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帝竜戦役⑤〜ドワーフの勇者

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 勇者の墓標--それはかつて、群竜大陸に渡った数千人の「勇者」達が生前のヴァルギリオスと相打ちになった事で知られる地だ。その戦いの凄まじさは、大地に空いた大穴からも伺える。大地さえ穿つ災厄そのものと言っていい帝竜が、確かに存在したのだ、と。

『グ、ルルル--』

 その穴から大地に這い出したのは、合金竜オレイカルコスだ。その瞳が向く場所に、ソレはいた。

 白銀の鎧で身を包むドワーフだ。その手には竜の鱗を破壊するためだけに鍛え上げた、無骨なウォーハンマーが握られていた。

 かつて、ここでヴァルギリオスと戦った勇者の一人。ドワーフ族の勇者だ。

『おうおう。いい素材が取れそうじゃなーー首と素材を、置いてゆけい』

 ドワーフがウォーハンマーを振りかぶる。防御など考えない、殺すか死ぬかの二択しかない狂戦士がごとき構えがそこにはあった。

『グルアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』
『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』

 竜と勇者、出会ったのならばどちらかが死ぬのが運命。両雄がまさに、激突しようとしていた。



「いや、ドワーフにそういうところがあるのは否定せんが、全部が全部じゃないからの?」

 ガングラン・ガーフィールド(ドワーフのパラディン・f00859)はそう前置きすると、解説を始めた。

「勇者の残留思念、それと心を通わせ力を借りる。今回は、そういう戦場じゃな。ドワーフもエルフも人間も……勇者はさまざまな種族におったわけじゃが、今回はドワーフの勇者になるの」

 猪突猛進。そう呼ぶのにふさわしいのが、そのドワーフの勇者だ。生きるか死ぬかの二択を続けていれば、どこかでコケるのは当然で。それでも笑っていったのが、その勇者であった。

「敵は合金竜オレイカルコスとなる。しぶとい上に攻撃力に優れた竜じゃ。十分に注意するがよい」

 何にせよ、この帝竜戦役で勝利を重ねる事が重要だ。ガングランはため息を一つ、告げた。

「わしはわしの役目に徹しようぞ。おぬしらに、戦いの方は任せた。頼むぞい」


波多野志郎
この戦闘種族思考! どうも波多野志郎です。
今回は勇者の墓標にて、ドワーフの勇者の残留思念と共に戦っていただきます。

プレイングボーナスは『勇者の残留思念と心を通わせ、そのパワーを借りる』ものとなります。そのあたり、皆様のアイデアや熱い心をお待ちいたしております。

なお、この戦場で手に入れられる財宝は以下のものとなります。
宝物「魂晶石」……かつての激しい戦いの余波で生まれた、高純度の魔力結晶体。1個につき金貨600枚(600万円)の価値。

それでは勇者と共に、強敵との戦いをお楽しみください。
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第1章 ボス戦 『合金竜オレイカルコス』

POW   :    合金武装の尾
単純で重い【合金によって武器化された尾】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    例え、屍になろうとも金属は死なず
自身が戦闘で瀕死になると【完全合金製のドラゴン】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
WIZ   :    合金錬成武具の吐息
【合金で錬成した大量の武器によるブレス】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。

イラスト:クロジ

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はガングラン・ガーフィールドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ソラスティベル・グラスラン
後退など微塵も考えず、ただ討ち果たすために武器を取る
勇猛さの化身のような方ですね……ふふ、とても気が合いそうです!

【盾受け・オーラ防御】で守りを固め、突撃!
武器化された尾を受け止め、自前の【怪力】で【見切り】受け流します
地形が破壊された体勢を崩す前に竜の翼で飛翔、前進!【空中戦・ダッシュ】

倒した獲物を武具とし、
それは新たな力となり、強敵を倒した証となる
そうして貴方は生きてきた、その勇ましき生き様、尊敬します

貴方のように強く偉大な『勇者』となりたいから
今一度、わたしと共に戦ってください!!
【勇者理論】!!(攻撃・防御重視)

巨大槌を手に鍛えた【怪力】に更なる力を宿し、今こそ【鎧砕き】の一撃を!


水貝・雁之助
あー、うん
僕等に比べれば人多いしドワーフの人も大変だよねえ
しかし猪突猛進かあ
なら敵を恐れず少し無謀にも見える戦いを見せるとか?

UCは即使用
軽く地形全体を見渡して指示を済ませておく

其の後は竪穴という『地形を利用』
岸壁をブレスを防ぐ盾に活用し突き出た岩場の内、足場に出来る箇所を『見切り』アリアドネの糸も補助に使いつつ跳躍し移動
敵の意識を引き付けていく
そうして意識を引き付けていく間に悉平太郎に竪穴の上から岩等を落として攻撃して貰う
其の侭、怯んだなら其の隙を逃さない為に悉平太郎には義経の鵯越の逆落としの如く事前に指示しておいた降りれる個所を駆け下りて其の勢いのまま、敵の喉笛かっきる勢いで攻撃して貰う


鈴木・志乃
かっこいい!!!
なんて格好いい人なんだ……凄いなぁ、憧れるよ。
私に誇れる武は無いけど、貴方と同じように戦ってみたい。

第六感で攻撃を見切り、光の鎖を早業念動力で操作。足払いを狙い転倒したところを鎧砕き出来る魔改造ピコハンで2回攻撃する。

良い体してんじゃん。新しい武器が欲しかったんだ、ちょっとその金属よこせよ。
(※元々無自覚な戦闘狂)
一瞬でも回避タイミングが狂ったらぺしゃんこだろうな! だがそれもまた一興!

ブレスが来る直前に敵の口めがけてUC発動、合わせて全力魔法で口の中の武器を暴走させる。一か八かだ、危険は重々承知の上……やってやる!
勇者、一緒にやらないか!


アルコ・アーラ
・心情
あらあらあらあら!伝説の勇者達の思念?すっごぉいじゃない!
そんな存在と共に竜と戦えるなんて……夢みたいね!

・戦闘
基本的には、ドワーフの勇者の思念を援護するように戦うわ
彼らが戦っていた時は種族の垣根を超えて一緒に戦っていたんでしょ?
心情の想いと共に、今この世界に生きる者として……うん、まぁなんやかんやでドワーフの勇者に語りかけるわ
失敗したら?まぁその時はその時ね!こっちが勝手にドワーフの勇者に攻撃が当たらないよう戦うわ!

・その他
アドリブや他の猟兵との共闘は大歓迎よ!


ベール・ヌイ
『無音鈴』を使った「ダンス」の舞を勇者に奉納します

ヌイも割と薩摩的というか、首置いてけ思考なので気が合うと思います
奉納が終われば刀を抜いて走り出します
「先制攻撃」による「捨て身の一撃」
ダメージは「激痛耐性」で耐えて

「首、置いてけ」

刀が突き刺されば【不動明王・倶利伽羅】の竜王の炎で巻きつきながら首を落とそうとしましょう。
アドリブなど歓迎です


ケンタッキー・マクドナルド
おォ、わかり易いじゃァねェかよ。そォいう勇者って奴を俺ァ探してた。

テメェよォドワーフの。
何考えてその馬鹿デカい大槌ブン回すんだ。
ア?インタビューだよ良いから答えろ。作品作るにゃインスピレーションが必要なんだよ。テメェも分かるんじゃねェか?まー分からなくても構いやしねェが――――

まァ答えァ気に入ったァ!!
一丁素材狩りといこうぜ!
ブチかますのァテメェに任せるぜ髭。
俺が何するか?ハ、決まってる。俺ァ人形師で――武器職人だぜ?

"天獣"、パーツ出せやァ!!
大槌にクソ蜥蜴の脳天ブチ抜く為の武装を即興追加してやる。遠慮なく振り回して来いよ髭!!


――っとォ素材素材。折角だ、使えるモンは何でも貰ってくぜ


ジョルジオ・サニーウィッキー
※アドリブ連携歓迎

ヒューッ!強い武具を生む鍛冶屋ってのはそうでなくっちゃな!…少し苛烈でも!
思念だけの勇者がこうなんだから、俺も全力で働きますか!

【工作神の端材】発動、まずは竜の四肢へと身動きが取れないように操作した柱を差し込む!
武器を吐き出す(!?)ブレス攻撃には口を挟み込む四角輪を作りあげる!
…こうしてると勇者のサポートに回ってるみたいだな俺!?

勇者にだけ見せ場は譲らない&勇者に味気無い活躍は見せられない!って事で攻撃だ!
如何なる合金だろうと聖剣【ヴェヌス】は伊達じゃない!聖属性攻撃の剣擊で、その体に刃を突き立ててみせよう!


草野・千秋
竜と勇者の対決の冒険譚は
僕の生まれ育ったUDCアースでもよく聞きます
このA&Wではそれが現実なんですよね
ドワーフさんは強い者との勝負とキラキラ財宝が好き、だとも聞いています
勇者さん、今回はあなたの思いと力をお借りしていいでしょうか
僕はまだ若輩なれど英雄を目指す者
合金竜オレイカルコス、いざ勝負!

まずはUC【Judgement you only】で攻撃力を強化する
僕は英雄譚を信じ、応援してくれるこの世界の人々のために!
勇気を出して行動
怪力、2回攻撃で敵を叩き割るように攻撃
第六感、戦闘知識、視力で相手攻撃を回避を目論見
当たるようなら盾受け、激痛耐性で耐える


黒鋼・ひらり
残留思念、ってんなら…心残りがある訳よね? こいつをぶっ潰したいって
…なら力貸しなさい、こっちも力貸したげる…『悪』をぶっ潰す!

合金の塊みたいなドラゴンなら私の磁力…それからドワーフって言ったら鋼の専門家みたいな種族でしょ? 確か
なら、負ける道理なんてこれっぽっちもないじゃない

磁力(と、残留思念の助力)を込めた鉄球で、斧槍で、投剣で…ありったけの攻撃で合金の体を削っていき敵の攻撃は磁力で勢いを殺しつつ斧槍で、鋼鉄板で、義手で弾く、ヤバい攻撃はギミックシューズの磁力反発によるダッシュと跳躍で間合を取る

攻防で合金や自分の武器…それからドワーフ勇者の遺された武具もばら撒かれた所にUC発動しぶっ潰す!


ヴォルフガング・ディーツェ
アドリブ歓迎

いやあ、勇者殿の考え方は中々に潔いねえ
好きだよ、そういうの!

好意をねだるなんてのは柄じゃあないんだ、ギブアンドテイクでいこうか
勇者殿、君は宝物があっても欲しいものには代えられないだろう?
なら俺が代わりに欲しいものを用意する形での財宝山分けでどうかな
履行するか否かは信じて貰うしかないが…我が獣の誇りに掛けて必ず履行しよう

「多重詠唱」「高速詠唱」「全力魔法」「オーラ防御」「限界突破」を駆使・流用し高速で守護と戦士のルーンを描き、勇者殿とオレを強化

敵の懐に飛び込み、炎の「属性攻撃」を纏わせた鞭で「2回攻撃」、「ロープワーク」で変幻自在に打ち据えよう
鉄は熱い内に打て、だ!頼んだよ、勇者殿!


御剣・刀也
ドワーフの勇者
なんとも気の合いそうなやつだな
俺も生きるか死ぬかの勝負を何度もしてきた身。この勇者となら面白い戦いになりそうだ

合金武装の尾による一撃は、第六感、見切り、残像で避けて振り戻しのもう一撃が来ることを勇気で恐れず、ダッシュで一気に足元に潜り込んで、捨て身の一撃で斬り捨てる
勇者とは一番槍を競うようにしながら、何も言わずただ笑って、首を竜に向かって動かし、決着つけようや。と並んで駆けていく
「生きるか死ぬか、人生それくらい単純なほうが面白い。なぁ、あんたもそう思うだろ?けど、生きて帰った時の酒は格別にうまい。だから駆けるのさ!死の先の姓生を目指して!」


棒・人間
ふはははは!いつの時代にも豪快な戦士がいたものだ!俺は好きだぞ!俺はそうした命を賭けた二択は大好きだ!生きるに越したことはないが戦う瞬間とは心躍るものよ!
ならば攻めるのみ!まずは進むと見せかけたフェイントを入れて敵の攻撃を誘い込む。尻尾を振り回した後は必ずボディがスキだらけになるということだ。そこを攻撃力を重視した一撃で奴の甲殻ごと叩いてみせよう!さぁ力を貸してくれ!これが俺の、俺たちの全力全開だぁぁぁッ!


兎乃・零時
アドリブ絡み大歓迎

勇者のパワー…凄そう…!
属性は土かな…ともかく気合入れよう!

でけ―!?(こっわ…!)
だが此処で怖気つくかよ…!

おっちゃんってすごい強いんだろ!
俺様な、いつか叶えると決めた夢があるんだ!
全世界最強の魔術師になるって夢がな!
だから、俺様は此処で負けられないし、強くなりたい!
頼む!
おっちゃん、俺に力を貸してくれ!

猪突猛進何のその、だ!
パル
【オーラ防御・拠点防御・援護射撃】をお願い

攻撃は【ジャンプ】で避ける!

相手が強いなら、俺様はこれに全部籠める!

UCを光【属性攻撃・魔力溜め・限界突破・零距離射撃・全力魔法】で放つ!
全部纏めて呑み込むほどの馬鹿でかさで!おっちゃんの力も借りて!放つ!


銀山・昭平
死ぬか殺すか、そんなもののふのような生き様も少しだけ、少しだけでも憧れてたべ。
ならばおらもその生き様に少しでも協力してやるべな!

【武具改造】と【防具改造】で、猪突猛進なドワーフの勇者にふさわしい頑強な武具をこさえた上で、仕上げに【即席絡繰強化術】を用いて、ドワーフのハンマーも勇者の名に恥じぬような、【鎧砕き】で竜の鱗も、或いは【気絶攻撃】でドタマも砕けるような、そんな強い武器をこしらえるべ。
普段のおらの戦い方とは違うが……それでも、おらもドワーフだべ。正面切っての戦闘も、今までも何度もやってきたべ。
さあ、思いっきり戦うべ!目の前の敵は全力でぶっ潰してやるべ!!!

※アドリブ・共闘歓迎です


セゲル・スヴェアボルグ
勇敢なんだか野蛮なんだかよくわからんが……
これは負けてられんな。
というわけで前に出るぞ。勿論、壁としてだ。
攻撃は二の次でいい。味方を庇うことが最優先だ。
地形が破壊されようが、体が残ってればそれでいい。
まぁ、最悪飛べばいいわけだしな。
生憎、ハンマーの持ち合わせはないので、斧で我慢してくれ。
最も、斧というには些か切れ味よりも打撃力の方があるんだがな。
竜の鱗を破壊するために鍛え上げた武器の力ってのがあるなら、
どれほど硬くとも、その鱗が割れるまで叩き付けつふけるだけだ。
こっちに攻撃してきた分は熨斗を付けて返してやるとしよう。


ユヴェン・ポシェット
竜と聞けば、黙って居られない。
俺の相棒のドラゴンランス「ミヌレ」はそんな奴だ。

俺もミヌレも鉱物、相手は合金竜…まあ、俺達の方が分が悪いのかもしれない。だが、そんな事は関係ない。削り削られ砕き砕かれ、ぶつかり合いと行こうぜ。

引き下がる訳にはいかないからな。
オレイカルコスの下へと周り、奴の腹部を攻撃。危険は承知だ…背の部分が硬いのはわかるが、腹部はどうなっているだろう。
硬そうな爪に角、奴の身体はどこも等しく硬いのかそうでないのか、ただ…ただひたすら行動するのみ。

俺達だけでは、気が遠くなる相手だが…勇者よ。俺達と共に戦おう。



●勇者とは?

『ガーハハハハハハハハハハハハハハ!』

 ドワーフ族の勇者が笑う。その鎧を貫く槍や斧槍、長剣を抜く事すらせず合金竜オレイカルコスに挑みかかる姿は、もはや戦いではない。一方通行の殴り合いだ。

 しかし、そこに悲愴はない。苦難さえ、悲痛さえない。よく笑い、よく戦い、そして死ぬ――ドワーフの死に様が、そこあるだけだ。

『おうおう、目が霞む。手がしびれて力も入らん。足も震えるし、寒気もして来たのぉ』

 勇者は目の前で身構えるオレイカルコスを前に、ウォーハンマーを握り直す。

『――つーことは、本番はこっからじゃなァ!!』

 ゴォ!! とオレイカルコスの尾が唸りを上げる。サイズ差は圧倒的だ。唸る巨木がごとき尾の一撃に構わず勇者は真っ向から踏み込み――。

『お?』

 鈍い轟音を立てて、尾が受け止められた。勇者はウォーハンマーを振り上げた体勢で、己の前に立った青いドラゴニアンの背を見上げる。

「勇敢なんだか野蛮なんだかよくわからんが……これは負けてられんな」
『何じゃ? せっかく良いとこじゃったのに。わしの後じゃいかんか? 竜の末裔の』

 迷わず前に出るセゲル・スヴェアボルグ(豪放磊落・f00533)に、勇者は呆れたように言う。怒りはない、ただちょっと並んでいたら横入りされたぐらいの気楽さで、勇者は提案するだけだ。

「おォ、わかり易いじゃァねェかよ。そォいう勇者って奴を俺ァ探してた。テメェよォドワーフの」
『あん?』

 後ろから声をかけられ、勇者が振り返る。そこにいたのは、ケンタッキー・マクドナルド(神はこの手に宿れり・f25528)だ。

「何考えてその馬鹿デカい大槌ブン回すんだ」
『何じゃ、妖精の。藪から棒に』
「ア? インタビューだよ良いから答えろ。作品作るにゃインスピレーションが必要なんだよ。テメェも分かるんじゃねェか? まー分からなくても構いやしねェが―――」

 ケンタッキーの言葉を遮るように、質問の意図に気付いた勇者は身の丈よりも大きいウォーハンマーを肩に担いで言った。

『あ? わしはドワーフじゃぞ? おぬしら妖精と違って飛べんのじゃ。こんぐらいでないと、届かんじゃろうが。敵の頭に』

 頭を潰すのが一番早いんじゃ、と当然の事のように言ってのける。そこに大前提が抜けている事を、ケンタッキーは気付いた――戦う理由だ。

 戦う事は既に大前提。すべてはその後の理由しか無いのだ、この勇者には――ドワーフには。

「ふはははは! いつの時代にも豪快な戦士がいたものだ! 俺は好きだぞ! 俺はそうした命を賭けた二択は大好きだ! 生きるに越したことはないが戦う瞬間とは心躍るものよ!」

 そう笑って現われたのは、棒・人間(真の勇者・f18805)だ。御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)もまた、抜いた獅子吼を担ぐように持ちながら笑って言った。

「ドワーフの勇者、なんとも気の合いそうなやつだな。俺も生きるか死ぬかの勝負を何度もしてきた身。この勇者となら面白い戦いになりそうだ」

「でけ―!? だが此処で怖気つくかよ……!」

 こっわ……! とビビリながらも巨竜の前に立った兎乃・零時(そして少年は断崖を駆けあがる・f00283)に、勇者は首を傾げて唸る。

『怖いんじゃったら、隠れておってええんじゃないかの?』
「おっちゃんってすごい強いんだろ! 俺様な、いつか叶えると決めた夢があるんだ! 全世界最強の魔術師になるって夢がな!」
『……ほう』

 そこには、感心した表情がある。その言葉が本気だと、伝わったからだ。

「だから、俺様は此処で負けられないし、強くなりたい! 頼む! おっちゃん、俺に力を貸してくれ!」
『……ったく』

 次から次へと現れる猟兵達に、勇者は呆れたように肩をすくめる。その表情を見て、ハッ! と吹き出した。

『何じゃ何じゃ、揃って馬鹿が雁首揃えてやって来おったのか? ん?』
「残留思念、ってんなら……心残りがある訳よね? こいつをぶっ潰したいって」

 隣に立った黒鋼・ひらり(鐵の彗星・f18062)を少し見上げ、勇者は目を細める。そして、オレイカルコスを見上げて言った。

『あん? わしの一族の鉱山町がひとつ食いつぶされての。オレイカルコスに。そんぐらいじゃが?』
「……なら力貸しなさい、こっちも力貸したげる……『悪』をぶっ潰す!」

 そう言って先に進むひらりに、勇者は口を噤み――そして、歩き出した。

『なら、しゃあないの。ああ、しゃあない』

 猟兵達と肩を並べて、改めて勇者がオレイカルコスに並ぶ。その表情は苦笑が浮かんでいたが、ヴォルフガング・ディーツェ(花葬ラメント・f09192)の言葉に表情を変えた。

「好意をねだるなんてのは柄じゃあないんだ、ギブアンドテイクでいこうか。勇者殿、君は宝物があっても欲しいものには代えられないだろう?」
『あん? ま、この体じゃなァ』
「なら俺が代わりに欲しいものを用意する形での財宝山分けでどうかな。履行するか否かは信じて貰うしかないが……我が獣の誇りに掛けて必ず履行しよう」

 ヴォルフガングの提案に、勇者が軽く目を見張り――そして、笑った。

『ガーハハハハハハハハハ! 古来より、共に戦った冒険者の宝は山分けが不文律じゃが……そうじゃな!』

 勇者は、オレイカルコスに視線を向ける――己と同じ、『過去』へと。

『ならば、過去(わしら)を踏み越えて先へ進めい、現在(いま)よ! 過去は現在の礎になってこその過去! わしらの時代は、もう終わっとるんじゃ』

 勇者は笑う。戦いとは違う、しかし、何かのつかえが確かに取れた清々しい笑顔に。

『ああ、駄目じゃな、オレイカルコス。こういうのがいるんじゃ、またお前らの負けじゃぞ? 今回も』
「オ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」

 勇者の言葉の意味がわかった訳ではないだろう。しかし、確かな否定を込めて、合金竜が咆哮した。

 その勇者と竜のやり取りに、鈴木・志乃(代行者・f12101)は目を輝かせる。そこには語り継がれるべき英雄譚が確かにあった。

「かっこいい!!! なんて格好いい人なんだ……凄いなぁ、憧れるよ。私に誇れる武は無いけど、貴方と同じように戦ってみたい」
「あらあらあらあら! 伝説の勇者達の思念? すっごぉいじゃない! そんな存在と共に竜と戦えるなんて……夢みたいね!」

 アルコ・アーラ(空渡り・f21945)も、そこに勇者がいるのだという実感を抱いて言う。

「竜と勇者の対決の冒険譚は、僕の生まれ育ったUDCアースでもよく聞きます。このA&Wではそれが現実なんですよね」

 草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)の言葉に、勇者はその腰を叩く。背中に手が届かないからだ。

『何を言っとるか。勇者なんざな、終わった後に誰かが呼ぶもんじゃ。今は、おぬしらが勇者よ』
「…………」

 その勇者の言葉を噛み締め、千秋は改めて向き直った。真っ直ぐに、過去の勇者に今の勇者になろうとする者が告げる。

「ドワーフさんは強い者との勝負とキラキラ財宝が好き、だとも聞いています。勇者さん、今回はあなたの思いと力をお借りしていいでしょうか」
『おう、どうせ消えるだけの残り滓よ。勝手に拾って先へ行けい!』

 勇者と、猟兵が立ち並ぶ。過去と現在が肩を並べ、未来を造るために戦うのだ――ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)がコンカラーを手に口元を綻ばせた。

「後退など微塵も考えず、ただ討ち果たすために武器を取る。勇猛さの化身のような方ですね……ふふ、とても気が合いそうです!」
『おうおう、今の時代も馬鹿がおって何よりよ! そして、馬鹿ができんヤツが勇者と呼ばれん事も、古今東西変わらぬ事を願うとしよう!』

 その瞬間、オレイカルコスが地面を蹴った。合金竜は隙を伺っていた――しかし、それが叶わないと知って、強引に抜けて来たのだ。

『さぁ! 誰が殺すか競うとするかの!』

●竜とは?

 合金錬成武具の吐息が、猟兵達へと吐き出された。さまざまな形状の、合金製の武具が豪雨のように降り注ぐ――その前へ、セゲルとソラスティベルが身を踊らせた。

「させんよ」
「通しません!」

 重盾【スィタデル】を構えたセゲルとオーラをまとったソラスティベルのモナークが武具の豪雨を受け止め、受け流す。

「うん、行こう」

 無音鈴を手に奉納の舞を終えたベール・ヌイ(桃から産まれぬ狐姫・f07989)が、鬼殺を抜いて前に出た。その前には、勇者と刀也が一番槍を競うように駆けている。

「生きるか死ぬか、人生それくらい単純なほうが面白い。なぁ、あんたもそう思うだろ?けど、生きて帰った時の酒は格別にうまい。だから駆けるのさ! 死の先の姓生を目指して!」
『ガーハハハハハハ! 然り然り! 暴れた後に一杯! 生きる理由なんざ、その程度で十分よ。人間にしては、ようわかっとるじゃないか!』

 勇者と刀也が同時に武器を振り下ろし、その連撃に合わせてベールも鬼殺を振るった。

「ガ、アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 だが、その硬い合金製の皮膚は『中身』まで攻撃を通さない。即座に地面を尾で砕き、柱の拘束からオレイカルコスは抜け出した。

「あー、うん。僕等に比べれば人多いしドワーフの人も大変だよねえ。しかし猪突猛進かあ」

 水貝・雁之助(おにぎり大将放浪記・f06042)は感心していいのかどうなのか。それでも一緒に戦ってくれるのなら、頼もしい味方だと雁之助は意識を切り替える。

「悪逆を為せし非道の猿神を討ち滅ぼせし悉平太郎! 人々の涙を止めるために僕たちに力を貸して欲しいんだなー」

 雁之助の降臨悉平太郎は、猿神殺しの柴犬の霊を召喚する。悉平太郎は前へ出るオレイカルコスの前脚に噛みつき、その突進の速度を落とす。それに続き、ジョルジオ・サニーウィッキー(日向に歩く破顔・f15126)が笑った。

「ヒューッ! 強い武具を生む鍛冶屋ってのはそうでなくっちゃな! ……少し苛烈でも! 思念だけの勇者がこうなんだから、俺も全力で働きますか!」

 ジョルジオが、速度の落ちたオレイカルコスに右手をかざす。位置と場所の確認、それを瞬時に終えて唱えた。

「神達の御手、我が拙知を以てその骨子、賜り願う!」

 ガガガガガガガン! とオレイカルコスを囲うように、ジョルジオの工作神の端材(ワークス・ランバー)の光の柱が創造されていく! 柱は傾きながらも、オレイカルコスの前進を止め――。

「竜と聞けば、黙って居られない。俺の相棒のドラゴンランス「ミヌレ」はそんな奴だ」

 ユヴェン・ポシェット(ඛනිජ・f01669)が、ミヌレを手にオレイカルコスへ駆ける。大きい――触れられるほど近くに寄れば、どれだけ大きいかわかった。

「俺もミヌレも鉱物、相手は合金竜……まあ、俺達の方が分が悪いのかもしれない。だが、そんな事は関係ない。削り削られ砕き砕かれ、ぶつかり合いと行こうぜ」

 危険は承知だ……背の部分が硬いのはわかるが、腹部はどうなっているだろう? 繰り出した竜騎士の槍となったミヌレの渾身の一撃――しかし、切っ先が刺さるのがせいぜいだった。

「硬い――!」

 押し潰そうとしてくるオレイカルコスに、即座にユヴェンが引く。土埃を上げて地面を砕く合金竜へ、入れ替わりで志乃が飛び込んだ。

「良い体してんじゃん。新しい武器が欲しかったんだ、ちょっとその金属よこせよ」

 ジャララララララララララ! と光の鎖が、地に伏したオレイカルコスを縛り付ける。それを引きちぎるより速く、志乃の魔改造ピコハンが豪快に振り下ろされた。ドォ! と鈍い衝撃音と同時、人の顔ほどある大きさの合金竜の鱗が数枚宙を舞った。

『変わった武器もあるもんじゃなぁ、おい。わしの時代に、あんなん無かったぞ』
「あー、うん。そうよね」

 ピコピコハンマーは確かになかったのだろう、と納得したアルコがロングボウで矢を射る。その矢の支援を受けながらひらりは、磁力で加速させた鉄球でオレイカルコスの頭部を強打した。

「次!」
「僕はまだ若輩なれど英雄を目指す者、合金竜オレイカルコス、いざ勝負!」

 ひらりの強打による鈍い打撃音と共にのけぞった合金竜へ、千秋が走る。己が認め信じた者、信じてくれた者のため、決して挫けない正義の心――Judgement you only(キミノタメダケノセイギ)による強化を乗せて、その怪力を乗せたdraco interfectoremを振り下ろした。

「ガ、アアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 度重なる攻撃を受けて、オレイカルコスが叫ぶ。揺るがない闘志で前に出たオレイカルコスを、棒・人間が迎え撃つ。

「俺は勇者だ俺は勇者だ俺は勇者だ……」

 セルフ・サジェスチョンによる自己暗示は、オレイカルコスの尾を紙一重で避けさせる。棒・人間が振るった剣が、その尾の軌道を逸し巨竜の体勢を崩させた。

「猪突猛進何のその、だ! パル、【オーラ防御・拠点防御・援護射撃】をお願い」

 零時の前に、紙兎パルが我が身を盾に立ち塞がる。飛んでくる瓦礫を式神が受け止めてくれている間、零時は魔力を高める事に集中した。

『来るぞ!』

 勇者が叫び、前に出る。オレイカルコスの突進は、それと同時だ。ウォーハンマーと合金竜の頭突き、それが激突する最中だ。

「さあ開演だ……指令「法則を我が意の儘に、戯れの幕を落とさん」」

 ヴォルフガングの多重高速詠唱による守護と戦士のルーンを受けて、勇者が踏みとどまる――そして、力任せに勇者はそのままオレイカルコスを殴り飛ばした。

 盛大な破壊音を立てて、地面を砕いてオレイカルコスが地面を転がる。勇者は一撃と共に折れたウォーハンマーを放り捨て、吐き捨てた。

『ああ、そういえばあん時も武器がもたんかったのじゃな。戦い続きで手入れできんかったからなぁ』

 立ち昇る土煙の中で、立ち上がる影があった。それはオレイカルコスであり、オレイカルコスではない――完全合金製のドラゴンだ。

 例え、屍になろうとも金属は死なず――自身の死に際、同等の竜を生み出すオレイカルコス最期のユーベルコード。合金竜が絶望と呼ばれた、その一端だ。

『さて、どうしたもんかの――』

 素手でやるか、と勇者が前に出ようとした時、ふと横から差し出される長柄があった――それは銀山・昭平(田舎っぺからくり大好き親父・f01103)が差し出した、オレイカルコスの合金製のウォーハンマーだった。

「死ぬか殺すか、そんなもののふのような生き様も少しだけ、少しだけでも憧れてたべ。ならばおらもその生き様に少しでも協力してやるべな!」
『ハ、ハハハハ! 今のドワーフも良い仕事をするのォ! 気に入った!』

 バンバン、と肩を叩く勇者に、昭平も会心の笑みをこぼす。即席絡繰強化術によるこの勇者にふさわしい頑強な武具の作成、それが間に合ったのだから。

「普段のおらの戦い方とは違うが……それでも、おらもドワーフだべ。正面切っての戦闘も、今までも何度もやってきたべ。さあ、思いっきり戦うべ!目の前の敵は全力でぶっ潰してやるべ!!!」

 同じウォーハンマーを手に昭平が笑う。それに、心底楽しげにケンタッキーが言った。
「まァ答えァ気に入ったァ!! 一丁素材狩りといこうぜ! ブチかますのァテメェに任せるぜ髭」
『おぬしはどうするんじゃ』
「俺が何するか? ハ、決まってる。俺ァ人形師で――武器職人だぜ?」
『ドワーフ相手によう言うた、妖精の。速く造らんと、終わらせるぞい』

 合金竜が、殺気を持って猟兵達に迫る――ここに、第二ラウンドが幕を開けた。

●勇者と竜の物語

 ――死闘であった。ただ、ぶつかり合うだけの意地の張り合いがそこにはあった。悲愴はない、悲痛もない、絶望などどこにもない。ただ、腹の底からの笑みがあった。

 それは、あるいは目の前の敵――合金竜にさえも。

「こっちだな!」

 アリアドネの糸を岩場に絡ませ足場にして、雁之助が跳躍する。合成竜の視線と殺気が自分を追うを感じながら、雁之助は駆け続けた。

「オ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオゥ!!」
「一か八かだ、危険は重々承知の上……やってやる!」

 合金竜の口の中で、さまざまな武器が錬成される――その瞬間を狙って、志乃が前へ出た。

「大人しくした方が身のためですよ」

 速くては意味がなく、遅ければ死ぬ――刹那でもタイミングが狂ったら終わる。その賭けに、志乃は勝った。放たれようとした合金錬成武具の吐息を、女神の拘束(ジャッジメント・コード)による破魔と浄化の力を持つ無数の光の鎖によって塞いだのだ。放たれた武具が合金竜の口の中で荒れ狂い、口の中をズタズラにする。苦痛でのたうつオレイカルコスは、血だらけの武具を大量に吐き出した。

「悉平太郎!」

 義経の鵯越の逆落としの如く、事前に指示を受けていた悉平太郎が雁之助のタイミングで合金竜の喉笛に噛み付く! のけぞって体を振ろうとした合金竜へ、ユヴェンはドラゴンランスミヌレを投擲した。

「行け」

 ユヴェンのドラゴニックエンドにより、槍が突き刺さったそこへ竜身のミレヌが突撃する。ビキビキビキ! と合金竜は体に亀裂を走らせながら、地面に転がった。

「生憎、ハンマーの持ち合わせはないので、斧で我慢してくれ。最も、斧というには些か切れ味よりも打撃力の方があるんだがな」
『がはは! 趣味に走りすぎじゃろうよ、それ!』

 揺れる震源地へ舞い降り、セゲルが錨斧【イースヴィーグ】を振り上げる。笑う勇者に、同感だというようにセゲルは斧とは名ばかりの錨を振り下ろした。

「こっちに攻撃してきた分は熨斗を付けて返してやるとしよう」

 どれほど硬くとも、その鱗が割れるまで叩き付けつるのみ――セゲルの豪快な一撃に、合金竜の一部が砕ける。

「もう一つ!」

 それに続いて、昭平が合金製のウォーハンマーを振り回した。合金竜の、超重量の巨体がついに宙を舞う――それを、アルコが見逃さない。

「この一撃は、特別よ?」

 天を駆けるは終望の流星(メテオール・カマンガー)――圧縮された魔力を纏った、光輝く弓矢による一矢が、合金竜に突き刺さった。ドォ! と鈍い爆発音を轟かせ、合金竜の巨体が吹き飛ぶ!

『乱れ狂え、武具の迷宮! 其は鍛冶師の軌跡――打ち続けた者の証なり!』

 その瞬間、勇者のユーベルコードが展開された。その一族にのみ伝えられる、鍛冶師として打った武具の記憶を召喚。迷宮とする鍛冶師の証たる力――膨大な数の様々な武具が、地面に突き刺さり迷宮と化した。

『今じゃ、やれい!』
「ええ」

 ――合金の塊みたいなドラゴンなら私の磁力…それからドワーフって言ったら鋼の専門家みたいな種族でしょ? 確か。なら、負ける道理なんてこれっぽっちもないじゃない。

 ひらりは勇者に訪ねた。その知識を――その答えが、これだ。

「諸共纏めて……ブッ飛ばしてやるわよ!!!」

 磁界流星群(マグネット・メテオストーム)――勇者の武具の迷宮が、合金竜の合金武具が、揃ってひらりの一撃で暴風雨となって合金竜を襲った。それに合わせ、零時も叫ぶ!

「相手が強いなら、俺様はこれに全部籠める!」

 零時の手には、勇者から受け取った魔法の触媒たる杖がある――魔法を使うなら、とくれたのだ。

 全力全開・最大出力魔力砲(イッパツカギリ・ギャクテンノイッテ)――零時の全力全開の光線が、ひらりの磁界流星群(マグネット・メテオストーム)ごと合金竜を飲み込んだ。

「ガ、アアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 体中に亀裂を走らせ、それでも合金竜は敗北を否定する。尾の一撃、それをかいくぐり合金竜の脚の一本を断ち切った棒・人間が声を張り上げた。

「さぁ力を貸してくれ! これが俺の、俺たちの全力全開だぁぁぁッ!」

 合金竜へ、棒・人間が剣を振りかぶる。そのタイミングで、ジョルジオも駆け込んだ。

「如何なる合金だろうと聖剣【ヴェヌス】は伊達じゃない!」

 棒・人間の斬撃と、ジョルジオの聖剣【ヴェヌス】の一撃が合金竜の体の半分を吹き飛ばす。それでもなお、動こうとする合金竜へ、ヴォルフガングが炎をまとわせた鞭で首を巻きつけた。

「鉄は熱い内に打て、だ! 頼んだよ、勇者殿!」
『おう! 行くぞい!』
「"天獣"、パーツ出せやァ!! 大槌にクソ蜥蜴の脳天ブチ抜く為の武装を即興追加してやる。遠慮なく振り回して来いよ髭!!」

 ケンタッキーの神の御手よ、天獣に神託を与え給え(フルカスタム・インスピレーション)によって、勇者のウォーハンマーの鎚部分に獅子の顔がつく。勇者が、楽しげに笑った。

『いいセンスじゃ! 妖精の!』
「今こそ【鎧砕き】の一撃を!」

 勇者とソラスティベルのコンカラーが同時に振るわれる! そこへ、千秋のdraco interfectoremの一撃が重なった。

「今です!」

 千秋の声に、刀也とベールが同時に駆ける。振り下ろされつ獅子吼と鬼殺――。

「この切っ先に一擲をなして乾坤を賭せん!!」
「首、おいてけ」

 二振りの渾身が、ついに合金竜の太い首を叩き落とした……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年05月10日


挿絵イラスト