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帝竜戦役⑩〜私は貝を食べたい

#アックス&ウィザーズ #戦争 #帝竜戦役 #群竜大陸

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「ぐわあああーーっ!!」
「と、鳥井さーーーん!」
「全然足りないヨ、ご飯をタクサン持ってこれナイ人は捻り潰して食べチャウよ。覚えトイてネ」
「ううう、このままでは我々は全滅だぞ浅利さん……」
「だが青柳さん、我々に逆らう手立てなど……」
「何をブツブツ言っテルの? 早くご飯ヲ持ってクルんだヨ」


「はい、あなたのメルでございます。皆様帝竜戦役での戦いお疲れ様でございます」
 メル・メドレイサ(蕩けるウサメイド・f25476)がそう言いながら猟兵たちに干し貝柱を配る。
「今回向かっていただきたいのは、浮遊岩諸島と言う浮遊する巨岩が島のように浮かんでいる場所です。この岩にはそれぞれ別の生態系がガラパゴス的に形成されているのですが、本日はその中の一つ、貝人という生き物が生息する島に行っていただきます」
 怪人? と一部の猟兵が首を傾げる。
「貝人です。人間の首から上が二枚貝になったような生き物と思ってください。身長は50cmほどですが頭部の貝はかなり大きく、その気になれば体を全部貝の中にしまえます。知能はそこそこあって会話も可能ですが、文明レベルは狩猟採集のレベルです」
 その貝人が今回の敵……というわけではなさそうだ。
「で、この島には一人の王……もとい女王が君臨しています。貝塚の女王というのですが、彼女は常にお腹をすかせたオブリビオンで、貝人達に自分の食事を持ってくるよう要求し、それに応えられないとは貝人自身を食べてしまっているようです。女王は人間サイズなので、それを満足させるだけの食糧を集めるのは貝人にとってはとんでもない重労働。このままでは早晩貝人達は皆女王の餌になってしまうでしょう。そうなる前に、皆様にはこの女王を討伐していただきたいのです」
 そう言ってメルは具体的な戦いの説明を始める。
「女王は頭は余りよくありませんが、蝙蝠の翼と魚の体、狐の耳で陸海空全フィールドに適応してきます。能力としては精神を侵す邪光で抵抗を防ぎ、肉を溶かす水流で肉体を破壊、体の一部を貝殻のドラゴンに変えて食らいつく、というまさに捕食、と言うような戦い方を取ってきます。かなりの強敵と言えるでしょう」
 ただ、とメルは付け加える。
「これらのユーベルコードは実はすべて貝人には効かないのです。彼らの貝殻は邪光を反射し、水流を防ぎ、貝殻の噛みつきも同族の遺志故か大幅に弱体化します。彼らの手を借りれば、敵のユーベルコードを封じつつ有利に戦うことができるのではないでしょうか」
 だがそれなら、なぜ貝人が女王に支配されているのか。
「女王は腕力もとんでもなく強く、ユーベルコードでない単純な力技で捻り潰されてしまうからです。とりわけ彼らは殻の硬さをステータスにする思想がありますので、それを砕かれてしまうのは心を折られるも同然ということなのでしょう。逆に言えば皆様が防御力の高さを彼らにアピールすれば、強い信頼を得てユーベルコードの盾となってくれるでしょう。このままでは遠からず絶滅させられてしまうことは貝人達も予感しているので、一度信を得られれば命がけで味方してくれるはずです」
 ぜひ協力してみては、とメルは提案する。
「それから群竜大陸のお楽しみ、今回のお宝の話ですが、『天空の冠』という王冠型の宝石を女王が被っていて、これが金貨850枚の価値があります。ただどうもこれは身につけた者の精神を狂わせる力があるみたいなので、市場に流すかはよく考えた方がいいでしょう。貝人にあげるのもお勧めしません。最終的にどうするかは皆さんの自由ですが、くれぐれも取り扱いにはご注意を。それでは、行ってらっしゃいませ」
 そう言ってメルはグリモアを起動し、深々と頭を下げた。


鳴声海矢
 こんにちは、鳴声海矢です。
 帝竜戦役6本目となります。
 今回のプレイングボーナスは以下の通り。

『プレイングボーナス……奇妙な生物達の支援を得る』

 支援してくれるのは『貝人』という二枚貝に人の体のついたような生き物です。彼らは殻の硬さをステータスにしており、防御力をアピールすると特に信頼を寄せてくれます。彼らの協力が得られれば敵のユーベルコードを大幅に減衰できるので、是非共闘してみてください。文明レベルは低いですが会話はできますし、基本的には友好的です。ちなみに浅利さんと青柳さん以外にも貝人はたくさんいますので、勝手に設定してもOKです。
 また、今回のお宝は『天空の冠』という冠型の宝石です。金貨850枚分の価値がありますが、精神汚染を引き起こす危険物でもあるので扱いにはご注意を(例によってアイテム発行は出来ません)。
 それでは、よろしくお願いいたします。
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第1章 ボス戦 『貝塚の女王』

POW   :    おいしいおいしい、モットチョウダイ
自身からレベルm半径内の無機物を【肉を溶解する水流】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
SPD   :    痛いトお腹ガへっちゃうモン
自身の身体部位ひとつを【無数の貝殻でできたドラゴン】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    アナタもトッテモおいしソウ!
対象のユーベルコードに対し【精神力を弱らせる邪光】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。

イラスト:はる

👑8
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はニキ・エレコールです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

佐々・夕辺
アドリブ歓迎

食べられてしまうなんて…
放ってはおけないわ
でも、興味はあるのよね……ハッ
いけないいけない

「貝さん、貝さん。助けに来たわ」
一生懸命食物を運んでいるのかしら
可哀想だし、お荷物は持ってあげましょう
相手の注意を引けそうだし

「あら貴方、これが食べたいの? あげないわ」
女王の前でこれみよがしと食べてあげましょう
目の前でぱくぱく食べられたら腹が立つわよね

貴方のユーベルコードも攻撃も
私の管狐が受け止めて、盾になる

貝さん達が盾になってくれるようだったら
管狐に氷を付与して、誘導弾で攻撃するわ
第二陣は無属性
凍ってそして、割れなさい

貝さん、ありがとう
この食べ物はお返しするわね

…冠、ねえ
どうしましょうか…


フランチェスカ・ヴァレンタイン
鎧装の装甲材は宇宙環境基準の頑さですし、アピールになりますかねー…?
あら、硬さをお疑いならぶつかってみます? そちらが欠けてしまっても責任は持てませんけれども

などと地上ではあり得ない環境で作られた宇宙金属の硬さを存分に実感していただきまして

無事にご協力を得られましたら、空中戦闘機動で女王へ強襲を仕掛けると致しましょう
貝人さんに水流を防いでいただきながら雷装ユニットからマイクロミサイルを乱れ撃つ爆撃を浴びせ、斧槍で切り込んで、と

締めはUCの星水晶を空間へランダム配置、砲撃が乱反射で増幅された上でオールレンジから襲い来る集束砲撃など、いかがでしょうか
「おかわりをご所望でしたら、ええ。ご遠慮なく?」



「食べられてしまうなんて……放ってはおけないわ。でも、興味はあるのよね……ハッ
いけないいけない」
 佐々・夕辺(凍梅・f00514)は貝人達の境遇と姿を想像しながら、そう呟く。
 その前には二枚貝の頭を持った小人の集団が、彼らの体には似つかわしくないほど大きな荷物を持って歩いていた。体に服は纏っているが、植物を割いて結んだようなもので、彼らがそれほど高い技術を持ってはいないことが伺える。
 荷物の中身は蟹やエビ、海藻と言ったものや、中には木の実のような彼らの姿には余りに合わない者もある。間違いない、あれが話に合った貝人だろう。
「あれが噂の貝人ですね。恐らく女王に渡す食べ物を運んでいるのでしょう」
 フランチェスカ・ヴァレンタイン(九天華めき舞い穿つもの・f04189)もその様子を見て、彼らに近づいていく。
「貝さん、貝さん。助けに来たわ」
 夕辺は貝人達に声をかける。貝人達は突如現れた見知らぬ生き物に、二枚貝の顔を上げて明らかに驚いた様子を見せた。
「な、なんだこいつら……女王の仲間か?」
 人型の顔を持った生物を女王くらいしか知らないのだろう。貝人達は警戒したように声を出す。
「鎧装の装甲材は宇宙環境基準の頑さですし、アピールになりますかねー……?」
 その様子に、彼らの信頼を得るべく、フランチェスカは自身の持ち装甲を貝人に見せた。それを指ではじいて金属質の音を出し、それが硬いものであることを貝人にアピールする。
「あら、硬さをお疑いならぶつかってみます? そちらが欠けてしまっても責任は持てませんけれども」
 その言葉に、一人の貝人が恐る恐る頭突きのように二枚貝の殻をぶつけた。高い音が響き、貝人は驚いてのけ反るが、もちろん装甲には傷一つついてはいない。地上ではあり得ない環境で作られた宇宙金属のは当然ながら貝人にとって未知の硬さであり、硬いことを良しとする貝人にとって、それは相手を認めるに十分なものであった。
「可哀想だし、お荷物は持ってあげましょう。さあ、一緒に悪い女王のところへ行きましょうか」
 そう言って貝人には大きすぎる荷物を夕辺はひょいと持ち上げ、彼らの案内の元、女王のもとへと向かうのであった。

「お腹ヘッタヨ~……あ、やっと来タ。遅いヨ……何ソレ?」
 女王は貝人達に待ちくたびれた、と言った風に視線を向けるが、そこには見慣れない存在が。あまり頭の良くない女王でも貝人がこんな獲物を取って来れるとは思っておらず、訝しげな視線を向ける。
「あら貴方、これが食べたいの? あげないわ」
 その視線を受けながら、夕辺は持っていた木の実をこれ見よがしに口に入れた。その姿に、女王はすぐに怒りの表情を浮かべる。
「それハ私のダヨ! アナタの方カラ食べチャうんだカラね!」
 怒りのままに、女王は夕辺へと手を向け精神力を弱らす邪光を放つ。だが、それが合図とばかりに、夕辺の帯から一人の貝人が飛び出し、その光を反射した。
「ナニ! アナナ達、逆らうノ!?」
「先に悪いことをしていたのはあなたでしょうに! さあ、行ってきて!」
 貝人からの反逆にさらに怒りに燃える女王に、夕辺は管狐をけしかけた。管狐は氷の力を纏い、正確に女王に突進して凍てつかせる。
「さあ、こちらもごちそうしましてよ」
 そこにあえて別行動をとり、回り込みをかけていたフランチェスカが、空中から強襲をかける。
 女王はそれを肉を溶かす水流を上に放ち迎撃しようとするが、その水流は装甲の前面に張り付いた貝人……先刻その装甲にぶつかった貝人によって弾かれ、フランチェスカには通らない。
 無傷の状態からのマイクロミサイルの爆撃、さらには斧槍で切り込んでの攻撃でダメージを重ねる。
「おかわりをご所望でしたら、ええ。ご遠慮なく?」
「凍ってそして、割れなさい」
 そこに追撃として、フランチェスカの【九天揺蕩う 根源たるもの】で呼び出された星水晶の中での乱反射、さらに無属性の管狐もその中に飛び込んでの、一斉収束砲撃が動きの鈍った女王に大ダメージを与えた。
「ヤアアアアア! こんなノいらナイ! ご飯を食べサセてヨ!」
 女王の絶叫により、戦いの幕が上がったことが周囲に知らされる。
「貝さん、ありがとう。この食べ物はお返しするわね。それにしても冠、ねえ。どうしましょうか……」
 夕辺は貝人たちに食料を返しながら、戦後に残るであろうもう一つの問題に考えを巡らせるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シーザー・ゴールドマン
貝人
ほう、殻の硬さがステータスなのかね。色々な価値観があるものだね。
かくいう私も硬さには自信があってね。試してみるかね?
とオド(オーラ防御)を身に纏い、それを『シドンの栄華』の『維持の魔力』で強化。
「試してみたまえ」と攻撃を平然と受けて硬さアピール。
支持をとりつけます。
貝塚の女王
貝人たちにアピールしたオドを身に纏い、オーラセイバーを発現して戦闘態勢へ。剛柔自在な剣術で振るって戦います。
(先制攻撃×怪力×鎧砕き)(フェイント×2回攻撃×鎧無視攻撃)等
大技は大上段からの振り下ろしで発生させる巨大な衝撃波。
(衝撃波×範囲攻撃)
敵の攻撃は直感(第六感×見切り)で見切って回避、カウンターに繋げます。


ネージュ・ローラン
今度のオブリビオンは意外とパワータイプなのですね。

硬さですか。
そういった方面はそこまで得意ではありませんが【氷装創出】で適した装備を作ってアピールしてみましょう。
これで貴方達のことは全力で守ります!

協力を得られたら戦闘ではその装備を使い防御重視で女王の攻撃を受け止めますが、邪光によって妨害されると維持できないので貝人さんに助けてもらいます。
うまく反射できれば攻撃に転じるチャンスも生まれるでしょう。


モルツクルス・ゼーレヴェックス
「ども、はじめまして!自分はモルツクルス・ゼーレヴェックスっす!貝人の皆さん、どーぞよろしく!」
挨拶は大事、古事記にもそう書いてある
「聴けばこの島を支配しているのは強いばかりで硬くないおなごであるとか!世界一の硬度を誇る男として懲らしめねばなるまいと罷り越した次第!」

土時星環

自身の装備の時を止めて攻撃を防ぐ能力をもつ円環
硬いっすよ
「試しに貴殿方の殻をこの軍服っぽい殻にぶつけてみても構わないっすよ?平伏せい!なははは!」

調子よく、切符よく、頼ってもらえるように、声援を貰えるよう頑張るっすよ
「いざいざ参らん!軟らかい圧政者退治!でも、精神攻撃ビームを防ぐのはよろしくっす!心はデリケートなもので!」



「ほう、殻の硬さがステータスなのかね。色々な価値観があるものだね」
 シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は貝人の考え方について、面白そうにそう感想を漏らした。隔絶された世界で原始的とはいえ独自の文化を持っている種族だ、それに伴って価値観もまた独特に形成されている、ということだろう。
「その自慢の硬さですら砕いてしまうとは、今度のオブリビオンは意外とパワータイプなのですね」
 ネージュ・ローラン(氷雪の綺羅星・f01285)が考えるのは、敵の能力について。話を聞くにユーベルコードは搦手のものもあるが、本質的には力攻めを好むタイプの様だと推察する。
「まあともあれ挨拶は大事、古事記にもそう書いてある! まずは皆さまのところに行きましょう!」
 モルツクルス・ゼーレヴェックス(素敵魔術師・f10673)は意気揚々と、先陣を切って貝人達を探し歩を進めていく。
 しばらくして、川辺でザリガニと格闘している小人の群れが見つかった。その頭部は二枚貝。間違いない、あれが貝人だろう。貝人の一部はザリガニの鋏に自分の頭を挟ませて囮になり、残る仲間が体に頭突きを当てて攻撃している。恐らくこれが彼らの狩猟法なのだろう。
「ども、はじめまして! 自分はモルツクルス・ゼーレヴェックスっす! 貝人の皆さん、どーぞよろしく!」
 そんなお取込み中の貝人たちに、モルツクルスは朗らかに声をかける。貝人達はビクッと体を震わせ彼の方を見、ザリガニはその間にさっさと逃げてしまった。
「聴けばこの島を支配しているのは強いばかりで硬くないおなごであるとか! 世界一の硬度を誇る男として懲らしめねばなるまいと罷り越した次第!」
 自分たちの事情を知る見慣れぬ存在にうろたえる貝人達。しかし硬いと聞いては貝人としての本能か、その話に興味を持たずにはいられないらしく様子を窺っている。
「急に話して彼らが困っているぞ。まあ、ともあれ我々は君たちを救いに来た。かくいう私も硬さには自信があってね。試してみるかね?」
 シーザーはそう言いながら前に出る。その身にはオドが纏われ、さらにそれを【シドンの栄華】の維持の魔力で固める。
「試してみたまえ」
 シーザーの社交的な、しかし自信に満ちた姿勢に一人の貝人は言われるがまま近づき、一件ただの布にしか見えないその体に頭を打ち付けた。それはまるで衝撃を与えた様子もなく、何回打ち付けても傷一つつかないのは明白な感触。自分の殻など問題にならない硬度を誇っていることを実感した貝人は、畏敬を含んだ様子でシーザーを見上げた。
「硬さですか。そういった方面はそこまで得意ではありませんが……集え氷精、其の力を凍てつく刃と成せ」
 ネージュは【氷装創出】を発動。今回出現させたのは、分厚い盾だ。それを腕に装備し、貝人達に見せる。
「これで貴方達のことは全力で守ります!」
 ネージュの力強い言葉と、その盾の頑丈さに、貝人達は彼女にも心を許した。
「では自分の硬さも知っていただきましょう。土時星環!」
 モルツクルスも堂々と宣言するが、見た目には何の変化も起きない。しかしモルツクルスは自信たっぷりに彼らの前に仁王立ちする。
「試しに貴殿方の殻をこの軍服っぽい殻にぶつけてみても構わないっすよ? 平伏せい! なははは!」
 その様子に、貝人達は訝しげにしながらも殻をモルツクルスに叩きつける。するとその感覚は、まるで殴っている気すらしない、まるで一切のダメージから切り離されたような硬さ。
 言われた通り貝人達はモルツクルスに平伏し、高笑いする彼の横で他の二人が軽く肩をすくめるのであった。

 そして貝人達の案内で、女王のもとへやってきた三人。
 貝人との約束を果たさんがため、まずはオーラセイバーを顕現させたシーザーが女王へと切りかかった。
「君の支配は今日で終わりだ。その座をどいて貰うよ!」
 先制で強烈な振り下ろしが入り、さらに返す刀で隙をつく一撃。怪力を持つ女王ではあるが、突然繰り出された剛腕の一撃に成すすべもなく切り刻まれる。
「マタ変なノが来たヨ……アナタたちもご飯になっチャエ!」
 新たな敵に女王はそう叫び、ユーベルコードを放つ。先に放たれた水流はシーザーの前にいた貝人が盾となり、全てシーザーには届かず地面に落ちた。
 さらに続けて邪光を逆の手に溜め、それを別の標的に向けて放つ。
「いざいざ参らん! 軟らかい圧政者退治! でも、精神攻撃ビームを防ぐのはよろしくっす! 心はデリケートなもので!」
 標的となったモルツクルスは、まるで恐れるものなどない、と言わんばかりに邪光を堂々と受け止める。ただしその前面にはしっかり貝人の守り。貝人は光を反射して女王に返し、それに続くようモルツクルスが踏み込み、杖での一撃を見舞った。
 さらにそれに続くのはネージュ。邪光は今防がれた。ユーベルコード製である氷の盾を阻むものはもうない。そのまま踏み込み、盾を構えての殴りつけを試みる。
「痛いトお腹ガへっちゃうモン……アナナのことモ食べサセてヨ!」
 女王の言葉と共に、その蝙蝠の腕が貝殻に包まれ、竜の形を形成する。竜は大口を開けてネージュに噛みかかるが、その前に貝人が立ちふさがった瞬間、その動きを鈍らせた。
「死してなお仲間を傷つけまいとする心……あなたには分からないでしょう!」
 甘噛み程度まで弱った噛みつきをそのまま乗り越え、ネージュは強烈なシールドバッシュを女王に叩きつけた。
「さて、大技で締めといこう」
「おお、これぞ見せ場!」
「いきましょう!」
 敵の攻撃が緩み切ったのを見切ったシーザーの声を契機に、三人が一斉に女王に攻めかかる。
 シーザーは大上段から振り下ろし、その衝撃波で女王を吹き飛ばす。その女王を、モルツクルスが後方に爆発を起こし、再度こちら側へ吹き飛ばしなおした。そこに待ち受けるのは盾を引いたネージュ。
「私の氷は砕けません!」
 何の形質も持たぬその腹に、強烈な氷の一撃が叩き込まれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘NG
グロNG
WIZ

友好的で憎めない子達ね。
女王は私に任せて頂戴

守護霊の憑依【ドーピング】で戦闘力を高め
【オーラ防御・激痛耐性】や【見切り・怪力】で
攻撃を受け止め、防御力の高さを強調

喝ッ!!【気合い・衝撃波】で怯ませ
呪印の力で【属性攻撃】を槍状に圧縮し【槍投げ】
【呪詛】を込めた黒雷の槍は
避けても【念動力】で軌道を変え
影をその場に縫い付ける【マヒ攻撃】

UCで私と同じ強さのアイリスとナルを召喚。
貝人達が邪光を反射して女王の精神力が弱まった所を
3人がかりの【誘惑・催眠術】で魅了し【慰め・生命力吸収】
永遠の空腹を奪い、永遠の幸福へ

ナル:食べ過ぎかな? お腹ポヨポヨで気持ちいい♪
アイリス:女性に失礼よ



 女王と猟兵の戦いが激化する最中、また一人の女猟兵が女王の前に現れた。だが、彼女は他の猟兵のように貝人を連れていない。信頼を得られなかったのか、あるいは一人で戦うつもりなのか。
「友好的で憎めない子達ね。女王は私に任せて頂戴」
 否、どちらでもない。ドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)は、戦いの中で己の硬さを見せ、貝人達の信頼を得るつもりであった。
 ドゥルールは守護霊を己に憑依させ、その上で身にオーラを纏う。その上で、まるで先制を誘うが如く、女王の前へと身を曝け出した。
「アナタ、仲間イナイ……これなら勝てルヨ!」
 ドゥルールの意図など察せない女王は、単独でかかってきたと油断してドゥルールに腕を伸ばした。元より外見は強靭そうには見えないその姿に、力でねじ伏せよういうつもりなのだろう。
 その攻撃を、ドゥルールは腕を差し出す形で受ける。そこには守護霊の中でも防御に秀でるものを宿らせ、その上にはオーラがある。さらには肉体にも力を滾らせ、攻撃の軌道を呼んで最も硬くなった部分で受け止めた。
 霊的、物理的双方に高められた力は、女王の怪力で振るわれた爪を受けて、そのダメージを白肌にほんの少し赤い線が走ったか、という程度にまで抑え込んでいた。
 そして痛みなど感じぬかのように、妖艶に笑うドゥルール。
 実戦で女王を圧倒するその硬さは、貝人達がドゥルールを信頼するのに十分すぎる程のものであった。
 代表として一人の貝人が自身に歩み寄ってきたのを確認したドゥルールは、改めて女王に顔を向ける。
「喝ッ!!」
 そして放たれる、裂帛の気合の声。外見に似合わぬその声は女王を威圧し、無意識のうちに一歩距離を取らせた。
 その間合いを逃さず、ドゥルールは手に黒い雷を溜める。呪詛を纏ったその雷はやがて一本の槍のように収束。やり投げのようにその手から放たれた。
「そんな食べラレなさソウなモノ、イラないヨ!」
 魚の柔軟性をつかい、ぬるりと動いて身をかわす女王。が。
「アレ……う、動けナイ……」
 その槍はただの雷ではない。黒き呪詛が念動力で女王の影に突き刺さり、そこから体を麻痺させる呪いを放っていた。
 女王はその状態でもあきらめず、邪光をドゥルールに向けて放つ。だがそれは、割って入った貝人によって跳ね返され、女王を照らすこととなった。
「ふふ、ありがとう。さあ鏡よ鏡、貴方は誰?」
「私はアナタ」
「キミはボク」
 動けない女王の前でドゥルールは【挽歌・二重水鏡】を使い、双子の姉弟アイリスとナルを呼び出す。ドゥルールと同等の力を持つ二人は、召喚主と合わせて女王を取り囲んだ。
 そしてドゥルールは女王に唇を合わせ、アイリスは背中から抱きしめるように腕を回す。その上で、囁きによる催眠と生命の吸収で女王を攻めたてた。その空腹が降伏に変わるように……そう願いながら。
 ナルもまた、二人へと同じように女王へ抱き着く。その場所は……
「食べ過ぎかな? お腹ポヨポヨで気持ちいい♪」
 確かに、その腹には若干肉があるようにも思える。他二人とは毛色の違う攻めに、催眠が切れた時女王が浮かべるのは困惑か、怒りか……
「女性に失礼よ」
 姉の窘めも聞かず腹に顔を埋め続けるナル。しかしそこからも確かに生命力を吸い上げ、邪光を反射されて精神の乱れた女王を蕩かしていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

パトリシア・パープル
怪人じゃなくて貝人ね
で、とりあえず防御力の高さを見せればいいのよね?

自分の身体に油をぶっかけ、ライターで着火
これは後のUC発動の布石でもある
「ほら、こんなに燃えてるけど、私は平気よ
「猟兵っていうのは、打撃以外にだって強いのよ
実際は、オーラ防御と火炎耐性で耐えてるだけなんだけどね

敵のUCは貝人に盾になってもらって防ぐ
一瞬でも防げたら、こっちもUC発動して反撃
「対象は……そうね、あなたの身体が変化してできた、竜の頭よ!

相手のUCで生成された貝殻の竜の頭を、炎獣の頭に変えて上書き!
制御を乗っ取って、反対に噛み付かせてやるわ
「悪いわね。キマフューの住人は悪食なのよ!

お宝は興味ないし、欲しい人にあげるわ


御狐・稲見之守
[UC化生顕現][火炎耐性][電撃耐性]
ふむ、貝人の協力を得るために防御力自慢か……

どれ……(刀を取り出し自分にグサー!)……とか
狐火を……(ゴワーっと火達磨になって燃える)……なんて
あとは……(ズガーン! 雷を呼び自分に落とす)……うむ
とっておきは……(スパッと自分の首を刀で落とす)……ぎゃー!

……ほら、へーきへーき。
(ぬるりと不定の黒い影のようになり元通り)

さて、それでは貝人に手伝ってもらいつつ
真姿 不定の獣となって彼奴を喰うか(物理)
[生命力吸収]、そぅら頭3つ4つといっぱい増えるゾ。
それではいただきます……オマエハトッテモオイシソウダ。

あ、貝人は喰わんよ? こわがらなくていんじゃよ?


夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
相手の方の空腹感は理解出来る面も有りますが。
このやり方は放置出来ませんねぇ。

『祭器』は厳密には『無機物』とも少々違いますが、これが変換されてしまうと厄介ですねぇ。
『FBS』を四肢に嵌め飛行、基本は出来るだけ相手と距離を取り【刻讐】を使用、『FRS』による[砲撃]主体で叩きましょう。
それ以外の『無機物』を変換して『水流』を使って来るだけなら、強化した『FSS』を積層させて防ぐことも可能ですぅ。

協力が得られることになりましたら、【刻讐】の『攻撃回数増加』も発動しますねぇ。
ただでさえ『手数』の多い『FRS』にこれが加われば、相当な連射が可能ですぅ。
確実に仕留めて参りましょう。



 猟兵と女王の戦いが激化していく中、貝人たちの住む村は騒然とした空気に包まれていた。
 食料を届けに行った仲間たちは戻ってこないし、女王がいる方向からは聞いたこともないような音が何度も聞こえてくる。いったい何が起きているのか……
「相手の方の空腹感は理解出来る面も有りますが。このやり方は放置出来ませんねぇ」
 突如上方から聞こえた声に、貝人たちは一斉にそちらを向く。そこにいたのは三人の猟兵、声を発したのは夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)であった。
 その隣でパトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)は、木や石で組まれた原始時代のミニチュアのような村と、そこに住まう貝人達を見回す。
「怪人じゃなくて貝人ね。で、とりあえず防御力の高さを見せればいいのよね?」
 言うが早いかパトリシアは自分の体にオイルをかけ、ライターで炎を放った。パトリシアの全身が一瞬で炎に包まれ、燃え上がる。貝人達もいくら文明レベルが低いとはいえ、火の危険性は知っている。突然の行動にさらに動揺が広がるが、火はすぐに収まり、その中からは無傷のパトリシアが現れた。
「ほら、こんなに燃えてるけど、私は平気よ。猟兵っていうのは、打撃以外にだって強いのよ」
 まだ油の匂いの残る服をぱっぱと払い、得意げに言うパトリシア。それを見て貝人達はその頑丈さに感心するとともに、彼女に信頼を置き始める。
 その様子を見て御狐・稲見之守(モノノ怪神・f00307)にも火が付いたようだ。
「どれ貝人ども。ようく見ておれよ?」
 そう言って稲見之守の取った行動は。
 どれ……(刀を取り出し自分にグサー!)……とか、
 狐火を……(ゴワーっと火達磨になって燃える)……なんて、
 あとは……(ズガーン! 雷を呼び自分に落とす)……うむ。
 とっておきは……(スパッと自分の首を刀で落とす)……ぎゃー!
 とにかく災厄の嵐、普通なら3、4回は死んでいるダメージだ。実際黒焦げになって首と胴が分かれて倒れる体は死んでいるとしか思えない。貝人達も心なしかその二枚貝部分が青くなっている気もする。
「……ほら、へーきへーき」
 それでも、その体は黒い影のようにぬるりと動き、無傷となって立ち上がった。これはもう硬いとかそういう次元じゃない気もするが、ともあれ貝人達の畏敬を集めることは成功したようだ。
 そして貝人達は、残る一人のるこるに顔を向ける。
「私は実地でお見せしますよぉ。それでは、女王の所へ行きましょうかぁ」
 そう言って猟兵たちは貝人を担ぎ上げ、女王のもとへ向かうのであった。

 度重なる戦いで、女王の疲労と空腹は極致に達していた。そこにまたも現れた猟兵たち。しかも今度は村にいた貝人まで連れてきている。
「ミンナ……私に逆ラウつもりネ……! 絶対許さナイ……!」
 怒りに燃え、女王が肉を溶かす水流を放った。猟兵の装備する者こそ奪えないが、その辺りに転がっている石など、変換する無機物はいくらでもある。狙いは、三人の中でも最も溶かす肉が多いるこるだ。
「大いなる豊饒の女神の名に於いて、仇なす者達に報いを」
 るこるは浮遊しながら、それに対して【豊乳女神の加護・刻讐】を使用。同時に『FSS』のビームシールドを重ねて水流を防ぎ、さらに『FRS』の一斉砲撃で女王にダメージを与えた。この盾による防御も、貝人達には好ましく見えたらしく、彼女が抱えていた貝人もFSSに重なり水流を防いでいく。
「じゃあソッチの、なんかコゲ臭いの! おいしくなさソウな臭いだケド!」
 女王は水流は通じぬと見て、貝殻の竜に変えた腕でパトリシアを狙って噛みつく。しかしそれも、彼女の前に立った貝人に届きそうになったところで勢いを弱め、押しとどめられた。
「完全にブチ切れたわよ……悪いけど、地獄まで相乗りしてもらうからね!」
 そうしてパトリシアはもう一度、自らの手に火を放つ。先ほど油を染み込ませおいた手だ、少しの火種で簡単に強く燃え上がった。それをトリガーとして発動するユーベルコード【激怒火炎獣】。敵の部位一つを炎の獣に変えて支配を奪うこの技の対象とするのは。
「対象は……そうね、あなたの身体が変化してできた、竜の頭よ!」
 その言葉と同時に、貝の竜が燃え上がり、炎の牙を女王に向かって突き立てた。それはまるで食われた貝人の恨みが込められたかの如く、深く、熱く女王に食らいつく。
「ヤダヤダ、もうヤメテ! そんなノ、消えチャッテヨ!」
 攻撃に耐えかね、ユーベルコードを消す邪光を放つ女王。だがそれも、稲見之守についていた貝人によって跳ね返され、誰の攻撃もかき消せない。
「姿形不定なるこそ真なり、夢と現つの狭間に巣食う神にしてモノノ怪来たれり」
 女王に近づきながら稲見之守が唱える文言。それと共に、稲見之守の人の形が崩れて不定の姿へと変じた。
「あ、貝人は喰わんよ? こわがらなくていんじゃよ?」
 そう言いながら、女王へと食らいつく稲見之守。それは貝人に語り掛ける口とは別の口で。3と、4つと増えていく頭が、次々と女王にかみついてはその生命を吸い上げていく。
「ちょうどいいわ、食われる側の気持ちを分からせてあげちゃおう!」
 パトリシアがそう言って自信を焼く炎をより燃え上がらせると、女王から炎の獣がまたしても出現する。
「それじゃあ、下味は付けちゃいますねぇ」
 るこるのFRSがさらに密度の増した一斉砲撃を女王に浴びせかける。ペッパーボックス……そんな言葉が冗談にならない打ち込みぶりだ。
「悪いわね。キマフューの住人は悪食なのよ!」
 パトリシアの声と共に、制御を完全に乗っ取った炎の獣が女王を喰らう。貝人相手に躊躇した牙は、女王に対してはどこまでも無慈悲に、骨まで喰らわんばかりに苛烈に突き刺さった。
「それではいただきます……オマエハトッテモオイシソウダ」
 そして稲見之守。その声はどの頭が発したか。いや、そもそも口から声を出しているのか。不定の獣がどこまでも物理的に、女王の肉と命を貪り喰らった。
「アアア……モット……食べた、カッタ……ヨ……」
 女王は弱々しい声を最後に残し、その身の一かけらすらも残さず食らい尽くされた。あとには、炎から戻った犠牲となった貝人たちの貝殻がいくつも折り重なって残っていた。

「お宝は興味ないし、欲しい人にあげるわ」
 パトリシアはそう言って早々に天空の冠の所有権を放棄する。
 稲見之守やるこるも、さらに言えば女王と戦った猟兵全員が、積極的に天空の冠を欲しがりはしなかった。
 貝人たちも持て余しそうなこれをどう始末するかの問題はまだ残っているが、ともあれこの浮遊岩には平和が戻ったのだ。
「ありがとうございます。我々にできることなどもう何もないかもしれませんが、いつでもお立ち寄りください。歓迎します」
 最初に女王のもとに食料を運んでいた貝人がそう言って猟兵を送り出す。
 彼らもまたこの群竜大陸に住むものであり、帝竜ヴァルギリオスの脅威にさらされる存在であることは違いない。取り戻した小さな世界の平和を守るため、猟兵の戦いはまだ続いていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年05月14日


挿絵イラスト