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帝竜戦役㉑〜凄惨を識る竜よ

#アックス&ウィザーズ #戦争 #帝竜戦役 #帝竜 #ガイオウガ #群竜大陸

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●焔の淵から
 帝竜『ガイオウガ』が吼える。
 それは燃え盛る炎を思わす巨怪。あらゆるものを灼き尽くし、灰燼と成す劫火。
 ガイオウガから生じた焔の獣の群れが、その足元にひれ伏している。鬣や尾に炎の理を宿す異形の炎獣たちが、恭しくガイオウガに言葉を捧げる。

「垓王牙ヨ、猟兵ガコノ地ニヤッテキマス!」
「奴ラハ未ダ群体! 全ニシテ壱デアル垓王牙ヨリ劣ル存在」
「……シカシ、我等ハ知ッテイマス!」
「例エ『再孵化』ニヨリ記憶ガ失ワレヨウト、ソノ魂ガ覚エテイマス」
 猟兵たちの気配を悟り、その進軍を打ち払おうとする意思。
 それがガイオウガを中心として猛々しく燃え盛る。
「間違イアリマセン。アノ者達ハ全テヲ破壊スル『牙』!」
「ヒトタビネジ伏セヨウトモ、何度デモ喰ライツク魂ノ持チ主!」
「我等ガ偉大ナル垓王牙ヨ! アナタ様ガ敗北スル可能性モ十二分ニアリマス!」
「備エメサレヨ、偉大ナル垓王牙!」

 ガイオウガは焔の息を吐く。
 そんなこと、言われなくともわかっていると示す荘厳さと共に。


●凄惨を識る竜よ
「備えられても、倒すしかないんですけどね」
 興味の色を幾らも示さず、シルヴェスター・トラッシュ(月の動脈を噛む・f19453)は淡々と言う。
 しかしシルヴェスターの双眸に宿るのは、余裕など知らぬという冷徹な彩。
 すなわちガイオウガとの闘いに油断など許されない。それは言わずとも知れていたことだろう。
「垓王牙──ガイオウガは、火山と見紛う巨体を擁する、煮え滾る溶岩のような帝竜です。火山そのものが魂を得て動いている、そんな風に見えるでしょうね」
 シルヴェスターは猟兵たちを見渡しながら、淡々と続ける。
「全身から溶岩と『炎の獣』を放って踏みしめた大地を活発化させます。生半可な攻撃じゃ捻り潰されて焼き尽くされるのが関の山でしょうね」
 ガイオウガが持つ二つ名、『燃え盛る獣の帝竜』というそれは伊達ではない。あらゆる攻撃が苛烈な炎を伴い、それは瞬く間に眼前を焼き尽くすはずだ。
 力量差が圧倒的な相手だ。先手を打って不意を衝くことは難しいと言っていい。
「まずは初撃をどう凌ぐかが重要ですね。立派な図体をしているだけあって、素早く連撃を重ねてくるわけじゃない。ただ、一発重いのを食らったら致命傷になりかねない。そのことは十分注意してください」
 沈黙が落ちる。
 しかしシルヴェスターは、その隙間に小さな笑みを零した。不敵な、敵を倒すことを疑っていない色を孕んでいる。
「期待して構いませんよね? 炎獣たちの憂慮を実現させて、一撃食らわせてきてくださいよ。まさか出来ないなんて言いませんよね」
 シルヴェスターの口の端が上がる。
 そこにあるのは不遜なほどの、猟兵たちへの信頼だ。
「よろしくお願いします。戦果の報告、楽しみにしていますよ」


中川沙智
 中川です。
 ガイオウガなので! 倒さなきゃいけないですね!!

●プレイング受付期間について
 今回はオープニング公開時より随時プレイング受付を開始します。
 導入文の追記はありません。最低でもオープニング公開時点から24時間は受付します。

●シナリオ構成について
 第1章:ボス戦『帝竜ガイオウガ』
 以上の流れになっています。
 プレイングボーナスの要件として『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』ことが重要となります。敵は必ず先制攻撃してくるので、いかに防御して反撃するかの作戦を盛り込んだプレイングをお願いします。
 対策がなければ苦戦必至です。ガチ判定で参ります。基本的には成功出来そうなプレイングを優先的に採用しますが、苦戦・失敗でも採用し、シナリオ失敗となる可能性もありますのでくれぐれもご注意ください。

●プレイング採用について
 今回はシナリオの性質上全部のプレイングを採用出来るとは限りません。
 プレイングお返しする可能性も十分あります。ご理解の上ご参加くださいませ。
 採用は先着順ではありません。

●プレイングについて
 技能を明記する場合は『どう使うか』を記載してください。技能だけを記載・羅列した場合は苦戦及び失敗する可能性が高くなります。

●同行者について
 ご一緒する参加者様がいる場合、必ず「プレイング冒頭」に【相手のお名前】と【相手のID】を明記してくださいますようお願いします。

 では、皆様のご参加を心からお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『帝竜ガイオウガ』

POW   :    垓王牙炎弾
【全身の火口から吹き出す火山弾】が命中した対象を燃やす。放たれた【『炎の獣』に変身する】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    垓王牙溶岩流
自身の身体部位ひとつを【大地を消滅させる程の超高熱溶岩流】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
WIZ   :    垓王牙炎操
レベル×1個の【ガイオウガに似た竜の姿】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。

イラスト:阿賀之上

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

イリーツァ・ウーツェ
先制対策
背の翼で飛行、燃える地上と火山弾を避ける
怪力を活用し、空気を殴りつける事で
空気砲とし、火を吹飛ばす

敵上空にて【空亡】を使用
巨竜となり、体重と落下による加速を加え
全霊の一撃を叩込む
或いは踏潰す

火傷等、後で治せる
死ななければ良い
背を踏みつけ、顎の上を掴み
裂けた口から、引裂いて呉れよう



●竜の錯綜
 まさに獄炎と言うべき苛烈な熱であった。
 ガイオウガは今一度吼える。地鳴りのような音を立て、その喉から焔玉を生じさせている様を、イリーツァ・ウーツェ(竜・f14324)は遠目で見ていた。
 しもべである炎獣だけでなく周囲の地形すら従える、焔の竜王。
 肉薄するか、間合いを取るか。いずれにしても真っ向から相対するのは得策ではないだろう。
 意識を集中させる。墨色の翼を翻し、飛翔する。その間にも熱が爆ぜる。幾つもの火山弾が、イリーツァを狙い迸る。
「こちらの態勢などお構いなしか」
 短く呟き、身を捩じらせる。イリーツァの尾を掠めればそれだけで表面が炙られる。
 火山弾が炎鳥へと姿を変える様に、眉根を寄せる。意思を以て動くようになれば躱しきれない。
「ちっ!」
 故に敢えて前に出る。突貫してくる炎鳥の眼前を力づくで殴りつける。
 空気が破裂した甲高い音が鳴る。空気砲で火を吹き飛ばしたのだ。急激に圧を加えられた炎鳥は断末魔と共に消滅する。
 ガイオウガへの動線が拓かれた。逃すわけがない。
 続く炎鳥を無視し、真直ぐにイリーツァは距離を詰める。炎鳥が襲い来て翼や四肢、肺の奥をも焼くも歯を食いしばる。意に介していてはガイオウガに届かない。
 上空、ガイオウガに一撃が届く距離を確保して息を吐いた。
 意識を集中させる。
 イリーツァの身体が徐々に猛き巨竜へと姿を変える。
 ガイオウガと対照的な蒼き焔が奔る。それを従え、落下による加速を乗せて突貫する。
 炎の飛礫が夥しくイリーツァを打ち付けるも、構わず全体重を乗せた踵でガイオウガの背を踏み抜いた。ガイオウガの身を穿つ感覚は確かなもの。
 ユーベルコードの相性が良いことが幸いした。ただ、このまま単純に力押しでいけるほど、容易い相手ではなさそうだ。
 しかしイリーツァは臆さない。
 赤眼で真直ぐガイオウガを射貫く。
「火傷等、後で治せる。死ななければ良い」
 焼き爛れた脚を叱咤し、不遜に宣う。
 何なら上顎を掴み引き千切ってやろう。裂けた口から炎が噴出する前に、もう一撃食らわせればいいだけの話だ。

成功 🔵​🔵​🔴​

塩崎・曲人
おうおう、こらまたスゲーのが出てきたなぁ
デカイし熱いしヤバい、シンプルだが隙がねぇ
ボサッとしてると普通に死ねるなこれ

まずは初手をどうにかすると
溶岩流……基本は地面に流れるもんだ、それに『賭けて』みるか
足元でチョロチョロして対地攻撃を誘おう(【フェイント】)

「持っとくモンだぜ秘密兵器!カラビヤウ・シックス起動!」
そして重力制御球の効果で宙に浮く
これで大地を流れる溶岩流なら回避できらぁ

とはいえ敵さんの攻撃で地面に叩き落されるとヤバい
さっさと反撃しねぇとな
あの固くて熱い巨体の弱点を狙い、人間が一撃で揺るがす……
無理ゲーも良いとこだが、オレはそういう不可能を土壇場で可能にするのが得意でな!(UC使用)



●Fortune favors the bold.
「おうおう、こらまたスゲーのが出てきたなぁ」
 唾を飲む。
 飄々と軽口を叩くものの、塩崎・曲人(正義の在り処・f00257)の眸の奥は決して笑ってはいなかった。
 先の猟兵の渾身の一撃を意に介さぬ余裕。存在するだけで周囲を灰燼にしそうな熱量。
 肌が緊張を帯び乾くのは、何も気温のせいだけではない。
「デカイし熱いしヤバい、シンプルだが隙がねぇ。ボサッとしてると普通に死ねるなこれ」
 予知で聞いたガイオウガの技を思い返し、目を眇める。
 大地自体を融かすほどとされる、高熱の溶岩流。
 しかし溶岩流となれば、基本は地面に流れるものだ。焔が爆ぜ迸るだろうから絶対に安全とは言い難いが、地上よりは空中のほうが分があるだろう。
「それに『賭けて』みるか」
 決めれば早い。
 曲人は身を屈め、低い体勢でガイオウガへと一足飛びで駆け出した。
 出来る限り一直線にではなく、動く幅を大きめにして気を引こうとする。ガイオウガの視界において、ちょこまかと動き回る五月蠅い輩だと思われれば僥倖だ。
「っし!」
 曲人の狙い通り、ガイオウガは身体に備える火口のひとつを溶岩流へと転換する。辿る大地を蒸発させるくらいの超高温が、凄まじい勢いで押し寄せてくる。
 しかし対地攻撃であれば。
 宙に浮かべば、避けられる。
「持っとくモンだぜ秘密兵器! カラビヤウ・シックス起動!」
 曲人の手に浮かぶ機械球が展開する。
 コアが虹色を帯び、一瞬収縮してから閃光を放つ。同時に重力制御機能が発動する。踵が浮く。一気に宙へ駆け上がり、轟音と共に押し迫る溶岩流を躱すことに成功する。
「ぐっ……!」
 しかし完全に避け切れたわけではない。
 跳ね上がる溶岩の波濤の名残、熱が僅かに飛散する。膝から下に食らったそれは、曲人の身を抉る勢いで焦がす。これが直撃していたらと思えばぞっとする。
 曲人は唇を引き結ぶ。仮に機動力を奪われた状態で地面に叩きつけられたら、あっという間に溶岩に呑み込まれるだろう。
 であるなら、反撃は早いほうがいい。
 鉄パイプを掴んだ手に力を籠める。
 腕は動く。
 ならば殴れる。
 ガイオウガの固くて熱い巨体。その弱点を見出そうと目を凝らした。
 たかだか人間ひとりが打撃を食らわすことなど無謀なのかもしれない。
 だが──曲人は不敵に口の端を上げた。
「無理ゲーも良いとこだが、オレはそういう不可能を土壇場で可能にするのが得意でな!」
 身を捻り、ガイオウガの頭上を狙って急降下する。
 過去や未来、あらゆる運気を手繰り寄せ、その一撃にすべてをかける。
 捉えた。
 それは一瞬のきらめきと言っていい、痛打のインパクト。ガイオウガに聳える火口のひとつが、砕ける音が聞こえた。

成功 🔵​🔵​🔴​

冴島・類
全てにして壱
凄い相手だが
引けぬと胸が燃えている

群がひとつに、じゃなく
猟兵の皆は、変数だと思うよ

相手の挙動、マグマや火のうねりを良く見て
初撃の機だけ六感も総動員で見切り
短刀UCではない、咄嗟に手繰る相棒から放つ衝撃波を直撃の場に放ち
反動で勢いつけ飛びすさりと軌道逸らし狙い
尚躱しきれぬ分は耐性で耐える

以降は、止まれば的にされる
放った火の速度を覚え
次からは舞で直撃を軽減と
フェイントで狙いを定めさせぬよう動きながら避け近付き
破魔を込め枯れ尾花からの薙ぎ払いを
狙うは、他猟兵が攻撃した場があれば同じ位置に集中し破壊か
複合体を狙い他者に向かわせぬフォローか
場を見て判断

掛け合わせ
誰かの牙が、食い破れば良いのさ



●疾く舞うは枯れ尾花
 冴島・類(公孫樹・f13398)の萌黄の双眸が、ガイオウガの咆哮を見据えている。
 空気が張り詰める。肌が僅かに痙攣する。唾を飲みこめば喉が上下する。
 今肺を軋ませる緊張は恐怖ではなく、畏怖に近い。
 異形の炎獣たちを生み出し、従える。
 全てにして壱。焔の根源。
「凄い相手だ。ただ……」
 類は目の渇きを逃すように瞬きをする。
 そっと、心臓の上に手を置いた。響く鼓動。そこに息衝いている熱がある。
 ──引けぬ。
 それはこの戦場にいる猟兵への信に等しい。個々が群を成すのではない。それぞれ別の存在であり、別の篝火であるのだから。
 揺らめき、燃え盛るそれは。
「猟兵の皆は、変数だと思うよ」
 類は地を踏みしめ、蹴った。
 ガイオウガが放つ熱流を注視する。しなる尾の気配を見過ごさない。
 焔、火の輪郭、地面が焦げる匂い。
 散る火花。
「──ッ!」
 短刀を鋭く振り払う。
 夜半の三日月に似た衝撃波が、猛然と襲い来る業火の獣たちと衝突する。
 炎が大地をも貪り喰うように融かし、蒸発させる瞬間。捉えた。爆ぜる空気の反動で飛び退き、類は右後方に跳ぶ。
 熱が切っ先を見定める前に類は馳せる。ガイオウガとの距離を詰める間も、全身の神経を総動員して攻撃を間一髪で躱していく。髪が焦げ、上腕が焼けようとも、砕けた地に足を取られぬよう駆ける。
 一度足を止めてしまえば標的を定められるのは明白だった。ならば、ひとところに留まらぬよう機動力を上げ、攻撃を重ねるしかない。
 フェイントを交えつつ、迸る炎帯の速度を見極める。風纏う神霊体へと身を透かせる。直撃を回避する。
 鋭い眼差しでガイオウガを射貫く。
 踏み込む。
 一閃。
 銀杏色の組紐飾りが熱風に煽られる。
 横一文字に短刀で薙ぎ払い、逆手に持ち替え斬り上げる。先に他の猟兵が破壊した火口のひとつ、そこから生じる亀裂を深くする。
 ひとりで戦っているわけではない。
 焔の帝竜がどんなに強大なものであっても、攻撃を掛け合わせれば、見出せる光明は絶対にある。
 だから走り続けることが出来る。
 類は事実を突きつける声音で、言う。
「誰かの牙が、食い破れば良いのさ」

成功 🔵​🔵​🔴​

月夜・玲
あの赤が私の敵…か
私の中の血が燃えるのが分かる
魂の中で、奴を倒せと…灼滅しろと願う声が聞こえる
なら、やる事は1つ
さあ全力勝負だ

溶岩流に対しては足場の大地を剣戟で切り取り、盾代わりに『念動力』で『吹き飛ばし』て対消滅させ対処する
それでも飛んでくる飛沫に対しては『オーラ防御』でオーラの盾を展開し、ガードしつつ一気にガイオウガの懐まで突撃する

そして【Code:F.F】…Final Formula起動
私の持てる技術全てを叩きこんであげる
更に加速し高速移動、ゼロ距離まで接近
全力のエネルギーを叩きこむ
そして更に『2回攻撃』で追撃

確実に、ダメージを与える
一撃必殺何て言わないよ
何度だって叩き込んであげる



●焔の血脈
 眸の裏側が、熱を帯びている。
 己に息衝く何かが、月夜・玲(頂の探究者・f01605)の背を駆り立てる。
「あの赤が私の敵……か」
 身体に流れる血潮が沸騰している。ガイオウガとは似て非なる、燃える赤の正体。
 知らないのに知っている焔の血流。
 それが魂の中で、奴を倒せと。
「……灼滅しろと願う声が聞こえる」
 玲は不敵に笑みを刻む。やることは決まり切っている。得物を構え、身を屈め、駆け出す時を待っている。
「さあ全力勝負だ」
 玲の声にガイオウガの雄叫びが重なったのが合図となった。
 炎の帝竜の角めいた火口のひとつが蒸気を噴き出す。やがてそれは超高熱の溶岩流となり、地を這い、瞬く間に玲へと押し迫る。
「そこっ!」
 鋭い剣戟で切り取ったのは足元の岩場だ。猛犬の首輪から伸びる鎖を引くように、念動力で岩を持ち上げる。溶岩流が接触する直前に、岩へもう一段深く衝撃を穿つ。
 焔が砕ける轟音。
 その名残が落ちる前に玲は地を蹴った。先の溶岩流は夥しく大地を侵食していて、ガイオウガの意思に関わらず熱を奔らせる。火の飛沫が肌を焼く。致命傷にならないよう霊光の盾でどうにか凌ぎ、一気にガイオウガの懐へと馳せ参じよう。
 閃かせるは[Imitation sacred treasure]──模造神器。最終公式を起動させる。
 更に踏み込む。
 全てを零へと導くのだ。
 ガイオウガの体躯が持つ熱が肌を刺すくらい近くで、眼前にてエネルギーを凝縮する。
 球状のエネルギーは微かに明滅した後、破壊力そのものとなってガイオウガの腹で炸裂した。土煙が熱で灰燼へと姿を変える。
 尚も玲は手を緩めない。斬り結ぶ。もう一回、再びもう一回。追撃を重ねれば確かな手応えが伝わってくる。
 火炎放射の気配を察知し、玲はガイオウガの傍らから飛び退く。
「まあ、そんなもんだよね」
 ひどく冷静な声になった。
 手応えはあった。ただ罅は入れど、ガイオウガの巨体は沈む気配を見せない。
 しかし玲は臆さない。怯まない。
 元より一撃で倒せる相手などとは思っていない。しかしそれでも着実に攻撃を重ねよう。得物を見舞うたびに最適解を探し、いつかその奥地に到達してみせる。
 諦めを知らぬ双眸は曇らない。
「何度だって叩き込んであげる」
 玲のその言葉は予告であり、宣言でもあった。

成功 🔵​🔵​🔴​

早乙女・翼
千景さん(f11414)と

大地の力そのもの、動く火山とでも言う感じの竜さねぇ
近くの火口へ注意払い、飛んでくる火山弾は大きいのは直撃避けるのに軌道読み、見切り回避
打ち砕けそうなサイズのは両手剣で受け止め流し

基本的に千景さんを身を張って守り庇うつもりさよ
背の翼に当たっても構わない。広げて盾になってやる
炎も痛みにも強いしな

戦装束にしちゃ派手すぎないかねぇ?
…否定はしない。つーか誰がぽっぽだ
歌に合わせてギターを掻き鳴らせば、もぎ取られる痛みと共に、背に生えた翼が不死鳥と化し舞い上がる
皆が受けた負傷を白炎が癒し
さぁ炎鳥よ、千景さんと一緒にクソデカトカゲを啄んで来い
彼の連続攻撃に合わせて浄化の朱炎ぶっ放つ


烏丸・千景
翼君と(f15830)

確かにおっきな火山みたいだしねぇ
動き、よく見極めようか

火山弾が来れば楔をナイフに変えて放つ。ぶつかったタイミングで燃えてくれたら結構
致命傷だけは避けてかないとねぇ、熱と痛みは耐えて
翼くんがやばそうなら俺が前にでようか。

鋼糸を展開し、凌ぎきれれば、歌を少し口ずさむ
焦げたスーツから衣装を着替え、鋼糸を張り巡らせて攻撃を

えー、一張羅を着るタイミングでしょ。
それに赤いぽっぽも派手なこと好きでしょ?

標的はおっきい分、糸に掛かりやすい
飛べない天使を焼かれちゃ困るからねぇ、鋼糸は限界まで伸ばして

そちらさんが備えたように、こっちも覚悟はあるんだよねぇ
たぁんと絡め取って少しでも削ろうか



●鋼糸を伝う聖炎
 呼吸するたびに、熱い空気が肺を灼く。
 背に走るのは畏怖、あるいは高揚。強敵に相対したからこその滾りがある。
 喉が鳴った。
「大地の力そのもの、動く火山とでも言う感じの竜さねぇ」
 柘榴紅の瞳を眇めて、早乙女・翼(彼岸の柘榴・f15830)は呟く。その視線を追いかけながら烏丸・千景(陽炎の果て・f11414)は緩やかに笑みを深めた。
「確かにおっきな火山みたいだしねぇ。動き、よく見極めようか」
 千景の面差しに油断の色はない。翼も首肯を返す。
 ふたりの視線がガイオウガに聳える火口にて重なった瞬間だった。
 噴火するように迸る火炎弾。
 焔の飛礫は勢いをつけて疾駆し、虎の牙と成りて襲い来る。
「っ!!」
 数自体が尋常ではない。そして一撃一撃が、想像以上に重い。
 翼は特に大きなものをかろうじて躱す。そして小さい弾を魔剣で受け止め跳ね返そうとするも、炎獣となった火炎弾は能動的に食いついてこようとする。
 羽が穿たれ、焦げる匂いがする。血染の翼がより深い紅に染まる。
 眉を顰めた千景が放ったのは、切っ先に宝石を据えた銀の鎖。風を切るうちにナイフとなったそれで火炎弾の軌道を逸らす狙いだった。しかしこれも、ひとつずつ払い落とそうとするにはあまりに数が多すぎた。
 避け切れない。
 轟く業火。宙が燃える。肌が爛れる。帝竜の名は伊達ではないということか。
「こりゃなかなかに手厳しい」
 千景は痛みをやり過ごし苦笑を漏らす。その前に進み出ている翼は、毅然とした風情のままだ。
 最初から千景を庇う心積もりだった。背の両翼に火炎弾が当たっても構うものか。むしろそれを大きく広げ、盾となっても構わない。
「炎も痛みにも強いしな」
 不敵に口の端を上げ、唇の端を親指で拭いながら翼は言う。
 それは強がりというよりも、翼が抱える心根の真直ぐさを表すような響きを孕んでいる。
 だから千景も、前に出ることを厭わない。
「……さて」
 戦局は巡っていく。動けるうちに攻勢に転じなければ、炎の追撃に打ち砕かれるだけだろう。
 千景は横一文字に指を薙ぐ。
 張り巡らされたのは鋼糸だ。炎を映し、星のように皓々と光る。未だ襲い来る火虎を払い落とし、その間に歌を口遊み始める。
 戦場に似つかわしくない、やけに穏やかな歌声。
 旋律に呼応するように黒が刷かれる。背景に幻の薔薇、そして羽根が舞う黒衣。特別に誂えた至純の想いを、千景は難なく着こなしてみせた。
「戦装束にしちゃ派手すぎないかねぇ?」
「えー、一張羅を着るタイミングでしょ。それに赤いぽっぽも派手なこと好きでしょ?」
「……否定はしない。つーか誰がぽっぽだ」
 軽口の応酬。ふたりはガイオウガを見据えたままだ。
 一段高くなる、音律。
 それは焔を鎮めるが如き清廉の彩。それに導かれるように、鋼糸は一気に敵前で展開し、朝露滴らせる蜘蛛の巣のようにガイオウガを覆う。
「飛べない天使を焼かれちゃ困るからねぇ」
 ユーベルコードが鮮やかに効果を見せつける。
 千景のそれは、共に戦う仲間全員が敵から受けた負傷の合計に比例し、攻撃手数を増加させる技。故に、今のように強敵と戦う時にこそ真価を発揮するユーベルコードだ。
 翼も千景の唄声に伴奏をつけるように、赤黒のメタリックボディのエレキギターをかき鳴らす。促されるように、背中の翼から幾本かの羽根が抜け落ちる。別に偽翼ではないため、火傷とは違う痛みについ顔を顰めてしまう。
 だが──その傷を代償に、背の翼が不死鳥の輝きを帯びていく。羽音と共に降り注ぐ光は、猟兵たちを癒す白炎だ。
「さぁ炎鳥よ、千景さんと一緒にクソデカトカゲを啄んで来い」
 傲然とした命を下す。
 その動きに合わせ、千景は限界まで鋼糸を編み上げる。標的は大きい。なれば糸に掛かりやすい。上乗せされるのは翼によって齎された浄化の朱焔だ。
 引くつもりなど毛頭ない。
「そちらさんが備えたように、こっちも覚悟はあるんだよねぇ」
 力量差は明白だ。
 だが恐れない。怯まない。臆さない。
「たぁんと絡め取って少しでも削ろうか」
 千景の囁きは、戦場の音に呑まれて消えていく。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ニルズヘッグ・ニヴルヘイム
嵯泉/f05845と

あっつ……帝竜って変わったとこに住むよなあ
ま、それなりに利用させてもらうか、嵯泉

属性攻撃の転用、氷を呼び出す
この熱で溶けるのも想定済み
敢えて水として扱おう
投擲網の要領で、向かい来る炎に対し広域展開
可能な限り受け止めて消火してくれる
これなら、炎の獣とやらにもなれんであろう?

隙が出来ればこちらの手番
受け止めきれなかった炎の獣に蛇竜の黒槍をくれてやる
起動術式、【悪意の牙】
対象は敵対する全て
故にガイオウガへ近づかずとも、この弾は届くのさ

さァ、全ての獣を屠った頃に
貴様の体がどれほどの呪詛に蝕まれているか見ものだな

その程度の熱では嵯泉の刃は折れんよ
よく刻め
――それが、世界を護る刃の味だ


鷲生・嵯泉
ニルズヘッグ:f01811同道
全く何が良いのかさっぱり解らん
ああ、使えるものは使うに限る――世界を味方と変えてやろう

各部位の向きから攻撃の方向を見切り
火山弾へと衝撃波を飛ばして威力を削ぎ
展開された水網へと掛かり易くなる様に調整しよう
動きが止まれば此方の手番
――遮斥隕征、刃に宿れ
なぎ払いへと効果を乗せ、残さず叩き斬ってくれる

眷属も総て失せ、呪詛も充分届いたならば此処からは引かぬ戦い
攻撃の瞬間を見極め、起点を潰す様に衝撃波で攪乱誘導し
カウンターにて急所と為る首や眉間へと斬撃を叩き込む

如何な劫火であろうと、氷獄の呪詛を灼き尽くす事は叶わん様だな
未来を愛しむ氷竜が繰る氷に鎖され、骸の海へと沈むがいい



●黒と氷、呪と刃
 戦場に熱気が満ちるのは、赤熱する火山という地形のせいだけではないだろう。
 ニルズヘッグ・ニヴルヘイム(竜吼・f01811)は、額から滑り落ちる汗を手の甲で拭う。
「あっつ……帝竜って変わったとこに住むよなあ」
「全く何が良いのかさっぱり解らん」
 鷲生・嵯泉(烈志・f05845)は言い捨てながら呼吸を整える。
 先程から波濤のように猟兵たちの猛攻が続いている。しかし力量差は圧倒的だ。常に先んじて攻撃され、それをどうにか凌いでから反撃の一手を食らわせる。その繰り返しだ。
 しかもガイオウガは非常にタフだった。削り続けて尚、その巨躯からは疲労の気配すら感じられない。
 熱風に煽られる髪。差し出す視線は真直ぐに。
 臆する気など、微塵もない。
「ま、それなりに利用させてもらうか、嵯泉」
「ああ、使えるものは使うに限る──世界を味方と変えてやろう」
 ガイオウガが高く吼えた時、視界の隅で火花が散る。それが合図だ。
 帝竜の全身の火口から、一気に火山弾が噴き出した。凶兆を示す隕石の如く降り注ぐ。
 それが牙を剥く前に、嵯泉が視線を走らせた。
 前方上空、火弾の雨。それは雪崩のように押し寄せる。次から次へと暇もない。先程から地を穿つ重さを見ても簡単には打ち払えないはずだ。
 ならば、一点集中で頭上のそれだけでも軌道を逸らすしかない。
 構えた刃は、災禍を絶ち切るために在る。柄に手をかけ、腰を落とし、下段から鋭く斬り上げた。
 三日月の弧を描く剣閃は衝撃波と成る。炎獣の姿を模る前に幾体かに罅を入れる。自然、勢いが削がれる。
 続けてニルズヘッグが動いた。指先が円を辿る。
 迸るは氷の螺旋。それも火山弾の熱によりすぐ融け、水になる以前に蒸発する。
 だがそれも、想定内だ。
「……よし!」
 ニルズヘッグの金の双眸に光が滲む。手応えがある。
 続けざまに展開させる氷はさながら投擲網のように、群れる焔を覆い広域に伸べられる。
 砕くことは出来ない。しかし火の破片を掬うことは出来る。
 無理に突破しようとせず、威力を弱めようと割り切ったのが功を奏した。完全に消火することは叶わずとも、直撃するよりはずっとましだ。
 牙は折れずとも摩耗させることは出来る。
「これなら、炎の獣とやらにもなれんであろう?」
 口の端を上げ、ニルズヘッグは不敵に宣った。
 空が拓ける。
 ならば往ける。
 連撃だ。傾きかけた戦いの流れを携え、未だ襲い来る炎の鬣に突きつけるのは、蛇竜が成した黒槍だ。
「起動術式、【悪意の牙】」
 穂先に宿るは呪詛。それが昏く波打ち凝縮し、槍身から夥しく拡散していく。
 この呪罵は呪殺弾となり、心身を蝕み滅びを招く。
 対象は敵対するすべて。
「故にガイオウガへ近づかずとも、この弾は届くのさ」
 炎獣が取り囲み距離を詰められないなら、遠距離攻撃を見舞えばいい。
 しかもそれはガイオウガのみならず、この戦場における炎の眷属全部を標的とする。
「さァ、全ての獣を屠った頃に、貴様の体がどれほどの呪詛に蝕まれているか見ものだな」
 ──爆ぜろ。
 ニルズヘッグが言い切ると同時、黒槍から数多の呪殺弾が射出される。
 火山弾が緋色の驟雨であれば、呪殺弾は墨色の沛雨だ。
 狙いを定めずともすべてを穿つ黒。広範囲を漏れなく駆逐し、活路が今、見出される。
 ただ炎獣は弱まったとはいえ身を容赦なく抉ってくる。最小限の動きで躱して急所を避け、嵯泉は尚も踏み込んだ。
「──遮斥隕征、刃に宿れ」
 これもまた呪いのような術式だ。帯びる不穏。切っ先でも掠めることが出来れば、ユーベルコードを封じることが叶う技。
 だからこそガイオウガに直接放たねば意味がない。
 火山弾が次に噴出される前に、嵯泉はガイオウガに肉薄する。
 額を上腕を膝を襲う焔を無視し、目の前をきつく睨んだ。
 そのまま力任せに横薙ぎに斬撃を見舞う。
 帝竜の黒曜石のような鱗を裂く感触が伝わってくる。
 此処からは引かぬ戦い、混戦となる。
 先程は火炎弾を押しとどめたとはいえ、その弾数に限りはない。
 攻撃の瞬間を見極め、起点を潰すよう意識したものの、攪乱に手を回していては純粋な力量に勝る帝竜に圧し負けるだけだ。嵯泉はそう察し、せめて急所を狙うべく幾度となく刃を揮う。
 肉を切らせて骨を断つとはよく言ったものだ。こちらも当然、血に塗れる。
「如何な劫火であろうと、氷獄の呪詛を灼き尽くす事は叶わんよ」
「その程度の熱では嵯泉の刃は折れんよ」
 音が重なる。
 死の宣告に等しい、声の低さだった。
「未来を愛しむ氷竜が繰る氷に鎖され、骸の海へと沈むがいい」
 痺れが奔る脚を叱咤し、嵯泉は今一度ガイオウガの首に刀身を突き立てる。
「よく刻め。――それが、世界を護る刃の味だ」
 友を見遣ったニルズヘッグが、氷柱を振り翳しながらそう告げた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

忠海・雷火
地形を利用し、平地外縁の岩場に身隠し回り込むように移動
見つかる迄に距離を縮め、見つかっても岩場を背にする事で後方から炎に襲われぬようにする試み

喚べる隙があるなら、盾として使う雑霊を喚んでおき
炎の大きさや攻撃方法が不明だが、突進であれば下をくぐる等で攻撃を避けて岩場に衝突させる
数が多い以上全ての見切りは難しい。回避出来ない炎は火炎耐性を強めた防御オーラを纏いつつ、武器受けがてら薙ぎ払う
炎の消滅とまでいかずとも、僅かでも揺らぎ・切れ目が出来ればそこから突破
被弾自体は覚悟の上、激痛耐性も使用し行動不能は避ける

UC発動後はエネルギー体で炎を破壊しつつ垓王牙へ接近、上昇した戦闘能力で駆け上がり頭部を斬撃


フォーリー・セビキウス
地形の利用・迷彩・目立たないを活用し相手から隠れられそうな、UCの限界距離の4キロほど離れた地点に隠れ、
もし攻撃が及びそうなら暗視・視力・情報収集・第六感のスキルを応用した熱赤外線感知能力で、対象の温度上昇度合いを視覚化・感知し、戦闘知識や本人の頭脳との兼ね合いで攻撃地点を予測し、残像も利用して必死で回避しながら逃げる
多少の被弾は激痛・火炎耐性でカバー

攻撃が終わると、長距離狙撃に入る
恐らく相手や相手の変異部位は急速冷凍に入り、脆く鈍くなっているのではないかと推測できるのでそこを狙ってスナイプ

炎はいつか鎮火する物だ。
その身全て焼き尽くしても、我が漆黒の決意は燃やせぬ。
消えろ、燃え盛る怨讐の焔よ。


コノハ・ライゼ
は、また盛大に燃えてるコト

ったくドンだけ火口持ってンだか
剛速球ってワケでもなければ
*第六感も併せ飛来する火山弾の軌道*見切り直撃避けつつ踏み込んでく
でも只避けるだけじゃナイ
時に*残像置き惑わせて*誘惑するよう攻撃誘うわ
獣ってンなら喰らいついてみなさいな
避け切れナイのは*オーラ防御で弾き*激痛耐性で凌いで
隙見て*カウンター狙うヨ

料理はする側って決めててネ
否が応にも協力してもらおうか
誘った火山弾を更に【震呈】で召喚したフライパンへ誘い
炎や獣を当てて乗せ、その勢いのまま殴りつけよう
間髪入れず踏み込んで*2回攻撃、*傷口抉って*捕食と行きマショ
どんだけ焼かれたって*生命力吸収で補わせてもらうヨ


シャルファ・ルイエ
これだけの熱だと、近づいただけでも燃えてしまいそうですけど……。
高熱なら高熱で、方法はあるはずです。

地上は溶岩に囲まれてしまうと動けなくなりそうですから、空から降りずに空中で戦います。
相手からの攻撃に連撃が無いのなら、最初の一撃に集中して燃えないぎりぎりを勘で見切って回避。
致命傷になりそうなら、オーラ防御で少しでも軽減を。

なるべく距離をとったら、今度はこちらの番です!
他に巻き込まれそうな人が居ないことを確認したら、《王国の鍵》で雨を呼べる虹蛇を召喚。
《全力魔法》と《範囲攻撃》で周囲に一気に豪雨を降らせて、水蒸気爆発を狙います。

戦う理由がありますから。
どんなに強い相手だって、ここで引けません。



●食むならば獄炎
 凄惨という言葉が相応しい戦場だ。
 赤熱する火山にて、どの猟兵のものとも知れぬ鮮血が散る。それすら乾き肌にこびりつき、突っ張ったような感覚を齎す。
 幾度となく攻撃を重ねているのに、ガイオウガはまだ沈んでいない。
「は、また盛大に燃えてるコト」
 コノハ・ライゼ(空々・f03130)は皮肉気に口許を歪ませる。
 しかし薄氷の眼差しは極めて冷静に現況を把握している。
「これだけの熱だと、近づいただけでも燃えてしまいそうですけど……高熱なら高熱で、方法はあるはずです」
 傍らでシャルファ・ルイエ(謳う小鳥・f04245)が囁いた。コノハは彼女に視線を流し、脳裏で役割分担を弾き出す。
「だったら上空のほうは任せてイイ?」
「はい、もちろん!」
「私からもお願い。後方からも援護があるって聞いてる」
 話を振らずとも、自然と忠海・雷火(襲の氷炎・f03441)の淡々とした声が続いた。後方からの援護とは、既に配置についているフォーリー・セビキウス(過日に哭く・f02471)のことだろう。
 常の戦いであれば猟兵たちも数で応戦することが叶う。だがガイオウガは炎獣を使役する。しかも数は無尽蔵だ。
 ならば──誰かが牽制する間に誰かが肉薄して抉る。それしかない。
 シャルファが白い翼を翻そうとした。だがその間にも、超高熱の溶岩流が怒涛の勢いで襲い来る。
 その波濤は想像より速い上に広範囲だ。ぎりぎりを見極める。相手からの攻撃に連撃がなければ、初手さえ凌げればそれでいい。
「っ!」
 地を蹴る。上空へと舞い上がる。霊光での守りを心掛けていたこともあり、反撃に移るに支障はなさそうだ。
 青銀の髪とかすみ草が、熱風に煽られて揺れる。水晶の眼差しが帝竜を確りと見据えた。
「今度はこちらの番です!」
 祈りに似た詠唱を奔らせる。顕現したるは、雨を呼べる虹蛇。
 挿話の扉を紐解こう。
 鍵は見つける。オパールに似た遊色が揺らめく頃、空に広がった雲から豪雨が降り注いだ。
 シャルファは尚も魔力を籠める。雨は激しさを増す。すると、眼下で夥しい爆発音が響いた。水が熱せられて急激に気化することで発生した水蒸気爆発だ。
 あらかじめ仲間が巻き込まれない範囲を確認していたため、現状猟兵たちは被害を被ってはいない。ただただ溶岩流の勢いが鈍り、炎獣が戸惑う様が見て取れた。
「なら次は、私の番か」
 零下の声音でフォーリーが呟いた。
 ガイオウガまでの距離は凡そ四キロメートル。あらかじめ身を隠せる岩場にて息をひそめ、只管に機を窺っていた。
 ただ距離を取ったとはいえ、相手の攻撃が届かないわけではない。
 軌道、速度、熱量。すべての神経を張り巡らせて熱赤外線を感知し、攻撃地点を見極めようとした。
「……来る」
 フォーリーは金の双眸を眇める。身を屈めて地を蹴る。跳躍した直後、先程まで立っていた場所が溶岩流で炙られていく。
 残っている足場を見出し、降り立った。
 顔を上げる。次の攻撃を繰り出される前に、狙うしかない。
 化学的な観点から標的を絞ったのは、シャルファだけではなくフォーリーもだ。
 恐らく相手や相手の変異部位は急速冷凍に入る。すぐに持ち直されはするだろうが、攻撃直後なら脆く鈍くなっているのではないか。
 そう推測して弓を引き絞る。矢を番う。
 狙うはガイオウガではない。
 ガイオウガの火口のひとつだ。
 火口を仕留める。
 沸々と燃え滾る焔の根元。
 狙う。
 世界が沈黙した一瞬に、地獄の猟犬が疾駆した。鋭い鏃が火口の真中を射貫く。砕く。ガイオウガの咆哮に、明らかに負傷による苦悶が含まれていた。
「炎はいつか鎮火する物だ」
 自然の摂理を突きつけるようにフォーリーは言う。
「その身全て焼き尽くしても、我が漆黒の決意は燃やせぬ」
 期せずして。
 フォーリーよりずっと前方にいるはずの雷火が頷いた。声が聞こえたわけではない。しかしガイオウガを倒すには、今畳み掛けなければならない。そう直感した。
 平地外縁の岩場に身を隠しながら回り込むように移動する。
 ガイオウガに似た焔竜が吶喊してくるも、喚ぶことが出来た幾らかの雑霊を盾にする。
 それでも迫る炎は、身を屈め滑るように前進することで避ける。背後で岩場が焦げる匂いがした。
 それでも尚迫る炎は、火炎への耐性帯びた霊光を纏うことで軽減する。両刃造の短刀で熱を受け、払い流す。続けざまに逆手に持ち替え、火炎弾に刃を叩きこんで薙ぎ払う。
 ──見えた。
 怒涛の焔に潜む、微かな揺らぎだ。
 雷火は視線だけで合図を送る。それを受け、コノハは口の端を上げた。
「じゃあコッチも仕掛けようか。ったくドンだけ火口持ってンだか」
 悪態をつくも、既にそこには怜悧な戦意が滲んでいる。
 噴出する焔の弾丸。されど、シャルファやフォーリーの牽制が功を奏し、剛速球とまでの威力は持たない。
 コノハは身を翻し馳せる。
 黎明の残像が熱風に透ける。
 動線を見切り、一気にガイオウガの懐に滑り込む。
「獣ってンなら喰らいついてみなさいな」
 どれだけ炎獣に噛みつかれようとも、覚悟と共に力任せに振り払う。肉が爛れる匂いをやり過ごし、更に一歩を踏み込んだ。
 そんなコノハの眼前、苛烈な猛火が襲い来る。
 だがそれは、コノハの名残に牙を立てて終わる。
「料理はする側って決めててネ」
 軸足に体重を乗せ、誘いこんだ火山弾を受け止めたのはユーベルコードで召喚したフライパンだ。
 どうせ焼くなら帝竜の肉がいい。
 火の眷属を当てて乗せ、勢い任せに殴打する。食材たるものはガイオウガ、調理する炎にも事欠かない。
 鈍い音が戦場に響く。
 止まらない。間髪入れずに更にもう一打。崩れた火口と鱗を焼き潰す。
 ガイオウガの至近距離にいるコノハは相応に傷を負う。だが生命力を捕食し体力を充填する。ここまで来れば倒すか倒されるかの勝負だ。
「戦う理由がありますから」
 シャルファの透徹なる声が、凛と言い切る。
「どんなに強い相手だって、ここで引けません」
 硝子製のベルが鳴る。
 呼応するように降り注ぐは慈雨に似る。虹蛇が呼ぶ水の流れは仲間の背を押し、敵を蝕む。
「狂える力、沸き立つ混沌よ」
 雷火は詠唱を諳んじる。
 仲間が生んだ隙を突き、ガイオウガの尾を山を踏破するように駆け上がる。
 今まで猟兵たちが浴びた敵意のすべてを反射させ、刃を構える。
 帝竜を終焉へと導こう。
「我が身が浴びる意志の主こそ汝の贄、汝の渇きを刹那彩る響音なり」
「消えろ、燃え盛る怨讐の焔よ」 
 雷火がガイオウガの脳天を突き刺したのと、フォーリーが黄泉路へ誘う一射を撃ったのはほぼ同時。
 戦場を轟かす叫びは猛き勝者のそれではない。断末魔だ。

 火山帯を支配する巨躯が音を立てて崩れる。
 誰かの汗が頬を伝い大地に落ち、触れる前に蒸発する。
 火傷によるものではない勝利の熱が、猟兵の心裡に息衝いていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年05月19日


挿絵イラスト