帝竜戦役③〜白と黒の攻防
「僅かに一手。僅かに数日……。ヴァルギリオス様の仰られた程、我等は後手に回った訳ではない。しかし、それでも、この最速の我さえも、敵に先手を許す事となった」
白と黒に交互に区切られたチェス盤のような大地に一体のドラゴンがいた。ドラゴンは己が能力を以ってしても先んじられたことに苦悩する。
「我を含む『再孵化』した帝竜に、それ以前の記憶は無い。だが、我が脳裏には、苦い敗北の悪夢が刻まれている。敵の喉元に喰らいついておきながら敗北を喫した、苦い記憶が……」
人ならば苦々しく顔を歪めただろうと思われる声で、ドラゴンは敗北の残滓に悔しそうに歯軋りをした。
「だが、それはつまり。どのような盤面からでも、勝利の光明は見えるという事。例え捨て駒となろうとも、勝利の栄光をヴァルギリオス様の御元に捧げん!」
己が敗北しようとも主が勝つ道筋を作れるならば、それは己の勝利も同然だと、この地を支配する帝竜カダスフィアは決死の覚悟を決めて侵入者を待ち構える。
己が命を捨ててでも主に勝利を捧げようと、覚悟を決めたドラゴンが猟兵の行く手を防がんとチェスの黒いマス目に立った。
●
「アックス&ウィザーズの群竜大陸を攻略中だったが、先んじてオブリビオン・フォーミュラ『帝竜ヴァルギリオス』が動き出した」
空に浮かぶ島を映すグリモアベースで、バルモア・グレンブレア(人間の戦場傭兵・f02136)が群竜大陸で戦争が始まったと猟兵達に告げる。
「魂喰らいの森と皆殺しの平野を抜け、その先にある白黒のまるでチェス盤のようなエリアに到着したが、そこには帝竜カダスフィアが待ち構えていた。これを討たねば先には進めぬ。よって諸君には帝竜カダスフィアの討伐を頼みたい」
チェス盤のエリアを守護する帝竜カダスフィアと戦う任務となるとバルモアが説明した。
「帝竜カダスフィアはさまざまな強力な能力を持っているが、その中でも厄介なのがこちらの攻撃に先んじて先制攻撃を行う能力だ。これの対処の仕方を考えて置かねば、大ダメージを受けて反撃どころではなくなってしまうだろう」
敵は先制攻撃によるユーベルコードの攻撃を仕掛けてくる。これに耐えねば反撃する暇もなく倒れてしまう可能性がある。
「先制攻撃は厄介な能力だが、今までの戦いで経験した者も多いだろう。必ず突破する方法は存在する。今までの経験を活かせば勝機はある」
バルモアが世界を繋げるゲートを開き、白と黒のチェス盤の戦場へと猟兵を送り出す。
「手強いドラゴンであろうとも、諸君ならば必ず倒せるだろう。敵が決死であるならば、その上を越えて道を切り開け!」
天木一
こんにちは天木一です。帝竜戦役が始まりました! 最初の帝竜ヴァルギリオスを討ち取る戦いとなります!
チェス盤のようなエリアでの戦闘となります。帝竜ヴァルギリオスは必ず先制攻撃を行うので、それに対する対処法が必要となります。上手い対処法が用意されていればプレイングボーナスを得る事ができます。
複数人で参加する方は最初にグループ名などをご記入ください。
プレイングの締め切り日などは決まり次第マスターページにて。
先制攻撃を凌ぎ、帝竜カダスフィアを撃破しましょう!
第1章 ボス戦
『帝竜カダスフィア』
|
POW : ビルド・カダスフィア
無機物と合体し、自身の身長の2倍のロボに変形する。特に【チェス盤化した、半径100m以上の大地】と合体した時に最大の効果を発揮する。
SPD : ミリティア・カダスフィア
【チェス型ゴーレムの大群】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ : 形成するもの
自身からレベルm半径内の無機物を【チェス盤やチェスの駒を模した怪物】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
イラスト:あなQ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
蛇塚・レモン
戦略に長けているらしいけど、定跡に乗っかってあげる義理はないよっ!
左目の呪詛と加護を念動力で増幅
襲い掛かる怪物たちへ、全力魔法の催眠術による蛇神様の幻影を見せるよ
残像による覇気と幻惑属性の精神攻撃で怪物たちへ恐怖を与える
ついでにオーラガンによる咄嗟の一撃+だまし討ちで怪物を吹き飛ばして、玉突事故で同士討ちを誘発させるよっ!
怯んだ隙に、あたいは衣服の加護による迷彩を発動させて上空へ念動力で急上昇!
空の色と同化したままUC発動
上空から空中戦
神楽を舞いながら蛇腹剣を怪力任せに振るう
怪物達ごと帝竜目掛けて衝撃波を乱れ撃ち!
※鎧無視攻撃+範囲攻撃
『盤面』そのものをひっくり返すのが
あたいの戦略だよっ!
アイン・セラフィナイト
まるで策士だね。自身の死さえも計算に入れるなんて、並大抵の覚悟じゃない。
……勝負だ、カダスフィア。キミを倒し、ヴァルギリオスに一歩近づく!
【対策】
『神羅の鴉羽』で『空中戦』、飛び道具とかも考えて『暁ノ鴉羽』で『オーラ防御』しておくよ。
【反撃】
数多の軍勢がひしめき合う戦場、確かに、空を飛ぶだけじゃ突破できない。
……けど。UC発動、【溢れろ境界】!この鴉羽を持っている者しか、黄昏の時の法則に逆らえない。キミ達にとっての1秒は、70秒にまで減速する。凍りついたように動けないはずだ。
無防備だね、帝竜。『境界術式』展開、『属性攻撃・全力魔法・範囲攻撃・リミッター解除』の魔弾の雨で帝竜を『蹂躙』する!
●帝竜カダスフィア
「これが帝竜っ! すごいプレッシャーだね!」
巨大なチェス盤のフィールドに鎮座する巨大なドラゴンを前にしても怯まず、闘志を燃やす蛇塚・レモン(白き蛇神オロチヒメの黄金に輝く愛娘・f05152)が立ち向かう。
「現れたか侵入者よ。我は帝竜『カダスフィア』。ヴァルギリオス様に勝利を捧げる為、ここで貴様等の思惑を歪める一手となろう!」
近づくだけで肌が粟立つ程の圧倒的なドラゴンの力を持っていながら、一切の油断なくカダスフィアは先手を取って攻撃を繰り出す。
「敵を滅ぼすものよ、ここに成れ」
カダスフィアの周辺のチェス盤が一区切りごとに起き上がり、巨大な四角い板に四脚が生えた怪物となって飛び掛かって来る。その大きな板で圧し潰そうと頭上から迫る。さらに周辺からはチェスの駒が人型となったような怪物が取り囲み、逃げ道を塞ごうとする。
「戦略に長けているらしいけど、定跡に乗っかってあげる義理はないよっ!」
レモンは身を投げるように圧し潰す攻撃を躱しながら左目を深紅に変え、神通力が増大して周囲の敵に催眠術に掛け、その目に蛇神様の幻影を出現させた。怪物達は突然現れた幻影に向かって攻撃を繰り出し空振りする。しかしその内の数体は幻影と共にレモンにも届く攻撃の軌道を描いてその胸を貫いた。だがその一撃は手応えがなく幻のようにレモンの姿が消える。
「残念だったね、それは残像だよ!」
地面を転がるようにして攻撃を避けたレモンは、殺意を籠めた精神波を放って恐怖の感情を与え近くの怪物の動きを一瞬止めた。
「吹き飛べ!」
その隙に指鉄砲を向けてオーラの弾を撃ち込んで吹き飛ばし、他の怪物にぶつけて玉突き事故を巻き起こす。
「我が身尽きるまで兵を生み出そう。必ず貴様等の力を削りヴァルギリオス様に届く刃を減らす!」
カダスフィアが周辺の地面から新たな怪物を生み出し、数で圧し潰そうとする。
「まるで策士だね。自身の死さえも計算に入れるなんて、並大抵の覚悟じゃない」
主の為に覚悟を決めて戦いに臨むドラゴンに、アイン・セラフィナイト(精霊の愛し子・f15171)は敵とはいえ感心する。
「……勝負だ、カダスフィア。キミを倒し、ヴァルギリオスに一歩近づく!」
ならばこちらも全力で挑もうと、アインは黒い翼を広げて空に舞い上がった。
「飛ぼうとも我が一手からは逃れられん」
カダスフィアの作り出した怪物達は、山のように下のものを踏み台にして高度を上げ、飛んでいるアインにまで距離を詰めた。そして飛び掛かって捕まえて地上に引き摺り落とそうとする。
「無理矢理空に登ってくるなんてね、執念じみた戦い方だ」
その群れをアインは躱そうとするが、まるで津波のようにうねって次々と跳び掛かるものが絶えない。そしてその手がとうとうアインの足に届く。だが捕まえる直前にふわりと鴉羽が割り込むと、極光の如き輝きに包まれ怪物の手は弾かれた。
「攻撃を受ける可能性は考えていたからね、こっちも策を用意しておいたよ」
すぐに距離を取ったアインは群がる敵の攻撃を逃れ続ける。
「今のうちに!」
怪物の注意がアインに向かっている隙に、レモンは服を加護による迷彩で姿を消し、念動力で身体を浮かせて空に飛び上がった。
「怪物もろとも帝竜を倒す! 『盤面』そのものをひっくり返すのがあたいの戦略だよっ!」
空で黄金の霊波動を纏ったレモンが蛇腹剣を持って神楽を舞う。すると一振りするごとに強烈な衝撃波が放たれて怪物を粉砕し、乱れ撃つ衝撃波はカダスフィアにも届き、その金属のように硬い鱗を破って血が流れ出る。
「小賢しい、だがここに居る限り我の盤面の内よ」
カダスフィアが地面を強く踏み砕く。すると砕けた破片が空に舞い上がる。それが怪物達へと変化し、空を飛ぶレモンに覆い被さり、地上へと叩き落とした。
「数多の軍勢がひしめき合う戦場、確かに、空を飛ぶだけじゃ突破できない。……けど」
守りに徹して粘ったアインは、敵に囚われる前にユーベルコードの発動に漕ぎつける。
「溢れろ境界!」
天より鴉羽を降らせると辺りが日が落ち始めたように色づき、黄昏の世界に戦場が包まれる。すると先ほどまで勢いよく迫っていた怪物達の動きがスローモーションのように遅くなった。
「この鴉羽を持っている者しか、黄昏の時の法則に逆らえない。キミ達にとっての1秒は、70秒にまで減速する。凍りついたように動けないはずだ」
アインが手にした鴉羽を見せ、敵のカダスフィアの頭上を取るように位置取った。
「無防備だね、帝竜。『境界術式』展開、『属性攻撃・全力魔法・範囲攻撃・リミッター解除』の魔弾の雨だ。動きの遅くなった状態では避けようがないよ」
アインが手を上げると時限を越えて無数の魔書が姿を現し、様々な魔法陣が浮かび多様な属性を宿した魔弾が魔術によって形成されていく。
「この一撃で帝竜を『蹂躙』する!」
手が振り下ろされると一斉に魔弾が降り注ぎ、辺りの怪物ごとカダスフィアを撃ち抜いた。その衝撃で自由になったレモンは巻き込まれないようにその場をゆっくり離れる。容赦なく降り注ぐ魔弾が、カダスフィアの鱗を削り穴だらけにしていく。
「な・ら・ば……」
ゆっくりとカダスフィアが身体を捻じり、尻尾を横薙ぎに振るう。すると周囲の怪物達が纏めて打ち上げられた。飛ぶ速度もゆっくりとしていて躱すのは容易い。だがそれは滞空時間も長いということだった。辺りに浮かぶ駒の怪物達がゆっくりと矢を構え、全方向から一斉に攻撃を放った。
「これくらいなら躱せるよ」
その遅くなった矢をアインは避ける。だが躱した矢が盤状の怪物に当たり反射して、跳弾のように矢が無軌道に跳び回った。
「跳弾!?」
慌ててアインは避けようとしたが、どこに飛ぶか分からない矢が極光の鴉羽をすり抜け手足に突き刺さった。
「避けられぬ程の圧倒的数で押し切ればよい」
干渉されたように黄昏の世界が戻り、元の時間に戻ると一斉に矢が加速し、アインは身を守る事に集中し矢から逃れた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ユリウス・リウィウス
ああ、これが帝竜って奴か。随分早いお出ましだなあ、おい。
まあいい。立ち塞がるなら斬り倒すのみ。
チェスの駒か。苦手なものを出してきやがる。
近よる端から「見切り」、双剣の「カウンター」で「なぎ払い」、「盾受け」のノックバックで後退させて、自分の周囲に敵が入り込めない領域を確保する。
攻勢が一息ついたらこちらの番だな。
死霊の霧を広く展開。亡霊騎士団を喚起し、更に悪魔召喚した「ガミギン」に追加で亡者の軍勢を一つ呼び出させる。
相手がでかいからな。こっちも荒ぶる亡者で屍人を巨大化させて対抗しよう。
通常の屍人を帝竜の眷属にぶつけ、荒ぶる亡者数体がかりでカダスフィアに格闘戦を挑ませる。
最後まで付き合ってくれよ?
朝霞・蓮
やつが最初の帝竜かい?腕が鳴るね。
チェス型ゴーレムの大群か…簡単には接近出来なさそうだ。
幸い、カダスフィア自身は強化されていないから、そこを上手く突きたい。
ある程度の範囲までしかゴーレムは動けないみたいだから、範囲外からゴーレムを狙撃で減らして注意を引いた後に、大規模な錬金術で一帯を煙で撹乱しよう。
相手がこちらを見失ったなら、そのあとは呼び出した騎竜に乗って一気に上空から接近して、6本の竜槍でトドメを刺す。ブリッツさ。
いくら駒を並べたって、キングを取ればチェックメイトだ。カダスフィア公は、早指しは苦手だったかな?
勝利した暁には、帝竜の力を吸いとってしまう。
それじゃあ一緒に行こう。ノワ、ブラン!
●早指し
「ああ、これが帝竜って奴か。随分早いお出ましだなあ、おい」
空気が震えるような強い気配を感じたユリウス・リウィウス(剣の墓標・f00045)は、巨大なドラゴンを見やって早々に強敵が現れたと双剣を抜く。
「まあいい。立ち塞がるなら斬り倒すのみ」
そして剣の間合いに入ろうとチェス盤の上を駆け出した。
「ゴーレムよ、近づく前に圧殺せよ」
するとそれを阻止せんとチェスの駒に似たゴーレムの大群が現れて道を塞いだ。それらが手にした剣や槍で襲い掛かってくる。
「チェスの駒か。苦手なものを出してきやがる」
ユリウスはポーンが振るう剣を避けて反撃に斬り返し、近づくものを斬り倒す。するとナイトが跳躍してポーンの上を越えて槍を突き入れた。
「剣の間合いは俺の領域だ」
その槍を右の剣で斬り飛ばし、左の剣でナイトの胴を薙いだ。だがそこへビショップが矢を浴びせる。
「連携してくるか、チェスで追い詰められている気分になるな」
ユリウスは双剣を縦横に振るい弾けるだけの矢を弾き、間に合わぬものはショルダーアーマーで受け止める。そうして矢を凌いでいると、矢に当たるのも構わずに戦車のようにルークが突っ込んで来た。
「くっ、止め切れんか」
それを双剣をクロスして受け止めたが、衝撃を押さえ切れずユリウスの身体が後方へと吹き飛ばされた。
「やつが最初の帝竜かい? 腕が鳴るね」
強大な力を持つドラゴンを前に、朝霞・蓮(運命に敗れた竜・f18369)は自らの腕を試せるいい機会だと不敵に笑みを浮かべた。
「チェス型ゴーレムの大群か……簡単には接近出来なさそうだ。幸い、カダスフィア自身は強化されていないから、そこを上手く突きたいね」
チェスの形をしたゴーレムがドラゴンの周りに展開していた。それを突破するにはどうすればいいかを考えながら観察する。
「ある程度の範囲までしかゴーレムは動けないみたいだね、だったら範囲外からゴーレムを狙撃で数を減らしてみようか」
決まれば速行動と、離れた位置から蓮は白銀の魔動機銃を構えて引き金を引く。放たれた弾丸がポーンのゴーレムを撃ち抜いた。するとこちらに気付き、一斉に駆け寄って来る。
「まだこの距離だと範囲内か」
蓮は下がりながら撃ち続け、ゴーレムの数を減らしていく。
「……まだ近づいてくる、ってカダスフィアがこっちに近づいてきてる!」
弾丸を撃ち込みながら蓮が視線を向けると、カダスフィアが逃さないと間合いを一定に保つように距離を詰めていた。
「距離を離せないなら、視界を塞ごうか」
蓮は錬金札箱で錬金しすさまじい勢いで煙を噴き出させる。それによってゴーレムの群れは目標を見失い、辺りを適当に攻撃して同士討ちを始めた。
「今度はこちらの番だな」
敵が混乱している間に立ち上がったユリウスが、身体を軽く動かして戦闘に支障がないと確認し、冷たい霧を辺りに展開する。そして霧の中にゾンビとスケルトンで構成された亡霊騎士団を喚起した。さらに悪魔【ガミギン】に亡者の軍勢を呼び出させる。
「相手はでかいからな、こっちも巨大化させて対抗するか」
ゾンビが合わさると溶けて融合し巨大化していく。
「さあ、準備は整った。ここからが本当の戦争だ」
ユリウスが一歩踏み出すと、一斉に亡霊の軍勢が動き出し、チェスの軍勢と正面からぶつかり合う。互いに自分のダメージなど気にせず、ただ相手を破壊する為に武器を振るい、互いにばたばたと倒れ消滅していった。そんな中、数体の巨大なゾンビとスケルトンがチェスの軍勢を突破してドラゴンに迫る。
「我が軍勢を突破するか……危険だ。やはりここで叩くは正解であったか」
カダスフィアは金属の角を突き出して、スケルトンを粉砕し、何本もある左手で掴んでゾンビを引き千切った。だがその間にスケルトンが剣で斬りつけ、左の翼を深く斬り裂いた。
「砕けよ」
カダスフィアは左手でスケルトンを引き倒し、踏みつけて砕いた。
「こちらを完全に見失っているな、ならトドメはブリッツで刺そう。それじゃあ一緒に行こう。ノワ、ブラン!」
煙の中から白竜に乗った蓮が黒竜を伴って飛び出し、上空からチェスの軍勢を飛び越えて一気に敵陣深いカダスフィアへと速攻を掛ける。
「近づかれたか!」
後僅かというところでそれに気づいたカダスフィアが腕で叩き落とそうとする。
「いくら駒を並べたって、キングを取ればチェックメイトだ。カダスフィア公は、早指しは苦手だったかな?」
それを掻い潜った蓮は手にした槍を腕に突き刺す。そして新たな槍を手にし飛び回りながら、伴う黒竜との連携で惑わせ、次々とカダスフィアの身体に突き刺していった。だがカダスフィアがその動きを読み始め、腕と角で先回りするように蓮の行動を封じ始めた。
「見切ったぞ。まだまだ侵入者が大勢いるようだ。貴様をさっさと片付けてそれの相手もしなくてはならん」
「そう言うなよ、もう少し付き合ってくれてもいいだろう?」
意識が逸れた間にカダスフィアの背後から忍び寄ったユリウスが飛び掛かる。そして傷ついていた左の翼に刃を通し、傷を広げるように切断した。翼が落下し半分ほどの短さになって血が流れ落ちる。
「小癪な!」
カダスフィアが振り向こうとすると、竜に乗った蓮が懐に飛び込んだ。
「これでキングを獲る!」
蓮の手にした槍がドラゴンの胸に深々と突き刺さる。だがそれは硬い鱗と分厚い肉によって心臓に届く前に止められた。
「……やってくれたな! だがまだ終わりではない!」
胸から大量の血を流しながらカダスフィアが尻尾を大きく振るい、蓮とユリウスの身体を纏めて吹き飛ばした。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アシェラ・ヘリオース
【改変連携歓迎】
型は違うが懐かしい遊戯だ。士官時代は同期と良く遊んだ物だ
先制対策
【メカニック】でドローンを幾つも飛ばし、戦場を俯瞰して【情報収集】
王と敵の駒の配置を【戦闘知識】で分析する・情報は随時バイザーに表示される
常に俯瞰視点を保ち、客観的に見た自分自身に指示を出す事で、冷静的確な位置取りと、適切な攻防を行う事が出来る
この手の並列思考は帝国時代、黒騎士殿を筆頭に先達から叩き込まれている
もし、他の猟兵がいるなら指揮でも協力したい
戦闘は、赤光の【念動力】による剣盾砲の基本戦術に【空中戦】による機動戦を咥えて手堅く行く
隙があれば「黒渦」で削りに行きたい【継続ダメージ、鎧砕き、傷口をえぐる】
ラプラス・デーモン
敵が竜だろうと拳で殴ってぶん殴る。それがボクサーだ。
脆弱な人間の編み出した拳闘術という牙をお見せしよう。
敵が先制してゴーレムの大群を召喚すれば敵陣に突撃を仕掛けて乱戦に持ち込もう。
こちらは蛇の王で肉体を変質させ、柔軟性と敏捷性を高めている。
伸ばした腕でゴーレムの部位を掴んでは体ごと腕を戻し、高速移動することで敵を翻弄するぞ。
そうやって敵陣をかき乱しながら親玉である帝竜を狙撃できるポイントを探していこう。
首尾よく狙えるタイミングが来たら大きく後ろに伸ばした腕を超高速で戻しつつ、そのスピードを上乗せした特大のストレートをお見舞いするぞ。
アドリブなどお任せ
霧島・絶奈
◆心情
この逢瀬を愉しみましょう、強敵
◆行動
先制攻撃対策として【罠使い】として持ち込んだ「数珠繋ぎにしたサーメート」を【衝撃波】に乗せて投射
無機物であるサーメートと合体するなら十全の能力を発揮出来ませんし、合体しなければ浅くない傷を負う…
そこ迄分の悪い賭けではありません
先制攻撃対処後は【衝撃波】で改めて「粘着液付きの自動回転するプロペラ」を複数投射
その後『反転』し戦闘
巨体は懐に入られるとその利点を失います
高回転するプロペラを狙えば理性の喪失を補う位は叶うでしょう
【空中浮遊】も活用しつつ【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】
負傷は各種耐性と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復
●巨大ドラゴンロボ
「型は違うが懐かしい遊戯だ。士官時代は同期と良く遊んだ物だ」
チェス盤のフィールドを見たアシェラ・ヘリオース(ダークフォースナイト・f13819)は、銀河帝国での懐かしい思い出を蘇らせる。
「だが今は懐かしんでいる暇はないな」
軽く頭を振ってアシェラは今の戦いに集中し、ドローンを幾つも飛ばして空から戦場を俯瞰して情報を集めようとする。
「見ているな? 厄介な目を操る術者を狙え!」
それに気づいたカダスフィアが情報収集を止めさせようと、地面を盤や駒に手足をつけた怪物を作り出し、アシェラに向けて進軍させる。
「気付かれたか、反応が早い。流石は帝竜と呼ばれるだけはある」
すぐにアシェラは手にフォースを集めて赤光の剣を展開し、迫る敵を斬り裂く。そして囲まれる前に飛び上がり、空中からフォースを通した巨大な風車手裏剣を投げ、高速回転させて集まる敵を切り刻んだ。その間にアシェラは後退し時間を稼ぐ。
「敵が竜だろうと拳で殴ってぶん殴る。それがボクサーだ」
巨漢のラプラス・デーモン(熱砂の悪魔・f16755)が勇ましく前に飛び出して怪物を殴り飛ばした。
「脆弱な人間の編み出した拳闘術という牙をお見せしよう」
そして続けざまにパンチを放って敵を確実に撃破し敵陣のドラゴンを直接狙う機会を窺う。
「新手が近づいているな、駒が足りぬか……ならば増やそう」
カダスフィアが新たにチェスの駒の形をした武装したゴーレムの軍勢を呼び出す。
「数を増やしたか、だが幾ら増えようとも相対する数には限界がある。それをこの拳で撃破すればいいだけだ」
近づくゴーレムに素早くジャブを叩き込み、足を止めさせるとストレートを撃ち込んで顔を粉砕する。そしてフットワーク軽くステップして敵の剣による斬撃を躱し、ボディブローを横腹に叩き込んで吹き飛ばした。だが何体やられようともゴーレムは襲い掛かり、その刃がラプラスに浅い傷をつけていく。
「埒が明かんな、蛇のように咬みついてかき乱してやるとしよう」
肉体を変質させ柔軟性と敏捷性を得たラプラスは、腕を伸ばしてゴーレムの首を掴んで引き寄せ、それを盾にしながら高速で駆けて移動し、敵を翻弄し陣をかき乱す。
「陣が乱れましたね、好機のようです」
ラプラスが敵を引き付けたことでカダスフィアの周囲のゴーレム兵の守りが薄くなり、その隙に霧島・絶奈(暗き獣・f20096)が駆け出した。
「この逢瀬を愉しみましょう、強敵」
絶奈は数珠繋ぎにした焼夷弾を衝撃波によって投射しカダスフィアを燃やそうとする。
「無機物であるサーメートと合体するなら十全の能力を発揮出来ませんし、合体しなければ浅くない傷を負う……そこ迄分の悪い賭けではありません」
距離を詰めながら絶奈が敵がどう出るか観察していると、カダスフィアを護るようにゴーレム達が焼夷弾を受け止めようとする。爆発が起こり炎に巻かれてゴーレムが崩れ始める。そして受け止め切れなかった焼夷弾はカダスフィアにも火を点けた。
「……この程度の炎で我は倒せん。我が力を見るがいい!」
炎の中で平然としたカダスフィアがじろりと絶奈へ視線を向け、燃え上がるゴーレム兵に尻尾を叩きつけてバラバラに砕いて炎を蹴散らし、地面を己が身に纏うと金属化を始め、全長が2倍程に巨大化したロボットドラゴンのような姿となった。
『砕け散れ』
持ち上げた尻尾が叩きつけられる。それを回避しようと、絶奈は足元に衝撃波を撃ち込んで自らの身体を飛ばした。それに僅かに遅れて尻尾が地面に当たり、砲弾が落ちたように爆発させてクレーターを作り出す。
「賭けには負けてしまいましたか……しかし巨大な金属のドラゴンですか、厄介な相手ですが勝負に負ける訳にはいきません」
絶奈が次の手を考え、行動しようとしたところにカダスフィアが大きく足を踏み出し踏みつけようとした。
「何もさせん」
「畳み掛けるつもりのようですね、知能が高い遣り難い相手です」
絶奈は飛び退くが、大きくなった敵の間合いが計り難く、防戦に追い込まれる。
「よし、ドローンの情報収集が完了した。これより自分自身に指示を出す」
地形と敵の配置、そして現在の動きなどの情報をドローンで取得したアシェラは、ミラージェイドに映し出される自分を客観的に見て判断し、的確な指示を出して自分を駒のように動かす。
「この手の並列思考は帝国時代、黒騎士殿を筆頭に先達から叩き込まれている。ついでに他の猟兵にも戦術を提案するとしよう」
アシェラは仲間の位置も確認し、指揮を執るように最も有効な動きを伝える。
「まずは敵兵の排除からだ、こちらに向かって敵の戦列を伸ばし、各個撃破しよう」
敵の頭上を飛び越えたアシェラが目立つように赤いフォースを輝かせて斬り伏せ、敵を誘導するように動き出した。
「任せて貰おうか」
ラプラスが手にした敵の身体を振り回して薙ぎ払い、道を切り開くとアシェラに近づく。すると敵の多くが並ぶようにこちらに迫る態勢となっていた。
「これなら一網打尽だ」
そこへラプラスが右ストレートを真っ直ぐ放つと、伸びた腕が先頭のゴーレムを貫き、続く怪物やゴーレムも殴ってぶち抜いていく。たった一発のパンチで多くの敵兵を粉砕して、ドラゴンへの道を作りだしていた。
「これなら狙撃できる」
ラプラスは引き戻した腕を今度は後ろへと伸ばして勢いを溜める。だがそれを阻止しようと周囲のゴーレム達が迫ってきた。
「邪魔はさせん」
その動きを察知していたアシェラが巨大風車手裏剣を投げ、ラプラスの周りを弧を描くように飛んでゴーレムを薙ぎ払った。
「最大まで加速させた特大のストレートをお見舞いするぞ」
伸びきった腕を引き戻す勢いを乗せ、ラプラスは巨大ドラゴンロボの顔目掛けて拳を発射した。弾丸のように伸びる拳が絶奈に気を取られていたカダスフィアの顔に食い込み、覆っていた装甲が砕けて顔がへこみ、衝撃でバランスを崩し後方へと倒れた。
「隙を見せましたね。此処で決めます」
絶奈は敵に向けて粘着液付きの自動回転するプロペラを複数飛ばして貼り付ける。
「理性を失おうとも其のプロペラを狙えば貴方を攻撃し続けるでしょう。では此処からは私の手番です。金属の身体を打ち砕いてみせましょう」
絶奈が濃霧で辺りを覆い、その身を人型の異形へと変貌させていく。それに伴い理性を失い、ただ動くものを攻撃し続ける獣と化す。
『理性を持たぬ獣と化したか、だが動かなければ……その為のこの玩具か!』
カダスフィアが慌てて身体に貼り付いたプロペラを払おうとするが、その動きに反応して絶奈が飛び出す。
「ギギ……ギギギィィィィッ!!」
金属を擦り合わせたような咆哮を放ち、異形の腕を振るってドラゴンロボの身体を削り取る。
『獣風情が!』
カダスフィアが絶奈を巨大な手で掴み、握り潰すように持ち上げて地面に叩きつけた。そして踏みつけようとする。
「もう一発お見舞いしてやる」
そこへまたラプラスが拳を放ち顔面を打ち抜いた。ロボの顔が吹き飛び転がっていく。
『連携か、そ奴の攻撃を止めろ』
カダスフィアの命に従い新たに生まれたゴーレム達がラプラスへと殺到する。
「また増えたか、だが現状を維持できる戦力だ」
そこへアシェラが巨大風車手裏剣を投げ込んでゴーレムをバラバラに切り飛ばし、さらに抜けて近づくものを赤光の剣で斬り捨ててラプラスに近づかせない。
「その金属の身体を粉々に粉砕してやろう」
その間にラプラスはまた伸びるパンチを放った。
『調子に乗るな!』
その軌道を見極めてカダスフィアはパンチを手で受け止め、逆に引っ張ってラプラスの身体を放り投げる。
「ギ……ギギィィィィィィ!!」
カダスフィアの意識が逸れている間に絶奈は体勢を立て直し、飛び掛かって金属の足をねじ切る。バランスを崩したカダスフィアの身体に取り付き、ロボの装甲を剥ぎ取っていく。
『ちょろちょろと獣が我に勝つつもりか!』
カダスフィアのロボの身体がバラバラに分解し、絶奈の上に瓦礫の山のように降り注いで埋める。その上からロボ装甲をパージして現れたカダスフィア本体が踏みつけ、圧し固めると横から尻尾で薙ぎ払い吹き飛ばした。
「自ら守りを解いたな」
尻尾を振るって動きが止まったところへ、投げられ空から狙い澄ましたラプラスが拳を打ち込む。その一撃はカダスフィアの右目を撃ち抜いた。
「ガァアアアアアッ」
咆えるカダスフィアが右目から血を流し、左目でギロリとラプラスを睨みつける。するとゴーレムが増強され、押し流すように怒涛の勢いでラプラスに迫る。
「ここまでだ、敵の勢いが盛り返した。一旦引くとしよう」
対してアシェラが巨大風車手裏剣を投げつけて牽制し、これ以上は抑え切れないと後退しながら赤光の剣を振るい、軍勢を引き付けながらドラゴンから距離を取った。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ベアータ・ベルトット
バレッタと
竜との会敵前に、戦いに備えて生肉と血液を摂取。それと…?
「偏食って…別に好きで食べてるワケじゃないっての。ま、ありがたく頂くわ」うん、パンの方が美味しい!
ゴーレム召喚を確認後、即座に大量の赤霧を放出し敵を攪乱。同時に暗視デバイスを起動
混乱するゴーレム達を相手取りながら、バレッタが榴弾を放つのを待つ
竜が榴弾に気を取られた瞬間、死角となるルートを竜に向かってダッシュ。弱ったゴーレム達は機腕銃の乱れ撃ちで蹴散らすわ。切り札の毒に私も侵されるかもしれないけど、激痛耐性で凌ぐ
竜に接近出来たら、機脚のブーストで跳躍。右腕を黒妖犬に変え、喉元にHHHの一撃を。竜の生命力を奪って毒のダメージを癒すわ
バレッタ・カノン
ベアータと
戦い前に腹ごしらえだ
カロリー消費の激しそうな相手だからな
「荷車」からパンを出して食べる
ベアータも食え
偏食はよくない
さてベアータには敵への目くらましの術があるらしい
UC切り札を発動し目くらましの中を高速で駆ける
同じ色の霧だ、見分けられまい
ゴーレムの強度を限界まで低下させる、いやもっとだ
崩れろ
ベアータへの合図は竜へ「榴弾」の爆発を与えた時だ
自分の毒で意識が飛びそうだ...
だがこの「榴弾」だけは外さないようにこれだけはしっかり狙って【力貯め】
【怪力】で「榴弾」を竜の眼前へ【投擲】
あとは味方の前進を邪魔する敵を「徹甲弾」の【投擲】と「重機関銃」の弾幕で牽制、破壊する
掛け合い等のアドリブ大歓迎
●赤い霧
「戦い前に腹ごしらえだ。カロリー消費の激しそうな相手だからな」
巨大なドラゴンとの戦いを前に、バレッタ・カノン(バレットガール・f11818)は荷車からパンを取り出して上手そうに食べ始めた。
「戦いに備えて生肉と血液を摂取しないと……」
同じようにエネルギーを摂取しようと、ベアータ・ベルトット(餓獣機関BB10・f05212)がパックに入った生肉や血液といった素材や医療品かと思われるようなものを取り出して、顔をしかめながら不味そうに食べ始めた。
「ベアータも食え、偏食はよくない」
それを見たバレッタがパンを押し付けるように手渡した。
「偏食って……別に好きで食べてるワケじゃないっての。ま、ありがたく頂くわ」
必要だから食べているだけと言いながら、ベアータは受け取ったパンをかじる。すると濃厚な小麦の風味と味が口に広がり、生肉などと比べるのも申し訳なくなる美味しさを堪能する。
「うん、パンの方が美味しい!」
ベアータが美味しそうにパンを頬張ると、そうだろうそうだろうとバレッタが頷きながら自分もパンにかじりついた。
「さて、腹も膨れたしエネルギーの補給もできた。そろそろ始めるとしようかね」
腹ごしらえを終えてベアータが巨大なドラゴンの前に姿を現す。
「次の敵が現れたか。何としてもここで力を削らなくては。貴様等の力は危険だ」
右目が潰されたカダスフィアが片目で猟兵を視認し、チェスの駒に似たゴーレムの軍勢を作り出す。それがさまざまな武器を手に進軍を開始した。
「出たな。敵を攪乱するわ」
すぐにベアータは体内で精製した鮮血色の霧を放出して辺りを覆い視界を塞ぐ。それによってゴーレムの軍勢がぶつかり合ったり、どこに猟兵がいるのかと見渡し迷ったりし始めた。
「ベアータの目くらましの術が効いてるみたいだな」
それを見たバレッタは高濃度の地獄の霧を纏い飛ぶように高速で駆け出す。
「同じ色の霧だ、見分けられまい」
赤い霧が濃くなり、バレッタを狙う剣の斬撃や槍の刺突は空を切る。そしてバレッタの身体からは毒霧が放出され、すれ違うだけでゴーレムの身体が侵食され、風化するように強度を落としていく。
「強度を限界まで下げる……いや、もっとだ」
毒霧はどんどんとゴーレム達を弱らせ、動きを鈍らせていった。
「しかし……数が多いわ」
手探りで近づき攻撃を仕掛けるゴーレムを、暗視デバイスを起動したベアータは一方的に視認し、機腕に仕込まれた特殊機爪を展開して切り飛ばす。
「でもバレッタが榴弾を放つまで粘らないとね」
自分が動くのはそこからだと、今はあまり目立たないように近づくゴーレムの処理だけに専念する。
「崩れろ」
バレッタの毒霧がゴーレムの芯まで侵食し、その強靭な身体がぼろぼろと崩れ落ちていく。
「自分の毒で意識が飛びそうだ……だがこの榴弾だけは外さないようにしないとな」
辺りに毒を撒き散らしたバレッタは邪魔なゴーレムが近くに居なくなったのを確認すると、戦車砲で使うような榴弾を手に持ち、野球のボールを投げるように投擲してカダスフィアへと飛ばした。
「何だ?」
赤い霧の中から飛び出した榴弾に反応しきれず、カダスフィアの眼前で爆発し、四散した破片が顔や体に突き刺さる。
「グォオオオオッ!?」
慌てて顔を背け、残った左目を護るが、頭部の金属の装甲が穴だらけとなり、上半身は傷だらけとなった。
「今がチャンスね」
それを見たベアータが機脚のブースト加速機能を起動して地を蹴り、敵の死角を突こうと回り込み、進路上の邪魔なゴーレムは機腕から銃を出して乱れ撃ちにして蹴散らす。
「弾幕を張るか、ゴーレムは任せな」
バレッタがP15A2重機関銃を構え、大口径弾丸を連射してゴーレムをぶち抜き動きを止めた。
「毒の中を突破して最短距離を行くわ」
ドラゴンまでのルートにある毒霧の中に構わず突っ込み、息を止めたベアータは毒に耐えて一気に突き抜け、カダスフィアの背後へと飛び出す。
「今日の獲物は竜だ。存分に噛み砕け」
跳躍したベアータが右腕を黒妖犬に変え、その鋭い牙で首に喰らいつかせた。
「グアアアッ我を喰らうだと!?」
カダスフィアが暴れ、右翼を動かしてベアータを払い除ける。だがごっそりと肉を噛み千切られ、血が噴き出した。
「何という狂暴な獣だ。ここで仕留めて置かねば我が主への脅威となる!」
カダスフィアはベアータを踏み潰そうと突進を始める。辺りに残っていたゴーレム達も気付いて包囲するように動き出す。
「あれでもまだ仕留められないか、下がろう」
そこへバレッタが牽制に徹甲弾を投げつける。顔を狙う一撃は右翼で受け止められたが、防ぎ切れずに穴を穿つ。それによってドラゴンの勢いが弱まる。
「ここまでか……わかったわ」
そうして注意が逸れている間に、霧の中へとベアータも姿を消した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
鬼桐・相馬
大儀の為に自ら進んでその礎となる。
悪くない考えだが、その主が問題だな。
【POW】
[冥府の槍]を構え[ダッシュ]で接近、敵の足元周辺に張り付き攻撃。通常状態より死角は増えているはず。敵の攻撃は動きを[見切り、武器で受け]流す。
足元ばかりを継続的に攻撃し、苛立った大ぶりな攻撃か距離を取る動作を誘う。それを狙い[ヘヴィクロスボウ]に装着された[ジャバウォックの鉤爪]を射出。照準は突起物の多い頭部。
巻き付いたワイヤーを握り込みUC発動、[限界突破した怪力]で背負い投げ、大地へ叩きつけダメージと共に大地の大規模破壊を狙う。
チェス盤上での戦闘だからといって頭脳戦である必要はない。パワープレイも有りだろう?
玉ノ井・狐狛
※アドリブ/連携などお任せ
こっちは荒野を歩いてきたんだぜ。
先手をとっての歓迎なら、水の一杯でもよこしてくれよ。
🛡️
チェス盤に見えるほど、磨き上げられてる地面。
そこに水属性の霊石を触媒にして、水を発生させる。
五行の理屈に照らすなら、“金生水”(くだけて言うなら結露ってヤツだ)とも言う。相性はイイだろう。
駒を滑らせるのが狙いだ。
一部でも転べば、そいつが邪魔になって、連鎖的に移動しづらくなる。
⚔
相手が体勢を立て直そうとする隙に、こっちの手番だ。
帝竜サマがオモチャを散らかすばかりみたいなんでな、片付けはこっちがしてやろう。
◈UCで兵隊を掃除しつつ本体にも攻撃。
アタシの手駒も、それなりに仕事するだろ?
●パワーバトル
「次から次へと、どれ程の戦力を有しているのだ」
傷だらけで血を流すカダスフィアが憎々し気に新たな猟兵に片目を向けた。その圧倒的存在感のもたらす気迫に、まるで突風でも吹いたような錯覚を覚える。
「こっちは荒野を歩いてきたんだぜ。先手をとっての歓迎なら、水の一杯でもよこしてくれよ」
だがそんな威圧なぞ気にもせずに飄々と、玉ノ井・狐狛(代理賭博師・f20972)が軽口を叩いた。
「喉が渇いているならば、自らの血で潤せ」
カダスフィアの周りにチェスの駒に似たゴーレムの大群が生み出され、武器を構えて一斉に進軍を開始した。
「盛大なお出迎えだな。だけどそんなに急ぐと転んじまうぜ?」
チェス盤に見えるほど磨き上げられた地面に、狐狛が水属性の霊石を触媒として水を発生させた。溢れるように水は広がってゆきチェス盤を濡らしていく。
「五行の理屈に照らすなら、“金生水”とも言う。相性はイイだろう」
くだけて言うなら結露ってヤツだと説明しながら狐狛は悪戯っぽく笑みを浮かべる。するとその濡れた地面にゴーレムが足を踏み入れる。重い身体を支える足に体重が乗ると、つるっと滑って転んでしまう。突進する後続は急には止まれず、その倒れた仲間に引っ掛かって連鎖的に転んでいった。
「ひっかかったひっかかった! 今のうちに――」
指さして狐狛は楽しそうに笑い、敵が体勢を立て直す前に動こうとする。だがその転んだゴーレムの身体を足場に、倒れても倒れても止まることなくゴーレムの群れが迫って来た。
「強引すぎだろ!?」
滑って突っ込んで来る敵を狐狛は飛び退いて避け、間合いを開けようと後退する。
「その駒も我と同じ。主の為ならば喜んで捨て石となろう」
決死の覚悟を示すようにカダスフィアの呼び出したゴーレム達も、自らの損壊など恐れずに前に進み続ける。
「大儀の為に自ら進んでその礎となる。悪くない考えだが、その主が問題だな」
その主がこの世界を滅ぼすというのなら捨て置けぬと、鬼桐・相馬(一角鬼の黒騎士・f23529)がゴーレムの前で青黒い冥府の炎に焼かれ続けている黒槍を構え、一閃して斬り払った。
ゴーレムも剣や槍で応戦するが、それを相馬は槍を回して弾き、反撃に突きを放って顔や胸を穿っていく。
「助かったぜ、これで反撃できる」
次はこっちの手番だと狐狛がユーベルコードを発動する。封印が解かれ天魔ヨナルデパズトーリが姿を現すと、ずんぐりむっくりした体をどんどん巨大化していく。
「帝竜サマがオモチャを散らかすばかりみたいなんでな、片付けはこっちがしてやろう」
狐狛がそう告げると、天魔ヨナルデパズトーリが腕を振り抜いてゴーレム兵を纏めて薙ぎ払う。そして前進して踏みつけるようにゴーレムを粉砕し、カダスフィアへと近づき振り上げた拳を思い切り顔面に叩き込んだ。
「アタシの手駒も、それなりに仕事するだろ?」
どうだと狐狛が胸を張って己が使役する力を誇示した。
「猟兵め、恐るべき敵よ……貴様等は絶対にヴァルギリオス様の元へは行かせぬ!」
牙が何本も折れ顔を変形させたカダスフィアがチェス盤のフィールドを尻尾で叩き、辺りのチェス盤をバラバラに割ってその破片を変形合体させて身に纏う。すると金属化した巨大ドラゴンロボへと変貌して天魔ヨナルデパズトーリを手で殴り返して逆に吹き飛ばした。それに対して天魔ヨナルデパズトーリも殴り、巨体が正面からぶつかり合う。
「まるで怪獣大決戦だな」
その巨大怪物同士がガチンコで殴り合う光景に狐狛が呆れたような声を漏らした。
「元々大きかったが、さらに大きくなったな」
相手が倍ほども大きくなっても恐れずに、相馬は邪魔なゴーレムを薙ぎ払いカダスフィアの足元へと駆けこんだ。
「それだけ巨大なら細やかな動きはできまい」
敵が攻撃をし辛い足元で相馬は連続で槍を振るい、金属の脚に傷を刻んでいく。
『鬱陶しい……まずは貴様から踏み潰してくれる!』
その攻撃に苛立ったカダスフィアは巨大な足を振り上げて踏みつけようとする。
「それを待っていた」
対して相馬はすぐさまヘ飛び退きながらヘヴィクロスボウを構え、装填されたジャバウォックの鉤爪を撃ち出した。それが狙い通りに敵の頭部に引っ掛かった。
「不安定な姿勢を取ったのは失敗だったな」
相馬が鉤爪に繋がるワイヤーを握り込み、ユーベルコードを発動して全身に力を漲らせる。
「その巨体、投げ飛ばしてやる」
思い切りワイヤーを引くと、顔を引っ張られてカダスフィアの巨体が傾く。それを阻止しようとカダスフィアは後ろに重心を移動させようとするが、尻尾が浮いていく。
『なんだと!?』
やがて抗えなくなったドラゴンロボの巨体が宙を舞い、背負い投げのように相馬が投げ飛ばしてみせた。
『ガハッ!!』
背中から落下して地震が起きたようにチェスフィールドが揺れる。隕石でも堕ちたような爆発的な衝撃にチェス盤が大きく砕け、大ダメージを受けてカダスフィアが大量の血を吐き、纏っていたロボの装甲もひしゃげて剥がれ落ちていく。
「チェス盤上での戦闘だからといって頭脳戦である必要はない。パワープレイも有りだろう?」
動けなくなったところへ近づき、相馬は装甲の隙間から覗くカダスフィア本体に槍を突き入れようとする。
「終わらぬ。我が身朽ちようとも貴様等を止めるまでは死ねぬ!」
だがカダスフィアが左腕の一本を盾にして穂先を受け止めた。
「まだ動けるか、ならば削っていくとしよう」
そのまま押し切り、相馬は槍を一閃してその腕を切断する。
「その台詞は我のものよ、貴様等猟兵の戦力を少しでもここで削る!」
ドラゴンロボのボディを何とか繋ぎ、カダスフィアは巨大な右腕で殴りつける。しかしそれを割り込んだ巨大な体が代わりに喰らった。拳が喰い込むのは狐狛の天魔ヨナルデパズトーリだった。直撃を受けて腹の肉が大きく削れる。そこへドラゴンロボが尻尾を振り回し、辺りの瓦礫ごと薙ぎ払う。
「深手は負わせたが、止めとはいかなかったか」
「そのようだ。しかし手負いになって暴れ回られたら手に負えんな」
相馬と狐狛は互いに視線を交わし、ここに居るのは危険だと一旦後退する。カダスフィアは命を燃やすように暴れ、チェス盤のフィールドは剥げて荒野のように崩れ始めていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
朝霞・風
兄さんに連れられて来た念願の初陣…。
肝心の兄さんはどっか行っちゃったから…1人で頑張る。
カダスフィア公…はチェスの駒と合体するのかな…??
それならまずチェス盤を破壊する…それで弱体化を狙ってみる。
具体的には白の部分を塗り潰す。それか100m?くらいの地面を吹き飛ばす。
塗り潰す…のは私には難しいから、吹き飛ばすことになる…かな?
その為にUC【竜言語〈疾風迅雷〉】発動。
攻撃力を徹底的に上げて、刀の一振りで作る鎌鼬の嵐でチェス盤を消し飛ばす…よ。
強化でカダスフィア公が速くなったとしても、巨躯を動かす為に使う力の流動を、私は一瞬すら見逃さない…。
重視する能力を加速と攻撃力で使い分けながら、がんばる…!
ラティナ・ドラッケンリット
我々は半年前には群竜大陸に橋頭堡を築いている
我が一族に至っては帝竜を斃す為に先祖代々準備を進めてきた
我々とは時間の尺度の違う竜にとって仕方ないことかもしれないが
動き出しが遅過ぎる
さあ、私の力が帝竜に通用するか挑ませてもらうぞ
先制が巨大化であれば間合いを詰めるのに問題ない
元より強大な相手と戦うことは覚悟の上だ
竜種と戦うのに注意すべきは
その巨躯と膂力を正面から相手にしないことだ
まず敵の足許に豆の木の種を投げて注意を引き付ける
その間に背後に回り込み
尾による攻撃を警戒しながら龍鞭鈎縄で敵の背に登る
そのまま背を駆け上がり
首筋に向かって断山戦斧で渾身のUCを叩き込む
「くらえ、これが『竜殺し』の技だ」
ナイ・デス
クレージーハウス、でしたか?
持ち駒配置も一手
そう思えば、先に動かれるのも納得……と、言ってはいられない、ですね!
【怪力ダッシュ】に【念動力】で自身【吹き飛ばし】もして避ける
無理でも直撃だけは
それでダメージ受けても【覚悟、激痛耐性、継戦能力】本体無事なら、死にはしないと
念動力で肉体動かして【カウンター】
大地と合体して、大きくなっていても……
私は『クラウモノ』全て、喰らい尽くします!
【生命力吸収】する光を解き放っての【範囲攻撃】
【鎧無視攻撃】鎧や強靭な鱗が間にあっても、対象を癒せる聖なる光と似た、けれど真逆の、消滅させる光
チェック、です
メイトはつけない
逃れられても、仲間がするチャンスに繋がればいい
●チェックメイト
「これ程の戦力をこれ程の速度で投入するとは……このままでは拙い我々は後手に回っている‥‥…ヴァルギリオス様の為、猟兵をここで止めねばならぬ!」
顔を己の血で赤く染めたカダスフィアは辺りのチェス盤の瓦礫を寄せ集め、金属のように変化させてもう一度巨大なドラゴンのようなロボットの身体を構築する。
「我々は半年前には群竜大陸に橋頭堡を築いている。我が一族に至っては帝竜を斃す為に先祖代々準備を進めてきた」
帝竜を前に感慨深いものを感じながら、ラティナ・ドラッケンリット(ビキニアーマー道の冒険者・f04425)は武器を構えて近づく。
「我々とは時間の尺度の違う竜にとって仕方ないことかもしれないが、動き出しが遅過ぎる」
その隙に痕跡を追い続け、こうして先手を取るにまで至った。一族の悲願は近いと思いながらも、だからこそ油断はせずにラティナは進む。
『まだ間に合わぬ訳ではない。ここで貴様等を止めれば勝利はヴァルギリオス様のものだ!』
ドラゴンロボが咆え、ラティナを踏みつけようと脚を踏み出した。
「さあ、私の力が帝竜に通用するか挑ませてもらうぞ」
最上位の竜である帝竜に今まで培った力がどこまで通じるのか、口元に獰猛な笑みを浮かべながらラティナは敵の足元に豆の木の種を投げつけた。するとすぐさま種から芽が出て、にょきにょきと育って大きくなっていく。
『植物? 木か。これで足場でも作るつもりか?』
カダスフィアがその猛スピードで育つ木を踏みつけ粉砕する。
「竜種と戦うのに注意すべきは、その巨躯と膂力を正面から相手にしないことだ……」
敵の注意が逸れた一瞬の隙をつき、ラティナは背後へと回り込んだ。そして鈎フック付きロープを背中に投げて引っ掛け、山のような背中を登っていく。
「む? 先ほどの猟兵はどこに消えた? 背後か!」
ラティナの姿が消えたことに気付いたカダスフィアは、背後を取られたと予想して尻尾を振るうようにして反転する。その動きでラティナは振り回され、振り落とされないようにロープにしがみ付いた。
「兄さんに連れられて来た念願の初陣……」
だが辺りを見渡しても先行した兄の姿は見えず、朝霞・風(花鳥風月の長・f18578)は無表情ながら少し困ったような雰囲気を纏う。
「肝心の兄さんはどっか行っちゃったから……1人で頑張る」
そう言って大太刀を抜き放った。
「カダスフィア公……チェスの盤と合体してるね……」
先ほど周辺のチェス盤の瓦礫と合体してロボットになったのを見た風は、鎧のようなロボット部分を破壊してもまた再生するのではと考える。
「弱体化させるには塗り潰す? それか100m?くらいの地面を吹き飛ばす」
そうやってチェス盤をどうにかすれば合体を阻止できるのではと作戦を思い浮かべた。
「塗り潰す……のは私には難しいから、吹き飛ばす……それで弱体化を狙ってみる」
とにかく地面のチェス盤部分を吹き飛ばせばいいと単純に考え、風はユーベルコードを発動し、風・雷・竜の魔力を宿して己が身体を強化する。そして大太刀を振るって鎌鼬の嵐を起こし、チェス盤を消し飛ばしていく。
『チェス盤を狙っているだと! 我が力の仕組みを理解したか!』
ドラゴンロボの視線が風に向けられる。
「貴様等を倒すにはまだこのチェス盤が必要だ。破壊はさせん!」
頭から突っ込むような前傾姿勢となって突進を始める。
「巨躯を動かす為に使う力の流動を、私は一瞬すら見逃さない……」
風はその動きを見切り、突風に靡く柳のように軽やかに横へと跳んで回避した。
「クレージーハウス、でしたか?」
ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)はこの戦場の状況を見てそんな言葉を思い出す。
「持ち駒配置も一手、そう思えば、先に動かれるのも納得……と、言ってはいられない、ですね!」
とにかく行動しなくてはと、ナイは力強く地面を蹴って怪力ダッシュを始める。
『叩き潰してくれる!』
ドラゴンロボの長大な尻尾が薙ぎ払われる。
「もっと速度を、上げます!」
ナイはさらに念動力で自分を上へ吹き飛ばして尻尾を躱した。そしてそのまま敵の頭上を取る。
「大地と合体して、大きくなっていても……私は『クラウモノ』。全て、喰らい尽くします!」
ナイの身体が輝き出す。それは世界を骸の海に沈められる危険な力の片鱗を籠めた命を喰らい尽くす光だった。
『このような光で我を止めるつもりか!』
ドラゴンロボは構わず腕を振り上げてナイを叩き落とそうとする。
「止めてみせます! そのロボットの装甲も、光は止められません!」
浴びせる光がロボの装甲を透過し、その存在を消し去るように身体を薄れさせていく。
『これは……我が時間を喰らうつもりか!』
そうはさせじとドラゴンロボが襲い掛かり、腕を振り下ろした。それを受けたナイが叩き落とされ地面に埋められると光が途切れる。
『危ないところであった』
「隙を見せたな」
カダスフィアが安堵した一瞬、動きが止まった隙をついて、ずっと背中にロープで張り付いていたラティナが背を駆け上がる。
「くらえ、これが『竜殺し』の技だ」
そして跳躍すると竜の鱗を打ち砕く為の巨大超重なバトルアックスを振り上げ、体重を乗せて思い切り首に叩き込んだ。ロボの装甲をぶち抜き、中の生身の首に鱗を砕いてざっくりと刃が入る。しかし刃は首を断ち切る前に、骨を削って止まった。
「装甲のぶん勢いが足りなかったか」
ラティナは首を叩き落とそうと、バトルアックスを抜いてもう一度叩き込もうとする。
『グァアアアアッ』
悲鳴のような声が漏れ、カダスフィアが大きく頭を振ってラティナを放り捨てた。
「あの首を狙える……かな?」
ラティナが傷つけた首を狙い、風が魔力を纏って飛ぶように駆ける。
『同じ場所を狙うつもりだろうが、その行動は予想していた』
その動きを読みドラゴンロボの腕が風を捉えようとする。
「無理のようです……」
すぐにラティナは見切りをつけて飛び退き、腕の射程内から逃れた。猟兵の動きを覚えたようにカダスフィアは巨体を操り追い込み始める。
「では、隙を作ります!」
瓦礫の中から起き上がったナイがまた眩い光を放った。それが敵を照らすと動きが一瞬止まって怯む。
「チェック、です」
このナイが作り出したチャンスに風が接近して攻撃を加えようとする。
『まだチェックメイトではない!』
カダスフィアは合体していたロボ装甲をパージし、尻尾を振るってその装甲を散弾のように撒き散らす。光は物質を止められずにナイへと迫る。
「本体が無事なら、死にはしません」
構わず攻撃を続けるナイの左腕に破片が当たり、根本から腕が吹き飛んだ。だがそれでもナイは光を止めない。
「ここが勝機ですね、がんばる……!」
光を避けるようにするカダスフィアに風が突進する。しかしそれを阻止しようと右腕が降り抜かれた。
「首の代わりに、腕をもらうぞ」
そこへ駆け戻ったラティナが跳躍し、バトルアックスを振り下ろしてドラゴンの右腕を切断した。
「グゥウオオオオッ!」
カダスフィアの意識に僅かな間空白ができる。その隙に風が懐に飛び込んだ。
「鱗を貫ければ……あれは……兄さんの??」
風の眼に胸に空いた傷跡が映る。それは槍が穿ったような深い後だった。
「あそこを狙います……!」
体当たりするように風が大太刀をその傷口に突き入れる。深々と入った切っ先が肉の守りを破り、ドラゴンの大きな心臓を捉えた。
「やった……かな?」
大太刀を抜くと血が噴水のように傷口から飛び出す。
「オオ……ゥグオオオオオ!!」
カダスフィアが天に轟くように咆え、跳躍するように大きく後退しながら尻尾を振るって猟兵達を近づかせない。
「……まだだ、まだこの命が消えるまで僅かな間がある。ヴァルギリオス様に勝利を捧げる為、この命が燃え尽きる最期まで我は戦い続ける!」
執念。ただ主の為という忠義の想いがカダスフィアの死に体の身体を動かし、後退しながら辺りにゴーレムなどの兵隊を生み出す。
「これが帝竜か、竜種の頂点に立つだけのことはあるな」
ラティナは帝竜の恐るべき生命力に感嘆しながら、バトルアックスを振るってゴーレムを薙ぎ払った。
「あちらにも、猟兵がいたはずです……こちらも、ゴーレムを倒して追いましょう!」
ナイも光線を放ち、ゴーレムを一体でも多く倒せば向こうの援護になると無事な片腕を輝かせた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
河原崎・修羅雪姫
【全世界サイボーグ連盟】で参加、アドリブ歓迎。
「カダスフィアは対空装備を持って居ない感じ? じゃあ空から攻めましょう。怪獣退治みたいねぇ」
この事件に対してこう感じ、猟兵として参加します。
序盤は全サ連のクネウスさん(f02209)の戦車に同乗させてもらい、
カダスフィアの初撃を耐えます。
その後の戦闘では、敵の死角や射程外からの攻撃を狙います。
「ゴースト・コマンダーよりゴースト攻撃隊全機へ。一斉攻撃開始!」
帝竜カダスフィアの「形成するもの(WIZ)」に対し、ユーベルコード「宇宙攻撃戦略空母ガトランティカ」を使うことで、
猛烈なUC爆撃で圧倒します。
最大の目的は、戦闘を有利に進め、勝利に導くことです。
伊高・鷹介
●【全世界サイボーグ連盟】で参加、アドリブ歓迎。
●方針:POW
●アぁ? 先手を取って巨大ドラゴンロボになるってか。先に巨大化するのは敗北フラグって習わなかったのか?
●まぁいいや。合体するなら好きにしな。けどよ、合体するにはパーツを身にくっつけないといけねぇ。見方を変えれば「何かの塊がテメェに向って飛んでいく」という構図だ。なら、俺はテメェのUCが発動したのを見てから「念動力」で身に纏うために飛んでいるモノを目一杯加速。礫みたいにして殺到するようにしてやるよ。ほら、早く合体しな?
●合体を終えたら俺も【超パワー】発動だ。周りの空間ごとテメェを圧縮して、仲間がボコしやすいようにしてやるぜ。覚悟しな!
リズ・ルシーズ
【全世界サイボーグ連盟】で参加、アドリブ・連携歓迎だよ!
【SPD】
チェス型ゴーレム、チェスって確か空を飛ぶ駒って無いよね
高分子ワイヤーを用い【罠使い・ロープワーク】でチェス盤上に罠を設置しつつ、重力制御装置による【空中戦】で距離をとろうと試みるよ
これだけ距離を取れば!行くよアラクネ!
【指定UC】を使い、多脚装甲を身に纏い大群の足元に粘着性の糸を吐き出して【制圧射撃】で【時間稼ぎ】して、竜の本体に照準を向ける
こういうのなんて言うんだっけ、『フールズ・メイト』?ま、いっか、皆、合わせるね!
アラクネの両砲門による光【属性攻撃】のレーザーで、仲間の【援護射撃】だよ
クネウス・ウィギンシティ
【全世界サイボーグ連盟】で参加
※アドリブ&絡み歓迎
「捨て駒(サクリファイス)有りで勝てるとでも……」
【POW】
●戦闘
戦車を【操縦】し白いマス目に降り立ちます。
「耐えれば勝機はありますね……」
味方から注意を逸らすため、戦車を突撃させます。
「砲身さえ無事なら問題ありません」 戦車の装甲を活かし一撃を耐える(【武器受け】)狙いです。
仲間が妨害なり攻撃を行ってくれる以上、ヘイトが多少は稼げれば十分。
戦車が無事なら砲身を向け、破壊されていれば砲身を解体し持ち上げ(【メカニック】)て地形破壊UCを浴びせます。
「リズさん、今です」
「CODE:GROUND ZERO。その身に纏った大地ごと吹き飛ばします」
紅葉・智華
【全世界サイボーグ連盟】で参加
※アドリブ・連携歓迎
さて、一つ目の大物ですね。――屠らせて頂くでありますよ。(眼鏡を外しながら)
クネウスさんの戦車を盾にしつつ、狙撃準備(スナイパー)。『[K's]Sirius』(鎧無視攻撃,属性攻撃)を構え、リズさんとタイミングを合わせて連続で撃つ(2回攻撃,クイックドロウ,援護射撃)。大群で押し寄せてこようとも、その悉くをノータイムで撃ち穿いてみせる。
「仰々しい二つ名(選択UC)でありますが、まあ、ここまでやれば名前負けしないでありますかね?」
●命尽きるまで
「まだだ……まだ死ねん………この命はヴァルギリオス様の為に使い切る……」
片目を失い、右腕も切断され、胸には穴が穿たれ心臓にまで届いている。じっとしていても血は止まらず溢れ、もはやいつ死んでも可笑しくない致命傷を負っている。だがそれでもと、カダスフィアは執念じみた忠義によって戦意を保ち、猟兵を食い止めようと、まだフィールドにチェス盤の残る場所に移動し、周辺のチェス盤の黒いマスを集めて合体を始め、漆黒のドラゴンのロボットのような装甲を身に纏っていく。そして無数のチェスの駒に似たゴーレムを並べ、最期の力を振り絞り迎撃態勢を取った。
全世界サイボーグ連盟のメンバー5名が準備万端で、満身創痍、それでもまだ戦おうとする帝竜へと挑む。
「初撃に耐えれば勝機はありますね……」
全地形対応型 重戦車『ヴォルフ』に搭乗したクネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)は、巻き込まれぬように白いマス目で待機し、帝竜とその軍勢を確認して後僅かで倒せる状況であると判断し、勝機は十分にあると戦車を荒れた大地も関係なくホバーで前進させる。
「チェス型ゴーレム、チェスって確か空を飛ぶ駒って無いよね」
敵のチェスの姿をしたゴーレムを見て、リズ・ルシーズ(Re-Z・f11009)は飛行能力はなさそうだと思い、高分子ワイヤーを用いて地上にワイヤートラップを仕掛け始めた。
「カダスフィアも対空装備を持って居ない感じ? じゃあ空から攻めましょう。怪獣退治みたいねぇ」
巨大なドラゴンロボを怪獣に見立て、河原崎・修羅雪姫(プリンセス・スノーブラッド・f00298)は同乗させてもらうクネウスの戦車のハッチから上半身を出し、勇壮な全世界サイボーグ連盟の戦旗を振るって仲間の士気を高めた。
「さて、一つ目の大物ですね。――屠らせて頂くでありますよ」
紅葉・智華(紅眼の射手/自称・全サ連風紀委員・f07893)が眼鏡を外し、戦闘モードになると戦車を盾にするように後ろでハイレーザーライフルの『WH04HL[K's]Sirius』を構え狙撃準備を整えた。
「アぁ? 先手を取って巨大ドラゴンロボになるってか。先に巨大化するのは敗北フラグって習わなかったのか?」
漆黒の巨大ドラゴンロボに変貌していく敵を見て、伊高・鷹介(ディフェクティブ・f23926)は特撮のお約束シーンを思い浮かべる。
「まぁいいや。合体するなら好きにしな。けどよ、合体するにはパーツを身にくっつけないといけねぇ。見方を変えれば『何かの塊がテメェに向って飛んでいく』という構図だ」
敵の合体シーンを見てニヤリと鷹介が悪巧みを考えたように笑う。
「ほら、合体を手伝ってやるよ。そのくっつけるモノを目一杯加速させて、磔にしてやるぜ」
念動力を使って鷹介は敵が纏おうとするチェス盤の黒い板を加速し、カダスフィアの身体に次々と突き刺した。
「グッ……」
血を流しても集中を切らさずカダスフィアは集中してブラックドラゴンロボを完成させ見下ろすように猟兵へと視線を向けた。
『現れたか……これが最後の戦いとなるだろう。ならば命を燃やし尽くして猟兵を討つ! 全軍攻撃開始!』
命を燃やすカダスフィアが鬼気迫る覇気を放ち、一斉にチェス駒の軍勢を突進させた。津波のように怒涛の勢いで武装したゴーレム達が迫る。
「来たわぁ、まずは耐え凌ぐわよぉ」
仲間に敵襲を告げ、修羅雪姫は戦車の中に入ってハッチを閉じる。
「全速前進。敵の注意をこちらに引き付けます」
クネウスは戦車を突撃させ、味方から注意を逸らそうとする。その戦車に次々とゴーレムが襲い掛かり、ポーンが剣を振り下ろし、ナイトが槍を突き入れる。その度に戦車に衝撃が走り、装甲が削れていくが分厚い装甲は容易くは貫かれない。
「砲身さえ無事なら問題ありません」
敵の猛攻の後に砲撃できれば後はどれだけダメージを受けても構わないと、クネウスは戦車を動かし続けて敵からの致命的な一撃を避け続ける。
「援護するであります」
智華は狙い澄ました銃口から青白い熱線を放ち、ゴーレムの頭部を確実に撃ち抜いていく。
「数が多いですが、その悉くをノータイムで撃ち穿いてみせるであります」
戦車に取り付こうとするゴーレムを片っ端から智華は狙撃していった。
しかしゴーレムの群れは戦車だけでは留まらず、溢れるように辺りの猟兵にも向かっていく。
「こっちにも来たよ!」
リズは重力制御装置を作動させて後方に飛ぶ。それを追い駆けようと上を向いたゴーレムが駆けると、急に前に転倒する。見れば足が切断されていた。
「引っかかったね!」
ワイヤートラップが上手くいったとリズが八重歯を見せ、すぐに次の敵をトラップに引き込んで足を止めようと仕掛けた位置へと誘い込むように飛んだ。
「猛攻でありますね。ですがこちらも一歩も引くつもりはありません」
次々と引くこと知らぬゴーレムの群れに、智華は淡々と熱線を撃ち続ける。
●帝竜殺し
「これだけ距離を取れば! 行くよアラクネ!」
次々と敵軍をワイヤーに引っ掛かけ、ゴーレムとの距離を取って余裕を持てたリズは、敵の方へ向いて大蜘蛛型の自立型多脚機動砲台を召喚して騎乗した。神経接続された機械の多脚が己の脚のように動き出す。
「動きを止めて突進を止めるよ!」
粘着性の糸を吐き出して地面にばら撒く。するとそこに足を踏み入れたゴーレムが強力な粘着力に足を取られ倒れ込む。するとさらに体もべったりと貼り付き、全く身動きが出来なくなる。そうやって虫取りのように次々とゴーレムが地面に貼り付き動けなくなっていった。
「僅かでも足が止まれば、動かぬ的と変わりありません」
そこへ智華が熱線を撃ち込み、ゴーレムをただの瓦礫へと変えていく。
「仰々しい二つ名でありますが、まあ、ここまでやれば名前負けしないでありますかね?」
紅眼の射手の名に負けぬ働きをしているだろうと、智華は数え切れぬ敵を撃ち倒して、辺りに瓦礫の山を作り上げていた。
やがて猛攻が緩み、ゴーレムの軍勢が数を減らして勢いを失い攻勢を緩めた。
「敵の攻撃が止んだわぁ、ここから一斉反攻よぉ!」
外の状況をずっと見ていた修羅雪姫が声を上げる。
「ゴースト・コマンダーよりゴースト攻撃隊全機へ。一斉攻撃開始!」
ハッチから顔を出した修羅雪姫が自分はここだと示すようにまた旗を掲げ、戦車から飛び降りて仲間達に攻撃の指示を出す。
「さぁ、全世界サイボーグ連盟の力を見せてあげるわぁ!」
修羅雪姫自信もユーベルコードを発動し、宇宙攻撃戦略空母ガトランティカの幽霊船を頭上に召喚すると、無数の戦闘爆撃機が発進して敵軍の頭上を取ると爆弾を投下した。僅かな沈黙の後、一斉に地上で大爆発が起こりチェスのゴーレム兵を薙ぎ払う。
「派手にいくわよぉ!!」
指揮棒のように戦旗を振るい、楽しそうに修羅雪姫はドラゴンロボを指し示して爆撃によって道を切り開く。
『駒が減っていく……ならば我が直接叩き潰してくれる!』
ドラゴンロボが近づく猟兵に向けて尻尾を振り抜き、その大きさを活かして纏めて薙ぎ払おうとする。
「デカイだけで俺達に勝つつもりか? 俺の超パワーに大きさは関係ねぇんだよ!」
鷹介は敵に向けて手を伸ばし、ぐっと握り込む。すると空間を捻じ曲げる強力な念動力で、ドラゴンロボを辺りの空間ごと圧縮してロボの装甲を捻じ曲げ、強引に動きを停止させた。
『これは!? 空間湾曲か!』
それに気づいたカダスフィアはその場から逃れようともがき、装甲を剥がしながらも少しずつ念動力の範囲外へと移動を始める。
「その通り、周りの空間ごとテメェを圧縮して、仲間がボコしやすいようにしてやるぜ。逃がさねぇから覚悟しな!」
鷹介は念動力に集中して効果を高め、ドラゴンであろうと逃がさないと脱出を阻む。
「損傷チェック……ホバー移動不可……砲撃可能。足回りは破壊されましたが、砲身は動きます」
進まなくなった戦車のダメージを確認したクネウスは、砲身が無事なのを見てすぐさま反撃に移行する。砲身がゆっくりと巨大な敵のドラゴンロボへと向けられた。
「リズさん、今です」
砲身が狙い定めてぴたりと止まると、クネウスが呼びかける。
「こういうのなんて言うんだっけ、『フールズ・メイト』? ま、いっか、皆、合わせるね!」
その声に合わせてリズもドラゴンロボへと砲門の照準を合わせた。
『このエネルギー……拙い! ゴーレムよ! あの者を止めよ!』
それに気づいたカダスフィアが攻撃を阻止しようと、残ったゴーレム兵を一斉に突撃させる。
「仲間の邪魔はさせませんでありますよ」
その敵を近い順に智華が素早く銃口を合わせ、一瞬銃口をピタリと止める度に引き金を引き、まるでマシンガンのように連続で熱線を飛ばし、弾幕を張るようにゴーレムを撃ち抜いていった。
「CODE:GROUND ZERO。その身に纏った大地ごと吹き飛ばします」
「撃ち込むよアラクネ! レーザー発射!」
クネウスは戦車の砲身内に粒子が集まって眩く光り、荷電粒子砲が発射された。同時にリズも二つの砲門から光属性レーザーを放った。着弾した光線がロボの装甲を貫き、中のカダスフィア本体をも穿った。
「ゥガアアアッ!」
胴体の焼けるような激痛にカダスフィアが声を上げて悶える。装甲の穴から内部に溜まっていた血が滝のように流れ落ちる。大きな衝撃を受け、気迫だけで保っていた身体が持たなくなってきていた。
「弱ってるわぁ! このまま押し切るわよぉ!」
これが最後の一手だと、修羅雪姫は戦旗を振るって仲間を鼓舞し、爆撃によって邪魔が入らないように残っていた敵兵を吹き飛ばし、ドラゴンロボにも爆弾を落として装甲を剥がしていく。
『こうなれば刺し違えてでも――何だ? 動かん?!』
カダスフィアが最後の抵抗に相討ち狙いで突っ込もうとするが、その足が動かずに動揺する。
「逃がさねぇって言っただろ?」
鷹介が念動力でがっちりと足を固定し、敵の邪魔をしていた。
『また貴様か!』
カダスフィアは固定された左脚を強引に引き千切り、鷹介へと頭から突進し噛みつこうとする。
「狙い撃つであります――」
そこへ正面からライフルを構えた智華が青白い閃光を放ち、ぼろぼろになったロボの装甲の隙間を縫うように内部に入り、残っていたカダスフィア本体のの左目を撃ち抜いた。
『ガァアアアアッ! 眼が見えん!!』
両目を失い盲目となったカダスフィアは、鷹介を見失って攻撃を外し地面に突っ込む。
「さっきの攻撃で完全に機能停止してしまいましたか、ではこうしましょう」
クネウスが動かなくなった戦車の砲身を解体して取り外して脇に抱え、アームドフォートに接続してエネルギーを供給する。
「捨て駒(サクリファイス)をすれば勝てるとでも思いましたか、その程度ではチェックメイトに至る筋に変わりはありません」
ここを突破して先に進むと、急造で先よりも火力は弱いがもう一度荷電粒子砲を発射し、損傷していたドラゴンロボの装甲を粉砕した。隙間からカダスフィア本体の姿が覗く。
「これでフールズ……じゃなくって、チェックメイトだよ!」
リズが砲門を向け、クネウスの言葉でこんな時に使うチェスの決め台詞を思い出し、全力でレーザーを発射した。その閃光はクネウスの破壊した隙間を抜け直接カダスフィアの首に当たる。そこは既に深い斬撃の傷が骨にまで達しているところだった。衝撃でとうとう耐えきれなくなった骨が折れ、首が千切れ跳んだ。
「無念……ヴァルギリオス様……どうかその手に勝利を御掴みください…………」
最後まで主の勝利を願い、力の全てを出し切った帝竜カダスフィアは息絶えた。
「やったわぁ、全世界サイボーグ連盟の勝利よぉ!」
「皆の力が合わさった結果だね!」
勝ち鬨を上げるように修羅雪姫が旗を掲げ、続いてリズも両腕と砲身をばんざーいと突き上げた。
「ちゃんと敗北フラグは回収したな。まあ巨大化したドラゴンロボなんて勝ち目はねぇよな」
これがお約束の結末だと、鷹介はニンマリと笑った。
「しかし大物だけあってしぶとかったですね。こんなのがまだまだいると思うと大変そうでありますよ」
智華はこんな敵ばかりだと戦争が大変そうだと、眼鏡をかけてほっと息を吐いた。
「ひとまず最初の帝竜は撃破できました。この勢いで他の帝竜も倒してしまいたいところです」
勝利を喜びながらも、まだ戦争は始まったばかりだとクネウスは気を引き締める。
その言葉に頷き、まだまだ戦いは続くと、猟兵達は次なる戦場へ向かう為、一旦グリモアベースへと帰還した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵