帝竜戦役⑫〜お母さんと一緒
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ここは猟兵達と帝竜ヴァルギリオスに率いるオブリビオンの軍勢が戦いを繰り広げる群竜大陸。その戦場の1つである蜘蛛の峡谷の一角に存在するとある洞窟内には異様な光景が広がっていた。
「お母さん! きらきらでふかふかだよ!」
「はしゃぎ過ぎて転ばないようにね? 怪我したらお母さん泣いちゃうわ。」
洞窟内は光るキノコと水晶を巧みに組み合わせて造り上げられた照明により洞窟内とは思えない程に明るい。更に沢山の子供がはしゃぎまわる地面も程酔い弾力でたとえ転んだとしても怪我する事はないだろう。
「お母さん、頑張って作るから好きなだけ食べてね。」
「本当!? わぁい、いただきまーす!」
洞窟の一角には手作り感の溢れる木製のテーブルが設置されており、テーブルの上に所狭しと並べられた料理を子供達が美味しそうに食べている。
「お母さん! 次はあれで遊んでくるね!」
「あらあら、慌てなくても遊具は逃げたりしませんよ。」
極めつけは洞窟内には多種多様な遊具が設置されている。それらの遊具を子供達は全力で楽しんでいた。
「「「「お母さん! ありがとう!」」」」
沢山の子供達のお礼の言葉が洞窟に響き渡る。
「うふふふふふ! 苦労して造り上げた甲斐があったわ!」
この洞窟の異様な光景は一体のオブリビオンが作り上げたものだ。そのオブリビオンは女王蟻のオブリビオンであり本来なら羽根が生えるべき場所から4対の節足が生えている。
そして、彼女がこの空間を造り上げたのは可愛い仔蟻達の為だけではない。彼女は群竜大陸を突き進む侵略者、猟兵達の為にこの空間を作り上げたのだ。
「どんな子が来てくれるのかしら? 今から楽しみだわ。」
女王蟻はまだ見ぬ可愛い子供達に思いを馳せながら歌い始めた。
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「みんな、わたしの呼びかけに応じてくれてありがとう! とシエナは猟兵達を歓待します。」
猟兵達は笑顔で猟兵達を歓待するシエナ・リーレイ()の姿に唖然とする。
何故ならシエナは頑強な檻に囚われているからだ。シエナ自身も巨大な鉄球と太い鎖で繫がれており、極めつけに『決して解放するべからず。』と書かれた札が檻の前に立てられている。
どうやら前回の惨事を繰り返さない様に先駆けて勾留されたらしい。
「みんなには時蜘蛛の峡谷にある洞窟に向かって欲しいんだ。とシエナは説明を始めます。」
シエナ曰く、時蜘蛛の峡谷に生息するオブリビオンは例外なく『時蜘蛛』と呼ばれる存在に変質しているという。時蜘蛛は自身の寿命を代償に触れた者を幼児化させる糸を生成する能力を持つらしい。
「幼くなるのは見た目だけじゃないんだよ。とシエナは警告します。」
糸による幼児化は極めて強力で身体能力が著しく低下する上に戦闘経験に基づいた技が使えなくなってしまう。加えて精神的にも幼くなるようで本来なら抗える筈の誘惑に負ける恐れがあるという。
「洞窟の中で大きな蟻のお母さんが猟兵さん達を待っているんだ。とシエナはオブリビオンについて話し始めます。」
次にシエナが話すのは洞窟内に潜むオブリビオンについてだ。
そのオブリビオンは巨大な蟻の魔物で沢山の仔蟻と共に猟兵達を待ち受けている。何故か猟兵達に敵意を向けず、親愛と愛情を籠めてお世話をしようとするらしい。
それだけならば容易に倒せる相手に見えるがこのオブリビオンは厄介な能力を持っているという。
「蟻のお母さんは歌で生物を幼くして、最後には自身の子供にするんだよ。とシエナはオブリビオンの能力について補足します。」
どうもこのオブリビオンは時蜘蛛の能力とは別に歌声を通じて生物の老いと記憶を奪う能力を持っているらしく、自身の能力で赤子にした対象を繭で包み込み自身の子供に変えてしまうという。
しかも、今回は時蜘蛛の力で歌声を聞かせる前から心身共に幼くなっている事から洞窟を幼児が喜びそうな物に満ち溢れた空間に改造して待ち構えている。
もしも彼女の準備した誘惑に負ければ成す術もなく赤子にされてそのまま彼女の子供にされかねないので注意が必要だ。
「それじゃあ、頑張ってね! とシエナは猟兵達を送り出します。」
野根津
こんにちは或いはこんばんわ。野根津です。
今回は時蜘蛛と化したオブリビオンの潜む洞窟での戦いとなります。以下、補足事項です。
●幼児化について
時蜘蛛の糸による幼児化はどう足掻いても逃れる事は出来ません。幼児としての姿がない種族であってもご都合主義的な幼児化をしますので幼児化後の容姿に希望があればプレイングに記載して頂けると有り難いです。
オブリビオンと接敵した時点で猟兵達は5歳児程度まで幼児化しており、身体能力が求められる武装や経験が必要となる技能は使用不能に陥っています。
そして、精神的にも幼くなっているので対策を考えない限りオブリビオンの準備した誘惑の数々に抗い切れないのでご注意願います。
●洞窟内について
洞窟内はオブリビオンが寝る間も惜しんで行った改築により公園の様な空間に変貌しています。
転んでも怪我をしない程よい柔らかさの大地が広がり、美味しい料理と安全対策が万全の遊具の数々が猟兵を誘惑してきます。料理は5歳児が食べられる物はまずありますし遊具も公園で見られそうな物はまず置かれているという認識でいてください。
また、洞窟内には沢山の仔蟻達が楽しく遊びまわっており猟兵達を遊びに誘ってきます。仔蟻達は下手すると母親よりも強く、喧嘩になると幼児化した猟兵ではまず敵わないのでご注意願います。
●オブリビオンについて
博愛主義で子供とお世話が大好きなお母さんです。
猟兵が強請れば張り切って叶えようとしますし、攻撃されても謝れば笑顔で許してくれます。
猟兵が自傷を試みた場合は巨体からは想像できない動きでそれを阻止した上で優しく叱り、叱り終われば凄まじい勢いで愛で始めます。
オブリビオンの子供にされた場合、外見の変化は幼児化した姿から蟻の触覚と尾部が追加で生える程度で済むようです。
●その他
オブリビオンは自身の寿命を顧みず時蜘蛛の糸を生成し続けているので攻撃しなくても最終的に自滅します。
なので攻撃する事を考えず純粋に幼児として振舞う事を楽しんでも問題はありません。
●プレイング受付について
プレイングの受付は間章投稿後から開始となります。受付期間に関してはマスターコメントに記載予定です。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『ティタノミルマ・マザー』
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POW : あなたもわたしの子供にしてあげる。
【半径レベルmの対象を即座に捕らえる抱擁】【老いと記憶を際限なく奪う歌声】【包み込んだ生物を自身の子供に変える繭】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
SPD : これであなたもわたしの愛しい子供よ
【半径レベルmの対象を抱擁で捕らえて】から【老いと記憶を奪う歌と共に対象を繭に包む技】を放ち、【対象をティタノミルマの子供に変える事】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : あなた達もわたしの子供になりたくなったでしょう?
【老いと記憶を奪う歌と共に行われるお世話】を披露した指定の全対象に【赤子となり彼女の子供になりたいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
イラスト:撒菱.R
👑8
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ドライプラメ・マキナスアウト」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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案の定、現場に直接赴こうと暴れ始めたシエナを他所に猟兵達は時蜘蛛の峡谷への転送が始まる。そして、転送された直後に猟兵達は戦慄した。
辺り一面にクッションが敷き詰められている!?
あろうことか洞窟の入り口付近から広域に渡って時蜘蛛の糸を紡いで作ったと思われるクッションが隙間なく敷き詰められていたのだ。
多くの猟兵がクッションの上に着地してしまい即座に幼児化してゆき、一部の猟兵は咄嗟に飛行したり、崖に生えた木に飛び移る等の方法でクッションの上に降りる事の回避に成功した。
そして、猟兵達は改めて周囲を見回し状況の確認を始めた。
恐ろしい事にクッションは洞窟の入り口から100m近く離れた位置まで敷き詰められている。クッション自体はシンプルながらも触り心地が良く、時蜘蛛の糸で作られている事を省いても普通に売れそうだ。
そして、そんなものを辺り一面に敷き詰めている以上ティタノミルマ・マザーの寿命が大変な事になっている事は容易に想像できた。
次に猟兵達は洞窟の入り口を見てみれば後から埋めて狭めた痕跡があり、飛んだまま入るには厳しい状態であった。
猟兵達はティタノミルマ・マザーの『絶対に幼児化させて愛でてやる』という鋼の意思の表れを見て改めて戦慄した。
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放置しても勝手に自滅しそうな状況ではあるものの、猟兵達は寿命の尽きるのを待たずにティタノミルマ・マザーと戦う決意をした。というのも今が戦争の真っただ中で悠長に寿命が尽きるをの待つ暇がないからだ。
幼児化はそれを成したオブリビオンを倒さない限り元には戻らない。戦争も佳境に入り決戦が近い中で幼児化したまま戦うなど自殺行為でしかないのだ。
木の上や空中に退避していた猟兵達も覚悟を決めてクッションの上へと降りて幼児化してゆく。こうして幼児化した猟兵達はティタノミルマ・マザーの待ち受ける洞窟へと足を踏み入れるのであった。
●プレイング受付期間について
プレイングは5月21日の8時29分まで受付します。
また、間章投稿前からプレイングを投げて下さった皆様に関しては原則として採用させて頂きます。
しかし、当方のスケジュールの都合と間章から得られるであろう情報を踏まえて皆様のプレイングを一度全員流させて頂きます。
プレイングが流された後は必要なら内容の修正を行った上で改めてプレイングを投げて頂けると有り難いです。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
フィーナ・シェフィールド
子供のお世話が好きなお母さん蟻なんですね。
でも、蟻さんになっちゃうのは困ります。
せめて、子供のお世話で満足して消えていってくれればいいな…。
いっしょに、おうたをうたいましょ!
お母さん蟻さんに会ったら、お歌をせがみます。もちろん、わたしも一緒に。
【戦場の歌姫】を使って、ここは今からわたしのステヱジです!
パタパタと飛んでドローンで繭を防ぎながら、子供になってもその純粋無垢な心から生まれる、魂を浄化する破魔の力を宿した歌声で、蟻さんの歌の力を相殺しながら、疲れて眠るまで、一緒に思う存分、歌い続けますね。
久しぶりにお母さんに甘えたくなっちゃったな…
一度会いに行こうかな?と、思いながら帰途につきますね。
シズホ・トヒソズマ
これはまた蜘蛛糸の能力と相性が良すぎるのが…なら、歌には歌で行きましょう
子供になるかその前にUCを発動
持参した自作からくり人形に生命と人間以上の知性を与えておき
事前作戦通り聴覚をオフにさせ歌を防ぎ人形の振りで待機させ
こどもにされてちまったらあぁわたちなにしにきたんだっけ
わぁいままぁ、ままぁもっとこどもにしてぇ
蟻さんにしてぇ
ここからはミコこと私(プレイングIC)が担当するね?
すっかり子蟻ちゃんになってるけどアレ後で元に戻る?ならいいけど
じゃ、糸も出した所で人形の振りやめ!
私の◆催眠歌唱で歌を相殺
マジェスが風で接近して敵を蹴り飛ばしてご主人様を奪還
バルが弾道変化弾で牽制してる間にご主人抱いて撤退!
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「まさか、人形達まで幼児化するとは思いませんでした。」
シズホ・トヒソズマ(因果応報マスクドM・f04564)はお供として連れて来た人形達と共に洞窟を突き進む。その姿は普段とは違い幼い幼児になっている。
後ろからは【自律絡繰人形】で生命を与えた絡繰り人形達が追従しているのだが、人形達もシズホと同様に幼児化していた。
「これはまた蜘蛛糸の能力と相性が良すぎるのが……。」
今回の相手であるティタノミルマは歌を通じて相手を幼くしてくるという。
普段なら戦闘不能に陥るまで多少の猶予があるのだが、今回は時蜘蛛の力により既に幼児にまで退行してしまっている。
この状態で歌を聞けば瞬く間に戦闘不能になってしまうだろう。シズホはこの難敵と戦う為の作戦を人形達と共に立ててゆく。
「……なら、歌には歌で行きましょう。わたしの歌なら相殺できる筈。」
「……仔蟻達を引きつけるのでは? 集られたら戦うどころじゃない。」
「……なら、準備が整うまではただの人形のふりをすればいい。」
会議の末に最終的な作戦の流れは以下の様になった。
①人形組は聴覚を絶つ事により歌声による幼児退行を防ぎ、ただの人形として振舞う事により母蟻の警戒から逃れる。
②シズホは人形組を抱えながら母蟻と接触、母蟻の懐に飛び込む事を試みる。
③母蟻の隙をつく形で人形組は攻撃を開始、攻撃後はシズホを連れて即時撤退する。
本来なら人形達に守られるべき本体が真っ先に囮になっている辺りに矛盾を感じるがそこは被虐願望を抱えるシズホなので問題はなかった。
「作戦も纏まったし洞窟の最奥が見えてきましたね。それでは、よろしくお願いします。」
こうしてシズホはただの人形のふりを始めた3人を抱えて光の溢れる方向へと足を進むのであった。
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「これはまた凄い光景ですね。さて、お母さん蟻は一体どこにいるのでしょうか?」
洞窟の最奥に到達したシズホは目の前に広がる公園に感嘆する。だが、シズホの目的はティタノミルマ・マザーの討伐であり公園で遊ぶ事ではない。
誘惑に駆られながらも母蟻を探し始めたシズホ。漸くして見つけたティタノミルマは広場の中心で沢山の仔蟻に囲まれながら歌を歌い始めようとしていた。
「ま、まずい、早く彼女のもとに……むかわないと……きゃっ!?……あれ……わたちなにちにきたんだっけ?」
慌ててティタノミルマ・マザーの元へ駆け寄ろうとするシズホの耳に優しい歌声が潜り込んでゆく。
それだけでシズホは頭がぼんやりとして足取りが覚束なくなってゆき転んでしまった。
柔らかな地面に倒れ込んだシズホの姿は更に幼くなり自身が何をし来たのかを忘れてしまっていた。
そして、転倒したシズホを見つけたティタノミルマが慌てて駆け寄ってゆく。
「大変だわ! 大丈夫? 怪我はない?」
「うぅ? わぁい、ままだぁ! わたちはだいじょーぶだよ!」
ティタノミルマは転んでも泣く事はなく元気よく返事をするシズホを優しく抱き上げると頭を撫で始めた。
「転んでも泣かないなんてあなたは強い子なのですね。」
「ままぁ、わたちをもっとこどもにちてぇ。ありしゃんにちてぇ。」
抱き上げられたシズホも歌に籠められた魔力の影響でティタノミルマに魅了されており、舌足らずな声で彼女の子供になる事を望んでしまう。
そして、シズホを抱えたティタノミルマはシズホのおねだりに笑みを浮かべると背中に生えた4対の腕から糸を出しシズホを包み込み始めた。
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「子供のお世話が好きなお母さん蟻なんですね。」
シズホが繭に包み込まれた頃、新たに洞窟に足を踏み入れる者がいた。フィーナ・シェフィールド(天上の演奏家・f22932)だ。
フィーナは洞窟内を楽しそうに遊びまわる仔蟻達を見て思わず頬を緩ませる。しかし、広場の中心で繭から頭を出した仔蟻……シズホの成れの果てを愛でるティタノミルマを見て顔を顰めた。
「でも、蟻さんになっちゃうのは困ります。せめて、子供のお世話で満足して消えていってくれればいいな……。」
一先ずはティタノミルマが歌っていない事に安堵するフィーナ。ふと視線を感じて辺りを見回してみればそこには3体の人形が横たわっていた。
それらの人形がただの人形ではない事に気が付いたフィーナは3体の人形を抱えるとティタノミルマの元へと向かう。
そして、仔蟻達をかき分けてティタノミルマの元へと辿り着いたフィーナはティタノミルマへと声をかけた。
「ねぇ、わたしとおうたをうたいましょ!」
「いいわよ。折角だから皆仲良く歌いましょう!」
ティタノミルマはフィーナのおねだりを快く受け入れ、周囲にいる仔蟻達にも呼び掛け始めた。
フィーナは歌が始まる僅かな間に人形達をティタノミルマが良く見える位置に置くと清楚な衣装を纏いカスタネットを握った。
『そこがどこであろうと! このうたをとどけるの!』
程なくして始まった蟻達の合唱に合わせる様にフィーナもカスタネットを打ち鳴らしながら歌い始めた。
今のフィーナは幼児化により歌唱力が大きく落ちている。しかし、幼児特有の純真無垢な心が歌声に籠められた破魔の力を強めていた。
フィーナの歌とティタノミルマの歌声がぶつかり合い互いの力を打ち消してゆく。状況は拮抗している様に見えるが実際はフィーナは追い込まれていた。
気が付けばティタノミルマに抱き上げられて身動きが取れなくなっていたのだ。
ティタノミルマは歌う事を優先しているのか繭が飛んでくる気配はない。しかし、このままではフィーナが歌い疲れてしまうのも時間の問題だろう。
だが、洞窟内で合唱が響き渡る中動き出す者達がいた。ミルマが生命を与えた人形達だ。
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(すっかり仔蟻ちゃんになっているけど、アレ後で元に戻る?)
各々の役割を果たす為に移動を始めたマジェスとバルを見送りながらミコはティタノミルマに抱き上げられ楽しく歌うシズホを見つめる。
自分達が動けている事からシズホが生きている事は確実だ。だが、仔蟻状態のシズホは最早シズホとは言えないだろう。
もしかしたらシズホが仔蟻になったまま元に戻らないのではないかとミコに不安が募ってゆく。
(あぁもう! 難しい事を考えるのは後! 今はご主人様を助けるのが先決!)
ミコはこのままでは不味いと考えた事を中断した。そして、マジェスとバルが位置についた事を確認すると自身に課せられた役目を果たし始めた。
「わたしも歌に混ぜなさい!」
洞窟に響き渡る合唱に新たにミコの歌声が加わる。だが、ティタノミルマは歌う者が一人増えても気にも留めない。
だが、ミコの歌声に籠められた魔力がフィーナの破魔の力と合わさってティタノミルマの歌声の魔力を無力化した。
そして、ミコの歌声により幼児化の恐れが亡くなったバルとマジェスが動き始める。
「~~♪ ぐふっ!?」
「ご主人を返して貰うぞ。」
手始めに風を放出してティタノミルマに急接近したマジェスは勢いそのままにティタノミルマの頭を蹴り飛ばした。
その力は普段とは比べ物にならない程に弱いが歌う事に夢中であったティタノミルマを怯ませるには十分であった、
そして、怯んだ事により宙に投げ出された投げ出されたシズホとフィーナを素早く確保したマジェスは洞窟の出口に向けて移動を始める。
「わたしの子供を何処に連れて行くの!?」
我が子を連れ去ろうとするマジェスを捕らえようとティタノミルマは腕を伸ばす。しかし、それはバルの放つ弾丸に阻まれた。
そして、二人を抱えたマジェスとの合流に成功したミコはバルを殿に撤退を始めるのであった。
大成功
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二尾・結
「ふふん、こどもになってもひーろーのこころはきえないわ!さあかかってきなさい!」
さいきょーの『すーぱー・じゃすてぃす』で体を強くして、まずは攻撃を防御……って攻撃しないで抱きしめてきたわ!?
手でぽかぽかしても、なんだか全然効いてないみたい。
それにしてもこの人のお歌、すっごいうまくてなんだかいい気分!お母さんがいたらこんな感じなのかなぁ?(記憶と使命を忘れていく)
え、本当のお母さんになってくれるの?やったぁ!
(繭の中での変化描写希望。変化後は正義の証のツインテールが解け、性格もおとなしくなった状態で生まれ変わります)
「おはようございます、おかあさん」
※台詞は基本全部ひらがな。
アドリブ、絡み歓迎。
リアン・ブリズヴェール
【アドリブ歓迎】
まずは洞窟に入る前に【魔物幽霊娘軍団召還】と【オルタナティブダブル】を使ってファムと魔物幽霊娘達を呼んでから洞窟に入ります
幼児化したら、両親を失って奴隷とされた時期なので今よりも内気で自信もなく怯えているので誘惑を無視して猟兵としての使命だけでファムや魔物幽霊娘達と奥へと行きます
それでティタノミルマ・マザーと出会ったら【魅了変化】を使って20代前半の姿になって【一撃必殺】で倒そうとします……でも心は子供なので反撃されたら怯えてまた子供にされそうです
そうなったら歌を聴かされ抱きしめられて繭にされてリアンもファムも巨大ラミアも魔物幽霊娘達も子供にされちゃいそうです
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「うぅ……こわいです……。」
猟兵達続々と洞窟へと突入する中、僅かながらも動こうとしない者もいる。
リアン・ブリズヴェール(微風の双姫・f24485)にとって幼少期とは両親を失い奴隷として虐げられてきた最も辛かった時期だ。
今のリアンの心は正にその時期のものに退行していた。そして、オブリビオンが潜む洞窟が怖くて入れずにいたのだ。
そんな様子のリアンに元気よく洞窟に入ろうとした二尾・結(通りすがりのツインテール・f21193)が気が付いた。
「あれは……ここはわたしがげんきづけないと!」
幼児化してもヒーローとして振舞う事を忘れない結が怯えた様子のリアンを放っておけるわけがなかった。
結はリアンを元気づける為に動き始める。
「そんなにこわがらなくてもだいじょうぶよ!」
「っ!? ……なんでだいじょうぶなのです?」
リアンは突如として声をかけてきた結に驚き、結の言葉に首を傾げる。その表情は幼児化したリアンの何が大丈夫なのかという疑問が現れていた。
そんなリアンの様子に結は苦笑すると大丈夫な理由を教える事に下。
「だって、あなたはひとりじゃないわ!わたしたちというなかまがいるじゃない!」
「!!! そ、そうです……いまのリアンはひとりじゃないです!」
今のリアンは嘗ての一人ぼっちな奴隷ではなく沢山の仲間がいる猟兵なのだ。結は一人では敵わない相手でも仲間と力を併せれば必ず勝てるとリアンを励ましてゆく。
リアンも怯えるあまり忘れていた猟兵となってから得た大切な存在を思いだした。そして、そんなリアンの声に応じるかのようにリアンの周囲に集団が現れる。
それはリアンが猟兵となってから共に有るファムとラミアを筆頭とする魔物娘達であった。尚、ファムと魔物娘達もクッションの上に着地したので当然の如く幼児化している。
「おぉ!? このこたちはあんたが呼び出したの?」
「そうなのです! ファムとまものむすめさんなのです!」
「いっきにおおじょたいになったわね! これならきっとかてるわよ! さぁ、わたしといっしょにどうくつにとつにゅうよ!」
結は突如として現れたファム達に驚くがリアンに沢山の仲間がいる事を知り満足げに頷いた。
そして、リアンの手を取ると洞窟へと進み始める。
こうしてリアンと結は沢山の魔物娘達を引き連れて洞窟へと突入した。
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「わぁ……すごくたのしそうです……。」
「……っ!」
「ちょっと、ゆうわくにまけちゃだめよ!?」
結とファムに励ましてもらいながらどうにか暗い洞窟を抜けたリアンは煌びやかに光に満ち溢れ沢山の仔蟻が楽しそうに遊びまわる光景に目を奪われる。
そのまま仔蟻と混ざり遊びたいという衝動に駆られるリアンを結とファムが慌てて引き留めた。だが、目の前の光景に惹かれたのはリアンだけではなかった。
「あぁ!? みんなそっちにいったらだめです!」
リアン達に追従してきていた魔物娘達が誘惑に抗えずに遊び始めたのだ。リアン達は必死に制止を試みるが数が多すぎてそれも叶わない。
仔蟻達も突如として現れた集団に戸惑うが直に打ち解けて仲良く遊び始めた。
「……よし! あのこたちにこありはまかせてわたしたちはははありをたたくわよ!」
「えっと……わかったです!」
「……。」
あまりにも早い仲間達の離脱に3人は唖然とするが結が咄嗟に魔物娘達は仔蟻を抑えてくれているんだと口走りリアンもそれに同意する。
ファムだけはそんな二人を呆れたように見つめるが結局二人に同調する事にした。
そして、ティタノミルマ・マザーと戦う決意を露わにする3人の頭上が突如として暗くなった。3人が見上げればそこにはティタノミルマ・マザーがいた。
「まぁ! こんなに沢山の子供が来るなんてお母さん嬉しいわ!」
「っ!? あ、あんたがこありたちのおやだまね!」
「あぁっ……す、すごくおおきいのです……こわいです……!」
結は幼児化した事も相まって想像以上に巨体に怯みながらもヒーローの心を奮い立たせる事により持ち直した。だが、リアンは山の如き巨体に怯え、ファムの手を引きその場から逃げてしまった。
ティタノミルマも足元で声をあげる結に気が付くと笑みを浮かべる。その笑みに敵意や悪意が全く感じられなかった。
「うふふ! 元気な子もお母さんは大好きですよ。」
「ふふん、こどもになってもひーろーのこころはきえないわ! さあかかってきなさい!」
結は自身へと迫るティタノミルマに対し黄金のオーラを纏うと両腕を交差させた。ティタノミルマの攻撃を受け止めて反撃をしようというのだ。
だが、ティタノミルマがとった行動は攻撃ではなく優しい抱擁であった。結はティタノミルマの予想外の行動に一瞬困惑するが捕まった事に気が付くと慌てて逃れようと腕を振り回し始めた。
「あらあら、肩を叩いてくれるなんて嬉しいわ。」
「あ、あれ? ぜんぜんきいてないわ!?」
悲しいかな、いくら強化されていても今の結は5歳の幼児、いくら腕を叩きつけようとティタノミルマの甲殻を砕く事が出来ない。
それどころか元気よく叩きつけられる腕をティタノミルマは肩叩きと認識して喜び歌い始めてしまう。
そして、ティタノミルマの歌に籠められた魔力が結の体を容赦なく蝕んでゆく。
「お母さん、最近妙に疲れているから本当に嬉しいわ。~~♪」
「このひとのおうた、すっごいじょうず……なんだかいいきぶんになってきたわ。……おかあしゃんがいたら、こんにゃかんじなのかな……?」
歌が結の耳に入る度に結は更に幼くなり記憶が朧気になってゆく。そして、歌が止む頃には結は赤ん坊になっていた。
「うふふ、それじゃああなたもわたしの子供にしてあげましょう。」
(え、ほんとーにおかあしゃんになってくれるの? やったぁ!)
ティタノミルマは腕の中で不思議そうに首を傾げる結に微笑むと繭で包み込んでいく。繭に包み込まれた結も繭の中で声なき喜びをあげながらその姿を変化させてゆく。
結の金色の髪が黒く染まってゆく。そして、ツインテールが解けると代わりに蟻の触覚が生え、お尻からもスカートを押しのけて小振りな蟻の尾部が生えて来た。
そして、繭を突き破り姿を現した結は人ではなく仔蟻となり元気一杯だった雰囲気はなりを潜めていた。
「……おはようございます、おかあさん。」
「うふふ、おはよう、愛しの我が子。」
先程とは打って変わって大人しい性格に変容した結をティタノミルマは気にする事なく愛で始める。その光景を耳を塞いだリアンが物陰から見ていた。
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「そんな、ゆいさんが……。リアンがにげちゃったからゆいさんがやられちゃったの?」
突如と現れたティタノミルマに驚き、咄嗟に物陰へと逃げてしまったリアンはあっさりと仔蟻にされてしまった結に唖然とする。
同時にリアンは自分が逃げなければ結はやられなかったかもしれないと自己嫌悪に陥ってしまう。そんなリアンをファムは立ち直らせようと肩を揺らした。
「……っ!」
「そ、そうです。いまのリアンはひとりじゃないのです。ファム、リアンにちからをかして!」
「……んっ!」
ファムの機転によりどうにか立ち直ったリアンは結を助ける為に行動を移る。
【魅了変化】により20代前半の大人の姿へと変化したリアンとファムはティタノミルマの前へと躍り出ると殴り掛かった。
しかし、ティタンミルマは大人の姿となったリアンを見るや驚愕し二人を巨大な尾部で薙ぎ払った。
「あなた達、どこから入ってきたの!? わたしの子供をどうするきなの!?」
「ひっ!?」
結であった仔蟻を守るかのように抱きしめ、背から生えた腕を打ち鳴らし威嚇する姿は正しく子を守ろうとする親の姿であった。
そして、その姿はなけなしの勇気を振り絞り戦いを挑んだリアンを怯えさせるには十分すぎた。
怯えによって【魅了変化】の制御が乱れたリアンは元の幼児姿に戻り、それに同調する世にファムも元の姿に戻ってしまう。
ティタノミルマは元の姿に戻った二人を見て慌てて介抱を始める。その表情には子供を傷つけてしまった事に対する後悔に満ちていた。
「あぁ!? お母さんなんてことを……ごめんね、いたくはなかった?」
「ひぃ……。こ、こないで……。」
「あぁ……こんなに怯えちゃって……お母さん失格だわ……。」
怯えて逃げようとするリアン達をティタノミルマは腫れ物を扱うかのように優しく抱き上げると落ち着かせる為に頭を撫でながら歌を歌い始めた。
歌を間近で聞かされたリアンとファムは瞬く間に赤子となり、ティタノミルマの紡ぐ繭へと包まれてゆく。
「まま……とてもこわいゆめをみたのです……だきしめてほしいのです。」
「……んっ……。」
こうしてリアンとファムも結の後を追う様に仔蟻にされ、ティタノミルマに愛でられるのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ジナイーダ・クロハネ
※アドリブ・連携歓迎
●出撃前
母、か。気にした事はないが、親の顔も名前も知らないな……。
何はともあれ、猟兵である以上、どんな手段(幼児化して遊ぶ)を使ってでも、屠るのみ。
●変化後容姿
黒髪ショート(一部紫)の幼児
●到着後
「――あれは、たおすべき、てき……のはず……」
子供として、アレに付き合って寿命を早める。それが事前にたてた作戦。その筈なのに――。
このつつみこまれるかんじが、おや、っていうやつなのかもしれない。ちいさいころから、りょうしゅのてしたとしてうごいていたから、そういうのは、はじめて。
そっか、こどもって、あまえるものなのか……。
●状況終了後
――恥ずかし!? ……いや、でも……。
●
「――母、か。」
黒に紫の混ざったストレートヘアがショートヘアの幼児となったジナイーダ・クロハネ(叛逆のワタリガラス・f18962)は洞窟を歩きながら呟く。
ジナイーダは物心ついた頃からヴァンパイアの配下として吸血鬼殺しと戦う日々を送ってきた。その暮らしの中に親の姿はなく事実ジナイーダは親の顔も名前も知らない。
故にジナイーダにとって親とは未知の存在に他ならない。だが、ジナイーダが猟兵として動く上で全く問題はない為に親について気にかけた事がなかったのだ。
「──猟兵である以上、どんな手段を使ってでも、屠るのみ。」
幼児化に伴いジナイーダは武器の殆どが使えなくなっている。加えて、今回の相手は巨大な蟻の魔物であり幼少期の体術が通用するとは思えなかった。
だが、今回の相手であるティタノミルマが残り僅かな寿命という爆弾を抱えているという。相手を屠る手段を択ばないジナイーダがその爆弾を狙うのは当然の帰結であった。
「──しかし、遊ぶだけで良いとはな。」
相手の抱える爆弾を爆発させるには相手と遊ぶだけで良いという。それは普段から相手を屠る為の手段で試行錯誤を重ねて来たジナイーダにとって拍子抜けする程に楽な方法だ。
強いて問題があるとしたら母親と子供の行う遊びが分からないという事だが、それは相手が勝手に合わせてくれるだろうとジナイーダは考えた。
「──今回は楽に終わりそうだ。」
この時ジナイーダは今回の仕事が楽に終わるとたかをくくっていた。
●
「──幼少の子供ならあれが普通なのか?」
光溢れる遊び場へと辿り着いたジナイーダは仔蟻達が楽しそうに遊びまわる光景を訝し気に眺めていた。幼少期から戦いの日々を送ってきたジナイーダには幼児化しても沢山の遊具には微塵も引かれず、美味しそうな料理に多少惹かれる程度であった。
魅了されないのは好都合と考えたジナイーダはこの洞窟の主であるティタノミルマ・マザーを探す事にした。途中、仔蟻達に遊びに誘われても無視しながら遊び場を歩き回る。
程なくしてジナイーダはティタノミルマを見つけた。ティタノミルマは何故か打ちひしがれているものの、ジナイーダはそれを気にする事無く接触した。
「──あそんで。」
「うぅ……わたしの可愛い仔が……っ!! ……お母さんと何をして遊びたいの?」
「──おかあさんといっしょなら、なんでもいいよ。」
「それじゃあ、まずはお母さんと砂遊びをしましょうか。さぁ、お母さんに摑まって。」
ジナイーダが要件を言えばそれだけで悲痛な顔で項垂れていたティタノミルマは笑みを取り戻しジナイーダに何をして遊ぶか問い掛けた。
対するジナイーダはお母さんと子供が何をして遊ぶか分からない為に当初の予定通りにティタノミルマに遊びの内容を委ねる事にした。
こうしてジナイーダとティタノミルマの遊びが始まった。
●
「──あれは、たおすべき、てき……のはず……。」
ティタノミルマとの遊びが始まって暫くしてジナイーダは困惑していた。
今まで彼女が対峙してきたオブリビオンは必ず何らかの形で悪意を向けてきた。今回の相手も必ず悪意を向けて来ると思っていたのだ。
しかし、ティタノミルマは一向にジナイーダに悪意を向けてこない。それどころかジナイーダに溢れんばかりの親愛と愛情を注いでくるのだ。
「──なんで、このままでいたいと、おもってしまうの?」
実の所、遊びの最中に行われた歌でジナイーダは赤子にされ、そのまま仔蟻にされてしまっていたのだが困惑するあまりその事に気が付いていなかった。
得てしてオブリビオンの中には悪意も殺意もなく凶行に及ぶ者がいる事を彼女は知らなかったのだ。
故にジナイーダは作戦通りに事が進んでいるにも関わらず、愛しのお母さんとこのまま接していて良いのかと悩み始めていた。
そんなジナイーダの変化にティタノミルマが気が付かないわけがない。絵本を読む事を中断するとジナイーダを優しく抱き上げると優しい口調で問い掛けてきた。
「『ぼくはまけない!』勇者はボロボロになっても諦めずに悪いドラゴンへと挑みます。……坊や、何か悩みがあるの? お母さんに話してみて?」
「──こどもって、どういうことをすればいいの?」
困惑するあまりジナイーダはティタノミルマの問い掛けに素直に答えてしまう。
そんなジナイーダにティタノミルマは苦笑するとジナイーダを優しく抱きしめジナイーダの疑問に答えてゆく。
「あなたはおませさんなのね。そんなに難しく考えなくても子供は素直に誰かに甘えればいいのよ。」
「──そっか、こどもって、あまえるものなのか……。」
「そうそう。……たくさん遊んで疲れたでしょう? お母さんが子守歌を歌ってあげましょう。~~~~♪」
「──うん。」
ジナイーダが回答に納得した事を見届けたティタノミルマはそのままジナイーダを優しく揺らしながら子守歌を歌い始めた。
そして、心地良い揺れと優しい歌声に晒されたジナイーダはティタノミルマに抱き着つくとそのまま眠りに落ちるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
サフィリア・ラズワルド
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親代わりになってくれた人はいっぱいいたけど物心ついた時から両親がいなかったからお母さんっていうのが今一わからない、どうなるかな?
【瑠璃色の精霊竜】を召喚、そういえば精霊竜様も小さい私の面倒を見てくれましたよね懐かしい、何かあっても精霊竜様が止めてくれるから大丈夫ですよね。
ではいざ敵前へ
『あそぶーあそぶのー、だめなの?あそびたいー』
『あぶないの?行っちゃだめなの?うー、がまんしゅる……がまんできてえらい?』
親代わりが沢山いたせいか面倒を見てくれそうな人にはすぐ懐きます。
アドリブ協力歓迎です。
サフィリア・ラズワルド
●
「精霊竜さんって昔はこんなに小さかったのね。」
サフィリア・ラズワルド(ドラゴン擬き・f08950)は瑠璃色の精霊竜と共に洞窟を歩く。本来なら狭い洞窟内を巨大な精霊竜が動ける訳がないのだが今回ばかりは事情が異なった。
恐ろしい事に時蜘蛛の糸は巨大なドラゴンをも若返らせてしまったのだ。だが、そのお陰でサフィリアは精霊竜と共に洞窟を進む事が出来ていた。
「お母さんっていうのが今一わからないの……。」
「きゅーん……。」
洞窟を歩きながらサフィリアは呟く。物心がついた時から親代わりとなる者達が沢山いた一方で両親は既にいなかったサフィリアには母親というものを今一理解できないのだ。
そんなサフィリアに対し、精霊竜は困った様な鳴き声をあげると頬を優しく舐めた。
「そういえば、精霊竜様も私の面倒を見てくれてましたよね懐かしい。……精霊竜様?」
ふと、サフィリアは精霊竜に面倒を見て貰っていた頃の事を思い出し懐かしむ様に語る。そんなサフィリアに対し精霊竜が何故か葛藤していた。
サフィリアが葛藤する精霊竜に対して不思議そうに首を傾げる中、洞窟の出口が見えてきた。
「そろそろ広場につきそうなの。精霊竜様、もしもの時はお願いしますね。」
こうしてサフィリアは洞窟の出口へと駆けだし、葛藤を続ける精霊竜は置いていかれてしまうのであった。
●
「さて、お母さん蟻は何処にいるの……でしょう……か?」
「また可愛い子が来たわ!」
洞窟を抜けたサフィリアを出迎えたのはティタノミルマであった。運の悪い事にティタノミルマの巡回のタイミングとかち合ってしまったのだ。
当然、洞窟を訪れた可愛い子供をティタノミルマが放っておくわけがなく、サフィリアはあっと言う間に抱き上げられて歌声と共に甲斐甲斐しくお世話をされてしまう。
そして、元より人懐っこいサフィリアはあっと言う間にティタノミルマに懐いてしまい、そのまま繭に包まれて仔蟻にされてしまった。
「あそぶーあそぶのー。あそぶのだめなの? もっとあそびたいー!」
仔蟻となったサフィリアは小さな角の間に生えた触覚を揺らしながらティタノミルマに遊んで貰おうと後をついて回る。
その姿はカルガモの子供の様でありちょこちょこと動き回る姿はとても可愛らしい。
「あぶないの? いっちゃだめなの? うー、がまんしゅる……がまんできればえらい?」
ティタノミルマがお願いすれば頑張って我慢する姿はとても健気であった。
その姿は正にお母さんが大好きな甘えん坊の子供であった。
●
サフィリアがティタノミルマに甘える姿を監視する者がいた。葛藤するあまりサフィリアに置いていかれてしまった瑠璃色の精霊竜だ。
「ぐるるるる……!」
精霊竜はサフィリアに置いていかれた事が幸いしティタノミルマの歌声を聞く事を免れていた。そして、置いていかれた事に気が付いて慌てて追いかけてみればサフィリアが仔蟻となり繭から出て来る瞬間に出くわしたのだ。
精霊竜は歌の及ばない洞窟の天井付近に潜伏して仔蟻にされたサフィリアを助け出す隙を伺っていた。
しかし、仲睦まじくサフィリアと触れ合うティタノミルマを見る内に精霊竜の内に嫉妬の炎が燃え上がり始めていた。
その理由には精霊竜が抱える秘密が関わっているのだがここでは敢えて語らない。重要なのはティタノミルマがサフィリアに母親と認識され甘えられている状況を精霊竜がこれ以上ない程に羨ましく思っている事なのだ。
そして、嫉妬心を抑えきれなくなった精霊竜はサフィリアがティタノミルマから離れた瞬間を狙い行動に移った。
「■■■■■!!!!」
「きゃぁ!? おかあさん、たすけて!」
幻覚により姿を隠匿した精霊竜は急降下をすると両腕でサフィエルの抱きかかえて空高く舞い上がった。見えない何かに摑まったサフィエルは当然の如くティタノミルマに助けを求めた。
サフィリアのティタノミルマへと助けを求める言葉が精霊竜の嫉妬の炎を更に力を強めてゆく。
「誰なの!? わたしの仔を話して姿を現しなさい! あぁっ!?」
ティタノミルマは宙に浮くサフィエルを助けようと両腕を伸ばす。しかし、嫉妬の力により本来の威力を取り戻した精霊竜の紫の炎がティタノミルマの腕を焼いて阻んだ。
そして、ティタノミルマを退けた精霊竜はそのまま洞窟の外に向けて飛び始める。
「はなして! わたしをおかあさんのもとにかえして!」
サフィリアの確保とティタノミルマへの報復に成功し嫉妬の炎が薄らいだ精霊竜はサフィリアから罵倒されながら自己弁護を続ける。
これらの好意は主を助ける為に必要な事であった。断じて自分が成せなかった母親という役割を奪われた事に対する八つ当たりではないと。
「あなたなんてだいきらい!」
愛し子からの大嫌い発言に内心打ちひしがれながらも精霊竜は洞窟の外へと脱出に成功するのであった。
大成功
🔵🔵🔵
泉・火華流
行動
歌声対策として耳栓使用
洞窟内をレガリアス・エアシューズに指定UCを使い、ナイトメアシザーズ(二刀形態)で時蜘蛛の糸を断ち切りつつ突っ走る(少しでも影響を減らす為)
オブビリオン遭遇時
レガリアス・エアシューズ以外は使用不能…服もブカブカでレガリアス・エアシューズも一回りぐらい大きい
蹴りを主体とした体術には自信はあった…が…
繭に囚われて…肌が徐々に黒く染まりつつ、新たな部位の生成が始まり…記憶も奪われて、意識を手放す
元気な子…という事で、蟻の触覚と尾部が追加されたうえに…怪我をしないようにと首から下は肌が硬質化(動きに支障はない、イメージ的に光沢のある黒のボディースーツを着てるような感じ)
●
「全く、どれだけ子供を愛でたいのよ……。」
泉・火華流(人間のガジェッティア・f11305)はオブリビオンの潜む洞窟に突入する前であるにも関わらず既に項垂れてた。
当初、火華流は幼児化による被害を最小限に抑えて戦いに臨むつもりであった。時蜘蛛の糸を断ち切りながら一気に駆け抜ける事により時蜘蛛の糸の影響を減らそうと考えていたのだ。
しかし、蓋を開けてみれば時蜘蛛の糸で出来たクッションが当たり一面の広がる大地が待ち受けていた。予想の斜め上を行く光景に火華流は対応出来ずクッションの上に着地すると一気に限界ぎりぎりまで幼児化してしまった。
「これじゃあ武器を振るえそうにないわね。靴も気をつけないとすっぽ抜けそうで怖いわ……。」
幼児化による影響は事前に教えられたとおりに深刻であり、エアシューズを除く武器が使えなくなってしまった。だが、火華流に降りかかる災難はそれだけではなかった。
「というか、なんで私だけ服の大きさがそのままなのっ?!」
多くの猟兵の衣類が幼児化に合わせて小さくなる中、どういうわけか火華流の衣類だけは小さくならずに元の大きさを維持していたのだ。
幼児化前との年齢差が低かった為に被害は衣類がぶかぶかになり、エアシューズも一回り大きくなる程度の被害で済んだ。だが、もしも火華流が成人間近の女性であったらぶかぶかの衣類の隙間から大事な所が見えかねないという理由で動けなくなっていたかもしれない。
そういう意味では火華流は運が良かったと言えた。それでも理不尽な事態の連続に火華流の怒りは高まってゆく。
「こうなったら母蟻で鬱憤を晴らしてやるわ!」
こうして火華流は蒸気エンジンで強化されたエアシューズを吹かし洞窟へと突撃するのであった。
●
「アンタがこの洞窟の主ね!」
「私は洞窟の主ではなくて皆のお母さんよ?」
「主でもお母さんでも関係ないわ! 私はアンタを倒す、それだけよ!」
洞窟へと突入した火華流は幾度となく思ったよりも柔らかい大地に脚を取られて転びかけながらもティタノミルマの元へ一直線に突撃する。
途中にある誘惑の数々も怒りに満ちた火華流の前では無意味であった。
火華流はエアシューズに取り付けられた蒸気エンジンの出力を最大まで上げるとティタノミルマへと突撃する。
速度の乗った蹴りをティタノミルマにお見舞いしてやろうという魂胆だ。だが、ここにきて幼児化の影響が火華流に再び牙を剥いた。
「あぁ!? エアシューズが脱げた?!」
勢いのつくあまり、一回り大きくなっていたエアシューズが火華流の脚から脱げてしまったのだ。そして、火華流は勢いそのままに空中に投げ出されてゆく。
「あらあら、元気一杯なのは良い事だけどあまりやんちゃなのも駄目よ?」
空中に投げ出された火華流は勢いよくティタノミルマ目掛けて飛んで行く。ティタノミルマも勢いよく飛んでくる火華流を苦笑しながらも優しく豊満な胸で受け止めた。
「よく見ると服がぶかぶかね。お母さんが直してあげるわ。」
「アンタ何を言ってるのよ? ちょっと、服を脱がさないで!?」
ティタノミルマは器用に火華流のぶかぶかな衣装を脱がしてゆく。幼児となった火華流ではティタノミルマの力には叶わず、あっという間に下着姿にされてしまう。
脱がされた火華流の衣類はティタノミルマの背中から生える節足へ渡されると、縫い針や鋏、時蜘蛛の糸を使い器用に手直しを始まった。
「直に終わるから私の歌を聞きながら待っててね。~~♪」
衣類を剥ぎ取られ、平坦な体を晒された羞恥心に顔を真っ赤にして睨みつける火華流を他所にティタノミルマは歌を歌い始めた。
歌声はティタノミルマに抱き上げられまともに動けない火華流の老いと記憶を容赦なく奪い、その容姿を更に幼くしてゆく。
「これで完成よ! ……あら? これじゃあこの服を着られないわね。」
暫くして手直しを終えた衣類を火華流に着せようとしたティタノミルマだが手の中の火華流は歌声によって赤ん坊にまで退行していた。
赤子となった火華流と手直しを終えた衣類を見比べ、困り顔を浮かべるティタノミルマ。そんな彼女に火華流は何かを懇願する眼差しを送っていた。
その眼差しに気が付いたティタノミルマは火華流が衣類を着れるようにする手段を思いつく。
「そうよ、この子を私の子供に迎えれば良かったのよ! 私ったらなんでそんな簡単な事も忘れていたのかしら?」
(あぁ……まゆにとらわれちゃった……でも、これでわたしもおかーさんのこどもに……。)
ティタノミルマは名案だと言わんばかりに火華流を繭で包み込んでゆく。
火華流も繭に包まれた事により絶望しながら、それ以上にティタノミルマの子供になれる事を喜びを感じていた。
暫くして繭を突き破り現れた火華流の姿はやはりというべきなのか他の猟兵達とは異なっていた。
蟻の触覚と尾部に黒く染まった髪等、他の猟兵にもみられる変化が起きている。だが、火華流の場合は更に肌が浅黒く染まり、首から下は硬い甲殻に包まれている。
そして、立派な仔蟻となった火華流にティタノミルマは揚々と手直しをした衣類を着せてゆく。
「うふふふふ。とっても似合っているわよ、私の愛しい仔。」
「お母さん、ありがとう!」
こうして元気一杯でとても頑丈な仔蟻となった火華流は感謝の言葉と共にティタノミルマへと甘え始めるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
音月・燈夏
嫌な相手ですね。私の技は修練で身に付けたものが多いですし、甘味があったら気を取られかねません。ですが、対策といってもどうすれば……。
んー、幼児化して技が使えぬというのなら、洞窟に入る前に予め神の力を借りておけば良いのではないでしょうか。
そうすればいくらか戦闘力や自制心を保てるでしょう。
わわっ、危ないですね。空中を蹴って安全な地面に着地してから神降ろしを行いましょう。
身体能力で勝てる見込みは無いので、耳を伏せて極力歌声を聞かないようにしながら狐火で応戦するしかありませんね。
神降ろしの効果が解除されてしまう前に倒し切るのが理想ですが、そうでなくても可能な限りダメージを与えたいところです。
アドリブ◎
●
「危ない所でした……全く、嫌な相手ですね。」
音月・燈夏(麗耳の狐巫女・f16645)は樹の枝に腰かけ、クッションが敷き詰められた大地を見下ろしながら呟く。
燈夏も他の猟兵達と同様に柔らかなクッションの上空に転送された。だが、【空中歩法】を駆使して近くの樹の枝に乗る事によりクッションへの着地を回避していた。
「さて、技の殆どが修練に基づく私としては幼児化の影響は避けたい所ね。とはいえ、どう対策すれば……。」
同じく樹の上に退避していた猟兵達が次々とクッションに降り立つ中、燈夏は悩んでいた。
どう足掻こうと幼児化は避けられない。しかし、幼児化すれば修練の果てに習得した技の殆どが使えなくなってしまう。
強いて言えば物心ついた頃から仕えた狐火くらいだが、それにしても巨大な蟻のオブリビオンに通用するかは怪しい所であった。
「んー、幼児化後が駄目なら幼児化前に対策すれば良いでしょうか?」
悩んだ末に燈夏は幼児化前に出来る限りの対策を自身に施す事にした。手始めに燈夏は対策の準備をする為の場を探し始めた。
程なくしてそこそこの広さでクッションが敷き詰められていない岩場を見つけた燈夏は岩場の上へと移動を始める。
「あの岩場が使えそうですね。クッションの上に降りない様に気を付けてっと……神よ『しばし力をお貸しください!』」
岩場に降り立った燈夏は神楽鈴と舞扇を手に神楽を舞い始める。そうすれば彼女の信奉する神がその身へと舞い降りた。
燈夏は自身の周囲に神気が満ちている事を確認すると意を決してクッションの上へと降り立った。
すると燈夏は自身の視点が僅かに低くなると共に神気が削がれるのを感じた。思惑通りに神気が時蜘蛛の糸の影響を抑えたのだ。
「……それでは、神気が持つ内にいくとしましょう。」
燈夏は少しずつ低くなる視点に戸惑いながらも洞窟へと駆けだした。
●
「思ったよりも距離がありましたね。まぁ、誘惑には抗えそうなので良しとしましょうか。」
洞窟内の広場へと辿り着いた燈夏、その容姿は思ったよりも広場までの距離があった為に10台にまで若返り、神気も当初の半分程度にまで弱まっていた。
戦巫女や陰陽師としての技の殆どは当初の予想通りに使えそうにないものの、広場の誘惑の数々に抗う事は出来そうであった。
そして、神気が切れる前に決着をつけるべくティタノミルマを探し始めた。
「これはまた予想以上に大きいですね……。」
「あら? 随分と大きな子供ですね。」
広場を彷徨い始めて数分、高い背丈に惹かれた仔蟻達による遊んで攻撃を受けながらも燈夏はティタノミルマとの接触に成功した。
そして、始めに思った事が身体能力での勝負では絶対に勝てないという事であった。
幸か不幸かティタノミルマは燈夏を妙に大きな子供と認識しているようで害そうという意思は感じられなかった。
「申し訳ありませんが、あなたを倒させて貰います!」
「きゃあ!?」
先手必勝を言わんばかりに燈夏は狐火でティタノミルマを攻撃した。放たれた狐火の数は普段の半分未満だが相手が子供と油断したティタノミルマに痛手を与えるのは充分だ。
広場の中にティタノミルマの叫び声が木霊する。そして、それは洞窟内にいる仔蟻達を集めるには十分すぎた。
「お母さんがもえてるよ! はやくけさないと!」
「わたし、あのこがお母さんにほのおをぶつけているのをみたよ!」
集まってきた仔蟻達は手始めにティタノミルマの体を焼く炎をバケツリレーで運んできた水を使いあっと言う間に消火してしまう。
そして、消火が終われば次は大好きなお母さんを焼こうとした燈夏に視線が向けられる。その眼には燈夏に対する敵意に満ちていた。
「みんな、あのこをこらしめるよ!」
「「「おー!」」」
「これは不味いですね。まずは狐日で牽制をって、味方がいる!?」
仔蟻達は燈夏を捕らえようと迫る。燈夏も狐火で牽制を試みるが仔蟻と化した猟兵が混ざっている事に気が付き咄嗟に取りやめた。
だが、攻撃を中止した所で仔蟻達は止まらない。燈夏はあっと言う間に仔蟻達に集られて拘束されてしまった。
「みんな! まずはぶきをうばうのよ! りょーへいはなんでもぶきにするからねんいりにやるのよ!」
「──ナカにぶきをかくしもってるかもしれない。だから、ナカまでねんいりにしらべるぞ。」
「「「はーい!」」」
「な、何を言ってるんですか?! 私は武器何て隠し持っていないです!」
仔蟻達は容赦なく燈夏の身包みを剥ぎ取ろうを迫る。当然、隠し武器の類を持たない燈夏は抗議するが聞き入れられるわけがない。
結果、燈夏は衣類や武器は愚か下着の類まで全て奪われ一糸纏わぬ姿を晒す羽目になった。更に仔蟻達は燈夏の『ナカ』まで調べようと迫る。
仔蟻達が燈夏の股を広げようとしたその時、仔蟻達を止める者がいた。ティタノミルマだ。
「あなた達何をやっているの!?」
「だって、このこはおかあさんをいじめたんだよ! こらしめないと!」
「だからと言ってやりすぎですよ! さぁ、いい子だからあの子に謝りなさい!」
ティタノミルマは燈夏を辱めようとした仔蟻達を次々と叱ってゆく。燈夏も予想外の事態に困惑し仔蟻達からの謝罪の言葉を素直に受け入れてしまった。
そして、ティタノミルマは胸や股間部を恥ずかしそうに隠す燈夏を抱き上げると慰めるかのように頭を撫でながら歌を歌い始めた。
「私の仔達がごめんなさいね。もう怖くないですよ。~~♪」
「こ、これは……だめ、もう神気が……あぁ……あたまがぼんやりとしてきました……。」
抱き上げられた燈夏は歌声を聞かない様に咄嗟に耳を伏せようとするが、頭を撫でる手がそれを邪魔する。
神気は歌声の魔力を必死に食い止めるが直に尽きてしまった。そして、神気による守りの途絶えた燈夏の体が急速に若返り赤子になってゆく。
「でも、後でちゃんと謝るんですよ?」
そして、ティタノミルマは赤子となった燈夏を繭で包み込み始めるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ディナ・サーペント
蜘蛛の子供になるのは嫌
でも料理は、ケーキとかたくさんあって、美味しそう
…誘惑に耐えるのは大変だし、マザーはほっといても消えるなら、無理して我慢しなくていいよね?
子供にされないようにマザーからは離れて、楽しもうかな
ケーキをたくさん食べたら、ぐっすり眠って一休み
眠ってる間に、マザーが近づいてくるけど気づけない
繭に包まれ、次に目覚めたときには…
猟兵だったことも過去の記憶も忘れて、今までずっとお母さんの子供だったと記憶に刷り込まれて、お母さんに甘えちゃうよ!
そして大好きなお砂場遊びや、おままごとで一緒にたくさん遊んでもらうの!
お母さんの子供でよかった!
えへへ、お母さん、大好きだよ!
※アドリブ絡み歓迎
●
「蟻の子供になるのは嫌……でも、料理は凄く美味しそう……。」
ディナ・サーペント(海賊を志す者・f26523)は広場の一角、料理の置かれたスペースに置かれたテーブルの影に隠れながら葛藤していた。
ディナは嘗ては水と氷を操る海竜であったがとある事情で人間になったという過去を持つ。それでもディナに蟻の子供になる趣味はない。
一方でティタノミルマが作ったであろうケーキの数々が幼くなったディナを魅了していた。
「ほっといても消えるなら、我慢しなくていいよね?」
よくよく観察してみればティタノミルマの甲殻の所々に罅が入り、時折不自然に咳き込んでいる事から寿命が近い事は明白だ。
それなら無理に戦う必要はないという結論にディナは至った。次いで今逃せば二度と食べれないかもしれないケーキを楽しむべきだとディナは考えた。
「歌声を聞かないように対策をして……それじゃあ、いただきます。」
ディナは大きな木の皿にケーキを積めるだけ積むと洞窟の隅にある岩陰へと移動してケーキを食べ始めた。
その量は明らかに幼児が食べきれる量ではない。しかし、元海竜というべきなのかディナは味を楽しみながらもあっと言う間に全てのケーキを平らげてしまった。
「流石にお腹一杯。ちょっと一休み……すぅ。」
ティタノミルマのケーキを堪能し満腹になったディナはその場に寝転がった。その時に自身の脚が岩陰から飛び出し、寝転がった拍子に片方の耳栓が外れた事に気が付かないまますやすやと眠り始めてしまう。
暫くして、料理の追加に赴いたティタノミルマが岩陰から飛び出したディナの脚に気が付いた。ティタノミルマが不思議そうに岩陰へ移動して幸せそうな顔で眠るディナを見つけると苦笑しながらディナを抱えあげた。
「こんな所で寝ていたら風邪をひいちゃいますよ。さぁ、寝床に移動しましょうね。~~♪」
「ぐぅ……もっとたべたい……。」
ティタノミルマがディナをお昼寝スペースへと寝かせれば同じく眠気を訴える仔蟻達が集まり子守歌をねだってきた。
当然、ティタノミルマは可愛い仔蟻達の願いを断るわけがなく、子守唄を歌い始めた。
そして、ティタノミルマの歌声は耳栓で防がれていない耳からディナの体を蝕んでいった。
●
(あれ? ここは……わたしなにしてたんだっけ? あれ、わたしってだれ?)
眠りから覚めたディナは白い幕の様な物に包まれていた。状況を整理しようとするがどういうわけか何も思い出す事が出来ない。
ここにいる理由は勿論の事、自分が何者かすら靄に包まれたかのように思い出す事が出来ないのだ。
「とりあえず、ここからでるの。」
このままでは埒が明かないと考えたディナは自身を包み込む膜を破る事にした。膜は思いの外丈夫であったが一生懸命力を籠めれば大きな音をたてながら破れていった。
そして、膜を破った先にはとても大きな蟻の魔物……否、『お母さん』がディナに笑みを向けていた。
「おはよう、私の可愛い仔。」
「おはよう、お母さん!」
眠っている間にティタノミルマに見つかったディナは歌声を聞かされて老いと記憶の記憶の殆どを奪われてしまっていた。
更にそのまま繭に包まれて仔蟻にされてしまったのだ。青かった髪は黒く染まり、頭とお尻から蟻の触覚と尾が生えている。
そして、仔蟻となったディナは大好きなお母さんに元気よく挨拶をすると。胸元へと飛びついた。
「うふふ、元気一杯ね。」
「お母さん、わたしとあそんで! すなあそびがしたいの!」
ディナはティタノミルマや他の兄姉達と共に楽しく遊ぶ。砂場で巨大な船を作りおままごとではお宝を探す海賊を演じる。
その姿は少し前まで人間であった事を微塵も感じさせない。強いて言えばティタノミルマとの遊びの所々で嘗ての記憶の片鱗が伺える程度であった。
「そろそろご飯にしましょうか。ケーキを作ってあげるから待っていてね?」
「ほんとう!? わぁい! お母さん、だいすきだよ!」
洞窟の広場にディナの喜びと親愛の篭った声が響き渡った。
大成功
🔵🔵🔵
四王天・燦
魔物娘の生活も楽しいかも。
軽い気持ちが命の濫用を見て切なくなる
やんちゃで寂しがりな五歳児だけど二十歳の想いを狂気耐性で護り抜く。
幸せの中で逝かせてあげたいんだ
隠し持つ油揚げを子供に取られ大喧嘩。
蟻の四腕を活かした危ないプロレス技に掛けられマザーに助けを求めたり
「おかーさんのこどもにして!」
躊躇わず要求。
繭の中で変えられる悦楽に溺れ…蟻化
甘える。
遊ぶ。
情が移る。
何で魔物と人って敵対するんだろ?
栄養を求めマザーの胸に吸い付き魂喰らいの接吻で精気を啜る。
攻撃意思を隠したけどお母さんにはバレてるかな。
何度も泣いて謝り娘として看取る
変異が解けるまで篭るよ。
泣き顔で出れねーわ
クッションは回収。
大事にするぜ
●
「こう見てみると魔物娘の生活も楽しいかも。」
四王天・燦(月夜の翼・f04448)は楽しそうに遊ぶ仔蟻達を見て羨む。快楽主義である燦にとって好きな事だけをしていられる環境というのはとても魅力的だ。
更に仔蟻達は何れも純粋に遊ぶ事を食べる事を母親に甘える事を楽しみ幸せそうにしている。ある意味では燦にとって理想的な環境と言えるかもしれない。
だが、今の燦はあくまでもオブリビオンを討伐する猟兵としてここに赴いており、仔蟻達と混ざり遊んでいる暇はない。
幼児化により顔を出した5歳のやんちゃで寂しがり屋な心が魅力的な光景に惹かれ始めている。それでも猟兵としての狂気耐性により辛うじて守られた25歳の想いがそれを強引に抑え込んでいた。
「せめて、幸せの中に逝かせてあげたいな……。」
こうして燦はティタノミルマと戦う為に広場へと足を踏み入れた。しかし、燦が広場に突入して間もなくしてテーブルに陳列された料理を堪能していた。
いくら狂気耐性で守った25歳の想いで誘惑に勝つという発想は悪くなかった。しかし、25歳の燦も快楽主義者な時点で誘惑に耐えられるわけがなかった。
「おいしい! ……だけど、油揚げがないのは残念だぜ。」
テーブルの上に置かれた料理は素朴な者が多いものの何れもとても美味しい。だが、残念な事に燦の大好物である油揚げはどれだけ探しても見つからなかった。
恐らくは西洋文化が主流のこの世界では油揚げやそれを作るのに必要な豆腐がまだ存在しないのだろう。
「仕方ない、ここは自前の油揚げで我慢をって……あぁっ!?」
「なにこれ!? みたことないたべものだ! いただきまーす!」
やむを得ず、食べたくなった時用として隠し持つ油揚げを食べようと取り出した燦であったが、あろうことか油揚げを隣にいた仔蟻に見つかった上に奪われて食べられてしまった。
当然、大好物を奪われた燦は激怒して油揚げを美味しそうに食べる仔蟻に掴みかかった。
「このヤロー! アタシの油揚げを返せ!」
「わぁ!? なにすんだよ! けんかならかうぞ!」
こうして始まった燦と仔蟻の喧嘩だが幼児となり身体能力も5歳児に戻った燦では見た目に反した怪力の持ち主である仔蟻に敵うわけがなかった。
燦はあっと言う間に組み伏せられ、異形の四肢を駆使したプロレス技をかけられてしまった。
「どーだ! まいったかー!」
「いたたたたたた!? ギブギブ! 誰でもいいから助けてぇ!?」
広場に燦の助けを求める悲痛な叫びが響き渡る。だけど周囲にいる仔蟻達は突然始まったイベントを止めるわけがなく煽り囃し立てるだけだ。
しかし、天は燦を見捨てなかった。助けを求める悲痛な声を聞いたティタノミルマが駆けつけて来たのだ。
「あなた達、何をしている!?」
「わわっ!? た、ただこのことプロレスごっこをしているだけだよ?!」
駆けつけて来たティタノミルマに燦と喧嘩をしていた仔蟻は咄嗟に言い訳を言うが尋常ではない燦の様子からごっこ遊びではなく喧嘩であったと看破された。
続けて喧嘩に至った理由の事情聴取が始まれば直に燦の食べ物を奪った仔蟻が悪いという結論に至り、ティタノミルマは燦に謝る様に仔蟻を叱りつけた。
そして、渋々ながらも謝罪を済ませて逃げていく仔蟻を苦笑しながら見送ったティタノミルマは燦の介抱を始める。当然、介抱の最中には燦を落ち着かせる為の穏やかな歌のオマケ付だ。
お陰で燦は介抱をされる最中に歌声によってどんどん若返り、ティタノミルマの子供になりたくなっていた。
「~~♪~~♪ ……私の子供がごめんなさいね。もう痛くないかしら?」
「だいじょうぶだぜ! そんなことよりもアタシをおかーさんのこどもにして!」
「うふふ、あなたも私の子供になってくれるのね。嬉しいわ。」
燦からのお願いにティタノミルマは笑顔で応じると繭で包み込んだ。
そして、繭に包み込まれた燦は体が変質する悦楽に溺れていった。
●
「おかーさん、あそんで!」
「いいわよ。何をして遊びましょう?」
繭に包まれ立派な仔蟻となった燦はティタノミルマに甘え、ティタノミルマもそれに応じてゆく。
そこに猟兵としての燦の面影は全く感じられない。しかし、仔蟻の姿になっても燦の内には25歳の錠の想いが残っていた。
そして、25歳の錠は目の前のオブリビオンを倒さなくてはと思う一方でティタノミルマを討つ事に抱き始めていた。
(何で魔物と人って敵対するんだろ?)
その疑問の答えを出す事は極めて困難だろう。なんせ、人は魔物どころか同じ人とも敵対し殺しあう事が普通に起こるからだ。
だが、ここにきて大きな転機が訪れる。
「おかーさん、アタシおなかがすいてきちゃった。」
「それではそろそろご飯にしましょうか。あなたの好きな物を作ってあげるわよ。」
「んー、それならおかーさんのおっぱいがのみたい!」
「あなたは変わった物が欲しいのね。……もしかしたら、お母さん出せないかもしれないから、その時は他の物で我慢してね?」
ティタノミルマは錠のおねだりに苦笑をしながらも豊満な胸を曝け出す事により応じた。錠は喜びながらティタノミルマの胸に吸い付くと胸を吸い始めた。
洞窟内にティタノミルマの悶える様な嬌声が響き渡り、同時に錠の口から何かを吸い上げる音が響き渡る。だが、実際には錠の口の中に母乳は流れ込んではいなかった。
ティタノミルマの懸念通り、母乳が出なくなっていたのだ。では錠がティタノミルマから吸っている者は何なのか、それは第三者として見守っていた25歳の錠が知っていた。
(吸っちゃ駄目、それを吸ったらお母さんの魂と精気が……!)
錠が吸っていたのはティタノミルマの魂と精気を変換した者に他ならない。錠に僅かに残されたオブリビオンを倒せと言う想いが無意識の内にユーベルコードを行使させているのだ。
しかし、それを行う原因となった25歳の錠は必死に仔蟻となった自身の行動を止めようとしていた。第3者として見守る内にティタノミルマに対する情が沸いてしまったのだ。
だが、いくら25歳の錠が叫んでも仔蟻の錠は胸を吸う事を止めようとしなかった。
「んぐっんぐっ……おかーさん……ごめんなさい……。」
「あらあら、謝らなくてもいいんですよ? お母さんは怒ってなんていませんから……。」
25歳の錠はティタノミルマが錠の行動を攻撃であると認識した上でそれを受け入れてという事実に気が付き、悲痛な叫び声をあげた。
大成功
🔵🔵🔵
リダン・ムグルエギ
こういう時、たまには実家に親孝行しないとって思うわね
このクッション送ったら喜ばれそう?
そうね
今回の作戦は親孝行、よ
わーい、オモチャたーくさん!
皆もあーそぼー
ママ、ホントに優しいね
お礼しないと?
最初は子蟻達と遊び
仲良くなったら提案するの
一緒にママへの贈り物作らない?って
蜘蛛糸でマフラー等を作る流行・ブームを仕掛けるの
幼児に服飾知識は無いけど
経験がないなら学べばいい
事前撮影した糸を使った編みもの講座動画をスマホで子蟻達と共に見て学習
彼女に糸をねだり
作品を作るわ
これは多人数で糸を使う事による寿命狙い作戦兼
子蟻達を拘束するための手だけれど…
子を慈しむ母は嫌いになれないの
幼児なりの全力でお礼を作り渡すわ
●
「子供だ大好きなお母さん、か。」
リダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)は岩場に腰かけながら思いにふける。
今回の相手は生物を若返らせて赤子に変えるという問題行動こそ起こすが、その行動原理に悪意はなく、純粋に子供を愛でたいという感情に基づいているという。
ふと、リダンの脳裏に実家の家族の姿がよぎる。そして、猟兵としての活動やデザイナーとしての仕事が忙しくて家族と疎遠になっていた事を気が付いた。
「こういう時、たまには実家に親孝行しないとって思うわね。このクッションなんて送ったら喜ばれそう?」
リダンは足元に敷き詰められたクッションを手にとる。シンプルながら出来の良いこのクッションは【時蜘蛛の糸】で作られている。
今は触れるだけで瞬く間に5歳児相当まで若返る程の魔力に満ちた危険物だ。しかし、ティタノミルマが倒されれば触れた者を緩やかに若返らせる……言い方を変えれば程よく疲れを取るクッションとなるだろう。
そして、親孝行という言葉からティタノミルマを倒す為の作戦を思いついた。
「そうね、今回の作戦は親孝行、よ。」
この作戦を成功させるには相応の準備が必要になりそうであった。しかし、楽をする為の苦労が大好きなリダンにとってそれこそ望むところなのだ。
そして、リダンは懐から携帯端末を取り出すと意気揚々と作戦を楽に実行する為の準備を始めた。
●
「わーい、おもちゃがたくさーん!」
洞窟の広場にリダンの無邪気な声が響き渡る。猟兵達の多くがティタノミルマに立ち向かう中、リダンは沢山の仔蟻達が屯する遊び場へと突撃していた。
遊技場には木製の遊具や玩具が沢山置かれており仔蟻達はそれを仲良く分け合いながら遊んでいた。
「アタシもあそびにまぜて!」
リダンが果敢に声をかければリダンに悪意や敵意がない事もあって仔蟻達は快く遊びに加えてくれた。そして、リダンは仔蟻の身体能力の高さに時折ヒヤヒヤさせられながらも仲良く遊んで行く。
そして、仔蟻達と大分打ち解けたのを見計らいリダンは仔蟻達へある質問を投げかけた。
「そういえば、皆はママのことだいすき?」
「だいすきです。おかあさんはわたしたちにとてもやさしくしてくれます。」
「そうだね、ここにきてからみんなしあわせいっぱいなんです。」
「……んっ。」
リダルの質問に対する仔蟻達の返答は一様にティタノミルマに対する好意に満ち溢れている。同時にその言葉には仔蟻にされる前の生活の片鱗が伺えた。
そして、仔蟻達の返答にリダンは笑みを浮かべると仔蟻達に提案を始めた。
「あなた達のママ、ホントにやさしいのね。ねぇ、みんなはいつもがんばってくれているママにお礼をしたくない?」
「っ! ──たしかに、お母さんのために……おれいはしたい……。」
「でも、どんなことをすればいいの?」
「アタシにいい考えがあるわ。皆でママのためにマフラーをつくるのよ。」
リダンの作戦、それは仔蟻達に毛糸のマフラーを作りを流行らせる事であった。
一見すると無意味に見える作戦だが、重要になるのはマフラーを作る為の材料なのだ。
「けいとのマフラー? わたしたち、つくりかたがわからないの。」
「こんなこともあろうかとつくりかたをしらべてあるわ。あとは皆ですこしずつ作れるようになればいいのよ。」
「マフラーを作るのはいいけれど、ざいりょうはどうするのですか?」
「そこはあなた達のママにお願いするのよ! この床もあなた達のママが作った物なんだからきっと沢山の毛糸を持っているはずよ。」
リダンは仔蟻達にティタノミルマから毛糸……時蜘蛛の糸を貰いマフラーを作る様に誘導してゆく。
そう、リダンは仔蟻達を通じてティタノミルマに時蜘蛛の糸を過剰に作らせる事によって寿命を消費させる事を狙っているのだ。
更に仔蟻達がマフラー作りに夢中になる以上、仔蟻達によってティタノミルマを倒す事を邪魔される事も防げる一石二鳥の策でもあった。
こうしてリダンの作戦は次の段階へと進み始めた。
●
「お母さん! けいとをちょーだい!」
「あらあら、何を作るのかしら? お母さんに教えてくれない?」
「ないしょだよ!」
「お母さん、わたし達とあそんでよ!」
リダンは仔蟻達と一緒に編み物をする傍らでティタノミルマに毛糸を強請る仔蟻達を眺めていた。
仔蟻達には事前に毛糸を求める理由を聞かれても内緒にする事とローテーションでお母さんの注意を引くセーター作りの現場に近づけない事をお願いしている。
なので、リダンがティタノミルマの歌声に晒される可能性は限りなく低いだろう。
「……あとはティタノミルマが値を上げるのを待つばかりですね。」
リダンは流石のティタノミルマでも生成できる時蜘蛛の糸には限界があり、何時かは根をあげて何処かへ退避すると予想していた。
そして、ティタノミルマが糸の生成を断念して退避した所を狙い一気に片を付けるのが今回の作戦の最終段階であった。
「はいはい、今毛糸をあげますよ。」
想定よりもティタノミルマには余力があるらしく糸の生成をやめない。だが、黒い髪が所々白く染まり始めていた。
「あらあら、今日は皆毛糸を欲しがるのね。……ごほっごほっ……。」
咳き込みながらもティタノミルマは糸の生成をやめない。甲殻の至る所に罅が入り尾部も萎びてゆく。
「ごほっごほっ! ……お母さんは大丈夫よ? 今毛糸をあげるから待っててね?」
吐血しているのにティタノミルマは糸の生成をやめようとしない。そして、尾部を支える巨大な後脚が1本根元からもげた。
リダンは戦慄した。ティタノミルマは明らかに限界が近いにも関わらず仔蟻達が求めれば時蜘蛛の糸を生成するのだ。
しかも、どんなに酷い状態になっても仔蟻達への笑顔を絶やさず仔蟻達に自身の不調を悟られていない。
ここにきてリダンは自分がとんでもない事をしてしまったのではないかという罪悪感に襲われる。しかし、今のリダンでは流行を作る事は出来ても一度動き出した流行が止まる事は難しい。
故にリダンはティタノミルマが時蜘蛛の糸を作り出す原因であるマフラー作りを一刻も早く終わらせる為に全力を注いだ。
「「「マフラーが完成したよ!」」」
そして、仔蟻達がお母さんへのプレゼントを完成させた喜びの声をあげるのと同時にティタノミルマは程よい弾力の大地に倒れ伏せた。
●
「お母さん、大丈夫!?」
「お母さん、こんな所で寝てたか風邪を引いちゃうよ!」
突如として倒れたティタノミルマを仔蟻達は取り囲み心配する。中には治療を試みる者もいたがそれは全く効果を成さなかった。
ティタノミルマの寿命が今まさに尽きようとしている。寿命である以上、どんなに治療を施しても彼女を救う事は叶わないのだ。
そんなティタノミルマにリダンは彼女を追い詰めた原因であるマフラーを抱えて近づいてゆく。そして、間近に立ったところでリダンは問い掛けた。
「なんで、寿命が僅かな事を知っているのに糸を作るのをやめなかったの?」
「なんでって……お母さんは子供の為ならいくらでも頑張れるものよ。現にそれが完成するまで私は頑張れたでしょう?」
「っ!? だからって、あなたが死んだらいみがないわ!」
「いいえ、意味はあるわ。あなたが導いてくれたお陰で子供達は互いに力を合わせて事を成す事を学べたでしょう? これなら私が死んだ後も子供達は生きていけるわ。」
そう、リダンの策はティタノミルマにばれていたのだ。そして、その策をティタノミルマが仔蟻達の為に利用された事をリダンは悟った。
仔蟻の為なら我が身を顧みず敵すら利用するティタノミルマの在り方にリダンは改めて戦慄した。
「ねぇ……私のお願いを聞いてくれないかしら? 愛しの我が子達が作ったマフラーを私につけて……。」
「……わかったわ。」
「うふふ……ありがとう……。」
リダンはティタノミルマが求めるままにマフラーをその首に優しく巻いた。ティタノミルマはリダンに笑顔でお礼を言うと仔蟻達へと語りかける。
「……私の可愛い子供達……お母さん、ちょっと頑張りすぎたみたい……。」
もはや声を出すのもつらいのか、何度も言葉を途切れさせながらもティタノミルマは語り掛ける事を止めない。
仔蟻達もそんなティタノミルマの言葉を聞き逃さない様に真剣に聞いている。
「……だけど……今のあなた達なら私がいなくてもきっと大丈夫……だから、これからは皆で協力して生きてね……。」
ティタノミルマは残された最後の力を振り絞り、今にも泣きそうな仔蟻を優しく撫でながら最後の言葉を紡いだ。
「……お母さん、本当に幸せだったわ……。」
「「「「「「お母さん!!!」」」」」」
こうしてティタノミルマは仔蟻達に看取られながら息を引き取った。
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「……やっぱり、アタシは子を慈しむ母は嫌いになれないわ。」
ティタノミルマが息を引き取って暫くして仔蟻達が作ったマフラーと共に骸の海へと沈んでゆき、後には沢山のガーネットだけが残されていた。
事前情報にはない残留物にリダンは首を傾げるが次の瞬間、幾つかのガーネットが一人で砕け散り、それに合わせるかのように仔蟻となっていた猟兵達の姿が緩やかに元の姿を取り戻し始めた。
どうやら、このガーネットにティタノミルマが歌声で奪い取った老いと記憶が封じ込められていたらしい。
しかし、殆どのガーネットはそのままであり同時に洞窟に沢山いた仔蟻達も洞窟の外へと移動を始めた。
このまま仔蟻を逃がせば近い将来人々を脅かす脅威になるかもしれない。しかし、洞窟にいる猟兵達は誰一人として仔蟻達を追う事はしなかった。
「戦争が終わったら、実家に連絡しようかな……。」
リダンは当初の予定通り、ティタノミルマの置き土産である『時蜘蛛の糸のクッション』を拾い上げると洞窟の外へと歩き出した。
それに合わせる様に他の猟兵達も次々と帰路についてゆく。
「――恥ずかし!? ……いや、でも……。」
ある者は仔蟻となっていた時の事を思い出して羞恥に顔を赤らめながらも満更でもないといった様子で出口を目指す。
「……ぐすっ……お母さん……ごめんなさい……。」
またある者は仔蟻であった時に行った所業を悔み、洞窟の隅で膝を抱きかかえて泣いていた。
「クッション……大事にするぜ……。」
それでも暫くすると立ち直り、『時蜘蛛の糸のクッション』を持てるだけ持つと洞窟を去っていった。
ここに群竜大陸における一つの戦いが終結を迎えるのであった。
大成功
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