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帝竜戦役㉙〜倒せ、世界最強のドラゴン

#アックス&ウィザーズ #戦争 #帝竜戦役 #帝竜 #ヴァルギリオス #群竜大陸 #オブリビオン・フォーミュラ

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 炎水土氷雷光闇毒の八属性の首を持つ、世界最強のドラゴン。
 それがアックス&ウィザーズのオブリビオン・フォーミュラ。
 帝竜ヴァルギリオスである。
 四方を呪力高山に囲まれた世界樹の中にいたヴァルギリスは、他の帝竜達の魔力によって張り巡らされた結界が消失したことに、いよいよ猟兵達との最終決戦を予感した。
 その声は群竜大陸全土に響き渡る。
「よくぞここまで来た、猟兵達よ。余こそが群竜大陸の主、帝竜ヴァルギリオスである!」
「奥の手であった『ワーム』にさえも辿り着くとは、見事なり。だが、最強の帝竜である余を倒さぬ限り、『カタストロフ』は止まらぬ。さあ猟兵達よ、最終決戦といこうではないか!」

「みんな……いよいよ、最終決戦だよっ! 帝竜戦役、これに勝てば猟兵側の勝利が約束されたも同然っ!」
 グリモアベースで気合を入れる蛇塚・レモン(白き蛇神オロチヒメの黄金に輝く愛娘・f05152)が、集まってくれた猟兵達を激励していた。
「今までも他の世界のオブリビオン・フォーミュラを撃破してきた皆なら、ここまでくればやることはもう理解できているはずっ! 今、あたいに出来るのは、ヴァルギリオスのユーベルコード情報と、敵が必ず先制攻撃を仕掛けてくるという情報の提供だけっ!」
 グリモアから投影されるヴァルギリオスのユーベルコードは、八属性を駆使した強力なものばかり。これらを必ず猟兵よりも先制して繰り出してくるのだ。
「対策は難しいかもしれないけど、やればきっとできるよっ! でも、今までの帝竜達とは比べ物にならないほどの実力を持っているから、慢心はダメ絶対、だからねっ!?」
 レモンはグリモアを起動させると、周囲の光景が徐々に歪んて転送が始まる。
「アックス&ウィザーズの平和を守る戦い、必ず勝利を収めて帰ってきてねっ!?」
 群竜大陸での最終決戦が、いま始まる……!


七転 十五起
 帝竜ヴァルギリオスとの決戦シナリオです。
 難易度は『難しい』です。『やや難』ではありません。
 場合によっては依頼が失敗することもありえますので、お覚悟を。
 なぎてんはねおきです。

 このシナリオのプレイングボーナス:『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』
(敵は必ず先制攻撃してくるので、いかに防御して反撃するかの作戦が重要になります)

 敵のユーベルコードは、猟兵側の使用するユーベルコードの種類に対応して使用します。猟兵側のユーベルコードの複数回・複数種の使用は、敵のユーベルコードの使用回数と種類がそれだけ増すので非推奨です。

 敵の放ってくるユーベルコードを如何に技能・アイテム・行動で凌ぐかが問われます。
 また、【状況的に不可能な先制攻撃への対処法】や、【公序良俗に反する内容と判断したプレイング】、更には【極端に文字数が少ない若しくは内容の薄いプレイング】については却下対象とさせていただきますので、此方もご了承願います。特に【技能のLv合計値と使用方法はシビアな判断を下します】。技能使用のルールを今一度ご確認願います。

 コンビ、チームなど複数名様でのご参加を検討される場合は、必ずお相手の呼称とID若しくは【チーム名】を明記していただきますよう、お願い致します。
(大人数での場合は、チームの総勢が何名様かをプレイング内に添えていただければ、全員のプレイングが出揃うまで待つことも可能です)

 なお、本シナリオは全てのプレイングを採用できない可能性があります。
 予めご了承くださいませ。
 皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『帝竜ヴァルギリオス』

POW   :    スペクトラル・ウォール
【毒+水+闇の『触れた者を毒にするバリア』】【炎+雷+光の『攻撃を反射し燃やすバリア』】【氷+土の『触れた者を凍結するバリア』】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    完全帝竜体
【炎と水と雷の尾】【土と氷と毒の鱗】【光と闇の翼】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ   :    ヴァルギリオス・ブレス
【8本の首】を向けた対象に、【炎水土氷雷光闇毒の全属性ブレス】でダメージを与える。命中率が高い。

イラスト:hina

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

地籠・凌牙
【地籠兄弟】※アドリブ等諸々歓迎※
こいつを倒せば戦争が終わる、何としてでも終わらせてやる……!
炎と毒は【火炎耐性】【毒耐性】があるから最悪この2属性は喰らっても無視、他の属性は【第六感】で感知できる範囲で可能な限り回避だ!
それでも避けられねえ範囲は陵也の防御力に任せるぜ、俺もあいつも簡単にやられるようなタマじゃねえんだ。
無傷でなくても攻撃が収まるまで凌げりゃいい!攻撃が収まったら突貫して【グラップル】【怪力】【重量攻撃】【鎧砕き】等々使える技能は全部使ってぶっ叩く!一発で倒そうなんて考えるな!俺たちが倒れてもまだ猟兵はいる!みんなの道を切り開く為に!!その鱗数枚は引っ剥がしてやるぜッ!!


地籠・陵也
【地籠兄弟】※アドリブ等諸々歓迎※
絶対に終わらせないと……これ以上俺たちみたいな人を増やしちゃいけない!
氷と毒は【氷結耐性】【毒耐性】があるから最悪喰らってもある程度は無視、避けられないものは俺が【オーラ防御】【武器受け】【激痛耐性】で凌ぐ。
凌牙じゃ耐えられそうにない攻撃は俺が【かばう】ことで攻撃の機を待とう、無傷でなくても動けるだけの力が残ればそれでいいから。
攻撃が収まったら【破魔】や【部位破壊】【高速詠唱】、使えるものは全部使って攻撃する。
例え倒れてもみんなの反撃の為の【時間稼ぎ】ができればそれでいい、この戦争は何としても終わらせなくちゃいけないんだ!!その為の道を俺たちで開くんだ!!


オーガスト・メルト
ようやく会えたな、竜帝…いや、極上の武具素材!
全力で回収させてもらうぞ。

【POW】連携・アドリブ歓迎
デイズは肩に乗せ、ナイツをバイク形態にして【騎乗】して参戦。
敵の先制攻撃は動きを【見切り】、【逃げ足】と【残像】を駆使して回避に徹する。
ナイツ、バリアに触れてもアウトだからな、全力で逃げきれ!『うにゃー!』
もちろんただ逃げるだけではなく、敵の隙やバリアの薄い箇所も探しながらだ。
そして反撃はUC【赤光断雷】の魔刃による間接攻撃でバリアを消去。万が一、反射などされても各種耐性で耐える。
デイズをランスに変えてバリアの穴を【ダッシュ】で抜けて【鎧無視攻撃】の【ランスチャージ】!
貫けデイズ!『うきゅー!』


龍ヶ崎・紅音
アドリブ・絡み歓迎

【POW】

「ついにここまできたようだね…。属性が八つもあるのは脅威だけど、世界平和のために…いくよ!!」

張られたバリアの中から"反射し燃やすバリア"に狙いを定めて、ホムラで『千手焔風衝』をはなつ!!
反射のダメージは、【火炎耐性】や【気合い】でなんとか耐え続けたいところだけど、ダメージは尋常じゃないはずだからバリアを破壊したあと、すかさず【怪力】による捨て身の焔【属性攻撃】で【串刺し】にするよ!!



 山よりも大きく、天を覆い隠すほどの巨竜が、猟兵達を見下ろしていた。
 世界樹イルミンスールの四方を囲んだ山々を乗り越えて顔を出した帝竜ヴァルギリオス。
「よくぞここまで来た、猟兵達よ。余こそが群竜大陸の主、帝竜ヴァルギリオスである!」
 その巨大さに猟兵達は一瞬、呆然としてしまう。
 しかし、決してその足は止まらない。
「こいつを倒せば戦争が終わる、何としてでも終わらせてやる……!」
 怒りに震える地籠・凌牙(黒き竜の報讐者・f26317)は、隣りにいる双子の兄の地籠・陵也(心壊無穢の白き竜・f27047)を見遣る。
 普段は心を失っている影響でぼんやりとしている凌也だが、今だけは表情筋を強張らせて歯を食いしばっていた。
「絶対に終わらせないと……これ以上、俺たちみたいな人を増やしちゃいけない!」
「ああ、陵也。この世界で、大切なヒトやモノをオブリビオンに奪わせないためも、俺達で道を切り開くぜッ!!」
 地籠兄弟が身構えたその矢先、目の前に黒い宇宙バイクを駆る赤毛の青年が乱入!
「どうにか開戦前に間に合ったようだな!」
 オーガスト・メルト(竜喰らいの末裔・f03147)は相棒である黒き竜核二輪乗騎【ナイツ】に跨り、颯爽と参上!
 その後部座席には、銀髪紅眼の竜娘こと龍ヶ崎・紅音(天真爛漫竜娘・f08944)が相乗りしていた。
「後ろに乗せてくれてありがとう! あれが、帝竜ヴァルギリオス……!」
 龍ヶ崎は後部座席から飛び降りると、相棒の白銀槍竜のホムラを槍形態へと変えて柄を握り締めた。
 オーガストは腰に差した小太刀『焔迅刀』を鞘走ると、そのままヴァルギリオスへ向かってゆく。
「ようやく会えたな、竜帝……いや、極上の武具素材! 全力で回収させてもらうぞ」
「笑止……! 我が躯はおろか、鱗一枚とて貴様にくれてやるものか!」
「だったら奪い取るまでだ! 行くぞ、ナイツ! デイズ!」
『うにゃー!』
『うきゅー!』
 オーガストは間合いを測るように、ヴァルギリオスの周囲を駆け抜けてゆく。
 一方、槍を構えた龍ヶ崎もヴァルギリオスと対峙する。
「ついにここまできたようだね……。属性が八つもあるのは脅威だけど、世界平和のために……いくよ!!」
「俺達も援護するぜッ!!」
「道は必ず切り開く……!」
 地籠兄弟が龍ヶ崎の前を先行して駆け出す。
 その様子にヴァルギリオスは憐憫さすら抱いて天から声を降らす。
「力の彼我が分からぬ愚かな存在達よ。余の圧倒的かつ最強の力の前にひれ伏せ!」
 途端、ヴァルギリオスの身体を覆い尽くすように、3重のバリアが発生する。
「スペクトラル・ウォール……! 余の八属性のうち、毒と水と闇の『触れた者を毒にするバリア』に、炎と雷と光の『攻撃を反射し燃やすバリア』! 更に、氷と土の『触れた者を凍結するバリア』の3重構えは堅牢不落。一度とて触れれば、その身はたちまち滅ぶであろう!」
「そんなのやってみないと分からないだろうが!」
「必ず突破口があるはずだ……!」
 地籠兄弟は構わずバリアへと突っ込んでゆく。
 彼らに続く龍ヶ崎も、槍を構えたまま突撃をやめない。
「一瞬の隙だって見逃さないよ!!」
 対してオーガストはとにかく逃げの一手で、バリアの薄い箇所や綻びをヴァルギリオスを周回して探そうと試みる。
「ナイツ、バリアに触れてもアウトだからな、全力で逃げきれ!」
『うにゃー!』
「ここまま逃がすとでも思うたか?」
 ヴァルギリオスが尻尾を軽く振るってみせれば、山肌を引っ掻いて岩雪崩が発生!
「おっと! ナイツはオフロードだろうが関係ない! 突っ切るぞ、ナイツ!」
 迫り転がる岩石群の隙間を、オーガストを乗せたナイツが素早く左右にすり抜けてゆけば、ヴァルギリオスの巨大な尾が見えてきた。
 当然、3重のバリアが尻尾にも発生しており、迂闊に接近することは出来ない。
 だが、ヴァルギリオスはバリアを纏った状態で四肢や尾を振るってくるから厄介だ。
 積極した部分は腐食し、焼け焦げ、そして凍て付いてゆく。
「くそ……何処にもバリアの薄い場所や隙間はないか! うおっ!?」
 ハンドルを急に左へ切って、ヴァルギリオスの尾のなぎ払いを緊急回避するオーガスト。
 上手く攻撃を食らっていないので敵の先制攻撃を凌げているが、攻め手を欠ける状態だ。
 そこへ、ヴァルギリオスの真正面へと迫る3人の猟兵。
 大胆にもバリアの中へ飛び込んでゆくではないか!
「炎と毒は俺が耐えて抑える! 氷は任せるぜ、陵也!」
「ああ、俺は氷と毒に耐性があるから、炎の対処は任せた、凌牙」
 凌牙は陵也の手を繋ぐと、バリアの中で魔力を最大解放。
 内側からバリアをこじ開け、後続の龍ヶ崎に突破してもらうのが狙いだ。
 だが……。
「うがああぁぁーっ!?」
「う、ううぅぅ……!?」
 凌牙の身体は瞬時に全身が凍傷になり、陵也の全身は一瞬で皮膚が炭化!
 そして両者とも猛毒で呼吸困難に陥っていた。
 ヴァルギリオスが嘲笑う!
「これは滑稽であるな! 貴様達、その程度の耐性で、世界最強たる余の属性魔力をどうにか出来ると思ったか? 痴れ者めが! ユーベルコードもなしに立ち向かうとは、身の程を弁えよ!」
「く……っそが……!」
 凌牙の全身が黒く染まってゆく。彼は不運などの『穢れ』を体内に吸収すると特異体質なのだ。
 そして手を握っている双子の兄である陵也は、穢れを浄化する特異体質の持ち主なのだ。
「陵……也ッ!」
 繋いだ手から『穢れ』を吸い取り、自らの身体で浄化してゆく。
 だが、ヴァルギリオスのバリアの威力は、その自浄作用を尽く超越している。
(嫌だ……もう……誰も、失いたくない……ッ!!)
 強く願いを籠めたその時、一瞬だけ2人の身体が軽くなる。
「しっか、り……して!!」
 なんと! 龍ヶ崎までもバリアの中へ突っ込んできた!
 2人の身体を支えて立っていたのだ。
 だが、黒焔の呪縛に囚われる龍ヶ崎でさえも焼き尽くす炎!
「3人の、力を……合わせ、げふッ!?」
 龍ヶ崎が吐血!
 すぐさま吐き出した血が凍結したかと思えば熱で蒸発!
 龍ヶ崎は毒と氷の対処をせず、炎のバリアだけに飛び込んで敵の懐へ潜り込むつもりだった。
 だが、現実はそう甘くない。3重のバリアはそれぞれが独立しているわけではなく、合わせガラスのように一体化しているのだ。
 故に龍ヶ崎は病毒に侵され、全身の血液が霜柱になって肉体が壊死しかけている!
 このままでは3人は共倒れだ!
「何やってんだ、あの3人は!?」
 驚き、呆れるオーガストが3人の元へ急接近!
 すぐさま小太刀に精錬収束させた魔力を宿らせて振り抜く!
「我が抜刀に……滅せぬものなし。切り裂け、赤光断雷(バーントシェンナ)!」
 赤雷めいた真紅の斬撃エネルギーが、3人が留まるバリアの空間に激突!
 刹那、鏡が砕けるような破砕音が3人の鼓膜を揺らす!
「バリアが、割れただと!?」
「何が起きたんだ……!?」
「げはッ……! でも、チャンス、だよ……!」
 ボロボロの3人は、砕けたバリアの隙間へ死力を尽くして駆け出してゆく。
「一発で倒そうなんて考えるな! 俺たちが倒れてもまだ猟兵はいる!」
 具現化される黒曜石のような輝きを持つ、凌牙の黒竜の爪牙が振り上げられる。
「みんなの道を切り開く為に!! その鱗数枚は引っ剥がしてやるぜッ!!」
 ヴァルギリオスの鱗へ爪立て、そのまま引っ掻く。
 だが、凌牙の一撃では鱗を裂く程度に留まり、ヴァルギリオスの身にダメージが届いていない。
「だったら……そこを集中攻撃すれば!」
 今度は陵也が持つ形見の杖から放たれる白光の魔力弾が、ヴァルギリオスの傷付いた鱗へ降り注がれる。
 爆散するヴァルギリオスの鱗だが、それでも肉体に焦げ目ひとつ付いていない。
「……今、余に何かしたか?」
「あ、ああ……」
 陵也はその場にへたり込む。
「無理だ、勝て、ない……」
「なんだよ、コイツ……!?」
 通常攻撃でも猟兵はオブリビオンにダメージは与えられる。
 だが、それは鍛錬の末に獲得した高い『技能』と『技量』が前提だ。
 更に、大打撃を与えるならばユーベルコードの使用が望ましい。
 地籠兄弟は、ユーベルコードの使用を全く考えていなかった。
 いくら自前の最善手を放とうが、土台が未完成ならば根底から覆される。
 悔やむところ、地籠兄弟には、全てが足りなかった。
 だとしても。
「諦めちゃ……駄目だよ……っ!」
 手足が焼け焦げ、感覚を失い、猛毒で意識が混濁してもなお、龍ヶ崎は槍と化した相棒ホムラを手放そうとしなかった。
「2人のおかげで、鱗の1枚が剥がれ落ちたよ……!」
 龍ヶ崎は焔の穂先を、ヴァルギリオスの皮膚に持てる全力を振り絞って突き立てる!
「これで……ハチの巣になっちゃえ!!」
 瞬く銀の槍撃の軌道は流星群が如し!
 千手観音が如き手数の疾風突きを極一点へ集中させることで破壊力を増し、ようやくヴァルギリオスの肉体から血を溢れ出させることに成功!
「ぬぅ……っ!? よもや、この余が血を流すとは……」
「おいおい……この俺を、忘れるなよ?」
 ボロボロの身体を引きずり、オーガストがバリアの隙間を潜り抜けて突貫してくる!
「まさかダメージが反射されて燃やされるとは思ってもなかったがな!? だが、これで一矢報える!」
 宇宙バイクに跨ったまま、白い謎饅頭のデイズを突撃槍へ姿を変えさせるオーガスト。
 血を流したヴァルギリオスの皮膚目掛けて、槍の切先を突き出す!
「貫けデイズ!」
『うきゅー!』
 だが、ヴァルギリオスもむざむざとやられるわけもなかった。
「邪魔だ!」
 ズドンッと突き上げられるかのような地鳴りと振動。
 ヴァルギリオスがほんの少しだけ足踏みをしただけで、猟兵達は吹き飛んでしまったのだ。
「うおおおーっ!! 諦めるなデイズ! ナイツ!」
 上空へ吹き飛ばされたオーガストは、宇宙バイクの推進力をフルバースト!
 突撃槍をヴァルギリオスの別の鱗に突き刺し、そのまま引っ掻くように機体を走らせていった!
「鱗の千枚通しだ! ざまあみろ!!」
 オーガストはすぐさま再起不能の地籠兄弟と瀕死の龍ヶ崎を後部座席に折り重なるように積み込むと、そのまま一目散に逃走していった。
「ぐぬぬ……運のない男だと思って侮ったか……!」
 本来ならば、オーガストの戦略は上手くいったはずだ。
 だが、ほんの少しだけ、ヴァルギリオスの言う通り、不運だったのだ。

 かくして、猟兵達はヴァルギリオスの脅威をまざまざと見せ付けられた。
 だが、4人は確実に傷跡を残した。
 故に、まだ希望は失われてはいない……。

苦戦 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

エデン・ララトエリヴェニ
これが世界最強のドラゴン…。
多頭か、私の知る竜ではないな。

最も強い者が最も偉いわけではない
貴様はあらゆる事を間違えたんだ、竜の頂点から退くがいい。

敵の先制攻撃に対し、こちらも即時ユーベルコードを展開する。
なるべく避ける様空中戦で動き回り、
発動までに貰うダメージは激痛耐性とオーラ防御により軽減させる。
ずるいぞ、8頭8属性なんて、こちらはたった1つだと言うのに。

UC展開後は空中を駆け回り敵の攻撃を避け
だがしかし、火炎耐性と限界突破の下、
耐えれる範囲で攻撃を受け、
敵の炎を纏い、流れた血は血穿炎剣【デアロ・ゾレル】に注ごう。
そのたった1つが貴様を討つんだ。

さぁ、わが命を燃やせ
そして貴様も灰塵と化せ。



 圧倒的な凶悪さを示したヴァルギリオスへ、果敢にも挑むのはエデン・ララトエリヴェニ(ケイオスメディウム・f26106)、ドラゴニアンの燃ゆる黒き娘だった。
「これが世界最強のドラゴン……。多頭か、私の知る竜ではないな」
「今度は独りか。幼き竜の娘よ。むざむざと生命を散らせに来たか」
「たわけ。生命を散らすのは貴様の方だ、ヴァルギリオス」
「……ほう?」
 ヴァルギリオスが天からエデンを見下ろす。
 その体格差は、人間と蟻である。どちらがどちら、というのは明白であろう。
「余は世界最強の存在、帝竜ヴァルギリオスである! その余に指図をするのか、小さき猟兵よ?」
「あくまで私を見下すか、ヴァルギリオス。いいか、最も強い者が最も偉いわけではない」
 エデンは刀身の無い柄のみの剣を、あるべき架空の切先を帝竜へ突き立てる。
「貴様はあらゆる事を間違えたんだ。この帝竜戦役、もはや大勢は決している。貴様に勝ち目はない。おとなしく竜の頂点から退くがいい」
「くく……くはは、かははははははっ!」
 ヴァルギリオスの咆哮と聞き紛うような大声で笑い転げる。
「余に指図する事に飽き足らず、降伏勧告を促すとは! これは傑作よな!」
「何がおかしい……? その慢心が貴様の破滅を招くと知れ!」
 エデンは炎の翼を背中に具現化させると、ヴァルギリオスの顔の高さまで飛翔してみせた。
 ヴァルギリオスは8対の龍眼でエデンを見詰めると、エデンに告げる。
「貴様は、弱い。恐らく、先程の猟兵達よりも、遥かに格下であろうな?」
「……だとしたら、なんだ?」
 エデンは負けじとヴァルギリオスに睨みつける。
 しかし、向けられた言葉は事実だ。
 エデンは猟兵としての活動経験はほとんどない。
 長い時を経て復活した竜の神の巫女は、記憶も目的も役割も朧で、自分自身が何者かさえも定まっていない。
 だが、エデンはそれらの不安要素を、自ら一蹴した。
「格下だから何だというのだ!? やはり貴様は私を見縊っている……」
「当然であろう。貴様は、雑魚だ」
 途端、帝竜ヴァルギリオスの身体に変化が起き始める。
「これぞ余の真の姿……完全帝竜体である!」
 炎と水と雷の尾、土と氷と毒の鱗、光と闇の翼が帝竜の身に出現すると、その身は至るところから裂けて大量の竜の血が大地を満たしてゆく。
 かなり無理のある変身のようだが、膨れ上がった魔力は、この世のものとは思えないほど馬鹿げた容量であった。
「これが……帝竜ヴァルギリオス! だが生憎、私は雑魚と言われておとなしく引き下がる程の腰抜けではないのでな!」
 ヴァルギリオスが変身中の無防備な状態を利用し、エデンもユーベルコードを発動する。
 本来ならば、敵の先制攻撃に対して猟兵側が自分のユーベルコード発動の隙を生み出すために手練手管を尽くすのだが、今回は帝竜側が代償を支払う効果を持つものであったせいか、運良く数秒間だけエデンから意識が逸れたことで単独でも発動の時間を賄えたのだ。
「茫漠として何もなく、森羅万象は混沌の炎に包まれる」
 エデンの身体を赤いオーラの結界が包み込む。
 両肩から手の甲に向かって伸びて刻まれる真紅の刻印『ジュドゥーヌ』が輝く。
「トーフー・ヴァー・ヴォーフー……! ゆくぞ、ヴァルギリオス!」
「はたき落としてくれるわ、羽虫が!」
 ヴァルギリオスの巨体が天空へ浮き上がる。
 その身体は鱗の影響で毒霧めいた瘴気に包まれ、災害のように荒れ狂う炎と水と雷の尾は掠っただけでエデンに大打撃を与えるだろう。光と闇の翼も強大な魔力を放っている。
 どう考えても分の悪い戦闘だ、とエデンは内心で舌打ちをする。
 だが、あれは倒さなくてはならない敵。
 エデンへ向かってくるヴァルギリオスの体当たりを、彼女は全力の魔力を結界に回すことで即死を免れる!
「ぐぅッ!? ユーベルコードで属性を火属性に変換していなければ、猛毒で私の身体は瞬時に腐り落ちていた……!」
 一撃を軽く受け止めただけで、エデンの全身が悲鳴を上げる。
 だがヴァルギリオスは光と闇の翼でエデンを打ち付けて地面へ墜落させようとしてくる!
「させるか……!」
 ユーベルコードの効果で高速飛行を獲得したエデンは、全身から流れる血液で視界が遮られることすら厭わずに跳び続ける。
「ずるいぞ、8頭8属性なんて、こちらはたった炎の1つだと言うのに」
「余は最強ぞ。ならばそれに相応しい力を持つのが常であろう?」
 3本の尾がエデンの背中を強かに打ち付ける!
「きゃあっ!?」
 バットか何かでフルスイングされたボールのように吹っ飛んでいったエデンは、そのまま世界樹を四方に囲む山脈の山肌に突っ込んでめり込んだ!
 結界がなければ、たちまち瞬殺されていただろう。
「やはり雑魚だったか……」
 ヴァルギリオスが嘲笑含みで声を漏らし、地面に着地しようとしたその時だった。
 エデンの埋没した山肌が突如、紅蓮の火柱を昇らせて大爆発!
「何が起きた!?」
 爆煙の中から何かが高速で飛来してくる!
「まさか、貴様は死んだはずでは!?」
「勝手に殺してくれるな、ヴァルギリオス!」
 度重なる被弾によって全身を己の血で真っ赤に染めたエデンが、ジェットエンジンじみた炎の翼を駆使して電撃的突撃(ブリッツ)!
 その手には、おお、見よ!
 かつて人間が神より賜った原初の炎めいた、神々しい真紅の炎の刃を宿した血穿炎剣【デアロ・ゾレル】――柄だけだった剣を握り締めているではないか!
「この炎は私の血を吸わせて顕現した灼熱の刃だ。そして、貴様の攻撃さえも、この刃と結界で取り込んだ!」
「よもや! 余の攻撃の属性変換は、このための布石!? 敢えて貴様は余の攻撃を喰らっていたというのか!?」
「今更気が付いても遅い! はあぁぁーっ!!」
 キリモミ回転しながら螺旋状に空中を駆け抜けるエデン!
「言ったはずだ、ヴァルギリオス! その慢心が貴様の破滅を招くと! そして、この灼熱の刃ひとつが貴様を討つんだ!」
「ええい、大地に叩き付けてくれる!」
 闇の翼でエデンの頭上から殴打してくるヴァルギリオス!
 だが、エデンはその一撃を結界で受け止めると、更に全身が猛々しく燃え上がる!
「言ったはずだ! 貴様の攻撃は全て、私の刃に取り込むと!」
 闇の翼が剣閃で刎ね飛ばされた!
 火の玉となったエデンが、ヴァルギリオスの胴体目掛けて灼熱の刃を下段に構えた。次の瞬間、剣先が更なる炎に包まれて刀身が伸長してゆく!
「私が受けたダメージの総量に比例して、血穿炎剣【デアロ・ゾレル】に炎のレーザーが発生する! 覚悟は良いか、ヴァルギリオス!」
 エデンは高速でヴァルギリオスとすれ違いざま、毒の鱗をバターのように軽々と切り裂きながら真一文字に突き抜ける!
「さぁ、わが命を燃やせ! そして貴様も灰塵と化せ!」
「――ッ!?」
 言語化すら出来ない程の激痛を味わったヴァルギリオスは、完全帝竜化を解除して世界樹に血の雨を降らせたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ドゥルール・ブラッドティアーズ
【ソロ希望・WIZ】
私がプラチナと出会えたのは貴方のお陰だけど
彼女を残酷な運命に縛り付けたのも貴方。
オベリスクを守る為、貴方に従属の呪いをかけられた子も居たわ

守護霊の憑依【ドーピング】で戦闘力を高め
夜魔の翼で【空中戦】
【迷彩】魔法で姿を消したり現れたりしつつ【残像】で攪乱。
【見切り】で先制攻撃の被弾数を減らし
【オーラ防御・激痛耐性・火炎耐性・氷結耐性・電撃耐性・毒耐性】で
被弾時のダメージも軽減

貴方に対する慈悲の気持ちは全く無い。
私達が裁く!!

『重魂・絶対超硬拳』で15.6秒の時を止め
金属化した拳に【早業】の速度と
【怪力・全力魔法・気合い】を乗せた390連撃!
時が動き出し、叩き込んだ魔力が大爆発



 ダンピールのドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)の双眸は怒りに満ち溢れていた。
「ようやく見付けたわ……帝竜ヴァルギリオス!」
 羽織っている背中のマントをコウモリの翼に変えて空を飛び続けながら、ドゥルールはレアメタルに覆われた右手を敵へ見せ付けた。
「私がプラチナと出会えたのは貴方のお陰だけど、彼女を残酷な運命に縛り付けたのも貴方。その元凶をここで倒すわ」
「過酷な運命、とな? 帝竜プラチナは、余の『再孵化』で自由の身になってこの世界へ再誕したではないか?」
「貴方のおかげで猟兵達に命を狙われるような自由なんてデタラメよ!」
 ドゥルールの言葉に、ヴァルギリオスは口元が少し緩んだ。
「なるほど。貴様はオブリビオンの肩を持つのか。猟兵達から命を狙われる帝竜プラチナの境遇を憐れみ、産み落とした余に復讐の刃を突き立てんと欲するか」
「ええ、私が守るのは人類(かれら)ではないわ。私が救いたいのは、存在を否定されるオブリビオン達、そしてその因果に捕らわれた肉体を解放し、死霊として余に解放するのが私の役割よ」
「かははははは! げに愉快なり、小さき叛逆者よ! いや、過去の救済者と呼ぶべきか?」
「変な二つ名を付けないで。それに、貴方が悪いのはプラチナのことだけじゃないわ」
 ドゥルールは思い返す。
 かつて群竜大陸の発見に猟兵達が奔走していた頃、群竜大陸を守る邪悪な柱『クラウドオベリスク』の破壊任務で出会ったオブリビオン達のことを。
「オベリスクを守る為、貴方に従属の呪いをかけられた子も居たわ。意に沿わず、無理矢理に、ね」
「さて。余は利用できる者を利用したまでだが?」
「そういう口振りが気に食わないのよ……!」
 ドゥルールは自身の中に今まで『友達』になったオブリビオンの死霊達を何十体も憑依させ、その戦闘力を増強させる。
 当然、その中には帝竜プラチナも含まれていた。
「プラチナ、あれがかつて、貴女が敬愛を抱いていたヴァルギリオスの本性よ。自分の目的のためなら、平気で貴女や他の子達を猟兵に仕向けて殺させる、そんな非道な存在なのよ」
 その声に応えるかのごとく、ドゥルールの右手のレアメタルの侵食が進んでゆく。
 ドゥルールはそれを肯定と受け取り、コウモリの翼をより一層激しく羽ばたかせる。
「一緒に戦って、プラチナ、みんな。あの帝竜を殴りに行くわよ」
 高速で旋回しながらドゥルールはヴァルギリオスの八首に接近してゆく。
「余を殴る? その矮軀で? げに笑止!」
 すると、ヴァルギリオスの腹から八首にかけて光源が伝播してゆくと、その光は一斉に奔流となってドゥルールへと放たれていった!
 炎水土氷雷光闇毒の全属性のヴァルギリオス・ブレスだ!
「なんて魔力量! でも、視える……ッ!」
 ドゥルールは急上昇してブレスの軌道を回避!
 だがブレスの軌道はドゥルールを追い掛けてくる!
「そう来ると思ったわ。でも、これでどうかしら!?」
 ドゥルールは左腕に巻き付けている包帯に魔力を注ぐと、たちまち彼女の姿が空に溶けてゆくではないか。
 姿を眩ましたドゥルールを見失ったヴァルギリオスは、数撃ちゃ当たると言わんばかりにあちらこちらへブレスを吐きまくる。だが、いずれも命中スうることはなかった。
「何処だ、何処へ消えた!」
「こっちよ!」
 声がする方へヴァルギリオスが振り向くと、そこには大量のドゥルールの残像が空に浮かんでいた。
「「本物はどれかしら?」」
 ユニゾンするドゥルールの声に、ヴァルギリオスは苛立ちを見せ始める。
「全部薙ぎ払ってくれる!」
 破壊のブレスが次々に残像を消し飛ばすが、一向に本体が現れる気配がない。
 それもそのはず、ドゥルールはヴァルギリオスのはるか頭上を飛行していたのだ。
「貴方に対する慈悲の気持ちは全く無い。私達が裁く!!」
「ぬぅ! そこか!!」
 放たれる破壊の奔流!
 だが、ドゥルールは避けない!
 代わりに自身の金属化した拳を真下にいるヴァルギリオスに向けた。
「重魂・絶対超硬拳(エンゲージ・プラチナムブラスト)ッ!」
 瞬間、世界の色が鈍色になり、時間が完全に停止する。
「このユーベルコードは『狂える時計ウサギ』の時を操る力と『帝竜プラチナ』の超硬度と超エネルギーの融合! 残り15.6秒でケリを着けるわ!」
 急降下するドゥルールは破壊光線を己の耐性と魔力の障壁で軌道を逸して非断面積を最小限まで抑え込むと、そのまま隕石めいて垂直落下!
「有言実行よ! この拳で、貴方を殴る!!」
 金属化した拳の高速弾幕で八首を手当り次第ぶち抜いてゆくドゥルール!
「ラァーァァァヴ! ラァーァァァヴ! ラァーァァァヴッ!!」
 ゴグシャァッと竜の頭蓋骨が砕ける感触が腕に伝わったのを確認したドゥルールは、そのまま背を向けて呟いた。
「私の全力の魔力と筋力、気合を籠めた390発の愛の拳の弾幕……! その身に浴びて、あの子達に詫びなさい! 時は再び動き出す!」
 世界に彩りが再び満ちたその刹那、ドゥルールの背後のヴァルギリオスの八首が轟音を炸裂させながら大爆発したのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ナハト・ダァト
多様サなラ叡智デ補うサ

残像を9体生成
へその緒を持たせ、遠隔操作を可能にした8体を散らしたら

残りの1体と共に迷彩で消える

残像はかばう技能で
ブレスを分散させて受けさせる
オーラ防御で耐え
倒れた残像から得た
首に対応した属性の情報をへその緒で把握

8体倒れたら9体目を出現
精神攻撃、催眠術、言いくるめで本人と錯覚させ

ブレスの防御を指示
最後の残像には
オーラ防御に残像から得た属性情報を反映させた武器改造と
時間稼ぎ、限界突破、ドーピング、継戦能力技能で持ち堪えるよう細工

本体は迷彩、闇に紛れる技能で接近

最後の残像が
本体が倒れたように演出した瞬間

ユーベルコードを騙し討ち、カウンターで繰り出す

首ノ数ハ、飾りだネ


プリンセラ・プリンセス
連携・アドリブ可

人格をジョゼットに変更

・対策
初手の攻撃はウマ●騎乗による速度アップと●空中浮遊、●地形の利用、●見切り、●第六感、●視力で回避専念
回避の際に●敵を盾にするで首が首の動きを阻害させるように動く
ブレスは●激痛耐性、●毒耐性、●氷結耐性、●環境耐性、●オーラ防御、●火炎耐性、●限界突破、●継戦能力、●気合い、●呪詛耐性で耐える

・攻撃
ネクロ・インペリアル使用
●集団戦術で複数の集団に分け、ブレスの標的を分散させる。
標的になっていない集団が●ランスチャージ●シールドバッシュ●踏みつけ●蹂躙で攻撃する
他の猟兵への援護にもなるだろう
「巨体に怖れるな! 一刺しも重ねれば致命となる!」



「ようやク押し返シ始めタかナ?」
 続いてヴァルギリオスの前に姿を見せたのは、ナハト・ダァト(聖泥・f01760)だ。
 その後ろに遅れて参上したのは、機械甲冑に身を包んだ女性――プリンセラ・プリンセス(Fly Baby Fly・f01272)の中に眠る姫騎士の人格であった。
「第五王女、ジョゼット、此処に推参。おや、貴殿は……?」
 ジョゼットはナハトの顔を見るなり、意味ありげに声を漏らす。
「確か、ナハト殿では? 他のきょうだいと共闘した事があった、と聞き伝わっているが」
「あァ、確かニ、初めてノ顔合わセではなイかモしれないネ?」
 ナハトもプリンセラも帝竜戦役で各地を転戦している猟兵だ。
 更に重要な戦いである各帝竜戦は何度も殺さないといけないので、同じ戦場に留まっていると必然と顔を合わせる機会が増える。
 ナハトは黒い泥のような触腕をジョゼットへ差し出す。
「でハ、お互いニ頑張ろウ」
「よろしく頼む。今の私はジョゼットと呼んでほしい」
「了解ダ」
 挨拶のやり取りを行っている間にヴァルギリオスはエネルギーを充填し続けていた。
「死別の挨拶は済んだか? ならば、余から手向けを贈ってやろう」
 ヴァルギリオスの喉から競り上がってくる暴虐のエネルギー!
 ナハトとジョゼットはすぐさま行動を開始した。
「多様サなラ、叡智デ補うサ」
 ナハトが突然、9人に増えた!
「残像ヲ具現化しテ、実態ノあル分身へト作リ変えタ。さァ、散っテ敵ヲ撹乱するんダ」
 分身8体が戦場を音もなく駆け抜けてゆく。
 そして9人目であるナハトは、トラップツールⅡを起動させると闇の溶けるかのごとく、光学迷彩を纏って姿を消していった。
 一方、ジョゼットは『収納』魔法から愛馬を出現させると、颯爽と跨ってみせる。
「天を駆け、ブレスを回避するのだ!」
 ウマの腹を蹴れば、ジョゼットの身体が、たちまちぐんぐんと空へ駆け上ってゆく!
 天馬の如き、奇跡で空を疾走るジョゼットの足元から、世界最強のブレスが噴き上げられた!
「させるか! ハッ!!」
 ウマの首を右に切って急旋回!
「所詮、ブレスを吐くのは奴の首だ! ならば必ず首を振る稼働不能な区域があるはずだ! それまで逃げ切るぞ!」
 ウマは主のリクエストに答えようと、更に馬力を上げてひた走る。
「ウガガガガガガガーッ!」
 ブレス中に何かを喋っているが、ヴァルギリオスが唸っているようにしか聞こえない!
 長い首はジョゼットを追い回していたが、徐々に長い首と多頭が邪魔してブレスの照射角度が割り出し時始めたジョゼット。
 爆散する大地の破片とブレスの余波に体力を削られつつ、必死に手綱を握るジョゼット。
「つまり、ここが貴様の死角か!」
 そして遂に、完全に振り向けない首の角度を見出し、その場所で悠然とウマを立たせるジョゼット。
 そこはヴァルギリオスの背後の正中線上のド真ん中であった。
 すると、ヴァルギリオスは尻尾を振ってジョゼットを警戒!
「くっ! まだ迂闊に近寄れぬか! ナハト殿! そちらに注意を引いてくれないか!?」
 身を潜めているナハトからは返事がない。
 だが、8体のナハトの分身は、それぞれが別方向へ散らばってゆく。
 分身にはナハトが分身との指示や情報収集ができるための“へその緒”が分割されて仕込まれている。
 そして、各分身が戦場に散ったのは、ブレスを吐く八首の矛先を分身で散らそうという考えた。
「ぬぅ! 囮で余を惑わそうなど、その手には喰わぬ!」
 だが、ヴァルギリオスは全属性を束ねた破壊光線を、一斉に放って分身達を薙ぎ払ってしまった!
「おヤ、これハ想定外だネ?」
 分身を失ったナハトは光学迷彩を解いて姿を表す。
「まさカ右かラ左まデ全属性で一気ニ薙ギ払っテくるとはネ?」
「次は貴様の番だ!」
 再びブレスの予備動作!
 だがこれにもナハトは回避する気配すらない。
「ふム、だガ、おかげデ全属性ノ特徴ヲ掴むことガ出来タ」
「ガアアアァーッ!!」
 吹き荒れる破壊の奔流がナハトの身体を飲み込んだ!
 ……かに見えた。
「なるほド、反発すル属性をピンポイントごとニ身体ニまとえバ、完全でハないガ拮抗できル」
 なんと、ブレスの中を掻き分けてゆくナハトの姿が、そこにはあった!
「分身ガ浴びタ、ブレス魔力ノ解析完了。この身体ニ、フィードバックさせル事デ、身体強化ニ成功した」
 ブレスを押し退けながらずんずんとヴァルギリオスへ歩を進めてゆくナハト。
 焦るヴァルギリオスは出力をあげようと試みるが、それを背後で様子を窺っていたジョゼットが許すわけもなかった。
「ネクロ・インペリアル、展開! ナハト殿をお守りするのだ!」
 760騎の近衛騎兵が召喚されると、すぐさま幾多の小隊ごとに編成される。
「各隊、ヴァルギリオスを包囲! 波状攻撃で攻め手を止めるな!」
 無数の突撃槍がヴァルギリオスの身を貫き、大盾と蹄の打撃が鱗を剥いでゆく。
 騎馬隊の突撃を体中に押し寄せられたヴァルギリオスは、すぐさま標的をジョゼットに変更。
「ええい、鬱陶しい!」
 身を捩る度に騎馬兵隊は消し飛び、ブレスは執拗にジョゼットを狙う。
 だが、最初の頃よりもウマの足に陰りが見えていた。
「ぐっ……!? もう少し、もう少し耐えてくれ!」
 ジョゼットだけではなく、ウマも当然、ブレスの余波によるダメージ蓄積が発生する。
 次第に機動力は削がれ、次の一撃は回避出来るかどうか怪しいだろう。
「ここまでか……! ならば玉砕覚悟で突撃するまで……!」
 覚悟を決めたその時、ブレスが真正面から迫ってくる!
 そこへ、ナハトが身を割り込ませてきた!
「ALHIM TzBAVTh――!」
 その独特な発音の詠唱とともに、ナハトの身体はブレスと相打ちになって消滅した。
「ナハト殿ォ!? おのれ……許さんぞ、ヴァルギリオス!!」
 ジョゼット、怒りの突進!
「これが私の、全力だッ!!」
 馬上から放つ突撃槍!
 ヴァルギリオスの脚の筋肉を深々と刳り、大量の出血を促した。
「ぐぅぅ!? 小癪なり、小さき猟兵達め!」
 騎馬兵隊もろともジョゼットを踏み潰そうとしたヴァルギリオスの動きが、止まった。
「あガッ!? 身体が、動かぬだと……!?」
「色々ト、イレギュラーばかリで大変だったガ、ようやくチェック(王手)だヨ」
 ナハトが、八首の根元に触腕を突き刺しているではないか!
「ナハト殿!? よくぞご無事で……!」
 安堵するジョゼットだったが、疑問も残る。
 目の前でブレスの壁となって爆裂したナハトは何だったのか?
「9人目ノ分身ハ、よクやってくれタようだネ?」
「あれも……分身だと!?」
 ヴァルギリオスは白目を剥きながら全身を痙攣させている!
 ナハトは空間を歪ませ、色とりどりの触腕を出現させると、無慈悲にヴァルギリオスの首の根元へ突き刺してゆく!
「実ハ、あノ時、9体ノ残像ヲ実体化さセ、9体目ト重なっテ擬態していタのサ」
 そしてそのまま光学迷彩で気配を消したあとに分離し、8体の分身が全滅した頃合いに9体目を出現させ、本体と誤認させた。
 会話は“へその緒”を通してナハト本人が発声。幸い、種族的に会話がはっきり判別できるわけではないので、だまし討ちには最適であった。
 その間に本体はヴァルギリオスの身体に忍び寄り、高台から飛び移ったのだ。
「390本ノ触腕ハ、汎ゆル敵ノ弱点ヲ映し出ス万能属性ダ。ブレスかラそれヲ解析できタ。感謝するヨ」
「グゥッ!? アアアァ……ッ!?」
 八首の根本からスプリンクラーのように鮮血が吹き出せば、ナハトはジョゼットに退却を促す。
 確実な痛撃を与えることに成功した猟兵側。
 一気に攻め込むならば今が好機だ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

木常野・都月
この竜を倒せば戦争は終わる。
絶対に負けられない。
俺が役に立つか分からないけれど、全力で挑みたい。

先制攻撃は、高速で回避したい。
地の精霊様に、俺の足元に電磁場を発生させて電磁場浮遊したい。
風の精霊様を後ろ向きに発射すれば、少しの力で高速移動出来るはず。
[野生の勘、第六感]を駆使し、避け切らなければ、精霊の石で補強した[属性攻撃、高速詠唱、カウンター]で対処したい。
それも無理なら[オーラ防御、激痛耐性]で凌ぎたい。

UC【エレメンタル・ファンタジア】で炎の竜巻で攻撃したい。

8本の首のうち、攻撃が効きにくい属性の首以外を1本でも多く無力化したい。

後は[全力魔法、属性攻撃]で追撃したい。


戦場外院・晶
最終決戦、いい響きです
この戦争で培った全てをもって……勝つ
「戦場外院・晶と申します……よしなに」
我が必勝の祈りは目に見える程に高まりオーラとなって身を護る……
「……っ」
炎にもマケズ
水にもマケズ
土にも氷にも雷にも光にも闇にも毒にもマケヌ丈夫な闘争本能が私の取り柄……身体は動けば十分
「……禁」
超重力の回廊にて培った根性と、骨の平原にて鍛えた間隙を縫う手管を活かして……機を捉えてUC発動

【手をつなぐ】

封じるのはほんの一瞬だけでいい……元より
「……喧嘩を所望します」
繋いだ手を起点に投げる
我が怪力を最低限の呼び水に、彼自身の力で崩すがグラップル
「……破ぁ!」
生涯最強の敵に、惜しみない全力の拳を叩きつける


ルード・シリウス
外套と靴の能力で気配と音を殺しながら移動。攻撃の瞬間と範囲を見切り、それに合わせて残像を囮にする形で置きながら回避。死角となる位置取りを取る様に動いていく
攻撃を凌げた後はバリアに向けて外套を叩きつける様に投げ、バリアに触れた瞬間に合わせて外套目掛け、飛び込む様に体当たりをしながら懐へ入り込みつつ【魂装】発動。武装の真名開放及び自身の真の姿を開放し、これまで喰らった敵と帝竜総てを憑依。強化した身体能力で頭部目掛けて駆け上がる。到達したら怪力乗せた神喰と無愧の二刀による連撃を、心臓目掛けて喰らう様に叩き込む

全部だ…お前を喰らう為に文字通り全部出し惜しみ無しで注ぎ込む


ナイ・デス
【覚悟】を決めて
【激痛耐性、継戦能力】私は、本体無事なら再生する

私は死なない。私は、死ねない
だから、臆さず。最短で、最強の、一撃を!

【怪力ダッシュ】駆ける
避けも、防ぎもしない
ただ【吹き飛ば】されないよう、確り大地【踏みつけ】
受けて、様々な属性の影響を受け、消し飛びかけながら

勇気で、攻め
気合で、守り
根性で、進む
それが、私の知る、勇者理論、です!

『いつか壊れるその日まで』
意志の力【念動力】で、状態異常でも体動かし最短を
破壊と再生を繰り返しながら、一歩、一歩と
負傷に比例した戦闘力増強。輝き、強めながら
そして

これが私の、最強。世界守る為の、一撃です!

【生命力吸収】する光を、解き放つ!
骸の海へ、還れ!



 度重なる猟兵達の攻撃により、遂にヴァルギリオスに大きなダメージを与えることに成功した。
 今なら更に追撃を仕掛ける絶好のチャンスだ。
「この竜を倒せば戦争は終わる。絶対に負けられない」
 木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)がエレメンタルロッドを握り締めながら、巨大なヴァルギリオスを見上げる。
 戦場外院・晶(燃えよドラゴン……この手を掴め・f09489)は穏やかな笑みを浮かべながら、尼僧衣のまま合掌。
「最終決戦、いい響きです。この戦争で培った全てをもって……勝つ」
「嗚呼……俺達は勝つ。いや、奴を喰い殺しに来たんだ……」
 ルード・シリウス(暴食せし黒の凶戦士・f12362)は真紅の双眸をギラつかせ、漆黒の幻影の外套を纏って早くも気配を消してゆく。
 そして、ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)は最終決戦に不退転の覚悟を胸に宿し、全身に力を漲らせていた。
「これで最後、行きましょう……!」
 4人の猟兵が、一斉にヴァルギリオスの懐まで駆け出していった。
 だが、ヴァルギリオスはすぐさま必殺のヴァルギリオス・ブレスの予備動作に入る!
 それを見て真っ先に速度を上げたのは、戦場外院であった。
「戦場外院・晶と申します……よしなに」
 彼女は走りながら、素早く手元で印を結び、必勝の祈願を籠めて法力を放った。
「唵……!」
 その瞬間、戦場外院の身体から膨大な量のオーラが湧き上がり、力場を歪めて障壁を形成する。
「ここは私にお任せを……」
 全身からオーラ障壁を発生しながら、更に先行してゆく戦場外院。
 その視線の先のヴァルギリオスの八首から、破壊の奔流が猟兵を消し飛ばさんと放たれる!
「……っ!?」
 真正面からブレスを受け止める戦場外院!
 全身から立ち上るオーラがバーナーの炎のごとく噴き上がり、ブレスを押し止める!
「世界最強の名は、伊達ではないですね……っ!」
 じりじりと後ろへ下がってゆく戦場外院。
 その背中を、ナイが、木常野が支える。
「私は、本体が無事なら再生する。私は死なない。私は、死ねない。だから、臆さず。最短で、最速で、最強の、一撃を!」
「そうだ、一撃だけでいい。ヴァルギリオスに届けば猟兵達の勝利だ……!」
 ナイが身を呈して破壊のブレスを受け止め、木常野が白銀の腕輪『Scutum animi』に魔力を通わせると、戦場外院のオーラにかぶさるように精霊力のバリアが展開される!
「この世界に存在する全ての精霊様、俺達に、勝利を……!」
 木常野が精霊の石を握り込み、更に魔力ブースト!
 彼の前方ではナイの身体が爆ぜた途端に自己修復を繰り返してゆく。
 その両足は大地に食い込ませて吹き飛ばされないように踏みとどまり、何度と死んでも生き返り、再びブレスに己の身を晒すことで戦場外院の負担を軽減してゆく!
「勇気で、攻め。気合で、守り。根性で、進む」
 ナイの顔の左半分が爆散!
 だが逆再生映像のように肉が、骨が、瞬時に元通りに戻ってゆく!
「それが、私の知る、勇者理論、です!」
 高熱で泡立つ筋繊維を意に介さず、神経からは常人ならば発狂しそうなほどの痛覚を訴え続けても、ナイは止まらない。止まらないどころか、徐々に前へ進む速度が上がってゆく!
「私の知る、あの子のように。本当は少し臆病だけど、勇気を武器に未来を切り開く、あの子がやってのけたように!」
 彼の心臓は何度も潰されては復元され、血液は幾度も沸騰しても乾くことはない。
「私だって――『いつか壊れるその日まで』! 未来を! 掴むために!」
 ナイの全身が聖なる光を放つ!
 その光がブレスの勢いを堰き止め、拮抗し始めたではないか!
「おふたりとも、ありがとうございます。私は、独りで戦っているのではないのですね」
 戦場外院はもはや出し惜しみをしないと決めた。
「炎にもマケズ、水にもマケズ。土にも氷にも雷にも光にも闇にも毒にもマケヌ、丈夫な闘争本能が私の取り柄……」
 ブレスのダメージを生命力吸収の要領で自身の再生エネルギーへと転換し続けるナイの横へ並び立つ戦場外院。
「……身体は動けば十分。ここからは最速で最短で一直線に決めに参りましょうか」
「俺が援護する。3秒後にバリアを解除して駆け出すぞ!」
 木常野の全身にバチバチと電流が迸る!
 戦場外院は一度だけ首肯すると、カウントダウンを始めた。
「3……2……1」
「今だ、雷と風の精霊様!」
 木常野が精霊力バリアを解除!
 突如、猟兵の背を強烈な追い風が吹き荒れる!
「これは、浮いてます?」
 発光し続けるナイの身体は強風に煽られてヴァルギリオスへ勝手に肉薄していた。
 ナイだけではない。
 戦場外院も木常野も、足元が僅かに浮き上がったまま高速滑走をしているではないか!
「雷の精霊様の加護で電磁浮遊、風の精霊様の追い風で推進力を得た。後は体重移動次第で、摩擦ゼロの高速移動が可能だ!」
「おお、これはなかなか珍妙ですね。私が高速移動しているせいでしょうか、ブレスの軌道がゆっくりに見えます、ふふ」
 まるで氷上を滑るかの如く、戦場外院と木常野はブレスをのらりくらりと回避し続ける。
「ナイさんが身を挺して時間を稼いでくれたおかげで、俺も精霊様と交渉ができた。本当にありがとう。このまま一気にとどめを刺そう!」
「……はい、わかりました!」
 ナイは自身の身体を念動力で補助し、追い風を利用して更に加速!
 ヴァルギリオスはあちこちへ駆け回る猟兵達を捕らえきることが出来ない!
「ぐぬぅ!? ちょこまかとすばしっこい虫ケラ共が!!」
「そんな、虫ケラだなんて、つれないですね……」
 戦場外院の声が、ヴァルギリオスの懐から聞こえてきた。
 既に彼女はヴァルギリオスの腹部に肉薄していたのだ!
「ナイ様と都月様のご助力もありましたが、やはり最後に物言うのは己の地力でございますね」
 戦場外院の纏うオーラの“色”が急変する。
 その性質が盾のような屈強さから、鋭利な刃物の剣呑さへと移り変わってゆく。
「超重力の回廊にて培った根性と、骨の平原にて鍛えた間隙を縫う手管。この大陸は私を研鑽してくれたのです」
 カッと見開いた眼で、目の前のヴァルギリオスの腹を見据える。
「その成果、とくとご覧入れましょう。……禁ッ!」
 刹那、世界樹を覆う空気が一変する。
「禁術・絶対接戦……。我が闘争本能から発せられた法力は、世界法則を一時的に改変するのです」
「世界法則の改変だと? ありえぬ! このまま塵芥となって消し飛べ!」
 ヴァルギリオスは再びブレスを放つべく魔力を放出しようと試みた。
 だが、何も起きなかった。
「――馬鹿、な!? ブレスが出せぬだと!?」
「これで王手飛車取り、といったところでしょうか。そして――」
 戦場外院はヴァルギリオスの足の爪をおもむろに掴んだ。
「――『手をつなぐ』。封じるのはほんの一瞬だけでいい……元より」
 ぐるん、と戦場外院の身体が前後反転する。
 次の瞬間、山よりも大きいヴァルギリオスの身体が宙に浮いたではないか!
「……喧嘩を所望します」
「嘘、じゃないです? ヴァルギリオスを、投げた?」
 ナイが目の前で起きた現象に唖然としてしまった。
 体格差は蟻と象とも言える戦場外院とヴァルギリオス。
 その巨躯を戦場外院が、片手で、投げ飛ばしたのだ!
「我が怪力を最低限の呼び水に、彼自身の力で崩すがグラップルなり」
「ですが、ヴァルギリオスは空を飛べます!」
 ナイの懸念通り、ヴァルギリオスは空中で体勢を整えようと試みていた。
「まさか投げ飛ばされるとは思ってもいなかったが、残念だったな! ドラゴンは、空を飛べるのだ!」
「――ほう? ならばその翼、俺が喰らってやる。地を這え、トカゲ野郎」
「い、今の声は……!?」
 聞こえたのはヴァルギリオスの背後、正確には背中から!
「あの尼がユーベルコードを封じてくれたおかげで、楽にてめぇの身体によじ登れたぜ」
 気配を消していたルードが背中にしがみついているではないか!
 驚愕するヴァルギリオス!
「いつの間に!? だが残念だったな? どうやら我がバリアまでは封じられていないようだぞ!?」
 空中でヴァルギリオスの体を包み込む3重のバリアことスペクトラル・ウォール!
『触れた者を毒にするバリア』と『攻撃を反射し燃やすバリア』、そして『触れた者を凍結するバリア』がルードを包み込む!
 ルードはすかさずバリアの中で羽織っていた外套に身を包み、そのまま心臓と翼を目指して駆け出す。
 外套は一瞬で凍結してゆき、腐敗が進んでゆく!
「ははははは! 惨たらしく死ぬがいい!!」
 勝ち誇るヴァルギリオス。
 だが、事態は一瞬で急変する。
「ぐッ!? うガァアーッ!?」
 ヴァルギリオスの背中から血飛沫が噴き上がり、その巨体が落下してくる!
 その背中には、真の姿を曝け出し、両手には真名を解放した魔剣『神喰』と『無愧』を暴食衝動の赴くまま、帝竜の骨肉を斬り刻んでいた!
「魂装・神魔喰ライシ暴食ノ暴君(リンケージ・タイラント)! 全部ダ……お前ヲ喰らウ為に文字通リ全部出シ惜シみ無シで注ぎ込ム!」
 翼を削ぎ落とされ、背中を抉られ、遂に心臓へ一撃を見舞うルード!
 その背後には、今まで“喰らった”帝竜達の霊体が憑依しているのが見て分かる。
 外套が凍結と毒がルードの身体を蝕むまでのタイムラグを発生させ、その僅かな時間でユーベルコードを発動させると、ルードの持つ『全てを喰らう』捕食能力でバリアごとヴァルギリオスの骨肉を貪っていったのだ!
 竜の心臓に纏わりつく強固な筋肉に魔剣を突き刺したルードだが、ヴァルギリオス墜落の瞬間がすぐそこまで迫っている!
 そのまま墜落すれば、地上の猟兵ともども爆散しかねない!
「ここは、俺が! 精霊様、俺に力を!」
 木常野が祈りを捧げると、ヴァルギリオスの身体を真下から押し上げるように、火炎竜巻が発生!
 ルードはヴァルギリオスを解体しながらも、巻き込まれないように帝竜の身体から地上へ飛び降りた。
 と、ここで戦場外院が木常野に進言。
「そのまま、今度は絶対零度に近い吹雪をヴァルギリオスに見舞ってくださいませんか?」
「ん、わかった。けど、なんでだ?」
「いいから、お願いします」
 木常野は首を傾げながらも、火炎竜巻で天へと舞い上がったヴァルギリオスの身体を極寒の猛吹雪で包み込む!
「グ……ガッ!? 余の鱗が、何がどうなっておるのだ!?」
 ヴァルギリオスの身体のいたる部分で鱗が変形し、ボトボトと剥がれ落ちてゆくではないか!
 これをみたナイが声を上げた。
「……わかりました、もしかして。熱膨張率、かにゃあ?」
「ふふ、ナイ様、御名答です」
「ねつぼうちょーって、なんだ?」
 木常野の疑問に、戦場外院は拳を握りながら答えた。
 寒さで動きが鈍ったヴァルギリオスが落下してくる!
「この世のおおよその物体というものは、熱すると長さ・体積が膨張し、冷やせば縮小するのです。その差は温度差があればあるほど大きくなり……つまり、脆くなるのです」
 ヴァルギリオスの落下地点へ、戦場外院が電磁浮遊を捨て、己の脚で駆け寄る!
「このように! 破ぁッ!!」
 生涯最強の敵に、惜しみない全力の拳を叩きつける戦場外院!
 その拳がぶつかった箇所から、大きな亀裂が走り、竜の鱗が砕け散る!
 殴られた衝撃で真横に吹っ飛ぶヴァルギリオスは、そのまま四方を取り囲む山脈の壁に叩き付けられた!
「我が正拳突きの威力……思い知ったか、ヴァルギリオス」
「いや、まだです!」
 身体を起こすヴァルギリオスを確認したナイは、その身を黒剣鎧に包み込む。
「戦場外院さん、私と、手をつないでください! そのままヴァルギリオスへ、投げ付けてください!」
「承知しました」
 即答する戦場外院。
「俺も風の精霊様に頼んで加速させるぞ」
 木常野は持てる全ての精霊力をこの一発に込めるべく、杖先に集中させてゆく。
「ルード、お願いです。一緒に、来て下さい」
「言わレなくテも、俺は奴ヲ喰らイにいクが?」
「それを聞いて安心した、です。戦場外院さん?」
「承知しました」
 再び即答する戦場外院は、空いた手でルードの肩を掴んだ。
「お二方、それでは……ご武運を」
「おイ、待テ!? 何をシやがル!?」
「ルード、準備を。飛ぶ、です!」
「飛ブだト――」
「せぇいッ!!!」
 戦場外院がナイとルードをヴァルギリオス目掛けてぶん投げた!
「あノ尼ァァ!? まァ、いイ! こノまマヴァルギリオスを喰い殺ス!」
 投げ飛ばされたルードは空中で魔剣の切先を突き出し、ヴァルギリオス目掛けて突貫!
 再びヴァルギリオスの体内へ潜り込んだルードは、縦横無尽に巨躯を食い破ってゆく!
 そして黒い槍めいた黒剣鎧のまま飛来するナイは、全身ごとヴァルギリオスの肉体へ深々と食い込む!
 ナイの身体が更に強く発光を始める!
「これが私の、最強。世界守る為の、一撃です!」
 ルードが肉体を喰らい尽くすのならば、ナイは生命力そのものを喰らい尽くす!
 ナイの放つ輝きは今や、この世界に生る、在る為の力を奪い消滅させる光だ。
 しかもこの光は、自身、味方、他者から受けた負傷の度合いが酷いほど、輝きが強く増す。
 つまり、ヴァルギリオスの残り僅かな生命の灯火を、根こそぎ奪う死の光だ!
「骸の海へ、還れ!」
「――ッッッ!!!」
 ヴァルギリオスの断末魔が世界樹のみならず、群竜大陸全土へ響き渡る。
 光に掻き消された最後の帝竜の肉体は、黄金の光の粒子となって風に吹かれて消滅してゆく。
 それを見送るルードとナイ。そして、地表で事の顛末を見送る戦場外院と木常野。そして、戦闘に携わった猟兵達。
「帝竜ヴァルギリオスの討伐が、完了しました! 私たちの、完全勝利です……!!」
 ナイの勝利宣言が届いたのかは定かではないが、群竜大陸中で歓声が湧き上がる。
 この浮遊大陸にいる猟兵達が終戦を悟り、歓喜しているのだ。
「帝竜ヴァルギリオス……確かに喰らってやったぜ。消滅する前に奴の心臓を俺が喰らったせいか、力が全身に漲ってきやがる……!」
 ルードも無事、全ての帝竜撃破という目標を達成することが出来た。
 これでアックス&ウィザーズに平和が訪れるはずだろう。

「……ところで、ナイ。これ、どうやって下りるんだ?」
「……がんばるしか、ない、かにゃあ?」
 ルードとナイが降り立ったのは、壁のように険しい山脈の山肌であった。
 2人が戦場外院と木常野と合流するまで、ここから実に半日ほど掛かったのだが、またそれは別の話である……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年05月27日


挿絵イラスト