
「……あれで本当に大丈夫なのか?」
ガーネットが問うと、アシェラは自信に満ちてうなずいた。
「頼れる私の部下たちだ。やつらも過去が今を見過ごす理由にはならないことを承知しているさ」
かくて騎士と空飛ぶ機械の鶏によって島内各所に散在するコントロールパネルを見つけ出した二人は、じいちゃんなる存在とのコンタクトを図るべく移動を開始する。
間違っても敵に発見されぬよう、念には念を入れて光学迷彩で姿を隠し、そして二人は騎士と鶏に囲まれ明滅するパネルへと歩み寄る――
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
荒谷・つかさ
※連携希望
……なるほど、事情は概ね理解したわ。
探し物は得手ではないけれど、やれるだけやってみましょうか。
私の役目は【不撓不屈】を発動してのパネル捜索、並びに探索の補助としてこの「怪力」を振るう事
一向に見つからなくとも諦めずに道を切り拓き続ける
少女の言葉から察するに「じいちゃん」というのはこの島の元となった艦のAI、その対話型模擬人格プログラムのようなものと推測。
であれば、管制システムのネットワークに接続できるパネルさえ見つけられれば良い訳ね。
とはいえ、SSWの機械にはそう明るい訳じゃ無いから、操作の類は慣れている他の猟兵や、助けを求めてきた少女に任せるわ。
エメラ・アーヴェスピア
なるほど、話には聞いていたけれどSSWの島は船なのね…
…相手の目的を許せば拙い事になる…しっかりと解決しないといけないわ
さぁ、猟兵の仕事を始めましょう
いえ、海賊ではなく猟兵…まぁいいわ
パネルの中、ね
それならハッキングが早そうだけれど…やっている同僚さん達は多そうね
なら、私は数を生かすとしましょうか
まず船自体を【メカニック】で【収集】、大体のパネルの位置にアタリを付けて…
『ここに始まるは我が戦場』
各機で【偵察】、隠されているようなパネルも【失せ物探し】よ
そして見つけた全てのパネルにドローンから接続して【ハッキング】
私にとって複数の並行作業はお手の物…さぁ、見つけましょうか
※アドリブ・絡み歓迎
●
「なるほど、話には聞いていたけれど……」
照明のない暗い通路を松明を片手に進んでゆくつかさの背中を追いながら、揺らめく橙色の光に照らされた壁をなぞってエメラがつぶやいた。
「SSWから墜ちてきた島は船が元になっている……って本当なのね」
廃船が漁礁として再利用される事例は知っているが、まさか人が住まう島として使用されるとは。
多くの世界からその断片を受け入れ続けたグリードオーシャンという世界の風土と、宇宙を航行するために一際に巨大な船を建造する術を持つスペースシップワールドの文化が掛け合わさればこういった文明が生じるのか、と興味深い事例を観察しながら彼女はここまでの道程や覗き込んできた部屋のレイアウトから脳内にこの船のマップを書き込んでゆく。
「ハッキングを試みている同僚さんも多いでしょうからね。私たちは数を活かして仕事をしましょうか」
一つのパネルから集中的に中枢へのアクセスを探る仲間たちに対して、エメラが選んだのは複数のパネルから同時に接続し、十全に機能するもの以外は僅かでも障害を認めればすぐに切り捨てる――下手な鉄砲もなんとやら、という言葉を体現するような手法であった。
すでに幾つかのパネルには接続を仲介するドローンを貼り付けているが、まだまだ試行回数を強みに謳うには足りていない。
「やりたいことは概ね理解したわ。それで私を引っ張ったのね」
そんなエメラの先導役として立つつかさは得心が行ったと頷いた。
探しものが得意というわけではない彼女の協力を請うたのは、なるほど少女の外見通り非力なエメラには出来ない仕事を任せるため……ひいては試行回数を増やすため、一人では辿り着けないルートを切り拓くことも期待してのことだったのだろう。
両足を踏ん張り、崩落した鋼鉄のパーテーションを十指でしっかりと掴んで持ち上げて、ぎぃぎぃと巨大な板が床を擦る音に顔を顰めながら――裏返せば重量自体はさして苦痛や負担に感じること無く――それを退かすつかさ。
何度か持ち方を変えたり、姿勢を入れ替えてみたりと試行錯誤はすれど、エメラ一人では絶対に通れなかったであろう道を軽々と開通させていくその背中が頼もしい。
松明を拾い上げ先へ進むよう促すつかさに続いて再び歩みを進めると、彼女はふと振り返らずに口を開いた。
「そういえばあの子の言葉から察するに、「じいちゃん」というのはこの島の元になったAIの対話型模擬人格プログラムとかそういう類だと想像したのだけど」
「そうね、私もそう思うわ。ずいぶん信頼されていたようね」
思い返せばあの少女、リシィは「じいちゃん」が機能不全かなにかを起こし、正しく彼女の前に姿を現せなくなった状態でも信頼を寄せていた。
他に頼れる物がないからだと言ってしまえばそれまでだが、あんな快活な少女とそこまでの信頼関係を築くことができるというのは軍艦の管理AIとしては少しばかり特異にも思えた。
「この件が片付いたらある程度修理して、あの子とまたちゃんと暮らせるようにしてあげたいわね」
ま、言ったところで私は機械に明るいわけじゃないからどうすればいいかはわからないけど、と苦笑するつかさ。
そんな談笑の中でもエメラは一つ一つ脳内に艦内構造をマッピングし、パネルのありそうな場所にアタリを付けてはドローンを貼り付けてゆく。
「それもまずはコンキスタドールをどうにかしてからの話ね。そういう関係に明るそうな猟兵も多いみたいだから相談してみてもいいんじゃないかしら? あ、つかささんここも通路があるはずよ、瓦礫をどかしてくれる?」
「なんとかなると良いんだけど……よっ、と。通れる?」
充分よ、とつかさが持ち上げた瓦礫の下を潜って通路に潜り込んだエメラがまたひとつ、コンパネに接続端末となったドローンを取り付けた。
「……そろそろ同僚さんたちも接続を開始する頃合いかしら。つかささん、私たちも猟兵の仕事を始めましょう」
エメラの翠のブローチが輝き、中空に現れたディスプレイとキーボードがその指が軽やかに踊るのに合わせてドローンたちの試行錯誤を高らかに詠う。
一番、接続失敗。二番、タイムアウト。三番、回線が物理的に断裂。四番、接続試行中。五番、生体認証にブロック――
「人が踏み込まないルートを選んだというのもあるけれど、やはり大半は使えなくなっているわね……」
「そう、でも諦めない……でしょ? もっとパネルを探さないといけないって言うならやるけど」
道の確保は任せなさいと腕に力を込めるつかさに、大丈夫よとエメラは笑う。
「大半が駄目でも全て駄目とは言っていないわ。大丈夫、生きている端末もちゃんとあるもの」
その言葉を裏付けるように、接続を試みるドローンの作業完遂率を示すバーはゆっくりと、しかし確かに伸びてゆくのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
葛葉・アリス
【PPP】
この海の世界に来てまで銀河帝国軍とはね
似合わない事甚だしい……それはまぁ、私もかしら
とりあえず、いつものジャバウォックに腰掛けて、久々の面々と一緒に動きましょうか
…私の帽子、海賊の帽子に見えたりするのかしら…?
さて、件の「じいちゃん」は……まぁ、話聞く限り、コンソールに浮かぶ映像よね?
なら、アイとか電脳魔術師いるんだから、私が何かする必要もないでしょ
特に何もせず、背後から見守ってるわ
…手伝い頼まれたら、優しい神様だから、手は貸してやらないでもないけどね?
一応背後からの見守りで、【箱庭空間記録】
必要ないとは思うけど、出現パターンなどの解析の役に立つかもだし、記録だけはしておきましょうか
フィーナ・ステラガーデン
【PPP】
板の中にいるわけね!つまりそのお爺さんは凄くスリムってことね!ちゃんと食べてないんじゃないかしら!
何かご飯を持っていってあげましょ!
そうねえ!とりあえずUCで蝙蝠を飛ばして何かそれっぽいものを探してみるとするわ!
何か発見すれば仲間に報告するわ!
後は近くにいけば私の魔法の出番ね!
今日使う魔法器具はこれよ!(ジャーンと二本の針金を取り出す)
この前テレビで見たわ!二本の針金で探し物ができるそうよ!UDCにもマジカルはあったわ!!
さあこっちよ!風で針金が開いたから間違いないわ!!
(アレンジアドリブ大歓迎!)
アイ・リスパー
【貧乳同盟+α、別名PPP】
「なるほど、その『じいちゃん』を探せば良いのですね!
ここはどうやら電脳魔術師の出番のようですね!」
【チューリングの神託機械】で電脳空間の万能コンピュータに接続。
次々と情報を入力していきます。
「元宇宙船のアーク204の長老であり……
一度だけ凄いものを見せてくれたことがあり……
島のあちこちをフラフラしていて……
光る板の中に存在する……」
これはおそらく人間ではないでしょう。
そして神託機械が弾き出した回答はっ!
「その正体は船を彷徨う乗組員の幽霊ですっ!
……って、ええっ、ゆ、幽霊なんですかぁっ!?」
幽霊が苦手なため涙目になりながらコントロールパネルを調べて回るのでした。
シャルロット・シフファート
PPP
今回は情報収集ね。
同じ能力系統のアイと同行してサポートするわ。
私の今回のユーベルコードは現象数式であらゆる物理現象を制御する。
引いては電気信号も操れるという事。更には現象数式でプログラミングの真似事もできるわね。
島のあちこちをフラフラとしている。
島のあちこちにあるコントロールパネルの中にいる。
それが示すのは、「じいちゃん」がこのアーク204を統括する、あるいは何らかの権限を有するAIである可能性があるという事。
そして島のあちこちにあるパネルに赴けるというのなら、ネットワークは生きていると見ていいはずよ。
それならばこのアーク204のネットワークにアクセスできる端末がある場所を探知するわ。
アリシア・マクリントック
【PPP】
人探しはマリアにおまかせ!……と思っていたのですが。人ではないとなるとそうもいきませんね。それならこういうのはどうでしょうか?変身!マリシテンアーマー!
各所にというのならスタンドアローンではなく、かつ手入れなしに機能しているのなら有線ではない。つまり何らかの無線通信を常時もしくは頻繁に行っているはず。ジンツウ・センサーでその通信を拾えないか試してみましょう。内容はわからなくても電波強度で場所は絞り込めるはず。
ついでに敵方の通信も傍受できるかもしれませんし。念の為に捜索中はカミカクシ・クロスで姿を隠しておきましょう。マリアは他の手が必要そうな方達の手伝いをお願いしますね。
●
「わかったわ!」
島の少女、リシィの説明を受けたフィーナは頭上に電球を閃かせて歓声をあげる。
「板の中に居る……つまりそのお爺さんはすごくスリムなのよ! ちゃんと食べてないのね、ご飯を持っていってあげましょ!」
そういうことじゃないんじゃないかな、という仲間たちの視線にも気づかないほど自信満々の彼女は、ガリガリのお爺さんに元気になってもらうべく行動を開始する。
「行ってきなさい下僕! 何か食べれるものを持ってくるのよ!」
召喚した蝙蝠型の使い魔に小銭を握らせ町の方へ放つフィーナをよそに、他の四人は作戦会議に華を咲かせていた。
「人探しならマリアにおまかせを……と思っていたのですが、人ではないとなるとそうもいきませんね……」
申し訳無さそうに伏せるマリアを撫で、アリシアが唸る。相手が現実空間の存在ですらないのならばいくらマリアの鼻でも匂いを辿ることはできまい。
「今回はマリアもお休みですね。でも打つ手はあります! これならたとえ電子の存在だって見つけ出してみせますとも! 変身、マリシテンアーマー!」
忍び装束に身を包んだアリシアだが、果たしてこの装備が電子戦に長けると言われて得心のいくものはどれほど居るだろう。
そんなクラシカルな見た目に反して、彼女のマリシテンアーマーは数多の最新技術を盛り込んだハイテク装備である。そのひとつ、ターレット状に並ぶ無数のセンサーを供えたアイウェアであるジンツウセンサーを目元に引き下げアリシアは視界に意識を集中する。
――見える。この中世に似た文化レベルの島々に似つかわしくない電波が、センサーゴーグルに内蔵されたコンピュータの処理を受けて可視化された光のラインとして視野に浮かび上がった。
「行きましょう皆さん。内容までは読めませんが、電波強度の強いものを辿ればおのずと目的の場所は絞り込めるかもしれません」
マリアに自身を追跡させるように伝えて、カミカクシ・クロスの光学迷彩で姿を消したアリシアは一足先に駆け出してゆく。
敵の再上陸は一週間後という話だが、監視のために残っている敵兵が居ないとも限らない。その可能性を考えれば隠密で先行して危険を回避するアリシアの判断は至極妥当であろう。可能性は低くとも、猟兵が島で活動を開始したと敵に知れれば思わぬ暴挙を招きかねない。銀河帝国とは、コンキスタドールとはそういう手合いである。
「やはり情報を整理する限り、お爺さんは人間ではないでしょう」
マリアに先導されながらざっくざっくと落ち葉を踏みしめ雑木林――驚いたことに艦の外部にしっかりと根付いた木々が存在するのだ――をゆく一行。
アリシアからの続報を待ちつつ彼女を追う中で、改めて手がかりはないかと思考を走らせていたアイは結論を確定させる。
「この船がここに墜落してから、こうなってしまうほどの年月を生きている長老であり、リシィさんが言うには凄いものを見せてくれたことがあり……そして今は島のあちこちをフラフラと彷徨っていて、光っている……」
これだけの情報が出揃っていれば誰でも正解に至ることはできるでしょう、と言いかけて視界の端にチラつく三角帽子を思って口を噤むアイ。
彼女とは貧乳同盟という血よりも強い絆で結ばれているのだ。貧乳と書いてともと読む彼女を貶めるような発言は慎もうと控えめな胸に手を当てて、アイは考察の結果をアリスとシャルロットにだけ聞こえるように囁く。
「お爺さんの正体は船を彷徨う乗組員の地縛霊です! ……ってええっ、幽霊なんですかぁ!?」
自分で出した結論に驚き、幽霊要素の登場に涙目になるアイ。
それを見てアリスは察した。ああ、この子自分で考えた風に振る舞っているけどコンピューターに繋いでズルしたわね、と。
そんなどうしようもない人の子を憐れむような慈しむような特になんとも思っていないような神の視線でちら、と見遣ってアリスは特に何も指摘しなかった。
さすがなんとか同盟を名乗るだけあってフィーナとアイはよく似ているわね、と思いはしたがそれだけだ。
「……アイ、アンタはもう少し論理的な推理をしなさいよ。結論の手前でどうしてそう大ジャンプして踏み外すの?」
一方で突っ込んでしまったシャルロット。残念、幽霊の可能性にビビり倒すアイも見たかったのだけれど、とはどこかの天の邪鬼な神様の声か。
「じいちゃんはおそらくこのアーク204を統括する、あるいは何らかの重要な権限を有するAIに違いないわ。そしてアリシアが電波を辿って探索に行けていることと島のあちこちのパネルで彼が目撃されることを鑑みれば、船のネットワークはまだ生きているのよ」
そしてアリシアが追っているより強力な電波を送受信しているもの、それは艦内ネットワークを構成する端末の中でも今なお活動を続けなければならないもの――即ち島の維持に関わる重要な機材に違いないと。
流石です、と幽霊説の恐怖から立ち直ったアイがキラキラとした表情で己には見いだせなかったその見事な推理――実はシャルロット含め大半の猟兵がその答えに辿り着いていたが――を称賛する。
一方トンガリ帽子の赤い方の貧乳同盟員はコウモリが買ってきた色鮮やかな魚の串焼きを両手の指の間にそれぞれ挟み、まさかの八刀流で塩とスパイスの効いたほろほろふかふかの身を頬張っていた。おまえそれじいちゃんに食わすやつとちゃうんかい。
「……これは」
目的のコントロールパネルを発見し、後続の仲間たちを待つ片手間にもう一つの強力な電波を解析していたアリシアは、その内容に目を見開いた。
それは敵の目的。コアマシン由来のメガリスを集め、損傷し十全の機能を果たせぬそれらの欠損を相互に補わせることで完全なもの、あるいはそれに準ずる状態にせしめ――恒星間巡航能力や対艦砲撃戦能力、自動修復能力を取り戻す。
その最終目的はスペースシップワールドへの帰還と反乱軍へ一矢報いるべく集結する友軍艦隊、エイルガムらと合流し解放軍の支配下にあるエンペラーズマインド要塞への攻撃を実施すること。
不可能だろう。アリシアはそれを知っている。既に数度あの宙域で事を起こそうとした帝国残党が居るが、いずれもが猟兵の手で排除されている。宇宙の主戦場が未知の領域に移った今では、もはや再編された解放軍のパトロール艦隊が単独で帝国残党を駆逐することすら珍しくない。
何よりいくら艦が復旧したとしても、作為的に世界を移動しようなど準フォーミュラ級のオブリビオンが準備をしてやっと、というような偉業であろう。
達成は不可能、それがアリシアの出した結論だ。
「そうね。それは不可能だわ。けれど問題は其処じゃない、そうよね?」
アリシアの背中にかかる声。やや高い位置からのそれは、ダチョウにも似た人造悪魔に腰掛けたアリスのものだ。二角帽子に下がる房を揺らして、アリシアと同じ物――敵の母船がこの世界に居るかも知れない友軍に向けて発する電文を読み取った電子の神は、彼らが齎す災厄を予見する。
「この海の世界に銀河帝国の兵器は異質よ。そんなものが力を取り戻して略奪を働けばちょっとやそっとじゃない犠牲が出る。そんな未来はこの青い海に似合わないこと甚だしいわ」
だから彼らは此処で根こそぎ掃討し、あの母船も完全に破壊して沈めねばならない。
「なんて柄でもない話だったかしら。そういうのはあなた達におまかせするわ」
どうしても困ったときにだけ手を貸すのが神というものよ、と告げるアリスにアリシアも頷く。
「ええ、私たちで止めなければいけません」
そんな会話が途切れると共に、遅れてアイとシャルロット、フィーナが現れる。
「アリシアさん、見つかったんですね!」
「それじゃアイ、二人がかりで解析とアクセスを――」
アリシアの見つけたパネルに飛びつく二人の電脳魔術士。が、その動きが固まった。
コントロールパネルを保護するカバーには鍵がかかっていたのだ。少女たちの指の力では鍵の破壊も困難だろうし、無理をすれば中のパネルも壊してしまうかもしれないと思うと到底開きそうにない。
「なるほど私の出番のようね!」
其処に颯爽、魚食ってた方の貧……フィーナが割り込み二人の肩越しに顔を覗かせる。
「このくらい私の魔法にかかればよゆーよよゆー。見てなさい、今日使う魔法器具はこれよ!」
じゃーんと効果音を自前で添えて取り出したるは直角に曲がった針金二本――否、これ串焼き魚の鉄串だ。
「この前テレビで見たわ、二本の針金でこう……」
この形状の針金二本で行う魔法めいた行為といえばダウジングだろう。それで鍵を探すつもりか、とやや呆れ気味のアリス、そして初めての生ダウジングショーに興味津々のアイたち。その目の前でフィーナはその針金を、鍵穴にぶっこんだ。
そしてガチャガチャ。ふぎーとかむぐーとか言いながら額に青筋浮かべて格闘すること数分、かちりと小気味良い音を立ててカバーが開く。
「ほらね、針金で探しものを見つけることができるのよ! UDCにもマジカルがあったわ!!」
――それはマジカルではなくピッキングだろう、とは言わずに飲み込むアリスなのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
彩波・いちご
【エイル】
【異界の猟犬】を呼び出して、理緒さんのユニットと手分けして船内を探索
探索中に
「どうしました、ジルさん?」
見知らぬ女の人に声かけて…フェアリーだから気付かれてないようで(苦笑
「御機嫌よう。何かお困りですか?」
なのでフォローする形で私も声をかけに行きます
聞けば初心者猟兵で、よくわからないまま来たようなので…
「そういう事なら、私達と一緒に行動しませんか?」
にこっと安心させるように笑顔で提案してみます
…理緒さん、目が怖いです、よ…?
エイルさんとも合流し、手分けして調査再開
端末はジルさん理緒さんに任せつつ、私はエイルさんのフォローも
「徐々に慣れていけばいいですし、謝らなくて大丈夫」(にこ
エイル・リフィアベルク
【エイル】
「初めての猟兵としての任務、がんばりますっ」
けど、まだ自分のエネルギー炉の使い方もよくわかっていない状態。
勝手がわからずオロオロしていたところに、声をかけてくれた人が。
「あれっ?
声はするけど姿がみえません……」
って、フェアリーの方でしたか。
初めて見たので失礼しました、ジルさん。
さらにいちごさんと理緒さんが声をかけてきてくださって。
「色々と教えていただけると助かります」
一緒に調査をおこないます。
「『じいちゃん』というのは、おそらく宇宙船の管制システムか何かでしょうか」
故障しているようなら、理緒さんに修理をお願いすることはできるでしょうか?
「全然お役に立てなくてごめんなさいっ」
菫宮・理緒
【エイル】
『じいちゃん』の居場所は、
少女さんも知らないってことなのかな?
そうなると探さないとだけど、少女さんとお話しできるなら、
手がかりくらい欲しいなって思うよ。
って、ジルさん、いちごさん、その子だれ?
2人してナチュラルボーンナンパ体質なの?(じと)
え?初依頼?そうなんだ。
なんだろうこの初々しさ。抱きしめて守りたくなるね!
……はじめてはわたしたちに任せておけばいいよ。
捜索は【E.C.O.M.S】を使ってみるよ。
解放軍空母の設計図をダウンロードして、確認。
艦橋と機関室あとは電算室をメインに捜索してみよう。
『じいちゃん』が生きている人とは限らないから、
コンピュータやAIもしっかり確かめないとだね。
ジル・クリスティ
【エイル】
こんな所に宇宙船が…しかも話聞く限りまだコンソールとか生きてるっぽいねぇ…
ま、こんなの調べるのは簡単…
…ん?
ねぇ、なんかきょろきょろしてる人いる
初心者かな?行ってみるよ
「おーい、そこの君、何か困ってる?」
ちょ、私こっち、きょろきょろしない…って、フェアリー見たことないのかな?
結局いちごの助け舟もあって合流…なるほどいちごは口がうまい
何事も経験だし、しばらく一緒に行動しましょうか
あとは、宇宙出身の私に任せなさい
自分のいた船じゃなくても、こういうのはあまり変わらないモノ
コンソール叩いて情報収集、さてさて、おじいちゃんとやらはどこに出現するのかしら、と
どう考えても生きてる人じゃないしねぇ
●
「こんなところに宇宙船が……しかも話を聞く限りだとまだ機能の一部は生きてるっぽいねぇ……」
ま、私にかかればこんな旧式艦を調べるのは簡単だけど、と待ち受ける巨大空母の調査に挑むべく羽根を震わせるジル。
宇宙生まれの彼女にとって、どれほど巨大であっても宇宙船は庭も同然の領域だ。多少の形式の違いはあっても、それが目的とする機能を同じくする限りは構造も似通ったものになるのだと彼女は知っている。
それ故にどこから手を付けたとて最後には望むものを見つけ出すことができるという自負がジルにはあった。
ならば他の猟兵が手を付けていないところから――と最初のアプローチを探る彼女は、そこで不慣れそうに周囲を見回している人影を発見した。
「……ん? あれ、なんかキョロキョロしてる人がいる」
最初は島民かとも思ったが、どうにも服装からして別の世界の人間、この場合は猟兵だろう――のように見える。
「初心者かな、声かけてみようか」
妖精は空中を滑るように飛翔して、その人影の方へと移動していった。
「猟兵として初めての任務……がんばりますっ!」
気合十分、使命に燃えて出撃したはいいものの……彼女ことエイルは猟兵になりたての新人、それも元々は戦闘や冒険などとは縁遠い一般人として過ごしていたのだから、転送直後にさあ任務遂行だと動き出せるほどの度胸もまだ備わっていなければ猟兵の勝手もわからないのだ。
やる気はあるもののどこから手を付けて良いのかわからず、そもそも勝手に動き回って良いものかも定かではない状態で放り出された彼女は、おろおろと周囲を見回してはそれぞれ迅速に行動開始した猟兵たちの背中を追いかけるべきか悩んでいたエイル。
「おーい、そこの君なにか困ってる?」
そこへ不意に声を掛けられ、彼女はびくりと肩を跳ねさせた。
慌てて周囲を確認するが、近くで聞こえた声の割に周囲に人影は見当たらない。
「そ、空耳……かな?」
「違う違う。こっち、私こっちだって。きょろきょろしないの。……フェアリー見たこと無いのかな?」
わたわたと視線を走らせるせいで却って声の主から目を逸し続ける形になっていたエイルの眼前へと、手のひら大の少女が飛び出した。
ひゃあ、と悲鳴を上げて尻もちをつくエイル。
「わ、ごめん! ……その反応、なりたての初心者さんかな」
「あ、あの、えっと……」
目を白黒させぱくぱくと酸欠の金魚のように口を開け閉めするエイルは、どうやら驚きのあまり頭が真っ白になってしまったようで。しまった、とジルが思ったのも時既に遅し、エイルが落ち着くにはしばらく掛かりそうだと見て取れるほど動転させてしまっていた。
「目の前に飛び出したのは失敗だったかぁ……」
嘆いてもどうにもならない。かといってこのまま彼女を放り出して探索に向かうのも人道的にどうだろうか。困り果てたジルへ、思いもよらぬ救いの手が差し伸べられる。
「リシィさん、『じいちゃん』の居場所は知らないってことかな?」
「うん、あたしにもどこで話せるかはわからないんだよ。じいちゃんを探すのもあたしたち島長の一族の成人の儀式の一環みたいなものでさ」
それは困ったね、と顎に手を当て考え込む理緒と、そんな理緒の思考を邪魔しないように静かに黙り込み、彼女に信頼を向けるいちご。
そんな彼がふと視線を上げてみれば、見覚えのある白い影が飛んでいるのが見えた。
彼女がまだ留まっているなんて珍しい、とっくに探索に出ているような性格でしょうに、と意外に思ったいちごだが、その影――ジルの前に一人の少女がへたり込んでいるのを見てなんとなく事情を察する。
「仕方ありません、助けに行きましょう」
理緒はまだ聞き込み中のようなので、一人で早足にジルたちの方へ近づいていくいちご。
「どうしました、ジルさん?」
見知った声にジルは振り向き、安堵の息を零す。
「いちごじゃない。ちょうどよかった、私がこの子をびっくりさせちゃって……」
あー、と納得したように頷くいちご。見るからにルーキーの少女がいきなり武装したフェアリーに声を掛けられれば驚きもするだろう。
なのでまずは警戒を解かねば、といちごは屈んで手を差し伸べて。
「御機嫌よう、何かお困りですか?」
抜群に人当たりの良い笑顔でエイルに話しかけた。
聞けばやはりエイルは今回が初陣で、グリモアベースを見て回っている途中人の波に流されるままこの仕事に巻き込まれわけも分からず転送されてきたらしい。
災難でしたね、と苦笑して、しかし猟兵の力に目覚め、そしてここに来たからにはできることをやって行きましょう、と力強くエールを送ってエイルを見事に立ち直らせたいちご。
その話術はさすがというか、伊達に曲者揃いの寮を取りまとめているわけではないのだとジルは舌を巻く。
「やっぱりいちごは口が上手いね」
「ちょっとジルさん、人聞きの悪い言い方はよしてくださいよ」
ははは、と笑い合う二人に釣られてエイルもくすくすと笑みを零せば、ようやく笑ってくれましたねといちごが嬉しそうに彼女を見る。
「よし、ここで会ったのも何かの縁です。私達と一緒に行動しませんか?」
召喚術に長け、手数の多いいちごと宇宙船に詳しいジル。そして今はちょっとした別行動中だが、同じく機械に詳しい理緒がフォローすれば初陣のエイルも問題なく仕事を終えて帰還できるだろう。
「そうね、今回は私達に任せて見学してなさい、自分ひとりでも猟兵としてやっていけるようにね」
ジルも賛成の意を示せば、良いんですか、と遠慮していたエイルもこくりと小さく首を縦に振った。
「そ、それじゃあよろしくおねがいします、いちごさん、ジルさん」
ええよろしく、と握手を求めて手を差し出したいちご。その手をしっかりとエイルが握り返し――
「…………ジルさん、いちごさん、その子だれ? 二人してナンパしてたの? ナチュラルボーンナンパ体質なの? 女の子口説かずにはいられないの?」
じっとりと湿った視線をまるで高出力レーザーのようにいちごに浴びせかけながらぬっと現れた理緒に、エイルはまた悲鳴を上げてひっくり返る。
「ちっ、違いますよ!? 私はただ、エイルさんは今回が初仕事だと聞いたのでお手伝いしましょうって……!」
「そ、そうだよ理緒、よしんばナンパだったとしても私は違うから! いちごと一緒の扱いは心外だよ!」
しかし理緒は誤解を解くべく必至に弁明する二人に耳を貸さず――実は「今回が初仕事」の辺りまでは聞いていた――理緒はエイルの前に立って。
「あなた初依頼なの?」
真っ青になったエイルがこくこくと首を振る。
「そうなんだ……ふーん……」
そしてくるりといちご達のほうへ振り向いた理緒は、すっと息を吸う。それだけでどんな裁きが下されるのかと慄く二人。
「なんなのこの子の初々しさ。抱きしめて守りたくなるね!」
二人の恐怖は杞憂であった。ぱぁっと花咲く笑顔でエイルを受け入れた理緒は、怖がらせてごめんねと彼女を助け起こして肩を抱く。
「はじめてはわたしたちに任せておけばいいよ。いちごさんもジルさんもそのつもりだったんでしょ?」
「は、はい。色々教えていただけると助かります」
そうして四人は探索を開始する。
エイルは猟兵というものの手際の良さに驚かされていた。
本人の愛嬌とは裏腹に若干不気味系の犬のようなものをいちごが呼び出した時には悲鳴を上げかけたが、それらを放って船内の調査を凄まじい勢いで進めていく様はベテランのそれだ。
そしてそんな猟犬に不思議なカタチの機械を随伴させ、送られてくるデータを元に手元の端末で精密な地図を描いていく理緒と、その図面を見ながらやれここは機関室だ、ここは弾薬庫だと船の構造を言い当てていくジル。
三人がそれぞれの領分で力を合わせた結果、瞬く間に地図は半分以上を埋めることに成功したのである。
「よし、あとは電子系統が集まってそうな場所を当たっていこう。艦橋と機関室、あとは電算室や通信室あたりかな」
「たぶん先に入ったチームが機関室の方には先に着くと思うよ、他から回ろう」
「猟犬からの情報だと、艦橋への道は人間が入るには崩れすぎてるようですよ。なので電算室からにしませんか?」
テキパキとルートも策定してしまう三人に、エイルは最初に言われたその通り、見て学ぶ以外にできることを見つけられないでいた。
「あの、ぜんぜんお役に立てなくてごめんなさいっ」
そんな申し訳無さからの謝罪すら暖かな笑みで気にしないでいい、お互い様だと許容して、幼子同然の自分を導いてくれる頼もしい先輩たち。
いつしかエイルの目には彼らに並んで歩けるような猟兵になるという夢、希望の光が宿っていた。
成功
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チトセ・シロガネ
フムフム、事情はアンダースタンドしたネ。
こういうのはスマートにやらなくちゃネ。
UC【星屑従者】でドローンたちにアクセスできるコントロールパネルを探ってもらい、コンソールに自身を繋いで【ハッキング】でシステム内に侵入。
なるほど、【第六感】で予想はしてたけど最低限の機能で運用してるからメイン部分につなぐのはイージーネ。
侵入後はコンピューター言語で自分が少女のお願いで来た事情を話しておじいちゃんに情熱をもって誘惑……協力を仰いでみる。
ユーが差し出されようとも差し出されなくてもユーの船が育てた愛しい住民がひどい目に合うンだ。ここはひとつ、昔取った杵柄を使うときじゃないカナ。ネ?
ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎
ここまで露骨だといっそわかりやすいわねぇ。
選択肢のようでどっちも実質「死ね」ってことじゃないの。
…にしてもコンパネの中かぁ。
インターフェイスAIかなにかなのかしらねぇ?
最低限機械の使い方とかは覚えたけど、あたしハッキングとかそういう高度なことは流石に無理だし。地道に足で稼ぐしかないかしらぁ?
ミッドナイトレースで機動力を確保。片っ端から●絞殺で○情報収集するわぁ。
後は…ゴールドシーンにお願いしてルーンを起動。
使うルーンはペオースにラド。「運任せ」の「探索」だもの、できることはしておかないとねぇ?
ミスタリア・ミスタニア
銀河帝国軍の識別信号だぁ?
おいおい、そりゃオレには放置できねぇ相手だな
つーか、貴重なコアマシンが船ごと相当な数がこの世界に来てるつーだけでもオレとしちゃ複雑なんだがよ
まっ、文句言っても仕方ねぇ。解放軍の空母を帝国軍から護るようなもんだと考えておくぜ
さて「じいちゃん」ねぇ?
あからさまに人じゃねぇな、管制AIか、それとも管制システム辺りがヤドリガミにでもなったか?
まぁいいさ、まだ動くコントールパネルを探すのはいいがアクセスコードやパスワードとかは分かってるんだよな?
分かってねぇと面倒なんだが、最悪ハッキングか
コントロールパネルは、古い艦種だがこの手の戦闘艦なら現役艦参考にすりゃ大体の目安は付くだろ
●
「銀河帝国の識別信号だぁ?」
滅びて久しい仇敵の手がまさかこんな異世界にまで及んでいようとは。ミスタリアは掌に拳を打ち付け、燃えたぎる闘志をその身に満たす。
「オレには放置できねぇ相手だな。……つーか貴重なコアマシンが船ごと相当な数こっちの世界に来てんだろ。それだけでもオレとしちゃ複雑なんだが」
再生産不可能なロストテクノロジーの遺産、一定規模の艦船を建造するのに必要不可欠なそれが不可逆的に失われ――しかしてそれは損傷しつつも確かに在るのだ。目の前にある宝物に手が届かない、しかもそれはかつて自分の物だった――そんな状況に思うところはあれど、それをこの島の住民たちに言っても仕方のないことであるし、所有権を主張して奪い去ろうなど帝国と同じ唾棄すべき行為だ。
「……文句言っても仕方ねぇ、解放軍の船を帝国の連中から守るようなもんだって考えるしかねぇか」
「そうそう、事情は色々あるかもだケド、そこはグッと飲み込んでスマートにやらなくちゃネ」
ぽん、と軽快にミスタリアの肩を叩いて歩み出たのはチトセ。そんな二人のやり取りを聞きながら、帝国に想いを馳せていたティオレンシアも会話に加わってゆく。
「でも相手も中々露骨よねぇ。選択肢を与えてるようでどっちも実質死ねってことじゃないの」
唯一の水源の供出か、あるいは生贄として民を差し出すか。これなら恭順か死かを選ばせる帝国軍本隊のほうがまだ優しく思える。
彼らにとっては不時着した先に過ぎないこの世界でまで帝国の勢力圏を広げる意図はない、ということだろうか。
「はいはい、そういうのも考えるのは後にしようヨ。ボクの勘だと最低限の機能以外は休眠してるカラ、今ならメインシステムに繋ぐのもイージーネ」
裏を返せば猟兵達の接続がうまく行けば行くほどシステムの稼働領域が増えていく。目指すべき「じいちゃん」の居場所を探すノイズになってしまうだろう。
善は急げ、早く作業に取り掛かろうと急かすチトセだが、対してティオレンシアの表情は明るくない。
「最低限機械の使い方は覚えたけど、あたしハッキングとかそういう難しいのは流石に無理よぉ」
このタイミングでのカミングアウトに流石に面食らう二人。
「マジかよお前……しゃあねえ。チトセ、最悪オレとお前でハッキングな。ティオレンシアは……とりあえず機械いじりはいいからオレたちがアクセスする機械を探すの全力な」
「オーケー、ボクもそれで異存無しだヨ」
「それならあたしにもできそうねぇ。ごめんねぇ、今回は甘えさせてもらうわぁ」
不安が解消したティオレンシアの行動は早い。取り出したペン型の鉱物生命体、ゴールドシーンに紙を与えて願いを掛ける。
彼に刻んでもらうのはペオースとラド、天運と旅路を司る二つのルーン文字。
「運任せの探索に出るにはもってこいでしょぉ? 気休めかもしれないけれど、できることはしておかないとねぇ」
「フフ、ボクはそういうの嫌いじゃないヨ。じゃあ運任せの端末探し、行こウ!」
「いいけどお前ら、あんまりフラフラすんなよ!」
一人はバイクに飛び乗っって、一人はその身を電光に変えて、一人はスラスターを無数に秘めた重厚な鎧を身に纏って。三者三様ながらいずれも劣らぬ速度で古い空母を駆け抜ける。
かくて最初に目標を発見したのは、やはりというか呪いが効いたのか、ティオレンシアであった。
彼女の呼びかけで集まったチトセとミスタリアがテキパキと準備を――
「おい。おい、何してんだお前」
ミスタリアが思わず声を荒げるのもむべなるかな。
彼女が至極真面目にハッキングツールを展開し、知る限りの解放軍艦が設定していたアクセスコードからアーク204のそれを類推しようと資料を広げる傍らでチトセはおもむろに衣装をはだけさせていたのだから。
「何って、おじいちゃんってコトは相手は男性型のAIでショ。だったラ情熱的に誘惑して協力を仰いでみるんだヨ」
「なるほど、ハイテク機械には色仕掛けも効くのねぇ……」
ドヤ顔で腰をくねらせウィンクを飛ばすチトセとそれを感心したように見ているティオレンシアに「ンなわけあるかよ」と怒鳴りつけて、ミスタリアは機材を駆使してコントロールパネルにアクセスしてゆく。
案の定のセキュリティは強固だが、その強固さ故にこれが些末な末端ではないことを予感させた。
「さてこの先には何が待ってるのかね……管理AIか、それともシステムがヤドリガミニでもなったか?」
「そっちのほうがやりやすくてボクは嬉しいネ」
す、と最後の抵抗を突き抜けた瞬間、チトセが横からコントロールパネルに飛び込み。一気に深層までアクセスしてゆく。
「あっお前ェ、このやろ!」
ミスタリアの怒声もどこ吹く風、一心不乱に中枢を目指し電脳世界を潜ってゆくチトセ。
「ユーが差し出されても差し出されなくても、ユーの船が育てた愛しい住民がひどい目に遭わされようとしてるンだ。ユーも軍艦なら此処はひとつ、昔取った杵柄を使うときじゃないカナ、ネ?」
それまでのおふざけはどこへやら、真摯な呼びかけを送りながらダイブしてゆく背中を画面越しに見守るミスタリアは、その姿に怒気を抜かれたように――それでも出し抜き、置き去りにされたことにやや不機嫌そうにどっかと腰を降ろして腕を組む。
「まあ中まで入って説得なんてチトセさんじゃなきゃ出来ないことだもの。あなたもすごいスピードで機械を使えるようにしたじゃない? 適材適所ってことだと思うわぁ」
宥めようと掛けられたティオレンシアの言葉に、分かってるよとぶっきらぼうに返して。
それでもミスタリアは、あのクソッタレの帝国残党に一発ブチ込むために見事にじいちゃんとやらを味方に付けてこいよ、と願わずにはいられないのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ヘスティア・イクテュス
コアマシンがメガリス…まぁ確かにあれ、メガリスみたいなものだけど…
彼らがスペースシップワールドの住人の末裔なら
えぇ、助けないわけにはいかないわね!
光る板…コントロールパネル…
電脳魔術師ではないわよね?艦の制御AIのたぐいかしら?
とりあえず、風化してて古いシステムといえど生きたシステムならアベルで接続を試してみようかしら【ハッキング+追跡+情報収集】
そのおじいさんに接触できるなら良し
出来ずとも他のコントロールパネルの場所位は把握できるかしらね?
後は他の猟兵に情報を伝えて支援
出来なかったらまぁティターニアで飛んで空から探すしかないわね…
アコニィ・リード
生贄なんて許さないよ!
コントロールパネル……ええと、どれだろう?
少女が指さしたそれに着いたら、どういう仕組みなのか調べるよ
色々知識はあるからね、何か分かるかもしれない
もしそこに「じいちゃん」が居るのなら、捕まえなくちゃ!
でも分からないという事が分かってしまったら……奥の手よ!
さあ皆――イルカ海兵隊の皆! 今回は救出任務!
電子の海に捉われた老人を救出して引きずり出しなさい! GO!
電子戦装備を施した屈強なイルカ海兵隊を召喚して任務にあたらせる
私は後方で彼らの援護。主にドーピングして元気を与えるわ!
さあキリキリ働くのよ! 世界の危機は今ここに!
お爺さんを救出したら聞いてみるわ、反撃の術を教えてって
●
「コアマシンがメガリス……まぁ確かにあれ、メガリスといえばメガリスみたいなものよね……」
なにしろ星間物質からほぼ無尽蔵に資源を供給するなどという今思えばトンデモな機械である。それだけのポテンシャルを秘めた装置ならば、霊的ないわくが無くともメガリスに変じてもおかしくはあるまい。
それでも性能は著しく劣化しているというのだから、世界間の技術格差は凄まじい物があるなとヘスティアは感心する。それだけの差があっても人は人であるし、そしてこの島で生きる彼らは故郷を同じくする者たちの末裔だ。
「だったら助けないわけにはいかないわね!」
「うん、生贄なんて絶対許さないよ!」
この島をコンキスタドールの手から解き放つと意気込む彼女に同調するように拳を握りしめる者がいる。
ひらひらとした羽衣を揺らめかせ、眉を吊り上げ闘志充分とふんふんしているヘスティアより一回り小柄な少女、アコニィだ。
仲間たちが少女――リシィと共に完全に動作するパネルを求めて探索に出たのに対し、二人は第一波の転送されたその場に留まっていた。即ちリシィと猟兵のファーストコンタクトの場である。
なぜならばそこには確実に一つコントロールパネルが存在しているからだ。動作自体は不安定で、画面も一瞬点灯しては明滅して沈黙するような有様だが探す手間が必要ないという点でこれはアドバンテージになる。
「風化してるとはいえ、システム自体は生きているのよね。接続さえしてしまえば……」
「ちょっと待っててね、調べてみるよ!」
島の屋外、イコールで空母の外壁に設置されたそれは長年浴び続けた陽光や風雨で物理的に損傷しているが、アコニィが慎重に外装を取り外してみれば内部はほぼ無傷であった。
完全に無事ではなかったが、劣化して断線しかかっているケーブルを二、三本ほど繋ぎ直せば概ね修復は可能だろう。
とはいえ本職のメカニックではないアコニィにわかるのはそこまで、パネルそのものを復旧しても、船の内部側でシステムとの接続が途絶えている可能性もある。
「……ということだね。これ以上はわたしにもわからないよ」
申し訳なさげに肩を落とす彼女を励ますよう肩に手を置き、ヘスティアは上出来だと笑う。
「後は繋いでみてのお楽しみね。アクセスを試せる端末を探す手間が省けただけであなたはいい仕事をしたわ」
必死に探したとて完全に沈黙してしまった残骸しか見つけられない可能性もあったのだ。
ひとまず死んではいないことが確定した端末を探す手間なく確保できただけでも充分な戦果と言えるだろう。
「というわけでここから先は電脳魔術士の出番ね。アベル、準備はいい?」
「勿論、いつでも始められますとも」
戦闘から日常のサポートまで、ヘスティアを広く支える万能AIティンク・アベルが慇懃に応え、それに満足気に頷いた彼女はアベルをコントロールパネルに送り込む。
「おじいさんとのコンタクトが最優先よ。もし難しいようならもっと状態のいいコントロールパネルの場所を調べてきて頂戴」
「畏まりました。少々お時間を頂いてもよろしいですか? 些か荒れ果てておりまして、進むだけでも一苦労でして」
聞けばウィルスプログラムにでも感染していたのか、船内の電脳世界はあちこちで寸断され動作不良を起こしているらしい。
それを迂回し、時に修復しながら進むのでは中々にスムーズな探索とは行かないのだ。
「大変そうだね……手を貸すよ!」
そんなやり取りを見て、アコニィも協力を申し出る。電脳魔術士ではない彼女は電脳空間での活動についてヘスティアとアベルのフォローをできるほどの知識はない。
が、それを成すほどの知性を有する存在を呼ぶことはできる。
其は大海において一、二を争う知性を秘めしもの。
海の賢者、その中でも格段に優れた知性を有する者たちをアコニィは招来する。
その名をイルカ、それもアコニィの配下として水中はおろか揚陸作戦や特殊戦、果ては電子戦すら修めたエリートであるイルカ海兵隊という。
「何について調べますか?」
「イルカがせめてきたぞっ」
「あそぼ。あそぼ。あそぼ?」
――知性?
コンパネのド真ん前、ヘスティアの視界を塞ぐように出現した一体にお前を消す方法をまず調べたいと言いたくなる気持ちをぐっと堪えて脇に退け、電子戦だっつってんのに光線銃を背負ってきた一体にはとりあえずそれを巻き貝戦車に置いてこいと命じ、遊ぼうを連呼する一体は――ちょっとまって君サメじゃない?
「あそぼ」
ともあれ機材を接続し、アベルのバックアップ体勢を整えるイルカ海兵たち。
「さあキリキリ働くのよ! 世界の危機は今ここに!」
頑張れ頑張れとエールを送りながら、カフェイン盛り盛りの栄養ドリンクを差し入れ海兵たちに二十四時間労働を強いる勢いのアコニィ。ブラック企業めいたその精神論ゴリ押しの応援にヘスティアは苦笑しておかしな援軍をちょっと哀れんだが、彼らの登場でアベルの進行スピードは格段に上昇している。
「凄いわね……この調子ならすぐにでもお爺さんを見つけられそうだわ」
「そしたら反撃の術を聞き出さないとね! やられっぱなしじゃないってコンキスタドールに見せつけてあげなきゃ!」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 集団戦
『ウォーマシン・タイプマリン』
|
POW : 襲撃は速やかに
【急速接近からの超高温ヒートカトラス 】による素早い一撃を放つ。また、【水中から船・陸上へ強襲出来る推進機構起動】等で身軽になれば、更に加速する。
SPD : 障害は燃やし沈めて
【機敏な動きで右腕に担いだマルチランチャー】を向けた対象に、【通常炸裂弾頭か高速誘導魚雷】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ : 命と宝は根こそぎに
自身の【頭部(メガリス探知用センサーユニット)】が輝く間、【敵位置を常に補足し】放つ【銛型高速徹甲弾】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
イラスト:良之助
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
――GLSアーク204艦内ネットワークに複数のアクセスを検出
――解放軍アクセスコードの使用を確認
――接続者を友軍と認識
――管制システム「ヤフェテ」、友軍及び今代「水守」からのコンタクトに応答します
「――おはようございます、何か御用でしょうか」
島の各所から「じいちゃん」へのコンタクトを試みていた猟兵たちは、突如目の前のパネルに――電脳世界に飛び込んだものはその眼前に――現れた男性型のアバターとの接触を開始した。
「私はヤフェテ。解放軍船籍、空母GLSアーク204艦長より本艦の維持運営に関わる全権を継承しています。……リシィ、おはよう。この人達は解放軍の同胞かな?」
落ち着いた壮年の声で繰り出されるいかにもAIといった形式張った物言いは、猟兵たちととも居た少女を見つけて柔らかな、まるで人間さながらの感情を宿して優しげに問う。
その問いかけにはNOを。猟兵は解放軍の遣いではなく、即ちアークに正当なる指導者を導くことも、この船を在るべき世界に戻すことも出来ないしするつもりもない。
が、この島に危機が迫っているのだとそれぞれの口から彼へと状況を伝えて協力を乞う。
このままではアークのコアマシンは奪われ、そしてそれを目論むコンキスタドールはスペースシップワールドに帰還し折角取り戻した平和を打ち壊すという決して叶わぬ目的を満たすべくこの世界の至るところで戦乱と悲しみを撒き散らすことだろう。
それを阻止するための力を貸して欲しい。島の沖に停泊する彼らの母艦、帝国軍の巡洋艦を無力化する術を貸して欲しい、と。
「なるほど、リシィは正しく私の力を理解し、この人達にそれを委ねる選択が出来たようだね。きみが立派な指導者になれるだろうと確信できて私はとても嬉しい」
さて、とヤフェテの声音が軍用AIとしての堅さを取り戻す。
「本艦の自衛用火器兵装は無用な争いの元となると判断し、クルーの手で解体されました。敵艦に物理的手段で損傷を与え撤退に追い込むことはできません」
近接防御用のレールガンが残っていればあの程度の木っ端船は容易く撃沈出来たのですがね、と肩を竦めてヤフェテは笑う。
「ですが非殺傷の防御兵装は未だに使用可能です。リシィには一度見せたね。――本艦に備わる高出力のEMP発生装置を用いて敵艦の自律兵装を麻痺させましょう」
帝国軍のドロイド偏重主義――言い換えれば人間不信とも取れるドクトリンは、あのクラスの艦艇に偏執的なまでの自動化をもたらしている。
それはクルーが最低限――判断し、指示を下す人間または自律型ドロイドが一人でも乗艦していれば、修理や補給を考えない限り常にその時の全力で稼働し続ける厄介さを齎したが、逆に解放軍にとっては機械さえ無力化すれば有人艦に手も足も出ないほどに弱体化させられるという穴を幾度と突かれることとなった。
その穴を突くための兵装を、アーク204も備え、遺していたのだ。
「チャージに少々時間を頂きます。急速なチャージでは機器に無用な負荷を与え、敵に察知されるリスクも高まってしまうと予測されますので。そうですね、夜になれば作戦は開始できるでしょう」
――そして日没。
敵に気づかれぬよう松明を灯さず、月と星空の明かりを頼りに海岸線に集った猟兵と島の戦士の生き残りたち。
ありったけの舟をかき集め、旧式の先込め銃や棍棒、カットラスで武装した島民たちの先頭に立つのは古びたブラスターを握りしめたリシィと、彼女の父親で担いだビーム鉄パイプが似合う厳つい風貌の当代島長であるウガハの二人。
「そろそろだな」
ウガハが島民と猟兵たちが均等に分散するよう舟に割り当て、乗り込むよう指示するのと同時、アーク204の船体が地震にも似た唸りを上げて艦内からのサイレンの音色が鳴り響く。
そしてサイレンが止まるや世界を一瞬白昼のような光が満たし、それが消え去ると同時に星空に色鮮やかなオーロラが現れた。
「よォし野郎ども! 今度こそ俺たちの島から連中を叩き出すぞ!」
長の号令一下、湾に漕ぎ出す無数のボート。
猟兵と戦士を乗せたそれを瞬く間に殲滅するはずの近接防御機関砲は先の閃光で回路を焼き切られて沈黙し、それに気づいた敵艦は明らかに動揺したように慌ただしくなった。
「猟兵、連中が出てくるぞ! 戦士衆も頭数に入れてくれて構わんが数で来られるとまずい!」
「悪いけどあたしたちは自分の身を守るのが手一杯だから、半分……やっぱ三分の二くらいはおねがいね!」
今までのように火砲で撃退できぬと分かるや艦から飛び出してきた敵は次々に海に飛び込み、鮫のように海面を切り裂き接近する。その水面からわずかに覗く青い鋼鉄にブラスターの熱線を浴びせながらリシィが叫んだ。
元よりそのつもりだ。舟に飛び乗り、戦士たちと交戦を開始した敵の海戦型ウォーマシンを再び海に叩き落とすべく、猟兵たちも武器を握りしめる。
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
さぁおいでなすったな!
ある程度戦域が分かっている防衛戦なら、
今のアタシにはこの手がある。
ヤフェテさん、リシィちゃん、ウガハさん、みんな!
日が高い内に打ち合わせてた通りにやるよ!
スペースシップワールドにゃ、無線以外の通信手段も存在するのさ。
それが、サイキックのテレパスネットワーク。
アタシを基地局にして島民や味方の猟兵にテレパスの網を繋ぎ、
連携した迎撃を取りやすくするよ。
もちろんテレパスで『鼓舞』するのも忘れない。
そしてEMPの残滓の電気エネルギーを利用して、
戦場に【超感覚領域】を広げるよ!
そうすりゃ交戦中の敵意に反応して、
自動反撃の『属性攻撃』が炸裂するってもんさ!
天城・千歳
【SPD】
アドリブ、絡み歓迎
敵艦兵装の作動停止を確認、同時に敵機動兵器部隊の出撃を確認。こちらも機動兵器を出撃させて味方の援護をしましょう。
「偵察大隊、戦闘海域海中に展開し観測網を構築してください」
A-1歩行戦車の水中対応機で編成した偵察大隊を戦闘海域の海中に展開させ、ソナーや各種センサーによる観測網を構築し、【情報収集】で集めた情報を元に【戦闘知識】で状況を把握し、自身を中心に構築したネットワークを通じて味方へ情報を連絡します。
歩行戦車中隊と歩行工作車中隊は水中に展開し、ソニックブラスターの【一斉攻撃】による【先制攻撃】で敵を攻撃し、複合兵装ユニットの【誘導弾】と【砲撃】で追撃します。
●
海面を切り裂き、水面下を凄まじい速度で接近する幾つもの影。
まるで鮫か、あるいは魚雷の如く見るものに本能的な恐怖感を与えながら迫る背鰭めいた背部のフィンは、それだけの速度を水中で発揮しながらも島の戦士たちの投げ込む銛や喇叭銃が撒き散らす散弾を巧みに回避しながら瞬く間に距離を詰めてくる。
これが戦士と軍人の差と言うのだろうか。あくまで島を守るために立ち上がった民兵、腕っぷし自慢や武器の扱いに多少の心得がある戦士衆の迎撃を嘲笑うかのように、星の海を統べた銀河帝国の海兵たちは限りある迎撃の手を浪費させようとしているのだ。こうして物資を消耗させ、まともな抵抗もできなくなったところで一息に殲滅する。彼らもまたかつて帝国に属していたときのような潤沢な補給が受けられぬこの世界で戦う術を磨いていたのだろう。
「無駄撃ちになる! 寄ってきたところを狙え!!」
「向こうだって混乱してるはずだよ、あたしたちなら落ち着いてやれば勝てる!」
ウガハとリシィが必死に統制しているが、その戦力差は猟兵たちとしても無視できないほどだ。これが船へ上がられてからの白兵戦ならば戦士たちも今以上に実力を発揮できるのかもしれないが、それでは犠牲は避け得ないだろう。なにより数体を倒したとして、敵が水中戦に引きずり込む戦術にシフトすれば――最悪の想像が現実のものとなりかねない。
だが絶望するな。戦っているのは島の戦士たちだけではないのだ。
「おいでなすったな! リシィちゃん、ウガハさん、みんな! 打ち合わせ通りにやるよ!」
島長たちと同じ舟に乗り込んでいた多喜が共に戦う戦士たちに呼びかける。
彼女には秘策があった。出陣前に戦士たちに伝え、実践してのけたそれは、
「アンタたちも覚えてるだろ、スペースシップワールドには電信以外にも通信手段があるのさ!」
目を閉じ、意識を研ぎ澄ませる。アーク――ヤフェテからのバックアップを受けて増幅されたサイキックエナジーが、戦士たちの意識を繋いでいく。
ただ繋ぐだけであれば、精神感応に不慣れな戦士たちは惑い却って戦闘力を落とす結果になったかもしれない。
だが、事前に予行演習を欠かさなかった多喜の周到さとヤフェテとともに最適化した手法がその混乱を最小限に抑え込む。
「アタシがみんなの見たものを見る! アタシがみんなに見るべきものを教える! 連携で負けっぱなしじゃないってところを見せてやるよ!」
応! 老いも若きも、男も女も、武器を手に立ち上がった戦士たちの不屈の闘志が多喜を通して共鳴してゆく。
それでも、兵士たちの悪意はそれを飲み込まんとして止まらない。
渦巻く荒波のように、あるいは荒れ狂う巨鯨のように。
『PCM作動――メガリスおよび準メガリス級の反応を確認、数……三。各機に通達、対象を暫定旗艦に認定。分隊我に続け、直下より一斉射をかける。弾種装填APFSDS』
多喜の超脳の眼から逃れるように対抗手段を講じ、自身はメガリスの放つ輝きを目印に深く深く潜航してゆく一隊。彼らの構えた銛のような高速徹甲弾が、昏い海底から反撃の芽を狙っている。
「敵艦載兵装の作動停止を確認、同時に敵機動兵器部隊が出撃――こちらも迎撃を開始しましょう」
島の岸辺に立つ千歳は、戦士衆とウォーマシンたちの戦いを冷静に分析していた。
緒戦は敵が優勢に運んでいるように見える。宇宙艦隊にあって水中戦をその領域としていた文字通りの海兵たちは、自分たちのフィールドを固守して一方的に戦士たちに消耗を強いている。
けれど、それはあくまで戦士たちとコンキスタドールの戦いにおいての趨勢だ。
まだ本格参戦していない、そしてこれから介入を開始する超弩級戦力、即ち猟兵の突入で戦況は変わりゆくだろう。
そしてその先陣を切るのは彼女の隊だ。
「偵察大隊、戦闘海域に潜航展開。PCCM作動、船団の戦術データリンクを再構成してください」
敵は間違いなくサイキックネットワークに対してカウンターメジャーを有し、それを使って此方の観測を妨害してくるだろう。
だが此方もそれは予測済みだ。偵察用に電子戦装備を携えた彼女の配下は、シンプルな機械人形であるがゆえにその穴を塞ぐことは出来ないが穴を開けようとする者を邪魔することはできる。
カウンターへのカウンターメジャー。多喜の目を逃れた敵の一隊はその隠れ蓑を剥ぎ取られ、そして不意打ちのように浴びせられたソナーによってその位置を丸裸にされる。
『……!! 攻撃中止、浮上! 浮上!!』
気づいた敵機が急速に水面を目指すが、もう遅い。
偵察部隊からの観測情報を受け、沿岸から次々と海中に飛び込んでいった千歳の主力部隊が放った高周波砲を受け、衝撃の渦が生み出す無数の泡にその身を揉まれ、損壊しながらどちらが水面か分からぬほど撹拌され――
「追撃、全弾発射してください。彼らはここで殲滅しましょう」
次いで迫る誘導魚雷の直撃を受け、半数以上が水面に上がることなく漁礁と化した。
それでも第一陣を務めた――即応するだけの練度を持つ海兵は少なくない数が水上に辿り着く。
しかしそれを待ち受けるのは戦士団による浮上直後を狙った攻撃と、それに応戦しようという敵意を狙い撃ちにする雷撃。
多喜が操り、そしてアークから発される強力なエネルギーが損傷した海兵を穿き、機能停止した青い鋼鉄は次々に水底へと沈んでゆく。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ガーネット・グレイローズ
なるほど、解放軍空母の管制システム…それが『じいちゃん』の正体か。伝説の解放軍と共に戦えるとは、光栄の極みだな。
それでは、銀河帝国。あの戦いの続きといこうか!
【灰薔薇の旗の下に】を発動し、グレイローズ家の精鋭たちの霊を乗せた強襲宇宙船を召喚する。いくぞ同胞、アーク204のコアマシンを死守せよ!400人を越す精鋭部隊を、宇宙船から〈空中戦〉で降下させるぞ。まずはアームドフォートで〈砲撃〉開始。敵の隊列を乱し、孤立した者から順にフォースセイバーで切り込んで仕留めよ。私はランブルフィッシュの背中に乗り、水上からクロスグレイブで敵の頭部を狙って射撃。センサーを破壊し、ユーベルコードの妨害を試みるぞ。
アシェラ・ヘリオース
そうは言うが人手が足りなかったのだ
帝国は急速に拡大し過ぎたせいで、人員に対する軍の規模が釣り合わなかったのだ。まぁ自動化が陛下の好みであったのも否定出来ないが……
そのせいで何度、革命軍相手に歯痒い思いをしたことか……
「……いや、昔の愚痴はよそう」
不毛な思索を断ち切り、現在を見据える
狙い通りに展開される機兵達に複雑な気分を抱きつつ、【空中浮遊】で前面に立とう
やる事は【念動力、空中戦】で銛攻撃を機動戦で回避し、あるいは赤光の盾で【盾受け、オーラ防御】で斜めに弾く
守勢のまま、【戦闘知識、メカニック、情報収集】で敵機兵を次々とロックオンし、頃合を見てUCを放って一掃を狙う【砲撃、乱れ撃ち、誘導弾】
●
「伝説の解放軍、その空母管制システムか――貴方と共に戦えるとは光栄の極みだな」
「私には伝説という実感は無いのですけれどね。ですがあなた達がそうおっしゃるのなら、私達の同胞はそう呼ばれるにふさわしい戦いの末に勝利したのでしょう」
結局、戦いの最後のピースは人の信念、魂なのだ。機械に過ぎない私がそれを語るのも滑稽ですが、とヤフェテは前置きしてそう告げた。
そしてそれに欠ける、帝国の悪しき象徴たる機械仕掛けのあのコンキスタドールたちに、私の愛したアークの民が敗れるとは思いません、と。
「……そうは言うが帝国にとて事情はあったのだ」
いざ戦士衆の元へ来援に、と意気込むガーネットとは大局的に苦虫を噛み潰した顔をするアシェラ。
目の前で広がる、強力な帝国軍艦が為す術なく沈黙し白兵戦を強いられている光景が、元帝国騎士である彼女の嫌な記憶に重なって見える。
「もっと人手さえあればああはならなかった。何度革命軍の電子攻撃に歯痒い思いをしたことか……」
帝国はかつて銀河全域に勢力圏を拡大した覇権国家であった。その軍ともなれば治安を擾乱する解放軍や“外敵”を相手にこれと対抗できるだけの規模が必要であることは言うまでもないだろう。
支配した恒星系や移民船団を掌握、護衛する駐留軍。総旗艦に付き従う皇帝直属の本国軍。更には勢力圏内を巡察する大小のパトロール艦隊。その人員全てを人で賄うには、「帝国人」の数が少なすぎたのである。
勿論協力的な被支配地域から選ばれた名誉帝国人とも言うべき人々が軍で活躍しなかったわけではないが、それでもなお足りぬほど帝国軍は巨体へと成長していたのである。
その結果生まれたのが、機械が指揮し機械が戦う機械化自動部隊であり、それが眼前の敵艦のかつて在りし日の姿であろうこともアシェラにはわかる。
「事情ありきのあれなのだ。……陛下の好み出会ったことも否定はしないが」
思えばマインドなどという奇天烈な兵器を最初に用いたのも陛下だったな、と新しい物好きというかテクノロジーに貪欲な君主を想う。
「なんというか、あなた達も苦労してきたんだな……」
その騎士の回顧に思わず浮かべた同情の苦笑を引き締め、ガーネットは携えた軍旗を振りかざす。
「だがこの戦いではその苦労に付け込ませてもらう! 今こそ闇の中より蘇れ、我が血族よ! ゆくぞ皆、銀河帝国との戦いの続きと行こう!」
アーク204に寄り添うように現れた影。アークより小型なそれは頭を垂れるように甲板に立つ二人の前に降下し、その船上にガーネットとアシェラを迎え入れる。
「そうだな、昔の愚痴はよそう。帝国機械化海兵、噂に聞く精鋭の実力を見せてもらう!」
オーロラの空に影は飛び立ち、海上で戦う両軍の頭上に悠然と進出する。
戦士は見た。七色に光る星空の下、それを塗りつぶすが如く現れた巨船を。
兵士は見た。所属不明の強襲艦のハッチが開き、騎士に率いられた騎兵が夜の海に舞い降りる姿を。
「御当主に我等が忠誠を示せ! 強襲降下戦闘、着水時の敵襲に備え! 降下地点を掃射するぞ、味方の舟に当てるな!!」
真っ先に船から飛び出したアシェラを追い越して、一切の減速なく水面に向けて突撃してゆくガーネットの一族に仕えた者たちの亡霊。
彼らの放つビームの雨が水面を次々に穿き、ウォーマシン海兵達の足並みを乱す。
『上空、敵鎧装騎兵多数降下! 対空迎撃撃ち方!!』
だが海兵とてそれで壊滅するような部隊ではない。
戦士衆の相手を後に回し、まず降下してくる亡霊騎士団に向けて次々と徹甲弾を放ち死せる騎兵達を再び冥府に叩き返す。
「さすがの練度と言っておこうか。水中戦特化の海兵など何の役に立つのかと疑っていたが、認識を改めねばなるまい」
亡霊騎兵を狙った狙撃を赤い光の盾で弾いて逸し、一騎でも多くを降下させてゆくアシェラ。
「不思議なことですな。かつての御当主のもと帝国と戦った我等が、帝国の騎士と轡を並べて戦おう日が来ようとは」
「長く生きれば、いや生き返れば、か? ……そういうこともある。――行け!」
言葉を交わし、敬礼とともに剣を抜いて海兵に体当りするかのように降下してその装甲に刃を捩じ込んでゆくかつての好敵手だったかもしれない亡霊たちを見送って、アシェラは私もゆくぞと意気込めば。
「私を置いていこうとは血気盛んじゃないか。うちの私兵といい勝負じゃないか?」
「あれだけの部隊を投じておいて自分も突撃しようなどという貴族様に言われるとは思わなかった」
巨大な熱帯魚を騎馬のように操り、墓標の如き砲を抱えたガーネットが彼女に並ぶ。
「いついかなる時も家臣と共に命を懸ける。貴族とはそういうものだろう?」
――それとも帝国では違うのかな?
挑発するかのようなガーネットの問いに獰猛な笑みで以て応え、貴族と騎士は戦果を競うように乱戦へと切り込んでゆく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
エメラ・アーヴェスピア
なるほど、また随分と力業だけど…私の兵器は大丈夫よね…?
まぁ兎に角、突入できるのなら問題ないわね、行きましょうか
突入中の水上で襲われるのね…ならこのボートだと少し不安よね
『我が紡ぐは戦装束』
まずはボートを対象に防御用と推進用の兵器を装備させて全体的に強化よ
但しこちらはついで…本来の目的は私のドレスベースを対象に発動
水中用の高速推進装置や装甲、酸素ボンベや魚雷等の兵器を装着
機動力を生かして相手の攻撃を回避しつつ遠距離より誘導魚雷を発射よ
水上だけではなく水中にも気を向けないと、大変な事になるわよ?
…この水中専用装備の強化の為、参考にしたいから相手を一機捕獲できないかしら…?
※アドリブ・絡み歓迎
●
「EMPで無理やり無力化だなんて、また随分と力技ね……私の兵器は大丈夫かしら?」
島の戦士が操る舟の上で、エメラは一人ごちる。
彼女の専門は蒸気機械、つまりは電子機器をほとんど使用しないために電磁波による攻撃にも強い。それを理屈では理解していても、だからと楽観しないのが技術者である彼女の慎重さだろう。
「ともかく準備は完了よ。待たせたわね、行きましょうか」
貴婦人の如く、あるいは可憐な乙女のごとく船縁に腰を下ろすエメラは一枚の絵画のように美しかった。
満点の星空を彩るオーロラの下、それを写して煌めく波間をゆく小さな船。
星明かりでキラキラと金色のシリンダーやピストンを輝かせ、薄ら白い蒸気を吐き出す機関が本来手漕ぎであった舟に人力とは比べ物にならない馬力を与えてぐいぐいと船体を押し出してゆく。
エメラの手によって真鍮の機械を取り付けられ生まれ変わったその舟は、先行し既に戦闘中の僚船を軽々追い越し戦場を突っ切ってゆく。
これには慌てて敵のウォーマシン海兵たちが追いすがり、水上に突き出した腕に真っ赤に赤熱したヒートカトラスを掲げてなんとかこれを切り裂き沈めようとする。
「あれは装甲だけじゃ耐えられそうにないわね……武器を増やすわ、使い方は教えたわよね?」
舟の蒸気機関の動力で作動する連発式の機関銃を一挺据え付け、追いすがってきた敵を長柄の銛で牽制していた島の戦士に操作を託してエメラは立ち上がる。
危ないぞ、と戦士の一人が止めようとするのを遮って、西洋人形のように整った容貌の少女はくすりと微かに微笑んだ。それは空を満たすオーロラの光が逆光となって、彼女自身を除く誰にも見えはしなかったが――己の身を案ずる島の戦士に対して彼女が送った、心配無用の意図は伝わったことだろう。
「それじゃ、行ってくるわ」
舟を武装化したのと同じように、愛くるしいドレスを真鍮が鎧う。みるみるうちにエメラの全身を覆い隠したそれはまるで潜水服であった。
流線型の、されどどこか金魚鉢を思わせるヘルメットの内に空気を満たすべく、背中に負った酸素ボンベ。
両の腕には魚雷発射機を抱きかかえ、みるみる遠ざかってゆく舟を見送りそれを追う敵に視線を向けると、敵は自ら不利なフィールドへと飛び込んできた哀れな獲物を行きがけの駄賃とばかりに狩るべくカトラスをしゃらりと水中で揺らめかせる。
「見た目で舐めるなんて、あなた達は所詮二線級の部隊だということかしら」
ヘルメットの内での言葉は分厚い水の壁に遮られて届かないが、敵は何かしらの言葉を投げかけられた事を認識してはいるのかタイミングを同じくして一気に加速する。
成人男性が子供に見えるほどの巨体が加速に乗って、その上で尋常ならざる威力のヒートカトラスを振るうのだ。エメラの小さな身体では耐えきれまい。ウォーマシン海兵の誰もが青黒い夜の海にもう一色、赤が足されることを望み、確信していた。
だがそうはならぬ。
潜水服の至るところに埋め込まれたスクリューが蒸気機関の馬力ですいすいとエメラを泳がせ、まるで捕食者を嘲笑う小魚のようにひらりひらりと突撃を捌いてゆく。
そして両者がすれ違い、背を向けたところに間髪入れず誘導魚雷が放たれるのだ。次々に背中から襲われ、爆発に呑まれて珊瑚礁に沈んでゆく敵。
だが数が多い。落とせど落とせど湧いて出る敵に、傷こそ負わねどもエメラは消耗してゆく。
魚雷の残弾は既になく、酸素の残量もあとわずか。
早く水面に出ねばと浮上を試みれば、いや沈めとばかりに上方を取った敵が突撃の仕草を見せてそれを妨害する。
もはや万事休す、エメラも相討ち覚悟で水面を目指さねば息が持たぬ――覚悟を決めてカトラスを油断なく携えた敵機をすり抜け上を目指すが、やはり速力ではあちらが優勢。水面ギリギリまで肉薄しながらも彼女は再びその道を閉ざされてしまう。
――そう、狙い通りに。
「あなた達、水中ばかり見ていないで上にも気を向けていないと大変なことになるわよ?」
エメラが手振りを交えてそう警告するのと同時、水面を疾駆する蒸気船の船底が一体のウォーマシン海兵の背中の推進機を粉々に破砕して走り去っていった。
彼女の手を加えた舟は、決して彼女を見捨てることなく水上の戦いに参加しながらも恩人の窮地に馳せ参じたのだ。
続いて水上から降り注いだ機関銃弾が海兵共を強かに打ち据え動きを鈍らせた。
そこへエメラが肉薄し、小柄な少女とは思えぬ――蒸気機関の力だ――膂力で海兵の一体へと掴みかかる。
「ごきげんよう、あなたのそれを貰っていくわ?」
水中は彼女ほどの技師であっても経験の足りぬ未知の領域。そこでの活動を主とする機械は、解析すれば大きな学びとなるだろう。
『ふざけるな……捕虜となるくらいならばここで貴様を道連れにする! 皇帝陛下万歳…………!』
直接触れたことでようやく言葉が通じ合った両者。だが海兵から向けられた言葉は明確な拒絶であった。当然といえば当然の反応に、残念ねとエメラは彼を捕らえた手を離し――
損傷した海兵の一団は、虜囚の辱めを良しとしない者の自爆によって余さず海の藻屑と消えた。
「あとで残骸は回収させてもらうけれど、本当に残念ね……」
生け捕りにできればもっと有用な情報を得られたでしょうに。
爆発の余波で海底から巻き上げられ吹き付ける貝や珊瑚の破片を装甲で受け止めて、エメラは己の目的の代わりに得た勝利を喜ぶべきか否か、困り顔で水上へと戻ってゆく。
成功
🔵🔵🔴
フィーナ・ステラガーデン
【貧乳じゃないです!PPPです!】
ほら!四の五の言わず食べなさい!大きくなるのよ!(じいちゃんに食べ物こすりつけ中)
はっ!敵ね!!
何度もいうけど私水場とか嫌いなのよね!
だから潜って迫ってくるなら引っ張り出す為に
UCで水中で爆破してダイナマイト漁としゃれ込むとするわ!
んん?仲間は水中戦をするのね!わかったわ!
じゃあUCで水中で爆破してダイナマイト漁としゃれ込むとするわ!
敵が集まったりした所にぶち込めれば良いわね!
一緒に魚とか取れたら確保しておきたいわね!
食べれるもの以外は別にいらないわ!敵ならトドメをなんかしていれればいいわね!
(アレンジアドリブ大歓迎!)
葛葉・アリス
【PPP】
海戦になるのね
なら、ジャバウォックは送還して、レヴィアタンを呼びましょうか
レヴィアタンの頭の操縦席に乗り込んで、海中に潜行
上陸前にウォーマシン群を叩き落としてあげるわね
頼むわよ、レヴィアタン
水中装備のレヴィアタンから、魚雷やミサイルを撃ちまくってあげましょ
とはいえ、アイとかも同じことやってるだろうし、海上からフィーナあたりがが爆雷落としそうだし…味方同士で影響あってもダメよね
みんなそのあたり考えなしなんだから…
ちょっとだけ【世界情報更新】で味方からの攻撃はノーダメージになるように、世界のルールを書き換えておきましょ
ま、私もいるんだから、レヴィアタンに傷をつけられたくないのも本音だけど
アリシア・マクリントック
【PPP】
船上ではマリアの足は活かせませんが……これからはこういう戦い方もできるようになるんです。マリア、変身ですよ!マリアクロス・アーチャーモード!援護射撃をお願いします!武器は他の方に貸してもいいですからね。そして私も変身です!セイレーンアーマー!
あえて海に飛び込んでの水中戦です!これは敵も想定していないはず……私を追う者がいれば戦力の分断に、いなくても挟み撃ちにできます!私を追わせるなり追い込むなりでマリアや仲間の火線上に敵を誘導したり、船上の敵へ槍を突き立てたりして攻撃しましょう。味方の広域攻撃にも注意しないと。
海に降りたのですし、スキを見て島民たちのフォローもしたいところですね。
アイ・リスパー
【PPP】
「まさか管制システムのAIだったとは!
この私が見抜けないなんて、なんという誤算!」
こほん。
ここは味方の前でいいところを見せて汚名挽回しないといけませんね!
「こういうこともあろうかと新装備を発注しておいたのです!
今こそ初お披露目の時!
来て下さい、機動戦艦シェイクスピア!」
広大な海を潜れる潜水艦にもなる万能戦艦シェイクスピアを呼び出します!
念願の潜水艦!
これさえあれば、私でも水中戦が可能なのです!
【チューリングの神託機械】で潜水艦のAIに接続!
さあ、シェイクスピア、発進です!
「水中用ミサイルとロケットランチャー、全弾発射!」
って、ちょっと味方の皆さんっ!?
水中に私がいるんですけどーっ!?
イデアール・モラクス
【PPP】
じいちゃんは思っていたよりイケオジだったな…それはともかくフィーナ達も来ている事だ、ここは共に暴れるとしようか!
・戦法
「戦うリシィも勇ましくてよいぞ…特にあの尻は……む、視界の邪魔だ屑鉄ども!」
私は【アクセラレート】で空中より戦場を睥睨し、フィーナらへの援護射撃とリシィらの守りを担当しよう。
UC【鏖殺魔剣陣】を『全力魔法』で威力を増し、『範囲攻撃』で空を埋め尽くすほどの数に増やした上で『属性攻撃』で《雷》を纏わせ、『高速詠唱』を用いて『一斉射撃』と『乱れ撃ち』による二種の『制圧射撃』を敢行し敵勢を『蹂躙』
仮に私へ肉薄する敵あらば魔剣で『薙ぎ払い』『武器受け』する。
※アドリブ歓迎
シャルロット・シフファート
「海水も無機物の一つよね?ならば、この世界を代表する海の水によって砕かれなさい!!」
そう言って海水を純然エーテルに変換して水属性魔術の触媒とするわ。
「世界が世界だからか、水属性魔術の出力や親和性がすこぶる調子がいいわね」
大天使ガブリエルの聖蹟魔術や他の四大である風、火、地の相関性を活かした魔術、海と密接な関係がある古代の多神教の地母神の魔術を行使するわ。
更にエーテル変換を利用して水中や海上にいる敵を巻き込んで体勢を崩させるわね。
扱う際の注意点としては「水中戦をしている仲間を巻き込まないようエーテル変換」、「リシィなどが巻き込まれたり被弾しないようサポート」するわよ。
●
「じいちゃんは思っていたよりもイケオジだったな……実体がないのが残念でならんが、その鬱憤は暴れて晴らすとしよう。なぁ、お前達!」
見知った顔の猟兵達を認めて合流を果たしたイデアールは、沖の敵母船を目指し突き進む島の戦士たちの船団を導くように空を往く。
「ええ、ドカーンとコンポタドンブリを焼き払ってまた魚を食べるわよ! 今度はじいちゃんにも食べさせましょ、きっと食が細いからあんな板っきれに収まっちゃうんだわ!!」
「コン……? あぁ、コンキスタドールですよフィーナさん。でもそうですね……私たちも平和な島でゆっくり過ごしたいですし、全力でコンキスタドールを成敗しましょう!」
やいのやいのと賑やかに、先行するリシィたちの舟を追う一艘のボートに乗り込んだアリシアとマリア、そしてフィーナが意気揚々と激戦の海を見回した。
とそこへ襲いかかる銛型高速徹甲弾。迂闊に船縁から身を乗り出した者を串刺しにする恐るべき兵器がフィーナの三角帽子を狙って飛び込んでくる。
しかしその一撃はまるで意志を持つかのように巻き上がった荒波に絡め取られて海中へと消えていった。一瞬のうちに迫って消えていった危機にフィーナは早鐘を打つ心臓を押さえながら頭を引っ込め、代わりに飛び出したマリアの背に据え付けられたガトリングガンが海面を薙ぎ払い射手を粉砕してのける。
「船上ではマリアの足は活かせませんが……これからはこんな戦い方もできるんですよ」
アリシアとおそろいの白い鎧に硝煙くゆる黒鉄の銃身を担ぎ、片眼鏡を模した照準器で敵の後続を警戒するマリアを軽くひと撫で、アリシアも人魚の如き美しい姿となって水中へと飛び込んでゆく。
すぐさま迎え撃つべく迫った敵のヒートカトラスをトライデントで巻き上げ弾き、装甲の隙間を貫いて一機を瞬きする間に仕留めてみせる白い人魚。
「さあ、船団を襲いたくばまず私を倒していくことです!」
既に上陸を果たしたものを海に引きずり落とし、これより船に乗り込もうとするものを人ならざる姿の齎す機動性で翻弄してのけるアリシア。
「アリシアもマリアも準備万端じゃない……ずるいわ、私だって知ってたら準備してきたわよ!」
「魚を食べるのに夢中で作戦会議も上の空だったのはアンタじゃない。……ま、見てなさい。世界が世界だからか水属性の魔法がすこぶる使いやすいのよね」
水上戦だなんて聞いていないわ、と船上で地団駄を踏むフィーナを宥めるように、支配下に置いた海水の上を悠然と歩いてやって来たシャルロットが舟に上がり込む。
「むきー!! 見てなさいよシャルロット、炎の魔法だって使いみち次第だって教えてあげるわ!!」
「ククク、フィーナもシャルロットも元気があっていいじゃないか。戦うリシィの尻も、アリシアの背中もいい……」
船上でじゃれ合うように言い合いを始めた二人から視線をついと動かし、海中でカトラスを振るう敵とトライデントで激しくも艷やかに剣戟を繰り広げるアリシアとブラスター片手に狭いボートの上、父の肩や背を踏み台に器用に飛び跳ねながら攻撃を躱して反撃を撃ち込むリシィに涎を――もとい気を配り、程よく敵の増援を追い散らすイデアール。
「跳ねっ返りの健康優良快活じゃじゃ馬娘というのも悪くないな……む、視界に割り込むな邪魔だ屑鉄ども!」
無数従えた飛翔する剣の雨が海兵たちを穿き海中に押し込めてゆけば、彼らは分厚い水の壁を盾にさらなる追撃を拒み体勢を整えようとし――そして見た。
珊瑚の海に潜む巨大な海竜と鋼鉄の船。自身らの母艦にも匹敵する規模の存在が二つ。しかもそれらは明確に敵だ。オブリビオンとなった彼らには分かる。それが猟兵の眷属なのだと。
『全機、魚雷発射! 誘爆を厭うな、あれを船に近づけるわけには――』
発射された魚雷は一発でも並の艦には致命傷を与えうる、帝国軍が誇る強力な兵器だ。
が、殺傷圏内まで接近できねばそれも脅威たり得ない。一隻と一頭からの迎撃はまるで海底に嵐を呼び起こすがごとく、ありとあらゆる火器兵装をばら撒き魚雷の群れを一掃する。
「……これが私の新しい装備、機動戦艦シェイクスピアの実力です!」
爆発が生んだ泡のカーテンを切り裂き進出したシェイクスピアの艦橋でアイが得意げに叫ぶ。
「こういうこともあろうかと先んじて水中戦装備を発注していた先見の明! おじいさんの正体を見抜けなかった汚名を見事挽回してやります!」
アイの気迫に応えるように一斉発射される水中用ミサイルが、逃げる海兵を一機ずつ追い立て爆発で喰らってゆく。
「どうですか、これさえあれば私にも水中戦が可能なのです!!」
自らの装備を誇る彼女だが、敵も黙ってやられるばかりではない。撃破された味方の残骸を囮にミサイルのセンサーを誤魔化し、スクリューが立てる音は絶え間ない爆音に忍ばせてシェイクスピアに忍び寄る。
アイはその姿に気づかず陽動に乗せられ――それでも多数を撃破してのけつつ――しかし接近する魚雷に気づいた時にはもはや迎撃は間に合わぬ。
「しっかりしなさい、アイ。地上だと思って油断し過ぎよ、水中は宇宙空間と同じだと思って全周囲に気を配るのね」
だがアイが間に合わぬからと全てが万事休すではない。一歩引いて戦況を俯瞰していたアリスのレヴィアタンが放った砲撃が、忍び寄る砲手を粉々に粉砕したのだ。
「それからもう一つ言っておくわね。汚名は返上するもので挽回するのは名誉よ」
その指摘にアイは顔を真赤にして俯き黙り込む。
「さて……そろそろフィーナがやらかす頃合いかしら。……一応対策はしておきましょ」
――アリスの心配通り、水上ではフィーナが盛大な暴挙に及ぼうとしていた。
「…………テレビで見たわ! 爆弾を投げ込むと気絶した魚が沢山浮いてくるのよ! あの鮫野郎どもをやっつけるにはこれしか無いのよ!」
「おいばかやめろ!」
「何考えてんのアンタ!」
イデアールとシャルロットの制止をよそに、一網打尽にしてやると意気込んで爆発魔法を練り上げるフィーナ。
「水中でアリシアやアリスたちが戦ってるのよ!?」
「そうね、だから爆破して敵を一掃してやるわ!」
「敵だけじゃなくあいつらまで大変なことになるだろうが!」
「? でもこっちのほうが効率的でしょ?」
「わんわん! わんわんわん!!!!」
「大丈夫よ任せなさい!!」
マリアが裾を噛んで引っ張るのにも負けず、フィーナは特大の爆発魔法を――投げた。
盛大な水柱が上がる。咄嗟水中の仲間たちを守るべく水を操ろうとしたシャルロットだが、水上で荒波に揉まれる船を守るので一杯だ。
――もしこの暴挙を予見した一柱の神が居なければ、アイの新型機動戦艦シェイクスピアは初陣で挫傷する憂き目にあっていたことだろう。
アリシアもまた人魚姿の貴族令嬢という身の上には些か不似合いな格好で海面に浮かぶ羽目になったかもしれない。
ともあれ間一髪で間に合った神の介入で水中の猟兵たちは衝撃から守られ、後には魚と敵機が浮かぶばかりであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
チトセ・シロガネ
3分の2なんて言わず、全部もらっていくネ。
団体様、地獄へごショータイヨ!
いきなり飛んでくる徹甲弾を第六感で感知して残像で回避。
残党の割には数が多いネ。
えへへ、ユーたち、ボクの体(メガリス)が目当てカナ? それなら、思いっきりサービスしてあげなくっちゃネ♡
自分に向けられる熱い視線をなめまわし、軽口をたたいてUC【蒼星ノ刃】を発動、背に蒼い刃を輝かせた触手を蠢かせ、舌なめずり。
向こうは数で攻めるならこちらも同じく数で攻めるネ。
飛び交う徹甲弾を触手の刃で真っ二つにしながら、早業でかく乱。
敵を盾にして同士討ちを狙いつつ、混戦状態の中でバラバラに切り裂いてスクラップにしていくネ。
●
「三分の二なんて言わず全部貰っていくネ。団体様、地獄へごショータイヨ!」
拍手喝采、さらに投入された敵増援を迎え入れるチトセ。敵意などまるで見せず、言葉通りの歓待としか思えない笑顔に対する海兵達の反応は、問答無用の先制攻撃であった。
船の先端に立つチトセの頭を目掛け飛来した徹甲弾が哀れ迂闊な女の頭蓋を射抜く――ゆらりと倒れ込むその姿が掻き消え、一瞬後には無傷のチトセが其処にいる。
第六感による敵の攻撃の予測――それはもはや余知の領域に片足を踏み込んでいた――に加えて残像を遺すほどの高速移動。
それだけの力を持つ猟兵をアナライズした海兵は、その体に宿るメガリスの反応を検出して一層速度をあげてゆく。
『我々のメガリスではないが動力源には利用できる。鹵獲するぞ』
「えへへ、そんな熱視線照れちゃうヨ。ユーたち、ボクの身体が目当てなのカナ? それなら思いっきりサービスしてあげなくっちゃネ」
それが道具を望む視線であっても、己に欲望の目が向けられていることを認識したチトセは唇をぺろりと舐めて迫る海兵達を逆に品定めしてやった。
「いいネ、ボクもゾクゾクしてきちゃっタ――」
ぞるり。背中に靡く美しい青の触手が稲妻の刃を帯び、間隙なく四方八方から撃ち込まれる徹甲弾を弾いて返す。
『誤射を恐れるな、接近して押し潰せ!』
「うフフ、いいネ。もっとこっちに来てヨ!」
剣が閃き徹甲弾が宙を舞い、チトセを覆う被膜めいた服がぴりりと破け真白の肌が覗く。
それすらも愉しむように彼女は笑い続け、海兵も友軍誤射や跳ね返された杭弾による犠牲を積み上げながらついにチトセへ辿り着く。
『援護しろ、白兵戦で――』
この隊の隊長格らしき一機がヒートカトラスを抜き、他の機体は再びランチャーを構えて必殺の包囲陣形を敷いた今、如何に未来を予測し神速で動けるチトセとて回避は不可能であろう。
隊長機はほくそ笑み、そして傾き落ちてゆく視界に疑問を懐きながら機能を停止した。
「いったでショ、地獄にショータイするって」
指揮官を失い、バラバラのタイミングで射撃を開始した敵はもはやチトセの相手ではない。その間をすり抜け、味方に撃たれたもの在れば斬って楽にしてやり、チトセを捉えたもの在れば攻撃の前に先手を打って切り刻む。
それは既に戦闘と呼べるものではなく、ただ楽しげに満足気に笑う彼女を見れば、ふさわしい表現は唯一つのみ浮かぶだろう。
――それは遊戯であった。
成功
🔵🔵🔴
ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎
あー、うん。実際騒乱の元もいいとこだし、判断自体は極めて真っ当ねぇ。火砲の一門くらい残ってたら楽だったなーとは正直思ったけど。
…ま、むこうの兵装をどうにかしてくれるなら。あとはあたしたちの仕事ねぇ。
水中戦はちょっと専門外だし、ミッドナイトレースに○騎乗して機動戦と〇カウンターに徹しようかしらぁ?
「ランチャーを向ける」なんてわかりやすい兆候があるんだもの、タイミングは取りやすいわねぇ。○先制攻撃で●的殺を撃ちこむわぁ。
刻むルーンはエオロー・ソーン・イサ。
「結界」にて「門」を閉ざし「固定」する…炸裂弾にしろ魚雷にしろ、至近距離で炸裂したらタダじゃ済まないでしょぉ?
エドゥアルト・ルーデル
電子戦いいよね!拙者も大好きだ!
敵はEMPで母船からのネットワークが切り離されスタンドアロン状態、そして味方が点在するなら遊撃が良いでござるな
味方の船へ【ロード画面】を挟みながらテレポーテーションハッソウビート、敵の背後へ強襲し【ハッキング】をかまして廻るでござるよ
(Now Loading…)
ドーモ、ウォーマシン=サン、エドゥアルトデス
支援ツールからズボッとコードを突き刺せばパッチファイルが敵の頭脳中枢にスゥーッと効いてこれは…ありがたい…
全部書き換える必要はないでござるネ、敵味方の識別装置を狂わせてやれば後は同士討ちの始まりですぞ!勝手に戦え!
手早く済ませて次々と船を巡っていくでござるよ
●
「電子戦いいよね! 拙者も大好きだ!」
電子戦に熱い思いを抱くエドゥアルト。確かに電子戦はいい……いぶし銀の凄みがある。絵面は地味になりがちだが、電子戦を制すれば戦場を支配下も同然と言っていいほど現代の戦場では通信の重要性が増しているのだ。
閑話休題。
「敵はEMPで母艦からのネットワークを切断されてスタンドアロン状態でござるな」
小規模の部隊単位で活動し、戦力を逐次投入しながら乱戦を演じている辺りでそれを読み取ったエドゥアルトは、腕に巻いたウェアラブルデバイスをポチポチと弄り――その姿はまるで最初から其処に人など居なかったかのごとく、痕跡の一つも残さず消えた。
画面の右下の辺りに歯車がくるくる回る幻覚が見えた気がして、ティオレンシアは糸目を擦って気を確かに持った。
水中を疾駆する敵集団の放った砲撃が水面で爆ぜるのを掻い潜り、ティオレンシアはバイク型の飛翔体に跨って水面スレスレを走り抜ける。
「実際あったら騒乱の元もいいとこだし、判断自体は極めて真っ当だとは思うけどぉ」
ばかすかと遠慮も容赦もなく叩き込まれる砲弾を繊細なハンドル捌きで抜けてゆくティオレンシアは思わずにはいられない。
「火砲の一門くらい残ってたら楽だったのにねぇ……」
次から次に海中に飛び込んでくる敵の発進口を塞ぐだけでもかなり戦況は楽になろう。
最終兵器のような感じで砲の一つくらい遺しておけば今子孫がこうも苦労することはなかったろうにと言いたくなるが、それは未来人の結果論ありきの要求だ。当時のクルーたちは最善を尽くし、その結果島は今日まで永らえたのだから其処に文句を言うべきでないと思考を改めたティオレンシア。水中戦がならぬ彼女は水上で敵を翻弄しているが、敵もまたティオレンシアを近づけまいと弾幕の壁を厚く保って寄せ付けない。
「ご丁寧に予備動作まで隠してくれちゃって、腹立たしいわぁ」
撃てば即座に下がり、代わりに前に出た機体は既に発射準備を終えていてすぐさま砲撃を加えて後退。これを繰り返す海兵は、敵が練度の高い部隊であると予感させるに充分な強さであった。
だが、その一進一退の攻防に介入するものが現れた。
「(Now Loading……)」
ひょこりと敵陣の背後に出現した髭面の男。
エドゥアルトは振り返った海兵の殴打を軽く回避してにこやかに頭を下げる。
「ドーモ、ウォーマシン=サン。エドゥアルトデス」
そうしてデバイスから伸ばしたケーブルを敵機の首筋にさくりとつなぎ、チートMOD、もといパッチファイルを無理矢理に送り込む。
「パッチが敵の頭脳中枢にスゥーッと効いてこれは……ありがたい……」
そして追撃が来る前に離脱。掻き消え、時間を置いて現れ、謎のパッチファイルを.zipで送り込んでゆくエドゥアルトはさながら怪人の如く。
数体目の敵にパッチを当てたエドゥアルトは、パッチに侵された機体の肩を叩いて味方――ウォーマシン軍団の方へと押し出した。
『システムリブート。敵性存在を確認した』
それは機械仕掛けの兵士たちが狂った瞬間であった。敵味方を識別するあらゆる機械的手段が沈黙し、何なら友軍機がヒゲ面の迷彩男に見える始末。なんだこの地獄は。
「さぁ同士討ちの始まりですぞ! 勝手に戦え!!」
その言葉通り勝手に戦い始めた敵を放置して、膠着あるいは圧され気味な場を引っ掻き回してゆく。
「何だったのかしらぁ、あれ。……まぁいいわ、あれのおかげで近づけたんだもの」
敵の挙動はよく見える。汚染を受けていない敵機が暴走した友軍機と接近するティオレンシアどちらに銃口を向けるか一瞬逡巡したのち、彼女に銃を向けた敵。
「ルーンはエオロー、ソーン、イサ。結界で門を閉ざし固定する――」
寸分違わずランチャーの射出口の直前に、予想外の至近距離で出現したルーンの盾に、撃ち出されたその瞬間直撃したロケット弾が射手もろとも爆炎に呑まれてゆく。
それでも生き残った不運な機体はエドゥアルトの指揮下に置かれた暴走ウォーマシンの手で一機ずつ念入りに破壊され絵、敵の水上戦力はみるみる削れてゆくのだった。
ティオレンシアはエドゥアルトの日頃の行いはなんというかアレだが、これほどの戦果を挙げるのならば信用はしても良いのではないかと圧倒的戦果を前に思うのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
トリテレイア・ゼロナイン
※宿敵とは因縁無し
お任せください、リシィ様
ヤフェテ様が作り出したこの好機、無駄にはしません
戦士衆の被害を抑えるため船に乗り込む敵は一機でも少ないほうが望ましいですね
水中用装備を用いた●水中戦敢行
アルダワや鉄甲船絡みの依頼…水中戦の経験も十二分
海戦型の同胞だろうと遅れは取りません
UCも併用した●ランスチャージで敵の一団の船上への強襲阻止
派手な突撃で注意を牽き付け味方を●かばい
センサーでの●情報収集で包囲状態を●見切り、推進機構付きランスの穂先の向きを制御し方向転換する●水中機動や●盾受けで攻撃を対処
高速突撃によるランスでの●串刺し陣形を乱し
●怪力で水上に弾き飛ばした敵は戦士たちの追撃に任せます
荒谷・つかさ
出たわね、機械兵士。
折角だし、私も機体を使わせてもらおうかしら。
飛び込むわ、着水時の波に巻き込まれないで頂戴ね!
【XGG00 『機煌炎神』スルト】発動
船の舳先から飛び出しつつ、同時に機体召喚&合身
水中へ飛び込み近接戦闘を行う
一応水中活動も対策してある機体とはいえ、パワーと装甲は兎も角機動性は敵に劣るはずなので基本はカウンター狙い
剣筋は熱による海水の蒸発(泡)で見切り、大剣や大斧で受けて返す刃で一刀両断
または下腕部を掴んで捕縛し、怪力に任せて全ての関節部を逆パカして引き千切る
たったの三分の二でいいの?
なんなら全部相手してやってもいいんだけれど。
●
「まだ来る!」
「――お任せください、リシィ様。ヤフェテ様が作り出したこの好機、無駄にはしません」
敵の母船から更に続出したウォーマシンを認め、仲間たちに警戒を促すリシィの声。
島の船団に近づいた敵はほとんどが一掃されたものの、更に出現した増援が辿り着いてしまえばこの優勢も水泡に帰すだろう。故にトリテレイアは船団の前に出る。
「戦士衆の皆様の被害を抑えるためには、私がここで一機でも食い止めねば……」
半ば決死。単独で敵の部隊を全て止められるとはトリテレイアも思わない。彼はそこまで驕るような騎士ではない。
それでもできると言い切って、やらねばならぬと彼は往く。
「私とて水中戦の経験は十二分にあります。海戦型の同胞にも遅れは取りません!」
これまで幾度も水中での戦いを経験してきた。
そのいずれもが困難な戦いで、それを乗り越えてきたトリテレイアは水中での戦いに関して素人ではないと自負できるだけの技量を持ち、そのための装備を整えている。
水中で彼の突破力を保証するために、全身のスラスターを換装したアクアジェット。強烈な水流を推力に変えて騎兵突撃を敢行したトリテレイアに対し、敵部隊は真っ向からの迎撃を試みる。
「その程度の出力で、私は止まりません!」
『舐めるな、宇宙用が間に合わせの装備で!』
数機を真二つに砕き割り――いや、自らを砕かせることで勢いを殺す事を選んだ敵をその狙い通りに巻き込んで、トリテレイアの槍は赤熱し周囲の海水を煮立たせるカトラスに受け止められた。
出力の差ならばトリテレイアの勝ちだ。持ち前のパワーに任せて押し切ろうとする彼に対し、それを迎え撃った敵機は生まれながらの水中用という戦場への適性の差を武器に追い縋り、拮抗する。
『此処は我等が戦場だ! 余所者には消えてもらう!!』
「何を……ッ! 貴方たちを倒して私たちは進まねばならないのです!」
両者一歩も退かず。生まれ持っての潜在能力を振り絞って戦場の劣勢を覆そうとする白と性能差を特化型であるという強みを活かして補い、更には数を頼みに押しつぶそうとする青。
両者の激突は次々に増援が到来する青いウォーマシンが徐々に白いウォーマシンを押し戻す形で決着を迎えようとしていた。
「どんどん出るわね、機械兵士。……折角だから私も機体を使わせてもらうわ」
そんな激戦から遙か後方。アーク204の甲板上に立つつかさは、湾内の戦場を広く視野に収めて呟いた。
「島の人々をよろしく頼みます。行ってらっしゃいませ」
コントロールパネルから聞こえたヤフェテの声にひらりと手を振って、彼女は数歩後ろに下がってから勢いよく甲板の端へと駆け出した。
縁を踏み込んで跳躍。崖の如き飛行甲板の先端から飛び立つ彼女は、召喚した合身用のメカを取り込み巨大な鋼身へと変貌を遂げる。さらにヤフェテが譲った旧解放軍の兵器の成れの果て――武装は入念に封印され、あるいは破壊された状態で格納庫の奥深くに眠っていた宇宙戦闘機――の推進機をも取り込み、青白の炎を纏ってアフターバーナーに押し出されるように加速して戦場の真上まで飛んだそれは、その進行方向を躊躇いなく真下へ向けて水中へと突き進む。
「着水時の波に巻き込まれないでちょうだいね!」
その警告とそれが砲弾の如く水中へ飛び込むのはほぼ同時。生まれた高波に島の小舟が大きく揺らぐ中で、リシィは見た。紅き眼光を携えた鋼の神が到来した、そのさまを。
『包囲して押し潰せ!』
「何の、これしきの数で!」
水中では鍔迫り合いを諦めたトリテレイアをこのまま圧殺するべく半包囲の陣形で剣を構える敵部隊が、死角を狙った連続攻撃でじりじりと騎士を追い込んでいた。
このままではまずい。トリテレイアの最大の強みである突破力を活かすためには一度離脱し、充分な距離を用いて再加速せねばならぬだろう。だが敵はそれを許すつもりなど毛頭なく、このまま此処で彼を倒し切るつもりでいる。
完全に敵のフィールドに呑まれてしまった。水中戦のためだけに生まれてきた元同胞の強かさ、手強さに賛辞を送りながらも突破口を探るトリテレイア。だが更に参戦しようと此方に舵を切った敵増援の姿を認めて、焦りが僅かに彼の心を蝕み始める。
――その敵増援が一瞬にして消滅した。
何が起こったのか、敵も味方も理解に一拍の時間を要した。
一つ分かったのは、トリテレイアにとって離脱の好機は此処にしかないということ。
踵を返し、謎の援軍にひとまずこの場を預けてすぐに戻ると誓って突き進むトリテレイア。
一方で増援部隊を一蹴してのけた援軍――つかさは、有り余る熱量に沸騰し膨張した水を吐き出し推力に変える鋼の巨神に身を包み、己を脅威と認識して迫る敵と相対する。
「XGG00 『機煌炎神』スルト、見参!」
巨大な戦斧を担ぎ上げ見得を切る機神――スルトに対し、反転した敵は速力を生かした一撃離脱で攻撃を開始した。
なるほどスルトの性能は見た目のとおりにパワー特化、一撃は重く強力だが機動性はそう高くない。まして水中戦だ。トリテレイアをして劣勢を強いられた戦場で、スルトがアドバンテージを握れるとはつかさも思ってはいなかった。
「来なさい。片端から相手をしてやるわ!」
故にカウンターに徹する。
此方から追うことはせず、飛び込んできた敵を捕らえて屠ることにのみ全神経を集中する。
高熱の刃が迫れば、それ以上の熱量でもって瞬間的に加熱された海水が泡立つそれをバリアのように用いて剣を絡め取り、勢いを殺して戦斧の反撃に結びつける。
あるいは反撃直後の隙を狙った攻撃には武器ではなく素手で立ち向かい、掴みかかって四肢を捩じ切り引きちぎる。
圧倒的であった。――一対一の戦いにあっては。
だが敵は軍人で、集団戦闘のプロフェッショナルである。
すぐさま性能差を理解した彼らは常に複数で同時攻撃を仕掛け、誰かを犠牲に誰かが必ず一撃を加えられるよう戦術を修正してきたのだ。
両者ともに損害を受け入れながら削り合う、無限にも思える時間。
いよいよスルトの損傷も無視できないとつかさが息を呑んだその頃、敵もこれ以上の損耗は許容できぬと最後の攻勢に移ろうとしていた。
「――お待たせしました。トリテレイア・ゼロナイン、戦線に復帰します!!」
これまで以上の数でスルトに襲いかかる敵。その陣形の一端が駆け抜けた白によって食い破られる。
陣形を乱された敵が動揺すれば、反転攻勢に出たスルトの戦斧がそれを刈る。
「先程のように止められはしません。ここで貴方たちを撃破します!」
「私たち二人の相手にたった三分の二じゃ足りないわね。後ろの舟を気にする余裕はあげないわ」
止まることなく加速し続ける騎士が、熱量を無限に上げ続ける炎神が、それぞれに反撃を宣言して得物を敵に突きつけた。
「「全員で来なさい、そうでなければ私たちは止められない!」」
それはこれ以上一機とてリシィ達の下へは行かせないという誓い。
そして彼らはその実力でもって、己の誓いを成し遂げるだろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
菫宮・理緒
【エイル】
今回は【ネルトリンゲン】の処女航海だし、
しっかり頑張らないとだよね!
「いちごさん『処女』だよ『処女』! 好きだよね!」
【Octagonal Pyramid】を運用しやすくするための空母だけど、
みんな乗れるし、補給や休憩もこれならばっちりだよね。
攻撃と防御はもちろん【E.C.O.M.S】を使って、
ウォーマシンを迎撃していくよ。
空母からも【砲撃】を使って【援護射撃】していくけど、
基本はユニットを運用しく方向で戦っていきたいな。
ユニットの運用や援護射撃は空母のAIに任せるとして、
わたしはジルさんの補給や、
いちごさん、エイルさんのフォローに回ろう。
「みんな無理せずだよ。帰るまでが航海です!」
エイル・リフィアベルク
【エイル】
POW
「こ、これが初めての戦闘ですが……
がんばりますっ!」
ジルさん、いちごさん、理緒さんに助けてもらいつつ敵との戦いです。
「理緒さん、ネルトリンゲンに乗せていただいてどうもありがとうございます。
……きゃあっ」
揺れる甲板で倒れそうになったところを、いちごさんに抱きとめてもらい……
いちごさん、華奢な女の子なのに、意外と力があるのですね……?
「わ、私にも一応武器はあるんですっ」
持っている唯一の武器『ビームキャノン』を構えて、空母の甲板に登ってくる敵を迎撃します!
私のエネルギー炉に直結したエネルギー兵器ですから威力は強力なはず!
「きゃあっ」
攻撃を受けそうになったところを助けられ感謝します。
ジル・クリスティ
【エイル】
理緒の空母に乗せてもらうね
「…理緒は何を言ってるの?そしていちごは何慌ててるのさ…」
馬鹿な事を言ってる2人にジト目
初心者のエイルには援護だけでいいから無理しないよう伝えるよ
「大丈夫、私たちに任せて」
会敵したら発艦!
鎧装の出力全開で高速飛行!
空中でアームドベースを召喚【Armed Base Rebellion】
アームドベースのコンテナから実態弾バズーカを2丁取り出し両手に装備
理緒やいちごの援護も受け
高速飛行バレルロールで敵の巨体の間を抜けて攻撃を避けつつ、バズーカを連射
ついでに多弾頭ミサイルで次々撃ち落としていくよ
エイルの援護に気付いたら、ちらっと笑顔向けるけど
…見えないかな?(くす
彩波・いちご
【エイル】
「エイルさん、無理はしなくても大丈夫ですからね?」
理緒さんの空母に同乗させてもらい、初実戦のエイルさんをフォローです
「って理緒さん、ナニイッテルンデスカ!?エイルさんに変な事言わないでくださいよっ」
恥ずかしいことを言う理緒さんに釘差しつつ
船の揺れで倒れそうになるエイルさんは抱きとめて
「大丈夫ですか?」笑顔で支えましょう
戦闘では、出撃したジルさんの援護に【幻想よりきたる魔法の演者】で爆発の魔法を込めたミサイルのオブジェを作り出して、敵に向かって放ちます
攻撃がエイルさんに向かいそうになれば、盾のオブジェクトを作り出してカバー
必要なら身体で庇いに行きます
「無事ですね?ならよかった」(にこ
●
敵部隊はもはや無尽蔵なのではないか。あの母艦内で今も無限に生産され続けているのではないか。
そんな嫌な想像すら過ぎるほどの物量を相手に、島民と猟兵たちはそれでも奮戦を続けていた。
あれだけの規模の敵を相手に負傷者はいても死者は居ないのは、島民たちのもとに敵を通すまいと立ちはだかる猟兵達の活躍によるものだろう。
波を切り裂き進出する戦闘空母、ネルトリンゲンの甲板で激しい戦いを見下ろして、エイルはその凄惨さに息を呑む。
「こ、これが戦闘…………私も、がんばらなきゃ」
猟兵なのだ。此処まで来てしまったからには戦わねばならないが、同時にエイルはつい数日前まで争いなどと無縁の少女に過ぎなかった。
武器を持つ手が震える。足裏に感じるネルトリンゲンの硬い装甲が、まるで底なし沼の上に立つように覚束ない。
肺が引き攣り、呼吸がうまくできない。少女は戦場の空気に呑み込まれ、自身を見失う寸前にまで追い込まれていた。
――無理もない。共に立つ三人はエイルの動揺を咎めはしない。全くの訓練もなく、覚悟を決めるには猶予も足りず。そんな中で殺意が渦巻く戦場に放り込まれれば斯くもなろう。だが、このままではエイル自身の命が危ない。
油断は禁物だが、緊張しすぎても駄目なのだ。だから、この空気を和らげるべく理緒はふっと息を吐いて微笑んだ。
「ネルトリンゲンの調子は上々だね。この船もこれが初陣だし、性能を発揮できるようわたしもしっかり頑張らないと」
君だけが初めてではないんだよ。そんな優しさを込めたつぶやきに、エイルがほっと息を吐く。肩を並べる先輩はしっかり此方に気を回してくれているのだ、と改めて認識したことで少しだけ気が楽になった。
「あ、船だし初陣じゃなくて処女航海かな。やったねいちごさん、好きでしょ、しょ――」
「ナニイッテルンデスカ理緒サン!? エイルさんも居るんですから変な事言わないでください!!」
些か品のないジョークに顔を真赤にして狼狽えるいちごと、その様子にやれやれと肩を竦めてため息を吐くジル。
「あの二人は気にしないで、エイル。援護にだけ集中してくれれば、あとは私たちがやるよ」
小さな体に鋼を纏い、理緒の率いる幾何学的なカタチのドローンを率いて発艦するジル。その背中はあっという間に見えなくなってしまったが、エイルにはそれが頼もしい。
「ジルさん……はい、援護くらいやり遂げてみせますっ!」
先輩への淡い憧れを胸に、彼女の猟兵たる所以、人の身に埋め込まれたエネルギー炉に直結したビームキャノンを構えて――海中からトビウオのように飛来した徹甲弾や榴弾が次々とネルトリンゲンの横腹に命中し、衝撃にエイルは悲鳴を上げた。
巨大なビーム砲がバランスを乱し、受け身も取れないまま倒れ込んだその先は甲板の縁。このままでは敵の待ち構える海中へと転落してしまう。
ぎゅっと目を閉じ、来るだろう浮遊感と衝撃に備え、そして肺に海水を入れないよう息を止めるエイル。
だがその瞬間は訪れなかった。
「えっ……?」
恐る恐る目を開けたエイルが見たのは、自身を抱きとめるいちごの優しげな笑顔。
「怪我はありませんか? ……無事で良かった」
援護はありがたいが無理のないように。優しくエイルを座らせて、彼女を守るように背中を向けて海に向かういちご。
「いちごさん、ちょっと格好つけすぎじゃない? あの子のことも気に入っちゃったのかな?」
「もちろん。あ、変な意味ではないですからね!」
空母の武装を操り、同時にドローンをも支配して空から敵を掃討する理緒が誂うように笑えば、空母が備える発射管に魔力を込めたミサイルを召喚しながらいちごは微かに頬を染めながらエイルの勇気が気に入ったのだと笑い返す。
「ネルトリンゲンのほうはうまくやってるみたいね」
理緒のドローンの援護を受けながら、海面スレスレを飛ぶジル。振り返ればネルトリンゲンは無数のミサイルを斉射し、散発的に向けられる反撃を巧みに躱しながら前進している。時折飛来した砲弾を迎撃している閃光は、おそらくエイルの武器だろう。
「ふふっ、あの子もちゃんとやってるみたいね」
エイルの戦いに気づいて笑うジル。その笑顔に彼女が気づくことは無いだろうが、それでも今すぐに褒めてやりたい気持ちは押さえきれない。
「でもそれも帰ってから、ね」
背負ったウェポンコンテナからロケット砲を二本引き出し、両肩に担いでくるりと旋回。海面からカトラスを手に飛び出した敵機の顔面と胸部に一発ずつ強烈な榴弾をおみまいする。
重要区画に損傷を受け、そのまま吹き飛び沈んでいく敵機を捨て置きひらひらと回避機動をとれば、海中からの奇襲攻撃がジルを掠めて後方へ流れていく。
振り向き相手をすることはない。理緒といちごならば確実に屠ってくれるだろう。
だからジルが目指すべきは、そいつらの相手ではなく。
「多連装ミサイル、ロック……全弾一斉射、行けーっ!!」
ハッチを跳ね飛ばす勢いで撃ち出されたミサイルが空中で子弾をぶちまけ、海中へとそれを撒き散らす。
突然降り注いだ対潜爆雷の雨に、一方的に有利を取れるはずの聖域である水中を奪われ、敵はたまらず水面に現れた。
爆雷に襲われ、損傷した姿を晒した相手に容赦をするものはいない。
島の戦士たちも加わっての掃討戦で、敵部隊は一瞬にして多くの戦力を喪失した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ミスタリア・ミスタニア
ハハッ、流石だな。まぁ悪く言っちまえば重要戦力が猟兵頼りの寄せ集めだった新解放軍と違って、旧解放軍は自力でオブリビオンになる前の帝国を打破したんだしな
あぁ?海戦型ウォーマシンだぁ?
おいおい、なんだその使いどころ皆無に近いウォーマシンは
それともこっちに来てから製造されたのか?
まぁどっちにしろ此処で藻屑と消えてもらうがな
鎧装のプラズマジェットで飛行して、急降下して海面に顔した敵に突撃するぜ
捨て身の特攻で急降下して【対艦攻撃用パイルバンカー】を叩き込むぜ!
水中から飛び出すなら好都合、そうでなくても海面ごと吹き飛ばして串刺してバラバラにしてやる!
対潜戦闘なんて想定されてねぇし、これぐらいしか出来ねぇな
ヘスティア・イクテュス
解放軍、まぁご先祖様は確かに解放軍だし
今の解放軍ってことなら猟兵的にも間違ってないのよね…
っと、よし。こっちの火器は問題なしね!
じゃあヘスティア・イクテュス交戦に入るわ!
ティターニアを起動【空中戦】制空権をとって空からミスティルテインのビームで撃ち抜かせてもらうわ!【鎧無視攻撃】
マリンタイプ…水中から陸へは対処できても空中までその推進届くかしら?
トドメはマイクロミサイルの広範囲に一斉発射で一気に数を減らさせてもらうわ!【範囲攻撃+一斉発射】
●
「解放軍、か」
出撃前にヤフェテからそう呼ばれたことを思い出したヘスティア。
「ご先祖様は確かに解放軍だったし、今の解放軍ってことなら猟兵的にも間違ってないのよね……」
「ま、主力がオレたち猟兵頼りの寄せ集めだった新解放軍と違って、ヤフェテ爺さん達は流石にやるじゃねぇか」
さすが独力で帝国の栄華を打ち倒した猛者は敵をよく理解している、とミスタリアは獰猛に歯を剥いて笑った。
初撃で敵母艦の対空装備を無力化してのけたことで、自分たち猟兵側の航空戦力がなんの妨害を受けることもなく上空から敵を襲撃することができるのだ。
オーロラの輝く夜空の下で翼を広げた二騎は、味方の対潜爆撃でたまらず海面に浮上してきた敵を目掛けて騎首を引き下げ降下してゆく。
「にしても」
ミスタリアは敵機の異形に眉根を寄せた。姿形が奇怪というわけではない。重装甲タイプのウォーマシンとしては比較的基本に忠実な姿形だろう。
だが、その運用理論が奇妙だった。
「帝国の連中、海戦型なんざどこで使うつもりだったんだ? それともこっちに来てから造りやがったのか?」
少なくとも前大戦の末期には海などというものを持つ惑星は帝国の既知宇宙には存在しなくなっていたはずだ。僅かに残るリゾート型居住艦の襲撃の為にのみあのような機体を用意するリソースを割いていたのだとしたら、銀河帝国の軍事力に掛ける意識は何処まで傲慢だったのだろうか。
「ま、そんなのは関係ねえ。オレたちの前に出てきたんだ、此処で藻屑と消えてもらうぞ」
「こっちの火器は問題なし。水中に潜られっぱなしだと減衰率が心配だったけど、うまく炙り出してくれたわね。ヘスティア・イクトゥス、交戦に入るわ!」
四基の推進機の出力を細やかに調整し、ヘスティアは重力下を飛行する。
普通であれば何処かで失速し、墜落してもおかしくないような繊細な飛行だが、彼女はそれを違えない。電脳魔術士であるからその程度の制御で手こずるなどありえないのだ。
「制空権が此方にあるだけで下だけ見ていればいいから楽なものよね。さて、撃ち抜かせてもらうわよ――」
その飛翔に加えて、動力源を同じくするビームライフルの制御。如何にアベルのサポートがあろうと、これが空戦機動の最中であればどちらかが疎かになったであろうそれを何の妨害もなく全力で行えるのがありがたい。ヘスティアは銃口を眼下の海に向け、星明かりに照らされ波間から覗く青い装甲を捉えて引き金を引いた。
「敵が顔出してくれてるってのはありがたいな!」
敵の姿が見えないのが対潜戦闘の厄介なところだが、その敵が軒並み水面まで上がってきているのならそれは単純な空対地襲撃と同義であった。
その上敵は水中戦に特化した装備。対空装備は持ち合わせておらず、対艦用の魚雷や銛で撃ち落とされる間抜けな騎兵ならばあの銀河帝国攻略戦を生き延びられはしなかった。
ミスタリアにとって、海戦型ウォーマシンは既に敵機ですらなく獲物である。
猛禽の眼で鋭く敵を睨めつけ、加速しながら急降下してゆく翠の騎兵。
敵もそれに気づき、ありったけの砲弾を撃ち出して彼女を迎撃するが近接信管どころか時限信管すらも装備していない砲弾ではかすり傷ひとつ付けられない。
『もはやこれまで、ならばせめて一矢を報いてくれる! 皇帝陛下万歳……!』
当たらぬとようやく理解した敵機はしゃらりとカトラスを抜き、刃を赤熱させて跳躍。突進してくるミスタリアを目掛けてそれを振り下ろし――
「出てきてくれてありがとうよ、好都合だったぜ」
その腹にがちりと複合ランチャーの銃身を押し当て、振り下ろされた刃がちりりと肌を焼きながら数本の髪を散らしたのを感じてミスタリアは引き金を引く。
撃ち出された鉄杭がウォーマシンを真二つにへし折り、そのまま彼女は残骸を引き連れ降下の勢いで海面に落ちていった。
――否。ミスタリアは海面スレスレ、僅かに数センチの高度で姿勢を立て直して飛翔し続けている。
だが虎の子のバンカーの再装填までに、あるいはふたたび充分な高度を得るまでに敵機が殺到するだろう。現に包囲するように円陣を組んだ敵が接近して――
「進路そのまま、速度は落とさず行きなさい!」
頭上からの声にミスタリアは頷いて、疑うことなくその指示のまま駆け抜ける。
一瞬後に降り注ぐミサイルが、ミスタリアが居たその場所を中心に敵集団を焼き払った。
「これで一網打尽ね、これだけ減らせば島の船も敵艦に取り付けるはず……」
敵部隊が藻屑と化したことで、妨害を受けることなく敵の母船に接舷しはじめた味方の船団へと視線を向けたヘスティア。
だが、敵は彼女が一瞬だけ視線を海面から逸したその瞬間を狙っていた。
アベルの鳴らすアラートに慌てて視線を下に向ければ、残骸も同様のボロボロの機体を崩壊させながらアクアジェットで舞い上がり、ヘスティアに刃を突き立てんとする敵機の姿。
まるで屍、いや妄念に憑かれ蘇った化け鮫の如き様相で迫るその機体を前にして、ヘスティアは彼が此処まで至り刃を届かせることを確信してしまった。
そしてそれを阻止する火力を今すぐには用意できない。
『銀河帝国千年の繁栄を取り戻すために――!!』
せめて損害を抑えようと身構えた彼女の眼前、今まさに斬りかかろうとした敵機を飲み込み緑色の光条が駆け、青の海兵は爆炎とともに破片となって堕ちてゆく。
ミスタリアだ。下方、海面を背面飛行しながらランチャーを構えた彼女がちら、と視線を向けてすぐに背を向け母艦へと飛んでいくのが見えた。
「助けられたわね……アベル、この借りは戦いで返すわよ。わたし達も遅れていられない、彼女に続きましょ!」
海上での戦いは猟兵の勝利が確定的となった。次々と敵船に乗り込んでいく戦士と猟兵たち。
決着の時はもうすぐそばに来ている。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『大海賊デストロイ』
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POW : ジェノサイドトリガー
【完全殺戮モード】に変形し、自身の【オーバーヒート】を代償に、自身の【あらゆる戦闘能力】を強化する。
SPD : デストロイアナライザー
【自身の武装】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、自身の武装から何度でも発動できる。
WIZ : スカーレットバタリオン
召喚したレベル×1体の【戦闘用ウォーマシン】に【この戦場に最適な武装】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
イラスト:V-7
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ユーノ・ディエール」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
『海兵隊は全滅……ふふ、彼らは彼らなりに満足出来たでしょうか』
オーロラの光に揺らぐ黒々とした波間に浮かぶ青い装甲の破片を見下ろし、甲板に立つ紅の戦機は呟いた。
戦うために生み出された銀河帝国の機械兵団。デストロイウォーマシン軍団の一翼として存在を得て、しかし彼らが望まれた戦場――海で戦う機会などついぞ有り得なかった。
生まれた意義を果たせぬまま二度の戦争を終えた。一度目は宇宙戦ではあったが戦って壊れることが出来ただけ満足だった。
だが二度目はどうだ。かの巨大生物勢力圏からの襲撃を警戒するため後方艦隊に回され、本国の窮地と駆けつけたところで既に皇帝は崩御した後であった。
ならばせめて復讐をと敗残の艦隊とともに反乱軍の進駐司令部へのテロへ参加しようとしてみれば、訳の分からぬ事故で戦うべき敵の居ないこんな世界に放り出されてしまった。
必ず帰ると誓って共に困難な航海を共にした戦友は、しかし一足先に猟兵という仇敵を見出し、そして自身の本懐たる海戦で彼らと戦い死んでいった。
『共に帰るという約束は反故にされましたが、ならばせめて皆の誓いだけでも持ち帰りましょう』
ドロイド兵士と島の戦士たちが争う音が徐々に近づいてくる。じきに猟兵も此処に辿り着くだろう。
『我々は必ずあの宇宙へ還る。陛下の仇を討ち、再び銀河に帝国の御旗が翻る日を迎えるために』
故に。スティールエッジ996、鋼鉄の刃の名を与えられ、同じ名を関する決戦兵器に成れなかったが故に己を「奪う刃」と改めた機体は剣を抜く。
『ようこそ猟兵、そしてアークの島民の皆さん。銀河帝国巡洋艦D・ザード指揮官、第71機械化混成海兵大隊長であるこの私、スティールエッジ996が歓迎しましょう! 私は皆さんに感謝せねばなりません。我々の倒すべき敵とようやく出会うことが出来たのだから。陛下のため、戦友のため、我々があの宇宙に帰還するため――これよりはStealEdgeの名に相応しく皆さんの命とこの島のメガリスを奪わせていただきます』
スティールエッジが剣を構えると同時、甲板上に無数出現した緊急展開用カタパルトからバトルドロイドの大群が溢れ出してくる。
錆びついたブラスターを棍棒のように振りかざして襲い来る彼らをウガハがビーム鉄パイプで数体を纏めて薙ぎ払い、リシィの早撃ちが次々に鉄くずに変えていく。――が、増援の出現速度は緩むどころか増していくばかり。
「海ぞ――猟兵のみんな! あたしたちがこいつらを抑え込める内に親玉を!」
「不甲斐ないが……行くぞ野郎ども! せめてあのデカブツとの戦いを邪魔させるな!」
その身を壁として押し寄せるドロイド兵を食い止めるべく奮闘を開始しした島民たちの戦いを背に、猟兵は一刻も早く戦いを終わらせるために指揮官機に挑む。
天城・千歳
【SPD】
アドリブ、絡み歓迎
さて、あの機体が敵の指揮官の様ですね。速やかに撃破して、アーク204に平穏を取り戻しましょう。
アーク204の索敵及び電子戦機材をリモート義体に操作させて敵の【情報収集】と行動妨害の為の【ハッキング】を行わせます。
歩行戦車隊及び歩行工作車隊は複合兵装の【誘導弾】の【一斉発射】による【先制攻撃】を行い、次いでレールガン、ブラスターによる【制圧射撃】で攻撃します。
センサー及び戦闘で収集した情報を元にUCを発動。敵に対して最適な武装を展開しデータベースに照合し【戦闘知識】で使い方を把握後、敵に対し使用します。
「次元兵装庫展開、敵に対し最適な武装を選択、召喚します」
エメラ・アーヴェスピア
…ちょっと待ちなさい、あなた達この一年の間にこちらに落とされたというの?
…これは後でしっかりと敵の船から情報を回収したいわね
まぁ、それもすべてはここを切り抜けてから…それじゃ、行きましょうか
この戦場の防御を担当させてもらいましょうか
戦場全体を【偵察】【情報収集】で相手の動きを確認
攻撃のたびに『我を護るは不壊の城壁』を発動、沢山の防壁を使い自分や味方を【かばう】わ
幾ら敵の数が多く、飛翔能力があってもこのUCの反撃の【砲撃】の命中力なら確実に数を減らせる筈
戦場を支配し、優位に戦いを進める
その位の支援はしてあげるわ
だから同僚さん達、手早く撃滅してしまいなさい、
※アドリブ・絡み歓迎
●
「ちょっと待ちなさい」
いざ、とフォースカトラスの刃先を擡げたスティールエッジに待ったを掛けて、エメラは問う。
彼は言った。二度目の戦いで皇帝の戦死に間に合わなかったと。
解放軍進駐司令部へのテロを画策し、しかしそれを成し遂げる前に志半ばにしてこの世界に墜ちたと。
それはつまり、彼らは――
「あなた達、この一年の間にこちらに落とされたというの?」
もしそうだというのならば、この世界にはいまこの瞬間にも他世界から様々なものが漂着しているということになる。
そのプロセスを知ることが出来れば、グリモアやフォーミュラに連なる強大なオブリビオンのみが持つとされる世界間移動の仕組みを知ることに繋がるかもしれない。
技師であり、つまり学徒でもあるエメラはその可能性に思い至ってスティールエッジに問う。が、鋼鉄の提督は黙して首を横に振る。
『敵にタダで情報を差し上げるほど私は愚かでも優しくもありません。知りたくば相応の代価を支払って頂きましょう』
「そうよね、なら――」
これ以上は語るに及ばず。猟兵が居て、オブリビオンが在る。ならば其処にあるべきは対話ではなく闘争だ。
かつてかの星の海で帝国と解放軍がそうであったように、星を映し出す大海で征服者と猟兵は再び刃を交えるのが至極当然の帰結である。
「此処を切り抜けてから情報を回収させてもらうわ!」
『切り抜けられるとでも?』
ぎゃりり、と錆びた金属が擦れる音とともに装甲の内側から「発生した」無数の紅の腕が、手に手に銃砲を携えエメラを撃ち抜く。
本来の質量を無視して増殖する兵器とそれを繰る腕。
単騎にして先程戦った海戦型ウォーマシン部隊に匹敵するか、あるいは上回る程の火力はおよそ尋常のものではない。
「残念、通じないわ」
だがエメラはそれと渡り合う。彼女を守るは不壊の城塞、蒸気と歯車によって稼働する魔導の防壁。ビームが焼き焦がし、ロケットが爆砕して、徹甲弾が壁を穿つ。そうして砕けた壁の隙間から魔導蒸気砲が突き出して、スティールエッジの腕を撃ち抜き破壊する。
壮絶な砲撃戦だ。だが、エメラを守る城壁が如何に堅牢であろうと、如何に反撃の手が苛烈であろうと、スティールエッジの大砲撃はこの勢いを微塵にも緩めない。むしろ目減りしていく魔導砲の反撃がなければ何処までも拡大していく砲火の渦に城壁は数分と持たなかったかもしれぬと懸念を抱くほどに、彼の攻撃力は異常であった。
――異常なのだ。いくらデストロイウォーマシンシリーズが帝国の誇る決戦兵器であろうと、物理法則を無視した武装展開などありえない。
否、更に言うならば島の戦士たちと戦っているドロイド兵もまた、船の規模からすればおかしな物量で攻め寄せている。
「……からくりが在るわね。私が彼を留めている間に、それを暴いてみせなさい」
防壁に込める魔力を増やし、この後の反撃に備えた余力も全て防御に回して時間を稼ぐ。エメラの命懸けの支援を受けて、千歳はヤフェテとともに全力でスティールエッジ――あるいは巡洋艦D・ザードが秘めた物量の秘密を探るべく電子戦を仕掛けていた。
「あれが指揮官機のようですね。速やかに撃破して、あなたの船に平穏を取り戻しましょう」
「ええ、あの子達ばかりに戦わせるわけにはいきません。私も軍を退いて久しい身ですが、力になれるならば非力を尽くします」
千歳の送り出した機械化兵団は無事エメラの戦列に加わり、スティールエッジとの激しい砲撃戦を演じている。ガンランチャーから放たれたミサイルの一斉射撃が赤い装甲を飲み込み、次いでブラスター、果てはレールガンまで持ち出して砲撃を叩き込む千歳の配下だが、スティールエッジはやはりと言うべきか武装腕を犠牲に損害を最小限に抑えるやそれを切り離し、すぐさま次の武装を繰り出すことでそれらを圧倒し続けている。
「明らかに異常な再生能力はあの機体の性能に依るものではないでしょう」
朽ちかけのレーダーやセンサーが視るのは、スティールエッジそのもののエネルギー総量はデストロイウォーマシン級の範囲に収まっているという事実。
だがそれではあの異常現象に説明がつかない。いや、彼らが帝国敗残の将兵でありながら「コンキスタドール」と化しているならば。
スティールエッジも海兵も、等しくその存在を転化させていたならば、それを成したメガリスが在るはずだ。
千歳は己の閃きを信じ、敵を探る目をスティールエッジから敵部隊に共通して関係するモノ――帝国宇宙軍船籍、標準型巡洋艦D・ザードへと移す。
あるいは異常はこの船にこそ宿り、クルーであるスティールエッジらはその恩寵を受けているに過ぎないのではないか。
その予測は正解であった。この規模の宇宙船にしては異様に低いエネルギー量。反して中枢から甲板に向けて、その全エネルギーを注ぎ込むかのごとく繋がっている熱源の鎖。
おそらくコアマシンか何かがメガリス化し、彼らに自己を無限に複製するような加護を与えたに違いない。
目の前の現象にそう理屈を付けた千歳は、だがそれ以上の調査や推測に時間を割くことをせず苦戦するエメラを救うべく行動を開始した。
「次元兵装庫展開。対艦ビームキャノンを選択、召喚します。不足するエネルギーをアーク204動力との直結で補填」
「承認しましょう。あまり出力も上げられない老骨ですが、一撃くらいならば撃たせてみせますとも」
「ありがとうございます、ヤフェテ。――照準、敵艦コアマシン。撃て」
アークに座する千歳から、巡洋艦D・ザードへ。
海を割って閃光が走り、巡洋艦の横腹へと突き刺さる。
「続けて第二射、目標デストロイウォーマシン――」
『ちィ、誰かは知りませんが余計なちょっかいを。反乱軍に与するものは戦場の作法も知らぬと見えますね』
甲板を揺らした着弾の衝撃。爆発する艦の中央部は、されどもビームキャノンの一撃が貫通しなかったがために崩壊しながらもその原型をかろうじて留めていた。
メガリスも損傷は受けたものの機能停止には至らなかったのだろう。複製を生成するペースは鈍化したが、それを理解したスティールエッジの猛攻で城壁は割れ兵団は斃れてゆく。
万事休す。エメラが潮時を見極め、撤退の機をうかがうその眼前に紅の巨体がゆらりと立ちふさがった。
「……っ」
『今は貴女に関わっている場合ではありません』
身構えるエメラに視線すら向けず、スティールエッジはアークを睨み――正確にはその艦上の千歳を睨み、己に向けて飛来した第二射をフォースカトラスの刃で切り裂き凌いだ。
その上で、装甲の裡から飛び出した大型のブラスターを向け――発射。
同等威力のビームがアークへ奔り、第三射を狙う千歳のビームキャノンを焼き焦がす。
すんでのところで砲を切り離し離脱した千歳は無事だったが、爆発四散したビームキャノンはもう使い物にはなるまい。
盾を砕かれ、鉾は折られた。だが引き換えに無尽蔵の再生能力を削り取ったのならば、それは大戦果と言っても過言ではあるまい。
メガリスの脅威を僅かとはいえ削ぎ落とした戦果を携え、二人の猟兵は後続に始末を委ねて前線から退いてゆく。
スティールエッジはそんな彼女らの背中を撃つこともせず、ただ次なる猟兵の一手を悠然と待ち構えていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ガーネット・グレイローズ
あれは、デストロイウォーマシン!?
銀河帝国攻略戦を生き延びたのか、それとも
それ以前にこの世界に落ちたのか。
いずれにせよ、こいつを野放しにしておくわけにはいかん。
宇宙からの因縁を、ここで絶たせてもらう!
奴自身の戦闘力も脅威だが、今回は増援のウォーマシンが鬱陶しいな。
ここはトラップを張るか。
スカーレットバタリオンを使ったのを見計らって、こちらも
【裁断領域】を展開。
鋼糸を<念動力>で操り、ウォーマシン軍団を絡め取り切り刻む。
<メカニック>で敵の構造上脆い部分を導き出し、
ブラックバングルからの<衝撃波>と<重力属性>のエネルギー弾で牽制射撃。
クロスグレイブを構え、敵のコア目掛けて<砲撃>を叩き込むぞ!
アシェラ・ヘリオース
「銀河帝国第一近衛部隊隊長、アシェラ・ヘリオース。受けて立とう」
近衛装束に改め赤槍を構える
面識はないが、一度目の大戦でその武勲と活躍は覚えている。侮れない強敵だ
「戦争は終り、陛下は亡くなられた。我等の夢はもう過去だ……その先は、辿り着く場所の無い旅路だぞ」
誠意を込めて説き、だが槍に力を籠める
過去にしか生きられないが故のオブリビオン
この問答はただの【礼儀作法】だ
戦闘は【空中戦】
射撃は収束フォースの【砲撃、誘導弾、乱れ撃ち】
白兵は赤光の盾で攻撃を斜めにいなし、力負けしないよう“破天槍”で打ち合う【盾受け、オーラ防御、二回攻撃】
隙があればフォースで束縛【念動力、捕縛】し、【ランスチャージ】で挑みたい
●
「帝国攻略戦を生き延びた機体か……いや、あの戦いには参加できなかったと言ったな」
『如何にもその通りですよ、レディ。ですから、我々は栄えある帝国宇宙軍の兵器として自らの意義を果たさねばならない』
おわかりいただけますね、と紅い外套の裏、艦と自身を繋ぐケーブルをフォースカトラスで斬り落としてスティールエッジは淡々と言葉を紡ぐ。
『私達は役割を果たせなかった。この無念が貴女に解りましょうか』
そのために造られた存在だった。
銀河帝国の刃として、盾として皇帝の敵を討つ。
それだけが帝国軍に属する機体としての彼らのアイデンティティだった。
だというのに、守るべき皇帝の死を知った時彼らは戦場にすら居なかった!
ああ、何故だ。何故こうなってしまったのだ! 機械らしからぬ慟哭の末に彼らが行き着いた希望が解放軍へのテロだったのだとスティールエッジは言う。
『尤も――作戦を立案した同胞、スカー・レッドは勝つつもりだったようですがそれは不可能だと私は理解していました』
だが、それでも。存在意義を失った兵団は、最期を戦いの中で迎えることを望んだ。テロと言う手段に訴えれば、その手段が過激であれば――解放軍はその精鋭を差し向け、彼らは強敵を幾らか道連れに機能を停止することで折り合いを付けられたはずだったのだ。
しかしそれすらも叶わなかった。何が起こったのかはスティールエッジのメモリにも残っては居ないが、気づいたときにはD・ザードは機能の殆どを喪失してこの青い大海に不時着水していた。
『――使命を果たせず。仇敵も居らず。自己満足の死すら得られぬまま漂ったこの一年余りを貴女方に理解できましょうか。否、理解されては困ります』
この苦しみですら、我々が還るための原動力なのだから。
剣を構えるスティールエッジのもとに、島の戦士との戦いから引き返し加勢したバトルドロイドが集う。
全てではない。増援の勢いは鈍化したとはいえ、戦士たちは未だ苦しい戦いを続けている。
それでも圧力を減らせたことにガーネットは微かな安堵のため息を吐いて、それから自身の五指に絡む細い鋼糸をたぐる。
「お前の理由に同情してやることはないな。お前自身もそれを望まないのなら尚更だ。しかし私達もお前を野放しにしてはおけないんだ。宇宙からの因縁を此処で絶たせてもらう!」
お前の望んだ解放軍の一翼が此処に在るぞ。
ガーネットの言葉にスティールエッジは歓喜し、麾下の軍団に突撃を命ずる。帝国軍海兵隊の信念は一つ。声高らかに彼らは謳う。
『前進し、前進し、前進せよ!!』
赤錆びた鋼鉄の波濤がガーネット目掛けて押し寄せる。用を為さなくなったブラスターを原始的に振り回し、ひたすらに制圧前進を試みる錆びたバトルドロイド達。
死を恐れぬ機械の兵士たちの猛進を食い止めたのは、ガーネットの白い細指であった。
「いいや、お前達はもう、進むことはできないよ」
両の十指を踊らせるたびに、バトルドロイドの骸骨めいた四肢が落ちる。
火花を散らし、金属の擦れる音を奏でて夜天の甲板を踊る機械兵士達。
ガーネットの裁断領域が完全にその進撃を阻止したその直後、頭上のオーロラを遮り新たな紅がスティールエッジへと一筋の流星の如く落下していった。
『――このフォースの波長は、』
「そうだとも。銀河帝国第一近衛部隊長、アシェラ・ヘリオース――参る!」
その正体こそマントを翻し、赤い結晶の槍を携えスティールエッジを強襲したアシェラだ。
強烈な一撃をフォースカトラスで受け止めたスティールエッジの膝が僅かにたわみ、巨体が甲板に沈み込む。だが押しきれない。
ガーネットが見事陽動を成功させ、アシェラの攻撃タイミングも完璧であった。それでもスティールエッジの執念はその連携を上回ったのだ。
『陛下をお護りするべき近衛が、何故反乱軍と共に居るのです?』
緑色の眼光をふっと翳らせ、スティールエッジが怒りに声を震わせる。
「戦争は終わったのだ。陛下も身罷られた。……我等の夢はもはや過去なんだ」
『陛下の敵に与する者の言うことか!!』
それは狂乱に等しい激怒であった。スティールエッジの眼光が一際に眩く輝いたかと思うと、アシェラの槍を弾いてその鋭利な鉤爪の脚で裏切りの騎士を強かに蹴りつける。
アシェラは咄嗟盾を割り込ませてそれを耐えるが大きく跳ね飛ばされ、そこへと多数の銃砲の砲火が投げ込まれては盾の守りも流石に限界を迎えてしまい、赤い光が粉々に砕け散った。
「アシェラ! くっ、性能は何一つ劣化していないというのか!!」
重力弾でスティールエッジの外套装甲を叩き、さらなる追撃を阻止するべく陽動を掛けるガーネット。
しかしスティールエッジは彼女の攻撃によって受けるダメージを全く意に介することなくただアシェラへと殺意を叩きつける。
『我等が渇望した機会を得ておきながら! 我等が欲してやまないものを持ちながら! 我等が還りたいあの宇宙に居ながら! 貴女は――!!』
憎悪、羨望、呪詛。およそ機械らしからぬ感情を込めて歩み寄り、カトラスを振り上げる機械巨人。
対するアシェラは膝を付き、砕けた盾の残滓を構えながらその眼光からは目を逸らさない。
「求めるのはいい。確かに私はお前達の望むものを自ら手放したさ。だが、もはや滅んだものをいつまでも追い続けて……その先は辿り着く場所のない旅路だぞ」
『わかっていますとも! それでも、我々は――私は!』
カトラスが振り下ろされ、アシェラの仮面を一文字に断ち割った。
――同時、アシェラの槍がスティールエッジに突き刺さる。
「せめて私が決着を……くっ」
立ち上がり、槍からの強烈なフォースの発振で吹き飛ばされたスティールエッジへと足を向けようとするアシェラ。それをドロイドの壁を文字通りに切り裂いて駆けつけたガーネットが押し留める。
「無茶だ、気持ちは分かるが後続に任せて下がるんだ、アシェラ。肩を貸すから」
小さくないダメージを負った戦友を気遣うガーネットに、アシェラはそれでも首を横に振って不敵に笑ってみせた。
「それには及ばん。だが……そうだな、深追いは厳禁、か」
何しろ面識はなくとも、第71機械化海兵の武勲はアシェラも知っていた。かつての大戦で一歩も退かず困難な戦場に立ち続け、磨り潰されるように消えていった勇猛果敢な戦士たち。
「撤退しよう。私は彼らのようには在れない。いや、そのつもりはない――」
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
ヘスティア・イクテュス
さて、あれが指揮官ね
コアマシンを手にしたところでスペースシップワールドに帰れるのか…って思うけど…
まぁ、関係ないわね。わたしのやることはただ、異世界にまで迷惑をかける銀河帝国をぶっ飛ばすだけよ!
相手がコピーするなら、されても問題ない技を…
近接戦はまぁ苦手なんだけどやりようはあるわ!
アベルで敵の行動パターンを分析【情報収集】しそれで敵の行動を『見切る』
スモークミサイルによる視覚情報の遮断【目潰し】
そこからダミーバルーンの影を囮に【フェイント】
E.O.Sのソードモードにて一撃を!
還るならあの世界ではなく骸の海に還りなさい
荒谷・つかさ
(引継ぎスルト装着状態で登場)
奪う刃……上等じゃない。
その錆び付いた刃も、染み付いた妄執も……須らく溶かして燃やし尽くしてあげるわ。
油断したつもりはないけれど、思ったより損傷が激しいわね
なら、奥の手を見せてあげる……!
【黄昏の鉄巨人】発動
召喚した追加パーツと合体し、決戦形態「スルト・ラグナロク」へ変身
強化された装甲と出力で以て正面からぶつかり合う
敵のオーバーヒートを加速させるべく炎を纏った鉄拳や胸部熱線砲を駆使
隙を見せたなら『黄昏を灼く焔の巨剣(レーヴァテイン)』をフルドライブ
焔の魔剣と化したそれで以て、斬り伏せると同時に灼き尽くす
……満足、したかしら?
●
『戻らねばならない! 同胞の為に、戦友の為に、帝国の為に!!』
夜空を震わす程の咆哮が轟く。損傷を受け吹き飛んだスティールエッジは、撃破された僚機の腕を掴みそれを自身のフレームに継ぎ接ぎ傷を埋めると、バトルドロイドの腕を握っては開きその手に銃を取る。
「コアマシンを手にしたところで帰れるというわけじゃないのよ!」
吼えるスティールエッジに目掛け降り注ぐ多数のミサイル。
それを彼はブラスターで次々に射落とし――しかし爆薬の代わりに詰め込まれた煙幕がその視界を覆い尽くす。
『還るのですよ、たとえ何を犠牲にしたとしても!!』
煙幕で視界を封じられたことでスティールエッジの攻撃が命中する確率は大きく下がっただろう。
だが歴戦の海兵指揮官は経験の蓄積だけを頼りに、次なる攻撃を予測してカトラスを薙ぎ払う。
煙とともに引き裂かれる人影。その姿にほくそ笑んだスティールエッジは、直後に驚愕する。
「そうやって異世界にまで迷惑を掛けて! だからわたしは銀河帝国をぶっ飛ばすのよ!」
己の切望するままに略奪を是とする、もはや軍人ですらなくなった帝国の遺産。
それを許してなるものかとヘスティアは駆け抜ける。スティールエッジが切り裂いた、己の姿を模したダミーバルーンの残骸を吹き散らして大型ブラスターをビームソードで斬り落としてみせた。
いや――武装を盾に防がれたのだ。多腕を活かして巧みに本体への損害を防ぐスティールエッジが一枚上手だったか――ヘスティア目掛けて振り下ろされる、自身のそれとよく似た青白のビーム剣。
ギリギリを掠めるようにブースターの出力を強め、その脇をすり抜ける彼女は見た。
剣を回避した先、既に待ち構えるように砲口に光を湛えたレーザーキャノンが構えられている。
「く――ッ」
回避も防御も間に合わない。かくなる上は刺し違えてでもダメージを与えるべきか。一瞬で判断を下した彼女の眼前、今まさに撃たれようとしたレーザー砲が勢いよく跳ね上げられた。
「奪う刃、ね……上等じゃない」
ヘスティアの窮地を間一髪救ったのは、スティールエッジにも匹敵する巨体の鉄人であった。
つかさの駆るその鉄巨人、スルトは全身に浴びた海水をじゅうじゅうと蒸発させながらスティールエッジと組み合う。
「その錆びついた刃も、染み付いた妄執も……須らく溶かして燃やし尽くしてあげるわ!」
『言わせておけば傲慢な物言いを! 我々の願いを誰が否定する権利を持っているものでしょうか!』
此処に至るまでの戦いで互いに傷ついたスルトとスティールエッジ、双方の力はほぼ互角。
いやヘスティアのミサイルによる支援攻撃を受けても尚拮抗しているということは、単純な出力ならばスティールエッジが上回っているのだろう。
ヒトという脆弱な――少なくとも生命体としての強度限界を持つ――パーツを擁するスルトと、機体構造の全てを戦闘強度に特化することができるデストロイウォーマシンの埋めがたい差が其処にあった。
だがつかさは諦めない。
「損傷が激しいのは理解していたわ。そちらも同じ条件だと油断したつもりはないけれど……奥の手を見せるしかないようね……!」
渾身の力でスティールエッジを押しのけ、つかさは叫ぶ。
――その神の真なる名を。
「レーヴァテインユニット、エンゲージ!」
己を求むる者の為、神なる鉄人の新たな剣が舞い降りる。
「全ユニット接続シーケンス!」
『何を――敵前で悠長な真似を!』
させるものかと――それが何を齎すのか、分からぬとはいえ予測は易い。
スルトがより厄介になる前に破壊する。合体の最中、無防備な今こそその最大の好機だと持てる武装の全てを向けるスティールエッジ。
「合体の途中に攻撃するのはルール違反じゃないかしら?」
しかし無粋は許さぬと降り注ぐヘスティアのミサイルがそれを撃たせない。
「接続……完了! KFG零型、オーバードライブッ!!」
スルトの巨体が一回り以上大きく膨れ上がってゆく。
黄昏色の炎を纏った鋼鉄の巨神。其はこの世に顕現すると同時、燃えたぎる拳をスティールエッジの頭部に叩きつける。
「スルト・ラグナロク見参! さあ――燃やし尽くしてあげるわ!」
すらりと抜いた大剣は、その重厚さとは裏腹に軽々と担ぎ上げられスルトの腕を伝う炎に赤熱する。
『合体兵器など、酔狂の玩具に私達の航路を邪魔させはしません……!!』
炎の大剣と光の曲剣の激しい攻防。
性能差は歴然、スルトのパワーはスティールエッジを押し込んでゆく。
だが彼もまた、スルトの熱に演算能力を蝕まれながらも性能の全てを投じてそれを技量で受け流し、隙あらばと反撃を的確に差し込んでくる。
此処に至って再び拮抗。それを破ったのはヘスティアとアベルであった。
「どれだけ優秀でも機械は機械、行動パターンは読めないものじゃないわ。敵の防御の癖は分析できた、データを送るから使いなさい!」
多腕を用いた多角的で分厚い防御。常人には見切ることも至難のそれを、ヘスティアはアベルの力を借りることで突破可能なものへと紐解いて見せた。
『それがどうしたというのですか! 動きが読まれようと、私達の願いは、執念は――』
「そんなに帰りたいなら――」
スティールエッジの叫びを遮るようにつかさが、そしてヘスティアが叫ぶ。
「――骸の海へ還りなさい!!」
炎が一閃。紅の装甲を焼き切り、背骨じみたデストロイウォーマシンのフレームに深く傷を刻みつける。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
イデアール・モラクス
【PPP】
機械だからか、オブリビオンだからか、生き方も変えられず愚直に帝国へ尽くす姿は哀れですらあるが…その熱は嫌いじゃない、ゆえに全力で相手をしてやろう。
・連携
UC【魔剣の女帝】を『高速詠唱』で行使。
真の姿となり『全力魔法』の力で威力を増した魔剣を無尽蔵に召喚し『乱れ撃ち』や『一斉発射』で雨霰と射出、圧倒的弾幕の『範囲攻撃』と成して『制圧射撃』をかけ召喚された雑魚マシンを『蹂躙』。
「興ぜよ、帝国の為に戦うという貴様の願いは今叶うのだ!」
そして高速飛翔の『空中戦』でフィーナらと連携して『切り込み』『属性攻撃』で炎を纏わせた魔剣ドミナンスで『武器受け』しながら斬り結び『薙ぎ払う』。
※アドリブ歓迎
フィーナ・ステラガーデン
【PPP】
うーん。どこかで見たことあるやつね。
銀河帝国銀河帝国・・ああっ!思い出したわ!
私、あんたと似たようなやつと2体ほど戦ったわよ!
確かスティールエッジ018とか2291とか言ってたかしら?
どうなったか知りたいかしら?ふふふ・・死んだわ!無様にね!!
なーに寂しがることは無いわよ?
私達があんたも同じ場所へ送ってやるって言ってんのよ!
あの世で仲良く私達の活躍を眺めながら私達と敵対したことを悔い続けなさい!!
というわけで私は皆の後ろにいくわね!後は任せたわね!!
前衛は皆に任せて私はひたすらUC【魔力溜め】で
魔力溜め後の攻撃UC【全力魔法】の使用UCはお任せするわ!
(アレンジアドリブ大歓迎!)
葛葉・アリス
【PPP】
時は移ろい、時代は変わる
神でさえ、役目を終えれば世界を去るのに、人の子の国など、いつかは滅びるが定め
…いえ、既に滅びているのだったわね
滅びを受け入れられない者どもよ
神の慈悲をもって眠らせようか
…なんてカッコつけてみたところで、騒がしい連中は好き勝手に戦ってるんだと思うけどね?
私は相変わらず万能飛行潜水艦悪魔レヴィアタンの中
兵装『green-eyed monster』のビームで、皆の支援砲撃をするわね
ビームでバタリオンを薙ぎ払っていくけど…
さすがに数も多くて本体まで届かない?
なら仕方ないわね
電脳悪魔の頭の上に立ち、敵を指さす
「神罰の雷…受けなさい」
【幻想神罰雷霆】で撃ち抜いてあげるわ
●
『まだだ、まだ……まだ動きます。私はまだ戦える!』
背骨のようなフレームに赤熱する傷を刻みつけられ、其処から火花を散らすスティールエッジがふらつきながら立ち上がる。
まるで幽鬼だと誰かが言った。執念に拠ってのみ立つ、鋼鉄の亡霊。銀河帝国という巨大すぎる存在は、亡びて尚もこれのような成れの果てを振りまいている。
宇宙へ還り、報復を成し、戦争の中で破壊されるべし。スティールエッジが与えられたこの生き方を捨てられぬのも斯く在るべしと造られたからであるならば、宇宙の民の末裔が暮らすアークを襲うこの危機もまた、かつての帝国と解放軍の戦争の延長であると言えるのではなかろうか。
「お前がこいつらのように生き方を変えられず、愚直に帝国へ尽くす姿は哀れですらある」
この世界に墜ちたその時、帝国軍としての己と決別し帰化することを選べていたなら。
あるいはヤフェテと島の人々のように、此処を第二の故郷として知り得なかった幸せを知れただろうに。
それでもスティールエッジ達はそれを望まなかった。幸せを望んだ者たちから奪うことで、苦難の道を抉じ開けようとした。
「そう、その生き方だ。其処に宿る熱は嫌いじゃあない。だから!」
イデアールが獰猛に笑う。黒髪が銀に染まり、紅の眼光がスティールエッジを射抜いた。
「つまりそういうことよ、私達が言いたいことはね!」
それに乗っかり胸を張るフィーナ。果たして彼女が本当にイデアールと同じ感想を抱いたのか、あるいはいい感じの啖呵を思いつかなかったのでドヤ顔でタダ乗りしたのかは彼女のみが知るところである。
そのフィーナは、細部が異なる装甲形状ながらスティールエッジの姿がかつて宇宙で戦ったものと通じることに気がついた。
――隣に立つイデアールと後ろで海面から頭を出したレヴィアタンの中に居るアリスが今更か、という目を向けたことを敢えて無視して、情動に突き動かされているように見えて機動は至極論理的な思考に制御されている敵機を動揺させるべく舌を繰る。
「私、あんたと似たようなのと二回ほど戦ったわ」
そう、一度目はあのエンペラーズマインドを巡る、銀河帝国攻略戦でも屈指の激戦となったあの戦いで。
二度目は目の前の彼と同じく再起を誓い、敗戦を受け入れんとした同胞を斬り捨ててまで決起を望んだ者たちとの戦いで。
「そう……たしかあいつらもスティールエッジって名乗ってたわね。番号は018と2291だったかしら? ――そいつらがどうなったか教えてあげる」
帝国の門番として、皇帝の信に応えるため我が身を省みず立ちはだかったステイールエッジ018。
帝国の亡霊として、復讐の道を阻むものはたとえ友軍であろうと処刑してまで使命に殉じようとしたステイールエッジ2291。
その両方と対峙したフィーナは知っている。
「ふふふ……死んだわ、無様にね!! なーに寂しがることは無いわよ? あんたもすぐに同じ場所へ送ってやるわ!!」
「まるで悪役ね……」
ふふふ、あははは、はっはっはっはっはと教科書どおりの三段笑いを披露して仰け反るフィーナにため息を一つ、アリスは挑発に動じることなく――いいや、よく見てみれば集中力を僅かに欠いた様子のステイールエッジへと諭すように語りかけた。
神曰く――
「時は移ろい、時代は変わるものよ。神でさえ役目を終えれば世界を去るのだから人の子の国などいつか滅びるが定め」
銀河帝国の不滅神話など、所詮は神話、おとぎ話なのだ。王が神に至ったとしても、その末にいつか滅びは訪れる。かつて多くの国々がそうであったように。銀河帝国でさえその運命から逃れられなかったように。
そんな国の滅びを受け入れられず、既に亡き者への信仰だけを杖に立ち上がり暴虐を振るうことを是とするならば。
「既に訪れた滅びを受け入れられない者どもよ。神の慈悲をもって今一度眠らせよう」
『いいや違いますよ、貴女の論理は正論だが重要なピースが見えていない。我々は帝国の滅びを知っている。理解している。受け入れている。そのうえで幾億同法と同じ旗を仰ぎ、そのための戦いの中で宇宙に死にたい。ただそれだけの為に戦っている』
ああ、この海を平らげ懐かしき星の海に還れたならば、その時は何度だって殺されてやろう。けれどそれが為されぬ内に死ぬつもりはない。
二人の魔女と竜を駆る神に剣を向け、スティールエッジは号令をかける。
『帰還を阻むあらゆる障害を踏み潰せ。インペリアルマリーンの誇りは未だ折れてはおりません!』
轟、と船が揺れた。
緒戦で撃ち抜かれたはずのコアマシンが、この戦いの中でじわりじわりとその傷を癒やし完調ではないながらにその機能を取り戻したのだ。
船が蘇る。無限の軍勢を生み出すその胎が、夜空に不気味な呻き声を響かせ増援のバトルドロイドを送り出す。
艷やかな装甲には生まれ落ちてすぐだというのに潮風の錆が薄らと浮かび、もはや棍棒代わりのブラスターも尽きたか斃れた仲間の四肢をもぎ取り構えた骸骨のようなバトルドロイド達。
『海兵は止まりません。海兵は負けぬのです。海兵は全てを制圧して目標を達成する為にあるのですから!』
――続け。スティールエッジの剣が三人に突きつけられ、赤錆びた黒の軍勢が押し寄せる。
先陣を切るはスティールエッジ。対するは三人の猟兵。
だが詠唱を開始したフィーナはすぐに動ける状態になく、アリスがレヴィアタンから放つビームも物量を前に思うほどの戦果を挙げられぬ。
数が多すぎるのだ。一軍を前にして、一騎当千の強者たる猟兵をして苦戦を強いられるほどの反則級の物量。
こういうときにいの一番に彼我の戦力差に不平不満を吐き出すフィーナが黙って魔力制御に集中し、強烈な範囲殲滅術式の行使を最優先するにあたってこれは尋常のものではないと――メガリスとなったコアマシンは、戦力の生産という一個目的に関してのみ通常のコアマシンを遥かに凌駕するまさに至宝の域にまで至っているのだと理解せざるを得ない。
「ククク……雑魚が百も二百も集まったところで雑魚は雑魚、我が魔剣の前に蹂躙される巻藁に過ぎん!! ……と言っていられる場合でもないようだな!」
片端から召喚した魔剣を投射し、アリスとともに弾幕を以て防衛線を築くイデアールが傲慢な笑みを崩すことなく、しかし状況を冷静に俯瞰して苦戦を認めたその時、スティールエッジの本体がフォースカトラスをフィーナ目掛けて振り下ろさんと一息に距離を詰めて来る。
『……貰いました!』
「いいや、やらんよ! さあ興ぜよ、帝国の為に戦いたいという貴様の願いを今叶えてやる!」
光の剣と豪奢な魔剣の切り結ぶこと幾重にも。魔剣は何度も折られ、弾き飛ばされ、その度に新たな物がイデアールの手中に現れる。
『しつこいお嬢さんですね、貴女は!』
「貴様のほうがしつこかろうに、褒められた気がせんな!」
『最初から褒めてなど!』
戦いは激しく、殲滅能力の一翼を担うイデアールがフィーナを守るため戦線を離脱した為にバトルドロイド軍団の相手を単独で担うレヴィアタン=アリスはじわりじわりと物量に追い込まれていた。
レヴィアタン単独の殲滅能力では軍隊アリの如き敵軍を一息に殲滅することはできない。
ジャバウォックを投入したところで焼け石に水も良いところであろう。
で、あれば仕方ない。手段を選べる状況ではないのだから。
「やれやれね……仕方がないわ」
アリスは一度目を閉じ、それからレヴィアタンの外に出てその頭上に立つ。矮躯の神が、オーロラを背に竜の頭上に立つ。それだけでも神話のような神々しさを覚える光景だが、神はそこから敵軍を指差し給うた。
オーロラを切り裂き降り注ぐ神鳴り。雷は着弾地点を中心に数メートルを吹き飛ばし、それが幾度も甲板に踊る。
「神罰の雷よ。……謹んで受けなさい」
そして、二人の猟兵の奮戦によって詠唱は為った。
フィーナの目が開かれ、見据えた視界には己を守るイデアールの背とその向こうのスティールエッジ、そしてアリスの猛攻を受け同胞が倒れるのもお構いなしに押し寄せる機械人形。
「わらわらぞろぞろって気持ち悪いのよ……あの世でスティールエッジ仲間と仲良く私達の活躍を眺めて敵対したことを悔やみ続けるといいわ!!」
フィーナの手には黒き炎。それが握りこぶしを挟むように伸び、甲板を一凪にできるほどの長大な焔の剣が現れる。
「イデアール、躱しなさいよ! 薙ぎぃ…………、払えぇぇぇぇッ!!」
――――集中圧縮された魔力が解き放たれ、業火が敵陣を端まで貫いた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
シャルロット・シフファート
PPP
「私はSSWの運命を決める戦いに出た訳じゃない…けれども、かつて銀河帝国と解放軍の戦いで多くの無辜の民が犠牲になり、全ての居住可能惑星を失った…そんな存在からの継承なんて認めるわけには行かないの」
と、万能機械を戦闘特化型モデルに機能拡張。スカーレットバタリオンで召喚される戦闘用ウォーマシンの完全上位互換になるよう戦闘を介して常にアップデートさせていく。
「同じユーベルコードの起源で系統も同じな以上、召喚物の性能の差が出たみたいね」
「オブリビオンというだけの理由で意味も成せず、価値も残せず、骸の海へ帰りなさい」
無情だけど、猟兵である以上これは言うべきね。それが私達に課せられた義務なのだから。
アイ・リスパー
【PPP】
「いよいよ敵の親玉が現れましたね!」
潜水艦シェイクスピアの作戦指揮所から立ち上がり格納庫に向かいます。
そこに待つのは頼もしい相棒たち。
「オベイロン、ティターニア、よろしくお願いしますね!」
【夏の夜の夢】で二機が合体したパワードスーツを装着。
海上に浮上したシェイクスピアから発進です!
「シェイクスピアは後方からミサイルによる援護を!
私は前に出て直接戦闘ですっ!」
レーザーガトリングで牽制しつつ荷電粒子砲を放って接近。
「私と……仲間たちの力を思い知って下さい!」
荷電粒子砲をブレード状にしたプラズマブレードで敵に斬りかかります。
「この世界にSSWの技術で破壊をもたらさせるわけにはいきません!」
アリシア・マクリントック
【PPP】
あれが指揮官ですね!行きます!チェンジ、神話形態!
こちらから攻めるのならマリアは接近戦用のナイトモードへ切り替えたほうがいいかもしれませんが……私がやるのは難しそうです。キーの向きを裏返すだけで切り替えられるので、誰か余裕があれば戦況に合わせて変えてもらえるように伝えておきましょう。
召喚された敵の取り巻きの上をとって制空権の確保を狙います。数の上では不利でも高度を活かしたり個体の戦闘力の差である程度は抑え込めるはず。
飛び道具がないので船上にいるみなさんへの直接的な支援はできませんが、せめて歌うとしましょう。目立つことでこちらに敵を引きつけることができれば一石二鳥です!
●
「VLS全基開放、対艦ミサイル一斉射撃ですッ!!」
甲板を業火が薙いだその時、海中に潜む潜水艦から放たれた無数のミサイルが巡洋艦D・ザードの横腹に着弾していった。
復旧したコアマシンに対する第二撃。メガリス・コアマシンを停止させ続けぬことには、猟兵の苦戦も島民の犠牲も避けられない。誰かがやらねばならぬ、ならば誰が?
――それは私の役目でしょう。
それを成し遂げるだけの大火力投射能力を持ち、スティールエッジの攻撃が届かぬ位置からの攻撃が可能なのは攻撃型潜水艦を有するアイだけだ。
――少なくとも今は。
故に彼女は潜水艦、シェイクスピアの管制AIに攻撃続行を命じて作戦指揮所を後にする。
このミサイル攻撃とて弾数は無限ではない。むしろ通常の潜水艦より小型のシェイクスピアであれば、弾薬の限界は想像より早く訪れるだろう。
その前にメガリス・コアマシンを破壊せねばならない。
格納庫に辿り着いたアイは、ミサイルの代わりに其処に鎮座する歴戦の相棒に微笑みかけた。
「オベイロン、ティターニア、今回もよろしくおねがいしますね!」
小型の戦闘宇宙艦と機動戦車、多くの戦いをともに駆け抜けた友の装甲に手をおいて、アイは彼らを身に纏う。
今回は最初から全力だ。二機を合体させたパワードスーツを海中に出撃させ、アイは頭上に浮かぶD・ザードの船底をキッと見据えて操縦桿を握りしめる。
「指揮官機を叩けば、とも思いましたが――」
甲板を縦横に駆け回り、戦士たちを援護するマリア。
リシィとの連携でときに銃を、ときに爪を使い有象無象の軍団を倒す親友に目を遣ったアリシアは、戦術的な視点から今己が成すべきことは何かを考える。
無論最良であるのはスティールエッジを短期決戦で屠ることだが、銀河帝国の誇る決戦兵器の一つデストロイウォーマシンがそれほど生半な相手でないと彼女は身を持って知っている。
もし倒しきれなかったなら。
その時、マリアとリシィ、そしてウガハら島の戦士たちの戦線は物量に抗しきれず瓦解してしまうだろう。
幸いにも凄まじい勢いで甲板を一層した火焔のおかげで今はまだ戦力に余裕があるようで、ならば優先するべきは――
「シャルロットさん、私は敵の増援の元を絶ちに行きます」
「アリシア、アンタこの状況で――いや、この状況だからこそかしら。いいわ、私もついていく」
メガリス・コアマシンが全く無防備にその姿を晒しているとは思えない。
艦内を行くならば相応の迎撃もあるだろう。それに備えて戦力はあったほうがいいとシャルロットが同行を申し出れば、アリシアはその気遣いにありがとうございますと微笑んで。
「マリア、すぐに戻ります。それまで島の皆さんの事を頼みましたよ――チェンジ!! セイレーンアーマー、神話形態!!」
光の翼を背負い、尾ひれを両足に変えたアリシアがシャルロットを抱えて飛翔する。
彼女の言う通り、船内は完全なる敵の領域。どんな罠が待ち受けているかわからない。
であるならば、外から行けばよいのだ。幸いにも二度にわたる仲間の砲撃によって艦の側面に抉じ開けられた穴はコアマシン・ルームに直通している。
高く飛び上がり、シャルロットとともにその穴に飛び込んでゆくアリシア。
だが、敵もやはり重要区画を無防備にはしていなかった。いや――もっとも守りを厚くしていた場所こそコアマシン・ルームであったのだ。
スティールエッジにしてみれば、自身が大破しようと撃破さえされなければ無限に補修部品を生み出すこのメガリス・コアマシンを守り抜けば不滅も同然、猟兵や島民を殲滅する過程で多少無茶な戦いで傷ついたとしてもそれは精算できる傷だと考えていたのだろう。
スティールエッジの不死じみた耐久力を保証するこの装置を守る為に配備されていたのは、先程水上で交戦した海戦型ウォーマシンの部隊。
『我等の悲願を、希望を奪わせはしない……!』
「それが他者の希望を奪いに来た者たちの言うことですか!!」
灼かれ、抉り取られた破孔を輝く翼で駆け抜けるアリシアへと連射される誘導弾の嵐。
それを迎え撃ったのは、アリシアの腕に抱えられたシャルロットであった。
「錬鉄から蒸気へ、蒸気から電子へ、電子から鋼鉄へ――」
喚び出された聖なる盃、即ち父なる者の血を受けたることで加護を得た万能の願望装置を模したそれがシャルロットの意のままに姿を変えてゆく。
左手に盾を持った人型に。背には重力下を逞しく飛翔するスラスターを。そして右手には敵機を撃ち抜くための重機関銃を。
「アンタたちがコアマシンが生み出したものなら、こっちはそれ以上を召喚するまでよ!」
ミサイルを盾で受け止め、マシンガンの弾幕で第二波を迎え撃ちながら先んじて降下してゆく鋼の兵団。それが海戦型ウォーマシンと激しい戦いを繰り広げるに際して、シャルロットは勝ち誇る。
性能は常にそちらより上にある、負ける道理はありはしない――と。
『そうだ、その目だ――その目は知っている。反乱軍の連中と同じ目をしている』
『ならば負けん。二度目はない』
『我等海兵、あらゆる障害を踏み潰し進むもの! インペリアルマリーンを侮る者に、勝利の美酒を与えるなかれ!』
――敵の動きが変わった。アリシアとシャルロットが瞠目するほどに、その機動は凄まじい。
一機がミサイルの連射で盾を構えさせ、もう一機が徹甲弾で側面から脚部を破壊する。
そして回り込んだ最後の一機がヒートカトラスで機動兵器の頭蓋を叩き割れば、一瞬の内に一機が沈黙してしまう。
「まだよ、このデータを反映してリアルタイムでアップデートを――」
『それが姑息だと言う! 小手先の細工で、図面の上の有利で戦争に勝った気になるか!』
一機、また一機。性能は間違いなく向上し、既に海戦型ウォーマシンなど比較にならないスペックを得ているはず。だというのに翻弄され、次々に落とされてゆく友軍機。
「私が戦争を知らないから勝てないっていうの……!? 確かに私はあの戦いに参加したわけじゃない。でも、帝国と解放軍の戦いで多くの犠牲が出たことはしってる。あんな戦いを繰り返そうとする連中を認めるわけには行かないのよ……!」
『信念、それに性能差。いつだって解放軍連中はそんな夢想に縋って戦っていた』
『だから我々は否定してみせよう、そんなものは無力であると!』
また新たに一機。逐次増援を降下させてゆくシャルロットだが、コアマシンに辿り着くものは未だ一機も現れていない。
本当に彼らのいうとおりなのだろうか。願望器に任せ、性能有利な兵器をと願い、それだけで勝ったと思ったのが間違いだったのか。
敵兵の言葉に呑まれかけたシャルロットを引き止めたのは、黙して聞くことに徹していたアリシアだった。
「確かに彼らの経験は恐るべきものです。私達では届かない程に戦争慣れしている。でも――私達がしていることは戦争じゃありません。島の人達を助けるための戦いです。……でしょう、シャルロットさん?」
「――その通り!!」
アリシアの言葉に応じたのはシャルロットではなく、その後方から猛然と飛び込んできた白の巨体であった。
パワードスーツ形態と化したオベイロンを装備し、ティターニアを強化ユニットとして接続したアイ。彼女のレーザーガトリングが放つ光の雨が不意打ち気味に一機を撃破し、さらにもう一機を着地のついでに踏みつけ蹴り飛ばし、流れるように荷電粒子ブレードで一機を両断。
「この世界にSSWの技術で、SSWの怨念で破壊を齎させるわけにはいきません!」
援護を。短く託された想いにシャルロットは頷き、アリシアの腕の中から飛び降りてゆく。
カタログスペックの有利を、万能を追い求めるのは此処までだ。
此処から先投じる機体は、仲間をコアマシンに送り届けるためのもの。
盾はより大きく。装甲はより厚く。オベイロンを護り、目標に送り出すために特化した機動兵器はウォーマシン軍団の攻撃に今度こそ耐えきった。
「損傷機は離脱、後続は抜けた穴をすぐに埋めなさい! アイを追わせちゃ駄目よ!」
我を取り戻したシャルロットの命令の元で鉄壁を示す兵器達。
その壁を背にコアマシン破壊に駆けるアイ。
それを空中から見下ろして、アリシアは歌う。世界の未来を望む歌を。明日を望む歌を。これを求める人を応援する歌を――
――さぁ手を
「猟兵の皆が絶対に助けてくれる、諦めないで耐えて!!」
甲板で戦うリシィのブラスターは既にエネルギーを吐き出し切り、彼女はマリアから借り受けたガトリング砲で押し寄せるバトルドロイドの群れをなぎ倒しながら必死に戦士たちを励ましていた。
――取り合い開いた
「ぐおおおおッ!! くそァ、島長舐めんなァァ!!」
リシィがマリアと合流するための一瞬の空白を埋めるべく、ほんの一歩だけ多く踏み込んだウガハの分厚い筋肉に錆びつき折れたブラスターの鋭利な断面が突き立てられる。流れ出る赤い血に、神経を焼くような痛みにそれでも怯まず、長は長としての責務を果たすべく最前線に立ち続ける。
――世界を映すのは
「オブリビオンとして蘇ってしまったのよ。意味を為せず、価値も残せず、骸の海に還りなさい。……無情だけれど」
甲板で戦い続ける友を救うべく、アイを猛追せんと捨て身の攻勢に出る敵に無慈悲に、しかしその表情に僅かな哀れみを込めて告げるシャルロット。オブリビオンでなければ、あるいは穏便な落とし所が見つけられたのかもしれない。けれどそれはもうどの世界にもありはしないのだ。
――他の誰でもない
『行かせるな…………! 我等は、いや……大隊長殿を、宇宙へ……! それが我等から祖国への最後の…………!』
我が身を捨て、次々にシャルロットの機械人形に体当りしては自爆してゆく海戦型ウォーマシン達。さしもの重装甲機でも自爆を受けては耐えきれず、防衛線はじわじわと破られてゆく。けれど、手を取り合い未来のために己の足らぬところを補い合って戦う事を知る人々を破ることは、彼らにはもう――
――私だと叫んで
「そう……私と、仲間たちの力を――」
オベイロンがついにコアマシンに辿り着く。
淡く輝くメガリス・コアマシンの光を浴びて、その幻想的な光景の中に宿る帝国の妄執を今度こそ完全に打ち砕くべく、荷電粒子ブレードを大きく振り上げて。
「思い知ってください!!」
――刃の突き刺さったコアマシンが放つ閃光が、まるで真昼のように鮮烈に、それでいて月光のように柔らかにD・ザードを、そしてGLSアーク204を照らして消える。
――敵の再生能力の根幹たるメガリス・コアマシンは破壊された。
無尽蔵にも思える耐久力は、それを保証するバトルドロイドの限りない増援は断たれた。
スティールエッジを倒し、その願いを否定するための最後の戦いが始まろうとしている。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ミスタリア・ミスタニア
デストロイウォーマシンか
此処にいるのはオレらスペースシップワールド出身からすりゃありがたいんだがな、厄介な敵が別世界に消えてたわけだし
だが、帝国軍と戦ってた身としちゃ見逃す理由はねぇよな
いいぜ、帰りたいっていうならあの宇宙じゃなく骸の海に還してやるよ!
プラズマジェット全開で捨て身の突撃だ!
避けられるものは避けて、迎撃出来るもんはビットで迎撃して、無理ならビームシールドで受けながら敵を目指して飛んでいくぜ!
懐に飛び込んだら対艦用大型パイルバンカーで装甲ぶち抜いて、そのまま装甲の裂け目にメガビームランチャーの銃口押し当ててゼロ距離での対艦ビームをお見舞いしてやる!これが【グリュンシュトゥルム】だ!
トリテレイア・ゼロナイン
承りました、ウガハ様、リシイ様
皆様の島、必ずや守り通してみせます!
元、式典・要人護衛用銀河帝国製ウォーマシン、トリテレイア・ゼロナイン
今を生きる無辜の人々の為、裏切り者の騎士として、その野望阻ませていただきます!
●武器受け●盾受けで攻撃を防御しながら●怪力での剣と盾用いた近接戦闘
センサーでの●情報収集で装甲内部駆動音や展開時挙動を●見切り多様な装備の投入に対応
至近距離での格納銃器で関節部を狙った●だまし討ち…!
流石に私達の十八番はお見通しですね
ですが…対処すると確信していましたよ!
対応直後の敵へUCで追撃
捕縛し電流で拘束、振り回して地に叩きつけ
ワイヤ巻き取り、損壊した装甲へ●シールドバッシュ
●
閃光が夜の海を塗り替える。
目の眩むような眩さだったはずだが、収まってみればそれは幻だったのかと錯覚しそうなほどに視界には何の影響もなく、しかし眼前で激しくぶつかり合う島の戦士たちと帝国の兵士たちの戦いはそれを機に明確に戦士たちの有利に傾きつつあった。
無限の敵増援に終わりが訪れたのだ。この千載一遇の好機、一気に戦線を押し返し猟兵を助くのだと島の人々は奮起する。
敵からもぎ取ったブラスターでバトルドロイドの頭部を殴りつけ、大事に温存した弾を惜しみなく使って喇叭銃で数体まとめて吹き飛ばす。カトラスや短剣で駆動部に傷を刻み込み、あるいは素手で力任せに引き倒して仲間がトドメを刺すための好機をこじ開ける。
誰もが己にできる精一杯を尽くし、遙か空の上からの侵略者を打倒するべく戦っている。
そしてその先陣に立つのはやはり、長であるウガハとその後継者であるリシィの二人だった。島を出てから常に最前線に立ち続けた二人はもはや満身創痍だ。
リシィは愛用のブラスターがもう使い物にならず、猟兵から借り受けた機関砲も弾が尽きたならばと踊るような身軽さだけを武器に装甲相手にはあまりに非力な短刀だけを握りしめ、危険と紙一重をすり抜けバトルドロイドに刃を差し込んでゆく。
ウガハはそれ以上に傷ついていた。娘と島民と、その全てを守るように立ち塞がり常に数体をまとめて相手取っていた男の、巌のような分厚い肉体には打撃された青黒い痣だけでなく、折れたブラスターやドロイドのフレームの破片が突き刺さり月光を浴びててらてらと輝く血を滴らせている。
それでも退かぬ。あと一息、あと一息を耐えれば勝ちの目が見えるのだと、彼らは信じて戦っている。
そんな島民たちの精神的な支柱である長と水守の娘が、どうして傷付き矢弾が尽きた程度で退けようか。
「……いいえ、後は私達にお任せください」
だけれど、それは違う。トリテレイアは、純白の騎士は、島民たちを支え守る長達をさらに守るように、彼らの前に立って剣を振るった。
一閃でフレームを断たれたバトルドロイドが次々に機能を停止して倒れてゆく。
「あなた達の役目はこの先も生きて皆様を護り導くこと。この場で負うべき危険は全て私達のものです」
無理は禁物だ。諭すようなトリテレイアにウガハはだが、と口を開きかけ――それをリシィが遮った。
「……お父さん、この人の言うことが正しいよ。あたしはまだお父さんに教えてもらってないことがたくさんあるし、あたしが死んだら次の水守だっていない。……お願いしても、ほんとにいいんだよね?」
リシィの目をしっかりと見つめ返して、白騎士は確りと頷いた。
「承りました、リシィ様、ウガハ様。皆様の島、必ずや守り通してみせます!」
「厄介な敵が宇宙から消えてくれてありがたいんだがな。オレたちの尻拭いを他の世界の連中に押し付けるってのも居心地が悪ィのさ!」
炎が燻る甲板を一陣の翠風が駆け抜ける。涼やかに海のような緑色の髪をなびかせて、光の盾を構えて紅の鉄巨人と相対する風の名を、ミスタリアという。
『わざわざ追ってきたと? 小狐が猟犬にでもなったおつもりか!』
舐めるな、とスティールエッジが怒号と共に焼け焦げ融け落ちた外套装甲の隙間から残り少ない銃砲を突き出し、実弾もレーザーもあらゆる火力でもって風を止めるべく砲火の嵐を巻き起こす。
「この速度ならまっすぐ翔ぶだけでちったぁ避けられると思ったのによ……なんつー精度だよ!」
デストロイウォーマシンの名は伊達ではないということか。生半な砲弾より疾く駆けるミスタリアに正確に砲撃をぶち当てて来るスティールエッジの能力に悪態を吐きながら、随伴するビットを身代わりに――それが全滅すれば光の盾で受け流して、突撃のチャンスを伺うミスタリア。
――好機は、しかし訪れない。
濃密な弾雨を切り抜けることは、旧解放軍のエースであっても至難であろう。
それが重力下、まして気圏ともなればミスタリアの速度も宇宙ほどの領域には至れない。そして敵は宇宙で数多の鎧装騎兵を葬ってきた帝国至高の兵器の一角なのだ。
『コアマシンを破壊し、増援を断った……波状攻撃で私を中破にまで追い込んだ……海兵隊の主力本隊をすら打ち破ってみせた。いずれも尋常の戦闘力ではないことは認めましょう』
しかしそれでも足りぬのだ。必ずや宇宙に還るという、確固たる信念を抱えた己には及ぶまい。
砲身の過熱、それによる誘爆をも恐れず弾幕を張り続けるスティールエッジ。攻めあぐねるミスタリアはその速度が故に僅かなミスですら致命傷に直結するならば、じりじりと神経を焼き焦がすような集中状態を途切れさせることはできない。
集中力の尽きた時、それが砲撃に呑み込まれ己が朽ちる時だ。危険極まる状況に獰猛に笑うミスタリア。好機は必ず来る。そこに最大火力を叩きつけるのが彼女の役目なのだから。
「――そう、私達は一人で戦っているわけではありません!」
ミスタリアを追い回す銃口を斬り落とす白刃。弾薬に誘爆して砕け散るそれの、僅かな爆炎に照り返された白い甲冑じみた装甲にスティールエッジは忌々しげな視線を向けた。
「元、式典・要人護衛用銀河帝国製ウォーマシン、トリテレイア・ゼロナイン――今を生きる無辜の人々の為、裏切り者の騎士として、その野望阻ませていただきます!」
『やはり同胞、帝国への忠誠を忘れた粗悪品め!!』
ミスタリアを砲撃で牽制しながらカトラスでトリテレイアを滅多打ちにするスティールエッジ。一見すると理知的であったその人格は、トリテレイアを見た瞬間から憎悪に熱く煮え滾っている。
「私は本当に守るべきものが陛下以外にも存在することに気づいたまでのことです。貴方だって本当はそうなのではないですか!?」
振り下ろされる刃を立てで受け止め、薙ぎ払う刀を剣で弾いて――不意に開いた装甲から突き出した機銃が、損壊したスティールエッジの背骨型フレームを狙って弾丸を吐き出す。
『戯言で惑わそうなど、飾り立てることしか能のない儀典機の考えそうなこと!』
不意打ちの奇襲はされど読まれていた。弾丸は傷を守るようにクロスした、数対のうちのひと組の腕に阻まれる。
「流石に私達の十八番はお見通しですか。ですが貴方が対処してくることはこちらも確信していました!」
機体としては上位機種、性能面でも己に勝るデストロイウォーマシン。それが同じ所属であった機体の不意打ちを予測し対応してくることなど想定できること。
そして身を守るために引き込んだ腕のおかげでその他の腕は活動の自由度を制限された今こそがトリテレイアの望んだ好機だ。
「多少行儀が悪い行いですが、不意打ちを挑んだ以上は手段を選ぶつもりはありません!」
トリテレイアの両腰から放たれたワイヤーアームがクロスしたスティールエッジの腕に絡み、確りと掴み取る。
「少々大人しくしていただきます!」
そして流れる電流。多少の高圧電流には耐えるようシールドされていたはずのデストロイウォーマシンも、ここまで傷を付けられていてはひとたまりもない。
僅か数秒の硬直を見逃すことなく、トリテレイアはその怪力でデストロイウォーマシンを引っ張り、振り回して放り投げる。
――その先にはまっすぐに駆け抜けるミスタリアが居る。
「いい援護だな、トリテレイア! スティールエッジ、そんなに帰りたいっていうならいいぜ、帰してやるよ!」
自身もバラバラになるほどの高速での衝突。それを恐れず、ミスタリアはまっすぐにスティールエッジへと接近し――
「ただし行き先は宇宙じゃなくて骸の海だがな」
がしゅん、という機構の作動音と。
耳をつんざくような金属の悲鳴。
ミスタリアの放った対艦パイルバンカーが外套装甲の残滓を粉々に打ち砕く。
『ぐ、おおおおおおあ!』
「まだまだ! このままいっちまえよやァ!!」
まだ止まらぬ。砕いた装甲の孔にバンカーの銃身をねじ込み、次はビームをゼロ距離で浴びせかける。
『反乱分子と裏切り者の帝国軍機が協力をするなど……!』
そんなものを今の宇宙が認めているというなら。
『帰らねば……帰って、私が正さねばなりません…………ッ!!』
――妄執はもはや言葉でも拳でも止められない。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アコニィ・リード
地形を利用し部隊を迅速に展開するわ
こっちの海兵隊は健在だよ! 海兵は死なない!
パワードスーツを着込んだイルカの群れが
思い思いの武装を手にずらりと整列し集団戦術!
そして戦闘用ウォーマシン部隊と交戦開始!
相手は機械なんだからショートさせちゃえ! 電撃弾用意!
数こそパワーなんだからね、絶対に負けないわ!
わたし自身もオトシゴロッドに魔力を溜めて
高速多重詠唱の全力魔法――限界突破した稲妻の乱れ打ちで
デストロイをデストローイしてやるのよ!
ドーピングで意識を持たせて――そうよ、元気があれば何でも出来る!
あのスティールエッジを絶対に止めてやるんだから!
エドゥアルト・ルーデル
好き勝手飛びやがって!この空が誰の物か教えてやる
という訳だリシィ氏、拙者は敵の顔を拝んでくる
【流体金属】君をあえて左手のみ纏い、【飛翔するウォーマシン】を狙って触手を伸ばさせる
敵のウォーマシンの手足に巻き付かせたり腹部を触手で貫通させたりしながら敵をド・ダイ代わりにして空を跳び回るでござる
他のウォーマシンに飛び移る際は銃弾で止めを刺してからですぞ
ある程度敵が減ったら飛び乗った一体を機能停止させ質量弾代わりに指揮官機にぶつけさせ囮に
自身も自由落下しながら流体金属を剣状にして流し斬り、及び流体金属のソウルスティールですぞ
完全に入ったら即撤退!
お前もその(海兵隊の)仲間に入れてやるってんだよォッ!
●
「敵の物量は落ち着いたみたいだね! でもこっちの海兵隊は健在だよ!」
アークに受け継がれていた宇宙の武器を振るう島長父娘が一時撤退したことで、壊滅寸前ながらも僅かに勢いを盛り返したバトルドロイド軍団。
もはや大局は決している。それでも一矢報いようという執念だけで戦士たちを追撃しようとするその前に、異形の軍勢が割り込んだ。
黄金色の人工筋繊維で編まれたスーツを身にまとうことで地上の重力に耐える術を得た彼らは、紅のボンベを背負って次々に船上に上がってくるそれらは、目配せも声を掛け合うこともなく高度に統率された動きで一斉に電撃銃を構えて敵を撃つ。
高圧電流を直撃せしめたバトルドロイドはたまらず自己を強制終了し、ガシャガシャと音を立てて倒れゆく。
それを彼らは海に蹴落とし、残敵を掃討せんと無言のままに戦闘を継続する。否、無言ではない。人間やウォーマシンたちでさえ認識困難な超音波で意志の疎通を図る、生まれついての特殊部隊。
その姿を見た島の戦士の一人が思わず叫ぶ。
「イルカがせめてきたぞっ!!」
「なんなら飛ぶよ!!」
アコニィが召喚したイルカ海兵隊。
彼らが海兵隊であるならば、陸海は当然として空もまた彼らの戦場である。
頭上のプロペラを高速で回転させ、尾鰭で空を打って飛行する攻撃型フグの側面に増設されたスキッドに腰を掛けたイルカ海兵が、戦争は地獄だぜとでも言いたげに固定式の大型電気機関銃を掃射して敵をなぎ倒せば、空いた空間に強襲揚陸を仕掛けた水陸両用歩兵戦闘巻貝が乗り上げ、撃破されたバトルドロイドを粉々に踏み潰してキャビンからさらなる増援部隊を戦場に送り出す。
「ふふん、数こそパワーなんだよ。あなたはよーっく知ってるだろうけどね!」
もはや一方的にバトルドロイドを掃討する勢いで戦闘を進める海兵の働きに自信満々の笑みを浮かべてスティールエッジと対峙するアコニィ。
その背後でフグが不遇な表情で爆炎を吐き出し、くるくると錐揉みしながら海に落ち盛大な水柱を上げた。
『…………確かにこの物量を短時間で展開した手腕はお見事です』
ビームの残滓を微かに纏ったブラスターを降ろし、スティールエッジはアコニィを称賛する。強弱の格差が激しく、足並みを揃えることにまず注力せねばまともな軍事作戦を挑めなかったかつての反乱軍の連中よりもよほど手強い。
『ですが生物風情が我等に勝とうなどと笑止、それは有り得ない妄想に過ぎません!』
残存したバトルドロイド部隊がジェットパックを展開し、空へと飛び上がる。此処に至ってスティールエッジは隠し玉を切ってきたのだ。
まともな整備を受けていない装備では空戦機動どころか長時間の滞空も出来はすまい。だが脅威となりうる攻撃型フグは既に撃墜され、イルカ海兵の航空戦力は既にない。
空からの爆撃――ほとんど投石と変わらぬ、破壊された同胞のパーツを放り落とすだけの攻撃は単純だが確実に海兵達に出血を強いていく。
『我々はあなた方が生まれるよりずっと昔から戦闘に参加し、あらゆる状況下での戦術を研究しているのです。例え数で劣ろうとも最後の一兵まであなた達に損害を与え続ける、いいえ、あなた達を殲滅し空に帰るために!』
「好き勝手飛びやがって! この空が誰のものか教えてやる」
負傷したウガハを庇い、治療を受けさせるため撤退する戦士たちを護衛していたエドゥアルトは、頭上に現れた敵のドロイドに拳銃を発砲しながら悪態を吐いた。
対空戦闘など想定外の戦士たちはこの状況では非武装の民間人とさして変わらぬだろう。まったくもって嫌なタイミングで嫌な戦力を投じてきたものである。
「敵の指揮官はよっぽどいやらしいやつに違いありませんぞ。擬人化したらグラマラスでセクシーな女提督ってところでござるな……まあそれはどうでもいい」
何言ってるんだこいつ、という視線を向けるリシィに気にするなと手を振って、エドゥアルトはその左腕に銀色の流体金属を巻きつける。
「というわけでリシィ氏、そっちはいい感じに退いてくだされ。拙者は敵の顔を拝んでくる」
「は? この状況でそんな無茶な…………ちょっとヒゲのおじさん!!」
再び爆撃を敢行せんと急降下してきたバトルドロイドにエドゥアルトが左手を向ければ、その意を汲んだ流体金属が触手のように細く伸びて敵機を貫通してみせた。
そのまま装甲の裏側にぞるぞると入り込み、機体のコントロールを物理的に掌握した流体金属。敵機が完全に支配下に置かれるやエドゥアルトはその背に飛び乗り、戦場へと舞い戻ってゆく。
そうなれば流石に敵も異常に気づいた。何しろ追撃に出たはずの僚機が背中に猟兵を乗せ、おかしな機動で戻ってきたのだ。
機体はまだ生きている。識別信号も友軍。だが、その動きは明らかな敵。僅かな混乱から立ち直るのに要した数秒の間に、エドゥアルトの銃撃がバトルドロイド達の思考ユニットを穿き撃ち落としてゆく。
「ヒャッハー! 七面鳥撃ちでござるな! 七面鳥って飛ぶんだっけか?」
※七面鳥はごく短時間であれば飛ぶ。
なるほど今のバトルドロイド部隊はまさしく七面鳥であった。ローストしても美味しく戴くことができないという点を除けば。
「さぁて空は随分きれいに片付いたでござるが……」
眼下、甲板上ではアコニィとスティールエッジが激しく撃ち合っている。さて、あの凄まじい砲撃と魔法の渦へどう切り込んだものか。
「デストロイなんとか! 名前通りにデストローイしてやるわ!!」
『よく回る口先でいらっしゃる!』
次々に着弾する砲撃が、撒き散らされる熱風と細かな破片が集中力を削っていく。
対抗するために幾重にも重ねた大魔法が魔力と同時に意識すらも引き剥がして持ち去ろうとしてゆく。
そんな状況でもアコニィが折れないのは、なんとしてでもスティールエッジの暴挙を止めるのだという覚悟と決意、そしてちょっぴりのドーピングのおかげであろう。
そして執念のぶつかり合いは、連戦に次ぐ連戦を経験したスティールエッジの火砲の一門が負荷に耐えきれず自爆したことで大きくアコニィに傾いた。
「くらえ――特大の雷をっ!」
魔導によって誘われた落雷がオーロラを切り裂いてスティールエッジを穿ち、その強烈な電荷に彼の緑色の眼光が明滅する。
「よっしゃ隙あり! もらいましたぞ!」
この一瞬を逃さず、エドゥアルトはバトルドロイドから流体金属の接続を切って飛び降りた。
分離の寸前完全に制御系を破壊されたドロイドはそのままスティールエッジに向けて墜落し、衝突の衝撃で巨体が揺らぐ。
「――行くぞ流体金属君。お前もあいつらの仲間に入れてやるってんだよォッ!!」
撃ち落とされたバトルドロイドも、海に沈んでいった海戦型ウォーマシン達も、敵は皆スティールエッジを宇宙に上げる為に散っていった。
そんな上官思いの部下のところへ送ってやると慈悲を込めて、左腕に流体金属の刃を帯びたエドゥアルトが落下の勢いのまま斬撃を叩き込む。
「流し斬りが完全に入った……! 勝ったでござるな!!」
「ばか、おじさん後ろ!!」
どやぁ、と決めポーズを決めるエドゥアルトの背後、アコニィが指差す先で大ダメージを受けたはずうのスティールエッジが再び執念の再起動を果たす。
「うおおおおおお!? 撤退、撤退でござる!!」
「うわ逃げ足速っ!! イルカ海兵隊も撤収! 戦線を引き直すよ!!」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎
さすがに物量で圧されるとあの人たちじゃキツイわよねぇ。
そう長くは保たないでしょうし、できる限り速攻で沈めないと。
UCをコピーされるのは厄介ねぇ。あたしのは技能を昇華させたのがほとんどだから、相手にも使いやすいのが多いし。
だとすると…これかしらぁ?
前哨戦で〇騎乗してたミッドナイトレースでそのままテイクオフ。全速でブッ飛ばして○鎧無視攻撃の●粛殺で三次元機動戦仕掛けるわぁ。
これで強化されるのはただの武器じゃなくて、あたしの「オブシディアン」と「アンダラ」だもの。コピーされても問題ないわよぉ。
(ホントはグレネードも、だけど。使わなきゃバレない…わよねぇ?)
チトセ・シロガネ
『帝国の亡霊は斬らねばならナイ、それがボクのフェイトネ』
早業で取り巻きの一帯を足蹴にして飛び掛かり、稲妻のように強襲。
刃の太刀筋を第六感で感知し、怪力とオーラ防御でいなして無理やり押し込むネ。
『さぁ、抜きナ』
相手がジェノサイドトリガーを発動と同時にUC【光輝体系】を発動、電気を纏い、相手の懐へさらに深く踏み込み、刃の一点を狙って弾く、狙うは刃の疲弊。
『その刃ごと圧し折ってやるネ!』
火花咲き誇る攻防からいったん距離を取り、カタナを鞘に納めて抜刀の構えへ移行。リミッターを解除し、念動力を込めた最高出力を誇る稲妻の刃(属性攻撃)で振り下ろされる刃、脆くなった一点、そしてその首を狙って打ち込む!
●
「こう何度も起き上がられると流石にキツいわねぇ。持久戦じゃ不利だと思ってできる限り速攻で沈めないと」
「どっちみち帝国の亡霊は斬らねばならナイ、それがボクのフェイトネ」
再起動を果たしたスティールエッジの目にはもはや理性の光すら乏しいように見えた。
元より妄執に取り憑かれていた機体ではあったが、その様相は取り憑かれたという域を越えて取り込まれてしまったとでも言うべきであろうか。
敵を殲滅する。
宇宙に帰還する。
帝国の為に戦い続ける。
彼の思考ユニットに刻み込まれた強烈な想いだけが今のスティールエッジを動かす全てであり、その姿は海兵指揮官ではなくただの戦鬼だ。
まさに文字通りの亡霊。それを屠るのだとチトセは電光石火、稲妻の如き瞬速で距離を詰める。
それを援護するのはミッドナイトレースに跨るティオレンシアだ。速度に長じた二人の猟兵が上下から挟み込むように攻めかかる。
ティオレンシアのオブシディアン――リボルバー拳銃の銃弾が狂乱するスティールエッジの腕を弾き、チトセ目掛け振るわれるはずだった刃を跳ね除ける。
「援護助かったヨ!」
無理矢理に逸らされた迎撃を更にダメ押しで押し込んで、活路をこじ開けるチトセ。
『く、おお…………反乱軍如きに、私達の悲願を……!!』
「その刃ごと圧し折ってやるネ!」
懐に飛び込み、破壊された装甲の裏側から改めて突き出されるフォースカトラスを刃で弾く。
歴戦のスティールエッジもチトセの光速の連撃に対応してのけ、凄まじい速度で剣閃が吹き荒れる――その一方でティオレンシアもまた、多腕の戦鬼と激しい銃撃戦を繰り広げていた。
チトセの対応を一振りのフォースセイバーでこなしてのけるスティールエッジの残りの腕が、手に手に銃を握りしめてティオレンシアへと弾幕を張って追い立てる。
「腕が多いってそれだけで厄介ねぇ……!」
これが機銃座のような固定砲であったならば、可動域の限界まで機体を機動させて振り切ることもできただろう。
だがフレキシブルに可動する腕で死角を潰すスティールエッジの前に、ティオレンシアはそれ以上攻め込むことができずにいた。
「そろそろ切り時かしらねぇ。相手はユーベルコードをコピーしてくるのが少し不安だけど」
粛殺。殺意を研ぎ澄ませ、手にしたオブシディアンの性能を三倍に強化する。
理屈の上ではコピーされたとてオブシディアンを持たないスティールエッジだ、オリジナルほどの性能を発揮することはできまい。
弾幕の薄くなるよう距離を取り、三倍射程を頼みに強力な拳銃弾を腕のフレームに叩き込むティオレンシア。
チトセと激しく戦う傍らでその銃弾はスティールエッジの腕を一本、また一本と撃ち落とす。
だが。
『ユーベルコードを使わなければこうはならなかったのですよ!』
突き出された腕はティオレンシアの活躍で大きく数を減らしていたが、そのいずれにもオブシディアンとよく似た銃が握られていた。
なるほど劣化コピーを数で補う運用であれば、オブシディアンを持たないスティールエッジにも可能な複製方法ではあるだろう。
その弾幕がティオレンシアに襲いかかるに至って、彼女は封じていた切り札を切る。
「チトセさん、コピーされたらごめんなさいねぇ!」
「もう充分ピンチネ! これ以上は誤差ヨ誤差!」
放り投げられたグレネードは甲板を転がり、チトセが高く飛び退った直後に激しい爆発を起こす。
そして、
「此処がチャンスネ! さぁ、抜きナ!」
大爆発で甲板を破壊し、艦内まで転落したスティールエッジ。その頭上からチトセが飛び降りてゆく。
カタナを鞘に収め、自身の義体に施されたリミッターを全て解除。全力の念動を込めた刃は鯉口から青白い稲妻をほとばしらせて――
スティールエッジの放ったコピーオブシディアンの弾幕ごと、その頭部装甲へと居合い一閃が滑り込む。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
デストロイウォーマシン……!?
そうか、アンタ達は修理資材としてもアークを狙ってたのか!
コアマシンだけじゃねぇ、お前らに奪わせる物はなにもねぇよ!
ここが正念場だ相棒、一気にフルスロットルだ!
全速力で『ダッシュ』しながら躍り込み、
【人機一体】となってスティールエッジへ殴り掛かる!
まぁ、挨拶代わりの『フェイント』さ、
そのまま横っ飛びに飛び退り、
メーザーの『属性攻撃』を織り交ぜた『グラップル』を仕掛けるよ!
目標は奴のアームの関節部、
メンテはしっかりしているのかいっ?
ガンアームをへし折りがてら、
電撃の『マヒ攻撃』もおまけにぶち込み動きを阻害するよ!
●
「そうか、アンタ達は帰るための修理資材にしたくてアークを狙ってたんだね……」
奪わせるつもりはない。奪っていいものなどありはしない。
けれども、これは。
「……そんなになっちまって。悪いね、宇宙でアンタ達を壊してやれてりゃ苦しまずに済んだろうに」
強烈な一刀の下、巡洋艦D・ザードの船首はすぱりと斬り落とされて海に沈んだ。
その断面に立ち、呆然と空を見上げている影がある。
紅だった装甲はほとんどが焼け焦げ融解し、地金の鈍色と煤の黒に汚れている。
ありとあらゆる武装を使いこなした無数の腕はほとんどが半ばから捻じれ砕けてへし折れて、辛うじて数本だけが武器を握るも力なくだらりと垂れ下がっている。
帝国の威圧の象徴であった頭部装甲に輝く単眼も今にも消えそうなほど弱々しく明滅して。
死に体のデストロイウォーマシンは、破壊された乗艦の傷痕に立って星空を見上げていた。
「同情はするさ。けどね、コアマシンも資材も、島のみんなの命も……アンタ達に奪わせる物は何もねぇよ!」
壊れかけの機械兵士にくれてやる最後の情け、それは此処で確実にその電脳を破壊し、叶うことのない妄執の呪縛から彼を解き放ってやることだけ。
水面を駆けるバイクのアクセルを全開にして、多喜は船の断面から飛び込みスティールエッジに慈悲の一撃を叩きつけるべく駆け出した。
「気合入れろよ相棒、いくぜ。アタシたちは一心同体さ!」
多喜の声に応えるようにバイクが一際高く唸り、そのパーツを展開して無二の相棒を包み込む。
そのまま更に加速。一直線に接近するパワードスーツに身を包んだ多喜に対してスティールエッジは視線を向けることもない。ただ、その行動原則の根底に刻まれた自己保存の欲求に従って腕が半ば自動的に銃をもたげ、迎撃を開始した。
「見ないで迎え撃つなんて、尚更当たってやるわけにゃいかないね! こっちくらい見たらどうなんだ!」
妄執と絶望の間で壊れてしまったのだろうか。あまりに哀れな姿に思わず鼓舞すらしながら、多喜は横っ飛びに迎撃を回避して反撃のメーザーを浴びせ撃つ。
熱線を浴びてもなお、スティールエッジは動かなかった。
「ああそうかい、そっちがそういうつもりならもう何も言わねぇ……」
ならばただ、一機の敵として破壊するのみ。
破片の一つも回収できたなら、故郷の恒星に焚べてやろう。
「せめて苦しまずに――」
懐に飛び込み、錆びついたアームをへし折りがてらに縦一文字の傷を刻まれたヒビだらけの頭部装甲に拳を叩き込む。
最大出力の電流を直接施工ユニットに流し込めば、さしものデストロイウォーマシンといえど――
『――――嫌だ。私は、私はあの星空に帰るんだ。皆を連れて、必ず』
その拳が激突すると同時に、弱く明滅していたスティールエッジの眼が再び光りを取り戻した。
――電流が流れ、紅の機体を伝って大破したD・ザードの電気系統に強烈な負荷がかかる。
バチバチと艦内の至るところで火花が散り、何かに誘爆したのか振動が続く。
だが多喜はそれが勝利の狼煙ではないということを至近で見てしまった。
「ユーベルコードをコピーしてくるとは聞いてたけどさ……そりゃ、冗談が過ぎるんじゃないかねぇ……!」
間一髪、崩落する巡洋艦から飛び出した多喜。
振り返った背後では、母艦を取り込み執念の怪物へと変貌していくスティールエッジの最後に見えた紅い頭部がD・ザードの構造物に押しつぶされたくしゃりという音がいやに大きく響いていた。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
【エイル】
赤い機体とはいえ、3倍速く動かないなら、
そこまで脅威じゃないかな!
わたしは引き続き支援と補給メインで動かせてもらうよ。
【ネルトリンゲン】から【砲撃】で【援護射撃】しつつ、
【E.C.O.M.S】でユニットを飛ばして、
リシィさんたちの援護もしながら、ドロイド兵を駆逐していこう。
ドロイド兵との戦闘に終わりが見えたら、
ユニットをスティールエッジに突撃させるね。
三段フォーメーションで、堕とす気で全力攻撃していくよ。
一段目で目くらまし、二段目で防御を削って、
三段目をぶつける感じでいきたいな。
「【Octagonal Pyramid】三連突撃!」
エイルさんのお手本になれていたら、いいのだけど、ねー。
彩波・いちご
【エイル】
こんな海でもまだ銀河帝国の妄執続いてるんですね
戻ってきたジルさんに、エイルさんのフォローを頼まれ、頷いて送り出します
「無理はしなくていいですからね?」
エイルさんにはそう言い含めて、いつでもフォローできるように四尾の姿……邪神の依代体に変化しておきます
狐火を呼んで援護攻撃しつつ、周りにも気を配っておきましょう
「くっ、ここからが敵の本気ですか!?」
完全殺戮モードになったスティールエッジが突っ込んできて、動きのぎこちないエイルさんを狙って!?
「させません!」
【異界の守り】の防御結界でエイルさんを守り、同時に結界で敵を押し返して隙を作りましょう
「今です!」
最後はジルさんとエイルさんに任せます
ジル・クリスティ
【エイル】
理緒の空母にいったん戻って休息と打合せ
いちごにはエイルのフォローを任せて、無理はしないように言い含めて
再び鎧装の出力全開で発艦!
大巨人(ジル視点)が相手だろうと、私のやる事は変わらないよ
「帝国の名を掲げるものに屈したりはしないっ!」
宇宙で育った私だから、帝国とたたかうのは義務みたいなものさっ
攻撃をかわしながら、その巨大な身体(ジル視点)の懐に飛び込んでいく
僅かでもかすめたら吹き飛ばされるだろうけど、ギリギリを見切って避け
オーバーヒートの隙を狙い、ライフルを突きつけ
「なりは小さくても、負けたりはしない。喰らえっ!」
零距離から【Hyper Mega Buster】ぶちかましてあげる!
エイル・リフィアベルク
【エイル】
「あ、あれが敵の指揮官……」
強敵との初めての戦いに恐怖心に囚われそうになりますが……
私を助けてくれた皆さんに勇気づけられて前線に立ちます。
「私だって、本気になればっ!」
【ヘビーアームド・ウェポナイズ】によりエネルギー炉の出力臨界。
ビームキャノンを敵に向けて構えます!
「この威力があれば、例えウォーマシンでもっ!
……って、きゃあっ」
狙撃状態でエネルギーチャージしている私に、敵が殺戮モードで迫ってきて!?
やられちゃいますっ!?
「って、み、みなさんっ!?」
仲間からの援護を受けて助けていただき……
敵がオーバーヒートした今がチャンス!
「臨界エネルギーからの一撃、受けてくださいっ!」
●
巡洋艦D・ザードを取り込んで――あるいは取り込まれたスティールエッジだった鉄塊がアーク204の沖合いで蠢き始めてから数十分。
猟兵と島の戦士たちによる攻撃で全体の質量は削れているが、バラバラと崩れゆく鉄塊に有効なダメージとなっているかは極めて怪しいところである、というのが一同の共通認識であった。
猟兵のユーベルコードをコピーする能力で以て、彼にとっての相棒――海兵隊のあらゆる苦楽がともに眠る母艦を強化ユニットとして取り込もうとしている、というところまでは解析できたものの、それ以上の調査はスティールエッジの再起動を誘発しかねないと判断したヤフェテによって止められている。
空に波打っていたオーロラが消え、東がにわかに群青に色づき始めた頃、ジル達は空母ネルトリンゲンで鉄塊の攻略に向けて準備を整えていた。
「私が前で攻撃するから、いちごはエイルのフォローをお願い」
「支援攻撃と補給の準備はわたしに任せて。島の人達とアークの防衛もこっちでやってみるよ」
「ふたりともお願いします。でもこれだけは約束してください。無理はしないで」
ジルと理緒が自らの役割を明確にし、それを果たすべく慌ただしく装備の確認を進めてゆく。
そしてエイルのサポートを任されたいちごも、長い戦いの決着を感じて尾を増やした――邪神の依代としての権能を強化した姿を取って、エイルに微笑みかける。
「緊張しなくても大丈夫です。ジルさんも理緒さんも頼れますし、わたしもエイルさんを守りますから。ね?」
「は、はいっ。よろしくおねがいします……!」
緊張するなと言われても無理があろう状況で、それでもいちごの言葉に頷いて肩の力を抜こうとエイルが深呼吸をしたその時だった。
ネルトリンゲンを強烈な荒波が襲い、鉄の軋む音とともにそれが動き出したのは。
「あ、あれが敵の指揮官……」
「だったもの、だよ。あんなものになってまで帰りたかったんだね」
エイルの呟きに理緒が応える。
甲板に出た四人の前に現れたのは、巡洋艦の意匠を遺しつつもどこか捻じれた人型に変貌したスティールエッジだったもの。奪う刃は全てを失い、最後には己のかたちをすら失ってしまったのだろう。そう考えると物哀しさもあるが、ひとつだけ言えるのは今の彼はかつてにも増してアークにとって脅威となるということだろう。
なぜならば。
その装甲表面に溶接されたように半身を埋めたバトルドロイドやウォーマシンが、艦載砲を操り猛然と猟兵達の船団に砲撃を開始したのだ。
全てが一つの意志に統合されているかのごとく一糸乱れぬ連携で激しい砲火を展開するスティールエッジだったもの。
その猛攻の第一撃を辛くも回避したネルトリンゲンだが、このままではいつか捉えられてしまうだろう。
「ジルさん、いちごさん、エイルさん! わたしは艦橋でネルトリンゲンの操舵に集中するから、あとのことはお願い!」
甲板から駆け出した理緒を送り出し、ジルは持てる限りの武装を抱えてカタパルトに両足を乗せて気合を入れ直す。
「ただでさえデストロイウォーマシンなんて大巨人みたいなものなのに……」
あれではもはや大怪獣ではないか。艦艇と融合した鋼鉄仕掛けの怪物を睨みつけ、ジルは思わず嘆息する。
それでもやらねばならぬと退けない理由を思い浮かべれば、そもあんなものを作り出した世界の生まれとして、故郷の不始末は己の手で付けねばならないという義務感が胸に浮かんだ。
「そうだよ。帝国の名を掲げるものに屈したりはしない。ジル・クリスティ、出撃するよ!」
飛び立ってゆく白亜の妖精を援護するように、回避運動に専念しているはずの理緒が遣わせたドローンが編隊を組んで随行する。
「ありがとう理緒、助かるよ!」
単独では攻めあぐねる巨体でも、頼もしい仲間の援護があれば打ち砕くことができる。
取り込まれたウォーマシン兵の放つ迎撃を小さな体を活かしてくぐり抜けて肉薄するジル。
派手な機動は却って被弾のリスクを高めてしまう。それ故の最小限の回避運動は、光の羽根の先を掠めそうなほどギリギリを艦砲クラスのレーザーが通り過ぎていく文字通り命懸けの決死飛行。
「――ジルさん、此処で墜とすつもりでいこう。Octagonal Pyramid、三段突撃! 合わせて!」
ネルトリンゲンからの通信に了解を返してジルは更に加速する。距離が詰まれば艦砲ではなく対空機関砲――ついにアークのEMP攻撃から復旧した――が銃身を高速で回転させながら砲弾を勢いよくぶちまける。
レーザー以上に圧力を感じる実弾のカーテンを切り抜けるために、理緒のドローンが先行して対空防御を誘導し、あるいはジルを守るために盾となって道を拓く。
そして後続が対空機関砲に突き刺さるように飛び込んでそれらを無力化してゆけば、追撃の憂いなくジルは最適な砲撃位置に辿り着く。
艦砲は理緒の攻撃で沈黙しつつあり、対空機関砲の生き残りもネルトリンゲンから発射された艦対艦ミサイルの迎撃にフル稼働している。壁面に生えたウォーマシン兵達の携行火器もまた、理緒のドローンとの交戦でジルを攻撃できる状態にない。
千載一遇の好機だ。この機を逃すわけには行かない。
「ロングレンジライフル、モード変形。バレル展開、エネルギー充填120、ハイパー・メガ・バスター最終セーフティ解除! ――発射!」
小さな妖精の抱えた武器からとは思えない強烈なビームの渦が、スティールエッジだったものの巨体を半ばほどから消し飛ばす。
――だが。
「エイルさん、伏せて!!」
半身を抉り取られたスティールエッジは、むしろ重石を取り外されたと言わんばかりに速力を上げてネルトリンゲンへと体当たりを敢行する。
衝撃で激しく揺れるネルトリンゲン。転倒し海に投げ出されるわけにはいかないといちごはエイルを抱きとめ、振り向いた先でスティールエッジだったものから生えた艦砲の生き残りの一つが己を照準しているのを見た。
「ひっ……きゃぁぁっ!!」
「くっ……ここからが敵の本気ですか!」
突きつけられた明確な殺意にエイルが悲鳴を上げ、いちごは戦慄する。
「させません、エイルさんも理緒さんも私が守ります……!」
ネルトリンゲンを沈めさせはしない。その決意を頼みにいちごは術を行使する。理性を削り、正気を捧げて魔力に転じよ。
その全てを余さず注いで編み上げた結界は、果たして艦砲射撃と真っ向から激突し――
「今です! 理緒さん、ネルトリンゲンのエネルギーラインを甲板に!」
「いちごさん!? ……わかった、少し待って!!」
光の渦と結界が一進一退の攻防を繰り広げるなかで、いちごの要請に速やかに応じた理緒の手でネルトリンゲンの動力炉に直結したエネルギーケーブルが甲板上に射出される。
「エイルさん……貴女がこれを使って、決着を!」
「そんな、私が……」
できっこない。そんな言葉を吐き出しかけて、けれど勇敢に挑みかかったジルを、全員を支えて見せた理緒を、そして今まさに強大な敵を一人押し止めているいちごを見て、エイルは勇気を振り絞る。
「わかりました! 私だって、本気になれば……っ!」
抱えたビームキャノンに己の動力炉を直結し、さらにその動力炉にネルトリンゲンを接続する。空母一隻分のエネルギーを上乗せしたチャージは本来以上の速度で、遥かに強力な威力を生み出すほどに蓄積してゆく。
「この威力があれば、喩え相手が戦艦でも……!」
エネルギーは臨界を迎え、砲身が許容値を遥かに上回る熱量に悲鳴を上げる。
「臨界エネルギーからの一撃、受けてくださいっ!!」
エイルの指がトリガーを引くと同時、いちごの結界が砕け散る。
艦砲の放つ光を、エイルの光が切り裂き掻き消して――
巨大な鉄の亡者は、ゆっくりとその残骸を崩壊させながら暁の海に沈んでゆく。
『あぁ――空が、きれいな空が見える。私たちは、やっと還る…………あの、星のところへ』
崩れてゆく残骸の中に、猟兵達は緑色の輝きを見た。
だがそれは粉々に砕け散って、夜明けの光に融けてゆく。
――銀河の残響はこうして海に消えた。戦いは終わり、アーク204は再び平穏の日々を取り戻したのだ。
大成功
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