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淡くも輝ける鉱脈を求めて

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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 その日、のどかな村はいつもと違い喜びに沸いていた。
「それは誠ですか、冒険者殿」
 冒険者からもたらされた吉報に、村長は目を輝かせた。
 辺鄙な、それでいてありふれた田舎村には大した収入源などは存在しなかった。
 農作物や家畜、野山の恵みの売却を行うのがせいぜいだ。
 だがそこに、偶然ながらも外貨を得られそうなものが現れたのだ、これを喜ばないはずがなかった。
「あぁ、ありゃ結構でかそうな鉱脈だな。 ……ただなぁ、いくつか問題もあるぞ」
 説明を始めた冒険者の言葉に、村長は真剣に耳を傾けるのだった。


「みんなー、綺麗な石に興味はあるかー!」
 会議室に集まった猟兵達の前に姿を現したグリモア猟兵の少女、ミーナ・ペンドルトンは開口一番、そんな言葉を発した。
「はーい、それじゃあ依頼の概要をお話をするね。 今回行ってもらう世界はアックス&ウィザーズの地方の村だね」
 彼女はマグネットを一つ手に取ると、岩山の写った写真を、ぱちりとホワイトボードに貼り付けた。
 この岩山が今回の現場だ。
 先日、この地方を小規模な地震が襲い、その折に岩山の一部が崩れ、鍾乳洞が露出したそうだ。
「発見者である猟師さんが中を調べてみると、珍しい鉱石が埋まってることに気付いたんだけど……うっかり足を滑らせて怪我しちゃったんだって」
 村人だけで入るのは危険だと感じた村長は冒険者に依頼し、内部を探索を進めるてみたところ、鉱脈があることが判明した。
 これは村の収入源に使えると喜んだ村人達だったが、その数日後、冒険者達が姿を消した。
「まぁ、その人達はオブリビオンに襲われたのか、お金に目が眩んでとんずらこいたのかはちょっと分かんないけどね」
 大した知識のない村人だけで探索をするわけにもいかず、再度依頼が出されたというのが今回の経緯だ。

 依頼の達成条件は、第一に『内部の詳細な調査』
 鍾乳洞の内部には人為的なトラップはないが、足場の悪い場所や崩落やガス噴出などの危険があるかもしれない。
 第二に『一定量の鉱石の採取』
 どれだけの希少な鉱石がどれほどあるか、それは収入源とするのに十分な品質・量かなどを見極める必要がある。
 冒険者達ほど村の外の知識を持たない村人には、難しい問題であった。
 最後に『モンスターがいた場合の排除』だ。
 そしてここで説明しているということは即ち、オブリビオンが関わっているということである。
 ぱちんと水色の蛇が写った写真をホワイトボードに貼り付けられた。
「これが出現するオブリビオン、水の大蛇だよ。 見ての通りの水でできたでっかい蛇だね」
 水弾を放つ攻撃や、水流で攻撃をそらしたり、水を取り込むことで再生や強化を行う見た目通りのオブリビオンだ。
 シンプルながらもその力は強いが、幸いにも単体で出現するとのことだった。
「んー、他に説明漏れはないかな……詳しくはさっき配った資料に纏めてるから、困ったらそれを見てね」
 それじゃ、いってらっしゃい、とミーナは笑顔で猟兵達を送りだすのだった。


神坂あずり
 こんにちは、高坂(こうさか)あずりです。
 今回のシナリオは、自由な発想で色々できるかと思われます。
 メニューは以下の通りとなります。

●シナリオメニュー
 一章:鍾乳洞の探索。 天然のトラップにご注意。
 二章:鉱石採取。
 三章:水の大蛇との戦闘。
 ※一章・二章は、鍾乳洞内で行える行動であれば、選択肢にない行動も可能です。
  成功度で不利になるなるものは拾いませんので、お気軽にどうぞ。
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第1章 冒険 『噂の鍾乳洞』

POW   :    トラップなどは力づくで進む

SPD   :    トラップなどにかかる前に素早く進む

WIZ   :    トラップなどに気を付けつつ進む

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ベルリリー・ベルベット
鍾乳洞の探検だなんて、ワクワクするわね。
リリ、キレイな石は大好きよ。
ちゃんと依頼を達成したら、リリにも少し分けてもらえない?

紙とペンを持って、マッピングしながら鍾乳洞内を進むわ。
周囲がよく見えるように、光源も持参していくわね。
足場が悪いところがあるかもしれないから、足元に注意しつつ。
足場の悪い場所や危険な場所があれば、その位置もマップに書き込んでいくわ。

途中で分かれ道があれば、どちらに進んだか分かるように、ナイフで壁に印をつけておきましょう。
飛び越えられそうな場所は『ジャンプ』で越えて。

崩落やガス噴出みたいな天然のトラップが発動したら、『見切り』や『逃げ足』で回避するわ。

◆アドリブや絡み歓迎


木目・一葉
綺麗な石は世の女性には嬉しいだろう
だが戦士の僕には必要ない
何故なら戦士とは、その程度で目を奪われないからだ!
だが天然の罠は通常の罠と異なり、発見は困難だ
「気を引き締めていこう」

【WIZ】トラップなどに気を付けつつ進む

まず【情報収集】
村長と漁師に【コミュ力】と【礼儀作法】で、洞窟内の情報を聞き、対策を立てる
あと足場が悪いから登山靴とロープを用意だ
洞窟内は【地形の利用】を活かし、【第六感】で罠に注意して進む
このときガス噴出には【毒耐性】で対応
また冒険者がいるor生き残ってるかもしれないので【失せ物探し】で探索し、情報を引き出す

「面倒くさい
地形破壊で道を作りたいが、逆効果だろうなぁ」
思わず溜息が出る


花宵・稀星
綺麗な石、ですか。属性攻撃の媒体に宝石を用いてる私としては、興味を引かれるところなのです。
いい石が採れたら、相応の対価を提示して譲って頂いてもいいかもですね。

さて、日の光が届かぬ洞窟を進むとなれば光源が必用です。
滑りやすいということですから、うっかり足を滑らせて落として割ったりしないように、ランタン等は避けたほうがよさげですかね。
火を持ちこんで大丈夫なのかという心配があるですが、この世界の冒険者が探索できるような場所であれば、松明を持ち込めるですかね?
電気的な光源を持ち込めるなら、それに越したことはないですが。
ユーベルコードで自分が光るというのも前に使ったですが、疲れてしまうので最後の手段で。


マリン・ルベライト
「私と同じ宝石ないかな〜」とのんびりつぶやきつつも行動は常に慎重に
周囲を注意深く観察しつつ接敵することも考えて【クリスタライズ】で姿を消しておきます
他の方と少し距離もとっておきます
「もし何かあったら近すぎると動きづらいかもしれないし仕方ないよね」
と仲良くしたい気持ちを抑えつつ探索を進めます




 闇の中を、2つの光がゆらゆらと揺れる。
 コツリ、コツリと高い足音が、岩壁に幾重にも反響して返ってくる。
 光の射さない鍾乳洞の中は寒く、吐く息も白く染まっていた。
「そこ、足元に気を付けてくれ。 水たまりが凍り付いている」
 暗い中を一足先に歩くロングコートの少女は、振り向くことなく、背後を歩く二人に注意を促すように声を掛けた。
 片やひょいっと軽快な動作で飛び越え、片や注意深く歩みを進める同道者を待ち、再び歩き出す。
「一葉のおかげで、安心して明かりを使えるようになったのは僥倖だったわね」
 先ほど一足飛びで氷を飛び越えた少女、ベルリリー・ベルベット(ルーナフラウ・f01474)は、手元の紙にペンを走らせながら、そう口を開いた。
 彼女はざっくりと書かれた鍾乳洞内の地図を訂正するように、詳細な構造を記していくと、凍結注意と注釈を入れる。
 この地図は元々は冒険者パーティの残した写しだったそうだが、どうにも大雑把なマッパーが書いたもののようで、間違ってはいないのだがいくつもの道が探索途中で止まっていた。
「それもこれも、前任者がいいものを残していってくれたおかげだ」
 前を行くロングコートの少女、木目・一葉(生真面目すぎる平凡な戦士・f04853)は手に持った鳥籠を軽く上げ、謙遜したように首を振る
 籠の中には一羽の小鳥。 背中の茶色い縞模様と、黄緑色のお腹が特徴的な鳥が、澄んだ声音で姦しく囀っている。
 この鳥もまた、地図と同様に冒険者達が予備として置いていたものだったそうだ。
「でもそれだって一葉さんのおかげです。 猟師さん達にちゃんと話を聞かないと、前の人達の荷物の話まではでてこなかったですから」
 このパーティの最後の一人、花宵・稀星(置き去り人形・f07013)がそう答えながら、手にしたランタンで天井を照らして頭上を確認する。
 どうやらこの辺りには鍾乳石はないようだと、ほっと胸を撫で下ろした。 うっかり頭上の注意を怠り、突然落ちてきた鍾乳石に驚いた記憶も新しい。
 上は鍾乳石、下は滑る床。 上にも下にも注意を払わなければいけない。
 ただのランタンでは、落としただけでも壊れそうで不安が拭えないが、松明は可燃ガスが滞留していては事が事だからと止められてしまったのだから仕方ない。
 ただ明かりを持つだけなのに、気苦労が絶えなかった。
 最悪の場合、<生まれながらの光>で自力発光するしかない、と覚悟を決めた稀星を他所に探索は進んでいく。

 そんな三人の少し後ろを、ひっそりこそこそと付いていく人影があった。
 いや、正しくいうならば姿が見えないので、影ですらないのだが。
 その影はモンスターに遭遇した時に、あまり味方にも近過ぎるすると動き辛いかもしれないと可能性も考慮して、<クリスタライズ>で姿を隠した上で、わざと距離を取って後ろをつけていたのだ。
 周囲を注意深く観察しながらも彼女、マリン・ルベライト(クリスタリアンのアーチャー・f08954)は、前方から聞こえる楽しげな会話に、仕方ない仕方ないと心を慰めながら薄暗い鍾乳洞を進む。
 そんなことを考えながら歩いていたせいか、はたまた使い続けていたクリスタライズの疲労からだろうか?
 先ほど前方から聞こえてきた言葉のことをすっぽり忘れて、注意を怠ったままにマリンは足を踏み出してしまった。
 不用意に踏みつけた足の下には、凍った水たまり。 その結末は言うまでもないだろう。
「ふわぁ!?」
 ずるっと足を滑らせた彼女は、盛大な尻餅を突いた挙句、びっくりしたことでクリスタライズも解除され姿を現してしまった。
 そうして、驚きとあきれを伴ってマリンは三人に合流することになったのだった。


 途中、カナリアが鳴き止んだ分かれ道の壁面に、ナイフで印を付けたりしながら鍾乳洞を歩む。
 探索は順調だが、正直面倒くさい。 壁を破壊して道を作れたら楽だろうなぁ、などと益体もないことを考える一葉に問いが投げかけられる。
「そういえば一葉さん、ここで採れる希少な鉱石ってなんなのです?」
 高い段差を軽々と飛び越えたベルリリーの手を借りながら、稀星が段差を登り一息つく。
「ん……あぁ、そうか。 他の皆は知らないのだったな」
 一瞬、その言葉の意図が掴めずに首を傾げた一葉だったが、すぐに得心がいったように頷く。
 そう、この場にいるの面子の中では、村人から話を聞いていた一葉だけが鉱石の詳細を知っていた。
 発見方法や採取方法などは事前に渡された資料にも書かれていたのだが、わざとなのかはたまた書き忘れか、どんな鉱石かは載っていなかった。
 情報収集をしていた一葉以外は、探索道具や採取道具を得るために動いていたため、話を聞くことができなかったのだ。
「リリも気になるわ、キレイな石は大好きだもの。 どんな石なのかしら? 」
「触媒に使えるか興味が引かれるです。 いい石が採れたら、対価を払えば譲って頂けるですかね」
「私と同じ宝石があったりしないかな?」
 一方では女の子らしく、その一方では精霊術師らしく、翻ってクリスタリアンらしい反応をする仲間に、苦笑を浮かべた一葉が答えようとしたところでふと気が付く。
 ランタンの明かりも届かない距離で、前方が少し明るくなっていることに。
「そうだな……それは見てのお楽しみとしよう。 もう直に見えてきそうだ」
 そうして彼女達は足を踏み出した。
 淡くも輝ける、その場所へ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レイジア・ピグマリオ
基本的には【暗視】を効かせて慎重に鍾乳洞内部を進む。
あくまで安全第一に、拙速よりも巧遅を重視する。
考えるべきは、地元の一般村民が安全に通れるルートの開拓だ。

天然のトラップに見舞われた場合は、キュクロプス(人形)を使って防御や回避を行う。
近くに他の猟兵がいる場合は気を配っておき、場合によってはそっちのカバーもできればしておきたい。

もし鍾乳洞内部に原生生物を発見した場合、【今アナタの後ろにいるの】で人形を召喚し、その生物を追跡させる。
人間では入り込めない場所でも原生生物や人形ならば入り込める可能性があるし、この状況で生き残っている生物であれば危険のないルートや場所を知っている可能性がある。


デナイル・ヒステリカル
本来であれば現地の人々の労力と知恵の積み重ねで開拓するべきなのでしょうが……
オブリビオンが関わっているのならば、これは猟兵の領分ですね。
「それに、まぁ、これも一種の案内役ですか……」
正直なところやる気が出ます。

さて探索ですが、アックス&ウィザーズの文明レベルに合わせる理由はありません。手早く終わらせましょう。
電脳ゴーグルを着用して電脳空間を展開。
周辺をサーチして地形情報から危険箇所をマーク、安全なルートを割り出して進みます。
この脳内マップは最後に紙に出力して村人へと渡す物です。丁寧に作り込みましょう。


ティル・ライハ
地元世界で探索出来るなら参加すんぜ!お宝っぽいのもあるみてぇだしな。ワクワクすんなぁ…!
あ、や、ちゃんとシゴトもするから安心してな。

まずは目的地まで進むんだな? んーなら、[第六感]と[聞き耳]駆使して慎重に行動しねぇと、な。[逃げ足]でパパッと進んでもいいんだけど、後続の仲間達の為にも出来たら[鍵開け]で罠を解除してから進む方がいいか?
あ、途中で何か見っけたらお土産に持って帰りてぇな。……ちゃんと報告はすっからさ

『SPD 素早さ重視して進む』
『技能で解除できるか試みる』




 女性陣が和気藹々と探索をしていたその頃。
 暗闇の広がる鍾乳洞の中を、一匹の小さな爬虫類が、周囲を警戒しながらちろちろ進む。
 その後ろを影の如くひっそりと付き従うように、小さな金髪の人形がついていく。
 小さなイモリはしばらく音もなく進むと、するりと壁の隙間へと吸い込まれるように消えた。
 それまで付き従っていた金髪の西洋人形では、その小さな隙間に入ることもできずに立ち止まると、人形に大きな影が覆い被さった。
「この先のようだな。 他のルートは駄目だったが、ここはどうだ?」
 人形に覆い被さった影。 金髪の西洋人形のメリーさんの主であるレイジア・ピグマリオ(廃都より出でしドールメイカー・f09676)は、後ろの仲間へと問いかけた。
 「そうですね……ちょっと待ってください」
 電脳ゴーグルを着用した青年が、投影されたウィンドウを手慣れた動きで操作して周囲を精査していく。
 その隣では、頭一つ半は小さい少年が耳をそばだてたり匂いを嗅いでいる。
「向こう側に空間があるようですね。 周囲の壁の強度や構造的にも、少しくらいなら崩して問題ないでしょう」
 ウィンドウを操作していた青年、デナイル・ヒステリカル(架空存在の電脳魔術士・f03357)は、精査結果をレイジアに伝えると、隣の少年に視線を向ける。
 視線に気付いたのか、少年は顔を上げると一つ頷いた。
「ヤバい臭いとか気配もしねぇから、大丈夫だと思うぜ」
 デナイルの言葉を補強するようにティル・ライハ(好奇心の末・f04613)が続ける。
 その答えに満足したようにレイジアは頷き、数歩後退すると、戦闘人形の蒼石のキュクロプスを操り壁を崩していく。
 レイジアが経路を探し、デナイトが周囲を精査し、ティルが危険を判断する。
 各々に合った役割を全うして、淡々と探索が進められていた。


 新規開拓された通路の先には、開けた空間が広がっていた。
 壁面からは微かに光が零れ落ち、薄っすらと周囲を照らし出している。
 先ほどまでは暗視を頼りに周囲を見渡していたレイジアは、薄明かりに顔を顰めながらも、目を凝らすように細めた。
 視線の先、対面の壁に微かに何かがあるようだが。
「広いな。 奥までは見えないが……待て、二人とも止まれ。 何かいるぞ」
 巨大なその形は……。
「ん、こちらには生物反応はありませんが?」
「特にヤバイ気配はしねーぞ?」
 口々に危険はない、と告げる二人を訝しみながらも、注意深くレイジアが進み出る。
 徐々に近付き、光に目も慣れてきたことで、そこにあるものがはっきりと見えてきた。
 それは巨大な竜の骸。
 いや、化石となった竜の姿があった。
「こいつぁすげぇや……」
「コイツはすげぇな……」
 呆けたように化石を見上げて声を重ねる二人を眺めながら、道理で危険がないわけだと納得するレイジアだった。
「鍾乳洞といい、この化石といい。 世界が違えば、これだけでも十分な観光資源になりそうなのに、勿体ないですね」
 実に惜しい、としみじみと呟くデナイルに、この世界の住人であるティルは、そんなもんかと首を傾げる。
 確かに、旅をするにも命がけなこの世界では意味がないが、UDCアースやキマイラフューチャーであれば、十分に収入が見込めたことだろう。
 観光案内も悪くないと呟く声を他所に、レイジアはこの部屋が行き止まりであることを確認すると、二人に声をかけた。
「こっちはこれで行き止まりのようだな。 他のパーティと合流するとしよう」
 その言葉に、後ろ髪を引かれる思いでちらちらと化石の方に視線をやりながら、その場を後にする一行だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『魂灯る鉱石』

POW   :    肉体労働で採掘、岩石をどける

SPD   :    採掘した石を美しく研磨する

WIZ   :    鉱脈を読み解き、大物を探す

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 合流した猟兵達は、一際明るく広い部屋へと足を踏み入れた。
 そこは、数多の色彩に溢れていた。
 単色から、複雑に色の絡み合った混色。 さまざまな色合いの淡い光が、壁や鍾乳石、石筍から発せられている。

 ――魂灯石。
 化石と共に発掘されることが多く、淡い光を灯すことから、魂の宿った石としてその名で呼ばれる鉱石だ。
 さまざまな色を持つため、縁起物としても重宝されているが、特に需要が高いのが白いものだという。
 周囲を明るく照らしながらも、火も煤も臭いもない白い鉱石は、貴族がこぞって買っていく高級品なのだから。
 地図も無事に完成した。 次は、採掘の時間の始まりだ。

 だが注意してほしい。
 この中には、魂灯石以外の物も、混じっているかもしれないのだから。
デナイル・ヒステリカル
圧倒される光景に内心では舌を巻くほど感心しましたが、まだ依頼の途中です。
グリモア猟兵の方に注意されたオブリビオンの排除も達成できていない今、無闇に荷物を増やすのは得策では無いと判断します。

鉱石については、必要最低限のサンプルを持ち帰り、集積した埋蔵量のデータと共に提出するとして……

「やはり問題は、未だに遭遇していない仮想敵ですか……」

UCを使用して機械兵士を召喚。
命令コードをハッキングによって書き換え、索敵と警報システムを組み上げます。
彼らには僕たちが鉱石への作業をしている間、周辺を警戒させましょう。


花宵・稀星
ほぅ、と思わず溜息が漏れてしまいそうな美しい光景ですね。

魂灯石は化石と共に発掘されることが多い、ですか。
となると、他の隊の方が発見したという、竜の化石に関係して鉱脈が伸びているかもしれないですね。
洞窟内のマッピングをして下さった方もいるですし、鉱石の露出しているところの配置と、化石が発見された場所との位置関係などを記入していけば、鉱脈が追えたりするかもしれないです。

まあ、それも見当外れかもしれないので、その仮説に拘らずとも、鉱脈の法則性を見出して、効率よく採掘を進めることを目指したいところです。


木目・一葉
何故竜の躯があるのか
そういえば、
「金銀財宝を一人占めにした者が竜に姿を変えてそれを守る、という逸話が多い」
もしかしたら、そこにまだ宝石が隠されているかも

【WIZ】
まずは鉱脈の読み解きに使える道具を借りる
読み解きを行う際には【失せ物探し】【地形の利用】と【情報収集】を用いる
その鉱脈が竜の化石があった部屋に繋がっているようなら、そこも調査しておく
このとき竜の化石にUC【操り糸の影】が使えるなら、その意思を読み解き、情報を引き出しておきたい
天然の罠については【第六感】で引き続き警戒する
あと敵は水の大蛇だから、流れる水があれば念の為注意するのと、地図に記録しよう
次の居場所探しと退治に役立つかもしれない




 カツン、カツンと硬い岩塊を叩く音が遠くから、鍾乳洞に反響して漣のように寄せては返す。
 ほの明かりの中を数人の足音と、それに紛れるような小さな作動音と共に機械が闊歩する。
 小さな沢に差し掛かったところで、一人の少女が立ち止まり、沢の底をさらうように手を滑らせは砂を水に流していく。
 水から手を上げた女性は、後ろで待つ青年と少し年下の少女に向き直ると声を掛けた。
「どうやら、この沢の上流にも鉱脈があるようだな」
「どうしてです?」
 確信の籠った彼女の言葉に、小首を傾げた稀星が疑問を呈すると手が差し出される。
 その濡れた一葉の手の上には、数個の小さな石ころが乗っていた。 それは一見何の変哲もない石ころだ。
「もはや光を失っているが、これは魂灯石だ。 沢の中にこれがかなりの数がある」
「ということは、この向こうから流れてきた……ということですね」
 一葉の発言をデナイルが続ける。
 その視線の先は、沢の始まる場所。 水が流れ出す壁の小さな隙間へと注がれていた。
 電脳ゴーグルで探査しても反応が薄い。 ということは、この鉱脈は少し奥まった場所にあるのであろう。
 一先ず地図に詳細な情報を記して、その場を後にするのだった。


 ランタンの明かりを頼りに、新たな鉱脈と水脈を求めて三人の調査は続く。
「やはり問題は、未だに遭遇していない仮想敵ですか……」
 先ほどからずっと、彼らの後ろを付いて歩く機械は、水の大蛇を警戒してのものだった。
 本来であれば戦闘用のそれは、デナイルの手によって改造を施され、戦闘能力を犠牲に索敵と警戒を主な任務としていた。
 しかし水の大蛇はおろか、モンスターの一体とも遭遇することなくここまで来ていたが……その時、一瞬の彩りが視界を過ぎる。
「念のために注意しているが、姿を現す気配もない……ん?」
 それに気付いたのは、注意深く地形を探っていた一葉だった。
 一瞬の出来事だったあまり、見落とすところだったが、既に視界にない。
 ……どこだ?

「急に立ち止まって、どうしたんです。 なにか見つけたですか?」
 歩みを止めた一葉に、またもや稀星が問う。
 視界に過ぎったもののことを伝えると、彼女はランタンを掲げて合図をするかのように大きな円描いた。
 円を描く度に、ちらちらと光が瞬く。 近付いてみるとそこには。
「これは……オパールか?」
 ランタンの明かりに照らされ、赤や緑の光を返す渦巻き状の石が、壁面に刺さるように埋まっていた。
「少し似てますが、オパールじゃなくてアンモライトなのですよ」
 知識の中にある似た宝石の名を口にしながら覗き込む一葉に、稀星が訂正する。
 その言葉に、どう違うんだ? と首を傾げる彼女に答えたのはデナイルだ。
「オパールは鉱物で、アンモライトは生物起源の宝石ですね。 簡単にいうと、琥珀や真珠の親戚です」
 アンモナイトのようなものがここにるということは、この付近にも鉱脈があったりするですかね? と会話を交わす稀星とデナイルを他所に、一葉は指先でアンモライトに触れる。
 生物であったならば<操り糸の影>で何か情報が引き出せるかもしれないと考え、ユーベルコードを発動させた。
 しかし、なんの感触も帰ってこない。 あまりに古すぎて、残留思念の欠片も残っていないようだった。
「次は竜の化石がある部屋に行ってみるです。 あそこからも、何か辿れるかもしれないですからね」
「そうだな……しかし竜か。 財宝を独り占めにしたものが、竜に姿を変えて守るという逸話が多いな」
 そんな会話を交わしながら、三人は調査を続けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レイジア・ピグマリオ
【SPD】
なるほど、これは確かに美しい。
できる限りきれいな状態で村人たちに明け渡したいものだな。

人形作りの中で鉱石の類をいじることもある、余計な岩石質部分を取り除いたりある程度形を整えるための研磨は任せてもらおう。
ついでにこれは性分なので余裕があればにはなるが、魂灯石の色と状態(主に傷の有無や大小)できっちり分類して分けるようにしておく。

無論その間、特に鉱石の採掘を行っている人には気を配っておく。
崩落を始めとして、岩肌の異常や周囲の変化などがあれば声をかけて注意を促すことにしよう。


マリン・ルベライト
きらきらしてすごく綺麗だな〜
これは探索してきた甲斐があったね!
ひとまず私はあまり力もないし採掘はみんなに任せて出てきた鉱石を磨こうかな
自分の身体をお手入れする時みたいに優しく優しく
こんな綺麗な鉱石だし磨いたらもっと綺麗になるよね!


ティル・ライハ
おー、すっげぇ。宝の山じゃん。こりゃ売れるな。
……はいはい、ちゃんとオシゴトしまーす。

とりあえず[第六感]でコレだっての見付けたら、持ってるナイフで研磨作業してよっかな。
あー、なんだっけ、白いのがいいんだろ? 見付けられたらソレをゲットしてぇよな-。
……ん?もしかして危険な物もあるのか? 注意しとこ…

『SPD 第六感など感覚重視で鉱石を選び、研磨』
『周りの皆の様子を見て危険感知』


ベルリリー・ベルベット
きゃあ、感激!
なんて綺麗な空間なのかしら。
頑張って辿り着いたかいがあったわね。
ふふ、この場所はマップに赤の二重丸で記録しておきましょう。

他にも採掘する人がいれば、協力して作業したいわ。
リリは鉱石を傷付けないように気を付けながら、ナイフで慎重に掘り出しましょうか。
確か白いものが高級品なのだったかしら?
目利きのできる人がいれば見てもらいたいけれど、いなければ外へ持ち帰って見てもらうしかないかしらね。
なるべく白くて光っていて無臭のものを選んで、持参したバックパックにいくつか詰めていくわ。

竜の化石を調べに行く人がいればリリも手伝うつもり。
念の為、来た道以外に繋がる道がないかも調査。

◆アドリブや絡み歓迎




 ほのかに明るい鍾乳洞の中、その一角で石壁に向かってカッカッとナイフが突き立てられる。
 硬い鉱石の周りを避けるように、比較的柔らい部分を狙って振るわれたナイフは、切っ先を壁に埋めていく。
 切っ先が数センチ埋まる度にナイフを左右に揺すっていくと、やがててこの原理によって、ごろりと石が転がり落ちた。
「ふぅ……鉱石を割らないように掘り出すのはなかなか大変だわ」
 額にしっとりと滲んだ汗を拭い、ベルリリーはため息を漏らしながら、先ほど落ちた石を拾い上げると歩き出した。
 彼女が歩いていると、ガラガラと重たいものが崩れる音と共に、足元に小石が転がってきた。 誰かがすぐそばで壁を壊したようだ。
 特に慌てている様子もないので、意図的に崩したのだろう
 気にするでもなく歩みを進めたその先には、こんもりと積まれた石の山。 先ほどまでに掘り出されて集められた鉱石だ。
 集積場所の前では、少年少女が座り込み、研磨作業などを行っていた。

 鉱石から石を削り取る作業をしていた少年が、ベルリリーの足音に気付き顔を上げた。
「ベルリリーおつかれ。 すっげぇお宝見つけたぜ!」
 ティルはそれまで削っていた鉱石をほっぽりだし、すぐそばで磨き作業を行っているマリンの手元を指さした。
 自分の肌もかくやというほど真剣に鉱石を磨いていた彼女は、呼ばれたことで顔を上げ。
「あ、ベルリリーちゃん、これ見てよこれ!」
 綺麗でしょ、とマリンの差し出した手のひらには、光を反射して無数の色味を見せる一つの宝石が載せられていた。
「まあ、キレイなプレシャス・オパールね! ……でも、まだ石の部分を削り切っていないのに、どうしてもう磨いているのかしら?」
 ベルリリーのいう通り、そのオパールにはまだ石がが付着していた。 だが、その言葉にマリンは、それじゃ意味がないと首を振った。
「これはね、ただのオパールじゃなくて、竜の化石がオパールになったものなんだよ」
 すごいでしょ? となぜか自慢げにクリスタリアンの彼女は、その宝石の希少性について語りだすのだった。


 宝石談話に花が咲いているさなか、話題に耳を傾けながらも研磨された鉱石を仕分ける男が一人。
 簡易ながらも綺麗に磨かれた石を光に翳し、品質を確かめると、並べられた石の一角に置いた。
 まずは色別に分け、明度によって等級を付け、更に傷の有無や大きいさによって細かく分類していく。
「どうやらこの鉱脈の魂灯石は、品質がいいものが多いようだな」
 採取された鉱石は、少し採掘しただけにも拘わらず、大粒の白色が複数含まれていたのだ。
 その反面、魂灯石以外の鉱石はほとんど出てきていなかった。 精々が、先ほど発見されていたオパールや化石程度である。
 もしかすると、あの竜の化石が何かしらの影響を与えているのか……などと考察を交えつつ、レイジアは次の石を手に取った。
 触れた感触は酷くなめらかだ。 普段から己の身体の手入れで慣れているからか、マリンの研磨した鉱石は傷一つなく暖かな光を放っている。
 今後商売を始めるにしても、村人がこれと同程度のクオリティを出すのは、なかなかに難しそうだ。
 まあ、それは村人が考えることであって、自分達が気にすることではないだろう。

「レイジア、これで一山終わったみてぇだ」
 黙々と仕分け作業をしていたところ、研磨し終わった魂灯石を抱えたティルが声をかけてきた。
 その腕の中には、鮮やかな色彩を放つ無数の結晶体と、僅かながらの宝石が見受けられる。
 気付けば、既にサンプルとしては十分な量が集まっていた
 それにしても、淡い光だといっても、これだけの数が集まると少々眩しさを感じるほどだ。
「これだけあれば報告するには十分だろう。 一度他の者達と合流して報告に戻ろうか」
 彼のその言葉で、撤収作業が始まる。
 綺麗に分類された魂灯石は各々のバックパックに収められ、採掘道具も含めてコンパクトに収納されていく。
 あまり大きな荷物を持って移動するわけにもいかないのだ。 未だに水の大蛇の痕跡すら発見されていないのだから。
 道中に襲撃される可能性を考慮して、警戒しながらも猟兵達は帰路に就くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『水の大蛇』

POW   :    水の身体
【液体の身体により】、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らす。
SPD   :    口からの水弾
レベル×5本の【水】属性の【弾丸】を放つ。
WIZ   :    身体の復元
【周囲の水を体内に取り込み】【自身の身体を再生】【肥大化を行うこと】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は宇冠・由です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 一路、経過報告を行うために合流した猟兵達。
 周囲の警戒を怠らないながらも、互いに得た情報の交換をして帰路を辿っていた。
 このまま順調に村まで戻れるかと思ったのも束の間。 元気に囀っていたカナリアが鳴き止んだのは、つい先ほどの出来事であった。
 どこからか地響きが聞こえ、微かに地面が揺れている。
 鍾乳洞が崩落するほどの揺れではないが、猟兵達は円陣を組み襲撃に備えた。
 地響きが徐々に大きくなってくる。 音の出どころは……足元だ。
 誰かの逃げろという言葉も空しく、猟兵達は崩れた足場に飲み込まれていく。

 崩れ落ちた岩が水面を叩き、大きな水柱を生み出す。
 猟兵達が落ちた先に待っていたものは、幻想的な風景だった。
 巨大な地底湖の湖底からは淡い光が溢れ出し、岩壁から露出した数えきれないほどの結晶体が、周囲を明るく照らし出している。
 幸いにも水中に落ちた猟兵達は、大した被害もなく各々岸へと辿り着く。
 ただ一つ、問題があったとすれば……水で形作られた大蛇が鎌首をもたげ、猟兵達を睥睨していることだろうか。
 淡くも周囲を映し出す魂灯石の光の中、水の大蛇が猟兵達に襲い掛かる!
花宵・稀星
水の身体を持つ大蛇ですか……。
そのままであれば、打撃などの攻撃の手ごたえが薄そうなイメージがあるですね。
ユーベルコードは超常的な異能(ちから)ですから、それでも敵の生命力を削げるのかもしれないですが。

いずれにしても、その水で出来て自在に流動する身体をどうにかできれば、多少は有利にことが運びそうに見えるですね。
ここは制御の難しい<エレメンタル・ファンタジア>を、宝石<アクアマリン>の力を借りることで高度に制御して、水の大蛇の周囲に絞って、氷属性の嵐を引き起こすです。

水で出来た体を凍り付かせて流動性をなくし、身動きを取りづらく、また打撃などによっても砕けることで大きく削れるようにしていくです。


マリン・ルベライト
うわぁ⁉︎
急に足場が崩れるなんて…
でも下が湖でよかったよ
こんな綺麗な場所がまだあったんだね…
なんて言ってられないみたいだね
まさかこんな場所にいたなんて
蛇はちょっと苦手だけど放っておくわけにはいかないね
私は距離を取って【千里眼射ち】で戦うよ
誰かが前で戦ってくれてたら【援護射撃】で蛇の動きを止めるよ
【2回攻撃】【誘導弾】も使って暴れさせない!
村のみんなのためにもここでしっかり倒さないとだよね!


木目・一葉
「本命のご登場か」
油断はできない
必ず皆で無事に帰ろう
勿論このカナリアも一緒だ

・戦闘
注意すべきは敵の身体の復元だ
ポジションは前衛
斧と妖の小太刀を構える
敵の水弾は、小太刀の『妖刀解放』の衝撃波で迎撃する
物理的な攻撃は斧で【武器受け】、威力が大きいときはそのまま受け流す
そうして防御に専念し、【おびき寄せ】で敵を地底湖から引き離す
また敵の隙が見えたら真の姿を解放し、影の追跡者の召喚から『影人の縫い針』でUC封印を仕掛ける

しかしコイツ、あの化石だった竜が身体を失った末に辿り着いた姿なのか
それとも竜と同様に宝石に惹きつけられたのか
「欲深すぎるのは問題だな
僕は、このカナリア一匹拝めただけで十分だ」


デナイル・ヒステリカル
眼鏡のレンズが濡れて視界が歪みます。とんだアクシデントですね。
しかしこの災難に見舞われたのが猟兵である僕たちで良かったとも言えます。
ここでオブリビオンを排除し、今後の安全を確立しなければ。
眼鏡を拭いて一息つき、敵へと相対します。

濡れた状態では電撃系の攻撃手段は使えませんか……。
直接攻撃は不得手ですが仕方ありません、隠し球を使いましょう。
ユーベルコード:シークレットウェポンで無数の槍を作り出し、中空から射出して敵を串刺しにします。
地面や壁に張り付けるようにタイミングを見計らってから攻撃するべきですね。


レイジア・ピグマリオ
【SPD】
…まあ、ある意味俺たちが遭遇できてよかったと思うべきか。
これで何事もなく仕事が終わっていたら逆に不安になっていたところだ。

基本的には遠距離から【一つ目巨人の熱視線】を使って攻撃。
相手との距離次第では爪での攻撃を用いて【2回攻撃】や【フェイント】も織り交ぜていく。

俺自身は全体を俯瞰するような立ち位置を心がけ、不測の事態にはキュクロプスを使って誰かを庇うことも厭わない。

「さて、最後の障害を排除して大団円と行こうか」


ティル・ライハ
うっわ、まさか落ちるたぁ、な。ってデカいの来たし! アイツ倒せばいいんだな? じゃ、頑張るか!

ああいう敵には俺のナイフじゃ、あんま意味なさそうだけど…
頭狙ってナイフを[投擲]してみる。効いたら2本目も投げるけど、そうじゃなかったら仲間への被弾を防ぐ作戦に出よっかな。
[逃げ足]とかUCを駆使して[おびき寄せ]て、ヤツの水弾攻撃を少しでも逸らせたらいっかな。

『SPD ナイフによる投擲攻撃』
『状況に応じ、素早さ勝負での注意逸らし』




 幻想的な灯りに彩られた光景を引き裂くように、幾多の水球と精霊、矢と槍が乱れ飛ぶ。
 戦いは、始まった直後から熾烈を極めていた。
 視界を覆いつくすは水の大蛇の生み出した水の弾丸。
 それを迎え撃つは人魚の姿をした水の精霊と、槍を模した電子精霊。 そして数多に枝分かれした光と矢の軌跡だ。
 空中で衝突した両者は、互いの威力を殺し合い、炸裂した水の球が雨のようにざあざあと地面を濡らす。
 だが力の差は歴然としていた。 攻撃の数でこそ猟兵達の方が倍にしているが、僅かに押し負けていた。
 撃ち漏らした水弾が、地上に降り注ぐ。

「水の中に居られたんじゃ厄介だ。 引きずりだすぞ」
 妖刀の怨念を纏った一葉が、振るった小太刀の衝撃波で水弾を撃ち落としながら駆け出す。
 その後ろを両の手にナイフを握ったティルが追従する。
「俺も手伝うぜ。 まぁ、効果があるかはわかんねぇけどな!」
 走りながら水の大蛇を振り返り、バックステップからの投擲。 その手から放たれたナイフは、狙い過たず大蛇の頭部に吸い込まれていく。
 はたして効果があったのかはいまいち分からないが、大蛇は煩わしげに彼らを見下ろし……次の瞬間、一葉の放った衝撃波がバシリッと頭部を叩き上げた。
 それまでは無秩序に撃たれていた水弾が、指向性をもって一葉とティルに殺到する!
「うっわ、すっげーこっちに来たし!」
 予備のナイフを取り出した少年は弾んだ口調でそういいながらも、まるで水弾の落ちる場所が分かっているかのように回避する。
 いや、実際に分かっていたのだろう。 相手の動きや視線から狙いを読み、軌道を予測したのだ。
 ただの数が多いだけの攻撃であれば、彼にとってはこの程度のことは容易いことであった。

「さあ、こっちに来い、欲深き者。 そんな水鉄砲で僕を倒せるか?」
 水が飛び、精霊が舞い、光が乱舞し、矢が飛翔する戦場の中、一葉は自らに向かって飛んでくる水の球だけを狙い、小太刀から生み出される衝撃波で的確に撃ち落としていく。
 徐々に下がる二人を追い、水の大蛇が陸へと乗り出し、その身で地を濡らす。
 全身を曝け出したその無防備な姿に、一葉の口元が緩む。
 彼女の影が波打つようにざわりと揺らめくと、音もなくするすると蛇に向かって伸びてゆく。
「影よ、簒奪し肥大する欲深き業を縫い付けよ!」
 大蛇の足元に達した影が囲むように立ち昇ると、それはその身を縛るわけでもなく浸透し、復元能力を雁字搦めに封じた。
 苛立ちに満ちた音無き咆哮が、地底湖の水面を揺らすのだった。


 再び、水の弾丸が生み出された。
 それは最初の攻撃とは異なり、密集して射出されたそれは、あたかも津波の如くなだれ込んでくる。
「全員集まれ、面攻撃ならむしろ好都合だ。 全てを落とす必要はない」
 レイジアの号令で猟兵達が集まる。
 正面にはレイジアが手繰る一つ目巨人キュクロプスと稀星、左右にはマリンとデナイルが展開する。
 迫る水弾の津波を前に、稀星が宙へ浮かべたダイヤモンドが輝きを零れさせ、キュクロプスのサファイアのような青い単眼に光が集束する。

 一瞬の眩い輝き。 極大化へと至った光が、二条の熱線となり放たれる。
 時を同じくして、一葉は前方へと飛び出した。 振り上げたその腕には、一振りの巨大な戦斧。
 渾身の力で振り下ろされた戦斧グリューアンクルは、<グラウンドクラッシャー>により岩盤を破壊し、捲れ上がらせる。
 二条の熱線は、狙い過たず津波――水球の先触れに接触するや否や、瞬時に沸騰・昇華させた。 それは膨大な蒸気となり、炸裂音と衝撃波を伴い、水球の群れを消し飛ばす!
 壁のように捲くれ上がった岩盤に、水蒸気爆発によって巻き起こされた熱風がぶつかり、吹き抜けていく中、二人の男女の声が響き渡る。
「そんな攻撃、先刻お見通しだよ! 行って!」
「旧式兵装、水弾を穿て!」
 言葉と共に撃ち出されたマリンの矢とデナイルの槍は、岩盤の壁を迂回するように飛来した水球に向かっていく。
 本来であれば津波に紛れて左右から挟撃するはずだったその水球は、元より行動を読まれ、あっさりと撃ち落とされることとなった。


 爆発によってその体積を減じさせた大蛇が、怒りのままに猟兵達に突撃する!
「こっちだ、デカブツ! そんなノロノロ攻撃じゃ、当たんねーよ!」
 我を失った水の大蛇は、おびき寄せる声に引かれるようにティルへと体当たりをするも、単純な動きはあっさりと回避されてしまう。
 避けられるのであれば、避けれぬほどの速度で突っ込めばよいのだ。 そう考えた蛇の腹部が蠢き水流となる。
 地面からの抵抗を失ったその身をうねらせ、地上を滑るかのように大蛇が疾駆する。 それは先ほどまでとは違い、倍する速度でティルに迫る!
 だが、その突進を前にティルは、余裕のある表情で無防備に立ち止まった。
 そんな彼と蛇の間に、硬質な音を立て一本の槍が突き立つ。
 いや、一本ではない。 それは連続して緩やかな曲線を描きながら、綺麗に整列するように並び立った。
 摩擦抵抗を極限まで失った蛇の体表を槍が滑る。 それはあたかもレールのように、一直線に壁へと導き。
 壁に激突した鈍く重たい振動が、地底湖全体を微かに揺らし、大蛇の身体が頽れ横たわる。
 この機を逃さず、蒼い宝石アクアマリンを手にした稀星の<エレメンタル・ファンタジア>が局所的な氷雪の嵐を巻き起こし、みしりみしりととぐろ巻く身体を凍てつかせ。
「みなさん、今なのです!」
 言の葉に導かれ、数多の矢が槍が精霊が光が、その身を凍えさせもはや逃げるすべを失った大蛇に乱舞する。
 幕切れはあっけなく。
 舞い落ちる幾千万もの氷片が、魂灯石の光を浴びて、きらきらと反射しながら降り積もってゆく。
 こうして戦いは終結した。


 戦闘によって疲労した身体を引きずりながらも、地底湖の探索を終えた猟兵達は、発見された地上への通路を進む。
「しかし、面倒な敵でしたね……」
 疲れた顔をしながら、 特に、拭いても拭いても眼鏡が濡れ、視界が歪んで苦労をしたとデナイルが言葉少なに呟く。
「まあまあ、村のみんなのためにも倒さないといけなかったから」
 とマリンが諫め、それにしても、すごく綺麗な場所だったよね、と地底湖の光景を思い返しながら楽しげに告げる。
「ああ、あれは間違いなくかなりの鉱脈だな。 村人も喜んで大団円といったところだ」
 少しずれたことを言うレイジアに、そういうことじゃないよと彼女は肩を竦めてため息を零した。
「まぁ、いいじゃないか。 皆無事で、村人も喜ぶ結果になったんだ。 そうだろ?」
 そう言った一葉の持つ鳥籠の中で、カナリアが姦しくも美しい声音で囀るのだった。

 その後、猟兵達によってもたらされた魂灯石の情報は、この村に少なくない富を与えることになる。
 狂喜乱舞した村人達に、盛大に祝われることになるのだが、それはまた別のお話。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月29日


挿絵イラスト