帝竜戦役④〜毒、性別逆転させます
「戦争だよ戦争! うぉーふぇあ!」
『騒がないでよ、ドリー。毒でおかしくなったのかと思ったわ』
双子と見紛うばかりのグリモア猟兵、ドリー・ビスク(デュエットソング・f18143)が君たちの前できゃいきゃいと話し合う。
『猟兵が帝竜戦役で群竜大陸に侵攻中っていうのは、あなたたちも知ってると思うわ』
群竜大陸へと侵攻するこの戦争。猟兵たちは毒の胞子を放つ毒キノコの群生地を侵攻ルートの一つとして確保することとなった。
無論、敵側もそれを阻止するべくオブリビオンが配置されている。
「戦場では、敵さんも味方さんも“毒の胞子”の影響をお互いに受けながら戦うことになると思うよ! お互いに毒をうまく利用できれば、楽しく戦えると思う!」
『安心して頂戴。“毒”とは言っても、苦しかったり死んじゃったりするものじゃないわ。ただちょっと、妙な夢を見せられるだけで』
その“夢”というのがまた不思議な性質を持っているらしい。
夢の世界は現実と同じ万毒の群生地。集団幻覚のように同じ夢を共有しているらしく、近くにいる猟兵やオブリビオンもそれぞれ意識を持ったままこの夢の中の群生地で行動することとなる。
「それでね? この夢の中だと、なんと性別が逆転しちゃうらしいんだって!」
ドリーの言葉に、猟兵たちが顔を覆う。そんな毒があって良いのだろうか。良いんだよ万毒って言うんだからそういう毒が一つぐらいあったって。
『この毒胞子の効果は夢の中で自分の思う“逆転した性別らしい言動や行動”で薄まって、夢から現実に帰還できるらしいわよ』
「意識ごと性別が逆転しちゃったり、意識はもとの性別のままだったり、結構個人差があるらしいから気を付けてね! 結構地獄だよ! ワクワクだね!」
ある程度の小道具や施設は、明晰夢のように一時的に夢の中に出すことができるので、自分なりの“男らしさ”、“女らしさ”の演出のために役立てれば良いだろう。
『多分、夢の中にもオブリビオンが出て来ると思うの。夢の中でそのオブリビオンを倒せば、現実でもそいつは眠ったまま黒い塵に還るわ。仮に倒さなくとも、オブリビオンよりも早くに毒の効果から抜け出して夢から醒められれば、その辺で寝てるオブリビオンにトドメ刺してあげて頂戴』
出現するオブリビオンの名は“絶対不敗・負けナイト”。男騎士のオブリビオンだ。夢の中で、彼らは女性として現れ、なんとか毒から抜け出そうと思い思いの方法で女性らしい振る舞いを試行錯誤していることだろう。
『色んな意味で大変だと思うけど』
「猟兵さんたちだったらきっと乗り越えられるよ!」
「『――それじゃあ行ってらっしゃい、猟兵さん』!」
三味なずな
お世話になっております。群生地に魂が囚われた三味なずなです。エロはありません。
今回は戦争依頼、ギャグ多め。あなたが夢の中で性別逆転する依頼です。エロはありません。
エロはありません。
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プレイングボーナス……シナリオ毎に提示された毒への対抗法を考える。
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●毒キノコの胞子の毒性
猟兵もオブリビオンも寝てしまい、眠った人々の間で共有された夢の世界へと誘われます。
夢の世界は万毒の群生地とほぼ同じ舞台ですが、ある程度の品物や施設、モブ人物は明晰夢のように任意に出現させることが可能です。
毒は「そのキャラクターの考える、男/女(逆転先の性別)らしい行動、言動」によって薄れ、猟兵は夢から醒めて現実に戻れます。
なお、夢の中でオブリビオンを倒すと現実のオブリビオンも死にます。夢の中で倒さなかった場合、現実世界のその辺りで寝こけているオブリビオンをブスッと殺っちゃって下さい。
なお、夢の中でオブリビオンは必ず猟兵たちに絡んできます。大体彼らは「そんなの男らしく/女らしくねえ!」と文句を付けに来る場合が多いです。その他の場合もあります。
エロはありません。
なずなのマスターページにアドリブ度などの便利な記号がございます。よろしければご参考下さい。
あなたの地獄をお待ちしております。
エロはありません。
第1章 集団戦
『絶対不敗・負けナイト』
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POW : 我が盾は無敵!誰にも破れない!
対象の攻撃を軽減する【盾を構えた防御型の姿】に変身しつつ、【盾による殴打や槍】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD : 完全に見切った!同じ手は通用しない!
【槍と旗の攻撃】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : この戦いが終わったら
【故郷の恋人の話をしながら限界突破モード】に変形し、自身の【生存フラグ】を代償に、自身の【攻撃速度と攻撃力】を強化する。
イラスト:真田ゆうき
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
※追記
二人での合同プレイング、なおかつ男女の異性同士である場合に限り、夢に没入するに時になんやかんやあって、夢から醒めるまでに肉体と精神が同行者と入れ替わる事故のプレイングも可能であるとします。
エロはありません。
天壌・つばさ
◎
ギャーッ!(夢の中だけど)ほんとに女になってるー!?
確かに俺は可愛い系けど、女になるのは解釈違いっていうか!
とはいえ、せっかく女になったんなら女らしいことしてみるか
女らしいといえばやっぱりおしゃれだよな
スカートとか…履いてみるか
やっぱりスカートも似合うじゃん、俺
女の子は気兼ねなくこういうの着れていいよなー
俺も女の子だったら……
はっ、ち、ちがう、俺はそういう趣味じゃなくて…
あーっ!もう、このモヤモヤは目が覚めたらオブリビオンにぶつけさせてもらう!
与太話は話半分ぐらいに聞いておくのがセオリーだ。
だから、今回の依頼の説明を聞いても、天壌・つばさ(クレバスを満たして・f17165)はイマイチ信じきれなかった。
「ギャーッ!!!!」
夢の世界。万毒の群生地につばさの叫び声が響き渡る。
わなわなと打ち震えるつばさの手は、自分の胸に当たっていた。
「ほんとに女になってるー!?」
彼――否、彼女は困惑した様子ですっかり大きくなってしまった胸に触れる。柔らかい感触と自分で触れている実感が返ってきた。夢なのに感覚がリアル過ぎる。
「確かに俺は可愛い系――だけど、女になるのは解釈違いっていうか!!」
言うなれば中性と男の娘と女装男子の混同、レッドとマゼンタとカーマインの混同に等しい。似て非なるものであって別物なのだ。
とはいえつばさも一介のアーティスト。描いた作品のモチーフを間違われて微妙な作り笑顔を返すことも多々経験した身だ。遣る瀬ないこの解釈違いの苛立ちをぐっと胸に押し込んだ。
これもまた依頼。女らしいことをすればこの女体化夢からさっさと脱出しなくてはならない。
「……せっかく女になったんだし、女らしいことしてみるか」
自分に言い聞かせるように呟く。そう、何事も経験だ。アーティストたるもの、この貴重な経験で自分の引き出しを肥やさなくてどうすると言うのだ。作品のどこに使うのかは知らんが。
「スカート……穿いてみるか」
女子と言ったらオシャレ。女子のオシャレと言えばスカートだ。
目を閉じて、身近な女友達のものを参考にスカートを思い浮かべる。
すう、と自分の下半身を風が撫でた。
「せ、成功した……!」
視線を下に向けると、そこには確かに膝上25cmくらいのプリーツスカートがあった。
身を捻って確認するのももどかしく、非日常の高揚感のままに鏡を出現させて映してみる。
「おお……やっぱりスカートも似合うじゃん、俺」
くるりとターンをすると、風を孕んでひらりとスカートが舞う。元々中性的な顔立ちゆえにわかってはいたことだが、改めて目の当たりにすると我がことながら可愛い。
「いいよなー、女の子は気兼ねなくこういうの着れて。俺も女の子だったら――」
もっと色々着られたのに、と続こうとした言葉を、我に返ったつばさは口元を抑えて無理やりに封じ込めた。
「ち、ちが……っ、俺は別にそういう趣味じゃなくて……」
『自分の気持ちに正直になると良い、少女――いや、少年よ』
ふと、後ろから声がした。そこにいたのは、女になってドレスを着たオブリビオン“負けナイト”だ。
『そこで躊躇していては、いつまで経っても女らしくはなれない! さあ、これを使うが良い!』
笑顔で負けナイトが差し出してきたのは、一枚の女性もののぱんつ。
『女性と言えば女性ものの下着! さあ、早くこれをこの場で穿くんだ! ハリー! ハリー! ハリーハリーハリー!』
「うるさい誰が穿くかこのヘンタイっ!!」
踊るようなステップで得た回転が遠心力を生み、オブリビオンの腹部を蹴撃する。ぐお、とカエルが轢き潰されたような音を立ててオブリビオンが倒れ伏した。
『スカートの中に男物のぱんつってのも……へへっ、悪くねえか……』
「ふんっ!!」
ストンプ。トドメの一撃を叩き込むと、オブリビオンは黒い塵となってしまった。
ふと、妙な感覚が混じった気がした。目が覚める前兆だ。ようやくこの妙な夢から脱出できるのか、とつばさは溜め息をつく。
「…………?」
ひらり、と頭上から降って来た何かを手に取った。薄めの布地。
ぱんつだった。
「……いや、穿かないから!!」
ぺしーんと地面に叩きつけて、つばさの意識は現実へと引き戻されるのだった。
成功
🔵🔵🔴
城島・侑士
【菫橙】
◎
娘が息子に…とか
父が母に…だの
なんかカミングアウトみたいだな(現実逃避)
くっ!息子になっても冬青は可愛い
でもお父さんは娘がいいんですー!
女になった自分の姿は…うん(諦め)
胸が重いなぁ…股がスースーするなぁ…
こんな姿、女房や子供には見せられねぇ
いや娘(息子)に今がっつり見られてるんだけど
しかも気持ち悪いって言われた!
辛い…
こうなりゃさっさと元に戻ろう
行くわよ
そこのTSオブリビオン!
は?どこをどう見てもうちの息子は男らしいし
私は絶世の三児の母よ!
咎力封じで拘束して乱れ撃ちでぶっ飛ばすわよ
オホホ、ごめんあそばせ
なお今回は女性らしく拘束用のロープはピンクのリボンにしてあるゾ
…はぁもう帰りたい
城島・冬青
【菫橙】
◎
気がついたら男の子だった
私、スカート履いてたはずなんだけどそれだと女装男子になってない?!
よかった
ズボンになってる
さすが夢
髪も短くなってるし服は…学ランかな
お父さんは…ここではお母さんって呼ぶべき?
…気持ち悪っ
ごめん!だってぇ…
美人だけど違和感が凄い
とりあえず今は女性なんだからそんなに足開いて立つのは良くないよ
なんとかして夢から醒めなきゃよーし
私は男…私は男…
押忍!
俺は…や、やってやるぜ!
もー!笑わないで
オブリビオンにもダメだしされたぁ
うっさいな💢
ぶっ飛ばすぞ
オラー!(UC炸裂)
頭の中で思い描く少年漫画の主人公のように振る舞ってみる
かかってこーい!
しかしコレ、恋人には見せられないな
夢の中で男の子になった城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)が最初に気にしたことは、服装だった。
「よかった、ズボンになってる。さすが夢……」
いつも通りにスカートを穿いていたら女装男子だ。ちょっとそれは自分の趣味じゃない。
自分の服装や身体を確かめる。ちょっと硬い体つき。学ランっぽい黒い服。最近ちょっとだけ伸びてきた気がする髪は、お父さんみたいに短くなっていた。
「あ、そういえばお父さんはどうしたんだろ」
きょろりと見回してみると、どことなく見慣れた気がする女性が大きなキノコに腰掛けているのが見えた。
「娘が息子にとか、父が母にだとか……なんか、カミングアウトみたいだな……」
服装からして間違いない。父の城島・侑士(怪談文士・f18993)だ。
ダンピール特有の美貌は女性になっても変わらないのだが、どうしても長く家族として共に過ごしてきた冬青からしてみると、とてつもなく違和感があった。
「……とりあえず、今は女性なんだから脚開いて座るのはよくないよ」
おっと、と呟きながら侑士は脚を閉じる。
「半世紀近く男として生きていると、どうにもな。だけど、冬青は息子になっても可愛いじゃないか」
「そうかな。……お父さん的にはやっぱり男の子の方が良かったりしたの?」
なんとなく投げかけた問いかけに、侑士はとんでもないとばかりに首を横に振る。
「確かに息子も捨てがたいけど!! でもお父さんは娘がいいんですー!!」
「ええ……? でも、今は女の人じゃん。お父さんじゃなくてお母さんじゃない?」
その一言で一気に現実に引き戻されたのだろう。「うん、そうだね……」と侑士は肩を落として溜息をついた。
「胸が重いなぁ……股がなんかスースーするなぁ……」
「あ、今まで現実逃避してたんだね……?」
女体化した自分の姿を直視できなかったのだろう。実際、彼からしてみればこんな姿を女房や子どもになんて見せられたものじゃない。いや、現に娘こと息子に見られているのだが。
「元気出してよ。ほら、今はお母さんなわけだし……」
すっかり意気消沈してしまった侑士をなんとか元気付けようと冬青は不器用に笑いかけようとするが、ギブアップとばかりに片手を挙げる。
「……ごめんやっぱ今のナシ。お父さんのことお母さんって呼ぶの気持ち悪い……」
「酷っ!? つらぁ……」
ここにきて更に冬青の手のひら返しで追い打ちが来るのだから、侑士も肩を落とそうものだ。
「ごめん! だって、お父さんはお父さんだし……」
「うん……。さっさと元に戻ろうな……」
慌てて冬青がフォローしようとするが、それを手で制しながら侑士は立ち上がる。一刻も早くこの地獄から脱出しなくてはならない。
「そ、そうだね。なんとかして夢から醒めなきゃ。よーし……」
脱出にはそれぞれの思う“男らしさ、女らしさ”を体現しなくてはならない。となれば、まずは口調や行動からだ。父娘こと母息子はそれぞれの思う“らしさ”をイメージする。
「私は男……私は男……」
「――行くわよ」
「押忍! 俺は……や、やってやるぜ!」
不慣れな口調ながら二人は意気込む――その時だった。
『男と女ナメてんじゃねェ――ッ!!』
叫びと共に現れた者がいた。オブリビオン、負けナイトだ。
『雑! 演技にしても役作りが雑過ぎる!! せっかくツラは良いのに何だお前ら!? 原作アニメゲームの実写ドラマ化でゴリ押し配役されたタレントか何かか!?』
「そんなこと言われても……これが精一杯だし! ……だぜ!」
『取ってつけたように語尾を修正するんじゃあない!!』
オブリビオンから頭ごなしにダメ出しが入って、冬青が思わず口ごもる。何とか言い返せないものかと助けを求めるように侑士の方を見ると、そっちはそっちで微笑ましげな表情をしていた。
「もー! 笑わないで!!」
「いやあ、すまない。……すまないわよ」
『だから雑なんだよ語尾があ……ッ!!』
「息子が慣れない口調で四苦八苦する様というのも、親としては微笑ましいものなんだよ」
『ダメ出しされたからって演技を放棄するんじゃねえ――ッ!!』
我慢ならないとばかりにガリガリとオブリビオンは頭を掻き乱す。
『だからお前らは男も女も抜けきらねえんだよ! 中途半端! 何もかも!!』
「は? どこをどう見てもうちの息子は男らしいし、私は絶世の三児の母よ!」
『自分で絶世とか言うもんじゃねえだろ恥ずかしい! お前の息子とか女々しいままだろうがどんな教育してきたんだ!?』
なおも騒ぎ立てるオブリビオンを前にして、冬青の堪忍袋の緒が切れた。
「あーもう、うっさいな! お父さん、やっちゃって!!」
「今はお母さんよ、っと!」
冬青の呼びかけに応じるように、侑士はオブリビオンへとピンク色のリボンを放つ。まるで奔流のように襲いかかるリボンはオブリビオンの身体を拘束した。
『何ィ!?』
「オホホ、ごめんあそばせ。さあ、冬青。やぁっておしまいなさーい!」
「オッケー、ぶっ飛ばす! オラー!」
イメージするのは少年誌の主人公。拳を突き出すのと同時に見えざる烏を放ち、拘束されたオブリビオンを攻撃する。
こうしてオブリビオンは討ち果たされ、二人は現実へと帰還するのだった。
………………
…………
……
夢から醒めて。
「はぁ、もう帰りたい……」
侑士は顔を覆いながら溜息をついた。よりにもよって、娘の冬青の前で女として振る舞わなくてはならないのは父親として、何より男としての威厳が揺らぎかねないものだった。
ずるずると重い足取りで彼は群生地から撤収を始める。煙草の一本でも吸いたい気分だった。
一方で冬青の方はと言うと、自分の身体が元に戻ったことを確認して安堵の吐息をついているところだった。
「……さすがにアヤネさんには見せられないな」
あんなのを見せたら、一体どんな反応をするのだろうか。そんなことを少しだけ想像しながら、娘は父の元へと駆けて行くのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ライナス・ブレイスフォード
◎リカルドf15138と
意識は其の侭
肉体は気が強そうな無い乳美人
服はイエカの物
性別が変わる毒なあ
ま、俺は俺だしな。そう変わらねえだろとリカルドを振り返るも無い筈の乳を付けたリカルドらしき女を見れば
へえ、あんたはこんなになるんだ?
と興味深げにその顔を覗き込むよう身を寄せてみる
顔を背けられれば顎に手を遣り無理やり顔を向けさせんと試みんぜ
何勝手に顔背けてんだよ?充分いい女じゃねえの
そう笑いながら更に顔を寄せゆくも
敵に気付けば苛立ち交じりに【飢えし狼の群れ】を
俺はリカルドと話してんだよ。少し黙ってろ
声には応える様に軽く頭を手で掻き混ぜてみる
…いつもこう、俺に大人しく護られててくれてりゃいいんだけど、な
リカルド・アヴリール
ライナス(f10398)と
アドリブ歓迎
身体と思考が女性、意識は男性寄り
長い髪で豊満な胸を隠している
どこかパッとしない女性
性別が変わる毒と言われても、想像つかないんだが
そうだな――は、え……?
明らかに膨らんでいる胸を見て、驚きを隠せず
ライナス、なんでお前はあまり変わって……!?
覗き込まれれば恥ずかしさのあまり、思わず顔を背けるも
無理に視線を合わされて、ドキドキする
……どうして、こんなに心臓の鼓動が五月蝿いのか
やめ、言わない、で……!
ライナスの言葉に心臓が跳ねて、意味が解らない
炎の狼が敵を焼くのを見れば、ぎゅっと腕に抱きついて
……あ、りが、と
そんな感謝の言葉を告げるだけでも緊張するのは、何故か
「性別が変わる毒なあ」
万毒の群生地を歩きながら、ライナス・ブレイスフォード(ダンピールのグールドライバー・f10398)は辺りにある毒キノコたちを一瞥する。
「催眠効果があるらしいが……そんな毒、想像もつかないな」
隣を歩くリカルド・アヴリール(遂行機構・f15138)が吐息する。傭兵として世を渡ってきた彼だが、こんな特定の夢を見せる毒は見たことも聞いたこともなかった。自分の姿がどのように変化するのか危惧も抱こうものである。
「ま、俺は俺だしな。そう変わらねえだろ」
「ああ。そうだな」
肩をすくめるライナスが安心させるようにリカルドへと振り向く。
明滅するような一瞬の意識の暗転。
「は、え……?」
そこには、リカルドらしき長髪の女が立っていた。
抱えられるほどに豊満になった胸。女性らしく丸く、小さくなった体格。しかし、顔つきはどこか垢抜けず、パッとしない。
「おお……。もう夢の世界ってわけか。あんたはこんな風になるんだな」
「どうなってるんだ、これ……!?」
感心したようにライナスがしげしげと観察する一方で、リカルドは驚きを隠しきれない。
「というか、お前はライナスで良いんだよな? なんでお前の方はあんまり変わってないんだよ」
「俺は俺だって言っただろ」
口の端を持ち上げるように笑う彼は常とそう変わらない。ライナスも背が少しばかり低く、そして体つきが丸くなっていた。印象としては気の強そうな美人といったところか。
「それより、俺はリカルドがそこまで変わったことの方が驚きだね。ほら、もっと顔をよく見せてくれよ」
ライナスに顔を覗き込むように身を寄せられる。いくらあまり変わりはないとはいえ、美女にこんな状態をまじまじと見られるのに抵抗があったのだろうか。リカルドが顔を背けるが、ライナスはそれを許さない。
「何勝手に顔背けてんだよ」
顎に手をやり、強引に顔を正面に向かせる。
もうそれだけで胸が張り裂けそうなほどに心臓が早鐘を打ち鳴らすのは、自分の身体が女になっているからか、それともライナスが美女になっているからなのか。リカルドにはわからなかった。
「へえ、充分いい女じゃねえの」
「やめ、そんなこと、言われても……!」
ライナスの言葉に惑わされて、リカルドは混乱していた。何を言っているのか意味がわからないし、こんな至近距離で言葉を聴いていると心臓が跳ねそうになる。
けれどどうしてか拒絶には至らず、拒否は形ばかりのものになってしまっていて。ライナスの顔がどんどんと寄せられていく――その瞬間。
『俺も、俺も挟まりてェ……ッ!!』
オブリビオンが現れた。負けナイトだ。
『その妖しくも危うげな雰囲気、サイコーだよ。よかったら俺も混ぜて――』
くれないか、と続くはずだった負けナイトの言葉は中断された。
舌打ちと共に狼の形をした青白い炎がライナスから放たれ、その身を焼かれたからだ。
「俺はリカルドと話してんだよ。少し黙ってろ」
なあ、と見下ろすライナスの顔をぼんやりと見上げて、はっとリカルドは我に返る。いつの間にか、ライナスの腕に自分がしがみついていることに気付いた。
ぱっと抱きついていた腕から身体を離して、顔を背ける。
「……あ、りが、と」
いつもなら軽く言えるような感謝の言葉さえも、緊張のせいで不器用になってしまう。
それを不審がるでもなく、不快に思うでもなく、ライナスはふっと優しげな笑みを浮かべて、伸ばした手でリカルドの長くなった髪を掻き乱すように乱暴に撫でた。
「……いつもこう、俺に大人しく護られててうれりゃいいんだけど、な」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ザッフィーロ・アドラツィオーネ
◎宵f02925と
女体化後は意識は其の侭
躰はがっしりとした体躯の女性軍人の様な容姿で巨乳です
毒の茸か…この戦場ではどの様な毒が…と
何だ?やけに胸板が揺れるな…?
怪訝そうに己の胸を見遣るも視界一杯に膨らんだ何かが聖職服を押し上げている様に気付けば攻撃を受け腫れたか?と【生まれながらの光】
掌を胸に押し付け回復を
…何も変わらん…というかなんだ?胸に水を溜める毒か何かか?
宵は何も変わって居らんのが救いだが…と
??宵、何を怒…、…性別が反転、だと…?
思わず己の胸と宵の胸を交互に見遣りながらも敵に絡まれれば『怪力』を乗せたメイスを敵に打ち付けんと試みよう
…宵、何だ…その、お前はどの様な姿でも愛らしいぞ…?
逢坂・宵
◎ザッフィーロ(f06826)と
性別反転後は意識はそのまま、体躯はスレンダーな女性へと変化
性別反転してもほぼ平らに近い自らの胸元を見下ろし
そして隣にいる相手を見上げましょう
彼、いえ彼女の胸元には柔らかそうな稜線のそれが揺れていて
じとーっと恨めし気に見つつ唇を尖らせて
別に、何も怒ってなどいませんよ
ええ、性別反転しても僕はその性別らしい身体とは縁遠いということがわかっただけですとも!
と八つ当たりつつ
敵が襲い来れば『全力魔法』『範囲攻撃』『一斉発射』『属性攻撃』をのせた
【天撃アストロフィジックス】で攻撃しましょう
ありがとうございます……
でも、夢の中くらいは少しだけでも「らしい」身体が良かったです……
群生地の毒は強烈だ。いつの間にか毒に侵されていて、それを自覚した時点で大抵の場合手遅れであることが多い。
「何だ? やけに胸板が揺れるな……?」
ザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)は、突然自身の胸がやけに揺れるような違和感を覚えて首を傾げた。
立ち止まり、怪訝そうに己の胸を見下ろす。彼の着る聖職服は、大きく視界いっぱいに膨らんでいた。
「しまったな。いつの間にかに攻撃を受けて腫れたか……?」
膨れ上がった胸に手のひらを置いて、聖なる光で治療しようとするも、まるで収まる様子はない。
「……何も変わらん。胸に水を溜める毒か何かか?」
ヤドリガミゆえに致命ではないが、戦闘に些かの支障を来してしまいそうだ。
「宵は……大丈夫そうだな。思ったよりもこの群生地は危険そうだ。敵の襲撃に備えよう」
同行者へと振り返ると、そこにはじっとりと恨めしげな表情で唇を尖らせる逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)がいた。
「……? どうした、宵。いつもと何か雰囲気が違うが……何か怒っているのか?」
「別に、何も怒ってなどいませんよ」
口ではそうは言うものの、依然として宵はどこか不満そうな表情でザッフィーロの一抱えほどに膨らんだ胸へと視線が注がれていた。
「ええ。性別反転しても僕はその性別らしい身体とは縁遠いということがわかっただけですとも!」
「……性別が反転、だと……?」
八つ当たり気味な宵の言葉に、瞠目してザッフィーロは自分の乳房と宵のそれを交互に見比べる。道理で胸が重くて肩に負担が来て重心を取るのが難しかったわけだ。
宵の恨みがましい視線が非難がましいものに変わろうとした時、現れた者がいた。
『その乳、憎らしい……!!』
女体化したオブリビオン、負けナイトだ。その胸は宵と同じく平坦だった。
『ええいなんだその牛の如き爆乳は! 乳ばかりが女の価値だと思うな! この俺が手ずから削ぎ落としてやる!!』
キエーッ、と殺意に狂った瞳で負けナイトが槍を構えて突進を始める。
『その巨乳では満足に動くこともできまい! 勝ったな! 帝竜戦役、完!!』
「急に来てなんなんだ、お前はッ」
狙いを付けられたザッフィーロがメイスを振って突撃槍をいなす。踏み込んで至近距離戦に持ち込もうとするが、ぼよんと音がして負けナイトが跳ね飛ばされた。
おっぱいバウンスである。
『どこまで……どこまで非道なんだ、お前はァ――ッ!!』
「言いがかりだ! くっ……今だ宵、やれ!」
涙と共に槍を振るう負けナイトをザッフィーロがメイスで抑え込む。
「いささかなりとも共感できはしますが……」
呼びかけられた宵が宵帝の杖を掲げると、無数の矢が現れて負けナイトへと射出される。その様、まさしく流星群が如く。
瞬く間にその身を無数の矢で貫かれたオブリビオンは、黒い塵と化してしまうのだった。
「まったく。何だったんだ、あのオブリビオンは……」
「…………」
溜息をつくザッフィーロがほこりを払うたびに揺れる乳房。それをどこか羨ましげに宵は見つめる。
さすがにザッフィーロとてその視線には気付いたのか、視線を少しさまよわせてから口を開いた。
「……宵。何だ、その……お前はどの様な姿でも愛らしいぞ……?」
「……ありがとうございます」
視線に気付かれたか、と宵は苦笑しながら、「でも」と付け加える。
「夢の中でぐらい、少しだけでも“らしい”身体が良かったです……」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ロク・ザイオン
◎レグルス
("特徴:男性に間違われる"から更に男性化すれば
当然""雄""なのである)
(世界最大の獅子、バーバリライオンは森を愛したという)
(筋骨隆々、強者を示す歴戦の傷
もみあげから顎まで連なる
若獅子の鬣の如き雄々しい髭
おれのかんがえた最強の森番
オスザイオンが森に君臨した)
――――ゥ゙ル゙ァ゙ァ゙ア゙ア゙ア゙!!!!
(えげつない【殺気】を乗せた「惨喝」で【恐怖を与え】
防御の上から【鎧砕き】
烙印刀?そんなものに頼らずともオスの拳は最強だが?)
……縄張りのメスは、長のものだろ。
―目覚め―
……なんか、ごめんね。
零井戸・寂
★レグルス
―夢の中につき中身の状態でお送りします―
きゃー殺気殺気!
僕の名前は零井戸・寂15歳!
相棒に誘われて突っ込んだ毒の戦場で昏睡したと思えば
鎧は脱げてるし敵には追われてるしもー大変!
僕、一体どうなっちゃうのー!?
いやマジでどうなるのこれこんなトンチキで死ぬのか僕!!?
女子化してるし無駄にすらっとやわらかな脚(自身の理想形⇒則ち非力)なせいで凄く走りづら……
きゃっ!?(転ぶ)(女の子っぽい悲鳴)
ああもう何処いるの……助けてロクーーッッ!!!
(獣の雄叫び)
(颯爽と現れる救世主オスザイオン)
(トゥンク…///)
――め、メス扱いするな……っ///(ツンデレ)
―夢からの目覚め後☀️―
すごく死にたい。
~これまでのあらすじ~
きゃー殺気殺気!
僕の名前は零井戸・寂(15歳・f02382)!
相棒に誘われて突っ込んだ毒の戦場で昏睡したと思えば
鎧は脱げてるし敵には追われてるしもー大変!
しかも頼りの相棒とははぐれちゃったし、
僕、これからどうなっちゃうの――!?
「――いやどうなっちゃうのじゃないよマジで死ぬって!」
女体化で背は低くなっている上に、脚はすらっとやわやわで筋力の欠片もない。しかもオブリビオンと遭遇した時にメガネを落として来たせいで視界も悪い。端的に言えば死ぬほど走りづらかった。
『待てぇいこの異端者め! 神がメガネっ娘メガネ抜きを許しても、この俺が許さんッ!!』
「そんなトンチキな理由で追って来るなよ! もうちょっとあるだろなんかマトモな理由が他にさあ!?」
寂が叫ぶもオブリビオンは聞く耳など持っていない。
背後から迫る敵の足音。追い付かれる。予感した寂が走るスピードを上げる――が、地面のキノコに運悪く足を取られて転んでしまう。
「きゃっ!?」
『遂に追い詰めたぞ……覚悟しろ! 絶対にお前をここで討ち取ってやる!』
勝利を確信した笑みを浮かべるオブリビオン。恐怖を煽るかのように槍の穂先をこちらへと迫らせる。
「こんなトンチキ地獄で死ぬのか、僕は……!?」
そんなのは嫌だ。トンチキで許されるのは名誉の重傷だけだ。
「ああもう、僕の相棒はどこに行ったんだよ……」
理不尽な運命に抗うように、寂は喉を震わせて叫ぶ。
「助けて、ロク――――ッッ!!」
呼応するように、獣の咆哮が群生地に轟いた。
次の瞬間、樹々の間から影が飛び出し、オブリビオンの手にした槍を弾き飛ばす。
筋骨隆々な巨躯に刻まれた傷跡はそれが歴戦の強者であることを物語っていた。顔の輪郭を覆う雄々しいヒゲはまるで獅子のたてがみのようである。
「――――ゥ゙ル゙ァ゙ァ゙ア゙ア゙ア゙!!!!」
大地を震わせる咆哮は、耳にした者を心を挫く。
続く拳の一閃はオブリビオンの鎧を貫く。
一瞬で絶命した黒い塵が舞う。
「ろ、ロク……?」
男体化したロク・ザイオン(蒼天、一条・f01377)を見て、寂は信じられないと言うように目を瞬かせる。あまりにも雄々しい出で立ち。今までがロク・ザイオンだったとすれば、この夢の世界の彼はオス・ザイオンだ。
「怪我は」
「な、ないよ。大丈夫……」
ならいい、と言って彼は頷きを返す。
「……縄張りのメスは、長のものだ。傷は付けさせない」
「メっ……!?」
寂の顔がぼっと赤くなる。普段なら怒るべきそれも、女体化したゆえかなぜか悪い気はしなくて。
「――め、メス扱いするな……っ」
うつむきがちに小さく抗議することしかできなかった。
………………
…………
……
「すごく死にたい」
夢から目覚めて、寂は死ぬほど死にたくなっていた。
穴があったら入りたいどころではなく、頭から飛び込んで投身自殺をキメたいぐらいに。
頭を抱えて唸る彼を見て、ロクは困ったような表情を浮かべることしかできなかった。
「……なんか、ごめんね」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
キッテン・ニコラウス
ヨウ(f03063)と
TSすると私は長身でしなやかな筋肉質のイケメンになっていた……
ギャルファッションのままで
うっわヨウったらオッパイでっか!!
男のアレとサイズが比例するってこと?でもそれだと私が違くなるのよね
(ギャルギャルしいミニスカのドギツイ中身を確認しながら)
男らしい言動をするんで……するんだろ
じゃあ筋トレだな(即決)
それだけじゃ物足りないから……よっと(ヨウを肩車する)
よーし負荷と男らしさが上がった!!行くぞッ!!
(ヨウを乗せて激しくスクワット)
(必然はためくギャルギャルしいミニスカ)
(チラリズムする存在感22のドギツイ下着(もっこり))
(果たして敵は正気でいられるだろうか!?)
美墨・ヨウ
キッテン(f02704)と
TSすると俺はナイスバディな姉ちゃんになって……
いや百歩譲って俺が服装そのままなのは置いといてお前が普段のお前のままなのどうなんだよ
乳なんざ放っとけ阿呆っつか重っっっもよくこんなもんぶら下げて……
やめろ馬鹿野郎オメーのドギツいのが最悪の意味で凶悪さ増してんだよ!!!!たくし上げんな!!!!
ええ……じゃあ俺……アタシ?オンナっぽい言動すんの?死にたい
筋トレて。
えっなに 重石?えぇ……まぁいいやもう何でも(スクワットに乗じて揺れる乳)(キッテンの""黄金の夜明け"")(ザ・カオス)
逃 げ る な。
(混沌を前に逃げようとする相手を捕縛。お前には最後まで地獄に付き合って貰う)
嫌な予感はしていたのだ。
キッテン・ニコラウス(天上天下唯我独尊・f02704)が依頼に誘ってくるなんて滅多にないことで、しかもその依頼では侵攻ルートを確保しているという話だ。
あまり時事に詳しいわけではないが、ヴァルギリオスが討ち果たされた話が出回っている中で今更侵攻ルートの確保に付き合わせる理由なんて絶対ロクなもんじゃない。
彼女の言葉に頷く前に、美墨・ヨウ(射干玉・f03063)は気付くべきだった。
「うっわ! ヨウったらオッパイでっか!!」
キッテンの笑い声が万毒の群生地に響く。指差す先にいるのは、女体化したヨウだった。
ああ、確かに夢の中だと性別が逆転するなんて言われた。言われたが、ここまで笑いものにする気満々だとは思っていなかった。
「乳なんざ放っとけ阿呆」
つっけんどんに言い返すヨウの声はいつもよりだいぶ高い。胸にかかっている重みと共に、嫌でも女になったことを自覚させられた。
「っつか重っっっも……。よくこんなもんぶら下げてんな……」
胸の重みを持ち上げる。重心が前に偏るせいで、若干背を反らないと猫背になってしまいそうだ。
それに比べてキッテンの方はどうだろうか。
「……いや。百歩譲って俺が服装そのままなのは置いといて」
キッテンは上背で筋肉質な男性になっていた。
「お前が普段のお前のままなのってどうなんだよ」
とはいえ彼女も元よりしなやかな身体をしているゆえ、パッと見ての大きな外見の変化と言えば豊かな胸がすっかり平らになっていることぐらいか。
「まあ一番大きい変化って言ったらやっぱりオッパイだし。やっぱり目立つのねー」
広い胸板をさらりと撫でて、キッテンはヨウへと視線を向ける。胸から下へ。下から胸へ。
「……やっぱりオッパイって男のアレとサイズが比例するのかしら?」
「やめろ俺の乳と今は無き息子を見比べるな!」
さっと下半身とシャツを押し上げる胸を腕で隠しながらヨウが睨めつけるが、当のキッテンは別段堪えた様子もない。それどころか、納得いかないような表情で首を傾げながら、自分の下半身を見下ろす。
「でもそれだと私が違くなるのよね」
たくしあげられるミニスカート。
エグめのショーツ。
Golden Dawn
そして †黄金の夜明け†
「やめろ馬鹿野郎オメーのドギツいのが最悪の意味で凶悪さ増してんだよ!!!!」
身体は女になっても心は男。どうして夢の世界くんだりまで来て野郎の【Galden Dawn】をチラリズムされなくてはならないのか。
今しがた見えてしまった光景を頭の中から追い出しながら、ヨウは心を落ち着かせる。
「……出よう。一刻も早く、この世界から」
ヨウの切実かつ切迫した思いが溜息と共に漏れ出た。ここは地獄だ。精神的な苦痛に満ちている。
「それはいいけど、あなたできるの?」
「できるって……何をだよ」
「男らしい言動をするんで……するんだろ」
慣れない男口調のキッテンを見て、ああそうか、とヨウは思い出す。この世界から脱出するには、各々の思う異性の言動や行動が求められるのだ。
「ええ……じゃあ俺……アタシ? オンナっぽい言動すんの?」
苦虫を噛み潰したような表情になる。容姿こそ女になれど、精神が男のまま女を演じる自分というのは酷く滑稽で屈辱的なものにしか思えなかった。
「そんなに嫌か?」
「控えめに言って死にたくなるな……」
というか、ワックワクキラッキラな期待の目でこちらを見ながらすでに笑いを堪えているキッテンが絶対に笑いものにする気満々過ぎる。少なくともこいつの前では演りたくない。
えー、と肩透かしを食らったかのように、キッテンは露骨にがっかりした。
「言動じゃなくて行動でも良いんだろ? そっちで何とかしようぜ」
「んー、あー……じゃあ筋トレだな」
「筋トレて」
キッテンの男性観というのはだいぶマッチョなものらしい。よっこいせ、と早速腕立て伏せを始める。
「……男ってスゴいな。自重を支える力が段違いな上に、オッパイが地面に付かない……」
「感心するところそこか? そこなのか?」
「でも、これだけじゃ物足りないな……。ヨウ、ちょっとこっち来て」
キッテンの手招きに応じて近付くと、くるりと後ろを向かされてそのまま肩車で持ち上げられた。
「よーし負荷と男らしさが上がった!! 行くぞッ!!」
「えっ、何これ俺重石代わり?」
「よくあるじゃない、女の子背中に載せて筋トレしてるマッチョ」
成程、とヨウは頷く。男女一組で役割のある行動なら一気に男らしさ、女らしさが出る。意外にも理に叶った提案だった。
「……それならもう何でもいいや」
自分は疲れない上に、この大きな胸をキッテンの角に載せるとだいぶ楽ができる。
黙々とスクワットをするキッテンと、それに揺られながら思考放棄するヨウ。このトンチキな光景の前に、現れた者がいた。
オブリビオン、“負けナイト”だ。
『待て待て待てぇい! そんなの筋トレなんぞで男らしくなれるとでも思っているのか!!』
意味もなく木の上から飛び降りて負けナイトはこちらを指差す。ふわりとドレススカートが舞った。
『男も女もまず衣装! そんな野郎臭い衣装や女々しい衣装では男も女も語れ――』
ない、と続くはずの負けナイトの口が止まる。わなわなと震えるその指が指し示すのは――
そう、キッテンのスカート。
Golden Dawn
†黄金の夜明け†
スクワットからチラリズムするドギツイショーツと圧倒的な存在感が、負けナイトの精神を侵蝕していく。
『……ごめんやっぱ俺帰るわ』
即座にくるり回れ右。ドレスをたくし上げて逃げようとする負けナイトの背中に、ヨウの放った鎖が巻き付く。
「 逃 げ る な 」
そう、ここは地獄。万毒の群生地。獄中にあれば同じ苦しみを受けるがこの場の掟。†黄金の夜明け†からは逃げられない。
キッテンのドキドキスクワット(ぽろりもあるよ)の鑑賞に耐えかねた負けナイトは、結局自害という名の救済に縋るのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
中條・竜矢
◎【POW判定】絡みOK
いつの間にか夢の中か、厄介な毒だ。(女性になった体には大きな胸があり、体つきもどことなく丸い)
確か、逆転した性別らしい行動で、か
言葉遣い、姿勢から……
(とりあえずですます口調で話し始め、槍を両手で前で持つ姿勢になる)
こんな感じでしょうか。ううん、どうしても変な感じがしますね。
えっ?そんな武器や服装の時点で女性らしくない、ですか?
そう言われても困りますが……それでしたらあなたの鎧や武器も同じことでしょう?戦うならお相手しますよ?
(ランスを回したりポールに見立てて踊るように回避するなどの動きで戦う)
それでは、さようならですね。
(目が覚めて)こう冷静になると……恥ずかしいな
いつの間にか、中條・竜矢(変化する竜騎士・f03331)は夢の中にいた。
「……なるほど、こうなるのか」
彼の竜派ドラゴニアンの身体はどことなく丸みを帯びて、胸も大きく膨らんだ風に変化していた。
悪くはない、と竜矢は頷く。しなやかな筋肉は失われても、竜派ドラゴニアンの女性しての魅力がある身体だ。肉付きも良ければ鱗のツヤも良い。
「これで、女らしい行動をするのか。言葉遣い、いや、まずは姿勢から……」
女性の立ち姿を思い浮かべて、それを真似始める。脚は内向きにして、なおかつ手を前で組み……。
「いや、これだと槍が横になって邪魔……ですね」
慣れないですます口調を練習がてらに呟きながら、さてこの槍をどうしたものかと試し始める。
さすがに敵が出てくる場所で武器を捨てるような愚行は犯したくない。が、それはそれとして女らしい武器の持ち方となるとこれがまた難しい。
試行錯誤を続け、結果として両手で縦に持つのが最も女性らしいだろう、と結論に達した辺りで、何者かの気配が近付いてきた。
そう、オブリビオン負けナイトである。
『待て待てぇい! お前はその武器と服装の時点で女らしくない!』
オブリビオンの指摘に、首を傾げて竜矢は自身の服装を改めて見る。
黒いスーツに黒いアーマー。
「どこに問題が……?」
『卑猥だろうが! どこにそんなもん着た痴女がいるんだよ!?』
実はちょくちょくいるんだよなぁ。
などと竜矢が思ったか思ってないかはともかくとして。竜矢も夢の中くんだりまで着て服の準備などいない。
「そんなこと仰られても困ってしまいます……。それに、あなたの鎧や武器にも同じことが言えるのでは……?」
銀色の甲冑に槍斧。負けナイトの武装も似たりよったりなのだが、オブリビオンはわかってないなとばかりに首を横に振る。
『まるでわかってないな……。いいか? 武道に励む男勝りな女が、急に女らしい服装をする――そこにギャップがあり、至上の女らしさがあるんだ』
男あっての女。女あっての男。女の中の男らしさから、女の中の女らしさへ転向した時、女らしさはより一層の際立ちを見せる。
負けナイトはそう熱弁する。が、竜矢は理解できないとばかりに首を傾げるばかりだ。
「――それって、結局は女の姿になっても男っぽく振る舞っているだけでは?」
『アア!? なんだ宗教戦争かァ!?』
竜矢の一言が戦いの火蓋を切って落とした。瞬間湯沸かし器並の速度で激昂したオブリビオンが、その槍でもって必殺の刺突を繰り出してくる。
常ならば、竜矢はその槍を薙ぎ払っていただろう。が、今それを可能とする膂力は失われている。ゆえに、竜矢は石突を地面に立てて、槍をポールのように見立ててオブリビオンの刺突を三次元的に回避。
『な……!?』
まるで踊るような回避に負けナイトが驚いた次の瞬間には、竜矢の槍が銀色の甲冑を貫いていた。
「――それでは、さようならですね」
黒い塵へと還るオブリビオンへと艶然とした笑みを向けながら、竜矢は現実へと引き戻されて――。
――――――
――――
――
「冷静になってみると、恥ずかしいな……」
目が覚めた後、彼の碧い顔は珍しく朱がかかったという。
成功
🔵🔵🔴
フォーリー・セビキウス
【六抜】
愉快だが、滑稽すぎて三文悪夢にすらならんぞ。
ううん…男の時の記憶がある様なない様な…まぁ良いわ。
アンタは余り変わらないのね。
ハン、ろくすっぽ女を知らない癖に女らしさを求めるなんて笑い種ね。何をもって判断する気かしら。
やっぱり出るとこ出たスタイル…特にお尻がとか…後は今着てるようなスカートとかって何…!?
服が…思い描いた物がある程度反映される様ね。まあ夢だし当たり前か…って胸がキツい…!
待って、フォーリーはやめて頂戴。…ヨミにしなさい。なんとなくだけど、この方が合ってる気がするの。
それは僻み?御生憎様、隠すべき所なんてありませんから。
というかその口調…成る程、知らないのはアンタもって訳
ジン・エラー
【六抜】
性別逆転ンン〜〜〜〜??ンッふへっハヒハ!!クッッソ面白そォ〜〜〜〜じゃねェか!!!なァ〜〜〜〜〜〜〜〜?
あァ?タバコ辞めて女らしくゥ?
じゃあ女らしくって何さ
お淑やかに、嫋やかに?
ふ〜〜ん………
というとまぁ和服で……あら、平たい身体で助かりますわ
胸が大きいとほら、息苦しいのでしょう?
ねぇフォーリー、貴女もどう?
出てるところを見せびらかすように出すことだけが女じゃありませんことよ?ふふっ
私のように清らかで……ほら、この腕なんて細くて綺麗でしょう?
隠された魅力をそっと殿方に見せて魅了する……女の嗜みですわね?
“性別が逆転する”現象について、反応はかなり人によって分かれる。
「性別逆転ンン〜〜〜〜?? ンッふへっハヒハ!! クッッソ面白そォ〜〜〜〜じゃねェか!!!! なァ〜〜〜〜〜〜〜〜?」
たとえばジン・エラー(我済和泥・f08098)の場合はゲラゲラと笑いながら面白がっていた。
「愉快だが、滑稽すぎて三文悪夢にすらならんぞ」
同意を求められたフォーリー・セビキウス(過日に哭く・f02471)の方はと言うと、呆れ半分に話を聞き流していた。
とはいえ依頼は依頼。仕事は仕事。同じ旅団のよしみを通じて、二人は共に万毒の群生地へと赴くのだが――。
「……アンタは余り変わらないのね」
「あァ? そうそう変わってたまるかよ。オレはこの世に一人だけだぜェ~~?」
ケケケと嗤うジンの姿は男の頃とそう変わっているようには見えない。
アンタがたくさんいたら世の中大変よ、とフォーリーは鼻を鳴らす。
「さァ~~て、確か女らしく振る舞えば良いんだよなァ?」
懐から出した煙草へ火を付けて、ジンは煙を吐き出す。
「女らしくなんて言うなら、まずその煙草をやめたらどう?」
『そうだそうだ。女らしくないぞ!』
煙たそうにフォーリーが紫煙を手で払うと、いつの間にかにいたオブリビオン、負けナイトがそれに同調する。
『母体に悪影響なんだぞ。煙草は女らしくない』
「しれっと会話に混じって来たわね」
「あァ? 煙草やめてなァ~にやってりゃ女らしいンだよ」
『俺だってここに来るまでは男だったんだ、そんなもん知るか』
胸を張るオブリビオンを前に、フォーリーは鼻を鳴らす。
「ハン、ろくすっぽ女を知らない癖に女らしさを求めるなんてお笑い草ね」
『知ってるが!? こう、女ってのは……やっぱお淑やかで嫋やかで……』
「ふゥ~~~~~~~~ん。お淑やか、嫋やかねェ」
『それでやっぱりスカートみたいな女性らしい服装をしている。そういうもんだろ!!』
「……随分ステレオタイプなのね」
『うるせえ! 聞いてきたのはお前らだろ!?』
だが、元々“らしさ”とは固定観念だ。ジンにしろフォーリーにしろ、負けナイトの言う“らしさ”には頷けるところも多い。
夢の中に入る際になんやかんやあって男としての意識が薄れたフォーリーは、自分の着る女性モノの服装を考え始める。
「服ねえ、服。やっぱり出るとこ出たスタイル……特にお尻とか……そういうのが強調できるようなタイトなのがらしいのかしら。……って何!?」
その時、不思議なことが起きた。今着ている服が弾け飛び、その下に今思い描いた服装が現れたではないか。
「服が……思い描いたものがある程度反映されるわけね」
まあ夢だし当たり前と言えば当たり前か、とフォーリーは頷く。
「……それはそれとして胸がキツい……! 何よコレ」
「胸が大きいとほら、息苦しいのでしょう?」
最早聞き慣れた声での聞き慣れない口調。我が耳を疑いながらフォーリーが振り向くと、そこには和服を着たジンがそこにはいた。
「こちらは平たい身体で助かりますわ」
「……何、それ。女将の真似なの?」
「ええ、お淑やかの手本にはちょうどよろしいかと思いまして」
ふふふ、と口元を手で隠しながらジンは笑う。嫋やかとは言わないつもりらしい。
「さ、これで“女らしく”なったと思いますが。いかがでしょう、フォーリー?」
「悪くはないけど、フォーリーはやめて頂戴。……ヨミにしなさい。なんとなくだけど、そっちの方が合ってる気がするの」
「あらそう。私も何かこちらでの名前を考えるべきかしら。シャリエとか、ジンシャとか」
「やめておきなさい、後で殺されるわよ」
フォーリーことヨミが忠告しても、ジンは「あら怖い」と笑うばかりだ。
『そっちの白髪のお前は良いな、イイ……。女性らしさが身体のラインからバッチリ出ている……!!』
一方で負けナイトの方はと言うと、ヨミの出で立ちにエキサイトしていた。所詮は男か、とヨミは溜息をつく。
「あら、出てるところを見せびらかすように出すことだけが女じゃありませんことよ?」
それに対抗するように、ジンが和服の袖口をたくし上げる。すらり、と色黒ながらも細く美しい腕が伸びた。
「ほら、私の腕なんて細くて綺麗でしょう? 隠された魅力をそっと殿方に魅せるのも……女のたしなみですわね?」
「……それ、ひがみ? お生憎様、隠すべきところなんてありませんから」
ジンは秘していたがゆえの魅力を魅せて、ヨミは明け透けな程に自身の魅力を全面に出している。
『へっ、負けたよ……。お前たちの女らしさは最高だったぜ……』
過剰なエキサイトによって鼻血を垂らしながらオブリビオンが膝を屈する。
そう、これはどちらが女らしいかの戦いではない。らしさとは人の数だけ存在するのだから。
「これで女らしさは証明されたわね」
「シハハハハ! ハァ~~ッ、かったるかったなァ~~!」
ヨミがようやく終わったかと言わんばかりに吐息し、ジンが言葉の割には愉快げに笑っていると、二人の身体がふわりと浮き始めた。元の世界へ帰還する合図なのだろう。
『先に戻っててくれよ。俺も女らしさってやつを極めてから行くからさ。なぁに、すぐに追いついてみせるよ』
地上から負けナイトがサムズアップしながら二人を見送る。
そして二人の意識は暗転し――現実世界へと帰還する。
その後、眠る負けナイトはフォーリーが見つけてさっくりユーベルコードで処分したという。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
マリアンネ・アーベントロート
◎
夢の中だと男の人になっちゃって、男らしい行動をすれば夢から覚める、かぁ。
男らしい、男らしい……
へ、へいへーいおねーさん、俺と一緒にお茶してかなーい?
って感じで誘えばいいかな……
それでオブリビオンには催眠術であんまり女らしくない行動を取らせれば私だけ夢から覚められるよね。
覚めたあとはまだ寝てるオブリビオンの槍を奪って一人ずつぶすり、っと。
他の猟兵さんに撃破は任せてもいいけどね。
-
夢の中のマリアンネ(男)はとりあえず高身長のイケメンです。
へいへーいおねーさん俺と一緒にお茶してかなーい?って感じの男です。あと催眠術とか使います
男らしくなんて言われても、マリアンネ・アーベントロート(ゼーブスタスの催眠術師・f00623)はよくわからなかった。
男性の顔見知りは多いけれど、参考になるような人物がいるかと言われると頭を捻ってしまう。
「でも、男らしくしないと夢から出られないみたいだし……」
いつもより高い視点で、いつもよりちょっと低い声。催眠用の鏡を除けば、そこには軽薄そうな男の顔がある。
「うーん、このタイプの男の人とどんなこと話したっけ……」
変化した自分の外見をとっかかりにして、なんとかそれらしい行動を思い出す。
確か、街で買い出しに行っていた時に道を尋ねられて、案内したらそのまま喫茶店へ連れて行かれそうになったことがあった。
「私はナンパ野郎、私はナンパ野郎、私はナンパ野郎……」
鏡に向かって自己催眠をかければマインドセットも完璧だ。これでマリアンネの知っている、“女の子とお茶することしか考えていない野郎”の出来上がりである。
ぐるりと周囲を見渡せば、ちょうど折よく女体化を果たしたオブリビオン、負けナイトが見えた。姿見の前で、何やら衣装やアクセサリーを並べているようだ。
「へいへーいおねーさん、俺と一緒にお茶してかなーい?」
へらりと軽薄な笑みを浮かべながら声をかけると、負けナイトは何だこいつはと言わんばかりに露骨に顔をしかめる。
『いかにも軽薄そうな……。男児としての自覚が無いのか?』
そりゃあ元から無いんだから無い。
苦笑しながら、マリアンネは頬を掻く。
「手厳しいなあ。でも、人は見かけによらないって言うじゃない? お茶して親睦深めて知って貰っても良いと思うんだけど」
『……ううむ。ナンパされるのも女らしさか』
諦めたように溜息をつくと、負けナイトは指を鳴らしてその場に机と椅子を出現させて、こちらに座るように促して来た。
『言っておくが、女の身になり果てようとも俺は絶対にお前に落とされないからな』
「気が強いねえ。あ、飲み物何にする?」
うかがうように相手の目を見つめ、机の下でボタンを押す。リモコンから催眠光線が放たれるも、負けナイトは気付かない。
「――やっぱり、今どきの女の子はとりあえず生中?」
『……当然だ。俺は安酒程度に決して負けたりしないのだからな!』
虚ろな瞳で、出現させた生ビールをジョッキで飲み始める負けナイト。
にやりとマリアンネは口元に笑みを浮かべる。こちらはナンパで男らしく振る舞い、負けナイトは催眠術で女らしからぬ行動をさせれば必然的にこちらの方が早く目が覚めるというものだ。
『すやぁ……』
それはそれとして、生ビールを一口飲んで負けナイトはアルコールに負けたのだが。
「思ったよりもすんなりいったなあ……」
拍子抜けというかなんというか。椅子から立ち上がって、オブリビオンへ背を向ける。
現実へと引き戻される間際に、眠るオブリビオンへと振り返る。
「それじゃ、おやすみなさい。悪い男に騙されちゃダメだよ――なんてね」
それから、現実に戻ったマリアンネは当然のように昏睡したままの負けナイトを始末したのだった。
大成功
🔵🔵🔵
夢幻・天魔
◎
【厨二なら何でも良いので好き放題やっちゃってください】
「フッ、最強のこの俺に、たかが毒如き……効くとでも思っているのか?」
(無防備に毒キノコの群生地に突撃する)
「天々奈(アテナ)様、ここに降臨!」
毒に侵された天魔は、神の転生体である究極超絶美少女『夢幻・天々奈』として、この夢の世界に降り立ったのだ!
『異世界での最強にして無敵なる伝説的な俺』で生み出したゴスロリのバトルドレスを身に纏い、神をも滅するチェーンソー剣で敵を切り裂く!
「うふふふふ♪ みんな蹂躙してあげるわ!」
『夢』の世界で、厨二病に敵うわけが無いだろう?
「――万毒の群生地、だったか」
群生するキノコを遠目に見る夢幻・天魔(千の設定を持つ男・f00720)が脳裏に思い浮かべるのは、かつて訪れた紫色の毒の沼地だ。
「フッ。かつて四天王が一、毒の匠イカツクドを打ち破った俺にかかれば、毒地など無人の荒野に等しい……」
そう、万毒の群生地の毒胞子など、かの激戦でイカツクドの毒を無効化して戦った天魔からすれば児戯に等しい。最強にして無敵の究極戦士にたかが毒ごときが効かはずがないのだ。
「さあ、群生地の万毒よ。俺を夢に誘うというのなら誘ってみるが良い!」
………………
…………
……
以上、妄想終了。
一切毒の耐性を持たない天魔は無防備なまま群生地へ突撃をかまして夢の世界へと引き込まれてしまった。
「これは……」
むくりと起き上がる。さらりとした銀髪が目の前に流れて来た。
自分の服を見下ろす。なぜ自分はこんな服を着ているのだろうか。
持ち前の妄想力で鏡を出現させて容姿を確認するや、フィンガースナップと共に装いを新たにする。
鏡面に映るのは銀の長髪、紅の瞳。ゴシックロリータドレスに身を包んだ美少女――
アヴァターラ アテナ
「神の 転生体 、天々奈様、ここに降臨っ!!」
ドゥルルルルン!! ブォォォォォォォン!!
声高な宣言と共に、その手に握られたチェーンソー状の剣が威圧的な怪音を上げる。
『待て待て待てぃ!!』
それに待ったをかけたのは、もちろんオブリビオン“負けナイト”である。
『おかしいだろ!? なんで美少女にチェーンソーなんだよ! 普通は杖とか弓とか……百歩譲っても俺みたいに槍だろ!!』
美少女たるもの武器も女らしくあらねばならない。それが負けナイトの主張だった。いかにも後衛系で、男に守られるような装備こそが女らしさと彼は疑わなかった。
「そう、あなたにはこれがチェーンソーに見えるの……可哀想」
これを一蹴するように、天魔こと天々奈はやれやれと首を横に振る。
「これは悪魔によって鋳造された、神をも滅ぼす剣――」
ドゥルルルルン!! ドッドッドッドッドッ……!!
「数々の次元を渡った私が、同族たる神を殺すために悪魔と取引した――」
ブォォォォォォォン!!!!
「――至高の武器よ」
ブィィィィィィィン!!!!!!!!
『チェーンソーの駆動とりあえず止めろようるせえよ!!!!』
止めた。
「破壊の旋律を解さないだなんて……」
『微塵も理解できねえ……。こうなったら強硬手段だ! 俺が勝てば槍が強いと証明できる! 勝負だ!! もっとも、剣が槍の間合いで勝てるわけがないけどな!』
槍を構える負けナイト!
駆動と共にチェーンソー剣を振って槍の穂先を切り飛ばす天々奈!!
『うそぉ……』
「うふふふふ♪ 蹂躙してあげるわ!」
宣言通り、天々奈はそのまま負けナイトを切り裂く。
夢の世界で、厨二病が負ける道理など無かった。
成功
🔵🔵🔴
フェルト・フィルファーデン
◎シア様(f04820)と
ま、また毒?いえ今度こそ大丈夫よ。かあさま、じゃなくて!シア様も一緒にいるし?
(夢の中)
(身体だけ男の子と化しそれ以外は正常な男の娘フェルト)
わたし、男の子になってるわ!?
い、いえ、落ち着くのよわたし。物凄く体の違和感がすごいけれど……
えっ?シア様も殿方に?
やだ、胸がドキドキする……カッコ良すぎだわ!
いえ、ダメよ!わたし達今は男同士なのに……!
……でもこれは夢なのだし……禁断の恋でも……
あっ、アナタは悪い女騎士!
もう、わたし達の恋路を邪魔しないで頂戴!
有難うわたしの騎士!愛しているわ!
(目覚めた)
(全部覚えてる)
い、今そんな事を言わないで!道を踏み外しそうだから!?
浅葱・シアラ
◎フェルト(f01031)と共に
次は夢の中ですか
負けませんよね、フェルトちゃん!
(夢の中)
(身体だけでなく精神まで自分を元からの男の子と思い込む少年騎士シアラ)
何をいっておられますか、麗しの我が主
私はいつも通りですよ
今日もきらびやかな笑顔
宝石すら光を消す美貌
奥ゆかしく清楚なその性格
フェアリーの宝です、姫
ええ、あなたも私も男の子……
でもそれがなんですか?
こんなに愛しいこの想いが性別の壁に阻まれるなど
(フェルトに迫る、がオブリビオンの存在に気づき)
やれやれ、邪魔をするのは美しい女騎士の方でしたか
代わりに踊りましょう?
我が蝴蝶達が
(夢から覚めて)
変な夢見ましたね……
フェルト、凄い可愛いですね、今日は
「ま、また毒?」
依頼の説明を聞いて、フェルト・フィルファーデン(糸遣いの煌燿戦姫・f01031)はたじろいだ。
彼女は少しばかり前に万毒の群生地に赴き、幼児にされたばかりだったのだから当然だろう。
しかし、同じ経験を持ちながらもまったく怯んだ様子の無い者もいた。浅葱・シアラ(幸せの蝶々・f04820)だ。
「次は夢の中ですか。今度は負けませんよね、フェルトちゃん!」
「え、ええ! 今度こそ大丈夫よ。かあさま――じゃなくて! シア様も一緒にいるし?」
同じ経験を持ちながらも恐れることのないシアラの姿がフェルトを勇気づける。
どれほど困難な壁であろうと、二人ならば越えられないことはない。そう信じて――
信じた結果、二人は揃って夢の中で男になった。
「わたし、男の子になってるわ!?」
男体化した自分の身体にフェルトは驚きを隠せない。とはいえ、身体は男になっているもののフェルトはまだ変化が少ない方だ。男の子というよりは男の娘と言うべきだろう。
「落ち着くのよ、わたし。身体の違和感がものすごくすごいけれど……」
どれほどすごいかと言うと、ものすごくすごい。
動揺する心を鎮めようと努める。そういえばシアラの方はどうなったのだろうか。
「大丈夫ですか、我が主」
シアラの方はと言えば、凛々しい騎士風の美少年へと変わっていた。
「えっ、シア様も殿方に? なんかいつもよりカッコよくなってるわ……!?」
「何をいっておられますか、麗しの我が主。私はいつも通りですよ」
しかも精神までもが男へと変わっていた。
「それよりも姫は今日も麗しくいらっしゃる。煌めくような笑顔。宝石すら光を消す美貌。奥ゆかしく清楚な立ち振る舞い。フェアリーの宝です、姫」
「ひ、姫って……」
今の自分は男のはずだ。なのにこうして男体化したシアラに迫られると正直カッコ良いし胸もドキドキするしで全然アリなんじゃないかと思う。だが自分も男だ。
「ダメよ! わたしたち今は男同士なんだから……!」
「ええ、あなたも私も男の子……。でもそれがなんですか?」
シアラの甘いマスクが迫って来る。ふわりと蜜の香りが鼻孔をくすぐる。
「こんなに愛しいこの想いが、性別の壁に阻まれることなどあってはなりません」
これで姫もそう思いますよね? などと迫られるのだから、免疫のないフェルトは夢なのだから禁断の関係もアリなんじゃないかと気の迷いを起こしそうになろうものだ。
「さあ、共に参りましょう。私たちに越えられない壁など――」
無いのです、と続こうとする言葉は、オブリビオンの登場によって阻まれた。
『その関係、ちょっと待ったァ!!』
女体化した負けナイトだ。
「あっ、アナタは悪い女騎士!」
『元の性別を考えれば完全に百合。だがビジュアル的には薔薇じゃないか!! 俺の前でゆりんゆりんすることは許せるが、ばらんばらんされた日には貴様らをバラバラにしてやらねえと気が済まねえ……!!』
殺意の高まりと共に、負けナイトは槍の穂先を二人へ向ける。
「もう、わたし達の恋路を邪魔しないで頂戴!」
なぜいきなり現れて手前勝手な文句を喚かれた上に邪魔されなくてはならないのか。温厚なフェルトとてこれには我慢ならなかった。しかし、横からすっと制するように手が伸びた。
「やれやれ、邪魔をするのは美しい女騎士の方でしたか」
フェルトの盾となるように、シアラが前に出る。
「我が胡蝶たちが、代わりに踊りに付き合って差し上げましょう」
シアラがひとつ羽ばたいたかと思うと、無数の蝶たちが現れた。それを見て、負けナイトは鼻でせせら笑う。
『蝶如きに俺の相手が務まるはずが――』
ない、と言おうとして、負けナイトは膝を地に着く。
蝶たちの煌めきが負けナイトの身体から力を奪っているのだ。
「さあ。もう大丈夫ですよ、姫」
「ありがとう、わたしの騎士! 愛してるわ!」
動けずにいるオブリビオンを尻目に、フェルトとシアラは二人の世界へと没入していき――
――――――
――――
――
「……変な夢を見ましたね……」
むくりと夢から醒めたシアラは、今まで見ていた夢を思い返す。ぼんやりとしていてうまく思い出せないが、悪くない気分だった。
そういえば、とフェルトの方を見ると、彼女は顔を真赤にした状態で震えていた。
「おはようございます、フェルト。今日もすごく可愛いですね」
びくりとフェルトの肩が跳ねて、彼女は頭を抱え始める。
「ダメ、ダメダメ……。今はそんなこと言わないで! 道を踏み外しそうだからぁ~~っ!!」
「ちょ、ちょっと、フェルト? どこに行くんですかー!?」
ぴゅーんと飛んで行ってしまうフェルトを、慌ててシアラが追って行く。
この追いかけっ子は体力が顕界を迎えるまでしばらく続いたそうな。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ティヨル・フォーサイス
◎
リンデ(f14721)と
なに?体が重い
鏡かと思った目の前の妖精は
自分が思ってもいない方にフラフラ飛ぶ
ちょっとまって!
手を伸ばせば見覚えのある袖
ん?
手をぐーぱー
さっきの声は私が出したの?
待ちなさいってば、私の体っ
低い声に驚いて
まさか、これリンデの体?
一歩でぐんと進むからあっという間に捕獲
リンデ?
こら、かってに飛んでいかないの
ここは戦場だって忘れたわけじゃないでしょ
リュイ、いる?
よかった、槍も今のサイズになるみたい
リンデもそのサイズなら守りやすいわ…ゴホン!
守りやすいよ
飛ぶのに慣れていないんだし
あまり飛び回らずにいてくれると助かるな
ま、真似じゃないわよ
しょうがないでしょ
男らしくしないとなんだから
リンデ・リューゲ
◎
ヨル(f14720)と
うわぁ、ぁ、あ
急な浮遊感にふらふら
こっちに伸びてきた何かの上に落っこちて
……うわ、でっかい俺
俺はヨル?
じゃあ俺はなに?
背中にぱたぱた
いつも焦がれていた翅を見つけて
見て、ヨル見て俺飛べる
大空は俺のものー
きみの世界ってこんなに大きいんだねぇ
敵の存在忘れてました〜
ふわふわふらふら【逃げ足】でなんとか避けて
よっこらしょっと俺(ヨル)の肩に着地
やっぱきみみたいに飛べないや
ヨル、ヨル、それ俺の真似?
ねぇ、俺の真似?
(かわいいなぁ
頼もしい俺ってなんだか新鮮
私もヨルっぽくするのわよー
悪い子は懲らしめてあげるわ
めっ
生み出すのは彼女のリュイに似せたつもりのへっぽこ絡繰
がぶっとしてらっしゃい
夢の世界に入った瞬間、リンデ・リューゲ(يقبرني・f14721)は急激な浮遊感に襲われた。
「うわぁ、ぁ、あ――」
地面を見たかと思えば空が見える。ぐるぐると視界が回ったかと思えば、ぽすんと何かの上に尻から落ちた。
「あいたた……」
軽く打ってしまったかもしれない。なんとか立ち上がって辺りを見回す。どこかに自分の姉貴分のティヨル・フォーサイス(森のオラージュ・f14720)がいるはずだ。
「ヨル、そっちは大丈夫だった――」
かな、と続くはずの言葉は中断された。見上げながら、リンデは呆然と呟く。
「……うわ、でっかい俺」
「……えっ、鏡じゃないのこれ?」
リンデが見上げるのは自分の身体で。その自分の身体は首を傾げて混乱した様子だった。
「え、待って。今の声私が出したの?」
いやにヨルっぽく喋る自分だ。もしかすると、今見上げているこの自分の身体はヨルなのかもしれない。
「じゃあ、今の俺って誰なんだ……?」
自分の身体を検める。リボンとフリルの付いた青と白の可愛らしい衣装。背中にはいつも見つめては焦がれていた翅。
ヨルになっているんだと気付いた時、リンデは背中の翅を羽ばたかせて空を飛び上がった。
「わあっ、ちょっとまって!」
「見て、ヨル見て。俺飛べる!」
興奮した様子で、リンデは翅を羽ばたかせながらぱたぱたと飛翔する。
「大空は俺のもの~!」
笑い声さえ上げながらリンデは空を飛んでいく。ようやく状況を掴み始めたティヨルが、慌てて一歩踏み出してリンデへと手を伸ばした。
「待ちなさいってば、私の身体っ!」
ぽむ、と両手をお椀のようにして空を飛ぶリンデをキャッチ。手の中から驚いたような声が上がった。
「あはは、やっぱりきみみたいにうまくは飛べないや」
「……リーンーデー。勝手に飛んで行かないの、ここは戦場だって忘れたわけじゃないでしょ?」
「……ごめん、忘れてました~」
あっきれた、とティヨルが大きな溜息をつくのと、オブリビオンが出現したのはほぼ同時のことだった。
『ククク……異性の身体は慣れぬだろう。それが異種族ともなれば尚更!』
女体化した負けナイトが、高笑いをしながら槍をこちらへ向けて来る。
『この勝負、俺が負けることはないな! さあ、せめてもの情けだ。武器を取る時間ぐらいは待ってやろう!!』
「うわっ、オブリビオンだ」
「ああ、もう。リンデが遊んでるから……。リュイ、いる?」
鳴き声と共に飛んできた白毛の竜が、ティヨルの手に収まるとたちまちにドラゴンランスへとその身を変貌させる。
「よかった、リンデの身体のサイズに合わせてくれた……」
安堵の吐息をつき、ティヨルは槍を構える。
「リンデ、こっちに。飛ぶのに慣れてないんだから、あまり飛び回らないで頂戴」
ふわふわふらふらと懸命に飛ぼうとするリンデへ呼びかけ、はたと思い直す。そういえば、元の世界へと戻るためには男らしく振る舞わないといけないのだった。
「ごほん。――あまり飛び回らずにいてくれると、守りやすくて助かるな」
「あっ、それって俺の真似? ねえねえヨル、それ俺の真似?」
「ま、真似じゃないわよ。しょうがないでしょ、男らしくしないとなんだから」
にやにやと笑いながら肩に座るリンデへと唇を尖らせる。一番よく接してる異性と言ったらリンデなのだから仕方ない。
「頼もしい俺ってなんだか新鮮だなぁ。あ、じゃあ俺もヨルっぽくするのわよー」
「私、そんな口調じゃないんだけど」
「あれ、違った?」
いたずらっぽく笑うリンデと半目になるティヨル。そんな二人のやり取りに痺れを切らしたのか、負けナイトが声を上げる。
『戦いの準備はいい加減もう良いよなぁ!? 良いな、やるぞ!!』
言うが早いか、彼は槍を構えた状態でこちらへと突撃して来た。
「悪い子は懲らしめてあげるわ。めっ! ――なんてね」
ティヨルの真似をしながら、リンデが召喚したのは白い竜、リュイを模したカラクリだった。
「がぶっとしてらっしゃい」
『その程度、この俺に効くはずがないだろうが!』
放たれたカラクリが負けナイトへと襲いかかるが、槍でもって打ち払われる。
その瞬間を狙い澄ましたかのように、ティヨルがドラゴンランスを突き出した。槍を振って無防備になった負けナイトへと、ドラゴンランスが突き刺さる。
「リュイ!」
呼びかけに応えるかのように、ドラゴンランスが再び白い竜の姿へと変身し――その竜の息吹でもって負けナイトを灼き尽くす。
黒い塵となって消えていくオブリビオンを見つめながら、ティヨルは溜息をついた。
「なんだか疲れちゃったわ……」
その後、リンデに女らしい振る舞いをあれこれ教えようとティヨルがまた苦心したのは、また別のお話……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
境・花世
◎
男だったらもっとずっと大きな掌で
背の高いひとを撫でてあげられるかな
おんなじかたちの躰をしていたら、
今よりも分かり合えることが増えるかな
なんて……うん? あれ?
平らになった胸をぺたりとさわって、
思わず周りをそわそわと見回す
嬉しいような、気恥ずかしいような、
複雑な男心で花を指先に咲かせてみたりして
敵の成り立て乙女がやってきたら、
ふっと自然な仕草で花を差し出そうか
オブリビオンだとしたって
女の子は笑ってる方がかわいいから、ね?
少女漫画のヒーローみたいに花を背負って
そのまま花びらの嵐で包み込んであげよう
ほら、きれいに飾ってあげる
ほんとうに男らしいひとは
強いからこそやさしいって、知ってるんだ
もしも自分が男だったら、なんて。
境・花世(はなひとや・f11024)は益体もないことを時々考えることがある。
男だったら、体格は一回りも二回りも大きくて。手は今よりもっとずっと広くて堅くなっていて。きっと相手の背が高くても、背伸びせずとも手が届くかもしれない。
手が届いたなら撫でてあげられるし、同じカタチの身体を持っているなら、今よりもずっとわかり合えることが増えるかもしれない。
それで、きっと今より少しだけ近くにいられたら。
それは何よりも嬉しいことだろう。
――――――
――――
――
ぱちりと瞬き一つを境に、花世の視点は高くなっていた。
「うん? ……あれ?」
足元を見るけれど、立っている場所は変わらない。それどころか、いつもはあるはずの胸が平らになっていた。
ぺたりぺたりと無くなった胸に触れる。あるはずのものがないというのはなんとも不思議な感覚で。嬉しいような、気恥ずかしいような、なんとも不思議な気分だった。
思わず周囲をそわそわと見回しながら、指先に花を咲かせてみる。複雑な心情も、花があれば少しは気が晴れやすくなるから。
『ええい、女々しい女々しい!』
それを見咎めたのは女体化したオブリビオン、負けナイトだ。わあわあと喚き立てながら、花世の咲かせた花を指差す。
『男ならもっと男らしく振る舞えないのか! 花なんぞ女の物だ!』
「……そうだね、花は女の子のところにあるのが一番似合う」
ふっと口元に笑みを浮かべ、花世は指先に咲かせた花を負けナイトの髪にすっと差す。
『あっ、えっ、なっ……!?』
「ほら、よく似合うよ」
『に、似合う……のか?』
花世が笑いながら一声かけると、当惑するオブリビオンは少しはにかむように顔を赤らめながら髪に飾られた花へと視線を向ける。その口元は、少しだけ嬉しそうに笑っていた。
「オブリビオンでも、女の子は笑ってる方がかわいいよ、ね?」
ぱっと花世の背中に大量の花が咲く。満更でもなさそうだった負けナイトの表情は、まさしく夢見心地になっていた。
「ほら、きれいに飾ってあげる」
ぱっと散った花世の花が嵐となって負けナイトを彩るように包み込む。まるで竜巻のように舞い散る花びらが負けナイトをすっかりと覆い尽くすと、その後には黒い塵しか残っていなかった。
「ほんとうに男らしいひとは、強いからこそやさしいって知ってるんだ」
自分はそこまで強くもなければ、優しくもないかもしれないけれど。
それでも、これで少しでもあの人に近付けたなら。
それは自分にとって、とても喜ばしいことなんだ。
大成功
🔵🔵🔵
霧島・ニュイ
◎
夢にすぐさまダイブ
しなやかな体、ピンピンと跳ねた背中までの髪
………。
女の子になってるーー!!?
胸がある!!
意識は男のまま。わなわなと震え
鏡を取り出して見る
……母さんに似てる気がする…
記憶喪失なので母の顔も朧気に思い出せる程度なのだが、女の子になると顔立ちが瓜二つな気がする
∑
君も女性に!?美人!
と、とりあえずお話しよう!ね!?トンチキな事態だし!
友好アピールしつつ
恋人いるの?フラグ立ってない?
見切りで攻撃躱し
女性らしく……
私、綺麗?(口裂け女リズム)
可愛い猫のぬいぐるみを取り出してぎゅっとして
女の子にはお花!
UC
ふわふわと勿忘草を浮かべ
夢の中でも眠らせる
だまし打ちだね
起きたら
銃をずがががが乱射
ハイティーンとはいえ霧島・ニュイ(霧雲・f12029)も立派な思春期男子だ。夢の中で女の子になれると聞いたら、一回なってみたいと好奇心がくすぐられるお年頃である。
ゆえに依頼の説明を聞いたニュイはすぐさま万毒の群生地へ向かって夢の中にダイブした。
「………」
夢の中とはいえ、立っている場所はあいも変わらずの群生地。はて一体何が変わったのだろうか、と首を傾げてみると、さらりと髪が流れてきた。
「女の子になってる――!!?」
精々肩にかかる程度の髪が、背中まで伸びていた。左右へぴんぴんと跳ねた髪質は女になっても変わらないらしい。
「胸がある!!」
膨らんだ自分の乳房を鷲掴みにしながらわなわなと震える。そのまま自分の身体をまさぐると、確かに体つきは丸くなっているし、腰の辺りは広くなっている。
思い出したように想像力を高めて手鏡を出現させる。
「……母さんに似てる……気がする」
鏡面に映る女性の顔からは、朧気にしか思い出せない母の面影を思わされた。元より母親似な顔立ちなだけに女体化するとよりその面影が濃くなるのだろう。
女になった自分の姿に、ニュイはすっかり見入ってしまっていた。その意識を呼び覚ましたのは、獣の鳴くような甲高い声だ。
『ぬわああああ!? お、俺が、女になっているだとぉ――!?』
女体化したオブリビオン、負けナイトだ。流れるような金色の長髪に一瞬目を奪われる。
「美人だ……。ねえ、君も女性になったのかい!?」
『うおっ、猟兵だと!? そ、そうか。お前たちも毒の胞子に……』
咄嗟に武器を構えながら、負けナイトは複雑そうな表情をする。自分が女体化したと思ったら敵も女体化した状態なのだからそんな顔にもなろうものだ。
「と、とりあえずお話しよう! ね!? こんなトンチキな事態だし!」
『断る!!』
ひゅ、と飛んできた槍の穂先をすんでのところで回避。殺気立つ負けナイトの表情には、羞恥の色が浮かんでいた。
『こんな姿を見た者を生かしておけば一生の恥! 故郷に残した恋人に顔向けできん!』
「わあ、オブリビオンにも恋人っているんだ」
『この戦いを終わらせ、俺が恋人と一生を添い遂げるために散れぇ!』
「すごい勢いでフラグ立てに来たなあ!」
ひゅんひゅんと三段突きを繰り出すも、いずれもニュイは見切って躱し、あるいはいなす。
「っていうか、騎士が女子供に手とか上げちゃって良いの?」
『女を自称するならばもっと女らしくなってから言うことだな!』
横薙ぎに来た槍を跳躍して躱しながら、ニュイは確かにと胸中で頷く。
身体こそ女になったものの、心は男のままだ。夢から脱するのも、自分の場合は女らしく振る舞うことが条件だった。
「女性らしく……」
バックステップで大きく距離を取りながら考える。自分の思う女らしさとは何か。
「……私、綺麗?」
不器用な作り笑いを浮かべながら首を傾げてみせる。どこぞの都市伝説のようだった。
『その程度で女と言わせるものか!!』
雑な女の演技を見せられた負けナイトが激昂したように突撃を仕掛けて来る。ダメか、と肩を落としながらニュイは吐息した。
「それなら――女の子にはぬいぐるみ!」
想像からクマのぬいぐるみを出現させて、ニュイはそれをぎゅっと抱きしめる。
抱きしめられたぬいぐるみの形がきゅっと歪んだかと思うと、それは破裂して青い花びらを舞い散らせた。
「それから、お花!」
勿忘草だ。
嵐のような一陣の花弁が通り過ぎたかと思うと、負けナイトの突進の速度が見る間に落ちていって、遂には途中で力尽きたように前のめりに倒れ伏してしまう。
「……おやすみなさい。夢の中でも良い夢を」
くすりと笑って、ニュイは踵を返す。
負けナイトが起きるまでに夢から脱出するのは、簡単だった。
脱出した後、ニュイは現実で眠りこける負けナイトを銃で蜂の巣にしたのは言うまでもないことだろう。
成功
🔵🔵🔴
尭海・有珠
◎
ふ、はは、面白い夢だな
と多分私の表情筋ではほぼ真顔で笑ってしまうのだが
私の思う男らしさとはもう少し筋肉がついていて身長が高くて
あと特に女性には優しく丁寧に、だったかな
…うーん、理想とすべき男性像が師匠なんだよな
話し方も大分元々真似ているわけだし
さて頑張って女性を演じてるナイトのオブリビオンとやら
違うな、「どうしたんですか、可愛らしいお嬢さん」
…そうだ、えがおが大事だな
どうやらお困りの様子、否、ここから解放されたいと必死の様子だ
エスコートはいかがかな、『俺』がその手伝いをしてあげよう
そういって剣を突き刺し、炎の≪剥片の戯≫で茸の胞子諸共燃やす
ほら、死んでも解放されるだろ
何一つ間違っちゃいないさ
「ふ、はは、面白い夢だな」
尭海・有珠(殲蒼・f06286)は器用なほどに不器用に真顔で笑った。
姿見の鏡面に映るのは、男体化した自分の身体だ。いつもよりも高い身長に、筋肉質な身体。自分の思い描いていた男らしさがそこにはあった。
「話し方もだいぶ真似ていたとはいえ、ここまで理想の男性像が師匠に寄るとはな。これはこれで面白い」
身体を鍛え、女性には特に優しく丁寧に――。酒の勢いだったかで、いつだったかに師匠が男たるもの、と言っていたことを思い起こす。
「さて、これは困ったな」
男らしくしようとして師匠の口調を真似たわけではなければ、女らしくしようとしてこの口調になったわけでもない。となると、この夢から脱するには男らしさを行動で示さなくてはならないのだが、それには優しく丁寧に扱うべき“女”が必要となる。
「……ああ、いや。いたか」
有珠の視線がオブリビオンの姿を捉える。
女体化した負けナイトが、姿見に向けて色々なポーズや衣装を試しているところだった。
あの頑張って女性を演じてるナイトのオブリビオンとやらに声をかければ良い。そうと決まれば、有珠は言葉と“笑顔”を意識しながら負けナイトへと声をかけることにした。
「どうしたんですか、可愛らしいお嬢さん」
『むっ、何奴……じゃなかった。おほほ、ごきげんよう』
急に声をかけられた負けナイトが一瞬身構えるが、女らしく振る舞おうと演技を取り繕う。
「どうやらお困りの様子、否、ここから解放されたいと必死の様子だ」
『ええ、まあ……。恥ずかしながら、一人でこうして創意工夫を凝らしているところですわ』
成程、と有珠は頷く。負けナイトの慣れない演技で不器用に被せられた表情の下に、不安や動揺が見て取れた。
「では、エスコートはいかがかな。『俺』がその手伝いをしてあげよう」
『……よろしいんですか?』
「ええ、もちろん。女性には優しく丁寧に、がモットーですので」
警戒するような負けナイトの表情が和らぐ。二人で“らしさ”が表現できれば、それだけ元の世界に早く戻れる。互いに利のある話だと思ったのだろう。微笑みと共に負けナイトは頭を下げる。
『では、お言葉に甘えて――』
お願いしますわ、と続くはずだった口から代わりに出てきたのは、血だった。
有珠の握った剣が、負けナイトの腹を突き刺していたのだ。
プリュイ・フォリー
「群れよ、奔れ――《 剥 片 の 戯 》」
言葉と共に、炎の薄刃が迸る。負けナイトだった黒い塵が辺りを舞った。
「ほら、死んでも解放されるだろ。何一つ間違っちゃいないさ」
燃える夢の中で、有珠は無表情に笑うのだった。
成功
🔵🔵🔴
セリオス・アリス
【双星】◎
女らしい女…身近なとこだと女将か?
つまり顔と胸と腕力だな!
…でかさはあるし、少し脱ぐか
ってなんで止めるんだよアレス
…化粧、なるほど一理ある
ん っと目を閉じ受け入れ体制
自分の顔なんか見えねぇし
アレスがやってくれた方がいいじゃん
ふふっ…
化粧されるのは…なんだかちょっとくすぐったいけど
アレスの手だと安心する
目をぱっちり開けて小首を傾げる
どうだ?
聞いといてなんだけど…なんか照れるな
ふふん、アレスのは俺がやってやろうか
よっし紅だな!
筆は…プルプルして使いにくい
薬指に紅をとってそっと触れる
うん、綺麗
あ?こんな綺麗なのにどこが不満なんだ
ほらよく見てみろ
顔で黙らせて
やっぱ最強なのは女子力(物理)だな
アレクシス・ミラ
【双星】◎
兎に角、淑女を目指せばいいのかな…?
しかし鎧で胸元は少々きついし…やはり羞恥心が…ッ
…いや、君は女将殿を何だと
そして脱ぐな!
…そこに化粧道具と本がある
まずは身嗜みを整えろ…という事ではないのかな
って、何故目を…もしかして、僕が君にやれと?
…仕方ないな
本を見ながらだが、やるからには丁寧に
…睫毛も長くて綺麗だな
よし、出来た
…綺麗だよ、セリオス
正直…見惚れてた
では、僕は自分で…
…え?君が?
幼馴染の経験から不安は感じる、けど
自分の唇に指を当て
じゃあ、紅をお願い出来る?
…ふふ、何だか不思議な気分だ
全く…失礼な者達もいるんだね
【蒼穹眼】で見つめ、手でカウンターを
これも淑女の嗜み…かは置いておこう
当然の話ではあるが、夢の中へ女体化して放り込まれると動揺する者は多い。
その中でも、アレクシス・ミラ(赤暁の盾・f14882)はだいぶ落ち着いているように見えた。
「とにかく、淑女を目指せばいいのかな……?」
キツく感じてしまう白銀鎧を気にしながら、アレクシスは呟く。できることなら、可及的速やかにこの夢から脱したい。鎧で誤魔化せているとはいえ、やはり女になった姿を見られるのは恥ずかしいものだった。
「女らしい女……身近なとこだと女将か?」
一方で、まったく女になったことを気にしてないような者もいる。セリオス・アリス(青宵の剣・f09573)だ。元々が女顔であることも関係しているのだろうか。
「なるほど、女将殿。確かに彼女の立ち振舞は淑女と呼ぶに相応しい」
「ああ。顔も良いし胸と腕力もあるからな!」
「……いや、君は女将殿を何だと」
一瞬でも頷いてしまったこの納得を返して欲しかった。
アレクシスの半目視線も気にした様子もなく、セリオスの方はふぅーむと自分の身体を見下ろしながら悩む。
「……でかさはあるし、少し脱ぐか」
「脱ぐな!」
脱がせなかった。
「なんで止めるんだよアレス。でかいんだから普通脱ぐだろ」
「普通脱がないんだよ淑女は!」
えー、とセリオスは口を尖らせる。なんでこちらの方がなんか悪いみたいな扱いになっているのか不思議だった。
放っておくとまた突飛な行動をされかねないと思ったアレクシスは、化粧道具とファッション雑誌を想像してその場に出現させることにする。
「ほら、そこに化粧道具と本がある。まずは身嗜みを整えろ、という事ではないのかな」
「化粧、なるほど一理ある」
セリオスが納得したように頷くと、アレクシスも安心できる。突飛な行動をさせないためには、やはり方向性を与えるに限る。
これでしばらくは化粧に四苦八苦して時間を稼げるだろう。その間に何か打開策を考えなくてはならない。
だが、アレクシスは忘れていた。こういう時のセリオスは方向性を与えたとしても、こちらの予想通りには動かない。
「んっ」
「……なぜ目を閉じてこちらに顔を突き出す。僕がやれと?」
「自分の顔なんか見えねぇし、アレスがやってくれた方がいいじゃん」
言われて、確かに鏡を用意していないことに気付いた。ぬかったな、と思いながら一つ溜息を漏らす。
「……仕方ないな」
化粧の方法を特集した雑誌のページを開きながら、アレクシスは化粧道具を手に取った。
一通りページに目を通して、書かれている通りに化粧を始める。目を閉じた顔を相手に、至近距離で化粧をするというのはなんだか奇妙な感覚だった。
「……睫毛も長くて綺麗だな」
「ふふっ……。化粧もそうだけど、なんだかちょっとくすぐったいぞ」
「嫌だったか?」
「ううん。アレスの手だと安心する」
一瞬だけ化粧の手が止まってしまったのは、目を閉じたセリオスに気付かれてしまっただろうか。努めて平静に、そうかとだけ返してアレクシスは手を動かす。
「……よし、できた」
化粧が完成して、緊張の糸が解けたように吐息するアレクシスへと、ぱちりと目を開いてセリオスが小首を傾げる。
「どうだ?」
「……綺麗だよ、セリオス。正直、見惚れてた」
「……聞いといてなんだけど、なんか照れるな」
アレクシスの嘘偽りのない感想に、セリオスは赤くした顔をそらす。はにかむ姿も可愛らしかった。
「では、僕は自分で……」
化粧をしてしまおう、と化粧道具へと伸びたアレクシスの手は、セリオスによって阻まれる。
「ふふん、アレスのは俺がやってやろう」
「……え? 君が?」
頷きを返す幼馴染を見て、アレクシスは難しい顔をする。今までの経験から不安を感じるが、かと言って断るのも難しい。能面のようなメイクにでもなるのは嫌だった。
少し考えて、アレクシスは自分の唇に指を当てる。
「じゃあ、紅をお願い出来る?」
「よっし紅だな!」
口元だけなら万が一変なことになったとしても直しやすい。
意気揚々と口紅を手に取るセリオスが少しだけ可愛らしく見えるのは、今は女になっているからだろうか。
「……うん、綺麗」
「ふふ、何だか不思議な気分だ」
紅を引き終えたセリオスが満足そうに笑い、それにつられるようにアレクシスもはにかみ笑いをする。元は男同士なのに、こうして化粧をしあうのは変ではあるが、嫌な気分ではなかった。
『待て待てぇーい! 貴様ら本当にそれだけで女らしくなれたと思っているのかァ――ッ!』
そんな二人の間に割って入るように現れた者がいた。女体化したオブリビオン、負けナイトだ。
『女らしさとは立ち居振る舞いに現れる! 化粧をしただけで女らしくなれるほど、女は甘くない!!』
「あ? こんなに綺麗なのにどこが不満なんだ」
反駁するセリオスが胸を張ってメイクした顔を見せつける。
『顔が良いだけで女になれるかァ――!!』
「こちらはこちらで淑女になろうと努力しているというのに、全く……。失礼なオブリビオンもいるものだね」
無礼の輩をアレクシスはその青い瞳で睨め付ける。
「セリオス、槍」
「はいよ!」
直後、アレクシスの言葉通りに負けナイトから槍による刺突が放たれる。セリオスはそれを純白の剣でいなすと、敵の懐へと飛び込んで自分の間合いへと持ち込んだ。
「ほら、よく見てみろよ。可愛いだろ?」
『なっ……!?』
セリオスの不意の笑顔に目を奪われて、負けナイトの動きが一瞬止まる。その隙きを逃さずに叩き込まれた白剣が負けナイトの鎧を打ち砕いた。
「アレス!」
「わかってるよ!」
身を捻ってセリオスが離脱した直後、アレクシスの騎士剣が負けナイトの砕かれた鎧の先を深々と突き刺す。
確かな手応え。負けナイトが断末魔と共に黒い塵と化していく。
「これも淑女の嗜み……かは置いておこう」
残心してから刃を鞘へと収め、アレクシスは吐息する。横ではセリオスがからからと笑っていた。
「やっぱ最強なのは女子力(物理)だな」
だから君は女をなんだと思っているんだ。
アレクシスの喉から出かかった言葉は、現実への帰還によって塗りつぶされるのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
佐那・千之助
◎
クロト(f00472)と。
大事なものを失った気が…
あのこガチで誘惑してる
騎士が理性なくして世に出せぬ展開になるのでは?
騎士の気を引こう
強力な女の武器を使うところか
大丈夫?おっぱい揉む?
ともあれ騎士よ
毒から抜けようと藻掻き、苦しかったろう…
私が女にしてやるから大人しくしておれ
騎士の鎧をすぱっと斬り
現れた首筋に牙を立て吸血
暴れるな、戻りたかろう
しおらしく儚く啜られるのが女らしい
ダンピール的にはそう思う
そう…いい子…
(とか言いつつ吸血・生命力吸収で弱らせる作戦
クロト(女神)を豊かな胸(幻)に抱き
よく頑張ったと慈しむ
母のようなふるまいもきっと女性らしい行い
過日のママ毒で目覚めたとかそんなことは決して
クロト・ラトキエ
◎
千之助(f00454)と。
これは夢…
ママと4歳児になるよりマシ…
な訳あるかー!(卓袱台返し
そりゃあ童顔女顔の美形ですし(自分で言う
体格誤魔化し異性に変装!なんてお手の物ですが!
男は!捨ててない!
同行の絶世の美女に心揺れるくらいには!
眼福中に…邪魔なオブリビオン…
しかも“女らしくない“と?
ほー…(イラッと入る演技スイッチ
“騎士様”に、婀娜やかにしな垂れ超密着。
「では私…如何したら貴方にご満足頂けますか…?」
潤む瞳で見上げ、愛しさと切なさを声まで変え演技。
思考錯誤中の男心を誘惑して揺らし、
序に自分は目覚めれば上々。
現実より一思いにUC☆
ほら千之助、早く起きて…
え、何で抱き…
いや母じゃないからー!
これは夢だ。
クロト・ラトキエ(TTX・f00472)は自分に言い聞かせる。
思い返すのはこれまでにこなした依頼だ。ママになったり、4歳児になったり。あの屈辱よりは遥かにマシ――
「――な訳あるかぁーっ!」
わざわざ想像から出現させた卓袱台がひっくり返される音と、叫び声が群生地に響く。
そこにはすっかり女体化してしまったクロトの姿があった。
「そりゃあ僕だって童顔女顔の美形ですし、体格誤魔化して変装! なんてお手の物ですが! だからと言って! 男は! 捨ててない!」
男クロト、魂からの叫びであった。女だが。
依頼が始まったばかりなのにもう帰りたさしか無いのだが、そのためにはまず女として振る舞わなければならない。地獄である。
「大丈夫かクロト、ママのおっぱい揉むか?」
そして横には同じく女になって乳を両手で持ち上げてみせる佐那・千之助(火輪・f00454)の姿がある。地獄が上乗せされていた。
先立ってのママ化毒では野郎同士ゆえにクロトは地獄を見たのだが、今回の千之助は夢とはいえ妙齢の女性。ダンピール由来の美貌は女になっても健在だ。これで千之助でなかったら、クロトは是が非でも口説こうとしていただろう。
「……千之助、とりあえずそのままのポーズを維持してて貰えますか」
「ふむ? お安い御用じゃ」
ひとまずの妥協案として、クロトはとりあえず乳を抱える千之助を鑑賞して楽しむことにした。
『待て待て待てぇーい! 女がそんな軽率におっぱい触らせてくれるわけないだろうがァ――ッ!!』
だが、この眼福タイムに割って入ってくる者がいた。女体化したオブリビオン、負けナイトである。
『しかもそんないやらしい目で女体を見るなぞ言語道断! お前らに女らしさなんぞ欠片もねえ! たとえお前に誘惑されたとしても、俺はビクともしねえだろうな!!』
「ほー……。急に現れて僕の眼福タイムを邪魔して来たと思えば、そんなことをおっしゃる」
ダンピールである千之助と比較されれば劣るだろうが、それでもクロトとてなかなかの美貌を自負している。それを頭ごなしに女らしくないなどと言われては、クロトも頭に来ると言うものだ。
「では私……いかがしたらあなたにご満足頂けますか……?」
ゆらりと歩み寄ったかと思えば、クロトは負けナイトへと艶かしくしなだれかかる。鎧を撫ぜながら潤む瞳で見上げ、切なげな声音を出す演技力は相当なものだ。ひゅっ、と息を呑む音と共に負けナイトが硬直する。
「やだ、あの子ガチで誘惑してる……」
本気で演技に入ったクロトを見て、千之助は心配そうに口元を覆う。このままではワンチャンス負けナイトが理性に負けて、ネチョネチョな世に出せない展開になるのではないか。そうなってしまえば今度こそクロトは現実に帰還した時に再起不能な精神ダメージを負ってしまう。
何としてでもオブリビオンの気をこちらに惹きつけなければならない。だが、千之助はクロトほどには演技力があるわけでもない。
「騎士様よ、大丈夫かえ? おぬしもおっぱい揉むか?」
ゆえに、千之助は女の持つ強力な武器を使うことにした。
おお、と呻くような声を上げながら負けナイトがふらふらと手を伸ばしそうになるが、すんでのところではっと我に返る。
『今の俺は女、今の俺は女……!! 女に劣情を抱くなど女らしからぬ……』
「むっ、意外に強情ですね……」
「彼奴とてこの毒で夢に引きずられた者の一人。毒から抜けようと藻掻き苦しんでおるのじゃろうなあ……」
そう。ここは夢の地獄ランド、万毒の群生地。猟兵もオブリビオンも等しく男らしさ、女らしさに思い悩む場所。
仕方あるまい、と千之助はため息をつく。
「私が女にしてやるから大人しくしておれ」
黒剣が振るわれたかと思うと、負けナイトの鎧がすぱりと切り裂かれ、肩から首にかけて肌が露わになる。
『な、何をする!? やめっ、やめろぉ――っ!!』
「暴れるな、戻りたかろう」
負けナイトが暴れるが、背中から手首を握る千之助の拘束には脱せない。
「しおらしく儚く啜られるのが女らしい」
『女、らしいのか……?』
「ダンピール的にはそう思う」
千之助に言い包められた負けナイトは、ようやく観念したのかむっつりと押し黙って千之助に身を任せ始める。
「そう……いい子……」
首筋へと牙を突き立て、千之助が血を吸い上げる。あ、とか細い声を上げて、負けナイトが崩れ落ちた。
「殺りましたか?」
「いや。貧血で気を失っただけじゃろうな」
「そうですか。では、現実に戻ったらしっかりとどめを刺さないといけませんね」
そうだのう、と返事をしながら千之助は手招きしてクロトを引き寄せる。
「よく頑張ったのう、クロト。おぬしもまことに、女らしかった」
「ちょ、抱きつかないで下さいよ。恥ずかしいじゃないですか」
「良いではないか。母として誇らしく思っておるのじゃ」
「いや、母じゃないですから――!!」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ムルヘルベル・アーキロギア
◎
同行:織愛/f01585
状況:オヌシの名は。
な、なんだこの全身から漲る"Power"は……!
まるで新造されたモンスターバイクに乗ったような心地である
いや年頃の娘と入れ替わった感想であるかこれ???
とにかくはしゃぐでない織愛よ!
いいか今回はワガハイが年頃の娘の正しい所作を教えるのだ
こうしずしずと穏やかな振る舞いを……こらー何をしておるかー!?
ワガハイの姿で!
そんな!!
きゃぴきゃぴポーズをするなー!!!
パワーとか言うでない!乙女というのはもっとこう落ち着いた……
ええいやかましいぞそこのオブリビオン!失せろ!!(グーパン)
……やだ、ワガハイのフィジカル、強すぎ……!?(血煙になった敵を見て)
三咲・織愛
◎
ムーくん(f09868)と
入れ替わっちゃうやつ
ぺちぺち自分の頬を叩き
くるりと回って服装を確認し
あー、あー、と声を出してみて
……ムーーーくん!!!
私、ムーくんになってますよぉー!!!(きらっきら)
どうしましょうどうしましょう!かわいいポーズすればいいですか!?
どうしたら夢から覚めるんでしたっけ?
よく覚えてないですけど、こんな機会滅多にないですしー……
ムーくんが絶対にやってくれないような事をしましょう!
主にかわいい感じのものを!(きめっとポーズ)
ムーくんの演じる私、パワーが足りなくないですか?
そんなんじゃ負けちゃいますよ!
もっとしっかり殴りましょう!ほらこうやって!(負けナイトにぐーぱん連打)
身体の奥底から溢れ出る圧倒的なパワー。
まるで新造されたモンスターバイクに乗ったかのような心地。
ムルヘルベル・アーキロギア(宝石賢者・f09868)は夢の中での身体を見下ろしながら、その圧倒的な性能(スペック)に恐れ慄く。
「これが……これが、織愛の身体……!!」
そう。彼の身体はは今、三咲・織愛(綾綴・f01585)と入れ替わっていた。
「……いや、仮にも年頃の娘と身体が入れ替わった感想であるかこれ???」
ゴリラだから仕方ないね。
さて。ムルヘルベルが織愛の身体になっていると言うことは、その逆もまた然り。織愛はムルヘルベルの身体になっている。
「あー、あー」
織愛はぺちぺちと自分の頬を叩いたり、服装を確かめてみたり、声を出したりして――
「……ムーーーくん!!! 私、ムーくんになってますよぉー!!!」
自分が少年めいた賢者の身体へと入れ替わってしまったことを確信した。
「まずい、さすがに気付かないなどと都合の良いことはなかったか……!」
諸手を挙げて目を輝かせる織愛を見て、ムルヘルベルは身構える。嫌な予感しかしなかった。
「どうしましょうどうしましょう! かわいいポーズすればいいですか!?」
「ええいやめんか、はしゃぐでない織愛よ!」
ここは仮にも戦地。時系列的にはもう戦争も終わる間際で行軍ルートの確保とか今更何を言ってるのかわからないが、オブリビオンがここにいる以上は戦地なのだ。
「そのようなことをしていては、いつまで経ってもこの夢の世界から脱せぬぞ」
「私は別にそれでも構いませんけど」
「構え。今この時もワガハイたちの肉体は眠りに就いたまま。このままでは良くて起きたオブリビオンに殺されるか、最悪は群生地の栄養源……」
「冗談、冗談ですから。それで、どうしたら夢から覚めるんでしたっけ?」
「依頼の説明はよく聞けとあれほど言っておろうが……」
自分が案内する時などは大抵よく聞いてくれるのだが、時たまこうして人の話を聞かない時がある。困ったやつだとムルヘルベルが漏らす溜息は、果たして織愛には全く届いていなかった。
「では、改めてワガハイが説明するゆえよく聞くが良い。まず前提としてこの群生地では――」
「よく覚えてないですけど、こんな機会滅多にないですしー……ムーくんが絶対にやってくれないような事をしましょう!」
「――全く聞いておらんなオヌシ??」
古人に曰く、暖簾に腕押し、糠に釘、豆腐にかすがい。織愛の耳に賢者の説教はあまりにも有名なイディオムだろう。
「かわいい感じのキメポーズとかどうですか? ほらほらっ、これとかかわいいですよ!」
「やめっ、やめろ! ワガハイの姿で! そんな!! きゃぴきゃぴポーズをするなー!!!」
実力行使で止めることは簡単だが、自分の脆い身体はきっとこのマッスルエルフパワーに耐え切れないだろう。力加減を少し間違えるだけで、自分の身体を壊しでもしたら冗談にもならない。
オ ブ リ ビ オ ン
「こんな時に…… 都合の良いサンドバッグ がいれば……!」
最早暴走した織愛を止めるには、彼女の前にオブリビオンが現れてなんか良い感じに気を逸らしてくれる他にない。
しかして、祈るようなムルヘルベルの呟きに応えるかのようにそれは現れた。
『待てェーい! そんな男らしさの欠片もないポーズなど言語道断!』
生贄もといオブリビオン、負けナイトだ。
「ほれ織愛、オブリビオンが出てきたぞ! 早速戦わねばなるまい!」
一転して待っていましたとばかりにムルヘルベルが表情を輝かせる。オブリビオンが現れさえすれば、織愛と自分とで良い感じに討ち倒してこの場の流れを一度リセットできる。織愛の手綱を握り直す絶好の機会だ。
だが、うまいばかりの話というのはそうそう無いものだ。
「でも、今って私がムーくんで、ムーくんが私じゃないですか」
「うん? そうであるが……」
「私、ムーくんの身体だと全然力出ませんし、ムーくんみたいな魔法なんかも使えませんよ?」
「…………しまったぁっ!!」
身体が入れ替わったことで、織愛が完全に機能不全に陥っているのは盲点だった。賢者は頭を抱えてしまう。
「大丈夫です、ムーくんには私の力が残されています! しっかり殴ればきっと倒せますよ! ほら、こうやって!」
負けナイトに向けてシャドーボクシングをする織愛。いつもならば空気の破裂するような音と共に残像しか見えないそれは、賢者の身体ではただのヘナヘナパンチになっていた。端的に言って参考にならない。
「こ、こうか?」
「うーん、ムーくんが演じる私って、なんだかパワーが足りなくないですか? そんなんじゃ負けちゃいますよ」
「パワーとか言うでない! そもそも乙女というのはもっとこう落ち着いた……」
『そうだそうだ、男はもっと気合を入れて拳を振れ! 女はもっとおしとやかでいろ!』
「ええいやかましいぞそこのオブリビオン! 失せろ!!」
便乗して囃し立てていた負けナイト目掛けてムルヘルベルの裏拳が振るわれる。破裂音。血煙が立ち昇る。
振り返ると、そこには黒い塵と化していくオブリビオンだったものが残っていた。
「……やだ、ワガハイのフィジカル、強すぎ……!?」
本当に織愛を実力行使で止めようとしなくて良かった。ムルヘルベルは切実な安堵の溜息を漏らすのだった。
それからしばらく、織愛に男らしさを演じさせるのにムルヘルベルが悪戦苦闘したことは言うまでもないことだろう……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
朧・紅
◎
《紅》のみで参加
ぅゆ?男の子になりました?朧の身体に僕が入ってたらこんな感じだったのでしょかっ(その身に殺人鬼が転生した多重人格者はペタペタ体触り)あんまり変わった気が、しませんね?(解せぬ顔
男らしい…(で思うのは片割れの朧だ)
おらぁ、僕と遊ぶですー
むぅ、確かに朧はもっとこう…
ぼ…おれを愉しませな
まだ違いますか?もっとですか!
うるっせぇ
御託はいい、殺り合おうぜぇ?
てめぇこそオブリビオンかぁ?キな、滾る殺し愛しようぜぇ?
っはは。俺ラシイだろぅがよ?わっかんねぇかなぁ?わからせてやんねぇとなぁ?(艶やかに嗤う
素直に朧らしくを追求したら男と言うか殺人鬼になった
『紫』の眸に狂気を宿す少し妖艶な殺人鬼
性別が入れ替わっても、あまり代わり映えしない者も中にはいる。
朧・紅(朧と紅・f01176)もその一人だ。弱冠十二歳という幼さゆえに、体格も身体つきもそう変わらなかった。
「ぅゆ? 男の子になりました?」
夢の世界に入って、紅は頭を傾げる。自分の身体をぺたぺた触っても、紅自身、どこが変わったのかよくわからなかった。
男の子の身体になれば、朧の元々の身体はこんな風だったのか、なんてことを知ることができるかも、と期待していただけにちょっと肩透かしである。
「あっ、そでした。男らしくして、戻らなきゃ……」
ぽんと手を叩いて、本来のなすべきことを思い起こす。
さて、紅にとって最も身近な男性と言えば、もちろんもう一つの人格である朧だろう。
「おらぁ、僕と遊ぶですー」
がおー、と威圧的に片脚と両手を上げてみせる。完全にキャラメルのあのポーズだった。
「……むぅ、確かに朧はもっとこう……」
『そう、男児はもっとこう、ワイルドに……』
「そでしたそでした。ちょっと乱暴な感じです」
そうそう、と紅は頷きを返して、それから首を傾げる。ところで今自分は誰と話していたのだろう。
『お前の男らしさ、俺が見ていてやるよ! さあ、演ってみな!』
いつの間にか、横には女体化したオブリビオン、負けナイトがいた。
「ぼ……おれを愉しませな!」
『まだためらいがある。もっと荒々しく、ワイルドに!』
「まだ違いますか? もっとですか!」
えーとえーと、と紅は朧の記憶を掘り返す。相手を睨みつけながら、何かに怒っているように。
「――うるっせぇ。御託はもういい、殺り合おうぜぇ?」
まるで人が変わったかのようにいびつな笑みを口元に浮かべる。紅が構えるのは、ギロチン刃だ。
『それこそがお前の求める男らしさなのか……? いいや、男らしさとはもっとワイルドであるべきだ!』
呼応するように負けナイトもまた槍を構える。
「っはは。俺ラシイだろぅがよ? わっかんねぇかなぁ? わからせてやんねぇとなぁ?」
『間違えを認めるのはお前だ、猟兵!』
「――キな、滾る殺し愛をしようぜぇ?」
負けナイトが突進して来るのと同時に、艶やかな笑みの紅が地を蹴る。紫色の瞳が軌跡を描く。
銀閃。槍が直線を描く。
数閃。ギロチン刃が弧を描く。
「あぁ、やっぱり――女になってもオブリビオンの血は綺麗ダナぁ」
血を噴き出し、黒い塵となって倒れ伏す負けナイトを見下ろしながら、紅は笑う。
夢から脱した後、朧から「男らしいかどうかはともかく、殺人鬼らしさはあった」と評されて、紅が男らしさにまた首を捻ることになるのはまた別のお話……。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィクティム・ウィンターミュート
◎
どうして(サードどうして)
テメーらの予知する依頼碌なもんねーなコラ!!
いい加減にしろ!俺は帰らせてもら──ウーン
(眠たげにも見える緩い表情、ピンと立った狐耳。喋り方はしっとりとしていて、落ち着きのある印象。そして眼鏡)
…めっっっっちゃくちゃ見覚えがあるんだが?????
え?何?俺がこれ言動寄せなきゃいけないの?いっそ意識持たない方が良かったんだけど????
え、えーと…なんだっけこう…
くふふふって笑ってて…ふんわりした喋り方してて…
──そんで、戦いとなれば凛々しくも感じるような
こんな風に霊符をかざして、チャンスメイクするんだよ
…自分で真似してて恥ずかしくなってきた
ぜってーこれ秘密にしとこう…
眠たげなようにも見える緩い表情。ピンと立った狐耳。陰陽師めいた服装に、大きくて丸い眼鏡。
「……めっっっっちゃくちゃ見覚えがあるんだが?????」
自分の女体化した姿を鏡越しに確認して、ヴィクティム・ウィンターミュート(End of Winter・f01172)は頭を抱えざるをえなかった。
「どうして……どうしてアイツにここまで似てるんだ……!!」
外見や服装までならさておいて、まさか種族まで寄せて来るとは思いもしなかった。この群生地という場所に来てからというもの、一度クレームをつけたいぐらいにロクな目に遭っていない。
「え、何? 俺アイツに言動寄せなきゃいけないの?」
この夢の世界にこの姿で出現してしまったということは、ヴィクティムの最も女性らしい女性があの妖狐であることを意味していた。
つまり、ヴィクティムは必然的に彼女を手本にしないことには、この夢の世界から脱出できない。
「いっそ男としての意識を持たない方が良かったまであるなあ……!!」
とはいえ、夢から脱する手段がそれ一つに限られているとなれば、彼とて腹を括らねばならない。勝利のために取れる手段なら何だって取らなくてはならないのだ。地獄か。
「え、えーと……なんだっけ、こう……」
確か、あの妖狐は普段からふんわりした喋り方をしていて、それでいてくふふと少し含むような笑い方をしていたはずだ。
「くふふ……。……いや違うだろ!! わかんねえ!!」
笑い方を真似したところで口調をパッと模倣できない。いや、模倣するだけならできるのだろうが、どうしても抵抗があった。
記憶を思い起こしながら悪戦苦闘するヴィクティム。その目の前に現れる者がいた。
『女だ、女になりきるんだ!!』
女体化したオブリビオン、負けナイトだ。
『もっと心の底から女になりきるんだ!! 男らしさを捨てろ!!』
「お前には言われたかねえ……」
思いっきり男口調の負けナイトをヴィクティムが半目で見るが、当人は気にした様子もない。
『違ぁうっ!! それはお前の言葉だ! そんな時に! お前のイマジナリーウーマンは何と言うんだ!!』
「……キミに言われる筋合いはないよ」
睨みつけるようにヴィクティムが鋭く投げかけると、負けナイトが手を叩いて快音を鳴らす。
『イエス! それだ! さあ、口調の次は行動! この状況でどうする!?』
「どうすると言ったって――」
そこはヴィクティムも、あの妖狐もやることは一つ。
目の前にオブリビオンがいるのだから、戦闘しかない。
「こうするしかないよね」
するりと引き抜かれたのはあの妖狐から貰った霊符。結界の術が籠められたそれがオブリビオンを囚えると、まばゆい光と共に破魔の力を放ち始める。
「いつもとは勝手が少しばかり違うけれど、これはこれで悪くないかな。くふふ」
夢から醒めた後。夢の内容を思い出したヴィクティムはあまりの羞恥に顔を覆い、この体験を絶対に秘密にしようと固く心に誓った。
大成功
🔵🔵🔵
壥・灰色
――「夢の中でそのオブリビオンを倒せば、現実でもそいつは眠ったまま黒い塵に還るわ」
その時、壥・灰色に電流走る。
あれっ? もしかして夢の中で負けナイトを負けたナイトにすれば万事解決するのでは?
結果、灰のロングヘアにすごいスタイルの魔剣六番器が夢の中で大暴れすることになる。慈悲はない。
おれの思う女子らしさって何だろう。身近な女子はこういうときどうするだろう、と考えたけれど、なんか敵を殲滅する以外の行動を取る女子がいなかったから、多分これで正しい。全員滅ぼす。
これが如死力だ。読みは解るな?
壊鍵、起動。性別が変わっても威力は据え置きだ。全員そこになおれ、ミンチにしてやる。(重戦車のごとき蹂躙)
~これまでのあらすじ~
猟兵は大きく三つに分類される。
戦いの中で何も考えず、その必要もないままにその暴力で敵を圧倒する者。
戦いの中で常に思考を駆け巡らせ、策を弄する者。
そして、壥・灰色(ゴーストノート・f00067)は戦いの中で常に考えながら、その結果として脳ミソ筋肉みたいな結論が出るタイプの猟兵だった。
――夢の中でそのオブリビオンを倒せば、現実でもそいつは眠ったまま黒い塵に還る。
グリモア猟兵の説明を聞いたその時、灰色の脳細胞に閃光が如き電流が走る。
――あれっ? もしかして夢の中で負けナイトを負けたナイトにすれば万事解決するのでは?
その閃きを実践に移すべく、灰色はロングヘアのスーパースタイル美女として夢の中へ降り立つのだった。
●
問題が一つあった。
女らしく振る舞うことができなければ、毒は緩和されずに夢の中から出られない。
「おれの思う女子らしさって何だろう」
そして、灰色には確固とした“女らしさ”についての考えがフワッフワしていた。
そもそもがオブリビオンをシバくか、オブリビオンをシバかせるために依頼を発行するか、さもなくば喫茶店でマスターの手伝いをしているのが日常の男である。女性と接することはあっても、異性として接すること自体があまりないし、関心も無い。
こ う い う
「身近な女子は 戦場に立っている とき、どうするだろう」
無論、敵の殲滅だろう。
成程、と灰色は頷く。つまり、敵の撃滅こそが女子らしさ。灰色の知る限り、戦場に立った知人の女子はみながみな直接・間接を問わず敵の抹殺のために動く。ならばそれが女子らしさだ。
「よし、全員滅ぼす」
地を蹴ると同時に地面が炸裂したかのように爆ぜ、灰色は閃光となった。
彼の向かう先とは、当然敵のいる場所である。
ギガース オン
「 壊鍵 、起動」
魔導銀で刻まれた始動刻印が煌めきを生み、神経に同調された回路を魔力が伝達される。
加速。増幅。収束。魔術回路を伝って魔力は速く、強く、大きくなって――
閃光。
圧縮された衝撃が地表を削り、暴力の嵐を巻き起こす。
性別は変われど威力は据え置き。オブリビオン、負けナイトたちは次々に負けたナイトにされていった。
ジョシリョク
「――これが、 如死力 だ」
大成功
🔵🔵🔵