帝竜戦役⑫〜姫君は幼子がお気に召したようです
「アックス&ウィザードの帝竜戦役も、帝竜達の発見も進み攻略可能地域も増えている。猟兵の皆の尽力に感謝する」
そう言って集まった猟兵達へと頭を下げた仙堂・十来は、少しの間言葉を選んでから再び口を開いた。
「攻略可能となった戦場の中に、『時蜘蛛の峡谷』と呼ばれる場所があり――この地に存在するオブリビオンは、自らの寿命と引き換えに頑丈な糸を紡ぐ『時蜘蛛』へと変化してしまっている」
その糸と、さらに蜘蛛らしく増えた腕を使った戦闘能力の強化なら。
まだ良かった。
「その糸は『触れた者の時間を巻き戻す』という性質がある」
「つまり?」
「幼児化する」
「……わぁ」
「ちなみに原理は謎だが『幼少期がなかった者』も一切問答無用で幼児化する」
「うわああ」
「なお戦闘経験も奪われる。こう、幼児に相応しい程度に」
「ごく普通にすごくやばい!」
そう。
見た目だけでなくきっちり戦闘能力にまで影響を与えてくる嫌なタイプの変異である。
さて、しかし。
「そして、この峡谷でその糸を使って『生前の自室』を再現した――おそらくは生前は何らかの国の王女であったオブリビオンがいる」
ついでにパステルカラーで彩色もしている。
ある意味これが、時蜘蛛と化した彼女の『巣』と言えるだろう。
しかし。
「まぁ王女なので私室も居間と寝室の続き部屋で非常に広く、その分家具や装飾品も多い。それを寿命を消費して生み出す糸で再現した結果として、彼女の寿命は残り僅かだ」
別にオブリビオンなので「放置して勝手に死ぬ」という結果にはならないのだが。
「上手く立ち回れば幼児化した状態での攻撃でも何とか倒せる……と思う」
実際、幼児化しても戦闘力そのものは残る。それを利用するための戦闘経験というものが吹っ飛ぶだけで。
「一応、糸に完全に触れなければ幼児化しないことは可能だが、戦場全体が糸で作った私室となっている上にかなりの頻度で糸を張り巡らせているので、幼児化を防ぐことは難しいだろう。ともあれ……実際に任務に挑む皆の対策とその場での判断に詳細は任せたい。頼みたいのはオブリビオンの撃破、倒すことができれば糸は消え、幼児化も解除される」
ある意味、帝竜達とは別の意味で手強い敵と戦場であるが。
「アックス&ウィザードに平和を取り戻すため、どうかよろしく頼む」
そう言って十来は猟兵達にまた、深々と頭を下げたのだった。
炉端侠庵
お世話になっております。炉端侠庵です。
触れなば落ちんってやつですね。わかります。
外見年齢が!
というわけで今回のプレイングボーナス条件は『幼児化への対策を考える』です。
基本的に、幼児化そのものを防ぐ行動には厳し目に、幼児化した上で戦い方を考える行動には優し目にプレイングボーナスを付与します。
だってさぁ!
せっかくだから幼児化した方が絶対楽しいじゃん!!
幼児化した時の容姿なども軽く書いといてくれると嬉しいです!
よろしくお願いします!
第1章 ボス戦
『プリンセス・メルティラブ』
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POW : メルティキッス、ですわ…チュッ
【愛しさと切なさと愛欲】を籠めた【投げキッス】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【戦意と闘志】のみを攻撃する。
SPD : 退屈は嫌いですの
自身が【退屈】を感じると、レベル×1体の【身体中から触手を生やした大男】が召喚される。身体中から触手を生やした大男は退屈を与えた対象を追跡し、攻撃する。
WIZ : メルティの質問に答えてくださいませね?
対象への質問と共に、【無数の召喚陣を出現させ、そこ】から【騙して連れてきた戦士や冒険者達】を召喚する。満足な答えを得るまで、騙して連れてきた戦士や冒険者達は対象を【剣や槍、魔法などそれぞれが得意とする手段】で攻撃する。
イラスト:善治郎
👑8
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ミリリア・ミレニアム」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
シズホ・トヒソズマ
戦闘経験なしですか……となると、当てずっぽうでも当たるくらいの大量の攻撃、ならどうでしょう、室内ですし
という訳で子供になってしまいましゅ!
わー、触手おじさんがいっぱいでしゅ!大人なわたちなら遠慮なく絡まれに走りましゅが子供はいけましぇん!ぜんねんれーが危ないでしゅ!とわたわた逃げましゅ!
おや、腕のスーツに『触手おじさんと姫が全員見える位置に来たらゆーべるこーどでドクターアトランティスの力を借りてビーム発射』とかいてありましゅ
そうか、そうでちた!丁度ここでしゅ!
UCでドクターアトランティスの力で◆重力属性光線を375本を部屋中に◆一斉発射!
おじさんもお姫様も家具も全部重さで埋もれちゃうでしゅ!
夕闇霧・空音
ふっ…そんな糸なんて華麗に…あっ
【アドリブOK】
(4さいになると、さいぼーぐではなくなります)
どうしよう、ぴょんぴょんとんだりできない…
そらね、もっとつよかったはずなのにー
【戦闘】
なんだかちゅーはこわそうだから
よけていかないとあぶないかも、でも
そらね、どうしたらいいかな…
あ、そうだ!ビリビリするものをつかえば
(電気を起こせそうなものを探す)
(そうすることで偶然ユーベルコードが発動し、アバターの妹が出現)
おねーさん、だれ?
いっしょにたたかってくれるの?
ありがとう!
(ユーベルコードで一緒に攻撃を仕掛ける)
転移を終えて指定の場所まで移動すると、そこは糸で出来たお城だった。
正確にはその一室である。年齢を巻き戻す不可思議な糸で再現された、パステルカラーの――まるでクレパスか色鉛筆でそっと色を塗ったような、絵本に出てくるような『お姫様のお部屋』がそこにはあった。
「ふっ……そんな糸なんて華麗に……あっ」
あっ。
普段はクールなサイボーグ美少女、夕闇霧・空音が張り巡らされていた糸にヒットした瞬間、ぽふっと気の抜けた音と共に煙に包まれた。
中から現れたのは水色の髪に銀の瞳、だいたい4歳くらいの女の子――未だサイボーグとしての改造は受けていない頃の空音である。
「どうしよう、ぴょんぴょんとんだりできない……そらね、もっとつよかったはずなのにー」
むぅ、と頬を膨らませつつも困り顔。可愛い。
「わー、触手おじさんがいっぱいでしゅ!」
それに対してシズホ・トヒソズマは幼児化への順応が早い。
触手マッチョへの順応も早い。
「なんだかちゅーも……おじさんもこわそうだから、よけていかないとあぶないかも」
空音は完全に幼児らしい危機感に逃げ腰である。4歳としてはすごく正しい。
4歳児に投げキッスしたり触手を伸ばしてくる人には大抵は近づいてはいけないものである。無論、様々な世界には触手を主な肢として使用する種族とかもいるので一概には言えない。
が、なんというか『退屈しのぎに触手おじさんをけしかけてくるオブリビオンと当の触手おじさん』は普通にアウトである。
とりあえず転がっていたうさぎのぬいぐるみ(4歳空音のほぼ等身大)でいろんなものをガードしようとする空音。
もちろんこれも時蜘蛛の糸でできているが、既に幼児化しているので触ってもセーフである。
あと可愛い。
やっぱり4歳児とか何やっても可愛いよね!
ちなみにシズホさんは実のところはヒーローマスクである。
なので目元に装着するタイプのマスクそのものもプラスチック製のキラキラ宝石をたっぷり使って、ぽちっと押したらキラリンって感じの音が出る、女児向けっぽい仕様になっていたりするのだが。
依代になっている肉体もきっちり幼児になっている。その上でこちらの音声をお聞きいただきたい。
「大人なわたちなら遠慮なく絡まれに走りましゅが子供はいけましぇん!」
こらこらこらこら。
他人の体使っといて何言ってるんですかシズホさん。
「ぜんねんれーが危ないでしゅ!」
ぽてぽてわたわたと必死に逃げるシズホ。主にぽてぽてしているのは依代の方である。わたわたしてるのも見た目上割と依代である。
可愛いけど。
可愛いけども!
やっぱり幼児とか基本何やっても可愛いよね!
とはいえ、触手に捕まるのはちょっと『何やっても』の範疇から外した方がいいだろう。
年齢制限が数ランク上がっちゃうし。
そもそも可哀想だし!
――そんなわけで、シズホの用意していた秘策がついに発動しちゃうのである!
「おや、うでのスーツに『触手おじさんとおひめさまがぜんいん見えるばしょにきたら、ゆーべるこーどでドクターアトランティスのちからをかりてビームはっしゃ!』とかいてありましゅ……そうか、そうでちた!」
ぽてぽて逃げていた足を止め、くるんっと振り向くシズホちゃん(の依代)4歳くらい。
「丁度ここでしゅ!」
そう、ここは部屋の角!
90度の範囲に全員を捕捉可能!
話は戦闘前に遡る。
「戦闘経験なしですか……となると、当てずっぽうでも当たるくらいの大量の攻撃、ならどうでしょう、室内ですし」
というわけでシズホは、幼児化する前の依代の着ている紫色の全身スーツ腕部分に、何をすればいいかきっちりと書いておいたのである。
戦闘経験は失われても、戦闘力自体は失われない。そう、『何をすればいいか』さえ未来の幼児化した自分がわかるならば。
戦うことは、できるのだ。
「にんぎょーがしゅいしかこのかげ、わが……えっと、……ど、ドクターアトランティス、やっちゃえでしゅ!」
あっ詠唱が途中で飛んだ。
仕方ないね。
詠唱は多分戦闘経験のうちだからね。
とはいえユーベルコード『幻影装身』は問題なく発動――倒してきたオブリビオンの幻影を利用するその技は、肉体への負荷も大きい。
もちろん、ダメージは主にシズホが肩代わりし、依代の肉体には傷1つ付かないようにはなっている。
「いひゃいでしゅぅ!」
当然肩代わりするからシズホ(本体)は痛い。だがその痛みすらもシズホはモチベーションへと変え……ってストップカメラ切り替えて! これはやばい!
恍惚とした表情の持ち主が今幼女だってこと忘れないでシズホさん!!
あ。
300本を優にオーバーする重力光線がちょうどいい感じに視界を遮ってくれたので、このリプレイのレーティングは全年齢対象へと保たれたのであった。
ありがとうドクターアトランティス!
ありがとう重力光線!!
「そ、そらね、どうしたらいいかな……」
その頃まだぬいぐるみを遮蔽に空音は頑張っていた。
何とか重力光線の隙間へと入り込みつつ、必死に考えて考えて頭を絞る。
「あ、そうだ! ビリビリするものをつかえば……」
そう、電気。
サイボーグであったという記憶は、4歳状態の空音にもまだぽわっと残っている。
「びりびり……」
しかし糸で再現した部屋に電源なんてあるだろうか。
ない。
しかし!
蜘蛛の糸は割と帯電しやすい性質を持つ!
そして人体というのは少し動くだけでも日常的に電気を発生させているのだ!
いわゆる静電気というやつであり!
空音が手に持っているのは蜘蛛の糸製の人形なのである!
まぁ時蜘蛛の糸が一般的な蜘蛛の糸と同じ様な材質なのかはそこは!
それとして!
パチーン!!
そう、静電気があるということは電力がある。
空音ユーベルコードである風魔兵装『凶風雷牙』は、本来電気エネルギーを解放し、その電力で空音の妹である天音のアバターを召喚して共に攻撃するものである。
が。
「おねーさん、だれ?」
4歳の記憶にはない妹のアバターは、その僅かな静電気によって召喚されたものであり、普段よりはうっすらと背景が透けて見えるほどの姿になっていた。
けれど、それでもわかる。
今の空音にとっては『おねーさん』である彼女が――味方であることは、はっきりと。
「いっしょにたたかってくれるの?」
もちろん、と頷いた『天音』に、空音はぱぁっとその幼い顔に満面の笑みを浮かべた。
「ありがとう!」
――その一撃は、確かに。
重力に縛られ動けなくなったプリンセス・メルティラブに、普段よりはずっと軽く、けれど姉妹の絆は変わることなく、しっかりと突き刺さったのだ――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アリス・セカンドカラー
おーけー、理解した。
幼児化してリトルサキュバスとしての封印を解く。リミッター解除した妄想力で多重詠唱の魔力溜めで魔力を固めたエグい内容の薄い本の原稿をばら蒔きます。そして、原稿の内容見たいに冒険者達に襲われます☆勿論、薄い本のお約束としてプリンセスも冒険者達に襲われるでしょう。
あ、これはリトルサキュバスとしての食事なのでエナジーを捕食し略奪してるわよ♡メルティちゃんが満足できるまでワンダートイボックスで情熱的に御奉仕してあげる♪あ、プリンセスならダンスの方がいいかしら?ペットのパラサイトテンタクルで脳くちゅもおまけしてあげる☆
ようこそ♪ 私の私による私の為の世界へ♡
クラウン・アンダーウッド
心情 肉体的に傷つけなくても、色々やってもいいかもしれない!
幼い姿となったクラウンは10体のからくり人形と共に戦場に降り立つ。
ねぇねぇ、ここでなにしてるの?いっしょにあそぼうよ♪
無邪気に相手に近づき一緒に遊ぼうと誘う。
質問が来たら答えられる事は素直に答え、答えられない質問が来たら「こどもだからわからない♪」と笑顔で答える。
取り巻き達からの攻撃は全てからくり人形達に防いで貰い、取り巻き達の傷を癒す等して説得して味方について貰う。
つまらない!つまらない!もっといろんなことしようよ!
やることはがなくなれば癒しの業火を任意の形に変化させ、皆を魅了させんと行動する。
「おーけー、理解した」
アリス・セカンドカラーが「全く完全によくわかりました」みたいな顔で頷いた。
確かに理解はしているんだと思う。
その理解の方向性が、我々には理解できないだけで。きっと。おそらく。
「肉体的に傷つけなくても、色々やってもいいかもしれないし!」
クラウン・アンダーウッドがうんうんと大きく首を縦に振る。10体のからくり人形がその周囲を護衛のように囲んでいる。
そしてそのまま、クラウンはからくり人形達を率いてひらりと時蜘蛛の糸でできた部屋へと降り立った。
普段から整った顔立ちが、そのまま美少年――と言うにもまだ幼い男の子となって。
「ねぇねぇ、ここでなにしてるの? いっしょにあそぼうよ♪」
ここで後ろで手を組んでちょっと前かがみになって顔を覗き込む、男の子が初めて会った同年代の子供を遊びに誘うポーズ!
ただし二次元でしか見ないやつだ!
後ろで満足げな顔をしてしれっとスケッチなんかしているアリス(封印解除済)。
ちなみに何の封印かと言うと。
リトルサキュバスとしてのリミッター解除である。これによって色んな意味でいろんな部分がパワーアップした幼女になるのだ。
妄想力とか。
妄想力とか。
妄想力とか。
あ、いやあとなんか魅了とか薄い本の原稿の破壊力(意味深)というか。
いややっぱり妄想力じゃないか。
「あら、私と一緒に遊んでくれるの?」
「もちろん!」
ちょっと頬が緩んでいるオブリビオン『プリンセス・メルティキッス』。
ちなみに実はこれ、彼女のユーベルコードとしての最初の『質問』だったのだが。
クラウンがあまりにあっさり答えたので完全に普通の会話にしか見えない状態で終わった。
ほっぺゆるゆるのメルティキッスを始め、誰も気にしていないけど。
その心温まる状況に深く頷きながらアリスが何をしていたかと言うと。
魔力を練っていた。
多重詠唱をやばいレベルで重ねてとにかく練りまくっていた。
手の中にはばっちり『年齢確認をさせていただきます』というロゴが片隅に書かれた薄い本。
「あの……貴方は、何をしているの?」
流石に膨れ上がる割と邪な感じのする魔力に、メルティキッスもほっぺを引き締めて振り向いた。
す、とアリスが唇の前に小さな人差し指を当てる。
「教えてあげない♪」
「ひどーい! みんな、めっ! てしちゃって!」
お姫様、つられてます。
見た目は普通に10代くらいだけど口調が幼女に引っ張られてます。
だがもちろん敵のユーベルコードは発動するのである!
魔法陣から現れる冒険者達!
「きゃー☆」
なぜか嬉しそうなアリスの悲鳴!
そのままアリスはばっ、と薄い本の原稿を放り投げる。女の子を魔物から助けてくれた冒険者が実は悪い奴らで、報酬の代わりにとか言いながら助けた女の子に【ここから先は本誌を買ってね♪】するような内容の。
ちょうど冒険者が出てきたシチュエーションにはぴったりのやつである。
「ようこそ♪ 私の私による私の為の世界へ♡」
「きゃああああ!?」
「きゃー☆」
襲いかかってくる冒険者に2つの悲鳴が響き渡る。
危機感に溢れてるのがオブリビオンで、明らかに楽しそうなのがアリスである。
ええいどっちが悪なんだ。
ちなみにクラウンはきっちりからくり人形達に自分に襲いかかってくる冒険者達をガードしてもらっている。いやぁ危なげない。
この辺りはちゃんと全年齢対象に見えるので、18歳未満の人とか向こうで繰り広げられている系のシチュエーションが苦手な人達はなるべくクラウンくんを見ていてほしい。
「おにーさん、そんなこわいかおじゃ、かっこいいのがだいなしだよ?」
「……はっ! 俺はなんてことをしようとしていたんだ!!」
クラウンの呼び起こした癒しの業火は、地獄にして慈愛の力で心を癒し温める。故に獣欲へと染まった心も取り戻すことができる。
「ありがとう、君のおかげで助かった!」
「いいんだよ、だからいっしょにあそぼうよ!」
ちなみにオブリビオンが呼び出した冒険者が猟兵であるアリスに洗脳されて、同じく猟兵であるクラウンに癒されて味方っぽくなったという状況である。
もうここカオスだな!
「うふふ、メルティちゃんが満足できるまでアリスのワンダートイボックスで情熱的に御奉仕してあげる♪」
「きゃ、ひゃ、そんなぁぁ!」
「あら、プリンセスならダンスの方がいいかしら?」
一体どんなトイでどんなダンスさせる気ですかアリスさん。
「ペットのパラサイトテンタクルで脳」
おっとちょっと人選ぶ単語が出てきたのでカメラ移しますね!
「つまらない! つまらない! もっといろんなことしようよ!」
もはやからくり人形達と一緒に、冒険者達がまだR18なことをしようとしてくる冒険者からクラウンを守っている。
そんな中でクラウンは、全年齢な方面で癒しの業火をいろんな形にして、戦場をきらきらおもちゃ箱って感じにしている。
「あっちはダンス? いいねダンスしようよ! みんなでわっかになってくーるくーるするんだよ♪」
こっちは安心して見ていられるダンスである。
青い瞳と赤い髪を持つ可愛らしい男の子と。
彼を守り従うからくり人形と。
さらに愛らしい動物だったり少年少女だったり、手をつないでダンスできる姿で一緒に踊る慈愛の炎達と。
それに癒されて慈愛に満ちた笑顔を浮かべる(魅了済みの)冒険者達と。
安心して見ていられるけどカオスなことはカオスだな!
「……これ、同じ舞台で全年齢と年齢制限つきの2冊組で出せちゃうのでは!?」
オブリビオンであるはずのプリンセス・メルティキッスを好き放題していたアリスが、ふとはっとした顔をした。
「うん、いろんな意味でエナジー捕食できちゃうわ……♡」
ぶれないリトルサキュバスなアリスさんであった。
ま、道化師とサキュバスが揃ったら。
幼児化してもカオスっぷり半端ないよね、って実例なのである。
たぶんね!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ハルア・ガーラント
そーま(f23529)と
そーま、きょーりょくしてわるいやつをやっつけるの!
【WIZ】
装備も縮んで園児の制服のように。きょとんとして手や足を見つめ、目をぱちくり。背の翼をぱたぱた。
相馬を振り返り知った顔ににっこり。
あー、おひめさまっ!
敵の姿に興奮してダッシュ、翼のバランスも悪く顔から派手に転倒。
相馬の手前泣かないという思いがありますが、知らない人達が目の前に召喚された時点でそれも抜け落ち。わああんと大声で泣きます。知らない人いっぱいで怖い。怖いもの持ってて怖い。あと痛い。
恐怖を感知し自動でUC発動。
座り込んで泣いているところを相馬に慰められて、少し落ち着くかな。
※他の猟兵との連携・アドリブ歓迎
鬼桐・相馬
ハルア(f23517)と
わかった、わるいやつはやっつけよう。
【POW】
服装はそのままで髪が若干短くつんつん、額の角は縮み子鬼っぽい姿に。[冥府の槍]は引きずるサイズに諦めて転がしておく。
敵の攻撃――今の俺にはよく分からないな。
座り込んでわんわん泣くハルアを早く泣き止ませたいので[ダッシュ、ジャンプ]で敵に張り付きUC発動。幼児の頭突きは結構痛い。
着地の際バランスを崩し転倒。大きな幼稚園鞄にも見える[軍用鞄]が下敷きに。ぐにゅっとした中身のおかげで身体は無事でも後頭部を強打、少し涙が出るが堪える。
おれはつよいらせつだからなかない。
泣くハルアの頭をよしよしする。
――子供の身体は燃費が悪いな、眠い。
ちっちゃな天使がここにいた。
普段から着用している軍服タイプのワンピースは、身体に合ったサイズに縮んだことで、UDCアースの日本でいう私立幼稚園の制服みたいになっている。
顔に対して普段より大きく見える新緑の瞳がぱちぱち瞬いて、自分の手や足を見つめる。ちっちゃい。
背中の翼がぱたぱたする。体に対してはかなり大きいが、体が小さいぶんやっぱりちっちゃい。そのちっちゃな翼がきょとんと首を傾げたりするたびにぱたぱたと羽ばたくのである。
くるっと振り向いて、知っている顔にぱぁっと顔を輝かせ、嬉しそうににっこり笑った。
天使か。
天使である。
鬼桐・相馬も普段は軍服コートなのだが、体と一緒にちっちゃくなっているのでやっぱり幼稚園の冬制服か、もしくは年齢より幼い小学生の制服っぽくなっていた。
いつもはショートヘアくらいの長さだが、今はもっと短くつんつん立ち上がった黒髪から赤い角が覗いている。額からちょん、と伸びた小さな角に、きゅっと目尻が吊り上がってはいるが子供っぽくつぶらな金瞳がじっと手に持った『冥府の槍』を見つめる。
冥府の槍は縮まなかった。
下手すると今の相馬の3倍近くはあるんじゃないかという槍を、ぽいっと相馬は転がした。
流石に羅刹の怪力があるとしても幼児である。転がす以上の動きはできそうになかった。
そこで目の前のちっちゃな天使が振り返って、相馬を見てぱぁっと表情を輝かせる。
「そーま、きょーりょくしてわるいやつをやっつけるの!」
「わかった、わるいやつはやっつけよう」
ぱたぱた走ってくるハルアを、相馬からも迎えに行く。きゅっと小さな両手をつないで、頷き合う。
天使か。
相馬は羅刹だけど天使だな。
ダブル天使がここにいる。
ほんとちっちゃい子って何しても可愛いな!!
「あー、おひめさまっ!」
と思ったらハルアが相馬の手を振りほどいて走り出した。
小さい子はいきなり何をするかわからない!
そして小さい女の子は結構な割合でお姫様が好きだ!
ハルアはお姫様が好きな女の子だった!
しかし体に対して大きい翼に、バランスを取られて派手にすっ転ぶ。
立っているだけならともかく、走るにはバランス取りの熟練度が足りてない。実際ハルアは思春期迎えてからオラトリオとして覚醒してるので、幼児の体での翼の扱いは実は初めてなのである。
「う、うー……」
痛い。
でも泣かない。
だって相馬が見てるもん。
「あらあら、大丈夫? 自分で立てる?」
「う、あ……」
憧れのお姫様が声を掛けてくれるが、口を開いたらしゃくりあげてしまいそうなハルアは返事ができなかった。
なので。
敵のユーベルコード発動により現れる冒険者達――に、ちっちゃなハルアはもはや限界だった。
「やああああああ!! しらないひとやだ! うわああああん!!」
大泣きである。
知らない人いっぱいで怖いし。
怖いもの持ってて怖いし。
あとやっぱりこけた時に思いっきりぶつけたお尻がとっても痛かった。
――怖いし痛いので泣きわめくハルアを気遣うように、ひらり、ひらりと次々に淡く白く光る白鷲が現れる。ユーベルコード『バロック・ハウリング』、ハルアの恐怖や痛み、そして危機に応じて召喚される、ハルアの望郷の想いを実体化した存在だ。
要するに「こわい!おうちかえりたい!」状態のハルアの心が白鷲になって、彼女自身を守ってくれる状態である!
そしてハルアがわんわん泣いているけれど、あんまし泣き止ませる方法がわからない相馬はとりあえずお姫様に向かって走り出した。多分あいつが悪い。あいつのせいでハルアが泣いてるんだ。
完全にちみっこ的な直感だったが、実際敵を正しく認識するという意味では正解だった。
途中の冒険者達の相手は白鷲達がしてくれていた。なので相馬は真っ直ぐに走る。家具とかクッションとか転がってるのは蹴り飛ばすかジャンプでよけていく。
そして。
プリンセス・メルティキッスの襟首を小さな両手でぎゅううっと掴むと、相馬はそのままごんっ、と額の角を思いっきりぶつけた。
ユーベルコード『羅焼門』、羅刹の剛力任せに角で頭突きを食らわせる重たい一撃である。
幼児サイズの相馬だと、角が食い込んだ挙句に額までごっちんするが、それでも痛い。というか幼児の頭突きって割と痛い。
「きゃああ!?」
悲鳴と共に振り払われて、相馬は何とか床に足をついたがそのままふらっとよろけてすっ転んだ。軍用鞄――斜め掛けしてるので大きな幼稚園鞄に見える――がこけた相馬の下敷きになる。おかげで体は無事だったが、勢いあまって床に思いっきり頭をぶつけた。痛い。
涙が滲む。でも泣かない。
ぐしぐし手で擦る。
「おれはつよいらせつだからなかない」
自分に言い聞かせれば強くなるのである。
それにハルアもいるし。
後ろに守らなきゃいけない子がいるし。
だから泣かないのである。
相馬はちっちゃくてもつよいらせつなのである!
まだ泣いているハルアの頭を相馬が不器用に撫でてあげると、わんわん泣いていたのがぐすっ、としゃくりあげるくらいになった。
「こわかったぁ……」
「うん、わるいやつはやっつけた。もうだじょうぶだぞ、ハルア」
しゃくりあげるのが止まってハルアが落ち着くまで、頭を何度も撫でながら。
ふあ、と相馬は小さな口を大きく開けてあくびを零した。
――子供の身体は燃費が悪いな、眠い。
しばらくして元の大きさに戻った相馬は、そう呟いたとのことである。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フィーナ・シェフィールド
蜘蛛糸で作った王女様の部屋ですか…
そこまでお城が恋しかったんですね。
なんだかちょっと寂しそう。
王女の元に辿り着くまでに【Walkure Attack!】を発動して、2種のドローンを強化しておきます。
おうじょさま!とってもきれいなの!
ねぇねぇ、わたし、おうじょさまにおうたをうたってあげるね!
らーらららーるーるるー♪
攻撃は反応速度を増したシュッツエンゲルで自動防御。
出力アップした状態のツウィリングス・モーントから破魔の歌声を響かせて、王女の魂を浄化していきます。
幼児化して積み重ねた技巧は失われても、子供の無垢な心から生まれる破魔の力は衰えていません。
王女様が満足する(浄化される)まで歌い続けます♪
リダン・ムグルエギ
壁も糸?
椅子も糸?
ゴハンも糸!
絶対バズるよ、このおうち!
幼いアタシは典型的なキマフュ住人
バズりそうなものに目を輝かせちゃう
この館は宝の山ね
お姉ちゃん、コレ見てて!
姫様に配信動画を見れる端末を渡し即ダッシュ
大男から逃げつつ撮り回るわ
ピアノなのに弦楽器!面白ーい
ワザと糸荒くしてゴツゴツ感、こだわり!
王女様のおっきなお風呂、ないのかな?
動画配信で退屈させず
その中に織り込んだ言葉で相手の心を動かし
糸の新作品を作ってもらおうと試みるわ
アタシの本来の得手は人心操作
技術や経験は生かせずとも
幼児故の心からの感想を活かすわ
後、新作作りは寿命を削る為の攻撃でもあるけど…
最大の動機は糸作品をもっとみたいから、なのよ
「絶対バズるよこのおうち!」
普段のダウナー気質はどこへやら、今はすっかり幼さとキマフュ住民のテンションを全面に、ちっちゃなリダン・ムグルエギはきらっきらに緑の瞳を輝かせた。
宇宙山羊と呼ばれるキマイラの、空の青によく似た毛並みがふわんと揺れる。
「この館は宝の山ね、お姉ちゃん、コレ見てて!」
「え、これは?」
もうなんか言う前に、リダンは生配信がそのまま見られるように画面をセットした電子端末を手渡した。その手には既に生配信用の設定を完了したビデオカメラ。
――撮影、開始!
「壁も糸?」
さっと映し出されるパステルイエローの壁は、細糸ならではの繊細な編み模様でできている。
「椅子も糸?」
あえてソファとして作り出したのは、糸の材質を活かすためだろう。
「ゴハンも糸! ワザと糸荒くしてゴツゴツ感、こだわり!」
艶のある糸で編んで磁器のような光沢を出した皿の上には、美味しそうなワンプレート――ふっかふかに編んだパン、反対にゴツゴツ固めに編んだのは塊肉のソテーだろう。サラダは逆に細い糸で繊細で綺麗に作られている。
「おっきなお風呂はなかったけど、このつやっつやのバスタブ! 見てみて、下のとこがね、ねこのあしみたいになってるの! おゆの代わりに、水色のきらきらの糸が入ってるんだよ!」
ふわっと掬ってみせるのは、確かに細かく切ったふわふわと、そしてラメを纏ったように輝く糸。
もはやプリンセス・メルティキッスはその様子に釘付けだった。
「そう、そこ……そこかなり頑張ったの! わかってくれるのね!」
「わかるよお姉ちゃん、だってこの部屋には――」
この部屋の主たるお姫様へとカメラを向けて。
「たましいが、こもってるもの!」
嬉しそうな微笑みを映しながら、リダンは小さな顔で思いっきり頷いて笑った。
「蜘蛛糸で作った王女様の部屋……そこまでお城が恋しかったんですね」
既に寿命ギリギリまで糸を使っているというオブリビオンの姿に、フィーナ・シェフィールドは悲しげな目を向けた。
今、自分の作った部屋をリダンに褒められた彼女は、どこか無邪気に微笑んでいる。
「なんだか、ちょっとさみしそう」
ふわりとその部屋に降り立って、濃い紫の三つ編みおさげを揺らした幼い女の子となったフィーナは、小さく呟くととことことオブリビオンの姫君に恐れることなく近づいた。
「おうじょさま!」
「あら、どうしたの?」
画面とフィーナどちらも視界に収まるようにしながら、メルティキッスは首を傾げた。
リダルが全力でカメラを向け始めたので、ちょうどフィーナと、慈愛に満ちた笑みを浮かべるメルティキッスが一緒に映っている。
どこか嬉しそうなメルティキッス。
「あのね、おうじょさまも、おへやも、とってもきれいなの!」
「まぁ、ありがとう!」
ぱぁっとプリンセスの瞳が輝いた。
幼さゆえの純真な言葉が、オブリビオンとなったその心にも真っ直ぐに届いたのかもしれない。
「ねぇねぇ、わたし、おうじょさまにおうたをうたってあげるね!」
きらきら碧い瞳を輝かせるフィーナは、何を隠そうサクラミラージュ生まれの稀代の歌姫なのである。
戦闘経験は失われていても、その天賦の音楽の才能と歌声は失われるはずもない。
「ぜったいこれはイイ……」
そしてリダルは滅多にない最強のコラボの気配を感じ、用意していた汎用素材のBGMを消した。
だって最強じゃないか。生歌と生製作現場のコラボとか。
それもおそらくはどちらも最高峰の。
フィーナの周囲には紙吹雪のようにシールドタイプのドローン『シュッツエンゲル』が舞い踊る。
双子の月『ツウィリングス・モーント』はドローンスピーカーとして、彼女の歌を増幅させる。
積み重ねた技巧こそ失われても、フィーナの歌の本質が失われることはない。
無垢な心から生まれる、魔を破る真摯な歌――!
「こっちはピアノなのに弦で弾くの! 面白ーい!」
鍵盤であるべき場所を、指で弾くようになっているピアノ。ハープに近い作りだが、鳴らしてみれば美しい音階が響く。
ちょうどそれは、フィーナが歌い始める直前に、リダンが映した景色だった。
プリンセス・メルティキッスは立ち上がる。ひらりとピアノの縁に座ると、ピアノの弦を指先で弾く。
フィーナの歌に合わせて、2つの手が弦を弾く。その上にある手が、ふわふわと糸を生み出し始める。思った以上のコラボレーションに、リダルは一瞬も余すまいとフィーナとプリンセスにカメラを向けた。
デザイナーたるリダルの本領は人心操作にある。己の望む方向へと流行を操り、時には己の認めたクリエイターを時の人へと引き上げる。そして時には、ライバルであっても発破をかけ、素晴らしい作品を作り上げさせる。
その人の心を揺り動かす力は、幼児となっても健在だった。
技術や経験は活かせなくても――素直な言葉が心を動かすのは、フィーナの歌とも通じるのだろう。
「らーらららー♪ るーるるー♪」
歌詞のない歌は澄み渡り、それに丁寧な弦の伴奏が色を添える。その中でプリンセスが糸で生み出したのは――大きな花束だった。
優しい色の様々な花が咲き誇る、子供の背丈ほどもある大きな花束。ピアノを弾きながらそれを2つ生み出すと、プリンセスは2人の女の子を手招いた。
歌いながら、撮影しながら近づく2人に、そっとメルティキッスは花束を差し出す。
ふわり、受け止めた花束は大きさから思ったよりもずっと軽く、小さな子供でも全く無理せず持つことができる。
その精巧な花びらの細工に、思わずしばらく至近距離で撮ってから、はっとリダルがカメラを戻す。顔を輝かせたフィーナの歌に、即興で花の歌詞が混じる。
その中で、そっとプリンセス・メルティキッスは消えていった。
彼女の技巧の限りを尽くした彼女の部屋とともに――ゆっくりと、消えていった。
レクイエムが響く。19歳の女性へと戻ったフィーナの声で、自らその寿命を代償に糸を紡いだ女性への鎮魂歌が響き渡る。
ふ、と小さく息をつき、軽く肩を竦めたリダルはそっと歌がフェードアウトするように音量を下げてから、配信終了のボタンを押した。端末を拾い上げ、上着のポケットへ放り込む。
「……ほんと、なくすには惜しい腕前だったわ」
それは、きっと最高の賛辞であり、手向けの言葉でもあった――。
大成功
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