帝竜戦役㉙〜Dragonmark
「いよいよ、であるな」
――グリモアベース。
グリモア猟兵、ムルヘルベル・アーキロギアは静かに言った。
「この帝竜戦役の大一番、他ならぬ帝竜ヴァルギリオスとの決戦だ。
……彼奴こそがこの世界を脅かすフォーミュラであり、すべての根源。
そして同時に、紛れもなくこの世界最強のドラゴンである。誇張ではない」
これまでムルヘルベルがオブリビオン・フォーミュラとの決戦を予知したことは、
一度や二度ではない。そのたびに彼は、同じように猟兵たちに警告してきた。
これまでの帝竜と、これから挑むフォーミュラは"一味違う"のだと。
「彼奴の能力は、平たく言えば八つの属性を利用した障壁やブレス、あるいは肉弾攻撃。
そのどれもがシンプルなもの……そしてそれゆえに、すさまじく強い。桁違いにな」
搦手で攻める敵は、その搦手さえ乗り越えれば勝機は十分にある。
しかし、ただただ"強い"というシンプルなロウを誇るような竜を相手に、
打つ手はあるのだろうか? ……ムルヘルベルは一同を見渡し、はっきりと言った。
「だが、オヌシらならば勝てる。これまでもそうして世界を救ってきたであろう?
……などと脅かすまでもなく、オヌシらのほうがそれを実感しているのであるがな」
結局のところ、己は彼らを見送り死地に導くしか出来ない。
それがグリモア猟兵の辛さでもあり、そして同時に誇りでもあった。
「彼奴はオヌシらを待っておる。最終決戦と謳われたならば、それに応えようではないか。
いまこそこのアックスアンドウィザーズを救うときだ。皆、気を引き締めて望め!」
もはや過去の言葉を引用するまでもない。今を生きる者に送るべきは、己の意志。
「――オヌシらの健闘を祈る。屠龍の英雄となって帰ってこい」
その言葉と不敵な笑みが、転移の合図となった。
唐揚げ
プルトニウム貨です。もはや御託は要らないでしょう。
以下がプレイングボーナス条件と受付期間となります、ご参照ください!
●プレイングボーナス条件
『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』
(敵は猟兵に対して必ず先制攻撃を行うため、防御と対策が必要)
かつ、ヴァルギリオスはこれまでの帝竜の中で『最強』の存在です。
難易度:難しいに相応しい感じで行きますので、よろしくお願いします。
●プレイング受付期間
『05/23(土)23:59前後』まで。
なお今回は、成功・大成功であっても負傷などの苦戦してる感じな描写が多めになると思われます。
もちろんすべてがそうなるわけではありませんが(ノリによります)、
強大な敵を相手にピンチに陥りつつも最後は逆転して勝利する!
……みたいなリプレイがお好きな方には、おすすめかもしれません。
ともあれ、皆さんのご参加、お待ちしております!
第1章 ボス戦
『帝竜ヴァルギリオス』
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POW : スペクトラル・ウォール
【毒+水+闇の『触れた者を毒にするバリア』】【炎+雷+光の『攻撃を反射し燃やすバリア』】【氷+土の『触れた者を凍結するバリア』】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD : 完全帝竜体
【炎と水と雷の尾】【土と氷と毒の鱗】【光と闇の翼】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ : ヴァルギリオス・ブレス
【8本の首】を向けた対象に、【炎水土氷雷光闇毒の全属性ブレス】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:hina
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
『――もはや、語る言葉はなし』
八つの首が、同時に轟くような大音声をあげた。
『もはや帝竜の守りは破られ、猟兵たちよ、貴様らは余のもとへと到達した。
実に、実に見事なり。敵ながら惚れ惚れする快進撃、余の好敵手に相応しいぞ』
まさに竜の名に相応しい、傲岸不遜かつ尊大な物言い。
しかし、その声を聞いた猟兵たちは、誰もが直感的に理解した。
この八首の竜には、そう振る舞うに足る強大さがたしかにあるのだと。
『この期に及んで、いまさら搦手は使うまい。余とてすべての竜に君臨する帝王。
ゆえに猟兵たちよ、貴様らもまた、余との戦いにふさわしく全力で臨むがよい』
無数の目が、ぎらりと猟兵たちを睥睨した。
おお、まさしく竜の中の竜、並ぶものなき始原(フォーミュラ)の一!
『――貴様らの手の尽く、すべての力の尽く、その意思の尽くを叩き潰してくれる。
さあ構えい!! ここが最終決戦の舞台ぞ、臆する者から死ぬと思えッ!!!!』
その大音声と闘志に呼応し、天が雷鳴を轟かせ大地はぎしぎしと揺らいだ。
これより始まるは天下分け目の最終決戦。群龍大陸最後の大一番!
数多の首を叩き伏せ、強大なる帝竜を討つときだ。
このアックスアンドウィザーズに、真の平和を取り戻すために!!
死之宮・謡
アドリブ歓迎
帝竜、最後にして最強の王か…良いじゃないか、ならば私も…
さて、貴様を討てば此処での戦(あそび)も仕舞いか…
寂しくもあるが、同時に…心躍るな!
・POW
相手のUCの発動を見届けて【万天を喰らうモノ】を発動
毒:この身は呪詛の塊故に無意味
炎上:耐久と再生に任せて突破
凍結:体の表層に結界(呪詛・占星術)を張って無力化
首の数は足りんが呪炎・呪氷・呪雷の三ブレス、四肢や尾による痛打(怪力・鎧砕き・衝撃波)で攻撃
後は只管死ぬまで攻撃を浴びせ続ける
竜として帝竜の覇者との闘争を
我竜ならずとも、最終決戦の演出としては上々だろう?
ヴァルギリオス。帝竜最後の一体にして、最強の竜。王の中の王。
死之宮・謡は感じる――高揚と喜悦、そして溢れ出るほどの殺意を。
相手取るに不足はなし、ゆえに修羅は笑んでその巨躯と相対した。
「貴様を討てばここでの戦争(あそび)も仕舞いだ。寂しいが心躍るな」
『『『ことここに至って、余と余の仔らとの戦いを戯言と抜かすか。
いっそ清清しいほどの愚かさなり。だがその増上慢も好敵手には十分よ』』』
「はたして思い上がりかどうか、その身で確かめてみろ。帝竜!!」
応えたのは八つの咆哮。そして彼奴が纏うは三重の結界である。
謡は竜の如き傲慢さ――否、変異したその体は事実邪竜である――で技を見届け、
そして真正面から喰らい合う。なるほど彼女らしい戦い方であった。
しかし。ヴァルギリオスが充満させたその三重結界の密度たるや、
あらゆる意味で彼女の予想を上回っていた――呪詛の守りすらも突破する密度!
呪いの塊とでも言うべきその身を蝕むほどに強き毒、そして凍結と燃焼の魔力。
鱗はおろか骨身すらも容易く凍らせ燃やし砕くほどの凄絶なるそれを、
謡はただただ純粋な耐久力と魔力によって屈服させ、喉元に食らいついた。
『ドウしタ……そノ程度デ、私ヲ滅ぼスコとハ出来ンぞ、帝竜よ!』
呵呵と笑い、狂ったように吠えたける。まさしく邪悪の化身。
はたしてどちらが世界を喰らい滅ぼすものなのか、傍目にはわかるまい。
三重の魔力を備えたブレスが無敵の結界をこじ開け、それでも足りなければ爪で抉り、
荒れ狂う嵐の如き竜の頬っ面を叩きのめし、尾によって屈服させんとする。
並のオブリビオンならば、互いの繰り出す一撃一撃で死んでいるだろう。
それを五・十・ともすれば百とすら重ねて吐き出し喰らい抉り引き裂き殺す。
まさしく神話の如き闘争。竜と竜のぶつかりあい、邪悪と邪悪の衝突であった。
『『『面白い。猟兵でありながらこうまで身を邪悪に染め上げ練り上げるとは!
竜の帝王たる余に竜として抗わんとする、気に入ったぞ邪竜よ!!』』』
ヴァルギリオスがあげたのは歓喜と感服の咆哮。
対する謡はもはや人の言葉を用いず、ただ狂笑によって応えた。
常人には理解し得ぬ。そもそも生きて拮抗していること自体が不可解。
ゆえにその力と力のぶつかり合いには、誰も手出しが出来なかった。
しかし、竜とはそういうものだ。
人よりも強大にして無敵、傲岸不遜にして唯我独尊。
だからこそ――最強の幻想足り得る。それが、竜なのだ。
謡もまた竜……あるいはそれよりも邪悪なる何かであった。
苦戦
🔵🔴🔴
戦場外院・晶
あれなる偉容、正に山
その隙は針に糸を通すが如し
「戦場外院・晶と申します。ヴァルギリオス様……一手、御指南願います」
祈りを捧ぐは我が修羅道……さすればこの身をオーラが覆う
「……っ」
無論、無傷とはいきますまい
その負傷を、命を削って癒しながら、真っ向から、堂々と踏破しましょうヴァルギリオス・ブレス
超重力の回廊を越えた私です……根性だけは一人前
「……捕らえました」
【手をつなぐ】
嵐のような猛攻の隙間を縫ってこの手を届かせる術を、骨の平原で磨いて参りました
「……そう、思えば貴方と見えんがため」
この身に宿る怪力と、鍛えぬいた技巧をもって……帝竜を崩し、極め
「……破!」
破魔の力を込めて殴る……感無量なり
「突然ながら名乗る無礼をお許しくださいませ。私、戦場外院・晶と申します」
ふわり、と。
帝竜の前に現れた尼僧は、いっそ穏やかな笑みを浮かべて慇懃に一礼した。
山のごとき威容を前にして、その所作は一縷とて乱れてはいなかった。
竜が瞳を細めたのは、おそらくその豪胆さと怜悧さに感心してのものだろう。
『『『戦場において名乗りを作法とするか。なにより尼僧とは思えぬ力の充実。
汝は僧ではなく戦士として相対するが礼儀と見た。……して、どうする』』』
ぐるる、と竜は唸った。その声音は試すようでもあった。
傲慢に宣戦布告をなすのか、あるいは尼僧らしく不戦を説くのか。
どうあれ竜はその意志を汲むつもりだった。この女は礼儀を心得ている。
ならば己も帝王として竜として、それを真正面から受け取る。
……そして、叩き潰す。それが竜なりの返礼であったがゆえに。
しかし晶は傲慢にのたまうのでも、さりとて慈悲深く憐れむのでもなく、
ただ微笑んだまま、す……とまぶたを伏せると、穏やかな声音でこう言ったのだ。
「――一手、ご指南を願いたく」
『『『…………ほう』』』
その身を覆う気力がすさまじい密度で充足したのを見て、竜は笑った。
面白い。この我を前にして、打倒でも恭順でもなく"指南"を希う。
それはまさしく、この女が修羅道を邁進する闘者である証。
『『『よかろう。ならば余の力を知るがよい――滅びる今際の際になッ!!』』』
すう、と八本の首が大気を吸えば、周囲の気圧が一段、二段と低下した。
常人であれば呼吸不可能になるほどの低気圧。まずそれ自体が致命的だ。
しかし晶は静かに気息を整え、だんッ!! と大地を砕き、跳んだ。
「いざ――!」
『『『真正面から来るか。敵ながら見上げたものよ!!』』』
称賛、そして……ごおうっ!! と、破滅が雪崩を打った。
炎。
水。
土。
氷。
雷。
光。
闇。
毒。
ひとつひとつがあまりにも破壊的なブレスが、同時に八つ。
その身を燃やし、押し流し、砕き、凍らせ、灼き、浄化し、腐らせ、蝕む。
晶の肌が沸騰し、肉が腐り、骨は割れ、目は濁り、肺は焼け、手は爆ぜ、足は折れた。
しかし見よ。女は膝を突かぬ。受けた傷をその身の光で即座に癒やし、
半ばまで崩壊しては逆再生めいて再生しながら、傲然と一歩、また一歩!
『『『ぬう……我が暴威の中をまっすぐに来るか……!』』』
「……この群竜大陸での戦い。それが、私を強くしてくださいました」
奇しくもヴァルギリオスが用意させた数々の脅威と障害こそが、
晶にこの暴威に抗い無理矢理に踏破させるほどの気力をもたらしていたのだ。
一歩、また一歩――握りしめた拳が、ついに接触距離に到達する。
「それもこれも、すべては」
ずしん、と大地が揺れた。巨人の如き踏み込み。
「――あなたと、見えんがためッ!!」
なめらかな体重移動。そして、拳がヴァルギリオスの胴を打つ!
ぐお、と首が呻いた。巨体がわずかに揺らぐ――晶は二歩目を踏みしめている!
「破ッッ!!!」
今度は地に加え、天すらも揺らいだ。ヴァルギリオスが、跳んだ!
『『『オオオオオオ……ッ!!』』』
帝竜をも吹き飛ばす一撃。その実感がもたらす高揚に、晶はぶるぶると震えた。
その身は、力は。ついに帝王たる竜にすら届いたのだ……!
成功
🔵🔵🔴
シズホ・トヒソズマ
陰陽道における五行属性に分けると
8属性内に金行はありません
1つ欠けているなら有利属性の盾で少しずつ属性を弱め互いのバランスを崩します
ブレスをまずは大帝巫の陰陽札『木行』で構成した防御結界で受け止め五行相克により有利な土属性を減衰
次は◆水属性のバリアをヴァジラの兵士人形に纏わせブレスの盾にし
有利な炎属性を減衰
更に金行にあたるデザイアキメラの右手シールド◆盾受け
光反射加工をしておき、光属性と金が有利な雷属性を減衰
直ぐにキメラの左手、岩で構成したシールドで防御
土が有利な水と氷属性を減衰
残りは闇毒
闇を照らし消毒も為す炎を王劾に纏いブレスを防御
UC発動
8首に対多数属性を発動した浮遊火縄銃を◆一斉超連射
東洋思想の陰陽学によれば、天地万物は五つの属性に大別できるという。
すなわち火・土・金・水・木の五行、相剋し相生する天地の理だ。
敵が八つの属性を猛威として振るうならば、そのバランスを崩す。
シズホ・トヒソズマの構築した作戦は、理論の上では完璧だった。
四重五重の防御策を以てブレスに相対したところまではよい……しかし!
『『『なるほど、我が八重の魔力を減衰し防がんとしたか。見事な智謀なり!
しかし、しかしだ猟兵よ! 我が吐息、ただの嵐竜巻と見紛うなよ!!』』』
「く……ッ!!」
八つのブレスはまったく同時、かつ強烈な勢いで降り注ぐ。
防御手順による減衰と、ブレスの放射による威力の拮抗が間に合わないのだ!
たとえ水の障壁によって炎を減衰したとて、次に移る前に波濤が到達する。
シズホの対策は完璧であったが、それゆえに一手一手の対応が後手となってしまった。
攻撃を順繰りにもたらしてくれるほど、帝竜のブレスは甘くはない!!
「なるほど、最強をうそぶくだけはありますね。けれど……」
大地を砕くほどの吐息に吹き飛ばされながらも、シズホは不敵に笑った。
……然り、笑った。その意味を理解し、ヴァルギリオスも唸った。
たしかにブレスのバランスを完全に崩し、無効化にはとても足りていない。
しかし減衰効果そのものはたしかに発揮されている。シズホの無事がその証拠。
全身のあちこちを灼かれ凍らされ腐らされ砕かれ裂かれてはいるが、
彼女は生きている。そして、戦闘意志を喪失していても、不能になってもいない!
「私は生きていますよ、ヴァルギリオス。最強の帝竜の最大の一撃を受けて、
この私が生きている――それを、あなたは許せると? 獲物の生存を前にして?」
『『『……よくぞ吠えた。余に二手目を強制するとはな!!』』』
ぐおう、と竜は大気を吸う。今度こそ確実なるとどめを刺すために。
しかし――敵の攻撃は強大ゆえに、そこに一瞬の隙が生まれる。
そこに好機がある。そして、シズホが好機を捉えることを帝竜も識っている!
「わざわざ二度目を受ける道理はありません。さあ出でよ、第六天魔王よ!」
はたしてシズホの背後に現れたるは、数えることも出来ぬほどの火砲たち。
針山めいて現れたそれらが、一斉怒涛に火蓋を切り、竜の鱗を穿った!
「滅せぬものの在るべきか――その言葉の意味を教えてあげましょう、帝竜!」
『『『オオオオ……不遜なり! 滅びるべし、猟兵!!』』』
八つの奔流と超連射の飽和射撃がぶつかり合う。拮抗、そして炸裂!
竜の咆哮とヒトの生み出した破壊の炎とが、天地を照らしそして燃やした――!
苦戦
🔵🔴🔴
メイスン・ドットハック
【WIZ】【絆】
8頭とはさすが親玉じゃのー
それでも負けられんから、エィミーよろしくのー
先制対策
鉄水の壁を補強するように電脳魔術の防壁を中に入れて強化
さらに自身とエィミーのホログラムデコイを大量発生させて、ブレスの狙いを拡散させる
AI制御の揚陸艦ロストリンクや二足歩行戦車の別働攻撃も敢行させて、意識を一点に集中させない戦法を取り続ける
先制後はUC「フレミングの左手の法則」でエィミーの鉄水に電磁力を与えてレールガン化させ、超加速させて8頭の内、一つの頭に絞って集中砲火を狙う
最後は川の流れの様な鉄水をレールガンで飛ばして竜鱗を砕く
あんまりエィミーに無理はさせられんからのー、早期決戦じゃ!
アドリブOK
エィミー・ロストリンク
【WIZ】【絆】
あれが、ヴァルギリオス。最後のボスなんだね
震えるくらい怖いけど、がんばるよ!
先制対策
絆律鍵ロスト・リンクを起動して、メガリスを同時混合発動
海乙女のワンピースから海水を放出して、ラクチェの要石で鉄の水へと変化させて操作。雷を守るように海水を防御展開させて、ブレスの直接放射を防ぐ
また海水に絆のマアトの生命力吸収能力も付与させて、幾分かエネルギーを防御力に転換する
先制後はUC「受け継がれる魂の姫君」でさらに海水増加と、鉄水の硬度強化をしてメガリスの性能を引き出す
鉄水を尖らせるように変形させて、メイスンに飛ばして貰う
昏睡前に川のような鉄水を操る
無茶しないけど無理はするよ!
アドリブOK
一瞬にして出現した大量のデコイに、帝竜は顔を顰めた。
狙いがつけられないから? ――否、彼奴はそれを小賢しいとみなしたのだ!
『『『その程度で余の目を欺けるとでも思ったか? 愚かなり!!』』』
ごばあっ!! と、堰を失った濁流のごとき吐息がふたりを襲った。
デコイもろとも飲み込むほどの波濤、八属性を束ねた破滅のブレス。
メイスン・ドットハックとエィミー・ロストリンクは幾重にも防御を重ね、
直接ブレスを受け止めようとするが……いかんせん敵の攻撃が激しすぎる!
別働隊めいて攻撃を仕掛ける揚陸艦と二足歩行戦車は一撃で破壊され、
強固に構築した鉄水の壁もまた、あちこちに亀裂を生じさせ砕けかけていた。
「わわわっ、メイスン義姉ちゃんどうしよう!?」
「このまま耐えるしかないからのー、気張るんじゃのー」
「う、うん……! そうだよね、ここを突破されたら……っ」
あの破滅的攻撃に自分たちが晒された瞬間を思い、エィミーは戦慄した。
それだけは防がねばならない。メガリスからさらに魔力を汲み上げ、
ひたすらに鉄水の壁を補強する。だが亀裂はなおも激しく壁を覆っていく。
過剰放射された魔力が不可視の衝撃となってエィミーの体に戻り、
指先が裂けて血が噴き出した。その血すらも水分として障壁を補強!
『『『なおも耐えるか……いじましいものよ。しかし哀れでもある。
余の暴威に汝らが抗うことは出来ぬ。おとなしく滅びよ……!!』』』
「……いやだよ。あなたのことは、震えるくらい怖いけど、でも!」
もはや砕けそうな鉄水の壁越しに、エィミーはヴァルギリオスを睨んだ。
足は震えて崩れ落ちそうだ。しかし少女は一歩も退かない。
「わたしは、お義姉ちゃんと一緒に世界を救いに来たんだもの!!
だから、わたしは負けない……あなたなんかの力には、負けてあげない!」
『『『見上げた根性なり。だが……受け入れよ。これが現実だ!!』』』
ブレスが圧力を増す。そしてついに鉄水の壁が――砕けた!
エィミーは目を見開く。しかし! メイスンは準備を終えていた!
「よく耐えたのーエィミー、ここからが僕らの反撃の時間じゃー!」
ドカカカカカッ! と、砕けた鉄水の欠片がブレスを切り裂き突き刺さる!
ブレスがふたりに襲いかかる。今度はメイスンがエィミーの前に出た!
「お義姉ちゃん!?」
「これ以上エィミーに無理はさせられんからのー!」
電脳魔術障壁によってブレスを受け止める。しかし以て数秒。
エィミーは即座に己がやるべきことを理解し、実行した。
生み出される鉄水は守るためではなく攻めるため。鏃めいた鋭角の欠片だ!
『『『ぬう……己の身すらも厭わずに反撃を試みるか! なかなかやる!
なぜだ? 娘らよ、何が汝らを突き動かす? 使命感か、あるいは欲望か!』』』
「僕らは猟兵、お前らオブリビオンの好き勝手は許さない……ただそれだけじゃのー」
「メイスンお義姉ちゃんとわたしは、さいきょーなんだからっ!」
半ば相打ちめいて放たれた鉄水の雨あられが、ヴァルギリオスの龍鱗を砕く!
楔めいて撃ち込まれたそれは肉をも引き裂き、竜は苦悶に雄叫びを上げた――!
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
皐月・灯
……ああ。
認めてやるよ、フォーミュラ。
てめーは強い。オレよりも……ここに居る誰よりも。
けどな――。
搦手は使わねー。
ありったけをつぎ込んで、ヤツの一手を上回る。
オレが選ぶのは、【リミッター解除】の《雷剛神ノ鉄槌》だ。
【全力魔法】9回分全てを、ただ一撃に集約する。
二撃目はいらねー。そんなもんに頼っちゃ、ヤツは超えられねー。
オレへの攻撃、その寸前の刹那を【見切り】、【カウンター】を叩き込む。
今まで何度もやってきたことを最大限以上に研ぎ澄ませるのが、オレの答えだ。
【捨て身の一撃】?
かもな。
だが生き残る。【限界を突破】して。
――けどな、帝竜ヴァルギリオス。
それでも勝つのは、オレのアザレア・プロトコルだ!
相対したその瞬間、皐月・灯は本能的に理解した。
……この敵には勝てない。そしておそらく自分は死ぬことになる、と。
八つの属性によって構築された、禍々しい尾と鱗と竜鱗。
それらを備えたヴァルギリオスの威圧感は、まさしく別格だった。
帝竜――帝王たる竜を名乗るに相応しき、絶対のプレッシャー。
何者とて並ぶことなき、恐ろしいまでの重圧と確実な死の予感が、形となった。
それが今のヴァルギリオスであり、彼が挑むべき困難だったのである。
「……ああ。認めてやるよ、オブリビオン・フォーミュラ」
灯は無意識に流れた冷や汗を拭い、いっそ清清しい面持ちで言った。
「てめーは強い。オレよりも、おそらくどんな猟兵よりも……な」
『『『それを理解しなお、額づくことも退くこともせず、構えるか。
その意気やよし。しかしあえて問おう、汝のその無謀と蛮勇の意味を』』』
「オレはてめーにゃ勝てない。きっと死ぬ。なにせてめーのほうが強いんだ」
灯は腰を深く落とし、みしりと音が鳴るほどに拳を強く握った。
それだけで彼の周囲の空気が凝縮し、陽炎をどよもすかのようだった。
「"その程度のことで退く理由にはならねーんだよ"」
『『『…………』』』
ヴァルギリオスの沈黙は、少年の言葉の意味を吟味するものだった。
そう、理解できない。帝王たる竜には、地を這う虫の思考など理解できない。
負けると分かっている戦いに、死ぬと分かっている困難に、あえて挑む意味。
理解できぬ。……しかしだからこそ、ヴァルギリオスは緊張を高めた。
……緊張。しかり、"警戒"ではなく"緊張"だ。
ヴァルギリオスは識っている。人間の脆さ、儚さ、そして愚かさを。
『『『……小僧。忌々しく、そして眩きものよ。余は知っているぞ。
余を殺したる勇者たちもまた、汝と同じ愚かさを持っていたことを。
汝のような者こそ、時として必然を覆し不可能を成し遂げることを!!』』』
そんな愚かで儚く、そして脆弱な人間が、時として己をすらも殺すことを!
『『『ゆえに全力を以て殺す。これは余の手向けと知るがいい!!』』』
ばさり、と翼が大気を打った瞬間、巨体が一瞬にして霞んでいた。
灯の全集中した意識ですら捉えきれぬ高速移動。まもなく衝突は来る。
尾の薙ぎ払いや爪の引き裂きという生易しいものではない、すべてが同時だ。
竜が持つ暴威が全く同時に、灯ひとりを殺すためにただ振るわれる。
逃れることなど不可能。防ぐことなどもっての他。
ならばどうする。如何にして対する? ……答えは、ただひとつ。
――ならオレも教えてやるよ、帝竜ヴァルギリオス。
脳裏に多くの人々の相貌がよぎった。
仲間と呼べる男たち。
友と呼べる女たち。
そして、ぬくもりを通じ合わせたただ一人の女性(ひと)――。
鈍化した主観時間が現実に追いつく。爪・尾・翼・ブレスの同時攻撃!
灯は災禍じみたその只中に飛び込み、ブレスを受け流す!
さらに爪がその身を抉ろうとした瞬間、左腿を犠牲に跳躍!
翼の風と猛烈な魔力が全身の肌を引き裂く。猛然たる踏み込み!
足の骨が折れて砕けた。神経束めいた魔力刻印がその亀裂を縫い合わせる。
尾が薙ぎ払う――威力に逆らわず、くるくると回転。大地の飛沫で肩が破砕!
場ぜた肉を魔力の輝きが補う。肋骨が軋んだ。臓物が悲鳴をあげた。
口の端から血が溢れる。両目は燃えるほどに充血し赤い涙を流した。しかし!
「てめーが、オレより強いとしても」
灯の姿が消えた。ヴァルギリオスの眼をもってしても捉えきれぬ速度。
「オレが、てめーに勝てないとしても」
おお、波濤を前に大地を踏みしめ進む姿。それこそまさしく……!
「……てめーを砕くのは、オレのアザレア・プロトコルだッッ!!」
一撃。
燃え上がった魔力とともに迸った拳が、竜の鱗を叩き砕いた。
ヴァルギリオスはそれを知覚した。ゆえに牙で噛み砕こうとした。
二撃。三撃。四撃。牙を砕かれ首が叩きのめされる。
なんだと? そう言おうとした。五撃、六撃、七撃!
『『『――オ』』』
「おおおおおおオオオオォオオッッッ!!!」
七撃、八、九、十撃十一十二十三二十重五十百二百千!
激発撃発撃撃撃撃撃撃撃撃!! 稲妻じみた拳、拳、拳!!
竜は。呻いた。攻撃が繰り出せぬ。否、反撃を繰り出せぬ。
反撃? 反撃だと? 砕くべきは己であり倒れるべきは敵であるはずなのに!
「ブチ、砕く。《幻想融烈(フュージョンドライブ)――」
『『『汝は、勇者の末裔か? 否……これは!!』』』
「……雷剛神ノ鉄槌(トール)》ッ!!!!!」
命を燃やし、魂を燃やし、己の存在をも炉に叩き込んだその一撃。
雷神の槌も畏れるであろうその一撃が、竜の逆鱗を、砕いた!!!
大成功
🔵🔵🔵
ナハト・ダァト
先ずハ、特性ノ把握かラだネ
残像で分身を9体生成
へその緒を持たせ、遠隔操作を可能にした8体を散らばせ
残りの1体と共に迷彩で消える
残像にはかばう技能で
ブレスを分散させて受けさせる
オーラ防御で耐えさせ
倒れた残像から得た
首に対応した属性の情報をへその緒から把握
8体倒れた時点で9体目を出現
精神攻撃、催眠術、言いくるめで本人と錯覚させ
8本のブレスの防御を指示
最後の残像には
時間稼ぎ、限界突破、ドーピング、継戦能力技能で持ちこたえさせるように細工し
本体は迷彩、闇に紛れる技能で
気配を消しながらダッシュで接近
最後の残像が
本体が倒れたように演出した瞬間
ユーベルコードを騙し討ち、カウンターで繰り出す
首ハ、飾りだったカ
月凪・ハルマ
……相手は最強の竜。俺の力でどこまでやれるか
◆SPD
しかしシンプルに強化されるの、実は一番厄介なパターンだよな
まず【見切り】【早業】【残像】【武器受け】【第六感】で回避
代償で呪縛のデバフが掛かってくれれば避けやすくはなりそうだが
まぁ、期待はしないでおこう
初撃を凌いだら【瞬身】を発動。以降も同様の技能で攻撃を躱し、
【忍び足】で敵の死角に回り込みつつ【武器改造】で
手持ちの武器に敵の各部位と相反する属性を付与して攻撃
同時に少しでもダメージが入りやすい個所を探り(【情報収集】)
少しでも多くのダメージを積み重ねる
俺より有効な攻撃ができる猟兵がいる場合には
そちらのサポートに注力しよう
※アドリブ・連携歓迎
レイ・アイオライト
とんでもない威圧感ね。あらゆる帝竜を統べる帝竜、その力も突出しているみたいね。
……まあ、逃げるなんてあり得ないわ。勝負よ、ヴァルギリオス。
【対策】
強化した代償で動きが鈍るその隙に『雷竜真銀鋼糸』を周囲に配置、帝竜の影に『影縫ノ暗剣』で行動阻害、『闇ノ足音』に影をブースターとして纏わせて一気に後退、世界樹の木々に影の刃を飛ばして切断、落下させて『時間稼ぎ』を行うわ。(罠使い・早業・地形の利用)
【反撃】
UC発動、ヴァルギリオスを象った影の塊を召喚。あたしの刃でも、アンタがこれに攻撃しても、それはアンタのその身に反射する。
影の塊の頭上に着地して、影そのものを『鎧無視攻撃・暗殺』よ。
ビードット・ワイワイ
帝竜の中でも最強は、世界の最強とは異なるぞ
最強であれば何故に敗れた?もしや復活したならセーフと言うのか?
過去は振り返らぬ主義であるか?
我が装甲は堅牢なりし鋼鉄なりて、多くの耐性持ちにけり
一切の生を見せぬ硬質。持ちし装甲で盾受けし
更に武装で武器受けし、衝撃波で我が体を吹き飛ばし
少しでも被害を減らさんとする
例えこの身がこの腕が砕け散ろうと気にはせず
我が身に宿すは大海の力、我が身を燃やしてこの世界に脅威を示さん
燃やせや燃やせ近づく物を、拒めや拒め他者との繋がり
闘争でしか語らいできず。傷があろうと関係あらぬ
死ぬまで互いに食らい合おうぞ
ニィエン・バハムート
地面を強く【踏みつけ】【怪力】で敵の巨体による攻撃を受け止め。全メガリスを首輪で3倍に強化し自身を【衝撃波・念動力】で無理矢理支える。無茶をやりきるのだと自分を【鼓舞】し自身とメガリスの力を【限界突破】。敵の属性は発電による電気、鮫魔術による水、それぞれを【属性・範囲攻撃】で周囲に放つことで何かしら軽減、あとは【環境・激痛耐性】で耐えます。死に掛けようが一瞬でも敵が代償の影響で隙を作ったら【カウンター】でUC発動【封印を解く】。
あぁ!その存在が愛おしい…!神とすら謳われた最強のドラゴン…っ!帝竜ヴァルギリオス!!
あなたの最強を、命を賭けてでも【略奪】したい…!このバハムートがっ!【情熱】的に!
シャルロッテ・ヴェイロン
今更どうこう言うつもりはありません。【覚悟】して臨みましょう。
まずは敵の攻撃の隙間を縫うようにして回避していきましょう。【(各種)耐性・オーラ防御・見切り・残像・野生の勘・世界知識・戦闘知識・地形の利用】その間【PROGRISE:INSTALL】で解析+強化(攻撃重点)。
で、隙をついて【選択UC(属性は都度選択)】で攻撃と行きましょう。【限界突破・リミッター解除・誘導弾・2回攻撃・乱れ撃ち・一斉発射・制圧射撃・鎧無視攻撃・捨て身の一撃・破魔】あぁ、その際、こちらの属性は「無(「属性がない」+「すべてを無に帰す」という二重の意味)」でいってみましょうか。
※アドリブ・連携歓迎
露木・鬼燈
竜は殺す!
相手は最強の帝竜…素晴らしい!
命を懸けるに値する獲物っぽい!
下手な小細工や駆け引きは危ないかな。
正面からぶち破るくらいの気概でね。
3種のバリアを抜くのはなかなか骨が折れる。
反射だけは同調させてすり抜けるのがいいかな?
残り2種はダメージ覚悟で強引に貫こう。
竜殺しの力で染め上げた自前のオーラ。
それを魔剣と合わせればイケルイケル!
まずは血肉をオルトリンデに喰わせないとね。
その後は魔剣を限定開放からの完全開放。
こーゆー強引なやり方は魂が軋んでヤバい!
だけどここは命の懸け時。
一族が鍛え、伝えてきた竜殺しの業を叩き込むっぽい!
オルトリンデの援護の下に渾身の一撃を。
急所を護る竜鱗を破壊するっぽい!
鍋島・小百合子
WIZ重視
彼奴が帝竜…討てればこの戦に終止符を打てるものぞ
…心の身震いが止まぬのはなぜじゃ…?
「己が恐れを知る事はそれだけ戦を楽しむ事の裏返し…そう思わねばな!」
八本首を攪乱する目的で先制攻撃を乗り越える
残像を纏いての移動(ダッシュ、ジャンプ)で敵の懐を掻い潜るように縦横無尽に駆け回る
回避重視、受けられる攻撃は薙刀での武器受けで防御
先制攻撃を乗り切れればUC「魔眷属降臨」にて呼び出したキメイエスの眷属と共に反撃開始(報酬には幕府世界の甘味と帝竜の魂を提示)
眷属の剣技とわらわの薙刀武芸(なぎ払い、鎧砕き、乱れ撃ち)とで力を合わせて敵の懐に叩き込む
強敵故眷属のみならず他の猟兵との連携を強く意識す
ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎
こっちの攻撃が20や30当たった程度じゃむこうは小揺るぎもしないのに、むこうの攻撃は一発マトモに――じゃないか、掠っても多分アウトとか…
ホント、力の差がありすぎて笑えてくるわねぇ。
…まあ、あたしにとってはフォーミュラがどうとか以前に――ドラゴンどもの親玉って時点で、最優先ブッ殺対象なワケだけど。
…とはいえ、力の差は歴然なんてもんじゃないし。手札と小技を洗い浚いひっくり返した上にイカサマ重ねてやっと一撃、ってとこかしらぁ?
刻むルーンはラグ・イング・ユル。
「幻想」の「終焉」をもって「命脈を断つ」――幻想の極致である「最強のドラゴン」だからこそ。この一閃は、効くでしょう?
アウレリア・フルブライト
我がフルブライト家の祖より伝え聞く伝説の帝竜。
私が。其と闘う機が巡り来ようとは。
…ええ、祖が半ばにて果たせなかったその使命。私が、見事完遂してみせましょうとも!
小細工は不要、正面より押し通るのみ!
【怪力】の限りを込めた【鎧砕き】の拳にてバリアを叩き割りにかかります。
受けるダメージは【激痛耐性】、凍結はこの魂に宿る【情熱】と、纏う闘気の熱で凌ぎます。
後は痛みへの【覚悟】、其を乗り越えんとする【気合い】、そして更なる一撃を繰り出す【勇気】を以て攻撃を続行。
バリアが割れたら更なる一歩。
肉体を【限界突破】し跳躍、帝竜の肉体へ己の全てを込めた爆撃闘吼による【捨て身の一撃】を叩き込んでくれましょう!
須藤・莉亜
「敵さんにビビった事はないけどねぇ。味方にビビる事はたまにあるけど。」
さて、どうやって牙を届かせるかなぁ。
悪魔の見えざる手に僕の前に行ってもらい、ブレスの対象を僕ではなく囮役の見えざる手の方に向ける事で避けてみる事にしようか。
ブレスが放たれた瞬間に僕は敵さんへ向けて突貫。余波は光属性のブレスを暴食外套で念入りに食らわせガード、他の属性は二振りの大鎌で防ぎながら突っ込む。
凌げたら、UCで吸血鬼化し生命力を奪いにかかる。特に光属性のブレス撃った首はがっつり吸ってやる。
んでもって、奪った生命力を強化と再生に充て続けながら敵さんへ攻撃。あ、光属性の首は念入りに斬り刻む。
もちろん、吸血するのも忘れずに。
陰白・幽
うーむおっきくて強そうで凄いドラゴンだね〜ボクも気合いを入れて頑張るよ〜
もう威圧感がすごいよね、まずは敵の周りをぐるぐると攻撃を躱しながら時間を稼いでぐるぐると飛ぶよ〜敵がユーベルコードで強化されてもまずはしっかり躱したいくよ、ぐるぐる〜っとね
それで飛んでいる間はボクの操龍鋼糸でぐるぐるにしておいて最後にギュって縛る感じだね……動きを封じれたら思いっきり蹴りに行くけど、縛れるのは一瞬だと思う……力づくで外して反撃をしてくると思からそれに合わせてUCを使って敵の胴体のところまで飛んで連続蹴りを浴びせるよ〜
最後のドラゴンさんだからね、全力で頑張るよ〜
『『『オオオオオオオ……!!』』』
八つの首が同じように咆哮した。天は驚き地が揺らぐほどの轟き。
あちこちの鱗が砕け、熱血を噴き出した帝竜ヴァルギリオスの雄叫び。
そこに込められた感情は様々だ。
怒り。
痛み。
苦しみ。
殺意。
感服。
敬意。
そして――世界を滅ぼすという、根源的な破壊欲求。
たとえ敵がどれほど礼節をわきまえていようが、
猟兵のことを勇者と称え認めたとしても、
彼奴はオブリビオン・フォーミュラ。この世界を侵す過去の根源。
かつて滅びたる暴竜の残骸にして、討たねばならぬ敵。
いまさらそこで迷いを抱くような猟兵がいたわけではないが、
改めてそれを心で、魂で理解させるほどに、敵意に満ちた咆哮であった。
「あれが、我がフルブライト家の祖より伝え聞く伝説の帝竜……!!」
アウレリア・フルブライトは、畏敬に近い戦意に震え、腕を抑えた。
気を抜けば、魂のレベルで屈服してしまいそうなすさまじい重圧がある。
だが、己がここに来たのは闘うためだ。額づき、恭順するためではない。
「私が、それと闘う機が巡り来ようとは……これこそまさしく天運ですわ」
アウレリアの声音にはたしかな喜びがあり、その表情は笑っていた。
そうとも、これこそ天運。父祖が果たせなかった使命を今こそ果たす時。
ならば恐怖ではなく、高揚と歓喜を以て挑むべし。彼女は拳を打ち合わせた!
「なんであろうと竜は殺す! 最強の帝竜だろうと、なんだろうとね!
……けど、正直僕も嬉しいかな。命を懸けるに値する獲物だよ、あれは」
そして屠龍の忍者、露木・鬼燈もまた凄絶な笑みを浮かべていた。
隠れ里を出奔したとて、その身に刻まれしは竜を屠り滅ぼすための技。
否、むしろ忍びとしてのさだめから逃れたからこそ、それはより純化されている。
この日までの戦いはすべてこのために。向こうに回すは強大なる最強の帝竜!
実に、実によい。鬼燈は羅刹であり、それ以上に修羅場に生きる戦狂いであった。
だからこそ彼もまた、アウレリアと同じように笑いながら戦いに臨むのだ。
「……わたしは、いまさらどうこう言うつもりもないですけどね。
でも、覚悟は十分にしています。油断したりするつもりはないですよ」
一方でシャルロッテ・ヴェイロンは、醒めたような口調で言った。
年頃に似合わぬ聡明な天才ゲーマーに、戦狂いや家業を背負う責任感はない。
しかしならば、ここにただ義務として立っているのかと言えば、それは否。
彼女は識っている。強敵との戦いがいかに苦しく、そして辛いのかを。
それだけ戦いとは超える価値があり、勝利の甘やかさは蜜を増すのだ。
少女の周囲にいくつものAR電子ウィンドウが浮かび上がり、肌にも刻印が浮かぶ。
「……ゲームに命を懸けるなんてくだらないことですけれど。それでも……」
「ま、ここでやらなきゃ世界が滅びるんだもの、やめる理由はないわよねぇ。
正直、ただの人間に竜退治させるとか、こっちとしてはたまったもんじゃないけどぉ」
ティオレンシア・シーディアは蕩けるような甘い声で苦笑した。
いつも微笑んで見えるその表情も、今日ばかりは引き結ばれていた。
「どんだけ力の差があろうとも、ドラゴンどもの親玉ってだけで十分だわぁ。
世界よりもなによりも、アタシの因縁のために、ここで滅んでもらうわよ」
カチン、とリボルバーのシリンダーに銃弾を装填し、言った。
声音には絶対零度の冷気めいた、凍れる殺意――そうとも、彼女は怒っていた。
己が背負うその過去とトラウマゆえに、竜種に対する憎悪は壮絶だ。
ヴァルギリオスとの間に因縁はない。英雄めいた義侠心も、彼女にはない。
ただ、殺すべき敵を殺す。射すくめるような殺意は、まさしく射手に相応しい。
対するヴァルギリオスは、己が持つ八つの属性を最大限なまでに励起した。
その反動によって全身の傷口から血が噴き出し、眼は呪いで濁る。
しかし足りぬ。まだ足りぬ。もはや帝竜ヴァルギリオスは理解していたからだ。
『『『猟兵たちよ。汝らはかつて、余を滅ぼしたる勇者どもよりも強い。
ゆえにもはや、余は命を厭わぬ……刺し違えても汝らを食らいつくそう。
そののちに滅びから蘇り、余は世界をカタストロフへと包み込まん……!』』』
尾は炎と水と雷に包まれ、鱗は土と氷と毒によって補強されていく。
広げた翼は白と黒――すなわち、光と闇の双属性によって強化されていた。
毒と血を以て強化されたその巨体、天を衝くと見紛うほどのプレッシャー!
「……ああいうシンプルな強化って、正直一番厄介なパターンなんだよな」
月凪・ハルマは嘆息し、帽子のつばの下から鋭く敵を睨みつけた。
「代償のダメージもそこまでではないだろうな。まあ、期待はしてないけど。
俺は騎士でも英雄でもないけど、お前のその必死さには敬意を払うよ。
それだけ、俺たちのことを認めたってわけだろ。なら、全力で叩き潰すさ」
忍びの声は冷ややかなものだったが、ある種の敬意が込められていた。
超えるに難き強敵――しかしその尽くを、彼らは幾度も打ち倒してきたのだ。
今回も同じこと。オブリビオン・フォーミュラを倒し、世界を救う。
ならば、いまさら肩肘を張る必要もない。ただ当然のように命を懸けるだけ。
「されど、心の身震いが止まらぬ……これは恐れか、あるいは武者震いかのう。
己が恐れを知る事は、それだけ戦を楽しむ事の裏返し……そう思わねばな!」
傍らに立つ鍋島・小百合子はそう言って、薙刀を構えて己を強いて不敵に笑った。
気を抜けば膝が笑い、歯の根がかちかちと無様な音を立てそうだった。
しかし、彼女もまた同じように、幾度となく強敵を打ち倒してきた者。
大魔王ウームー・ダブルートゥ、あるいは織田信長、あるいは……。
この世界で、他の世界で、打ち倒してきた多くの強敵との死闘を思った。
そのたびに恐れを屈させるほどの勇気が湧いてくる。己は、ひとりではない!
「僕は敵さんにビビったことはないけどねぇ、むしろ味方にビビることが多いよ。
……けどまあ、牙を届かせるのが難しい相手であることはたしか、かなあ」
「あら、莉亜らしくない台詞ね。そんなふうにプランを立てるタイプだった?」
「僕だって作戦は考えるよ。そっちこそ、本当はビビったりしてない?」
須藤・莉亜の軽口に、レイ・アイオライトは目を細めた。
「……正直、威圧感を憶えていないといえば嘘になるわ。それだけの相手よ。
だからって退くような理由にはならない。だからあたしもここにいる、でしょ?」
違いない、と莉亜は頷いた。
……そうとも、今更ここまで来て、逃げるような選択肢があろうか。
己も、そして他の猟兵たちも、すべては闘うためにここへ来たのだ。
ならば相手がいかに強大であろうと――否、強大だからこそ。
ここで退くことは出来ぬ。考えもしない。すべては前に進むために。
「勝負よ、ヴァルギリオス。かつてアンタが勇者に敗けたように、滅ぼしてあげるわ」
『然り然り然り。帝竜の中で最強とて、それは世界においての最強とはならず。
最強であれば滅びる道理はなし。帝竜よ、汝は一度滅びたるものなれば。
それを理解しているからこその宣戦布告であろう、我はそう受け取ったり』
ビードット・ワイワイは非人間的な声音でいい、じとりと竜を睨んだ。
『ゆえに我らは未来のため、過去を以て汝を滅ぼし、骸の海に還すなり。
もはや汝の破滅は避けられず。当然のように、必然的に、滅びよ。竜よ』
『『『……言いも言いたり、しかしその不遜と不敵こそが汝らの武器か』』』
竜の声音には傲慢さと憤懣があり、しかし敬服もあった。
猟兵たちの言葉は大言壮語ではなく立派な宣言であると、奴は理解している。
そして認めている。ここまで辿り着き、己を追い詰めた者たちの強さを。
「おっきくて強そうで、偉そうだけどボクらのことも認めてくれてて……。
うーむ、ますますプレッシャーがかかるな~。けどボクも頑張るよ~」
「い、いまいち緊張を感じないですわね……まあ、とにかく気合ですわ!」
陰白・幽の間延びした口調に呆れつつも、ニィエン・バハムートは意気込んだ。
そんな彼女がちらりと見やるのは、隣に立つナハト・ダァトだ。
「イケメンイソギンチャク深海人の先生も一緒に戦ってくれるんですもの!」
「……それって、褒めてるの~?」
「と、当然ですわ! だって先生には恩義がありますもの!」
「……まア、そのセンスについてハひとまずさてオこうカ」
元深海人(現ドラゴニアン似のメガリスボーグ)のニィエンの褒め言葉は、
異形をよしとするナハトからしても、ちょっと反応しづらいタイプだったらしい。
緩みかけた空気を引き締め直しつつ、ナハトはフードの下から竜を睨んだ。
「特性ヲ把握し対策ヲ練る……やることは、変わらないのダからネ」
「ええ、そうですわ! 神とすら謳われた最強のドラゴン……帝竜ヴァルギリオス!
あなたの最強を、命を賭けてでも受け止めてみせますわ! さあ、いざ――」
ニィエンはずしん、と強く強く大地を踏みしめて、決然とした面持ちで言った。
「私たちと! 猟兵と!! 正面戦争といきましょう!!」
『『『――善き哉!! その生命、我が全霊を以て叩き潰してくれる!!』』』
竜が咆哮し、殺意を振りまいた。死闘の幕があがった瞬間である……!
そしてヴァルギリオスは肺いっぱいに大気を吸い込んだ。
まずその吸引だけで周囲の気圧が低下し、極限の環境をもたらす。
彼らが猟兵として鍛え上げていなくば、即座に意識を失っていただろう。
直後、十二人の猟兵は一斉に散開、あるいは盾にならんと前に出た。
ヴァルギリオスのもたらすブレスの破壊力を、瞬時に理解したのだ!
『『『滅びよ! 我が八つの吐息を浴びて塵も残さず消え去れぃ!!』』』
「それはどうですかしら? 正面から! 押し通らせていただきますわ!!」
「分身、展開……そノ攻撃、凌ぎきらセてもらうヨ」
『我が装甲は堅牢にして鋼鉄。ゆえに不壊にして絶対なり』
ブレスに対してまっすぐに挑んだのはアウレリア、ナハト、ビードットである。
まずナハトが生み出した何体もの分身が先手を打ち、障壁を展開。
さらにビードットがその身を巨大化させ、壁のように猟兵たちの前に立った。
アウレリアはその中を切り抜け、殴打によってブレスを止めようというわけだ!
迸る火・水・氷・土・雷・闇・光・毒の八属性ブレス。それらが同時!
さしものナハトの分身とて、障壁を維持しきれず一体また一体と倒れゆく。
しかし、そこまで織り込み済み。彼の目的は防御ではなく分析だ。
どの首がどの属性に対応しているか――そしてどう叩けばいいか。
それを瞬時に理解し指示を出すことで、猟兵たちを支援したのである!
「く……っ!! なんて圧力ですの、これは……っ!」
「力技で突破は難しいだろうねぇ。ま、そこで僕の出番なわけだよ」
吹き飛ばされまいとこらえるアウレリアに並んだのは、莉亜であった。
彼は『悪魔の見えざる手』を放ち、さらに暴食外套にブレスを食らわせた。
それでも殺しきれぬ吐息の勢いは、死神じみた大鎌で切り裂き間隙を生む!
一方散開した猟兵たちは、素早く側面や背後に動いて不意討ちを仕掛けようとする。
それを見逃すヴァルギリオスではない。ブレスが全方位にばらまかれた!
『『『我が眼を掻い潜ることなど不可能なり! 大地のシミと消えよ!!』』』
ブレスを放射状に薙ぎ払うことで接近を妨げ、さらに燃える尾の一蹴。
光と闇の力を持つ翼が竜巻じみた風を起こし、大地ごと猟兵を吹き飛ばした1
「なんて猛威……じゃが、その攻撃! 広範囲ゆえに見切ったぞ!」
「収束しなければブレスには防ぎようも避けようもあります。こんな風に!」
小百合子とシャルロッテはいくつもの残像とオーラ障壁を巧みに操り、
敵の剣戟を円盾でいなす剣闘士めいてブレスを弾き、尾の猛撃をかわす。
直上に跳んだふたりをヴァルギリオスは再びのブレスで吹き飛ばそうとするが、
その首に絡みつき行動を阻害したのが、レイと幽の張り巡らせた無数の糸だ!
「気づいていなかったかしら? もうあたしの鋼糸を張っておいたのよ」
「ぐるぐる~ぐるぐる~、縛り付けちゃお~」
『『『余を縛るだと? 片腹痛し……! この程度の拘束、他愛もない!!』』』
ヴァルギリオスは巨体の威容に任せて鋼糸を引きちぎり、抗った。
しかし悶えるようなその一瞬の間に、レイは懐に飛び込んでいる。
傷口を抉るように影の暗剣で竜の鱗を削ぎ、まとわりつくことで攻撃を妨害!
『『『ちぃ……!!』』』
「おっと、危ないわね。まったく油断ならないわ」
ズシンッ!! と己を踏み潰そうとした竜の肢を、レイは間一髪回避した。
余裕そうな表情だが、その裏で彼女は冷や汗を拭う。今のは危なかった。
彼女の素早さをもってしても、ひとりでは避けきれなかっただろう。
では誰が避けさせたのか――それは同じように闇に忍んでいたハルマの援護だ。
「伊達に八本も首を持ってるだけはあるな。踏み込むだけで一苦労だ。
けど、こっちは十二人。しかも歴戦の猟兵だ、見切るのも大変だろ?
このままスタミナ切れを狙えば、有利は俺たちのもの。さあ、どうする?」
爆破手裏剣を投擲し爪先に当てることで攻撃の勢いを減じたハルマは、
あえて姿を表し挑発的に言葉を述べることで、竜の行動を誘導しようとした。
その狙いすらも見切った上で、ヴァルギリオスはぐるる、と唸る。
『『『よかろう……ならばいっそ吐息で滅んでいたほうがマシだったと、
汝らに理解させてやる。我が力は盾にして矛、いわば城なり!!』』』
ヴァルギリオスはさらに力を高め、己を三重の結界にて鎧った。
八属性をそれぞれに凝縮したこの障壁は、触れるだけでも危険かつ強固だ。
その巨体が、ブレスを撒き散らし爪と尾を振るいながら吶喊を仕掛けたならば?
それは、破滅だ。攻撃は通らず、そして結界ゆえに防ぐこともできぬ!
「あれはさすがに、あたしの弾丸じゃ止められなさそうねぇ……」
「私が行きますの! 一瞬でも勢いを削ってくれれば十分ですわ!」
「竜相手に真正面から撃ち合うって? 命知らずだね、でも上等なのです!」
力強く言ったニィエンの言葉に同調し、鬼燈が迫る巨体の前に降り立った。
ティオレンシアは呆れたような感嘆したような吐息を漏らし、弾丸を装填。
ルーン魔力を刻み込んだ弾丸を凄まじい速度でファニング連射する!
BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!!
弾幕のごとき波濤は結界に相殺されるが、わずかに突進の勢いが削れた!
「はぁああああ……ああああああああッッ!!」
「その障壁! 引き裂いて、刃を届かせるっぽい!!」
見よ! ニィエンはその華奢な体にすさまじいまでの力を巡らせ……おお!
ヴァルギリオスの全力の突進を、己の身が灼かれ腐るのも厭わず受け止めた!
そして衝撃が拮抗したその瞬間、肩を踏み台に跳んだ鬼燈が吶喊!
魔剣によって障壁を斬る。斬る! 斬る!! ひとつ、ふたつ、みっつ!!
『『『なんだと!? 我が結界を正面から……!?』』』
ヴァルギリオスはその時、己と相打ちした勇者たちの姿を幻視した。
過去の光景を斬り裂くように迫るのは、勢いに乗ったアウレリアとビードット!
「これこそフルブライト家が受け継ぎ、私が研鑽した力! この世界の怒り!!
ヴァルギリオス――今度こそ、あなたを滅ぼし尽くしますわ! いざ!!」
SMAAAAAAAAAAAAAAASH!!
爆発的な闘気を込めた一撃が一の首を叩き伏せ、そして炸裂した!
当然のように残る首の牙がアウレリアを引き裂く、だが!
『我が身に宿すは大海の力、我が身を燃やしてこの世界に脅威を示さん。
汝がその障壁で敵を灼くならば、我もこの存在をもって汝を灼くものなり』
『『『ぬ、ううおおおおお……!?』』』
間に割って入ったビードットの装甲が、その身に宿した陽炎の力が!
噛みつき破砕しようとした首を怯ませ、ついには龍鱗を溶解させたのだ!
一歩。
たった一歩だが、ヴァルギリオスがたたらを踏んだ。
好機到来――見張っていたようにナハトが目の前に出現!
『『『邪魔だ、猟兵……ッ!!』』』
吐き出されたブレスによりナハトは焼滅したに見えた、が!?
「その首の属性ト役割、すべて分析完了ダ。そして――それハ、偽物だヨ」
『『『!?』』』
然り! ブレスに呑まれたと見えたのは九体目の分身!
オーラによって爆ぜたその噴煙の中から飛び出したのは、無数の触腕だ!
深淵より招来された栄光(ホド)の触腕は、竜の首に絡みつく。
その瞬間ヴァルギリオスは理解した。ブレスが! 練り上げられぬ!
『『『我が力を見切り、対応する属性を生み出したのか……!?』』』
「ソの通り。解ってしまえバ、防ぐも止めルも自在だからネ」
「さすがは先生ですわ! 私も応えねばっ!!」
ニィエンは瞳をぎらつかせ快哉めいて叫び、そして跳んだ。
電撃と水を纏いし拳を握りしめ、そこに肉体が崩壊するほどの力を込める!
「あなたの最強、いまここで略奪いたしますわ――このバハムートが!!」
KRAAAAASH!! もうひとりの令嬢の拳が、今度こそ竜の身を深く抉った!
巨体は揺らぎ、熱血がぼたぼたと大地を染め上げる。あげた咆哮は――苦痛!
「八つの属性を誇るその身でも練り上げられないものを見せてあげよう。
――これこそ、虚無の弾丸。骸の海に堕ちたとしても、虚無は味わったことがないだろう?」
その瞬間、シャルロッテは回避しながら練り上げた魔力を解き放った。
電脳魔術として放たれたのは、闇を凝らせたような虚無の弾丸。
あらゆる力をマイナスに引き戻す無の圧力が、竜の体を内側から崩壊させる!
『『『虚無? 虚無だと! 只人に扱えるものでは……あるまい!!』』』
「只人ではないですよ? わたし、天才ですから」
『『『魔性めが……!』』』
「それは否じゃのう。真なる魔がいかなるものか、わらわが教えてくれる!」
続けて小百合子が繰り出したのは、見惚れてしまいそうな舞闘であった。
薙刀は一振りごとに鱗を引き裂き、そして舞は恐るべき深淵の魔を喚び出した。
「キメイエスの眷属よ! これなる帝竜の魂を対価としてくれてやろうぞ!
いまひとたび、わらわと仲間たちに力を貸し、その魔技を振るうのじゃ!」
キメイエス……あるいはキマリスとも呼ばれる大悪魔の眷属たちは、
嗤笑と歓喜の雄叫びを上げ、竜の巨体に群がり引き裂き抉りそして穿った。
鱗が、障壁が! 練り上げた魔力すらも、悪魔どもは奪い取っていく!
「――今が、チャンス。ボクも竜だっていうこと、教えてあげるよ~」
その瞬間、幽の姿が消えた――否、消えたように見えるほどの高速移動。
流星めいて軌跡が迸った瞬間、矢の如き真っ直ぐな蹴撃が逆鱗を砕く!
『『『が……ッ!?』』』
「好き勝手世界を蹂躙した裁き……だよ~」
ガ、ガ、ガ、ガガガガガガガガッ!!
一撃に見えるその蹴撃は百を越え、ドリルめいて竜の身を穿つ!
生まれた亀裂めいた傷口に叩き込まれるのは、ティオレンシアの弾丸だ!
「"幻想(ラグ)"の"終焉(イング)"をもって命脈を断つ(ユル)。
アンタはたしかに最強だわ、だからこそこれは、効くでしょお?」
……ティオレンシアの言葉の直後、ヴァルギリオスの巨体の一部が爆ぜた!
竜とは最強。それ自体が幻想であり、あらゆるものの頂点に立つ。
ゆえにこそ彼女の言葉通り、ルーンの魔力は最大限に作用した!
『『『ひ、ヒトの弾丸ごときが、余の命脈を断つ、だと……!?』』』
「そのヒトに殺されたのがアンタでしょ? さあ、そのまま死になさい」
ティオレンシアは亀裂めいた笑みを浮かべて、言った。
「アンタの魂を欲しがるのは、アタシだけじゃないんだからね」
然り――彼女の背後で起き上がったのは、八つの首を持つ影の巨体。
ヴァルギリオスそのものを鏡像化したかのような、禍々しいドッペルゲンガー!
「見えるかしら? これはアンタの命そのもの。魂を映し出した影の鏡。
……竜を殺すのに、その鱗を斬る必要なんてないわ。ただ、これだけで事足りる」
術者であるレイは影の巨体の上に着地すると、やおらその額を砕いた。
すると見よ――ヴァルギリオスの巨体もまた、同じように傷つく!
傷を受けて漏れ出した魂の魔力を影と混ぜた上で練り上げたその鏡像は、
傷つけば同じように本体にも傷をもたらす、まさしく"鏡"なのだ!
ドウ、ドウドウドウ……と、穿たれた傷は無数の爆炎でこじ開けられる。
苦し紛れの攻撃をも避け、的確に手裏剣を叩き込むハルマの功績だ。
『『『わ、我が肉を、鎧を……そんな小細工などで……!』』』
「俺ひとりじゃお前には勝てないし、こんな小細工だって通じないだろ。
けど、それを通じさせる。それが人間の強さで、お前の敗因なんだよ」
その声音には、ヤドリガミとしての哀切もこもっているかのようだった。
ヒトによって大切にされ霊性を得たハルマの旅路は、ヒトの歴史と同様だ。
彼の刃が届く理由――それこそ、ヒトの築いた強さに他ならぬ!
「それじゃあ全部なくなっちゃうまえに、ごちそうの時間と行こうか」
「思った通りの獲物だったのです。だからこれは、僕なりの手向けかな」
目の前に浮かび上がった莉亜と鬼燈の殺意に、竜は打ちのめされた。
ダンピールは吸血の牙を剥き出しにし、屠龍の忍者は滅びの剣を構える。
『『『……オオ、オオオオオ……!』』』
「さようなら。キミが奪おうとしたものは、キミの命で贖ってもらうよ」
傷ついた喉元に莉亜の牙が食い込み、その生命を血脈ごと吸い上げた。
そして脈動し続ける心臓に、戦乙女の加護を受けし魔剣が、突き立つ!
「竜は殺す! ――それが最強であろうと、なんだろうと、ねッ!」
ヴァルギリオスは断末魔の咆哮をあげた。
それは命が啜られ尽きるまでの間、長く永く群竜大陸に轟いた。
「……眠レ、帝竜ヨ。この地が墓標であリ、終焉の地なのだヨ」
竜が最後に聞いたのは、ナハトの惜別めいた声だった。
巨体が倒れ、八つの首は目を閉じる――その眼が開かれることは、もはや、なかった。
猟兵たちは、ついに打ち勝ったのである。
これがただ一度目の滅びだとしても、再び蘇るとしても。
相打ちでもなく、敗北でもなく――彼らは、最強の帝竜に勝利したのだ!!
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
●
そして竜は再び蘇る。
記憶はなくとも、その身が識っている。
己は再び敗けたのだと。
……だからといって、最強の自負とその力が揺らぐことはない。
竜とは傲慢なもの。
何度滅びたとて、死を拒絶し立ち上がる。
ゆえにこそ、彼奴は最強の始原(フォーミュラ)足り得るのだ。
プリンセラ・プリンセス
アドリブ可
ダイス目や🔵の数に関わらず完全負けプレイングでお願います
「ヴァルギリオス……!!」
ようやくたどり着いた仇。
だが今までの戦いは今この時の為に。
だが咆哮に急かされるように正面から切り込む。
反撃され止めをさされるようならIdentityCrisisが発動。
現れるのは長兄ヴィルヘルム。
「前回は何もできずに殺されたからね。――それに私が倒してしまっても構わないだろう?」
気絶したプリンセラはカルロスになることで撤退。
「プリンセラを宥めるのはクソ面倒じゃねえか」
「いい役じゃないか。僕が変わりたいくらいだ」
「――くたばれ、クソ兄貴」
「もう、死んでるさ」
ヴィルの戦闘についてはお任せします
「ヴァル、ギリオス……」
プリンセラ・プリンセスは、震えをこらえきれなかった。
当然だ。目の前に立つのはこの大陸最強にして最大の帝竜。
オブリビオンの始原(フォーミュラ)たる一。アルファたる竜。
……しかしプリンセラを震わせていたのは、それだけではない。
姫としての重責。
生き延びたものとしての使命感。
我らの仇を討たねばならぬという呪いに等しいその思いは、
かえって気弱な少女に重圧としてのしかかり、足枷のように縛っていた。
『『『どうした、小娘よ。余は汝の面影をたしかに知っているぞ』』』
そう言われ、プリンセラはびくりと身をすくませた。
……青ざめたその表情を見て、ヴァルギリオスは目を細めた。
喜悦? ――否、落胆と侮蔑である。
『『『覚悟もなくして余の前に立つか。その蛮勇は見上げたものだが……』』』
「……わ、私は。あなたを倒すために、ここへ来たのです!」
『『『ならば構えてみせよ。そして抗ってみせよ。どうした!!』』』
びりびりと大気を震わせる咆哮に急かされるように、プリンセラは構えた。
しかし斬り込んだその剣が、ヴァルギリオスに届くことはなかった。
竜の障壁はその剣をせき止め、そればかりか弾き、そして灼き凍らせ腐らせ、
とどめとばかりに振るわれた竜の爪が、大地ごと少女を吹き飛ばしたからだ。
意識が途切れ、痛みと衝撃で引き戻され、また暗転し、そして白く明滅する。
全身に焼けるような痛みが訪れ、それすらも消えた。
ただ無がある。体は動かず、痛みも苦しみもない。
ならば楽かといえば否。プリンセラは、その無をこそ恐れた。
……死だ。この虚無はまったき死である。
己が死のうとしていることを、プリンセラは本能的に理解した。
「あ……」
『『『我が身に一太刀報いんとした覚悟は見事。ゆえに娘よ』』』
視界いっぱいを竜の巨体が満たした。竜の目が細められた。
『『『――その身、余が自ら喰らいつくしてくれようぞ』』』
そして竜の牙が、華奢な少女の体を――否、見よ!
がちん! とその牙を受け止め拒絶したのは、鎧を纏いし美丈夫!
「……に、兄さ、ま」
プリンセラはけほ、と血を咳き込みながら、その名を呼んだ。
寓話の王子めいた背中は、振り返ることなく言った。
「カルロス。プリンセラを頼むよ」
「に、兄さま。に――」
プリンセラは何かを言おうと手を伸ばして、しかし事切れた。
肉体が耐えきれず、少女の精神を強制的にシャットアウトしたのだ。
次の瞬間プリンセラは目を開く。だがその目つきは別人めいていた。
……事実、別人だ。野卑で危険なぎらつきを称えたその瞳は。
『ったく、クソ兄貴が……プリンセラを宥めるのはクソ面倒じゃねえか』
"カルロス"の言葉に、長兄ヴィルヘルムは振り返らぬまま鼻を鳴らした。
「いい役じゃないか。僕が代わりたいくらいだ」
『どの口が言う。――くたばれ、クソ兄貴』
「もう、死んでるさ」
"カルロス"は舌打ちした。
ヴィルヘルムが個として顕現したことの意味を、彼は識っている。
ただの顕現ではない、それは消滅を前提としたただ一度きりの化身。
形を得る受肉は、かりそめの命は、燃え尽きる前の蝋燭だからこそ強く輝く。
『……プリンセラは一生恨むだろうな。テメェのことを』
「だとすれば嬉しいな。……さあ、行ってくれ」
カルロスはもはや何も言わなかった。傷ついたその体を押し、駆け出す。
ヴァルギリオスの巨体が後を追おうと身動ぎし、美丈夫が剣を抜いた。
「さあ、ここからの相手は僕だ、ヴァルギリオス」
『『『……汝のその風貌。なるほど、そういうことか』』』
竜は嗤笑し、そして吠えた。
『『『一度死したる者同士、ならば付き合ってくれよう。そして死ね!』』』
「そうかい? 僕はあなたを今度こそ滅ぼすつもりで来たんだけれどね」
『『『ほざけ、かりそめの陽炎ごときがッッ!!』』』
竜の爪が大地を薙ぐ! ヴィルヘルムは高く高く跳躍して回避!
しかし狙いすましたようなブレスがその身を包む。猛然たる敵意!
『『『汝は余に劣るぞ、陽炎。オブリビオンでもないような骸が、
一体現世に何を残せる? 何を変えられる? 何もだ、何もできぬ!!』』』
「それはたしかにそうかもしれない」
けれど、とヴィルヘルムは言った。
怜悧な風貌を哀切に歪め、そして微笑み、敵を見据える。
「僕がつないだ命は――いつか、世界をも救ってみせるさ!」
もはや己は死したる身。何一つ遺せず、変えられぬとしても。
ただひとり生き残ったあの子のいのちをつなぐためならば、この存在を賭けよう。
かつて己を討ちし竜に一矢報いん。凄烈な覚悟を込め、剣を振るう!
「何も遺せず変えられないのはあなたも同じだ、帝竜ヴァルギリオスよ。
あの子は、そしてあの子の仲間たちは――あなたをも、滅ぼしてみせるぞ!」
天地を分かつがごとき兜割りが、竜の脳天を断ち切り、熱血を噴き出させた!
『『『オオオオオ……!!』』』
「……そのための捨て石になるぐらい、僕にとってはわけないさ」
もはやヴィルヘルムは振り返らない。そうすれば覚悟が揺らぐだろうから。
後悔はなかった。あの子は、その名を呼ぼうとしてくれたのだから。
――ただ、悲しむ彼女と弟妹たちを遺してしまうことが、心から哀しかった。
苦戦
🔵🔴🔴
伊達・クラウディア
【狐と竜と赤頭巾】
これが最後の戦い。帝竜の王よ!我が力の全てを以って、貴様を斬ろう!
凄まじい力を持ち、更に複数のバリアとは厄介な。しかし、その程度の障害で我らを阻めるとは思わないことです!
【空中戦】で二人が動きやすいようにかく乱しつつ隙を窺う。
二人の攻撃で隙ができたならUCを発動。バリアの効果は【激痛耐性】や各耐性で耐えて【鎧砕き】【捨て身の一撃】で特攻を仕掛ける。
バリアを破り、リーオ殿が動きを止めてくれれば、再度UCを発動。最後の一発です、持っていきなさい!
例えどれほどの難敵であろうと、我らの未来を渡しはしない!ここで散れ、帝竜の王よ!剣豪パァァーンチ!!
リーオ・ヘクスマキナ
【狐と竜と赤頭巾】
うひゃー、見るからに強敵! って感じだよねアレ
さて、どこまで俺達の力が通じるか……
立ち回りは回避・防御重視
バリアの一点を狙いライフルを撃ち続け、2人が破りやすいよう援護
(●スナイパー、援護射撃、呪殺弾、目立たない、迷彩、オーラ防御
ブレスはそもそも補足されず、狙われないように立ち回る
それでも尚狙われたら、被弾面積が最小になるよう。周辺の地形をフル活用
且つ、傾斜で逸して弾く『避弾経始』の要領で障壁魔術を展開して防御
バリアが破れたら、即座にUCを全力発動。茨で封じている間に、全火力を叩き込むよう通達
落ちろ、帝竜の王!!
この世界の綺麗なモノを! 命を!!
滅ぼさせてなるものかァッ!!!
佐々木・シャルロッテ
【狐と竜と赤頭巾】
なんともまぁ、いかにもラスボスって感じのドラゴンじゃなぁ。
しかもバリアまで張っとるし、厄介この上ない。
じゃが・・・面白い!真正面からそのバリアを叩き斬ってやろう!
立ち回りは至って単純。
帝竜の攻撃を<野生の勘>で回避しながらひたすらバリアの一点を狙って『無銘』による「秘剣・燕返し「三刃一閃」を撃ち続けるのみ。
一度でダメなら二度三度、多少のダメージなぞ気にもせずひたすら同じ一点に撃ち続ける。
「たとえ何層バリアがあろうと全部叩き斬ってくれるわ!」
バリアを突破した後はリーオのUCで帝竜が動きを止めている間に接近して<捨て身の一撃>で首を狩りに行く。
「帝竜よ。その首貰い受ける!」
八つの首から繰り出されるブレスは、八つの属性を持つ。
ひとつひとつですら通常のドラゴンを遥かに上回るその吐息は、
収束され叩きつけられれば、もはやいかなる防御すらも無意味だろう。
ゆえにそれを喰らわないようにと立ち回ろうとした三人の思考は、正しい。
しかし――竜とは強大にして最強たるもの、あらゆる生物に君臨するもの。
その瞳はあらゆる虚飾を見抜き、あらゆる企てをも見下す。
死と破滅の吐息が、竜の開いた大顎が三人を捉えるのは、そう遅いことでもなかった。
「リーオ殿ッ!?」
伊達・クラウディアは悲鳴めいて叫び、思わず踵を返しかけた。
しかしリーオ・ヘクスマキナは、焼け焦げた傷を抑えながら叫び返す。
「いいから、止まるなッ! 俺は大丈夫、あとシャルロッテさんもね!」
然り。ブレスの残滓――直撃ではない、掠めたのだ――を受けたのは、
リーオともうひとり。つまり、佐々木・シャルロッテであった。
彼ら彼女らの半身は炎と氷に晒され、片方は焼け焦げ片方は凍りついていた。
加えて混ぜ込まれた毒と闇の呪詛が、肌を侵し肉から魂に忍び寄る。
生命力を奪う触腕じみた見えざる力に蝕まれ、しかしシャルロッテは笑う。
「なんとも強大だことじゃ……しかし、ゆえに面白い! 高揚してきたわい!
クラウディアよ、おぬしとて剣豪じゃろうが! 足を止めてどうする!!」
「……!!」
クラウディアは悔しさと苦悶をこらえ、再び敵に集中した。
然り――その火力と機動力で敵を翻弄し、ふたりの好機をもたらす。
それこそがクラウディアの役目であり、ゆえに敵はまずふたりを狙った。
たとえ傷つけられたとしても、彼らが戦えると謳い心が折れていないならば!
「ええ、そうです、そのとおりですとも! 我は剣豪、魔を断つもの!
帝竜の王よ、ヴァルギリオスよ! 我が力、この程度と思うなッ!!」
『『『その意気やよし! ならば次は汝を砕いてくれるわ、女ァ!!』』』
ごあうっ!! と、空を焦がし虚無に染めるほどのブレスが天を薙いだ。
クラウディアはバレルロールめいた空中軌道でそれを避ける、しかし!
「……ぐッ!?」
三重の結界をまとった致死的竜爪が、クラウディアの体を撫でた。
直撃ではない、掠めただけだ……だがなんたる熱、そして呪いの力!
クラウディアは体勢を崩して吹き飛ばされ、大地を跳ねた。
「なんの、これしき!!」
「そうこなくちゃ! さあいこうか、クラウディアさん!」
「当然じゃ! あの程度のバリア、すべて叩き切ってくれる!」
傷を圧して立ち上がったふたりは、もはや防御も回避も棄てた。
リーオはありったけの呪殺弾頭を乗せた弾幕を雨あられのように叩きつけ、
その中に紛れたシャルロッテが肉薄、ひたすらに秘剣を振るう。振るう、振るう!
『『『いじましきかな。しかしその勇猛さこそ汝らの強さか!
汝らの姿はあの忌々しき勇者どもを思い出させるぞ。ゆえに叩き潰す!!』』』
KRAAAAAAAAAAAASH!!
大地ごと砕くような踏みつけが、今度こそシャルロッテを直撃した!
意識が暗転し、明滅し、何度もオンオフを繰り返すように気絶と蘇生を繰り返す。
しかし、シャルロッテは立ち上がった。そして血まみれで凄絶に笑う!
「その隙、貰ったァ!!」
『『『!!』』』
斬撃一閃! 最後のバリアを真っ二つに切り裂き、間隙が開く!
その瞬間に地面から、いやさ上下左右から蔓延る無数の茨!
「落ちろ、帝竜の王! この世界の綺麗なモノを、いのちを!!
お前なんかに滅ぼさせてなるものかァッ!!!」
『『『ぬううう……!!』』』
リーオもまた全身傷だらけで、バックファイアも厭わず全魔力を込めた。
茨はヴァルギリオスの全身を蔦めいて覆い、つかの間その動きを縛り上げる!
「剣豪よ! 首狩りの誉れは譲ってやる――さあ、やれぃ!」
「応ッ!!」
ガシャン――クラウディアの腕部にガジェットが装着!
「たとえどれほどの難敵であろうと! 我らの未来は渡しはしない!!
帝竜の王よ! 我らの意地と覚悟、その身で味わえ! おおおおおおッ!!」
……SMAAAAAASH!!
『『『がは……ッ!?』』』
弾丸じみて飛来したクラウディアの拳が、ヴァルギリオスを打ちのめした!
竜の巨体が揺らぎ……そして、おお、大地にずしんと倒れた!
起死回生の一撃。それはまさしく、竜の傲慢さを砕き地に伏せさせたのだ……!
苦戦
🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
アロンソ・ピノ
連携・アドリブ◎
一番つええ竜がアレ、か
どう見てもまともに戦ってどうにかなるとも思えねえが、
…我慢比べだ
ユーベルコードは冬唄。冬唄使ってる間は全身痛えが気張って踏ん張る。
【気合い】【覚悟】【見切り】【早業】【野生の勘】【第六感】【クイックドロウ】【怪力】【武器改造】で先制に対応して刀を抜けるよう頑張って、間に合えば冬唄で防御
耐えた後は、冬唄で叩っ斬る。
刀で斬れるもんは切れねえが
そうでないもんは斬れる―斬り続けてやる。
炎も水も雷も、氷も毒も、光も闇も。関係ねえやな。土は…まあ良いや。
んで、オレがいつまで刀振れるかの勝負だ。
一日中だって振ってられるべ。
振り続けたら、オレの勝ちだ
――春夏秋冬流、参る。
ステラ・アルゲン
帝竜ヴァルギリオス、実は会ってみたいと思っていたんだ
かつて勇者たちに滅ぼされた竜とはどんな存在だろうと
どれ程に強いのだろうと
攻撃は全属性か
だがこちらも全ての属性を扱える
【彩紋の刻印】にて属性を操り、全属性ブレスに耐えられる力を付けた【オーラ防御】で防ぐ
8本も首がある、その同時攻撃も【多重詠唱、高速詠唱】でできるだけカバーし防御
嘗ての勇者たちはきっと最後まで諦めなかった
ならば私も同じように最後まで諦めず【勇気】を抱いて立ち向かう!
【希望の星】へ
オーラ防御を維持しつつ飛翔し【全力魔法】で剣に力を込めて斬りに行く
帝竜よ、歴史を繰り返すように再び滅べ!
黒川・闇慈
「さて、帝竜戦役も大詰めですか。これは気合いを入れませんとねえ……クックック」
【行動】
wizで対抗です。
なんともヤケクソのような攻撃ですが、できる限りの防御をしましょう。ホワイトカーテン、ブラックシェードの防御魔術を最大展開。炎、氷結、電撃、毒の耐性技能で防御できるブレスを防ぎ、残りの属性は激痛耐性、覚悟の技能で防御です。
ブレスをしのぎつつ、呪詛、高速詠唱、呪詛耐性の技能でUCを使用。相手は多種の属性を扱えても、呪詛への耐性は持ち合わせていないでしょう。全ての首を侵食呪詛で蝕んで差し上げます。
「再孵化だの復活だのと、亡者が聞いたら怒り狂いますよ。クックック」
【アドリブ歓迎】
ハロ・シエラ
帝竜……正直どうすれば良いかも分かりません。
でも、私にも何か出来る事があるはず。
敵の攻撃はとにかく強力です。
集中し【第六感】を総動員して敵の動きを【見切り】ます。
回避出来れば良いですが、そうも行かないでしょう。
【激痛耐性】で意識だけは失わない様にしたいですね。
その攻撃の余波に紛れて服と共に【分身】を残し、一瞬でもこちらの姿を見失わせます。
そして敵とのサイズ差を利用し、ユーベルコードの加速による【早業】で闇の翼の【闇に紛れる】事で姿を隠し、敵の胴体に接近します。
上手く行けば、【鎧無視攻撃】で毒の鱗を避けてダガーを突き刺し【毒使い】で【継続ダメージ】を与えます。
傷付いてでも、一噛みしてみせます!
帝竜ヴァルギリオス。
その存在は最強にして始原を謳うだけあり、極めてシンプルだ。
配下を生み出すわけでも、呪いによって傀儡にするのでもない。
ただ単純に己を強化し、圧倒的なまでの力で敵対者を圧殺する。
ひどく単純な――しかしそれゆえに、どうしようもなく強力な戦闘方法。
(ただ避け、あるいは耐えるほかない……他に、どうしようもない)
と、ハロ・シエラが考えたのも無理はないだろう。
そもそも彼女は、何か超絶的な神の如き権能を持つわけでも、
あるいは悪魔の如き智慧や、魔的な戦略眼を持つわけでもない。
しかし、少女の意気は強さだ。時として強大な敵に相対する時は特に。
これまでもそうして、多くの強敵を打ち破ってきたのだから。
残る三人の猟兵もまた、その暴威の前にシンプルな防御を選んだ。
アロンソ・ピノ、ステラ・アルゲン、そして黒川・闇慈。
三人は種族も得物も、加えて言えば流派も戦い方も何もかも異なるが、
ゆえに理解していた……ただの搦手では叩き潰されるだけだと。
ひとりでは耐えきれなかっただろう。しかし猟兵の強みは連携と協力にこそある。
ひとりでは打ち破られるであろう障壁も、その力を合わせたならば……!
『『『さあ吹き飛べ、塵も残さず消え失せよ! 汝ら、死あるのみ!!』』』
ヴァルギリオスは自らを三重の結界で覆い、そして八重のブレスを吐き出した。
まず前に出たのはステラ、そして闇慈……ふたりは同時に魔力障壁を展開。
積層障壁にあらん限りの霊力と属性魔力を込め、ブレスを凌ごうとした!
「思った以上の竜だな、ヴァルギリオスよ……! 実際、私は気になっていた!
勇者に討たれた帝竜がいかなるものか、その力のほどが。しかし、これは……!」
「なんともヤケクソのような攻撃ですねぇ、クックック……!」
ステラと並んだ闇慈は陰気な笑みを浮かべつつも、こめかみに汗を伝わせた。
彼ほどのウィザードをして、迸るブレスの威力は減衰しきれない。
ぶつかり合う魔力の飛沫はさながら酸性の粘液めいてふたりの肉体を灼き、
障壁を越えて晒された毒性と闇の呪詛が、その身を徐々に蝕んでいたのだ。
「せめて、この奔流をかいくぐって攻撃を阻めれば……!」
「……けど、あのバリアだ。あいつが、刃を届かせちゃくれねえ」
ハロの言葉に、アロンソはうっそりとした声音で応えた。
ふたりはステラと闇慈が展開した障壁に守られ、好機を窺っていた。
しかしそのふたりにすら魔力は到達し、じくじくとその肌と肉を灼いている。
かといってここで飛び出せば、たちまち彼らは消し炭となるだろう。
一瞬。一瞬だけでいい。刃さえ届けば、ブレスは阻めるはず。
だがその一瞬があまりにも遠い――ハロは歯噛みし、手汗を握り込んだ。
「……ならば、諦めるか?」
「そんなことはありませんっ! ……私は、絶対に諦めません」
ハロの言葉に、問いかけたステラは不敵に笑った。
「それでこそだ。ならば私も、勇気を以て耐えしのいでみせよう……!」
「なるほど、お三方はいずれも剣士、ですか」
同じように魔力障壁を展開していた闇慈が静かに言った。
「であれば、残りは私が請け負いましょう。お三方はどうぞ、前へ」
「……本気で言ってんのか? 耐えられるわけねえ」
「ですが隙は生まれますよ。あとはみなさんが当たらないようにしてくだされば」
クックック、となんでもないように笑う闇慈の顔を、アロンソは睨んだ。
「……わかった。そこまで言うなら、やってやる」
そして深く身をおろし、腰に佩いた刀の柄に手をかけた。
「春夏秋冬流、アロンソ・ピノ。あの障壁も何もかも、叩き切ってやらあ」
「竜の眼すらもかいくぐってみせましょう……!」
「ならば、障壁を解くぞ……3、2、1!」
ステラが障壁を解除した瞬間、三人は風のように駆け出した。
闇慈はその場に残り、全力の障壁をさらに広域展開し三人を覆う。
当然ヴァルギリオスは、剣士たちに好きにさせるつもりはない。
収束していたブレスを全方位に放射し、まるごと薙ぎ払おうとした!
『『『いじましいあがきだ。しかし余はすべて見切っているぞ!!』』』
「させるかッ!! かつての勇者たちと同じように、私も諦めんさ!」
ふたりを襲うと見えたブレスの間に割って入り、ステラが剣を振るった。
その身は神聖なる白銀を纏いし姿に変貌し、すさまじい速度で星のように駆ける!
しかし、おお……闇慈が展開した障壁と彼女自身の守りを鑑みても、
放射されるブレスと三重バリアの魔力は重い! ステラの全身が焼け焦げた!
『『『飛んで火に入る夏の虫とは汝のことだな。そのまま焼け死ね!』』』
「……お前の炎ごときで、我が身を溶かせると思うなよ……」
ステラはぎらりと竜を睨みつけ、不敵に笑った。
「我は剣にして星。願いを叶え、迷いし者を導く――希望の星だ!!」
白銀の流星の如き剣閃が、つかの間ブレスを弾き、阻んだ!
その瞬間、剣気を練り上げていたアロンソがぎらりと瞠目する!
「悪鬼羅刹に魑魅魍魎、妖怪変化に怨霊怪異――」
抜き放たれたるは、おびただしいまでの呪言を刻みし冬の刃。
その剣、刃にて断てるものを断ち、断てぬものには傷ひとつつけられず。
しかしアロンソが「断てる」と信じるものならば、いかなるものとて断とう。
「仇なす力は見えずとも、一太刀振るって調伏せん。
唄えや唄え、冬の夜長――二の太刀、冬唄ァ! 受けてみろや!!」
ざん――と、刀が何もない空間をなぞった。
しかし見よ。その直後、ばきんと音を立てて障壁が一閃された!
『『『莫迦な!?』』』
「竜の鱗だろうが障壁だろうが、刀で斬れんなら斬ってやる。
炎だろうが水だろうが雷氷毒光闇! 関係ねえやな、おらおらおらぁ!」
二閃、三、四、五・十・二十重!
剣閃は再生しようとする障壁を叩き斬り、ついには鱗すらも!
『『『貴様――ぐっ!?』』』
アロンソを吹き飛ばそうとしたヴァルギリオスは、痛みに呻いた。
いつのまに忍び込んでいたのか、胴体下に飛び込んだハロの刺突!
ならばと尾を振るって吹き飛ばすが、それは虚像だ1
『『『上か!!』』』
「私の剣ではあなたを斬れないとしても!」
空中を蹴っての刺突、早い! 傷口は針の穴めいて小さいが、しかし!
意識がそれる。その一瞬にアロンソは剣を振るう、振るう、振るう!
もはや障壁もブレスもままならぬ。自己強化すらも通らぬ神速の剣閃ふたつ!
しかり、ふたつ! ハロと、流星と化したステラの無限剣戟だ!
ジグザグに天地を飛び交うふたりの剣閃は、光の牢獄めいて竜を包んだ!
『『『オオオオオオオッ!!』』』
「あなたに致死をもたらす一撃、その一噛みとなることは、できますよ!」
そして見よ――戦場に降り注ぐ、呪詛を含みし無数の雨。
雨はうごめく怨念となりて大地を天を染め上げる。只中に立つはボロボロの魔術師。
「再孵化だの復活だのと、亡者が聞いたら怒り狂いますよ? ほら、このように」
黒の中から滲み出た無数の亡者の腕が、ヴァルギリオスを掴み縛った!
「"亡域形成・怨呪大殺界"。竜には相応しい"小細工"でしょう? クックック」
『『『取るに足らぬ亡者どもごときがァ……!!』』』
「――世界のために散っていた人々を、取るに足らぬと見下した。
それが貴様の堕ちた陥穽だ。歴史を繰り返すように再び滅べ、帝竜よ!!」
「オレは刀振るしかできねえが、振るだけなら一日中だってできらあ。
オレらの勝ちだ、蜥蜴野郎。春夏秋冬流とオレらの強さ、魂に刻んどけ!!」
ステラとアロンソの斬撃がバツ字に交錯! 竜の巨体を裂いた!
「あなたはここで、滅びるのです!!」
そして烈風の如き勢いで突き出されたハロの刃が、交差点を貫いた!
濁流の如き熱血を撒き散らしながら、ヴァルギリオスは吠える。
――苦痛。滅びが近づきつつある己の死を拒むように、無様に!!
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
御狐・稲見之守
【劔狐之友】
ふふっ八岐大蛇か。なるほど面白い…それではカチ込みと参ろうか姫子。
WIZ
木剋土、呪力高山より気を集める世界樹から[生命力吸収]し呪力強化
先制には陰陽五行の[呪詛]霊符で[オーラ防御]
光闇は陰陽、氷は水、雷は木と見做し
毒は内丹の気を霊符に伝え、全属性に対応
姫子を背に我は盾役となろう
防ぎきれず無傷とはいかずとも我ら此処に健在ならばそれで十分
先制を乗り切ったらば此方の手番よ
[UC憑依の術][手をつなぐ]――我が力、残り全て姫子に預けよう
我と…(ふっと口調を緩め)ワシと姫子が組めばなんだってできるんじゃ
さあ行くぞ姫子、二人で彼奴をいてこましてやろうじゃァないか
我らの前に敵在らず
御劔・姫子
【劍狐之友】
WIZ
まるで神代におったいう八岐大蛇みたいやなぁ…でも、御狐はんとうちやったらやれるはずっ!
竜の吐息は御狐はんが凌いでくれはる…うちはそれを信じて斬るだけやっ!
御狐はんの術が上手くいったんやったら、吐息が弱まった瞬間を【見切り】、【カウンター】っ!
御狐はんと【手を繋ぐ】ことで力を貰って…【劍狐無双】っ!
「…うんっ! 御狐はん、行こかっ!」
弱まった吐息を太刀の一振りで【なぎ払い】、【フェイント】をかけながら【ダッシュ】して間合いを詰める。多少の傷は【覚悟】の上やっ!
近づけたんやったら、御狐はんの力を太刀に乗せて、【2回攻撃】と【部位破壊】で斬りつけるっ!
傷ついた竜はしかし、残る命のすべてを振り絞り吐息を吐き出した。
八つの属性を束ねたそれは、遠目には禍々しい虹のようにも見えよう。
それを正面から受け止めんとしたのは、御狐・稲見之守であった。
しかし。彼女が展開した霊符は容易く焼け、あるいは凍り、そして塵となる。
あまりにも猛然たる威力。結界は半ば砕け、波濤が妖狐を襲った!
「御狐はんっ!?」
背後で守られる形となった御劔・姫子は、彼女の姿に悲鳴をあげた。
稲見之守の力を姫子はよく識っている。何度もともに戦ったのだから。
その彼女の霊符結界を、真正面から破ってみせる……。
それほどの威力は、あのガイオウガですら為し得なかったことだ。
これが最強にして最大の帝竜。オブリビオン・フォーミュラの力なのか!
「……ふふっ、なるほど。姫子の言う通り、まさに八岐大蛇よな。
しかし神酒も贄も通じぬとなれば、なるほどワシのような外道は潰えような」
眼前にまで迫った波濤を最後の結界で押し留めながら、稲見之守は笑った。
掲げた指先は炸裂する魔力のバックファイアで引き裂け、無惨な有様。
結界の裂け目から溢れる熱波、冷気、あるいは毒や瘴気はたまた呪詛が、
その身を烈風のように切り裂き、灼き、焦がし、凍らせ、腐らせていた。
世界樹イルミンスールより力を汲み上げ、陰陽五行の理をもってなお、
最大たる帝竜の全力を受け止めるには足らぬ。いわんや魂を燃やしたとて。
……しかし、稲見之守は笑っていた。その瞳は愉悦に歪んでいた。
「帝竜よ。お前のヒトへの感服、敬意にも似た敵意。我にはよくわかる」
『『『何……?』』』
「ヒトは脆弱で矮小で、そして愚かじゃ。だのに生き急ぎ死を選びたがる。
それは、相打ちという形で滅んだお前こそが、一番よくわかっていよう?」
稲見之守の瞳に浮かんだ感情は、一言には表し尽くせない。
哀切があり、羨望があり、あるいは憐憫があり……。
「ゆえにそれを滅ぼさんとするお前の気持ちも、我には……わしには判るよ」
だがな、と稲見之守は言った。
「それでもヒトは滅びぬ。世界はけして、おぬしの悪意には屈服せぬ」
『『『否なり!! 余は界渡るものとなりて――』』』
「その界を渡りしワシが断言しよう。いかなる世界も、おぬしには滅ぼせぬよ」
竜は……もはやあと一歩でその妖狐を滅ぼせるはずの帝竜は、しかし気圧された。
抗いがたき時の重みとでもいうべきものが、その声音にはあった。
双眸が色を変える――称えた感情の名を、誇らしさと愛おしさと言った。
「ワシひとりではおぬしには抗し得ぬまい。じゃが」
……守られている姫子が、稲見之守の差し出した手を強く強く握りしめた。
力なきヒトが、それでも幸せを祈るように。無力なあがきのように。
けれど、祈りそのものが世界を変えることはなかったとしても。
祈りが齎す心の力は、ときとして竜すらも討つのだ。
霊符が最後の一枚となる。波濤はなおも稲見之守を蝕んでいた。
「我が力、すべて捧げよう。ゆえに姫子よ、我の代わりに――」
「ううん」
手を強く強く握りしめながら、姫子は莞爾と笑った。
「一緒に、行こう。御狐はんっ!」
……稲見之守は、ふっと穏やかに笑った。
もはや死は目前。握りしめた片腕以外はひどい有様だ。
その相貌も半分が灼かれ凍り爛れながらも、しかし。
「……ああ、ワシもともに、じゃナ!」
すべての力を姫子に託す。拮抗が終わり、ブレスが稲見之守を襲った!
その瞬間――消えかけの蝋燭が燃え上がるような霊力の起こりによって生まれた、
完全なる拮抗による空白の一瞬。それを掻い潜り、姫子は奔っていた!
『『『何っ!? 我がブレスを無事に逃れるだと、人間……!』』』
ヴァルギリオスは薙ぎ払った稲見之守から意識を姫子へと移し、
ふたたび吐息を吸い上げ、吐き出そうとした。だが一瞬の間隙がある!
苦し紛れに振るわれた爪がその身を掠め引き裂いたとて、姫子は止まらぬ。
尾が打ち据えた大地の飛沫めいた飛礫が骨を折ろうと、やはり止まらぬ!
「うちは、ひとりやない! 御狐はんの力が、この体に宿っとるんやっ!!」
砕けた肩は即座に再生! 降り注いだブレスを猛烈な剣で斬り裂く!
わずか一瞬の空白を針のように縫い、風めいて走る。さらに一歩、前へ!
振り返らない。ブレスをその身で浴びた稲見之守は無惨な有様だろう。
しかしその魂はこの身にある。彼女は死んでいない――それでいい。
『さあ行くぞ姫子、ふたりで彼奴をいてこましてやろうじゃァないか』
「うんっ! 御狐はんとなら、どんな相手だって怖くないんよ!」
『「我らの前に、敵在らず!!」』
一心同体となりしふたりの乙女は、八つの属性をも剣にて断ち切り猛進!
そしてついに、ヒトは竜の懐へと飛び込んだ。瞳がぎらりと輝く!
『『『生きて余の間合いに辿り着くとは……おお、見事なり』』』
『「――終わりや、帝竜。我らの剣で、いまひとたび滅びよ!!」』
傷ついた龍鱗をバツ字に切り裂き、そして裂帛の気合で突き出された剣。
刃は深く深く身を抉り、そして帝竜の心臓を貫き――抉り、削いだ。
『『『ヒトと、魔が並び、あまつさえ手を取り合い我に抗う、など……。
これがヒトの強さ、そして余の敗因か……オオ、オオオオオオオッ!!』』』
ヴァルギリオスは強く巨大だった。
しかしどこまでいってもその身は単一であり、孤独だった。
――種族をも時をも越えて手を取り合ったその力に、勝てるはずはなかったのだ。
竜は永く尾を引く断末魔を上げ、そして揺らめくように倒れた。
姫子は残心をする。戦いのあとに響いたのは、静かな納刀音だけだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
●
巨悪、再び興る。
草野・千秋
現れたな強き竜
僕らは世界樹を守らなければいけないんだ
お前には倒れてもらう、強き者、竜の王よ
……僕はオブリビオンを倒し世界を救うために戦っていますけど
こんな巨悪、怖くないといえば嘘になってしまいます
だけど僕らの勝利を信じ戦争の集結を願って
待ってくれている人々のためにも負けられないんですよ!
スペクトラル・ウォールに対抗するために
戦闘開始と同時にオーラ防御を展開
バリアは氷結耐性、電撃耐性、毒耐性、火炎耐性、激痛耐性で耐え抜く
ヴァルギリオス、いくら己を強化しようとも
僕ら猟兵に勝てないのでは意味がない
金剛石のように硬いものは脆くもなる!
怪力、2回攻撃、UC【Parousia】で攻撃
フリーダ・エルドラド
wiz
こいつが帝竜を親玉!でっかいわね!
特に恨みはないけど消えてもらうわ。群竜大陸の利権は我達のものよ!あと平和な世界の方が商売しやすいのよ。私は死の商人じゃないしね。
【先制攻撃対策】
体格差を生かして空からこっそり近づくわ。ドラゴンから見たら妖精なんてハエみたいなものでしょう?他の猟兵の攻撃に気をとられている隙にドローンの陰に隠れてドラゴン達の頭上まで飛び上がり、頭の遥か上を飛んで近づくわ。
狙うは氷属性の首!
辿り着く前にブレスが飛んできたら火の鳥の覇気を全身に纏って耐える。
耐えて耐えて這ってでも帝竜に近づいて一発殴る!
商機と見れば敗色濃厚な相手にも全霊で挑む!それが『冒険商人』よ!
苦戦歓迎
夕闇霧・空音
世界を守るために戦う…っていうのもやっぱり悪くないかもね。
ひいては妹を護ることでもある!
【アドリブOK】
一応第六感を駆使して敵の攻撃を読むつもりではあるけど
流石に完全に防ぎ切るのは無理かもね…
敵の攻撃を交わすのにはそういうのを使うけど
自分のユーベルコードを使って敵の攻撃はどうにか防いで見せるわ。
できれば他の人に協力してもらって
発動のスキを得たいところだけど…
発動したらできる限り広範囲に配置して敵の攻撃を反射するつもりよ。
レン・ランフォード
敵は強大…でも引きません
行くよ、私達!
煙幕弾を使い実現符で分身する所を隠します
そして「ダッシュ」で煙幕を抜け
爆弾を「投擲」「爆撃」しながら二手に分かれる
強化された攻撃は当たれば即死…
今まで私達が培ってきた全てを使い全力で躱すぞ
「第六感」「野生の勘」「残像」「見切り」
傷を負っても「激痛耐性」で耐えて躱し続ける
片方が狙われてる間に攻撃に注意しながら「情報収集」
この「時間稼ぎ」は毒か出血だった時に有効
呪縛なら動かない…出血なら傷がある…そこに攻撃する
代償が判明したら伝えつつUCで攻撃…するように見せかける
攻撃する方に意識をむけたと同時に煙の中で更に「地形を利用」し
隠れていた三人目がUCで「なぎ払う!
ユーフィ・バウム
私が強くなったのは、きっと貴方を倒すため。
語る言葉は、ありませんとも!
完全帝竜体となった相手ですが、
代償があるならばそこを突く
呪縛で動きが鈍いなら【ダッシュ】【空中戦】で攪乱
流血、毒が相手を蝕むなら、負傷を【鎧砕き】で抉るように
敵の強力な攻撃は
野生の勘】【戦闘知識】で【見切り】、
避けつつ【カウンター】をねじ込む
絶えず動き、攪乱しながらも【力溜め】た
【怪力】の攻撃をねじ込みます
相手は強い、攻撃は避けきれないはず
けれど各種【耐性】に自慢の【オーラ防御】、
何より【覚悟】で!悲鳴は上げても倒れない
最後は【気合い】
オーラを込めた拳を、蹴りを、臀部を、肘を、頭を、
《戦士の手》と共に私の全てをぶつけますッ!
カイム・クローバー
臆する?ハッ、面白い冗談だ。こんな戦場で居るんだぜ。愉しむな、っつー方が無理だろ。来いよ、帝竜の王サマ。俺とも遊んでくれよ。
どうせ叩き潰すなら完全体の方だ。超強化を無効化なんざ出来ねぇが、それでも【見切り】と【第六感】で俺自身のUCの発動タイミングを掴み取るぜ。
逃げに徹するんじゃなく、二丁銃で合間に銃撃。
不思議なモンでよ、負ける気はしねぇのさ。英雄譚?叙事詩?興味ねぇな。
今の俺の興味はアンタの力を一瞬だけでも越える。あるのはそれだけさ。
派手に喰らったと見せかける【フェイント】を交えてUCを発動。無効に出来たなら軽口の一つでも叩き。
魔剣を握り、紫雷の【属性攻撃】を纏わせた刀身で渾身の【串刺し】だ
八つの首が天地を揺るがすほどの咆哮を上げ、全身を魔力で包み込んだ。
まずはじめに尾と鱗、そして翼が八つの魔力でそれぞれに強化・変異する。
光と闇の翼を雄々しく広げるさまは、後光を背負う神を思わせた。
大地でとぐろを巻く尾は三重の魔力によって凍りつきながらも燃え上がり、
無限竜ワームが生み出したそれを思わせる雷雲を、ごろごろと渦巻かせる。
特筆すべきは、金剛石よりもなお気高く輝く硬質化した鱗であろう。
さらにその巨体をミルフィーユめいて積層に鎧うのは、三重の結界。
堅牢さもさることながら、触れるだけで消滅しうるほど危険な攻性の結界。
己を完全武装した帝竜は再び咆哮をあげる――歓喜、そして敵対意思の表明。
直後八つの首はてんでばらばらの方向を向き、全く同時にブレスを吐き出した!
「こいつが帝竜の親玉……! 噂に違わぬ豪快っぷりね!」
「感心している場合ではないですよ! 下がって!」
強敵を前に目を輝かせるフリーダ・エルドラドをかばい、
完全装甲武装状態の草野・千秋が前に出て、障壁を展開した。
しかし彼が直面した雷のブレスの力たるや、まさしく最強に相応しい。
もしもこの八種のブレスがひとつに収束してぶつけられていたならば……。
そんな想像に、千秋が戦慄したのも無理はないだろう。
「く……けど、ここで負けるわけには、いかない……ッ!!」
千秋は持てる限りの力でブレスを凌ぎ続ける。耐えることが彼の本懐だ。
「感謝するわ。あとは私が隙を作るから、もう少し待ってなさい!」
フリーダはそう言うと、フェアリーの小柄な体躯を活かし空を飛翔した。
しかしヴァルギリオスの残る首は、すでにめざとく彼女の行動を見切っている!
そして炎のブレスによって、ドローンごとフリーダを焼滅させようと――否!
「させないわ! 少し静かにしていなさいッ!」
そこで割り込んだのは夕闇霧・空音! サイバーレッグで首の喉元を蹴る!
つま先に込められた冷気の力が炎のブレスを減衰せしめたのだ!
彼女は蹴り上げた首を足場としてさらに跳躍、恐るべき爪攻撃を辛うじて回避。
そのまま攻撃に転じようとする……が、羽根の一撃が彼女を襲った!
「嘘、疾……あぐっ!!」
クロスガードで衝撃こそ受け止めたものの、翼で撃たれたダメージは大きい。
手のひらで叩き落された羽虫めいて地面に落下し、噴煙の中に消える。
ヴァルギリオスはその落下地点を睨みつけ、傲岸に言った。
『『『いじましき猟兵よ、我が首の一撃を抑え込んだその力量は見事。
敬意の証として、痛みなき死を受け取るがいい……死ねィッ!!』』』
巨体を有効に使った踏みつけ! ストンプを喰らえば周囲地形もろとも死だ!
しかし空音を踏みつけるために振り上げられた前足に、強烈な殴打が叩き込まれた!
巨体をも揺るがせるほどのパンチング! 真正面から挑んだのは一体!?
「そんなものですか帝竜! あなたの完全体としての力は!!」
おお、それは幼き少女の蛮族戦士、ユーフィ・バウムであった!
彼女はさらに全力を乗せたパンチを二度、三度と叩き込む。痛烈な打撃!
しかしヴァルギリオスの全身を包み込むのは、極めて強力な攻性結界。
殴打衝撃はそのまま熱波となって拡散し、ユーフィを吹き飛ばした!
空音と同じように地面に落下するユーフィ、しかし血まみれだが壮健!
顔面を染め上げる血を乱暴に拭い、尾の叩きつけを避けて再び跳躍する!
『『『その小さき身でよくも立ち上がるもの! 死が怖くはないか!!』』』
「当然です、わたしは蛮族の戦士! 死を畏れたことなど一度もない!
たとえ悲鳴を上げるとしても、志半ばで倒れることだけはしません……!!」
『『『その意気やよし。戦士として余も相手をしてやろう!!』』』
ごばあっ!! と、再びのブレスがユーフィを吹き飛ばした!
再び少女は地面に落下し、八種の属性で身を灼かれ凄絶な苦痛にのたうった。
ヴァルギリオスは今度こそ追い打ちを……否、別方向を睨む。
ヴァルギリオス自身が生み出した噴煙の中から飛び出したのは三つの影。
すなわち、分身したレン・ランフォードとその別人格たちである!
「錬、囮は任せたよ!」
「なに心配してんだ蓮、俺がそう簡単にくたばるかよ!」
「……敵、来るよ。ふたりとも、集中して」
まず直接戦闘に長けた"錬"が猛進し、ヴァルギリオスの注意を惹きつける。
ヴァルギリオスの完全竜体化による代償の消耗を狙ったものだ。
しかし蓮は、この時間稼ぎに大した意味がないことを悟っていた。
そもそもからして生物として規格外なヴァルギリオスにとって、
出血・毒・呪縛といった代償は、命取りに成り得ないのである……!
(生物としてのランクが違う――シンプルだからこそ手強い、そういうことね)
蓮は顔を顰めながらも、3人目の人格である"れん"とともに爆弾を投擲、
錬と白兵戦を仕掛ける猟兵たちを蹂躙する帝竜、その攻撃と防御を妨害する。
ヴァルギリオスは苛立った。一撃一撃がその身に届くことはないが、
ちょこまかと這い回りこちらの行動を妨害しようとする、それ自体が業腹なのだ。
『『『しかし称賛しよう猟兵よ、たかがヒトの身で余をここまで煩わせる。
勇者は数千を超える兵となってようやく余と相打ちした。しかし汝らは違う。
まさしく一騎当千の英雄どもよ。余も高揚してきたぞ、褒美に死をやろう!』』』
「おあつらえ向きなこと言うじゃあねえか、帝竜の王サマ。俺とも遊んでくれよ!」
BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!!
蓮たちの擲つ爆弾に乗じて叩き込まれるのは、弾幕じみた無数の銃弾。
大地を駆け、時には空を舞うように飛翔し尾と翼の攻撃を巧みに躱すのは、
伊達男めいて瀟洒に笑う偉丈夫、カイム・クローバーであった。
その身のあちこちに、先程のブレス照射によるダメージが残っていたが、
そんな痛みすらも戦闘の高揚に変えて、カイムはタフに笑ってみせる。
「不思議なモンでよ、負ける気がしねえのさ! 俺たちはな!!」
『『『英雄としての高揚か。見上げたものよ』』』
「ハ! 英雄だの勇者だの、興味ねぇし知ったこともねぇんだよ!!
――だがな、ああそうだ。死んでいった奴らを見送っちまったからなあ」
カイムの脳裏によぎるのは、今日までのこの群竜大陸での戦い。
恐るべき帝竜の数々と、彼が直接対話した豪腕の勇者の記憶であった。
「アンタをブチ砕きたくて仕方ねぇヤツと、言葉を交わしちまった!
こう見えても俺は便利屋だ、ひとつ仕事としてアンタを倒させてもらうぜ!」
BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!!
立て続けの弾丸。ヴァルギリオスの殺意がカイムめがけ膨れ上がる!
『『『ならば汝から……死ぬがいいッ!!』』』
そして三重の結界を衝角めいて一点に収束させ、巨体による体当たり!
さらにブレスを撒き散らし、他の猟兵を蹴散らしながら爪を振るう!
「いけないわ、さすがにあの攻撃をひとりで防ぎきれるはずが……!」
戦闘に復帰した空音が悲鳴じみて叫んだ、が!
――ズズンッッ!!
『『『な、に……!?』』』
おお、見よ。倒れたのはカイムではなく、ヴァルギリオスのほうだった!
「おやおや? まるで猫みたいに腹を晒すとは、降伏のサインかい?」
カイムは無傷。余裕の笑みと挑発混じりの軽口を叩き、肩をすくめる。
しかし一見余裕なようでいて、彼のこめかみを一筋汗が伝った。
危険な賭けだった。これこそが彼のユーベルコード、"狡猾なる見切り(トリック・スター)"。
あえて余裕綽々に振る舞い、敵を挑発することで攻撃を誘い、それを無効化する。
しかし失敗すれば、待っているのは命というチップの支払いだ。
ヴァルギリオスほどの強敵の攻撃をまともに受けたならば……。
その結果は、彼奴自身の重篤なダメージが知らせていた!
「さあて、それじゃあ反撃と行くか!」
高らかにカイムが鳴らした号砲が、猟兵たちの一斉攻撃の合図となった!
「その鱗、このダムナーティオーの剣で斬り裂いてみせるッ!」
ボロボロの有様の千秋は、しかし流れ出るその血を自らの武器とした。
封印を解かれた断罪剣を振るい、嵐の如き勢いでヴァルギリオスを斬り裂く!
三重結界もろとも、強化された竜の鱗がずたずたに斬り裂かれるのだ……!
『『『お、おのれ、小賢しい……!!』』』
「またブレスで蹴散らそうってわけ? そうはいかないわね」
空音は不敵に笑い、かきん! とサイバーヒールで地面を叩いた。
すると見よ、ヴァルギリオスを取り囲むように展開された氷のドーム!
「絶対防御氷壁、コキュートスウォール、展開完了よ。
もうそのブレスは通用しないわ。自分が蒸し焼きになりたいなら話は別だけど!」
『『『ぬ、ぬううう……ならば!!』』』
ヴァルギリオスは尾を振り上げ、これで猟兵を払おうとした。
まず最初に狙うのは、うかつにも間合いに残っていた蓮である―――だが!
「……かかったね」
密かに隠れていた3人目の"れん"が、巨大光線斬撃兵装「童子切」を一閃!
星をも断ち切るその一撃が、強化された尾を……根元から、切断した!
「よかった、うまくいった……! 錬、このまま畳み掛けようっ!」
「おう、任せとけ蓮!!」
「わたしも行きます! ヴァルギリオス、勝負っ!!」
白兵戦で畳み掛ける"蓮"と"錬"に続き、ユーフィが己の身そのものを弾丸とした。
オーラ障壁によって鎧った小柄な体躯が、圧倒的膂力と速度で叩きつけられる!
まさしくそれは流星、いや隕石の如し。ヴァルギリオスの巨体が震えた!
『『『がは……ッ!!』』』
「王ともあろうものが無惨な有様ね、ヴァルギリオス」
そして地をのたうつ竜を見下ろすは、空高く舞い上がったフリーダ。
その体を黄金の炎が覆う――寓話に残りし、不死鳥の如く!
「アンタに恨みはないわ。けれど私、これでも冒険商人なのよね。
世界を滅ぼされたら商売のしようもないでしょ? だから、死んでもらう」
『『『き、貴様……そんな卑俗な欲求で余を討とうというのか』』』
「卑俗? そうでしょうともね! けど平和なほうが商売ってしやすいのよ?
商機と見ればドラゴンだろうが神様だろうが全霊で挑む! それが私なのよ!」
「いいねえ、その豪快さ気に入った! ふんぞり返るドラゴンよりよほどいい!」
フリーダの勝気な言葉にカイムは手を叩いて笑い、魔剣を振るった。
「憶えときなヴァルギリオス――アンタを討つのは、"そういうモン"なのさ。
この世界に生きてるいろんな連中の思いってやつを、少しは噛みしめるといい!
俺はそんなの背負うのはごめんだが――代わりに闘うのも、便利屋の仕事なんでねッ!」
そして不死鳥と化したフリーダの吶喊が、
紫電纏いし魔剣の一撃が!
苦悶するヴァルギリオスを貫き――彼奴の結界をも鱗をも、全てを貫いたのだ!
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
ケンタッキー・マクドナルド
◆フェルトと
ハ、バリア貼った上で自己バフたァ狡っからい戦い方だな。
敵の先制ァ「GULLIVER」を身代わりに受ける。
勿体つけやしねェ、どォせテメェ倒せば終いだ(捨て身の一撃×庇う)。ガリバー犠牲にして尚凌げねェなら後は覚悟と気合で立つ。
さァ、とっておきを披露してやる。
唯の「人形(フィギュア)」?あァそうだ。
だが舐めンなよ。
勇者の墓標で過去の勇者の面ァ拝んで
竜殺しの猟兵の手腕と武具をこの目で見て
それを元に今日この日まで
俺が心血注いで彫り刻んだ勇者像――テメェを屠る為に創られた「象徴(フィギュア)」だ。(アート)
――さァ、生き様魅せろ"竜殺し"!!
舞台名「帝竜戦役」、テメェの勝利で幕を下ろしな!!
フェルト・フィルファーデン
◆ケン様と
もう、バリアに強化とか大概にしなさいよ!
まず距離を取り高速で空を逃げ回って(空中戦早業】
更に【フェイント第六感野生の感に己の体躯の小ささも駆使しひたすら躱す!
最悪接近された時は騎士人形の【盾で受けその衝撃を利用して緊急離脱よ!
さあ、ここから反撃よ!
……ねえ、アナタ。今すぐこの世界を諦めてくれないかしら?
なんて、応じるわけないわよね。それでいいわ。
全帝竜人形、出力全開!
カダスフィア、ガルシェンは足止め
オアニーヴ、プラチナは空から強襲
女禍、ワームは首を締め上げて
ガイオウガ、オロチはバリアを削り
ベルセルク、ダイウルゴスは吶喊よ!
拘束完了。さあ、後は頼んだわよケン様。勇者の力、見せてあげて!
フェアリーの小さな体躯とて、敵があまりに巨大では小回りの問題ではない。
たとえるならば、虫が必死に飛んだところで土砂崩れから逃れるかという話だ。
ケンタッキー・マクドナルドとフェルト・フィルファーデンに対する、
ヴァルギリオスとのサイズ差はそれほどのものであり、
しかも敵は寓話にありがちな、頭の足りない巨人とは違った。
化け物じみた能力と、それに見合う自負、そして戦略眼。
盾受けを試みた騎士人形はあっけなく三重結界によって破壊されてしまう。
「わ、わたしの騎士人形たちが……!?」
「いいから翔べフェルトォ! ここは俺が凌いでやらァ!!」
ゴウウン……と、5メートル規模の戦闘人形『GULLIVER』がフェルトの前に出た。
破滅的魔力を秘めた三重結界を、自らの身を呈して受け止める。
ケンタッキーは舌打ちしながらも即座にコクピットから脱出。
彼は神業級の腕前を持つ人形遣いだ――だからこそ、即座に解った。
GULLIVERの全能力をもってしても、あの巨躯の猛進を止めることは出来ぬと。
そしてフェルトとケンタッキーが緊急ジェットパックで急噴射した瞬間、
ケンタッキーが冷静に計算した通り、GULLIVERはバラバラに破砕して爆散した。
「ケ、ケン様のガリバーまで……!」
「だが俺らは無事だ……チッ、これでどっちも在庫は尽きちまったがな」
ばさり……と重々しくはためいた翼の起こした乱気流が、飛行中のふたりを襲う。
ケンタッキーは再び舌打ちして、フェルトを抱きかかえるようにした。
烈風がメスのように小さな体を斬り裂く。羽根すらも裂かれ、彼らは地に落ちた。
「ぐ……ッチィ」
「ケン様……!」
フェルトは血まみれのケンタッキーを案じようとして、顔を上げた。
――八つの首が、地に落ちたふたりをぎろりと睨めおろしていた。
『『『妖精……斯様に小さき身で、よくもここまであがいたもの。余は敬服する。
その身を超える人形を作り出し、操る。なんとも見事な技と言えよう』』』
「……褒めてくださるのは嬉しいわね、帝竜の王サマ?
なら、ワタシたちの勇気と健闘に免じて、この世界を諦めてくれないかしら?」
挑発的なフェルトの言葉に、八つの首はぐるぐると唸った。
『『『それは出来ぬ相談だ。だからこそ余と汝らはここまで戦ったのであろう。
しかし余にも帝竜としての矜持がある。もはやこれ以上は苦しめまい』』』
「……ッたく、もう勝った気分になりやがってよ糞竜が……」
かばうように立つフェルトをどかせ、ケンタッキーは立ち上がった。
ヴァルギリオスは目を細めた。明らかに傷は重い……とうに死んでいておかしくない。
それをああして立ち上がらせたのは、ひとえに気合がなせたことだろう。
「俺様もフェルトもまだ死ンじゃいねェ。それをよりによって介錯だァ?
ケッ、大したモンだな糞竜の大将はよ! いらねェんだよ、そンな気遣いは」
『『『この状況で、まだ余に敵うつもりであるというのか』』』
「当たり前だろうが――俺らの最高傑作は、まだ残ってンだよ」
ケンタッキーはフェルトを睨んだ。フェルトは……彼女にしては珍しいことだが、
わずかに気圧され、そして逡巡した様子で頷いた。
己のいのちを燃やすことは惜しくない。もう何度もやってきたのだから。
ただ――"あれ"は、彼にとって非常に辛いものを代償にすることになる。
本当に、いいのね……と、彼女は問いかけようとして、やめた。
ケンタッキーの表情は、そんな問いを必要としない覚悟に染まっていたのだから。
「……ええ、見せてあげるわ帝竜。ワタシたちがこの戦いで築いたものを!」
「この戦いが始まった日から此のときまで、俺が――いや」
ケンタッキーはにやりと笑った。
「俺たちが心血注いで作り上げた"勇者と竜の像"だ! とくと拝みなァ!!」
そして、現れたものを見て、ヴァルギリオスは大きく大きく目を見開いた。
それは、ありえないはずの光景だった。
『『『……勇者だと』』』
然り。
ケンタッキーが生み出したものは、たしかにかつて死んだはずの者たち。
オブリビオンとして再孵化される名誉を拒み、残骸となるのを否定し、
しかし次に来るであろう戦士たちにその遺志を託した、勇者のフィギュア。
勇ましき大槌を携えた、ドワーフの戦士がいた。
気弱さを勇気に変えた、気高き弓の射手がいた。
剣、槍、盾、あるいはその他の武具を持った、勇者たちが。
彼らはそのものではない。もはや当人らは朽ちて久しいのだから。
しかし――そこに込められた遺志と熱意は、紛れもなく同じぐらいに熱かった。
そして、それだけではない。
白と黒のチェス駒を操る、4つの肢とふたつの腕を持った帝竜。
ヴァルギリオスをして見上げるほどの巨躯を誇る、恐るべき帝竜。
仮面の呪いを振り切り、気高さを取り戻した白き竜。
白金を鎧と刃に変え、自在に操る力を持った帝竜。
黄金の巨体を持つ帝竜と、無限じみた雷雲を纏いし帝竜。
燃え上がる火山の如き帝竜、呪われたる魔の力を宿した帝竜。
数多の文明を侵略せし帝竜――他ならぬヴァルギリオスの腹心たる帝竜。
『『『我が仔らを模倣したか……!! しかも、ただの複製ではないな!!』』』
然り。
それらはフェルトのいのちを薪として燃え上がる、かりそめの虚構。
帝竜そのものには届かずとも、たしかにその姿と力を模した人形たち。
模倣は模倣であるがゆえに、時として本物には起こし得ない奇跡を起こす。
生みの親たるヴァルギリオスに叛逆し、猟兵とともに闘うという虚構を!
「さあ、教えてあげるわヴァルギリオス。どちらが滅ぶ側なのかを!」
「とくと拝めよ帝竜――こいつは一生で一度きり、最初で最後の大舞台だッ!!」
竜と勇者が肩を並べて闘う。おお、まさしくありえざる寓話なり!
そんな光景はなかった。
そんな奇跡はなかった。
しかし見よ。かつて倒れた英雄と、恐るべき強敵が手を取り合ったなら……。
これほどまでに敵にとって恐ろしく、
これほどまでに味方にとって頼もしい仲間はいないではないか!
『『『今再び、勇者が余に仇なすか!? おのれ、おのれぇえええ!!』』』
ヴァルギリオスはその尾を振るい、人形たちを薙ぎ払った。
その翼で風を起こし、光と闇で勇者を吹き飛ばした。
しかし、一体一体が倒され、壊れ、砕けたとしても。
いつかは勝利へと辿り着く。そのために彼らは未来を目指し歩んできた。
個ではなく多によって未来を掴む、それこそが――!
「英雄がひとりである必要なンざ、どこにあるよ」
ケンタッキーが笑った。会心の笑みだった。
「舞台名"帝竜戦役"――そいつは、糞みたいな数の馬鹿野郎どもの群像劇だ。
帝竜。てめぇはその、名前さえ忘れ去られたバカどもに負けるのさ」
『『『おお、オオオオオ……!!』』』
「……わたしたちはこれまでもこれからも、ずっとそうしていくのよ。
たったひとりで世界を変えられると思い上がったアナタたちに、こう言うの」
かつてひとりきりで世界を救おうとした少女は言った。
「――アナタひとりに、世界を滅ぼせるわけがないでしょう、ってね」
『『『猟兵ァアアアアアアアッ!!』』』
「その雄叫び、"めでたしめでたし"には不要だぜ。……さあ、魅せろよ"竜殺し"!!
この物語をてめぇらの勝利で飾れ! たとえそれが虚構だとしてもなァ!!」
「わたしたちの力……勇者の力! 見せてあげて!」
そして放たれた矢が、咆哮するヴァルギリオスの逆鱗を貫いた。
竜は雄叫びを上げ、雄叫びは断末魔に変わり、そしてやがて尽きていく。
……情熱の炎に燃やされ消えていく寸前、ふたりはたしかに見た。
たった一度の大舞台を終えて崩れゆく人形たちが、ふっと満足げに笑ったのを。
それは、ふたりが仕込んだはずのない、ありえないはずの笑顔だった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
●
竜とは不死不滅のものである。
人間ごときには、殺しきれない。
マレーク・グランシャール
【神竜】篝(f20484)と
巨大な身体に八頭の首、加えてほぼ全属性とも言える強力なバリア
確かに帝竜と呼ぶに相応しい威容だが、無敵を誇るものほど己の力をそれに頼りがちだ
篝よ、今こそ荒ぶる帝竜をも照らすお前の力を見せてやれ
篝にブレスが当たらないよう庇い、バリアによる強化が篝によって解除されたら攻撃開始だ
【真紅血鎖】を発動したら篝の光と『金月藤門』(残像・フェイント・迷彩・演技)の効果で敵の目を欺き、『碧血竜槍』を八頭の口の中めがけて槍投げ
口内を爆破し、歯を血の鎖で手綱にしたらブレスを吐かれる前に歯を槍でへし折る
口を潰せばブレスは吐けまい
後に続く仲間のため、攻撃手段の一つ、頭の一つは潰させて貰うぞ
照宮・篝
【神竜】まる(f09171)と
群竜大陸の王、帝竜の中の帝竜と言えるフォーミュラ
あらゆるものを寄せ付けない、無敵とも思えるバリア
視界に収めきれない程の威容
とても、強いのだろうな、と思う
けれど、私はまるの女神だからな!
帝竜も、フォーミュラも、何も恐れる事はないぞ
敵のユーベルコード発動中に、『水門』に乗って宙へ
まる!私が守るまるが、危ないことをしないで…!
『泉照魂籠』の光を掲げて、八つの頭の注目を集めたら、光を強めて【慈愛灯明】を
私は、何者であっても受け入れる(祈り、慰め、鎧無視攻撃)
おいで、こちらへ…そのような壁はいらないから
…帝竜ヴァルギリオス!
『『『いまひとたび余は蘇り……そして来たるか、猟兵!!』』』
ぎらり、と八つの首が睨めつけしは、白壁に乗るふたりの戦士。
すなわちマレーク・グランシャールと、照宮・篝であった。
「……なるほど、あれが最強の帝竜と嘯くのは、あながち冗談でもないな」
マレークは静かに言い、目を細めた。
彼のヒトならざるその眼には、竜を包む三重の結界が見えている。
恐るべき元素の力を溶け込ませた障壁は、攻めるは難く守るはなお難い。
堅牢さはあらゆる城壁をも越え、それ自体が槌のような武器となるのだ。
障壁は触れた瞬間に獲物を消し飛ばす――そんなものをまとった状態で、
あれほどの巨体が全力の白兵戦を仕掛けたならば、どう守ればいい?
……答えは、否だ。そもそも、守ることなど出来はしない。
しかしマレークは知っている。
竜とは強大であるがゆえに、その力に溺れ驕慢を抱くのだと。
無論、帝竜の中でも王たりえるヴァルギリオスはそれを自認していよう。
ならばそれを正面から打ち砕いてこそ、完璧な勝利となるのだ。
「篝、危険な仕事になる。だがどうか、その輝きで俺を守ってくれ。
……そして奴らに、その慈愛の光を見せてやるんだ。出来るな?」
「もちろん。私は、まるの女神だからな!」
篝は震えを押し殺して莞爾と笑い、微笑んだ。
白壁は滑るように空中を移動する――巨躯がみるみるうちに近づく!
『『『搦手なしで余に真正面から挑もうてか。見上げた心意気なり』』』
「搦手など、私は考えたこともないぞ? 隠れたりする必要などないのだから。
帝竜ヴァルギリオス――君も、私は受け入れてあげよう。たとえ竜であろうと」
『『『ほざけ!! その神の傲慢もろとも打ち砕いてくれるわッ!!』』』
「ヴァルギリオスは三重結界を強め、怒涛の勢いで爪と牙を振るった。
翼の羽ばたきは光と闇の波動を起こし、さらに乱気流じみた竜巻でふたりを飲み込む。
あっという間に白壁は大海原に浮かぶ哀れな筏めいて、風に揉まれた!
マレークは篝の体を抱きとめる。その腕が、背中が、波動と風で斬り裂かれる!
「まる!!」
「案じるな……! 篝、それよりもお前の光を!」
不安げな声を漏らした篝は、マレークの声に表情を引き締め頷いた。
風の向こう、獲物を飲み込まんと顎を開いた八つの首が近づく――その時!
神の光は痛烈な輝きを放ち、竜の眼を眩ませたのだ!
『『『ぬうっ!?』』』
「さあ、おいで――そんな壁など、必要ないだろう?」
『『『否……否否否!! 君臨すべきは余であり、余こそが最強の帝竜!!
斯様な慈愛など王たる余には不要なり!! 控えよ、下賤な女神めが!!』』』
障壁はその光によって消失したが、竜の自我はなお堅固であった。
荒ぶる竜の威風は光を闇によって払い、憎悪滴らせる目が篝を凝視する。
しかしそんな彼女をかばうように立ち、マレークは槍を放った!
「篝の慈愛をも拒むか、哀れな帝竜よ。同じ竜でも、俺とお前はやはり違うな」
『『『人の姿を取りて人に与する、そのような惰弱ものと余を比肩するべからず。
戦士としての勇猛さは認めよう、だが竜としては汝は認められぬ!!』』』
「奇遇だな――それは、俺も同じだッ!」
マレークは投擲した槍を錨めいて顎に突き刺し、深紅の鎖でつなぎとめた。
始まるのは竜と竜の力比べ。踏みとどまるマレークの全筋肉が悲鳴を上げた!
マレークは奥歯を噛み締め、骨が砕けんばかりの力でヴァルギリオスを抑え込む。
『『『ぐ、ぐ、ぐ、ううぉおおお……!!』』』
「俺はお前のように、個として王として君臨するような愚行は犯さん。
多くの仲間と、そして愛する女とともに、お前のような邪悪を打ち砕く。
――そう、このようにな! その首、もらっていくぞ、ヴァルギリオス!」
KRAAAAAAAAAAAAASH!!
『『『がはぁっ!?』』』
人にあらざる剛力でヴァルギリオスを引きつけたマレークの、拳が槍を叩いた!
食い込んだ槍はさらに竜の首に突き刺さり、滂沱の血を撒き散らす!
「ま、まる……! 大丈夫か? 無事か!?」
「……ああ、心配をかけてすまない。だが、俺は無事だ」
全身の筋肉を断裂させいくつもの骨を粉砕骨折させながらも、
心配そうな面持ちの篝に振り返り、マレークは無事を知らせた。
竜は血を流して悶え苦しむ。その姿を睨みつけ、マレークは言った。
「その傷が、お前を討つ兆しとなるのだ、ヴァルギリオス。
……かつて多くの勇者が、その生命を賭けてお前を滅ぼしたようにな」
『『『お、おおおお……下賎なる竜もどきがぁあああ……!!』』』
しかしマレークの瞳は揺るがない。彼は彼だけの道を選び取ったのだから。
たとえ巨躯と強大な力を持とうと、帝竜にすらその信念と愛は砕けないのだ!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
篝・倫太郎
【華禱】
やる事は変わらねぇ……いつも通りだ
往こうぜ
先制対応
バリアで攻撃してくるんだろか?
見切りと残像で直撃回避
接触した場合はオーラ防御で防ぎ
毒・火焔・氷結の各種耐性で耐えて凌ぐ
氷結だけ少し心許ないけどな
夜彦に対しての反射のバリアはかばう事で対応
以後の攻撃対応も同様に
盾の意地、舐めて貰っちゃ困るぜ
先制攻撃をやり過ごしたらカウンター
防御力強化に篝火使用
鎧砕きと生命力吸収を乗せた華焔刀で攻撃
フェイントも織り交ぜてく
他の帝竜のように尾での攻撃も警戒
無論、尾に限らず爪や牙も動向を注意
既に攻撃でダメージを被ってる箇所があるなら
そこを部位破壊で狙う
確実の一撃は俺の刃がくれてやる
その刃を通すのが俺の役目だ……
月舘・夜彦
【華禱】
如何なる相手であれ、オブリビオンとなれば
猟兵である私達が刃を向けるのが道理
往きましょう
先制対応
障壁は迂闊に触れれば毒や凍結、仕掛ければ反射
視力と情報収集により属性を持つ頭部の変化を観察
何が来るか判断できるなら倫太郎殿と共有
回避可能で残像
困難ならば斬撃による衝撃波と武器落としにて相殺、または軌道を逸らす
毒、氷結は耐性にて耐え、加えて激痛耐性にて堪える
攻撃による反射に警戒
反射されそうな場合は倫太郎殿に支援して頂き体勢を整える
彼は私の盾
凌いだ後に向ける刃は、私が
先制攻撃を凌いだら速やかにカウンター
破魔の力を付与した刃の2回攻撃にて早業の火華咲鬼剣舞
鎧無視と鎧砕きにて鱗さえも斬り裂き、焼き払え
●帝竜、怒り猛る
ヴァルギリオスの首はいくつも血を流し、ぐるぐると怒りに唸っていた。
先遣の猟兵による攻撃が、八つの首による恐るべきブレスを封じていたのだ。
しかし、それは帝竜ヴァルギリオスが無力化されたことを意味しない。
そのことを明示するように、再び帝竜の身を三重の結界が包み込んだ……!
「……反吐が出るほどのプレッシャーだなあ。せめて油断してくれりゃいいものを」
「しかしいかなる相手であれ、オブリビオンならば私たちが斬るのが道理。
……そうでしょう? 倫太郎殿。やることは、何も変わらないではないですか」
月舘・夜彦の言葉に、篝・倫太郎は呆れたような感服したような笑みを浮かべた。
「なんだそりゃ、そういうのは俺の台詞だろ? 夜彦サンよ」
「だから言ったのですよ。いつも言われてばかりでは立つ瀬がないですからね」
夜彦はふわりと微笑み、そして山のようにそびえ立つ巨躯を睨んだ。
「――往きましょう倫太郎殿。この世界を救うために」
「ああ、いつもどおりやるとしようや。この世界も守るためにな!」
かくして勇敢なる男たちは、恐るべき帝竜へと挑む!
●双焔、竜を屠りて
ヴァルギリオスが纏う三重の結界は、堅固な防御と同時に攻撃手段でもある。
ヴァルギリオスの巨体が、触れた瞬間にダメージを受けるバリアを伴い、
その恐るべき爪や尾、あるいは翼による暴風や牙を振るったならばどうだろうか?
防御すらも許されぬ猛威は、小さき者どもにとって災害にも等しい。
これまでの帝竜の中にはヴァルギリオス以上の巨体を持つものも居たが、
攻撃ひとつひとつが致命的となる点において、ヴァルギリオスはそれを超えるのだ。
『『『勇ましくも余の前に立ちふさがりし猟兵よ! その覚悟を讃えようぞ!
余は好敵手として天敵として、汝らを全力を以て打ち倒してくれるわ!!』』』
ごおうっ!! と、地殻変動じみた大尾の一撃が大地を薙ぎ払った。
夜彦が八首の視線移動からそれを察知してなければ、倫太郎ともども死んでいただろう。
ふたりは高く高く跳躍し、この致命的かつ災厄じみた薙ぎ払いを避けている!
「ったく身じろぎひとつひとつが地震みたいじゃねえか、王サマよ!」
「まだです、倫太郎! 次が来ます――下がってください!」
倫太郎は舌打ちし、空中を蹴ることで大きく後ろに回避運動を取った。
しかし続けざまにヴァルギリオスが繰り出した爪は、恐ろしく疾い。
一瞬早くそれを察知した夜彦が、捨て身の覚悟を決めて斬撃を繰り出す!!
――ガギンッ!!
剣は強固な爪に拒絶され、剣風じみた斬撃風を浴びて夜彦は吹き飛んだ。
「夜彦!! ……くそ、させるかよッ!!」
もう片方の爪が無慈悲に夜彦を狙う。今度は倫太郎がかばう番だ。
彼は落下していく夜彦をつかみ取り、背中にオーラの障壁を展開。
爪を受け止めようとするが……おお、障壁は紙くずめいて引き裂かれる。
大木じみた爪先がその身を掠め、夜彦を抱きとめた倫太郎は螺旋飛行して落下……!
『『『……ほう、まだ生きているか。なるほどしぶとさも一級品のようだな』』』
然り。土煙のなか、倫太郎も夜彦も重傷だがまだ生きていた。
夜彦は顔をしかめながらも立ち上がり、膝を突く倫太郎に肩を貸す。
「無茶をしすぎです倫太郎殿……その身ひとつで私をかばうとは」
「なあに、いまさらって話でもねえだろ? 盾役の意地があんのさ……」
健気な言葉に眉根を寄せ、泣き笑いめいた表情を浮かべる夜彦。
爪によるダメージもさることながら、重篤なのはやはりあのバリアだ。
触れた瞬間に強烈な熱と冷気、さらには毒素によって身を蝕むそのバリアが、
ふたりの体の内外に強烈なダメージを残し、今も苦しめていた。
意識を保っているだけでも十分――いや、とうに限界を越えている。
「ならば、まだやれますね」
「……当然だ」
倫太郎はひとりで立ち上がり、口の端の血を拭ってタフに笑った。
彼がそう言うならば、己の命を預けるのみ。夜彦は一歩、二歩と退く。
「さあ来いヴァルギリオス、ちっぽけな獲物はまだ生きてんぞ!!」
『『『よくぞ吠えた。――ならば、死ね!!』』』
再び尾と爪、さらには翼すらも使った猛撃が迫る!
倫太郎は閉じそうになっていた目を見開き、薙刀で爪を弾く!
バリアの熱に身を灼かれながらも、横薙ぎに振るわれた尾をさらに一閃!
強烈な衝撃が両腕の骨にヒビを入れる。筋肉の緊張により粉砕を辛うじて阻止。
『『『何っ!?』』』
「祓い、喰らい、砕く! 獲物をバリボリすんのは竜だけの専売特許じゃねえ!!」
血反吐を撒き散らしながら倫太郎は笑った。
「見とけよ――これが神の力だ! おおおおおらァアアアアッ!!」
おお、まさしく命を賭けた裂帛の一撃!
薙刀は纏いし焔によって数倍にまで伸び上がり、真上から振るわれた!
神の力を込めた災い断つ"篝火"の一閃、三重の結界を一薙ぎで祓い、喰らう!
『『『余の、結界を……人が、破るだと!? なんと壮絶な刃なり!
しかしその身にもはや力はなし! それこそが人の限界と知れ!』』』
「――ならば、その間隙を縫い合わせるのが刃(わたし)の役目です」
ヴァルギリオスは瞠目した。凄まじい速度で懐に飛び込んだ夜彦の存在に!
夜彦が引き抜いた剣もまた、瑠璃色の焔を纏い数倍以上に膨れ上がる!
「これこそ屠龍の焔。私たちは、刃と盾――ひとりきりではないのです!」
『『『み、見事……余の守りを越え、この鱗を砕くとは……オオオオッ!!』』』
感服の声は苦悶の絶叫に代わり、そして剣舞が竜の全身を余すところなく燃やした。
倫太郎は崩れ落ちそうになるのをこらえながら、いっそ美しい剣舞に見惚れ、笑った。
「ざまあみやがれ、ヴァルギリオス」
ひとりの力ではなく、仲間とともに連携し致命の一撃を届かせる。
それこそが数多の竜を打ち破ってきた、猟兵の――いや、生命の戦い方なのだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
クロト・ラトキエ
※アドリブ・連携歓迎
オブリビオン。
されど偽り無き最強へ、敬意をもって
――いざ。
狙いが一点でも多方向であっても…
ブレス、即ち、息。
周囲全て蹂躙する恒星でも無い限り、
軌道には必ず規則性があり、隙間がある筈。
視線、首の向き。其々の連携や波状の有無。息の合間。
体や爪の動向にも留意しつつ…
見切り得た全てを用い。
駆け、或いは鋼糸を掛け無理繰り方向転換、
又、空中へ跳び…と隙間を縫い。
避け切れぬとみても、
それ迄の傷から最も損傷少なと思われるブレス方面を選び。
この力が届くなら、
命あるのなら、
唯、それで良い。
…近付いてみせますよ。『最強』に。
狙うは顎、全糸ただ一点へと
――捌式
傲岸不遜は、お宅の専売特許じゃ無いんで
ロニ・グィー
【pow】
アドリブ・連携歓迎
んもー!
やーっとだよ
まったくよくもまあこんなに焦らせてくれたね
・対策
各種耐性・オーラ防御を全乗せした巨大球体群を叩き付けて数の力・サイズの力、神の力の力尽くで!
少しなりと弱まった所を餓鬼球くんにバリアを齧ってもらって超特大の超重鉄球くんを叩き付ける!
足りなければさらに自分も突っ込んでUCでドーンッ!!痛くても平気!
突破出来たら……
巨大な球体で胴と首をそれぞれ球体で押さえつけて、ちょうどいい位置に下げさせた頭を打ち下ろしのUCでドーンッ!グシャーッ!
んもー
壊すだなんてとんでもない
ダメだよ、それは。綺麗なんだよ、世界は
もったいないじゃない
もうちょっとだけ、楽しませてよね
リア・ファル
「今を生きる誰かの明日の為に
始原の竜よ、ボクはキミに挑む!」
ボクの演算力と、『ヌァザ』の多元干渉力
『イルダーナ』の光子のエネルギー、その全てを以て障壁を張る
電脳魔術の神域、バーチャルキャラクター故の御業、
あらゆるエネルギーを電子情報へと還す障壁だ!
(情報収集、学習力、オーラ防御、全力魔法、盾受け)
防げたとして、ボクがこの場に立ってられるのは数秒が精々だろう
だけど、数秒は顕現していられるんだ
その意味と重さをキミは知るだろう
これは致命への一石
迂遠なる演算の導いた、明日への一歩
「三界の魔術師として告げよう
竜を退治するのは、ボクじゃない。いつだってヒトの勇者だと!」
UC【光神の権能・百芸反撃】!
マリー・ハロット
……今度はちゃんと『ゆだん』、しないようにしなくちゃね!
首が八つもある! すごいすごーい! 倒し甲斐がありそう!
マリーがんばっちゃうんだから!(サイキックを増幅する薬品を【ドーピング】)
全部の首からブレス……まずは【念動力】で捻じ曲げて、曲げきれない分は【オーラ防御】で耐えて、怪我しちゃっても、【激痛耐性】で耐える!
それで何とかUC使って、さいきっく・ぱわーを全開、【限界突破】でいっくよー!!
飛行能力を【空中浮遊】と【空中戦】で強化して、【第六感】も使ってブレスを掻い潜りながら、近づいて……最後は全力の【念動力】を集めた『ヴぉーちゃん』(偽神兵器)の一撃を頭に叩きつけるよ!
ヴァルギリオスは、かつて数千の勇者によって相打ちとなった。
その敗北の記憶は、オブリビオンとなった今も魂に刻みつけられている。
ゆえに竜はけして慢心しない。自尊にはそれを裏打ちするだけの強さがある。
最強最大を謳うその言葉は大言壮語ではなく、事実として最強なのだ。
オブリビオンとなりしその身は、再孵化という強大な力をも手に入れた。
世界を破滅させるに足る存在――まさしく、竜の帝王。究極の個。
されど、竜は知っている。
脆弱で矮小なヒトは、個ではなく多によって己をも打ち負かすのだと。
●竜をも屠る、不遜なる者の名は
ゆえにヴァルギリオスは、もはや己の生命すらも惜しまず力を振るった。
先遣の猟兵によって砕かれた傷の激痛を押して、八首が猛烈なブレスを吐き出す。
八つの属性を象徴するそれらは、収束せずともひとつひとつが強力だ。
これまで存在したあらゆる帝竜の力を超える、八つの元素を宿した吐息。
いかなる嵐をも雷雲をも、天変地異をも超える竜の咆哮であった。
「ヌァザ、イルダーナ、力を……ボクに、全演算能力をよこしてくれっ!!」
最前列に立ったリア・ファルは、電脳生命体たる自らの全存在をかけて、
この破滅的猛攻を耐え凌ぐための結界を生み出し、障壁として展開した。
触れたものを電子情報化しこの世ならざる虚数空間へ送り込むその力は、
なるほどたしかに尋常の物理現象であれば、一切抗し得ないであろう。
しかし。リアは全能力をかけて障壁を維持しながら、歯噛みした。
(ダメだ……ボク本体の演算能力を継ぎ足しても、足りないのか……!?)
数秒は耐え凌げると覚悟していた。だがその数秒すらも、もはや怪しい。
口惜しさが募る。明日を――明日を求める誰かのために紡いできたこの存在は、
今ここで枯れ葉のように吹き飛ばされてしまうのか。何の意味もなかったのか。
否……否否否、否だ! そんな未来は、たとえ現実であろうと認めない。
だからこそ彼女は、破滅という終焉を定めし無限竜にすら抗った。
だからこそ彼女は、己の存在を賭け、ヒトと人をつなぐ者としてここへ来た。
退くわけにはいかない。ここを突破されるわけには、いかない!!
「へえー、いいねえその顔! まるで神の試練に抗う哀れな人間みたい!
……とか神っぽいこと言うけど、別に試練を課したりとかはしないんだけどねボク!」
などと、こんな鉄火場でもへらへらと笑い、ロニ・グィーが言った。
一見痩せぎすのちゃらけた子供のようにも見えるその身は、しかしたしかに神の化身。
ロニはふざけたような笑みを浮かべつつ、隻眼でそびえる巨躯を睨んだ。
「あんま血反吐吐いて死物狂いで頑張るとか、ボク苦手なんだけどさ~」
言いながらリアの隣に立ち、己が持つすべての力を障壁に注ぎ込んだ。
ロニの周囲にいくつもの光の鉄球が浮かび、リベットめいて障壁に撃ち込まれる。
ひとつひとつが彼の力を形とした霊球であり、ロニのしもべでもあった。
「せっかくの大舞台だもの! らしくないことして派手にいこうじゃん!」
「ずるいずるい! そういうの、マリーだって出来るもん!」
そして彼らと同じように並んだのは、マリー・ハロットであった。
彼女もまた10を少し過ぎた幼い少女めいた肢体だが、その念動力は強力。
全身を絶え間なく脈動するサイキックエナジーを障壁に注いだならば……!
それはブレスをも耐え凌ぐ、鉄壁かつ無敵のバリアの完成を意味する!
「もうマリーは『ゆだん』しないもん! こんなことだって、できるんだから!」
「……ふたりとも、ありがとう。これなら、いけるさ……!!」
「そりゃ当然。神様が力貸してあげるんだからねえ。防ぐどころか――」
見よ。障壁は膨れ上がり、徐々に徐々にブレスを……押しのけている!?
『『『何!?』』』
「こーやって、ドラゴンをひっくり返すくらいじゃないと……ねえっ!!」
ロニの瞳がぎらりと輝いた。その瞬間、障壁は文字通りの"壁"となる!
噴射されていたブレスが逆流し、ヴァルギリオスの体を灼く。バックファイアだ!
『『『オオオオオ……!! 一撃凌いだ程度で、いい気になるなよ……!!』』』
帝王としての傲慢さすらも捨て去り、ヴァルギリオスは敵意を剥き出しにした。
これ以上近づけさせぬとばかりにブレスを吐き散らかし、八方を燃やし、焦がす。
もはや一点に集まった力を防ぐ必要はないが、近づくにはあまりに危険だ。
さらに振り絞った魔力をバリアとして積層展開、自らを鎧う!
「あー! 自分が『ぼーぎょ』されたからって殻にこもるの? ずるーい!」
「……ううん、心配ないさ! ヒトの刃は、もう竜の心臓に届いてるんだ!」
リアは空を見上げた。ブレスが竜巻じみて荒れ狂う空を。
その中を舞うように跳躍するひとりの男――彼の名はクロト・ラトキエ!
リアたちが全力で耐えしのいだその数秒の間に竜の頭上を取り、
極限の機動力によってブレス嵐を回避、ついに懐まで飛び込んでいたのだ!
「けど、通り道を開けてあげたほうがいいかなあ? キミも行きたいでしょ?」
「うん! マリーだって、空とべるもん!」
マリーの言葉にロニはニカッと笑い、新たな霊球を生み出した。
それは、光や闇すらも喰らう、恐るべき餓鬼球である。
「ボクは神様だからね、子供の願い事は叶えてあげなきゃ」
「あなたもコドモでしょ?」
「ボクは違うの! まあ見てなよ!」
餓鬼球は、風船めいて急速に膨れ上がっていく……!
――そして、空!
クロトは竜巻じみたブレスの猛攻を冷静に見切って回避しながら、
あの三重結界をいかにして掻い潜るか、その作戦を思考し続けていた。
彼に飛行能力はない。
空を自由に舞っているように見えるのは、その実、
クロトが八首を支柱めいて利用して展開した、鋼糸の結界を飛び渡っているだけだ。
しかしこのまま手をこまねいていれば、ブレスはそれすらも焼き切るだろう。
なるほど最強、最大、まさしく帝王。その身許に近づくのも困難とは。
「偽りなき最強、敬意を払いますよ」
畏れなき瞳と竜の怒りの双眸が、レンズ越しに絡み合った。
「しかしあなたはかつて朽ちし者。一度は勇者に討たれた身です。
――僕も、勇者を謳うような性格ではないですし、そんな資格もないですが」
クロトが呟いた瞬間、地上から膨れ上がった無数の"球体"が竜に群がった。
餓えたる"球体"は積層展開された結界を喰らい、活路をこじ開ける!
「傲岸不遜は、おたくの専売特許じゃないんですよ……ッ!」
クロトは鋼糸を蹴った。下をめがけて! そして糸の結界を手元に取り込む!
"球体"が開けたトンネルは数秒で閉じるだろう。だがその数秒があればいい。
『『『人が、余を見下ろすなど……不遜なり!!』』』
「ならばその足元に侍りましょう。ただし代価として――その首、戴きます」
集められた鋼糸は、雨のような無数の針となってクロトに続いた。
「"捌式(アハト)"、無間にて。いざ」
魔力生成された鋼糸が、閉じつつあるトンネルの中に叩き込まれた。
まるで罪人を磔にする聖釘のごとく、竜の全身を貫き、その首を縫い止める!
ヴァルギリオスは苦痛に悶え、しかしなおも抗おうとした。
しかし突き刺さった鋼糸は、突如八つの色に染まり燃え上がったのだ!
『『『こ、これは……余の力が、余を灼いている、だと……!?』』』
「キミの使う力は十分分析させてもらった。だから"返してあげた"んだよ」
リアは不敵に笑う。
「"光神の権能・百芸反撃(カウンタースキル・エボリューション)"!
帝竜の吐息だろうと、その障壁だろうと、電子の力は解析模倣する!
けれどそれはボクひとりが生み出した力じゃない、ヒトが築いたものだ!」
『『『そ、粗悪なデッドコピーごときが、余を戒めるなど……!』』』
「"そんなだから負ける"のさ、ドラゴン。なんにもわかってない」
ロニはチッチッと指を鳴らし、言った。
「この綺麗な世界は、そんな簡単に壊していいようなところじゃないんだ。
もっと楽しまなきゃ! ヒトの営み、愚かさ! ――あとはちょっとの素晴らしさを、ね?」
ヒトは愚かなものだ。己をも殺すような焔すらも生み出す。
たとえばマリーは、そんな人の愚かさで生まれた人工生命体であった。
フラスコチャイルド。存在した時点で短命を約束されたデザイナーベビー。
熾烈な運命に苦しめられながら、しかし少女が泣くことはない。
それは今も彼女を蝕む、人の愚かさの残滓がもたらした慈悲だが――。
「マリーの力、見せてあげる!!」
その愚かさが生み出した力が、神の力とともに竜の首を打ち据えた。
大地をも砕く偽神兵器の一撃が、強靭なヴァルギリオスの鱗をひび割れさせる!
『『『が……ッ!!』』』
「どうです。届いたでしょ?」
そして血を撒き散らす竜の八首に、鋼糸が絡みついた。
クロトは慇懃に微笑み、くいと手を引いた。
「僕たちも、生命。賭けてますんで」
竜の断末魔が響くことはなかった。
ギロチンめいて引き絞られたその糸が、竜の首を刎ね飛ばしたからだ。
「アッハハハ! ――あー、やっぱり。人間って最高だねえ!」
愉快そうに笑うロニの声は、どこまでも軽薄で、しかし尊大だ。
世界を滅ぼす力を持つ竜ですら、彼にとっては楽しみの一つに過ぎぬ。
それを真に理解し得なかったこともまた、ヴァルギリオスの敗因の一つなのだろう。
――大いなる竜をも滅ぼし世界を愚かに、美しく紡ぐもの。
その者らの名を、人間と言った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
●
竜が奪うことに、理由などない。
喰らい、眠り、交わる。
人が生きるためにそうするように、竜もまた奪い、殺すのだ。
獲物が世界そのものであろうと同じこと。
竜とは、それゆえに最強の存在なのである。
高鳴・不比等
リオン(f02043)と
令嬢とボディガード、恋人未満、仕事以上な関係性
呼称はお嬢
怖い?まさか。お嬢と一緒なんだ。怖いものなんて何もねぇさ。
頭を撫でて、落ち着かせてやる
大丈夫、アンタは俺が守ってやるから。
柳に燕で回避率と運転能力を高め、バイクでリオンを敵の近くまで届け、その後は自分はおびき寄せを使用して囮になる
攻撃は残像と第六感、見切りで回避
ああ。だから祈っててくれ。
アンタの為なら、オレは誰よりも速くなれる。
来いよ首長。追いかけっこだ!
どうしたどうした!図体だけデカくなりやがって!その長い首は飾りか!?全然届いてねぇよ!
後は任せたぜお嬢。ぶちかませ!
どれだけボロボロでもリオンの危機には駆け付ける
神羽・リオン
高鳴さん(f02226)と行動
高鳴さん……怖い?
敵の姿を目視すれば内心恐怖心でいっぱいに
バイクの後部座席、彼の背に掴まる腕はいつになく力をこめて
ええ。私もそうよ……
けれどあなたに何かあると思うと怖いわ。そう心の中で呟き
ちゃんと迎えにきてよね?
頭を撫でられれば、ふわりと微笑み
高鳴さんが無事であることを願ってバイクから飛び降りる
KBN12-Despairを構え
神遊で能力値をすべて6倍に
高鳴さんが作ってくれる好機をを無駄にしない為にも!
どんな状況になろうとも集中、狙いを定めて射撃攻撃
神遊の代償で昏睡状態に陥るけれど
高鳴さんが必ず助けてくれると信じて
迎えに来てもらったら思わず飛びつくわ
アドリブ歓迎
●あのぬくもりに賭けて
――神羽・リオンは、暗闇のなかにひとり浮かんでいた。
どうやら自分が意識を失い、死にかけていることは漠然とわかった。
おぼろげな記憶がつなぎ合わされ、一秒前の光景をリプレイする。
迫るブレス。そして竜の爪。躱しきれず灼かれた苦痛――。
「……やっぱり、ダメだったのかな」
リオンは諦めたような声音で呟いて、闇に体を任せて目を閉じた。
しかしその時、彼女の耳に届いたのは、ひとりの男の声だった。
「来いよ首長! 追いかけっこだ!! どうしたどうした!!」
バイクのエンジンを灼ききれそうなほどに全開にして走らせながら、
魔女帽を被った男――高鳴・不比等は、中指を立ててみせた。
彼はリオンの運び役であり、そしてこうしてヴァルギリオスを引きつける囮だ。
しかし彼はすでに、ブレスに叩き落されたリオンの姿を見ていた。
竜は彼らが思っていた以上に遥かに強大で、そして抜け目なかった。
そして三重の結界で守られ強化された爪も、彼のすぐあとに届きつつある。
『『『いじましきかな。仲間を倒され無駄とわかっていてもなお足掻くとは。
しかし余は知っている。その死をも恐れぬ覚悟が余を一度は殺したのだ』』』
「何偉そうにわけわかんねえこと言ってんだ!? 当ててみろや!
こっちはまだ生きてんだぜ、獲物を仕留めてから偉ぶってみせな!」
本音を言えば不比等は、すぐにでもリオンのもとへ飛んでいきたかった。
いや、そうすべきだった。彼女を危険から守ることが自分の仕事。
普段ならばそうした――けれども、今は違う。
(お嬢は死んじゃいねえ。まだ、俺が手を出すほどのピンチじゃねえ)
半ば祈るような気持ちだった。しかし彼はたしかに信じていた。
リオンはまだ死んでいない。必ず立ち上がり、好機を掴むのだと。
ならば、その時まで己の役目を果たさねばならない。
死物狂いで逃げ続け、リオンのための隙を生み出してやろう。
たとえ倒れたとしても――その瞬間、竜の爪が彼の頭上を覆った。
『『『ならば死ぬがよい。いじましきものよ』』』
そして大地もろとも、爪が全てを引き裂いた。
「……高鳴さん」
暗闇の中でリオンは呟いた。その瞬間電撃が走ったように思った。
蘇る記憶。戦いの前に交わした言葉。頭を撫でてくれた手のひらの暖かさ。
――怖い? まさか。お嬢と一緒なんだ、怖いものなんて何もねぇさ。
――ええ、私もそう。けれど……
"あなたになにかあると思うと、怖いわ。"
その言葉は口に出来ず、タンデムしたリオンは顔をうつむかせた。
そんな彼女の頭を撫でて、不比等は不敵に、明るく笑ったのだ。
――大丈夫。アンタは、俺が守ってやるから。
――だから祈っててくれ。アンタのためなら、オレは――。
「……高鳴さんっ!!!」
闇が晴れた。意識が戻り現実の視界が彼女を迎える。高速で近づく地面!
リオンは傷ついた己の体に鞭打ち、落下寸前で体勢を取り戻した。
私はまだ死んでいない。死ねない! 彼との約束を果たすまでは!
大地を抉る爪が見えた。大地の飛礫の中に、見慣れたマシンのフォルム。
――意識を集中させる。ヴァルギリオスの背中に。結界の間隙!
「相手は私よ、ヴァルギリオス!!」
BRATATATATATATATATATATATAT!!
リオンは残像さえ生み出す速度で大地を蹴り、トリガを引き続けた。
弾丸はバリアに弾かれる。弾かれる。弾かれる……否、突き抜けた!
『『『何!? 生きていただと!?』』』
「当然でしょう。ダメ押しの一撃、喰らいなさいっ!!」
BLAMN!! 身を灼くのもいとわず肉薄し、密着した銃口から迸る弾丸!
散弾は竜の体を六倍の威力で爆ぜさせ、体内奥深くに炸裂して場ぜた!
竜は苦悶しのたうちながらも、この不遜な娘を尾で薙ぎ払おうとした。
その瞬間――横合いから吹く一陣の風。リオンの体はさらわれる。
「高鳴、さ……」
「言っただろ」
互いにボロボロの有様で、それでも魔女帽を被った男はタフに笑った。
「必ず迎えに行く、ってさ」
竜の暴威ははるか遠く。リオンの意識は再び闇に落ちていく。
けれども彼女はその両手を彼の首に絡ませ、穏やかに眠りについた。
今度の暗闇は、けして昏く不気味なものではなかった。
命を賭けて信じ続けたぬくもりが、すぐそばにあったのだから。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
ディール・コルメ
【戦月】
アドリブ歓迎
医者の邪魔ァ、するんじゃないよ!
術具展開、緊急術式開始――UC:突貫手術、発動!
行くよ、ユア!
ちと狭いけど、操縦席にユアを乗せて
【リミッター解除】【限界突破】を加えた【拠点防御】
ユアの放つ、声のオーラも加えて
全速力、可能な限り最短距離で突撃を試みる
毒、炎、氷のバリアとは大層な事だね
だったら、アタシは患部までの道を抉じ開けるとするさ!
邪魔なバリアを砕くべく
キューを操縦して、特大手術用ナイフを突き刺す
火事場の馬鹿力ってヤツを、見せてやろうじゃないか
内蔵された大砲による【零距離射撃】【部位破壊】
反動や反射の炎はキューで受け止める
ただ、傍らの月を向かわせる為に
――ユア、走れェ!!!
月守・ユア
【戦月】
アドリブ可
Ah――ッッ!
【歌唱】に乗せ、全力魔法の【オーラ防御】
咆哮の様に声を放つ
音が響く広がる
声の音波紋がオーラを纏い盾となる
攻撃を何とか凌げば
刀の刃に魔力を注ぎ”力溜め”
相棒の戦車が敵に近づく直前まで!
「言葉はいらないか?…あはは!
なら、とことん殺り合おうじゃないか!
その命の尽くを喰らい尽くしてやるよ!」
「ああ、行くぞ!!ディールさん!!」
UC:命蝕
捨て身の一撃、衝撃波
相棒の戦車の勢いのままダッシュ
刀を大きく振りかぶり敵を叩き斬る!!!
「――弾け飛べ!!」
●月よ、その骸を照らせ
――ギャ、ギギ、ギ、ギギギギギ……ッ!!
とても手術中とは思えないグロテスクで耳に障る不協和音を立てて、
機動戦車から衝角めいて突き出した"メス"が、"患部"をこじ開ける。
三重の結界はそれ自体が城壁のように立ちはだかり、一切の攻撃を許さない。
それを真正面からこじ開ける……ディール・コルメの選んだ戦術は、
ひどくシンプルで、その代償を彼女らの身を以て支払わせていた。
狭苦しい車内は、地獄じみた熱波と冷気で交互に灼かれ凍り続けている!
「医者の邪魔ァするんじゃないよ、この不良患者が……!!」
ハンドルさえも焼け付くほどに熱い。だがディールは力強くそれを掴んだ。
足先から骨まで凍らせるようなアクセルを、ひたすらに踏み続ける。
「ディールさん、まだ切り開けないの!? 次、来るよ!!」
月守・ユアは戦車のハッチを開け、空を仰いで叫んだ。
結界をこじ開けようとする獲物を狙い見下ろす、八つの首!
『『『滅びよ、猟兵。我が吐息は天地すらも灼き焦がす――!!』』』
八首が恐るべきブレスを溜め込む。ユアは同じように肺一杯に息を吸った。
「あと、少しだよ……ユア、アンタがなんとかしな!」
「言われなくても――この唄で、吹き飛ばしてやるッ!!」
瀑布のように迸るブレス、それに対抗したのはユアの歌声だった。
ほとんど咆哮のようにがなり立てたディストーションサウンドは放射状に広がり、
やがて彼女らを守るかりそめの障壁となり、つかの間ブレスを弾いた。
しかし拮抗は五秒も続かない。ユアは喉から血が出るほどに叫び続ける!
「こ、な、く、そ……がッ!!」
――バチン!!
ついに巨大なメスが最後の結界を断ち切った! ロケットスタート!
機体が赤熱する。ふたりして肌はあちこちやけどしてひどい有様だ。
限界を越えたユアは咳き込み、口元の血を拭った。
「帰ったら診察だね! まだいけるかい、ユア!?」
「――トーゼン。喉はダメでも、まだ手が振るえる」
ユアは力強く言い、ディールもまた不敵に笑った。
「だったら一気に行くよ!!」
「ああ――とことん殺り合うさ。あの命の尽くを喰らい尽くすまで……!」
みるみるうちに竜の胴体が近づく。戦車はさらに加速、そして――KRAAAASH!!
『『『ぐうっ!!』』』
「こいつはおまけだ、とっておきなァ!!」
KA-BOOOOM!! 突き刺さったナイフの先端部が爆砕し、体内を破壊した!
機体の無事を厭わぬゼロ距離射撃。さしもの竜とてたたらを踏む!
しかしタイヤは止まらない。大地を斬り裂くように走る走る走る!
「ユア、走れェ!!」
「逃げるなんて赦さない――弾け、飛べッ!!」
ユアが戦車のボンネットを蹴って跳躍。大太刀の先端部を破砕面に突き刺した!
そして勢いを乗せたまま、垂直に竜の体を駆ける、駆ける駆ける駆ける!
『『『オオオオオオオオッ!?』』』
竜は吠えた。苦痛の雄叫び! 当然だ、その身をばっくり裂かれているのだ!
ユアは止まらない。空に浮かぶ月を目指すように、血を吐きながら駆ける!
「あっはは……あはははははッ!!」
そして月明かりに狂わされた鬼のように、笑っていた。
それこそが、竜に近づきつつある終わりを知らせる、死神の哄笑であった。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
八岐・真巳
8つ首の大邪竜、ちょっと親近感が湧いてしまうわ。
私も『再孵化』したら、かつての力を取り戻せる?
……ウフフっ。ダメ、ダメよ?
だってこの身に刻まれた『甘美なる敗北』の記憶、失うわけにはいかないもの。
厄介な三重の障壁に、能力強化までは先制されてしまうのよね?
なら、距離をとってこちらも準備、させて貰うわ。
我が内なる《龍核》を【限界突破】させ、《龍気》を全開。全身を《黒龍鱗》で覆い最大限の防御。(【火炎耐性】【毒耐性】【氷結耐性】)
後は……この身を一条の流星となすのみ。
時速7100km、マッハ5超過の速度で突撃し、この『アルトケテルの巨刃』の圧縮質量をもって潰し断つ(【重量攻撃】)まで……なんてね?
『『『……ぬう!!』』』
ヴァルギリオスはふと、空の彼方を睨みつけて唸った。
その瞬間に、身を鎧う積層結界をさらに強固に、堅固に強化する。
『『『来るか――よかろう。ならば余の全力を以て迎え撃つのみ』』』
竜が睨む先には何もない――否。
空を斬り裂くようにして、降り注ぐひとつの流星があった。
「ふふ、さすがね! こっちのことはとっくにお気づきかしら」
その流星の名を、八岐・真巳と言った。
彼女は敵が積層結界を展開することを承知の上で、超・長距離に位置。
さらにその身を極限なまでに覆い、己を弾丸と化したのだ。
「いいわ、なら正面対決といきましょう、大邪竜! この私と!!
――あなたと、どちらがより上の竜か! それを試すいい機会だわ!」
然り、女竜人が纏いし闘気は、まさしく強大なドラゴンのそれ。
これは人と人の戦いではない、大いなる竜と竜の意地のぶつかり合いだ!
「どちらが砕け、どちらが貫くのか……楽しみね!
おねーさんの本気、見せてあげるわ――さあ、喰らいなさいッ!!」
"龍気解放(ドラゴニックオーラ・オーバーロード)"。
超圧縮された『アルトケテルの巨刃』が、衝角めいて突き出される。
時速7100km、マッハ5を超える捨て身の流星が――ついに、着弾した!
……KRAAAAAAAAAAAAASH!!
『『『……オオオオオオ……ッ!!』』』
勝敗は決した。
竜の体は風穴を穿たれ、滂沱の血を撒き散らしながらのたうつ。
"着弾"した真巳とて無事ではない。焦げ付く大地の中心で血まみれで笑う。
「ウフフっ。痛いでしょう、苦しいでしょう? 屈辱的でしょう?
――けれどね、私もあなたも敗北したモノ。一度は地に伏せた竜なのよ。
あなたはそれを否定し、私は受け入れた。それが、私たちの違いよ」
この甘美なる敗北の記憶を失ってまで、残骸に堕するつもりはない。
同じ竜だとしても、双竜はまさしく不倶戴天の敵なのだ。
健在の帝竜が八つの首で女を睨む。真巳はぎらりと凄絶に笑った。
「第二ラウンドといきましょうか、帝竜!」
大地を揺るがす衝撃と轟音は、まさに神話の竜の咆哮めいていた。
成功
🔵🔵🔴
ネグル・ギュネス
【向日葵】
此れが、最後の
正直嘘だろって次元の敵だ、怖くもある
だが、止まるわけにはいかない
我が誓いに曇り無し
我が愛に迷い無し
何処までも共に行こう、花よ
輝け、【双星煌花・天照】!
氷と土のバリアは、炎の弾丸と衝撃波で受け持ち、光は闇の宝石を投げ付け相殺に掛かる!
UCで強化した今なら、そのバリアに対抗出来るはずだ!
其れでも足りないなら、機械体のリミッター解除
飛翔能力と演算、見切り能力を強化し、フルールを守り抜く
バリアに亀裂が入れば、銃を構えよう
二人で引鉄を絞り、放つのは、破魔の光、全力魔法を込めた弾丸
二人の力を重ね合わせた一撃で、敵の頭を吹き飛ばす!
終わりだ、竜よ
竜殺しの勇ましき者の称号は、頂いて行く
フルール・トゥインクル
【向日葵】
ネグルさんは怖いですか?
私は怖くないですよ。だってあなたが一緒なのですから
【連綿と続く尊き血】あまり使う気はなかったのですけど、四の五の言ってられないですからね
お説教は後で聞きますです
毒のバリアを命、石と樹、光のエレメンタルロッドの精霊達で
反射のバリアを石と雪、樹、闇のエレメンタルロッドの精霊達で
破魔の力を用いてそれぞれ相殺にかかるのです
相殺できなくても1点に集中して、ただ一か所貫けるならそれでいいのです
バリアが弱ったならネグルさんと一緒に銃を構えて
私が乗せるのは妖精姫としての花の精霊としての全ての魔力
後のことは考えず全力で引き金を引くのです
竜殺しの称号は私たちがいただきますです!
●
戦いを振り返る記憶はその先へと還り、やがて出会いの瞬間にまで至った。
思えばその時から、この決戦の瞬間は約束されていたのだろう。
いとおしさがあり、哀しみもあり、寂しさもあった。
だとすれば自分は――彼を、ひどく私的な戦いに巻き込んでしまったのだから。
「ネグルさんは、怖いですか?」
戦いに赴く前、そう問いかけたのを覚えている。
フルール・トゥインクルの瞳を見返し、ネグル・ギュネスは笑った。
「怖いさ。けれど止まるわけにはいかない――それに」
ネグルは胸元に手を当てて、言った。
「我が誓いに曇りなし。我が愛に、迷いなし。――共にいこう、花よ」
そう思える限りどこまでも戦えるのだと、瞳で知らせた。
フルールは花咲くように微笑み、頷いた。
「あなたがいてくれるなら、私はこれっぽっちも怖くないのです!」
小さな小さな姫君の指先を、ネグルはそっと優しく包んだ。
そのぬくもりがある限り、ふたりはどんな敵にも勝てそうだった。
●向日葵の戦賦(いくさうた)
『『『……バカな!?』』』
帝竜ヴァルギリオスが挙げた言葉は、驚嘆であり畏怖であり感服でもあった。
己が残る全力を振り絞って展開した、最強最大の積層結界。
それはこれまでのすべてを上回るほどに強固で、かつ破滅的だった。
どんな攻撃であろうと受け止め、どんな獲物であろうと押しつぶせる。
――はず、だった。しかしいま、このとき。
「オランジェ、リュミエール、オブスキュリテ、ネージュ……!
グルナ、ヴィー、そしてブランタン……力を、力を貸してほしいのですっ!」
人の大きさに変わったフルールは、ひたすらに祈り続けた。
朋友たる精霊たちはその"命"に応える。彼女が燃やすいのちの輝きに。
祈るのは打倒ではなく無事。目の前の背中を、彼が無事であるようにと。
その祈りを背に受けて、鋼の男は暖かな光の中で笑っていた。
不敵に。――穏やかに。
「悪いな、ヴァルギリオスよ。貴様はたしかに最強で、恐ろしい存在だ。
けれどな、こっちには最愛の花がついてくれている! おかげで、
オレはこれっぽっちも恐ろしくないんだ! いっそ楽しささえ感じる!」
『『『わ、我が力を、精霊の力で跳ね除けるなど……!!』』』
「それもあるさ。だがそれだけじゃない。これは――愛だ!!」
歯の浮くようなきざな言葉すら、今の光まとうネグルならば真実だった。
そうとも、竜とは強大で恐るべき存在だ。あらゆるものに君臨するモノだ。
しかしいつだって、物語は"めでたしめでたし"で終わるもの。
どんな邪悪な竜でも――お姫様の祈りを受けた英雄に討たれるのだ!
ぱきり! と音を立てて、バリアに亀裂が走った。
ふたりは互いに手を取り、精霊銃をその亀裂に突き刺した。
「……お説教は、あとで聞くのですよ?」
「いいさ。オレだって、さんざん心配をかけてきたんだからな」
ネグルは笑顔で首を振り、そして勇ましく、雄々しく、竜を見上げた。
「さらばだ、帝竜よ。――竜殺しの称号、我らが頂いていくぞ!」
「この世界のために、私たちのために! あなたを滅ぼすのです!」
『『『おお、オオオオオ……!! おのれ、おのれおのれおのれ……!!
またも余は滅びるか、口惜しや……!! だが、おお……』』』
滅びの弾丸が放たれる。暖かですらあるほどの光を纏い。
竜は目を細め、不思議と穏やかな声音で言った。
『『『――見事なり、猟兵よ。余をも屈服させた、その光の力――』』』
弾丸が巨体を貫く。光が亀裂じみた傷を走り、そして巨体が……爆ぜた!
巨体のすべては光の粒子にかわり、綿帽子めいて降り注ぐ。
どこか美しい風景を見上げ、よろめいたフルールをネグルが抱きとめた。
「……最後、ヴァルギリオスはなんと言おうとしたのでしょう?」
「さあな、わからない。ただ――オレたちへの敬意は感じられたよ」
戦い終わり、静寂が訪れる。
降り注ぐ太陽は暖かで、ふたりはそれを黙って見上げた。
夏の風が吹く――きっと咲き誇る向日葵は、元気に太陽を見上げることだろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
●
まだだ、余はまだ滅びてはおらぬ。
余こそは帝竜、世界を破滅させるものなり……!
ジャガーノート・ジャック
★レグルス
(ザザッ)
――最終戦だ、ロク。
少々無茶をするつもりだ。
バリアの対応は君に任せたい。できるか?
――承った。
可及的速やかにケリを付けよう。任務を開始する。
(ザザッ)
銃を携えた遠距離射手の本機には毒のバリアは通りが悪く、炎を己が武器とする相棒には炎熱のバリアが効果薄。自然、敵が選ぶのは氷のバリアとなるだろう。
――ビンゴ。
相棒がバリアを削ってくれるうちに――
衛星型超弩級光線兵器:召喚
右腕に接続開始
リンク完了
(炎龍との戦いを経て、未だなにかを失った感覚は消えないが――目の前の脅威を倒す使命感と約束は
確かに今も此処にある。)
目に焼き付けろ、帝竜。
これが
ジャガーノート
圧倒的破壊だ。
(ザザッ)
ロク・ザイオン
★レグルス
竜狩りも、これで最後だ。
……無茶は、おたがいさま。だろ?
任せろ。
でも稼げる時間は、すこしだけだ。
おれが、燃え尽きるまで。
……大丈夫。
だって、キミは、やれるだろ?
(【野生の勘】で、狙うべき障壁を見定め
撒く種は、己自身
「禍園」
触れれば凍らす障壁を、森を模した炎獄で克す
氷融けの水と土を焦がれ渇いた根で吸い上げ、更に燃え盛り龍を拒もう
その不落の壁に穴ひとつ開けば、おれの相棒は、やってくれる)
●
――何か、とてもとても大切なものを、喪失してしまった気がする。
奪われたのではない。それはきっと、僕が零し落としてしまったものだ。
もう、それは思い出すことも出来ない。
その"思い出すことが出来ない"ことこそが、僕の罰なのだろう。
ただ、相棒の姿と声と、絆は憶えていられた。
だから戦える。だからまだ――僕は、戦える。
●
鋼の豹はすべてを失い、獣の女は欠片を得た。
その傷跡が血を流し、悪魔を討つのはまだ先の話。
ただ狩人は、漠然と理解していた。
――此の戦いの終わりのあとにこそ、真の困難が待っていると。
ならば、ここで足踏みをする理由はなかった。
世界を救う程度は、もう何度もやってきたのだから。
●降り注ぐは圧倒的破壊
バチ、バチバチバチバチ……!!
たったひとりである。
ロク・ザイオンはたったひとりで、迫る巨躯と相対し、ぶつかっていた。
その身を鎧うは三重の結界。
燃やし、
焦がし、
凍らせ、
腐らせ、
冒し、
浄化し、
飲み込み、
滅ぼす。
破滅そのものを形にしたような暴威に、たったひとりで向かっていた。
『『『……よくも耐える。只人の身で、見事なものなり』』』
竜の声音に焦りはない。ただ、踏み潰せば事足りるからだ。
積層結界の魔力はロクの全身をいっそ忌々しいほどに穏やかに緩やかに滅ぼし、
同じようにその猛威に相対するジャガーノート・ジャックをも蝕んでいた。
《――ロク、念の為確認する。"まだ耐えられる"な?》
「…………とうぜん、だ」
ごぼごぼと煮えるような声。おそらく喉が灼かれて血を吐いている。
しかしジャガーノートは冷静にうなずき、右腕を武装展開した。
衛星型超弩級光線兵器:召喚。
右腕に接続開始――全神経リンク、エネルギー展開。
『『『愚かなり! じきにこの娘を灼き尽くし、汝をも――何?』』』
竜は訝しんだ。押し潰すために込めた力に、不思議な斥力が生まれた。
もはや女はその体を維持できていない、当然だ。結界の滅びが――否。
『『『なんだ、それは?』』』
女の体は半ばまで脱落していた。だが問題はその周囲だ。
急速に萌え出た木々が、竜の巨体をも覆わんほどに伸びて延びて伸び上がり、
木々のざわめきが、木々にまとわりつく焔が――否、木々が焔なのだ――言った。
『此処はいまから、"おれ"だ』
『『『……その身を、変えたのか!? 人をやめてまで!!』』』
『違う』
"森"は言った。
『これが、"おれ"だ。"おれ"が森であり――"おれ"は、人間だ』
木々を模した炎が燃える。脈動するいのちを火種として燃え上がる。
たちまち蔓は結界を歪ませてその中に入り込み、竜の巨体を絡め取った。
そこはロクだ。ロクという女が身を、いのちを糧に燃え上がらせた森だ。
あらゆる病を否定する森。――"禍園"が、竜を包む。
竜は困惑し、炎の戒めから逃れようとした。
だがそこで、がしゃりと向けられた砲口の恐ろしさに気づいた。
《――目に焼き付けろ、帝竜》
衛星型超弩級光線兵器、リンク完了。エネルギー120%。
《――これが》 JUGGERNAUT
降り注ぐ破滅の名を、圧倒的破壊と言った。
『『『オ、オオオオオオオ……ッ!?』』』
星が降る。星の如き破滅の光が、竜の巨体を貫く!
炎の森に抱かれながら、竜は悶えた。そして吠えた!
――痛み。己の身を削られ灼かれる痛みに。
近づく滅びを恐れ、抗おうとする、無様な獲物の雄叫びを――!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
イージー・ブロークンハート
【不朽】
ねえユキさん?軽く受けたオレもオレだけどこれ手伝ってってレベルじゃなくね?ラスボスじゃね?謀ったな?…いいけどお。
いざ、参る。
なべてを斬る、剣豪が剣刃一閃ご覧あれ。
バリアを斬る。
それ以外はてんでダメなんでカバー頼むな!
来る攻撃は見切り、ユキへのは庇う。いやーウチの末妹ぐらいだからさ。
左心の玻璃で強化、激痛耐性、継戦能力、限界突破―斬り、続ける!
膝を折ろうと彼岸の祝いがこの身を支う。
あんがと、便利だな、こういう不死は!
悪いな帝竜、あんたが狙うアックス&ウィザーズにはオレの実家があるんだ。
そゆこと。なんで今日は泣き言ナシ。
ああ。十年は帰ってないけど、忘れたことはないよ。
あるだけでいいんだ。
ユキ・パンザマスト
【不朽】
いやぁ、あっはっは~
ラスボスな上にエクストラハードモードすねえ!
なぁんのことやら(口笛)
ま、これも行き合った縁すよ!
バリアに超強化たぁ、厄介な
ひゅう、キマってるじゃないすか剣豪どの??
であればホロ根を使役、情報収集
剣撃がバリアに通りやすい箇所を伝える
お任せをば!
【此岸祝呪】主な対象はイージーさん!
うわっと、有難うっす!
お兄ちゃんと呼んでも宜しくてよ??なんちて
彼の連撃のあわいに
ホロ枝根からマヒ攻撃を叩き込み鈍らせ
その言い方、御同類?
便利ですが
それ以外は儘ならずで
ご実家?
深い縁があるじゃあないですか
ええ、一歩も引けませんね
帰り路を失わぬよう
忘れぬよう
……不良発見。(帰れるのになあ)
●
「……ねえ、ユキさん?」
「なんですイージーさんや」
イージー・ブロークンハートの問いかけに、
ユキ・パンザマストは冗談めかした口調で応えた。
まさに小悪魔めいた表情。背中のコウモリ翼がぱたぱた自己主張した。
「軽く受けたオレもオレだけどさ、これ手伝ってってレベルじゃなくね?」
「そうですなー、ラスボスな上にエクストラハードモードすねえ!」
「…………謀ったな」
じとり。硝子の男の恨めしげな目つきに、ユキはどこ吹く風。
「なぁんのことやらぁ~♪」
などと嘯いて、実際ぴゅーぴゅー下手くそな口笛まで吹いた。
悪びれる様子はなし。口笛もごまかしというより挑発に近い。
「ま、これも行き合った縁すよ! ね!」
「…………いいけどお」
唇を尖らせながら、硝子の男はうっそりした目つきで前を睨んだ。
圧倒的破壊にその身を灼かれ、しかしなお健在なりし帝竜。
――ヴァルギリオスの瞳が、男と少女を睨め下ろした。
●帰らざる故郷に背を向けて
ヴァルギリオスはその重篤なダメージを少しでも緩和するために、
血の代償を伴って自らの身を結界で鎧い、かつ完全なる竜体へと変化した。
輝く翼、燃え上がる尾、そして金剛石よりもなお堅き鱗。
『『『今一度問おう。なにゆえ汝らは余を討たんとする?』』』
「え……あー、イージーさんは?」
「こっちに振る!? ……あ~」
イージーは毒気が抜けた様子で頭をかき、言った。
「あんたが狙うこの世界には、オレの実家があるんだ。まあ、それだけだよ」
「へえ、ご実家。つまり、"深い縁"がおありなわけじゃあないですか。十分では?」
「……十年は帰ってないけどね」
「不良発見、すね」
ふたりは軽口めいて言い合い、改めてヴァルギリオスを見上げる。
竜は即座に襲いかかることはない――やつもまた、猟兵の力量を知っている。
イージーが放つ、尋常ならざる脅威の重圧を肌身で感じている。
彼の見た目はどこにでもいそうな男そのものだが、"何か"がおかしい。
ゆえに竜は警戒していた。実のところ、ユキよりも彼を。
『『『……よかろう。いかなる理由とて、余の前に立つならば。
余は戦士への敬意と殺意を以て、汝らを滅ぼし消し飛ばすのみ』』』
「おお、こわいこわい。どうします? イージーさん」
「……今日は泣き言ナシだ」
イージーは魔剣の柄に手をかけた。奇妙な殺意が膨れ上がった。
「だから、全部斬る。名乗るほどの名もないが、これでも剣士なんでさ」
表情を引き締めた。
「――いざ、参る」
宣戦布告。その瞬間、竜は天地を揺るがす咆哮をあげた。
そして翼をはためかせ、猛烈な速度を乗せて突進を仕掛ける!
ユキはバックステップ、イージーが前に出る。竜はなるほどいいだろうと目を細めた。
いかなる術式で己を守るか知らぬが、全力で叩き潰すべし!!
その意思表明通り、竜は積層結界によってイージーを叩き潰した。
ガラス細工のようにあっけなく、彼の全身はひしゃげて吹き飛んだ。
『『『――何?』』』
しかし。
「イージーさん、立てますよねえ!」
「――当、然!!」
おお、見よ。砕け散ったはずのイージーが逆回し映像めいて再生!
剣を振るう。これも砕けた! だが破片は意思を持つかのように浮遊!
積層結界をずたずたに引き裂く。足らぬ。再生した魔剣をさらに一閃!
『『『なるほど、奇妙な不死の呪いだ! 面白い! しかし!!』』』
「ああ、この程度じゃ足りないだろうなあ!」
爪撃! イージーは大地もろとも抉られ四散した! ……再生!
「うっぷ……けど、な!!」
三閃! 四、五、六、七八九十!
一閃ごとに使い手もろとも砕け散る魔剣は、着実に結界を斬り裂く!
「便利だなあこういう不死! ユキだいじょぶ!?」
「おかげさまで! ――ていうかその言い方、ご同類?」
「まあそんなとこさ! お兄ちゃんって呼んでもいいぜ!」
「うーんそれはなしっすねえ」
「はいオレの心傷ついた! ……あっ体も傷つ」
ぐしゃん!! ……再生!
「……くけど、死ねないんだなあこれが!」
斬撃! ついに積層結界に亀裂が走った!
『『『何だその魔剣は!? "壊れながら斬る"など聞いたこともなし!』』』
「だったらここで憶えていってくれよ――これが、オレの呪いなんだ」
一閃――砕け散ったガラスの欠片は、強化された竜の全身を竜巻めいて斬り裂いた。
苦悶の絶叫。納刀したイージーの姿を見て、ユキはひゅうと口笛を吹いた。
「帰り道は、失わぬことに越したことはないですものね」
「……忘れたことだって、一度もないよ」
振り返る男の表情は、どこにでもあるような笑顔だった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アダムルス・アダマンティン
【結社】
世界を脅かすその神が如き振る舞い、傲岸にして不遜なり
構えよ、ザザ。敵は強大なれど、貴様の持つ“プロメテウスの灯”を信じるのだ
大槌の封印を解き、トールの創槌を構える
成程確かに、貴様の纏う障壁は悉くを退けるだろう
しかし我らは選ばれし者なれば、刻器の力がこの手にある!
刻器、真撃ッ!
創槌より電磁力を放ち、ヴァルギリオスの展開した障壁を打ち砕かん
さあ、障壁は俺が留めておく。その間にザザ、貴様が灯せ、プロメテウスの灯を!
最後の帝竜よ。ヴァルギリオスよ
この世は神のものにあらず。竜のものにあらず
人によって未来へ進む世なれば
竜よ、貴様は骸の海へと還るが良い
ザザ・ロッシ
【結社】
オブリビオンフォーミュラ……ドラゴンの親玉か
この前ダークセイヴァーでもドラゴンとやりあったばかりだってのによ……!
戦い方は……前と同じってことですね、アダムさん
アダムさんが受け止めて、俺が一撃かます!
プロメテウス、今回も大物だ
相手はドラゴンの親玉だからとびっきりだ
またお前のリミッター外すけど文句はないよな
さあストックした命を使わせてもらうぜ
例えどれだけ倒れて傷ついても、プロメテウスが貯めた命で立ち上がってやる
お前がどんな属性を揃えてようがこっちは太陽だ
全部まとめて灼き尽くしてやる
命を焼べろ、燃え上がれプロメテウス!
帝竜のバリアごと極光で灼き尽くせ!!
●魂を原初の炎に焚べて
――忌々しい。だが、やはり見事。奇妙な誇らしささえ感じる。
ヴァルギリオスの思考は矛盾しているようにも思えた。
しかし最強の帝竜は、同時に勇者を認め受け入れるおおらかさを持つ。
憎悪と殺意はあれど、否定し拒絶することはない。
奴は奴なりに、猟兵という天敵の力を理解し、評価していたのだ。
そして得てして、そういう敵ほど厄介なものになりうる。
あるいは彼奴に竜らしい油断や驕慢があったのならば、
アダムルス・アダマンティンはもっと五体満足で要られただろう。
その創世の槌の力を振るってなお、彼奴の猛威は神の体を削り、傷つけた。
障壁を乗せた爪は筋肉を引き裂き、尾は全身の骨を砕いた。
全身を朱に染め、しかして盾の役割を請け負った男は巌のごとく立つ。
ザザ・ロッシはその言葉に畏怖を憶えた。
時折忘れそうになることもある――人の姿を持ち話すがゆえに。
しかし、彼は紛れもなく神なのだ。
神代の頃より人間を見守り、寄り添い、そしてともに戦ってきた。
我ら結社の長、長針のⅠ、大いなる鍛冶と炎の神。
「ザザよ!!」
竜の咆哮よりもなお雄々しき、轟くような大音声が響いた。
「呆けている暇はないぞ。灯火を焚べるは貴様の役目だ」
「……も、もちろん! 忘れてないさ!!」
「ならばそれでいい」
槌を掲げ、もう立てるはずのない傷で、しかしアダムルスは立っていた。
「俺のことはいい。貴様はただ、貴様を選んだその刻器を信じろ」
「け、けど……」
「"プロメテウスの灯"は」
ごおう――!! 尾の一撃が大地ごとアダムルスを薙ぎ払おうとする。
創世の槌がこれを受け止める。衝撃――亀裂が足元と全身に走った。
「貴様だけが灯せるものだ。俺にも、あれなる竜にも、悪魔にすらも不可能だ」
その声音は神としてのものでもあり、
結社の長としてのものでもあり、
幼き少年に道を示す、父親のようでもあった。
「貴様を選んだその灯を信じろ。貴様が、竜に終わりをもたらせ!!」
「――……プロメテウス」
ザザは己の刻器に呼びかけた。
「文句はないな! 全力で行くぞ!!」
刻器は熱を孕んだ。
「俺の命をくべろ! 燃え上がれ!! これが、竜殺しの大舞台だ!!」
おお、見よ。
ザザの持ちし刻器から萌え出た、太陽の如き輝きを。
『『『なんだ、それは』』』
「竜よ、貴様も知っていよう」
アダムルスが言った。槌の一撃が、結界を亀裂めいてこじ開ける。
「命短く、脆弱にして矮小なれど、しかして時には貴様すらも討ち果たすもの」
「――極光で焼き尽くせ、プロメテウス!!」
太陽の刃が、まっすぐに振り下ろされた。
「――それが、人の生み出す炎だと」
竜は吠えた。それは断末魔だった。
しかしその声音すらも飲み込み、原初の炎は燃え上がる。
竜を今一度殺すために。
世界を滅ぼさんとする邪悪を滅ぼすために!
――太陽の光は、何もかもを飲み込み、輝き燃えた。
あとには、骸すらも遺らない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
●
ヴァルギリオスは知っている。
ヒトは、けして諦めないということを。
ヨハン・グレイン
織愛さん/f01585 と
別に、
死にに行こうっていうんじゃない
行くなと止めても無駄な人間に、
引き留められるだけの言葉を持たないだけだ
だから
一緒に行きますよ
下がれとは言いません。……隣に
『蠢闇黒』を右手に、『焔喚紅』を左手に
<呪詛>と<全力魔法>で障壁を作り上げる
人ふたり分、互いに立てていなければ意味がない
出し惜しむ余裕もない
二属性を同時に繰れるほど器用じゃないと自嘲を零したくもなるが
……己の無力さに膝をつくのは一度限りでいい
今はそんな時ではない
耐えきれれば後は任せられる
それが望みになる
望みを、失わせはしない
そのためには血反吐も吐こう
ブレスの隙を縫い【蠢く混沌】で足止めを
少しでいい、進みたいんだ
三咲・織愛
ヨハンくん(f05367)と
私は魔法が使えないから
ブレスに耐えるには前に出て受け流すしか出来そうもないですね
不安はいつも乗り越えてきた
ノクティスを握れば力が湧いてくるから
でも今は――
信じて任せますからね
いつも通りに笑ってみせて
何があっても真っすぐに、前を向いて立ち続けてみせます
それが隣の彼への信頼。何も出来ない自分でも
少しでも力になれるのだと信じたい
大丈夫。進みましょう。私が切り開いてみせるから
自身にも言い聞かせるように唱えて
ゆっくりでもいいから、一緒に、後からついてきて
耐えているだけでは勝機はないかもしれない
機を見て駆けます
【覚悟】をみせる!弾かれるものですか!
ふたり分の一槍、喰らいなさい!
あまりにも度を越えた災厄を前にした人間というものは、まず動けなくなる。
脳の処理能力がパンクし、「何をすればいいか」がわからなくなってしまうのだ。
驚愕と恐怖、そして緊張という感情は極めて近いところにある。
まずそうした状況の中で動けるかどうかで、戦士になれるかどうかが決まる。
その点において、三咲・織愛は間違いなく戦士となるだけの器を持っていた。
どのような強大な敵が相手だろうと、彼女が臆することはない。
少なくともそんなマネは、ヨハン・グレインには不可能だ……。
けれど戦いに赴く前、織愛はぽつりと言ったのだ。
――不安はあります。けれど、いつも乗り越えてきたんですよ。
愛槍であり、かけがえのない相棒でもある竜ノクティスを抱いて、彼女は笑った。
その柄を握りしめれば、いつだって、どんな相手だって力が湧いてきた。
だからどんな敵にも挑んでこれたのだと、彼女は言った。
――けれど、今は……信じて、任せますからね。
だが、それだけではない。
織愛にはいつだって、信頼に値する仲間がいてくれたのだ。
ヨハンはそのまっすぐな瞳を、見返すことが出来なかった。
深く重い影を背負ったヨハンにとっては、目が灼かれるほどに眩しかったから。
●望みを失わせぬために
『『『……よく耐えるものだ』』』
二度のブレス放射を浴びてなお耐えるふたりを見下ろし、
帝竜ヴァルギリオスは忌々しげな、しかし感服したような声音を漏らした。
『『『余の吐息は世界を破滅させる力。それをたかが小僧と小娘がこうまで耐える。
見上げたものよ。一体何がそうさせる、義務感か? 欲望か』』』
「……別に、死にに来たわけでも大義を背負ってきたわけでもない」
あちこちがボロボロになったヨハンは、メガネを掛け直しつつ言った。
「本当なら俺は、こんなところにだって来たくなかった」
「ヨハンくん……」
「ですが」
同じく傷つきながら、いまだ力強い瞳の輝きを持つ織愛をちらりと見やる。
「……引き止められるだけの言葉を持たないですし、俺は――」
……前に、進みたいんですよ。
続けてこぼれたその言葉に、織愛は目を見開いた。
「もう一度、いけますね? 織愛さん」
「…………もちろんですっ!!」
織愛はこくりとうなずき、眦を決して強く強くヴァルギリオスを睨んだ。
『『『よい目をする。余を滅ぼした勇者どもによく似た、その輝き。
それこそまさに余の好敵手たる者の目よ……今度こそ滅ぼしてやろう!!』』』
三度目のブレスが来る!
織愛は身をすくませるほどの覚悟を宿し、身構えた。
ヨハンもまたまっすぐに竜を睨む――それしか彼には、出来ないのだ。
己は才知に欠け、死物狂いであがいてもこの手から多くのものをこぼしてしまう。
ならばその闇を、敵を、恐るべきものをただ見続けるしかない。
そうしてあがいてきた。そして一度は立ち止まってしまった。
……けれども、今は。
前に進むために。
この敵を打ち砕くために!
「望みを、失わせたりなんて、しない……ッ!」
闇が障壁を練り上げた。八属性をまとめたブレスの前にはあまりにもか細い。
エネルギーの残滓は彼らの身を灼く。だが倒れはしない!
『『『なおも耐えるか……ぬうっ!?』』』
そして! 障壁はブレスのエネルギーすら飲み込み、巨大な影の拘束具となった!
粘つく影はぐるりとヴァルギリオスの体を取り込み、縛り付ける!
「帝竜ヴァルギリオス! ――私たちふたりの覚悟を込めた、この一槍!
その身で、その鱗で! その命で――喰らいなさいッ!!!」
織愛は踏み込み、全力を以てノクティスを投擲した。
星のように大気を切り裂き、覚悟の一槍が……竜の体を、杭めいて貫く!
『『『がはァッ……!! こ、この、力強さ、まさしく……!!』』』
ヴァルギリオスはなおも立ち続けるふたりの姿に、勇者のシルエットを重ねた。
それこそは、竜が幾度目かの滅びに追い詰められつつあることの証左だった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
サン・ダイヤモンド
【森】
大切な僕達の世界
ううん、僕達だけじゃない
かつてその命を燃やし戦った勇者達の想いを知った
繋がってる
皆の想いが『今』ここにある
この地を満たす精霊達よ
僕達の、君達の、皆の世界を護る為
力を貸して!
全力魔法
光には闇を、闇には光を
帝竜の全属性に抗い喰らう全属性の精霊の力(属性攻撃)と破魔の祈り籠めた『オーラ防御』を
ブラッドを護り、ブレスにぶつけるよう放出
僕は揺らがない、倒れない
彼を信じてる
ブラッドは、僕と生きると誓ったんだ!
リミッター解除、限界突破の全力魔法、僕の全てを賭けて
ブラッドが放つ全属性ブレスを鮮やかに彩るは彼の瞳と同じ彩
彼とこの世界への愛籠め共に放つ【愛】の【嵐】
全てを破壊なんてさせない!
ブラッド・ブラック
【森】
命を捨てるつもりだった
そんな俺を、何処にも居場所の無かった俺を呼び込んだ世界が此処だ
此処でサンと出逢い倖せを知った
抱え切れないほどの想い出に溢れた愛おしい世界
世界よ、ひとつ恩返しをさせてくれ
必ず護ってみせる
(かばう、武器受け、限界突破)
俺にできる事はこの躰を使う事
サンを背に庇い、力合わせ共に帝竜のブレスを受け止める
たとえ武器が砕けようともこの身が引き裂かれようとも
死んでなるものか、手放すものか
誓ったのだ
俺は絶対に!!お前を独りに等しない!!!
【柔軟な泥】(大食い、生命力吸収、カウンター)
帝竜の力喰らい己を再生
借用した全属性ブレスに自身の熱き誓いと魂
そしてサンの愛を乗せ
拳振り抜き帝竜へ放つ
●僕らはそれを愛と呼ぶ
帝竜ヴァルギリオスを滅ぼすため、数千以上の勇者が命を落とした。
しかしそれでもなお、ヴァルギリオスを完全に滅することは出来なかった。
復活したヴァルギリオスを倒すため、霊魂となった勇者たちは遺志を託した。
……あの女勇者は言っていた。すべては、愛なのだと。
世界を守るのも、恐るべき竜を倒すのも、すべて愛の力があらばこそなのだと。
愛する者とともに戦い、愛する者のために命を振り絞る。
その意志があれば、どこまでだって行けるはずだと――。
「この地を満たす精霊たちよ!」
サン・ダイヤモンドは声を張り上げた。……応える声はない。
世界樹イルミンスールはヴァルギリオスの支配下にある。
森羅万象にしろしめす精霊たちも、応えることはない。
「僕たちはこの世界を守りたい」
『『『その呼びかけは無意味なり。ここにもはや精霊の諸力はなし。
我が力によって滅びよ、勇ましき好敵手よ。さらば!!』』』
「――させるものか」
ヴァルギリオスの眼前にブラッド・ブラックが滑り込み、形を変えた。
その身を文字通り盾として、天地を砕くほどのブレスを受け止める。
しかし、あまりにも無謀だ。
たとえ彼が、自在に姿かたちを変えられるブラックタールだとしても、
八つの属性を束ねたブレスはあまりにも強大で、そして抗いがたい。
ブラッドの身体は端から形象崩壊を起こし、分裂どころか原子レベルで消滅する。
全身を呑まれれば、待っているのは死ですらない……完全な滅殺だ。
魂すらも遺さぬ完全な無。ブラッドよ、君は虚無すらも恐れぬというのか!?
「……俺は、命を棄てるつもりだった」
膨大なエネルギーをたったひとりで受け止めながら、ブラッドは言った。
「そんな俺を、どこにも居場所のないひとりぼっちだった孤独な俺を、
サンは幸せにしてくれた。――この世界に来れたからこそ、出会えたのだ」
脳裏を一瞬でよぎる幸福な記憶。
それを抱いて虚無へと堕ちるというのならば、恐ろしくはない。
そう、自分が死ぬことは恐ろしくない――けれども。
そのあとに彼ひとりが遺されてしまうことは、とてもとても恐ろしい。
再びひとりになって/させてしまうことは、死よりも怖かった。
「俺はこの世界がいとおしい。俺とサンを出会わせてくれたこの世界が!
――だから、帝竜よ。俺は退かぬ。たとえ無に還るかもしれなくとも!!」
『『『他者のために魂をも賭けて闘うか。余は知っているぞ。
汝のようなものこそが勇者となり得ることを。だが、しかし!!
余はオブリビオン・フォーミュラ。それをすら滅ぼす者である!!』』』
「――精霊たちよ」
ブラッドの身体に守られながら、サンは言った。
「僕らは、君たちの世界を守りたい。僕らの、みんなの世界を護りたいんだ!
だから――どうか声を聞いて。僕らの声を! そして、力を貸して……!!」
声が届くはずはなかった。
この地は帝竜のものであり、諸精霊すらも屈服していた。
……はず、だった。しかし溢れ出た力は、たしかに精霊の御業だった。
『『『バカな!? ヒトの子の祈りが、眠りし精霊どもを呼び起こしたとでも!?』』』
「……違うよ、ヴァルギリオス」
数多の輝きに照らされながら、サンはきっ、と強い瞳で帝竜を見上げた。
「僕ひとりがすごいんじゃない。ブラッドがいてくれたからこそなんだ。
……でも、それだけじゃない。ここまでこれたのは、僕らだけじゃなくて」
「……お前を滅ぼすために戦った勇者たち、そしてこの世界で生きる者たち。
お前が滅ぼそうとするすべての者が、この世界を守ろうとしているのだ」
『『『猟兵……!! 世界に愛されし者、生命の体現者……!
なおも余の道を阻まんとするか。何故だ。何故、余は抗えぬ!?』』』
精霊の輝きは崩壊しかかっていたブラッドを守り、ブレスを押しのけた。
サンとブラッドは視線をかわす。そして頷きあった。
「僕は、ブラッドとともに生きるんだ」
「俺は、決してサンを独りにしないと誓った」
「「これは、愛の力だ……!!」」
万色の輝きが八色の破滅を押し返す! ブラッドが人型を取り戻した!
精霊の、そしてブレスから得た力、何よりも互いの想いをその拳に乗せる。
「すべてを破壊なんてさせない――ブラッド、僕の力を君に分けるよ!」
「ああ。見ていてくれ、俺は、すべてを護ってみせる……!!」
熱き誓いと愛の力を込めた拳が、天をも貫くかの如き勢いで竜を殴り飛ばした!
山の如き巨体をも吹き飛ばし、大地に伏せさせるほどの強大な力!
『『『オオオオオオ……!!』』』
竜は震え、弾かれ、そしておののいた。
己を一度は殺した勇者どもの力をすら超える、その想いの熱さを。
己では決して辿り着けぬ、明日を求めるその気高き心の力を……!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
薄荷・千夜子
【翠】
隙のない強敵ですがどのように立ち回りましょうか
…分かりました、アヤネさんの手に乗りましょう
アヤネさんが詠唱完了するまでは私にお任せ下さい
自身とアヤネさんを庇うようにブレス攻撃に合わせて『花奏絵巻』で何重にも花嵐の盾を重ねて【全力魔法】【多重詠唱】【オーラ防御】【破魔】での攻撃軽減を試みます
アヤネさんの詠唱完了まで花盾を破られようとも【激痛耐性】で耐え、何度でも花盾を展開
繰り返す攻撃を【見切り】UC発動
かつての勇者たちの祈りとともに何度でも咲き誇ってみせましょう!
アヤネさん!
詠唱後、倒れ込んだ彼女を支えて守るようにUDCの攻撃が止まるまで花盾で守り続けましょう
アヤネ・ラグランジェ
【翠】
これは普通にやっても勝てないネ
と苦笑
内心は焦りを感じつつ
奥の手を使うしかないネ
発動すると大抵悪い結果を招く代物だけどこの相手には使えるはず
勝機は二つ
敵の攻撃で僕が死にかければ
UDCは宿主を殺そうとする者を攻撃する
敵は様々な防御を備えているけど
それらは強力であるが故に秩序立っている
秩序を破壊するUDCならこの敵をカウンターで倒せる
チヨコは危ないので僕にくっついてて
護りは任せた
詠唱開始
走査開始
第一から第四封印まで解放
対象を人類の敵と認定
敵の攻撃は呪詛耐性毒耐性で耐える
膝をつこうが
血を吐こうが
意識さえ途切れなければいい
ロザリオの最後の結び目を手繰る
喰らい尽くせ、赫い爪!
詠唱を終えて崩れ落ちる
●人類の敵の敵
グリモア猟兵から強い警告を受け覚悟していたとは言え、
実際に転移し山のような威容を前にすれば、それすらも不足と思い知らされる。
決して、薄荷・千夜子とアヤネ・ラグランジェに油断はなかった。
しかし――帝竜ヴァルギリオスの放つ、あまりにも強大なプレッシャーは、
ふたりが想定していたいかなる強敵をも超えるほどだったのである。
「……これは、普通にやっても勝てないネ」
苦笑交じりに冗談めかすアヤネだが、こめかみに一筋汗が伝っているのを、
千夜子は見逃さなかった――しかし此の場で指摘するようなことはしない。
彼女の焦りはもっともだ。自分だって、震え上がりそうなくらいに恐ろしい。
それをわざわざ指摘して何になろう? 自分と彼女はこれから命を預け合い、
他ならぬあのヴァルギリオスを滅ぼすために闘うというのに。
……他愛もない考えは、目の前の現実から逃避したいことの現れか。
存外に情けない己の深層意識に苦笑を浮かべ、千夜子はアヤネの眼を見た。
「ですが、手はあります。アヤネさんがいてくれるんですから」
「期待が重いネ。だがまあ……それに沿えるだけの"奥の手"は用意してあるヨ」
奥の手。
アヤネにしては妙に持って回ったような言い回しだ。
それはつまり、"奥の手"やらが、一筋縄では発動できないものということ。
あるいは――彼女自身かその味方に、極めて重いリスクを要求するものか。
「……わかりました。なら、アヤネさんの"奥の手"に賭けましょう」
しかし千夜子は詳しく問うことなく、一も二もなく頷いた。
「いいのかい? 提案した僕が言うのもなんだけど、あれはたいてい悪い結果を」
「言ったじゃないですか」
千夜子はくすりと笑った。
「アヤネさんがいるから、私はいま戦えるんですよ。信じています」
「……本当に、重い期待だネ」
言葉と裏腹に、アヤネもまた同じように笑っていた。
竜を前にした緊張とこわばりは、もうどこにもなかった。
しかし、ヴァルギリオスはわざわざ奥の手の発動など待ってはくれない。
『『『いかなる企みを図っているのか、そんなことはどうでもよい。
余こそは帝竜! この力を以て、その企みもろとも叩き潰してくれる!!』』』
ごろごろと雷鳴じみた大音声で叫び、恐るべきブレスを解き放ったのだ!
「護りは任せた!」
「はい! 私の後ろに……っ!」
千夜子はアヤネをかばうように立ち、花の嵐を幾重にも展開した。
渦を巻く円錐状の竜巻じみたそれは、放射されたブレスを受け止めかき乱す。
たとえるならそれは、ものすごい風速で吹き付けられる風を、
それ以上の速度で回転するミキサーで受け止め、かき混ぜるようなもの。
一枚一枚に霊力を宿した花の嵐の盾は……しかし!
「ぐ、うううう……っ!!」
「チヨコ……!」
幾層に展開してなお、その威力のすべてを減衰しきれなかった。
盾を抜けて迸るエネルギーに身を裂かれながら、千夜子は笑う。
「大丈夫です……! 戦っているのは、私だけじゃない……!」
アヤネはもちろん、此の地に集った他の多くの猟兵たちもそうだ。
しかし、この大陸には、その生命を誰かのために散らした勇者たちがいた。
この短くも長い戦いの中で交わした、その遺志に報いるためにも。
ここで負けるわけにはいかない。千夜子は己を強いて耐える!
花はいつか散るもの。けれども散った花は、新たな種を芽吹かせる。
その輪廻すら破壊する世界の敵に、敗けられないのだ!
「――そうだネ。世界の、いや、人類の敵が相手ならば」
走査開始。
第一から第四封印までを解放、続けて第五封印解放開始。
対象の名はヴァルギリオス――否、"人類の敵(パブリック・エネミー)"。
「わがロザリオにて第十二封印、解放――暴走許可!!」
ぶちり、と音を立てて、ロザリオの結び目が引きちぎられた。
千夜子が抑えきれなかったエネルギーが、アヤネの身をも斬り裂く。
衝撃波に吹き飛ばされ、大地を転がり、血まみれになりながら立ち上がる。
その口元は、不敵に笑っていた。
「――喰らい尽くせ、赫い爪(レッドキャップ)!!」
ぞわりと、無数の"赤い爪"が溢れた。
それは世界を侵すもの。正体不明、結果さえもわからぬ対世界汚染兵器。
『『『これは……!? 余と同じ、オブリビオンの力を使役するか……ッ!!』』』
「いいや、違うよ帝竜――それは、"人類の敵の敵"さ」
無数の爪は竜の身を切り裂き、引き剥がし、そして汚染する!
邪竜は絶叫した。千夜子は盾の展開すらも忘れ、呆けたようにそれを見た。
「……すごい……」
「あとは、あれらがやってくれるは、ず……」
「アヤネさんっ!?」
ふらりと崩れ落ちたその体を抱きかかえ、千夜子は竜を見上げた。
世界をも引き裂く爪は、恐るべき竜を紙くずのように蹂躙する。
それはまさしく、"世界の味方"ではなく"敵の敵"だった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
バンリ・ガリャンテ
【nostalgia】
【POW】
触れれば死に体、打つ手の尽くが跳ね返されるなら。
皆さんが大好きで勝利を信じてるってだけの強みを、
より己自身に確信させる事であなたに手向かうぜ。
あなたが肉体を強化し防護する対角で
これまで皆さんと越えた戦場を思い出し笑顔を思い出し、
勝利のイメージを固く固く結ぶ。
貴様が最強の血肉と力を誇ったとしても
たったこれっぽっちの俺達が互いを信じ合う心こそ。
それを凌ぐんだ。
勝とう。
そう声を掛ければあらん限りに戦う皆さんだから。
「HERE WITH ME」を歌うよ。
迷わぬ心を力とする歌を。
無敵ってのは踏みとどまって死なず、諦めねぇって事だ。
立ち続けろ。挑み続けろ。
俺も共にいくから。
龍泉寺・雷華
【nostalgia】
8の属性を操る始原の竜━━まさに我が前に立つに相応しい強者と見ました
なるほど確かに正面から相対すれば苦戦は必至、されど私には信の置ける盟友たちがいます!
まずは我が魔力を魔術障壁(オーラ防御)と化し、仲間を猛攻から守護しましょう
それぞれの技を発動するまで、僅かな時間稼ぎにでもなれば十二分!
術の準備が整えば後はこちらの手番です
残る全魔力を集中し、【多重魔術・連魔唱】を発動!
炎水土氷雷光闇毒━━敵の操るもの同じ、あらゆる属性の魔術詠唱を重ねられるだけ重ね、敵に隙が生まれた瞬間に叩き込みますッ!
二撃目は不要、我が魔術が究極たる所以をお見せしましょう!
ネロ・バロック
【nostalgia】
相手にとって不足なしだ!
先制は武器受けでアタッカーを庇う
猛攻と呼ぶに相応しいけどよ…
見切りで被害を最小限に抑え激痛耐性と覚悟で耐えてやらァ
エルザが敵の注意を引いて機会を作ってくれるんだ
俺もトゥールたちに必殺の好機を生んでやらなきゃな
陽動の間に目立たずに暗殺で近づきバンリ、メノンと連携しながら
敵の分厚い装甲を鎧砕き・鎧無視でぶち抜く!
雷華!トゥール!ここを狙え!
斬りかかりながら業剣で敵の動きを封じにいくぜ
コイツは最大級の業の深さがだろうから多少は縛れるはずだ…
捨て身でチャンスを作ってやる
傲慢対決といこうじゃねェか、帝竜さんよ!
俺にサポートさせてんだ……キッチリ決めんだぞ!
エルザ・メレディウス
★ノスタルジア
■WIZ
...囮として派手に動いて皆様が十分に戦えるよう時間を
戦闘開始と同時に、UC発動
【集団戦術】を使用して、素早く整列して、その後、迅速に行動致します
兵士の内
・40体はネロ君たちの護衛として、いざという時の盾として戦って貰います
・残りの360体は私と共に大胆に正面からヴァルギリオスの元へ。相手の攻撃をこちらへ【誘惑】致します
★召喚した兵士は、防御をメインに。
敵に近づいたら【槍投げ】を。威力は低くても少しでも相手を惹きつけられるように
【地形の活用】も利用。障害物を利用して、少しでも長い間、相手の攻撃をやり過ごせるように
...私は囮
ネロ君、みなさん、あとは...お任せしました
トゥール・ビヨン
nostalgiaのみんなと最後の決戦に望むよ
パンデュールに搭乗し操縦して戦う
エルザさん、バンリさん、龍泉寺さん、メノンさん、ネロ団長
ありがとう、みんなが作ってくれたチャンス決して無駄にはしない!
ヴァルギリオスの様子を注視、みんなの攻撃でバリアが弱まる一瞬を見切りワイヤーを射出
みんなが作ってくれた隙に乗じフォースドライブ・コード・クレイモアを叩き込む
毒のバリアも火のバリアも氷のバリアも関係ない
最大出力の大光剣によるなぎ払いと二回攻撃で帝竜ヴァルギリオスの首を落とす!
攻撃後はパンデュールの稼働が停止するけど、関係ない
みんなの想いを背負って勇気を胸に立ち向かおう
これが仲間と想いの力だ!
アドリブ歓迎
メノン・メルヴォルド
【nostalgia】で参加
この戦いを通して判った事があるの
それは信頼と絆
皆と一緒だと力が湧いてくるのよ
それに、ね
8つの属性を操る竜に挑めるなんて…最高だね
一瞬似つかわしくない笑みが零れる
エリザさんの動きに注視しながら
雷華ちゃんの展開するオーラ防御が鳴動しているような気さえする
陽動の隙にネロくんを追いかけ、握るロッドに魔力を込めて
――戦場に朗々と歌声が響く
うん、ワタシ達ならきっと成し遂げられるはずだから!
絶対に勝つのよ!
《全力魔法》《範囲攻撃》で一点に絞り、土属性で渦を巻き起こして《連続攻撃》
ネロくんに連携して礫のようにぶち当てる
トゥールくん!
最後の一撃を放つ姿を見つめ
想いを託すの、光を信じて
●誰ひとりとて欠けることなく
「……そんなっ!?」
エルザ・メレディウスのあげた声は、ほとんど悲鳴と言ってよかった。
無理もないだろう。彼女が召喚した軍団(レギオン)は精強無比。
まさしく一騎当千、万夫不当の戦士たち――"だった"。
都合400体の軍団は、しかし最悪の場合に備えて遺された40体を除き、
ヴァルギリオスが怒りとともに放射したブレスによって薙ぎ払われたのだ。
『『『笑止!! かりそめの軍団を召し上げて、それで余を誑かせると思ったか。
甘い、甘いぞ猟兵!! 竜を前に万軍も用意せずぬかるとは!!』』』
竜の憤激は、己が好敵手と認めた者らの不足への怒りもあった。
しかしそれは傲慢というものだ……エルザの対策は十分なものだったのだから。
ただそれ以上に、純粋なまでにヴァルギリオスが強大すぎただけである。
とはいえ、かくも傲慢ならばこそ、帝竜などと嘯けるのでもあるが。
「帝竜、ヴァルギリオス……! よくも、私の仲間たちを……!」
『『『女よ、憤るか。ならばいかにする、その身ひとつで余に挑むか?
それとも、汝と汝の兵士らが命を賭してこの眼から逸らそうとした、
あの小僧どもとともに挑むか。その憤懣に免じ、選ばせてやろう』』』
「……!!」
――読まれている。
ネロ・バロックらの攻撃の好機を作るため、自らが囮となる。
それがエルザの役割であり、彼女の犠牲を以て作戦は成り立つはずだった。
竜はそれすらも見越した上で、力の差をあえて見せつけたのである。
「野郎、言ってくれるじゃねえか……!!」
「だ、ダメなの! ここで前に出たら、せっかくの作戦が!」
勇んで踏み出そうとしたネロを、メノン・メルヴォルドの声が留めた。
「ンなこと言ったってよ、全部お見通しなのに作戦もクソもあるかよ!!」
「……いや、やりようはあると思うぜネロさん」
バンリ・ガリャンテは片目を瞑ったまま、不思議と落ち着いた声で言った。
「敵はこっちの手の内を見透かしている――だからこそ、やれることはあるさ」
「そうですよ! 私たちが力を合わせればドラゴンなんて怖くないです!」
「……そうだね、なんとなくわかるよ。バンリさんの言ってること」
相変わらず前向きな龍泉寺・雷華のつぶやきに、トゥール・ビヨンが同調した。
「相手が手の内を見透かしているなら、逆に搦手を使われることもない。
当初のプラン通り、ボクらはやれることをやろう! エルザさんもきっと――」
……トゥールの言葉を示すように、エルザはきっとドラゴンを睨んだ。
「まずは私が相手です。ヴァルギリオス!!」
『『『……よくぞ吠えた。ならばその意志に免じ、苦しみなき死をやろう。
余の手にかかることを幸福と思え、女。仲間もろとも殺してくれる!!』』』
オオオオオオオ――!!
八つの首が咆哮を上げ、その身に宿した八つの魔力を解き放った。
まずはその身を鎧う、三層の多重強固結界として。
それは触れれば死、かつ脅威的なまでに堅固な城壁にして障壁。
そして同時に、ヴァルギリオスのあらゆる攻撃を強化する矛でもある!
続けざま八方をてんでばらばらに睨んだ竜の首が、恐るべきブレスを放射!
言葉通り、全員もろとも焼き払い凍りつかせ滅殺しようとする――が!
「わが兵士たちよ! ケントゥリオのもとに、集え!!」
エルザは再び軍旗を掲げ、無謀にも再度の古代兵士召喚を試みた。
危険だ。ユーベルコードは大規模になればなるほど、発動には一手を要する。
ましてやこれほどの強敵を前にして、術式発動を優先するのは……!
「エルザ!!」
「ネロさん! 黙って見てる暇はないぜ!」
バンリの言葉に我に返り、ネロはもはや振り仰がず全力疾走した。
ブレスは彼らをも襲う。その殿となるのは四十体の兵士たち!
さらに雷華が全力で魔術障壁を展開し、迸るブレスを防ぐ……が!
「ぐ、ぅ……!? 我が魔力をも、貫通するとは……!」
「雷華ちゃん!?」
障壁はばちばちと切れかけの電灯めいて明滅し、そして爆ぜ跳んだ。
炸裂したエネルギーが衝撃波のように炸裂し、メノンと雷華を吹き飛ばす!
「あう……っ、こ、こんなところで、敗けられないのっ!!」
メノンはとっさにロッドを振るい、眠れる精霊を半ば無理やり起こしつけた。
大地の精霊が隆起し、巨大な盾めいて仲間たちを守る。
しかしほぼ暴走状態の隆起は、もはやメノンにすら制御できない。
あちこちの大地が隆起し、彼らは完全に分断状態となってしまった……!
『パンデュール! 油断するなよ、捉えられたら終わりだ!』
ただひとり分断を逃れたのは、その出力で空へ逃れたトゥールのみ。
彼は冷静に眼下を注視する。戦場の中央には山めいてそびえるヴァルギリオス。
その眼前に立ち、兵士を指揮し鼓舞するのはエルザだ。
ブレス攻撃と強烈な竜の爪は大地とその身を抉り、無惨な有様だった。
立っていられるのが不思議なほどの傷でなお、しかし彼女は旗を手放さぬ。
両足を杭で打ち付け地面に縫い止めたかのように、けして倒れない!
『『『女よ、先程の言葉は訂正してやろう! ――その覚悟、見事なり。
余を前にこれほどまでに耐え凌ぐ、勇者にすら為し得なかったことぞ!』』』
「……あなたに褒められたくて、ここにいるのではありません」
気を抜けば膝をついてしまいそうな状態で、エルザは朦朧としながら言った。
「私はネロ君たちと――みんなと共に戦っているのです!」
『『『は!! それこそがヒトの恐ろしさよな! ゆえに!!』』』
八方向を警戒していた竜の瞳が、一斉にエルザを捉えた。
いかに気丈な彼女とて、その凝視の前には棒立ちにならざるを得なかった。
『『『――今度こそ、全力を以て汝のみを叩きのめそう。栄誉に浴せ』』』
――防ぎきれない。
いま遺された兵士たちすべてが全力を振り絞ったとしても、
今度こそ自分は骨さえ遺さずに消え去るだろう。一巻の終わりだ。
しかしエルザは閉じそうになる瞼を大きく見開き、胸を張って言った。
「やってごらんなさい! 私は――そのためにここに残った将です!」
トゥールは瞬時の状況判断を迫られた。エルザを救助すべきか?
……否、自分の仕事は総仕上げだ。彼女の意志を汲み、全出力を収束!
『ネロ団長なら、みんななら――やってくれるはずだ!!』
はたして祈りめいたその言葉は、すぐに現実となった。
隆起していた大地の壁がめきめきと音を立てて罅割れると、
崩れたそれらは空中に浮かび上がり、竜をも飲み込む大渦となったのだ!
「これ以上、好き勝手はさせないの……絶対に、絶対絶対勝つのよっ!!」
メノンだ! 暴走状態にあった大地の精霊を調伏、強引に制御を得た!
彼女は意識を失うほどの魔力を注ぎ込み、土の渦を生み出した。
そしてブレスを放とうとした巨竜めがけ勢いよく叩き込む!
バチ、バチバチバチバチバチ……!!
積層結界と渦が撃ち合い、恐るべき電光を撒き散らした。
「まだ、まだなのよ……! ここで、倒れたら……っ」
メノンはしかし、もはやエネルギーの奔流によるダメージに耐えきれず、
ついに膝を突きかけた――しかし誰かが、その背を支えた。
「……バンリ、ちゃん?」
呆けたように見上げるメノンを見下ろして、少女はくすりと微笑む。
そして大きく大きく息を吸い、高らかな戦歌を口ずさんだのだ。
……歌。
それはなんの力も持たない、戦えぬものの祈りめいた悪あがき。
どんな生物を殺すことも出来ず、
どんな物体を壊すことも出来ない。
何も変えられず、
何も生み出せず、
何も守れない。
ただ力なき、祈りにも似た無力な行い。
だが。
「――勝とう」
歌は……祈りは、人々の心を奮い立たせる。
「誰一人欠けることなく、ともに帰ろう」
どんな暗闇にあっても、勇気という名の光をもたらす。
「だって私には――みんなには、みんなが必要なんだから」
無敵とは、決して膝を突かぬことでも傷を負わないことでもない。
膝を突こうと、傷つこうと、時には諦めてしまったとしても。
そのまま朽ちることなく、歯を食いしばって立ち上がる者のことを言う。
たとえ百万回敗北したとしても、再び立ち上がれば真の敗北ではない。
「立ち上がれ。――立ち続けろ。挑み続けろ! 俺もともに行くさ!!」
エルザの身体に、メノンの心に、他ならぬバンリ自身の胸に。
共 に 皆 で
「――Here With Me!!」
「……そうだよなァ」
ボロボロになりながら、それでもネロは立ち上がった。
「このネロ様としたことがよォ! どうにも鈍っちまったなァ!!」
かつて自由を掴んだ頃と同じように、野獣めいて獰猛に笑う。
しかし彼はひとりではない。ただ自分だけのために闘うのではない。
「傲慢対決といこうじゃねェか、帝竜さんよッ!!」
あとに続く仲間の道を切り拓くため、その剣を振るうのだ!!
『『『小僧!! 余に並び立つと嘯くか!!』』』
「冗談だと思うか? 出来るぜ!! この剣がありゃあなァ!!」
己の身が灼かれるのも厭わず、渦とぶつかり合う結界に飛び込んだ!
魔剣が不気味に輝く。明滅せしルーンの銘は、束縛(ナウシズ)"!!
「業剣よ、野郎の欲深さを味わわせてやれェッ!!」
――ザンッ!!
名無しの魔剣は、バターのようにあっさりと竜の鱗を斬り裂いた。
その重みは業苦の重み。世界を滅ぼさんとする竜の積み上げた罪の重み。
ルーン文字の結界が、グラウプニルめいて竜を縛り上げた!
『『『ぐ、が……ッ!? 余の業苦を攻撃に転化した……だと!?
なんたる魔剣! しかし汝とて、無事ではいられまい……ッ!!』』』
然り。ネロは強大なカルマのバックファイアに臓腑を灼かれた。
血反吐を吐いて崩折れながら、しかし竜を睨みあげて、笑う。
「――いいんだよ、俺ァサポートだからなァ」
「その通り!!!」
バチバチバチバチバチ……!!
おお、見よ。同じく魔力の奔流でその身を灼かれながらも屹立する少女!
赤い電光を両手から迸らせ、雷華が巨人めいて不敵に笑った!
「魔の理は我が手の裡に、我らの絆はこの双肩に! そして――」
閉じられた左目を見開く。眩いほどに輝く魔力光!
「竜を討つ刃は我らの心に!! 連なる魔術と友の歌が奏でし破滅の協奏曲!
さあ見よ、我が瞳を! 汝の敗北を、我らの勝利を告げるこの瞳を――見よ!!」
竜は、1000分の1にも満たぬ少女の眼差しに、気圧された。
その瞳に、彼奴はたしかに己の滅びの兆しを見て取ったからだ!
「いきますよトゥールさん、タイミングを合わせてください!」
『――了解。これまで好機を築いてくれたみんなのために!!』
空。超巨大光両手剣を掲げたパンデュールが、星のように堕ちる。
地からは電光、空からは剣光。
勝利を信じて紡がれた光が、いま竜の心臓を支点に交錯する!
「……ああ」
ついに耐え抜いたエルザは、軍旗にもたれかかるように立っていた。
闇に落ちていく意識のなか、それでも彼女はたしかに見届けた。
咆哮する竜を、天地もろとも貫くその双光を。
「とても、綺麗。まるで、太陽と月がひとところにあるかのよう」
『『『オ、オオオオオオ……猟兵ァアアアアアアアッッ!!』』』
――光が、天地を割った。
暗雲めいて立ち込めていた竜の呪力が晴れる。
ぴしり、とヴァルギリオスに縦の亀裂が走り、そして……無数に砕けた。
魔力が迸る! 六人は吹き飛ばされまいと踏みとどまった!
「……っはは、勝っちまった」
バンリは呆れたような声音で言って、ネロをみやった。
剣を支えに立ち上がった団長は、己を強いて胸を張る。
そしていつものように自身に満ちた笑みを浮かべ、こう言ったのだ。
「――俺らの勝利だ、完全ッのなァ!!」
疲れ果てた仲間たちは、しかし――団長の言葉に、歓声を上げた!
恐るべき帝竜は、今ここにひとたびの滅びを見たのだ……!
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
●
勇者が、猟兵がけして倒れることなく立ち上がるならば。
余もまた立ち上がろう――そう、幾度とでも。
余と汝らは同じだ。
鏡合わせの存在、けして相容れることなきもの。
ともに世界の理から逸脱した、破壊者/守護者なのだ。
フォーリー・セビキウス
【桜蛇】
最強の竜だと。ハッ、有難いことだな全く。
首が沢山だ。さぞお前は嬉しいだろうな。
一つで良いのか?謙虚だな。
最強という割にはつまらない攻撃パターンだ。自分の強さに自信があるか。
なら、こちらは数と地の利を活かした搦手と行かせてもらう。
迷彩と目立たない、地形利用を利用して隠れ、先制攻撃は遠巻きからのスナイプで相殺する
常に移動し罠を張り巡らせながら、彼女への攻撃または隙を作れそうな場合、第六感と情報収集、知識を用いて敵の行動を予測し視力を用いたスナイパー、一斉発射で援護射撃
もしエリシャに攻撃が及びそうなら庇う
考えるまでもない、二人ともやられるより、一人を残すべきだ。お前の方が、まだ勝機はある。
千桜・エリシャ
【桜蛇】
嗚呼、心地よい圧を感じますわ…
この世界にも八岐の大蛇はいますのね
ふふ、そうね
八つも首があるのなら
一つくらい私達でいただいてしまっても構いませんわよね?
フォーリーさんを信じて駆け出して
先制攻撃は見切り高速移動で回避
鱗に覆われていない部分か
目に見えて代償を受けている部分があれば
そこへ狙って斬撃を叩き込みましょう
桜吹雪で敵の挙動をフォーリーさんにもわかりやすいよう可視化
衝撃波を放っては離れてを繰り返し
撹乱するよう動きましょう
いくら負傷しようと駆ける脚と刀を振るう腕があれば十分
好機がきたら首を斬り落としますわ
フォーリーさん!?
宿に帰ったら祝勝の宴の準備があるのですから
ちゃんと二人で帰りますわよ
●竜首断頭
「――ああ」
戦場に転移した瞬間、千桜・エリシャは胸いっぱいに空気を吸い込んだ。
……ここは、とても心地よい。
空気が澄んでいるとか、そういうありきたりな話ではない。
充満した死と血の匂い。
大地に……いや空気の原子にすらこびりついた殺気と闘志。
瞼を閉じれば、ここで戦った勇士たちの姿が目に浮かぶようだった。
実に、好い。なによりも彼女を悦ばせたのは――。
『『『……猟兵でありながら、斯様に魔物の如き相貌で笑うか、鬼の女よ。
なるほど、つくづく汝らは余に近くそしてどこまでも遠い存在らしい』』』
……息が詰まりそうな重圧を放つ、目の前の八首の帝竜であった。
ヴァルギリオス。この世界を滅ぼさんとするオブリビオンの大頭目。
討つべきフォーミュラにして、一筋縄ではいかぬ強敵!
「ハッ、ありがたいことだなまったく。なにせ八つも首があるときた。
――さぞかし嬉しいだろう? エリシャよ。顔に書いてあるぞ」
共に立つフォーリー・セビキウスのからかい言葉に、エリシャは微笑んだ。
「あら、私、首には貴賤をつけませんことよ?」
「よく言う。強敵ほどに目を輝かせる女が」
ふふ、と柳に風とばかりに受け流し、エリシャは竜を見上げた。
「ねえ、八岐大蛇さん? ひとつお願いがありますの」
しゃらり――と、刃が大気を不穏に揺らした。
「八つも首があるのですから、ひとつぐらい私たちが頂いてしまってもいいでしょう?」
女の笑みは少女めいていたが、これっぽっちも人のものではなかった。
フォーリーは嘆息し、身構える。竜の答えは――天地を揺るがすほどの咆哮!!
その背に広がりし翼は光と闇に染まり、大地を薙ぐ尾は炎に燃える!
そして金剛石の如き硬さを手に入れた鱗を武器に、竜は愚か者に襲いかかった!
……しかし。
容易い敵であるという憶測が、とんでもない見誤りであることを、
ヴァルギリオスは壮絶なる苦痛、そして屈辱とともに味わうこととなった。
彼奴に猟兵を見くびるような油断はなかった。
しかし冷静にその戦力を見た上で、彼奴は勝てると判断していたのだ。
だが見よ。恐るべき硬質の鱗は、あちこちをバターめいて斬り裂かれ、
しかしエリシャもフォーリーも、傷一つ負うことなく懐に飛び込んでいる!
地形を有効活用しての、神出鬼没のスナイプ。
それも厄介だが、一番竜を煩わせていたのはその桜吹雪であった。
戦場を包み込むこの妖しの桜が、竜の動きを逐一奴らに知らせてしまっている。
『『『おのれ……小賢しいぞ、小さきものどもッ!!』』』
ヴァルギリオスは守りを捨て、怒りとともに尾と爪を振るった。
翼の羽ばたきは乱気流を生み、邪魔な桜吹雪を吹き飛ばしてしまう。
それまで挑発するように舞っていたエリシャも、ついに攻撃に捉えられ、まず一撃。
「あら、届いてしまいましたわ! ふふ、うふふ!」
妖しの笑みを浮かべ、しかし戦意はむしろ高揚している。
竜は苛立った。その笑みを叩き潰してやろうと眼光を瞬かせた。
もはやフォーリーに構うことなく、すさまじき竜の乱舞で大地をえぐる!
二度、三度。エリシャは立て続けに攻撃を受け、あちこちから血を流す。
その痛みすらも愛おしい。そしてついに竜の爪が喉笛をえぐると見えた……その時!
「……フォーリーさん!?」
さしものエリシャも目を瞬かせた。目の前に、見知った男の背中があった。
後方待機していたフォーリーは、わざと最前線に躍り出て、
そしてエリシャをかばうように立ち、その攻撃を受け止めたのだ!
「何をなさっているのです! 今のは重傷だとしても、死ぬことは……」
「だが、お前は十全に戦えなくなるだろう」
フォーリーは膝を突きながら言った。
「――ならば、お前を残すべきだ。そのほうが勝機はある」
「まったく、もう……!」
伊達男の言葉に頬をふくらませる少女。
「宿に帰ったら祝勝の宴の準備があるんですのよ。ふたりで帰らないと!」
拗ねたように言って、同時に恐るべき首なし死者どもの怨念を解き放った。
竜は死者どもの衝撃波に気圧され、たたらを踏む!
「だから――そのぶんの代価は、首で支払っていただきますわッ!」
『『『オオオオ――!?』』』
大地をも断ち割るほどの一撃が、竜の首をひとつ、落とした。
ずどん! と大地を砕いて落下した首は、桜に解けて解けていく。
フォーリーはその隙を生んだ弓矢を新たにつがえながら、ため息をついた。
――あの竜よりも、首を落として笑う少女のほうが、よほど恐ろしい。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ロキ・バロックヒート
🌸宵戯
君が竜のボス?
八つ首なんて八岐大蛇みたい
しかも全属性とか浪漫じゃん
そうだね
手のかかる龍はそこのいっぴきでいいよ
なんてね
破壊に対抗するのは同じく破壊
世界を灼く光は破壊神としての神威
封印されたそれを少しだけでも引き出す
私の【救済】は竜も壊せるって証明してあげないとね
あぁいつか私を壊してよ
その時は君をこれと同じように壊してあげるからさ
破壊の光は撃てる限り撃つ
死霊の影で受け流し
切り込んで串刺しに
首か足一本部位破壊でもらってく
逆に手足が飛んだって怯みもしない
ただ笑ってる
これが最終決戦?
あぁとても生きてるなって思うよ
最後に誰が勝つか教えてあげようか
英雄ってやつだよね
龍も英雄になれるのか
とても楽しみ
誘名・櫻宵
🌸宵戯
最強の竜が八つ首だなんて
素敵
滾るわ嬉しいわ
倒されるばかりの八岐大蛇
今度は大蛇(私)が屠る方になれるかな
どの首から落とそうか
かみさまのちからを見せて頂戴
いつか私を壊すその力
その時は私が神を壊す
手こずってはいられぬの
余波を桜花のオーラ防ぐ
知らぬわ
どんな属性もバリアも
その理ごと断ち斬り蹂躙し尽くす
力の限り呪殺と共になぎ払い傷を抉る
呪詛を植え付けて鈍らせて
生命力吸収して傷癒し
まだ往ける
噫楽しいわ
八首の竜なんて
私だけでよい
お前は要らぬ
ロキの光、その狭間を駆け
渾身の力を込め放つ『絶華』
まだだよロキ
何度でも斬り裂き屠り喰らい壊そうか
悪も英雄もどうでも良い
私はコレを殺したい
英雄なんて
私から最も遠いわよ
●八→七→六
「あら」
戦場に参着した時、誘名・櫻宵は意外そうな声を上げた。
なにせ八首の竜と聞いていた竜のそれが、ひとつ欠けていたからだ。
「あれえ? おかしいね。最強の龍は八岐大蛇って聞いてたのにさ」
ロキ・バロックヒートは冗談めかして言ったが、櫻宵は意味ありげに笑っていた。
「うふふ、初首は持っていかれちゃったみたいねえ! でもまあ、いいわ」
彼にはわかっている――わざわざ竜の首を落としたがるような物好きは、
彼の知る限りほかにもうひとりだけ。同じように桜を纏うあの鬼の剣士。
ならばいい。彼女が先に持っていったならば、それでよしとしよう。
それに――どうやら彼女も、自分のぶんを残してくれていたようだ。
「嬉しそうな顔してるなあ。ほんと、手のかかる竜はこっちだけでいいのに」
ロキは呆れているような小馬鹿にしているような曖昧な笑みで肩をすくめ、
ぐるぐると警戒の唸りを漏らすヴァルギリオスを見上げた。
「だからさっさと滅んでくれると、俺様は嬉しいんだけどね?」
『『『……ほざけ! たとえその身が神だろうと傲るには能わず!』』』
「へえ、わかるかい? ま、どちらでもいいさ――」
ロキの瞳が不穏に輝いた。傍らに立つ櫻宵の浮かべる笑みも不気味だ。
「結界でもなんでも好きに纏えばいい。すべて破壊してあげるよ」
その傲岸不遜への応えは、7つの首の雄叫びであった。
迸る破壊の波濤を"破壊"したのは、なるほど宣言通りロキの権能であった。
事象すらも崩壊に導く破滅の輝きが、ブレスを押しのけ結界を砕く。
神は、それを"救済"とうそぶく。とんだ救済もあったものだ。
『『『ヌウウウウウ……ッ!!』』』
「……ははは。なるほど、最強の龍ね」
しかしロキの笑みは、櫻宵が知る余裕綽々のものと違っていた。
感嘆、そして一種の敬意めいたものを感じられる。拮抗がその証拠だ。
破滅の光は、ロキがそのすべての力をもしも取り戻し開放していたならば、
オブリビオン・フォーミュラとて抗いがたかっただろう。
しかし今はどうやら、七つ首の竜が少しばかり勝っているらしい。
やがて光は万色の吐息に呑まれ、迸る奔流がロキの四肢を吹き飛ばす!
「いいね。生きてる実感っていうのを、これ以上ないくらい味わえるじゃないか」
「――手足が飛んで首も持っていかれそうなのに、嬉しそうね」
櫻宵は笑うように眼を細めながらも、しかしその神の所作を見つめていた。
いつか、彼はその刃をロキの首へと届けてみせるであろう。
己が破壊される代わりに、その首を落としてみせる。
「――だからここで、あなたに手こずっているわけにはいかないのよ」
踊るような太刀は積層結界を断ち切る。呪詛がその身を灼いた。
仔細なし。目指すべき首はそこに。落とすべき獲物はそこに!
『『『なんたる剣の冴え、汝らは過去の勇者すらも超えるか!!』』』
「勇者、ねえ」
破壊された体の一部を再生しながら、ロキは嘯いた。
「なら俺様も英雄になれるかな? 楽しみだね」
「ふ、ふふふ!」
何がおかしいのか櫻宵は嗤笑し、高く高く飛び上がった。
「悪も英雄もどうでもいいわ! 私は――竜(これ)を! 殺したいのよ!!」
斬撃! 降り注ぐさまは瀑布の如く!
不可視ですらある剣閃は、なるほど首をひとつ叩き落とす!
苦痛に悶えた隙に与えられた破滅の輝きは、もう一つの首を吹き飛ばした!
「そもそも英雄なんて――私からもっとも遠いもの」
竜は畏れた。
ふたりの力を……いや。
始原たる己にすらも見通せぬ、ふたりが抱えたその闇を。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
鎧坂・灯理
鷲生殿(f05845)と
……まあ、竜としては及第点か
だからこそ、これまでにない強敵だが…退く気はない
あなたもそうでしょう、鷲生殿
必ず勝って、なによりも「生きて帰りましょう」
お互い、もう一匹狼ではないのですから
全術式一斉起動による短期限界突破 この一戦の間はもたせる!
初撃は『霊亀』と『睚眦』による軌道分析、範囲演算のち見切り、『黄龍』による短距離転移で回避!
鷲生もだ!お互い軽傷くらいは見逃す!
越えたら即時反撃、猟兵だけ除き【獄落】起動!
これで死ぬとは思わん、重傷を負わせられるともな
同時に脳にハッキング、一瞬でいい、隙を生む
やれ、鷲生ッ!
残念だったな帝王竜、貴様の前にいるのは現代の竜殺しだ
鷲生・嵯泉
鎧坂(f14037)同道
否、オブリビオンという時点で、及第点をくれてやる必要なぞあるまい
ああ、負けるは元より引く気も無い
……そうだな。必ず帰らねば
全感覚を極限まで引き上げ、第六感の集中を以って
得られる情報全てから攻撃方向を見極め、鎧坂と共有して回避
間に合わねば、なぎ払いに由る武器受けで斬り払う
多少の損傷は激痛耐性で捻じ伏せ、行動に支障はきたさせん
躱す事なぞさせると思うな――壱伐覇壊
如何な極小の隙であろうが見逃しはせん、刹那の狭間も抉じ開けてくれよう
託された意志に応えぬ訳にはゆくまい
怪力巡らせ一息に接敵、鎧砕きの蹂躙を以って
真っ向全力、切り伏せてくれる
我が刃は竜を討つ――違えられぬ願いの為に
●何かを背負う、ということ
鎧坂・灯理は竜を知る。
人の姿をした、しかしいかなる巨大な竜よりも恐るべきものを。
それを伴侶(つがい)としたのだから、人の傲慢さは留まるところを知らぬ。
ゆえに彼女はヴァルギリオスを前にして、やはり不遜にもこう言った。
「竜としては及第点、といったところだな」
――と。
帝竜は当然、その言葉に凄まじき怒気を膨れ上がらせた。
『『『最強の帝竜たる余を見くびるか。……人よ、度し難き愚かさなり!!
だが――いや、ゆえにこそ、人はときとして余すらも討ってみせるか』』』
「然り。一度死して倒れた時点で、本来ならばお前は及第点ですらあるまい」
鷲生・嵯泉もまた、神すらも恐れぬほどの傲慢さで言った。
だがヴァルギリオスは知っている。その身で味わっている。
強大なる己をも打ち砕く、人の愚かさと、それと隣り合わせの勇猛さを。
『『『余は知っている。汝ら人間は、時として他者のためにその力を振るう。
そのときこそ、余すらも予測しえぬ力を発揮する――ということをな』』』
「かつての私なら一笑に付した言葉だが」
灯理はしかし、憎むべきオブリビオンの言葉に目を細めた。
何者をも寄せ付けぬ刃のようであった頃の己は、いまはもはや彼方。
己には帰るべき家があり、添い遂げるものがいて、守るべき日常がある。
……しがらみが増えたものだと思う。自由もまた遠く離れて久しい。
どれほど傲慢に振る舞ったところで、縁はその身と心を縛るのだから。
けれどもその不自由さすらも、いまの灯理は愛していた。
それを残骸どもに好き勝手させてやるなど、絶対に御免である。
「退く気はない、と言っておこう。――あなたもそうでしょう? 鷲生殿」
水を向けられ、隻眼の男は低く唸った。
「お互いもう一匹狼ではない――必ず、"生きて帰りましょう"」
「…………ああ、そうだな」
嵯泉の胸のうちに去来した思いは、筆舌に尽くしがたい。
燃え滓のようなその身にも、今は多くのしがらみが生まれてしまった。
同類の女と同じように、不器用な笑みらしきものを浮かべてみせる。
「討たせてもらうぞ、帝竜。すでに終わったお前を、終わらせてやる」
『『『……増上慢も極まれり。しかし余はそれをこそ理解し恐れよう。
来るがいい猟兵――その大言壮語を、現実にしてみせることだ!!』』』
ごう!! と竜が吠えた。
その瞬間、その身を万色の輝きが覆い、完全竜体へと押し上げる――!
八つの元素をその身に纏いし竜の力は、まさしく絶無であった。
光と闇の翼は羽ばたくごとに竜巻じみた風を起こし、
燃え上がりながらも稲妻を纏いし尾は、大地をガラス状に溶解させる。
鱗は生半可な刃を通さず、嵯泉は十度撃ち込んで半端な斬撃を諦めた。
ふたりはいくつもの傷を帯びていたが、倒れることはなかった。
尋常ならざる灯理の演算能力と、嵯泉の壮絶なる戦闘経験の為せる技だ。
ギリギリ行動可能なレベルの傷に留め、しかし竜はいまだほぼ無傷。
消耗戦は不利。もとより長期戦を構えるつもりもなかった。
勝負は一撃にて決める。そのための好機を、必然を積み重ね引き寄せる!
「鷲生殿! 問うまでもないが聞いておくぞ。行けるな!!」
「――無論だ。この剣、願いに従い屠龍へと届かせる」
それは宣言と言うよりも、ほとんど未来予知めいた言葉であった。
竜の暴威はふたりをして一縷ほどの隙も見いだせぬほどに苛烈。
ならば"こじ開ければよい"。竜の瞳と灯理の獰猛な視線が噛み合った!
「来い、及第点! 私を殺せれば優くらいは得られるかもしれんぞ!」
『『『ほざけッッ!!』』』
大地が爆ぜるほどの暴威! 爪がその身を砕き抉り引き裂く!
翼の起こした乱気流に吹き飛ばされ、しかし灯理は哂っていた。
「だから貴様は及第点と言ったのだ、獣(けだもの)ォ!!」
獲物に食らいつく。それはいかなる動物ですら無視できぬ隙を生む。
暴威、越えたり! 同時に意志に呼応し、世界そのものが燃えた!
「影まで燃えろ。それとも耐えるか、どうだ!!」
『『『いじましきかな、余を縛らんとするか。不遜なり!!』』』
竜の咆哮は炎を払った。だが再び生まれた炎はその身を包む。
一瞬――歴戦の勇者ですら見きれぬであろうコンマゼロ秒の間隙。
竜は苦悶に呻いた。脳波伝いの捨て身のハッキング!
「捉えたぞ」
血の滴るような声で女は言った。それは首元に食らいついた狼の唸りだった。
――やれ、鷲生。
思念波が激烈な勢いで稲妻じみて降り注ぐ。その時もう剣士は動いていた。
ただ一撃。その一撃に己の命、体力、そして覚悟のすべてを込める。
回避? 防御? バカを抜かせ。我が剣は瑣末事を許さぬ。
これぞ"壱伐覇壊"。竜をも屠る必滅の剣なり!
「躱せるなどと、思うな」
光が、煌めいた。
……閃光と思われたのは、その実神速の居合であった。
静寂。……竜の巨体が、胴体からずるりとふたつに"ずれる"。
『『『…………』』』
竜は炎に呑まれていく。遺りし首が口惜しげに、感嘆をあげた。
『『『………………………見事、なり』』』
残骸は滅する。あとには何も遺らない。
着地し、意識を喪ってもおかしくない身で、灯理はしかし立った。
「散り際だけは見事と褒めておいてやる。残骸」
無骨な声音には、ある種の敬意らしきものがこもっていた。
はたしてそれは竜に向けたものか、あるいはそれを討ちし剣士にか。
女が言葉にすることはない――ただ紫煙が、風に乗って吹き抜けた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
●
勇者どもよ、見ているか。
汝らの忌々しき遺志は、いまここにそれを継ぐ者をもたらした。
余を完滅させんとする者どもを。
……これだからは、人というものは恐ろしいのだ。
佐那・千之助
気軽に界を渡られては困る
だから頑張って倒そうと思う
お相手願おう
火花のオーラ防御を纏い、黒剣を盾化
利き腕壊さぬよう左腕に構えて
可能なら竜がブレスを溜める前に突っ込む
全開で吐くな、中途半端に吐け。ごく僅かでも。
口の動きからブレスが来ると解れば横へ方向転換
攻撃を盾で斜めにいなすよう努めながら脚は緩めず
ブレスから抜ける、もしくは竜がブレスを吸う合間で
大剣化した黒剣で刻み(傷があれば抉り
返り血から生命力を得て回復+力の底上げ
死ぬ前に命を繋ぎしぶとく戦う
UC巨大な炎の矢73本で全ての目を狙う
刺すだけでなく体内まで抉る獄炎を。
私の頑張りがこれで終わると思うな
二回攻撃が叶うなら貫通した矢を収束、一番弱った首へ
尭海・有珠
頭がばらばらと面倒な
だが屠龍の、とは良い響きだな
私が死にかけた、私の師が私を庇って死んだ理由である竜等
同種の竜等殺し尽してやる
先んじてバリアを張られるのは仕方あるまい
直接接触しないよう動き、熱のバリアを砕くために冷水による≪憂戚の楔≫をぶつける
敵の攻撃は首の動きを見ながら予測し回避
バリア破壊は手数重視にするか威力重視にするかは幾度か放ってから
効率の良さそうな方を選択
完全に解除できずとも、弱まるか本来の攻撃が通りさえすれば問題ない
少なくとも私は、私が望む世界はお前の消滅を願ってる
絶対零度の氷の≪憂戚の楔≫で
牙であれ、片目であれ、首も落とせるなら
抉られようと焼かれようと私はお前相手に止まれはしない
ルーナ・ユーディコット
この戦争の大将が出てきたね
首をとってこの戦争を終わらせ……
首多くない?
敵の守りは堅牢だし厄介
何とかバリアをこじ開けられれば勝機はあるかな
選べるなら氷と土のバリアに向けて刃を突き立て、バリアにほころびを作る
鎧を無視して攻撃する要領でバリアの隙間に刃を通す
狙うは本体
身体が凍り始めるとしてもすべての苦難が身を襲うとも関係ない、決めた戦い方を貫くしかないんだ
貫通できなくてもほころびさえできれば後は剣狼の全力でその綻びを通してバリアを破壊して、本体に肉薄する
満身創痍で瀕死に至るとしても私は生きる事を諦めない
明日を迎える事を譲らない
毒に煉獄に絶対零度に体を蝕まれようと止まらない
限界を超えて輝け、私の意志
橙樹・千織
八つの属性に八つの首
この世界の八岐大蛇、か
先制攻撃のおおよその規模範囲を戦闘知識や勘を駆使して見切り、残像を残しながら移動
照準を僅かでもずらして致命傷回避を試みる
さぁ…今度は此方の番……
先制攻撃された直後に高速詠唱・全力魔法によるユーベルコードを発動
各種耐性やオーラ防御、破魔を自身に付与すれば咲き広がる朱櫻ノ紋
その首、ここで一つ私が貰い受ける
傷が増えれば、増えるほどに此方も力を得る
戦場の地形を、宙を、この場にあるもの全てを使い
私が持つ全てを使って竜を討つ
金に薄ら光る瞳で呪詛を放ち怯ませて
感覚が麻痺しようと、視界が歪もうと
本能のままに斬り付けなぎ払う
この世界でお前にくれてやるモノは何一つ無い!!
ユエイン・リュンコイス
連携アドリブ歓迎
正直に言って、どう攻略すれば良いか考えつかないけれど。
それでも、退くつもりは微塵もないよ。
敵の超強化を止める術がない以上、まずは防戦に徹する他ないね。とは言え直撃すれ大打撃は免れない。ここは回避重視で行こうか。
繰り糸を伸ばし、機人と二手に分かれて少しでも敵の狙いを分散する。ボクに狙いが向けば機人が『月墜』を、逆ならばボクが『穿月』による銃撃で注意を惹いて翻弄。敵が強化の反動を受けるまで凌ぎ切ろう
そうして隙が出来た瞬間、UCを起動。反動に拘束を重ねて動きを封じ、『焔刃煉獄』の一刀で一気に決着を狙おうか。
ボクだけでなく、数多の勇者たちに託された意志…それは竜すら焼き滅ぼす焔と化す!
祇条・結月
英雄だとか勇者だとか
そういう柄じゃない
たった一人の家族の孤独も
痛みも
本当に、頑張らないといけなかったときも、怯えてなにもしなかったただの学生
盛りも盛ったり、って感じって軽口を叩いて
この距離でもわかる力強さ
あんなバリアに触りたくないし、そもそも質量が違いすぎる
体当たりだけで死ねる
直撃を受けないように回避に専念
毒も。僕を焼く炎も各種【耐性】で堪えて
体が凍り付いて来ても【継戦能力】で、止まらずに戦いつづける
――きつい
怖い
けど、
友達がいて
居たいって場所が在って
……それから
握った銀の鍵、手放さないように鍵を繋いだ藤の鎖を支えにして
飛び込む【覚悟】、ほんの一瞬、付け入る隙を【見切り】
拳を叩きつける
泉宮・瑠碧
この世界と、故郷の森を守る為なら
私の命は惜しく無いです
…帝竜も、憎い訳では無く…
…どうか、安らかに眠れます様に
首が向く、息を吸うなりのブレスの予備動作があれば
扱えない火以外の精霊達を招きつつ
僅かでも直撃が少ない方向を
第六感と八つの首の向きで察してダッシュ
風の精霊に願い
突風を当ててブレスを散らしたり、風を纏う事で軽減を
他の精霊達へは
同属性を逸らしたり、相反属性の相殺を願い
持てる耐性も籠めてオーラ防御
耐え切れずとも
暫し、私の身体が持てば十分
杖を手に首と身体へ光輪晶壁
解け易い属性があっても
一時的に稼働首が減れば
少しでも回避や攻撃もし易い筈
破魔を乗せて全力魔法で風の槍を
攻撃が出来なければ
誰かへ託します
アルトリウス・セレスタイト
成程
尊大さは名に相応しいな
先制へは『絶理』『刻真』で
自身をこの世界の法則から切り離し無限加速
『天光』で見切ったブレスの範囲外へ逃れ攻撃の機を確保
最初は首全て此方を向いている、のならば、余地が無い訳でもあるまい
仮に無ければ自身の存在する時間をずらし影響を回避
『励起』で出力を上昇、全行程必要魔力は『超克』で世界の“外”から供給
大言を吐いた手前、猟兵一人仕留められねば何かしら感情を抱こう
少なくとも敵愾心は抱いている筈
故に自動的に条件を満たし、空理で消去
一手で仕留めるには至らぬだろうが、構わん
攻撃を受ければ更に何か感情が生じるだろう
感情を持たねば無視される故バリアも無意味。討つまで継続
※アドリブ歓迎
●屠龍の賦(うた)
竜を屠るというのは、言葉で表せるほど簡単なことではない。
しかし今日この場に至るまで、猟兵たちは幾度もそれを果たしてきた。
帝竜に限らず、再孵化された多くのオブリビオンを討ち果たして。
そしていま、最強の帝竜たるヴァルギリオスの膝下まで到達したのである。
しかし。
山のごとくにそびえる巨躯を前にして、手段すら思いつかぬ者もいた。
たとえば今まさに恐るべき竜の爪を、相棒である"黒鉄機人"とともに、
かろうじて潜り抜け命をつないだ、ユエイン・リュンコイス。
今こうしてその暴威に相対するなかでも、彼女には有効な攻略法が浮かばなかった。
たとえるなら、それは誇張ではなく山そのものだ。
スコップひとつを渡されて、「あの山を消してみろ」と言われたとする。
はたしてどうする。ひたすら麓からてっぺんまで掘って進むか?
道理の上では、それで山は消える。だが人ひとりに出来るはずもない。
ヴァルギリオスに挑むということは、そういうレベルの無謀であった。
――だが、彼女は逃げなかった。闘うことを選んで、ここにいる。
奇跡とは、ただ希うもののもとには訪れない。
いかなる艱難辛苦にも、諦めることなく挑むものにこそ訪れる。
ユエインはそれを知っている。
だからこそ彼女は、死物狂いで戦っているのだ。
一方で、凄烈なまでの憎悪を剥き出しにしている者も居た。
竜に師を奪われ、自らも命を落としかけた尭海・有珠のように。
相手の巨大さや、戦力差、勝率の多寡など問題ではない。
竜は殺す。これまでそうしてきたように、始原だろうとなんだろうと。
鉄の如きその意志は、触れることすら出来ぬ積層の結界を融かす。
しかし無事ではいられない――代償はその身をえぐる恐るべき爪だ。
ヴァルギリオスが纏う積層結界は、護りであると同時に獲物を侵す矛でもある。
熱はその身を灼き、氷が凍てつかせ、そして毒が腐らせる。
血反吐を吐き捨てながらも、しかし有珠ははっきりと竜を睨んで言った。
「殺し尽くしてやる。お前たちなど、すべて――すべて、一匹遺さず」
穏やかな彼女ならざる焦げ付いたような殺意と憎悪が、彼女を突き動かしていた。
しかし同時にその場には、憎悪ではなく鎮魂を願う女もいた。
亡き姉の面影を外套めいて纏いながら、けれども泉宮・瑠碧は心で泣いていた。
相手が過去の残骸、その存在ゆえに世界を滅ぼそうとする者であれ。
彼女は敵を害し傷つけるたびに心で涙を流し、哀しみと痛みに喘いでいた。
無論、森に住まうエルフとして、この世界は絶対に守らねばならない。
どれだけ哀れな敵であろうと、森を――人々の命を奪わせたりはしない。
けれども。それでも硝子のように透き通った心は、ひび割れ歪む。
(どうか――どうか安らかに。憎しみに囚われることなく、穏やかな眠りを)
祈りながらブレスを精霊の力で押しのけ、猟兵を守ろうとする。
哀切にまみれた心は、その痛みに呼応するかのように精霊を喚んだ。
押し殺しきれぬ魔力がその身を傷つけ焦がすとしても。
(世界を滅ぼすだなんて、もう願わなくてもいいように、どうか)
彼女は、ただただ祈り続けていたのだ。
『『『なおも耐えるか。見事なり! まさしく勇者の再来よ!!』』』
「……英雄とか勇者とか、僕はそんなガラじゃないよ」
心からの称賛を快哉めいてあげたヴァルギリオスに対して、
あちこちに擦り傷と裂傷を負った祇条・結月は、ぽつりと返した。
「……ただ僕は、あの時の後悔をもう、したくないだけなんだ」
結月の脳裏によぎるのは、未だ自分が平凡な学生だった頃の記憶。
たったひとり――同じ屋根の下で暮らす優しい家族の孤独を、
その心の痛みにも、気付いていながら何もしなかった頃の自分の愚かさ。
今でも、その記憶は褪せることなく心にわだかまっていた。
後悔はこれからも無限に続くだろう。晴れることなどもうないのだろう。
だからこそ。もう二度と、同じ過ちを繰り返さないために。
「怖いけど……負けるわけには、いかないんだ」
「そもそも帝竜よ、おぬしは勘違いしておらぬか?」
うつむく結月の隣で、佐那・千之助は言った。
「かつての勇者たちとて、義務感や名誉欲だけで戦ったわけではあるまい。
家族を遺し、あるいは恋人を守るために命を散らしたものもいるであろう」
中には、他人の好いた腫れたの話のために命を賭けた物好きまでいた。
千之助は、己が邂逅したそんな女勇者のことを思い返した。
「私たちも同じだ。勇者と呼ばれたくて戦っているわけではないのじゃ。
おぬしの敬意は、紛れもなく強敵に向けたものなのであろうよ。しかし――」
「……やっぱりどこまでも、お前はオブリビオンなんだ」
ルーナ・ユーディコットが言葉を継いだ。
「たとえ理解していても、本当の意味で私たちのことは理解できていない。
どうして私たちが未来を……明日を求めるのか、それがわからないんでしょ」
『『『……否定はすまい。余はもはや命なき身。オブリビオンなれば。
生命の体現者たちよ、汝らを余は理解し得ず、汝らもまた余を理解出来ぬ』』』
その言葉はどこか哀しげであり、皮肉めいてもいた。
ただそのクレヴァスめいた、けして埋まらぬ溝のことを思うには、
あまりにも多くの血が流れすぎたし、互いに譲るものもなかった。
「……私たちはこれまでも、お前みたいなオブリビオンを倒してきた。
これからもそうする。今もそう。生きるために、前に進むだけの話」
「そうですね――考えたって、戦いが終わるわけではないんですもの」
橙樹・千織はルーナの顔を見て穏やかに笑い、決然と敵を見上げた。
「あなたも同じでしょう? ヴァルギリオス。やめるつもりはないはず。
闇雲な称賛と敬服は、むしろかえって無礼に当たると知れ。我らは猟兵だ」
穏やかな女の言葉は、それだけに苛烈な拒絶を示していた。
「なんと言われようと――この世界に、お前にくれてやるものは何一つない!」
『『『……く、く、く。そうか、そうともよな!!』』』
ヴァルギリオスは哂った。その殺意とプレッシャーが倍近く膨れ上がる!
『『『余としたことが、この期に及んで汝らを格下と見くびっていたかよ!
些末な言葉など必要なし。全霊を以て滅ぼすが戦士への礼儀と憶えたり!!』』』
竜が息を吸う、吐き出すものは万色に染まりし破滅のブレス!!
八方を薙ぎ払うように迸る破滅の瀑布を、猟兵たちは避け、あるいは防いだ。
その身を鎧うバリアはさらに膨れ上がり、回避余地を奪っていく!
「尊大さは名に相応しいな。だがその"感情"こそが命取りだ」
アルトリウス・セレスタイトは謎めいて言い、虚空を指先でなぞった。
すると見よ、アルトリウスの指先のあとに続くように空間が引き裂ける。
だがその傷跡は、戦い続ける猟兵たちにすらも見えていない。
世界すらも断ち割る原理の術式。それが男の武器であり、根源であった。
「凪ぐがいい。お前は、その心を持つがゆえに滅びるのだ――!」
『『『ぬうっ!?』』』
見えざる波動がほとばしり、バリアを歪ませ……砕いた!
これこそは"空理"。心あるものを滅びへ導く虚無の権能!
「せいぜい耐えてみせろ、でなくばお前のそれは大言壮語に変わるぞ」
『『『余の結界を打ち砕くとは……くくく!! 見事なり!!』』』
再びのブレスを吸い上げ竜は哂った。光と闇の翼が乱気流を引き起こす!
間隙をめがけ、猟兵たちは一転反撃へと転じた!!
まず最初に動いたのは、瑠碧であった。
彼女はブレスに身を灼かれるのも厭わず、精霊の力を汲み上げ続ける。
意識を遠くアストラルの彼方へ――諸精霊と同じ座へ。
人ならざる諸世界の霊たちよ。どうか今一度力を貸し給え。
憎悪によってではなく、慈悲と憐憫によって道を開くために。
荒ぶる力に、終焉を齎すための助けとならんことを!
「其は枷にして、水晶が如き檻――」
ヴァルギリオスは、足元に生まれた光の輪を訝しんだ。
直後、積層展開された魔法陣が、戒めめいてヴァルギリオスを縛る!
『『『これは!? 精霊の束縛か!!』』』
「……必然によって世界を滅ぼそうとする獣よ。それは光輪の晶壁。
どれほどの力をもってしても、もはや拘束より逃れること能わず」
瑠碧は凛とした表情でいい、けれども声音にだけは硝子の祈りを込めた。
「……死したるその身は、永久の眠りにつくべきなのですから」
『『『ほざけぇっ!!!』』』
乙女の祈りを拒み、竜は凄まじい勢いでブレスを吐き散らかした。
しかし爪を振るうには光輪の壁が邪魔だ。そこに間隙がある!
「行くぞ黒鉄機人! 数多の勇者たちの遺志よ、今こそここに!!」
ユエインは糸を紡ぐように世界の因果律に触れ、そして遺志を汲んだ。
陰から立ち上がりしは倒れた者ども。この大陸に屍を埋めた勇者たち!
特に目を引くのは、太陽の如き黄金の後光をきらめかす聖女であった。
もはや、黄金を生み出すことしか出来なかった聖女はここにはいない。
後を継ぎし猟兵たちと、共に散った勇者たちの遺志を知り、
気高く、勇ましく、微笑みながら竜を睨めつける勇者がいた。
「……報復の祈りはここにあり! ヴァルギリオスよ、再び知るがいいさ!
お前を滅ぼすものは、人のいのちが燃やした祈りの焔なのだと!!」
勇者たちの残留思念が怒涛の勢いで攻撃を仕掛ける。
竜のブレスは空に彼方に散り、猟兵たちが進む道を作り出した!
「――その首、貰い受ける!!」
吹雪のごとき花びらを後に引き、竜巻じみた速度で千織が迫った。
何もその身を阻むことは出来ぬ。負った傷や呪詛ですら。
瞳は爛々と輝く――おお、それこそは獲物を見定めし獣の双眸!
「竜とはいつか討たれるもの。お前はもうすでに朽ちた残骸に過ぎぬ!
斯様なものに、この世界を好き勝手させる道理はなし! 今一度、散れ!!」
斬撃――鋭き薙刀は、宣言通り吐息を撒き散らす首を叩き切った!
滂沱の如き血を流し、ヴァルギリオスは吠える。苦悶の雄叫びを!
『『『おおおお……!! 猟兵、猟兵ァアアア……!!』』』
「なおも我らを睨むか、竜よ。ならば私は、その眼を貫こうぞ」
千之助の背後に七十と三つの炎が浮かび上がり、矢となって飛んだ。
狙い過たず、怒れる竜の無数にありし瞳を貫き、身を内側から灼く!
『『『ガ、アアアアアアアアアアッ!!』』』
「私の命をつないだのは、この大地に流れたすべての血じゃ。
それがいま、おぬしの体を焦がすのだよ。せいぜい味わえ」
竜は遺されし力で積層結界を編み上げようとした。
膨大な呪いと炎と氷と雷の中、まっすぐに貫くは太陽めいた輝き。
剣狼はいま、竜を睨んでいた。己が斬るべきその心の臓腑を。
「私は誰が相手でも、何があっても、明日を迎えることを譲らない。
お前たちなんかに、未来は渡さない。滅ぼさせも、しない――ッ!!」
闇を裂き、夜を超える暁光ここにあり!
一閃は空の彼方まで燃え広がり、竜の逆鱗を叩き砕く。ずるりと落ちる竜の首!
「来たれ、世界の滴。凝れよ、奔れ――」
ズズズズ……と、有珠の周囲にいくつもの"杭"が生えた。
それは世界そのものの抵抗。仇敵を討たんとする生命の牙。
"憂戚の楔(マエロル・クリス)"。世界そのものが零した涙の一滴。
「――たとえお前の過去とその存在に、どんな由があったとしても。
私はお前を認めない。お前の暴虐を許さない。お前の悪徳を受け入れない」
『『『グ……ガ、否……余は、世界を破滅させるために在りし者……!!
その時まで、余の存在が潰えることは、決してなし――!!』』』
「ならばその道理すらも貫いてやる。――堕ちろ、獣」
奔流じみた速度で杭が飛来し、竜の手足を、尾を、翼を縫い止めた。
もはや逃れられぬ。竜は満身創痍で、しかしなおも身悶えする。
破滅を! 憎悪でも殺意でもなく、必然による破滅をここに!!
「……この世界は」
結月は、跳んだ。銀の鍵を手に。鍵につないだ藤の鎖とともに。
祈るように。しがみつくように。――覚悟するために。
「友達がいるんだ。居たいと思えた場所がある世界なんだ。だから」
だから。指先に力がこもる。
怖い。
傷は痛む。
一手間違えば己は死ぬ。
――それでも!
「だから僕は逃げれない――いいや! 逃げないッ!!」
鍵で斬るのでも閉じるのでもなく、少年は拳を振り下ろした。
天地を砕く剛剣とも、悪魔をも屠る光の一撃でもない。
ただの拳。――それは、鱗を貫き、傷を抉り、心臓に届いた。
「…………さよなら、ヴァルギリオス。当たり前のように、滅べ」
『『『余が、またしても……オ、オオオ、オオオオオアアアアアアッ!!』』』
絶叫――断末魔は永く永く続いた。
それすらも潰えた時、竜の体は天を仰ぎ、そしてどうと倒れた。
血は途絶える。戦乱の喧騒は過ぎ去っていく。
傷ついた戦士たちは、ただ空を仰いだ。
歓声なき勝利。――けれども、喜びと達成感がそれぞれの胸に満ちていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
●
余は。
――最初から、敗北していたのか?
ヘンリエッタ・モリアーティ
【暴竜】
お出ましね、ラスボス
こんにちは。私もとある物語のラスボスです
手筈通りに動く。匡、準備は――できてるに決まってるか
成功させる。当たり前。
そのために、今は前に出ましょう
【世界の味方】としてね
電磁障壁で二人を守る
私自身の防御はいい。氷のブレスだけは困るから、匡に頼む
首が八本もあってかっこいいわね。まあ、こっちは量より質だけど
兄さんの攻撃準備が整うまでは走り続ける
刀を振るい、拳で殴り、首を三つもぐのが目標
死にかけても食らいつく――私に気をとられていいの?
『視られてる』
命懸けのデコイが私
残念、――知ってた?
『裏ボス』が一番強いんだよ
さあ、おいでませ――我らが兄様。
あなたの愛する世界を、取り戻せ
ニルズヘッグ・ニヴルヘイム
【暴竜】
どんなに強かろうが殺せば一緒だ
首全部持って帰ってやろうぜ
ハティの準備が整うまでは持ちこたえよう
呪詛幕と氷の障壁で軽減出来るだけはするけど、無理な分は各自で避けてくれ
第六感を駆使して、致命打と光のブレスだけは死ぬ気で避ける
他は覚悟で耐えきろう。その首を斬り落とすまで死にやせんぞ!
匡とハティの援護を背に肉薄、勇士の遺した想いを呪詛へ転化する
起動術式、【死の橋】
さァ応えろ
かの忌々しい竜の八つ首、我らが残らず刈り取ってくれる!
啖呵を切ったら有言実行といこう
全体重を乗せた重量攻撃で鎌を真っ向首に振り下ろす
妹と親友が命を懸けているんだ
悪いが、そこは退いてもらう
我らの名を覚えて、骸の海に沈むが良い
鳴宮・匡
【暴竜】
いつか、この命は尽きるべきだと思ってた
大切な人たちも、自分の居場所も
手放すと決めていたはずだった
でも、今は何一つも喪いたくない
その為に強くならなきゃいけないなら
何処までだって強くなってみせる
……ああ、行こう
攻撃の予兆を全知覚を以て感知
纏った“影”で威力を殺して受け流す
ハティを狙う氷の首と、ニルを狙う光の首は
攻撃予兆を察知した時点で狙撃
確実に攻撃を逸らすよ
初手を凌いで隙が生まれたら反撃を
受け流した威力を全て攻撃力に転化
防御は疎かになるけど、信じてるから
攻撃だけに集中するよ
狙うのは全て眼だ、どんな生物でも脆い箇所
こちらに注意を向けられても構わない
本命はこっちじゃないからな
――頼んだぜ、ニル
●竜の銘
猟兵でありながら、竜を名乗る者がいる。
ヘンリエッタ・モリアーティ。犯罪王の銘を背負いし血塗られたもの。
ニルズヘッグ・ニヴルヘイム。愛と希望を謳い邪竜たらんとするもの。
彼らは悪だ。そうあれかしと衆愚に願われ、そうあらんと自ら願(のろ)う。
呪いは彼らの友であり敵であり、
祈りも彼らの友であり敵だった。
その身は正義と慈愛を謳うにはあまりにも穢れていて、
そもそも寓話の英雄のように、希望の光に浴することは出来ない。
けれども――いや、だからこそというべきか。
どこまでも人から遠く、希望から遠く、光から遠く対極にあるからこそ。
ある意味でそれに近しい誰よりも、彼女らは光の尊さを知っていた。
"正義はかならず勝つ"と、聞いたような言葉を誰かが言う。
ならば悪はどうなる。
輝ける正義に敗北したならば、虚無へと堕ちて消え去るのか?
悪たれと、悪であると定義(おしつけ)られた者は、ただ諦めろと?
穢れた者に希望はそぐわず、何もかもを呪って生きろというのか。
否。
断じて否。
世界のすべてが肯定したとして、彼らはそれに異を唱え拒むだろう。
我らもこの世界に生まれ落ちたる生命であり、
時としてその光を誰よりも焦がれるものであり、
――ただ生きたいと願っている、どうしようもなく弱く脆いいのちなのだ。
ゆえに悪(われら)は謳おう。闇の奥より、血の底より希望を謳おう。
いかなる悪よりも昏き悪を以て闇を誅し、対偶的に希望を肯定しよう。
世界はこんなにも美/汚らしい。ああ、素晴らしきかな。
我らは生きる者として、あるがままにこの悪(せい)を謳歌しよう。
どこまでも不遜、どこまでも傲慢、どこまでも強欲。
それはまさしく竜に相応しい在り方だった。
――けれどもやはり、硝子細工のように脆く儚い、美しき穢れだった。
……己は、ああも踊るように悪を振りまき、歌うように呪いを吐けるだろうか?
鳴宮・匡は彼らを見るたびに思う。そして理解する。
どこまでいっても"人でなし"の自分に、そこまでのことは出来ないと。
影と死に彩られたこの道は、来た道も行く先も、どこまでも昏く穢れている。
輝けるような闇を放つことも出来ず、
さりとて昏い光を受け入れることも出来ぬ。
生きているようで死んでいる。あるいは、死んだように生きてきた。
この気持ちをきっと、人は羨望というのだろう。
あるいは嫉妬と――己にないものに、焦がれるようなこの思いは。
けれども。
それでいいと囁く声があった。
堕落ではなく、甘やかな終焉でもなく、それは痛切だった。
なにせそれは「前を向いて生きろ」ということだった。
どれだけ痛かろうが、
苦しかろうが、
流す涙も枯れてしまっていたとしても、
生きろと。
この地獄のような天国で、ドブのように汚れを輝かせる世界で、
血塗られた足跡を踏み続け、それを路としながら生きていけと。
何よりも辛くて苦しい道のりを、押し付けるようなものだったから。
ただ、この屍だらけの路にあるのは絶望だけではなかった。
友がいて、愛があって、仲間がいて、笑顔と喜びがあった。
……これは永劫に許されぬ選択だろう。
殺された者たちは、汝は悪なりと影の中から呻くだろう。
贖罪すらも思いつかぬ己では、屍者たちを鎮められるはずもない。
絡みついた呪いと憎悪と羨望は、海の底にも似た。
……けれども此処には、眩しいぐらいに輝けるものがある。
光が強ければ影も濃くなる。喜びは後悔と痛みを増幅する。
なのに――喪いたくないと思ってしまう。
傲慢に。
不遜にも。
罪に罪を重ねて、いつでもやめられるはずの道を歩き続ける。
許しなど、なくてもいい。いつかこの魂が永劫の業苦に、虚無に堕ちるとて。
影は呪いであり、光の実在を示す救いでもあった。
匡は竜にはなれはしない。だがそれでも構わない。
あらゆる敵を撃ち狩る死神として、影をともに編むとしよう。
●
……血が、小さな川を作り出していた。
ブレス、竜の爪、尾、翼が起こす乱気流じみた風。
飛び散る大地の飛礫、荒れ狂う雷鳴、エネルギーの残滓。
電磁障壁を、竜の鱗を、影の弾丸をも斬り裂いて。
ヴァルギリオスは、王に相応しき傲然さで傷ついた者らを見下ろした。
『『『よく耐える。汝らからは隠しようもない悪と血と呪いの匂いを感じるぞ。
光は汝らを苦しめよう。生命の歓喜は汝らに憎悪すらもたらすだろう。
それでもなお、余に相対すか。英雄としてではなく、余の敵として』』』
「……敵は殺さなきゃいけないだろ」
匡は立ち上がり、言った。
「俺は、この世界を護りたいんだ」
「私もだ。そしてやることは真逆だが、貴様とて同じだろう? 竜よ」
ニルズへッグは血反吐を吐き捨て、莞爾と笑った。
「貴様は竜であるがゆえに世界を滅ぼす。
私は邪竜であるがゆえに貴様を滅ぼす。
手段は同じ、目的は真逆。ただそれだけの話だよ、残骸」
『『『……竜を名乗るも烏滸がましき残滓めが。しかしその精神はまさしく竜よ。
破滅を願う余に比べれば、いっそ汝らのほうが不遜に過ぎるほどだ!!
悪でありながら正義をなす。その矛盾の先は破滅すらなき虚無であるぞ』』』
「ただの悪党ならそうでしょうけどもね」
ヘンリエッタはメガネをあげて、血でぬめった髪を拭う。
「私、あなたと同じで"物語の黒幕"ですので。普通じゃないことも出来るのよ。
――世界は、滅ぼすより守るほうがよほど難しい。簡単な方程式でしょ?
なら、虚無すらも乗り越えてみせます。破滅して足掻くあなたとは違うので」
『『『……く、くくく、く・く・く!』』』
竜は哂った。感服の笑みだった。
『『『惜しいな。ここで余が朽ちるにせよ、汝らが倒れるにせよ。
余は純粋に惜しい。汝らのその不撓不屈の先が見れぬのが、な。
――ああ、実に惜しいぞ。余は汝らをこそ再孵化すべきであったか』』』
否、とヴァルギリオスは言った。
『『『あるいは並び立つ者としてもよかったやもしれぬ。過ぎたことよな』』』
殺意が増幅した。それは三者をして死を予感させた。
『『『されど余に並び立つ者は必要なし。必然によって滅びよ、同類ども!!』』』
ブレスが迸る。ヘンリエッタは弾かれたように走り、首の狙いを引きつけた。
ニルズへッグと匡は死角へ――死角? 死角などどこに存在する?
竜は竜を識った。邪竜を襲ったのは光の破滅であった。
BLAMN!! 狙撃、1ナノセコンド後手を取る。
ニルズへッグは死にものぐるいで奔流を避けたが、呑まれた片足が滅びた。
匡の弾丸は1ナノセコンド後手を取ったが、1ナノミリのズレをもたらした。
それが邪龍の命を救った。ニルズへッグは快哉の笑みを浮かべる。
起動術式、"死の橋"。来たれ、我が身を蝕む死の呪いよ!
『『『見切っているぞ、残滓!!』』』
「――いいえ、あなたは一手足りてない」
光の破滅が風となった。だが邪竜は滅びなかった。
八首が女を睨む。その瞳は影に貫かれて爆ぜた。
「勝つのは私たち。だってあなた、どこまでいってもラスボス止まりだもの。
――ラスボスが裏ボスに勝てる道理はないでしょう? ほら、簡単な話」
竜の生み出した絶対の盾が、兄を護っていた。
己は光のなかにはいられない。それを悲しく思いもしない。
愛と希望を至上と謳いもすまい。"そこまで己は強くない"。
――けれども彼は違う。
「頼んだぜ、ニル」
男の言葉を背に受けて、ニルズへッグは応える代わりに羽ばたいた。
「我らの名とともに、その身その魂に刻み込み憶えておけ、残骸!」
大鎌が振り上げられた。再生した瞳で竜はそれを見た。
――己をも喰らう、竜の牙を。
「いつ、どこで、どんな世界であろうと――愛と希望は、必ず勝つのだよ」
一薙ぎ。悲鳴とともに首が堕ち、呪いが竜を蝕んだ。
どこまでいっても、その身その魂は呪われていた。
紡いだ言葉すらも、その身を侵すようだった。
――けれども凍てついた竜の心は、どこまでも晴れやかだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
壥・灰色
使えるものはなんでも使う
ヤツ自身の属性でも
対偶属性になる、炎と水、光と闇、土と雷の射線を重ねさせるべく
『衝撃』を宿した脚での鋭いステップワークで攪乱、攻撃するまでの隙を稼ぐ
所詮は付け焼き刃、狙いが何処まで当たるかも解らない
鏖殺式を起動するまでの時間が稼げればいい
起動まではほんの刹那
起動後は、ブレスの相殺を起こせていれば、相殺の起きている箇所を狙って突っ込む
握り固めた拳に『侵徹撃杭』を装填
突っ込みながら一点を狙って連射連射連射連射!!
どれだけ傷を負おうが構わない
おれに出来るのはこれただひとつ、『突っ込んで破壊する』ことだけだ
お前を砕くぞ、ヴァルギリオス
受けてみろ――壊鍵、最大稼働!
●マン・オブ・ザ・カラミティ
ドウドウドウドウッ!!
地雷が爆ぜたかのような轟音とともに大地が砕けた。
壥・灰色が神速のフットワークを刻み、大地を蹴り砕いているのだ。
残像すら生じせしめるほどのステップをもってしてすら、
傷ついたヴァルギリオスのブレスは完璧には避けきれない。
先遣の猟兵によって断ち切られた首は三つ。
残る五つのブレスは、しかしそれゆえに勢いを増していた。
『『『滅びよ――滅びよ!! ちょこまかと逃げ回るなッ!!』』』
ドウ、ドウ、ドウ!!
ジグザグに大地を刻む。巻き上がる残骸すらもヴァルギリオスを苛立たせた。
あと一歩――あと一歩押しきれぬ。この男を殺し切ることができぬ。
すでに灰色の神経は焼き切れ、撃力のたびに筋組織が悲鳴をあげていた。
流れ落ちる血が視界を赤く染める。止まらぬ。魔剣は止まらぬ!
ドウ、ドウ、ドウ!!
左、右、さらに右! 後方へのバックステップ! 炎のブレス着弾!
灰色はこれを躱すため左へ――否、逆に飛び込んだ!?
溶岩に身を浴すが如き愚行! しかし神速のステップワークはあまりに疾い。
水の首がつられてブレスを浴びせた――吐息交錯、強烈な水蒸気爆発!
『『『……余の攻撃を、誘導しているのか……!?』』』
狙いに気付いたところでもう遅い。蒸気爆発はつかの間竜の目を覆い隠した。
影がかろうじて見える。雷のブレスを浴びせ――いや待て、相殺が厄介だ。
竜に在らざる逡巡が攻撃を一手遅れさせた。灰色は超接近距離!
『『『貴様』』』
――ドウンッ!!
『『『がはッッ!!』』』
灰色の精神はどこまでも凪いでいた。
やることは変わらない。出来ることなどただひとつ。
突っ込んで、殴り、破壊する。ただそれだけ。
ただしその衝撃は、神をも砕き悪魔をも屠る巨人の拳!!
ギガース
「――壊鍵、最大稼働」
ドドドドドドドドドドドウッ!!
一秒の間に百の連撃! 竜の胴体が凹み吹き飛んだ!!
『『『が……ッ!! なるほど、それが汝の剣かァッ!』』』
ごおうっ!! 光のブレスが破滅じみて撒き散らされた。
灰色は垂直跳躍を思案――却下。それでは距離を詰められぬ。
極めて鋭角的なショートリープ。左足が光に呑まれ瞬時に原子滅壊。
残る右足が空気を叩く――加速、瞬間速度マッハ2に到達。
連打連打連打連打連打連打連打連打!!
金剛石じみた鱗に亀裂が走る! 砕けた、飛び散る臓物!
「お前を砕くぞ、ヴァルギリオス」
『『『人ごときが、否、ならばこそか……!!』』』
竜の右爪。灰色は右ショートフックで大気をたわませ相殺。
ねじれた状態をバネめいて解き放つ。左ボディブロー、着弾!
「その破滅もろとも、すべて。砕く!!」
ドウドウドウ―――ドドドドドドドドドドドドドウッ!!
竜が吹き飛んだ! 山の如き巨体が! 灰色はさらに翔ぶ!
人の形をした破滅が、破滅を砕く。
これこそが人の錬鉄せし魔剣、その極致の拳であった。
成功
🔵🔵🔴
納・正純
夕立/f14904
ヴィクティム/f01172
ただただ"強い"。
参ったね、俺一人じゃどう足掻いても勝てそうにない。
だからこうして組ませてもらうぜ。お前に勝てる奴らとな。
・共通方針
①
敵の初撃を防いで時間を作る
②
敵の二撃以降を止めて隙を作る
③
僅かな隙に攻撃を捻じ込む
・方針
俺の担当は①。
つまり、俺の仕事は敵の初撃を何としてでも撃ち抜いて、後続の二の矢を放つ時間を作ることだ。
敵の自己強化は恐ろしいが、それで敵の手番が増える訳じゃない。
俺の全てで以て初撃の起点を見抜き、魔弾でそれを僅かに逸らせれば良い。
それが俺にできる全てだ。シンプルで良いだろ?
1+1は常に強大な1より大きい。基本の式だぜ、覚えときな
ヴィクティム・ウィンターミュート
正純/f01867
夕立/f14904
助かるぜ。有能な奴は多いほど良いからな
…さて、盛大なドラゴンスレイヤーといこうぜ
俺の担当は②だ
安心しろ、この札を切ったなら勝ちは確定する
第一フェーズは正純に任せるぜ
正純の射撃で僅かに逸れるであろう攻撃
それを【見切り】で瞬時に読み取り、最小限の動きで回避行動
回避と同時に、手札を切る
厳密に言ってしまえば、これは俺の手持ちじゃない
奪ったものを行使し、過去を冒涜する行いだ
──アイツに本来備わっていたはずの起源よ、目覚めろ
生命は捧げられた
この近さ、この図体
"銃がメインじゃない"俺でも外さんよ
籠められた起源は「停滞」と「鎮静」
全ては止まり、あらゆる活性は消え失せた
矢来・夕立
手帳さん/f01867
端役さん/f01172
これまで端役さんと二人でやってきましたけど、
どうしても、と言うので手帳さんを呼んであげました。
オレが担当するのは③。最後のトドメです。
まず第一に、それまで脱落しないことが肝要ですね。
①の相殺に乗じて《闇に紛れる》。
これだけ猟兵がいて、散々っぱら戦いが続いていれば、戦場も荒れているでしょう。
なんなら土煙にだって紛れられる自信がありますよ。
必要のないほど念入りに、
気配を殺す。足音を殺す。
必要なものは揃っている。
手帳さんの綿密な計画。
端役さんの大胆な演出。
それから、オレの殺意。
王殺しは暗殺者の華ですよ。
まして喉元に迫れるなんて。
素っ首、割らせて頂きます。
●
納・正純はこの戦いに至るまで、およそ十万通りの試算を行った。
装備、手段、環境、タイミング、そしてあらゆる偶発的可能性。
中には「突然隕石が降ってくる」というあり得ざるトラブルも含めた上で、
徹底的に試算に試算を重ね、結論を出した。
――俺ひとりじゃ、どうあがいても勝てそうにない。
魔弾の射手の計算は未来予知めいており、それゆえに厳粛だ。
彼はその結論を粛々と受け入れた上で、ホットラインをつないだ。
おそらく全宇宙で、もっとも殺しに長けたふたりのキラーを呼ぶために。
勝てないならば、勝てる連中をよこしてスリーマンセルを組めばいい。
魔弾の射手は、えげつない行為とていともたやすく行う。
――数式はぴたりと噛み合った。
計算を終えた彼は、ひとり心を震わせたという。
●イット・ケイム・フロム・ザ・ディープ・ディープ・ディープ・シャドウ
『『『オオオオオアアアアアッ!!』』』
竜は咆哮する。その首は半分近くが断たれ、鱗が砕けていた。
形を維持しているだけでも驚嘆に値する重傷である。
それを鎧ったのは、まさしく八属性を形とした鱗と尾、翼であった。
完全なる竜体。ヴァルギリオスにとって背水の陣を意味する最終形態。
「第一フェーズだ、来るぞ正純!」
「悪いな、ドラゴン。――お前の攻撃、もうとっくに試算済みなんだ」
BLAMN!! 大仰なぐらいの銃声が鳴り響いた。
ヴィクティム・ウィンターミュートは――わりきったことではあったが、
想像を超えるその鮮やかな手際に、気味の悪い笑みを浮かべざるを得なかった。
ただ、一射。たった一回のトリガータッチ。
何もかもを計算され尽くした弾丸は、振り下ろされようとした爪に弾かれ、
続けざまに大地を薙ぎ払うはずだった尾の根元を貫き、地面で跳弾。
カジノでジャックポットするよりも低い確率であろう、必然の奇跡を起こす。
これまでの戦いで生まれた地面のカーブを減速することなく滑りきり、
巨体を支える翼を撃ち抜いて、竜の体勢を大きく崩させたのだ!
『『『……なんだと?』』』
嵐の如き憤怒と殺意に囚われていた竜をして、素っ頓狂な声が漏れた。
ありえないことが起きた。だが三人にとってそれは当然だった。
そこにコンマ秒のズレを生む。遅れて竜の爪が誰もいない大地を抉った。
――ゴオオウウンッ!!
(敵に回したくないですね、あれ)
土煙に紛れ、矢来・夕立は淡々と思った。
今の彼は空気よりも薄らいでいる。そこに存在してすらいない。
不可知の極致、研ぎ澄ませた殺意を肌の下に差し込んだ一つの暴力装置。
フェーズ2――わざとらしく爪を避けたヴィクティムの体を虚無が覆った。
虚無はたちまち銃のような形を作る。ヴィクティムは後ろに避けていたはずだ。
『『『なんだと?』』』
ヴァルギリオスは間抜けにも、同じような言葉を同じように漏らした。
"後ろに避けたはずのヴィクティムが、懐に飛び込んでいた"。
「なあウィズワーム、テメェは間違いなく最強だよ。俺が箔をつけてやる」
ヴィクティムは道化めかして首をかしげた。竜は寒気を憶えた。
「だから"とっておき"だ。――本当は、俺が喰らいたいぐらいなんだぜ?」
BLAMN。
静寂にも似た弾丸は――弾丸の形をした虚無は、脊髄を貫いた。
鱗が、尾が、翼が、その輝きを失う。
ヴァルギリオスはへたり込んだ。君臨するはずの帝竜が……だ。
『『『何が、起きている』』』
「処刑(エクセキューション)だよ」
BLAMN。
正純の魔弾が前足を撃ち貫く。竜は首を落とした。
……ギロチンにかけられる死刑囚めいて。
『『『なんだ! 汝らは、何をした!?』』』
「予定した通りのことをして、予定した通りの解を導いたのさ」
正純は紫煙をふかし、言った。
「さよならだ、"ウィズワーム"。R.I.P」
竜は何かを言おうとした。
だが、出来なかった。
肺から届くはずの首は、真っ二つに落とされていたからだ。
夕立が、そこに立っていた。影のように。
「……暗殺者的には、王殺しってロマンですよね。やっぱり」
血を払う。ヴァルギリオスは己が斬首されたことを理解した。
いつから潜んでいた?
いつ仕掛けた?
わからぬ。すべては"不可知"だ。
「ナイティ・ナイト(おやすみ、ぼうや)」
虚無をまとった男の瞳が竜を見下ろした。
――真夜中のような静寂と闇が、その精神を引きずり下ろし、永遠に閉ざした。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
●
終わりが来る。
竜の終わりが。
物語の終わりが。
イリーツァ・ウーツェ
バリアは張られる
攻撃は先んじて行われる
委細承知
其れでも、私に出来る事は一つだけだ
只一つだけだ
何時でも
全霊[全力魔法]の負気で身を覆い、
敵UCを弱める
古竜の骨に宿っていた物と同じだ
私は生きている より濃い
加えて
寸前まで目を逸らさず、
瞬間的な怪力の解放による跳躍で攻撃を回避
使える状況下に成れば即時UCを使用
毒も凍結も反射も無視
必要部位以外の損傷も無視 頭も要らん
持て得る総ての力を込めて、奴を殴砕く
振るった腕が消滅する程度に力を籠めよう
一部を貰う等と消極的な事は言わない
私は竜だ
如何なる敵も、殺すつもりで戦う
私に出来るのは一つ
防御を無効化し、全身全霊殴殺する
それだけだ
●旧き盟約によりて
――なんだ、これは?
ヴァルギリオスの精神はかき乱されていた。
理解できぬ――いや、理解できる。"だからこそ理解できぬ"。
おのれは最強の竜。ヒトは所詮脆弱なもの。
小さきものがひとりで己に敵うはずはなく、
だからこそ群れ集うヒトの強さを竜は称賛していた。
しかしいま、竜を追い詰めているものはヒトではなかった。
『『『……なぜだ! なぜベルセルクドラゴンが滅ぼしたものがここにいる!!』』』
知っている。
ヴァルギリオスは知っている。
竜でありながら最強たる己にまつろうことなく、
むしろ反逆を示し、そして腹心に滅ぼされたものたちを。
『『『古龍の末裔!! 生きていたとでも言うのか!?』』』
それは竜だった。
イリーツァ・ウーツェの赤い瞳は、鏡めいて無機質だった。
「ならば識っているだろう」
イリーツァは言った。ヴァルギリオスは肯定せざるを得なかった。
あらゆる超常を否定する古龍の骨。
彼奴が纏いし負気はそれか。己の結界をも否定するほどに!
『『『り、竜が、今一度世に叛逆するか!』』』
「貴様の因縁など関係はない」
竜は踏み込んだ。殴打――巨体が吹き飛ぶ。追撃。
「私は竜だ。盟約にしたがい、いかなる敵も殺す」
全身全霊を以て。
憎悪も、
怨恨も、
殺意すらもなく。
当然のように、
必然的に、
ただ凪いだまま殺す。
『『『なぜだ! なぜそれほどまでに虚無でいられる!?
余への憎悪があるならば理解できよう! だが汝は――』』』
「私は、竜だ」
拳が突き刺さる。竜の頭が爆ぜた。
……ヴァルギリオスは、竜であるがゆえに強大だ。
竜であるがゆえに必然的に世界を滅ぼそうとしていた。
ゆえにそう嘯く彼奴自身が識っていた。
「貴様を滅殺する」
目の前の竜もまた、同じように己を殺そうとしているのだと。
大成功
🔵🔵🔵
杜鬼・クロウ
【星臨】
※ガイオウガ戦で刃が折れる
所々体に治りきらない傷が残り包帯有
故郷居た頃は刀使い
最終決戦を前に俺の体たらく…(武器無
ココまでノトスに負荷を強いるコトも早々ねェだろうよ
それでも
前へ進むのを止められねェ俺を助けてくれンだろ?
…頼りにしてる
お前の故郷でもある世界
きっちり守り通すぞ
パイプ受け取り一振り
【煉獄の魂呼び】使用
土以外の属性へ霆の雨降らす
少し緩和すれば良し
禍鬼は棍棒で光毒以外の敵の攻撃を防ぐ
ノトスの援護
傷負った所を霞の構えで深呼吸
パイプで殴り掛かる(2回攻撃
真っ二つに割れたらクロスで防御か攻撃を見切り
ブレス掻い潜り虹駆でジャンプ
柔な部分にパイプ突き立て部位破壊
最期はお前が決めろ、ノトス!
ノトス・オルガノン
●SPD
【星臨】
最後の戦い、か
ただではすまんだろうな
だが、私もこの世界の住人だ
ボロボロになったとしても、抗ってやろうじゃないか
あまり無理をしてくれるなよ、杜鬼
いつもは世話になってばかりだが、今日くらいは、守らせてくれ
UC:Organum
杜鬼に一本、武器代わりにパイプを渡す
それ以外は全てヴァルギリオスに向ける
◆対策
パイプに神経毒を仕込み、強化との相殺を図る【毒使い】【マヒ攻撃】
半数ほどのパイプは細く、針状にして念力で投擲【投擲】【一斉発射】【念動力】
通常サイズのパイプは囮
針状のものは皮膚の柔らかそうな箇所を狙う
防御は【オーラ防御】
毒が効いてきたら一撃、パイプを巨大化し、上空から喉元目掛け、貫く
●たとえ刃なくとも
……杜鬼・クロウは、投げ渡されたパイプを強く強く握りしめた。
怒り? それはある――ただしそれは、己への怒りだ。
相棒たる黒魔剣はここにない。あれはもう、毀れて折れた。
代償は大きかった。帝竜の最終決戦まで、鋼は持たなかったのだ。
「……キミの得物にはそぐわないだろう。しかし」
「いや、それはいいンだよ」
ノトス・オルガノンを一瞥し、クロウは頭を振った。
「俺は俺が情けねェんだ。……剣ひとつ使いこなせやしなかった」
「……私は、それは違うと思うぞ」
ノトスは言った。
「お前の意気に応えたからこそ、キミの刃は役目を全うしたのだろう。
……そもそも私たちはヤドリガミだぞ? そんな自罰的なことを言うな、杜鬼」
どうやらそれは、青年なりの気遣いらしかった。
クロウは毒気を抜かれたように笑い、頭を振り、髪をかきあげた。
「ああ、そうだな。これから鉄火場だってのに弱音は吐いてられねェ。
――お前にゃ負担を強いるがよ。前に進むのを止められねェ俺を、助けてくれ」
「無論だ」
ノトスは頷いて、目の前の巨躯を見上げた。
夥しく傷ついた、しかし恐るべき重圧を放つ竜を。
「今日ぐらいは、守らせてくれ――私もともに、抗うとも!」
竜が咆哮する。瀑布のごときブレスが解き放たれた!
念力誘導された無数のパイプが鉄柵めいて地面に突き刺さり、結界を展開。
しかしブレスの圧力は殺しがたく、すり抜けた奔流はふたりを灼く。
無傷ならざるのは承知の上。この一瞬のタイムラグがあればいい!
「黄泉の門から来たれ、禍鬼! 霆の雨を降らせろォ!!」
――KRAAAAAAAAACK!!
呪われし鬼の魔力が、万色の稲妻を雨のように降り注がせた!
それは八色のブレスと喰らい合うように混じり合いしかし拒絶し合う。
竜は瞠目した。クロウはさらにその奔流のなかへ飛び込む!
「杜鬼!」
「サポート頼むぜノトス!!」
ノトスは頷き、結界展開していたパイプ群を針として竜に叩きつけた。
囮を交えた弾幕攻撃。竜の注意がそれる!
『『『小賢しい……!! その体、引き裂いてくれる!!』』』
「させるかよ、相手は俺だァ!!」
クロウはパイプを叩きつけた――浅い! やはり黒魔剣のようにはいかぬ!
代償とばかりに振るわれた竜の爪が身をぞぶりと引き裂く。
臓物が零れ落ちそうなほどの深手。クロウは血を吐き、笑った。
「八つも首があってもよォ、目は逸らさざるを得ねェよな?」
『『『――!!』』』
「決めろノトス!!!!!」
「応ッ!!」
ノトスは飛んでいた。巨大化させたパイプが槍めいて突き刺さる!
それはまさしく、悪しき竜を貫いた聖者の伝説めいて。
喉元を貫き、大地に縫い止めせしめたのだ……!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ソラスティベル・グラスラン
ナイくん(f05727)と
数多くの勇者に想いを託され、此処まで来ました
皆がわたしたちの背を押しています…簡単に倒れませんよ!
全力で守りを固め、【盾受け・オーラ防御】
各種属性の【耐性】を全開
ナイくんの前に立ち全属性のブレスを【見切り】受け流す!
勇者は決して、退きません!【気合い・かばう】
彼の変身した聖剣を手に、一気に飛翔!
ナイくんの光に願いを
この地で倒れ伏した勇者たちよ
貴方たちの宿敵が今、世界を覆い尽くさんとしています
共に戦いましょう!世界の敵に立ち向かう、わたしたちこそが勇者です!
剣に【属性攻撃】を纏わせバリアの属性を中和
【勇気】を胸に更に一歩!抜けた先で全力の一撃を叩き込む!!
ナイ・デス
ソラ(f05892)と
かつての勇者達は、ヴァルギリオスと相討った
そんな勇者さん達がいたから、今ここに私達はいる……
託されてきた……負けられない、ですね!
ソラの盾を、私も一緒に【念動力オーラ防御】支える
【かばう】
【覚悟激痛耐性継戦能力】私は再生する。ですから、大丈夫
諦めない。反撃、しましょう。あのバリアは、私が!
聖剣に変身
私達が、破ります!
光輝く。願う
この戦いは、今を
そして、今に繋げてくれた過去を
未来へと繋げる為に
光を集める。勇気の光を束ねて
世界を滅びから、守る為に
どんな困難にも、私達は屈さない!
いってください、ソラ!
剣となった私は【鎧無視】の刃
【生命力吸収】する光を放ちながら、敵を滅す!
●Dragonmark
数千の勇者が、ただこのときのためだけに倒れた。
その遺志を受け取り、汲み、ふたりはついにここまできた。
ソラスティベル・グラスランとナイ・デスは、手をつなぎ巨躯を見上げた。
己を地に縫い止める巨大な槍めいたパイプを引き抜き、竜は吠えた。
『『『我は帝竜ヴァルギリオス!! その名のもとに、世界よ滅ぶべし!!』』』
「……させない、です。私たちは、勇者さんたちに、託されて、きました」
ナイははっきりとその暴威に抗った。竜の凝視が彼の身を震わせた。
つないだ手を強く強く握りしめる。ソラスティベルはこくりと頷いた。
「勇者のあとを継ぐ者として――新たな勇者として! わたしはここにいます!!
ヴァルギリオス! 滅ぶのはあなたです! 勇者は決して退きません!!!」
『『『わが前で勇者を名乗るか……その覚悟、見事なり!!』』』
積層結界が顕現する。そして遺された首からの無数のブレス!
『『『ならば死ね――世界に先立ち、その勇ましさとともに!!』』』
ソラスティベルは退かなかった。ナイも同じように前に出た。
どちらかがどちらかを守るのではない。
肩を並べ、ともに、その手をつなぎながら、前へ。
肩を丸めることなく、胸を張り、敵を――その先の未来を見据えて!
『『『バカな……!?』』』
ヴァルギリオスは呻いた。
その吐息はあらゆるものを焼滅し、
その結界はいかなる刃をも拒絶し、崩壊させる。
かつて勇者たちは命を懸けた特攻で屍の山を積み上げ、
屍を踏み越えることでその結界を越え、ついに心臓を貫いたのだ。
完全にそのブレスを、猛威を、爪を、尾を、防げるものはいなかった。
だが見よ!
少年の輝きは、
少女の大盾は、
一切傷つくことなく、怯むことなく、退くこともなく!
「そんなものか」とでもいいたげに、いっそ誇らしく暴威を跳ね除けた!
『『『……勇者を超える、勇者だというのか』』』
ヴァルギリオスは知っている。
ヒトは弱く短命で、すぐに命尽きる者どもだ。
だからこそ奴らは、その遺志を受け継ぎ、我らをも滅ぼした。
可能性という遺伝子は、まるで種のように花開く。
――そう、未来を追い求める限り、ヒトはいつだって壁を乗り越える。
限界を越え、道を塞ぐものを突破し、さらに強くなっていく。
どこまでも、どこまでも! ――竜すらも超えるほどに!!
「ソラ! あの壁を、破りましょう! ――私たちの力で!!」
ナイはその身を聖剣と変え、ソラスティベルはしっかと柄を握った。
刃が光り輝く。ヴァルギリオスはそこに朝焼けを見た。
それは生命の輝き。尽きることなき人間讃歌の暁光。
破滅という夜を切り裂き、未来という朝焼けをもたらす不滅の剣!!
「この地で倒れ伏した勇者たちよ! どうか今一度、わたしたちに力を!!」
ソラスティベルが空を舞う。竜の頭上を取り、剣を握った。
「わたしたちこそが――勇者です!!」
『『『……オオ、オオオオオオ……!!』』』
竜は恐れた。しかり、畏れた!
己を討つものを、人間の可能性を、その輝きを!
「滅びなさい、帝竜ヴァルギリオス――わたしたちの明日のために!!」
『――ここが、あなたの最期の場所、です……!」
光が天地を貫いた。
それはまさしく夜を終わらせる輝き。
大陸を染め上げ、その暁光は世界中にすら届いた。
人々は識った。
新たな勇者を――そして彼女らの、まったき勝利の栄光を――!!
大成功
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