帝竜戦役⑰〜その輝きはまるで心を映す鏡のようで~
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「約束の地……っていう草原みたいだよ、次の戦場はね」
グリモアベースにてそう語り掛けるのは、年老いたグリモア猟兵――中御門・千歳(死際の悪魔召喚師・f12285)だ。
千歳によれば、帝竜戦役において新たな戦場――約束の地と呼ばれる草原に新たに進軍することが可能となったようだ。
その戦場は群竜大陸で最も危険なエリアのひとつ。何故ならばその全ての草花が特殊な能力を持っているという。
それは足を踏み入れる者の“恐怖”を呼び起こすというもの。
そしてその恐怖に負けたもの、もしくはその恐怖を認めない者を「苗床」と化し、操るというのだ。
「一言で恐怖って言ってもさ……何に対して、とか色々あるだろう? 皆に制圧して欲しいエリアでは、特に“嫌われる”ことに対する恐怖ってのが、問われるみたいだねぇ」
人間誰しも、人に嫌われることは怖いもの。
だがその感情を認めることは、中々難しいものだ。
何故ならばそれを認めたのであれば、まるで己が他人に媚びているような気分になるから……それは力を持っている者ほど顕著であろう。
しかし誰しもが、嫌われたくないと思うのは当然のことなのだ……故にその恐怖を受け入れ、その上で克服することが重要となる。
「恐怖に負けても、また恐怖を認められなくても駄目……十分気を付けておくれよ」
繰り返しとなるが、“誰かに嫌われたくない”という感情があることを認められなければ、又は認めた上で克服できなければ、猟兵たちもまた「力ある苗床」と化してしまうだろう。
戦場には「苗床」と化したオブリビオンが跋扈している為、克服した上でオブリビオンたちを倒す必要もあるのだ。
「負けるんじゃないよ、自分にね」
全ては己の心に打ち勝てるか否か。
猟兵たちは気を引き締め、戦場へと向かうのであった。
きみはる
●ご挨拶
お世話になります、きみはるです。
帝竜戦役二作目となります。
●依頼について
恐怖を認め、その上で克服するプレイングに対して、ボーナスを与えます。
あくまで己の心にその恐怖があることを認めることが重要となります。
ボスはあまり強力な敵ではありませんので、皆さんの心の葛藤についてたっぷり書いて頂けましたら嬉しいです。
また、この場所で手に入れられる財宝は下記の通りです。
宝物「約束の花」……触れた者の「思い」を吸収し、増幅した上で次に触れた者に感染する、おそるべき「感情汚染植物」です。告白に使えば相手を奴隷化しかねない危険な代物ですが、一房金貨1200枚(1200万円)で売れます。
●プレイング募集について
今回は心情描写中心である関係から、団体様でのご参加はお控え下さいますと幸いです。
また、プレイング募集期間は最低人数に達してから+2日程度を見込んでおります。目途がつきましたら別途MSページにて告知致します。
それでは、皆様の感情の籠ったプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『宝玉蝶』
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POW : 育つ宝石
戦闘中に食べた【清らかな水】の量と質に応じて【宝石の輝きが増し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD : 極彩色の鱗粉
自身が装備する【煌びやかな宝石の粒】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ : 秘宝の光
【眩い宝石の輝き】が命中した対象を高速治療するが、自身は疲労する。更に疲労すれば、複数同時の高速治療も可能。
イラスト:たま
👑8
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「宇冠・由」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
鈴木・志乃
嫌われる恐怖、か
……もう嫌われちゃってるんだよなぁ
自分の中の醜い部分をさらけ出して、人を傷つけて。何人に避けられるようになったかな。
どうしても誰かに助けて欲しくて、すがるような思いで本音を吐露して何度諍いになった?
未だに心の内を吐き出すのは怖い。これを言ったら嫌われるんじゃないか、今の場所に――居られなくなるんじゃないか。
いつもそう、思いながら話をしている。
あの頃のことが怖くて今も会話が怖いけど、最近はそれ以上に大切なことを見つけた。
怖いよりも自己嫌悪よりも先に、あの人を助けたい。
自分が嫌われてでも、愛する人を助けたい。幸せにしたい。
その為なら、恐怖も乗り越えられる。
UC後全力魔法なぎ払い
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「嫌われる恐怖、か……もう嫌われちゃってるんだよなぁ」
鈴木・志乃(代行者・f12101)は小さく息を吐く。
彼女が浮かべるのは――微笑。
でもどこか寂しそうで、切なげで……泣き出しそうな、複雑な色をが込められた表情。
草原を覆いつくす草花が、怪しげに風に揺蕩う。
その度に志乃はどこか心が掻きむしられるような、どうしようもない焦燥感に駆られるのだ。
風の囁きが、軽やかに舞う蝶の煌きが、まるで自分を嘲笑っているようで。
(自分の中の醜い部分をさらけ出して、人を傷つけて……何人に避けられるようになったかな。どうしても誰かに助けて欲しくて、すがるような思いで本音を吐露して何度諍いになった?)
超常の力を持つ猟兵とて、一般社会から離れた彼らとて、他人との関わりは必須。
故に彼女もまたこれまでの人生経験の中で、他人との心のすれ違いの――他人に嫌われる経験など、当然のように経験してきた。
未だに心の内を吐き出すのは怖いものだ……これを言ったら嫌われるんじゃないか、今の場所に――居られなくなるんじゃないか。
そんな悩みがぐるぐると心の中で渦巻く。
いつもそう、そう思いながら――悩みながら他人と話をしているのだ。
だが……と同時に彼女は思う。
(あの頃のことが怖くて今も会話が怖いけど、最近はそれ以上に大切なことを見つけたんだ。怖いよりも自己嫌悪よりも先に、あの人を助けたい)
怖いのは変わらない。
気を使っているのだって、嘘じゃない。
でも、今ならその恐怖に打ち勝つことが出来るのだと自信を持って言えるのだ。
嫌われたらどうしようか――そんな恐怖より、自分が傷つくかどうかよりも大事なものを見つけたのだから。
(自分が嫌われてでも、愛する人を助けたい。幸せにしたい)
そう信じて、志乃はその掌を前へと向ける。
未来へと足を進める、その確固たる意志を瞳に宿らせ。
(その為なら……恐怖も乗り越えられる)
少女が一歩踏み出したとき――辺りを閃光が覆いつくした。
大成功
🔵🔵🔵
プリンセラ・プリンセス
連携・アドリブ可
嫌われることに対する恐怖は昔からあった。
病弱で周囲に心配ばかりさせ、兄や姉は優秀な者ばかり。
子供が産めるかすら怪しいのでは王族として嫌われ捨てられるかもという恐怖はあった。
けれども皮肉にも国が帝竜によって滅んだ時にそんなことはないと気づいた。
命をかけて自分を逃がそうとしてくれた兄や姉、さらには死んでも人格として宿ってくれている。
そうまでされて嫌われているかもと思えるだろうか。思えるはずがない。
「この身に宿る兄姉様方が居る限り、嫌われる恐怖など幾度でも振り払いましょう!」
己を【鼓舞】し覇竜閃空次元断で【なぎ払い】で攻撃する
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風が流れる草原の中……貴族然とした優雅なドレスを身に纏い、プリンセラ・プリンセス(Fly Baby Fly・f01272)は風になびく金色の髪を押さえながら目を細める。
「嫌われることに対する恐怖、ですか……」
彼女にとって、人に嫌われる恐怖など昔から存在した。
幼少期の彼女は酷く病弱で――そして周囲の兄や姉は比較にならないほどに優秀な者ばかり。
子供が産めるかすら怪しと言われていた彼女は常に王族としての己が存在価値を問われ――いつ嫌われ、捨てられるかという恐怖と共に育ってきたのだ。
「私には……」
だがそんな恐怖など、不要――そう理解出来たのは、皮肉にも己が故郷が滅ぼされたが為。
プリンセラよりもずっと優秀で、健康で……もっと価値があるはずの兄と姉たち。
そんな彼らが身を投げ出しても彼女を――嫌われているのでは、不要とされているのではと考え続けてきた己を守り逃がそうと、死んだとき……嗚呼自分はなんと大事にされてきたのかと、否が応でも理解させられたのだ。
死して尚人格として宿り、彼女を助けてくれている彼らの存在を感じ、それでも嫌われているなどと……どうして思えようか。
「この身に宿る兄姉様方が居る限り、嫌われる恐怖など幾度でも振り払いましょう!」
私は愛されている――同体となったからこそ理解が出来る。
そこに一片の不安も無いのだ。
プリンシラの眼前では、こちらに気付いたきらびやかな蝶が慌ただしく舞う。
そして放たれるのは――宝石の散弾。
直撃すれば負傷は避けられない、高硬度の銃弾。
「全て断ち切りなさい――覇竜閃空次元断!」
しかしその全てを、そして全ての敵を、プリンシラは一刀の下に断ち切ってみせる。
嫌われる恐怖を――心の曇りを、全て切り払うように。
成功
🔵🔵🔴
アルデルク・イドルド
あぁ、あの蝶は綺麗だな…正直ここで宝物とやらよりも俺は興味があるね。
…需要がある事は確かだろうが…どう考えても悪影響しかねぇからな俺が扱うのはパスだ。
嫌われたくない?まぁ、俺も商人だからなお客様やら取引相手に嫌われたくないが…あぁ、そっちじゃねぇのか。
…確かに嫌われたくはないな…あいつには何をしたら嫌われるかわからねぇから余計に怖ぇ。
兄貴分みたいに慕ってくれるあいつの嫌なことに知らず知らずに踏み込んでしまわないかってな。
けれど…そんなの考えても仕方ねえよな。
今はあいつが喜ぶ事をいっぱいしてやりてぇ。
それでいいじゃないか。
コイン共かかれ。キルケは【属性攻撃】【多重詠唱】で援護だ。
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「綺麗だな……」
宝石のように輝く蝶を見つめ、アルデルク・イドルド(海賊商人・f26179)は小さく呟く。
「正直ここで宝物とやらよりも俺は興味があるね」
触れた者の思いを吸収し、増幅した上で次に触れた者に感染すると言われる約束の花。商人としてのアルデルクは、その価値の高さを認めていた。
しかし人間としてのアルデルクは、その危険性の高さを嫌悪するのだ。
「しかし嫌われたくない……か、まぁ、俺も商人だからなお客様やら取引相手に嫌われたくないが……まぁ、そっちじゃねぇか」
敢えて茶化すように、的外れなことを口にするアルデルク。
何故なら恐怖は――思い起こすことも、直視するのことも、辛いものだ。
「確かに嫌われたくはないな……あいつには何をしたら嫌われるかわからねぇから余計に怖ぇ」
アルデルクが思い浮かべるのは、弟分のようにかわいがっている人物。
どこかほっとけないその者は、アルデルクにとってついつい構いたくなってしまう存在――故にそれは同時に、知らず知らずのうちに嫌がられる範疇にまで踏み込んでしまっているのではという恐怖を伴う。
「けれど……そんなの考えても仕方ねえよな」
嫌われるのは怖い、己にとって好ましい者であれば猶更だ。
でもそんなことを考えていては、人付き合いなど出来ないのだ。
「コイン共かかれ」
己を主人と認めるコインたちを弾き出し、飛び交う宝石を打ち砕く。
胸中に渦巻く恐怖は無くならない――でも共に歩む者を思い浮かべれば、案外前には進めるものだと。
「今はあいつが喜ぶ事をいっぱいしてやりてぇ……それでいいじゃないか」
だからさっさとこの面倒な戦場を踏破して、連れ添い飯でも行こうかと、そんなことに想いを馳せるのだ。
成功
🔵🔵🔴
ソラスティベル・グラスラン
あはは…名声を得て讃えられる、そんな想像をしたこともありますが…
『嫌われる』ことは、意図して考えずにいたかもしれません
わたしの目指す『勇者』は、結局は憧れから来た自己満足
物語の英雄の様になりたいと、ただただ一途に顧みずに
その中で誰かに迷惑を掛けずにいたと必ずしも言えるでしょうか…
……それでも、わたしが頑張ったから助けられたこともあります
安心し、喜んでくれる顔…今まで出会った人々の顔を思い出す
仮に迷惑をかけ嫌われても!その何倍も助けて喜んで貰えればいい!
愚直に、一途に!お馬鹿なわたしはそれだけが取り柄でしょう!
【勇気】を胸に、第一歩!
わたしの前に立ち塞がるなら……この大斧で、切り拓くまでです!!
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「あはは……名声を得て讃えられる、そんな想像をしたこともありますが……」
ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)は朗らかな笑みを浮かべる。
好意、承認、尊敬、感心、賞賛。
そういった誰かに好かれ、称えられることを嫌う人間など、いないだろう。
それは自身の目指す“勇者”に恥じぬ活躍を見せるソラスティベルとて、同じこと。
だが……と同時に彼女は思う。
「“嫌われる”ことは、意図して考えずにいたかもしれません」
彼女らしい、太陽のような笑顔――しかしそれが、微かに曇る。
果たして名声は、賞賛は……それは嫌われないという言葉と同義だったのだろうかと、ふと思い悩むんでしまうのだ。
ソラスティベルの目標は――勇者。それは恥じぬだけの決意をもった目標であることは間違い無い。だが同時に、それはあくまで己が憧憬によるもの。
他人がどうかなどと関係の無い、自己満足。物語の英雄の様になりたいと、ただただ一途に顧みずに走り続けてきたこれまでの猟兵人生の中で、果たして誰かに迷惑を掛けずにいたと必ずしも言えるのだろうか?
そう考えた途端に、ソラスティベルは身が竦むような恐怖を感じる。
信じ、歩み続けていた栄光へと続く道が――その道を歩む為に行なってきた行為が、他人の歩む道を汚す行為に本当に繋がっていなかったのかと。
そう思えば思うほど、彼女の心の中の葛藤が、恐怖が膨らんでいく。
それでも、とソラスティベルは思う。
「それでも……わたしが頑張ったから助けられたこともあります」
それでもこの両の手で救ってこれた命が、助けられた人々がいたのだと、確かに思う。
たとえその好意が誰かの迷惑になっていたとしても、決して恥ずべき行為では無いのだと、心の底から信じられるのだ。
「仮に迷惑をかけ嫌われても! その何倍も助けて喜んで貰えればいい!」
斧を大地に刺し、ゆっくりと立ち上がる。
愚直に一歩、前へと進む。
進み続けるのが、己の良さだと信じて。
人に嫌われたっていい、それでも私は人を助けるのだと。
「わたしの前に立ち塞がるなら……この大斧で、切り拓くまでです!!」
吼える少女は勇気を胸に――蒼雷と共に戦場を駆ける。
成功
🔵🔵🔴
麻海・リィフ
アドリブ、即興連携歓迎
恐怖?無いわけないでしょ
両親にも、兄姉にも、嫌われたいなんて思わないわよ
あんなでも、血を分けた家族なんだもの
家族だけじゃない。他人に拒絶されるって、痛いもん
でも ね
だからって怯えて口を閉ざしたら人は死ぬ!
それは踏み込むよりも、自分も他人も傷つける!
なら痛いまま私は進む!そうして掴むのは痛みだけじゃないから!
恐怖を知ってなお踏み込む…「勇気」を…っ!舐めるな!!
UCを以て薙ぎ払い(味方不在認識)
敵の攻撃は基本三種の盾を駆使して盾受け
念動衝撃波を始め適宜技能盛り
火が点いたわ
仕掛けられたんでしょ?この場所って
作った奴の鼻面ブン殴ってやるわ!
宝物一輪、絡繰小箱に勝手に吸い込まれ
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「恐怖? 無いわけないでしょ」
麻海・リィフ(晴嵐騎士・f23910)は広大な草原を、揺れ動く草花を、そして飛び交う煌々と輝く蝶を見つめ、そう吐き捨てる。
「両親にも、兄姉にも、嫌われたいなんて思わないわよ……あんなでも、血を分けた家族なんだもの」
田舎の成金子爵の末娘。
人々はそう口さがなく、彼女をそう言い表す。嫌な思いなど沢山してきた、不満を感じることもあった。それでもやはり、嫌われたいとは思わない。それは家族以外も同様。何故ならそれは……。
「だって、他人に拒絶されるって、痛いもん」
何故ならそれは、痛みを伴うから。
どしようもなく辛く、痛く、苦しいのだから。
「でも、ね」
でも……とリィフは胸中で言葉を反芻する。
嫌われることは怖い、それは心の底から理解できるし、同意できる。でもそこで思考を止めることは、死と同意義だ。
「だからって怯えて口を閉ざしたら人は死ぬ! それは踏み込むよりも、自分も他人も傷つける! なら痛いまま私は進む! そうして掴むのは痛みだけじゃないから! 恐怖を知ってなお踏み込む…“勇気”を…っ! 舐めるな!!」
リィフは愛用の剣――回転剣ストヲムルゥラァを手に駆ける。
彼女の怒りに呼応するように、彼女の怒りを吸い上げるように。
ストヲムルゥラァはその回転をより速く、より激しく回り、唸り、嘶く。
そうしてかき回された空気は嵐と化し、振るわれた一撃は全てを薙ぎ払うのだ。
「火が点いたわ、仕掛けられたんでしょ? この場所って……作った奴の鼻面ブン殴ってやるわ!」
リィフは猛る――この不愉快な戦場を、仕掛けを決して許さないとばかりに。
その腰の絡繰小箱が、怪しく光ることにも気付かずに。
成功
🔵🔵🔴
ベルンハルト・マッケンゼン
アドリブ、他参加者との絡み大歓迎
草原の恐怖、か。カタラウヌムで戦った敵の騎馬軍団と率いる狂王を思い出す。神の鞭の峻烈さには、魂が震えたな。
SPD
【冷静に、心理分析のアプローチで恐怖の克服を試みる】
嫌われる恐怖とは、孤独を恐れる集合的無意識に由来する。
嫌われて集団から排除されたヒトは、世界の厳しさに単独で直面し、そしてそれはほとんどの場合、死を意味するから、な。
……あぁ、ほとんどの場合、だ。全てではない。なかには、独りで道を切り開いたヒトもいた。
私もまた、斯く在らん。誇り高く、堂々と恐れよう。戦術的に…フッ。
UCを攻撃力重視で使用、火炎嵐を巻き起こす。
「汝、孤独を恐れよ……しかし、孤高であれ!」
●
「草原の恐怖、か。カタラウヌムで戦った敵の騎馬軍団と率いる狂王を思い出す。神の鞭の峻烈さには、魂が震えたな」
歴戦の傭兵――ベルンハルト・マッケンゼン(黄金炎の傭兵・f01418)は戦場となるその草原を見つめ、過去に思いを馳せる。
「嫌われる恐怖とは、孤独を恐れる集合的無意識に由来する……嫌われて集団から排除されたヒトは、世界の厳しさに単独で直面し、そしてそれはほとんどの場合、死を意味するから、な」
常に命のやりとりが発生し、そしてそれが容易に散っていく戦場。
そこで孤立した者は――すなわち死に直面する。
故に現代社会においても孤独は、恐怖に直結するのだ。
こうして冷静に思考を巡らせるベルンハルトとて、孤独が怖くないかと言えば――否と言わざるを得ないだろう。
「……あぁ、ほとんどの場合、だ。全てではない。なかには、独りで道を切り開いたヒトもいた」
だが同時に、ベルンハルトは数多の戦場を渡り歩いた経験の中で、孤立して尚誇り高く生き延びる者たちを見て来た。
孤独を友とし、それでも心折れず前へと進む戦士たちを見て来たのだ。
「私もまた、斯く在らん。誇り高く、堂々と恐れよう。戦術的に…フッ」
故に彼も孤独を恐怖して尚、しかし決して己を曲げることはしない。誇りを胸に、戦い続ける為に。
「汝、孤独を恐れよ……しかし、孤高であれ!」
ベルンハルト・マッケンゼンは眼前の全てを圧倒的火力でも以って薙ぎ払う。
己が信じる道を進む為に。
誇り高く、孤高である為に。
成功
🔵🔵🔴
弦月・宵
うん…嫌われるかもって、怖かった。
友達と違うことをして、違う考え方をしてて、すれ違うことが怖かった。
…でも、ね
そうやって逃げてるだけじゃダメだったんだ
千歳おねーさんも言ってくれた
自分に負けるな、って!
ちゃんと話をしないと、嫌われるかどうかすら分からずに終わっちゃうんだ!
攻撃は【UC:ブレイズフレイム】を纏わせた剣と鞘を両手にもって、
水に口をつける前に接近戦で割り砕く!
鉱石によっては、衝撃に弱いものとか、熱に弱いものとかあるけど、
君たちはどうかな?
蝶たちの様子の変化には気をつけて対応するよ
複数で群れているようなら、なるべく強化が済んでいない個体から狙う
逃げてたらさ、どのみち独りになっちゃうもの…
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「うん……嫌われるかもって、怖かった」
グリモアベースでの説明を思い出し、弦月・宵(マヨイゴ・f05409)は素直にそう口に出すことが出来た。
猟兵として様々な世界を渡り歩く中で知り合った、多くの友人たち。
その友人たちに嫌われたくないかと聞かれれば、それは当然のことだ。
「友達と違うことをして、違う考え方をしてて、すれ違うことが怖かった」
種族から、生い立ちから、考え方から……様々な人々が揃う猟兵という独自のコミュニティー。
それでも……いや、だからこそと言うべきなのかもしれない。
だからこそ、どこか他人と同じ部分を探してしまって……他人と違うことが怖くて、他人と違う考え方が――すれ違いが怖かった。
「……でも、ね」
でも、と今なら言える。
勇気を振り絞り、己が武器を握りしめ――己を鼓舞するかのように炎を纏わせる。
宵の心を温かくしてくれるのは、己が脳裏に思い浮かぶのは――仲間たちの笑顔。
お前はお前で良いのだと。
自分に負けてはならないと。
そう笑顔で励まし、共にこの道を歩む仲間たちの存在が、笑顔が……気負い、怖がり、一度は距離を取ろうとした自分の手を、皆が温かく握ってくれたのだ。
「ちゃんと話をしないと、嫌われるかどうかすら分からずに終わっちゃうんだ!」
飛び交う鉱石を掻い潜り、羽を休める前に切り落とす。
腹の底からの慟哭は、彼女の心の底からの本心。
すれ違うのが怖い……でも、もう立ち止まっているだけなのは嫌なのだと。
「逃げてたらさ、どのみち独りになっちゃうもの……」
だから、もう逃げない――歩み続けるのだ。
仲間と共に前へ進むのだと、そう決意を胸に。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
私はウォーマシン
顔や巨躯の全身に銃器を装備し、力で一般人を容易に殺害できる存在でもあります
SSWでは銃器に封印を施し、出力を調整しウォーマシンと認識できる人々を恐れさせないよう、嫌われないよう心掛け
…いくら人権を認められても、戦闘機械を人が恐れないとどうして言い切れるのでしょう
ですが、いえ、だからこそ私は騎士として振舞うのです
この身が血も涙も無き戦闘兵器では無く、鋼の理性とヒトと歩み寄れる情を持つ1個の存在であると人々に証明する為にも
この身体が動く限り!
戦闘による花畑の被害を最小限にUCの超精密攻撃の●怪力の剣の一突きで蝶『のみ』を破壊
討つべきもののみを討つ、それが出来ずして騎士は名乗れません
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穏やかな草原の中、一人そびえ立つは鋼の騎士。
その者の名はトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)――スリットの奥に怪しく瞳を輝かせ、そのウォーマシンは想い耽る。
戦闘に特化したその身体は――全身に仕込まれた銃器は、常人離れした怪力は、一般人など容易に殺害可能。
人型戦闘機械である己は、当然畏怖の象徴。
存在感が緩和される異世界では無く、彼の出身世界――スペースシップワールドであったならば、人々を恐れさせないように銃器を封印し、出力を調整したほどだ。
それほどに己の存在は危険であり、同時に嫌われることを畏怖し続けて来た。
「……いくら人権を認められても、戦闘機械を人が恐れないとどうして言い切れるのでしょう」
人権が認められていると、自分たちと何ら変わらないと、気の良い人々は言う。
しかし戦闘機械を――ウォーマシンたる自分たちを恐れないなどと、誰が言えようか。
だからこそ彼は恐れる。
他者の視線を、人々に嫌悪されることを。
「ですが、いえ、だからこそ私は騎士として振舞うのです」
だからこそ、恐れられる存在であるからこそ、トリテレイア・ゼロナインは騎士として振舞う。
己が血も涙も無き戦闘兵器では無く――鋼の理性とヒトと歩み寄れる情を持つ一個人であると、人々に証明する為にも。
トリステレイアは駆ける。
己が出力を上げ、センサー感度を向上させ――己が討つべき敵を討つ。
緻密に計算された剣の軌道が――他人を傷つけることなく、自然を傷つけることなく正確にオブリビオンだけを打ち砕く。
「討つべきもののみを討つ、それが出来ずして騎士は名乗れません」
鋼の騎士はその道を貫く。
己を恐れられること理解し――その上で、人と寄り添う為に。
大成功
🔵🔵🔵
ノネ・ェメ
連携、アレンジ歓迎
この怖さ、憶えがあるような。忘れられはしないと思ってたけど、時間はわたしにも忘却を授けてくれてたみたい。
無意識に電脳魔術を行使してしまうらしく、気づくと知らないはずの個人情報を知ってたり、ネットに自分の見た景色が画像であがってたり。今だって全然怖い。電脳魔術士なんて覚えもないし。制御できるような兆しも無く、未だ平行線。
行きつけのサイト、Cradle.ex_でもいろいろやらかした。嫌われてないかって思ってしまう。時間もわたしを変えてはくれてないや。
ううん、変わらない。謝って、また接して、また誤って。大なり小なり、人と人の繋がりはこの怖さの向こう岸でしか得られないのだと。
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「この怖さ、憶えがあるような……」
約束の大地と呼ばれる草原に足を踏み入れた瞬間――ノネ・ェメ(ο・f15208)はふとその胸中に渦巻く衝動的な感情に不思議な感覚を覚える。
彼女にとってこの感情は、彼女の異能である電脳魔術と同意であった。
ノネ・ェメには、過去の記憶が無かった。
そんな彼女にとって、己が異能である電脳魔術は恐怖の対象――何故使えるのか、何故無意識に働いてしまうのか、理解出来ないこの不気味な異能が、気付けば様々なトラブルを引き起こすのだ。
知らぬはずの個人情報を伝え、書いた覚えの無い画像を描く。
行きつけのサイトですら様々な問題を引き起こす――誰かを傷つけているのではないか、誰かに嫌われているのではないか……彼女にとってこの電脳魔術は、他人に嫌われるのではという恐怖と直結していた。
「時間もわたしを変えてはくれてない」
思い出したこの恐怖は、時間が流れたとしても無かったことにはならない。
この感情の元凶を、時間は消してはくれない。
「でも……忘れられはしないと思ってたけど、時間はわたしにも忘却を授けてくれてたみたい」
しかしそんな恐怖が、今の今まで忘れられていたことに、ノネは驚きを感じていた。
このまま忘れ続けていれば、何かが変わっただろうか――その答えは否であろう。
でもその忘却が得られていたのなら……きっとこの日常には幸が在ったのだ。
「謝って、また接して、また誤って……そうするしか、ないよね」
だから嫌われたら、謝るしかないのだ――そうして関わり続けて、たとえ再び誤ったとしても。
大なり小なり、人と人の繋がりはこの怖さの向こう岸でしか得られないのだと、今ならそう思える。そうして過ごす時間の中で、皆との繋がりの中で、得られるものもがきっとあるから。
だから、彼女はその恐怖を受け入れた上で――歌うのだ。
成功
🔵🔵🔴
宮落・ライア
嫌われたくない。
嫌われたくない!でもそれって当然じゃん!
ボクは英雄だぞ?ヒーローだぞ?
嫌われるのは敵の役目ではないか!
あ、敵には存分に嫌われても良いぞ。と言うか嫌われに行くのだぞ。
だから、だからさ。
嫌いにならないで。証明し続けるから。
ボクの価値を証明し続けるから。
嫌われたくないから、努力するよ。
綺麗な草原に宝石の蝶。
こう感情が揺す振られずに、あれも害がなければ楽しめたのだけれどね。
その翅、裂き散せて貰うよ。
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「嫌われたくない」
白銀の髪を風にたなびかせ、宮落・ライア(ノゾム者・f05053)はそう口にする。
「嫌われたくない! でもそれって当然じゃん! ボクは英雄だぞ? ヒーローだぞ? あ、敵には存分に嫌われても良いぞ」
彼女の目指す道は、ヒーロー。
そう、彼女の理想とする姿とは誰にでも好かれる正義のヒーローなのである。
その誰にでも、には当然敵は含まれない。
悪を挫き、弱気を助ける――その悪に嫌われることなど、どうということは無い。
(だから、だからさ)
これが約束の花の効果なのだろうか――突風と共に彼女の鼻腔を何かがくすぐったその瞬間、突如彼女の胸中を恐怖が肥大化する。
「嫌いにならないで。証明し続けるから……」
悪に嫌われたって構わない……だが皆には、嫌われたくないのだと。
その為にも、己が価値を証明し続けると。
人々の役に立ち続けると。
だから、私を嫌いにならないで欲しいと、そう切に願う。
「嫌われたくないから、努力するよ」
締め付けるような胸の痛みを緩和するように、ゆっくりと、深く呼吸をする。
私は怖い、嫌われることが。
でもそれを認めた上で、努力を続けると――そう彼女は言い切る。
胸の痛みに耐えながら、それでも前を向き走り続けるのだ。
「こう感情が揺す振られずに、あれも害がなければ楽しめたのだけれどね」
己が刀で、武骨な骨剣にて、煌く蝶を打ち砕く。
その傷を癒すように複雑な光の反射を魅せ、蝶は飛び交う。
その幻想的な光景を眺め、くすりとライアはそう苦笑するのだ。
でも……もう迷わない。
もう迷わないと強く誓い、前へ進み続ける。
「その翅、裂き散せて貰うよ」
ヒーローとして、恥じぬように。
成功
🔵🔵🔴
トール・テスカコアトル
「いやだ……」
戦士の一族だからね、臆病なトールはバカにされた……嫌な記憶
「いやだ……いやだ」
石に選ばれてアルダワ学園へ
嫌われるのが怖くって話しかけられても逃げたりして……独りだったっけ……嫌な記憶
「ちがう!……いやだ!」
今は、仲間がいる
でも、トールの事なんか話せないよ
話して嫌われたくないし……嫌われてるかも……
「いやだぁああああ!!」
でも
「それでも、みんなが大好きなんだ」
そうだ、みんなが笑ってるとこを思い出せば……嫌われたっていい、一緒にいたい
「本当は嫌かもしれない、いつかは嫌われちゃうかもしれない……それでもトールはみんなが好き!みんながいる世界を護りたい!」
だから、勇気をだすよ
「……変身」
●
暖かな空気。
穏やかな風。
爽やかな草原にしくしくと、か細い声が流れる。
それは悲しげで、か弱く、風音にすらかき消せられそうな声。
「いやだ……」
その声の主――トール・テスカコアトル(ブレイブトール・f13707)は俯き、目を瞑り、体を小さくしながら蹲る。
その頬を濡らすのは涙。
その身体を揺らすのは――過去に対する恐怖。
「いやだ……いやだ」
戦士の一族の出身であるトール。
そこは力こそ全てで、強い者が正しかった。
己に何の価値も無いのだと、そう侮蔑され続けた。
「ちがう!……いやだ!」
里が守護していた「一つの石ニギ=アラ」に選ばれ、アルダワ学園へと入学することになったトール。
環境が変わっても尚、彼女の他人に対する恐怖は――嫌われることへの恐怖は、変わらなかった。
「いやだぁああああ!!」
今の彼女には、仲間がいる。
でもその仲間にも、嫌われたくない……だから彼女の過去のことなど言えるはずもない……いや、もしかしたら既に嫌われているのかもしれない。
そんな思考がトールの脳裏を過った瞬間、彼女の心は張り裂けそうなほどに痛む。
でも、と。
それでも、とどこかで声がする。
「それでも、みんなが大好きなんだ」
それでも仲間が、皆が大好きなんだと。
嫌われたくない、嫌われているかもしれない……でもそれは、トールが皆が大好きなことを否定するものでは――決して無いのだ。
「本当は嫌かもしれない、いつかは嫌われちゃうかもしれない……それでもトールはみんなが好き!みんながいる世界を護りたい!」
その手に握る一つの石がトールの言葉を肯定するように――彼女の心を守るように、温かい光で包み、輝く。
勇気を出してと、そっと囁くように。
「……変身」
だから戦うのだ、勇気を力に。
そこに気弱気な少女の姿は無く――前を向いたヒーローの背中があった。
大成功
🔵🔵🔵
レイナ・オトゥール
ヴィリヤおねえさん(f02681)と!
嫌われるのは怖い、です
私はまだ本当の意味で拒絶をされたことがありません
家族やドラゴンさん、故郷の人、ヴィリヤおねえさんなどのお友達
喧嘩はしても仲直りができる
そんな優しい人たちと過ごしてきましたから
でも、もし、彼らに嫌われて、輪の外に弾き出されたら……
無視されて居ないもののように扱われたら……
でも、止まってしまったら嫌われたままです
そんなのは絶対嫌です
大切な人達と過ごす楽しさを知っているからこそ
へこたれませんよ勝つまでは!
それが私が誇れる私のとりえです!
・戦闘
【竜装召喚】の私とドラゴンさんの友情パワーと
ヴィリヤお姉さんの連携で目にもの見せてやります!
ヴィリヤ・カヤラ
レイナちゃん(f11986)と。
嫌われる事か……うーん。
レイナちゃんや今まで会った人に嫌われるのも嫌だけど、
父様に嫌われるのは嫌かな。
ヴァンパイアだし家族もごっこ遊びだった可能性もあるけど、
私にとっては優しくて大好きな父様だし。
嫌われるなら遊びだったり無関心の方がマシかも?
でも、もし嫌われてても私が父様を好きなのは変わらないし、
嫌われてたら少しでも好きになってもらうように頑張るかな。
友達やこれから友達になる人ともそんな感じで頑張れたら良いな。
戦闘は【氷晶】を使ってレイナちゃんと連携していくね、
捕まえられそうなら影で月輪を蔦状に実体化させて捕まえてみるよ。
●
「嫌われる事か……うーん」
ヴィリヤ・カヤラ(甘味日和・f02681)は悩まし気に、戦場を見つめる。
本来であれば穏やかな気候に包まれた草原――しかしこの場に足を踏み入れたその瞬間から彼女の胸中を渦巻くこの感情が、間違いなくここに存在する悪意を感じ取る。
共に依頼へと参戦したレイナ・オトゥール(竜と共に・f11986)や、これまで出会った猟兵たち……そして何より、大切な家族である父に嫌われるのは、怖いものだ。
父が、いったいどのような想いで自分を育てたのかは分からない。
そこには愛情が無く、単なるごっこ遊びだったのかもしれない。
そう考えると胸が締め付けられるような、痛みを感じるのだ。
でも……。
「私にとっては優しくて大好きな父様だし」
でも、と同時に思う。
たとえ事実が何であれ、ヴィリヤにとって父は……愛する家族以外の何者でも無いのだ。
嫌わるのは怖い――でも、嫌われていたって、ヴィリヤが父を愛する気持ちに、変わりは無いのだから。
「嫌われてたら少しでも好きになってもらうように頑張る……かな」
真実かどうか分からないことを悩むより、もっと好きになってもらえるように頑張ろう。
ぐるぐると感情が渦巻く恐怖に怯えながらも、ふと視界に入った隣に立つ少女――レイナを見たら、ヴィリヤは自然とそう考えることが出来た。
だから……これからも。
これからも、彼女や友人たち……そしてこれから友達になる人たちともそんな風に、頑張れたら素敵だと、そう思う。
そう思いながらヴィリヤは、そっと友の肩に触れた。
●
「嫌われるのは怖い、です」
レイナはその瞳を恐怖に染め、小さく震えながら立ちすくむ。
彼女にとって――本当の意味での拒絶とは、未知であるもの。
家族、そして家族のような存在であるドラゴンたち、故郷に住まう人々……そして今、傍らに立つヴィリヤや他の猟兵仲間たち。
大切な存在である彼らから本当の意味の拒絶を受けたことは無い――少なくとも、レイナはそう感じていた。
「もし、嫌われて、輪の外に弾き出されたら……」
でも、それは同時にとても幸運なことなのだと、今のレイラなら理解が出来た。
喧嘩をしても、仲直りが出来る――そう確信できた上で、付き合ってくることが出来た。そう確信出来るほどに、優しい人たちであった。
でも今彼女を襲っている恐怖は――もし、彼らに嫌われたどうするのか、というもの。
もし、無視されて居ないもののように扱われたら……そう想像するだけで、レイナは真っすぐ立つことも困難なほどの震えに襲われる。
怖い。
嫌われることが、怖い。
拒否されることが、怖い。
「レイナちゃん……」
どんどんと顔が青ざめていくレイナを現実に引き戻すのは、暗闇から引き上げるのは。肩に感じた温かみ。
ふと気付けば、レイナが“おねえさん”と慕うヴィリアが、心配そうにこちらの顔を覗き込んでいるでは無いか。
その顔を見た瞬間――レイナの胸中に暖かなものが流れる。
そうだ、止まったままんていられない――何故なら彼女には大切な人がいるから、大切な人たちと過ごす楽しさをしっているから。
「大丈夫ですよ!」
己に言い聞かせるように言い放ったその言葉を聞いて、ヴィリヤもまた嬉しそうに首肯を返す。
「へこたれませんよ勝つまでは! それが私が誇れる私のとりえです!」
「私も、負けない……」
二人は共に立ち、前を見据える。
仲間と共に、歩み続ける為に。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と
嫌われる恐怖……
考えたら、あったかもしれません
きみと付き合う前に、そんな気持ちを自覚することが
今もないとは言い切れません
たとえ胸を侵すこの一抹の不安がこれら草花の呪いなのだとしても
手を握られれば力を込めて握り返し
目を細めて笑いましょう
でも、僕はそれ以上にきみが好きなんです
嫌われるかもしれない。けれどもきみは僕を受け入れてくれる、そう信じていますから
ザッフィーロ、大丈夫ですか? と問えば返ってきた答えに笑み深め
敵に対しては「属性攻撃」「全力魔法」をのせた
【天航アストロゲーション】で狙い撃ちましょう
不安も恐怖も乗り越えて、きみと見る景色が、本当に楽しみなんですよ
ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と
嫌われる恐怖か
今迄は自覚した事は無かったが…今は少々解るなとそう微かに眉を下げつつ隣を歩く宵へ視線を向けよう
共に歩み共に生き…何も不安になる事など無いと言うに
じわりと胸に満ちるこの感情はきっと、この地の草花の呪いの様な物なのだろうか
胸に満ちる不安が恐れを呼び起こせば無意識に隣に歩く宵の手を取り握らんと試みてしまうやもしれん
握り返された手に安堵が広がるも、紡がれる相手の声を聞けば確りと手指を絡め応えよう
ああ、俺ももう大丈夫だ
宵、お前も大丈夫そうだなと、そう顔を覗き込みつつ笑みを
敵は【罪告げの黒霧】にて近づく前に麻痺をさせんと試みよう
本当に…斯様な場所は早く抜けてしまわねば、な
●
「嫌われる恐怖……考えたら、あったかもしれません」
逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)は、グリモアベースでの説明を思い出しながら、ふとそう思った。
彼が考えるのは、共に依頼に参加した戦友であり、相棒であるザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)の存在。
思えば彼と出会ってから、そういった恐怖とは無縁であったかもしれない。
でもそれよりも昔を思い出したならば――その恐怖は、宵と共にあったのかもしれないと、そう思えたのだ。
あんなことを言ったら、嫌がられるかもしれない。
こんなことを言ったら、嫌われてしまうかもしれない。
そんなことを考えていたらきりがないのは分かっている――でも、そういった恐怖が無いかと言えば、嘘になろう。
そうしたことを考えずに済んでこれたことは、幸運なこと。
そういられただけ、ザッフィーロを信じていられたということ。
今まさに胸中渦巻くこの不安が、たとえ草花の呪いであったとしても――ザッフィーロに嫌われるのが怖くないかと聞かれれば、怖いと答えざるを得ないだろう。
そう思いながら、ふと隣に立つ彼はどんな表情をしているかと、視線を這わす。
●
「嫌われる恐怖か」
今までその感情について深く考えたことは、無かったかもしれない。
でも今もそうかと聞かれれば――否と答えよう。
この約束の地と呼ばれる草原に足を踏み入れてから常に、ザッフィーロはどこか落ち着かない感情を持て余していた。
「今なら、少々解るな……」
嫌われたくない、嫌いたくない。
共に歩むものと、ずっと歩いていたい。
そう思いながらふと隣に立つ宵の方へと視線を向ければ――想いは同じか、ゆっくりと視線は交わる。
随分と、酷い顔をしていると思う。
眉尻は下がり、唇は軽く噛みしめられている。
涙は浮かばないまでも、その瞳の色は不安に揺れていた。
でも、その瞳に映る己が顔もまた……変わらず、大層酷い顔をしていたのだ。
じわり、じわりと己を蝕むこの感情が恐怖であるならば、これはきっとこの大地の草花による呪いのようなもの。
だがそれに決して負けてはならないと、二人はどちらからともなく指を絡ませる。
「ザッフィーロ、大丈夫ですか? 」
ほんのりと感じる体温が、ゆっくりと己が心すらも温める。
「ああ、俺ももう大丈夫だ……宵、お前も大丈夫そうだな」
大丈夫――この声を聴きながらゆっくりと握りしめるだけで、勇気が湧いてくるのだから。
交わる指は、そっと握りしめ。
開いたその掌は――強く拳を握り。
二人はこの最悪の戦場を抜けるべく、足を進める。
今はもう大丈夫と、そう信じられるから。
「不安も恐怖も乗り越えて、きみと見る景色が、本当に楽しみなんですよ」
「本当に…斯様な場所は早く抜けてしまわねば、な」
その言葉に嘘は無いと、そう信じられるから。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ハルア・ガーラント
わ、わたし……どうしてここに来ちゃったんだろう。
【WIZ】
綺麗な蝶の姿が、一瞬で故郷のわたしを嘲笑する人の目に見えだします。
どうして、そんな冷たい目で見るの。
わたし悪い子なの?
いい子になるから、お願い。嫌いにならないで。
自分の中の恐怖と決別したくてこの地にくることを決めたのに、身体が震えて涙が。
恐怖に連鎖してUC発動。敵は倒せている筈なのに恐怖が治まりません。
ふとポケットに入れていた[仄暗い炎の小瓶]に気付きます。両手に包み込み[勇気]を貰いましょう。
そうだ、嫌われるのは誰だって怖い。
この過去と痛みがあるから、今わたしは猟兵としてここにいる。
ちょっと前進したなって、後で彼は褒めてくれるかな。
●
「わ、わたし……どうしてここに来ちゃったんだろう」
ハルア・ガーラント(オラトリオのバロックメイカー・f23517)は身の竦む思いをしながら目の前の光景を見つめる。
爽やかな草原に煌びやかな蝶が温かい日差しを受け、きらきらと輝く。
しかしその光景へと、ハルアはどこか不気味なものを見るかのような視線を向けていた。
「どうして、そんな冷たい目で見るの……」
穏やかな風が、まるで彼女を嗤う嘲笑のようで。
煌くダイヤカットの輝きが、こちらを見下す蔑みの目のようで。
「わたし悪い子なの?」
その全てがまるで自身を否定しているようで、ハルアはその恐怖に震える。
「いい子になるから、お願い。嫌いにならないで」
その言葉は、彼女の心の底からの吐露――彼女の過去の記憶が、恐怖が、絶望が蘇る。
己が過去との決別をする為、このこの約束の地へと足を踏み入れたハルア。
しかし彼女は完全に恐怖に飲まれていた。
「近寄らないでください!」
ハルアの叫び声と共に放たれるは、淡く仄かに光る白鷲――それは彼女の望郷の想いが実体化した守護精霊。
凛々しく猛々しいその騎士は、守るべき姫を傷つける害悪を駆逐する。吐き出される宝石の散弾をさらりと躱せば、飛び交う蝶を容易く撃墜する。
その羽ばたきは雄々しく、その嘴は鋭く。
気づけばその草原には――一匹の蝶も存在していなかった。
軽々と獲物を狩った白鷲たちは、褒めてほしそうにハルアの下へと着地する。しかし変わらず俯き震え、涙を流し続ける彼女を眺め、心配そうに顔を覗き込む。
「ふっ……っ……」
声を押し殺し、涙を流し続けるハルア――己が身体を抱きしめる彼女は、ふと硬い感触に気付く。
それは『仄暗い炎の小瓶』――揺蕩う青黒い炎が詰められたそれは、彼女に温もりをくれる心の支え、そして彼女にとっての救世主を感じさせてくれるものだ。
「そうだ、嫌われるのは誰だって怖い……でも、この過去と痛みがあるから、今わたしは猟兵としてここにいる」
過去の記憶は消えてはくれない――今だって、嫌われるのは怖い。
でも今なら、その恐怖を受け入れた上で前へ進むことが出来る。
少なくとも、彼女を肯定してくれる“彼”を、知っているから。
「ちょっと前進したなって、後で彼は褒めてくれるかな」
少女の呟きが、風に吹かれて消えていく。
大成功
🔵🔵🔵