帝竜戦役⑫〜遡り時は巡る谷
●時蜘蛛の峡谷
「ふふふ、またかわいい子たちがやって来る。今度はどんなかわいい子がやって来るのかしら」
渓谷に吹く麗らかな風。その中心にいるのは蜘蛛の物と思わしき手足の増えた妖精の様な姿をした女性。彼女は朗らかに笑みを浮かべるがその足元には小さな骨が数え切れぬほど転がっていた。
●グリモアベースにて
「皆様、お疲れ様です。今回も新たな戦場が発見されました」
グリモアベースで猟兵たちを出迎えたアマータ・プリムス(人形遣いの人形・f03768)から告げられたのはそんな言葉。
「今回見つかったのは時蜘蛛の峡谷。この地に棲むオブリビオンは皆、手足が増え自らの寿命を消費して頑丈な糸を紡ぐ『時蜘蛛(ときぐも)』よ呼ばれる怪物に変貌しています。彼等の放つ糸は触れた者を『幼児化』します。倒せば元に戻りますが、幼児化中は記憶もその当時の物になり、実戦経験等も奪われます」
これだけでも厄介な時蜘蛛だがその脅威は想像を超えていた。
「真に恐ろしいのがこの糸が時間を巻き戻すのではなく、対象を幼児に変貌させる糸だということです。つまり幼児の時期が存在しない種族であろうと関係なく、触れることで幼児化してしまいます」
つまり最初から姿の変わらない種族でさえ、触れれば幼児相当の姿になってしまうということだ。
「対策を講じなければ戦闘を続けるのは難しいでしょう。ですが皆様ならばきっとこの脅威も乗り越えられると当機は信じております。どうかご武運を」
こうしてカーテシーと共に猟兵たちの転移が開始された。
灰色幽霊
どうも、灰色幽霊です。
絡新婦の様な敵ですが違います。時蜘蛛です。
といわけで今回は触れた物を幼児化する糸を使うオブリビオンを討伐していただきます。何らかの対策を講じなければ戦うのは難しいでしょう。
今回は幼児化への対抗策を考えることでプレイングボーナスが発生します。
今回も倒すとドロップアイテムもあるようです。
『時の蜘蛛糸』、若返りの効果が若干残った、時蜘蛛の紡いだ蜘蛛糸です。一巻きで金貨950枚の価値があります。
注意事項などはMSページをご覧ください。
それでは皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『麗らかな隣人』
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POW : 紅涙の理由
【花咲かす魔法の杖】を向けた対象に、【毒性を増したアネモネ】でダメージを与える。命中率が高い。
SPD : 毒を食らわば
自身の装備武器を無数の【毒性を増した鈴蘭】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : 不幸な西風
【小型爆弾へと変わるヒヤシンス】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を一面の花畑に変え】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑8
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「メルヒェン・クンスト」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アリス・セカンドカラー
わぁい、妖精さんだぁ☆
幼児化したことでリミッター解除され、普段は肉体に負担がかからないように封印されていた超能力の出力の封印を解く。超能力は幼少期が一番強く成長につれて安定化し弱体化していたのです。
盗み攻撃でエナジーを略奪し捕食する超能力で爆発のエネルギーを吸収し軽減、自動再生(継戦能力)の超能力ですぐに治ります。
「いたいよー」
捕食のためにあやしにきたらしめたもの、悪戯(罠使い)で目立たないように物を隠す迷彩の超能力でこっそり仕掛けた赤い糸でワンダフォーランドに連れ込みます☆気付かれなければ抵抗もされません♪
えとねー、おねぇ様のお部屋にあったご本(薄い本)みたいなことしたら出してあげるー♪
●無邪気な子供が一番怖い
「くっ―――」
「さぁ、貴女も……」
時蜘蛛の操る糸の飽和攻撃。アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の魔少女・f05202)も必死に防ごうと抵抗するが、素手で触れることもその身に掠ることすら許されないその糸はアリスの防御を越え、小型爆弾と化したヒヤシンスの爆風に紛れてアリスの頬をかすめる。
糸に触れたことでアリスの身体はみるみるうちに縮んでいく。服もそれに合わせサイズが変わり瞬く間にアリスは幼児の姿へ回帰していた。
「いたいよー」
頬を流れる血が目に入るとアリスは途端に泣き出してしまう。実際の痛みはそれほどでもないが血が流れているという事実が子どもの心を刺激する。
「あらあら、可愛そうな子。こっちへいらっしゃい」
時蜘蛛は幼児化により無力化したアリスへと近づいていく。こうして戦闘能力のなくなった者を望むがまま我が子の様にあやし、その命が尽きるまで共にいるのがこの時蜘蛛の在り方だった。
「おねーちゃーん」
「ふふふ、かわい———」
しかし時蜘蛛の知らぬ事実がいくつか存在する。
第一にアリスの超能力は幼少期の方が強力であるということ。
第二にアリスという子どもは悪戯が大好きだったということ。
最後に無邪気な子どもほど恐ろしいものはない、ということ。
アリスへと手を伸ばした時蜘蛛を縛る赤い糸。それはかわいい子どもの悪戯だった。超能力により隠され、周囲に張り巡らされたそれは時蜘蛛の身体を指一本動けぬほど厳重に縛り上げる。……少々縛り方がいやらしいのは幼女のころから変わらないこともあるということだろう。
そのまま時蜘蛛はアリスの【腐敗の果てに成り立つ不可思議な楽園】へと連れ込まれていく。
「やったー! だいせーこー!」
悪戯に成功したアリスは無邪気に笑う。しかし時蜘蛛からしてみればこれから何が起こるかわからない。糸で絡めとったはずが逆に絡めとられていた。
この場所からはアリスの提示する条件を達成しなければ出ることができない。
アリスが時蜘蛛に提示した条件は―――
「えとねー、おねぇ様のお部屋にあったご本みたいなことしたら出してあげるー♪」
それはまさしくある意味での死刑宣告。
その世界から艶のある嬌声が響き渡る。
成功
🔵🔵🔴
クラウン・アンダーウッド
「おさなくなってもボクはいつもどおりだよ!」
開口一番に大言壮語を語る幼い姿の道化がそこにはいた。
「やっちゃえ、みんな!」
拙い命令そのままに9体のからくり人形達を突貫させる。
危険な攻撃はからくり人形(α)の防壁に全て請け負って貰う。
操り糸による感覚共有で10体のからくり人形の情報処理機構とクラウンの思考力を並列に接続することで、戦場におけるあらゆる情報を集積し最適な動作を弾き出しつつ思考力を拡張させていく。
「それはみたよ」「これも見たよ」「もう見飽きたかな♪」
開戦当初こそ単調だったからくり人形達の動きが徐々に激しくも複雑な動きをするようになり相手を蝕んでいく。
●小さな道化師の晴れ舞台
「ボクはいつも通りだよ!」
クラウン・アンダーウッド(探求する道化師・f19033)も既に時蜘蛛の糸を受け、その身体を縮め幼児化していた。本来ヤドリガミであるクラウンに幼少期は存在しないが時蜘蛛の糸はそんなIFをも具現化する。
だが小さくなったところでクラウンはいつもと変わらない。人形たちと遊ぶように戦場を巡る。
「やっちゃえ、みんな!」
違うところと言えば人形の操作技術だろう。本来のクラウンであれば劇の如く優雅に操る人形も、幼児と化したクラウンではただ真っ直ぐ進ませることしかできない。
「ふふ、お人形遊びが好きなのかしら? いいわよ。遊びましょう」
時蜘蛛も花咲かす杖を操り渓谷にアネモネを咲かせる。それは時蜘蛛の意のままに動き人形たちを弾き飛ばす。そして溢れ出る毒が充満し、クラウンを追い詰めていく。
「んー……むつかしいな」
だが『からくり人形』と糸で繋がり、感覚を共有しているクラウンは人形の情報処理機構も合わせ爆発的な速度で周囲の状況を学習し操演の精度を上げていく。精度が上がればただ真っ直ぐ進むだけだった人形の動きも複雑になり、時蜘蛛のアネモネを回避することも可能になる。
「それはみたよ!」
「あら、賢いのね。これはどう?」
学習が進めば初見の攻撃でさえここまでの経験の蓄積から最適行動を導き出し回避することも容易になる。当初は拙かったからくり人形たちの動きが急激な速度で本来のクラウンと遜色のないレベルまで向上していく。
「あ、あら? あらあら?」
「もう見飽きたかな♪」
その領域に至ったクラウンにもう時蜘蛛の操る草花は障害になり得なかった。周囲に満ちる毒もそれがクラウンの動きを止めるよりも人形たちが時蜘蛛へ到達する方が早い。
人形たちは握る小さなナイフでアネモネを散らし、それを時蜘蛛へと突き立てる。
成功
🔵🔵🔴
リダン・ムグルエギ
子供の頃のアタシは…
とりあえず動画撮る系のよくいるキマフュ脳の子だったわね
じゃ、記憶を無くしても負けない準備を整えましょ
アタシの目的は服飾用の糸の入手
無理に倒さず
敵の弱体化と生還を狙うわ
アタシの準備とは『防具改造』した衣装作りよ
これを見た人の『嗅覚』を異常化させ、全ての香りを反転して感じるような『催眠アート』を模様に組み込むの
さらに、距離感を狂わす色の組合せにして、敵の初撃をミスしやすくしておくわ
「わー、きれーい!
さっきの爆発、お花のタネだったんだね!
後は子供が花畑で撮影してるだけ、ね
花を操るオブリビオンな以上
その花上に立てなくなるような悪臭攻撃は
キツーイ嫌がらせになると踏むけど、どうかしら?
●かつて過ごした子どもらしく
ヒヤシンスの爆発の余波で咲き誇る花畑。
その爆炎の中心にいたリダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)は時蜘蛛の糸により幼児化させられていた。
「わー、きれーい! さっきの爆発、お花のタネだったんだね!」
其処に居るのはスマホを構え、周囲に咲き誇る花を撮り続ける一人の子ども。リダンの生まれ故郷であるキマイラフューチャーではごくありふれた光景だろう。目を輝かせながら周囲の撮影を続けるその様子はとても微笑ましい。
「お花が好きな―――うっ」
そんなリダンに近づく時蜘蛛は自らの身体に違和感を覚える。周囲に咲く花からは放たれるはずのない匂い。まるで魚を腐らせた様なそんな臭いが時蜘蛛の鼻腔を襲う。さっきまではそんな臭いはどこからもしなかった。それなのに今になってなぜ? それが時蜘蛛にはわからない。それどころかもはやこの戦場にそのカラクリを覚えているモノは存在しなかった。
時蜘蛛の鼻を突然襲った異臭。それ自体は異臭でも何でもないただ周囲に咲き誇る花の香りに過ぎなかった。ならばなぜ時蜘蛛は悪臭だと感じたのか。その秘密はリダンの着る服に隠されていた。
リダンの服には戦闘が始まる前にある暗示が仕込まれていた。それは見たモノの脳から特殊な信号を放ち、五感を狂わせるリダン特製の【ゴートリック・ファウスト】。それがリダンの着る服に仕込まれていた。
幼児化したとしても着る服は変わらない。それにより幼児化したリダンをまじまじと見つめてしまった時蜘蛛の嗅覚は狂わされ、感じる匂いが反転させられていた。香しい匂いはその花を侵す悪臭へ。
「だめ……ここにはいられないわ」
「んー? なんだろうこの糸。へんなのー」
思わずリダンのいる花畑から逃げてしまう時蜘蛛。リダンはそんなことに目もくれず、紡がれ転がる糸の束を拾っていた。それがどんな価値があるかもわからずに、ただ綺麗だからポケットに入れ満足した。
「よし、かえりましょう!」
こうしてリダンは当初の目論見である時蜘蛛の糸の回収に成功し、渓谷を後にする。
成功
🔵🔵🔴
七那原・望
事前に【Laminas pro vobis】を発動しておき、一番大切な彼と生きたいという望みを込め、防御力を高めておきます。
また、腕にはアマービレを括り付け、腕が振られるだけでねこさんが呼び出されるように。
万が一わたしが幼児化しても大丈夫なように自律して動くセプテットとプレストの【一斉発射】を攻撃の主軸にします。
戦闘では【第六感】と【野生の勘】で敵の動きを【見切り】、毒は【オーラ防御】等で対処を。
アネモネならもう間に合ってるのです。
ねこさんとの【全力魔法】【多重詠唱】で蜘蛛の糸を燃やし、【蹂躙】を。
万が一幼児化したらわたしは人形のように虚ろになってしまうけれど、既に勝利の種は蒔き終えています。
●たとえ忘れてしまったとしても
「あなたは子どもに戻りたくないの?」
「ええ、もう間に合ってるのです」
七那原・望(封印されし果実・f04836)は【Laminas pro vobis】を発動し、作り上げた一番大切な彼と行きたいという願いを込めた装備で身を包む。彼との思い出は忘れたくない。だから幼児化なんてしている場合ではない。『銃奏・セプテット』を分離させ、自律行動で援護をさせる。自律飛翔する『機掌・プレスト』も援護に回し、時蜘蛛の糸を望自身が触れぬ様に立ち回る。
「どうして? 子どもはいつだって幸せでしょう?」
時蜘蛛の操るアネモネが毒を振りまき望を追い回す。まき散らされる毒を吸い込んでしまわぬ様に口と鼻を魔力で覆い、望はアネモネを避け続ける。
「そうとも限らないのですー」
過去は人それぞれ、時蜘蛛の糸が巻き戻しではなく変貌だと分かってはいるがそれでも望は幼児に戻ろうとは思わなかった。
背後を飛翔するセプテットとプレストが何度目かわからないが迫る糸を撃ち落とす。
「いえ、そうなのよ。子どもはいつだって幸せ。それを私の腕の中で感じるの」
望の背後に現れるアネモネの蕾。対策をしているとはいえこの距離で毒を浴びせられればどうなるかわからない。とっさに距離を取ろうとする望へ向けアネモネの花が咲き誇る。そこに隠されていたのは毒ではなく、時蜘蛛の操る一本の糸。
「しまっ―――」
「あなたもそれを感じるといいわ」
糸は望の手に巻き付き、その身体を数年前の物へと変えてしまう。
「あなたはお人形さんみたいね」
途端に虚ろになり動かなくなった望を抱き上げる土蜘蛛。それによりだらんと望の腕が力なく揺れる。腕に括りつけられた『共達・アマービレ』と共に。
「「「にゃー!」」」
「な、なんなのいきなり!?」
揺れる鈴の音に導かれ。友達の危機に駆け付ける大勢の魔法猫。
友達を抱きかかえるあいつはきっと悪い奴。猫たちは一斉に魔法を唱え、炎の津波が時蜘蛛へと迫る。望は一匹の猫が隙を見て確保。
津波は燃え盛り毒を撒き散らすアネモネを焼き払う。
例え忘れてしまっても、撒いた勝利の種はいつか芽吹く。
成功
🔵🔵🔴
栗花落・澪
幼児化中:髪は腰程度、中央~毛先がオレンジのグラデーション
風魔法の【高速詠唱、属性攻撃】をまとわせた【オーラ防御】
自身の周囲にかまいたちを発生
極力糸に触れるリスクを減らしながら戦いたい
記憶まで戻ると多分奴隷中だし
万一幼児化してもある程度思考を制御できるよう
敵に炎魔法で攻撃しながら足場に【破魔】を宿した花園を展開
きっと、きっと僕なら、花畑を見れば…
幼児化したら、一瞬敵の姿にびくりとするも
すぐに自分を囲む色彩に気づき
はな…そと…?
くさり、ない…ぼく、いま…じゆう?
恐怖に勝る解放感と幸福感
奏でるのは喜びの【歌唱】
無意識に【誘惑・催眠】を乗せた【指定UC】
自然と心を通わせて、舞い上がる花弁は聖なる祝福
●忘れてしまったとしても
「風よ!」
「どうして……」
栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は風を操り生み出したかまいたちで迫るヒヤシンスも時蜘蛛の糸も斬り刻み吹き飛ばす。無理はせず距離を取り、攻撃よりも回避を優先。万が一でも糸に触れるリスクを抑えて。恐らく幼児化してしまえば記憶も奴隷時代に戻ってしまう。それだけは避けたかった。
しかし万が一幼児化しても思考は制御できるように仕込みは怠らない。迫るヒヤシンスを魔法で生み出した炎で撃ち落としながら足場として『everywhere garden (どこにでもある花園)』を使い時蜘蛛の物とはまた別の花畑を展開する。
「あなたも花畑ですか……」
「僕ならきっと」
仕込みを終えた安堵の一瞬、その意識の隙を突かれ澪の足を掠める時蜘蛛の糸。
「あっ―――」
「では花畑の中で安らぎなさい……」
澪の抵抗も虚しくその身体は縮み、かつての姿に戻ってしまう。
「はな…そと……?」
「ええ、お外ですよ。お花も綺麗でしょう?」
澪は幼児化し、その精神は危惧していた通り奴隷時代まで遡ってしまう。だがあの時と違うところが一つだけ。
「くさり、ない…ぼく、いま……じゆう?」
「そう、じゆう。なにをして遊びたい?」
今の澪を縛る鎖は存在しない。知らぬ景色の恐怖より、解放された喜びと未知を味わう幸福が澪を満たす。
無意識に奏でるのは喜びの詩。それは聞く者を魅了する天使の歌声。【誘幻の楽園】は再び一面を美しい花畑に変え、舞い散る花弁をその歌声で刃として操る。
それは澪が自然と心を通わせる、舞い上がる聖なる祝福の花弁。
例え幼くともその歌声は何一つ変わらず世界歌いあげる。
時蜘蛛は花畑の中心で無数の花弁の刃に貫かれる。
大成功
🔵🔵🔵
オックスマン・ポジクラーシャ
遅れてすまない。状況は理解した。俺の立ち位置は破壊者だ。
幼い頃、か。
あふれる魔力はひょっとしたら今よりも強力だったかもしれん。
無軌道で全てを破壊する風は俺自身さえも……
ふむ、そのような糸……なんだと!グオオオオオーッ!
おくれてちゅまない、じょうきょうはりかいちた。
おれのたちーちははかいしゃだ!
このからだにながれるのろわれたちが、おまえをはかいちゅる!
このあふれでるまりょくはせいぎょがきかない……
しんくのひとみにかくせーしなくては、おれじしんもはかいしてしまうのだ!
けんげんせよ、クラウド・オブ・シャープネス!
まきおこれ、はかいのかぜよ!
わるいてきをやっつけろー!ぜんぶ、ぜんぶはかいだー!
●ごっこ遊びはほどほどに
「遅れてすまない。状況は理解した。俺の立ち位置は破壊者だ」
一足遅く、渓谷へと足を踏み入れたオックスマン・ポジクラーシャ(遅れてきた破壊者・f12872)は周囲を一瞥し、即座に状況を理解する。辺りに転がる小さな骨と張り巡らされる糸。それが時蜘蛛の糸であり、触れた者を幼児化させる魔力を持っていることは看破した。
「幼い頃、か。あふれる魔力はひょっとしたら今よりも強力だったかもしれん。無軌道で全てを破壊する風は俺自身さえも……」
「話が長いです」
「ふむ、そのような糸……なんだと! グオオオオオーッ!」
自らの過去を語ることに集中しすぎたオックスマンは背後から迫る時蜘蛛の糸に気づかず幼児化を許してしまう。その身を包む『オックスアーマー』も同じように幼児サイズにまで縮んでしまう。
そして現れたのは小さき破壊者。
「おくれてちゅまない、じょうきょうはりかいちた。おれのたちーちははかいしゃだ!このからだにながれるのろわれたちが、おまえをはかいちゅる!」
「まぁ、怖いわー」
小さくなったところでオックスマンは変わらない。否、この頃から既に完成されていたと言ってもいい。
「このあふれでるまりょくはせいぎょがきかない……しんくのひとみにかくせーしなくては、おれじしんもはかいしてしまうのだ!」
「それは大変!」
「けんげんせよ、クラウド・オブ・シャープネス!」
魔法の杖『クラウド・オブ・シャープネス』をその手に実体化させ振り回し、オックスマンはそよ風を巻き起こす。そして困ったことに小さくなったオックスマンは本当に自身の魔力を制御することができない。【血統覚醒】し、真紅の瞳のヴァンパイアへと覚醒してもその力を完全には制御できず破壊することしかできない。
「まきおこれ、はかいのかぜよ!」
「あ、あら?」
振り回し続ける杖と共に速度を増していく破壊の風。それは最早小さな竜巻と言っていいレベルだった。
「わるいてきをやっつけろー! ぜんぶ、ぜんぶはかいだー!」
「いやー!」
オックスマンから溢れ出る総ての魔力が風となり渓谷に吹き荒れる。破壊の竜巻は糸も、花も、何もかもを飲み込み破壊の限りを尽くす。
最後に残ったのは小さき破壊者だけだった。
大成功
🔵🔵🔵
カーバンクル・スカルン
どうも可愛い子ちゃんです、あなたのお命頂戴しに参りました。
幼児化への対処法は三つある。
一に相手の陣地に入らずとも撃てる遠距離攻撃。
二に、食らっても止まらない攻撃を放つ。
三に、他の人たちのサポートも出来たらする。
それが出来るのはこれじゃい、【出発しんこー!】
私が指を指し続けている限り、この車輪はしつこくオブリビオンを追いかける。また高い走破性により、峡谷中に張り巡らされた糸も、足元に広がる花畑も容赦なく刈り尽くしてしまう!
爆弾ヒヤシンスがなんぼのもんじゃい、こちとらその程度で壊れてしまう程度の整備はしとらんのでねぇ!
フィーナ・シェフィールド
時蜘蛛の糸、何だか神秘的な言葉です。
わたしの故郷の近く、北欧に伝え聞く運命の3女神を思い出しますね。
「ドローン・セット、レッツ、ダンシング!」
【Walkure Attack!】を発動、従える2種のドローンを強化して戦闘に臨みます。
インストルメントを構え、シュッツエンゲルの1基をマイクスタンドにして演奏開始!
「その魂を、浄化します!」
糸に触れて幼児化しないよう、周囲に展開したシュッツエンゲルで防御します。
アネモネによる攻撃も、反応速度を上げたシュッツエンゲルでガード。
背後に配置した双子の月、出力を強化されたツウィリングス・モーントから破魔の歌声を響かせて、蜘蛛となった妖精の魂を浄化していきます。
黒髪・名捨
「若返りかぁ…これ使ったら記憶も返らないかなぁ…。」
あと怪奇人間に成る前に戻ったりは…。無理。あーそー(興味失った)
●戦闘
まーとりあえず当たらなければ問題ない精神で『闇に紛れる』ことで闇に『迷彩』して見つからないように接近して、スタングレネードを『投擲』して『目潰し』『気絶攻撃』で体制を崩したら一撃必殺を食らわせるよ。
あー見つかったか…当たり前だよな。毒性は『毒耐性』と『激痛耐性』で耐えるよ。
幼児化したら…残念だけど接近と同じ要領で離れてスタングレネードで他の猟兵のサポートに集中だな。
幼児か…。本当の幼児期のオレッてどんな奴だったんだろう…。
あ、糸は後で拾えるだけ拾って帰るわ。
●オトナ通しの語り合い
「若返りかぁ…これ使ったら記憶も返らないかなぁ……」
「回帰じゃなくて変貌らしいし無理でしょ」
「無理。あーそー」
黒髪・名捨(記憶を探して三千里・f27254)はもしかしたら失われた記憶が残るかもしれないと一縷の望みをかけていたがそれも無理だと知り途端にやる気を失った。
「ですが倒さなければいけない相手です」
「そういう事。あの糸に触らなければそこまで脅威じゃないわ」
カーバンクル・スカルン(クリスタリアンのスクラップビルダー?・f12355)とフィーナ・シェフィールド(天上の演奏家・f22932)は一刻も早く時蜘蛛を倒すためにここへやって来た。触れればどんな存在でも幼児化する糸。それは神秘的ではあるが猟兵たちにとって脅威に他ならない。
「あの糸への対処法は大きく分けて2つ」
「糸に触れることのない遠距離からの攻撃ですね」
「喰らっても止まらなきゃいいんじゃねーか」
「そう、その2つと後は他の人のサポートね」
回避できる距離で複数人による遠距離攻撃。それが恐らくは最適解だろう。
「それじゃ【出発しんこー!】」
「ドローン・セット、レッツ、ダンシング!」
「いってらー」
カーバンクルの向けられた指先に従い放たれる高速で回転する車輪。それは指の指す場所を追従し、渓谷に張り巡らされた糸を引きちぎり進む。同時にフィーナも【Walkure Attack!】を発動。自在に宙を舞う数十枚のマルチドローンプレート『シュッツエンゲル』とAI搭載で宙を自在に動く2対のスピーカードローン『ツウィリングス・モーント』の2種を強化して飛ばす。
フィーナ自身はキーボードとギターが一体化したオリジナルデバイス『インストルメント』を構え、一基のドローンをマイクスタンドにして演奏を開始する。
「その魂を、浄化します!」
「で、俺はっ、と」
名捨は糸の処理と時蜘蛛への攻撃を2人任せ、自身は闇に紛れ渓谷を進む。糸は確かに脅威だが既にその大半をカーバンクルの車輪が引きちぎってくれている。これならば安心して進むことができる。
「どうしてあなた達は子どもになることを拒むのです……」
糸はまだ生み出せる。だがその前に邪魔をするこの猟兵たちを倒さなければいくら生み出したところでまた引きちぎられる。時蜘蛛は糸の残骸を鈴蘭の花弁に変え舞い踊らせる。さらに花咲かす魔法の杖が生み出す数々のアネモネ。それらすべてが猟兵たちへ向け放たれる。
「今更子どもに戻ってもすることがないんでねぇ!」
「私たちは過去ではなく前に進むのです!」
鈴蘭の嵐はフィーナの操るドローンが壁になり防ぐ。咲き誇るアネモネの花は糸と同じようにカーバンクルの車輪が容赦なく蹂躙し刈り尽くす。
「この程度で壊れてしまう程度の整備はしとらんのでねぇ!」
例えどれだけ花を刈ろうとカーバンクルの車輪の勢いは衰えることはない。
「聞いてください! 私の歌!」
フィーネもまた背後に展開し、出力を強化されたスピーカードローンから歌声を響かせ毒を中和し時蜘蛛の心へ語りかける。かつてただの妖精だったその心に。
「ああ……どうして。どうしてなの……私はただ皆に幸せを感じてほしいだけなのに」
時蜘蛛の嘆きは誰にも届かない。それは独りよがりで押しつけの善。誰も望まぬ時蜘蛛の独善だった。
(流石にそろそろきつくなってきたなー……)
渓谷を一人進む名捨だが、流石に時蜘蛛の周囲は毒が濃い。一息吸うごとに肺が侵され、身体中に激痛が走る。それでもまだ名捨が動けているのはただ名捨が我慢しているだけ。つまりはただのやせ我慢。それもそう長くは続かない。
時蜘蛛の注意を2人が惹きつけてくれているからこその奇襲。名捨は懐から『スタングレネード』を取り出すと全力で時蜘蛛へと投擲した。
渓谷は閃光に包まれる。あらかじめ知っていたカーバンクルとフィーナでさえ動きが止まるほどの光と音。それを知らぬ時蜘蛛が喰らえばどうなるか。
時蜘蛛の視力はそのほとんどが喪われ、耳は何も聞こえない。わかるのは誰かが歌う声がするということ。そしてその声がとても心地いいということだけ。衝撃に身体の固まった時蜘蛛はそのまま花畑へと落下する。
「多分聞こえてないんだろうけど……じゃあな。オレの子ども時代はちょっと気になったわ」
そこへ振り下ろされる名捨の拳。【一撃必殺】たるその拳が時蜘蛛へと叩き込まれた。
本体が消滅に連動し、残っていた花が消えていく。これでここでもう幼児化は起こらないだろう。
こうしてかつての姿を暴かれる時蜘蛛の峡谷での戦いは猟兵たちの勝利に終わる。
大成功
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